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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】超高速ロータ
(51)【国際特許分類】
   B04B 7/08 20060101AFI20231109BHJP
   B04B 5/02 20060101ALI20231109BHJP
   B04B 9/14 20060101ALI20231109BHJP
   B04B 9/08 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
B04B7/08
B04B5/02 Z
B04B9/14
B04B9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527721
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 US2021056746
(87)【国際公開番号】W WO2022103577
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】63/112,018
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/256,014
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510016645
【氏名又は名称】ファイバーライト・セントリフュージ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ピラムーン,シナ
【テーマコード(参考)】
4D057
【Fターム(参考)】
4D057AA03
4D057AB01
4D057AC01
4D057AC05
4D057AD01
4D057AE11
4D057AF01
4D057BA21
4D057BA29
4D057BB12
(57)【要約】
遠心分離機で使用するためのロータ(10)は、ロータ本体(12)と、駆動ハブ(20)と、バランスリング(16、160)と、を含む。ロータ本体(12)は、その回転軸(24)に沿って延在する細長いボア(32)と、環状溝(42)を有する上面(26)と、を含む。駆動ハブ(20)は、細長いボア(32)内に装着され、細長いボア(32)の断面形状と相補的である断面形状を有する駆動部分(138)を含む。駆動ハブ(20)は、駆動部分(138)とロータ本体(12)の下部ボア開口(36)との係合を介して、ロータ本体(12)にトルクを印加する。バランスリング(16、160)は、環状溝(42)内に位置決めされ、また、その上面(90、170)に形成された複数のアパーチャ(78、163)を含む。アパーチャ(78、163)の各々は、アパーチャ(78、163)のうちの1つ以上にウェイト(80、164)を選択的に加えることによってロータ(10)のバランスをとることができるように、ウェイト(80、164)を受容するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心分離機で使用するためのロータであって、
ロータ本体であって、回転軸と、上面と、前記上面の反対側の下面と、前記上面と前記下面との間で前記回転軸に沿って延在する細長いボアと、を含み、前記ロータ本体の前記上面が、前記上面から前記ロータ本体の中へ延在する複数のキャビティを含み、前記複数のキャビティの各々が、試料容器を受容するように構成され、前記ロータ本体の前記下面が、前記細長いボアと連通し、かつ前記回転軸に対して横方向の第1の断面形状を有する下部ボア開口を含む、ロータ本体と、
駆動ハブであって、前記細長いボア内に装着され、駆動部分を含み、前記駆動部分は、前記駆動ハブの前記駆動部分が、前記駆動部分と、前記ロータ本体の前記下部ボア開口との係合を介して前記ロータ本体にトルクを印加するように、前記第1の断面形状と相補的である、前記回転軸に対して横方向の第2の断面形状を有する、駆動ハブと、を備えている、
ロータ。
【請求項2】
前記第1の断面形状及び前記第2の断面形状が各々、長方形である、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記ロータ本体が、前記細長いボアと連通する上部ボア開口を含み、前記細長いボアが、前記下部ボア開口と前記上部ボア開口との間で前記回転軸に対して横方向の断面において円筒形である、請求項1又は2に記載のロータ。
【請求項4】
中央壁部分と、前記中央壁部分から上向きかつ外向きに延在する円錐形壁部分と、環状壁部分であって、前記環状壁部分が前記中央壁部分から半径方向かつ軸方向にオフセットされるように、前記中央壁部分から離れて前記円錐形壁部分から半径方向外向きに延在する、環状壁部分と、を含む蓋を更に備えている、請求項1~3のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項5】
前記蓋の前記円錐形壁部分が、前記蓋が前記ロータに動作可能に結合されたときに、それぞれのキャビティ内に配置された各試料容器に係合するように構成されている、請求項4に記載のロータ。
【請求項6】
前記ロータ本体の前記上面が、上部窪みを画定し、前記蓋の前記中央壁部分及び前記円錐形壁部分が、前記上部窪みに受容される、請求項4又は5に記載のロータ。
【請求項7】
前記蓋が、前記蓋の前記中央壁部分から軸方向上向きに突出する蓋持ち上げハンドルを含む、請求項4~6のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項8】
前記蓋持ち上げハンドルが、円筒壁を含み、前記円筒壁が、前記蓋の前記中央壁部分から離れた前記円筒壁の自由端から半径方向外向きに突出するハンドルフランジを有する、請求項7に記載のロータ。
【請求項9】
前記駆動ハブが、前記駆動ハブの前記駆動部分から前記細長いボアを通って上向きに突出する円筒シャフトを含む、請求項8に記載のロータ。
【請求項10】
前記円筒シャフトの上部分が、大径及び小径を備えたねじ山を有するねじ山付き外面を含み、前記円筒シャフトが、前記小径を有し、かつ前記ねじ山付き外面の前記ねじ山を越えてある距離だけ延在する、突出端を含む、請求項9に記載のロータ。
【請求項11】
蓋ねじを更に備え、前記蓋ねじが、ねじ山付き内面を有する下部ボアと、前記蓋ねじの下端から半径方向外向きに延在する蓋ねじフランジと、を含み、
前記駆動ハブの前記ねじ山付き外面が、前記蓋ねじの前記下部ボアの前記ねじ山付き内面と螺合するように構成され、
前記蓋ねじフランジが、前記蓋ねじ及び前記駆動ハブの螺合に応答して、前記蓋を付勢して前記ロータ本体と接触させるように構成された下面を有する、請求項10に記載のロータ。
【請求項12】
前記蓋持ち上げハンドルの前記円筒壁が、前記蓋ねじフランジを受容し、前記蓋持ち上げハンドルと同心状に前記蓋ねじを位置決めするように構成されている、請求項11に記載のロータ。
【請求項13】
前記蓋ねじフランジの前記下面が、環状溝を含み、前記蓋ねじと前記駆動ハブとの螺合に応答して前記蓋の前記中央壁部分の上面に圧接される、前記環状溝内に位置決めされた弾性部材を更に備えている、請求項11又は12に記載のロータ。
【請求項14】
前記下部ボア開口が、1つ以上の側壁を含み、前記駆動ハブの前記駆動部分が、各々が前記下部ボア開口のそれぞれの側壁に係合する1つ以上の表面を有し、前記ロータ本体への前記トルクの印加が、前記1つ以上の表面が前記それぞれの側壁に係合することによるものである、請求項1~13のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項15】
遠心分離機で使用するためのロータであって、
回転軸、及び第1の環状溝を有する上面を含むロータ本体と、
前記第1の環状溝に位置決めされたバランスリングであって、上面と、前記バランスリングの前記上面に形成された複数のアパーチャと、を含み、各アパーチャが、ウェイトを選択的に受容するように構成されている、バランスリングと、を備えている、ロータ。
【請求項16】
前記ロータ本体が、前記ロータ本体の前記上面の反対側の下面と、前記ロータ本体の前記上面と前記下面との間で前記回転軸に沿って延在する細長いボアと、を含み、
前記細長いボア内に装着され、かつ前記細長いボアを通って上向きに突出する円筒シャフトを含む、駆動ハブであって、前記円筒シャフトが、ねじ山付き外面を有する上部分を含む、駆動ハブと、
蓋ねじであって、前記駆動ハブの前記ねじ山付き外面と螺合するように構成されたねじ山付き内面を有する下部ボア、及び前記蓋ねじの下端から半径方向外向きに延在する蓋ねじフランジを含む、蓋ねじと、
半径方向外向きに延在する壁部分を含む蓋であって、前記壁部分が、第2の環状溝を有する下面を含む、蓋と、
前記蓋ねじと前記駆動ハブとの螺合に応答して、前記バランスリングの前記上面に圧接される、前記第2の環状溝内に位置決めされた弾性部材と、を更に備えている、請求項15に記載のロータ。
【請求項17】
前記ねじ山付き外面が、大径及び小径を有するねじ山を含み、前記円筒シャフトが、前記小径を有し、かつ前記ねじ山付き外面の前記ねじ山を越えてある距離だけ延在する、突出端を含む、請求項16に記載のロータ。
【請求項18】
前記第1の環状溝が、肩部を含み、前記バランスリングが、前記肩部に係合するように半径方向内向きに突出するバランスリングフランジを含む、請求項15~17のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項19】
前記ロータ本体が、円周方向側壁を含み、
前記円周方向側壁の周りに延在する補強材を更に備えている、請求項15~18のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項20】
前記補強材が、前記ロータ本体の前記円周方向側壁の周り及び上方に延在して、前記第1の環状溝を備えたチャネルを画定し、前記バランスリングが、前記チャネル内に位置決めされている、請求項19に記載のロータ。
【請求項21】
前記円周方向側壁が、円周方向の窪みを含み、前記補強材が、前記円周方向の窪みに適合する、請求項19又は20に記載のロータ。
【請求項22】
前記バランスリングが、接着剤、焼きばめ、又は前記接着剤及び前記焼きばめの両方によって、前記第1の環状溝に動作可能に結合されている、請求項15~21のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項23】
各アパーチャが、各角度をなして隣接したアパーチャから同じ角距離だけ離間されている、請求項15~22のいずれか一項載のロータ。
【請求項24】
前記複数のアパーチャが、第1の角距離によって分離された2つ以上のアパーチャを各々が含む複数のアパーチャ群に配設され、各アパーチャ群が、前記第1の角距離と異なる第2の角距離によって各隣接するアパーチャ群から分離されている、請求項15~22のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項25】
前記バランスリングが、前記バランスリングの前記上面に複数のマーカを更に含み、各マーカが、2つのアパーチャ群の間に位置決めされている、請求項24に記載のロータ。
【請求項26】
前記ロータ本体が、前記ロータ本体の前記上面から前記ロータ本体の中へ延在する複数のキャビティを更に含み、前記複数のキャビティの各々が、試料容器を受容するように構成され、各マーカが、それぞれのキャビティと半径方向に整列されている、請求項25に記載のロータ。
【請求項27】
前記アパーチャのうちの少なくとも1つによって受容される少なくとも1つのウェイトを更に備えている、請求項15~26のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項28】
前記少なくとも1つのウェイトが、ねじ山付き外面を含むねじであり、前記アパーチャの各々が、前記ねじと螺合するように構成されたねじ山付き内面を含む、請求項27に記載のロータ。
【請求項29】
前記ねじが、頭部と、第1の長さと、を有し、前記少なくとも1つのアパーチャが、前記第1の長さよりも長い第2の長さを有し、前記ねじの前記頭部が、前記バランスリングの前記上面より下にある、請求項28に記載のロータ。
【請求項30】
前記複数のアパーチャの各アパーチャが、前記回転軸から同じ半径方向距離である、請求項15~29のいずれか一項に記載のロータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年11月10日に出願された同時係属の米国仮特許出願第63/112,018号、及び2021年10月15日に出願された同時係属の米国仮特許出願第63/256,014号の出願利益を主張するものであり、これらの仮特許出願の開示は各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は、概して、遠心分離機ロータに関するものであり、より具体的には、超遠心分離用のロータに関するものである。
【背景技術】
【0003】
エクソソームは、核酸、脂質、又はタンパク質を1つの細胞から別の細胞に運搬することができる、細胞由来の小胞である。エクソソームは、細胞間の情報伝達において重要な役割を果たし、人体が適切に機能するのになくてはならないものである。エクソソームは、ヒトの標準的な生理学におけるそれらの役割に加えて、特定の疾患とも関係がある。細胞間情報伝達物質としてのそれらの役割、及び疾患の診断及び治療の両方におけるそれらの潜在能力のため、エクソソームの研究に関する関心が高まっている。例えば、エクソソームは、生理学的条件及び病理学的条件下で異なる分泌成分を有するので、治療標的、薬物又は遺伝子送達ベクタ、及び癌マーカとして研究されている。
【0004】
エクソソームは、大部分の細胞タイプから分泌される細胞外小胞の1つのタイプであり、典型的には、30nm~140nmの直径を有する。エクソソームは、通常、50~500nmの直径を有するアポトーシス小体などの他のタイプの細胞外小胞及び30~100nmの直径を有するエクトソームとともに分泌される。エクソソームは、遠心分離を使用してこれらの他のタイプの細胞外小胞から分離され得る。しかしながら、これらの追加的な細胞外小胞は、しばしば、エクソソームと同様の物理的特性(例えば、同様のサイズ及び密度)を有するので、生物学的懸濁液中に共通して見出される他の細胞分泌からエクソソームを単離させるには、極めて高い重力加速度が必要であり得る。
【0005】
遠心分離機によって発生させることができる重力加速度の量は、ロータの物理的特性に少なくとも部分的に依存する。従来の遠心分離機では問題とならない不均一な質量分布又は微細な構造欠陥は、エクソソームを効率的に分離するために所望される回転速度において振動又は故障を生じさせ得る。
【0006】
したがって、エクソソーム及び同様の物理的特性を有する他の材料を分離するための超遠心分離用途で使用することができる、改善されたロータに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、超高速遠心分離で使用するためのこれまでに知られている遠心分離機ロータの前述及び他の短所及び欠点を克服する。本発明は、特定の実施形態に関連付けて考察されるが、本発明は、これらの実施形態に限定されないことが理解されるであろう。
【0008】
本発明の一実施形態では、遠心分離機で使用するためのロータが提供される。ロータは、回転軸と、上面と、上面の反対側の下面と、上面と下面との間で回転軸に沿って延在する細長いボアと、を有する、ロータ本体を含む。ロータ本体の上面は、上面からロータ本体の中へ延在する複数のキャビティを含み、複数のキャビティの各々は、試料容器を受容するように構成されている。ロータ本体の下面は、細長いボアと連通し、かつ回転軸に対して横方向の第1の断面形状を有する、下部ボア開口を含む。ロータは、駆動ハブであって、細長いボア内に装着され、かつ第1の断面形状と相補的である、回転軸に対して横方向の第2の断面形状を備えた駆動部分を有し、よって、駆動ハブの駆動部分が、駆動部分とロータ本体の下部ボア開口との係合を介してロータ本体にトルクを印加する、駆動ハブを更に含む。
【0009】
本発明の態様では、第1の断面形状及び第2の断面形状の各々は、長方形であり得る。
【0010】
本発明の別の態様では、ロータ本体は、細長いボアと連通する上部ボア開口を含み得、細長いボアは、下部ボア開口と上部ボア開口との間で回転軸に対して横方向の断面において円筒形であり得る。
【0011】
本発明の別の態様では、ロータは、中央壁部分を有する蓋と、中央壁部分から上向きかつ外向きに延在する円錐形壁部分と、環状壁部分であって、環状壁部分が中央壁部分から半径方向かつ軸方向にオフセットされるように、中央壁部分から離れて円錐形壁部分から半径方向外向きに延在する、環状壁部分と、を更に含み得る。
【0012】
本発明の別の態様では、蓋の円錐形壁部分は、蓋がロータに動作可能に結合されたときに、それぞれのキャビティ内に配置された各試料容器に係合するように構成され得る。
【0013】
本発明の別の態様では、ロータ本体の上面は、上部窪みを画定し得、蓋の中央壁部分及び円錐形壁部分は、上部窪みに受容され得る。
【0014】
本発明の別の態様では、蓋は、蓋の中央壁部分から軸方向上向きに突出する蓋持ち上げハンドルを含み得る。
【0015】
本発明の別の態様では、蓋持ち上げハンドルは、円筒壁と、蓋の中央壁部分から離れた円筒壁の自由端から半径方向外向きに突出するハンドルフランジと、を含み得る。
【0016】
本発明の別の態様では、駆動ハブは、駆動ハブの駆動部分から細長いボアを通って上向きに突出する円筒シャフトを含み得る。
【0017】
本発明の別の態様では、円筒シャフトの上部分は、ねじ山付き外面を含み得る。
【0018】
本発明の別の態様では、ロータは、ねじ山付き内面を備えた下部ボアを有する蓋ねじと、蓋ねじの下端から半径方向外向きに延在する蓋ねじフランジと、を更に含み得る。駆動ハブのねじ山付き外面は、蓋ねじの下部ボアのねじ山付き内面と螺合するように構成され得、蓋ねじフランジは、蓋ねじ及び駆動ハブの螺合に応答して、蓋を付勢してロータ本体と接触させるように構成された下面を有し得る。
【0019】
本発明の別の態様では、蓋持ち上げハンドルの円筒壁は、蓋ねじフランジを受容し、蓋持ち上げハンドルと同心状に蓋ねじを位置決めするように構成され得る。
【0020】
本発明の別の態様では、蓋ねじフランジの下面は、環状溝を含み得、ロータは、蓋ねじと駆動ハブとの螺合に応答して蓋の中央壁部分の上面に圧接される、環状溝内に位置決めされた弾性部材を更に含み得る。
【0021】
本発明の別の態様では、下部ボア開口は、1つ以上の側壁を含み得、駆動ハブの駆動部分は、各々が下部ボア開口のそれぞれの側壁に係合する1つ以上の表面を有し得、ロータ本体へのトルクの印加は、1つ以上の表面がそれぞれの側壁に係合することによるものであり得る。
【0022】
本発明の別の実施形態では、遠心分離機で使用するための別のロータが提供される。ロータは、回転軸、及び第1の環状溝を備えた上面を有するロータ本体と、第1の環状溝に位置決めされたバランスリングと、を含む。バランスリングは、上面と、上面に形成された複数のアパーチャと、を含む。バランスリングの上面の各アパーチャは、ウェイトを選択的に受容するように構成されている。
【0023】
本発明の別の態様では、ロータ本体は、その上面の反対側の下面と、ロータ本体の上面と下面との間で回転軸に沿って延在する細長いボアと、を含み得、ロータは、細長いボア内に装着され、かつ細長いボアを通って上向きに突出する円筒シャフトを有する駆動ハブを更に含み得る。円筒シャフトは、ねじ山付き外面を有する上部分を含み得る。ロータは、駆動ハブのねじ山付き外面と螺合するように構成されたねじ山付き内面を備えた下部ボアを有する蓋ねじと、蓋ねじの下端から半径方向外向きに延在する蓋ねじフランジと、半径方向外向きに延在する壁部分を含み、かつ第2の環状溝を有する下面を含む蓋と、蓋ねじと駆動ハブとの螺合に応答して、バランスリングの上面に圧接される、第2の環状溝内に位置決めされた弾性部材と、を更に含み得る。
【0024】
本発明の別の態様では、ねじ山付き外面は、大径及び小径を有するねじ山を含み得、円筒シャフトは、小径を有し、かつねじ山付き外面のねじ山を越えてある距離だけ延在する突出端を含み得る。
【0025】
本発明の別の態様では、第1の環状溝は肩部を含み得、バランスリングが、半径方向内向きに突出して肩部に係合するバランスリングフランジを含み得る。
【0026】
本発明の別の態様では、ロータ本体は、円周方向側壁を含み得、ロータは、円周方向側壁の周りに延在する補強材を更に含み得る。
【0027】
本発明の別の態様では、補強材は、ロータ本体の円周方向側壁の周り及び上方に延在して、第1の環状溝を備えたチャネルを画定し得、バランスリングは、チャネル内に位置決めされ得る。
【0028】
本発明の別の態様では、円周方向側壁は、円周方向の窪みを含み得、補強材は、円周方向の窪みに適合し得る。
【0029】
本発明の別の態様では、バランスリングは、接着剤、焼きばめ、又は接着剤及び焼きばめの両方によって、第1の環状溝に動作可能に結合され得る。
【0030】
本発明の別の態様では、各アパーチャは、各角度をなして隣接したアパーチャから同じ角距離だけ離間され得る。
【0031】
本発明の別の態様では、複数のアパーチャは、第1の角距離によって分離された2つ以上のアパーチャを各々が含む複数のアパーチャ群に配設され得、各アパーチャ群は、第1の角距離と異なる第2の角距離によって各隣接するアパーチャ群から分離され得る。
【0032】
本発明の別の態様では、バランスリングは、その上面に複数のマーカを更に含み得、各マーカは、2つのアパーチャ群の間に位置決めされ得る。
【0033】
本発明の別の態様では、ロータ本体は、その上面からロータ本体の中へ延在する複数キャビティを更に含み得、複数のキャビティの各々は、試料容器を受容するように構成され得、各マーカは、それぞれのキャビティと半径方向に整列され得る。
【0034】
本発明の別の態様では、ロータは、アパーチャのうちの少なくとも1つによって受容される少なくとも1つのウェイトを更に含み得る。
【0035】
本発明の別の態様では、少なくとも1つのウェイトは、ねじ山付き外面を含むねじであり得、アパーチャの各々が、ねじと螺合するように構成されたねじ山付き内面を含み得る。
【0036】
本発明の別の態様では、ねじは、頭部と、第1の長さと、を有し得、少なくとも1つのアパーチャは、第1の長さよりも長い第2の長さを有し得、ねじの頭部は、バランスリングの上面より下にあり得る。
【0037】
本発明の別の態様では、複数のアパーチャの各アパーチャは、回転軸から同じ半径方向距離であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本明細書に組み込まれ、かつ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示しており、上記の本発明の概略的な説明及び下記の詳細な説明とともに、本発明を説明する役割を果たす。
図1】本発明の例示的な実施形態によるロータの斜視図である。
図2】ロータのロータ本体、バランスリング、駆動ハブ、及び蓋を示す、図1のロータの分解斜視図である。
図2A図2の蓋の追加的な詳細を示す斜視図である。
図2B図2のロータ本体の追加的な詳細を示す上面斜視図である。
図2C図2のロータ本体及び駆動ハブの追加的な詳細を示す底面斜視図である。
図3図1のロータの断面図である。
図3A】蓋、バランスリング、及びロータ本体の追加的な詳細を示す、図3のロータの一部分の分解断面図である。
図4】蓋を取り外した、図1のロータの上面図である。
図5】蓋を取り外した、図1のロータの上面図である。
図6】本発明の代替実施形態によるバランスリングを示す、蓋を取り外した、図1のロータの上面図である。
図6A図6のバランスリングの断面図である。
図7】ウェイトがアパーチャ内に設置されたバランスリングを示す、蓋を取り外した、図6のロータの上面図である。
図7A】アパーチャに設置されたウェイトを示す、図7のバランスリングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の実施形態は、超遠心分離の使用に適したロータを目的とする。
【0040】
超遠心分離は、粒子のサイズ、密度、及び形状によって影響を及ぼされ得る粒子の沈降速度の違いを用いて、液体中に懸濁した試料成分を分離する。遠心力は、試料成分の物理的特性に従って試料成分を順次分離するために段階的に印加され得る。沈降速度は、粒子のサイズに少なくとも部分的に依存するので、より小さい粒子は、一連の順次増加する遠心分離速度を使用して、より大きい粒子から単離され得る。一例として、細胞、細胞片、及び他の大きい粒子を懸濁液の試料から取り出すには、相対的に低い重力加速度(例えば、300~1,000×g)が印加され得る。次いで、残留する上澄みを吸引して、より高い重力加速度で後続の遠心分離ラウンドを受けさせ得、各ラウンドで、より小さい粒子を漸進的に分離する。所望の材料のペレットを得るには、高い重力加速度(例えば、最高1,000,000×g)を生成する超遠心分離が、遠心分離のより後期のラウンドで使用され得る。また、試料成分を単離又は精製するには、超遠心分離を使用した密度勾配分離も使用され得る。
【0041】
本発明の実施形態は、従来のロータと比較して、それらのそれぞれの回転軸に関する質量分布の均一性の向上、強度の向上、及び全質量の低減を提供するロータを含む。これらのロータによって可能になる低い振動レベル及び高い重力加速度(例えば、50,000~60,000rpmで200,000×g)は、細胞、エクソソーム、ミトコンドリア、及び他の細胞小器官などの、生物学的流体中に懸濁された材料のための改善された単離及び精製プロセスを可能にし得る。
【0042】
図1図5は、本発明の例示的な実施形態によるロータ10を表す。図2によって最も良く示されるように、ロータ10は、ロータ本体12と、補強材14と、バランスリング16と、蓋18と、駆動ハブ20と、蓋ねじ22と、を含む。ロータ10は、回転軸24を有し、遠心分離機で使用されるときにロータ10がそれを中心に回転するように構成されており、また、ロータ10の構成要素がそれを中心に同心状に配設されている。
【0043】
図2B及び図3によって最も良く示されるように、ロータ本体12は、炭素繊維複合材又は他の好適な軽量かつ剛性の材料から作製され得、また、上面26と、下面28と、円周方向側壁30と、上面26及び下面28を通過する細長いボア32と、を含む。細長いボア32は、回転軸24と軸方向に整列され得、また、ロータ本体12の上面26の上部窪み34及び下面28の下部ボア開口36と交差する。以下でより詳細に説明するように、下部ボア開口36は、駆動ハブ20に対するロータ本体12の回転を防止するために、駆動ハブ20にキー留めされた水平断面形状を有し得る。
【0044】
ロータ本体12の上面26は、環状面38、環状面38に対して軸方向下方へ凹設された中央面40と、環状溝42と、を含み得る。環状溝42は、環状面38の外周44及び円周方向側壁30の上縁46を画定し得る。環状溝42は、重なり合って肩部52を画定する上部ラベット48及び下部ラベット50によって画定され得る。中央面40は、接続面54によって環状面38に接続され得る。接続面54は、中央面40の外周から環状面38の内周まで軸方向上向きに、かつ半径方向外向きに延在し得る。接続面54は、それが軸方向上向きに、かつ半径方向内向きに面するように配向され得、下部分56と、上部分58と、を含み得る。接続面54の上部分58は、接続面54に垂直な方向に、下部分56の上方に高くされ得る。
【0045】
ロータ本体12は、接続面54の下部分56からロータ本体12の中へ軸方向下方に、かつ半径方向外向きに各々が延在する、複数のキャビティ60を更に含み得る。各キャビティ60は、接続面54に対して垂直な中心軸を有し得、また、試料容器62を受容するのに好適にサイズ決定及び成形され得る。各キャビティ60は、そのそれぞれの試料容器62を、遠心分離に適した位置及び配向で、回転軸24に対して、例えば、45度の角度で保持するように構成され得る。各試料容器62は、ある量の試料懸濁液(例えば、1.5mL)を保持するように構成され得、また、閉位置に押圧されたときに試料容器62を密封するキャップ64を含み得る。キャップ64は、試料容器62の開口を容易にするように構成されたタブ66を含み得る。キャビティ60、試料容器62、及びキャップ64は、試料容器62がそのそれぞれのキャビティ60に完全に挿入されたときに、タブ66が接続面54の上部分58によって支持されるように構成され得る。有利には、接続面54の上部分58は、遠心分離によって発生する高い重力加速度がキャップ64の偏向を生じさせることを防止し得、この偏向は、潜在的に、キャップ64と試料容器62の本体との間のシールを破断し得るか、又は試料容器62を損傷し得る。
【0046】
図3によって最も良く示されるように、補強材14は、ロータ本体12の円周方向側壁30の周囲かつ上方に延在する1つ以上のヘリカル巻線を含み得る。補強材14の内面68は、ロータ本体12の環状溝42と協働的に動作して、バランスリング16が位置決めされるチャネル70を画定し得る。補強材14は、フィラメントワインディングプロセス、それに続く、エポキシコーティングされた炭素繊維などの好適な材料を使用する、圧縮成型プロセスによって形成され得る。例えば、補強材14は、樹脂コーティングされた炭素繊維積層材料の層を配置した後に、又は炭素繊維の1つ以上のストランドを円周方向側壁30の外側に面する表面に巻き付けた後に、ロータ本体12及びバランスリング16上へ圧縮成形され得る。
【0047】
補強材14が軸方向に移動するのを防止するために、円周方向側壁30は、円周方向側壁30に円周方向の窪み72を画定する内向きテーパ部を含み得る。補強材14の内面68は、補強材14がロータ本体12に対する軸方向運動に抵抗するように、円周方向の窪み72に適合し得る。補強材14は、ロータ10にかけられる遠心力の大部分に耐えるように構成され得る。フィラメントワインディングプロセスを使用して遠心ロータの補強材を形成する方法は、2012年12月4日に発行された米国特許第8,323,169号によって詳細に説明されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0048】
図3Aによって最も良く示されるように、バランスリング16は、長方形断面を有する本体74と、フランジ76と、を含み得る。フランジ76は、バランスリング16の本体の上側部分74から半径方向内向きに突出し得、ロータ本体12の肩部52に係合するように構成され得る。バランスリング16は、環状溝42上に配置する前に加熱して膨張させ、焼きばめによって適所で冷却してロータ本体12に保持されるようにすることが可能であり得る。バランスリング16は、補強材14がバランスリング16を適所で保持するように、補強材14を形成する前にロータ本体12の環状溝42に配置され得る。また、バランスリング16を環状溝42の表面に動作可能に結合するために、接着剤も使用され得る。接着剤は、単独で、又は焼ばねと組み合わせて使用され得る。
【0049】
バランスリング16は、各々がウェイト80を受容するように構成された複数のアパーチャ78を含み得る。ロータ10のバランスをとるために、1つ以上のウェイト80が、バランスリング16のアパーチャ78のうちの1つ以上に選択的に位置決めされ得る。本発明の一実施形態では、各ウェイト80は、ねじ山付きシャフト82と、頭部84と、を含み得る。各アパーチャ78は、ウェイト80のねじ山付きシャフト82を受容するように構成されたねじ山付きボア86と、ウェイト80の頭部84を受容するように構成されたレセプタクル88(例えば、皿穴、座ぐりなど)と、を含み得る。それにより、レセプタクル88は、ウェイト80がアパーチャ78の中へ完全に挿入されたときに、ウェイト80の頂部が、バランスリング16の上面90と面一に、又はその下に凹設することを可能にし得る。
【0050】
図4及び図5によって最も良く示されるように、バランスリング16は、バランスリング16のアパーチャ78がキャビティに対して対称に位置決めされるように、回転軸24を中心としてロータ本体12に対して角度をなして位置決めされ得る。この対称性の結果として、ロータ本体12のそれぞれのキャビティ60に最も近い2つのアパーチャ78の各々が、回転軸24から半径方向外向きに延在し、キャビティ60の中心軸を通過する線から両側に等間隔になる。バランスリング16のこの角度的な位置決めは、ロータ本体12の各キャビティ60が、キャビティ60に最も近いバランスリング16の2つのアパーチャ78の間に角度をなしてセンタリングされ、ロータ本体12のキャビティ60とバランスリング16のアパーチャ78との間の位置対称性を確実にするような配向を有するリングを提供し得る。
【0051】
図2Aによって最も良く示されるように、ロータ10の蓋18は、環状壁部分92と、中央壁部分93と、円錐形壁部分94と、を含み得、また、炭素繊維複合材、アルミニウム、又は任意の他の好適な剛性低質量材料で作製され得る。蓋18の円錐形壁部分94は、環状壁部分92の内縁95を中央壁部分93の外縁96に接続し得る。円錐形壁部分94は、環状壁部分92が中央壁部分93から軸方向にオフセットされ、かつそれに平行になるように、蓋18の環状壁部分92及び中央壁部分93の各々に鈍角で接合され得る。結果として生じる蓋18の形状は、ロータ本体12の上面26の形状に略適合し得る。
【0052】
図3Aを再度参照し、図2Aを引き続き参照すると、蓋18の環状壁部分92は、弾性部材102、例えば、Oリングを受容するように構成された環状溝100を有する下面98を含み得る。弾性部材102は、任意の好適な材料(例えば、シリコーン)で作製され得、蓋18がロータ10に動作可能に結合されるときに、バランスリング16の上面90に係合するように構成され得る。
【0053】
蓋18の中央壁部分93は、上面104と、中央ボア106と、上面104から軸方向上向きに突出する蓋持ち上げハンドル108と、を含み得る。中央ボア106は、ボアが駆動ハブ20によって軸方向に整列されるように、ロータ本体12の細長いボア32と同じ直径を有し得る。蓋持ち上げハンドル108は、内面110を有する円筒壁109と、フランジ112と、を含み得る。円筒壁109は、その下端で蓋18に接合され得る。フランジ112は、蓋18の中央壁部分93から離れた円筒壁109の自由端において、蓋持ち上げハンドル108の上部分から半径方向外向きに突出して、ロータ10を把持するための把持部を提供し得る。この把持部は、この特徴のないロータと比較して、遠心分離機へのロータ10の設置及びロータ10からの取り外しのエルゴノミクスを向上させ得る。円筒壁109の内面110は、上面104に近接又は隣接するネック114を含み得る。ネック114は、内面110の主要部分の直径dよりも小さい直径dを有し得る。内面110の主要部分は、ベベル116によってネック114に接合され得る。
【0054】
図2Cによって最も良く示されるように、駆動ハブ20は、シャフト120と、シャフト120の底部分から半径方向外向きに突出するフランジ122と、シャフト120の底端部の中へ軸方向に延在する中心ボア124と、を含み得る。駆動ハブ20の中心ボア124は、ロータ10の回転軸24と軸方向に整列され得、底面130を含み得、また、遠心分離機のスピンドル(図示せず)を受容するように構成され得る。シャフト120の上部分126は、蓋ねじ22を受容するように構成され得る。この目的のために、シャフト120の上部分126は、蓋ねじ22と螺合するように構成されたねじ山付き外面128を含み得る。
【0055】
ねじ山付き外面128に隣接し、かつその下にあるシャフト120の一部分は、ねじ山の逃げを提供するために、小さい半径(例えば、アンダーカット)を有し得る。このねじ山の逃げは、蓋ねじ22が駆動ハブ20と螺合されるときに、シャフト120からの干渉なしに、蓋ねじ22のフランジ146の下面148が蓋18の中央壁部分93の上面104に係合することを確実にし得る。シャフト120の上部分126は、その頂部に突出端129を含み得る。突出端129は、ねじ山付き外面128の小径とほぼ同じ直径を有し得、ねじ山付き外面128のねじ山を越えて1.5~2.5のねじ山幅の距離だけ延在し得る。駆動ハブ20は、例えば、コンピュータ数値制御(computer numerical control、CNC)機械加工を使用して、又は任意の他の好適なプロセスを使用して、金属の固体ビレットから製造され得る。
【0056】
図3を再度参照し、図2Cを引き続き参照すると、駆動ハブ20がスピンドルに対して回転するのを防止するために、1つ以上の駆動ピン132が、中心ボア124の底面130から軸方向下方に延在し得る。各駆動ピン132は、遠心分離機のスピンドルのそれぞれのレセプタクルに係合するように構成され得る。各駆動ピン132は、中心ボア124の底面130の中へ軸方向に延在するそれぞれのボア136の中へ挿入されたロッド134を備え得る。各ボア136は、中心ボア124の中心軸から半径方向にオフセットされ得る。このオフセットは、駆動ピン132がない限りスピンドルと駆動ハブ20との間に滑りを生じさせるのに十分となるトルクをスピンドルがロータ10に印加することに応答して、駆動ピン132に剪断力を受けさせ得る。
【0057】
ハブ20の駆動部分138は、フランジ122から軸方向上向きに、かつシャフト120から半径方向外向きに延在し得る。ハブ20の駆動部分138は、ロータ本体12の下部ボア開口36の水平断面形状にキー留めされた、又は別様にそれと相補的である、水平断面形状を有し得る。駆動部分138を下部ボア開口36にキー留めすることで、角加速度の下で、ロータ本体12の角度位置が駆動ハブ20に対してシフトするのを防止し得る。この目的のために、駆動部分138の断面形状は、下部ボア開口36の断面形状と同じであり得るか、下部ボア開口36内に収まって、下部ボア開口36の側壁の対応する表面141に係合する1つ以上の表面139を有する異なる形状であり得るか、又は別様に、下部ボア開口36の断面形状にキー留めされる異なる形状であり得る。
【0058】
例えば、駆動部分138の断面形状は、下部ボア開口36の形状と同数の表面139、又はより多くの表面139を有する多角形(例えば、正方形)であり得る。一例として、正方形の水平断面を有する下部ボア開口36の場合、駆動部分138は、正方形形状、八角形形状、又は下部ボア開口36の表面141と相補的な1つ以上の表面139を有する他の断面形状を有し得る。下部ボア開口36はまた、表面141の頂点が別様に駆動ハブ20の駆動部分138の下部ボア開口36への挿入を容易にするように位置決めされた、1つ以上の軸方向に整列したチャネル143を含み得る。
【0059】
図3によって最も良く示されるように、蓋ねじ22は、任意の好適な材料(例えば、アルミニウム)から作製され得、また、円筒体を備え得、その円筒体は、外面140と、上部ボア142と、下部ボア144と、円筒体の下端から半径方向外向きに突出するフランジ146と、を有する。フランジ146は、ネック114の直径dと同じ、又はそれよりも僅かに小さい外径を有し得る。ベベル116は、フランジ146が蓋持ち上げハンドル108に挿入され、蓋ねじ22が駆動ハブ20にねじ込まれるように、フランジ146をネック114の中へ誘導し得る。それにより、ネック114及びベベル116は、フランジ146と協働的に動作して、蓋ねじ22を蓋18及び駆動ハブ20と同心状に位置決めし得、それにより、蓋ねじ22と駆動ハブ20との係合中に、蓋18をロータ10の回転軸24と整列させる。蓋18とロータ10の回転軸24との間の最終的な整列は、駆動ハブ20のシャフト120と蓋18の中央ボア106との係合によって画定され得る。
【0060】
フランジ146は、下面148を含み得、下面148は、弾性部材152を受容するように構成された環状溝150を有し得る。弾性部材152は、シリコーンなどの好適な材料で作製されたOリング又は他のタイプのガスケットであり得る。弾性部材152は、駆動ハブ20に対する蓋ねじ22の締め付けに応答して、蓋18の中央壁部分93の上面104に圧接され得る。それにより、弾性部材152は、蓋18を付勢してロータ10と動作可能に係合させ得る。
【0061】
蓋ねじ22は、上部ボア142の両側に半径方向に整列した孔156の1つ以上の対を更に含み得る。半径方向に整列した孔156は、蓋ねじ22にトルクを印加するためのロッド又は他の工具を受容するように構成され得る。それにより、半径方向に整列した孔156は、蓋ねじ22を駆動ハブ20に締め付けること、及び蓋ねじ22を駆動ハブ20から緩めることを容易にし得る。
【0062】
蓋ねじ22の下部ボア144は、駆動ハブ20のねじ山付き外面128と螺合するように構成されたねじ山付き内面158を含み得る。シャフト120の突出端129は、シャフト120のねじ山付き外面128と下部ボア144のねじ山付き内面158との間のクリーンな係合の開始を提供することによって、駆動ハブ20と蓋ねじ22との間のこのねじ係合を容易にし得る。蓋ねじ22を駆動ハブ20と螺合させることで、蓋18をロータ本体12の上面26の少なくとも一部分に対して付勢し得る。蓋ねじ22はまた、蓋18を試料容器62のキャップ64に対して付勢し得、それにより、キャップ64を試料容器62上に完全に着座させたままにする。このようにして、蓋18はまた、各キャップ64の表面に僅かな力を印加することによって、試料容器62をそれらのそれぞれのキャビティ60内の完全に着座した位置に保持し得る。
【0063】
図6及び図7は、蓋18のないロータ10の上面図を表し、図6A及び図7Aは、本発明の代替実施形態によるバランスリング160の断面図を表す。バランスリング160は、長方形断面を有する本体161と、フランジ162と、各々がウェイト164を受容するように構成された複数のアパーチャ163と、を含み得る。各ウェイト164は、ねじ山付きシャフト166と、工具、例えば、六角キーを受容するように構成された頭部167と、を含み得る。各アパーチャ163は、ウェイト164を受容するように構成されたねじ山付きボア168を含み得る。ねじ山付きボア168は、ウェイト164の長さよりも長い長さを有し得、それにより、時計回り方向又は反時計回り方向のうちの1つにウェイト164を回転させることによって、ねじ山付きボア168内のウェイト164の位置を選択的に調節することを可能にする。バランスリング160の上面170に対する各ウェイト164の位置を軸方向に調節するこの能力は、ロータ10の動的バランスを達成するのを容易にし得る。ウェイト164の頭部167は、頭部167をバランスリング160の上面170より下に位置決めすることができるように構成され得る。これは、ウェイト164をねじ山付きボア168内のどこかに位置決めすることを可能にし得る。ウェイト164は、例えば、316ステンレス鋼などの好適な材料から作製された止めねじを備え得る。異なる質量を有するウェイト164を提供するために、異なる長さの止めねじが使用され得る。一例として、M4×0.7サイズのメトリックSST-316の止めねじには様々な長さがあり、バランスをとるための優れたマップを提供する。
【0064】
アパーチャ163は、ロータ10の回転軸24から固定半径方向距離に位置し得、また、アパーチャ群172に配設され得る。一例として、バランスリング160は、12個のアパーチャ群172に配設された36個のアパーチャ163を含み得、各アパーチャ群172が3つのアパーチャ163を有する。各アパーチャ163は、同じアパーチャ群172内で角度をなして隣接したアパーチャ163から固定角距離θ(例えば、7.5度)であり得る。各アパーチャ群172は、角度をなして隣接したアパーチャ群172から固定角距離θ(例えば、15度)であり得る。各アパーチャ群172は、複数(例えば、3つ)のバランスをとる場所を提供し得、また、2つの隣接したキャビティ60の間に位置し得る。マーカ174は、各アパーチャ群172の間に位置し得、また、ロータ内の各キャビティ60を一意的に特定する、数字、他の表示を含み得る。
【0065】
バランスリング160は、バランスリング160のアパーチャ163がキャビティ60に対して対称に位置決めされるように、回転軸24を中心としてロータ本体12に対して角度をなして位置決めされ得る。この対称性の結果として、ロータ本体12のそれぞれのキャビティ60に最も近い各アパーチャ群172が、回転軸24から半径方向外向きに延在し、キャビティ60の中心軸を通過する線から両側に等間隔になる。バランスリング16のこの角度的な位置決めは、ロータ本体12の各キャビティ60が、キャビティ60に最も近い2つのアパーチャ群172の間に角度をなしてセンタリングされ、ロータ本体12のキャビティ60とバランスリング160のアパーチャ163との間の位置対称性を確実にするような配向を有するリングを提供し得る。
【0066】
バランスリング16、160は、アルミニウム又は任意の他の好適な軽量剛性材料から作製され得る。1つ以上のウェイト80、164は、ロータ10のアンバランスを相殺するために、それぞれのアパーチャ78、163内に選択的に配置され得る。例えば、ウェイト80、164を追加して、ロータ10の重心を回転軸24と整列させ得るか(すなわち、静的バランスを達成するために)、ロータの慣性モーメントの主軸を回転軸24と整列させ得るか(すなわち、動的バランス)、又はロータ10が静的及び動的の両方でバランスをとり得る。
【0067】
本明細書に記載されたロータ10の例示的な実施形態の各々は、特定の数のキャビティ60、アパーチャ78、163、アパーチャ群172、及び間隔を含むが、本発明の実施形態は、特定の数のキャビティ60、アパーチャ78、163、又はアパーチャ群172に限定されないことが理解されるべきである。アパーチャ78、163の表された実施形態は、それらのそれぞれのバランスリング16、160に表される配置に限定されないことが更に理解されるべきである。例えば、図6図7Aに表されたアパーチャ163は、図3A図5に表されたバランスリング16で使用され得、図3A図5に表されたアパーチャ78は、図6図7Aに表されたバランスリング160で使用され得る。
【0068】
様々な実施形態の説明によって、本発明の原理による様々な態様を例示し、実施形態をかなり詳細に説明してきたが、これらは、本発明の範囲をかかる詳細に制限すること、又はいかなる形であれ限定することを意図するものではない。ここに示されかつ説明される様々な特徴は、単独で、又はいずれかの組み合わせで使用されてもよい。追加の利点及び改変が、当業者には容易に明らかとなろう。したがって、本発明は、そのより広義な態様において、図示及び説明される具体的な詳細、代表的な装置及び方法、並びに、例示的な実施例に限定されるものではない。したがって、一般的な発明の概念の範囲から逸脱することなく、そのような詳細から逸脱することができる。
図1
図2
図2A
図2B
図2C
図3
図3A
図4
図5
図6
図6A
図7
図7A
【国際調査報告】