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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】ファインパウダーを使用した膜
(51)【国際特許分類】
   B01D 71/34 20060101AFI20231108BHJP
   C08L 27/16 20060101ALI20231108BHJP
   C08J 9/26 20060101ALI20231108BHJP
   C08J 9/28 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B01D71/34
C08L27/16
C08J9/26 101
C08J9/28 CEW
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526392
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 US2021057165
(87)【国際公開番号】W WO2022094162
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/107,467
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500307340
【氏名又は名称】アーケマ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・エス・オブライエン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター・ピー・コーサー
(72)【発明者】
【氏名】サエイド・ゼラファティ
【テーマコード(参考)】
4D006
4F074
4J002
【Fターム(参考)】
4D006GA02
4D006MA01
4D006MA02
4D006MA03
4D006MA06
4D006MA31
4D006MB16
4D006MC28X
4D006MC29X
4D006MC81
4D006MC87
4D006NA22
4D006NA23
4D006NA40
4D006NA54
4D006NA73
4F074AA38
4F074AC17
4F074AC20
4F074AC21
4F074AC26
4F074AC32
4F074AD11
4F074CB13
4F074CB14
4F074CB16
4F074CB27
4F074CB28
4F074CB34
4F074CC04X
4F074CC22X
4F074CC29Y
4F074DA08
4F074DA24
4F074DA43
4J002BD141
4J002DE096
4J002DE106
4J002DE116
4J002DE146
4J002DE236
4J002DJ016
4J002EH097
4J002EH147
4J002FD016
4J002FD027
4J002GD05
(57)【要約】
本発明は、微粉末PVDFグレードの抽出可能なフィラーを使用して、高強度及び高透過性のTIPS膜の製造を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
TIPS膜用組成物であって、
30~50%のPVDF、
1~250nmの平均粒子サイズを有する、15~25%の微粉末の抽出可能なフィラー、
35~55%の有機潜在溶媒、及び
0~10%の添加剤
を含み、
前記PVDFは、D3418(DSC)の第2の加熱で45~55J/gmの融解熱デルタHを有し、NMRによる逆単位のパーセントは4.6~5.8である、組成物。
【請求項2】
前記PVDF粉末は、第2の加熱で160~170℃の融点を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記PVDF粉末は前記組成物の30~45重量パーセントを構成し、前記有機潜在溶媒は前記組成物の35~42重量パーセントを構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記PVDFは、少なくとも95重量%のフッ化ビニリデンを含むホモポリマー又はコポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記微粉末の抽出可能なフィラーは、ヒュームドシリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、炭酸カルシウム、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記潜在溶媒は、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
以下のステップを含む、多孔質膜の製造方法:
(i)請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物を、好ましくはペレットの形態で、押出機に供給し、
(ii)溶融物を押し出して、構造体を形成し、
(iii)有機溶媒、好ましくはアルコールで、前記構造体から前記溶媒を抽出し、
(iv)酸又は塩基で前記フィラーを抽出し、及び
(v)前記構造体を純水で洗浄して、多孔質膜を生成する。
【請求項8】
以下のステップを含む、多孔質膜の製造方法:
(a)3~15ミクロンのD50を有する微粉末PVDF、1~250nmの平均粒子サイズを有する微粉末の抽出可能なフィラー、及び潜在溶媒を予備混合して、自由流動粉末ブレンドを生成し(ここで、前記自由流動粉末ブレンドは、15~30重量%の潜在溶媒を含む)、
(b)前記自由流動粉末ブレンドを押出機又はニーダーに供給し、前記自由流動粉末ブレンドを溶融して溶融ブレンドを生成し、
(c)潜在溶媒の追加の分量を前記押出機又はニーダーの下流で前記溶融ブレンドに供給して、溶融製品を生成し、
(d)前記溶融製品を押し出して、構造体を形成し、
(e)有機溶媒、好ましくはアルコールで、前記構造体から前記溶媒を抽出し、
(f)酸又は塩基で前記フィラーを抽出して、
多孔質膜を生成する。
【請求項9】
前記PVDFは、ASTM D3418(DSC)の第2の加熱で45~55J/gmの融解熱デルタHを有し、NMRによる逆単位のパーセントは4.6~5.8である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
さらに、ステップ(f)の後に、前記構造体を水で洗浄するステップ(g)を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
潜在溶媒の前記追加の分量の量は、(a)で調製された材料の総重量に基づいて、5~50重量%、好ましくは7~47重量%である、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(a)では、微粉末PVDF及び微粉末の抽出可能なフィラーが最初に一緒にブレンドされ、続いて前記潜在溶媒が添加される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
さらに、以下のステップ:
(c2)ステップ(c)から固体ペレットを押し出し、及び
(c3)ペレットを第2の押出機に供給すること
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(d)を出る前記構造体が水浴中に押し出される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記PVDFが、少なくとも95重量%のフッ化ビニリデンを含むホモポリマー又はコポリマーである、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記微粉末の抽出可能なフィラーが、ヒュームドシリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、及び炭酸カルシウム、ならびにそれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
前記微粉末の抽出可能なフィラーがヒュームドシリカを含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項18】
前記微粉末の抽出可能なフィラーが酸化亜鉛を含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項19】
前記潜在溶媒が、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、グリセロールトリブチレート(トリブチリン)、炭酸プロピレン、炭酸ジフェニル、レブリン酸ブチル、n-オクチルピロリドン、安息香酸エステル(安息香酸メチル、安息香酸エチルなど)、リン酸エステル(リン酸トリフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジルなど)、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、ガンマバレロラクトン、及びそれらの混合物を含む群から選択される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項20】
前記潜在溶媒は、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリエチル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項21】
流速及び引張強度が少なくとも800lmbh及び少なくとも8MPa、好ましくは少なくとも1000lmbh及び少なくとも10MPaである、請求項7に記載の方法によって製造された膜。
【請求項22】
流速及び引張強度が少なくとも800lmbh及び少なくとも8MPa、好ましくは少なくとも1000lmbh及び少なくとも10MPaである、請求項8に記載の方法によって製造された膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粉末エマルジョンPVDFグレード(3~15ミクロンのD50)を有する抽出可能なフィラーを使用して、高強度及び高透過性のTIPS(Thermally Induced Phase Separation、熱誘起相分離)膜の製造を可能にする。
【背景技術】
【0002】
PVDF膜は、非溶媒誘起相分離(Non-solvent Induced Phase Separation、NIPS)プロセスによって最も一般的に製造され、ここで、PVDFは気孔形成剤を含む強力な溶媒に溶解され、中空繊維などの形状を非溶媒(水など)に紡糸することによって処理される。このプロセスでは、水溶性の溶媒が成形された膜から拡散し、非溶媒/水が膜内に拡散して微孔性膜構造を生成する。凝固浴中の非溶媒はポリマー溶液に拡散し、脱混合プロセスでは溶媒が非溶媒浴に拡散する。これは本質的に溶媒間の交換である。ポリマーは、非溶媒との接触の結果として溶液から出てきて固化する。PVDF膜の最大の用途は、耐久性のある水ろ過用の中空繊維膜である。
【0003】
微孔性PVDF中空繊維膜を製造するための別のプロセスは、熱誘起相分離(TIPS)と呼ばれる。この場合、相分離プロセスは冷却によって駆動され、PVDFと非水溶性潜在溶媒との間の相分離が引き起こされる。通常、このTIPSプロセスでは、潜在溶媒と抽出可能なフィラーの両方を使用し、フィラーは化学抽出によって除去され、多孔性と透過性が向上させる。TIPSプロセスでは、ポリマー組成物を高温(例えば140~270℃)で溶融押出し、次いで冷却して成形膜フィルムを凝固させる。冷却固化した中空繊維膜を抽出液浴に導入し、可塑剤と溶媒を除去して中空繊維膜を形成する。抽出液は、可塑剤及び潜在溶媒を溶解し、フッ化ビニリデン樹脂を溶解しないものであれば特に限定されない。フラットシート膜もTIPSプロセスで作製することができる。
【0004】
中空繊維膜の強度は、中空繊維を紡糸するために使用される配合物中のPVDFの固形分重量パーセントによって最も重要に左右される。すなわち、PVDFの重量パーセントが増加するにつれて、強度が増加し、透過性が減少する。TIPS配合にフィラーを使用しないと、強度と透過性の間にトレードオフが生じる。したがって、溶媒に加えて抽出可能なフィラーを使用せずに、高強度、高透過性、及び良好な破断伸びを有するTIPS膜を達成することは困難である。
【0005】
米国特許第5,022,990号は、ヘンシェル高強度ミキサーですべての成分を一緒に予備混合する方法を開示しており、これはエマルジョングレードのPVDFには使用できない。典型的な配合(第5,022,990号)には、40重量%のPVDF、30.7重量%のフタル酸ジオクチル(DOP)、6.2重量%のフタル酸ジブチル(DBP)、及び23.1重量%の疎水性ヒュームドシリカ(Aerosil(登録商標)R972)が含まれる。これは懸濁液グレードのPVDFの大きな粒子サイズでは機能するが、エマルジョンファインパウダー(PSDが3~15ミクロン)で試すと、ブレンド操作中に扱いにくいペーストが形成される。PSDは粒子サイズ分布(particlesizedistribution)を意味し、平均粒子サイズを提供する)。第5022990号の例はすべて、PSDが150~250ミクロンの懸濁液グレードのPVDFとフィラーを使用している。
【0006】
米国特許第5,022,990号は、透過性と強度の両方の良好な組み合わせを可能にする成分の典型的な配合及びプロセスを開示している。この旭化成の発明は、抽出可能なフィラーを使用することにより、高固形分を使用してより高い引張強度を達成できる。これは、フィラーを抽出して透過性を高めることができるためである。示されている例では、最終的な気孔率は64~66%である。ただし、記載されている例では、抽出可能なフィラーは体積で約15%である。この特許の例はすべて、懸濁液グレードのPVDFを使用している。この粉末の平均粒子サイズは、測定に使用される方法に応じて200~215ミクロンである。フィラー、PVDF粉末、及び有機液体(DBPとDOPのブレンド)のブレンドは、高速ヘンシェルブレンダーで調製される。このブレンドは、二軸スクリュー押出機に供給するのに十分な流動性と粉の流れを有する。エマルジョン微粉末グレードのPVDFで同様の配合を試みると、粘り気のある扱いにくいペーストができてしまう。したがって、製造されたペーストを押出機に供給することができないため、微粉末エマルジョングレードのPVDFを使用してこのプロセスでTIPS膜を製造することは不可能である。
【0007】
国際公開第2006/006340号は、5,022,990と同様のブレンディングプロセスを開示し、すべての成分をヘンシェルミキサーで予備混合し、続いて押し出しと抽出を行うが、PVDFのPSDを20~250ミクロンと指定している。このPSD範囲は、エマルジョングレードのPVDFで達成される3~15ミクロンの範囲外である。実施例はすべて、懸濁液グレードのPVDFとAerosilを使用している。
【0008】
米国特許出願公開第20180056247号は、TIPS潜在溶媒中で特定の粒子サイズのPVDF粉末のPVDFスラリーを製造することを開示している。この特許は、エマルジョングレードのPVDFの問題を解決するために、その粉末の形状を変更して、溶媒を含む固形分40%のスラリーを作成し、ポンプで送れる液体として、それを二軸スクリュー押出機の後部に供給できるようにしようと試みた。この混合物に使用されるPVDFは、平均粒径が20~200ミクロンのエマルジョンPVDFで、より大きな粒径のPVDFに変換される。これにより、PVDFと溶媒の自由流動性と安定性を備え、液体として二軸スクリュー押出機に送り込み、紡糸して中空繊維にすることができるようなスラリーを生成する可能性がもたらされた。ただし、潜在溶媒とPVDFの安定したスラリーを可能にするためには、液状で二軸スクリューにポンプで送れる非常に特殊なPSDが必要である。この粒子サイズは、典型的なPVDFエマルジョンパウダー(3~15ミクロンのD50)で生成されるものよりも大きい。反例の1つでは、同様のブレンドを10ミクロンPSDのPVDF(エマルジョングレードPVDFのPSDの「通常の」範囲内)で作成すると、扱いにくいペーストが生成されることが示された。
【0009】
特開2010-227932号は、中空繊維膜を製造するためのTIPSプロセスを開示している。
【0010】
特開2012-236178号は、ヘンシェルミキサーですべての成分を同様に混合することを開示している。実験ではすべて、懸濁液グレードのPVDFとAerosilR972を使用している。
【0011】
米国特許出願公開第2012/0012521号は、PVDFを良溶媒(NMP)と潜在溶媒(ポリエステル可塑剤)の混合物とは別に二軸スクリューに供給することを開示している。これは「抽出可能な」フィラーを一切使用せず、結果として得られる膜の破断伸びは非常に低くなる。
【0012】
国際公開第2010/020115号は、PVDFと溶媒を高温撹拌タンク内で高温で混合し、次いで膜紡糸のために溶融状態で押出機に供給することを開示している。
【0013】
米国特許第8967391号は、PVDF、有機溶媒(細孔形成剤)、及び無機細孔形成剤を、25%のNanoZnO(30~50nm)、40%のPVDF500kMW、33.8%のDOP、及び1.2%のDBPの組成でブレンドすることを開示している。すべての成分をヘンシェルミキサーで一緒に混合し、二軸スクリュー押出機の後部に供給した。ここでも、すべての例は、PSDが200~250ミクロンの懸濁液グレードのPVDF粉末を使用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
先行技術は、すべての成分をヘンシェルでブレンドし、それを押出機に供給することを教示している。これは、特に抽出可能なフィラーを使用する場合、混合物が扱いにくいペーストになるため、微粒度分布のPVDF(PSD=3~15ミクロンのD50)には実用的ではない。今日まで、誰もこの問題を解決していない。
【0015】
フィラーが使用されていない場合、他のものが下流で潜在溶媒に供給されていた。しかし、機械的特性と透過性の最良の組み合わせは、抽出可能なフィラーを添加したときに達成され、均一な多孔性を与えるために、最終的な膜でその抽出可能なフィラーの「最良の」分布を持つことが望まれる。PVDF粉末と抽出可能なフィラーの重量比が2:1の場合、溶媒の一部を追加しなくても、押出機内で非常に高粘度の材料になる。さらに、抽出可能なフィラーを下流に追加することは(かさ密度が低いため)困難であり、均一に分散することも困難である。
【0016】
800lmhbを超える、好ましくは1000lmhbを超える高い透過性と、8を超える、好ましくは10MPaを超える高い引張強度との両方を有するエマルジョングレードPVDFを使用して、TIPS膜を製造するための有効な方法を誰も発見していない。エマルジョンPVDFによって生成された微粉末をフィラーと溶媒の両方と効果的に混合する方法を誰も定義していない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、エマルジョンPVDFなどの微粉末PVDFを使用して熱誘起相分離(TIPS)膜を作製することに関連する問題を克服する。典型的に、懸濁液グレードのPVDFがTIPS膜の製造に使用される。そのプロセスでは、懸濁液の粉末(通常は140~250ミクロンD50PSD)がフィラー及び潜在溶媒と予備混合され、二軸スクリュー押出機の後部供給ポートに供給されて溶融し、均一な組成物が生成される。特開2010-227932号(実施例1)に開示されている組成例は、40重量%のPVDF、37重量%の潜在溶媒、及び23%の微粉末シリカ若しくはZnOを含む。Microtracレーザー回折装置で測定した典型的なD50PSDが3~15ミクロンの微粉末PVDFでこの同じ混合を試みると、混合物は固体ペーストになり、押出機に供給することができない。
【0018】
驚くべきことに、PVDF、潜在溶媒及びフィラーを含む典型的なTIPS配合物は、好ましくは二軸スクリュー押出機又はコニーダーを使用する新規かつ独創的なブレンド方法によって、首尾よく配合/製造できることが見出された。本発明は、微粉末PVDFと微粒度フィラーとのブレンドが、かなりの量の潜在溶媒(組成物の15~30重量%)を添加しても自由流動粉末のままであることを発見した。これにより、PVDFの溶融後に下流で追加する必要がある潜在溶媒の残りを追加して、二軸スクリュー又はBussコニーダー配合を利用して均一な組成物を製造し、35~55重量%の潜在溶媒を有する最終組成物を生成することができる。乾燥状態で微粉末を最初にブレンドすることは、より均一な最終組成を生み出すことに役立つ。次に、この自由流動粉末ブレンドを二軸スクリュー(又はコニーダー)の後部供給セクションに供給し、好ましくは液体注入システムを使用して、追加の潜在溶媒を下流に供給する。以前ではエマルジョングレードのPVDF粉末を使用して、これらのブレンドを二軸スクリュー/コニーダーで製造することはできなかった。膜がこの組成物からキャストされると、それらは強力で高い透過性を備える。好ましくは、膜は、800lmbh以上の透過性、8MPa以上の強度(本明細書に記載の試験方法による測定)を有する。膜は、破断点伸びにおいて測定される延性が100を超え得る。
【0019】
本発明の独自性は、微粉末PVDFグレード(PSDが3~15ミクロンのD50)で微粉末の抽出可能フィラーを効果的に予備分散し、粉末の自由流動を維持しながら潜在溶媒の一部を添加する能力である。添加されるフィラー粉末の粒子サイズは1ミクロン未満であり、均一に分散するのが難しい場合がある。典型的なD50PSDが3~15ミクロンであるエマルジョングレードのPVDF粉末を高強度(例えば、ヘンシェルブレンダーで500rpm以上)で予備混合することにより、フィラーは効果的に「予備分散」され、最終的な膜への均一な分散をより効果的にする。フィラーは後で抽出され、最終的な膜に追加の細孔が作成されるため、これは重要であり得る。これらのフィラーの凝集体は、不均一な多孔性又はマクロボイドさえも引き起こす可能性がある。
【0020】
本発明は、以下を含む、TIPS膜のための組成物を提供する:3~15ミクロンのD50を有する30~50重量%のPVDF粉末、1~250nmの粒子サイズを有する15~25重量%の微粉末の抽出可能なフィラー、35~55%の有機潜在溶媒、及び0~10重量%の添加剤。
【0021】
本発明はまた、TIPS膜用コンパウンドの製造方法にも関し、ここで、上記の自由流動性ブレンドは二軸スクリュー又はコニーダーの後部に供給され、残りの溶媒は、PVDFの溶融後、液体噴射などの手段によって下流に添加される。
【0022】
本発明はまた、本発明の組成物/方法から多孔質膜を製造する方法にも関する。TIPS膜形成のための微粉末PVDFを調製する方法が開示される。この方法は以下を含む:(1)微粉末PVDFを微粉末の抽出可能なフィラー及び潜在溶媒とブレンドして自由流動粉末プレブレンドを形成し、自由流動粉末ブレンドの重量に基づいて15~30重量%の潜在溶媒を有する自由流動粉末ブレンドを生成すること、(2)自由流動粉末ブレンドを押出機に供給して自由流動粉末ブレンドを溶融し、液体注入などの手段による下流添加により、溶融後に追加の潜在溶媒を添加すること、(3)溶融粉末ブレンドを好ましくはペレットの形で押し出すこと、(4)(3)で押し出された溶融粉末ブレンドを押出機に供給し、そこで溶融生成物を膜に成形し、水浴に押し出すこと、(5)膜から溶媒をアルコールで抽出すること、(6)フィラーを酸又は塩基で抽出すること、(7)膜を水で洗浄すること。ステップ3と4は、単一の押出機を使用して1つのステップに組み合わせて、プレブレンドと追加の潜在溶媒をブレンドし、膜を押し出すことができる。
【0023】
本発明はさらに、本発明の組成物から形成された多孔質膜に関する。
【0024】
本発明の態様
態様1:TIPS膜用組成物であって、
a.30~50%のPVDF、
b.1~250nmの平均粒子サイズを有する、15~25%の微粉末の抽出可能なフィラー、
c.35~55%の有機潜在溶媒、及び
d.0~10%の添加剤
を含み、
前記PVDFは、D3418(DSC)の第2の加熱で45~55J/gmの融解熱デルタHを有し、NMRによる逆単位のパーセントは4.6~5.8である、組成物。
【0025】
態様2:前記PVDF粉末は、第2の加熱で160~170℃の融点を有する、態様1に記載の組成物。
【0026】
態様3:前記PVDF粉末は前記組成物の30~45重量パーセントを構成し、前記有機潜在溶媒は前記組成物の35~42重量パーセントを構成する、態様1又は2に記載の組成物。
【0027】
態様4:前記PVDFは、少なくとも95重量%のフッ化ビニリデンを含むホモポリマー又はコポリマーである、態様1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【0028】
態様5:前記微粉末の抽出可能なフィラーは、ヒュームドシリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、炭酸カルシウム、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される、態様1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【0029】
態様6:前記潜在溶媒は、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【0030】
態様7:以下のステップを含む、多孔質膜の製造方法:
(i)態様1~6のいずれか1項に記載の組成物を、好ましくはペレットの形態で、押出機に供給し、
(ii)溶融物を押し出して、構造体を形成し、
(iii)有機溶媒、好ましくはアルコールで、前記構造体から前記溶媒を抽出し、
(iv)酸又は塩基で前記フィラーを抽出し、及び
(v)前記構造体を純水で洗浄して、多孔質膜を生成する。
【0031】
態様8:以下のステップを含む、多孔質膜の製造方法:
(a)3~15ミクロンのD50を有する微粉末PVDF、1~250nmの平均粒子サイズを有する微粉末の抽出可能なフィラー、及び潜在溶媒を予備混合して、自由流動粉末ブレンドを生成し(ここで、前記自由流動粉末ブレンドは、15~30重量%の潜在溶媒を含む)、
(b)前記自由流動粉末ブレンドを押出機又はニーダーに供給し、前記自由流動粉末ブレンドを溶融して溶融ブレンドを生成し、
(c)潜在溶媒の追加の分量を前記押出機又はニーダーの下流で前記溶融ブレンドに供給して、溶融製品を生成し、
(d)前記溶融製品を押し出して、構造体を形成し、
(e)有機溶媒、好ましくはアルコールで、前記構造体から前記溶媒を抽出し、
(f)酸又は塩基で前記フィラーを抽出して、
多孔質膜を生成する。
【0032】
態様9:前記PVDFは、ASTM D3418(DSC)の第2の加熱で45~55J/gmの融解熱デルタHを有し、NMRによる逆単位のパーセントは4.6~5.8である、態様8に記載の方法。
【0033】
態様10:さらに、ステップ(f)の後に、前記構造体を水で洗浄するステップ(g)を含む、態様8又は9に記載の方法。
【0034】
態様11:潜在溶媒の前記追加の分量の量は、(a)で調製された材料の総重量に基づいて、5~50重量%、好ましくは7~47重量%である、態様8~10のいずれか1項に記載の方法。
【0035】
態様12:ステップ(a)では、微粉末PVDF及び微粉末の抽出可能なフィラーが最初に一緒にブレンドされ、続いて前記潜在溶媒が添加される、態様8~11のいずれか1項に記載の方法。
【0036】
態様13:さらに、以下のステップ:
(c2)ステップ(c)から固体ペレットを押し出し、及び
(c3)ペレットを第2の押出機に供給すること
を含む、態様8~12のいずれか1項に記載の方法。
【0037】
態様14:ステップ(d)を出る前記構造体が水浴中に押し出される、態様8~13のいずれか1項に記載の方法。
【0038】
態様15:前記PVDFが、少なくとも95重量%のフッ化ビニリデンを含むホモポリマー又はコポリマーである、態様7~14のいずれか1項に記載の方法。
【0039】
態様16:前記微粉末の抽出可能なフィラーが、ヒュームドシリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、及び炭酸カルシウム、ならびにそれらの組み合わせを含む群から選択される、態様7~15のいずれか1項に記載の方法。
【0040】
態様17:前記微粉末の抽出可能なフィラーがヒュームドシリカを含む、態様7~15のいずれか1項に記載の方法。
【0041】
態様18:前記微粉末の抽出可能なフィラーが酸化亜鉛を含む、態様7~15のいずれか1項に記載の方法。
【0042】
態様19:前記潜在溶媒が、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、グリセロールトリブチレート(トリブチリン)、炭酸プロピレン、炭酸ジフェニル、レブリン酸ブチル、n-オクチルピロリドン、安息香酸エステル(安息香酸メチル、安息香酸エチルなど)、リン酸エステル(リン酸トリフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジルなど)、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、ガンマバレロラクトン、及びそれらの混合物を含む群から選択される、態様7~18のいずれか1項に記載の方法。
【0043】
態様20:前記潜在溶媒は、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリエチル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、態様7~18のいずれか1項に記載の方法。
【0044】
態様21:流速及び引張強度が少なくとも800lmbh及び少なくとも8MPa、好ましくは少なくとも1000lmbh及び少なくとも10MPaである、態様7~20のいずれか1項に記載の方法によって製造された膜。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明のプロセスの一実施形態の概略図である。
図2】透水性及び機械的強度に対する固形分含有量の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
PVDFの粒子サイズは、Microtrac Laser Particle size analyzer(レーザー回折を使用)によって測定される。
【0047】
自由流動とは、粉末フィーダー(D5プラットフォーム重力式フィーダーのK-TronK-CL-FSF KT20又はKT35など)を介して、ブリッジングなしで均一に(一貫したkg/時間レートで)供給できる能力を意味する。
【0048】
本明細書で使用する場合、特に断りのない限り、百分率は重量%であり、溶融粘度は100s-1及び232℃でASTM 3825を使用して測定され、引用されたすべての参考文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
PVDFは、ポリフッ化ビニリデンポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)を意味する。微粉末PVDFとは、乳化重合によって製造され、D50粉末サイズが3~15ミクロンのポリフッ化ビニリデンポリマーを意味する。
【0050】
微粉末の抽出可能なフィラーとは、平均粒子径が1~250nmのフィラーで、成形品(膜など)から、一般的に溶剤、熱、酸や塩基による化学分解により除去できるフィラーを意味する。フィラーは、20m2/gを超える表面積を有することが好ましい。微粉末の抽出可能なフィラーの粒子サイズは、一次粒子のサイズを指すことが理解される。
【0051】
本発明は、PVDF樹脂の微粒子サイズ範囲を有する組成物、組成物の製造方法、及びTIPSプロセスを介して組成物から膜を製造する方法に関する。
【0052】
本発明は、抽出可能なフィラー及び微粒子PVDFを使用して、均一な多孔質膜の製造を可能にする。本発明は、自由流動な粉末ブレンドを維持しながら、微粉末PVDF、微粉末の抽出可能なフィラー、及び潜在溶媒を予備混合すること(ここで、プレブレンドは潜在溶媒を15~30重量%含む)によって問題を解決する。この解決案は、我々の発明以前に特定されたことはない。さらに、粉末にかなりの割合の溶媒を追加することで、過剰なせん断加熱なし、配合に適した粘度が維持される。
【0053】
我々は、扱いにくいペーストの形成などの以前の特許で指摘された取り扱いの問題を克服しながら、均一な細孔サイズ分布のTIPS膜の製造を可能にする化合物を生成する独自のプロセスを発見した。本発明は、エマルジョングレードのPVDF粉末と抽出可能なフィラーとのプレブレンド、及び潜在溶媒の一部を利用する。
【0054】
本発明が対象とする組成物は、以下を含む:
a)微粉末PVDF(レーザー回折による3~15ミクロンのD50):30重量%~50重量%
b)平均粒子サイズが1~250nmの微粉末の抽出可能なフィラー:15~25重量%
c)有機潜在溶媒又は溶媒ブレンド:35~55重量%
d)任意選択で、添加剤:0~10%
【0055】
好ましくは、PVDF/フィラー粉末混合物を撹拌して均一な混合物を生成し、次に潜在溶媒流体を混合しながら徐々に添加して効果的に分散させ、15~30重量パーセントの潜在溶媒を含むプレブレンドを達成する。あるいは、組成物が自由流動な粉末として維持される限り、任意の添加順序が許容される。抽出可能なフィラーの種類とサイズに応じて、流体添加レベル(重量%)は制御されて、典型的なロスインウェイト(Loss-in-weight、LIW)粉末供給システムでケーキングすることなく良好な粉末の流れを維持する。この流動性のプレブレンドは、二軸スクリュー押出機又はコニーダー押出機などの押出機に供給されて、溶融物を生成する。残りの潜在溶媒(最終製剤に必要な追加の分量)は、プレブレンドが溶けた状態になった後、ロスインウェイト(LIW)液体フィーダー(K-TronK-ML-D5-P重量測定液体フィーダーなど)を介して下流に添加される。このようにして、溶融生成物中に均一に分散されたフィラーを、過度の発熱なしに達成することができ(供給粉末プレブレンド(初期添加)中の潜在溶媒の存在による)、そして潜在溶媒の残り(追加の分量)は押出機/ニーダーの下流で添加される。粉末プレブレンドに潜在溶媒を添加しないと、過剰なせん断加熱が起こる可能性がある。本発明では、粉末プレブレンド工程により、フィラーの均一な分布が達成される。潜在溶媒のさらなる分量の下流への添加は、その後中空繊維又はフラットシート膜に押し出される化合物の最終配合を厳密に制御するために、LIWフィーダーシステムを用いてその潜在溶媒を容易に取り込める温度(好ましくは130℃~230℃)で行うべきである。図1は、本発明のプロセスの概略的な実施形態を示す。
【0056】
得られた配合物は、ストランド切断又は水中切断によってペレット化することができ、次に第2段階で、ギアポンプ及びキャピラリーダイを備えた単軸スクリュー押出機を使用して中空繊維膜に押し出すことができる。この場合、押出機は、時期尚早の相分離と溶媒からの浸出を防ぐために、適切な温度プロファイルと処理条件で実行する必要がある。
【0057】
あるいは、二軸スクリューにギアポンプ及び膜ダイを装備して、膜を直接製造することができる。
【0058】
ポリマー
本発明のポリマーは、TIPSプロセスによって膜を形成するために使用される任意のフルオロポリマーポリマーであり得る。特に有用なフルオロポリマーには、以下が含まれるが、これらに限定されない:モノマー単位の大部分がフッ化ビニリデン又はフッ化ビニルのいずれかであるホモ及びコポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、及びエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)。ポリフッ化ビニリデン含有コポリマーが最も好ましい。本発明は、例示的なフルオロポリマーとしてポリフッ化ビニリデンを使用するが、当業者は、ポリフッ化ビニル、ETFE、ECTFE、及び記載された同じパラメータを有する他の同様のポリマーを使用することを容易に想定することができる。
【0059】
本発明のポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)組成物は、好ましくは、フッ化ビニリデン(VDF)を重合して製造されるホモポリマー、フッ化ビニリデンのコポリマー、ターポリマー及び高次ポリマーであり、ここで、フッ化ビニリデン単位は、典型的には、ポリマー中の全モノマー単位の総重量の70パーセントを超え、より好ましくは、単位の総重量の75パーセントを超えて構成する。しかし、特にコポリマーがテトラフルオロエチレン(TFE)で作られている場合、VDFは全モノマーの25重量パーセントまで低くなり得る。フッ化ビニリデンのコポリマー、ターポリマー、及びより高次なポリマーは、フッ化ビニリデンを、以下からなる群からの1つ以上のモノマーと反応させて作製することができる:フッ化ビニル、トリフルオロエテン、テトラフルオロエテン、1つ又は複数の部分的又は完全にフッ素化されたα-オレフィン(3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、1,2,3,3,3ペンタフルオロプロペン、3,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン、ヘキサフルオロプロペンなど)、トリフルオロメチルメタクリル酸、トリフルオロメチルメタクリレート、部分フッ素化オレフィンヘキサフルオロイソブチレン、過フッ素化ビニルエーテル(ペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロエチルビニルエーテル、ペルフルオロ-n-プロピルビニルエーテル、及びペルフルオロ-2-プロポキシプロピルビニルエーテルなど)、フッ素化ジオキソール(パーフルオロ(1,3ジオキソール)及びパーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)など)、アリル、部分フッ素化アリル、又は、フッ素化アリルモノマー(2-ヒドロキシエチルアリルエーテル又は3-アリルオキシプロパンジオールなど)、エテン、プロペン。好ましいコポリマー又はターポリマーは、フッ化ビニル、トリフルオロエテン、テトラフルオロエテン(TFE)、及びヘキサフルオロプロペン(HFP)で形成される。最も好ましいコポリマーは、ヘキサフルオロプロペン(HFP)で形成される。1つの好ましいPVDFは、ArkemaからのKynar(商標)PVDFである。
【0060】
すべてがフルオロモノマーであるコポリマーが好ましいが、酢酸ビニル、メタクリル酸、及びアクリル酸などの非フッ素化モノマーも、ポリマー固形分に基づいて5重量パーセントまでのレベルで、コポリマーを形成するために使用され得る。
【0061】
好ましいコポリマーは、約71~約99重量パーセントのVDF、及び対応して約1~約29パーセントのTFE;約71~99重量パーセントのVDF、及び対応して約1~29パーセントのHFP(米国特許第3,178,399号に開示されているものなど);約71~99重量パーセントのVDF、及び対応して約1~29重量パーセントのトリフルオロエチレンを含むような、VDFのコポリマーである。
【0062】
別の好ましい実施形態は、VDFとTFEとのコポリマーを提供し、TFEが25~75重量パーセントの範囲にあり、残りがVDFであることが想定される。
【0063】
別の好ましい実施形態は、VDF、HFP及びTFEのターポリマー、ならびにVDF、トリフルオロエテン及びTFEのターポリマーなどのターポリマーを提供する。考えられるターポリマーは、24~75重量パーセントのVDFを有することができ、HFP又はトリフルオロエテン含有量は1~40重量パーセントの範囲であり、TFE含有量は24~75重量パーセントの範囲であり得る。好ましいターポリマーは、45~55%のTFE、25~35%のVDF、及び10~20%のHFPである。
【0064】
ポリフッ化ビニリデンポリマーの混合物(官能化ポリマーと非官能化ポリマー、及び異なる溶融粘度を有するポリマーを含む)も本発明の一部として想定される。
【0065】
微粉末PVDFは、好ましくは、Microtracレーザー回折による測定で、3~15ミクロンのD50粒径範囲を有する。
【0066】
PVDFは、ASTM D3418(DSC)による第2の加熱で45~55J/gmのデルタHの融解熱を有し、NMRによる逆単位のパーセントは4.6~5.8の間である。
【0067】
好ましくは、PVDF粉末は、第2の加熱で160~170℃の間の融点を有する(ASTM D3418)。
【0068】
潜在溶媒
ポリマー粒子は、潜在溶媒とブレンドされ、自由に流動する粉末を形成する。潜在溶媒は有機液体であり、室温ではフルオロポリマー樹脂を溶解せず(5重量%未満可溶)又は実質的に膨潤するが、高温ではフルオロポリマー樹脂を溶解する。
【0069】
ポリマーを溶解する溶媒は好ましくなく、これは粘度の増加につながる。本発明に有用な潜在溶媒には、限定されないが、以下が含まれる:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、グリセロールトリブチレート(トリブチリン)、炭酸プロピレン、炭酸ジフェニル、レブリン酸ブチル、n-オクチルピロリドン、安息香酸エステル(安息香酸メチル、安息香酸エチルなど)、リン酸エステル(リン酸トリフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジルなど)、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、ガンマバレロラクトン、及びそれらの混合物。
【0070】
好ましい潜在溶媒は、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリエチル、及びそれらの混合物である。
【0071】
抽出可能なフィラー
本発明では、抽出可能なフィラーが使用される。好ましくは、フィラーは、1~250ナノメートルの範囲の平均粒径を有する。好ましくは、フィラーは、1~100ナノメートル、より好ましくは1nm~50ナノメートルの範囲の平均粒径を有する。粒子径は走査型電子顕微鏡で見ることができる。抽出可能なフィラーの例には、酸又は塩基抽出可能な細孔形成剤が含まれ、これらは、シリカ、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、炭酸カルシウムなど、通常は疎水性である。金属塩(リチウム、カルシウム及び亜鉛塩)などの水抽出可能な化合物としてそのような塩を使用することによって、水抽出可能なフィラーもあり得る。好ましいフィラーには、ヒュームドシリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、及び炭酸カルシウムを含む微細な無機酸化物粉末(平均粒子サイズ1~100nm)が含まれる。
【0072】
他の添加剤
TIPSプロセスにおける溶媒及びフィラーの抽出前に、組成物は追加の添加剤を含んでもよい。フルオロポリマー及び溶媒及び抽出可能なフィラーに加えて、フルオロポリマーの重量パーセントに基づいて、典型的には0~10重量パーセント、好ましくは1~10重量パーセント、より好ましくは5~10重量パーセントで、1つ又は複数の他の添加剤を膜組成物に添加することができる。典型的な添加剤には以下が含まれるが、これらに限定されない:アクリル樹脂ポリマー、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、PMMAコポリマー、ポリ-2-エチルオキサゾリン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-2-エチルオキサゾリン、ポリメチルビニルケトン、ポリメチルメタクリレート-co-エチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート-co-ブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート-co-ブチルアクリレート-co-ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート-co-ブチルアクリレート-co-メトキシポリエチレングリコール-メタクリレート、ポリメチルメタクリレート-co-メタクリル酸、ポリメチルメタクリレート-co-ブチルアクリレート-co-メタクリル酸、ポリメチルメタクリレート-co-アミノプロパンスルホン酸、ポリメチルメタクリレート-co-アミノプロパンスルホン酸ナトリウム塩、PMMA-両性イオンコポリマー(ポリメチルメタクリレート-co-スルホベタインメタクリレート、ポリメチルメタクリレート-co-ホスホリルコリンメタクリレート、ポリメチルメタクリレート-co-カルボキシベタインメタクリレート、ポリメチルメタクリレート-グラフト-ビニルピリジン-スルホベタインなど);及びそれらの組み合わせ。
【0073】
本発明のプロセスによって形成された組成物は、押出しとそれに続く熱誘起相分離(TIPS)によって多孔質膜に形成することができる。
【0074】
熱誘起相分離(TIPS)は、多孔質相反転膜を作製するための2つの主要な方法のうちの1つである。TIPSは、ポリマー材料が希釈剤可塑剤又は潜在溶媒で溶融されて均質な溶融物を形成するという点で、ポリマー溶融加工の一形態である。溶融状態では、ポリマーと希釈剤は完全に混和する。冷却すると、ポリマーの溶解度が低下し、相分離して固相になる。適切なフォームファクター(シート、フィルム、チューブ、中空糸など)にキャストすると、熱相分離によって多孔質構造が生成される。
【0075】
非溶媒誘起相分離プロセス(NIPS)とは異なり、TIPSで使用される潜在溶媒は室温でポリマーを溶解しない。均一な溶液を作るには、ポリマーの融点近くまで加熱する必要がある。TIPSプロセスでは、NIPSプロセスの非溶媒交換とは異なり、ポリマーの冷却に伴う結晶化が相分離の駆動プロセスである。TIPSの結晶化プロセスにより、TIPS膜はNIPS膜よりも結晶化度が高く、したがって強度が高くなる。
【0076】
TIPS膜(熱制御-NIPSプロセスよりも著しく速い)は、構造全体に均一な細孔サイズを有するが、拡散制御であるNIPS膜は、膜を通して細孔サイズの勾配を生じる(非対称細孔サイズ分布)。
【0077】
さらに、高温押出プロセスの使用は、NIPSプロセスと比較して、はるかに高い(2倍又はそれ以上)ポリマー固体を可能にする。より高いポリマー固形分は、NIPS膜と比較してTIPS膜の機械的強度を高めるのにも役立つ。
【0078】
高い機械的強度はTIPS膜の固有の特性であるが、NIPS膜と比較して透過性が低い可能性がある。TIP膜の透過性を改善するために、抽出可能な無機フィラーが配合の一部として使用され、膜がキャストされた後に抽出される。TIPS膜は、無機フィラーを使用することで、一般的なNIPS膜よりも高い強度と高い透水性の両立を達成している。
【0079】
したがって、TIPS膜を製造するための望ましいプロセスは、高い機械的強度及び高い透過性の所望の特性を達成するために、ポリマー固形分及び抽出可能な無機フィラーの両方を利用できなければならない。
【0080】
TIPSプロセスは上に記載されており、本発明の粉末ブレンドを使用して膜を形成するための好ましいプロセスである。本発明の粉末プレブレンドは室温で自由流動性であり、粉末プレブレンドを押出機に移し、最終的にTIPSプロセスを使用して膜を形成することを可能にする。
【0081】
多孔質膜は、フラットシート、支持されたシート、チューブ、又は中空繊維又は支持された中空繊維の形態であることができる。
【0082】
本発明の膜の最終乾燥厚さは、一般に50~500ミクロン、好ましくは100~300ミクロンである。これは、低温破砕された膜を使用して、走査型電子顕微鏡で、又は校正済みの接眼レンズ又はサイジングソフトウェアを使用した光学顕微鏡で測定できる。
【実施例
【0083】
引張試験方法
機械的試験は、繊維をスプールに巻き付けるように設計された繊維ホルダーを備えたInstron 4201ユニバーサル試験フレームで行われた。これにより、標準の引張棒グリップによるデリケートな中空繊維の損傷を防止した。ギャップ間隔は100mmで、ひずみ速度は50mmmin-1であった。繊維は湿った状態で試験された。5つの繊維の複製が実行され、平均化された。
【0084】
透水性
純水の透過性を試験するために、それぞれ長さが約30~40cmの5ループの膜を、長さ50cmのOD3/4インチの透明なPVCチューブの一端に詰めた。チューブの開放端から脱イオン水を満たし、水透過試験マニホールドに接続した。水の透過性は、0.5バールの圧力で、繊維の外側から内側への行き止まりの流れで測定された。膜の表面積は、光学顕微鏡で繊維のODを測定し、円周を計算し、試験モジュール内の繊維の露出した長さを掛けることによって決定された。
【0085】
例1
生成される最終配合の重量パーセント成分:38%Kynar761(100s-1、230℃で26~29KPoiseの溶融粘度)微粉末/エマルジョングレードPVDF、20%ZnO(Azo66)及び42%セバシン酸ジブチル(DBS)。
【0086】
Kynar761とZnOを高速ヘンシェルミキサーに添加した。これらを500rpmで2分間プレブレンドした。次いで、DBS(合わせた乾燥粉末の20重量%)を、混合機を500rpmで5分間かけてポートから徐々に添加した。得られた粉末は自由流動性であった。
【0087】
36:1L/Dバレルを備えた30mmZSK二軸スクリュー押出機は、ロスインウェイト容積式液体噴射ポンプを使用して下流に注入する必要がある追加の液体DBSを可能にする特定のスクリュー設計でセットアップされた。押出機の温度は190℃に設定し、スクリューのrpmは200rpmに設定した。自由流動な粉末を二軸スクリューの後部に10lbs/hrで供給し、DBSを3.8lbs/hrの速度で下流に供給して、上記のようにこの化合物の最終配合を達成した。冷水浴を使用して押出物をストランドペレット化した。配合中のトルクは22%で測定され、溶融温度は190℃であり、ASTM D3835で100-1及び235℃での溶融粘度が27kpoiseであるKynar761などの高粘度PVDFを使用した場合でも、有意なせん断加熱がなかったことが示された。得られたペレットは、DBSをアルコールで抽出することにより分散品質を分析し、次にSEMでZnOの細孔サイズと分散品質を分析した。さらに、ZnOを2モルの硫酸で4時間抽出した。
【0088】
結果は、エマルジョンプロセスを使用して生成された微粉末を押出機に均一に供給することができ、潜在溶媒を下流で追加して最終配合を作製し、ペレット化できることを示している。
【0089】
例2
例1で調製したペレットを、バリアスクリューを備え、L/Dが24対1、圧縮比が3対1の1インチ単軸スクリュー押出機に供給した。押出機は、次の表に示す温度プロファイルで25rpmで作動した。
【0090】
【表1】
【0091】
上記の装置を使用して、幅6インチ、厚さ0.004~0.008インチのフィルムを、ダイギャップ0.01インチの垂直に取り付けられた幅8インチのコートハンガーダイを使用して生成した。フィルムは、華氏60度に設定されたクロム研磨ロールを備えた3つのロールスタックで冷却された。
【0092】
次のステップでは、フィルムをアルコールに浸して洗浄し、さらに酸に浸して洗浄して膜を形成した。
【0093】
均一な細孔構造は、SEM及び/又はキャピラリーフローポロメトリーによって観察された。
【0094】
酸化亜鉛の均一な分布がSEMによって観察された。
【0095】
図1は、実施例1及び2に記載の膜を生成するためのフィルムを調製するための概略手順を示す。
【0096】
例3(比較)
フタル酸ジエチル中のPVDF樹脂の500gスラリーを、Microtracで測定したD50粒子サイズが10ミクロンの一連の樹脂を含む微粉末PVDFを使用して調製した。この混合物は、45%のPVDF樹脂と55%のフタル酸ジエチルを含んでいた。最初にフタル酸ジエチルを秤量してミキシングジャーに入れ、続いてPVDF樹脂を加えた。泡立て器を使用して混合物を1分間撹拌して、固体を分散させた。混合物を2時間静置して溶媒で完全に湿らせた。次いで、混合物を手持ち式電動ウィスクミキサーを使用して1分間再び混合した。これにより、樹脂がより完全に溶媒にブレンドされた。その結果、二軸押出機に供給できない扱いにくいペーストができた。
【0097】
例4(比較)
無機フィラー添加剤を使用したTIPS膜のキャスティング
以下に説明する装置を使用して、溶媒及び微粉末PVDFを使用して一連の実験を行った。
【0098】
以下の実施例は、微細粉末PVDF樹脂、潜在溶媒からなる配合物を使用するが、無機フィラー添加剤を含まない、TIPS膜をキャスティングするためのバッチプロセスを説明する。
【0099】
300mlのジャケット付きステンレス鋼混合容器内で、PVDF微粉末樹脂とフタル酸ジエチルとをブレンドする。使用量は下表の通りである。混合物を、窒素下で内部オーバーヘッドスターラーによって60~65rpmで撹拌しながら200℃に加熱した。樹脂の溶解は、1.5時間後に溶融物のサンプルを取り出すことによって確認され、透明な溶液になった。溶解が完了したら、タンク温度を170~180℃に下げて結晶化温度に近づける。オリフィス紡糸口金のチューブを使用して、溶融物から中空繊維をキャストした。PVDF樹脂の溶融溶液をギアポンプによって加熱されたダイ(170~180℃)に送り込み、周囲温度のジエチルフタレートは繊維のルーメンを通して送り出した。繊維は、7mmのギャップを介して周囲温度の水浴にキャストされ、低張力でリールに集められた。回収後、繊維をアルコールに浸して溶媒を除去し、次に水に浸してエタノールを除去した。それ以上の後処理は行われなかった。繊維は、小さなプラスチックチューブに接着し、外側から内側への水の流れで0.5バールで水フラックスを測定することにより、透水性について試験した。インストロン試験装置で機械試験を行った。透水性及び機械的強度のデータを表に示す。
【0100】
これらの結果は、固形分含有量と透水性との間に反比例の関係があることを示しているが、固形分含有量が増加すると機械的強度が増加することを示している。したがって、この方法では、これらの繊維のフラックス対強度特性に制限がある。
【0101】
【表2】
【0102】
これらの実験は、通常の「トレードオフ」を示しており、フィラーなしでは、高強度を得る場合、透過性が低くなる。図2も参照されたい。
【0103】
例5(比較)
ブレンダーで粉末と溶媒ブレンドを混合することにより、ブレンドを調製した。混合シーケンスのさまざまな組み合わせが試された。目標は自由流動な粉末を作ることであった。粉体が自由流動であるかどうかを目視で確認した。
【0104】
粉末ブレンドは、3つのタイプに分類できる:
ブレンダーから容易に流れ出る自由流動な粉末
カッテージチーズに似た、より大きなもろい塊で、注ぐことができるチャンキーパウダー
流し出すことができず、すくい出さなければならなかったペースト。
【0105】
配合:
Kynar 761粉末 40g
フタル酸ジオクチル/フタル酸ジブチル 35g(DOP90%、DBP10%)
Zano20(酸化亜鉛ナノ粉末) 25g
【0106】
この組成物は、これらすべての試験に使用された。
【0107】
試験1:ブレンダーで全て一緒に混合する
15秒間の混合を2回行った。ブレンダーは、混合物の濃密さのため、混合の終わりまでに力を込めていた。結果はブレンダーからこぼれないペーストであった。それはすくい取らなければならないものであった。
【0108】
試験2:Kynar粉末と溶媒を予備混合し、次いでZano20を添加する
40gのKynarと15gの溶媒ブレンドを混合した。2×15秒間ブレンドした。自由流動で湿った粉末が形成された。
25gのZanoをすべての761/溶媒ブレンドに加え、2×15秒間混合した。自由流動で湿った粉末が得られた。
溶媒混合物をさらに10g加え、2×15秒間ブレンドした。粉末が固まってペースト状になった。ブレンダーから注ぐことができなかった。それはすくい取らなければならないものであった。
【0109】
試験3:Zano20と溶媒を予備混合する
すべてのZanoとすべての溶媒をブレンダーで混合し、2×15秒間混合した。流動性スラリーが形成された。Kynar761パウダーを追加し、2×15秒間再度ブレンドした。ミルから注ぎ出すことができない濃厚なペーストが形成された。
【0110】
これらの結果(試験1~試験3)は、Kynar761などの微粉末PVDFとのプレミックスを調製することができないことを示している。
【0111】
例6(比較)
Solef6010粉末樹脂とZano20の混合
より大きな粒子サイズ分布(115ミクロンのD50)を持つ懸濁液によって作られたPVDFを使用し、比較例5の試験2を複製し、Solef6010粉末(40g)を、2×15秒の混合サイクルで、ブレンダーでZano(25g)とブレンドした。自由流動な粉末混合物が得られた。この粉末混合物に溶媒を加えてから、2×15秒のサイクルで再度混合した。最終ブレンドは、ブレンダーから簡単に注ぐことができた。
【0112】
結果はまた、懸濁液グレードのより大きな粒子サイズのPVDFを使用すると、混合物が流動性になることも示している。これは、懸濁液グレードのPVDFがエマルジョングレードのPVDFと同じように挙動しないことを示している。
図1
図2
【国際調査報告】