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特表2023-548260オリゴヌクレオチドを使用した混合物中の材料の検出
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】オリゴヌクレオチドを使用した混合物中の材料の検出
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20231109BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20231109BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20231109BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20231109BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12M1/00 A ZNA
C12N15/09 Z
C12Q1/686 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580953
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 US2021055799
(87)【国際公開番号】W WO2022098513
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】63/110,655
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ハンター,ショーン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA23
4B063QA01
4B063QQ41
4B063QR08
4B063QR31
4B063QR62
4B063QS25
(57)【要約】
材料の混合物中の材料を検出する方法は、材料を提供することと、互いに異なる配列を有するオリゴヌクレオチドを提供することと、を含み得る。オリゴヌクレオチドの各々は、材料のうちのそれぞれ1つの材料内にあり得るとともに、その材料に対応し得る。材料のうちの少なくとも2つの互いの混合物が得られ得る。混合物は、それらの材料に対応するオリゴヌクレオチドを含み得る。本方法は、混合物中のオリゴヌクレオチドを配列決定することと、それらのオリゴヌクレオチドの配列を使用して、それらのオリゴヌクレオチドに対応する材料を検出することと、を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料の混合物中の材料を検出する方法であって、
材料を提供することと、
互いに異なる配列を有するオリゴヌクレオチドを提供することであって、前記オリゴヌクレオチドの各々は、前記材料のうちのそれぞれ1つの材料内にあるとともに、前記1つの材料に対応する、ことと、
前記材料のうちの少なくとも2つの互いの混合物を取得することであって、前記混合物は、前記少なくとも2つの材料に対応する前記オリゴヌクレオチドを含む、ことと、
前記混合物中の前記オリゴヌクレオチドを配列決定することと、
前記オリゴヌクレオチドの前記配列を使用して、前記オリゴヌクレオチドに対応する前記材料を検出することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記材料は、配列決定に使用するための試薬を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記材料はそれぞれ、基材のリザーバ内に提供される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記オリゴヌクレオチドの各々の前記配列は、(i)前記混合物に対応するインデックス及び(ii)前記それぞれの材料に対応するバーコードを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記オリゴヌクレオチドの各々の前記配列は、前記それぞれの材料に対応するバーコードを含み、前記方法は、前記オリゴヌクレオチドの各々に、前記混合物に対応するインデックスを追加することを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記インデックスは、前記混合物を取得した後に追加される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記混合物は、第1の配列決定システムを使用して取得される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記混合物は、前記第1の配列決定システムからの廃棄物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記混合物中の前記オリゴヌクレオチドは、前記第1の配列決定システムとは異なる第2の配列決定システムを使用して配列決定される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチドの前記配列は、前記第2の配列決定システムと適合性があり、前記第1の配列決定システムと適合性がないアダプターを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記混合物中の前記オリゴヌクレオチドを配列決定することは、表面上の前記オリゴヌクレオチドを増幅して、表面上のアンプリコンのそれぞれのクラスタを生成することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記材料を検出することは、前記オリゴヌクレオチドの前記配列を、記憶された配列と比較することを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記材料を検出することは、前記オリゴヌクレオチドのそれぞれの量を定量化することと、前記オリゴヌクレオチドの前記量を前記それぞれの材料の量に相関させることと、を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記オリゴヌクレオチドは、一本鎖DNA、二本鎖DNA、RNA、LNA、又は修飾ヌクレオチドの配列を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記材料の各々は、液体、半固体、及び固体からなる群から独立して選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記液体は、溶媒又は試薬を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記固体は、乾燥粉末又は液体中の粉末を含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記半固体は、ゲルを含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
材料の混合物中の材料を検出する方法であって、前記方法は、
少なくとも2つの材料を互いに混合して混合物を得ることを含み、
互いに異なる配列を有する異なるオリゴヌクレオチドが、前記材料のうちの異なる材料内に配置されており、
前記オリゴヌクレオチドの前記配列は、前記混合物中の前記材料を検出するために使用される、方法。
【請求項20】
前記材料は、配列決定に使用するための試薬を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記材料はそれぞれ、基材のリザーバ内に提供される、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記オリゴヌクレオチドの各々の前記配列は、(i)前記混合物に対応するインデックス及び(ii)前記それぞれの材料に対応するバーコードの一方又は両方を含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記混合物は、第1の配列決定システムを使用して取得される、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記混合物は、前記配列決定システムからの廃棄物を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記混合物中の前記オリゴヌクレオチドは、前記第1の配列決定システムとは異なる第2の配列決定システムを使用して配列決定される、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記オリゴヌクレオチドの前記配列は、前記第2の配列決定システムと適合性があり、前記第1の配列決定システムと適合性がないアダプターを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記材料は、前記オリゴヌクレオチドの前記配列を、記憶された配列と比較することによって検出される、請求項19~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記材料は、前記オリゴヌクレオチドのそれぞれの量を定量化すること、及び前記オリゴヌクレオチドの前記量を前記それぞれの材料の量に相関させることによって検出される、請求項19~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記オリゴヌクレオチドは、一本鎖DNA、二本鎖DNA、RNA、LNA、又は修飾ヌクレオチドの配列を含む、請求項19~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記材料の各々は、液体、半固体、及び固体からなる群から独立して選択される、請求項19~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記液体は、溶媒又は試薬を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記固体は、乾燥粉末又は液体中の粉末を含む、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記半固体は、ゲルを含む、請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
複数のリザーバを含む基材と、
複数の材料であって、前記材料の各々は、前記リザーバのそれぞれ1つ内にある、複数の材料と、
互いに異なる配列を有する複数のオリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドの各々は、前記材料のそれぞれ1つ内にある、複数のオリゴヌクレオチドと、を含む、装置。
【請求項35】
前記材料は、配列決定に使用するための試薬を含む、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記オリゴヌクレオチドの各々の前記配列は、(i)前記混合物に対応するインデックス及び(ii)前記それぞれの材料に対応するバーコードの一方又は両方を含む、請求項34又は35に記載の装置。
【請求項37】
前記材料のうちの2つ以上の混合物を得るために配列決定システムで使用するための、請求項34~36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記混合物は、前記配列決定システムからの廃棄物を含む、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記オリゴヌクレオチドの前記配列は、前記配列決定システムと適合性がないアダプターを含む、請求項37又は38に記載の装置。
【請求項40】
前記オリゴヌクレオチドは、一本鎖DNA、二本鎖DNA、RNA、LNA、又は修飾ヌクレオチドの配列を含む、請求項34~39のいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
前記材料の各々は、液体、半固体、及び固体からなる群から独立して選択される、請求項34~40のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
前記液体は、溶媒又は試薬を含む、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記固体は、乾燥粉末又は液体中の粉末を含む、請求項41又は42に記載の装置。
【請求項44】
前記半固体は、ゲルを含む、請求項41~43のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年11月6日に出願された「Detecting Materials in a Mixture Using Oligonucleotides」という名称の米国仮特許出願第63/110,655号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(配列表)
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2021年10月15日に作成された当該ASCIIコピーの名称はIP-2035-PCT-SL.txtであり、サイズは1,077バイトである。
【背景技術】
【0003】
生物学的サンプル中に存在する特定の核酸配列の検出は、例えば、微生物を同定及び分類する、感染症を診断する、遺伝子異常を検出及び特徴付ける、癌に関連する遺伝的変化を識別する、疾患に対する遺伝的感受性を調べる、並びに様々な種類の治療に対する応答を測定するための方法として使用されてきた。生物学的サンプル中の特定の核酸配列を検出するための一般的な技術は、核酸配列決定である。
【0004】
核酸配列決定方法は、Maxam及びGilbertによって使用された化学的分解法並びにSangerによって使用されたストランド伸長法から進化している。現在では、単一フローセル上での数百万個、又は更には数十億個の核酸の並行処理を可能にするいくつかの配列決定方法が使用されている。いくつかのプラットフォームは、ビーズベース及びマイクロアレイのフォーマットを含み、シリカビーズが、配列決定、遺伝子型決定、遺伝子発現プロファイリングを含む用途でのこのようなフォーマットの適用に応じたプローブで官能化される。いくつかの配列決定システムは、「合成による配列決定(sequencing-by-synthesis)」又は遺伝子型決定のために、配列決定操作で使用するための異なる試薬を担持する複数の異なるリザーバを含む基材を利用する。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で提供される実施例は、混合物中の材料をオリゴヌクレオチドを使用して関連させているか、又は検出している。そのようなオリゴヌクレオチドを使用する装置も開示される。
【0006】
いくつかの例では、材料の混合物中の材料を検出する方法が本明細書に提供される。本方法は、材料を提供することと、互いに異なる配列を有するオリゴヌクレオチドを提供することと、を含み得る。オリゴヌクレオチドの各々は、材料のうちのそれぞれ1つの材料内にあり得るとともに、その材料に対応し得る。本方法は、材料のうちの少なくとも2つの互いの混合物を得ることを含み得る。混合物は、それらの材料に対応するオリゴヌクレオチドを含み得る。本方法は、混合物中のオリゴヌクレオチドを配列決定することと、それらのオリゴヌクレオチドの配列を使用して、それらのオリゴヌクレオチドに対応する材料を検出することと、を含み得る。
【0007】
いくつかの例では、材料は、配列決定に使用するための試薬を含む。いくつかの例では、材料はそれぞれ、基材のリザーバ内に提供される。
【0008】
いくつかの例では、オリゴヌクレオチドの各々の配列は、(i)混合物に対応するインデックス及び(ii)それぞれの材料に対応するバーコードを含む。
【0009】
いくつかの例では、オリゴヌクレオチドの各々の配列は、それぞれの材料に対応するバーコードを含み、本方法は、オリゴヌクレオチドの各々に、混合物に対応するインデックスを追加することを更に含む。いくつかの例では、インデックスは、混合物を取得した後に追加される。
【0010】
いくつかの例では、混合物は、第1の配列決定システムを使用して得られる。例えば、混合物は、第1の配列決定システムからの廃棄物(waste)を含み得る。いくつかの例では、混合物中のオリゴヌクレオチドは、第1の配列決定システムとは異なる第2の配列決定システムを使用して配列決定される。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドの配列は、第2の配列決定システムと適合性があり、第1の配列決定システムと適合性がないアダプターを含む。
【0011】
いくつかの例では、混合物中のオリゴヌクレオチドを配列決定することは、表面上のオリゴヌクレオチドを増幅して、表面上のアンプリコンのそれぞれのクラスタを生成することを含む。いくつかの例では、材料を検出することは、オリゴヌクレオチドの配列を、記憶された配列と比較することを含む。いくつかの例では、材料を検出することは、オリゴヌクレオチドのそれぞれの量を定量化することと、オリゴヌクレオチドの量をそれぞれの材料の量に相関させることと、を含む。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドは、一本鎖DNA、二本鎖DNA、RNA、LNA、又は修飾ヌクレオチドの配列を含む。
【0012】
いくつかの例では、材料の各々は、液体、半固体、及び固体からなる群から独立して選択される。いくつかの例では、液体は、溶媒又は試薬を含む。いくつかの例では、固体は、乾燥粉末又は液体中の粉末を含む。いくつかの例では、半固体はゲルを含む。
【0013】
本明細書にて、いくつかの例では、材料の混合物中の材料を検出する方法が提供される。本方法は、少なくとも2つの材料を互いに混合して混合物を得ることを含み得る。異なるオリゴヌクレオチドが、互いに異なる配列を有し得、それぞれ、材料のうちの異なる材料内に配置され得る。オリゴヌクレオチドの配列を使用して、混合物中の材料を検出してもよい。
【0014】
いくつかの例では、材料は、配列決定に使用するための試薬を含む。いくつかの例では、材料はそれぞれ、基材のリザーバ内に提供される。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドの各々の配列は、(i)混合物に対応するインデックス及び(ii)それぞれの材料に対応するバーコードのうちの一方又は両方を含む。
【0015】
いくつかの例では、混合物は、第1の配列決定システムを使用して得られる。例えば、混合物は、配列決定システムからの廃棄物を含み得る。いくつかの例では、混合物中のオリゴヌクレオチドは、第1の配列決定システムとは異なる第2の配列決定システムを使用して配列決定される。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドの配列は、第2の配列決定システムと適合性があり、第1の配列決定システムと適合性がないアダプターを含む。
【0016】
いくつかの例では、材料は、オリゴヌクレオチドの配列を、記憶された配列と比較することによって検出される。いくつかの例では、材料は、オリゴヌクレオチドのそれぞれの量を定量化することと、オリゴヌクレオチドの量をそれぞれの材料の量に相関させることと、によって検出される。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドは、一本鎖DNA、二本鎖DNA、RNA、LNA、又は修飾ヌクレオチドの配列を含む。
【0017】
いくつかの例では、材料の各々は、液体、半固体、及び固体からなる群から独立して選択される。いくつかの例では、液体は、溶媒又は試薬を含む。いくつかの例では、固体は、乾燥粉末又は液体中の粉末を含む。いくつかの例では、半固体はゲルを含む。
【0018】
本明細書のいくつかの例では、装置が提供される。装置は、複数のリザーバを含む基材を含み得る。装置は、複数の材料を含み得、材料の各々は、リザーバのそれぞれ1つ内にある。装置は、互いに異なる配列を有する複数のオリゴヌクレオチドを含み得、オリゴヌクレオチドの各々は、材料のそれぞれ1つ内にある。
【0019】
いくつかの例では、材料は、配列決定に使用するための試薬を含む。
【0020】
いくつかの例では、オリゴヌクレオチドの各々の配列は、(i)混合物に対応するインデックス及び(ii)それぞれの材料に対応するバーコードのうちの一方又は両方を含む。
【0021】
いくつかの例では、装置は、材料のうちの2つ以上の混合物を得るために配列決定システムで使用するためのものである。例えば、混合物は、配列決定システムからの廃棄物を含み得る。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドの配列は、配列決定システムと適合性がないアダプターを含む。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドは、一本鎖DNA、二本鎖DNA、RNA、LNA、又は修飾ヌクレオチドの配列を含む。
【0022】
いくつかの例では、材料の各々は、液体、半固体、及び固体からなる群から独立して選択される。いくつかの例では、液体は、溶媒又は試薬を含む。いくつかの例では、固体は、乾燥粉末又は液体中の粉末を含む。いくつかの例では、半固体はゲルを含む。
【0023】
本明細書に記載されるような本開示の態様のそれぞれの任意の対応する特徴/実施例は、任意の適切な組合わせで共に実施されてもよく、また、これらの態様のうちの任意の1つ以上からの任意の特徴/実施例は、本明細書に記載されるような利点を得るために、任意の適切な組合わせで本明細書に記載されるような(複数の)他の態様の特徴のいずれかと共に実施されてもよいことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A】オリゴヌクレオチドを使用して混合物中の材料を検出するためのプロセスフローにおける例示的な装置及び操作を概略的に示す。
図1B】オリゴヌクレオチドを使用して混合物中の材料を検出するためのプロセスフローにおける例示的な装置及び操作を概略的に示す。
図2A図1A図1Bを参照して説明されるようなプロセスフローで使用するための例示的なオリゴヌクレオチドを概略的に示す。
図2B図1A図1Bを参照して説明されるようなプロセスフローで使用するための例示的なオリゴヌクレオチドを概略的に示す。
図2C図1A図1Bを参照して説明されるようなプロセスフローで使用するための例示的なオリゴヌクレオチドを概略的に示す。
図2D図1A図1Bを参照して説明されるようなプロセスフローで使用するための例示的なオリゴヌクレオチドを概略的に示す。
図3】オリゴヌクレオチドを使用して混合物中の材料を検出するためのプロセスフローにおける例示的な操作を概略的に示す。
図4】オリゴヌクレオチドを使用して混合物中の材料を検出するための別のプロセスフローにおける例示的な操作を概略的に示す。
図5】オリゴヌクレオチドを使用して混合物中の材料を検出するためのプロセスフローにおける別の例示的な装置及び操作を概略的に示す。
図6A】オリゴヌクレオチドを使用して混合物中の液体を検出するためのプロセスフローにおける例示的な測定値を概略的に示す。
図6B】オリゴヌクレオチドを使用して混合物中の液体を検出するためのプロセスフローにおける例示的な測定値を概略的に示す。
図6C】オリゴヌクレオチドを使用して混合物中の液体を検出するためのプロセスフローにおける例示的な測定値を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書で提供される実施例は、混合物中の材料をオリゴヌクレオチドを使用して関連させているか、又は検出している。そのようなオリゴヌクレオチドを使用する装置も開示される。
【0026】
本出願の技術は、少量でそれぞれの材料に混合されているオリゴヌクレオチドを、混合物中のこのような材料のうちの1つ以上の存在を定性的又は定量的に決定する際に使用するために、使用することに関する。オリゴヌクレオチドは、任意の好適な環境及び任意の好適な材料又は複数の材料、例えば、任意の好適な液体、半固体、又は固体内に実装され得る。例示的に、本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば、任意の材料(試薬など)が他の材料に意図的に又は意図せずに混合されるかどうかを検出するために、可能性のある見かけ上の(apparent)汚染源を特定するために使用され得る。追加的又は代替的に、本発明のオリゴヌクレオチドを使用して、例えば、混合物中の異なる位置における異なる材料の量を1回以上で検出することによって、2つ以上の材料を一緒に混合するためのプロセスの有効性を定量化し得る。様々な例では、材料の量は、サンプル中の絶対量として(例えば、濃度若しくは体積として)表され得るか、又はサンプル中の相対量として(例えば、モル比として)表され得るか、又は定性的に(例えば、存在又は不在として)表され得る。いくつかの例では、材料は、ある材料の、別の材料による汚染が配列決定プロセスに悪影響を及ぼし得るオリゴヌクレオチド配列決定プロセスで使用され得る。
【0027】
いくつかの例では、互いに異なる配列を有するオリゴヌクレオチドはそれぞれ、異なる材料に混合され得る。材料のうちの2つ以上を一緒に混合してもよく、その結果、混合物は、それらの材料に混合されたオリゴヌクレオチドを更に含み得る。オリゴヌクレオチドを増幅し、次いで、混合物のサンプルから配列決定する。存在するオリゴヌクレオチドの配列を使用し、どの材料が一緒に混合されたか、及びサンプル中のこのような材料の絶対量又は相対量が決定される。例えば、オリゴヌクレオチドの配列は、任意であるが固有であり得る1つ以上の同定サブ配列を含み得る。例えば、(本明細書で「バーコード」と称され得る)第1のサブ配列は、オリゴヌクレオチドが混合される特定の材料に固有であり得、配列が検出されたときにその材料の同定を可能にする。(本明細書では「インデックス」と称され得る)第2のサブ配列は、その材料の特定の体積に固有であり得、(互いに同じ材料を含み得るが、それらの材料の異なる体積からの)異なるサンプルを配列決定の目的で一緒にプールすることを可能にし、同時にそれらのサンプル中の材料が由来する特定の体積の特定を可能にする。第2のサブ配列は、混合物のサンプルを取得した後に追加され得、例えば、サンプルが一緒にプールされていない場合、省略され得る。オリゴヌクレオチドはまた、増幅に使用するためのアダプターを含み得る。オリゴヌクレオチドが第1の配列決定プロセスで使用される試薬に混合されている例では、それらのオリゴヌクレオチドのアダプターは、第1の配列決定プロセスで使用され得る試薬と直交し得、その結果、オリゴヌクレオチド自体は、第1の配列決定プロセスにおいて増幅又は配列決定され得ず、代わりに、第1の配列決定プロセスとは別個に実施され得、第1の配列決定プロセスとは異なる配列決定システム上で実施され得る第2の配列決定プロセスにおいて増幅又は配列決定され得る。しかしながら、本技術は、配列決定試薬における使用に限定されず、材料の任意の所与の混合物中の任意の数の材料を検出するために使用され得ることが理解されよう。
【0028】
最初に、本明細書で使用されるいくつかの用語を簡単に説明する。次いで、オリゴヌクレオチドを使用して混合物中の材料を検出するためのいくつかの例示的な方法、及び関連する装置が記載される。
【0029】
用語
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。用語「含む(including)」、並びに他の形態、例えば、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」の使用は、限定的ではない。用語「有する(having)」、並びに他の形態、例えば、「有する(have)」、「有する(has)」、及び「有した(had)」の使用は、限定的ではない。本明細書で使用されるとき、移行句又は請求項の本文において、用語「含む(comprise)」及び「含む(comprising)」は、オープンエンドの意味を有するものとして解釈されるべきである。すなわち、上記の用語は、語句「少なくとも有する」又は「少なくとも含む」と同義であると解釈されるべきである。例えば、プロセスの文脈において使用される場合、用語「含む(comprising)」は、プロセスが少なくとも列挙された工程を含むが、追加の工程を含み得ることを意味する。化合物、組成物、又はデバイスの文脈で使用される場合、用語「含む(comprising)」は、化合物、組成物、又はデバイスが少なくとも列挙された特徴又は構成要素を含むが、追加の特徴又は構成要素も含み得ることを意味する。
【0030】
本明細書全体を通して使用される用語「実質的に」、「およそ」、及び「約」は、処理のばらつきなどによる小さな変動を説明及び考慮するために使用される。例えば、それらは、±5%以下など、±2%以下など、±1%以下など、±0.5%以下など、±0.2%以下など、±0.1%以下など、±0.05%以下などの、±10%以下を指し得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイズ」は、それらのポリマーの長さに沿って第1のポリヌクレオチドを第2のポリヌクレオチドに非共有結合的に会合させて二本鎖の「二重鎖(duplex)」を形成することを意味することが意図されている。例えば、2つのDNAポリヌクレオチド鎖は、相補的な塩基対合を介して会合し得る。第1及び第2のポリヌクレオチド間の会合の強度は、それらのポリヌクレオチド内のヌクレオチドの配列間の相補性と共に増加する。ポリヌクレオチド間のハイブリダイゼーションの強度は、二重鎖の50%が互いに分離する融解温度(temperature of melting、Tm)によって特徴付けられ得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「ヌクレオチド」は、糖及び少なくとも1つのリン酸基を含む分子を意味することが意図され、いくつかの例では、核酸塩基も含む。核酸塩基を欠くヌクレオチドは、「脱塩基」と称され得る。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、修飾デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、ペプチドヌクレオチド、修飾ペプチドヌクレオチド、修飾ホスファート糖骨格ヌクレオチド、及びそれらの混合物を含む。ヌクレオチドの例としては、アデノシン一リン酸(AMP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン三リン酸(ATP)、チミジン一リン酸(TMP)、チミジン二リン酸(TDP)、チミジン三リン酸(TTP)、シチジン一リン酸(CMP)、シチジン二リン酸(CDP)、シチジン三リン酸(CTP)、グアノシン一リン酸(GMP)、グアノシン二リン酸(GDP)、グアノシン三リン酸(GTP)、ウリジン一リン酸(UMP)、ウリジン二リン酸(UDP)、ウリジン三リン酸(UTP)、デオキシアデノシン一リン酸(dAMP)、デオキシアデノシン二リン酸(dADP)、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシチミジン一リン酸(dTMP)、デオキシチミジン二リン酸(dTDP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)、デオキシシチジン二リン酸(dCDP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、デオキシグアノシン一リン酸(dGMP)、デオキシグアノシン二リン酸(dGDP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシウリジン一リン酸(dUMP)、デオキシウリジン二リン酸(dUDP)、及びデオキシウリジン三リン酸(dUTP)が挙げられる。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド」という用語はまた、天然に存在するヌクレオチドと比較して、修飾された核酸塩基、糖、及び/又はリン酸部分を含むヌクレオチドの種類である任意のヌクレオチド類似体を包含することが意図される。修飾核酸塩基の例としては、イノシン、キサタニン(xathanine)、ヒポキサニン(hypoxathanine)、イソシトシン、イソグアニン、2-アミノプリン、5-メチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、2-アミノアデニン、6-メチルアデニン、6-メチルグアニン、2-プロピルグアニン、2-プロピルアデニン、2-チオウラシル、2-チオチミン、2-チオシトシン、15-ハロウラシル、15-ハロシトシン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、6-アゾチミン、5-ウラシル、4-チオウラシル、8-ハロアデニン又はグアニン、8-アミノアデニン又はグアニン、8-チオールアデニン又はグアニン、8-チオアルキルアデニン又はグアニン、8-ヒドロキシアデニン又はグアニン、5-ハロ置換ウラシル又はシトシン、7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、8-アザグアニン、8-アザアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、3-デアザアデニン等が挙げられる。当技術分野で知られているように、特定のヌクレオチド類似体は、ポリヌクレオチド、例えば、アデノシン5’-ホスホスルファート等のヌクレオチド類似体に組み込まれることができない。ヌクレオチドは、任意の好適な数のホスファート、例えば、3、4、5、6、又は6を超えるホスファートを含み得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、互いに結合したヌクレオチドの配列を含む分子を指す。ポリヌクレオチドは、ポリマーの非限定的な一例である。ポリヌクレオチドの例としては、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、及びそれらの類似体が挙げられる。ポリヌクレオチドは、RNA又は一本鎖DNAなどのヌクレオチドの一本鎖配列、二本鎖DNAなどのヌクレオチドの二本鎖配列であるか、又はヌクレオチドの一本鎖及び二本鎖配列の混合物を含み得る。二本鎖DNA(dsDNA)は、ゲノムDNA及びPCR及び増幅産物を含む。一本鎖DNA(ssDNA)はdsDNAに変換され得、逆もまた同様である。ポリヌクレオチドは、エナンチオマーDNAなどの非天然DNAを含み得る。ポリヌクレオチド中のヌクレオチドの正確な配列は、既知であるか、又は不明であり得る。以下は、ポリヌクレオチドの例であり、遺伝子又は遺伝子フラグメント(例えば、プローブ、プライマー、発現配列タグ(expressed sequence tag、EST)、又は遺伝子発現の連続分析(Serial Analysis of Gene Expression、SAGE)タグ)、ゲノムDNA、ゲノムDNA断片、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(messenger RNA、mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、合成ポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、プライマー、又は前述のいずれかの増幅されたコピーが挙げられる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「ポリメラーゼ」は、ヌクレオチドをポリヌクレオチドに重合することによってポリヌクレオチドを組み立てる活性部位を有する酵素を意味することを意図している。ポリメラーゼは、プライミングされた一本鎖標的ポリヌクレオチドに結合することができ、ヌクレオチドを成長プライマーに連続的に付加して、標的ポリヌクレオチドの配列に相補的な配列を有する「相補的コピー」ポリヌクレオチドを形成することができる。次いで、別のポリメラーゼ、又は同じポリメラーゼは、その相補的コピーポリヌクレオチドの相補的コピーを形成することによって、標的ヌクレオチドのコピーを形成することができる。このようなコピーのいずれも、本明細書では「アンプリコン」と称され得る。DNAポリメラーゼは、標的ポリヌクレオチドに結合し、次いで、標的ポリヌクレオチドを下へ移動して、成長するポリヌクレオチド鎖(成長するアンプリコン)の3’末端の遊離ヒドロキシル基へ、連続的にヌクレオチドを付加し得る。DNAポリメラーゼは、DNA鋳型から相補的DNA分子を合成し得、RNAポリメラーゼは、DNA鋳型からRNA分子を合成し得る(転写)。ポリメラーゼは、短RNA又はDNA鎖(プライマー)を使用して、鎖成長を開始してもよい。いくつかのポリメラーゼは、それらが鎖に塩基を付加する部位の上流の鎖を置換(displace)してもよい。このようなポリメラーゼは、ポリメラーゼによって読み取られる鋳型鎖から相補鎖を除去する活性を有することを意味する鎖置換であると言われ得る。鎖置換活性を有する例示的なポリメラーゼには、Bst(Bacillus stearothermophilus)ポリメラーゼ、exo-Klenowポリメラーゼ、又は配列決定グレードT7exo-ポリメラーゼの大きな断片が含まれるが、これらに限定されない。いくつかのポリメラーゼは、それらの前の鎖を分解し、それを、後ろの成長鎖(5’エキソヌクレアーゼ活性)と効果的に置き換える。いくつかのポリメラーゼは、それらの後ろの鎖を分解する活性を有する(3’エキソヌクレアーゼ活性)。いくつかの有用なポリメラーゼは、3’及び/又は5’エキソヌクレアーゼ活性を低減又は排除するために変異又は他の方法で修飾されている。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「プライマー」は、ヌクレオチドが遊離3’OH基を介して付加され得るポリヌクレオチドを指す。プライマーの長さは、任意の好適な数の塩基の長さであり得、天然及び非天然ヌクレオチドの任意の好適な組み合わせを含み得る。標的ポリヌクレオチドは、プライマーにハイブリダイズする(プライマーに相補的な配列を有する)「アダプター」を含み得、プライマーの遊離3’OH基にヌクレオチドを付加することによって相補的コピーポリヌクレオチドを生成するように増幅され得る。プライマーは、基材に結合され得る。互いに「相補的」であるプライマーは、実質的にそれらの全長に沿って互いにハイブリダイズし得るが、互いに「直交する」プライマーは、互いに実質的にハイブリダイズせず、それらのアンプリコンもハイブリダイズしない。
【0037】
いくつかの例では、プライマーは、Illumina,Inc.から市販されているP5又はP7プライマーであり、P5及びP7プライマーは、互いに直交するプライマーの非限定的な例である。P5及びP7プライマー配列は、いくつかの例では、以下の配列を有し得る。
対合読み取りセット:
P5:5’-AATGATACGGCGACCACCGAGAUCTACAC-3’(配列番号1)
P7:5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT-3’(配列番号2)
単一読み取りセット:
P5:5’-AATGATACGGCGACCACCGA-3’(配列番号3)
P7:5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGA3’(配列番号4)
ここでGは、G又は8-オキソグアニンである。
【0038】
いくつかの例では、結合されたオリゴヌクレオチド(プライマー又はP5若しくはP7プライマーなど)は、5’末端にリンカー又はスペーサーを含む。このようなリンカー又はスペーサーは、化学的若しくは酵素的切断を可能にするために、又は例えば、ポリマー若しくは固体支持体への共有結合を可能にするか、又はスペーサーとして作用して、切断部位を固体支持体から最適な距離に位置付けるためなど、いくつかの他の望ましい特性を付与するために含まれ得る。特定の場合では、10個のスペーサーヌクレオチドは、P5又はP7プライマーのポリマー又は固体支持体への結合点間に位置付けられ得る。いくつかの例では、ポリTスペーサーが使用されるが、他のヌクレオチド及びそれらの組み合わせも使用され得る。一例では、スペーサーは6T~10Tスペーサーである。いくつかの例では、リンカーは、ビシナルジオール又はアリルTなどの化学的に切断可能な官能基を含む切断可能なヌクレオチドを含む。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「アンプリコン」は、ポリヌクレオチドに関して使用されるとき、ポリヌクレオチドをコピーする生成物を意味することを意図しており、この生成物は、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列の少なくとも一部分と実質的に同じ又は実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する。「増幅(amplification)」及び「増幅(amplifying)」は、ポリヌクレオチドのアンプリコンを作製するプロセスを指す。標的ポリヌクレオチドの第1のアンプリコンは、相補的コピーであり得る。追加のアンプリコンは、第1のアンプリコンの生成後に、標的ポリヌクレオチド又は第1のアンプリコンから作成されたコピーである。後続のアンプリコンは、標的ポリヌクレオチドと実質的に相補的であるか、又は標的ポリヌクレオチドと実質的に同一である配列を有し得る。ポリヌクレオチドの少数の変異(例えば、増幅アーチファクトによる)は、そのポリヌクレオチドのアンプリコンを生成するときに生じ得ることが理解されるであろう。
【0040】
本明細書で使用される場合、「基材」という用語は、本明細書に記載の構成物の担体として使用される材料を指す。例示的な基材材料は、ガラス、シリカ、プラスチック、石英、金属、金属酸化物、有機シリケート(例えば、多面体有機シルセスキオキサン(polyhedral organic silsesquioxanes、POSS))、ポリアクリレート、酸化タンタル、相補金属酸化物半導体(complementary metal oxide semiconductor、CMOS)、又はそれらの組合わせを含み得る。POSSの一例は、Kehagias et al.,Microelectronic Engineering 86(2009),pp.776-778に記載されているものであり得、これは、参照によりその全体が組み込まれる。いくつかの例では、本出願で使用される基材は、ガラス、縮合シリカ、又は他のシリカ含有材料等のシリカ系基材を含む。いくつかの例では、基材は、ケイ素、窒化ケイ素、又は水素化ケイ素を含み得る。いくつかの例では、本出願で使用される基材は、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、及びポリ(メチルメタクリレート)等のプラスチック材料又は構成要素を含む。例示的なプラスチック材料としては、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、及び環状オレフィンポリマー基材が挙げられる。いくつかの例では、基材は、シリカ系材料又はプラスチック材料あるいはそれらの組合わせであるか、又はそれらを含む。特定の例では、基材は、ガラス又はケイ素系ポリマーを含む少なくとも1つの表面を有する。いくつかの例では、基材は金属を含み得る。いくつかのそのような例では、金属は金である。いくつかの例では、基材は、金属酸化物を含む少なくとも1つの表面を有する。一例では、表面は、酸化タンタル又は酸化スズを含む。アクリルアミド、エノン、又はアクリレートはまた、基材材料又は構成要素として利用され得る。他の基材材料としては、ヒ化ガリウム、リン酸インジウム、アルミニウム、セラミック、ポリイミド、石英、樹脂、ポリマー、及びコポリマーが挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの例では、基材及び/又は基材表面は、石英であり得るか、又は石英を含み得る。いくつかの他の例では、基材及び/又は基材表面は、GaAs又はITOなどの半導体であり得るか、又はそれを含み得る。前述のリストは、本出願を例示するが、限定することを意図しない。基材は、単一の材料又は複数の異なる材料を含み得る。基材は、複合材又は積層体であってもよい。いくつかの例では、基材は、有機シリケート材料を含む。基材は、平坦、円形、球形、棒状、又は任意の他の好適な形状であってもよい。基材は、剛性又は可撓性であり得る。いくつかの例では、基材はビーズ又はフローセルである。
【0041】
いくつかの例では、基材は、パターン化された表面を含む。「パターン化された表面」とは、基材の露出層内又は露出層上における異なる領域の配置を指す。例えば、領域のうちの1つ以上は、1つ以上の捕捉プライマーが存在する特徴であり得る。この特徴は、捕捉プライマーが存在しない中間部領域によって分離され得る。いくつかの例では、パターンは、行及び列にある特徴のx-yフォーマットであり得る。いくつかの例では、パターンは、特徴及び/又は中間部領域の反復配置であり得る。いくつかの例では、パターンは、特徴及び/又は中間部領域のランダム配置であり得る。いくつかの例では、基材は、表面にウェル(凹部)のアレイを含む。ウェルは、実質的に垂直な側壁によって提供され得る。ウェルは、フォトリソグラフィ、スタンピング技術、成形技術、及びマイクロエッチング技術を含むがこれらに限定されない様々な技術を使用して、当該技術分野において一般的に知られているように製造され得る。当該技術分野において理解されるように、使用される技術は、アレイ基材の組成及び形状に依存する。
【0042】
基材のパターン化された表面の特徴は、ポリ(N-(5-アジドアセトアミジルペンチル)アクリルアミド-co-アクリルアミド)(poly(N-(5-azidoacetamidylpentyl)acrylamide-co-acrylamide)、PAZAM)などの、パターン化された共有結合したゲルを備えた、ガラス、ケイ素、プラスチック、又は他の好適な材料上のウェルのアレイにおけるウェル(例えば、マイクロウェル又はナノウェル)を含み得る。このプロセスにより、配列決定に使用されるゲルパッドが作製され、これは多数のサイクル数のシーケンシングランにわたって安定であり得る。ポリマーをウェルに共有結合することは、様々な用途において、構造化された基材の寿命にわたって、構造化された特徴のゲルを維持するのに有用であり得る。しかしながら、多くの例では、ゲルは、ウェルに共有結合される必要はない。例えば、いくつかの条件では、構造化された基材のどの部分にも共有結合されていないシランフリーのアクリルアミド(silane free acrylamide、SFA)がゲル材料として使用され得る。
【0043】
特定の例では、構造化された基材は、ウェル(例えば、マイクロウェル又はナノウェル)を用いて好適な材料をパターン化し、パターン化された材料をゲル材料(例えば、PAZMA、SFA、又はSFAのアジド化バージョン(アジド-SFA)などの、その化学修飾されたバリアント)でコーティングし、ゲルコーティングされた材料の表面を、例えば、化学研磨又は機械研磨により研磨することによって作製され得、これにより、ウェル内にゲルが保持されるが、ウェル間の構造化された基材の表面の中間部領域の実質的に全てのゲルが除去又は不活性化される。プライマーは、ゲル材料に結合され得る。次いで、個々の標的ポリヌクレオチドがゲル材料に結合したプライマーとの相互作用を介して個々のウェルに播種するように、複数の標的ポリヌクレオチド(例えば、断片化されたヒトゲノム又はその一部分)を含む溶液が研磨された基材と接触され得るが、標的ポリヌクレオチドは、ゲル材料が存在しないか、又は不活性であるため、中間部領域を占有しない。標的ポリヌクレオチドの増幅は、中間部領域のゲルが存在しないか、又は不活性であることにより、増殖するクラスタの外向きの移動が防止され得るため、ウェルに限定され得る。このプロセスは、好都合に製造可能であり、スケーラブルであり、従来のマイクロ又はナノ製造方法を利用する。
【0044】
パターン化された基材は、例えば、スライド又はチップにエッチングされたウェルを含み得る。ウェルのエッチング及び幾何学形状のパターンは、様々な異なる形状及びサイズを取ってもよく、このような特徴は、互いに物理的又は機能的に分離可能であってもよい。このような構造的特徴を有する特に有用な基材には、微粒子などの固体粒子のサイズを選択し得るパターン化された基材が含まれる。これらの特徴を有する例示的なパターン化された基材は、BEAD ARRAY技術(Illumina,Inc.、San Diego、Calif.)に関連して使用されるエッチングされた基材である。
【0045】
いくつかの例では、基材は、フローセルの少なくとも一部を形成するか、又はフローセル内に位置するか、又はフローセルに結合される。フローセルは、複数のレーン又は複数のセクタに分割されるフローチャンバを含み得る。本明細書に記載の方法及び構成物で使用され得るフローセル及びフローセルの製造のための基材の例には、Illumina,Inc.(San Diego、CA)から市販されているものが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「複数」は、2つ以上の異なるメンバの集団を意味することを意図する。複数は、小さい、中くらい、大きい、から非常に大きいサイズの範囲であってもよい。小さい複数のサイズは、例えば、2~3のメンバから数十のメンバの範囲であってもよい。中くらいのサイズの複数は、例えば、数十のメンバから約100のメンバ又は数百のメンバの範囲であってもよい。大きい複数は、例えば、約数百のメンバから約1000のメンバ、数千のメンバ、及び最大で数万のメンバまでの範囲であってもよい。非常に大きな複数は、例えば、数万のメンバから、約数十万、百万、数百万、数千万、及び数億までの、又は数億を超えるメンバの範囲であってもよい。したがって、複数のサイズは、メンバの数によって評価した場合、上記の例示的な範囲の間の、及び上記の例示的な範囲を超える、2~1億をはるかに超える数のメンバ、並びに全てのサイズの範囲であり得る。ポリヌクレオチドの複数の例としては、例えば、約1×10以上、5×10以上、又は1×10以上の異なるポリヌクレオチドの集団が挙げられる。したがって、この用語の定義は、2より大きい全ての整数値を含むことが意図される。複数の上限は、例えば、サンプル中のポリヌクレオチド配列の理論的多様性によって設定されてもよい。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「標的ポリヌクレオチド」は、分析又は動作の対象であるポリヌクレオチドを意味することが意図される。分析又は動作は、ポリヌクレオチドを増幅、配列決定、及び/又は他の手順に供することを含む。標的ポリヌクレオチドは、分析される標的配列に追加のヌクレオチド配列を含み得る。例えば、標的ポリヌクレオチドは、プライマー結合部位として機能するアダプターを含む1つ以上のアダプターを含み得、それは、分析される標的ポリヌクレオチド配列の側方にある(flank)。
【0048】
用語「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」は、本明細書において交換可能に使用される。異なる用語は、特に明記しない限り、サイズ、配列、又は他の特性の任意の特定の違いを示すことを意図するものではない。説明を明確にするために、いくつかのポリヌクレオチド種を含む特定の方法又は組成物を説明するときに、1つの種のポリヌクレオチドを別の種と区別するためにこれらの用語を使用してもよい。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「配列決定システム」は、ポリヌクレオチドの配列を決定するように構成されたシステムを指す。様々な配列決定システムが市販されている。例示的に、配列決定システムは、Illumina,Inc.(San Diego、CA)から市販されているiSEQ(商標)100 Sequencing Systemであってもよいし、又はそれを含んでもよい。iSEQ(商標)100 Sequencing Systemは、異なる配列決定試薬を保存するリザーバを含む、事前に充填されたカートリッジを使用して、合成による配列決定を実施するベンチトップシステムである。配列決定システムの他の非限定的な例としては、Illumina,Inc.から市販されているcBot 2、NovaSeq6000、及びMiniSeqシステム、並びに他の供給元からの配列決定システムが挙げられる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「混合」及び「混合された」などの用語は、材料の各々がこのような組み合わせから生じる「混合物」全体に分布するように、材料が互いに組み合わされることを意味することを意図する。任意の好適な数のこのような材料の分布は、混合物全体を通して均質であり得(すなわち、均等に分布され得)、その結果、その混合物の任意の所与の部分は、その混合物の任意の他の所与の部分と実質的に同じ濃度のこのような材料を含み得る。追加的又は代替的に、任意の好適な数のこのような材料の分布は、混合物全体を通して不均質であり得(すなわち、不均等に分布され得)、その結果、その混合物の任意の所与の部分は、その混合物の1つ以上の他の所与の部分と異なる濃度のこのような材料を含み得る。所与の混合物内で、1つ以上の材料が均質であり得、1つ以上の材料が不均質であり得る。所与の混合物中の各材料は、それ自体の化学的同一性を保持し得る(すなわち、混合物中の任意の他の材料と化学的に反応しない)。あるいは、所与の混合物中の材料のうちの2つ以上は、互いに化学的に反応して、1つ以上の新しい材料を形成し得る。
【0051】
任意の好適な種類の材料を一緒に混合して、液体、固体、及び/又は半固体の任意の好適な組み合わせなどの混合物を形成し得る。混合物が均質であるか、又は不均質である程度は、例えば、各材料が混合物中の他の材料のいずれかに可溶性である程度(存在する場合)に基づいて、混合されている特定の材料に依存し得る。例えば、混和性液体を混合して均質な混合物を形成し得、一方で不混和性液体を混合して、別の液体中に分散した1つの液体の液滴を含む乳剤などの不均質な混合物を形成し得る。追加的又は代替的に、液体は、微粒子固体(例えば、約1nm~約1mm、又は約10nm~約100μm、又は約100nm~約10μmの寸法の粒子を有する固体)などの固体と混合され得る。固体が液体中に溶解したとき、結果として生じる混合物は均質であり得、一方、固体が液体中に懸濁され、液体中に溶解しない(例えば、液体内に固体粒子のコロイド懸濁液を形成する)とき、結果として生じる混合物は不均質であり得る。液体の非限定的な例としては、溶媒(水又は有機溶媒など)及び試薬(1つ以上の他の化学種又は生物学的種と反応し得る化学種又は生物学的種など)が挙げられる。
【0052】
追加的又は代替的に、液体は、「ゲル」などの半固体、例えば、その構造内に配置された液体を有する三次元架橋構造(例えば、架橋ポリマー、コロイド粒子の架橋ネットワーク、又はナノ粒子若しくはナノ構造の架橋ネットワーク)を含む材料と混合され得る。ゲルが液体中に溶解したとき、結果として生じる混合物は均質であり得、一方、ゲルが液体中に懸濁され、液体中に溶解しない(例えば、液体内にゲル粒子のコロイド懸濁液を形成する)とき、結果として生じる混合物は不均質であり得る。追加的又は代替的に、固体は、ゲルなどの半固体と混合され得る。固体がゲル中に溶解したとき、結果として生じる混合物は均質であり得、一方、固体がゲル中に懸濁され、ゲル中に溶解しない(例えば、ゲル内に固体粒子の懸濁液を形成する)とき、結果として生じる混合物は不均質であり得る。追加的又は代替的に、ゲルなどの半固体は、ゲルなどの別の半固体と混合され得る。ゲルが混和性であるとき、例えば、1つのゲルが他のゲル中に溶解するとき、結果として生じる混合物は均質であり得、一方、1つのゲルが他のゲル中に懸濁され、ゲル中に溶解しない(例えば、他のゲル内にゲル粒子の懸濁液を形成する)とき、得られた混合物は不均質であり得る。ゲルの非限定的な例としては、ヒドロゲル、オルガノゲル、及びナノコンポジットヒドロゲルが挙げられる。
【0053】
追加的又は代替的に、固体は、1つ以上の他の固体と一緒に混合され得る。一緒に混合され得る固体の非限定的な例は、乾燥粉末(例えば、微粒子などの凝集体又は凍結乾燥媒体)である。固体の各々は、流動性であってもよく、すなわち、互いに混合可能であるように流動することができる。固体が互いに混合される方法及び程度に応じて、固体の混合物は、均質又は不均質のいずれかであり得る。固体の非限定的な例としては、ポリマー、ガラス、半導体、金属、塩、及びセラミックが挙げられる。
【0054】
更に、オリゴヌクレオチドは、任意の好適な材料、例えば、任意の好適な液体、固体、及び/又は半固体に混合され得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、液体中に溶解されてもよく、ゲル中に溶解されてもよく、固体に組み込まれてもよく、又は微粒子固体の外面をコーティングしてもよい。したがって、このような材料の任意の組み合わせの混合物はまた、このような材料に混合されたオリゴヌクレオチドを含む。したがって、本明細書の他の箇所に記載されるような様式で、任意のこのようなオリゴヌクレオチドを増幅、配列決定、及び使用して、オリゴヌクレオチドが混合された材料を検出し得る。
【0055】
異なる材料の互いの混合物は、任意の好適なプロセス又は混合機を使用して、例えば、対流、かき混ぜ、撹拌、乱流、拡散、又は層流混合を使用して、得てもよい。非限定的な一例では、材料は、システム(配列決定システムなど)がそれらの材料を使用し、次いでこのような使用後にそれらの材料を廃棄するため、システムの廃棄物容器内で一緒に混合され得る。
【0056】
オリゴヌクレオチドを使用した混合物中の材料の検出及び関連する装置
上述及び以下により詳細に記載されるように、本装置及び方法を使用して、材料の混合物中の1つ以上の材料を検出し得る。本主題を使用して検出され得る材料は、液体、半固体、及び固体の任意の好適な組み合わせを含む。例えば、図1A図1Bは、オリゴヌクレオチドを使用して混合物中の材料を検出するためのプロセスフローにおける例示的な装置及び操作を概略的に示す。図1Aに示される装置100は、複数のリザーバ、例えば、リザーバ121、122、123、124を備えることを含む基材110を含み得る。図1Aに示される非限定的な例では、リザーバ121、122、123、124は、互いに共通の一体的に形成された基材110内に提供されたウェルを含み得る。しかしながら、リザーバ121、122、123、124のうちの1つ以上、及び実際には全てのリザーバ121、122、123、124は、互いに物理的に分離され得、互いに共通の基材に形成される必要はないことが理解されよう。例えば、図5を参照して説明されるような様式では、リザーバは、互いに物理的に分離され得る。
【0057】
図1Aに示される非限定的な例では、装置100は、複数の材料、例えば、液体1、液体2、及び液体3を含み得るが、任意の他の好適な種類の材料が使用され得ることが理解されよう。材料、例えば、液体の各々は、リザーバのそれぞれ1つ内にあり得る。例えば、液体1は、リザーバ121内に保存され、液体2は、リザーバ122内に保存され、液体3は、リザーバ123内に保存される。いくつかの例では、液体1、液体2、及び液体3のうちの1つ以上は、配列決定に使用するための試薬を含む。例示的に、液体1、液体2、及び液体3は、ポリメラーゼ、標識ヌクレオチド、洗浄緩衝液、切断試薬、及び他の酵素試薬からなる群から選択された配列決定試薬を含み得る。例示的に、装置100は、材料、例えば、液体のうちの2つ以上の混合物を得るための配列決定システムで使用するためのものであり得る。例示的に、配列決定システムは、Illumina,Inc.(San Diego、CA)から市販されているiSEQ(商標)100 Sequencing Systemであってもよいし、又はそれを含んでもよい。iSEQ(商標)100 Sequencing Systemは、図1A図1Bに示される装置100と同様の様式で、異なる配列決定試薬を保存するリザーバを含む、事前に充填されたカートリッジを使用して、合成による配列決定を実施するベンチトップシステムである。しかしながら、装置100は、好適には、Illumina,Inc.から市販されているcBot 2、NovaSeq 6000、又はMiniSeqシステムなどの任意の他の配列決定システム、他の供給元からの配列決定システム、及び実際には1つ以上の材料が使用される生物、医薬、化学、工学、又は他の技術分野における任意の他のシステムと共に使用するように適合され得ることが理解されよう。
【0058】
図1Aに示されるように、装置100は、互いに異なる配列を有する複数のオリゴヌクレオチドを含み得、オリゴヌクレオチドの各々は、材料のそれぞれ1つ内にある。例えば、第1の配列を有するオリゴヌクレオチドS1は、リザーバ121内の液体1内にあってもよく、第2の異なる配列を有するオリゴヌクレオチドS2は、リザーバ122内の液体2内にあってもよく、第3の更に異なる配列を有するオリゴヌクレオチドS3は、リザーバ123内の液体3内にあってもよい。図2A図2Dを参照して以下により詳細に記載されるような様式で、オリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3は、オリゴヌクレオチドを増幅するために使用することができるアダプターを含み得、また、このようなオリゴヌクレオチドの増幅配列を使用して、液体1、液体2、及び液体3をそれぞれ検出するために使用することができる固有の配列も含み得る。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドのうちの1つ以上は、それが提供される材料との適合性のために修飾され得る。例示的に、エキソヌクレアーゼを含む液体で使用するためのオリゴヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼによる分解を阻害するために3’末端にホスホロチオエート結合を含むように修飾され得る。
【0059】
図1Aに示される特定の時間において、リザーバ124は空であり得る。比較すると、図1Bに示される特定の時間において、リザーバ124は、図1Bに示されるような様式で液体1、液体2、及び液体3のうちの2つ以上の混合物を保存し得る。いくつかの例では、リザーバ124は、液体1、液体2、及び/又は液体3を使用するプロセス(例えば、配列決定プロセス)からの廃棄物を収集するために使用され得、このような収集の結果は、材料の各々のいくつかを含み得る。他の例では、液体1、液体2、及び/又は液体3は、リザーバ124内で一緒に混合され得、混合物は、プロセス(例えば、配列決定プロセス)で使用される。リザーバ124内の混合物は、それらの材料に対応するオリゴヌクレオチドを含み得、例えば、S1、S2、及び/又はS3を含み得る。
【0060】
サンプルは、材料のうちの少なくとも2つの、互いの混合物、例えば、図1Bに示される液体1、液体2、液体3の混合物のサンプルを取得し得、このようなサンプルは、同様に、非限定的な図示の例のように、オリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3を含み得る。サンプルは、任意の適切なサイズであってもよく、例えば、約1nL~約1mLの体積、又は約10nL~約100μLの体積、又は約100nL~約10μLの体積、又は約100nL~約1μLの体積、又は約10nL~約100nLの体積、又は約1nL~約10nLの体積を有していてもよい。混合物のサンプル中のオリゴヌクレオチドは、配列決定され得、それらのオリゴヌクレオチドに対応する材料は、それらのオリゴヌクレオチドの配列を使用して検出され得る。例えば、混合物のサンプル内のオリゴヌクレオチドは、図2A図2Dを参照して説明されるような様式で増幅され得、次いで配列決定され得る。結果として生じるオリゴヌクレオチドS1、S2、S3の検出された配列はそれぞれ、既知の濃度でそれらのオリゴヌクレオチドを含むことが既知である材料121、122、123と相関し得る。例えば、検出回路は、コンピュータ可読媒体と、コンピュータ可読媒体に記憶された情報及び命令を使用するように構成されたプロセッサと、を含み得る。記憶された情報は、(i)オリゴヌクレオチド配列、(ii)それらの配列を有するオリゴヌクレオチドがそれぞれ混合される材料の識別情報(identification)、及び(iii)オリゴヌクレオチドがそれらの材料に混合される濃度を含み得る。命令は、プロセッサに、(i)S1、S2、及びS3の検出された配列を記憶されたオリゴヌクレオチド配列と比較することと、(ii)このような比較を使用して、記憶されたオリゴヌクレオチド配列のうちのどれが、検出されたオリゴヌクレオチド配列に対応するかを決定することと、(iii)検出されたオリゴヌクレオチド配列に対応するように決定された、記憶されたオリゴヌクレオチド配列の各々について、記憶された情報を使用して、サンプル中にどの材料が存在するかを決定することと、を行わせ得る。したがって、所与のオリゴヌクレオチドの配列の存在から、材料の存在が検出され得る。これにおいて、オリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3を使用して、混合物内のそれぞれの材料液体1、液体2、及び液体3の存在を検出し得る。
【0061】
加えて、所与のオリゴヌクレオチドの配列の量から、材料の絶対量又は相対量が決定され得る。例えば、図6Aを参照して以下に記載されるような、材料中の特定の配列の特定された読み取りの量をその材料中のオリゴヌクレオチドの濃度と相関させる標準曲線が、事前に準備され得、その曲線の傾き及びオフセットは、検出回路に記憶され得る。例えば、標準曲線は、濃度ラダーとも称され得る「内部ラダー(internal ladder)」を使用して、オリゴヌクレオチドの各々について生成及び保存され得る。より具体的には、異なる材料が調製されてもよく、それらの各々が複数のオリゴヌクレオチドを含み、オリゴヌクレオチドの各々は、材料の各々において異なる既知の濃度である。例えば、異なる材料は、オリゴヌクレオチドの各々の規定濃度で調製されてもよいし、又はオリゴヌクレオチドの各々の濃度が決定され、次いで汚染又は混合のために曝露される前に保存されてもよい。標準曲線を生成するために使用される濃度は、例えば、約1pM~約1000pM、又は約10pM~約1000pM、又は約10pM~約100pMの範囲であり得る。
【0062】
検出回路(例えば、配列決定システム又は他の種類のシステムに搭載されたプロセッサ)は、このような標準曲線(コンピュータ可読媒体内に記憶されている)を使用して、例えば、サンプルからのそのオリゴヌクレオチドの配列の特定された読み取りの量を、そのオリゴヌクレオチドについての標準曲線における特定された読み取りの量と比較すること、及び標準曲線におけるその特定された読み取りの量に対応する、標準曲線におけるオリゴヌクレオチドの濃度を特定することによって、材料のサンプル中のオリゴヌクレオチドの濃度を、そのサンプルからのそのオリゴヌクレオチドの配列の特定された読み取りの量から計算してもよく、その濃度は、サンプル中のオリゴヌクレオチドの濃度に対応する。次いで、サンプル中の材料の濃度は、サンプル中のオリゴヌクレオチドの決定された濃度及び材料中のオリゴヌクレオチドの既知の濃度を使用して計算され得る。検出回路は、サンプル中の材料の量を絶対量として(例えば、濃度として、若しくは濃度に、分析されたサンプルの量を掛けることによる体積として)表してもよいし、又はサンプル中の材料の量を相対量として(例えば、サンプル中の1つの材料の濃度をサンプル中の1つ以上の他の材料の濃度で割ることによって計算され得るモル比として)表してもよい。材料は、サンプル中の比較的少ない体積及び量で、例えば、約0.1~500nL、約0.1~100nL、約0.1~10nL、約0.1~1nLの体積で検出され得る。
【0063】
図2A図2Dは、図1A図1Bを参照して説明されるようなプロセスフローで使用するための例示的なオリゴヌクレオチドを概略的に示す。各オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドが混合される特定の材料に固有であるサブ配列(本明細書では「バーコード」と称され得る)を含み得、配列が検出されたときにその材料の同定を可能にする。各オリゴヌクレオチドはまた、その材料の特定の体積に固有であるサブ配列(本明細書では「インデックス」と称され得る)を含み得、(互いに同じ材料を含み得るが、それらの材料の異なる体積からの)異なるサンプルを配列決定の目的で一緒にプールすることを可能にし、同時にそれらのサンプル中の材料が由来する特定の体積の特定を可能にする。図示の例では、オリゴヌクレオチドS1は、対応する液体1に対応するバーコード201、第1のアダプター211、及び第2のアダプター212を含む。同様に、オリゴヌクレオチドS2は、対応する液体2に対応するバーコード202、第1のアダプター211、及び第2のアダプター212を含む。同様に、オリゴヌクレオチドS3は、対応する液体3に対応するバーコード203、第1のアダプター211、及び第2のアダプター212を含む。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3は、一本鎖DNA、二本鎖DNA、RNA、LNA、又は修飾ヌクレオチドの配列を含み得る。オリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3は、互いに同じ種類のヌクレオチドを含み得る(例えば、全ては、DNA、RNA、LNA、若しくは同じ種類の修飾ヌクレオチドを含み得る)、又は互いに異なる種類のヌクレオチドを含み得る。
【0064】
第1のアダプター211及び第2のアダプター212は、互いに同じ配列を有し得、混合物のサンプル中のオリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3を増幅するためのプロセスで使用され得る。しかしながら、第1及び第2のアダプター211、212は、材料が使用される配列決定システムと適合性がない場合があり、したがって、オリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3の増幅を阻害又は防止し得るが、オリゴヌクレオチドS1、S2、S3が増幅及び検出される配列決定システムと適合性がある。すなわち、第1及び第2のアダプター211、212は、材料が使用される配列決定システムで使用されるプライマーに直交してもよく、オリゴヌクレオチドS1、S2、S3が増幅及び検出される配列決定システムで使用されるプライマーに相補的であってもよい。非限定的な一例では、第1及び第2のアダプター211、212は、Illumina,Inc.から市販されているNEXTERA(登録商標)アダプターであり、トランスポソームを使用してDNAを断片に切断し、断片化されたDNAの両端にアダプターを追加するタグメンテーションプロセスを使用して、バーコード201、202、203に追加されてもよい。あるいは、オリゴヌクレオチドは、例えば、バーコード及びアダプターを含む所望の配列を有して調製又は商業的に注文され得る。
【0065】
バーコード201、202、及び203は、互いに異なる配列を有し得、そのため、材料、例えば、液体1、液体2、及び液体3を互いにそれぞれ検出及び区別するために使用され得る。したがって、オリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3の配列のいくつかの部分は、互いに同じであってもよいが(例えば、第1のアダプター211及び第2のアダプター212)、オリゴヌクレオチドの配列は、バーコード201、202、203が互いに異なるため、互いに異なると見なされ得る。バーコード201、202、203で使用される特定の配列は、互いに異なること以外は互いに特定の関係を有する必要はなく、実際には任意であってもよい。加えて、バーコード201、202、203の長さは、任意の好適な数のヌクレオチドを含み得、必ずしも同じ数のヌクレオチドを互いに有する必要はなく、例えば、約1~約200個のヌクレオチド、又は約2~約150個のヌクレオチド、又は約5~約100個のヌクレオチド、又は約5~約50個のヌクレオチド、又は約10~約40個のヌクレオチド、又は約20~約30個のヌクレオチドを含み得る。バーコード201、202、203におけるヌクレオチドの数が多いほど、異なる配列の数がより多く調製され得、したがって、このような配列を使用して異なる数の材料がより多く検出され得ることに留意されたい。1つの非限定的な純粋な例示的な例では、バーコード201、202、203は、PhiXの一本鎖DNAゲノム(二十面体の非テール型バクテリオファージ)の異なる断片であるか、又はこれを含む。NEXTERA(登録商標)アダプターを使用する例では、タグメンテーションプロセス中にPhiX断片が生成され得、そこにアダプター211、212が追加され得る。
【0066】
追加的又は代替的に、いくつかの例では、オリゴヌクレオチドS1、S2、S3の各々の配列は、混合物に対応するインデックスを含む。このようなインデックスは、例えば、異なるサンプルから得られる混合物を一緒にプールするために有用であり得、このインデックスは、このような各サンプルに対応している。いくつかの例では、インデックスは、オリゴヌクレオチドをそれぞれの材料に加える前に、オリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3内に含まれてもよい。あるいは、混合物のサンプルを取得した後、インデックスをオリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3に追加してもよい。例えば、図2Bは、インデックス220をオリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3に追加するために使用され得る増幅プライマーP1及びP2を示す。増幅プライマーP1は、オリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3が配列決定される配列決定システムにおける第1の表面プライマーに相補的であるプライマー231、混合物に対応するインデックス配列220、及びオリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3のアダプター211に相補的であるプライマー211’を含む。増幅プライマーP2は、オリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3が配列決定される配列決定システムにおける第2の表面プライマーに相補的であるプライマー232、混合物に対応するインデックス配列220、及びオリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3のアダプター212に相補的であるプライマー212’を含む。増幅プライマーP1及びP2は、オリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3を含む混合物のサンプルと混合され、これら両方のプライマーを使用して、それらのオリゴヌクレオチドの各々を、容易に配列決定され得る濃度に(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を使用して)増幅し、結果として生じるアンプリコンの各々中にインデックス配列220を提供し得る。
【0067】
例えば、図2Cに示されるような様式で、増幅プライマーP1のプライマー211’は、オリゴヌクレオチドS1、S2、S3のアダプター211にハイブリダイズしてもよく、増幅プライマーP2のプライマー212’は、そのオリゴヌクレオチドのアダプター212にハイブリダイズしてもよい。次いで、増幅プロセスを実施してよく、これにより、オリゴヌクレオチドS1は伸長して、インデックス220の相補体(complement)の2つのインスタンス、並びにプライマー231及びプライマー232の相補体を含むようになるとともに、増幅プライマーP1及びP2は伸長し、互いにつながって、バーコード201の相補体を含む連続したオリゴヌクレオチドを形成する。次いで、結果として生じるオリゴヌクレオチドの各々は、(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を使用して)更に増幅され得る。このようなプロセスは、オリゴヌクレオチドS2及びS3について同時に起こり得、したがって、混合物中のオリゴヌクレオチドの各々のアンプリコンを生成する。例えば、図2Dは、オリゴヌクレオチドS1のアンプリコンAS1、オリゴヌクレオチドS2のアンプリコンAS2、及びオリゴヌクレオチドS3のアンプリコンAS3を示す。オリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3は、互いにほぼ同じ速度で増幅するように選択され得、このようなアンプリコンの濃度は、オリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3の濃度に比例すると予想され得る。いくつかの例では、プライマー231及び232は、配列決定システム内の対応する表面プライマーにハイブリダイズされ、表面でアンプリコンを更に増幅して、例えば、合成による配列決定を使用して、好適に配列決定され得るクラスタを形成するために使用され得る。
【0068】
アンプリコンAS1、AS2、及びAS3が配列決定されたとき、これらの配列は、それらのオリゴヌクレオチドが提供されていた材料、例えば、液体1、液体2、及び液体3にそれぞれ対応するオリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3のそれぞれのバーコード201、202、及び203、並びにそれらのオリゴヌクレオチドを含んだ混合物に対応するインデックス220の両方を含み得る。他の混合物から得られるオリゴヌクレオチド中には、それらの混合物中のオリゴヌクレオチドのいずれかが互いに同じ材料からのものであるかどうかとは無関係に、異なるインデックスが含まれ得る。したがって、結果として生じるそれらのオリゴヌクレオチドのアンプリコンが配列決定されたとき、この配列は、それらのオリゴヌクレオチドが提供されていた材料にそれぞれ対応するそれぞれのバーコード、及びそれらのオリゴヌクレオチドを含んだ混合物に対応するインデックスを含み得る。必要に応じて、異なる混合物からのアンプリコンを一緒にプールし、一般的なプロセスで一緒に配列決定してもよく、このような各アンプリコンの配列を使用して、(バーコードを使用して)対応するオリゴヌクレオチドが付加されていた材料、及び(インデックスを使用して)それらのオリゴヌクレオチドを含んだ材料の混合物の両方を同定してもよい。このようなプールにより、別個の(例えば、連続的な)配列決定プロセスを実行する必要性が除去され、複数の混合物中の材料の検出を、全て互いに同時に行い得る。
【0069】
インデックスは、例えば、図2B及び図2Cを参照して説明されるような様式で、混合物からオリゴヌクレオチドに必ずしも追加される必要はないことに留意されたい。代わりに、オリゴヌクレオチドは、インデックス220を省略し、配列決定システムにおいて表面プライマーにハイブリダイズされ得るプライマー231及び232を結合する増幅プライマーP1及びP2を使用して増幅されてもよいし、又はオリゴヌクレオチドS1、S2、及びS3のプライマー211、212は、オリゴヌクレオチドがその表面において増幅されるように、配列決定システムにおいて表面プライマーに直接ハイブリダイズされてもよい。
【0070】
図1A図1B及び図2A図2Cは、3つの材料の混合物の使用について説明し得るが、任意の好適な数の材料の混合物が、同様に、それらの材料内に提供されるオリゴヌクレオチドの配列を使用して、このような混合物中の材料を検出するように処理され得ることが理解されよう。また、全ての材料が必ずしも本発明のオリゴヌクレオチドを含む必要はなく、全ての混合物が本発明のオリゴヌクレオチドを含む材料の複数又は(1つでも)を含む必要はないことが理解されよう。例えば、材料のうちの1つ以上は、本発明のオリゴヌクレオチドを含み得、所与の混合物は、その材料を含んでもよいし、又は含まなくてもよく、したがって、対応するオリゴヌクレオチドを含んでも含まなくてもよい。混合物中のオリゴヌクレオチドの不在から、対応する材料が実質的に混合物中に存在しなかったと決定され得る。
【0071】
また、所与の材料の濃度は、必ずしも混合物の全体積にわたって均一であるとは限らないことも理解されよう。本明細書で提供されるように、オリゴヌクレオチドの配列を使用して、混合物の体積内の任意の所与の部分的な体積において所与の材料の量又は濃度を決定してもよい。例えば、図5は、オリゴヌクレオチドを使用して混合物中の材料を検出するためのプロセスフローにおける別の例示的な装置及び操作を概略的に示す。図5に示される装置500は、内部に第1のオリゴヌクレオチドS1を有する材料1を保存する第1の材料リザーバ521、内部に第2のオリゴヌクレオチドS2を有する材料2を保存する第2の材料リザーバ522、及び導管531を介して第1のリザーバ521から材料1を受容し、導管532を介して第2のリザーバ522から材料2を受容する第3の材料リザーバ533を含む。第3のリザーバ523は、任意の好適な構造物を介して任意の好適な数のリザーバから任意の好適な数の材料を受容してもよく、任意の好適な数のこのような材料は、それぞれのオリゴヌクレオチドを含んでもよい。材料1及び材料2は、任意の好適なプロセス又は混合機を使用して、例えば、対流、かき混ぜ、撹拌、乱流、拡散、又は層流混合を使用して、第3のリザーバ523内で互いに混合され得る。このような混合を通して、材料1及び材料2は、第3のリザーバ523全体に分配され得、オリゴヌクレオチドS1及びS2は、第3のリザーバ523全体に分配され得る。
【0072】
しかしながら、第3のリザーバ523内の材料1及び材料2の混合物は、必ずしも常に(又は実際にはいつでも)均質であり得るとは限らず、第3のリザーバ523内の異なる体積におけるS1及びS2の量は、それに応じて変化し得る。実際、任意の所与の時間において、混合物内の2つの所与の体積における材料1と材料2との相対的割合(例えば、モル比)は、混合物中の別の所与の体積とは異なり得る。同様に、2つの異なる所与の時間において、混合物内の同じ体積であっても材料1と材料2との相対的割合(例えば、モル比)は、異なる時間において異なり得る。特定の時間、混合物の特定の部分体積において、材料1と材料2とが一緒に混合されている程度を評価するために、サンプルは、その時点におけるその部分体積から得られ得る。例えば、サンプルは、図5内のA、B、C、及びDと表される部分体積に対応して取得され得る。サンプルは、任意の所望の時間において、例えば、互いに異なる時間に、又は互いに同時に取得され得る。例示的に、サンプルは、ピペット(具体的には図示せず)などの好適なサンプリングデバイスが作動される場所にそれぞれ配置された事前に定義された部分体積を含み得る。サンプルの各々内のオリゴヌクレオチドは、図1A図1Bを参照して記載されるような様式で配列決定され得、それらのオリゴヌクレオチドの量を使用して、サンプルの各々内の材料1及び材料2の量を決定する。
【0073】
例えば、既知の又は決定された量のオリゴヌクレオチドを有する材料を有する材料のバッチは、対象の設計又はプロセスを使用して混合され得る。混合物のサンプル中で検出されたオリゴヌクレオチドの比率は、そのサンプル内の材料の比率に比例すると予想され、したがって、分注又は混合事象の定量的測定値を提供する。このような測定を、同じランの異なるサンプル及び/又は異なるランにおいて複数回繰り返すことで、所与のラン内、又は各ラン間のばらつき(variance)の測定を提供し得る。したがって、設計又はプロセスの開発において、本主題は、混合結果を評価するための洗練された測定ツールを提供する。例えば、これを使用して、混合容器又は反応容器の特定の領域において、どの成分が予想される量で存在しないのかを示すことができ、したがって、改善され得る設計又はプロセス特徴を特定し得る。設計又はプロセスの変更に続いて、それらの変更の効果を以前の反復に対して評価するために、測定が繰り返され得る。他の例では、オリゴヌクレオチドを使用して、洗浄プロトコル若しくはバッチ間でのキャリーオーバー汚染を確認してもよいし、又は機器が異なる試薬若しくは製品に使用されるかどうかを確認してもよい。
【0074】
更に、オリゴヌクレオチドを使用して混合物中の材料を検出するために、任意の好適な順序及び一連の操作が使用され得ることが理解されよう。例えば、図3は、オリゴヌクレオチドを使用して混合物中の材料を検出するためのプロセスフローにおける例示的な操作を概略的に示す。図3に示されるプロセスフロー300は、材料を提供すること(操作310)を含み得る。例えば、任意の好適な数の材料は、図5を参照して説明されるような様式で、別個のリザーバ内に提供されてもよいし、又は図1A図1Bを参照して説明されるような様式で、共通の基材に提供されるリザーバに提供されてもよい。材料は、液体、半固体、及び固体からなる群から独立して選択され得る。非限定的な一例では、材料のうちの少なくとも1つは、配列決定プロセスに使用するための試薬を含む。
【0075】
図3に示されるプロセスフロー300はまた、互いに異なる配列を有するオリゴヌクレオチドを提供することを含み得、オリゴヌクレオチドの各々は、材料のそれぞれ1つ内にあり、その材料に対応する(操作320)。例えば、材料の各々は、材料の他のいずれか内に含まれるオリゴヌクレオチドの配列とは異なる配列を有するオリゴヌクレオチドの既知の濃度を含み得る。全ての材料が必ずしもこのようなオリゴヌクレオチドを含む必要はないことに留意されたい。図2A図2Dを参照して説明されるような様式で、オリゴヌクレオチドの各々の配列は、それぞれの材料に対応するバーコードを含み得る。いくつかの例では、混合物に対応するインデックスが、オリゴヌクレオチドの各々内に含まれ得るか、又はオリゴヌクレオチドの各々に追加され得る。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドは、一本鎖DNAを含むが、他の種類のオリゴヌクレオチドが好適に使用され得ることが理解されよう。
【0076】
図3に示されるプロセスフロー300はまた、材料のうちの少なくとも2つの互いの混合物を取得することを含み得、混合物は、それらの材料に対応するオリゴヌクレオチドを含む(操作330)。いくつかの例では、図1A図1Bを参照して説明されるように、混合物は、第1の配列決定システムを使用して取得され得る。混合物は、第1の配列決定システムからの廃棄物を含み得るが、そうである必要はない。図5を参照して説明されるような他の例では、混合物は、他のリザーバから材料を受容するリザーバ内に提供される混合機を使用して取得され得る。
【0077】
図3に示されるプロセスフロー300はまた、混合物中のオリゴヌクレオチドを配列決定することを含み得る(操作340)。混合物中のオリゴヌクレオチドを配列決定することは、表面上のオリゴヌクレオチドを増幅して、表面上のアンプリコンのそれぞれのクラスタを生成することを含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、例えば、インデックスを追加するために、かつ/又はオリゴヌクレオチドを配列決定するために使用される配列決定システムにおける表面プライマーに相補的なプライマーを付加するために、図2A図2Dを参照して記載されるような様式で増幅され得る。このような配列決定システムは、流体自体が使用される配列決定システムとは異なり得る。オリゴヌクレオチドの配列は、いくつかの例では、オリゴヌクレオチドを配列決定するために使用されている配列決定システムと適合性があり、流体自体が使用される配列決定システムと適合性がないアダプターを含み得る。
【0078】
図3に示されるプロセスフロー300はまた、それらのオリゴヌクレオチドの配列を使用して、それらのオリゴヌクレオチドに対応する材料を検出することを含み得る(操作350)。例えば、オリゴヌクレオチドの配列は、それぞれの材料内に提供されるオリゴヌクレオチドに対応する記憶された配列と比較され得る。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドのそれぞれの量が定量化され得、オリゴヌクレオチドのこのような量は、例えば、本明細書の他の箇所に記載されているような標準曲線を使用して、それぞれの材料の量に相関している。
【0079】
図4は、オリゴヌクレオチドを使用して混合物中の材料を検出するための別のプロセスフロー400における例示的な操作を概略的に示す。図4に示されるプロセスフロー400は、少なくとも2つの材料を互いに混合して混合物を得ることを含み得、互いに異なる配列を有する異なるオリゴヌクレオチドが、材料のうちの異なる材料内に配置されている(操作410)。材料は、(例えば、図1A図1Bを参照して説明されるような)廃棄物リザーバなどの任意の好適なリザーバで、又は(例えば、図5を参照して説明されるような)混合リザーバで混合され得る。いくつかの例では、材料は、液体、半固体、及び固体からなる群から選択され得る。非限定的な一例では、材料は、配列決定に使用するための試薬を含み、かつ/又は複数のリザーバを含む基材に提供され得、各材料は、例えば、図1A図1Bを参照して説明されるようなリザーバのうちのそれぞれ1つ内にあるが、任意の好適な種類の材料及びリザーバの配置、並びに材料の混合様式が使用され得ることが理解されよう。オリゴヌクレオチドは、一本鎖DNAを含み得るが、他の好適な種類のオリゴヌクレオチドが使用され得る。非限定的な純粋に例示的な一例では、混合物は、第1の配列決定システムを使用して得られる。
【0080】
図4に示されるプロセスフロー400は、オリゴヌクレオチドの配列が、混合物中の材料を検出するために使用されることを含み得る(操作420)。図2A図2Bを参照して説明されるような様式で、オリゴヌクレオチドの各々の配列は、混合物に対応するインデックスを含み得、かつ/又はそれぞれの材料に対応するバーコードを含み得る。図1A図1Bを参照して説明されるような様式で、材料は、オリゴヌクレオチドの配列を記憶された配列と比較することによって検出され得る。加えて、いくつかの例では、材料は、オリゴヌクレオチドのそれぞれの量を定量化することと、オリゴヌクレオチドの量をそれぞれの材料の量に相関させることと、によって検出される。非限定的な純粋に例示的な一例では、混合物中のオリゴヌクレオチドは、第1の配列決定システムとは異なる第2の配列決定システムを使用して配列決定される。このような例では、オリゴヌクレオチドの配列は、第1の配列決定システム上のオリゴヌクレオチドの配列決定を阻害するように、第2の配列決定システムと適合性があり、第1の配列決定システムと適合性がないアダプターを含み得る。
【実施例
【0081】
追加の例が、以下の実施例において更に詳細に開示されるが、これらの実施例は、特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。
【0082】
図6A~6Cは、オリゴヌクレオチドを使用して混合物中の液体を検出するためのプロセスフローにおける例示的な測定値を概略的に示す。より具体的には、PhiXゲノムの異なるそれぞれの部分の26塩基がバーコードとして使用され、NEXTERA(商標)PCRタグメンテーションアダプター配列の34塩基が、図2Aに示されるような様式で各側にアダプターとして提供されたオリゴヌクレオチドのセットを調製した。図6Aに示される標準曲線は、上述の内部ラダー法を使用して作成され、特定された読み取り値のパーセントを、オリゴヌクレオチド濃度と相関させた。
【0083】
Illumina,Inc.(San Diego、CA)から市販されているiSEQ(商標)100 Sequencing Systemの事前に充填されたカートリッジ内の液体の各々中に、オリゴヌクレオチドの異なるものを混合した。iSEQ(商標)100 Sequencing Systemを使用して、内部の異なる液体を使用して配列決定操作を実施し、それらの操作からの廃棄物を収集し、その中のオリゴヌクレオチドを増幅し、次いで配列決定した。廃棄物のサンプル中の異なる液体の量を、廃棄物中のオリゴヌクレオチドの配列及びそれらの配列の量、並びに標準曲線(図6A)及び異なる液体中のそれらの配列の既知の濃度を用いて決定した。より具体的には、元の溶液中のオリゴヌクレオチドの既知の濃度を使用して、廃棄物プール内のそれぞれの希釈を求めた。例えば、廃棄物になる第1及び第2の試薬内のオリゴヌクレオチドのそれぞれの濃度が最初に同じであり、廃棄物プールのサンプル中で、オリゴヌクレオチドのうちの第1のものが300の読み取り値を有し、他方が700の読み取り値を有する場合、第1の試薬は、廃液の30%であると決定される。廃棄物の総体積を使用すると、この濃度は体積に変換され得る。
【0084】
図6Bは、iSEQ(商標)100 Sequencing Systemにおける例示的なプロセスからの廃棄物サンプル中にあると決定された異なる液体の体積を示し、以下の表1は、このような体積を列挙している。いくつかの液体(HCX1、HCX2、及びHCX3など)は各々、複数のオリゴヌクレオチドを含有していたことに留意されたい。
【0085】
【表1】
【0086】
図6B及び表1から、本発明のオリゴヌクレオチドは、いくつかの材料の混合物(例えば、10超の液体の混合物、又は20超の液体の混合物、又は30超の液体の混合物)中の各材料のそれぞれの体積を、(例えば、約0.1~500nL、約0.1~100nL、約0.1~10nL、約0.1~1nLの体積を検出するために)サブナノリットルの精度で決定するために使用され得ることが理解され得る。
【0087】
加えて、異なる液体の混合比を決定した。より具体的には、図6Cは、液体の混合物のサンプルから得られた液体HCX1、HCX2、及びHCX3の割合を示す。図6Cに示されるように、3つの液体の「理想的な」混合物は、31.48%のHCX1、15.74%のHCX2、及び31.48%のHCX3を含むが、サンプルは、29.03%のHCX1、16.49%のHCX2、及び33.18%のHCX3を含むと決定された。図6Cから、本発明のオリゴヌクレオチドは、混合物中の各材料によって提供される混合物の相対的割合を決定するために使用され得、例えば、プロセスに添加される材料のうちの1つ以上の量を増加又は減少させることによって、3つの材料の実際の混合物を所望のプロセスのための「理想的な」混合物に近づける際に使用するためのプロセス改善を評価するために使用され得ることが理解され得る。
【0088】
追加のコメント
本明細書に記載されるような本開示の態様のそれぞれの任意の対応する特徴/実施例は、任意の適切な組合わせで共に実施されてもよく、また、これらの態様のうちの任意の1つ以上からの任意の特徴/実施例は、本明細書に記載されるような利点を得るために、任意の適切な組合わせで本明細書に記載されるような(複数の)他の態様の特徴のいずれかと共に実施されてもよいことを理解されたい。
【0089】
様々な例示的な実施例が上述されているが、本発明から逸脱することなく、様々な変更及び修正がその中で行われ得ることは、当業者には明らかであろう。添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲内にある、そのようなすべての変更及び修正を網羅することを意図している。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
【配列表】
2023548260000001.app
【国際調査報告】