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特表2023-548367電気アーク、冶金又は精錬炉用多半管熱交換システム及びそのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】電気アーク、冶金又は精錬炉用多半管熱交換システム及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
   F27D 17/00 20060101AFI20231109BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20231109BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20231109BHJP
   F27D 9/00 20060101ALI20231109BHJP
   F27B 1/22 20060101ALI20231109BHJP
   F27B 1/24 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
F27D17/00 104D
F28F21/08 F
F28F21/08 A
F28F21/08 Z
F28F3/00 311
F27D17/00 104K
F27D9/00
F27B1/22
F27B1/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526628
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 US2021057523
(87)【国際公開番号】W WO2022094378
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/108,474
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506352256
【氏名又は名称】アメリファブ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マニャーセック、リチャード、ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4K045
4K056
4K063
【Fターム(参考)】
4K045AA04
4K045AA05
4K045BA02
4K045DA09
4K045LA01
4K045MA03
4K056AA02
4K056AA05
4K056BB08
4K056CA02
4K056DA02
4K056DA22
4K056DB05
4K056FA06
4K063AA03
4K063AA04
4K063AA12
4K063BA02
4K063CA05
4K063EA02
(57)【要約】
製鋼炉から放出される排出ガスを冷却するための冷却アセンブリは、炉に結合されるように構成された板体を含む。板体は、第1面と、反対側の第2面を有する。このアセンブリは、既定の長さと、外面と内面との間に規定された厚みを有する断面形状とを含む。本体は、第1取付端と第2取付端とを含み、前記第1取付端は第1面に0°よりも大きな角度で取り付けられる。第2取付端も第1面に0°よりも大きな角度で取り付けられ、第2取付端は第1取付端から離間している。冷却流体が内部を通過して流れるため、前記内面と前記第1面との間に管路が規定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製鋼炉から排出される排ガスを冷却する冷却アセンブリであって、
第1面及び第2面を有し、前記第1面が前記第2面の反対側であり、前記炉に結合されるように構成された板体と、
規定の長さと、外面と内面との間に規定された厚みを有する断面形状とを備え、第1取付端と第2取付端とを含む本体と、を備え、
前記第1取付端は、前記第1面に0°よりも大きな第1の角度で取り付けられ、
前記第2取付端は前記第1面に0°よりも大きな第2の角度で取り付けられ、前記第2取付端は前記第1取付端から離間しており、
冷却流体が内部を通過して流れるため、前記内面と前記第1面との間に管路が規定される、冷却アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の角度が前記第2の角度と略同一である、請求項1記載の冷却アセンブリ。
【請求項3】
前記第1の角度が前記第2の角度と異なっている、請求項1記載の冷却アセンブリ。
【請求項4】
前記第1の角度及び前記第2の角度がそれぞれ15°-45°の間である、請求項1記載の冷却アセンブリ。
【請求項5】
規定の長さと、外面と内面との間に規定された厚みを有する断面形状とを含み、第1取付端と第2取付端とを含む第2本体と、を備えており、
前記第2本体の前記第1取付端は、前記本体の前記第2取付端の近接箇所にて前記第1面に角度を付けて取り付けられ、
前記本体と前記第2本体とは、それぞれの長手方向が互いに並列になるように前記第1面に取り付けられる、請求項1記載の冷却アセンブリ。
【請求項6】
前記本体と前記第2本体とは、前記第2本体の前記第1取付端、前記本体の前記第2取付端の前記角度を付きの端部と前記第1面との間に単一の溶接点が設けられるように前記第1面に溶接される、請求項5記載の冷却アセンブリ。
【請求項7】
前記本体が鋼、鉄、ニッケル、又はアルミ青銅合金から形成されている、請求項1記載の冷却アセンブリ。
【請求項8】
製鋼炉から排出される排ガスを冷却する冷却アセンブリであって、
本体が、前記炉の取付面に結合されるように構成されており、既定の長さと、外面と内面との間に規定された厚みを有する断面形状とを備え、第1取付端と第2取付端とを含み、
前記本体は、第1部分、第2部分、及び前記第1部分と前記第2部分との間に一体に形成された中間部分とを備え、
前記第1取付端は、前記第1部分に一体に形成され、当該第1取付端は、前記取付面に角度を付けて結合される第1端面を備えており、
第2取付端は、前記第2部分に一体に形成され、当該第2取付端は、前記第1取付端から離間した位置にて前記取付面に角度を付けて結合される第2端面を備えており、
前記第1部分の前記内面と、前記取付面との間に第1流体管路が規定され、
前記第2部分の前記内面と、前記取付面との間に第2流体管路が規定される、冷却アセンブリ。
【請求項9】
前記中間部分が前記第1部分と前記第2部分との間に規定された幅を備え、当該中間部分は前記規定された幅に亘って前記取付面に接触して配置される実質的に平坦な面を備えている、請求項8記載の冷却アセンブリ。
【請求項10】
前記第1部分は、第1接触点にて前記取付面に接触し、
前記第2部分は、第2接触点にて前記取付面に接触し、
前記第1接触点と前記第2接触点とは、それぞれ、前記本体の長さに沿ってどの箇所においても単一接触点である、請求項8記載の冷却アセンブリ。
【請求項11】
前記第1部分は、第1接触点にて前記取付面に接触し、
前記第2部分は、第2接触点にて前記取付面に接触し、
前記中間部分は、前記取付面と幅方向に沿って接触しており、前記中間部分と前記取付面との間の接触は、 前記第1部分及び前記第2部分と前記取付面との複合的接触よりも大きい、請求項8記載の冷却アセンブリ。
【請求項12】
前記本体が鋼、鉄、ニッケル、又はアルミ青銅合金から形成されている、請求項8記載の冷却アセンブリ。
【請求項13】
前記取付面は、規定の長さ、幅、及び厚みを有する板体から形成され、当該板体は、自身に形成された開口を含み、
前記本体は、前記中間部分が前記板体における前記開口と整合するように前記取付面に結合される、請求項8記載の冷却アセンブリ。
【請求項14】
前記中間部分を、前記開口の箇所にて前記板体に結合するための結合機構をさらに備える、請求項13記載の冷却アセンブリ。
【請求項15】
前記結合機構が溶接を含む、請求項14記載の冷却アセンブリ。
【請求項16】
前記第1取付端と前記取付面との間に設けられた第1溶接と、
前記第2取付端と前記取付面との間に設けられた第2溶接と、
をさらに備える、請求項15記載の冷却アセンブリ。
【請求項17】
規定の長さと、外面と内面との間に規定された厚みを有する断面形状とを含み、第1取付端と第2取付端とを含む第2本体と、を備えており、
前記第2本体の前記内面と前記取付面との間に第3管路が規定され、当該第3管路は、前記第1管路及び前記第2管路に対して実質的に平行に整列される、請求項8記載の冷却アセンブリ。
【請求項18】
前記本体の前記第2取付端は、前記第2本体の前記第1取付端の近傍にて前記取付面に結合される、請求項17記載の冷却アセンブリ。
【請求項19】
単一の溶接が、前記本体の前記第2取付端及び前記第2本体の前記第1取付端を、前記取付面に結合する、請求項18記載の冷却アセンブリ。
【請求項20】
内部を加熱し、高温の排出ガスを発生させるための手段を有する炉と、
導入口と導出口とを有し、前記導入口と前記導出口との間に冷却流体が流れる流体通路を形成する、蜿蜒と曲がりくねった配管のパネルと、
前記パネルの前記導入口と流体連通している注入マニホールドと、
前記パネルの前記導出口と流体連通している出力マニホールドと、を備え、
前記配管は、前記炉の取付面に結合されるように構成された本体を備え、当該本体は、既定の長さと、外面と内面との間に規定された厚みを有する断面形状とを備え、第1取付端と第2取付端とを含み、
前記本体は、第1部分、第2部分、及び前記第1部分と前記第2部分との間に一体に形成された中間部分とを備え、
前記第1取付端は、前記第1部分に一体に形成され、当該第1取付端は、前記取付面に角度を付けて結合される第1端面を備えており、
第2取付端は、前記第2部分に一体に形成され、当該第2取付端は、前記第1取付端から離間した位置にて前記取付面に角度を付けて結合される第2端面を備えており、
前記第1部分の前記内面と、前記取付面との間に第1流体管路が規定され、当該第1流体管路が前記流体通路の一部を形成し、
前記第2部分の前記内面と、前記取付面との間に第2流体管路が規定され、当該第2流体管路が前記流体通路の他の一部を形成する、熱交換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
この出願は、2020年11月2日に出願された米国仮特許出願第63/108,474の利益を主張するものであり、その開示は、その全体を本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0002】
本開示は、概して、金属製錬及び精錬炉を含む、電気アーク炉、冶金用炉の運転期間を延長するための方法及び装置に関する。特に、本開示は、そのような設備を保護するために使用される熱交換システムに関する。
【背景技術】
【0003】
種々の鋼産業プロセスで使用される設備を保護するために、冷却構成体を使用することが知られている。そのような設備は、極端な熱流状態で運転する必要があるかもしれない。従来の冷却構成体は、典型的には、水が内部を通じて流れる複数の筒管又は管を備え、それらが一緒に結合されて冷却構成体を形成している。このような従来の筒管は、例えば、毎秒約6-7フィートの筒管通過最高水速度を有する内径(「ID」)2.5インチの円筒形筒管であってもよい。これらの筒管が運転され得る高熱流状態は、従来の2.5インチID筒管が送達し得るよりも高い熱伝達率及びより高い水流速を有することを望ましいものにし得る。また、筒管及び結果として生じる構成要素の製作を、任意の適切な材料から、及び使用される材料に適した任意の製法を使用して、選択できるようにすることが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一実施形態において、製鋼炉から放出される排出ガスを冷却するための冷却アセンブリは、炉に結合されるように構成され、第1面と、反対側の第2面を有する板体と、既定の長さと、外面と内面との間に規定された厚みを有する断面形状とを備え、第1取付端と第2取付端とを備える本体と、を含み、前記第1取付端は、前記第1面に0°よりも大きな第1の角度で取り付けられ、前記第2取付端は前記第1面に0°よりも大きな第2の角度で取り付けられ、前記第2取付端は前記第1取付端から離間しており、冷却流体が内部を通過して流れるため、前記内面と前記第1面との間に管路が規定される。
【0005】
本実施形態においては、前記第1の角度は前記第2の角度と略同一であってもよい。代替的には、前記第1の角度は前記第2の角度と異なっていてもよい。さらに、前記第1の角度及び前記第2の角度はそれぞれ15°-45°の間であってもよい。さらに、前記アセンブリは、規定の長さと、外面と内面との間に規定された厚みを有する断面形状とを備え、第1取付端と第2取付端とを含む第2本体と、を含み、前記第2本体の前記第1取付端は、前記本体の前記第2取付端の近接箇所にて前記第1面に角度を付けて取り付けられ、前記本体と前記第2本体とは、それぞれの長手方向が互いに並列になるように前記第1面に取り付けられてもよい。
【0006】
本実施形態において、前記本体と前記第2本体とは、前記第2本体の前記第1取付端、前記本体の前記第2取付端の前記角度を付きの端部と前記第1面との間に単一の溶接点が設けられるように前記第1面に溶接されてもよい。さらに、前記本体は、鋼、鉄、ニッケル、又はアルミ青銅合金から形成されてもよい。
【0007】
本開示の他の実施形態において、製鋼炉から放出される排出ガスを冷却するための冷却アセンブリは、前記炉の取付面に結合されるように構成され、既定の長さと、外面と内面との間に規定された厚みを有する断面形状とを備え、第1取付端と第2取付端とを備える本体を含み、前記本体は、第1部分、第2部分、及び前記第1部分と前記第2部分との間に一体に形成された中間部分とを備え、前記第1取付端は、前記第1部分に一体に形成され、当該第1取付端は、前記取付面に角度を付けて結合される第1端面を備えており、第2取付端は、前記第2部分に一体に形成され、当該第2取付端は、前記第1取付端から離間した位置にて前記取付面に角度を付けて結合される第2端面を備えており、前記第1部分の前記内面と、前記取付面との間に第1流体管路が規定され、前記第2部分の前記内面と、前記取付面との間に第2流体管路が規定される。
【0008】
本実施形態において、前記中間部分が前記第1部分と前記第2部分との間に規定された幅を含み、当該中間部分は前記規定された幅に亘って前記取付面に接触して配置される実質的に平坦な面を備えていてもよい。さらに、前記第1部分は、第1接触点にて前記取付面に接触してもよく、前記第2部分は、第2接触点にて前記取付面に接触してもよく、前記第1接触点と前記第2接触点とは、それぞれ、前記本体の長さに沿ってどの箇所においても単一接触点である。さらに、前記第1部分は、第1接触点にて前記取付面に接触してもよく、前記第2部分は、第2接触点にて前記取付面に接触してもよく、前記中間部分は、前記取付面と幅方向に沿って接触してもよく、前記中間部分と前記取付面との間の接触は、前記第1部分及び前記第2部分と前記取付面との複合的接触よりも大きい。
【0009】
本実施形態において、前記本体は、鋼、鉄、ニッケル、又はアルミ青銅合金から形成されてもよい。
【0010】
また、本実施形態において、前記取付面は、規定の長さ、幅、及び厚みを有する板体から形成され、当該板体は、自身に形成された開口を含み、前記本体は、前記中間部分が前記板体における前記開口と整合するように前記取付面に結合されてもよい。
【0011】
さらに、前記中間部分を前記開口の箇所にて前記板体に結合するための結合機構をさらに備えてもよい。一態様において、前記結合機構は溶接を含んでいる。
【0012】
本実施形態において、前記第1取付端と前記取付面との間に第1溶接が設けられてもよく、前記第2取付端と前記取付面との間に第2溶接が設けられてもよい。
【0013】
さらに、本実施形態において、前記冷却アセンブリは、規定の長さと、外面と内面との間に規定された厚みを有する断面形状とを備え、第1取付端と第2取付端とを含む第2本体と、を含んでもよく、前記第2本体の前記内面と前記取付面との間に第3管路が規定され、当該第3管路は、前記第1管路及び前記第2管路に対して実質的に平行に整列されている。
【0014】
さらに、本実施形態においては、前記本体の前記第2取付端は、前記第2本体の前記第1取付端の近傍にて前記取付面に結合されてもよい。さらに、単一の溶接が、前記本体の前記第2取付端及び前記第2本体の前記第1取付端を、前記取付面に結合してもよい。
【0015】
本開示のさらなる実施形態において、熱交換システムは、内部を加熱し、高温の排出ガスを発生させるための手段を有する炉と、導入口と導出口とを有し、前記導入口と前記導出口との間に冷却流体が流れる流体通路を形成する、蜿蜒と曲がりくねった配管のパネルと、前記パネルの前記導入口と流体連通している注入マニホールドと、前記パネルの前記導出口と流体連通している出力マニホールドと、を含み、前記配管は、前記炉の取付面に結合されるように構成された本体を備え、当該本体は、既定の長さと、外面と内面との間に規定された厚みを有する断面形状とを備え、第1取付端と第2取付端とを含み、前記本体は、第1部分、第2部分、及び前記第1部分と前記第2部分との間に一体に形成された中間部分とを備え、前記第1取付端は、前記第1部分に一体に形成され、当該第1取付端は、前記取付面に角度を付けて結合される第1端面を備えており、第2取付端は、前記第2部分に一体に形成され、当該第2取付端は、前記第1取付端から離間した位置にて前記取付面に角度を付けて結合される第2端面を備えており、前記第1部分の前記内面と、前記取付面との間に第1流体管路が規定され、当該第1流体管路が前記流体通路の一部を形成し、前記第2部分の前記内面と、前記取付面との間に第2流体管路が規定され、当該第2流体管路が前記流体通路の他の一部を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、冶金用炉における溶解工程の流れ図を例示している。
図2図2は、単一半管冷却構成体を例示している。
図3図3は、二重半管冷却構成体を例示している。
図4図4は、単一及び二重半管冷却アセンブリを組み合わせた斜視図を例示している。
図5図5は、図4のアセンブリの正面図を例示している。
図6図6は、図4のアセンブリの底部正面斜視図を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
電気アーク炉(EAF)では、炉床又は精錬領域より上の部分は、炉の高温に対して保護されなければならない。EAF容器の壁、覆い又は天井及びダクトワークは、鋼の装入によって引き起こされる巨大な熱的、化学的、及び機械的なストレスによる危険性が特に高い。このようなストレスは炉の運転期間を大きく制限する。EAFは一般に、耐火物ライニングと水冷式パネルによって炉容器内部の高温に対して保護される溶接鋼構造として設計、製作される。水冷天井パネル及び水冷側壁パネルは、炉の溶融/製錬領域の上方の炉容器の一部に位置する。
【0018】
さらに、炉排ガスダクトは、その周囲に複数の管路から構成され、炉の運転中に生成される高温及び苛性ガスからダクトワークを保護する。既設の水冷パネルとダクトは、様々な等級と種類の板体と管で作られている。水冷パネルを使用することで、耐火物コストが削減され、鋼製造者は、各炉をより多くの加熱回数で運転することができ、また、炉をより大きな電力及び化学エネルギー投入量で運転することができる。そのようなパネルは、複数の管を蛇行状に組み込み、炉床の上の電気アーク炉の内壁に掛け、それによって内部と炉壁との間に冷却面を形成するように設計されている。
【0019】
通常の炉運転中の熱とアーク放電による劣化からパネルを保護するために、水冷式パネルの高温側にスラグ層を維持することが大切である。スラグカップ、スラグバー、スラグピン及び管路の高温側面にスプラインを有する特別に設計された突出管路を使用して、パネルの高温側面にスプラットされたスラグを保持することができる。スラグは管上で凝固し、溶融鉄材料と冷却管の間の断熱障壁を形成し、その結果、炉の壁を形成する。
【0020】
図1を参照すると、炉の一実施形態が、電気炉型炉180として例示されている。EAFは一例として開示されているが、本開示の原理及び教示は基本的な酸素炉(BOF)等に容易に適用することができることが理解される。図1において、EAF180は、炉殻112、複数の電極114、排気システム116、運転台118、ロッカー傾斜機構120、傾斜シリンダ122、及び排ガスチャンバを含むことができる。炉殻112は、ロッカー傾斜機構120又は他の傾斜機構上に移動可能に配置され得る。さらに、ロッカー傾斜120は、傾斜シリンダ122によって動力を供給されてもよい。ロッカー傾斜120はさらに、運転台118上に固定されてもよい。
【0021】
炉殻112は、皿状の炉床124、略円筒形の側壁126、スパウト128、スパウトドア130、及び略円筒形の円形天井132を含むことができる。スパウト128及びスパウトドア130は、円筒形の側壁126の片側に配置されている。開いた位置では、スパウト128は、導入空気134が炉床124に入ることを可能とし、精錬で生成されたガス136を部分的に燃焼させることができる。炉床124は、適当な高融点材料で形成される。炉床124の一端には注ぎ箱があり、その下端に出銑手段138が設けられている。溶融操作の間、出銑手段138は、耐火プラグ、又は摺動可能なゲートによって閉じられる。その後、炉殻112が傾けられ、出銑手段138が開栓され、又は開けられ、溶融金属が、所望により、注湯取鍋、タンディッシュ又は他の装置に注がれる。
【0022】
炉殻112の内壁126に、蜿蜒と曲がりくねった配管150の水冷式パネル140を取り付けることができる。パネルは、実際には、炉180の内部壁として機能する。冷却水を供給及び戻り用のマニホールドは、パネル140と流体連通している。典型的には、マニホールドは、図示した排気ダクト144に類似した形態で周辺に配置される。
【0023】
熱交換システム110は、より効率的な動作をもたらし、EAF炉110の動作寿命を延長する。例示的な一実施形態において、パネル140は、蜿蜒と曲がりくねった配管が、ほぼ水平な配向を有するように組み立てられてもよい。配管150は、結合部材と結合させるか、又は壁に取り付けられる基部を有することができる。あるいは、パネル140は、蜿蜒と曲がりくねった配管150が全体的に鉛直の向きを有するように取り付けることができる。パネル140の上端は、炉180の側壁126部の上縁部で円形の縁部を画定することができる。
【0024】
熱交換システム110は、炉180の天井132に嵌め合わせることができるが、水冷式パネル140は、天井132のドーム形の外形に実質的に従う曲率を有する。熱交換システム110は、炉180の側壁126の内側、天井132、及び排気システム116の入口上、並びに排気システム116全体に配備されていてもよい。そのように、熱交換システム110は、ダストを収集し気体を大気に放出する集塵装置又は他のフィルタ及び空気処理施設に高温の排ガスがダクトで送られるときに、炉を保護し、高温の排ガス136を冷却することができる。
【0025】
運転中、高温の排ガス136は、ダストとヒュームが炉床124から炉殻112の通気孔146を通って取り除かれる。通気孔146は排気システムと連通していてもよい。
【0026】
パネル140は、複数の軸方向に配置された管150を有することができる。U字形のエルボは、隣接し合う配管又は管150の長手部分部材を互いに接続して、連続した配管系を形成することができる。スペーサとして付加的に機能する結合部材等は、隣接し合う管150の間にあってもよく、パネル140の構造的一体性を提供し、パネル140の曲率を決定する。
【0027】
熱交換システム又は熱交換器110は、蜿蜒と曲がりくねった配管150の少なくとも1つのパネルを含むことができるが、該配管は、導入口(図示せず)及び導出口(図示せず)、少なくとも1つのパネルの導入口と流体連通する注入マニホールド、少なくとも1つのパネルの導出口と流体連通する導出マニホールド、及び配管150を通って流れる冷却流体を有している。熱交換システム110は、高温のヒュームガス136と、冶金用炉180及びそれを支持する構成要素から排気されているダストとを冷却する。配管は、横並びに取り付けられる接続された筒管の長手部分部材の集合体であるが、接続された筒管は、それらによって少なくとも1つのパネル150を形成する結合機構を用いて、互いに固定される。
【0028】
配管150を製造するための1つの例示的且つ望ましい構成は、アルミ青銅合金であると判断されている。アルミニウム青銅合金は、予想される熱伝導率よりも高いこと、高温ガス流によるエッチングに対する耐性(弾性係数)及び酸化に対する良好な耐性を有することが見出されている。これにより、熱交換器の運転期間が延びる。アルミ青銅で加工した場合、熱交換器や関連部品の腐蝕や侵食が減少する。アルミ青銅は、P22(Fe約96%、C0.1%、Mn0.45%、Cr2.65%、Mo0.93%)よりも41%、及びカーボン鋼(A106B)よりも30.4%高い熱伝導率を有する。アルミ青銅及びその合金を用いて製造された熱交換器は、屈折材料及び/又は他の金属合金から構成された炉より効率的であり、よりも長い運転期間を有する。
【0029】
また、配管150は、突出されていてもよく、また、そうした突出が、腐蝕、浸食、加圧、及び熱ストレスに配管が抵抗するのに役立つ可能性があると判断されている。配管は、必要に応じて、取り付けられている壁の曲率に合わせて曲げたり、屈曲させたりすることができる。より典型的には、配管の個々の部分は、得られるパネルが壁の曲率に相当する曲率を有するように、角度を付きの結合機構で互いに固定される。
【0030】
図1の実施形態において、蜿蜒と曲がりくねった配管150は、2つの配管部分がエルボによって連結されている複数の長手方向配管部分部材によって形成されてもよい。これらの部分部材をエルボに組み立てることはしばしば困難であるが、本開示は、溶接プロセスをより容易にし、改善するための配置を提供する。
【0031】
例示的に、本開示にしたがって、比較的高い熱伝達率及び高い水速度を有する、高い熱流束耐性の、流体冷却構成体が提供される。この構成体は、例えば、そこを通って流れる水を含む液体のような、任意の適当な流体を有してもよいことが理解されよう。本開示は、鉄鋼産業用途のユーザ選択的な形状及び設計の水冷構成体の製造のために、より広範囲の材料を選択する方法を提供する。前述のように、水以外の液体又は冷却剤もまた、本開示の範囲に含まれる。この構成体は、炉、排煙設備、排ガスフード、スカート、燃焼室、ドロップアウト箱等において、筒管/構成体内の固有且つ改良された冷却剤速度及びその結果としての増大された伝熱能力により、過酷で且つ変化し続ける要求に、より良好に耐える能力を有するであろう。本開示は、市販されている材料から筒管/管を選択するための現行の要件に限定されることなく、特定用途のための伝熱及び弾力性の要件を最適化するために、所望により、必要又は所望の断面半径とするための、製造材料及び製造方法の選択に、例えば圧延、鍛造、鋳造又は押出しによるものが含まれることを可能にする。
【0032】
図2を参照すると、単一半管202又は半筒管202の形態である冷却構成体200又は熱交換器が、例えば、断面が四辺形、平行四辺形、六角形又は八角形を含む、実質的に半円又は多角形に近い断面を有する半管202のような所望の形状に形成される。換言すれば、半管202は、例示的に、その直径の面に沿って実質的に二分割された多面体又は円柱に近似して、後述する半多面体又は図示される例示的な半円筒体202を形成してもよい。例示的な二分割又は半円筒体又は半管202は、第1取付端204から第2及び対向する取付端206まで延びて、それぞれ取付端204、206の間に弧状且つ略凹状の内面208と、弧状且つ略凸状の外面210とを画定する。換言すれば、単一筒管又は半管202は、直径方向に分割された、又は実質的に二分割された円筒形本体の半分で表わされる。
【0033】
対向し合う取付端204、206は、例示的に、例えば、図4に示されるように単一半管202を、取付板400に取り付けるか、又は結合するように構成されている。単一半管202は、例えば、炉180の壁のような設備本体に直接的に取り付けてもよいことが理解されよう。図4において、単一半管202は、取付板400の管取付面402に取り付けられて又は結合されて、例示的な冷却構成体200を形成していることが示されている。単一半管202は、規定の長さLを含むことができ、この長さLは、所望の伝熱特性及び管が利用可能な空間に基づいて選択することができる。取付板400の管取付面402の反対側は、板体400を設備本体に取り付けるように例示的に構成された設備取付面404である。
【0034】
単一半管202は、例えば、各側部又はその取付端204、206における管202の長さに沿って溶接することを含む任意の好適な方法で、板体400に取り付け又は結合することができる。例えば、図5に示すように、単一半管202は、第1端204に沿った第1溶接点500と、その第2端206に沿った第2溶接点502とを介して取り付けることができる。第1及び第2溶接点の各々は水密溶接とすることができ、管202の一体性を保護し、単一半管202の内部通路又は流路406を通って流れることができる流体の漏出を防止する。
【0035】
図2に示されるように、それぞれの取付端204、206は、2分割された面(すなわち、図2の破線)又は板体400に対して角度を付けられてもよい。一例では、取付端204、206は、0°より大きい角Θを含んでもよい。1つの非限定的な実施例では、角度Θは、0°より大きいが、90°より小さくてもよい。第2の非限定的な実施例では、角度Θは、0°より大きく、75°より小さくてもよい。第3の非限定的な実施例では、角度Θは、0°より大きく、60°より小さくてもよい。第4の非限定的な実施例では、角度Θは、0°より大きく、45°より小さくてもよい。第5の非限定的な実施例では、角度Θは、15°より大きく、45°より小さくてもよい。第6の非限定的な実施例では、角度Θは、30°より大きく、45°より小さくてもよい。さらなる非限定的な実施例では、角度Θは、およそ30-40°であってもよいが、およそ2-3°以内に定義される。
【0036】
角度付きの取付端により、それぞれの取付端は、図2の断面図におけるその端部の単一点で、取付板400の面402又は炉の壁に接することができる。取付端が半管冷却構成体200全体と略同じ長さを有する場合、取付端は、取付端の全長に沿ったこの点で面と接することができる。
【0037】
取付端が傾斜している状態で、第1溶接点500及び第2溶接点502は、板体400又は壁の取付面の上面と、それぞれの取付端204、206の底面の少なくとも一部との間に配置されることが可能である。これは、さらに、その間の水密封止を可能にして、冷却構成体又は半管を通って流れる冷却流体の漏洩を防止又は抑制する。さらに、それぞれの取付端は、取付端の底面が取付面と同一面に位置する場合よりも、溶接部が強い状態で取付面に確実に保持される。
【0038】
任意の単一半管取付端204、206は、例示的且つ任意に、延在部又はタブ(図示せず)を有してよい。例えば、隣接した管の取付端204、206が、タブ又は半径方向に延びる部分を有する場合、溶接を用いて、それぞれの端部204、206を、それらの長さに沿って、板体400又は設備本体の部材に取り付けるか又は結合することができる。
【0039】
単一半管202と板体400が共に結合されると、流路406が形成され、限定されないが例えば液などの任意の好適な冷却剤を含む流体がその中に収容され、それを通過できるように構成される。適切な液体の非独占的な例の1つは、水である。管路又は流路406は、単一半管202及び設備本体を一緒に直接的に取り付けることによって形成することもできる。また、管路又は流路406は、直径方向の面に沿った取付端204、206間に延在する略平坦な面を有する閉管路202を形成することによって形成することができることも理解されたい。そのような例示的な面は、平坦又は平面である必要はなく、板体400に、又は直接的に設備本体に取り付けることができる。
【0040】
単一半管202は、取付端204、206間に延びる径方向面の長さを表す内側の直径を含むがこれに限定されないいくつかの寸法を含むことができる。その結果、内半径212及び外半径214は、径方向面の中間点と、それぞれの内面208及び外面210上の任意の点との間の、面の長さをそれぞれ表す。これらの寸法は、必要に応じて選択することができる。
【0041】
図3を参照すると、冷却構成体の別の実施形態が示されている。ここで、冷却構成体は、二重半管300又は筒管の形態で描かれている。二重半管300は、一対の単一半管202として製造してもよいが、単一のユニットとして製造してもよい。図3の二重半管300は、第1半管部302と第2半管部304を有して示されている。第1及び第2部分は、例えば、断面が四辺形、平行四辺形、六角形又は八角形を含む、実質的に半円又は多角形に近似する断面を有するなどの所望の形に形成されてもよい。換言すれば、各部は、その直径の面に沿って実質的に二分割された多面体又は円柱に近似して、後述する半多面体又は図示される例示的な半円筒体302、304を形成してもよい。
【0042】
第1半管部302及び第2半管部304は、それらの間に画定される第3部分又は中間部分306と一体に形成されてもよい。中間部分306は、実質的に平らな面312又はそれが板体400又は他の設備に取り付けられ得る接触部を有していてもよい。中間部分306は、図3に示されるように、第1及び第2の管部の間に、規定の幅又は間隔dを備えてもよい。
【0043】
本開示の例示された実施形態では、二重半管冷却構成体300は、1対の半管部とその間に一体に形成された単一の中間部分のみで示されている。しかしながら、本開示はこの構成に限定されるものではない。その代わりに、各対の半管部の間に形成されたそれぞれの中間部分を有する2つ以上の半管部を有することができる。したがって、一実施形態において、冷却構成体は、3つの半管部と、2対の半管部のそれぞれの間に一体に形成された1対の中間部分とを含んでもよい。さらなる実施形態において、冷却構成体は、4つの半管部、及び4つの半管部のうちの2つの間に一体に形成された3つの中間部分を含んでもよい。さらに別の実施形態において、冷却構成体は、X個の半管部とY中間部分とを含んでもよく、ここで、Xは≧2であり、Yは、X-1に等しい。
【0044】
例示的な二分割又は半円筒体又は半管部302、304は、第1取付端308から第二及び対向する取付端310まで延びて、取付端308、310の間に、それぞれ弧状且つ略凹形の内面318、及び弧状且つ略凸形の外面320を画定することができる。取付端308、310間の距離は、さらに、第1半管部302の内側の直径と、第2半管部302の内側の直径と、中間部分306の幅又は距離dとの合計として定義されてもよい。
【0045】
冷却構成体のそれぞれの半管部は、径方向面の中間点とそれぞれの内面318及び外面320上の任意の点との間の面の長さをそれぞれ表す内半径314及び外半径316をそれぞれ含むいくつかの寸法を含むことができる。これらの寸法は、必要に応じて選択することができる。それぞれの半管部の厚みは、内外径の差分又は内面と外面との間の差分として定義されてもよい。一実施形態において、各部の厚みは均一であってもよい。別の実施例では、厚みは、一端から他端まで変化してもよい。さらなる実施形態では、半管部の厚みは、中間部分の厚みと同じであってもよい。換言すれば、中間部分の厚みは、外半径316と内半径318との間の差分と略同じであってもよい。この半径の差分は、第1端308と第2端310との間で均一であり得る。代替的な実施形態では、第1半管部302の外半径と内半径との間の差分は、第2半管部304の外半径と内半径との間の差分とは異なっていてもよい。
【0046】
図3に示されるように、それぞれの取付端308、310は、2分割された面(すなわち、図3の破線)又は板体400に対して角度を付けられてもよい。一例では、取付端308、310は、0°より大きい角Θ2を含んでもよい。1つの非限定的な実施例では、角度Θ2は、0°より大きいが、90°より小さくてもよい。第2の非限定的な実施例では、角度Θ2は、0°より大きく、75°より小さくてもよい。第3の非限定的な実施例では、角度Θ2は、0°より大きく、60°より小さくてもよい。第4の非限定的な実施例では、角度Θ2は、0°より大きく、45°より小さくてもよい。第5の非限定的な実施例では、角度Θ2は、15°より大きく、45°より小さくてもよい。第6の非限定的な実施例では、角度Θ2は、30°より大きく、45°より小さくてもよい。さらなる非限定的な実施例では、角度Θ2は、およそ30-40°であってもよいが、およそ2-3°以内に定義される。一実施形態においては、第1取付端308の角度は、第2取付端310の角度と略同じであってもよいが、およそ2-3°以内である。他の実施形態において、第1取付端308の角度は、第2取付端310とは実質的に異なってもよいが、その差異は3度よりも大きい。
【0047】
角度付きの取付端により、各々の取付端308、310は、図3の断面図におけるその端部の単一点において、取付板400の面402又は炉の壁に接触してもよい。例えば、第1取付端308は、面402と第1接触点324で接触し、第2取付端310は、第2接触点326で面402と接触しているが、第1及び第2接触点は離間している。第1取付端308は、面402と第1接触点324で接触する第1端面322を備えてもよいが、第1端面322の残りは、面402と接触しなくてもよい。同様にして、第2取付端310は、面402と第2接触点326で接触する第2端面328を備えてもよいが、第2端面328の残りは、面402と接触しなくてもよい。取付端が半管冷却構成体300全体と略同じ長さを有する場合、取付端は、取付端の全長に沿ったこの点で面と接することができる。
【0048】
取付端308、310が傾斜している状態で、第1溶接点508及び第2溶接点510は、板体400又は壁及び炉の取付面の上面402と、それぞれの取付端308、310の底面322、328の少なくとも一部との間に配置されることが可能である。これは、さらに、その間の水密封止を可能にして、冷却構成体又は半管を通って流れる冷却流体の漏洩を防止又は抑制する。さらに、それぞれの取付端は、取付端の底面が取付面と同一面に位置する場合よりも、溶接部が強い状態で取付面に確実に保持される。
【0049】
図3において、二重半管300は、例えば、鋼(例えば、ステンレス鋼、鋳鋼、押出鋼、及び引抜鋼)、鋳造鉄を含む鉄、ニッケル合金を含むニッケル、並びに他の任意の好適な元素、組成物、又はアルミ青銅のような合金を含む、任意の好適な材料から選択的に製作することができる。加えて、管300又は筒管のための材料の選択は、より広範囲の平坦又は成形材料から選択することができ、これらは、所望の半円形断面又は半円筒形に圧延、鍛造、又は押出加工することができ、これにより、従来技術の円形筒管及びそれらから形成される冷却構成体に比べて、冷却構成体の運転性能が向上する。本開示のより高い熱伝達は、設備寿命を改善し、稼働信頼性(plus on-line reliability)及び運転可能時間を改善する効果を有し得る。それは、本設備が、このような構成体の1つ又は複数のアセンブリによって保護された、炉、排煙システム、又は燃焼室、及び他の任意の設備内の高熱流束、腐食性、及び研磨性(abrasive)雰囲気の影響に抵抗するのにより適しているからである。
【0050】
本開示の一実施形態においては、多半管冷却構成体の製造方法が提供される。ここで、バー材料の長さ(当業者に知られている適用要件に基づいて選択される材料)は、冷却構成体の断面積要件を満足するように、その長さに沿って、1つ以上の所望の円弧に圧延、形成、鋳造、又は押し出しされてもよい。材料は、例えば、鋼(例えば、ステンレス鋼、鋳鋼、押出鋼、及び引抜鋼)、鉄(例えば、鋳造鉄)、ニッケル(例えば、ニッケル合金)、並びに他の任意の好適な元素、組成物、又は例えばアルミ青銅のような合金を含む、任意の好適な材料から選択的に製作することができる。
【0051】
材料は、製造工程上、実質的に平坦なものとして選択されてもよい。それぞれの弧又は半部分の間の中間部分は、この製造工程中に同時に形成されてもよい。断面積は、冷却構成体の動作寿命を最適化するために必要とされる、冷却構成体における所望の冷却剤速度、圧力降下、及び滞留期間を満たすように調整されてもよい。
【0052】
この実施形態では、バーの全長が、その長さ全体にわたってほぼ一定の幾何学的形状を有することができる。圧延、成形、鋳造、又は押し出し加工されたそれぞれの弧、又は半部分は、一般に、端から端まで約180度の弧であり、多半管/筒管配置を模すことができる。また、結果として生じる弧は、複数の筒管を互いに溶接することができるように、縁部又は翼部をその対向端部に有するように設計することもできる。外面は、一般的に平滑であってもよく、あるいは、例えば、隆起部、スプライン、ヒートシンク、又は、任意のくぼみを含む任意のスラグ保持素子のような、特定の用途に必要とされるような幾何学的形状を組み込んでもよい。図3に示されるような二重又は多半管冷却構成体300は、その製造容易性のために、図2の単一半管冷却構成体200を超える長所を有することができ、また、溶接のほぼ半分を排除することにより、より良好な性能を提供することができる。特に、図3の冷却構成体300は、例えば、押し出し又は成形によって単体ユニットとして製造された2つ以上の半管を含む。 このように、この種の冷却構成体の製造は、溶接の約50%を排除することができ、その結果、単一半管冷却構成体に関連するあらゆる潜在的な溶接不良及び故障を回避することができる。
【0053】
図4の実施形態を参照すると、二重半管冷却構成体300が、単一半管冷却構成体200に近接する板体400に取り付けられて示されている。このタイプの配置は、本開示の教示にしたがって可能である。板体400又は設備に取り付けられると、第1半管部302は、その内面318と板体400の取付面402との間に管路又は流路410を画定する。そのため、水などの冷却剤が管路又は流路410を通って流れることができる。同様に、第2半管部304は、その内面318と板体400の取付面402との間に管路又は流路408を画定する。さらに、水などの冷却剤は、冷却剤が他の管路又は流路406、410に流れる向きと略並行に管路又は流路408に流れることができる。
【0054】
代替の実施形態では、単一及び/又は二重半管を利用するシステムは、第1流体供給源(例えば水)及び第2流体供給源(例えば空気又は他の冷却剤)を有してもよい。このシステムは、第1流体供給源が第1の流路410に流体的に結合され、第2流体供給源が第2の流路408に流体的に結合されるように設計されてもよい。代替的に、第1流体供給源は、単一半管200の各流路406に流体的に連結され、第2流体供給源は、二重半管300の各流路408、410に流体的に連結される。他の配置も可能であるが、流体以外の使用が可能である。例えば、いくつかの実施形態では、2つ以上の流体源があってもよく、2つ以上の異なった流体が種々の流路又は管路を通過して、炉への冷却の提供を助けるようにする。
【0055】
図5及び図6では、冷却構成体の組み合わせが示されている。具体的には、二重又は多半管冷却構成体300が、取付板又は他の面(例えば、炉又は他の設備の壁)に取り付け又は他の方法で結合される方法が図示されている。ここで、例えば、第1端308は、第1溶接点508を介して溶接され、第2端310は、第2溶接点504を介して溶接され得る。それぞれの溶接部は、半管を通って流れる冷却剤のあらゆる漏出を防止し、さらに管路のあらゆる湿潤又は腐蝕を防ぐために、水密溶接であることが望ましい。半管は、溶接を介して板体400に結合又は取り付けられることが示されているが、冷却構成体300を板体400に結合又は装着する他の形態も実施できることを理解されたい。用途及び環境に応じて、冷却構成体300は、溶接以外の締結具、接着手段、又は任意の他の既知の方法を介して機械的に結合してもよい。 さらに、接着手段又は機械的締結具は、中間部分306を板体400又は壁に結合し、一方、溶接、接着手段又は他の結合手段は、取付端をそれに結合するために使用され得る。
【0056】
図5では、単一半管冷却構成体200及び二重半管冷却構成体300が、それぞれ独自の溶接で板体400に溶接されるように示されているが、別の実施例においては第2溶接点502及び第1の508が単一の溶接とすることも可能である。さらに、図5のこの例示の実施形態では、異なった冷却構成体によって画定される管路又は流路は、それぞれの長さに沿って互いに実質的に並行であってもよい。
【0057】
図6に示すように、多半管冷却構成体300はまた、板体400又は他の構造に中間部分306の接触面312を結合することによって、板体400又は他の構造に結合されてもよい。この実施形態において、スロット又は開口506が、板体400又は構造物(例えば、設備、炉壁など)の中間部分306の位置に形成され得る。結果として、溶接又は他の結合機構を使用して、冷却構成体300の中間部分306を板体400に結合してもよい。図6において、接触面312へのアクセスが可能となるように、複数のスロット又は開口506が板体400に形成されてもよい。一実施形態では、接触面312は、1つ又は複数のスロット506を介して板体400に溶接されてもよい。各々のスロット506又は開口部は、長手方向に離隔して中間部分306の接触面312と整列させることができる。スロット又は開口506における確かな溶接は、冷却剤がスロット又は開口506を通って漏れることがないこと、又は冷却剤が一方の管路408から近接する管路410に漏れることがないことを保証し得る。
【0058】
板体400又は他の構成体は、そこに形成され、且つ取り付けられるべき冷却構成体300中に設けられる中間部分306の数に対応する複数のスロット又は開口506を含むように設計及び/又は製造され得る。したがって、冷却構成体300を板体400に取り付ける組立工程又は方法は、冷却構成体300に設けられた中間部分306の大きさ及び数に基づいて、板体内に所望の数のスロットを形成することを含み得る。さらに、冷却構成体300のそれぞれの端部308、310は、溶接又は他の所望の処理を介して板体400の取付面402に取り付けられてもよい。さらに、各中間部分306は、各スロット又は開口506を介して、溶接又は他の処理によって板体400に結合することができる。
【0059】
スロット又は開口によって、特に2つ以上の単一半管冷却構成体200を同じ板体に取り付ける場合と比較した場合、冷却構成体300を板体400に取り付けるための溶接の量を低減することができる。各々の単一半管冷却構成体200は、その各々の端部に施される水密溶接を必要とし、それによって、冷却剤が流れることができる単一の流路又は管路406のみとなる。一方、多半管冷却構成体300は、各端部に沿って、次いで各スロット又は開口506に沿った溶接を含むだけでよい。しかしながら、その結果は、複数の流路又は管路を達成することになる。
【0060】
本開示は、前述の図面及び説明において詳細に図示され、説明されているが、同一物は例示的であり、限定的なものではないと見なされるべきものであるが、単に例示的な実施形態のみが図示及び説明されていること、及び本開示の精神の範囲内にあるすべての変更及び修正が保護されることが望ましいことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】