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特表2023-548495スパイラル取得を用いたスピンエコーMR画像
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】スパイラル取得を用いたスピンエコーMR画像
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
A61B5/055 312
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526587
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 EP2021080579
(87)【国際公開番号】W WO2022096545
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】20206356.6
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】フュデラー ミハ
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA17
4C096AB18
4C096AD06
4C096BA05
4C096BB02
(57)【要約】
本発明は、MR装置1の検査ボリューム内に配置された対象10のMRイメージング方法に関する。本発明の目的は、強い局所的な主磁場不均一性によるリンギングアーチファクトの低減されたレベルを有するスパイラルMR画像を可能にすることである。本発明の方法は、対象を、RF励起パルス31及びその後のRFリフォーカスパルス32を有する撮像シーケンスに供することによってスピンエコーを生成するステップであって、RFリフォーカスパルス32の後に、変調されたリードアウト磁場勾配34が印加される、ステップと、k空間内のスパイラル軌道に沿ってスピンエコーを記録することによってMR信号データを取得するステップであって、スパイラル軌道を規定するリードアウト磁場勾配34の波形が、スピンエコー中心33より前に開始される、ステップと、取得されたMR信号データからMR画像を再構成するステップと、を有する。更に、本発明は、MR装置1及びMR装置1のためのコンピュータプログラムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MR装置の検査ボリューム内に配される対象のMRイメージング方法であって、
RF励起パルス及びその後のRFリフォーカスパルスを含む撮像シーケンスに前記対象を供することにより、スピンエコーを生成するステップであって、変調されたリードアウト磁場勾配が前記RFリフォーカスパルスの後に印加される、ステップと、
k空間内のスパイラル軌道に沿ってスピンエコーを記録することによりMR信号データを取得するステップであって、前記スパイラル軌道を規定する前記リードアウト磁場勾配の波形がスピンエコー中心より前に開始され、取得されたMR信号を拡散重み付けするように前記RFリフォーカスパルスの前及び後に拡散強調磁場勾配が印加され、前記RFリフォーカスパルスの前に印加される前記拡散強調磁場勾配の持続時間は、前記RFリフォーカスパルスの後に印加される前記拡散強調磁場勾配の持続時間よりも長い、ステップと、
前記取得されたMR信号データから拡散強調MR画像を再構成するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記リードアウト磁場勾配の波形の前記開始が、前記スピンエコー中心に対して、前記スパイラル軌道の総取得時間の4分の1から2分の1シフトされ、又は3分の1シフトされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スパイラル軌道を規定する前記リードアウト磁場勾配の波形が、前記スピンエコー中心の2~15ms前に開始される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記MR画像の前記再構成が、B0マップに基づいてブラー除去を実行することを含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
検査ボリューム内に均一な静磁場を生成する少なくとも1つの主磁石コイルと、
前記検査ボリューム内の異なる空間方向に勾配を生成する複数の勾配コイルと、
前記検査ボリューム内にRFパルスを生成する、及び/又は前記検査ボリューム内に位置付けられる前記対象からMR信号を受信する、少なくとも1つのRFコイルと、
時間的に連続するRFパルス及び切り替え磁場勾配を制御する制御ユニットと、
前記受信されたMR信号からMR画像を再構成する再構成ユニットと、
を有するMR装置であって、前記MR装置が、
RF励起パルス及びその後のRFリフォーカスパルスを含む撮像シーケンスを生成することによりスピンエコーを生成するステップであって、変調されたリードアウト磁場勾配が前記RFリフォーカスパルスの後に印加される、ステップと、
k空間内のスパイラル軌道に沿ってスピンエコーを記録することによりMR信号データを取得するステップであって、前記スパイラル軌道を規定する前記リードアウト磁場勾配の波形がスピンエコー中心より前に開始され、取得されたMR信号を拡散重み付けするように前記RFリフォーカスパルスの前及び後に拡散強調磁場勾配が印加され、前記RFリフォーカスパルスの前に印加される前記拡散強調磁場勾配の持続時間が、前記RFリフォーカスパルスの後に印加される前記拡散強調磁場勾配の持続時間より長い、ステップと、
前記取得されたMR信号データから拡散強調MR画像を再構成するステップと、
を実行するMR装置。
【請求項6】
MR装置上で実行されるコンピュータプログラムであって、
RF励起パルス及びその後のRFリフォーカスパルスを含む撮像シーケンスを適用することによってスピンエコーを生成するステップであって、変調されたリードアウト磁場勾配が、前記RFリフォーカスパルスの後に適用される、ステップと、
k空間内のスパイラル軌道に沿ってスピンエコーを記録することによってMR信号データを取得するステップであって、前記スパイラル軌道を規定するリードアウト磁場勾配の波形がスピンエコー中心より前に開始され、取得されたMR信号を拡散重み付けするように前記RFリフォーカスパルスの前及び後に拡散強調磁場勾配が適用され、前記RFリフォーカスパルスの前に適用される前記拡散強調磁場勾配の持続時間が、前記RFリフォーカスパルスの後に適用される前記拡散強調磁場勾配の持続時間より長い、ステップと、
取得されたMR信号データから拡散強調MR画像を再構成するステップと、
を実行させる命令を有するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴(MR)イメージングの分野に関する。本発明は、対象のMRイメージング方法に関する。本発明は更に、MR装置、及びMR装置上で実行されるコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2次元又は3次元画像を形成するために磁場と原子核スピンとの間の相互作用を利用する画像形成MR方法は、軟組織の撮像に関して、多くの点で他のイメージング方法よりも優れており、電離放射線を必要とせず、通常侵襲性ではないので、今日、特に医療診断の分野で広く使用されている。
【0003】
一般的なMR方法によれば、対象、例えば検査されるべき患者の身体は、強力で均一な磁場内に配置され、かかる磁場の方向は同時に、測定値の基礎となる座標系の軸(通常はz軸)を規定する。磁場は、定義された周波数(いわゆるラーモア周波数又はMR周波数)の交番電磁場(RF場)の印加によって励起されることができる磁場強度(スピン共鳴)に依存して、個々の核スピンについてそれぞれ異なるエネルギーレベルを生成する。巨視的観点から、個々の核スピンの分布は、全体的な磁化を生成し、全体的な磁化は、適当な周波数の電磁パルス(RFパルス)の印加により平衡状態から外れて偏向されることができ、その結果、磁化はz軸を中心に歳差運動を行う。歳差運動は、開口角をフリップ角と呼ぶ円錐の表面を描く。フリップ角の大きさは、印加される電磁パルスの強度及び持続時間に依存する。いわゆる90°パルスの場合、スピンは、z軸から横断方向の平面に偏向される(フリップ角90°)。
【0004】
RFパルスの終了後、磁化は元の平衡状態に戻り、この場合、z方向の磁化は、第1の時定数T1(スピン格子又は縦緩和時間)で再び構築され、z方向に直交する方向の磁化は、第2の時定数T2(スピン-スピン又は横緩和時間)で緩和される。磁化の変動は、磁化の変動がz軸に垂直な方向において測定されるよう、MR装置の検査ボリューム内に配置され方向付けられた受信RFコイルによって検出されることができる。横方向磁化の減衰は例えば、90°パルスの印加の後、同じ位相を有する秩序状態から全ての位相角が均一に分布する状態(ディフェージング)への原子核スピンの遷移(局所磁場の不均一性によって引き起こされる)を伴う。ディフェージングは、例えばリフォーカスパルス(例えば180°パルス)によって補償することができる。これにより、受信コイルにエコー信号(スピンエコー)を生成する。
【0005】
身体内の空間分解能を実現するために、3つの主軸に沿って延びる磁場勾配が、均一な磁場に重畳され、それによりスピン共鳴周波数の線形空間依存性をもたらす。次いで、受信コイル内においてピックアップされる信号は、身体内の異なるロケーションに関連付けられることができる異なる周波数成分を含む。受信コイルを介して得られる信号データは、空間周波数ドメインに対応し、k空間データと呼ばれる。k空間データの組は、画像再構成アルゴリズムによってMR画像に変換される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スパイラル(らせん)イメージングは、効率的なk空間カバレッジと、動き及びフローアーチファクトに対する低い感度とから利益を得る高速MRイメージング技術である。スパイラルk空間軌道は、所望のk空間領域をカバーするためにより短い経路が必要とされるので、k空間の効率的かつ時間的に柔軟性のあるサンプリングを可能にし、信号取得は、k空間の中心で開始されることができる。しかしながら、スパイラルイメージング技術は、主磁場B0の振幅の不均一性に脆弱であり、これは、ブラー(blurring)を引き起こし、画質を劣化させる。
【0007】
スパイラルMRイメージングの場合のブラー除去方法は、当技術分野で知られている。例えば、B0マップを取得し、B0マップに基づいてB0不均一性効果のMR信号データを補正することが知られている(例えば、Ahunbay et al., "Rapid method for de-blurring spiral MR images", Magn. Reson. Med. 2000, vol. 44, p. 491-494; Sutton et al., "Fast, iterative image reconstruction for MRI in the presence of field inhomogeneities", IEEE Trans. Med. Imaging. 2003, vol. 22, p. 178-188; Nayak et al., "Efficient off-resonance correction for spiral imaging", Magn. Reson. Med. 2001, vol. 45, p. 521-524を参照)。
【0008】
しかしながら、上述のタイプのブラー除去(de-blurring)方法を適用した後でさえ、アーチファクトは、磁化率誘起の非常に強い磁場勾配の画像領域に残ることが多い。そのようなアーチファクトは、スパイラルk空間軌道の場合、特性リンギングアーチファクトとして、再構成されブラー除去されたMR画像に現れ、関心のある解剖学的細部とオーバラップするか又は覆うことがある。例えば、脳のスパイラルMRイメージングによって得られた画像は、一般には、矢状静脈洞及び鼻腔からのオフレゾナンス信号の寄与によって汚染される。そのような残りのアーチファクトの理由は、強い局所磁場勾配の場合に、スパイラルk空間軌道の形状が、それぞれのボクセルの理論的なスパイラル形状から相応に大きく逸脱することである。これは、図2A及び図2Bの2次元k空間図に示されている。図2Aは、完全に均一な主磁場B0の存在下で得られる「理想的な」スパイラルk空間軌道を示す。スピンエコーは、RF励起パルスを印加し、続いてRFリフォーカスパルスを印加することによって生成され、RFリフォーカスパルスの後に、変調されたリードアウト(読み出し)磁場勾配(一般には、x方向及びy方向)が印加される。変調されたリードアウト磁場勾配の波形は、スピンエコー信号がスパイラル軌道に沿って記録される該スパイラル軌道を規定し、スパイラル軌道は、k空間の中心からその周囲に向かって外方へサンプリングされる。図2A及び図2Bの例では、軌道の時間的な開始点は、スピンエコー中心、すなわち、核スピンがリフォーカス後に完全に同相である瞬間にある。図2Bでは、図2Aと同じ撮像シーケンス及びリードアウト磁場勾配の波形ではあるが、B0は、x方向に強い勾配を有して不均一であり、対応するボクセル位置は、理想的なスパイラル形状から著しく逸脱する歪んだk空間軌道を「見る(see)」。図2Bにおけるk空間スパイラルの、局所磁場勾配により引き起こされる歪みの効果は、k空間中心に近いk空間領域(図2Bにおいて矢印で示される)におけるサンプルのパイルアップ(積み上げ)である。特性リンギングアーチファクトを引き起こすのは、サンプルのこのパイルアップである。局所磁場勾配が特に高い領域では、ブラー除去プロセスのベースとして使用されるB0マップが、実際の磁場分布に完全に一致することはないため、これらのアーチファクトは実際には十分には修正されることができない。結果として、それぞれのk空間領域は、ブラー除去の後でさえ、過度に強調されたままであり、リンギングアーチファクトが依然として存在する。
【0009】
上記から、改良されたMRイメージング技術が必要であることが容易に理解される。本発明の目的は、上述の制限に対処し、低減されたレベルのアーチファクトを有するスパイラルMR画像を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、MR装置の検査ボリューム内に配置された対象のMR画像の方法が開示される。この方法は、RF励起パルス及びその後のRFリフォーカスパルスを有する撮像シーケンスに対象を供することによってスピンエコーを生成するステップであって、前記RFリフォーカスパルスの後に、変調されたリードアウト磁場勾配が印加される、ステップと、k空間内のスパイラル軌道に沿ってスピンエコーを記録することによってMR信号データを取得するステップであって、スパイラル軌道を規定するリードアウト磁場勾配の波形が、スピンエコー中心より前に開始される、ステップと、取得されたMR信号データからMR画像を再構成するステップと、を有する。
【0011】
本発明の要旨は、従来行われているようにエコー中心に、すなわちすべての原子核スピンが同相である時点にスパイラル取得を開始するのではなく、スパイラルk空間軌道を規定する勾配波形の開始点をエコー中心より十分前の時点に移動させることである。本発明のアプローチの結果は、k空間の中心からk空間周囲に向かう局所磁場勾配の存在下で、第1の記録されるMR信号データのk空間位置(理想的な場合、k空間スパイラルの中心点があると仮定される位置)がシフトされることである。磁場不均一性は、依然として、スパイラル軌道の歪みを引き起こし、信号サンプルのパイルアップは、本発明のアプローチによって妨げられないが、パイルアップのk空間位置が、k空間中心から、重要な画像情報がより少ないk空間領域にシフトされ、その結果、リンギングアーチファクトは、再構成されたMR画像においてより目立たなくなる。
【0012】
好適な実施形態では、リードアウト磁場勾配の波形の開始が、スピンエコー中心に対して、スパイラル軌道の総取得時間の4分の1から2分の1、好ましくは約3分の1だけシフトされる。このようにして、信号パイルアップの位置は、k空間中心からk空間周囲に向かって十分な量シフトされ、その結果、リンギングアーチファクトが、大幅に目立たなくなるか、又はもはや知覚できなくなる。実際の実施形態では、リードアウト磁場勾配の波形が、所望の効果を達成するために、スピンエコー中心の2~15ms前に開始されることができる。
【0013】
可能な実施形態では、再構成されたMR画像が拡散重み付けされる。このために、RFリフォーカスパルスの前及び後に拡散強調磁場勾配が印加され、RFリフォーカスパルスの前に印加される拡散強調磁場勾配の持続時間が、RFリフォーカスパルスの後に印加される拡散強調磁場勾配の持続時間より長くなるようにされる。このようにして、本発明によって提案される時間シフトがエコー時間の増加をもたらさないことが達成されることができる。
【0014】
更に別の実際の実施形態では、MR画像の再構成は、B0マップに基づくブラー除去を含む。B0マップの別個の取得を含むスパイラルMRイメージングのための既知のブラー除去方法が使用されることにより、B0不均一性効果に関してMR信号データが補正されることができる。このようなブラー除去プロセスは、信号パイルアップの発生に関係なく、局所磁場勾配により引き起こされるスパイラルk空間軌道の歪みを補償するのに有利である。
【0015】
これまでに説明した本発明の方法は、検査ボリュームに均一な静磁場を生成する少なくとも1つの主磁石コイルと、検査ボリューム内の異なる空間方向に切り替え磁場勾配を生成する複数の勾配コイルと、検査ボリューム内にRFパルスを生成する、及び/又は検査ボリューム内に配置された対象からMR信号を受信する少なくとも1つのRFコイルと、時間的に連続するRFパルス及び切り替え磁場勾配を制御する制御ユニットと、受信されたMR信号からMR画像を再構成する再構成ユニットと、を有するMR装置によって実行されることができる。本発明の方法は例えば、MR装置の再構成ユニット及び/又は制御ユニットの対応するプログラムによって実現されることができる。
【0016】
本発明の方法は、今日、臨床上使用されているほとんどのMR装置において有利に実行されることができる。この目的のために、本発明の上述の方法ステップを実行するようにMR装置がコンピュータプログラムによって制御される該コンピュータプログラムを利用することのみが必要である。コンピュータプログラムは、MR装置の制御ユニットにインストールするためにダウンロードされるように、データ担体上に存在してもよいし、データネットワーク内に存在してもよい。
【0017】
磁気共鳴イメージングシステムは、再構成ソフトウェアがコンピューティングシステムにインストールされているか、又はコンピューティングシステムが遠隔再構成設備にアクセスできるという点で、磁気共鳴画像の組の再構成を実現するように構成される。再構成ソフトウェアは、「クラウド」において再構成ソフトウェアが利用可能であるという点で、例えば、データネットワークにアクセス可能な医療機関の遠隔サーバにインストールされてもよい。これらの遠隔構成では、コンピューティングシステムは、遠隔に配置された再構成機能部において磁気共鳴画像の組の再構成を実現する機能を備える。
【0018】
添付の図面は、本発明の好適な実施形態を開示する。しかしながら、図面は説明のみを目的として設計されたものであり、本発明の限定の定義として設計されたものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の方法を実施するMR装置を示す図。
図2A】主磁場不均一性を伴わないスパイラルサンプリングを示すk空間図。
図2B】主磁場不均一性を伴うスパイラルサンプリングを示すk空間図。
図3】本発明のイメージングシーケンスを概略的に示す図。
図4】第2の実施形態における本発明のスパイラル取得スキームを示すk空間の図。
図5】目立つリンギングアーチファクトを有するT1強調MR脳画像(左側の画像)と、本発明の方法を使用することにより低減されたレベルのアーチファクトを有するT1強調MR脳画像(右側の画像)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1を参照すると、MR装置1が概略的に示されている。この装置は、検査ボリュームを通ってz軸に沿って実質的に均一で時間的に一定の主磁場が生成されるように、超電導又は抵抗性の主磁石コイル2を有する。
【0021】
磁気共鳴生成及び操作システムは、一連のRFパルス及び切り替え磁場勾配を適用して、核磁気スピンを反転又は励起し、磁気共鳴を誘導し、磁気共鳴をリフォーカスし、磁気共鳴を操作し、磁気共鳴を空間的に及び他の方法で符号化し、スピンを飽和させ、及び同様のものを行ってMRイメージングを実行する。
【0022】
より具体的には、勾配パルス増幅器3が、検査ボリュームのx、y及びz軸に沿って、全身勾配コイル4、5及び6のうち選択されたコイルに電流パルスを印加する。デジタルRF周波数送信器7は、送信/受信スイッチ8を介して、RFパルス又はパルスパケットを全身ボリュームRFコイル9に送信して、RFパルスを検査ボリュームに送信する。一般的なMR撮像シーケンスは、短い持続時間の複数のRFパルスセグメントを有するパケットから構成されており、これらのセグメントは、互いに一緒になって、任意の印加される磁場勾配と共に、核磁気共鳴の選択された操作を達成する。RFパルスは、共鳴を飽和し、共鳴を励起し、磁化を反転し、共鳴をリフォーカスし、又は共鳴を操作するとともに、検査ボリューム内に配置された身体10の一部を選択するために使用される。MR信号はまた、全身ボリュームRFコイル9によってピックアップされる。
【0023】
身体10の限られた領域のMR画像を生成するために、1組のローカルアレイRFコイル11、12、13が、撮像のために選択された領域に隣接して配置される。アレイコイル11、12、13は、ボディコイルRF送信によって引き起こされるMR信号を受信するために使用されることができる。
【0024】
得られたMR信号は、全身ボリュームRFコイル9及び/又はアレイRFコイル11、12、13によってピックアップされ、好ましくは前置増幅器(図示せず)を有する受信器14によって復調される。受信器14は、送受信スイッチ8を介してRFコイル9、11、12及び13に接続される。
【0025】
ホストコンピュータ15は、勾配パルス増幅器3及び送信器7を制御して、スピンエコーイメージングなどの複数のMR撮像シーケンス生成し、本発明によるスパイラルk空間軌道に沿ってMR信号を取得する。選択されたシーケンスについて、受信器14は、それぞれのk空間軌道に沿って単一又は複数のMRデータを受信する。データ取得システム16は、受信した信号のアナログ-デジタル変換を実行し、各MR信号を更なる処理に適したデジタル形式に変換する。今日のMR装置では、データ取得システム16は、生画像データの取得に特化した別個のコンピュータである。
【0026】
最終的に、デジタル生画像データは、フーリエ変換又は他の適切な再構成アルゴリズムの前に、スパイラル取得からのデータの補間又は再グリッドを適用する再構成プロセッサ17によって、画像表現に再構成される。MR画像は、患者を横切る平面スライス、平行平面スライスのアレイ、3次元ボリュームなどを表すことができる。次いで、画像は画像メモリに記憶され、画像メモリは、画像表現のスライス、投影、又は他の部分を、例えば、結果として得られるMR画像の人間可読の表示を提供するビデオモニタ18を介して、視覚化のための適切なフォーマットに変換するためにアクセスされることができる。
【0027】
MR装置1は、例えば、ホストコンピュータ15及び再構成プロセッサ17の適切なプログラミングによって構成され、上記及び以下に記載されるような本発明の撮像方法を実行する。
【0028】
引き続き図1を参照し、更に図3図5を参照して、本発明の撮像アプローチの一実施形態を説明する。
【0029】
図3は、本発明による撮像シーケンスを概略的に示す。撮像シーケンスは、RF励起パルス31から始まるスピンエコーシーケンスである。持続時間TE/2の遅延(TEはエコー時間)の後、RFリフォーカスパルス32が放出される。これにより、スピンエコー中心33がt=TE(RF励起パルス31の時点でt=0)に位置するスピンエコー(図示せず)が発生する。変調されたリードアウト磁場勾配34が、RFリフォーカスパルス32の後に印加される。簡単にするために、図3は、例えば、x方向に生成されるリードアウト磁場勾配波形の1つの成分のみを示す。所望のスパイラルk空間軌道を得るために、垂直な方向(y方向)に、別の変調されたリードアウト磁場勾配成分(図示せず)が生成される。本発明によれば、スパイラルk空間軌道を規定するリードアウト磁場勾配34の波形は、スピンエコー中心33より前に開始される。リードアウト磁場勾配34の波形の開始点35は、スピンエコー中心33に対して約2~15msシフトされる。RFリフォーカスパルス32の前及び後ろに拡散強調磁場勾配36、37が印加され、RFリフォーカスパルス32の前に印加される拡散強調磁場勾配36の持続時間は、RFリフォーカスパルス33の後ろに印加される拡散強調磁場勾配37の持続時間よりも長い。これにより、スパイラルk空間軌道に沿って記録されたMR信号データから拡散強調MR画像を再構成することができる。標準のStejskal-Tanner法(対称拡散強調勾配を用いる)からの逸脱は、エコー中心33より前の位置への開始35のシフトがエコー時間TEの増加をもたらさないという効果を有する。
【0030】
本発明のアプローチの効果を図4に示す。記録される第1のMR信号データのk空間位置(k空間スパイラルの中心点が理想的な場合であると想定される)は、k空間の中心からk空間の周囲に向かう磁化率誘起の磁場勾配の存在下で、シフトされる。磁場不均一性は、図2Bとの比較から分かるように、スパイラル軌道の同じ歪みを依然として引き起こす。また、信号サンプルのパイルアップ(それぞれ、図2B及び図4において矢印によってマークされる)は、本発明のアプローチによって妨げられないが、パイルアップのk空間位置は、k空間中心から離れるほうへ、より重要性の低い画像情報が存在するk空間領域にまで、シフトされる。その結果、リンギングアーチファクトはあまり目立たなくなる。
【0031】
これは図5に見ることができる。左側のMR脳画像のMR信号データは、ちょうどスピンエコー中心で開始するスパイラルk空間軌道の取得を用いて従来の方法で取得されたものである。鼻腔付近に生じたリンギングアーチファクトが矢印でマークされている。エコー時間は31msであった。本発明のアプローチは、図5の右側の画像のMRデータの取得に適用された。エコー中心より10ms前にスパイラル取得の開始点が時間的にシフトされたこと以外は、左側の画像と同じ撮像パラメータが使用された。図を見て分かるように、リンギングアーチファクトは、左側の画像よりもはるかに目立たなくなっている。別個に取得されたB0マップに基づく従来のブラー除去プロセスが、両方の画像の再構成中に適用された。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
【国際調査報告】