(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】ネットワーク化された空気質センサからの空中ウイルス感染リスク及び空気質分析のためのメタデータ駆動方法並びにシステム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/80 20180101AFI20231109BHJP
G08B 21/12 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
G16H50/80
G08B21/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527743
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 SG2021050658
(87)【国際公開番号】W WO2022098297
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523161239
【氏名又は名称】マン ウント フンメル ライフ サイエンス アンド エンヴァイアロンメント ホールディング シンガポール ピーティーイー. エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】MANN+HUMMEL LIFE SCIENCE & ENVIRONMENT HOLDING SINGAPORE PTE.LTD.
【住所又は居所原語表記】23 Rochester Park,#04-02,Singapore 139234,Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スコッチ、マルセル
(72)【発明者】
【氏名】アミルナスル、エルハム
(72)【発明者】
【氏名】シャナハン、マイケル
【テーマコード(参考)】
5C086
5L099
【Fターム(参考)】
5C086AA05
5C086AA09
5C086AA22
5C086AA38
5C086BA07
5C086DA14
5L099AA15
(57)【要約】
複数の空気質センサのリアルタイム測定値を分析し、現在の空気質測定値から空中ウイルス感染及び空気質評価の算出推定値を提供し、リスクのある人に知らせ、責任者に取るべき推奨行動を助言し、いくつかの実施形態では、外気流を改善し、ろ過量を増やし、汚染された空気を処理し、湿度を下げ、空中ウイルス伝播のリスクを低減するために、空気ろ過処理装置やHVACシステムに指示を伝達する直接行動をとるコンピュータ実装システム及び方法である。センサデータ、算出された空気感染リスク、空気質、警告、レポートが作成され、ネットワーク接続機器に配信される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の監視空気空間の空中ウイルス感染リスクスコアを求めるコンピュータ実装方法(200)であって、
処理回路によって及びネットワークを介して、前記複数の空気質センサと通信(206)し、前記1つ以上の建物内の監視空気空間の現在の室内空気質測定値であって、
空気相対湿度、
気温、並びに
空気CO
2濃度、
空気微小粒子状物質PM2.5濃度、及び
空気粒子状物質PM10濃度のうち1つ、2つ、又は全て
を含む空気パラメータ測定値を、前記ネットワークを介して取得するステップと、
ウェブポータルによるアクセスのため、前記センサの空気パラメータ測定値を前記データベースに格納するステップと、
前記監視空気空間の前記相対湿度センサの空気パラメータ測定値から、相対湿度の瞬間空中感染リスクスコア(210)を算出するステップと、
前記監視空気空間において更に測定された空気パラメータ測定タイプごとに、瞬間空中感染リスクスコア(210)を算出するステップと、
前記ウェブポータルによるアクセスのため、前記瞬間空中感染リスクスコアを前記データベースに格納するステップと、
前記空気パラメータ測定値のどの測定タイプが、最高瞬間空中ウイルス感染リスクスコアを有するかを判定するステップと、
前記監視空気空間の気温及び相対湿度に応じてウイルス感染の減衰速度(212)を算出するステップと、
前記ウイルス感染の減衰速度をスケール因子として前記最高瞬間空中ウイルス感染リスクスコア(214)に適用して、総合的な減衰速度調整最高瞬間空中ウイルス感染リスクスコアを取得するステップと、
前記ウェブポータルによるアクセスのため、前記総合的な減衰速度調整最高瞬間空中ウイルス感染リスクスコア及び最高の測定タイプを前記データベースに格納(216)するステップと、
次の又は同じ監視空気空間に対して、前記複数の方法ステップを繰り返すステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記ウェブポータルによるアクセスのため、平滑化された空気パラメータ測定値として、前記センサの空気パラメータ測定値を前記データベースに格納し、前記瞬間空中感染リスクスコアを算出する前に、測定ノイズを低減するため、現在のセンサの空気パラメータ測定値を、設定された期間にわたる同じセンサの以前の空気パラメータ測定値と任意に平均化することで、前記センサの空気パラメータ測定値を平滑化(208)するステップを含む請求項1に記載のコンピュータ実装方法(200)。
【請求項3】
前記空気パラメータ測定値は、
空気CO
2濃度と、
空気微小粒子状物質PM2.5濃度と、
空気吸入性粒子状物質PM10濃度と、を含み、
前記監視空気空間において更に測定された空気パラメータ測定タイプごとに、瞬間空中感染リスクスコア(210)を算出することは、
前記監視空気空間の平滑化されたCO
2センサの空気パラメータ測定値から、CO
2瞬間空中感染リスクスコアを算出することと、
前記監視空気空間の平滑化されたPM2.5センサの空気パラメータ測定値から、PM2.5瞬間空中感染リスクスコアを算出することと、
前記監視空気空間の平滑化されたPM10センサの空気パラメータ測定値から、PM10瞬間空中感染リスクスコアを算出することと、を含む請求項1又は2に記載のコンピュータ実装方法(200)。
【請求項4】
前記1つ以上の監視された空間は、1つ以上の建物内に分散された複数の監視された空間である請求項1~3のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(200)。
【請求項5】
処理回路によって及びネットワークを介して通信(206)することは、前記ネットワークを介して複数の遠隔空気質センサと通信するように構成されたネットワーク通信インターフェース装置を使用することを含む請求項1~4のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(200)。
【請求項6】
前記ネットワークウェブポータルは、前記ネットワークを介して、リモートネットワーク接続機器に、リモートネットワークアクセスと、測定値、分析結果、及びレポートの提示のうちの1つ以上とを提供するように構成される請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(200)。
【請求項7】
前記ウイルス感染の減衰速度は、予め決められたウイルスの半減期に反比例する請求項1~6のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(200)。
【請求項8】
前記方法は、前記ウイルス感染の減衰速度をスケール因子として適用する前に、前記ネットワークを介して、前記総合的な減衰速度調整最高瞬間空中ウイルス感染リスクスコアを、空気質又は感染リスクの最新情報を受信するように構成されたネットワーク接続スマートフォン、タブレット、又はネットワーク接続機器に通信するステップを更に含む請求項1~7のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(200)。
【請求項9】
前記総合的な減衰速度調整最高瞬間空中ウイルス感染リスクスコアを通信するステップは、
前記データベースから、設定されたリスクレベル閾値を読み取るステップと、
瞬間空中ウイルス感染リスクスコアが前記設定されたリスクレベル閾値以上であるか判定するステップと、を更に含む請求項1~8のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(200)。
【請求項10】
感染リスクの最新情報を受信するように構成されたネットワーク接続スマートフォン、タブレット、又はネットワーク接続機器に警告メッセージ(218)を送信するステップを含む請求項9に記載のコンピュータ実装方法(200)。
【請求項11】
前記瞬間空中ウイルス感染リスクスコアが前記設定されたリスクレベル閾値以上である監視空気空間に関連する空調システムにアラートを送信するステップを含み、
前記アラートは、前記最高瞬間空中ウイルス感染リスクスコアを有する空気パラメータ測定値の測定タイプを含み、
前記空調システムは、温度及び湿度のうち1つ以上に影響を与えることが可能であり、フィルタ機能を有し、
前記空調システムのプロセッサによって、瞬間空中ウイルス感染リスクスコアを低減するため、前記監視空気空間の前記測定タイプに対応する空気特性を変更するための動作モード指示を生成するステップを含む請求項9又は10に記載のコンピュータ実装方法(200)。
【請求項12】
例えば前記処理回路又は前記ウェブポータルによって、瞬間空中ウイルス感染リスクスコアを低減するため、前記監視空気空間に関連する空調システムに前記測定タイプに対応する空気特性を変更させるための動作モード指示を生成するステップを含み、
前記空調システムは、温度及び湿度のうち1つ以上に影響を与えることが可能であり、フィルタ機能を有し、
前記動作モード指示を前記空調システムに送信するステップを含む請求項9又は10に記載のコンピュータ実装方法(200)。
【請求項13】
前記複数の空気質センサと通信するステップにおいて、前記空気質センサの空気パラメータ測定値は、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される空気揮発性有機化合物(VOC)濃度を更に含み、
前記方法は、日時スタンプを追加し、現在のセンサの空気パラメータ測定値を前記データベースに格納するステップの後に、
前記監視空気空間の前記平滑化されたセンサの空気パラメータ測定値から、空気質指数(AQI)を算出するステップと、
前記ウェブポータルによるアクセスのため、前記空気質指数(AQI)を前記データベースに格納するステップと、を更に含む請求項1~12のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(200)。
【請求項14】
前記方法は、前記ウイルス感染の減衰速度をスケール因子として適用する前に、電子的な、例えば電子メール及び/又はSMSによる、リスクスコア通知メッセージを生成し、前記ネットワーク又はセルラーネットワークを介して、現在の前記監視空気空間に関する通知を行うように構成されたスマートフォン、タブレット 、又はネットワーク接続機器に送信するステップを更に含む請求項1~13のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(200)。
【請求項15】
前記現在のセンサの空気パラメータ測定値をデータベースに格納するステップは、日時スタンプを追加し、前記現在のセンサの空気パラメータ測定値を現在及び過去のデータを格納するデータベースに格納することを含み、
前記方法(200)は、過去のデータから求められた過去の傾向に基づいて将来のリスク増加を予測するステップを更に含み、
(i)感染リスクの最新情報を受信するように設定されたネットワーク接続スマートフォン、タブレット、又はネットワーク接続機器に早期メッセージを送信するステップ、及び/又は
(ii)将来のリスクを低減するため、前記傾向に対抗して、前記監視空気空間に関連する空調システムに1つ以上の空気特性を変更させるための動作モード指示を生成するステップを更に含む請求項1~14のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法(200)。
【請求項16】
1つ以上の監視空気空間の空中ウイルス感染リスクスコアを算出するように構成されたシステム(100)であって、
ネットワーク(118)を介して、前記監視空気空間内の空気質パラメータを測定する複数の遠隔空気質センサと通信するように構成されたローカル又はワイドエリアネットワーク通信インターフェース装置(130)と、
センサの空気パラメータ測定値を格納するデータベース(126)と、
前記ネットワーク(118)を介して、リモートネットワーク接続機器(132、134)に、リモートネットワークアクセスと、測定値、分析結果、及びレポートの提示のうち1つ以上とを提供するように構成されたネットワークウェブポータルと、
処理回路(124)、及び非一時的なコンピュータ可読媒体(128)と、を備え、
前記非一時的なコンピュータ可読媒体(128)は、請求項1~15のいずれか一項に記載の空中ウイルス感染リスクスコアを求めるコンピュータ実装方法(200)を実行するよう前記処理回路に指示するように構成された1組以上のコンピュータ命令を含むシステム(100)。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載の空中ウイルス感染リスクスコアを求めるコンピュータ実装方法(200)を実行するよう処理回路に指示するように構成された1組以上のコンピュータ命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体(128)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載され開示された主題は、建物内の部屋又は空間の空気質監視に関し、より詳細には、複数の遠隔に位置するネットワーク化された空気質センサと連続的又は定期的に相互作用し、センサのリアルタイムの空気質測定から、空中ウイルス感染のリスク及び空気質の評価のため分析を行う、ネットワーク化された分析システム並びに方法に関する。さらに、本主題は、空気質及び空中ウイルス感染、特にSARS-COV-2/COVIDの算出されたリスクに関する、管理者、建物所有者、及び利用者へのリスク要因の傾向の報告、アラームや実行可能なメッセージの生成に関する。
【背景技術】
【0002】
空気質は、何十年にもわたって重要な問題である。今日、汚染レベルが増加し、気候変動に関連した森林火災が発生している。また、SARS-COV-2パンデミックによる死亡と入院は、家族、人命、健康、及び世界経済にとって極めて重要である。将来、新たな未知のウイルス性パンデミックに見舞われる可能性もある。
【0003】
様々な空気質監視装置及びセンサが知られている。当技術分野で未だ欠けているのは、1つ以上の建物内の分散された1つ以上の監視空気空間にある複数のネットワーク化された空気質センサのリアルタイム測定値を分析し、測定値の分析により空中ウイルス伝播のリスクを判定する自律コンピュータ実装システム及び分析方法である。このようなシステムは、建物、公共空間、学校、オフィス、ショッピングモール内の利用者への空中ウイルス感染伝播リスクの判定と低減、それら施設の再開と安全な運用を促進するというアンメットニーズを満たすものである。
【発明の概要】
【0004】
SARS-COV-2のようなコロナウイルスは、人から人へ広がることがよく知られている。ウイルスは、症状がある人を介して広がることが最も多いが、必ずしもそうではない。残念ながら、感染したキャリアが目に見える兆候を示さない場合でも、他の人にウイルスを移す可能がある。自分が感染していることに気づいていない人が、意図せず他の人に感染させてしまうことがある。これを無症候性伝播という。このようなことが起こるには、いくつかの伝播様式がある。
【0005】
接触伝播では、ウイルス保持者が表面に触れたり、咳やくしゃみをしたりすると、表面がウイルスで汚染される。ウイルスを含む飛沫や微小飛沫が表面に付着し、汚染する。予防策としては、表面消毒薬や清掃スケジュールの改善が挙げられる。
【0006】
呼吸器伝播では、感染者が咳やくしゃみをしたり、話をしたりすると、感染者の飛沫が鼻や口から空気中にウイルスを運ぶ。大きな飛沫は、比較的早く地面に落ちる。大きな飛沫に対しては、ソーシャルディスタンスを置くことや、フェイスマスクなどのPPE(個人防護具)が予防策として知られている。
【0007】
空中伝播の場合、ウイルスを含んだ微小飛沫の空中伝播にはソーシャルディスタンスの確保やPPEは効果が薄いか効果がない。ウイルスを含んだ微小飛沫の空中伝播は、感染者が退室して長時間経っても、部屋に入った人に感染させることが可能である。ウイルスを含んだ微小飛沫を介した長時間にわたる長距離伝播は、最初はクルーズ船で、次にレストランやショッピングモールで記録されている。微小飛沫は、30分以上の長い時間、空気中に留まることができるため、感染者が退室した後、かなりの時間、部屋に入った人に感染させることができる。予防策としては、空気質の監視(本明細書で開示する方法及びシステムなど)、換気、空気濾過、浄化などがある。
【0008】
本発明の開示の目的は、複数の空気質センサのリアルタイム測定値を分析し、総合的な空中ウイルス感染リスクスコアを算出し、リスクのある人に知らせるコンピュータ実装システム及び方法を提供することである。本発明のいくつかの実施形態では、複数の空気質センサのリアルタイム測定値を分析するコンピュータ実装システム及び方法は、HVACシステム、又は携帯型空気処理/濾過器に、ネットワークを介して設定ポイントやコマンドを伝達することで、外気流量を改善し、濾過量を増やし、湿度を下げるなど、指示行動を取るように構成され、部屋の空気質を改善し、ウイルス感染リスクを軽減することができる。複数の空気質パラメータのリアルタイム測定値は、室内ウイルス感染のリスクと相関があるため、組み合わせて、例えばSARS-COV-2の空中ウイルスリスク感染のリスクを算出するのに有用である。
【0009】
開示されたコンピュータ方法及びシステムは、空中ウイルス伝播を助長する既知の重要な汚染物質を自律的にスキャン、検出、分析、通知し、リスクを計算し、建物の利用者のリスクを最小化する方法について実行可能な推奨案を提供する。SARS-CoV-2空中ウイルス感染リスクスコア(SARS-CoV-2 Airborne Virus Infection Risk Score:CAIRS)は、0から100までの数値で表され、リスクレベルを低レベル(0~33)、中レベル(34~66)、高レベル(67~100)の3つのカテゴリに分類し、リスクを簡略化して表示することができる。
【0010】
例えば、感染者が室内にいる場合、二酸化炭素(CO2)は空気中のウイルス濃度と直接相関があることが研究で明らかになっている。したがって、空気中のCO2濃度は、室内感染リスクの判定に最適な指標となる。
【0011】
空気中の粒子状物質(PM)は、濾過効率の指標として有用である。PMレベルが高くなると、人間の呼吸器系に更なる負担がかかり、ウイルスのキャリアとして機能することが疑われる。PM2.5とPM10の濃度測定は、エアロゾル濃度を求める代わりとして使用することができる。
【0012】
湿度は重要である。コロナウイルスは、乾燥した環境と非常に湿度の高い環境では、減衰速度が遅くなる。また、湿度が高すぎると、建物へのダメージのリスクが高くなる。
【0013】
米国微生物学会(Lisa M. Casanovaら)が発表した「Effects of Air
Temperature and Relative Humidity on Coronavirus Survival on Surfaces」によると、ウイルスの不活化レベルが最も高いのは50%RHであることが明らかとなった。この研究では、ウイルスの不活化レベルが最も低くなるのは20%RHだった。ウイルスの不活性化は、すべての湿度レベルにおいて、4℃よりも20℃の方がより速い。ウイルスは、20℃よりも40℃の方がより速く不活性化した。興味深いことに、不活性化と相対湿度(RH)の関係は単調ではなかった。低相対湿度(20%)と高相対湿度(80%)では、中相対湿度(50%)よりもウイルスの生存率が高く、保護効果が高かった。
【0014】
米国国立医学図書館の生物工学情報センターが発表した、2020年6月23日にオンライン公開された研究「Influence of airborne transmission of SARS-CoV-2 on COVID-19
pandemic. A review」によると、PM2.5の空気1立方メートル当たりわずか1マイクログラムの増加が、SARS-COV-2の死亡率の8%の増加と関連することがわかった。この結果は、統計的に有意であり、二次分析や感度分析にも頑健だった。PM2.5への長期暴露のわずかな増加は、SARS-COV-2の死亡率の大きな増加につながる。
【0015】
SARS-COV-2パンデミックは、人間の健康に多大な打撃を与え、個人の幸福、家族の健康と生存、ひいては世界経済を危険にさらす。
【0016】
上記から分かるように、空中ウイルス伝播とその結果生じる感染のリスクを低減するために、建物の部屋や閉鎖空間におけるリアルタイムの空気質測定値を収集し、室内空気質パラメータを管理又は制御するため、測定値の継続的な分析に適用するコンピュータ実装クロスネットワーク実装方法及びシステムに対する重要なニーズが依然として存在する。このようなシステムは、室内空気質を監視し、この情報を使用してリアルタイムのウイルス感染リスクスコアを算出し、室内空気空間を監視し、条件が変化してリスクが高まった際に建物の所有者や利用者を変え、責任者又はグループに対して是正措置のための実行可能なアラームを生成して、あるいは、建物のHVAC制御システムに直接指示を出力して、換気、濾過、湿気及び空気質要因の変更を実行し、空中ウイルス伝播リスクの減少を実現するという人間の健康に関わる大きなニーズを満たすことによって価値を見出す。このような解決策をシステム及び方法として開示することが、本開示の主な目的である。
【0017】
本開示の一態様は、空中ウイルス感染リスクスコアを算出するメタデータ駆動型コンピュータ実装方法に関する。本方法は、ネットワークを介して複数の遠隔に位置する空気質センサと連続的又は定期的に相互作用して、リアルタイムの空気質測定値を受信すること、例えば複数の空気質センサのリアルタイムの空気質測定値を受信、分析し、1つ以上の監視空気空間の空中ウイルス感染リスクスコア及び任意に空気質指標を算出することを含み得る。1つ以上の監視空間は、1つ以上の建物の空間であってもよい。コンピュータ実装方法は、システム上で実装されるように構成される。システムは、ローカル又はワイドエリアネットワーク通信インターフェース装置を含み得る。この装置は、監視空気空間内の空気質パラメータを測定する複数の遠隔空気質センサと、ネットワークを介して通信するように構成され得る。システムは、現在及び/又は過去のデータを格納するデータベースを含み得る。システムは、ネットワークを介して、リモートネットワーク接続機器に、リモートネットワークアクセスと、測定値、分析結果、及びレポートの提示のうち1つ以上とを提供するように構成されたネットワークウェブポータルを含み得る。システムは、処理回路を含み得る。システムは、非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々な実施形態によるコンピュータ実装方法を実行するよう処理回路に指示するように構成された1組以上のコンピュータ命令を含む。
【0018】
本方法は、ネットワークを介して、複数の空気質センサと通信し、1つ以上の建物内の監視空気空間の現在の室内空気質測定値を取得することを含み得る。空気パラメータ測定値は、空気CO2濃度、空気微小粒子状物質PM2.5濃度、空気吸入性粒子状物質PM10濃度、空気相対湿度、及び気温のうち1つ以上を含み得る。本方法は、日時スタンプを追加し、現在のセンサの空気パラメータ測定値をデータベースに格納することを含み得る。本方法は、例えば、現在のセンサの空気パラメータ測定値を、設定された期間にわたる同じセンサの以前の空気パラメータ測定値と平均することで、センサの空気パラメータ測定値を平滑化することを含み得る。本明細書では、平滑化は、測定ノイズを低減することを意味し得る。
【0019】
本方法は、ウェブポータルによるアクセスのため、(平滑化された)センサの空気パラメータ測定値をデータベースに格納することを含み得る。本方法は、(i)監視空気空間の任意に平滑化されたCO2センサの空気パラメータ測定値から、CO2瞬間空中感染リスクスコアを算出すること、(ii)監視空気空間の任意に平滑化されたPM2.5センサの空気パラメータ測定値から、PM2.5瞬間空中感染リスクスコアを算出すること、(iii)監視空気空間の任意に平滑化されたPM10センサの空気パラメータ測定値から、PM10瞬間空中感染リスクスコアを算出すること、(iv)監視空気空間の任意に平滑化された相対湿度センサの空気パラメータ測定値から、相対湿度瞬間空中感染リスクスコアを算出すること、のうちの1つ以上を含み得る。本方法は、ウェブポータルによるアクセスのため、瞬間空中感染リスクスコアをデータベースに格納することを含み得る。
【0020】
本方法は、どの測定タイプ(例えば設けられたセンサに応じた、CO2、PM2.5、PM10、及び相対湿度又はそのサブセットなど)が最高瞬間空中ウイルス感染リスクスコアを有するかを判定することを含み得る。本方法は、監視空気空間の(任意に平滑化された)気温及び(任意に平滑化された)相対湿度に応じてウイルス感染の減衰速度を算出することを含み得る。ウイルス感染の減衰速度は、予め決められたウイルスの半減期に反比例し、例えば、1/(予め決められたウイルス半減期)として求められる。
【0021】
本方法は、ウイルス感染の減衰速度をスケール因子として最高瞬間空中感染リスクスコアに適用して、総合的な減衰速度調整最高瞬間空中ウイルス感染リスクスコアを取得することを含み得る。本方法は、ウェブポータルによるアクセスのため、総合的な減衰速度調整最高瞬間空中ウイルス感染リスクスコア及び最高の測定タイプをデータベースに格納することを含み得る。本方法は、次の又は同じ監視空間に対して、上記複数の方法ステップを繰り返すことを含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、本方法は、瞬間空中ウイルス感染リスクスコアが設定されたリスクレベル閾値以上である監視空気空間に関連する空調システムにアラートを送信することを含み得る。アラートは、最高瞬間空中ウイルス感染リスクスコアを有する空気パラメータ測定の測定タイプを含み得る。空調システムは、温度及び湿度のうち1つ以上に影響を与えることが可能であり、フィルタ機能を有し得る。本方法は、例えば、空調システムのプロセッサによって、瞬間空中ウイルス感染リスクスコアを低減するため、監視空気空間の測定タイプに対応する空気特性を変更するための動作モード指示を生成することを含み得る。本方法は、空調システムによって動作モード指示を実行することを更に含み得る。例えば、1つ以上の機能が利用可能であり、指示により、利用可能な機能に応じて、濾過量を上げる、気温を下げる、気温を上げる、空気相対湿度を下げる、空気相対湿度を上げる、部屋外部との空気交換を増やすことのうちの1つ以上を空気調和システムに実行させることができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、コンピュータ実装方法は、例えば、処理回路又はウェブポータルによって、瞬間空中ウイルス感染リスクスコアを低減するため、監視空気空間に関連する空調システムに測定タイプに対応する空気特性を変更させるための動作モード指示を生成することを含み得る。空調システムは、温度及び湿度のうち1つ以上に影響を与えることが可能であり、フィルタ機能を有し得る。本方法は、空調システムに動作モード指示を送信することを更に含み得る。本方法は、空調システムによって動作モード指示を実行することを更に含み得る。例えば、1つ以上の機能が利用可能であり、指示により、利用可能な機能に応じて、ろ過量を上げる、気温を下げる、気温を上げる、空気相対湿度を下げる、空気相対湿度を上げる、部屋外部との空気交換を増やすことのうちの1つ以上を空気調和システムに実行させることができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、将来のリスク増加を予測することを更に含み得る。現在のセンサの空気パラメータ測定値をデータベースに格納することは、日時スタンプを追加し、現在のセンサの空気パラメータ測定値を現在及び過去のデータを格納するデータベースに格納することを含み得る。本方法は、過去のデータから求められた過去の傾向に基づいて将来のリスク増加を予測することを更に含み得る。本方法は、(i)感染リスクの最新情報を受信するように構成されたネットワーク接続スマートフォン、タブレット、又はネットワーク接続機器に早期メッセージを送信すること、及び/又は(ii)将来のリスクを低減するため、傾向に対抗して、監視空気空間に関連する空調システムに1つ以上の空気特性を変更させるための動作モード指示を生成することを更に含み得る。本方法は、空調システムによって動作モード指示を実行することを更に含み得る。例えば、1つ以上の機能が利用可能であり、指示により、利用可能な機能に応じて、濾過量を上げる、気温を下げる、気温を上げる、空気相対湿度を下げる、空気相対湿度を上げる、部屋外部との空気交換を増やすことのうちの1つ以上を空気調和システムに実行させることができる。
【0025】
本開示の一態様は、1つ以上の監視空気空間の空中ウイルス感染リスクスコアを算出するように構成された制御システム(又は単にシステム)に関する。システムは、ローカル又はワイドエリアネットワーク通信インターフェース装置を含み得る。この装置は、ネットワークを介して、監視空気空間内の空気質パラメータを測定する複数の遠隔空気質センサと通信するように構成され得る。システムは、複数のサンプルを含んでもよい。システムは、センサの空気パラメータ測定値を格納するデータベースを含み得る。システムは、ネットワークを介して、リモートネットワーク接続機器に、リモートネットワークアクセスと、測定値、分析結果、及びレポートの提示のうち1つ以上とを提供するように構成されたネットワークウェブポータルを含み得る。例えば、ネットワークウェブポータルは、ネットワーク接続されたサーバに実装される。システムは、処理回路を含み得る。システムは、非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。非一時的なコンピュータ可読媒体は、本方法の様々な実施形態による空中ウイルス感染リスクスコアを求めるコンピュータ実装方法を実行するよう処理回路に指示するように構成された1組以上のコンピュータ命令を含み得る。
【0026】
本開示の一態様は、非一時的なコンピュータ可読媒体に関し、非一時的なコンピュータ可読媒体は、本方法の様々な実施形態による空中ウイルス感染リスクスコアを求めるコンピュータ実装方法を実行するよう処理回路に指示するように構成された1組以上のコンピュータ命令を含み得る。
【0027】
本開示の一態様によれば、1つ以上の建物内の監視空気空間に配置された複数の空気質センサと相互作用し、リアルタイムの測定値を取得、分析し、測定されたパラメータから感染リスクスコアを算出し共有するコンピュータ実装プロセス又は方法が提供される。コンピュータ実装方法は、監視対象の建物及びそこに設けられた空気質センサから大きく離れた場所にある可能性のある感染リスク分析サーバーコンピュータ上で実行される。分析システムとセンサ間の通信は、インターネットなどのワイドエリアネットワークを介したデータ通信又はパケットによって、連続的又は定期的かつ自律的に行われる。
【0028】
研究により以下が明らかになっている。
50%RH付近では、ウイルスの不活性化レベルが最も高い。
20%RH付近では、ウイルスの不活性化レベルが最も低い。
すべての湿度において、4℃よりも20℃の方が、ウイルスの不活性化が速い。
ウイルスは、20℃よりも40℃の方がより速く不活性化される。
【0029】
しかし、この関係は単調ではない。低RH20%、高RH80%では、中RH50%よりもウイルス生存率が高くなる。
【0030】
研究により、ステンレス鋼に付着した感染性コロナウイルスは、50%RH、20℃で3日以上、20%RHで28日以上持続することがわかっている。
【0031】
加熱乾燥した室内空気(20℃、20%RH)では、表面に付着したコロナウイルスの80%が1週間生存することが確認されている。空気を50%RHに加湿すると、20日間で生存ウイルスは1%未満に減少し(最速の不活性化)、感染リスクが大幅に低下する(2日間で-2.5×log10)。
【0032】
20%RH、20℃でのウイルス不活性化:不活性化log10=-0.081%/日
【0033】
80%RH、20℃でのウイルス不活性化:不活性化log10=-2.12%/日
【0034】
50%RH、20℃でのウイルス不活性化:不活性化log10=-0.896%/日
【0035】
研究により、PM2.5が1μg/m3増加すると、SARS-COV-2の死亡率が8%増加することがわかっている。
【0036】
このように、本開示のコンピュータ実装分析システム及び方法は、SARS-COV-2-19パンデミックにおける人間の健康及び生存に大きな利益をもたらし、将来のコロナウイルス又はウイルスパンデミックに適用可能である可能性が非常に高い。
【0037】
本発明の一態様では、本発明の開示は、ネットワーク接続された複数の空気質センサのリアルタイム測定値を分析して、1つ以上の建物の複数の室内空気空間又は部屋のそれぞれについて空気質指数(AQI)を算出する、コンピュータ実装システム及び方法を提供する。コンピュータ実装システム及び方法は、ワイドエリアネットワークを介して空気質センサと自律的に相互作用するように特に構成されているため、異なる大陸又は国など、長距離にわたって分散された建物の空中ウイルスリスク感染を実行することができる。
【0038】
空気質指数(AQI)は、米国環境保護庁(EPA)が作成したもので、測定される最低相対汚染物質濃度によって決定される。各カテゴリは、健康への懸念の異なるレベルに対応する。EPAによると、6つの懸念レベルとその内容は次の通りである。
【0039】
良い:AQIが0~50。空気の質は十分な状態と考えられ、大気汚染によるリスクがない又はほとんどない。
【0040】
中程度:空気の質は許容範囲内であるが、一部の汚染物質については、ごく少数の人々に中程度の健康上の懸念がある。
【0041】
敏感群に対して不健康:AQIが101~150。このAQI範囲では一般人は影響を受けにくいが、心臓や肺に疾患のある人、高齢者、子どもはより大きなリスクがある。
【0042】
不健康:AQIが151~200。すべての人が何らかの健康被害を受け始める可能性があり、敏感群の人々はより深刻な影響を受ける可能性がある。
【0043】
非常に不健康:AQIが201~300。空気の質が危険であり、人々が深刻な健康上の合併症を生じる可能性があることを示す健康アラートが発令される。
【0044】
危険:AQIが300を超える。これにより、緊急事態の健康警報が発令される。全人口が影響を受ける可能性が高い。
【0045】
大気汚染物質源及び関連するネットワーク化された監視空気空間センサは、以下を含み得る。
【0046】
粒子状物質(PM2.5、PM10)。一般的な発生源は、産業、交通、料理、屋内喫煙である。健康への影響としては、心臓病や癌が挙げられる。
【0047】
揮発性有機化合物(VOC)。揮発性有機化合物(VOC)は、常温で高い蒸気圧を持つ有機化学物質である。高い蒸気圧は沸点が低いためであり、これにより液体や固体の化合物から大量の分子が蒸発し、周囲の空気に溶け込む揮発性として知られる特性を有する。一般的な発生源は、塗料、エアゾール、クレンザー、カーペット、家具である。健康への影響としては、呼吸器系への刺激、肝臓や腎臓へのダメージが挙げられる。ホルムアルデヒド(HCHO)や他の揮発性有機化合物(VOC)、例えばトルエンやキシレンは、その毒性により懸念される。ホルムアルデヒドは、室内空気中に高頻度で存在し、暴露により深刻な健康被害をもたらすため、優先度の高いVOCである。一般的な発生源は、建材やクリーナーなどである。健康への影響としては、皮膚、目、鼻、喉の炎症が挙げられる。
【0048】
二酸化炭素(CO2)。一般的な発生源は、呼吸、化石燃料の燃焼などである。健康への影響としては、頭痛や疲労感が挙げられる。
【0049】
本発明の別の態様では、ネットワーク接続された複数の空気質センサのリアルタイム測定値を分析するコンピュータ実装システム及び方法は、センサデータを分析し、建物、部屋、店、会議室、教室などのAQI最新情報を受信し、空気質指数(AQI)のデータ時間をトレンドするように構成されたネットワーク接続機器のセットにリアルタイムの空気質の概要を提供して、AQI最新情報を受信するよう構成された接続機器にグラフやレポートを提供する。また、データは、コンピュータ実装システムによって提供されるウェブポータルを介して、ネットワーク接続されたスマートフォン、タブレット、又は機器からアクセス可能であり、例えばウェブブラウザを介してアクセス可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
添付の図は、それぞれの図を通じて同一の参照番号が同一又は機能的に類似した要素を指し、以下の詳細な説明と共に本明細書に組み込まれ、その一部を構成するものであり、本発明による様々な実施形態を更に説明し、様々な原理及び利点をすべて説明するのに役立つ。
【0051】
新規であると考えられる本発明の特徴は、図面、より詳細には添付の特許請求の範囲に記載される。本発明は、その更なる目的及び利点と共に、添付の図面と併せた以下の説明を参照することにより、最もよく理解され得る。図面は、現在好ましい本発明の形態を示すが、本発明は、図面に示された正確な配置に限定されるものではない。
【0052】
【
図1】本発明の開示による、空中ウイルス感染リスク評価及び空気質分析のためのシステムを概略的に示す。
【
図2】本発明の開示による、空中ウイルス感染リスク評価及び空気質分析のための方法を示す。
【
図3】本発明の開示に関する、米国環境保護庁の空気質指数基準に裏付けられる、空気質指数(AQI)チャートである。
【
図4】コロナウイルスの半減期が温度と湿度にどのように関係しているかを表す3次元カラープロット図である。
【
図5】記録された微細粉塵物質(PM2.5)の濃度と、空中感染リスクスコアとの関係の一例である。
【
図7】室内空気のCO
2濃度と、外気換気量(空気立方フィート毎分(cfm)/人)の体積流量の関係を示す。
【0053】
当業者であれば、図中の要素が単純化及び明確化のために図示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていない場合があることを理解するであろう。例えば、図中のいくつかの要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を向上させるために、他の要素に対して誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明による実施形態を詳細に説明する前に、実施形態は主に濾過装置に関連する装置構成要素との組み合わせで存在することを認められたい。したがって、装置構成要素は、本明細書の説明の利益を有する当業者にとって明らかである詳細で開示を不明瞭にしないように、図中において従来の記号によって適切に表現され、本発明の実施形態を理解するのに適切な特定の詳細のみが示される。
【0055】
本書では、第1及び第2、上及び下などの相関的用語は、ある実体又は動作を他の実体又は動作から区別するためにのみ使用され、これらの実体又は動作間の実際の関係や順序を必ずしも要求又は示唆するものではない。「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」という用語又はその他の変形は、要素のリストから構成されるプロセス、方法、物品、又は装置が、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に挙げられていない他の要素又は当該プロセス、方法、物品、又は装置に固有の要素を含むことができるように、非排他的であることを意図している。「comprises…a」が先行する要素は、更なる制約がなければ、その要素を構成するプロセス、方法、物品、又は装置における更なる同一要素の存在を排除するものではない。
【0056】
本明細書において、また、様々な実施形態によると、空調システムは、空気の温度及び湿度のうちの1つ以上に影響を与える(例えば、変更又は制御する)ことが可能である。空調システムは、空気のフィルタ機能(例えば、空気浄化)を含み得る。一例では、空調システムは、建物一体型HVACシステムなどのHVACシステムである。空調システムは、ネットワークに動作可能に接続され得る。空調システムは、利用可能な機能に応じて、濾過量を上げる、気温を下げる、気温を上げる、空気相対湿度を下げる、空気相対湿度を上げる、部屋外部との空気交換を増やすことのうちの1つ以上を空気調和システムに実行させるための指示、例えば動作モード指示を受信するように構成され得る。
【0057】
図1は、リアルタイムの空気質測定値を受信するため、ワイドエリアネットワーク118などのネットワークを介して、複数の遠隔に位置する空気質センサ102、104、106、108、110、112、114と連続的又は定期的に相互作用するメタデータ駆動システム100を模式的に示している。
【0058】
特に空中ウイルス感染リスクの算出をサポートするための空気質センサは、空気CO2濃度センサ102、空気微粒子物質PM2.5濃度センサ104、空気吸入性微粒子物質PM10濃度センサ106、空気相対湿度センサ108のうち1つ以上、例えばすべてを含んでもよい。空気質センサは、PM2.0、PM1.5、PM1.0のうちの1つ以上の極微小粒子状物質センサや更なるタイプの空気質センサを含んでもよい。
【0059】
米国環境保護庁(EPA)基準の空気質指数(AQI)の測定やレポートなどの空気質測定をサポートするため、更なるセンサは、ホルムアルデヒドセンサ114などのVOC揮発性有機化合物センサ112や他のタイプの空気質センサを含んでもよい。
【0060】
本明細書において、また、様々な実施形態によると、PMxは、空気力学的直径xμmでカットオフ効率が50%のサイズ選択インレットを通過するのに十分小さい、空気中に浮遊する粒子状物質を意味し得る。大気汚染物質として、空気中の粒子状物質は、健康に悪影響を及ぼし、死亡率、心血管疾患、癌、呼吸器疾患に因果関係を及ぼし、本明細書で論ずるように、コロナウイルスの空中ウイルス伝播に影響を及ぼすことが示されている。
【0061】
PM10は、空気力学的直径が10μmの粒子による厳格な区別を正確に表すものではなく、PM10の定義は、上気道の分離挙動を再現しようとするものである。様々な実施形態において、PM10レベル又は濃度は、EN12341:2014(1.08.2014)に従って求めることができる。また、PM10は、EN12341:2014(1.08.2014)に従って較正された粒子状物質センサによって求めることができる。
【0062】
空気力学的直径2.5μmのPM2.5は、一般に「アルベオレン様」粒子状物質(微粉塵とも呼ばれる)に相当する。様々な実施形態において、PM2.5濃度は、EN12341:2014(1.08.2014)に従って求めることができる。また、PM2.5レベル又は濃度は、EN12341:2014(1.08.2014)に従って較正された粒子状物質センサによって求めることができる。PM2、PM1.5、及びPM1のレベル又は濃度は、アナログ的に決定されてもよい。
【0063】
概要部で述べたように、空気中の粒子状物質(PM)は、濾過効率の指標として有用である。PMレベルが高くなると、人間の呼吸器系に更なる負担がかかり、ウイルスのキャリアとして機能することが疑われる。PM2.5とPM10の濃度測定は、エアロゾル濃度を求める代わりとして有用である。感染者が室内にいる場合、二酸化炭素(CO2)は、空気中のウイルス濃度と直接相関がある。したがって、空気中のCO2濃度は、室内感染リスクの判定に最適な指標となる。上述したように、コロナウイルスは、乾燥した環境と非常に湿度の高い環境では減衰速度が遅くなるため、湿度が重要である。上述したように、気温と湿度の組み合わせは、ウイルスの不活性化速度に影響を及ぼす。
【0064】
空気質センサ102、104、106、108、110、112、114は、1つ以上の監視空気空間120(例えば、部屋、ホール、オフィス、教室など)を有する1つ以上の建物に配置される。空気質センサ102、104、106、108、110、112、114は、ワイドエリアネットワーク118と通信し、コンピュータ実装の空中ウイルスリスク分析及び空気質算出システム122に空気質測定値を定期的又は連続的に送信する。好ましくは、空気質センサ102、104、106、108、110、112、114は、自律的に動作して、ネットワーク118を介して、コンピュータ実装の空中ウイルス感染リスク分析及び空気質算出システム122に現在のセンサ測定値を定期的に送信する。定期的な送信は、例えば、30秒、1分、又は5分間隔である。また、コンピュータ実装の空中ウイルス感染リスク分析及び空気質算出システム122は、空気質センサ102、104、106、108、110、112、114にデータ要求を送信し、現在の空気質測定値の送信を要求してもよく、ネットワークを介して測定値を読み取ってもよい。空気質センサ102、104、106、108、110、112、114は、場合によっては、センサ測定値が予め定義された又は設定可能な量だけ変化したときに送信されるように例外的に動作してもよいが、想定されるように、定期的な送信が好ましい。
【0065】
空気質センサ102、104、106、108、110、112、114は、必須ではないが、ネットワーク118により、コンピュータ実装の空中ウイルス感染リスク分析及び空気質算出システム122と直接通信できるように、ネットワーク対応、好ましくはWIFI対応であることが好ましい。
【0066】
複数の監視空気空間120は、一般に、部屋、オフィス、会議室、レストラン、店舗、集会所などの建物内の密閉された空気空間である。建物は、かなりの距離によって互いに離れていてもよい。例えば、個々の建物は、米国内の異なる州に位置していてもよく、あるいは、異なる国に離れて位置していてもよく、(例えば)海によって隔てられていてもよい。インターネットなどのワイドエリアネットワーク118により、分散された監視空気空間120とコンピュータ実装の空中ウイルス感染リスク分析及び空気質算出システム122との間の距離や位置が本質的に重要でなくなる。
【0067】
コンピュータ実装の空中ウイルス感染リスク分析及び空気質算出システム122は、(概略的に示す)処理回路124を含むプロセッサと、非一時的なコンピュータ可読媒体128とを含む。非一時的なコンピュータ可読媒体128は、リアルタイムの空気質センサ測定値を受信するための複数の処理ステップを実行するよう処理回路に指示するように構成された1組以上のコンピュータ命令を含み、複数の空気質センサのリアルタイム空気質測定値を受信、分析し、1つ以上の監視空気空間を有する1つ以上の建物の空中ウイルス感染リスクスコアと空気質指標とを算出するステップや、ここで述べる他の処理レポート、メッセージ又は警告ステップを含む。センサ測定データや測定値に関するメタデータ、算出プロセスからの分析データ又はメタデータ、生成されたレポートなどは、データベース126に格納され得る。ネットワークインターフェース装置130は、コンピュータ実装の空中ウイルス感染リスク分析及び空気質算出システム122をワイドエリアネットワーク118にインターフェースする。
【0068】
コンピュータ実装の空中ウイルス感染リスク分析及び空気質算出システム122は、受信した空気質センサ測定値を自律的に処理し、測定値の分析を実行して、最終的に空中ウイルス空中感染リスクスコア、及び空気質指数(AQI)を算出する。コンピュータ実装の空中ウイルス感染リスク分析及び空気質算出システム122は、要求に応じて、傾向レポート、月次レポート、特別レポートのうちの1つ以上(例えばすべて)を生成してもよく、さらに、測定値、中間算出結果、傾向、警告メール、助言メール、推奨行動メッセージ、及び過去データのうちの1つ以上(例えばすべて)を、ネットワーク118を介して、建物の利用者、責任者、所有者、及び加入者などのスマートデバイス、スマートフォン132、タブレット、又はコンピュータ134などのネットワーク接続機器に提供してもよい。図示されるように、また、よく知られているように、スマートフォン132は、無線伝送のための1つ以上のセルタワー138を有するセルラーサービスプロバイダ136を介してネットワーク118と通信してもよい。コンピュータやタブレットもこのセルラーリンクを使用することができる。
【0069】
図1は、様々な実施形態による方法の例示的なフローチャートを示す。
図1は例示に過ぎず、限定的なものではない。示された全てのステップが必要なわけではなく、更なるステップが追加されてもよい。
図1に概略的に示すように、建物の監視空気空間120(又は部屋)は、任意で、空気処理又は(概略的に示される)濾過器140を備えてもよい。空気処理又は濾過器140は、ネットワーク118を介して、コンピュータ実装の空中ウイルス感染リスク分析及び空気質算出システム122から直接制御コマンドを受信するようにネットワーク対応化されていてもよい。空気処理又は濾過器140は、好ましくは、生物活性フィルタコーティングを有するHEPAフィルタを備え、UV-C光処理を含み、ウイルスや細菌を濾過、捕捉、不活性化し、空気質を応答的に改善又は修正する。あるいは、建物の管理者、所有者、利用者らは、ネットワーク118を介して、コンピュータ実装の空中ウイルス感染リスク分析及び空気質算出システム122から、例えば空気処理又は濾過器140により、部屋の利用に関して行動をとる指示の提案を伴う勧告的なSMSメッセージ、電子メール又はアラートを受信することもできる。例えば、提案された指示は、外気流量を増やす、湿度を下げる、濾過量を増やすことのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0070】
最初のハイレベルな導入として、各汚染物質について最初の感染リスクスコアを算出するため、以下の3つの計算が行われ得る。
・空間の現在の汚染物質濃度から、瞬間リスクを算出する。
・空間の温度及び湿度から瞬間減衰速度を算出する。
・減衰速度の算出結果を用いて、リスクスコアにスケーリングを適用する。
【0071】
各時間間隔における「総合的な空中感染リスクスコア(CAIRS)のスコアリスク」を表すため、総合的に最も悪い汚染物質(又は最も高いリスク)が選択される。
【0072】
図2は、本発明の開示による、空中ウイルス感染リスク評価及び空気質分析のためのメタデータ駆動コンピュータ実装方法200を示す。
図2に示される方法ステップは、一般に、コンピュータ実装の空中感染リスク分析及び空気質算出システム122(
図1参照)上でのプログラムによる自律実行を意図しており、
図1に示されるように、空気質センサ102、104、106、108、110、112、114の少なくとも一部からのネットワーク通信された測定値を用い、ネットワーク対応機器132、134と相互作用する。
【0073】
ステップ202では、監視空気空間を有する分散された建物に関する設定された場所情報、顧客情報などをデータベース126から読み取る。
【0074】
次に、ステップ204で、建物とその1つ以上の監視空気空間を選択し、現在の監視空気空間として監視空気空間を選択する。
【0075】
ステップ206では、ネットワーク118を介して、現在の監視空気空間120内のネットワーク化された空気質センサ102、104、106、108、110、112、114から空気パラメータ測定値を読み取る。空気パラメータ測定値は、空気CO2濃度、空気微小粒子状物質PM2.5濃度、空気吸入性粒子状物質PM10濃度、空気相対湿度、気温のうちの1つ以上(例えば、すべて)を含む。ネットワーク化された空気質センサは、監視空気空間への体積新鮮空気流量の測定値を提供するように構成された新鮮空気流量センサを更に含んでもよい。空気パラメータ測定値は、揮発性有機化合物(VOC)、及びそれぞれのVOCセンサ、一例として、特にAQI算出のためのホルムアルデヒド濃度を含んでもよい。
【0076】
ステップ208では、現在の空気パラメータ測定値の一部又はすべてを任意に平滑化する。様々な実施形態によれば、平滑化は、ノイズを低減することを意味し得る。一例では、平滑化は、定義された期間、例えば1分又は5分にわたる各センサの最新の空気パラメータ測定値を一緒に平均化することによって実行されてもよい。例えば、単純移動平均又は累積移動平均として実行されてもよい。
【0077】
ステップ210では、利用可能なセンサと測定値に応じて、測定されたCO2、PM2.5、PM10、及び湿度のそれぞれの感染リスクスコアを(個別に)算出し、データベースに格納する。
【0078】
ステップ212では、ウイルス感染の減衰速度を算出する(1/コロナウイルス半減期として算出する)。
【0079】
ステップ214では、瞬間リスクスコアの最高値をウイルス感染の減衰速度でスケーリングして、減衰速度調整感染リスクスコアを算出する。
【0080】
ステップ216では、コンピュータ実装の空中ウイルス感染リスク分析及び空気質算出システム122のウェブポータルによるアクセスのため、センサ測定値、算出値、減衰速度、平滑化された測定値をデータベースに格納する。
【0081】
ステップ218では、ウェブポータルの測定データ、過去の傾向が更新され、ウェブポータルの算出結果が更新される。SMS助言メッセージが生成され、設定されたスマートフォンに送信される。助言メールメッセージが生成され、設定されたネットワーク機器に送信される。本発明のいくつかの態様では、所によって、ステップ218において、空気質(AQI)を改善し、空中ウイルスリスクを低減するために、濾過の改善、新鮮空気流量の調整、UV-C処理の調整など積極的に応答するように、追加のネットワークコマンド又は命令が生成され、ネットワークコマンドを受信するように構成された、設定されたネットワーク接続空気処理又は濾過器140及び/又は建物のHVACシステムに送信される。
【0082】
ステップ220では、現在の監視空間として、同じ又は次の建物の次の監視空間を選択する。その後、制御はステップ206に移行する。
【0083】
図3は、本発明の開示に関する、米国環境保護庁の空気質指数基準に裏付けられる、空気質指数(AQI)チャートである。空気質指数(AQI)は、測定された相対汚染物質濃度の最悪値によって決定される。各カテゴリは、健康への懸念の異なるレベルに対応する。
【0084】
空気質指数(AQI)は、米国環境保護庁(EPA)が作成したもので、測定される相対的な汚染物質濃度の最悪値によって決定される。各カテゴリは、健康への懸念の異なるレベルに対応する。
【0085】
図4は、コロナウイルスの半減期が温度と湿度にどのように関係しているかを表す3次元プロット図である(白から黒の濃淡で表示)。白黒表示でより理解しやすいように、半減期区画の一般的又はおおよその位置が文字でさらに記されている。プロットを理解しやすくするため、A=35分、B=30分、C=25分、D=20分、E=15分、F=10である。また、より良い理解のため、区画間におおよその点線が示されている。
【0086】
図4の空気中のSARS-COV-2の半減期減衰の算出根拠は、以下の式(Paul Dabishらによる「The Influence of
temperature, humidity, and simulated sunlight on the infectivity of SARS-COV-2
in aerosols」、Aerosol Science and Technology、5S巻、2021年、2号に記載)により裏付けられる。
式中、k
infectivityはウイルス感染の減衰定数min
-1(すなわち、1/(Covidウイルス半減期)単位:min
-1)、Tは温度℃、RHは相対湿度%、Sは積算UVB照度W/m
2である。
【数1】
【0087】
図5は、記録された微細粉塵物質(PM2.5)の濃度と、空中感染リスクスコアとの関係の一例である。
図5は一例である。各汚染物質のCAIRSスコア出力は、この例と同様に算出される。この関係は、具体的には以下のロジックで定義することができる(例としてPM10を使用)。
【0088】
PM10の空中ウイルスリスク感染スコア=(current_pmten-pmten_low)/(pmten_high-pmten_low)
式中、current_pmtenは現在のPM10の検出濃度、
pmten_lowは設定、算出、又は検出されたPM10の最低濃度、
pmten_highは設定、算出、又は検出されたPM10の最高濃度である。pmten_lowとpmten_highはそれぞれ、予め決定されてもよい。
【0089】
(この例では)PM10の高値と低値をそれぞれ10と17と定義した(
図5参照)。
【0090】
PM10の空中ウイルスリスク感染スコアが10未満の場合、この値は以下の式により0に平滑化される。
0.068×e^(0.5×(current_pmten/pmtwo_low×10))
【0091】
図6は、経過時間(日)に対する生存ウイルス残存率のプロットである。
【0092】
相対湿度20%、温度20℃、不活化log
10=-0.081/日(
図6、602参照)。
【0093】
私たちが生活、仕事、睡眠、通勤の90%を過ごす閉鎖空間の環境での人から人への伝播に関して、表面に付着したコロナウイルスは約1週間生存が可能である。このような表面上のコロナウイルスは、直接及び間接的な接触や浮遊・吸入により、感染しやすい人に伝播する可能性がある。
【0094】
(
図6、604)加熱乾燥した室内空気(20℃、80%RH)における、経過時間(日)に対する生存ウイルス残存率。不活化log
10=-0.212/日。
【0095】
(
図6、606)加湿された室内空気(20℃、50%RH)における、経過時間(日)に対する生存ウイルス残存率。不活化log
10=-0.896/日。空気を50%RHに加湿することで、2日間で生存ウイルスを1%未満に減少させ、感染リスクを大幅に減少させることができる。Casanova LMらによる「Effects of Air Temperature
and Relative Humidity on Coronavirus Survival on Surfaces」、APPLIED ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY、2010年5月、2712~2717頁を参照。
【0096】
図7は、室内空気のCO
2濃度と外気換気量(cfm/人)の関係を示している。これは、監視空気空間、例えば教室の安全な利用率を決定するための重要な要素である。外気換気量を増やすと、SARS-CoV-2の空気中濃度を下げることができ、その結果、空気中を伝播するリスクを下げることができる。換気量(新鮮な空気)が少ない閉鎖空間では、呼気やウイルスを再呼吸する可能性が高くなる。換気量を増やすと、呼気やウイルスを含むエアロゾルや空気中のウイルスへの曝露が減少する。したがって、室内空間のCO
2濃度は、その空間の一人当たりの新鮮空気換気量と直結できるため、空気中のウイルス濃度と直接相関する。
図7は、CO
2濃度と外部の新鮮空気換気量(cfm/人)の関係を示している。各換気量には、対応するCO
2濃度がある。外気濃度を400ppmとすると、室内のCO
2濃度1100ppmは15cfm/人と同等、濃度700ppmは30cfm/人と同等と考えられる。CO
2濃度と新鮮空気換気量の相関は、室内の利用者の数に依存しない。
【0097】
上述の明細書において、本発明の特定の実施形態が説明されている。しかしながら、当業者であれば、以下の特許請求の範囲に規定されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができることは明らかであろう。したがって、明細書及び図面は、制限的ではなく例示的な意味でみなされ、このようなすべての変更例は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。利益、利点、問題に対する解決策、及び、利益、利点、又は解決策を生じさせるか、より顕著にする任意の要素は、請求項のいずれか又はすべての重要な、必要な、若しくは必須の特徴又は要素であると解釈されることはない。本発明は、本出願の係属期間中になされた補正を含む添付の請求項、及び発行されたこれらの請求項のすべての均等物によってのみ定義される。
【国際調査報告】