(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】長距離幹線輸送用の車両クイック電池交換システム及び電池交換運用方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20231108BHJP
B60L 53/80 20190101ALI20231108BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20231108BHJP
【FI】
G06Q50/10
B60L53/80
B60L3/00 S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550341
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(85)【翻訳文提出日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 CN2020139409
(87)【国際公開番号】W WO2022105013
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】202011312545.8
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507362513
【氏名又は名称】浙江吉利控股集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GEELY HOLDING GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】1760 Jiangling Road, Binjiang District, Hangzhou Zhejiang (CN)
(71)【出願人】
【識別番号】523172590
【氏名又は名称】浙江吉利遠程新能源商用車集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GEELY FARIZON NEW ENERGYCOMMERCIAL VEHICLE GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 612, Building 1, 1760 Jiangling Road, Binjiang District, Hangzhou, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】李 書福
【テーマコード(参考)】
5H125
5L049
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC13
5H125AC22
5H125BC26
5H125CA08
5H125CA18
5H125CC04
5H125FF06
5L049CC11
(57)【要約】
本願は長距離幹線輸送用の車両クイック電池交換システム及び電池交換運用方法を開示し、このシステムは、複数の電池交換ステーション(1)と、ネットワークを介して電池交換ステーション(1)と車両(3)とにそれぞれ接続されたクラウド側電池交換サービスプラットフォーム(2)と、クラウド側電池交換サービスプラットフォーム(2)を介して、電池交換ステーションの分布情報、電池状態情報及びサービス情報を取得できるクイック電池交換が可能な車両(3)とを含む。クラウド側電池交換サービスプラットフォームを通じて、これまで互いに独立していた電池交換ステーション、車両、及び電池交換ステーション運用サービスモジュールを繋げて、車両の積載量や目的地までの距離、沿線の道路の状況に応じて、顧客に総合電池交換ステーションの分布、電気エネルギー計画、電池交換プラン及び電池交換ステーションの付属サービス情報を提供し、長距離輸送車、ステーション、及び電池の相互接続通信を実現し、長距離輸送シーンにおける車両の航続距離へのユーザの不安を緩和するとともに、電池交換ステーションの運用効率を高め、輸送コストを削減し、長距離輸送でのピュア電動駆動距離が350KMを超えるという革新的な目標を実現することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長距離幹線輸送用のクイック電池交換システムであって、
長距離幹線に沿って間隔を開けて設置され、車両(3)のクイック電池交換及び電池の充電を行うように構成された複数の電池交換ステーション(1)と、
ネットワークを介して電池交換ステーション(1)と車両(3)とにそれぞれ接続され、電池交換ステーションを管理し、車両(3)にサービスを提供するように構成されたクラウド側電池交換サービスプラットフォーム(2)と、
クラウド側電池交換サービスプラットフォーム(2)を介して、電池交換ステーション(1)の分布情報、電池状態情報及びサービス情報を取得できるクイック電池交換が可能な車両(3)と
を含むことを特徴とする長距離幹線輸送用のクイック電池交換システム。
【請求項2】
前記クラウド側電池交換サービスプラットフォーム(2)は、
前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記車両(3)の電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定して、前記電池交換プランを前記車両(3)に無料又は有料でプッシュするように構成された電池交換プラン処理モジュールと、
電池交換ステーション(1)とインタラクションし、且つ電池交換ステーション(1)を管理するように構成された電池交換ステーション管理モジュールと、
車両(3)とインタラクションし、車両(3)にリマインダを発行し、車両(3)にリアルタイムのサービスを提供するように構成された車両リアルタイムインタラクションモジュールと
を含むことを特徴とする請求項1に記載のクイック電池交換システム。
【請求項3】
前記クラウド側電池交換サービスプラットフォーム(2)はプロモーションモジュールをさらに含み、前記プロモーションモジュールは電池交換を行う車両を識別し、前記車両が前記クラウド側電池交換サービスプラットフォーム(2)上の電池交換プランプッシュサービスに登録せず、利用していない場合、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォーム(2)をプロモーションする第1プロモーションメッセージを生成し、前記第1プロモーションメッセージを前記車両にプッシュし、前記車両が既に前記クラウド側電池交換サービスプラットフォーム(2)に登録して使用している場合、前記車両に、電池交換ステーションに依存して経営されている飲食、娯楽、修理、ショッピングなどの経営体のリアルタイムメッセージを含む第3プロモーションメッセージをプッシュするように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のクイック電池交換システム。
【請求項4】
前記プロモーションモジュールは第2プロモーションメッセージをさらに生成し、前記第2プロモーションメッセージを前記クラウド側電池交換サービスプラットフォーム(2)の運用保守者が所持する端末にプッシュすることで、人工サービスをトリガする
ことを特徴とする請求項2に記載のクイック電池交換システム。
【請求項5】
前記車両リアルタイムインタラクションモジュールはさらに車両運転モードを取得するように構成されており、前記車両運転モードはスマートモードと運転者引継モードとを含み、前記スマートモードにおいて、積載量に応じてモータ駆動ポリシーを自主的に選択し、運転者引継モードにおいて、運転者によりモータ駆動ポリシーを自主的に選択し、前記モータ駆動ポリシーはシングルモータモード及び/又はマルチモータモードをサポートする
ことを特徴とする請求項2に記載のクイック電池交換システム。
【請求項6】
前記電池交換ステーション(1)内には、電池交換ステーション制御ユニット、電池保存装置、電池充電装置、クイック電池交換装置、及び電池保守装置が設けられ、
前記電池保存装置は、電池委託保管サービスを提供し、前記交換ステーション内の電池を保存するように構成され、
前記電池充電装置は電池充電サービスを提供するように構成され、
前記クイック電池交換装置は電池交換サービスを提供するように構成され、
前記電池保守装置は電池に対して点検及び保守を行うように構成され、
前記電池交換ステーション制御ユニットは、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォーム(2)と通信し、且つ前記電池保存装置、電池充電装置、クイック電池交換装置、及び電池保守装置を制御するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のクイック電池交換システム。
【請求項7】
隣接する2つの前記電池交換ステーション(1)は、長距離幹線において30キロメートルから600キロメートル離れて配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のクイック電池交換システム。
【請求項8】
前記車両(3)はピュアEV電気自動車、レンジエクステンダー電気自動車、プラグインハイブリッド自動車を含み、前記自動車は、貨物自動車、ダンプカー、牽引車及び/又はセミトレーラを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のクイック電池交換システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか一項に記載の長距離幹線輸送用のクイック電池交換システムに基づいて実施される電池交換運用方法であって、
クイック電池交換が可能な車両が、長距離輸送の始点、終点、及び電池情報をクラウド側電池交換サービスプラットフォームに送信するステップと、
クラウド側電池交換サービスプラットフォームが、前記長距離輸送の始点及び終点に基づいて、長距離輸送ルートと、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報とを決定するステップと、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定して、前記電池交換プランを前記車両にプッシュするステップと、
前記車両が、前記電池交換プランに従って、前記電池交換プラン内の電池交換ステーションに行って電池交換を行うステップと
を含む電池交換運用方法。
【請求項10】
車両登録ステップをさらに含み、前記車両登録ステップは、
前記車両が前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームにアクセスし、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームに対して登録操作を行うステップと、
前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームが前記登録操作の情報に基づいて前記車両を認証するステップと、
認証が成功した場合、前記車両の登録が成功するステップと
を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記登録は有料登録又は無料登録である
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から請求項8の何れか一項に記載の長距離幹線輸送用のクイック電池交換システム内のクラウド側電池交換サービスプラットフォームに基づいて実施される電池交換運用方法であって、
クイック電池交換が可能な車両の長距離輸送の始点、終点、及び電池情報を取得するステップと、
前記長距離輸送の始点と終点とに基づいて、長距離輸送ルートを決定するステップと、
前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報を取得するステップと、
前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定するステップと、
前記電池交換プランを前記車両にプッシュするステップと
を含む電池交換運用方法。
【請求項13】
前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定するステップは、
前記長距離輸送ルートに基づいて、長距離輸送道路状況を確定するステップと、
前記車両の車種情報を取得し、前記車種情報に基づいて、対応するモータ駆動ポリシーを決定するステップと、
前記モータ駆動ポリシー、前記長距離輸送ルート、及び前記長距離輸送道路状況に基づいて、前記車両の長距離走行予測値を確定するステップと、
前記電池情報に基づいて、前記車両の現在の残存走行値を確定するステップと、
前記現在の残存走行値と前記長距離走行予測値とに基づいて、電池交換プラン計画条件に合致するか否かを判定するステップと、
合致する場合、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、少なくとも一つの電池交換プランを生成して、前記少なくとも一つの電池交換プランを前記車両にプッシュするステップと
を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記モータ駆動ポリシーは、各道路状況における駆動モータの動作状態を表現する第1駆動ポリシーと、各シフトポジションにおける駆動モータの動作状態を表現する第2駆動ポリシーとを含み、前記駆動モータの動作状態は、動作状態にある駆動モータの数と、動作状態にある各駆動モータの電力消費量とにより特徴付けられる
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電池交換ステーションの分布情報は、電池交換ステーションの識別情報及び電池交換ステーションの位置を含み、前記サービス情報は、前記電池交換ステーションの識別情報に対応する電池交換ステーションにより現在サポートされているサービスを含み、前記サービスは、電池保守サービス、電池委託保管サービス、電池充電サービス、及び/又は電池レンタルサービスを含み、
前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、少なくとも一つの電池交換プランを生成するステップは、
前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、少なくとも一つのターゲット電池交換ステーション及び前記少なくとも一つのターゲット電池交換ステーションにより提供するターゲットサービスを決定するステップと、
前記少なくとも一つのターゲット電池交換ステーションの識別情報、位置、及びターゲットサービスに基づいて、少なくとも一つの候補電池交換プランを生成するステップと、
既定のプラン選択条件に従って、前記少なくとも一つの候補電池交換プランの中から少なくとも一つの電池交換プランを決定するステップと
を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記電池情報は電池識別情報と電池残量とを含み、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、少なくとも一つのターゲット電池交換ステーションを決定するステップは、
各電池識別情報に基づいて、前記各電池識別情報に対応する電池の直近一回の点検状態を確定するステップと、
前記直近一回の点検状態と車両の運転パラメータとに基づいて第1判定を行って、前記各電池識別情報に対応する電池の保守が必要であるか否かを判定するステップと、
前記各電池識別情報に対応する電池残量に基づいて第2判定を行い、前記各電池識別情報に対応する電池の電池交換が必要であるか否かを判定するステップと、
前記第1判定の結果と、前記第2判定の結果と、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報とに基づいて、ターゲット電池交換ステーションを決定するステップと
を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームが第1インタラクション命令に応じて、前記長距離輸送ルート、前記長距離輸送道路状況、前記電池情報、及び前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報を更新するステップと、
前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定するステップを繰り返して実行するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
電池交換運用装置であって、
前記電池交換運用装置は請求項1から請求項8の何れか一項に記載の長距離幹線輸送用のクイック電池交換システム内のクラウド側電池交換サービスプラットフォームにおいて動作し、前記装置は、
クイック電池交換が可能な車両の長距離輸送の始点、終点、及び電池情報を取得するように構成された輸送ルートパラメータ取得モジュールと、
前記長距離輸送の始点と終点とに基づいて、長距離輸送ルートを決定するように構成された輸送ルート決定モジュールと、
前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報を取得するように構成された電池交換ステーション情報取得モジュールと、
前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定するように構成された電池交換計画モジュールと、
前記電池交換プランを前記車両にプッシュするように構成された電池交換プランプッシュモジュールと
を含むことを特徴とする電池交換運用装置。
【請求項19】
前記電池交換計画モジュールは、
前記長距離輸送ルートに基づいて、長距離輸送道路状況を確定するように構成された道路状況確定ユニットと、
前記車両の車種情報を取得し、前記車種情報に基づいて、対応するモータ駆動ポリシーを決定するように構成されたモータ駆動ポリシー取得ユニットと、
前記モータ駆動ポリシー、前記長距離輸送ルート、及び前記長距離輸送道路状況に基づいて、前記車両の長距離走行予測値を確定するように構成された長距離走行予測値計算ユニットと、
前記電池情報に基づいて、前記車両の現在の残存走行値を確定するように構成された現在残存走行値取得ユニットと、
前記現在の残存走行値と前記長距離走行予測値とに基づいて、電池交換プラン計画条件に合致するか否かを判定するように構成された計画判定ユニットと、
前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、少なくとも一つの電池交換プランを生成して、前記少なくとも一つの電池交換プランを前記車両にプッシュするように構成された計画ユニットと
を含むことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
記憶媒体であって、
前記記憶媒体内の命令が電子機器のプロセッサにより実行された場合、電子機器が請求項9から請求項11の何れか一項に記載の電池交換運用方法、又は請求項12から請求項17の何れか一項に記載の電池交換運用方法を実行できる
記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の技術分野に関し、特に長距離幹線輸送用の車両クイック電池交換システム及び電池交換運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー自動車はその省エネ、環境に優しい特性により、長足の発展を得たが、新エネルギー自動車にも航続距離が短いという問題が存在するため、消費者が航続距離への不安を抱え、新エネルギー自動車の利用の普及に影響してしまう。航続距離への不安を解消するため、関連技術では充電スタンドを設置する方法により新エネルギー自動車に充電サービスを提供できる。しかしながら、充電スタンドでは、駆動用電池容量の大きい車両の電力を迅速に取得したい需要を満足することが困難であるため、このような自動車の航続距離への不安を解消することができない。特に長距離輸送シーンでは、新エネルギー自動車の航続距離が短い問題がさらに浮き彫りになった。
【0003】
業界の発展とともに、関連技術では、電池交換技術に基づいて新エネルギー自動車の航続距離が短い問題を解決できることが提案されている。電池交換技術は航続距離への不安を解消するために新しい構想を提供したが、関連技術には、電池交換技術に基づいて新エネルギー自動車の使用者にスピーディな電力取得サービスを提供する技術案がまだなく、電池交換技術の実用化と普及が妨げられている。
【0004】
また、長距離輸送用の電池は大きくて重いので、車両の自重や電力の消費の損失を大幅に増加させる。従来技術の電池交換ステーション、車両、電池交換ステーション運用サービス管理の三者が互い独立しており、如何にして電池交換ステーションの分布、走行距離、車両がモータを利用するパワーと効率、及び電池交換ステーションの付属サービス情報を、インターネットのクラウド側での管理を通じてリアルタイムに結合させ、三者を繋げて、長距離輸送でのあらゆるものの相互接続を実現し、運転者の使用と電池交換ステーションのマーケティングプロモーションを容易にできるかが、従来技術に存在する難点の一つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記課題に鑑みて、上記課題を克服する、又は少なくとも部分的に解決するために、長距離幹線輸送用の車両クイック電池交換システム及び電池交換運用方法を提供するために、本発明が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施例の第1態様によれば、長距離幹線輸送用のクイック電池交換システムが提供される。長距離幹線に沿って間隔を開けて設置され、車両のクイック電池交換及び電池の充電を行うように構成された複数の電池交換ステーションと、ネットワークを介して電池交換ステーションと車両とにそれぞれ接続され、電池交換ステーションを管理し、車両にサービスを提供するように構成されたクラウド側電池交換サービスプラットフォームと、クラウド側電池交換サービスプラットフォームを介して、電池交換ステーションの分布情報、電池状態情報及びサービス情報を取得できるクイック電池交換が可能な車両とを含む。
【0007】
一つの例示的な実施形態において、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームは、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記車両の電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定して、前記電池交換プランを前記車両に無料又は有料でプッシュするように構成された電池交換プラン処理モジュールと、電池交換ステーションとインタラクションし、且つ電池交換ステーションを管理するように構成された電池交換ステーション管理モジュールと、車両とインタラクションし、車両にリマインダを発行し、車両にリアルタイムのサービスを提供するように構成された車両リアルタイムインタラクションモジュールとを含む。
【0008】
一つの例示的な実施形態において、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームはプロモーションモジュールをさらに含み、前記プロモーションモジュールは、電池交換を行う車両を識別し、前記車両が前記クラウド側電池交換サービスプラットフォーム上の電池交換プランプッシュサービスに登録せず、利用していない場合、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームをプロモーションする第1プロモーションメッセージを生成し、前記第1プロモーションメッセージを前記車両にプッシュし、前記車両が既に前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームに登録して使用している場合、前記車両に、電池交換ステーションに依存して経営されている飲食、娯楽、修理、ショッピングなどの経営体のリアルタイムメッセージを含む第3プロモーションメッセージをプッシュするように構成されている。
【0009】
一つの例示的な実施形態において、前記プロモーションモジュールは第2プロモーションメッセージをさらに生成し、前記第2プロモーションメッセージを前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームの運用保守者が所持する端末にプッシュすることで、人工サービスをトリガする。
【0010】
一つの例示的な実施形態において、前記車両リアルタイムインタラクションモジュールはさらに車両運転モードを取得するように構成されており、前記車両運転モードはスマートモードと運転者引継モードとを含み、前記スマートモードにおいて、積載量に応じてモータ駆動ポリシーを自主的に選択し、運転者引継モードにおいて、運転者によりモータ駆動ポリシーを自主的に選択し、前記モータ駆動ポリシーはシングルモータモード及び/又はマルチモータモードをサポートする。
【0011】
一つの例示的な実施形態において、隣接する2つの前記電池交換ステーションは、長距離幹線において30キロメートルから600キロメートル離れて配置されている。
【0012】
一例示的な実施形態において、前記車両はピュアEV電気自動車、レンジエクステンダー電気自動車、プラグインハイブリッド自動車を含み、前記自動車は、貨物自動車、ダンプカー、牽引車及び/又はセミトレーラを含む。
【0013】
一つの例示的な実施形態において、前記電池交換ステーション内には、電池交換ステーション制御ユニット、電池保存装置、電池充電装置、クイック電池交換装置、及び電池保守装置が設けられ、前記電池保存装置は、電池委託保管サービスを提供し、前記交換ステーション内の電池を保存するように構成され、前記電池充電装置は電池充電サービスを提供するように構成され、前記クイック電池交換装置は電池交換サービスを提供するように構成され、前記電池保守装置は電池に対して点検及び保守を行うように構成され、前記電池交換ステーション制御ユニットは、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームと通信し、且つ前記電池保存装置、電池充電装置、クイック電池交換装置、及び電池保守装置を制御するように構成されている。
【0014】
本開示の実施例の第2態様によれば、第1態様の何れか一項に記載の長距離幹線輸送用のクイック電池交換システムに基づいて実施される電池交換運用方法が提供される。前記方法は、クイック電池交換が可能な車両が、長距離輸送の始点、終点、及び電池情報をクラウド側電池交換サービスプラットフォームに送信するステップと、クラウド側電池交換サービスプラットフォームが、前記長距離輸送の始点及び終点に基づいて、長距離輸送ルートと、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報とを決定するステップと、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定して、前記電池交換プランを前記車両にプッシュするステップと、前記車両が、前記電池交換プランに従って、前記電池交換プラン内の電池交換ステーションに行って電池交換を行うステップとを含む。
【0015】
一つの例示的な実施形態において、車両登録ステップをさらに含み、前記車両登録ステップは、前記車両が前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームにアクセスし、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームに対して登録操作を行うステップと、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームが前記登録操作の情報に基づいて前記車両を認証するステップと、認証が成功した場合、前記車両の登録が成功するステップとを含む。
【0016】
一つの例示的な実施形態において、前記登録は有料登録又は無料登録である。
【0017】
本開示の実施例の第3態様によれば、第1態様の何れか一項に記載の長距離幹線輸送用のクイック電池交換システム内のクラウド側電池交換サービスプラットフォームに基づいて実施される電池交換運用方法が提供される。前記方法は、クイック電池交換が可能な車両の長距離輸送の始点、終点、及び電池情報を取得するステップと、前記長距離輸送の始点と終点とに基づいて、長距離輸送ルートを決定するステップと、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報を取得するステップと、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定するステップと、前記電池交換プランを前記車両にプッシュするステップとを含む。
【0018】
一つの例示的な実施形態において、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定するステップは、前記長距離輸送ルートに基づいて、長距離輸送道路状況を確定するステップと、前記車両の車種情報を取得し、前記車種情報に基づいて、対応するモータ駆動ポリシーを決定するステップと、前記モータ駆動ポリシー、前記長距離輸送ルート、及び前記長距離輸送道路状況に基づいて、前記車両の長距離走行予測値を確定するステップと、前記電池情報に基づいて、前記車両の現在の残存走行値を確定するステップと、前記現在の残存走行値と前記長距離走行予測値とに基づいて、電池交換プラン計画条件に合致するか否かを判定するステップと、合致する場合、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、少なくとも一つの電池交換プランを生成して、前記少なくとも一つの電池交換プランを前記車両にプッシュするステップとを含む。
【0019】
一つの例示的な実施形態において、前記モータ駆動ポリシーは、各道路状況における駆動モータの動作状態を表現する第1駆動ポリシーと、各シフトポジションにおける駆動モータの動作状態を表現する第2駆動ポリシーとを含み、前記駆動モータの動作状態は、動作状態にある駆動モータの数と、動作状態にある各駆動モータの電力消費量とにより特徴付けられる。
【0020】
一つの例示的な実施形態において、前記電池交換ステーションの分布情報は、電池交換ステーションの識別情報及び電池交換ステーションの位置を含み、前記サービス情報は、前記電池交換ステーションの識別情報に対応する電池交換ステーションにより現在サポートされているサービスを含み、前記サービスは、電池保守サービス、電池委託保管サービス、電池充電サービス、及び/又は電池レンタルサービスを含み、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、少なくとも一つの電池交換プランを生成するステップは、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、少なくとも一つのターゲット電池交換ステーション及び前記少なくとも一つのターゲット電池交換ステーションにより提供するターゲットサービスを決定するステップと、前記少なくとも一つのターゲット電池交換ステーションの識別情報、位置、及びターゲットサービスに基づいて、少なくとも一つの候補電池交換プランを生成するステップと、既定のプラン選択条件に従って、前記少なくとも一つの候補電池交換プランの中から少なくとも一つの電池交換プランを決定するステップとを含む。
【0021】
一つの例示的な実施形態において、前記電池情報は電池識別情報と電池残量とを含み、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、少なくとも一つのターゲット電池交換ステーションを決定するステップは、各電池識別情報に基づいて、前記各電池識別情報に対応する電池の直近一回の点検状態を確定するステップと、前記直近一回の点検状態と車両の運転パラメータとに基づいて第1判定を行って、前記各電池識別情報に対応する電池の保守が必要であるか否かを判定するステップと、前記各電池識別情報に対応する電池残量に基づいて第2判定を行い、前記各電池識別情報に対応する電池の電池交換が必要であるか否かを判定するステップと、前記第1判定の結果と、前記第2判定の結果と、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報とに基づいて、ターゲット電池交換ステーションを決定するステップとを含む。
【0022】
一つの例示的な実施形態において、さらに、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームが第1インタラクション命令に応じて、前記長距離輸送ルート、前記長距離輸送道路状況、前記電池情報、及び前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報を更新するステップと、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定するステップを繰り返して実行するステップとをさらに含む。
【0023】
本開示の実施例の第4態様によれば、第1態様に記載の長距離幹線輸送用のクイック電池交換システム内のクラウド側電池交換サービスプラットフォームにおいて動作する電池交換運用装置が提供される。前記装置は、クイック電池交換が可能な車両の長距離輸送の始点、終点、及び電池情報を取得するように構成された輸送ルートパラメータ取得モジュールと、前記長距離輸送の始点と終点とに基づいて、長距離輸送ルートを決定するように構成された輸送ルート決定モジュールと、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報を取得するように構成された電池交換ステーション情報取得モジュールと、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定するように構成された電池交換計画モジュールと、前記電池交換プランを前記車両にプッシュするように構成された電池交換プランプッシュモジュールとを含む。
【0024】
一つの例示的な実施形態において、前記電池交換計画モジュールは、前記長距離輸送ルートに基づいて、長距離輸送道路状況を確定するように構成された道路状況確定ユニットと、前記車両の車種情報を取得し、前記車種情報に基づいて、対応するモータ駆動ポリシーを決定するように構成されたモータ駆動ポリシー取得ユニットと、前記モータ駆動ポリシー、前記長距離輸送ルート、及び前記長距離輸送道路状況に基づいて、前記車両の長距離走行予測値を確定するように構成された長距離走行予測値計算ユニットと、前記電池情報に基づいて、前記車両の現在の残存走行値を確定するように構成された現在残存走行値取得ユニットと、前記現在の残存走行値と前記長距離走行予測値とに基づいて、電池交換プラン計画条件に合致するか否かを判定するように構成された計画判定ユニットと、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、少なくとも一つの電池交換プランを生成して、前記少なくとも一つの電池交換プランを前記車両にプッシュするように構成された計画ユニットとを含む。
【0025】
本開示の実施例の第5態様によれば、記憶媒体が提供される。前記記憶媒体内の命令が電子機器のプロセッサにより実行された場合、電子機器が第2態様に記載の電池交換運用方法、又は第3態様の何れか一項に記載の電池交換運用方法を実行できる。
【0026】
本開示により提供される長距離幹線輸送用の車両クイック電池交換システム及び電池交換運用方法によれば、長距離幹線に沿って間隔を開けて電池交換ステーションを設置することにより、長距離輸送シーンで運行するクイック電池交換が可能な車両に電池交換サービスを提供することができる。また、電池をレンタルする方法で、車両にクイック電池交換をサポートするサービスを提供することにより、長距離輸送シーンにおける車両の航続距離へのユーザの不安を軽減することができる。さらに、長距離輸送の実際の状况及び車両の電池情報に基づいて、車両のために自動的に電池交換プランを計画することで、電池交換プランを経済的且つ合理的なものとすることができる。ユーザは電池交換プランに従って途中の電池交換ステーションに行って電池交換を行えばよく、車両の電池残量が十分か否かを心配する必要がなくなるため、さらに航続距離への不安の問題が解決される。
【0027】
本発明によれば、クラウド側電池交換サービスプラットフォームを通じて、これまで互いに独立していた電池交換ステーション、車両、及び電池交換ステーション運用サービスモジュールを繋げて、車両の積載量や目的地までの距離、沿線の道路の状況に応じて、顧客に総合電池交換ステーションの分布、電気エネルギー計画、電池交換プラン及び電池交換ステーションの付属サービス情報を提供し、長距離輸送車、ステーション、及び電池の相互接続通信を実現し、長距離輸送シーンにおける車両の航続距離へのユーザの不安を緩和するとともに、電池交換ステーションの運用効率を高め、輸送コストを削減し、長距離輸送でのピュア電動駆動距離が350KMを超えるという革新的な目標を実現することができる。
【0028】
以上の説明は本発明の技術案の概要に過ぎず、本発明の技術的手段をより明確に把握して、明細書の内容に則って実施できるように、かつ本発明の上記とその他の目的、特徴及び利点をより分かりやすくするために、以下では、特にここに本発明の具体的な実施形態を列挙する。
【0029】
添付の図面に関連した本発明の具体的な実施例の以下の詳細な説明から、当業者は、本発明の上記及び他の目的、利点、及び特徴をより明確に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
以下のこのましい実施例の詳細な説明を読むことによって、当業者にとって、各種の他の長所と利点は明らかになる。図面は好ましい実施例を示すためであり、本発明に対する制限とはみなさない。なお、全ての図面において、同じ符号で同じ部品を示す。図面において、
【
図1】本発明の一実施例にかかる、長距離幹線輸送用のクイック電池交換システムの模式図。
【
図2】本発明の一実施例にかかる、電池交換ステーションの論理ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施例にかかる、クラウド側電池交換サービスの論理ブロック図である。
【
図4】本発明の一実施例にかかる、電池交換運用方法のフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施例にかかる、車両がクラウド側サービスプラットフォームに登録するフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施例にかかる、電池交換運用方法のフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施例にかかる、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定するフローチャートある。
【
図8】本発明の一実施例にかかる、駆動モータの動作状態模式図である。
【
図9】本発明の一実施例にかかる、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて少なくとも一つの電池交換プランを生成する模式フローチャートある。
【
図10】本発明の一実施例にかかる、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて少なくとも一つの電池交換プランを生成する模式フローチャートある。
【
図11】本発明の一実施例にかかる、電池交換運用のブロック図である。
【
図12】本発明の一実施例にかかる、電池交換計画モジュールのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、添付図面を参照して本開示の例示的な実施例についてより詳細に説明する。図面では本開示の例示的実施例を示しているが、ここで述べた実施例に限定されることなく、各種の形式により本開示を実現できることは、理解しておく必要がある。逆に、これらの実施例を提案するのは、本開示をよりはっきり理解できるようにするためで、かつ本開示の範囲を完全に当業者に伝えられるようにするためである。
【0032】
本開示はまず、長距離幹線輸送用のクイック電池交換システムを提供する。
図1に示すように、前記システムは、
長距離幹線に沿って間隔を開けて設置され、車両3のクイック電池交換及び電池の充電を行うように構成された複数の電池交換ステーション1と、
ネットワークを介して電池交換ステーション1と車両3とにそれぞれ接続され、電池交換ステーションを管理し、車両3にサービスを提供するように構成されたクラウド側電池交換サービスプラットフォーム2と、
クラウド側電池交換サービスプラットフォーム2を介して、電池交換ステーション1の分布情報、電池状態情報及びサービス情報を取得できるクイック電池交換が可能な車両3とを含む。本開示の実施例におけるクイック電池交換が可能な車両3は、ピュアEV電気自動車、レンジエクステンダー電気自動車、プラグインハイブリッド自動車とすることができ、前記自動車は、貨物自動車、ダンプカー、牽引車及び/又はセミトレーラを含み、本開示の実施例は、クイック電池交換が可能車両の種類及び型式を限定しない。
【0033】
一例として、前記電池交換ステーション1は、長距離幹線に沿って設置することができる。例えば、隣接する2つの前記電池交換ステーション1は、長距離幹線において30キロメートルから600キロメートル離れて配置されてもよい。電池交換ステーションの設置密度を確保することで、長距離走行中に十分な電力補充ができる条件が整うのを確保する。
【0034】
一実施例において、
図2に示すように、各電池交換ステーション1は、電池レンタルサービスを提供でき、車両に電池レンタルサービスを提供することにより、車両から電池残量の少ない電池を取り外してレンタルされた満充電電池に交換することが可能になる。前記電池交換ステーション1のクイック電池交換装置11は、ユーザのために電池交換を自動的に行うことができるため、電池交換の難易度が低くなる。
【0035】
前記電池交換ステーション1には、電池保存装置12と、電池充電装置13と、電池保守装置14とがさらに設置されてもよい。ここで、
前記電池保存装置12は、電池委託保管サービスを提供し、前記電池交換ステーション内の電池を保存するように構成されることができる。長距離輸送のシーンにおいて、ユーザは電池を抜き取ることにより車両の重量を減して、より長い航続距離を得ることができ、電池保存装置12は、抜き取られた電池の委託保管サービス及び保存サービスを提供することができる。
【0036】
前記電池充電装置13は、充電サービスを提供し、車両内の電池を迅速に充電することにより車両の航続距離を延長するように構成されることができる。一実施例において、前記電池充電装置13と前記クイック電池交換装置11とは、同一の車両に並列に機能し、車両が電池交換している間に、電池交換に関わっていない他の電池を充電できるため、車両が電池交換ステーションに滞留する時間が短縮され、車両の電力取得効率が大幅に向上する。一実施例において、前記電池充電装置13は、さらにユーザに分離式の充電を提供することもできる。すなわち、クイック電池交換装置11により交換されて取り外された電池残量の少ない電池を充電することができ、充電終了後に、前記電池を前記電池保存装置12に保存することができる。
【0037】
前記電池保守装置14は、電池に対して点検及び保守を行うように構成されることができる。
【0038】
一実施例において、前記電池交換ステーション1は電池交換ステーション制御ユニット15をさらに含んでもよく、前記電池交換ステーション制御ユニット15は、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォーム2と通信し、且つ前記電池保存装置12、電池充電装置13、クイック電池交換装置11、及び電池保守装置14を制御するように構成されている。
【0039】
本開示において、電池交換ステーション1が長距離輸送車両に電池交換サービスを提供することを容易にするために、クラウド側電池交換サービスプラットフォーム2が設置され、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームは、
図3に示すように、
前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記車両3の電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定して、前記電池交換プランを前記車両3に無料又は有料でプッシュするように構成された電池交換プラン処理モジュール21と、
電池交換ステーション1とインタラクションし、且つ電池交換ステーション1を管理するように構成された電池交換ステーション管理モジュール22と、
車両3とインタラクションし、車両3にリマインダを発行し、車両3にリアルタイムのサービスを提供するように構成された車両リアルタイムインタラクションモジュール23とを含む。
【0040】
一実施例において、クラウド側電池交換サービスプラットフォーム2は、車両リアルタイムインタラクションモジュール23を用いて車両3とインタラクションすることにより、車両3に電池交換プランを計画しやすいように、車両3の走行情報及び電池情報を得ることができ、また、車両3の状態を適時に監視し、車両3に対して電池交換をリマインドし、且つ電池交換プランを更新することができる。
【0041】
一実施例において、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォーム2は、電池交換ステーション管理モジュール22を用いて電池交換ステーション1とインタラクションすることで、各電池交換ステーション1のサービス情報を得ることができる。一例として、電池交換ステーション1が現在車両に提供できるサービスを得ることができる。該現在車両に提供できるサービスは、電池交換サービス、電池充電サービス、電池委託保管サービス、及び電池修理サービスのうちの少なくとも一つとすることができる。前記クラウド側電池交換サービスプラットフォーム2は、このサービス情報と、車両3の走行情報及び電池情報とに基づいて、車両3に対して電池交換を計画することができる。車両3がある電池交換計画を使用すると確認すると、車両3により確認された電池交換計画を前記電池交換計画内の電池交換ステーションに送信して、該電池交換ステーションに対して予約することで、車両が該電池交換計画に従って前記電池交換ステーションに来たときに、前記電池交換ステーションにより前記電池交換計画内で予約されたサービスを前記車両に迅速に提供できるようにすることが可能である。
【0042】
一実施例において、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォーム2はプロモーションモジュール24をさらに含み、前記プロモーションモジュール24は電池交換を行う車両を識別し、前記車両が前記クラウド側電池交換サービスプラットフォーム2上の電池交換プランプッシュサービスに登録せず、利用していない場合、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォーム2をプロモーションする第1プロモーションメッセージを生成し、前記第1プロモーションメッセージを前記車両3にプッシュするように構成されている。第1プロモーションメッセージをプッシュすることで、車両の使用者に登録するように提示することや、無料もしくは有料で登録することで後続の電池交換プランプッシュサービスを受けられることを使用者に告知することで、ユーザ数を増やし、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームのサービスをプロモーションしやすくすることができる。前記車両が既に前記クラウド側電池交換サービスプラットフォーム2に登録して使用している場合、前記車両に第3プロモーションメッセージをプッシュし、前記第3プロモーションメッセージは、電池交換ステーションに依存して経営されている飲食、娯楽、修理、ショッピングなどの経営体のリアルタイムメッセージを含む。
【0043】
一実施例において、前記プロモーションモジュール24は第2プロモーションメッセージをさらに生成し、前記第2プロモーションメッセージを前記クラウド側電池交換サービスプラットフォーム2の運用保守者が所持する端末にプッシュすることで、人工サービスをトリガする。運用保守者は、前記第2プロモーションメッセージを知った後、人工サービスの形式で車両の使用者にクラウド側電池交換サービスプラットフォームの関連情報を普及させ、クラウド側電池交換サービスプラットフォームのユーザ数の増加と運用収入の増加を促進することができる。
【0044】
一実施例において、運転者が異なる運転モードで運転することを許可することができ、また、車両が複数のモータ駆動ポリシーで走行することを許可するもでき、異なる運転モードのモータ駆動ポリシーが異なるようにしてもよい。これにより、実際の運転中のモータ駆動ポリシーの多様性が向上し、適切なモータ駆動ポリシーを選択することにより、電力を節約し、航続距離を延長することができる。車両に使用されているモータ駆動ポリシーを適時に知り、電池持続時間の状態を合理的に予測し、ユーザのために電池交換プランを計画及びプッシュするために、前記車両リアルタイムインタラクションモジュール23はさらに、車両運転モードを取得するように構成されている。前記車両運転モードはスマートモードと運転者引継モードとを含み、前記スマートモードにおいて、積載量に応じてモータ駆動ポリシーを自主的に選択し、前記運転者引継モードにおいて、運転者によりモータ駆動ポリシーを自主的に選択し、前記モータ駆動ポリシーはシングルモータモード及び/又はマルチモータモードをサポートする。
【0045】
一実施例において、車両3は駆動用電池モジュールを含み、前記駆動用電池モジュールはロック装置により前記車両3の車両フレームのサイドメンバーに固定されている。前記駆動用電池モジュールは、電池と電池サポータとを含み、前記電池は電池サポータ内に取り付けられ、前記電池と電池サポータとは門型構造に設置されている。前記電池サポータは順に端部で接続された第1サポータと、第2サポータと、第3サポータとを含み、前記第1サポータと前記第3サポータとは、前記第2サポータの両端からそれぞれ懸垂して設けられ、前記第2サポータは横方向に前記車両フレームのサイドメンバーの頂部に水平に固定されており、前記第2サポータは上下方向に設置された前記ロック装置を介して前記車両フレームのサイドメンバーに接続されている。前記ロック装置は、前記駆動用電池モジュールに接続されたロックシリンダ組立体を含み、また、前記車両フレームのサイドメンバーに一体に接続されたロック本体組立体を含み、前記ロック本体組立体は前記ロックシリンダ組立体と一体として噛み合うことができる。車両3は、電池(特に駆動用電池)の安全構造を設計することにより、駆動用電池の構造が簡単で安全であり、駆動用電池モジュールがエネルギー供給装置として機能しながら様々な外力の作用に耐えることができる。効率的で信頼性の高い電池交換が可能となり、駆動用電池と重車両のロックや締結または分離を迅速に実行することができる。車両全体の構造を変更する必要がなく、適応性が高く、普及が容易である。この駆動用電池の機構設計によれば、駆動用電池とその骨組みとを一体化した一体構造とし、多点で駆動用電池の受ける力を分散させて支えることにより、駆動用電池が上下、左右及び前後などの方向に力を受けるとき、及び駆動用電池がピッチング、ローリング、及び回転などのトルクを受けたとき、損傷せずに正確な位置を維持できることを確保する。駆動用電池取付サポータを利用して駆動用電池と重車両との迅速な位置決めを実現し、クイックロック機構により駆動用電池と重車両との迅速なロック又は分離を実現する。
【0046】
本開示において、前記長距離幹線輸送用のクイック電池交換システムを提供することにより、長距離輸送ルートに沿って車両用の電池交換ステーションを設置する方法で、長距離輸送シーンにおいて、車両に電池交換サービスを提供し、航続距離への不安を緩和できる。クラウド側電池交換サービスプラットフォームに基づいて、車両に対して電池交換計画を適時に自動でカスタマイズして、長距離輸送中の車両が該電池交換計画に従って長距離路線沿線の電池交換ステーションに行くだけで車両の電池交換又は充電を行うことができるようになる。これにより、ドライバーの運転時の不安を心理面で緩和し、新エネルギー自動車の普及と使用を促進し、新エネルギー自動車が長距離輸送のシーンでも広く使用されるようになる。
【0047】
上記の提供された長距離幹線輸送用のクイック電池交換システムに基づいて、本開示は、電池交換運用方法を提供する。
図4に示すように、前記方法は、以下のステップを含む。
【0048】
ステップS101において、クイック電池交換が可能な車両は、長距離輸送の始点、終点、及び電池情報をクラウド側電池交換サービスプラットフォームに送信する。
【0049】
ステップS102において、クラウド側電池交換サービスプラットフォームは、前記長距離輸送の始点及び終点に基づいて、長距離輸送ルートと、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報とを決定し、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定して、前記電池交換プランを前記車両にプッシュする。
【0050】
ステップS103において、前記車両は、前記電池交換プランに従って、前記電池交換プラン内の電池交換ステーションに行って電池交換を行う。
【0051】
一実施例において、登録された車両のみがクラウド側電池交換サービスプラットフォームの様々なサービスを享受することができる。したがって、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームとの最初のインタラクション時に、まず、クラウド側電池交換サービスプラットフォームで車両の登録を行うべきである。
図5に示された車両の登録手順は以下のステップを含む。
【0052】
ステップS1001において、前記車両は前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームにアクセスし、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームに対して登録操作を行う。
【0053】
前記登録操作には、登録に必要な、所有者氏名、所有者の運転免許証番号、車両の識別情報、及び車両の型式を含まれるがこれらに限定されない情報を入力する必要がある。
【0054】
ステップS1002において、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームは前記登録操作の情報に基づいて前記車両を認証する。
【0055】
ステップS1003において、認証が成功した場合、前記車両の登録が成功する。
【0056】
認証ステップは、登録操作の情報が真正なもので有効であることを保証するためのステップである。本開示における登録は無料登録または有料登録とすることができ、有料登録の場合、認証成功後に課金して、課金に成功した場合にのみ登録が成立したと判定することができる。課金はWeChatまたはAlipayを利用して行うことができ、本開示において課金の具体的な経路を限定しない。
【0057】
一実施例において、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームはまた、前記電池交換プラン内のターゲット電池交換ステーションを抽出し、前記電池交換プランに従って各前記ターゲット電池交換ステーションに対して対応する予約情報を生成し、前記予約情報を前記ターゲット電池交換ステーションにプッシュすることで、前記ターゲット電池交換ステーションが前記予約情報に基づいて前記車両にサービスを提供することを容易にすることができる。
【0058】
一実施例において、前記予約情報は、電池交換ステーション識別情報、予約サービス、予約サービス時間、及びサービス電池識別情報を含むことができる。前記予約サービス時間は、長距離輸送ルート、長距離輸送道路状況、車両の現在位置、及び現在時刻に基づいて推定される。前記サービス電池識別情報は、前記車両内でサービスを受ける電池の識別情報である。一例として、前記電池交換プランは、
(1)電池交換ステーション識別情報が0001の電池交換ステーションで車両内の1番電池を交換するステップと、
(2)電池交換ステーション識別情報が0008の電池交換ステーションで車両内の3番電池を交換するとともに、4番電池を充電して、五番電池を抜き取るステップとを含む場合、
それに応じて、予約情報1と予約情報2との2つの予約情報を生成することができ、前記予約情報1は、電池交換ステーション識別情報が0001の電池交換ステーションに送信され、予約情報2は、電池交換ステーション識別情報が0008の電池交換ステーションに送信される。
【0059】
一例として、予約情報1は、以下の内容を含む。
予約サービス:電池交換サービス。サービス電池識別情報:一、予約サービス時間14:00~14:30。
予約サービス:充電サービス。サービス電池識別情報:二、予約サービス時間14:00~14:30。
【0060】
予約情報2は、以下の内容を含む。
予約サービス:電池交換サービス。サービス電池識別情報:三、予約サービス時間18:00~18:30。
予約サービス:充電サービス。サービス電池識別情報:四、予約サービス時間18:00~18:30。
予約サービス:抜き取りサービス、サービス電池識別情報:五、予約サービス時間18:00-18:30。
【0061】
本開示の実施例は、車両、クラウド側電池交換サービスプラットフォーム及び電池交換ステーションの三者のインタラクションにより、車両に対して電池交換プランを適時に生成するとともに、電池交換プランの円滑な実施を確保し、電池交換ステーションでの車両の待ち時間を短縮し、電力取得効率を向上させるために、電池交換ステーションと車両とを調整することができる。
【0062】
上記の提供された長距離幹線輸送用のクイック電池交換システムに基づいて、本開示は、電池交換運用方法をさらに提供する。
図6に示すように、前記方法は、以下のステップを含む。
【0063】
S201において、クイック電池交換が可能な車両の長距離輸送の始点、終点、及び電池情報を取得する。
【0064】
本ステップにおいて、長距離輸送の始点は、測位システム(例えばGPS測位システム、北斗衛星測位システムなど)により取得することができる。終点は、音声などの方法でインタラクションして取得してもよく、使用者により対応のボタンをトリガすることに基づいて使用者の選択や設定を取得してもよく、あるいは、車載インフォテインメントシステム(車載装置システムと略称する)を介してユーザとインタラクションして提示や取得をしてもよい。もちろん、車両の長距離輸送の始点、終点は他の方法で取得することも可能であり、本発明はこれについて限定しない。
【0065】
本開示における車両は、複数の電池を備えてもよく、各電池の仕様や型番も異なってもよく、本開示はこれについて限定しない。いくつかの実施例において、同じ車両内の電池は、様々な容量及び重量仕様を有するように設計することができる。このような設計により、異なる使用シーンにおいて、実際の使用ニーズに合わせて異なる容量と重量の電池を交換して使用して、エネルギー効率と経済性の最大化を達成することができる。
【0066】
ステップS202において、前記長距離輸送の始点と終点とに基づいて、長距離輸送ルートを決定する。
【0067】
ステップS203において、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報を取得する。
【0068】
本開示における電池交換ステーションの分布情報は、電池交換ステーションの識別情報及び電池交換ステーションの位置を含み、前記サービス情報は、各電池交換ステーションの識別情報に対応する電池交換ステーションにより車両に対して現在提供できるサービスを含み、前記サービスは、電池保守サービス、電池委託保管サービス、電池充電サービス、及び/又は電池レンタルサービスのうちの少なくとも一つとすることができる。前記電池保守サービスと電池委託保管サービスとの両方は、ユーザが電池を電池交換ステーションに残すことで、重量を減す方法で車両の航続距離を延長することができる。前記充電サービスは、車両を充電することができ、前記電池レンタルサービスは、ユーザが満充電の電池をレンタルして、電池残量の少ない電池を満充電の電池に交換することにより、ユーザに電池交換サービスを提供することができる。
【0069】
ステップS204において、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定する。
【0070】
ステップS205において、前記電池交換プランを前記車両にプッシュする。
【0071】
一実施例において、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定するステップは、
図7に示すように、以下のステップを含む。
【0072】
ステップS2041において、前記長距離輸送ルートに基づいて、長距離輸送道路状況を確定する。
【0073】
ステップS2042において、前記車両の車種情報を取得し、前記車種情報に基づいて、対応するモータ駆動ポリシーを決定する。
【0074】
ステップS2043において、前記モータ駆動ポリシー、前記長距離輸送ルート、及び前記長距離輸送道路状況に基づいて、前記車両の長距離走行予測値を確定する。
【0075】
車両の長距離輸送についての長距離走行予測値は、道路状況によって異なる。いくつかの実施例において、長距離輸送道路状況に応じて長距離輸送ルートをセグメント化し、セグメントごとにその対応する走行予測値を計算して、集計して前記長距離走行予測値を得ることができる。本開示において、長距離走行予測値は距離または時間で測ることができるが、具体的な測定方法を制限しない。
【0076】
長距離輸送道路状況には、渋滞状況と路面状況との2つの内容が含まれてもよく、道路状況マッピングテーブルを構築することにより道路状況をレベル分けし、レベル分けの結果に基づいて長距離輸送ルートをセグメント化し、各セグメントの走行予測値を算出することができるので、走行予測値を正確に定量化して、長距離走行予測値の算出精度を向上させることができる。
【0077】
関連技術において、多くの車両は、単一の大トルク、低回転の駆動モータを採用して、固定速度比の減速装置を合わせて使用する。これは電気駆動システムの大重量、高制造コスト、中高速時の動力性能不足などにつながる。したがって、本開示のいくつかの実施例において、モータ駆動ポリシーに合わせて車両内に複数のモータを配置して、モータ効率を向上させ、電気駆動システムコストを低減することにより、車両がより良い航続距離を達成し、電力消費量を低減し、各レベルの道路状況における走行予測値を向上させて、結果的に長距離走行予測値を向上させることができる。
【0078】
一実施例において、前記モータ駆動ポリシーは、各道路状況における駆動モータの動作状態を表現する第1駆動ポリシーと、各シフトポジションにおける駆動モータの動作状態を表現する第2駆動ポリシーとを含み、前記駆動モータの動作状態は、動作状態にある駆動モータの数と、動作状態にある各駆動モータの電力消費量とにより特徴付けられる。もちろん、第1駆動ポリシーと第2駆動ポリシーとを並行して使用して、異なる道路状況下の異なるシフトポジションでの駆動モータの動作状態を得ることもできる。各セグメントの走行予測値は、駆動モータの動作状態に基づいて算出される。
【0079】
一例として、駆動モータの一つの動作状態概略図が
図8に示されている。車両の実際の走行中に、各動力源を組み合わせて使用することにより、それぞれ一つの駆動モード(動作モード)に対応する八つの異なる駆動モータ動作状態を得ることができる。一つの駆動モータのみが動作しており、かつシフトチェンジ装置が第1シフトポジション状態にある場合、第1シフトポジションピュア電動駆動モードEV1として定義する。一つの駆動モータのみが動作しており、かつシフトチェンジ装置が第2シフトポジション状態にある場合、第2シフトポジションピュア電動駆動モードEV2として定義する。二つの駆動モータが動作しており、かつシフトチェンジ装置が第1シフトポジション状態にある場合、第3シフトポジションピュア電動駆動モードEV3として定義する。二つの駆動モータが動作しており、かつシフトチェンジ装置が第2シフトポジション状態にある場合、第4シフトポジションピュア電動駆動モードEV4として定義する。三つの駆動モータが動作しており、かつシフトチェンジ装置が第1シフトポジション状態にある場合、第5シフトポジションピュア電動駆動モードEV5として定義する。三つの駆動モータが動作しており、かつシフトチェンジ装置が第2シフトポジション状態にある場合、第6シフトポジションピュア電動駆動モードEV6として定義する。四つの駆動モータが同時に動作しており、かつシフトチェンジ装置が第1シフトポジション状態にある場合、第7シフトポジションピュア電動駆動モードEV7として定義する。四つの駆動モータが同時に動作しており、かつシフトチェンジ装置が第2シフトポジション状態にある場合、第8シフトポジションピュア電動駆動モードEV8として定義する。
【0080】
ステップS2044において、前記電池情報に基づいて、前記車両の現在の残存走行値を確定する。
【0081】
ステップS2045において、前記現在の残存走行値と前記長距離走行予測値とに基づいて、電池交換プラン計画条件に合致するか否かを判定する。
【0082】
一実施例において、前記現在の残存走行値と前記長距離走行予測値との差が第1既定閾値より小さい場合、電池交換プラン計画条件に合致すると判定する。前記第1既定閾値は、実際のニーズに応じて設定でき、本開示では、その具体的な設定方法及び設定する数値を限定しない。
【0083】
ステップS2046において、合致する場合、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、少なくとも一つの電池交換プランを生成して、前記少なくとも一つの電池交換プランを前記車両にプッシュする。
【0084】
一実施例において、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、少なくとも一つの電池交換プランを生成するステップは、
図9に示すように、以下のステップを含む。
【0085】
ステップS20461において、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、少なくとも一つのターゲット電池交換ステーション及び前記少なくとも一つのターゲット電池交換ステーションにより提供するターゲットサービスを決定する。
【0086】
ステップS20463において、前記少なくとも一つのターゲット電池交換ステーションの識別情報、位置、及びターゲットサービスに基づいて、少なくとも一つの候補電池交換プランを生成する。
【0087】
ステップS20465において、既定のプラン選択条件に従って、前記少なくとも一つの候補電池交換プランの中から少なくとも一つの電池交換プランを決定する。
【0088】
本開示において、既定のプラン選択条件を限定せず、一例として、各候補電池交換プランについて、料金の昇順でソートし、ソートされた上位N個の候補の電池交換プランを、前記電池交換プランとして決定することができる。
【0089】
一例として、ユーザの運転習慣に応じて、前記少なくとも一つの候補電池交換プランの中から少なくとも一つの電池交換プランを決定することができる。例えば、距離が最も近い、時間が最も短い、飲食などの付加的サービスを提供できるか否かが挙げられる。
【0090】
一実施例において、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、少なくとも一つの電池交換プランを生成するステップは、
図10に示すように、以下のステップを含む。
【0091】
ステップS20462において、各電池識別情報に基づいて、前記各電池識別情報に対応する電池の直近一回の点検状態を確定する。
【0092】
ステップS20464において、前記直近一回の点検状態と車両の運転パラメータとに基づいて第1判定を行って、前記各電池識別情報に対応する電池の保守が必要であるか否かを判定する。
【0093】
一例として、前記車両の運転パラメータは、前記直近一回の点検後の前記車両の運行時間または走行距離であってもよい。
【0094】
新エネルギー自動車の場合、使用者には航続距離への不安だけでなく性能低下への不安もある。すなわち、新エネルギー自動車の電池は使用に伴い、次第に性能が低下し、使用可能エネルギーが低下し、内部抵抗が増大し、一貫性が悪くなり、温度上昇が増大し、安全性が低下するなどの問題があるが、関連技術では通常、電池に安全問題が発生した後の救済措置しか提供できない。電池の状態を適時に評価することは不可能である。電池交換ステーションに基づいてより包括的な電力取得サービスをユーザに提供するために、クラウド側電池交換サービスプラットフォームにより車両の電池を適時に評価することができる。前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームは、車両内の電池の修理、保守、充電、評価などの行為を記録し、毎回の記録に前記電池の点検状態を更新することで、直近一回の点検状態を得て、且つ前記直近一回の点検状態と車両の運転パラメータとに基づいて第1判定を行い、前記各電池識別情報に対応する電池の保守が必要であるか否かを判定することができる。
【0095】
一実施例において、保守が必要な電池は、充電することはできないが、電池交換に利用することができる。電池交換ステーションにおいて前記保守が必要な電池が交換されれば、前記保守が必要な電池は、前記電池交換ステーションにおいて修理に利用できるため、電池修理と電池交換とを組み合わせて、さらにユーザに便宜を図ることができる。
【0096】
ステップS20466において、前記各電池識別情報に対応する電池残量に基づいて第2判定を行い、前記各電池識別情報に対応する電池の電池交換が必要であるか否かを判定する。
【0097】
ステップS20468において、前記第1判定の結果と、前記第2判定の結果と、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報とに基づいて、ターゲット電池交換ステーションを決定する。
【0098】
本開示において、車両内の電池は全て交換可能であるが、保守の必要がない電池のみが充電可能であり、前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報に合わせて、第1判定の結果と、第2判定の結果とに基づいて、ターゲット電池交換ステーションを決定することができる。具体的な決定方法は、既定の計画規則に従って決定することができ、本開示ではこれについて具体的に限定しない。一例として、前記計画規則は、電池交換が必要な電池に優先的に電池交換サービスを適用するように限定することができ、また、電池残量が最も低い電池に優先的に電池交換サービスを適用するように限定することができ、電池残量が既定の電池残量区間にあるとき、それに充電サービスを優先的に行うことができる。
【0099】
一実施例において、前記車両とのインタラクションに基づいて、ターゲット電池交換プランを取得することができる。前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームは、車両に少なくとも一つの電池交換プランをプッシュすることができ、ユーザの選択命令に応じて、前記少なくとも一つの電池交換プランのうちの一つをターゲット電池交換プランとして決定し、すなわち車両が前記ターゲット電池交換プランを実行することができる。前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームは、前記ターゲット電池交換プランを取得した後に、以下の動作を実行することができる。
【0100】
前記車両の現在位置をリアルタイムに取得する。
【0101】
前記現在位置とターゲット電池交換ステーションとの距離が既定の距離閾値より小さい場合、前記ターゲット電池交換ステーションで前記ターゲットエネルギー補充プランを実施するように前記ユーザに提示し、前記ターゲット電池交換ステーションは、前記ターゲット電池交換プラン内の、前記現在位置から最も距離が近い電池交換ステーションである。
【0102】
車両の位置をリアルタイムに監視し、ユーザに適時にリマインドすることで、ユーザがターゲット電池交換プラン内の電池交換ステーションに入り損ねることを防ぐことができる。
【0103】
一実施例において、車両が電池交換ステーションに到着してターゲット電池交換プランを実行してから、クラウド側電池交換サービスプラットフォームは、ターゲット電池交換プランの実行進捗を次第に更新することができる。
【0104】
一実施例において、ユーザが前記ターゲット電池交換プラン内の電池交換ステーションに入り損ねたり、前記ターゲット電池交換プラン内の電池交換ステーションにおいて前記ターゲット電池交換プラン内のサービスを実行しなかったり、ターゲット電池交換プラン内に無い他の電池交換ステーションにおいて電池交換や充電を行ったりした場合、第1インタラクション命令をすることができる。これにより、前記クラウド側電池交換サービスプラットフォームが第1インタラクション命令に応じて、前記長距離輸送ルート、前記長距離輸送道路状況、前記電池情報、及び前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報を更新して、前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定するステップを繰り返して実行することができる。
【0105】
例示的には、この第1インタラクション命令は、車両により発してもよく、電池交換ステーションにより発してもよい。第1インタラクション命令を発することにより、クラウド側電池交換サービスプラットフォームにより車両が残りの長距離輸送ルートにおいて電気交換する必要があるか否かを再評価し、且つそのために再計画するようにトリガすることができる。
【0106】
本開示に示された電池交換運用方法によれば、クラウド側電池交換サービスプラットフォームにより車両に電池交換プランの計画、電池交換プランの予約、及び電池交換のリマインダサービスを提供することができるため、ユーザの航続距離への不安を低減し、電池交換プランを合理的に計画することにより、ユーザが新エネルギー自動車を使用して長距離輸送を行うコストを低減させることができる。
【0107】
同じ発明構想に基づいて、本発明の実施例はさらに電池交換運用装置を提供し、前記電池交換運用装置は、長距離幹線輸送用のクイック電池交換システム内のクラウド側電池交換サービスプラットフォームにおいて動作する。
図11に示すように、前記装置は、
クイック電池交換が可能な車両の長距離輸送の始点、終点、及び電池情報を取得するように構成された輸送ルートパラメータ取得モジュール10と、
前記長距離輸送の始点と終点とに基づいて、長距離輸送ルートを決定するように構成された輸送ルート決定モジュール20と、
前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報を取得するように構成された電池交換ステーション情報取得モジュール30と、
前記長距離輸送ルートに沿って設置された電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、電池交換プランを決定するように構成された電池交換計画モジュール40と、
前記電池交換プランを前記車両にプッシュするように構成された電池交換プランプッシュモジュール50とを含む。
【0108】
一つの例示的な実施形態において、
図12にしめすように、前記電池交換計画モジュール40は、
前記長距離輸送ルートに基づいて、長距離輸送道路状況を確定するように構成された道路状況確定ユニット41と、
前記車両の車種情報を取得し、前記車種情報に基づいて、対応するモータ駆動ポリシーを決定するように構成されたモータ駆動ポリシー取得ユニット42と、
前記モータ駆動ポリシー、前記長距離輸送ルート、及び前記長距離輸送道路状況に基づいて、前記車両の長距離走行予測値を確定するように構成された長距離走行予測値計算ユニット43と、
前記電池情報に基づいて、前記車両の現在の残存走行値を確定するように構成された現在残存走行値取得ユニット44と、
前記現在の残存走行値と前記長距離走行予測値とに基づいて、電池交換プラン計画条件に合致するか否かを判定するように構成された計画判定ユニット45と、
前記電池交換ステーションの分布情報及びサービス情報と、前記電池情報とに基づいて、少なくとも一つの電池交換プランを生成して、前記少なくとも一つの電池交換プランを前記車両にプッシュするように構成された計画ユニット46とを含む。
【0109】
例示的な実施例において、記憶媒体がさらに提供される。記憶媒体内の命令が電子機器のプロセッサにより実行された場合、電子機器が上記実施例における電池交換運用方法のステップを実行できる。
【0110】
例示的な実施例においえ、コンピュータプログラム製品がさらに提供される。このコンピュータプログラム製品はコンピュータ可読記憶媒体に記憶されているコンピュータ命令を含む。電子機器のプロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体からこのコンピュータ命令を読み取り、プロセッサによりこのコンピュータ命令を実行することで、この電子機器に、上記の何れか一つの実施形態において提供される電池交換運用方法を実行させる。
【0111】
以上に記載したシステム、装置及びユニットの具体な動作プロセスは、前述の方法実施例における対応するプロセスを参照でき、簡潔にするために本明細書では説明を省くことは当業者であれば明確に理解できる。
【0112】
また、本発明の各実施例における各機能ユニットは、物理的に互いに独立していてもよく、2つ以上の機能ユニットが統合されていてもよく、全ての機能ユニットが一つの処理ユニット内に統合されていてもよい。上記統合された機能ユニットは、ハードウェアの形で実現されてもよいし、ソフトウェアまたはファームウェアの形で実現されてもよい。
【0113】
当業者であれば:前記統合された機能ユニットは、ソフトウェアの形で実現され且つ独立した製品として販売または使用される場合、一つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶することができる。このような理解に基づいて、本発明の技術案は、本質としては、或いはこの技術案の全て又は一部は、ソフトウェア製品の形式で体現できる。該コンピュータソフトウェア製品は一つの記憶媒体に記憶され、幾つかの命令を含むことで、一台のコンピューティング機器(例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、或いはネットワーク機器等)に前記命令を実行したときに本発明の各実施例に記載の方法の全て又は一部のステップを実行させる。一方、上記記憶媒体は、USBメモリ、リムーバブルハードディスク、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク又は光ディスク等、プログラムコードを記憶可能な種々の媒体を含む。
【0114】
或いは、前記方法実施例の全て又は一部のステップの実現は、プログラム命令に関連するハードウェア(例えばパーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク機器等のコンピューティング機器)により完成できる。前記プログラム命令はコンピュータ可読記憶媒体に記憶することができ、前記プログラム命令がコンピューティング機器のプロセッサにより実行された場合、前記コンピューティング機器は本発明の各実施例に記載された前記方法の全て又は一部のステップを実行する。
【0115】
最後に説明すべきは、上記の各実施例は、本発明の技術案を限定するものではなく、説明するためにのみ使用されるものである。前述の各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、本発明の要旨及び原則内で、前述の各実施例に記載された技術案を修正し、又はその一部または全部の技術的特徴を均等物により置換することができ、これらの修正又は置換は、対応する技術案を本発明の保護範囲から逸脱させるものではないことを、理解すべきである。
【国際調査報告】