(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】液晶アセンブリの製造
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20231108BHJP
G02F 1/1339 20060101ALN20231108BHJP
【FI】
G02F1/13 101
G02F1/1339 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527398
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2021080406
(87)【国際公開番号】W WO2022090574
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523163255
【氏名又は名称】フレックスエネーブル テクノロジー リミティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100162765
【氏名又は名称】宇佐美 綾
(72)【発明者】
【氏名】メイ ウィーラー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム リーヴス
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
【Fターム(参考)】
2H088FA19
2H088FA20
2H088FA29
2H088FA30
2H189DA43
2H189DA45
(57)【要約】
アセンブリの1つ以上の部分を恒久的に延伸させる後プロセスの準備として前記アセンブリを製造することを含み、前記アセンブリは、横方向バリアによって横方向に境界付けられた領域内に、ある量の液晶材料を含み、前記アセンブリを製造することは、前記後延伸プロセスの1つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記LC材料の量を決定することを含む、技術。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセンブリの1つ以上の部分を恒久的に延伸させる後プロセスの準備として前記アセンブリを製造することを含み、前記アセンブリは、横方向バリアによって横方向に境界付けられた領域内に、ある量の液晶材料を含み、前記アセンブリを製造することは、前記後延伸プロセスの1つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記LC材料の量を決定することを含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上のパラメータは、前記延伸プロセスによって引き起こされる前記領域の面積の変化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記延伸プロセスは、前記アセンブリの1つ以上の支持フィルムのガラス転移温度より高い成形温度まで前記アセンブリを加熱することと、前記成形温度で前記アセンブリを成形して、前記アセンブリの1つ以上の部分を延伸させることと、次いで、前記成形されたアセンブリを冷却することとを含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アセンブリを成形することは、前記アセンブリに湾曲プロファイルを作成することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記アセンブリは、前記アセンブリの2つの構成要素の間に前記液晶材料のための1つ以上の空間を画定するスペーサを備え、前記延伸プロセスの前記1つ以上のパラメータは、前記延伸プロセスによって引き起こされる前記スペーサの1つ以上の寸法の変化を含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記スペーサの前記1つ以上の寸法は、前記スペーサの総断面積及び前記スペーサの高さを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記スペーサは、前記アセンブリの前記2つの構成要素の一方又は両方と一体化した部分を形成するスペーサのアレイを備える、請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記延伸プロセスの前記1つ以上のパラメータは、前記延伸プロセスによって引き起こされる前記アセンブリの1つ以上の局所圧縮から生じる体積減少を含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
アセンブリの第1の領域に曲率の変化を含む湾曲プロファイルを前記アセンブリ内に作成する準備として前記アセンブリを製造することを含み、前記アセンブリは、バリアによって境界付けられた領域内に、前記アセンブリの2つの半体の間に収容された液晶材料を含み、前記アセンブリを製造することは、前記バリアを前記アセンブリの前記第1の領域に配置することを伴う、方法。
【請求項10】
前記曲率の変化は曲率反転を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記曲率の変化は、前記第1の領域の内側のより低い曲率から前記第1の領域の外側のより高い曲率への変化を含む、請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アセンブリ内に前記湾曲プロファイルを作成することは、前記アセンブリの二軸歪みを含み、前記第1の領域は前記アセンブリの内側領域を境界付ける、請求項9から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記バリアは、前記アセンブリの前記2つの半体を互いに接合する接着剤を含む、請求項9から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記バリアは、前記アセンブリの前記半体の一方の一部を形成するスペーサ層によって画定され、前記スペーサ層はまた、スペーサカラムのアレイを画定する、請求項9から12のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記アセンブリの前記半体は、前記バリアの外側に配置された接着剤によって互いに接合される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
アセンブリの第1の領域に曲率の変化を含む湾曲プロファイルを前記アセンブリ内に作成する準備として前記アセンブリを製造することを含み、前記アセンブリは、前記アセンブリの2つの半体の間に収容された液晶材料を含み、前記アセンブリの前記半体の少なくとも一方は、前記アセンブリの少なくとも活性領域にスペーサカラムを画定し、前記アセンブリを製造することは、前記湾曲プロファイルを作成するときに前記活性領域にわたって前記アセンブリに加えられる圧力の変動に従って、前記活性領域にわたって前記スペーサカラムの構成を変動させることを伴う、方法。
【請求項17】
前記活性領域にわたって前記スペーサカラムの構成を変動させることは、前記活性領域にわたって前記スペーサカラムの開始高さを変動させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記活性領域にわたって前記スペーサカラムの構成を変動させることは、前記活性領域にわたって前記スペーサカラムの面積密度を変動させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記活性領域にわたってスペーサカラムの前記面積密度を変動させることは、単位面積当たりのスペーサカラムの数を変動させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記活性領域にわたってスペーサカラムの前記面積密度を変動させることは、個々のスペーサカラムの断面積を変動させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
曲率の変化を含む湾曲プロファイルをアセンブリ内に作成する準備として前記アセンブリを製造することを含み、前記アセンブリは、バリアによって境界付けられた領域内に、前記アセンブリの2つの半体の間に収容された液晶材料を含み、前記アセンブリを製造することは、前記アセンブリ内に前記湾曲プロファイルを作成するときに前記バリアによって境界付けられた領域にわたる前記アセンブリの圧縮度の変動を少なくとも考慮に入れて、前記バリア内の前記アセンブリの前記2つの半体の間に収容された前記LC材料の量を決定することを伴う、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、アセンブリの1つ以上の部分を恒久的に延伸して、例えばアセンブリに湾曲プロファイルを作成する準備として液晶(LC)アセンブリを製造することに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本出願の発明者らは、後にLCアセンブリを、LCアセンブリの1つ以上の部分を恒久的に延伸して、例えばLCアセンブリに湾曲プロファイルを作成することを伴うプロセスに供する準備として、LCアセンブリの製造に取り組んでいる。
図14及び
図15を参照すると、本発明者らは、後にLCアセンブリの1つ以上の部分を恒久的に延伸して、例えばLCアセンブリに湾曲プロファイルを作成するときに、活性領域における光学的欠陥の発生に対してより良好に耐性があるLCアセンブリを製造するという問題を特定した。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明によって、アセンブリの1つ以上の部分を恒久的に延伸させる後プロセスの準備として前記アセンブリを製造することを含み、前記アセンブリは、横方向バリアによって横方向に境界付けられた領域内に、ある量の液晶材料を含み、前記アセンブリを製造することは、前記後延伸プロセスの1つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記LC材料の量を決定することを含む、方法が提供される。
【0004】
前記1つ以上のパラメータは、前記延伸プロセスによって引き起こされる前記領域の面積の変化を含むことができる。
【0005】
前記延伸プロセスは、前記アセンブリの1つ以上の支持フィルムのガラス転移温度より高い成形温度まで前記アセンブリを加熱することと、前記成形温度で前記アセンブリを成形して、前記アセンブリの1つ以上の部分を延伸させることと、次いで、前記成形されたアセンブリを冷却することとを含むことができる。
【0006】
前記アセンブリを成形することは、前記アセンブリに湾曲プロファイルを作成することを含むことができる。
【0007】
前記アセンブリは、前記アセンブリの2つの構成要素の間に前記液晶材料のための1つ以上の空間を画定するスペーサを備え、前記延伸プロセスの前記1つ以上のパラメータは、前記延伸プロセスによって引き起こされる前記スペーサの1つ以上の寸法の変化を含むことができる。
【0008】
前記スペーサの前記1つ以上の寸法は、前記スペーサの総断面積及び前記スペーサの高さを含むことができる。
【0009】
前記スペーサは、前記アセンブリの前記2つの構成要素の一方又は両方と一体化した部分を形成するスペーサのアレイを備えることができる。
【0010】
前記延伸プロセスの前記1つ以上のパラメータは、前記延伸プロセスによって引き起こされる前記アセンブリの1つ以上の局所圧縮から生じる体積減少を含むことができる。
【0011】
本明細書によってさらに、アセンブリの第1の領域に曲率の変化を含む湾曲プロファイルを前記アセンブリ内に作成する準備として前記アセンブリを製造することを含み、前記アセンブリは、バリアによって境界付けられた領域内に、前記アセンブリの2つの半体の間に収容された液晶材料を含み、前記アセンブリを製造することは、前記バリアを前記アセンブリの前記第1の領域に配置することを伴う、方法が提供される。
【0012】
前記曲率の変化は曲率反転を含むことができる。
【0013】
前記曲率の変化は、前記第1の領域の内側のより低い曲率から前記第1の領域の外側のより高い曲率への変化を含むことができる。
【0014】
前記アセンブリ内に前記湾曲プロファイルを作成することは、前記アセンブリの二軸歪みを含み、前記第1の領域は前記アセンブリの内側領域を境界付けることができる。
【0015】
前記バリアは、前記アセンブリの前記2つの半体を互いに接合する接着剤を含むことができる。
【0016】
前記バリアは、前記アセンブリの前記半体の一方の一部を形成するスペーサ層によって画定され、前記スペーサ層はまた、スペーサカラムのアレイを画定することができる。
【0017】
前記アセンブリの前記半体は、前記バリアの外側に配置された接着剤によって互いに接合されることができる。
【0018】
本明細書によってさらに、アセンブリの第1の領域に曲率の変化を含む湾曲プロファイルを前記アセンブリ内に作成する準備として前記アセンブリを製造することを含み、前記アセンブリは、前記アセンブリの2つの半体の間に収容された液晶材料を含み、前記アセンブリの前記半体の少なくとも一方は、前記アセンブリの少なくとも活性領域にスペーサカラムを画定し、前記アセンブリを製造することは、前記湾曲プロファイルを作成するときに前記活性領域にわたって前記アセンブリに加えられる圧力の変動に従って、前記活性領域にわたって前記スペーサカラムの構成を変動させることを伴う、方法が提供される。
【0019】
前記活性領域にわたって前記スペーサカラムの構成を変動させることは、前記活性領域にわたって前記スペーサカラムの開始高さを変動させることを含むことができる。
【0020】
前記活性領域にわたって前記スペーサカラムの構成を変動させることは、前記活性領域にわたって前記スペーサカラムの面積密度を変動させることを含むことができる。
【0021】
前記活性領域にわたってスペーサカラムの前記面積密度を変動させることは、単位面積当たりのスペーサカラムの数を変動させることを含むことができる。
【0022】
前記活性領域にわたってスペーサカラムの前記面積密度を変動させることは、個々のスペーサカラムの断面積を変動させることを含むことができる。
【0023】
本明細書によってさらに、曲率の変化を含む湾曲プロファイルをアセンブリ内に作成する準備として前記アセンブリを製造することを含み、前記アセンブリは、バリアによって境界付けられた領域内に、前記アセンブリの2つの半体の間に収容された液晶材料を含み、前記アセンブリを製造することは、前記アセンブリ内に前記湾曲プロファイルを作成するときに前記バリアによって境界付けられた領域にわたる前記アセンブリの圧縮度の変動を少なくとも考慮に入れて、前記バリア内の前記アセンブリの前記2つの半体の間に収容された前記LC材料の量を決定することを伴う、方法が提供される。
【0024】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して、単なる例として以下で詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図4】
図4は、別の実施形態に従って製造されたLCアセンブリにおいて湾曲プロファイルを形成する例を示す。
【
図5】
図5は、
図4で使用されるモールドの湾曲部の断面図である。
【
図7】
図7は、LC材料を横方向に収容するためのバリアとしてスペーサリングを使用する、
図4に示す技術の変形を示す。
【
図8】
図8は、別の実施形態に従って製造されたLCアセンブリにおいて湾曲プロファイルを形成する例を示す。
【
図9】
図9は、
図8の技術における様々なスペーサ構成の異なる例を示す。
【
図14】
図14は、LC中間アセンブリに湾曲プロファイルを作成するための形成技術を示す。
【
図15】
図15は、本出願の発明者らによって考案された変更を一切伴わない、
図14の形成技術に従って形成された湾曲プロファイルLCアセンブリの交差偏光子を通る画像である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
最初に、第1の発明の実施形態によるLC中間体アセンブリの製造プロセスを説明するために使用される熱成形プロセスの例を記載する。しかしながら、LC中間アセンブリの製造プロセスは、LCアセンブリの1つ以上の部分を延伸して、例えば、LC中間アセンブリに恒久湾曲プロファイルを作成する他の方法にも適用可能である。
【0027】
図14を参照すると、LC中間アセンブリにおいて恒久湾曲プロファイルを作成するための延伸プロセスの一例は、熱成形装置/治具を使用する。この例では、LC中間アセンブリは、下側プラスチックフィルム構成要素30及び上側プラスチックフィルム構成要素20と、2つのプラスチックフィルム構成要素20、30の間に収容されたLC材料50とを備える。2つのプラスチックフィルム構成要素20、30は、LC中間アセンブリの周囲で接着フレーム40によって互いに接合される。接着フレーム40は、LC材料50の横方向の広がりを制限するシーラントバリア(sealant barrier)としても機能する。各プラスチックフィルム構成要素20、30は、熱成形可能なプラスチック支持フィルムを含む。この例では、プラスチックフィルム構成要素はまた、それぞれ、プラスチック支持フィルム上にin situで形成された導体層(例えば、無機金属層)、及びプラスチック支持フィルム上で導体層にわたってin situで形成されたLC配向層も含む。導体層は、2つの導体層の間の電圧の印加を容易にするためにLC中間アセンブリの縁部で露出している。LC配向層は、LC材料50の両側の2つの導体層の間の電圧の印加によってLC材料内に生成されるオーバーライド(over-riding)電界の不在下で、LC材料の分子配向(LCダイレクタ)を決定する。したがって、2つの導体層の間の電圧を変化させることを使用して、LC材料の分子配向を制御し、それによってLC材料の1つ以上の光学特性を制御することができる。この例では、LC中間アセンブリは、それに沿って両方のプラスチックフィルム構成要素の導体層が活性領域全体にわたって延在する比較的単純な構造のものであり、活性領域全体の1つ以上の光学特性は、1つの電気入力によって制御可能である。しかしながら、この技術は、より複雑なLC中間アセンブリにも等しく適用可能である。プラスチックフィルム構成要素20、30の一方又は両方はまた、活性領域にスペーサカラム(spacer column)のアレイを画定してもよい。
【0028】
プラスチックフィルム構成要素の一方又は両方は、例えば、ポラライザ/波長板フィルム、反射防止フィルム、ハードコーティング、機械的裏打ちのうちの1つ以上を含む追加の要素を備えることができる。
【0029】
LC中間アセンブリは、ベースプレート4上に支持された形成プレート/モールド12の上に設置される。次いで、熱成形装置のトップカバーがベースプレート4に取り付けられ、クランプ締めされる。トップカバーは、形成プレート/モールド12を完全に囲み、シリコーンシール8を介してベースプレート4とインターフェースで接続する、下方に延在する壁6を支持するトッププレート2を備える。トッププレート2はまた、トッププレート2の底面において、シリコーンダイヤフラム(silicone diaphragm)10を支持する。熱成形装置全体(内部にLC中間アセンブリを有する)をオーブンに入れる。オーブンは、オーブン内で測定/監視される温度が設定点温度(LC中間アセンブリのプラスチック支持フィルムのガラス転移温度より高い)に維持されるように制御される。オーブンがこの温度にあるとき、加圧ガス(例えば、空気又は窒素)が、入口14を介してトッププレート2の底面と膨張可能なシリコーンダイヤフラム10との間に制御可能に導入され、シリコーンダイヤフラムが(シリコーンダイヤフラム10の膨張下で)LC中間アセンブリに加える圧力を上昇させる。シリコーンダイヤフラム10によって加えられる圧力下で、LC中間アセンブリ(LC中間アセンブリのプラスチック支持フィルムのガラス転移温度より高い温度にある)は、モールド12のプロファイルの形を取る。所定のプロセス時間の後、オーブンは、オーブン内の温度をより低い温度(LC中間アセンブリのプラスチック支持フィルムのガラス転移温度未満)に下げるように制御される。次いで、トッププレート2とシリコーンダイヤフラム10との間の加圧ガスを制御可能に放出して、シリコーンダイヤフラム10の両側の圧力を徐々に等しくし、したがって、シリコーンダイヤフラム10がLC中間アセンブリに加える圧力を下げる。LC中間アセンブリは、しわなしでモールド12のプロファイルを保持する。
【0030】
図5及び
図6を参照すると、この例で使用されるモールド12は、均一な曲率を有する二軸湾曲中央領域Bと、外側平坦領域Cと、領域Bと領域Cとを連結する二軸湾曲遷移領域Aとを含むプロファイルを有する。領域Bのプロファイルは、球体シェルの一部のプロファイルである。遷移領域Aは、領域Bと平坦領域Cとの間の遷移を管理し、鋭い曲率半径を回避するように設計されている。
【0031】
遷移領域Aは、(i)領域Bの曲率とは反対の方向にあり、(ii)領域Bの曲率よりも高い曲率を有する均一な曲率を有する。ここでの曲率は、曲率半径の逆数を指す。この例では、領域Bの曲率半径は、領域Aの曲率半径の約3倍である。領域Aと領域Bとの間の結合部で曲率反転100が生じる。
【0032】
図15の画像を参照すると、本出願の発明者らは、活性領域に光学的欠陥を生じさせることなく、単一の曲げ軸の周りに強制的に曲げることができる可撓性プラスチックLCデバイスの製造に使用された方法に従ってLC中間アセンブリが製造される場合、熱成形プロセスが光学的欠陥をもたらし得ることを見出した。
図15の画像は、交差偏光子間の熱成形LC中間体アセンブリの画像である。黄色着色200はLC材料の厚さが過剰であることを示し、青色着色300はLC材料の厚さが不十分であることを示す。
【0033】
【0034】
この第1の例示的実施形態によれば、上述のLC中間アセンブリを製造するプロセスは、熱成形プロセスの1つ以上のパラメータに少なくとも部分的に基づいてLC中間アセンブリのためのLC材料50の量を決定することによって変更される。
【0035】
この第1の例示的実施形態では、熱成形プロセスの1つ以上のパラメータは、熱成形プロセスによって引き起こされる、LC材料の横方向の広がりを防止する接着剤/シーラントフレームバリア(sealant frame barrier)40によって境界付けられた領域の面積の変化を含む。以下の記載では、この領域の面積をセル面積と称する。LC材料の体積は、以下の式に従って決定される。
式(1):使用されるLC材料の体積=(中間セル面積)×(熱成形プロセスによって引き起こされるセル面積の変化%)-(セル面積内のスペーサの総体積)
【0036】
中間セル面積は、熱成形プロセス前のセル面積のサイズである。
【0037】
アセンブリを構成する2つのプラスチックフィルム構成要素20、30の間でセル面積の変化が異なる熱成形プロセスの場合、上記の式(1)におけるセル面積の変化は、2つのプラスチックフィルム構成要素20、30のセル面積の変化の平均である。
【0038】
熱成形プロセスによって引き起こされるセル面積の変化は、例えば、コンピュータ支援設計(CAD)シミュレーションから、及び/又は製造プロセスのセットアップ段階中の実験試験によって計算することができる。
【0039】
スペーサが、2つのプラスチックフィルム構成要素20、30のうちの1つ以上と一体化した部分を形成するスペーサカラムを含む例については、セル領域内の総スペーサ体積は、(平均スペーサカラム高さ)×(単一スペーサカラムの平均断面積)×(セル領域内のスペーサカラムの数)である。
【0040】
共通の大面積プラスチックシート(マザーパネル(mother panels))から一連の中間LCアセンブリ又は中間LCアセンブリのアレイを一緒に大量生産するいくつかの技術は、マザーパネルの比較的大きな面積にわたってスペーサカラム寸法(スペーサカラム高さ及び/又はスペーサカラム断面積)にいくらかの変動をもたらす可能性があり、大面積マザーパネルから製造されたセットのうちの1つのLC中間アセンブリの平均スペーサカラム寸法は、同じ大面積マザーパネルから製造された同じセットの別のLC中間アセンブリの平均スペーサカラム寸法と異なっていてもよい。これらの差は、同じ大面積マザーパネルから製造されたアセンブリのセット中のそれぞれのLC中間アセンブリが占める位置に従って、セル面積内のスペーサの総体積に対するそれぞれの値を使用することによって、上記の式(1)において考慮することができる。
【0041】
上述の例では、熱成形プロセスによって引き起こされる延伸は、セル領域内の総スペーサ体積を変化させないか、又は熱成形プロセスによって引き起こされる総スペーサ体積の任意の変化は無視することができると仮定する。
【0042】
図2に示す技術の一変形例によれば、式(1)は、熱成形プロセスによって引き起こされる延伸から生じる(平均スペーサカラム高さの変化及び/又は平均スペーサカラム断面積の変化に起因する)総スペーサ体積のパーセンテージ変化をさらに考慮するように変形される。
式(1A):使用されるLC材料の体積=(中間セル面積)×(熱成形プロセスによって引き起こされるセル面積の変化%)-[(セル面積内のスペーサの総体積)×(熱成形プロセスによって引き起こされる延伸から生じるスペーサ体積の変化%)]
【0043】
いくつかの熱成形プロセスは、1つ以上の領域におけるスペーサカラムの局所圧縮を伴うことができる。
図3に示すように、LC材料50の量を決定する際に、熱成形プロセスによって引き起こされる局所圧縮から生じる体積減少を考慮に入れることができる。
【0044】
式(1)は、以下のように変形することができる。
式(1B):使用されるLC材料の体積=(中間セル面積)×(熱成形プロセスによって引き起こされるセル面積の変化%)-(セル面積内のスペーサの総体積)-(熱成形プロセスによって引き起こされる局所セル圧縮から生じる体積減少の合計)
【0045】
局所セル圧縮は、例えば、熱成形プロセスによって作成されたプロファイルの遷移領域で起こる可能性がある。遷移領域は、プロファイルの曲率半径の変化を特徴とすることができる。遷移領域における体積減少のサイズは、例えば、スペーサカラムの圧縮性、熱成形プロセス中にアセンブリが受ける圧力の大きさ、及び遷移領域における曲率半径の変化の鋭さに依存する可能性がある。
【0046】
熱成形プロセスによって引き起こされる局所セル圧縮から生じる体積減少の合計は、例えば、製造プロセスのセットアップ段階中の実験的試験によって決定することができる。
図4は、LC中間体アセンブリに湾曲プロファイルを作成する準備として、本発明の別の実施形態によるLC中間体アセンブリを製造するための技術を示す。
図4を参照すると、(後の熱成形の準備としての)LC中間アセンブリの製造は、領域Aと領域Bとの間の曲率反転領域100に接着フレーム40の横方向内縁(LC材料の横方向の広がりを制限するように機能する)を配置することを伴う。LC中間体アセンブリのこの製造方法は、熱成形後のLC中間体アセンブリの活性領域における光学的欠陥の発生を回避するのに有効であることが見出された。
【0047】
図7に示される一変形例によれば、スペーサ材料の閉リング70が、LC材料の横方向の広がりを制限するためのバリアとして代わりに使用され、スペーサ材料の閉リング70は、領域Aと領域Bとの間の曲率反転領域100内に配置される。閉リング70は、プラスチック支持フィルムの一方の上にin situで形成されたスペーサ材料のパターン化層によって画定される。スペーサ材料のパターン化層はまた、LC中間アセンブリの活性領域内にスペーサカラム60(これは、例えば、正方形、長方形、又は円形の断面を有し得る)のアレイを画定する。スペーサカラム60のこのアレイは、LC中間アセンブリの活性領域にわたってLC材料の均一な厚さを確保するのに役立つ。2つのプラスチックフィルム構成要素20、30を互いに接合するために使用されるセル接着剤40は、スペーサリング(spacer ring)70のすぐ横方向外側に配置されてもよい。
【0048】
図8~
図13は、第2の実施形態によるLC中間体アセンブリを製造する技術を示す。この第2の実施形態では、LC材料の横方向の広がりを制限するバリア(例えば、セル接着剤40)は、高曲率領域Aの外側に配置され、領域B及び領域Aにわたって延在するスペーサカラム60のアレイは、熱成形中にLC中間アセンブリに加えられる圧力の活性領域にわたる変動を補償するように構成されている。
図9~
図13は、スペーサカラム60のアレイを構成するための異なる例を示す。
図9~
図13の各々は、2つのプラスチックフィルム構成要素20、30を互いに接合するプロセスの結果、又は後の熱成形プロセスの結果のいずれかとして、スペーサ材料層をパターン化してスペーサカラム60を画定した直後のスペーサカラム60の構成、及びスペーサカラム60を圧縮する前のスペーサカラム60の構成を示す。
【0049】
図9の例では、スペーサカラム60の開始高さは、熱成形プロセス中に加えられる局所圧力の予測量に比例して曲率反転領域100にわたって徐々に変動する。
【0050】
図10の例では、低曲率領域Bのスペーサカラム60はすべて、実質的に同じ開始高さを有し、高曲率領域Aのすべてのスペーサカラム60は、実質的に同じ開始高さを有するが、高曲率領域Aのスペーサの開始高さは、熱成形プロセス中に高曲率領域Aに加えられるより高い圧力を補償するために(スペーサカラム60の圧縮性を考慮して)計算される量だけ、低曲率領域Bのスペーサカラム60の開始高さよりも大きい。
【0051】
図11の例は、スペーサカラム60が両方のプラスチックフィルム構成要素20、30によって画定される
図10の例の変形である。より高いスペーサカラム60はすべて、2つのプラスチックフィルム構成要素20、30の一方によって画定され、より短いスペーサカラム60はすべて、2つのプラスチックフィルム構成要素20、30の他方によって画定される。
【0052】
図12の例では、スペーサカラム60のすべてが同じ開始高さ及び断面サイズ(直径)を有するが、スペーサカラム密度は、熱成形プロセス中に領域A及び領域Bに加えられる圧力の変動に従って、単位面積当たりのスペーサカラム60の数を変動させることによって(すなわち、スペーサカラムピッチを変動させることによって)、曲率反転領域100にわたって領域Bと領域Aとの間で変動する。単位面積当たりのスペーサカラム60の数は、高曲率領域Aの方が低曲率領域Bよりも多い。単位面積当たりのスペーサカラムの変化は、曲率反転領域100にわたって徐々に行われてもよい。
【0053】
図13の例では、スペーサカラム60のすべてが同じ開始高さを有し、スペーサカラムピッチは領域A及び領域Bの両方で同じであるが、代わりに、熱成形プロセス中に領域A及び領域Bに加えられる圧力の変動に従って、曲率反転領域100にわたる領域Aと領域Bとの間の個々のスペーサカラムの断面サイズ(直径)を変動させることによって、曲率反転領域100にわたる領域Bと領域Aとの間でスペーサカラム密度が変動する。個々のスペーサカラムの断面サイズは、高曲率領域Aの方が低曲率領域Bよりも大きい。個々のカラムスペーサ断面積の変化は、曲率反転領域100にわたって徐々に行われてもよい。
【0054】
LC中間アセンブリに湾曲プロファイルを作成する準備としてLC中間アセンブリを作成するための別の技術によれば、LC材料の横方向の広がりを制限するバリア内の2つのプラスチックフィルム構成要素100の間に収容されたLC材料の総量は、LC中間アセンブリに湾曲プロファイルを作成する後プロセス中にLC中間アセンブリに加えられる圧力の(LC中間アセンブリの活性領域にわたる)変動を少なくとも考慮に入れるように調整される。LC材料の総量を減少させることにより、LC中間体アセンブリの活性領域の一部にLC材料の過剰なプールを引き起こすLC中間体アセンブリに加えられる圧力の変動をより良好に防止することができる。LC材料の量の決定はまた、例えば湾曲プロファイルを作成するときのアセンブリの延伸などの追加の要因を考慮に入れることができる。
【0055】
上記で明示的に言及された任意の変更に加えて、記載された実施形態の様々な他の変更が本発明の範囲内で行われ得ることは当業者には明らかであろう。
【0056】
本出願人は、本明細書に記載された個々の特徴を単独で、及び2つ以上のそのような特徴の任意の組み合わせを、当業者の共通の一般知識に照らしてそのような特徴又は組み合わせが全体として本明細書に基づいて実行することができる範囲で、そのような特徴又は特徴の組み合わせが本明細書に開示された問題を解決するかどうかにかかわらず、かつ特許請求の範囲に限定せずに開示する。本出願人は、本発明の態様が、任意のそのような個々の特徴又は特徴の組み合わせからなり得ることを示す。
【国際調査報告】