(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】インプラント用カテーテル、及び医療処置用カテーテル、並びにその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524940
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 US2021057930
(87)【国際公開番号】W WO2022098781
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カート・ケリー・リード
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC05
4C097CC12
4C097SB09
(57)【要約】
送達カテーテルは、様々な実施形態では、患者の心臓の天然弁輪に対してアンカリングデバイスを送達するように構成されており、アンカリングデバイスは、天然弁輪のところでプロテーゼをより良好に固定することができる。送達カテーテルは、実施形態によっては、渦巻き形状を形成するように構成された可撓性部分を含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体の一部に対してインプラントを送達するためのシステムであって、前記システムは、
送達カテーテルであって、
可撓性部分を有した長尺シャフトと、
前記可撓性部分の第一部分に沿って長手方向に渦巻き状で延びた長尺ストリップを含む躯体と、
前記可撓性部分の、前記第一部分から周方向に離間した第二部分に沿って、長手方向に渦巻き状で延びたテザーと、を含む、送達カテーテルを備え、
前記可撓性部分は、前記テザーに対して長手方向の力が印加された時には、渦巻き形状を形成するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記可撓性部分は、前記インプラントを通過させるための内部管腔を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記躯体及び前記テザーは、前記内部管腔まわりに渦巻き状とされている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第一部分は、前記内部管腔を挟んで前記第二部分とは反対側に配置されている、請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記長尺ストリップがなす前記渦巻きは、前記可撓性部分まわりにおいて少なくとも半回転を形成している、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記長尺ストリップがなす前記渦巻きは、前記可撓性部分まわりにおいて少なくとも四分の三回転を形成している、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記長尺ストリップがなす前記渦巻きは、前記可撓性部分まわりにおいて少なくとも一周回転を形成している、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記長尺ストリップがなす前記渦巻きのピッチは、前記可撓性部分の長さに沿って変化する、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記長尺ストリップは、前記長尺ストリップに沿って長手方向に延びた切欠き部分を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記躯体の近位部分は、前記長尺シャフトの受動的可撓性部分に対して結合している、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記躯体に対して周方向に隣接して配置された材料でありかつ前記躯体よりも小さなデュロメータを有した材料を、さらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記躯体及び前記テザーは、前記長尺シャフトの本体内に埋め込まれている、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記可撓性部分の前記第二部分に沿って長手方向に渦巻き状で延びているとともに前記テザーを受領するように構成されたテザーチャネルを、さらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記可撓性部分がなす前記渦巻き形状は、螺旋状である、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記テザーは、前記可撓性部分を前記渦巻き形状に形成するよう近位向きに引き込まれるように構成された引張りテザーを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記可撓性部分は、直線的形状から渦巻き形状へと駆動されるように構成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記可撓性部分は、前記直線的形状から前記渦巻き形状へと駆動されるように構成されており、これにより、前記長尺シャフトの遠位先端の向きを変化させる、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記可撓性部分は、前記渦巻き形状から前記直線的形状へと駆動されるように構成されている、請求項16又は17に記載のシステム。
【請求項19】
前記長尺シャフトを通過させるための管腔を含む操縦可能なガイドシースをさらに含み、前記操縦可能なガイドシースは、前記長尺シャフトが前記操縦可能なガイドシースの前記管腔内に配置された時に前記長尺シャフトの一部を偏向させるように構成されている、請求項1~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記インプラントをさらに含み、前記インプラントは、ドッキングコイルを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
方法であって、
患者の身体の一部に対して送達カテーテルを送達することであり、前記送達カテーテルを、
可撓性部分を有した長尺シャフトと、
前記可撓性部分の第一部分に沿って長手方向に渦巻き状で延びた長尺ストリップを含む躯体と、
前記可撓性部分の、前記第一部分から周方向に離間した第二部分に沿って、長手方向に渦巻き状で延びたテザーと、を含むものとすることと、
前記テザーに対して長手方向の力を印加することにより、前記可撓性部分を渦巻き状に形成することと、を含む、方法。
【請求項22】
前記可撓性部分を、インプラントを通過させるための内部管腔を含むものとする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記躯体及び前記テザーを、前記内部管腔まわりに渦巻き状とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第一部分を、前記内部管腔を挟んで前記第二部分とは反対側に配置されたものとする、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記インプラントを、ドッキングコイルとし、前記方法は、前記ドッキングコイルを、前記可撓性部分の前記内部管腔を通して駆動することにより、前記可撓性部分を前記渦巻き形状とした状態で、天然の心臓弁に対して展開することを、さらに含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
人工心臓弁を展開することにより、前記ドッキングコイルに対してドッキングさせることを、さらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記テザーに対して長手方向の力を印加することにより、前記可撓性部分を直線的形状から前記渦巻き形状へと駆動することを、さらに含む、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記可撓性部分を患者の心臓の心房内で前記渦巻き形状へと駆動することを、さらに含む、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記可撓性部分を患者の心臓の心室内で前記渦巻き形状へと駆動することを、さらに含む、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記長尺ストリップがなす前記渦巻きを、前記可撓性部分まわりにおいて少なくとも半回転を形成するものとする、請求項21~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記長尺ストリップがなす前記渦巻きを、前記可撓性部分まわりにおいて少なくとも4分の3回転を形成するものとする、請求項21~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記長尺ストリップがなす前記渦巻きを、前記可撓性部分まわりにおいて少なくとも一周回転を形成するものとする、請求項21~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記長尺ストリップがなす前記渦巻きのピッチを、前記可撓性部分の長さに沿って変化するものとする、請求項21~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記長尺ストリップを、前記長尺ストリップに沿って長手方向に延びた切欠き部分を含むものとする、請求項21~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記テザーを、引張りテザーを含むものとし、前記方法は、前記引張りテザーを近位向きに後退させることにより、前記可撓性部分を前記渦巻き形状に形成することを、さらに含む、請求項21~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記躯体よりも小さなデュロメータを有した材料を、前記躯体に対して周方向に隣接して配置する、請求項21~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記躯体及び前記テザーを、前記長尺シャフトの本体内に埋め込まれたものとする、請求項21~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
テザーチャネルを、前記可撓性部分の前記第二部分に沿って長手方向に渦巻き状で延びているとともに前記テザーを受領しているものとする、請求項21~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記テザーを、前記テザーチャネル内をスライドするように構成された引張りテザーを含むものとする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記可撓性部分がなす前記渦巻き形状を、螺旋状とする、請求項21~39のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2020年11月4日付けで出願された米国仮出願第63/109,461号明細書の優先権を主張するものであり、この文献の全体的内容は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、一般に、プロテーゼを支持するプロテーゼドッキングデバイスなどのアンカリングデバイスを送達するための展開ツールと、この展開ツールを使用するための方法と、に関する。例えば、本開示は、奇形及び/又は機能不全を有した心臓弁の置換であって、移植部位で人工心臓弁を支持するアンカリングデバイスを展開するために可撓性送達カテーテルが利用される置換と、そのようなアンカリングデバイス及び/又は人工心臓弁を移植するために送達カテーテルを使用するための方法と、に関する。
【背景技術】
【0003】
図1A~
図1Bを全体的に参照すると、天然の僧帽弁50は、ヒトの心臓の左心房51から左心室52への血液流を制御するものであり、同様に、三尖弁59は、右心房56と右心室61との間の血液流を制御するものである。僧帽弁は、他の天然の心臓弁とは異なる解剖学的構造を有している。僧帽弁は、僧帽弁口を取り囲む天然弁組織から構成された弁輪と、弁輪から左心室内へと下向きに延びた一対の弁尖又は弁葉と、を含む。僧帽弁の弁輪は、「D」字形状、楕円形状、又は、長軸と短軸とを有した他の非円形断面形状、を形成することができる。前尖が、弁の後尖よりも大きいため、これらが一緒に閉じられた時に弁尖の隣接し合う自由エッジどうしの間に略「C」字形状の境界部が形成され得る。
【0004】
適正に動作した際には、僧帽弁の前尖54及び後尖53は、左心房51から左心室52へと血液を流し得る一方向弁として一緒に機能する。左心房が、肺静脈から、酸素を多く含んだ血液を受領した後には、左心房の筋肉が収縮するとともに左心室が弛緩することで(「心室拡張期」又は「拡張期」とも称される)、左心房内に収集された酸素を多く含んだ血液が、左心室内へと流入する。その後、左心房の筋肉が弛緩するとともに左心室の筋肉が収縮することで(「心室収縮期」又は「収縮期」とも称される)、左心室52から、大動脈弁63及び大動脈58を通して、身体の残部へと、酸素を多く含んだ血液を移動させる。心室収縮期に左心室内の血圧が上昇することにより、僧帽弁の二つの弁葉は、互いに合わさるように付勢され、これにより、一方通行の僧帽弁が閉塞されて、血液が左心房内へと逆流し得ないものとされる。二つの弁葉が、圧力によって逸脱してしまったり、心室収縮期に僧帽弁輪を通して左心房に向けて折り返されてしまったり、することを防止又は阻止するために、腱索と称される複数の線維索62が、左心室内の乳頭筋に対して弁葉を繋ぎ止めている。腱索62は、
図1Aにおける心臓の断面図と、
図1Bにおける僧帽弁の平面図と、の両方において、概略的に図示されている。
【0005】
僧帽弁の適正な機能に関する問題は、あるタイプの心臓弁膜症である。心臓血管症は、三尖弁を含めた他の心臓弁に対しても、影響を及ぼし得る。心臓弁膜症の一般的な形態は、逆流としても知られる弁漏洩であり、これは、僧帽弁と三尖弁との両方を含めた様々な心臓弁において、発生し得る。僧帽弁の逆流は、天然の僧帽弁が適正に閉塞することができず、心室収縮期に血液が左心室から左心房内へと逆流した場合に、発生する。僧帽弁の逆流は、弁葉の逸脱、乳頭筋の機能不全、腱索に関する問題、及び/又は、左心室の拡張に由来する僧帽弁輪の伸張、などの様々な原因を有し得る。僧帽弁の逆流に加えて、僧帽弁の狭隘化すなわち狭窄症が、心臓弁膜症の他の例である。三尖弁の逆流では、三尖弁が適正に閉塞することができず、血液が右心室から右心房内へと逆流する。
【0006】
僧帽弁及び三尖弁の場合と同様に、大動脈弁も、また、大動脈弁狭窄又は大動脈弁不全症などの合併症を受けやすい。大動脈心疾患を処置するための一つの方法は、天然の大動脈弁内へと人工弁を移植して使用することを含む。これらの人工弁は、様々な経カテーテル技術を含めた様々な技術を使用して、移植することができる。経カテーテル心臓弁(THV)を、可撓性の及び/又は操縦可能なカテーテルの端部上へと圧着状態で取り付け得るとともに、心臓へと続く血管を介して心臓の移植部位へと前進駆動することができ、その後、例えば、THVが上部に取り付けられたバルーンを膨張させることなどによって、機能サイズへと拡張させることができる。代替的には、自己拡張型THVを、送達カテーテルのシース内に径方向圧縮状態で保持することができ、この場合、THVを、シースから展開することができ、これにより、THVを、その機能的な状態へと拡張させることができる。このような送達カテーテル及び移植技術は、一般に大動脈弁における移植又は使用のために多く開発されているけれども、独特な解剖学的構造に対しては、また、他の弁に関する課題に対しては、対処していない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
この概要は、いくつかの例を提示することを意図しており、いかなる点においても本発明の範囲を限定することを意図していない。例えば、この概要の一例に含まれるいかなる特徴も、特許請求の範囲がそれら特徴を明示的に記載していない限りは、特許請求の範囲の要件とはならない。また、説明する特徴どうしは、様々な態様で組み合わせることができる。本開示の他の箇所で説明するような様々な特徴及びステップは、ここで概説する例の中に含まれてもよい。
【0008】
ツール及び方法が、僧帽弁位置及び三尖弁位置での使用のため、一つ又は複数の弁(例えば、大動脈弁の置換用に又は他の場所向けに設計されたもの)などの異なるタイプのインプラントを適合化することを含めて、僧帽弁及び三尖弁の置換向けに提供される。僧帽位置又は三尖位置でこれらの他の人工弁を適合化する一つの方法は、天然の弁輪のところでより適切に形状設定された移植部位を形成することとなるアンカー又は他のドッキングデバイス/ステーションなどのインプラントの内部で人工弁を展開することである。本明細書におけるアンカー又は他のドッキングデバイス/ステーションは、人工弁がより確実に移植されることを可能とするとともに、さらに、移植後における弁周囲での漏洩を低減又は解消する。
【0009】
本明細書で使用され得るアンカー又はアンカリングデバイスの形態をなす一つのタイプのインプラントは、円筒形状人工弁用の円形ドッキング部位若しくは円筒形ドッキング部位を提供するコイルアンカー又は螺旋形状アンカーを含めたドッキングコイルである。本明細書で使用され得る一つのタイプのアンカー又はアンカリングデバイスは、円筒形状人工弁用の円形ドッキング部位若しくは円筒形ドッキング部位を提供するコイル状領域及び/又は螺旋形状領域を含む。このように、任意選択的に、大動脈位置向けに開発された既存の弁インプラントを、おそらく何らかの改変を加えて、このようなアンカー又はアンカリングデバイスと一緒に、僧帽位置などの別の弁位置に移植することができる。このようなアンカー又はアンカリングデバイスは、心臓における、三尖弁などの、他の天然弁のところで使用することができ、それらの部位のところで人工弁をより確実にアンカリングすることもできる。
【0010】
本明細書で説明するものは、ヒトの心臓における、天然の僧帽弁領域、天然の大動脈弁領域、天然の三尖弁領域、又は天然の肺動脈弁領域、の一つへと、人工デバイスの形態をなすインプラントを送達することを支援するための展開ツールの実施形態と、そのような展開ツールを使用するための方法の実施形態と、である。開示する展開ツールは、人工心臓弁が移植され得る基礎支持構造を提供するために、移植部位のところで、複数の巻線若しくはコイルを有した螺旋状アンカリングデバイス又はアンカリングデバイスなどのアンカリングデバイス(例えば、プロテーゼドッキングデバイス、人工弁ドッキングデバイス、等)の形態をなすインプラントを展開するために使用することができる。送達カテーテルは、実施形態によっては、操縦可能な送達カテーテルを含んでもよい。
【0011】
一実施形態では、送達カテーテルは、可撓性部分を有した長尺シャフトと、可撓性部分の第一部分に沿って長手方向に渦巻き状で延びた長尺ストリップを含む躯体と、を含んでもよい。テザーが、可撓性部分の、第一部分から周方向に離間した第二部分に沿って、長手方向に渦巻き状で延びてもよい。可撓性部分は、テザーに対して長手方向の力が印加された時には、渦巻き形状を形成するように構成されてもよい。
【0012】
方法は、患者の身体の一部に対して送達カテーテルを送達することを含んでもよく、この場合、送達カテーテルは、可撓性部分を有した長尺シャフトと、可撓性部分の第一部分に沿って長手方向に渦巻き状で延びた長尺ストリップを含む躯体と、を含む。テザーが、可撓性部分の、第一部分から周方向に離間した第二部分に沿って、長手方向に渦巻き状で延びてもよい。
【0013】
方法は、テザーに対して長手方向の力を印加することにより、可撓性部分を渦巻き状に形成することを含んでもよい。
【0014】
ここで概説したシステム及びカテーテルは、また、この開示の他の箇所で説明する特徴、構成部材、構成要素、等のいずれかを含むことができ、ここで概説した方法は、また、この開示の他の箇所で説明するステップのいずれかを含むことができる。
【0015】
本開示における上記の及び他の、目的、特徴、並びに利点は、添付図面を使用した以下の詳細な説明から、より明瞭となるであろう。図面では、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】
図1Aは、ヒトの心臓に関する概略的な断面図を示している。
【
図1B】
図1Bは、心臓の僧帽弁輪に関する概略的な平面図を示している。
【
図2A】
図2Aは、螺旋状とされた例示的なアンカリングデバイスに関する斜視図を示している。
【
図2B】
図2Bは、経中隔技術を使用して心臓の天然弁のところにアンカリングデバイスの形態をなすインプラントを移植するための例示的な送達カテーテルに関する部分的な斜視図を示している。
【
図2C】
図2Cは、アンカリングデバイスと、心臓の天然弁のところに移植された例示的な人工心臓弁と、に関する断面図を示している。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態による送達カテーテルに関する斜視図を示しており、送達カテーテルの遠位部分の一部は、透明とされている。
【
図4】
図4は、
図3に示す送達カテーテルの遠位部分に関する拡大した斜視図を示しており、遠位部分の一部は、透明とされている。
【
図5】
図5は、送達カテーテルの遠位部分に関する拡大した斜視図を示している。
【
図6A】
図6Aは、本開示の一実施形態による躯体(スパイン、spine)に関する斜視図を示している。
【
図6B】
図6Bは、送達カテーテルの長尺シャフトに関する側面図を示している。
【
図6C】
図6Cは、送達カテーテルの長尺シャフトに関する、
図6Bの線6C-6Cに沿った断面図を示している。
【
図6D】
図6Dは、送達カテーテルの長尺シャフトに関する、
図6Eの線6D-6Dに沿った断面図を示している。
【
図6E】
図6Eは、送達カテーテルの長尺シャフトに関する、
図6Cの線6E-6Eに沿った断面図を示している。
【
図6F】
図6Fは、送達カテーテルの長尺シャフトに関する、
図6Dの線6F-6Fに沿った断面図を示している。
【
図7A】
図7Aは、送達カテーテルの可撓性部分に関する概略図を示している。
【
図7B】
図7Bは、
図7Aに示す送達カテーテルの可撓性部分に関する概略図であって、
図7Aに示す位置から撓ませた状態を示している。
【
図7C】
図7Cは、
図7Bに示す送達カテーテルの可撓性部分に関する概略図であって、
図7Bに示す位置から撓ませた状態を示している。
【
図8A】
図8Aは、患者の心臓の一部に関する側方破断図であって、例示的な方法において卵円窩を通して左心房へと進入した例示的な送達カテーテルを示している。
【
図8B】
図8Bは、
図8Aに示す位置で、患者の心臓の左心房へと進入した
図8Aの送達カテーテルを図示しており、送達デバイスは、
図8Aの線8B-8Bに沿って見た図によって示されている。
【
図8D】
図8Dは、
図8Cに示す第二位置に位置した
図8Aの送達カテーテルを図示しており、送達カテーテルは、
図8Cの線8D-8Dに沿って見た図によって示されている。
【
図8F】
図8Fは、
図8Eに示す第四位置に位置した
図8Aの送達デバイスを図示しており、送達デバイスは、
図8Eの線8F-8Fに沿って見た図によって示されている。
【
図8G】
図8Gは、患者の心臓の左側に関する側方破断図であって、患者の心臓の左心室内における腱索及び弁葉の周囲へと送達されたアンカリングデバイスを図示している。
【
図8H】
図8Hは、
図8Aの送達カテーテルによって送達されている際に、患者の心臓の左心室内における腱索及び弁葉の周囲へとさらに巻回された
図8Gのアンカリングデバイスを図示している。
【
図8I】
図8Iは、
図8Aの送達カテーテルによって送達されている際に、患者の心臓の左心室内における腱索及び弁葉の周囲へとさらに巻回された
図8Gのアンカリングデバイスを図示している。
【
図8J】
図8Jは、患者の左心房を見下ろした図であって、
図8Gのアンカリングデバイスが患者の心臓の左心室内における腱索及び弁葉の周囲へと巻回された後の、
図8Aの送達カテーテルを図示している。
【
図8K】
図8Kは、患者の心臓の左心房内における
図8Aの送達カテーテルを図示しており、この図では、送達カテーテルは、患者の心臓の左心房内へとアンカリングデバイスの一部を送達するために、後退している。
【
図8L】
図8Lは、患者の心臓の左心房内における
図8Aの送達カテーテルを図示しており、この図では、送達カテーテルは、患者の心臓の左心房内へとアンカリングデバイスの更なる部分を送達するために、後退している。
【
図8M】
図8Mは、患者の心臓の左心房内における
図8Aの送達カテーテルを図示しており、この図では、アンカリングデバイスは、露出されているとともに、患者の心臓の左心房内におけるプッシャーに対して堅固に接続されている様子で示されている。
【
図8N】
図8Nは、患者の心臓の左心房内における
図8Aの送達カテーテルを図示しており、この図では、アンカリングデバイスは、送達デバイスから完全に取り外されているとともに、縫合糸によってプッシャーに対して緩くかつ着脱可能に取り付けられている。
【
図8O】
図8Oは、患者の心臓の破断図であって、心臓弁送達デバイスの例示的な一実施形態によって、患者の僧帽弁へと送達される、人工心臓弁の例示的な一実施形態を図示している。
【
図8P】
図8Pは、心臓弁送達デバイスによって、患者の僧帽弁へとさらに送達される、
図8Oの心臓弁を図示している。
【
図8Q】
図8Qは、バルーンの膨張によって開放される
図8Oの心臓弁を図示しており、これにより、心臓弁は、拡張して患者の僧帽弁に対して取り付けられる。
【
図8R】
図8Rは、患者の心臓の僧帽弁に対して取り付けられるとともに
図8Iのアンカリングデバイスによって固定された
図8Oの心臓弁を図示している。
【
図8S】
図8Sは、左心室から僧帽弁を上向きに見た図であって、
図8Rの線8S-8Sに沿って見た図によって、患者の心臓の僧帽弁に対して取り付けられた
図8Pの人工心臓弁を図示している。
【
図9A】
図9Aは、本開示の一実施形態による躯体に関する斜視図を示している。
【
図9B】
図9Bは、送達カテーテルの長尺シャフトに関する、中央線に沿った断面図を示している。
【
図9C】
図9Cは、送達カテーテルの長尺シャフトに関する、
図9Bに示す図から90度だけ回転させた図に沿った断面図を示している。
【
図10A】
図10Aは、本開示の一実施形態による躯体に関する斜視図を示している。
【
図10B】
図10Bは、送達カテーテルの長尺シャフトに関する、中央線に沿った断面図を示している。
【
図10C】
図10Cは、送達カテーテルの長尺シャフトに関する、
図10Bに示す図から90度だけ回転させた図に沿った断面図を示している。
【
図11A】
図11Aは、本開示の一実施形態による躯体に関する斜視図を示している。
【
図11B】
図11Bは、送達カテーテルの長尺シャフトに関する、中央線に沿った断面図を示している。
【
図11C】
図11Cは、送達カテーテルの長尺シャフトに関する、
図11Bに示す図から90度だけ回転させた図に沿った断面図を示している。
【
図12A】
図12Aは、本開示の一実施形態による躯体に関する斜視図を示している。
【
図12B】
図12Bは、送達カテーテルの長尺シャフトに関する、中央線に沿った断面図を示している。
【
図12C】
図12Cは、送達カテーテルの長尺シャフトに関する、
図12Bに示す図から90度だけ回転させた図に沿った断面図を示している。
【
図13A】
図13Aは、本明細書の一実施形態による、心室へと進入した送達カテーテルに関する部分的な斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
特定の実施形態を説明して図示している以下の説明及び添付図面は、本開示の様々な態様及び特徴のために使用され得るシステム、デバイス、装置、構成要素、方法、等に関する複数の可能な構成を、非限定的な態様で例示している。一例として、本明細書では、僧帽弁処置に関連し得る様々なシステム、デバイス/装置、構成要素、方法、等について説明している。しかしながら、提示する具体例は、限定することを意図したものではなく、例えば、システム、デバイス/装置、構成要素、方法、等は、僧帽弁以外の他の弁(例えば、三尖弁)における使用に関して、適合化することができる。
【0018】
本明細書で説明するものは、ヒトの心臓における、天然の僧帽弁領域、天然の大動脈弁領域、天然の三尖弁領域、又は天然の肺動脈弁領域、の一つのところで、人工デバイス(例えば、人工弁)の形態をなすインプラントを移植することを容易とすることを意図された展開ツールの実施形態と、そのような展開ツールを使用するための方法の実施形態と、である。人工デバイス又は人工弁は、拡張可能な経カテーテル心臓弁(「THVs」)(例えば、バルーン拡張可能なTHVs、自己拡張可能なTHVs、及び/又は機械的に拡張可能なTHVs)とすることができる。展開ツールは、天然弁領域に人工デバイス又は人工弁(例えば、THVs)を固定するためにより安定的なドッキング部位を提供するアンカリングデバイス(時として、ドッキングデバイス、ドッキングステーション、又は同様の用語、と称される)を展開するために使用することができる。アンカリングデバイスは、実施形態によっては、ドッキングコイルを含んでもよい。これらの展開ツールは、アンカリングデバイス及びそれに対してアンカリングされた任意のプロテーゼ(例えば、人工デバイス又は人工心臓弁)が移植後に適正に機能するように、そのようなアンカリングデバイス(例えば、プロテーゼアンカリングデバイス、人工弁アンカリングデバイス、等)を、より正確に配置するために使用することができる。
【0019】
そのようなインプラントの一例は、
図2Aに示すようなドッキングコイルを含むアンカリングデバイスを含む。本明細書で使用し得るアンカリングデバイスの他の例は、米国特許出願シリアル番号第15/643229号明細書、米国特許出願シリアル番号第15/684836号明細書、及び米国特許出願シリアル番号第15/682287号明細書、に示されており、これら文献は、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に援用される。本明細書におけるアンカリングデバイスは、コイル状又は螺旋状とすることができる、あるいは、一つ若しくは複数のコイル状領域を、又は一つ若しくは複数の螺旋状領域を、含むことができる。アンカリングデバイス1は、
図2Aにおいて、二つの上側コイル10a、10bと、二つの下側コイル12a、12bと、を含むものとして示されている。代替可能な実施形態では、アンカリングデバイス1は、任意の適切な数の上側コイル及び下側コイルを含むことができる。例えば、アンカリングデバイス1は、一つの上側コイル、二つ以上の上側コイル、三つ以上の上側コイル、四つ以上の上側コイル、五つ以上の上側コイル、等を含むことができる。加えて、アンカリングデバイス1は、一つの下側コイル、二つ以上の下側コイル、三つ以上の下側コイル、四つ以上の下側コイル、五つ以上の下側コイル、等を有することができる。様々な実施形態では、アンカリングデバイス1は、下側コイルと同数の上側コイルを有することができる。他の実施形態では、アンカリングデバイス1は、下側コイルと比較して、より多数の又はより少数の上側コイルを有することができる。
【0020】
アンカリングデバイスの形態をなすインプラントは、変動直径若しくは同一直径のコイル/巻線、変動ギャップによって離間された若しくはギャップなしのコイル/巻線、及び、テーパ状をなす若しくは拡張する若しくは大きくなるフレア状をなす若しくは小さくなるフレア状をなすコイル/巻線、を含むことができる。人工弁がアンカリングデバイス1内に配置又は拡張された時には、コイル/巻線も、また、径方向外向きに伸張し得ることに、留意されたい。
【0021】
図2Aに図示した実施形態では、上側コイル10a、10bは、下側コイル12a、12bとほぼ同じサイズとすることができる、あるいは、下側コイル12a、12bと比較して、わずかに小さな直径を有することができる。一つ若しくは複数の下側端部コイル/巻線(例えば、一周分の若しくは部分的な、端部コイル/巻線)は、他のコイルと比較して、より大きな直径又はより大きな曲率半径を有し得るとともに、包囲コイル/巻線として作用することができ、これにより、例えば弁葉及び/又は任意の腱索を包囲して捕捉するためなどに、弁葉及び/又は任意の腱索の外部へとまた周囲へとコイル端部を案内することを補助する。一つ若しくは複数の、より大きな直径の又はより大きな半径の、下側コイルあるいは包囲コイルは、挿入時に、天然弁輪に対しての係合と、天然弁解剖学的構造の周囲への操縦と、をより容易とする。
【0022】
いくつかの実施形態では、一つ若しくは複数の上側コイル/巻線(例えば、一周分の又は部分的な、コイル/巻線)は、より大きなものとし得るとともに、あるいはより大きな直径(又は、より大きな曲率半径)を有し得るとともに、安定化コイルとして(例えば、心臓の心房内において)作用することができ、これにより、人工弁がそこで展開される前にコイルを所定位置に保持することを補助する。いくつかの実施形態では、この一つ若しくは複数の上側コイル/巻線は、心房コイル/巻線とすることができ、心室内のコイルと比較して、より大きな直径を有することができ、これにより、例えば、安定性のために心房壁と係合するように構成された安定化コイル/巻線として作用する。
【0023】
複数のコイルのいくつかは、機能的コイル(例えば、安定化コイル(一つ又は複数)/巻線(一つ又は複数)と包囲コイル(一つ又は複数)/巻線(一つ又は複数)との間のコイル/巻線)とすることができ、人工弁は、この機能的コイル内で展開され、機能的コイルと人工弁との間の力は、互いを所定位置に保持することを補助する。アンカリングデバイス及び人工弁は、これらがより確実に所定定位置に保持されるよう、これら自身の間に(例えば、アンカリングデバイスの機能的コイルと、人工弁の外面と、の間に)、天然の組織(例えば、弁葉及び/又は腱)を挟んでもよい。
【0024】
図8G~
図8Sに示すアンカリングデバイスと比較して同一のものとし得る又は同様のものとし得る一実施形態では、アンカリングデバイスは、一つの大きな上側コイル/巻線又は一つの大きな安定化コイル/巻線と、一つの下端コイル/巻線又は一つの包囲コイル/巻線と、複数の機能的コイル/巻線(例えば、2つの、3つの、4つの、5つの、又はより多数の、機能的コイル/巻線)と、を有してもよい。
【0025】
僧帽弁位置で使用される場合には、アンカリングデバイスは、例えば
図2Cに示すように、一つ若しくは複数の上側コイル/巻線(例えば、上側コイル10a、10b)が、天然弁(例えば、僧帽弁50又は三尖弁)の弁輪よりも上方に位置しているようにして、すなわち心房側に位置しているようにして、かつ、下側コイル12a、12bが、天然弁の弁輪よりも下方に位置しているようにして、すなわち心室側に位置しているようにして、移植することができる。この構成では、僧帽弁葉53、54を、上側コイル10a、10bと下側コイル12a、12bとの間に捕捉することができる。移植された場合、本明細書の様々なアンカリングデバイスは、人工弁を所定位置に固定するためのかつ心臓の動作に基づく移動を回避するための、強固な支持構造を提供することができる。
【0026】
図2Bは、経中隔技術を使用して、アンカリングデバイスの形態をなすインプラントを、天然の僧帽弁輪50のところに設置するための、送達デバイス2を示している。同一の又は同様の送達デバイス2は、右心房から出て中隔を横断して左心房へと入る必要なく、三尖弁のところにアンカリングデバイスを送達するために、使用することができる。送達デバイス2は、外側シース又はガイドシース20を有したシースカテーテルを含む。送達デバイスは、送達カテーテル100を含む。シース20は、長尺中空チューブの形状とされたシャフトを有しており、このシャフトの内部を通して、送達カテーテル100と、様々な他の構成部材(例えば、アンカリングデバイス、人工心臓弁、等のインプラント)と、が通過することができ、これにより、それら構成部材を、患者の心臓5内へと導入することができる。シース20は、シースが心臓5を通過して左心房51内へと導入されるのに必要な様々な角度でシース20が曲げられ得るよう、操縦可能とすることができる。シース20は、送達カテーテルが通過するための内腔を含んだ操縦可能なガイドシースを含んでもよい。操縦可能なガイドシースは、長尺シャフトが操縦可能なガイドシースの内腔内に配置された時に、送達カテーテル100の長尺シャフトの一部を偏向させるように構成されてもよい。シース20内に位置している時には、送達カテーテル100は、比較的直線的な形状又は直線的形状を有しており(以下でより詳細に説明する渦巻き形状と比較して)、例えば、送達カテーテル100は、シース20の構成又は形状に対応した構成又は形状で、シース20内に保持される。
【0027】
シース20と同様に、送達カテーテル100は、長尺中空チューブの形状を有した長尺シャフトを有している。しかしながら、送達カテーテル100は、シース20の内部で軸方向にスライドし得るよう、シース20よりも小さな直径を有している。他方、送達カテーテル100は、アンカリングデバイス1などのアンカリングデバイスといったようなインプラントを収容して展開するために、充分な大きさとされている。
【0028】
送達カテーテル100の長尺シャフトは、可撓性部分102を有してもよい。可撓性部分102は、送達カテーテル100の長尺シャフトの遠位部分を含んでもよい。可撓性部分102は、渦巻き形状を形成するように構成されてもよい。可撓性部分102は、直線的形状から渦巻き形状へと、曲げられるように、又は他の態様で駆動されるように、構成されてもよい。可撓性部分102は、アンカリングデバイス1をより正確に配置し得る構成へと曲げられてもよく、一般的には、可撓性部分102を曲げ得るとともに可撓性部分102をそのような構成に保持し得るような強固な設計を有しているべきである。例えば、
図2Bに示すように、可撓性部分102は、可撓性部分102の遠位部分104が僧帽弁50の心室側でアンカリングデバイス1からの押出又は押込を支援するように湾曲した渦巻き形状へと、曲げられてもよく、これにより、アンカリングデバイス1の下側コイル(例えば、機能的コイル及び/又は包囲コイル)を、天然弁の弁輪の下方へと、適正に設置することができる。可撓性部分102は、また、アンカリングデバイスの上側コイル(一つ若しくは複数)(例えば、安定化コイル/巻線、又は、上側コイル10a、10b)が天然弁の弁輪の心房側で正確に展開され得るよう、渦巻き形状へと曲げられ得る。例えば、可撓性部分102は、上側コイル10a、10bを設置するための渦巻き形状と、下側コイル12a、12bを設置するための渦巻き形状と、を有することができる。他の実施形態では、可撓性部分102は、下側コイル12a、12bを設置するための一つの構成と、上側コイル10a、10bを設置するための別の構成と、を有することができる。
【0029】
使用時には、僧帽弁にアクセスするために経中隔的送達方法を使用する場合、シース20は、大腿静脈を通して、さらに下大静脈57を通して、右心房56内へと、挿入することができる。代替的には、シース20は、頸静脈又は鎖骨下静脈又は他の上部血管位置を通して挿入し得るとともに、上大静脈を通して、右心房内へと挿入することができる。その後、
図2Bから理解され得るように、心房間中隔55が穿刺され(例えば、卵円窩のところで)、シース20は、左心房51内へと進められる。(三尖弁処置では、中隔55を穿刺又は横断する必要はない。) シース20は、遠位端部分21を有しており、この遠位端部分21は、心臓の所望のチャンバ(例えば、左心房51)内へのシース20の操縦を容易とするために、操縦可能な又は事前に湾曲させた遠位端部分とすることができる。
【0030】
僧帽弁処置では、シース20が左心房51内の所定位置に位置した状態で、送達カテーテル100を、シース20の遠位端24から前進させ、これにより、送達カテーテル100の可撓性部分102も、また、左心房51内に位置させる。この位置で、僧帽弁50の弁輪のところにアンカリングデバイス1を設置し得るよう、送達カテーテル100の可撓性部分102を、渦巻き形状へと駆動することができる。その後、アンカリングデバイス1を、送達カテーテル100を通して前進させ得るとともに、僧帽弁50のところに設置することができる。アンカリングデバイス1は、移植のために送達カテーテル100を通してアンカリングデバイス1を前進させる又は押し出すプッシャーに対して、取り付けることができる。プッシャーは、送達カテーテル100を通してアンカリングデバイス1を押し出すのに充分な強度及び物理的特性を有したワイヤ又はチューブとすることができる。いくつかの実施形態では、プッシャーは、他の構造の中でも、とりわけ、スプリング若しくはコイル、チューブ押出器、編組チューブ、又はレーザー切断ハイポチューブ、から形成することができる、あるいは、それらを含むことができる。いくつかの実施形態では、プッシャーは、外面上に及び/又は内面上にコーティングを有することができ、例えば、PTFEによってライニングされた内部管腔を有することで、このライニング済み管腔を通して、ライン(例えば、縫合糸)を無傷で駆動することができる。上述したように、いくつかの実施形態では、プッシャーが、アンカリングデバイス1の心室コイルを、左心室内で押し込んで適正に位置決めした後に、アンカリングデバイス1の心室コイルを左心室内の所定位置に維持又は保持したまま、アンカリングデバイス1の心房コイルを左心房内で解放し得るよう、可撓性部分102を駆動することができる。
【0031】
アンカリングデバイス1が設置された後には、可撓性部分102の曲率を直線化することにより又は低減させることにより、シース20を通して送達カテーテル100が戻り得るようにすることで、送達カテーテル100を取り外すことができる。その後、送達カテーテル100が取り外された状態で、人工弁を、例えば人工経カテーテル心臓弁(THV)60を、例えば
図2Cに示すように、例えばシース20を通過させ得るとともに、アンカリングデバイス1の内部に固定することができる。THV60がアンカリングデバイス1の内部に固定された時には、THV60のための任意の他の送達装置と一緒に、シース20を、患者の身体から取り外し得るとともに、患者の中隔55の開口と、右大腿静脈の開口と、を閉塞することができる。他の実施形態では、アンカリングデバイス1の移植が完了した後に、THV60を送達するために、完全に異なるシース又は異なる送達デバイスを、別個に使用することができる。例えば、ガイドワイヤを、シース20を介して導入することができる、あるいは、シース20を取り外し得るとともに、ガイドワイヤを、別個の送達カテーテルを使用して、同じアクセスポイントを経由して、天然僧帽弁を通して、左心室内へと、前進させることができる。他方、アンカリングデバイスは、この実施形態では経中隔的に移植されるけれども、経中隔的移植に限定されるものではなく、THV60の送達も、経中隔的送達(又はより一般的には、アンカリングデバイスの送達と同じアクセスポイントを経由した送達)に限定されるものではない。さらに他の実施形態では、アンカリングデバイス1の経中隔的送達の後に、任意の様々な他のアクセスポイントを使用することにより、THV60を、例えば経心尖的に又は経心房的に又は大腿動脈経由で、移植することができる。
【0032】
図3は、本明細書の実施形態に従って利用され得る送達カテーテル100に関する斜視図を示している。可撓性部分102は、可撓性部分102の内部における躯体106の位置とテザーチャネル108とを示すために、部分的に透明なものとして示されている。テザーチャネル108は、テザー107を受領するように構成されてもよい(例えば
図5に示すように)。送達カテーテル100は、遠位先端114を有した遠位部分112を備えた長尺シャフト110を含んでもよい。長尺シャフト110は、ハンドル118に対して結合し得る近位部分116を含んでもよい。
【0033】
ハンドル118は、ユーザが把持するようにさらに長尺シャフト110を制御するようユーザが操作するように、構成されてもよい。例えば、ハンドル118は、長尺シャフト110が患者の身体の血管系内へと遠位向きに前進駆動される際にユーザが把持するように、構成されてもよい。ハンドル118は、さらに、患者の血管系内に配置された時に長尺シャフト110を回転駆動するようユーザが把持するように、構成されてもよい。ハンドル118の回転は、長尺シャフト110の遠位先端114の位置を回転駆動してもよく、これにより、遠位先端114を、所望の構成で配置することができる。
【0034】
ハンドル118は、テザーチャネル108の内部へと延び得るテザー107(
図5に示す)を駆動するように構成された偏向機構を、さらに含んでもよい。偏向機構は、例えば、ユーザが駆動することでテザーチャネル108の内部でテザーを駆動するように構成され得るアクチュエータ120を、含んでもよい。アクチュエータ120は、
図3に示すような制御ノブを含んでもよい、あるいは、実施形態によっては、他の形態を有してもよい。アクチュエータ120は、テザーチャネル108の内部でテザーに対して長手方向の力を印加することでテザーチャネル108の内部でテザーを駆動するように、構成されてもよい。長手方向の力は、
図3に示すような直線的形状から例えば
図7Cに示すような渦巻き形状へと長尺シャフト110の可撓性部分102を駆動したことの結果であってもよい。他の実施形態では、他の形態をなす偏向機構が利用されてもよい。
【0035】
長尺シャフト110は、
図2Bに示す操縦可能なガイドシースのシース20などの別のカテーテルの内部でスライドするように構成され得る外面122を含んでもよい。長尺シャフト110は、例えば長尺シャフト110が貫通し得るシースカテーテルのシース20又は他の構造の形状に適合するためなどに、曲げられるように構成されてもよい。長尺シャフト110は、円筒形状を有してもよい、あるいは、実施形態によっては、所望に応じて別の形状を有してもよい。
【0036】
長尺シャフト110は、インプラント送達システムの他の構成部材と一緒に、アンカリングデバイス1などのインプラントが貫通するように構成され得るシースを含んでもよい。長尺シャフト110は、長尺シャフト110の遠位先端114から長尺シャフト110の近位端へと近位向きに延びる内腔124(
図5及び
図6Cに示す)を含んでもよい。内腔124は、アンカリングデバイス1などのインプラントが貫通するように構成されてもよい。実施形態によっては、カテーテルなどの他の構成部材が、又は他のデバイスが、内腔124を貫通してもよい。
【0037】
可撓性部分102は、長尺シャフト110の遠位部分112のところに配置されてもよい。可撓性部分102は、
図3では、部分的に透明な図として示されている。可撓性部分102は、テザーチャネル108の内部のテザーに対して長手方向の力が印加された時には、渦巻き形状を形成するように構成されてもよい。
【0038】
図4は、長尺シャフト110の可撓性部分102に関する拡大した斜視図を示している。可撓性部分102の躯体106及びテザーチャネル108が、実線で示されており、可撓性部分102の残部は、透明なものとして示されている。躯体106は、近位リング126と、遠位リング128と、近位リング126と遠位リング128との間にわたって延びる長尺ストリップ130と、を含むものとして示されている。長尺ストリップ130は、可撓性部分102の、長尺ストリップ130と同様に渦巻き状で延びた部分132に沿って、長手方向に渦巻き状で延びてもよい。
【0039】
長尺ストリップ130は、可撓性部分102の周方向に隣接した材料150(
図4では透明なものとして示されており、
図6C及び
図6Fに示されている)と比較して、より小さな可撓性を有した材料を含んでもよい。よって、長尺ストリップ130は、可撓性部分102の周方向に隣接した部分と比較して、より大きなデュロメータを有した部分を含んでもよく、可撓性部分102は、長尺ストリップ130を含む部分のところで、曲げられにくいものであってもよい。
【0040】
図4に示すような長尺ストリップ130は、単一の一体部材から構成され得るけれども、実施形態によっては、長尺ストリップ130は、長尺ストリップ130の切欠き部分を含む他の構成を有してもよい。
図11A~
図11Cは、例えば、切欠き部分を有した長尺ストリップを含む実施形態を図示している。
【0041】
図4に示すような長尺ストリップ130は、内腔124の長手方向軸134を中心に、内腔124について単一の一周回転を有した渦巻きを形成してもよい。長尺ストリップ130の近位端と、近位リング126と、の結合点136は、例えば、長尺ストリップ130の遠位端と遠位リング128との結合点138と比較して、同じ回転配向であってもよい。実施形態によっては、
図9A~
図12Cの実施形態に示すものなどのように、管腔124の長手方向軸134まわりにおける他の回転量が、利用されてもよい。
【0042】
テザーチャネル108は、可撓性部分102の、部分132から周方向に離間した別の部分140に沿って、長手方向に渦巻き状で延びたテザー107(
図5に示す)を受領してもよい。テザーチャネル108は、同様に、可撓性部分102の、部分132から周方向に離間した部分140に沿って、長手方向に渦巻き状で延びてもよい。テザー及びテザーチャネル108は、長尺ストリップ130と同じピッチで渦巻き状であってもよく、さらに、長尺ストリップ130と同じ回転量(例えば、
図4に示すように一周回転)の分だけ渦巻き状であってもよい。テザー及びテザーチャネル108は、渦巻き形状が可撓性部分102の長さに沿って続くにつれて、部分140が内腔124を横断して部分132とは反対側に位置するようにして、渦巻き状であってもよい。長尺ストリップ130及びテザーチャネル108(テザー107を含む)は、したがって、可撓性部分102に沿って延びる二重螺旋構造を形成してもよい。実施形態によっては、長尺ストリップ130から、90度のところに位置決めされることを含めて、又は別の量(例えば、135度若しくは45度、又は所望に応じた別の周方向間隔量)のところに位置決めされることを含めて、テザー及びテザーチャネル108の他の位置が、利用されてもよい。
【0043】
図5は、
図4に示すものとは異なる角度から、可撓性部分102に関する斜視図を示している。テザーチャネル108は、近位リング126に対して結合し得る近位部分142(
図5に示す)を含んでもよい。テザーチャネル108は、遠位リング128に対して結合する遠位部分144(
図5に示す)をさらに含んでもよい。テザーチャネル108は、遠位リング128上の結合点146に対して結合してもよい。結合点146は、遠位リング128内に、テザーチャネル108が貫通するためのチャネルを含んでもよい。テザーチャネル108は、近位リング126上の同様の結合点148に対してさらに結合してもよい。
【0044】
テザーチャネル108に関する部分的な切取り図を、
図5に示しており、
図5は、テザーチャネル108の内部に配置されたテザー107を示している。テザー107は、遠位リング128に対して結合された遠位部分を有しているとともに、(例えば
図5に示すように)近位リング126からの導出のために、渦巻き状テザーチャネル108を通して近位向きに延びてもよい。テザー107は、テザー107の、ハンドルの偏向機構に対して結合する近位部分にまで、又はテザー107に対して長手方向の力を印加するための別のシステムに対して結合する近位部分にまで、近位向きに延びてもよい。テザー107は、近位リング126から、長尺シャフトを通して、さらに、長尺シャフトのテザーチャネルを通して、近位向きに延びてもよい。
【0045】
実施形態によっては、テザー107は、引張りテザー(引張りワイヤ、又は他の形態の引張りテザー、など)を含んでもよい。テザー107は、可撓性部分102を渦巻き形状に形成するために近位向きに引き込まれるように構成されてもよい。実施形態によっては、テザー107は、テザー107に対して印加された遠位向きの力に基づいて、可撓性部分102を渦巻き形状に形成するように構成されてもよい。よって、テザー107は、長手方向の力を遠位向きに伝達するための押込みロッド又は他の材料を含んでもよい。
【0046】
テザー107は、テザーチャネル108に沿って渦巻き状で延びており、これにより、可撓性部分102の、長尺ストリップ130の部分132から周方向に離間した部分140(
図4及び
図6Fに示す部分)に沿って、長手方向に渦巻き状で延びている。実施形態によっては、他の構成が利用されてもよい。
【0047】
躯体106と、テザーチャネル108(及び、したがって、テザー107)とは、それぞれ、可撓性部分102の本体をなす材料内に埋め込まれてもよい。材料150は、
図5では透明であるけれども、
図6C~
図6Fの断面図では、見えている。材料150は、躯体106をなす材料と比較して、特に長尺ストリップ130をなす材料と比較して、より小さな可撓性と、より小さなデュロメータと、を有してもよい。
図6Fは、例えば、材料が、長尺ストリップ130及びテザーチャネル108の、径方向内側と径方向外側との両方に配置され得ることを示す断面図を図示している。よって、材料150は、長尺シャフトの外面と、内部管腔124に面した内面と、を形成してもよい。材料150は、さらに、
図6Fに示すように、躯体106がなす長尺ストリップ130に対して周方向に隣接して配置されてもよく、また、テザーチャネル108に対して周方向に隣接して配置されてもよい。
【0048】
材料150は、実施形態によっては、所望に応じて、PEBAX又は別の材料などの材料を含んでもよい。躯体106は、PEBAX材料をさらに含んでもよく、しかも、材料150よりも大きなデュロメータを有してもよい。所望に応じて、他の材料が利用されてもよい。
【0049】
テザーチャネル108は、埋め込まれたチューブとして構成されてもよい、あるいは、可撓性部分102をなす本体の切欠き部分として構成されてもよい。実施形態によっては、他の形態のチャネルが利用されてもよい。
【0050】
図6Bは、長尺シャフト110に関する側面図を示している。
図6Cは、長尺シャフト110に関する、
図6Bの線6C-6Cに沿った断面図である。長尺シャフト110は、躯体106とテザーチャネル108とを含んでもよく、これらは、それぞれ、内部管腔124まわりに渦巻き形状とされている。
【0051】
実施形態によっては、躯体106の近位部分は、長尺シャフト110の受動的可撓性部分152に対して結合してもよい。受動的可撓性部分152は、(
図2Bに示すように)シースカテーテルのシース20の撓みに伴って受動的に撓むように構成されてもよい。よって、長尺シャフト110の、躯体106よりも近位に位置した部分は、実施形態によっては、シースカテーテルと一緒に、又は別の機構と一緒に、撓むように構成されてもよい。受動的可撓性部分152は、長尺シャフト110の可撓性遠位部分102と近位部分154との間に、長尺シャフトの中間部分を含んでもよい。受動的可撓性部分152は、躯体106の近位リング126よりも近位に配置されてもよい。長尺シャフト110の近位部分154は、ハンドル118に対して結合するように構成されてもよい。
【0052】
受動的可撓性部分152は、躯体106のデュロメータと比較して、より小さなデュロメータを有し得るけれども、実施形態によっては、可撓性部分をなす材料150と比較して、より大きなデュロメータを有してもよい。受動的可撓性部分152は、PEBAXなどの材料を含み得るけれども、所望に応じて、他の材料が利用されてもよい。
【0053】
図6Dは、
図6Cに示す図から90度だけ回転した図において(及び、
図6Eの線6D-6Dとして示されている)、長尺シャフト110に関する断面図を示している。長尺ストリップ130及びテザーチャネル108に関して、対応する渦巻き状の回転が示されている。
【0054】
図6Eは、
図6Cの線6E-6Eだけで長尺シャフト110に関する断面図を示している。遠位リング128は、長尺シャフト110をなす材料内に埋め込まれて示されている。
【0055】
図6Fは、長尺シャフト110に関する、
図6Dの線6F-6Fに沿った断面図を示している。長尺ストリップ130の位置は、テザーチャネル108の位置とは反対側に位置決めされて、示されている。テザーチャネル108は、実施形態によっては、長尺ストリップ130の中心とは反対側に位置決めされてもよい。互いに反対側の位置関係は、長尺ストリップ130とテザーチャネル108とが長尺シャフト110の長手方向軸134まわりに渦巻き状に一緒に回転する際に、継続する。
【0056】
躯体106及びテザーチャネル108の渦巻き形状は、テザーに対して長手方向の力が印加された時に、可撓性部分102が渦巻き形状を形成することを可能としてもよい。
【0057】
図7A~
図7Cは、例えば
図3~
図6Fの実施形態に示すように、渦巻き状躯体162と渦巻き状テザーとを含む送達カテーテルの可撓性部分160に関する概略図を図示している。渦巻き状テザーは、
図7A~
図7Cでは、図示が省略されている。渦巻き状躯体162の回転方向は、長尺シャフト164の近位部分161に対して時計回りであるけれども(
図3~
図6Fの実施形態では反時計回りであるのとは異なり)、
図7A~
図7Cの実施形態でも、
図3~
図6Fと同様の渦巻き形状へのシャフトの移動が、起こり得る(異なる方向ではあるけれども)。さらに、
図7A~
図7Cに示す渦巻き状躯体162は、半回転を有しているけれども(
図3~
図6Fの実施形態は、一周回転を有している)、可撓性部分160に関して得られる渦巻き形状は、一周回転を有した躯体の場合と同様であってもよい。
【0058】
図7Aに示す形状は、可撓性部分160に関する直線的形状であってもよく、この形状では、可撓性部分160は、未だに渦巻き形状へと曲げられていない。遠位先端166は、長尺シャフト164の渦巻きよりも近位に位置した部分が直交して通過する平面165に対して、垂直に配向されてもよい。
図7Bに示すように、テザーの張力が増大すると、可撓性部分160は、曲げられ始めてもよい。可撓性部分160は、直線的形状から渦巻き形状へと駆動されてもよい。躯体162が、可撓性部分160の外側曲線を形成してもよく、テザー(
図7A~
図7Cには示していないけれども、例えば
図5に示すのと同じ場所に配置され得る)が、内側曲線を形成してもよい。遠位先端166の配向は、
図7Aに示す配向から偏向し始めてもよい。遠位先端166の方向は、
図7Aに示す方向から変化してもよい。
【0059】
テザーの張力が増大した際には、可撓性部分160は、
図7Cに示す渦巻き形状へと到達する。可撓性部分160は、上側曲線部分168と、上側曲線部分168よりも遠位に位置した下側曲線部分170と、を形成している。上側曲線部分168及び下側曲線部分170の曲率は、同様であってもよい、あるいは、実施形態によっては、相違してもよい。可撓性部分160の渦巻き形状は、螺旋状であってもよい。
【0060】
遠位先端166は、長尺シャフト164の近位部分161の配向に対して横向きに延びるような配向であってもよい。遠位先端166は、長尺シャフト164の渦巻きよりも近位に位置した部分が直交して通過する平面165に対して、実質的に平行な配向とされてもよい。
【0061】
下側曲線部分170は、長尺シャフト164よりも近位に位置した天然弁がなす平面に対して同じ又は平行な平面内で延びるように、設定されてもよい。よって、遠位先端166は、アンカリングデバイス1などのインプラントを、天然弁(天然僧帽弁など)がなす平面内で、展開するように構成されてもよい。
【0062】
可撓性部分160は、さらに、
図7Cに示す渦巻き形状から
図7Aに示す直線的形状へと復帰するよう曲げられるように、構成されてもよい。このような構成は、展開後に長尺シャフト164を患者の身体の一部から引っ込め得るものであってもよい。
【0063】
移植部位にアンカリングデバイスを効果的に展開するために、様々なシース及び送達カテーテルの設計を使用することができる。例えば、僧帽弁位置での展開のために、送達カテーテルは、カテーテルから展開されたコイルアンカーが前進時に左心室内へとより容易に進入し得るとともに腱索62をより容易に包囲し得るよう、交連A3P3を向くような形状及び/又は配置とすることができる。しかしながら、以下で説明する本発明の様々な例示的な実施形態は、送達カテーテルの遠位開口を、僧帽弁の交連A3P3のところに配置するように構成されているけれども、他の実施形態では、送達カテーテルは、代わりに、交連A1P1を向くようにして僧帽面に対して接近することができ、アンカリングデバイスを、交連A1P1を通して前進させることができる。加えて、カテーテルは、時計回り又は反時計回りのいずれにでも曲げられることができ、これにより、僧帽弁の交連と、別の天然弁に関する所望の交連と、のいずれに対しても接近することができ、アンカリングデバイスを、時計回りで又は反時計回りで、移植したり挿入したりすることができる(例えば、アンカリングデバイスのコイル/巻線は、アンカリングデバイスが移植されることとなる方法に依存して、時計回りに又は反時計回りに、回転することができる)。
【0064】
なおも更なる実施形態では、送達カテーテル自体も、天然弁の弁輪がなす平面の下方を通過していずれかの交連に着座するように、あるいは、心室内へと(例えば、いずれかの交連を通して)延びるように、配置されてもよい。いくつかの実施形態では、送達カテーテルの遠位端は、いくつかの若しくはすべての腱索62を捕捉及び/又は包囲するために使用することさえ可能である。送達カテーテルは、アンカリングデバイスを移植部位で展開し得る任意の適切な態様で配置することができる。いくつかの実施形態では、送達カテーテル自体は、例えば、移植部位に配置されている間にカテーテルの前進によって及び/又は形状操作によって潜在的に引き起こされ得るあらゆる損傷を低減あるいは排除することにより、移植部位に対しての非外傷性アクセスを提供するために、非外傷性の遠位先端設計を有してもよい。
【0065】
図8A~
図8Sは、例えば、アンカリングデバイス1などのインプラントを天然弁に対して送達するために送達カテーテル100を利用するための方法を図示している。アンカリングデバイス1は、本明細書に開示するようなドッキングデバイスを含んでもよい。送達カテーテル100の可撓性部分102は、
図7Cに示す形状と同様の渦巻き形状を有してもよい(ただし、図示した実施形態では、回転方向が反対である)。
【0066】
送達カテーテル100は、患者の身体の一部に対して送達されてもよい。送達カテーテル100は、患者の天然弁のところで(例えば、経中隔技術を使用して、患者の天然僧帽弁50のところで)、アンカリングデバイス(本明細書で説明する他のアンカリングデバイスと比較して、同一のもの又は同様のものとし得る)の形態をなすインプラントを、送達して移植してもよい。
図8Aは、患者の心臓の左心房に関する破断図であって、卵円蓋窩(FO)で起こり得るように、心房中隔を貫通して左心房内へと進入したシースカテーテルのシース20(例えば、ガイドシース又は経中隔シース)と、シース20から延びた送達カテーテル100と、を図示している。
図8Bは、左心房51から僧帽弁50を見下ろした図から(すなわち、
図8Aの線8B-8Bに沿った図から)、
図8Aに示す位置に位置した経中隔シース20と送達カテーテル100とを図示している。
図8Aを参照すると、シース20は、僧帽弁50がなす平面に対してシースが実質的に平行であるようにして、左心房内へと進入する。シース20及び送達カテーテル100は、例えば、本出願で説明する任意の形態などの、任意の適切な形態とすることができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、シース20は、中隔に対して及び/又はFO壁に対してある角度(例えば、30度の角度、又は約30度の角度)を形成するまでシース20を配置したり曲げたりし得るよう、操縦可能なガイドシースとして、駆動又は操縦することができる。いくつかの実施形態では、角度配向(例えば、30度の角度配向)は、シース20を回転させたりさらに駆動したりすることによって調整又は制御し得るとともに、送達カテーテル100が左心房内へと進入する配向をより良好に制御するように調整することができる。他の実施形態では、中隔及び/又はFOに対してのシース20の偏向角度は、各状況に応じて、30度より大きくても小さくてもよく、いくつかの用途では、中隔及び/又はFOに対して90度となるように配向させたり曲げたりすることさえできる。特定の実施形態では、シースの偏向角度は、例えば、約5度~約80度、約10度~70度、約15度~約60度、約20度~約50度、約25度~約40度、約27度~約33度、などといったように、約0度~約90度の間にわたって駆動することができる。
【0068】
図8C~
図8Dを参照すると、外側シース若しくはガイドシース20が、隔壁及び/又はFOを貫通して所望位置へと配置された後に、送達カテーテル100は、シース20から導出されて延出される。送達カテーテル100は、そのような構成とされた送達カテーテル100が直線的形状でガイドシース20から延びるようにして、シース20から遠位向きに駆動されてもよい。実施形態によっては、送達カテーテル100の可撓性部分102は、渦巻き形状への駆動を開始し得るけれども、
図8C~
図8Dに示すように、送達カテーテル100は、心房内のいくらかの距離にわたって、直線的形状で延びてもよい。送達カテーテル100は、ガイドシース20からの送達カテーテル100の伸長によって、さらに、所望量へのガイドシース20の撓みによって、所望位置に位置決めされてもよい。例えば
図8C~
図8Dに示すようなガイドシース20は、送達カテーテル100をそのような方向へと配向させるために、心室を向くように偏向されてもよい。ガイドシース20の偏向は、実施形態によっては、
図6Dに示すような送達カテーテルの受動的可撓性部分152に対するものであってもよく、これにより、送達カテーテルの遠位部分を偏向させることができる。
【0069】
送達カテーテル100のテザーは、可撓性部分102を直線的形状から渦巻き形状(例えば
図7Cに示すように)へと形成するために、テザーに対して印加された長手方向の力を有してもよい。例えば、
図8E及び
図8Fは、心房に対して渦巻き形状へと湾曲された可撓性部分102を図示している。テザーは、近位向きに引き込まれる引張りテザーを含んでもよい。可撓性部分102は、反時計回り方向に湾曲することで、円形経路/曲線経路を形成しており、この場合、アンカリングデバイスも、また、反時計回り方向に巻回することができる。代替可能な実施形態では、遠位先端114は、遠位先端114が時計回り方向に湾曲することで円形経路/曲線経路を形成するように、駆動される(これらの実施形態では、アンカリングデバイスも、また、時計回り方向に巻回することができる)。
【0070】
図8Eに示すように、送達カテーテル100は、遠位先端114の円形の/湾曲した平坦部分が、一般的にはFO壁よりも約30mm~40mmだけ下方に位置した僧帽弁50がなす平面に対して近づくまで、下向きに渦巻き状に駆動されてもよい。しかしながら、いくつかの状況では、僧帽弁がなす平面は、FOよりも30mm未満の分だけ下方であってもよく、あるいは、FOよりも30mmを超えて下方であってもよい。特定の実施形態では、送達カテーテル100は、外側シースから、例えば、50mm以下、45mm以下、40mm以下、35mm以下、30mm以下、25mm以下、20mm以下、などといったように、60mm以下の分だけ延びるように、構成される。いくつかの実施形態では、外側シースからの送達カテーテル100の最大の延出は、例えば、約25mm~約50mm、約30mm~約40mm、などといったように、約20mm~約60mmである。
【0071】
渦巻き形状の下側湾曲部分は、弁輪の高さ位置にまで又はその近傍にまで降下させてもよく、下側湾曲部分は、弁輪がなす平面に対して平行又はほぼ平行(例えば、平坦又はほぼ平坦)とすることができる、あるいは、下側湾曲部分は、弁輪がなす平面に対してわずかに上向きの角度のものとすることができる。
【0072】
さらに、湾曲部分の駆動がカテーテルの遠位領域を所望に完全に位置決めしない場合には、角度を適正なものとするために、ガイドシース20のトルク駆動又は回転駆動が利用されてもよい。
【0073】
図8Gは、交連A3P3を通して、患者の心臓の左心室52における腱索62及び天然弁葉の周囲へと、アンカリングデバイス1の例示的な実施形態を展開する送達カテーテル100を、図示している。アンカリングデバイス1は、又は、アンカリングデバイスの、より大きな直径若しくはより大きな曲率半径を有した下側又は包囲コイル/巻線は、送達カテーテル100の遠位開口から導出されるとともに、送達カテーテル100の方向において、その形状セット又は形状記憶形態を取り始める。アンカリングデバイス1は、カテーテル100の可撓性部分の内腔を通過するドッキングコイルを含んでもよく、これにより、可撓性部分が渦巻き形状とされている時に、天然心臓弁へと展開される。
【0074】
アンカリングデバイス1を、僧帽弁50の交連A3P3を通して駆動するために、送達カテーテル100は、送達カテーテル100の遠位先端114が交連A3P3を向くように及び/又は交連A3P3内へと案内されるように、位置決めされる。アンカリングデバイス1が送達カテーテル100から導出された後には、アンカリングデバイス1は、その形状セット又は形状記憶形態を取るように、湾曲を開始する。アンカリングデバイス1は、
図8Gに図示するようにして、展開されてもよい。
【0075】
図8Hを参照すると、遠位先端114が、僧帽弁輪と実質的に同一平面上にある状態で、僧帽弁50がなす平面に対して実質的に平行な位置でアンカリングデバイスが腱索62の周囲を巻回するようにして、アンカリングデバイス1を、送達カテーテル100からさらに展開することができる。これにより、アンカリングデバイスが上向きに湾曲することでアンカリングデバイスが僧帽弁輪の下側に対して及び/又は左心室の上壁に対して係合してしまうことが、防止される。
【0076】
図8Iを参照すると、アンカリングデバイス1は、心臓弁を保持するために僧帽弁の心室側でアンカリングデバイスを緩く配置するために、腱索62の周囲に配置される。図示した実施形態では、アンカリングデバイス1は、アンカリングデバイスの三つの機能的コイル12が腱索及び/又は天然弁葉の周囲に緊密に巻回されるようにして、左心室52内に配置される。下側巻線/コイルは、又は包囲巻線/コイルは、その曲率半径がより大きいため、わずかに外向きに延びていることを理解することができる。いくつかの実施形態では、アンカリングデバイス1は、腱索及び/又は弁葉の周囲に配置された二つ以下のコイル12又は四つ以上のコイル12を含むことができる。
【0077】
図8Jは、アンカリングデバイスのコイル12が腱索62及び天然弁葉の周囲に配置された後に(
図8Iに示すように)、左心房51内で所定位置に配置された送達カテーテル100を図示している。この位置では、送達カテーテル100の遠位先端114は、僧帽弁50がなす平面に対して実質的に平行であるとともに、僧帽弁50の交連A3P3のところに又はその近傍に位置している(例えば、1mm~5mm以下などの分だけ、わずかに交連A3P3の内部へと延びている又は交連A3P3を貫通して延びている)。
【0078】
図8Kを参照すると、送達カテーテル100及びアンカリングデバイス1が、
図8G~
図8Iに示すようにして配置された後に、送達カテーテルを、方向Xにおいてアンカリングデバイスに沿って軸方向に、さらに、外側シース20内へと、並進駆動させる又は後退させる。送達カテーテルの並進駆動又は後退により、アンカリングデバイスの、天然弁の心房側に(例えば、心房内に)配置された部分を、送達カテーテルから抜き出して解放することができる。例えば、これにより、天然弁の心房側に配置されたあらゆる機能的コイル及び/又はあらゆる上側コイルのすべての上側部分(それが存在する場合)を、抜き出して解放することができる。一つの例示的な実施形態では、アンカリングデバイス1は、送達カテーテルが並進駆動される際に、移動することがなく、又は実質的に移動することがなく、例えば、プッシャーを使用することにより、送達カテーテルを後退させる際に、アンカリングデバイスを所定位置に保持することができる、及び/又は、アンカリングデバイスの後退を阻止したり防止したりすることができる。
【0079】
図8Lを参照すると、図示の例では、送達カテーテルの並進駆動又は後退により、また、送達カテーテルから、アンカリングデバイス1のあらゆる上側コイル/巻線(例えば、より大きな直径の安定化コイル/巻線)を、抜き出す/解放することもできる。抜き出し/解放の結果、アンカリングデバイス又は上側コイル(例えば、より大きな直径を有した又はより大きな曲率半径を有した安定化コイル)の心房側は、送達カテーテル100から延びるとともに、その事前設定された又は緩和した形状設定/形状記憶形状を取り始める。アンカリングデバイスは、また、曲げ部分Zから上方に延びた上向き延在部分又は接続部分を含み得るとともに、上側安定化コイル/巻線と、アンカリングデバイスの他のコイル/巻線(例えば、機能的コイル/巻線)と、の間にわたって延びる及び/又は橋渡しすることができる。いくつかの実施形態では、アンカリングデバイスは、天然弁の心房側に、ただ一つの上側コイルを有することができる。いくつかの実施形態では、アンカリングデバイスは、天然弁の心房側に、二つ以上の上側コイルを含むことができる。
【0080】
図8Mを参照すると、送達カテーテル100は、外側シース内へと又はガイドシース20内へと戻るように並進移動を継続し、これにより、アンカリングデバイス1の上側部分を、送達カテーテルの内部から解放する。アンカリングデバイスは、縫合糸/ライン901などの取付手段によって、プッシャー950に対して緊密に接続される(他の取付手段又は他の接続手段も、また、所望に応じて使用することができる)。上側コイル/巻線又は安定化コイル/巻線は、僧帽弁50に対してのアンカリングデバイス1の位置又は高さを一時的に及び/又は緩く保持するために、心房壁に沿って配置されるものとして示されている。
【0081】
図8Nを参照すると、アンカリングデバイス1は、送達カテーテル100の内腔から完全に取り外されており、弛みが、アンカリングデバイス1に対して着脱可能に取り付けられている縫合糸/ライン901に見られており、例えば、縫合糸/ライン901は、アンカリングデバイスの端部に位置したアイレットを通して、ループすることができる。送達カテーテル100からアンカリングデバイス1を取り外すために、縫合糸901が、アンカリングデバイスから取り外される。しかしながら、縫合糸901を取り外す前に、アンカリングデバイス1の位置を確認することができる。アンカリングデバイス1の位置が不適正である場合には、アンカリングデバイスは、プッシャー950(例えば、押込みロッド、押込みワイヤ、押込みチューブ、等)によって送達カテーテル内に引き戻すことができ、再展開することができる。
【0082】
図8Oを参照すると、送達カテーテル100及び外側シース20が、アンカリングデバイス1から取り外された後に、心臓弁送達デバイス/カテーテル902を使用することにより、僧帽弁50に対して心臓弁903を送達することができる。心臓弁送達デバイス902は、送達カテーテル100及び/又は外側シース若しくはガイドシース20の一つ以上の構成部材を利用してもよい、あるいは、送達デバイス902は、送達カテーテル100及び外側シース若しくはガイドシースから独立したものであってもよい。図示した実施形態では、心臓弁送達デバイス902は、経中隔的アプローチを使用して左心房51内へと導出される。実施形態によっては、心臓弁送達カテーテル902は、外側シース20を貫通してもよい。心臓弁送達カテーテル902は、ドッキングコイルの形態でアンカリングデバイス1とドッキングするように、人工心臓弁を展開してもよい。
【0083】
図8Pを参照すると、心臓弁送達デバイス/カテーテル902は、心臓弁903が僧帽弁の弁葉とアンカリングデバイス1との間に配置されるようにして、僧帽弁50を通して駆動される。心臓弁903は、ガイドワイヤ904に沿って展開位置へと案内されてもよい。
【0084】
図8Qを参照すると、心臓弁903が所望の位置に配置された後に、任意選択的なバルーンを拡張させることにより、心臓弁903を、その拡張されて展開されたサイズへと、拡張させる。すなわち、任意選択的なバルーンを拡張させることにより、心臓弁903が、僧帽弁50の弁葉に対して係合するとともに、心室巻線を拡大サイズへと外向きに付勢し、これにより、心臓弁903とアンカリングデバイスとの間に弁葉を固定する。心臓弁903の外向きの力と、コイル1の内向きの力とが、天然組織を挟み込み得るとともに、心臓弁903及びコイルを弁葉に対して保持することができる。いくつかの実施形態では、自己拡張型の心臓弁を、心臓弁送達デバイス902のシース内に径方向圧縮状態で保持し得るとともに、その心臓弁をシースから展開することで、その心臓弁をその拡張状態へと拡張させる。いくつかの実施形態では、機械的に拡張可能な心臓弁が使用される、あるいは、部分的に機械的に拡張可能な心臓弁(例えば、自己拡張と機械的拡張との組合せによって拡張し得る弁)が使用される。
【0085】
図8Rを参照すると、心臓弁903が拡張状態へと駆動された後に、心臓弁送達デバイス902及びワイヤ904(なおも
図8Rに示されている)が、患者の心臓から取り外される。さらに、ガイドシース20も、同様に患者の心臓から取り外されてもよい。心臓弁903は、機能状態にあり、患者の心臓の僧帽弁50が行う機能を代替する。
【0086】
図8Sは、
図8Rの線U-Uに沿って左心室52内で上向きに見た図によって、心臓弁903を示している。
図8Sでは、心臓弁903は、拡張された機能状態にある。図示した実施形態では、心臓弁903は、開放位置と閉塞位置との間にわたって移動するように構成された三つの弁部材905a~905c(例えば、弁葉)を含む。代替可能な実施形態では、心臓弁903は、例えば、二つ以上の弁部材、三つ以上の弁部材、四つ以上の弁部材、等といったように、開放位置と閉塞位置との間にわたって移動するように構成された四つ以上の弁部材又は二つ以下の弁部材を有することができる。図示した実施形態では、弁部材905a~905cは、閉塞位置で示されており、この閉塞位置は、収縮期に弁部材が取る位置であって、血液が左心室から左心房内へと流れることを防止する位置である。拡張期には、弁部材905a~905cは、開放位置へと移動し、この開放位置では、血液は、左心房から左心室内へと流入することができる。
【0087】
図8A~
図8Sに図示した実施形態は、交連A3P3を通してアンカリングデバイス1を送達する送達カテーテル100を示しているけれども、アンカリングデバイス1が患者の心臓の左心室内で腱索の周囲に巻回され得るよう、送達カテーテル100が、交連A1P1を通してアンカリングデバイス1を送達するような構成を取り得るとともに、そのように配置され得ることを、理解されたい。加えて、図示した実施形態は、アンカリング部材1を僧帽弁に対して送達する送達カテーテル100と、心臓弁903を僧帽弁50に対して送達する心臓弁送達デバイス902と、を示しているけれども、アンカリングデバイス1及び心臓弁903が、三尖弁、大動脈弁又は肺動脈の修復するために、必要に応じて改変を加えて使用され得ることを、理解されたい。
【0088】
躯体の構成、並びに、テザーチャネル及びテザーに関する対応した構成は、実施形態に応じて変更されてもよい。例えば、
図9Aは、半回転を有した躯体180の実施形態を図示している(
図7A~
図7Cに示す実施形態と同様である)。長尺ストリップ182は、近位リング184と遠位リング186との間にわたって、半回転の分だけ回転してもよい。回転は、
図9Aに示すように反時計回りであってもよく、あるいは、実施形態によっては、所望に応じて時計回りであってもよい。
【0089】
図9Bは、躯体180を含む長尺シャフトに関する、長尺シャフトの中央線に沿った断面図を図示している。
図9Cは、長尺シャフトに関する、
図9Bに示す位置から90度だけ回転させた断面図を図示している。テザーチャネル188は、長尺ストリップ182がなす渦巻きに対して反対側に位置した渦巻き状で延びているものとして、示されている。
【0090】
図10Aは、四分の三回転を有した躯体190の実施形態を図示している。長尺ストリップ192は、近位リング194と遠位リング196との間にわたって、四分の三回転の分だけ回転してもよい。回転は、
図10Aに示すように反時計回りであってもよく、あるいは、実施形態によっては、所望に応じて時計回りであってもよい。
【0091】
図10Bは、躯体190を含む長尺シャフトに関する、長尺シャフトの中央線に沿った断面図を図示している。
図10Cは、長尺シャフトに関する、
図10Bに示す位置から90度だけ回転させた断面図を図示している。テザーチャネル198は、長尺ストリップ192がなす渦巻きに対して反対側に位置した渦巻き状で延びているものとして、示されている。
【0092】
図11Aは、四分の三回転を有する躯体200の実施形態を図示している。長尺ストリップ202は、近位リング204と遠位リング206との間にわたって、四分の三回転の分だけ回転してもよい。回転は、
図11Aに示すように反時計回りであってもよく、あるいは、実施形態によっては、所望に応じて時計回りであってもよい。躯体200をなす長尺ストリップ202は、長尺ストリップ202に沿って長手方向に延び得る切欠き部分203を含んでもよい。実施形態によっては、切欠き部分は、長尺ストリップ202の二つの長尺部分どうしの間に延びてもよい、あるいは、実施形態によっては、他の構成から得られたものであってもよい(例えば、三つの長尺部分から得られたもの、又は長尺ストリップ202の他の構成から得られたもの)。
【0093】
図11Bは、躯体200を含む長尺シャフトに関する、長尺シャフトの中央線に沿った断面図を図示している。
図11Cは、長尺シャフトに関する、
図11Bに示す位置から90度だけ回転させた断面図を図示している。テザーチャネル208は、長尺ストリップ202がなす渦巻きに対して反対側に位置した渦巻き状で延びているものとして、示されている。
【0094】
よって、本明細書で説明する躯体の実施形態は、所望に応じた回転量を有してもよい。回転は、例えば、実施形態によっては、可撓性部分まわりに長尺ストリップが少なくとも半回転すること、少なくとも四分の三回転すること、であってもよい、あるいは、他の回転量の中でも、少なくとも一周回転することを含んでもよい。
【0095】
図12Aは、半回転を有した躯体210の実施形態を図示している。回転は、
図12Aに示すように反時計回りであってもよい、あるいは、実施形態によっては、所望に応じて時計回りであってもよい。長尺ストリップ212は、近位リング214と遠位リング216との間にわたって、半回転の分だけ回転してもよい。長尺ストリップ212の回転ピッチは、ストリップ212及び可撓性部分の長さに沿って、変化してもよい。例えば、長尺ストリップ212の近位部分215は、長尺ストリップ212の遠位部分217と比較して、より小さなピッチを有してもよい。実施形態によっては、近位部分215は、遠位部分217と比較して、より大きなピッチを有してもよい、あるいは、他の改変が利用されてもよい(例えば、中間部分が、隣接部分とは異なるピッチを有すること)。長尺ストリップ212のピッチは、所望形状を有した渦巻きへと躯体210を撓ませ得るように設定されてもよい。実施形態によっては、躯体のピッチは、又はその長さに沿った躯体のピッチの変動は、所望に応じて設定されてもよい。実施形態によっては、躯体の、幅、又は厚さ、又は他の幾何学的特性は、所望形状の渦巻きを提供するように設定されてもよい。
【0096】
図12Bは、躯体210を含む長尺シャフトに関する、長尺シャフトの中央線に沿った断面図を図示している。
図12Cは、長尺シャフトに関する、
図12Bに示す位置から90度だけ回転させた断面図を図示している。テザーチャネル218は、長尺ストリップ212がなす渦巻きに対して反対側に位置した渦巻き状で延びているものとして、示されている。
【0097】
実施形態によっては、長尺シャフトの躯体及び可撓性部分に関する様々な他の構成が、利用されてもよい。様々な実施形態にわたっての特徴どうしの組合せが提供されてもよい(例えば、他の特徴の中でも、長尺ストリップのピッチ、切欠き部分、及び回転量、を変動させること)。
【0098】
実施形態によっては、躯体は、様々な材料形態の中でも、金属又は高デュロメータポリマーを含めた様々な材料から形成されてもよい。実施形態によっては、躯体は、PEBAXから形成されてもよい。特定の実施形態では、躯体は、ニチノール又は様々な形態の形状記憶材料などの、形状記憶材料から形成されてもよい。形状記憶材料は、実施形態によっては、展開時に躯体が渦巻き状へと駆動されることを補助してもよい。
【0099】
長尺シャフトの内腔には、テザーチャネルと一緒に、潤滑性コーティングが施されてもよい。長尺シャフトの外面は、実施形態によっては、潤滑性コーティングをさらに含んでもよい。
【0100】
実施形態によっては、圧縮コイルをテザーに対して追加することで、長尺シャフトの曲げを局所化させてもよく、長尺シャフトが曲がりを経験する時に曲げを防止してもよい。
【0101】
実施形態によっては、チューブ状編組材料を長尺シャフトの本体に対して追加することで、改良された引張り特性、キンク及び歪みに対する耐性、伸長の制限、トルク伝達能力の提供、カラム強度の増加、及び/又は放射線強度の提供、を含めた様々な利点を提供してもよい。例えば、
図6Cでは、ブレード層を、テザーチャネルと、テザーチャネルと躯体とを覆う外側ジャケット又は内側ジャケットと、の間に配置してもよい。
【0102】
実施形態によっては、放射線不透過性マーカーをカテーテルに含めることで、長尺シャフト内に局所的な放射線不透過性を提供してもよい。
【0103】
実施形態によっては、長尺シャフトの本体は、層どうしの間に連結層を有した多層構造を含んでもよい。
【0104】
実施形態によっては、渦巻き状躯体よりも近位の又は遠位の曲げ点を含めて、追加的な曲げ点を、長尺シャフトに設けてもよい。このような曲げ点は、追加的なテザーによって、又は他の形態の偏向機構によって、制御されてもよい。
【0105】
実施形態によっては、送達カテーテルは、インプラントを展開するために、患者の心臓の心室内へと進入してもよい。送達カテーテルの可撓性部分は、患者の心臓の心室内で、渦巻き形状へと駆動されてもよい。
図13Aは、例えば、弁輪を通して心室内へと進入した送達カテーテル100を図示している。図示の送達デバイスは、外側ガイドシース20を含めたシースカテーテルを含む。送達デバイスは、ガイドシース20の遠位端を通して前進し得るとともにそのような遠位端から導出され得る送達カテーテル100を含む。図示の実施形態では、ガイドシース20は、まず、心房間中隔内に(例えば、卵円窩のところで)形成された開口を通して、左心房内内へと、操縦されてもよい。次に、ガイドシース20を、天然僧帽弁輪に向けて下向きに湾曲させる又は曲げるように操作することができ、これにより、ガイドシース20の遠位開口を、僧帽弁輪の中心軸に対して実質的に同軸のものとする。ガイドシース20の鉛直方向位置は、ガイドシース20の遠位開口が天然僧帽弁輪に対して実質的に位置合わせされるようなものとすることができる、あるいは、天然僧帽弁輪よりもわずかに上方の位置で左心房内に位置決めすることができる、いくつかの実施形態では、天然僧帽弁輪を通して左心室内へと延びることができる。
【0106】
ガイドシース20が実質的に
図13Aに示すように配置された後には、送達カテーテル100を、ガイドシース20の遠位開口から前進させてもよい。この実施形態では、ガイドシース20の遠位端は、天然の僧帽弁輪の位置に又はそのわずかに上方に配置されており、そのため、送達カテーテル100は、最初に、天然の僧帽弁輪の直上位置において、左心房内へと前進させることができる。送達カテーテル100は、最初は、動作していない実質的に直線的な構成で、ガイドシース20の遠位開口から前進させることができ、その後、ガイドシース20から前進させた後に、
図13Cに示す渦巻き状構成へと駆動することができる。
【0107】
図13Bは、例えば、渦巻き形状に曲げられた送達カテーテル100を図示している。送達カテーテル100は、そのような構成で、天然弁の弁葉の周囲へと延びてもよい。
図13Cは、天然弁の弁葉の周囲で渦巻き形状を有した送達カテーテル100を図示している。アンカリングデバイス1は、このような構成で展開されてもよい。いくつかの実施形態では、送達カテーテル100は、例えば、本出願で説明する任意の構成などの、任意の他の適切な構成へと、駆動することができる。
【0108】
本明細書の実施形態では、ガイドシース20が所望のように配置又は位置決めされた後には(例えば、本明細書の他の箇所で図示したり説明したりするように、例えば、僧帽弁処置において中隔を横断する)、送達カテーテル100の一部が、ガイドシース20の遠位開口から前進駆動される。送達カテーテル100の、ガイドシース20から延びた部分は、送達カテーテルがその駆動構成又は最終駆動構成へと調整される前に、左心房内へと配置することができる。場合によっては、送達カテーテルの一部は、また、送達カテーテルがその駆動構成又は最終駆動構成へと調整される前に、天然僧帽弁を通して左心室内へと(例えば、
図13Aのように、あるいは、先端だけが、1mm~5mm以下などといったようにわずかに延びるように)延びることができる。
【0109】
状況によっては、送達カテーテル100を渦巻き形状に形成するだけでは、遠位先端を送達のための所望位置において交連のところに又はその近傍に適正に配置するには不充分な場合があり、送達デバイス若しくはその一部をトルク駆動又は回転駆動することにより(例えば、送達カテーテル及び/又はガイドシースを回転駆動することにより)、送達カテーテルを、及び送達カテーテルの先端を、所望に応じた角度とすることができる。例えば、送達カテーテル100の遠位可撓性部分を、所望に応じて渦巻き形状へと完全に駆動した後に(例えば、上述したように)、アセンブリをトルク駆動して回転駆動することにより、送達カテーテル100の先端を、例えば僧帽弁の交連A3P3のところで、天然弁の交連へと又は交連内へと、角度を付けたり位置合わせしたりすることができる。次に、送達カテーテル100の遠位先端が交連を通して左心室内へと進入するように、送達カテーテル100を、さらにトルク駆動して回転駆動することができる。任意選択的に、その後、送達カテーテル100の更なる回転駆動及び/又は駆動は、左心室内で送達カテーテル100の遠位先端を周方向に前進させることを容易とすることができ、例えば、腱索、乳頭筋、及び/又は左心室内の他の特徴、などの、僧帽弁の解剖学的構造の外側周囲へと、ループ状としたり配置したりすることができる。
【0110】
図13A~
図13Cを参照すると、ユーザが、カテーテルの遠位領域を心室(例えば、左心室又は右心室)内へと駆動することを選択した場合には、心室内における解剖学的構造の周囲への送達カテーテル100の駆動は、渦巻き形状の内部に包囲された解剖学的構造を収集したり捕捉したりするように機能することができる。いくつかの実施形態では、送達カテーテル100の遠位可撓性部分が、心室内における腱索及び他の特徴の周囲における所望位置へと駆動された後に、渦巻きを通過する腱索及び他の天然解剖学的構造を天然弁輪の中心に向けてさらに締め付けて捕捉するために、渦巻き形状を締め付けてもよい。心室内における天然解剖学的構造に関するこのような径方向の締め付け又は捕捉は、例えば、捕捉済みの腱索及び他の特徴の周囲へとアンカリングデバイス1が前進することを容易とすることによって、後にアンカリングデバイス1のさらに強固な送達を容易とすることを、補助することができる。
【0111】
送達カテーテル100が、左心室内における腱索及び他の所望の解剖学的構造に対する周囲に満足に配置された後に、アンカリングデバイス1を、送達カテーテル100の遠位開口から前進させることができる。渦巻きの湾曲形状は、湾曲がアンカリングデバイス1の最終的な湾曲と実質的に同様であるように形成され得ることのために、送達カテーテル100からのアンカリングデバイス1の押出を、より円滑なものかつより容易なものとすることができる。アンカリングデバイス1の心室部分が左心室内における所望位置へと前進駆動された後には、アンカリングデバイス1の心房部分を、例えば送達カテーテル100の後方駆動などによって、上述した様々な態様のいずれかと同様の態様で、送達カテーテル100から取り外すことができる。そのような駆動は、また、送達カテーテル100自体を左心室から左心房内へと後退させることを、補助することができる。次に、アンカリングデバイス1が、完全に送達されて所望位置へと駆動された後には、送達カテーテル100を、直線的とし得るとともに、ガイドシース20を通して後方へと退避させることができる。その後、プロテーゼ(例えば、THV又は他の人工弁)を、上述したのと同様に、アンカリングデバイス1内にわたって前進させ得るとともに拡張することができる。
【0112】
任意選択的に、アンカリングデバイス又はドッキングデバイスは、また、アンカリングデバイス又はドッキングデバイスの全体又は一部(例えば、前方巻線及び/又は機能的巻線)の周囲に適合する例えばPTFEスリーブなどの低摩擦スリーブを含むことができる。例えば、低摩擦スリーブは、アンカリングデバイス(又はその一部)が内部に適合する内腔を含むことができる。低摩擦スリーブは、アンカリングデバイスの表面と比較して、より摩擦が少ないことのために、さらに、天然組織に対して擦り傷若しくは損傷をより引き起こしにくいことのために、低摩擦スリーブが送達カテーテルから導出される際に、アンカリングデバイスを所定位置へと容易にスライド及び/又は回転させることができる。低摩擦スリーブは、アンカリングデバイスが天然弁内の所定位置に位置した後には、例えば、アンカリングデバイスの、組織の内方成長を促進するように構成された部分(多孔性領域、編組領域、大表面積領域、等)とされ得る表面を又はそのような部分を含む表面を露出させるためなどに、着脱可能とすることができる(例えば、プッシャー及びアンカリングデバイスを所定位置に保持しつつ、スリーブを近位向きに引っ張ることによって)。
【0113】
本明細書で説明する送達カテーテル構成は、アンカリングデバイスの正確な位置決め及び展開を可能とする例示的な実施形態を提供する。しかしながら、いくつかの実例では、例えば、アンカリングデバイスを天然弁のところに再位置決めするために、又はアンカリングデバイスを移植部位から取り外すために、アンカリングデバイスを展開している最中の又は展開した後の任意の段階で、アンカリングデバイスを回収したり部分的に回収したりすることが、なおも必要であり得る。以下の実施形態では、アンカリングデバイスを送達カテーテルから押し出す展開プッシャーに対してアンカリングデバイス若しくはドッキングデバイスを着脱するために使用され得る様々なロック機構又はロック解除機構を説明する。例えば、参照により本明細書に援用される2017年9月20日付けで出願された米国仮特許出願シリアル番号第62/560,962号明細書に記載されているものなどの、他のロック機構又はロッキング機構も、また、可能である。アンカリングデバイスは、その近位側のところに、アンカリングデバイスを押したり引っ張ったり容易に取り外したりし得るプッシャー又は他の機構に対して、接続することができる。本明細書に開示したシステム、装置、及び方法に関して利用され得る更なる特徴は、2018年5月21日付けで出願された米国特許出願第15/984,661号明細書(米国公開第2018/0318079号明細書)に記載されており、この文献の全体的内容は、参照により本明細書に援用される。
【0114】
実施形態によっては、本明細書で説明するシステム及びデバイスに関する様々な操作並びに制御は、自動化及び/又は電動化することができる。例えば、上述した制御部材又はノブは、上記の制御部材/ノブに関して説明した動作を引き起こすボタン又は電気入力とすることができる。これは、ボタン又は電気入力によって起動されるモータ(例えば、電気モータ、空気圧モータ、油圧モータ、等)に対して、可動部材の一部又は全部を接続すること(直接的に又は間接的に)により、行うことができる。例えば、モータは、動作時には、制御ワイヤ若しくは引張りワイヤなどのテザーを緊張又は弛緩させることで、カテーテルの遠位領域を駆動するように、構成することができる。追加的に又は代替的に、モータは、動作時には、プッシャーなどのデバイスをカテーテルに対して並進方向に又は軸方向に駆動することで、アンカー若しくはドッキングデバイスを、カテーテル内において及び/又はカテーテルの内外にわたって駆動するように、構成することができる。システム/デバイス及び/又は患者に対する損傷を防止するために、例えば、ある特定の点を超えて部品が移動することを防止するためなどに、自動停止装置又は予防手段を、内部に組み込むこともできる。
【0115】
本明細書で説明するデバイス及び装置が、他の外科的処置及びアクセスポイント(例えば、経心尖、開心、等)と共に使用され得ることに、留意されたい。また、本明細書で説明するデバイス(例えば、展開ツール)が、また、本明細書で説明する例とは異なる様々な他のタイプのアンカリングデバイス及び/又は人工弁と組み合わせて使用され得ることにも、留意されたい。
【0116】
本明細書の目的のために、本開示の実施形態に関する特定の、態様、利点、及び新規な特徴について、本明細書で説明する。開示する方法、装置、及びシステムは、いかなる点においても限定的なものとして解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、様々な開示する実施形態のすべての新規なかつ非自明な特徴及び態様を、単独で、互いの様々な組合せで、また、互いの様々な下位組合せで、対象とする。方法、装置、及びシステムは、いかなる特定の態様にも、いかなる特定の特徴にも、それらのいかなる組合せにも、限定されるものではなく、また、開示する実施形態は、いかなる一つ又は複数の特定の利点が存在することを必須とするものでもなく、いかなる一つ又は複数の問題が解決されることを必須とするものでもない。一実施形態に関する、特徴、構成要素、又は構成部材は、本明細書の他の実施形態へと、組み合わせることができる。
【0117】
開示するいくつかの実施形態における操作は、提示の便宜性のために特定の連続した順序で説明されているけれども、ある特定の順序が特定の表現によって必要とされない限り、この説明様式が順序の変更を包含していることは、理解されよう。例えば、順序立てて説明される複数の操作は、場合によっては、順序を変更することができる、あるいは、同時に実行することができる。その上、簡略化のために、添付図面は、開示する方法を他の方法と組み合わせて使用し得る様々な態様を示さないことがある。加えて、本明細書では、開示する方法を説明するに際して、時として、「提供する」又は「実現する」などの用語を使用する。これらの用語は、実行される実際の操作に関する高度に抽象的な表現である。これらの用語に対応する実際の操作は、特定の実装に応じて変化し得るものであり、当業者であれば容易に認識することができる。本明細書の様々な方法におけるステップどうしは、組み合わせることができる。
【0118】
本開示の原理が適用され得る多数の可能な実施形態を考慮すれば、図示した実施形態が、本発明の好ましい例に過ぎないこと、また、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことは、認識されよう。むしろ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。
【符号の説明】
【0119】
1 アンカリングデバイス
2 送達デバイス
5 心臓
10a 上側コイル
10b 上側コイル
12 コイル
12a 下側コイル
12b 下側コイル
20 経中隔シース(外側ガイドシース)
21 遠位端部分
24 遠位端
50 天然僧帽弁
51 左心房
52 左心室
53 後尖(僧帽弁葉)
54 前尖(僧帽弁葉)
55 心房間中隔
56 右心房
57 下大静脈
58 大動脈
59 三尖弁
60 人工経カテーテル心臓弁(THV)
61 右心室
62 線維索
63 大動脈弁
100 送達カテーテル
102 可撓性部分
104 遠位部分
106 躯体
107 テザー
108 テザーチャネル
110 長尺シャフト
112 遠位部分
114 遠位先端
116 近位部分
118 ハンドル
120 アクチュエータ
122 外面
124 内部管腔
126 近位リング
128 遠位リング
130 長尺ストリップ
132 部分
134 長手方向軸
136 結合点
138 結合点
140 部分
142 近位部分
144 遠位部分
146 結合点
148 結合点
150 材料
152 受動的可撓性部分
154 近位部分
160 可撓性部分
161 近位部分
162 躯体
164 長尺シャフト
165 平面
166 遠位先端
168 上側曲線部分
170 下側曲線部分
180 躯体
182 長尺ストリップ
184 近位リング
186 遠位リング
188 テザーチャネル
190 躯体
192 長尺ストリップ
194 近位リング
196 遠位リング
198 テザーチャネル
200 躯体
202 長尺ストリップ
203 部分
204 近位リング
206 遠位リング
208 テザーチャネル
210 躯体
212 長尺ストリップ
214 近位リング
215 近位部分
216 遠位リング
217 遠位部分
218 テザーチャネル
901 縫合糸
902 心臓弁送達カテーテル
903 心臓弁
904 ガイドワイヤ
905a 弁部材
905b 弁部材
905c 弁部材
950 プッシャー
【国際調査報告】