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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/342 20210101AFI20231109BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20231109BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20231109BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20231109BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20231109BHJP
   H01M 50/198 20210101ALI20231109BHJP
【FI】
H01M50/342 101
H01M50/105
H01M50/178
H01M50/186
H01M50/35 101
H01M50/198
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527110
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 KR2022005504
(87)【国際公開番号】W WO2022220657
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0049400
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0001216
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】デ-ウォン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】サン-フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミン-ヒョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン-キュン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】フン-ヒ・リム
(72)【発明者】
【氏名】ス-ジ・ファン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
【Fターム(参考)】
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD06
5H011DD13
5H011FF04
5H011GG01
5H011HH02
5H012AA03
5H012BB01
5H012CC03
5H012FF08
(57)【要約】
本発明は、ベント部材を備える二次電池に関する。前記二次電池は、電極リードが取り付けられた電極組立体と、収納部を含むケースと、を含み得る。前記収納部は、折曲面とシーリング部によって区画され得る。前記収納部は、前記電極組立体を収納して内部に電極組立体を密封するように形成され得る。前記シーリング部は、前記電極組立体の周縁を密封するためにシーラント樹脂を含み得る。前記シーリング部は、前記折曲面と隣接し、前記折曲面から延びる延長部を含み得る。前記ベント部材は、少なくとも部分的に前記延長部に位置し得る。前記ベント部材は、前記シーラント樹脂よりも融点の低いベント樹脂を含むベント部材を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体と、
前記電極組立体に取り付けられた電極リードと、
シーラント樹脂を含み、前記電極組立体を密封するために形成されたシーリング部、並びに折曲面及び前記シーリング部によって区画され、内部に前記電極組立体を収納する収納部、を含むケースと、
前記シーラント樹脂よりも融点の低いベント樹脂を含むベント部材と、を含み、
前記シーリング部が、前記折曲面と隣接し、前記折曲面から延びる延長部を含み、
前記ベント部材が、少なくとも部分的に前記延長部に位置することを特徴とする、二次電池。
【請求項2】
前記ベント部材が、少なくとも部分的にコウモリの耳領域に位置することを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記電極リードの外面を囲み、前記電極リードと前記シーリング部との間に介在されるリードフィルムをさらに含み、
前記ベント部材が前記収納部を通して延び、
前記ベント部材の第1端部は、前記シーリング部において前記リードフィルムと離隔し、
前記ベント部材の第2端部は、前記収納部において前記リードフィルムと少なくとも一部が重畳または接触することを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記電極リードの外面を囲み、前記電極リードと前記シーリング部との間に介在されるリードフィルムをさらに含み、
前記電極リードが、前記ケースからY軸に沿って延び、
前記ベント部材が、第1部及び第2部を含み、
前記第1部が、前記リードフィルムと前記第2部との間で前記Y軸に直交するX軸に沿って延び、
前記第2部が、前記Y軸に沿って延びることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項5】
前記電極リードの外面を囲み、前記電極リードと前記シーリング部との間に介在されるリードフィルムをさらに含み、
前記電極リードが、前記ケースからY軸に沿って延び、
前記ベント部材が、第1部及び第2部を含み、
前記第1部が、前記リードフィルムと前記第2部との間で前記Y軸に平行しない第1方向に沿って延び、
前記第2部が、前記第1方向に直交する第2方向に沿って延びることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項6】
前記ベント部材が、L字形をなすことを特徴とする、請求項4に記載の二次電池。
【請求項7】
前記ベント部材が、前記第1部と前記第2部の交差点にテーパー部を含み、
前記テーパー部が、前記収納部へ延びることを特徴とする、請求項4に記載の二次電池。
【請求項8】
前記第1部が、少なくとも部分的に前記リードフィルムと重なるブリッジ部分であることを特徴とする、請求項4に記載の二次電池。
【請求項9】
前記第1部の外側端部が、前記延長部の内側端部から離隔し、
前記第1部が、前記収納部に位置することを特徴とする、請求項4に記載の二次電池。
【請求項10】
前記第2部が、前記リードフィルムと重畳または接触しないことを特徴とする、請求項4に記載の二次電池。
【請求項11】
前記ベント部材が、ベント方向に沿って幅が細くなることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項12】
前記ベント部材が、円形、楕円形、階段形、三角形及び台形の形状うちいずれか一つを有することを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項13】
前記ベント部材は、ベント方向に沿って厚さが減少することを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項14】
前記ベント部材が前記リードフィルムと重畳または接触する面積は、前記リードフィルムが前記電極リードと重畳または接触しない領域の1%~30%であることを特徴とする、請求項3に記載の二次電池。
【請求項15】
前記ベント樹脂が、炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンを含むことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項16】
前記ベント部材が、100℃~120℃で溶融して前記収納部から前記二次電池の外部へガスをベントすることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項17】
前記ベント部材は、前記収納部の圧力が1.5atm以上であるとき、前記収納部からガスをベントすることを特徴とする、請求項16に記載の二次電池。
【請求項18】
前記ベント部材は、100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項19】
前記ベント部材は、100℃以上における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項20】
前記ベント部材は、常温~60℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項21】
前記ベント部材は、常温~60℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項22】
前記ベント樹脂が、メタロセン触媒の存在下で重合されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項23】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン100重量%を基準にして炭素数6以上のコモノマーの含量が15重量%以下であることを特徴とする、請求項15に記載の二次電池。
【請求項24】
前記ベント樹脂が、4以下の多分散指数(PDI)を有することを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項25】
前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記ベント樹脂の結晶化温度との差が10℃以下であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項26】
前記ベント樹脂が100℃~130℃の融点を有することを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項27】
前記ベント樹脂は、重量平均分子量が10万g/mol~40万g/molであることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項28】
前記二次電池は、パウチ型二次電池であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項29】
前記ベント部材は、120℃以上における最大シーリング強度が3kgf/15mm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項30】
前記ベント部材は、120℃以上における平均シーリング強度が2kgf/15mm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関し、より詳しくは、ベント部材を備える二次電池に関する。
【0002】
本出願は、2021年4月15日出願の韓国特許出願第10-2021-0049400号及び2022年1月4日出願の韓国特許出願第10-2022-0001216号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、多様な製品への適用が可能であり、高いエネルギー密度などの電気的特性が優秀である。二次電池は、携帯用器機のみならず、電力によって駆動される電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)にも使用される。二次電池は、化石燃料の使用を大幅減らすことができ、エネルギー消費過程で副産物が発生しないという点で環境に優しく、エネルギー効率の向上のための新しいエネルギー源として注目されている。
【0004】
現在、広く使用される二次電池としては、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッカド電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがある。
【0005】
二次電池は、通常、正極/分離膜/負極の構造を有する少なくとも一つの単位セルを含む電極組立体が、外層、金属バリアー層、シーラント層が順次に積層されたラミネートシートの電池ケースに収納され、前記シーラント層のシーラント樹脂を溶着して電極組立体が密封された構造を有する。
【0006】
従来の二次電池においては、二次電池の内部短絡、過充電または過放電、温度調節などの多様な原因によって電池が発火し得る。この際、二次電池の内部温度が急上昇すると共に隣接するセルヘ熱が伝達される熱暴走現象(Thermal Propagation)が発生して火事がさらに大きくなり得る。
【0007】
熱暴走現象の発生時、即ち、二次電池の内部温度が上昇すると、ガスによる電極の損傷を最小化するために、ガスを一方向へ排出するディレクショナルベンティング(Directional Venting)特性が求められる。しかし、従来の二次電池は、特定の方向へのガス排出を誘導しにくいという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は、特定の方向へのガス排出を誘導して安全性が向上した二次電池を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、特定の方向へのガス排出が誘導可能になることで、安全性が向上した二次電池を提供することを特的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を達成するために、本発明の一面によれば、下記の具現例の二次電池が提供される。
【0011】
第1具現例は、
電極組立体と、
前記電極組立体に取り付けられた電極リードと、
シーラント樹脂を含み、前記電極組立体を密封するために形成されたシーリング部、並びに折曲面及び前記シーリング部によって区画され、内部に前記電極組立体を収納する収納部、を含むケースと、
前記シーラント樹脂よりも融点の低いベント樹脂を含むベント部材と、を含み、
前記シーリング部が、前記折曲面と隣接し、前記折曲面から延びる延長部を含み、
前記ベント部材が、少なくとも部分的に前記延長部に位置することを特徴とする二次電池に関する。
【0012】
第2具現例は、第1具現例において、
前記ベント部材は、少なくとも部分的にコウモリの耳領域(bat ear region)に位置し得る。
【0013】
第3具現例は、第1具現例または第2具現例において、
前記電極リードの外面を囲み、前記電極リードと前記シーリング部との間に介在されるリードフィルムをさらに含み、前記ベント部材が前記収納部を通して延び、前記ベント部材の第1端部は、前記シーリング部で前記リードフィルムと離隔し、前記ベント部材の第2端部は、前記収納部で前記リードフィルムと少なくとも一部が重畳または接触し得る。
【0014】
第4具現例は、第1具現例から第3具現例のいずれか一具現例において、
前記電極リードの外面を囲み、前記電極リードと前記シーリング部との間に介在されるリードフィルムをさらに含み、前記電極リードは、前記ケースからY軸に沿って延び、前記ベント部材は、第1部及び第2部を含み、前記第1部は、前記リードフィルムと前記第2部との間で前記Y軸に直交するX軸に沿って延び、前記第2部は、前記Y軸に沿って延び得る。
【0015】
第5具現例は、第1具現例から第3具現例のいずれか一具現例において、
前記電極リードの外面を囲み、前記電極リードと前記シーリング部との間に介在されるリードフィルムをさらに含み、前記電極リードは、前記ケースからY軸に沿って延び、前記ベント部材は、第1部及び第2部を含み、前記第1部は、前記リードフィルムと前記第2部との間で前記Y軸に平行しない第1方向に沿って延び、前記第2部は、前記第1方向に直交する第2方向に沿って延び得る。
【0016】
第6具現例は、第4具現例または第5具現例において、
前記ベント部材が、L字形をなすものであり得る。
【0017】
第7具現例は、第4具現例または第5具現例において、
前記ベント部材は、前記第1部と前記第2部の交差点にテーパー部(tapering section)を含み、前記テーパー部は、前記収納部へ延び得る。
【0018】
第8具現例は、第4具現例から第7具現例のいずれか一具現例において、
前記第1部は、少なくとも部分的に前記リードフィルムと重なるブリッジ部分(bridge portion)であり得る。
【0019】
第9具現例は、第4具現例から第8具現例のいずれか一具現例において、
前記第1部の外側端部は、前記延長部の内側端部から離隔し、前記第1部は、前記収納部に位置し得る。
【0020】
第10具現例は、第4具現例から第9具現例のいずれか一具現例において、
前記第2部は、前記リードフィルムと重畳または接触し得ない。
【0021】
第11具現例は、第1具現例から第10具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント部材は、ベント方向に沿って幅が細くなり得る。
【0022】
第12具現例は、第1具現例から第11具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント部材は、円形、楕円形、階段形、三角形及び台形の形状のうちいずれか一つを有し得る。
【0023】
第13具現例は、第1具現例から第12具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント部材は、ベント方向に沿って厚さが減少し得る。
【0024】
第14具現例は、第3具現例から第13具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント部材が前記リードフィルムと重畳または接触する面積は前記リードフィルムが前記電極リードと重畳または接触しない領域の1%~30%であり得る。
【0025】
第15具現例は、第1具現例から第14具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント樹脂は、炭素数6以上のコモノマー(comonomer)を有する線状低密度ポリエチレンを含み得る。
【0026】
第16具現例は、第1具現例から第15具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント部材が、100℃~120℃で溶融して前記収納部から前記二次電池の外部へガスをベントするものであり得る。
【0027】
第17具現例は、第16具現例において、
前記ベント部材は、前記収納部の圧力が1.5atm以上であるとき、前記収納部からガスをベントし得る。
【0028】
第18具現例は、第1具現例から第17具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント部材は、100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満であり得る。
【0029】
第19具現例は、第1具現例から第18具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント部材は、100℃以上における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満であり得る。
【0030】
第20具現例は、第1具現例から第19具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント部材は、常温~60℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm以上であり得る。
【0031】
第21具現例は、第1具現例から第20具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント部材は、常温~60℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm以上であり得る。
【0032】
第22具現例は、第1具現例から第21具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント樹脂が、メタロセン触媒の存在下で重合されたものであり得る。
【0033】
第23具現例は、第15具現例から第22具現例のいずれか一具現例において、
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン100重量%を基準にして炭素数6以上のコモノマーの含量が15重量%以下であり得る。
【0034】
第24具現例は、第1具現例から第23具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント樹脂は、4以下の多分散指数(Poly Dispersity Index;PDI)を有するものであり得る。
【0035】
第25具現例は、第1具現例から第24具現例のいずれか一具現例において、
前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記ベント樹脂の結晶化温度との差が10℃以下であり得る。
【0036】
第26具現例は、第1具現例から第25具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント樹脂が100℃~130℃の融点を有し得る。
【0037】
第27具現例は、第1具現例から第26具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント樹脂は、重量平均分子量が10万g/mol~40万g/molであり得る。
【0038】
第28具現例は、第1具現例から第27具現例のいずれか一具現例において、
前記二次電池は、パウチ型二次電池であり得る。
【0039】
第29具現例は、第1具現例から第28具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント部材は、120℃以上における最大シーリング強度が3kgf/15mm未満であり得る。
【0040】
第30具現例は、第1具現例から第29具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント部材は、120℃以上における平均シーリング強度が2kgf/15mm未満であり得る。
【発明の効果】
【0041】
本発明の一実施様態による二次電池は、シーラント樹脂よりも低い融点を有するベント樹脂を含むベント部材をシーリング部の延長部に備え、ガスが延長部へ排出されるように誘導可能になることで、安全性が向上する。
【0042】
本明細書に添付された次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割を果たすため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の一実施様態による二次電池の平面図である。
図2】本発明の一実施様態による二次電池において、ベント形成を概略的に示す図である。
図3】本発明のさらに他の実施様態による二次電池の部分平面図である。
図4】本発明のさらに他の実施様態による二次電池の電極リード及びベント部材の部分平面図である。
図5】本発明のさらに他の実施様態による二次電池の電極リード及びベント部材の部分平面図である。
図6】本発明のさらに他の実施様態による二次電池の電極リード及びベント部材の部分平面図である。
図7a】本発明の一実施様態による図1のベント部材の断面図である。
図7b】本発明のさらに他の実施様態による図1のベント部材の断面図である。
図8】本発明のさらに他の実施様態による二次電池の電極リード及びベント部材の部分平面図である。
図9】本発明のさらに他の実施様態による二次電池の電極リード及びベント部材の部分平面図である。
図10】本発明のさらに他の実施様態による二次電池の電極リード及びベント部材の部分平面図である。
図11】本発明のさらに他の実施様態による二次電池の電極リード及びベント部材の部分平面図である。
図12】本発明のさらに他の実施様態による二次電池の電極リード及びベント部材の部分平面図である。
図13】本発明のさらに他の実施様態による二次電池の電極リード及びベント部材の部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されねばならない。
【0045】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0046】
本発明の一実施様態による二次電池は、電極リードが取り付けられた電極組立体と、前記電極組立体を収納する収納部、及びシーラント樹脂を含み、前記電極組立体を密封するために形成されたシーリング部を含むケースと、前記電極リードの外面の一部を囲むように形成され、前記電極リードと前記ケースのシーリング部との間に介在されるリードフィルムと、を含み、前記シーリング部は延長部を含み、前記シーラント樹脂よりも融点の低いベント樹脂を含むベント部材が前記延長部に含まれる。
【0047】
図1は、本発明の一実施様態による二次電池を示す。図1を参照すると、本発明の一実施様態による二次電池10は、電極リード11が取り付けられた電極組立体12と、ケース13と、を含む。
【0048】
前記電極組立体12は、正極板、負極及び分離膜を含む。電極組立体12において分離膜を挟んで正極板と負極板が順次に積層され得る。
【0049】
正極板は、導電性に優れた金属薄板、例えば、アルミニウム(Al)ホイルからなる正極集電体と、その少なくとも一面にコーティングされた正極活物質層と、を含み得る。また、前記正極板は、一側端部に金属材質、例えば、アルミニウム材質からなる正極タブを含み得る。前記正極タブは、正極板の一側端部から突出し得る。前記正極タブは、正極板の一側端部に溶接されるか、または導電性接着剤を用いて接合され得る。
【0050】
負極板は、導電性金属薄板、例えば、銅(Cu)ホイルからなる負極集電体と、その少なくとも一面にコーティングされた負極活物質層と、を含み得る。また、前記負極板は、一側端部に、金属材質、例えば、銅やニッケル(Ni)材質から形成された負極タブを含み得る。前記負極タブは、負極板の一側端部から突出し得る。前記負極タブは、負極板の一側端部に溶接されるか、または導電性接着剤を用いて接合され得る。
【0051】
分離膜は、正極板と負極板との間に位置し、正極板と負極板を互いに電気的に絶縁し、正極板と負極板との間でリチウムイオンが互いに通過可能な多孔性膜であり得る。前記分離膜は、例えば、ポリエチレン(PE)、またはポリプロピレン(PP)、またはこれらの複合フィルムを使用した多孔性膜を含み得る。
【0052】
分離膜の表面には、無機物コーティング層が備えられ得る。無機物コーティング層は、無機物粒子がバインダーによって互いに結合して粒子の間に気孔構造(interstitial volume;インタースティシャルボリューム)を形成した構造を有し得る。
【0053】
電極組立体12は、長いシート状の正極と負極を分離膜が介在された状態で巻き取った構造のゼリーロール(巻取型)電極組立体、所定の大きさの単位で切り取った複数の正極と負極を、分離膜を介在した状態で順次に積層したスタック型(積層型)電極組立体、所定の単位の正極と負極を、分離膜を介在した状態で積層したバイセル(Bi-cell)またはフルセル(Full cell)を巻き取った構造のスタック/フォールディング型電極組立体などであり得る。
【0054】
ケース13は、電極組立体12を収納する収納部13aと、折曲面17と、シーラント樹脂を含み、電極組立体12を密封するために形成されたシーリング部13bと、を含み得る。折曲面17は、図1に示したようにケース13における隣接する部分(上部ケース部分と下部ケース部分)を互いに向かい合うように折り曲げて形成され得る。
【0055】
前記シーリング部13bは、ケース13の周縁において三面がシーリングされ得る。三面シーリング構造において、上部ケース及び下部ケースに形成された収納部13aが収納部を形成するために重ねられるようにケース13が折り曲げられる。ケースをこのような方法で折り曲げた後、折曲部を除いた残りの三面の周縁がシーリングされて折曲面17を形成する。
【0056】
前記シーリング部13bは、例えば、収納部13aの外周面に沿って溶着して電極組立体12を密封する部分を意味する。前記シーリング部13bは、熱溶着、超音波による溶着などによって溶着され得るが、シーリング部を溶着可能であれば、特に制限されない。電極組立体12は、図1に示したように、シーリング部13bの三面とケース13の折曲面17によって囲まれている。
【0057】
前記電極リード11は、電極リード11の一部が前記ケース13の外部に露出するようにケース13に収納され得る。本発明の一実施様態による二次電池10は、図1に示したように、リードフィルム14を備える。前記リードフィルム14は、前記電極リード11の外面の一部を囲み、電極リード11と電極リード11が突出する部分のケース13のシーリング部13bとの間に介在され、電極リード11と前記ケース13のシーリング部13bとの結着を助ける。
【0058】
本発明の一実施様態で、前記ケース13は、パウチ形態であり得る。
【0059】
一実施様態において、ケース13は、上部パウチ及び下部パウチを含み得る。ケース13が上部パウチ及び下部パウチを含む場合、シーラント樹脂が互いに対向するように上部パウチ及び下部パウチを配置した後、対向するシーラント樹脂が熱と圧力によって相互に溶着することで電池を密封し得る。
【0060】
本発明の一実施様態において、前記ケース13は、外部衝撃から保護するための外層と、水分を遮断する金属バリアー層と、ケースを密封するシーラント層との多層構造のフィルム形態で備えられ得る。
【0061】
前記外層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート、ナイロンなどを用いたポリエステル系フィルムを含むことができ、単層または多層から構成され得る。前記金属バリアー層は、アルミニウム、銅などを含み得る。
【0062】
前記シーラント層は、シーラント樹脂を含み、単一層または多層から構成され得る。前記シーラント樹脂は、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリプロピレン(Acid modified polypropylene;PPa)、ランダムポリプロピレン(random polypropylene)、エチレンプロピレン共重合体、またはこれらの二種以上を含み得る。前記エチレンプロピレン共重合体は、エチレンプロピレンゴム(ethylene-propylene rubber)、エチレンプロピレンブロック共重合体などを含み得るが、これらに限定されない。
【0063】
シーリング部13bは、延長部(extension)15を含む。二次電池のケース13が折り曲げられ、折曲面を除いた三面を密封する場合、二次電池の折曲面と隣接する一つの密封された面の縁端部が外側へ突出し得る。前記延長部15は、コウモリの耳領域(bat ear region)であり得る。本明細書全体に亘って「コウモリの耳領域」とは、折曲面17の縁端部が延びる方向よりもむしろ、電池の外部へ突出したシーリング部の延長部を意味する。前記コウモリの耳領域は、シーリング部が外側へ突出した延長部の一例である。他の実施様態では、異なる形状及び大きさのシーリング部の延長部を備え得る。
【0064】
この場合、折曲面17のシーリングの強度がシーリング部のシーリング強度よりも大きいため、折曲面に隣接するシーリング部を除いたシーリング部でベントが発生する可能性が非常に大きいので、リードタブ、バスバーなどを損傷させる危険が高い。
【0065】
折曲面に隣接するシーリング部(即ち、延長部)を除いたシーリング部で電解質を注入した後、ケースがさらに密封され得る。これによって、ベント部材が延長部を除いたシーリング部に含まれる場合、ベント部材に電解質が付着し得る。また、電解液を注入した後にさらにシーリングすることによって、前記延長部のシーリング強度よりも延長部を除いたシーリング部のシーリング強度がより大きくなる。これによって、ベントがシーリング部の残りの部分の代わりに延長部へ誘導される可能性が高くなる。
【0066】
本発明の一実施様態による二次電池において、前記延長部15は、ベント部材16を含む。本発明の一実施様態による二次電池10は、電極リードと離隔した延長部15へガスの排出が誘導でき、電極リード11と直接的に接触するガスの量を最小化できるので、電池の安全性をさらに向上させることができる。即ち、電極リード11の側面に向かうベントガスの量を最小化することができ、電池の安全性をさらに向上可能である。図1においてガス排出方向を矢印で示したように、ガス排出は、電極リード11から遠い方向へ誘導される。電極リード11の温度は、過充電または内部短絡のような異常状況で急上昇し得る。これによって、ベントされるガスと電極リード11との直接的な接触を最小化すると、二次電池の安全性が向上できる。本明細書全体に亘って、ベント部材16が延長部15に含まれるということは、延長部15とベント部材16が少なくとも部分的に重ねられ得ることを意味する。
【0067】
本発明の一実施様態による二次電池10は、シーラント樹脂よりも融点の低いベント樹脂を含むベント部材16を含む。ベント部材16がシーラント樹脂よりも融点の低いベント樹脂を含むことによって、温度が上昇するときにベント部材16がシーラント樹脂よりも先に溶ける。高温でベント部材16が挿入された部分のシーリング強度は、シーラント樹脂を含むケース部分のシーリング強度よりも低いため、ベンティング特性を容易に具現可能である。これによって、熱暴走現象の発生時、シーリング強度の減少による延長部15でのベンティングを誘導できる。即ち、収納部から二次電池の外部へガスが放出される通路の役割を果たすことができ、電極リード11などがガス、火炎などによって損傷することを効果的に防止可能である。
【0068】
図2は、本発明の一実施様態による二次電池でベントの形成を示す概略図である。具体的には、図2は、本発明の一実施様態による二次電池においてベント部材を示した断面図である。
【0069】
図2を参照すると、電池が正常に作動する温度で、ベント部材16はケース13を外部から密封する役割を果たす。電池の異常挙動によって電池の温度が過度に上昇すると、ベント部材16が溶融しながらベント部材16が挿入された部分のシーリング強度が低下する。これによって、ベント部材16が挿入された部分のシーリング強度が低くなるので、ガスをケースから排出するために、当該位置にベントが形成され得る。例えば、電池の内部ガスの圧力がベント部材16と延長部15との界面に加えられることによって、ベント部材16と延長部15との間に隙間またはベントが形成されることでガスが排出され得る。
【0070】
前記ベント部材16とケース13は、熱溶着によって重ねられ得る。他の例で、前記ベント部材16とケース13は、グルーなどの接着剤によって重ねられ得る。さらに他の例で、前記ベント部材16とケース13は、クリップなどによって物理的に相互に結合し得る。さらに他の例で、ケース13を構成するフィルム、例えば、シーラント樹脂内にベント部材16の少なくとも一部が埋め込まれ得る(embedding)。
【0071】
本発明の一実施様態において、ベント部材16は、延長部15の内部に位置し得る。本発明のさらに他の実施様態において、ベント部材16は、収納部13aを通して延長部15に位置し得る。本発明のさらに他の実施様態において、ベント部材16は、延長部15を通してケース13の外部へ延び得る。本発明のさらに他の実施様態において、ベント部材16は、収納部13aから延長部15を通してケース13の外部へ延び得る。
【0072】
図3は、本発明のさらに他の実施様態による二次電池を示す図である。図3を参照すると、ベント部材16は、延長部15で傾斜をなし得る。例えば、ベント部材16は、10゜~80゜、または20゜~60゜、または40゜~50°の傾斜角度を有し得る。傾斜角度は、ベント部材と電極リード11との突出方向間の角度を意味し得る。
【0073】
本発明の一実施様態において、ベント部材16は、リードフィルム14と重畳または接触しないこともある。
【0074】
ベント部材16は、リードフィルム14と部分的に重畳または接触する領域を有し得る。ベント部材16がリードフィルム14と重畳または接触する少なくとも一部の領域を有すると、ベント部材16の位置を一貫的にかつ容易に固定できる。例えば、ベント部材16が挿入された後に溶着される場合、ベント部材16の一部がリードフィルム14と重畳または接触することによって、ベント部材16は所定の位置に挿入された後に溶着され得る。
【0075】
ベント部材16は、ベンティングを容易にするために多様な形状を有し得る。本発明の一実施様態において、ベント部材16は、図1において矢印で示したベント方向に沿って細くなる構造を有し得る。ベント部材16の幅は、ベント方向に沿って連続的にまたは不連続的に細くなり得る。ベント部材16がベント方向に沿って細くなる構造を有する場合、ベントされるガスの排出角度を減らして電極リード11の側面へベントされるガスの量を最小化することで、電池の安全性をさらに向上させることができる。
【0076】
図4図6は、本発明の他の実施様態による二次電池10において、電極リード及びベント部材を部分的に拡大して示した図である。
【0077】
図4及び図5を参照すると、ベント部材16は、例えば、楕円形(図4)または階段形(図5)の形状を有し得る。しかし、他の実施様態において、ベント部材16の形状は、円形、三角形、台形などのような他の形状であり得る。
【0078】
図6に示したように、ベント部材16は、非対称の階段形の構造を有し得る。非対称の階段形の構造において、段差の程度は、電極リード11の側面と対応するように形成され得る。例えば、ベント部材16の排出端部の大きさ(ベントされたガスの排気角度)及び位置(電極リード11からの距離)は、図6に示したように、ベントされたガスと電極リードとの接触を最小化するように構成され得る。これによって、電極リード11から遠くガスを誘導するためにベント部材の排出端部の大きさを減らし、電極リードから遠く排出端部を位置させることで、ベントされたガスと電極リードとの接触を最小化できる。
【0079】
本発明の一実施様態において、ベント部材16の厚さは、電極リード11の突出方向に沿って連続的にまたは不連続的に減少し得る。図7a及び図7bは、厚さが変わる図1のベント部材16の断面の二つの実施様態を示す。図7aに示したように、ベント部材16の厚さは、段差に沿って不連続的に減少し得る。図7bは、漸進的にまたは連続的に多様な厚さを有するベント部材16を示す。
【0080】
ベント部材16は、電極リード11と所定の距離で離隔して位置し得る。これによって、電極リード11と直接接触し得る方向、即ち、電極リード11の側面でベントされるガスの量を容易に最小化できるので、電池の安全性をさらに向上させることができる。電極リード11の温度は、過充電または内部短絡のような異常状況で急激に上昇し得る。従って、ベントされるガスと電極リード11との直接的な接触を最小化すると、二次電池の安全性が向上できる。
【0081】
本発明の一実施様態で、ベント部材16は、シーリング部でリードフィルム14と離隔し、収納部13aでリードフィルム14と少なくとも部分的に重畳または接触し得る。ベント部材16がシーリング部でリードフィルム14と重畳または接触しないことで、即ち、ベント部材16が電極リード11から離れて位置することで、電極リード11の側面でベントされるガスの量が最小化でき、電池の安全性をさらに向上させることができる。
【0082】
本発明の一実施様態において、ベント部材がリードフィルムと重畳または接触する領域は、リードフィルムが電極リードと重畳または接触しない領域の1%~30%、または1.3%~23%、または1.5%~12%、または2%~9%であり得る。ここで、リードフィルムが電極リードと重畳しない領域は、電極リードとリードフィルムが重畳しないリードフィルムの両領域の和を意味する。
【0083】
前記ベント部材16の一部とリードフィルム14の一部とは、熱溶着によって重畳または接触し得る。他の例で、ベント部材16の一部とリードフィルム14の一部とは、グルーなどの接着剤によって重畳または接触し得る。また、他の例で、ベント部材16の一部とリードフィルム14の一部とは、クリップなどによって物理的に相互に結合し得る。さらに他の例で、リードフィルム14を構成するフィルム内にベント部材16の一部が埋め込まれ得る(embedding)。
【0084】
図8は、本発明のさらに他の実施様態による二次電池の電極リード11及びベント部材16を部分的に拡大した図である。図8を参照すると、電極リード11の突出方向をY軸にし、Y軸と直交する方向をX軸にすると、ベント部材16は、X軸方向へ延びる第1部16bと、Y軸方向へ延びる第2部16aと、を含み得る。図8に示したように、第1部16bは、第2部16aを通してリードフィルム14まで延長または連結される。
【0085】
本発明の一実施様態において、ベント部材16は、図8に示したように、L字形状を有し得る。
【0086】
本発明のさらに他の実施様態において、ベント部材16は、図9に示したように、第2部16aの内側端部が切断されてテーパー部(tapering section)を形成するように構成され得る。例えば、第2部16aの内側端部は、Y軸と直交しない方向へ切断され得る。ベント部材16が前述したような形状を有する場合、収納部13aの内部で電極組立体12が第2部16aの内側端部と接触することをさらに容易に防止可能である。ここで、第2部16aの内側端部とは、収納部により近い第2部の端部を指す。
【0087】
図10は、本発明のさらに他の実施様態による二次電池の電極リード11及びベント部材16を部分的に拡大した図である。図10を参照すると、第1部は、リードフィルムと第2部との間で、Y軸に平行しない第1方向に沿って延び得る。第2部は、前記第1方向と直交する第2方向に沿って延び得る。例えば、第1方向を電極リード11の突出方向に沿って45゜の角度に設定する場合、ベント部材16は、L字形状を有し得る。
【0088】
本発明のさらに他の実施様態において、ベント部材16は、第2部16aの内側端部が切断されてテーパー部を形成するように構成され得る。例えば、第2部16aの内側端部は、前記第2方向と直交しない方向へ切断され得る。ベント部材16が前述した形状を有する場合、収納部13aの内部で電極組立体12が第2部16aの内側端部と接触することをより容易に防止可能である。ここで、第2部16aの内側端部とは、収納部により近い第2部の端部を指す。
【0089】
本発明の一実施様態において、本体部のような第2部16aでは実質的にベントが発生し、ブリッジ部のような第1部16bでは実質的にベントが発生しないことがある。
【0090】
図8図10を参照すると、本発明の一実施様態において、第1部16bは、リードフィルム14と重畳または接触する少なくとも一部の領域を有し得る。第1部16bがリードフィルム14と重畳または接触する少なくとも一部の領域を有することによって、ベント部材16の位置を一貫的にかつ容易に固定し得る。例えば、ベント部材16が挿入された後に溶着される場合、第1部16bの一部がリードフィルム14と重畳または接触することによって、ベント部材16は、所定の位置に挿入された後に溶着され得る。
【0091】
第1部16bの一部とリードフィルム14の一部とは、熱溶着によって重畳または接触し得る。他の例で、第1部16bの一部とリードフィルム14の一部とが、グルーのような接着剤によって重畳または接触し得る。また、他の例で、第1部16bの一部とリードフィルム14の一部とが、クリップなどによって物理的に結合し得る。さらに他の例で、第1部16bの一部は、リードフィルム14を構成するフィルムに埋め込まれ得る。
【0092】
図8図10を参照すると、本発明の一実施様態において、ベント部材16の第2部16aとリードフィルム14は、互いに重畳または接触し得ない。例えば、第2部16aとリードフィルム14は、シーリング部において互いに重畳または接触し得ない。ベント部材16の第2部16aとリードフィルム14が重畳または接触しない場合、電極リード11の側面へベントされるガスの量が最小化され、電池の安全性がさらに向上可能になる。
【0093】
図8図10を参照すると、第1部16bの外側端部は、延長部15の内側端部と離隔し得る。ここで、「ベント部材の第1部の外側端部」とは、延長部に近い第1部16bの端部を意味する。「延長部の内側端部」とは、収納部に隣接する延長部の端部を意味する。この場合、第1部16bの全体が収納部13aに位置し得る。これによって、第1部16bと延長部15との間の隙間または空間が収納部13aに露出され、結果的には、この隙間または空間にガス圧力が集中することで、非常の状況でより速やかなベンティングが可能にある。
【0094】
本発明の一実施様態において、前記第1部16bは、長方形の形状であり得る。例えば、X軸方向へ前記第1部の長辺が位置し、Y軸方向へ前記第1部の短辺が位置し得る。本発明の一実施様態において、前記第2部16aは、長方形の形状であり得る。例えば、X軸方向へ前記第2部の短辺が位置し、Y軸方向へ前記第2部の長辺が位置し得る。
【0095】
図11図13は、本発明の他の実施様態による二次電池のリードフィルム及びベント部材を部分的に拡大して示した図である。
【0096】
図11図13を参照すると、前述したように、ベント部材16が第1部16b及び第2部16aを含み、第2部16aが、例えば、楕円形または階段形の形状を有し得る。しかし、第2部16aの形状は、他の実施様態において、円形、三角形、台形などであり得る。
【0097】
また、図13を参照すると、第2部16aは、非対称の階段形の構造を有し得る。非対称の階段形の構造において、段差の程度は、電極リード11の側面と対応するように形成され得る。例えば、第2部16aの排出端部の大きさ(ベントされたガスの排気角度)及び位置(電極リード11からの距離)は、図13に示したように、ベントされたガスと電極リードとの接触を最小化するように構成され得る。このように、電極リード11から遠くガスを誘導するために第2部の排出端部の大きさを減らし、電極リードから遠く排出端部を位置させることで、ベントされたガスと電極リードとの接触を最小化できる。
【0098】
本発明の一実施様態において、前記ベント部材16は、100℃~120℃でベントされ得る。また、ベント部材16は、1.5atm以上の圧力でベントされ得る。
【0099】
前記ベント部材16が前述した温度範囲及び/または前述した圧力条件でベントされることによって、電池が正常作動時には電池が密封され、電池の異常挙動時のみにガスの排出をより容易に誘導できる。
【0100】
本発明の一実施様態で、前記シーラント樹脂よりも融点が低いベント樹脂は、炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンを含み得る。前記ベント樹脂が炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンを含むことで、正常の温度範囲ではシーラント樹脂との密封性が優秀であり、高温でベント部材16を含むシーリング部のシーリング強度が低下してベンティングを実現し得る。
【0101】
本発明の一実施様態で、前記シーラント樹脂よりも融点が低いベント樹脂が炭素数6~8のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンを含み得る。
【0102】
本発明の一実施様態で、前記シーラント樹脂よりも融点が低いベント樹脂は、100℃~130℃、または105℃~125℃、または110℃~120℃の融点を有し得る。前記ベント樹脂の融点が前述した範囲を満たす場合、高温、例えば、100℃以上でベント部材16を含むシーリング部のシーリング強度が低下して、さらに容易にベント特性を具現できる。
【0103】
前記シーラント樹脂よりも融点が低いベント樹脂の融点は、示差走査熱量計(Differential scanning calorimeter; DSC)を用いて測定し得る。例えば、試料の温度を30℃から10℃/分で280℃まで増加させた後、280℃で10分間維持し、10℃/分で30℃まで冷却した後、30℃で10分間維持する。その後、試料の温度を30℃から10℃/分で280℃まで増加させた後、280℃で10分間温度を維持して融点を測定し得る。
【0104】
本発明の一実施様態で、前記ベント部材は、100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満、または5kgf/15mm未満、または4.5kgf/15mm未満であり得る。本発明の一実施様態で、前記ベント部材16は、100℃~120℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満、または5kgf/15mm未満、または4.5kgf/15mm未満であり得る。本発明の一実施様態で、前記ベント部材16は、120℃以上における最大シーリング強度が3kgf/15mm未満、または2kgf/15mm未満、または1kgf/15mm未満、または0.5kgf/15mm未満であり得る。前記ベント部材が前述した温度範囲で前述したシーリング強度を満たす場合、高温、例えば、100℃以上でベント部材16を含むシーリング部のシーリング強度が低下するようになり、より容易にベント特性が具現され得る。
【0105】
また、本発明の一実施様態で、前記ベント部材は、常温~60℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm以上、または8kgf/15mm以上、または10kgf/15mm以上であり得る。前記ベント部材が前述した温度範囲で前述したシーリング強度を満たす場合、電池の正常作動時に優秀なシーリング強度を有するようになり、より容易に電池の密封性を確保できる。
【0106】
本発明の一実施様態で、前記ベント部材は、100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満であり、常温~60℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm以上であり得る。前記ベント部材が前述したシーリング強度を満たす場合、高温でベント部材16を含むシーリング部のシーリング強度が低下するようになり、ベント特性を容易に具現可能である。また、電池の正常作動時には、優秀なシーリング強度を有するようになり、電池の密封性をより容易に確保することができる。
【0107】
本発明の一実施様態で、前記ベント部材は、100℃以上における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満、または3kgf/15mm未満であり得る。本発明の一実施様態で、前記ベント部材16は、100℃~120℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満、または3kgf/15mm未満であり得る。本発明の一実施様態で、前記ベント部材16は、120℃以上における平均シーリング強度が2kgf/15mm未満、または1kgf/15mm未満、または0.5kgf/15mm未満であり得る。前記ベント部材が前述した温度範囲で前述したシーリング強度を満たす場合、高温でベント部材16を含むシーリング部のシーリング強度が低下するようになり、より容易にベント特性が具現可能である。
【0108】
本発明の一実施様態で、前記ベント部材は、常温~60℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm以上、または5kgf/15mm以上、または6kgf/15mm以上、または7kgf/15mm以上であり得る。前記ベント部材が前述した温度範囲で前述したシーリング強度を満たす場合、電池の正常作動時に優秀なシーリング強度を有するようになり、より容易に電池の密封性を確保できる。
【0109】
本発明の一実施様態で、前記ベント部材が、100℃以上における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満であり、常温~60℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm以上であり得る。前記ベント部材が前述した温度範囲で前述したシーリング強度を有する場合、高温でベント部材16を含むシーリング部のシーリング強度が低下するようになり、より容易にベント特性が具現できる。また、電池の正常作動時に優秀なシーリング強度を有するようになり、電池の密封性をより容易に確保できる。
【0110】
温度によるベント部材のシーリング強度は、ベント部材が挿入されたケースの一部を幅15mm、長さ5cmに裁断した後、両端を180゜に開けてUTMジグを使用して把持した後、5mm/分の速度で引張テストを行って測定し得る。
【0111】
この際、最大シーリング強度は、電池ケースが破断するときの最大値を意味し、平均シーリング強度は、最大シーリング強度が4.5kgf/15mm以上である場合には4.5kgf/15mmで電池ケースが8mm延伸したときの平均値を意味し、最大シーリング強度が4.5kgf/15mm未満である場合には、最大シーリング強度で電池ケースが8mm延伸したときの平均値を意味する。
【0112】
本発明の一実施様態で、前記ベント樹脂はメタロセン触媒の存在下で重合したものであり得る。前記ベント樹脂がメタロセン触媒の存在下に重合したものである場合、ジーグラーナッタ触媒の存在下で重合した場合よりもシーリング強度及び物性の面でより有利となり得る。
【0113】
本発明の一実施様態で、前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンにおける前記炭素数6以上のコモノマーの含量が、前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン100重量%に対して15重量%以下、または12重量%以下、または11.8重量%以下、または10重量%以下、または9重量%以下、または8重量%以下、または7.6重量%以下であり得る。これと同時に、前記炭素数6以上のコモノマーの含量が、前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン100重量%に対して、5重量%以上、または7.6重量%以上、または8重量%以上、または9.0重量%以上、または10重量%以上、または11.8重量%以上、または12重量%以上であり得る。炭素数6以上のコモノマーの含量が前述した範囲を満たす場合、分子間のパッキング密度が減少して、電池の正常作動時にシーリング強度が低くなる問題をより容易に防止できる。
【0114】
前記炭素数6以上のコモノマーの含量は、H-NMRで測定し得る。例えば、試料約10mgをトリクロロエチレン溶媒約0.6mLにヒートガン(heat gun)を用いて完全に溶解した後、NMRチューブにサンプリングし、H-NMRまたは13C-NMRを用いて測定し得る。
【0115】
本発明の一実施様態で、前記シーラント樹脂よりも融点が低いベント樹脂の重量平均分子量が10万g/mol~40万g/mol、または20万g/mol~35万g/mol、または23万g/mol~30万g/molであり得る。前記ベント樹脂の重量平均分子量が前述した範囲を満たす場合、電池の正常作動時にシーラント樹脂とのシーリング強度がより向上できる。
【0116】
本発明の一実施様態で、前記シーラント樹脂よりも融点が低いベント樹脂の多分散指数(Poly Dispersity Index;PDI)は4以下、または3.8以下、または3.796以下、または3.5以下、または3.023以下、または3以下、または2.7以下、または2.674以下であり得る。また、多分散指数 (PDI)は1.0以上であり得る。前記ベント樹脂の多分散指数が前述した範囲を満たす場合、分子量分布が狭くなり、電池の正常作動時にシーラント樹脂とのシーリング強度及び物性がさらに優秀になる。
【0117】
前記シーラント樹脂よりも融点が低いベント樹脂の重量平均分子量及び多分散指数は、ゲル透過クロマトグラフィー(gel permeation chromatography;GPC)によって下記の条件で測定したものであり得る。
【0118】
- カラム:Tosoh社 HLC-8321 GPC/HT
- 溶媒:トリクロロベンゼン(trichlorobenzene;TCB)+0.04%BHT(after drying with 0.1% CaCl2)
- 流速:1.0ml/分
- 試料濃度:1.5mg/ml
- 注入量:300μl
- カラム温度:160℃
- Detector:RI detector
- Standard:ポリスチレン(三次関数に補正)
【0119】
本発明の一実施様態で、シーラント樹脂の結晶化温度とシーラント樹脂よりも低い融点を有するベント樹脂の結晶化温度が類似であり得る。例えば、シーラント樹脂の結晶化温度とベント樹脂の結晶化温度の差が10℃以下、または5℃以下であり得る。また、シーラント樹脂の結晶化温度とベント樹脂の結晶化温度の差が0.1℃以上であり得る。前記シーラント樹脂の結晶化温度とベント樹脂の結晶化温度の差が前述した範囲を満たす場合、前記シーラント樹脂とベント樹脂の電池の正常作動時の溶着特性がさらに向上できる。
【0120】
本発明の一実施形態で、シーラント樹脂よりも低い融点を有するベント樹脂の結晶化温度が90℃~115℃、または95℃~110℃、または100℃~110℃、または105℃~110℃であり得る。前記ベント樹脂の結晶化温度が前述した範囲を満たす場合、前記シーラント樹脂とベント樹脂の溶着特性がさらに向上できる。
【0121】
前記結晶化温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定し得る。例えば、試料の温度を30℃から10℃/分で280℃まで増加させた後、280℃で10分間維持し、10℃/分で30℃まで冷却した後、30℃で10分間維持し得る。その後、試料の温度を30℃から10℃/分で280℃まで増加させた後、温度を280℃で10分間維持して結晶化温度を測定し得る。
【0122】
本発明の一実施様態で、前記ベント部材16は、フィルムの厚さを有し得る。
【0123】
前記ベント部材16は、予め設定された大きさの所定の厚さを有するように形成され得る。また、ベント部材16は、設計に応じて、挿入長さが変更され得るように、またはベンティング圧力及び位置が制御され得るように延長部15に挿入され得る。
【0124】
本発明の一実施様態で、ベント部材16は、シーラント樹脂と前記シーラント樹脂よりも低い融点を有するベント樹脂とのシーリングと、より円滑な配置のために、接着層をさらに含み得る。
【0125】
本発明の一実施様態による二次電池は、延長部にシーラント樹脂よりも融点の低いベント樹脂を有するベント部材を含むことで、熱暴走現象の発生時、高温でシーリング強度を低下させて延長部でガスを排出させるディレクショナルベンティングをより円滑かつ迅速に具現可能である。
【0126】
本発明の一実施様態で、前記二次電池は、円筒型、角形またはパウチ型の二次電池であり得る。
【0127】
以上、本発明の望ましい実施例について図示及び説明したが、本発明は上述した特定の望ましい実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から外れることなく当該発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって多様に変形できることは言うまでもなく、かかる変形は、本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはいけない。
【符号の説明】
【0128】
10 二次電池
11 電極リード
12 電極組立体
13 ケース
13a 収納部
13b シーリング部
14 リードフィルム
15 延長部
16 ベント部材
16a 第2部
16b 第1部
17 折曲面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】