(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】予測耐火物性能測定システム
(51)【国際特許分類】
F27D 21/00 20060101AFI20231110BHJP
B22D 41/02 20060101ALI20231110BHJP
F27D 1/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
F27D21/00 Q
B22D41/02 Z
F27D1/00 V
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023526476
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 US2020062543
(87)【国際公開番号】W WO2022098375
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522061534
【氏名又は名称】ハービソン ウォーカー インターナショナル、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リクター、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】フォースター、コリー
(72)【発明者】
【氏名】アブリノ、ドナルド
【テーマコード(参考)】
4K051
4K056
【Fターム(参考)】
4K051AA02
4K051AA09
4K051BH01
4K056AA05
4K056CA01
4K056CA06
4K056FA13
4K056FA19
4K056FA24
(57)【要約】
製造容器の外壁の内面にライニングされ、かつ非金属を製造するための高温環境および製造された非金属に曝露されている間に操業サイクルに曝露される耐火物ライニングの未来の状態を予測するための測定システムが提供される。システムは1つ以上のレーザースキャナとプロセッサを含む。レーザースキャナは、操業サイクル前に、耐火物ライニングの操業前レーザースキャンを1回以上実施して、操業サイクル前の構造条件に関するデータを収集し、操業サイクル後に、耐火物ライニングの操業後レーザースキャンを1回以上実施して、耐火物ライニングの操業サイクル後の構造条件に関するデータを収集するように構成される。プロセッサは、算出された操業サイクルの曝露影響に基づいて、後続の操業サイクル後の耐火物ライニングの未来の状態を予測するように構成される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造容器の外壁の内面にライニングされ、非金属を製造するための高温環境および製造された前記非金属に曝露されている間に、操業サイクルに曝露される耐火物ライニング、の未来の状態を予測するための測定システムであって、
前記操業サイクル前に、前記耐火物ライニングの操業前レーザースキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル前の構造条件に関するデータを収集し、前記操業サイクル後に、前記耐火物ライニングの操業後レーザースキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル後の構造条件に関するデータを収集するように構成された、1つ以上のレーザースキャナと、
収集された前記操業サイクル前の構造条件データと、収集された前記操業サイクル後の構造条件データとを比較することにより、前記操業サイクルの前記耐火物ライニングに対する曝露影響を算出し、算出された前記操業サイクルの前記曝露影響に基づき、後続の1回以上の操業サイクル後の前記耐火物ライニングの未来の状態を予測するように構成された、プロセッサと、
を含む測定システム。
【請求項2】
前記製造容器が前記高温環境および前記非金属に曝露される前記操業サイクル中に、前記製造容器の前記外壁の外面の赤外線スキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル中の前記外面の温度に関する温度データを収集するように構成された、1つ以上の外側ビュー赤外線カメラ、をさらに備え、
前記プロセッサが、収集された前記外面の前記温度データを、収集された前記構造条件データと相関させることによって前記曝露影響を算出するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサが、収集された前記構造条件データとの相関関係において、1つ以上の操業パラメータが前記操業サイクル中に前記耐火物ライニングに及ぼす操業上の影響を考慮して、前記曝露影響を算出するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記操業パラメータは、前記高温環境および前記非金属に曝露された1つ以上の過去の耐火物ライニングに適用された1つ以上の耐火物に関する履歴データを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記操業パラメータは、
前記高温環境および前記非金属に曝露された1つ以上の過去の耐火物ライニングに適用された1つ以上の耐火物に関する履歴データ、と、
前記耐火物ライニングの初期の化学組成および起源、と、
前記耐火物ライニングの初期の物理的設計、と、
前記操業サイクル中に製造容器に加えられる充填成分または連続供給ミックス成分の物理的属性および化学的属性ならびにその量、と、
前記耐火物ライニングが前記製造容器の前記外壁の内面にライニングされている期間中の前記製造容器の履歴、と
からなる群から選択される1つ以上の予め定められた操業パラメータを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記製造容器が前記操業サイクルの前に予熱または昇温されている間、または前記操業サイクルの後に冷却されている間の、予熱、昇温、または冷却の持続時間を測定するように構成された補助熱電対をさらに含み、前記予熱、昇温、または冷却の持続時間が、前記操業パラメータの1つである、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記耐火物ライニングが前記高温環境に曝露される前記操業サイクル中の累積接触時間を測定するように構成されたサイクル時間記録装置をさらに備え、前記累積接触時間が、前記操業パラメータの1つである、請求項3記載のシステム。
【請求項8】
前記操業サイクル中に前記製造容器内の前記高温環境の温度を測定するように構成された1つ以上の環境測定熱電対をさらに含み、測定された前記高温環境の温度が、前記操業パラメータの1つである、請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
前記操業サイクル中に前記製造容器内の前記非金属の温度を測定するように構成された1つ以上の非金属測定熱電対をさらに含み、測定された前記非金属の温度が、前記操業パラメータの1つである、請求項3に記載のシステム。
【請求項10】
前記製造容器が前記高温環境および前記非金属に曝露される前記操業サイクル中に、前記製造容器の前記外壁の内面に対して1回以上の赤外線スキャンを行って、前記操業サイクル中の前記内面の温度に関する温度データを収集するように構成された1つ以上の内側ビュー赤外線カメラ、をさらに備え、収集された前記温度データが、前記操業パラメータの1つである、請求項3に記載のシステム。
【請求項11】
前記製造容器をスキャンして、前記操業サイクルの前の前記製造容器の物理的な位置および向きを特定するように構成された方位レーザー、をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記製造容器が前記高温環境および前記非金属に曝露されているときに、前記操業サイクル中に前記製造容器の前記外壁の外面の赤外線スキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル中の前記外面の温度に関する温度データを収集するように構成された、1つ以上の外側ビュー赤外線カメラをさらに含み、
前記プロセッサが、収集された前記外面の温度データを、収集された前記構造条件データおよび前記操業パラメータの操業上の影響と相関させることによって前記曝露影響を算出するようにさらに構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項13】
前記製造容器が前記高温環境および非金属に曝露される前記操業サイクル中に、前記製造容器の前記外壁の内面の赤外線スキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル中の前記内面の温度に関する温度データを収集するように構成された、1つ以上の内側ビュー赤外線カメラをさらに含み、
収集された前記温度データが、前記操業パラメータの1つである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサが、収集された前記温度データをマッピングして、前記耐火物ライニングの劣化部分を特定するようにさらに構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項15】
前記非金属は、セメント、石灰、石油化学液体、石油化学ガス、化学液体、化学ガス、ガラス、灰、および鉱物からなる群から選択される1つ以上の材料である、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記製造容器が前記高温環境および前記非金属に曝露される操業サイクル中に、前記製造容器の前記外壁の外面から前記製造容器のトモグラフィスキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル中の前記耐火物ライニングの厚さ、前記操業サイクル中の前記耐火物ライニングへの前記非金属の貫入の発生率の検出、またはそれらの組み合わせ、の1つ以上に関するトモグラフィデータの収集を行うように構成された1つ以上のトモグラフィセンサ、をさらに含み、
前記プロセッサが、収集された前記トモグラフィデータを、収集された前記構造条件データおよび前記操業パラメータの操業上の影響と相関させることによって、前記曝露影響を算出するようにさらに構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項17】
製造容器の外壁の内面にライニングされ、非金属を製造するための高温環境および製造された前記非金属に曝露されている間に、操業サイクルに曝露される耐火物ライニングの、未来の状態を予測する方法であって、
前記耐火物ライニングの操業前レーザースキャンを加熱前に1回以上実施して、操業サイクル前の構造条件に関するデータを収集することを操業サイクル前に実施すること、と、
前記操業サイクル後に、前記耐火物ライニングの操業後レーザースキャンを1回以上実施して、前記耐火物ライニングの操業サイクル後の構造条件に関するデータを収集すること、と、
収集された操業サイクル前の構造条件データと、収集された操業サイクル後の構造条件データとを比較することにより、前記耐火物ライニングに対する前記操業サイクルの曝露影響の算出を、プロセッサにより行うこと、と、
算出された前記操業サイクルの前記曝露影響に基づき、後続の1回以上の操業サイクル後の前記耐火物ライニングの未来の状態の予測を、前記プロセッサにより行うこと、と、
を含む方法。
【請求項18】
前記製造容器が前記高温環境および前記非金属に曝露される前記操業サイクル中に、前記製造容器の前記外壁の外面の赤外線スキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル中の前記外面の温度に関するデータを収集すること、をさらに含み、
前記曝露影響の算出が、収集された前記外面の温度データを、収集された構造条件データと関連付けることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記曝露影響の算出が、収集された構造条件データとの相関関係において、1つ以上の操業パラメータが前記操業サイクル中に前記耐火物ライニングに及ぼす操業上の影響を検討することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記製造容器が前記高温環境および前記非金属に曝露される前記操業サイクル中に、前記製造容器の前記外壁の赤外線スキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル中の前記内面の温度に関するデータを収集すること、をさらに含み、
収集された温度データが、操業パラメータの1つである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記操業パラメータが、前記高温環境および前記非金属に曝露された1つ以上の過去の耐火物ライニングに適用された1つ以上の耐火物に関する履歴データを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記操業パラメータが、
前記高温環境および前記非金属に曝露された1つ以上の過去の耐火物ライニングに適用された1つ以上の耐火物に関する履歴データ、と、
前記耐火物ライニングの初期の化学組成および起源、と、
前記耐火物ライニングの初期の物理的設計、と、
前記操業サイクル中に前記製造容器に加えられる充填成分または連続供給ミックス成分の物理的属性および化学的属性ならびにその量、と、
前記耐火物ライニングが前記製造容器の前記外壁の内面にライニングされている期間中の前記製造容器の履歴、と
からなる群から選択される1つ以上の予め定められた操業パラメータを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記製造容器が前記操業サイクルの前に予熱または昇温されている間、または前記操業サイクルの後に冷却されている間の、予熱、昇温、または冷却の持続時間を測定することをさらに含み、前記予熱、昇温、または冷却の持続時間が、前記操業パラメータの1つである、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記耐火物ライニングが前記高温環境に曝露される前記操業サイクルの累積接触時間を測定することをさらに含み、前記累積接触時間が、前記操業パラメータの1つである、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記非金属が、セメント、石灰、石油化学液体、石油化学ガス、化学液体、化学ガス、ガラス、灰、および鉱物からなる群から選択される1つ以上の材料である、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記操業サイクル中に前記製造容器内の前期高温環境の温度を測定することをさらに含み、測定された前記高温環境の温度が、前記操業パラメータの1つである、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記操業サイクル中に前記製造容器内の前記非金属の温度を測定することをさらに含み、測定された前記非金属の温度が、前記操業パラメータの1つである、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記製造容器が前記高温環境および前記非金属に曝露される前記操業サイクル中に、前記製造容器の前記外壁の外面の赤外線スキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル中の前記外面の温度に関するデータを収集することをさらに含み、
前記曝露影響の算出は、収集された前記外面の温度データを、収集された構造条件データおよび前記操業パラメータの操業上の影響と相関させることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記製造容器が前記高温環境および前記非金属に曝露される前記操業サイクル中に、前記製造容器の前記外壁の内面の赤外線スキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル中の前記内面の温度に関するデータを収集することをさらに含み、収集された温度データが、前記操業パラメータの1つである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記製造容器が前記高温環境および前記非金属に曝露される前記操業サイクル中に、前記製造容器の前記外壁の外面からトモグラフィスキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル中の前記耐火物ライニングの厚さ、前記操業サイクル中の前記耐火物ライニングへの前記非金属の貫入の発生率の検出、またはそれらの組み合わせ、の1つ以上に関するトモグラフィデータを収集することをさらに含み、
前記曝露影響の算出が、収集された前記トモグラフィデータを、収集された構造条件データおよび前記操業パラメータの操業上の影響と創刊させることをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
冶金容器の外壁の内面にライニングされ、溶融金属に曝露されている間に加熱に曝露される耐火物ライニングの、未来の状態を予測するための測定システムであって、
前記冶金容器が空のときに前記耐火物ライニングに複数回のレーザースキャンを実施するように構成された1つ以上のレーザースキャナであって、前記レーザースキャナの少なくとも1つは、前記加熱の前に前記耐火物ライニングをレーザースキャンして、前記耐火物ライニングの加熱前の構造条件に関するデータを収集するようにさらに構成されており、前記レーザースキャナの少なくとも1つは、前記加熱の後に前記耐火物ライニングをレーザースキャンして、前記耐火物ライニングの加熱後の構造条件に関するデータを収集するようにさらに構成されている、レーザースキャナと、
収集された前記加熱前の構造条件データと、収集された前記加熱後の構造条件データとを比較することにより、前記耐火物ライニングに対する前記加熱の曝露影響を算出し、算出された前記加熱の前記曝露影響に基づき、後続の1回以上の加熱後の前記耐火物ライニングの未来の状態を予測するように構成された、プロセッサと、
を含む測定システム。
【請求項32】
前記冶金容器が前記溶融金属で満たされているときに、前記加熱中に前記冶金容器の前記外壁の外面に対して1回以上の赤外線スキャンを実施して、前記加熱中の前記外面の温度に関するデータを収集するように構成された、1つ以上の赤外線カメラ、をさらに備え、
前記プロセッサが、収集された前記温度データを、収集された前記構造条件データと相関させることによって前記曝露影響を算出するようにさらに構成される、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記プロセッサが、収集された前記構造条件データとの相関関係において、1つ以上の操業パラメータが前記加熱中に前記耐火物ライニングに及ぼす操業上の影響を考慮して、前記曝露影響を算出するようにさらに構成される、請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記操業パラメータは、溶融金属を取り扱った1つ以上の過去の耐火物ライニングに適用された1つ以上の耐火物に関する履歴データを含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記操業パラメータは、
溶融金属を取り扱った1つ以上の過去の耐火物ライニングに適用された1つ以上の耐火物に関する履歴データ、と、
前記耐火物ライニングの初期の化学組成および起源、と、
前記耐火物ライニングの初期の物理的設計、と、
前記加熱中に製造することが求められる鋼種と、
前記加熱中に前記冶金容器に加えられる充填ミックス成分の物理的属性および化学的属性ならびにその量、と、
前記加熱中に前記冶金容器に加えられる合金の物理的属性および化学的属性ならびにその量、と、
前記加熱中に前記冶金容器に加えられるスラグ形成剤の物理的属性および化学的属性ならびにその量、と、
前記加熱中に前記冶金容器に加えられるフラックス添加剤の物理的属性および化学的属性ならびにその量、と、
前記耐火物ライニングが前記冶金容器の前記外壁の内面にライニングされている期間中の前記冶金容器の履歴、と
からなる群から選択される1つ以上の予め定められた操業パラメータを含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
空の前記冶金容器が前記加熱の前に予熱されている間の、予熱持続時間を測定するように構成された予熱記録装置をさらに含み、前記予熱持続時間が、前記操業パラメータの1つである、請求項33に記載のシステム。
【請求項37】
前記溶融金属、スラグ、またはそれらの組み合わせが前記加熱中に前記耐火物ライニングと接触している間の累積接触持続時間を測定するように構成された滞留時間記録装置をさらに含み、前記累積接触持続時間が、前記操業パラメータの1つである、請求項33に記載のシステム。
【請求項38】
1つ以上の攪拌パラメータを測定するように構成されたガス攪拌制御装置をさらに含み、前記攪拌パラメータが、
前記加熱中の前記冶金容器内の前記溶融金属の攪拌によって加わる攪拌圧力の大きさと、
前記攪拌中に前記冶金容器内の前記溶融金属に当てられる不活性ガスの流量と、
前記溶融金属が攪拌されている間の攪拌持続時間と
を含み、
前記操業パラメータは前記攪拌パラメータを含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項39】
前記加熱中に前記冶金容器内の前記溶融金属の温度を測定するように構成された1つ以上のプロセス熱電対をさらに含み、測定された前記温度が、前記操業パラメータの1つである、請求項33に記載のシステム。
【請求項40】
前記加熱中に前記冶金容器内で生成されたスラグの化学組成を測定するように構成されたスラグ化学組成測定装置をさらに含み、前記スラグの化学組成が、前記操業パラメータの1つである、請求項33に記載のシステム。
【請求項41】
空の前記冶金容器が前記加熱の準備のために予熱されているときに、前記冶金容器の予熱温度を測定するように構成された予熱器熱電対をさらに含み、前記冶金容器の前記予熱温度が、前記操業パラメータの1つである、請求項33に記載のシステム。
【請求項42】
前記冶金容器をスキャンして、前記加熱前の前記冶金容器の物理的な位置および向きを特定するように構成された方位レーザーをさらに含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項43】
前記冶金容器が前記溶融金属で満たされているときに、前記加熱中に前記冶金容器の前記外壁の外面の赤外線スキャンを1回以上実施して、前記加熱中の前記外面の温度に関するデータを収集するように構成された、1つ以上の赤外線カメラをさらに含み、
前記プロセッサが、収集された前記温度データを、収集された前記構造条件データおよび前記操業パラメータの操業上の影響と相関させることによって前記曝露影響を算出するようにさらに構成される、請求項33に記載のシステム。
【請求項44】
前記プロセッサが、収集された前記温度データをマッピングして、前記耐火物ライニングの劣化部分を特定するようにさらに構成される、請求項32に記載のシステム。
【請求項45】
前記冶金容器の外壁の内面にライニングされ、溶融金属に曝露されている間に加熱に曝露される耐火物ライニングの、未来の状態を予測するための方法であって、
前記耐火物ライニングの加熱前の構造条件に関するデータを収集することを含めて、前記加熱の前の前記耐火物ライニングのレーザースキャンを、1回以上実施すること、と、
前記耐火物ライニングの加熱後の構造条件に関するデータを収集することを含めて、前記加熱の後の前記耐火物ライニングのレーザースキャンを、1回以上実施すること、と、
収集された前記加熱前の構造条件データと、収集された前記加熱後の構造条件データとを比較することを含めて、前記耐火物ライニングに対する前記加熱の曝露影響の算出を、プロセッサにより行うこと、と、
前記加熱の曝露影響の算出に基づく、後続の1回以上の加熱後の前記耐火物ライニングの未来の状態を、前記プロセッサにより予測すること、と
を含む方法。
【請求項46】
前記冶金容器が前記溶融金属で満たされているときに、前記加熱中に検出された前記外面の温度に関するデータを収集することを含めて、前記加熱中の前記冶金容器の前記外壁の外面の赤外線スキャンを、1回以上実施することをさらに含み、
前記加熱の曝露影響の算出が、収集された前記温度データを、収集された前記構造条件データと相関させることをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記加熱の曝露影響の算出が、収集された前記構造条件データとの相関関係において、1つ以上の操業パラメータが前記加熱中に前記耐火物ライニングに及ぼす操業上の影響を検討することをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記操業パラメータが、溶融金属を取り扱った1つ以上の過去の耐火物ライニングに適用された1つ以上の耐火物に関する履歴データを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記操業パラメータが、
溶融金属を取り扱った1つ以上の過去の耐火物ライニングに適用された1つ以上の耐火物に関する履歴データ、と、
前記耐火物ライニングの初期の化学組成および起源、と、
前記耐火物ライニングの初期の物理的設計、と、
前記加熱中に製造することが求められる鋼種と、
前記加熱中に前記冶金容器に加えられる充填ミックス成分の物理的属性および化学的属性ならびにその量、と、
前記加熱中に前記冶金容器に加えられる合金の物理的属性および化学的属性ならびにその量、と、
前記加熱中に前記冶金容器に加えられるスラグ形成剤の物理的属性および化学的属性ならびにその量、と、
前記加熱中に前記冶金容器に加えられるフラックス添加剤の物理的属性および化学的属性ならびにその量、と、
前記耐火物ライニングが前記冶金容器の前記外壁の内面にライニングされている期間中の前記冶金容器の履歴、と
からなる群から選択される1つ以上の予め定められた操業パラメータを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
空の前記冶金容器が前記加熱の前に予熱されている間の、予熱持続時間を測定することをさらに含み、前記予熱持続時間が、前記操業パラメータの1つである、請求項47に記載のシステム。
【請求項51】
前記溶融金属、スラグ、またはそれらの組み合わせが前記加熱中に前記耐火物ライニングと接触している間の累積接触持続時間を測定することをさらに含み、前記累積接触持続時間が、前記操業パラメータの1つである、請求項47に記載のシステム。
【請求項52】
1つ以上の攪拌パラメータを測定することをさらに含み、前記攪拌パラメータが、
前記加熱中の前記冶金容器内の前記溶融金属の攪拌によって加わる攪拌圧力の大きさと、
前記攪拌中に前記冶金容器内の前記溶融金属に当てられる不活性ガスの流量と、
前記溶融金属が攪拌されている間の攪拌持続時間と
を含み、
前記操業パラメータは前記攪拌パラメータを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
前記加熱中に前記冶金容器内の前記溶融金属の温度を測定することをさらに含み、測定された前記温度が、前記操業パラメータの1つである、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
前記加熱中に前記冶金容器内で生成されたスラグの化学組成を測定することをさらに含み、前記スラグの化学組成が、前記操業パラメータの1つである、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
空の前記冶金容器が前記加熱の準備のために予熱されているときに、前記冶金容器の予熱温度を測定することをさらに含み、前記冶金容器の前記予熱温度が、前記操業パラメータの1つである、請求項47に記載のシステム。
【請求項56】
前記冶金容器が前記溶融金属で満たされているときに、前記加熱中に検出された前記外面の温度に関するデータを収集することを含めて、前記加熱中に前記冶金容器の前記外壁の外面の赤外線スキャンを1回以上実施することをさらに含み、
前記加熱の曝露影響の算出は、収集された温度データを、収集された構造条件データおよび前記操業パラメータの操業上の影響と相関させることをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には耐火物分析に関し、より具体的には、耐火物性能を予測するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼の製造、および製造容器内に高温侵食性環境を伴うその他のプロセスといった、工業プロセスは、増え続けるプロセスデータおよびパラメータを収集することによって支えられている。プロセスの最適化と効率向上を目的として、プロセスデータを迅速かつ効率的に分析するために、多くの統計的、分析的、およびデータ操作のソリューションが利用可能である。コンピュータシステムのハードウェアとソフトウェアで構成されるプロセス最適化システムは、生のプロセスデータを収集し、その生のプロセスデータをプロセスの変更、修正、アップグレードと関連付ける。このシステムは、収集したさまざまなデータにタイムスタンプを付け、関連付けることが可能である。高度なフォーマットでは、システムによって、複数の相互依存するパラメータの分析的、統計的な相関をとることも可能である。これらの相関関係を用いることにより、システムは、プロセス効率への影響を評価することができる。収集されたプロセスパラメータの多くは、個別に、または相関関係において、耐火物ライニングの性能に直接影響を与える。
【0003】
上述したようなシステムは、塩基性酸素転炉や電気アーク炉などの一次溶解装置で溶鋼を製造するプロセスで使用されるものである。また、このシステムは、鋼鉄取鍋、脱ガス装置、アルゴン酸素脱炭、真空酸素脱炭炉などの二次精錬および輸送容器におけるプロセスで使用することもできる。溶鋼を収容する容器は、溶鋼と溶融スラグに耐性のある高温耐火物からなるライニングを使用する必要がある。とはいえ、溶鋼と溶融スラグはどちらも、耐火物ライニングを腐食させてしまう。
【0004】
さらに、上述したようなシステムは、ガラス、セメント、石灰、またはその他の鉱物を製造するプロセス、および焼却炉などといった他の高温ユニットで使用することができる。さらに、システムは、油、ガス、化学物質、あるいは類似物の製造および精製においても使用することができる。高温で動作するプロセスで利用される容器、例えば、連続式およびバッチ式のガラス溶融炉、セメントまたは石灰の回転炉および溶鉱炉、またはその他の鉱物を処理する回転炉および溶鉱炉、または予熱塔および冷却器、または一次および二次アンモニア改質器などの各種石油化学改質器、または流動接触分解装置、または硫黄回収装置などの熱反応器、またはガス化炉、流動床、焼却炉といった類のものは、腐食性および侵食性の条件、または非金属液体、または溶融スラグやコーティング、に耐性のある高温耐火材料からなるライニングを含まなければならない。とはいえ、上記の条件はすべて、耐火物ライニングを腐食させてしまう。
【0005】
耐火物ライニングの腐食のレベルおよび進行は、従来、広く受け入れられ、現在も採用されている3つの方法、すなわち目視観察、赤外線マッピング、およびレーザースキャンによって測定される。耐火物ライニング腐食の目視観察は、耐火物ライニングの整備中に実施することができる。また、耐火物ライニングの耐用年数終了後に、耐火物ライニングの残物を物理的に測定することによっても、耐火物ライニングの腐食の目視観察を行うことができる。ガラス溶融炉の耐火物ライニング腐食のレベルおよび進行は、レーダー検出によって測定することも可能である。
【0006】
耐火物ライニング腐食の赤外線マッピングは、溶鋼、ガラス、セメント、石灰、油、ガス、化学物質、またはその他の鉱物や材料がそれぞれ容器に接触している特定のステップまたは時間において、溶鋼、ガラス、セメント、石灰、油、ガス、化学物質、またはその他の鉱物や材料が入ったライニング付き容器の外面に対して行われる。耐火物ライニング腐食の赤外線マッピングの目的は、中身が入っている容器の外面の温度と、容器に取り付けられた耐火物ライニングの状態とを相関させることである。赤外線マッピングは、赤外線マッピング画像を目視確認するという簡単なものでよい。赤外線マッピング画像の目視確認はさらに、ソフトウェア操作、高度な温度画像、およびデータレポートによって補完することができる。
【0007】
耐火物ライニング腐食のレーザースキャンは、特定のプロセス位置において、空の、場合によっては完全または部分的に満たされた、ライニングを備えた容器の内面で行われる。レーザースキャンシステムにおいては、レーザー飛行時間カメラを含む、ただしこれに限定されない、複数のタイプのハードウェアおよびデバイスを利用することができる。点群データを完全に幾何学的に記述された画像に処理し、様々なデータレポートを生成することができるソフトウェアパッケージを使用して、レーザースキャンから収集されたデータを分析することができる。この方法の目的は、耐火物ライニングの実際の形状、残存厚さ、またはその他の詳細なパラメータを、2mmの精度内で測定することである。溶鋼に関して、そのようなパラメータとしては、ウェルブロックや出銑口などの取鍋の機能部品の状態、またはウェルブロックや出銑口などの研磨効率、または取鍋の底の窪みにはまり込んだ鋼量の測定、またはスライドゲートを含み得るがこれに限らない流量制御部品の通路の状態、などが挙げられるが、これらのパラメータに限定されない。ガラス、セメント、石灰、油、ガス、化学物質、またはその他の鉱物や材料に関して、そのようなパラメータとしては、それらに接触するそれぞれの容器の機能部分、例えば、入口ポート、出口ポート、クラウン、天井、または特定の機能部分の状態を含むことができるが、それらに限定されない。
【0008】
ガラス溶鉱炉の動作中におけるレーダー波の応答に基づいて、レーダー波が異なる密度を有する領域に入ったかどうかを求めることにより、ガラス溶鉱炉における耐火物ライニングの厚さを測定するためにレーダー波を用いることができる。このレーダー測定は、ガラス溶融炉の外面から行われる。
【0009】
従来、上述した4つの方法は、それぞれ独立して利用される。耐火物ライニング腐食は、工業プロセスにおいて、主に目視観察によって特定される。しかし、赤外線マッピング、レーダースキャン、レーザースキャンは、耐火物ライニングの腐食評価のための代替的かつ独立した解決策と考えられている。実際、この4つの方法は、市場において競合しているが、コストは大きく異なる。目視観察のコストは、主に諸経費に関連する。ガラス溶融炉における赤外線マッピングシステムおよびレーダースキャンシステムは、レーザースキャンシステムよりも低コストである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、これらの方法を個別に使用することは、特定の状況において欠点がある場合がある。例えば、非常にまれに、耐火物ライニング腐食の目視観察が、各加熱またはプロセスサイクルの後のレーザースキャン、または、より程度は少ないが赤外線マッピングを用いて物理的に評価された、耐火物ライニングの実際の条件と協調しないことがある。さらに、目視観察では、耐火物ライニングの予測性能を計算するために使用できる貴重なプロセス最適化データの収集はできない。
【0011】
耐火物ライニング腐食の赤外線マッピングは、間接的であり、外面の観察によって耐火物ライニングの状態を判断するものである。赤外線マッピング法で収集された温度測定値は、実際のライニングの厚みを通る熱の流れによって影響を受ける。しかし、その一方で、温度測定値は、溶鋼の温度や、溶鋼、プロセス液、ガス、固体、または溶融スラグやコーティングによってライニングの空隙に含浸された温度にも影響される。このような含浸は一般的であり、赤外線マッピングによる測定値に誤差を生じさせることがあり、それが耐火物ライニングの早期交換につながり、コストを増大させてしまう。
【0012】
耐火物ライニングの腐食のレーザースキャンは直接的であり、高精度で耐火物ライニングの実際の状態および厚さを測定する。しかし、レーザースキャンは、測定時に耐火物ライニングがスラグまたはコーティングによって被覆されている場合、耐火物ライニングの厚さおよび状態を測定することができない。つまり、レーザースキャンで正確な結果を得たい場合、取鍋や容器内に溶鋼や、ガラスなどの他の溶融物、溶融スラグやコーティングを残しておくことはできない。そのような状況でのレーザースキャンは、ガラス溶融クラウンなどの耐火物ライニングの視覚的に露出した部分の実際の状態や厚さを測定することしかできない。もしライニングに大きな亀裂や厚さ不足などの顕著な欠陥があった場合でも、スラグコーティングによりそれらが一時的に覆われていると、レーザースキャンは誤った測定結果を生成してしまう。すると、操業中にコーティングが溶け出し、隠れていた耐火ライニングの欠陥が溶鋼や非金属を含む高温のプロセス環境に曝露する可能性がある。これは、耐火物ライニングの大きな破損につながる可能性がある。
【0013】
さらに、ガラス用途におけるレーダースキャンは、精度が5mm以内であり、レーザースキャンによる高精度よりも低い。さらに、レーダースキャンでは、各ポイントを個別に測定する必要がある。このように、レーダースキャンは時間がかかる。容器の全体スキャンを通じて完了できるポイントは、通常150ポイントを超えない程度と限られている。赤外線カメラと同様に、レーダースキャンは、ガラス溶融物またはガラス浸潤物を区別することができず、そのような浸潤物が耐火物ライニングの背後にある場合、誤った測定値を出すことがある。
【0014】
本発明は、レーザースキャンと赤外線マッピングの両方、および場合によってはガラス溶融炉の場合にはレーダースキャンによって、耐火物ライニング腐食を識別するシステムを提供することによって、これらの問題および他の問題に対処するために開発されたものである。さらに、本発明は、レーザースキャン、赤外線マッピング、およびレーダースキャンによって取得されたデータに加えて、プロセス特性および変数を使用して、問題の耐火物ライニングの未来の性能を予測することができるシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施形態によれば、製造容器の外壁の内面にライニングされ、非金属を製造するための高温環境および製造された非金属に曝露されている間に、操業サイクルに曝露される耐火物ライニング、の未来の状態を予測するための測定システムが提供される。このシステムは、1つ以上のレーザースキャナとプロセッサを含む。レーザースキャナは、操業サイクル前に、耐火物ライニングの操業前レーザースキャンを1回以上実施して、操業サイクル前の構造条件に関するデータを収集し、操業サイクル後に、耐火物ライニングの操業後レーザースキャンを1回以上実施して、操業サイクル後の構造条件に関するデータを収集するように構成される。プロセッサは、収集された操業サイクル前の構造条件データと、収集された操業サイクル後の構造条件データとを比較することにより、操業サイクルの耐火物ライニングに対する曝露影響を算出し、算出された操業サイクルの曝露影響に基づき、後続の1回以上の操業サイクル後の耐火物ライニングの未来の状態を予測するように構成される。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、製造容器の外壁の内面にライニングされ、非金属を製造するための高温環境および製造された非金属に曝露されている間に、操業サイクルに曝露される耐火物ライニングの、未来の状態を予測する方法が提供される。この方法は、耐火物ライニングの操業前レーザースキャンを加熱前に1回以上実施して、操業サイクル前の構造条件に関するデータを収集することを操業サイクル前に実施すること、と、操業サイクル後に、耐火物ライニングの操業後レーザースキャンを1回以上実施して、耐火物ライニングの操業サイクル後の構造条件に関するデータを収集すること、と、収集された操業サイクル前の構造条件データと、収集された操業サイクル後の構造条件データとを比較することにより、耐火物ライニングに対する操業サイクルの曝露影響の算出を、プロセッサにより行うこと、と、算出された操業サイクルの曝露影響に基づき、後続の1回以上の操業サイクル後の耐火物ライニングの未来の状態の予測を、プロセッサにより行うこと、と、を含む。
【発明の効果】
【0017】
このような利点およびその他の利点は、添付の図面および特許請求の範囲と共に、以下の好ましい実施形態の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、特定の部品および部品の配置に関して、物理的な形態をとることができ、その好ましい実施形態は、明細書において詳細に説明され、本明細書の一部を形成する添付図面において以下のように図示される。
【
図1】本発明の予測耐火物性能測定システムの第1例を示す模式図である。
【
図2】本発明の予測耐火物性能測定システムの第1例により未来の状態を予想しようとする耐火物ライニングを、空の冶金容器および満たされた冶金容器の外壁の内面にそれぞれライニングした第1例を示す模式図である。
【
図3】取鍋容器の外壁の内面にライニングされ、溶融金属に曝露されている間に加熱に曝露される耐火物ライニングの未来の状態を予測する本発明の第1例の方法を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の予測耐火物性能測定システムの第2例を示す模式図である。
【
図5】本発明の予測耐火物性能測定システムの第2例によって未来の状態を予想しようとする耐火物ライニングを、製造容器の外壁の内面にそれぞれライニングした例を示す模式図である。
【
図6】製造容器の外壁の内面にライニングされ、非金属を製造するために高温環境に曝露される操業サイクルに曝露される耐火物ライニングの未来の状態を予測する本発明の方法の第2例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
以下の詳細な説明は、読者が本明細書に記載された方法、装置、および/またはシステムを包括的に理解するのを支援するために提供される。しかしながら、本明細書に記載されたシステム、装置、および/または方法の様々な変更、修正、および均等物は、当業者にとって明らかであろう。さらに、当業者によく知られている機能および構造の説明は、明確性および簡潔性を高めるために省略されることがある。
【0026】
図面および詳細な説明を通じて、同じ参照数字は同じ要素を指す。図面は縮尺通りでない場合があり、図面における要素の相対的なサイズ、比率、および描写は、明確さ、図示、および利便性のために誇張されている場合がある。
【0027】
本明細書に記載された特徴は、異なる形態で具現化されることがあり、本明細書に記載された例に限定されるものとして解釈されるものではない。むしろ、本明細書に記載された例は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、当業者に本開示の全範囲を伝えるように提供されたものである。
【0028】
初めに、本明細書の記載の目的上、「冶金容器」とは、溶鋼の製造または精錬のためのプロセス内で使用され得る任意の容器を指す。これには、一次溶融装置または二次冶金容器が含まれるが、これらに限定されるものではない。一次溶解装置には、塩基性酸素転炉や電気アーク炉が含まれるが、これらに限定されない。二次冶金容器としては、取鍋冶金炉、脱ガス装置、アルゴン酸素脱炭容器、または真空酸素脱炭容器などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。溶鋼の運搬を任務とする二次製鋼または冶金容器の例として、空取鍋容器16および満たされた取鍋容器18があり、これらは以下の記載においてより詳細に説明される。ただし、冶金容器の使用は溶鋼での使用に限定されず、他の溶融金属一般を保持することもできるので、本明細書に記載される実施形態はこれに限定されない。
【0029】
本明細書の記載の目的上、「製造容器」とは、ガラス、セメント、石灰、化学物質、油およびガス、あるいは典型的には非金属と呼ばれるその他の材料の製造または精製のための高温プロセス内で使用され得る任意の容器を指す。これには、連続式およびバッチ式のガラス溶融炉、セメントまたは石灰の回転炉および溶鉱炉、または他の鉱物を処理する回転炉および溶鉱炉、または予熱塔および冷却器、または一次および二次アンモニア改質器などの各種石油化学改質器、または流動接触分解装置、または硫黄回収装置などの熱反応器、またはガス化炉、流動床、焼却炉といった類のものが挙げられるが、これらに限定されない。ただし、製造容器の使用はガラス、セメント、石灰、化学薬品、油およびガスに対する使用に限定されず、他の非金属一般を保持または処理することもできるため、本明細書に記載される実施形態はこれに限定されない。
【0030】
さらに、冶金容器における耐火物ライニングの性能に影響を与える製鉄所の操業パラメータを、該当する場合には、その変動性および測定方法とともに記載する。例えば、本明細書の記載の目的上、「加熱」は、製鋼プロセスの最初から最後までの1つの動作を指す場合がある。
【0031】
さらに、製造容器における耐火物ライニングの性能に影響を与える操業パラメータを、該当する場合には、その変動性および測定方法と共に説明する。例えば、本明細書の記載の目的のために、「操業サイクル」は、製造プロセスの最初から最後までの1つの動作を指すことがある。また、「操業サイクル」は、シャットダウンとシャットダウンの間の時間、検査と検査の間の時間、メンテナンスとメンテナンスの間の時間、修理と修理の間の時間、または製造容器のレーザースキャンとレーザースキャンの間の時間などを指すこともある。
【0032】
本明細書の記載の目的のために、溶鋼の製造または精錬のためのプロセスに関する「スクラップまたは充填ミックス」は、製造される鋼種に対する個々のスクラップ品質および鉄単位の特定の比率を有するバッチを含むことができ、スクラップリサイクル産業協会からのガイドラインによって特定される鉄スクラップを含むが、これらに限定されず、さらに、重溶融鋼、ブッシェリング、クリッピング、バンドル、シュレッディング、ターニング、プレート、構造物、鋳鉄、ミックス重溶融物、レール、鉄道、および缶ベールが含まれ得るがこれらに限定されず、鉄単位の他の鉄源、例えば銑鉄およびホットブリケット鉄が挙げられるがこれに限定されないもの、によって補完される可能性がある。
【0033】
溶鋼の製造または精錬のためのプロセスにおける「スクラップまたは充填ミックス」に関して、鉄鋼メーカーがその一次溶融プロセスで利用できる鉄スクラップの品質および鉄単位には大きなばらつきがある。これらの材料のサイズ、形状、汚染などの物理的属性、これらの材料の組成、錆、不純物などの化学的属性、および各加熱のための「スクラップまたは充填ミックス」の組成は、溶融プロセスの効率、精錬冶金の期間、耐火物の腐食および侵食に直接影響する。「スクラップまたは充填ミックス」は、通常、個々のスクラップの品質と鉄単位の特定の割合を持つ単純なバッチ指示である。これらの指示は、充填成分の利用可能性と製造される鋼種に基づいている。
【0034】
さらに、本明細書の記載の目的のために、ガラス、セメント、石灰、化学物質、油およびガス、または典型的には非金属と呼ばれるその他の材料の製造または精製のための高温プロセスに関する、「充填ミックス」または「連続供給ミックス」はそれぞれ、製造すべき非金属のグレードに対する個々の原料および出発材料の特定の割合によるバッチまたは連続供給を含み得る。
【0035】
ガラス、セメント、石灰、化学物質、油およびガス、または典型的には非金属と呼ばれるその他の材料の製造または精製のための高温プロセスにおける、「充填ミックス」または「連続供給ミックス」に関して、非金属メーカーが製造プロセスで利用できる品質には大きなばらつきがある。これらの材料のサイズ、形状、汚染などの物理的属性、これらの材料の組成、不純物などの化学的属性、さらに各操業サイクルの「充填ミックス」または「連続供給ミックス」の組成と頻度は、製造プロセスの効率、操業サイクルの期間、耐火物の腐食と侵食に直接影響する。「充填ミックス」は、典型的には、個々の含有物や添加物の特定の比率による単純なバッチ指示である。「連続供給ミックス」は、典型的には、個々の含有物または添加物の特定の比率による供給指示である。これらの指示は、充填または連続供給ミックスの成分の利用可能性と、製造される非金属のグレードに基づくものである。
【0036】
さらに、本明細書の記載の目的上、「鋼」およびその鋼種は、炭素鋼、ニッケル鋼、ニッケル-クロム鋼、モリブデン鋼、クロム鋼、クロム-バナジウム鋼、タングステン鋼、ニッケル-クロム-モリブデン鋼、およびケイ素-マンガン鋼を含み得るが、これらに限定されない。さらに、鋼種ごとに、塩基性酸素転炉や電気アーク炉などの一次溶解装置と、二次冶金容器、例えば取鍋冶金炉、脱ガス装置、アルゴン酸素脱炭容器、真空酸素脱炭容器などだがこれらに限定されるものではない容器、での鋼の処理にある程度の変化が必要とされる。要求される鋼種を得ることを目的としたこれらの特定のプロセス要件は、耐火物ライニングの性能に影響を与えることが実証されている。残留炭素の量、不純物のレベル、合金元素の添加は、脱炭・脱酸プロセスによって行われるとともに、耐火物に特有の腐食・侵食作用を及ぼす。
【0037】
さらに、本明細書の記載の目的上、「非金属」およびそのグレードは、ソーダ-石灰-ケイ酸塩容器または平板ガラス、またはソーダ-ケイ酸塩水ガラス、またはホウケイ酸ガラス、またはその他の特殊ガラス、または典型的にはe-ガラス、c-ガラス、ファイバーグラスなどと呼ばれる様々な他のガラス組成物を含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0038】
さらに、例えば、セメントクリンカーのグレードは多く、ASTM C-150/C-150M-20による標準的な仕様がある。この仕様は5つのタイプを挙げており、タイプIは標準品で「普通のセメント」とも呼ばれ、タイプIIは硫酸塩攻撃に対する中程度の耐性を持っており中程度の-熱セメントとも呼ばれ、タイプIIIは早強性高強度セメント、タイプIVは低熱セメント、タイプVは組成に適切な制限がある耐硫酸塩セメントである。さらに、ASTM Cl 157はさらなる修正を挙げており、例えば、一般的な使用のためのタイプGU、高い初期強度を有するためのタイプHE、中程度の硫酸塩抵抗を有するためのタイプMS、高い硫酸塩抵抗を有するためのタイプHS、中程度の水和熱を有するためのタイプMH、および低い水和熱を有するためのタイプLHなどである。
【0039】
同様に、油(石油)やガスの精製生成物、または高温環境内で生成される他の鉱物や化学物質のグレードは、耐火物に対して特有の腐食および侵食の影響がある。要求される非金属のグレードを達成することを目的としたこれらの特定のプロセス要件は、耐火物ライニング性能に対して実証された効果を有する。
【0040】
さらに、本明細書の記載の目的のために、「合金添加物」は、炉または他の冶金容器への「脱酸剤」を含み得て、例えば、アルミニウム、ケイ素、フェロシリコン、カルシウム、マグネシウム、炭化カルシウム、および種々の脱酸ブレンドが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、あるいは、二次鉄鋼製造および精錬のための取鍋製造容器への添加物、例えば、炭素、マンガン、バナジウム、モリブデン、クロム、ニッケル、チタン、ホウ素、ニオブ、および当業者に知られている他の同様の材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
鋼を合金化するプロセスは、鋼の化学組成を変化させ、仕様または用途に合わせてその特性を変更、調整、または改善するために使用される。脱酸剤の目的は、溶鋼中の酸素の濃度を下げることである。添加物は、溶解工程や精錬工程において重量単位で添加され、個々の加熱の開始パラメータと目標パラメータに基づいて異なる。これらの合金添加物の量と質は、鋼の品質だけでなく、耐火物ライニングの腐食にも大きな影響を与える。
【0042】
さらに、本明細書の記載の目的のために、溶鋼の製造または精錬のためのプロセスに関する「スラグ」は、溶鋼の上部に浮かぶ溶融金属酸化物およびフッ化物の溶液を含み得て、製鋼プロセスおよび精錬プロセスの前、またはこれらのプロセス中に添加され、スラグ作成の基礎となる、石灰、ドロマイト石灰、マグネシアなどの材料によって形成されるがこれらに限定されない。さらに、本明細書の記載の目的のために、「フラックス添加物」は、操作スラグの流動性を最適化するために添加され、アルミン酸カルシウム、蛍石、珪砂、または合成スラグの種々のブレンドを含んでもよい。
【0043】
溶鋼の製造または精錬のためのプロセスに関する「スラグ」は、鋼の製造および鋼の精錬が行われる温度では主に液体である。それらは、製鋼プロセスにおいて、脱炭、脱酸、脱硫、脱リンなどの工程で発生する非金属化合物を吸着する役割を果たす。スラグ形成剤やフラックスの添加量は、加熱によって異なり、鋼1トン当たり数ポンドから数百ポンドになることもある。これらの添加物の量と質は、液体スラグの化学組成と耐火物ライニングの腐食に直接的な影響を与える。
【0044】
溶鋼の精錬工程における「スラグ」の典型的な化学組成は、表1に特定されている。バランスの崩れたスラグの化学組成は、耐火物ライニングの寿命に大きな悪影響を及ぼす。処理されたコールドサンプルの化学組成は、例えば、XRFユニットによって測定することができ、それによって化学組成を算出するために蛍光X線分析技術が採用される。以下では詳細に説明しないが、処理されたコールドサンプルの化学組成を測定できるユニットを、スラグ化学組成測定装置3と呼ぶことにする。
【表1】
【0045】
さらに、本明細書の記載の目的上、ガラス、セメント、石灰、化学物質、油およびガス、または典型的には非金属と呼ばれるその他の材料の製造または精製のための高温プロセスに関する「コーティング」は、操業サイクル中の特定の条件および製造容器の特定の位置で発生する非金属酸化物とフッ化物の溶液またはブレンドを含み得る。「コーティング」は、非金属の製造または精製が行われる温度で耐火物の表面に付着する。それらは、耐火物ライニングの腐食に直接的な影響を与える可能性がある。
【0046】
鋼の温度は、一次溶融炉、すなわち炉容器からの鋼の出鋼(または除去)前に、2800°Fから3200°Fの間の範囲で、あるいは、取鍋容器での二次製鋼中またはその終了付近で、2700°Fから3000°Fの間の範囲のものとして規定される。温度は通常、溶融金属または溶鋼に浸漬され、好ましくは消耗品である取鍋熱電対25のような、華氏にして数度°F以内の有効性を有する熱電式の熱電対によって測定される。予測耐火物性能測定システム4における取鍋熱電対25の使用、およびシステム4自体については、以下の記載においてさらに詳細に説明する。
【0047】
ガラス、セメント、石灰、化学物質、油およびガス、または典型的には非金属と呼ばれるその他の材料の製造または精製のための高温プロセスに関する製造容器または操業サイクルの温度は、ガラス溶融炉では2000°F~3400°F、セメント窯では1600°F~2700°F、予熱塔では600°Fから1600°F、冷却器では2200°Fまで、流動接触分解装置では1200°Fから1400°F、熱反応炉では2400°F~2800°F、アンモニア改質器では2200°Fまで、焼却炉では3000°Fまで、ガス化炉では2400°Fから3000°F、流動床では1500°Fから2200°Fの間である。ここでも、温度は通常、華氏にして数度°F以内の有効性を有する熱電式の熱電対によって測定される。
【0048】
さらに、この記載の目的上、冶金容器の「履歴」は、冶金容器の外壁の内面に同じ耐火物ライニングがライニングされている期間を指す。履歴は、典型的には、様々な「取鍋追跡パラメータ」の収集を通じて記録され、このパラメータには、加熱、プレート変更、ノズル変更、および、そこに設置された耐火物ライニングの寿命に影響を与えかねない形で、製鋼プロセス中に冶金容器に影響を与える他の事象が含まれるが、これらに限定はされない。より具体的には、取鍋追跡パラメータは、冶金容器の耐火物ライニングが修理、変更、または取り壊しの対象となる時期を特定する。
【0049】
例えば、作業用耐火物ライニング34のような、冶金容器に新しく設置された作業用耐火物ライニングでは加熱の回数はゼロで、初期の化学組成、起源、および物理的設計を備えている。サービスへの曝露後、冶金容器の構成要素のいくつかは、変更または修復を必要とする場合がある。そのような変更の例としては、流量制御スライドゲートの交換(少なければ1回目、多ければ15回目ぐらいの加熱の後)、流量制御上部または下部ノズルの交換(数回から30回以上の加熱の後)、ガスパージコーンの交換、ウェルブロックおよびポケットブロックの交換(加熱の回数が15回から取鍋の寿命まで)、スラグラインの交換(加熱の回数が15回から装置の寿命まで)が考えられるが、これらに限定はしない。
【0050】
さらに、この記載の目的のために、ガラス、セメント、石灰、化学物質、油およびガス、または典型的には非金属と呼ばれるその他の材料の製造または精製のための高温プロセスに関する製造容器の「履歴」は、製造容器の外壁の内面に同じ耐火物ライニングがライニングされている期間のことを指す。この履歴は、典型的には、様々な「プロセス追跡パラメータ」の収集を通じて記録され、このパラメータには、操業サイクル数、検査回数、予防的または緊急的メンテナンス停止回数、およびそこに設置された耐火物ライニングの寿命に影響を与えかねない形で、非金属製造プロセス中の製造容器に影響を与える他の事象が含まれるが、これらに限定はされない。より具体的には、製造容器追跡パラメータは、製造容器の耐火物ライニングが修理、変更、または取り壊しの対象となる時期を特定する。
【0051】
冶金容器に関して可能な追加の修理があり、例えば、取鍋容器の底部のモノリシックパッチ、取鍋容器リップリングの修理などがあるが、これらに限定されるものではない。最終的な解体時の取鍋容器は、作業用耐火物ライニング34が、少なくとも数回、多ければ200回以上の加熱に曝露されていることがある。取鍋追跡パラメータは可変であって、耐火物ライニングの全体的な性能に大きな影響を及ぼす。冶金容器の修理または変更は、典型的には、容器を使用停止にすることを必要とし、それによって、そこに配置された耐火物ライニングに熱衝撃または熱勾配の損傷をもたらす。
【0052】
ガラス、セメント、石灰、化学物質、油およびガス、または典型的には非金属と呼ばれるその他の材料の製造または精製のための高温プロセスに使用される製造容器に関しても、追加の修理が可能である。製造容器に対するこれらの修理または変更は、典型的には、容器を使用停止にすることを必要とし、それによって、そこに配置された耐火物ライニングに熱衝撃または熱勾配の損傷をもたらす。
【0053】
さらに、この記載の目的上、「予熱」または「昇温」は、冶金容器については溶融金属または鋼に曝露される前に、または製造容器については操業サイクルに曝露される前に、冶金容器または製造容器をガス動力式予熱器に曝露することを指す。具体的には、冶金容器については、運転中であれば、空の冶金容器はそれぞれ、高温に保たれるべきである。冶金容器と製造容器の両方における予熱または昇温は、耐火物ライニングの性能に影響する。溶鋼の製造または精錬のためのプロセスで使用される予熱の一例が、作業耐火物ライニング34である。
【0054】
予熱温度は、熱電対によって測定することができる。溶鋼の製造または精錬のためのプロセスで使用されるこの温度測定方法の例には、下記でさらに詳細に説明する予熱器熱電対2、または光高温計が含まれる。溶鋼の製造または精錬のためのプロセスにおける予熱温度は、典型的には、1500°F~2200°Fの範囲である。しかしながら、溶鋼の製造または精錬のためのプロセスで使用される作業用耐火物ライニング、例えば作業用耐火物ライニング34は、通常、黒鉛および炭素を含むので、定型から外れたあらゆる予熱への曝露は、炭素枯渇に直接影響を与え、結果として作業用耐火物ライニング34の性能に影響を及ぼす。必要ではあるが、作業用耐火物ライニング34のような溶鋼の製造または精錬のためのプロセスで使用される作業用耐火物ライニングの予熱は、作業用耐火物ライニングの耐火物寿命を短くすることが予測され、作業用耐火物ライニングの未来の状態に影響を及ぼす。
【0055】
さらに、冶金容器または製造容器の予熱または昇温の持続時間は、予め決められていない。その代わりに、持続時間は、プロセスが行われる領域、または作業場で定義される変数および状況に依存する。このような変数および状況には、操作上の不整合、プロセスのバックログ、冶金容器の場合には溶融金属の利用可能性、製造容器の場合には充填ミックスまたは連続供給ミックスの含有物または燃料の利用可能性、プロセス機器の予期せぬ修理、または緊急メンテナンスによるシャットダウンを含むが、これらに限定されない。このように、予熱または昇温の持続時間は、以下でより詳細に説明する予熱または昇温の記録装置24のような記録機構によって監視される必要がある。
【0056】
さらに、この記載の目的のために、溶鋼の製造または精錬のためのプロセスに関する「滞留時間」は、溶鋼およびスラグに対する作業用耐火物ライニング34の累積接触持続時間として定義される。滞留時間は、予め決められたものではなく、プロセスが行われる領域、すなわち作業場で定義される変数および状況に大きく依存する。例えば、製鉄所のプロセスフローは、各加熱ごとに、溶鋼およびスラグとの作業用耐火物ライニング34の累積接触持続時間に、低いもので30分、高いもので10時間以上もの影響を与え得る。このように、累積接触持続時間は、以下でより詳細に説明する滞留時間記録装置23のような記録機構によって監視されなければならない。
【0057】
さらに、この記載の目的のために、ガラス、セメント、石灰、化学物質、油およびガス、または典型的には非金属と呼ばれるその他の材料の製造または精製のための高温プロセスに関する「サイクル時間」は、高温腐食および侵食環境に対する耐火物ライニングの累積接触持続時間として定義される。このサイクルタイムは、あらかじめ決められたものではなく、プロセスが行われる領域または作業場で定義される変数や状況に大きく依存する。例えば、非金属工場におけるプロセスフローは、耐火物ライニングの累積接触持続時間に影響を与えることがあるので、累積接触持続時間は、以下でより詳細に説明するサイクル時間記録装置423のような記録機構によって監視される必要がある。
【0058】
さらに、特に溶鋼の製造または精錬のためのプロセスに関して、冶金容器は、典型的には、その底部に位置する攪拌要素を備えている。これらは、アルゴンまたは窒素のような不活性ガスを溶鋼に通してパージする。この主な目的は、溶鋼の脱硫を改善、促進することであるが、合金化効率や溶鋼の温度均一化を改善することでもある。攪拌圧力は通常120psi~180psiの範囲であり、ガス量は通常5~50scfmの間である。通常の流量は、穏やかな攪拌とすすぎでは一般に5~10scfm、アーク放電、合金添加、均質化時の中程度の攪拌では15~25scfm、重い脱硫では25~45scfmである。流量は、容器のサイズ、プラグの位置、プラグの条件によって異なる。加熱中のパージ持続時間は、数分から30分以上の範囲になることもある。パージ用プラグの典型的な寿命は500分~2000分である。攪拌圧力、流量、および時間は、プラグの寿命だけでなく、作業用耐火物ライニング34の局所的な侵食に影響を与える。したがって、予熱や滞留時間の場合と同様に、溶鋼の攪拌に関するパラメータは予め決まっているわけではなく、鋼の脱硫の効率に依存する。例えば、溶鋼の出鋼前に硫黄のレベルを測定する。脱硫の目標値に達しない場合、攪拌時間の追加、攪拌圧力の増加、流量の増加などが適用される。これらのパラメータの増加および上昇は、作業用耐火物ライニング34の寿命の減少をもたらすことが知られている。これらのパラメータは、以下でさらに説明されるガス攪拌制御装置26において監視および記録することができる。
【0059】
さらに、この記載の目的のために、溶鋼の製造または精錬のためのプロセスに関して、冶金ビークルの物理的な向きは、製鉄所または鋼生成専用の任意の他の施設などの、冶金ビークルが使用されている領域の全体の空間との関係における冶金ビークルの位置に対応している。
【0060】
ここで図面を参照するが、図示は本発明の好ましい実施形態を例示するためのものであって、これを限定するためのものではない、溶鋼の製造または精錬のためのプロセスに関する発明は、
図1~3を参照しながら説明される。
【0061】
図1は、予測耐火物性能測定システム4の一例を示す模式図である。システム4は、溶融金属または溶鋼を取り扱うための冶金容器の外壁の内面にライニングされる耐火物ライニングの未来の状態、すなわち性能を予測するために使用される。予測耐火物性能測定システム4は、製鉄所、鋳造所、または鋼および金属の溶融、成形、および精錬に適していることが当業者によって知られている他の環境において実施され得る。しかしながら、システム4の実質的な部分は、耐火物の表面分析、温度分析、プロセスデータ分析、および平均寿命計算が望まれる任意の環境で実装され得ることが想定される。
【0062】
図1に示された例示的な装置、ユニット、モジュール、デバイス、および他の構成要素は、システム4を構成し、
図2、
図3について本明細書で説明される方法および動作を実行する、ハードウェア構成要素である。ハードウェア構成要素の例は、上述の例示された装置、ユニット、モジュール、およびデバイスに限定されず、コントローラ、センサ、ジェネレータ、ドライバ、および当業者に知られている他の任意の電子部品を含むことができる。そのような構成要素は、設計上の必要性に応じて可変的に配置されてもよく、有線または無線の手段を通じて互いに通信してもよい。
【0063】
本明細書で説明する非限定的な例では、システム4は、コンピューティング複合体10を含む。コンピューティング複合体10は、1つ以上のプロセッサ12および1つ以上の記憶手段14を含むことができるが、これに限定されるものではない。コンピューティング複合体10のプロセッサ12およびストレージ14は、コンピューティング複合体10の適切な動作を容易にするために、任意の方法で方向付けられ、位置付けられ、または接続され得る。これには、有線構成、無線構成、ローカル構成、広域構成、および互換性のあるネットワークプロトコルを通じてそれらの間に通信が確立され得る任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
プロセッサ12は、1つ以上の処理要素によって実装される。そのような処理要素は、論理ゲートのアレイ、コントローラおよび算術論理ユニット、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、プログラマブル論理コントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブル論理アレイ、マイクロプロセッサ、または所望の結果を得るために定められた方法で命令に応答し実行できる、当業者に知られている任意の他のデバイスまたはデバイスの組み合わせであってもよい。
【0065】
簡略化のため、本明細書で説明する例示的なプロセッサ12の説明では単数形「プロセッサ」を使用することがあるが、他の例では複数のプロセッサ12が使用されるか、プロセッサ12が複数の処理要素、または複数のタイプの処理要素、またはその両方を含む。一例では、ハードウェア構成要素のシステム4は、コンピューティング複合体10の複数のプロセッサ12を含み、別の例では、システム4のハードウェア構成要素は、独立したプロセッサまたはプロセッサを備える別のコントローラを含み、その後、コンピューティング複合体10のプロセッサ12からデータを受信するためにデータ通信をする。コンピューティング複合体10のプロセッサ12は、後述するシステム4の他の構成要素とともに、ハードウェア構成要素として定義され得る。プロセッサ12と同様に、処理機能を含む他のハードウェア構成要素は、異なる処理構成のうちの任意の1つ以上に従って定義されてもよく、その例には、単一プロセッサ、独立プロセッサ、並列プロセッサ、単一命令単一データ(SISD)多重処理、単一命令多重データ(SIMD)多重処理、多重命令単一データ(MISD)多重処理、および多重命令多重データ(MIMD)多重処理、がある。プロセッサ12は、ケーブルまたは無線ネットワークを介して、ハードウェア構成要素に接続されて、それに命令を提供するか、または他のプロセッサに接続されて、マルチプロセッシング機能を有効にしてもよい。
【0066】
ハードウェア構成要素を実装して、以下に説明するような方法を実行するために、プロセッサ12またはシステム4内のプロセッサを含むハードウェアを制御するための、命令またはソフトウェアは、個別にまたは集合的に、プロセッサ12またはシステム4内のプロセッサを含むハードウェアを指示または構成して、機械または特殊目的コンピュータとして動作し、ハードウェア構成要素および以下に説明するような方法によって実行される動作を行うための、コンピュータプログラム、コードセグメント、命令またはそれらの任意の組み合わせとして書かれる。一例では、命令またはソフトウェアは、コンパイラによって生成された機械コードのような、プロセッサ12またはシステム4内のプロセッサを含むハードウェアによって直接実行される機械コードを含む。別の例では、命令またはソフトウェアは、インタプリタを使用してプロセッサ12またはシステム4内のプロセッサを含むハードウェアによって実行される高位レベルのコードを含む。
【0067】
当業者であるプログラマは、ハードウェア構成要素および上記のような方法によって実行される動作を行うためのアルゴリズムを開示する、
図3に示されるフローチャートおよび本明細書の対応する説明に基づいて、命令またはソフトウェアを容易に書くことができる。
【0068】
プロセッサ12またはプロセッサ12にリンクされた構成要素などのシステム4に実装されたハードウェア構成要素は、オペレーティングシステム(OS)およびOS上で動作する1つ以上のソフトウェアアプリケーションなどの命令またはソフトウェアを実行して、
図2および
図3に関して以下に説明する動作を実行する。
【0069】
プロセッサ12またはハードウェア構成要素を実装したシステム4内のプロセッサを含むハードウェアを制御して、以下に説明するような方法を実行するための命令またはソフトウェア、および任意の関連データ、データファイル、およびデータ構造は、ストレージ14に記録、保存、または固定されている。コンピューティング複合体10のストレージ14は、一般に、プロセッサ12によって実行される命令またはソフトウェアを記憶する1つ以上のメモリを指す。しかし、プロセッサ12またはプロセッサ12にリンクされた構成要素などのシステム4に実装されたハードウェア構成要素は、ローカルストレージを含むか、命令またはソフトウェアの実行に応答してストレージ14内のデータについてアクセス、操作、処理、作成、および記憶をすることができる。
【0070】
ストレージ14は、1つ以上の非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体上のものを表していてもよい。ストレージ14は、コンピューティング複合体10のネットワークを介して一緒にリンクされた複数の非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体を表すものであってもよい。例えば、非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体は、コンピューティング複合体10内のシステム4から遠隔に配置された1つ以上のストレージ施設または1つ以上のデータセンターに配置されてもよい。そのような媒体は、コンピューティング複合体10のネットワークを通じてシステム4に接続されてもよい。コンピューティング複合体10のネットワークによって、データセンターまたはストレージ施設に遠隔配置された非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体が、ネットワークを介してコンピューティング複合体10のストレージ14内の非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体にデータを転送することを可能にする。さらに、ストレージ14は、遠隔に配置された非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体およびローカルに配置された非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体の両方を表すものであってもよい。
【0071】
非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体の例としては、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、固体メモリ、CD-ROM、CD-R、CD+R、CD-RW、CD+RW、DVD-ROM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW、DVD-RAM、BD-ROM、BD-R、BD-R LTH、BD-RE、磁気テープ、フロッピーディスク、光磁気データストレージ装置、光データストレージ装置、ハードディスク、ソリッドステートディスク、および、当業者に既知の任意のデバイスが含まれ、これらは、命令またはソフトウェアおよび任意の関連するデータ、データファイル、およびデータ構造を非一時的な方法で記憶し、プロセッサ12またはプロセッサが命令を実行できるように、命令またはソフトウェアおよび任意の関連するデータ、データファイル、およびデータ構造を、コンピューティング複合機10のプロセッサ12またはシステム4内のプロセッサを含むハードウェアに提供できるものである。一例では、命令またはソフトウェアおよび任意の関連するデータ、データファイル、およびデータ構造は、命令およびソフトウェアおよび任意の関連するデータ、データファイル、およびデータ構造が、プロセッサ12によって分散方式で記憶、アクセス、および実行されるように、ネットワーク結合コンピュータシステム上に分散配置される。
【0072】
コンピューティング複合体10のプロセッサ12およびストレージ14以外のシステム4内のハードウェア構成要素の例は、端末6を含んでもよい。端末6は、例えばユーザ入力、ディスプレイ、またはそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
図1では、端末6は、コンピューティング複合体10に接続されているように図示されている。しかし、本明細書に開示される実施形態は、これに限定されない。例えば、端末6は、プロセッサ12に直接、ストレージ14に直接、ストレージ14とプロセッサ12の両方に、またはシステム4の他の任意のハードウェア構成要素に接続されてもよい。
【0073】
端末6は、プロセッサ12によって処理された、またはユーザによって入力された、ストレージ14に含まれる情報を表示するように構成され得る。プロセッサ12は、端末6に表示されるべきものを決定することを担当する。ストレージ14は、プロセッサ12によって生成され、端末6を介して入力されたデータを格納するように構成されてもよい。アプリケーション、ユーザ入力、およびプロセッサの計算は、耐火物性能を予測するために、プロセッサ12によるアクセスのためにストレージ14に格納されることがある。
【0074】
ストレージ14に接続されたシステム4内の上記ハードウェアのさらなる例は、スラグ化学組成測定装置3、レーザースキャナ20、予熱器熱電対2、赤外線カメラ22、滞留時間記録装置23、予熱記録装置24、ガス撹拌制御装置26、取鍋熱電対25、および方位レーザー19を含んでもよい。ストレージ14は、当業者に知られている任意の有線または無線の方法でこれらのハードウェア構成要素からデータを受信し、受信および記憶したデータを、さらなる処理のために、当業者に知られている任意の有線または無線の方法で、プロセッサ12に伝達することができる。これらの構成要素の動作は、以下の記載においてより詳細に説明される。
【0075】
図2は、予測耐火物性能測定システム4によって耐火物ライニングの未来の状態を予測することになる、取鍋容器16、18の外壁の内面に耐火物ライニングがライニングされている例を示す模式図である。取鍋容器16は、溶融金属または溶鋼を含んでおらず、したがって、「空の取鍋容器16」と称される。取鍋容器18は、溶融金属または溶鋼を含んでおり、したがって、「満たされた取鍋容器18」と称される。
図2の取鍋容器16および18は、鋼の取鍋のような二次精錬および輸送容器を代表するものである。
【0076】
取鍋容器16、18のそれぞれは、同じ耐火物でライニングされている。
図2に示される例では、取鍋容器16、18の外壁の内面に、予備の耐火物ライニング32がライニングされている。作業用耐火物ライニング34は、予備の耐火物ライニング32の上にライニングされている。
【0077】
作業用耐火物ライニング34は予備の耐火物ライニング32の上にライニングされているので、予備の耐火物ライニング32は通常、比較的長い寿命を有する。例えば、予備の耐火物ライニング32は、1年の寿命を持つことができるかもしれない。一方、製鋼加熱の間、作業用耐火物ライニング34は、取鍋容器16、18内に入れられた溶融金属または溶融鋼に直接曝露される。したがって、作業用耐火物ライニング34の寿命は、典型的には、かなり短い。加熱中に実施される製鋼プロセスの過酷さによっては、作業用耐火物ライニング34は2週間しか持たないかもしれない。このように、空の取鍋容器16の作業用耐火物ライニング34は、満たされた取鍋容器18の作業用耐火物ライニング34と同じであるが、加熱中に、満たされた取鍋容器18の作業用耐火物ライニング34は、そこに含まれる溶融金属または溶鋼によって影響を受けると想定される。したがって、加熱が実施される前の空の取鍋容器16の作業耐火物ライニング34の構造条件と、各加熱が実施された後の空の取鍋容器16の作業耐火物ライニング34の構造条件とは大きく異なる可能性がある。
【0078】
前述したように、システム4は、少なくとも1つのレーザースキャナ20を含む。レーザースキャナ20は、固定式であっても移動式であってもよい。レーザースキャナ20は、溶融金属または溶鋼を取り扱う加熱の前後に、空の取鍋容器16の作業耐火物ライニング34をスキャンするように構成される。レーザースキャナ20は、1秒間に1,000,000点の周波数でスキャンする能力を有するクラス1のアイセーフレーザーを有していてもよい。レーザースキャナ20はまた、20秒のスキャン速度および1~2mmの精度を有していてもよい。
【0079】
レーザースキャナ20は、レーザー支持装置21によって支持される。レーザー支持装置21は、レーザースキャナ20が静止している場合は静止支持体、レーザースキャナ20が移動している場合は移動支持体であってもよい。レーザースキャナ20が移動式である場合、レーザー支持装置21は、移動式レーザースキャナ20を動かすのに適していることが当業者によって知られている任意の支持手段であってもよい。レーザースキャナ20が静止している場合、レーザー支持装置21は、静止しているレーザースキャナ20を固定するのに適することが当業者によって知られている固定可能に支持する任意の手段であってもよい。
【0080】
レーザースキャナ20によって実行されるスキャンの機能は、空の取鍋容器16が溶融金属または溶融鋼で満たされ、それによって満たされた取鍋容器18になる加熱の前と後に、空の取鍋容器16内の作業耐火物ライニング34の加熱前後のそれぞれの構造条件を観察した構造データを収集することを含むが、これらに限定はされない。このデータは、作業用耐火物ライニング34の構造状態に関して、記憶装置14での保存および/またはプロセッサ12による参照のためにコンピューティング複合体10に提供される。
【0081】
システム4はまた、加熱中の満たされた取鍋容器18の外壁の外面の温度に関連するデータを収集するために、加熱中の満たされた取鍋容器18の外壁の外面の1回以上の赤外線スキャンを実施し得る1つ以上の赤外線カメラ22を含んでもよい。
【0082】
一例では、赤外線カメラ22を処理工場内の複数の場所に配置して、満たされた取鍋容器18が溶鋼で満たされる場所から、精錬が行われる場所を含む処理工場全体の二次製鋼場所まで移動する際に、満たされた取鍋容器18の外壁の外面の温度を戦略的に測定してもよい。別の例では、処理工場内の場所に赤外線カメラ22を配置して、溶融金属または溶鋼を扱う加熱の前後で、空の取鍋容器16の外壁の外面の温度を戦略的に測定することにしてもよい。空の取鍋容器16の熱的な不一致は、空の取鍋容器16が予熱されているときでも特定することができる。赤外線カメラ22から収集された温度データは、プロセッサ12によって、作業用耐火物ライニング34の劣化部分を特定するためにマッピングされてもよい。
【0083】
赤外線カメラ22は、溶鋼で満たされたときの冶金容器の外壁の外面を画像化するのに適切であることが当業者に知られていれば、任意の赤外線カメラであってよい。温度データは、記憶装置14における保存および/または作業用耐火物ライニング34の構造的条件に関するプロセッサ12による検討のために、コンピューティング複合体10に提供され得る。
【0084】
ASTM680-14を利用した解析または耐火物設計用に開発された熱伝導計算ソフトウェアを使用して、熱抵抗率および熱流束の観点から赤外線カメラ22によって得られた空の取鍋容器16または満たされた取鍋容器18の温度データを計算することができるが、ここに開示した実施形態はそれに限定されない。例えば、そのような温度データを計算できることが当業者に知られている任意のソフトウェアまたは解析方法を利用することができる。
【0085】
さらに、プロセッサ12による参照のためにコンピューティング複合体10に通信されたレーザースキャンデータ、温度データ、またはそれらの組み合わせは、プロセッサ12への通信およびプロセッサ12による参照を待っている、ストレージ14に記憶された他の測定された所定の操業パラメータと共に、追加的に参照することが可能である。測定された操業パラメータは、スラグ化学組成測定装置3、予熱器熱電対2、滞留時間記録装置23、予熱記録装置24、ガス撹拌制御装置26、および取鍋熱電対25などを含むがこれらに限定されない、先述のハードウェア手段を通じて、プロセッサ12による参照のためにコンピュータ複合体10に供給されてもよい。所定の操業パラメータは、作業用耐火物ライニング34に対する未来の状態予測に関連する未来の参照のために、ストレージ14に格納されてもよく、ユーザ入力またはプロセッサ12で以前に処理された履歴データによって、端末6を経由してコンピュータ複合体10に供給されてもよい。
【0086】
所定の操業パラメータは、溶融金属または溶鋼を取り扱った過去の冶金容器の外壁の内面にライニングされた、1つ以上の過去の耐火物ライニングに適用された1つ以上の耐火物に関連する履歴データと、作業耐火物ライニング34の初期の化学組成および起源と、作業耐火物ライニング34の初期の物理的設計と、加熱中に溶鋼から製造されることが求められる鋼種と、溶鋼から所望の鋼種を製造するために加熱中に冶金容器に加えられる充填ミックス成分の物理的属性および化学的属性ならびにその量と、二次製鋼および精製のために加熱中に冶金容器に加えられる合金の物理的属性および化学的属性ならびにその量と、溶鋼から所望の鋼種を製造するために、加熱中に家禽容器内の溶鋼に加えられ、溶鋼から非金属成分を吸収するスラグを形成するスラグ形成剤の物理的属性および化学的属性ならびにその量と、溶鋼から所望の鋼種を製造するために、形成されたスラグの流動性を最適化するために冶金容器内の溶鋼に加えられるフラックス添加剤の物理的属性および化学的属性ならびにその量と、作業用耐火物ライニング34が冶金容器の外壁のライナー表面にライニングされている期間中の冶金容器の履歴、あるいは特定の金属製造作業において特定される任意の他の関連する所定の操業パラメータ、を含むとよいが、これらに限定されない。
【0087】
本願の目的のために、作業用耐火物ライニング34の物理的設計は、作業用耐火物ライニング34の構造詳細、作業用耐火物ライニング34中の耐火物成分の形状、作業用耐火物ライニング34中の耐火物成分のサイズ、および作業用耐火物ライニング34中の耐火物成分の組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0088】
測定された操業パラメータは、空の冶金容器が加熱の前に予熱されている間の予熱持続時間と、溶鋼を製造するプロセス中に溶鋼、スラグ、またはそれらの組み合わせが作業用耐火物ライニング34と接触している間の累積接触持続時間によって定義される滞留時間と、冶金容器内の溶鋼の攪拌によって加えられる攪拌圧力の大きさと、冶金容器内の溶鋼の攪拌中に冶金容器内の溶鋼に当てられる不活性ガスの流量と、溶融金属が攪拌される攪拌持続時間、あるいは特定の金属製造作業において特定される他の関連する測定された操業パラメータ、を含んでもよいがこれらに限定はされない。
【0089】
上記のデータを使用して、プロセッサ12は、加熱が冶金容器の作業用耐火物ライニング34に及ぼした曝露影響を算出し、1回以上の後続の加熱後の作業用耐火物ライニング34の未来の状態を予測することができる。加熱が作業用耐火物ライニング34に及ぼした曝露影響は、加熱前の作業用耐火物ライニング34の構造条件と加熱後の作業用耐火物ライニング34の構造条件とを比較することによって算出されてもよい。算出された曝露影響に基づいて、1回以上の後続の加熱後の作業用耐火物ライニング34の未来の状態が予測される。言い換えれば、最初の加熱の曝露影響は、2回目の加熱、3回目の加熱などの後の作業用耐火物ライニング34の未来の状態を予測するために使用することができる。プロセッサ12は、上記で言及されたすべてのデータ源からのデータを参照してもよいが、それに限定されるものではなく、本明細書で言及されていない他のデータ源を含むことも考えられる。
【0090】
一例として、作業用耐火物ライニング34の未来の状態の予測を補うために、赤外線カメラ22から収集された温度データを、溶鋼の取り扱い前の作業用耐火物ライニング34の構造条件と、溶鋼の取り扱い後の作業用耐火物ライニング34の構造条件と相関させることによって、作業用耐火物ライニング34の曝露影響の算出を補ってもよい。これにより、未来の状態をより正確に予測することができるようになる。
【0091】
別の例では、作業用耐火物ライニング34の未来の状態の予測を補うために、作業用耐火物ライニング34の曝露影響の算出は、収集された構造条件データとの相関において、前述の所定のまたは測定された1つ以上の操業パラメータが作業用耐火物ライニング34への加熱の曝露影響に及ぼす操業上の影響を考慮することによって補われてもよい。
【0092】
一例として、溶融金属または溶鋼を取り扱った過去の冶金容器の外壁の内面にライニングされた1つ以上の過去の耐火物ライニングに適用された1つ以上の耐火物に関する履歴データを使用して、曝露影響の履歴パターンを確立することができる。そのような履歴パターンは、溶融金属または溶鋼の取り扱い前の作業用耐火物ライニング34の構造条件と溶融金属または溶鋼の取り扱い後の作業用耐火物ライニング34の構造条件との比較、および赤外線カメラ22から収集された温度データのそれとの相関を補完できる。そのような履歴データは、連続するそれぞれの加熱後の、後続の作業用耐火物ライニングの未来の状態を、プロセッサ12がより高い精度で予測できるようにするために、曝露影響の算出後にコンピュータ複合体10のストレージ14に蓄積されるとよい。
【0093】
曝露影響の算出を支援するために測定された操業パラメータの使用に関して、満たされた取鍋容器18内の溶融金属または溶鋼の温度を測定するために、取鍋熱電対25が設けられるとよい。一例として、二次製鋼工程の間または終了時(例えば、精錬工程の終了時)に溶鋼の温度を測定するために、満たされた取鍋容器18の開口40を通して取鍋熱電対25が溶鋼に挿入されてもよい。作業用耐火物ライニング34の未来の状態の予測に従った曝露影響の算出中にプロセッサ12によって考慮するために、取鍋熱電対25は、測定された温度データを、コンピューティング複合体10に提供することができる。
【0094】
さらに、スラグ化学組成測定装置3を設けて、二次製鋼工程中に冶金容器内で生成されるスラグの化学組成を測定してもよい。前述のように、化学組成を測定するためには、スラグの試料を冷却する必要がある。スラグ化学組成測定装置3は、例えば、蛍光X線装置であってもよく、これにより、化学組成を算出するための蛍光X線分析技術が採り入れられる。スラグ化学組成測定装置3は、作業耐火物ライニング34の未来の状態の予測に従った曝露影響の算出中にプロセッサ12によって参照されるように、スラグの測定された化学組成をコンピューティング複合体10に提供することができる。
【0095】
さらに、冶金容器が空で、冶金容器が溶融金属または溶鋼が充填される前に予熱されているときに、冶金容器の温度を測定するために、予熱器熱電対2が設けられてもよい。予熱器熱電対2は、作業用耐火物ライニング34の未来の状態の予測に従った曝露影響の算出中にプロセッサ12によって検討するために、測定された予熱器温度をコンピューティング複合体10に提供することができる。
【0096】
滞留時間の継続時間を監視するために、本明細書で取り上げた滞留時間記録装置23などの記録機構を使用して、溶融金属、スラグ、またはそれらの組み合わせが加熱中に耐火物ライニングと接触している間の累積接触持続時間を測定してもよい。
【0097】
さらに、予熱の持続時間を監視するために、本明細書で取り上げた予熱記録装置24のような記録機構を使用して、加熱前に空の冶金容器に対して行われた予熱の持続時間を記録してもよい。具体的には、予熱の持続時間は、予熱記録装置24によって、わずか数分から数日にも及ぶものまで測定できる。予熱記録装置24は、ガスの自動遮断装置とともに、ガス式予熱装置に組み込むことができる。
【0098】
さらに、ガス攪拌制御装置26のような制御機構を使用して、満たされた冶金容器内の溶鋼の攪拌によって加えられる攪拌圧の大きさ、満たされた冶金容器内の溶鋼の攪拌中に溶鋼に加えられる不活性ガスの流量、および溶鋼が攪拌される間の攪拌持続時間を含むが、これらに限定されない、種々の攪拌パラメータを測定しても良い。
【0099】
レーザースキャナ20による作業用耐火物ライニング34のレーザースキャンの前に、空の取鍋容器16をスキャンして、空の取鍋容器16の物理的方位を特定するために、方位レーザー19が設けられてもよい。方位レーザー19によって行われるスキャンは、レーザースキャナ20によって行われる作業用耐火物ライニング34のレーザースキャンを支援し、その精度を高めるのに役立つ。空の取鍋容器16の物理的な向きは、空の取鍋容器16が使用されているプロセスまたは施設に対する空の取鍋容器16の位置に関連する。方位レーザー19は、空の取鍋容器16の正しい位置決めを決定するためのプロセッサ12による検討のために、冶金容器の特定された物理的な向きをコンピューティング複合体10に提供して、作業耐火物ライニング34の未来の状態の予測に従った曝露影響の正確な算出のために役立てる。
【0100】
より詳細には、方位レーザー19からのデータは、プロセッサ12が、作業用耐火物ライニング34の表面の空間的測定値から厚さ測定値を算出することを可能にし得る。このような測定値は、空の取鍋容器16の物理的な位置および向きが推定されているか、または正確に知られていない限り、導き出すことができない。方位レーザー19からのデータにより、プロセッサ12は、空の取鍋容器16の物理的な位置および向きを正確に知ることを可能とし得る。
【0101】
方位レーザー19は、空の取鍋容器16の真下に配置されるように
図2に示されているが、本明細書に開示される実施形態は、これに限定されない。例えば、方位レーザー19は、空の取鍋容器16の外壁を直接視認できる、安全で遮るもののない任意の場所に配置することができるので、方位レーザー19は、空の取鍋容器16の底部と下部をスキャンするように配置されるだろう。また、方位レーザー19による物理的な方位特定は、空の取鍋容器16に関するレーザースキャナ20によって提供されるデータを通じて補足され得ることに留意されたい。
【0102】
次に
図2および
図3を参照すると、冶金容器の外壁の内面にライニングされ、耐火物ライニングが溶融金属または溶鋼に曝露される間に加熱に曝露される作業耐火物ライニング34の未来の状態を予測する方法100が説明される。
【0103】
方法100の記載の目的のために、「冶金容器」は、溶融金属または溶鋼に曝露される取鍋容器を指すことがある。方法100における取鍋容器は、取鍋容器の空であるか、満たされているかが問題にならない状況において、一般的に空の取鍋容器16および満たされた取鍋容器18を指す。さらに、一例では、空の取鍋容器16は、溶鋼がそこから出鋼されるときに、炉から溶鋼を受け取る。このように、空の取鍋容器16は、溶鋼が炉から空の取鍋容器16に出鋼されるときに、満たされた取鍋容器18に遷移する。
【0104】
さらに、方法100は、冶金容器が輸送されるプロセスに限定されないが、方法100における加熱中に、取鍋容器16および取鍋容器18が、クレーン、コンベヤ、レール、およびベアリングなどの、当業者に知られている輸送手段を通じて加工場所または工場全体に輸送されると仮定されるが、これらに限定はされない。さらに、プロセッサ12およびその他の任意の制御ユニットを含むコンピューティング複合体10は、スキャン、測定、輸送、金属の移送、観察、収集、判定、予測、および検討を含むがこれらに限定されない、すべてのプロセスを制御することを可能にする。
【0105】
取鍋容器16および取鍋容器18の輸送の模式図が、
図2に示されている。空の取鍋容器16と満たされた取鍋容器18は別々に図示されている。実施例では、空の取鍋容器16は、作業用耐火物ライニング34の任意のスキャンの前に、空の取鍋容器16の物理的向きを識別するために初期スキャンされてもよい。このような初期スキャンは、上述した方位レーザー19によって実行されることがある。空の取鍋容器16の物理的向きは、取鍋容器16または取鍋容器18に関するプロセッサ12による任意のさらなる考慮、算出、および予測の間に、プロセッサ12によって参照されてもよい。
【0106】
さらに、物理的向きのスキャンの後、作業耐火物ライニング34の任意のスキャンの前で、空の取鍋容器16が加熱の準備のために予熱されている間に、空の取鍋容器16が加熱前の予熱を受けている間の予熱温度および予熱持続時間が記録されてもよい。予熱温度は予熱器熱電対2によって測定され、予熱継続時間は予熱記録装置24によって記録されてもよい。予熱温度および予熱持続時間は、溶融金属または溶鋼の取り扱い後に、製鋼に関連する操業パラメータが作業用耐火物ライニング34の構造条件に及ぼす操業上の影響を考慮する際の測定パラメータとしてプロセッサ12によって使用されてもよい。
【0107】
操業パラメータのさらなる測定が、加熱中に実行されてもよく、例えば、これらに限定されないが、取鍋熱電対25による満たされた取鍋容器18内の溶融金属または溶鋼の温度の測定、スラグ化学組成測定装置3による満たされた取鍋容器18内のスラグの化学組成の測定、滞留時間記録装置23による、溶鋼、スラグ、またはそれらの組み合わせが加熱中に作業用耐火物ライニング34と接触している間の累積接触持続時間の測定、およびガス撹拌制御装置26による種々の撹拌パラメータの測定が挙げられ、これらは以下に詳細に説明される。上述のような所定の操業パラメータは、都合の良いときにコンピューティング複合機10に提供することができる。しかしながら先述したように、また以下でさらに説明されるように、コンピューティング複合体10に提供される任意の所定の操業パラメータは、作業用耐火物ライニング34への曝露影響の算出においてプロセッサ12によって参照されることになる。
【0108】
任意の追加の準備工程が完了した後、加熱前に、空の取鍋容器16の作業用耐火物ライニング34のレーザースキャンが実施される(S101)。加熱前のレーザースキャンの実施は、レーザースキャナ20によって実行できる。また、加熱前のレーザースキャンの実施には、作業用耐火物ライニング34の加熱前の構造条件に関するデータの収集が含まれる場合がある。
【0109】
次に、加熱が行われ、その間に空の取鍋容器16が溶融金属または溶鋼で満たされ、それにより満たされた取鍋容器18になる。これは、
図2のフローに示されており、空の取鍋容器16はプロセスのとある部分にあるものと図示され、満たされた取鍋容器18はプロセスのより後の時点にあるものと図示される。加熱中、満たされた取鍋容器18は、
図2のフローで図示されているように、空にされ、空の取鍋容器16となる。
【0110】
加熱終了後、空の取鍋容器16の作業用耐火物ライニング34のレーザースキャンを再度実施する(S102)。加熱前のレーザースキャンの実施と同様に、加熱後のレーザースキャンの実施も、レーザースキャナ20によって実行することができる。さらに、加熱後のレーザースキャンの実施は、作業用耐火物ライニング34の加熱後の構造状態に関連するデータの収集を含むこともできる。
【0111】
加熱前のレーザースキャンおよび加熱後のレーザースキャンの後、プロセッサ12は、作業用耐火物ライニング34に対する加熱の曝露影響を算出する(S103)。プロセッサ12は、収集された加熱前の構造条件データと収集された加熱後の構造条件データとを比較することによって、曝露影響を決定できる。加熱の曝露影響の算出後、プロセッサ12は、加熱の曝露影響の算出に基づいて、1回以上の後続の加熱後の作業用耐火物ライニング34の未来の状態を予測する(S104)。
【0112】
この予測は、取鍋容器が作業用耐火物ライニング34を用いて再び使用できるか、あるいは作業用耐火物ライニング34を交換する必要があるかを判断するために極めて重要な情報を提供する。これにより、取鍋容器に過度の構造的損傷をもたらす事故を回避することができ、その結果、ダウンタイムの減少、効率の向上、およびコスト削減をもたらすことができる。
【0113】
一例として、加熱中に、満たされた取鍋容器18の外壁の外面に1回以上の赤外線スキャンが、赤外線カメラ22によって実施されてもよい。このスキャンにより、赤外線カメラ22は、加熱中に検出された外面の温度に関するデータを収集することができる。この温度データは、収集された構造条件データと相関して、より正確に曝露の影響を判定し、未来の状態を予測することができる。
【0114】
別の実施例では、曝露影響の算出は、収集された構造条件データと相関し、および、任意に、この特定の実施例では、赤外線スキャンからの収集された温度データと相関して、測定された、あるいは所定の操業パラメータの1つ以上が、加熱中に作業用耐火ライニング34に及ぼす操業上の影響を考慮することを含む。
【0115】
所定の操業パラメータは、本明細書で先述した所定の操業パラメータを含み、これらに限定されないが、以下のものを含む:溶融金属を取り扱った1つ以上の過去の耐火物ライニングに適用された1つ以上の耐火物に関する履歴データ、作業用耐火物ライニング34の初期の化学組成および起源、作業用耐火物ライニング34の初期の設計、加熱中に製造することが求められる鋼種、加熱中に満たされた取鍋容器18に添加される充填ミックス成分の物理的属性および化学的属性およびその量、加熱中に満たされた取鍋容器18に添加される合金の物理的属性および化学的属性およびその量、加熱中に満たされた取鍋容器18に添加されるスラグ形成剤の物理的属性および化学的属性およびその量、加熱中に満たされた取鍋容器18に添加されるフラックス添加剤の物理的属性および化学的属性およびその量、そして、内部に作業用耐火物ライニング34がラインニングされている期間中の取鍋容器16および取鍋容器18の履歴。
【0116】
測定された操業パラメータは、本明細書で先述した測定された操業パラメータを含み、これらに限定されないが、以下のものを含む:予熱器熱電対2によって測定された、空の取鍋容器16が加熱前に予熱されている間の予熱温度、予熱記録装置24によって測定された、空の取鍋容器16が加熱前に予熱されている間の予熱持続時間、取鍋熱電対25による満たされた取鍋容器18内の溶融金属または溶鋼の温度測定値、滞留時間記録装置23による、加熱中に溶鋼、スラグ、またはそれらの組み合わせが作業用耐火物ライニング34と接触している間の累積接触持続時間の測定、そして、加熱中に満たされた取鍋容器18内の溶融金属を攪拌することによって加えられる攪拌圧の大きさ、攪拌中に満たされた取鍋容器18内の溶融金属に加えられる不活性ガスの流量、溶融金属を攪拌する攪拌持続時間などを含むが、これだけに限定されない、ガス攪拌制御装置26による種々の攪拌パラメータについての測定値。
【0117】
次に図面を参照し、ここで、図示は本発明の好ましい実施形態を説明するためのものであり、これを限定するためのものではないが、ガラス、セメント、石灰、化学物質、油およびガス、または典型的に非金属と呼ばれるその他の材料の製造または精製のための高温プロセスに関する発明を、
図4~6を参照しながら説明する。
【0118】
図4は、予測耐火物性能測定システムの他の例を示す模式図である。予測耐火物性能測定システム404は、ガラス、セメント、石灰、化学物質、油およびガス、または典型的に非金属と呼ばれるその他の材料を取り扱うための製造容器の外壁の内面にライニングされる耐火物ライニングの未来の状態、すなわち性能を予測するために用いられる。予測耐火物性能測定システム404は、非金属の溶融、成形、焼結、緻密化、変換および精製に適していることが当業者によって知られている、工場、作業場、生産エリア、またはその他の環境において実施され得る。しかしながら、システム404の実質的な部分は、耐火物の表面分析、温度分析、プロセスデータ分析、および寿命計算が望まれる任意の環境で実施され得ることが想定される。
【0119】
システム4と404の両方とも、工業プロセスにおいて耐火物層を劣化させる原因となり得る腐食性物質への曝露後に、工業プロセスで用いられる耐火物層の状態を算出するように設計されているという点で、システム4と404は類似する。システム4および404のハードウェアの多くは相互に入れ替え可能であるが、ある種のハードウェアは、システム404に固有のものである。さらに、システム4で使用されるいくつかのハードウェアは、システム404の動作に必要ではない。さらに、システム4および404の対応するハードウェアの一部は、システム4が使用されるプロセスおよび測定成分の多くが、システム404が使用されるプロセスとは異なるため、それらの機能を独自に発揮することがある。
【0120】
システム4および
図1~3の場合と同様に、図に示された例示的な装置、ユニット、モジュール、デバイス、および他の構成要素は、システム404を構成し、
図5および
図6について本明細書で説明される方法および動作を実行する、ハードウェア構成要素である。ハードウェア構成要素の例は、上述の例示された装置、ユニット、モジュール、およびデバイスに限定されず、コントローラ、センサ、ジェネレータ、ドライバ、および当業者に知られている他の任意の電子部品を含むことができる。そのような構成要素は、設計上の必要性に応じて可変的に配置されてもよく、有線または無線の手段を通じて互いに通信してもよい。
【0121】
本明細書で説明する非限定的な例では、システム404は、コンピューティング複合体410を含む。コンピューティング複合体410は、1つ以上のプロセッサ412および1つ以上の記憶手段414を含むことができるが、これに限定されるものではない。コンピューティング複合体410のプロセッサ412およびストレージ414は、コンピューティング複合体410の適切な動作を容易にするために、任意の方法で方向付けられ、位置付けられ、または接続され得る。これには、有線構成、無線構成、ローカル構成、広域構成、および互換性のあるネットワークプロトコルを通じてそれらの間に通信が確立され得る任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0122】
プロセッサ412は、1つ以上の処理要素によって実装される。そのような処理要素は、論理ゲートのアレイ、コントローラおよび算術論理ユニット、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、プログラマブル論理コントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブル論理アレイ、マイクロプロセッサ、または所望の結果を得るために定められた方法で命令に応答し実行できる、当業者に知られている任意の他のデバイスまたはデバイスの組み合わせであってもよい。
【0123】
簡略化のため、本明細書で説明する例示的なプロセッサ412の説明では単数形「プロセッサ」を使用することがあるが、他の例では複数のプロセッサ412が使用されるか、プロセッサ412が複数の処理要素、または複数のタイプの処理要素、またはその両方を含む。一例では、ハードウェア構成要素のシステム404は、コンピューティング複合体410の複数のプロセッサ412を含み、別の例では、システム404のハードウェア構成要素は、独立したプロセッサまたはプロセッサを含む別のコントローラを含み、これは、その後、コンピューティング複合体410のプロセッサ412からデータを受信するためにデータ通信をする。コンピューティング複合体410のプロセッサ412は、後述するシステム404の他の構成要素とともに、ハードウェア構成要素として定義され得る。プロセッサ412と同様に、処理機能を含むおよび他のハードウェア構成要素は、異なる処理構成のうちの任意の1つ以上に従って定義されてもよく、その例には、単一プロセッサ、独立プロセッサ、並列プロセッサ、単一命令単一データ(SISD)多重処理、単一命令多重データ(SIMD)多重処理、多重命令単一データ(MISD)多重処理、および多重命令多重データ(MIMD)多重処理、がある。プロセッサ412は、ケーブルまたは無線ネットワークを介して、ハードウェア構成要素に接続されて、それに命令を提供するか、または他のプロセッサに接続されて、マルチプロセッシング機能を有効にしてもよい。
【0124】
ハードウェア構成要素を実装して、以下に説明するような方法を実行するために、プロセッサ412またはシステム404内のプロセッサを含むハードウェアを制御するための、命令またはソフトウェアは、個別にまたは集合的に、プロセッサ412またはシステム404内のプロセッサを含むハードウェアを指示または構成して、機械または特殊目的コンピュータとして動作し、ハードウェア構成要素および以下に説明するような方法によって実行される動作を行うための、コンピュータプログラム、コードセグメント、命令またはその任意の組み合わせとして書かれる。一例では、命令またはソフトウェアは、コンパイラによって生成される機械コードのような、プロセッサ412またはシステム404内のプロセッサを含むハードウェアによって直接実行される機械コードを含む。別の例では、命令またはソフトウェアは、インタプリタを使用してプロセッサ412またはシステム404内のプロセッサを含むハードウェアによって実行される高位レベルのコードを含む。
【0125】
当業者であるプログラマは、ハードウェア構成要素および上記のような方法によって実行される動作を行うためのアルゴリズムを開示する、
図6に示されるフローチャート、および、ガラス、セメント、石灰、化学物質、油およびガス、または典型的には非金属と呼ばれるその他の材料の製造または精製のための高温プロセスに関する本明細書の対応する説明とに基づいて、命令またはソフトウェアを容易に書くことができる。
【0126】
プロセッサ412またはプロセッサ412にリンクされた構成要素などのシステム404に実装されたハードウェア構成要素は、オペレーティングシステム(OS)およびOS上で動作する1つ以上のソフトウェアアプリケーションなどの命令またはソフトウェアを実行して、
図5および6に関して以下で説明する動作を実行する。
【0127】
プロセッサ412またはハードウェア構成要素を実装したシステム404内のプロセッサを含むハードウェアを制御して、以下に説明するような方法を実行するための命令またはソフトウェア、および任意の関連データ、データファイル、およびデータ構造は、ストレージ414に記録、保存、または固定されている。コンピューティング複合体410のストレージ414は、一般に、プロセッサ412によって実行される命令またはソフトウェアを記憶する1つ以上のメモリを指す。しかし、プロセッサ412またはプロセッサ412にリンクされた構成要素などのシステム404に実装されたハードウェア構成要素は、ローカルストレージを含むか、命令またはソフトウェアの実行に応答してストレージ414のデータについてアクセス、操作、処理、作成、および記憶をすることができる。
【0128】
ストレージ414は、1つ以上の非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体上のものを表していてもよい。ストレージ414は、コンピューティング複合体410のネットワークを介して一緒にリンクされた複数の非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体を表すものであってもよい。例えば、非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体は、コンピューティング複合体410内のシステム404から遠隔に配置された1つ以上のストレージ施設または1つ以上のデータセンターに配置されてもよい。そのような媒体は、コンピューティング複合体410のネットワークを通じてシステム404に接続されてもよい。コンピューティング複合体410のネットワークによって、データセンターまたはストレージ施設に遠隔配置された非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体が、ネットワークを介してコンピューティング複合体410のストレージ414内の非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体にデータを転送することを可能にする。さらに、ストレージ414は、遠隔に配置された非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体およびローカルに配置された非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体の両方を表すものであってもよい。
【0129】
非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体の例としては、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、固体メモリ、CD-ROM、CD-R、CD+R、CD-RW、CD+RW、DVD-ROM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW、DVD-RAM、BD-ROM、BD-R、BD-R LTH、BD-RE、磁気テープ、フロッピーディスク、光磁気データストレージ装置、光データストレージ装置、ハードディスク、ソリッドステートディスク、および、当業者に既知の任意のデバイスが含まれ、これらは、命令またはソフトウェアおよび任意の関連するデータ、データファイル、およびデータ構造を非一時的な方法で記憶し、プロセッサ412またはプロセッサが命令を実行できるように、命令またはソフトウェアおよび任意の関連するデータ、データファイル、およびデータ構造を、コンピューティング複合体410のプロセッサ412またはシステム404内のプロセッサを含むハードウェアに提供できるものである。一例では、命令またはソフトウェアおよび任意の関連するデータ、データファイル、およびデータ構造は、命令およびソフトウェアおよび任意の関連するデータ、データファイル、およびデータ構造が、プロセッサ412によって分散方式で記憶、アクセス、および実行されるように、ネットワーク結合コンピュータシステム上に分散配置される。
【0130】
コンピューティング複合体410のプロセッサ412およびストレージ414以外のシステム404内のハードウェア構成要素の例は、端末406を含んでもよい。端末406は、例えばユーザ入力、ディスプレイ、またはそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
図4では、端末406は、コンピューティング複合体410に接続されているように図示されている。しかし、本明細書で開示される実施形態は、これに限定されない。例えば、端末406は、プロセッサ412に直接、ストレージ414に直接、ストレージ414とプロセッサ412の両方に、またはシステム404の他の任意のハードウェア構成要素に接続されてもよい。
【0131】
端末406は、プロセッサ412によって処理された、またはユーザによって入力された、ストレージ414に含まれる情報を表示するように構成され得る。プロセッサ412は、端末406に表示されるべきものを決定することを監督する。ストレージ414は、プロセッサ412によって生成され、端末406を介して入力されたデータを格納するように構成されてもよい。アプリケーション、ユーザ入力、およびプロセッサの計算は、耐火物性能を予測するために、プロセッサ412によるアクセスのためにストレージ414に格納されることがある。
【0132】
ストレージ414に接続されたシステム404の上記ハードウェアのさらなる例は、
図4または
図5の少なくとも1つに例示されており、少なくとも1つのレーザースキャナ420、補助熱電対402、1つ以上の外側ビュー赤外線カメラ422、1つ以上の内側ビュー赤外線カメラ403、サイクル時間記録装置423、補助記録装置424、環境測定熱電対425、非金属測定熱電対428、方位レーザー419、レーダー/トモグラフィスキャン用の1つ以上の圧力センサ407、1つ以上のガスセンサ409および1つ以上のトモグラフィセンサ411、などが挙げられることがある。
【0133】
このハードウェアのいくつかは、特定の用途においてのみ利用され得る。例えば、レーダー/トモグラフィスキャンのためのトモグラフィセンサ411の機能的使用は、システム404がガラス溶融炉における耐火物層を測定するために使用されている場合のレーダー波差分測定のための用途に限定されることがある。
【0134】
さらに、圧力センサ407およびガスセンサ409の機能的使用は、製造容器416がバーナーシステムを含み、可変燃料供給を使用し、または圧力下にあってガスの存在に曝露される場合に、システム404が耐火物ライニング434を測定するために採用されている石油化学用途に限定されることがある。具体的には、圧力センサ407によって取得された圧力測定値およびガスセンサ409によって取得されたガスタイプ測定値は、製造容器416内の圧力およびガス構成への曝露が耐火物ライニング434の寿命にどのように影響するかを検討するためにプロセッサ412に伝達され得る。
【0135】
さらに、プロセッサ412を介したガラス引き抜き速度計算機の機能的使用は、ガラス引き抜き速度を計算するようにさらに構成されてもよく、このガラス引き抜き速度は、製造容器416内でガラスが溶かされる速度を表し、通常、1日に溶かされるガラスのトン数で表される。このような計算では、ガラスが製造容器416内で処理される速度、すなわち、1日に製造容器416を通過する材料の量が、耐火物ライニング434の寿命にどのように影響するかについて検討され得る。
【0136】
ストレージ414は、当業者に知られている任意の有線または無線の方法でこれらのハードウェア構成要素からデータを受信し、受信および記憶したデータを、さらなる処理のために、当業者に知られている任意の有線または無線の方法で、プロセッサ412に伝達することができる。これらの構成要素の動作は、以下の記載においてより詳細に説明される。
【0137】
図5は、予測耐火物性能測定システム404によって耐火物ライニング434の未来の状態を予測することになる、製造容器416の外壁の内面にライニングがライニングされている例を示す模式図である。
図5に示される例では、耐火物ライニング434は、製造容器416の外壁の内面にライニングされる。
【0138】
操業サイクル中に実施される製造プロセスの過酷さによっては、耐火物ライニング434は数ヶ月しかもたないかもしれない。操業サイクルの間、製造容器416の耐火物ライニング434は、溶融液体、または高温、研磨性、および侵食性の固体、または高温、腐食性のガスによって影響を受けると想定される。したがって、各操業サイクル後の製造容器416の耐火物ライニング434の構造条件は、実施される各操業サイクル前の製造容器416の耐火物ライニング434の構造条件とは大きく異なる可能性がある。
【0139】
前述したように、システム404は、少なくとも1つのレーザースキャナ420を含む。レーザースキャナ420は、固定式であっても移動式であってもよい。レーザースキャナ420は、非金属を取り扱う操業サイクルの前後に、耐火物ライニング434をスキャンするように構成される。レーザースキャナ420は、1秒間に1,000,000点の周波数でスキャンする能力を有するクラス1のアイセーフレーザーを有していてもよい。レーザースキャナ420はまた、20秒のスキャン速度および1~2mmの精度を有していてもよい。
【0140】
レーザースキャナ420は、レーザー支持装置421によって支持される。レーザー支持装置421は、レーザースキャナ420が静止している場合は静止支持体、レーザースキャナ420が移動している場合には移動支持体であってもよい。レーザースキャナ420が移動式である場合、レーザー支持装置421は、移動式レーザースキャナ420を動かすのに適していることが当業者によって知られている任意の支持手段であってもよい。レーザースキャナ420が静止している場合、レーザー支持装置421は、静止しているレーザースキャナ420を固定するのに適することが当業者によって知られている固定可能に支持する任意の手段であってもよい。
【0141】
レーザースキャナ420によって実行されるスキャンの機能は、耐火物ライニング434の操業サイクル前および操業サイクル後の構造条件を観察した構造データを収集することを含むが、これらに限定はされない。このデータは、耐火物ライニング434の構造的状態に関して、記憶装置414での保存および/またはプロセッサ412による検討のために、コンピューティング複合体410に提供される。
【0142】
システム404はまた、動作サイクル中に製造容器416の外壁の外面の温度に関するデータを収集するために、動作サイクル中に製造容器416の外壁の外面の1回以上の赤外線スキャンを行うことができる1つ以上の外側ビュー赤外線カメラ422を含んでもよい。システム404はさらに、動作サイクル中に製造容器416の外壁の内面の温度に関するデータを収集するために、動作サイクル中に製造容器416の外壁の内面の1回以上の赤外線スキャンを行うことができる1つ以上の内側ビュー赤外線カメラ403を含んでもよい。
【0143】
一例では、製造容器416の外壁の外面の温度を戦略的に測定するために、外側ビュー赤外線カメラ422が製造容器416の外壁の周りのいくつかの場所に配置されることがある。操業サイクル中および操業サイクル同士の間の温度測定値は、外側ビュー赤外線カメラ422によって記録され、熱的な不一致について分析され得る。次いで、外側ビュー赤外線カメラ422から収集された温度データは、プロセッサ412によって耐火物ライニング434の劣化部分を特定するためにマッピングされてもよい。
【0144】
別の例では、内側ビュー赤外線カメラ403は、製造容器416の外壁の内面の温度の測定を可能にするような場所に配置されるとよい。そのような場所は、製造容器416の入口開口部440、製造容器416の出口開口部418、または、内側ビュー赤外線カメラ403が製造容器416の外壁の内面の温度を測定できるようにするために当業者に知られている製造容器416の構造における任意の他の開口を含んでもよいが、それらに限定されない。
【0145】
外側ビュー赤外線カメラ422は、操業サイクル中に製造容器416の温度が上昇したときの製造容器416の外壁の外面を画像化するのに適切であることが当業者に知られている任意の赤外線カメラであるとよい。内側ビュー赤外線カメラ403は、製造容器416の温度が操業サイクル中に上昇したときの製造容器416の外壁の内面を画像化するのに適切であることが当業者に知られている任意の赤外線カメラであるとよい。
【0146】
外側ビュー赤外線カメラ422および内側ビュー赤外線カメラ403からの温度データは、耐火物ライニング434の構造条件に関して、ストレージ414での保存および/またはプロセッサ412による検討のためにコンピューティング複合体410に提供されるとよい。ASTM 680-14を利用した解析または耐火物設計用に開発された熱伝達計算ソフトウェアを使用して、熱抵抗率および熱流束の観点から外側ビュー赤外線カメラ422によって得られた温度データを計算することができるが、ここに開示した実施形態はそれに限定されない。例えば、そのような温度データを計算できることが当業者に知られている任意のソフトウェアまたは解析方法を利用することができる。
【0147】
操業サイクル中の内側ビュー赤外線カメラ403からの温度測定値は、環境測定熱電対425または非金属測定熱電対428からの温度測定値を補完する役割を果たすことができる。
【0148】
前述のように、製造容器416がガラス溶融炉またはガラスの処理に使用される類似の容器である場合、トモグラフィセンサ411を介したレーダー/トモグラフィスキャンが、耐火物ライニング434の厚さの測定、操業サイクル中の耐火物ライニング434へのガラス含浸の発生率の検出、またはそれらの組合せに使用されてもよい。トモグラフィセンサ411を介したレーダー/トモグラフィー測定は、製造容器416の外壁の外面から行われる。トモグラフィセンサ411は、レーダー波技術を使用して、操業サイクル中に処理されるガラスと耐火物ライニング434との間の密度の差を識別する。
【0149】
さらに、上述のものも後述のものも、プロセッサ412による参照のためにコンピューティング複合体410に通信される、レーザースキャンデータ、温度データ、レーダーデータ、圧力データ、ガスデータ、ガラス引き抜き速度データ、またはそれらの組み合わせは、プロセッサ412への通信およびプロセッサによる検討を待っている、ストレージ414に記憶された他の測定された所定の操業パラメータと共に、追加的に考慮することが可能である。測定された操業パラメータは、圧力センサ407、ガスセンサ409、補助熱電対402、サイクル時間記録装置423、トモグラフィセンサ411、レーザースキャナ420、内側ビュー赤外線カメラ403、外側ビュー赤外線カメラ422、補助記録装置424、環境測定熱電対425、および非金属測定熱電対428などを含むがこれらに限定されない、先述のハードウェア手段を通じて、プロセッサ412による参照のためにコンピュータ複合体410に供給されてもよい。所定の操業パラメータは、耐火物ライニング434の未来の状態予測に関する未来の参照のために、ストレージ414に格納されてもよく、ユーザ入力またはプロセッサ412によって以前に処理された履歴データによって、端末406を介してコンピュータ複合体410に供給され得る。
【0150】
所定の操業パラメータは、非金属を取り扱った過去の製造容器の外壁の内面にライニングされた、1つ以上の過去の耐火物ライニングに適用された1つ以上の耐火物に関連する履歴データと、耐火物ライニング434の初期の化学組成および起源と、耐火物ライニング434の初期の物理的設計と、製造容器416の操業サイクル中に製造されることが望まれる非金属のグレードと、所望の非金属のグレードを製造するために操業サイクル中に製造容器416へ加えられる充填成分または連続供給ミックス成分の物理的属性および化学的属性ならびにその量と、製造容器416に加えられる添加剤、着色剤または燃焼ガスの化学的属性およびその量を含むとよいが、これらに限定されない。
【0151】
本願の目的のために、耐火物ライニング434の物理的設計は、耐火物ライニング434の構造詳細、耐火物ライニング434中の耐火物成分の形状、耐火物ライニング434中の耐火物成分のサイズ、および耐火物ライニング434中の耐火物成分の組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0152】
追加の測定された操業パラメータは、製造容器416が操業サイクルの前に予熱または昇温されるときの、またはサイクルの後に冷却されるときの、予熱、昇温、または冷却の温度および持続時間スケジュールを含むとよいが、これらに限定はされない。さらなる測定された操業パラメータは、操業サイクルの累積持続時間によって定義されるサイクル時間、または特定の非金属製造操作において特定される任意の他の関連する測定された操業パラメータを含むとよい。
【0153】
上記のデータを使用して、プロセッサ412は、操業サイクルが製造容器416の耐火物ライニング434に及ぼした曝露影響を算出し、1回以上の後続の操業サイクル後の耐火物ライニング434の未来の状態を予測することができる。操業サイクルが耐火物ライニング434に及ぼした曝露影響は、操業サイクル前の耐火物ライニング434の構造条件と操業サイクル後の耐火物ライニング434の構造条件とを比較することによって算出されてもよい。算出された曝露影響に基づいて、1回以上の後続の操業サイクル後の耐火物ライニング434の未来の状態が予測される。言い換えれば、最初のサイクルの曝露影響は、2回目のサイクル、3回目のサイクルなどの後の耐火物ライニング434の未来の状態を予測するために使用することができる。プロセッサ412は、上記で言及されたすべてのデータ源からのデータを参照してもよいが、それに限定されるものではなく、本明細書で言及されていない他のデータ源を含むことも考えられる。
【0154】
一例では、耐火物ライニング434の未来の状態の予測を補うために、外側ビュー赤外線カメラ422および内側ビュー赤外線カメラ403から収集された温度データを、各操業サイクルの前、各操業サイクルの最中、および各操業サイクルの後における耐火物ライニング434の構造条件と相関させることによって、耐火物ライニング434の曝露影響の算出を補ってもより。これにより、未来の状態をより正確に予測することができるようになる。
【0155】
別の例では、耐火物ライニング434の未来の状態の予測を補うために、耐火物ライニング434の曝露影響の算出は、収集された構造条件データとの相関において、前述の所定のまたは測定した1つ以上の操業パラメータが耐火物ライニング434への操業サイクルの曝露影響に及ぼす操業上の影響を考慮することによって補われてもよい。
【0156】
一例として、非金属を製造する過去の製造容器の外壁の内面にライニングされた1つ以上の過去の耐火物ライニングに適用された1つ以上の耐火物に関連する履歴データを使用して、曝露影響の履歴パターンを確立することができる。そのような履歴パターンは、非金属を製造する動作サイクルの前後の耐火物ライニング434の構造状態の比較、および外側ビュー赤外線カメラ422と内側ビュー赤外線カメラ403から収集された温度データのそれとの相関を補完できる。そのような履歴データは、連続するそれぞれの操業サイクル後の、後続の耐火物ライニングの未来の状態を、プロセッサ412が、より高い精度で予測できるようにするために、曝露影響の算出後にコンピュータ複合体410のストレージ414に蓄積されるとよい。
【0157】
曝露影響の算出を支援するための測定された操業パラメータの使用に関して、製造容器416内の環境温度を測定するために、環境測定熱電対425が設けられるとよい。製造容器416内で処理される非金属の温度を測定するために、非金属測定熱電対428が設けられるとよい。
【0158】
さらに、製造容器416が空で、製造容器416が非金属で満たされる前に予熱または昇温されているとき、または動作サイクルの終了時に製造容器416が冷却されている間の製造容器416の温度を測定するために、補助熱電対402が設けられるとよい。補助熱電対402、環境測定熱電対425、および非金属測定熱電対428は、耐火物ライニング434の未来の状態の予測に従った曝露影響の算出中におけるプロセッサ412による検討のために、測定された温度を計算複合体410に提供することができる。
【0159】
サイクル時間の継続時間を監視するために、本明細書で取り上げたサイクル時間記録装置423などの記録機構を使用して、非金属、コーティング、またはそれらの組み合わせが操業サイクル中に耐火物ライニング434と接触している間の累積接触持続時間を測定してもよい。
【0160】
さらに、予熱、昇温、または冷却の持続時間を監視するために、本明細書で取り上げた補助記録装置424などの記録機構を使用して、操業サイクルの前に製造容器416に対して行われた昇温、または操業サイクルの終わりに製造容器416に対して行われた冷却の持続時間と温度を制御し記録してもよい。具体的には、昇温または冷却の持続時間は、補助記録装置424によって、わずか数時間から数日に及ぶものまで測定できる。補助記録装置424は、ガスの自動遮断装置とともに、ガス式予熱装置に組み込むことができる。
【0161】
レーザースキャナ420による耐火物ライニング434のレーザースキャンの前に、製造容器416をスキャンして、製造容器416の物理的方位を特定するために、方位レーザー419が設けられてもよい。方位レーザー419によって行われるスキャンは、レーザースキャナ420によって行われる耐火物ライニング434のレーザースキャンを支援し、その精度を高めるのに役立つ。製造容器416の物理的な向きは、製造容器416が使用されているプロセスまたは施設に対する製造容器416の位置に関連する。方位レーザー419は、製造容器416の正しい位置決めを決定するためのプロセッサ412による検討のために、製造容器416の特定された物理的な向きをコンピューティング複合体410に提供して、耐火物ライニング434の未来の状態の予測に従った曝露影響の正確な算出のために役立てる。
【0162】
より詳細には、方位レーザー419からのデータは、プロセッサ412が、耐火物ライニング434の表面の空間的測定値から厚さ測定値を算出することを可能にし得る。このような測定値は、製造容器416の物理的な位置および向きが推定されているか、または正確に知られていない限り、導き出すことができない。方位レーザー419からのデータは、プロセッサ412は、製造容器416の物理的な位置および向きを正確に知ることを可能にし得る。
【0163】
方位レーザー419は、製造容器416の外壁を直接視認できる、安全で遮るもののない任意の場所に配置することができるので、方位レーザー419は、製造容器416の関連する耐火物ライニング箇所をスキャンするように配置されるだろう。また、方位レーザー419による物理的な方位特定は、製造容器416に関するレーザースキャナ420によって提供されるデータを通じて補足され得ることに留意されたい。
【0164】
次に
図5および
図6を参照すると、製造容器416の外壁の内面にライニングされ、耐火物ライニング434が非金属に曝露される間に操業サイクルに曝露される耐火物ライニング434の未来の状態を予測する方法600が説明される。
【0165】
方法600の記載の目的のために、「製造容器」は、非金属に曝される製造容器416などの容器、および非金属を処理または製造するための環境を指すことがある。さらに、プロセッサ412およびその他の任意の制御ユニットを含むコンピューティング複合体410は、スキャン、測定、製造容器416に対する材料の移送または製造容器からの材料の移送、観察、収集、判定、予測、および検討を含むがこれらに限定されない、すべてのプロセスを制御することを可能にする。
【0166】
一例では、製造容器416は、レーザースキャナ420による耐火物ライニング434の任意のスキャンの前に、製造容器416の物理的な向きを特定するために、最初に方位レーザー419によってスキャンされるとよい。製造容器416の物理的な向きは、製造容器416に関するプロセッサ412による任意のさらなる検討、判定、および予測の間に、プロセッサ412によって参照されてもよい。
【0167】
さらに、物理的方位スキャンの後、耐火物ライニング434の任意のスキャンの前で、製造容器416が操業サイクルの準備のために予熱または昇温されている間あるいは操業サイクルの後に冷却されている間の、予熱温度、昇温温度、冷却温度と、製造容器416が操業サイクルの前に予熱または昇温されている間あるいは操業サイクル後に冷却される間の持続時間と、が、補助熱電対402により測定され、補助装置424により記録されてもよい。補助熱電対402および補助装置424によってそれぞれ収集された温度データおよび予熱持続時間は、非金属を製造するための高温環境に関する操業パラメータが、それに曝露された後の耐火物ライニング434の構造状態に及ぼす操業上の影響を考慮する際の測定パラメータとしてプロセッサ412によって使用されてもよい。
【0168】
操業パラメータのさらなる測定が、操業サイクル中に実行されてもよく、例えば、これらに限定されないが、非金属熱電対428による製造容器416内の非金属の温度の測定、環境測定熱電対425による製造容器416内の環境の温度の測定、サイクル時間記録装置423による加熱中に非金属および環境が耐火物ライニング434と接触している間の累積接触持続時間の測定が挙げられ、これらは以下に詳細に説明される。上述のような所定の操業パラメータは、都合の良いときにコンピューティング複合体410に提供することができる。しかしながら先述したように、また以下でさらに説明されるように、コンピューティング複合体410に提供される任意の所定の操業パラメータは、耐火物ライニング434への曝露影響の算出においてプロセッサ412によって考慮されることになる。
【0169】
任意の追加の準備工程が完了した後、操業サイクルの前に、製造容器416の耐火物ライニング434のレーザースキャンが実施される(S601)。操業サイクルの前のレーザースキャンの実施は、レーザースキャナ420によって実行できる。操業サイクル前のレーザースキャンの実施には、耐火物ライニング434の操業サイクル前の構造条件に関するデータの収集が含まれる場合がある。
【0170】
次に、操業サイクルが実行され、その間に製造容器416が非金属を製造するための高温環境で満たされ、その後、高温環境内で製造された非金属で満たされる。動作サイクルが完了した後、製造容器416の耐火物ライニング434のレーザースキャンを再度実施する(S602)。操業サイクル前のレーザースキャンの実施と同様に、操業サイクル後のレーザースキャンの実施も、レーザースキャナ420によって実行することができる。さらに、操業サイクル後のレーザースキャンの実施は、耐火物ライニング434の操業サイクル後の構造状態に関連するデータの収集を含むこともできる。
【0171】
操業サイクル前のレーザースキャンおよび操業サイクル後のレーザースキャンの後、プロセッサ412は、耐火物ライニング434に対する操業サイクルの曝露影響を算出する(S603)。プロセッサ412は、収集された操業サイクル前の構造条件データと収集された操業サイクル後の構造条件データとを比較することによって、曝露影響を決定できる。操業サイクルの曝露影響の算出後、プロセッサ412は、操業サイクルの曝露影響の算出に基づいて、1回以上の後続の操業サイクル後の耐火物ライニング434の未来の状態を予測する(S604)。
【0172】
この予測は、製造容器416が耐火物ライニング434を用いて再び使用できるか、あるいは耐火物ライニング43を交換するが必要があるかを判断するために極めて重要な情報を提供する。これにより、製造容器416に過度の構造的損傷をもたらす事故を回避することができ、その結果、ダウンタイムの減少、効率の向上、およびコスト削減をもたらすことができる。
【0173】
一例として、操業サイクル中に、製造容器416の外壁の外面に1回以上の赤外線スキャンが、外側ビュー赤外線カメラ422によって実施されてもよい。このスキャンによって、外側ビュー赤外線カメラ422は、操業サイクル中に検出された外面の温度に関するデータをそれぞれ収集することができる。この温度データは、収集された構造状態データと相関して、より正確に曝露の影響を判定し、未来の状態を予測することができ、同時に、算出された曝露影響に基づいて耐火物ライニング434の劣化部分を特定することができる。
【0174】
別の実施例では、曝露影響の算出は、収集された構造条件データと相関し、および、任意に、この特定の実施例では、赤外線スキャンからの収集された温度データと相関して、測定された、あるいは所定の操業パラメータの1つ以上が、操業サイクル中に耐火物ライニング434に及ぼす操業上の影響を考慮することを含む。
【0175】
所定の操業パラメータは、本明細書で先述した所定の操業パラメータを含み、これらに限定されないが、以下のものを含む:高温環境および非金属に曝露された1つ以上の過去の耐火物ライニングに適用された1つ以上の耐火物に関する履歴データ、耐火物ライニング434の初期の化学組成および起源、耐火物ライニング434の初期の設計、操業サイクル中に製造容器416に添加される充填成分または連続供給ミックス成分の物理的属性および化学的属性ならびにその量、そして、内部に耐火物ライニング434がライニングされている期間中の製造容器416の履歴。
【0176】
測定された操業パラメータは、本明細書で先述した操業パラメータを含み、これらに限定されないが、以下のものを含む:補助熱電対402によって測定された、予熱、昇温または冷却の温度および温度変化、補助装置424によって測定された、補助熱電対によって測定される製造容器416の変化が生じる期間、非金属測定熱電対428による製造容器416内の非金属の温度測定値、環境測定熱電対425による製造容器416内の環境の温度の測定値、内側ビュー赤外線カメラ403による耐火物ライニング434の内面の温度の測定値、サイクル時間記録装置423による操業サイクル中に非金属および環境が耐火物ライニング434に接触している累積接触持続時間の測定値、圧力センサ407およびガスセンサ409による製造容器416内の圧力およびガスタイプのそれぞれの測定値、トモグラフィセンサ411によるレーダー/トモグラフィスキャンを介した耐火物ライニング434の厚さの測定、プロセッサ412によって計算されるガラス引き抜き速度測定値。
【0177】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明した。この実施形態は、例示のみを目的として記載されており、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多数の変更および修正が当業者によって実施され得ることを理解されたい。そのようなすべての修正および改変は、それらが請求された本発明またはその均等物の範囲内に入る限りにおいて本発明に含まれることが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造容器の外壁の内面にライニングされ
、操業サイクルに曝露される耐火物ライニング、の未来の状態を予測するための測定システムであって、
前記操業サイクル前に、前記耐火物ライニングの操業前レーザースキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル前の構造条件に関するデータを収集し、前記操業サイクル後に、前記耐火物ライニングの操業後レーザースキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル後の構造条件に関するデータを収集するように構成された、1つ以上のレーザースキャナと、
収集された前記操業サイクル前の構造条件データと、収集された前記操業サイクル後の構造条件データとを比較することにより、前記操業サイクルの前記耐火物ライニングに対する曝露影響を算出し、算出された前記操業サイクルの前記曝露影響に基づき、後続の1回以上の操業サイクル後の前記耐火物ライニングの未来の状態を予測するように構成された、プロセッサと、
を含む測定システム。
【請求項2】
前記操業サイクル中に、前記製造容器の前記外壁の外面の赤外線スキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル中の前記外面の温度に関する温度データを収集するように構成された、1つ以上の外側ビュー赤外線カメラ、をさらに備え、
前記プロセッサが、収集された前記外面の前記温度データを、収集された前記構造条件データと相関させることによって前記曝露影響を算出するようにさらに構成さ
れ、
そして前記プロセッサが、収集された前記温度データをマッピングして、前記耐火物ライニングの劣化部分を特定するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサが、収集された前記構造条件データとの相関関係において、1つ以上の操業パラメータが前記操業サイクル中に前記耐火物ライニングに及ぼす操業上の影響を考慮して、前記曝露影響を算出するようにさらに構成さ
れ、
前記操業パラメータは、
1つ以上の過去の耐火物ライニングに適用された1つ以上の耐火物に関する履歴データ、と、
前記耐火物ライニングの初期の化学組成および起源、と、
前記耐火物ライニングの初期の物理的設計、と、
前記操業サイクル中に製造容器に加えられる充填成分または連続供給ミックス成分の物理的属性および化学的属性ならびにその量、と、
前記耐火物ライニングが前記製造容器の前記外壁の内面にライニングされている期間中の前記製造容器の履歴、と
からなる群から選択される1つ以上の予め定められた操業パラメータを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記製造容器が前記操業サイクルの前に予熱または昇温されている間、または前記操業サイクルの後に冷却されている間の、予熱、昇温、または冷却の持続時間を測定するように構成された補助熱電対をさらに含み、前記予熱、昇温、または冷却の持続時間が、前記操業パラメータの1つである、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記耐火物ライニングが高温環境に曝露される前記操業サイクル中の累積接触時間を測定するように構成されたサイクル時間記録装置をさらに備え、前記累積接触時間が、前記操業パラメータの1つである、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記操業サイクル中に前記製造容器内の高温環境の温度を測定するように構成された1つ以上の環境測定熱電対をさらに含み、測定された前記高温環境の温度が、前記操業パラメータの1つである、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記製造容器をスキャンして、前記操業サイクルの前の前記製造容器の物理的な位置および向きを特定するように構成された方位レーザー、をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記操業サイクル中に、前記製造容器の前記外壁の外面から前記製造容器のトモグラフィスキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル中の前記耐火物ライニングの厚さ、の1つ以上に関するトモグラフィデータの収集を行うように構成された1つ以上のトモグラフィセンサ、をさらに含み、
前記プロセッサが、収集された前記トモグラフィデータを、収集された前記構造条件データおよび前記操業パラメータの操業上の影響と相関させることによって、前記曝露影響を算出するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
製造容器の外壁の内面にライニングされ、操業サイクルに曝露される耐火物ライニングの、未来の状態を予測する方法であって、
前記耐火物ライニングの操業前レーザースキャンを前記操業サイクル前に1回以上実施して、操業サイクル前の構造条件に関するデータを収集することを操業サイクル前に実施すること、と、
前記操業サイクル後に、前記耐火物ライニングの操業後レーザースキャンを1回以上実施して、前記耐火物ライニングの操業サイクル後の構造条件に関するデータを収集すること、と、
収集された操業サイクル前の構造条件データと、収集された操業サイクル後の構造条件データとを比較することにより、前記耐火物ライニングに対する前記操業サイクルの曝露影響の算出を、プロセッサにより行うこと、と、
算出された前記操業サイクルの前記曝露影響に基づき、後続の1回以上の操業サイクル後の前記耐火物ライニングの未来の状態の予測を、前記プロセッサにより行うこと、と、
を含む方法。
【請求項10】
前記操業サイクル中に、前記製造容器の前記外壁の外面の赤外線スキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル中の前記外面の温度に関するデータを収集すること、をさらに含み、
前記曝露影響の算出が、収集された前記外面の温度データを、収集された構造条件データと関連付けること、および、収集された前記温度データをマッピングして、前記耐火物ライニングの劣化部分を特定すること、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記曝露影響の算出が、収集された構造条件データとの相関関係において、1つ以上の操業パラメータが前記操業サイクル中に前記耐火物ライニングに及ぼす操業上の影響を検討することをさらに含み、
前記操業パラメータが、
1つ以上の過去の耐火物ライニングに適用された1つ以上の耐火物に関する履歴データ、と、
前記耐火物ライニングの初期の化学組成および起源、と、
前記耐火物ライニングの初期の物理的設計、と、
前記操業サイクル中に前記製造容器に加えられる充填成分または連続供給ミックス成分の物理的属性および化学的属性ならびにその量、と、
前記耐火物ライニングが前記製造容器の前記外壁の内面にライニングされている期間中の前記製造容器の履歴、と
からなる群から選択される1つ以上の予め定められた操業パラメータを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記製造容器が前記操業サイクルの前に予熱または昇温されている間、または前記操業サイクルの後に冷却されている間の、予熱、昇温、または冷却の持続時間を測定することをさらに含み、前記予熱、昇温、または冷却の持続時間が、前記操業パラメータの1つである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記耐火物ライニングが高温環境に曝露される前記操業サイクルの累積接触時間を測定することをさらに含み、前記累積接触時間が、前記操業パラメータの1つである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記操業サイクル中に前記製造容器内の高温環境の温度を測定することをさらに含み、測定された前記高温環境の温度が、前記操業パラメータの1つである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記操業サイクル中に、前記製造容器の前記外壁の外面からトモグラフィスキャンを1回以上実施して、前記操業サイクル中の前記耐火物ライニングの厚さ、の1つ以上に関するトモグラフィデータを収集することをさらに含み、
前記曝露影響の算出が、収集された前記トモグラフィデータを、収集された前記構造条件データと相関させることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
製造容器の外壁の内面にライニングされ、操業サイクルに曝露される耐火物ライニング、の未来の状態を予測するための測定システムであって、
前記操業サイクル前に、前記耐火物ライニングの操業サイクル前の構造条件に関するデータを収集し、前記操業サイクル後に、前記耐火物ライニングの操業サイクル後の構造条件に関するデータを収集するように構成された、1つ以上のレーザースキャナと、
収集された前記操業サイクル前の構造条件データと、収集された前記操業サイクル後の構造条件データとを比較することにより、前記操業サイクルの前記耐火物ライニングに対する曝露影響を算出し、算出された前記操業サイクルの前記曝露影響に基づき、後続の1回以上の操業サイクル後の前記耐火物ライニングの未来の状態を予測するように構成された、プロセッサと、
を含む測定システム。
【請求項17】
前記操業サイクル中に前記外壁の外面に関する温度データを収集するように構成された、1つ以上の外側ビュー赤外線カメラ、をさらに備え、
前記プロセッサが、収集された前記外面の前記温度データを、収集された前記構造条件データと相関させることによって前記曝露影響を算出するようにさらに構成され、
そして前記プロセッサが、収集された前記温度データをマッピングして、前記耐火物ライニングの劣化部分を特定するようにさらに構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
製造容器の外壁の内面にライニングされ、操業サイクルに曝露される耐火物ライニング、の未来の状態を予測するための測定システムであって、
前記操業サイクル前に前記耐火物ライニングの操業サイクル前の構造条件に関するデータを、前記操業サイクル後に前記耐火物ライニングの操業サイクル後の構造条件に関するデータを、収集すること、を行うためのレーザースキャン手段と、
収集された前記操業サイクル前の構造条件データと、収集された前記操業サイクル後の構造条件データとを比較することにより、前記操業サイクルの前記耐火物ライニングに対する曝露影響を算出すること、と、算出された前記操業サイクルの前記曝露影響に基づき、後続の1回以上の操業サイクル後の前記耐火物ライニングの未来の状態を予測すること、を行うためのプロセッシング手段と、
を含む測定システム。
【請求項19】
製造容器の外壁の内面にライニングされ、操業サイクルに曝露される耐火物ライニング、の未来の状態を予測するための測定システムであって、
前記操業サイクル前に前記耐火物ライニングの操業サイクル前の構造条件に関する構造条件データを、前記操業サイクル後に前記耐火物ライニングの操業サイクル後の構造条件に関する構造条件データを、収集する手段と、
収集された前記操業サイクル前の構造条件データと、収集された前記操業サイクル後の構造条件データとを比較することにより、前記操業サイクルの前記耐火物ライニングに対する曝露影響を算出する手段と、
算出された前記操業サイクルの前記曝露影響に基づき、後続の1回以上の操業サイクル後の前記耐火物ライニングの未来の状態を予測する手段と、
を含む測定システム。
【請求項20】
製造容器の外壁の内面にライニングされ、操業サイクルに曝露される耐火物ライニングの、未来の状態を予測する方法であって、
前記耐火物ライニングの操業サイクル前の構造条件に関する構造条件データを前記操業サイクル前に、前記耐火物ライニングの操業サイクル後の構造条件に関する構造条件データを前記操業サイクル後に、収集すること、と、
収集された前記操業サイクル前の構造条件データと、収集された前記操業サイクル後の構造条件データとを比較することにより、前記耐火物ライニングに対する前記操業サイクルの曝露影響を、プロセッサにより算出すること、と、
算出された前記操業サイクルの前記曝露影響に基づき、後続の1回以上の操業サイクル後の前記耐火物ライニングの未来の状態を、前記プロセッサにより予測すること、と、
を含む方法。
【国際調査報告】