(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】水素化熱分解及びコークス管理によるオレフィン及び芳香族化合物の生成法
(51)【国際特許分類】
C10G 11/18 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
C10G11/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527372
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 IB2021059998
(87)【国際公開番号】W WO2022096996
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508171804
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナスワミー,ラヴィチャンダー
(72)【発明者】
【氏名】ラママーシー,クリシュナ・クマール
(72)【発明者】
【氏名】スタニスラウス,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】コリペリー,ギリッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジャヴィード,ムハンマド
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA03
4H129CA02
4H129CA03
4H129CA08
4H129CA22
4H129CA25
4H129DA04
4H129KA12
4H129KC13Y
4H129KC16Y
4H129NA22
(57)【要約】
オレフィン及び芳香族化合物を生成するためのシステム及びプロセス。プロセスは、使用済触媒と、オレフィン及び芳香族化合物を含む中間ストリームとを生成するために充分な条件下で、第一炭化水素フィードを触媒及び水素源と接触させ、前記使用済触媒を前記中間ストリーム及びコークス前駆体フィードと接触させて、使用済コークス化触媒と、追加のオレフィン及び芳香族化合物を含む生成物ストリームとを生成することを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
より高い収率のオレフィン及び芳香族化合物を生成するための水素化熱分解プロセスであって、
(a)使用済触媒とオレフィン及び芳香族化合物を含む中間ストリームとを生成するために充分な条件下で、第一炭化水素を含む第一炭化水素フィードストリームを、分解触媒及び水素源と接触させること、および
(b)前記使用済触媒及び前記中間ストリームをコークス前駆体ストリームと接触させて、使用済コークス化触媒と追加のオレフィン及び芳香族化合物を含む生成物ストリームとを生成すること
を含むプロセス。
【請求項2】
ステップ(a)における触媒対フィード(C/F)比が、ステップ(b)におけるC/F比よりも高い、請求項1に記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項3】
前記使用済触媒中のコークスの重量%が前記使用済コークス化触媒中のコークスの重量%よりも低い、請求項1又は2のいずれかに記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項4】
前記使用済コークス化触媒を再生することをさらに含む、請求項1又は2のいずれかに記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項5】
前記再生された触媒がステップ(a)にリサイクルされる、請求項4に記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項6】
前記水素源が、水素(H
2)ガス、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブテン、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項1又は2のいずれかに記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項7】
ステップ(a)中の接触条件が500℃~750℃の温度を含む、請求項1又は2のいずれかに記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項8】
ステップ(a)中の接触条件が700℃~850℃の温度を含む、請求項1又は2のいずれかに記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項9】
前記第一炭化水素フィードストリームが、ナフサ、コンデンセート、ガスオイル、C
3及びC
4飽和ガス、分解ナフサストリーム、C
3及びC
4飽和ガスを含むリサイクルされた分解可能な炭化水素ストリーム、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1又は2のいずれかに記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項10】
前記コークス前駆体ストリームが、サイクル油、コーカストリーム、粗製油、スラリー油、カーボンブラック油、分解留出油、分解油、真空残渣油、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1又は2のいずれかに記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項11】
第二炭化水素を含む第二炭化水素フィードストリームをステップ(a)に提供することをさらに含み、前記中間ストリームは、前記触媒を前記第一炭化水素フィードストリーム及び前記第二炭化水素フィードストリームと接触させることによって生成され、前記第二炭化水素フィードストリームの平均分子量は、前記第一炭化水素フィードストリームの平均分子量よりも高い、請求項1又は2のいずれかに記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項12】
前記第二炭化水素フィードストリームが、粗製油、常圧残油、真空ガスオイル、水素化分解装置からの未変換油、ハイドロワックス、ポリオレフィンオリゴマー、溶媒中に溶解又はスラリー化されたプラスチック又はポリマー、プラスチック、部分的に解重合されたプラスチック、プラスチック熱分解油、水素化プラスチック熱分解油、リサイクルナフサ及びガスオイルストリーム、ナフサ、ガスオイル、真空ガスオイル、及びプラスチックの水素化分解からの未変換油生成物、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項11に記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項13】
前記触媒を前記第一炭化水素フィードストリームと接触させるよりも下流で前記第二炭化水素フィードストリームを前記触媒と接触させる、請求項11又は12に記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項14】
第三炭化水素を含む第三炭化水素フィードストリームをステップ(a)に提供することをさらに含み、前記中間ストリームは、前記触媒を前記第一炭化水素フィードストリーム、前記第二炭化水素フィードストリーム及び前記第三炭化水素フィードストリームと接触させることによって生成され、前記第三炭化水素ストリームの平均分子量は前記第二炭化水素ストリームの平均分子量よりも高い、請求項11又は12のいずれかに記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項15】
前記第三炭化水素フィードストリームが、粗製油、常圧残油、真空ガスオイル、水素化分解装置からの未変換油、ハイドロワックス、ポリオレフィンオリゴマー、溶媒中に溶解又はスラリー化されるポリマー、プラスチック、部分的に解重合されたプラスチック、プラスチック熱分解油、水素化プラスチック熱分解油、リサイクルされた分解可能な重質炭化水素ストリーム、ガスオイル、真空ガスオイル、及びプラスチックの水素化分解からの未変換油生成物、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項14に記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項16】
前記触媒を前記第二炭化水素フィードストリームと接触させるよりも下流で前記第三炭化水素フィードストリームを前記触媒と接触させる、請求項14に記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項17】
前記ステップ(a)及び(b)をリアクター中で実施し、前記リアクター中の平均炭化水素滞留時間が100ms~2秒、好ましくは100ms~1秒である、請求項1又は2に記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項18】
前記水素源をリフトストリームに含めてステップ(a)に提供でき、前記リフトストリームは蒸気をさらに含み得る、請求項17に記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項19】
前記リアクターの一つ以上の位置で含酸素添加剤を供給することをさらに含む、請求項17又は18に記載の水素化熱分解プロセス。
【請求項20】
前記含酸素添加剤が供給される前記一つ以上の位置で前記リアクターの局所温度を制御すること:
前記含酸素添加剤が供給される前記一つ以上の位置での前記局所温度を測定すること;および
前記一つ以上の位置での前記局所温度が、前記一つ以上の位置での所望の温度よりも低い場合は、前記リアクターへの前記含酸素添加剤流量を増加させるか、又は前記一つ以上の位置での前記局所温度が、前記一つ以上の位置での所望の温度よりも高い場合は、前記リアクターへの前記含酸素添加剤流量を減少させること、をさらに含む、請求項19に記載の水素化熱分解プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年11月4日に出願された米国特許仮出願第63/109,507号の優先権の利益を主張し、その全内容は参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、オレフィン及び芳香族化合物を生成するための水素化熱分解プロセスに関する。前記プロセスは、(a)使用済触媒と、オレフィン及び芳香族化合物を含む中間ストリームとを生成するために充分な条件下で、第一炭化水素フィードストリームを触媒及び水素源と接触させ、(b)前記使用済触媒を前記中間ストリーム及びコークス前駆体フィードと接触させて、使用済コークス化触媒と、追加のオレフィン及び芳香族化合物を含む生成物ストリームとを生成することを含み得る。前記使用済コークス化触媒は、ステップ(a)における反応の熱管理を支援するために使用できる。
【背景技術】
【0003】
エチレン、プロピレン、及びブチレンなどの軽質オレフィンは、ポリマー、ゴム、プラスチック、オクタンブースタ化合物などのような多数の最終製品の重要な原料である。軽質オレフィンの需要は今後も増え続けると予想される。ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素は、需要が増え続けている重要な汎用化学物質である。軽質オレフィンや芳香族化合物などの高価値化学物質は、石油系原料の流動接触分解によって調製できる。
【0004】
流動接触分解(FCC)プロセスの例は、デュアルライザーリアクター構成を使用する米国特許第7491315号明細書、及びシングルライザーリアクターシステムを使用する米国特許第9550708号明細書に開示されている。現行のFCCプロセスが直面している問題の一つは、そのようなプロセスで使用される前記触媒が、前記触媒上に炭素質堆積物が比較的急速に蓄積するために触媒失活しやすいことである。特に、炭素質堆積物、すなわち、コークス形成は触媒効率を低下させ、軽質オレフィン及び芳香族化合物の収率に悪影響を及ぼす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7491315号明細書
【特許文献2】米国特許第9550708号明細書
【発明の概要】
【0006】
オレフィン及び/又は芳香族化合物などの高価値化学物質を作製するために使用される流動接触分解(FCC)プロセスに関連する前記問題のうちの少なくとも一部に対する解決策をもたらす発見がなされた。前記解決策は、水素源(例えば、水素(H2)ガス)の存在下で流動触媒を用いて炭化水素を接触分解して、前記触媒上のコークス形成を低減させ、その後に前記触媒をコークス前駆体と接触させて前記触媒上にコークスを堆積させることを前提としている。リアクター(例えば、ライザーリアクター又はダウナーリアクター)の第一反応ゾーンにおける前記触媒上のコークス形成を低減するための水素の前記使用の結果、水素源を使用しない場合と比較して、触媒/フィード(C/F)比が大きくなり、前記リアクター側の反応の吸熱を供給する可能性がある。コークス前駆体フィードを前記リアクターに下流位置で添加して、前記コークスを触媒再生器中で燃焼させる場合、水素源の前記使用により、前記触媒を前記第一反応ゾーン内で活性に保つことができる。これは、前記第一反応ゾーンにおいてC/F比が高いほど、及び/又は触媒の活性が高いほど、オレフィン及び/又は芳香族化合物などの高価値化学物質の収率を高くできるという点で有益であり得る。前記第二反応ゾーンにおいてコークス前駆体を使用することで、(1)前記コークス前駆体を分解し、それによってさらなる高価値化学物質(例えば、オレフィン及び/又は芳香族化合物)を生成できる、並びに/或いは(2)前記リアクターから出て、コークス燃焼のために再生器へ向かう前記触媒上のコークスの含有量を増加させることができる。前記コークス化触媒の再生は熱を発生させる可能性がある。(2)で発生した熱は、所望により、前記第一反応ゾーンに供給できる。前記第二反応ゾーンで使用されるコークス前駆体の量は、所望により変えることができ、前記第一反応ゾーンの熱エネルギーの必要性に基づくことができる。言い換えると、リアクターを出る前記触媒上のコークスが一定に保たれるならば、より低いコークス前駆体フィード注入でC/F比をより高くするか、又は同じC/F比を維持するが、前記第一反応ゾーンにおいて触媒がより活性になる余地がある。したがって、本発明の利点には、前記FCC反応中の前記触媒活性及び/又は効率的な熱管理プロセスを管理することによって、オレフィン及び/又は芳香族化合物の生成量を増大させることが含まれ得る。
【0007】
本発明の一態様は、オレフィン及び芳香族化合物を生成するためのプロセスに関する。前記プロセスは、ステップ(a)及び/又は(b)を含み得る。ステップ(a)において、第一炭化水素を含む第一炭化水素フィードストリームは、使用済触媒と、オレフィン及び芳香族化合物を含む中間ストリームとを生成するために充分な条件下で、分解触媒及び水素源と接触させることができる。ステップ(b)において、前記使用済触媒及び前記中間ストリームをコークス前駆体ストリームと接触させて、使用済コークス化触媒と、追加のオレフィン及び芳香族化合物を含む生成物ストリームとを形成できる。前記コークス前駆体を前記使用済触媒と接触させ、前記使用済触媒の表面上に炭素質堆積物を形成させて、前記使用済コークス化触媒を形成できる。前記中間ストリームからの前記オレフィン及び前記芳香族化合物のうちの少なくとも一部は、前記生成物ストリームに持ち越すことができる。いくつかの態様において、ステップ(a)における接触条件は、500℃~750℃、又は600℃~750℃の温度を含み得る。いくつかの態様において、ステップ(a)における接触条件は、700℃~850℃の温度を含み得る。いくつかの態様において、ステップ(a)における接触条件は、約0.5bara~約5baraの圧力、及び/又は0.1s~5秒のリアクター中の接触時間をさらに含み得る。いくつかの態様において、ステップ(a)における前記触媒対フィード(C/F)比(w/w)は、ステップ(b)におけるC/F比よりも高くすることができる。いくつかの態様において、ステップ(a)のC/F比は4~40であり得る。いくつかの態様において、ステップ(b)のC/F比は4~40であり得る。いくつかの態様において、前記分解触媒には、ゼオライト触媒、流動接触分解(FCC)触媒、水素化分解触媒、若しくはアルミノケイ酸塩又はそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。ゼオライト触媒の非限定例としては、ZSM-5、ZSM-11、フェリエライト、輝沸石、ゼオライトA、エリオン沸石、若しくは菱沸石、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの態様において、前記ゼオライト触媒は、活性又は不活性マトリックス中に存在できる。FCC触媒の非限定例としては、X型ゼオライト、Y型及び/又はUSY型ゼオライト、モルデン沸石、フォージャサイト、ナノ結晶ゼオライト、MCMメソ多孔性材料、SBA-15、シリコアルミノリン酸塩、ガロホスフェート、チタノホスフェート、FCCユニットからの使用済若しくは平衡化触媒又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの態様において、前記ゼオライトは金属担持ゼオライトであり得る。前記FCC触媒は、金属担持の有無にかかわらず、活性又は不活性マトリックス中で存在し得る。水素化分解触媒の非限定例としては、支持体上の金属酸化物であって、金属硫化物が活性触媒形態であるものが挙げられる。いくつかの態様において、前記支持体は、シリカ、アルミナ、炭素、チタニア、ジルコニア、若しくはアルミノケイ酸塩又はそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様において、前記分解触媒は、ゼオライト及び/又は金属担持ゼオライト、例えばマトリックスに埋め込まれたゼオライト及び/又は金属担持ゼオライトであり得る。いくつかの態様において、前記分解触媒は、ZSM-5及び/又は金属担持ZSM-5であり得る。いくつかの態様において、ステップ(a)で形成されるコークスの単位当たりの軽質オレフィンなどの前記オレフィン及び芳香族化合物の収率は、4~20であり得る。前記使用済触媒中のコークスの重量%は、前記使用済コークス化触媒中のコークスの重量%よりも低くできる。前記使用済コークス化触媒を再生することができ、前記再生された触媒はステップ(a)にリサイクルできる。前記水素源は、水素(H2)ガス、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブテン又はそれらの任意の組み合わせであり得、好ましくはH2ガスである。前記第一炭化水素フィードストリームは、ナフサ、コンデンセート、例えば、石油コンデンセート、ガスオイル、C3及びC4飽和ガス、分解ナフサストリーム、C3及びC4飽和ガスを含むリサイクルされた分解可能な炭化水素ストリーム又はそれらの任意の組み合わせを含むことができ、前記第一炭化水素は、ナフサ、コンデンセート、例えば、石油コンデンセート、ガスオイル、C3及びC4飽和ガス、分解ナフサストリーム、C3及びC4飽和ガスを含むリサイクルされた分解可能な炭化水素ストリーム又はそれらの任意の組み合わせに含まれる一つ以上の炭化水素であり得る。前記コークス前駆体ストリームは、流動接触分解サイクル油及びスラリー油、コーカストリーム、スラリー油、粗製油、カーボンブラック油、分解留出油、真空残渣油、又は分解油、例えば、バイオオイル若しくは燃料油のような供給源からの分解油、或いはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの態様において、第二炭化水素を含む第二炭化水素フィードストリームをステップ(a)に提供することができ、前記分解触媒を前記第一炭化水素フィードストリーム及び前記第二炭化水素フィードストリームを接触させて、前記中間ストリーム及び前記使用済触媒を生成することができる。いくつかの態様において、前記分解触媒を前記第一炭化水素フィードストリーム及び前記第二炭化水素フィードストリームと前記水素源の存在下で接触させて、前記中間ストリームを生成することができる。いくつかの態様において、前記分解触媒を前記第一炭化水素フィードストリームと接触させるよりも下流で、前記分解触媒を前記第二炭化水素フィードストリームと接触させることができる。前記第二炭化水素フィードストリームは、粗製油;常圧残油;真空ガスオイル;水素化分解装置からの未変換油、例えば、水素化分解装置底部留分;ハイドロワックス;溶媒中に溶解又はスラリー化したプラスチック又はポリマー;ポリオレフィンオリゴマー;プラスチック;部分的に解重合されたプラスチック;プラスチック熱分解油;水素化プラスチック熱分解油;リサイクルナフサ及びガスオイルストリーム;ナフサ;ガスオイル;プラスチックの水素化分解から得られる真空ガスオイル及び/又は未変換油生成物;或いはそれらの任意の混合物を含み得、前記第二炭化水素は、粗製油;常圧残油;真空ガスオイル;水素化分解装置からの未変換油、例えば、水素化分解装置底部留分;ハイドロワックス;溶媒中に溶解又はスラリー化したプラスチック又はポリマー;ポリオレフィンオリゴマー;プラスチック;部分的に解重合されたプラスチック;プラスチック熱分解油;水素化プラスチック熱分解油;リサイクルナフサ及びガスオイルストリーム;ナフサ;ガスオイル;プラスチックの水素化分解から得られる真空ガスオイル及び/又は未変換油生成物;或いはそれらの任意の混合物に含まれる一つ以上の炭化水素であり得る。プラスチックには、限定されるものではないが、ポリオレフィン(HDPE、LDPE、LLDPE、PP)、PS、PVC、PVDC、PET又はそれらの組み合わせが含まれ得る。前記プラスチックは、バージンプラスチック、消費者再生プラスチック、又は産業再生プラスチックであり得る。いくつかの態様において、前記第二炭化水素フィードストリーム中の炭化水素などの前記一つ以上の第二炭化水素の平均分子量は、前記第一炭化水素フィードストリーム中の炭化水素などの前記一つ以上の第一炭化水素の平均分子量よりも高くできる。
【0008】
いくつかの態様において、第三炭化水素を含む第三炭化水素フィードストリームをステップ(a)に提供でき、前記分解触媒を、前記第一炭化水素フィードストリーム、前記第二炭化水素フィードストリーム、及び前記第三炭化水素フィードストリームと接触させて、前記中間ストリーム及び使用済触媒を生成できる。いくつかの態様において、前記分解触媒を、前記水素源の存在下で前記第一炭化水素フィードストリーム、前記第二炭化水素フィードストリーム、及び前記第三炭化水素フィードストリームと接触させて、前記中間ストリームを生成できる。いくつかの態様において、前記分解触媒を前記第二炭化水素フィードストリーム及び前記第一炭化水素フィードストリームと接触させるよりも下流で、前記分解触媒を前記第三炭化水素フィードストリームと接触させることができる。前記第三炭化水素フィードストリームは、粗製油、常圧残油、真空ガスオイル、水素化分解装置からの未変換油、例えば、水素化分解装置底部留分、ハイドロワックス、ポリオレフィンオリゴマー、プラスチック、部分的に解重合されたプラスチック、溶媒中に溶解又はスラリー化されたプラスチック又はポリマー、プラスチック熱分解油、水素化プラスチック熱分解油、リサイクルされた分解可能な重質炭化水素ストリーム、ガスオイル、プラスチックの水素化分解から得られる真空ガスオイル及び未変換油生成物又はそれらの任意の組み合わせを含み得、前記第三炭化水素は、粗製油、常圧残油、真空ガスオイル、水素化分解装置からの未変換油、例えば、水素化分解装置底部留分、ハイドロワックス、ポリオレフィンオリゴマー、プラスチック、部分的に解重合されたプラスチック、溶媒中に溶解又はスラリー化されたプラスチック又はポリマー、プラスチック熱分解油、水素化プラスチック熱分解油、リサイクルされた分解可能な重質炭化水素ストリーム、ガスオイル、プラスチックの水素化分解から得られる真空ガスオイル及び未変換油生成物又はそれらの任意の組み合わせに含まれる一つ以上の炭化水素であり得る。いくつかの態様において、前記第三炭化水素フィードストリーム中の炭化水素などの前記一つ以上の第三炭化水素の平均分子量は、前記第二炭化水素フィードストリーム中の炭化水素などの前記一つ以上の第二炭化水素の平均分子量よりも高くできる。前記第一、第二及び/又は第三炭化水素ストリームは、任意選択的に、前記各ストリーム中に懸濁、分散、及び/又は溶解された触媒を含んでもよい。
【0009】
いくつかの態様において、前記使用済コークス化触媒は、前記生成物ストリームに含めることができ、前記プロセスは、前記生成物ストリームから前記使用済コークス化触媒を分離することを含み得る。いくつかの態様において、前記使用済コークス化触媒は、サイクロンセパレータを用いて前記生成物ストリームから分離できる。いくつかの態様において、前記使用済コークス化触媒から分離した後の前記生成物ストリームは、先行技術で知られている分留装置/分離トレインに送って、精製されたガス状オレフィン及び/又は芳香族化合物を得ることができる。前記ガス状オレフィンは、エチレン、プロピレン、及び/又はブチレンであり得る。前記芳香族化合物は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及び/又はキシレンであり得る。いくつかの態様において、前記分離された使用済コークス化触媒を再生できる。いくつかの態様において、前記再生プロセスは、前記分離された使用済コークス化触媒を再生ストリームと接触させることを含み得る。いくつかの態様において、前記再生ストリームは酸素(O2)を含み得る。いくつかの態様において、前記再生ストリームは、18体積%~30体積%又は20体積%~25体積%の酸素(O2)を含み得る。いくつかの態様において、前記再生ストリームは、空気、希釈空気、酸素富化空気又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの態様において、前記再生ストリームを前記使用済コークス化触媒と、500℃~800℃の温度、0.5bara~5baraの圧力、及び/又は5分~30分の接触時間で接触させることができる。いくつかの態様において、前記使用済コークス化触媒からの前記触媒の前記再生は熱を発生させる可能性があり、前記熱のうちの少なくとも一部をステップ(a)に提供できる。いくつかの態様において、前記再生された触媒はステップ(a)にリサイクルできる。
【0010】
いくつかの態様において、前記水素化熱分解プロセスのステップ(a)及び(b)は、第一反応ゾーンと第二反応ゾーンとを含むリアクター中で実施することができ、ステップ(a)は前記第一反応ゾーンで実施され、ステップ(b)は前記第二反応ゾーンで実施される。前記反応ゾーンは互いに流体連通できる。いくつかの態様において、前記リアクターは流動接触分解ユニットのライザーユニット又はダウナーユニットであり得る。一態様において、前記第一及び第二反応ゾーンは流動接触分解ユニットのライザーユニットに含まれ、前記第一反応ゾーンは前記第二反応ゾーンの上流にあり、前記第一及び第二反応ゾーンは互いに流体連通している。別の態様において、前記第一及び第二反応ゾーンは、流動接触分解ユニットのダウナーユニットに含まれ、前記第一反応ゾーンは前記第二反応ゾーンの上流にあり、前記第一及び第二反応ゾーンは互いに流体連通している。前記リアクター中の平均炭化水素滞留時間は100ms~2秒、好ましくは100ms~1secであり得る。前記水素源は、リフトストリームに含められてステップ(a)に提供でき、前記リフトストリームは蒸気をさらに含み得る。いくつかの態様において、前記リフトストリームは、0.1重量%~99.9重量%のH2などの前記水素源、及び0.1重量%~99.9重量%の蒸気を含み得る。いくつかの態様において、前記リフトストリームは炭化水素ガスを含み得る。いくつかの特定の態様において、前記リフトストリームは、1重量%の水素を含み、任意選択的に、残余は蒸気及び炭化水素ガスであり得る。前記リフトストリームは、分解触媒、使用済触媒、使用済コークス化触媒などの触媒、並びに/或いは第一、第二及び/又は第三炭化水素などの炭化水素、オレフィン及び/又は芳香族化合物などの分解生成物などの材料の前記リアクター中の流れを助けるために、また前記リアクター中の平均炭化水素滞留時間を制御するため、並びに触媒の炭化水素ストリームとの改善された接触及び混合のために使用できる。いくつかの態様において、前記リフトストリームの流量を増加させて、前記リアクター中の平均炭化水素滞留時間を減少させることができる。
【0011】
ある態様において、含酸素添加剤を前記リアクターに一つ以上の位置で供給できる。前記含酸素添加剤をステップ(a)及び/又はステップ(b)に提供できる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤を含む一つ以上の含酸素添加剤ストリームを前記リアクターに供給できる。前記一つ以上の含酸素添加剤ストリームを前記リアクターに一つ以上の位置で供給できる。いくつかの態様において、2~15、又は2~10の含酸素添加剤ストリームなどの複数の含酸素添加剤ストリームを前記リアクターの複数の位置で提供できる。前記一つ以上の含酸素添加剤ストリームをステップ(a)及び/又はステップ(b)に提供できる。ある態様において、前記含酸素添加剤は、前記第一炭化水素フィードストリーム、第二炭化水素フィードストリーム、第三炭化水素フィードストリーム及び/又はコークス前駆体ストリームで構成される前記リアクターに供給できる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤ストリームは、ノズルを通して前記リアクターに供給できる。いくつかの態様において、前記第一反応ゾーン(例えば、高変換ゾーン)に提供される含酸素添加剤の前記量は、前記第二反応ゾーン(例えば、低変換ゾーン)への量よりも高くできる。いくつかの態様において、前記第一反応ゾーンに提供される含酸素添加剤ストリームの数は、前記第二反応ゾーンに提供される含酸素添加剤ストリームの数よりも多くでき、例えば、含酸素添加剤ストリームノズルの数は、前記第二反応ゾーンにおける含酸素添加剤ストリームノズルの数よりも前記第一反応ゾーンの方が多くできる。前記高変換ゾーンへより多量の含酸素添加剤を導入することは、前記高変換ゾーンにおいて高温過酷度の維持を助けることができ、その結果、軽質ガスオレフィンの形成を増加させる。前記リアクターにおいて、前記含酸素添加剤は、分解されて熱を発生させ、リアクター温度を上昇させ、並びに/或いは前記分解触媒及び/又は使用済触媒上のコークス重量%を減少させることができる。前記含酸素添加剤を使用して、温度、例えば、前記リアクターの長さに沿った一つ以上の位置での前記リアクターの局所温度を制御できる。ある態様において、前記プロセスは、前記含酸素添加剤が供給される一つ以上の位置の前記局所温度を測定し、前記一つ以上の位置での前記局所温度が前記一つ以上の位置での所望の温度よりも低い場合は、前記リアクターへの前記含酸素添加剤流量を増加させるか、又は前記一つ以上の位置での前記局所温度が前記一つ以上の位置での所望の温度よりも高い場合は、前記リアクターへの前記含酸素添加剤流量を減少させることによって、前記含酸素添加剤が供給される前記一つ以上の位置での前記リアクターの局所温度を制御することを含み得る。いくつかの態様において、前記一つ以上の位置での前記局所温度は、前記一つ以上の位置付近及び/又は前記一つ以上の位置かつ前記リアクターの壁上に配置された一つ以上の温度センサーによって測定できる。前記リアクターの熱プロファイルは、前記一つ以上の位置での前記リアクターの局所温度を制御することによって確立できる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤フィードはメタノールであり得る。ある態様において、前記リアクターは、前記リアクターの長さに沿ってリアクター壁の内表面上に配置された一つ以上の温度センサーを、前記リアクター壁層の前記外表面上に配置された対応する一つ以上の第一ヒータと共に含み得る。前記水素化熱分解プロセス中の前記リアクター局所温度は、前記一つ以上の熱センサー、前記一つ以上のヒータを用いて、及び/又は前記リアクターの前記一つ以上の位置に含酸素添加剤を供給することによって制御でき、前記リアクターへの前記分解触媒の入口での温度と、前記リアクターからの前記使用済コークス化触媒の出口での温度との差を200℃未満、好ましくは150℃未満、より好ましくは100℃未満にできる。これにより、所望のより高い温度過酷度レベルで、また所望の生成物収率を得るために前記リアクターの長さに沿った温度プロファイルを適用する際に、前記リアクターの操作を可能にする。また、熱バランスの観点から、前記再生器から前記リアクターを部分的に切り離すのに役立ち、必要ならば、より高い触媒流量での操作を可能にする。いくつかの態様において、前記一つ以上の第一ヒータは、前記リアクターの第一ヒータ層を形成でき、前記リアクターは、前記第一ヒータ層の外表面上に配置され、前記第一ヒータ層を外側から断熱する、第一断熱層をさらに含み得る。前記リアクターは、前記第一断熱層の外表面上に配置された一つ以上の第二ヒータをさらに含み得る。前記第一断熱層及び前記一つ以上の第二ヒータは、前記リアクターからの熱損失を最小限に抑えるのに役立つ。いくつかの態様において、前記第一反応ゾーンでの前記リアクターの平均内径は、前記第二反応ゾーンでの前記リアクターの平均内径よりも大きい。いくつかの他の態様において、前記第一反応ゾーンでの前記リアクターの平均内径は、前記第二反応ゾーンでの前記リアクターの平均内径よりも小さい。いくつかの態様において、高い軽質ガスオレフィン選択性を有するように、また芳香族化合物への二次分解を低減するために、前記リアクター中の滞留時間は0.1~1秒にできる。いくつかの態様において、前記リアクターにおける滞留時間は、リアクター長さを短縮することによって0.1~1秒に制御できる。いくつかの態様において、高価値化学物質(例えば、ガス状オレフィン、ベンゼン、トルエン、キシレン及び/又はエチルベンゼン)、或いは前記高価値化学物質のうちの少なくとも一部は、前記生成物ストリームから分離でき、前記残留ストリームを前記リアクターの前記底部に戻すことができる。いくつかの態様において、前記リアクターをより高い空塔速度にて短い滞留時間で操作できる。前記高変換ゾーンにおいてなど、より高い温度過酷度での操作は、変換の増加及びより多くの軽質オレフィンの作製に役立つ。いくつかの態様において、前記空塔速度の増加、前記リアクター長さの短縮、及び/又は前記生成物ストリームからの高価値化学物質の分離により、前記形成された軽質オレフィンからの芳香族化合物のさらなる形成を回避できる。
【0012】
いくつかの態様において、上記で開示された前記特徴及び利益をデュアルリアクターの概念に拡張できる。いくつかの態様において、前記高価値化学物質、例えば、ガス状オレフィン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼン、又は前記高価値化学物質のうちの少なくとも一部は、前記生成物ストリームから分離でき、前記残留ストリームを第二リアクターに供給できる。前記残留ストリームは分解可能な炭化水素を含み得る。前記残留ストリームを前記第二リアクター中で処理して、追加のメタン、ガス状オレフィン及び/又は芳香族化合物を形成できる。いくつかの態様において、前記残留ストリームは第二リアクター中で分解できる。前記リアクター及び第二リアクター中の滞留時間は、軽質ガスオレフィン選択性を高くし、かつ、芳香族化合物への二次分解を低減するように前記リアクター及び/又は前記第二リアクターの長さを短縮し、独立して0.1~1秒に制御できる。いくつかの態様において、前記リアクター及び前記第二リアクターは、より高い空塔速度にて短い滞留時間で操作できる。前記高変換ゾーンにおいてなど、より高い温度過酷度での操作は、変換の増加及びより多くの軽質ガスオレフィンの作製に役立つ。いくつかの態様において、前記空塔速度の増加、前記リアクター長さの短縮、及び/又は前記生成物ストリームからの高価値化学物質の分離により、前記形成された軽質オレフィンからの芳香族化合物のさらなる形成を回避できる。前記二つのリアクター構成により、前記分解ゾーン運転パラメータを調整する柔軟性を増大させることができる。いくつかの態様において、前記リアクター及び前記第二リアクターは前記再生器から再生された触媒を受け取ることができ、前記リアクター及び前記第二リアクターからの前記使用済触媒を再生のために前記再生器に送ることができる。いくつかの態様において、前記リアクターは前記再生器から再生された触媒を受け取ることができ、前記リアクター出口からの触媒を前記第二リアクターに供給することができ、前記第二リアクターからの前記使用済触媒を再生のために前記再生器に送ることができる。
【0013】
本発明の一態様は、オレフィン及び芳香族化合物を生成するためのシステムに関する。前記システムは、本発明の前記リアクター及び/又は前記再生ユニットを含み得る。いくつかの態様において、前記システムは前記第二リアクターを含み得る。
【0014】
以下には、本明細書全体に亘って使用される様々な語句の定義が含まれる。
【0015】
本明細書中で使用する「常圧残油」という用語は、粗製油常圧蒸留塔から得られる蒸留底部ストリームを指す。本明細書中で使用する「真空残渣油」という用語は、粗製油真空蒸留塔から得られる蒸留底部ストリームを指す。真空残渣油は、約550℃より高い沸点を有する炭化水素フラクションを指す。
【0016】
「軽質オレフィン」、「ガス状オレフィン」及び「軽質ガスオレフィン」という用語は、本明細書中で交換可能に使用され、エチレン、プロピレン、及びブチレンを指す。
【0017】
「約」又は「およそ」という用語は、「当業者には理解されるように、近い状態と定義される。非限定的な一実施形態において、前記用語は、10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内、最も好ましくは0.5%以内であると定義される。
【0018】
「重量%」、「体積%」、又は「モル%」という用語は、成分を含む材料の合計重量、合計体積、又は合計モルに基づいて、それぞれ、前記成分の重量パーセンテージ、前記成分の体積パーセンテージ、又は前記成分のモルパーセンテージを指す。非限定例では、100グラムの前記材料中の10グラムの成分は10重量%の成分である。
【0019】
「実質的に」という用語及びその変形は、10%、5%以内、1%以内、又は0.5%以内の範囲を含むと定義される。
【0020】
「阻害する」又は「低減する」又は「防止する」又は「回避する」という用語又はこれらの語の任意の変形は、請求項及び/又は明細書中で使用される場合、所望の結果を達成するための任意の測定可能な減少又は完全な阻害を含む。
【0021】
明細書及び/又は請求項で使用される「有効な」という用語は、所望の、期待される、又は意図される結果を達成するために適切であることを意味する。
【0022】
「a」又は「an」という語の使用は、請求項、又は明細書において「含む(comprising)」、「包含する(including)」、「含有する(containing)」、又は「有する(having)」という用語のいずれかとあわせて使用される場合、「一つ」を意味する可能性があるが、「一つ以上」、「少なくとも一つ」、及び「一つ又は複数」の意味とも合致する。
【0023】
「及び/又は」という語句は、「及び」又は「又は」を含み得る。説明すると、A、B、及び/又はCは:A単独、B単独、C単独、AとBの組み合わせ、AとCの組み合わせ、BとCの組み合わせ、又はAとBとCの組み合わせを含み得る。
【0024】
「含む(comprising)」(及び「comprise」及び「comprises」などのcomprisingのあらゆる形態)、「有する(having)」(及び「have」及び「has」などのhavingのあらゆる形態)、「包含する(including)」(及び「includes」及び「include」などのincludingのあらゆる形態)、又は「含有する(containing)」(及び「contains」及び「contain」などのcontainingのあらゆる形態)という語は、包括的又は無制限であり、追加の記載されていない要素又は方法ステップを除外するものではない。
【0025】
本発明の方法は、明細書を通して開示された、特定の構成要素、成分、組成物等を「含む」、特定の構成要素、成分、組成物等「から本質的になる」又は特定の構成要素、成分、組成物等「からなる」可能性がある。「から本質的になる」という移行句に関して、非限定的な一態様において、本発明の方法の基本的かつ新規な特徴は、流動触媒及びH2などの水素源の存在下で炭化水素を水素化熱分解し、続いて前記触媒をコークス前駆体と接触させることによってコークス化触媒を形成することにより、オレフィン及び芳香族化合物を生成させるそれらの能力である。
【0026】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の図、詳細な説明、及び実施例から明らかになるであろう。しかしながら、図、詳細な説明、及び実施例は、発明の特定の実施形態を示すが、例示のためだけに提示され、限定することを意味するものではないと理解されたい。さらに、発明の主旨及び範囲内の変更及び修飾は、この詳細な説明から当業者には明らかになることが企図される。さらなる実施形態において、特定の実施形態からの特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。例えば、一実施形態からの特徴は、他の実施形態のいずれかからの特徴と組み合わせることができる。さらなる実施形態において、さらなる特徴が、本明細書中で記載する特定の実施形態に追加され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の利点は、以下の詳細な説明の恩恵を受けて、また添付の図面を参照することにより、当業者には明らかになるであろう。
【0028】
【
図1】オレフィン及び芳香族化合物を生成するための本発明の一例の概略図である。
【
図2】オレフィン及び芳香族化合物を生成するための本発明の第二の例の概略図である。
【
図3】オレフィン及び芳香族化合物を生成するための本発明の第三の例の概略図である。
【
図4A】オレフィン及び芳香族化合物を生成するための本発明の第四の例の概略図である。
【
図5】オレフィン及び芳香族化合物を生成するための本発明の第五の例の概略図である。
【
図6】オレフィン及び芳香族化合物を生成するための本発明の第六の例の概略図である。
【
図7】オレフィン及び芳香族化合物を生成するための本発明の一例の概略図であり、
図1~6のシステムは任意の第二リアクターを含む。
【
図8】プラスチックフィードの水素化熱分解及び高過酷度熱分解についてのコークスの単位当たりの全芳香族及び軽質オレフィンの収率を示す。
【0029】
発明は様々な修正及び変更形を受け入れる余地があるが、その具体的な実施形態が図面に例として示されている。図面は縮尺どおりでない場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0030】
FCCプロセスによるオレフィン及び芳香族化合物の生成に関連する問題のうちの少なくとも一部に対する解決策をもたらす発見がなされた。前記解決策は、水素源の存在下で流動触媒を用いて炭化水素フィードの水素化熱分解を実施して、軽質オレフィン及び芳香族化合物などのオレフィンを生成させ、続いて前記触媒をコークス前駆体と接触させて、コークス化触媒を形成することを含み得る。本発明の関連で、流動接触分解時に水素源を使用することで、分解時の前記触媒上のコークス形成を低減することができ、また軽質オレフィン及び芳香族化合物収率を増大させることができることが見いだされた。触媒をコークス前駆体と接触させることによって前記触媒上にコークス堆積物を形成することにより、前記プロセスの熱バランスを維持できる。流動触媒を用いた前記水素化熱分解プロセスは、ライザーユニットの底部又はダウナーユニットの上部などのFCC分解ユニットの高反応性ゾーンで実施することができ、前記流動触媒上の前記コークス形成は、ライザーユニットの上部又はダウナーユニットの底部などのFCC分解ユニットの下流低反応性ゾーンで実施できる。
【0031】
本発明のこれらや他の非限定的な態様は、図を参照して以下のセクションでさらに詳細に論じられる。図で示されるユニットは、プロセスの温度及び圧力を制御するために使用できる一つ以上の加熱及び/又は冷却装置(例えば、壁中の断熱材、電気ヒータ、ジャケット付き熱交換器)又はコントローラ(例えば、コンピュータ、フローバルブ、自動値(automated value)等)を含み得る。通常は一つのユニットだけが示されているが、複数のユニットを一つのユニット内に収容できることを理解されたい。
【0032】
図1を参照して、本発明の一例によるオレフィン及び/又は芳香族化合物の生成用システム及び方法を記載する。システム100は分解ユニット102を含み得る。前記分解ユニットは、高反応性ゾーン102aと低反応性ゾーン102bとを含み得る。前記低反応性ゾーン102bは、前記高反応性ゾーン102aの下流に配置できる。前記ゾーン102a及び102bは流体連通できる。前記ゾーン間の境界103は、物理的ではない操作上の境界である可能性があり、前記分解ユニット102における操作条件及び/又は反応条件などの条件に応じて位置を変えることができる。前記高反応性ゾーン102aにおける平均温度は、前記低反応性ゾーン102bにおける平均温度よりも高くできる。水素源を含むリフトストリーム106は、前記高反応性ゾーン102aで前記分解ユニット102に供給できる。分解触媒、例えば、流動触媒を含む触媒ストリーム108は、前記高反応性ゾーン102aで前記分解ユニット102に供給できる。いくつかの態様において、前記リフトストリーム106及び前記触媒ストリーム108は、別のフィードとして前記分解ユニット102に供給でき、前記分解ユニット102で組み合わせて複合ストリームを形成できる。前記分解触媒は前記複合ストリーム中で流動化させることができる。前記分解ユニット102において前記複合ストリームとあわせた前記触媒の前記全体的な流れ方向を点線矢印で示す。いくつかの態様において、前記リフトストリーム106及び前記触媒ストリーム108は組み合わせることができ、複合ストリームとして前記分解ユニットに供給することができる(不図示)。第一炭化水素を含む第一炭化水素フィードストリーム110は、前記リフトストリーム106、及び前記触媒ストリーム108の下流の前記高反応性ゾーン102aで前記分解ユニット102に供給できる。第二炭化水素を含む第二炭化水素フィードストリーム118は、前記リフトストリーム106、前記触媒ストリーム108、及び前記第一炭化水素フィードストリーム110の下流の前記高反応性ゾーン102aで前記分解ユニット102に供給できる。第三炭化水素を含む第三炭化水素フィードストリーム119は、前記リフトストリーム106、前記触媒ストリーム108、前記第一炭化水素フィードストリーム110、及び前記第二炭化水素フィードストリーム118の下流の前記高反応性ゾーン102aで前記分解ユニット102に供給できる。前記分解ユニット102において、前記第一炭化水素フィードストリーム110、前記第二炭化水素フィードストリーム118、及び/又は前記第三炭化水素フィードストリーム119を前記複合ストリーム中の前記流動化分解触媒と接触させて、使用済触媒とオレフィン及び/又は芳香族化合物を含む中間ストリームとを形成できる。前記オレフィン及び/又は芳香族化合物は、前記第一、第二、及び/又は第三炭化水素のうちの少なくとも一部の水素化熱分解によって形成できる。前記分解ユニット102において前記中間ストリームとあわせた前記使用済触媒の全体的な流れ方向を点線矢印で示す。コークス前駆体を含むコークス前駆体ストリーム112は、前記低反応性ゾーン102bで前記分解ユニット102に供給できる。前記コークス前駆体、使用済触媒及び前記中間ストリームを接触させて、使用済コークス化触媒並びに追加のオレフィン及び/又は芳香族化合物を形成できる。コークスを、前記コークス前駆体及び使用済触媒の前記接触によって前記使用済触媒上に堆積させて、前記使用済触媒から前記使用済コークス化触媒を形成できる。前記使用済コークス化触媒は、前記オレフィン及び/又は芳香族化合物から分離できる。前記追加のオレフィン及び/又は芳香族化合物のうちの少なくとも一部と、前記中間ストリームからの前記オレフィン及び/又は芳香族化合物とを含む生成物ストリーム114は前記分解ユニット102を出ていくことができる。前記使用済コークス触媒を含むストリーム116は前記分解ユニット102を出ていくことができる。いくつかの態様において、前記使用済コークス化触媒は、ボリュートなどのディスエンゲージメント装置中で前記オレフィン及び/又は芳香族化合物から分離でき、その後、使用済コークス化触媒から炭化水素を効率的にストリッピングするために蒸気ストリッピングコイル及びバッフルを備えたストリッピング容器中で使用済コークス化触媒から炭化水素をさらにストリッピングできる。いくつかの態様において、含酸素添加剤を含む含酸素添加剤ストリーム120を前記分解ユニット102に供給できる。いくつかの態様において、前記酸素化(oxygenated)ストリーム120は、ノズルを通して前記分解ユニット102に供給できる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤ストリーム120は、前記リフトストリーム106、前記触媒ストリーム108、前記第一炭化水素フィードストリーム110、及び前記第二炭化水素フィードストリーム118の下流、かつ第三炭化水素フィードストリーム119の上流のゾーン102aで前記分解ユニット102に供給できる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤ストリーム120は、前記リフトストリーム106、前記触媒ストリーム108、及び前記第一炭化水素フィードストリーム110の下流、かつ前記第二炭化水素フィードストリーム118及び第三炭化水素フィードストリーム119の上流のゾーン102aで前記分解ユニット102に供給できる(不図示)。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤ストリーム120は、ゾーン102bで前記分解ユニット102に供給できる(不図示)。いくつかの態様において、複数の含酸素添加剤ストリームは、複数の位置で、ゾーン102a及び/又は102bで前記分解ユニット102に供給できる(不図示)。前記生成物ストリーム114は、分別ユニット及び下流分離トレインに送って、前記オレフィン及び/又は芳香族化合物をさらに精製することができる(不図示)。前記ストリーム116を再生ユニット(不図示)に送ることができる。いくつかの態様において、ゾーン102aでの前記分解ユニット102の平均内径は、ゾーン102bでの平均内径よりも大きくできる(不図示)。いくつかの態様において、ゾーン102bでの前記分解ユニット102の平均内径は、ゾーン102aでの平均内径よりも大きくできる(不図示)。
【0033】
図2を参照して、本発明の第二の例によるオレフィン及び/又は芳香族化合物の生成用システム及び方法を説明する。システム200は分解ユニット202を含み得る。前記分解ユニットは、高反応性ゾーン202aと低反応性ゾーン202bとを含み得る。前記低反応性ゾーン202bは、前記高反応性ゾーン202aの下流に配置できる。前記ゾーン202a及び202bは流体連通できる。前記ゾーン間の境界203は、物理的ではない操作上の境界である可能性があり、前記分解ユニット202における操作条件及び/又は反応条件などの条件に応じて位置を変えることができる。前記高反応性ゾーン202aにおける平均温度は、前記低反応性ゾーン202bにおける平均温度よりも高くできる。水素源を含むリフトストリーム206は、前記高反応性ゾーン202aで前記分解ユニット202に供給できる。分解触媒、例えば、流動触媒を含む触媒ストリーム208は、前記高反応性ゾーン202aで前記分解ユニット202に供給できる。いくつかの態様において、前記リフトストリーム206及び前記触媒ストリーム208は、別のフィードとして前記分解ユニット202に供給でき、前記分解ユニット202で組み合わせて複合ストリームを形成できる。前記分解触媒は前記複合ストリーム中で流動化させることができる。前記分解ユニット202において前記複合ストリームとあわせた前記触媒の全体的な流れ方向を点線矢印で示す。第一炭化水素を含む第一炭化水素フィードストリーム210は、前記リフトストリーム206、及び前記触媒ストリーム208の下流の前記高反応性ゾーン202aで前記分解ユニット202に供給できる。第二炭化水素を含む第二炭化水素フィードストリーム218は、前記リフトストリーム206、前記触媒ストリーム208、及び前記第一炭化水素フィードストリーム210の下流の前記高反応性ゾーン202aで前記分解ユニット202に供給できる。第三炭化水素を含む第三炭化水素フィードストリーム219は、前記リフトストリーム206、前記触媒ストリーム208、前記第一炭化水素フィードストリーム210、及び前記第二炭化水素フィードストリーム218の下流の前記高反応性ゾーン202aで前記分解ユニット202に供給できる。前記分解ユニット202において、前記第一炭化水素フィードストリーム210、前記第二炭化水素フィードストリーム218、及び/又は前記第三炭化水素フィードストリーム219を前記複合ストリーム中の前記流動触媒と接触させて、使用済触媒とオレフィン及び/又は芳香族化合物を含む中間ストリームとを形成できる。前記オレフィン及び/又は芳香族化合物は、前記第一、第二、及び/又は第三炭化水素のうちの少なくとも一部の水素化熱分解によって形成できる。前記分解ユニット202において前記中間ストリームとあわせた前記使用済触媒の全体的な流れ方向を点線矢印で示す。コークス前駆体を含むコークス前駆体ストリーム212は、前記低反応性ゾーン202bで前記分解ユニット202に供給できる。前記コークス前駆体、使用済触媒及び前記中間ストリームを接触させて、使用済コークス化触媒並びに追加のオレフィン及び/又は芳香族化合物を形成できる。コークスを、前記コークス前駆体及び使用済触媒の前記接触によって前記使用済触媒上に堆積させて、前記使用済触媒から前記使用済コークス化触媒を形成できる。前記使用済コークス化触媒は、前記オレフィン及び/又は芳香族化合物から分離できる。前記追加のオレフィン及び/又は芳香族化合物のうちの少なくとも一部と、前記中間ストリームからの前記オレフィン及び/又は芳香族化合物とを含む生成物ストリーム214は前記分解ユニット202から出ていくことができる。前記使用済コークス触媒を含むストリーム216は前記分解ユニット202を出ていくことができる。いくつかの態様において、前記使用済コークス化触媒は、ボリュートなどのディスエンゲージメント装置中で前記オレフィン及び/又は芳香族化合物から分離でき、その後、使用済コークス化触媒から炭化水素を効率的にストリッピングするために蒸気ストリッピングコイル及びバッフルを備えたストリッピング容器中で使用済コークス化触媒から炭化水素をさらにストリッピングできる。いくつかの態様において、含酸素添加剤ストリーム220a/b/c/dを前記分解ユニット202に供給できる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤(oxygenated)ストリーム220a/b/c/dは、それぞれノズル231a/b/c/dを通して前記分解ユニット202に供給できる。前記含酸素添加剤ストリームは含酸素添加剤を含み得る。含酸素添加剤ストリーム220aは、第一炭化水素ストリーム210の下流、第二炭化水素ストリーム218の上流でゾーン202aに供給できる。含酸素添加剤ストリーム220bは、第二炭化水素ストリーム218の下流、第三炭化水素ストリーム219の上流でゾーン202aに供給できる。含酸素添加剤ストリーム220cは、第三炭化水素ストリーム219の下流でゾーン202aに供給できる。含酸素添加剤ストリーム220dは、コークス前駆体ストリーム212の上流でゾーン202bに供給できる。いくつかの態様において、複数の含酸素添加剤ストリームは、複数の位置で、ゾーン202a及び/又は202bで前記分解ユニット202に供給できる。前記生成物ストリーム214は、分別ユニット及び下流分離トレインに送って、前記オレフィン及び/又は芳香族化合物をさらに精製することができる(不図示)。前記ストリーム216を再生ユニットに送ることができる(不図示)。ゾーン202aでの前記分解ユニット202の平均内径は、ゾーン202bでの平均内径よりも大きくできる。同様のプロセス条件下で、そのようなリアクター、例えば、202中での平均炭化水素滞留時間は、前記上流高反応性ゾーン及び前記下流低反応性ゾーンで類似又は同じ平均内径を有するリアクターよりも短くすることができ、水素化分解からの芳香族化合物選択性に対するオレフィン選択性は、例えば、リアクター202のそのようなリアクター設計で増加させることができる。
【0034】
図3を参照して、本発明の第三の例によるオレフィン及び/又は芳香族化合物の生成用システム及び方法を説明する。システム300は分解ユニット302を含み得る。前記分解ユニットは、高反応性ゾーン302aと低反応性ゾーン302bとを含み得る。前記低反応性ゾーン302bは前記高反応性ゾーン302aの下流に配置できる。前記ゾーン302a及び302bは流体連通できる。前記ゾーン間の境界303は、物理的ではない操作上の境界である可能性があり、前記分解ユニット302における操作条件及び/又は反応条件などの条件に応じて位置を変えることができる。前記高反応性ゾーン302aにおける平均温度は、前記低反応性ゾーン302bにおける平均温度よりも高くできる。水素源を含むリフトストリーム306は、前記高反応性ゾーン302aで前記分解ユニット302に供給できる。分解触媒、例えば、流動触媒を含む触媒ストリーム308は、前記高反応性ゾーン302aで前記分解ユニット302に供給できる。いくつかの態様において、前記リフトストリーム306及び前記触媒ストリーム308は、別のフィードとして前記分解ユニット302に供給でき、前記分解ユニット302で組み合わせて複合ストリームを形成できる。前記分解触媒は前記複合ストリーム中で流動化させることができる。前記分解ユニット302において前記複合ストリームとあわせた前記触媒の全体的な流れ方向を点線矢印で示す。第一炭化水素を含む第一炭化水素フィードストリーム310は、前記リフトストリーム306、及び前記触媒ストリーム308の下流の前記高反応性ゾーン302aで前記分解ユニット302に供給できる。第二炭化水素を含む第二炭化水素フィードストリーム318は、前記リフトストリーム306、前記触媒ストリーム308、及び前記第一炭化水素フィードストリーム310の下流の前記高反応性ゾーン302aで前記分解ユニット302に供給できる。第三炭化水素を含む第三炭化水素フィードストリーム319は、前記リフトストリーム306、前記触媒ストリーム308、前記第一炭化水素フィードストリーム310、及び前記第二炭化水素フィードストリーム318の下流の前記高反応性ゾーン302aで前記分解ユニット302に供給できる。前記分解ユニット302において、前記第一炭化水素フィードストリーム310、前記第二炭化水素フィードストリーム318、及び/又は前記第三炭化水素フィードストリーム319を前記複合ストリーム中の前記流動触媒と接触させて、使用済触媒とオレフィン及び/又は芳香族化合物を含む中間ストリームとを形成できる。前記オレフィン及び/又は芳香族化合物は、前記第一、第二、及び/又は第三炭化水素のうちの少なくとも一部の水素化熱分解によって形成できる。前記分解ユニット302において前記中間ストリームとあわせた前記使用済触媒の全体的な流れ方向を点線矢印で示す。コークス前駆体を含むコークス前駆体ストリーム312は、前記低反応性ゾーン302bで前記分解ユニット302に供給できる。前記コークス前駆体を前記使用済触媒と接触させて、使用済コークス化触媒と追加のオレフィン及び/又は芳香族化合物とを形成できる。コークスを、前記コークス前駆体及び使用済触媒の前記接触によって前記使用済触媒上に堆積させて、前記使用済触媒から前記使用済コークス化触媒を形成できる。前記使用済コークス化触媒は、前記オレフィン及び/又は芳香族化合物から分離できる。前記追加のオレフィン及び/又は芳香族化合物のうちの少なくとも一部と、前記中間ストリームからの前記オレフィン及び/又は芳香族化合物とを含む生成物ストリーム314は前記分解ユニット302を出ていくことができる。前記使用済コークス触媒を含むストリーム316は前記分解ユニット302を出ていくことができる。いくつかの態様において、前記使用済コークス化触媒は、ボリュートなどのディスエンゲージメント装置中で前記オレフィン及び/又は芳香族化合物から分離でき、その後、使用済コークス化触媒から炭化水素を効率的にストリッピングするために蒸気ストリッピングコイル及びバッフルを備えたストリッピング容器中で使用済コークス化触媒から炭化水素をさらにストリッピングできる。いくつかの態様において、含酸素添加剤ストリーム320a/b/c/dを前記分解ユニット302に供給できる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤(oxygenated)ストリーム320a/b/c/dは、それぞれノズル331a/b/c/dを通して前記分解ユニット302に供給できる。前記含酸素添加剤ストリームは含酸素添加剤を含み得る。含酸素添加剤ストリーム320aは、第一炭化水素ストリーム310の下流、第二炭化水素ストリーム318の上流でゾーン302aに供給できる。含酸素添加剤ストリーム320bは、第二炭化水素ストリーム318の下流、第三炭化水素ストリーム319の上流でゾーン302aに供給できる。含酸素添加剤ストリーム320cは、第三炭化水素ストリーム319の下流でゾーン302aに供給できる。含酸素添加剤ストリーム320dは、コークス前駆体ストリーム312の上流でゾーン302bに供給できる。いくつかの態様において、複数の含酸素添加剤ストリームは、複数の位置で、ゾーン302a及び/又は302bで前記分解ユニット302に供給できる。前記生成物ストリーム314は、分別ユニット及び下流分離に送って、前記オレフィン及び/又は芳香族化合物をさらに精製することができる(不図示)。前記ストリーム316を再生ユニットに送ることができる(不図示)。ゾーン302bでの前記分解ユニット302の平均内径は、ゾーン302aでの平均内径よりも大きくできる。同様のプロセス条件下で、そのようなリアクター、例えば、302中での平均炭化水素滞留時間は、前記上流高反応性ゾーン及び前記下流低反応性ゾーンで類似又は同じ平均内径を有するリアクターよりも長くすることができ、水素化分解からのオレフィン選択性に対する芳香族化合物選択性は、例えば、リアクター302のそのようなリアクター設計で増加させることができる。
【0035】
図4A及び4Bを参照して、本発明の第四の例によるオレフィン及び/又は芳香族化合物の生成用システム及び方法を説明する。システム400は分解ユニット402を含み得る。前記分解ユニットは、高反応性ゾーン402aと低反応性ゾーン402bとを含み得る。前記低反応性ゾーン402bは前記高反応性ゾーン402aの下流に配置できる。前記ゾーン402a及び402bは流体連通できる。前記ゾーン間の境界403は、物理的ではない操作上の境界である可能性があり、前記分解ユニット402における操作条件及び/又は反応条件などの前記条件に応じて位置を変えることができる。前記高反応性ゾーン402aにおける平均温度は、前記低反応性ゾーン402bにおける平均温度よりも高くできる。前記リアクター402は、前記リアクター402の長さに沿った壁421に沿って配置された一つ以上の第一ヒータを含み得る。前記一つ以上の第一ヒータは第一ヒータ層422を形成できる。前記リアクター402は、前記第一ヒータ層422の外表面に沿って配置された断熱層424を含み得る。前記リアクター402は、前記断熱層424の外表面に沿って配置され、第二ヒータ層426を形成する、一つ以上の第二ヒータをさらに含み得る。前記リアクター402は、前記第二ヒータ層426の外表面に沿って配置された第二断熱層430を含み得る。前記リアクター402は、前記リアクターの温度を測定するように構成された、前記壁421上に配置された一つ以上の温度センサー428をさらに含み得る。リアクター402の水平断面図を
図4Bに示す。前記壁421、第一ヒータ層422、断熱層424及び前記第二ヒータ層426及び前記第二断熱層430は、前記リアクター402のボアを囲むことができる。水素源を含むリフトストリーム406は、前記高反応性ゾーン402aで前記分解ユニット402に供給できる。分解触媒、例えば、流動触媒を含む触媒ストリーム408は、前記高反応性ゾーン402aで前記分解ユニット402に供給できる。いくつかの態様において、前記リフトストリーム406及び前記触媒ストリーム408は、別のフィードとして前記分解ユニット402に供給でき、前記分解ユニット402で組み合わせて複合ストリームを形成できる。前記触媒は前記複合ストリーム中で流動化させることができる。前記分解ユニット402において前記複合ストリームとあわせた前記触媒の全体的な流れ方向を点線矢印で示す。第一炭化水素を含む第一炭化水素フィードストリーム410は、前記リフトストリーム406、及び前記触媒ストリーム408の下流の前記高反応性ゾーン402aで前記分解ユニット402に供給できる。第二炭化水素を含む第二炭化水素フィードストリーム418は、前記リフトストリーム406、前記触媒ストリーム408、及び前記第一炭化水素フィードストリーム410の下流の前記高反応性ゾーン402aで前記分解ユニット402に供給できる。第三炭化水素を含む第三炭化水素フィードストリーム419は、前記リフトストリーム406、前記触媒ストリーム408、前記第一炭化水素フィードストリーム410、及び前記第二炭化水素フィードストリーム418の下流の前記高反応性ゾーン402aで前記分解ユニット402に供給できる。前記分解ユニット402において、前記第一炭化水素フィードストリーム410、前記第二炭化水素フィードストリーム418、及び/又は前記第三炭化水素フィードストリーム419を前記複合ストリーム中の前記流動触媒と接触させて、使用済触媒とオレフィン及び/又は芳香族化合物を含む中間ストリームとを形成できる。前記オレフィン及び/又は芳香族化合物は、前記第一、第二、及び/又は第三炭化水素のうちの少なくとも一部の水素化熱分解によって形成できる。前記分解ユニット402において前記中間ストリームとあわせた前記使用済触媒の全体的な流れ方向を点線矢印で示す。コークス前駆体を含むコークス前駆体ストリーム412は、前記低反応性ゾーン402bで前記分解ユニット402に供給できる。前記コークス前駆体、使用済触媒、及び前記中間ストリームを接触させて、使用済コークス化触媒並びに追加のオレフィン及び/又は芳香族化合物を形成できる。コークスを、前記コークス前駆体及び使用済触媒の前記接触によって前記使用済触媒上に堆積させて、前記使用済触媒から前記使用済コークス化触媒を形成できる。前記使用済コークス化触媒は、前記オレフィン及び/又は芳香族化合物から分離できる。前記追加のオレフィン及び/又は芳香族化合物のうちの少なくとも一部と、前記中間ストリームからの前記オレフィン及び/又は芳香族化合物とを含む生成物ストリーム414は前記分解ユニット402を出ていくことができる。前記使用済コークス触媒を含むストリーム416は前記分解ユニット402を出ていくことができる。いくつかの態様において、前記使用済コークス化触媒は、ボリュートなどのディスエンゲージメント装置中で前記オレフィン及び/又は芳香族化合物から分離でき、その後、使用済コークス化触媒から炭化水素を効率的にストリッピングするために蒸気ストリッピングコイル及びバッフルを備えたストリッピング容器中で使用済コークス化触媒から炭化水素をさらにストリッピングできる。いくつかの態様において、含酸素添加剤を含む含酸素添加剤ストリーム420を前記分解ユニット402に供給できる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤ストリーム420は、ノズルを通して前記分解ユニット402に供給できる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤ストリーム420は、前記リフトストリーム406、前記触媒ストリーム408、前記第一炭化水素フィードストリーム410、及び前記第二炭化水素フィードストリーム418の下流、かつ第三炭化水素フィードストリーム419の上流のゾーン402aで前記分解ユニット402に供給できる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤ストリーム420は、前記リフトストリーム406、前記触媒ストリーム408、及び前記第一炭化水素フィードストリーム410の下流、かつ前記第二炭化水素フィードストリーム418及び第三炭化水素フィードストリーム419の上流のゾーン402aで前記分解ユニット402に供給できる(不図示)。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤ストリーム420は、ゾーン402bで前記分解ユニット402に供給できる(不図示)。いくつかの態様において、複数の含酸素添加剤ストリームは、複数の位置で、ゾーン402a及び/又は402bで前記分解ユニット402に供給できる(不図示)。前記生成物ストリーム414は、分別ユニットに送って、前記オレフィン及び/又は芳香族化合物をさらに精製することができる(不図示)。前記ストリーム416を再生ユニットに送ることができる(不図示)。いくつかの態様において、ゾーン402aでの前記分解ユニット402の平均内径は、ゾーン402bでの平均内径よりも大きくできる(不図示)。いくつかの態様において、ゾーン402bでの前記分解ユニット402の平均内径は、ゾーン402aでの平均内径よりも大きくできる(不図示)。
【0036】
図5を参照して、本発明の第五の例によるオレフィン及び/又は芳香族化合物の生成システム及び方法を説明する。システム500は、ライザー502と再生ユニット530とを含み得る。前記ライザー502は、高反応性ゾーン502aと低反応性ゾーン502bとを含み得る。前記低反応性ゾーン502bは、前記高反応性ゾーン502aの下流、例えば上方に配置できる。前記ゾーン502a及び502bは流体連通できる。前記ゾーン間の境界503は、物理的ではない操作上の境界である可能性があり、前記ライザー502における操作条件及び/又は反応条件などの条件に応じて位置を変えることができる。前記高反応性ゾーン502aにおける平均温度は、前記低反応性ゾーン502bにおける平均温度よりも高くできる。水素源を含むリフトストリーム506は、前記ライザーの底部から前記高反応性ゾーン502aで前記ライザー502に供給できる。前記リフトストリーム506は、前記ライザー中の材料の上向きの流れを支援できる。分解触媒、例えば、流動触媒を含む触媒ストリーム508は、前記高反応性ゾーン502aで前記ライザー502に供給できる。いくつかの態様において、前記リフトストリーム506及び前記触媒ストリーム508は、別のフィードとして前記ライザー502に供給でき、前記ライザー502で組み合わせて複合ストリームを形成できる。前記触媒は前記複合ストリーム中で流動化させることができる。いくつかの態様において、前記リフトストリーム506及び前記触媒ストリーム508は組み合わせることができ、複合ストリームとして前記分解ユニットに供給することができる(不図示)。第一炭化水素を含む第一炭化水素フィードストリーム510は、前記リフトストリーム506、及び前記触媒ストリーム508の下流の前記高反応性ゾーン502aで前記分解ユニット502に供給できる。第二炭化水素を含む第二炭化水素フィードストリーム518は、前記リフトストリーム506、前記触媒ストリーム508、及び前記第一炭化水素フィードストリーム510の下流の前記高反応性ゾーン502aで前記ライザー502に供給できる。第三炭化水素を含む第三炭化水素フィードストリーム519は、前記リフトストリーム506、前記触媒ストリーム508、前記第一炭化水素フィードストリーム510、及び前記第二炭化水素フィードストリーム518の下流の前記高反応性ゾーン502aで前記ライザー502に供給できる。前記ライザー502において、前記第一炭化水素フィードストリーム510、前記第二炭化水素フィードストリーム518、及び/又は前記第三炭化水素フィードストリーム519を前記複合ストリーム中の前記流動触媒と接触させて、使用済触媒とオレフィン及び/又は芳香族化合物を含む中間ストリームとを形成できる。前記オレフィン及び/又は芳香族化合物は、前記第一、第二、及び/又は第三炭化水素のうちの少なくとも一部の水素化熱分解によって形成できる。コークス前駆体を含むコークス前駆体ストリーム512は、前記低反応性ゾーン502bで前記ライザー502に供給できる。前記コークス前駆体、使用済触媒、及び前記中間ストリームを接触させて、使用済コークス化触媒並びに追加のオレフィン及び/又は芳香族化合物を形成できる。コークスを、前記コークス前駆体及び使用済触媒の接触によって前記使用済触媒上に堆積させて、前記使用済触媒から前記使用済コークス化触媒を形成できる。前記使用済コークス化触媒は、前記オレフィン及び/又は芳香族化合物から分離できる。前記追加のオレフィン及び/又は芳香族化合物のうちの少なくとも一部と、前記中間ストリームからの前記オレフィン及び/又は芳香族化合物とを含む生成物ストリーム514は、前記ライザーの上部から前記ライザー502を出ていくことができる。前記使用済コークス触媒を含むストリーム516は前記ライザー502を出ていくことができる。いくつかの態様において、前記使用済コークス化触媒は、ボリュートなどのディスエンゲージメント装置中で前記オレフィン及び/又は芳香族化合物から分離でき、その後、使用済コークス化触媒から炭化水素を効率的にストリッピングするために蒸気ストリッピングコイル及びバッフルを備えたストリッピング容器中で使用済コークス化触媒から炭化水素をさらにストリッピングできる。いくつかの態様において、含酸素添加剤を含む含酸素添加剤ストリーム520を前記ライザー502に供給できる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤ストリーム520はノズルを通して前記ライザー502に供給できる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤ストリーム520は、前記リフトストリーム506、前記触媒ストリーム508、前記第一炭化水素フィードストリーム510、及び前記第二炭化水素フィードストリーム518の下流、かつ第三炭化水素フィードストリーム519の上流のゾーン502aで前記ライザー502に供給できる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤ストリーム520は、前記リフトストリーム506、前記触媒ストリーム508、及び前記第一炭化水素フィードストリーム510の下流、かつ前記第二炭化水素フィードストリーム518及び第三炭化水素フィードストリーム519の上流のゾーン502aで前記ライザー502に供給できる(不図示)。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤ストリーム520は、ゾーン502bで前記ライザー502に供給できる(不図示)。いくつかの態様において、複数の含酸素添加剤ストリームは、複数の位置で、ゾーン502a及び/又は502bで前記ライザー502に供給できる(不図示)。いくつかの態様において、前記ライザー502は、システム400(
図4A及びB)中に記載されるような一つ以上のヒータ、一つ以上の温度センサー及び/又は断熱層を含み得る(不図示)。いくつかの態様において、ゾーン502aでの前記ライザー502の平均内径は、ゾーン502bでの平均内径よりも大きくできる(不図示)。いくつかの態様において、ゾーン502bでの前記ライザー502の平均内径は、ゾーン502aでの平均内径よりも大きくできる(不図示)。前記生成物ストリーム514は、分別ユニットに送って、前記オレフィン及び/又は芳香族化合物をさらに精製することができる(不図示)。前記ストリーム516を再生ユニット530に送ることができる。酸素(O
2)を含む再生ストリーム532を前記再生ユニット530に供給できる。前記再生ユニット530において、前記再生ストリーム532を前記使用済コークス化触媒と接触させることができ、前記使用済コークス化触媒から前記分解触媒を再生できる。前記再生ユニット530からの前記再生された分解触媒は、ストリーム508を介して前記ライザー502にリサイクルできる。前記再生ストリームにより前記触媒再生プロセスから生じる炭素酸化物を含む廃液ストリーム534は、前記再生ユニット530を出ていくことができる。いくつかの態様において、前記廃液ストリーム534は、COボイラーユニットへ送ることができる(不図示)。
【0037】
図6を参照して、本発明の第六の例によるオレフィン及び/又は芳香族化合物の生成用システム及び方法を説明する。システム600は、ダウナー602と再生ユニット630とを含み得る。前記ダウナー602は、高反応性ゾーン602aと低反応性ゾーン602bとを含み得る。前記低反応性ゾーン602bは、前記高反応性ゾーン602aの下流、例えば、下方に配置できる。前記ゾーン602a及び602bは流体連通できる。前記ゾーン間の境界603は、物理的ではない操作上の境界である可能性があり、ダウナー602における操作条件及び/又は反応条件などの条件に応じて位置を変えることができる。前記高反応性ゾーン602aにおける平均温度は、前記低反応性ゾーン602bにおける平均温度よりも高くできる。水素源を含むリフトストリーム606は、前記ダウナー602の上部から前記高反応性ゾーン602aで前記ダウナー602に供給できる。前記リフトストリーム606は、前記ダウナー602中の材料の下向きの流れを支援できる。分解触媒、例えば、流動触媒を含む触媒ストリーム608は、前記高反応性ゾーン602aで前記ダウナー602に供給できる。いくつかの態様において、前記リフトストリーム606及び前記触媒ストリーム608は、別のフィードとして前記ダウナー602に供給でき、前記ダウナー602で組み合わせて複合ストリームを形成できる。前記触媒は前記複合ストリーム中で流動化させることができる。いくつかの態様において、前記リフトストリーム606及び前記触媒ストリーム608は組み合わせることができ、複合ストリームとして前記分解ユニットに供給することができる(不図示)。第一炭化水素を含む第一炭化水素フィードストリーム610は、前記リフトストリーム606、及び前記触媒ストリーム608の下流の前記高反応性ゾーン602aで前記分解ユニット602に供給できる。第二炭化水素を含む第二炭化水素フィードストリーム618は、前記リフトストリーム606、前記触媒ストリーム608、及び前記第一炭化水素フィードストリーム610の下流の前記高反応性ゾーン602aで前記ダウナー602に供給できる。第三炭化水素を含む第三炭化水素フィードストリーム619は、前記リフトストリーム606、前記触媒ストリーム608、前記第一炭化水素フィードストリーム610、及び前記第二炭化水素フィードストリーム618の下流の前記高反応性ゾーン602aで前記ダウナー602に供給できる。前記ダウナー602において、前記第一炭化水素フィードストリーム610、前記第二炭化水素フィードストリーム618、及び/又は前記第三炭化水素フィードストリーム619を前記複合ストリーム中の前記流動触媒と接触させて、使用済触媒とオレフィン及び/又は芳香族化合物を含む中間ストリームとを形成できる。前記オレフィン及び/又は芳香族化合物は、前記第一、第二、及び/又は第三炭化水素のうちの少なくとも一部の水素化熱分解によって形成できる。コークス前駆体を含むコークス前駆体ストリーム612は、前記低反応性ゾーン602bで前記ダウナー602に供給できる。前記コークス前駆体、前記使用済触媒及び前記中間ストリームを接触させて、使用済コークス化触媒並びに追加のオレフィン及び/又は芳香族化合物を形成できる。コークスを、前記コークス前駆体及び使用済触媒の接触によって前記使用済触媒上に堆積させて、前記使用済触媒から前記使用済コークス化触媒を形成できる。前記使用済コークス化触媒は、前記オレフィン及び/又は芳香族化合物から分離できる。前記追加のオレフィン及び/又は芳香族化合物のうちの少なくとも一部と、前記中間ストリームからの前記オレフィン及び/又は芳香族化合物とを含む生成物ストリーム614は、前記ライザーの底部から前記ダウナー602を出ていくことができる。前記使用済コークス触媒を含むストリーム616は前記ダウナー602を出ていくことができる。いくつかの態様において、前記使用済コークス化触媒は、ディスエンゲージメント装置中で前記オレフィン及び/又は芳香族化合物から分離でき、その後、使用済コークス化触媒から炭化水素をさらにストリッピングできる。いくつかの態様において、含酸素添加剤を含む含酸素添加剤ストリーム620を前記ダウナー602に供給できる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤ストリーム620は、ノズルを通して前記ダウナー602に供給できる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤ストリーム620は、前記リフトストリーム606、前記触媒ストリーム608、前記第一炭化水素フィードストリーム610、前記第二炭化水素フィードストリーム618、及び前記第三炭化水素フィードストリーム619の下流のゾーン602aで前記ダウナー602に供給できる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤ストリーム620は、前記リフトストリーム606、前記触媒ストリーム608、及び前記第一炭化水素フィードストリーム610の下流、かつ前記第二炭化水素フィードストリーム618及び第三炭化水素フィードストリーム619の上流のゾーン602aで前記ダウナー602に供給できる(不図示)。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤ストリーム620は、ゾーン602bで前記ダウナー602に供給できる(不図示)。いくつかの態様において、複数の含酸素添加剤ストリームは、複数の位置で、ゾーン602a及び/又は602bで前記ダウナー602に供給できる(不図示)。いくつかの態様において、前記ダウナー602は、システム400(
図4A及びB)中に記載されるような一つ以上のヒータ、一つ以上の温度センサー及び/又は断熱層を含み得る(不図示)。いくつかの態様において、ゾーン602aでの前記ダウナー602の平均内径は、ゾーン602bでの平均内径よりも大きくできる(不図示)。いくつかの態様において、ゾーン602bでの前記ダウナー602の平均内径は、ゾーン602aでの平均内径よりも大きくできる(不図示)。前記生成物ストリーム614は、分別ユニット及び下流分離トレインに送って、前記オレフィン及び/又は芳香族化合物をさらに精製することができる(不図示)。前記ストリーム616を前記再生ユニット630に送ることができる。酸素(O
2)を含む再生ストリーム632を前記再生ユニット630に供給できる。前記再生ユニット630において、前記再生ストリーム632を前記使用済コークス化触媒と接触させることができ、前記使用済コークス化触媒から前記分解触媒を再生できる。前記再生ユニット630からの前記再生された分解触媒は、ストリーム608を介して前記ダウナー602にリサイクルできる。前記再生ストリームにより前記触媒再生プロセスから生じる炭素酸化物を含む廃液ストリーム634は、前記再生ユニット630を出ていくことができる。いくつかの態様において、前記廃液ストリーム634は、COボイラーユニットへ送ることができる(不図示)。
【0038】
図7を参照して、ある特定の態様において、前記システム100、200、300、400、500、又は600は、独立して、任意の第二リアクター702をさらに含み得る。前記高価値化学物質(例えば、ガス状オレフィン、ベンゼン、トルエン、キシレン及び/又はエチルベンゼン)、又は前記高価値化学物質のうちの少なくとも一部は、セパレータ704中の前記生成物ストリーム(それぞれ、114、214、314、414、514、又は614)から分離して、高価値化学物質ストリーム714と残留ストリーム706とを形成できる。前記ストリーム714をさらに精製して、精製エテン、プロペン、ブテン、ベンゼン、トルエン、キシレン及び/又はエチルベンゼンを生成できる。前記残留ストリーム706は分解可能な炭化水素を含むことができ、前記任意の第二リアクター702に供給できる。触媒を含む708ストリームを前記リアクター702に供給できる。いくつかの態様において、前記ストリーム708は再生器からの前記再生された触媒を含み得る。いくつかの態様において、前記再生器は、再生された触媒(例えば、それぞれストリーム108、208、308、408、508、608を介して)が前記リアクター(それぞれ、102、202、302、402、502、又は602)に供給されるのと同じ再生器(例えば、システム500、600の場合、それぞれ、530、630)であり得る。いくつかの態様において、前記ストリーム708は、それぞれ前記リアクター102、202、302、402、502、又は602の廃液からの、それぞれ、前記ストリーム116、216、316、416、516、又は616からの触媒を含み得る。前記第二リアクター702において、前記残留ストリーム(例えば、前記残留ストリーム中の炭化水素)を分解して、追加のメタン、ガス状オレフィン及び/又は芳香族化合物を生成できる。前記追加のメタン、ガス状オレフィン及び/又は芳香族化合物を含むストリーム710は前記リアクターを出ていくことができる。前記ストリーム710をさらに精製して、精製メタン、ガス状オレフィン及び/又は芳香族化合物を生成できる。使用済触媒を含むストリーム716は前記第二リアクター702を出ていくことができ、再生器に送ることができる。いくつかの態様において、前記再生器は、再生された触媒(例えば、それぞれ、ストリーム108、208、308、408、508、又は608を介して)がそれぞれ前記リアクター102、202、302、402、502、又は602に供給されるのと同じ再生器(例えば、システム500又は600の場合、それぞれ、530、630)であり得る。前記残留ストリーム706を前記第二リアクター702中で処理して、追加のメタン、ガス状オレフィン及び/又は芳香族化合物を形成できる。いくつかの態様において、前記残留ストリーム706(例えば、前記残留ストリーム中の炭化水素)は前記第二リアクター702中で分解できる。前記第二リアクター702中での前記滞留時間は0.1~1秒に制御できる。前記二つのリアクター構成により、前記分解ゾーン運転パラメータを調整する柔軟性を増大させることができる。
【0039】
前記高反応性ゾーン102a、202a、302a、402a、502a、602aにおいて、オレフィン及び芳香族化合物は、前記第一、第二及び/又は第三炭化水素と前記分解触媒との水素化熱分解モードでの接触による、前記第一、第二及び/又は第三炭化水素の分解によって形成することができ、前記使用済触媒は前記分解触媒から形成できる。前記高反応性ゾーンにおける前記水素源は、前記分解触媒及び/又は使用済触媒上に形成されたコークスを減少させることができる。前記高反応性ゾーン102a、202a、302a、402a、502a、602aにおける前記第一、第二及び/又は第三炭化水素及び前記分解触媒の接触条件は、500℃~750℃、若しくは600℃~850℃、若しくは600℃~750℃、若しくは700℃~850℃の温度、又は500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825及び850℃のうちの少なくともいずれか一つの温度、いずれか一つに等しい温度、若しくはいずれか二つの間の温度を含み得る。前記高反応性ゾーン102a、202a、302a、402a、502a、602aにおける接触温度の上昇は、分解プロセスによりプロピレンよりも高いエチレン収率(例えば、より高いエチレン対プロピレン生成比)をもたらすことができる。いくつかの態様において、接触条件は、(i)0.5bara~5baraの圧力、又は0.5、1、2、3、4、及び5baraのうちの少なくともいずれか一つの圧力、いずれか一つに等しい圧力、若しくはいずれか二つの間の圧力、並びに/或いは(ii)前記リアクター内で、0.1秒~5秒の接触時間、又は0.1、0.3、0.5、0.7、0.9,1、2、3、4、5秒のうちの少なくともいずれか一つの接触時間、いずれか一つに等しい接触時間、若しくはいずれか二つの間の接触時間をさらに含み得る。
【0040】
前記低反応性ゾーン102b、202b、302b、402b、502b、602bにおいて、前記使用済コークス化触媒は、前記コークス前駆体及び前記使用済触媒の接触によって、前記使用済触媒から形成できる。前記コークス前駆体はコークスを前記使用済触媒上に堆積させて、前記使用済コークス化触媒を形成できる。前記低反応性ゾーン102b、202b、302b、402b、502b、602bにおける前記コークス前駆体及び前記使用済触媒の接触条件は、i)500℃~850℃の温度、又は500、525、550、575、600、650、675、700、725、750、775、800、825及び850℃のうちの少なくともいずれか一つの温度、いずれか一つに等しい温度、若しくはいずれか二つの間の温度、ii)0.5bara~5baraの圧力、又は0.5、1、2、3、4、及び5baraのうちの少なくともいずれか一つの圧力、いずれか一つに等しい圧力、若しくはいずれか二つの間の圧力、並びに/或いはiii)0.1~5秒の接触時間、又は0.1、0.3、0.5、0.7、0.9,1、2、3、4、5秒のうちの少なくともいずれか一つの接触時間、いずれか一つに等しい接触時間、若しくはいずれか二つの間の接触時間を含み得る。前記使用済コークス化触媒は、0.1重量%~10重量%のコークス、又は0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10重量%のうちの少なくともいずれか一つのコークス、いずれか一つに等しいコークス、若しくはいずれか二つの間のコークスを含み得る。前記高反応性ゾーン102a、202a、302a、402a、502a、602aにおける前記触媒対フィード(w/w)比は、前記低反応性ゾーン102b、202b、302b、402b、502b、602bにおける前記触媒対フィード(w/w)比よりも高くできる。
【0041】
前記リフトストリーム106、206、306、406、506、606は水素源を含み得る。いくつかの態様において、前記水素源は水素(H2)ガスであり得る。いくつかの態様において、前記リフトストリーム106、206、306、406、506、606は、0.1体積%~99体積%の水素(H2)ガスなどの前記水素源、又は0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、99、99.5、及び99.9体積%のうちの少なくともいずれか一つの水素(H2)ガスなどの前記水素源、いずれか一つに等しい水素(H2)ガスなど前記水素源、若しくはいずれか二つの間の水素(H2)ガスなど前記水素源と、0.1体積%~99.9体積%の蒸気、又は0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、99、99.5、及び99.9体積%のうちの少なくともいずれか一つの蒸気、いずれか一つに等しい蒸気、若しくはいずれか二つの間の蒸気とを含み得る。いくつかの特定の態様において、前記リフトストリーム106、206、306、406、506、606は、0体積%~35体積%のメタン、又は0、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、及び35体積%のうちの少なくともいずれか一つのメタン、いずれか一つに等しいメタン、若しくはいずれか二つの間のメタンと、0体積%~25体積%のエタン、又は0、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、及び25体積%のうちの少なくともいずれか一つのエタン、いずれか一つに等しいエタン、若しくはいずれか二つの間のエタンと、0体積%~25体積%のエチレン、又は0、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、及び25体積%のうちの少なくともいずれか一つのエチレン、いずれか一つに等しいエチレン、若しくはいずれか二つの間のエチレンとをさらに含み得る。前記リフトストリーム106、206、306、406、506、606は、前記リアクター102、202、302、402、502、602中の物質の流れを支援することができ、前記リアクター102、202、302、402、502、602における平均炭化水素滞留時間などの滞留時間を制御するため、また触媒と炭化水素ストリームとの接触及び混合を改善するために使用できる。
【0042】
前記触媒ストリーム108、208、308、408、508、608は流動化分解触媒を含み得る。前記分解触媒には、ゼオライト触媒、流動接触分解(FCC)触媒、水素化分解触媒、アルミノケイ酸塩又はそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。ゼオライト触媒の非限定例としては、ZSM-5、ZSM-11、フェリエライト、輝沸石、ゼオライトA、エリオン沸石、及び菱沸石、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの態様において、前記ゼオライト触媒は、活性又は不活性マトリックス中に存在できる。FCC触媒の非限定例としては、X型ゼオライト、Y型及び/又はUSY型ゼオライト、モルデン沸石、フォージャサイト、ナノ結晶ゼオライト、MCMメソ多孔性材料、SBA-15、シリコアルミノリン酸塩、ガロホスフェート、チタノホスフェート、FCCユニットからの使用済若しくは平衡化触媒又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。本明細書で言うゼオライトは、金属担持ゼオライトであり得る。前記FCC触媒は、金属担持の有無にかかわらず、活性又は不活性マトリックス中で存在し得る。水素化分解触媒の非限定例としては、支持体上の金属酸化物であって、前記金属硫化物が前記活性触媒形態であるものが挙げられる。いくつかの態様において、前記支持体は、シリカ、アルミナ、炭素、チタニア、ジルコニア、アルミノケイ酸塩であり得る。いくつかの態様において、前記分解触媒は、ゼオライト及び/又は金属担持ゼオライトであり得る。前記ゼオライト及び/又は金属担持ゼオライトはマトリックスに埋め込むことができる。いくつかの態様において、前記分解触媒はZSM-5及び/又は金属担持ZSM-5であり得る。
【0043】
前記第一炭化水素フィードストリーム110、210、310、410、510、610は、ナフサ、コンデンセート、例えば、石油コンデンセート、ガスオイル、C3及びC4飽和ガス、分解ナフサストリーム、C3及びC4飽和ガスを含むリサイクルされた(ecycled)分解可能な炭化水素ストリーム並びに/又は前記プロセスからリサイクルされたガス及び低分子量液体(例えば、それぞれ、114、214、314、414、514、614から回収)を含むことができ、前記第一炭化水素は、ナフサ、コンデンセート、例えば、石油コンデンセート、ガスオイル、分解ナフサストリーム、C3飽和ガス、C4飽和ガス、並びに/又は前記プロセスからリサイクルされたガス及び低分子量液体に含まれる一つ以上の炭化水素であり得る。いくつかの態様において、前記ナフサは直留ナフサ又は分解ナフサであり得る。ある態様において、前記第一炭化水素フィードストリーム110、210、310、410、510、610は、メタノールなどの含酸素添加剤をさらに含み得る。いくつかの態様において、前記第一炭化水素フィードストリーム110、210、310、410、510、610は、0体積%~20体積%のメタノールなどの含酸素添加剤、又は0、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、及び20体積%のうちの少なくともいずれか一つのメタノールなどの含酸素添加剤、いずれか一つに等しいメタノールなどの含酸素添加剤、若しくはいずれか二つの間のメタノールなどの含酸素添加剤を含み得る。前記含酸素添加剤は、前記リアクター中で分解されて、熱を発生させ、前記分解触媒及び/又は使用済触媒中のコークスを減少させることができる。いくつかの態様において、前記第一炭化水素フィードストリーム110、210、310、410、510、610は、所望の温度レベルまで予熱し、前記分解ユニットに供給することができる。
【0044】
前記第二炭化水素フィードストリーム118、218、318、418、518、618は、粗製油;常圧残油;真空ガスオイル;水素化分解装置からの未変換油、例えば、水素化分解装置底部留分;ハイドロワックス;溶媒中に溶解若しくはスラリー化されたプラスチック若しくはポリマー;ポリオレフィンオリゴマー;プラスチック;部分的に解重合されたプラスチック;プラスチック熱分解油;水素化プラスチック熱分解油;リサイクルナフサ及びガスオイルストリーム;ナフサ;ガスオイル;プラスチックの水素化分解からの真空ガスオイル及び/若しくは未変換油生成物;又は前記プロセスからリサイクルされた分解可能な重質炭化水素液体(例えば、それぞれ、114、214、314、414、514、614から回収)或いはそれらの任意の組み合わせを含むことができ、前記第二炭化水素は、粗製油;常圧残油;真空ガスオイル;水素化分解装置からの未変換油、例えば、水素化分解装置底部留分;ハイドロワックス;溶媒中に溶解若しくはスラリー化されたプラスチック若しくはポリマー;ポリオレフィンオリゴマー;プラスチック;部分的に解重合されたプラスチック;プラスチック熱分解油;水素化プラスチック熱分解油;リサイクルナフサ及びガスオイルストリーム;ナフサ;ガスオイル;プラスチックの水素化分解からの真空ガスオイル及び/若しくは未変換油生成物;又は前記プロセスからリサイクルされた分解可能な重質炭化水素液体(例えば、それぞれ、114、214、314、414、514、614から回収)或いはそれらの任意の組み合わせに含まれる一つ以上の炭化水素であり得る。ある態様において、前記第二炭化水素フィードストリーム118、218、318、418、518、618は、メタノールなどの含酸素添加剤をさらに含み得る。いくつかの態様において、前記第二炭化水素フィードストリーム118、218、318、418、518、618は、0体積%~20体積%又は0、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、及び20体積%のメタノールなどの含酸素添加剤を含み得る。前記含酸素添加剤は、前記リアクター中で分解されて、熱を発生させ、前記分解触媒及び/又は使用済触媒中のコークスを減少させることができる。いくつかの態様において、前記第二炭化水素フィードストリーム118、218、318、418、518、618は、所望の温度レベルまで予熱し、前記分解ユニットに供給することができる。
【0045】
前記第三炭化水素フィードストリーム119、219、319、419、519、619は、粗製油;常圧残油;真空ガスオイル;水素化分解装置からの未変換油、例えば、水素化分解装置底部留分;ハイドロワックス;ポリオレフィンオリゴマー;プラスチック;部分的に解重合されたプラスチック;溶媒中に溶解若しくはスラリー化されたプラスチック若しくはポリマー;プラスチック熱分解油;水素化プラスチック熱分解油;リサイクルされた分解可能な重質炭化水素ストリーム;ガスオイル;真空ガスオイル;プラスチックの水素化分解からの未変換油生成物;前記プロセスからリサイクルされた重質液体(例えば、それぞれ、114、214、314、414、514、614から回収)若しくはプラスチックの水素化分解からの生成物;又はそれらの任意の組み合わせを含むことができ、前記第三炭化水素は、粗製油;常圧残油;真空ガスオイル;水素化分解装置からの未変換油、例えば、水素化分解装置底部留分;ハイドロワックス;ポリオレフィンオリゴマー;プラスチック;部分的に解重合されたプラスチック;溶媒中に溶解若しくはスラリー化されたプラスチック若しくはポリマー;プラスチック熱分解油;水素化プラスチック熱分解油;リサイクルされた分解可能な重質炭化水素ストリーム;ガスオイル;真空ガスオイル;プラスチックの水素化分解からの未変換油生成物;前記プロセスからリサイクルされた重質液体(例えば、それぞれ、114、214、314、414、514、614から回収)若しくはプラスチックの水素化分解からの生成物;又はそれらの任意の組み合わせに含まれる一つ以上の炭化水素であり得る。ある態様において、前記第三炭化水素フィードストリーム119、219、319、419、519、619は、メタノールなどの含酸素添加剤をさらに含み得る。いくつかの態様において、前記第三炭化水素フィードストリーム119、219、319、419、519、619は、0体積%~20体積%のメタノールなどの含酸素添加剤、又は0、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、及び20体積%のうちの少なくともいずれか一つのメタノールなどの含酸素添加剤、いずれか一つに等しいメタノールなどの含酸素添加剤、若しくはいずれか二つの間のメタノールなどの含酸素添加剤を含み得る。前記含酸素添加剤は、前記リアクター中で分解されて、熱を発生させ、前記分解触媒及び/又は使用済触媒中のコークスを減少させることができる。いくつかの態様において、前記第三炭化水素フィードストリーム119、219、319、419、519、619は、所望の温度レベルまで予熱し、前記分解ユニットに供給することができる。
【0046】
前記含酸素添加剤ストリーム120、220a、220b、220c、220d、320a、320b、320c、320d、420、520、620は含酸素添加剤を含み得る。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤はメタノールであり得る。前記含酸素添加剤は、前記リアクター102、202、302、402、502、602中で分解されて、熱を発生し得る。発生する熱は、前記水素化熱分解プロセスにおいて前記リアクター102、202、302、402、502、602中の温度降下を低減できる。含酸素添加剤を前記リアクター102、202、302、402、502、602に導入すると、含酸素添加剤を導入しない場合と比較して、106、206、306、406、506、606の入口から114、214、314、414、514、614の出口への温度降下を低減できる。前記温度降下を低減することで、前記リアクター102、202、302、402、502、602における分解によって生成するオレフィン及び/又は芳香族化合物の収率を増大させることができる。いくつかの態様において、前記含酸素添加剤が供給される前記位置でのリアクターの局所温度を制御するため、及び前記リアクター中の温度プロファイルを確立するために、前記リアクターへの前記含酸素添加剤流量を制御できる。また、フィード導入ノズルを通ったフィードと組み合わせて使用する場合、前記含酸素添加剤は、前記フィードを霧化して、より小さな液滴にし、また前記触媒上のコークス堆積を減少させる有益な効果を有する。
【0047】
前記コークス前駆体ストリーム112、212、312、412、512、612はコークス前駆体を含み得る。いくつかの態様において、前記コークス前駆体は、流動接触分解サイクル油及びスラリー油、コーカストリーム、スラリー油、粗製油、カーボンブラック油、分解留出油、真空残渣油、又は分解油、例えば、バイオオイル若しくは燃料油のような供給源からの分解油、或いはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様において、前記コークス前駆体ストリーム112、212、312、412、512、612は蒸気をさらに含み得る。いくつかの態様において、前記コークス前駆体ストリームは、40体積%~100体積%のコークス前駆体、又は40、50、60、70、80、90、及び100体積%のうちの少なくともいずれか一つのコークス前駆体、いずれか一つに等しいコークス前駆体、若しくはいずれか二つの間のコークス前駆体と、0体積%~60体積%の蒸気、又は0、10、20、30、40、50、及び60体積%のうちの少なくともいずれか一つの蒸気、いずれか一つに等しい蒸気、若しくはいずれか二つの間の蒸気とを含み得る。
【0048】
前記生成物ストリーム114、214、314、414、514、614は、軽質オレフィン及び芳香族化合物を含み得る。いくつかの態様において、前記軽質オレフィンは、エチレン、プロピレン、若しくはブチレン又はそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様において、前記芳香族化合物は、ベンゼン、トルエン、キシレン、若しくはエチルベンゼン又はそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0049】
前記再生ユニット530、630において、前記再生ストリーム532、632及び前記使用済コークス化触媒ストリーム516、616は、(i)500~850℃の温度、又は500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825及び850℃のうちの少なくともいずれか一つの温度、いずれか一つに等しい温度、若しくはいずれか二つの間の温度、(ii)0.5bara~5baraの圧力、又は0.5、1、2、3、4、及び5baraのうちの少なくともいずれか一つの圧力、いずれか一つに等しい圧力、又はいずれか二つの間の圧力、或いは(iii)5分~30分の接触時間、又は5、10、15、20、25及び30分のうちの少なくともいずれか一つの接触時間、いずれか一つに等しい接触時間、若しくはいずれか二つの間の接触時間、或いはそれらの任意の組み合わせで接触させて、前記分解触媒を再生することができる。いくつかの態様において、前記再生ストリーム532、632は、18体積%~30体積%又は20体積%~25体積%のO2を含み得る。前記再生プロセスは熱を発生する可能性があり、前記熱のうちの少なくとも一部を、前記リアクター102、202、302、402、502、602に提供することができる。いくつかの態様において、前記再生ストリームは、空気、希釈空気、及び/又は酸素富化空気を含み得る。いくつかの態様では、前記再生器において、前記リアクター中の前記反応を支持するために前記再生器温度を維持するための、燃料ガス又は重質炭化水素燃焼についての任意の規定を設けることができる。
【0050】
本願の実施形態とその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲により定義される前記実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、及び改変を本明細書中で行うことができることを理解されたい。さらに、本願の範囲は、明細書に記載するプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図しない。当業者であれば前記開示から容易に理解できるように、本明細書中で記載する前記対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たすか、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在しているか又は後に開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップを利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップを含むことが意図される。
【0051】
本発明に関連して、少なくとも以下の36の態様を説明する。態様1は、より高い収率のオレフィン及び芳香族化合物を生成するための水素化熱分解プロセスであって:(a)使用済触媒とオレフィン及び芳香族化合物を含む中間ストリームとを生成するために充分な条件下で、第一炭化水素を含む第一炭化水素フィードストリームを、分解触媒及び水素源と接触させること、および(b)前記使用済触媒及び前記中間ストリームをコークス前駆体ストリームと接触させて、使用済コークス化触媒と追加のオレフィン及び芳香族化合物を含む生成物ストリームとを生成することを含むプロセスに関する。態様2は、ステップ(a)における触媒対フィード(C/F)比がステップ(b)におけるC/F比よりも大きい、態様1に記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様3は、前記使用済触媒中のコークスの重量%が、前記使用済コークス化触媒中のコークスの重量%よりも低い、態様1又は2に記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様4は、前記使用済コークス化触媒を再生することをさらに含む、態様1~3のいずれか一つに記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様5は、前記再生された触媒がステップ(a)にリサイクルされる、態様4に記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様6は、前記水素源が、水素(H2)ガス、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブテン又はそれらの任意の組み合わせである、態様1~5のいずれか一つに記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様7は、ステップ(a)における接触条件が500℃~750℃の温度を含む、態様1~6のいずれか一つに記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様8は、ステップ(a)における接触条件が700℃~850℃の温度を含む、態様1~6のいずれか一つに記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様9は、前記第一炭化水素フィードストリームが、ナフサ、コンデンセート、ガスオイル、C3及びC4飽和ガス、分解ナフサストリーム、C3及びC4飽和ガスを含むリサイクルされた分解可能な炭化水素ストリーム又はそれらの任意の組み合わせを含む、態様1~8のいずれか一つに記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様10は、前記コークス前駆体ストリームが、サイクル油、コーカストリーム、粗製油、スラリー油、カーボンブラック油、分解留出油、分解油、真空残渣油又はそれらの任意の組み合わせを含む、態様1~9のいずれか一つに記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様11は、第二炭化水素を含む第二炭化水素フィードストリームをステップ(a)に提供することをさらに含む、態様1~10のいずれか一つに記載の水素化熱分解プロセスに関し、前記中間ストリームは、前記触媒を前記第一炭化水素フィードストリーム及び前記第二炭化水素フィードストリームと接触させることによって生成され、前記第二炭化水素フィードストリームの平均分子量は、前記第一炭化水素フィードストリームの平均分子量よりも高い。態様12は、前記第二炭化水素フィードストリームが、粗製油、常圧残油、真空ガスオイル、水素化分解装置からの未変換油、ハイドロワックス、ポリオレフィンオリゴマー、溶媒中に溶解又はスラリー化されたプラスチック又はポリマー、プラスチック、部分的に解重合されたプラスチック、プラスチック熱分解油、水素化プラスチック熱分解油、リサイクルナフサ及びガスオイルストリーム、ナフサ、ガスオイル、真空ガスオイル及びプラスチックの水素化分解からの未変換油生成物又はそれらの任意の組み合わせを含む、態様11に記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様13は、前記触媒を前記第一炭化水素フィードストリームと接触させるよりも下流で前記第二炭化水素フィードストリームを前記触媒と接触させる、態様11又は12に記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様14は、第三炭化水素を含む第三炭化水素フィードストリームをステップ(a)に提供することをさらに含む、態様11~13のいずれか一つに記載の水素化熱分解プロセスに関し、前記中間ストリームは、前記触媒を前記第一炭化水素フィードストリーム、前記第二炭化水素フィードストリーム及び前記第三炭化水素フィードストリームと接触させることによって生成され、前記第三炭化水素ストリームの平均分子量は前記第二炭化水素ストリームの平均分子量よりも高い。態様15は、前記第三炭化水素フィードストリームが、粗製油、常圧残油、真空ガスオイル、水素化分解装置からの未変換油、ハイドロワックス、ポリオレフィンオリゴマー、溶媒中に溶解又はスラリー化されるポリマー、プラスチック、部分的に解重合されたプラスチック、プラスチック熱分解油、水素化プラスチック熱分解油、リサイクルされた分解可能な重質炭化水素ストリーム、ガスオイル、真空ガスオイル及びプラスチックの水素化分解からの未変換油生成物又はそれらの任意の組み合わせを含む、態様14に記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様16は、前記触媒を前記第二炭化水素フィードストリームと接触させるよりも下流で前記第三炭化水素フィードストリームを前記触媒と接触させる、態様14又は15に記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様17は、前記ステップ(a)及び(b)をリアクター中で実施し、前記リアクター中の平均炭化水素滞留時間が100ミリ秒(ms)~2秒、好ましくは100ms~1秒である、態様1~16のいずれか一つに記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様18は、前記水素源が、リフトストリームに含められてステップ(a)に提供され、前記リフトストリームが蒸気をさらに含み得る、態様17に記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様19は、前記リアクターの一つ以上の位置で含酸素添加剤を供給することをさらに含む、態様17又は18に記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様20は、前記含酸素添加剤が供給される前記一つ以上の位置で前記リアクターの局所温度を制御すること:前記含酸素添加剤が供給される前記一つ以上の位置での前記局所温度を測定すること;および前記一つ以上の位置での前記局所温度が、前記一つ以上の位置での所望の温度よりも低い場合は、前記リアクターへの前記含酸素添加剤流量を増加させるか、又は前記一つ以上の位置での前記局所温度が、前記一つ以上の位置での所望の温度よりも高い場合は、前記リアクターへの前記含酸素添加剤流量を減少させること、をさらに含む、態様19に記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様21は、前記含酸素添加剤が、一つ以上の含酸素添加剤ストリーム、第一炭化水素フィードストリーム、第二炭化水素フィードストリーム、若しくは第三炭化水素フィードストリーム、コークス前駆体ストリーム又はそれらの任意の組み合わせに含められて前記リアクターに供給される、態様19又は20のいずれか一つに記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様22は、前記含酸素添加剤がメタノールである、態様19~21のいずれか一つに記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様23は、前記リアクターが、一つ以上のヒータと、前記リアクターの長さに沿ったリアクター壁上に配置された一つ以上のセンサーとを含み、前記水素化熱分解プロセス中の前記リアクター温度が、前記一つ以上のセンサー、前記一つ以上のヒータ及び/又は前記リアクターの前記一つ以上の位置への前記含酸素添加剤流量で、前記リアクターへの前記触媒の入口での温度と前記リアクターからの前記使用済触媒の出口での温度との間の差が200℃未満、好ましくは150℃未満、より好ましくは100℃未満となるように制御される、態様19~22のいずれか一つに記載の水素化熱分解プロセスに関する。態様24は、オレフィン及び芳香族化合物を生成するためのシステムであって、第一反応ゾーンと第二反応ゾーンとを含むように構成された円筒体であって、前記第二反応ゾーンが前記第一反応ゾーンと流体連通し、前記第一反応ゾーン及び前記第二反応ゾーンが前記リアクターの長さに沿って配置されている、円筒体を含むリアクターと、前記リアクターの長さに沿った壁上に配置された一つ以上の第一ヒータと、を含むシステムに関し、前記リアクターは、前記第一反応ゾーン中で第一炭化水素フィードストリームと、分解触媒と、水素源とを受け取り、前記第一炭化水素フィードストリーム、前記分解触媒及び前記水素源を接触させて、使用済触媒とオレフィン及び芳香族化合物を含む中間ストリームとを生成し、前記第二反応ゾーン中でコークス前駆体フィードと前記使用済触媒と前記中間ストリームとを受け取り、前記使用済触媒、前記中間ストリーム及び前記コークス前駆体フィードを接触させて、使用済コークス化触媒と追加のオレフィン及び芳香族化合物を含む生成物ストリームとを生成するように構成される。態様25は、前記リアクターが、前記第一炭化水素フィードストリーム及び前記中間ストリームの下流の前記第一反応ゾーンで第二炭化水素フィードストリームを受け取るように構成され、使用済触媒が、前記触媒を前記第一炭化水素フィードストリーム及び前記第二炭化水素フィードストリームと接触させることによって生成される、態様24に記載のシステムに関する。態様26は、前記リアクターが、前記第二炭化水素フィードストリームの下流の前記第一反応ゾーンで第三炭化水素フィードストリームを受け取るように構成され、前記中間ストリーム及び使用済触媒が、前記触媒を前記第一炭化水素フィードストリーム、前記第二炭化水素フィードストリーム及び前記第三炭化水素フィードストリームと接触させることによって生成される、態様25に記載のシステムに関する。態様27は、前記リアクターが、前記一つ以上の第一ヒータによって形成された第一ヒータ層の外表面上に配置された断熱層をさらに含む、態様24~26のいずれか一つに記載のシステムに関する。態様28は、前記リアクターが、前記断熱層の外表面上に配置された一つ以上の第二ヒータをさらに含む、態様27に記載のシステムに関する。態様29は、前記第一反応ゾーンでの前記リアクターの平均内径が、前記第二反応ゾーンでの前記リアクターの平均内径よりも大きい、態様24~28のいずれか一つに記載のシステムに関する。態様30は、前記第一反応ゾーンでの前記リアクターの平均内径が、前記第二反応ゾーンでの前記リアクターの平均内径よりも小さい、態様24~28のいずれか一つに記載のシステムに関する。態様31は、前記リアクターがライザーリアクター又はダウナーリアクターである、態様24~30のいずれか一つに記載のシステムに関する。態様32は、前記生成物ストリームから軽質ガスオレフィン、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びエチルベンゼンを受け取った後に、前記生成物ストリームから分離された分解可能な炭化水素を処理するように構成された第二リアクターをさらに含む、態様24~31のいずれか一つに記載のシステムに関する。態様33は、前記リアクター及び前記第二リアクター中の滞留時間が、独立して100ms~1秒であるように構成された、態様32に記載のシステムに関する。態様34は、前記リアクターが、前記リアクターの長さに沿って配置され、一つ以上の含酸素添加剤を前記リアクターに導入するように構成された、複数のノズルをさらに含む、態様24~33のいずれか一つに記載のシステムに関する。態様35は、前記第一反応ゾーンにおけるノズルの数が、前記第二反応ゾーンにおけるノズルの数よりも多い、態様24~34のいずれか一つに記載のシステムに関する。態様36は、前記リアクターからの前記使用済コークス化触媒と、酸素(O2)を含む再生ストリームとを受け取り、前記使用済コークス化触媒及び酸素を接触させて、前記分解触媒を再生するように構成された、再生ユニットをさらに含む、態様24~35のいずれか一つに記載のシステムに関する。
【実施例】
【0052】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例は、例示のみを目的として提供され、いかなる方法でも発明を限定するものではない。当業者であれば、本質的に同じ結果を得るために変更又は修正できる様々な重要ではないパラメータを容易に認識するであろう。
【0053】
実施例1
West Texas Blend粗製油沸騰留分(370℃~415℃)の水素化熱分解
【0054】
10体積%のH2と90体積%のN2とを含む流動化ストリームを用いて実験室用リアクター中でWest Texasブレンド粗製油留分(370℃~415℃)に対して水素化熱分解を実施した。前記リアクターは、長さ783mm、内径15mmのインサイツ流動床管状リアクター(in-situ fluidized bed tubular reactor)であり、ゾーンごとに独立して温度制御をするスプリットゾーン-3ゾーン管状炉に収容されていた。各加熱ゾーンのサイズは9.3インチ(236.2mm)であった。前記炉の内部に配置された前記リアクターの全加熱長さは591mmであった。前記リアクター壁温度は各ゾーンの中央で測定され、各炉ゾーンの加熱を制御するために使用された。前記リアクターは円錐形底部を有し、前記リアクター床温度は、サーモウェルの内部に収容され、前記円錐形底部の上部で前記リアクターの内部に設置された熱電対を使用して測定された。また、前記リアクターの底部が熱いことを確実にするために、前記リアクター壁温度を前記円錐形底部で測定した。炉端部キャップ熱損失の影響を最小限に抑え、前記リアクター底部壁温度を測定された内部床温度との差20℃以内に維持するために、前記リアクター底部を炉底部ゾーンの中央に設置した。使用した前記触媒は、FCC触媒及びZSM-5添加剤の比率(それぞれ、67.5重量%及び37.5%重量%)での組み合わせである。条件及び生成物分布を表1、Run#3、4及び5に示す。
【0055】
実施例2:
West Texas Blend粗製油沸騰留分(370~415℃)の熱分解-比較例。
【0056】
実施例2は、流動化ストリームが100%N2である以外、すなわち、流動化ストリーム中にH2が無い以外、実施例1と同様の条件で実施した。条件及び生成物分布を表1(Run#1及び2)に示す。
【0057】
実施例1(表1、run#3、4及び5)並びに実施例2(表1、run#1及び2)からの結果は、反応環境における水素の存在が、生成物分布及びコークス形成に対して重大な影響を及ぼすことを示す。軽質ガスオレフィンは、少なくとも3重量%増加し、コークスは少なくとも1重量%減少した。これにより、単位コークスあたりの軽質ガスオレフィンは9から10から14から17wt/wtまで増加したが、平均カップ混合温度は、三例のうちの二例において、実施例2よりも実施例1の方が低い。さらに、重質物質の形成が減少する。結果は、実施例1のように、反応環境における水素の存在により、前記触媒の表面上に堆積するコークスが少なくなるので、前記触媒が比較的高活性に保たれることを示す。その結果、軽質ガスオレフィンが多くなり、重質物質形成が少なくなる。
【0058】
【0059】
実施例3
様々な量のメタノールと混合したWest Texas Blend粗製油沸騰留分(370℃~415℃)の水素化熱分解
【0060】
実施例3は、フィードが、West Texas Blend粗製油沸騰留分(370~415℃)(WTB留分、370~415℃)及びメタノールの、それぞれ、重量%比95/5(表2、run6)、90/10(表2、run7)及び85/15(表2、run8)の混合物であったことを除いて、実施例1と同様の条件で実施した。条件及び生成物分布をrun6~8として表2に記載する。これらの場合の炉設定温度は表1のrun1~5と同じであったが、run6~8の表2の平均カップ混合温度は、メタノールを主フィードと共に使用した場合は高かった。これは、メタノールの分解が発熱であり、局所的な熱を発生させ、その結果、温度が上昇することを示す証拠である。この局所的発熱性は、所望のより高い局所温度を維持するため、又は前記リアクターの長さに沿ったメタノール添加速度を制御することによって温度プロファイルを課すために、商業的リアクターにおいて有利に使用できる。表2のrun9は、純粋なメタノール分解に対応し、同じ炉設定温度では、より高いカップ混合温度が得られることが明らかにわかる。カップ混合温度は、実験室用リアクター中にフィードを導入した後の最初の1分の平均温度である。商業的リアクターでは、対応するフィード導入位置のすぐ近く(1m以内)の平均温度である。メタノールをブレンドすると、軽質ガスオレフィンは減少した。これは、フィード中にメタノールを同時供給する希釈効果による。メタノールも分解するので、ガソリン収率が増加した。また、メタノールの同時供給により、コークスと重質物質の両方の形成が減少する。これは、より軽い含酸素添加剤によるフィードのより良好な霧化と、その結果、フィードと触媒とのより良好な接触がもたらされることに起因する可能性がある。この相乗効果によって前記触媒上のコークスが減少する結果として、前記水素化熱分解における前記触媒は、前記流動化ガス中の水素によって活性に保たれることに加えて、この効果によっても活性に保つことができる。
【0061】
【0062】
実施例4
プラスチックフィードの水素化熱分解及び高過酷度熱分解(比較)
【0063】
プラスチックフィードの水素化熱分解及び高過酷度熱分解を実施した。5重量%の一定コークス収率の場合、これは、以下の表3の利点の比較となる。前記予想に基づき、また実験室データから、水素化熱分解の結果、軽質オレフィン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼンの収率が最大5重量%増加し得ると推測できる。
図8は、プラスチックフィードの高過酷度熱分解に対する水素化熱分解の利点を示す。
【0064】
【国際調査報告】