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特表2023-548356ノルオキシモルホンを精製するための方法
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  • 特表-ノルオキシモルホンを精製するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】ノルオキシモルホンを精製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 489/08 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
C07D489/08 CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526582
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 US2021057737
(87)【国際公開番号】W WO2022094470
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/108,676
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510288884
【氏名又は名称】ローズ テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100156476
【弁理士】
【氏名又は名称】潮 太朗
(72)【発明者】
【氏名】ハントリー,シー.フレデリック エム.
(57)【要約】
本出願は、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を調製及び単離し、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物から精製ノルオキシモルホンを再生することによって、ノルオキシモルホンを精製する方法を対象とする。本出願はまた、本明細書に記載される式Iで表される化合物、またはその水和物もしくは両性イオン、及びノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物の結晶形態を対象とする。
【選択図】図なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を調製するための方法であって、前記方法が、
ノルオキシモルホン及び亜硫酸源を含む水性組成物を混合することと、
前記水性組成物から前記ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を単離することと、を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
ノルオキシモルホン及び酸を含む水性組成物を重亜硫酸塩と混合して、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を提供することと、
前記水性組成物から前記ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を単離することと、を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
ノルオキシモルホン及び重亜硫酸塩を含む水性組成物を酸と混合して、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を提供することと、
前記水性組成物から前記ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を単離することと、を含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
ノルオキシモルホン及び酸を含む水性組成物を亜硫酸塩と混合して、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を提供することと、
前記水性組成物から前記ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を単離することと、を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
ノルオキシモルホン及び亜硫酸塩を含む水性組成物を酸と混合して、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を提供することと、
前記水性組成物から前記ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を単離することと、を含む、方法。
【請求項6】
前記水性組成物が、水性溶液である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記水性組成物が、水性スラリーである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記亜硫酸源が、水性亜硫酸である、請求項1、6、または7に記載の方法。
【請求項9】
前記亜硫酸源が、二酸化硫黄ガスである、請求項1、6、または7に記載の方法。
【請求項10】
前記亜硫酸源が、重亜硫酸塩及び酸である、請求項1、6、または7に記載の方法。
【請求項11】
前記混合することが、固体重亜硫酸塩を、ノルオキシモルホン及び前記酸を含む前記水性組成物に添加することによって実施される、請求項2または10に記載の方法。
【請求項12】
前記混合することが、前記重亜硫酸塩の水性溶液を、ノルオキシモルホン及び前記酸を含む前記水性組成物に添加することによって実施される、請求項2または10に記載の方法。
【請求項13】
前記混合することが、前記酸の水性溶液を、ノルオキシモルホン及び前記重亜硫酸塩を含む前記水性組成物に添加することによって実施される、請求項3または10に記載の方法。
【請求項14】
前記亜硫酸源が、亜硫酸塩及び酸である、請求項1、6、または7に記載の方法。
【請求項15】
前記混合することが、固体亜硫酸塩を、ノルオキシモルホン及び前記酸を含む前記水性組成物に添加することによって実施される、請求項4または14に記載の方法。
【請求項16】
前記混合することが、前記亜硫酸塩の水性溶液を、ノルオキシモルホン及び前記酸を含む前記水性組成物に添加することによって実施される、請求項4または14に記載の方法。
【請求項17】
前記混合することが、前記酸の水性溶液を、ノルオキシモルホン及び前記亜硫酸塩を含む前記水性組成物に添加することによって実施される、請求項5または14に記載の方法。
【請求項18】
前記酸が、無機酸、有機酸、またはそれらの組み合わせである、請求項2~7または10~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記酸が、リン酸、塩酸、及び硫酸、またはそれらの混合物からなる群から選択される無機酸である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記酸が、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、及び乳酸、またはそれらの混合物からなる群から選択される有機酸である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記重亜硫酸塩が、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、及びメタ重亜硫酸カリウムからなる群から選択される、請求項2、3、6、7、または10~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記亜硫酸塩が、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸カリウムである、請求項4~7または14~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記亜硫酸が、約1~約6のpHを提供する量で前記水性組成物中に存在する、請求項1または6~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記pHが、約2.5~約3.0である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記水性組成物が、有機共溶媒を更に含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記有機共溶媒が、水混和性有機溶媒、水非混和性有機溶媒、またはそれらの組み合わせである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記有機共溶媒が、脂肪族アルコール、アセトニトリル、及びテトラヒドロフラン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記有機共溶媒が、水との約1:1v/vの比で前記水性組成物中に存在する、請求項25~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記混合することが、室温または高温で実施される、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記混合することが、約40℃~約90℃の温度で実施される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記亜硫酸が、少なくとも15分の期間内に徐々に提供される、請求項1または6~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を含む前記水性組成物が、最初に室温まで冷却され、次いで、前記ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物が、濾過によって単離される、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を洗浄及び乾燥することを更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
請求項1~33のいずれか1項に記載の方法によって調製されたノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物。
【請求項35】
式Iで表される化合物
【化1】

、またはその水和物もしくは両性イオン。
【請求項36】
ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物の一水和物である、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物の結晶形態Aであって、図2のものと実質的に同様のX線粉末回折(XRPD)パターンを示すことを特徴とする、前記結晶形態A。
【請求項38】
ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物の結晶形態Aであって、Cu Kα放射線によって測定されたとき、11.8±0.2、13.2±0.2、及び16.7±0.2の2θ度でのピークを有するXRPDパターンを示すことを特徴とする、前記結晶形態A。
【請求項39】
約88℃の開始及び約113.5℃のピークを有する吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示すことを更に特徴とする、請求項37または38に記載の結晶形態A。
【請求項40】
約172℃の開始及び約195.5℃のピークを有する吸熱を含む示差走査熱量測定サーモグラムを示すことを更に特徴とする、請求項37または38に記載の結晶形態A。
【請求項41】
ノルオキシモルホンを精製するための方法であって、
ノルオキシモルホン及び1つ以上の有色不純物を含む水性組成物を提供することと、
前記ノルオキシモルホンの重亜硫酸塩付加物を形成することと、
前記ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物から精製ノルオキシモルホンを再生することと、を含む、方法。
【請求項42】
前記重亜硫酸塩付加物が、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法に従って形成される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記水性組成物中の前記ノルオキシモルホンが、オキシモルホンのN-脱メチル化の反応生成物である、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
前記再生することが、前記ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を水中でスラリー化し、塩基を添加して、ノルオキシモルホン塩基を提供することによって実施される、請求項41~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記塩基が、前記スラリーのpHが約9.5超になるまで徐々に添加される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記塩基が、水性水酸化ナトリウム溶液である、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記塩基が、水性水酸化アンモニウム溶液である、請求項44または45に記載の方法。
【請求項48】
有機共溶媒が、使用される、請求項44~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記ノルオキシモルホン塩基を、濾過、水中でのスラリー洗浄、及び乾燥によって単離して、精製ノルオキシモルホンを得ることを更に含む、請求項44~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
請求項41~49のいずれか1項に記載の方法によって調製された精製ノルオキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩であって、前記精製ノルオキシモルホンが、精製前の元のノルオキシモルホンの比色プロファイルと比較したとき、改善された比色プロファイルを示す、前記精製ノルオキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項51】
ナロキソン、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の調製のための方法であって、請求項41~49のいずれか1項に記載の方法によってノルオキシモルホンを精製することを含む、方法。
【請求項52】
ナルトレキソン、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の調製のための方法であって、請求項41~49のいずれか1項に記載の方法によってノルオキシモルホンを精製することを含む、方法。
【請求項53】
ナルメフェン、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の調製のための方法であって、請求項41~49のいずれか1項に記載の方法によってノルオキシモルホンを精製することを含む、方法。
【請求項54】
ナルブフェン、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の調製のための方法であって、請求項41~49のいずれか1項に記載の方法によってノルオキシモルホンを精製することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、ノルオキシモルホンを精製するための改善された方法に関する。具体的には、本開示は、新規のノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物、またはその水和物もしくは両性イオンを介してノルオキシモルホンを精製する方法、ならびにナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、及びナルブフェン(nalbuphene)を含む医薬品有効成分(API)を調製するための方法に関する。
【0002】
ノルオキシモルホンは、以下の化学構造を有するオピオイドである。
【化1】
ノルオキシモルホンは、μオピオイド受容体の強力な作動薬であるが、血液脳関門を通過して中枢神経系に入るためのその能力が不十分であるため、最小限の鎮痛作用しか有しない。化合物は、オキシモルホン及びオキシコドンの両方の代謝物である。
【0003】
ノルオキシモルホンは、典型的には、スキーム1に示されるように、オキシモルホンのN-脱メチル化によって調製される。
【化2】
【0004】
この転換のためのいくつかのN-脱メチル化条件が存在する。例えば、
WO2011/154826A1、米国特許第8,227,609号、及びBioorg.Med.Chem.Lett,2017,27(3),666-669を参照されたい。
【0005】
ほとんどの場合、条件は過酷であり、強い酸または塩基、及び高温を必要とする。これらの過酷な反応条件によって、典型的には、不純物が形成される。オキシモルホンのN-脱メチル化反応は、典型的には不明瞭な分解生成物である不純物を生成する。不純物は除去することが難しく、単離されたノルオキシモルホンを着色させる。加えて、ノルオキシモルホンは不十分な溶解特性を有し、ノルオキシモルホンの精製を更にいっそう難しくする。
【0006】
ノルオキシモルホンは、典型的には、ナロキソン及びナルトレキソン、ならびに他のAPI等の、麻薬拮抗薬の生成における中間体として特異的に製造される。ナロキソン及びナルトレキソンは、スキーム2に示されるように、アルキル化によってノルオキシモルホンから調製することができる。
【化3】
【0007】
ナロキソン及びナルトレキソン等のAPIへのノルオキシモルホンの誘導体化は、ノルオキシモルホンとともに運び込まれた不純物を除去するための追加の精製及び化学処理ステップを必要とする。暗色で不明瞭な不純物は、ナルトレキソン及びナロキソンの両方から除去するのと同等に困難である。APIのための色及び重量パーセントアッセイ仕様を満たすためには、不純物の除去が必要である。
【0008】
ノルオキシモルホンの従来の精製方法は、酸中への溶解、脱色炭、濾過、及びpH調整による濾液からのノルオキシモルホン塩基の沈殿による処理を伴う。この方法は、大量の脱色炭を必要とし、これは、濾過することが難しく、かつ色及び不純物を除去するのに部分的にしか効果的ではない。
【0009】
したがって、ノルオキシモルホンから不純物を効果的に除去するための精製工程が必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、ノルオキシモルホンを精製するための改善された方法を提供する。本開示はまた、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を調製するための方法を提供する。ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物は、ノルオキシモルホンを精製するための方法に用いられる。一実施形態では、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物は、固体形態である。
【0011】
本開示の態様は、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を調製するための方法を対象とする。ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物は、本開示のノルオキシモルホンを精製するための方法で提供される中間体である。
【0012】
ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を調製するための方法は、ノルオキシモルホン及び亜硫酸源を含む水性組成物を混合すること、ならびに水性組成物からノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を単離すること、を含む。いくつかの実施形態では、亜硫酸源は水性亜硫酸である。いくつかの実施形態では、亜硫酸源は二酸化硫黄ガスである。いくつかの実施形態では、亜硫酸源は重亜硫酸塩及び酸である。別の実施形態では、亜硫酸源は、亜硫酸塩及び酸である。別の実施形態では、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物は、固体形態である。
【0013】
いくつかの実施形態では、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を調製するための方法は、
【0014】
ノルオキシモルホン及び酸を含む水性組成物を重亜硫酸塩または亜硫酸塩と混合して、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を提供すること、ならびに
【0015】
水性組成物から上記ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を単離すること、を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を調製するための方法は、
【0017】
ノルオキシモルホン及び重亜硫酸塩または亜硫酸塩を含む水性組成物を酸と混合して、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を提供すること、ならびに
【0018】
水性組成物から上記ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を単離すること、を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、混合ステップにおける水性組成物は、有機共溶媒を更に含む。
【0020】
別の態様では、本開示は、本開示の方法によって調製されるノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を提供する。
【0021】
別の態様では、本発明は、式Iの化合物を提供する:
【化4】

、またはその水和物もしくは両性イオン。
【0022】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物の一水和物である。
【0023】
別の態様では、本開示は、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物の結晶形態を提供する。いくつかの実施形態では、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物の結晶形態Aは、Cu Kα放射線によって測定されたとき、11.8±0.2、13.2±0.2、及び16.7±0.2の2θ度でのピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示すことを特徴とする。いくつかの実施形態では、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物の結晶形態Aは、図2のものと実質的に同様のXRPDパターンを示すことを特徴とする。
【0024】
いくつかの実施形態では、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物は、約88℃の開始及び約113.5℃のピークを有する吸熱を含む示差走査熱量測定サーモグラムを示すことを特徴とする結晶形態である。
【0025】
いくつかの実施形態では、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物は、約172℃の開始及び約195.5℃のピークを有する吸熱を含む示差走査熱量測定サーモグラムを示すことを特徴とする結晶形態である。
【0026】
別の局面において、本開示は、ノルオキシモルホンを精製するための方法を提供する。ノルオキシモルホンを精製するための方法は、
【0027】
ノルオキシモルホン及び1つ以上の有色不純物を含む水性組成物を提供すること;
【0028】
上記ノルオキシモルホンの重亜硫酸塩付加物を形成すること、及び
【0029】
上記ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物から精製ノルオキシモルホンを再生すること、を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物は、本明細書で説明されるノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を調製するための方法に従って形成される。いくつかの実施形態では、形成されたノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物は、固体形態である。
【0031】
いくつかの実施形態では、水性組成物中で精製されるノルオキシモルホンは、オキシモルホンのN-脱メチル化の反応生成物である。
【0032】
いくつかの実施形態では、再生ステップは、水中でノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物をスラリー化し、塩基を添加して、ノルオキシモルホン塩基を提供することによって実施される。いくつかの実施形態では、塩基は、スラリーのpHが約9.5を超えるまで徐々に添加される。いくつかの実施形態では、塩基は、水性水酸化ナトリウム溶液である。いくつかの実施形態では、塩基は、水性水酸化アンモニウム溶液である。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、再生ステップで使用される。
【0033】
いくつかの実施形態では、ノルオキシモルホンを精製するための方法は、濾過、水中でのスラリー洗浄、及び乾燥によって単離して、固体形態で精製ノルオキシモルホンを得ることを含む。
【0034】
別の態様では、本開示は、本明細書で説明されるノルオキシモルホンを精製する方法によって調製される、精製ノルオキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態では、精製ノルオキシモルホンは、精製前の元のノルオキシモルホンの比色プロファイルと比較したとき、改善された比色プロファイルを示す。
【0035】
別の態様では、本開示は、ナロキソン、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の調製のための方法であって、本明細書で説明される方法によってノルオキシモルホンを精製することを含む、上記方法を提供する。
【0036】
別の態様では、本開示は、ナルトレキソン、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の調製のための方法であって、本明細書で説明される方法によってノルオキシモルホンを精製することを含む、上記方法を提供する。
【0037】
別の態様では、本開示は、ナルメフェン、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の調製のための方法であって、本明細書で説明される方法によってノルオキシモルホンを精製することを含む、上記方法を提供する。
【0038】
別の態様では、本開示は、ナルブフェン、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の調製のための方法であって、本明細書で説明される方法によってノルオキシモルホンを精製することを含む、上記方法を提供する。
【0039】
本開示の追加の実施形態及び利点は、一部は以下の説明に記載され、この説明から導かれるか、または本開示の実践によって習得され得る。本開示の実施形態及び利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘している要素及び組み合わせによって実現され、達成される。
【0040】
上述の概要及び以下の発明を実施するための形態はどちらも例示的かつ説明的であり、特許請求される本発明を限定しないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物のH NMRスペクトルを示す。
図2】結晶性ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物についてのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
図3】結晶性ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物のDSCスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本明細書において提供される見出しは、本明細書全体を参照することによって定義され得る本開示の様々な態様を限定するものではない。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書に使用される用語は、単に特定の態様を説明することを目的とし、限定することを意図しないことも理解されたい。
【0043】
定義
便宜上、本明細書、実施例、及び添付の特許請求の範囲で使用されるいくつかの用語及び語句の意味が以下に提供される。別途記載されない限り、または文脈から暗示されない限り、以下の用語及び語句には、以下に提供される意味が含まれる。定義は、特定の実施形態を説明するのを助けるために提供され、技術の範囲が特許請求の範囲によってのみ限定されるため、特許請求された技術を限定することを意図しない。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、この技術が属する当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。当該技術分野での用語の使用と、本明細書で提供されるその定義との間に明らかな矛盾がある場合、本明細書中で提供される定義が優先されるものとする。
【0044】
冠詞「a」、「an」、及び「the」は、本明細書では、冠詞の文法的対象の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)を指すように使用している。例として、「要素」とは、1つの要素または複数の要素を意味する。
【0045】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、特に指示されない限り、指定された値の±10%を意味する。
【0046】
数または数の羅列の前の「少なくとも」という用語は、文脈から明白であるように、「少なくとも」という用語に隣接する数、及び論理的に含まれ得る全ての後続の数または整数を含むと理解される。少なくともが数の羅列または範囲の前に存在するとき、「少なくとも」は、羅列または範囲内の数の各々を修飾し得ることが理解される。
【0047】
本明細書で使用する場合、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」、「含有する」等という用語は、「含むが、これらに限定されない」を意味する非限定的な用語である。本明細書に開示される所与の実施形態がある特定の要素を「含む」範囲で、本開示はまた、それらの要素「から本質的になる」、及びそれらの要素「からなる」実施形態を具体的に企図し、開示することが理解されるべきである。
【0048】
本明細書で使用する場合、「から本質的になる」、「から本質的になる」等という用語は、半閉鎖的な用語として解釈されるべきであり、一実施形態の基本の及び新規の特性に著しく影響を与える他の成分が含まれないことを意味する。
【0049】
本明細書で使用する場合、「からなる(consists of)」、「からなる(consisting of)」等という用語は、特定の組みの要素「からなる」実施形態が、実施形態で指定されていない任意の要素、ステップ、または成分を除外するように、閉鎖的な用語として解釈されるべきである。
【0050】
本明細書で使用する場合、「亜硫酸」という用語は、式HSOの化合物を指す。
【0051】
本明細書で使用する場合、「亜硫酸源」という用語は、水性環境で亜硫酸を発生させることができる化合物、または2つ以上の化合物の混合物を指す。亜硫酸源とは、例えば、Fisher Chemicalで6%の水溶液として市販されている水性亜硫酸が含まれる。亜硫酸の別の供給源は、重亜硫酸塩の酸との水性混合物であり得る。亜硫酸源はまた、水性環境中に重亜硫酸イオンを提供する水中の二酸化硫黄(SO)ガスであり得る。亜硫酸の別の供給源は、亜硫酸塩と酸との水性混合物であり得る。
【0052】
本明細書で使用する場合、「重亜硫酸イオン」という用語は、亜硫酸水素アニオン(HSO )を指す。
【0053】
本明細書で使用する場合、「重亜硫酸塩」という用語は、水性環境において重亜硫酸イオンを発生させることができる任意の好適な塩を指す。好適な重亜硫酸塩には、例えば、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、及び重亜硫酸カルシウム等の、アルカリまたはアルカリ土類金属重亜硫酸塩が含まれる。
【0054】
本明細書で使用する場合、「亜硫酸イオン」という用語は、亜硫酸アニオン(SO 2-)を指す。
【0055】
本明細書で使用する場合、「亜硫酸塩」という用語は、水性環境において亜硫酸イオンを発生させることができる任意の好適な塩を指す。好適な亜硫酸塩には、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、及び亜硫酸カルシウム等の、アルカリまたはアルカリ土類金属亜硫酸塩が含まれる。
【0056】
本明細書で使用する場合、「二酸化硫黄ガス」という用語は、SOガスを指す。
【0057】
本明細書で使用する場合、「水性組成物」という用語は、水性溶液または水性スラリーであり得る水性組成物を指す。
【0058】
本明細書で使用する場合、「溶液」という用語は、2つ以上の物質の1つの相のみで構成される特殊な種類の均質な混合物を指す。かかる混合物では、溶質は、溶媒として既知の別の物質中に溶解した物質である。溶液は、通常、溶媒が混合物のより大きい画分であるときの溶媒の状態を有する。
【0059】
「水性溶液」という用語は、溶媒が水である溶液を指す。
【0060】
本明細書で使用する場合、「スラリー」という用語は、液体中、通常は水中に懸濁される、水よりも密度の高い固体の不均質混合物である。
【0061】
本明細書で使用する場合、「スラリー化」という用語は、固体をスラリーに変換する作用を指す。
【0062】
本明細書で使用する場合、「水性スラリー」という用語は、水よりも密度の高い固体の水性不均質混合物である。水性スラリーは、固体粒子及び溶解された材料を含有し得る。
【0063】
本明細書で使用する場合、「スラリー洗浄」という用語は、最小限の希釈による、水等の溶媒での汚染材料からの固体の精製を指す。
【0064】
本明細書で使用する場合、「固体」という用語は、物質の4つの基本状態のうちの1つを指す(他のものは、液体、気体、及びプラズマである)。固体中の分子は、密に一緒に詰め込まれ、最小量の運動エネルギーを含有する。固体は、表面に加えられる力に対する構造的剛性及び抵抗を特徴とする。液体とは異なり、固体物体は、その容器の形状を取るために流れないか、または気体のように利用可能な体積全体を埋めるために膨張しない。固体中の原子は、規則的な幾何学的格子(結晶性固体)または不規則な(非晶質固体)のいずれかで、互いに結合している。
【0065】
本明細書で使用する場合、「再生する」または「再生」という用語は、その重亜硫酸塩付加物からノルオキシモルホンを形成するステップを指す。
【0066】
本明細書で使用する場合、「Hunter Labカラースケール」は、反対色説に基づくHunter L,a,bカラースケールを指す。この理論は、ヒトの目の受容体が色を以下の反対色の対として知覚することを前提としている。Lスケール:明るさ対暗さ、ここで、低い数(0~50)は暗さを示し、高い数(51~100)は明るさを示す。スケール:赤色対緑色、ここで、正の数は赤色を示し、負の数は緑色を示す。また、bスケール:黄色対青色、ここで、正の数は黄色を示し、負の数は青色を示す。したがって、L値は、明るさまたは暗さのレベル、a値の赤色度または緑色度、及びb値の黄色度または青色度を示す。全ての3つの値は、物体の色を完璧に説明するために必要である。したがって、L値が高いほど、物体の色がより明るい。
【0067】
本明細書で使用する場合、「改善された比色プロファイル」という語句は、本明細書で説明される精製方法から得られたノルオキシモルホンの比色分析からのL、a、及びb値を指し、ここで、化合物は、精製前の元のノルオキシモルホンのものと比較したとき、より高いL値、より低いa値、及びより低いb値を示す。
【0068】
本明細書で使用する場合、「黄色度指数」または「YI」は、分光光度測定データから計算される数であり、透明または白色から黄色への、試験試料の色の変化を説明する。YI値が高いほど、試験試料は黄色である。
【0069】
「薬学的に許容される塩」という用語は、薬学的に許容される無機酸及び有機酸から調製される塩を指す。本開示は、開示される化合物の全ての非毒性の薬学的に許容される塩を含む。薬学的に許容される付加塩の例には、無機及び有機の酸付加塩及び塩基性塩が含まれる。「薬学的に許容される塩」には、金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩等;アルカリ土類金属、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等;有機アミン塩、例えばトリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N′-ジベンジルエチレンジアミン塩等;無機酸塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩等;有機酸塩、例えばクエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、オキサル酸塩、ギ酸塩等;スルホン酸塩、例えばメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等;及びアミノ酸塩、例えばアルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等が含まれるが、これらに限定されない。例示的な薬学的に許容される酸付加塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、及び安息香酸塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0070】
酸付加塩は、特定の化合物の溶液を、塩酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、カルボン酸、リン酸、オキサル酸、ジクロロ酢酸等の薬学的に許容される非毒性酸の溶液と混合することによって形成され得る。塩基性塩は、化合物の溶液を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化コリン、炭酸ナトリウム等の薬学的に許容される非毒性塩基の溶液と混合することによって形成され得る。
【0071】
「溶媒和物」という用語は、本明細書で使用する場合、本開示の化合物の、例えば、脱溶媒和物、一溶媒和物、または半溶媒和物等の溶媒分子との複合、物理的結合、及び/または溶媒和であり、溶媒分子対本発明の化合物の比は、それぞれ約2:1、約1:1、または約1:2である。この物理的結合は、水素結合を含む、様々な程度のイオン結合及び共有結合を必要とする。ある特定の例では、溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が、結晶性固体の結晶格子に組み込まれる場合に単離され得る。故に、「溶媒和物」は、溶液相及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。本開示の化合物は、水、メタノール、エタノール等の薬学的に許容される溶媒と溶媒和形態として存在することができ、本開示は、本開示の化合物の溶媒和及び非溶媒和形態の両方を含むことが意図される。他の種類の溶媒和物は、水和物である。「水和物」は、溶媒分子が水である、溶媒和物の特定の下位群に関する。溶媒和物は、典型的に、薬理学的同等物として機能し得る。溶媒和物の調製は、当該技術分野で既知である。例えば、M.Caira et al.,J.Pharmaceut.Sci.,93(3):601-611(2004)を参照されたい。これは、フルコナゾールの、酢酸エチル及び水との溶媒和物の調製を説明している。溶媒和物、半溶媒和物、水和物等の同様の調製は、E.C.van Tonder et al.,AAPS Pharm.Sci.Tech.,5(1):Article 12(2004)、及びA.L.Bingham et al.,Chem.Commun.:603-604(2001)によって説明されている。典型的な非限定の、溶媒和物を調製する工程は、化合物を、所望の溶媒(有機物、水、またはそれらの混合物)中に、約20℃超~約25℃の温度で溶解し、次いで、結晶を形成するのに十分な速度で溶液を冷却し、既知の方法、例えば、濾過によって結晶を単離することを伴う。赤外線顕微鏡等の分析技法を使用して、溶媒和物の結晶中の溶媒の存在を確認することができる。本明細書に開示される化合物のうちのいくつかは、1つ以上の不斉中心を含有してもよく、故に、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びエピマー等の他の立体異性形態を生じ得る。本開示は、全てのかかる可能な形態、ならびにそれらのラセミ形態及び分解形態、ならびにこれらの混合物の使用を包含することを意味する。個々の鏡像異性体は、本開示を考慮して、当業者に既知の方法に従って分離され得る。本明細書に記載される化合物がオレフィン二重結合または他の幾何学的不斉中心を含有する場合、特に指定のない限り、化合物が、E及びZ幾何異性体の両方を含むことが意図される。全ての互変異性体も同様に、本発明によって包含されることが意図される。
【0072】
本明細書で使用する場合、「多形体」という用語は、特定の結晶充填配列における、化合物、またはその塩、水和物、もしくは溶媒和物の結晶形態を指す。全ての多形体は、同じ元素組成を有する。本明細書で使用する場合、「結晶性」という用語は、構造単位の秩序ある配列からなる固体状態の形態を指す。同じ化合物、またはその塩、共結晶、水和物、もしくは溶媒和物の異なる結晶形態は、固体状態の分子の異なる充填から生じ、これは、異なる結晶対称性及び/または単位胞パラメータをもたらす。異なる結晶形態は、通常、異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学的及び電気的特性、安定性、ならびに溶解性を有する。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,Mack Publishing,Easton PA,173(1990);The United States Pharmacopeia,23rd ed.,1843-1844(1995)(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0073】
結晶形態は、最も一般的に、X線粉末回折(XRPD)によって特徴付けられる。屈折(ピーク、典型的には、2θ度で表現される)のXRPDパターンは、一般的に、特定の結晶形態のフィンガープリントとみなされる。XRPDピークの相対強度は、特に試料の調製技法、結晶サイズの分布、フィルター、試料の取り付け手順、及び用いられる特定の計器に応じて広く変化し得る。場合によっては、計器の種類または設定に応じて、新たなピークが観測され得るか、または既存のピークが消失し得る。場合によっては、XRPDパターンにおける任意の特定のピークは、計器の種類または設定、計器の感度、測定条件、及び/または結晶形態の純度に応じて、シングルレット、ダブレット、トリプレット、カルテット、またはマルチプレットとして出現し得る。場合によっては、XRPDにおける任意の特定のピークは、対称形状または非対称形状、例えば、ショルダーを有する形状で出現し得る。更に、計器の変化及び他の要因は、2θ値に影響を及ぼし得る。これらの変化を理解する当業者は、XRPDを使用して、及び他の既知の物理化学的技法を使用して、特定の結晶形態の特徴もしくは特性を識別または確認することが可能である。
【0074】
本明細書で使用する場合、「立体異性体」という用語は、空間におけるそれらの原子の配向のみが異なる個々の分子の全ての異性体に対する一般用語である。互いの鏡像でない1つより多くのキラル中心を持つ化合物の鏡像異性体及び同位体が含まれる(ジアステレオマー)。
【0075】
「キラル中心」という用語は、4つの異なる基が結合する炭素原子を指す。
【0076】
「エピマー」という用語は、それぞれの分子実体に存在する2つ以上の四面体立体中心のうちの1つのみに反対の構成を有するジアステレオマーを指す。
【0077】
「立体中心」という用語は、任意の2つの基の交換が立体異性体につながるような基を持つ原子である。
【0078】
「鏡像異性体」及び「鏡像異性体の」という用語は、その鏡像に重畳できないため、光学的に活性な分子を指し、鏡像異性体は、偏光の平面をある方向に回転し、その鏡像化合物は、偏光の平面を反対方向に回転する。
【0079】
「ラセミ」という用語は、等量部の鏡像異性体の混合物を指し、この混合物は、光学的に不活性である。
【0080】
「分解」という用語は、分子の2つの鏡像異性体形態のうちの1つの分離または凝集または枯渇を指す。
【0081】
本明細書で使用する場合、「アルカリ金属」という用語は、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、及びリチウム(Li)を指す。
【0082】
本明細書で使用する場合、「アルカリ土類金属」という用語は、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、及びバリウム(Ba)を指す。
【0083】
本明細書で使用する場合、「脂肪族アルコール」という用語は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、及びn-ヘキサノール等のC1-6アルコールを含む。いくつかの実施形態では、脂肪族アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、またはイソ-プロパノールである。
【0084】
本明細書で使用する場合、「共溶媒」という用語は、別の溶媒と併用して溶質を溶解させることができる溶媒を指す。
【0085】
本明細書で使用する場合、「溶媒」という用語は、溶質を溶解させ、溶液をもたらす液体物質を指す。水は極性分子のための溶媒であり、生物によって使用される最も一般的な溶媒である。
【0086】
本明細書で使用する場合、「有機共溶媒」という用語は、1つ以上の他の物質を溶解または分散することが可能な炭素系溶媒である、上記で定義される共溶媒を指す。有機共溶媒は、水混和性有機溶媒、水非混和性有機溶媒、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、脂肪族アルコール、アセトニトリル、及びテトラヒドロフラン(THF)、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、またはn-ヘキサノール等の脂肪族C1-6アルコールである。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、アセトニトリルである。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、THFである。
【0087】
本明細書で説明される方法
精製前の元のノルオキシモルホンと比較したとき、商業規模で使用することができる方法によってノルオキシモルホンを効果的に精製し、改善された純度及び比色プロファイルを有するノルオキシモルホンを得るための経路を見つけるために、多数の試みが本発明者(複数可)によって行われている。ノルオキシモルホンは、ノルオキシモルホン及び1つ以上の有色不純物の水性組成物から、1つ以上の有色不純物を水相に残して、その高度に精製された重亜硫酸塩付加物の形態で単離することができることが発見された。重亜硫酸塩付加物としてのノルオキシモルホンの結晶化により、ノルオキシモルホンに一般的に存在する暗色で不明瞭なタール状の不純物からノルオキシモルホンを分離することが可能である。精製ノルオキシモルホンは、次いで、例えば、弱塩基での処理により、重亜硫酸塩付加物から再生することができる。本明細書で説明される精製方法は、かかる不純物を除去するための他の精製方法よりも優れている。ノルオキシモルホンを精製するための本明細書で説明される方法はまた、大規模に、かつ高収率で精製ノルオキシモルホンを供与するためにも適用可能である。精製ノルオキシモルホンは、より少ない下流精製で、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、及びナルブフェン等の有用なAPIに更に処理することができる。
【0088】
ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を調製するための方法
本開示は、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を調製するための方法であって、
【0089】
ノルオキシモルホン及び亜硫酸源を含む水性組成物を混合すること、ならびに
【0090】
水性組成物から上記ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を単離すること、を含む、上記方法を提供する。
【0091】
いくつかの実施形態では、水性組成物は、水性溶液である。いくつかの実施形態では、水性組成物は、水性スラリーである。
【0092】
亜硫酸源は、水性環境で亜硫酸を発生させることができる任意の化合物、または2つ以上の化合物の混合物を指す。化合物または化合物の混合物は、気体、固体、液体、またはそれらの混合物であり得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、亜硫酸源は水性亜硫酸である。水性亜硫酸は、例えば、Fisher Chemicalで、水中の6%溶液として市販されている。
【0094】
いくつかの実施形態では、亜硫酸源は二酸化硫黄ガスである。水中の二酸化硫黄(SO)ガスは、水性組成物中の重亜硫酸塩イオン(HSO )を提供する。
【0095】
いくつかの実施形態では、亜硫酸源は重亜硫酸塩及び酸である。
【0096】
重亜硫酸塩は、水性環境で重亜硫酸イオンを発生させることができる任意の好適な塩であり得る。いくつかの実施形態では、重亜硫酸塩は、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、もしくは重亜硫酸カルシウム等の、アルカリまたはアルカリ土類金属重亜硫酸塩である。いくつかの実施形態では、重亜硫酸塩は、アルカリ金属重亜硫酸塩である。いくつかの実施形態では、重亜硫酸塩は、重亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、及びメタ重亜硫酸カリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、重亜硫酸塩は、メタ重亜硫酸ナトリウムである。
【0097】
いくつかの実施形態では、亜硫酸源は、亜硫酸塩及び酸である。
【0098】
亜硫酸塩は、水性環境で亜硫酸イオンを発生させることができる任意の好適な塩であり得る。いくつかの実施形態では、亜硫酸塩は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、もしくは亜硫酸カルシウム等の、アルカリまたはアルカリ土類金属亜硫酸塩である。いくつかの実施形態では、亜硫酸塩は、アルカリ金属亜硫酸塩である。いくつかの実施形態では、亜硫酸塩は、亜硫酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、亜硫酸塩は、亜硫酸カリウムである。
【0099】
亜硫酸源に存在する酸は、無機酸及び有機酸、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、酸は無機酸である。いくつかの実施形態では、酸は有機酸である。いくつかの実施形態では、酸は、無機酸と有機酸との組み合わせである。
【0100】
好適な無機酸には、例えば、リン酸、塩酸、及び硫酸、ならびにこれらの混合物が含まれる。いくつかの実施形態では、酸は、リン酸である。いくつかの実施形態では、酸は、塩酸である。いくつかの実施形態では、酸は硫酸である。
【0101】
好適な有機酸には、例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、及び乳酸、ならびにこれらの混合物が含まれる。いくつかの実施形態では、有機酸は、酢酸である。
【0102】
亜硫酸源が重亜硫酸塩及び酸であるとき、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を調製する方法における混合は、いくつかの方法で実施され得る。一実施形態では、混合は、固体重亜硫酸塩を、ノルオキシモルホン及び酸を含む水性組成物に添加することによって実施される。別の実施形態では、混合は、重亜硫酸塩の水性溶液を、ノルオキシモルホン及び酸を含む水性組成物に添加することによって実施される。別の実施形態では、混合は、酸の水性溶液を、ノルオキシモルホン及び重亜硫酸塩を含む水性組成物に添加することによって実施される。
【0103】
亜硫酸源が亜硫酸塩及び酸であるとき、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を調製する方法における混合することはまた、いくつかの方法で実施され得る。一実施形態では、混合は、固体亜硫酸塩を、ノルオキシモルホン及び酸を含む水性組成物に添加することによって実施される。別の実施形態では、混合は、亜硫酸塩の水性溶液を、ノルオキシモルホン及び酸を含む水性組成物に添加することによって実施される。別の実施形態では、混合は、酸の水性溶液を、ノルオキシモルホン及び亜硫酸塩を含む水性組成物に添加することによって実施される。
【0104】
いくつかの実施形態では、亜硫酸は、約1~約6のpHを提供する量で水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、亜硫酸は、約1~約4のpHを提供する量で水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、pHは、約2.5~約3.0である。いくつかの実施形態では、pHは、約2.0である。いくつかの実施形態では、pHは、約3.0である。
【0105】
いくつかの実施形態では、亜硫酸は、少なくとも約15分の期間内に徐々に提供される。いくつかの実施形態では、亜硫酸は、少なくとも15分の期間内に徐々に提供される。いくつかの実施形態では、亜硫酸は、少なくとも20分の期間内に徐々に提供される。いくつかの実施形態では、亜硫酸は、約30分の期間内に徐々に提供される。
【0106】
いくつかの態様では、重亜硫酸塩付加物を調製するための方法は、
【0107】
ノルオキシモルホン及び酸を含む水性組成物を重亜硫酸塩と混合して、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を提供すること、ならびに
【0108】
水性組成物からノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を単離すること、を含む。
【0109】
いくつかの態様では、重亜硫酸塩付加物を調製するための方法は、
【0110】
ノルオキシモルホン及び重亜硫酸塩を含む水性組成物を酸と混合して、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を提供すること、ならびに
【0111】
水性組成物からノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を単離すること、を含む。
【0112】
いくつかの態様では、重亜硫酸塩付加物を調製するための方法は、
【0113】
ノルオキシモルホン及び酸を含む水性組成物を亜硫酸塩と混合して、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を提供すること、ならびに
【0114】
水性組成物からノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を単離すること、を含む。
【0115】
いくつかの態様では、重亜硫酸塩付加物を調製するための方法は、
【0116】
ノルオキシモルホン及び亜硫酸塩を含む水性組成物を酸と混合して、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を提供すること、ならびに
【0117】
水性組成物からノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を単離すること、を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物は、弱酸性溶液またはノルオキシモルホンのスラリーへの固体メタ重亜硫酸ナトリウムの添加によって調製される。いくつかの実施形態では、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物は、メタ重亜硫酸ナトリウムの水性溶液をノルオキシモルホンの弱酸性溶液に添加することによって調製される。
【0119】
いくつかの実施形態では、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物は、弱酸性溶液またはノルオキシモルホンのスラリーへの固体亜硫酸ナトリウムの添加によって調製される。いくつかの実施形態では、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物は、亜硫酸ナトリウムの水性溶液をノルオキシモルホンの弱酸性溶液に添加することによって調製される。
【0120】
本開示のこれらの態様のいくつかの実施形態では、混合するときの水性組成物のpHは、約1~約6である。いくつかの実施形態では、pHは、約1~約4である。いくつかの実施形態では、pHは、約2.5~約3.0である。いくつかの実施形態では、pHは、約2.0である。いくつかの実施形態では、pHは、約3.0である。
【0121】
本開示のこれらの態様のいくつかの実施形態では、重亜硫酸(または亜硫酸)または酸の混合は、それぞれ、少なくとも約15分の期間内に徐々に実施される。いくつかの実施形態では、混合は、少なくとも15分の期間内に徐々に実施される。いくつかの実施形態では、混合は、少なくとも20分の期間内に徐々に実施される。いくつかの実施形態では、混合は、約30分の期間内に徐々に実施される。
【0122】
ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物は、共溶媒の有無にかかわらず、水中で調製され得る。好適な共溶媒には、任意の有機共溶媒が含まれる。いくつかの実施形態では、水性組成物は、共溶媒を含まない。いくつかの実施形態では、水性組成物は、共溶媒を更に含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、水性組成物は、有機共溶媒を更に含む。有機共溶媒は、水混和性有機溶媒、水非混和性有機溶媒、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、脂肪族アルコール、アセトニトリル、及びテトラヒドロフラン(THF)、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、またはn-ヘキサノール等の脂肪族C1-6アルコールである。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、アセトニトリルである。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、THFである。
【0124】
有機共溶媒は、組成物中に存在する水の量に対して任意の比で水性組成物中に存在し得る。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、水との約1:100~約100:1v/vの比で水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、水との約1:70~約70:1v/vの比で水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、水との約1:50~約50:1v/vの比で水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、水との約1:30~約30:1v/vの比で水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、水との約1:20~約20:1v/vの比で水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、水との約1:10~約10:1v/vの比で水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、水との1:5~約5:1v/vの比で水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、水との約1:1、1:2、1:3、1:4、または1:5v/vの比で水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、水との約2:1、3:1、4:1、または5:1v/vの比で水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、水との約1:1v/vの比で上記水性組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、水性組成物中に存在する有機共溶媒は、水との約1:1v/vの比のアセトニトリルである。
【0125】
いくつかの実施形態では、混合は、室温または高温で実施される。いくつかの実施形態では、混合は、約40℃~約90℃の温度で実施される。より高い温度で重亜硫酸塩付加物を形成することにより、より多くの不純物及び色が除去される。いくつかの実施形態では、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物は、メタ重亜硫酸ナトリウムの水性溶液を70℃で15分以上のスパンにわたって添加することによって調製される。
【0126】
いくつかの実施形態では、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を含む水性組成物は、最初に室温まで冷却され、次いで、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物は、濾過によって単離される。故に、不溶性重亜硫酸塩付加物は、不純物から分離され、不純物は溶解したままである。
【0127】
いくつかの実施形態では、この方法は、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を洗浄及び乾燥することを更に含む。
【0128】
別の態様では、本開示は、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を提供する。この化合物は、式Iの以下の構造によって表すことができる。
【化5】
【0129】
この化合物はまた、式IIによって表される双性イオン形態であり得る。
【化6】
【0130】
ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物は、水和物等の溶媒和物の形態であり得る。いくつかの実施形態では、重亜硫酸塩付加物は、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物の一水和物である。
【0131】
別の態様では、本開示は、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物の結晶形態を提供する。ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物の結晶形態のX線粉末回折(XRPD)パターンは、図2に示される。いくつかの実施形態では、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物の結晶形態(以下、「結晶形態A)は、実質的に図2に示されるようなXRPDパターンを特徴とする。
【0132】
いくつかの実施形態では、結晶形態Aは、Cu Kα放射線によって測定されたとき、11.8±0.2、13.2±0.2、及び16.7±0.2の2θ度でのピークを有するXRPDパターンを特徴とする。別の実施形態では、結晶形態Aは、Cu Kα放射線によって測定されたとき、9.4±0.2、11.8±0.2、13.2±0.2、及び16.7±0.2の2θ度でのピークを有するXRPDパターンを特徴とする。別の実施形態では、結晶形態Aは、Cu Kα放射線によって測定されたとき、9.4±0.2、11.8±0.2、13.2±0.2、16.7±0.2、及び18.2±0.2の2θ度でのピークを有するXRPDパターンを特徴とする。別の実施形態では、結晶形態Aは、Cu Kα放射線によって測定されたとき、9.4±0.2、11.8±0.2、13.2±0.2、16.7±0.2、18.2±0.2、及び18.7±0.2の2θ度でのピークを有するXRPDパターンを特徴とする。
【0133】
いくつかの実施形態では、結晶形態Aは、相対強度>10.0%で、以下の表に列挙される3つ以上、4つ以上、5つ以上、または6つ以上のXRPDピークを特徴とする。
【表1】
【0134】
ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物の結晶形態はまた、図3に示されるDSCスペクトルによって特徴付けることができる。図3は、約88℃の開始及び約113.5℃のピークを有する吸熱を示す。図3はまた、約172℃の開始及び約195.5℃のピークを有する吸熱を示す。
【0135】
ノルオキシモルホンを精製するための方法
別の局面において、本開示は、ノルオキシモルホンを精製するための方法を提供する。この方法は、
【0136】
ノルオキシモルホン及び1つ以上の有色不純物を含む水性組成物を提供すること;
【0137】
ノルオキシモルホンの重亜硫酸塩付加物を形成すること、及び
【0138】
ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物から精製ノルオキシモルホンを再生すること、を含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、重亜硫酸塩付加物は、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を調製するための上述の方法に従って形成される。
【0140】
いくつかの実施形態では、水性組成物中のノルオキシモルホン出発物質は、オキシモルホンのN-脱メチル化の反応生成物である。オキシモルホンのN-メチル化は、例えば、WO2011/154826A1、米国特許第8,227,609号、及びBioorg.Med.Chem.Lett,2017 27(3),666-669で説明されているように実施することができる。
【0141】
オキシモルホンは、例えば米国特許第10,316,042号で説明されているように、例えば、オリパビンの酸化反応から開始して、それに続く水素化によって調整することができる。
【0142】
ノルオキシモルホンの重亜硫酸塩付加物は、弱水性塩基を使用するスラリー間の転換を通して、ノルオキシモルホンに容易に変換し直すことができ、精製ノルオキシモルホンを供与することができる。いくつかの実施形態では、ノルオキシモルホンの再生は、水中でノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物をスラリー化し、塩基を添加して、ノルオキシモルホン塩基を提供することによって実施される。いくつかの実施形態では、塩基は、スラリーのpHが約9.5を超えるまで徐々に添加される。いくつかの実施形態では、塩基は、少なくとも15分にわたって徐々に添加される。いくつかの実施形態では、塩基は、少なくとも20分にわたって徐々に添加される。いくつかの実施形態では、塩基は、少なくとも30分にわたって徐々に添加される。
【0143】
水酸化物、アルコキシド、または炭酸塩塩基は、重亜硫酸塩付加物からのノルオキシモルホンの再生に使用され得る。いくつかの実施形態では、塩基は、水性水酸化ナトリウム溶液である。いくつかの実施形態では、塩基は、水性水酸化アンモニウム溶液である。
【0144】
再生は、室温または高温で実施される。いくつかの実施形態では、再生は、室温で実施される。いくつかの実施形態では、再生は、約60℃~約75℃の温度で実施される。
【0145】
いくつかの実施形態では、有機共溶媒は、ノルオキシモルホンの再生に使用される。好適な有機共溶媒には、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を調製する方法に関連して上述したものが含まれる。
【0146】
再生は、濾過、水中でのスラリー洗浄、及び乾燥によって単離して、固体形態で精製ノルオキシモルホンを得ることを更に含む。得られた精製ノルオキシモルホンは、より高いHPLC重量%アッセイ、HPLC面積%純度、及びより明るい色を有する。
【0147】
本明細書で説明されるノルオキシモルホンを精製するための方法の例は、以下のスキーム3に提示される。
【化7】
【0148】
別の態様では、本開示は、本明細書で説明される方法によって調製された精製ノルオキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩であって、精製ノルオキシモルホンが、精製前の元のノルオキシモルホンの比色プロファイルと比較したとき、改善された比色プロファイルを示す、精製ノルオキシモルホンまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0149】
別の態様では、本開示は、ナロキソン、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の調製のための方法であって、この方法が、本明細書で説明される方法によってノルオキシモルホンを精製することを含む、方法を提供する。
【0150】
別の態様では、本開示は、ナルトレキソン、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の調製のための方法であって、この方法が、本明細書で説明される方法によってノルオキシモルホンを精製することを含む、方法を提供する。
【0151】
ナロキソン及びナルトレキソン、ならびにそれらの薬学的に許容される塩及びそれらの溶媒和物は、例えば、WO2016/005923、IN2012MU00409、及びUS2011/0269964A1で説明されるように、本明細書で説明される精製ノルオキシモルホンから調製することができる。
【0152】
別の態様では、本開示は、ナルメフェン、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の調製のための方法であって、この方法が、本明細書で説明される方法によってノルオキシモルホンを精製することを含む、方法を提供する。ナルメフェン及びその薬学的に許容される塩は、例えば、WO2010/136039A1で説明されるように、本明細書で説明される精製ノルオキシモルホンから調製することができる。
【0153】
別の態様では、本開示は、ナルブフェン、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の調製のための方法であって、この方法が、本明細書で説明される方法によってノルオキシモルホンを精製することを含む、方法を提供する。ナルブフェン及びその薬学的に許容される塩は、例えば、Org.Proc.Res.Dev.,2020,24(9),1707-17で説明されるように、本明細書で説明される精製ノルオキシモルホンから調製することができる。
【実施例
【0154】
本明細書で説明される処理方法は、以下の実施例を参照して、ここで更に詳細に説明される。これらの実施例は、例示のみを目的として提供され、本明細書で説明される実施形態は、決してこれらの実施例に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、実施形態は、本明細書で提供される教示の結果として明らかになる任意の及び全ての変形形態を包含するように解釈されるべきである。
【0155】
ノルオキシモルホン比色決定法
ノルオキシモルホン出発物質及び精製生成物の比色分析を以下のように行った。約300mgのノルオキシモルホンを、105℃の真空乾燥オーブンで3時間乾燥させ、真空乾燥機内で冷却した。乾燥した固体を、1.0Mのリン酸(容積フラスコを使用して、125±2mgのノルオキシモルホンを25mL中に)中に溶解した。溶液を、25mLの石英セル(10mmの長さ)中の1.0Mリン酸の標準物によって、Hunterlab Ultra Scan VIS比色計で分析した。比色データを、Easymatch QCソフトウェアのバージョン4.86.03を使用して加工した。
【0156】
比色分析の結果は、Hunter Labのカラースケール値L、a、及びb、ならびに黄色度指数(YI)で提示される。
【0157】
HPLC分析
クロマトグラフィー条件:
【0158】
移動相A:25mMのリン酸カリウム緩衝液(pH8.30)/MeOH(90/10v/v)
【0159】
移動相B:25mMのリン酸カリウム緩衝液(pH8.30)/MeOH(25/75v/v)
【0160】
【表2】
【0161】
検出:UV225nm
【0162】
カラム:Phenomenex Gemini 5 μ250×4.6mm、Cat#00G-4435-E0、または同等品
【0163】
注入容積:10μL
【0164】
流量:1.0mL/分
【0165】
カラム温度:40℃
【0166】
実行時間:50分
【0167】
針洗浄:水中に50%のメタノール
【0168】
HPLC面積%純度を以下の式を使用して計算する。
【数1】

式中、
アッセイ(%面積)=ノルオキシモルホンの%面積、
NHM=ノルオキシモルホンピークフォーム試料のピーク面積応答、
=試料についての全てのピークの面積の合計、及び
100=パーセンテージの変換係数。
【0169】
HPLC重量%アッセイを以下の式を使用して計算する。
【数2】

式中、
Rs=試料についてのノルオキシモルホンのピーク応答、
Rstd=全てのブラケッティング標準注入についてのノルオキシモルホンピークの平均ピーク応答、
Wstd=純度について補正された標準の重量(mg)、
Ws=試料の重量(mg)、
100=パーセンテージの変換係数。
【0170】
実施例1
粗ノルオキシモルホンの調製、及び脱色炭に続く水素化で処理することによる精製
粗ノルオキシモルホンを以下の手順によって調製した。粗オキシモルホンを約7体積のtert-アミルアルコール中に懸濁し、ヨウ化ナトリウム及び重炭酸ナトリウムで処理した。混合物を加熱還流させ、約半分の体積まで蒸留して、残留水分を除去した。次いで、得られた混合物を、約80℃のクロロギ酸エチルで処理して、3,17-ジエトキシカルボニルノルオキシモルホンを得た。炭酸塩の塩基性加水分解後、混合物を酸性化し、洗浄した。tert-アミルアルコールを、蒸留を介して水で置き換え、混合物を水性硫酸で処理して、カルバメートの加水分解を誘起した。pH調整後、粗ノルオキシモルホンを沈殿物として単離した。
【0171】
粗ノルオキシモルホンを脱色炭及び水素化によって処理して、低ABUK(すなわち、α、β不飽和ケトン)ノルオキシモルホンを以下の手順によって得た。粗ノルオキシモルホンを、約2.4当量のリン酸及び約25重量%の活性炭を含有する約5体積の水中に溶解した。溶液を約90℃まで加熱し、数時間保持した。冷却後、炭素を濾過によって除去した。濾過ケーキを約2体積の水で洗浄し、組み合わせた濾過物を、約80℃で、75psiaの水素下で炭素上の5%のパラジウムで処理した。反応が完了すると、混合物を冷却し、濾過によって触媒を除去した。pH調整後、沈殿した低ABUKノルオキシモルホンを濾過によって単離した。
【0172】
実施例2
低ABUKノルオキシモルホンから精製ノルオキシモルホンを提供すること
実施例1で調製した低ABUKノルオキシモルホン(水11.2%、そのままのもの50.02g、水含有量を補正したもの44.42g、154.6mmolを含有する)を、水:MeCN(1:1、v:v、250mL)中でスラリー化した。2.9のpHになるまでリン酸(85%、15mL)を添加すると、完全な溶解を観察した。メタ重亜硫酸ナトリウム(29.4g、1当量、2モル当量の重亜硫酸ナトリウム)を、水(60mL)中の溶液として、70℃の温度で30分以内に添加した。この反応混合物を、室温まで冷却した。固体を濾過し、水:MeCN(1:1、v:v、80mL)でスラリー洗浄した。
【0173】
湿潤ケーキ重亜硫酸塩付加物(64.73g)を水(200mL)中でスラリー化した。水酸化ナトリウム(10重量%溶液、約100mL)を20分かけて滴下した。添加中のpHは約8.5であった。最後に、pHは、10.5まで急激に増加した。混合物を1時間撹拌し、pHを8.4まで逆緩衝した。10.16の最終pHになるまで、数滴の塩基を添加した。混合物を濾過し、固体を水(80mL)でスラリー洗浄し、70℃の真空乾燥オーブン内で16時間乾燥させた。固体を空気に開放して一定の重量に平衡化させて、生成物である精製ノルオキシモルホンを得た(42.13g、KFによる1.34%の水、水を補正した後の収率94%)。
【0174】
実施例3
粗ノルオキシモルホンから精製ノルオキシモルホンを提供すること。
実施例1で調製した粗ノルオキシモルホン(水38.3%、そのままのもの61.97g、水含有量を補正したもの44.42g、154.6mmolを含有する)を、水:MeCN(1:1、v:v、250mL)中でスラリー化した。2.9のpHになるまでリン酸(85%、15mL)を添加すると、完全な溶解を観察した。メタ重亜硫酸ナトリウム(29.4g、1当量、2モル当量の重亜硫酸ナトリウム)を水(60mL)中の溶液として、70℃の温度で30分以内に添加した。この反応混合物を、室温まで冷却した。固体を濾過し、水:MeCN(1:1、v:v、80mL)でスラリー洗浄した。
【0175】
湿潤ケーキ重亜硫酸塩付加物(57.12g)を水(200mL)中でスラリー化した。水酸化ナトリウム(10重量%溶液、約80mL)を20分かけて滴下した。添加中のpHは約8.5であった。最後に、pHは、10.2まで急激に増加した。混合物を1時間撹拌し、pHを9.3に逆緩衝した。混合物を濾過し、固体を水(80mL)でスラリー洗浄し、70℃の真空乾燥オーブン内で16時間乾燥させた。固体を空気に開放して一定の重量に平衡化させた(35.35g、KFによる6.46%の水、水を補正した後の収率79%)。
【0176】
実施例4
実施例2及び3からの出発物質及び精製ノルオキシモルホンのHPLCならびに色分析
実施例2及び実施例3からの出発物質ならびに生成物の各々の一部分を、105℃の真空乾燥オーブン内で3時間乾燥させ、真空乾燥機内で冷却した。
【0177】
HPLC分析:乾燥した固体をHPLC重量パーセントアッセイ及び純度について分析した(50mLの0.085%リン酸中に100±2mg)。結果を以下の表1に提示する。
【表3】
【0178】
実施例2及び3の両方において、重量%アッセイ及び面積%純度は、重亜硫酸塩付加物を通した本開示の方法に従って精製した材料中で増加した。
【0179】
比色分析:乾燥した固体を色について分析した(25mLの1Mリン酸中に125±2mg)。結果を以下の表2に提示する。
【表4】
【0180】
実施例2及び3の両方において、重亜硫酸塩付加物を通した本開示の方法による精製によって、色が改善された。
【0181】
実施例5
ノルオキシモルホンの精製:水、THF、及び亜硫酸を含む混合物中で調製したノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物
実施例1で調製した粗ノルオキシモルホン(水38.3%、そのままのもの12.39g、水含有量を補正したもの8.88g、30.9mmolを含有する)を、THF(62mL)中でスラリー化し、63℃まで加熱した。亜硫酸(水中に6重量%のSO、1.1当量、64mL)を、20分間かけて滴下した。pHは、60℃で2.69であった。スラリーを25℃まで冷却し、固体を濾過した。固体を水/THF(1:1、20mL)中でスラリー化し、63℃まで1時間加熱し、室温まで冷却し、濾過した。
【0182】
湿潤ケーキ重亜硫酸塩付加物を水(40mL)中でスラリー化し、65℃まで加熱した。水酸化ナトリウム(10重量%溶液、約18mL)を20分かけて滴下した。添加中のpHは約7.5であった。最後に、pHは、8.9まで急激に増加した。この反応物を、室温まで冷却した。混合物のpHを、更なる数滴の塩基で9.9から10.2に調整した。スラリーを1時間撹拌した。混合物を濾過し、固体を水(20mL)でスラリー洗浄し、70℃の真空乾燥オーブン内で16時間乾燥させた。固体を空気に開放して一定の重量に平衡化させて、生成物である精製ノルオキシモルホンを得た(7.10g、KFによる0.96%の水、水を補正した後の収率79%)。
【0183】
比色分析:出発物質及び生成物の各々の一部分約300mgを、105℃の真空乾燥オーブン内で3時間乾燥させ、真空乾燥機内で冷却した。乾燥した固体を色について分析した(25mLの1Mリン酸中に125±2mg)。結果を以下の表3に提示する。
【表5】
【0184】
実施例6
ノルオキシモルホンの精製:水、THF、及び二酸化硫黄ガスを含む混合物中で調製したノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物
実施例1で調製した低ABUKノルオキシモルホン(水11.22%、50.56g、水含有量を補正したもの44.89g、156.2mmol)を、THF/水(1:1v/v、250mL)中でスラリー化した。pHは、7.77であった。1.89の最終pHになるまで、二酸化硫黄ガス(29.94g、467mmol、3.0当量)を14分かけて添加した。室温で50分間撹拌した後、固体を濾過し、次いで、THF/水(1:1、v/v、90mL)中で1時間再加熱した。室温まで冷却した後、固体を濾過して、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を得た。重亜硫酸塩付加物を水(150mL)中でスラリー化し、70℃まで加熱した。9.4のpHになるまで、水酸化アンモニウム(92mL)を(65℃で)添加した。混合物を室温まで冷却し、pHは10.4であった。固体を濾過し、水/NHOH(90mL、19:1)中でスラリー洗浄し、70℃の真空乾燥オーブン内で一晩乾燥させた。固体を1日中空気中に開放して平衡化させて、生成物、精製ノルオキシモルホン(46.67g、11.22%の水、水を補正したもの41.43g、92%の収率)を得た。
【0185】
HPLC及び比色分析:出発物質及び生成物の試料(300mg)を105℃の真空乾燥オーブン内で3時間乾燥させ、乾燥機内で冷却した。乾燥したノルオキシモルホン試料を、重量パーセントアッセイについて分析し(50mLの0.085%HPO中に100mg)、結果を表4に提示する。
【表6】
【0186】
同じ乾燥試料を、色についても分析し(25mLの1N HPO中に125mg)、結果を表5に提示する。
【表7】
【0187】
実施例7
ノルオキシモルホンの精製:有機酸を使用して調製したノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物
実施例1で調製した粗ノルオキシモルホン(水38.3%、12.39g、水含有量を補正したもの8.88g、30.9mmol)を、THF/水(1:1v/v、50mL)中でスラリー化した。5.5の最終pHになるまで、酢酸(氷、5mL)を添加した。得られた溶液を62℃まで加熱し、メタ重亜硫酸ナトリウム(33重量%の水溶液、17.64g、30.9mmol、2当量の重亜硫酸ナトリウム)を20分かけて滴下した。添加の2分後に固体が形成され始めた。室温まで冷却した後、固体を濾過した。固体をTHF/水(20mL)中で62℃で1時間スラリー洗浄し、冷却し、濾過して、ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物を得た。重亜硫酸塩付加物を水(40mL)中でスラリー化し、70℃まで加熱した。9.4のpHになるまで、水酸化アンモニウム(20mL)を(65℃で)添加した。混合物を室温まで冷却し、固体を濾過し、水/NHOH(20mL、19:1)中でスラリー洗浄し、70℃の真空乾燥オーブン内で一晩乾燥させた。固体を1日中空気中に開放して平衡化させて、生成物、精製ノルオキシモルホン(7.09g、0.62%の水、80%の収率)を得た。
【0188】
比色分析:出発物質及び生成物の両方の試料(200mg)を105℃の真空乾燥オーブン内で3時間乾燥させ、乾燥機内で冷却した。乾燥したノルオキシモルホン試料を、色について分析し(25mLの1N HPO中に125mg)、結果を表6に提示する。
【表8】
【0189】
実施例8
ノルオキシモルホンの精製:固体としてメタ重亜硫酸ナトリウムを添加することによって調製したノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物
実施例1で調製した低ABUKノルオキシモルホン(15.32g、12.25%の水、46.8mmol)を、水(100mL)中でスラリー化し、濃HCl(約6mL)でpH1.2まで酸性化した。得られたスラリーを10分間撹拌し、次いでメタ重亜硫酸ナトリウム(8.90g、1.0当量、2.0モル当量の重亜硫酸塩)を一度に添加した。スラリーは、淡褐色から黄色に暗色化した。pHは、2.30まで上昇した。1時間撹拌した後、黄色の固体を濾過し、水(50mL)でスラリー洗浄した。
【0190】
湿潤ケーキ重亜硫酸塩付加物を水(100mL)中でスラリー化した。水酸化ナトリウム(10重量%溶液、33mL)を20分かけて滴下した。添加中のpHは約8.5であった。最後に、pHは、10.5まで突然増加した。混合物を5分間撹拌し、次いで、1NのHCl(5滴)でpHをpH9.5まで低下させた。混合物を濾過し、固体を水(50mL)でスラリー洗浄し、真空乾燥オーブン内で、70℃で5時間乾燥させて、生成物であるノルオキシモルホンを得た(14.98g、KFによる13.8%の水、水を補正した後の96%収率)。
【0191】
実施例9
ノルオキシモルホン、重亜硫酸ナトリウム、及び溶媒の混合物に酸を添加することによって重亜硫酸塩付加物を調製することからの実施例。
実施例1で調製した粗ノルオキシモルホン(38.3%の水、12.39g、水含有量を補正したもの8.88g、30.9mmol)を、THF(25mL)、水(15mL)、及び33重量%の水中のメタ重亜硫酸ナトリウムの溶液(17.64g、30.9mmol、2当量の重亜硫酸ナトリウム)中でスラリー化した。スラリーを62℃まで加熱し、3.0のpHになるまでリン酸(75%、6mL)を(64℃で)滴加した。室温まで冷却した後、固体を濾過した。固体をTHF/水(20mL)中で62℃で1時間スラリー洗浄し、冷却し、濾過した。重亜硫酸塩付加物を水(40mL)中でスラリー化し、70℃まで加熱した。9.4のpHになるまで、水酸化アンモニウム(20mL)を(65℃で)添加した。混合物を室温まで冷却し、固体を濾過し、水/NHOH(20mL、19:1)中でスラリー洗浄し、70℃の真空乾燥オーブン内で一晩乾燥させた。固体を1日中空気中に開放して平衡化させて、生成物であるノルオキシモルホン(水を補正したもの6.92g、1.74%の水、78%の収率)を得た。
【0192】
比色分析:出発物質及び生成物の両方の試料(200mg)を105℃の真空乾燥オーブン内で3時間乾燥させ、乾燥機内で冷却した。乾燥したノルオキシモルホン試料を、色について分析し(25mLの1N HPO中に125mg)、結果を表7に提示する。
【表9】
【0193】
実施例10
ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物の特徴付け
H NMRによる特徴付け。プロトン番号を含むノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物の構造を以下に提示する。
【化8】
【0194】
H NMRスペクトルを図1に提供する。重亜硫酸塩付加物は、6位で異なっている2つのジアステレオマーを形成することができる。DMSO d中で溶解すると、H NMRは、主に単一のジアステレオマーを示す。経時的に、H NMRは、2つのジアステレオマーの混合物を発生させる、この立体中心でのラセミ化であると考えられるものを示す。
【表10】
【0195】
全てのプロトンNMRシグナルは、図1に提供するノルオキシモルホン重亜硫酸塩の構造と一致することが見出された。
【0196】
XRPDによる特徴付け:ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物の結晶形態Aは、図2に示すXRPDパターンを有する。NLT10%相対強度を有するピークについて、XRPD2θ最大値を以下の表9に提示する。
【表11】
【0197】
DSCによる特徴付け:ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物の結晶形態Aは、図3に示す以下のDSC熱流量最小値を有する。ノルオキシモルホン重亜硫酸塩付加物一水和物の結晶形態のDSC(10℃/分~400℃)は、2つの吸熱を有し、その開始温度及び熱流量最小値を以下の表10にまとめている。
【表12】
【0198】
ここで、本開示を完全に説明してきたが、同じことが、本発明またはその任意の実施形態の範囲に影響を与えることなく、広範で同等の範囲の条件、配合物、及び他のパラメータ内で実行され得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0199】
本開示の他の実施形態は、本明細書の考慮及び本明細書に開示される実践から、当業者に明らかとなろう。本明細書は、例示的なものにすぎないとみなされることが意図され、本発明の真の範囲及び趣旨は、次の特許請求の範囲によって示される。
【0200】
本明細書に引用する全ての特許、特許出願、及び刊行物は、参照によりそれらの全体が本明細書に完全に組み込まれる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】