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特表2023-548325球状化金属粉末の合成のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】球状化金属粉末の合成のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 21/076 20060101AFI20231109BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20231109BHJP
   B22F 9/08 20060101ALI20231109BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20231109BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20231109BHJP
【FI】
C01B21/076 B
B22F1/00 R
B22F9/08 A
B22F9/04 D
B33Y70/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526421
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 US2021071967
(87)【国際公開番号】W WO2022094528
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/108,118
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515084719
【氏名又は名称】シックスケー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バドウェ,スニル バルチャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】トゥルケッティ,スコット ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】バタチャリヤ,スディプ
(72)【発明者】
【氏名】レジダル,マッカルーフ
【テーマコード(参考)】
4K017
4K018
【Fターム(参考)】
4K017AA03
4K017BA10
4K017EA09
4K017FA14
4K018BA03
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、マイクロ波プラズマ処理を使用してフィードストック材料を処理するためのシステムおよび方法の実施形態である。特に、本明細書に開示されるフィードストック材料は金属粉末に関する。マイクロ波プラズマ処理が、金属粉末を球状化し、および金属窒化物または金属炭化物粉末を形成させるために使用され得る。金属窒化物または金属炭化物粉末の化学量論は、プラズマ処理の間のプラズマガスの組成およびフィードストック材料の滞留時間を変化させることにより制御され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状化金属窒化物粉末を製造する方法であって、前記方法が、
金属粉末をフィードストックとしてマイクロ波プラズマトーチに供給する工程;
前記マイクロ波プラズマトーチにより生成されたマイクロ波プラズマに前記フィードストックを導入する工程であって、前記マイクロ波プラズマが、マイクロ波電源からのマイクロ波に窒素含有ガスを供することにより生成される前記工程;ならびに
前記球状化金属窒化物粉末を形成させる工程であって、前記球状化金属窒化物粉末が、前記フィードストックを少なくとも部分的に融解させることおよび前記マイクロ波プラズマトーチ内で前記フィードストックと前記窒素含有ガスとの間の化学反応を開始させることにより形成される前記工程を含む、前記方法。
【請求項2】
前記球状化金属窒化物粉末の所望される多孔性、組成、またはマイクロ構造を選択する工程をさらに含み、および前記球状化金属窒化物粉末が、前記所望される多孔性、組成、またはマイクロ構造を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記球状化金属窒化物粉末が15~106ミクロンの粒子サイズ分布を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属粉末がチタン粉末を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記チタン粉末が商業用純チタン(cpTi)粉末を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記チタン粉末が、ガスアトマイズチタン粉末、水素化-脱水素化(HDH)チタン粉末、または水素化チタン粉末を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記窒素含有ガスが、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、またはキセノンの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記窒素含有ガスが窒素ガス(N)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記球状化金属窒化物粉末が球状化窒化チタン粉末を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記球状化窒化チタン粉末が、TiN、TiN、またはTiN相の1つ以上を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記球状化金属窒化物粉末の化学量論が、前記窒素含有ガス中の窒素のモル濃度および/または前記マイクロ波プラズマ中の前記フィードストックの滞留時間を変更することにより制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記化学反応が、
2Ti + N → 2TiN;または
4Ti + N → 2Ti
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記球状化金属窒化物粉末が、酸素、鉄、および炭素の1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法を使用して合成された球状化金属窒化物粉末を使用することを含む、積層造形方法。
【請求項15】
以下の方法:
金属粉末をフィードストックとしてマイクロ波プラズマトーチに供給する工程;
前記マイクロ波プラズマトーチにより生成されたマイクロ波プラズマに前記フィードストックを導入する工程であって、前記マイクロ波プラズマが、マイクロ波電源からのマイクロ波に窒素含有ガスを供することにより生成される前記工程;ならびに
球状化金属窒化物粉末を形成させる工程であって、前記球状化金属窒化物粉末が、前記フィードストックを少なくとも部分的に融解させることおよび前記マイクロ波プラズマトーチ内で前記フィードストックと前記窒素含有ガスとの間の化学反応を開始させることにより形成される前記工程にしたがって合成された、前記球状化金属窒化物粉末。
【請求項16】
球状化金属炭化物粉末を製造する方法であって、前記方法が、
金属粉末をフィードストックとしてマイクロ波プラズマトーチに供給する工程;
前記マイクロ波プラズマトーチにより生成されたマイクロ波プラズマに前記フィードストックを導入する工程であって、前記マイクロ波プラズマが、マイクロ波電源からのマイクロ波に炭素含有ガスを供することにより生成される前記工程;ならびに
前記球状化金属炭化物粉末を形成させる工程であって、前記球状化金属炭化物粉末が、前記フィードストックを少なくとも部分的に融解させることおよび前記マイクロ波プラズマトーチ内で前記フィードストックと炭素含有ガスとの間の化学反応を開始させることにより形成される前記工程を含み、
前記球状化金属炭化物粉末が15~106ミクロンの粒子サイズを含む、前記方法。
【請求項17】
前記金属粉末が、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、または粉末を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記チタン粉末が商業用純チタン(cpTi)粉末を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記チタン粉末が、ガスアトマイズチタン粉末、水素化-脱水素化(HDH)チタン粉末、または水素化チタン粉末を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記炭素含有ガスが、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、またはキセノンの1つ以上を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記炭素含有ガスが炭化水素ガスを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記球状化金属窒化物粉末の化学量論が、前記炭素含有ガス中の炭素の量または前記マイクロ波プラズマ中の前記フィードストックの滞留時間を変更することにより制御される、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
請求項16に記載の方法を使用して製造された球状化金属炭化物粉末を使用することを含む、積層造形方法。
【請求項24】
以下の方法:
金属粉末をフィードストックとしてマイクロ波プラズマトーチに供給する工程;
前記マイクロ波プラズマトーチにより生成されたマイクロ波プラズマに前記フィードストックを導入する工程であって、前記マイクロ波プラズマが、マイクロ波電源からのマイクロ波に炭素含有ガスを供することにより生成される前記工程;ならびに
球状化金属炭化物粉末を形成させる工程であって、前記球状化金属炭化物粉末が、前記フィードストックを少なくとも部分的に融解させることおよび前記マイクロ波プラズマトーチ内で前記フィードストックと炭素含有ガスとの間の化学反応を開始させることにより
形成される前記工程にしたがって製造され、前記球状化金属炭化物粉末が15~106ミクロンの粒子サイズを含む、前記球状化金属炭化物粉末。
【請求項25】
球状化粉末を製造する方法であって、前記方法が、
マイクロ波プラズマトーチにフィードストックを供給する工程;
前記マイクロ波プラズマトーチにより生成されたマイクロ波プラズマに前記フィードストックを導入する工程であって、前記マイクロ波プラズマが、マイクロ波電源からのマイクロ波に反応性プラズマガスを供することにより生成される前記工程;ならびに
前記球状化粉末を形成させる工程であって、前記球状化粉末が、前記フィードストックを少なくとも部分的に融解させることおよび前記マイクロ波プラズマトーチ内で前記フィードストックと反応性プラズマガスとの間の化学反応を開始させることにより形成される前記工程を含む、前記方法。
【請求項26】
前記球状化粉末の所望される多孔性、組成、またはマイクロ構造を選択する工程をさらに含み、および前記球状化粉末が、前記所望される多孔性、組成、またはマイクロ構造を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記球状化粉末が15~106ミクロンの粒子サイズ分布を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記フィードストックがチタン粉末を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記チタン粉末が商業用純チタン(cpTi)粉末を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記チタン粉末が、ガスアトマイズチタン粉末、水素化-脱水素化(HDH)チタン粉末、または水素化チタン粉末を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記反応性プラズマガスが窒素含有ガスを含み、前記窒素含有ガスが、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、またはキセノンの1つ以上を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記反応性プラズマガスが窒素ガス(N)を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記球状化粉末が球状化窒化チタン粉末を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記球状化窒化チタン粉末が、TiN、TiN、またはTiN相の1つ以上を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記化学反応が、
2Ti + N → 2TiN;または
4Ti + N → 2Ti
を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
請求項25に記載の方法を使用して合成された球状化粉末を使用することを含む、積層造形方法。
【請求項37】
球状化窒化チタン粉末であって、
実質的に球状の形状を呈する複数の窒化チタン粒子、
15~106ミクロンの粒子サイズ分布を含む前記複数の窒化チタン粒子、および
以下の相:α-Ti、TiN、TiN、またはTiNの少なくとも1つを含む前記
複数の窒化チタン粒子、を含む、前記球状化窒化チタン粉末。
【請求項38】
チタンフィードストックのマイクロ波プラズマ処理により合成される、請求項37に記載の球状化窒化チタン粉末。
【請求項39】
前記複数の粒子が、前記チタンフィードストックを窒素含有プラズマガスと反応させることにより形成されたマイクロ構造を含む、請求項38に記載の球状化窒化チタン粉末。
【請求項40】
前記複数の粒子が、0.75または0.91より高い平均球形度を有する、請求項37に記載の球状化窒化チタン粉末。
【請求項41】
前記複数の粒子が、0.75または0.91より高いメジアン球形度を有する、請求項37に記載の球状化窒化チタン粉末。
【請求項42】
前記複数の粒子が、cpTiコアと共に形成された窒化チタンシェルを含む、請求項37に記載の球状化窒化チタン粉末。
【請求項43】
前記複数の粒子が、前記粒子の全体を通じて窒化チタンを含む、請求項37に記載の球状化窒化チタン粉末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
任意の優先権出願の参照による組込み
本出願は、2020年10月30日に出願された米国仮出願第63/108118号の35 U.S.C. §119(e)の下での優先権の利益を主張し、該仮出願の開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
背景
分野
本開示の一部の実施形態は、フィードストック材料から球形または球状金属粉末製造物を製造するためのシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
説明
産業上の粉末の一部の形態を調製する重要な態様は球状化プロセスであり、該プロセスは、従来の圧砕方法により製造された不規則な形状のまたは角ばった粉末を、球状の低多孔性の粒子に変換する。球状粉末は、形状が均質であり、より密であり、より低い多孔性であり、高いおよび一貫した流動性、ならびに高いタップ密度を有する。そのような粉末は、応用、例えば、数ある中でも、射出成形、熱スプレーコーティング、および積層造形法において優れた特性を呈する。
【0004】
球状金属粉末、特に材料、例えばチタン(Ti)を含有する金属粉末を作り出すことは、多数の課題を提示し得る。所望される球状形状、所望されるレベルの多孔性(例えば、非多孔性~非常に多孔性)、ならびに所望される組成およびマイクロ構造を達成することは困難であり得る。
【0005】
窒化チタン粉末は特に関心対象となる。窒化チタンは、保護的な摩耗耐性コーティングとしての医療用インプラントを含む、様々な応用において使用されている。例えば、CoCrまたはチタン合金(例えば、Ti-64)から作られた、多くの現行の整形外科用インプラントは、不良な摩耗耐性を有し、身体中でのインプラントの最終的な故障を予防するために窒化チタンコーティングを要求する。窒化チタンは、優れた摩耗および腐食耐性を有するセラミックであり、ヒト身体と適合性である。コーティングは典型的には化学蒸着(Chemical Vapor Deposition;CVD)によりインプラントに施与され、CVDでは、Tiの蒸気が窒素ガスと反応させられて窒化チタンコーティングが形成される。このプロセスは、窒化チタンの非常に薄い、コヒーレントな層を形成する。
【0006】
しかしながら、積層造形法(additive manufacturing;AM)の出現と共に、インプラントの設計もまた進化してきた。インプラントの重量を低減させ、そしてまたインプラントの内側に組織成長のための位置を提供する内部空洞を有するインプラントを設計することが現在では可能である。しかしながら、複雑な内部空洞と共に、インプラントの内側の表面上に均一に窒化チタンの層をコーティングすることは困難となっている。
【0007】
そのため、積層造形法および他の応用における使用のための金属含有球状粉末を製造する新規のシステムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
要約
この要約の目的のために、本発明のある特定の態様、利点、および新規の特徴が本明細書に記載される。すべてのそのような利点が必ずしも本発明の任意の特定の実施形態にしたがって達成され得るわけではないことが理解されるべきである。そのため、例えば、本発明は、本明細書において教示または示唆され得るような他の利点を必ずしも達成することなく本明細書において教示されている1つの利点または利点の群を達成する方式において具現化または実行され得ることを当業者は認識する。
【0009】
本明細書の一部の実施形態は、球状化金属窒化物粉末を製造する方法に関するものであって、方法が、金属粉末をフィードストックとしてマイクロ波プラズマトーチに供給する工程;マイクロ波プラズマトーチにより生成されたマイクロ波プラズマにフィードストックを導入する工程であって、マイクロ波プラズマが、マイクロ波電源からのマイクロ波に窒素含有ガスを供することにより生成される前記工程;ならびに球状化金属窒化物粉末を形成させる工程であって、球状化金属窒化物粉末が、フィードストックを少なくとも部分的に融解させることおよびマイクロ波プラズマトーチ内でフィードストックと窒素含有ガスとの間の化学反応を開始させることにより形成される前記工程を含む。
【0010】
一部の実施形態において、方法は、球状化金属窒化物粉末の所望される多孔性、組成、またはマイクロ構造を選択する工程をさらに含み、および球状化金属窒化物粉末は、所望される多孔性、組成、またはマイクロ構造を含む。一部の実施形態において、球状化金属窒化物粉末は15~106ミクロンの粒子サイズ分布を含む。一部の実施形態において、金属粉末はチタン粉末を含む。一部の実施形態において、チタン粉末は商業用純チタン(commercially pure titanium;cpTi)粉末を含む。一部の実施形態において、チタン粉末は、ガスアトマイズチタン粉末、水素化-脱水素化(HDH)チタン粉末、または水素化チタン粉末を含む。一部の実施形態において、窒素含有ガスは、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、またはキセノンの1つ以上を含む。一部の実施形態において、窒素含有ガスは窒素ガス(N)を含む。一部の実施形態において、球状化金属窒化物粉末は球状化窒化チタン粉末を含む。一部の実施形態において、球状化窒化チタン粉末は、TiN、TiN、またはTiN相の1つ以上を含む。一部の実施形態において、球状化金属窒化物粉末の化学量論は、窒素含有ガス中の窒素のモル濃度および/またはマイクロ波プラズマ中のフィードストックの滞留時間を変更することにより制御される。一部の実施形態において、化学反応は、2Ti + N
2TiN;または4Ti + N → 2TiNを含む。一部の実施形態において、球状化金属窒化物粉末は、酸素、鉄、および炭素の1つ以上を含む。
【0011】
本明細書の一部の実施形態は、球状化金属窒化物粉末を製造する方法を使用して合成された球状化金属窒化物粉末を使用することを含む、積層造形方法に関するものであって、製造する方法が、金属粉末をフィードストックとしてマイクロ波プラズマトーチに供給する工程;マイクロ波プラズマトーチにより生成されたマイクロ波プラズマにフィードストックを導入する工程であって、マイクロ波プラズマが、マイクロ波電源からのマイクロ波に窒素含有ガスを供することにより生成される前記工程;ならびに球状化金属窒化物粉末を形成させる工程であって、球状化金属窒化物粉末が、フィードストックを少なくとも部分的に融解させることおよびマイクロ波プラズマトーチ内でフィードストックと窒素含有ガスとの間の化学反応を開始させることにより形成される前記工程を含む。
【0012】
本明細書の一部の実施形態は、球状化金属窒化物粉末を製造する方法にしたがって合成された球状化金属窒化物粉末に関するものであって、方法が、金属粉末をフィードストックとしてマイクロ波プラズマトーチに供給する工程;マイクロ波プラズマトーチにより生成されたマイクロ波プラズマにフィードストックを導入する工程であって、マイクロ波プラズマが、マイクロ波電源からのマイクロ波に窒素含有ガスを供することにより生成され
る前記工程;ならびに球状化金属窒化物粉末を形成させる工程であって、球状化金属窒化物粉末が、フィードストックを少なくとも部分的に融解させることおよびマイクロ波プラズマトーチ内でフィードストックと窒素含有ガスとの間の化学反応を開始させることにより形成される前記工程を含む。
【0013】
本明細書の一部の実施形態は、球状化金属炭化物粉末を製造する方法に関するものであって、方法が、金属粉末をフィードストックとしてマイクロ波プラズマトーチに供給する工程;マイクロ波プラズマトーチにより生成されたマイクロ波プラズマにフィードストックを導入する工程であって、マイクロ波プラズマが、マイクロ波電源からのマイクロ波に炭素含有ガスを供することにより生成される前記工程;ならびに球状化金属炭化物粉末を形成させる工程であって、球状化金属炭化物粉末が、フィードストックを少なくとも部分的に融解させることおよびマイクロ波プラズマトーチ内でフィードストックと炭素含有ガスとの間の化学反応を開始させることにより形成される前記工程を含み、球状化金属炭化物粉末が15~106ミクロンの粒子サイズを含む。
【0014】
一部の実施形態において、金属粉末は、ケイ素、アルミニウム、チタン、タングステン、または粉末を含む。一部の実施形態において、チタン粉末は商業用純チタン(cpTi)粉末を含む。一部の実施形態において、チタン粉末は、ガスアトマイズチタン粉末、水素化-脱水素化(HDH)チタン粉末、または水素化チタン粉末を含む。一部の実施形態において、炭素含有ガスは、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、またはキセノンの1つ以上を含む。一部の実施形態において、炭素含有ガスは炭化水素ガスを含む。一部の実施形態において、球状化金属窒化物粉末の化学量論は、炭素含有ガス中の炭素の量またはマイクロ波プラズマ中のフィードストックの滞留時間を変更することにより制御される。
【0015】
本明細書の一部の実施形態は、球状化金属炭化物粉末を製造する方法を使用して製造された球状化金属炭化物粉末を使用することを含む、積層造形方法に関するものであって、製造する方法が、金属粉末をフィードストックとしてマイクロ波プラズマトーチに供給する工程;マイクロ波プラズマトーチにより生成されたマイクロ波プラズマにフィードストックを導入する工程であって、マイクロ波プラズマが、マイクロ波電源からのマイクロ波に炭素含有ガスを供することにより生成される前記工程;ならびに球状化金属炭化物粉末を形成させる工程であって、球状化金属炭化物粉末が、フィードストックを少なくとも部分的に融解させることおよびマイクロ波プラズマトーチ内でフィードストックと炭素含有ガスとの間の化学反応を開始させることにより形成される前記工程を含み、球状化金属炭化物粉末が15~106ミクロンの粒子サイズを含む。
【0016】
本明細書の一部の実施形態は、球状化金属炭化物粉末を製造する方法にしたがって製造された球状化金属炭化物粉末に関するものであって、方法が、金属粉末をフィードストックとしてマイクロ波プラズマトーチに供給する工程;マイクロ波プラズマトーチにより生成されたマイクロ波プラズマにフィードストックを導入する工程であって、マイクロ波プラズマが、マイクロ波電源からのマイクロ波に炭素含有ガスを供することにより生成される前記工程;ならびに球状化金属炭化物粉末を形成させる工程であって、球状化金属炭化物粉末が、フィードストックを少なくとも部分的に融解させることおよびマイクロ波プラズマトーチ内でフィードストックと炭素含有ガスとの間の化学反応を開始させることにより形成される前記工程を含み、球状化金属炭化物粉末が15~106ミクロンの粒子サイズを含む。
【0017】
本明細書の一部の実施形態は、球状化粉末を製造する方法に関するものであって、方法が、マイクロ波プラズマトーチにフィードストックを供給する工程;マイクロ波プラズマトーチにより生成されたマイクロ波プラズマにフィードストックを導入する工程であって
、マイクロ波プラズマが、マイクロ波電源からのマイクロ波に反応性プラズマガスを供することにより生成される前記工程;ならびに球状化粉末を形成させる工程であって、球状化粉末が、フィードストックを少なくとも部分的に融解させることおよびマイクロ波プラズマトーチ内でフィードストックと反応性プラズマガスとの間の化学反応を開始させることにより形成される前記工程を含む。一部の実施形態において、方法は、球状化粉末の所望される多孔性、組成、またはマイクロ構造を選択する工程をさらに含み、および球状化粉末は、所望される多孔性、組成、またはマイクロ構造を含む。一部の実施形態において、球状化粉末は15~106ミクロンの粒子サイズ分布を含む。一部の実施形態において、フィードストックはチタン粉末を含む。一部の実施形態において、チタン粉末は商業用純チタン(cpTi)粉末を含む。一部の実施形態において、チタン粉末は、ガスアトマイズチタン粉末、水素化-脱水素化(HDH)チタン粉末、または水素化チタン粉末を含む。一部の実施形態において、反応性プラズマガスは窒素含有ガスを含み、窒素含有ガスは、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、またはキセノンの1つ以上を含む。一部の実施形態において、反応性プラズマガスは窒素ガス(N)を含む。一部の実施形態において、球状化粉末は球状化窒化チタン粉末を含む。一部の実施形態において、球状化窒化チタン粉末は、TiN、TiN、またはTiN相の1つ以上を含む。一部の実施形態において、化学反応は、2Ti + N → 2TiN;または4Ti + N → 2TiNを含む。本明細書の一部の実施形態は、球状化粉末を製造する方法を使用して合成された球状化粉末を使用することを含む。
【0018】
本明細書の一部の実施形態は、実質的に球状の形状を呈する複数の窒化チタン粒子、15~106ミクロンの粒子サイズ分布を含む複数の窒化チタン粒子、および以下の相:α-Ti、TiN、Ti2N、またはTiN2の少なくとも1つを含む複数の窒化チタン粒子を含む、球状化窒化チタン粉末に関するものである。
【0019】
一部の実施形態において、球状化窒化チタン粉末はチタンフィードストックのマイクロ波プラズマ処理により合成される。一部の実施形態において、複数の粒子は、チタンフィードストックを窒素含有プラズマガスと反応させることにより形成されたマイクロ構造を含む。一部の実施形態において、複数の粒子は、0.75または0.91より高い平均球形度を有する。一部の実施形態において、複数の粒子は、0.75または0.91より高いメジアン球形度を有する。一部の実施形態において、複数の粒子は、cpTiコアと共に形成された窒化チタンシェルを含む。一部の実施形態において、複数の粒子は、粒子の全体を通じて窒化チタンを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面は、例示的な実施形態を図示するために提供され、本開示の範囲を限定することは意図されない。本明細書に記載されるシステムおよび方法のより良好な理解は、添付の図面と組み合わせて以下の記載を参照することで得られる。
【0021】
図1図1は、本明細書に記載される一部の実施形態による球状化金属含有粉末を製造するプロセスの例示的なフローチャートを図示する。
【0022】
図2図2は、本明細書に記載される一部の実施形態によるマイクロ波プラズマトーチの例示的なダイアグラムを図示する。
【0023】
図3図3は、本明細書に記載される一部の実施形態にしたがって製造された窒化チタン粉末の例示的な形態を図示する。
【0024】
図4図4は、本明細書に記載される一部の実施形態にしたがって製造された窒化チタン粉末の例示的なマイクロ構造を図示する。
【0025】
図5図5は、本明細書に記載される一部の実施形態にしたがって製造されたチタン粉末の例示的なX線粉末回折を図示する。
【0026】
図6図6は、本明細書に記載される一部の実施形態にしたがって製造されたチタン粉末の例示的な粒子サイズ分布を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
ある特定の好ましい実施形態および例が以下に開示されるが、本発明の主題は、特に開示される実施形態を超えて、他の代替的な実施形態および/または使用ならびにこれらの修飾および均等物まで拡張される。そのため、本明細書に添付される請求項の範囲は、以下に記載される特定の実施形態のいずれによっても限定されない。例えば、本明細書に開示される任意の方法またはプロセスにおいて、方法またはプロセスの行為または操作は、任意の好適な順番で行われてもよく、任意の特定の開示される順番に必ずしも限定されない。様々な操作が、ある特定の実施形態の理解において役立ち得る方式において、順次の複数の別々の操作として記載され得るが;記載の順序は、これらの操作が順序依存的であることを含意すると解釈されるべきではない。追加的に、本明細書に記載される構造物、システム、および/またはデバイスは、一体化された構成要素としてまたは別々の構成要素として具現化されてもよい。様々な実施形態を比較する目的のために、これらの実施形態のある特定の態様および利点が記載される。必ずしもすべてのそのような態様または利点が任意の特定の実施形態により達成されるわけではない。そのため、例えば、様々な実施形態は、本明細書において教示または示唆され得るような他の態様または利点を必ずしも達成することなく本明細書において教示されている1つの利点または利点の群を達成または最適化する方式において実行されてもよい。
【0028】
本明細書に開示されるデバイスおよび方法の構造、機能、製造、および使用の原理の全体的な理解を提供するためにある特定の例示的な実施形態がこれより記載される。これらの実施形態の1つ以上の例が、添付の図面において図示されている。特に本明細書に記載され、および添付の図面において図示されるデバイスおよび方法は非限定的な例示的な実施形態であること、ならびに本発明の範囲は請求項によってのみ定義されることを当業者は理解する。1つの例示的な実施形態との繋がりで図示または記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせられてもよい。そのような修飾およびバリエーションは、本技術の範囲内に含まれることが意図される。
【0029】
本明細書に開示されるのは、球状化粉末を製造するための方法およびシステムの実施形態である。本明細書の一部の実施形態は、球状化することが困難であり得る金属、金属合金、炭化物、窒化物、または他の材料を含む金属粉末の製造に関する。所望される球状形状、所望されるレベルの多孔性(例えば、非多孔性~非常に多孔性)、ならびに所望される組成およびマイクロ構造を達成することは困難であり得る。本明細書の一部の実施形態は、金属窒化物または金属炭化物粉末の製造に関する。窒化チタンは、約2,930℃の融解温度を有するセラミックである。プラズマ処理を使用する場合、プラズマ中で達成される温度と窒化チタンフィードストックの滞留時間との組合せは、窒化チタンが融解するために必要とされる熱フラックスを提供しないことがある。プラズマを通過する粒子が完全に融解されるか、部分的に融解されるか、または表面融解される場合にのみ球状化は可能である。それゆえ、プラズマ処理を使用する窒化チタンフィードストックの球状化は困難であり得る。しかしながら、球状化粉末は、積層造形法を含む様々な応用、例えばレーザーベッドシステム、電子線システムおよびバインダージェッティングシステムにおいて有用であり得る。例えば、AM適合性の窒化チタン粉末を使用する医療用インプラントの3次元プリンティングは、インプラントの高価な、時間を消費する、および不必要な処理
(例えば、CVD)を排除し、ならびに製造のためのリード時間を低減させる。窒化チタンの摩耗耐性および腐食耐性に起因して、他のコーティングは必要とされないことがある。
【0030】
一部の実施形態において、積層造形法のための基本的な材料要求は、球状形態の、および指定される粒子サイズ内、通常はミクロン範囲内の、金属合金、金属炭化物、または金属窒化物粉末である。制御することが最も不可欠な属性の1つは粉末の粒子サイズであり、これはAMプロセスにおいて不可欠なパラメーターである。粒子サイズ分布は、粉末流動性、および均一な粉末床密度を提供する能力に対して直接的な影響を有する。これは次いで、粉末粒を処理するために必要とされるエネルギーインプットを決定し、そしてまた表面仕上げに影響する。例えば、AMプロセスにおいて使用可能な球状化粉末は、約15~45ミクロン、約20~63ミクロン、または約45~106ミクロンの粒子サイズ分布を有してもよい。しかしながら、本明細書に記載される方法およびシステムの一部によれば、球状化粉末は、AMプロセスのために一般に要求されるマイクロメートル範囲に加えて、ナノメートル範囲~ミリメートル範囲の粒子サイズ分布を含んでもよい。例えば、本明細書における実施形態による球状化粉末は、約0.1ミクロン~約1000ミクロンの粒子サイズ分布を含んでもよい。一部の実施形態において、本明細書における実施形態による球状化粉末は、約0.1ミクロン~約1ミクロン、約1ミクロン~15ミクロン、約15ミクロン~約45ミクロン、約20ミクロン~63ミクロン、約45ミクロン~約106ミクロン、約106ミクロン~約200ミクロン、約200ミクロン~300ミクロン、約300ミクロン~約400ミクロン、約400ミクロン~約500ミクロン、約500ミクロン~約600ミクロン、約600ミクロン~約700ミクロン、約700ミクロン~約800ミクロン、約800ミクロン~約900ミクロン、および約900ミクロン~約1000ミクロン、または上述の範囲のいずれかの間の粒子サイズ分布を含んでもよい。
【0031】
さらには、高い粉末流れを要求する積層造形法または粉末冶金(PM)応用において有用であるために、金属粉末粒子は球形状を呈するべきであり、これはプラズマ球状化のプロセスを通じて達成され得る。このプロセスは、熱い環境中での粒子の完全な融解、表面融解または部分的な融解を伴い、それにより、液体金属の表面張力は各々の粒子を球状の幾何形状に成形し、続いて冷却および再凝固が為される。
【0032】
一部の実施形態において、プラズマ処理により達成される最終の粒子は、球形(spherical)、球状化(spheroidized)、または球状(spheroidal)であることができ、これらの用語は交換可能に使用され得る。有利には、開示される異なるフィードストックの各々に関連する不可欠なおよび特有の開示を使用することにより、フィードストックのすべては球形粉末に変換され得る。
【0033】
本開示の実施形態は、実質的に球状化されているか、または有意な球状化を受けた粒子を製造することに方向付けられている。一部の実施形態において、球形の、球状のまたは球状化粒子は、ある特定の閾値より高い球形度を有する粒子を指す。粒子球形度は、以下の式:
【数1】

【数2】

を使用して、粒子の体積にマッチする体積Vを有する球の表面積As,理想を算出することにより算出され得る。
【0034】
理想化された表面積は、粒子の測定された表面積、As,実際と比較され得る:
【数3】
【0035】
一部の実施形態において、粒子は、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、0.91、0.95、もしくは0.99より高い(または約0.5、約0.6、約0.7、約0.75、約0.8、約0.8、約0.91、約0.95、もしくは約0.99より高い)平均球形度を有することができる。一部の実施形態において、粒子は、0.75もしくはより高いもしくは0.91もしくはより高い(または約0.75もしくはより高いもしくは約0.91もしくはより高い)球形度を有することができる。一部の実施形態において、粒子は、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、0.91、0.95、もしくは0.99より低い(または約0.5、約0.6、約0.7、約0.75、約0.8、約0.8、約0.91、約0.95、もしくは約0.99より低い)球形度を有することができる。一部の実施形態において、粒子は、上述の球形度値のいずれかまたはそれより高い球形度を有する場合に、球形、球状または球状化されていると考えられ、一部の好ましい実施形態において、粒子は、その球形度が、0.75もしくはより高いもしくは約0.75もしくはより高いまたは0.91もしくはより高いもしくは約0.91もしくはより高い場合に球状であると考えられる。
【0036】
一部の実施形態において、所与の粉末内のすべての粒子のメジアン球形度は、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、0.91、0.95、もしくは0.99より高い(または約0.5、約0.6、約0.7、約0.75、約0.8、約0.8、約0.91、約0.95、もしくは約0.99より高い)ことができる。一部の実施形態において、所与の粉末内のすべての粒子のメジアン球形度は、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、0.91、0.95、もしくは0.99より低い(または約0.5、約0.6、約0.7、約0.75、約0.8、約0.8、約0.91、約0.95、もしくは約0.99より低い)ことができる。一部の実施形態において、粉末は、所与の粉末について測定された粒子のすべてまたは閾値パーセンテージ(以下の比率のいずれかにより記載されるようなもの)が、上述の球形度値のいずれかより高いかまたはそれに等しいメジアン球形度を有する場合に、球状化されていると考えられ、一部の好ましい実施形態において、粉末は、粒子のすべてまたは閾値パーセンテージが、0.75もしくはより高いもしくは約0.75もしくはより高いまたは0.91もしくはより高いもしくは約0.91もしくはより高いメジアン球形度を有する場合に、球状化されていると考えられる。
【0037】
一部の実施形態において、所与の球形度閾値、例えば上記のものよりも高いものであり得る粉末内の粒子の比率は、50%、60%、70%、80%、90%、95%、もしくは99%より高い(または約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、もしくは約99%より高い)ことができる。一部の実施形態において、所与の球形度閾値、例えば上記のものよりも高いものであり得る粉末内の粒子の比率は、50%、60%、70%、80%、90%、95%、もしくは99%より低い(または約50%、約6
0%、約70%、約80%、約90%、約95%、もしくは約99%より低い)ことができる。
【0038】
粒子サイズ分布および球形度は、任意の好適な公知の技術、例えばSEM、光学顕微鏡法、動的光散乱、レーザー回折、例えば同じ材料切片または試料の少なくとも3つの画像にかけて画像当たり約15~30の計測からの、画像解析ソフトウェアを使用する寸法の手動測定、および任意の他の技術により決定されてもよい。
【0039】
上記の仕様内に入る窒化チタン粉末は現行では知られておらず、したがって、窒化チタンを使用するAMプロセスは現行では知られていない。本明細書の一部の実施形態は、したがって、AMのために要求される仕様内の窒化チタン粉末を含む、大規模での金属窒化物および金属炭化物粉末の製造のためのシステムおよび方法に方向付けられている。しかしながら、本明細書に記載される方法およびシステムは、広範囲の材料、特には球状化が困難なものに広く応用されてもよいことが留意されるべきである。窒化チタンに特に言及すると、窒化チタンの既存の製造は、CVDを使用する基材上の窒化チタン薄層コーティングを含む。しかしながら、本明細書の一部の実施形態は、例えば、プラズマ処理を使用してミクロンサイズの球状の窒化チタン粉末を合成することに方向付けられている。一部の実施形態において、主な合金元素は窒素である。窒化チタン粉末の組成に関して、異なる窒素濃度において異なる窒化物相が形成され、これは、TiN、TiN、およびTiNを含む。これらの相は異なる物理的特性を有する。例えば、TiNは高い摩耗耐性を有する非常に硬い相であり、TiNは相対的により柔らかい相であり得る。そのため、応用および要求される機能的特性に基づいて、異なる組成および異なるマイクロ構造が所望される。本明細書における実施形態は、任意の所望される相の窒化チタンの合成であって、相が、反応性プラズマガスの化学量論を制御することにより制御され得るものに方向付けられていてもよい。
【0040】
一部の実施形態において、球状化金属含有粉末(例えば、金属窒化物粉末)を製造する方法は、前駆物またはフィードストックとしての金属粉末(例えば、Ti粉末)、および反応性ガス種としての反応性プラズマガス(例えば、N)を使用して球状化金属含有粉末を合成することを含んでもよい。例えば、一部の実施形態において、球状化金属窒化物または炭化物粉末を製造する方法は、フィードストックとしての商業的に純粋な金属粉末、例えば商業用純チタン粉末(cpTi)および反応性プラズマガスとしての窒素または炭素含有ガスを使用して、それぞれ金属窒化物または金属炭化物粉末を合成することを伴う。一部の実施形態において、フィードストックは、代わりに液体金属を含んでもよい。一部の実施形態において、金属粉末フィードストックは、プラズマへの導入の前に事前処理されてもよい。一部の実施形態において、フィードストックは、概して球状の、または概して非球状の粉末であってもよい。本明細書におけるフィードストックは一般にチタン粉末に関して記載されるが、フィードストックはまた、他の金属粉末、例えばB、Al、またはSiを、例えば、それぞれ窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素を形成させるために含んでもよい。
【0041】
一部の実施形態において、金属粉末フィードストック中の金属は、プラズマ内で反応性ガス種と反応して球状化金属含有粉末を形成してもよい。例えば、チタンは、介在物(interstitials)、例えば窒素、水素、炭素、および酸素に対して高い親和性を有する。これらの種は、プラズマガス中に存在する場合、イオン化された状態にあり、より「反応性」であると考えられる。窒素および様々な量の他のガス、例えば水素、アルゴン、ヘリウム、キセノン、クリプトン、または他の「非反応性」ガスを含んでもよい反応性プラズマガスを意図的に選択し、ならびにcpTi粉末を反応性プラズマガスに実質的に瞬時に通過させることにより、反応性プラズマガスは、Tiと反応して、球状化粉末、例えば窒化チタン粉末を形成し得る。一部の実施形態において、プラズマ中の反応性ガ
ス(例えば、N)の量およびプラズマ中の金属粉末粒子の滞留時間を制御することにより、製造される金属含有球状化粉末の化学量論(例えば、化合物中のNの%)を制御することが可能であり得る。プラズマ処理を使用してチタンフィードストックを処理する従来の方法において、窒素含有プラズマガスは一般に使用されない。これは、チタン粒子上に窒化物表面層を形成すると考えられたNに対するTiの非常に高い親和性に起因する。しかしながら、本明細書における実施形態を使用して、窒素含有プラズマガスはチタン粒子の完全な質量を通じてチタンフィードストックと反応して、球状化窒化チタン粉末という予想外の結果に繋がり得ることが予想外なことに見出された。そのため、本明細書における実施形態は、チタンおよび類似したフィードストックのプラズマ処理を伴う従来の方法とは異なる。
【0042】
図1は、本明細書に記載される一部の実施形態による球状化金属含有粉末を製造する方法の例示的なフローチャートを図示する。一部の実施形態において、球状化金属含有粉末を製造する方法は、100において、フィードストックとして金属粉末を供給することを含んでもよい。例えば、金属粉末は、チタン粉末、例えば、商業用純チタン(cpTi)粉末、ガスアトマイズチタン粉末、水素化-脱水素化(HDH)チタン粉末、または水素化チタン粉末などを含んでもよい。一部の実施形態において、方法は、102において、フィードストックをマイクロ波プラズマに導入して球状化金属含有粉末を形成させることをさらに含んでもよい。一部の実施形態において、マイクロ波プラズマは、反応性プラズマガス、例えば、窒素含有(例えば、N)または炭素含有(例えば、炭化水素)ガスを、マイクロ波電源により生成されたマイクロ波に供することにより生成されてもよい。一部の実施形態において、反応性プラズマガスはまた、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、またはキセノンの1つ以上を含んでもよい。一部の実施形態において、球状化金属含有粉末は、104において、フィードストックと反応性プラズマガスとの間の化学反応により形成されてもよい。一部の実施形態において、球状化金属含有粉末は15~106ミクロンの粒子サイズ分布を含む。一部の実施形態において、球状化金属含有粉末は球状化窒化チタン粉末を含む。一部の実施形態において、球状化窒化チタン粉末は、窒化チタンの1つ以上の相、例えばTiN、TiN、またはTiNを含む。
【0043】
開示されるプロセスの一部の実施形態は、粉末フィーダーを使用して粉末フィードストックを、マイクロ波で生成された反応性プラズマにフィードすることを含むことができ、ここで出力密度、ガス流れおよび粉末フィードストックの滞留時間は制御される。所望されるプロセスパラメーター、例えば出力密度、流速および反応性プラズマ中の粉末の滞留時間は、フィードストック金属の物理的特徴、例えば融点および熱伝導率に依存することができる。
【0044】
本明細書の一部の実施形態は、マイクロ波で生成されたプラズマを使用する金属または金属合金の球状化のプロセスに関する。一部の実施形態において、粉末フィードストックは、不活性のおよび/または還元性のガス環境中で飛沫同伴され(entrained)、マイクロ波プラズマ環境に注入される。プラズマトーチのプラズマプルームまたは排ガス(exhaust)を含んでもよい熱いプラズマへの注入で、フィードストックは球状化され、不活性ガスを充填されたチャンバーに放出され、気密に密閉されたドラム中に方向付けられ、そこで貯蔵される。一部の実施形態において、プラズマへのフィードストックの注入は、プラズマプルームまたはプラズマ排ガスへのフィードストックの注入を含む。このプロセスは、大気圧、部分真空、または大気圧よりもわずかに高い圧力において実行され得る。代替的な実施形態において、プロセスは、低、中、または高真空環境中で実行され得る。プロセスは、連続的にまたはバッチプロセスでの実行が可能であり、収集容器は、それらが球状化金属または金属合金粒子で満たされた際に置き換えられてもよい。球状化金属および金属合金の冷却の速度は、球状化粉末のマイクロ構造に戦略的に影響を及ぼすために制御され得る。プロセスパラメーター、例えば冷却ガス流速、滞留時間、冷
却ガス組成などを制御することにより、金属および金属合金のマイクロ構造は制御され得る。これらの構造物を形成させるために要求される精密な冷却速度は、概しては、材料内の合金元素の種類および量の関数である。
【0045】
一部の実施形態において、プラズマトーチのプラズマ、プラズマプルーム、または排ガス内で、融解した金属は、液体表面張力に起因して本来的に球状化される。マイクロ波で生成されたプラズマは実質的に均一な温度プロファイルを呈するので、粒子の90%より高い球状化が達成され得る(例えば、91%、93%、95%、97%、99%、100%)。プラズマを出た後に、粒子は、収集ビンに入る前に冷却される。収集ビンが満たされた場合、収集ビンは、取り出され、およびプロセスを中止することなく必要に応じて空のビンで置き換えられ得る。
【0046】
図2は、本明細書の一部の実施形態による、球状の金属または金属合金粉末の製造において使用され得る例示的なマイクロ波プラズマトーチを図示する。上記で議論したように、金属フィード材料9、10は、マイクロ波で生成されたプラズマ11を持続させるマイクロ波プラズマトーチ2に導入され得る。一部の実施形態において、マイクロ波プラズマトーチは、図2の実施形態に示される上部フィーディングホッパー3ではなく側部フィーディングホッパーを含んでもよく、そのため下流フィードを可能とし得る。そのため、この実施態様において、フィードストックは、マイクロ波プラズマトーチの「プルーム」または「排ガス」6における処理のためにマイクロ波プラズマトーチアプリケーターの後に注入される。そのため、マイクロ波プラズマトーチのプラズマは、プラズマトーチの出口端部においてエンゲージされて、フィードストックの下流フィードを可能とし、これは、図2に関して議論される上部フィード(または上流フィード)と対照的である。他のフィード構成は、プラズマプルームの周囲の1つまたはいくつかの個々のフィーディングノズルを含んでもよい。フィードストック粉末は、任意の方向からプラズマに入ることができ、プラズマの周りの360°においてフィードされ得る。フィードストック粉末は、プラズマプルームの長さに沿った特有の位置においてプラズマに入ることができ、該位置において、粒子の十分な融解のために特有の温度が測定されており、および滞留時間が概算されている。融解した粒子は、プラズマを出て、密閉されたチャンバーに入り、そこでクエンチされ、次に収集される。
【0047】
一部の実施形態において、飛沫同伴ガス流れ、およびシース(sheath)流れ(下向きの矢印)が、入口5を通じて注入されて、マイクロ波放射線供給源1を介するプラズマ11のイグニションの前にプラズマトーチ内に流れ状態を作り出してもよい。一部の実施形態において、飛沫同伴流れおよびシース流れは、両方とも軸対称的および層状であり、他の実施形態においてガス流れは回旋的である。フィード材料9は、マイクロ波プラズマトーチに軸方向にまたは他のやり方で導入されてもよく、マイクロ波プラズマトーチにおいてフィード材料9は、材料をプラズマに方向付けるガス流れにより飛沫同伴される。マイクロ波で生成されたプラズマ内で、材料を球状化するためにフィード材料は融解され、フィードストックと反応性プラズマガスとの間の化学反応が起こり得る。入口5は、プロセスガスを導入して、粒子9、10を軸12に沿ってプラズマ11に飛沫同伴および加速させるために使用され得る。最初に、粒子9は、プラズマトーチ内の環状間隙を通じて作り出されたコア層状ガス流れ(上のセットの矢印)を使用して飛沫同伴により加速される。第2の層流(下のセットの矢印)は、誘電性トーチ2の内壁のための層状被覆を提供してプラズマ11からの熱放射に起因する融解から該内壁を保護するために第2の環状間隙を通じて作り出され得る。一部の実施形態において、層流は、粒子9、10をプラズマ11に向けて軸12にできるだけ近い経路に沿って方向付けして、それらをプラズマ11内で実質的に均一な温度に曝露する。一部の実施形態において、好適な流れ状態が存在して、粒子10は、プラズマアタッチメントが起こる可能性があるプラズマトーチ2の内壁に達しないようにされる。粒子9、10は、ガス流れによりマイクロ波プラズマ11にガ
イドされ、そこで各々は均質な熱処理を受ける。マイクロ波で生成されたプラズマの様々なパラメーターの他に、粒子パラメーターは、所望される結果を達成するために調整されてもよい。これらのパラメーターは、マイクロ波出力、フィードストック材料サイズ、フィードストック材料挿入速度、ガス流速、プラズマ温度、滞留時間、および冷却速度を含んでもよい。一部の実施形態において、ガス流れは層状であるが;代替的な実施形態において、回旋的な流れまたは乱流が、フィード材料をプラズマに方向付けるために使用されてもよい。
【実施例
【0048】
反応性プラズマガスとして窒素ガスを使用してマイクロ波プラズマ内でcpTi粉末から窒化チタン粉末を合成した。窒化チタン粉末は45~106ミクロンの粒子サイズ分布(PSD)を呈し、プラズマガスとして窒素ガス(N)を使用して生成されたマイクロ波プラズマを使用して合成された。HDH法により作られたcpTiを、窒素(N)および水素(H)の混合物を含む反応性プラズマ中で処理した。小量の水素(約10%)を反応性窒素ガスに導入してプラズマ処理の間のcpTi粉末の酸化を予防した。プラズマ処置により不規則な形状のHDH cpTi粉末は球状の窒化チタン粉末に変換された。球状化の間に、高温および完全に融解した、表面融解したまたは部分的に融解したcpTi粒子とのプラズマ中のイオン化された窒素種の接触に起因して、TiとNとの間の反応が開始されて、窒化チタン、Tiが結果としてもたらされた。例示的な反応は以下に示される:
2Ti(s) + N(g) → 2TiN(s)
4Ti(s) + N(g) → 2TiN(s)
【0049】
合成された窒化チタンは以下の元素組成を有した:窒素12重量%、酸素0.34重量%、鉄0.034重量%、炭素0.0068重量%、およびチタン85.9重量%。合成された窒化チタンは、D10が50.35ミクロンであり、D50が68.5ミクロンであり、D90が97.73ミクロンである粒子サイズ分布を有した。合成された窒化チタンは、以下の物理的特性を有した:27s/50gのホールフロー、2.54g/cmの見かけの密度(AD)、4.9g/cmの真密度、および2.91g/cmのタップ密度(TD)。
【0050】
図3は、本明細書に記載される一部の実施形態にしたがって合成された窒化チタン粉末の例示的な形態を図示する。示されるように、窒化チタン粉末の粒子は実質的に球状であり、その結果、AMプロセスにおける粉末の使用が可能である。
【0051】
図4は、本明細書に記載される一部の実施形態にしたがって合成された窒化チタン粉末の例示的なマイクロ構造を図示する。一部の実施形態において、窒化チタン粉末のマイクロ構造は1つ以上の別々の相を含んでもよい。例えば、一部の実施形態において、相は、α-Ti、TiN、TiN、またはTiNを含んでもよい。一部の実施形態において、窒化チタンシェルがcpTiコアと共に形成される。窒化チタンシェルが形成されるかどうか、または粉末が粒子の全体を通じて窒化チタンを含むかどうかは、プラズマトーチ内の処理条件に依存する。図4の図示されるマイクロ構造において、マイクロ構造は、マトリックス中に分散されたTiNおよびTiN相を有するTiマトリックスを表す。
【0052】
図5は、本明細書に記載される一部の実施形態にしたがって合成された窒化チタン粉末の例示的なX線粉末回折を図示する。図示されるように、粉末は、一般に、TiO、Ti、およびTiNと共にTiNから形成される。
【0053】
図6は、本明細書に記載される一部の実施形態にしたがって合成された窒化チタン粉末の例示的な粒子サイズ分布を図示する。一部の実施形態において、窒化チタン粉末は、約
15ミクロン~約150ミクロンの粒子サイズ分布を含んでもよい。
【0054】
追加の実施形態
以上の仕様において、本発明はその特有の実施形態を参照して記載された。しかしながら、本発明のより広い精神および範囲から離れることなく様々な修飾および変更がそれに対して為され得ることは明らかである。本明細書および図面は、よって、制限的な意味ではなく実例的な意味においてみなされるべきである。
【0055】
実際に、本発明は、ある特定の実施形態および例の文脈において開示されたが、本発明は、特に開示される実施形態を超えて、本発明の他の代替的な実施形態および/または使用ならびにこれらの自明な修飾および均等物まで拡張されることが当業者により理解される。追加的に、本発明の実施形態のいくつかのバリエーションが詳細に示され、記載されたが、本発明の範囲内にある他の修飾が、本開示に基づいて当業者に容易に明らかとなる。実施形態の特有の特徴および態様の様々な組合せまたは部分的組合せが為されてもよく、依然として本発明の範囲内に入り得ることもまた想定される。開示される実施形態の様々な特徴および態様は、開示される発明の実施形態の様々なモードを形成するために互いに組合せ、または置換が可能であることが理解されるべきである。本明細書に開示される任意の方法は、記載される順序で行われる必要はない。そのため、本明細書において開示される発明の範囲は、上記される特定の実施形態により限定されるべきではないことが意図される。
【0056】
本開示のシステムおよび方法は各々、いくつかの革新的な態様を有し、そのいずれの単一の態様も単独では、本明細書に開示される望ましい属性に関与しないし、該属性のために要求されることもないことが理解される。上記される様々な特徴およびプロセスは、互いに独立して使用されてもよく、または様々な仕方で組み合わせられてもよい。すべての可能な組合せおよび部分的組合せは、本開示の範囲内に入ることが意図される。
【0057】
別々の実施形態の文脈において本明細書に記載されるある特定の特徴はまた、単一の実施形態において組合せで実施されてもよい。反対に、単一の実施形態の文脈において記載される様々な特徴はまた、複数の実施形態において別々にまたは任意の好適な部分的組合せで実施されてもよい。さらに、特徴は、ある特定の組合せにおいて機能するとして上記されることがあり、およびそのように最初にクレームされることさえあるが、クレームされた組合せからの1つ以上の特徴は、一部の場合において、組合せから除外されてもよく、クレームされた組合せは、部分的組合せまたは部分的組合せのバリエーションに方向付けられてもよい。いずれの単一の特徴または特徴の群も、各々のおよびあらゆる実施形態にとって必要でも不可欠でもない。
【0058】
本明細書において使用される条件付きの表現、例えば、数ある中でも、「~できる」(can)、「~できた」(could)、「~の可能性がある」(might)、「~であってもよい」(may)、および「例えば」(e.g.)などは、他に特に記載されなければ、または使用されている文脈内で他に理解されなければ、ある特定の特徴、要素および/または工程をある特定の実施形態は含むが、他の実施形態は含まないことを伝えることが一般に意図されることもまた理解される。そのため、そのような条件付きの表現は、特徴、要素および/もしくは工程が何らかの仕方で1つ以上の実施形態のために要求されることも、1つ以上の実施形態が、これらの特徴、要素および/もしくは工程が任意の特定の実施形態に含まれるかもしくは行われるべきであるかどうかを、著者のインプットもしくは促しありもしくはなしで、決定するためのロジックを必然的に含むことも、一般に意図されない。「含む」(comprising)、「含む」(including)、および「有する」などの用語は、同義的であり、包含的に、オープンエンドの様式で使用され、追加の要素、特徴、行為、および操作などを除外しない。追加的に、「または」
(もしくは)という用語は、(排他的な意味ではなく)包含的な意味において使用され、その結果、例えば、要素のリストを接続するために使用される場合、「または」という用語は、リスト中の要素の1つ、一部、またはすべてを意味する。追加的に、冠詞「a」、「an」、および「the」は、本出願および添付の請求項において使用される場合、他に指定されなければ、「1つ以上の」または「少なくとも1つの」を意味すると解釈されるべきである。同様に、操作は図面中に特定の順序で描写されることがあるが、そのような操作は、望ましい結果を達成するために、示される特定の順序もしくは逐次的な順序で行われる必要はないこと、またはすべての図示される操作が行われることが認識されるべきである。さらに、図面は、フローチャートの形態においてさらに1つの例示的なプロセスを図式的に描写することがある。しかしながら、描写されない他の操作が、図式的に示された例示的な方法およびプロセスに組み込まれ得る。例えば、1つ以上の追加の操作は、図示される操作のいずれかの前、後、同時、または間に行われてもよい。追加的に、操作は、他の実施形態において再編成または再順序化されてもよい。ある特定の状況において、マルチタスクおよび並列の処理が有利なことがある。さらに、上記される実施形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実施形態においてそのような分離を要求するとして理解されるべきではなく、記載されるプログラム構成要素およびシステムは一般に、単一のソフトウェア製品中に一体化され得るか、または複数のソフトウェア製品中にパッケージ化され得ることが理解されるべきである。追加的に、他の実施形態が以下の請求項の範囲内である。一部の場合において、請求項において記載される行為は、異なる順序で行われてもよく、依然として望ましい結果を達成し得る。
【0059】
さらに、本明細書に記載される方法およびデバイスは、様々な修飾および代替的な形態を受け入れ得るが、その特有の例が図面において示され、本明細書において詳細に記載されている。しかしながら、本発明は開示される特定の形態または方法に限定されるべきではなく、反対に、本発明は、記載される様々な実施態様および添付の請求項の精神および範囲内に入るすべての修飾、均等物、および代替物をカバーすることが理解されるべきである。さらに、実施態様または実施形態との繋がりでの任意の特定の特徴(feature)、態様、方法、特性、特徴(characteristic)、質、属性、または要素などの本明細書の開示は、本明細書に記載されるすべての他の実施態様または実施形態において使用され得る。本明細書に開示される任意の方法は、記載される順序で行われる必要はない。本明細書に開示される方法は、実施者により行われるある特定の行為を含んでもよいが;方法はまた、明示的または暗示的なものによる、それらの行為の任意の第三者の指示を含むことができる。本明細書に開示される範囲はまた、その任意のおよびすべてのオーバーラップ、部分的範囲、および組合せを包含する。「~まで」(最大~)(up to)、「少なくとも」、「~より多い」(greater than)、「~より少ない」(less than)、および「~の間」(between)などの表現は、記載される数を含む。「約」または「おおよそ」などの用語により先行された数は、記載された数を含み、状況に基づいて(例えば、状況下で合理的に可能な範囲で正確に、例えば±5%、±10%、±15%など)解釈されるべきである。例えば、「約3.5mm」は「3.5mm」を含む。「実質的に」などの用語により先行された語句は、記載された語句を含み、状況に基づいて(例えば、状況下で合理的に可能な範囲で)解釈されるべきである。例えば、「実質的に一定の」は「一定の」を含む。他に記載されなければ、すべての測定は、温度および圧力を含む標準的な条件におけるものである。
【0060】
本明細書において使用される場合、項目のリストの「少なくとも1つ」に言及する語句は、単一のメンバーを含む、それらの項目の任意の組合せを指す。例として、「A、B、またはCの少なくとも1つ」は、A、B、C、AおよびB、AおよびC、BおよびC、ならびにA、B、およびCをカバーすることが意図される。接続的な表現、例えば「X、YおよびZの少なくとも1つ」という語句は、他に特に記載されなければ、項目、用語などが、X、YまたはZの少なくとも1つであってもよいことを伝えるために一般に使用され
ている文脈と共に他に理解される。そのため、そのような接続的な表現は、ある特定の実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、およびZの少なくとも1つが各々存在することを要求すると含意することは一般に意図されない。本明細書において提供される見出しは、存在する場合、簡便性のためのものに過ぎず、本明細書に開示されるデバイスおよび方法の範囲または意味に必ずしも影響しない。
【0061】
よって、請求項は、本明細書に示される実施形態に限定されることは意図されず、本開示、本明細書に開示される原理および新規の特徴と合致する最も広い範囲を与えられるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】