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特表2023-548436二重ルーメンカニューラおよび使用の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-16
(54)【発明の名称】二重ルーメンカニューラおよび使用の方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/36 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
A61M1/36 149
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550749
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 IL2021051335
(87)【国際公開番号】W WO2022101904
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】63/111,803
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/112,183
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523171490
【氏名又は名称】インスピラ テクノロジーズ オキシー ビー.エイチ.エヌ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170184
【弁理士】
【氏名又は名称】北脇 大
(72)【発明者】
【氏名】ベン ヌーン、ダギ
(72)【発明者】
【氏名】シャブタイ、アブラハム
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077DD20
4C077DD21
4C077EE01
4C077FF02
(57)【要約】
本発明は、単一ルーメンカニューラのように単純に患者の身体の中へと挿入されるように構成された二重ルーメンカニューラに関する。当該二重ルーメンカニューラは、少なくとも1つの内側ルーメンを有し、該少なくとも1つの内側ルーメンは、少なくとも2つの端部、内側ルーメン近位端部および内側ルーメン遠位端部を有し、内側ルーメン遠位端部に1つ以上の開口部を有する中空中間領域を前記の2つの端部の間に有し、かつ、内側ルーメン近位端部に少なくとも1つの内側ルーメンコネクターユニットを有し;当該二重ルーメンカニューラは、少なくとも1つの外側ルーメンを有し、該少なくとも1つの外側ルーメンカニューラは、2つの端部、外側ルーメン近位端部および外側ルーメン遠位端部を有し、1つ以上の開口部を有する中空中間領域を前記の2つの端部の間に有し、前記の中間領域はさらに、外側ルーメン遠位端部に1つ以上の開口部を有し、かつ、少なくとも1つの外側ルーメンカニューラは、外側ルーメン近位端部に少なくとも1つの外側ルーメンコネクターユニットを有し;かつ、当該二重ルーメンカニューラは、少なくとも1つの流れルーターを有する。外側ルーメンがまず、患者の身体の中へと挿入され、かつ、その後でのみ内側ルーメンが、内側ルーメンコネクターユニットが外側ルーメンコネクターユニットと連結接続するまで外側ルーメンを通して患者の身体の中へと挿入される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重ルーメンカニューラであって、当該カニューラは:
少なくとも1つの内側ルーメンを有し、該少なくとも1つの内側ルーメンは、少なくとも2つの端部、内側ルーメン近位端部および内側ルーメン遠位端部を有し、前記内側ルーメン遠位端部に1つ以上の開口部を有する中空中間領域を前記の2つの端部の間に有し、かつ、前記内側ルーメン近位端部に少なくとも1つの内側ルーメンコネクターユニットを有し;
少なくとも1つの外側ルーメンを有し、該少なくとも1つの外側ルーメンは、少なくとも2つの端部、外側ルーメン近位端部および外側ルーメン遠位端部を有し、1つ以上の開口部を有する中空中間領域を前記の2つの端部の間に有し、前記中間領域はさらに、前記外側ルーメン遠位端部に1つ以上の開口部を有し、かつ、前記の少なくとも1つの外側ルーメンは、前記外側ルーメン近位端部に少なくとも1つの外側ルーメンコネクターユニットを有し;かつ、
少なくとも1つの流れルーターを有し;
前記内側ルーメンは、前記内側ルーメンコネクターユニットが前記外側ルーメンコネクターユニットと連結接続するまで前記外側ルーメンの中へと挿入されるように構成され;
前記流れルーターは、前記内側ルーメンコネクターユニットに接続し;かつ、前記流れルーターから1つ以上の医療デバイスへの接続は、前記内側ルーメンおよび前記外側ルーメンと同一直線上である、
前記カニューラ。
【請求項2】
前記内側ルーメンの前記中間領域がさらに、前記外側ルーメンの前記遠位端部と前記近位端部との間であって、かつ、組み立てられたときに前記外側ルーメン内にある前記内側ルーメンの領域内に配置された1つ以上の穴を有する、請求項1に記載のカニューラ。
【請求項3】
前記外側ルーメンがさらに、前記内側ルーメンの位置を標的領域に向けて集中させるための狭い領域をその遠位端部に有する、請求項1または2のいずれかに記載のカニューラ。
【請求項4】
前記外側ルーメンの前記中間領域上の前記の1つ以上の開口部が、少なくとも1つの排出開口部である、請求項1~3のいずれかに記載のカニューラ。
【請求項5】
前記外側ルーメンコネクターユニットが前記内側ルーメンコネクターユニットに接続される際に、前記内側ルーメンコネクターユニットが、前記流れルーターから前記外側ルーメンおよび前記内側ルーメンの両方への流路を提供する、請求項1~4のいずれかに記載のカニューラ。
【請求項6】
前記の少なくとも1つの流れルーターがさらに、少なくとも1つの医療デバイスに接続された1つ以上のコネクター管類に接続するための入口ポート(50)を有する、請求項1~5のいずれかに記載のカニューラ。
【請求項7】
前記外側ルーメンがさらに、挿管されるとすぐに前記外側カニューラを患者の身体へと固定することを可能にする少なくとも1つの縫合要素を有する、請求項1~6のいずれかに記載のカニューラ。
【請求項8】
前記内側ルーメンまたは前記外側ルーメンがさらに、1つ以上の較正マーク(190)を有する、請求項1~7のいずれかに記載のカニューラ。
【請求項9】
前記流れルーターがさらに、前記外側カニューラから前記外側ルーメンコネクターユニットを通り、その後で外側ルーメンコネクターユニットを通り前記医療デバイスへと続く第1の内部流れチャンネル位置接続領域を有する、請求項1~8のいずれかに記載のカニューラ。
【請求項10】
前記流れルーターがさらに、前記医療デバイスから前記内側ルーメンコネクターユニットを通り前記内側ルーメンへと続く第2の内部流れチャンネルを有する、請求項1~9のいずれかに記載のカニューラ。
【請求項11】
前記の第1の内部流れチャンネルが、前記医療デバイスから前記内側ルーメンコネクターユニットを通り前記外側ルーメンコネクターユニットへと続き、その後で前記外側ルーメンへと続く流路を提供するように流れが逆転する、請求項9または10に記載のカニューラ。
【請求項12】
前記の第2の内部流れチャンネルが、前記内側カニューラから前記内側ルーメンコネクターユニットを通り前記医療デバイスへと続く流路を提供するように流れが逆転する、請求項9~11に記載のカニューラ。
【請求項13】
前記外側ルーメンコネクターユニットがさらに、1つ以上のバーブを有する、請求項1~12のいずれかに記載のカニューラ。
【請求項14】
前記外側ルーメンおよび前記外側ルーメンコネクターユニットが単一のピースとして形成される、請求項13に記載のカニューラ。
【請求項15】
前記内側ルーメンコネクターユニットがさらに、前記外側ルーメンコネクターユニットからの1つ以上のバーブに接続し、かつ、封止するための1つ以上の可撓性コネクターを有する、請求項1~14のいずれかに記載のカニューラ。
【請求項16】
前記内側ルーメンコネクターユニットがさらに、鉛直方向分離壁、ならびに、1つ以上のルーメン開口部を介した前記内側ルーメンへの別個の流れチャンネル、および、前記外側ルーメンコネクターユニットを通る前記外側ルーメンへの別個の流れチャンネルを作り出すためのチャンバーを有する、請求項1~14のいずれかに記載のカニューラ。
【請求項17】
患者の脈管系へとカニューラを導入するための方法であって、当該方法は:
第1の外側ルーメンカニューラを患者の脈管系の中へと、導入器、および、任意選択的には前記外側ルーメンを通ってその遠位端部まで引かれるガイドワイヤーの使用を通して挿入することを有し;
前記導入器およびガイドワイヤーを回収して、前記外側ルーメンに血液で再び満たされる小さい真空を引き起こすことを有し;
プライミングシステムに接続されたプライミングキャップの使用を通して第2の内側ルーメンカニューラをプライミングすることを有し、プライミングの完了後に前記プライミングキャップは除去され;かつ、
内側ルーメン接続ユニットが外側ルーメン接続ユニットに取り付けられるまで、前記の第2の内側ルーメンカニューラを前記の第1の外側ルーメンカニューラ内に挿入することを有する、
前記方法。
【請求項18】
前記の第1の外側ルーメンカニューラが、バタフライを通して通常の縫合糸を縫い付けることによって前記患者の皮膚に縫合される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
1つ以上の流れルーターが前記内側ルーメン接続ユニットに接続される、請求項17または18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記の1つ以上の医療デバイスが前記流れルーターに接続される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2020年11月10日付けで出願の「二重ルーメンカニューラ」と題する米国仮特許出願第63/111,803号および2020年11月11日付けで出願の「二重ルーメンカニューラ」と題する米国仮特許出願第63/111,813号への優先権を主張し、それらの内容はそれぞれ、参照によって本明細書に完全に記載されたかのように組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して二重ルーメンカニューラアセンブリーに関し、かつ、いっそう具体的には、本発明は、外側ルーメンと内側ルーメンがリアルタイムで身体内において接続され、かつ、新規な流れルーターコネクターを通る逆の流れ方向を有する二重ルーメンカニューラに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
透析および体外酸素化のような血液の体外処置を必要とする医学的処置は、身体からの未処置の血液の除去および身体の中へと戻るような処置された血液の再挿入のための別個の管類を必要とする。脈管系内へとかかる管類を実装するための、2つの概して実施される技術が存在する-2つの単一ルーメンカニューラおよび二重ルーメンカニューラ。これらの技術は両方とも、重大な課題を有する。
【0004】
2つの単一ルーメンカニューラの使用は、それらが2つの別個の切開部位を必要とするため、好ましくない。多数の切開部位の使用は、とりわけカニューラが何時間または何日も身体内で保持される手順について患者の不快感を引き起こし、かつ、感染のリスクも増大させる。さらに、医療チームは、管の挿入を2度繰り返す必要があり、したがってリスクと手順のこの段階に必要とされる時間が2倍になる。
【0005】
二重ルーメンカニューラの使用もまた、多数の理由から難易度が高い。二重ルーメンカニューラの1つの特定の課題は、二重ルーメンカニューラが挿入およびプライミングされる様式に関する。典型的には、二重ルーメンカニューラはスタンドアロンなデバイスとして挿入され、遠位端部は脈管系内にあり、かつ、近位端部は身体外にある。近位端部は、Y字状に分岐していてもよい2つの管を含む。二重ルーメンカニューラが静脈に完全に挿入されると、二重ルーメンカニューラの近位端部の各ルーメンはその後、別個の管類に接続される。この接続工程は、二重ルーメンカニューラに対して相当な力を奏することを必要とし、血管の貫通のリスクを上昇させる。さらに、気泡が脈管系に入らないことを確実にするために、管類への各ルーメンの接続の最中に注意が必要である。このことは、典型的には各ラインの開放端に生理食塩水を流し込むことによって行われる。実務家によって受けられた広範囲の訓練にも関わらず、気泡が血流に入ることを防ぐことは未だに極度に困難である。気泡が入ることは、潜在的には致命的であり得る塞栓の形成をもたらすであろう。
【0006】
二重ルーメンカニューラを使用するために、本技術分野においていくつかの試みがなされた。以下の参考文献は、本発明の分野に関連すると考えられるであろう:米国特許出願第2021023336号、米国特許第5053004号および米国特許第5718678号。
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
1つの主たる態様では、本発明は、二重ルーメンカニューラであって、単一ルーメンカニューラとして単純で標準的な手順で患者の身体内へと最初に挿入される外側ルーメンの中への内側ルーメンの挿入の際に、インビボでリアルタイムに二重ルーメンカニューラへと組み立てられる、外側ルーメンとそれとは別個の内側ルーメンからなる前記二重ルーメンカニューラを提供することを目的とする。両方のルーメンは、以下で詳細に説明されるように、二重ルーメンカニューラの各ルーメンにおける流れ方向をさらに決定する新規なコネクターアセンブリーによって患者の身体内で組み立てられる。外側ルーメンおよび内側ルーメンは好ましくは、一方のカニューラが他方のカニューラ内に挿入されている間に二重ルーメンカニューラの外側および内側ルーメン内で逆の流れ方向を可能にする新規なコネクターアセンブリーによって可逆的に接続される。
【0008】
本発明によれば、外側ルーメンカニューラは、それが単一ルーメンカニューラとして患者の脈管系内に位置するときのカニューラに対する最小限の力を奏することで患者の脈管系へと挿入されている。外側カニューラの挿管は好ましくは、標準的な挿管手順によって実行される。
【0009】
外側ルーメンが患者の身体内に位置するとき、内側ルーメンはまず、所望のデバイスまたはシステム(血液処置システムのようなものであるが、それに限定されない)に接続され、かつ、プライミングされ、外側の中へと挿入される準備ができるようになっている。
【0010】
したがって、1つの主たる態様では、本発明は二重ルーメンカニューラに関し、当該カニューラは:少なくとも1つの内側ルーメンを有し、該少なくとも1つの内側ルーメンは、少なくとも2つの端部、内側ルーメン近位端部および内側ルーメン遠位端部を有し、内側ルーメン遠位端部に1つ以上の開口部を有する前記の2つの端部の間の中空中間領域を有し、かつ、内側ルーメン近位端部に少なくとも1つの内側ルーメンコネクターユニットを有し;少なくとも1つの外側ルーメンを有し、該少なくとも1つの外側ルーメンは、少なくとも2つの端部、外側ルーメン近位端部および外側ルーメン遠位端部を有し、1つ以上の開口部を有する前記の2つの端部の間の中空中間領域を有し、前記中間領域はさらに、外側ルーメン遠位端部に1つ以上の開口部を有し、かつ、該少なくとも1つの外側ルーメンは、外側ルーメン近位端部に少なくとも1つの外側ルーメンコネクターユニットを有し;かつ、少なくとも1つの流れルーターを有し;内側ルーメンは、前記内側ルーメンコネクターユニットが前記外側ルーメンコネクターユニットと連結するまで前記外側ルーメンの中へと挿入されるように構成される。流れルーターは内側ルーメンコネクターユニットに接続し、流れルーターから1つ以上の医療用デバイスへの接続は好ましくは、内側ルーメンおよび外側ルーメンと同一直線上であるが、必ずしもそうでなくてもよい。内側ルーメンの中間領域はさらに、外側ルーメンの遠位端部と近位端部との間であって、組み立てられたときに外側ルーメン内にある内側ルーメンの領域内に配置された1つ以上の穴を有する。外側ルーメンは好ましくは、内側ルーメンの位置を標的領域に集中させるためにその遠位端部に狭い領域を有する。外側ルーメンの中間領域上の開口部は、少なくとも1つの排出開口部である。
【0011】
内側ルーメンコネクターユニットへの外側ルーメンコネクターユニットの接続の際、内側ルーメンコネクターユニットは、流れルーターから前記外側ルーメンおよび前記内側ルーメンの両方への流路を提供する。流れルーターはさらに、少なくとも1つの医療用デバイスに接続された1つ以上のコネクター管類に接続するための入口ポートを有する。
【0012】
外側ルーメンは、一旦挿管されると患者の身体への外側カニューラの固定を可能にする少なくとも1つの縫合要素をさらに有していてもよく、かつ、1つ以上の較正マークをさらに有していてもよい。
【0013】
本明細書で提供される二重ルーメンカニューラの流れルーターはさらに、外側カニューラから外側ルーメンコネクターユニット、その後で内側ルーメンコネクターユニットを通り医療用デバイスへと続く第1の内部流れチャンネル位置接続領域を有していてもよい。いくつかのその他の実施形態では、流れルーターはさらに、医療用デバイスから内側ルーメンコネクターユニットを通り内側ルーメンへと続く第2の内部流れチャンネルを有する。
【0014】
まだ、本発明のいくつかのその他の実施形態では、血流が逆転し、第1の内部流れチャンネルが医療用デバイスから内側ルーメンコネクターユニットを通り外側ルーメンコネクターユニットへと、その後で外側ルーメンへと続く流路を提供するようになっている。代替的には、血流が逆転し、第2の内部流れチャンネルが内側カニューラから内側ルーメンコネクターユニットを通り医療用デバイスへと続く流路を提供するようになっている。
【0015】
いくつかの任意選択的な実施形態では、外側ルーメンコネクターユニットはさらに、1つ以上のバーブを有する。任意選択的には、外側ルーメンおよび外側ルーメンコネクターユニットは、単一のピースとして形成されてもよい。
【0016】
いくつかの任意選択的な実施形態では、内側ルーメンコネクターユニットはさらに、外側ルーメンコネクターユニットからの1つ以上のバーブに接続し、かつ、封止するための1つ以上の可撓性コネクターを有する。
【0017】
いくつかの任意選択的な実施形態では、内側ルーメンコネクターユニットはさらに、1つ以上のルーメン開口部を介して内側ルーメンへと続く別個の流れチャンネルおよび外側ルーメンコネクターユニットを通り外側ルーメンへと続く別個の流れチャンネルを作り出すための鉛直方向分割壁およびチャンバーを有する。
【0018】
本発明はさらに、患者の脈管系へとカニューラを導入するための方法に関し、当該方法は少なくとも次のステップを有し、該ステップは:外側ルーメンを通してその遠位端部まで引かれる導入器(および、任意選択的にはガイドワイヤー)の使用を通し患者の脈管系の中へと第1の外側ルーメンカニューラを挿入するステップであり;導入器およびガイドワイヤーを回収し、小さい真空が外側ルーメンに生じることを引き起こすステップであり、外側ルーメンには血液が再び満たされ;プライミングシステムに接続されたプライミングキャップの使用を通して第2の内側ルーメンカニューラをプライミングするステップであり、プライミングの完了に続いてプライミングキャップが除去され;かつ、内側ルーメン接続ユニットが外側ルーメン接続ユニットに取り付けられるまで前記の第1の外側ルーメンカニューラ内に第2の内側ルーメンカニューラを挿入するステップである。
【0019】
前記の第1の外側ルーメンカニューラは、バタフライを通して通常の縫合糸を縫い付けることによって患者の皮膚に縫合されてもよい。任意選択的には、1つ以上の流れルーターが内側ルーメン接続ユニットに接続され、かつ、医療用デバイスが流れルーターに接続される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
添付の図面を参照して、本開示の実施形態を示す例が以下で説明される。図面に示されているコンポーネントおよび特徴の寸法は概して、提示の便宜および明確性のために選択され、かつ、必ずしも縮尺通りではない。提示された図面の多くは概略図の形態であり、そのようであるので、特定の要素は、図示の明確性のために、大きく簡略化され、または、縮尺通りではないであろう。図面は、製作図であることを意図しない。
【0021】
図面(図)は、以下に列挙される。
【0022】
図1A図1Aは、本発明の任意選択的な実施形態による、排出外側ルーメン、および、それを通ってコネクターアセンブリーによって接続された注入内側ルーメンを有する、組み立てられ使用の準備ができた形態の、革新的な二重ルーメンカニューラの少なくとも1つの実施形態の等角図である。
図1B図1Bは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図1Aの二重ルーメンカニューラの排出外側ルーメンの少なくとも1つの実施形態の概略的な側面図である。
図1C図1Cは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図1Aの二重ルーメンカニューラの注入内側ルーメンの少なくとも1つの実施形態の概略的な等角図である。
図1D図1Dは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図1Aの二重ルーメンカニューラの内側ルーメンと外側ルーメンとの間の接続領域の概略的な等角部分図である。
図1E図1Eは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、流れルーメンコネクターを含む図1Aの二重ルーメンカニューラの内側ルーメンと外側ルーメンとの間の接続領域の概略的な断面部分図である。
図2A図2Aは、本発明の任意選択的な実施形態による、排出外側ルーメン、および、それを通ってコネクターアセンブリーによって接続された注入内側ルーメンを有する、組み立てられ使用の準備ができた形態の、革新的な二重ルーメンカニューラの少なくとも1つの別の実施形態の等角図である。
図2B図2Bは、図2Aの二重ルーメンカニューラの外側排出カニューラの遠位端部および外側カニューラから出た延伸した内側注入カニューラの重複領域の概略的な等角拡大図である。
図3A図3A~3Bは各々、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図2Aの二重ルーメンカニューラの排出外側ルーメンの概略的な平面図および等角図である。
図3B図3A~3Bは各々、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図2Aの二重ルーメンカニューラの排出外側ルーメンの概略的な平面図および等角図である。
図4A図4A~4Bは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図2Aの二重ルーメンカニューラの注入内側ルーメンの概略的な等角背面図および等角側面図である。
図4B図4A~4Bは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図2Aの二重ルーメンカニューラの注入内側ルーメンの概略的な等角背面図および等角側面図である。
図5A図5Aは、本発明の二重ルーメンカニューラの主たるコンポーネントを示す、図2Aの二重ルーメンカニューラの概略的な分解図である。
図5B図5B~5Cは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図2Aの二重ルーメンカニューラの内側ルーメンと外側ルーメンとの間の接続領域の概略的な背面および正面等角部分図である。
図5C図5B~5Cは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図2Aの二重ルーメンカニューラの内側ルーメンと外側ルーメンとの間の接続領域の概略的な背面および正面等角部分図である。
図6A図6A~6Bは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、流れルーターコネクターを含む図2Aの二重ルーメンカニューラの内側ルーメンと外側ルーメンとの間の接続領域の概略的な平面図および断面部分図である。
図6B図6A~6Bは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、流れルーターコネクターを含む図2Aの二重ルーメンカニューラの内側ルーメンと外側ルーメンとの間の接続領域の概略的な平面図および断面部分図である。
図6C図6C~6Dは各々、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図2Aの二重ルーメンカニューラの内側ルーメンカニューラのコネクターユニットおよび流れルーターの概略的な等角図および断面図である。
図6D図6C~6Dは各々、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図2Aの二重ルーメンカニューラの内側ルーメンカニューラのコネクターユニットおよび流れルーターの概略的な等角図および断面図である。
図6E図6E~6Fは各々、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図2Aの二重ルーメンカニューラの内側ルーメンカニューラのコネクターユニットおよび流れルーターの概略的な等角正面図および等角背面図である。
図6F図6E~6Fは各々、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図2Aの二重ルーメンカニューラの内側ルーメンカニューラのコネクターユニットおよび流れルーターの概略的な等角正面図および等角背面図である。
図6G図6Gは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、本発明の二重ルーメンカニューラが内側コンポーネントを示す透明な流れルーターのハウジングとともに使用される間のユニットの位置をまねた位置にある図2Aの流れルーターの概略的な等角側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の実施形態の詳細な説明
以下の説明では、新規な単一の二重ルーメンカニューラおよび流れルーターコネクターの種々の態様が説明されるであろう。説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために、特定の構成および詳細が記載される。
【0024】
本開示の種々の特徴が単一の実施形態の文脈で説明されるであろうが、該特徴はまた、別個に、または、任意の適切な組み合わせで提供されてもよい。逆に、本開示は明確性のために別個の実施形態の文脈で記載されるであろうが、本開示はまた、単一の実施形態で実装されてもよい。さらに、本開示は種々の方式で実行または実施され得ること、および、本開示は以下で本明細書において説明される例示的な実施形態以外の実施形態で実装され得ることが理解されるべきである。明細書および請求の範囲に提示される説明、例および材料は、限定的ではなく、説明的であると解釈されるべきである。
【0025】
1つの主たる態様では、本発明は、実務家が単一ルーメンカニューラを挿入するのと同様に単純かつ安全に二重ルーメンカニューラを挿入することを可能にする、便宜であり、かつ、安全な解決策を提供することを目的とする。標的領域の中へとカニューラを挿入することの簡潔さ、および、医療チームへの利益とは別に、新規な解決策はまた、患者にも有益である。なぜなら、通常の二重ルーメンカニューラが用いられるときに必要とされるように入口領域における追加の切開部を作り出す必要性を伴わずに、第1の単一ルーメンの挿入後に、一方を他方の中へと、インビボで第1のルーメンを通して第2のルーメンを通すことを可能にし、かつ、発生するであろう患者の不便、汚染の可能性および追加の傷痕を省くことを可能にするからである。両方のルーメンは、独自の新規なコネクターアセンブリーによってインビボで接続され、該コネクターアセンブリーは、2つのルーメンを接続し、かつ、さらに内側ルーメンおよび外側ルーメンにおいて逆方向の流れを送るように構成される。したがって、外側ルーメンは患者の脈管系の中へと挿入され、かつ、内側ルーメンは外側ルーメンを通して所望の位置へと挿入される。
【0026】
本明細書で用いられるとき、用語「カニューラ」は、血管の中へと挿入されて、それを通る血液の血管からの抽出または血管の中への注入を可能にする、薄い管のことをいう。開示される実施形態における「二重ルーメンカニューラ」は、外部ルーメンによって包囲された内側ルーメンを含み、したがって、患者の脈管系の中へと挿入された単一の二重ルーメンカニューラを介して、同時の物理的に別個である血液の流入および流出を可能にするカニューラである。
【0027】
用語「近位」は、二重ルーメンカニューラが接続される血液処置システムまたは任意のその他の機械にいっそう近い方向のことをいい、かつ、用語「遠位」は、患者の身体/脈管系に向かう、または、患者の身体/脈管系内の方向のことをいう。
【0028】
用語「ルーメン」は、液体または気体の輸送のための管における内部空間のことをいう。
【0029】
用語「排出ルーメン」または「外側ルーメン」は、処置前に機械の中へと対象の身体から血液を排出または輸送するルーメンのことをいう。以下の説明では、用語「外側ルーメン」、「外側カニューラ」、「外側排出カニューラ」、「排出カニューラ」および「排出ルーメン」はすべて、相互に交換可能に用いられ、かつ、同じコンポーネントに関する。
【0030】
用語「注入ルーメン」または「内側ルーメン」は、処置後に機械から身体へと戻るように血液を注入するルーメンのことをいう。以下の説明では、用語「内側ルーメン」、「内側カニューラ」、「内側注入カニューラ」、「注入カニューラ」および「注入ルーメン」はすべて、相互に交換可能に用いられ、かつ、同じコンポーネントに関する。
【0031】
本明細書における説明は排出ルーメンとしての外側ルーメンおよび注入ルーメンとしての内側ルーメンに言及するが、本発明のいくつかのその他の任意選択的な実施形態および実装では、身体に向けて血液を注入するために外側ルーメンが用いられてもよく、かつ、身体から血液を排出するために内側ルーメンが用いられてもよい。
【0032】
追加的には、血液の排出および注入が参照されるが、その他の体液もまた本明細書において提供される新規な二重ルーメンカニューラによって排出および注入され、かつ、本発明はいかなる様式でも血液に限定されないことが明らかであるべきである。
【0033】
ここで、図面を参照する。
【0034】
図1Aは、組み立てられて使用の準備ができた形態の本発明の二重ルーメンカニューラ100の概略的な等角図である。この形態では、二重ルーメンカニューラ100は、カニューラ106の排出開口部112を通して処置される患者の身体から排出された血液を処置するための体外機械に向けて血液を排出するように構成された排出外側ルーメンおよびカニューラ127の注入開口部122を通して体外機械から処置される患者の身体の中へと戻るよう血液を注入するように構成された注入内側ルーメンを有し、内側および外側ルーメンは、以下で詳細に説明されるようにコネクターアセンブリーによって互いに接続され、該コネクターアセンブリーは、2つのルーメンを接続し、かつ、それらのそれぞれに血流を通す。
【0035】
外側ルーメンのカニューラ106は較正マーク190を有していてもよく、それによって医療チームに貫通長さについての示度を提供する。同様の様式で、内側ルーメンのカニューラ127もまた、内側ルーメンの貫通長さをモニタリングするために較正マーク190を含有してもよい。
【0036】
内側ルーメンはコネクターユニット132を有し、コネクターユニット132は好ましくは、内側ルーメンの一体となった一部であるが、必ずしもそうでなくてもよい。任意選択的には、コネクターユニット132は、標準的な縫合糸を用いて患者の皮膚に固定されてもよい縫合穴を有するバタフライ116に接続されて、医療的処置の最中の二重ルーメンカニューラの位置を安定化させる。患者の身体にカニューラを安定化させ、かつ、取り付けるためのその他の手段が用いられてもよく、かつ、バタフライ116は1つの非限定的で例示的な実装に過ぎないことが明らかであるべきである。
【0037】
内側ルーメンのコネクターユニット132は、その近位端部にてコネクターユニット136(以下、「流れルーター」136ともいう)に機能的に接続される。流れルーター136は、二重ルーメンカニューラと体外機械との間の接続ユニットであり、かつ、それは、内側および外側ルーメンの間で逆方向に血流を設定し、かつ、好ましくは、2つの別個の平行管における流れからその他のルーメンの中へと入る2つの挿入可能なもの内での流れへと設定するように構成され、かつ、作動可能である。コネクターユニット132はさらに、以下で図1C~1Dを参照して説明されるように、カニューラ106の接続構成に接続される。外側ルーメンがまず、単一ルーメンカニューラとして患者の中へと挿入され、その後でのみ内側ルーメンが外側ルーメンの中へとそれらが連結して二重ルーメンカニューラになるまで通されるので、内側ルーメンと外側ルーメンとの間の接続は、患者の身体内でインビボで実行される。この図には、管接続プラットフォーム50もまた示されており、管接続プラットフォーム50は、流れルーター136に接続され、かつ、患者の身体から体外機械に向けて血液を輸送し、かつ、体外機械から患者の身体に向けて逆方向に血液を輸送するための管への本発明の二重ルーメンカニューラの接続を可能にする2つの管コネクタープラットフォームのうちの一方である。
【0038】
図1Bは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図1Aの二重ルーメンカニューラの排出外側ルーメン110の概略的な側面図である。この実施形態では、外側ルーメン110は少なくとも、内側ルーメン120の直径より大きい直径を有し、そのことによってそれを通した内側ルーメン120の挿入を可能にする、カニューラ106(相互に交換可能に「内側カニューラ」および「注入カニューラ」とも示される)を有する。カニューラ106は、主に標的領域に向けて内側ルーメンの位置を集中させるための狭い領域111をその遠位端部に有し、かつ、少なくとも1つの排出開口部112を有する。任意選択的には、カニューラ106は、その上に数字で印がさらに付けられてもよい較正マーク190を含有して、患者の身体の中への外側ルーメン110の貫通長さを示す。カニューラ106は、その近位端部にコネクターユニット108を有する。本明細書に示されている特定の例では、コネクターユニット108は、カニューラ106へと連続する後続のバーブで作られる。外側ルーメンへの内側ルーメンの接続の際、コネクターユニット108は、図1C~1Dを参照して説明されるように、内側ルーメンコネクターユニットにおける補完的ニッチまたはソケットに挿入されるように構成される。ルアーロック、スナップ接続などのその他の接続の解決策が、代替的に用いられ得る。
【0039】
図1Cは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図1Aの二重ルーメンカニューラの注入内側ルーメン120の概略的な等角図である。内側ルーメンカニューラ120は、カニューラ127と、本明細書に示された例では流れルーター136に接続され、かつ、カニューラ127の近位端部に1つのピースとして接続された内側ルーメンコネクターユニット132を有する。カニューラ127は、カニューラ106を通してそれを通すことを機能的に可能にする、カニューラ106に対するいっそう小さい直径を有し、かつ、それがカニューラ106を越えて標的領域へと延びることを可能にするいっそう大きい長さを有する。カニューラ127は、処置された血液を体外機械から患者の脈管系へと戻すことを可能にする少なくとも1つの注入開口部122をその遠位端部に有する。カニューラ127はさらに、内側ルーメンの周囲に沿って形成された圧力調整穴128を有していてもよい。圧力調整穴128は、カニューラ127に沿った位置に配置され、内側ルーメン120が外側ルーメン110の中へと挿入されるときに、圧力調整穴128が外側ルーメン110によって覆われるようになっている。圧力調整穴128は、キャビテーションをもたらすであろう注入ルーメンにおける高圧状況を緩和するように機能する。キャビテーションは、液体における圧力の急変が、圧力が比較的低い場所に小さい蒸気で満たされたキャビティーの形成をもたらす現象である。血管におけるキャビテーションは、液体噴流の形成を引き起こすであろうし、場合によっては血管破裂を引き起こすであろう。穴128の寸法は、内側ルーメン120における圧力が所定のレベルを超えて増大するときに、血液が圧力調整穴128を通過して内側ルーメンから外側ルーメンへと進み、そのことにより患者の脈管系を迂回するように決定される。かかる状況では、液体は常に抵抗が最も小さい経路に沿って流れるという流体力学の原理に基づき、血液は穴128に流入する。血液は、注入ルーメン120における圧力が注入ルーメン120が再び抵抗が最も小さい経路になるポイントへと下がるまで、穴128を通って流れ続ける。コネクターユニット132は、縫合穴を有するバタフライ116を有し、本発明の二重ルーメンカニューラを医療工程の最中に患者の皮膚へと縫い付けることを可能にしてもよい。
【0040】
この図にはまた、外側管を内側ルーメンおよび外側ルーメンに接続して、排出された血液を機械の中へと流し、かつ、血液を機械から患者の脈管系へと戻すように流すことを可能にする管接続プラットフォーム50および50’が各々示されている。内側ルーメン120はさらに、その遠位端部にプライミングキャップ(図示せず)を有してもよい。プライミングキャップは取り外し可能であり、かつ、内側ルーメン120をプライミングするためのプライミングシステムに接続されてもよい。例えば、プライミングキャップは、生理食塩水のソースに接続されてもよく、かつ、プライミングが完了した後に除去されてもよい。
【0041】
プライミングキャップの近位方向に、内側ルーメン120は、患者の脈管系への流体接続のための注入開口部122を有する。これらの開口部は、処置された血液を心血管系の中へと戻るように流すための道を形成する。これらの図にはまた、較正マーク190ならびに血液を医療用機械の中へと輸送し、かつ、医療用機械から輸送する管50および50’が示されている。
【0042】
図1Dは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図1Aの二重ルーメン100の内側ルーメン120と外側ルーメン110との間の接続領域の概略的な等角部分図である。この図では、カニューラ127は、その近位端部にて内側ルーメンコネクターユニット132に接続され、かつ、外側コネクターユニット108を通してカニューラ106の近位端部の中へとその遠位端部を通して挿入されている。コネクターユニット108はその後、内側ルーメンコネクターユニット132の内部空間の中へと押され、そのバーブが掛けられ、かつ、コネクターユニット132によって覆われるようになっている。
【0043】
図1Eは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、流れルーターコネクターを含む図1Aの二重ルーメンカニューラ100の内側ルーメン120と外側ルーメン110との間の接続領域の概略的な断面部分図である。
【0044】
断面部分図では、注入内側カニューラ127および排出外側カニューラ106内の排出された血液と注入された血液の逆の流れ方向が示されている。説明の簡潔さのため、外側ルーメンカニューラのコネクターユニット108および内側ルーメンカニューラのコネクターユニット132は、接続に関する部品を明確に示すために分離される。血流は、2つのカニューラが連結されるとき、および、バーブ108がコネクターユニット132の遠位端部内に押されてその中に引っ掛かるときのみ開始する。2つのルーメンの連結の最中、カニューラ106は、その中へと挿入されるカニューラ127を取り囲む。両方のルーメンならびにコネクターユニット131および132における血流は、2つのカニューラに沿う矢印によって示されるように、平行ルーメンにおいて、かつ、逆方向で実行される。流れルーター136は、チャンバー1326に流入する排出された血液を管コネクタープラットフォーム50に接続されるであろう1つの管の中に集めて、血液を処置のために体外機械の中へと輸送する。同じ様式で、しかし、逆方向で、体外機械からの処置された血液は、管コネクタープラットフォーム50’に接続されるであろう管を通して処置される患者の脈管系の中へと戻るように注入されて、処置された血液が流れルーター136を通ってカニューラ127の方へと患者の身体に向かって輸送される。
【0045】
図2Aは、組み立てられ、使用の準備ができた形態の本発明の二重ルーメンカニューラ200の概略的な等角図である。この形態では、二重ルーメンカニューラ200は、以下で詳細に説明されるように、排出開口部112を通して処置される患者の身体から排出された血液を処置するための機械に向けて血液を排出するように構成されたカニューラ106を有する排出外側ルーメン、および、注入開口部122を通して機械から処置される患者の身体の中へと戻るように血液を注入するように構成されたカニューラ127を有する注入内側ルーメンを有し、内側および外側ルーメンは、2つのルーメンを接続し、かつ、それらのそれぞれにおいて血流を送るコネクターアセンブリーによって互いに接続される。
【0046】
任意選択的には、カニューラ106および127は較正マーク190を有して、そのことによって貫通長さについての示度を医療チームに提供する。外側ルーメンは、その近位端部に外側コネクターユニット131を有し、外側コネクターユニット131は、好ましくはコネクターアセンブリー130の一体化された部品であるが、必ずしもその必要はなく、かつ、内側ルーメンとの外側ルーメンの物理的な接続を可能にするように構成される。外側ルーメンは任意選択的には、標準的な縫合糸を用いて患者の皮膚に固定されて、患者の身体への外側カニューラの固定を可能にして、それを通る内側カニューラの挿入前にその位置を安定化させる、縫合穴を有するバタフライ116を含有していてもよい。この特定の例では、コネクターユニット131はバタフライ116へのコネクターである。患者の身体に対して外側カニューラを安定化させ、かつ、取り付けるその他の手段もまた、本発明の範囲内であり、かつ、本明細書において提供される例は、1つの例示的で任意選択的な実装に過ぎないことが明らかであるべきである。
【0047】
この図面にはまた、好ましくは内側ルーメンの一体化した部品であるが、必ずしもそうでなくてもよい、内側ルーメンコネクターユニット132も示されている。外側ルーメンの中へと内側ルーメンを通す際、外側ルーメンコネクターユニット131および内側ルーメンコネクターユニット132は、図5A~5Bを参照して詳細に説明されるように連結される。この図にはまた、流れルーター136も示されている。流れルーター136は、二重ルーメンカニューラと体外機械との間の接続ユニットであり、かつ、内側ルーメンと外側ルーメンとの間で逆方向に血流を設定するように構成され、かつ、作動可能である。コネクターユニット131、132および136は、一緒になってコネクターアセンブリー130を構成する。この図にはまた、上記で図1Aを参照して説明されたのと同じ役割を有する管接続プラットフォーム50が示されている。
【0048】
図2Bは、図2Aの二重ルーメンカニューラの外側排出カニューラ106の遠位端部および外側カニューラ106の遠位部の先端部から出て延伸した内側注入カニューラ127の重複領域の概略的な等角拡大図である。この図に示されているように、外側カニューラ106の遠位先端部は、その他の領域における外側ルーメンの寸法の直径に対して狭い。外側カニューラ106の遠位端部におけるこの狭い領域111は、内側カニューラ127が患者の身体内で標的領域に向かってそれを通過するときにその集中を強制する。内側カニューラ127は好ましくは、排出開口部112を通して排出された血液から離れるように注入開口部122を通して処置された血液を注入することを可能とする様式で、外側カニューラ106より長い。内側カニューラ127が外側カニューラ106を越えて延びる距離は、好ましくは固定された長さである。この図にはまた、外側カニューラ106および内側カニューラ127の両方の上に較正マーク190が示されている。較正マークは任意選択的な特徴に過ぎず、かつ、貫通長さを見積もるためのその他の手段が用いられてもよい。この図にはまた、内側ルーメン120上に位置する圧力調整穴128が示されている。
【0049】
図3A~3Bは各々、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図2Aの二重ルーメンカニューラ200の排出外側ルーメン110の概略的な平面図および等角図である。外側ルーメン110は少なくとも、内側ルーメン120の直径より大きい固定された直径を有するカニューラ106を有し、そのことによって、それを通る内側ルーメン120の挿入を可能にする。カニューラ106は、その遠位端部に主に内側ルーメンの位置を標的領域に向けて集中させるための狭い領域111を有し、かつ、少なくとも1つの排出開口部112を有する。任意選択的には、カニューラ106はその上に、患者の身体の中への外側ルーメン110の貫通長さを示すために、さらに数字で印が付けられていてもよい較正マークを含有する。カニューラ106は、その近位端部にて、本明細書に示されている特定の例では内側ルーメン120の内側ルーメンコネクターユニット132における補完的ニッチまたはソケットに挿入されるように構成された少なくとも2つの突出要素1312を有する外側コネクターユニット131に取り付けられる。ルアーロック、バーブ、スナップ接続などのようなその他の接続の解決策が、代替的に用いられ得る。いくつかの任意選択的な実施形態では、外側ルーメン110はさらに、一旦外側カニューラ110が挿管されると患者の身体にそれを固定して、患者の身体からのカニューラの最小限の動き、および、望ましくない引き抜きを確実にする、縫合要素を有する。外側排出カニューラを通して内側カニューラを挿入する前に身体内にそれを固定することはさらに、患者の身体からの血液の安定的な排出、および、それの中に戻るような血液の安定的な注入を確実にする。
【0050】
図4A~4Bは、本発明の任意選択的な実施形態による、図2Aの二重ルーメンカニューラ200の注入内側ルーメン120の概略的な等角背面図および等角側面図である。これらの図面では、内側ルーメンコネクターユニット132および流れルーター136は互いに取り付けられ、かつ、1つのピースとしてカニューラ127の近位端部に接続される。カニューラ127は、カニューラ106を通してそれを挿入することを機能的に可能にする、カニューラ106に対していっそう小さい直径を有し、かつ、それがカニューラ106を越えて標的領域へと延びることを可能にする、いっそう大きい長さを有する。カニューラ127は、その遠位端部に体外機械から患者の脈管系に処置された血液を戻すことを可能にする少なくとも1つの注入開口部122を有する。カニューラ127はさらに、内側ルーメンの周囲に沿って形成された圧力調整穴128を有する。圧力調整穴128は、カニューラ127に沿う位置に配置され、内側ルーメン120が外側ルーメン110の中へと挿入されるときには、圧力調整穴128が外側ルーメン110によって覆われるようになっている。圧力調整穴128は、キャビテーションをもたらすであろう注入ルーメンにおける高圧状況を緩和するように機能する。キャビテーションは、液体における圧力の急変が、圧力が比較的低い場所に小さい蒸気で満たされたキャビティーの形成をもたらす現象である。血管におけるキャビテーションは、液体噴流の形成を引き起こすであろうし、場合によっては血管破裂を引き起こすであろう。穴128の寸法は、内側ルーメン120における圧力が所定のレベルを超えて増大するときに、血液が圧力調整穴128を通過して内側ルーメンから外側ルーメンへと進み、そのことにより患者の脈管系を迂回するように決定される。かかる状況では、液体は常に抵抗が最も小さい経路に沿って流れるという流体力学の原理に基づき、血液は穴128に流入する。血液は、注入ルーメン120における圧力が注入ルーメン120が再び抵抗が最も小さい経路になるポイントへと下がるまで、穴128を通って流れ続ける。
【0051】
これらの図にはまた、内側ルーメンおよび外側ルーメンの延伸部を、機械の中へと排出された血液を輸送し、かつ、機械から患者の脈管系へと戻るように輸送するための管に接続することを可能にする、管コネクタープラットフォーム50および50’も示されている。内側ルーメン120はさらに、その遠位端部にプライミングキャップ(図示せず)を有してもよい。プライミングキャップは取り外し可能であり、かつ、内側ルーメン120をプライミングするためのプライミングシステムに接続されてもよい。例えば、プライミングキャップは、生理食塩水のソースに接続されてもよく、かつ、プライミングが完了した後に除去されてもよい。
【0052】
プライミングキャップの近位方向に、内側ルーメン120は、患者の脈管系への流体接続のための注入開口部122を有する。これらの開口部は、処置された血液を心血管系の中へと戻るように流すための道を形成する。これらの図にはまた、較正マーク190ならびに血液を医療用機械の中へと輸送し、かつ、医療用機械から輸送するための管コネクタープラットフォーム50および50’が示されている。
【0053】
図5Aは、デバイスの主たるコンポーネントを示す、図2Aの二重ルーメンカニューラ200の概略的な分解図である。この図面に示されているように、二重ルーメンカニューラ200は、3つの主たる機能的コンポーネントからなる:外側ルーメン110、内側ルーメン120、ならびに、その近位端部に管接続プラットフォーム50および50’を有して、そのことにより医療用機械の中への血液の輸送および医療用機械からの血液の輸送を可能にする流れルーター136。
【0054】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、流れルーター136は、内側ルーメンコネクターユニット132の一体的な部品であり、かつ、両方とも1つのユニットとしてルーメンの外部端に接続されて内側ルーメン120を作り出す。この図に示されているように、内側ルーメンは、内側ルーメンコネクターユニット132と一緒になって、かつ、任意選択的にはさらにコネクターユニット136とも一緒になって、単一ルーメンカニューラとして患者の身体の中へと予め挿管された外側ルーメン110を通されるように設計される。この図にはまた、3つのコネクターユニットの間に接続要素を有するコネクターユニットも示されている。これらの要素は、以下で詳細に説明されるであろう。しかしながら、本明細書に記載の接続要素は、本発明の1つの非限定的な実装として解釈されるべきである。なぜなら、その他の接続手段もまた、本発明のコネクターアセンブリーユニットの間を接続するために実装されてもよい任意選択的な実施形態であるからである。以下の要素もまた、この図に示されている。
【0055】
外側ルーメンカニューラ110について:外側コネクターユニット131、突出要素1312、カニューラ106、較正マーク190、排出開口部112、外側カニューラの狭い領域111および縫合穴を有するバタフライ116。
【0056】
内側ルーメンカニューラ120について:内側ルーメンコネクターユニット132、カニューラ127、較正マーク190、注入開口部122、圧力調整穴128、鉛直方向分割壁1324およびチャンバー1326。
【0057】
流れルーター136について:チャンバー110’、カニューラ127。流れルーター136の一部ではなく、その開口部に接続された管50および50’もまた、示されている。
【0058】
すべてのコンポーネント、および、それらの機能的役割が以下で説明される。
【0059】
図5B~5Cは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図2Aの二重ルーメンカニューラ200の内側ルーメン120と外側ルーメン110との間の接続領域の概略的な背面および正面等角部分図である。この図では、カニューラ127は、その近位端部にて内側ルーメンコネクターユニット132に接続され、かつ、外側コネクターユニット131の突出要素1312がカニューラ127を取り囲み、かつ、機械的支持を機能的に作り出して、その遠位端部におけるカニューラ106の狭くなる構造に加えてその近位端部における外側カニューラ106内でカニューラ127の位置を集中させる様式で、その遠位端部を通して外側コネクターユニット131の近位端部の中へと挿入されている。突出要素1312はその後、内側ルーメンコネクターユニット132の内部空間の中へと挿入される。本発明のいくつかの任意選択的な実施形態では、カニューラ127は、内側ルーメンコネクターユニット132の中へと、それがその近位端部に到達するまで延びる。かかるシナリオでは、カニューラ127は、少なくとも1つの鉛直方向分割壁(隔壁)1324によって内側ルーメンコネクターユニット132の外周に接続される。この図に示されている特定の例では、内側ルーメンコネクターユニット132は4つの分離壁1324を含有し、かつ、排出された血液は、患者の脈管系から外側ルーメン110を通って分割壁1324とカニューラ127との間に作り出されたチャンバー1326の中へと流れ、注入された血液は、カニューラ127のルーメン(開口部)1270を介して身体へと戻るように流れる。これらの図には、本発明の二重ルーメンカニューラ200のいっそう安全な使用のために、標準的な縫合糸を用いて患者の皮膚に外側カニューラ110を固定するために用いられる、縫合穴を有するバタフライ116(「縫合要素」とも示される)もまた示されている。上記で注目されたように、ゴムバンド、外部固定デバイスなどのようなその他の取り付け手段が、追加的または代替的に用いられてもよい。本発明のいくつかのその他の任意選択的な実施形態では、内側カニューラ127は、内側ルーメンコネクターユニット132の遠位端部までしか延びず、かつ、コネクターユニット132内の中央の中空管様の構造が、内側カニューラ127の延伸部として機能し、かつ、それに取って代わる。
【0060】
図6A~6Bは、図2Aの二重ルーメンカニューラ200の内側ルーメンカニューラ120と外側ルーメンカニューラ110との間の接続領域の概略的な平面図および断面部分図である。外側コネクター131は、カニューラ106にその遠位端部にて取り付けられ、かつ、その底側にて縫合要素116に取り付けられる。外側コネクターユニット131は、その近位側に内側ルーメンコネクターユニット132内の補完的空間の中へと挿入される準備のできている突出要素1312を有し、かつ、内側ルーメンカニューラ120のカニューラ127を包囲する。これらの図には流れルーターコネクター136もまた示されており、それは内側ルーメンコネクターユニット132に取り付けられる。前述の通り、流れルーター136は、本発明のコネクターアセンブリーの第3のコネクターユニットとして考えられるべきであり、かつ、別個のユニットであってもよく、内側ルーメンコネクターユニット132の一体化されたユニットであってもよい。流れルーター136が別個の独立したユニットであるシナリオでは、それは本技術分野で既知である任意の適切な接続手段によって内側ルーメンコネクターユニット132とともに組み立てられてもよい。例えば、オペレーターは、一方を他方の中へとスナップしてもよく、それらをルアーロックによってロックしてもよく、例えば取り付けリングなどを用いることによって一方を他方に取り付けてもよい。注入された血液および排出された血液は、流れルーター136から体外機械に向かって延びる管コネクタープラットフォーム50および50’に接続された管(図示せず)によって機械から患者の身体へと輸送され、かつ、患者の身体から機械へと輸送される。
【0061】
断面部分図では、内側注入カニューラ120および外側排出カニューラ110内の排出された血液および注入された血液の逆の流れ方向が示されている。説明の簡潔さのために、外側ルーメンカニューラのコネクターユニット131および内側ルーメンカニューラのコネクターユニット132は、接続に関する部品を明確に示すために分離される。血流は、2つのカニューラが連結されたときにのみ開始する。この断面にはまた、カニューラ127を取り囲むカニューラ106も示されている。両方のルーメンならびにコネクターユニット131および132における血流は、平行ルーメンで、かつ、カニューラに沿う矢印によって示されているように逆方向で実行される。流れルーター136は、チャンバー1326に流入する排出された血液をすべて、管コネクタープラットフォーム50に接続されて血液を処置のために体外機械の中へと輸送するであろう1つの管の中へと集める。同じ様式だが逆方向で、体外機械からの処置された血液は、管コネクタープラットフォーム50’に接続されて処置された血液を流れルーター136を通してカニューラ127の中へと患者の身体に向けて輸送する管を通して処置される患者の脈管系の中へと戻るように注入される。
【0062】
図6C~6Dは各々、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図2Aの二重ルーメンカニューラ200の内側ルーメンコネクターユニット132および流れルーター136の概略的な等角図および断面図である。流れルーター136は、外側管110から内側ルーメンコネクターユニット132の異なるチャンバー1326を通って排出された血液を体外機械の中へと輸送する管コネクタープラットフォーム50に接続された単一の管の中へと入る排出された血液を集める。流れルーター136はまた、2つの別個の隣接する管に流入する血液が2つのルーメン(一方が他方の内部に挿入される)に流入するように変換される一方で逆の流れ方向は維持される様式で体外機械から管コネクタープラットフォーム50’に接続された管を通して血液を通す。
【0063】
等角図(図6C)では、内側ルーメンコネクターユニット132および流れルーター136は互いに接続され、かつ、管コネクタープラットフォーム50および50’は流れルーター136の近位端部に部分的に示されている。等角図はさらに、内側ルーメンコネクターユニット132の遠位端部に示されているカニューラ127およびルーメン1270、分割壁1324、チャンバー1326、ならびに、突出要素1312を有する外側コネクターユニット131が接続される領域131’を示している。断面図(図6C)は、管コネクタープラットフォーム50’に接続された管から患者の脈管系に向かうカニューラ127内の処置された血液の流れを示している。逆方向で、身体から外側ルーメン110を通って流出する排出された血液は、外側ルーメン110の延伸部として機能的に作用して管コネクタープラットフォーム50に接続されるように構成された管を介して身体から体外機械へと排出された血液を輸送する内側ルーメンコネクターユニット132のチャンバー1326に入る。チャンバー1326からの血液は好ましくは、流れルーター136内で排出された血液を体外機械に接続された管の中へと輸送する管コネクタープラットフォーム50にその近位端部で接続された単一のチャンバー110’の中へと集められる。
【0064】
本発明の二重ルーメンカニューラ100および200とともに実装されてもよい体外機械は好ましくは、体外酸素化システムおよび透析システムである。
【0065】
図6E~6Fは各々、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、図2Aの二重ルーメンカニューラ200の内側ルーメンカニューラ120の内側ルーメンコネクターユニット132および流れルーター136の概略的な等角正面図および等角背面図である。等角図(図6E)では、分割壁1324およびカニューラ127のインターフェースに作り出された4つのチャンバー1326が明確に示されている。患者の身体から排出された血液は、これらのチャンバーを介して体外機械へと輸送され、患者の脈管系の中へと戻るように注入されそうな戻る血液は、それが注入開口部122に到達し、かつ、身体に戻るよう注入されるまでカニューラ127のルーメン1270内を流れる。等角背面図(図6F)は、身体からカニューラ106を通る外側ルーメンの排出開口部112を通して内側ルーメンコネクターユニット132のチャンバー1326中へと排出された血液を輸送する管コネクタープラットフォーム50および50’への流れルーター136の接続を示しており、これらはすべて流れルーター136の単一のチャンバー110’の中へと収集され、かつ、管コネクタープラットフォーム50へと接続されて管(図示せず)へと輸送され、体外機械の中へと入る。背面図にはまた、体外機械から管コネクタープラットフォーム50’に接続された管(図示せず)を通り、かつ、その後で流れルーター136の近位端部から内側ルーメンコネクターユニット132を通り、かつ、さらに外側コネクターユニット131を通り、その遠位端部から出て標的領域まで延びるまでカニューラ106の中へと入るように延びるカニューラ127の中に入る、処置された血液の入口ポイントも示されている。実際、本発明のこの任意選択的な実装におけるカニューラ127は、標的領域に到達し、かつ、注入開口部122を通して血液を注入するまでコネクターアセンブリー130のユニット全体を通過し、カニューラ106を通る。しかしながら、いくつかの任意選択的な実施形態では、内側カニューラ127は、コネクターユニット132の遠位端部まで延びてもよく、かつ、かかるポイントから管コネクタープラットフォーム50’に接続された管へと、処置された血液は、内側カニューラ127に到達するまで流れルーター136およびコネクターユニット132内を専用のチャンバーを通って流れる。
【0066】
図6Gは、本発明のいくつかの任意選択的な実施形態による、二重ルーメンカニューラが使用中であり、かつ、患者の身体に接続されている間のユニットの位置をまねた位置にある図2Aの流れルーター136の概略的な等角側面図である(流れルーター136のハウジングは透明であり、内側コンポーネントを示している)。この図では、管コネクタープラットフォーム50および50’は、上向きに位置する。先に説明されたように、1つの任意選択的な実施形態における管コネクタープラットフォーム50’は、一方の端部にてカニューラ127に接続され、かつ、体外機械から患者の身体の中へと血液を輸送する管(図示せず)に接続され、管コネクタープラットフォーム50は、一方の端部にてチャンバー110’に接続され、かつ、他方の端部にて身体から体外機械の中へと吸入された血液を輸送するための管に接続される。この位置にはまた、流れルーター136および内側ルーメンコネクターユニット132の接続領域1328、ならびに、カニューラ127およびチャンバー110’を含む流れルーター136の内側コンポーネントも示されている。
【0067】
本明細書において提供される二重ルーメンカニューラ100および200の典型的な実装では、内側ルーメンは、患者の脈管系の中へと処置された血液を戻るように送達するための注入ルーメンであり、かつ、外側ルーメンは、脈管系から未処置の血液を除去するための排出ルーメンである。しかしながら、本発明のいくつかのその他の任意選択的な実装では、外側ルーメンは血液を身体の中へと戻すのに用いられてもよく、内側ルーメンは身体から血液を排出するのに用いられる。さらに、内側ルーメン120は、外側ルーメン110より長い延伸部を有する。内側ルーメンが外側ルーメンより長いこと、および、内側ルーメンが注入ルーメンであることの利点は、処置された血液が排出ルーメンの下流で脈管系の中へと溜まることである。この配向は、注入ルーメン120から排出ルーメン110への、および、血液処置システムの中へと戻るような処置された血液の循環流の可能性を減少させる。
【0068】
例示的で非限定的な例では、内側ルーメン120は、大腿静脈の中へと、かつ/または、心臓より上の主たる静脈を介して上大静脈へと挿入されるのに十分な長さ、および、直径のサイズのものである。主たる静脈には、左右の内頸静脈、左右の外頸静脈および左右の腕頭静脈が含まれるが、それらに限定されない。内側ルーメンおよび外側ルーメンの寸法は、患者のサイズならびにルーメンを通る血液の所望の容量および流速のような考慮によって規定されてもよい。例示的な実施形態では、内側ルーメン120は、10~40mmの長さ、および、5~16Frの直径を有し、かつ、外側ルーメン110は、10~40mmの長さ、および、10~24Frの直径を有する。
【0069】
内側ルーメンと外側ルーメンとの間の接続は可逆的であってもよく、かつ、それらは別個のものであり得る。外側ルーメンの中への内側ルーメンの挿入の際、一方のルーメンに対する他方のルーメンの位置は、各々カニューラのそれぞれのものに接続されたコネクターユニットによって固定され、かつ、予め決定される。
【0070】
コネクターアセンブリー130は概略的に描かれており、かつ、接続アセンブリー、および、そのユニットのそれぞれのもの、および、その間の接続は、その機能が同じままである限り、内側および外側管を並んだ管類に変換するのに適した任意のその他の形態を採用しても良いことは当業者に明らかであるべきである。
【0071】
排出ルーメン110は、患者の脈管系からそれを通して血液を吸入するための開口部112を含む。開口部112は吸入穴であり、血液は体外血液処置機の一部であるポンプの力によってそれを通して引かれる。開口部112は好ましくは、排出ルーメン110の遠位端部に配置される。いくつかの実施形態では、開口部112は、吸入の最中に血液の排出がブロックされるのを妨げるためにサイズ決めされ、かつ、排出ルーメン110の遠位端部の側に位置する。ブロックは、凝血または吸入力に起因する排出ルーメンへの静脈癒着に起因して発生するであろう。
【0072】
本発明の二重ルーメンカニューラ100,200を患者の脈管系の中へと導入することは、次のように進行する。まず、外側ルーメン110が患者の脈管系の中へと挿入される。外側ルーメンは、バタフライ116を通して通常の縫合糸を縫い付けることによって患者の皮膚に縫合されてもよい。典型的には、外側ルーメンは、導入器の使用を通して、かつ、任意選択的には一般的な実務(セルディンガー法)により外側ルーメン110を通してその遠位端部まで引かれるガイドワイヤーの使用を通して挿入される。結果的に、挿入前に外側ルーメンカニューラをプライミングする必要がない。なぜなら、導入器の存在が気泡の形成を妨げるからである。導入器およびガイドワイヤーが回収されるとき、回収は外側ルーメン110に後で血液で満たされる小さい真空が形成されることを引き起こす。
【0073】
次に、内側注入ルーメン120は好ましくは、プライミングシステムに接続されてもよいプライミングキャップ(図示せず)の使用を通して予めプライミングされる。プライミングシステムはスタンドアロンなシステムであってもよく、血液体外機械と一体化していてもよい。プライミングの完了に続いて、プライミングキャップは除去される。
【0074】
次に、内側ルーメン120が、外側ルーメンコネクターユニット(108または131のいずれか)を通して外側ルーメン110の中へと挿入される。内側ルーメン120は、各ルーメンのコネクターが連結するまで外側ルーメン110を通って突き出るように前進する。内側ルーメン120は、コネクターアセンブリーユニットが接続されるときに外側ルーメン110に固定される。一旦2つのルーメンが接続されると、それらは単一の二重ルーメンカニューラ100,200として機能する。
【0075】
内側ルーメンの挿入は、患者に対する最小限の負担を伴って実行される。さらに、内側ルーメン120は接続前に既に完全にプライミングされているので、本技術分野で既知であるその他の二重ルーメンカニューラのように接続工程の最中に開放接続ポートをプライミングする必要がない。したがって、本発明の二重ルーメンカニューラのための挿管工程は、市販されているその他の二重ルーメンカニューラの挿管より有意に容易であり、かつ、安全である。
【0076】
とりわけ、説明された方法は特に、2つのルーメンが別個の単一のユニットとして挿入され、かつ、内側ルーメンが外側ルーメンに対してさらに前進する前には互いに接続されながら身体における所望の位置へと前進する代替的な二重ルーメンカニューラシステムと比べて有利である。内側および外側ルーメンを同時に動かすことは、血管に対するいっそう大きい力の印加を引き起こすであろうし、かつ、対応して患者を傷つけずに実行するのにいっそう非凡な技能を必要とする。対照的に、外側ルーメン110が内側ルーメン120の挿入前に所定の位置に縫合されるとき、外側ルーメン110に対して内側ルーメン120を前進させることのみが必要となる。さらに、外側ルーメンとは別個の内側ルーメンの挿入は、接続前に内側ルーメンを予めプライミングすることを可能にする。外側ルーメンカニューラ内への内側ルーメンカニューラの配置後、液密接続部が形成されるであろう。
【0077】
いくつかの任意選択的な実施形態では、遠位端部における内側カニューラ106の内径は、内側カニューラ127の外径よりわずかに広いだけであるようにサイズ決めされる。このサイズ決めは、狭い領域111を通る内側カニューラ127の自由なスライドを可能にする一方で、外側カニューラ127を通って続く代わりに狭い領域111を通る血液の流れから生じる非効率性の最少化もする。
【0078】
説明された実施形態では、内側ルーメン120と外側ルーメン110との間の接続の近位ポイントは固定される。したがって、内側ルーメン120は常に、外側ルーメン110を越えて特定の距離を延びる。
【0079】
好ましくは、二重ルーメンカニューラは、処置された血液が注入ルーメンを介して身体に入った後、血液が排出ルーメンを介して除去される前に血流全体を循環するように設計される。
【0080】
本明細書に記載の実施形態の説明および添付の図面は、本発明のいっそう良好な理解をその範囲を限定することなく提供するのみであることが明らかであるべきである。当業者は、本明細書を読んだ後で、添付の図面および上記の実施形態に対して、まだ本発明によってカバーされるであろう調整または補正を行い得ることもまた、明らかであるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
【国際調査報告】