(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】ワイヤレスチャージングパッドの温度調節
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20231110BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20231110BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20231110BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20231110BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231110BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
H02J7/04 L
H02J50/40
H02J50/12
H02J50/80
H02J7/00 301D
H02J7/10 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526555
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 US2021057019
(87)【国際公開番号】W WO2022094055
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520310643
【氏名又は名称】アイラ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】グッドチャイルド,エリック ハインデル
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル,デビッド
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CB11
5G503CB13
5G503GB08
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
ワイヤレス充電装置は、コントローラと、充電装置の表面付近に配置され、電磁界を伝送するように構成された少なくとも1つのコイルと、伝送コイルを駆動するように構成された第1のドライバ回路とを具える。コントローラは、ドライバ回路に、伝送コイルに充電電流を供給させ、充電電流の変調から伝送電力低減要求をデコードし、充電装置の表面で測定された温度が閾値温度未満である場合に伝送電力低減要求に従って充電電流の振幅を低減し、充電装置の表面で測定された温度が閾値温度以上である場合に冷却シーケンスを開始するよう構成される。一例では、伝送電力低減要求は、充電電流に重畳されたASK変調信号で提供され得る。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電装置の作動方法であって、
ドライバ回路が前記充電装置の表面近くに配置された伝送コイルを駆動するように構成するステップと、
前記ドライバ回路に、前記伝送コイルに充電電流を供給させるステップと、
充電電流の変調から伝送電力低減要求をデコードするステップと、
前記充電装置の表面で測定された温度が閾値温度未満である場合に前記伝送電力低減要求に従って充電電流の振幅を低減するステップと、
前記充電装置の表面で測定された温度が前記閾値温度以上である場合に冷却シーケンスを開始するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記充電装置の表面に熱伝導的に結合された1以上のセンサから温度測定値を受信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記閾値温度は、充電手順中に行われる事前のキャリブレーションに基づいて設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記充電装置の表面で測定された温度が前記閾値温度以上である場合、充電対象デバイスの内部温度が温度制限を超えていることを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記閾値温度はルックアップテーブルで規定されている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ルックアップテーブルは、複数のデバイスタイプのそれぞれに対する閾値温度を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記冷却シーケンスを開始するステップは、前記伝送電力低減要求に応答して、最小の伝送電力を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
さらに、前記充電装置の表面で測定された温度測定値の時系列の勾配を特定するステップと、
前記温度測定値の時系列の勾配が、前記充電装置の表面が、充電対象デバイスについて定義された冷却期間中の再開温度以上のままになることを示す場合に、充電電流を終了させるステップとを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記充電装置の表面で測定された温度測定値の時系列の勾配を特定するステップと、
前記温度測定値の時系列の勾配が、前記充電装置の表面が、充電対象デバイスについて定義された再開温度以上のままになることを示す場合に、前記充電装置内の1以上の他のドライバ回路の電力出力を低減させるステップとをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
さらに、充電装置の表面で測定された温度測定値の第1の時系列の第1の勾配を特定するステップと、
当該第1の時系列の温度測定値の第1の勾配が、充電装置の表面が第1の冷却期間中における充電対象デバイスについて定義された再開温度以上のままであることを示す場合に充電電流を終了させるステップと、
充電電流を終了させた後に充電装置の表面で測定された温度測定値の第2の時系列の第2の勾配を特定するステップと、
温度測定値の第2の時系列の第2の勾配が、充電装置の表面が充電対象デバイスについて第2の冷却期間中における定義された再開温度以上のままであることを示す場合に、充電装置の1以上の他のドライバ回路の電力出力を低減するステップとを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
充電装置であって、
前記充電装置の表面近くに配置された伝送コイルを駆動するように構成されたドライバ回路と、
コントローラであって、前記ドライバ回路に、
前記伝送コイルに充電電流を供給させ、
充電電流の変調から伝送電力低減要求をデコードさせ、
前記充電装置の表面で測定された温度が閾値温度未満である場合に前記伝送電力低減要求に従って充電電流の振幅を低減させ、
前記充電装置の表面で測定された温度が前記閾値温度以上である場合に冷却シーケンスを開始させる
ように構成されたコントローラとを含むことを特徴とする充電装置。
【請求項12】
前記充電装置の表面に熱伝導可能に結合され、前記充電装置の表面の少なくとも一部の周期的な温度測定値を提供するように構成された1以上のセンサをさらに具える、請求項11に記載の充電装置。
【請求項13】
前記閾値温度は、充電手順中に行われる事前のキャリブレーションに基づいて設定される、請求項11に記載の充電装置。
【請求項14】
前記充電装置の表面で測定された温度が前記閾値温度以上である場合、充電対象デバイスの内部温度が温度制限を超えていることを示す、請求項11に記載の充電装置。
【請求項15】
前記閾値温度は、ルックアップテーブルで定義される、請求項11に記載の充電装置。
【請求項16】
前記ルックアップテーブルは、複数のデバイスタイプの各々に対する閾値温度を含む、請求項15に記載の充電装置。
【請求項17】
前記コントローラはさらに、冷却シーケンスを開始する際に、より低い伝送電力要求に応じて、最小伝送電力を提供するように構成される、請求項11に記載の充電装置。
【請求項18】
前記コントローラはさらに、充電装置の表面で測定された温度測定値の時系列の勾配を特定し、当該温度測定値の時系列の勾配が、充電装置の表面が、充電対象デバイスについて定義された冷却期間中の再開温度以上のままであることを示すとき、充電電流を終了させるように構成される、請求項17に記載の充電装置。
【請求項19】
前記ントローラはさらに、前記充電装置の表面で測定された温度測定値の時系列の勾配を特定し、
当該温度測定値の時系列の勾配が、前記充電装置の表面が、充電対象デバイスについて定義された冷却期間中の再開温度以上のままであることを示す場合に、前記充電装置の1または複数のドライバ回路の出力を低減させるように構成される、請求項17に記載の充電装置。
【請求項20】
前記コントローラはさらに、
前記充電装置の表面で測定された温度測定値の第1の時系列の第1の勾配を特定し、
当該第1の時系列の温度測定値の第1の勾配が、前記充電装置の表面が第1の冷却期間中における充電対象デバイスについて定義された再開温度以上のままであることを示す場合に充電電流を終了させ、
前記充電電流を終了させた後に、前記充電装置の表面で測定された温度測定値の第2の時系列の第2の勾配を特定し、当該温度測定値の第2の時系列の第2の勾配が、前記充電装置の表面が充電対象デバイスについて第2の冷却期間中における定義された再開温度以上のままであることを示す場合に、前記充電装置の1以上の他のドライバ回路の電力出力を低減するように構成される、請求項17に記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2020年11月2日に米国特許庁に出願された特許出願番号17/087,610の優先権および利益を主張するものであり、該出願の内容全体が以下に完全に記載されているかのようにすべての適用目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般にモバイルコンピューティングデバイスのバッテリを含むバッテリのワイヤレス充電に関し、より具体的には、充電中の過熱の検出と改善に関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス充電システムは、特定のタイプのデバイスが物理的な充電接続を使用せずに内部バッテリを充電できるようにするために開発されてきた。ワイヤレス充電を利用できるデバイスには、モバイル機器および/または通信機器などがある。ワイヤレスパワーコンソーシアムが定めるQi規格などの標準規格では、第1のサプライヤが製造した機器を、第2のサプライヤが製造した充電器でワイヤレス充電することが可能である。ワイヤレス充電の規格は、比較的単純な構成のデバイス向けに最適化されており、基本的な充電機能を提供する傾向にある。
【0004】
ワイヤレス充電機能の改善は、絶えず複雑化するモバイルデバイスや変化するフォームファクタに対応するために必要である。例えば、充電装置が充電装置の表面上の充電式デバイスを検出し、位置を特定したり、ワイヤレス充電動作中に充電式デバイスの除去や再配置を検出したりできる、より高速で低電力の検出技術が求められている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、本明細書に開示される特定の態様によるワイヤレス充電装置が具える充電面に設けられる充電セルの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本明細書に開示される特定の態様によるワイヤレス充電装置が具える充電面のセグメントの単一層に設けられた充電セルの配置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本明細書に開示される特定の態様によるワイヤレス充電装置が具える充電面のセグメント内で充電セルの複数の層が重ねられたときの充電セルの配置の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本明細書に開示される特定の態様による構成された複数層の充電セルを採用する充電装置の充電面によって提供される電力伝送領域の配置を示す図である。
【
図5】
図5は、本明細書に開示される特定の態様による、充電器ベースステーションに設けられ得るワイヤレストランスミッタを示す図である。
【
図6】
図6は、本明細書に開示される特定の態様に従ってASK復調をサポートするマイクロコントローラを示す図である。
【
図7】
図7は、本明細書に開示される特定の態様に従って、電力レシーバと電力トランスミッタと間で交換されるメッセージをデジタル的に符号化するために適応され得る符号化スキームの例を示す。
【
図8】
図8は、本明細書に開示される特定の態様により適合されたワイヤレス充電器における伝送コイルの直接駆動をサポートするトポロジを示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の特定の態様に従って、ワイヤレス充電装置の表面に設けられた温度センサを示す2次元図である。
【
図10】
図10は、本開示の特定の態様に従って提供される温度センサの構成を示す断面図である。
【
図11】
図11は、本開示の特定の態様に従った、ワイヤレス充電装置によって管理される冷却プロセスを示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の特定の態様に従って、マルチコイルワイヤレス充電システムによって充電されているデバイスにおける熱冷却を管理する方法の第1の例を示す図である。
【
図13】
図13は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る処理回路を採用する装置の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本開示の特定の側面に従って、マルチコイルワイヤレス充電システムによって充電対象デバイスにおける熱冷却を管理する方法の第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成を説明することを意図しており、本明細書に記載の概念が実施され得る唯一の構成を示すことを意図したものではない。詳細な説明には、様々な概念の完全な理解を提供するための具体的な詳細が含まれている。しかしながら、それらの概念が具体的な詳細なしで実施できることは当業者には明らかであろう。時には、そのような概念を不明瞭にしないために、周知の構造および構成要素をブロック図の形式で示している。
【0007】
次に、ワイヤレス充電システムの特定の態様を、様々な装置および方法を参照して提示する。これらの装置および方法は、以下の詳細な説明に記載されるとともに、添付の図面において、様々なブロック、モジュール、コンポーネント、回路、ステップ、プロセス、アルゴリズムなど(総称して「要素」と呼ぶ)によって示される。これらの要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはそれらの任意の組合せを使用して実装することができる。そのような要素がハードウェアとして実装されるか、またはソフトウェアとして実装されるかは、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課される設計上の制約に依存する。
【0008】
例えば、要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、1以上のプロセッサを含む「処理システム」で実装され得る。プロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載された様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。処理システムの1以上のプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数などを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、プロセッサ可読記憶媒体に常駐するようにしてもよい。本明細書でコンピュータ可読媒体とも呼ばれるプロセッサ可読記憶媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、近距離ワイヤレス通信(NFC)トークン、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、搬送波、伝送路、ソフトウェアを格納または伝送するのに適した他の任意の媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、処理システムに存在していても、処理システムの外部にあっても、処理システムを含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0009】
概要
本開示の特定の態様は、ワイヤレス充電装置に適用可能なシステム、装置、および方法に関する。充電セルは1以上の誘導コイルで構成されて充電装置に充電面を提供し、充電面によって充電装置が複数の充電式デバイスをワイヤレスで充電できるようにする。充電対象デバイスの位置は、デバイスの位置を充電面上の既知の位置を中心とする物理的特性の変化に関連付けるセンシング技術を介して検出することができる。位置の感知は、容量性、抵抗性、誘導性、接触、圧力、負荷、歪み、および/または別の適切なタイプのセンシングを使用して実装することができる。
【0010】
本開示の一態様では、装置は、バッテリ充電用の電源と、マトリクス状に構成された複数の充電セルと、各スイッチがマトリクス内のコイルの横列(row)をバッテリ充電電源の第1の端子に結合するように構成されている第1の複数のスイッチと、各スイッチがマトリクス内のコイルの縦列(column)をバッテリ充電電源の第2の端子に結合するように構成されている第2の複数のスイッチとを具える。複数の充電セルのうちの各充電セルは、電力伝送領域を取り囲む1または複数のコイルを含むことができる。複数の充電セルは、複数の充電セルのうちの充電セルの電力伝送領域が重なることなく、充電装置の充電面に隣接して配置されるものであってもよい。
【0011】
場合によっては、本装置は充電面と呼ばれることもある。電力は、装置の面上の任意の場所に配置された受電デバイスにワイヤレスで伝送することができる。デバイスは、任意に規定されたサイズおよび/または形状を有することができ、充電可能な任意の個々の配置に拘わらず配置することができる。単一の充電面上で複数のデバイスを同時に充電することができる。本装置は、充電面にわたって1以上のデバイスの動きを追跡することができる。本明細書に開示された特定の概念は、単一の伝送コイルまたは充電セルを有する充電装置にも同様に適用される。
【0012】
本開示の様々な態様において、マルチデバイス充電のために構成されたワイヤレス充電装置は、同時に充電されている複数のデバイスのうちの1つに過温度状態が存在する場合を特定、算出または推定することができる。ワイヤレス充電装置は、過温度状態を有すると特定された受電デバイスにおいて、温度を下げるための措置を講じることができる。ワイヤレス充電装置は、充電装置の表面近傍に配置された伝送コイルを駆動するドライバ回路を構成し、ドライバ回路に伝送コイルへ充電電流を供給させ、充電電流の変調から伝送電力の低下要求をデコードし、充電中のデバイスに過温度状態が存在あるいは指示されているかを判定することができる。過温度状態は、バッテリの温度が、定格、プロトコル、または設計者によって規定された最大温度を超えたことに対応し得る。過温度状態は、充電装置の表面で測定された温度が閾値温度を超えた場合に示され得る。ワイヤレス充電装置は、充電装置の表面で測定された温度が閾値温度未満である場合に、伝送電力の低減要求に応じて、充電電流の振幅を低減してもよい。ワイヤレス充電装置は、充電装置の表面で測定された温度が閾値温度以上となった場合に、冷却シーケンスを開始することができる。
【0013】
充電セル
本明細書に開示される特定の態様によれば、充電装置内の充電セルを用いて充電面が提供され、これら充電セルは充電面に隣接配備される。一例において、充電セルは、ハニカムパッケージ構成に従って、充電面の1以上の層に配備される。充電セルは、それぞれがコイルに隣接する充電面に実質的に直交する軸に沿って磁場を誘導することができる1以上のコイルを使用して実装することができる。本明細書において、充電セルとは、各コイルが充電セル内の他のコイルによって生成される場に対して加算的であって共通の軸に沿うか近接して配向される電磁場を生成するように構成された1以上のコイルを有する構成要素をいう。
【0014】
いくつかの実装例では、充電セルは、共通の軸に沿って積層され、および/または、充電面に実質的に直交する誘導磁界に寄与するように重なり合うコイルを含む。いくつかの実施態様において、充電セルは、充電面の規定された部分内に配置され、充電セルに関連する充電面の実質的に直交する部分内の誘導磁界に寄与するコイルを含む。いくつかの実装例では、充電セルは、動的に定義された充電セルに含まれるコイルにアクティブ化電流を供給することによって構成可能であり得る。例えば、充電装置は、充電面にわたって配備された複数のコイルのスタックを含むことができ、この充電装置は、充電対象デバイスの位置を検出し、充電対象デバイスに隣接する充電セルを提供するためにコイルのスタックのいくつかの組み合わせを選択し得る。ある実施例では、充電セルは、単一のコイルを含むか、または単一のコイルとして特徴付けられ得る。しかしながら、充電セルは、複数の積層コイルおよび/または複数の隣接するコイルもしくはコイルの積層を含むことができることを理解されたい。本明細書では、コイルを、充電コイル、ワイヤレス充電コイル、伝送器コイル、伝送コイル、送電コイル、送電器コイルなどと呼ぶことがある。
【0015】
図1は、充電装置の充電面を提供するために配備され、および/または構成され得る充電セル100の一例を示す。本明細書で説明するように、充電面は、1以上の基板106上に設けられた充電セル100のアレイを含むことができる。1以上の基板106上に、1以上の集積回路(IC)および/またはディスクリート電子部品からなる回路を設けることができる。この回路は、受電デバイスに電力を伝送するために使用するコイルに供給される電流を制御するために使用されるドライバおよびスイッチを含み得る。この回路は、本明細書に開示される特定の機能を実行するように構成され得る1以上のプロセッサおよび/または1以上のコントローラを含む処理回路として構成することができる。いくつかの実施例では、処理回路の一部または全部を充電装置の外部に設けてもよい。いくつかの実施例では、電源を充電装置に結合することができる。
【0016】
充電セル100は、充電装置の外表面領域の近くに設けることができ、その上に充電のために1つまたは複数のデバイスを配置することができる。充電装置は、充電セル100の複数のインスタンスを含むことができる。一例では、充電セル100は、電力伝送領域104に電磁場を生成するのに十分な電流を受け取ることができる導体、配線または回路基板トレースを用いて構築することができる1以上のコイル102を囲む、実質的に六角形の形状を有している。様々な実施態様において、いくつかのコイル102は、
図1に例示される六角形の充電セル100を含む、実質的に多角形である形状を有してもよい。他の実施態様では、他の形状を有するコイル102が提供される。コイル102の形状は、少なくとも部分的に、製造技術の能力または制限によって、および/またはプリント回路基板などの基板106上の充電セルのレイアウトを最適化するために決定することができる。各コイル102は、スパイラル構成のワイヤ、プリント回路基板トレースおよび/または他のコネクタを使用して実装することができる。各充電セル100は、異なる層のコイル102が共通軸108に中心を持つように、絶縁体または基板106によって分離された2以上の層にわたることができる。
【0017】
図2は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る充電装置の充電面のセグメントの単一層に設けられた充電セル202の配列200の一例を示す図である。充電セル202は、ハニカムパッケージング構成に従って配置されている。本実施例では、充電セル202は、重なり合うことなく端と端を合わせて配置されている。この配置は、スルーホールやワイヤ配線なしで提供することができる。充電セル202の一部が重なり合う配置など、他の配置も可能である。例えば、2以上のコイルでなるワイヤをある程度インターリーブすることができる。
【0018】
図3は、本明細書に開示される特定の態様に従って適合され得る、充電面のセグメント内に複数の層が重ねられる場合の、2つの視点(例えば、上面
図300と側面図)からの充電セルの配置の一例を示す図である。充電セル302、304、306、308の層が、充電面の1セグメント内に設けられている。各層の充電セル302、304、306、308内の充電セルは、ハニカムパッケージング構成に従って配置されている。一実施例では、充電セル302、304、306、308の層は、4層以上のプリント回路基板上に形成され得る。充電セル100の配置は、図示されたセグメントに隣接する割り当てられた充電領域を完全にカバーするように選択することができる。
【0019】
図4は、本明細書に開示される特定の態様に従って構成された複数層の充電セルを採用する充電面400に提供される電力伝送領域の配置を示す図である。図示された充電面は、4層の充電セル402、404、406、408から構成されている。
図4において、第1層の充電セル402の充電セルが提供する各電力伝達領域が「L1」と記され、第2層の充電セル404の充電セルが提供する各電力伝達領域が「L2」と記され、第3層の充電セル406の充電セルが提供する各電力伝達領域が「L3」と記され、第4層の充電セル408の充電セルが提供する各電力伝達領域が「L4」と記されている。
【0020】
ワイヤレストランスミッタ
図5は、充電器ベースステーションに設けられ得るワイヤレストランスミッタ500を示す図である。コントローラ502は、調整回路508でフィルタリングされるか、他の方法で処理されたフィードバック信号を受信することができる。コントローラは、コンデンサ512およびインダクタ514を含む共振回路506に交流を供給するドライバ回路504の動作を制御し得る。共振回路506は、本明細書においてタンク回路、LCタンク回路、またはLCタンクとも呼ばれ、共振回路506のLCノード510で測定される電圧516はタンク電圧とも呼ばれる。
【0021】
ワイヤレストランスミッタ500は、検出手順の間に、充電装置によって、互換性のあるデバイスが充電面上に置かれたかどうかを判断するために使用することができる。例えば、充電装置は、ワイヤレストランスミッタ500を介して間欠的なテスト信号(アクティブまたはデジタルPing)を送信することによって、互換デバイスが充電面に置かれたことを特定することができ、ここで共振回路506は、互換デバイスがテスト信号に応答した場合に符号化信号を検出または受信することができる。充電装置は、規格、慣習、製造者または用途によって規定された応答信号を受信したら、少なくとも1つの充電セル内の1以上のコイルを励起するように構成することができる。いくつかの例では、互換デバイスは、充電装置が互換デバイスの充電に使用される最適な充電セルを見つけることができるように、受信信号強度を通信することによってPingに応答することができる。検出手順により、充電装置が、検出されたデバイスを充電するために使用される充電設定を決定することができる。充電設定は、検出されたデバイスを充電する際に充電電流を受け取る1以上の伝送コイルまたは充電セル、検出されたデバイスに送信される電力のレベル、検出されたデバイスに送信される電力の最大レベルおよび最小レベルを定義することができる。
【0022】
パッシブping技術は、LCノード510で測定または観測された電圧および/または電流を使用して、本明細書に開示された特定の態様に従って適合されたデバイスの充電パッドに近接する受電コイルの存在を識別することができる。従来の多くのワイヤレス充電器用トランスミッタでは、LCノード510の電圧を測定したりLCネットワーク内の電流を測定する回路が設けられている。これらの電圧と電流は、電力調整目的またはデバイス間の通信をサポートするために監視され得る。
図5に示す例では、LCノード510の電圧が監視されるが、共振回路506に短いパルスが提供されるパッシブPingをサポートするために電流が追加的または代替的に監視され得ることが企図される。パッシブPing(初期電圧V
0)に対する共振回路506の応答は、LCノード510における電圧(V
LC)により、次のように表すことができる。
【0023】
本明細書に開示された特定の態様によれば、1以上の充電セル内のコイルを選択的にアクティブ化して、互換デバイスの充電に最適な電磁界を提供することができる。いくつかの実施例では、コイルが充電セルに割り当てられ、一部の充電セルが他の充電セルと重なり得る。後者の場合、充電セル単位で最適な充電設定を選択することができる。他の例では、充電セルは、充電装置表面への充電対象デバイスの配置に基づいて規定されてもよい。このような他の例では、各充電イベントでアクティブ化されるコイルの組み合わせは異なり得る。いくつかの実装例では、充電装置は、充電イベント中に励起するために1以上のセルおよび/または1以上の所定の充電セルを選択できるドライバ回路を含み得る。
【0024】
充電装置は、充電対象デバイスから受信した情報に部分的に基づいて、充電設定を規定することができる。充電対象デバイスは、充電装置からの電力伝送によって受け取る電流を変調することによって、そのIDと必要な電力伝送レベルを通信することができる。充電対象デバイスは、受電コイルに与える負荷を変えることで、受信電流を変調することができる。負荷の変化は、電磁結合を通して充電装置へ反映され、これが伝送コイルに流れるタンク電圧や電流を測定することで変調信号を捕捉し得る。一例として、 振幅シフトキー(ASK)変調を用いてタンク電圧に情報をエンコードすることができる。
【0025】
図6は、ASK変調信号を受信して復号するように構成され得る処理回路600の一例を示す図である。処理回路600は、ASK変調信号612を使用して送信されるメッセージおよび/または受信したASK変調信号612から復号されたメッセージを格納することができるメモリデバイス604および/またはレジスタに結合され得るプロセッサ602を含む。処理回路600は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの何らかの組合せを用いて実装され得るASKデコーダ606を含む。ASKデコーダ606は、クロック生成または回復回路608から受信したクロック信号を使用して、送信ASK変調信号612のタイミングを制御し、受信ASK変調信号612のサンプリングおよび復号を制御することができる。
【0026】
図7は、電力レシーバと電力トランスミッタの間で交換されるメッセージをデジタル的に符号化するために適応され得る符号化スキーム700、720の例を示す。第1の例では、差動バイフェーズ符号化スキーム700は、データ信号704の位相でバイナリビットを符号化する。図示の例では、データバイト706の各ビットは、エンコーダクロック信号702の対応するサイクル708で符号化される。各ビットの値は、対応するサイクル708中のデータ信号704に遷移710の有無(位相変化)で符号化される。
【0027】
第2の例では、電源724は、電源信号振幅符号化スキーム720を用いて符号化される。図示の例では、データバイト726のバイナリビットは、電源724のレベルで符号化される。データバイト726の各ビットは、エンコーダクロック信号722の対応するサイクル728で符号化される。各ビットの値は、対応するサイクル708の間の電源724の公称100%電圧レベル730に対する電源724の電圧レベルで符号化される。
【0028】
選択的コイル励起
本明細書に開示された特定の態様によれば、1以上の充電セル内の伝送コイルを選択的にアクティブ化して、互換デバイスの充電に最適な電磁界を提供することができる。いくつかの実施例では、伝送コイルが充電セルに割り当てられ、一部の充電セルが他の充電セルと重なり得る。後者の場合、充電セル単位で最適な充電設定を選択することができる。他の例では、充電セルは、充電装置表面への充電対象デバイスの配置に基づいて規定されてもよい。このような他の例では、各充電イベントでアクティブ化されるコイルの組み合わせは異なり得る。いくつかの実装例では、充電装置は、充電イベント中に励起するために1以上のセルおよび/または1以上の所定の充電セルを選択できるドライバ回路を含み得る。
【0029】
図8は、本明細書に開示される特定の態様に従って、各コイルまたは充電セルがドライバ回路802によって個別および/または直接駆動されるトポロジ800の一例を示す。ドライバ回路802は、コイルグループ804から1以上のコイルまたは充電セル100を選択して、受電デバイスを充電するように構成され得る。充電セル100に関連してここに開示された概念は、個々のコイルまたはコイルスタックの選択的励起に適用され得ることを理解されたい。使用されていない充電セル100は電流が流れない。比較的多数の充電セル100を使用することができ、個々のコイルまたはコイルグループを駆動するためにスイッチングマトリクスを採用することができる。一例では、第1のスイッチングマトリクスは、充電イベント中に使用される充電セルまたはコイルグループを定義する接続を構成することができ、第2のスイッチングマトリクスは、充電セルおよび/または選択されたコイル群を励起するために使用することができる。
【0030】
いくつかの実装例では、コイル群804から受電デバイスを充電するための充電セル100を選択するために、マトリクススイッチング方式が採用され得る。
図2、3に示すハニカムパッケージング構成では、比較的多数の充電セル100を使用することができ、少なくともいくつかの充電セル100は、スイッチングマトリクスで論理的に配置または接続され得る。スイッチングマトリクスを使用することで、同調LC回路のネットワークを動作させるために必要なスイッチングコンポーネントの数を大幅に削減することができる。例えば、個別に接続されたN個のセルは少なくともN個のスイッチを必要とするが、N個のセルを有する2次元マトリクスは、√N個のスイッチで動作させることができる。1例では、9セルの実装例は、6つのスイッチを使用して3x3マトリクスで実装することができ、3つのスイッチを節約することができる。別の例では、16セルの実装は、8つのスイッチを使用して4x4マトリクスで実装することができ、8つのスイッチを節約することができる。動作中は、少なくとも2つのスイッチが閉じられ、1つのコイルをワイヤレストランスミッタおよび/またはレシーバ回路にアクティブに結合する。複数のコイルのワイヤレストランスミッタおよび/またはレシーバ回路への接続を容易にするために、複数のスイッチを一度に閉じることができる。例えば、複数のスイッチを閉じて、受電デバイスに電力を転送する際に、複数の伝送コイルを駆動する動作モードを有効にすることができる。
【0031】
マルチデバイス対応マルチコイルワイヤレス充電器の温度調節
モバイル通信デバイスに使用されるバッテリは、大電流を流したり、大電流で充電したりすると発熱する問題が生じやすい。デバイスに搭載されるバッテリは、デバイスのヒートシンクや放熱能力に限りがある場合、過熱しやすい場合がある。例えば、モバイル通信デバイスのバッテリは、気流が制限されるようなバッテリボリュームに密着する小さな空間内に配置されがちである。気流が制限されると、バッテリの充放電時の損失による熱の放散が阻害され、バッテリ付近やモバイル通信デバイス全体が熱くなることがある。バッテリの損傷を防ぎ、バッテリの構成成分の爆発や燃焼につながる化学反応の暴走を防ぐためには、発熱、蓄積、放熱の制御が必要である。特定の業界団体は、バッテリを過熱から保護する方法でバッテリの動作を管理するための標準とプロトコルを定義し公布している。例えば、日本電子情報技術産業協会(JEITA)は、リチウムイオンバッテリの動作限界を定めている。リチウムイオンバッテリは、エネルギー密度が高いこともあってポータブル電子機器に広く使用されており、JEITAのガイドラインや手順は、リチウムイオンバッテリの発火を防止することを目的とする。
【0032】
JEITAでは、高温で使用されるリチウムイオンバッテリに影響を与える動作条件を定義している。一例として、リチウムイオンバッテリの寿命、充電速度、充電容量、放電能力、温度制御を改善するためにパルス電流充電技術が使用される。JEITAでは、20%~80%の範囲でデューティサイクルを定義している。
【0033】
本開示の特定の態様は、充電装置がマルチデバイス・マルチコイルワイヤレス充電器である場合を含む、バッテリ充電中の充電式デバイスにおける過温度イベントを監視、制限および/または制御する技術、回路および方法を提供する。ワイヤレス充電器のために定義された、またはワイヤレス充電器によって定義された充電設定を変更して過熱イベントを制限および改善することで、JEITAプロトコルに従って充電式デバイスを動作させる際に、非効率な充電デューティサイクルの賦課を回避できる。
【0034】
ワイヤレス充電器は通常、充電対象デバイスのバッテリの温度や充電状態を認識しない。充電対象デバイスは、バッテリ温度を監視し、温度問題に対応するために、充電電力の低下を要求したり、冷却が完了まで充電を停止したりすることができる。充電対象デバイスによる充電電力の低減や充電停止の要求は、温度に関する理由以外にも様々な理由で行うことができる。例えば、充電対象デバイスのバッテリがフル容量またはフル容量に近くなったときに、充電電力の低減が要求されてもよい。したがって、充電電力変化の要求は、充電装置が充電対象デバイスのバッテリの充電状態を知らない場合に、バッテリの充電状態に基づく要求なのか温度状態に基づく要求なのかを区別するのに信頼性の低い指標となる。
【0035】
本開示の一態様では、充電装置(「充電パッド」とも呼ばれ得る)の表面で測定された温度を用いて、充電電力の変更要求の可能性が高い理由を判断することができる。一例では、充電装置の表面温度が公称値または予め設定された範囲内である場合の充電電力の低減要求は、充電対象デバイス内のバッテリがフル容量またはフル容量に近いことを示し得る。別の例では、充電装置の表面温度が公称最高温度を超えるか、予め設定された温度範囲から外れている場合の充電電力の低減要求は、充電対象デバイス内のバッテリが高温になっていることを示し得る。
【0036】
図9および10は、本開示の特定の態様に従って温度を測定するために装備され得るマルチデバイスワイヤレス充電装置の構成900、1000、1020を示す。
図9は、ワイヤレス充電装置の構成900の二次元図であり、温度センサ904
1~904
6および906
1~906
4が、ワイヤレス充電装置の表面902に設けられた充電セルのアレイ(LP1~LP18)の周囲に展開されている。水平温度センサ904
1~904
6および垂直温度センサ906
1~906
4の組み合わせにより、ワイヤレス充電装置の表面902にわたる温度の推定または計算マッピングが可能になり得る。温度センサ904
1~904
6、906
1~906
4は、熱電対やその他の温度測定装置を含むことができる。
【0037】
他の例では、温度センサは、各充電セルの中央部、または充電セルの各対の間に設けられ得る。
図10は、対応する充電セル1004
1~1004
3と垂直方向に整列して設けられた温度センサ1008
1~1008
3および1028
1~1028
3の異なる構成1000、1020の断面図を示す。温度センサ1008
1~1008
3および1028
1~1028
3は、熱電対や他の温度測定装置を含むことができる。温度センサ1008
1~1008
3、1028
1~1028
3は、ワイヤレス充電装置の表面902上またはその近くに位置する熱伝導層1006、1026に埋め込まれるか、取り付けられるか、または他の方法で熱伝導するように設けられる。
【0038】
熱伝導層1006、1026はさらに、電気絶縁として機能するか、またはワイヤレス充電装置の表面902の電磁特性を提供、強化または構成することができる。第1の構成1000では、熱伝導層1006は、ワイヤレス充電装置の表面902の上部またはその付近であって、充電セル10041~10043の下に設けられる。第2の構成1020では、熱伝導層1026は、充電セル10041~10043の上層に設けられる。他の構成(図示せず)では、温度センサは、充電セルと同じ層に設けられ、各充電セルの中央部または充電セル間に配置されてもよい。ワイヤレス充電装置は、電力伝送の低減要求が、充電対象デバイスによってバッテリ温度の問題が検出されたことを示すかどうかを判断する際に、表面温度を考慮するように構成することができる。
【0039】
いくつかの実装例では、温度センサ9041~9046、9061~9064、10081~10083および10281~10283は、計装された充電式デバイスを使用して較正することができる。一例では、計装された充電式デバイスは、1つまたは複数の充電セル10041~10043の上のワイヤレス充電装置の表面902に配置される。計装された充電式デバイスによって取得された内部温度の測定値と、温度センサ9041~9046、9061~9064または10081~10083によって捕捉された表面温度の同時測定値とを比較および相関させて、通常動作時の充電式デバイスの内部温度を推定するためにワイヤレス充電装置のコントローラ1002によって使用可能な情報を提供することができる。一例では、ワイヤレス充電装置は、通常動作中に充電されているデバイスの内部温度の推定値を得るために、ワイヤレス充電装置の表面温度を使用してインデックスを作成することができるルックアップテーブルを備えるように構成され得る。
【0040】
本開示の特定の態様によれば、ワイヤレス充電装置は、パッドまたは表面温度を含む情報と電力引き込み要求との組み合わせに基づいて、充電中のデバイスが冷却中であると判断することができる。ワイヤレス充電装置は、充電中のデバイス内で温度の変化が生じたことを推定または推測するために、ワイヤレス充電装置の表面で測定された温度変化を監視しながら、充電電力を最低レベルに低減することによって冷却を支援することができる。ワイヤレス充電装置は、温度が十分な速度で低下しない場合、充電を終了してもよい。ワイヤレス充電装置は、冷却中のデバイスの充電を終了した後、温度が十分な速度で低下しない場合、1つまたは複数の他のデバイスの充電を低減または終了させることができる。
【0041】
図11のグラフ1100は、本開示の特定の態様に従った、ワイヤレス充電デバイスによって管理される冷却プロセスを示す図である。グラフは、充電中のデバイスによって測定または推定されたバッテリ温度1102を表す曲線を含み、これは、ワイヤレス充電装置の表面で測定された温度と何らかの対応または相関を有し得る。ワイヤレス充電装置は、ワイヤレス充電装置の表面で測定された温度に基づいて、充電中のデバイスの内部温度を推定することができる。
【0042】
当初、バッテリ温度1102は、第1の時点1104で高温限界1130に達するまで上昇する。高温限界1130は、充電対象デバイスのバッテリに対して定義された最大温度に対応し得る。プロトコルや業界標準により、最高温度に達すると充電電力が制限される場合がある。充電対象デバイスは、伝送電力の変更要求を出し、それによって電力伝送レートが低減する。一例では、充電対象デバイスが、高温バッテリを充電するためのプロトコルまたは標準で定義されたデューティサイクルに適合するように電力伝送を生じさせるような要求を発行することができる。デューティサイクルによる充電に制限が課されることで、充電や温度低減の効率が悪くなる場合がある。
【0043】
一態様では、ワイヤレス充電装置は、ワイヤレス充電装置の表面で測定された温度が、充電対象デバイスのバッテリ温度1102が閾値温度レベルを超えて、高温限界1130に達するか、高温限界1130の範囲内にあることを示すとき、伝送電力の変更要求を過温度イベントと関連付けることができる。ワイヤレス充電装置は、過温度イベントが発生したと判定された場合、冷却モード1120に入ることができる。冷却モード1120は、測定または推定されたバッテリ温度1102が低温閾値1132に達するまで継続することができる。冷却モード1120に対して複数のフェーズまたはステージを定義することができる。
【0044】
冷却モード1120の第1ステージ1122は、温度限界がトリガされた後、または高温限界1130に達した後に開始される。第1ステージ1122において、ワイヤレス充電装置は、充電対象デバイスからの切断をトリガしたり切断を引き起こしたりしない最低レベルまで、伝送電力を低減することができる。伝送電力の最低レベルは、充電対象デバイスの散逸電力の最低レベルに関連付けられ、測定または推定されたバッテリ温度1102の低下が予想され得る。冷却モード1120では限定された持続時間を定義することができ、バッテリ温度1102は、冷却モード1120の持続時間内に低温閾値1132のレベルまで低下することが期待され得る。バッテリ温度1102の熱勾配を監視して、バッテリ温度1102が冷却モード1120の間に低温閾値1132を下回る可能性が高いかを判定することができる。図示の例では、バッテリ温度1102の変化率は変化し、複数の温度勾配1106、1108、1110によって特徴付けられ得る。温度勾配1106、1108、1110は、指定されたタイマ間隔で定義される期間にわたって測定または推定されたバッテリ温度1102の差に基づいて算出され得る。
【0045】
最初の温度勾配1106は、冷却モード1120が有効である間に、バッテリ温度1102が低温閾値1132に達する可能性と一致する。バッテリ温度1102の変化率は、後に発生する2つの温度勾配1108および1110と、ゼロ勾配1112への平準化とによって示されるように、減少する。したがって、図示の例では、冷却モード1120が有効である間、測定または推定されたバッテリ温度1102が低温閾値1132に到達しないことは明らかである。この例では、第1ステージ1122が終了し、第2ステージ1124が開始される。
【0046】
第2ステージ1124では、ワイヤレス充電装置は、充電対象デバイスへの電力伝送を終了する。伝送電力がないため、充電から生じるエネルギー散逸がなくなり、他の加熱源がない限りバッテリ温度1102の低下1114が期待される。バッテリ温度1102の熱勾配を監視して、冷却モード1120の間にバッテリ温度1102が予め設定された最大冷却期間内に低温閾値1132を下回る可能性があるかどうかを判定することができる。予め設定された最大クールダウン時間は、規格、プロトコル、または充電対象デバイスのタイプや能力を識別する情報に基づいて定義され得る。予め設定された最大クールダウン時間は、充電対象デバイスに定義された充電設定によって指定されてもよい。図示の例では、バッテリ温度1102の変化率は一定であるか、バッテリ温度1102が低温閾値1132を下回る可能性が低いことを示す勾配を有している。ここで、第2ステージ1124が終了し、第3ステージ1126が開始される。
【0047】
第3ステージ1126では、ワイヤレス充電装置によって1または複数の近接デバイスに伝送される電力レベルが低減または終了される。第3ステージ1126では、複数のデバイスにわたって冷却が強制され、近接デバイスの充電に関与する充電セルで測定される温度も監視され得る。いくつかの実装例では、熱遮断または熱制限をワイヤレス充電装置の表面902にわたってグローバルに適用して、すべてのデバイスを冷却することができ、それによって、ワイヤレス充電装置およびワイヤレス充電装置の表面902上に配置されたすべてのデバイスを含む充電システムを冷却することができる。バッテリ温度1102の温度勾配は、冷却モード1120中にバッテリ温度1102が低温閾値1132を下回る可能性があるかどうかを判定するために監視され得る。図示の例では、バッテリ温度1102の低下1116が発生する。
【0048】
図12は、マルチコイルワイヤレス充電システムによって充電されているデバイスにおける熱冷却を管理する方法の第1の例を示すフローチャート1200である。この方法は、マルチコイルワイヤレス充電システム内のコントローラ1002によって実行される。マルチコイルワイヤレス充電システムは、複数の充電式デバイスを同時に充電することが可能であり得る。ブロック1202において、コントローラ1002は、マルチコイルワイヤレス充電システムの表面902上またはその近くに配置された受電デバイスの存在を検出することができる。コントローラ1002は、受電デバイスに問合せおよび/またはネゴシエートして、充電設定を生成することができる。次いで、コントローラ1002は、充電設定に従って、マルチコイルワイヤレス充電システムの1つまたは複数の伝送コイルに充電電流を供給させることができる。
【0049】
ブロック1204において、コントローラ1002は、受電デバイスが温度限界に達したかどうかを判定することができる。この温度限界は、受電デバイスにおいて充電されているバッテリの温度に関連し得る。温度限界は、マルチコイルワイヤレス充電システムの表面で測定された温度に基づいて、到達したと判定することができる。コントローラ1002が温度限界に達していないと判断した場合、充電はブロック1202で継続される。温度限界に達したとコントローラ1002が判断した場合、コントローラ1002は、受電デバイスからの電力削減要求を、受電デバイスがその温度を下げようとしていることを示すものとして解釈し、コントローラ1002はブロック1206に進むことができる。
【0050】
一例では、コントローラ1002は、ブロック1206において、要求された電力レベルが、充電設定、プロトコルまたはシステム構成によって定義された最小電力レベルを下回るかどうかを判断することができる。要求された電力レベルが最小電力レベルを超えるか等しい場合、ブロック1202において、要求された低い電力レベルで充電を継続することができる。要求された電力レベルが最小電力レベルより小さい場合、コントローラ1002は、受電デバイスが冷却を試みていると判断し、ブロック1208で冷却モードに入ることができる。受電デバイスは、プロトコルで定義されたデューティサイクルを実行するために、最小電力レベルよりも低い電力レベルを要求することがある。
【0051】
いくつかの実施例では、コントローラ1002は、温度限界に達していないときに受電デバイスから受信する伝送電力の変更要求、および充電電力レベルに関する1以上の要求に応答していもよい。
【0052】
処理回路の例
図13は、バッテリをワイヤレス充電することを可能にする充電装置または受電デバイスに組み込むことができる装置1300のハードウェア実装の一例を示す図である。いくつかの例では、装置1300が、本明細書に開示の1以上の機能を実行することができる。本開示の様々な態様によれば、本明細書に開示の要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せを、処理回路1302を用いて実装することができる。処理回路1302は、ハードウェアモジュールおよびソフトウェアモジュールのある組合せによって制御される1以上のプロセッサ1304を含むことができる。プロセッサ1304の例は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、SoC、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラム可能論理デバイス(PLD)、ステートマシン、シーケンサ、ゲートロジック、離散ハードウェア回路、および本開示を通じて説明する様々な機能性を行うために構成される他の適切なハードウェア、を含む。1以上のプロセッサ1304は、特定の機能を実行する専用のプロセッサを含むことができ、ソフトウェアモジュール1316の1つによって構成、増強または制御され得る。1以上のプロセッサ1304は、初期化中にロードされるソフトウェアモジュール1316の組合せを通じて構成されてもよく、動作中に1以上のソフトウェアモジュール1316をロードまたはアンロードすることによってさらに構成されてもよい。
【0053】
図示の例では、処理回路1302が、概してバス1310で示されるバスアーキテクチャで実装され得る。バス1310は、処理回路1302の特定の用途および全体的な設計上の制約に応じて、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含むことができる。バス1310は、1以上のプロセッサ1304およびストレージ1306を含む様々な回路をリンクする。ストレージ1306は、メモリデバイスおよび大容量ストレージデバイスを含むことができ、本明細書では、コンピュータ可読媒体および/またはプロセッサ可読媒体とも呼ばれる。ストレージ1306は、一時的な記憶媒体および/または非一時的な記憶媒体を含むことができる。
【0054】
バス1310は、タイミングソース、タイマ、周辺機器、電圧レギュレータおよび電源管理回路などの様々な他の回路をリンクしてもよい。バスインターフェース1308は、バス1310と1以上のトランシーバ1312との間のインターフェースを提供することができる。一例では、標準規定プロトコルに従って、装置1300が充電装置または受電デバイスと通信できるようにするために、トランシーバ1312を設けることができる。また、装置1300の性質に応じて、ユーザインタフェース1318(例えば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイク、ジョイスティック)が提供されてもよく、バス1310に直接またはバスインターフェース1308を介して通信可能に結合することができる。
【0055】
プロセッサ1304は、バス1310の管理と、ストレージ1306を含むコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアの実行を含む全体的な処理とを担うことができる。この点において、プロセッサ1304を含む処理回路1302は、本明細書に開示の方法、機能および技術のいずれかを実装するために使用することができる。ストレージ1306は、ソフトウェアの実行時にプロセッサ1304によって操作されるデータを格納するために使用することができ、ソフトウェアは、本明細書に開示の方法のいずれか一つを実行するように構成することができる。
【0056】
処理回路1302の1以上のプロセッサ1304は、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかに拘わらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、関数、アルゴリズムなどを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、コンピュータ可読形式でストレージ1306に存在するようにしても、外部のコンピュータ可読媒体に存在するようにしてもよい。外部のコンピュータ可読媒体および/またはストレージ1306は、非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、「フラッシュドライブ」、カード、スティック、キードライブ)、RAM、ROM、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、EEPROMを含む消去可能PROM(EPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を格納するための他の任意の適切な媒体を含むことができる。また、コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1306は、例えば、搬送波、伝送線、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を伝送するための他の任意の適切な媒体も含むことができる。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1306は、処理回路1302に存在していても、プロセッサ1304に存在していても、処理回路1302の外部にあっても、処理回路1302を含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1306は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、特定の用途およびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0057】
ストレージ1306は、本明細書でソフトウェアモジュール1316とも呼ばれる、ロード可能なコードセグメント、モジュール、アプリケーション、プログラムなどのソフトウェアを維持および/または編成することができる。ソフトウェアモジュール1316の各々は、処理回路1302にインストールまたはロードされて、1以上のプロセッサ1304によって実行されると、1以上のプロセッサ1304の動作を制御するランタイムイメージ1314に寄与する命令およびデータを含むことができる。特定の命令は、実行されると、処理回路1302に、本明細書に記載の特定の方法、アルゴリズムおよびプロセスに従って機能を実行させることができる。
【0058】
ソフトウェアモジュール1316のいくつかは、処理回路1302の初期化中にロードされるものであってもよく、これらのソフトウェアモジュール1316は、本明細書に開示の様々な機能の実行を可能にするように処理回路1302を構成することができる。例えば、いくつかのソフトウェアモジュール1316は、プロセッサ1304の内部デバイスおよび/または論理回路1322を構成することができ、トランシーバ1312、バスインターフェース1308、ユーザインターフェース1318、タイマ、数値演算コプロセッサなどの外部デバイスへのアクセスを管理することができる。ソフトウェアモジュール1316は、割り込みハンドラおよびデバイスドライバと相互作用し、処理回路1302が提供する様々なリソースへのアクセスを制御する制御プログラムおよび/またはオペレーティングシステムを含むことができる。リソースは、メモリ、処理時間、トランシーバ1312へのアクセス、ユーザインタフェース1318などを含むことができる。
【0059】
処理回路1302の1以上のプロセッサ1304は多機能であり、それによってソフトウェアモジュール1316のいくつかがロードされ、異なる機能または同じ機能の異なるインスタンスを実行するように構成される。さらに、1以上のプロセッサ1304は、例えばユーザインタフェース1318、トランシーバ1312およびデバイスドライバからの入力に応答して開始されるバックグラウンドタスクを管理するように適合されてもよい。複数の機能の実行をサポートするために、1以上のプロセッサ1304は、マルチタスク環境を提供するように構成されてもよく、それによって複数の機能の各々が、必要に応じて1以上のプロセッサ1304によって提供されるタスクのセットとして実装される。一例では、マルチタスク環境は、異なるタスク間でプロセッサ1304の制御を引き渡すタイムシェアリングプログラム1320を使用して実装されてもよく、それによって各タスクは、未処理の動作の完了時および/または割り込みなどの入力に応答して、1以上のプロセッサ1304の制御をタイムシェアリングプログラム1320に戻す。タスクが1以上のプロセッサ1304の制御を有する場合、処理回路は、制御タスクに関連する機能によって対処される目的のために効果的に特化される。タイムシェアリングプログラム1320は、オペレーティングシステム、ラウンドロビン方式で制御を転送するメインループ、機能の優先順位に従って1以上のプロセッサ1304の制御を割り当てる機能、および/または、1以上のプロセッサ1304の制御を処理機能に提供することによって外部イベントに応答する割込み作動メインループを含むことができる。
【0060】
一実施態様では、装置1300は、充電回路に結合されたバッテリ充電電源と、複数の充電セルと、1以上のドライバ回路(例えば
図5、8参照)と、1以上のプロセッサ1304に含まれ得るコントローラとを有するワイヤレス充電装置を含むか、またはそのように動作する。1以上のドライバ回路は、伝送コイルに流れるタンク電圧または電流からASK変調されたメッセージを復号するように構成され得る。複数の充電セルは、充電面を提供するように構成され得る。少なくとも1つのコイルは、各充電セルの電荷伝送領域を通して電磁場を導くように構成され得る。1以上のドライバ回路は、充電装置の表面近くに配置された伝送コイルを駆動するように構成された第1のドライバ回路を含み得る。コントローラは、ドライバ回路に、伝送コイルに充電電流を供給させ、充電電流の変調から伝送電力低減要求をデコードし、充電装置の表面で測定された温度が閾値温度未満である場合に伝送電力低減要求に従って充電電流の振幅を低減し、充電装置の表面で測定された温度が閾値温度以上である場合に冷却シーケンスを開始するよう構成され得る。一例では、伝送電力低減要求は、充電電流に重畳されたASK変調信号で提供され得る。
【0061】
一例では、1以上のセンサが装置1300の充電面に熱伝導的に結合され、充電装置の表面の少なくとも一部の周期的な温度測定を提供するように構成され得る。閾値温度レベルは、充電手順中に行われる事前のキャリブレーションから取得される。充電装置の表面で測定された温度が閾値温度以上である場合は、充電対象デバイスの内部温度が温度制限を超えていることを示している可能性がある。
【0062】
いくつかの例では、閾値電圧レベルはルックアップテーブルに保持される。ルックアップテーブルは、複数のデバイスタイプの各々に対する閾値温度を含み得る。コントローラはさらに、冷却シーケンスを開始する際に、より低い伝送電力要求に応じて、最小伝送電力を提供するように構成され得る。コントローラはさらに、充電装置の表面で測定された温度測定値の時系列の勾配を特定し、当該温度測定値の時系列の勾配が、充電装置の表面が、充電対象デバイスについて定義された冷却期間中の再開温度以上のままであることを示す場合に、充電電流を終了させるように構成され得る。
【0063】
いくつかの実施例では、コントローラはさらに、充電装置の表面で測定された温度測定値の時系列の勾配を特定し、当該温度測定値の時系列の勾配が、充電装置の表面が、充電対象デバイスについて定義された冷却期間中の再開温度以上のままであることを示す場合に、充電装置の1または複数のドライバ回路の出力を低減させるように構成され得る。
【0064】
いくつかの実施例では、コントローラはさらに、充電装置の表面で測定された温度測定値の第1の時系列の第1の勾配を特定し、当該第1の時系列の温度測定値の第1の勾配が、充電装置の表面が第1の冷却期間中における充電対象デバイスについて定義された再開温度以上のままであることを示す場合に充電電流を終了させ、また、充電電流を終了させた後に充電装置の表面で測定された温度測定値の第2の時系列の第2の勾配を特定し、温度測定値の第2の時系列の第2の勾配が、充電装置の表面が充電対象デバイスについて第2の冷却期間中における定義された再開温度以上のままであることを示す場合に、充電装置の1以上の他のドライバ回路の電力出力を低減するように構成される。
【0065】
特定の実施例では、ストレージ1306が命令と情報を保持し、当該命令が、1以上のプロセッサ1304に、ドライバ回路に、充電装置の表面近くに位置する伝送コイルを駆動させ、ドライバ回路に充電電流を伝送コイルに供給させ、充電電流の変調から伝送電力低減要求をデコードし、充電装置の表面で測定された温度が閾値温度未満である場合に伝送電力低減要求に従って充電電流の振幅を低減し、充電装置の表面で測定された温度が閾値温度以上である場合に冷却シーケンスを開始させるよう構成される。
【0066】
いくつかの実施例では、命令は、充電装置の表面に熱伝導的に結合された1つまたは複数のセンサから温度測定値を受信、獲得、または取得するように構成され得る。閾値温度の値は、充電手順中に行われる事前のキャリブレーションから取得することができる。充電装置の表面で測定された温度が閾値温度以上である場合は、充電対象デバイスの内部温度が温度制限を超えていることを示している可能性がある。
【0067】
いくつかの例では、閾値電圧レベルはルックアップテーブルに保持される。ルックアップテーブルは、複数のデバイスタイプの各々に対する閾値温度を含み得る。命令は、冷却シーケンスを開始する際に、より低い伝送電力要求に応じて、最小伝送電力を提供するように構成され得る。命令は、充電装置の表面で測定された温度測定値の時系列の勾配を特定し、当該温度測定値の時系列の勾配が、充電装置の表面が、充電対象デバイスについて定義された冷却期間中の再開温度以上のままであることを示すとき、充電電流を終了させるように構成され得る。命令は、充電装置の表面で測定された温度測定値の時系列の勾配を特定し、当該温度測定値の時系列の勾配が、充電装置の表面が、充電対象デバイスについて定義された冷却期間中の再開温度以上のままであることを示す場合に、充電装置の1または複数のドライバ回路の出力を低減させるように構成され得る。
【0068】
いくつかの実施例では、命令は、充電装置の表面で測定された温度測定値の第1の時系列の第1の勾配を特定し、当該第1の時系列の温度測定値の第1の勾配が、充電装置の表面が第1の冷却期間中における充電対象デバイスについて定義された再開温度以上のままであることを示す場合に充電電流を終了させ、また、充電電流を終了させた後に充電装置の表面で測定された温度測定値の第2の時系列の第2の勾配を特定し、温度測定値の第2の時系列の第2の勾配が、充電装置の表面が充電対象デバイスについて第2の冷却期間中における定義された再開温度以上のままであることを示す場合に、充電装置の1以上の他のドライブ回路の電力出力を低減するように構成される。
【0069】
図14は、本開示の特定の態様に従った充電装置の動作方法を示すフローチャート1400である。この方法は、充電装置内のコントローラを用いて実行することができる。ブロック1402において、コントローラは、充電装置の表面付近に配置された伝送コイルを駆動するようにドライバ回路を構成することができる。ブロック1404において、コントローラは、ドライバ回路に、伝送コイルに充電電流を供給させることができる。ブロック1406において、コントローラは、充電電流の変調から、伝送電力低減要求をデコードすることができる。ブロック1408において、コントローラは、充電対象デバイスにおいて過温度状態が存在するか、または示されているかどうかを決定することができる。過温度状態は、電池の温度が、定格、プロトコル、または設計者によって規定された最大温度を超えたことに対応し得る。過温度状態は、充電装置の表面で測定された温度が閾値温度を超えた場合に示され得る。一実施例では、ブロック1410において、コントローラが、充電装置の表面で測定された温度が閾値温度未満である場合に、伝送電力低減要求に応じて、充電電流の振幅を低減することができる。別の実施例では、ブロック1412において、コントローラが、充電装置の表面で測定された温度が閾値温度以上となった場合に、冷却シーケンスを開始することができる。
【0070】
いくつかの実施例では、コントローラは、充電装置の表面に熱伝導的に結合された1つまたは複数のセンサから温度測定値を受信することができる。センサは、例えば、充電装置の表面に埋め込まれるか、例えば熱伝導性の接着剤を用いて固定または取り付けられると、充電装置の表面に熱伝導的に結合される。いくつかの例では、閾値温度の値は、充電手順中に行われる事前のキャリブレーションから取得することができる。いくつかの例では、充電装置の表面で測定された温度が閾値温度以上である場合は、充電対象デバイスの内部温度が温度制限を超えていることを示している。
【0071】
特定の例では、閾値電圧レベルはルックアップテーブルに保持される。ルックアップテーブルは、複数のデバイスタイプの各々に対する閾値電圧レベルを含み得る。
特定の例では、冷却シーケンスは、伝送電力低減要求に応答して最小の伝送電力を提供することによって開始され得る。充電装置の表面で測定された温度測定値の時系列の勾配を、決定、推定または計算することができる。充電電流は、温度測定値の時系列の勾配が、充電装置の表面が冷却期間中、充電対象デバイスについて定義された再開温度以上のままであることを示す場合に、終了され得る。温度測定値の時系列の勾配が、充電装置の表面が冷却期間中、充電対象デバイスについて定義された再開温度以上のままであることを示す場合、充電装置内の1つまたは複数の他のドライバ回路の電力出力が低減され得る。
【0072】
特定の例では、充電装置の表面で測定された温度測定値の第1の時系列の第1の勾配を決定することができる。充電電流は、温度測定値の第1の時系列の第1の勾配が、充電装置の表面が第1の冷却期間中、充電対象デバイスについて定義された再開温度以上のままであることを示す場合に、終了され得る。第1の冷却期間は、規格、プロトコル、またはシステム設計者によって定義され得る。充電電流を終了させた後に、充電装置の表面で測定された温度測定値の第2の時系列の第2の勾配を、決定、推定または計算することができる。温度測定値の第2の時系列の第2の勾配が、充電装置の表面が第2の冷却期間中、充電対象デバイスについて定義された再開温度以上のままであることを示す場合、充電装置内の1つまたは複数の他のドライバ回路の電力出力が低減され得る。
【0073】
いくつかの実施例を以下の番号の項目に記載する。
1.充電装置の作動方法であって、ドライバ回路が前記充電装置の表面近くに配置された伝送コイルを駆動するように構成するステップと、前記ドライバ回路に、前記伝送コイルに充電電流を供給させるステップと、充電電流の変調から伝送電力低減要求をデコードするステップと、前記充電装置の表面で測定された温度が閾値温度未満である場合に前記伝送電力低減要求に従って充電電流の振幅を低減するステップと、前記充電装置の表面で測定された温度が前記閾値温度以上である場合に冷却シーケンスを開始するステップを含むことを特徴とする方法。
【0074】
2.前記充電装置の表面に熱伝導的に結合された1以上のセンサから温度測定値を受信するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
【0075】
3.前記閾値温度は、充電手順中に行われる事前のキャリブレーションに基づいて設定される、項目1または項目2に記載の方法。
【0076】
4.前記充電装置の表面で測定された温度が前記閾値温度以上である場合、充電対象デバイスの内部温度が温度制限を超えていることを示す、項目1~3のいずれかに記載の方法。
【0077】
5.前記閾値温度はルックアップテーブルで規定されている、項目1~4のいずれかに記載の方法。
【0078】
6.前記ルックアップテーブルは、複数のデバイスタイプのそれぞれに対する閾値温度を含む、項目5に記載の方法。
【0079】
7.前記冷却シーケンスを開始するステップは、前記伝送電力低減要求に応答して、最小の伝送電力を提供することを含む、項目1~6のいずれかに記載の方法。
【0080】
8.前記充電装置の表面で測定された温度測定値の時系列の勾配を特定するステップと、前記温度測定値の時系列の勾配が、前記充電装置の表面が、充電対象デバイスについて定義された冷却期間中の再開温度以上のままになることを示す場合に、充電電流を終了させるステップとを含む、項目7に記載の方法。
【0081】
9.前記充電装置の表面で測定された温度測定値の時系列の勾配を特定するステップと、前記温度測定値の時系列の勾配が、前記充電装置の表面が、充電対象デバイスについて定義された再開温度以上のままになることを示す場合に、前記充電装置内の1以上の他のドライバ回路の電力出力を低減させるステップとをさらに含む、項目7または8に記載の方法。
【0082】
10.前記充電装置の表面で測定された温度が前記閾値温度以上である場合、充電対象デバイスの内部温度が温度制限を超えていることを示す、項目7~9のいずれかに記載の方法。
【0083】
11.充電装置であって、前記充電装置の表面近くに配置された伝送コイルを駆動するように構成されたドライバ回路と、コントローラであって、前記ドライバ回路に、前記伝送コイルに充電電流を供給させ、充電電流の変調から伝送電力低減要求をデコードさせ、前記充電装置の表面で測定された温度が閾値温度未満である場合に前記伝送電力低減要求に従って充電電流の振幅を低減させ、前記充電装置の表面で測定された温度が前記閾値温度以上である場合に冷却シーケンスを開始させるように構成されたコントローラとを含むことを特徴とする充電装置。
【0084】
12.前記充電装置の表面に熱伝導可能に結合され、前記充電装置の表面の少なくとも一部の周期的な温度測定値を提供するように構成された1以上のセンサをさらに具える、項目11に記載の充電装置。
【0085】
13.前記閾値温度は、充電手順中に行われる事前のキャリブレーションに基づいて設定される、項目11または12に記載の充電装置。
【0086】
14.前記充電装置の表面で測定された温度が前記閾値温度以上である場合、充電対象デバイスの内部温度が温度制限を超えていることを示す、項目11~13のいずれかに記載の充電装置。
【0087】
15.前記閾値温度は、ルックアップテーブルで定義される、請求項11~15のいずれかに記載の充電装置。
【0088】
16.前記ルックアップテーブルは、複数のデバイスタイプの各々に対する閾値温度を含む、項目15に記載の充電装置。
【0089】
17.前記コントローラはさらに、冷却シーケンスを開始する際に、より低い伝送電力要求に応じて、最小伝送電力を提供するように構成される、項目11~16のいずれかに記載の充電装置。
【0090】
18.前記コントローラはさらに、充電装置の表面で測定された温度測定値の時系列の勾配を特定し、当該温度測定値の時系列の勾配が、充電装置の表面が、充電対象デバイスについて定義された冷却期間中の再開温度以上のままであることを示すとき、充電電流を終了させるように構成される、項目17に記載の充電装置。
【0091】
19.前記コントローラはさらに、充電装置の表面で測定された温度測定値の時系列の勾配を特定し、当該温度測定値の時系列の勾配が、充電装置の表面が、充電対象デバイスについて定義された冷却期間中の再開温度以上のままであることを示す場合に、充電装置の1または複数のドライバ回路の出力を低減させるように構成される、項目17または18に記載の充電装置。
【0092】
20.前記コントローラはさらに、充電装置の表面で測定された温度測定値の第1の時系列の第1の勾配を特定し、当該第1の時系列の温度測定値の第1の勾配が、充電装置の表面が第1の冷却期間中における充電対象デバイスについて定義された再開温度以上のままであることを示す場合に充電電流を終了させ、また、充電電流を終了させた後に充電装置の表面で測定された温度測定値の第2の時系列の第2の勾配を特定し、温度測定値の第2の時系列の第2の勾配が、充電装置の表面が充電対象デバイスについて第2の冷却期間中における定義された再開温度以上のままであることを示す場合に、充電装置の1以上の他のドライブ回路の電力出力を低減するように構成される、項目17~19のいずれかに記載の充電装置。
【0093】
上述した説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施できるようにするために提供されたものである。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、本明細書で規定される一般的な原理は、他の態様に適用することができる。このため、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、請求項の文言と一致する全範囲が認められるものであり、単数形の要素への言及は、特に明記がなければ、「唯一の」を意味するものではなく、「1以上」を意味するものとする。特に明記されていない限り、「いくつか」という用語は1以上を指している。当業者に知られている、または後に当業者に知られるようになる、本開示を通して説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的均等物は、引用により本明細書に明示的に援用されるとともに、特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図していない。クレームの要素は、その要素が 「means for」という語句で明示的に記載されているか、方法クレームの場合には「step for」という語句で記載されていなければ、35U.S.C.§112、第6章の規定に基づいて解釈されるべきではない。
【国際調査報告】