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特表2023-548315レイノルズ数を使用した質量流量測定値の補正
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】レイノルズ数を使用した質量流量測定値の補正
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/84 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
G01F1/84
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526325
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 US2021049569
(87)【国際公開番号】W WO2022093407
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/107,593
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パッテン, アンドリュー ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】プルイセン, アールト アール.
(72)【発明者】
【氏名】ピティ, サルヴァトーレ
(72)【発明者】
【氏名】ベル, マーク ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ワインスタイン, ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】パンクラッツ, アンソニー ウィリアム
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035JA02
(57)【要約】
レイノルズ数を使用して流体の質量流量測定値を補正するためのメーター電子機器(20)が提供される。メーター電子機器(20)は、流体を収容するセンサーアセンブリ(10)に通信可能に結合し、センサーアセンブリ(10)からセンサー信号を受信するように構成されたインターフェース(401)と、インターフェース(401)に通信可能に結合されたプロセシングシステム(402)とを備える。プロセシングシステム(402)は、レイノルズ数補正関係を記憶し、ここでレイノルズ数補正関係はレイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と関連付け、流体の測定された質量流量値を用いて流体のレイノルズ数を計算し、レイノルズ数とレイノルズ数補正関係とを用いてレイノルズ数ベースの補正値を決定するように構成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レイノルズ数を使用して流体の質量流量測定値を補正するためのメーター電子機器(20)であって、
流体を収容するセンサーアセンブリ(10)に通信可能に結合し、前記センサーアセンブリ(10)からセンサー信号を受信するように構成されたインターフェース(401)と、
前記インターフェース(401)に通信可能に結合されたプロセシングシステム(402)と
を備え、
前記プロセシングシステム(402)が、
レイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と関連付けるレイノルズ数補正関係を記憶し、
前記流体の測定された質量流量値を用いて前記流体のレイノルズ数を計算し、
前記レイノルズ数と前記レイノルズ数補正関係とを用いてレイノルズ数ベースの補正値を決定する
ように構成されている、メーター電子機器。
【請求項2】
前記流体の前記測定された質量流量値を用いて前記レイノルズ数補正係数を計算するように構成された前記プロセシングシステム(402)が、前記流体の粘度値及び前記流体の前記測定された質量流量値を使用して前記レイノルズ数を計算するように構成された前記プロセシングシステム(402)を含む、請求項1に記載のメーター電子機器(20)。
【請求項3】
前記流体の前記測定された質量流量値を用いて前記レイノルズ数補正係数を計算するように構成された前記プロセシングシステム(402)が、前記センサーアセンブリ(10)内の導管の寸法及び前記流体の前記測定された質量流量値を使用して前記レイノルズ数を計算するように構成される前記プロセシングシステム(402)を含む、請求項1又は2に記載のメーター電子機器(20)。
【請求項4】
前記流体の前記測定された質量流量値を用いて前記レイノルズ数を計算するように構成されるプロセシングシステム(402)が、次の式
【数14】

を使用するように構成されたプロセシングシステム(402)を含み、ここで
【数15】

は前記流体の前記測定された質量流量であり、
dは前記センサーアセンブリ(10)の前記導管の直径であり、
μは前記流体の粘度である、
請求項1から3のいずれかに記載のメーター電子機器(20)。
【請求項5】
前記インターフェース(401)が、前記流体の粘度関連情報を測定及び提供するように構成されたトランスデューサと通信可能に結合するようにさらに構成され、
前記メーター電子機器(20)が、前記粘度関連情報に基づいて前記流体の前記粘度値を決定するようにさらに構成される、請求項1から4のいずれかに記載のメーター電子機器(20)。
【請求項6】
前記プロセシングシステム(402)が、前記センサー信号から前記流体の密度値を決定し、前記密度値から前記粘度値を決定するようにさらに構成される、請求項1から5のいずれかに記載のメーター電子機器(20)。
【請求項7】
前記レイノルズ数補正関係が、レイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と関連付ける、数学的関係及び順序付けされたペアのうちの一つを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のメーター電子機器(20)。
【請求項8】
レイノルズ数を使用して流体の質量流量測定値を補正するための方法であって、
センサー信号をメーター電子機器で受信するステップであって、前記センサー信号が、前記流体を収容するセンサーアセンブリによって提供される、ステップと、
前記メーター電子機器におけるレイノルズ数補正関係を記憶するステップであって、前記レイノルズ数補正関係が、レイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と関連付けている、ステップと、
前記流体の測定された質量流量値を用いて前記流体のレイノルズ数を計算するステップと、
前記レイノルズ数と前記レイノルズ数補正関係とを用いてレイノルズ数ベースの補正値を決定するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
前記流体の前記測定された質量流量を用いて前記流体の前記レイノルズ数を計算するステップが、前記流体の粘度値及び前記流体の前記測定された質量流量値を用いて前記流体の前記レイノルズ数を計算することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記流体の前記測定された質量流量を用いて前記流体の前記レイノルズ数を計算するステップが、前記センサーアセンブリ内の導管の寸法及び前記流体の前記測定された質量流量値を用いて前記流体の前記レイノルズ数を計算することを含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記流体の前記測定された質量流量値を用いて前記レイノルズ数を計算するステップが、次の式
【数16】

を使用することを含み、ここで
【数17】

は前記流体の前記測定された質量流量であり、
dは前記センサーアセンブリ(10)の導管の直径であり、
μは前記流体の粘度である、
請求項8から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記流体の粘度関連情報を測定及び提供するように構成されたトランスデューサから粘度関連情報を受信するステップと、
前記粘度関連情報を使用して前記流体の前記粘度値を決定するステップと
をさらに含む、請求項8から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記センサー信号から前記流体の密度値を決定するステップと、前記密度値から前記粘度値を決定するステップとをさらに含む、請求項8から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記レイノルズ数補正関係が、レイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と関連付ける、数学的関係及び順序付けられたペアのうちの一つを含む、請求項8から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
レイノルズ数を使用して流体の質量流量測定値を補正するためのシステム(600)であって、
前記流体を収容し、センサーアセンブリ(10)からセンサー信号を受信するセンサーアセンブリ(10)と、
前記センサーアセンブリ(10)に通信可能に結合されたメーター電子機器(20)と
を備え、
前記メーター電子機器(20)が、
レイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と関連付けるレイノルズ数補正関係を記憶し、
前記流体の測定された質量流量値を用いて前記流体のレイノルズ数を計算し、
前記レイノルズ数と前記レイノルズ数補正関係とを用いてレイノルズ数ベースの補正値を決定する
ように構成されている、システム(600)。
【請求項16】
前記メーター電子機器(20)に通信可能に結合されたトランスデューサ(610)であって、前記メーター電子機器(20)に粘度関連情報を提供するように構成されたトランスデューサ(610)をさらに備え、
前記メーター電子機器(20)が、前記トランスデューサ(610)によって提供された前記粘度関連情報を使用して前記流体の前記粘度値を計算するように構成される、請求項15に記載のシステム(600)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載の実施形態は、質量流量測定に関し、より詳細には、レイノルズ数を使用して質量流量測定を補正することに関する。
【背景技術】
【0002】
コリオリ質量流量計、液体密度計、ガス密度計、液体粘度計、ガス/液体比重計、ガス/液体相対密度計、及びガス分子量計などの振動計が一般に知られており、流体の特性を測定するために使用される。一般に、振動計は、センサーアセンブリ及びメーター電子機器を備える。センサーアセンブリによって測定される流体は、流動していてもよく、静止していてもよい。振動計は、センサーアセンブリによって測定される材料の質量流量、密度、及び/又は他の特性を測定するために使用することができる。しかしながら、粘度関連の影響は、質量流量測定などの測定に不正確さを引き起こす可能性がある。レイノルズ数は、材料の粘度に比例しうる。従って、質量流量測定を補正するために、レイノルズ数を使用する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
レイノルズ数を使用して流体の質量流量測定値を補正するためのメーター電子機器が提供される。一実施形態によれば、このメーター電子機器は、流体を収容するセンサーアセンブリに通信可能に結合し、センサーアセンブリからセンサー信号を受信するように構成されたインターフェースと、インターフェースに通信可能に結合されたプロセシングシステムとを備える。プロセシングシステムは、レイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と関連付けるレイノルズ数補正関係を記憶し、流体の測定された質量流量値を用いて流体のレイノルズ数を計算し、レイノルズ数とレイノルズ数補正関係とを用いてレイノルズ数ベースの補正値を決定するように構成される。
【0004】
レイノルズ数を使用して流体の質量流量測定値を補正するための方法が提供される。一実施形態によれば、この方法は、センサー信号をメーター電子機器で受信するステップであって、センサー信号が流体を収容するセンサーアセンブリによって提供される、ステップと、メーター電子機器にレイノルズ数補正関係を記憶するステップであって、レイノルズ数補正関係がレイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と関連付ける、ステップと、流体の測定された質量流量値を使用して流体のレイノルズ数を計算するステップと、レイノルズ数とレイノルズ数補正関係とを用いてレイノルズ数ベースの補正値を決定するステップとを含む。
【0005】
レイノルズ数を使用して流体の質量流量測定を補正するためのシステムが提供される。一実施形態によれば、このシステムは、流体を収容し、センサーアセンブリからセンサー信号を受信するセンサーアセンブリと、センサーアセンブリに通信可能に結合されたメーター電子機器とを備える。メーター電子機器は、レイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と関連付けるレイノルズ数補正関係を記憶し、流体の測定された質量流量値を使用して流体のレイノルズ数を計算し、レイノルズ数とレイノルズ数補正関係とを用いてレイノルズ数ベースの補正値を決定するように構成される。
【0006】
[態様]
一態様によれば、レイノルズ数を使用して流体の質量流量測定値を補正するためのメーター電子機器(20)は、流体を収容するセンサーアセンブリ(10)に通信可能に結合し、センサーアセンブリ(10)からセンサー信号を受信するように構成されたインターフェース(401)と、インターフェース(401)に通信可能に結合されたプロセシングシステム(402)とを備える。プロセシングシステム(402)は、レイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と関連付けるレイノルズ数補正関係を記憶し、流体の測定された質量流量値を用いて流体のレイノルズ数を計算し、レイノルズ数とレイノルズ数補正関係とを用いてレイノルズ数ベースの補正値を決定するように構成される。
【0007】
好ましくは、流体の測定された質量流量値を使用してレイノルズ数補正係数を計算するように構成されたプロセシングシステム(402)は、流体の粘度値及び流体の測定された質量流量値を使用してレイノルズ数を計算するように構成されたプロセシングシステム(402)を含む。
【0008】
好ましくは、流体の測定された質量流量値を使用してレイノルズ数補正係数を計算するように構成されたプロセシングシステム(402)は、センサーアセンブリ(10)内の導管の寸法及び流体の測定された質量流量値を使用してレイノルズ数を計算するように構成されたプロセシングシステム(402)を含む。
【0009】
好ましくは、流体の測定された質量流量値を使用してレイノルズ数を計算するように構成されたプロセシングシステム(402)は、次の式
【数1】

を使用するように構成されたプロセシングシステム(402)を含み、ここで
【数2】

は流体の測定された質量流量であり、
dはセンサーアセンブリ(10)の導管の直径であり、
μは流体の粘度である。
【0010】
好ましくは、インターフェース(401)は、流体の粘度関連情報を測定及び提供するように構成されたトランスデューサと通信可能に結合するようにさらに構成され、メーター電子機器(20)は、粘度関連情報に基づいて流体の粘度値を決定するようにさらに構成される。
【0011】
好ましくは、プロセシングシステム(402)は、センサー信号から流体の密度値を決定し、密度値から粘度値を決定するようにさらに構成される。
【0012】
好ましくは、レイノルズ数補正関係は、レイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と関連付ける数学的関係及び順序付けされたペアのうちの一つを含む。
【0013】
一態様によれば、レイノルズ数を使用して流体の質量流量測定を補正するための方法は、センサー信号をメーター電子機器で受信するステップであって、センサー信号が流体を収容するセンサーアセンブリによって提供される、ステップと、メーター電子機器にレイノルズ数補正関係を記憶するステップであって、レイノルズ数補正関係がレイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と関連付ける、ステップと、流体の測定された質量流量値を用いて流体のレイノルズ数を計算するステップと、レイノルズ数とレイノルズ数補正関係とを用いてレイノルズ数ベースの補正値を決定するステップとを含む。
【0014】
好ましくは、流体の測定された質量流量を用いて流体のレイノルズ数を計算するステップは、流体の粘度値及び流体の測定された質量流量値を用いて流体のレイノルズ数を計算することを含む。
【0015】
好ましくは、流体の測定された質量流量を用いて流体のレイノルズ数を計算するステップは、センサーアセンブリ内の導管の寸法及び流体の測定された質量流量値を用いて流体のレイノルズ数を計算することを含む。
【0016】
好ましくは、流体の測定された質量流量値を用いてレイノルズ数を計算するステップは、次の式
【数3】

を使用することを含み、ここで
【数4】

は流体の測定された質量流量であり、
dはセンサーアセンブリ(10)の導管の直径であり、
μは流体の粘度である。
【0017】
好ましくは、この方法は、流体の粘度関連情報を測定及び提供するように構成されたトランスデューサから粘度関連情報を受信するステップと、粘度関連情報を使用して流体の粘度値を決定するステップとをさらに含む。
【0018】
好ましくは、この方法は、センサー信号から流体の密度値を決定するステップと、密度値から粘度値を決定するステップとをさらに含む。
【0019】
好ましくは、レイノルズ数補正関係は、レイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と関連付ける、数学的関係及び順序付けられたペアのうちの一つを含む。
【0020】
一態様によれば、レイノルズ数を使用して流体の質量流量測定を補正するためのシステム(600)は、流体を収容しセンサーアセンブリ(10)からセンサー信号を受信するセンサーアセンブリ(10)と、センサーアセンブリ(10)に通信可能に結合されたメーター電子機器(20)とを備える。メーター電子機器(20)は、レイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と関連付けるレイノルズ数補正関係を記憶し、流体の測定された質量流量値を使用して流体のレイノルズ数を計算し、レイノルズ数及びレイノルズ数補正関係を用いてレイノルズ数ベースの補正値を決定するように構成される。
【0021】
好ましくは、このシステム(600)は、メーター電子機器(20)に通信可能に結合されたトランスデューサ(610)であって、メーター電子機器(20)に粘度関連情報を提供するように構成されたランスデューサ(610)をさらに備え、メーター電子機器(20)は、トランスデューサ(610)によって提供される粘度関連情報を使用して流体の粘度値を計算するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
すべての図面において、同じ参照番号は同じ要素を表す。
図1図1は、レイノルズ数を使用して質量流量測定値を補正するための振動計5を示す。
図2図2は、ブロック図で表されたメーター電子機器20を含む振動計5のブロック図を示す。
図3図3は、レイノルズ数を使用して質量流量測定値を補正するためのレイノルズ数補正関係を示すグラフ300を示す。
図4図4は、レイノルズ数を使用して質量流量測定値を補正するためのメーター電子機器20を示す。
図5図5は、レイノルズ数を使用して質量流量測定値を補正するための方法500を示す。
図6図6は、レイノルズ数を使用して質量流量測定値を補正するためのシステム600を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1から6及び以下の説明は、レイノルズ数を使用して流体の質量流量測定値を補正する最良の実施形態をどのようにして作製し、使用するかを当業者に教示するための特定の例を示す。本発明の原理を教示する目的で、一部の従来の態様が単純化又は省略されている。当業者は、本明細書の範囲内に入るこれらの実施例からの変形を理解するであろう。当業者であれば、以下に説明する特徴を様々な方法で組み合わせて、レイノルズ数を使用して質量流量測定値を補正することの複数のバリエーションを形成することができることを理解するであろう。その結果、以下に説明する実施形態は、以下に説明する具体例に限定されるものではなく、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されるものである。
【0024】
図1は、レイノルズ数を使用して質量流量測定値を補正するための振動計5を示す。図1に示されるように、振動計5は、センサーアセンブリ10及びメーター電子機器20を備える。センサーアセンブリ10は、プロセス材料の質量流量及び密度に応答する。メーター電子機器20は、リード線100を介してセンサーアセンブリ10に接続され、ポート26を通して密度、質量流量、及び温度情報、ならびに他の情報を提供する。
【0025】
センサーアセンブリ10は、一対のマニホールド150及び150’、フランジネック110及び110’を有するフランジ103及び103’、一対の平行な導管130及び130’、ドライバ180、抵抗温度検出器(RTD)190、並びに一対のピックオフセンサー170l及び170rを含む。導管130及び130’は、導管取り付けブロック120及び120’において互いに向かって近づいている、2つの基本的に真っ直ぐな入口脚部131、131'及び出口脚部134、134’を有する。導管130、130’は、それらの長さに方向沿って二つの対称位置で曲がり、それらの長さ全体にわたって基本的に平行である。ブレースバー140及び140’は、各導管130、130’がその周りで振動する軸W及びW’を画定する役割を果たす。導管130、130’の脚部131、131’及び134、134’は、導管取り付けブロック120及び120’に固定して取り付けられ、これらのブロックは、同様に、マニホールド150及び150’に固定して取り付けられる。これは、センサーアセンブリ10を通る連続した閉じた材料の経路を提供する。
【0026】
孔102及び102’を有するフランジ103及び103’が、入口端104及び出口端104’を介して、測定されるプロセス材料を運ぶプロセスライン(図示せず)に接続されると、材料は、フランジ103内のオリフィス101を通ってメーターの入口端104に入り、マニホールド150を通って表面121を有する導管取り付けブロック120に導かれる。材料は、マニホールド150内で分割され、導管130、130’を通って送られる。導管130、130’を出ると、プロセス材料は、表面121’及びマニホールド150’を有するブロック120’内で単一の流れに再結合され、その後、孔102’を有するフランジ103’によってプロセスライン(図示せず)に接続された出口端104’に送られる。
【0027】
導管130、130’は、曲げ軸W--W及びW’--W’についてそれぞれ実質的に同じ質量分布、慣性モーメント及びヤング率を有するように選択され、導管取り付けブロック120、120’に適切に取り付けられる。これらの曲げ軸は、ブレースバー140、140’を貫通する。導管のヤング率が温度と共に変化し、この変化が流量及び密度の計算に影響を与えるため、RTD190は導管130’に取り付けられて導管130’の温度を連続的に測定する。導管130’の温度、即ちそこを通過する所与の電流についてRTD190の両端に現れる電圧は、導管130’を通過する材料の温度によって決まる。RTD190の両端に現れる温度依存の電圧は、導管温度の変化による導管130、130’の弾性率の変化を補償するために、メーター電子機器20によって周知の方法で使用される。RTD190は、リード線195によってメーター電子機器20に接続される。
【0028】
導管130、130’の両方は、ドライバ180によって、それぞれの曲げ軸W及びW’の周りで、流量計のいわゆる第1の位相外れ曲げモードで、反対方向に駆動される。このドライバ180は、導管130’に取り付けられた磁石、及び導管130に取り付けられ両方の導管130、130’を振動させるための交流電流が通される対向コイルなど、多くの周知の構成のうちのいずれか1つを備えることができる。適切な駆動信号185が、メーター電子機器20によって、リード線を介してドライバ180に印加される。
【0029】
メーター電子機器20は、リード線195のRTD温度信号と、左右のセンサー信号165l、165rのそれぞれを搬送するリード線100に現れるセンサー信号165とを受信する。メーター電子機器20は、ドライバ180へのリード線に載せる駆動信号185を生成し、導管130、130’を振動させる。メーター電子機器20は、センサーアセンブリ10を通過する材料の質量流量及び密度を計算するために、左右のセンサー信号165l、165r及びRTD信号195を処理する。この情報は、他の情報と共に、信号として経路26を介してメーター電子機器20によって利用される。メーター電子機器20のより詳細な説明は、以下のとおりである。
【0030】
図2は、ブロック図で表現されたメーター電子機器20を含む振動計5のブロック図を示す。図2に示されるように、メーター電子機器20は、センサーアセンブリ10に通信可能に結合される。図1を参照して上で説明したように、センサーアセンブリ10は、左右のピックオフセンサー170l、170r、ドライバ180、及び温度センサー190を含み、これらは、通信チャネル112を通してリード線100のセットを介してメーター電子機器20に通信可能に結合される。
【0031】
メーター電子機器20は、リード線100を介して駆動信号185を提供する。より具体的には、メーター電子機器20は、センサーアセンブリ10内のドライバ180に駆動信号185を提供する。さらに、センサーアセンブリ10によって、左センサー信号165l及び右センサー信号165rを含むセンサー信号165が提供される。より具体的には、図示された実施形態では、センサー信号165は、センサーアセンブリ10内の左右のピックオフセンサー170l、170rによって提供される。理解できるように、センサー信号165は、通信チャネル112を介してメーター電子機器20にそれぞれ提供される。
【0032】
メーター電子機器20は、一つ又は複数の信号プロセッサ220及び一つ又は複数のメモリ230に通信可能に結合されたプロセッサ210を含む。プロセッサ210はまた、ユーザインターフェース30に通信可能に結合される。プロセッサ210は、ポート26を通る通信ポートを介してホストと通信可能に結合され、電力ポート250を介して電力を受信する。プロセッサ210は、任意の適切なプロセッサが使用されてもよい。たとえば、プロセッサ210は、マルチコアプロセッサ、シリアル通信ポート、周辺インターフェース(たとえば、シリアル周辺インターフェース)、オンチップメモリ、I/Oポート、及び/又は同様のものなどの、サブプロセッサから構成することができる。これら及び他の実施形態では、プロセッサ210は、デジタル化された信号など、受信され処理された信号に対して演算を実行するように構成される。
【0033】
プロセッサ210は、一つ又は複数の信号プロセッサ220からデジタル化されたセンサー信号を受信することができる。プロセッサ210は、また、例えばポートを介して、粘度計、濃度計などのトランスデューサから信号を受信することができる。すなわち、トランスデューサは、ポート26を介してプロセッサ210に通信可能に結合することができる。トランスデューサは、センサーアセンブリ10に流体的に結合することができる。トランスデューサは、センサーアセンブリ10の上流にあっても、及び/又は下流にあってもよい。したがって、プロセッサ210は、デジタル化されたセンサー信号及び/又はトランスデューサによって提供される信号を使用して、質量流量、密度、粘度などの流体特性を決定するように構成されうる。
【0034】
プロセッサ210はまた、時間遅延、センサーアセンブリ10内の流体の特性などの情報を提供するように構成される。プロセッサ210は、ポート26を介してホストに情報を提供することができる。プロセッサ210はまた、一つ又は複数のメモリ230と情報の受信及び/又は記憶をするように、一つ又は複数のメモリ230と通信するように構成することができる。たとえば、プロセッサ210は、一つ又は複数のメモリ230から較正係数及び/又はセンサーアセンブリゼロ(たとえば、流量ゼロのときの時間差)を受信することができる。較正係数及び/又はセンサーアセンブリゼロのそれぞれは、流量計5及び/又はセンサーアセンブリ10にそれぞれ関連付けることができる。プロセッサ210は、較正係数を使用して、一つ又は複数の信号プロセッサ220から受信したデジタル化されたセンサー信号を処理することができる。
【0035】
一つ又は複数の信号プロセッサ220は、エンコーダ/デコーダ(CODEC)222とアナログデジタルコンバータ(ADC)226とから構成されるものとして示されている。一つ又は複数の信号プロセッサ220は、アナログ信号を調整し、調整されたアナログ信号をデジタル化し、及び/又はデジタル化された信号を提供することができる。CODEC222は、左右のピックオフセンサー170l、170rからセンサー信号165を受信するように構成される。CODEC222はまた、駆動信号185をドライバ180に提供するように構成される。代替的な処理では、より多くの又はより少ない信号プロセッサが使用されてもよい。
【0036】
図示されるように、センサー信号165は、信号調整器240を介してCODEC222に提供される。駆動信号185は、信号調整器240を介してドライバ180に供給される。信号調整器240は単一のブロックとして示されているが、信号調整器240は、二つ以上のオペアンプ、ローパスフィルタなどのフィルタ、電圧-電流増幅器などの信号調整要素から構成することができる。例えば、センサー信号165は、第1の増幅器によって増幅でき、駆動信号185は、電圧-電流増幅器によって増幅されうる。増幅は、センサー信号165の大きさがCODEC222のフルスケール範囲に近くなることを、保証可能にする。
【0037】
図示された実施形態では、一つ又は複数のメモリ230は、読み出し専用メモリ(ROM)232、ランダムアクセスメモリ(RAM)234、及び強誘電体ランダムアクセスメモリ(FRAM(登録商標))236から構成される。しかしながら、この代わりに、一つ又は複数のメモリ230は、より多くの又はより少ないメモリから構成されてもよい。加えて、又は代替として、一つ又は複数のメモリ230は、異なるタイプのメモリ(たとえば、揮発性、不揮発性など)から構成されてもよい。例えば、FRAM236に代えて、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等の他の種類の不揮発性メモリが採用されてもよい。一つ又は複数のメモリ230は、駆動信号又はセンサー信号、質量流量又は密度測定値などのプロセスデータを記憶するように構成された記憶装置でありうる。
【0038】
質量流量計測値
【数5】

は、次式に従って生成することができる。
【数6】

Δt項は、ピックオフセンサー信号間に存在する時間遅延を含む、動作中に導出された(すなわち、測定された)時間遅延値で構成され、例えばこの時間遅延は、振動流量計5を通る質量流量に関連するコリオリ効果によるものである。測定されたΔt項は、最終的に、振動流量計5を通って流れる流動材料の質量流量を決定する。Δt0項は、ゼロ流量での遅延時間校正定数を含む。Δt0項は、典型的には、工場で決定され、振動流量計5にプログラムされる。ゼロ流量での遅延時間Δt0項は、流量状態が変化しても変化しない可能性がある。流量計を流れる流動材料の質量流量は、測定された時間遅延に流量較正係数FCFを掛けることによって決定される。流量較正係数FCFは、流量計の物理的剛性に比例する。
【0039】
密度に関して、各導管130、130’が振動する共振周波数は、導管130、130’のばね定数の平方根を、材料を含む導管130、130’の総質量で割った関数でありうる。材料を含む導管130、130’の総質量は、導管130、130’の質量に導管130、130’内部の材料の質量を加えたものとすることができる。導管130、130’内の材料の質量は、材料の密度に正比例する。したがって、この材料の密度は、材料を含む導管130、130’が振動する周期の二乗に、導管130、130’のばね定数を乗じたものに比例しうる。したがって、導管130、130’が振動する周期を決定し、その結果を適切にスケーリングすることによって、導管130、130’に収容される材料の密度の正確な測定値を得ることができる。メーター電子機器20は、センサー信号165及び/又は駆動信号185を使用して、周期又は共振周波数を決定することができる。
【0040】
センサーアセンブリ10によって測定される質量流量は、例えば、粘度に関連する影響のために、不正確となることがある。したがって、質量流量値は、いくつかの不正確さを補償するために、補正値を使用することによって補正することができる。例えば、レイノルズ数ベースの補正値を使用して、上記の式[1]を使用して計算された質量流量値を、補正することができる。レイノルズ数ベースの補正値は、レイノルズ値とレイノルズ数ベースの補正値との間の関係を使用することによって、質量流量値を補正するために使用することができる。例示的な関係が、図3を参照して以下に説明される。
【0041】
図3は、レイノルズ数を使用して質量流量測定値を補正するための、レイノルズ数補正関係を示すグラフ300を示す。図3に示されるように、グラフ300は、レイノルズ数軸310及び質量流量誤差軸320を含む。レイノルズ数軸310は、1×10~1×10の範囲であり、質量流量誤差320は、-1.8~0.2パーセントの範囲である。グラフ300はまた、レイノルズ数値を質量流量誤差値と関連付ける、データ点330、セグメント化された線形関係340、及び多項式関係350を含む。
【0042】
図から分かるように、データ点330は、約1×10のレイノルズ数で約-1.0パーセントの質量流量誤差であり、約1×10のレイノルズ数で約-1.6パーセントの質量流量誤差まで低下し、約5×10のレイノルズ数で約0.0パーセントの質量流量誤差まで増加する。5×10~1×10の範囲のレイノルズ数では、質量流量パーセント値は、約0.0パーセント質量流量誤差のままである。理解できるように、データ点330は、1×10~1×10及び1×10~5×10のレイノルズ数範囲にわたる線形関数セグメントと、5×10を超えるレイノルズ数における0.0の定数とからなる、セグメント化された部分を有すると見なすことができる。したがって、セグメント化された線形関係340は、例えば、線形回帰を使用することによって決定することができる。しかしながら、データ点330は、多項式回帰などを使用することによって、多項式関係350などの任意の適切な関係を用いてモデル化することもできる。
【0043】
データ点330はレイノルズ数値をパーセント質量流量誤差値と関連付けるが、このパーセント質量流量誤差値は、質量流量値を補正するために使用される補正値を決定するために、使用することができる。例えば、パーセント質量流量誤差値は、質量流量値と乗算される係数を決定するために、使用することができる。そのような係数は、レイノルズ数ベースの補正値でありうる。加えて、又は代替として、データ点330は、レイノルズ数(例えば、独立変数として)を質量流量誤差及び/又はレイノルズ数ベースの補正値と関連付ける、セグメント化された線形関係340、多項式関係350などの数学的方程式を導出するために使用することができる。
【0044】
レイノルズ数ベースの補正値は、質量流量測定値を補正するために使用することができる。質量流量測定の例示的な補正は、以下の通りとなりうる。まず、レイノルズ数は、例えば、後述の式[7]を用いて算出することができる。例示的なレイノルズ数の値は、Re=1000となりうる。上述のデータ点330などのレイノルズ数値及びレイノルズ数補正関係を使用して、以下のパーセント質量流量誤差値-1.1%を決定することができる。-1.1%のパーセント質量流量誤差値は、以下のように、1.011のレイノルズ数ベースの補正値に変換することができる。
【数7】

ここで、
eはパーセント質量流量誤差
Re correction はレイノルズ数ベースの補正値
である。
【0045】
レイノルズ数ベースの補正値は、未補正の質量流量と乗算され、以下のように補正された質量流量を決定することができる。
補正された質量流量=(測定された質量流量)・(Re Correction) [3]
ここで、
「測定された質量流量」は、例えば、上記の式[1]を使用することによって決定することができる、未補正の質量流量である。
理解できるように、未補正の質量流量は、温度、圧力などの他の非レイノルズパラメーターに対して補正又は補償されうる。
【0046】
さらに図3を参照すると、データ点330は、補正値を決定するために、上述のメーター電子機器20などのメーター電子機器に記憶される順序付けされたペアであってもよい。加えて、又は代替として、データ点330は、メーター電子機器に記憶されうる、補正値、レイノルズ数と補正値との間の関係、及び/又は同様のものを導出するために、使用することができる。例えば、メーター電子機器は、レイノルズ数ベースの補正値とレイノルズ数との、順序付けされたペアを記憶することができる。加えて又は代替として、例えば、セグメント化された線形関係340、多項式関係350、及び/又は同様のものが、記憶されうる。このように、レイノルズ数補正関係を決定し、メーター電子機器に記憶することができる。このため、メーター電子機器は、レイノルズ数ベースの補正値を決定するために、レイノルズ数補正関係を使用することができる。
【0047】
図4は、レイノルズ数を使用して質量流量測定値を補正するためのメーター電子機器20を示す。図4に示されるように、メーター電子機器20は、インターフェース401及びプロセシングシステム402を含む。メーター電子機器20は、例えば、センサーアセンブリ10などのセンサーアセンブリから振動応答を受信する。メーター電子機器20は、センサーアセンブリ10を通って流れる流動材料の流動特性を得るために、振動応答を処理する。
【0048】
インターフェース401は、図1及び図2に示されるピックオフセンサー170l、170rのうちの一つから、センサー信号165を受信することができる。インターフェース401は、フォーマット、増幅、バッファリングなどのあらゆる必要な、又は望ましい信号調整を実行することができる。代替的に、信号調整の一部又は全部が、プロセシングシステム402において実行されてもよい。加えて、インターフェース401は、メーター電子機器20と外部デバイスとの間の通信を可能にすることができる。インターフェース401は、電子通信、光学通信、又は無線通信の任意の方式が可能である。インターフェース401は、振動応答に基づいて情報を提供することができる。インターフェース401は、図2に示されるCODEC222などのデジタイザと結合することができ、センサー信号は、アナログセンサー信号を含む。デジタイザは、アナログセンサー信号をサンプリングしてデジタル化し、デジタル化されたセンサー信号を生成する。
【0049】
プロセシングシステム402は、メーター電子機器20の動作を実行し、センサーアセンブリ10からの流量測定値を処理する。プロセシングシステム402は、一つ又は複数の処理ルーチンを実行し、それによって流量測定値を処理して一つ又は複数の流量特性を生成する。プロセシングシステム402は、インターフェース401に通信可能に結合され、インターフェース401から情報を受信するように構成される。
【0050】
プロセシングシステム402は、汎用コンピュータ、マイクロプロセッシングシステム、論理回路、又は他の汎用もしくはカスタマイズされた処理デバイスを備えることができる。加えて、又は代替として、プロセシングシステム402は、複数の処理デバイス間で分散されていてもよい。プロセシングシステム402はまた、記憶システム404など、任意の形式の一体型又は独立した電子記憶媒体を含むことができる。
【0051】
記憶システム404は、流量計パラメーター及びデータ、ソフトウェアルーチン、定数値、並びに変数値を記憶することができる。一実施形態では、記憶システム404は、振動計5の動作ルーチン410及び補償ルーチン420など、プロセシングシステム402によって実行されるルーチンを含む。記憶システムはまた、標準偏差、信頼区間などの統計値を記憶することができる。
【0052】
動作ルーチン410は、インターフェース401によって受信されたセンサー信号に基づいて、質量流量412の値及び密度414の値を決定することができる。質量流量412の値は、測定された質量流量値であってもよい。質量流量412は、左ピックオフセンサー信号と右ピックオフセンサー信号との間の時間遅延など、センサー信号から決定することができる。密度414はまた、例えば、左右のピックオフセンサー信号の一方又は両方から周波数を決定することによって、センサー信号から決定することができる。
【0053】
動作ルーチン410はまた、粘度416の値を決定することができる。加えて又は代替的に、カスタマーは、例えばMODBUSレジスタを介して、固定の粘度値を入力することができる。メーター電子機器20に通信可能に結合されうる粘度計に関しては、動的な粘度測定値が、例えばフォーク粘度計などの別のオンライン機器から取得されてもよい。別の例では、粘度は、既知の粘度-温度関係を使用することによって、計算することができる。この例では、粘度は、例えばカスタマーによって入力することができ、温度関係は、メーター電子機器20にプログラムすることができる。粘度は、粘度-温度関係から計算することができる。
【0054】
粘度416の値は、センサー信号を使用することによって決定することもできる。例えば粘度は、密度414の値から決定することができる。測定された密度から決定された粘度は、粘度計によって直接測定された粘度又はカスタマーによって入力された粘度よりも、大きな不確実さを有する可能性がある。加えて又は代替として、粘度は、センサーアセンブリによって測定された減衰から決定されてもよい。例えば、駆動信号の電力は、駆動ゲイン又は駆動電流から決定することができる。駆動信号の電力は、減衰の関数でありうる。減衰は、共振曲線の-3dB点の振幅を決定することによっても決定することができる。粘度は、べき乗則流体などの任意の適切な流体に対するものであり、粘度は、べき乗則流体の二つの異なる剪断速度(例えば、速度)で決定される。しかしながら、粘度を計算するために、上述のステップの組み合わせを含む任意の適切なステップを使用することができる。
【0055】
補償ルーチン420は、測定された質量流量値などの質量流量値を補正することができる。例えば、補償ルーチン420は、質量流量412を補正値で補正することができる。補正値は、補正関係422から決定することができる。補正関係422は、レイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と相関させる、レイノルズ数補正関係であってもよい。例えばレイノルズ数補正関係は、レイノルズ数とレイノルズ数ベースの補正値との、順序付けられたペアから構成することができ、ここでレイノルズ数ベースの補正値は、補正された質量流量430の値を決定するために質量流量412の値と乗算される係数である。例えば、上記の式[2]及び[3]を使用することができる。補正された質量流量430は、粘度の影響が補償されるので、より正確な質量流量値として出力することができる。
【0056】
メーター電子機器20は、レイノルズ数ルーチン440も含むものとして示されている。レイノルズ数ルーチン440は、センサーアセンブリ内の流体のレイノルズ数を決定することができる。例えば、メーター電子機器20は、粘度416の値及び質量流量412の値を使用して、レイノルズ数を決定することができる。上述したとおり、質量流量412の値は、以下でより詳細に説明するように、測定された質量流量値であってもよい。
【0057】
[質量流量ベースのレイノルズ数]
流体力学から、レイノルズ数は、以下の通り定義される。
【数8】

ここで
ρはセンサーアセンブリに収容される流体の密度であり、
dはセンサーアセンブリ内の導管の内径であり、
Vは、センサーアセンブリに収容される流体の流体速度であり、
μは、センサーアセンブリに収容される流体の流体粘度である。
しかしながら、センサーアセンブリの周波数に基づいて決定される密度値は、質量流量値よりも大きな不確実さを有する可能性があり、ここで質量流量は、センサーアセンブリのねじれ又はコリオリモードから決定される。すなわち、測定された質量流量は、密度値よりも不確実さが低い可能性がある。
【0058】
この問題に対処するために、流体速度は以下のように定義できることに留意されたい。
【数9】

ここで、
【数10】

はセンサーアセンブリに収容された流体の質量流量であり、
Aは、センサーアセンブリの導管の内径によって規定される断面積である
センサーアセンブリが、同じ直径を有する二つの円筒形の導管から構成される場合、二つの導管の断面積は以下の通り定義できる。
【数11】

したがって、[4]及び[3]を[2]に代入すると、以下となる。
【数12】

理解できるように、式[7]のレイノルズ数は、導管の内径及び流体の質量流量を用いて決定される。流体の質量流量は、センサーアセンブリによって提供されるセンサー信号を使用することによって決定することができ、センサー信号は、左右のピックオフ信号間の時間遅延を含む。したがって、式[7]の質量流量は、測定された質量流量値とすることができる。
【0059】
レイノルズ数は、べき乗則流体のレイノルズ数などの他の方程式を使用して決定することができる。例えば、べき乗則流体の例では、粘度は、センサーアセンブリ内のべき乗則流体の二つの異なる剪断速度又は速度で測定することができる。粘度値は、以下の関係の実効粘度として、使用できる。
【数13】

ここで、
μeffは実効粘度であり、
Kは、流動コンシステンシー指数であり、
∂u/∂yは、せん断速度又はせん断面に垂直な速度勾配であり、
nは流動挙動指数である。
流動コンシステンシー指数K及び流動挙動指数nの値は、log(μeff)及びlog(∂u/∂y)のグラフから得ることができる。スロープラインはn-1の値を与え、そこからnを計算することができる。log(∂u/∂y)=0での切片は、Kの値を与える。 したがって、粘度測定を用いて、流動コンシステンシー指数K及び流動挙動指数nの値を決定することができる。
【0060】
流動コンシステンシー指数K及び流動挙動指数nは、レイノルズ数を質量流量に関連付けるテーブル又は方程式などの適切な方法を使用してレイノルズ数値を決定するために使用できる。例えば、レイノルズ数値を、質量流量、流動コンシステンシー指数K、及び流動挙動指数n値と関連付けるテーブル又は方程式は、メーター電子機器に記憶され、後に、質量流量及び粘度の測定値からレイノルズ数値を決定するために使用することができる。
【0061】
メーター電子機器は、流体を収容しセンサーアセンブリ10からセンサー信号を受信する上述のセンサーアセンブリ10などのセンサーアセンブリに通信可能に結合するように構成された、上述のインターフェース401などのインターフェースを備えることができる。メーター電子機器はまた、インターフェースに通信可能に結合された、上述のプロセシングシステム402などのプロセシングシステムを備えることができる。インターフェースはまた、流体の粘度関連情報を測定及び提供するように構成されたトランスデューサと、通信可能に結合するように構成することができる。
【0062】
質量流量値は、センサー信号の左ピックオフセンサー信号と右ピックオフセンサー信号との間の時間遅延に基づいて計算することができる。センサー信号の左ピックオフセンサー信号と右ピックオフセンサー信号との間の時間遅延は、左ピックオフセンサー信号及び右ピックオフセンサー信号のゼロ交差点を使用して計算することができる。プロセシングシステムはまた、式[2]及び[3]を参照して上で説明したように、質量流量測定値を補正することができるが、任意の適切な補正式、方法などを使用することができる。
【0063】
プロセシングシステムは、レイノルズ数補正関係を記憶するように構成することができ、ここでレイノルズ数補正関係は、レイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と関連付ける。プロセシングシステムはまた、流体の粘度値、センサーアセンブリ内の導管の寸法、及び/又は流体の測定された質量流量値を使用して流体のレイノルズ数を計算し、レイノルズ数及びレイノルズ数補正関係を使用してレイノルズ数ベースの補正値を決定することができる。
【0064】
プロセシングシステムは、上記の式[7]を使用してレイノルズ数を計算することができる。プロセシングシステムは、センサー信号から流体の密度値を決定し、密度値から粘度値を決定するように構成することができる。レイノルズ数補正関係は、レイノルズ数値をレイノルズ数ベースの補正値と関連付ける数学的関係及び順序付けされたペアのうちの一つを含む。したがって、プロセシングシステムは、以下に説明する方法などの方法を実行することによって、レイノルズ数及びレイノルズ数補正関係を使用して、レイノルズ数ベースの補正値を決定することができる。
【0065】
図5は、レイノルズ数を使用して質量流量測定値を補正する方法500を示す。図5に示すように、方法500は、ステップ510においてレイノルズ数補正関係を記憶する。レイノルズ数補正関係は、上述のメーター電子機器20などのメーター電子機器に記憶することができる。ステップ520において、方法500は、測定された質量流量値を使用してレイノルズ数を計算する。特に方法500は、粘度値、センサーアセンブリ内の導管の寸法、及び/又は流体の測定された質量流量値を使用して、レイノルズ数を計算する。ステップ530において、方法500は、レイノルズ数ベースの補正値を決定する。より具体的には、方法500は、レイノルズ数とレイノルズ数補正関係とを用いて、レイノルズ数ベースの補正値を決定する。
【0066】
方法500は、センサー信号の左ピックオフセンサー信号と右ピックオフセンサー信号との間の時間遅延に基づいて、測定された質量流量値を計算することができる。センサー信号の左ピックオフセンサー信号と右ピックオフセンサー信号との間の時間遅延は、左ピックオフセンサー信号及び右ピックオフセンサー信号のゼロ交差点を使用して計算することができる。方法500はまた、式[2]及び[3]を参照して上で説明したように、測定された質量流量値と同じでありうる、質量流量測定値を補正することができるが、任意の適切な補正式、方法などが採用されてもよい。
【0067】
レイノルズ数は、粘度値、センサーアセンブリの導管の寸法、及び質量流量値を使用して、上述の式[7]を使用することによって計算することができるが、正方形、楕円形、又は同様の導管などの他の導管幾何学形状を対象とするものを含む、任意の適切な式が使用することができる。上述のように、粘度は、メーター電子機器と通信可能に結合された粘度計によって測定することができる。あるいは、メーター電子機器は、センサー信号から流体の密度値を決定し、密度値から粘度値を決定するように構成されてもよい。
【0068】
図6は、レイノルズ数を使用して流体の質量流量測定値を補正するためのシステム600を示す。図6に示すように、システム600は、上述の振動計5を含むが、任意の適切な振動計を使用することができる。振動計5は、センサーアセンブリ10及びメーター電子機器20を含むものとして示されている。メーター電子機器20は、上述のプロセシングシステム402などのプロセシングシステムを含むことができる。システム600はまた、メーター電子機器20と通信可能に結合され、センサーアセンブリ10と流体的に結合されたトランスデューサ610を含む。しかしながら、代替として、システム600は、トランスデューサ610を含まずに振動計5から構成されてもよく、この場合メーター電子機器20は、センサーアセンブリ10によって提供されるセンサー信号から決定される密度値を使用して、粘度を決定する。
【0069】
矢印によって示されるように、センサーアセンブリ10は、流体を受け取り、流体を感知し、センサー信号をメーター電子機器20に提供する。センサーアセンブリ10はまた、トランスデューサ610に流体を提供するように構成される。トランスデューサ610は、流体を受け取って測定し、粘度値などの粘度関連データをメーター電子機器20に提供するように構成される。トランスデューサ610によって提供される粘度関連データは、センサーアセンブリ10によって提供されるセンサー信号に基づいて決定される密度から計算される粘度値の不確実さよりも低い不確実さを有しうる。したがって、メーター電子機器は、式[2]及び[3]を参照して上で説明したように質量流量測定値を補正することもできるが、任意の適切な補正式、方法などを使用することができる。
【0070】
上述の振動計5、メーター電子機器20、方法500、及びシステム600は、レイノルズ数を使用して流体の質量流量測定値を補正することができる。特に、レイノルズ数は、測定された質量流量値に基づくことができる。上記で説明したように、測定された質量流量値は、密度値などよりも不確実さが低い可能性がある。レイノルズ数はまた、メーター電子機器に通信可能に結合された粘度計から、又はセンサー信号から決定された密度値から、決定できる粘度値を使用して計算される。
【0071】
粘度計から決定される粘度値は、センサー信号に基づいて密度値から決定される粘度値よりも不確実さが低い可能性がある。したがって、不確実さを最小限に抑えたい場合、メーター電子機器は、粘度計と通信するように構成することができる。しかしながら、これは、いくつかの用途では、法外に高価になる場合がある。より不確実なレイノルズ数が許容できる場合、レイノルズ数を計算するために使用される粘度値は、センサー信号から決定される密度値に基づいてもよい。後者の構成では、レイノルズ数は測定された質量流量値に基づいて決定されるため、レイノルズ数の不確定さは、依然として許容可能な範囲の低さである可能性がある。
【0072】
上記の詳細な説明は、本発明者らが本説明の範囲内であると考える全ての網羅的な説明ではない。実際、当業者であれば、上記の実施形態の特定の要素を様々に組み合わせたり削除したりしてさらなる実施形態を作り出すことができ、そのようなさらなる実施形態は本説明の範囲及び教示の範囲内に入ることを認識するであろう。また、当業者には、本記載の範囲及び教示の範囲内で、上述の実施形態を全体的又は部分的に組み合わせて追加の実施形態を作成できることも明らかであろう。
【0073】
したがって、特定の実施形態が説明の目的で本明細書に記載されているが、当業者が認識するように、本説明の範囲内で様々な等価な修正が可能である。本明細書で提供される教示は、上述され、添付の図面に示される実施形態だけでなく、レイノルズ数を使用して流体の質量流量測定値を補正するための他の計器電子機器、方法、およびシステムに適用することができる。したがって、上で説明した実施形態の範囲は、以下の特許請求の範囲から決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】