(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】トランス脂肪酸から部分的に誘導されるエステルクアットを含む液体コンディショニング組成物
(51)【国際特許分類】
D06M 13/463 20060101AFI20231109BHJP
C11D 1/62 20060101ALI20231109BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20231109BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
D06M13/463
C11D1/62
C11D3/37
C11D3/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526595
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 US2021072312
(87)【国際公開番号】W WO2022104331
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】デクレルク、マルク・ヨハン
【テーマコード(参考)】
4H003
4L033
【Fターム(参考)】
4H003AE05
4H003DA01
4H003EA03
4H003EB07
4H003FA07
4H003FA16
4L033AB04
4L033AC02
4L033BA86
(57)【要約】
アルキルエステル第四級アンモニウム(「エステルクアット」)柔軟化活性物質を含む液体コンディショニング組成物であって、エステルクアット柔軟化活性物質が、部分的に、エライジン酸などのトランス不飽和脂肪酸から誘導される、液体コンディショニング組成物。関連する方法及び使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体コンディショニング組成物であって、
前記組成物の約2重量%~約20重量%のアルキルエステル第四級アンモニウム(「エステルクアット」)柔軟化活性物質を含み、
前記エステルクアット柔軟化活性物質が、脂肪酸供給原料から誘導され、
前記脂肪酸供給原料が、植物に由来する脂肪酸を含み、
前記脂肪酸供給原料が、前記脂肪酸供給原料の25重量%未満のC16脂肪酸を含み、
前記脂肪酸供給原料が、前記脂肪酸供給原料の約4重量%~約20重量%のトランス不飽和脂肪酸を含む、液体コンディショニング組成物。
【請求項2】
前記脂肪酸供給原料が、前記脂肪酸供給原料の約5重量%~約25重量%、好ましくは約10重量%~約25重量%、より好ましくは約15重量%~約25重量%、更により好ましくは約20重量%~約25重量%のC16脂肪酸を含む、請求項1に記載の液体コンディショニング組成物。
【請求項3】
前記脂肪酸供給原料が、前記脂肪酸供給原料の約4重量%~約15重量%、好ましくは約6重量%~約12重量%、より好ましくは約8重量%~約12重量%のトランス不飽和脂肪酸、好ましくはC18トランス不飽和脂肪酸、より好ましくはC18トランス一価不飽和脂肪酸を含む、請求項1又は2に記載の液体コンディショニング組成物。
【請求項4】
前記トランス不飽和脂肪酸が、
好ましくは、
(a)前記脂肪酸供給原料の約4重量%~約20重量%、好ましくは約4重量%~約15重量%、及び/又は
(b)前記トランス不飽和脂肪酸の約50重量%~約100重量%、好ましくは約75重量%~約100重量%の濃度で、エライジン酸を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体コンディショニング組成物。
【請求項5】
前記脂肪酸供給原料が、綿実、菜種、ヒマワリ種子、又は大豆、好ましくは綿実に由来する脂肪酸を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体コンディショニング組成物。
【請求項6】
前記脂肪酸供給原料の前記脂肪酸が、シス不飽和脂肪酸を含み、前記シス不飽和脂肪酸と前記トランス不飽和脂肪酸との重量比(「シス:トランス比」)が、約1:2~約2:1である、請求項1~5のいずれか一項に記載の液体コンディショニング組成物。
【請求項7】
前記脂肪酸供給原料が、約5~約60ダルトン、好ましくは約5~約50ダルトン、より好ましくは約10~約35ダルトン、更により好ましくは約15~約30ダルトンのヨウ素価によって特徴付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の液体コンディショニング組成物。
【請求項8】
前記組成物が、前記組成物の約2重量%~約15重量%、好ましくは約2重量%~約12重量%、より好ましくは約2重量%~約10重量%、より好ましくは約4重量%~約8重量%、更により好ましくは約5重量%~約7重量%の前記エステルクアット柔軟化活性物質を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の液体コンディショニング組成物。
【請求項9】
前記エステルクアット柔軟化活性物質が、前記エステルクアット柔軟化活性物質の約10重量%~約30重量%、好ましくは約15重量%~約30重量%、より好ましくは約20重量%~約25重量%のトリエステルクアット材料を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の液体コンディショニング組成物。
【請求項10】
前記液体コンディショニング組成物が、追加のコンディショニング剤、染料、pH制御剤、溶媒、レオロジー変性剤、構造化剤、カチオン性ポリマー、界面活性剤、香料、香料送達系、キレート剤、酸化防止剤、防腐剤、又はこれらの混合物からなる群から選択される処理補助剤を更に含み、
前記香料送達系が、存在する場合、好ましくはコア-シェル封入体を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の液体コンディショニング組成物。
【請求項11】
前記液体コンディショニング組成物が、0.1%未満、好ましくは0.05%未満のレオロジー変性剤、構造化剤、又はこれらの混合物を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の液体コンディショニング組成物。
【請求項12】
前記液体コンディショニング組成物が、酸化防止剤、好ましくはフェノール系酸化防止剤、より好ましくはトコフェロール又はその誘導体を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の液体コンディショニング組成物。
【請求項13】
前記液体コンディショニング組成物が、約50cps~約300cpsの粘度によって特徴付けられる、請求項1~12のいずれか一項に記載の液体コンディショニング組成物。
【請求項14】
表面を処理する方法であって、表面、好ましくは布地、より好ましくは綿繊維を含む布地を、任意に水の存在下で、請求項1~13のいずれか一項に記載の液体コンディショニング組成物と接触させる工程を含む、方法。
【請求項15】
綿繊維をコンディショニングするための、好ましくは液体コンディショニング組成物の一部としての、アルキルエステル第四級アンモニウム(「エステルクアット」)柔軟化活性物質の使用であって、
前記エステルクアット柔軟化活性物質が、脂肪酸供給原料から誘導され、
前記脂肪酸供給原料が、綿実油に由来する脂肪酸を含み、
好ましくは、前記脂肪酸及び/又は前記脂肪酸を提供する前記綿実油が部分的に水素化されており、
好ましくは、前記脂肪酸供給原料が、前記脂肪酸供給原料の25重量%未満のC16脂肪酸を含み、
好ましくは、前記脂肪酸供給原料が、前記脂肪酸供給原料の約4重量%~約20重量%のトランス不飽和脂肪酸を含む、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エライジン酸などのトランス不飽和脂肪酸から部分的に誘導されるアルキルエステル第四級アンモニウム(「エステルクアット」)柔軟化活性物質を含む液体コンディショニング組成物に関する。本開示はまた、関連する方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
製造業者及び消費者は同様に、濃厚な粘稠度を有する液体コンディショニング組成物を望む。比較的高い粘度を有する液体組成物は、豪華な使用経験を伴う傾向がある。更に、消費者は、より濃厚な組成物をより良好な性能と結びつける場合があり、おそらく、濃厚な粘稠度は、より液体状の組成物と比較して活性成分をより多量に含む結果であると信じている。
【0003】
したがって、製造者は、特に比較的少量の活性成分を有する組成物において、効率的に粘度を高めるという課題に直面する。レオロジー変性剤及び/又は構造化剤(ポリマー物質など)を添加して、液体組成物の粘度を増加させ得る。しかしながら、これらの添加剤は、最終用途の性能上の恩恵をほとんどもたらさない傾向があるため、典型的には、かかる成分の追加費用及び複雑性を回避する又は少なくとも最小限に抑えることができることが好ましい。
【0004】
更に、現代の製造業者、販売業者、及び消費者は、天然及び/又は持続可能に供給される物質を含む製品を好む場合がある。一方、多くのレオロジー変性剤及び構造化剤は、合成起源であり、したがってあまり好ましくない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
望ましく効率的に構築された粘度プロファイルを有し、好ましくはそれを行うために天然由来の成分を使用する液体コンディショニング組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、特定のエステルクアット柔軟化活性物質を含む、液体布地強化剤などの液体コンディショニング組成物に関する。
【0007】
例えば、本開示は、組成物の約2重量%~約20重量%のアルキルエステル第四級アンモニウム(「エステルクアット」)柔軟化活性物質を含む液体コンディショニング組成物に関し、エステルクアット柔軟化活性物質は脂肪酸供給原料から誘導され、脂肪酸供給原料は植物に由来する脂肪酸を含み、脂肪酸供給原料は脂肪酸供給原料の25重量%未満のC16脂肪酸を含み、脂肪酸供給原料は脂肪酸供給原料の約4重量%~約20重量%のトランス不飽和脂肪酸を含む。
【0008】
本開示はまた、表面を処理する方法に関し、本方法は、表面、好ましくは布地、より好ましくは綿線維を含む布地を、任意に水の存在下で、本開示に記載の液体コンディショニング組成物と接触させる工程を含む。
【0009】
本開示はまた、本開示の液体コンディショニング組成物を作製するために使用され得る濃縮柔軟化活性組成物に関し、濃縮柔軟化活性組成物は、組成物の約60重量%~99重量%の、上記のような綿実油に少なくとも部分的に由来するアルキルエステル第四級アンモニウム(「エステルクアット」)柔軟化活性物質と、水、界面活性剤、又は有機溶媒からなる群から選択される液体担体とを含む。
【0010】
本開示はまた、綿繊維をコンディショニングするための、好ましくは液体コンディショニング組成物の一部としての、アルキルエステル第四級アンモニウム(「エステルクアット」)柔軟化活性物質の使用に関し、エステルクアット柔軟化活性物質が脂肪酸供給原料から誘導され、脂肪酸供給原料が綿実油に由来する脂肪酸を含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、特定のアルキル第四級アンモニウムエステル(「エステルクアット」)物質を含む、液体布地強化剤などの液体コンディショニング組成物に関する。エステルクアット材料は、トランス結合を有する特定量の不飽和脂肪酸を含む脂肪酸供給原料から形成される。更に、このような脂肪酸は、植物から、特に部分水素化後に簡便に得ることができることが見出されている。特に有用であり得る植物由来物質は、綿実、菜種、ヒマワリ種子、又は大豆、特に綿実に由来し得る。
【0012】
本明細書に記載されるエステルクアット材料は、液体組成物、特に比較的少量の活性成分(例えば、エステルクアット)及び/又は比較的多量の水を有する液体組成物において粘度を構築するのに驚くほど有効であることが見出された。理論に束縛されるものではないが、供給原料物質中にエライジン酸などのトランス不飽和脂肪酸が存在すると、自己集積化エステルクアットの結晶化度が増加すると考えられる。このことは、流れに対して比較的抵抗力のある、より大きい及び/又はより剛性の構造の形成をもたらし、したがって、分散液の粘度が増加し、構造化剤又は他のレオロジー改質剤の必要性が減少すると考えられる。
【0013】
綿含有布地を処理するために、綿実由来の物質が特に好ましい場合があり、その理由は、消費者が、そのようなプロセスを、処理レジメンにおいて「似通った」物質を一緒にしているという点で、特に環境に優しいと考え得るからである。
【0014】
本開示のポリマー系、組成物、方法、及び使用を以下でより詳細に述べる。
【0015】
本明細書で使用するとき、特許請求の範囲で使用される場合の「a」及び「an」という冠詞は、特許請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味すると理解される。本明細書で使用するとき、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含んでいる(including)」という用語とは、非限定的であることを意味する。本開示の組成物は、本開示の構成要素を含み得る、それらから本質的になり得る、又はそれらからなり得る。
【0016】
本明細書では、「実質的に含まない(substantially free of)」又は「実質的に含まない(substantially free from)」という用語を使用してもよい。これは、指示される材料が最小限の量であり、組成物の一部を形成するように意図的にその組成物に添加されたものでないこと、又は好ましくは、分析的に検出可能なレベルで存在しないことを意味する。それは、指示される材料が、意図的に含まれるその他の材料のうちの1つの中に不純物としてのみ存在する、組成物を含むことを意味する。指示される材料は、存在したとしても、組成物の1重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0.01重量%未満、又は更には0重量%のレベルで存在してもよい。
【0017】
本明細書で使用するとき、「布地ケア組成物」という語句とは、布地を処理するために設計された組成物及び配合物を含む。このような組成物としては、洗濯洗浄組成物及び洗剤、布地軟化組成物、布地増強組成物、布地消臭組成物、洗濯前洗浄剤、洗濯前処理剤、洗濯添加剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯すすぎ添加剤、洗浄添加剤、すすぎ後布地処理剤、アイロン助剤、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔質基材又は不織布シート上又は中に含まれる洗剤、及び本明細書の教示を考慮して当業者に明らかであり得る他の好適な形態が挙げられるが、これらに限定されない。このような組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用することができ、又は洗濯操作のすすぎ若しくは洗浄サイクル中に添加することができる。
【0018】
別途注記がない限り、全ての構成成分又は組成物のレベルは、その構成成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような構成成分又は組成物の市販の供給源に存在する場合のある不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0019】
本明細書における全ての温度は、別途指示がない限り、摂氏(℃)である。別途記載のない限り、本明細書における全ての測定は、20℃及び大気圧下で実施される。
【0020】
本開示の全ての実施形態では、全てのパーセンテージは、特に記載のない限り、全組成物の重量に対するものである。特に記載のない限り、全ての比率は重量比である。
【0021】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値制限は、全てのより低い数値制限を、あたかもそのようなより低い数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのよう含むことが理解されるべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値制限は、全てのより高い数値制限を、あたかもそのようなより高い数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのように含むものとする。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、そのような広い数値範囲内に入るあらゆる狭い数値範囲を含み、あたかもそのような狭い数値範囲が全て本明細書に明示的に記載されているかのようである。
【0022】
液体コンディショニング組成物
本開示は、液体コンディショニング組成物に関する。液体コンディショニング組成物は、布地ケア組成物又はヘアケア組成物、好ましくは液体布地強化剤又はヘアコンディショナー、より好ましくは液体布地強化剤であり得る。
【0023】
液体コンディショニング組成物は、約50cps~約300cps(約50MPa・s~約300MPa・s)の粘度を有し得る。粘度は、ブルックフィールド粘度計、2番スピンドルを使用し、60RPM/sで、約22℃で測定して決定される。ここで提供されるものよりも低い粘度を有する組成物は、流動性が高すぎると見なされ、「安価」と見なされ得る。比較的高い粘度を有する組成物は、加工又は分注の課題をもたらす場合がある。
【0024】
液体コンディショニング組成物は、動的降伏応力によって特徴付けられ得る。例えば、布地柔軟剤組成物の20℃での動的降伏応力は、0.001Pa~1.0Pa、好ましくは0.005Pa~0.8Pa、より好ましくは0.01Pa~0.5Paであり得る。動的降伏応力が存在しないと、液体組成物が懸濁した粒子又は封入された有益剤を含む場合、粒子のクリーミング又は沈降などの相不安定性につながることがある。非常に高い動的降伏応力は、ボトルに布地柔軟剤組成物を充填している間に望ましくない空気の閉じ込めを引き起こし得る。動的降伏応力は、以下の試験方法の章に記載される方法に従って求められる。
【0025】
本開示の液体コンディショニング組成物は、pHが約2~約12、又は約2~約8.5、又は約2~約7、又は約2~約5であることによって特徴付けられ得る。本開示の組成物は、好ましくは水性液体の形態で、約2~約4のpH、好ましくは約2~約3.7のpH、より好ましくは約2~約3.5のpHを有してもよい。このような酸性pHレベルにより、エステルクアットの安定性が促進されると考えられる。組成物のpHは、組成物を脱イオン水中に溶解/分散させて、約20℃で10%濃度の溶液を形成することによって測定される。
【0026】
本開示の液体コンディショニング組成物は、水を含み得る。液体コンディショニング組成物は、組成物の約40重量%~約98重量%、又は約50重量%~約96重量%、又は約75重量%~約95重量%、又は約80重量%~約94重量%の水を含み得る。水の濃度は、柔軟化活性物質の量を所望の濃度にバランスさせるように選択され得る。本明細書に記載されるエステルクアットの選択は、そのような成分は、性能及び粘度構築利益の両方を提供することができるため、比較的多量の水を含む組成物において特に有用であると考えられる。
【0027】
液体コンディショニング組成物は、注入可能なボトルに入れられてもよい。液体コンディショニング組成物は、エアゾール缶又は他のスプレーボトルに入れられてもよい。包装は半透明又は透明であってもよい。
【0028】
エステルクアット
本開示の液体コンディショニング組成物は、本明細書で「エステルクアット」とも呼ばれる特定のアルキル第四級アンモニウムエステル物質を含む。このようなエステルクアットは、柔軟性、しわ防止、静電気防止、コンディショニング、伸び防止、色、及び/又は外観効果などのコンディショニング効果を対象布地に提供するのに有用であり得る。更に、本開示のエステルクアットは、比較的低い活性レベルで粘度を構築するのに有用である。
【0029】
液体コンディショニング組成物は、以下に詳述するように、エステルクアットの約2重量%~約20重量%、又は約2重量%~約15重量%、又は約2重量%~約12重量%のエステルクアット柔軟化活性物質を含み得る。組成物は、組成物の約2重量%~約10重量%、好ましくは約4重量%~約8重量%、より好ましくは約5重量%~約7重量%のエステルクアット柔軟化活性物質を含み得る。組成物は、柔軟化活性物質がトリエステルクアット材料を含む場合、組成物の約2重量%~約20重量%のエステルクアット柔軟化活性物質を含み得る。本明細書に記載されるように、本開示のエステルクアットは、比較的低濃度で存在する場合であっても、液体コンディショニング組成物において粘度を生成するのに驚くほど有効である。
【0030】
エステルクアット柔軟化活性物質は、脂肪酸供給原料から誘導される。脂肪酸供給原料は脂肪酸を含む。脂肪酸供給原料は、部分的に水素化されてもよく、そのようなプロセスは、所望の量のトランス脂肪酸を提供することができる。本明細書で使用するとき、「部分的に水素化された」とは、脂肪酸自体が部分的水素化プロセスを経る、又は脂肪酸が誘導される油が水素化プロセスを経る、又はその両方を意味する。更に、部分水素化プロセスは、二重不飽和脂肪酸の量を減少させることができ、その存在は、最終生成物における色及び/又は臭気の不安定性をもたらし得る。
【0031】
脂肪酸は植物由来であってもよい。好適な植物由来の脂肪酸の供給源としては、カノーラ油、ベニバナ油、落花生油、ヒマワリ油、ゴマ種子油、菜種油、綿実油、トウモロコシ油、大豆油、トール油、米糠油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、他の熱帯パーム油、亜麻仁油、キリ油などの植物油及び/又は部分水素添加植物油などが含まれ得る。好ましくは、脂肪酸供給原料は、綿実、菜種、ヒマワリ種子、又は大豆、好ましくは綿実に由来する脂肪酸を含む。これらの物質は、部分水素化時に望ましいトランス不飽和含量を有する脂肪酸を生成する傾向があるため、特に好ましい。したがって、脂肪酸供給原料は、植物に由来する、好ましくは植物油に由来する、より好ましくはカノーラ油、ベニバナ油、落花生油、ヒマワリ油、ゴマ種子油、ナタネ油、綿実油、トウモロコシ油、大豆油、トール油、米糠油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、他の熱帯パーム油、アマニ油、キリ油、又はこれらの混合物に由来する、より好ましくは綿実、ナタネ、ヒマワリ種子、大豆、又はこれらの混合物に由来する部分的に水素化された脂肪酸を含み得る。脂肪酸は、綿実油に由来する部分的に水素化された脂肪酸を少なくとも部分的に含んでいてもよく、そのような材料は、脂肪酸タイプ及びトランス不飽和結合の有利な分布を有すると考えられる。
【0032】
脂肪酸は、重量平均で、約13個~約22個の炭素原子、又は約14個~約20個の炭素原子、好ましくは約16個~約18個の炭素原子を含有するアルキル部分を含み得、炭素数はカルボキシル基の炭素を含む。脂肪酸の集団は、アルキル鎖サイズの分布で存在し得る。特定の脂肪酸は、そのアルキル部分の炭素数によって特徴付けられ得る。例えば、アルキル部分に16個の炭素を有する脂肪酸は、「C16脂肪酸」と呼ばれ得る。同様に、アルキル部分に18個の炭素を有する脂肪酸は、「C18脂肪酸」と呼ばれ得る。
【0033】
脂肪酸供給原料は、脂肪酸供給原料の25重量%未満のC16脂肪酸を含み得る。脂肪酸供給原料は、脂肪酸供給原料の約5重量%~約25重量%、又は約10重量%~約25重量%、好ましくは約15重量%~約25重量%、より好ましくは約20重量%~約25重量%のC16脂肪酸を含み得る。脂肪酸供給原料中のC16脂肪酸の相対量を制限することが望ましい場合がある。理論に束縛されるものではないが、(特にC18脂肪酸に対して)比較的高い割合のC16脂肪酸は、最終製品において比較的低い粘度をもたらし得ると考えられる。
【0034】
追加的に又は代替的に、脂肪酸供給原料中に少なくとも特定の最小量(例えば、脂肪酸供給原料の少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%、更により好ましくは少なくとも20重量%)のC16脂肪酸を有することが望ましい場合がある。C16脂肪酸を含む材料脂肪酸を含む材料に基づくエステルクアットは、C16が低/ゼロレベルであるより結晶性のC18(及び/又はC18トランス)脂肪酸から主に生成されるエステルクアットと比較して、より低い融点を有する傾向があり、比較的容易に分散し得るため、加工性を改善するのに役立ち得る。
【0035】
アルキル第四級アンモニウムエステル柔軟化活性物質は、脂肪酸がアルキル部分に少なくとも1つの二重結合を含むことを意味する、不飽和である脂肪酸から形成される化合物を含み得る。脂肪酸は、一価不飽和(1つの二重結合)であってもよく、又は二価不飽和(もしくは二重不飽和;2つの二重結合)であってもよい。好ましくは、脂肪酸供給原料中の不飽和脂肪酸の大部分は一価不飽和である。
【0036】
脂肪酸は、不飽和C18鎖を含んでもよく、これは、単一の二重結合(「C18:1」)を含んでもよく、又は二重不飽和(「C18:2」)であってもよい。(参考までに、飽和C18鎖を有する脂肪酸は、「C18:0」と称され得る。)脂肪酸供給原料は、飽和又は不飽和状態にかかわらず、脂肪酸供給原料の約50重量%~約85重量%、好ましくは約60重量%~約80重量%、より好ましくは約70重量%~約80重量%のC18脂肪酸を含み得る。脂肪酸供給原料は、脂肪酸供給原料の約20重量%~約60重量%、好ましくは約40重量%~約60重量%、より好ましくは約45重量%~約55重量%のC18:0脂肪酸を含み得る。脂肪酸供給原料は、脂肪酸供給原料の約15重量%~約50重量%、好ましくは約15重量%~約30重量%、好ましくは約18重量%~約25重量%のC18:1脂肪酸を含み得る。脂肪酸供給原料は、脂肪酸供給原料の0重量%(例えば、なし)~約20重量%、又は約0重量%~約15重量%、又は約0重量%~約10重量%、又は約0重量%~約5重量%のC18:2脂肪酸を含み得る。脂肪酸供給原料は、脂肪酸供給原料の約1重量%~約15重量%、好ましくは約5重量%~約10重量%のC18:2脂肪酸を含み得る。
【0037】
不飽和脂肪酸の二重結合(複数可)は、「シス」又は「トランス」立体配座であり得る。上述したように、特定の割合のトランス脂肪酸を含む脂肪酸供給原料から形成されるエステルクアット柔軟化活性物質を液体組成物に配合することは、粘度を高めるのに役立ち得ると考えられる。例示的な例として、2つの一価不飽和脂肪酸、両方ともC18:1脂肪酸(1つがトランス、1つがシス)の構造を以下に提供する。
【0038】
エライジン酸(トランス):
【0039】
【0040】
【0041】
脂肪酸供給原料は、脂肪酸供給原料の約4重量%~約20重量%のトランス不飽和脂肪酸を含み得る。脂肪酸供給原料は、脂肪酸供給原料の約4重量%~約15重量%、好ましくは約6重量%~約12重量%、より好ましくは約8重量%~約12重量%のトランス不飽和脂肪酸、好ましくはC18トランス不飽和脂肪酸、より好ましくはC18トランス一価不飽和脂肪酸を含み得る。上記のように、トランス不飽和脂肪酸の存在は、本開示の組成物において粘度を生成するのに役立ち得る。低すぎるレベルは、十分な粘度を生成しない可能性がある。このような材料はより高い融点を有し得、エステルクアットを適切に分散させることをより困難にするため、高すぎるレベルは加工性に悪影響を与え得る。
【0042】
脂肪酸供給原料は、C18トランス不飽和脂肪酸、好ましくはC18トランス一価不飽和脂肪酸(例えば、C18:1トランス脂肪酸)を含み得る。C18トランス不飽和脂肪酸(好ましくはトランス一価不飽和)は、総トランス不飽和脂肪酸の約50重量%~約100重量%、又は約65重量%~約100重量%、又は約80重量%~約100重量%の量で存在し得る。
【0043】
脂肪酸供給原料、すなわちトランス不飽和脂肪酸は、上記のように、エライジン酸、トランスC18:1脂肪酸を含み得る。液体コンディショニング組成物は、(a)脂肪酸供給原料の約4重量%~約20重量%、好ましくは約4重量%~約15重量%、及び/又は(b)トランス不飽和脂肪酸の約50重量%~約100重量%、好ましくは約75重量%~約100重量%の濃度でエライジン酸を含み得る。
【0044】
脂肪酸供給原料は、シス不飽和脂肪酸及びトランス不飽和脂肪酸の両方を含み得る。シス不飽和脂肪酸とトランス不飽和脂肪酸との重量比(「シス:/「トランス」比は、約1:2~約2:1、又は約1:1.8~約1.8:1、又は約1:1.6~約1.6:1、又は約1:1.5~1.5:1の範囲であり得る。
【0045】
脂肪酸供給原料中のトランス不飽和脂肪酸の量を求めるために、脂肪をまず反応させて脂肪酸メチルエステルを形成し得る。(エステルクアット材料を扱う場合、エステルクアットはまず、特に脂肪酸に加水分解されてもよく、次いで脂肪酸メチルエステルに変換されてもよい。)そこから、ISO12966-4:2015に記載されている方法を使用して、キャピラリーガスクロマトグラフィー(GLC)によって、存在する脂肪酸メチルエステル(及び拡大解釈すると、供給原料中に存在する脂肪酸)を求めることができる。例えば、この方法を使用して、飽和脂肪酸メチルエステル、シス及びトランス脂肪酸メチルエステル、及びシス及びトランスポリ不飽和脂肪酸メチルエステルなどの、C8~C24の脂肪酸メチルエステルを分離することができる。このような測定では、化合物の揮発性を改善するために、脂肪酸を脂肪酸メチルエステルに変換することが望ましいことに留意されたい。
【0046】
脂肪酸供給原料は、供給原料中の不飽和脂肪酸の量に関連するヨウ素価によって特徴付けられ得る。脂肪酸供給原料は、約5~約60、又は約5~約50、約10~約35、又は約15~約30のヨウ素価によって特徴付けられ得る。上記のように、脂肪酸供給原料は、最終生成物の粘度を高めるために、いくつかのトランス不飽和脂肪酸を含むことが望ましい。不飽和脂肪酸の存在はまた、材料のより便利な加工を容易にすることができる。とは言え、経時的な液体コンディショニング組成物の酸化の結果としての悪臭形成を最小限に抑えるために、非常に高濃度の不飽和脂肪酸鎖は避けるべきである。加えて、比較的高レベルの不飽和脂肪酸鎖(例えば、比較的高いヨウ素価によって示される)を有する供給原料は、より低いレベル及び/又はより低いヨウ素価によって特徴付けられる供給原料と同様に、粘度を生成する可能性が低いと考えられる。ヨウ素価は、以下の試験方法の章に提供する方法に従って求められる。
【0047】
好適なアルキル第四級アンモニウムエステル化合物としては、モノエステル第四級材料(「モノエステルクアット」)、ジエステル第四級材料(「ジエステルクアット」)、トリエステル第四級材料(「トリエステルクアット」)、及びそれらの混合物からなる群から選択される材料が含まれ得る。
【0048】
総エステルクアット柔軟化活性物質に対して、モノエステルクアットの濃度は2.0重量%~40.0重量%であってもよく、ジエステルクアットの濃度は40.0重量%~98.0重量%であってもよく、トリエステルクアットの濃度は0.0重量%~30.0重量%であってもよい。総エステルクアット柔軟化物質に対して、モノエステルクアットの濃度は2.0重量%~40.0重量%であってもよく、ジエステルクアットの濃度は40.0重量%~98.0重量%であってもよく、トリエステルクアットの濃度は5.0重量%未満、又は1.0重量%未満、又は0.0重量%であってもよい。総エステルクアット柔軟化活性物質の重量に対して、モノエステルクアットの濃度は約4重量%~約25重量%であってもよく、ジエステルクアットの濃度は約75重量%~約96重量%であってもよく、トリエステルクアットの濃度は0.0重量%であってもよい。総エステルクアット柔軟化活性物質に対して、モノエステルクアットの濃度は15。0重量%~35.0重量%であってもよく、ジエステルクアットの濃度は40.0重量%~60.0重量%であってもよく、トリエステルクアットの濃度は10重量%~38.0重量%であってもよい。モノエステルクアット、ジエステルクアット、及びトリエステルエステルクアットの相対量は、以下の試験方法の項で提供される方法によって決定され得る。
【0049】
第四級アンモニウムエステル化合物は、トリエステル第四級アンモニウム材料(「トリエステルクアット」)を含んでもよい。エステルクアット柔軟化活性物質は、エステルクアット柔軟化活性物質の約10重量%~約30重量%、好ましくは約15重量%~約30重量%、より好ましくは約20重量%~約25重量%のトリエステルクアット材料を含み得る。このような物質は、これらのレベルで、有用なコンディショニング効果を提供すると同時に、製造にも便利であることが分かっている。エステルクアットは、エステルクアット材料の約10重量%~約40重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約15重量%~約30重量%の、トリエタノールアミン及びC18:1脂肪酸から誘導される化合物を含み得る。このような濃度の脂肪酸は、得られるエステルクアット材料の取り扱いを容易にすることができる。
【0050】
好適なアルキル第四級アンモニウムエステル柔軟化活性物質は、アルカノールアミン、例えば、C1~C4アルカノールアミン、好ましくはC2アルカノールアミン(例えば、エタノールアミン)から誘導されてもよい。第四級アンモニウムエステル化合物は、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、トリアルカノールアミン、又はこれらの混合物、好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、又はこれらの混合物から誘導されてもよい。第四級アンモニウムエステル化合物は、ジエタノールアミンから誘導されてもよい。第四級アンモニウムエステル化合物は、ジ-イソプロパノールアミンから誘導されてもよい。第四級アンモニウムエステル化合物は、トリエタノールアミンから誘導されてもよい。第四級アンモニウムエステル化合物が由来するアルカノールアミンは、アルキル化モノ-又はジアルカノールアミン、例えば、C1-C4アルキル化アルカノールアミン、好ましくはC1アルキル化アルカノールアミン(例えば、N-メチルジエタノールアミン)であってもよい。
【0051】
アルキル第四級アンモニウムエステル柔軟化活性物質は、少なくとも部分的に置換された四級化窒素原子を含んでもよい。四級化窒素原子は、少なくとも部分的に、1つ以上のC1~C3アルキル基又はC1~C3ヒドロキシルアルキル基で置換されてもよい。四級化窒素原子は、少なくとも部分的に、メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、1-メチル-2-ヒドロキシエチル、ポリ(C2-C3アルコキシ)、ポリエトキシ、ベンジル、より好ましくはメチル又はヒドロキシエチルからなる群から選択される部分で置換されてもよい。
【0052】
アルキル四級アンモニウムエステル柔軟化活性物質は、以下の式の化合物を含み得る:
{R2
(4-m)-N+-[X-Y-R1]m}A-
(式中、
mは、1、2又は3であるが、ただし、各mの値は、同一であり、
各R1は、独立して、ヒドロカルビル基又は分枝状ヒドロカルビル基であり、好ましくは、R1は、直鎖であり、より好ましくは、R1は、部分不飽和直鎖アルキル鎖であり、
各R2は、独立して、C1~C3アルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、好ましくは、R2は、メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、1-メチル-2-ヒドロキシエチル、ポリ(C2~C3アルコキシ)、ポリエトキシ、ベンジルから選択され、
各Xは、独立して、(CH2)n-、-CH2-CH(CH3)-、又は-CH(CH3)-CH2-であり、
各nは、独立して、1、2、3又は4であり、好ましくは、各nは、2であり、
各Yは、独立して、-O-(O)C-又は-C(O)-O-であり、
A-は、独立して、塩化物、硫酸メチル、及び硫酸エチルからなる群から選択され、好ましくは、A-は、塩化物及び硫酸メチルからなる群から選択され、より好ましくは、A-は、硫酸メチルである)を含み得るが、
ただし、Yが-O-(O)C-であるときには、各R1における炭素の合計は、13~21、好ましくは、13~19である。好ましくは、Xは、-CH2-CH(CH3)-及び-CH-(CH3)-CH2-から独立して選択され、第四級アンモニウムエステル化合物の加水分解安定性を改善し、ひいては布地処理組成物の安定性を更に改善する。
【0053】
エステルクアット材料は2段階合成法で製造され得る。まず、脂肪酸とアルカノールアミンとを用いてエステル化反応を行うことにより、エステルアミンが製造され得る。第2の工程において、生成物をアルキル化剤を用いて四級化し得る。
【0054】
本開示の液体コンディショニング組成物は、上述のエステルクアットに加えて、他のコンディショニング剤を含み得る。他のコンディショニング剤は、上述のもの以外の第四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、非エステル第四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪エステル、スクロースエステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、軟化油又はコンディショニング油、ポリマーラテックス、グリセリドコポリマー、又はこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0055】
組成物は、第四級アンモニウムエステル化合物とシリコーンとの組み合わせを含み得る。第四級アンモニウムエステル化合物とシリコーンとの合計量は、組成物の約5重量%~約70重量%、又は約6重量%~約50重量%、又は約7重量%~約40重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約15重量%~約25重量%であってもよい。組成物は、第四級アンモニウムエステル化合物及びシリコーンを、約1:10~約10:1、又は約1:5~約5:1、又は約1:3~約1:3、又は約1:2~約2:1、又は約1:1.5~約1.5:1、又は約1:1の重量比で含んでもよい。この段落に記載されるような第四級アンモニウムエステル化合物の量を決定する場合、その量は、前のセクションに記載されるようなエステルクアット、又は上記のようなエステルクアットの総量に加えて、存在し得る任意の追加の第四級アンモニウムエステル化合物を指し得る。
【0056】
処理補助剤
本開示の液体コンディショニング組成物は、他の処理補助成分を含み得る。補助成分は、例えば、加工、安定性及び/又は性能上の利点を提供するように選択されてもよい。
【0057】
好適な処理補助剤としては、界面活性剤、コンディショニング活性物質、付着助剤、レオロジー変性剤若しくは構造化剤、漂白系、安定剤、ビルダー、キレート化剤、移染阻害剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、シリコーン、色相剤、審美染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、構造化剤、抗凝集剤、コーティング剤、ホルムアルデヒド捕捉剤、並びに/又は顔料が含まれ得る。
【0058】
特に、液体コンディショニング組成物は、追加のコンディショニング剤、染料、pH制御剤、溶媒、レオロジー変性剤、構造化剤、カチオン性ポリマー、界面活性剤、香料、香料送達系、キレート剤、酸化防止剤、防腐剤、又はこれらの混合物からなる群から選択される処理補助剤を更に含み得る。
【0059】
これらの追加の成分の正確な性質及びそれを組み込む濃度は、組成物の物理的形態、及び得られる組成物が使用される作業の性質に依存する。しかしながら、1種以上の補助剤が存在する場合、このような1種以上の補助剤は、以下に詳述されるように存在することができる。以下は、有用であり得る補助成分の非限定的なリストである。
【0060】
1.レオロジー変性剤/構造化剤
本開示の液体コンディショニング組成物は、レオロジー変性剤及び/又は構造化剤を含み得る。レオロジー変性剤は、液体組成物を所望の粘度に「増粘する」又は「減粘する」ために使用されてもよい。構造化剤は、相安定性を促進するために、及び/又は本明細書に記載された香料封入体等の液体組成物中の粒子を懸濁させるために、又はその凝集を阻害するために使用されてもよい。
【0061】
好適なレオロジー変性剤及び/又は構造化剤としては、非ポリマー結晶性ヒドロキシル官能性構造化剤(硬化ヒマシ油に基づくものを含む)、ポリマー構造化剤、セルロース繊維(例えば、木材を含む、細菌、真菌、若しくは植物起源から誘導され得るミクロフィブリル化セルロース)、ジアミドゲル化剤、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0062】
ポリマー構造化剤は、天然由来又は合成由来であってもよい。天然由来のポリマー構造化剤は、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体、及びこれらの混合物を含んでもよい。多糖誘導体は、ペクチン、アルギン酸塩、アラビノガラクタン(アラビアガム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、及びこれらの混合物を含んでもよい。合成ポリマー構造化剤は、ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、疎水変性エトキシル化ウレタン、疎水変性非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物を含んでもよい。ポリカルボキシレートポリマーは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、又はこれらの混合物を含んでもよい。ポリアクリレートは、不飽和一炭酸又は二炭酸と、(メタ)アクリル酸のC1~C30アルキルエステルとのコポリマーを含んでもよい。このようなコポリマーは、商品名Carbopol Aqua 30でNoveon Inc.から入手可能である。別の好適な構造化剤は、SNF Floerger.から入手可能な商品名Flosoft FS 222で販売されている。
【0063】
前述にも関わらず、液体コンディショニング組成物は、もしあれば、比較的少量の構造化剤を有することが好ましい場合がある。例えば、合成材料は避けることが望まれる場合があり、及び/又は本明細書に記載されるエステルクアット材料の粘度構築特性は、レオロジー変性剤又は構造化剤の使用を不必要にする場合がある。したがって、液体コンディショニング組成物は、0.1%未満、好ましくは0.05%未満のレオロジー変性剤、構造化剤、又はこれらの混合物を含むことが好ましい場合がある。液体コンディショニング組成物は、レオロジー変性剤、構造化剤、又はこれらの混合物を実質的に含まなくてもよい。
【0064】
2.カチオン性ポリマー
本開示の液体コンディショニング組成物は、カチオン性ポリマーを含み得る。カチオン性ポリマーは、付着助剤として機能することができ、例えば、標的表面上への軟化及び/又はフレッシュネス活性物質の改善された付着効率を促進する。追加的又は代替的に、カチオン性ポリマーは、組成物に安定性、構造化、及び/又はレオロジー利点を提供し得る。
【0065】
液体コンディショニング組成物は、組成物の重量によって、0.0001重量%~3重量%、好ましくは0.0005重量%~2重量%、より好ましくは0.001重量%~1重量%、又は約0.01重量%~約0.5重量%、又は約0.05重量%~約0.3重量%のカチオン性ポリマーを含み得る。
【0066】
全般的なカチオン性ポリマー及びそれらの製造方法は、文献において周知である。好適なカチオン性ポリマーとしては、化粧品成分の国際命名法で命名された「ポリクオタニウム」ポリマーとして知られる四級アンモニウムポリマー、例えば、ポリクオタニウム-6(ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリクオタニウム-7(アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー)、ポリクオタニウム-10(四級化ヒドロキシエチルセルロース)、ポリクオタニウム-22(アクリル酸とジアリルジメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー)を挙げることができる。
【0067】
カチオン性ポリマーは、カチオン性多糖、例えばカチオン性デンプン、カチオン性セルロース、カチオン性グアー、カチオン性キトサン、又はこれらの混合物を含み得る。カチオン性セルロースは、四級化ヒドロキシエチルセルロースを含み得る。天然由来及び/又は持続可能な材料である、多糖類に由来するポリマーが好ましい場合がある。
【0068】
カチオン性ポリマーは、カチオン性アクリレートを含んでもよい。カチオン性ポリマーは、カチオン性モノマー、非イオン性モノマー、及び任意にアニオン性モノマーを含み得る(ポリマーの全電荷が依然としてカチオン性である限り)。カチオン性ポリマーは、塩化メチル四級化ジメチルアミノエチルアンモニウムアクリレート、塩化メチル四級化ジメチルアミノエチルアンモニウムメタクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択されるカチオン性モノマーを含み得る。カチオン性ポリマーは、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択される非イオン性モノマーを含み得る。カチオン性ポリマーは、任意に、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸から選択されるアニオン性モノマー、並びにスルホン酸又はホスホン酸の機能を果たすモノマー、例えば2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(ATBS)及びこれらの塩を含み得る。
【0069】
カチオン性ポリマーは、実質的に直鎖状であってもよく、又は架橋されていてもよい。組成物は、実質的に直鎖のカチオン性ポリマー(例えば、50ppm未満の架橋剤で形成される)及び架橋カチオン性ポリマー(例えば、50ppmを超える架橋剤で形成される)の両方を含み得る。そのような組み合わせは、付着及び構造化の利点の両方を提供し得る。
【0070】
3.界面活性剤
液体コンディショニング組成物は、当該組成物の5重量%未満、又は2重量%未満、又は1重量%未満、又は約0.1重量%未満のアニオン性界面活性剤を含んでもよく、又は更にはアニオン性界面活性剤を実質的に含んでいなくてもよい。アニオン性界面活性剤は、コンディショニング組成物などのカチオン性成分と望ましくない相互作用をする可能性があるため、本発明の組成物の安定性及び/又は性能に悪影響を及ぼす可能性がある。液体布地強化剤などの自動洗濯機のすすぎサイクル中に添加されることを意図した製品組成物は、比較的低レベルのアニオン性界面活性剤を含み得る。追加的又は代替的に、自動洗濯機の洗浄サイクル中に洗剤組成物と組み合わせて使用されることを意図した組成物は、比較的低レベルのアニオン性界面活性剤を含み得る。
【0071】
液体コンディショニング組成物は、非イオン性界面活性剤を含み得る。このような界面活性剤は、例えば、安定性及び/又は加工利益を提供し得る。非イオン性界面活性剤は、乳化剤、例えば香料であってもよい。好適な非イオン性界面活性剤は、エトキシル化C10~C18脂肪族アルコールなどのアルコキシル化脂肪族アルコールであってもよい。
【0072】
4.香料及び/又は香料送達系
液体コンディショニング組成物は、香料、香料送達系、又はこれらの組み合わせを含み得る。このような系は、本明細書に記載される組成物の鮮度性能を改善し得る。特に、香料送達系は、付着効率を高め、異なる接触点での香料放出を容易にし、及び/又は香料性能の寿命を延ばすことによって、鮮度性能の改善を容易にすることができる。
【0073】
香料は、ニート油、例えば「遊離」香料又は非封入香料として存在してもよい。
【0074】
香料送達系は、例えば、コアが壁材料によって取り囲まれている封入体(「コア-シェル封入体」)を含み得る。コアは、香料及び任意選択で分配調整剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピル)を含み得る。壁物質は、メラミン、ポリアクリルアミド、シリコーン、シリカ、ポリスチレン、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアクリレート系物質、ポリアクリル酸エステル系物質、ゼラチン、スチレンリンゴ酸無水物、ポリアミド、芳香族アルコール、ポリビニルアルコール、又はこれらの混合物を含み得る。メラミン壁物質は、ホルムアルデヒドで架橋されたメラミン、ホルムアルデヒドで架橋されたメラミン-ジメトキシエタノール、及びそれらの混合物を含んでもよく、このような壁物質を有する封入体は、アセトアセトアミド、尿素、又はこれらの誘導体などホルムアルデヒド捕捉剤と組み合わせて使用されてもよい。ポリアクリレート系壁物質は、メチルメタクリレート/ジメチルアミノメチルメタクリレートから形成されるポリアクリレート、アミンアクリレート及び/又はメタクリレート並びに強酸から形成されるポリアクリレート、カルボン酸アクリレート及び/又はメタクリレートモノマー並びに強塩基から形成されるポリアクリレート、アミンアクリレート及び/又はメタクリレートモノマー並びにカルボン酸アクリレート及び/又はカルボン酸メタクリレートモノマーから形成されるポリアクリレート、並びにそれらの混合物を含んでもよい。
【0075】
封入物は、付着助剤、カチオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、又はこれらの混合物でコーティングされてよい。好適なポリマーは、ポリビニルホルムアルデヒド、部分ヒドロキシル化ポリビニルホルムアルデヒド、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、エトキシル化ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、多糖類(例えば、キトサン)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0076】
香料送達系は、グラフトコポリマーと芳香剤物質とを含む粒子を含み得、グラフトコポリマーは、グラフトベースとしてポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール)と、酢酸ビニル部分を含む1つ以上の側鎖とを含む。
【0077】
香料送達系は、プロ香料、例えばシロキサン系プロ香料を含んでもよく、香料原材料は、表面への送達時にポリマー(例えば、シロキサンポリマー)と(例えば、共有結合を介して)会合し、組成物による表面の処理時又は処理後に放出される。
【0078】
香料送達系がメラミン-ホルムアルデヒドシェルで封入された香料封入体などのホルムアルデヒド誘導体を含む場合、組成物は、硫黄系ホルムアルデヒド捕捉剤、非硫黄系ホルムアルデヒド捕捉剤、又はこれらの混合物を含んでもよいホルムアルデヒド捕捉剤を更に含み得る。好適な非硫黄系ホルムアルデヒド捕捉剤としては、尿素、エチレン尿素、アセトアセトアミド、又はこれらの混合物が含まれ得る。好適な硫黄系ホルムアルデヒド捕捉剤としては、アルカリ及び/又はアルカリ土類金属亜ジチオン酸塩、ピロ亜硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、メタ亜硫酸塩、モノアルキル亜硫酸塩、ジアルキル亜硫酸塩、ジアルキレン亜硫酸塩、硫化物、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、メルカプタン、チオ尿素、及びこれらの混合物が含まれ得る。
【0079】
5.キレート剤
液体コンディショニング組成物は、キレート剤(別名、キレート剤)を含み得る。そのような薬剤は、鉄及び/又はマンガン及び/又は他の金属イオンキレート剤であってもよい。このようなキレート剤は、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多官能置換された芳香族キレート剤、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。使用される場合、キレート剤は、一般に本明細書の組成物の約0.1重量%~約15重量%、好ましくは約0.1重量%~約3.0重量%を構成する。より好ましくは、キレート剤は、このような組成物の約0.1重量%~約3.0重量%を構成する。
【0080】
好適なキレート剤としては、以下のものが挙げられる。ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);ヒドロキシエチルジホスホン酸(HEDP);MGDA(メチルグリシン二酢酸);グルタミン酸二酢酸、N,N-二酢酸(GLDA);1,2-ジヒドロキシベンゼン-3,5-ジスルホン酸(Tiron(商標));エチレンジアミンジスクシネート(EDDS);ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP);エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホネート);エチレンジアミンテトラアセテート;N-(ヒドロキシエチル)エチレンジアミントリアセテート;ニトリロトリアセテート;エチレンジアミンテトラプロプリオナート;トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート;ジエチレントリアミン-ペンタアセテート;エタノールジグリシン;アルカリ金属塩、アンモニウム塩、又はその置換アンモニウム塩;1,2-ジヒドロキシ-3,5-ジスルホベンゼンなどのジヒドロキシジスルホベンゼン;及びこれらの混合物。
【0081】
6.酸化防止剤
液体コンディショニング組成物は、酸化防止剤、好ましくはフェノール系酸化防止剤、より好ましくはトコフェロール酸化防止剤又はその誘導体を含み得る。本開示の組成物中の酸化防止剤は、アミンに関連し得る黄変を低減するのに役立ち得るため、悪臭制御、洗浄性能、及び/又は色安定性に有用であり得る。更に、理論に束縛されるものではないが、酸化防止剤の存在は、エステルクアット脂肪酸鎖のトランス-不飽和結合の自動酸化速度を低下させ、したがって組成物の粘度安定性に寄与し得ると考えられる。酸化防止剤は、Kirk-Othmer(第3巻、424ページ)及びUllmannのEncyclopedia(第3巻、91ページ)に記載されているような物質である。
【0082】
本開示の組成物は、組成物の約0.001重量%~約2重量%、好ましくは約0.01重量%~約0.5重量%の量で、酸化防止剤、好ましくはフェノール系酸化防止剤、更により好ましくはトコフェロール若しくはその誘導体を含み得る。
【0083】
本開示の組成物で使用するのに特に好ましいクラスの酸化防止剤は、トコフェロール及びその誘導体、例えばトコトリエノールである。このような抗酸化剤は、典型的には天然由来であり、したがって、持続可能性/環境上の理由のためにエステルクアット材料と結合させることが特に興味深い場合がある。更に、そのような化合物は、その化合物のビタミンE活性のために、消費者によってなじみがあり、有益であり、安全であると見なされ得る。本組成物において有用なトコフェロールとしては、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0084】
他の好適な酸化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」;特に、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン)及びブチルhdroxyanisol(「BHA」)などの他のフェノール系酸化防止剤が含まれ得る。更に他の好適な酸化防止剤としては、Proxel GXL(商標)、Trolox(商標)、Raluquin(商標)、及び/又はTINOGARD(登録商標)の商品名で販売されているものが含まれ得る。
【0085】
7.防腐剤
液体コンディショニング組成物は、貯蔵時の製品安定性を助けることができる防腐剤を含み得る。防腐剤は、ジフェニルエーテル抗菌剤、好ましくは4,4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル、又はそれらの組み合わせを含み得る。防腐剤は、第四級アンモニウム抗菌剤、好ましくはジアルキル第四級アンモニウム抗菌剤を含み得る。好適な防腐剤としては、TINOSAN及び/又はBARQUATの商品名で販売されているものが含まれ得る。
【0086】
8.更なるコンディショニング剤
本開示の液体コンディショニング組成物は、上述のエステルクアットに加えて、他のコンディショニング剤を含み得る。追加のコンディショニング剤は、上述のもの以外の第四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、非エステル第四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪エステル、スクロースエステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、軟化油又はコンディショニング油、ポリマーラテックス、グリセリドコポリマー、又はこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0087】
組成物は、第四級アンモニウムエステル化合物とシリコーンとの組み合わせを含み得る。第四級アンモニウムエステル化合物とシリコーンとの合計量は、組成物の約5重量%~約70重量%、又は約6重量%~約50重量%、又は約7重量%~約40重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約15重量%~約25重量%であってもよい。組成物は、第四級アンモニウムエステル化合物及びシリコーンを、約1:10~約10:1、又は約1:5~約5:1、又は約1:3~約1:3、又は約1:2~約2:1、又は約1:1.5~約1.5:1、又は約1:1の重量比で含んでもよい。この段落に記載されるような第四級アンモニウムエステル化合物の量を決定する場合、その量は、前のセクションに記載されるようなエステルクアット、又は上記のようなエステルクアットの総量に加えて、存在し得る任意の追加の第四級アンモニウムエステル化合物を指し得る。
【0088】
濃縮供給原料組成物
本開示はまた、上記のエステルクアット材料、特に綿実油由来の脂肪酸から誘導されるものを含む濃縮供給原料組成物に関する。このような供給原料組成物は、本明細書に記載の液体コンディショニング組成物の製造において有用である。例えば、エステルクアット材料は、濃縮供給原料組成物に作製及び配合されてもよく、これは次に貯蔵及び/又は輸送され、最終的に別の時間又は場所で補助成分と組み合わされて、本開示による液体コンディショニング組成物を形成し得る。
【0089】
濃縮供給原料組成物は、濃縮供給原料組成物の約60重量%~約99重量%、又は約75重量%~約98重量%、又は約80重量%~約95重量%のアルキルエステル第四級アンモニウム(「エステルクアット」)柔軟化活性物質を含み得、エステルクアット柔軟化活性物質は脂肪酸供給原料から誘導され、脂肪酸供給原料は少なくとも部分的に綿実油に由来する脂肪酸を含み、脂肪酸供給原料は脂肪酸供給原料の25重量%未満のC16脂肪酸を含み、脂肪酸供給原料は脂肪酸供給原料の約4重量%~約15重量%のトランス不飽和脂肪酸を含む。濃縮原料組成物は、水、界面活性剤、又は有機溶媒からなる群から選択される液体担体を更に含む。脂肪酸供給原料の脂肪酸の全ては、綿実油に由来し得る。
【0090】
濃縮柔軟化活性組成物は、液体担体を更に含み得る。液体担体は、水、界面活性剤、又は有機溶媒からなる群から選択され得る。好適な界面活性剤としては、アルコキシル化脂肪アルコールなどの非イオン性界面活性剤が含まれ得る。好適な有機溶媒としては、プロパンジオール、エタノール、イソプロパノール、又はプロピレングリコールが含まれ得る。
【0091】
作製方法
本開示は、本明細書に記載された液体コンディショニング組成物の製造プロセスに関する。布地強化剤組成物であってもよい組成物の製造プロセスは、本明細書に記載のエステルクアット材料を処理補助剤と組み合わせる工程を含み得る。
【0092】
本開示の液体コンディショニング組成物は、任意の好適な液体形態へと製剤化してよく、配合者によって選択される任意の方法によって調製され得る。物質は、バッチプロセス、循環ループプロセス、及び/又はインライン混合プロセスで合わされ得る。本明細書に開示されるプロセスでの使用に好適な装置としては、連続撹拌槽型反応器、ホモジナイザー、タービン撹拌機、再循環ポンプ、パドルミキサー、高剪断ミキサー、静的ミキサー、プラウ剪断ミキサー、リボンブレンダー、垂直軸造粒機及びドラムミキサー(いずれもバッチ式であり、利用可能な場合、連続プロセス構成のもの)、噴霧乾燥機、並びに押出成形機を挙げることができる。
【0093】
液体コンディショニング組成物は、既知の方法によって注入可能なボトルに入れられてもよい。液体コンディショニング組成物は、周知の方法に従ってエアゾール又はその他のスプレー容器に入れられてもよい。
【0094】
処理方法
本開示は、更に、布地又は毛髪などの表面を液体コンディショニング組成物で処理する方法に関する。このような方法は、コンディショニング、及び/又はフレッシュニングに関わる効果を提供してもよい。
【0095】
方法は、表面、好ましくは布地、より好ましくは綿繊維を含む布地を、任意に水の存在下で、本開示の液体コンディショニング組成物と接触させる工程を含み得る。組成物は、そのままの形態であってもよく、又は液体、例えば、洗浄液又はすすぎ液で希釈されてもよい。組成物は、表面又は物品との接触前、接触中、又は接触後に水で希釈されてもよい。表面、例えば布地を、接触工程の前及び/又は後に、任意に洗浄されてもよい、及び/又はすすがれてもよい。組成物は、布地上に直接適用されてもよく、又は自動洗濯機の分配容器若しくはドラムに供給されてもよい。方法は、例えば、受動的に及び/又は洗濯乾燥機などの能動的方法を介して、表面を乾燥させることを含み得る。この方法は、自動洗濯機の洗浄サイクル又はすすぎサイクル、好ましくはすすぎサイクル中に行うことができる。
【0096】
本開示の目的のために、処理は、擦り洗い及び/又は機械的撹拌を含み得るが、これらに限定されない。布地は、標準的な消費者の使用条件で洗濯又は処理することが可能な、ほとんどいずれの布地を含んでもよい。
【0097】
開示された組成物を含む液体は、約3~約11.5のpHを有してもよい。希釈される場合、このような組成物は、典型的には、溶液中で約500ppm~約15,000ppmの濃度で使用される。洗浄溶媒が水である場合、水の温度は、典型的には、約5℃~約90℃の範囲であり、水対布地の比は、典型的には、約1:1~約30:1であってよい。
【0098】
使用
本開示はまた、綿繊維をコンディショニングするための、好ましくは液体コンディショニング組成物の一部としての、本明細書に記載されるアルキルエステル第四級アンモニウム(「エステルクアット」)柔軟化活性物質の使用に関する。このような使用は、天然由来の製品を望む消費者にとって特に魅力的である可能性が高いと考えられる。更に、綿実油脂肪酸から誘導されるエステルクアットは、特にエステルクアットに関して起こり得る加水分解を考慮すると、綿繊維と特に適合性であり得、それによって遊離脂肪酸の存在をもたらすと考えられる。
【0099】
より具体的には、本開示は、綿線維をコンディショニングするための、好ましくは液体コンディショニング組成物の一部としてアルキルエステル第四級アンモニウム(「エステルクアット」)柔軟化活性物質の使用に関し、エステルクアット柔軟化活性物質が脂肪酸供給原料から誘導され、脂肪酸供給原料が綿実油から誘導される脂肪酸を含む。好ましくは、脂肪酸及び/又はそのような脂肪酸を提供する原料油は、部分的に水素化される。好ましくは、脂肪酸供給原料は、脂肪酸供給原料の25重量%未満のC16脂肪酸を含む。好ましくは、脂肪酸供給原料は、脂肪酸供給原料の約4重量%~約20重量%のトランス不飽和脂肪酸、好ましくはC18:1トランス脂肪酸、より好ましくはエライジン酸を含む。エステルエステルクアット材料、脂肪酸供給原料物質、及び処理組成物は、上により詳細に記載されている。
【0100】
組み合わせ
本開示の具体的に企図される組み合わせを、本明細書において以下のアルファベット付きの項に記載する。これらの組み合わせは、本質的に例示を目的としたものであり、限定することを意図したものではない。
【0101】
A.組成物の約2重量%~約20重量%のアルキルエステル第四級アンモニウム(「エステルクアット」)柔軟化活性物質を含む液体コンディショニング組成物であって、エステルクアット柔軟化活性物質が、脂肪酸供給原料から誘導され、脂肪酸供給原料が、植物に由来する脂肪酸を含み、脂肪酸供給原料が、脂肪酸供給原料の25重量%未満のC16脂肪酸を含み、脂肪酸供給原料が、脂肪酸供給原料の約4重量%~約20重量%のトランス不飽和脂肪酸を含む、液体コンディショニング組成物。
【0102】
B.組成物の約2重量%~約20重量%のアルキルエステル第四級アンモニウム(「エステルクアット」)柔軟化活性物質を含む液体コンディショニング組成物であって、エステルクアット柔軟化活性物質が、エステルクアット柔軟化活性物質の約10重量%~約30重量%のトリエステルクアット材料を含み、エステルクォート柔軟化活性物質が、脂肪酸供給原料から誘導され、脂肪酸供給原料が、植物に由来する脂肪酸を含み、脂肪酸供給原料が、脂肪酸供給原料の25重量%未満のC16脂肪酸を含み、脂肪酸供給原料が、脂肪酸供給原料の約4重量%~約20重量%のトランス不飽和脂肪酸を含む、液体コンディショニング組成物。
【0103】
C.脂肪酸供給原料が、脂肪酸供給原料の約5重量%~約25重量%、好ましくは約10重量%~約25重量%、より好ましくは約15重量%~約25重量%、更により好ましくは約20重量%~約25重量%のC16脂肪酸を含む、段落A又はBのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0104】
D.脂肪酸供給原料が、脂肪酸供給原料の約4重量%~約15重量%、好ましくは約6重量%~約12重量%、より好ましくは約8重量%~約12重量%のトランス不飽和脂肪酸、好ましくはC18トランス不飽和脂肪酸、より好ましくはC18トランス一価不飽和脂肪酸を含む、段落A~Cのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0105】
E.脂肪酸供給原料が、C18トランス不飽和脂肪酸、好ましくはC18トランス一価不飽和脂肪酸を、好ましくは総トランス不飽和脂肪酸の約80重量%~約100重量%の量で含む、段落A~Dのいずれか1つに記載の液体コンディショニング組成物。
【0106】
F.トランス不飽和脂肪酸が、好ましくは(a)脂肪酸供給原料の約4重量%~約20重量%、好ましくは約4重量%~約15重量%、及び/又は(b)トランス不飽和脂肪酸の約50重量%~約100重量%、好ましくは約75重量%~約100重量%の濃度で存在するエライジン酸を含む、段落A~Eのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0107】
G.脂肪酸供給原料が、綿実、菜種、ヒマワリ種子、又は大豆、好ましくは綿実に由来する脂肪酸を含む、段落A~Fのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0108】
H.脂肪酸供給原料の脂肪酸が、部分的に水素化された脂肪酸である、段落A~Gのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0109】
I.脂肪酸供給原料の脂肪酸が、シス不飽和脂肪酸を含み、シス不飽和脂肪酸とトランス不飽和脂肪酸との重量比(「シス:トランス比」)が、約1:2~約2:1である、段落A~Hのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0110】
J.脂肪酸供給原料が、約5~約60ダルトン、好ましくは約5~約50ダルトン、より好ましくは約10~約35ダルトン、更により好ましくは約15~約30ダルトンのヨウ素価によって特徴付けられる、段落A~Iのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0111】
K.組成物が、組成物の約2重量%~約15重量%、好ましくは約2重量%~約12重量%、より好ましくは約2重量%~約10重量%、より好ましくは約4重量%~約8重量%、更により好ましくは約5重量%~約7重量%のエステルクアット柔軟化活性物質を含む、段落A~Iのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0112】
L.エステルクアット柔軟化活性物質が、エステルクアット柔軟化活性物質の約10重量%~約30重量%、好ましくは約15重量%~約30重量%、より好ましくは約20重量%~約25重量%のトリエステルクアット材料を含む、段落A~Kのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0113】
M.組成物が、好ましくは組成物の約40重量%~約98重量%、又は約50重量%~約96重量%、又は約75重量%~約95重量%、又は約80重量%~約94重量%の量で存在する水を更に含む、段落A~Mのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0114】
N.液体コンディショニング組成物が、追加のコンディショニング剤、染料、pH制御剤、溶媒、レオロジー変性剤、構造化剤、カチオン性ポリマー、界面活性剤、香料、香料送達系、キレート剤、酸化防止剤、防腐剤、又はこれらの混合物からなる群から選択される処理補助剤を更に含む、段落A~Mのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0115】
O.処理補助剤が、追加のコンディショニング剤、好ましくは追加のアルキル第四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、非エステル四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪エステル、スクロースエステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、軟化若しくはコンディショニング油、ポリマーラテックス、グリセリドコポリマー、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される追加のコンディショニング剤、より好ましくはシリコーンを含む、段落Nに記載の液体コンディショニング組成物。
【0116】
P.処理補助剤が、香料、香料送達系、又はこれらの組み合わせを含み、好ましくは香料送達系がコア-シェル封入体を含む、段落N又はOのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0117】
Q.液体コンディショニング組成物が、0.1%未満、好ましくは0.05%未満のレオロジー変性剤、構造化剤、又はこれらの混合物を含む、段落A~Pのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0118】
R.液体コンディショニング組成物が、酸化防止剤、好ましくはフェノール系酸化防止剤、より好ましくはトコフェロール又はその誘導体を含む、段落A~Qのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0119】
S.以下の少なくとも1つが真である、(a)エステルクアット柔軟化活性物質が、少なくとも第1のエステルクアット柔軟化活性物質と第2のエステルクアット柔軟化活性物質とのブレンドを含む、及び/又は(b)脂肪酸供給原料が、少なくとも第1の脂肪酸供給原料と第2の脂肪酸供給原料とのブレンドを含む、段落A~Rのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0120】
T.液体コンディショニング組成物が、約50cps~約300cpsの粘度によって特徴付けられる、段落A~Sのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0121】
U.液体コンディショニング組成物が、約2~約4のpH、好ましくは約2~約3.7のpH、より好ましくは約2~約3.5のpHによって特徴付けられ、pHは、組成物を脱イオン水中に溶解/分散させて、約20℃で10%濃度の溶液を形成することによって求められる、段落A~Tのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物。
【0122】
V.表面を処理する方法であって、表面、好ましくは布地、より好ましくは綿繊維を含む布地を、任意に水の存在下で、段落A~Uのいずれかに記載の液体コンディショニング組成物と接触させる工程を含む、方法。
【0123】
W.組成物の約60重量%~99重量%のアルキルエステル第四級アンモニウム(「エステルクアット」)柔軟化活性物質と、水、界面活性剤、又は有機溶媒からなる群から選択される液体担体と、を含む濃縮柔軟化活性組成物であって、エステルクアット柔軟化活性物質が、脂肪酸供給原料から誘導され、脂肪酸供給原料が、少なくとも部分的に綿実油に由来する脂肪酸を含み、脂肪酸供給原料が、脂肪酸供給原料の25重量%未満のC16脂肪酸を含み、脂肪酸供給原料が、脂肪酸供給原料の約4重量%~約20重量%のトランス不飽和脂肪酸を含む、濃縮柔軟化活性組成物。
【0124】
X.綿繊維をコンディショニングするための、好ましくは液体コンディショニング組成物の一部としての、アルキルエステル第四級アンモニウム(「エステルクアット」)柔軟化活性物質の使用であって、エステルクアット柔軟化活性物質が、脂肪酸供給原料から誘導され、脂肪酸供給原料が、綿実油に由来する脂肪酸を含み、好ましくは脂肪酸及び/又は脂肪酸を提供する綿実油が部分的に水素化されており、好ましくは脂肪酸供給原料が脂肪酸供給原料の25重量%未満のC16脂肪酸を含み、好ましくは脂肪酸供給原料が脂肪酸供給原料の約4重量%~約20重量%のトランス不飽和脂肪酸を含む、使用。
【0125】
試験法
第四級アンモニウムエステル化合物のヨウ素価を測定する方法
第四級アンモニウムエステル布地化合物のヨウ素価は、布地コンディショニング活性物質を形成する親脂肪酸のヨウ素価であり、布地コンディショニング化活性物質を形成する親脂肪酸100グラムと反応するヨウ素のグラム数として定義される。
【0126】
まず、第四級アンモニウムエステル化合物を、以下のプロトコルに従って加水分解する:布地処理組成物25gを、水50mL及び水酸化ナトリウム0.3mL(50%活性)と混合する。この混合物が乾燥するのを回避しながら、混合物をホットプレート上で少なくとも1時間沸騰させる。1時間後、混合物を放冷し、pHストリップ又は較正済みpH電極を使用して、25%硫酸でpHを中性(pH6~8)に調整する。
【0127】
次に、ヘキサン又は石油エーテルによる酸性液-液抽出によって混合物から脂肪酸を抽出する:抽出シリンダにおいてサンプル混合物を水/エタノール(1:1)で160mLに希釈し、塩化ナトリウム5グラム、硫酸(25%活性)0.3mL、及びヘキサン50mLを加える。シリンダに栓をして、少なくとも1分間振盪する。次に、2層が形成されるまで、シリンダを静置する。ヘキサン中に脂肪酸を含む最上層を別の受容器に移す。次に、ホットプレートを使用してヘキサンを蒸発させ、抽出した脂肪酸を残す。
【0128】
次に、布地コンディショニング活性物質を形成する親脂肪酸のヨウ素価を、ISO3961:2013に従って測定する。親脂肪酸のヨウ素価を計算する方法は、規定量(0.1~3g)をクロロホルム15mLに溶解することを含む。次に、溶解した親脂肪酸を、酢酸溶液(0.1M)中の一塩化ヨウ素25mLと反応させる。これに、10%ヨウ化カリウム溶液20mL及び脱イオン水150mLを加える。ハロゲンの添加を行った後、ブルースターチ法指示薬粉末の存在下で、チオ硫酸ナトリウム溶液(0.1M)で滴定することにより、過剰な一塩化ヨウ素を測定する。同時に、同じ量の試薬と同一条件下でブランクを測定する。ブランクに使用したチオ硫酸ナトリウムの量と、親脂肪酸との反応に使用した量との差により、ヨウ素価を算出することができる。
【0129】
脂肪酸鎖長分布を測定する方法
第四級アンモニウムエステル布地コンディショニング活性物質の脂肪酸鎖長分布は、布地コンディショニング活性物質を形成する親脂肪酸の鎖長分布を指す。それは、第四級アンモニウムエステル布地コンディショニング活性物質のヨウ素価を測定する方法に記載されているように、第四級アンモニウムエステルコンディショニング活性物質で、又は布地柔軟剤組成物から抽出された脂肪酸で測定することができる。第四級アンモニウムエステルコンディショニング活性物質又は抽出された脂肪酸0.2gを2-ブタノール3mLに溶解し、3つのガラスビーズを添加し、サンプルを高速で4分間ボルテックスすることによって、脂肪酸鎖長分布を測定する。次に、この抽出物のアリコートを2mLのガスクロマトグラフィーバイアルに移し、次いで、それをガスクロマトグラフ(Agilent GC6890N)のガスクロマトグラム入口(250℃)に注入し、得られた副生成物をDB-5msカラム(30m×250μm×1.0μm、2.0mL/min)上で分離する。これらの副生成物を、質量分析計(Agilent MSD5973N,ChemstationソフトウェアバージョンE.02.02)を用いて同定し、対応する脂肪酸鎖長のピーク面積を測定する。脂肪酸鎖長分布は、全ての脂肪酸鎖長に対応する全てのピークの合計と比較した、対象となる各脂肪酸鎖長に対応するピーク面積の相対比によって決定される。
【0130】
モノエステル/ジエステル/トリエステルクアットの%の方法
約100mgのエステルクアット材料を約2mLのアセトン-d6とクロロホルム-dの2:1重量混合物に溶解することにより、希釈エステルクアット溶液を調製する。15秒の緩和遅延を有する標準的なプロトン取得パラメータを用いて、溶液のプロトンNMRスペクトルを収集する。エステルクアットのピークを同定し、スペクトルを積分する。モノエステルクアット、ジエステルクアット、及びジエステルクアットの正規化重量パーセントは、それらの積分面積から計算される。
【0131】
動的降伏応力を測定する方法
動的降伏応力は、20℃で60mm平行プレート及び500マイクロメートルのギャップサイズを使用して、制御された応力レオメーター(Thermo ScientificのHAAKE MARS又は等価物など)を使用して測定される。動的降伏応力は、剪断速度範囲にわたって対数的に分布した25点を選び、10s-1から出発して10-4s-1までの剪断速度の関数として準定常状態の剪断応力を測定することによって得られる。準定常状態は、所定の剪断速度で少なくとも30秒後かつ最大60秒後に経時的な剪断応力の変動が3%未満であると、剪断応力値として定義される。経時的な剪断応力の変動は、3秒間にわたって測定された平均剪断応力の比較によって連続的に評価される。特定の剪断速度で60秒間測定した後、剪断応力値が3%を超えて変化する場合、最終剪断応力測定値は、計算目的のために準状態値として定義される。次いで、剪断応力データを、Herschel-Bulkleyモデルに従って剪断速度の関数として対数空間において最小二乗法を使用して当てはめる。
【0132】
【0133】
【数2】
において測定された平衡準定常状態剪断応力であり、τ0は当てはめられた動的降伏応力であり、k及びnはフィッティングパラメータである。
【実施例】
【0134】
以下に提供される実施例は、事実上例示を意図するものであり、限定することを意図するものではない。
【0135】
実施例1.FA原料からエステルクアットを製造する方法
エステルクアット材料は2段階合成で調製される。まず、脂肪酸とアルカノールアミンを用いてエステル化反応を行うことにより、エステルアミンを製造する。第2の工程において、アミン部分はアルキル化剤を用いて四級化される。
【0136】
より具体的には、1000.8gの脂肪酸(酸価201mg KOH/g)を272.5gのトリエタノールアミン(FA:TEAのモル比1.95:1)と混合し、エステル化反応を最高165℃の温度で行う。次亜リン酸(30ppm)を触媒として使用し、真空を印加して水を除去する。220.2gの硫酸ジメチルを添加し、四級化反応を80℃で行う。最後に、121gのイソプロパノールを添加する。
【0137】
実施例2.粘度データ
4つの脂肪酸供給原料が提供される。脂肪酸の説明及び各供給原料の主要脂肪酸のレベルを以下の表1に示す。供給原料1~4の各々は、ほぼ同様の量のC18:1脂肪酸(20%±1.2%)を含み、同様のヨウ素価を有する。しかしながら、それらは、トランス脂肪酸の量、並びにC16脂肪酸の量が異なる。
【0138】
供給原料2及び3は、例えば、比較的低いレベルのトランス脂肪酸及び比較的高いレベルのC16脂肪酸を有する比較供給原料である。注目すべきことに、供給原料3は、供給原料2よりも多くのC16脂肪酸を有する。供給原料4は、供給原料1と供給原料2との重量比70:30の混合物に実質的に等しい。
【0139】
【表1】
脂肪酸供給原料は、エステル化反応においてそれらをトリエタノールアミンと反応させ、得られたものを四級化することによってエステルクアット柔軟化活性物質を製造するために使用される。
【0140】
得られたエステルクアット柔軟化物質は、バッチプロセスを介して以下の配合を有する種々の単純な液体コンディショニング組成物に配合される。1つの生成物は、5重量%のエステルクアットレベルを有する(表2)。他の生成物は、7重量%のエステルクアットレベルを有する(表2)。実施例4及び8のエステルクアットは、供給原料1及び2から製造されたエステルクアット材料を70:30の重量比でブレンドすることによって製造され、供給原料4から製造される物質と実質的に同等であるエステルクアット材料をもたらすことに留意されたい。
【0141】
新鮮な組成物の各々の粘度を測定する。供給原料2(低量のトランス脂肪酸を有する)を用いて作製された生成物に対する絶対粘度(cps)及び粘度比を表2A及び2Bに提供する。実施例2、実施例3、実施例6、及び実施例7は、比較脂肪酸供給原料を用いて作製された比較例である。
【0142】
【0143】
【0144】
表2及び3に示されるように、供給原料1及び4を用いて作製されたエステルクアットを有する液体コンディショニング組成物は、比較供給原料2及び3を用いて作製されたものよりも高い絶対粘度によって特徴付けられる。更に、粘度比によって示されるように、粘度は、選択された参照組成物の粘度の2.7~5.3倍の範囲である。これらのより高い粘度は、主に、より多い量のトランス脂肪酸に起因すると考えられる。
【0145】
更に、高粘度は、比較的少ない量のC16脂肪酸によって部分的に可能になるとも考えられる。実施例2を実施例3と、又は実施例6を実施例7と比較することによって示されるように、比較的高いレベルのC16トランス脂肪酸は、脂肪酸量が比較的同様である場合、より低い粘度値をもたらす。
【0146】
実施例3.例示的な製品処方
表4は、本開示による組成物の例示的な製品処方を示す。具体的には、以下の組成物が、液体布地強化剤製品として意図される。
【0147】
【表4】
1エステルクアット1:ビス-(2-ヒドロキシプロピル)-ジメチルアンモニウムメチルサルフェート脂肪酸エステルと、(2-ヒドロキシプロピル)-(1-メチル-2-ヒドロキシエチル)-ジメチルアンモニウムメチルサルフェート脂肪酸エステルと、ビス-(1-メチル-2-ヒドロキシエチル)-ジメチルアンモニウムメチルサルフェート脂肪酸エステルとの混合物であって、脂肪酸エステルが、供給原料1又は供給原料4から製造される。
2エステルクアット2:N,N-ビス(ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド脂肪酸エステル、ここで、脂肪酸エステルは供給原料1又は供給原料4から製造される。
3エステルクアット3:脂肪酸とトリエタノールアミンとのエステル化生成物であって、硫酸ジメチルで四級化されており、脂肪酸は供給原料1又は供給原料4において提供されている通りである。
*コア-シェル香料カプセル提供される「活性成分%」は、組成物に送達される芳香剤の量である。
【0148】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0149】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0150】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【国際調査報告】