(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】治療用pH応答性組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/02 20060101AFI20231109BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20231109BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20231109BHJP
A61K 38/21 20060101ALI20231109BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231109BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231109BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231109BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20231109BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20231109BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20231109BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20231109BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20231109BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20231109BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20231109BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20231109BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20231109BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20231109BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20231109BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231109BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231109BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20231109BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20231109BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20231109BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20231109BHJP
A61K 49/00 20060101ALI20231109BHJP
C08F 220/36 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
A61K38/02
A61K38/19
A61K38/20
A61K38/21
A61K39/395 D
A61P43/00 105
A61P35/00
A61P15/00
A61P1/02
A61P11/02
A61P11/04
A61P35/04
A61P11/00
A61P13/08
A61P13/10
A61P13/12
A61P13/02
A61P1/04
A61P25/00
A61P17/00
A61K9/107
A61K9/50
A61K47/32
A61K47/34
A61K49/00
C08F220/36
A61K39/395 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526535
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 US2021072215
(87)【国際公開番号】W WO2022099268
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522176078
【氏名又は名称】オンコナノ・メディスン・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ティアン
(72)【発明者】
【氏名】バラドワジ,ガウラブ
(72)【発明者】
【氏名】ディン,シンリャン
(72)【発明者】
【氏名】グタウスキー,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,ドルー
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル,アシュリー
(72)【発明者】
【氏名】スウ,チンタイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4J100
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076AA61
4C076CC01
4C076CC10
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC17
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4C084AA02
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4C084DA01
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4C084DA13
4C084DA14
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4C084DA16
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4C084DA21
4C084DA25
4C084MA05
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA341
4C084ZA591
4C084ZA661
4C084ZA671
4C084ZA811
4C084ZA891
4C084ZB211
4C084ZB261
4C085AA13
4C085AA14
4C085EE01
4C085EE05
4C085HH11
4C085KA27
4C085KB54
4C085LL18
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100AL08R
4J100AL08S
4J100BA08S
4J100BA29Q
4J100BA31P
4J100BA34R
4J100FA03
4J100FA19
4J100JA53
(57)【要約】
本明細書に記載されているのは、ブロックコポリマー及びがんの処置に有用な治療薬を含む治療的なpH応答性組成物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)式(III)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【化1】
(式中:
n
3は、10~200の整数であり;
x
3は、40~300の整数であり;
y
3は、0~6の整数であり;
z
3は、0~10の整数であり;
X
3は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
R
8及びR
9は、各々独立して、任意選択的に置換されているC
1~C
6アルキル、C
3~C
10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR
8及びR
9は、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各R
10は、独立して、水素又はICGである。)及び
(ii)ブロックコポリマーによってカプセル化された治療薬
を含むミセルであって、
前記治療薬が、蛍光色素にコンジュゲートされているタンパク質である、
ミセル。
【請求項2】
R
8及びR
9が、各々独立して、任意選択的に置換されているC
1~C
6アルキルである、請求項1に記載のミセル。
【請求項3】
R
8及びR
9が、各々独立して、-CH
2CH
3、-CH
2CH
2CH
3又は-CH
2CH
2CH
2CH
3である、請求項1又は2に記載のミセル。
【請求項4】
R
8及びR
9が、各々-CH
2CH
2CH
2CH
3である、請求項1~3のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項5】
R
8及びR
8が、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する、請求項1に記載のミセル。
【請求項6】
R
8及びR
9が一緒になって、-CH
2(CH
2)
2CH
2-、-CH
2(CH
2)
3CH
2-又は-CH
2(CH
2)
4CH
2-である、請求項1又は5に記載のミセル。
【請求項7】
x
3が、50~200、60~160、又は90~140の整数である、請求項1~6のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項8】
x
3が、90~140である、請求項7に記載のミセル。
【請求項9】
y
3が、1~6、1~5、1~4又は1~3の整数である、請求項1~8のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項10】
y
3が0である、請求項1~8のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項11】
z
3が、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4又は1~3の整数である、請求項1~10のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項12】
z
3が0である、請求項1~10のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項13】
n
3が、60~150又は100~140の整数である、請求項1~12のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項14】
n
3が、100~140である、請求項13に記載のミセル。
【請求項15】
X
3がハロゲンである、請求項1~14のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項16】
X
3が-Brである、請求項15に記載のミセル。
【請求項17】
タンパク質が、任意選択的にサイトカイン若しくはその断片である約5~約20KDaのタンパク質であり、又は任意選択的に工学操作された抗体である抗体若しくはその断片である、請求項1~16のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項18】
サイトカインが、インターロイキン(IL)、ケモカイン、インターフェロン、リンホカイン、モノカイン、コロニー刺激因子又は腫瘍壊死因子であり、任意選択的にIL-2、IL-1、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17若しくはIL-18タンパク質又はその断片である、請求項17に記載のミセル。
【請求項19】
抗体又はその断片が、二重特異性抗体若しくはその断片又は融合タンパク質であり、任意選択的に二特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)である、請求項17に記載のミセル。
【請求項20】
蛍光色素が、約400nm~約900nm、又は約400、450、500、550、600、650、700、750、800若しくは850nmの励起スペクトルを有し、任意選択的にクマリン、ローダミン、シアニン、キサンテン、フルオレセイン、又はそのスルホン化若しくは負に帯電した形態、又は
図22からの化合物である、請求項1~19のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項21】
(i)式(IV)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【化2】
(式中:
n
3は、10~200の整数であり;
x
3は、40~300の整数であり;
y
3は、0~6の整数であり;
z
3は、0~10の整数であり;
各R
10は、独立して、水素又はICGであり;
X
3は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHである。)及び
(ii)ブロックコポリマーによってカプセル化された治療薬
を含むミセルであって、
前記治療薬剤が、蛍光色素にコンジュゲートされているタンパク質である、
ミセル。
【請求項22】
x
3が、90~140である、請求項21に記載のミセル。
【請求項23】
y
3が0である、請求項21又は22に記載のミセル。
【請求項24】
z
3が0である、請求項21~23のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項25】
n
3が、100~140である、請求項21~24のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項26】
X
3がハロゲンである、請求項21~25のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項27】
治療薬が、サイトカイン若しくはその断片、又は工学操作された抗体若しくはその断片である、請求項21~26のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項28】
サイトカインが、IL-2又はその断片である、請求項27に記載のミセル。
【請求項29】
蛍光色素が、約400nm~約900nm、又は約400、450、500、550、600、650、700、750、800若しくは850nmの励起スペクトルを有し、任意選択的にクマリン、ローダミン、シアニン、キサンテン、フルオレセイン、又はそのスルホン化若しくは負に帯電した形態、又は
図22からの化合物である、請求項21~28のいずれか一項に記載のミセル。
【請求項30】
pH転移点及び発光スペクトルを有する、請求項1~29のいずれか一項に記載のpH応答性組成物。
【請求項31】
pH転移点が、4~8、6~7.5、又は4.5~5.5の間である、請求項30に記載のpH応答性組成物。
【請求項32】
0.25又は0.15未満のpH単位のpH応答を有する、請求項30又は31に記載のpH応答性組成物。
【請求項33】
発光スペクトルが、約700~約900nmである、請求項30~32のいずれか一項に記載のpH応答性組成物。
【請求項34】
請求項1~29のいずれか一項に記載のミセルの治療有効量を患者に投与することを含む、それを必要とする患者におけるがんを処置するための方法。
【請求項35】
がんが固形腫瘍である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
がんが、乳がん、頭頚部扁平細胞癌(NHSCC)、腹膜転移、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、腎臓がん、尿道がん、食道がん、結腸直腸がん、脳がん又は皮膚がんである、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
ミセル中への治療薬のカプセル化を増加させるための方法であって、治療薬を蛍光色素にコンジュゲートすることを含む、方法。
【請求項38】
コンジュゲートされている治療薬をブロックコポリマーに接触させてミセルを形成することをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
治療薬が、約5~約20KDaのタンパク質である、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
タンパク質が、サイトカイン又はその断片である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
サイトカインが、インターロイキン(IL)、ケモカイン、インターフェロン、リンホカイン、モノカイン、コロニー刺激因子又は腫瘍壊死因子である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
サイトカインが、IL-2、IL-1、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17若しくはIL-18タンパク質又はその断片である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
治療薬が、抗体又はその断片である、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項44】
抗体又はその断片が、二重特異性抗体又はその断片である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
二重特異性抗体又はその断片が、融合タンパク質である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
融合タンパク質が、二特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
蛍光色素が、約400nm~約900nmの励起スペクトルを有する、請求項37~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
蛍光色素が、約400、450、500、550、600、650、700、750、800若しくは850nmの励起スペクトルを有する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
蛍光色素が、クマリン、ローダミン、シアニン、キサンテン、フルオレセイン、又はそのスルホン化若しくは負に帯電した形態、又は
図22からの化合物である、請求項47又は48に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
この出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2020年11月3日に出願され、「治療用pH応答性組成物(THERAPEUTIC PH RESPONSIVE COMPOSITIONS)」と題される米国仮特許出願第63/109,200号に対して主張するものである。
【背景技術】
【0002】
多機能ナノ粒子は、バイオセンサー、診断用ナノプローブ及び標的化薬物送達系など広範囲の用途において注目を受けている。これらの努力は、様々な生理学系における薬剤送達の正確な時空間的制御を介する診断及び治療における副作用の低減とともに生物学的な特異性を改善する必要性によって大幅に推進されてきた。この目標を達成するため、努力は、刺激応答性ナノプラットフォームを開発することに向けられている。送達効率に照準を定めるために利用されている環境刺激としては、pH、温度、酵素発現、レドックス反応及び光誘発が挙げられる。これらの活性化シグナルの中で、pHトリガーは、2つの型のpH差異:(a)病的組織(例えば腫瘍)対正常組織、及び(b)酸性細胞内区画に基づく最も広範に研究された刺激の1つである。
【0003】
例えば、腫瘍細胞外微小環境(pH約6.5)の通常でない酸性度により、いくつかのpH応答性ナノ系は、腫瘍画像化の感受性又は治療の効力を増加させることが報告されている。しかしながら、酸性環境において加水分解によって薬物を放出するポリマーミセル組成物について、薬物の放出に数日かかることがある。その時間期間において、身体がミセルを排泄又は分解することがある。
【0004】
酸性エンド-/リソソーム区画を標的化するため、pH切断可能リンカーを有するナノベクターが、ペイロード生物学的利用能を改善するために調査されている。さらに、pH誘発電荷変換を有するいくつかのスマートナノベクターが、薬効性を増加させるように設計されている。エンドサイトーシス系は、内部移行されたカーゴの選別、加工及び劣化において特有の役割を有する一連の区画から構成されている。pH感受性ナノ粒子による異なるエンドサイトーシス区画の選択的な標的化は、短いナノ粒子残留時間(<分)及びこれらの区画における小さいpH差異(例えば、早期のエンドソームとリソソームとの間の<1pH単位)により、特に困難である。
【0005】
免疫療法は、がん処置にとって強力な戦略となってきている。インターロイキン-2(IL-2)などの免疫モジュレーターは、抗腫瘍性免疫応答を誘発し得るが、それらの臨床的な適用は、重篤な用量制限毒性(例えば、血管漏出症候群)を引き出すことがある好ましくない薬物動態学的特性によって制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
必要とされているものは、治療用途のための改善されたpH応答性ミセル組成物、特に、増加された薬物ペイロード、延長された血液循環時間、標的部位での薬物の急速な送達、及び特定の狭いpH範囲内の応答性(例えば、腫瘍又は特定の小器官の標的化のため)を有する組成物である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本明細書に記載されているブロックコポリマーは、原発性及び転移性腫瘍組織(リンパ節を含める)の処置に有用な治療薬である。本明細書において表されているブロックコポリマー及びミセル組成物は、がん性組織と正常組織との間のこのユビキタスなpH差異を利用し、細胞によって取り込まれた後に高感受性及び特異的応答を提供することによって、腫瘍組織への治療的ペイロードの配置を可能にする。
【0008】
一態様において、本明細書に記載されているのは、
(i)式(III)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0009】
【化1】
(式中:
n
3は、10~200の整数であり;
x
3は、40~300の整数であり;
y
3は、0~6の整数であり;
z
3は、0~10の整数であり;
X
3は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
R
8及びR
9は、各々独立して、任意選択的に置換されているC
1~C
6アルキル、C
3~C
10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR
8及びR
9は、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各R
10は、独立して、水素又はICGである。)及び
(ii)ブロックコポリマーによってカプセル化された治療薬
を含むミセルであって、治療薬が、蛍光色素にコンジュゲートされているタンパク質である、ミセルである。
【0010】
別の態様において、そこに表されているのは、
(i)式(IV)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0011】
【化2】
(式中:
n
3は、10~200の整数であり;
x
3は、40~300の整数であり;
y
3は、0~6の整数であり;
z
3は、0~10の整数であり;
各R
10は、独立して、水素又はICGであり;
X
3は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHである。)及び
(ii)ブロックコポリマーによってカプセル化された治療薬
を含むミセル組成物であって、治療薬が、蛍光色素にコンジュゲートされているタンパク質である、ミセル組成物である。
【0012】
一部の実施形態において、R
8及びR
9は、各々独立して、-CH
2CH
3、-CH
2CH
2CH
3又は-CH
2CH
2CH
2CH
3である。一部の実施形態において、R
8及びR
9は、各々独立して、-CH
2CH
2CH
2CH
3である。一部の実施形態において、R
10は水素である。一部の実施形態において、R
10はICGである。一部の実施形態において、x
3は、50~200、60~160又は90~140の整数である。一部の実施形態において、x
3は90~140である。一部の実施形態において、y
3は、1~6、1~5、1~4又は1~3の整数である。一部の実施形態において、y
3は0である。一部の実施形態において、z
3は、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4又は1~3の整数である。一部の実施形態において、z
3は0である。一部の実施形態において、n
3は、60~150又は100~140の整数である。一部の実施形態において、n
3は100~140である。一部の実施形態において、X
3はハロゲンである。一部の実施形態において、X
3は-Brである。一部の実施形態において、タンパク質は、任意選択的にサイトカイン若しくはその断片である約5~約20KDaのタンパク質であり、又は任意選択的に工学操作された抗体である抗体若しくはその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、インターロイキン(IL)、ケモカイン、インターフェロン、リンホカイン、モノカイン、コロニー刺激因子又は腫瘍壊死因子であり、任意選択的にIL-2、IL-1、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17若しくはIL-18タンパク質又はその断片である。一部の実施形態において、抗体又はその断片は、二重特異性抗体若しくはその断片又は融合タンパク質であり、任意選択的に二特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)である。一部の実施形態において、蛍光色素は、約400nm~約900nm、又は約400、450、500、550、600、650、700、750、800若しくは850nmの励起スペクトルを有し、任意選択的にクマリン、ローダミン、シアニン、キサンテン、フルオレセイン、又はそのスルホン化若しくは負に帯電した形態、又は
図22からの化合物である。
【0013】
別の態様は、本明細書に記載されている通りの治療薬を含むミセル組成物の有効量を投与することを含む、それを必要とする個体におけるがんを処置するための方法である。一部の実施形態において、がんは固形腫瘍である。一部の実施形態において、がんは固形腫瘍を含む。一部の実施形態において、腫瘍はがんの腫瘍であり、ここで、がんは、乳房、卵巣、前立腺、腹膜転移、結腸直腸、膀胱、腎臓、食道、頭頚部(HNSSC)、肺、脳又は皮膚(黒色腫及び肉腫を含める)のがんである。
【0014】
別の態様は、ミセル中への治療薬のカプセル化を増加させるための方法であって、治療薬を蛍光色素にコンジュゲートすることを含む方法である。一部の実施形態において、方法は、コンジュゲートされている治療薬をブロックコポリマーに接触させてミセルを形成することをさらに含む。一部の実施形態において、治療薬は、約5~約20KDaのタンパク質である。一部の実施形態において、タンパク質は、サイトカイン又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、インターロイキン(IL)、ケモカイン、インターフェロン、リンホカイン、モノカイン、コロニー刺激因子又は腫瘍壊死因子である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2、IL-1、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17若しくはIL-18タンパク質又はその断片である。一部の実施形態において、治療薬は、抗体又はその断片である。一部の実施形態において、抗体又はその断片は、二重特異性抗体又はその断片である。一部の実施形態において、二重特異性抗体又はその断片は、融合タンパク質である。一部の実施形態において、融合タンパク質は、二特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)である。一部の実施形態において、蛍光色素は、約400nm~約900nmの励起スペクトルを有する。一部の実施形態において、蛍光色素は、約400、450、500、550、600、650、700、750、800又は850nmの励起スペクトルを有する。一部の実施形態において、蛍光色素は、クマリン、ローダミン、シアニン、キサンテン、フルオレセイン、又はそのスルホン化若しくは負に帯電した形態、又は
図22からの化合物である。
【0015】
本明細書に記載されているブロックコポリマー、ミセル組成物及び方法の他の目的、特色及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、詳細な説明及び具体例は、特定の実施形態を示していると同時に、例示のためにのみ提示されているにすぎないと理解されるべきである。なぜなら、当開示の趣旨及び範疇内の様々な変形及び改変が、この詳細な説明から当業者に明らかになるからである。
【0016】
参考文献の援用
本明細書において記述されている全ての公報、特許及び特許出願は、各個々の公報、特許又は特許出願が、参照により組み込まれていると具体的に及び個々に示されているのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
本開示の様々な態様は、添付の請求項において詳細に説明されている。本開示の特色及び利点のより良好な理解は、本開示の原理が用いられる例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、及び下記の添付の図面への言及によって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ペイロード(例えばIL-2)のpH依存性放出を可能にする超pH感受性ナノ粒子プラットフォームの模式を示す図である。pH>pH
tである場合、ブロックコポリマーはナノ粒子として存在し;一旦pH<pH
tとなると、ナノ粒子はユニマーに分解し、それによって、カプセル化されたペイロードを放出する。
【
図2】単純混合によるミセル及び800CW IL-2を有する非共有結合性製剤のためのスキームを示す図である。
【
図3】PEG
n-PDBA
160ミセルを使用してIL-2(非修飾)とIL-2(800CW)の両方の製剤を調製することができることを示す図である。修飾IL-2(800CW)製剤は、IL-2製剤よりも良好なカプセル化効率を有する。(IL-2に対するドットブロットによって評価したときに、IL-2では11%であったのに対し、回収されたIL-2(800CW)の97%がミセル画分に付随していたことが見出された。)
【
図4】カプセル化製剤をrhIL-2(非修飾)と修飾IL-2(800CW)の両方の生物活性で示す図である。ミセルは、中性状態のIL-2(800CW)(黒い四角)では、IL-2(黒い逆三角)と比較して良好に保護されるが、製剤は両方とも、酸性化されると同様の生物活性を示す。ミセルは、IL-2とIL-2(800CW)の両方をpH応答的にカプセル化し、放出する。
【
図5】PEG5K-PLA16Kは、PEG-PDBAと比較して、IL-2(修飾又は非修飾)のカプセル化において効果的でないことを示す図である。800CW修飾は、IL-2の充填を増加させるために、本明細書に記載されているpH感受性ミセルと対にしなければならない。800CWで修飾されたときであっても、PEG-PLAのような非pH感受性ミセルは、IL-2を効果的にカプセル化することができない。
【
図6】IL-2又はIL-2(800CW)で作製された非pH感受性ミセル製剤からの、ミセルでカプセル化されたIL-2のピーク及び遊離IL-2のピークのクーマシー染色を示す図である。IL-2(800CW)のカプセル化においてPDBA>>PEG5K-PLA15Kであり、これはカプセル化されていない遊離IL-2プール中のIL-2(800CW)の割合が大きいことによって証明される。このことから、高イオン強度条件でPDBA IL-2(800CW)の製剤化を行うとカプセル化効率が減弱するのかを見ることによって、静電相互作用の重要性が確認される。非標識化IL-2と800CW標識化IL-2は両方とも、PEG-PLAナノ粒子中に約20%EE、2%DLで充填された。それと比較して、PDBAの場合は約80%EE、8%DLであった。
【
図7】Superdex 200カラムでのFPLCによる非共有結合性PDBAカプセル化IL-2(800CW)製剤の精製を示す図である。(上):非共有結合性製剤のFPLCクロマトグラム及び(下):FPLC画分のIL-2についてのドットブロットは、最小限の遊離IL-2を示す。
【
図8】FPLCの再注入後に精製された製剤から遊離IL-2(800CW)が漏出していないことから、IL-2(800CW)の充填が複合体中で安定であることを示す図である。(上パネル):FPLCクロマトグラム、右:FPLC画分のSDS-PAGE及び(下パネル):クーマシー染色。IL-2は、約15kDaで移動する。
【
図9】pH依存性IL-2放出特性を示す図である。(左パネル)酸性緩衝液トリガーIL-2ペイロード放出の定量的測定。(右パネル):DLSによって試験された酸性緩衝液条件下のナノ粒子のサイズ変化。
【
図10】IL-2(800CW)バイオアッセイにおける非共有結合性製剤の生物活性を示す図である。IL-2(800CW)をカプセル化するナノ粒子は、中性pHで生物活性を有効に減じる(白抜きの丸)。酸性化されると、IL-2(800CW)の生物活性は、野生型レベルの近くに戻る(灰色の三角)。
【
図11】PDBA-IL-2(800CW)非共有結合性製剤の生物活性の安定性を示す図である。PDBAミセルの生物活性を、バイオアッセイにおいて3カ月間にわたってIL-2(800CW)の生物活性について評価したところ、それは一貫したON/OFF特性及び一貫した生物活性を示した。
【
図12】ミセルカプセル化IL-2(800CW)製剤が、複数の保存条件において良好な保存性を示すことを示す図である。PDBAカプセル化IL-2(800CW)製剤は、示した条件で少なくとも3カ月間保存する間、サイズが安定である。
【
図13】PDBAカプセル化IL-2(800CW)製剤が、複数の保存条件において良好な保存性を示すことを示す図である。PDBA-IL-2(800CW)の安定性は、FPLCトレース及びドットブロット/ウエスタンブロットの定量化によって、ナノ粒子から漏出するIL-2(800CW)について評価した。(上パネル):PBS 4C試料についての代表的な一連のトレース(214nm)から、いかなる条件下でも、保存期間が長くなっても17mLの溶出量付近に予想される遊離IL-2(800CW)が存在しない一方で、ミセルのピークは形状又は溶出時間が変化しないことが示される。(下パネル):IL-2についての免疫ブロットの定量化から、いかなる保存条件下でも遊離タンパク質として溶出するIL-2(800CW)が<1%であることが示される。
【
図14A】IL-2(800CW)が、異なる化学構造を有するブロックコポリマーミセル中に非共有結合的にカプセル化され得ることを示す図である。PEPAミセルは、IL-2(800CW)を効果的に充填する。精製は、Superdex 200 increaseカラムが備えられているAkta Pureで行った。各画分のIL-2(800CW)含有量は、ウエスタンブロットによって確認した。
【
図14B】IL-2(800CW)が、異なる化学構造を有するブロックコポリマーミセル中に非共有結合的にカプセル化され得ることを示す図である。PDBA-ICGミセルは、IL-2(800CW)を効率的に充填する。精製は、Superdex 200 increaseカラムが備えられているAkta Pureで行った。各画分のIL-2(800CW)含有量は、ウエスタンブロットによって確認した。
【
図15】ICG-コンジュゲートPDBAミセルがIL-2(800CW)を有効に充填し、放出することができることを示す図である。PEG-PDBA-ICGは、生物学的に活性なIL-2(800CW)を有効にpH応答的に放出することができる(上のグラフ):オレンジ色の棒対青色の棒、右のグラフ 白抜きの丸対黒塗りの四角)。(下のグラフ):は、新鮮な製剤の特徴付けを示し、右のパネルは、PBS中4Cで約6カ月保存した後の粒子の特徴付けを示す。
【
図16】様々な非共有結合性製剤方法によってミセルにIL-2(800CW)を充填することができることを示す図である。充填は、酸/塩基滴定、単純混合、及び二重エマルジョン溶媒蒸発法によって行った。(左パネル):残余分画分中のIL-2(800CW)の充填は、スピンカラム精製後にSDS-PAGEによって確認した。検出は、800CWの蛍光によって、LI-COR pearlを使用して行った。(右パネル):様々な製剤方法でIL-2 800CWと製剤化されたPEG5K-PDBA160の代表的な試料のDLSでの特徴付け。
【
図17】様々なサイズのナノ粒子がIL-2(800CW)を効果的にカプセル化することを示す図である。CST抗IL-2Abクローン(D7A5)(1:4000希釈)及びLicor HRP-抗ウサギ二次(1:2000希釈)を用いた、IL-2についてのWB。
【
図18】PDBA非共有結合性製剤が、マウスにおいてIL-2を頭頚部同所性腫瘍に送達することを示す図である。
【
図19-1】PDBAカプセル化IL-2(800CW)が、複数の腫瘍モデルにおいてがん増殖を阻害することを示す図である。
【
図19-2】PDBAカプセル化IL-2(800CW)が、複数の腫瘍モデルにおいてがん増殖を阻害することを示す図である。
【
図20-1】PDBAカプセル化IL-2(800CW)が、動物においてがん増殖を阻害し、生存時間を延長することを示す図である。
【
図20-2】PDBAカプセル化IL-2(800CW)が、動物においてがん増殖を阻害し、生存時間を延長することを示す図である。
【
図21】PDBAミセルが、800CWで修飾された二重特異性抗体(BiTE)を成功裏にカプセル化したことを示す図である。
【
図23】IL-2のAlexa(登録商標)488/515/647又はTME修飾が、pH感受性ミセルでの充填を増加させることができることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において提供されているのは、治療薬にコンジュゲートされているブロックコポリマーである。他の実施形態において、本明細書において提供されているのは、治療薬を含むミセル組成物である。
【0020】
I.ブロックコポリマー及びミセル組成物
ミセル
本明細書に記載されている1つ以上のブロックコポリマーは、pH感受性ミセル組成物を形成するために使用することができる。一部の実施形態において、組成物は、単一型のミセルを含む。一部の実施形態において、2つ以上の異なる型のミセルは、混合ミセル組成物を形成するために組み合わせることができる。一部の実施形態において、ミセルは、治療薬に共有結合的にコンジュゲートされているブロックコポリマーを含む。一部の実施形態において、ミセルは、治療薬を非共有結合的にカプセル化する1つ以上のブロックコポリマーを含む。
【0021】
一態様において、本明細書において表されているのは、
(i)式(III)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0022】
【化3】
(式中:
n
3は、10~200の整数であり;
x
3は、40~300の整数であり;
y
3は、0~6の整数であり;
z
3は、0~10の整数であり;
X
3は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
R
8及びR
9は、各々独立して、任意選択的に置換されているC
1~C
6アルキル、C
3~C
10シクロアルキル若しくはアリールである;
又はR
8及びR
9は、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各R
10は、独立して、水素又はICGである。)及び
(ii)ブロックコポリマーによってカプセル化された治療薬
を含むミセルであって、治療薬が、蛍光色素にコンジュゲートされているタンパク質である、ミセルである。
【0023】
ミセルの一部の実施形態において、式(III)のブロックコポリマーは、式(III-c)の構造、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物を有する:
【0024】
【0025】
一部の実施形態において、R8及びR9は、同じ基である。一部の実施形態において、R8及びR9は、異なる基である。
【0026】
一部の実施形態において、各R8及びR9は、独立して、任意選択的に置換されているC1~C6アルキルである。一部の実施形態において、アルキルは、直鎖又は分枝アルキルである。一部の実施形態において、アルキルは直鎖アルキルである。一部の実施形態において、各R8及びR9は、独立して、-CH2CH3、-CH2CH2CH3又は-CH2CH2CH2CH3である。一部の実施形態において、各R8及びR9は、-CH2CH2CH2CH3である。一部の実施形態において、各R8及びR9は、独立して、任意選択的に置換されているC3~C10シクロアルキル又はアリールである。一部の実施形態において、各R8及びR9は、独立して、任意選択的に置換されているシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。一部の実施形態において、各R8及びR9は、独立して、任意選択的に置換されているフェニルである。
【0027】
一部の実施形態において、R8及びR8は、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する。一部の実施形態において、R8及びR9は一緒になって、-CH2(CH2)2CH2-、-CH2(CH2)3CH2-又は-CH2(CH2)4CH2-である。一部の実施形態において、R8及びR9は一緒になって、-CH2(CH2)4CH2-である。
【0028】
一部の実施形態において、R10は水素である。一部の実施形態において、R10はICGである。
【0029】
治療薬は、当技術分野において公知の方法を使用してミセルに組み込むことができる。一部の実施形態において、治療薬はタンパク質である。一部の実施形態において、タンパク質は、任意選択的にサイトカイン若しくはその断片である約5~約20KDaのタンパク質であり、又は任意選択的に工学操作された抗体である抗体若しくはその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、インターロイキン(IL)、ケモカイン、インターフェロン、リンホカイン、モノカイン、コロニー刺激因子又は腫瘍壊死因子であり、任意選択的にIL-2、IL-1、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17若しくはIL-18タンパク質又はその断片である。一部の実施形態において、抗体又はその断片は、二重特異性抗体若しくはその断片又は融合タンパク質であり、任意選択的に二特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)である。
【0030】
別の態様において、そこに表されているのは、
(i)式(IV)のブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0031】
【化5】
(式中:
n
3は、10~200の整数であり;
x
3は、40~300の整数であり;
y
3は、0~6の整数であり;
z
3は、0~10の整数であり;
各R
10は、独立して、水素又はICGであり;
X
3は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHである。)及び
(ii)ブロックコポリマーによってカプセル化された治療薬
を含むミセルであって、
治療薬が、蛍光色素にコンジュゲートされているタンパク質である、
ミセルである。
【0032】
別の態様では、本明細書に表されているのは、
(i)式(III)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0033】
【化6】
(式中:
n
3は、10~200の整数であり;
x
3は、40~300の整数であり;
y
3は、0~6の整数であり;
z
3は、0~10の整数であり;
X
3は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
R
8及びR
9は、各々独立して、任意選択的に置換されているC
1~C
6アルキル、C
3~C
10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR
8及びR
9は、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各R
10は、独立して、水素又はICGである。)及び
(ii)式(I)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0034】
【化7】
(式中:
n1は、10~200の整数であり;
x1は、40~300の整数であり;
y1は、0~6の整数であり;
z1は、0~10の整数であり;
X1は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
R1及びR2は、各々独立して、任意選択的に置換されているC1~C6アルキル、C3~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR1及びR2は、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各R3は、独立して、水素、アシル又はICGであり;
L1は、結合若しくは-C(O)-、又は任意選択的に置換されているC1~C10リンカー若しくはPEGリンカーであり、ここで、各々は、マレイミド残基で任意選択的に置換されており;
Yは、治療薬である。)又は
(ii)式(II)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0035】
【化8】
(式中:
n2は、2~200の整数であり;
x2は、40~300の整数であり;
y2は、0~6の整数であり;
X2は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
R5及びR6は、各々独立して、任意選択的に置換されているC1~C6アルキル、C3~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR5及びR6は、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各R7は、独立して、水素、アシル又はICGであり;
Z1は、-NH-又は-O-であり;
Z2は、-NH-、-O-又は置換トリアゾールであり;
L2は、結合若しくは-C(O)-、又は任意選択的に置換されているC1~C10リンカー若しくはPEGリンカーであり、ここで、各々は、マレイミド残基で任意選択的に置換されており;
Yは、治療薬である。)
を含む、ミセルである。
【0036】
別の態様は、
(i)式(III)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0037】
【化9】
(式中:
n3は、10~200の整数であり;
x3は、40~300の整数であり;
y3は、0~6の整数であり;
z3は、0~10の整数であり;
X3は、ハロゲン、-OH又はC(O)OHであり;
R8及びR9は、各々独立して、任意選択的に置換されているC1~C6アルキル、C3~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR8及びR9は、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各R10は、独立して、水素又はICGである。);
(ii)式(I)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0038】
【化10】
(式中:
n1は、10~200の整数であり;
x1は、40~300の整数であり;
y1は、0~6の整数であり;
z1は、0~10の整数であり;
X1は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
R1及びR2は、各々独立して、任意選択的に置換されているC1~C6アルキル、C3~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR1及びR2は、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各R3は、独立して、水素、アシル又はICGであり;
L1は、結合若しくは-C(O)-、又は任意選択的に置換されているC1~C10アルキレンリンカー若しくはPEGリンカーであり、ここで、各々は、マレイミド残基で任意選択的に置換されており;
Yは、治療薬である。)及び
(iii)式(II)の構造を有するブロックコポリマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物:
【0039】
【化11】
(式中:
n2は、2~200の整数であり;
x2は、40~300の整数であり;
y2は、0~6の整数であり;
X2は、ハロゲン、-OH又は-C(O)OHであり;
R5及びR6は、各々独立して、任意選択的に置換されているC1~C6アルキル、C3~C10シクロアルキル若しくはアリールであるか;
又はR5及びR6は、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成し;
各R7は、独立して、水素、アシル又はICGであり;
Z1は、-NH-又は-O-であり;
Z2は、-NH-、-O-又は置換トリアゾール残基であり;
L2は、結合若しくは-C(O)-、又は任意選択的に置換されているC1~C10アルキレンリンカー若しくはPEGリンカーであり、ここで、各々は、マレイミド残基で任意選択的に置換されており;
Yは、治療薬である。)
を含むミセルである。
【0040】
式(I)の一部の実施形態において、R1及びR2は、同じ基である。一部の実施形態において、R1及びR2は、異なる基である。
【0041】
一部の実施形態において、各R1及びR2は、独立して、任意選択的に置換されているC1~C6アルキルである。一部の実施形態において、アルキルは、直鎖又は分枝アルキルである。一部の実施形態において、アルキルは直鎖アルキルである。一部の実施形態において、各R1及びR2は、独立して、-CH2CH3、-CH2CH2CH3又は-CH2CH2CH2CH3である。一部の実施形態において、各R1及びR2は、-CH2CH2CH2CH3である。
【0042】
一部の実施形態において、各R1及びR2は、各々独立して、任意選択的に置換されているC3~C10シクロアルキル又はアリールである。一部の実施形態において、各R1及びR2は、独立して、任意選択的に置換されているシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。一部の実施形態において、各R1及びR2は、独立して、任意選択的に置換されているフェニルである。
【0043】
一部の実施形態において、R1及びR2は、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する。一部の実施形態において、R1及びR2は一緒になって、-CH2(CH2)2CH2-、-CH2(CH2)3CH2-又は-CH2(CH2)4CH2-である。一部の実施形態において、R1及びR2は一緒になって、-CH2(CH2)4CH2-である。
【0044】
一部の実施形態において、各R3は、独立して、アシル又はICGである。一部の実施形態において、各R3は、独立して、アシルである。一部の実施形態において、各R3は、独立して、ICGである。一部の実施形態において、各R3は、独立して、水素である。
【0045】
一部の実施形態において、L1は、ブロックコポリマーに及び治療薬に結合できる任意選択的に置換されている二官能性リンカーである。一部の実施形態において、L1は、マレイミド残基で任意選択的に置換されている、任意選択的に置換されているC1~C10アルキレンリンカーである。一部の実施形態において、L1は、マレイミド残基で任意選択的に置換されている、任意選択的に置換されているPEGリンカーである。
【0046】
一部の実施形態において、L1は、
【0047】
【化12】
(式中、m
1は、2~20の整数又はその中の任意の整数である。)
である。
【0048】
一部の実施形態において、式(I)のブロックコポリマーは、式(I-a)の構造、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を有する:
【0049】
【化13】
(式中:
m
1は、2~200の整数であり;
Aは、マレイミド残基で任意選択的に置換されている、結合又は-C(O)-である。)
式(I)又は(I-a)のブロックコポリマーの一部の実施形態において、m
1は、2~20の整数又はその中の任意の整数である。式(I)又は(I-a)のブロックコポリマーの一部の実施形態において、m
1は、2~5、6~9、10~14若しくは15~20の整数、又はその中の任意の整数である。
【0050】
式(I)又は(I-a)のブロックコポリマーの一部の実施形態において、Aは結合である。一部の実施形態において、Aは、マレイミド残基で任意選択的に置換されている-C(O)-である。
【0051】
一部の実施形態において、式(I)のブロックコポリマーは、式(I-c)の構造、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物を有する:
【0052】
【0053】
式(II)の一部の実施形態において、R5及びR6は、同じ基である。一部の実施形態において、R5及びR6は、異なる基である。
【0054】
一部の実施形態において、各R5及びR6は、独立して、任意選択的に置換されているC1~C6アルキルである。一部の実施形態において、アルキルは、直鎖又は分枝アルキルである。一部の実施形態において、アルキルは直鎖アルキルである。一部の実施形態において、各R5及びR6は、独立して、-CH2CH3、-CH2CH2CH3又は-CH2CH2CH2CH3である。一部の実施形態において、各R5及びR6は、-CH2CH2CH2CH3である。
【0055】
一部の実施形態において、各R5及びR6は、独立して、任意選択的に置換されているC3~C10シクロアルキル又はアリールである。一部の実施形態において、各R5及びR6は、独立して、任意選択的に置換されているシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。一部の実施形態において、各R5及びR6は、独立して、任意選択的に置換されているフェニルである。
【0056】
一部の実施形態において、R5及びR6は、それらが結合している対応する窒素と一緒になって、任意選択的に置換されている5~7員環を形成する。一部の実施形態において、R5及びR6は一緒になって、-CH2(CH2)2CH2-、-CH2(CH2)3CH2-又は-CH2(CH2)4CH2-である。
【0057】
一部の実施形態において、各R7は、独立して、アシル又はICGである。一部の実施形態において、各R7は、独立して、アシルである。一部の実施形態において、各R7は、独立して、ICGである。一部の実施形態において、各R7は、独立して、水素である。
【0058】
一部の実施形態において、Z1は-O-である。一部の実施形態において、Z1は-NH-である。
【0059】
一部の実施形態において、Z2は、-NH-又は-O-である。一部の実施形態において、Z2は-O-である。一部の実施形態において、Z2は-NH-である。一部の実施形態において、Z2は置換トリアゾールである。
【0060】
一部の実施形態において、L2は、ブロックコポリマーに及び治療薬に結合できる任意選択的に置換されている二官能性リンカーである。一部の実施形態において、L2は、マレイミド残基で任意選択的に置換されている、任意選択的に置換されているC1~C10アルキレンリンカーである。一部の実施形態において、L2は、マレイミド残基で任意選択的に置換されている、任意選択的に置換されているPEGリンカーである。一部の実施形態において、L2は、
【0061】
【化15】
(式中、m
2は、2~200である。)
である。
【0062】
一部の実施形態において、式(II)のブロックコポリマーは、式(II-a)の構造、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を有する:
【0063】
【化16】
(式中:
m
2は、2~200であり;
Aは、マレイミド残基で任意選択的に置換されている、結合又は-C(O)-である。)
式(II)又は(II-a)のブロックコポリマーの一部の実施形態において、m
2は、2~20の整数である。式(II)又は(II-a)のブロックコポリマーの一部の実施形態において、m
2は、2~5、6~9、10~14若しくは15~20の整数、又はその中の任意の整数である。
【0064】
式(II)又は(II-a)のブロックコポリマーの一部の実施形態において、Aは結合である。一部の実施形態において、Aは、マレイミド残基で任意選択的に置換されている-C(O)-である。
【0065】
一部の実施形態において、式(II)のブロックコポリマーは、式(II-c)の構造、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物を有する:
【0066】
【0067】
一部の実施形態において、式(II)のブロックコポリマーは、式(II-a2)の構造、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を有する:
【0068】
【0069】
一部の実施形態において、タンパク質は、任意選択的にサイトカイン若しくはその断片である約5~約20KDaのタンパク質であり、又は任意選択的に工学操作された抗体である抗体若しくはその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、インターロイキン(IL)、ケモカイン、インターフェロン、リンホカイン、モノカイン、コロニー刺激因子又は腫瘍壊死因子であり、任意選択的にIL-2、IL-1、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17若しくはIL-18タンパク質又はその断片である。一部の実施形態において、抗体又はその断片は、二重特異性抗体若しくはその断片又は融合タンパク質であり、任意選択的に二特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)である。
【0070】
ブロックコポリマー
一部の実施形態において、ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマーである。一部の実施形態において、ブロックコポリマーは、親水性ポリマーセグメント及び疎水性ポリマーセグメントを含む。一部の実施形態において、親水性ポリマーセグメントは、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)を含む。一部の実施形態において、親水性ポリマーセグメントは、サイズが約2kD~約10kDである。一部の実施形態において、親水性ポリマーセグメントは、サイズが約2kD~約5kDである。一部の実施形態において、親水性ポリマーセグメントは、サイズが約3kD~約8kDである。一部の実施形態において、親水性ポリマーセグメントは、サイズが約4kD~約6kDである。一部の実施形態において、親水性ポリマーセグメントは、サイズが約5kDである。
【0071】
一部の実施形態において、各n1、n2及びn3は、独立して、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、25~30、30~35、35~40、40~45、45~50、50~55、55~60、60~65、65~70、70~75、75~80、80~85、85~90、90~95、95~99、100~109、110~119、120~129、130~139、140~149、150~159、160~169、170~179、180~189、190~199の整数又はその中で誘導可能な任意の範囲である。一部の実施形態において、各n1、n2及びn3は、独立して、60~150、100~140又は110~120の整数である。一部の実施形態において、各n1、n2及びn3は、独立して、100~140である。
【0072】
一部の実施形態において、ブロックコポリマーは、疎水性ポリマーセグメントを含む。一部の実施形態において、疎水性ポリマーセグメントは、第3級アミンを含む。一部の実施形態において、疎水性ポリマーセグメントは、以下から選択される:
【0073】
【化19】
(式中、xは、合計で約40~300である。)。
【0074】
一部の実施形態において、疎水性セグメントは、ジブチルアミンを含む。一部の実施形態において、疎水性セグメントは、
【0075】
【0076】
一部の実施形態において、各x1、x2及びx3は、独立して、整数1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、25~30、30~35、35~40、40~45、45~50、50~55、55~60、60~65、65~70、70~75、75~80、80~85、85~90、90~95、95~99、100~109、110~119、120~129、130~139、140~149、150~159、160~169、170~179、180~189、190~199又はその中で誘導可能な任意の範囲である。一部の実施形態において、各x1、x2及びx3は、独立して、50~200、60~160又は90~140の整数である。一部の実施形態において、各x1、x2及びx3は、独立して、90~140である。
【0077】
一部の実施形態において、各y1、y2及びy3は、独立して、1~6、1~5、1~4若しくは1~3の整数、又はその中で誘導可能な任意の範囲である。一部の実施形態において、各y1、y2及びy3は、独立して、1、2、3、4、5又は6である。一部の実施形態において、各Y1、y2及びy3は、独立して、0である。
【0078】
一部の実施形態において、各z1及びz2は、独立して、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4若しくは1~3の整数、又はその中で誘導可能な任意の範囲である。一部の実施形態において、各z1及びz2は、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である。一部の実施形態において、各z1及びz2は、独立して、0である。
【0079】
「r」という用語は、異なるブロックコポリマー単位/セグメント(例えば、x1、y1及びz1によって表される)の間の接続を示す。一部の実施形態において、各rは、独立して、該単位/セグメントの炭素原子を接続する結合、又はnが1~10であるアルキル基-(CH2)n-である。一部の実施形態において、コポリマーブロックセグメント/単位(例えば、x1、y1及びz1によって表される)は、任意の順序、配列又は立体配置で生じ得る。一部の実施形態において、コポリマーブロック単位は、式(I)、(I-a)、(I-c)、(II)、(II-a)、(II-c)、(III)又は(IV)に記載されている通りに順次に生じる。
【0080】
一部の実施形態において、各m1及びm2は、独立して、2~200の整数である。一部の実施形態において、各m1及びm2は、独立して、2~20の整数である。
【0081】
一部の実施形態において、各X1、X2及びX3は、末端基である。一部の実施形態において、末端キャッピング基は、原子移動ラジカル重合(ATRP)反応の生成物である。例えば、末端キャッピング基は、原子移動ラジカル重合(ATRP)が使用される場合、-Brなどのハロゲンであり得る。一部の実施形態において、各X1、X2及びX3は、独立して、Brである。一部の実施形態において、各X1、X2及びX3は、独立して、-OHである。一部の実施形態において、各X1、X2及びX3は、独立して、酸である。一部の実施形態において、各X1、X2及びX3は、独立して、-C(O)OHである。一部の実施形態において、各X1、X2及びX3は、独立して、Hである。該端部基は、任意選択的に、適切な部分との重合に続いてさらに修飾されていてよい。
【0082】
一部の実施形態において、リンカーL1及びL2は、ブロックコポリマー及び治療薬と反応する基を有する二官能性リンカーである。一部の実施形態において、リンカーは、マレイミド-PEG-NHS、NHS-カーボネート(N-ヒドロキシスクシンイミドカーボネート)、SPDB(N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート)、又はCDI(カルボニルジイミダゾール)において使用される構成成分である。
【0083】
一部の実施形態において、リンカーは、治療薬にコンジュゲートされている。一部の実施形態において、リンカーは、治療薬に共有結合的にコンジュゲートされている。当技術分野において公知の方法は、治療薬を、例えば、疎水性ポリマーセグメントにコンジュゲートするために使用することができる。
【0084】
一部の実施形態において、ブロックコポリマーは、アミンを介してコンジュゲートされている蛍光色素を含む。一部の実施形態において、蛍光色素は、シアニン色素又はその誘導体である。一部の実施形態において、蛍光色素は、インドシアニングリーン(ICG)又はその誘導体である。インドシアニングリーン(ICG)は、医療診断において使用される。一部の実施形態において、ICG誘導体の構造は、以下である:
【0085】
【0086】
一態様において、本明細書に記載されている化合物は、薬学的に許容される塩の形態である。同様に、同じ型の活性を有するこれらの化合物の活性代謝物は、本開示の範疇に含まれる。加えて、本明細書に記載されている化合物は、非溶媒和形態、並びに薬学的に許容される溶媒、例えば、水、エタノールなどを用いる溶媒和形態で存在することができる。本明細書において表されている化合物の溶媒和形態は、その上、本明細書において開示されていると考えられる。
【0087】
治療薬
一部の実施形態において、治療薬はタンパク質である。一部の実施形態において、タンパク質は、任意選択的にサイトカイン若しくはその断片である約5~約20KDaのタンパク質であり、又は任意選択的に工学操作された抗体である抗体若しくはその断片である。一部の実施形態において、治療薬は、サイトカイン若しくはその断片、又は工学操作された抗体断片である。
【0088】
一部の実施形態において、治療薬は、サイトカイン又はその断片である。サイトカインは、細胞シグナリングにおいて重要である広い及び緩いカテゴリーの小さいタンパク質である。サイトカインはペプチドであり、細胞の脂質二重層を横切って細胞質に進入することができない。サイトカインは、免疫モジュレート剤として自己分泌、傍分泌及び内分泌シグナル伝達に関与することが示された。インターロイキン-2(IL-2)は、免疫系におけるサイトカインシグナル伝達分子の型、インターロイキンである。それは、免疫を担う白血球細胞の活性を調節する15.5~16kDaのタンパク質である。インターロイキン-15(IL-15)は、インターロイキン-2との構造上の相似点を有するサイトカインである。IL-2のように、IL-15は、IL-2/IL-15受容体ベータ鎖及び共通ガンマ鎖で構成された複合体に結合し、それを介してシグナル伝達する。IL-15は、ウイルスによる感染に続いて単核貪食細胞によって分泌される。インターロイキン-21は、ウイルス感染された細胞又はがん性細胞を破壊するナチュラルキラー細胞及び細胞毒性T細胞を含めて、免疫系の細胞に対して強力な調節効果を有するサイトカインである。インターロイキン12(IL-12)は、抗原刺激に応答して樹状細胞、マクロファージ、好中球、及びヒトB-リンパ芽球様細胞(NC-37)によって天然に産生されるインターロイキンである。一部の実施形態において、サイトカインは、インターロイキン(IL)、ケモカイン、インターフェロン、リンホカイン、モノカイン、コロニー刺激因子又は腫瘍壊死因子であり、任意選択的にIL-2、IL-1、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17若しくはIL-18タンパク質又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2、IL-21、IL-12若しくはIL-15又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2、IL-12若しくはIL-15又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-15又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-12又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、Fab又はその断片である。
【0089】
インターフェロン(IFN)は、病原体を根絶するのを助ける免疫系の保護的防御をトリガーする細胞間のコミュニケーションのために使用される分子である、サイトカインとして公知のタンパク質のクラスに属するシグナル伝達タンパク質のグループである。一部の実施形態において、サイトカインは、インターフェロンα、インターフェロンβ若しくはインターフェロンγ又はその断片である。
【0090】
コロニー刺激因子2としても公知の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子は、サイトカインとして機能する、マクロファージ、T細胞、肥満細胞、ナチュラルキラー細胞、内皮細胞及び線維芽細胞によって分泌されるモノマー性糖タンパク質である。一部の実施形態において、サイトカインは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子GM-CSFである。
【0091】
一部の実施形態において、治療薬は、工学操作された抗体断片である。一部の実施形態において、工学操作された抗体断片は、二特異性T細胞エンゲージャーである。二特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)は、抗がん薬としての使用について調査されている人工的な二特異性モノクローナル抗体のクラスである。それらは、がん細胞に対して、宿主の免疫系、より具体的にはT細胞の細胞毒性活性を指向する。一部の実施形態において、抗体又はその断片は、二重特異性抗体若しくはその断片又は融合タンパク質であり、任意選択的に二特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)である。
【0092】
タンパク質の修飾
ある特定の実施形態において、治療薬は、蛍光色素にコンジュゲートされている。一部の実施形態において、治療薬は、ブロックコポリマーによってカプセル化される前に蛍光色素にコンジュゲートされる。
【0093】
一部の実施形態において、蛍光色素は、約400nm~約900nm、又は約400、450、500、550、600、650、700、750、800若しくは850nmの励起スペクトルを有する。
【0094】
一部の実施形態において、蛍光色素は、クマリン、ローダミン、シアニン、キサンテン、フルオレセイン、又はそのスルホン化若しくは負に帯電した形態、又は
図22からの化合物である。
【0095】
一部の実施形態において、蛍光色素は、800CW、Alexa Fluor(登録商標)514、Alexa Fluor(登録商標)488、又はAlexa Fluor(登録商標)647である。一部の実施形態において、蛍光色素は800CWである。一部の実施形態において、蛍光色素は、
図22からの化合物である。
【0096】
一部の実施形態において、蛍光色素は、以下である:
【0097】
【0098】
ミセル組成物
一部の実施形態において、ミセルは、様々なユニマーからのブロックコポリマー構成成分の1つ以上の異なる型を含む。一部の実施形態において、ミセルは、(i)式(III)のブロックコポリマー及び(ii)式(I)又は式(II)のブロックコポリマーを含む。一部の実施形態において、ミセルは、構成成分(i)対(ii)を1:99~99:1の比;又はその中の任意の比で含む。一部の実施形態において、ミセルは、構成成分(i)及び(ii)を1:99、10:90、20:80、30:70、40:50又は50:50の比で含む。一部の実施形態において、ミセルは、構成成分(i)及び(ii)を1:1の比で含む。
【0099】
一部の実施形態において、ミセルは、1:99の式(III)のブロックコポリマー対式(I)のブロックコポリマーを含む。一部の実施形態において、ミセルは、99:1の式(III)のブロックコポリマー対式(I)のブロックコポリマーを含む。一部の実施形態において、ミセルは、1:99の式(III)のブロックコポリマー対式(II)のブロックコポリマーを含む。一部の実施形態において、ミセルは、99:1の式(III)のブロックコポリマー対式(II)のブロックコポリマーを含む。
【0100】
一部の実施形態において、ミセルは、(i)式(III)のブロックコポリマー;(ii)式(I)のブロックコポリマー;及び(iii)式(II)のブロックコポリマーを含む。一部の実施形態において、ミセルは、均等部の構成成分(i)、(ii)及び(iii)を含む。一部の実施形態において、ミセルは、不均等部の構成成分(i)、(ii)及び(iii)を含む。
【0101】
一部の実施形態において、各異なる型のブロックコポリマーは、異なる治療薬にコンジュゲートされている。一部の実施形態において、各異なる型のブロックコポリマーは、同じ治療薬にコンジュゲートされている。
【0102】
別の態様において、本明細書において表されているのは、以下を含むミセルである:(i)式(III)のブロックコポリマー;(ii)式(I)のブロックコポリマー及び/又は式(II)のブロックコポリマー;並びに(iii)該ブロックコポリマーによって非共有結合的にカプセル化された治療薬。一部の実施形態において、治療薬は、ミセル内に非共有結合的にカプセル化されている。
【0103】
がん治療におけるミセルの使用は、ミセルのサイズにより部分的に、抗腫瘍効力を増強するとともに健常組織に対する毒性を低減することができる。ある特定の化学療法剤などの小分子が正常及び腫瘍組織の両方に進入することができる一方で、非標的化ミセルナノ粒子は、優先的に、漏出性腫瘍脈管構造を横切ることができる。ミセルのサイズは、典型的に、ナノメートルスケールである(すなわち、直径が約1nm~1μmの間)。一部の実施形態において、ミセルは、約10~約200nmのサイズを有する。一部の実施形態において、ミセルは、約20~約100nmのサイズを有する。一部の実施形態において、ミセルは、約30~約50nmのサイズを有する。一部の実施形態において、ミセルは、約1μm未満の直径を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約100nm未満の直径を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約50nm未満の直径を有する。
【0104】
pH応答性組成物
別の態様において、本明細書において表されているのは、pH応答性組成物である。本明細書において開示されているpH応答性組成物は、ブロックコポリマー及び治療薬を含む1つ以上のpH応答性ミセル及び/又はナノ粒子を含む。各ブロックコポリマーは、親水性ポリマーセグメント及び疎水性ポリマーセグメントを含み、ここで、疎水性ポリマーセグメントは、pH感受性にするイオン化可能なアミン基を含む。このpH感受性は、薬物-コンジュゲート治療薬として適当な組成物を提供するために利用される。
【0105】
該ミセルは、特定の細胞又は微小環境を標的化するために生理学範囲内で異なるpH転移値を有することができる。一部の実施形態において、ミセルは、約5~約8、又はその中の任意の値のpH転移値を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約5~約6のpH転移値を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約6~約7のpH転移値を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約7~約8のpH転移値を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約6.3~約6.9のpH転移値を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約5.0~約6.2のpH転移値を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約5.9~約6.2のpH転移値を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約5.0~約5.5のpH転移値を有する。一部の実施形態において、pH転移点は、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4又は5.5である。一部の実施形態において、pH転移点は、約4.8である。一部の実施形態において、pH転移点は、約4.9である。一部の実施形態において、pH転移点は、約5.0である。一部の実施形態において、pH転移点は、約5.1である。一部の実施形態において、pH転移点は、約5.2である。一部の実施形態において、pH転移点は、約5.3である。一部の実施形態において、pH転移点は、約5.4である。一部の実施形態において、pH転移点は、約5.5である。
【0106】
本開示のpH感受性ミセル組成物は、有利には、pH応答が非常に広い(すなわち、2pH単位)他のpH感受性組成物と対照的に、狭いpH転移範囲を有することができる。一部の実施形態において、ミセルは、約1未満のpH単位のpH転移範囲を有する。各種実施形態において、ミセルは、約0.9未満、約0.8未満、約0.7未満、約0.6未満、約0.5未満、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、約0.1未満のpH単位のpH転移範囲を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約0.5未満のpH単位のpH転移範囲を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約0.25未満のpH単位のpH転移範囲を有する。狭いpH転移範囲は、有利なことに、pHのわずかな変化でフルオロフォアの完全な作動をもたらすことができる、より鋭いpH応答を提供する。
【0107】
一部の実施形態において、pH応答性組成物は、発光スペクトルを有する。一部の実施形態において、発光スペクトルは、600~800nmである。一部の実施形態において、発光スペクトルは、700~800nmである。
【0108】
II.使用の方法
がん細胞がグルコースを優先的に取り込み、それを乳酸又は他の酸に変換するワールブルク効果として公知の好気性解糖が、全ての固体がんにおいて生じる。乳酸又は他の酸は、モノカルボキシレート輸送体又は他の輸送体により細胞外空間に優先的に蓄積する。細胞外空間の結果として得られた酸性化は、さらなる腫瘍侵襲及び転移のために細胞外マトリックスのリモデリングを促進する。
【0109】
本明細書において提供されている一部の実施形態は、生理的pH(7.35~7.45)でミセルを形成する化合物を記載している。一部の実施形態において、本明細書に記載されている化合物は、治療薬に共有結合的に又は非共有結合的にコンジュゲートされている。一部の実施形態において、ミセルは、2×107ダルトンよりも大きい分子量を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約2.7×107ダルトンの分子量を有する。一部の実施形態において、治療薬は、生理的pH(7.35~7.45)でミセルコア内に捕捉される(例えば、血液循環中)。一部の実施形態において、ミセルが酸性環境(例えば、腫瘍組織)に遭遇する場合、ミセルは、約3.7×104ダルトンの平均分子量を有する個々の化合物に解離し、治療薬の放出を可能にする。一部の実施形態において、ミセルは、pH転移点より低いpH(例えば、腫瘍微小環境の酸性状態)で解離する。
【0110】
一部の実施形態において、治療薬は、ミセルの内部に組み込むことができる。特定のpH条件(例えば、腫瘍及びエンドサイトーシス区画中にみられる酸性pH)は、急速なプロトン化及びユニマーへのミセルの解離に至り、それによって、治療薬(例えば、薬物)を放出することができる。一部の実施形態において、ミセルは、生理学的pH(pH7.4)で安定な薬物カプセル化を提供するが、酸性環境において薬物を迅速に放出することができる。
【0111】
一部の例において、本明細書に記載されているpH感受性ミセル組成物は、狭いpH転移範囲を有する。一部の実施形態において、本明細書に記載されているミセルは、1未満のpH単位のpH転移範囲(ΔpH10~90%)を有する。各種実施形態において、ミセルは、約0.9未満、約0.8未満、約0.7、未満約0.6未満、約0.5未満、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、約0.1未満のpH単位のpH転移範囲を有する。一部の実施形態において、ミセルは、約0.5未満のpH単位のpH転移範囲を有する。一部の実施形態において、pH転移範囲は、0.25未満のpH単位である。一部の実施形態において、pH転移範囲は、0.15未満のpH単位である。この鋭い転移点は、ミセルが腫瘍微小環境の酸pHで解離するのを可能にする。
【0112】
これらのミセルは、薬物送達剤として使用することができる。薬物を含むミセルは、例えばがん、又は薬物が局在化pH差異(例えば、生理学的pH(7.4)と異なるpH)により適切な位置に送達され得る他の疾患を処置するために使用することができる。一部の実施形態において、処置される障害は、がんである。一部の実施形態において、がんは、固形腫瘍を含む。一部の実施形態において、腫瘍は、原発腫瘍(単数以上)の転移からの続発性腫瘍である。一部の実施形態において、薬物送達は、リンパ節に又は腹膜若しくは胸膜表面に対するものであり得る。
【0113】
一部の実施形態におけるのは、本明細書において開示されているブロックコポリマー、ミセル又は組成物のいずれかの治療有効量を対象に投与することを含む、それを必要とする対象においてがんを処置する方法である。
【0114】
一部の実施形態において、がんは、癌、肉腫、リンパ腫、白血病、黒色腫、中皮腫、多発性骨髄腫又は精上皮腫である。
【0115】
一部の実施形態において、腫瘍は、がんである。一部の実施形態において、がんは、乳がん、頭頸部扁平細胞癌(NHSCC)、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、腎臓がん、尿道がん、食道がん、結腸直腸がん、腹膜転移、又は脳、皮膚(黒色腫及び肉腫を含める)である。一部の実施形態において、がんは、乳がん、頭頸部扁平細胞癌(NHSCC)、食道がん、腎がん又は結腸直腸がんである。一部の実施形態において、がんは、乳がんである。一部の実施形態において、がんは、頭頸部扁平細胞癌(NHSCC)である。一部の実施形態において、がんは、食道がんである。一部の実施形態において、がんは、結腸直腸がんである。
【0116】
一部の実施形態において、がんは固形腫瘍である。
【0117】
一部の実施形態において、腫瘍は、約5%、約10%、約15%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%又は約90%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約50%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約60%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約70%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約75%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約80%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約85%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約90%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約95%低減される。一部の実施形態において、腫瘍は、約99%低減される。
【0118】
一部の実施形態において、がんは、固形腫瘍ではない。
【0119】
投薬の方法及び処置レジメン
本開示の医薬組成物は、投与の意図される方法又は経路と適合性のあるように製剤化することができ;例証的な投与経路は、本明細書において説明されている。一部の実施形態において、本明細書において開示されている医薬組成物は、経口、静脈内(IV)、筋肉内、皮下、腫瘍内又は皮内注射による投薬又は投与のための形態である。一部の実施形態において、医薬組成物は、経口、筋肉内、皮下又は静脈内投与のために製剤化される。一部の実施形態において、医薬組成物は、静脈内投与のために製剤化される。一部の実施形態において、医薬組成物は、静脈内(IV)投与のための水溶液又は懸濁液として製剤化される。一部の実施形態において、医薬組成物は、単一用量として投与するために製剤化される。一部の実施形態において、本明細書において開示されている医薬組成物は、IVによってボーラスとして投与するために製剤化される。一部の実施形態において、本明細書において開示されている医薬組成物は、腫瘍中への注射によって投与するために製剤化される。
【0120】
一部の実施形態において、本明細書において開示されている化合物を含有する組成物は、予防的及び/又は治療的処置のために投与される。ある特定の治療用途において、組成物は、疾患又は状態をすでに患う患者に、疾患又は状態の症状の少なくとも1つを治癒する又は少なくとも部分的に停止するのに十分な量で投与される。この使用に有効な量は、疾患又は状態の重症度及び過程、前の治療、患者の健康状態、体重及び薬物への応答、並びに処置する医師の判断に依存する。治療有効量は、任意選択的に、以下に限定されないが用量漸増臨床試験を含めた方法によって決定される。
【0121】
典型的な投与量は、1用量当たり約0.001mg~約100mg/kgを範囲とする。一部の実施形態において、用量範囲は、約0.01mg~約50mg/kgである。一部の実施形態において、用量のさらなる範囲は、1用量当たり約0.05mg~約10mg/kgである。一部の実施形態において、用量は、約50mg/kgである。一部の実施形態において、用量は、約100mg/kgである。正確な投与量は、投与の頻度及びモード、処置される対象の性別、年齢、体重及び全般的な健康、処置される状態の性質及び重症度及び処置される任意の付随疾患、並びに当業者に明らかな他の因子に依存する。
【0122】
ある特定の実施形態において、投与されている組成物の用量は、一時的に低減する又は時間のある特定の長さの間一時的に中止する(すなわち、「休薬日」)ことができる。
【0123】
一部の実施形態において、方法は、組成物を1回投与することを含む。一部の実施形態において、方法は、組成物を2回以上投与することを含む。一部の実施形態において、組成物は、1日当たり1回投与される。
【0124】
一部の実施形態において、対象は、哺乳動物である。一部の実施形態において、対象はヒトである。
【0125】
組合せ治療
別の態様において、本明細書において開示されている組成物は、1つ以上の追加の治療とともに投与される。一部の実施形態において、方法は、第2の抗がん治療をさらに含む。一部の実施形態において、第2の抗がん治療は、外科手術、化学療法、放射線治療、遺伝子治療又は免疫療法である。一部の実施形態において、第2の抗がん治療は、免疫療法である。一部の実施形態において、免疫療法は、チェックポイント治療である。一部の実施形態において、第2の抗がん治療は、放射線治療である。一部の実施形態において、第2の治療は、外科手術である。
【0126】
III.カプセル化の方法
別の態様において、本明細書に記載されているのは、ミセル中への治療薬のカプセル化を増加させるための方法であって、治療薬を蛍光色素にコンジュゲートすることを含む方法である。
【0127】
一部の実施形態において、方法は、コンジュゲートされている治療薬をブロックコポリマーに接触させてミセルを形成することをさらに含む。
【0128】
一部の実施形態において、治療薬は、約5~約20KDaのタンパク質である。
【0129】
一部の実施形態において、タンパク質は、サイトカイン又はその断片である。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2、IL-1、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17若しくはIL-18タンパク質又はその断片である。
【0130】
一部の実施形態において、治療薬は、抗体又はその断片である。一部の実施形態において、抗体又はその断片は、二重特異性抗体又はその断片である。一部の実施形態において、二重特異性抗体又はその断片は、融合タンパク質である。一部の実施形態において、融合タンパク質は、二特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)である。
【0131】
一部の実施形態において、蛍光色素は、約400nm~約900nmの励起スペクトルを有する。一部の実施形態において、蛍光色素は、約400、450、500、550、600、650、700、750、800又は850nmの励起スペクトルを有する。
【0132】
一部の実施形態において、蛍光色素は、クマリン、ローダミン、シアニン、キサンテン、フルオレセイン、又はそのスルホン化若しくは負に帯電した形態、又は
図22からの化合物である。
【0133】
定義
以下の記載において、様々な実施形態の徹底的な理解を提供するために、ある特定の具体的な詳細が説明される。しかしながら、当業者は、本発明がこれらの詳細なく実践することができることを理解されよう。他の例において、周知の構造は、実施形態の不必要に不明瞭な記載を回避するために、示されていない又は詳細に記載されていない。文脈が別段に必要としない限り、以下に続く本明細書及び請求項の全体にわたって、「含む(comprise)」という単語及びその変動、例えば、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」は、オープンな包含的な意味で、すなわち、「以下に限定されないが、を含めて」として解釈されるべきである。さらに、本明細書において提供されている見出しは、便宜だけのためであり、請求項に係る発明の範疇又は意味を解釈するものでない。
【0134】
本明細書及び添付の請求項において使用されている場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、内容が別段に明らかに指示していない限り、複数の参照対象を含む。「又は」という用語は、内容が別段に明らかに指示していない限り、「及び/又は」を含めたそれの意味で一般に用いられることも注記されるべきである。
【0135】
下記の用語は、本明細書で使用される場合、別段に表示されていない限り以下の意味を有する:
「オキソ」は、=O置換基を指す。
【0136】
「チオキソ」は、=S置換基を指す。
【0137】
「アルキル」は、1~20個の炭素原子を有するとともに単結合によって分子の残りに結合している直鎖又は分岐の炭化水素鎖基を指す。最大10個までの炭素原子を含むアルキルは、C1~C10アルキルと称され、同様に、例えば、最大6個までの炭素原子を含むアルキルは、C1~C6アルキルである。他の数の炭素原子を含むアルキル(及び本明細書において定義されている他の部分)は、同様に表される。アルキル基としては、以下に限定されないが、C1~C10アルキル、C1~C9アルキル、C1~C8アルキル、C1~C7アルキル、C1~C6アルキル、C1~C5アルキル、C1~C4アルキル、C1~C3アルキル、C1~C2アルキル、C2~C8アルキル、C3~C8アルキル及びC4~C8アルキルが挙げられる。代表的なアルキル基としては、以下に限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(i-プロピル)、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、1-エチル-プロピルなどが挙げられる。一部の実施形態において、アルキルは、メチル、エチル、s-ブチル又は1-エチル-プロピルである。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、アルキル基は、下に記載されている通り任意選択的に置換されていてよい。「アルキレン」又は「アルキレン鎖」は、分子の残りをラジカル基に連結する直鎖又は分岐の二価の炭化水素鎖を指す。一部の実施形態において、アルキレンは、-CH2-、-CH2CH2-又は-CH2CH2CH2-である。一部の実施形態において、アルキレンは、-CH2-である。一部の実施形態において、アルキレンは、-CH2CH2-である。一部の実施形態において、アルキレンは、-CH2CH2CH2-である。
【0138】
「アルコキシ」は、Rが定義されている通りのアルキル基である式-ORの基を指す。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、アルコキシ基は、下に記載されている通り任意選択的に置換されていてよい。代表的なアルコキシ基としては、以下に限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシが挙げられる。一部の実施形態において、アルコキシはメトキシである。一部の実施形態において、アルコキシはエトキシである。
【0139】
「ヘテロアルキレン」は、アルキルの1個以上の炭素原子がO、N又はS原子と置き換えられる上に記載されている通りのアルキル基を指す。「ヘテロアルキレン」又は「ヘテロアルキレン鎖」は、分子の残りをラジカル基に連結する直鎖又は分岐の二価のヘテロアルキル鎖を指す。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、ヘテロアルキル基又はヘテロアルキレン基は、下に記載されている通り任意選択的に置換されていてよい。代表的なヘテロアルキル基としては、以下に限定されないが、-OCH2OMe、-OCH2CH2OMe又は-OCH2CH2OCH2CH2NH2が挙げられる。代表的なヘテロアルキレン基としては、以下に限定されないが-OCH2CH2O-、-OCH2CH2OCH2CH2O-又は-OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2O-が挙げられる。
【0140】
「アルキルアミノ」は、各Rが独立して、上記で定義されている通りのアルキル基である式-NHR又は-NRRの基を指す。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、アルキルアミノ基は、下に記載されている通り任意選択的に置換されていてよい。
【0141】
「芳香族」という用語は、nが整数である4n+2π電子を含有する非局在化π電子系を有する平面環を指す。芳香族は、任意選択的に置換されていてよい。「芳香族」という用語は、アリール基(例えば、フェニル、ナフタレニル)及びヘテロアリール基(例えば、ピリジニル、キノリニル)の両方を含む。
【0142】
「アリール」は、環を形成する原子の各々が炭素原子である芳香族環を指す。アリール基は、任意選択的に置換されていてよい。アリール基の例としては、以下に限定されないが、フェニル及びナフタレニルが挙げられる。一部の実施形態において、アリールはフェニルである。構造に依存して、アリール基は、モノラジカル又はジラジカル(すなわち、アリーレン基)であり得る。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、「アリール」という用語又は接頭辞「ar-」(例えば、「アラルキル」における)は、任意選択的に置換されているアリール基を含むと意味される。
【0143】
「カルボキシ」は、-CO2Hを指す。一部の実施形態において、カルボキシ部分は、カルボン酸部分と同様の物理的及び/又は化学的な特性を呈する官能基又は部分を指す「カルボン酸生物学的等価体」と置き換えることができる。カルボン酸生物学的等価体は、カルボン酸基のものと同様の生物学的特性を有する。カルボン酸部分を有する化合物は、カルボン酸生物学的等価体と交換されたカルボン酸部分を有し、カルボン酸含有化合物と比較した場合に同様の物理的及び/又は生物学的特性を有することができる。例えば、一実施形態において、カルボン酸生物学的等価体は、生理学的pHでカルボン酸基とおおよそ同じ程度にイオン化する。カルボン酸の生物学的等価体の例としては、限定されないが、以下が挙げられる:
【0144】
【0145】
「シクロアルキル」は、環を形成する原子の各々(すなわち、骨格原子)が炭素原子である、単環式又は多環式の非芳香族基を指す。シクロアルキルは、飽和又は部分不飽和されていてよい。シクロアルキルは、芳香族環と縮合されていてよい(この場合、シクロアルキルは、非芳香族環炭素原子を介して結合されている)。シクロアルキル基は、3~10個の環原子を有する基を含む。一部の実施形態において、シクロアルキルは、C3~C6シクロアルキルである。一部の実施形態において、シクロアルキルは、3~6員シクロアルキルである。代表的なシクロアルキルとしては、以下に限定されないが、3~10個の炭素原子、3~8個の炭素原子、3~6個の炭素原子、又は3~5個の炭素原子を有するシクロアルキルが挙げられる。単環式シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが挙げられる。一部の実施形態において、単環式シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。多環式基としては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、及び3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オンが挙げられる。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、シクロアルキル基は、任意選択的に置換されていてよい。
【0146】
「縮合されている」は、存在する環構造に縮合されている、本明細書に記載されている任意の環構造を指す。縮合環がヘテロシクリル環又はヘテロアリール環である場合、縮合ヘテロシクリル環又は縮合ヘテロアリール環の一部となる存在する環構造上の任意の炭素原子は、窒素原子と置き換えることができる。
【0147】
「ハロ」又は「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロ又はヨードを指す。
【0148】
「ハロアルキル」は、上記で定義されている通りの1個以上のハロ基によって置換されている上記で定義されている通りのアルキル基、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル、1,2-ジブロモエチルなどを指す。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、ハロアルキル基は、任意選択的に置換されていてよい。
【0149】
「ハロアルコキシ」は、上記で定義されている通りの1個以上のハロ基によって置換されている上記で定義されている通りのアルコキシ基、例えば、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、フルオロメトキシ、トリクロロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、1,2-ジフルオロエトキシ、3-ブロモ-2-フルオロプロポキシ、1,2-ジブロモエトキシなどを指す。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、ハロアルコキシ基は、任意選択的に置換されていてよい。
【0150】
「ヘテロシクロアルキル」又は「ヘテロシクリル」又は「複素環式環」は、2~13個の炭素原子並びに窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1~6個のヘテロ原子を含む安定な3~14員非芳香族環基を指す。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、C2~C7ヘテロシクロアルキルである。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、C2~C6ヘテロシクロアルキルである。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、C2~C5ヘテロシクロアルキルである。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、3~8員ヘテロシクロアルキルである。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、3~7員ヘテロシクロアルキルである。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、3~6員ヘテロシクロアルキルである。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、3~5員ヘテロシクロアルキルである。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、ヘテロシクロアルキル基は、縮合環系(アリール又はヘテロアリール環と縮合されている場合、ヘテロシクロアルキルは非芳香族環原子を介して結合されている)又は架橋環系を挙げることができる単環式又は二環式環系であってよい。ヘテロシクリル基における窒素、炭素又は硫黄原子は、任意選択的に酸化することができる。窒素原子は、任意選択的に四級化することができる。ヘテロシクロアルキル基は、部分的又は完全に飽和されている。こうしたヘテロシクロアルキル基の例としては、以下に限定されないが、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられる。ヘテロシクロアルキルという用語は、以下に限定されないが単糖類、二糖類及びオリゴ糖類を含めて、炭水化物の全ての環形態も含む。別段に注記されていない限り、ヘテロシクロアルキルは、環中に2~10個の炭素を有する。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、環中に2~8個の炭素を有する。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、環中に2~8個の炭素、及び1個又は2個のN原子を有する。ヘテロシクロアルキルにおける炭素原子の数について言及する場合、ヘテロシクロアルキルにおける炭素原子の数は、ヘテロシクロアルキル(すなわち、ヘテロシクロアルキル環の骨格原子)を構成する原子の合計数(ヘテロ原子を含める)と同じではないと理解される。本明細書において具体的に別段に明記されていない限り、ヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に置換されていてよい。
【0151】
「ヘテロアリール」は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1個以上の環ヘテロ原子を含むアリール基を指す。ヘテロアリールは、単環式又は二環式である。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、5員又は6員のヘテロアリールである。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、5員ヘテロアリールである。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、6員ヘテロアリールである。単環式ヘテロアリールの例示的な例としては、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピリダジニル、トリアジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、インドリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンズイミダゾール、プリン、キノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8-ナフチリジン及びプテリジンが挙げられる。単環式ヘテロアリールの例示的な例としては、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピリダジニル、トリアジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル及びフラザニルが挙げられる。二環式ヘテロアリールの例示的な例としては、インドリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンズイミダゾール、プリン、キノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8-ナフチリジン及びプテリジンが挙げられる。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、チアゾリル、チエニル、チアジアゾリル又はフリルである。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、環中に0~4個のN原子を含有する。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、環中に1~4個のN原子を含有する。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、環中に0~4個のN原子、0~1個のO原子、及び0~1個のS原子を含有する。一部の実施形態において、ヘテロアリールは、環中に1~4個のN原子、0~1個のO原子、及び0~1個のS原子を含有する。
【0152】
「任意選択的に置換されている」又は「置換されている」という用語は、参照されている基が、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、-OH、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、-CN、アルキン、C1~C6アルキルアルキン、ハロゲン、アシル、アシルオキシ、-CO2H、-CO2アルキル、ニトロ並びに一置換及び二置換アミノ基(例えば、-NH2、-NHR、-N(R)2)を含めたアミノ、並びにその保護誘導体から個々に及び独立して選択される1個以上の追加の基(単数以上)で置換されていてよいことを意味する。一部の実施形態において、任意選択の置換基は、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロゲン、-CN、-NH2、-NH(CH3)、-N(CH3)2、-OH、-CO2H及び-CO2アルキルから独立して選択される。一部の実施形態において、任意選択の置換基は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-CH3、-CH2CH3、-CF3、-OCH3及び-OCF3から独立して選択される。一部の実施形態において、任意選択の置換基は、フルオロ、クロロ、-CH3、-CF3、-OCH3及び-OCF3から独立して選択される。一部の実施形態において、置換されている基は、先行する基の1個又は2個で置換されている。一部の実施形態において、脂肪族炭素原子上の任意選択の置換基(芳香族炭素原子を除外する、非環式又は環式の飽和又は不飽和の炭素原子)は、オキソ(=O)を含む。
【0153】
「互変異性体」は、分子の1個の原子から同じ分子の別の原子へのプロトンシフトを指す。本明細書において表されている化合物は、互変異性体として存在することができる。互変異性体は、単結合及び隣接する二重結合の切り換えを伴う水素原子の移動によって相互変換可能である化合物である。互変異性化が可能である結合配置において、互変異性体の化学平衡が存在する。本明細書において開示されている化合物の全ての互変異性体形態が企図される。互変異性体の正確な比は、温度、溶媒及びpHを含めて、いくつかの因子に依存する。互変異性の相互変換の一部の例としては、以下が挙げられる:
。
【0154】
【0155】
「同時投与」という用語などは、本明細書で使用される場合、単一患者への選択された治療薬の投与を包含することが意味され、薬剤が同一若しくは異なる投与経路によって又は同一若しくは異なる時間で投与される処置レジメンを含むことが意図される。
【0156】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、処置されている疾患又は状態の症状の1つ以上をある程度緩和する、投与される薬剤又は化合物の十分な量を指す。結果は、疾患の兆候、症状若しくは原因の低減及び/若しくは軽減、又は生物系の任意の他の所望の変更であり得る。例えば、治療的使用のための「有効量」は、疾患症状の臨床的に著しい減少を提供するのに必要とされる、本明細書において開示されている通りの化合物を含む組成物の量である。任意の個々の場合における適切な「有効」量は、用量漸増研究などの技法を使用して決定することができる。
【0157】
別段に明記されていない限り、この出願において使用される以下の用語は、下記に与えられている定義を有する。「含めて(including)」という用語、並びに「含む(include)」、「含む(includes)」及び「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定するものでない。本明細書において使用されているセクション見出しは、組織化の目的だけのためであり、記載されている対象物を限定していると解釈されるべきでない。
【0158】
「薬学的に許容される」は、本明細書で使用される場合、ブロックコポリマーの生物学的活性又は特性を抑制しないとともに相対的に非毒性である担体又は希釈液などの材料に参照し、すなわち、材料は、望ましくない生物学的影響を引き起こすこと又はそれが含有される組成物の構成成分のいずれかと有害な方式で相互作用することなく、個体に投与される。
【0159】
「薬学的に許容される塩」という用語は、適当なアニオンとの組合せにおける治療的に活性な薬剤のカチオン形態、又は代替実施形態において、適当なカチオンとの組合せにおける治療的に活性な薬剤のアニオン形態からなる治療的に活性な薬剤の形態を指す。Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties、Selection and Use。国際純正応用化学連合、Wiley-VCH 2002。S.M.Berge、L.D.Bighley、D.C.Monkhouse、J.Pharm.Sci.1977、66、1~19。P.H.Stahl及びC.G.Wermuth、編集、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties、Selection and Use、Weinheim/Zurich:Wiley-VCH/VHCA、2002。医薬塩は、典型的に、胃及び腸液中で非イオン種よりも可溶性及び急速に可溶性であり、そのため、固体剤形において有用である。さらに、それらの可溶度がしばしばpHの関数であるので、消化管の1つの又は別の部分における選択的な溶解が可能であり、これは遅延及び徐放の挙動の一態様として操作することができる。その上、塩形成分子が中性形態と平衡状態であり得るので、生物学的膜を介する通過は調整することができる。
【0160】
一部の実施形態において、薬学的に許容される塩は、ブロックコポリマーを酸と反応させることによって得られる。一部の実施形態において、本明細書において開示されているブロックコポリマー(すなわち、遊離塩基形態)は、塩基性であり、有機酸又は無機酸と反応される。無機酸としては、以下に限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸及びメタリン酸が挙げられる。有機酸/としては、以下に限定されないが、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2,2-ジクロロ酢酸;2-ヒドロキシエタンスルホン酸;2-オキソグルタル酸;4-アセトアミド安息香酸;4-アミノサリチル酸;酢酸;アジピン酸;アスコルビン酸(L);アスパラギン酸(L);ベンゼンスルホン酸;安息香酸;ショウノウ酸(+);カンファー-10-スルホン酸(+);カプリン酸(デカン酸);カプロン酸(ヘキサン酸);カプリル酸(オクタン酸);炭酸;ケイ皮酸;クエン酸;シクラミン酸;ドデシル硫酸;エタン-1,2-ジスルホン酸;エタンスルホン酸;ギ酸;フマル酸;ガラクタル酸;ゲンチジン酸;グルコヘプタン酸(D);グルコン酸(D);グルクロン酸(D);グルタミン酸;グルタル酸;グリセロリン酸;グリコール酸;馬尿酸;イソ酪酸;乳酸(DL);ラクトビオン酸;ラウリン酸;マレイン酸;リンゴ酸(-L);マロン酸;マンデル酸(DL);メタンスルホン酸;ナフタレン-1,5-ジスルホン酸;ナフタレン-2-スルホン酸;ニコチン酸;オレイン酸;シュウ酸;パルミチン酸;パモ酸;リン酸;プロピオン酸;ピログルタミン酸(-L);サリチル酸;セバシン酸;ステアリン酸;コハク酸;硫酸;酒石酸(+L);チオシアン酸;トルエンスルホン酸(p);及びウンデシレン酸が挙げられる。
【0161】
一部の実施形態において、本明細書において開示されているブロックコポリマーは、塩化物塩、サルフェート塩、臭化物塩、メシレート塩、マレエート塩、シトレート塩又はホスフェート塩として調製される。
【0162】
一部の実施形態において、薬学的に許容される塩は、本明細書において開示されているブロックコポリマーを塩基と反応させることによって得られる。一部の実施形態において、本明細書において開示されているブロックコポリマーは、酸性であり、塩基と反応される。こうした状況において、本明細書において開示されているブロックコポリマーの酸性プロトンは、金属イオン、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム又はアルミニウムイオンによって置き換えられる。一部の場合において、本明細書に記載されているブロックコポリマーは、以下に限定されないが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メグルミン、N-メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどの有機塩基と配位する。他の場合において、本明細書に記載されているブロックコポリマーは、アミノ酸、例えば、以下に限定されないが、アルギニン、リジンなどと塩を形成する。酸性プロトンを含むブロックコポリマーと塩を形成するために使用される許容可能な無機塩基としては、以下に限定されないが、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。一部の実施形態において、本明細書において提供されているブロックコポリマーは、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、メラミン塩、N-メチルグルカミン塩又はアンモニウム塩として調製される。
【0163】
薬学的に許容される塩への言及は、溶媒付加形態を含むと理解されるべきである。一部の実施形態において、溶媒和物は、溶媒の化学量論量又は非化学量論量のいずれかを含有し、薬学的に許容される溶媒、例えば、水、エタノールなどとの結晶化のプロセス中に形成される。水和物は、溶媒が水である場合に形成される、又はアルコラートは、溶媒がアルコールである場合に形成される。本明細書に記載されている化合物の溶媒和物は、好都合には、本明細書に記載されているプロセス中に調製又は形成される。加えて、本明細書において提供されている化合物は、任意選択的に、非溶媒和並びに溶媒和の形態で存在する。
【0164】
本明細書に記載されている方法及び製剤は、N-オキシド(適切な場合)、又は本明細書に記載されているブロックコポリマーの薬学的に許容される塩、並びに同じ型の活性を有するこれらの化合物の活性代謝物の使用を含む。
【0165】
別の実施形態において、本明細書に記載されている化合物は、同位体的に(例えば、放射性同位体で)、又は以下に限定されないが、発色団若しくは蛍光性部分、生物発光標識、若しくは化学発光標識の使用を含めて、別の他の手段によって標識化される。
【0166】
本明細書に記載されている化合物は、1個以上の原子が、自然界に通常見出される原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられるという事実を別にすれば、本明細書において表されている様々な式及び構造に列挙されているものと同一である同位体標識化化合物を含む。本化合物に組み込むことができる同位体の例としては、例えば、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Cl、123I、124I、125I、131I、32P及び33Pなど、水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素塩素、ヨウ素、リンの同位体が挙げられる。一態様において、本明細書に記載されている同位体標識化化合物、例えば、3H及び14Cなどの放射性同位元素が組み込まれているものは、薬物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。一態様において、重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボ半減期の増加又は投与量要求の低減など、より大きな代謝安定性に起因するある特定の治療的利点を与える。
【0167】
本明細書で使用される場合、「pH応答性系」、「pH応答性組成物」、「ミセル」、「pH応答性ミセル」、「pH感受性ミセル」、「pH活性化可能ミセル」及び「pH活性化可能ミセル(pHAM)ナノ粒子」は、pH(例えば、ある特定のpHの上又は下)に依存して解離する、1種以上の化合物を含むミセルを示すために本明細書において相互交換可能に使用される。非限定的な例として、ある特定のpHで、式(III)のブロックコポリマーは、実質的にミセル形態である。pHが変化(例えば、減少)すると、ミセルは解離し始め、pHがさらに変化(例えば、さらに減少)すると、式(III)のブロックコポリマーは、実質的に解離(非ミセル)形態で存在する。
【0168】
本明細書で使用される場合、「pH転移範囲」は、ミセルが解離するpH範囲を示す。
【0169】
本明細書で使用される場合、「pH転移値」(pH)は、ミセルの半分が解離されるpHを示す。
【0170】
「ナノプローブ」は、画像化標識化部分を含むpH感受性ミセルを示すために本明細書で使用される。一部の実施形態において、標識化部分は、蛍光色素である。一部の実施形態において、蛍光色素は、インドシアニングリーン色素である。
【0171】
「投与する」、「投与すること」、「投与」などという用語は、本明細書で使用される場合、生物学的作用の所望の部位への化合物又は組成物の送達を可能にするために使用することができる方法を指す。これらの方法としては、以下に限定されないが、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内又は注入を含める)、局所及び直腸投与が挙げられる。当業者は、本明細書に記載されている化合物及び方法で用いることができる投与技法に精通している。一部の実施形態において、本明細書に記載されている化合物及び組成物は、経口的に投与される。一部の実施形態において、本明細書に記載されている組成物は、静脈内に投与される。
【0172】
「同時投与」などという用語は、本明細書で使用される場合、単一患者への選択された治療薬の投与を包含すると意味され、薬剤が同一若しくは異なる投与経路によって又は同一若しくは異なる時間に投与される処置レジメンを含むと意図される。
【0173】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、処置されている疾患又は状態の症状の1つ以上をある程度緩和する、投与される薬剤又は化合物の十分な量を指す。結果としては、疾患の兆候、症状若しくは原因の低減及び/若しくは軽減、又は生物系の任意の他の所望の変更が挙げられる。例えば、治療的使用についての「有効量」は、疾患症状の臨床的に著しい減少を提供するのに必要とされる本明細書において開示されている通りの化合物を含む組成物の量である。任意の個々の場合における適切な「有効」量は、任意選択的に、用量漸増研究などの技法を使用して決定される。
【0174】
「増強する」又は「増強すること」という用語は、本明細書で使用される場合、効力又は持続期間のいずれかにおいて所望の効果を増加又は延長することを意味する。したがって、治療薬の効果を増強することに関して、「増強すること」という用語は、効力又は持続期間のいずれかにおいて、系に対する他の治療薬の効果を増加又は延長する能力を指す。「増強有効量」は、本明細書で使用される場合、所望の系において別の治療薬の効果を増強するのに適切な量を指す。
【0175】
「対象」又は「患者」という用語は、哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、以下に限定されないが、哺乳動物クラスの任意のメンバー:ヒト、非ヒト霊長類、例えば、チンパンジー、及び他の類人猿及びモンキー種;農場動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ;家畜、例えば、ウサギ、イヌ及びネコ;げっ歯類、例えば、ラット、マウス及びモルモットなどを含めた実験室動物が挙げられる。一態様において、哺乳動物は、ヒトである。
【0176】
「処置する」、「処置すること」又は「処置」という用語は、本明細書で使用される場合、疾患若しくは状態の少なくとも1つの症状を軽減すること、弱めること若しくは寛解させること、追加の症状を防止すること、疾患若しくは状態を阻害すること、例えば、疾患若しくは状態の発症を抑止すること、疾患若しくは状態を緩和すること、疾患若しくは状態の後退を引き起こすこと、疾患若しくは状態によって引き起こされる状態を緩和すること、又は予防的に及び/若しくは治療的にのいずれかで疾患若しくは状態の症状を阻止することを含む。
【0177】
請求項における「又は」という用語の使用は、開示が代替物のみ及び「及び/又は」を指す定義を支持しても、代替物のみを指すことが明白に示されていない限り又は代替物が相互排他的でない限り「及び/又は」を意味するために使用される。この願書の全体にわたって、「約」という用語は、値を決定するために用いられている装置又は方法についての誤差の標準偏差、例えば、言及される値の±10%を値が含むことを示すために使用される。長年にわたる特許法に従って、「a」及び「an」という単語は、請求項又は明細書において「含む(comprising)」という単語と併せて使用される場合、具体的に注記されていない限り1つ以上を示す。
【実施例】
【0178】
[実施例1] ブロックコポリマーの合成
一般的合成方法
本明細書に記載されているブロックコポリマー及びミセルは、標準合成技術を使用して、又は当技術分野において公知の方法を使用して合成される。
【0179】
別段に表示されていない限り、質量分析、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び薬理学の従来の方法が用いられる。ブロックコポリマーは、例えば、March’s Advanced Organic Chemistry、第6版、John Wiley and Sons、Inc.に記載されているものなど標準的な有機化学技法を使用して調製される。
【0180】
本明細書において使用されている一部の略語は、以下の通りである:
DCM:ジクロロメタン
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
DMF:ジメチルホルムアミド
DMF-DMA:N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール
EDCI:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
EtOAc:酢酸エチル
EtOH:エタノール
ICG-OSu:インドシアニングリーンスクシンアミドエステル
MeOH:メタノール
PMDETA:N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン
CDI カルボニルジイミダゾール
NHS-カーボネート N-ヒドロキシスクシンイミドカーボネート
SPDB N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート
TEA:トリエチルアミン
Hr 時間(単数以上)
ISR 試料再分析の発生
IV 静脈内
kg キログラム
mg ミリグラム(単数以上)
mL ミリリットル(単数以上)
μg マイクログラム(単数以上)
NC 算出されず
NR 報告されず
【0181】
適当なPEGポリマーは、(例えば、Sigma Aldrichから)購入することができる、又は当技術分野において公知の方法に従って合成することができる。一部の実施形態において、親水性ポリマーは、ブロックコポリマーを形成するために疎水性モノマーの重合のための開始剤として使用することができる。例えば、MPCポリマー(例えば、狭く分布されたMPCポリマー)は、市販で利用可能な小分子開始剤、例えば、エチル2-ブロモ-2-メチルプロパノエート(Sigma Aldrich)との原子移動ラジカル重合(ATRP)によって調製することができる。これらの結果として得られたMPCポリマーは、ブロックポリマーを形成するために他のモノマーとさらに共重合するための巨大分子ATRP開始剤として使用することができ、ブロックポリマーは、原子移動ラジカル重合(ATRP)又は可逆的付加-断片化連鎖移動(RAFT)方法を使用して合成することができる。
【0182】
一部の実施形態において、適当なブロックコポリマー及びミセルは、標準合成技術を使用して、又は参照によりそれら全体で本明細書に組み込まれる特許公報番号WO2012039741及びWO2015188157に記載されている方法との組合せにおいて当技術分野で公知の方法を使用して合成することができる。
【0183】
[実施例2] ミセル形成
一般的方法
メタノールは、ガラス丸底フラスコ中でブロックコポリマーに添加され、超音波処理浴を利用して溶解させる。溶解後、結果として得られた溶液は、撹拌子を含有するHDPE瓶に定量的に移され、氷浴を用いて0℃に冷却される。水は、ぜん動ポンプを使用してHDPE瓶中でメタノールポリマー溶液に、撹拌しながら滴下により添加される。ポリマー溶液を含有するHDPE瓶は、氷浴中で維持され、ミセルの形成をもたらす。メタノールは、100kのPellicon(登録商標)2 Mini Ultrafiltration Moduleを介して5サイクルのタンジェンシャルフロー濾過(TFF)を使用してミセル溶液から除去される。
【0184】
単純混合することによって調製されるPEG-PDBA-IL-2製剤
水中のポリマーミセル溶液を注射用水(WFI)で希釈した。リン酸緩衝液中10%(w/w)のIL-2(ポリマーの%)を添加することで、ピペット混合することによって1mg/mLのミセル及び0.1mg/mLのIL-2の溶液を作製した。溶液を室温で10分間インキュベートした。次いで、試料を高速度で微量遠心機中にて周囲温度で遠心分離した(Eppendorf、21,130×g、10分)。溶液を膜限外濾過(Amicon、0.5mL、MWCO 100kDa)によって精製することで、非カプセル化IL-2を全て除去した。次いで、0.5mLの製剤をAmicon超遠心分離装置に添加し、5,000rcfで2~3分間遠心分離した。透過物を捨て、ミセル-IL-2製剤を含有した残余分を注射用水中にて0.5mLに希釈した。このプロセスを10回反復した。製剤中のIL-2濃度を標準曲線に対するウエスタンブロット又はドットブロットによって決定した。
【0185】
FPLCによるPDBA-IL-2製剤の精製
方法(例えば、単純混合すること、酸-塩基滴定など)の1つによるPEG-PDBA-IL-2非共有結合性製剤又はコンジュゲート。Superdex 200 Increase 10/300GLカラム(GE)が備えられているAkta Pure 25M(GE)システムを使用するFPLCによって、粗製PDBA-IL-2製剤を精製した。平衡化を0.75mL/分で1×PBS中にて行った。適切化サイズ化された試料ループ又はスーパーループを使用して、試料注射を行った。複数の波長(例えば、214nm、280nm、700nm)で吸光度をモニタリングしながら、均一溶媒溶出を1×PBS中にて0.5mL/分の流量で行った。画分(0.5mL)を1.5mLチューブ中に回収した。クロマトグラムによって示された通りの製剤及び遊離タンパク質を含有する画分をSDS-PAGE、ウエスタンブロット又はドットブロットによって分析した。製剤中にIL-2を含有する画分をプールした。
【0186】
PEG-PDBA-IL-2製剤二重エマルジョン溶媒蒸発(DESE)
ジクロロメタン(DCM)中の1.0mg/mLのポリマー溶液及びリン酸緩衝液中の1.0mg/mLのIL-2を氷水浴中にて5分間冷やした。IL-2溶液を氷水浴中にて超音波処理条件下で10%(w/w、IL-2/ポリマー)総量で滴下によりポリマー溶液に添加することで、第1のエマルジョン溶液を形成した。第1のエマルジョンを冷水中にて超音波処理条件下で、冷やしたPVA/THL溶液に滴下により添加することで、第2のエマルジョン溶液を形成した。第2のエマルジョン溶液を終夜室温で撹拌した。溶液を膜限外濾過(Amicon、0.5mL、MWCO 100kDa)によって精製することで、非カプセル化IL-2を除去した。次いで、0.5mLの製剤をAmicon超遠心分離装置に添加し、5,000rcfで2~3分間遠心分離した。透過物を捨て、ミセル-IL-2製剤を含有した残余分を注射用水中にて0.5mLに希釈した。このプロセスを10回反復した。製剤中のIL-2濃度を標準曲線に対するウエスタンブロット又はドットブロットによって決定した。
【0187】
酸-塩基滴定によるPEG-PDBA-IL-2製剤
pH4.47のリン酸緩衝液中のポリマー溶液に、リン酸緩衝液中の10%(w/w)IL-2を添加し、室温でボルテックスした。1M NaOH溶液を超音波処理条件下で溶液に添加した。溶液をWFIにより最終濃度1.0mg/mLのポリマー及び0.1mg/mLのIL-2で希釈した。溶液を膜限外濾過(Amicon、0.5mL、MWCO 100kDa)によって精製することで、非カプセル化IL-2を除去した。次に、0.5mLの製剤をAmicon超遠心分離装置に添加し、5,000rcfで2~3分間遠心分離した。透過物を捨て、ミセル-IL-2製剤を含有した残余分を注射用水中にて0.5mLに希釈した。このプロセスを10回反復した。製剤中のIL-2濃度を標準曲線に対するウエスタンブロット又はドットブロットによって決定した。
【0188】
ドットブロットによる製剤中のIL-2及びミセルの定量化
製剤のIL-2含有量及びミセル含有量をドットブロットによって決定した。Dot-Blot器具に0.2μmのニトロセルロース膜を組み入れた。各ウェルを真空下にて200μLの1×PBSで洗浄し、続いて、100μLのPBSで再水和した。試料及び標準物(10~100μL)を添加し、膜に真空を適用した。膜をPBSで2×洗浄した。
【0189】
IL-2免疫ブロッティングを、プローブすることによって、及び2% BSAが補充されたPBS-T(PBSとともに0.05%ツイーン-20)でブロックし、抗IL-2ウサギモノクローナル抗体(Invitrogen、2H20L7、PBS-T中1:1000希釈、1時間)でプローブし、PBS-Tで4回洗浄し、続いて、IRDye(登録商標)680RD(LI-COR、PBS-T中1:5000希釈)で標識化されたロバ-抗ウサギIgGでプローブすることによって行った。ChemiDoc MP(Bio-Rad)を使用することによって検出を行い、ImageLab(Bio-Rad)を使用するデンシトメトリー分析によって画像を定量化した。標準曲線にフィットさせることによって、IL-2含有量を決定した。
【0190】
ポリマー標準曲線に対してポリ-エチレングリコールについて免疫ブロッティングすることによって、ポリマー含有量を決定した。免疫ブロッティングを、2% BSAが補充されたPBSで膜をブロックし、THE(商標)抗-PEG IGM mAb(Genscript、PBS中1:1000希釈)でプローブし、PBSで4回洗浄し、IRDye(登録商標)680RD(LI-COR、PBS中1:5000希釈)で標識化されたヤギ抗マウスIgM(μ鎖特異的)でプローブすることによって行った。ChemiDoc MP(Bio-Rad)を使用することによって検出を行い、ImageLab(Bio-Rad)を使用するデンシトメトリー分析によって画像を定量化した。PEG-PDBA標準曲線にフィットさせることによって、ポリマー含有量を決定した。
【0191】
[実施例3] インビボ腫瘍マウスモデルについての一般的手順
およそ6~8週齢の雌性NOD scidマウス(Strain NOD.CB17-Prkdcscid/J)に、顎下三角中にて50μLの1×PBS中の1.5×106のHN5腫瘍細胞を播種し、腫瘍が約1週間成長するのを可能にした。PEG-PDBA-IL-2又はPEG-PDBA-Fab製剤を、IRDye(登録商標)800CW(LiCOR)で蛍光標識化されたrhIL-2で調製し、プレートリーダーを使用する800CW蛍光(λEx760nm、λEm780nm)によって、投薬を正規化した。非カプセル化蛍光標識化タンパク質を対照として使用した。ミセル-IL-2製剤又はタンパク質を、尾静脈注射を介して投与した。イソフルランを使用して動物に麻酔をかけ、試験物品投与後1時間、3時間、及び24時間に白色光及び800nmチャネルでPearl Trilogy(LI-COR)を使用して、インビボ小動物画像化を行った。最終のインビボ画像化時点後、動物をCO2窒息及び頸椎脱臼によって屠殺し、主要な臓器のエクスビボ画像化を行った。ImageStudioソフトウェア(LI-COR)を使用するROI分析によって、蛍光を定量化した。
【0192】
[実施例4] インビトロIL-2生物活性アッセイのための一般的手順
解凍及び使用IL-2 Bioassay(Promega)を使用してマニュアルに従って、製剤中のIL-2生物活性を測定した。IL-2をカプセル化している又はIL-2にコンジュゲートされているミセルを、用量-応答アッセイにおいて酸放出状態又はカプセル化状態のいずれかで評価した。20μLの製剤を20μLのプールヒト血清、続いて、40μLの酸性の酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M酢酸ナトリウム、0.9%生理食塩水、pH約4.5)と混合し、15分間室温でインキュベートすることによって、酸放出を行い、引き続いて、40μLの20×PBSを添加した。カプセル化試料について、酸性の酢酸緩衝液を中性の酢酸緩衝液(0.1M酢酸ナトリウム、0.9%生理食塩水、pH7~7.6)と置き換え、同様のプロセスを使用して混合した。放出製剤又はカプセル化製剤の3倍系列希釈を、アッセイ緩衝液(90% RPMI 1640/10%ウシ胎児血清)中で調製した。製剤希釈物(25μL)を、白色の不透明な96ウェルマイクロプレート又は半ウェルマイクロプレート(Corning)中に前播種されたIL-2バイオアッセイ細胞を含有するウェルに、製造者推奨に従って添加した。アッセイ緩衝液単独及び処置なし細胞を陰性対照として使用し、他方、IL-2単独を陽性対照として使用した。プレートを覆い、加湿インキュベーター(37℃、5%のCO2)において6時間の間インキュベートした。インキュベーション後、75μLのBio-Glo試薬(Promega)を添加し、10分間インキュベートし、プレートリーダー(Tecan M200 Pro)を使用して生物発光を読んだ。データをPrism(GraphPad)からプロットし、ED50を非線形フィットによって算出した。
【0193】
[実施例5] 製剤のSDS-PAGE分析のための一般的手順
ミセル-IL-2製剤をSDS-PAGEによって評価することで、ミセル中へのIL-2充填及びIL-2統合性を確認した。レーン当たり100~200ngローディングされたタンパク質を標的化するように、試料を調製した。FPLCによるIL-2充填製剤精製の特徴付けのため、充填試料は、全く精製することない粗製の製剤を構成し、スピンされた充填試料は、凝集体及び大きい粒子を排除するための高速遠心分離による精製後に製剤を構成し、ミセルプールは、ミセルを含有する画分を組み合わせることによって調製され、遊離IL-2試料は、非カプセル化タンパク質を含有する画分を含有する。製剤試料を還元要件に依存してβ-メルカプトエタノールの有無において4×Laemmli緩衝液(Bio-Rad)中に希釈し、65℃で5分間変性させた。試料を50Vで30分間スタックし、続いて、100Vで90分間分離させることによって、Any kD(商標)又は4~20%SDS-PAGE勾配Mini-Proteanゲル(Bio-Rad)にローディングした。IL-2の検出をSimply Blue Stain(Invitrogen)によって行った。IL-2をその上、抗IL-2Abクローン(Cell Signaling Technology、Clone D7A5、1:4000希釈)、続いて、HRP-コンジュゲート抗ウサギ二次(LI-COR、1:2000希釈)を用いてプローブすることによって0.2μmニトロセルロース膜に移した後にウエスタンブロットによって決定し、ECL試薬(Pierce)によって検出し、化学ルミネッセンスをChemiDoc MPイメージャ(Bio-Rad)で捕捉した。ImageLab(Bio-Rad)を使用して、画像処理及びデンシトメトリー分析を行った。必要とされる場合、IL-2の定量化をIL-2標準曲線にフィットさせることによって行った。
【0194】
[実施例6] 処置の方法
がん(例えば、固形腫瘍がん)を患うヒト対象は、注射によって、例えば静脈内注射によって(例えば、ミセルの形態で)本明細書において開示されている通りのブロックコポリマーによってカプセル化された治療薬の治療有効量を、又は1mg/kg~100mg/kg、例えば、50mg/kg~100mg/kgの範囲で、投与される。
【0195】
本発明の好ましい実施形態が示され、本明細書に記載されているが、こうした実施形態が単に一例として提供されることは、当業者に明白である。多数の変動、変化及び置換が、ここで、本発明から逸脱することなく当業者に想起されよう。本明細書に記載されている本発明の実施形態に対する様々な代替が、本発明を実践する際に用いられ得ると理解されるべきである。以下の請求項が本発明の範疇を定義すること、並びにこれらの請求項の範疇内の方法及び構造並びにそれらの等価物がそれによって包含されることが意図される。
【国際調査報告】