(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】改良された6XXXアルミニウム合金
(51)【国際特許分類】
C22C 21/02 20060101AFI20231110BHJP
B21C 23/00 20060101ALI20231110BHJP
C22C 21/06 20060101ALI20231110BHJP
C22F 1/05 20060101ALI20231110BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20231110BHJP
【FI】
C22C21/02
B21C23/00 A
C22C21/06
C22F1/05
C22F1/00 604
C22F1/00 612
C22F1/00 624
C22F1/00 630A
C22F1/00 630K
C22F1/00 606
C22F1/00 682
C22F1/00 683
C22F1/00 684Z
C22F1/00 692A
C22F1/00 692B
C22F1/00 694B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526171
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 US2021057580
(87)【国際公開番号】W WO2022094406
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520119242
【氏名又は名称】アーコニック テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ARCONIC TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルアン,イーミン
(72)【発明者】
【氏名】マスケル,ジョン エス.
(72)【発明者】
【氏名】マーフィ,ブライアン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ベルーブ,パトリック
【テーマコード(参考)】
4E029
【Fターム(参考)】
4E029AA06
(57)【要約】
新規の6xxxアルミニウム合金製品およびそれを製造する方法およびシステムが開示されている。方法は、6xxxアルミニウム合金のビレットを予熱温度に加熱することと、ビレットの少なくとも一部の析出硬化相を溶解するのに十分な時間、ビレットを予熱温度に保持することと、ビレットを押出し成形された製品に押出し成形することであって、押出し成形中にビレットおよび押出し成形された製品の両方が予熱温度以上に維持される、押出し成形することと、押出し成形された製品を6xxxアルミニウム合金のソルバス温度の100°F以内に維持しながら押出し成形された製品を押出し成形装置から排出することと、加熱シュラウドから焼き入れ装置に押出し成形された製品を移動することと、を含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
6xxx押出し成形された製品であって、
0.2~2.0重量%のSiと、
0.2~1.5重量%のMgと、
0.07~1.0重量%のMnと、
最大1.5重量%のBiと、
最大1.5重量%のSnと、
最大1.0重量%のCuと、
最大1.0重量%のZnと、
最大0.7重量%のPbと、
最大0.7重量%のFeと、
最大0.35重量%のCrと、
最大0.35重量%のVと、
最大0.25重量%のZrと、
最大0.20重量%のTiと、を含み、
残部が、アルミニウム、任意の付随元素、および不純物であり、
前記6xxx押出し成形された製品のT/10から9T/10まで測定した前記6xxx押出し成形された製品が、未再結晶微構造を含み、
前記未再結晶微構造が、少なくとも50体積%の未再結晶粒を含み、
前記未再結晶粒の少なくとも60%が繊維状粒であり、
前記繊維状粒が、少なくとも5:1のアスペクト比(粒の長さ/直径)を有し、
前記未再結晶微構造の平均粒径が、200ミクロン以下である、6xxx押出し成形された製品。
【請求項2】
6xxx押出し成形された製品であって、
0.2~2.0重量%のSiと、
0.2~1.5重量%のMgと、
最大1.5重量%のBiと、
最大1.5重量%のSnと、
最大1.0重量%のCuと、
最大1.0重量%のZnと、
0.07重量%未満のMnと、
最大0.7重量%のPbと、
最大0.7重量%のFeと、
最大0.35重量%のCrと、
最大0.35重量%のVと、
最大0.25重量%のZrと、
最大0.20重量%のTiと、を含み、
残部が、アルミニウム、任意の付随元素、および不純物であり、
前記6xxx押出し成形された製品のT/10から9T/10まで測定した前記6xxx押出し成形された製品が、再結晶微構造を含み、
前記再結晶微構造が、少なくとも50体積%の再結晶粒を含み、
前記再結晶粒の少なくとも60%が、5:1(L:LT)以下のアスペクト比を有する等軸粒であり、
前記再結晶微構造の平均粒径が、200ミクロン以下である、6xxx押出し成形された製品。
【請求項3】
前記6xxx押出し成形された製品が、従来の6xxx押出し成形された製品と比較して、少なくとも1体積%多い立方体(ED)集合組織を含み、
前記従来の6xxx押出し成形された製品が、従来のプレス焼き入れされ、かつ同等な組成物、製品形状、サイズおよび焼き戻しの製品である、請求項1~2のいずれかに記載の6xxx押出し成形された製品。
【請求項4】
前記6xxx押出し成形された製品が、前記従来の6xxx押出し成形された製品と比較して、少なくとも2体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも3体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも4体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも5体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも6体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも7体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも8体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも9体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも10体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも11体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも12体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも13体積%多く立方体(ED)集合組織、を含む、請求項3に記載の6xxx押出し成形された製品。
【請求項5】
前記6xxx押出し成形された製品が、最大ODF[001]集合組織強度を含み、前記最大ODF[001]集合組織強度が、従来の6xxx押出し成形された製品の最大ODF[001]集合組織強度よりも少なくとも10%高く、
前記従来の6xxx押出し成形された製品が、従来のプレス焼き入れされ、かつ同等な組成物、製品形状、サイズおよび焼き戻しの製品である、請求項1~4のいずれかに記載の6xxx押出し成形された製品。
【請求項6】
前記押出し成形された6xxx押出し成形された製品が、前記従来の6xxx押出し成形された製品より、少なくとも約20%高い、または少なくとも約40%高い、または少なくとも約40%高い、または少なくとも約60%高い、または少なくとも約80%高い、または少なくとも約100%高い、または少なくとも約120%高い、または少なくとも約140%高い、または少なくとも約160%高い、または少なくとも約180%高い、または少なくとも約200%高い、または少なくとも約220%高い、または少なくとも約240%高い、または少なくとも約260%高い、または少なくとも約300%高い、または少なくとも約340%高い、または少なくとも約360%高い、または少なくとも約380%高い、または少なくとも約400%高い、または少なくとも約420%高い、または少なくとも約440%高い、または少なくとも約460%高い、または少なくとも約480%高い、または少なくとも約500%高い、最大ODF[001]集合組織強度を得る、請求項5に記載の6xxx押出し成形された製品。
【請求項7】
押出し成形された6026LF製品は、(a)17体積%の立方体(ED)集合組織および(b)少なくとも9.7の最大ODF[001]強度のうちの少なくとも一つを得る、押出し成形された6026LFアルミニウム合金製品。
【請求項8】
前記6026LF製品が、少なくとも18体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも19体積%の立方体(ED)集合組織を得る、請求項7に記載の押出し成形された6026LFアルミニウム合金製品。
【請求項9】
前記押出し成形された6026LFアルミニウム合金製品が、少なくとも9.8、または少なくとも10.0、または少なくとも10.2、または少なくとも10.4、または少なくとも10.6、または少なくとも10.8、または少なくとも11.0、または少なくとも11.2の最大ODF[001]強度を得る、請求項7~8のいずれかに記載の押出し成形された6026LFアルミニウム合金製品。
【請求項10】
前記押出し成形された6026LF製品が、従来のプレス焼き入れされた6026LF押出し成形された製品よりも、少なくとも5%高い引張降伏強度(典型)(L)、または少なくとも10%高い引張降伏強度(典型)(L)、または少なくとも15%高い引張降伏強度(典型)(L)、または少なくとも20%高い引張降伏強度(典型)(L)を得、
前記従来の6026LF押出し成形された製品が、従来のプレス焼き入れされ、かつ同等な製品形状、サイズ、および焼き戻しの製品である、請求項7~9のいずれかに記載の押出し成形された6026LFアルミニウム合金製品。
【請求項11】
前記押出し成形された6026LF製品が、少なくとも54ksi、または少なくとも55ksi、または少なくとも56ksi、または少なくとも57ksiの引張降伏強度(典型)(L)を得る、請求項7~10のいずれかに記載の押出し成形された6026LF製品。
【請求項12】
前記押出し成形された6026LF製品が、少なくとも3%、または少なくとも4%、または少なくとも5%、または少なくとも6%、または少なくとも7%、または少なくとも8%、または少なくとも9%、または少なくとも10%の伸び(典型)(L)を得る、請求項7~11のいずれかに記載の押出し成形された6026LF製品。
【請求項13】
押出し成形された6020製品は、(a)17体積%の立方体(ED)集合組織および(b)少なくとも3.6の最大ODF[001]強度のうちの少なくとも一つを得る、押出し成形された6020アルミニウム合金製品。
【請求項14】
前記押出し成形された6020製品が、少なくとも18体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも19体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも20体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも21体積%の立方体(ED)集合組織、少なくとも22体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも23体積%の立方体(ED)集合組織、少なくとも24体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも25体積%の立方体(ED)集合組織、少なくとも26体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも27体積%の立方体(ED)集合組織を得る、請求項13に記載の押出し成形された6020アルミニウム合金製品。
【請求項15】
前記押出し成形された6020アルミニウム合金製品が、少なくとも3.8、または少なくとも4.0、または少なくとも4.2、または少なくとも4.4、または少なくとも4.6、または少なくとも4.8、または少なくとも5.0、または少なくとも5.2、または少なくとも5.4、または少なくとも5.6、または少なくとも5.8、または少なくとも6.0、または少なくとも6.2、または少なくとも6.4、または少なくとも6.6、または少なくとも6.8、または少なくとも7.0の最大ODF[001]強度を得る、請求項13~14のいずれかに記載の押出し成形された6020アルミニウム合金製品。
【請求項16】
前記押出し成形された6020製品が、従来のプレス焼き入れされた6020押出し成形された製品よりも、少なくとも5%高い引張降伏強度(典型)(L)、または少なくとも10%高い引張降伏強度(典型)(L)、または少なくとも15%高い引張降伏強度(典型)(L)、または少なくとも20%高い引張降伏強度(典型)(L)を得、
前記従来の6020押出し成形された製品が、従来のプレス焼き入れされ、かつ同等な製品形状、サイズ、および焼き戻しの製品である、請求項13~15のいずれかに記載の押出し成形された6020アルミニウム合金製品。
【請求項17】
前記押出し成形された6020製品が、少なくとも34ksi、または少なくとも35ksi、または少なくとも36ksi、または少なくとも37ksi、または少なくとも38ksi、または少なくとも39ksi、または少なくとも40ksi、または少なくとも41ksi、または少なくとも42ksi、または少なくとも43ksi、または少なくとも44ksi、または少なくとも45ksiの引張降伏強度(典型)(L)を得る、請求項13~16のいずれかに記載の押出し成形された6020製品。
【請求項18】
前記押出し成形された6020製品が、少なくとも8%、または少なくとも9%、または少なくとも10%、または少なくとも11%、または少なくとも12%、または少なくとも13%、または少なくとも14%、または少なくとも15%の伸び(典型)(L)を得る、請求項13~17のいずれかに記載の押出し成形された6020製品。
【請求項19】
押出し成形された6262A製品は、(a)18体積%の立方体(ED)集合組織および(b)少なくとも3.9の最大ODF[001]強度のうちの少なくとも一つを得る、押出し成形された6262Aアルミニウム合金製品。
【請求項20】
前記押出し成形された6262A製品が、少なくとも19体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも20体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも21体積%の立方体(ED)集合組織、少なくとも22体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも23体積%の立方体(ED)集合組織、少なくとも24体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも25体積%の立方体(ED)集合組織、少なくとも26体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも27体積%の立方体(ED)集合組織を得る、請求項19に記載の押出し成形された6262Aアルミニウム合金製品。
【請求項21】
前記押出し成形された6262Aアルミニウム合金製品が、少なくとも3.8、または少なくとも4.0、または少なくとも4.2、または少なくとも4.4、または少なくとも4.6、または少なくとも4.8、または少なくとも5.0、または少なくとも5.2、または少なくとも5.4、または少なくとも5.6、または少なくとも5.8、または少なくとも6.0、または少なくとも6.2、または少なくとも6.4、または少なくとも6.6、または少なくとも6.8、または少なくとも7.0の最大ODF[001]強度を得る、請求項19~20のいずれかに記載の押出し成形された6262Aアルミニウム合金製品。
【請求項22】
前記押出し成形された6262A製品が、従来のプレス焼き入れされた6262A押出し成形された製品よりも、少なくとも5%高い引張降伏強度(典型)(L)、または少なくとも10%高い引張降伏強度(典型)(L)、または少なくとも15%高い引張降伏強度(典型)(L)、または少なくとも20%高い引張降伏強度(典型)(L)を得、
前記従来の6262A押出し成形された製品は、従来のプレス焼き入れされ、かつ同等な製品形状、サイズ、および焼き戻しの製品である、請求項19~21のいずれかに記載の押出し成形された6262Aアルミニウム合金製品。
【請求項23】
前記押出し成形された6262A製品が、少なくとも37ksi、または少なくとも38ksi、または少なくとも39ksi、または少なくとも40ksi、または少なくとも41ksi、または少なくとも42ksi、または少なくとも43ksi、または少なくとも44ksi、または少なくとも45ksi、または少なくとも46ksi、または少なくとも47ksi、または少なくとも48ksi、または少なくとも49ksi、または少なくとも50ksi、または少なくとも51ksi、または少なくとも52ksi、または少なくとも53ksi、または少なくとも54ksiの引張降伏強度(典型)(L)を得る、請求項19~22のいずれかに記載の押出し成形された6262A製品。
【請求項24】
前記押出し成形された6262A製品が、少なくとも5%、または少なくとも6%、または少なくとも7%、または少なくとも8%の伸び(典型的)(L)を得る、請求項19~23のいずれかに記載の押出し成形された6262A製品。
【請求項25】
押出し成形された6061製品は、(a)5体積%の立方体(ED)集合組織および(b)少なくとも2.0の最大ODF[001]強度のうちの少なくとも一つを得る、押出し成形された6061アルミニウム合金製品。
【請求項26】
前記押出し成形された6061製品は、少なくとも6体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも7体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも8体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも9体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも10体積%の立方体(ED)集合組織、少なくとも11体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも12体積%の立方体(ED)集合組織、少なくとも13体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも14体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも15体積%の立方体(ED)集合組織、少なくとも16体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも17体積%の立方体(ED)集合組織を得る、請求項25に記載の押出し成形された6061アルミニウム合金製品。
【請求項27】
前記押出し成形された6061アルミニウム合金製品が、少なくとも2.5、または少なくとも3.0、または少なくとも3.5、または少なくとも4.0、または少なくとも4.5、または少なくとも5.0、または少なくとも5.5、または少なくとも6.0、または少なくとも6.5、または少なくとも7.0、または少なくとも7.5、または少なくとも8.0、または少なくとも8.5、または少なくとも9.0、または少なくとも9.5、または少なくとも10.0、または少なくとも10.2、または少なくとも10.4、または少なくとも10.6、または少なくとも10.8の最大ODF[001]強度を得る、請求項25~26のいずれかに記載の押出し成形された6061アルミニウム合金製品。
【請求項28】
前記押出し成形された6061製品が、従来のプレス焼き入れされた6061押出し成形された製品よりも、少なくとも5%高い引張降伏強度(典型)(L)、または少なくとも10%高い引張降伏強度(典型)(L)、または少なくとも15%高い引張降伏強度(典型)(L)、または少なくとも20%高い引張降伏強度(典型)(L)を得、
前記従来の6061押出し成形された製品は、従来のプレス焼き入れされ、かつ同等な製品形状、サイズ、および焼き戻しの製品である、請求項25~27のいずれかに記載の押出し成形された6061アルミニウム合金製品。
【請求項29】
前記押出し成形された6061製品が、少なくとも22ksi、または少なくとも24ksi、または少なくとも26ksi、または少なくとも28ksi、または少なくとも30ksi、または少なくとも32ksi、または少なくとも34ksi、または少なくとも36ksi、または少なくとも38ksi、または少なくとも40ksi、または少なくとも42ksi、または少なくとも44ksi、または少なくとも46ksi、または少なくとも47ksi、または少なくとも48ksi、または少なくとも49ksi、または少なくとも50ksi、または少なくとも51ksi、または少なくとも52ksiの引張降伏強度(典型)(L)を得る、請求項25~28のいずれかに記載の押出し成形された6061製品。
【請求項30】
前記押出し成形された6061製品が、少なくとも8%、または少なくとも10%、または少なくとも12%、または少なくとも14%の伸び(典型)(L)を得る、請求項25~29のいずれかに記載の押出し成形された6061製品。
【請求項31】
方法であって、
(a)6xxxアルミニウム合金のビレットを予熱温度に加熱することと、
(b)前記ビレットを前記予熱温度で、前記ビレットの少なくともいくつかの析出硬化相を溶解するのに充分な時間保持することと、
(c)前記保持工程の後、前記ビレットを押出し成形装置に直ちに移すことと、
(d)前記ビレットを前記押出し成形装置で押出し成形された製品に押出し成形することであって、前記押出し成形中に、前記ビレットおよび前記押出し成形された製品の両方が前記予熱温度以上に維持される、押出し成形することと、
(e)前記押出し成形された製品を前記押出し成形装置から出口シュラウド内に排出することであって、前記出口シュラウドが前記6xxxアルミニウム合金のソルバス温度の100°F以内に前記押出し成形された製品を維持する、排出することと、
(f)前記押出し成形された製品を前記加熱シュラウドから焼き入れ装置に移動させることであって、前記焼き入れ装置が、水スプレーおよび水浴のうちの少なくとも一つを備え、前記焼き入れ装置が、前記押出し成形された製品を125°F未満の温度に、少なくとも1°F/秒の冷却速度で焼き入れする、移動させることと、を含む、方法。
【請求項32】
システムであって、
(a)6xxxアルミニウム合金の押出し成形ビレットを予熱するよう構成された炉と、
(b)前記炉に隣接し、かつその下流の押出し成形装置であって、前記押出し成形装置が前記ビレットを押出し成形された製品に押出し成形するように構成される、押出し成形装置と、
(c)前記押出し成形装置に隣接し、かつその下流の出口シュラウドであって、前記出口シュラウドが、前記6xxxアルミニウム合金のソルバス温度の100°F以内に前記押出し成形された製品を維持するように構成される、出口シュラウドと、
(d)前記押出し成形装置に直接隣接して、かつその下流に配置される焼き入れ装置であって、前記焼き入れ装置が、前記出口シュラウドから受け取られた前記押出し成形された製品を、125°F未満の温度に、少なくとも1°F/秒の冷却速度で冷却するように構成される、焼き入れ装置と、を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
押出し成形された6xxxアルミニウム合金製品のプレス焼き入れは、押出し成形プロセスに続く別の溶体化熱処理工程を必要とせずに、このような押出し成形された製品を容易に迅速に生産する。共通して所有されている米国特許第7,422,645号が説明しているように、プレス焼き入れされた製品は、製品から急速に熱を取り除くために、液体浴、例えば油または水に浸漬することにより高い変形押出し成形温度から急速に冷却されたものである。焼き入れの目的は、相変態を抑制して、硬度を増加、または他の望ましい特性を得ることである。アルミニウム合金製品、例えばビレットまたはインゴットが押出される場合、最初に、アルミニウムマトリックスの析出相の溶解温度、例えば、Al-Mg-Si合金で作られたビレットのマグネシウム(Mg)-シリコン(Si)相の溶解温度を超える合金温度に再加熱され、かつ相が溶解するまでその温度に保持される。その後、製品は所望の押出し温度まで急速に冷却または焼き入れされ、合金構造内にこれらの相が新たに析出するのを防ぎ、そして押出し成形される。
【発明の概要】
【0002】
概ね、本特許出願は、新規のプレス焼き入れされた6xxxアルミニウム合金製品、およびその製造方法およびシステムに関する。新規の方法およびシステムは、例えば、改善された特性の組み合わせ、例えば改善された強度と延性(伸び)との組み合わせを有する6xxxアルミニウム合金製品の製造を促進する可能性がある。
【0003】
<I.システムおよび方法>
ここで
図1を参照すると、押出し成形された6xxxアルミニウム合金製品を製造するための一つの方法(100)が例示されている。例示の実施形態では、本方法は、6xxxアルミニウム合金のビレットを均質化すること(110)と、ビレットを予熱すること(120)と、押出し成形装置においてビレットを押出し成形すること(130)と、押出し成形された製品を好適な焼き入れ前温度で維持(145)しながら、押出し成形された製品を押出し成形装置から排出すること(140)と、押出し成形された製品を焼き入れすること(150)と、そして押出し成形された製品を人為的に人工時効すること(160)と、を含む。これらの工程について、以下でさらに詳細に説明する。方法(100)を完了するためのシステム(200)の一実施形態を
図2に例示する。
図1~2は、非限定的な方法で新規の本発明の方法およびシステムの実施形態を説明するために、以下で使用される。
【0004】
均質化工程(110)は任意であり、通常、6xxxアルミニウム合金のビレットを一つまたは複数の温度に一回または複数回加熱して、鋳造したままの構造体を均質化することを含む。均質化工程後、ビレットは通常室温に冷却され、押出し成形されるまで保存される。本出願の目的のために、および参照を容易にするために、用語「ビレット」は、丸いビレットおよび長方形のインゴットの両方を包含する。
【0005】
ビレットが押出し成形される場合、予熱工程(120)、押出し成形工程(130)、排出工程(140)、および焼き入れ工程(150)は、順番に、そして間の工程なしに完了する。これは、最終製品において好適な微構造が確実に達成されるためである。
【0006】
具体的には、ビレットを予熱温度に予熱(120)した後、この温度で、ビレットの少なくともいくつかの析出相を溶解するのに充分な時間保持する。
図2に示すように、予熱工程(120)は、炉(220)で完了することができる。一実施形態では、予熱温度は、6xxxアルミニウム合金のソルバス温度の少なくとも50%であるが、6xxxアルミニウム合金の初期溶融点未満である。例えば、ソルバス温度が962°Fである場合、「ソルバス温度の少なくとも50%」は≧481°Fであり、よって予熱温度は≧481°Fであるが、6xxxアルミニウム合金の初期溶融点未満となる。
【0007】
本開示で使用する場合、「ソルバス温度」は、以下の析出相のすべてが、6xxxアルミニウム合金ビレット中で、6xxxアルミニウム合金ビレットが初期溶融せずに、平衡状態で完全に溶解されるであろう最低温度を意味する。
・Mg2Si
・Q相(Al5Cu2Mg8Si6)
・シータ(θ)(Al2Cu)
明確にするために、用語「ソルバス温度」は、6xxxアルミニウム合金についての上記の相のみを含み、他の溶解可能な析出相、例えばMg2SnおよびBi2Mg3をまったく含まない。
【0008】
一実施形態では、予熱温度は、6xxxアルミニウム合金のソルバス温度の少なくとも60%であるが、6xxxアルミニウム合金の初期溶融点未満である。別の実施形態では、予熱温度は、6xxxアルミニウム合金のソルバス温度の少なくとも70%であるが、6xxxアルミニウム合金の初期溶融点未満である。さらに別の実施形態では、予熱温度は、6xxxアルミニウム合金のソルバス温度の少なくとも80%であるが、6xxxアルミニウム合金の初期溶融点未満である。別の実施形態では、予熱温度は、6xxxアルミニウム合金のソルバス温度の少なくとも90%であるが、6xxxアルミニウム合金の初期溶融点未満である。さらに別の実施形態では、予熱温度は、6xxxアルミニウム合金のソルバス温度の少なくとも95%であるが、6xxxアルミニウム合金の初期溶融点未満である。別の実施形態では、予熱温度は、6xxxアルミニウム合金のソルバス温度以上であるが、6xxxアルミニウム合金の初期溶融点未満である。さらに別の実施形態では、予熱温度は、6xxxアルミニウム合金のソルバス温度より少なくとも5°F高いが、6xxxアルミニウム合金の初期溶融点未満である。別の実施形態では、予熱温度は、6xxxアルミニウム合金のソルバス温度より少なくとも10°F高いが、6xxxアルミニウム合金の初期溶融点未満である。さらに別の実施形態では、予熱温度は、6xxxアルミニウム合金のソルバス温度より少なくとも15°F高いが、6xxxアルミニウム合金の初期溶融点未満である。別の実施形態では、予熱温度は、6xxxアルミニウム合金のソルバス温度より少なくとも20°F高いが、6xxxアルミニウム合金の初期溶融点未満である。一般的に、高い機械的特性が必要な場合、予熱温度はソルバス温度の少なくとも90~100%、またはそれ以上にする必要がある。
【0009】
予熱工程(120)はまた、6xxxアルミニウム合金の少なくともいくつかの析出相を溶解するのに充分な時間の間、ビレットを予熱温度に保持することを含む。保持時間は、例えば、ビレットのサイズおよび所望の最終特性に依存する場合がある。一実施形態では、予熱工程(120)はまた、6xxxアルミニウム合金の析出相の大部分またはすべてを溶解するのに十分な時間、ビレットを予熱温度に保持することを含む。一実施形態では、保持時間は少なくとも1分である。別の実施形態では、保持時間は少なくとも5分である。さらに別の実施形態では、保持時間は少なくとも10分である。別の実施形態では、保持時間は少なくとも20分である。さらに別の実施形態では、保持時間は少なくとも30分である。別の実施形態では、保持時間は少なくとも40分である。さらに別の実施形態では、保持時間は少なくとも50分、またはそれ以上である。通常、高い機械的特性が必要な場合、予熱温度での保持時間は、6xxxアルミニウム合金の析出相の大部分またはすべてを溶解するのに十分でなければならない。理解されるように、複数の予熱温度および対応する複数の予熱保持時間を用いることができる。
【0010】
一実施形態では、予熱温度は少なくとも950°Fである。別の実施形態では、予熱温度は少なくとも960°Fである。さらに別の実施形態では、予熱温度は少なくとも970°Fである。別の実施形態では、予熱温度は少なくとも975°Fである。上記の実施形態のいずれにおいても、予熱保持時間は、(例えば、ビレットの直径が15インチ直径の場合)40~60分であってもよい。
【0011】
予熱工程の非限定的な実施形態を
図3a~3bに示す。示すように、ビレットは(a)室温(T
室温)から予熱温度まで加熱される。この場合、予熱温度は冶金学的に必要な温度(T
MR)または高い機械的特性を達成するために必要な温度である。示すように、金属学的に必要な温度(T
MR)は、ソルバス温度(T
ソルバス)を超える。また示すように、t
mrと呼ばれ、
図3a~3bに(b)として示される予熱保持時間は、6xxxアルミニウム合金の析出相の大部分またはすべてを溶解するのに一般的な長さである。
【0012】
図3a~3bにさらに示すように、予熱温度(T
MR)は、初期溶融温度またはT
固相線未満であり、すなわち、共晶溶融が生じない。
図3a~3bに示すように、(以下でさらに詳細に説明される)押出し成形プロセスにより、製品がさらに加熱される場合がある。このさらなる加熱は、一般的に、製品が6xxxアルミニウム合金の初期溶融温度またはT
固相線を超えないようにする必要がある。したがって、予熱温度は、概ね6xxxアルミニウム合金ビレットの初期溶融温度より少なくとも10°F低い。一実施形態では、予熱温度は、6xxxアルミニウム合金ビレットの初期溶融温度より少なくとも20°F低い。別の実施形態では、予熱温度は、6xxxアルミニウム合金ビレットの初期溶融温度より少なくとも30°F低い。さらに別の実施形態では、予熱温度は、6xxxアルミニウム合金ビレットの初期溶融温度より少なくとも40°F低い。別の実施形態では、予熱温度は、6xxxアルミニウム合金ビレットの初期溶融温度より少なくとも50°F低い。
【0013】
図1~2を再び参照すると、予熱工程(120)の後、予熱されたビレットは、ビレットが押出し成形される(130)押出し成形装置に直ちに搬送される。
図2に示すように、用語「押出しプレスに直ちに搬送される」は、ビレットの表面が、予熱装置(例えば、炉220)を出る時から押出し成形装置(例えば、押出しプレス230)に入る時まで、温度降下を100°F以内にすることを意味する。これはまた、
図3a~3bに示されており、搬送工程(c)は、非常に小さい温度降下を示す。小さい温度降下は、通常、システム(200)の様々な装置を通るビレットの流れの好適なスケジューリングと組み合わせて、予熱装置と押出し成形装置との間の短い距離を利用することによって完了する。予熱装置から押出し成形装置へ小さい温度降下を維持することは、所望の微構造および特性を容易に得ることができる。予熱工程(120)で用いられる高い予熱温度により、押出しプレス(230)は、押出し成形工程(130)中にビレットを迅速かつ効率的に最終製品に押出し成形し、生産性を増大させることができる。
【0014】
一実施形態では、ビレットは、予熱装置を出る時から押出し成形装置に入る時まで、温度降下を75°F以内にする。別の実施形態では、ビレットは、予熱装置を出る時から押出し成形装置に入る時まで、温度降下を50°F以内にする。さらに別の実施形態では、ビレットは、予熱装置を出る時から押出し成形装置に入る時まで、温度降下を40°F以内にする。別の実施形態では、ビレットは、予熱装置を出る時から押出し成形装置に入る時まで、温度降下を30°F以内にする。さらに別の実施形態では、ビレットは、予熱装置を出る時から押出し成形装置に入る時まで、温度降下を20°F以内にする。別の実施形態では、ビレットは、予熱装置を出る時から押出し成形装置に入る時まで、温度降下を10°F以内にする。さらに別の実施形態では、ビレットは、予熱装置を出る時から押出し成形装置に入る時まで、温度降下を5°F以内にする。別の実施形態では、ビレットは、予熱装置を出る時から押出し成形装置に入る時まで、温度降下を2°F以内にする。
【0015】
押出し成形工程(130)は、一般的に、押出し成形装置、例えば押出しプレス(230)を用いて、ビレットを好適な最終製品、例えばバー、ロッド、管、または複合形状に押出し成形することを含む。押出し成形工程は、直接的または間接的な押出し成形によって達成されることができる。一つの方法では、押出し成形工程(130)は、ビレットおよび押出し成形された製品を予熱温度以上に維持することを含む。一実施形態では、押出し成形工程は、押出し成形工程(130)の間に押出し成形された製品を加熱することを含む。押出し成形加熱は、例えば、押出し成形工程中に押出し成形装置(例えば、押出プレス(230))によってビレットに加えられた摩擦によって生じる場合がある。例えば、
図3a~3bに示すように、押出し工程(d)の間、製品の温度は予熱温度(T
MR)と比べて上昇し、最終的に押出し成形出口温度(EET)を得る。押出し成形出口温度(EET)は、押出し成形装置を出た直後の押出し成形された製品の温度である。一実施形態では、押出し成形出口温度(EET)は、予熱温度よりも少なくとも10°F高い。別の実施形態では、押出し成形出口温度(EET)は、予熱温度よりも少なくとも20°F高い。さらに別の実施形態では、押出し成形出口温度(EET)は、予熱温度よりも少なくとも30°F高い。別の実施形態では、押出し成形出口温度(EET)は、予熱温度よりも少なくとも40°F高い。さらに別の実施形態では、押出し成形出口温度(EET)は、予熱温度よりも少なくとも50°F高い。
【0016】
次に、押出し成形された製品が押出し成形装置(140)から排出される。排出工程(140)の一部として、押出し成形された製品の温度は、製品が水または他の好適な焼き入れ媒体によって焼き入れされる(150)ことができるまで、押出し成形出口温度(EET)近くの温度に維持される(145)。これはまた
図3a~3bにも示され、押出し成形工程(d)から焼き入れ工程(f)までの温度降下(e)が小さい。一つの方法では、押出し成形された製品の温度は、焼き入れ工程(150)が開始されるまで、押出し成形出口温度(EET)の100°F以内に維持される。一実施形態では、押出し成形された製品の温度は、焼き入れ工程(150)が開始されるまで、押出し成形出口温度(EET)の75°F以内に維持される。別の実施形態では、押出し成形された製品の温度は、焼き入れ工程(150)が開始されるまで、押出し成形出口温度(EET)の50°F以内に維持される。さらに別の実施形態では、押出し成形された製品の温度は、焼き入れ工程(150)が開始されるまで、押出し成形出口温度(EET)の40°F以内に維持される。別の実施形態では、押出し成形された製品の温度は、焼き入れ工程(150)が開始されるまで、押出し成形出口温度(EET)の30°F以内に維持される。さらに別の実施形態では、押出し成形された製品の温度は、焼き入れ工程(150)が開始されるまで、押出し成形出口温度(EET)の20°F以内に維持される。別の実施形態では、押出し成形された製品の温度は、焼き入れ工程(150)が開始されるまで、押出し成形出口温度(EET)の10°F以内に維持される。さらに別の実施形態では、押出し成形された製品の温度は、焼き入れ工程(150)が開始されるまで、押出し成形出口温度(EET)の5°F以内に維持される。
【0017】
一実施形態では、維持工程(145)は、押出し成形された製品を、焼き入れ工程(150)が開始するまで、ソルバス温度以上に維持することを含む。一実施形態では、維持工程(145)は、押出し成形された製品を、焼き入れが開始するまで、ソルバス温度よりも少なくとも5°F高く維持することを含む。別の実施形態では、維持工程(145)は、押出し成形された製品を、焼き入れが開始するまで、ソルバス温度よりも少なくとも10°F高く維持することを含む。さらに別の実施形態では、維持工程(145)は、押出し成形された製品を、焼き入れが開始するまで、ソルバス温度よりも少なくとも15°F高く維持することを含む。別の実施形態では、維持工程(145)は、押出し成形された製品を、焼き入れが開始するまで、ソルバス温度よりも少なくとも20°F高く維持することを含む。さらに別の実施形態では、維持工程(145)は、押出し成形された製品を、焼き入れが開始するまで、ソルバス温度よりも少なくとも25°F高く維持することを含む。別の実施形態では、維持工程(145)は、押出し成形された製品を、焼き入れが開始するまで、ソルバス温度よりも少なくとも30°F高く維持することを含む。さらに別の実施形態では、維持工程(145)は、押出し成形された製品を、焼き入れが開始するまで、ソルバス温度よりも少なくとも35°F高く維持することを含む。別の実施形態では、維持工程(145)は、押出し成形された製品を、焼き入れが開始するまで、ソルバス温度よりも少なくとも40°F高く維持することを含む。
【0018】
図2に示すように、出口シュラウド(240)を使用して、維持工程(145)を容易にしてもよい。出口シュラウド(240)は、維持工程(145)を容易にするために、押出し成形装置(230)の出口に直接隣接してもよい。例えば、ここで
図4を参照すると、ビレットが押出しダイスを通して押出し成形される際に、押出しプレストンネルに排出される。押出しプレストンネル内には、一つまたは複数のパッシブおよび/またはアクティブ加熱装置が配置されてもよい。パッシブ加熱装置の例として、押出し成形された製品から放射された熱を製品に向かって反射させるように設計された周囲のシールドが挙げられる。周囲のシールドは、押出し成形された製品を完全に覆う(例えば取り囲む)、または押出し成形された製品を部分的に取り囲むことができる。一実施形態では、熱シールドは、押出し成形された製品、例えば金属(例えば、ステンレス鋼)から放射される熱を反射するように構成される材料を含む。例えば、断熱材、例えば、支持されたガラス繊維、セラミック繊維、鉱物ウールブランケットを使用して、または代替として使用して、押出し成形された製品の温度を必要な許容範囲内に維持することもできる。熱を保持するのに役立つ他の装置には、ホットエアーカーテンまたは物理的なカーテン、例えばチェーンメールが含まれる。
【0019】
一つの実施形態では、押出しプレストンネル(
図4)の形態であることができる出口シュラウド(240)は、一つまたは複数のアクティブ加熱装置を備えることができる。アクティブ加熱装置の例としては、放射ヒートランプ、ホットエアーファン、および抵抗ヒーター等が挙げられる。アクティブおよびパッシブ加熱装置/材料の両方が使用されてもよい。
【0020】
図1~2を再び参照すると、排出工程(140)の後、押出し成形された製品は、焼き入れ装置(250)、例えば固定式または可動式水スプレーおよび/または水浴を含む装置に直ちに移動され、製品を好適な低温、例えば室温に急速に焼き入れる。これは、例えば、
図3a~3bに例示され、焼き入れ工程(f)は、出口シュラウドから受け取った押出し成形された製品をT
室温に迅速に焼き入れする。
【0021】
上記のように、焼き入れ工程(150)は、排出工程(140)の直後に行われる。焼き入れ工程は、押出し成形された製品の露出部が出口シュラウド(240)を出るとき、すなわち、露出部がもはや出口シュラウド(240)内に収容されていない場合に、露出部に接触することによって開始することができる。一実施形態では、押出し成形された製品の露出部は、焼き入れ媒体が排出された押出し成形された製品に最初に接触する時、ソルバス温度の50°F以内である。別の実施形態では、押出し成形された製品の露出部は、焼き入れ媒体が排出された押出し成形された製品に最初に接触する時、ソルバス温度の40°F以内である。さらに別の実施形態では、押出し成形された製品の露出部は、焼き入れ媒体が排出された押出し成形された製品に最初に接触する時、ソルバス温度の30°F以内である。別の実施形態では、押出し成形された製品の露出部は、焼き入れ媒体が排出された押出し成形された製品に最初に接触する時、ソルバス温度の20°F以内である。さらに別の実施形態では、押出し成形された製品の露出部は、焼き入れ媒体が排出された押出し成形された製品に最初に接触する時、ソルバス温度の10°F以内である。別の実施形態では、押出し成形された製品の露出部は、焼き入れ媒体が排出された押出し成形された製品に最初に接触する時、ソルバス温度以上である。さらに別の実施形態では、押出し成形された製品の露出部は、焼き入れ媒体が排出された押出し成形された製品に最初に接触する時、ソルバス温度より少なくとも5°F高い。さらに別の実施形態では、押出し成形された製品の露出部は、焼き入れ媒体が排出された押出し成形された製品に最初に接触する時、ソルバス温度より少なくとも10°F高い。さらに別の実施形態では、押出し成形された製品の露出部は、焼き入れ媒体が排出された押出し成形された製品に最初に接触する時、ソルバス温度より少なくとも15°F高い。さらに別の実施形態では、押出し成形された製品の露出部は、焼き入れ媒体が排出された押出し成形された製品に最初に接触する時、ソルバス温度より少なくとも20°F高い。さらに別の実施形態では、押出し成形された製品の露出部は、焼き入れ媒体が排出された押出し成形された製品に最初に接触する時、ソルバス温度より少なくとも25°F高い。さらに別の実施形態では、押出し成形された製品の露出部は、焼き入れ媒体が排出された押出し成形された製品に最初に接触する時、ソルバス温度より少なくとも30°F高い。さらに別の実施形態では、押出し成形された製品の露出部は、焼き入れ媒体が排出された押出し成形された製品に最初に接触する時、ソルバス温度より少なくとも35°F高い。さらに別の実施形態では、押出し成形された製品の露出部は、焼き入れ媒体が排出された押出し成形された製品に最初に接触する時、ソルバス温度より少なくとも40°F高い。さらに別の実施形態では、押出し成形された製品の露出部は、焼き入れ媒体が排出された押出し成形された製品に最初に接触する時、ソルバス温度より少なくとも45°F高い。
【0022】
上記のように、焼き入れ工程(150)は、押出し成形された製品の露出部に、それらが出口シュラウド(240)を出る際に接触することによって開始することができる。
図4に示すように、これは、例えば、押出しプレストンネルの形態であることができる出口シュラウドの出口に直接隣接して配置される水スプレーを使用することによって達成されることができる。一実施形態では、水は、出口シュラウドから出てから60秒以内に押出し成形品の露出部に接触する。別の実施形態では、水は、出口シュラウドから出てから45秒以内に押出し成形品の露出部に接触する。さらに別の実施形態では、水は、出口シュラウドから出てから30秒以内に押出し成形品の露出部に接触する。別の実施形態では、水は、出口シュラウドから出てから20秒以内に押出し成形品の露出部に接触する。さらに別の実施形態では、水は、出口シュラウドから出てから10秒以内に押出し成形品の露出部に接触する。別の実施形態では、水は、出口シュラウドから出てから8秒以内に押出し成形品の露出部に接触する。さらに別の実施形態では、水は、出口シュラウドから出てから5秒以内に押出し成形品の露出部に接触する。
【0023】
引き続き
図4を参照すると、焼き入れ装置は、焼き入れ浴、例えば浸漬浴(静的水冷却)を含むことができる。焼き入れ浴は、任意の焼き入れ水スプレーの下流に配置されてもよい。水浴を使用して、押出し成形された製品(押出し成形品)を、容易に好適な温度にさらに急速に冷却する(例えば、
図3a~3b(T
室温)に示されるように、室温に焼き入れする)ことができる。一実施形態では、押出し成形品と水の間の相対運動により、押出し成形品の表面にせん断流が形成され、冷却効率が高まる。一実施形態では、水浴は、少なくとも1°F/秒の焼き入れ速度を促進する。水浴焼き入れ速度は、水浴に入る前に押出し成形品の温度を測定し、そして押出し成形された製品が125°Fの温度に達するのにかかる時間を測定することによって測定される。別の実施形態では、水浴は、少なくとも5°F/秒の焼き入れ速度を促進する。さらに別の実施形態では、水浴は、少なくとも10°F/秒の焼き入れ速度を促進する。別の実施形態では、水浴は、少なくとも20°F/秒の焼き入れ速度を促進する。さらに別の実施形態では、水浴は、少なくとも30°F/秒の焼き入れ速度を促進する。
【0024】
本発明のシステム/方法を説明するために本明細書では水が使用されるが、任意の好適な焼き入れ媒体を使用することができ、その焼き入れ媒体は液体形態であることが好ましい。
【0025】
以下の実施例の節に示すように、上記の工程(120)~(150)およびそれらに関連するシステム構成要素(220)~(250)は、改善された微構造、したがって改善された特性の組み合わせを有するプレス焼き入れされた6xxxアルミニウム合金製品を容易に製造する。
図3a~3bに例示するように、そのようなプレス焼き入れされた製品を、追加の溶体化熱処理固定なしに、直ちに時効(g)および/またはさらに冷間加工(h)(例えば、引き抜き加工)することができる。例えば、
図3a~3bに例示するように、焼き入れ後、押出し成形された製品は、T6、T8、またはT9テンパーのいずれかで処理されてもよい。このようなT6、T8またはT9テンパー処理された製品は、概して、本明細書に記載のプレス焼き入れ方法および装置によって、改善された特性の組み合わせを得る。
【0026】
当然のことながら、維持工程(145)は任意である。例えば、一実施形態では、押出し成形された製品は、押出し成形装置から排出される(140)ことができきるが、出口シュラウド(240)を使用しない。このような実施形態では、押出し成形された製品は、高張力特性が必要とされる場合、排出工程(140)後にできるだけ早く焼き入れされる(150)べきである。
【0027】
<II.組成物>
上記のように、新規のシステムおよび方法は、押出し成形に適した任意の6xxxアルミニウム合金に適用されることができる。一実施形態では、6xxxアルミニウム合金は、0.2~2.0重量%のSi、0.2~1.5重量%のMg、0.07~1.0重量%のMn、最大1.5重量%のBi、最大1.5重量%のSn、最大1.0重量%のCu、最大1.0重量%のZn、最大0.7重量%のPb、最大0.7重量%のFe、最大0.35重量%のCr、最大0.35重量%のV、最大0.25重量%のZr、および最大0.20重量%のTiを含み、残部は、アルミニウム、任意の付随元素、および不純物である。
【0028】
本明細書で使用される場合、「付随元素」とは、上に列挙された元素以外の、随意に合金に添加して合金の製造を補助することができる元素または材料を意味する。付随元素の例としては、鋳造助剤、例えば脱酸剤が挙げられる。任意選択の付随元素は、最大1.0重量%の累積量で合金中に含まれ得る。一つの非限定的な例として、鋳造中に一つまたは複数の付随元素を合金に添加して、例えば、酸化物のしわ、ピット、および酸化物のパッチによるインゴットの割れを低減または制限する(場合によっては除く)ことができる。これらのタイプの付随元素は、概して、本明細書では脱酸化剤と称する。一部の脱酸化剤の例としては、Ca、Sr、およびBeが挙げられる。カルシウム(Ca)が合金中に含まれる場合、カルシウム(Ca)は、概して、最大約0.05重量%、または最大約0.03重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、Caは、0.001~0.008重量%(または10~80ppm)など、約0.001~0.03重量%または約0.05重量%の量で合金中に含まれる。ストロンチウム(Sr)を、Caの代用として(全体的または部分的に)合金中に含めることができ、ひいては、Caと同じまたは同様の量で合金中に含めることができる。従来、ベリリウム(Be)の添加は、インゴットのひび割れの傾向を低減するのに役立ったが、環境、健康、および安全上の理由から、合金のいくつかの実施形態は、実質的にBeを含まない。Beが合金中に含まれる場合、概して、最大約20ppmの量で存在する。付随元素は、わずかな量で存在し得るか、または有意な量で存在し得、また合金が本明細書に記載の望ましい特性を保持する限り、本明細書に記載の合金から逸脱することなく、付随元素自体で望ましいまたは他の特性を加え得る。しかしながら、本明細書において所望されるおよび獲得される特性の組み合わせに別段に影響を及ぼさないであろう数量の元素が単に添加されることでは、本開示の範囲は回避されるべきではない/回避され得ないことが理解されるべきである。
【0029】
新規の6xxxアルミニウム合金は、少量の不純物を含有し得る。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、合計で0.15重量%以下の不純物を含み、該アルミニウム合金は、各々が0.05重量%以下の不純物を含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、合計で0.10重量%以下の不純物を含み、該アルミニウム合金は、各々が0.03重量%以下の不純物を含む。
【0030】
一実施形態では、6xxxアルミニウム合金は、6026LF、6020、6262Aおよび6061アルミニウム合金のうちの一つである。本明細書に記載される従来の6020、6262A、および6061合金の組成物は、「International Alloy Resignations and Chemical Composition Limits for Wrout Aluminum and Wrout Aluminal Alloys」(2015)と題する、Aluminum Associationの文書による。「6026LF」合金は、6026合金の無鉛バージョンであり、0.60~1.40重量%のSi、≦0.70重量%のFe、0.20~0.50重量%のCu、0.20~1.00重量%のMn、0.60~1.20重量%のMg、≦0.30重量%のCr、≦0.30重量%のZn、≦0.20重量%のTi、≦0.05重量%のSn、≦0.05重量%のPb、および0.50~1.50重量%のBiを含み、残部はアルミニウムおよび不純物である。
【0031】
本方法およびシステムは、6xxxアルミニウム合金に関して説明されてきたが、このような方法およびシステムはまた、他の熱処理可能な(析出硬化可能な)アルミニウム合金、例えば2xxxまたは7xxxアルミニウム合金にも適用できることが予想される。したがって、本特許出願はまた、2xxxアルミニウム合金を押出し成形する方法およびシステム、ならびに7xxxアルミニウム合金を押出し成形する方法およびシステムを明確に対象とする。2xxxアルミニウム合金の場合、適用可能なソルバス温度には、シータ(θ)、オメガ(Ω)、および/またはS相等に関連するものが含まれる場合がある。7xxxアルミニウム合金の場合、適用可能なソルバス温度には、イータ(η)相等に関連するものが含まれる。
【0032】
<III.微細構造(microstructure)>
上記のように、6xxxアルミニウム合金製品は、発明の微構造を実現することができる。一つの方法では、6xxx押出し成形された製品のT/10から9T/10まで測定した6xxxアルミニウム合金は、未再結晶微構造を得、未再結晶微構造は、少なくとも50体積%の未再結晶粒を含む。一実施形態では、未再結晶粒の少なくとも60%は繊維状粒である。繊維状粒は、少なくとも5:1のアスペクト比(粒の長さ/直径)を有する粒である。一実施形態では、未再結晶微構造の平均粒径は200ミクロン以下である。
【0033】
別の方法では、6xxx押出し成形された製品のT/10から9T/10まで測定した6xxx押出し成形された製品は、再結晶化された微構造を得、再結晶化された微構造は少なくとも50体積%の再結晶粒を含む。一実施形態では、再結晶粒の少なくとも60%は、5:1(L:LT)未満のアスペクト比(例えば、1:1~4.9:1、または1.5:1~4.9:1)を有する等軸粒である。一実施形態では、再結晶化された微構造の平均粒径は、200ミクロン以下である。
【0034】
<IV.特性>
上記のように、新規の6xxxアルミニウム合金は、改善された特性の組み合わせ、例えば改善された強度と伸びとの組み合わせを得ることができる。
【0035】
一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、新規の6026LF押出し成形された製品、すなわち、本明細書に記載の発明の方法および/またはシステムによって製造された製品である。新規の6026LF押出し成形された製品は、従来のプレス焼き入れされた6026LF製品よりも、少なくとも5%高い引張降伏強度(典型)および/または引張強度(典型的な)を実現することができる。一実施形態では、新規の6026LF押出し成形された製品は、同じ製品形状、サイズ、および焼き戻しの従来のプレス焼き入れされた6026LF製品よりも、少なくとも10%高い引張降伏強度(典型)および/または引張強度(典型)を得ることができる。別の実施形態では、新規の6026LF押出し成形された製品は、同じ製品形状、サイズ、および焼き戻しの従来のプレス焼き入れされた6026LF製品よりも、少なくとも15%高い引張降伏強度(典型)および/または引張強度(典型)を得ることができる。さらに別の実施形態では、新規の6026LF押出し成形された製品は、同じ製品形状、サイズ、および焼き戻しの従来のプレス焼き入れされた6026LF製品よりも、少なくとも20%高い引張降伏強度(典型)および/または引張強度(典型)を得ることができる。一実施形態では、新規の6026LF押出し成形された製品は、少なくとも54ksi、または少なくとも55ksi、または少なくとも56ksi、または少なくとも57ksi、またはそれ以上の引張降伏強度(典型的)(L)を得る。
【0036】
一実施形態では、新規の6026LF押出し成形された製品は、少なくとも3%の伸び(長手方向またはL)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。別の実施形態では、新規の6026LF押出し成形された製品は、少なくとも4%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。さらに別の実施形態では、新規の6026LF押出し成形された製品は、少なくとも5%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。別の実施形態では、新規の6026LF押出し成形された製品は、少なくとも6%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。さらに別の実施形態では、新規の6026LF押出し成形された製品は、少なくとも7%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。別の実施形態では、新規の6026LF押出し成形された製品は、少なくとも8%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。別の実施形態では、新規の6026LF押出し成形された製品は、少なくとも9%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。さらに別の実施形態では、新規の6026LF押出し成形された製品は、少なくとも10%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。
【0037】
一つの方法では、新規の押出し成形された6026LFアルミニウム合金製品は、以下の“EBSD試料手順”にしたがって測定された、(a)17体積%の立方体(ED)集合組織および(b)少なくとも9.7の最大ODF[001]強度のうちの少なくとも一つを得る。一実施形態では、押出し成形された6026LFアルミニウム合金は、少なくとも18体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも19体積%の立方体(ED)集合組織を得る。一実施形態では、押出し成形された6026LFアルミニウム合金製品は、少なくとも9.8、または少なくとも10.0、または少なくとも10.2、または少なくとも10.4、または少なくとも10.6、または少なくとも10.8、または少なくとも11.0、または少なくとも11.2の最大ODF[001]強度を得る。
【0038】
一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、新規の6020押出し成形された製品、すなわち、本明細書に記載の本発明の方法および/またはシステムによって製造された製品である。新規の6020LF押出し成形された製品は、同じ製品形状、サイズ、および焼き戻しの従来のプレス焼き入れされた6020製品、例えば、米国特許第7,422,645号にしたがって製造された6020押出し成形された製品よりも、少なくとも5%高い引張降伏強度(典型)および/または引張強度(典型)を得ることができる。一実施形態では、新規の6020押出し成形された製品は、同じ製品形状、サイズ、および焼き戻しの従来のプレス焼き入れされた6020製品よりも、少なくとも10%高い引張降伏強度(典型)および/または引張強度(典型)を得ることができる。別の実施形態では、新規の6020押出し成形された製品は、同じ製品形状、サイズ、および焼き戻しの従来のプレス焼き入れされた6020製品よりも、少なくとも15%高い引張降伏強度(典型)および/または引張強度(典型)を得ることができる。さらに別の実施形態では、新規の6020押出し成形された製品は、同じ製品形状、サイズ、および焼き戻しの従来のプレス焼き入れされた6020製品よりも、少なくとも20%高い引張降伏強度(典型)および/または引張強度(典型)を得ることができる。一実施形態では、新規の押出し成形された6020製品は、少なくとも34ksi、または少なくとも35ksi、または少なくとも36ksi、または少なくとも37ksi、または少なくとも38ksi、または少なくとも39ksi、または少なくとも40ksi、または少なくとも41ksi、または少なくとも42ksi、または少なくとも43ksi、または少なくとも44ksi、または少なくとも45ksiの張張降伏強度(典型)(L)を得る。一実施形態では、新規の6020押出し成形された製品は、少なくとも8%の伸び(長手方向またはL)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。別の実施形態では、新規の6020押出し成形された製品は、少なくとも9%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。さらに別の実施形態では、新規の6020押出し成形された製品は、少なくとも10%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。別の実施形態では、新規の6020押出し成形された製品は、少なくとも11%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。さらに別の実施形態では、新規の6020押出し成形された製品は、少なくとも12%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。別の実施形態では、新規の6020押出し成形された製品は、少なくとも13%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。さらに別の実施形態では、新規の6020押出し成形された製品は、少なくとも14%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。別の実施形態では、新規の6020押出し成形された製品は、少なくとも15%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。
【0039】
一つの方法では、新規の押出し成形された6020アルミニウム合金製品は、以下の“EBSD試料手順”にしたがって測定された、(a)17体積%の立方体(ED)集合組織および(b)少なくとも3.6の最大ODF[001]強度のうちの少なくとも一つを得る。一実施形態では、新規の押出し成形された6020アルミニウム合金製品は、少なくとも18体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも19体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも20体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも21体積%の立方体(ED)集合組織、少なくとも22体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも23体積%の立方体(ED)集合組織、少なくとも24体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも25体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも26体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも27体積%の立方体(ED)集合組織、またはそれ以上を得る。一実施形態では、新規の6020押出し成形されたアルミニウム合金製品は、少なくとも3.8、または少なくとも4.0、または少なくとも4.2、または少なくとも4.4、または少なくとも4.6、または少なくとも4.8、または少なくとも5.0、または少なくとも5.2、または少なくとも5.4、または少なくとも5.6、または少なくとも5.8、または少なくとも6.0、または少なくとも6.2、または少なくとも6.4、または少なくとも6.6、または少なくとも6.8、少なくとも7.0の最大ODF[001]強度を得る。
【0040】
一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、新規の6262A押出し成形された製品、すなわち、本明細書に記載の発明の方法および/またはシステムによって製造された製品である。新規の6262A押出し成形された製品は、従来のプレス焼き入れされた6262A製品よりも、少なくとも5%高い引張降伏強度(典型)および/または引張強度(典型)を得ることができる。一実施形態では、新規の6262A押出し成形された製品は、同じ製品形状、サイズ、および焼き戻しの従来のプレス焼き入れされた6262A製品よりも、少なくとも10%高い引張降伏強度(典型)および/または引張強度(典型)を得ることができる。別の実施形態では、新規の6262A押出し成形された製品は、同じ製品形状、サイズ、および焼き戻しの従来のプレス焼き入れされた6262A製品よりも、少なくとも15%高い引張降伏強度(典型)および/または引張強度(典型)を得ることができる。さらに別の実施形態では、新規の6262A押出し成形された製品は、同じ製品形状、サイズ、および焼き戻しの従来のプレス焼き入れされた6262A製品よりも、少なくとも20%高い引張降伏強度(典型)および/または引張強度(典型)を得ることができる。一実施形態では、新規の6262A押出し成形された製品は、少なくとも37ksi、少なくとも38ksi、少なくとも39ksi、または少なくとも40ksi、または少なくとも41ksi、または少なくとも42ksi、または少なくとも43ksi、または少なくとも44ksi、または少なくとも45ksi、または少なくとも46ksi、または少なくとも47ksi、または少なくとも48ksi、または少なくとも49ksi、または少なくとも50ksi、または少なくとも51ksi、または少なくとも52ksi、または少なくとも53ksi、または少なくとも54ksiの引張降伏強度(典型)(L)を得る。一実施形態では、新規の6262A押出し成形された製品は、少なくとも5%の伸び(長手方向またはL)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。別の実施形態では、新規の6262A押出し成形された製品は、少なくとも6%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。さらに別の実施形態では、新規の6262A押出し成形された製品は、少なくとも7%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。別の実施形態では、新規の6262A押出し成形された製品は、少なくとも8%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。
【0041】
一つの方法では、新規の押出し成形された6262Aアルミニウム合金製品は、以下の“EBSD試料手順”にしたがって測定された、(a)18体積%の立方体(ED)集合組織および(b)少なくとも3.9の最大ODF[001]強度のうちの少なくとも一つを得る。一実施形態では、新規の押出し成形された6262Aアルミニウム合金製品は、少なくとも19体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも20体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも21体積%の立方体(ED)集合組織、少なくとも22体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも23体積%の立方体(ED)集合組織、少なくとも24体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも25体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも26体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも27体積%の立方体(ED)集合組織を得る。一実施形態では、新規の押出し成形された6262Aアルミニウム合金製品は、少なくとも3.8、または少なくとも4.0、または少なくとも4.2、または少なくとも4.4、または少なくとも4.6、または少なくとも4.8、または少なくとも5.0、または少なくとも5.2、または少なくとも5.4、または少なくとも5.6、または少なくとも5.8、または少なくとも6.0、または少なくとも6.2、または少なくとも6.4、または少なくとも6.6、または少なくとも6.8、または少なくとも7.0の最大ODF[001]強度を得る。
【0042】
一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、新規の6061押出し成形された製品、すなわち、本明細書に記載の本発明の方法および/またはシステムによって製造された製品である。新規の6061押出し成形された製品は、従来のプレス焼き入れされた6061製品よりも、少なくとも5%高い引張降伏強度(典型)および/または引張強度(典型)を得ることができる。一実施形態では、新規の6061押出し成形された製品は、同じ製品形状、サイズ、および焼き戻しの従来のプレス焼き入れされた6061製品よりも、少なくとも10%高い引張降伏強度(典型)および/または引張強度(典型)を得ることができる。別の実施形態では、新規の6061押出し成形された製品は、同じ製品形状、サイズ、および焼き戻しの従来のプレス焼き入れされた6061製品よりも、少なくとも15%高い引張降伏強度(典型)および/または引張強度(典型)を得ることができる。さらに別の実施形態では、新規の6061押出し成形された製品は、同じ製品形状、サイズ、および焼き戻しの従来のプレス焼き入れされた6061製品よりも、少なくとも20%高い引張降伏強度(典型)および/または引張強度(典型)を得ることができる。一実施形態では、新規の押出し成形された6061製品は、少なくとも22ksi、または少なくとも24ksi、または少なくとも26ksi、または少なくとも28ksi、または少なくとも30ksi、または少なくとも32ksi、または少なくとも34ksi、または少なくとも36ksi、または少なくとも38ksi、または少なくとも40ksi、または少なくとも42ksi、または少なくとも44ksi、または少なくとも46ksi、または少なくとも47ksi、または少なくとも48ksi、または少なくとも49ksi、または少なくとも50ksi、または少なくとも51ksi、または少なくとも52ksiの引張降伏強度(典型)(L)を得る。一実施形態では、新規の6061押出し成形された製品は、少なくとも8%の伸び(長手方向またはL)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。別の実施形態では、新規の6061押出し成形された製品は、少なくとも10%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。さらに別の実施形態では、新規の6061押出し成形された製品は、少なくとも12%(L)の伸びと組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。別の実施形態では、新規の6061押出し成形された製品は、少なくとも14%の伸び(L)と組み合わせて、上記の強度値を得ることができる。
【0043】
一つの方法では、新規の押出し成形された6061アルミニウム合金製品は、以下の“EBSD試料手順”にしたがって測定された、(a)5体積%の立方体(ED)集合組織および(b)少なくとも2.0の最大ODF[001]強度のうちの少なくとも一つを得る。一実施形態では、新規の押出し成形された6061アルミニウム合金製品は、少なくとも6体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも7体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも8体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも9体積%の立方体(ED)集合組織、少なくとも10体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも11体積%の立方体(ED)集合組織、少なくとも12体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも13体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも14体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも15体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも16体積%の立方体(ED)集合組織、または少なくとも17体積%の立方体(ED)集合組織を得る。一実施形態では、新規の押出し成形された6061アルミニウム合金製品は、少なくとも2.5、または少なくとも3.0、または少なくとも3.5、または少なくとも4.0、または少なくとも4.5、または少なくとも5.0、または少なくとも5.5、または少なくとも6.0、または少なくとも6.5、または少なくとも7.0、または少なくとも7.5、または少なくとも8.0、または少なくとも8.5、または少なくとも9.0、または少なくとも9.5、または少なくとも10.0、または少なくとも10.2、または少なくとも10.4、または少なくとも10.6、または少なくとも10.8の最大ODF[001]強度を得る。
【0044】
<V.製品用途>
本明細書に記載の新規6xxx押出し成形されたアルミニウム合金製品は、さまざまな製品用途、例えばロッド、バー、形状で使用されることができる。このような製品は、(例えば、Sn、Bi、および/またはPbを含む快削6xxxアルミニウム合金の)トランスミッションバルブの製造に使用できる 。自動車用構造部品も製造されることができる。押出し成形はまた、電気コネクターとして、および一般産業用途で使用されることができる。
【0045】
<VI.定義>
「熱間加工」、例えば熱間押出し加工とは、高温、概ね少なくとも250°Fでアルミニウム合金製品を加工することを意味する。歪硬化は、熱間加工中に制限/回避され、概して熱間加工と冷間加工とを区別する。
【0046】
「冷間加工」、例えば冷間引抜きとは、熱間加工温度とはみなされない温度、概ね約250°F未満で(例えば、周囲温度で)、アルミニウム合金製品を加工することを意味する。
【0047】
テンパーの定義は、アルミニウム協会が発表した“American National Standard Alloy and Temper Designation Systems for Aluminum”と題するANSI H35.1(2009)による。
【0048】
強度および伸びは、ASTM E8/E8M-16aおよびB557-15に従って測定される。
【0049】
<VII.種々の事項>
この新規技術の、これらおよび他の態様、利点、ならびに新規の特徴は、以下の説明によって部分的に記載され、以下の説明および図面の考察により当業者に明らかであり、または本開示によって提供される技術の一つ以上の実施形態を実施することによって学習され得る。
【0050】
図は、本明細書の一部を構成し、本開示の例示的な実施形態を含み、様々な対象物およびその特徴を例示する。加えて、図に示される任意の測定値、仕様等は、例示的であり、限定的ではないことを意図する。従って、本明細書に開示される特定の構造的および機能的詳細は、限定として解釈されるべきではなく、本発明を様々に用いることを当業者に教示するための単に代表的な根拠として解釈されるべきである。
【0051】
開示された利点および改良点の中で、本発明の他の目的および利点は、添付図面と共に以下の説明から明らかになるであろう。本発明の詳細な実施形態は、本明細書に開示されているが、しかしながら、開示された実施形態は、様々な形態で具現化され得る本発明を単に例示するものであることを理解されたい。さらに、本発明の様々な実施形態に関連して掲げる各実施例は、例示として、また限定的ではないことを意図する。
【0052】
明細書および特許請求の範囲全体を通して、以下の語は、文脈において別段の明らかな指示がない限り、本明細書に明確に関連する意味を取る。本明細書で使用される「一実施形態では」および「いくつかの実施形態では」という句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らないが、そうである場合もある。さらに、本明細書で使用する「別の実施形態では」および「いくつかの他の実施形態では」という句は、必ずしも異なる実施形態を指すとは限らないが、そうである場合もある。したがって、本発明の様々な実施形態は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、容易に組み合わせてもよい。
【0053】
加えて、本明細書で使用される場合、「または」の語は包括的な「or(または)」の機能語であり、文脈において別段の明らかな指示がない限り、「および/または」の語と同等である。「に基づく」という語は、排他的ではなく、文脈において別段の明らかな指示がない限り、記述されていない追加的な要素に基づくことができる。さらに、本明細書全体を通して、「a(一つの)」、「an(一つの)」、および「the(その)」は、文脈において別段の明らかな指示がない限り、複数形の意味を含む。「in」は、文脈において別段の明らかな指示がない限り、「in」及び「on」の意味を含む。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明してきたが、これらの実施形態は例示的なものにすぎず、限定的なものではなく、また多くの変形が当業者に明らかになり得ることを理解されたい。さらに、文脈が明確に必要な場合を除き、様々なステップが任意の望ましい順序で実行されてもよく、任意の適用可能なステップが追加および/または除去されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】
図1は、押出し成形された6xxxアルミニウム合金製品を製造するための方法(100)の一実施形態を例示するブロック図である。
【0056】
【
図2】
図2は、
図1の方法に関連する押出し成形された6xxxアルミニウム合金製品を製造するためのシステム(200)の一実施形態を例示するブロック図である。
【0057】
【
図3a】
図3aは、T6またはT9テンパーで押出し成形された6xxxアルミニウム合金製品を製造するための一つの方法を例示するフローチャートである。
【0058】
【
図3b】
図3bは、T8テンパーで押出し成形された6xxxアルミニウム合金製品を製造するための一つの方法を例示するフローチャートである。
【0059】
【
図4】
図4は、
図1の方法に関連する押出し成形された6xxxアルミニウム合金製品を製造するためのシステムの部分の一実施形態の上から見た概略図である。
【0060】
【
図5a】
図5aは、従来のプレス焼き入れされた6026LF製品の顕微鏡写真を例示する。
【0061】
【
図5b】
図5bは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された新規の6026LF製品の顕微鏡写真を例示する。
【0062】
【
図6a】
図6aは、別の押出し成形後の溶体化熱処理を用いる、従来のプロセスで製造された6026LF製品の顕微鏡写真である。
【0063】
【
図6b】
図6bは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された新規の6026LF製品の顕微鏡写真である。
【0064】
【
図7a】
図7aは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された6026LF製品の特性を示すグラフである。
【
図7b】
図7bは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された6026LF製品の特性を示すグラフである。
【0065】
【
図8a】
図8aは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された新規の6020製品の顕微鏡写真を例示する。
【0066】
【
図9a】
図9aは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された新規の6020製品の(50マイクロメートルのスケール)顕微鏡写真である。
【0067】
【
図9b】
図9bは、従来のプレス焼き入れプロセスで製造された6020製品の(50マイクロメートルのスケール)顕微鏡写真である。
【0068】
【
図9c】
図9cは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された新規の6020製品の別の(200マイクロメートルのスケール)顕微鏡写真を例示する。
【
図9d】
図9dは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された新規の6020製品の別の(200マイクロメートルのスケール)顕微鏡写真を例示する。
【0069】
【
図10a】
図10aは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された6020製品の特性を示すグラフである。
【
図10b】
図10bは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された6020製品の特性を示すグラフである。
【0070】
【
図11a】
図11aは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された新規の6262A製品の顕微鏡写真を例示する。
【
図11b】
図11bは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された新規の6262A製品の顕微鏡写真を例示する。
【0071】
【
図12a】
図12aは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された6262A製品の特性を示すグラフである。
【
図12b】
図12bは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された6262A製品の特性を示すグラフである。
【0072】
【
図13a】
図13aは、別の押出し成形後の溶体化熱処理を用いて従来のプロセスで製造された6262A製品の加工屑を示す写真である。
【0073】
【
図13b】
図13bは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された6262A製品の加工屑を示す写真である。
【0074】
【
図14a】
図14aは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された6061製品の特性を示すグラフである。
【
図14b】
図14bは、本明細書に記載の本発明のシステムおよび方法によって製造された6061製品の特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0075】
<実施例1>
【0076】
従来の6026LF(無鉛)アルミニウム合金は、二つの異なる方法によって製造された。二つの方法の基本的な工程を以下の表1に示す。
【表1】
第二の本発明の方法を実施するために使用されるシステムは、
図2および4に例示されるものと一致する。
【0077】
押出し成形品の顕微鏡写真は長軸方向に撮影された。
図5aは、方法1、すなわち従来のプレス焼き入れによって処理された6026LF-T9合金の微構造を例示する。
図5bは、方法2、すなわち本発明の方法によって処理された6026LF-T9合金の微構造を例示する。示すように、方法1では、表面近くに大きな再結晶粒を有する6026LF製品が得られる。反対に、方法2は、断面方向に均一な微細な繊維状の未再結晶粒を生成する。また、
図6bに示すように、方法2の微構造は、微細かつ小さな構成粒の均一な分布を得ることができ、押出し成形後に完全に別の炉で溶体化熱処理を行う従来の処理をされたロッドのもの(
図6a)と一致する。
【0078】
図7aは、方法2に従って製造された0.5625インチの押出し成形された6026LF-T9ロッドによって得られる強度特性を例示する。
図7bは、これらの同じロッドによって達成される伸び特性を例示する。示すように、押出し成形されたロッドの強度および伸びは、6026LF合金についてのASTMの要件を大幅に超えている。測定された特性値はまた、表2に示される。(すべての値は長軸方向に対する値である。)
【表2】
【0079】
本明細書に記載の新規の方法およびシステムは、他の6xxxアルミニウム合金の微構造および特性も改善する。例えば、
図8aは、
図1および
図3b(T8テンパー)に例示される方法と一致する方法を用いて、ならびに
図2および4に例示されるものと一致するシステムを用いて調製された6020合金の微構造を示す。示すように、押出し成形された6020合金の粒は繊維状で、断面方向に均一である。
【0080】
図9aは、本明細書に記載の本発明の方法およびシステムによって製造された6020合金製品の顕微鏡写真を例示する。
図9bは、従来のプレス焼き入れプロセスによって製造された6020合金製品の顕微鏡写真である。新規の6020製品は、大きなスズ含有構成粒が少なく、スズ含有構成粒は球状化されている。より微細でより良好に分散されたスズ含有相は、6xxx快削合金の機械加工性の向上に貢献する。また、
図9c~9dに示すように、新規の6020製品は、均一に分布している小さな構成粒を得る。このような粒子径および粒度分布は、押出し成形後に完全に別の炉で溶体化熱処理を行う従来の処理をされたロッドのものと一致する。本発明の方法およびシステムによってT8テンパーで製造されたロッド形態の6020合金(20%、25%、および30%絞り加工で1.16インチ)の機械的特性を
図10a~10bに示す。示すように、強度値および伸び値は、6020-T8 ASTMの最小値を大きく上回る。測定された特性値も以下の表3に示される。(すべての値は長軸方向に対する値である。)
【表3】
【0081】
合金6262Aも、(例えば、
図1および3a(T9テンパー)ならびに
図2および4と一致する)本発明の方法およびシステムによって製造された。この場合も、
図11a~
図11bに示すように、新規の6262A製品は小さな構成粒を含み、粒度分布は均一であり、押出し成形後に完全に別の炉で溶解熱処理を行う従来の処理をされたロッドのものと一致する。本発明の方法およびシステムによってT9テンパーで製造されたロッド形態の6262A合金(0.5626インチロッド)の機械的特性を
図12a~12bに示す。示すように、強度値および伸び値は、6262A-T9 ASTMの最小値を大きく上回る。測定された特性値も以下の表4に示される。(すべての値は長軸方向に対する値である。)
【表4】
【0082】
本発明の方法およびシステムによって製造された6262Aロッドの機械加工性も大幅に改善される。
図13aに示すように、従来の押出し成形後の溶体化熱処理を使用して製造された6262A-T9製品は、通常、大量の非常に長い屑を示す。反対に、
図13bに示すように、本明細書に記載の本発明の方法およびシステムを使用して製造された新規の6262A-T9製品は、優れた機械加工性を示すより微細な屑を示す。
【0083】
合金6061も、(例えば、
図1~2a(T6テンパー)および
図3~4と一致する)本発明の方法およびシステムによって製造された。本発明の方法およびシステムによってT6テンパーで製造されたロッド形態の6061合金(1.50インチロッド)の機械的特性を
図14a~14bに示す。示すように、強度値および伸び値は、この場合も6061-T6 ASTMの最小値を大きく上回る。測定された特性値も以下の表5に示される。(すべての値は長軸方向に対する値である。)
【表5】
【0084】
<実施例2>
【0085】
合金の微構造データは、以下に示されるEBSD試料手順にしたがって得られた。表6は、合金のいくつかの例示的な特性を示す。報告されたODF集合組織強度の最大値は、断面の[001]面である。立方体集合組織および粒径の値は横方向である。
【表6】
【0086】
表6に示すように、本発明の方法によって製造された合金は、従来のプレス焼き入れされた合金および溶体化熱処理された合金よりもはるかに高い最大集合組織強度を得る。例えば、新規の6020押出し成形された合金は、従来の押出し成形され、かつプレス焼き入れされた6020合金の最大ODF集合組織強度よりも203%(6.982/3.439=2.03)高い最大ODF集合組織強度を有する。
【0087】
同様に表6に示すように、本発明の方法によって製造された合金は、従来のプレス焼き入れされた合金および溶体化熱処理された合金に比べても、より多くの立方体ED(押出し方向)集合組織を得る。例えば、新規の6020押出し成形された合金は、従来の押出し成形され、かつプレス焼き入れされた6020合金よりも9体積%多い立方体ED集合組織を有する(26体積%対17体積%)。
【0088】
テクスチャー加工されたアルミニウム合金は、軸がランダムに分布しない粒を有する。画像はさまざまな要因に基づいて変化する可能性があるため、測定された集合組織強度は、通常、バックグラウンド強度またはランダム強度の量を計算し、そのバックグラウンド強度を画像の集合組織強度と比較することによって正規化される。したがって、得られた集合組織の測定値の相対強度は、多結晶材料内のさまざまな集合組織の相対量を決定するために互いに比較できる無次元の量である。例えば、OIM解析では、バックグラウンド(ランダム)強度を測定し、方向分布関数(ODF)を使用してODF強度値を得ることができる。これらのODF強度値は、所定のアルミニウム合金(または他の多結晶材料)内の組織の量を表すことができる。
【0089】
本出願では、ODF強度は、(以下に説明する)EBSD試料手順、または実質的に同様の(X線回折が使用されない)OIM手順に従って測定され、強度(時間ランダム)表現を含む一連のODFプロットを作成できる。新規の6xxxアルミニウム合金製品は、概ね高い最大ODF強度を有し、多量の集合組織を示す。新規の6xxxアルミニウム合金製品の多量の集合組織は、それらの特性の改善に寄与できると考えられる。
【0090】
一実施形態では、新規の押出し成形された6xxxアルミニウム合金製品は、同等の製品形状、組成物、および焼き戻しの、従来の押出し成形され、かつプレス焼き入れされた6xxxアルミニウム合金製品よりも少なくとも約10%高い最大ODF強度を得る。例えば、従来の押出し成形され、かつプレス焼き入れされた6026合金が4.0の最大ODF強度を得た場合、本明細書に開示の新規の処理によって製造された新規の6026アルミニウム合金製品は、少なくとも4.4(4.0より10%高い)の最大ODF強度を得ることができる。他の実施形態では、新規の押出し成形された6xxxアルミニウム合金製品は、同等の製品形状、組成物、および焼き戻しの従来の押出し成形され、かつプレス焼き入れされた6xxxアルミニウム合金製品よりも、少なくとも約20%高い、または少なくとも約40%高い、または少なくとも約40%高い、または少なくとも約60%高い、または少なくとも約80%高い、または少なくとも約100%高い、または少なくとも約120%高い、または少なくとも約140%高い、または少なくとも約160%高い、または少なくとも約180%高い、または少なくとも約200%高い、または少なくとも約220%高い、または少なくとも約240%高い、または少なくとも約260%高い、または少なくとも約300%高い、または少なくとも約340%高い、または少なくとも約360%高い、または少なくとも約380%高い、または少なくとも約400%高い、または少なくとも約420%高い、または少なくとも約440%高い、または少なくとも約460%高い、または少なくとも約480%高い、または少なくとも約500%高い、またはそれを超える、最大ODF強度を得ることができる。
【0091】
一実施形態では、新規の押出し成形された6xxxアルミニウム合金製品は、同等の製品形状、組成物、および焼き戻しの従来の押出し成形され、かつプレス焼き入れされた6xxxアルミニウム合金製品よりも、少なくとも1体積%多い立方体ED集合組織を得る。例えば、従来の押出し成形され、かつプレス焼き入れされた6026合金が15体積%の立方体ED集合組織を得る場合、本明細書に開示の新規の処理によって作製された新規の6026アルミニウム合金製品は、(15体積%より1体積%多い)16体積%の立方体ED集合組織を得ることができる。別の実施形態では、新規の押出し成形された6xxxアルミニウム合金製品は、同等の製品形状、組成物、および焼き戻しの従来の押出し成形され、かつプレス焼き入れされた6xxxアルミニウム合金製品より、少なくとも2体積%多く、または少なくとも3体積%多く、または少なくとも4体積%多く、または少なくとも5体積%多く、または少なくとも6体積%多く、または少なくとも7体積%多く、または少なくとも8体積%多く、または少なくとも9体積%多く、または少なくとも10体積%多く、または少なくとも11体積%多く、または少なくとも12体積%多く、または少なくとも13体積%多く得ることができる。
【0092】
<EBSD試料手順>
・電子線後方散乱回折(EBSD)は、Thermo-Scientific ApreoS走査形電子顕微鏡(SEM)または類似のものを使用して実行される。SEM動作条件は、試料を68°傾け、作動距離17mmで、加速電圧20kVで、51nAのスポットサイズである。EBSDパターンは、4×4ビニングおよびEDAX Orientation Image Microscopyソフトウェア(OIM v.7.3.1)または類似のものを備えたEDAX Velocityカメラを使用して収集される。EBSDスキャンは、正方形のグリッドスキャンパターンならびに2.8mmの寸法の高さおよび厚さを使用して実施される。
・収集されたスキャンデータは、OIM TSL解析ソフトウェア(v.8.0)を使用して処理される。スキャンデータは、二つのプロセスを使用してクリーンアップされる。第一のクリーンアッププロセスは、最小信頼性0.1および粒許容角度5°の近接方位相関である。第二のクリーンアッププロセスは、複数の列を含む五つのデータ点の最小粒径を指定するgrain dilation法である。これら二つのプロセスは、一回のクリーンアップで実行された。
・粒は、5°の粒許容角度および最低5つの点を有するものとして定義される。粒形状は球状であると仮定される。そして、粒径チャートは、粒径の直径を使用して計算される。図では、粒径の直径をビン化して、面積画分に対してプロットした。
【0093】
本明細書に記載の新規技術の様々な実施形態を詳細に説明してきたが、当業者であればこれらの実施形態の改変および適合が念頭に浮かぶであろうことは明らかである。しかし、このような改変および適合が本開示の技術の趣旨および範囲内であることは、明白に理解されるべきである。上記の固有の特徴のさまざまなものを組み合わせて、改善された特性の組み合わせを有するさまざまな新規の6xxxアルミニウム合金製品を生み出すことができる。さらに、この新規技術のこれらの態様及び他の態様、利点、ならびに新規の特徴は、以下に続く、ならびに以下の説明及び図面の考察により当業者に明らかになることになる説明において一部記載されており、又は本開示によって提供される技術の一つまたは複数の実施形態を実施することによって学習されることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
6xxx押出し成形された製品であって、
0.2~2.0重量%のSiと、
0.2~1.5重量%のMgと、
0.07~1.0重量%のMnと、
最大1.5重量%のBiと、
最大1.5重量%のSnと、
最大1.0重量%のCuと、
最大1.0重量%のZnと、
最大0.7重量%のPbと、
最大0.7重量%のFeと、
最大0.35重量%のCrと、
最大0.35重量%のVと、
最大0.25重量%のZrと、
最大0.20重量%のTiと、を含み、
残部が、アルミニウム、任意の付随元素、および不純物であり、
前記6xxx押出し成形された製品のT/10から9T/10まで測定した前記6xxx押出し成形された製品が、未再結晶微構造を含み、
前記未再結晶微構造が、少なくとも50体積%の未再結晶粒を含み、
前記未再結晶粒の少なくとも60%が繊維状粒であり、
前記繊維状粒が、少なくとも5:1のアスペクト比(粒の長さ/直径)を有し、
前記未再結晶微構造の平均粒径が、200ミクロン以下である、6xxx押出し成形された製品。
【請求項2】
前記6xxx押出し成形された製品が、従来の6xxx押出し成形された製品と比較して、少なくとも1体積%多い立方体(ED)集合組織を含み、
前記従来の6xxx押出し成形された製品が、従来のプレス焼き入れされ、かつ同等な組成物、製品形状、サイズおよび焼き戻しの製品である、請求項1に記載の6xxx押出し成形された製品。
【請求項3】
前記6xxx押出し成形された製品が、前記従来の6xxx押出し成形された製品と比較して、少なくとも2体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも3体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも4体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも5体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも6体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも7体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも8体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも9体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも10体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも11体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも12体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも13体積%多く立方体(ED)集合組織、を含む、請求項2に記載の6xxx押出し成形された製品。
【請求項4】
前記6xxx押出し成形された製品が、最大ODF[001]集合組織強度を含み、前記最大ODF[001]集合組織強度が、従来の6xxx押出し成形された製品の最大ODF[001]集合組織強度よりも少なくとも10%高く、
前記従来の6xxx押出し成形された製品が、従来のプレス焼き入れされ、かつ同等な組成物、製品形状、サイズおよび焼き戻しの製品である、請求項3に記載の6xxx押出し成形された製品。
【請求項5】
前記押出し成形された6xxx押出し成形された製品が、前記従来の6xxx押出し成形された製品より、少なくとも約20%高い、または少なくとも約40%高い、または少なくとも約40%高い、または少なくとも約60%高い、または少なくとも約80%高い、または少なくとも約100%高い、または少なくとも約120%高い、または少なくとも約140%高い、または少なくとも約160%高い、または少なくとも約180%高い、または少なくとも約200%高い、または少なくとも約220%高い、または少なくとも約240%高い、または少なくとも約260%高い、または少なくとも約300%高い、または少なくとも約340%高い、または少なくとも約360%高い、または少なくとも約380%高い、または少なくとも約400%高い、または少なくとも約420%高い、または少なくとも約440%高い、または少なくとも約460%高い、または少なくとも約480%高い、または少なくとも約500%高い、最大ODF[001]集合組織強度を得る、請求項4に記載の6xxx押出し成形された製品。
【請求項6】
6xxx押出し成形された製品であって、
0.2~2.0重量%のSiと、
0.2~1.5重量%のMgと、
最大1.5重量%のBiと、
最大1.5重量%のSnと、
最大1.0重量%のCuと、
最大1.0重量%のZnと、
0.07重量%未満のMnと、
最大0.7重量%のPbと、
最大0.7重量%のFeと、
最大0.35重量%のCrと、
最大0.35重量%のVと、
最大0.25重量%のZrと、
最大0.20重量%のTiと、を含み、
残部が、アルミニウム、任意の付随元素、および不純物であり、
前記6xxx押出し成形された製品のT/10から9T/10まで測定した前記6xxx押出し成形された製品が、再結晶微構造を含み、
前記再結晶微構造が、少なくとも50体積%の再結晶粒を含み、
前記再結晶粒の少なくとも60%が、5:1(L:LT)以下のアスペクト比を有する等軸粒であり、
前記再結晶微構造の平均粒径が、200ミクロン以下である、6xxx押出し成形された製品。
【請求項7】
前記6xxx押出し成形された製品が、従来の6xxx押出し成形された製品と比較して、少なくとも1体積%多い立方体(ED)集合組織を含み、
前記従来の6xxx押出し成形された製品が、従来のプレス焼き入れされ、かつ同等な組成物、製品形状、サイズおよび焼き戻しの製品である、請求項6に記載の6xxx押出し成形された製品。
【請求項8】
前記6xxx押出し成形された製品が、前記従来の6xxx押出し成形された製品と比較して、少なくとも2体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも3体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも4体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも5体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも6体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも7体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも8体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも9体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも10体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも11体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも12体積%多く立方体(ED)集合組織、または少なくとも13体積%多く立方体(ED)集合組織、を含む、請求項7に記載の6xxx押出し成形された製品。
【請求項9】
前記6xxx押出し成形された製品が、最大ODF[001]集合組織強度を含み、前記最大ODF[001]集合組織強度が、従来の6xxx押出し成形された製品の最大ODF[001]集合組織強度よりも少なくとも10%高く、
前記従来の6xxx押出し成形された製品が、従来のプレス焼き入れされ、かつ同等な組成物、製品形状、サイズおよび焼き戻しの製品である、請求項8に記載の6xxx押出し成形された製品。
【請求項10】
前記押出し成形された6xxx押出し成形された製品が、前記従来の6xxx押出し成形された製品より、少なくとも約20%高い、または少なくとも約40%高い、または少なくとも約40%高い、または少なくとも約60%高い、または少なくとも約80%高い、または少なくとも約100%高い、または少なくとも約120%高い、または少なくとも約140%高い、または少なくとも約160%高い、または少なくとも約180%高い、または少なくとも約200%高い、または少なくとも約220%高い、または少なくとも約240%高い、または少なくとも約260%高い、または少なくとも約300%高い、または少なくとも約340%高い、または少なくとも約360%高い、または少なくとも約380%高い、または少なくとも約400%高い、または少なくとも約420%高い、または少なくとも約440%高い、または少なくとも約460%高い、または少なくとも約480%高い、または少なくとも約500%高い、最大ODF[001]集合組織強度を得る、請求項9に記載の6xxx押出し成形された製品。
【請求項11】
前記6xxx押出し成形されたアルミニウム合金製品が、(a)押出し成形された6026LFアルミニウム合金製品、(b)押出し成形された6020アルミニウム合金製品、(c)押出し成形された6262Aアルミニウム合金製品、および(d)押出し成形された6061アルミニウム合金製品からなる群から選択され、
(i)押出し成形された6026LFアルミニウム合金製品が、(a)17体積%の立方体(ED)集合組織および(b)少なくとも9.7の最大ODF[001]強度のうちの少なくとも一つを得る、
(ii)押出し成形された6020アルミニウム合金製品であって、前記押出し成形された6020製品が、(a)17体積%の立方体(ED)集合組織および(b)少なくとも3.6の最大ODF[001]強度のうちの少なくとも一つを得る、
(iii)押出し成形された6262A製品が、(a)18体積%の立方体(ED)集合組織および(b)少なくとも3.9の最大ODF[001]強度のうちの少なくとも一つを得る、
(iv)押出し成形された6061製品が、(a)5体積%の立方体(ED)集合組織および(b)少なくとも2.0の最大ODF[001]強度のうちの少なくとも一つを得る、6xxx押出し成形されたアルミニウム合金製品。
【請求項12】
方法であって、
(a)6xxxアルミニウム合金のビレットを予熱温度に加熱することと、
(b)前記ビレットを前記予熱温度で、前記ビレットの少なくともいくつかの析出硬化相を溶解するのに充分な時間保持することと、
(c)前記保持工程の後、前記ビレットを押出し成形装置に直ちに移すことと、
(d)前記ビレットを前記押出し成形装置で押出し成形された製品に押出し成形することであって、前記押出し成形中に、前記ビレットおよび前記押出し成形された製品の両方が前記予熱温度以上に維持される、押出し成形することと、
(e)前記押出し成形された製品を前記押出し成形装置から出口シュラウド内に排出することであって、前記出口シュラウドが前記6xxxアルミニウム合金のソルバス温度の100°F以内に前記押出し成形された製品を維持する、排出することと、
(f)前記押出し成形された製品を前記加熱シュラウドから焼き入れ装置に移動させることであって、前記焼き入れ装置が、水スプレーおよび水浴のうちの少なくとも一つを備え、前記焼き入れ装置が、前記押出し成形された製品を125°F未満の温度に、少なくとも1°F/秒の冷却速度で焼き入れする、移動させることと、を含む、方法。
【請求項13】
システムであって、
(a)6xxxアルミニウム合金の押出し成形ビレットを予熱するよう構成された炉と、
(b)前記炉に隣接し、かつその下流の押出し成形装置であって、前記押出し成形装置が前記ビレットを押出し成形された製品に押出し成形するように構成される、押出し成形装置と、
(c)前記押出し成形装置に隣接し、かつその下流の出口シュラウドであって、前記出口シュラウドが、前記6xxxアルミニウム合金のソルバス温度の100°F以内に前記押出し成形された製品を維持するように構成される、出口シュラウドと、
(d)前記押出し成形装置に直接隣接して、かつその下流に配置される焼き入れ装置であって、前記焼き入れ装置が、前記出口シュラウドから受け取られた前記押出し成形された製品を、125°F未満の温度に、少なくとも1°F/秒の冷却速度で冷却するように構成される、焼き入れ装置と、を備える、システム。
【国際調査報告】