(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】車両用の冷暖房システム
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20231108BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20231108BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20231108BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20231108BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20231108BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20231108BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20231108BHJP
【FI】
B60H1/22 651A
B60H1/22 671
B60H1/22 ZHV
B60H1/22 ZAB
F25B1/00 397Z
B60K1/04 Z
B60K11/04 G
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/615
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527222
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2021080674
(87)【国際公開番号】W WO2022096595
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】102020129328.3
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523152374
【氏名又は名称】ラインメタル インヴェント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】ヴェネチアーノ キャメロ
(72)【発明者】
【氏名】ザイキン グレブ
(72)【発明者】
【氏名】ハッセル カール=ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】カイザー カミル
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
3L211
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AA10
3D038AB01
3D038AC01
3D038AC22
3D235AA01
3D235BB36
3D235BB45
3D235CC15
3D235CC32
3D235FF25
3D235FF38
3D235FF43
3L211AA06
3L211AA08
3L211AA10
3L211AA11
3L211BA01
3L211BA27
3L211CA14
3L211CA15
3L211DA26
3L211DA28
3L211GA26
5H031KK08
(57)【要約】
車両(1)用の冷暖房システム(4A,4B,4C,4D)は、冷媒回路(7)を含む加熱及び冷却モジュール(6)と、冷媒回路(7)に流体接続され、車両(1)の車室(3)の温度調節を行うための冷媒-空気熱交換器(22)と、を備え、冷媒-空気熱交換器(22)は、加熱及び冷却モジュール(6)の外側に設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)用の冷暖房システム(4A,4B,4C,4D)であって、
冷媒回路(7)を含む加熱及び冷却モジュール(6)と、
前記冷媒回路(7)に流体接続され、前記車両(1)の車室(3)の温度調節を行うための冷媒-空気熱交換器(22)と、を備え、
前記冷媒-空気熱交換器(22)は、前記加熱及び冷却モジュール(6)の外側に設けられている、冷暖房システム(4A,4B,4C,4D)。
【請求項2】
前記加熱及び冷却モジュール(6)は、前記加熱及び冷却モジュール(6)がヒートポンプとして動作する第1の切替位置(Z1)から、前記加熱及び冷却モジュール(6)が冷蔵装置として動作する第2の切替位置(Z2)に切替可能、かつ、その逆に切替可能な逆転弁(10)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の冷暖房システム。
【請求項3】
前記冷媒-空気熱交換器(22)は、前記第1の切替位置(Z1)では、前記車室(3)を暖房するための凝縮器として機能し、前記第2の切替位置(Z2)では、前記車室(3)を冷房するための蒸発器として機能することを特徴とする、請求項2に記載の冷暖房システム。
【請求項4】
第1の冷媒-冷却剤熱交換器(13)によって、前記冷媒回路(7)と熱伝達状態にある第1の冷却剤循環回路(14)であって、前記第1の冷媒-冷却剤熱交換器(13)は、前記第1の切替位置(Z1)では凝縮器として動作し前記第2の切替位置(Z2)では蒸発器として動作する、第1の冷却剤循環回路(14)を特徴とする、請求項2又は3に記載の冷暖房システム。
【請求項5】
前記車室(3)の温度調節を行うための第1の冷却剤-空気熱交換器(50)であって、前記第1の冷却剤循環回路(14)と流体連通している第1の冷却剤-空気熱交換器(50)を特徴とする、請求項4に記載の冷暖房システム。
【請求項6】
前記冷媒-空気熱交換器(22)は、第1の冷却剤-空気熱交換器(50)の上流に接続されていることを特徴とする、請求項5に記載の冷暖房システム。
【請求項7】
第2の冷媒-冷却剤熱交換器(37)によって、前記冷媒回路(7)と熱伝達状態にある第2の冷却剤循環回路(38)であって、前記第2の冷媒-冷却剤熱交換器(37)は、前記第1の切替位置(Z1)では蒸発器として動作し前記第2の切替位置(Z2)では凝縮器として動作する、第2の冷却剤循環回路(38)を特徴とする、請求項2~6のいずれか1項に記載の冷暖房システム。
【請求項8】
前記車室(3)の温度調節を行うための第2の冷却剤-空気熱交換器(47)であって、前記第2の冷却剤循環回路(38)と流体連通している第2の冷却剤-空気熱交換器(47)を特徴とする、請求項7に記載の冷暖房システム。
【請求項9】
前記冷媒-空気熱交換器(22)は、前記第2の冷却剤-空気熱交換器(47)の上流に接続されていることを特徴とする、請求項8に記載の冷暖房システム。
【請求項10】
前記第2の冷却剤循環回路(38)は、前記冷暖房システム(4A,4B,4C,4D)の周囲(U)に熱を放出すると共に、前記冷暖房システム(4A,4B,4C,4D)の周囲(U)から熱を受容するための冷却剤-空気熱交換器(40)を含むことを特徴とする、請求項7から9のいずれか1項に記載の冷暖房システム。
【請求項11】
前記加熱及び冷却モジュール(6)から延びる導管(21,27)であって、前記冷媒-空気熱交換器(22)は、前記導管(21,27)によって前記冷媒回路(7)と流体連通している、導管(21,27)を特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の冷暖房システム。
【請求項12】
前記加熱及び冷却モジュール(6)は、ブロック形状を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の冷暖房システム。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の冷暖房システム(4A,4B,4C,4D)を備える車両(1)、具体的には電気自動車又はハイブリッド自動車であって、前記冷媒-空気熱交換器(22)が前記車室(3)の中又は前記車室(3)に接して設けられる、車両(1)。
【請求項14】
前記加熱及び冷却モジュール(6)は、前記車両(1)のエンジン室(5)の中又は前記エンジン室(5)に接して設けられることを特徴とする、請求項13に記載の車両。
【請求項15】
蓄電池(16)及び/又は駆動部品(41,42)であって、前記冷暖房システム(4A,4B,4C,4D)が、前記蓄電池(16)及び/又は前記駆動部品(41,42)の温度調節を行うように構成されている、蓄電池(16)及び/又は駆動部品(41,42)を特徴とする、請求項13又は14に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の冷暖房システム、並びに、このような冷暖房システムを備える車両、具体的には電気自動車又はハイブリッド自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
自社の研究結果によれば、電動車両は、冷媒回路がヒートポンプ及び/又は冷却器として動作し得る冷暖房システムを備えることができる。このために、冷媒回路は、少なくとも、圧縮器、凝縮器、蒸発器、及び、膨張装置を含む。このような冷暖房システムの利点は、電動車両の個々の熱源及び放熱板を相互接続すると共に利用することによって、車室の温度調節が可能な点にある。
【0003】
しかしながら、純粋な電気駆動やハイブリッド駆動の電動車両においては、このような熱源及び放熱板は、車室の温度調節には使用できない、又は、限られた範囲でしか使用できない。この設計に関連する欠点は、例えば、外部温度が低いことにより冷暖房システムの一部が凍結して冷暖房システムが利用できないといった、環境の影響によってさらに悪化し得る。さらに、電動車両では、車室だけでなく様々な車両構成部材の温度を調節して、規定の温度範囲が維持されるようにする必要があり得る。
【0004】
ドイツ国特許出願公開第10 2013 109 666 A1号には、ヒートポンプ及び/又は冷却器として設計された冷媒回路を備える電動車両用の冷暖房システムが記載されている。この冷媒回路は、冷媒が流れることが可能な少なくとも1つの主配管、圧縮器、凝縮器、蒸発器、及び、少なくとも1つの膨張装置を有している。凝縮器は、第1の冷却剤循環回路に連結可能であり、蒸発器は第2の冷却剤循環回路に連結可能である。こうすることによって、冷媒回路の蒸発器を迂回可能である。
【発明の概要】
【0005】
この背景に対して、本発明の一課題は、改善された車両用の冷暖房システムを提供することにある。
【0006】
したがって、車両用の冷暖房システムが提案される。この冷暖房システムは、冷媒回路を含む加熱及び冷却モジュールと、冷媒回路に流体接続され、車両の車室の温度調節を行うための冷媒-空気熱交換器と、を備え、冷媒-空気熱交換器は、加熱及び冷却モジュールの外側に設けられている。
【0007】
冷媒-空気熱交換器が加熱及び冷却モジュールの外側に設けられているので、これを、直接、車室の中や車室に接して配置することが可能である。これによって例えば、冷媒回路から、車室に流れ込む空気流への直接の熱伝達が可能になる。冷媒回路と車室との間に接続された、冷媒-冷却剤熱交換器及び冷却剤-空気熱交換器を備える冷却剤循環回路を用いたさらなる熱伝達は、省くことが可能である。これによって、冷暖房システムの効率が高くなる。互いに間隔を置いて配置された部品を備える構成の代わりに、この小型の加熱及び冷却モジュールを使用することにより、必要な冷媒の量を低減可能である。これは、例えば環境保護の理由からも好都合である。
【0008】
冷暖房システムは、熱管理システムと呼ぶこともできる。冷暖房システムは、車室、及び、例えば蓄電池又は駆動エンジンといった車両のさらなる部品の両方の温度調節を行うことに特に適している。冷暖房システムは、空調システム、具体的には自動空調システムの一部であり得る。この文脈では、「温度調節を行う」とは、必要に応じて冷房及び/又は暖房を行うことを意味していると理解され得る。車両は、好ましくは、電動車両、具体的には電気自動車又はハイブリッド自動車である。
【0009】
「加熱及び冷却モジュール」、又は、より一般的に「モジュール」若しくは「モジュール構造」とは、具体的には、加熱及び冷却モジュールの全ての部品、例えば、圧縮器、導管、絞り弁、弁、熱交換器等が、可能な限り狭い空間に可能な限り小型に配置された、小型かつ空間最適化された構成として理解されたい。これは、例えば導管を可能な限り短くすることができることを意味しており、必要な冷媒の量を低減することに繋がる。
【0010】
具体的には、小型の加熱及び冷却モジュールはブロック形状、好ましくは直方体若しくは立方形状、又は、円筒形状を有している。つまり、加熱及び冷却モジュールは、ブロック形又は円筒形の取付空間を埋める。したがって、加熱及び冷却モジュールは、好ましくは部品又はアセンブリとして車両に取付可能なユニットを形成する。このような加熱及び冷却モジュールとは異なり、冷暖房システムの個々の部品が、車両の任意の位置で互いに間隔を置いて配置された構成も想定可能である。後者の場合は、小型でモジュール式の構造とはならない。
【0011】
冷媒回路は、好ましくは、冷媒が循環する閉回路である。冷媒は、冷暖房システムの一部であり得る。「冷媒」は、冷却物からのエンタルピーを周囲に移送する。「冷却剤」との違いは、冷媒回路内の冷媒は、エンタルピーを温度勾配に沿って移送可能であるため、供給されたエネルギーの消費により周囲温度が冷却対象の温度よりもさらに高くなり得るが、反対に冷却剤は、冷却剤循環回路中のエンタルピーを温度勾配に反して、より低い温度の地点まで移送することだけが可能な点である。例えば、冷媒は、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R-134a)であり得る。しかしながら、他の冷媒を使用してもよい。例えば、水を冷却剤として使用してもよい。
【0012】
冷媒-空気熱交換器が冷媒回路と「流体連通している」ということは、特に本件では、冷媒が冷媒-空気熱交換器から冷媒回路まで流れること、及び、その逆が可能であることを意味している。この文脈において、「冷媒-空気熱交換器」とは、熱を冷媒から直接空気に、及び、その逆方向に伝達することに適した熱交換器を指す。冷媒と空気とは、互いに直接接触しない。
【0013】
冷媒-空気熱交換器が加熱及び冷却モジュールの「外側」に位置している、配置されている、又は、設けられているとは、特に本件では、冷媒-空気熱交換器が、加熱及び冷却モジュールによって境界が定められている空間又は取付空間の内側に配置されておらず、その外側に配置されていることを意味している。つまり、冷媒-空気熱交換器は、好ましくは、加熱及び冷却モジュールから距離を置いて位置している又は配置されている。
【0014】
したがって、例えば、冷媒-空気熱交換器は、車室の中又はこれに接して配置されてもよく、加熱及び冷却モジュールは、車両のエンジン室の中又はこれに接して配置されてもよい。加熱及び冷却モジュールは、カバー又はハウジングを含むことができる。この場合、冷媒-空気熱交換器は、カバーの外側、又は、ハウジングの外側に配置、設置、又は、提供されていることが好ましい。
【0015】
一実施形態によれば、加熱及び冷却モジュールは、加熱及び冷却モジュールがヒートポンプとして動作する第1の切替位置から、加熱及び冷却モジュールが冷蔵装置として動作する第2の切替位置に、かつ、その逆に切替可能な逆転弁を含む。
【0016】
好ましくは、逆転弁は、自動的に切替可能である。逆転弁によって、具体的には、冷媒回路における冷媒の流れ反転が実現され得る。この文脈において、「ヒートポンプ」とは、具体的には圧縮器による技術的作用を用いて、より低温のリザーバから熱エネルギーを吸収し、駆動エネルギーと共に、その熱を利用可能な熱として、より高い温度で加熱されるシステムに伝達する装置又は機械であると理解されたい。これによって、冷暖房システムは、特に省エネルギーで動作可能となる。「冷蔵装置」又は「冷蔵機械」は、熱エネルギーをより冷たい冷却対象の位置からより暖かい周囲に輸送するために、圧縮器を使用する。したがって、冷蔵装置は、ヒートポンプの逆の機能を有している。
【0017】
他の一実施形態によれば、冷媒-空気熱交換器は、第1の切替位置では、車室を暖房するための凝縮器として機能し、第2の切替位置では、車室を冷房するための蒸発器として機能する。
【0018】
第1の切替位置では、冷媒は、車室又は車室に流入する空気に熱を放散するために、冷媒-空気熱交換器において液化する。換言すると、車室は暖房される。第2の切替位置では、冷媒-空気熱交換器内の冷媒は、車室又は車室に流入する空気からの熱を吸収するために蒸発する。換言すると、車室は冷房される。
【0019】
他の一実施形態によれば、冷暖房システムは、第1の冷媒-冷却剤熱交換器によって、冷媒回路と熱伝達状態にある第1の冷却剤循環回路をさらに含む。第1の冷媒-冷却剤熱交換器は、第1の切替位置では凝縮器として動作し第2の切替位置では蒸発器として動作する。
【0020】
冷却剤、例えば水は、冷却剤循環回路内を循環する。「冷媒-冷却剤熱交換器」とは、熱を冷媒から冷却剤に、及び、その逆方向に伝達することに適した熱交換器を意味するものと理解されたい。これに関して、冷媒と冷却剤とは、互いに直接接触しない。第1の冷媒-冷却剤熱交換器が冷媒回路と「熱伝達状態」にあるとは、本件では、第1の冷媒-冷却剤熱交換器又は第1の冷却剤循環回路が熱を冷媒回路に伝達すること、又は、その逆で、冷媒回路が熱を第1の冷媒-冷却剤熱交換器又は第1の冷却剤循環回路に伝達することを意味している。
【0021】
他の一実施形態によれば、冷暖房システムは、車室の温度調節を行うための第1の冷却剤-空気熱交換器であって、第1の冷却剤循環回路と流体連通している第1の冷却剤-空気熱交換器をさらに備える。
【0022】
「冷却剤-空気熱交換器」とは、熱を冷却剤から空気に、及び、その逆に伝達することに適した熱交換器を意味するものと理解されたい。冷却剤と空気とは互いに直接接触しない。第1の冷却剤-空気熱交換器によって、車室を冷房又は暖房することが可能である。第1の冷却剤-空気熱交換器が第1の冷却剤循環回路に流体接続されているとは、具体的には、第1の冷却剤-空気熱交換器が第1の冷却剤循環回路の一部であることを意味している。
【0023】
他の一実施形態によれば、冷媒-空気熱交換器は、第1の冷却剤-空気熱交換器の上流に接続されている。
【0024】
この文脈において、「上流」又は「先行して」とは、車室に入る空気流に沿った表現であると見なされることを意味している。したがって、第1の冷却剤-空気熱交換器は、冷媒-空気熱交換器の下流に配置されている。冷媒-空気熱交換器が空気流を冷却する場合、第1の冷却剤-空気熱交換器は、この空気流を再加熱する。具体的には、第1の冷却剤-空気熱交換器は、空気流を乾燥させるように機能し、車両の窓ガラスの曇りを取るために使用され得る。
【0025】
他の一実施形態によれば、冷暖房システムは、第2の冷媒-冷却剤熱交換器によって、冷媒回路と熱伝達状態にある第2の冷却剤循環回路をさらに備える。第2の冷媒-冷却剤熱交換器は、第1の切替位置では蒸発器として動作し第2の切替位置では凝縮器として動作する。
【0026】
具体的には、冷却剤循環回路の数は任意である。第2の冷却剤循環回路は、冷却剤、具体的には水で充填されている。第2の冷媒-冷却剤熱交換器が冷媒回路と「熱伝達状態」にあるとは、本件では、第2の冷媒-冷却剤熱交換器又は第2の冷却剤循環回路が、熱を冷媒回路に伝達するか、又は、その逆で、冷媒回路が熱を第2の冷媒-冷却剤熱交換器又は第2の冷却剤循環回路に伝達することを意味している。
【0027】
他の一実施形態によれば、冷暖房システムは、車室の温度調節を行うための第2の冷却剤-空気熱交換器であって、第2の冷却剤循環回路と流体連通している第2の冷却剤-空気熱交換器をさらに備える。
【0028】
第2の冷却剤-空気熱交換器によって、車室を暖房又は冷房することが可能である。第2の冷却剤-空気熱交換器が第2の冷却剤循環回路に流体接続されているとは、具体的には、第2の冷却剤-空気熱交換器が第2の冷却剤循環回路の一部であることを意味している。
【0029】
他の一実施形態によれば、冷媒-空気熱交換器は、第2の冷却剤-空気熱交換器の上流に接続されている。
【0030】
上述のように、「上流」とは、車室に入る空気流に沿った表現であると見なされることを意味している。したがって、第2の冷却剤-空気熱交換器は、冷媒-空気熱交換器の下流に配置されている。
【0031】
他の一実施形態によれば、第2の冷却剤循環回路は、冷暖房システムの周囲に熱を放出すると共に、冷暖房システムの周囲から熱を受容するための冷却剤-空気熱交換器を含む。
【0032】
第1の冷却剤循環回路は、類似の冷却剤-空気熱交換器を備えていてもよい。例えば、車両の駆動部品からの廃熱を、冷却剤-空気熱交換器を介して周囲に放散させることが可能である。
【0033】
他の一実施形態によれば、冷暖房システムは、加熱及び冷却モジュールから延びる導管をさらに備え、冷媒-空気熱交換器は、この導管によって冷媒回路と流体連通している。
【0034】
導管は、柔軟ホース又は非柔軟チューブであり得る。例えば、加熱及び冷却モジュールは、エンジン室の中又はそれに接して取付られており、冷媒-空気熱交換器は、車室の中又はそれに接して取付られている。この場合、導管は、エンジン室から車室まで導かれる。導管は、導管内で消費される冷媒の量を最小化するように、可能な限り短く選択される。
【0035】
他の一実施形態によれば、加熱及び冷却モジュールはブロック形状を有する。
【0036】
上述のように、「ブロック形状」とは、例えば、直方形状、立方形状、又は、円筒形状であると理解され得る。したがって、加熱及び冷却モジュールは、加熱及び冷却モジュールの外側に配置された冷媒-空気熱交換器を除いて、加熱及び冷却モジュールの全ての部品が収容された小型のモジュールとして、規定のブロック形状の取付空間を埋める。加熱及び冷却モジュールを、単一の部品又はアセンブリとしてモジュール式に、車両に取付てもよい。
【0037】
車両、具体的には、電気自動車又はハイブリッド自動車がさらに提案される。車両は、上述のような冷暖房システムを含み、冷媒-空気熱交換器は、車室の中又はこれに接して設けられる。
【0038】
「車室の中又はこれに接して」という表現には、具体的には、車両のダッシュボード又は他のトリム部品又はハウジング、具体的には車室の上又は下の領域も含まれ、これによって、冷媒-空気熱交換器が車室から視認できないようになっていることが好ましい。車両は、好ましくは電動車両、具体的には電気自動車又はハイブリッド自動車である。しかしながら、車両は、商用車、例えばトラックであってもよい。さらに、車両は、飛行機、船、又は、鉄道車両であってもよい。好ましくは、車両は、車両の車室を区切る又は包囲する車体を含む。
【0039】
一実施形態によれば、加熱及び冷却モジュールは、車両のエンジン室の中又はこれに接して設けられる。
【0040】
加熱及び冷却モジュールは、その小型のモジュール式の設計により、エンジン室の中に容易かつ好適に取付可能である。
【0041】
他の一実施形態によれば、車両は、蓄電池及び/又は駆動部品をさらに備え、冷暖房システムは、蓄電池及び/又は駆動部品の温度調節を行うように構成されている。
【0042】
駆動部品は、駆動モータ、具体的には電気モータ、変速機等を含んでいてもよい。
【0043】
提案した冷暖房システムについて記載した実施形態及び特徴は、変更すべきところは変更して、提案した車両に適用可能であり、その逆もまた可能である。
【0044】
ここで使用されるように「1つ」とは、必ずしも正確に1つの要素に限定されるものと理解すべきではない。むしろ、例えば2つ、3つ、又は、それ以上といった多数の要素が設けられていてもよい。また、ここで使用される、数に関連する他の用語は、要素の数を正確にその数に限定するものとして理解すべきではない。むしろ、特に記載が無い限り、それよりも多い数や少ない数といった様々な数が可能である。
【0045】
冷暖房システム及び/又は車両の可能なさらなる実施形態は、明確には言及していないが、実施形態を参照して既述した又は以下に記載する特徴又は実施形態の組み合わせを含んでもよい。これに関して、当業者であれば、個々の態様を、改善案又は追加案として、冷暖房システム及び/又は車両の各基本形態に追加するであろう。
【0046】
冷暖房システム及び/又は車両の有効なさらなる実施形態及び態様は、以下に記載する冷暖房システム及び/又は車両の従属請求項及び実施形態の対象である。以下に、冷暖房システム及び/又は車両について、添付の図面を参照しつつ、好ましい実施形態に基づきより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図2】
図1の車両用の冷暖房システムの一実施形態を示す概略図である。
【
図3】
図2の冷暖房システムを示す別の概略図である。
【
図4】
図1の車両用の冷暖房システムのさらなる一実施形態を示す概略図である。
【
図5】
図1の車両用の冷暖房システムのさらなる一実施形態を示す概略図である。
【
図6】
図1の車両用の冷暖房システムのさらなる一実施形態を示す概略図である。
【0048】
図面では、特に記載が無い限り、同一又は機能的に同じ要素には同一の参照符号を付した。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、車両1の一実施形態を示す概略図である。車両1は電動車両、具体的には電気自動車又はハイブリッド自動車である。しかしながら、車両1は、商用車、例えばトラックであってもよい。また、車両1は、飛行機、船、又は、鉄道車両であってもよい。しかしながら、以下では、車両1は電動車両であると見なすことにする。
【0050】
車両1は、車両1の客室又は車室3を包囲する車体2を含む。車室3は、運転手及び乗客を含み得る。車両1は、車室3、及び、エンジン、具体的には電気モータ又は蓄電池といった車両部品の温度調節を行うための冷暖房システム4Aをさらに含む。
【0051】
この文脈において、「温度調節を行う」とは、冷房及び/又は暖房を行うことを意味するものと理解される。冷暖房システム4Aは、熱管理システムと呼ぶこともできる。つまり、「冷暖房システム」及び「熱管理システム」という用語は、所望のように置き換えて使用してもよい。冷暖房システム4Aは、少なくとも部分的に車両1のエンジン室5に収容される。
【0052】
図2は、上述の冷暖房システム4Aの一実施形態を示す概略図である。冷暖房システム4Aは、例えば車両1のエンジン室5に収容された小型の加熱及び冷却モジュール6を含む。加熱及び冷却モジュール6は、冷媒Kが循環する冷媒回路7を含む。冷媒Kは、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R-134a)であり得る。
【0053】
「冷媒」は、冷却物からのエンタルピーを周囲に移送する。「冷却剤」との違いは、冷媒は、エンタルピーを冷媒回路内の温度勾配に沿って移送可能であるため、供給されたエネルギーの消費により周囲温度が冷却対象の温度よりもさらに高くなり得るが、反対に冷却剤は、冷却剤循環回路中のエンタルピーを温度勾配に反して、より低い温度の地点まで移送することだけが可能な点である。
【0054】
冷媒回路7は、モータ9によって駆動される圧縮器8を含む。圧縮器8の下流には、逆転弁10が設けられている。
図2では、逆転弁10は、第1の切替位置Z1にある。逆転弁10によって、冷媒回路7における冷媒Kの流れ方向を逆転させることができる。圧縮器8は、導管11を介して逆転弁10に流体連通されている。導管12は、逆転弁10から第1の冷媒-冷却剤熱交換器13まで繋がっている。
【0055】
第1の冷媒-冷却剤熱交換器13を介して、第1の冷却剤循環回路14が、冷媒回路7と熱交換状態にある。冷却剤K1、例えば水が、第1の冷却剤循環回路14内を循環する。第1の冷却剤循環回路14は、ポンプ15を備え、例えば、第1の冷却剤循環回路14は、車両1の電池又は蓄電池16から熱を除去するように構成されている。
【0056】
第1の冷媒-冷却剤熱交換器13の下流には、膨張装置17が設けられている。膨張装置17は、絞り弁18と、絞り弁18の上流に接続された逆止め弁19と、絞り弁18及び逆止め弁19に並列接続されたさらなる逆止め弁20と、を含む。
【0057】
膨張装置17の下流において、導管21が冷媒-空気熱交換器22に繋がっている。冷媒-空気熱交換器22は、室内熱交換器である。冷媒-空気熱交換器22の上流には、膨張装置23が接続されている。膨張装置23は、絞り弁24と、絞り弁24の上流に接続された逆止め弁25と、絞り弁24及び逆止め弁25に並列接続された逆止め弁26とを含む。
【0058】
冷媒-空気熱交換器22は、加熱及び冷却モジュール6の外側に設けられる。具体的には、冷媒-空気熱交換器22は、エンジン室5の外側に配置される。冷媒-空気熱交換器22は、車室3に配置されていてもよい。冷媒-空気熱交換器22から、導管27が、導管12に戻るように導かれており、逆転弁10と第1の冷媒-冷却剤熱交換器13との間の導管12の中に開口している。
【0059】
導管21から、導管28が分岐しており、冷媒-冷媒熱交換器29に繋がっている。導管28は、冷媒-冷媒熱交換器29を通って延びているか、又は、冷媒-冷媒熱交換器29の一部である。
【0060】
冷媒-冷媒熱交換器29の下流には、膨張装置30が接続されている。膨張装置30は、逆止め弁31と、逆止め弁31に直列接続された絞り弁32とを含む。膨張装置30はさらに、別の逆止め弁33と、逆止め弁33に直列接続された絞り弁34とを含む。逆止め弁33及び絞り弁34は、逆止め弁31及び絞り弁32に並列接続されている。膨張装置30は、逆止め弁31、33に並列接続された逆止め弁35をさらに含む。
【0061】
導管36が、膨張装置30から逆転弁10に繋がっており、第2の冷媒-冷却剤熱交換器37が、導管36上に設けられている。第2の冷媒-冷却剤熱交換器37は、冷媒回路7と第2の冷却剤循環回路38との間の熱伝達を可能にする。冷却剤K2が、第2の冷却剤循環回路38内を循環する。冷却剤K2は水であり得る。
【0062】
第2の冷却剤循環回路38は、ポンプ39及び冷却剤-空気熱交換器40を含む。第2の冷却剤循環回路38を用いて、車両1の駆動部品41、42からの熱を除去することができる。駆動部品41、42は、例えば、駆動モータ、ドライブトレイン、及び/又は、電子部品を含むことができる。
【0063】
任意選択によるバイパス導管43が、絞り弁32から導管36に繋がっている。バイパス導管43を用いることによって、第2の冷媒-冷却剤熱交換器37を迂回することが可能である。バイパス導管43は、第2の冷媒-冷却剤熱交換器37と逆転弁10との間の導管36の中に開口している。
【0064】
導管44が、逆転弁10から回収装置45まで繋がっている。導管46が、回収装置45から逆転弁10まで戻るように延びている。導管46は、冷媒-冷媒熱交換器29を通って延びているか、又は、冷媒-冷媒熱交換器29の一部である。
【0065】
任意選択により、冷暖房システム4Aは、導管48、49により第2の冷却剤循環回路38に流体連通された冷却剤-空気熱交換器47を含んでいてもよい。冷却剤-空気熱交換器47は、室内熱交換器である。冷却剤-空気熱交換器47は、好ましくは、車室3の内部に配置される。
【0066】
図2は、暖房モードにある冷暖房システム4Aを示している。このモードでは、冷媒-空気熱交換器22が凝縮器として機能し、車室3を暖房する。上述のように、逆転弁10は、その第1の切替位置Z1にある。冷媒回路7は、ヒートポンプとして動作される。このために、冷媒Kが、圧縮器8から逆転弁10及び導管12を介して第1の冷媒-冷却剤熱交換器13まで送られる。第1の冷媒-冷却剤熱交換器13は、凝縮器として機能する。第1の冷媒-冷却剤熱交換器13において、冷媒Kは、熱を第1の冷却剤循環回路14に伝達することが可能である。
【0067】
その後、冷却された冷媒Kは、膨張装置17の逆止め弁20、導管21、及び、導管21から分岐した導管28を介して、冷媒-冷媒熱交換器29に供給される。冷媒-冷媒熱交換器29によって、冷媒Kは冷媒Kの反流に熱を伝達できる。続いて、冷媒Kは、膨張装置30の絞り弁34に搬送され、これによって冷媒Kの圧力は低減する。絞り弁34の下流において、冷媒Kは、蒸発器として機能する第2の冷媒-冷却剤熱交換器37に到達する。第2の冷媒-冷却剤熱交換器37において、冷媒Kは、第2の冷却剤循環回路38からの熱を吸収することが可能である。
【0068】
冷媒Kは、その後、導管36及び逆転弁10を通過して、冷媒Kが格納され得る回収装置45の中に達する。回収装置45から、回収装置45の下流に配置された冷媒-冷媒熱交換器29を介して、一時的に格納された冷媒Kを圧縮器8に供給可能である。冷媒-冷媒熱交換器29では、冷媒Kは、冷媒Kの反流から熱を吸収することが可能である。圧縮器8を通って、冷媒Kは再び、導管12に供給される。
【0069】
第1の冷媒-冷却剤熱交換器13の上流において、導管27が導管12から分岐しており、冷媒Kを冷媒-空気熱交換器22に供給する。これによって、冷媒-空気熱交換器22は、凝縮器として機能するので、冷媒Kからの熱を、車室3に流入する空気流Lに放散可能である。冷媒Kは、膨張装置23の逆止め弁26を介して導管21に戻る。
【0070】
任意選択による冷却剤-空気熱交換器47によって、第2の冷却剤循環回路38からの熱を、車室3内の空気流Lに伝達可能である。冷却剤-空気熱交換器47は、空気流Lの流れ方向における冷媒-空気熱交換器22の下流に配置されている。
【0071】
バイパス導管43を用いることによって、第2の冷媒-冷却剤熱交換器37を迂回してもよい。このために、切替弁が設けられていてもよい。これによって、冷媒Kが第2の冷媒-冷却剤熱交換器37を通って流れないので、第2の冷却剤循環回路38は、動作不能となり得る。あるいは、第2の冷却剤循環回路38が別個に動作されてもよい。
【0072】
図3は、冷房モードにある冷暖房システム4Aを示している。このモードでは、冷媒-空気熱交換器22が蒸発器として機能し、車室3を冷房する。このために、逆転弁10を、第1の切替位置Z1とは異なる第2の切替位置Z2に移行させる。冷房モードでは、冷暖房システム4Aは、冷蔵装置として動作される。このために、冷媒Kが、圧縮器8から逆転弁10及び導管36を介して第2の冷媒-冷却剤熱交換器37に供給される。第2の冷媒-冷却剤熱交換器37は、冷房モードでは凝縮器として機能する。これによって、冷媒Kは、第2の冷却剤循環回路38に熱を放出する。例えば、熱は、冷却剤-空気熱交換器40を介して、冷暖房システム4Aの周囲Uに伝達され得る。
【0073】
第2の冷媒-冷却剤熱交換器37によって冷却された冷媒Kは、導管36、膨張装置30の逆止め弁35、及び、導管28を通って冷媒-冷媒熱交換器29に供給され、これによって、冷媒Kは、冷媒Kの反流にさらなる熱を与えることが可能である。続いて、冷媒Kは、膨張装置17の逆止め弁19と、冷媒Kの圧力を低減する絞り弁18とを介して、第1の冷媒-冷却剤熱交換器13に供給される。第1の冷媒-冷却剤熱交換器13は蒸発器として機能するので、第1の冷媒-冷却剤熱交換器13内の冷媒Kは、第1の冷却剤循環回路14からの熱を吸収することが可能である。
【0074】
冷媒Kは、導管12を介して逆転弁10に戻り、そこから回収装置45に達する。回収装置45から搬送された冷媒Kは、冷媒Kが圧縮器8に戻る前に、冷媒Kの反流からの熱を、冷媒-冷媒熱交換器29を介して吸収することが可能である。
【0075】
冷媒-空気熱交換器22には、冷媒Kが、導管21や、膨張装置23の逆止め弁25及び絞り弁24を介して供給される。冷媒-空気熱交換器22は、蒸発器として機能するので、車室3を冷房するために、空気流Lからの熱を吸収することが可能である。冷媒-空気熱交換器22において加熱された冷媒Kは、導管27を介して導管12に戻る。
【0076】
冷却剤-空気熱交換器47は、凝縮器として機能してもよく、冷媒-空気熱交換器22によって冷却された空気流Lが再加熱される。これは、空気流Lを脱湿する効果を有する。この効果を、例えば窓ガラスの曇り止めに使用できる。
【0077】
図4は、さらなる一実施形態の冷暖房システム4Bを示す概略図である。冷暖房システム4Bは、第1の冷却剤循環回路14に流体連通されたさらなる冷却剤-空気熱交換器50が備えられている点を除いて、冷暖房システム4Aとほぼ同じである。導管51、52が、このために設けられている。
【0078】
冷却剤-空気熱交換器50は、第1の冷却剤循環回路14に関連付けられているので、第1の冷却剤-空気熱交換器とも呼ばれる。また、冷却剤-空気熱交換器47は、第2の冷却剤循環回路38に関連付けられているので、第2の冷却剤-空気熱交換器とも呼ばれる。
【0079】
第1の冷却剤-空気熱交換器50を、車室3の温度調節のために使用してもよい。第1の冷却剤-空気熱交換器50は、空気流Lにおいて、冷媒-空気熱交換器22の下流に配置されている。冷暖房システム4Bの機能は、冷暖房システム4Aと同じである。
【0080】
図5は、さらなる一実施形態の冷暖房システム4Cを示す概略図である。冷暖房システム4Cは、第1の冷却剤-空気熱交換器50が導管48、49を介して第2の冷却剤循環回路38と流体連通し、導管51、52を介して第1の冷却剤循環回路14と流体連通している点を除いて、冷暖房システム4Bとほぼ同じである。ここでは、第2の冷却剤-空気熱交換器47が省かれている。
【0081】
第1の冷却剤-空気熱交換器50には、弁53、54が関連付けられている。弁53、54によって、第1の冷却剤-空気熱交換器50を、第1の冷却剤循環回路14又は第2の冷却剤循環回路38に流体連通させることが可能である。したがって、第1の冷却剤-空気熱交換器50を使用して、車室3を暖房又は冷房することが可能である。それ以外は、冷暖房システム4Cの機能は、冷暖房システム4Bの機能と同じである。
【0082】
図6は、さらなる一実施形態の冷暖房システム4Dを示す概略図である。冷暖房システム4Dは、冷暖房システム4Dが冷却剤-空気熱交換器47、50を備えていない点を除いて、冷暖房システム4Aとほぼ同じである。それ以外は、冷暖房システム4Dの機能は、冷暖房システム4Aの機能と同じである。
【0083】
本発明を実施形態の例示を参照しながら説明したが、本発明は、様々に変形可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 車両
2 車体
3 車室
4A 冷暖房システム
4B 冷暖房システム
4C 冷暖房システム
4D 冷暖房システム
5 エンジン室
6 加熱及び冷却モジュール
7 冷媒回路
8 圧縮器
9 モータ
10 逆転弁
11 導管
12 導管
13 冷媒-冷却剤熱交換器
14 冷却剤循環回路
15 ポンプ
16 蓄電池
17 膨張装置
18 絞り弁
19 逆止め弁
20 逆止め弁
21 導管
22 冷媒-空気熱交換器
23 膨張装置
24 絞り弁
25 逆止め弁
26 逆止め弁
27 導管
28 導管
29 冷媒-冷媒熱交換器
30 膨張装置
31 逆止め弁
32 絞り弁
33 逆止め弁
34 絞り弁
35 逆止め弁
36 導管
37 冷媒-冷却剤熱交換器
38 冷却剤循環回路
39 ポンプ
40 冷却剤-空気熱交換器
41 駆動部品
42 駆動部品
43 バイパス導管
44 導管
45 回収装置
46 導管
47 冷却剤-空気熱交換器
48 導管
49 導管
50 冷却剤-空気熱交換器
51 導管
52 導管
53 弁
54 弁
K 冷媒
K1 冷却剤
K2 冷却剤
L 空気流
U 周囲
Z1 切替位置
Z2 切替位置
【手続補正書】
【提出日】2023-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車
両用の冷暖房システ
ムであって、
冷媒回
路を含む加熱及び冷却モジュー
ルと、
前記冷媒回
路に流体接続され、前記車
両の車
室の温度調節を行うための冷媒-空気熱交換
器と、を備え、
前記冷媒-空気熱交換
器は、前記加熱及び冷却モジュー
ルの外側に設けられている、冷暖房システ
ム。
【請求項2】
前記加熱及び冷却モジュー
ルは、前記加熱及び冷却モジュー
ルがヒートポンプとして動作する第1の切替位
置から、前記加熱及び冷却モジュー
ルが冷蔵装置として動作する第2の切替位
置に切替可能、かつ、その逆に切替可能な逆転
弁を備えることを特徴とする、請求項1に記載の冷暖房システム。
【請求項3】
前記冷媒-空気熱交換
器は、前記第1の切替位
置では、前記車
室を暖房するための凝縮器として機能し、前記第2の切替位
置では、前記車
室を冷房するための蒸発器として機能することを特徴とする、請求項2に記載の冷暖房システム。
【請求項4】
第1の冷媒-冷却剤熱交換
器によって、前記冷媒回
路と熱伝達状態にある第1の冷却剤循環回
路であって、前記第1の冷媒-冷却剤熱交換
器は、前記第1の切替位
置では凝縮器として動作し前記第2の切替位
置では蒸発器として動作する、第1の冷却剤循環回
路を特徴とする、請求項2又は3に記載の冷暖房システム。
【請求項5】
前記車
室の温度調節を行うための第1の冷却剤-空気熱交換
器であって、前記第1の冷却剤循環回
路と流体連通している第1の冷却剤-空気熱交換
器を特徴とする、請求項4に記載の冷暖房システム。
【請求項6】
前記冷媒-空気熱交換
器は、第1の冷却剤-空気熱交換
器の上流に接続されていることを特徴とする、請求項5に記載の冷暖房システム。
【請求項7】
第2の冷媒-冷却剤熱交換
器によって、前記冷媒回
路と熱伝達状態にある第2の冷却剤循環回
路であって、前記第2の冷媒-冷却剤熱交換
器は、前記第1の切替位
置では蒸発器として動作し前記第2の切替位
置では凝縮器として動作する、第2の冷却剤循環回
路を特徴とする、請求項2~6のいずれか1項に記載の冷暖房システム。
【請求項8】
前記車
室の温度調節を行うための第2の冷却剤-空気熱交換
器であって、前記第2の冷却剤循環回
路と流体連通している第2の冷却剤-空気熱交換
器を特徴とする、請求項7に記載の冷暖房システム。
【請求項9】
前記冷媒-空気熱交換
器は、前記第2の冷却剤-空気熱交換
器の上流に接続されていることを特徴とする、請求項8に記載の冷暖房システム。
【請求項10】
前記第2の冷却剤循環
回路は、前記冷暖房システ
ムの周
囲に熱を放出すると共に、前記冷暖房システ
ムの周
囲から熱を受容するための冷却剤-空気熱交換
器を含むことを特徴とする、請求項7から9のいずれか1項に記載の冷暖房システム。
【請求項11】
前記加熱及び冷却モジュー
ルから延びる導
管であって、前記冷媒-空気熱交換
器は、前記導
管によって前記冷媒回
路と流体連通している、導
管を特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の冷暖房システム。
【請求項12】
前記加熱及び冷却モジュー
ルは、ブロック形状を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の冷暖房システム。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の冷暖房システ
ムを備える車
両、具体的には電気自動車又はハイブリッド自動車であって、前記冷媒-空気熱交換
器が前記車
室の中又は前記車
室に接して設けられる、車
両。
【請求項14】
前記加熱及び冷却モジュー
ルは、前記車
両のエンジン
室の中又は前記エンジン
室に接して設けられることを特徴とする、請求項13に記載の車両。
【請求項15】
蓄電
池及び/又は駆動部
品であって、前記冷暖房システ
ムが、前記蓄電
池及び/又は前記駆動部
品の温度調節を行うように構成されている、蓄電
池及び/又は駆動部
品を特徴とする、請求項13又は14に記載の車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
自社の研究結果によれば、電動車両は、冷媒回路がヒートポンプ及び/又は冷却器として動作し得る冷暖房システムを備えることができる。このために、冷媒回路は、少なくとも、圧縮器、凝縮器、蒸発器、及び、膨張装置を含む。このような冷暖房システムの利点は、電動車両の個々の熱源及び放熱板を相互接続すると共に利用することによって、車室の温度調節が可能な点にある。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1)中国特許出願公開第111546853号明細書
(特許文献2)国際公開第2014/203476号
(特許文献3)欧州特許出願公開第3845402号明細書
【国際調査報告】