(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】移動中の試料の画像を取得する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20231109BHJP
G01N 21/64 20060101ALN20231109BHJP
【FI】
G02B21/00
G01N21/64 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581564
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 US2021056997
(87)【国際公開番号】W WO2022098553
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】502279294
【氏名又は名称】イルミナ ケンブリッジ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エバンス・ジェレイント
(72)【発明者】
【氏名】ホン・スタンリー
(72)【発明者】
【氏名】シュウ・メレク
(72)【発明者】
【氏名】ルー・シャオピン
(72)【発明者】
【氏名】ムーン・ジョン
【テーマコード(参考)】
2G043
2H052
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA16
2G043EA01
2G043FA02
2G043HA15
2G043KA09
2G043LA03
2H052AA09
2H052AC14
2H052AC34
2H052AD16
2H052AD20
2H052AE10
2H052AE13
2H052AF14
(57)【要約】
方法は、1つ以上の露光に基づいて、移動する試料の分析画像を生成するために使用される。照明源は、試料が視野を通って移動する間に、1つ以上のパルスにわたってカメラの視野を照明する。これらの1つ以上のパルスのそれぞれの間に試料が移動した距離は、カメラによって捕捉された画像内の1ピクセルのサイズよりも小さくなり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械であって、
ピクセルを含む画像を捕捉するためのカメラであって、前記ピクセルのそれぞれは、試料容器の移動方向におけるステージ上での距離に対応するピクセルサイズを有する、カメラと、
前記ステージと重なり合う前記カメラの視野に対して前記試料容器を移動させるための前記ステージであって、前記試料容器は、前記試料容器の移動方向にピッチ長を有する特徴のアレイを含む、前記ステージと、
前記カメラの前記視野を照明するための照明源と、
行為を実行することによって分析画像を取得するためのコントローラであって、前記行為は、前記特徴のアレイからのある特徴が前記カメラの前記視野内にある間、及び前記カメラの前記視野に対して移動中である間に、前記特徴の1つ以上の露光ごとに、
前記カメラのセンサを第1の持続時間にわたって照明することと、
前記カメラの前記センサに照明が当てられている間に経過する、第2の持続時間を有する期間中に、前記カメラの前記視野を前記照明源で照明することと、を含む、行為を実行することによって、前記特徴の前記1つ以上の露光を取得することを含む、コントローラと、を備え、
前記第2の持続時間を有する前記期間の開始から終了までの前記カメラの前記視野内での前記特徴の変位は、前記試料容器の前記移動方向での前記ピッチ長以下である、機械。
【請求項2】
前記第2の持続時間を有する前記期間の開始から終了までの前記カメラの前記視野内での前記試料容器の前記移動方向における前記特徴の変位は、前記ピクセルサイズ以下である、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記特徴の1つ以上の露光を取得することは、前記特徴の複数の露光を取得することを含み、
前記コントローラが実行する前記行為は、前記特徴の前記複数の露光のうちの1つ以上を並進させることに基づいて、前記特徴の前記複数の露光をオーバーレイすることを含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の機械。
【請求項4】
前記コントローラが実行する前記行為は、それぞれの露光について、前記カメラの前記視野が前記照明源で照明されたときの前記試料容器の位置の対応する値を取得することを含み、
前記コントローラは、前記特徴の前記複数の露光のうちの1つ以上を、前記試料容器の位置の前記露光の対応する値間の差異に基づいて並進させる、請求項3に記載の機械。
【請求項5】
前記機械は、前記試料容器の位置の値を提供するためのエンコーダを備え、
前記コントローラは、露光ごとに、前記カメラの前記視野が前記照明源で照明されたときの前記試料容器の位置の前記対応する値を前記エンコーダから取得する、請求項4に記載の機械。
【請求項6】
前記エンコーダは、前記ピクセルサイズに対応する前記ステージ上での前記距離よりも小さい距離を区別するための分解能を有し、
前記特徴の前記複数の露光をオーバーレイすることは、前記エンコーダの前記分解能で前記複数の露光のそれぞれをコレジスタすることを含む、請求項5に記載の機械。
【請求項7】
前記エンコーダの前記分解能で前記複数の露光のそれぞれをコレジスタすることは、前記1つ以上の露光のうちの少なくとも1つについて、
前記露光の高速フーリエ変換を行うことによって、周波数空間表現を取得することと、
前記ピクセルサイズに対応する前記ステージ上での前記距離の整数倍ではない距離だけ前記周波数空間表現を並進させることと、
並進させた前記周波数空間表現の逆高速フーリエ変換を実行することと、を含む、請求項6に記載の機械。
【請求項8】
前記エンコーダの前記分解能で前記複数の露光のそれぞれをコレジスタすることは、前記複数の露光ごとに、
ピクセル間のデータを補間することに基づいて、該露光を前記エンコーダの前記分解能までアップサンプリングすることと、
アップサンプリング後に前記露光のうちの1つ以上を並進させることと、を含む、請求項6に記載の機械。
【請求項9】
前記試料容器は、複数の基準点を含み、
前記コントローラは、露光間の前記基準点の場所の差異に基づいて、前記特徴の前記複数の露光のうちの1つ以上を並進させる、請求項3に記載の機械。
【請求項10】
前記分析画像は、それぞれが第1のビット深度を有する複数のピクセルを含み、
前記複数の露光のそれぞれは、それぞれが第2のビット深度を有する複数のピクセルを含み、前記第2のビット深度は、前記第1のビット深度よりも小さい、請求項3~9のいずれか一項に記載の機械。
【請求項11】
前記カメラによって捕捉されたそれぞれの画像に含まれるそれぞれのピクセルは、第3のビット深度を有し、前記第3のビット深度は、前記第2のビット深度よりも大きく、
前記特徴の前記複数の露光を取得することは、露光ごとに、
前記カメラの前記視野が前記照明源によって照明されている間、前記カメラで画像を捕捉することと、
前記カメラによって捕捉された前記画像から前記ピクセルのいくつかの最上位ビットを切り捨てることであって、切り捨てられる前記最上位ビットの数は、前記第3のビット深度と前記第2のビット深度との間の差異に等しい、ことと、を含む、請求項10に記載の機械。
【請求項12】
前記特徴を撮像するために閾値照明エネルギー用量が必要とされ、
前記特徴の前記1つ以上の露光ごとに、前記照明源で前記カメラの前記視野を照明することは、
前記第2の持続時間で乗算したときに、前記特徴を撮像するための前記閾値照明エネルギー用量よりも小さい個々の露光エネルギー用量を提供し、
前記第2の持続時間で乗算し、前記特徴の前記複数の露光内の露光数で乗算したときに、前記特徴を撮像するための前記閾値照明エネルギー用量よりも大きい集合露光エネルギー用量を提供するパワーで、前記照明源を起動することを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の機械。
【請求項13】
前記コントローラが実行する前記行為は、
前記カメラで基準物体の画像を取得することであって、前記基準物体は、既知の場所を有する複数の特徴を含む、ことと、
前記基準物体に含まれる前記複数の特徴の前記既知の場所を前記基準物体の前記画像内の前記複数の特徴の見かけ上の場所と比較することを含む行為を実行することによって、歪みマップを作製することと、
前記特徴の前記1つ以上の露光のそれぞれに前記歪みマップを適用することと、を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の機械。
【請求項14】
前記ステージは、玉軸受を使用して前記機械のフレーム上に取り付けられ、
前記カメラは、相補型金属酸化膜半導体センサを使用して画像を捕捉し、
前記照明源はダイオードレーザーである、請求項1~13のいずれか一項に記載の機械。
【請求項15】
前記特徴はナノウェルである、請求項1~14のいずれか一項に記載の機械。
【請求項16】
前記分析画像は、複数の分析画像のうちの1つであり、
前記コントローラは、複数のシーケンシングサイクルを実行し、前記複数の分析画像からのそれぞれの分析画像は、単一のシーケンシングサイクルに対応し、
前記コントローラは、前記複数の分析画像に基づいて、前記試料容器内の特徴ごとにクラスタポリヌクレオチドを決定し、
前記コントローラは、前記試料容器からの前記特徴について決定された前記クラスタポリヌクレオチドに基づいて、前記試料容器に関連付けられた試料の完全なポリヌクレオチドを決定する、請求項1~15のいずれか一項に記載の機械。
【請求項17】
前記試料容器に含まれる前記特徴のアレイは、前記試料容器の前記移動方向の前記ピッチよりも小さい、前記試料容器の前記移動方向に垂直なピッチを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の機械。
【請求項18】
前記機械は、前記第2の持続時間を有する前記期間中に、前記カメラの前記視野を前記試料容器の前記移動方向に並進させることによって、前記ステージの移動に対抗するためのモータを備える、請求項1~17のいずれか一項に記載の機械。
【請求項19】
方法であって、
移動方向に、カメラの視野に対してステージ上で特徴を並進させることであって、前記カメラは、前記ステージ上での前記移動方向の距離に対応するピクセルサイズを有し、前記特徴は、試料容器内の特徴のアレイに含まれ、前記特徴のアレイは、前記移動方向にピッチ長を有する、ことと、
前記特徴が前記カメラの前記視野内にあり、前記カメラの前記視野に対して移動中である間に、前記特徴の1つ以上の露光ごとに、
前記カメラのセンサに、第1の持続時間にわたって照明を当てることと、
前記カメラの前記センサに照明が当てられている間に経過する、第2の持続時間を有する期間中に、前記カメラの前記視野を照明源で照明することと、を含む、行為を実行することによって、前記特徴の前記1つ以上の露光を取得することを含む行為を実行することによって、分析画像を生成することと、を含み、
前記第2の持続時間を有する前記期間の開始から終了までの前記カメラの前記視野の前記特徴の変位は、前記移動方向での前記ピッチ長以下である、方法。
【請求項20】
前記第2の持続時間を有する前記期間の開始から終了までの前記移動方向における前記特徴の変位は、前記ピクセルサイズ以下である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記特徴の1つ以上の露光を取得することは、前記特徴の複数の露光を取得することを含み、
前記方法は、前記特徴の前記複数の露光のうちの1つ以上を並進させることを含む行為を実行することによって、前記特徴の前記複数の露光をオーバーレイして前記特徴の前記分析画像を作製することを含む、請求項19~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記方法は、
露光ごとに、前記カメラの前記視野が前記照明源で照明されたときの前記試料容器の位置の対応する値を取得することと、
前記特徴の前記複数の露光のうちの1つ以上を、前記試料容器の位置の前記露光の対応する値間の差異に基づいて並進させることと、を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
露光ごとに、前記カメラの前記視野が前記照明源で照明されたときの前記試料容器の位置の前記対応する値は、エンコーダから取得される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記エンコーダは、前記ピクセルサイズに対応する前記ステージ上での前記距離よりも小さい距離を区別するための分解能を有し、
前記特徴の前記複数の露光をオーバーレイすることは、前記エンコーダの前記分解能で前記複数の露光のそれぞれをコレジスタすることを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記エンコーダの前記分解能で前記複数の露光のそれぞれをコレジスタすることは、前記1つ以上の露光のうちの少なくとも1つについて、
前記露光の高速フーリエ変換を行うことによって、周波数空間表現を取得することと、
前記ピクセルサイズに対応する前記ステージ上での前記距離の整数倍ではない距離だけ前記周波数空間表現を並進させることと、
並進させた前記周波数空間表現の逆高速フーリエ変換を実行することと、を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記エンコーダの前記分解能で前記複数の露光のそれぞれをコレジスタすることは、前記複数の露光ごとに、
ピクセル間のデータを補間することに基づいて、該露光を前記エンコーダの前記分解能までアップサンプリングすることと、
アップサンプリング後に前記露光のうちの1つ以上を並進させることと、を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記試料容器は、複数の基準点を含み、
前記方法は、前記特徴の前記複数の露光のうちの1つ以上を、露光間の前記基準点の場所の差異に基づいて並進させることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記分析画像は、それぞれが第1のビット深度を有する複数のピクセルを含み、
前記複数の露光のそれぞれは、それぞれが第2のビット深度を有する複数のピクセルを含み、前記第2のビット深度は、前記第1のビット深度よりも小さい、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記カメラによって捕捉されたそれぞれの画像に含まれるそれぞれのピクセルは、第3のビット深度を有し、前記第3のビット深度は、前記第2のビット深度よりも大きく、
前記特徴の前記複数の露光を取得することは、露光ごとに、
前記カメラの前記視野が前記照明源によって照明されている間、前記カメラで画像を捕捉することと、
前記カメラによって捕捉された前記画像から前記ピクセルのいくつかの最上位ビットを切り捨てることであって、切り捨てられる前記最上位ビットの数は、前記第3のビット深度と前記第2のビット深度との間の差異に等しい、ことと、を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記特徴を撮像するために閾値照明エネルギー用量が必要とされ、
前記特徴の前記1つ以上の露光ごとに、前記照明源で前記カメラの前記視野を照明することは、
前記第2の持続時間で乗算したときに、前記特徴を撮像するための前記閾値照明エネルギー用量よりも小さい個々の露光エネルギー用量を提供し、
前記第2の持続時間で乗算し、前記複数の露光内の露光数で乗算したときに、前記特徴を撮像するための前記閾値照明エネルギー用量よりも大きい集合露光エネルギー用量を提供するパワーで、前記照明源を起動することを含む、請求項19~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記方法は、
前記カメラで基準物体の画像を取得することであって、前記基準物体は、既知の場所を有する複数の特徴を含む、ことと、
前記基準物体に含まれる前記複数の特徴の前記既知の場所を前記基準物体の前記画像内の前記複数の特徴の見かけ上の場所と比較することを含む行為を実行することによって、歪みマップを作製することと、
前記特徴の前記1つ以上の露光のそれぞれに前記歪みマップを適用することと、を含む、請求項19~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記ステージは、玉軸受を使用して静止フレーム上に取り付けられ、
前記カメラは、相補型金属酸化膜半導体センサを使用して画像を捕捉し、
前記照明源はダイオードレーザーである、請求項19~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記特徴はナノウェルである、請求項19~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記分析画像は、複数の分析画像のうちの1つであり、
前記方法は、
複数のシーケンシングサイクルを実行することであって、前記複数の分析画像からのそれぞれの分析画像は、単一のシーケンシングサイクルに対応する、ことと、
前記複数の分析画像に基づいて、前記試料容器内の特徴ごとにクラスタポリヌクレオチドを決定することと、
前記試料容器からの前記特徴について決定された前記クラスタポリヌクレオチドに基づいて、前記試料容器に関連付けられた試料の完全なポリヌクレオチドを決定することと、を含む、請求項19~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記試料容器に含まれる前記特徴のアレイは、前記試料容器の前記移動方向の前記ピッチよりも小さい、前記試料容器の前記移動方向に垂直なピッチを有する、請求項19~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記方法は、前記第2の持続時間を有する前記期間中に、前記カメラの前記視野を前記移動方向に並進させることによって前記ステージの移動に対抗するモータを含む、請求項19~35のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年11月6日に出願された米国特許仮出願第63/110,720号、発明の名称「Apparatus and Method of Obtaining an Image of a Sample in Motion」の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
このセクションで考察される主題は、単にこのセクションにおける言及の結果として、先行技術であると想定されるべきではない。同様に、このセクションで言及した問題、又は背景として提供された主題と関連付けられた問題は、先行技術において以前に認識されていると想定されるべきではない。このセクションの主題は、単に、異なるアプローチを表し、それ自体はまた、特許請求される技術の実施態様に対応し得る。
【0003】
撮像される物体について、当該物体が撮像デバイスの視野内にある間に、光子が収集されなければならない。これには、次に、物体が照明されることが必要である。撮像される物体が、限られた時間のみ視野内にあるとき、撮像システムは、物体が視野内にある間に照明を通して印加されるエネルギーが、必要な光子を収集するのに十分であることを確実にする必要がある。高精度モーションステージ、時間遅延積分(time delay integration、TDI)カメラ、及びダイオード励起固体(diode pumped solid state、DPSS)レーザーは、この目的を達成するために使用されてきた構成要素のうちの1つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書に開示される実施例は、物体を照明するための技術を対象とし、シーケンシングされる遺伝物質の試料を照明するための技術に特に焦点を当てる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施態様は、ピクセルを含む画像を捕捉するためのカメラを備える機械に関し、ピクセルのそれぞれは、試料容器の移動方向におけるステージ上での距離に対応するピクセルサイズを有する。機械は、ステージと重なり合うカメラの視野に対して試料容器を移動させるためのステージを更に備え、試料容器は、試料容器の移動方向にピッチ長を有する特徴のアレイを含む。機械は、カメラの視野を照明するための照明源を更に備える。機械は、特徴のアレイからのある特徴がカメラの視野内にあり、カメラの視野に対して移動している間に、その特徴の1つ以上の露光を取得することを含む行為を実行することによって分析画像を取得するためのコントローラを更に備える。特徴の1つ以上の露光を取得することは、1つ以上の露光ごとに、行為を実行することによって実行され得る。行為は、第1の持続時間にわたってカメラのセンサに照明を当てることと、カメラのセンサに照明が当てられている間に経過する、第2の持続時間を有する期間中に、カメラの視野を照明源で照明することと、を含み得る。そのような機械では、第2の持続時間を有する期間の開始から終了までのカメラの視野内での特徴の変位は、試料容器の移動方向のピッチ長以下である。
【0006】
いくつかの実施態様では、前述のような機械において、第2の持続時間を有する期間の開始から終了までのカメラの視野内での試料容器の移動方向における特徴の変位は、ピクセルサイズ以下であり得る。
【0007】
本発明の概要の先行する2つの段落のいずれかに記載されているような機械のいくつかの実施態様では、特徴の1つ以上の露光を取得することは、特徴の複数の露光を取得することを含む。コントローラが実行する行為は、特徴の複数の露光のうちの1つ以上を並進させることに基づいて、特徴の複数の露光をオーバーレイすることを含む。
【0008】
本発明の概要の先行する段落に記載されているような機械のいくつかの実施態様では、コントローラが実行する行為は、露光ごとに、カメラの視野が照明源で照明されたときの試料容器の位置の対応する値を取得することを含む。いくつかのそのような実施態様では、コントローラは、特徴の複数の露光のうちの1つ以上を、試料容器の位置の露光の対応する値間の差異に基づいて並進させる。
【0009】
本発明の概要の先行する段落に記載されているような機械のいくつかの実施態様では、機械は、試料容器の位置の値を提供するためのエンコーダを備える。いくつかのそのような実施態様では、コントローラは、露光ごとに、カメラの視野が照明源で照明されたときの試料容器の位置の対応する値をエンコーダから取得する。
【0010】
本発明の概要の先行する段落に記載されているような機械のいくつかの実施態様では、エンコーダは、ピクセルサイズに対応するステージ上の距離よりも小さい距離を区別する分解能を有し、特徴の複数の露光をオーバーレイすることは、エンコーダの分解能で複数の露光のそれぞれをコレジスタすることを含む。
【0011】
本発明の概要の先行する段落に記載されているような機械のいくつかの実施態様では、エンコーダの分解能で複数の露光のそれぞれをコレジスタすることは、1つ以上の露光のうちの少なくとも1つについて、露光の高速フーリエ変換を行うことによって周波数空間表現を取得することを含む。エンコーダの分解能で複数の露光のそれぞれをコレジスタすることは、1つ以上の露光のうちの少なくとも1つについて、周波数空間表現を、ピクセルサイズに対応するステージ上での距離の整数倍ではない距離だけ並進させることを更に含む。エンコーダの分解能で複数の露光のそれぞれをコレジスタすることは、1つ以上の露光のうちの少なくとも1つについて、並進させた周波数空間表現の逆高速フーリエ変換を実行することを更に含む。
【0012】
本発明の概要の先行する2つの段落のいずれかに記載されているような機械のいくつかの実施態様では、エンコーダの分解能で複数の露光のそれぞれをコレジスタすることは、複数の露光ごとに、ピクセル間のデータを補間することに基づいてエンコーダの分解能までその露光をアップサンプリングすることと、アップサンプリング後に露光のうちの1つ以上を並進させることと、を含む。
【0013】
本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような機械のいくつかの実施態様では、試料容器は、複数の基準点を含み得、コントローラは、露光間の基準点の場所の差異に基づいて、特徴の複数の露光のうちの1つ以上を並進させ得る。
【0014】
本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような機械のいくつかの実施態様では、分析画像は、それぞれが第1のビット深度を有する複数のピクセルを含む。いくつかのそのような実施態様では、複数の露光のそれぞれは、複数のピクセルを含み、複数のピクセルのそれぞれは、第1のビット深度よりも小さい第2のビット深度を有する。
【0015】
先行する段落に記載されているような機械のいくつかの実施態様では、カメラによって捕捉されたそれぞれの画像に含まれるそれぞれのピクセルは、第3のビット深度を有し、第3のビット深度は、第2のビット深度よりも大きい。露光の複数の露光を取得することは、露光ごとに、カメラの視野が照明源によって照明されている間にカメラで画像を捕捉することと、カメラによって捕捉された画像からピクセルのいくつかの最上位ビットを切り捨てることと、を含み、切り捨てられる最上位ビットの数は、第3のビット深度と第2のビット深度との間の差異に等しい。
【0016】
本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような機械のいくつかの実施態様では、特徴を撮像するために閾値照明エネルギー用量が必要である。特徴の1つ以上の露光ごとに、カメラの視野を照明源で照明することは、第2の持続時間で乗算したときに、特徴を撮像するための閾値照明エネルギー用量よりも小さい個々の露光エネルギー用量を提供し、かつ第2の持続時間で乗算し、複数の露光内の露光の数で乗算したときに、特徴を撮像するための閾値照明エネルギー用量よりも大きい集合露光エネルギー用量を提供するパワーで照明源を起動することを含む。
【0017】
本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような機械のいくつかの実施態様では、コントローラが実行する行為は、カメラで基準物体の画像を取得することを含み、基準物体は、既知の場所を有する複数の特徴を含む。コントローラが実行する行為は、基準物体に含まれる複数の特徴の既知の場所を基準物体の画像内の複数の特徴の見かけ上の場所と比較することを含む行為を実行することによって歪みマップを作製することと、特徴の1つ以上の露光のそれぞれに歪みマップを適用することと、を更に含む。
【0018】
本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような機械のいくつかの実施態様では、ステージは、玉軸受を使用して機械のフレーム上に取り付けられ、カメラは、相補型金属酸化膜半導体センサを使用して画像を捕捉し、照明源はダイオードレーザーである。
【0019】
本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような機械のいくつかの実施態様では、特徴はナノウェルである。
【0020】
本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような機械のいくつかの実施態様では、分析画像は、複数の分析画像のうちの1つであり、コントローラは、複数のシーケンシングサイクルを実行し、複数の分析画像からのそれぞれの分析画像は、単一のシーケンシングサイクルに対応し、コントローラは、複数の分析画像に基づいて、試料容器内の特徴ごとにクラスタポリヌクレオチドを決定し、コントローラは、試料容器からの特徴について決定されたクラスタポリヌクレオチドに基づいて、試料容器に関連付けられた試料の完全なポリヌクレオチドを決定する。
【0021】
本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような機械のいくつかの実施態様では、試料容器に含まれる特徴のアレイは、試料容器の移動方向におけるピッチよりも小さい、試料容器の移動方向に垂直なピッチを有する。
【0022】
本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような機械のいくつかの実施態様では、機械は、第2の持続時間を有する期間中に、カメラの視野を試料容器の移動方向に並進させることによってステージの移動に対抗するためのモータを備える。
【0023】
別の実施態様は、移動方向に、カメラの視野に対してステージ上の特徴を並進させることを含む方法に関し、カメラは、ステージ上の移動方向の距離に対応するピクセルサイズを有し、特徴は、試料容器内の特徴のアレイに含まれ、特徴のアレイは、移動方向にピッチ長を有する。方法は、特徴がカメラの視野内にあり、カメラの視野に対して移動中である間に、1つ以上の露光ごとに行為を実行することによって特徴の1つ以上の露光を取得することを含む、行為を実行することによって分析画像を生成することを更に含む。そのような行為は、第1の持続時間にわたってカメラのセンサに照明を当てることと、カメラのセンサに照明が当てられている間に経過する、第2の持続時間を有する期間中に、照明源でカメラの視野を照明することと、を含む。そのような方法では、第2の持続時間を有する期間の開始から終了までのカメラの視野内での特徴の変位は、移動方向のピッチ長以下である。
【0024】
いくつかの実施態様では、本発明の概要の先行する段落に記載されているような方法では、第2の持続時間を有する期間の開始から終了までの移動方向における特徴の変位は、ピクセルサイズ以下である。
【0025】
いくつかの実施態様では、本発明の概要の先行する2つの段落のいずれかに記載されているような方法において、特徴の1つ以上の露光を取得することは、特徴の複数の露光を取得することを含む。この方法は、特徴の複数の露光のうちの1つ以上を並進させることを含む行為を実行することによって、特徴の複数の露光をオーバーレイして特徴の分析画像を作製することを更に含む。
【0026】
いくつかの実施態様では、先行する段落に記載されているような方法において、この方法は、露光ごとに、カメラの視野が照明源で照明されたときの試料容器の位置についての対応する値を取得することと、試料容器の位置についての露光の対応する値間の差異に基づいて、特徴の複数の露光のうちの1つ以上を並進させることと、を含む。
【0027】
いくつかの実施態様では、先行する段落に記載されているような方法において、露光ごとに、カメラの視野が照明源で照明されたときの試料容器の位置についての対応する値は、エンコーダから取得される。
【0028】
いくつかの実施態様では、先行する段落に記載されているような方法において、エンコーダは、ピクセルサイズに対応するステージ上の距離よりも小さい距離を区別するための分可能を有し、スポットの複数の露光をオーバーレイすることは、エンコーダの分解能で複数の露光のそれぞれをコレジスタすることを含む。
【0029】
いくつかの実施態様では、本発明の概要の先行する段落に記載されているような方法において、エンコーダの分解能で複数の露光のそれぞれをコレジスタすることは、1つ以上の露光のうちの少なくとも1つについて、露光の高速フーリエ変換を行うことによって周波数空間表現を取得することを含む。エンクロージャの分解能で複数の露光のそれぞれをコレジスタすることは、1つ以上の露光のうちの少なくとも1つについて、周波数空間表現を、ピクセルサイズに対応するステージ上の距離の整数倍ではない距離だけ並進させることと、並進させた周波数空間表現の逆高速フーリエ変換を実行することと、を更に含む。
【0030】
いくつかの実施態様では、先行する2つの段落のいずれかに記載されているような方法において、複数の露光のそれぞれをコレジスタすることは、複数の露光ごとに、ピクセル間のデータを補間することに基づいてエンコーダの分解能までその露光をアップサンプリングすることと、アップサンプリング後に露光のうちの1つ以上を並進させることと、を含む。
【0031】
いくつかの実施態様では、本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような方法において、試料容器は複数の基準点を含み、方法は、特徴の複数の露光のうちの1つ以上を、露光間の基準点の場所の差異に基づいて並進させることを含む。
【0032】
いくつかの実施態様では、本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような方法において、分析画像は、それぞれが第1のビット深度を有する複数のピクセルを含み、複数の露光のそれぞれは、それぞれが第2のビット深度を有する複数のピクセルを含み、第2のビット深度は、第1のビット深度よりも小さい。
【0033】
いくつかの実施態様では、本発明の概要の先行する段落に記載されているような方法において、カメラによって捕捉されたそれぞれの画像に含まれるそれぞれのピクセルは、第3のビット深度を有し、第3のビット深度は、第2のビット深度よりも大きい。加えて、特徴の複数の露光を取得することは、露光ごとに、カメラの視野が照明源によって照明されている間に、カメラで画像を捕捉することと、カメラによって捕捉された画像からピクセルのいくつかの最上位ビットを切り捨てることと、を含み、切り捨てられる最上位ビットの数は、第3のビット深度と第2のビット深度との間の差異に等しい。
【0034】
いくつかの実施態様では、本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような方法において、特徴を撮像するために閾値照明エネルギー用量が必要である。加えて、そのような方法において、特徴の1つ以上の露光ごとに、カメラの視野を照明源で照明することは、第2の持続時間で乗算したときに、特徴を撮像するための閾値照明エネルギー用量よりも小さい個々の露光エネルギー用量を提供し、かつ第2の持続時間で乗算し、複数の露光内の露光の数で乗算したときに、特徴を撮像するための閾値照明エネルギー用量よりも大きい集合露光エネルギー用量を提供するパワーで照明源を起動することを含む。
【0035】
いくつかの実施態様では、本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような方法において、方法は、カメラで基準物体の画像を取得することを含み、基準物体は、既知の場所を有する複数の特徴を含む。方法は、基準物体に含まれる複数の特徴の既知の場所を基準物体の画像内の複数の特徴の見かけ上の場所と比較することを含む行為を実行することによって、歪みマップを作製することを更に含み得る。方法は、特徴の1つ以上の露光のそれぞれに歪みマップを適用することを更に含み得る。
【0036】
いくつかの実施態様では、本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような方法において、ステージは、玉軸受を使用して静止フレーム上に取り付けられ、カメラは、相補型金属酸化膜半導体センサを使用して画像を捕捉し、照明源はダイオードレーザーである。
【0037】
いくつかの実施態様では、本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような方法において、特徴はナノウェルである。
【0038】
いくつかの実施態様では、本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような方法において、分析画像は、複数の分析画像のうちの1つである。いくつかのそのような実施態様では、方法は、複数のシーケンシングサイクルを実行することであって、複数の分析画像からのそれぞれの分析画像は、単一のシーケンシングサイクルに対応する、ことと、複数の分析画像に基づいて、試料容器内の特徴ごとにクラスタポリヌクレオチドを決定することと、試料容器からの特徴について決定されたクラスタポリヌクレオチドに基づいて、試料容器に関連付けられた試料の完全なポリヌクレオチドを決定することと、を更に含む。
【0039】
いくつかの実施態様では、本発明の概要の先行する段落のいずれかに記載されているような方法において、試料容器に含まれる特徴のアレイは、試料容器の移動方向のピッチよりも小さい、試料容器の移動方向に垂直なピッチを有する。
【0040】
いくつかの実施態様では、本発明の先行する段落のいずれかに記載されるような方法において、方法は、第2の持続時間を有する期間中にカメラの視野を移動方向に並進させることによってステージの移動に対抗するモータを含む。
【0041】
別の実施態様は、ステージと重なり合うカメラの視野に対して試料を移動させるためのステージを備える機械に関する。機械は、ピクセルを含む画像を捕捉するためのカメラを更に含み、ピクセルのそれぞれは、ステージ上の距離に対応するピクセルサイズを有する。機械は、カメラの視野を照明するための照明源を更に備える。機械は、パルス照明を使用して連続的に移動する試料の分析画像を取得するための手段を更に備える。
【0042】
いくつかの実施態様では、本発明の概要の先行する段落に記載されているような機械において、パルス照明を使用して連続的に移動する試料の分析画像を取得するための手段は、複数の閾値下露光を並進させ、オーバーレイするための手段を含む。
【0043】
開示される技術の他の特徴及び態様は、例として、開示される技術の例による特徴を示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。発明の概要は、本文書又は任意の関連文書によって提供される任意の保護の範囲を限定することを意図するものではなく、その範囲は、それぞれの文書の特許請求の範囲及び同等物によって定義される。
【0044】
前述の概念の全ての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しないという条件で)は、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると意図されていることを理解されたい。具体的には、本開示の終わりに現れる特許請求される主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示される発明の主題の一部であると企図される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本開示は、1つ以上の様々な例に従って、以下の図を参照して詳細に説明される。図は、例示の目的のみで提供されており、単に典型的又は例示的な実施態様を示す。
【
図1】一例における、本明細書に開示されるシステム及び方法が実施され得る例示的な画像スキャンシステムの一般化されたブロック図を示す。
【
図2】特定の実施態様で実施され得る例示的な2チャネルラインスキャンモジュール式光学撮像システムを示すブロック図である。
【
図3】本明細書に開示される実施態様に従って撮像され得るパターン化された試料の例示的な構成を示す。
【
図4】カメラがその視野を通して連続的に移動する試料を撮像するために使用される例示的なシナリオを示す。
【
図5】複数の露光が組み合わされる例示的なプロセスを示す。
【
図6】本開示に記載される実施態様の様々な特徴を実施するために使用され得る例示的なコンピューティングモジュールを示す。
【
図7A】特徴からの照明がレンズ及びミラーを使用してカメラに集束される構成を示す。
【
図7B】特徴からの照明がレンズ及びミラーを使用してカメラに集束される構成を示す。
【
図7C】特徴からの照明がレンズ及びミラーを使用してカメラに集束される構成を示す。
【0046】
図は網羅的ではなく、本開示を、開示される正確な形態に限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0047】
試料について言及するために本明細書で使用するとき、用語「スポット」又は「特徴」は、相対場所に従って他の点又は他の領域と区別され得るパターンの点又は領域を意味することを意図する。個々のスポットは、特定の種類の1つ以上の分子を含み得る。例えば、スポットは、特定のシーケンスを有する単一の標的核酸分子を含み得、あるいはスポットは、同一のシーケンス(及び/又はその相補的シーケンス)を有するいくつかの核酸分子を含み得る。
【0048】
方向と関連してスポット又は特徴に言及するために本明細書で使用するとき、用語「ピッチ」は、スポット又は特徴がその方向で他のスポット又は特徴から分離していることを意味することを意図する。例えば、試料容器が、撮像中に容器が移動する方向に650nmだけ互いに分離している特徴のアレイを有する場合、その方向の特徴の「ピッチ」は、650nmであると称され得る。
【0049】
本明細書で使用するとき、用語「xy平面」は、デカルト座標系における直線軸x及びyによって定義される2次元エリアを意味することを意図する。検出器及び検出器によって観察される物体を参照して使用される場合、領域は検出器と検出されている物体との間の観測方向に直交するように更に指定され得る。ラインスキャナに言及するために本明細書で使用するとき、用語「y方向」は、スキャンの方向を指す。
【0050】
本明細書で使用するとき、用語「z座標」は、xy平面に直交する軸に沿った点、線、又は領域の位置を指定する情報を意味することを意図する。特定の実施態様では、z軸は、検出器によって観察される物体の領域に直交する。例えば、光学系の焦点の方向は、z軸に沿って指定されてもよい。
【0051】
本明細書で使用するとき、用語「ラインをスキャンする」は、物体のxy平面における2次元断面を検出することを意味することを意図し、断面は、矩形又は楕円形であり、断面と物体との間の相対移動を引き起こす。例えば、蛍光撮像する場合、矩形若しくは楕円形の形状を有する物体の領域は、(他の領域を除外して)特異的に励起され得、及び/又はその領域からの発光は、スキャンの所与の時点で(他の領域を除外して)特異的に取得され得る。
【0052】
本明細書に開示される実施態様は、運動中に撮像される物体の照明を対象とする。照明は、1つ以上の短い間隔に対して提供されてもよく、複数の照明の短い間隔に対応するデータを組み合わせて画像が生成されてもよい。
【0053】
図1は、本明細書に開示される技術が実施され得る例示的な撮像システム100である。例示的な撮像システム100は、試料の画像を取得又は生成するためのデバイスを含み得る。
図1に概説される例は、バックライト設計の実施態様の例示的な撮像構成を示す。システム及び方法は、例示的な撮像システム100の文脈において時々本明細書に記載され得るが、これらはあくまで、本明細書に開示される照明及び撮像技術の実施態様が実装され得る例であることに留意されたい。
【0054】
図1の例に見られ得るように、対象試料は、試料容器110(例えば、本明細書に記載のフローセル)上に位置し、フレーム190上に取り付けられた試料ステージ170上で、対物レンズ142の下に位置付けられている。光源160及び関連する光学素子は、レーザー光などの光ビームを試料容器110上の選択された試料の場所に方向付ける。試料蛍光及び得られた光は、対物レンズ142によって収集され、カメラシステム140の画像センサに方向付けられて蛍光が検出される。試料ステージ170は、試料容器110上の次の試料の場所を対物レンズ142の焦点に位置付けるため、対物レンズ142に対して移動される。対物レンズ142に対する試料ステージ170の移動は、試料ステージ自体、対物レンズ、イメージングシステムのいくつかの他の構成要素、又は前述の任意の組み合わせを移動させることによって達成され得る。更なる実施態様はまた、静止試料の上で撮影システム全体を移動させることを含んでもよい。
【0055】
流体送達モジュール又はデバイス180は、試薬の流れ(例えば、蛍光標識されたヌクレオチド、緩衝剤、酵素、開裂試薬など)を試料容器110及び廃棄物バルブ120に方向付ける(かつ通過させる)。試料容器110は、試料がその上に提供される1つ以上の基材を含んでもよい。例えば、多数の様々な核酸シーケンスを解析するシステムの場合、試料容器110は、シーケンシングされる核酸がその上で結合、付着、又は会合する1つ以上の基材を含んでもよい。様々な実施態様では、基材としては、例えば、ガラス表面、プラスチック表面、ラテックス、デキストラン、ポリスチレン表面、ポリプロピレン表面、ポリアクリルアミドゲル、金表面、及びシリコンウェハなどの、核酸が付着され得る任意の不活性基材又は基質が挙げられ得る。いくつかの用途では、基材は、試料容器110にわたって行列又はアレイに形成された複数の場所におけるチャネル内又は他の領域内にある。
【0056】
いくつかの実施態様では、試料容器110は、1つ以上の蛍光染料を使用して撮像される生体試料を含み得る。例えば、特定の実施態様では、試料容器110は、透明カバープレート、基材、及び透明カバープレートと基材との間に挟まれた液体を含むパターン化フローセルとして実装されてもよく、生体試料は、透明カバープレートの内面又は基材の内面に位置してもよい。フローセルは、多数(例えば、何千個、何百万個、若しくは何十億個)のウェル、又は基材内に、画定されたアレイ(例えば、六角形アレイ、矩形アレイなど)にパターン化されている他のタイプのスポット(例えば、パッド、ディボット)領域を含んでもよい。それぞれのスポットは、例えば、合成によるシーケンシングを使用してシーケンシングされ得るDNA、RNA、又は別のゲノム材料などの生体試料のクラスタ(例えば、モノクローナルクラスタ)を形成してもよい。フローセルは、多数の離間したレーン(例えば、8つのレーン)に更に分割されてもよく、各レーンは、クラスタの六角形アレイを含む。本明細書に開示される実施態様で使用され得るフローセルの例は、米国特許第8,778,848号に記載されている。
【0057】
システムはまた、試料容器110内の流体の状態の温度を任意に調節し得る温度ステーションアクチュエータ130及び加熱器/冷却器135を備える。カメラシステム140は、試料容器110のシーケンシングを監視及び追跡するために含まれてもよい。カメラシステム140は、例えば、電荷結合素子(charge-coupled device、CCD)カメラ(例えば、時間差積分(TDI)CCDカメラ)として実装されてもよく、フィルタスイッチングアセンブリ145、対物レンズ142、及び集束レーザー/集束レーザーアセンブリ150内の様々なフィルタと相互作用し得る。カメラシステム140は、CCDカメラに限定されず、他のカメラ及び画像センサ技術が使用されてもよい。特定の実施態様では、カメラセンサは、約5~約15μmのピクセルサイズを有し得るが、場合によっては、2.4μmなどの他のピクセルサイズが使用されてもよい。
【0058】
カメラシステム140のセンサからの出力データは、画像データを分析し(例えば、画質スコアリング)、レーザービームの特性(例えば、焦点、形状、強度、電力、輝度、位置)をグラフィカルユーザインターフェース(GUI)に報告又は表示し、以下に更に記載されるように、画像データ内の歪みを動的に修正する、ソフトウェアアプリケーションとして実装され得るリアルタイム分析モジュール(図示せず)に通信されてもよい。
【0059】
光源160(例えば、複数のレーザーを任意選択的に含むアセンブリ内の励起レーザー)又は他の光源は、光ファイバインターフェース(任意選択的に1つ以上の再撮像レンズ、光ファイバ取り付け部などを含み得る)を介した照明による試料内の蛍光シーケンシング反応を照明するために含まれてもよい。図示の例には、低ワットランプ165及び集束レーザー150も提示されている。いくつかの実施態様では、集束レーザー150は、撮像中にオフにされてもよい。他の実施態様では、代替焦点構成は、データ収集と同時に表面から反射された散乱ビームの場所を測定するための象限検出器、光位置センサ(Position Sensitive Detector、PSD)、又は同様の検出器であり得る、第2の集束カメラ(図示せず)を含み得る。
【0060】
バックライト付きデバイスとして図示されているが、他の例は、対物レンズ142を通して試料容器110上の試料に方向付けられるレーザー又は他の光源からの光を含んでもよい。試料容器110は、対物レンズ142に対する試料容器110の移動及び位置合わせを提供するように、試料ステージ170に最終的に取り付けられてもよい。試料ステージは、3次元のいずれかで移動することを可能にする1つ以上のアクチュエータを有してもよい。例えば、デカルト座標系の観点から、ステージが対物レンズに対してX方向、Y方向、及びZ方向に移動することを可能にするアクチュエータが提供されてもよい。これにより、試料容器110上の1つ以上の試料の場所が対物レンズ142と光学的に位置合わせされて位置付けられることを可能にし得る。
【0061】
この例には、(典型的にはz軸又はz方向と称される)焦点方向における試料容器110に対する光学構成要素の位置決めを制御するために含まれるものとして、焦点(z軸)構成要素175が示されている。焦点構成要素175は、光学構成要素(例えば、対物レンズ142)に対して試料ステージ170上の試料容器110を移動させて、撮影動作のための適切な焦点合わせを提供するために、光学ステージ若しくは試料ステージ又はその両方に物理的に結合された1つ以上のアクチュエータを含んでもよい。例えば、アクチュエータは、例えば、ステージとの直接的又は間接的な、機械的接続、磁気的接続、流体的接続、若しくは他の接続又は接触によって、それぞれのステージに物理的に結合されてもよい。1つ以上のアクチュエータは、試料ステージを同一の平面内に維持しながら(例えば、光軸に垂直なレベル又は水平姿勢を維持しながら)、z方向にステージを移動させ得る。1つ以上のアクチュエータはまた、ステージを傾斜させ得る。これは、例えば、試料容器110が、表面における任意の傾斜を考慮するように動的に平坦化され得るように行われ得る。
【0062】
システムの焦点合わせは、一般に、対物レンズの焦点面を、選択された試料場所で撮像される試料に位置合わせすることを指す。しかしながら、焦点合わせはまた、例えば、試験試料の画像に対する所望のレベルの鋭利さ又はコントラストなどの試料の表現のための所望の特性を得るようにシステムを調整することを指し得る。対物レンズの焦点面の使用可能な被写界深度は小さい(時に1μm程度又はそれ以下)場合があるため、焦点構成要素175は、撮像されている表面に密接に従う。試料容器は、器具に固定されるものとして完全に平坦ではないため、焦点構成要素175は、スキャン方向(本明細書ではy軸と称される)に沿って移動しながら、このプロファイルに従うように設定されてもよい。
【0063】
試料の場所における試験試料から発せられる光は、カメラシステム140の1つ以上の検出器に方向付けられてもよい。焦点領域から発せられる光のみが検出器に渡ることを可能にするため、開口が含まれ、位置付けられてもよい。開口は、焦点領域の外側にある領域から発せられる光の成分をフィルタリングすることによって、画質を改善するために含まれてもよい。発光フィルタは、フィルタスイッチングアセンブリ145に含まれてもよく、決定された発光波長を記録するため、及び任意のレーザー迷光をカットするために選択され得る。
【0064】
図示されていないが、
図6の文脈で以下に論じられるようなコンピューティングモジュールとして実装され得るコントローラは、スキャンシステムの動作を制御するために提供されてもよい。コントローラは、例えば、焦点合わせ、ステージの移動、及び撮像動作などのシステム動作の態様を制御するために実装されてもよい。様々な実施態様では、コントローラは、ハードウェア、アルゴリズム(例えば、機械実行可能命令)、又は前述の組み合わせを使用して実装されてもよい。例えば、いくつかの実施態様では、コントローラは、1つ以上のCPU又は関連するメモリを有するプロセッサを含んでもよい。別の例として、コントローラは、コンピュータプロセッサ及び機械可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体などの動作を制御するためのハードウェア又は他の回路構成を備えてもよい。例えば、この回路構成は、以下:フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、プログラマブル論理デバイス(programmable logic device、PLD)、複合プログラマブル論理デバイス(complex programmable logic device、CPLD)、プログラマブル論理アレイ(programmable logic array、PLA)、プログラマブルアレイ論理(programmable array logic、PAL)、又は他の同様の処理デバイス若しくは回路構成のうちの1つ以上を含んでもよい。更に別の例として、コントローラは、この回路構成と1つ以上のプロセッサとの組み合わせを含んでもよい。
【0065】
開示される技術を実施するときに、他の撮像システムが使用されてもよい。例えば、
図2は、本開示の技術の態様が実施され得る例示的な2チャネルのラインスキャンモジュール式光学撮像システム200を示すブロック図である。いくつかの実施態様では、システム200は、核酸のシーケンシングに使用され得る。適用可能な技術は、核酸がアレイ内の固定場所(例えば、フローセルのウェル)に付着し、アレイが、撮像システム200内のカメラの視野に対して移動中に繰り返し撮像されるものを含む。そのような実施態様では、システム200は、特定のヌクレオチド塩基タイプを別のヌクレオチド塩基と区別するために使用され得る、2つの異なる色チャネルの画像を取得し得る。より具体的には、システム200は、「ベースコール」と称されるプロセスを実施してもよく、これは一般に、撮像サイクルでの画像の所与のスポットの場所について、ベースコール(例えば、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、又はチミン(T))を決定するプロセスを指す。2チャネルベースコール中、2つの画像から抽出された画像データを使用して、塩基同一性を2つの画像の強度の組み合わせとして符号化することによって、4つの塩基タイプのうちの1つの存在が決定され得る。2つの画像のそれぞれにおける所与のスポット又は場所について、塩基同一性は、信号同一性の組み合わせが[オン、オン]、[オン、オフ]、[オフ、オン]、又は[オフ、オフ]であるかどうかに基づいて決定され得る。
【0066】
再び撮像システム200を参照すると、システムは、2つの光源211及び212がその中に配設されたライン生成モジュール(line generation module、LGM)210を含む。光源211及び212は、レーザービームを出力するレーザーダイオードなどの可干渉光源であり得る。光源211は、第1の波長(例えば、赤色の波長)で光を発し得、光源212は、第2の波長(例えば、緑色の波長)で光を発し得る。レーザー源211及び212から出力される光ビームは、ビーム成形レンズ(単数又は複数)213を通して方向付けられ得る。いくつかの実施態様では、単一の光成形レンズを使用して、両方の光源から出力された光ビームが成形され得る。他の実施態様では、光ビームごとに別個のビーム成形レンズが使用され得る。いくつかの例では、ビーム成形レンズはパウエルレンズであり、そのため、光ビームはラインパターンに成形される。LGM210のビーム成形レンズ又は他の光学構成要素撮像システムは、光源211及び212によって放出された光をラインパターンに成形し得る(例えば、1つ以上のパウエルレンズ、又は他のビーム成形レンズ、回折又は散乱成分を使用することによる)。
【0067】
LGM210は、光ビームを単一のインターフェースポートを通して発光光学モジュール(emission optics module、EOM)230に方向付けるためのミラー214及び半反射ミラー215を更に含み得る。光ビームは、シャッター要素216を通過し得る。EOM230は、対物レンズ235と、対物レンズ235を標的250に近づけるように又は標的250から遠ざけるように長手方向に移動させるzステージ236と、を含み得る。例えば、標的250は、液体層252及び半透明カバープレート251を含み得、生体試料は、半透明カバープレートの内面、並びに液体層の下に位置する基材層の内面に位置し得る。zステージ236は、次いで、光ビームをフローセルのいずれかの内面に集束させる(例えば、生体試料に集束させる)ように対物レンズを移動させ得る。同様に、いくつかの実施態様では、標的250は、対物レンズ235に対してxy平面内で移動可能なステージに取り付けられ得るか、又はそれを含み得る。生体試料は、当該技術分野で既知の光シーケンシングに応答するDNA、RNA、タンパク質、又は他の生物学的材料であり得る。
【0068】
EOM230は、焦点追跡モジュール(focus tracking module、FTM)240から放出された焦点追跡光ビームを標的250へと反射させ、次いで、標的250から戻された光をFTM240へと反射させるための半反射ミラー233を含み得る。FTM240は、戻された焦点追跡光ビームの特性を検出し、標的250に対する対物レンズ235の焦点を最適化するためのフィードバック信号を生成するための焦点追跡光学センサを含み得る。
【0069】
EOM230はまた、標的250から戻された光が通過することを可能にする一方、対物レンズ235を通した光を方向付けるための半反射ミラー234を含み得る。いくつかの実施態様では、EOM230は、チューブレンズ232を含み得る。チューブレンズ232を透過した光は、フィルタ要素231を通過してカメラモジュール(CAM)220の中に入り得る。CAM220は、入射光ビームに応答して生体試料から放出された光(例えば、光源211及び212から受信された赤色及び緑色の光に応答する蛍光)を検出するための1つ以上の光学センサ221を含み得る。
【0070】
CAM220のセンサからの出力データは、リアルタイム分析モジュール225に通信され得る。リアルタイム分析モジュールは、様々な実施態様では、画像データを分析する(例えば、画質スコアリング、ベースコールなど)、ビームの特性(例えば、焦点、形状、強度、電力、輝度、位置)をグラフィカルユーザインターフェース(GUI)に報告又は表示する、などのためのコンピュータ可読命令を実行する。これらの動作は、ダウンストリーム分析時間を最小限に抑え、撮像ラン中にリアルタイムフィードバック及びトラブルシューティングを提供するために、撮像サイクル中にリアルタイムで実行され得る。実施態様では、リアルタイム分析モジュールは、撮像システム200に通信可能に接続され、それを制御するコンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス1000)であってもよい。以下に更に記載される実施態様では、リアルタイム分析モジュール225は、標的250の照明を制御するため、及び任意選択的に光学センサ(複数可)221の複数の露光中に収集されたデータを画像に統合するためのコンピュータ可読命令を更に実行し得る。
【0071】
図3は、本明細書に開示される実施態様に従って撮像され得る試料容器300の例示的な構成を示す。この例では、試料容器300は、撮像ラン中に同時に撮像され得る、規則的なスポット310の六角形アレイでパターン化されている。この例では六角形アレイが示されているが、他の実施態様では、試料容器は、直線アレイ、円形アレイ、八角形アレイ、又はいくつかの他のアレイパターンを使用してパターン化されてもよい。例示を簡単にするために、試料容器300は、数十個~数百個のスポット310を有するものとして示されている。しかしながら、当業者によって理解され得るように、試料容器300は、撮像される数千、数百万、又は数十億個のスポット310を有し得る。更に、場合によっては、試料容器300は、撮像ラン中にサンプリングされるスポット310の複数の平面(集束方向に垂直)を含む多平面試料であり得る。
【0072】
特定の実施態様では、試料容器300は、レーンに分割された数百万個又は数十億個のウェルでパターン化されたフローセルであり得る。この特定の実施態様では、フローセルのそれぞれのウェルは、合成によるシーケンシングを使用してシーケンシングされる生物学的材料を含有し得る。
【0073】
上述のように、撮像デバイスの視野に対して運動中の物体の照明及び撮像は、高精密運動ステージ、時間差積分(TDI)カメラ、及びダイオード励起固体レーザーを通して達成されてきた。しかしながら、開示される技術の実施態様は、それらのタイプの構成要素によって満たされる通常の厳密な許容誤差及び性能要件を緩和させながら、同じ目標を達成し得る。例えば、いくつかの実施態様では、試料容器が移動するときに試料容器を連続的に撮像するTDIカメラを利用するのではなく、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサを使用する民生用カメラなどの異なるタイプのカメラを使用して、時間内のある瞬間の試料の画像が捕捉され得る。そのような実施態様では、実施態様の光源(複数可)の動作(例えば、
図1の光源160又は
図2の光源211、212)は、移動する標的を連続的に撮像するカメラを使用する実施態様の光源(複数可)の動作とは異なり得る。
【0074】
光源(複数可)の動作が、時間内の単一の瞬間の画像を捕捉するカメラを用いる実施形態で変更され得る理由を示すために、試料を撮像するために使用されるカメラが、試料容器の特徴(例えば、ナノウェル)がその視野内にある間に、3つの露光を捕捉することを可能にするフレームレートと、その視野を試料容器の移動方向に6つのピクセルに分割することを可能にする分解能と、を有する、
図4のシナリオについて考える。そのようなシナリオでは、試料容器が、カメラの視野内にある間に連続的に照明された(すなわち、時間T
1から時間T
6まで連続的に照明された)場合、第1のフレーム中に捕捉された露光は、特徴が視野から第1のピクセル、第2のピクセル、及び第3のピクセル内にあるときからの光子を含む一方、第2のフレーム中に捕捉された露光は、視野から第4のピクセル、第5のピクセル、及び第6のピクセル内にあるときからの光子を含み得るため、2つのぼやけた画像が生成され得る。このぼやけによって、画像は使用不可になり得る。例えば、
図4に示すように、試料容器が3つの特徴を含み、それらの特徴のそれぞれが単一のピクセルの距離だけ分離していた場合、カメラのフレームレートは、複数の特徴からの光子を混合させ得る(例えば、フレーム1で、T
1の特徴1からの光子は、T
3の特徴3からの光子と混合され得る)。これは、得られた画像内で個々の特徴が互いに区別されるのを防止し得る。
【0075】
上述のように、ぼやけに対処するために、様々な措置が取られ得る。いくつかの実施態様では、試料容器の運動方向の試料容器上の特徴間の距離が増加されてもよく、その結果、カメラのフレームレートを考慮すると、複数の特徴からの光子が混合されることはない。運動方向の特徴間の距離のこの増加は、運動方向に垂直な間隔の増加を伴ってもよく、又は運動方向に垂直な間隔は変更されずに(又は何らかの他の様式で変更されて)、運動方向のみになされてもよい。特徴間の距離を試料容器の運動方向に1ピクセルから2ピクセルへと増加させるなど、このアプローチを
図4のシナリオに適用した場合、カメラのフレームレートによって生じるぼやけにもかかわらず、個々の特徴を区別することが可能であり得る。同様に、いくつかの実施態様では、試料容器の移動速度が減少されてもよい。例えば、
図4のシナリオの運動速度を50%減少させた場合、個々の特徴は、フレームレートによって生じるぼやけに関係なく、カメラで撮られた画像では互いに区別可能であり得る。
【0076】
また、試料容器の連続照明ではなく、短期間の照明を使用することによって、ぼやけの影響を回避することが可能であり得る。例えば、
図1の光源160又は
図2の光源211及び212などの1つ以上のレーザー光源を使用する実施態様では、これらの光源は、連続波レーザーではなくパルスレーザーを使用して実装されてもよく、又は光源は、連続波モードで動作した場合でも短期間の照明を提供することを可能にする光学式チョッパーなどの付加的構成要素が装備されてもよい。以下に説明するように、これらのタイプのアプローチは、得られた画像が単一のピクセルのぼやけによって使用不可能になり得る場合でも、別個の瞬間で試料容器の画像を捕捉するカメラが、連続的に移動する試料容器と共に使用されることを可能にし得る。以下の説明は、連続照明以外の使用がどのようにピクセルのぼやけを回避することを可能にし得るかを説明しているが、1ピクセルを超えるぼやけが許容可能である実施態様にも、同じ技術が使用されてもよい。例えば、上記のように、ぼやけを軽減するための1つのアプローチは、試料容器の移動方向で特徴のピッチを増加させることであり得る。このタイプのピッチ拡張が異なる特徴からの光子の混合を回避するのに十分ではない場合(例えば、フレーム内のぼやけの距離がピッチよりも大きい場合)、この更なるぼやけに対処するために、ピッチを拡張するアプローチが短期間の照明を使用するアプローチと組み合わされてもよい。したがって、以下の考察は、短期間の照明を使用してぼやけに対処するためのアプローチを例示するものとして理解されるべきであり、そのアプローチは、1ピクセル以下のぼやけが許容可能である場合にのみ適用され得ることを意味するものと見なされるべきではない。
【0077】
連続的に移動する試料容器を撮像しながら上述のぼやけを回避するための1つのアプローチは、照明されている間に試料容器が移動する距離が1ピクセル未満である十分短い期間中に、画像に必要な光子が収集されることを可能にするのに十分な強度のパルスで、試料容器を照明することである。例えば、このタイプのアプローチが
図4のシナリオに適用された場合、試料容器は、移動中の標的を連続的に撮像するように設計されたTDIカメラ又は同様のデバイスを使用する実施態様の場合にあり得るように、T
1~T
6まで照明されるのではなく、T
1中(又は、同じ若しくはより短い持続時間を有する何らかの他の期間)のみ照明され得る。加えて、照明の強度は、期間T
1中に提供される用量が、移動中の標的を連続的に撮像するように設計されたTDIカメラ又は同様のデバイスを使用する実施態様でT
1~T
6まで提供され得る用量と同じになるように設定され得る。このようにして、このアプローチに従う実施態様は、カメラによって捕捉された画像がその意図された目的のために使用可能であることを可能にするために(例えば、
図1及び
図2の文脈で考察されたような撮像システムが、試料をシーケンシングすることを可能にするために)十分な光子を依然として収集している間に、ピクセルをまたがって収集された光子から画像を作製する試みから生じ得るぼやけを回避し得る。
【0078】
ぼやけを回避するための短い照明を使用する他の変形も可能である。例えば、いくつかの実施態様では、試料容器は、カメラの視野内にある間に複数のパルスで照明され得、それぞれのパルスは、そのパルスによって照明されている間に試料容器が移動する距離が1ピクセル未満であるほどの短い期間に試料容器を照明する。これは、例えば、1ピクセルの距離を移動するのにかかる時間よりも短い時間、特徴を完全に照明するのに十分高いパワーを有するレーザーを必要することを回避するため、撮像されている試料のシーケンシングに使用される染料の飽和限界を考慮するため、又は特定の状況で適用され得る他の理由のために行われ得る。このアプローチに従ういくつかの実施態様では、試料容器は、視野内にある間に、カメラのフレームごとに1回照明され得る。このようにして、複数の露光が生成されてもよく、それぞれの露光は、試料容器がフルピクセルを移動させることができないほど短い照明期間から収集された光子のみに基づく。例えば、このアプローチが
図4のシナリオに適用された場合、試料容器は、期間T
1及びT
4で照明され得る。また、照明の強度は、上述と同様の方法で増加させてもよい。すなわち、照明の強度は、それぞれの照明期間から収集された光子が、それぞれの露光が使用可能な画像を提供することを可能にし得るように設定され得る。
【0079】
上述のアプローチ、及びそれらのアプローチがどのように適用され得るかを示す例は、例示のみを意図しており、他のアプローチ、及び記載のアプローチの変形が可能であり、いくつかの実施態様で適用され得ることを理解されたい。例えば、カメラの視野内にある間に、複数の短いパルスで試料容器を照明する実施態様で提供される照明の強度について考える。このタイプのいくつかの実施態様では、照明の強度は、使用可能な画像を提供するために、それぞれの露光に対して十分な数の光子が収集されることを可能にすることができないレベルに設定される場合がある。例えば、照明は、試料を高ピークパワーレーザー照明に繰り返し当てることによって生じる光損傷のリスクを軽減するために、又は、試料のシーケンシングに使用されるリン光染料の光飽和に達することを回避するために、より低い強度に設定される場合がある。このタイプの実施態様では、
図5に示されるようなプロセスを使用して、複数の露光からのデータを組み合わせて、試料の(少なくとも)1つの使用可能な画像が取得され得る。
【0080】
図5は、複数の露光から使用可能な画像を導出するために実施され得る例示的な方法500を示すフロー図である。
図5の方法500では、ブロック501で露光が捕捉され得る。これは、例えば、ぼやけを回避するためのアプローチの文脈で上述したように、カメラのセンサを露出させ、それがカメラの視野内にある短期間に、移動する試料容器を照明することによって行われ得る。ブロック502で、露光が捕捉された時点の試料容器の位置が決定され得る。これは、例えば、試料容器が一定速度で移動する精密運動制御ステージに取り付けられ、ステージの既知の速度を、露光が捕捉されたときのスキャンプロセスにおいて経過した時間量で乗算することによって行われ得る。この位置情報は、露光自体と共に、ブロック503で格納され得る。このプロセスは、スキャンが進行中に繰り返し循環されてもよく、ブロック501、502、及び503のそれぞれの反復は、好ましくは、露光を捕捉するために使用されるカメラの単一のフレームに対応する。
【0081】
スキャンが完了した後、
図5に示されるような方法500は、参照位置を定義するブロック504で継続することができる。これは、例えば、第1の露光が基準位置として捕捉された時点で試料容器の位置を定義することによって行われ得る。次に、基準位置が定義された状態で、ブロック505~507で処理されていない露光のオフセットがブロック505で決定され得る。これは、例えば、処理される露光について記憶された位置とブロック504で前に記憶された基準位置との間の差異をとることによって行われ得る。ブロック506で、処理される露光は、オフセット分だけ並進され得る。これは、例えば、ブロック505で決定されたオフセットを、処理される露光中のデータの座標に追加することによって行われ得る。次いで、並進された露光は、ブロック507で前に処理された任意のオーバーレイからのデータとオーバーレイされ得る。これは、例えば、並進された露光からのデータと、前に処理された任意の露光からのデータとをピクセルごとに合計して、並進によって全ての露光が基準位置によって定義された一貫した座標系に置かれ得るという事実を利用することによって行われ得る。次いで、ブロック505、506、及び507の動作は、それぞれの露光に対して繰り返され得る。全ての露光がオーバーレイされると、
図5に示されるような方法500は、ブロック508で終了し得、処理された露光の全てから組み合わされたデータとのオーバーレイは、更なる分析のために試料容器の画像として処理され得る。
【0082】
図5の方法500の変形及び修正も可能である。例えば、いくつかの実施態様では、ブロック506の文脈で上述したような追加を通じて露光をオフセット分だけ並進させるのではなく、いくつかの実施態様は、他のタイプの並進を利用してもよい。例えば、露光が捕捉された時点の試料容器の位置がサブピクセル精度で決定され得る実施態様では、ブロック506の場合のような露光の並進は、並進される露光のフーリエ変換を行い、周波数空間内の露光の表現を、exp(-idk)として定義された複素指数で乗算し(dは並進量であり、kは周波数空間内の位置である)、次いで並進された周波数空間表現に対して逆高速フーリエ変換を実行することによって達成され得る。同様に、露光が捕捉された時点の試料容器の位置がサブピクセル精度で決定され得るいくつかの実施態様では、ブロック506で実行され得る並進は、サブピクセル測定値が基準位置によって定義された座標系内の全ピクセル測定値にどのように変換され得るかを決定するために線形補間を実行することを含んでもよい。位置分解能と一致するピクセル分解能を有するように露光を拡大する、及び補間(例えば、線形、双線形又は立方体補間)を使用して並進前の元の画像内のピクセル間の位置のデータを埋めるなど、他の変形も可能であり、いくつかの実施態様で使用されてもよい。したがって、様々な並進アプローチの上述の例は、単なる例示であると理解されるべきであり、限定として扱われるべきではない。
【0083】
また、露光の表現及び/又は処理の最適化を提供するための変形も実施され得る。例えば、試料容器の画像が、フレームレート1000Hz及びビット深度12ビットの10メガピクセルカメラによって捕捉される実施形態について考える。そのような場合、処理されるデータは、120ギガビット/秒の速度で生成され得る。この量のデータを転送、記憶、及び処理することによってもたらされる困難を軽減するのを助けるために、いくつかの実施態様は、それぞれの露光に提供される照明の量に基づいて、カメラによって提供される出力のビット深度を切り捨ててもよい。例えば、カメラのフレームレートと試料容器の速度との関係が、カメラの視野内にある間に試料容器の特徴の125個の露光が捕捉され得るようなものである場合、照明は、使用可能な画像に必要な照明の1/125をそれぞれの露光に提供し得るレベルに設定されてもよい。このより低いレベルの照明の結果として、あらゆる露光からのピクセルのいずれも、6ビットを超えるデータを有することができず、したがって、データの6つの最上位ビットが、カメラの出力のそれぞれのピクセルから切り捨てられてもよく、その後にその出力は、
図5の文脈で前述したように処理又は記憶される。続いて、ブロック507で露光がオーバーレイされるとき、オーバーレイされた画像は、12ビット/ピクセルのビット深度で符号化され、それによって、個々の露光のいずれもそのデータを記憶し得る方法で記憶又は符号化されていない場合でも、カメラによって捕捉された全ての光子を反映し得る。同様に、いくつかの実施態様では、いくつかの追加の又は代替のタイプの圧縮が適用され得る。例えば、ビットの拡張シーケンスが一般に繰り返される(例えば、ゼロのシーケンス)実施態様では、これらのシーケンスは、ハフマン符号、又は関連データを表すために必要なデータの量を減らすための他のタイプの置き換えを使用するなど、よりコンパクトな表現によって置き換えられ得る。
【0084】
いくつかの実施態様に含まれ得る別のタイプの変形は、使用され得る構成要素の要件を更に考慮するために付加的な処理行為を追加することである。例えば、いくつかの実施態様では、カメラは、高精度低歪み光学素子を使用して、試料容器の画像を捕捉し得る。しかしながら、他の実施態様では、低歪み光学素子を使用するのではなく、より低い精度に製造されたレンズを有するカメラを使用して露光を捕捉することによって導入され得る欠陥を考慮するために、付加的な処理行為が実行されてもよい。例えば、いくつかの実施態様では、試料容器を撮像するための、
図5に示されるような方法を使用する前に、較正プロセスが実行されてもよく、このプロセスでは、
図5の方法を使用して、既知の構成内に複数の穴を用いてリソグラフィでパターン化された較正標的が撮像され得る(例えば
図3に示される特徴310のパターン)。次いで、カメラによって捕捉された標的の画像内の穴のパターンが、既知の穴のパターンと比較され得、カメラのレンズの欠陥によって導入された歪みを表す多項式マップがこの比較から作製され得る。続いて、カメラが試料容器を撮像する際に使用されたとき、この多項式マップは、試料容器の画像(複数可)にレンズによって導入された歪みを反転させるために適用され、それによって、いくつかの実装形態において、
図1又は
図2に示されるようなシステム内の低歪み光学素子に通常必要とされる許容誤差が緩和されることを可能にし得る。別の例として、いくつかの実施態様では、試料容器が移動する距離が、同一対象の画像を捕捉するカメラのピクセルのサイズに達する前に、光源は、複数のパルスで試料容器を照明し得る。これは、例えば、試料容器が1ピクセルの距離を移動するのに必要な時間の間に、連続的に十分な強度の照明を提供することはできないが、その時間の間に複数のより高い強度の、ただしより短いパルスを提供し得る場合に使用され得る。
【0085】
追加の構成要素はまた、又は代替的に、不連続照明によってもたらされる制約に対処する及び/又は制約を軽減するために、いくつかの実施態様に含まれてもよい。例えば、場合によっては、画像安定化技術を使用して、試料容器をカメラの視野内に静止させ、それによって容器の移動の影響を低減し、任意のフレーム中に容器が照明され得る時間量を潜在的に増加させてもよい。これは、例えば、モータを使用して、ステージの移動と同期される方法でカメラ(又はカメラのレンズ)をシフトさせ、それによって試料容器が静止するように(又は1ピクセル未満の距離を移動させるために)1フレーム中にカメラの視野を移動させることによって行われ得る。あるいは、このタイプの画像安定化アプローチを使用する一部のケースでは、ピエゾ又はガルボミラーが試料容器からの発光経路に置かれ、同じく、試料容器が照明されたときのフレームの一部の間のステージの移動に対抗するようにカメラの視野が移動されることを効果的に可能にし得る。試料容器がもはや照明されなくなると、モータは次のフレームのために視野をリセットすることができ、このプロセスは撮像ランの持続時間にわたって繰り返され得る。
【0086】
画像安定化が、不連続照明によって提供される制約を軽減するためにどのように使用され得るかを示す潜在的な実施態様を例示するために、
図7A~
図7Cについて考える。それらの図において、
図7Aは、特徴701、視野が12ピクセルに分割されるカメラ702、及び画像安定化のために使用される可動ミラー(例えば、ガルボミラー)703の関係を示す。その図では、光が特徴から放出されると、第1のレンズ704によってミラー703に方向付けられ、ミラー703から第2のレンズ705に反射され、第2のレンズ705によってカメラ702の第1のピクセルへと集束され、そこで検出される。
図7Bは、特徴が連続的に照明され、ミラー703は静止したままであり、カメラ702がその移動の期間中に単一の露光のみを捕捉した場合の、カメラ702上のピクセルのサイズ以上の距離にわたって特徴701が移動した結果を示す。
図7Bに示すように、この結果、特徴701からの信号がカメラ702上の複数のピクセルに広がり得、第2の特徴(
図7Bには示されていない)が
図7A及び
図7Bに示される特徴701に隣接している場合に、単一の重なりが潜在的に生じ得る。対照的に、
図7Cは、特徴701がカメラ702上の1ピクセルよりも大きい距離を移動する間に、ミラー703を移動させた結果を示す。
図7Cに示すように、ミラー703を移動させて特徴701の移動を補償することにより、特徴から放出された光は、単一のピクセルに連続的に集束され、それによって
図7Bに示されるぼやけが回避され得る。前述のように、これはまた、カメラ702又は特徴(例えば、
図7A~
図7Cに示される第1のレンズ704又は第2のレンズ705)からの照明を方向付ける又は集束するために使用されるレンズの移動を介して達成され得る。したがって、
図7A~
図7Cに示される特定の構成及び構成要素は、単なる例示であると理解されるべきであり、限定として扱われるべきではない。
【0087】
上記の例及び考察は、照明及び画像捕捉構成要素の変形に焦点を当てているが、他のタイプの構成要素の変形もいくつかの実施態様で使用され得ることを理解されたい。例えば、撮像デバイスの視野を通って試料容器を移動させるためのステージについて考える。いくつかの実施態様では、ステージは、その運動が正確に制御されることを可能にするためのクロスローラ軸受などの構成要素(例えば、ステージの動きの均一性に関する仮定に基づいて、露光が捕捉されたときの試料容器の位置を決定する実施態様)と共に実装され得る。しかしながら、他の実施態様では、摩擦ベースのステージ又は玉軸受と共に撮像システムのフレーム上に取り付けられたステージなどの運動制御の精度が劣るステージ、及びエンコーダなどの追加の構成要素が、試料容器の露光が捕捉される特定の時点のステージの場所を決定するために導入されてもよい。そのような実施態様では、時間に基づいて位置を決定することではなく、
図5のブロック502に示されるように露光の位置を決定することは、試料容器が露光のために照明されるときに、エンコーダにステージの位置を問い合わせることによって実行され得る。代替の位置決定特徴も使用され得る。例えば、いくつかの変形では、試料容器は、異なる画像内に捕捉された試料容器の相対位置が決定されることを可能にするため、基準点として作用し得る一組の明るいビーズを備えてもよく、その結果、それらの画像の特徴は、上述のように互いにコレジスタされ得る。
【0088】
当然ながら、これに対する変形も可能であり得る。例えば、いくつかの実施態様では、ブロック503に記載されているように、その位置ではなく、時間情報と共に露光が記憶されてもよい。このタイプの実施態様では、露光の実際の位置は、ブロック502の文脈で前述したように既知の移動速度で乗算する、又はスキャン中にエンコーダから収集されたタイムスタンプされた位置情報に対して露光の時間を一致させる、などによって、オフセットを計算する必要がある場合にのみ後続的に決定され得る。照明パルスごとに(例えば、パルスの開始時及び終了時に)複数の場所を捕捉し、次いでそれらを平均化して、パルスの対応する露光の場所を取得する、又は位置決定を省略し、基準点の場所を比較することによって露光オフセットを決定する、などの様々な変形もいくつかの実装形態で可能であり得る。したがって、上記の例は、単なる例示であると理解されるべきであり、限定として扱われるべきではない。
【0089】
いくつかの実施態様はまた、
図5の方法の全体的な構造から変化する方法を特徴とし得る。例えば、いくつかの実施態様では、複数の露光を捕捉及び記憶し、次いで、前に捕捉及び記憶した露光をオーバーレイするのではなく、それぞれの露光が捕捉される際に、オフセットの決定、オフセットの並進、及び並進された露光のオーバーレイが露光ごとにリアルタイムで実行され得る。このような実施態様では、ブロック501、502、504、505、506、及び507の文脈で前述したような行為は、スキャン進行中に繰り返し実行されてもよく、露光が捕捉される際にユーザが試料を撮像する進捗を見ることを潜在的に可能にする。
【0090】
開示される技術の態様が実際にどのように適用され得るかを更に例示するために、生体試料が、移動方向に624nmのピッチ長を有するアレイ内のナノウェル内のクラスタに分割され、ナノウェルから捕捉されたデータが、合成によるシーケンシングを使用してDNAシーケンシングに使用されるシナリオについて考える。そのようなケースでは、試料容器が、1000Hzのカメラの1×1mmの視野を通って10mm/sで移動しながら撮像され、カメラ内のそれぞれのピクセルが視野内の0.3μmの距離に対応する場合、
図5に示されるような方法を使用する実施態様は、カメラのフレームレート、カメラの視野、及び試料容器の移動速度に基づいて、シーケンシングサイクルごとにカメラの視野内にある間に、それぞれのナノウェルの100個の露光を捕捉し得る(すなわち、露光=カメラのフレームレート
*視野の長さ/移動速度)。加えて、そのような実施態様では、試料容器は、カメラのピクセルのサイズ、試料の移動速度、及びカメラのフレームレートに基づいて、露光ごとに0.03ミリ秒以下で照明され得る(すなわち、照明時間=(ピクセルサイズ/移動速度)
*フレームレート)。そのようなシナリオでは、それぞれのナノウェルを正確に撮像するために1~5J/cm
2の程度の閾値用量が必要とされる場合、
図5の方法に従う実施態様は、必要な用量、視野(FOV)、及びそれぞれの照明パルスの持続時間に基づいて、3.3~16.5Wの範囲の連続波パワーを有するレーザーと、照明の持続時間を制御するための光学式チョッパーとの組み合わせを使用してサンプルを照明することによって、シーケンシングサイクルごとに試料の使用可能な画像を取得し得る(すなわち、パワー=用量
*FOV面積/パルス持続時間)。これは、前述のダイオード励起固体(DPSS)レーザーを含む、又はダイオードレーザーなどのより安価な構成要素を使用する様々な方法で提供され得る。次いで、これらの画像は、それぞれのナノウェル内のクラスタ内のヌクレオチドのシーケンスを識別するために使用され得、それぞれのクラスタは次いで、試料の連続照明を使用して収集されたデータを使用して実行され得るような、合成による既存のシーケンシングにあり得るように結合され得る。
【0091】
図6は、方法400及び450の1つ以上の態様の前述の特徴及び機能など、本明細書に開示されるシステム及び方法の様々な特徴を実装するために使用され得る例示的なコンピューティング構成要素を示す。例えば、コンピューティング構成要素は、リアルタイム分析モジュール225として実装され得る。
【0092】
本明細書で使用するとき、モジュールという用語は、本出願の1つ以上の実施態様に従って実行され得る所与の機能単位を説明し得る。本明細書で使用するとき、モジュールは、任意の形式のハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを利用して実装され得る。例えば、1つ以上のプロセッサ、コントローラ、ASIC、PLA、PAL、CPLD、FPGA、論理構成要素、ソフトウェアルーチン、又は他のメカニズムを実装して、モジュールが構成され得る。実施態様では、本明細書に記載される様々なモジュールは、別個のモジュールとして実装されてもよく、又は記載される機能及び特徴は、1つ以上のモジュールの間で一部又は全部を共有されてもよい。言い換えれば、この説明を読んだ後、当業者に明らかであるように、本明細書に記載される様々な特徴及び機能は、任意の所与のアプリケーションに実装されてもよく、様々な組み合わせ及び順列で1つ以上の別個のモジュール又は共有のモジュールに実装されてもよい。様々な特徴又は機能の要素が別個のモジュールとして個別に記載又は特許請求され得るが、当業者は、これらの特徴及び機能が1つ以上の共通のソフトウェア及びハードウェア要素間で共有されてもよく、そのような説明は、別個のハードウェア又はソフトウェア構成要素がそのような特徴又は機能を実装するために使用されることを必要とするものでも又は意味するものもないことを理解するであろう。
【0093】
アプリケーションの構成要素又はモジュールが、ソフトウェアを使用して全体的又は部分的に実装される場合、一実施態様では、これらのソフトウェア要素は、それに関して記載された機能を実施することができるコンピューティング又は処理モジュールで動作するように実装され得る。1つのそのような例示的なコンピューティングモジュールが、
図6に示されている。様々な実施態様が、この例示的なコンピューティングモジュール1000の観点から記載されている。この説明を読んだ後、当業者には、他のコンピューティングモジュール又はアーキテクチャを使用してアプリケーションを実装する方法が明らかになるであろう。
【0094】
ここで
図6を参照すると、コンピューティングモジュール1000は、例えば、デスクトップ、ラップトップ、ノートブック、及びタブレットコンピュータ、手持ち式コンピューティングデバイス(タブレット、PDA、スマートフォン、携帯電話、パームトップなど)、メインフレーム、スーパーコンピュータ、ワークステーション、若しくはサーバ、又は所与のアプリケーション若しくは環境に望ましい若しくは適切であり得るような、任意の他のタイプの専用又は汎用コンピューティングデバイス内に見出されるコンピューティング又は処理能力を表し得る。コンピューティングモジュール1000は、また、所与のデバイス内に埋め込まれた、ないしは別の方法で所与のデバイスで利用可能なコンピューティング能力を表し得る。例えば、コンピューティングモジュールは、例えば、デジタルカメラ、ナビゲーションシステム、携帯電話、携帯型コンピューティングデバイス、モデム、ルータ、WAP、端子、及びいくつかの形態の処理能力を含み得る他の電子デバイスなどの他の電子デバイスに見出され得る。
【0095】
コンピューティングモジュール1000は、例えば、1つ以上のプロセッサ、コントローラ、制御モジュール、又はプロセッサ1004などの他の処理デバイスを含んでもよい。プロセッサ1004は、例えば、マイクロプロセッサ、コントローラ、又は他の制御ロジックなどの汎用又は専用の処理エンジンを使用して実装されてもよい。図示の例では、プロセッサ1004は、バス1002に接続されているが、コンピューティングモジュール1000の他の構成要素との相互作用を容易にするため、又は外部と通信するために任意の通信媒体が使用されてもよい。
【0096】
コンピューティングモジュール1000はまた、本明細書では主メモリ1008と称される1つ以上のメモリモジュールを含んでもよい。例えば、好ましくはランダムアクセスメモリ(RAM)又は他のダイナミックメモリが、プロセッサ1004によって実行される情報及び命令を記憶するために使用されてもよい。メインメモリ1008はまた、プロセッサ1004によって実行される命令の実行中に一時変数又は他の中間情報を記憶するために使用されてもよい。コンピューティングモジュール1000は、同様に、静的情報及びプロセッサ1004に対する命令を記憶するために、バス1002に結合された読み取り専用メモリ(「ROM」)又は他の静的記憶デバイスを含んでもよい。
【0097】
コンピューティングモジュール1000はまた、1つ以上の様々な形態の情報記憶機構1010を含んでもよく、例えば、媒体ドライブ1012及び記憶ユニットインターフェース1020を含んでもよい。媒体ドライブ1012は、固定された又は取り外し可能な記憶媒体1014を支持するためのドライブ又は他の機構を含んでもよい。例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、CD若しくはDVDドライブ(R又はRW)、又は他の取り外し可能な若しくは固定された媒体ドライブが提供されてもよい。したがって、記憶媒体1014としては、例えば、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、カートリッジ、光ディスク、CD、DVD、若しくはBlu-ray、又は媒体ドライブ1012によって読み取られるか、書き込まれるか、又はアクセスされる他の固定された又は取り外し可能な媒体が挙げられ得る。これらの例が示すように、記憶媒体1014は、その中にコンピュータソフトウェア又はデータを記憶しているコンピュータ使用可能記憶媒体を含んでもよい。
【0098】
代替の実施態様では、情報記憶機構1010は、コンピュータプログラム又は他の命令若しくはデータがコンピューティングモジュール1000にロードされることを可能にするための他の同様の手段を含んでもよい。そのような手段としては、例えば、固定された又は取り外し可能な記憶ユニット1022及びインターフェース1020が挙げられ得る。そのような記憶ユニット1022及びインターフェース1020の例としては、プログラムカートリッジ及びカートリッジインターフェース、取り外し可能なメモリ(例えば、フラッシュメモリ又は他の取り外し可能なメモリモジュール)及びメモリスロット、PCMCIAスロット及びカード、並びにソフトウェア及びデータが記憶ユニット1022からコンピューティングモジュール1000に転送されることを可能にする他の固定された又は取り外し可能な記憶ユニット1022及びインターフェース1020が挙げられ得る。
【0099】
コンピューティングモジュール1000はまた、通信インターフェース1024を含んでもよい。通信インターフェース1024は、ソフトウェア及びデータがコンピューティングモジュール1000と外部デバイスとの間で転送されることを可能にするために使用され得る。通信インターフェース1024の例としては、モデム若しくはソフトモデム、ネットワークインターフェース(イーサネット、ネットワークインターフェースカード、WiMedia、IEEE802.XX若しくは他のインターフェースなど)、通信ポート(例えば、USBポート、IRポート、RS232ポートBluetooth(登録商標)インターフェース、又は他のポート)、又は他の通信インターフェースが挙げられ得る。通信インターフェース1024を介して転送されたソフトウェア及びデータは、典型的には、電子、電磁(光学を含む)又は所与の通信インターフェース1024によって交換されることができる他の信号であり得る信号で伝送され得る。これらの信号は、チャネル1028を介して通信インターフェース1024に提供され得る。このチャネル1028は、信号を伝送し得、有線又は無線の通信媒体を使用して実装され得る。チャネルのいくつかの例としては、電話線、セルラリンク、RFリンク、光学リンク、ネットワークインターフェース、ローカル又はワイドエリアネットワーク、及び他の有線又は無線通信チャネルが挙げられ得る。
【0100】
本文書では、「コンピュータ可読媒体」、「コンピュータ使用可能媒体」、及び「コンピュータプログラム媒体」という用語は、一般に、例えば、メモリ1008、記憶ユニット1022、及び媒体1014などの揮発性又は不揮発性の非一時的な媒体を指すために使用される。コンピュータプログラム媒体又はコンピュータ使用可能媒体のこれら及び他の様々な形態は、1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行用の処理デバイスに伝送することに関与し得る。媒体上で具体化されるそのような命令は、一般に「コンピュータプログラムコード」又は「コンピュータプログラム製品」(コンピュータプログラム又は他のグループ分けの形態でグループ分けされ得る)と称される。そのような命令は、実行されると、コンピューティングモジュール1000が、本明細書で論じられるように本出願の特徴又は機能を実行することを可能にし得る。
【0101】
「特許請求の範囲」において、「パルス照明を使用して連続的に移動する試料の分析画像を取得するための手段」という語句は、米国特許法第112条に既定されている機能制限を伴う手段として理解されるべきであり、該機能は、パルス照明を使用して連続的に移動する試料の分析画像を取得することであり、対応する構造は、サブピクセル照明パルスを引き起こし、そうでなければ、連続照明によって生じ得るようなぼやけを回避するための、
図4の文脈で説明されるような照明源、カメラ、移動ステージ、及びコンピュータである。
【0102】
「特許請求の範囲」において、「複数の閾値下露光を並進させ、オーバーレイするための手段」という語句は、米国特許法第112条に既定されている機能制限を伴う手段として理解されるべきであり、該機能は、「複数の閾値下露光を並進させ、オーバーレイすること」であり、対応する構造は、
図5のブロック505~507の文脈で説明されるような行為を実行するためのコンピュータ、並びにいくつかの実施態様に含まれるものとして上述した行為の変形である。
【0103】
様々な実施態様及び実施態様に関して上述されているが、個々の実施態様のうちの1つ以上に記載されている様々な特徴、態様、及び機能は、それらの適用可能性をそれらが記載されている特定の実施態様に限定されず、代わりに、そのような実施態様が記載されているかどうか、及びそのような特徴が記載された実施態様の一部であるものとして提示されているかどうかにかかわらず、本出願の他の実施態様のうちの1つ以上に単独で又は様々な組み合わせで適用され得ることを理解されたい。したがって、本文書又は任意の関連文書によって提供される保護の幅及び範囲は、上述の実施態様のいずれによっても限定されるべきではない。
【0104】
前述の概念の全ての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しないという条件で)は、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると意図されていることを理解されたい。具体的には、本開示の終わりに現れる特許請求される主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示される発明の主題の一部であると企図される。
【0105】
特許請求の範囲を含む本開示全体で使用される「実質的に」及び「約」という用語は、処理における変動などに起因するような小さな変動を記載及び説明するために使用される。例えば、それらの用語は、±5%以下を、±2%以下など、±1%以下など、±0.5%以下など、±0.2%以下など、±0.1%以下など、±0.05%以下などとして称することができる。
【0106】
適用可能な限り、本明細書における「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、これらの用語によって別個の実体として記載されるそれぞれの物体を示すために単に用いられ、本明細書に特に明記しない限り、時系列の意味を示唆するものではない。
【0107】
本文書で使用される用語及び語句、並びにそれらの変形は、特に明記しない限り、限定とは対照的に制限のないものとして解釈されるべきである。前述の例として、「含む」という用語は、「限定するものではないが含む」などを意味するものとして読み取られるべきである。「例」という用語は、その網羅的又は限定的なリストではなく、考察においてその項目の事例を提供するために使用される。「1つ(a又はan)」という用語は、「少なくとも1つ」、「1つ以上」などを意味するものとして読み取られるべきである。「既存の」、「従来の」、「通常の」、「標準の」、「既知の」などの形容詞、及び同様の意味の用語は、記載される項目を所与の期間に又は所与の時点で使用可能な項目に限定するものとして解釈されるべきでなく、代わりに、現在又は将来のあらゆる時点で、使用可能又は既知であり得る既存の、従来の、通常の、又は標準の技術を包含するように読み取られるべきである。同様に、本文書は、当業者に明らか又は既知であり得る技術を指す場合、そのような技術は、現在又は将来のあらゆる時点で当業者には明らか又は既知であるものを包含する。
【0108】
場合によっては、「1つ以上」、「少なくとも」、「限定するものではないが」、又は他の同様の語句などの広義の単語及び語句の存在は、そのような広義の語句が存在しない場合に、より狭義のケースが意図される又は必要とされることを意味するように読み取られてはならない。「モジュール」という用語の使用は、モジュールの一部として記載又は特許請求される構成要素又は機能が全て共通のパッケージで構成されていることを意味するものではない。実際、モジュールの様々な構成要素のうちのいずれか又は全ては、制御論理か又は他の構成要素かにかかわらず、単一のパッケージ内で組み合わされてもよく、又は別々に維持されてもよく、更に複数のグループ若しくはパッケージ内に、又は複数の場所にわたって分散されてもよい。
【0109】
加えて、本明細書に記載される様々な実施態様は、ブロック図、フロー図、及び他の図に関して記載されている。本文書を読んだ後、当業者に明らかになるように、図示された実施態様及びそれらの様々な代替物は、示される例に制限することなく実装され得る。例えば、ブロック図及びそれらの添付の説明は、特定のアーキテクチャ又は構成を義務付けるものとして解釈されるべきではない。
【0110】
本開示の様々な実施態様が上述されてきたが、それらは単なる例として提示されており、限定するものではないことを理解されたい。同様に、様々な図は、本開示のための例示的なアーキテクチャ又は他の構成を示す場合があるが、これは、本開示に含まれ得る特徴及び機能の理解を助けるために行われる。本開示は、示される例示的なアーキテクチャ又は構成に限定されないが、所望の特徴は、様々な代替アーキテクチャ及び構成を使用して実装されてもよい。実際、本開示の所望の特徴を実装するために代替的な機能的、論理的、又は物理的パーティショニング及び構成がどのように実装され得るかは、当業者には明らかであろう。また、本明細書に示されるもの以外の多数の異なる構成モジュール名が、様々なパーティションに適用され得る。更に、フロー図、動作説明、及び方法の特許請求の範囲に関して、本明細書において行為が提示される順序は、文脈から別途指示されない限り、様々な実施態様が、列挙された機能を同じ順序で実行するように実装されることを義務付けるものではない。
【0111】
〔実施の態様〕
(1) 機械であって、
ピクセルを含む画像を捕捉するためのカメラであって、前記ピクセルのそれぞれは、試料容器の移動方向におけるステージ上での距離に対応するピクセルサイズを有する、カメラと、
前記ステージと重なり合う前記カメラの視野に対して前記試料容器を移動させるための前記ステージであって、前記試料容器は、前記試料容器の移動方向にピッチ長を有する特徴のアレイを含む、前記ステージと、
前記カメラの前記視野を照明するための照明源と、
行為を実行することによって分析画像を取得するためのコントローラであって、前記行為は、前記特徴のアレイからのある特徴が前記カメラの前記視野内にある間、及び前記カメラの前記視野に対して移動中である間に、前記特徴の1つ以上の露光ごとに、
前記カメラのセンサを第1の持続時間にわたって照明することと、
前記カメラの前記センサに照明が当てられている間に経過する、第2の持続時間を有する期間中に、前記カメラの前記視野を前記照明源で照明することと、を含む、行為を実行することによって、前記特徴の前記1つ以上の露光を取得することを含む、コントローラと、を備え、
前記第2の持続時間を有する前記期間の開始から終了までの前記カメラの前記視野内での前記特徴の変位は、前記試料容器の前記移動方向での前記ピッチ長以下である、機械。
(2) 前記第2の持続時間を有する前記期間の開始から終了までの前記カメラの前記視野内での前記試料容器の前記移動方向における前記特徴の変位は、前記ピクセルサイズ以下である、実施態様1に記載の機械。
(3) 前記特徴の1つ以上の露光を取得することは、前記特徴の複数の露光を取得することを含み、
前記コントローラが実行する前記行為は、前記特徴の前記複数の露光のうちの1つ以上を並進させることに基づいて、前記特徴の前記複数の露光をオーバーレイすることを含む、実施態様1~2のいずれかに記載の機械。
(4) 前記コントローラが実行する前記行為は、それぞれの露光について、前記カメラの前記視野が前記照明源で照明されたときの前記試料容器の位置の対応する値を取得することを含み、
前記コントローラは、前記特徴の前記複数の露光のうちの1つ以上を、前記試料容器の位置の前記露光の対応する値間の差異に基づいて並進させる、実施態様3に記載の機械。
(5) 前記機械は、前記試料容器の位置の値を提供するためのエンコーダを備え、
前記コントローラは、露光ごとに、前記カメラの前記視野が前記照明源で照明されたときの前記試料容器の位置の前記対応する値を前記エンコーダから取得する、実施態様4に記載の機械。
【0112】
(6) 前記エンコーダは、前記ピクセルサイズに対応する前記ステージ上での前記距離よりも小さい距離を区別するための分解能を有し、
前記特徴の前記複数の露光をオーバーレイすることは、前記エンコーダの前記分解能で前記複数の露光のそれぞれをコレジスタすることを含む、実施態様5に記載の機械。
(7) 前記エンコーダの前記分解能で前記複数の露光のそれぞれをコレジスタすることは、前記1つ以上の露光のうちの少なくとも1つについて、
前記露光の高速フーリエ変換を行うことによって、周波数空間表現を取得することと、
前記ピクセルサイズに対応する前記ステージ上での前記距離の整数倍ではない距離だけ前記周波数空間表現を並進させることと、
並進させた前記周波数空間表現の逆高速フーリエ変換を実行することと、を含む、実施態様6に記載の機械。
(8) 前記エンコーダの前記分解能で前記複数の露光のそれぞれをコレジスタすることは、前記複数の露光ごとに、
ピクセル間のデータを補間することに基づいて、該露光を前記エンコーダの前記分解能までアップサンプリングすることと、
アップサンプリング後に前記露光のうちの1つ以上を並進させることと、を含む、実施態様6に記載の機械。
(9) 前記試料容器は、複数の基準点を含み、
前記コントローラは、露光間の前記基準点の場所の差異に基づいて、前記特徴の前記複数の露光のうちの1つ以上を並進させる、実施態様3に記載の機械。
(10) 前記分析画像は、それぞれが第1のビット深度を有する複数のピクセルを含み、
前記複数の露光のそれぞれは、それぞれが第2のビット深度を有する複数のピクセルを含み、前記第2のビット深度は、前記第1のビット深度よりも小さい、実施態様3~9のいずれかに記載の機械。
【0113】
(11) 前記カメラによって捕捉されたそれぞれの画像に含まれるそれぞれのピクセルは、第3のビット深度を有し、前記第3のビット深度は、前記第2のビット深度よりも大きく、
前記特徴の前記複数の露光を取得することは、露光ごとに、
前記カメラの前記視野が前記照明源によって照明されている間、前記カメラで画像を捕捉することと、
前記カメラによって捕捉された前記画像から前記ピクセルのいくつかの最上位ビットを切り捨てることであって、切り捨てられる前記最上位ビットの数は、前記第3のビット深度と前記第2のビット深度との間の差異に等しい、ことと、を含む、実施態様10に記載の機械。
(12) 前記特徴を撮像するために閾値照明エネルギー用量が必要とされ、
前記特徴の前記1つ以上の露光ごとに、前記照明源で前記カメラの前記視野を照明することは、
前記第2の持続時間で乗算したときに、前記特徴を撮像するための前記閾値照明エネルギー用量よりも小さい個々の露光エネルギー用量を提供し、
前記第2の持続時間で乗算し、前記特徴の前記複数の露光内の露光数で乗算したときに、前記特徴を撮像するための前記閾値照明エネルギー用量よりも大きい集合露光エネルギー用量を提供するパワーで、前記照明源を起動することを含む、実施態様1~11のいずれかに記載の機械。
(13) 前記コントローラが実行する前記行為は、
前記カメラで基準物体の画像を取得することであって、前記基準物体は、既知の場所を有する複数の特徴を含む、ことと、
前記基準物体に含まれる前記複数の特徴の前記既知の場所を前記基準物体の前記画像内の前記複数の特徴の見かけ上の場所と比較することを含む行為を実行することによって、歪みマップを作製することと、
前記特徴の前記1つ以上の露光のそれぞれに前記歪みマップを適用することと、を含む、実施態様1~12のいずれかに記載の機械。
(14) 前記ステージは、玉軸受を使用して前記機械のフレーム上に取り付けられ、
前記カメラは、相補型金属酸化膜半導体センサを使用して画像を捕捉し、
前記照明源はダイオードレーザーである、実施態様1~13のいずれかに記載の機械。
(15) 前記特徴はナノウェルである、実施態様1~14のいずれかに記載の機械。
【0114】
(16) 前記分析画像は、複数の分析画像のうちの1つであり、
前記コントローラは、複数のシーケンシングサイクルを実行し、前記複数の分析画像からのそれぞれの分析画像は、単一のシーケンシングサイクルに対応し、
前記コントローラは、前記複数の分析画像に基づいて、前記試料容器内の特徴ごとにクラスタポリヌクレオチドを決定し、
前記コントローラは、前記試料容器からの前記特徴について決定された前記クラスタポリヌクレオチドに基づいて、前記試料容器に関連付けられた試料の完全なポリヌクレオチドを決定する、実施態様1~15のいずれかに記載の機械。
(17) 前記試料容器に含まれる前記特徴のアレイは、前記試料容器の前記移動方向の前記ピッチよりも小さい、前記試料容器の前記移動方向に垂直なピッチを有する、実施態様1~16のいずれかに記載の機械。
(18) 前記機械は、前記第2の持続時間を有する前記期間中に、前記カメラの前記視野を前記試料容器の前記移動方向に並進させることによって、前記ステージの移動に対抗するためのモータを備える、実施態様1~17のいずれかに記載の機械。
(19) 方法であって、
移動方向に、カメラの視野に対してステージ上で特徴を並進させることであって、前記カメラは、前記ステージ上での前記移動方向の距離に対応するピクセルサイズを有し、前記特徴は、試料容器内の特徴のアレイに含まれ、前記特徴のアレイは、前記移動方向にピッチ長を有する、ことと、
前記特徴が前記カメラの前記視野内にあり、前記カメラの前記視野に対して移動中である間に、前記特徴の1つ以上の露光ごとに、
前記カメラのセンサに、第1の持続時間にわたって照明を当てることと、
前記カメラの前記センサに照明が当てられている間に経過する、第2の持続時間を有する期間中に、前記カメラの前記視野を照明源で照明することと、を含む、行為を実行することによって、前記特徴の前記1つ以上の露光を取得することを含む行為を実行することによって、分析画像を生成することと、を含み、
前記第2の持続時間を有する前記期間の開始から終了までの前記カメラの前記視野の前記特徴の変位は、前記移動方向での前記ピッチ長以下である、方法。
(20) 前記第2の持続時間を有する前記期間の開始から終了までの前記移動方向における前記特徴の変位は、前記ピクセルサイズ以下である、実施態様19に記載の方法。
【0115】
(21) 前記特徴の1つ以上の露光を取得することは、前記特徴の複数の露光を取得することを含み、
前記方法は、前記特徴の前記複数の露光のうちの1つ以上を並進させることを含む行為を実行することによって、前記特徴の前記複数の露光をオーバーレイして前記特徴の前記分析画像を作製することを含む、実施態様19~20のいずれかに記載の方法。
(22) 前記方法は、
露光ごとに、前記カメラの前記視野が前記照明源で照明されたときの前記試料容器の位置の対応する値を取得することと、
前記特徴の前記複数の露光のうちの1つ以上を、前記試料容器の位置の前記露光の対応する値間の差異に基づいて並進させることと、を含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 露光ごとに、前記カメラの前記視野が前記照明源で照明されたときの前記試料容器の位置の前記対応する値は、エンコーダから取得される、実施態様22に記載の方法。
(24) 前記エンコーダは、前記ピクセルサイズに対応する前記ステージ上での前記距離よりも小さい距離を区別するための分解能を有し、
前記特徴の前記複数の露光をオーバーレイすることは、前記エンコーダの前記分解能で前記複数の露光のそれぞれをコレジスタすることを含む、実施態様23に記載の方法。
(25) 前記エンコーダの前記分解能で前記複数の露光のそれぞれをコレジスタすることは、前記1つ以上の露光のうちの少なくとも1つについて、
前記露光の高速フーリエ変換を行うことによって、周波数空間表現を取得することと、
前記ピクセルサイズに対応する前記ステージ上での前記距離の整数倍ではない距離だけ前記周波数空間表現を並進させることと、
並進させた前記周波数空間表現の逆高速フーリエ変換を実行することと、を含む、実施態様24に記載の方法。
【0116】
(26) 前記エンコーダの前記分解能で前記複数の露光のそれぞれをコレジスタすることは、前記複数の露光ごとに、
ピクセル間のデータを補間することに基づいて、該露光を前記エンコーダの前記分解能までアップサンプリングすることと、
アップサンプリング後に前記露光のうちの1つ以上を並進させることと、を含む、実施態様24に記載の方法。
(27) 前記試料容器は、複数の基準点を含み、
前記方法は、前記特徴の前記複数の露光のうちの1つ以上を、露光間の前記基準点の場所の差異に基づいて並進させることを含む、実施態様21に記載の方法。
(28) 前記分析画像は、それぞれが第1のビット深度を有する複数のピクセルを含み、
前記複数の露光のそれぞれは、それぞれが第2のビット深度を有する複数のピクセルを含み、前記第2のビット深度は、前記第1のビット深度よりも小さい、実施態様21~27のいずれかに記載の方法。
(29) 前記カメラによって捕捉されたそれぞれの画像に含まれるそれぞれのピクセルは、第3のビット深度を有し、前記第3のビット深度は、前記第2のビット深度よりも大きく、
前記特徴の前記複数の露光を取得することは、露光ごとに、
前記カメラの前記視野が前記照明源によって照明されている間、前記カメラで画像を捕捉することと、
前記カメラによって捕捉された前記画像から前記ピクセルのいくつかの最上位ビットを切り捨てることであって、切り捨てられる前記最上位ビットの数は、前記第3のビット深度と前記第2のビット深度との間の差異に等しい、ことと、を含む、実施態様28に記載の方法。
(30) 前記特徴を撮像するために閾値照明エネルギー用量が必要とされ、
前記特徴の前記1つ以上の露光ごとに、前記照明源で前記カメラの前記視野を照明することは、
前記第2の持続時間で乗算したときに、前記特徴を撮像するための前記閾値照明エネルギー用量よりも小さい個々の露光エネルギー用量を提供し、
前記第2の持続時間で乗算し、前記複数の露光内の露光数で乗算したときに、前記特徴を撮像するための前記閾値照明エネルギー用量よりも大きい集合露光エネルギー用量を提供するパワーで、前記照明源を起動することを含む、実施態様19~28のいずれかに記載の方法。
【0117】
(31) 前記方法は、
前記カメラで基準物体の画像を取得することであって、前記基準物体は、既知の場所を有する複数の特徴を含む、ことと、
前記基準物体に含まれる前記複数の特徴の前記既知の場所を前記基準物体の前記画像内の前記複数の特徴の見かけ上の場所と比較することを含む行為を実行することによって、歪みマップを作製することと、
前記特徴の前記1つ以上の露光のそれぞれに前記歪みマップを適用することと、を含む、実施態様19~30のいずれかに記載の方法。
(32) 前記ステージは、玉軸受を使用して静止フレーム上に取り付けられ、
前記カメラは、相補型金属酸化膜半導体センサを使用して画像を捕捉し、
前記照明源はダイオードレーザーである、実施態様19~31のいずれかに記載の方法。
(33) 前記特徴はナノウェルである、実施態様19~32のいずれかに記載の方法。
(34) 前記分析画像は、複数の分析画像のうちの1つであり、
前記方法は、
複数のシーケンシングサイクルを実行することであって、前記複数の分析画像からのそれぞれの分析画像は、単一のシーケンシングサイクルに対応する、ことと、
前記複数の分析画像に基づいて、前記試料容器内の特徴ごとにクラスタポリヌクレオチドを決定することと、
前記試料容器からの前記特徴について決定された前記クラスタポリヌクレオチドに基づいて、前記試料容器に関連付けられた試料の完全なポリヌクレオチドを決定することと、を含む、実施態様19~33のいずれかに記載の方法。
(35) 前記試料容器に含まれる前記特徴のアレイは、前記試料容器の前記移動方向の前記ピッチよりも小さい、前記試料容器の前記移動方向に垂直なピッチを有する、実施態様19~34のいずれかに記載の方法。
【0118】
(36) 前記方法は、前記第2の持続時間を有する前記期間中に、前記カメラの前記視野を前記移動方向に並進させることによって前記ステージの移動に対抗するモータを含む、実施態様19~35のいずれかに記載の方法。
(37) 機械であって、
ステージと重なり合うカメラの視野に対して試料を移動させるためのステージと、
ピクセルを含む画像を捕捉するための前記カメラであって、前記ピクセルのそれぞれは、前記ステージ上での距離に対応するピクセルサイズを有する、前記カメラと、
前記カメラの前記視野を照明するための照明源と、
パルス照明を使用して連続的に移動する試料の分析画像を取得するための手段と、を備える、機械。
(38) パルス照明を使用して前記連続的に移動する試料の前記分析画像を取得するための前記手段は、複数の閾値下露光を並進させ、オーバーレイするための手段を含む、実施態様37に記載の機械。
【国際調査報告】