(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】HM30181メシル酸塩の多形
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4725 20060101AFI20231109BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231109BHJP
A61P 39/02 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
A61K31/4725
A61P43/00 111
A61P39/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527279
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 US2021057046
(87)【国際公開番号】W WO2022094077
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523161251
【氏名又は名称】アテネックス アールアンドディ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ATHENEX R&D,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ウルガオンカー、サミール
(72)【発明者】
【氏名】スモリンスキー、マイケル ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ラウ、ジョンソン ユー-ナム
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC62
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA11
4C086ZC37
(57)【要約】
HM30181の多形と、それらの物理的性質と、それらを調製するための方法が、説明される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態のHM30181メシル酸塩を含む組成物であって、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Bと、多形Cと、多形Dと、多形Eと、多形Fと、多形Gと、多形Hと、多形Iと、多形Jと、多形Kと、多形Lと、多形Mと、多形Nとのうちの1つ以上を含む、組成物。
【請求項2】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Bであり、前記結晶性の形態は、
図40に対応するX線回折パターンを有し、約159.92℃において吸熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、C型多形であり、前記結晶性の形態は、
図42に対応するX線回折パターンを有し、約159.6℃において吸熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、C型多形であり、前記結晶性の形態は、約6.4°と、約8.0°とにおいて2θの最大値を有するX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、C型多形であり、前記結晶性の形態は、約1.180nm
3(1180Å
3)の体積を有する単位格子を含み、aが約0.7nm(7Å)であり、bが約1.5nm(15Å)であり、cが約1.8nm(18Å)であり、αが約52°であり、βが約62であり、γが約90°である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記結晶性の形態は、HM30181メシル酸塩の一水和物を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項7】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Dであり、前記結晶性の形態は、
図45に対応するX線回折パターンを有し、約66.97℃において吸熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Eであり、前記結晶性の形態は、
図47に対応するX線回折パターンを有し、約154.42℃において吸熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、DMAを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項10】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、E型多形であり、前記結晶性の形態は、約4.2°と、約10.4°と、約10.7°と、約14.7°と、約16.8°と、約21°と、約23.8°と、約26.6°と、約27.7°とにおいて2θの最大値を有するX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、E型多形であり、前記結晶性の形態は、約1.620nm
3(1620Å
3)の体積を有する単位格子を含み、aが約0.8nm(8Å)であり、bが約1.0nm(10Å)であり、cが約2.4nm(24Å)であり、αが約75°であり、βが約80°であり、γが約110°である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Fであり、前記結晶性の形態は、
図50に対応するX線回折パターンを有し、約148.41℃において吸熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、DMFを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Gであり、前記結晶性の形態は、
図53に対応するX線回折パターンを有し、約69.02℃において吸熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Hであり、前記結晶性の形態は、
図55に対応するX線回折パターンを有し、約126.52℃において吸熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Iであり、前記結晶性の形態は、
図57に対応するX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Jであり、前記結晶性の形態は、
図58に対応するX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Kであり、前記結晶性の形態は、
図60に対応するX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Lであり、前記結晶性の形態は、
図61に対応するX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Mであり、前記結晶性の形態は、
図62に対応するX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Nであり、前記結晶性の形態は、
図63に対応するX線回折パターンを有し、約159℃と約188℃とにおいて吸熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、メタノールを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
P-糖タンパク質活性を阻害する方法であって、P-糖タンパク質の活性を阻害するために有効な量において、P-糖タンパク質を請求項1~22に記載の1つ以上の結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態のHM30181メシル酸塩と接触させる工程を備える、方法。
【請求項24】
癌を治療する方法であって、
治療を必要とする個体に対して化学療法薬剤を投与する工程と、
請求項1~22のうちの少なくとも一項に記載のHM30181メシル酸塩の多形を、治療を必要とする前記個体に対して、前記個体におけるP-糖タンパク質活性を阻害するために有効な量において投与する工程と、を備え、
前記化学療法薬剤は、P-糖タンパク質の基質である、方法。
【請求項25】
癌の治療用の薬剤を調製することにおける、請求項1~22のうちの少なくとも一項に記載のHM30181メシル酸塩の多形の使用。
【請求項26】
前記薬剤は、P-糖タンパク質の基質である化学療法薬剤をさらに含む、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
請求項1~22のうちの少なくとも一項に記載のHM30181メシル酸塩の多形と、治療薬と、を含む製剤であって、前記治療薬は、P-糖タンパク質の基質である、製剤。
【請求項28】
前記治療薬は、癌の治療において使用される化学療法薬剤である、請求項27に記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、P-糖タンパク質阻害剤、特にHM30181メシル酸塩(メシラート)である。
【背景技術】
【0002】
背景の説明は、本発明の理解に有用であり得る情報を含む。本明細書に提供される情報のうちのいずれもが先行技術であるか、又は現在特許請求されている発明に関連があると認めるものではない。また、詳細に又は非明示的に参照されている刊行物が先行技術であることを認めるものでもない。
【0003】
P-糖タンパク質(P-gp)は、主要な属中に見出される広範な基質特異性を有するATP依存性の排出ポンプタンパク質である。その広範な分布及びその機能によって、P-gpは、細胞外に毒素を能動的に輸送する防御機能であると考えられる。ヒトにおいて、P-gpは、基質化合物を腸管上皮細胞から腸管腔に戻し、血液脳関門から隣接する毛細血管に戻し、腎臓の近位尿細管から泌尿器濾液に、そして肝細胞から胆管に輸送することが可能である。
【0004】
あいにく、化学療法において利用されるいくつかの薬剤は、P-gpの基質である。P-gp活性は、それゆえに、化学療法薬剤の生物学的利用能及び有効性を減少させ得る。そうした例では、P-gp阻害剤の投与が、化学療法に対する応答を改善するのに有用であることがある。したがって、過去30年にわたって、いくつかの医薬として有用なP-gp阻害剤(アミオダロン、クラリスロマイシン、シクロスポリン、コルヒチン、ジルチアゼム、エリスロマイシン、フェロジピン、ケトコナゾール、ランソプラゾール、オメプラゾール、ニフェジピン、パロキセチン、レセルピン、サキナビル、セルトラリン、キニジン、タモキシフェン、ベラパミル、及びデュロキセチン等)が、開発されるに至った。
【0005】
HM30181メシル酸塩は、パクリタキセルと共に使用するために研究された第三世代P-gp阻害剤である。HM30181メシル酸塩は、腸管上皮においてP-gpを選択的に阻害して、血液脳関門を横断する潜在的に有害な輸送を増加させることなく、経口投与される化学療法薬剤の吸収を改善する。HM30181メシル酸塩の構造は、下記に示される。
【0006】
【0007】
経口投与されるHM30181メシル酸塩の薬物動態、生物学的利用能、及び副作用の発生率は、しかしながら、最適状態に及ばない。
ゆえに、投与時における吸収の改善、薬物動態の改善、及び/又は副作用の低減を提供することが可能なHM30181の多形の必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の主題によって、HM31081の多形と、それらの調製及び特性評価のための方法と、それらの使用のための方法とが提供される。
本発明の概念の一実施形態は、結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態のHM30181メシル酸塩を含む組成物であり、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形B、多形C、多形D、多形E、多形F、多形G、多形H、多形I、多形J、多形K、多形L、多形M、及び/又は多形Nを含む。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Bであり、
図40に対応するX線回折パターンと、約159.92℃において吸熱とを有する。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、C型多形であり、
図42に対応するX線回折パターンと、約159.6℃において吸熱とを有する。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、C型多形であり、前記結晶性の形態は、約6.4°と、約8.0°とにおいて2θの最大値を有するX線回折パターンを有する。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、C型多形であり、約1.180nm
3(1180Å
3)の体積を有する単位格子を含み、aが約0.7nm(7Å)であり、bが約1.5nm(15Å)であり、cが約1.8nm(18Å)であり、αが約52°であり、βが約62°であり、γが約90°である。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Cであり、
図42に対応するX線回折パターンと、約159.60℃において吸熱とを有し、一水和物であることが可能である。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Dであり、
図45に対応するX線回折パターンと、約66.97℃において吸熱とを有する。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Eであり、
図47に対応するX線回折パターンと、約154.42℃において吸熱とを有し、DMAを含むことが可能である。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、E型多形であり、
図47に対応するX線回折パターンと、約154.4℃において吸熱とを有する。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、E型多形であり、約4.2°と、約10.4°と、約10.7°と、約14.7°と、約16.8°と、約21°と、約23.8°と、約26.6°と、約27.7°とにおいて2θの最大値を有するX線回折パターンを有する。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、E型多形であり、約1.620nm
3(1620Å
3)の体積を有する単位格子を含み、aが約0.8nm(8Å)であり、bが約1.0nm(10Å)であり、cが約2.4nm(24Å)であり、αが約75°であり、βが約80°であり、γが約110°である。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Fであり、
図50に対応するX線回折パターンを有し、約148.41℃において吸熱を有し、DMFを含むことが可能である。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Gであり、
図53に対応するX線回折パターンと、約69.02℃において吸熱とを有する。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Hであり、
図55に対応するX線回折パターンと、約126.52℃において吸熱とを有する。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Iであり、
図57に対応するX線回折パターンを有する。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Jであり、
図58に対応するX線回折パターンを有する。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Kであり、
図60に対応するX線回折パターンを有する。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Lであり、
図61に対応するX線回折パターンを有する。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Mであり、
図62に対応するX線回折パターンを有する。そうした実施形態のうちのいくつかでは、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Nであり、
図63に対応するX線回折パターンと、約159℃及び約188℃において吸熱とを有し、メタノールを含むことが可能である。
【0009】
本発明の概念の別の実施形態は、P-糖タンパク質活性を阻害する方法であって、P-糖タンパク質を、上記に説明されたような1つ以上の結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態のHM30181メシル酸塩と、P-糖タンパク質の活性を阻害するために有効な量において接触させる工程による、方法である。
【0010】
本発明の概念の別の実施形態は、癌を治療する方法であって、癌治療を必要とする個体に対してP-糖タンパク質の基質である化学療法薬剤を投与する工程と、さらに、上記に説明したようなHM30181メシル酸塩の多形を、前記個体においてP-糖タンパク質活性を阻害するために有効な量において投与する工程と、による、方法である。
【0011】
本発明の概念の別の実施形態は、癌の治療用の薬剤を調製することにおける、上記に説明したようなHM30181メシル酸塩の多形の使用である。そうした薬剤は、さらに、P-糖タンパク質の基質である化学療法薬剤を含むことが可能である。
【0012】
本発明の概念の別の実施形態は、上記に説明したようなHM30181メシル酸塩の多形と、治療薬と、を含む製剤であって、前記治療薬は、P-糖タンパク質の基質である、製剤である。そうした治療薬は、癌の治療において使用される化学療法薬剤であることが可能である。
【0013】
本発明の主題の様々な目的、特徴、態様及び利点は、同様の数字が同様の構成要素を表す添付の図面と共に、好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになり得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】A型多形~N型多形のHM30181メシル酸塩の粉末X線回折(XPRD)の結果の重ね合わせを示す図。
【
図2】A型HM30181メシル酸塩(出発物質)のXRPD試験の結果を示す図。
【
図3】A型HM30181メシル酸塩のDSC/TGA試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図4】A型HM30181メシル酸塩の
1H-NMR試験の結果を示す図。
【
図5】A型HM30181メシル酸塩(出発物質)のDVSの結果を示す図。
【
図6】DVS後のA型(出発物質)のXRPD試験の重ね合わせの重ね合わせを示す図。
【
図7】A型HM30181メシル酸塩及び110℃まで加熱したA型HM30181メシル酸塩のサイクルDSC試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図8】A型HM30181メシル酸塩及び110℃まで加熱したA型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図9】A型HM30181メシル酸塩(出発物質)及び185℃まで加熱したA型HM30181メシル酸塩のサイクルDSC試験の重ね合わせを示す図。
【
図10】A型HM30181メシル酸塩(出発物質)及び185℃まで加熱したA型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の重ね合わせを示す図。
【
図11】A型HM30181メシル酸塩(出発物質)及び200℃まで加熱したA型HM30181メシル酸塩のサイクルDSC試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図12】A型HM30181メシル酸塩(出発物質)及び200℃まで加熱したA型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図13】遊離塩基HM3018-AのXRPD試験の結果を示す図。
【
図14】200℃まで加熱したA型HM30181メシル酸塩と遊離塩基HM3018-AとA型HM30181メシル酸塩(出発物質)との
1H-NMR試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図15】スラリー実験からのB型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図16】スラリー実験からのC型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図17】スラリー実験からのD型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図18】スラリー実験からのE型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図19】スラリー実験からのF型HM30181メシル酸塩のXRPDの結果の重ね合わせを示す図。
【
図20】スラリー実験からのG型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図21】液体蒸気拡散実験からのD型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図22】液体蒸気拡散実験からのE型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図23】液体蒸気拡散実験からのH型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図24】液体蒸気拡散実験からのI型HM30181メシル酸塩及びJ型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図25】冷却によって生成したC型多形のHM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図26】C型HM30181メシル酸塩と貧溶媒実験からの試料とのXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図27】F型HM30181メシル酸塩と貧溶媒実験からの試料とのXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図28】J型HM30181メシル酸塩と貧溶媒実験からの試料とのXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図29】K型HM30181メシル酸塩と貧溶媒実験からの試料とのXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図30】L型HM30181メシル酸塩と貧溶媒実験からの試料とのXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図31】M型HM30181メシル酸塩と貧溶媒実験からの試料とのXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図32】大きいスケールの試験のB型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図33】大きいスケールの試験のC型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図34】大きいスケールの試験のD型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の重ね合わせを示す図。
【
図35】大きいスケールの試験のE型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図36】大きいスケールの試験のG型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図37】大きいスケールの試験のF型HM30181メシル酸塩及びG型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図38】大きいスケールの試験のG型HM30181メシル酸塩の
1H-NMR試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図39】大きいスケールの試験のHM30181メシル酸塩の多形の
1H-NMR試験の結果の重ね合わせを示す図。
【
図40】B型HM30181メシル酸塩のXRPD試験の結果を示す図。
【
図41】B型HM30181メシル酸塩のDSC及びTGAの結果の重ね合わせを示す図。
【
図42】C型HM30181メシル酸塩のXRPDの結果を示す図。
【
図43】C型HM30181メシル酸塩のDSC及びTGAの結果の重ね合わせを示す図。
【
図44】C型HM30181メシル酸塩の
1H-NMRの結果を示す図。
【
図45】D型HM30181メシル酸塩のXRPDの結果を示す図。
【
図46】D型HM30181メシル酸塩のDSC及びTGAの結果の重ね合わせを示す図。
【
図47】E型HM30181メシル酸塩のXRPDの結果を示す図。
【
図48】E型HM30181メシル酸塩のDSC及びTGAの結果の重ね合わせを示す図。
【
図49】E型HM30181メシル酸塩の
1H-NMRの結果を示す図。
【
図50】F型HM30181メシル酸塩のXRPDの結果を示す図。
【
図51】F型HM30181メシル酸塩のDSC及びTGAの結果の重ね合わせを示す図。
【
図52】F型HM30181メシル酸塩の
1H-NMRの結果を示す図。
【
図53】G型HM30181メシル酸塩のXRPDの結果を示す図。
【
図54】G型HM30181メシル酸塩のDSC及びTGAの結果の重ね合わせを示す図。
【
図55】H型HM30181メシル酸塩のXRPDの結果を示す図。
【
図56】H型HM30181メシル酸塩のDSC及びTGAの結果の重ね合わせを示す図。
【
図57】I型HM30181メシル酸塩のXRPDの結果を示す図。
【
図58】J型HM30181メシル酸塩のXRPDの結果を示す図。
【
図59】J型HM30181メシル酸塩のTGAの結果を示す図。
【
図60】K型HM30181メシル酸塩のXRPDの結果を示す図。
【
図61】L型HM30181メシル酸塩のXRPDの結果を示す図。
【
図62】M型HM30181メシル酸塩のXRPDの結果を示す図。
【
図63】N型HM30181メシル酸塩のXRPDの結果を示す図。
【
図64】N型HM30181メシル酸塩のDSC及びTGAの結果の重ね合わせを示す図。
【
図65】N型HM30181メシル酸塩の
1H-NMRの結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明は、本発明の理解に有用であり得る情報を含む。本明細書に提供される情報のうちのいずれもが先行技術であるか、又は現在特許請求されている発明に関連があると認めるものではない。また、詳細に又は非明示的に参照されている刊行物が先行技術であることを認めるものでもない。
【0016】
本発明の主題は、HM30181メシル酸塩の広範な多形とそれらの調製のための方法とを提供する。様々な多形は、X線回折及び様々な物理的性質によって、構造的に区別されることが示される。改善された薬物動態、低減された副作用の発生率、低減された投薬計画等を有するHM30181メシル酸塩の多形は、従来の方法(例えば、動物試験、臨床治験等)によってそれらの中から同定されることが可能である。
【0017】
開示される技術は、血液脳関門の開通性を維持するのと同時に化学療法薬剤の吸収を改善することと、癌治療中の薬剤耐性の発現の発生率を低減することとを含む多くの有利な技術的効果を提供することが理解されるものである。
【0018】
以下の説明は、本発明の主題の多くの実施形態例を提供する。各実施形態は、発明の要素の単一の組み合わせを表すが、発明の主題は、開示される要素の全ての可能な組み合わせを含むことが考えられる。ゆえに、一実施形態が要素A,B,及びCを備え、第2の実施形態が要素B及びDを備える場合、次いで、明示的に開示されていなくても、本発明の主題は、さらに、A,B,C,又はDの他の残りの組み合わせを含むことが考えられる。
【0019】
いくつかの実施形態では、本発明の特定の実施形態を説明するとともに特許請求するために使用される、成分の量、濃度等の特性、反応条件等を表す数は、いくつかの例において「約(about)」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、いくつかの実施形態では、記載される説明及び添付の特許請求の範囲において述べられている数値パラメータは、特定の一実施形態によって取得されることが所望される特性に依存して、変化することが可能な近似値である。いくつかの実施形態では、数値パラメータは、報告される有効桁数に鑑みて、そして通常の丸め技法を適用することによって、解釈されるものである。本発明のいくつかの実施形態の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは、近似値であるとはいっても、特定の例を記載する数値範囲は、実施可能な限り正確に報告されている。本発明のいくつかの実施形態において提示される数値は、それらのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を含み得る。
【0020】
本明細書の説明において、及び後述する特許請求の範囲の全体を通して使用される限り、「1つの(a/an)」及び「その(the)」の意味は、文脈上明確に別様に指示する場合を除いて、複数の参照を含む。さらに、本明細書の説明に使用される限り、「中に(in)」の意味は、文脈上明確に別様に指示する場合を除いて、「中に(in)」及び「上に(on)」を含む。
【0021】
本明細書における値の範囲の列挙は、範囲内に含まれるそれぞれの別個の値に個別に言及する簡略的方法として機能することを単に意図するものにすぎない。本明細書において別様に示される場合を除いて、それぞれの個々の値は、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書の中に組み込まれる。本明細書に説明されるあらゆる全ての方法は、本明細書に別様に示される場合か、又は文脈によって明確に否定される場合を除いて、任意の適当な順序において行われることが可能である。本明細書の特定の実施形態に関して提供されるあらゆるすべての例、又は例示的な言い回し(例えば、「等(such as)」)の使用は、単に本発明をよりよく理解させることのみを意図し、そのように言及されている場合を除き、本発明の範囲に限定を加えない。本明細書における言い回しはいずれも、本発明の実施に不可欠である言及されていない要素を示すものとして解釈されるものでない。
【0022】
本明細書に開示される本発明の代替要素又は実施形態の群化は、限定として解釈されるべきではない。各群の構成要素は、個別に、又は群の他の構成要素もしくは本明細書に見出される他の要素との任意の組み合わせにおいて、言及されるとともに特許請求されることが可能である。1つの群のうちの1つ以上の構成要素は、便宜及び/又は特許性の理由のために、1つの群に含まれることが可能であるか、又は、1つの群から削除されることが可能である。任意のそうした包含又は削除が生じる場合、明細書は、修飾されたような群を含むとみなされるので、添付の特許請求の範囲において使用される全てのマーカッシュ群の記述を満たす。
【0023】
発明者らは、A型~N型を含む、いくつかの多形のHM30181メシル酸塩を同定するに至った(テーブル1参照)。複数の多形のうちのいくつかは、準安定の溶媒和物を含むことが可能である。発明者らは、これらの多形のうちの1つ以上が、HM30181メシル酸塩の先行技術の製剤と比較して、改善された薬物動態及び/又は生物学的利用能を有することが可能であると考えている。発明者らは、そのような改善により、HM30181メシル酸塩の先行技術の製剤を使用する治療に関連付けられる副作用を低減又は除去する、より低用量の使用が可能になることが可能であると考えている。
【0024】
【0025】
図1は、テーブル1において提供されるように、A型~N型多形のHM30181メシル酸塩の粉末X線回折(XPRD)の結果の概略の重ね合わせを提供する。
先行技術のHM30181メシル酸塩一水和物(すなわち、出発物質)は、その全体を参照によって本明細書に援用する、国際公開第2005/033094号又は米国特許第9283218号明細書において説明されるように合成されることが可能である。係る出発物質を、XRPD,TGA,DSC,及びDVSによって特性評価し(下記参照)、そして、XRPDによってA型結晶として同定した(
図2参照)。
【0026】
DSCによると、A型HM30181メシル酸塩は、181.41℃において吸熱を示した(
図3参照)。TGAによると、A型HM30181メシル酸塩は、150℃の前に一水和物の重量減少に対応する2.584%の重量減少(MWが802.849のHM30181メシル酸塩一水和物、2.24%減少)を示し、次いで、250℃の前におそらくは解離及び分解に起因する、4.133%の重量減少が続いた(
図3参照)。
1H-NMRによると、水以外の溶媒はいずれも検出されなかったため、A型HM30181メシル酸塩は、潜在的に一水和物であった(
図4参照)。
【0027】
DVSによると、A型HM30181メシル酸塩は、吸湿性であり、0%-95%RHにおいて2.26%の水を吸収した。XRPDパターンにおける変化は観察されなかった(
図5及び
図6参照)。
【0028】
A型HM30181メシル酸塩の110℃までのサイクルDSCでは、XRPDの変化は生じなかった(
図7及び
図8参照)。A型HM30181メシル酸塩の185℃までのサイクルDSCによって、結晶化度が減少したA型HM30181メシル酸塩が生じた(
図9及び
図10参照)。A型HM30181メシル酸塩の200℃までのサイクルDSCによって、非晶質物質が生じた(
図11及び
図12参照)。遊離塩基であるHM3018-A(6004273-06-A)を、さらに、XRPDによって特性評価したところ、非晶質であることが判明した(
図13参照)。
1H-NMRデータに基づくと、A型の分解は、200℃に加熱後に開始した(
図14参照)。
【0029】
HM30181メシル酸塩(出発物質)の溶解度を、複数の溶媒において評価した(下記参照)。そして結果を、テーブル2に列挙する。
【0030】
【0031】
HM30181メシル酸塩の多形のスラリーを基にした生成及び/又はスクリーニングを、下記に説明されるように、様々な溶媒において、及び様々な条件下で、A型HM30181メシル酸塩(出発物質)のスラリーを調製することによって行った。結果として生じた固体をXRPDによって分析して、物理状態を同定した。結果を、テーブル3及びテーブル4に要約する。
【0032】
A型HM30181メシル酸塩のMeOHのスラリーは、4℃~50℃の温度において一週間後に、B型HM30181メシル酸塩を生成した(
図15参照)。周囲温度におけるA型HM30181メシル酸塩のDCMのスラリー、及び4℃~50℃におけるA型HM30181メシル酸塩のアセトニトリルのスラリーは、C型HM30181メシル酸塩を生成した(
図16参照)。周囲温度におけるA型HM30181メシル酸塩のNMPのスラリーは、D型HM30181メシル酸塩を生成した(
図17参照)。C型HM30181メシル酸塩とD型HM30181メシル酸塩との両方は、A型HM30181メシル酸塩と有意な類似性を示した。周囲条件におけるA型HM30181メシル酸塩のDMAのスラリーは、E型HM30181メシル酸塩を生成した(
図18参照)。A型HM30181メシル酸塩のDMFのスラリーは、周囲温度においてF型HM30181メシル酸塩を生成し(
図19参照)、50℃においてG型を生成した(
図20参照)。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
HM30181メシル酸塩の多形の生成及び/又はスクリーニングを、さらに、下記に説明されるように、液体及び固体の蒸気拡散のためのA型HM30181メシル酸塩(出発物質)を調製することによって行った。結果として生じた固体をXRPDによって分析して、物理状態を同定した。結果を、テーブル5、テーブル6、及びテーブル7に要約する。NMP溶液中へのMTBEの液体蒸気拡散により、D型HM30181メシル酸塩を得た(
図21参照)。NMP又はDMA溶液中へのMEKの液体蒸気拡散により、D型HM30181メシル酸塩を得た(
図21参照)。風乾されたD型HM30181メシル酸塩は、結晶化度の一部喪失を示し、溶媒和物である可能性を示唆した。DMA又はDMF溶液中への2-MeTHFの液体蒸気拡散により、E型HM30181メシル酸塩を得た(
図22参照)。DMA溶液中へのMTBEの液体蒸気拡散により、I型HM30181メシル酸塩に起因すると発明者らが考えているいくつかの追加の回折ピークを有する、E型HM30181メシル酸塩を得た(エラー!参照先が見つかりません)。DMSO溶液中へのACNの液体蒸気拡散により、H型HM30181メシル酸塩を得た(
図23参照)。DMA溶液中へのアセトン、酢酸エチル、又は酢酸イソプロピルの液体蒸気拡散により、I型HM30181メシル酸塩を得た(
図24参照)。I型HM30181メシル酸塩の風乾により、J型HM30181メシル酸塩を得た(
図24参照)。DMSO溶液中への酢酸イソプロピルの液体蒸気拡散に次いで風乾することにより、さらに、J型HM30181メシル酸塩を得た。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
冷却によるHM30181メシル酸塩の多形の生成及び/又はスクリーニングを、下記に説明されるように、緩冷又は急冷(すなわち、急激な(crash)冷却)を用いてA型HM30181メシル酸塩(出発物質)を処理することによって行った。結果として生じた固体をXRPDによって分析して、物理状態を同定した。結果を、テーブル8に要約する。アセトニトリル及びDCM中の冷却実験によって、C型HM30181メシル酸塩を得た。そして、風乾により、いずれの有意な変化も示されなかった(
図25参照)。
【0044】
【0045】
HM30181メシル酸塩を、さらに、下記に説明されるように、A型HM30181メシル酸塩(出発物質)を処理することによる蒸発法に供した。結果として生じた固体をXRPDによって分析して、物理状態を同定した。結果を、テーブル9に示す。
【0046】
【0047】
貧溶媒(anti-solvents)を用いた処理によるHM30181メシル酸塩の多形の生成及び/又はスクリーニングを、下記に説明されるように、A型HM30181メシル酸塩(出発物質)を処理することによって行った。結果として生じた固体をXRPDによって分析して、物理状態を同定した。結果を、テーブル10、テーブル11、テーブル12、及びテーブル13に要約する。DMSOにおける貧溶媒試験によって、C型HM30181メシル酸塩を得た(
図26参照)。メチルt-ブチルエーテルを用いたN,N-ジメチルアセトアミドにおける貧溶媒試験によって、F型多形のHM30181メシル酸塩を得た(
図27参照)。DMSO/EtOAc,DMA/MIBK,DMA/トルエン,及びNMP/t-BuOHにおける貧溶媒添加及び逆貧溶媒添加によって、主として非晶質分と、J型HM30181メシル酸塩と何らかの類似点を有する1つの多形とを得た(
図28参照)。DMSO及びDMFにおける他の貧溶媒試験によって、K型多形のHM30181メシル酸塩を得た(又はおそらくは複数の型の混合物を得た、
図29参照)。DMF/n-プロパノール及びDMA/イソプロパノールにおける貧溶媒実験によって、L型多形のHM30181メシル酸塩を得た(
図30参照)。DMF/トルエン及びDMA/t-BuOHの貧溶媒添加は、ほとんど非晶質であったが、さらに、M型HM30181メシル酸塩を生成した(
図31参照)。
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
大きいスケールの試験を、下記に説明するように、A型HM30181メシル酸塩(出発物質)を用いて、200mgスケールで行った。結果を、テーブル14に要約する。固体を、真空濾過によって分離した。DMA,DMF,及びNMPスラリーからの濾過によるウェットケーキを、1mL~2mLのメタノールで洗浄して、溶媒を除去した。固体を、次いで、80℃において終夜真空乾燥した。
【0056】
大きいスケールにおいて、周囲条件におけるA型HM30181メシル酸塩(出発物質)のメタノールのスラリーは、9日後にB型HM30181メシル酸塩とA型HM30181メシル酸塩との混合物を生成した(
図32参照)。14日後、メタノールのスラリーは、N型多形のHM30181メシル酸塩を生成した。N型HM30181メシル酸塩は、真空乾燥後に結晶化度の一部喪失を示し、メタノール溶媒和物であることを示唆した(
図32参照)。周囲条件における、A型HM30181メシル酸塩のアセトニトリルのスラリー(出発物質)は、14日後にC型HM30181メシル酸塩を生成した。そして、真空乾燥後に結晶化度の喪失が検出されなかった(
図33参照)。A型HM30181メシル酸塩(出発物質)のNMPのスケールアップしたスラリーは、主として非晶質物質を提供した(
図34参照)。A型HM30181メシル酸塩(出発物質)のDMAのスケールアップしたスラリーによって、6日後、E型HM30181メシル酸塩を得た(
図35参照)。E型HM30181メシル酸塩は、真空乾燥後に結晶化度の喪失を示さなかった。50℃における、A型HM30181メシル酸塩(出発物質)のDMFのスケールアップしたスラリーによって、9日後、予想されたG型HM30181メシル酸塩でなく、F型HM30181メシル酸塩を得た(
図36参照)。パターンの何らかの変化を、真空乾燥後に示した。周囲温度における、A型HM30181メシル酸塩(出発物質)のDMFのスケールアップしたスラリーは、最初に、A型からの変化を示さなかった(
図37参照)。係るスラリーを、G型HM30181メシル酸塩を生成する企図において加熱した。100℃における、A型HM30181メシル酸塩(出発物質)のDMFのスケールアップしたスラリーによって、2日後、F型HM30181メシル酸塩を得た(
図37参照)。150℃における、A型HM30181メシル酸塩(出発物質)のDMFのスケールアップしたスラリーによって、5日後、以前に観測されていないXRPDパターンを得た(
図37参照)。DMSO-d
6における
1H-NMRの結果は、
1H-NMRスペクトルが出発物質にも遊離塩基にも対応しないので、150℃においてDMFスラリーが分解したことを示唆した(
図38参照)。
【0057】
1H-NMRによると、不均化又は分解が、C,E,F,及びN型多形のHM30181メシル酸塩において検出されなかった(
図39参照)。
1H-NMRによると、E型HM30181メシル酸塩はDMAを含み、F型HM30181メシル酸塩はDMFを含み、N型HM30181メシル酸塩はMeOHを含んでいた。
【0058】
【0059】
XRPD,TGA,DSC及びDVSによって特性評価されたHM30181メシル酸塩の多形の特性を、下記に要約する。すなわち、
A型HM30181メシル酸塩は、係る化合物の新規な多形の生成において出発物質として使用されることが可能な、HM30181メシル酸塩の先行技術の調製物を表す。
【0060】
結晶性のB型HM30181メシル酸塩を、4℃~50℃においてメタノールのスラリーにすることによって得て、XRPDによって区別する(
図40参照)。DSCによると、B型HM30181メシル酸塩は、159.92℃において吸熱を示した(
図41参照)。TGAによると、B型HM30181メシル酸塩は、170℃の前に1.865%の重量減少を示し、次いで、解離及び分解の可能性が続いた(
図41参照)。
【0061】
結晶性のC型多形のHM30181メシル酸塩を、周囲温度においてアセトニトリルのスラリーにすることによって得た。そして、C型HM30181メシル酸塩は、XRPDにおいて特有の結果を示す。終夜真空乾燥した後、結晶性パターンにおける変化は示されなかった(
図42参照)。DSCによると、C型HM30181メシル酸塩は、159.60℃において吸熱を示す(
図43参照)。TGAによると、C型HM30181メシル酸塩は、170℃の前に2.987%の重量減少を示し、次いで、解離及び分解が続いた(
図43参照)。1H-NMRによると、C型HM30181メシル酸塩は、水のみを含み、アセトニトリルを含まないことが確認されており(~2.07ppm)、一水和物であることを示唆している(
図44参照)。
【0062】
結晶性のD型HM30181メシル酸塩を、周囲温度においてN-メチルピロリドンのスラリーにすることによって得た。そして、D型HM30181メシル酸塩は、XRPDにおいて特徴的な結果を示す。終夜風乾した後、結晶性パターンにおける変化は示されなかった(
図45参照)。DSC/TGAによると、D型HM30181メシル酸塩は、66.97℃において吸熱を示し、150℃の前に14.71%の重量減少を示し、有意の残余溶媒含有量を示唆した(
図46参照)。
【0063】
結晶性のE型HM30181メシル酸塩を、周囲温度においてN,N-ジメチルアセトアミドのスラリーにすることによって得た。そして、E型HM30181メシル酸塩は、XRPDにおいて特徴的な結果を示す。80℃において終夜真空乾燥した後、結晶性パターンにおける変化は示されなかった(
図47参照)。DSC/TGAによると、E型HM30181メシル酸塩は、154.42℃において吸熱を示し、168℃の前に5.247%の重量減少を示し、E型HM30181メシル酸塩が溶媒和物であることを示唆した(
図48参照)。
1H-NMRによると、E型HM30181メシル酸塩は、DMAを含むことが確認された(
図49参照)。
【0064】
結晶性のF型HM30181メシル酸塩を、50℃においてジメチルホルムアミドのスラリーにすることによって得た。そして、F型HM30181メシル酸塩は、XRPDにおいて特徴的な結果を示す(
図50参照)。80℃において終夜真空乾燥した後、結晶化度の有意な減少が示され、F型HM30181メシル酸塩が準安定の溶媒和物であることが示唆された。DSC/TGAによると、F型HM30181メシル酸塩は、148.41℃における吸熱を示し、180℃の前に5.123%の重量減少を示し、DMFの損失と一致した(
図51参照)。
1H-NMRによると、F型HM30181メシル酸塩は、DMFを含むことが確認された(
図52参照)。
【0065】
結晶性のG型HM30181メシル酸塩を、50℃においてジメチルホルムアミドのスラリーにすることによって得た。そして、G型HM30181メシル酸塩は、XRPDにおいて特徴的な結果を示す。終夜風乾した後、結晶化度の減少は示されなかった(
図53参照)。DSC/TGAによると、G型HM30181メシル酸塩は、69.02℃及び233.29℃において吸熱を示し、150℃の前に1.451%の重量減少を示した。そしてその重量減少は、DMFの損失と一致した(
図54参照)。
【0066】
結晶性のH型HM30181メシル酸塩を、HM30181メシル酸塩のDMSOストック中へのアセトニトリルの液体蒸気拡散によって得た。そして、H型HM30181メシル酸塩は、XRPDにおいて特徴的な結果を示す(
図55参照)。DSC/TGAによると、H型HM30181メシル酸塩は、126.52℃において吸熱を示し、200℃の前に7.444%の重量減少を示した。そしてその重量減少は、残留したACN及びDMSOからであるか、又は溶媒和物からである可能性がある(
図56参照)。
【0067】
結晶性のI型HM30181メシル酸塩を、HM30181メシル酸塩のDMAストック中へのアセトン、酢酸エチル、又は酢酸イソプロピルの液体蒸気拡散によって得た。そして、I型HM30181メシル酸塩は、XRPDにおいて特徴的な結果を示す(
図57参照)。I型HM30181メシル酸塩の風乾により、J型HM30181メシル酸塩を得た。
【0068】
J型HM30181メシル酸塩を、HM30181メシル酸塩のDMAストック中へのアセトン、酢酸エチル、又は酢酸イソプロピルの液体蒸気拡散、又はHM30181メシル酸塩のDMSOストック中への酢酸イソプロピルの液体蒸気拡散に続いて風乾によって得た。XRPDによると、J型HM30181メシル酸塩は、結晶性である(
図58参照)。TGAによると、J型HM30181メシル酸塩は、150℃の前に2.887%の重量減少を示し、溶媒和物であるか、又は水和物であることを示唆した(
図59参照)。
【0069】
K型HM30181メシル酸塩を、DMF/IPA及び複数のDMSO系(エタノール、アセトン、MIBK、THF、クロロホルム、t-ブタノール、酢酸n-プロピル、及びn-プロパノール)を使用する貧溶媒添加によって得た。XRPDによると、K型HM30181メシル酸塩は、部分的に結晶性である(
図60参照)。
【0070】
L型HM30181メシル酸塩を、DMF/n-プロパノール及びDMA/イソプロパノール系における貧溶媒添加によって得た。XRPDによると、L型HM30181メシル酸塩は、部分的に結晶性である(
図61参照)。
【0071】
M型HM30181メシル酸塩を、DMF/トルエン及びDMA/t-ブタノール系における貧溶媒添加によって得た。XRPDによると、M型HM30181メシル酸塩は、部分的に結晶性である(
図62参照)。
【0072】
結晶性のN型HM30181メシル酸塩を、A型HM30181メシル酸塩(出発物質)のメタノールのスラリーとして周囲温度において14日間処理した後に得た(
図63参照)。N型HM30181メシル酸塩は、真空乾燥後に結晶化度の一部喪失を示し、メタノール溶媒和物であることを示唆した。DSCによると、N型HM30181メシル酸塩は、159.28℃及び188.47℃において吸熱を示し、180℃の前に2.128%の重量減少を示し、解離及び分解の可能性が続いた(
図64参照)。
1H-NMRによって、メタノールの存在を確認した(
図65参照)。
【0073】
C型及びE型HM30181メシル酸塩の形態を、単位格子寸法を決定するために、さらに分析した。C型多形のHM30181メシル酸塩用の単位格子パラメータを、累積のXRPDスペクトルを使用して計算した。そのためのピーク同定を、テーブル15において示す。C型HM30181メシル酸塩についての特に区別されるピークを、テーブル15において太字及びイタリック体において示す。C型多形のHM30181メシル酸塩から導出された単位格子パラメータの推定値を、テーブル16において示す。そして、その推定値は、三斜晶系の単純(P)単位格子と一致している。
【0074】
【0075】
【0076】
E型多形についての特徴的なXRPDのピーク値を、テーブル17において提供し、特に区別されるピークを、太字及びイタリック体において示す。これらは、C型多形のものとは区別され、かつ異なると理解されて、C型多形及びE型多形が、互いに区別され、かつ異なることと、C型多形及びE型多形の両方が、先行技術のA型多形のHM30181メシル酸塩とは区別され、かつ異なることとを示す。
【0077】
【0078】
【0079】
E型多形のHM30181メシル酸塩についての単位格子パラメータを、累積XRPDスペクトルを使用して推定した。E型多形のHM30181メシル酸塩から導出された単位格子パラメータの推定値を、テーブル18において示す。そして、その推定値は、三斜晶系の単純(P)単位格子と一致している。
【0080】
【0081】
上述したように、HM30181は、細胞から広範な治療用物質を除去するのに有効であり、血液脳関門の重要な部分を形成する排出輸送タンパク質である、P-糖タンパク質の阻害剤である。係る機能は、実質的に保護的なものである一方で、P-糖タンパク質の基質である治療薬の使用に悪影響を及ぼすことが可能である。P-糖タンパク質によって輸送される薬剤の例は、抗悪性腫瘍薬(例えば、ドセタキセル、エトポシド、ビンクリスチン)と、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロジピン)と、カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス)と、ジゴキシンと、マクロライド系抗生物質(例えば、クラリスロマイシン)と、プロテアーゼ阻害剤とを含むが、これらに限定されない。したがって、HM30181メシル酸塩は、治療を受けている個体の複数の細胞からのそのような薬剤の排出を減少させることによって、P-糖タンパク質の基質である治療薬の薬物動態を変化させるために使用されることが可能である。
【0082】
HM30181の製造のための従来のプロセスは、A型多形を提供する。発明者らは、係る化合物の他の形態のいくつか(B型、C型、D型、E型、F型、G型、H型、I型、J型、K型、L型、M型、及びN型多形のHM30181を含む)を製造するとともに同定するに至った。上記に示されたように、これらは、先行技術のA型多形及び互いとは異なり、かつ区別されている。発明者らは、これらの新しい複数の多形のHM30181が、先行技術のA型多形によって提供されるものとは異なる安定性及び/又は薬物動態(例えば、吸収率等)を提供することが可能であると考えている。
【0083】
したがって、発明概念の別の実施形態は、P-糖タンパク質を阻害するために、B型、C型、D型、E型、F型、G型、H型、I型、J型、K型、L型、M型、及び/又はN型多形のHM30181のうちの1つ以上を適用することであり、ひいては、P-糖タンパク質の基質である薬剤の薬物動態を変更する。そうした実施形態のうちのいくつかでは、薬剤は、癌治療において使用される化学療法薬剤であることが可能である。
【0084】
そうした実施形態では、B型、C型、D型、E型、F型、G型、H型、I型、J型、K型、L型、M型、及び/又はN型多形のHM30181のうちの1つ以上は、P-糖タンパク質基質である薬剤と協調して、そうした薬剤に対する応答性を示す疾患又は状態に対する治療を必要とする個体に対して投与されることが可能である。いくつかの実施形態では、B型、C型、D型、E型、F型、G型、H型、I型、J型、K型、L型、M型、及び/又はN型多形のHM30181は、別々の製剤として提供されることが可能である。あるいは、B型、C型、D型、E型、F型、G型、H型、I型、J型、K型、L型、M型、及び/又はN型多形のHM30181のうちの1つ以上は、P-糖タンパク質基質である薬剤との組み合わせにおいて製剤化されることが可能である。好ましい実施形態では、疾患は癌であり、P-糖タンパク質基質である薬剤は、癌を治療するために使用される化学療法薬剤である。
【0085】
方法
上述したように、複数の多形のHM30181メシル酸塩を、従来のA型HM30181メシル酸塩の調製物を、様々な溶媒を用いて、及び様々な技術を使用して処理することによって提供した。A型HM30181メシル酸塩の様々な溶媒における溶解度の試験のために、固体の試料(~2mg)を、4mLガラスバイアルの中に移した。溶媒をバイアルに対して合計体積100μLまで50μLずつ段階的に添加し、続いて濃度が1.0mg/mL未満になるまで100μLずつ段階的に添加した。各添加後に、超音波によって2分間、そしてボルテックスで1分間徹底的に試料を混合した。溶媒の体積(V1及びV2)を記録するとともに、溶解度を推定するために使用した。使用された溶媒を、下記テーブル19に要約する。
【0086】
【0087】
複数の多形のHM30181メシル酸塩のスクリーニングは、スラリーの調製を含むことが可能である。典型的に、5mg~20mgの試料を0.1mL~0.5mLの溶媒に1.5mL又は3.0mLガラスバイアル中で懸濁させることによってスラリーを調製した。懸濁液aを、目標温度(例えば、4℃、周囲温度、50℃)において200rpmで攪拌した。粉末X線回折(XRPD)分析用の固体を、14,000rpmで5分間、周囲温度において遠心分離することによって分離した。固体又はゲルが得られない場合、溶媒の蒸発のためにスラリーをドラフトへ移動させることが可能である。
【0088】
いくつかの実施形態では、貧溶媒添加を使用した。係る方法では、化合物の溶媒の濃縮ストックを用意する。そして、沈殿物を誘導するために、攪拌している間に貧溶媒を濃縮溶液に速やかに添加した。濾過又は遠心分離を使用して、XRPD分析のために固体を分離することが可能である。
【0089】
いくつかの実施形態では、逆貧溶媒添加を使用した。係る方法では、化合物の溶媒の濃縮ストックを用意して、沈殿物を誘導するために、攪拌しながら貧溶媒に対して速やかに添加する。濾過又は遠心分離を使用して、XRPD分析のために固体を分離することが可能である。
【0090】
いくつかの実施形態では、緩冷を使用した。係る方法では、化合物の溶媒の濃縮懸濁液を用意する。係る溶液を50℃まで加熱して、50℃で30分間以上保持した。生じた溶液又は懸濁液を、50℃において0.45μm(0.45 micron)のPTFEフィルターを使用して濾過して、濾過液を清潔なバイアルの中に収集した。得られた澄んだ溶液を、沈殿物を誘導するために、5℃まで冷却した。濾過又は遠心分離を使用して、XRPD分析のために固体を分離した。
【0091】
いくつかの実施形態では、急冷を使用した。係る方法では、化合物の溶媒の濃縮懸濁液を用意する。該懸濁液を、50℃まで加熱して、50℃で30分間以上保持した。加熱した溶液又は懸濁液を、50℃において0.45μm(0.45 micron)のPTFEフィルターを使用して濾過して、濾過液を清潔なバイアルの中に収集した。澄んだ溶液を、沈殿物を誘導するために、-20℃まで冷却した。濾過又は遠心分離を使用して、XRPD分析のために固体を分離した。
【0092】
いくつかの実施形態では、液体蒸気拡散を使用した。係る方法では、化合物の溶媒の濃縮懸濁液を用意する。係る濃縮ストックを、貧溶媒を含む、より大きいバイアル内に密封されている内部のバイアルに移す。濾過又は遠心分離を使用して、XRPD分析のために固体を分離した。
【0093】
いくつかの実施形態では、固体蒸気拡散を使用した。係る方法では、5-15mgの試料を小さい(例えば、3mL)バイアルの中に秤量した。該バイアルを、3~4mLの揮発性溶媒を含む、より大きいバイアル(例えば、20mL)の内部に配置した。外部のバイアルを、次いで、密封した。係るアセンブリを、周囲温度において7日間維持して、溶媒蒸気が固体と相互作用することを可能にし、得られた生成物をXRPDによって特性評価した。
【0094】
一意的な多形のHM30181メシル酸塩を、粉末X線回折(XRPD)、NMR、及び熱量測定を含む様々な技術によって特性評価した。これらを、以下のように行った。
XRPDを、Panalytical X’Pert3(登録商標)粉末XRPDを使用して、Siゼロバックグラウンドホルダー(zero-background holder)上で行った。2θ位置を、Panalytical(登録商標)640 標準Si粉末に対してキャリブレーションした。実験において使用されたXRPDの詳細を、下記のテーブル20において列挙する。
【0095】
【0096】
示差走査熱量測定(DSC)を、TA Instruments社製TA Q2000(登録商標)DSCを使用して行った。パンがクリンプした状態で、N2をパージガスとして使用して、温度を周囲温度から所望の温度まで10℃/分の加熱速度において上昇させた(テーブル21参照)。
【0097】
【0098】
いくつかの試験では、サイクルDSCメソッドを使用した。そうしたサイクルDSCメソッドでは、N2をパージガスとして使用して、温度を周囲から150℃まで10℃/分の加熱速度において上昇させて、次いで、10℃~25℃まで冷却した。係る温度サイクルを二度繰り返した(テーブル22参照)。
【0099】
【0100】
熱重量分析(TGA)を、TA Instruments社製TA Q500(登録商標)TGAを使用して行った。パンが開放した状態で、N2をパージガスとして使用して、温度を周囲温度から所望の温度まで10℃/分の加熱速度において上昇させた(テーブル23参照)。
【0101】
【0102】
動的水蒸気吸着(DVS)を、SMS(Surface Measurement Systems(登録商標))DVS Intrinsicを使用して測定した。DVS試験用のパラメータを、下記テーブル24において列挙する。
【0103】
【0104】
プロトンNMRを、重DMSO(DMSO-d6)においてVarian 200M(登録商標)NMRを使用して得た。
当業者にとって、既に説明されたものに加えてはるかに多くの修正が、本明細書の本発明の概念から逸脱することなく可能であることは、明白であるものである。本発明の主題は、それゆえに、添付の特許請求の範囲の精神を除いて、制限されない。さらにまた、本明細書と特許請求の範囲との両方の解釈において、全ての用語は、文脈に沿った最も広い可能な手法において理解されるものである。特に、用語「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」は、非排他的な手法において、要素、構成要素、又はステップを指すものとして解釈されるものであり、参照された要素、構成要素、又はステップが明確に参照されていない他の要素、構成要素、又はステップと共に存在し得るか、利用され得るか、又は組み合わされ得ることを示す。本明細書の特許請求の範囲が、A,B,C・・・及びNから成る群から選択される何かのうちの1つ以上を示す場合、その文書は、A+N又はB+N等でなく、群からのただ1つの要素を必要とするものとして解釈されるものである。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態のHM30181メシル酸塩を含む組成物であって、前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Bと、多形Cと、多形Dと、多形Eと、多形Fと、多形Gと、多形Hと、多形Iと、多形Jと、多形Kと、多形Lと、多形Mと、多形Nとのうちの1つ以上を含む、組成物。
【請求項2】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Bであり、前記結晶性の形態は、
図40に対応するX線回折パターンを有し、約159.92℃において吸熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、C型多形であり、前記結晶性の形態は、
図42に対応するX線回折パターンを有し、約159.6℃において吸熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、C型多形であり、前記結晶性の形態は、約6.4°と、約8.0°とにおいて2θの最大値を有するX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、C型多形であり、前記結晶性の形態は、約1.180nm
3(1180Å
3)の体積を有する単位格子を含み、aが約0.7nm(7Å)であり、bが約1.5nm(15Å)であり、cが約1.8nm(18Å)であり、αが約52°であり、βが約62であり、γが約90°である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記結晶性の形態は、HM30181メシル酸塩の一水和物を含む、請求項
3~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Dであり、前記結晶性の形態は、
図45に対応するX線回折パターンを有し、約66.97℃において吸熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Eであり、前記結晶性の形態は、
図47に対応するX線回折パターンを有し、約154.42℃において吸熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、DMAを含む、請求項
8に記載の組成物。
【請求項10】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、E型多形であり、前記結晶性の形態は、約4.2°と、約10.4°と、約10.7°と、約14.7°と、約16.8°と、約21°と、約23.8°と、約26.6°と、約27.7°とにおいて2θの最大値を有するX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、E型多形であり、前記結晶性の形態は、約1.620nm
3(1620Å
3)の体積を有する単位格子を含み、aが約0.8nm(8Å)であり、bが約1.0nm(10Å)であり、cが約2.4nm(24Å)であり、αが約75°であり、βが約80°であり、γが約110°である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Fであり、前記結晶性の形態は、
図50に対応するX線回折パターンを有し、約148.41℃において吸熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、DMFを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Gであり、前記結晶性の形態は、
図53に対応するX線回折パターンを有し、約69.02℃において吸熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Hであり、前記結晶性の形態は、
図55に対応するX線回折パターンを有し、約126.52℃において吸熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Iであり、前記結晶性の形態は、
図57に対応するX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Jであり、前記結晶性の形態は、
図58に対応するX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Kであり、前記結晶性の形態は、
図60に対応するX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Lであり、前記結晶性の形態は、
図61に対応するX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Mであり、前記結晶性の形態は、
図62に対応するX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、多形Nであり、前記結晶性の形態は、
図63に対応するX線回折パターンを有し、約159℃と約188℃とにおいて吸熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記結晶性の形態又は部分的に結晶性の形態は、メタノールを含む、請求項21に記載の組成物。
【国際調査報告】