(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】可変ベッセルビームを用いた部分的な微小穴の形成システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C03B 33/09 20060101AFI20231109BHJP
B23K 26/046 20140101ALI20231109BHJP
B23K 26/064 20140101ALI20231109BHJP
B23K 26/53 20140101ALI20231109BHJP
【FI】
C03B33/09
B23K26/046
B23K26/064 A
B23K26/53
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526031
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 US2021056541
(87)【国際公開番号】W WO2022093738
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ガーブ,アンドレアス サイモン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,アンピン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジエン-ジー ジェイ
【テーマコード(参考)】
4E168
4G015
【Fターム(参考)】
4E168AE04
4E168CB13
4E168DA32
4E168DA43
4E168DA46
4E168DA47
4E168EA13
4E168JA14
4G015FA06
4G015FA09
4G015FB01
4G015FC02
(57)【要約】
本開示の実施形態は、球面収差を有し、レーザビーム焦線を生成するように構成されたアキシコンレンズと、その光学レンズから離間した光学要素の組と、光学要素の組から離間した合焦光学要素とを含む光学アセンブリを含み、アキシコンレンズと光学要素の組とは、レーザビームの伝播方向に沿って、互いに平行移動自在であり、合焦光学要素は、レーザビームの伝播方向に沿って固定位置にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法において、
パルス状レーザビームを、レーザビームの光路に配置された光学アセンブリを介して、該光学アセンブリのビーム出射側で、該レーザビームの伝播方向に沿って向いたレーザビーム焦線へと合焦させる工程を、
含み、該光学アセンブリは、
球面収差を有し、前記レーザビーム焦線を生成するように構成されたアキシコンレンズと、
前記アキシコンレンズから離間した光学要素の組と、
前記光学要素の組から離間した合焦光学要素と
を含み、
前記アキシコンレンズと前記光学要素の組とは、前記レーザビーム伝播方向に沿って、互いに平行移動自在であり、
前記合焦光学要素は、前記レーザビーム伝播方向に沿って固定位置にあるものであり、
前記方法は、更に、
前記レーザビーム焦線を、5mm未満の厚さを有するガラス材料の中へと向けて、該レーザビーム焦線が、該ガラス材料の中で吸収を生じさせ、該生じた吸収が、該材料の中で該レーザビーム焦線に沿って穴を形成する工程と、
前記アキシコンレンズと前記光学要素の組との間の距離を調節して、前記材料の中の前記レーザビーム焦線の深さを調節する工程と、
前記ガラス材料と前記レーザビームとを互いに平行移動させて、それにより、該レーザが、該材料の中に、該材料の前記厚さの半分未満の深さの複数の穴を、第1の平面に沿って穴あけする工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記ガラス材料を薄くして、前記複数の穴の第1の端部を少なくとも一方の表面で露出させる工程と、
前記複数の穴を拡大して、前記厚さを貫通させる工程と
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アキシコンレンズと前記光学要素の組との間の距離は、約85から約110mmである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光学要素の組と前記合焦光学要素との間の距離は、約30から約90mmである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザビーム焦線の前記ガラス材料の中での深さは、約0.32mmから約0.98mmである、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
方法において、
パルス状レーザビームを、レーザビームの光路に配置された光学アセンブリを介して、該光学アセンブリのビーム出射側で、該レーザビームの伝播方向に沿って向いたレーザビーム焦線へと合焦させる工程を、
含み、該光学アセンブリは、
アキシコンレンズ、コリメートレンズ、および、合焦レンズを含み、該アキシコンレンズ、該コリメートレンズ、および、該合焦レンズは固定位置にある第1の光学要素の組と、
3つの非球面レンズを含み、第1の非球面レンズと第2の非球面レンズとは、前記レーザビーム伝播方向に沿って、互いに平行移動自在であり、第3の非球面レンズは、前記レーザビーム伝播方向に沿って固定位置にある第2の光学要素の組と
を含むものであり、
前記方法は、更に、
前記レーザビーム焦線を、5mm未満の厚さを有するガラス材料の中へと向けて、該レーザビーム焦線が、該ガラス材料の中で吸収を生じさせ、該生じた吸収が、該材料の中で該レーザビーム焦線に沿って穴を形成する工程と、
前記第1の非球面レンズと前記第2の非球面レンズとの間の距離を調節して、前記材料の中の前記レーザビーム焦線の深さを調節する工程と、
前記ガラス材料と前記レーザビームとを互いに平行移動させて、それにより、該レーザが、該材料の中に、該材料の前記厚さの半分未満の深さの複数の穴を、第1の平面に沿って穴あけする工程と
を含む方法。
【請求項7】
前記ガラス材料を薄くして、前記複数の穴の第1の端部を少なくとも一方の表面で露出させる工程と、
前記複数の穴を拡大して、前記厚さを貫通させる工程と
を、更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の非球面レンズと前記第2の非球面レンズとの間の距離は、約50から約71mmである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の非球面レンズと前記第3の非球面レンズとの間の距離は、約31から約48mmである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記レーザビーム焦線の前記材料の中での深さは、約0.43から約0.66mmである、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
光学アセンブリにおいて、
アキシコンレンズ、コリメートレンズ、および、合焦レンズを含み、該アキシコンレンズ、該コリメートレンズ、および、該合焦レンズは固定位置にある第1の光学要素の組と、
3つの非球面レンズを含み、第1の非球面レンズと第2の非球面レンズとは、レーザビーム伝播方向に沿って、互いに平行移動自在であり、第3の非球面レンズは、該レーザビーム伝播方向に沿って固定位置にある第2の光学要素の組と
を含む光学アセンブリ。
【請求項12】
前記第1の非球面レンズと前記第2の非球面レンズとの間の距離は、約50から約71mmである、請求項11に記載の光学アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、米国特許法第119条の下、2020年10月30日出願の米国仮特許出願第63/107,824号の優先権の利益を主張し、その内容は依拠され、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、部分的な微小穴の形成システムおよび方法に関し、特に、可変ベッセルビームを用いて、部分的な微小穴を半導体基板のガラスウエハに形成するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体産業が発展し続けるにつれて、単位ウエハ面積当たりの機能および値が高まり続けている。ウエハのダイシング損失を最小にすることが、ますます重要になっている。このことは、特に、例えば、モバイル装置で用いられるRFチップの場合など、ダイのサイズが小さい場合に当てはまる。他の極端な例は、各寸法が僅か1mmのRFIDチップでありうる。
【0004】
Siは、主要な半導体材料であるが、その半導体特性は、利用例によっては、悪影響にもつながる。1つの例は、RFであり、EMフィールドがSi基板内の電荷と相互作用して、信号損失、信号クロストーク、および、非直線性を生じうる。そのような場合に、ガラスおよびセラミック材料は、そのような材料の「受動」性により、優れた性能を届けうる。アクティブ半導体デバイスを、ガラスまたはセラミック基板に組み込むか、転写可能にする多くの技術がある。よく知られた例は、SOS(シリコン・オン・サファイア)およびSoG(シリコン・オン・ガラス)である。
【0005】
デバイス層が製作されるか、ガラスに転写されると、Siは、研削または化学エッチングにより、完全に除去される。この処理の間、ガラス基板は、機械的な支持部として機能する。個々のダイへと単片化して実装する前に、次に、ガラスを、研削により、100μmから150μmまで機械的に薄くする。
【0006】
各ダイが、0.5mm×0.5mmのサイズの場合、典型的なダイヤモンドブレードによるダイシングにより、80μmから100μmのカーフ損失を生じ、それは、30%までもの面損失を表す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
その代わりに、カーフ損失がゼロに近い方法があれば、この貴重な財を節約して、大きな価値をウエハの顧客に届けうる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明者らは、可変ベッセルビームを用いて、半導体基板用のガラスウエハに部分的な微小穴を形成する改良されたシステムおよび方法を開発した。
【0009】
更なる特徴および利点を、次の詳細な記載に示し、それは、部分的には、当業者には、その記載から明らかであるか、または、次の詳細な記載、請求項、および、添付の図面に記載の実施形態を実施することによって分かるだろう。ここまでの概略的記載および次の詳細な記載の両方が、例示にすぎず、請求項の本質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することを意図すると、理解すべきである。
【0010】
本開示の第1の実施形態は、方法を含み、それは、パルス状レーザビームを、レーザビームの光路に配置された光学アセンブリを介して、光学アセンブリのビーム出射側で、レーザビームの伝播方向に沿って向いたレーザビーム焦線へと合焦させる工程を含み、光学アセンブリは、球面収差を有し、レーザビーム焦線を生成するように構成されたアキシコンレンズと、アキシコンレンズから離間した光学要素の組と、光学要素の組から離間した合焦光学要素とを含み、アキシコンレンズと光学要素の組とは、レーザビーム伝播方向に沿って、互いに平行移動自在であり、合焦光学要素は、レーザビーム伝播方向に沿って固定位置にあるものであり、方法は、更に、レーザビーム焦線を、5mm未満の厚さを有するガラス材料の中へと向けて、レーザビーム焦線が、ガラス材料の中で吸収を生じさせ、生じた吸収が、材料の中でレーザビーム焦線に沿って穴を形成する工程と、アキシコンレンズと光学要素の組との間の距離を調節して、材料の中のレーザビーム焦線の深さを調節する工程と、ガラス材料とレーザビームとを互いに平行移動させて、それにより、レーザが、材料の中に、材料の厚さの半分未満の深さの複数の穴を、第1の平面に沿って穴あけする工程とを含む方法を含む。
【0011】
本開示の第2の実施形態は、第1の実施形態を含み、ガラス材料を薄くして、複数の穴の第1の端部を少なくとも一方の表面で露出させる工程と、複数の穴を拡大して、厚さを貫通させる工程とを更に含みうる。
【0012】
本開示の第3の実施形態は、第1の実施形態を含み、アキシコンレンズと光学要素の組との間の距離は、約85から約110mmでありうる。
【0013】
本開示の第4の実施形態は、第1の実施形態を含み、光学要素の組と合焦光学要素との間の距離は、約30から約90mmでありうる。
【0014】
本開示の第5の実施形態は、実施形態1から4のいずれか1つを含み、レーザビーム焦線のガラス材料の中での深さは、約0.32mmから約0.98mmでありうる。
【0015】
本開示の第6の実施形態は、実施形態1から5のいずれか1つを含み、光学要素の組は、第2の距離で離間した2つのレンズを含むものでありうる。
【0016】
本開示の第7の実施形態は、第6の実施形態を含み、第2の距離は、約1mmから約50mmでありうる。
【0017】
本開示の第8の実施形態は、第1の実施形態を含み、複数の穴を、ガラス材料の中に、第1の平面に沿って穴あけした後に、半導体デバイスを材料の表面上に形成する工程を、
更に含みうる。
【0018】
本開示の第9の実施形態は、第8の実施形態を含み、半導体デバイスをガラス材料の表面上に形成した後に、材料を薄くして、穴の開口部を露出させる工程を、更に含みうる。
【0019】
本開示の第10の実施形態は、方法を含み、それは、パルス状レーザビームを、レーザビームの光路に配置された光学アセンブリを介して、光学アセンブリのビーム出射側で、レーザビームの伝播方向に沿って向いたレーザビーム焦線へと合焦させる工程を含み、光学アセンブリは、アキシコンレンズ、コリメートレンズ、および、合焦レンズを含み、アキシコンレンズ、コリメートレンズ、および、合焦レンズは固定位置にある第1の光学要素の組と、3つの非球面レンズを含み、第1の非球面レンズと第2の非球面レンズとは、レーザビーム伝播方向に沿って、互いに平行移動自在であり、第3の非球面レンズは、レーザビーム伝播方向に沿って固定位置にある第2の光学要素の組とを含むものであり、方法は、更に、レーザビーム焦線を、5mm未満の厚さを有するガラス材料の中へと向けて、レーザビーム焦線が、ガラス材料の中で吸収を生じさせ、生じた吸収が、材料の中でレーザビーム焦線に沿って穴を形成する工程と、第1の非球面レンズと第2の非球面レンズとの間の距離を調節して、材料の中のレーザビーム焦線の深さを調節する工程と、ガラス材料とレーザビームとを互いに平行移動させて、それにより、レーザが、材料の中に、材料の厚さの半分未満の深さの複数の穴を、第1の平面に沿って穴あけする工程とを含む。
【0020】
本開示の第11の実施形態は、第10の実施形態を含み、ガラス材料を薄くして、複数の穴の第1の端部を少なくとも一方の表面で露出させる工程と、複数の穴を拡大して、厚さを貫通させる工程とを、更に含みうる。
【0021】
本開示の第12の実施形態は、第10の実施形態を含み、第1の非球面レンズと第2の非球面レンズとの間の距離は、約50から約71mmでありうる。
【0022】
本開示の第13の実施形態は、第10の実施形態を含み、第2の非球面レンズと第3の非球面レンズとの間の距離は、約31から約48mmでありうる。
【0023】
本開示の第14の実施形態は、第10の実施形態を含み、レーザビーム焦線の材料の中での深さは、約0.43から約0.66mmでありうる。
【0024】
本開示の第15の実施形態は、第10の実施形態を含み、複数の穴を、ガラス材料の中に、第1の平面に沿って穴あけした後に、半導体デバイスを材料の表面上に形成する工程を更に含みうる。
【0025】
本開示の第16の実施形態は、第10の実施形態を含み、半導体デバイスをガラス材料の表面上に形成した後に、材料を薄くして、穴の開口部を露出させる工程を更に含みうる。
【0026】
本開示の第17の実施形態は、光学アセンブリにおいて、球面収差を有し、レーザビームからレーザビーム焦線を生成するように構成されたアキシコンレンズと、アキシコンレンズから離間した光学要素の組と、光学要素の組から離間した合焦光学要素とを含み、アキシコンレンズと光学要素の組とは、レーザビームの伝播方向に沿って、互いに平行移動自在であり、合焦光学要素は、レーザビームの伝播方向に沿って固定位置にあるものである光学アセンブリ。
【0027】
本開示の第18の実施形態は、第17の実施形態を含み、アキシコンレンズと光学要素の組との間の距離は、約85から約110mmでありうる。
【0028】
本開示の第19の実施形態は、第17の実施形態を含み、光学要素の組と合焦光学要素との間の距離は、約30から約90mmでありうる。
【0029】
本開示の第20の実施形態は、第17の実施形態を含み、光学要素の組は、第2の距離で離間した2つのレンズを含むものでありうる。
【0030】
本開示の第21の実施形態は、第17の実施形態を含み、第2の距離は、約1mmから約50mmでありうる。
【0031】
本開示の第22の実施形態は、光学アセンブリにおいて、アキシコンレンズ、コリメートレンズ、および、合焦レンズを含み、アキシコンレンズ、コリメートレンズ、および、合焦レンズは固定位置にある第1の光学要素の組と、3つの非球面レンズを含み、第1の非球面レンズと第2の非球面レンズとは、レーザビーム伝播方向に沿って、互いに平行移動自在であり、第3の非球面レンズは、レーザビーム伝播方向に沿って固定位置にある第2の光学要素の組とを含む光学アセンブリ。
【0032】
本開示の第23の実施形態は、第22の実施形態を含み、第1の非球面レンズと第2の非球面レンズとの間の距離は、約50から約71mmでありうる。
【0033】
本開示の第24の実施形態は、第22の実施形態を含み、第2の非球面レンズと第3の非球面レンズとの間の距離は、約31から約48mmでありうる。
【0034】
添付の図面は、更なる理解のために含められ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施形態を示し、詳細な記載と共に、様々な実施形態の原理および動作を説明する役割を果たす。したがって、本開示は、次の詳細な記載を添付の図面と共に読むことで、完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による微小穴をガラス材料に形成する例示的な方法のフローチャートである。
【
図2A】本開示のいくつかの実施形態によるレーザビーム焦線の配置、つまり、レーザ波長に対して透明な材料の焦線に沿って生じた吸収によるレーザ処理を示す概略図である。
【
図2B】本開示のいくつかの実施形態によるレーザビーム焦線の配置、つまり、レーザ波長に対して透明な材料の焦線に沿って生じた吸収によるレーザ処理を示す概略図である。
【
図3A-1】レーザビーム焦線を、基板に対して透明材料の中の異なる位置に形成することによって基板を処理する本開示のいくつかの実施形態による様々な可能な方法を示す。
【
図3A-2】レーザビーム焦線を、基板に対して透明材料の中の異なる位置に形成することによって基板を処理する本開示のいくつかの実施形態による様々な可能な方法を示す。
【
図3A-3】レーザビーム焦線を、基板に対して透明材料の中の異なる位置に形成することによって基板を処理する本開示のいくつかの実施形態による様々な可能な方法を示す。
【
図3A-4】レーザビーム焦線を、基板に対して透明材料の中の異なる位置に形成することによって基板を処理する本開示のいくつかの実施形態による様々な可能な方法を示す。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態によるレーザ処理のための光学アセンブリを示す概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態によるレーザ処理のための光学アセンブリを示す概略図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による例示的なガラスブランクを示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここで、本開示の様々な実施形態を詳細に記載し、その例を添付の図面に示している。全図を通して、同じ、または類似の部分を称するには、可能な限り、同じ、または類似の参照番号および符号を用いている。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、当業者は、本開示の主要な態様を示すために図面が簡略されているのが分かるだろう。
【0037】
添付の請求項は、この詳細な記載に組み込まれ、その一部を構成する。
【0038】
本明細書において、第1および第2、最上部および底部などの相対的な用語は、単に、1つの物または動作を、他の物または動作から区別するために用いられたものであり、必ずしも、そのような物同士または動作同士の間で、実際にそのような関係があることを要するものでも、意味するものでもない。
【0039】
当業者は、記載した開示の構成、および、他の構成要素も、いずれの特定の材料に限定されないことが分かるだろう。本明細書において別段の記載がない限りは、本開示の他の例示的な実施形態を、広範囲の様々な材料から形成しうる。
【0040】
図1は、方法300のフローチャートを示している。方法300は、工程302~312を含む。工程302において、
図2A、2Bに示すようなパルス状レーザビーム2を、レーザのビーム光路に位置する光学アセンブリを介して、光学アセンブリのビーム出射側で、レーザビーム伝播方向に沿って向いたレーザビーム焦線2bへと合焦する。レーザビーム焦線2bは、高エネルギー密度の領域である。
【0041】
図2Aに示すように、レーザ3(不図示)は、光学アセンブリ6に入射する部分2aを有するレーザビーム2を出射する。光学アセンブリ6は、入射したレーザビームを、出射側でビーム方向に沿って画定された拡大範囲(焦線の長さl)に亘って延在するレーザビーム焦線2bへと変換する。
【0042】
本開示の実施形態は、非回折ビーム(「NDB」)を用いて、レーザビーム焦線2bを形成する。典型的には、レーザ処理は、ガウスレーザビームを用いたものである。ガウス強度プロファイルを有するレーザビームを正確に合焦させると、次式で与えられるレイリー範囲ZRを有するものとなる:
【0043】
【0044】
レイリー範囲は、ビームのスポットサイズw0が、屈折率n0の材料において波長λ0の時に、√2倍に増加する距離を表す。これは、回折により限定されるものである。尚、式(1)では、レイリー範囲は、スポットサイズに直に関係し、それにより、正確に合焦させた(つまり、小さいスポットサイズを有する)ビームは、長いレイリー範囲を有しえないという結論になる。そのようなビームは、この小さいスポットサイズを、非常に短い距離のみ維持するものとなる。更に、このことは、このようなビームを用いて、合焦領域の深さを変化させることによって材料を貫通して穴あけする場合、焦点の両側でスポットを急拡大するには、ビームの合焦特性を制限しうる光学的歪みのない大きい領域が必要になることを意味する。更に、そのような短いレイリー範囲は、厚いサンプルを切断するのに、多数のパルスも必要とする。
【0045】
しかしながら、本開示の実施形態は、上記光学的ガウスビームの代わりに、NDBを用いている。非回折ビームは、回折効果がビーム合焦状態を必然的に制限する前に、かなりの距離を伝播しうる。無限NDBは、回折効果の影響を受けないが、物理的に実現可能なNDBは、物理的範囲を制限される。ビームの中心ローブは、半径が非常に小さく、したがって、高い強度のビームを生成しうる。限定するものではないが、ベッセルビーム、エアリービーム、ウェーバービームおよびマシュービームを含むいくつかの種類のNDBがあり、それらのフィールドプロファイルは、典型的には、横方向にガウス関数より遅く減衰する特別関数によって与えられる。
【0046】
本明細書に記載のNDBは、ベッセルビームの場合について記載しているが、本実施形態は、それに限定されないと理解すべきである。ベッセルビームの中心スポットサイズは、次式によって与えられる:
【0047】
【0048】
但し、NAは、光軸に対して角度βをなす平面波の円錐により与えられる開口数である。ベッセルビームとガウスビームの主な違いは、レイリー範囲が次式によって与えられることである:
【0049】
【0050】
但し、Dは、いくつかの口径、または、光学要素によって与えられるビームの有限範囲である。したがって、口径サイズDを用いて、レイリー範囲を、中心スポットサイズによる限界を超えて増加させうることを示している。実際のベッセルビーム生成方法は、ガウスビームを、アキシコン、または、半径方向直線位相要素を有する光学要素に通すことである。
【0051】
概して、線状焦点(つまり、レーザビーム焦線)を形成する光学的方法は、限定するものではないが、ドーナツ型レーザビームと球面レンズ、アキシコンレンズ、回折要素、または高強度の線形領域を形成する他の方法など、多数の形態をとりうる。レーザの種類(ピコ秒、フェムト秒など)および波長(IR、可視、UVなど)も、基板材料に破壊部を生成するのに十分な光学強度に到達する限りは、様々でありうる。
【0052】
工程304において、
図2A、2Bを再び参照すると、レーザビーム焦線を、レーザ処理による内部改質および2光子吸収を生じるガラス基板の層である層1の中へと向ける。層1は、より大きい製作品の構成要素であり、製作品は、典型的には、その上に多層積層体が形成される基板または担体を含む。層1は、本明細書に記載のように、孔、切込み、または、他の特徴物が、2光子吸収支援アブレーションまたは改質により形成される多層積層体の中の層である。層1は、ビーム光路内に配置され、レーザビーム2のレーザビーム焦線2bと少なくとも部分的に重なるようにする。参照符号1aは、光学アセンブリ6またはレーザに向いた(最も近い、または、近接した)層1の表面を指し、参照符号1bは、層1の反対の(光学アセンブリ6またはレーザから遠い、または、更に離れた)表面を指す。層1の(平面1a、1b、つまり、基板平面に垂直に測定した)厚さには、dを付している。いくつかの実施形態において、層の厚さは、5mm未満である。
【0053】
図2Aに示すように、層1は、ビーム縦軸に垂直に、したがって、光学アセンブリ6の生成した同じ焦線2bの後方に位置合わせされる(基板は、図面の紙面に垂直である)。ビーム方向に沿って見た場合、層1は、焦線2bに対して、(ビームの方向に見た)焦線2bは、層1の表面1aより前で始まり、層1の表面1bより前で終わるように、つまり、焦線2bは、層1の中で終わり、表面1bを越えて延伸しないように配置される。レーザビーム焦線2bが層1と重なる領域、つまり、焦線2bと重なった層1の部分において、延在するレーザビーム焦線2bは、層1で、非線形吸収を生じさせる。(レーザビーム2を長さlの部分(つまり、長さlの線状焦点)に適切に合焦させることで、レーザビーム焦線2bに沿って、適切なレーザ強度が確実に生成され、(ビーム縦方向に沿って位置合わせされた)延在部分2cを画定し、それに沿って、層1の中で、非線形吸収を生じるものとする。)非線形吸収を生じることで、欠陥線または亀裂を、層1の中で、部分2cに沿って形成する。欠陥または亀裂の形成は、局所だけではなく、吸収を生じた延在部分2cの全長に亘って延伸しうる。(レーザビーム焦線2bが層1と重なる長さに対応する)部分2cの長さには、参照符号Lを付している。吸収を生じた部分2c(または、層1の材料が、欠陥線または亀裂を形成した部分)の平均直径または範囲には、参照符号Dを付している。この平均範囲Dは、レーザビーム焦線2bの平均直径δ、つまり、約0.1μmと約5μmの間の範囲の平均スポット直径に対応しうる。
【0054】
図2Aに示すように、(レーザビーム2の波長λに対して透明である)層1は、焦線2bに沿って生じた吸収によって、局所的に加熱される。吸収は、焦線2bの中のレーザビームの高い強度(エネルギー密度)に伴う非線形効果により生じるものである。
図2Bは、加熱された層1が、最終的に膨張して、それに対応して生じた張力が微小亀裂の形成につながるのを示しており、張力は、表面1aで最も高い。
【0055】
次に、焦線2bを生成するのに用いうる代表的な光学アセンブリ6、および、これらの光学アセンブリを用いうる代表的な光学構成を記載する。全てのアセンブリまたは構成は、上記説明に基づいており、同一の構成要素または特徴物、若しくは、それらと機能が等しいものを称するには、同一の参照符号を用いている。したがって、次では、相違点のみを記載する。
【0056】
一連の穴によって画定された輪郭に沿って亀裂を生じた後に、分離した表面を確実に(破損強度、幾何学的精度、粗さ、および、再加工不要性について)高品質にするには、亀裂の輪郭を画定する穴を形成するのに用いる個々の焦線を、次に記載の光学アセンブリを用いて生成すべきである(以下、光学アセンブリを、代わりに、レーザ光学系とも称する)。分離した表面の粗さは、主に、焦線のスポットサイズまたはスポット直径によって決定される。表面の粗さは、例えば、Ra表面粗さ統計値(サンプリングした表面の高さの絶対値の算術平均である粗さ)によって、特徴付けられうる。レーザ3が所定の波長λの場合に、例えば、0.5μmから2μmの小さいスポットサイズを実現するために(層1の材料との相互作用)、通常、レーザアセンブリ6の開口数に、何らかの要件を課さなくてはならない。
【0057】
要求された開口数を実現するために、光学系は、一方では、既知のアッベの公式(N.A.=nsin(θ)、n:処理する材料の屈折率、θ:開口角の半分、および、θ=arctan(D/2f)、D:口径、f:焦点距離)により、所定の焦点距離について必要な口径を有しなければならない。他方では、レーザビームは、必要とされる口径まで光学系を照らさなければならないもので、典型的には、レーザと合焦光学系の間に拡大光学系を用いてビームを拡大することで実現される。
【0058】
スポットサイズは、焦線に沿った均一な相互作用のためには、あまり大きく変化するべきではない。これは、例えば、合焦光学系を小さい円形領域でのみで照らして、ビーム開口部、したがって、開口数のパーセントが僅かにのみ変化するようにすることで確実にしうる(後述する実施形態を参照)。
【0059】
図3A-1~3A-4は、レーザビーム焦線2bの位置を、光学アセンブリ6を層1に対して適切に配置、および/または、位置合わせすることによって、更に、光学アセンブリ6のパラメータを適切に選択することによって、制御しうることを示している。例えば、
図3A-1に示すように、焦線2bの長さlを調節して、層厚さdを超えるようにしうる(ここでは、2倍)。層1を、焦線2bに対して、(ビーム縦方向に見て)中心に配置した場合、吸収を生じた延在部分2cが全基板厚さに亘って生成される。
【0060】
図3A-2に示した場合、ほぼ、層厚さdに対応する長さlの焦線2bが生成される。層1は、焦線2bに対して、焦線2bが、処理する材料の外側の位置で始まるように配置されるので、(ここでは、基板表面から、画定された基板深さまで延伸するが、反対の表面1bまでは延伸しない)吸収を生じた延在部分2cの長さLは、焦線2bの長さlより短い。
図3A-3は、層1を、(ビーム方向に沿って見て)焦線2bの開始点より上に配置して、
図3A-2に示すように、焦線2bの長さlが層1で吸収を生じた部分2cの長さLより長い場合を示している。したがって、焦線は、層1の中で始まり、反対の表面1bを越えて延伸する。
図3A-4は、焦線の長さlが層厚さdより短い場合を示し、基板を、入射方向に見た焦線に対して中心に配置した場合、焦線は、層1の中で表面1aの近くで始まり、層1の中で表面1bの近くで終わる(例えば、l=0.75・d)。レーザビーム焦線2bは、例えば、約0.1mmと約100mmの間の範囲、または、約0.1mmと約10mmの間の範囲の長さlを有しうる。例えば、様々な実施形態は、例えば、約0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.7mm、1mm、2mm、3mmまたは5mmの長さlを有するように構成されうる。
【0061】
いくつかの実施形態において、少なくとも一方の表面1a、1bが焦線によって網羅されて、生じた非線形吸収部分2cが、処理する層または材料の少なくとも一方の表面上で始まるように、焦線2bを配置することは、特に利点を有する。このようにして、表面のアブレーション、バリ、および、微粒子生成を防ぎながら、実質的に理想の切込みが実現可能になる。
【0062】
図4は、第1の構成121、第2の構成122、または、第3の構成123を有する光学アセンブリ6を示している。光学アセンブリは、(ビーム方向に沿って見た)第1の光学要素101を含み、それは、非球面の自由表面を有し、レーザ11のビーム光路に配置されて、延在するレーザビーム焦線2bを形成するように設計される。いくつかの実施形態において、第1の光学要素101は、円錐角が5°のアキシコンであり、ビーム方向に垂直に、レーザビーム11の中心に配置される。アキシコンの頂点は、ビーム方向に向けられる。光学要素の組は、凸レンズ102a、および、凹レンズ102bを含み、アキシコンレンズ101から離間する。凸レンズ102aは、凹レンズ102bから距離d2に配置される。光学要素102a、102bの組は、アキシコンレンズ101から距離d1に配置される。合焦レンズ103は、光学要素102a、102bの組から距離d3で離間する。
【0063】
工程306において、
図4に示すように、アキシコンレンズ101と、光学要素102a、102bの組とは、レーザビーム伝播方向に沿って、互いに平行移動自在で、ガラス材料(例えば、層1)の中でのレーザビーム焦線の深さを調節する。例えば、凸レンズと凹レンズ102bの間の距離を、第1の構成121から第2の構成122へと増加させ、更に、第2の構成122から第3の構成へと増加させる。合焦レンズ103は、レーザビーム伝播方向に沿って、固定位置にある。各レンズを、光軸に沿って独立動作する平行移動ステージに載置する。平行移動ステージは、PCによって、モータを用いて制御されるか、従来の機械的なステージまたは円筒部の移動鏡筒を用いて手動制御されうる。レンズ同士の相対位置を変化させることで、ガラス材料の中でビームの焦点深さを連続して変化させることが可能になる。いくつかの実施形態において、ガラス材料の中でのレーザビーム焦線の深さは、約0.32mmから約0.98mm、好ましくは、約0.5mmから約0.98mm、より好ましくは、約0.75mmから約0.98mmである。
【0064】
いくつかの実施形態において、アキシコンレンズと光学要素の組との距離d1は、約85から約110mmである。いくつかの実施形態において、アキシコンレンズと光学要素の組との距離d1は、約95から約110mmである。いくつかの実施形態において、アキシコンレンズと光学要素の組との距離d1は、約100から約110mmである。いくつかの実施形態において、アキシコンレンズと光学要素の組との距離d1は、約105から約110mmである。いくつかの実施形態において、アキシコンレンズと光学要素の組との距離d1は、約85から約105mmである。いくつかの実施形態において、アキシコンレンズと光学要素の組との距離d1は、約85から約100mmである。いくつかの実施形態において、アキシコンレンズと光学要素の組との距離d1は、約85から約95mmである。いくつかの実施形態において、アキシコンレンズと光学要素の組との距離d1は、約85から約90mmである。
【0065】
いくつかの実施形態において、光学要素の組と合焦光学要素の間の距離d3は、約30から約90mmである。いくつかの実施形態において、光学要素の組と合焦光学要素の間の距離d3は、約50から約90mmである。いくつかの実施形態において、光学要素の組と合焦光学要素の間の距離d3は、約70から約90mmである。いくつかの実施形態において、光学要素の組と合焦光学要素の間の距離d3は、約30から約70mmである。いくつかの実施形態において、光学要素の組と合焦光学要素の間の距離d3は、約30から約50mmである。
【0066】
いくつかの実施形態において、凸レンズ102aと凹レンズ102bの間の距離d2は、約1mmから約50mmである。いくつかの実施形態において、凸レンズ102aと凹レンズ102bの間の距離d2は、約15mmから約50mmである。いくつかの実施形態において、凸レンズ102aと凹レンズ102bの間の距離d2は、約30mmから約50mmである。いくつかの実施形態において、凸レンズ102aと凹レンズ102bの間の距離d2は、約45mmから約50mmである。いくつかの実施形態において、凸レンズ102aと凹レンズ102bの間の距離d2は、約1mmから約35mmである。いくつかの実施形態において、凸レンズ102aと凹レンズ102bの間の距離d2は、約1mmから約20mmである。
【0067】
図5は、第1の構成231、第2の構成232、第3の構成233、または、第4の構成234を有する光学アセンブリ6を示している。光学アセンブリは、アキシコンレンズ101、コリメートレンズ102、および、合焦レンズ103を含む第1の光学要素の組を含む。アキシコンレンズ101、コリメートレンズ102、および、合焦レンズ103は、固定位置にある。更に、光学アセンブリは、3つの非球面レンズを含む第2の光学要素の組を含む。第1の非球面レンズ111と第2の非球面レンズ112とは、レーザビーム伝播方向に沿って、互いに平行移動自在である。第3の非球面レンズ113は、レーザビーム伝播方向に沿って、固定位置にある。第1の非球面レンズ111と第2の非球面レンズ112との相対位置を変化させることで、ガラス材料の中でのビームの合焦深さを連続して変化させることが可能になる。いくつかの実施形態において、ガラス材料の中のレーザビーム焦線の深さは、約0.43から約0.66mmである。
【0068】
いくつかの実施形態において、第1の非球面レンズと第2の非球面レンズの間の距離d1は、約50から約71mmである。いくつかの実施形態において、第2の非球面レンズと第3の非球面レンズの間の距離d2は、約31から約48mmである。
【0069】
工程308において、ガラス材料(例えば、層1)と光学アセンブリとは、互いに平行移動自在であり、それにより、レーザは、材料の中に、複数の穴を第1の平面に沿って穴あけする。
図6の301は、本開示のシステムおよび方法を介して、厚さt
gを有する層1の中に形成された多数の穴254、および、層1の第2の表面の上に配置された半導体デバイス310を示している。半導体デバイスは、薄膜の成膜、酸化またはニトロ化、エッチング、研磨、並びに、熱およびリトグラフ処理など、一連の製造工程によって形成されうる。層1は、第1の表面305(非接触面とも称される)、および、その上に半導体デバイスが形成される第2の表面306を有する。いくつかの実施形態において、穴254の深さt
lは、層1の厚さt
gの半分未満である。いくつかの実施形態において、穴254の深さt
lは、層1の厚さt
gの1/3未満である。穴254の上側先端は、非接触面305から距離t
1に位置する。穴254の下側先端は、第2の表面306から距離t
2に位置する。いくつかの実施形態において、穴254は、t
1がt
2より大きいように位置する。工程310において、更に、
図6の302を参照すると、層1のガラス材料を薄くして、複数の穴254の第1の端部304(つまり、上側先端)を露出させる。ガラス基板を薄くする処理は、従来の機械的および化学的エッチング処理、若しくは、それらの両方を組み合わせて行われうる。機械的処理の場合、担体を、ダイヤモンドまたはSiC若しくは同様の材料などの研磨材料を用いて、穴が露出するまで、物理的に研削する。化学的処理の場合、担体を、穴が露出するまで、HFを含んだ液体に浸漬させる。ハイブリッドな処理の場合、まず、担体に機械的な研削処理が行われ、次に、担体をエッチング液に浸漬させて、最後の工程を終えるようにする。
【0070】
工程312において、更に、
図6の303を参照すると、薄くする処理の後に、複数の穴254を、機械的な拡大処理、熱的な拡大処理または化学的な拡大処理によって、層1のガラス材料の厚さを貫通して、第2の表面306まで拡大する。機械的な拡大処理の場合、穴を、曲げ、ねじれ、または、それらの両方などの機械的な応力を用いて、拡大する。熱的拡大処理の場合、ガラス材料を、レーザビーム、IR放射、または、ホットプレートなどのIR源を用いて、急に加熱することによって、熱勾配を生成する。化学的な拡大処理の場合、エッチング液を、穴の中に入り込むように用いて、穴を開かせる。
【0071】
当業者であれば、添付の請求項に規定した本開示の精神および範囲を逸脱することなく、本明細書に記載の本開示の好適な実施形態に様々な変更が可能なことが明らかだろう。したがって、本開示は、添付の請求項、および、その等価物の範囲内である限りは、変更および変形を網羅するものである。
【0072】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0073】
実施形態1
方法において、
パルス状レーザビームを、レーザビームの光路に配置された光学アセンブリを介して、該光学アセンブリのビーム出射側で、該レーザビームの伝播方向に沿って向いたレーザビーム焦線へと合焦させる工程を、
含み、該光学アセンブリは、
球面収差を有し、前記レーザビーム焦線を生成するように構成されたアキシコンレンズと、
前記アキシコンレンズから離間した光学要素の組と、
前記光学要素の組から離間した合焦光学要素と
を含み、
前記アキシコンレンズと前記光学要素の組とは、前記レーザビーム伝播方向に沿って、互いに平行移動自在であり、
前記合焦光学要素は、前記レーザビーム伝播方向に沿って固定位置にあるものであり、
前記方法は、更に、
前記レーザビーム焦線を、5mm未満の厚さを有するガラス材料の中へと向けて、該レーザビーム焦線が、該ガラス材料の中で吸収を生じさせ、該生じた吸収が、該材料の中で該レーザビーム焦線に沿って穴を形成する工程と、
前記アキシコンレンズと前記光学要素の組との間の距離を調節して、前記材料の中の前記レーザビーム焦線の深さを調節する工程と、
前記ガラス材料と前記レーザビームとを互いに平行移動させて、それにより、該レーザが、該材料の中に、該材料の前記厚さの半分未満の深さの複数の穴を、第1の平面に沿って穴あけする工程と
を含む方法。
【0074】
実施形態2
前記ガラス材料を薄くして、前記複数の穴の第1の端部を少なくとも一方の表面で露出させる工程と、
前記複数の穴を拡大して、前記厚さを貫通させる工程と
を更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0075】
実施形態3
前記アキシコンレンズと前記光学要素の組との間の距離は、約85から約110mmである、実施形態1に記載の方法。
【0076】
実施形態4
前記光学要素の組と前記合焦光学要素との間の距離は、約30から約90mmである、実施形態1に記載の方法。
【0077】
実施形態5
前記レーザビーム焦線の前記ガラス材料の中での深さは、約0.32mmから約0.98mmである、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
実施形態6
前記光学要素の組は、第2の距離で離間した2つのレンズを含むものである、実施形態1から5のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
実施形態7
前記第2の距離は、約1mmから約50mmである、実施形態6に記載の方法。
【0080】
実施形態8
前記複数の穴を、前記ガラス材料の中に、前記第1の平面に沿って穴あけした後に、半導体デバイスを該材料の表面上に形成する工程を、
更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0081】
実施形態9
前記半導体デバイスを前記ガラス材料の前記表面上に形成した後に、該材料を薄くして、前記穴の開口部を露出させる工程を、
更に含む、実施形態8に記載の方法。
【0082】
実施形態10
方法において、
パルス状レーザビームを、レーザビームの光路に配置された光学アセンブリを介して、該光学アセンブリのビーム出射側で、該レーザビームの伝播方向に沿って向いたレーザビーム焦線へと合焦させる工程を、
含み、該光学アセンブリは、
アキシコンレンズ、コリメートレンズ、および、合焦レンズを含み、該アキシコンレンズ、該コリメートレンズ、および、該合焦レンズは固定位置にある第1の光学要素の組と、
3つの非球面レンズを含み、第1の非球面レンズと第2の非球面レンズとは、前記レーザビーム伝播方向に沿って、互いに平行移動自在であり、第3の非球面レンズは、前記レーザビーム伝播方向に沿って固定位置にある第2の光学要素の組と
を含むものであり、
前記方法は、更に、
前記レーザビーム焦線を、5mm未満の厚さを有するガラス材料の中へと向けて、該レーザビーム焦線が、該ガラス材料の中で吸収を生じさせ、該生じた吸収が、該材料の中で該レーザビーム焦線に沿って穴を形成する工程と、
前記第1の非球面レンズと前記第2の非球面レンズとの間の距離を調節して、前記材料の中の前記レーザビーム焦線の深さを調節する工程と、
前記ガラス材料と前記レーザビームとを互いに平行移動させて、それにより、該レーザが、該材料の中に、該材料の前記厚さの半分未満の深さの複数の穴を、第1の平面に沿って穴あけする工程と
を含む方法。
【0083】
実施形態11
前記ガラス材料を薄くして、前記複数の穴の第1の端部を少なくとも一方の表面で露出させる工程と、
前記複数の穴を拡大して、前記厚さを貫通させる工程と
を、更に含む、実施形態10に記載の方法。
【0084】
実施形態12
前記第1の非球面レンズと前記第2の非球面レンズとの間の距離は、約50から約71mmである、実施形態10に記載の方法。
【0085】
実施形態13
前記第2の非球面レンズと前記第3の非球面レンズとの間の距離は、約31から約48mmである、実施形態10に記載の方法。
【0086】
実施形態14
前記レーザビーム焦線の前記材料の中での深さは、約0.43から約0.66mmである、実施形態10に記載の方法。
【0087】
実施形態15
前記複数の穴を、前記ガラス材料の中に、前記第1の平面に沿って穴あけした後に、半導体デバイスを該材料の表面上に形成する工程を、
更に含む、実施形態10に記載の方法。
【0088】
実施形態16
前記半導体デバイスを前記ガラス材料の表面上に形成した後に、該材料を薄くして、前記穴の開口部を露出させる工程を、
更に含む、実施形態10に記載の方法。
【0089】
実施形態17
光学アセンブリにおいて、
球面収差を有し、レーザビームからレーザビーム焦線を生成するように構成されたアキシコンレンズと、
前記アキシコンレンズから離間した光学要素の組と、
前記光学要素の組から離間した合焦光学要素と
を含み、
前記アキシコンレンズと前記光学要素の組とは、前記レーザビームの伝播方向に沿って、互いに平行移動自在であり、
前記合焦光学要素は、前記レーザビームの伝播方向に沿って固定位置にあるものである光学アセンブリ。
【0090】
実施形態18
前記アキシコンレンズと前記光学要素の組との間の距離は、約85から約110mmである、実施形態17に記載の光学アセンブリ。
【0091】
実施形態19
前記光学要素の組と前記合焦光学要素との間の距離は、約30から約90mmである、実施形態17に記載の光学アセンブリ。
【0092】
実施形態20
前記光学要素の組は、第2の距離で離間した2つのレンズを含むものである、実施形態17に記載の光学アセンブリ。
【0093】
実施形態21
前記第2の距離は、約1mmから約50mmである、実施形態20に記載の光学アセンブリ。
【0094】
実施形態22
光学アセンブリにおいて、
アキシコンレンズ、コリメートレンズ、および、合焦レンズを含み、該アキシコンレンズ、該コリメートレンズ、および、該合焦レンズは固定位置にある第1の光学要素の組と、
3つの非球面レンズを含み、第1の非球面レンズと第2の非球面レンズとは、レーザビーム伝播方向に沿って、互いに平行移動自在であり、第3の非球面レンズは、該レーザビーム伝播方向に沿って固定位置にある第2の光学要素の組と
を含む光学アセンブリ。
【0095】
実施形態23
前記第1の非球面レンズと前記第2の非球面レンズとの間の距離は、約50から約71mmである、実施形態22に記載の光学アセンブリ。
【0096】
実施形態24
前記第2の非球面レンズと前記第3の非球面レンズとの間の距離は、約31から約48mmである、実施形態22に記載の光学アセンブリ。
【符号の説明】
【0097】
1 層
2 レーザビーム
2b 焦線
6 光学アセンブリ
101 アキシコンレンズ
102 コリメートレンズ
103 合焦レンズ
【国際調査報告】