(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】改善型湿式スクラバー
(51)【国際特許分類】
B01D 53/18 20060101AFI20231108BHJP
B01D 53/58 20060101ALI20231108BHJP
B01D 53/68 20060101ALI20231108BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B01D53/18 130
B01D53/58 ZAB
B01D53/68 120
B01D53/78
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527004
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 GB2021052822
(87)【国際公開番号】W WO2022090739
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ハウブルック アンナ ヴィクトリア
(72)【発明者】
【氏名】スタントン ガレス デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】アトウッド マーク ジェームス
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
【Fターム(参考)】
4D002AA13
4D002AA18
4D002AA19
4D002AA26
4D002AC10
4D002BA02
4D002DA02
4D002DA03
4D002DA12
4D002DA26
4D002DA35
4D002GA03
4D002GB11
4D020AA10
4D020BA01
4D020BA08
4D020BA12
4D020BA23
4D020BA30
4D020BB03
4D020CB17
4D020CC06
4D020DA01
4D020DB06
(57)【要約】
本発明は、チャンバを定める洗浄容器と、洗浄されることになるガスを供給するためのガス入口及び洗浄されたガスの退出を可能にするためのガス出口であって、入口及び出口が互いに流体連通している上記ガス入口及びガス出口と、1又は2以上の洗浄流体供給ポートとを備えるガス除害のための湿式スクラバーを提供し、湿式スクラバーは、チャンバの内側で洗浄流体を分配するための、洗浄流体供給ポートに接続された少なくとも1つの分配要素を備え、少なくとも1つの上記分配要素は、キャビティと、洗浄流体がキャビティから流れることを可能にするように配置された複数の開口とを備える分配プレートである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス除害のための湿式スクラバーであって、
チャンバを定める洗浄容器と、
洗浄されることになるガスを供給するためのガス入口及び洗浄されたガスの退出を可能にするためのガス出口であって、該入口及び出口が互いに流体連通しているガス入口及びガス出口と、
1又は2以上の洗浄流体供給ポートと、
を備え、
湿式スクラバーが、前記チャンバの内側で洗浄流体を分配するための、洗浄流体供給ポートに各々が接続された少なくとも第1の及び第2の分配要素を備え、
前記第1の分配要素は、前記チャンバの内側で未使用洗浄流体を分配するように配置され、
前記第2の分配要素は、前記チャンバの内側で再循環洗浄流体を分配するように配置される、
ことを特徴とする湿式スクラバー。
【請求項2】
前記第2の分配要素は、前記第1の分配要素と前記ガス入口の間に流体的に位置付けられることを特徴とする請求項1に記載の湿式スクラバー。
【請求項3】
少なくとも一方の分配要素が、キャビティと、洗浄流体が該キャビティから流れることを可能にするように配置された複数の開口とを備える分配プレートを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の湿式スクラバー。
【請求項4】
前記洗浄容器は、実質的に垂直に延びるカラムであり、前記第2の分配要素は、該洗浄容器の実質的に下側半分に位置付けられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の湿式スクラバー。
【請求項5】
前記洗浄容器は、実質的に垂直に延びるカラムであり、前記第2の分配要素は、該洗浄容器の実質的に最下部3分の1に位置付けられることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の湿式スクラバー。
【請求項6】
ガス除害のための湿式スクラバーであって、
チャンバを定める洗浄容器と、
洗浄されることになるガスを供給するためのガス入口及び洗浄されたガスの退出を可能にするためのガス出口であって、該入口及び出口が互いに流体連通しているガス入口及びガス出口と、
1又は2以上の洗浄流体供給ポートと、
を備え、
湿式スクラバーが、前記チャンバの内側で洗浄流体を分配するための、洗浄流体供給ポートに接続された少なくとも1つの分配要素を備え、
少なくとも1つの前記分配要素は、キャビティと、洗浄流体が該キャビティから流れることを可能にするように配置された複数の開口とを備える分配プレートである、
ことを特徴とする湿式スクラバー。
【請求項7】
第1及び第2の分配要素を備え、該第1及び第2の分配要素は分配プレートであることを特徴とする請求項6に記載の湿式スクラバー。
【請求項8】
前記又は各分配プレートの前記開口は、該分配プレートの底面を横切って実質的に均一に離隔していることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の湿式スクラバー。
【請求項9】
前記洗浄容器は、充填材料を収容し、該充填材料は、少なくとも1つの分配プレートと実質的に隣接し、好ましくは、該充填材料は、各分配プレートと実質的に隣接していることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の湿式スクラバー。
【請求項10】
湿式スクラバーのための分配プレートであって、
上面と、
底面と、
前記上面及び底面を接続してキャビティを定める円周壁と、
を備え、
前記円周壁は、湿式スクラバーの洗浄流体供給ポートと流体連通状態にあるように配置された導管を備え、
分配プレートが、前記上面及び底面間を延びる1又は2以上のチャネルを更に備え、該又は各チャネルは、使用中に、流体が該上面から該底面に向けて及びその逆にそれを通過することを可能にするように配置され、
前記底面は、洗浄流体が前記キャビティから流れることを可能にするように配置された複数の開口を備える、
ことを特徴とする分配プレート。
【請求項11】
前記又は各チャネルは、該チャネルを前記キャビティから分離するように構成された分離壁によって境界付けられることを特徴とする請求項10に記載の分配プレート。
【請求項12】
少なくとも1つの前記チャネルは、ベンチュリスクラバーを備えることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の分配プレート。
【請求項13】
ガスを洗浄する方法であって、
a.洗浄されることになるガスを湿式スクラバーの中に差し向ける段階と、
b.前記ガスが前記湿式スクラバーのガス入口からガス出口に向けて通る時に未使用洗浄流体及び再循環洗浄流体で該ガスを処理する段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項14】
洗浄されることになるガスが、該ガスが前記湿式スクラバーのガス入口からガス出口に向けて通る時に、最初に再循環洗浄流体又は再循環及び未使用洗浄流体の混合物によって、その後に未使用洗浄流体だけによって接触されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
チャンバを定める洗浄容器と、ガス入口及びガス出口と、1又は2以上の洗浄流体供給ポートと、1又は2以上の洗浄流体分配要素とを有し、少なくとも1つの該分配要素が、該チャンバの内側で再循環洗浄流体を分配するように配置された分配プレートである湿式スクラバーを設計する方法であって、
a.前記洗浄容器、ガス入口、ガス出口、及び洗浄流体供給ポートの構成及び寸法を決定する段階、
b.前記ガス入口の中への洗浄されることになるガスの内容物及び流量を決定する段階、
c.前記1又は2以上の分配要素を通る洗浄流体の内容物及び流量を決定する段階、及び
d.前記ガスから洗浄されることになる汚染物質の出力濃度が最小にされるように前記洗浄容器内に前記又は各分配プレートを配置する段階、
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿式スクラバー、洗浄溶液を分配するための装置、ガスを洗浄する方法、及び湿式スクラバーを設計する方法に関する。より具体的には、本発明は、アンモニアを洗浄するための湿式スクラバーに関する。
【背景技術】
【0002】
湿式スクラバーは、洗浄されたガスストリームを外側環境に放出するか又は下流除害システムに向けることができるようにガスストリームの成分、例えば、汚染物質の完全又は部分除害に使用される。湿式スクラバーは、例えばガスストリームからアンモニアを洗浄するように配置される場合がある。
【0003】
典型的に、湿式スクラバーは、カラム(column、円柱体)を備え、その中にガスストリームが向けられ、一方で逆流洗浄溶液が、成分と反応してそれをガスストリームから除害するためにガスストリームに向けて噴射される。カラムは、典型的に、複数のポールリング又は同様のものの形態の充填物を収容し、洗浄溶液は、いくつかの噴射ノズルによって分配される。
【0004】
湿式スクラバーは、例えば、真空ポンプの排気管と、排気ガスのアンモニア及び/又は別の成分が排気ガスストリームから洗浄されなければならない除害システムとの間に位置決めされる場合がある。
【0005】
本発明者は、典型的に噴射ノズルを通じて洗浄溶液を分配する公知の湿式スクラバーがいくつかの欠点を有することを見出した。
【0006】
公知の湿式スクラバーの第1の欠点は、噴射ノズルが洗浄流体を有効に分配することを可能にするために、充填物は、いずれの噴射ノズルよりも十分に下方に位置付けられなければならないので、カラム内側の充填物の容積が制限されることである。従って、充填材料は、噴射ノズルに近接することができない。すなわち、湿式スクラバーの効率は、充填物の量が制限されるので損なわれる。カラムのサイズは、従って、洗浄の効率が改善されることになる場合に増大されなければならず(高さ及び/又は直径において)、又はより高い作動コストが負担されなければならず、又は熱交換器などが使用されなければならない。多くの場合に、湿式スクラバーの全体サイズは、その意図する使用及び/又は場所によって制限される。
【0007】
公知の湿式スクラバーの更に別の欠点は、それらが、典型的に、カラム内の噴射ノズルによって少なくとも部分的に生成される跳ね返り噴射又は噴霧に起因して流体を出口又は排水管に向けて誘導するサイクロン又は渦機構を必要とすることである。湿式スクラバーのサイズは、従って、充填材料のための十分な空間及び上述の噴射ノズルの下方のヘッド空間を可能にしながら、そのような機構を収容するのに十分に大きくなければならない。サイクロン又は渦機構も作動コストを増大する。
【0008】
公知の湿式スクラバーの更に別の欠点は、それらのカラムが、上記噴射ノズルによる洗浄流体の均一分配を提供するように円形軸線方向断面を持たなければならないことである。効率は、非円形軸線方向断面を有するカラムでは損なわれるであろう。
【0009】
公知の湿式スクラバーの更に別の問題は、ガス出口での望ましくない粒子のキャリーオーバー、すなわち、蓄積である。これは、ガスストリームがその後に下流除害システムに向けられる時に特に厄介である。例えば、アンモニア除害では、亜酸化窒素の蓄積は、キャリーオーバー低減と共にアンモニアが最初に除害されない又は許容レベルまで低減されない場合に下流除害システムの効果に悪影響を与える場合がある。
【0010】
従って、特に湿式スクラバーのサイズ又はその作動コストを増大することなく、湿式スクラバーの性能を改善する必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来技術によるこれら及び他の問題に対処することを目標にしている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、第1の態様では、本発明は、チャンバを定める洗浄容器と、洗浄されることになるガスを供給するためのガス入口及び洗浄されたガスの退出を可能にするためのガス出口であって、入口及び出口が互いに流体連通している上記ガス入口及びガス出口と、1又は2以上の洗浄流体供給ポートとを備えるガス除害のための湿式スクラバーを提供し、湿式スクラバーは、チャンバの内側で洗浄流体を分配するための洗浄流体供給ポートに各々が接続された少なくとも第1及び第2の分配要素を備え、第1の分配要素は、チャンバの内側で未使用洗浄流体を分配するように配置され、第2の分配要素は、チャンバの内側で再循環洗浄流体を分配するように配置される。
【0013】
本明細書に使用する時に、用語「未使用洗浄流体」は、以前に未使用である(例えば、洗浄するのに使用されたことがない)新鮮な洗浄流体を指す。
【0014】
本明細書に使用する時に、用語「再循環洗浄流体」は、最初に未使用、すなわち、以前に未使用の洗浄流体として洗浄容器に入ったものであり、その後に再循環洗浄流体を分配するように配置された分配要素を通じて洗浄容器内に捕捉されて再分配される洗浄流体を指す。
【0015】
第1の態様による湿式スクラバーを提供することは、洗浄されることになるガスが、未使用、すなわち、以前に未使用である洗浄流体、並びに再循環洗浄流体の両方と接触するので湿式スクラバーの性能を改善する。洗浄されることになるガスの汚染物質の出力濃度は、すなわち、改善される。性能の改善は、実質的な増大した作動コスト、例えば、より大きい容積の未使用洗浄流体を提供するコストなしで達成される。同じく性能の改善は、湿式スクラバーのサイズを増大する必要性なしで達成される。
【0016】
第2の分配要素は、第1の分配要素とガス入口の間に流体的に位置付けられる場合がある。すなわち、洗浄されることになるガスは、最初に再循環洗浄流体と、又は未使用及び再循環洗浄流体の混合物と接触状態になり、その後に未使用洗浄流体のみと接触状態になる。湿式スクラバーは、一般的に使用中にガス入口からガス出口に向けて流れる洗浄されることになるガスに対して洗浄流体が逆流的に流れるように配置される場合がある。洗浄流体が洗浄されることになるガスに対して逆流的に流れるように湿式スクラバーを配置することは、洗浄を改善する。実施形態では、湿式スクラバーは、実質的に垂直に延びるカラムであり、第1の分配要素は、カラム内で第2の分配要素よりも高く位置付けられる。
【0017】
分配要素のうちの少なくとも1つは、分配プレートを備える場合がある。分配プレートは、キャビティと、洗浄流体がキャビティから流れることを可能にするように配置された複数の開口とを備える場合がある。好ましくは、第2の分配要素は、分配プレートを備える。実施形態では、第1及び第2の分配要素は、両方とも分配プレートを備える場合がある。実施形態では、湿式スクラバーは、2よりも多い分配要素を備え、各分配要素は、分配プレートを備える。
【0018】
洗浄容器は、実質的に垂直に延びるカラムである場合があり、第2の分配要素は、洗浄容器の実質的に下側半分に、好ましくは、洗浄容器の実質的に最下部3分の1に位置付けられる場合がある。実施形態では、第1の分配要素は、実質的に洗浄容器の上端に向けて位置付けられる。
【0019】
湿式スクラバーは、再循環洗浄流体を分配するように配置された分配要素に再循環洗浄流体を提供するように構成された1又は2以上のポンプを備える場合がある。湿式スクラバーは、再循環されることになる洗浄流体の収集のためのリザーバを更に備える場合がある。洗浄流体は、1回の通過後に成分、例えば、アンモニアで飽和されない場合があるので、洗浄流体を再循環させることは、洗浄工程に必要な未使用洗浄流体の容積を低減する場合がある。洗浄流体は、汚染物質の分圧が再循環洗浄流体内の汚染物質の溶解濃度からの汚染物質の蒸気圧に等しい濃度まで再循環されるだけである場合がある。
【0020】
実施形態では、分配プレート又は各分配プレートの開口は、上記分配プレートの底面を横切って実質的に均一に離隔する場合がある。
【0021】
洗浄容器は、充填材料を収容する場合があり、充填材料は、少なくとも1つの分配プレートと実質的に隣接する場合がある。本明細書に使用する時に、用語「隣接する」は、充填材料及び分配プレートが互いに接触する又は互いに近接していることを指す。実施形態では、湿式スクラバーは、分配プレートである第1及び第2の分配要素を備え、両方の分配プレートは、実質的に充填材料と隣接する。実施形態では、少なくとも1つの上記分配プレートは、それが洗浄容器内で充填材料の上に載るように配置される。換言すると、少なくとも1つの分配プレートは、充填材料によって支持される。実施形態では、湿式スクラバーは、分配プレートと充填材料の間に位置付けられた実質的に占有されない空間を備える場合がある。そのような空間は、充填材料と分配プレートの上面及び/又は底面との間に設けることができる。実施形態では、実質的に占有されない空間は、洗浄流体が分配プレートから流れて充填材料上に落ちることができるように分配プレートの底面と充填材料の間に設けることができる。湿式スクラバーは、分配プレートを洗浄容器の内壁に解除可能に又は恒久的に固定するための手段を備える場合がある。例えば、洗浄容器は、使用中に分配プレートが載る支持リムのような侵入部又は当接部を備える場合がある。支持リムは、洗浄容器の内壁の実質的に円周全体の周りに延びることができる。これに代えて、支持リムは、間隔又は間隙を備える場合がある。
【0022】
更に別の態様では、本発明は、チャンバを定める洗浄容器と、洗浄されることになるガスを供給するためのガス入口及び洗浄されたガスの退出を可能にするためのガス出口であって、入口及び出口が互いに流体連通している上記ガス入口及びガス出口と、1又は2以上の洗浄流体供給ポートとを備えるガス除害のための湿式スクラバーを提供し、湿式スクラバーは、チャンバ内側で洗浄流体を分配するための洗浄流体供給ポートに接続された少なくとも1つの分配要素を備え、少なくとも1つの上記分配要素は、キャビティと、洗浄流体がキャビティから流れることを可能にするように配置された複数の開口とを備える分配プレートである。
【0023】
更に別の態様による湿式スクラバーを提供することは、湿式スクラバーの性能を改善する。特に、分配プレートを提供することは、噴射ノズルのみを備える湿式スクラバーと比較して洗浄容器のチャンバ内の洗浄流体の分配を改善することができる。分配プレートは、典型的な噴射ノズルよりも少ない跳ね返り噴霧を生成することができる。すなわち、サイクロン又は渦機構は、容器内の流体の流れを管理するのに不要とすることができる。典型的には、ヘッド空間は、洗浄流体を有効に分配することを可能にするように噴射ノズルの下方に必要とされる。ヘッド空間は、分配プレートの下方に不要とすることができる。すなわち、湿式スクラバーのサイズを最小にすることができ、充填材料が存在する場合に、充填材料の容積は、作動コストを増大させずに湿式スクラバーの性能を改善するためにチャンバ内で最大にすることができる。
【0024】
分配プレートは、未使用又は再循環洗浄流体を洗浄容器のチャンバ内に分配するように配置される場合がある。
【0025】
湿式スクラバーは、複数の分配要素を備える場合がある。実施形態では、湿式スクラバーは、1又は2以上の噴射ノズルを備える第1の分配要素と分配プレートを備える第2の分配要素とを備える場合がある。
【0026】
好ましくは、湿式スクラバーは、第1及び第2の分配要素を備えることができ、第1及び第2の分配要素は、分配プレートである。
【0027】
第1及び第2の分配プレートを提供することは、湿式スクラバーの寸法を最小にすることができ、充填材料は、存在する場合にその容積をチャンバ内で最大にすることができるので、湿式スクラバーの性能を更に改善する。
【0028】
第1の分配プレートは、未使用洗浄流体をチャンバの内側で分配するように配置される場合があり、第2の分配プレートは、再循環洗浄流体をチャンバの内側で分配するように配置される場合がある。実施形態では、第1及び第2の分配プレートは、未使用洗浄流体をチャンバの内側で分配するように配置される場合がある。
【0029】
典型的には、再循環洗浄流体を分配するように配置される第2の分配プレートは、第1の分配プレートと湿式スクラバーのガス入口の間に流体的に位置付けられる。
【0030】
各分配プレートの開口は、分配プレートの底面を横切って実質的に均一に離隔する場合がある。すなわち、使用中に、洗浄流体は、チャンバ内でより均一に分配される。
【0031】
洗浄容器は、充填材料を収容することができ、充填材料は、少なくとも1つの分配プレートと実質的に隣接する。実施形態では、実質的に占有されない空間を充填材料と分配プレートの間に設けることができる。
【0032】
湿式スクラバーが分配プレートである第1及び第2の分配要素を備え、かつ洗浄容器が充填材料を収容する場合に、好ましくは、両方の分配プレートは、充填材料と実質的に隣接することができる。
【0033】
湿式スクラバーは、一般的に使用中にガス入口からガス出口に向けて流れる洗浄されることになるガスに対して洗浄流体が逆流的に流れるように配置することができる。洗浄容器は、実質的に垂直に延びるカラムとすることができ、第1の分配プレートは、洗浄容器の上端に向けて位置付けられ、第2の分配プレートは、洗浄容器の実質的に下側半分、好ましくは最下部の3分の1に位置付けられる。実施形態では、再循環洗浄流体を分配するように配置された分配プレートは、洗浄容器の下側半分に、好ましくは、洗浄容器の最下部3分の1に実質的に位置付けられる。再循環分配プレートをカラムの下側半分に位置決めすることは、湿式スクラバーの性能を改善することが見出されている。同じく、再循環分配プレートをカラムの上側半分に位置決めすることは、湿式スクラバーの性能を低減する場合があることが見出されている。
【0034】
湿式スクラバーは、複数の分配要素を備えることができ、いくつかの上記分配要素は、分配プレートである。実施形態では、湿式スクラバーは、複数の分配要素を備えることができ、少なくとも1つの上記分配要素は、噴射ノズルであり、分配要素のうちの1又は2以上は、分配プレートである。
【0035】
一部の実施形態では、噴射ノズルは、洗浄容器の上端に向けて位置付けられ、1つ、任意的に2つ、又は任意的に2よりも多い分配プレートは、充填材料と共に、多段充填塔を形成するために上記噴射ノズルの下方に配置される。
【0036】
実施形態では、少なくとも1つの分配要素は、湿式スクラバーに供給されたガスの多段処理を行うために、異なる洗浄流体を少なくとも1つの他の分配要素に分配するように構成することができる。実施形態では、各分配要素は、異なる洗浄流体を各々の他の分配要素に分配するように構成することができる。例えば、湿式スクラバーは、3つの分配要素を備えることができ、すなわち、第1の分配要素は、酸性及び/又は酸化剤含有溶液を分配するように配置することができ、第2の分配要素は、苛性及び/又は還元剤含有溶液、例えば、水酸化ナトリウムを分配するように配置することができ、第3の分配要素は、水を分配するように配置することができる。
【0037】
典型的には、上記態様のいずれか又は全てにおいて、分配プレートは、上面と、底面と、上面と底面の間を延びてキャビティを定める円周壁とを備える。分配プレートの上面及び底面は、典型的には、洗浄容器の長手軸線に実質的に垂直である。換言すると、分配プレートの上面及び底面は、典型的には、洗浄容器によって定められたチャンバの実質的に直径を横切って延びる。典型的には、分配プレートは、洗浄流体供給ポートと流体連通するように配置された導管を備える。典型的には、導管は、分配プレートの円周壁に位置付けられる。
【0038】
上記態様のいずれか又は全てにおいて、分配プレート又は各分配プレートは、洗浄容器の内壁と隣接する円周壁を備える場合がある。これに代えて、空間を分配プレートの円周壁と洗浄容器の内壁の間に設けることができる。
【0039】
上記態様のいずれか又は全てにおいて、未使用洗浄流体は、水を含む場合がある。水は、水道水又は脱イオン水とすることができる。洗浄されることになるガスが酸性である実施形態では、水は、好ましくは、水道水である。上記態様のいずれか又は全てにおいて、未使用洗浄流体は、酸性流体又はアルカリ流体を含むことができ、及び/又は還元剤又は酸化剤、又はそれらの混合物を含む場合がある。洗浄されることになるガスがアンモニアを含有する実施形態では、洗浄流体は、硫酸を含む場合がある。実施形態では、未使用洗浄流体は、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、又は過酸化物、又はそれらの混合物を備える場合がある。未使用洗浄流体は、水の消費量を低減し、洗浄効率を最大にするために水及び添加剤を備える場合がある。
【0040】
上記態様のいずれか又は全ての実施形態では、洗浄容器の充填材料は、複数のポールリングを備える場合がある。
【0041】
上記態様のいずれか又は全ての実施形態では、湿式スクラバーは、チャンバ内にサイクロン、渦などを生成するように配置された手段を持たない場合がある。
【0042】
上記態様のいずれか又は全ての実施形態では、洗浄容器は、2メートル又はそれ未満、好ましくは1500mm又はそれ未満、より好ましくは約910mm又はそれ未満の高さのカラムを備え、第2の分配要素は、カラムの底部から125mmから450mm、好ましくは、カラムの底部から125mmから358mm、より好ましくは、カラムの底部から約250mm、更により好ましくは、カラムの底部から253mmの高さに位置付けられる。代替実施形態では、カラムは、約756mmの高さを有し、第2の分配要素は、カラムの底部から125mmから450mm、好ましくは、カラムの底部から125mmから358mm、より好ましくは、カラムの底部から約250mm、更により好ましくは、253mmの高さに位置付けられる。例えば、半導体製造システムの下の「下位製作」(“sub fab”)配置は、2メートル又はそれ未満の高さを有するカラムを有する洗浄容器を備える湿式スクラバーを備える。
【0043】
上記態様のいずれか又は全ての実施形態では、カラムは、約125mmの外径及び約115mmの内径を有する。
【0044】
上記態様のいずれか又は全ての実施形態では、分配プレート又は各分配プレートは、約50mmの高さ及び約115mmの直径を有するシリンダを備える。
【0045】
上記態様のいずれか又は全ての実施形態では、未使用洗浄流体は、約1℃から約30℃の温度で湿式スクラバーに供給される。好ましくは、洗浄流体は、約1℃から約10℃の温度で湿式スクラバーに供給される。典型的には、湿式スクラバーの洗浄効率は、洗浄流体の温度が最小にされる時に改善される。
【0046】
上記態様のいずれか又は全ての実施形態では、再循環洗浄流体は、洗浄容器に入る未使用洗浄流体の温度よりも低い、すなわち、冷たいか、又は洗浄容器に入る未使用洗浄流体の温度よりも約6℃まで暖かい温度で湿式スクラバーに供給される。
【0047】
上記態様のいずれか又は全ての実施形態では、未使用洗浄流体は、約7℃から約8℃の温度で及び約0.8Barから約1Barの圧力で第1の分配要素に供給される。実施形態では、再循環洗浄流体は、約9℃の温度で第2の分配要素に供給される。
【0048】
上記態様のいずれか又は全ての実施形態では、未使用洗浄流体は、約0.5リットル/分から約10リットル/分の流量で湿式スクラバーに供給される。
【0049】
上述の全ての態様のいずれかの実施形態では、再循環洗浄流体は、約50リットル/時から約300リットル/時の流量で湿式スクラバーに供給される。
【0050】
実施形態では、分配プレート又は各分配プレートの開口は、選択された流量の洗浄流体が分配プレートから実質的に出ることを可能にするのに十分である直径を有する。
【0051】
上記態様のいずれか又は全ての実施形態では、分配プレートの開口は、直径が実質的に等しいとすることができる。他の実施形態では、分配プレートの開口は、直径が実質的に等しくないとすることができる。
【0052】
上記態様のいずれか又は全ての実施形態では、湿式スクラバーは、洗浄されることになるガス内のアンモニアの量を除害又は低減するように構成されたアンモニア湿式スクラバーとすることができる。実施形態では、湿式スクラバーは、事前スクラバーであり、下流除害システムに入るアンモニアの量、すなわち、下流除害システムで形成される亜酸化窒素の量を低減するために真空ポンプと下流除害システムの間に位置付けられる。
【0053】
上記態様のいずれか又は全ての実施形態では、湿式スクラバーは、ガスストリームからアンモニアを洗浄するようになっており、アンモニアは、約2リットル/分(lpm)から約40リットル/分の流量で湿式スクラバーに供給される。実施形態では、アンモニアは、約0lpmから約1200lpmの希釈窒素で湿式スクラバーに供給される。実施形態では、アンモニアは、約50lpmから約200lpmで湿式スクラバーに供給される。実施形態では、アンモニアは、希釈窒素の約150lpmで湿式スクラバーに供給される。
【0054】
上記態様のいずれか又は全ての実施形態では、湿式スクラバーは、エピタキシャル成長、例えば、エピタキシャルシリコン成長、又は他のシリコン又はシリコンに関連付けられた基質を(廃棄ガスストリームから)除害又は低減するように構成することができる。エピタキシャルシリコン成長に関連付けられた廃ガスストリームは、典型的には、多量の水素、並びにジクロロシラン(SiCl2H2)、トリクロロシラン(SiCl3H)、及び/又は塩化水素(HCl)のような他の潜在的に有毒な成分を含有する場合がある。
【0055】
実施形態では、湿式スクラバーは、ジクロロシラン(SiCl2H2)、トリクロロシラン(SiCl3H)、及び/又は塩化水素(HCl)の量を処理ガスから除害又は低減するように構成することができる。
【0056】
実施形態では、湿式スクラバーは、次の組成SiCl(x)H(4-x)を有する成分の量を処理ガスから除害又は低減するように構成することができ、ここで、x=1から3である。
【0057】
本明細書に使用する時に、用語「エピタキシャル成長」は、基板上の結晶層又は膜の成長を指す。
【0058】
実施形態では、湿式スクラバーは、事前スクラバーとすることができる。
【0059】
更に別の態様では、本発明は、上記態様のいずれか又は全てによる湿式スクラバーを備えるガス除害システムを提供する。ガス除害システムは、ガス除害ユニットを更に備える場合がある。ガス除害システムは、ガス除害システム内に入るか、又はガス除害システムを通る、除害されることになるガスの流れを容易にするように構成された1又は2以上のポンプを更に備える場合がある。実施形態では、ガス除害システムは、アンモニアをガスストリームから低減するようになっている場合がある。
【0060】
更に別の態様では、本発明は、湿式スクラバーのための分配プレートを提供し、分配プレートは、上面、底面、及び上面及び底面を接続してキャビティを定める円周壁を備え、円周壁は、湿式スクラバーの洗浄流体供給ポートと流体連通するように配置された導管を備え、分配プレートは、上面と底面の間を延びる1又は2以上のチャネルを更に備え、各チャネルは、使用中に流体が上面から底面に向けてそこを通過すること及びその逆を可能にするように配置され、底面は、洗浄流体がキャビティから流れることを可能にするように配置された複数の開口を備える。
【0061】
すなわち、洗浄流体は、キャビティから開口を通って湿式スクラバーのチャンバに流入することができる。別々に、流体、例えば、ガス入口からガス出口に向けて流れるガス、又は上流の分配要素からの洗浄流体は、分配プレートのチャネル又は各チャネルを通っていずれかの方向に、すなわち、上から下に又はその逆に流れることができる。
【0062】
実施形態では、分配プレートは、湿式スクラバーの洗浄容器内で再循環洗浄流体を分配するように配置され、かつ異なる分配要素の下方に位置付けることができる。これらの実施形態では、チャネル又は各チャネルは、流体が分配プレートの上面から底面に向けて流れ、ガスが分配プレートの底面から上面に向けて、すなわち、ガス出口に向けていずれの流体もキャビティに入ることができずに流れるように構成される。すなわち、実施形態では、分配プレートは、既存の湿式スクラバーの構成を変更する必要がなく、再循環洗浄流体を分配するように配置される場合がある。換言すると、分配プレートは、湿式スクラバー内に換装することができる。例えば、分配プレートは、除害システムの充填塔内に取り付けることができ、充填塔は、燃焼ユニットの下流にある。
【0063】
チャネル又は各チャネルは、上記チャネルをキャビティから分離するように構成された分離壁によって境界付けることができる。すなわち、使用中に、キャビティは、チャネル又は各チャネルと流体連通しない。
【0064】
分配プレートは、実質的に円形の軸線方向断面を有することができる。これに代えて、分配プレートは、実質的に非円形の軸線方向断面を有することができる。分配プレートは、湿式スクラバーの洗浄容器のチャンバの軸線方向断面に対応するように成形された軸線方向断面を有することができる。
【0065】
分配プレートは、複数のチャネルを備える場合がある。分配プレートは、2つ、3つ、4つ、又は5つのチャネルを備える場合がある。分配プレートは、5よりも多いチャネルを備える場合がある。チャネル又は各チャネルは、実質的に円形の軸線方向断面を有することができる。
【0066】
チャネル又は各チャネルの直径は、特定の用途の予想流体流量に応じて構成することができる。チャネル又は各チャネルは、典型的には、分配プレートの底面の殆どが洗浄流体の分配を改善する開口を備えるのに利用可能であるほど小さいが、圧力降下又はチャネルの閉塞を回避するほどの直径を有するべきである。
【0067】
複数の開口は、分配プレートの底面全体を通して実質的に均一に離隔することができる。すなわち、洗浄流体は、洗浄容器内でより均一に分配することができる。
【0068】
分配プレートの直径及び/又は深さは、特定の用途の予想流体流量に応じて構成することができる。
【0069】
実施形態では、分配プレートは、約50mmの高さ及び約115mmの直径を有するシリンダを備える場合がある。分配プレートの各々は、約18mmの直径を有する5つのチャネルを備える場合がある。分配プレートの円周壁の導管は、使用中に洗浄流体が供給される3/8インチの隔壁を有することができる。底面での複数の開口の各々は、約1.2mmの直径を有することができる。実施形態では、底面は、約50個から約300個の開口を備える場合がある。例えば、底面は、約80個から約90個の開口、例えば、88個の開口を備える場合がある。
【0070】
実施形態では、分配プレートは、使用中に分配プレートの上面の上に流れる洗浄流体を捕捉するための手段を備える場合がある。分配プレートは、捕捉洗浄流体を再分配するように配置される場合がある。実施形態では、分配プレートは、再循環洗浄流体を分配するように配置することができ、分配プレートは、湿式スクラバー内で別の分配要素の下方に位置付けられる場合がある。これらの実施形態では、再循環洗浄流体を分配するように配置される分配プレートは、上方の分配要素から流れる洗浄流体を捕捉するための手段を備える場合がある。分配プレートは、捕捉洗浄流体が分配プレートの底面の複数の開口を通して分配されるようにキャビティに入ることが許容されるように構成することができる。
【0071】
代替実施形態では、分配プレートは、湿式スクラバーからの捕捉洗浄流体の除去を容易にするように位置付けられる場合がある。例えば、分配プレートは、分配プレートの上面の上に流れる洗浄流体を排出する排水管に接続可能とすることができる。実施形態では、分配プレートによって分配された洗浄流体は、洗浄容器の予め決められた部分内でのみ洗浄されるように構成することができる。これらの実施形態では、更に別の分配プレートは、上流の分配から流れる洗浄流体を捕捉し、捕捉洗浄流体を湿式スクラバーから除去するように位置付けられる場合がある。湿式スクラバーは、捕捉洗浄流体を洗浄システム又は除害システムの別々の部分に搬送するように位置付けられる場合がある。
【0072】
実施形態では、分配プレートは、1又は2以上のベンチュリスクラバーなどを備える。ベンチュリスクラバーは、収束及び発散ガス流れチャネルを備え、洗浄流体は、ベンチュリスクラバーのスロート(throat)に注入される。洗浄流体は、スロートの乱流によって微粒化され、ガス-液体接触が改善される。ガス-液体混合物は、その後に、スクラバーの発散部を通過する時に減速し、粒子と液滴の衝突及び液滴の凝集が発生する。それによって可溶性ガスの洗浄、並びに気相に浮遊させることができる微粒子が容易にされる。
【0073】
ベンチュリスクラバーは、あらゆるその後の除害工程に有害である水キャリーオーバー(carryover、残り物)を最小にするか又は防止する。水キャリーオーバーはまた、洗浄システム又は除害システム内の閉塞を引き起こす可能性がある。実施形態では、分配プレートのチャネルのうちの1又は2以上は、ベンチュリスクラバーを備える。実施形態では、分配プレートは、5つのチャネルを備え、少なくとも1つのチャネル、好ましくは各チャネルは、ベンチュリスクラバーを備える。ベンチュリスクラバーのスロートの直径は、分配プレートが位置付けられる湿式スクラバーの使用に適する圧力降下に依存する。実施形態では、約10gal/1000ft3のベンチュリスクラバーに最適液体ガス比がある。例えば、150リットル/分のガスが、5つのチャネルを備える分配プレートのチャネル間に実質的に均等に分配される場合に、ベンチュリスクラバー当たり約0.04リットル/分の洗浄流体が必要であり、分配プレートの各チャネルは、ベンチュリスクラバーを備える。
【0074】
実施形態では、分配プレートは、1又は2以上のベンチュリスクラバーを備える。分配プレートは、それを通って延びるチャネルの代わりに、ベンチュリスクラバー又は各ベンチュリスクラバーを備える場合がある。実施形態では、分配プレートは、分配プレートの上面と底面の間に位置付けられた5つのベンチュリスクラバーを備える。
【0075】
更に別の態様では、本発明は、
a)洗浄されることになるガスを湿式スクラバーの中に差し向ける段階と、
b)ガスがガス入口から湿式スクラバー内のガス出口に向けて通過する時に、未使用洗浄流体及び再循環洗浄流体でガスを処理する段階と、
を備えるガスを洗浄する方法を提供する。
【0076】
洗浄されることになるガスは、ガスが湿式スクラバーのガス入口からガス出口に向けて通過する時に、最初に再循環洗浄流体又は再循環洗浄流体と未使用洗浄流体の混合物により接触され、その後に未使用洗浄流体だけによって接触される場合がある。
【0077】
実施形態では、分配要素の中への洗浄流体の流量は、蒸気圧を最小にしながら最適ガス捕捉を達成することによって決定される。
【0078】
更に別の態様では、本発明は、チャンバと、ガス入口と、ガス出口とを定める洗浄容器、1又は2以上の洗浄流体供給ポート、及び1又は2以上の洗浄流体分配要素を有し、少なくとも1つの上記分配要素が、チャンバの内側で再循環洗浄流体を分配するように配置された分配プレートである湿式スクラバーを設計する方法を提供し、本方法は、
a.洗浄容器、ガス入口、ガス出口、及び洗浄流体供給ポートの構成及び寸法を決定する段階、
b.ガス入口の中への洗浄されることになるガスの内容物及び流量を決定する段階、
c.1又は2以上の分配要素を通る洗浄流体の内容物及び流量を決定する段階、及び
d.ガスから洗浄されることになる汚染物質の出力濃度が実質的に最小にされるように洗浄容器内に分配プレート又は各分配プレートを配置する段階、
を備える。
【0079】
実施形態では、分配プレートの最適位置は、湿式スクラバーに流入する洗浄流体の温度に依存する。実施形態では、第1の分配プレートは、未使用洗浄流体を分配するように配置され、第2の分配プレートは、再循環洗浄流体を分配するように配置される。典型的には、再循環洗浄流体温度が未使用洗浄流体温度に対して増大される場合に、再循環洗浄流体は、ガスからより少ない量の汚染物質を除害する。これは、汚染物質の蒸気圧が、より高い温度でより大きいからである。すなわち、典型的には、再循環洗浄流体の温度が湿式スクラバーに入る未使用洗浄流体の温度よりも高い場合に、再循環洗浄流体を分配するように配置された分配プレートの最適位置は、洗浄容器内でより低い。
【0080】
疑義を避けるために、以上に説明した全ての態様は、相互に組み合わされる場合がある。
【0081】
ここで添付図面を参照して本発明の好ましい特徴を例示として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図3】分配プレートを備える湿式スクラバーの一部の断面図である。
【
図5】別の例の最適分配プレート位置を示す図である。
【
図6】更に別の例の最適分配プレート位置を示す図である。
【
図7】別の例の真水及び再循環水の温度上昇の影響を示す図である。
【
図8】別の例の真水及び再循環水の温度変化の影響を示す図である。
【
図9】更に別の例の7℃の真水での再循環水温度に対する最適分配プレートの位置を示す図である。
【
図10】更に別の例でのアンモニア濃度出力を示す図である。
【
図12】更に別の例での再循環水の有無によるアンモニア流量に対するアンモニア出力濃度への影響を示す図である。
【
図13】更に別の例での2つの異なる直径の洗浄容器での流量の変化の効果を示す図である。
【
図14】別の例の湿式スクラバー内で真水のみ及び再循環水のみを使用する時の分配プレートの位置の影響を示す図である。
【
図15】別の例の湿式スクラバー内の真水及び再循環水の併用効果を示す図である。
【
図16】別の例の湿式スクラバー内の真水及び再循環水の併用効果を示す図である。
【
図17】更に別の例の再循環洗浄流体を分配するように配置された分配プレートの最適位置を示す図である。
【
図18】ベンチュリスクラバーのスロート直径を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図1は、本発明による湿式スクラバー1の切取図を示している。湿式スクラバー1は、ガス除害工程の一部として流入ガスストリームの1又は2以上の成分をガスストリームから洗浄するように配置される。例えば、湿式スクラバー1は、アンモニアを流入ガスストリームから洗浄するように構成することができる。
【0084】
湿式スクラバー1は、チャンバを定める洗浄容器2を備える。洗浄容器2は、上端3、下端4、及び円周壁5を有する上向きに延びるシリンダである。洗浄容器2は、チャンバの総表面積を増大させる複数のポールリング22を収容する充填式洗浄容器である。
【0085】
湿式スクラバー1は、更に、ガス入口6及びガス出口7を備える。ガス入口6は、洗浄されることになるガスをチャンバの中に提供するように構成される。ガス出口7は、ガスが処理された状態でチャンバからの洗浄ガスの退出を可能にするように構成される。ガス入口6及びガス出口7は、互いにかつ洗浄容器2のチャンバと流体連通している。
【0086】
ガス入口6は、洗浄容器2の下端4に向けて位置付けられ、洗浄されることになるガスは、ガス出口7に向けてチャンバ内で一般的に上方に移動する。ガス出口7は、洗浄容器2の上端3に位置付けられる。
【0087】
湿式スクラバー1は、2つの洗浄流体供給ポート8、9を更に備える。洗浄流体供給ポート8、9は、洗浄流体、例えば、水を洗浄容器2のチャンバの中に提供する。
図1の実施形態では、第1の供給ポート8は、新鮮な未使用洗浄流体を洗浄容器2に供給するように構成される。第2の供給ポート9は、再循環洗浄流体を洗浄容器2に供給するように構成される。湿式スクラバー1は、洗浄流体を収集するように配置されて洗浄容器2の下に位置付けられたリザーバ12を更に備える。
【0088】
湿式スクラバー1は、第1及び第2の分配要素10、11を更に備える。分配要素10、11は、分配プレートである。第1の分配プレート10は、洗浄容器2の上端3に向けて位置付けられる。第2の分配プレート11は、洗浄容器2の下側半分に位置付けられ、洗浄容器2のほぼ最下部3分の1に位置付けられる。
【0089】
各分配プレート10、11は、流体が上記分配プレートを横切って流れることを可能にするように配置される。換言すると、流体は、ガス入口6とガス出口7の間で各分配プレートを横切って流れることができる。使用中に、ガスは、第1及び第2の分配プレート10、11を横切ってガス出口7に向けて流れる。第1の分配プレート10からの洗浄流体は、第2の分配プレート11を横切ってリザーバ12に向けて流れる。分配プレート10、11は、以下でより詳細に説明する。
【0090】
第1の分配プレート10は、第1の洗浄流体供給ポート8を通して供給された未使用真水を分配するように構成される。真水(fresh water)は、従って、使用中に第1の分配プレート10によって洗浄容器2の上端から分配される。第2の分配プレート11は、洗浄容器2を通過してリザーバ12に収集された再循環水を分配するように構成される。再循環洗浄流体は、第2の洗浄流体供給ポート9を通して第2の分配プレート11に供給される。
【0091】
図2を参照すると、湿式スクラバー1は、リザーバ12に収集された水を再循環させて水を第2の分配プレート11に供給するためのポンプ23を備える。湿式スクラバー1は、洗浄容器2内に再循環されることになる洗浄流体の温度を制御するための熱交換器を更に備える。
【0092】
各分配プレート10、11は、洗浄容器2内で充填材料によって接触される。第1の分配プレート10の底面は、充填材料と接触する。第2の分配プレート11の上面及び底面は、充填材料と接触する。第2の分配プレート11は、従って、洗浄容器2内で充填材料によって実質的に境界付けられる。
【0093】
図1に戻ると、使用中の湿式スクラバー1の中へのそして内部の流体の全体的な流れが示されている。ガスストリームは、ガス入口6を通して湿式スクラバー1に供給される。
図1の実施形態では、ガス入口6は、リザーバ12を収容する湿式スクラバー1の領域内にガスを供給するように配置される。第1の分配プレート10での真水及び第2の分配プレート11での再循環水の形態の洗浄流体は、洗浄容器2内に押し込まれる。使用中に、洗浄流体は、各分配プレート10、11から充填材料22を通って下向きに流れる。分配プレート10、11及び充填材料22の構成により、洗浄容器2における洗浄流体の実質的に均一な分配が得られる。洗浄流体は、従って、洗浄されることになるガスに対して逆流し、洗浄されることになるガスは、全体的にガス入口6からガス出口7に向けて上方に流れる。すなわち、ガスは、第2の分配プレート11を横切って流れる前に再循環水及び/又は再循環水と真水の混合物と接触する。ガスは、その後に第2の分配プレート11を通過すると真水のみと接触し、第1の分配プレート10に向けてかつガス出口7に向けて流れる。
【0094】
リザーバ12は、洗浄流体が湿式スクラバー1から出ることを可能にするように構成された排水管21を備える。使用中に、洗浄流体は、洗浄容器2内に供給されて再循環され、洗浄流体は、洗浄されることになるガスの成分で飽和され、最終的に湿式スクラバー1から排出される。
【0095】
図1の実施形態では、洗浄容器は、高さが約910mmである。湿式スクラバー1は、流入ガスストリームからアンモニアを洗浄するように構成される。第2の分配プレート11は、以下の条件、すなわち、150リットル/分の希釈窒素内の14リットル/分のアンモニアがガス入口6を通して供給されること、約7℃の120リットル/時の真水が第1の分配プレート10に供給されること、及び約9℃の150リットル/時の再循環水が第2の分配プレート11に供給されることが提供される時に、洗浄容器2の底部から約253mmに最適に位置付けられる。洗浄容器2は、第1の分配プレートと第2の分配プレートの間に約557mmの充填物、第2の分配プレートの下に約258mmの充填物を備える。第2の分配プレート11の最適位置は、再循環水の温度が第1分配プレート10から供給される真水に対してより大きい場合はより低い。この実施形態では、第2の分配プレート10は、再循環水を供給する第2の分配プレート11を欠く湿式スクラバー1と比較して、アンモニアガス出力濃度を約300ppmから150ppm未満まで低減する。
【0096】
本発明者は、以下の変数、すなわち、全カラム高さ、第1の分配プレートへの真水流量、アンモニア流量、及び希釈窒素流量が第2の分配プレートの最適位置の変更をもたらさないことを見出した。本発明者はまた、以下の変数、すなわち、第1の分配プレートから流れる真水の温度に対する第2の分配プレートの温度及びカラム直径が第2の分配プレートの最適位置の変更を確かにもたらすことを見出した。
【0097】
これに加えて又はこれに代えて、湿式スクラバーは、エピタキシャルシリコン成長に関連付けられた1又は2以上の化合物、例えば、ジクロロシラン(SiCl2H2)、トリクロロシラン(SiCl3H)、及び/又は塩化水素(HCl)を処理ガスから除害又はその量を低減するように構成することができる。
【0098】
図3は、分配プレート10を備える湿式スクラバー1の一部の断面図を示している。洗浄容器2及びガス出口7の一部が示されている。
【0099】
洗浄容器2は、実質的に円筒形である。ガス出口7は、洗浄容器から垂直に離れる方向に延びる実質的に円筒形のダクトとして構成される。
【0100】
分配プレート10は、上面13、底面14、及びキャビティ16を定めるために上面13と底面14の間を延びる円周壁15を備える。分配プレート10は、洗浄容器2の流体供給ポート8と流体連通するように配置された導管17を備える。分配プレート10は、分配プレート10の円周壁と洗浄容器2の内面の間に実質的に間隙がないように洗浄容器2内に嵌合する。
【0101】
分配プレート10は、底面14にわたって実質的に一様に離隔して洗浄流体がキャビティから流れることを可能にするように配置された複数の開口18を更に備える。
【0102】
分配プレートは、上面13と底面14の間を延びて流体がそこを通過することを可能にするように配置されたいくつかのチャネル19を更に備える。各チャネル19は、実質的に円筒形の軸線方向断面を有する。各チャネル19は、チャネルをキャビティ16から分離する分離壁20を備える。すなわち、洗浄流体は、キャビティからチャネル内に流れることができず、使用中にガス出口7に向けて流れているガスは、キャビティ16に入ることができない。
【0103】
分配プレート10は、洗浄流体供給ポート8からキャビティ16に入る洗浄流体の流速にキャビティ16が対処することを可能にするのに十分である高さを有する。
図3の実施形態では、分配プレートは、約50mmの高さ及び約115mmの直径を有する。分配プレート10は、約18mmの直径を各々が有する5つのチャネル19を備える。チャネル19は、分配プレート10の直径にわたって一様に離隔している。キャビティ16には、流体供給ポート8で3/8インチの隔壁給水接続部を通じて洗浄流体が給送される。分配プレート10の開口18の各々は、直径が約1.2mmである。
図3の実施形態では、分配プレート10の底面14は、底面14にわたって比較的均一に離隔した88個の開口を備える。
【0104】
洗浄容器2は、分配プレート10と隣接するポールリング22で充填される。
【0105】
湿式スクラバー1は、燃焼器の下流の除害システムの湿潤側に使用することができる。
【0106】
湿式スクラバー1及び各分配プレートは、ポリプロピレンを備える。
【0107】
実施例
【0108】
〔実施例1〕
実施例1-水キャリーオーバー
本発明者は、噴射ノズルのみを備える公知の湿式スクラバーとは対照的に、本発明による湿式スクラバーでは水キャリーオーバーが有意に少ないことを見出した。i)公知の湿式スクラバーに従った噴射ノズル及びii)再循環洗浄流体を分配するように配置された第2の分配プレートを備える湿式スクラバー内の水キャリーオーバーを表1に示している。
【0109】
【0110】
表1は、再循環洗浄流体を分配するために配置された分配プレートが使用される場合に、サイクロン機構が不要である場合があることを示している。従って、サイクロンを不要とすることによって節約される洗浄容器の容積は、洗浄容器内の追加の充填材料を可能にし、すなわち、同じ容積を有する洗浄容器内の洗浄機能を増大させることができる。表1の理論水蒸気は、アントワーヌ方程式を使用して得られる。
【0111】
第1の分配プレートは、水キャリーオーバーの低減という利点を有し、すなわち、本発明の実施形態では、サイクロンは不要である。しかし、サイクロンが適切な大きさであり、かつ高いガス速度を有する場合に、気相に同伴された微粒子を除去可能とすることができる。サイクロンへの入口速度が高いほど効率が増大され、より小さいサイズの粒子を除去することができる。最適入口速度は、約9メートル/秒と決定される。サイクロンの効率は、入口速度が17メートル/秒になると落ちる可能性があり、圧力損失が9メートル/秒から17メートル/秒まで実質的に増大することが見出された。このサイズは、サイクロンが分配プレートのチャネル内に嵌合することができると考えられる。すなわち、湿式スクラバー内の空間を犠牲にすることなく、追加の機能を達成することができると考えられる。これに加えて、非常に高いガス流量が使用される場合に、水キャリーオーバーの可能性がある場合がある。この場合に、分配プレートのチャネル内の1又は2以上のサイクロンの追加により、水キャリーオーバーは、空間要件を増大せずに低減することができる。
【0112】
〔実施例2〕
実施例2-再循環水を分配する分配プレート
上述のような湿式スクラバーでは、真水は、7から8℃、0.8から1バールで洗浄容器の上端に向けて位置付けられた第1の分配プレートに供給される。
【0113】
特に断らない限り、以下の条件、すなわち、洗浄容器カラム高さ910mm、カラム内径115mm、16mmポリプロピレン製ポールリングを備える充填物、充填物高さ810mm、アンモニア供給14lpm、希釈窒素供給150lpm、第1の分配プレートでの真水流量120lph、真水温度7℃、第2の分配プレートでの再循環水流量150lph、及び再循環水温9℃、が定められた。
【0114】
水は、湿式スクラバーの底部でリザーバの中に排水される。この水は、溶存アンモニアを含有する。水の一部は、収集され、ポンピングされて熱交換器を通過した後に、洗浄容器の下側半分に再循環洗浄流体を分配するように配置された第2の分配プレートを通って流れる。再循環水は、充填式洗浄容器に入る時に9℃である。
【0115】
洗浄容器の下側半分での第2の分配プレートは、第1の分配プレートから降りてくる水が第2の分配プレートのチャネルを通過し、その後に、第2の分配プレートの下で再循環水と混合することを可能にする。チャネルは、高い圧力損失又は閉塞を避けるほどの大きさであり、洗浄流体の均一な分配が得られるように分配プレート面の殆どが開口を備えるほど小さい。
【0116】
第2の分配プレートの位置は、第2の分配プレートに入る再循環洗浄流体の流量と同様に湿式スクラバーの性能に重要である。第2の分配プレートの位置決めが洗浄容器内で低すぎる場合に、再循環水は、使用中により少ない充填材料の量を越えて流れるので洗浄が行われる時間が少ない。第2の分配プレートの位置決めが洗浄容器内で高すぎる場合に、第2の分配プレートの上方の充填材料が低減され、第1の分配プレートから流れる真水は、充填材料の容積がより小さく、性能が低減される。更に、第2の分配プレートの位置決めが洗浄容器内で高すぎる場合に、再循環水内のアンモニアの蒸気圧は、カラムが真水のみを供給していた場合と同じ点でアンモニア濃度よりも高いことになる。
【0117】
再循環水流量は、溢水が発生するほどの高さであるべきではない。それは、大きいガス-液体接触面積があるのに十分な高さであるべきである。カラムの下側半分での液体は、第1の分配プレートから流れる低濃度の「淡」水及び第2の分配プレートから流れる高濃度の再循環水の混合物である。すなわち、再循環流量が高いほど洗浄容器の下側半分での液体の混合物の濃度は高く、すなわち、蒸気圧は、高い。
【0118】
従って、最適流量は、ガス捕捉及び蒸気圧を念頭に置いて決定されなければならない。
【0119】
この実施例では、洗浄容器のカラムは、外径125mm、内径115mm、高さ910mmである。第1の分配プレート及び第2の分配プレートの各々は、50mmの高さを有する。すなわち、充填材料は、両方の分配プレートが設けられた時に810mmの全高を有する。
【0120】
第2の分配プレートを洗浄容器の底部から125mmに設けた状態で、性能は、再循環水の流量が増大する時に改善する。観察された改善は、150リットル/時付近で横這い状態に達する。この結果を
図4に示している。
【0121】
〔実施例3a〕
実施例3a-再循環分配プレートの位置
第2の分配プレートを洗浄容器の底面から様々な位置で試験した。分配プレートは、高さ910mmの洗浄容器の底部から128mm、253mm、378mm、及び435mmで試験した。それによって第2の分配プレートの上方にかつ第1の分配プレートの下方にそれぞれ682mm、557mm、432mm、及び357mmの充填物が残った。湿式スクラバーに入るアンモニア及び希釈窒素の流量は、それぞれ、14lpm及び150lpmであり、約7℃の真水120lphを洗浄容器の上端に位置付けられた第1の分配プレートに供給し、約9℃の再循環水150lphを様々な位置で第2の分配プレートに供給した。その結果を
図5に示している。
【0122】
試験した位置のうちで第2の分配プレートの最適位置は、洗浄容器の底部から253mmであった。
【0123】
〔実施例3b〕
実施例3b-カラム及び分配プレートの高さに対する再循環分配プレートの位置
図6に示すように、洗浄容器の高さが910mmから756mmに低減された場合に、第2の分配プレートの最適位置は同じままである。
【0124】
本発明者はまた、最適位置が、分配プレートの高さが50mm未満である場合に同じであり、より多くの充填材料が洗浄容器内に位置付けられる場合があることを見出した。
【0125】
アンモニアの出力濃度は、第2の分配プレートが洗浄容器カラムの底部から125mmから358mmに設けられた場合に300ppmから150ppm未満まで低減される。この改善は、真水流量の増大、洗浄容器の高さの増大、洗浄水の温度の減少、カラム直径の増大、又は希釈窒素の低減の必要なしに、下流除害システムでの亜酸化窒素形成の低減をもたらす。
【0126】
〔実施例5〕
実施例5-温度
第1の分配プレートから供給された真水の温度に対する第2の分配プレートから供給された再循環水の温度の変化は、第2の分配プレートの最適位置が変化することをもたらす。
【0127】
再循環水の温度が真水の温度に対して増大された場合に、第2の分配プレートから供給される再循環水は、気相からアンモニアを除害する量がより少ない。これは、アンモニアの蒸気圧が、温度が高いほど高いからである。すなわち、再循環水の温度が真水の温度に対して増大する時に、第2の分配プレートの最適位置は、カラム内でより低い。湿式スクラバーの性能も、再循環水の温度の増加と共に減少する。
【0128】
真水も再循環水も温度が増大する場合に、第2の分配プレートの追加による改善は、
図8及び
図9に示すように、真水も再循環水も同じ温度上昇によって影響を受けるので残る。
【0129】
図7は、洗浄カラムの底部からの第2の分配プレートの高さ253mm、カラムの高さ820mm、真水の流量120lph、再循環水流量150lph、カラム内径115mm、及びアンモニア流量14lpmという条件を示している。
【0130】
真水及び再循環水の両方の温度が7℃だけ増大された時に、より高温時に真水単独よりも依然として約50%の改善がある。
【0131】
再循環水の温度は、真水の温度、溶存アンモニアの溶液のエンタルピー、カラム内の水蒸気の熱蒸発、排水タンクから水がポンピングされる時のポンプからの熱、熱交換器の存在とその条件、又は周囲空気状件によって影響を受ける場合がある。
【0132】
図9に示す各曲線の極大点は、第1の分配プレートから流れる真水温度が7℃である時の温度4℃、10℃、15.5℃、及び21.1℃の洗浄容器底部からの第2の分配プレートの最適位置を示している。
図9は、最適位置は、温度が増大する時に僅かに減少することを示している。
【0133】
図8に戻ると、再循環水の温度が真水温度に対して過度に増大する場合に、真水単独での洗浄に対する改善はないことになる。
図8は、全高830mmを有する及びカラムの底部から378mmに位置決めされた第2の分配プレートを有する洗浄カラムに関連するものである。
【0134】
〔実施例6〕
実施例6-真水
図10は、真水が第1及び第2の分配プレートの両方に供給される場合に、真水を第1の分配プレートに供給し、再循環水を第2の分配プレートに供給することに対して何らかの改善があることを示している。これは、真水が両方の分配プレートに供給される場合のより低い蒸気圧に起因するものである。しかし、真水の流量が制約されない場合に、本発明者は、1つの分配プレートに向けて高い流量を供給することは、真水が、その後により大きい充填容積にわたって流れ、より高い洗浄速度をもたらすことができるので、2つのプレートにわたって分割されるよりも良好であることを見出した。
【0135】
〔実施例7〕
実施例7-流量
再循環水の流量を一定に保ちながら、真水の流量を低減する効果を
図11に示している。条件は、真水温度8℃、再循環水温度10℃、カラム高さ910mm、及びカラム内径115mmである。
【0136】
第2の分配プレートを通して供給される再循環水の追加により、性能を維持しながら真水の流量を低減することができる。
【0137】
図12は、上述の条件下での及び第2の分配プレートが上述の最適位置に設けられた状態での2lpmから14lpmのアンモニア流量に関する性能改善を示している。
【0138】
〔実施例8〕
実施例8-カラム直径
図13は、両方ともに910mmの高さを有し、カラムの底部から253mmで再循環分配プレートを有する直径125mmのカラム及び直径160mmのカラムを試験した結果を示している。直径がより大きいカラムで何らかの改善があることが示されている。
【0139】
〔実施例9〕
実施例9-カラム内の位置が変化する時の再循環及び真水分配の比較。
図14は、カラムの高さが増大する時に真水がどのように洗浄するかと比較して、カラムの高さが増大する時にカラムの再循環部分がどのように洗浄するかを示している。これは、再循環分配プレートの上方に真水がないと仮定している。620mmよりも大きいと、再循環水は、真水よりも性能が悪化する。400mmと620mmの間は、再循環水を分配する第2の分配プレートを追加しても改善はほとんどない。450mm未満になると、再循環水と真水の間に最も大きい差がある。すなわち、第2の分配プレートの最適位置は、カラムの底部から450mmまでのどこかである。
【0140】
図14はまた、再循環水の温度が高められる場合に、「再循環」ラインは、より高い蒸気圧に起因して
図14においてより高いと考えられることを示している。プレート位置が低いほど、真水洗浄と再循環水洗浄の差は小さく、最適位置は、温度が高いほどカラム内でより低いと考えられる。
【0141】
アンモニア又は窒素の流量が変更された場合に、
図14の両方のラインは同様に上下に動くので、最適位置は、上述の条件下では実質的に変化しない。
【0142】
〔実施例10〕
実施例10-真水及び再循環水の相乗効果
図15は、真水のみを使用したカラムの底部から上部までのアンモニア濃度を示している。
図15はまた、8、7、及び6とラベル付けした位置を有する130mmと500mmの間の位置からの第2の分配プレートによる再循環水分配に関するアンモニアの濃度を示している。8、7、及び6の位置は、それぞれ、カラムの底部から125mm、253mm、及び378mmを表している。
【0143】
8、7、及び6の位置の濃度の各々から、破線は、第2の分配プレートの上方の真水の高さがアンモニア濃度をどのように低減することができるかを示している。
図16は、カラムの上部、及びアンモニア出力を100ppmに低減するのに必要と考えられる高さを示している。第2の配分プレートが位置7に、すなわち、100ppmをもたらすのに必要な最も小さい高さにある状態で、それは、従って、計算によって最適位置であると仮定することができる。
【0144】
この方法を使用すると、全範囲の高さを計算することができる。これを
図17に示している。Y軸は、100ppmをもたらすのに必要な理論的な高さから差し引いたカラムに残る高さを表している。すなわち、この値が高いほど良好な位置である。
図17は、理論上の最適位置としてカラムの底部から200mmを示している。計算位置と測定位置の差は、2つの流量が混合する点での混合及び流量分布の変動及び温度変動などに起因するものである。
【0145】
〔実施例11〕
実施例11-ベンチュリスクラバー
図18は、ベンチュリスクラバーのスロート直径が、いかに工程及びガス流量に適する圧力降下に依存するかを示している。約10gal/1000ft
3のベンチュリスクラバーの最適液体ガス比がある。実施形態では、150リットル/分のガスが、5つの経路間に分割され、ベンチュリスクラバースロート毎に0.04リットル/分のスクラバー水が必要であると考えられる。
【0146】
参照番号表
1 湿式スクラバー
2 洗浄容器
3 洗浄容器の上端
4 洗浄容器の下端
5 洗浄容器の円周壁
6 ガス入口
7 ガス出口
8 第1の洗浄流体供給ポート
9 第2の洗浄流体供給ポート
10 第1の分配プレート
11 第2の分配プレート
12 リザーバ
13 分配プレートの上面
14 分配プレートの底面
15 分配プレート円周壁
16 キャビティ
17 導管
18 開口
19 チャネル
20 分離壁
21 排水管
22 ポールリング
23 ポンプ
【国際調査報告】