(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】パワーデバイスのための温度制御
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20231108BHJP
【FI】
G01R31/26 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526495
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 US2021056408
(87)【国際公開番号】W WO2022093667
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】オルランド ラザロ
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー メルキン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ラッセル ブロンズ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ション
(72)【発明者】
【氏名】ヨゲシュ クマール ラマダス
(72)【発明者】
【氏名】ウジワル ラドハクリシュナ
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA01
2G003AB16
2G003AC08
(57)【要約】
記載される例において、回路(100)が、電圧入力(104、106)とコマンド入力(108)とを有するパワーデバイス(102)を含む。感知回路(110)が、センサ入力(112)とセンサ出力(114)とを有し、センサ入力は、パワーデバイス(102)に結合される。制御回路(118)が、制御入力(120)と制御出力(122)とを有し、制御入力はセンサ出力(114)に結合される。ドライバ回路(124)が、ドライバ入力とドライバ出力とを有する。ドライバ入力は制御出力(122)に結合され、ドライバ出力は、パワーデバイス(102)のコマンド入力(108)に結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路であって、
電圧入力及びコマンド入力を有するパワーデバイスと、
センサ入力及びセンサ出力を有する感知回路であって、前記センサ入力が前記パワーデバイスに結合される、前記感知回路と、
制御入力及び制御出力を有する制御回路であって、前記制御入力が前記センサ出力に結合される、前記制御回路と、
ドライバ入力及びドライバ出力を有するドライバ回路であって、前記ドライバ入力が前記制御出力に結合され、前記ドライバ出力が前記パワーデバイスの前記コマンド入力に結合される、前記ドライバ回路と、
を含む、回路。
【請求項2】
請求項1に記載の回路であって、前記感知回路が、前記パワーデバイスに結合される熱センサ回路を含み、前記熱センサ回路が前記ドライバ入力に結合される出力を有する、回路。
【請求項3】
請求項2に記載の回路であって、
前記熱センサ回路が、基板を介して前記パワーデバイスに結合される絶対温度に比例する(PTAT)電流源を含み、
前記PTAT電流源が、前記基板の温度に応答して前記制御回路の前記制御入力にバイアス信号を提供するように構成される、
回路。
【請求項4】
請求項3に記載の回路であって、前記制御回路が、前記バイアス信号を受信するように構成される入力を有するトランジスタを含み、前記トランジスタが、電圧供給端子に結合される電圧入力を有し、前記トランジスタが、前記ドライバ入力に結合される前記制御出力を有する、回路。
【請求項5】
請求項3に記載の回路であって、
前記PTAT電流源が、前記基板の温度に応じてヒステリシス的に変化する電流を提供するように構成され、
前記制御回路が、前記PTAT電流センサの前記電流に応答して或るデューティサイクルで前記パワーデバイスの温度を調整するように構成される、回路。
【請求項6】
請求項1に記載の回路であって、前記感知回路が、
電圧入力及び出力を有する電圧センサであって、前記電圧センサの前記電圧入力が前記パワーデバイスに結合される、前記電圧センサと、
入力及び出力を有するワンショット回路と、
を含み、
前記電圧センサの前記出力が、前記ワンショット回路の前記入力に結合され、前記ワンショット回路の前記出力が前記ドライバ入力に結合される、
回路。
【請求項7】
請求項6に記載の回路であって、前記ワンショット回路が、前記電圧センサの前記出力における電圧センサ信号に応答して前記ドライバ入力を変調するように構成される、回路。
【請求項8】
請求項1に記載の回路であって、前記回路が集積回路として実装され、前記集積回路が、基板と、前記基板上に実装される前記パワーデバイス及び前記感知回路とを含む、回路。
【請求項9】
請求項1に記載の回路であって、前記パワーデバイスが、
ゲート、ソース及びドレインを有する第1の電界効果トランジスタ(FET)であって、前記第1のFETの前記ドレインが、前記電圧入力の第1の電圧入力に結合される、前記第1のFETと、
ゲート、ソース、及びドレインを有する第2のFETと、
を含み、
前記第1のFETの前記ソースが前記第2のFETの前記ソースに結合され、前記第2のFETの前記ドレインが前記電圧入力の第2の電圧入力に結合される、
回路。
【請求項10】
請求項1に記載の回路であって、さらに、
抵抗器と、
前記パワーデバイスの前記電圧入力間で前記抵抗器と直列に結合される電圧源と、
を含む、回路。
【請求項11】
回路であって、
電圧入力端子及びコマンド入力を有するパワーデバイスであって、制御入力信号に応答して、前記電圧入力間で電流を導通するように構成される前記パワーデバイスと、
前記パワーデバイスの温度を感知し、前記感知された温度に応答してセンサ信号を提供するように構成される、熱センサと、
前記センサ信号に応答して前記パワーデバイスをオンにし、前記パワーデバイスの前記温度を下げるために、前記パワーデバイスの前記コマンド入力にドライバ信号を提供するように構成されるドライバ回路と、
を含む、回路。
【請求項12】
請求項11に記載の回路であって、
前記パワーデバイスが電界効果トランジスタ(FET)を含み、
前記電圧入力端子が、前記FETのドレイン及びソースであり、前記FETが前記ソースと前記ドレインとの間にボディダイオードを有し、前記FETが、前記FETの降伏電圧を超える前記ドレインと前記ソースとの間の電圧電位に応答して、前記ボディダイオードを介して逆電流を導通するように構成される、回路。
【請求項13】
請求項12に記載の回路であって、
前記熱センサが、前記パワーデバイスに結合される絶対温度に比例する(PTAT)電流源を含み、
前記PTAT電流源が、前記パワーデバイスの温度に応答して電流を導通するように構成される、回路。
【請求項14】
請求項13に記載の回路であって、前記熱センサがトランジスタを含み、前記トランジスタが、前記バイアス信号に応答して前記ドライバ回路を制御するように構成される、回路。
【請求項15】
請求項14に記載の回路であって、前記PTAT電流源が、前記パワーデバイスの温度にヒステリシスに応答して変化するように前記バイアス信号を提供するように構成される、回路。
【請求項16】
請求項12に記載の回路であって、前記回路が、基板を含む集積回路として実装され、前記パワーデバイス及び前記熱センサが、前記集積回路の前記基板上に実装される、回路。
【請求項17】
請求項11に記載の回路であって、試験間隔中に前記電圧入力端子に試験電圧を提供するように構成される試験システムをさらに含み、前記試験電圧が、前記パワーデバイスの降伏電圧を超える、回路。
【請求項18】
請求項17に記載の回路であって、前記熱センサが、前記感知された温度に応答して前記試験間隔中に電流を導通するように前記パワーデバイスを制御するため或るデューティサイクルを有する前記センサ信号を提供するように構成される、回路。
【請求項19】
システムであって、
電圧入力端子を有する集積回路(IC)であって、前記ICが、
入力端子及びコマンド入力を有するパワーデバイスであって、前記パワーデバイスの前記入力端子が前記ICの電圧入力端子に結合される、前記パワーデバイスと、
前記パワーデバイスに結合されるセンサであって、前記パワーデバイスの過剰ストレス事象を検出することに応答してセンサ信号を提供するように構成される前記センサと、
前記パワーデバイスの前記コマンド入力に結合され、前記センサ信号に応答して前記パワーデバイスを駆動するように構成されるドライバ回路と、
を含む、前記ICと、
前記パワーデバイスの前記過剰ストレス事象を引き起こすために試験電圧を提供するように構成される前記電圧入力端子に結合される電圧源を含む試験システムと、
を含む、システム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、前記ドライバ回路が、前記パワーデバイスの前記コマンド入力に駆動信号を供給するように構成され、前記駆動信号が、前記過剰ストレス事象の間或るデューティサイクルを有する、システム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムであって、前記過剰ストレス事象が、温度又は過電圧状態のうちの少なくとも1つを含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載はパワーデバイスの温度を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
アバランシェ降伏は、p-n接合を横切る電界が、より多くの自由電荷キャリアをつくるように、結合した電子と衝突して自由電荷キャリアをつくるのに充分なエネルギーを有するときに、絶縁材料と半導体材料の両方で起こり得る現象に関連する。自由電荷キャリアの増大は、p-n接合を介する電流の著しい増大をもたらす。過電圧ストレス状態の間、パワーデバイスは、アバランシェ降伏に応答して過剰な電力消散を被り得る。電力消散の増加は、パワーデバイスと、パワーデバイスが収容されるパッケージの接合温度上昇を誘発する。状況によっては、温度上昇は、パワーデバイスの損傷(例えば、パッケージの層間剥離)を引き起こす恐れがある。
【発明の概要】
【0003】
記載される例において、回路が、電圧入力とコマンド入力とを有するパワーデバイスを含む。感知回路が、センサ入力とセンサ出力とを有し、センサ入力はパワーデバイスに結合される。制御回路が、制御入力と制御出力とを有し、制御入力はセンサ出力に結合される。ドライバ回路が、ドライバ入力とドライバ出力とを有する。ドライバ入力は制御出力に結合され、ドライバ出力はパワーデバイスのコマンド入力に結合される。
【0004】
別の記載される例において、回路が、電圧入力端子とコマンド入力とを有するパワーデバイスを含む。パワーデバイスは、制御入力信号に応答して、電圧入力間で電流を導通するように構成される。熱センサが、パワーデバイスの温度を感知し、感知された温度に応答してセンサ信号を提供するように構成される。ドライバ回路が、センサ信号に応答してパワーデバイスをオンにし、パワーデバイスの温度を低下させるために、パワーデバイスのコマンド入力にドライバ信号を提供するように構成される。
【0005】
さらに記載される例において、システムが、電圧入力端子を有する集積回路(IC)を含む。ICは、入力端子とコマンド入力とを有するパワーデバイスを含み、パワーデバイスの入力端子は、ICの電圧入力端子に結合される。ICはまた、パワーデバイスに結合されたセンサを含み、センサは、パワーデバイスの過剰ストレス事象の検出に応答してセンサ信号を提供するように構成される。ICはまた、パワーデバイスのコマンド入力に結合され、センサ信号に応答してパワーデバイスを駆動するように構成される、ドライバ回路を含む。試験システムが、電圧入力端子に結合された電圧源を含み、パワーデバイスの過剰ストレス事象を引き起こすために試験電圧を提供するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】パワーデバイスの温度を制御するように構成される例示の回路を示すブロック図である。
【0007】
【
図2】パワーデバイスの温度を制御するように構成される例示の回路を示す。
【0008】
【0009】
【
図4】パワーデバイスの温度を制御するように構成される別の例示の回路を示す。
【0010】
【
図5】パワーデバイスと、高電位試験中にパワーデバイスの温度を制御するように構成される回路とを含む例示のシステムを示す。
【0011】
【
図6】
図5のシステムにおける信号のプロットを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
例示の実施例は、パワーデバイスの温度を制御するための回路要素及び方法に関する。本明細書で用いられる場合、パワーデバイスという用語は、集積回路(IC)チップ内に実装され、スイッチ又は整流器又は他のタイプのパワー電子デバイスとして用いられ得る半導体デバイスを指す。パワーデバイスの例には、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)FETなどが含まれる。
【0013】
一例において、回路が、電圧入力と制御入力とを有するパワーデバイスを含む。感知回路が、センサ入力とセンサ出力とを有し、センサ入力は、パワーデバイスに結合される。制御回路が、制御入力と制御出力とを有し、制御入力はセンサ出力に結合される。制御回路は、感知回路の一部として又は別個の回路として実装することができる。ドライバ回路が、ドライバ入力とドライバ出力とを有する。ドライバ入力は制御入力に結合され、ドライバ出力はパワーデバイスの制御入力に結合される。例えば、感知回路は、パワーデバイスの温度、電圧、又は電流を感知することなどによって、パワーデバイスの過剰ストレス状態を感知するように構成される。制御回路は、感知された過剰ストレス状態に応答して、ドライバ入力において制御信号を変調するように構成される。その結果、パワーデバイスは、それに応じてパワーデバイスの温度を低下させるために、制御信号に応答して、感知された過剰ストレス状態の間に動作される。
【0014】
図1は、例示の回路100を示すブロック図である。回路100は、電圧入力104及び106と、コマンド入力108とを有するパワーデバイス102を含む。例えば、パワーデバイスは、入力104と106との間に結合された1つ又はそれ以上のトランジスタを含む。従って、パワーデバイス102は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、接合電界効果トランジスタ(JFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、又は他のタイプのトランジスタとして実装することができる。一例において、パワーデバイスは、入力104及び106に結合されたMOSFETのソースとドレインとの間に結合されたボディダイオードを含むパワーMOSFETとして実装される。ドレインとソースとの間に逆バイアスが印加されると、ボディダイオードのP-N接合を横切って電界が設定される。印加電圧が降伏電圧を超えて上昇すると、接合はもはや印加電圧を支持することができない臨界電界に達する。電圧が上昇すると、ボディダイオードに逆電流が流れるアバランシェ降伏が生じる。
【0015】
回路はまた、センサ入力112とセンサ出力114とを有する感知回路110を含む。センサ入力112は、パワーデバイス102に結合される。例えば、116で概略的に示される結合は、導電性及び/又は熱伝導性接続などの伝導性結合を含み得る。感知回路110は、パワーデバイス102のアバランシェ状態を検出し、感知されたアバランシェ状態を表すセンサ信号を提供するように構成される。本明細書で用いるとき、アバランシェ状態という用語は、印加された電界に応答するパワーデバイス102の絶縁領域(例えば、半導体パワーデバイスのp-n接合)の電気的破壊を指す。例えば、高電位(HIPOT)試験中など、パワーデバイスがオフにされている(例えば、活性化されていない)間に、パワーデバイスの入力104及び106に充分に高い電圧及び/又は電流を印加すると、絶縁破壊をトリガするのに充分な電界をパワーデバイスの絶縁領域にわたって生成することができる。従って、電気的破壊に応答してパワーデバイスを介して電流が流れることが可能となる。感知回路は、過剰ストレス(例えば、アバランシェ)状態を検出するために、パワーデバイスの温度及び/又は電気的特性を感知することができる。
【0016】
一例において、感知回路110は、パワーデバイス102に隣接して配置され、パワーデバイスの温度を測定し、温度を表すセンサ信号を提供するように構成される熱センサである。別の例において、感知回路110は、パワーデバイスの電圧及び/又は電流など、パワーデバイス102の電気的特性(例えば、電圧、電流、電力)を測定し、測定された電気的特性に応答してセンサ信号を提供するように構成される。一例において、回路100は、ICパッケージング材料内の共通基板(例えば、ダイ)上にパワーデバイス102及び感知回路110を含むICとして実装される。
【0017】
回路100はまた、制御入力120と制御出力122とを有する制御回路118を含む。制御入力120は、センサ出力114に結合される。制御出力122は、ドライバ回路124のドライバ入力に結合される。制御回路118は、センサ信号に応答してドライバ回路124に制御信号を供給するように構成される。例えば、制御回路118は、センサ信号を閾値と比較し、パワーデバイスのアバランシェ状態を示すセンサ信号に応答して、パルス又は一連のパルスとして制御信号を提供するように構成される。
図1の例において、制御回路118及び感知回路110は、別個の回路として示されている。別の例において、感知回路110及び制御回路118は、それぞれの感知機能及び制御機能を実施するように構成される回路要素に組み合わせることができる。
【0018】
ドライバ回路124は、パワーデバイスのコマンド入力108に結合されたドライバ出力を有する。ドライバ回路124は、122における制御信号に応答して、駆動信号をコマンド入力に供給するように構成される。パワーデバイスは、駆動信号に応答して活性化(例えば、オンに)して、アバランシェ状態の間にパワーデバイスによって消散される電力を低減するように構成される。
【0019】
例えば、感知回路110、制御回路118、及びドライバ回路124は、アバランシェ状態の間、パワーデバイス102の動作を調整するための「ターンオン」制御ループとして構成される。一例において、制御回路118は、センサ信号に応答してデューティサイクルを有するパルスとして制御信号を提供するように構成される。制御信号のデューティサイクルは固定されていてもよいし、経時的に変化していてもよい。例えば、デューティサイクルは、パワーデバイスの温度変動に応じて設定することができる。制御回路118は、反復的に、第1の温度閾値に達したときに電流を導通させるためにパワーデバイスを活性化し、次いで、デバイス温度に応答してヒステリシス制御を提供するためなど、より低い温度閾値に達したときにパワーデバイスを非活性化するように構成され得る。従って、アバランシェ状態の検出に応答してパワーデバイス102を活性化する(例えば、オンにする)ことによって、パワーデバイスによって消散される電力がより少なくなる。消散電力が低減されることで、パワーデバイスの温度の低下も可能となる。
【0020】
更なる例として、試験システム128が回路100に結合されて示されている。試験システム128は、パワーデバイスの電圧入力104と106との間の制限抵抗器RLIMと直列に結合される電圧源130を含む。一例において、この回路はIC132として実装され、パワーデバイスの電圧入力104及び106は、IC132の端子134及び136に結合される。従って、RLIM及び電圧源は、ICにおける回路要素の試験などのために、
図1に示されるように、端子134及び136に結合され得る。例えば、電圧源は、パワーデバイスの通常のブロック要件の最大約5倍であり得る高ストレス電圧を印加することによってHIPOTを実施するように構成される。そのような高ストレス電圧は、パワーデバイスの電力消散を増加させる傾向があり、これは、ダイ温度を増加させる恐れもある。例えば、ダイ温度の上昇は、層間剥離を引き起こすなど、ICのパッケージングを損傷する恐れがある。電力消散を低減するための既存のアプローチは、RLIMのサイズを増加させること、又は端子134及び136にわたってクランプ回路要素を追加することを含む。両方とも、回路100のコストを著しく増加させ得る。アバランシェ降伏などのパワーデバイスの過剰ストレス事象の検出に応答してパワーデバイス102を活性化するために本明細書で用いられるアプローチは、RLIMのサイズ(及びコスト)が既存のアプローチと比較して低減されることを可能にする。本明細書のアプローチはさらに、追加の(高価である)クランプ回路要素を必要としない。
【0021】
図2は、パワーデバイス102の温度を制御するように構成される例示の回路200を示す。回路200は、
図1に示す回路100の一例示の一実施例である。従って、
図2の説明は、
図1にも言及する。
図2の例において、パワーデバイス102は、電圧入力端子206と208との間に直列に結合された一対のパワーFET202と204とを含む。特に、FET202及び204は、共通ソース構成で示されており、各FETのソースは互いに結合されている。共通ソース構成は、双方向電圧ブロックを提供するのに有用である。各FET202及び204のドレインは、それぞれの入力端子206及び208に結合される。FET202及び204の各々はまた、FETのそれぞれのソースとドレインとの間に結合されたボディダイオード210及び212を含む。ボディダイオード210及び212は、それぞれのFET202及び204のドレインからソースへの逆電流フローをブロックするように構成される半導体接合を有する。
【0022】
回路200はまた、パワーデバイス102に結合された熱センサ214を含む。
図2の例において、熱センサ214は、トランジスタ216に結合された電圧入力215を有する。例えば、トランジスタ216は、端子206と熱センサ214の入力215との間に結合されたJFETであり、JFETのソースは電圧入力215に結合される。電圧入力215はまた、ドライバ218の電圧入力に結合される。JFET216は、端子206及び208にわたって印加される電圧電位に応答するなど、熱センサ214及びドライバ218を動作させるための入力電圧を供給するように構成される。例えば、JFETのゲートが接地されると、JFETは、制御回路要素を動作させるためにそのソースに低電圧供給(例えば、約5~20V)を提供するように構成される(例えば、ピンチオフで動作する)。JFETのドレインが低いとき、JFETは、制御回路要素をオフにするためのスイッチのように挙動するように構成される(例えば、三極管領域で動作する)。熱センサ214の出力220が、ドライバ218の入力に結合される。ドライバ218は、FET202のゲートに結合された出力を有する。FET204のゲートは、FET202及び204の共通ソース端子に結合される。熱センサ214及びドライバ218は、FET202及び204の共通ソース端子にも結合された接地端子を有する。
【0023】
他の例において、
図2に示すものとは異なる数及び構成の1つ又はそれ以上のパワーデバイス102を用いることができる。
図2の例並びにそのような他の例において、回路200は、熱センサ214と、アバランシェ状態の検出に応答してそれぞれのパワーデバイス102を駆動するように構成されるドライバ218(又は他の回路要素)との、1つ又は複数の例を含み得る。同様に、本明細書に記載されるような別個の感知及び制御回路要素が、パワーデバイス204のアバランシェ状態の検出に応答して、パワーデバイス204を制御するように実装され得る。
【0024】
熱センサ214は、パワーデバイスの温度に応答して出力220においてセンサ信号を提供するように構成される。ドライバ218は、センサ信号に応答してパワーデバイス102を制御するように構成される。一例において、熱センサ214は、温度閾値を超える感知された温度に応答して(ドライバ218を介して)パワーデバイス102をオンにするように構成される「シャットオン」センサとして実装される。温度閾値は構成可能であり得る。更なる例において、熱センサ214はヒステリシス制御を実装するように構成され、この制御において、熱センサは、第1の閾値を超える温度に応答してFET202をオンするため論理高でセンサ信号を提供し、第2の閾値を下回る温度に応答してFET202をオフにするため、論理低でセンサ信号を提供する。結果として、FET202は、センサ出力信号のデューティサイクルに応答してオン及びオフにされ(例えば、トグルされ)、センサ信号のデューティサイクルは、パワーデバイス102の温度に応答する。
【0025】
更なる例として、端子206及び208は、試験システム210に結合されるように適合される。例えば、
図1と同様に、試験システム210は、抵抗器RLIMと、端子206と208との間に直列に結合された電圧源130とを含む。電圧源130は、例えば回路200を試験するために、VHIPOTとして示される出力電圧を提供するように構成される。従って、端子206と208とにわたって電圧VHIPOTを印加することに応答して、FET202のボディダイオード210のPN接合にわたってアバランシェ降伏が生じ得、FET202のチャネルを介する電流フローを提供することができる。ダイオード212は、FET204を介して電流を導通するように順方向バイアスされ得る。電力は、アバランシェ状態に応答して消散し得、その結果、パワーデバイス102の温度が増大する。上述のように、熱センサ214は、FET202を制御するためのセンサ信号を提供し、それによって、感知された温度に応答してパワーデバイスの温度を調整するように構成される。
【0026】
一例において、回路200は、共通基板(例えば、半導体ダイ)上に実装される、パワーデバイス102と、熱センサ214と、ドライバ218と、トランジスタ216とを含むIC234として実装される。例示のIC234において、熱センサは、熱センサが実装される場所におけるダイの温度を測定することができ、これはパワーデバイス102の温度に依存する。
【0027】
図3は、
図2の例において用いられ得る熱センサ214の例を示す。従って、
図3の記載は、
図2にも言及する。熱センサ214は、電流源302及び304を含む。スイッチ(例えば、FET)306が、電流源302と並列の電流源304と直列に結合される。一例において、電流源302は、電流源が形成される基板の温度に応答する(例えば、比例する)電流を提供するように構成された、絶対温度に比例する(PTAT)電流源である。他方の電流源304もPTAT電流源であってもよい。抵抗器R1が、電圧端子308と、電流源302及びスイッチ306が結合される接合点(例えば、端子)310と
の間に結合される。端子310はまた、トランジスタ312のベースに結合される。トランジスタ312のエミッタは端子308に結合され、トランジスタのコレクタは、別の電流源314を介して接地に結合され、電流源314は、トランジスタ312のコレクタから電流をシンクするように構成される。308及び310における電圧間の電圧差(例えば、312のエミッタ-ベース電圧)は、電流源304及び302のPTATの性質に起因して、トランジスタ312を制御するために、温度の増加に応答して増大する。トランジスタ312は、温度の上昇に応答して熱センサの出力220を電圧端子に結合するように活性化され、この出力は、ドライバ218の入力に提供される。一例において、センサ220の出力は、スイッチ306の状態を制御するために用いられ、そのため、220が論理高であるとき、スイッチ306はイネーブルにされ、温度に応答してヒステリシスを示す。結果として、220におけるセンサ出力は、(例えば、スイッチ306を用いてPTAT電流源302をイネーブル又はディセーブルするヒステリシスに起因して)感知された温度に応答するデューティサイクルを有することができる。
【0028】
図4は、パワーデバイス102の温度を制御するように構成される例示の回路400を示す。回路400は、
図1に示される回路100の別の例示の実施例である。従って、
図4の説明は、
図1にも言及する。
図4の例において、パワーデバイス102は、電圧入力406と電圧入力408との間に結合されたFET402を含む。
図2に関して説明したものと同様に、FET402は、FETのそれぞれのソース及びドレインとの間に結合されたボディダイオード410も含む。ボディダイオード410は、それぞれのFET402のドレインからソースへの逆電流フローをブロックするように構成される半導体接合を有する。
【0029】
回路400はまた、過剰ストレス状態を検出するためのセンサを含む。
図4の例において、センサは、第1及び第2の入力416及び418と、センサ出力420とを有する電圧センサ414として実装される。第1の入力は、FET402のドレインに結合され、第2の入力はFET402のソースに結合される。センサ出力420は、ワンショット回路422の入力に結合される。ワンショット回路422は、ドライバ回路426の入力に結合された出力424を有する。ドライバ回路426は、パワーデバイス102の制御入力(例えば、FET402のゲート)に結合された出力を有する。
【0030】
電圧センサ414は、FET402の両端間の電圧を測定するように構成され、これは、ボディダイオード410の両端間の電圧の測定値も提供する。電圧センサ414は、FET402の両端間の感知電圧を表すセンサ出力信号を出力420に提供する。例えば、電圧センサ414は、FET402のドレイン電圧を表す電圧を供給するように構成される分圧回路(例えば、抵抗性分圧器)として実装される。コンパレータが、分圧器出力を基準と比較することができ、そのため、コンパレータは、測定された電圧が基準を超えたときに第1の出力(例えば、論理高)を提供し、測定された電圧が基準を超えなかったときに第2の出力(例えば、論理低)を提供する。他の例において、電圧センサ414を実装するために、異なる構成の回路要素を用いることができる。ワンショット回路422は、或る持続時間を有するトリガパルス信号を提供することなどによって、420におけるセンサ出力信号に応答してドライバを制御するように構成される。424におけるトリガパルス信号の持続時間は、固定され得、構成可能であり得る。ドライバ回路426は、424におけるトリガパルスに応答してパワーデバイスを駆動するように構成される。ドライバ回路426はまた、トランジスタ(例えば、JFET)428に結合された供給入力を有する。従って、JFETは、ドライバ回路426に供給電圧を供給するように構成され、ドライバ回路は、トランジスタ428の両端間の電圧降下に応答して、駆動信号をパワーデバイスに(或る大きさで)供給する。
【0031】
一例として、端子406及び408は、試験システム430に結合されるように適合される。
図2と同様に、試験システム430は、抵抗器RLIM及び電圧源130を含み得る。電圧源130は、回路400を試験するためなどに、出力電圧VHIPOTを供給するように構成される。例えば、FET402がオフにされ、アバランシェ降伏を被らないとき、FET402において消散される電力は熱的に懸念されない(例えば、約サブmWレベルで)。406と408とにわたって印加される電圧(例えば、VHIPOT)がFET402の降伏電圧を超える場合、アバランシェ状態が生じ、ボディダイオード410は、ドレインからソースに電流を導通するように逆バイアスされる。アバランシェ状態の間、電圧センサ414は、FET402の両端の電圧を測定し、これは、406における電圧(例えば、VHIPOTからRLIMの両端の電圧降下を差し引いたもの)に近似する。電圧センサ414は、検出された電圧に応答してワンショット回路の入力を駆動するためのセンサ信号を提供することができる。ワンショット回路は、ドライバ回路426をトリガする持続時間を有するパルスを供給して、FET402のゲートを駆動し(例えば、FETをオンにするのに充分なFET402へのゲート-ソース間電圧で)、ワンショットパルスの持続時間に相応する時間間隔の間、そのチャネルを介して電流を導通するようにFETをオンにするように構成される。本明細書に記載されるように、FETがオンにされるとき、FETは、より少ない熱を消散し、冷却する。持続時間の後、ドライバは、FET402のゲートから電圧を除去し、FETはオフになる。VHIPOTがまだ提供されていると仮定すると、FETは、アバランシェ降伏を受け、熱を消散する。アバランシェ降伏に応答して、電圧センサ414は、ワンショット回路422をトリガして、或る持続時間、FETをオンにする。このプロセスは、VHIPOTの印加の間に繰り返すことができ、本明細書で記載されるように、より一般的には、電力デバイス及び回路400(例えば、ICとして実装される)の温度を調整する。
【0032】
図5は、IC500と、制御回路504と、試験システム506とを含むシステム500の例を示す。
図5の例において、IC500は、回路要素510の1つのセットを回路要素512の別のセットから電気的に分離するように構成される絶縁バリア508を含む。回路要素512は、それぞれの端子518と520との間に結合されたFET514と516とを含むパワーデバイス102(
図1に示される)を含む。試験システム506は、端子518及び520に結合される。例えば、試験システム506は、電圧源130と、抵抗器RLIMと、別の抵抗器R3(例えば、RLIM>R3)とを含む。ドライバ522が、入力制御信号に応答してパワーデバイス102を駆動するためにFET514及び516のゲートに結合される。
【0033】
例えば、制御回路504は、イネーブル入力信号を入力端子524に印加するように構成される。絶縁ドライバ526が、端子524に結合された入力を有する。絶縁ドライバ526は、絶縁バリアを通過することができる(例えば、光信号として)絶縁制御信号を提供するように構成され、絶縁制御信号は、パワーデバイス102を制御するためのドライバ522への入力制御信号としての電気信号に変換される。
【0034】
システム502はまた、保護回路530を含む。一例において、保護回路530は、IC500内の回路要素512の一部として実装される。別の例において、保護回路530は、制御回路504の一部として実装される。さらに別の例において、保護回路530は、回路要素512と制御回路504との間で分散され得る。保護回路530は、アバランシェ状態などの過剰ストレス状態の間、パワーデバイス102の接合温度を調整するように構成される。例えば、保護回路530は、
図1、
図2、
図3、及び
図4を含む、本明細書に記載される例の任意のものに従って感知及び制御を実装するように構成される。保護回路は、FET514及び516の各々、並びにIC500を含む、パワーデバイス102の温度を効果的に調整することができるので、既存のアプローチと比較して、より小さい抵抗器RLIMをシステム502において用いることができる。
【0035】
更なる例として、
図6は、
図5のシステムにおける信号のプロット602、604、606、608、及び610を示すグラフ600である。プロット602は、試験間隔(例えば、約60秒)中に電圧源130によって供給される試験信号の例を示す。プロット604は、本明細書に記載されるように、試験電圧及び保護回路530の動作に応答して、端子518において試験システムによって供給される電流の例を示す。従って、保護回路530の動作の間、電流は、FET514及び516が切り替えられるデューティサイクルに応答して、或るデューティサイクルでトグルする。プロット606は、試験電流(プロット604)に応答する抵抗器RLIMの両端間の電圧降下を示す。図示のように、プロット606において、FET514及び516をオンにすることに応答して、RLIMにわたって電圧降下の増加が生じる。プロット608は、入力端子518と520にわたる入力電圧(VIN)を示す。保護回路530がまだFET514及び516をオンにするようにトリガしていないので、より広いパルス612が、まず試験信号VHIPOTに応答して発生する。試験電圧VHIPOTによって温度が上昇した後、保護回路530は、入力電圧608が図示のようにそれぞれのデューティサイクルを有するように(例えば、約4秒後に)、FETを制御するように構成される。プロット610は、パワーデバイス102の感知温度(例えば、FET514の接合温度)の一例を示す。従って、プロット610は、614でまず増加する接合温度を示し、次いで、接合温度は、高ストレス状態の間(例えば、IC500へのVHIPOTの印加の間)ヒステリシス的に調節される。本明細書に記載されるように、保護回路530が温度調整を実装しなかった場合、温度は上昇し続ける可能性があり、これは、IC500の回復不能な損傷(例えば、パッケージの層間剥離)を引き起こす可能性がある。VHIPOTが除去された後、パワーデバイス102は通常動作に戻り、518において、FET514の降伏電圧を超えない入力電圧をブロックすることができる。
【0036】
本明細書では、「結合する」又は「結合する」という用語は、間接的又は直接的接続のいずれかを意味する。そのため、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接接続を介するもの、又は、他のデバイス及び接続を介した間接的接続を介するものであり得る。例えば、デバイスAが或る行為を行なうためにデバイスBを制御するための信号を生成する場合、第1の例において、デバイスAはデバイスBに結合され、又は第2の例において、介在構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能関係を実質的に変化させない場合にデバイスBがデバイスAによって生成される制御信号を介してデバイスAによって制御されるように、デバイスAは介在構成要素Cを介してデバイスBに結合される。
【0037】
「~に基づく」という記載は、「少なくとも部分的に~に基づく」という意味である。従って、XがYに基づく場合、Xは、Y及び任意の数の他の要因の関数であり得る。
【0038】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。
【国際調査報告】