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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】改善されたオメガ-3含有組成物
(51)【国際特許分類】
   C11B 1/04 20060101AFI20231109BHJP
   C11C 3/00 20060101ALI20231109BHJP
   C11B 11/00 20060101ALI20231109BHJP
   C11B 1/10 20060101ALI20231109BHJP
   A23L 33/115 20160101ALI20231109BHJP
【FI】
C11B1/04
C11C3/00
C11B11/00
C11B1/10
A23L33/115
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530197
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 US2020061561
(87)【国際公開番号】W WO2022108595
(87)【国際公開日】2022-05-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513267729
【氏名又は名称】ヌーター/エリクセン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】グドール、ブライアン エル.
(72)【発明者】
【氏名】ククレフ、ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】ボスティック、グレン エル.
【テーマコード(参考)】
4B018
4H059
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MA01
4B018MA04
4B018MD08
4B018MD10
4B018MD12
4B018MD14
4B018MD89
4B018MF01
4B018MF04
4B018MF14
4H059BA30
4H059BA32
4H059BA83
4H059BB03
4H059BB05
4H059BB06
4H059BB07
4H059BC06
4H059BC41
4H059BC47
4H059CA13
4H059CA24
4H059EA03
(57)【要約】
本開示は、生体利用可能な油組成物に関し、ここで総脂質含量の少なくとも20重量%は糖脂質又はリン脂質などの極性脂質を含み、前記極性脂質の少なくとも30重量%は糖脂質を含み、前記油組成物の4重量%以下はクロロフィル種で構成される。藻類油又は抽出物から前記油組成物を含む製剤及び前記油組成物を製造する方法も開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
総脂質濃縮物(concentration)を含む組成物であって、重量%で前記総脂質濃縮物の少なくとも20%は極性脂質画分を含み、前記極性脂質画分の重量%で約30%より多くは糖脂質を含み、前記組成物は、その重量%の4%以下をクロロフィル濃縮物として含む、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、前記組成物全体の重量%で少なくとも約75%の総脂質濃縮物を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、前記組成物全体の重量%の重量%で少なくとも約90%の総脂質濃縮物を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
重量%で前記総脂質濃縮物の少なくとも約50%が極性脂質画分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、その総重量%の約1.0%以下をクロロフィル濃縮物として含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、重量%で少なくとも約20%の総オメガ3をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物中の総オメガ3の重量%が、重量%で少なくとも約30%を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、重量%で少なくとも約20%の総EPAをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記糖脂質が、その極性脂質の重量%として少なくとも約60%を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が重量で少なくとも約20%の糖脂質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が重量で少なくとも約40%の糖脂質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、その極性脂質の重量%として、重量でその極性脂質の少なくとも約40%を含む、リン脂質をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記リン脂質が、重量でその極性脂質の少なくとも約60%を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、重量で少なくとも約20%のリン脂質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、重量で少なくとも約40%のリン脂質を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、重量で約4%以下の多糖類を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、重量で約2%以下の多糖類を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が周囲光において透明から濃い琥珀色を呈する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が約21.1℃(70°F)で粘稠~ワックス状のオイルテクスチャー(oil texture)を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
総脂質濃縮物を含む組成物であって、重量%で前記総脂質濃縮物の少なくとも50%は極性脂質画分を含み、前記極性脂質画分は、その極性脂質画分の重量%として少なくとも40%の糖脂質を含み、前記組成物は、その重量%の約1%以下をクロロフィル濃縮物として含む、組成物。
【請求項21】
総組成物が、重量で少なくとも約20%の糖脂質を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記総組成物が、重量で少なくとも約40%の糖脂質を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物が、前記組成物全体の重量%で少なくとも約75%の総脂質濃縮物を有する、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が、前記組成物全体の重量%で少なくとも約90%の総脂質濃縮物を有する、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
重量%で前記総脂質濃縮物の少なくとも約70%が極性脂質画分を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、その総重量%の約0.1%以下をクロロフィル濃縮物として含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、重量%で少なくとも約20%の総オメガ3をさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物中の総オメガ3の重量%が少なくとも約30%を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物が、重量%で少なくとも約20%の総EPAをさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物が、その極性脂質の重量で少なくとも約40%のリン脂質をさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項31】
前記リン脂質が、その極性脂質の重量%として少なくとも約60%を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記組成物が、重量%で少なくとも約20%のリン脂質を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項33】
前記組成物が、重量%で少なくとも約40%のリン脂質を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記組成物が、重量%で約4%以下の多糖類を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項35】
前記組成物が、重量で約1%以下の多糖類を含む、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物が周囲光において透明から濃い琥珀色を呈する、請求項20に記載の組成物。
【請求項37】
前記組成物が約21.1℃(70°F)で粘稠~ワックス状のオイルテクスチャーを有する、請求項20に記載の組成物。
【請求項38】
製剤であって、
総脂質濃縮物を含む組成物であって、重量%で前記総脂質濃縮物の少なくとも20%は極性脂質画分を含み、前記極性脂質画分の重量%で約30%より多くは糖脂質を含み、前記組成物は、その重量%の4%以下をクロロフィル濃縮物として含む、組成物と、
その他のオメガ3含有油、抗酸化剤、ビタミン、及びカンナビノイドからなる群より選ばれる1つ以上の添加剤と、
を含む、製剤。
【請求項39】
前記抗酸化剤が、アスタキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン、リコピン、α-カロテン、β-カロテン、及びクリプトキサンチンからなる群より選ばれる、請求項38に記載の製剤。
【請求項40】
クロロフィル含量の低い油組成物の製造方法であって、前記方法は、
a.極性脂質画分及び非極性脂質画分の両方を含み、クロロフィル濃縮物を有する藻類油又は抽出物を得るステップと、
b.前記藻類油又は抽出物における非極性成分から極性成分を分離するために極性脂質画分及び非極性脂質画分の極性特性を使用するステップと、
c.非極性含有画分から実質的に全てのクロロフィル濃縮物を漂白するステップと、
d.前記極性脂質画分及び非極性脂質画分を再結合して、クロロフィル含量の低い油組成物を生成するステップと、を含む、方法。
【請求項41】
クロロフィル含量の低い油組成物の製造方法であって、前記方法は、
a.藻類ペーストを得るステップと、
b.前記藻類ペーストをアルコールで抽出して、水分含量の低い藻類脂質のアルコール抽出物を形成するステップと、
c.前記アルコール抽出物を有機溶媒でさらに抽出して非極性脂質画分を分離することによって有機溶媒層中の非極性脂質画分を実質的に除去するステップと、
d.色素及び極性脂質を含むアルコール層を分離するステップと、
e.前記アルコール層に水を加え、前記有機溶媒を順次加えてさらに抽出することによって、色素画分が実質的に除去され、前記極性脂質を含む水-アルコール層を形成するステップと、
f.蒸発によって前記水-アルコール層から極性脂質画分を分離するステップと、を含む、方法。
【請求項42】
前記有機溶媒がヘキサン又はヘプタンである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記方法が色素含有画分の蒸発によって色素濃縮物を形成するステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記色素濃縮物がカロテノイド及びクロロフィルを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記非極性脂質画分がトリグリセリドを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記極性脂質画分が糖脂質及びリン脂質を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記極性脂質画分がEPAを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
前記極性脂質画分がパルミトレイン酸を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項49】
前記極性脂質画分が、重量%で約4%以下のクロロフィルを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
前記極性脂質画分が、重量%で約1%以下のクロロフィルを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項51】
前記極性脂質画分が、重量%で約0.1%以下のクロロフィルを含む、請求項41に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
当該なし。
【0002】
[連邦後援研究又は開発に関する陳述]
当該なし。
【背景技術】
【0003】
今日、オメガ-3油は、養殖業、漁業、及びその他の海洋資源のみでヒトの消費のための年間約80万トンのオメガ-3脂肪酸を供給できるため、需要が高い。これは、世界人口に毎日500mgのオメガ-3脂肪酸を供給するのに必要なヒトの栄養要求量である140万トンを下回っており、人口増加によってさらに悪化すると考えられる。オメガ-3脂肪酸の欠乏は、世界中で観察されており、特に北米、中央ヨーロッパ、中東、インド、ブラジル、及びイギリスに居住する人々に影響を及ぼしており、各国内では地域的及び社会経済的差が発見された。自然界には3つの主要なオメガ-3脂肪酸が発見される。18個の炭素と3つの二重結合を有するα-リノレン酸(alpha linoleic acid;ALA)は、例えば、亜麻仁、大豆油、及びオリーブなどに含まれている。乳児の発達に重要な22個の炭素と6つの二重結合を有するドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid;DHA)は、哺乳類(ヒトを含む)の母乳や魚油に含まれており、水生種(藻類)でのみ成長する。20個の炭素と5つの二重結合を有するエイコサペンタエン酸(Eicosapentaenoic acid;EPA)は、DHAと同様に水生種(藻類)でのみ増え、藻類を食べるクリルオキアミや魚、あるいは藻類自体から抽出できる。
【0004】
「働く藻類(working algae)」、すなわち、太陽光又は人工光及び光合成を使用して成長する藻類は、本質的に極性の脂質を含み、生体利用可能である一方、他の成分も含むが、これらの成分は前記藻類から抽出された油が全体的に非常に暗くてほぼ黒っぽく見えるようにし、また粘性が高く、タール状の黒い固体に似ている。
【0005】
栄養補助食品(nutraceutical)及び医薬品に使用するための、低粘度の、クロロフィル含量の低い、明るい琥珀色から濃い琥珀色の油として提供される、生体利用可能性(バイオアベイラビリティー)が高いEPA含有組成物は現在利用できないが、非常に望ましいものである。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、バイオアベイラビリティーが高められたEPAに富んだ組成物に関する。この組成物の出発物質は、一例として制限なく、藻類に由来し得る。一実施形態では、重量%で総脂質の少なくとも20%の総脂質濃縮物(concentration)の極性脂質画分を含む組成物が開示されており、ここで前記極性脂質画分は、重量で少なくとも30%の糖脂質を含み、前記組成物は、前記組成物の重量%の4%以下をクロロフィル濃縮物として含む。本明細書の特定の実施形態では、前記組成物はさらに、前記組成物の重量%の4%以下を多糖類組成物として含む。バイオアベイラビリティーが増加し、組成物プロファイル及び結果的な属性が改善されたEPAに富んだ組成物のさらなる実施形態も開示されている。
【0007】
上記の実施形態は、不透明度及び粘度の減少、ならびに他の有益な属性の点で、栄養補助食品及び医薬品分野の両方で使用するための魅力的な組成物を提供する。
【0008】
総脂質の少なくとも20重量%が極性脂質画分であり、前記極性脂質の少なくとも30重量%が糖脂質画分であるが、組成物においてクロロフィル画分は4重量%未満である、上記の組成物は、添加剤の非極性脂質及び/又はDHAなどの栄養補助食品油、又は以下でより詳しく説明された他の有益な添加剤を含む製剤をさらに含むことができ、これはまた、バイオアベイラビリティーがさらに高く、栄養が豊富であり、色がより明るく、粘度がより低い油の特定の有益な組み合わせを提供するのに役立つ。
【0009】
本開示はまた、藻類ペーストを得るステップと、前記藻類ペーストをアルコールで抽出して、藻類脂質のアルコール抽出物を形成するステップと、得られたアルコール抽出物を、抽出(例えば、炭化水素ヘキサン又はヘプタンなどの有機溶媒で)して、非極性脂質画分を分離し、色素及び極性脂質を含むアルコール層を追加の加工段階に移動させるステップと、抽出された(例えば、ヘプタンで)アルコール層に水を添加した後、順次に抽出して(例えば、ヘプタンで)色素画分を抽出し、極性脂質画分を分離するステップと、を含むクロロフィル含量の低い油組成物を製造する方法を含む。続いて、極性脂質は、前記極性脂質を含む画分から蒸発によって得ることができ、色素もまた、前記色素を含む画分の蒸発によって得ることができる。多糖類は、前記多糖類を含む画分から、前記画分を短い防寒処置段階(short winterization stage)に適用して得ることができる。また、クロロフィルは、適切な漂白物質を使用して前記クロロフィルを含む画分から除去できる。
【0010】
本開示はまた、極性脂質画分及び非極性脂質画分の両方を含み、またクロロフィル濃縮物を有する藻類油又は抽出物を得るステップを含むクロロフィル含量の低い油組成物を製造する代案的な方法を含む。前記方法は、非極性脂質画分と共にクロロフィル濃縮物を実質的に分離することを含み、藻類油又は抽出物中の非極性成分から極性成分を分離するために極性脂質画分及び非極性脂質画分の極性特性を使用するステップをさらに含む。追加のステップには、非極性含有画分から実質的に全てのクロロフィル濃縮物を漂白するステップと、極性脂質画分及び非極性脂質画分を再結合してクロロフィル含量の低い油組成物を生成するステップと、が含まれる。
【0011】
本開示のこれらの特徴及び他の特徴については、以下の詳細な説明でさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態の油を製造する例示的な方法に関する抽出及び漂白工程ステップの概略図を開示する。
図2】油組成物の所望の標的極性脂質、糖脂質及びクロロフィル濃縮物、バイオアベイラビリティー、色、及び粘度を有する本開示の組成物の実施形態の写真描写であり、その実施形態は本明細書に開示されている。
図3】例えば、本明細書に記載した方法の実施形態によって製造された粗エタノール藻類抽出物に含まれる多糖類を含む実質的に非脂質成分からなる本開示の方法の実施形態によって得られた粉末の写真描写である。
図4】実施例1で論じたように、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)のエタノール抽出物及び色素除去後の生成物の実施形態に関するスペクトルキャラクタリゼーションを示すグラフである。
図5】実施例2で論じたように、藻類抽出の実施形態に関する紫外可視スペクトルキャラクタリゼーションを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は、特許請求の範囲に記載された開示を例として説明するものであり、限定するものではない。この説明は、当業者が特許請求の範囲に記載された開示を作成及び使用できるように明確に可能にし、特許請求の範囲に記載された開示のいくつかの実施形態、調整(adaptation)、変形、代案、及び用途を説明する。さらに、特許請求の範囲に記載された開示は、以下の説明に具体的に記載、又は図面によって示された詳細及び組成物にのみこれを適用すると制限されないことを理解されたい。特許請求の範囲に記載された開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実行又は実施することができる。また、本明細書で使用される語句及び用語は説明を目的としたものであり、制限的なものとみなすべきではないことを理解されたい。
【0014】
本明細書に使用される「極性脂質」という用語は、親水性の頭部及び疎水性の尾部を有する両親媒性脂質を意味する。極性脂質の例としては、リン脂質及び糖脂質が含まれる。
【0015】
本明細書に使用される「非極性脂質」という用語は、電荷分布がほぼ均一であり、分子が正電荷末端及び負電荷末端を持たない脂肪分子を意味する。非極性脂質の例としては、油中の様々な脂肪酸のトリグリセリド(例えば、EPA及びパルミトレイン酸など)が含まれる。
【0016】
油組成物の開示された実施形態を生成するために、暗緑色さらには黒色の高粘性油として提供される藻類抽出物を得ることができる。
【0017】
藻類バイオマス抽出物を得るための手順、及び藻類バイオマスを準備するための出発藻類及び抽出手順は、以下のステップを含むことができる。
【0018】
ナンノクロロプシス又はクロレラ(Chlorella)藻類ペーストなどの藻類ペーストを得るステップと、エチルアルコールなどのアルコールで藻類ペーストを抽出して水分含量の低い藻類脂質のアルコール抽出物を形成するステップ(例えば、ナンノクロロプシス脂質のエタノール抽出物(以下、略して「EEN」と称する)を形成するステップ)と、得られたEENを抽出(例えば、炭化水素ヘキサン又はヘプタンなどの有機溶媒で)して非極性脂質(例えば、トリグリセリド、ワックス、カロテン)画分を分離し、これによってヘプタン層に「非極性脂質画分(図1のF#1)」を形成するステップと、を含む。アルコール層は色素及び極性脂質を含んでおり、追加の加工段階に移動することができる(図1を参照)。
【0019】
次の加工段階は、抽出された(例えば、ヘプタンで)アルコール層に水を加えた後、順次に抽出して(例えば、ヘプタンで)色素画分(図1を参照、ヘプタン層、F#3)を抽出し、極性脂質画分(図1を参照、水-アルコール層、F#2)を分離するステップを含むことができる。極性脂質は、F#2画分から蒸発によって得ることができ、色素はF#3画分の蒸発によって得ることができる。F#1層には、所定量のクロロフィル及びカロテノイドが含まれることができ、これらは、当業者に公知の方法、例えば、食用油の生産について公知の方法によって除去することができる。これらの方法の例としては、シリカゲル、B80、T41などの漂白土(bleaching clay)、及び活性炭などを使用した吸着-濾過が含まれる。F#1画分からクロロフィルを選択的に除去した結果、この実施形態では、赤色を含めてほぼ透明から濃い琥珀色を呈する多少液体ないし半固体の油を得ることができる。
【0020】
藻類油又は抽出物を得る代案的な方法は、米国特許第8,591,912 B1号(Kiran Kadam及びBrian Goodall)に開示されており、その内容は、いずれも本明細書に参照として組み込まれる。
【実施例
【0021】
以下の実施例は、本発明を例示するものである。
【0022】
[実施例1]
2.1 この実施例に対するプロセスプロトコル(図1を参照)
1)ナンノクロロプシス藻類ペースト(水中固形分22~27%)100gを秤量した。(ステップ1、図1
2)前記藻類ペーストを2Lフラスコに入れ、アルコール850mlを添加した。(ステップ1、図1
3)前記藻類を70℃の温度で45分間激しく撹拌しながら抽出した。(ステップ1、図1
4)前記エタノール抽出物から固体藻類残留物を濾過した(真空濾過)。(ステップ2、図1
5)前のステップからのエタノール抽出物を分別漏斗(2L)に入れ、得られた抽出物にヘプタン300mLを添加し、2分間激しく撹拌し、層を分離し、最上層を慎重に選別して、別のフラスコに入れて約120mLの緑色のヘプタン層を得た。(ステップ3、図1
6)さらにヘプタン100mLをエタノール層に添加し、2分間激しく撹拌し、層を分離し(エタノール層-下層、及びヘプタン層-上層)、最上層を慎重に選別し、前のステップから得られたヘプタン層と合わせた(~200-220mLの合わせた緑色のヘプタン層が得られた、画分F#1)。(ステップ4、図1
7)得られた全ヘプタン層にシリカゲル1gを添加し、5分間激しく撹拌した後、スラリーをシリカゲル1g層を介して濾過した(シリカゲルの代わりに、活性炭又はT41漂白土が使用されてもよい)。様々なシリカゲル、活性炭、及び漂白土の特性差によって、工場では材料の実際の量が調整されるべきである。(ステップ8、図1
8)このプロトコルのステップ6から下層(エタノール層)を取り出し、水350mLとヘプタン200mLを加え、混合物を2分間激しく振盪した。分離した相を約5分間静置した後、最上層を慎重に選別して別のフラスコに入れた(このステップで~400mLの緑色のヘプタン層が得られた)。(ステップ5、図1
9)ヘプタン200mL(3×200mL)を使用して上記ステップで下層を繰り返し抽出した。最上層を慎重に選別して前のステップから得られたヘプタン層と合わせた(~1000-1020mLの合わせた緑色のヘプタン層が得られた、画分F#3)。(ステップ5、図1
10)抽出された下層は、浄化された極性脂質(F#2)を含有した。この画分は、例えば、Helix Chromatography(15 E.Palantine Rd.#118,Prospect Heights,IL 60070;helixchrom.com)のAmaze-N漂白吸着剤又は同様の吸着剤(必要な場合)3gによって精製することができる。
11)得られた画分を45℃未満で加熱しながら真空中で蒸発させた。
【0023】
上記工程ステップと試験結果は、ナンノクロロプシス又はクロレラ脂質などの藻類抽出物からクロロフィルとカロテノイド画分を除去するための非常に効率的な液体-液体抽出方法であることを立証する。本開示の方法の上記実施形態を使用することによって、ナンノクロロプシスのエタノール抽出物から99%を超えるクロロフィルaとb、及びフェオフィチンが除去されただけでなく、カロテノイド(中極性カロテノイド)の約2/3が除去された。下記テーブル2及びテーブル3を参照する。テーブル2:抽出質量均衡(組成)及びテーブル3:組成物の質量及び重量%分析のためのナンノクロロプシスエタノール抽出物の主成分。色素除去後のナンノクロロプシスエタノール抽出物のスペクトル特性については図4を参考する。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
粘度測定値は、温度、製剤中の様々な成分の組成濃度などの要因によって変わり得るが、本明細書に記載のように、25℃で極性脂質画分と中性脂質画分を合わせた後、記載のように製造されたナンノクロロプシス抽出物の実施形態について測定された粘度読み取り値は、165,000mPa.’sであると示された。
【0027】
要約すると、実施例1に示した生成物は、流入したナンノクロロプシスエタノール抽出物の3つの画分に分解できる。1)画分(F#1)、非極性脂質、主にトリグリセリドと、2)画分(F#2)、糖脂質及びリン脂質を含む極性脂質と、3)画分(F#3)、ジグリセリド及びモノグリセリド、遊離脂肪酸(FFA’s)、カロテノイド及びクロロフィルを含む中極性画分と、に分解できる。浄化されたF#1及びF#2画分は、パルミトレイン酸及びエイコサペンタエン酸(EPA)を多く含む貴重な脂質源として使用できる。F#3は、クロロフィル、アスタキサンチン、及びゼアキサンチンなどを含む天然色素の濃縮物であり、食品添加物としても価値がある。画分F#1~F#3は、それぞれ食品添加物として使用することができ、生物学的潜在力の高い貴重な原料である。
【0028】
[実施例2]
藻類バイオマスの暗緑色のペーストサンプルは、一般的に米国特許第8,591,912 B1(一般的に、第6欄、62行目~第9欄、第3行目を参照)に説明された方法によって製造された。前記藻類バイオマスペーストは、熱無水エタノールで抽出された。具体的には、藻類ペースト66g、エタノール3×250mL、75℃、30’で、それぞれ500rpmで撹拌し、4450rpmで10分間遠心分離して藻類抽出液試料を得た。
【0029】
油抽出物についての分析を行った結果、藻類試料での主要極性脂質は、1)糖脂質(モノガラクトシルジグリセリド(MGDG)及びジガラクトシルジグリセリド(DGDG)及び2)リン脂質(ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、及びホスファチジルイノシトール)であることを立証した(本明細書のテーブル4を参照)。
【0030】
【表3】
【0031】
本明細書で定量された本開示の生体利用可能な、低いクロロフィル含量の、極性脂質が豊富な油の実施形態は、以下の追加のステップを使用して前記出発物質から製造された。
【0032】
1)非極性脂質、クロロフィル、及びその他の成分の混合物から極性差に基づいて極性脂質を分離した。
【0033】
2)上記実施例1に記載したように、一般的に植物油漂白用のよく開発されたプロトコルを使用して、残りの非極性脂質成分からクロロフィルを漂白し、例えば、シリカゲル1gを得られた全ヘプタン層に添加し、5分間激しく撹拌した後、スラリーをシリカゲル1g層を介して濾過した(シリカゲルの代わりに、活性炭又はT41漂白土が使用されてもよい)。様々なシリカゲル、活性炭、及び漂白土の特性差によって、工場では材料の実際の量が通常調整されるべきである。
【0034】
3)上記ステップ(1)の極性脂質画分を、上記ステップ(2)の漂白された非極性脂質と組み合わせた。
【0035】
一般に粘度が低く、ほぼ透明から淡褐色を呈する、生体利用可能な極性脂質が豊富な低クロロフィル含有の油組成物が得られた。スペクトル分析については図5を参照する。前記組成物は、摂氏約21.1(華氏70度)の周囲温度でワックス状の固体であった。前記組成物は温めると溶け、トリグリセリドなどの他の油と混合すると低粘度を示す。
【0036】
本明細書に記載の上記工程を使用して製造された本開示の生体利用可能な油の実施形態の油組成物を分析した結果、テーブル1に示すように、以下の成分及び特徴(列1)、及び成分範囲(列2)を有する油が得られたことを立証した。
【0037】
【表4】
【0038】
本出願に開示される油の成分の重量%及びその他の特性のわずかな変化は、当業者に公知のように使用された工程を変更することによって得られる。しかし、好ましくは、生成された油の総脂質濃縮物中の極性脂質画分の重量%は20重量%を超え、好ましくは、30重量%を超え、より好ましくは、40重量%を超え、よりさらに好ましくは、50重量%を超え、なおさらに好ましくは、約70重量%以上である。また、好ましくは、前記油生成物のうち、クロロフィル濃縮物の重量%は、総油生成物重量の4%未満、より好ましくは、3.0%未満、さらに好ましくは、2.0%未満、よりさらに好ましくは、1.0%未満、なおさらに好ましくは、約0.1%以下である。また、好ましくは、油生成物のうち、多糖類濃縮物の重量%は、総油生成物重量の約4%以下、より好ましくは、3.0%未満、さらに好ましくは、2.0%未満、よりさらに好ましくは、1.0%未満又はそれより低い。さらに、総極性脂質の重量%としての糖脂質の重量%は20%を超え、好ましくは、30%を超え、より好ましくは、約40%を超え、さらに好ましくは、50%を超え、よりさらに好ましくは、約60%以上であり、総油組成物のうち、糖脂質の重量%は10%を超え、より好ましくは、20%を超え、さらに好ましくは、約25%以上である。さらに、極性脂質の重量%としてのリン脂質の重量%は20%を超え、より好ましくは、30%を超え、さらに好ましくは、35%を超え、総油組成物のうち、リン脂質の重量%は20%を超え、より好ましくは、30%を超え、さらに好ましくは、40%を超える。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、出願人は、油生成物中の非常に低いクロロフィル濃縮物を含む、これらの特性の組み合わせにより、魅力的で淡い色のほぼ透明な琥珀色からより濃い琥珀色まで生成されると考える。また、総油生成物含量中のEPA濃度は、少なくとも20重量%、より好ましくは、少なくとも25重量%であり、さらに好ましくは、少なくとも約30重量%又はそれ以上が生成される。同様に、前記油生成物中のオメガ3含量は、少なくとも20重量%、より好ましくは、少なくとも25重量%であり、さらに好ましくは、少なくとも約30重量%又はそれ以上が生成される。生成された油のバイオアベイラビリティーの向上も達成された。
【0039】
また、本開示の工程の実施形態では、粗エタノール藻類抽出物中の多糖類などの非脂質成分の粉末が得られる。図3を参照する。
【0040】
また、本開示のEPA含有高極性含量油の場合、以下のようなクロロフィルの重量%が大幅に減少していることにも留意すべきである。1)クロロフィルa、2)プロトクロロフィルa、及び3)メチルクロロフィリド。好ましくは、前記組成物中のクロロフィルの重量%は、前記組成物の総重量%の4%未満、好ましくは、3%未満、より好ましくは、2%未満、さらに好ましくは、1%未満、よりさらに好ましくは、0.5%未満、なおさらに好ましくは、約0.1%未満である。
【0041】
本開示の組成物の別の実施形態では、前記組成物は、カロテノイド、例えば、カロテン(α及びβ)、及びゼアキサンチン(黄色色素)、及びカンタキサンチン及びゼアキサンチン(赤色色素)を含むいくつかの他の成分の重量%が増加しており、総カロテノイドは抽出物の総重量の0.5%を超え、好ましくは、1%以上を構成する。
【0042】
本開示の他の代案的な実施形態では、本明細書に開示の実施形態である、生体利用可能な高極性脂質を含み、EPAを含むクロロフィル含量の低い油組成物は、他の有用な成分が添加される製剤として提供できる。これらの他の有用な成分は、単独、又は1つ以上の組み合わせ、例えば、他のエッセンシャルオイル、栄養補助食品、及び健康補助食品などとの組み合わせで添加できる。具体的な例としては、以下が挙げられるが、これらに制限されない。1)その他のオメガ3含有油又は成分、例えば、DHA及びEPA(例えば、本発明の生成物として抽出される、又は外部から供給される中性脂質の形態)、本発明からのリゾ脂質(lysolipid)、又は外部から供給されるDHA又はEPAのエチルエステル、2)アスタキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン、リコピン、カロテン(α及びβ)、クリプトキサンチン、及びそれらの混合物を含むカロテノイド(本発明のカロテノイド画分を含む)などの抗酸化剤、3)ビタミンC及びDなどのビタミン、4)カンナビジオール(CBD)などのカンナビノイド、及び5)その他の組み合わせ。着色が少ない、及び/又は粘性の低い組成プロファイルを有するこれらの種のいくつかを含むそのような製剤は、本明細書に開示された方法の実施形態によって製造された高極性脂質、高糖脂質、及び低クロロフィル濃縮物を有する脂肪酸組成物を含む製剤の全般的な色プロファイル及び粘度を低下させることができると理解される。したがって、これは、例えば、元のバイオマスストック又は外部供給源から再添加される非極性脂質を含めることによって、又はそのような属性を示す製剤を製造することによって達成され得る。
【0043】
上述の極性EPA画分とDHA(オメガ3)とのブレンドを含む栄養補助食品製剤の例は、有利には10~90ないし90~10の比率であり得、ここで、好ましいレベルの極性EPA製剤成分が20~50%で混合される。このような製剤の用途には、心臓血管の健康、気分、抗うつなどのための主要な栄養補助食品/健康補助食品としての本質的な用途と共に製剤化する他の中性脂質及び成分のための送達システムとしての用途も含まれる。これは、DHA、EPAの他の中性形態、又はそれらの混合物であり得る。10~60%レベルのアスタキサンチンも、純粋な極性EPA脂質又はこれと中性EPA及び/又はEPAとのブレンドと共に好ましくは10~30%レベルで有利に製剤化することができる。このような製剤に有利に添加できる別の成分は、純粋又は前記製剤のいずれかにおける、極性EPAに対して約1~50%、好ましくは、約2~20%レベルのコエンザイムQ10である。
【0044】
他の属性に加えて、中性脂質が添加された製剤ブレンドは、例えば、50,000mPa・s、好ましくは、10,000mPa・s未満、より好ましくは、約2,000mPa・s未満、もっとも好ましくは、約300mPa・s以下などの様々な粘度レベルを目標とするのに有用であり得る。
【0045】
上記の観点で、本開示のいくつかの目的及び利点が達成され、他の有利な結果が得られたことが分かるであろう。
【0046】
本開示の範囲から逸脱することなく、上記の構成に様々な変更を加えることができるため、上記の説明に含まれる、又は添付図面に示されるすべての事項は、例示的なものとして解釈されるべきであり、制限的な意味として解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
総脂質濃縮物(concentration)を含む組成物であって、重量%で前記総脂質濃縮物の少なくとも50%は極性脂質画分を含み、前記極性脂質画分は、その極性脂質画分の重量%として少なくとも40%の糖脂質を含み、前記組成物は、その総重量%の約0.1%以下をクロロフィル濃縮物として含む、組成物。
【請求項2】
総脂質濃縮物(concentration)を含む組成物であって、重量%で前記総脂質濃縮物の少なくとも50%は極性脂質画分を含み、前記極性脂質画分は、その極性脂質画分の重量%として少なくとも40%の糖脂質を含み、前記組成物は、その重量%の約1%以下をクロロフィル濃縮物として含み、周囲光において透明から濃い琥珀色を呈する、組成物。
【請求項3】
総脂質濃縮物(concentration)を含む組成物であって、重量%で前記総脂質濃縮物の少なくとも50%は極性脂質画分を含み、前記極性脂質画分の重量%で約50%より多くは糖脂質を含み、重量%で前記総脂質濃縮物の少なくとも25%はEPA濃縮物を含み、前記組成物の重量%の1%以下はクロロフィル濃縮物を含む、組成物。
【請求項4】
前記組成物が、その重量%の0.5%以下をクロロフィル濃縮物として含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、その重量%の0.1%以下をクロロフィル濃縮物として含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、重量%での約1%以下の多糖類を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が周囲光において透明から濃い琥珀色を呈する、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、重量%で少なくとも約30%の総脂質濃縮物をEPA濃縮物としてさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
製剤であって、
総脂質濃縮物を含む組成物であって、重量%で前記総脂質濃縮物の少なくとも20%は極性脂質画分を含み、前記極性脂質画分の重量%で約30%より多くは糖脂質を含み、前記製剤の前記組成物は、その重量%の0.1%以下をクロロフィル濃縮物として含む、組成物と、
1つ以上の添加剤と、を含み、
前記1つ以上の添加剤は、ALA及びDHAの一方又は両方を含む油からなる群より選ばれるオメガ3含有油と、抗酸化剤と、ビタミンと、カンナビノイドとからなる群より選ばれる、
製剤。
【請求項10】
総脂質濃縮物(concentration)を含む組成物であって、重量%で前記総脂質濃縮物の少なくとも20%は極性脂質画分を含み、前記極性脂質画分の重量%で約30%より多くは糖脂質を含み、前記組成物は、その重量%の1.0%以下をクロロフィル濃縮物として含み、透明から濃い琥珀色を呈する、組成物。
【請求項11】
前記組成物が、前記組成物全体の重量%で少なくとも約75%の総脂質濃縮物を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、前記組成物全体の重量%の重量%で少なくとも約90%の総脂質濃縮物を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
重量%で前記総脂質濃縮物の少なくとも約50%が極性脂質画分を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、重量%で少なくとも約20%の総オメガ3をさらに含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物中の総オメガ3の重量%が、重量%で少なくとも約30%を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、重量%で少なくとも約20%の総EPAをさらに含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項17】
前記糖脂質が、その極性脂質の重量%として少なくとも約60%を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が重量で少なくとも約20%の糖脂質を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が重量で少なくとも約40%の糖脂質を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、その極性脂質の重量%として、重量でその極性脂質の少なくとも約40%を含む、リン脂質をさらに含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項21】
前記リン脂質が、重量でその極性脂質の少なくとも約60%を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が、重量で少なくとも約20%のリン脂質を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物が、重量で少なくとも約40%のリン脂質を含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が、重量で約4%以下の多糖類を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物が、重量で約2%以下の多糖類を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が約21.1℃(70°F)で粘稠~ワックス状のオイルテクスチャー(oil texture)を有することを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項27】
総脂質濃縮物を含む組成物であって、重量%で前記総脂質濃縮物の少なくとも50%は極性脂質画分を含み、前記極性脂質画分は、その極性脂質画分の重量%として少なくとも40%の糖脂質を含み、前記組成物は、その重量%の1.0%以下をクロロフィル濃縮物として含み、透明から濃い琥珀色を呈する、組成物。
【請求項28】
総組成物が、重量で少なくとも約20%の糖脂質を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記総組成物が、重量で少なくとも約40%の糖脂質を含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物が、前記組成物全体の重量%で少なくとも約75%の総脂質濃縮物を有する、請求項27に記載の組成物。
【請求項31】
前記組成物が、前記組成物全体の重量%で少なくとも約90%の総脂質濃縮物を有する、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
重量%で前記総脂質濃縮物の少なくとも約70%が極性脂質画分を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項33】
前記組成物が、重量%で少なくとも約20%の総オメガ3をさらに含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項34】
前記組成物中の総オメガ3の重量%が少なくとも約30%を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記組成物が、重量%で少なくとも約20%の総EPAをさらに含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物が、その極性脂質の重量で少なくとも約40%のリン脂質をさらに含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項37】
前記リン脂質が、その極性脂質の重量%として少なくとも約60%を含む、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記組成物が、重量%で少なくとも約20%のリン脂質を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項39】
前記組成物が、重量%で少なくとも約40%のリン脂質を含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記組成物が、重量%で約4%以下の多糖類を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項41】
前記組成物が、重量で約1%以下の多糖類を含む、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記組成物が約21.1℃(70°F)で粘稠~ワックス状のオイルテクスチャーを有する、請求項27に記載の組成物。
【請求項43】
クロロフィル含量く極性脂質含量が増加した油組成物の製造方法であって、前記方法は、
a.藻類バイオマスを得るステップと、
b.前記藻類バイオマスをアルコールで抽出して、水分含量の低い藻類脂質のアルコール抽出物を形成するステップと、
c.前記アルコール抽出物を有機溶媒でさらに抽出して非極性脂質画分を分離することによって有機溶媒層中の非極性脂質画分を実質的に除去するステップと、
d.色素及び極性脂質を含むアルコール層を分離するステップと、
e.前記アルコール層に水を加え、前記有機溶媒を順次加えてさらに抽出することによって、色素画分が実質的に除去され、前記極性脂質を含む水-アルコール層を形成するステップと、
f.蒸発によって前記水-アルコール層から極性脂質画分を分離し、製造されたクロロフィル含量が低く極性脂質含量が増加した油組成物を分離するステップと、を含む、方法。
【請求項44】
前記アルコールがエタノールである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記有機溶媒がヘキサン又はヘプタンである、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記方法が色素含有画分の蒸発によって色素濃縮物を形成するステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記色素濃縮物がカロテノイド及びクロロフィルを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記非極性脂質画分がトリグリセリドを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
前記極性脂質画分が糖脂質及びリン脂質を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
前記極性脂質画分がEPAを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項51】
前記極性脂質画分がパルミトレイン酸を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項52】
前記極性脂質画分が、重量%で約4%以下のクロロフィルを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項53】
前記極性脂質画分が、重量%で約2%以下のクロロフィルを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項54】
前記極性脂質画分が、重量%で約1%以下のクロロフィルを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項55】
前記極性脂質画分が、重量%で約0.1%以下のクロロフィルを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項56】
前記藻類バイオマスは、ナンノクロロプシス又はクロレラ藻類から得られる、請求項43に記載の方法。
【請求項57】
前記カロテノイドは、α-カロテン及びβ-カロテンを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項58】
前記カロテノイドは、ゼアキサンチン(黄色色素)を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項59】
前記カロテノイドは、カンタキサンチンを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項60】
前記カロテノイドは、前記抽出物の総重量の0.5%より多くを構成する、請求項47に記載の方法。
【請求項61】
前記カロテノイドは、前記抽出物の総重量の1%より多くを構成する、請求項47に記載の方法。
【請求項62】
分離された、製造されたクロロフィル含量が低く極性脂質含量が増加した前記油組成物の前記極性脂質画分は、重量%でその総脂質含量の20%以上である、請求項43に記載の方法。
【請求項63】
分離された、製造されたクロロフィル含量が低く極性脂質含量が増加した前記油組成物の前記極性脂質画分は、重量%で20%以上の糖脂質を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項64】
分離された、製造されたクロロフィル含量が低く極性脂質含量が増加した前記油組成物の総脂質含量は、重量%で10%以上の糖脂質を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項65】
分離された、製造されたクロロフィル含量が低く極性脂質含量が増加した前記油組成物は、重量%で少なくとも40%の極性脂質画分を有し、該極性脂質画分は、重量%で30%以上の糖脂質画分を有し、前記油組成物の総脂質含量は、重量%で20%以上の糖脂質画分を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項66】
分離された、製造されたクロロフィル含量が低く極性脂質含量が増加した前記油組成物は、すべて重量%で、少なくとも70%の総脂質の極性脂質画分と、少なくとも30%の総オメガ3と、少なくとも20%のEPA画分と、少なくとも30%の総極性脂質の糖脂質画分と、少なくとも20%の総油生成物の糖脂質画分と、少なくとも20%の総極性脂質濃縮物のリン脂質画分と、少なくとも15%の総油生成物の総リン脂質画分と、を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項67】
処理のいずれのステップにおいても無機の強酸の添加を含まない、請求項43に記載の方法。
【国際調査報告】