(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】リニア電圧レギュレータ
(51)【国際特許分類】
G05F 3/24 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
G05F3/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526496
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 US2021057492
(87)【国際公開番号】W WO2022094365
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】アヴィナシュ シュリーパシ バハット
【テーマコード(参考)】
5H420
【Fターム(参考)】
5H420NA27
5H420NA31
5H420NB02
5H420NB12
5H420NC05
5H420NC14
(57)【要約】
リニア電圧レギュレータ(100)が電圧入力(101)と電圧出力(102)とを含む。リニア電圧レギュレータは、電圧ノード、入力ノード(108)、出力ノード、及び制御ノード(114)を有するバッファ(114)と、バッファ(114)の出力ノードに結合される制御ノード(116)、電圧入力に結合される入力ノード(124)、及び出力ノード(128)を有する電力トランジスタ(120)とを含み、出力ノードは電圧出力に結合される。リニア電圧レギュレータは、電力トランジスタの制御ノードに結合される制御ノード(140)、電圧入力(102)に結合される電圧入力ノード(144)、電圧出力に結合される電圧出力ノード(148)、及び出力ノード(152)を有するドロップアウト検出モジュール(136)を含む。リニア電圧レギュレータは、ドロップアウト検出モジュールの出力ノードに結合された入力ノード(160)及びバッファ(112)の制御ノード(114)に結合される出力ノード(164)を有するフィードフォワードモジュール(156)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニア電圧レギュレータであって、
電圧入力、
電圧出力、
電圧ノードと、入力ノードと、出力ノードと、制御ノードとを有するバッファ、
電力トランジスタであって、前記バッファの前記出力ノードに結合された制御ノードと、前記電圧入力に結合された入力ノードと、前記電圧出力に結合された出力ノードとを有する前記電力トランジスタ、
ドロップアウト検出モジュールであって、前記電力トランジスタの前記制御ノードに結合された制御ノードと、前記電圧入力に結合された電圧入力ノードと、前記電圧出力に結合された電圧出力ノードと、出力ノードとを有する前記ドロップアウト検出モジュール、及び
フィードフォワードモジュールであって、前記ドロップアウト検出モジュールの前記出力ノードに結合された入力ノードと前記バッファの前記制御ノードに結合された出力ノードとを有する前記フィードフォワードモジュール、
を含む、リニア電圧レギュレータ。
【請求項2】
請求項1に記載のリニア電圧レギュレータであって、前記ドロップアウト検出モジュールが、
前記ドロップアウト検出モジュールの前記制御ノードに結合された制御ノードと、前記ドロップアウト検出モジュールの前記出力ノードに結合された入力ノードとを有する感知トランジスタ、
制御ノードと、前記感知トランジスタの前記入力ノードに結合された出力ノードとを有するブーストトランジスタ、及び
前記感知トランジスタの前記制御ノードに結合された第1のノードと、前記ブーストトランジスタの前記制御ノードに結合された第2のノードとを有するデルタ電圧源、
を更に含み、前記デルタ電圧源の前記第1のノードと前記デルタ電圧源の前記第2のノードとの間にデルタ電圧がある、
リニア電圧レギュレータ。
【請求項3】
請求項2に記載のリニア電圧レギュレータであって、前記電圧入力の電圧レベルと前記電圧出力の電圧レベルとの間の電圧差が閾値電圧よりも小さい場合、前記ドロップアウト検出モジュールにおける電源電圧変動除去比信号がアサートされ、前記電圧入力の前記電圧レベルと前記電圧出力における前記電圧レベルとの間の前記電圧差が前記閾値電圧に等しいかそれより大きい場合、前記電源電圧変動除去比信号がデアサートされる、リニア電圧レギュレータ。
【請求項4】
請求項3に記載のリニア電圧レギュレータであって、前記感知トランジスタが、前記電力トランジスタの縮小バージョンである、リニア電圧レギュレータ。
【請求項5】
請求項4に記載のリニア電圧レギュレータであって、前記電源電圧変動除去比信号のアサートに応答して、前記フィードフォワードモジュールが前記バッファの前記制御ノードにおいてノイズ除去信号を注入する、リニア電圧レギュレータ。
【請求項6】
請求項4に記載のリニア電圧レギュレータであって、前記閾値電圧が、前記電力トランジスタが飽和領域から線形領域に遷移する電圧レベルに設定される、リニア電圧レギュレータ。
【請求項7】
請求項6に記載のリニア電圧レギュレータであって、前記バッファの前記電圧ノードに結合された補助電圧ノードを更に含む、リニア電圧レギュレータ。
【請求項8】
請求項7に記載のリニア電圧レギュレータであって、前記電力トランジスタ、前記感知トランジスタ、及び前記ブーストトランジスタが、nチャネル電界効果トランジスタ(NFET)である、リニア電圧レギュレータ。
【請求項9】
請求項1に記載のリニア電圧レギュレータであって、前記電圧ノードが前記バッファの前記電圧ノードに結合される、リニア電圧レギュレータ。
【請求項10】
請求項9に記載のリニア電圧レギュレータであって、前記電力トランジスタがpチャネル電界効果トランジスタ(PFET)である、リニア電圧レギュレータ。
【請求項11】
リニア電圧レギュレータであって、
バッファ電圧信号を出力するように構成されたバッファと、
電力トランジスタと、
ドロップアウト検出モジュールと、
フィードフォワード回路モジュールと、
を含み、
前記電力トランジスタが、
前記バッファ電圧信号を受信し、
負荷に結合されるように構成された出力ノードにおいて出力電圧を提供する
ように構成され、
前記出力電圧が、入力電圧及び前記バッファ電圧信号に基づき、
前記ドロップアウト検出モジュールが、前記入力電圧の電圧レベルと前記出力電圧の電圧レベルとの間の電圧差が閾値未満である場合、電源電圧変動除去比信号をアサートし、前記入力電圧の前記電圧レベルと前記出力電圧の前記電圧レベルとの間の前記電圧差が前記閾値電圧に等しいかそれより大きい場合、前記電源電圧変動除去比信号がデアサートされるように構成され、
前記フィードフォワード回路モジュールが、
前記電源電圧変動除去比信号のアサートに応答してノイズ除去信号をアサートし、
前記電源電圧変動除去比信号のデアサートに応答して、前記ノイズ除去信号をデアサートする、
ように構成され、
前記バッファが、前記ノイズ除去信号のアサートに応答して、前記バッファ電圧信号にノイズを注入し、前記電力トランジスタが、前記バッファ電圧信号におけるノイズの注入に応答して、前記入力電圧におけるノイズをフィルタリングするように構成される、
リニア電圧レギュレータ。
【請求項12】
請求項11に記載のリニア電圧レギュレータであって、前記閾値電圧が、前記電力トランジスタが飽和領域から線形領域へ遷移する電圧レベルに設定される、リニア電圧レギュレータ。
【請求項13】
請求項12に記載のリニア電圧レギュレータであって、前記電力トランジスタが或るチャネルサイズを有し、前記ドロップアウト検出回路モジュールが、或るチャネルサイズを有する感知トランジスタを含み、前記電力トランジスタの前記チャネルサイズが前記電力トランジスタの前記チャネルサイズよりも少なくとも3桁大きい、リニア電圧レギュレータ。
【請求項14】
請求項13に記載のリニア電圧レギュレータであって、前記バッファに結合される補助電圧を更に含む、リニア電圧レギュレータ。
【請求項15】
請求項14に記載のリニア電圧レギュレータであって、前記ドロップアウト検出回路モジュールがブーストトランジスタを更に含み、前記電力トランジスタ、前記感知トランジスタ、及び前記ブーストトランジスタが、nチャネル電界効果トランジスタ(NFET)である、リニア電圧レギュレータ。
【請求項16】
請求項13に記載のリニア電圧レギュレータであって、前記入力電圧が前記バッファに結合される、リニア電圧レギュレータ。
【請求項17】
請求項16に記載のリニア電圧レギュレータであって、前記ドロップアウト検出回路モジュールがブーストトランジスタを更に含み、前記電力トランジスタ、前記感知トランジスタ、及び前記ブーストトランジスタが、pチャネル電界効果トランジスタ(PFET)である、リニア電圧レギュレータ。
【請求項18】
システムであって、
リニア電圧レギュレータと、
フォワード回路モジュールと、
負荷と、
を含み、
前記リニア電圧レギュレータが、
バッファ電圧信号を出力するように構成されたバッファと、
電力トランジスタと、
ドロップアウト検出モジュールと、
を含み、
前記電力トランジスタが、
前記バッファ電圧信号を受信し、
前記リニア電圧レギュレータの出力ノードに対して出力電圧を提供する、
ように構成され、前記出力電圧が入力電圧及び前記バッファ電圧信号に基づき、
前記ドロップアウト検出モジュールが、前記入力電圧の電圧レベルと前記出力電圧の電圧レベルとの間の電圧差が閾値電圧未満である場合、電源電圧変動除去比信号をアサートし、前記入力電圧の前記電圧レベルと前記出力電圧における前記電圧レベルとの間の前記電圧差が前記閾値電圧に等しいかそれより大きい場合、前記電源電圧変動除去比信号がデアサートされるように構成され、
前記フィードフォワード回路モジュールが、
前記電源電圧変動除去比信号のアサートに応答して、ノイズ除去信号をアサートし、
前記電源電圧変動除去比信号のデアサートに応答して、前記ノイズ除去信号をデアサートする、
ように構成され、前記バッファ及び前記電力トランジスタが、前記ノイズ除去信号のアサートに応答して、前記入力電圧からノイズをフィルタリングするように構成され、
前記負荷が前記リニア電圧レギュレータの出力ノードに結合され、前記負荷に提供される電流が、時間の関数として変化し、前記リニア電圧レギュレータから前記負荷に提供される電圧がほぼ一定のままである、
システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、前記入力電圧の前記電圧レベルと前記出力電圧の前記電圧レベルとの間の前記電圧差が前記閾値電圧未満になるレベルまで、前記負荷に提供される前記電流が増加する時間間隔の間、前記電源電圧変動除去比信号がアサートされる、システム。
【請求項20】
請求項18に記載のシステムであって、前記電力トランジスタが第1のNFETであり、前記ドロップアウト検出モジュールが、前記第1のNFETの縮小バージョンである第2のNFETを含み、前記第1のNFETのゲートが前記第2のNFETのゲートに結合され、前記第1のNFETのソース及び前記第2のNFETのソースが前記負荷に結合される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、全般的に電子回路要素に関し、特に、リニア電圧レギュレータのための回路に関する。
【背景技術】
【0002】
リニア電圧レギュレータは、入力電圧レベルが、周波数スプリアス、電圧フリッカ等(例えば、ノイズ)を含む状況においても、比較的一定の出力電圧レベルを自動的に維持するように設計されたシステムである。リニア電圧レギュレータは、シンプルなフィードフォワード設計を用い得るか又は負のフィードバックを含み得る。リニア電圧レギュレータは、一つ又は複数の交流(AC)又は直流(DC)電圧を調整するために用いられ得る。リニア電圧レギュレータは、プロセッサ及び他の要素によって用いられるDC電圧を電圧レギュレータが安定化させるコンピュータ電源等のデバイスに見られる。
【0003】
低ドロップアウトレギュレータ(LDOレギュレータ)は、供給電圧が出力電圧に非常に近い場合でも出力電圧を調整するDCリニア電圧レギュレータである。LDOレギュレータは、出力電圧に対するスイッチングノイズがなく、基準電圧、増幅器、及びパス要素を含む比較的シンプルな設計を有する。
【発明の概要】
【0004】
第1の例において、リニア電圧レギュレータが電圧入力と電圧出力とを含む。リニア電圧レギュレータはまた、電圧ノード、入力ノード、出力ノード、及び制御ノードを有するバッファと、バッファの出力ノードに結合される制御ノード、電圧入力に結合される入力ノード、及び電圧出力に結合される出力ノードを有する電力トランジスタとを含む。リニア電圧レギュレータは更に、電力トランジスタの制御ノードに結合される制御ノードと、電圧入力に結合される電圧入力ノードと、電圧出力に結合される電圧出力ノードと、出力ノードとを有するドロップアウト検出モジュールを含む。リニア電圧レギュレータは更に、ドロップアウト検出モジュールの出力ノードに結合される入力ノードとバッファの制御ノードに結合される出力ノードとを有するフィードフォワードモジュールを含む。
【0005】
第2の例において、リニア電圧レギュレータが、バッファ電圧信号を出力するように構成されたバッファを含む。リニア電圧レギュレータはまた、バッファ電圧信号を受信し、負荷に結合されるように構成された出力ノードにおいて出力電圧を提供するように構成される電力トランジスタを含み、出力電圧は、入力電圧及びバッファ電圧信号に基づく。リニア電圧レギュレータは更に、ドロップアウト検出モジュールを含み、ドロップアウト検出モジュールは、入力電圧の電圧レベルと出力電圧の電圧レベルとの間の電圧差が閾値未満である場合、電源電圧変動除去比信号をアサートするように構成され、電圧入力の電圧レベルと電圧出力の電圧レベルとの間の電圧差が閾値電圧に等しいかそれより大きい場合、電源電圧変動除去比信号はデアサートされる。リニア電圧レギュレータは更にフィードフォワード回路モジュールを含み、フィードフォワード回路モジュールは、電源電圧変動除去比信号のアサートに応答して、ノイズ除去信号をアサートし、電源電圧変動除去比信号のデアサートに応答して、ノイズ除去信号をデアサートするように構成され、バッファは、ノイズ除去信号に応答してノイズをバッファ電圧信号に注入し、電力トランジスタは、バッファ電圧信号にノイズを注入することに応答して、入力電圧内のノイズをフィルタリングする。
【0006】
第3の例において、システムがリニア電圧レギュレータを含む。リニア電圧レギュレータは、バッファ電圧信号を出力するように構成されたバッファと、バッファ電圧信号を受信しリニア電圧レギュレータの出力ノードに対して出力電圧を提供するように構成された電力トランジスタとを含み、出力電圧は、入力電圧とバッファ電圧信号とに基づく。リニア電圧レギュレータはドロップアウト検出モジュールも含み、ドロップアウト検出モジュールは、電圧入力の電圧レベルと電圧出力の電圧レベルとの間の電圧差が閾値電圧未満である場合、電源電圧変動除去比信号をアサートするように構成され、電圧入力の電圧レベルと電圧出力の電圧レベルとの間の電圧差が閾値電圧に等しいかそれより大きい場合、電源電圧変動除去比信号はデアサートされる。リニア電圧レギュレータは更に、電源電圧変動除去比信号のアサートに応答してノイズ除去信号をアサートし、電源電圧変動除去比信号のデアサートに応答してノイズ除去信号をデアサートするように構成された、フィードフォワード回路モジュールを含み、バッファ及び電力トランジスタは、ノイズ除去信号のアサートに応答して、入力電圧からノイズをフィルタリングするように構成される。このシステムは、リニア電圧レギュレータの出力ノードに結合された負荷を含み、負荷に提供される電流は時間の関数として変化し、リニア電圧レギュレータから負荷に提供される電圧はほぼ一定のままである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】リニア電圧レギュレータの一例のブロック図である。
【0008】
【
図2】リニア電圧レギュレータの一例の回路図である。
【0009】
【
図3】
図2のリニア電圧レギュレータのためのバッファの回路図である。
【0010】
【
図4】
図3のバッファのためのスーパーソースフォロワの回路図である。
【0011】
【
図5】
図2のリニア電圧レギュレータのためのドロップアウト検出モジュールの回路図である。
【0012】
【
図6】
図2のリニア電圧レギュレータについて、ノイズの電圧利得を周波数の関数としてプロットするグラフである。
【0013】
【
図7】
図2のリニア電圧レギュレータについて、ノイズの電圧利得を入力電圧と出力電圧との間の変化する差に対する周波数の関数としてプロットする複数のグラフである。
【0014】
【
図8】
図2のリニア電圧レギュレータについて、ノイズの電圧利得を、変化する負荷電流に対する周波数の関数としてプロットする複数のグラフである。
【0015】
【
図9】リニア電圧レギュレータの別の例の回路図である。
【0016】
【
図10】
図9のリニア電圧レギュレータのためのバッファの回路図である。
【0017】
【
図11】
図9のリニア電圧レギュレータのためのドロップアウト検出モジュールの回路図である。
【0018】
【
図12】
図9のリニア電圧レギュレータについて、ノイズの電圧利得を周波数の関数としてプロットするグラフである。
【0019】
【
図13】リニア電圧レギュレータのための例示の応用例を提供するシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
リニア電圧レギュレータ(またはリニアレギュレータとも呼ばれる)は、電圧入力に提供された変動/ノイズの多い入力電圧からの電圧出力において、調整された出力電圧を提供するために用いられる回路である。リニア電圧レギュレータの電源電圧変動除去比(PSRR)は、リニア電圧レギュレータの出力電圧において供給ノイズがどの程度除去されるかを定義する。この説明において、リニア電圧レギュレータは、フィードフォワード技法を用いて、出力において供給ノイズを相殺するために負荷電流を追跡しながら、供給電圧の一部をバッファに、又はより一般的には、リニア電圧レギュレータ内のドライバに選択的に注入し、それによって、入力電圧と出力電圧の間の差が小さい(例えば、閾値電圧未満の)時間間隔の間に、リニア電圧レギュレータのPSRRを改善する。逆に、入力電圧と出力電圧との間の差が閾値電圧に等しいかそれより大きい時間間隔の間、フィードフォワード技法は無効にされ、リニア電圧レギュレータの電力効率を維持する。
【0021】
より具体的には、リニア電圧レギュレータが、出力においてバッファ電圧信号VBUFFを出力するバッファを含む。リニア電圧レギュレータはまた、バッファの出力に結合される電力トランジスタを含む。この説明において、用語「結合する」は、間接的又は直接的な接続を意味する。電力トランジスタは、バッファ電圧に基づく出力電圧VOUTと、入力電圧VINとを提供する。リニア電圧レギュレータはドロップアウト検出モジュールを含み、ドロップアウト検出モジュールは、電圧入力の電圧レベルと電圧出力における電圧レベルとの間の電圧差が閾値電圧VTHRESH未満である場合、PSRR信号をアサートする。また、ドロップアウト検出モジュールは、電圧入力の電圧レベルと電圧出力における電圧レベルとの間の電圧差が閾値電圧VTHRESHに等しいかそれより大きい場合、PSRR信号をデアサートする。リニア電圧レギュレータは更にフィードフォワード回路モジュールを含み、フィードフォワード回路モジュールは、PSRR信号のアサートに応答してノイズ除去信号VNOISE_REJをアサートし、PSRR信号のデアサートに応答してノイズ除去信号VNOISE_REJをデアサートする。
【0022】
ノイズ除去信号VNOISE_REJは、バッファの制御ノード内に注入される。また、ノイズ除去信号VNOISE_REJは、入力電圧VINのノイズ成分、即ちVIN_ACを含む。ノイズ除去信号VNOISE_REJに応答して、バッファはノイズをバッファ電圧信号VBUFF内に注入する。バッファ電圧信号VBUFFにノイズが注入されることに応答して、電力トランジスタは、出力電圧VOUTがほぼ一定であるように、入力電圧内のノイズVIN_ACをフィルタリング(相殺)する。別段の記載がない限り、この説明において、値の前にある「約」「およそ」は、記載された値の+/-10パーセントを意味する。
【0023】
図1は、リニア電圧レギュレータ100のブロック図である。リニア電圧レギュレータ100は、低ドロップアウトレギュレータ(LDO)等の電源を実装する。従って、リニア電圧レギュレータ100は、電圧入力101において入力電圧VIN、基準電圧VREFを受け取り、出力電圧VOUT(電圧出力102)を提供する。基準電圧VREFは、電源変動、温度変化、又はリニア電圧レギュレータ100からの回路負荷にわたって一定であるバンドギャップ電圧基準である。リニア電圧レギュレータ100は、入力電圧VINが周波数スプリアス、電圧フリッカ等のノイズに遭遇する状況においても、出力電圧VOUTが一定のままであるように、構成される。リニア電圧レギュレータ100は、出力電圧VOUTから入力電圧VINに現れる電源変動を抑制するリニア電圧レギュレータ100の能力を特徴付ける電源電圧変動除去比(PSRR)を有する。電圧レギュレータ回路のPSRRを増加させる代替的な方法としては、レギュレータの電力効率を低下させて、利用可能なヘッドルームを増加させることが含まれる。そのような代替的な技法の代わりに、リニア電圧レギュレータ100は、ノイズ除去信号V
NOISE_REJを選択的にアサートして、入力電圧VINに存在するノイズを相殺する。
【0024】
リニア電圧レギュレータ100は、基準電圧VREFに結合される第1の入力ノード104と第2の入力ノード106とを備えるオペアンプ103(演算増幅器)を含む。種々の例において、オペアンプ103の第1の入力ノードは、オペアンプ103の非反転入力又は反転入力のうちの所与の一方であり、第2の入力ノード106は、オペアンプ103の非反転入力又は反転入力のうちの他方である。オペアンプ103の出力ノードは、バッファ112の入力ノード108に提供される電圧信号VXを提供する。
【0025】
バッファ112の出力は、電力トランジスタ120の制御ノード116に結合される出力信号VBUFFを提供する。バッファ112は、電力トランジスタ120の制御ノード116に提供される出力信号VBUFFを制御するために用いられる制御ノード114を含む。幾つかの例において、電力トランジスタ120は、nチャネルFET(NFET)又はpチャネルFET(PFET)等の電界効果トランジスタ(FET)として実装される。他の例において、電力トランジスタ120は、NPN BJT又はPNP BJT等のバイポーラ接合トランジスタ(BJT)として実装される。電力トランジスタ120がFET(NFET又はPFET)として実装される例において、電力トランジスタ120の制御ノード116はゲートである。電力トランジスタ120がBJT(NPN又はPNP)として実装される例において、制御ノード116はベースである。電力トランジスタ120はまた、電圧入力101において入力電圧VINに結合される入力ノード124と、リニア電圧レギュレータ100の電圧出力102において出力電圧VOUTを提供する出力ノード128とを含み、リニア電圧レギュレータ100はまた、オペアンプ103の第2の入力ノード106に結合される。電力トランジスタ120がNFETとして実装される例において、入力ノード124はドレインを表し、出力ノード128はソースを表す。電力トランジスタ120がPFETとして実装される例において、入力ノード124はソースを表し、出力ノード128はドレインを表す。電力トランジスタ120がNPN BJTとして実装される例において、入力ノード124はコレクタを表し、出力ノード128はエミッタを表す。電力トランジスタ120がPNP BJTとして実装される例において、入力ノード124はエミッタを表し、出力ノード128はコレクタを表す。
【0026】
幾つかの例において、入力電圧VINとは別の補助電圧が提供される。他の例において、リニア電圧レギュレータ100は、入力電圧VINがリニア電圧レギュレータ100の構成要素に電力を提供するように、単一の電圧源を備えて動作する。バッファ電圧VBUFFはまた、ドロップアウト検出モジュール136の制御ノード140においてドロップアウト検出モジュール136に提供される。ドロップアウト検出モジュール136の電圧入力ノード144が電圧入力101において入力電圧VINに結合され、電圧出力ノード148がリニア電圧レギュレータ100の電圧出力102に結合される。ドロップアウト検出モジュール136の出力ノード152が、入力ノード160においてフィードフォワードモジュール156にPSRR信号VPSRRを提供する。フィードフォワードモジュール156は、バッファ112の制御ノード114にノイズ除去信号VNOISE_REJを提供する出力ノード164を含む。
【0027】
電圧出力102は、出力キャパシタ172と並列に結合される負荷168に結合される。負荷168及び出力キャパシタ172は、電気的に中立なノード176(例えば、接地又は仮想接地)に結合される。負荷電流ILOADが、電圧出力102から負荷168に提供される。負荷電流ILOADは、時間の関数として変化し、リニア電圧レギュレータ100から負荷168に提供される電圧はほぼ一定のままである。
【0028】
動作において、バッファ112は、オペアンプ103によって出力された電圧信号VXに応答して、バッファ電圧信号VBUFFを出力する。バッファ電圧信号VBUFFに応答して、電力トランジスタ120は、バッファ電圧信号VBUFFの関数として変化する負荷168に対して出力電圧VOUTを提供する。リニア電圧レギュレータ100は、出力電圧VOUTが基準電圧VREFに比べて上昇し過ぎた場合、バッファ電圧信号VBUFFが調整され、電力トランジスタ120を制御して出力電圧VOUTを一定に維持するように構成される。
【0029】
入力電圧と出力電圧との差(VIN-VOUT)が閾値電圧VTHRESHに等しいかそれより大きい状況において、電力トランジスタ120は飽和領域で動作し、入力電圧VINに注入されたノイズがバッファ112及びオペアンプ103によってフィルタリングされる。入力電圧VINに注入されたノイズは、VIN_ACとして表される。出力電圧VOUTにおけるノイズは、VOUT_ACとして表される。電力トランジスタ120が飽和領域で動作する場合、VOUT_ACは、VIN_ACよりも、少なくとも1桁小さい(1/10)。例えば、閾値電圧VTHRESHが1Vに等しく、電圧VOUTが入力電圧VINよりも少なくとも1V小さい場合、電力トランジスタ120は飽和領域で動作し、入力電圧に存在するノイズVIN_ACは、オペアンプ103、バッファ112、及び電力トランジスタ120の組み合わせを用いてフィルタリングされる。
【0030】
しかしながら、VOUT-VINが閾値電圧VTHRESHに近づく状況において、電力トランジスタ120は、例えば、負荷電流ILOADにおける増加に応答して、飽和領域での動作から線形領域に遷移する。従って、ドロップアウト検出モジュール136は、デルタ電圧ΔVを用いて構成され、デルタ電圧ΔVは実験的に判定され、閾値電圧VTHRESHよりも小さい(例えば、ΔV<VTHRESH)。ドロップアウト検出モジュール136は、バッファ電圧信号VBUFFを感知し、電圧入力ノード144の電圧レベルVINと電圧出力VOUTの電圧レベルとの間の電圧差が閾値電圧VTHRESHよりも小さい場合、PSRR信号VPSRRをアサートする。言い換えると、ドロップアウト検出モジュール136は、VOUT-VIN<VTHRESHの場合、PSRR信号VPSRRをアサートする。また、ドロップアウト検出モジュール136は、電圧入力電圧VINの電圧レベルと電圧出力VOUTにおける電圧レベルとの電圧差が閾値電圧VTHRESHに等しいかそれより大きい場合、PSRR信号VPSRRをデアサートする。
【0031】
PSRR信号VPSRRのアサートに応答して、フィードフォワードモジュール156は、バッファ112の制御ノード114に注入されるノイズ除去信号VNOISE_REJ(或いは、フィードフォワード信号と呼ばれる)をアサートする。逆に、PSRR信号VPSRRのデアサートに応答して、フィードフォワードモジュール156は、ノイズ除去信号VNOISE_REJをデアサートする。このように、ドロップアウト検出モジュール136及びフィードフォワードモジュール156は協調して動作して、リニア電圧レギュレータ100にPSRRブーストを選択的に適用する。
【0032】
ノイズ除去信号VNOISE_REJの注入に応答して、バッファ112はバッファ出力VBUFFにノイズを注入するように構成される。バッファ出力VBUFFのノイズは、入力電圧に対するノイズVIN_ACに対して反転した極性を有する。従って、バッファ出力VBUFF内のノイズに応答して、電力トランジスタ120は、入力電圧内のノイズVIN_ACを相殺し、その結果、出力電圧のノイズVOUT_ACが削減される。
【0033】
従って、ドロップアウト検出モジュール136は、入力電圧VINと電圧出力VOUTとの間の電圧差が閾値電圧VTHRESH未満である時間間隔の間(例えば、VOUT-VIN<VTHRESHである時間間隔の間)、フィードフォワードモジュール156を選択的に活性化する。同様に、フィードフォワードモジュール156は、入力電圧VINと電圧出力VOUTとの間の電圧差が閾値電圧VTHRESHに等しいかそれより大きい時間間隔の間(例えば、VOUT-VIN>VTHRESHである時間間隔の間)、非活性化される。このようにして、ドロップアウト電圧を低減するための代替的技法とは対照的に、リニア電圧レギュレータ100の電力効率を低下させることなく、リニア電圧レギュレータ100のドロップアウト電圧及び/又は電力トランジスタ120のサイズが縮小可能である。
【0034】
図2は、
図1のリニア電圧レギュレータ100を実装するために使用可能であるリニア電圧レギュレータ200の回路図である。リニア電圧レギュレータ200は、LDO等のリニア電圧レギュレータを実装する。従って、リニア電圧レギュレータ200は、入力電圧VIN、基準電圧VREFを受け取り、出力電圧VOUTを負荷202と負荷202に並列である出力キャパシタ203(Cour)とに出力する。一例として、出力キャパシタ203は、約10マイクロファラッド(μF)の容量を有する。出力電圧VOUTは、負荷202において負荷電流I
LOADを誘導する。リニア電圧レギュレータ200は、負荷電流I
LOADが時間の関数として変化し、入力電圧VINが周波数スプリアス、電圧フリッカ等のノイズに遭遇する状況においても、出力電圧VOUTがほぼ一定のままであるように、構成される。リニア電圧レギュレータ200はまた、リニア電圧レギュレータ200の構成要素に電力を提供する補助電圧源VHVも受け取る。
【0035】
リニア電圧レギュレータ200は、出力電圧VOUTから入力電圧VINに存在する電源変動を抑制するためのリニア電圧レギュレータ200の能力を特徴付ける電源電圧変動除去比(PSRR)を有する。リニア電圧レギュレータ200はオペアンプ204を含み、基準電圧VREFは、オペアンプ204の非反転入力に提供される。オペアンプ204の反転入力は、リニア電圧レギュレータ200の電圧出力208に結合され、リニア電圧レギュレータ200の電圧出力208は出力電圧VOUTを提供する。また、オペアンプ204の出力VXが、バッファ212の入力に提供される。バッファ212及びオペアンプ204は、補助電圧源VHVに結合されたノード210に結合される電源ノードを有する。また、バッファ212は、フィードフォワードモジュール220からノイズ除去信号VNOISE_REJを受信する制御ノード216を含む。バッファ212は、出力電圧VBUFFを電力トランジスタ224に提供する。
【0036】
図3は、
図2のリニア電圧レギュレータ200等のリニア電圧レギュレータのためのバッファ300の回路図を示す。バッファ300は、
図2のバッファ212を実装するために用いられ得る。従って、同じ構造及び信号を示すために同じ参照番号及び名称が
図2及び
図3において用いられる。バッファ300は、補助電圧源VHVに結合される正の電源ノード304を含む。バッファ300は、
図1のオペアンプ204等のオペアンプから出力された電圧V
Xを受け取る入力ノード308とバッファ300V
BUFFに対して出力信号を提供する出力ノード312とを含む。バッファ300はまた、
図2のフィードフォワードモジュール220からノイズ除去信号V
NOISE_REJを受信する制御ノード316を含む。また、バッファ300は、リニア電圧レギュレータの電気的に中立なノード(例えば、接地又は仮想接地)に結合される負の電源ノード320を含む。
【0037】
バッファ300は、入力ノード308に結合されたゲートと、出力ノード312に結合されたソースとを有する第1のNFET324を含む。また、バッファ300は、バッファ300の出力ノード312に結合されたソースを有する第2のNFET328を含む。第2のNFET328のゲートが、スーパーソースフォロワ330の出力ノードに結合される。バッファ300は、第1のPFET332、第2のPFET336、及び第3のPFET340を含み、第1のPFET332、第2のPFET336、及び第3のPFET340は、正の電源ノード304に結合されたソースを有する。また、第1のPFET332のゲート及び第1のPFET332のドレインが、ノード342で共に結合される。第1のPFET332のドレインは、第1のNFET324のドレインに結合される。第2のPFET336のゲート及び第3のPFET340のゲートもまた、ノード342に結合される。従って、第2のPFET336及び第3のPFET340は、第1のPFET332と共に電流ミラー内に配置される。
【0038】
第2のPFET336のドレインが、バッファ300の制御ノード316、スーパーソースフォロワ330の入力ノード、及び第1のバイアス電流源344に結合される。第1のバイアス電流源344はまた、負の電源ノード320にも結合される。また、第2のバイアス電流源348が、出力ノード312と負の電源ノード320との間に結合される。結合キャパシタ352、CGPASSが、第2のバイアス電流源348と並列に結合される。第3のPFET340のドレインが、スーパーソースフォロワ330の正の電源ノード356に結合される。動作において、バッファ300は、バッファ300VBUFFの出力電圧が入力電圧VXにノイズ除去信号VNOISE_REJを加えたものにほぼ等しくなるように構成される。従って、VBUFF-VX+VNOISE_REJである。
【0039】
図4は、
図3のスーパーソースフォロワ330として用いられ得るスーパーソースフォロワ400の回路図を示す。このように、同じ構造及び信号を示すために、同じ参照番号及び名称が
図3及び
図4で用いられる。スーパーソースフォロワ400は、制御ノード404及び出力ノード408を含む。制御ノード404は入力電圧VINを受け取り、出力ノード408は出力電圧VOUTを提供する。スーパーソースフォロワ400は、ドレイン電圧VDDに結合された正の電源ノード412と、電気的に中立なノード(例えば、接地又は仮想接地)に結合された負の電源ノード416とを含む。
【0040】
スーパーソースフォロワ400は、PFET420及びNFET424を含む。PFET420のソース及びNFET424のドレインが出力ノード408に結合される。また、第1の電流源432が正の電源ノード412に結合され、正の電源ノード412から出力ノード408に流れる第1の電流I1を提供する。また、NFET424のゲート及びPFET420のドレインがノード436に結合される。NFET424のソースが、スーパーソースフォロワ400の負の電源ノード416に結合される。更に、第2の電流源440がノード436と負の電源ノード416との間に結合される。
【0041】
動作において、スーパーソースフォロワ400は、スーパーソースフォロワ400の出力電圧VOUTが入力電圧VINにほぼ等しくなるように、バッファとして動作する。従って、
である。また、入力電圧VINはPFET420のゲートに提供されるので、スーパーソースフォロワ400は高い入力インピーダンス(例えば、1メガオーム以上)を有する。
【0042】
図2に戻って参照すると、リニア電圧レギュレータ200において、電力トランジスタ224はNFETとして実装される。また、バッファ212の出力電圧V
BUFFは、電力トランジスタ224のゲート(例えば、制御ノード)に結合されたノード228に提供される。電力トランジスタ224のドレイン(入力ノード)が、入力電圧VINに結合されたリニア電圧レギュレータ200の電圧入力232に結合され、電力トランジスタ224のソース(出力ノード)がリニア電圧レギュレータ200の電圧出力208に結合される。
【0043】
バッファ212の出力は、ドロップアウト検出モジュール240にも提供される。ドロップアウト検出モジュール240は、ノード228に結合された制御ノード242と、フィードフォワードモジュール220に結合された出力ノード246とを含む。ドロップアウト検出モジュール240はまた、入力電圧VINに結合される電圧入力232に結合された電力入力ノード248と、リニア電圧レギュレータ200に対する出力電圧VOUTを提供する電圧出力208に結合された電力出力ノード250とを含む。
【0044】
ドロップアウト検出モジュール240は、電圧源252と、第1のNFET254と、第2のNFET258とを含む。第1のNFET254は、代替的に、感知トランジスタ又は感知NFETと呼ばれ、第2のNFET258は、代替的に、ブーストトランジスタ又はブーストNFETと呼ばれる。ドロップアウト検出モジュール240の第1のNFET254は、電力トランジスタ224の縮小バージョンである。更に具体的には、電力トランジスタ224は、第1のNFET254のチャネルサイズよりも約3桁大きい(1000倍の)チャネルサイズを有する。第1のNFET254のゲートが、ドロップアウト検出モジュール240の制御ノード242に結合され、その結果、第1のNFET254のゲートは電力トランジスタ224のゲートにも結合される。また、第1のNFET254のソースが、ドロップアウト検出モジュール240の電力出力ノード250に結合され、第1のNFET254のドレインがドロップアウト検出モジュール240の出力ノード246に結合される。
【0045】
図5は、
図2のリニア電圧レギュレータ200等のリニア電圧レギュレータのためのドロップアウト検出モジュール500の回路図を示す。ドロップアウト検出モジュール500は、
図2のドロップアウト検出モジュール240を実装するために使用可能である。従って、同じ構造及び信号を示すために同じ参照番号及び名称が
図5及び
図4において用いられる。ドロップアウト検出モジュール500は、
図1の入力電圧VIN等の入力電圧VINに結合される電力入力ノード504を含む。ドロップアウト検出モジュール500はまた、電圧レギュレータの出力ノードに結合される電力出力ノード508も含み、その結果、出力電圧VOUTが電力出力ノード508に印加される。
【0046】
ドロップアウト検出モジュール500は、バッファ(例えば、
図2のバッファ212)の出力に結合される制御ノード512を含み、バッファ出力電圧V
BUFFが制御ノード512に印加される。ドロップアウト検出モジュール500は、PSRR信号V
PSRRを提供する出力ノード514を含む。ドロップアウト検出モジュール500は、第1のNFET516及び第2のNFET520を含む。第1のNFET516は、
図2のドロップアウト検出モジュール240の第1のNFET254を実装するために使用可能であり、第2のNFET520は、
図2のドロップアウト検出モジュール240の第2のNFET258を実装するために使用可能である。ドロップアウト検出モジュール500は、バイアス電流I
BIASを提供する電流源524と、抵抗器528とを含む。一例として、バイアス電流I
BIASは約8マイクロアンペア(μA)である。
【0047】
第1のNFET516のゲートが、制御ノード512に結合される。また、第1のNFET516のソースが電力出力ノード508に結合され、第1のNFET516のドレインがドロップアウト検出モジュール500の出力ノード514に結合される。電流源524は、電力入力ノード504に結合され、ノード532において第2のNFET520のゲートに結合される。抵抗器528もノード532に結合される。第2のNFET520のドレインが電力入力ノード504に結合される。電流源524は、抵抗器528の両端にデルタ電圧ΔVの電圧降下を誘導する。従って、第2のNFET520のゲートにおける電圧レベルは、第1のNFET516のゲートにおける電圧レベルよりも、デルタ電圧ΔVだけ大きい。従って、電流源524と抵抗器528の組み合わせは、
図2の電圧源252を提供する。
【0048】
図2に戻って参照すると、電圧源252は、第1のNFET254のゲートと第2のNFET258のゲートとの間のデルタ電圧ΔVに等しい電圧降下を提供する。従って、電圧源252の正の端子が第2のNFET258のゲートに結合され、電圧源252の負の端子が第1のNFET254のゲートとドロップアウト検出モジュール240の制御ノード242とに結合される。第2のNFET258のソースが、ドロップアウト検出モジュール240の出力ノード246に結合され、その結果、第2のNFET258のソースは第1のNFET254のドレインに結合される。第2のNFET258のドレインが、ドロップアウト検出モジュール240の電力入力ノード248に結合され、その結果、第2のNFET258のドレインは入力電圧VINに結合される。
【0049】
フィードフォワードモジュール220は、ドロップアウト検出モジュール240の出力ノード246に結合される制御ノード264と、バッファ212の制御ノード216に結合される出力ノード268とを含む。フィードフォワードモジュール220はまた、補助供給電圧VHVに結合される正の電源ノード272と、リニア電圧レギュレータ200の電気的に中立なノード(例えば、接地又は仮想接地)に結合される負の電源ノード274とを含む。
【0050】
フィードフォワードモジュール220は、第1の電流源276及び第2の電流源278、並びに第3のNFET280及び第4のNFET282を含む。第1の電流源276は、正の電源ノード272から第3のNFET280のドレイン及びゲートに流れるバイアス電流IBIASを提供し、その結果、第3のNFET280のドレイン及びゲートが共に結合される。第3のNFET280のソースが、フィードフォワードモジュール220の負の電源ノード274に結合される。第2の電流源278は、正の電源ノード272から第4のNFET282のドレインに流れるバイアス電流IBIASを提供する。第4のNFET282のソースが、フィードフォワードモジュール220の負の電源ノード274に結合される。一例として、IBIASは約8μAである。
【0051】
第3のNFET280及び第4のNFET282は電流ミラーとして接続され、その結果、第4のNFET282上のドレインの電流IBIASが第3のNFET280上のドレインの電流に等しくなる。第3のNFET280のゲートは、電源電圧変動除去比抵抗器284(RPSRR)の第1のノードに結合される。一例として、電源電圧変動除去比抵抗器284は、約2メガオーム(MΩ)の抵抗を有する。また、電源電圧変動除去比抵抗器284の第2のノードがノード286に結合される。ノード286は、第4のNFET282のゲート及び電源電圧変動除去比キャパシタ288(CPSRR)の第1のノードに結合される。一例として、電源電圧変動除去比キャパシタ288は、約20ピコファラッド(pF)の容量を有する。電源電圧変動除去比キャパシタ288の第2のノードが、フィードフォワードモジュール220の制御ノード264に結合される。
【0052】
動作において、バッファ212は、オペアンプ204によって出力される電圧信号VXに応答して、バッファ電圧信号VBUFFを出力する。バッファ電圧信号VBUFFに応答して、電力トランジスタ224は、バッファ電圧信号VBUFFの関数として変化する出力電圧VOUTを負荷202に提供する。リニア電圧レギュレータ100は、出力電圧VOUTが基準電圧VREFに対し上昇し過ぎる場合、バッファ電圧信号VBUFFが調整されて、電力トランジスタ120を制御して、一定の出力電圧VOUTを維持するように構成される。
【0053】
図示されるように、電力トランジスタ224のドレイン・ソース電圧VDSが、リニア電圧レギュレータ200の入力電圧VINから出力電圧VOUTを差し引いたもの(例えば、VDS=VIN-VOUT)に等しい。従って、入力電圧VINと出力電圧との間の差(VIN-VOUT)が閾値電圧VTHRESHに等しいかそれより大きい状況において、電力トランジスタ224は飽和領域で動作し、その結果、入力電圧VIN内に注入されたノイズがバッファ212によってフィルタリングされる。入力電圧VINから出力電圧VOUTを引いたもの(VIN-VOUT)は、電力トランジスタ224のドレイン・ソース電圧VDSに等しいので、幾つかの例において、閾値電圧VTHRESHは、電力トランジスタ224のオーバードライブ電圧Vovにほぼ等しい電圧レベルに設定される。
【0054】
入力電圧VINに注入されるノイズは、VIN_ACとして表される。出力電圧VOUTにおけるノイズは、VOUT_ACとして表される。電力トランジスタ224が飽和領域で動作する場合、VOUT_ACは、VIN_ACよりも少なくとも1桁小さい(1/10)。例えば、閾値電圧VTHRESHが1Vに等しく、電圧VOUTが入力電圧VINよりも少なくとも1V小さい場合、電力トランジスタ224は飽和領域で動作し、オペアンプ204、バッファ212、及び電力トランジスタ224は、入力電圧VINに存在するノイズVIN_ACをフィルタリングするために協調して動作する。また、電力トランジスタ224が飽和領域で動作する間隔の間、VPSRR_ACとして表されるPSRR信号VPSRRのノイズ成分は約0Vに低減される。具体的には、電力トランジスタ224が飽和領域で動作する場合、第1のNFET254と第2のNFET258の両方もまた飽和領域で動作し、それは、ドロップアウト検出モジュール240の出力ノード246におけるPSRR信号VPSRR(ノイズ成分VPSRR_ACを含む)を約0ボルトのレベルまで低下させる。従って、第1のNFET254と第2のNFET258が飽和領域で動作するこれらの間隔の間、PSRR信号VPSRRはデアサートされる。
【0055】
しかしながら、VIN-VOUTが閾値電圧VTHRESH、に近づく状況において、ドロップアウト検出モジュール240の電力トランジスタ224及び第1のNFET254は、負荷電流ILOADにおける増加に応答する等によって、飽和領域での動作から線形領域に遷移する。記載されたように、第1のNFET254は、電力トランジスタ224の縮小バージョンであり、第1のNFET254のゲートは、電力トランジスタ224のゲートに結合される。このように、電力トランジスタ224が飽和領域から線形領域に遷移するので、第1のNFET254もまた、飽和領域から線形領域に遷移する。また、ドロップアウト検出モジュール240は、実験的に判定され、閾値電圧VTHRESHより小さい(例えば、AV<VTHRESH)デルタ電圧ΔVを備えて構成される。デルタ電圧ΔVに起因して、第1のNFET254が飽和領域から線形領域に遷移するとき、第2のNFET258は、飽和領域のままである、従って、出力ノード246における電圧は、第1のNFET254が飽和領域から線形領域に遷移するにつれて増加する。このように、PSRR信号VPSRRは、ドロップアウト検出モジュール240の出力ノード246においてアサートされる。従って、ドロップアウト検出モジュール240の第2のNFET258及び第1のNFET254は、バッファ電圧信号VBUFFを検知するために協調して動作し、入力電圧VINの電圧レベルと電圧出力VOUTの電圧レベルとの間の電圧差が閾値電圧VTHRESH未満である場合、PSRR信号VPSRR(これはノイズ成分VPSRR_ACを含む)をアサートし、電力トランジスタ224を線形領域に遷移させる。この状況において、PSRR信号のノイズVPSRR_ACは、入力電圧におけるノイズVIN_ACの増幅されたバージョンである。言い換えると、ドロップアウト検出モジュール240は、VOUT-VIN<VTHRESHである場合、PSRR信号VPSRRをアサートする。また、ドロップアウト検出モジュール240は、電圧入力電圧VINの電圧レベルと電圧出力VOUTにおける電圧レベルとの差が閾値電圧VTHRESHに等しいかそれより大きく、電力トランジスタ224が飽和領域に遷移していることを示している場合、PSRR信号VPSRRをデアサートする。
【0056】
フィードフォワードモジュール220は、(アサートされた)PSRR信号VPSRRを受信し、電源電圧変動除去比キャパシタ288は、PSRR信号VPSRRの直流電流(DC)部分をブロックし、その結果、PSRR信号のノイズ成分VPSRR_ACがノード286に提供され、フィードフォワードモジュール220の第4のNFET282によって増幅される。特に、フィードフォワードモジュール220の出力ノード268に結合される第4のNFET282のドレインは、ノイズ除去信号VNOISE_REJ(代替的に、フィードフォワード信号と呼ばれる)を出力し、それは、PSRR信号VPSRR_ACの増幅され反転されたバージョンであり、それは、入力電圧におけるノイズVIN_ACの増幅されたバージョンである。逆に、PSRR信号VPSRRのデアサートに応答して、フィードフォワードモジュール220はノイズ除去信号VNOISE_REJをデアサートする。このようにして、ドロップアウト検出モジュール240及びフィードフォワードモジュール220は、PSRRブーストを選択的に提供するために協調して動作する。
【0057】
ノイズ除去信号VNOISE_REJの注入に応答して、バッファ212と電力トランジスタ224は、入力電圧VIN内のノイズをフィルタリングするために協調して動作する。より具体的には、ノイズ除去信号VNOISE_REJの注入は、入力電圧におけるノイズVIN_ACの反転バージョンをバッファ212の出力VBUFFに注入する。従って、入力電圧のノイズVIN_ACの反転バージョンは電力トランジスタ224のゲートを駆動する信号に含まれ、その結果、電力トランジスタ224は、線形領域における動作の間、入力電圧VINの増幅の間に、入力電圧からノイズ成分VIN_ACを相殺し、その結果、出力電圧のノイズVOUT_ACが削減される。
【0058】
従って、ドロップアウト検出モジュール240は、入力電圧VINと電圧出力VOUTとの間の電圧差が閾値電圧VTHRESH未満である時間間隔の間(例えば、VOUT-VIN<VTHRESHである時間間隔の間)、フィードフォワードモジュール220を選択的に活性化する。例えば、PSRR信号VPSRRは、負荷電流ILOADが入力電圧VINと出力電圧VOUTとの間の電圧差が閾値電圧VTHRESH未満になるレベルに増加する時間間隔の間にアサートされる。同様に、フィードフォワードモジュール220は、入力電圧VINと電圧出力VOUTとの間の電圧差が閾値電圧VTHRESHに等しいかそれより大きい時間間隔の間(例えば、VIN-VOUT>VTHRESHの時間間隔の間)非活性化される。このようにして、ドロップアウト電圧を低減するための代替的技法とは対照的に、リニア電圧レギュレータ200の電力効率を低下させることなく、リニア電圧レギュレータ200のドロップアウト電圧及び/又は電力トランジスタ224のサイズは縮小可能である。
【0059】
図6は、ノイズのデシベル(dB)単位の電圧利得Avを、式1を用いてヘルツ(Hz)単位の周波数の関数としたプロットを含むグラフ600を示す。グラフ600は、リニア電圧レギュレータ200を用いるPSRRブーストを用いた第1のプロットを含み、デルタ電圧ΔVが200ミリボルト(mV)に設定され、電力トランジスタ224に対してV
DSを定義するVIN-VOUTは400mVである。また、比較の目的で、グラフ600は、代替の電圧レギュレータ回路を用いる第2のプロットを含み、第2のプロットでは、
図2のドロップアウト検出モジュール240とフィードフォワードモジュール220は省かれ、その結果、リニア電圧レギュレータはPSRRブースト無しで動作する。グラフ600は、ノイズの利得(VOUT_AC/VIN_AC)をプロットするので、より低い利得Av(より負)は、リニア電圧レギュレータの性能の向上に対応する。
式1: Av=20 log(VOUT_AC/VIN_AC)
【0060】
図示されるように、リニア電圧レギュレータ200のドロップアウト検出モジュール240及びフィードフォワードモジュール220によって提供されるPSRRブーストは、約1kHz(103Hz)から約1MHz(106Hz)の周波数におけるノイズに対して増大されたPSRRを提供している。
【0061】
図7は、ノイズのデシベル(dB)単位の電圧利得Avを、式1を用いてヘルツ(Hz)単位の周波数の関数としてプロットするグラフ700を示す。グラフ700は、
図2のリニア電圧レギュレータ200に対するVIN-VOUTが低下すると、PSRRが増加することを示している。記載されたように、リニア電圧レギュレータ200において、VIN-VOUTはリニア電圧レギュレータ200の電力トランジスタ224に対するV
DSも定義する。グラフ700において、デルタ電圧ΔVは200mVに設定され、負荷電流I
LOADは5アンペア(A)に設定される。グラフ700の各々は、リニア電圧レギュレータ200を用いるPSRRブーストを備える第1のプロットと、代替の電圧レギュレータ回路を用いる第2のプロットとを含み、第2のプロットでは、
図2のドロップアウト検出モジュール240及びフィードフォワードモジュール220は省かれ、その結果、リニア電圧レギュレータはPSRRブースト無しで動作する。グラフ700は、1VのVIN-VOUTを備える第1のグラフ710及び500mVのVIN-VOUTを備える第2のグラフ720を含む。また、グラフ700は、400mVのVIN-VOUTを備える第3のグラフ730及び300mVのVIN-VOUTを備える第4のグラフ740を含む。
【0062】
図6のグラフ600及び
図7のグラフ700に図示されるように、リニア電圧レギュレータ200の電力トランジスタ224のV
DS(及びVIN-VOUT)が低下すると、電力トランジスタ224は、飽和領域から線形領域に遷移し、PSRRブーストは、リニア電圧レギュレータ200のドロップアウト検出モジュール240及びフィードフォワードモジュール220によって提供されるPSRRを増加させる。また、グラフ700の第1のグラフ710によって具体的に示されるように、電力トランジスタ224が飽和領域において動作する(例えば、電力トランジスタ224のV
DSが1V以上である)時間間隔の間、PSRRブーストはごくわずかな利益しか提供しない。従って、上述したように、ドロップアウト検出モジュール240は、電力効率の損失を回避するように、PSRR信号V
PSRRを選択的にアサート又はデアサートする。
【0063】
図8は、ノイズのデシベル(dB)単位の電圧利得Avを、式1を用いてヘルツ(Hz)単位の周波数の関数としてプロットしたグラフ800を示す。グラフ800は、
図2のリニア電圧レギュレータ200に対する出力電流I
LOADの範囲にわたってPSRRが増加することを示す。それは、入力電圧VINマイナス出力電圧VOUTマイナス(VIN-VOUT)であり、それはまた、電力トランジスタ224のV
DSを定義し、400mVにおいて一定のままである。グラフ700において、デルタ電圧ΔVは200mVに設定される。グラフ700の各々は、リニア電圧レギュレータ200を用いてPSRRブーストを備える第1のプロットと、代替の電圧レギュレータ回路を用いる第2のプロットとを含み、第2のプロットでは、
図2のドロップアウト検出モジュール240及びフィードフォワードモジュール220が省かれ、その結果、リニア電圧レギュレータはPSRRブースト無しで動作する。グラフ800は、0.2Aの出力電流I
LOADを備える第1のグラフ810と、1Aの出力電流I
LOADを備える第2のグラフ820とを含む。また、グラフ800は、5Aの出力電流I
LOADを備える第3のグラフ830を含む。グラフ800によって示されるように、PSRRブーストを備えるリニア電圧レギュレータ200の性能は、比較的幅広い範囲の出力電流I
LOADに対して向上する。
【0064】
図9は、
図1のリニア電圧レギュレータ100を実装するために使用可能なリニア電圧レギュレータ900の別の回路図を示す。リニア電圧レギュレータ900は、LDO等のリニア電圧レギュレータ回路を実装する。従って、リニア電圧レギュレータ900は、入力電圧VIN、基準電圧VREFを受け取り、出力電圧VOUTを負荷902と負荷902に並列な出力キャパシタ903(Cour)とに出力する。一例として、出力キャパシタ903は、約150ピコファラッド(pF)の容量を有する。出力電圧VOUTは、負荷902において負荷電流I
LOADを誘導する。リニア電圧レギュレータ900は、負荷電流I
LOADが時間の関数として変化し、入力電圧VINが、周波数スプリアス、電圧フリッカ等のノイズに遭遇する状況においても、出力電圧VOUTがほぼ一定のままであるように構成される。図示された例において、入力電圧VINは、リニア電圧レギュレータ900の構成要素に電力を供給し、その結果、リニア電圧レギュレータ900が単一の電圧源、即ち入力電圧VINを有する。
【0065】
リニア電圧レギュレータ900は、出力電圧VOUTからの入力電圧VINに存在する電源変動を抑制するためのリニア電圧レギュレータ900の能力を特徴付ける電源電圧変動除去比(PSRR)を有する。リニア電圧レギュレータ900は、オペアンプ904を含み、基準電圧VREFはオペアンプ904の反転入力に提供される。オペアンプ904の非反転入力が、リニア電圧レギュレータ900の電圧出力908に結合され、リニア電圧レギュレータ900の電圧出力908は出力電圧VOUTを提供する。また、オペアンプ904の出力VXがバッファ912の入力に提供される。バッファ912及びオペアンプ904は電源ノードを有し、電源ノードは、入力電圧VINに結合されるリニア電圧レギュレータ900に結合される電圧入力910に結合される。また、バッファ912は、フィードフォワードモジュール920からノイズ除去信号VNOISE_REJを受信する制御ノード916を含む。バッファ912は、出力電圧VBUFFを電力トランジスタ924に提供する。
【0066】
図10は、
図9のリニア電圧レギュレータ900等のリニア電圧レギュレータのためのバッファ1000の回路図を示す。バッファ1000は、
図9のバッファ912を実装するために使用可能である。従って、同じ構造及び信号を示すために同じ参照番号及び名称が
図9及び
図10において用いられる。バッファ1000は、入力電圧VINに結合される正の電源ノード1004を含む。バッファ1000は、
図9のオペアンプ904等のオペアンプから出力された電圧V
Xを受け取る入力ノード1008と、バッファ1000V
BUFFに対する出力信号を提供する出力ノード1012とを含む。バッファ1000は制御ノード1016も含み、制御ノード1016は
図9のフィードフォワードモジュール920からノイズ除去信号V
NOISE_REJを受信する。また、バッファ1000は、リニア電圧レギュレータの電気的に中立なノード(例えば、接地又は仮想接地)に結合される負の電源ノード1020を含む。電流源1022が、負の電源ノード1020と出力ノード1012との間に結合される。電流源1022によって、バイアス電流I
BIASが出力ノード1012から負の電源ノード1020に流れる。一例として、バイアス電流I
BIASは、約3マイクロアンペア(μA)である。
【0067】
バッファ1000は、入力ノード1008に結合されるゲートと、出力ノード1012に結合されるソースとを有するNFET1024を含む。NFET1024のドレインが、バッファ1000の制御ノード1016に結合される。また、バッファ1000は、正の電源ノード1004に結合されるソースを有するPFET1028を含む。PFET1028のゲートが制御ノード1016に結合され、PFET1028のドレインが、出力ノード1012に結合される。また、抵抗器1032 R
BUFFが、正の電源ノード1004と制御ノード1016との間に結合される。動作において、バッファ1000は、バッファ1000の出力電圧V
BUFFが入力電圧V
Xプラスノイズ除去信号V
NOISE_REJにほぼ等しくなるように構成される。従って、
である。
【0068】
図9に戻って参照すると、リニア電圧レギュレータ900において、電力トランジスタ924はPFETとして実装される。また、バッファ912の出力電圧V
BUFFは、電力トランジスタ924のゲート(制御ノード)に結合されるノード928に提供される。電力トランジスタ924のソース(入力ノード)が、入力電圧VINに結合される電圧入力910に結合され、電力トランジスタ924のドレイン(出力ノード)が、リニア電圧レギュレータ900の電圧出力908に結合される。
【0069】
バッファ912の出力は、ドロップアウト検出モジュール940にも提供される。ドロップアウト検出モジュール940は、ノード928に結合される制御ノード942と、フィードフォワードモジュール920に結合される出力ノード946とを含む。ドロップアウト検出モジュール940はまた、入力電圧VINに結合される電圧入力910に結合される電力入力ノード948と、リニア電圧レギュレータ900に対する出力電圧VOUTを提供する電圧出力908に結合される電力出力ノード950とを含む。
【0070】
ドロップアウト検出モジュール940は、電圧源952、第1のPFET954、及び第2のPFET958を含む。第1のPFET954は、代替的に感知トランジスタ又は感知PFETと呼ばれ、第2のPFET958は、代替的にブーストトランジスタ又はブーストPFETと呼ばれる。ドロップアウト検出モジュール940の第1のPFET954は、電力トランジスタ924の縮小バージョンである。より具体的には、電力トランジスタ924は、第1のPFET954のチャネルサイズよりも約3桁大きい(1000倍)チャネルサイズを有する。第1のPFET954のゲートがドロップアウト検出モジュール940の制御ノード942に結合され、その結果、第1のPFET954のゲートは電力トランジスタ924のゲートにも結合される。また、第1のPFET954のソースがドロップアウト検出モジュール940の電力入力ノード948に結合され、第1のPFET954のドレインがドロップアウト検出モジュール940の出力ノード946に結合される。
【0071】
電圧源952は、第1のPFET954のゲートと第2のPFET958のゲートとの間のデルタ電圧ΔVに等しい電圧降下を提供する。従って、電圧源952の正の端子が第1のPFET954のゲートと、ドロップアウト検出モジュール940の制御ノード942とに結合され、電圧源952の負の端子が、第2のPFET958のゲートに結合される。第2のPFET958のソースが、ドロップアウト検出モジュール940の出力ノード946に結合され、その結果、第2のPFET958のソースは第1のPFET954のドレインに結合される。第2のPFET958のドレインがドロップアウト検出モジュール940の電力出力ノード950に結合され、その結果、第2のPFET958のドレインは出力電圧VOUTに結合される。
【0072】
図11は、
図9のリニア電圧レギュレータ900等のリニア電圧レギュレータのためのドロップアウト検出モジュール1100の回路図を示す。ドロップアウト検出モジュール1100は、
図9のドロップアウト検出モジュール940を実装するために使用可能である。従って、同じ構造及び信号を示すために同じ参照番号及び名称が
図9及び
図11において用いられる。ドロップアウト検出モジュール1100は、
図1の入力電圧VIN等の入力電圧VINに結合される電力入力ノード1104を含む。ドロップアウト検出モジュール1100はまた、電圧レギュレータの出力ノードに結合される電力出力ノード1108も含み、その結果、リニア電圧レギュレータの出力電圧VOUTが電力出力ノード1108に印加される。
【0073】
ドロップアウト検出モジュール1100は、バッファ(例えば、
図9のバッファ912)の出力に結合される制御ノード1112を含み、その結果、バッファ出力電圧V
BUFFが制御ノード1112に印加される。ドロップアウト検出モジュール1100は、PSRR信号V
PSRRを提供する出力ノード1114を含む。ドロップアウト検出モジュール1100は、第1のPFET1116と第2のPFET1120とを含む。第1のPFET1116は、
図9のドロップアウト検出モジュール940の第1のPFET954を実装するために使用可能であり、第2のPFET1120は、
図9のドロップアウト検出モジュール940の第2のPFET958を実装するために使用可能である。ドロップアウト検出モジュール1100は、バイアス電流I
BIASを提供する電流源1124を含む。また、ドロップアウト検出モジュール1100は、第1のPFET1116のゲートと第2のPFET1120のゲートとの間に結合される抵抗器1128を含む。より具体的には、抵抗器1128の第1のノードが、第1のPFET1116のゲートに結合されるドロップアウト検出モジュール1100の制御ノード1112に結合される。抵抗器1128の第2のノードがノード1129に結合される。ノード1129は、電流源1124と第2のPFET1120のゲートとに結合される。電流源1124は、電気的に中立なノード1130(例えば、接地又は仮想接地)にも結合される。一例として、バイアス電流I
BIASは約3μAである。
【0074】
また、第1のPFET1116のソースが電力入力ノード1104に結合され、第1のPFET1116のドレインが、ドロップアウト検出モジュール1100の出力ノード1114に結合される。第2のPFET1120のソースが出力ノード1114に結合され、第2のPFET1120のドレインが、リニア電圧レギュレータの出力電圧VOUTを提供する電力出力ノード1108に結合される。電流源1124は、抵抗器1128の両端にデルタ電圧ΔVの電圧降下を誘導する。従って、第2のPFET1120のゲートの電圧レベルは、第1のPFET1116のゲートの電圧レベルよりもデルタ電圧ΔVだけ小さい。従って、電流源1124と抵抗器1128との組み合わせが、
図9の電圧源952を提供する。
【0075】
図9に戻って参照すると、フィードフォワードモジュール920は、ドロップアウト検出モジュール940の出力ノード946に結合される制御ノード964とバッファ912の制御ノード916に結合される出力ノード968とを含む。フィードフォワードモジュール920はまた、入力電圧VINに結合される電圧入力910に結合される正の電源ノード972と、リニア電圧レギュレータ900の電気的に中立なノード(例えば、接地又は仮想接地)に結合される負の電源ノード974とを含む。
【0076】
フィードフォワードモジュール920は、第1の電流源976及び第2の電流源978、並びに第3のPFET980及び第4のPFET982を含む。第1の電流源976は、第3のPFET980のドレイン及びゲートから負の電源ノード974に流れるバイアス電流IBIASを提供し、その結果、第3のPFET980のドレイン及びゲートが共に結合される。第3のPFET980のソースが、フィードフォワードモジュール920の正の電源ノード972に結合される。第2の電流源978は、正の電源ノード972から第4のPFET982のドレインに流れるバイアス電流IBIASを提供する。第4のPFET982のソースが、フィードフォワードモジュール920の負の電源ノード974に結合される。一例として、IBIASは約3μAである。
【0077】
第3のPFET980及び第4のPFET982は電流ミラーとして結合され、その結果、第4のPFET982のドレインの電流が、第3のPFET980に対するドレインの電流IBIASに等しい。第3のPFET980のゲートは、電源電圧変動除去比レジスタ984(RPSRR)の第1のノードに結合される。一例として、電源電圧変動除去比レジスタ984は約2メガオーム(MΩ)の抵抗を有する。また、電源電圧変動除去比レジスタ984の第2のノードがノード986に結合される。ノード986は、第4のPFET982のゲート及び電源電圧変動除去比キャパシタ988(CPSRR)の第1のノードに結合される。一例として、電源電圧変動除去比キャパシタ988は、約10ピコファラッド(pF)の容量を有する。電源電圧変動除去比キャパシタ988の第2のノードが、フィードフォワードモジュール920の制御ノード964に結合される。
【0078】
フィードフォワードモジュール920はまた、第1のNFET990及び第2のNFET992を含む。第1のNFET990のゲート及びドレインが共に第4のPFET982のドレインに結合される。また、第1のNFET990のソース及び第2のNFET992のソースが負の電源ノード974に結合される。また、第2のNFET992のゲートが第1のNFET990のゲートに結合され、その結果、第2のNFET992は、第1のNFET990とともに電流ミラー構造において配置される。
【0079】
第2の電流源978は、正の電源ノード972と第2のNFET992のドレインとに結合される。また、第2のNFET992のドレインはフィードフォワードモジュール920の出力ノード968に結合される。従って、第2の電流源978は、正の電源ノード972から出力ノード968と第2のNFET992のドレインとに電流を流す。
【0080】
動作において、バッファ912は、オペアンプ904によって出力された電圧信号VXに応答して、バッファ電圧信号VBUFFを出力する。バッファ電圧信号VBUFFに応答して、電力トランジスタ924は、出力電圧VOUTを、バッファ電圧信号VBUFF及び入力電圧VINの関数として変動する負荷902に提供する。リニア電圧レギュレータ900は、出力電圧VOUTが基準電圧VREFに比べて高すぎる場合、バッファ電圧信号VBUFFが調整されて、一定の出力電圧VOUTを維持するように電力トランジスタ120を制御するように構成される。
【0081】
図示されるように、電力トランジスタ924の、負のドレイン・ソース電圧-VDSは、リニア電圧レギュレータ900の入力電圧VINマイナス出力電圧VOUT(VIN-VOUT)に等しい。従って、入力電圧VINと出力電圧との間の差(VIN-VOUT)が閾値電圧VTHRESHに等しいかそれより大きい状況において、電力トランジスタ924は、飽和領域において動作し、その結果、入力電圧VINに注入されたノイズがバッファ112によってフィルタリングされる。従って、幾つかの例において、閾値電圧VTHRESHは、電力トランジスタ224のオーバードライブ電圧Vovにほぼ等しい電圧レベルに設定される。
【0082】
入力電圧VINに注入されたノイズは、VIN_ACとして表される。出力電圧VOUTにおけるノイズは、VOUT_ACとして表される。電力トランジスタ924が飽和領域において動作する場合、VOUT_ACは、VIN_ACよりも少なくとも1桁小さい(1/10)。例えば、閾値電圧VTHRESHが1Vに等しく、電圧VOUTが入力電圧VINよりも少なくとも1V小さい場合、電力トランジスタ924は、飽和領域において動作し、入力電圧VINに存在するノイズVIN_ACをフィルタリングする。また、電力トランジスタ224が飽和領域において動作する場合、第1のPFET954及び第2のPFET958の両方とも飽和領域において動作し、これによって、ドロップアウト検出モジュール940の出力ノード246におけるPSRR信号VPSRR(ノイズ成分VPSRR_ACを含む)を約0ボルトのレベルに低減する。従って、第1のPFET954及び第2のPFET958が飽和領域において動作するこれらの間隔の間、PSRR信号VPSRRはデアサートされる。
【0083】
しかしながら、VOUT-VIN(電力トランジスタ924の-VDS)が閾値電圧VTHRESHに近づく状況において、ドロップアウト検出モジュール940の電力トランジスタ924及び第1のPFET954は、負荷電流ILOADにおける増加に応答する等によって、飽和領域における動作から線形領域に遷移する。上述のように、第1のPFET954は電力トランジスタ924の縮小バージョンであり、第1のPFET954のゲートは、電力トランジスタ924のゲートに結合される。従って、電力トランジスタ924が飽和領域から線形領域に遷移すると、第1のPFET954も、飽和領域から線形領域に遷移する。第2のPFET958のゲートを、第1のPFET954のゲートよりもΔV低くするデルタ電圧ΔVに起因して、第1のPFET954が飽和領域から線形領域に遷移するときに、第2のPFET958は飽和領域のままである。従って、ドロップアウト検出モジュール940の出力ノード946における電圧は、第1のPFET954が飽和領域から線形領域に遷移するにつれて増加する。従って、PSRR信号VPSRRは、ドロップアウト検出モジュール940の出力ノード946においてアサートされる。従って、ドロップアウト検出モジュール940の第2のPFET958及び第1のPFET954は、バッファ電圧信号VBUFFを感知するために協調して動作し、入力電圧VESTの電圧レベルと電圧出力VOUTにおける電圧レベルとの電圧差が閾値電圧VTHRESH未満である場合、PSRR信号VPSRR(ノイズ成分VPSRR_ACを含む)をアサートして、電力トランジスタ924を線形領域に遷移させる。この状況において、PSRR信号VPSRR_ACのノイズは、入力電圧におけるノイズVIN_ACの増幅されたバージョンである。言い換えると、ドロップアウト検出モジュール940は、VIN-VOUT<VTHRESHの場合に、PSRR信号VPSRRをアサートする。また、ドロップアウト検出モジュール940は、電圧入力電圧VINの電圧レベルと電圧出力VOUTにおける電圧レベルとの間の電圧差が閾値電圧VTHRESHに等しいかそれより大きく、電力トランジスタ924が飽和領域に遷移していることを示している場合、PSRR信号VPSRRをデアサートする。
【0084】
フィードフォワードモジュール920は、PSRR信号VPSRRを受信し、電源電圧変動除去比キャパシタ988は、PSRR信号VPSRRの直流電流(DC)部分をブロックし、その結果、PSRR信号のノイズ成分VPSRR_ACがノード986に提供され、第4のPFET982によって増幅される。PSRR信号のノイズ成分VPSRR_ACの増幅されたバージョンは、第1のNFET990及び第2のNFET992によって形成された電流ミラーに提供され、フィードフォワードモジュール920の出力ノード968に結合される。ノイズ除去信号VNOISE_REJ(代替的にフィードフォワード信号と呼ばれる)は、PSRR信号の増幅され反転されたバージョンVPSRR_ACであり、それは、入力電圧のノイズVIN_ACの増幅されたバージョンである。逆に、PSRR信号VPSRRのデアサートに応答して、フィードフォワードモジュール920は、ノイズ除去信号VNOISE_REJをデアサートする。このように、ドロップアウト検出モジュール940及びフィードフォワードモジュール920は、協調して動作して、PSRRブーストを選択的に提供する。
【0085】
ノイズ除去信号VNOISE_REJの注入に応答して、バッファ912及び電力トランジスタ924は、協調して動作して、入力電圧VINからノイズをフィルタリングする。より具体的には、ノイズ除去信号VNOISE_REJの注入は、入力電圧におけるノイズVIN_ACの反転されたバージョンをバッファ912VBUFFの出力に注入する。従って、入力電圧のノイズVIN_ACの反転バージョンは電力トランジスタ924のゲートを駆動する信号の中に含まれ、その結果、線形領域の動作中の入力電圧VINの増幅の間、電力トランジスタ924は入力電圧からノイズ成分VIN_ACを相殺する。
【0086】
従って、ドロップアウト検出モジュール940は、入力電圧VINと電圧出力VOUTとの間の電圧差が閾値電圧VTHRESH未満である時間間隔の間(例えば、VIN-VOUT<VTHRESHである時間間隔の間)、フィードフォワードモジュール920を選択的に活性化する。例えば、PSRR信号VPSRRは、入力電圧VINと出力電圧VOUTとの間の電圧差を閾値電圧VTHRESH未満にするレベルまで負荷電流ILOADが増加する時間間隔の間にアサートされる。同様に、フィードフォワードモジュール920は、入力電圧VINと電圧出力VOUTとの間の電圧差がVTHRESHに等しいかそれより大きい時間間隔の間(例えば、VIN-VOUT>VTHRESHである時間間隔の間)、非活性化される。このようにして、ドロップアウト電圧を低減するための代替的技法とは対照的に、リニア電圧レギュレータ900の電力効率を低下させることなく、リニア電圧レギュレータ900のドロップアウト電圧及び/又は電力トランジスタ924のサイズが縮小可能である。
【0087】
電圧レギュレータ回路のPSRRを増加させる代替的な方法は、利用可能なヘッドルームを増加するためにレギュレータの電力効率を低減することを含む。そのような代替的な技法の代わりに、リニア電圧レギュレータ900は、ノイズ除去信号VNOISE_REJを選択的にアサートして、入力電圧VINに存在するノイズを相殺する。
【0088】
また、
図1のリニア電圧レギュレータ200とは対照的に、リニア電圧レギュレータ900は、PFETを電力トランジスタ924として用いる。NFETの代わりにPFETを電力トランジスタ924として用いることは、リニア電圧レギュレータ900の構成要素に電力を供給するための単一の電源、即ち入力電圧VINを可能にし、その代償として、類似の動作特性を備えるNFETに対して必要であるサイズよりも大きいサイズがPFETに対して必要である。
【0089】
図12は、ノイズのデシベル(dB)単位の電圧利得Avを、式1を用いてヘルツ(Hz)での周波数の関数としたプロットを含むグラフ1200を示す。グラフ1200は、リニア電圧レギュレータ200を用いるPSRRブーストを備える第1のプロットを含み、デルタ電圧ΔVは120ミリボルト(mV)に設定され、電力トランジスタ924に対して-V
DSを定義するVIN-VOUTは400mVである。また、負荷電流I
LOADは約1ミリアンペア(mA)であると仮定する。また、比較の目的で、グラフ1200は、代替的な電圧レギュレータ回路を用いる第2のプロットを含み、
図9のドロップアウト検出モジュール940及びフィードフォワードモジュール920は省かれ、その結果、リニア電圧レギュレータはPSRRブースト無しで動作する。グラフ1200は、ノイズの利得(VOUT_AC/VIN_AC)をプロットするので、より低い(より負の)利得Avはリニア電圧レギュレータの性能向上に対応する。
【0090】
図示されるように、リニア電圧レギュレータ900のドロップアウト検出モジュール940及びフィードフォワードモジュール920によって提供されるPSRRブーストは、約1.5kHz~約1.2MHzの周波数におけるノイズに対して増加したPSRRを提供する。従って、上述のように、ドロップアウト検出モジュール940は、PSRR信号VPSRRを選択的にアサート及びデアサートして電力効率の損失を回避する。
【0091】
図13は、リニア電圧レギュレータ1304のための例示の応用例を提供するシステム1300のブロック図を示す。リニア電圧レギュレータ1304は、LDO電圧レギュレータ回路であり、
図1のリニア電圧レギュレータ100、
図2のリニア電圧レギュレータ200、及び/又は
図9のリニア電圧レギュレータ900とともに実装される。リニア電圧レギュレータ1304は、入力電圧VINを受け取り、上述の様式で、出力電圧VOUTを提供する。また、リニア電圧レギュレータ1304は、基準電圧VREFを受け取る。リニア電圧レギュレータ1304は、出力電圧VOUT上に存在する電源生成位相ノイズ及びクロックジッタを制限する。従って、リニア電圧レギュレータ1304は、高性能シリアライザ及びデシリアライザ(SerDes)、アナログデジタル変換器(ADC)、デジタルアナログ変換器(DAC)、及び無線周波数(RF)構成要素を給電するために対して使用可能である。
【0092】
そのようなRF構成要素の一例として、システム1300は、同相直交(IQ)変調器1308及びIQ復調器1312を含む。IQ変調器1308及びIQ復調器1312は、正の電源ノードVCCにおけるリニア電圧レギュレータ1304によって提供される出力電圧VOUTから電源を供給される。しかしながら、システム1300は、そのような応用例の一例に過ぎない。出力電圧VOUT上に存在する電源生成位相ノイズ及びクロックジッタを制限するリニア電圧レギュレータ1304の使用から恩恵を受ける他の多くの応用例がある。
【0093】
特許請求の範囲内で、説明した実施例における改変が可能であり、他の実施例が可能である。
【国際調査報告】