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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】単位セルの製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20231110BHJP
   H01M 50/406 20210101ALI20231110BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/406
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526643
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 KR2022012528
(87)【国際公開番号】W WO2023027456
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0111257
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ウォン-シク・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ドン-ウク・スン
(72)【発明者】
【氏名】ソ-ジュン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-ユン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ソ-ミ・ジョン
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
【Fターム(参考)】
5H021BB04
5H021BB19
5H021HH03
5H028AA05
5H028BB00
5H028BB19
5H028HH05
(57)【要約】
本発明は、単位セルの製造方法及び製造装置に関するもので、
本発明の一態様に係る単位セルの製造方法は、
A)第1分離膜シート及び前記第1分離膜シート上に互いに離間して配置される複数の第1電極を含むフリーセルを製造するステップと、
B)前記フリーセル上に離間して配置される複数の貫通孔を含むカットガイドラインを形成するステップと、
C)前記カットガイドラインに沿って前記フリーセルをカットして複数の単位セルを形成するステップと、を含む。
本発明の他の一態様に係る単位セルの製造装置は、
分離膜シート及び前記分離膜シート上に配置される電極を含むフリーセル上に互いに離間して配置される複数の貫通孔を含むカットガイドラインを形成する孔形成ユニットと、
前記カットガイドラインに沿って前記フリーセルをカットして複数の単位セルを形成するカットユニットと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)第1分離膜シート及び前記第1分離膜シート上に互いに離間して配置される複数の第1電極を含むフリーセルを製造するステップと、
B)前記フリーセル上に離間して配置される複数の貫通孔を含むカットガイドラインを形成するステップと、
C)前記カットガイドラインに沿って前記フリーセルをカットして複数の単位セルを形成するステップと、
を含む、単位セルの製造方法。
【請求項2】
前記フリーセルは、第2分離膜シート及び第2電極をさらに含む、請求項1に記載の単位セルの製造方法。
【請求項3】
前記B)ステップは、離間して配置される電極のうち互いに隣接する電極間の領域と対応する分離膜シート上の領域に前記カットガイドラインを形成するステップである、請求項1に記載の単位セルの製造方法。
【請求項4】
前記B)ステップは、
前記フリーセルの幅方向に沿って前記複数の貫通孔を形成するステップである、請求項1に記載の単位セルの製造方法。
【請求項5】
前記B)ステップは、
前記複数の貫通孔の形成密度が、前記フリーセルの幅方向の中央領域において他の領域よりも相対的に高くなるように前記貫通孔を形成するステップである、請求項1から4のいずれか一項に記載の単位セルの製造方法。
【請求項6】
前記B)ステップは、
前記複数の貫通孔の形成密度が、前記フリーセルの幅方向の中央領域及び両側端部の領域において他の領域よりも相対的に高くなるように前記貫通孔を形成するステップである、請求項1に記載の単位セルの製造方法。
【請求項7】
前記B)ステップは、
前記フリーセルの幅方向に沿って延びる前記貫通孔のそれぞれの長さの合計が、前記フリーセルの幅方向の全長に対して0.01~30%の範囲となるように前記貫通孔を形成するステップである、請求項1に記載の単位セルの製造方法。
【請求項8】
前記B)ステップは、
前記フリーセルの幅方向と垂直な方向に沿って延びる前記貫通孔の長さが、前記隣接する電極間の間隔に対して1~5%の範囲となるように前記貫通孔を形成するステップである、請求項1に記載の単位セルの製造方法。
【請求項9】
分離膜シート及び前記分離膜シート上に配置される電極を含むフリーセル上に互いに離間して配置される複数の貫通孔を含むカットガイドラインを形成する孔形成ユニットと、
前記カットガイドラインに沿って前記フリーセルをカットして複数の単位セルを形成するカットユニットと、
を含む、単位セルの製造装置。
【請求項10】
前記孔形成ユニットは、レーザー照射部を含む、請求項9に記載単位セルの製造装置。
【請求項11】
前記孔形成ユニットは、
前記複数の貫通孔の形成密度が、前記フリーセルの幅方向の中央領域において他の領域よりも相対的に高くなるように前記貫通孔を含むカットガイドラインを形成する、請求項9または10に記載の単位セルの製造装置。
【請求項12】
前記孔形成ユニットは、
前記複数の貫通孔の形成密度が、前記フリーセルの幅方向の中央領域及び両側端部の領域において他の領域よりも相対的に高くなるように前記貫通孔を含むカットガイドラインを形成する、請求項9に記載の単位セルの製造装置。
【請求項13】
前記孔形成ユニットは、
前記フリーセルの幅方向に沿って延びる前記複数の貫通孔のそれぞれの長さの合計が、前記フリーセルの幅方向の全長に対して0.01~30%の範囲となるように前記貫通孔を含むカットガイドラインを形成する、請求項9に記載の単位セルの製造装置。
【請求項14】
前記孔形成ユニットは、
前記フリーセルの幅方向と垂直な方向に沿って延びる前記貫通孔の長さが、前記隣接する電極間の間隔に対して1~5%の範囲となるように前記貫通孔を含むカットガイドラインを形成する、請求項9に記載の単位セルの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単位セルの製造方法及び製造装置に関し、特に、分離膜シートをカットする前に、カットガイドラインを形成してカット精度を改善した単位セルの製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
本出願は、2021年8月23日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0111257号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書に開示された内容は、すべて引用によって本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
電気自動車及びモバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれて、エネルギー源としての二次電池の需要が急激に増加しており、それに応じて様々なニーズに応えることができる電池に関する多くの研究が行われている。
【0004】
二次電池は、電池ケースの形状に応じて、電極組立体が円筒形又は角形の金属缶に内蔵されている円筒形電池及び角形電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内蔵されているパウチ型電池とに分類される。
【0005】
電池ケースに内蔵される電極組立体は、正極/分離膜/負極の積層構造からなる充放電が可能な発電素子であって、活物質が塗布された長いシート状の正極と負極との間に分離膜を介在して巻き取ったゼリーロール型と、所定の大きさの多数の正極と負極とを分離膜が介在した状態で順次積層したスタック型とに分類される。
【0006】
このようなゼリーロール型とスタック型との混合形態である一歩進んだ構造の電極組立体として、一定の単位サイズの正極/分離膜/負極構造のフルセル(full cell)または正極(負極)/分離膜/負極(正極)/分離膜/正極(負極)構造のバイセル(bicell)を、長尺の連続した分離膜フィルムを用いてフォールディングした構造のスタック/フォールディング(stack&folding)型電極組立体が開発された。
【0007】
また、従来のスタック型電極組立体の工程性を向上させ、多様な形態の二次電池の需要を満たすために、電極と分離膜とが交互に積層されて接合(lamination)されている単位セルを積層した構造のラミネーション/スタック(lamination&stacking)型電極組立体も開発された。
【0008】
特に、ラミネーション/スタック型電極組立体を用いて二次電池を製造するためには、まず、分離膜シート上に所定の大きさの電極を積層させた後、ラミネーション後にカットして単位セルを製造し、その後スタック(stacking)する方式を取る。
【0009】
しかし、セルの設計上、幅が広くなるか強度の強い分離膜の場合、不完全なカットやカット断面の不均一などのカット不良が発生し、単位セルの収率低下につながるという問題がある。このため、カット不良が発生しないように単位セルの製造工程を調整する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、単位セルの製造の際に、カット精度を高めてカット不良を低減する単位セルの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の他の目的及び利点は、特許請求の範囲に記載された手段または方法、及びその組み合わせによって実現できることが容易に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、下記の単位セルの製造方法及び単位セルの製造装置により上記課題を解決できることを見出した。
【0013】
第1具現例は、
A)第1分離膜シート及び前記第1分離膜シート上に互いに離間して配置される複数の第1電極を含むフリーセルを製造するステップと、
B)前記フリーセル上に離間して配置される複数の貫通孔を含むカットガイドラインを形成するステップと、
C)前記カットガイドラインに沿って前記フリーセルをカットして複数の単位セルを形成するステップと、
を含むことを特徴とする、単位セルの製造方法に関する。
【0014】
第2具現例は、第1具現例において、
前記フリーセルは、第2分離膜シート及び第2電極をさらに含むことを特徴とする、単位セルの製造方法に関する。
【0015】
第3具現例は、第1具現例または第2具現例において、
前記B)ステップは、離間して配置される電極のうち互いに隣接する電極間の領域と対応する分離膜シート上の領域に前記カットガイドラインを形成するステップであることを特徴とする、単位セルの製造方法に関する。
【0016】
第4具現例は、第1具現例~第3具現例のいずれか一具現例において、
前記B)ステップは、
前記フリーセルの幅方向に沿って前記複数の貫通孔を形成するステップであることを特徴とする、単位セルの製造方法に関する
【0017】
第5具現例は、第1具現例~第4具現例のいずれか一具現例において、
前記B)ステップは、
前記複数の貫通孔の形成密度が、前記フリーセルの幅方向の中央領域において他の領域よりも相対的に高くなるように前記貫通孔を形成するステップであることを特徴とする、単位セルの製造方法に関する。
【0018】
第6具現例は、第1具現例~第5具現例のいずれか一具現例において、
前記B)ステップは、
前記複数の貫通孔の形成密度が、前記フリーセルの幅方向の中央領域及び両側端部の領域において他の領域よりも相対的に高くなるように前記貫通孔を形成するステップであることを特徴とする、単位セルの製造方法に関する。
【0019】
第7具現例は、第1具現例~第6具現例のいずれか一具現例において、
前記B)ステップは、
前記フリーセルの幅方向に沿って延びる前記貫通孔のそれぞれの長さの合計が、前記フリーセルの幅方向の全長に対して0.01~30%の範囲となるように前記貫通孔を形成するステップであることを特徴とする、単位セルの製造方法に関する。
【0020】
第8具現例は、第1具現例~第7具現例のいずれか一具現例において、
前記B)ステップは、
前記フリーセルの幅方向と垂直な方向に沿って延びる前記貫通孔の長さが、前記隣接する電極間の間隔に対して1~5%の範囲となるように前記貫通孔を形成するステップであることを特徴とする、単位セルの製造方法に関する。
【0021】
第9具現例は、
分離膜シート及び前記分離膜シート上に配置される電極を含むフリーセル上に互いに離間して配置される複数の貫通孔を含むカットガイドラインを形成する孔形成ユニットと、
前記カットガイドラインに沿って前記フリーセルをカットして複数の単位セルを形成するカットユニットと、
を含むことを特徴とする、単位セルの製造装置に関する。
【0022】
第10具現例は、第9具現例において、
前記孔形成ユニットは、レーザー照射部を含むことを特徴とする、単位セルの製造装置に関する。
【0023】
第11具現例は、第9具現例または第10具現例において、
前記孔形成ユニットは、
前記複数の貫通孔の形成密度が、前記フリーセルの幅方向の中央領域において他の領域よりも相対的に高くなるように前記貫通孔を含むカットガイドラインを形成することを特徴とする、単位セルの製造装置に関する。
【0024】
第12具現例は、第9具現例~第11具現例のいずれか一具現例において、
前記孔形成ユニットは、
前記複数の貫通孔の形成密度が、前記フリーセルの幅方向の中央領域及び両側端部の領域において他の領域よりも相対的に高くなるように前記貫通孔を含むカットガイドラインを形成することを特徴とする、単位セルの製造装置に関する。
【0025】
第13具現例は、第9具現例~第12具現例のいずれか一具現例において、
前記孔形成ユニットは、
前記フリーセルの幅方向に沿って延びる前記複数の貫通孔のそれぞれの長さの合計が、前記フリーセルの幅方向の全長に対して0.01~30%の範囲となるように前記貫通孔を含むカットガイドラインを形成することを特徴とする、単位セルの製造装置に関する。
【0026】
第14具現例は、第9具現例~第13具現例のいずれか一具現例において、
前記孔形成ユニットは、
前記フリーセルの幅方向と垂直な方向に沿って延びる前記貫通孔の長さが、前記隣接する電極間の間隔に対して1~5%の範囲となるように前記貫通孔を含むカットガイドラインを形成することを特徴とする、単位セルの製造装置に関する。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る単位セルの製造方法及び製造装置は、カットする前にカットガイドラインを形成することで、単位セルの製造の際、カット精度を高めてカット不良を低減することができ、単位セルの製造収率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本明細書に添付される図面は、本発明の好適な実施例を例示するものであり、前述した発明の内容とともに本発明の技術思想をさらによく理解させる役割を果たすものであるので、本発明は、そのような図面に記載された事項にのみ限定されて解釈されるものではない。一方、本明細書に記載された図面における要素の形状、大きさ、縮尺または比率などは、より明確な説明を強調するために誇張され得る。
【0029】
図1】本発明の一実施形態において、フリーセル上に複数の貫通孔が形成された構造を概略的に示す図である。
図2】本発明の他の実施形態において、フリーセル上に複数の貫通孔が形成された構造を概略的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る単位セルの製造装置を概略的に示す断面図である。
図4】本発明の実施例1によってカットされた単位セルである。
図5】本発明の比較例1によってカットされた単位セルである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は、自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則を踏まえて、本発明の技術的な思想に見合う意味と概念として解釈されるべきである。
【0031】
本明細書の全般にわたって、ある部分がある構成要素を「含む」または「備える」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得るまたは備え得ることを意味する。
【0032】
本明細書の全般にわたって、「Aおよび/またはB」の記載は「AもしくはB、またはその両方」を意味する
【0033】
単位セルの製造方法
本発明の一実施態様に係る単位セルの製造方法は、
A)第1分離膜シート及び前記第1分離膜シート上に互いに離間して配置される複数の第1電極を含むフリーセルを製造するステップと、
B)前記フリーセル上に離間して配置される複数の貫通孔を含むカットガイドラインを形成するステップと、
C)前記カットガイドラインに沿って前記フリーセルをカットして複数の単位セルを形成するステップと、を含んでいてもよい。
【0034】
以下、本発明の単位セルの製造方法の各ステップについて詳細に説明する。
【0035】
まず、A)第1分離膜シート及び前記第1分離膜シート上に互いに離間して配置される複数の第1電極を含むフリーセルを製造する。
【0036】
前記第1分離膜シートは、正極と負極との間に位置してショートを防止し、イオンの移動を可能にする構成要素であって、多孔性高分子基材、及び前記多孔性高分子基材の少なくとも一面に位置し、無機物粒子及びバインダー高分子の混合物で形成された多孔性コーティング層を含む。
【0037】
前記多孔性高分子基材、無機物粒子及びバインダー高分子は、本発明の目的に合致するものであれば、特に制限されない。例えば、前記多孔性高分子基材は、融点が200℃未満のものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテンなどのポリオレフィン樹脂を含んでいてもよい。前記無機物粒子は、ZrO、BaTiO、ハフニア(HfO)、SrTiO、SnO、CeO、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO、Y、Al、TiO、AlOOH、Al(OH)、SiCまたはこれらの混合物などを含んでいてもよい。また、例えば、前記バインダー高分子は、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(polyvinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene、PVDF-HFP)、ポリ(フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン)共重合体、ポリフッ化ビニリデン-トリクロロエチレン(polyvinylidene fluoride-cotrichloroethylene)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、エチレンビニルアセテート共重合体(polyethylene-co-vinyl acetate)、セルロースアセテート(cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、プルラン(pullulan)、カルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose)、及びスチレン-ブタジエンゴムからなる群より選択される1種または2種以上の混合物を含んでいてもよい。
【0038】
前記多孔性コーティング層では、無機物粒子が互いに結着した状態を維持できるように、バインダー高分子により無機物粒子が互いに付着(すなわち、バインダー高分子が無機物粒子の間を連結及び固定)されており、また、多孔性コーティング層は、バインダー高分子により多孔性高分子基材と結着した状態を維持する。このような多孔性コーティング層の無機物粒子は、実質的に互いに接触した状態で存在することができ、無機物粒子が接触した状態で生じるインタースティシャルボリューム(interstitial volume)が多孔性コーティング層の気孔を形成することができる。
【0039】
前記第1電極は、正極または負極のいずれかであってもよく、具体的には、電極集電体上に電極活物質を含むスラリーを塗布して乾燥および圧着工程を経た後、所定の大きさに切断されたものであってもよい。
【0040】
本発明では、前記第1分離膜シート上に第1電極を配置して、具体的には前記第1分離膜シート上に所定の大きさに切断された複数の第1電極を所定の間隔で互いに離間して配置して、フリーセルを製造することができる。
【0041】
本発明において、フリーセルとは、少なくとも一つの分離膜シート上に少なくとも1種の電極が積層されている積層体を意味する。また、前記フリーセルは、少なくとも一つの分離膜シート上に少なくとも1種の電極が積層された後、ラミネーションされたものであってもよい。
【0042】
本発明において、第1分離膜シート上に積層された第1電極を含むフリーセルは、第2分離膜シート及び/又は第2電極をさらに含んでいてもよい。例えば、フリーセルは、[第1分離膜シート/第1電極]、[第1分離膜シート/第1電極/第2分離膜シート]、[第1分離膜シート/第1電極/第2分離膜シート/第2電極]のような層状構造の積層体であり得る。このとき、前記第1電極は、第1分離膜シート上に所定の間隔で互いに離間して配置されていてもよく、前記第2電極は、前記第1電極とは逆極性を有する電極であり、第2分離膜シート上に所定の間隔で互いに離間して配置されていてもよい。
【0043】
本発明において、少なくとも一つの分離膜シート上に少なくとも1種の電極が積層された後、ラミネーションを行うと、分離膜シートと電極とが接合することができる。例えば、それ自体がヒーティング可能な構造を有するか、または別途のヒーティング可能な装置によって加熱される一対の加圧ローラを用いて、少なくとも一つの分離膜及び少なくとも1種の電極が積層された積層体に熱及び/又は圧力を加えることにより、分離膜シートと電極とを相互に接合することができる。すなわち、前記フリーセルは、少なくとも一つの分離膜シートと少なくとも1種の電極とが接合された積層体であってもよい。
【0044】
次いで、B)前記フリーセル上に離間して配置される複数の貫通孔を含むカットガイドラインを形成する。
【0045】
前記B)ステップは、後述するフリーセルをカットするC)ステップの前に、フリーセル上にカットガイドラインを形成することにより、C)ステップでのカット精度を高めることができるようにするステップである。前記カットガイドラインは、複数の貫通孔を連結する直線状の仮想ラインを意味する。
【0046】
前記複数の貫通孔は、フリーセル内で離間して配置された電極のうち互いに隣接する電極の間の領域と対応する分離膜シート上の領域に形成され得る。また、前記複数の貫通孔は、フリーセルの幅方向に沿って形成され得る。このように幅方向と平行するように複数の貫通孔を形成する場合、後述するC)ステップでのカットの精度を高めるのに役立つことができる。
【0047】
本発明において、前記貫通孔は、フリーセルに設けられた少なくとも一つの分離膜シートを貫通して形成された孔であって、その形状に制限はないが、略一定の直径を有する略円形の貫通孔、または短軸の長さと長軸の長さとが異なる略楕円形の貫通孔などの形状を有することができる。
【0048】
一方、後述するフリーセルをカットするC)ステップでフリーセルをカットする際に、セルの設計上、幅が広くなるか強度の強い分離膜の場合、または例えばカッターの形状などの製造装置自体の特性などのため、フリーセルの一部の領域がカットされていないか、不均一なカット断面を示すなど、カット不良が発生する可能性がある。
【0049】
そこで、本発明の一実施形態では、フリーセル上に前記複数の貫通孔の形成位置及び形成密度を調整することにより、フリーセル上の全領域におけるカットを容易にし、カット精度を高めることができる。
【0050】
具体的には、前記複数の貫通孔の形成密度が、カット不良が頻繁に発生する領域において他の領域よりも相対的に高くなるように調整することができる。例えば、前記複数の貫通孔の形成密度が、前記フリーセルの幅方向の中央領域において他の領域よりも相対的に高くなるように前記貫通孔を形成するか、または前記複数の貫通孔の形成密度が、前記フリーセルの幅方向の中央領域及び両側端部の領域において他の領域よりも相対的に高くなるように前記貫通孔を形成してもよい。
【0051】
また、本発明において、前記フリーセルの幅方向に沿って延びる前記複数の貫通孔のそれぞれの長さの合計が、前記フリーセルの幅方向の全長に対して略0.01~30%の範囲となるように前記貫通孔を形成してもよい。
【0052】
本発明において、前記フリーセルの幅方向に沿って延びる前記複数の貫通孔のそれぞれの長さの合計とは、フリーセルの幅方向に対するそれぞれの貫通孔の長さの合計を意味する。例えば、図1から分かるように、d1+d2+d3+d4、またはd1’+d2’+d3’+d4’の合計を意味する。
【0053】
前記範囲で貫通孔を形成する場合、後述するC)ステップでのカット精度の向上に役立つことができ、また、製造工程におけるロールツーロール(roll to roll)設備により加えられる張力が、分離膜シート上の貫通孔が形成されていない領域に集中して、シワや微延伸などの変形が現れることを防止することができる。
【0054】
また、前記フリーセルの幅方向と垂直な方向に沿って延びる前記貫通孔の長さが、前記隣接する電極間の間隔に対して約1~5%の範囲となるように前記貫通孔を形成してもよい。
【0055】
本発明において、前記フリーセルの幅方向と垂直な方向に沿って延びる前記貫通孔の長さとは、貫通孔が一つの電極からそれと隣接する電極に向かう方向に沿って延びる長さを意味するものであり、例えば、図2に示すように、r1、r2、r3、r1’、r2’、またはr3’を意味する。
【0056】
前記範囲で貫通孔を形成する場合、貫通孔を形成する過程で電極側に熱的な影響を及ぼさないながらも、カット後の切断面の外観が均一であり、きれいなカットを行うことができる。
【0057】
次に、C)前記カットガイドラインに沿って前記フリーセルをカットして複数の単位セルを形成する。
【0058】
具体的には、分離膜シート上に互いに離間して配設された複数の貫通孔によりカットガイドラインが決定されるため、カットガイドラインに沿ってフリーセルをカットすることにより、少なくとも一つの分離膜シートと少なくとも一種類の電極とが積層された単位セル、例えば、[第1分離膜シート/第1電極]、[第1分離膜シート/第1電極/第2分離膜シート]、[第1分離膜シート/第1電極/第2分離膜シート/第2電極]のように積層された単位セルを製造することができる。
【0059】
単位セルの製造装置
本発明の一実施態様に係る単位セルの製造装置は、
分離膜シート及び前記分離膜シート上に配置される電極を含むフリーセル上に互いに離間して配置される複数の貫通孔を含むカットガイドラインを形成する孔形成ユニットと、
前記カットガイドラインに沿って前記フリーセルをカットして複数の単位セルを形成するカットユニットと、を含んでいてもよい。
【0060】
図3は、本発明の単位セルの製造装置を説明するための例示的な図である。
【0061】
図3を参照すると、単位セルの製造装置は、孔形成ユニット10及びカットユニット20を含む。前記単位セルの製造装置は、上述した構成要素の他に、ラミネーションユニット(図示せず)及び/又は搬送ユニット(図示せず)及び/又は制御ユニット(図示せず)などをさらに含んでもよい。
【0062】
前記孔形成ユニット10は、分離膜シート1及び前記分離膜シート1上に配置される電極2を含むフリーセル上に互いに離間して配置される複数の貫通孔11を含むカットガイドラインを形成する。
【0063】
前記孔形成ユニット10は、少なくとも一つのレーザー照射部12を含んでいてもよい。前記レーザー照射部12は、フリーセルに略垂直な方向にレーザーを照射することによって貫通孔11を形成する。具体的に、前記孔形成ユニット10は、離間して配置された電極2のうち互いに隣接する電極間の領域と対応する分離膜シート上の領域に複数の貫通孔11を形成する。
【0064】
前記カットガイドラインは、複数の貫通孔を連結する直線状の仮想ラインを意味する。
【0065】
前記孔形成ユニット10は、一つのカットガイドラインに含まれる複数の貫通孔11を同時に形成できるように所定の位置に設けられた複数のレーザー照射部12を備えていてもよい。前記孔形成ユニット10は、ユーザによってまたは制御ユニット50によってその動きが制御されることにより、少なくとも一つのレーザー照射部12の位置を移動させることができる少なくとも一つのアクチュエータ(図示せず)を備えていてもよい。この場合、複数回のレーザー照射によって一つのカットガイドラインを形成することができる。
【0066】
また、前記孔形成ユニット10は、所定の位置に配置された複数のレーザー照射部12によってまたは後述する制御ユニット50によってその動きが制御される少なくとも一つのレーザー照射部12により、フリーセル上で貫通孔11が形成される位置と貫通孔11の形成密度を調整することができる。これにより、フリーセルの一部の領域がカットされていなかったり不均一なカット断面を示したりするなどのカット不良が発生することを防止でき、フリーセル上のすべての領域でのカットを容易にし、カット精度を高めることができる。
【0067】
具体的には、前記複数の貫通孔11の形成密度が、カット不良が頻繁に発生する領域において他の領域よりも相対的に高くなるように調整することができる。例えば、前記複数の貫通孔11の形成密度が、前記フリーセルの幅方向の中央領域において他の領域よりも相対的に高くなるように前記貫通孔11を形成するか、または、前記複数の貫通孔11の形成密度が、前記フリーセルの幅方向の中央領域及び両側端部の領域において他の領域よりも相対的に高くなるように前記貫通孔11を形成してもよい。
【0068】
また、本発明において、前記フリーセルの幅方向に沿って延びる前記複数の貫通孔11のそれぞれの長さの合計が、前記フリーセルの幅方向の全長に対して約0.01~30%の範囲となるように前記貫通孔11を形成してもよい。前記範囲で貫通孔11を形成する場合、後述するC)ステップでのカット精度の向上に役立つことができ、また、製造工程上、ロールツーロール(roll to roll)設備により加えられる張力が、分離膜シート上の貫通孔11が形成されていない領域に集中してシワや微延伸などの変形が現れることを防止することができる。
【0069】
また、前記フリーセルの幅方向と垂直な方向に沿って延びる前記貫通孔11の長さが、前記隣接する電極間の間隔に対して約1~5%の範囲となるように前記貫通孔11を形成してもよい。前記範囲で貫通孔11を形成する場合、貫通孔11を形成する過程で電極側に熱的な影響を及ぼさないながらも、カット後の切断面の外観が均一であり、きれいなカットを行うことができる。
【0070】
前記カットユニット20は、複数の貫通孔11を含むカットガイドラインに沿ってフリーセルをカットすることができる。
【0071】
具体的に、カットユニット20は、ブレードカッターを含んでいてもよい。本発明において、ブレードカッターとは、上刃21及び/又は下刃22を含み、前記上刃又は下刃のうち少なくとも一方が、生地シートが搬送される方向から垂直に移動しながら生地シートを切断するタイプを意味し得る。本明細書で使用される用語「上刃」及び「下刃」は、その位置が必ずしも重力方向の上または下に位置することに限定されず、カッターがそれぞれ一方向および反対方向に存在することを意味し得る。
【0072】
分離膜の幅の広い単位セル、例えばEV用パウチ型電池の単位セルを製造するために、フリーセルをカットする際には、略逆V字状(∧)の上刃を使用することができる。この場合、刃を差し込む長さが短いため、動きを最小限に抑えることができ、カット時間を短縮することができる。ただし、この場合、ブレードカッターの形状上、フリーセルの幅方向の中央領域は、その他の領域に比べてカット不良が発生しやすい。そこで、本発明の一実施形態では、カット不良が多発する領域に複数の貫通孔11を形成し、また貫通孔11の形成密度を調整することにより、フリーセル上の全領域でカットを容易にし、カット精度を高めることができる。
【0073】
前記ラミネーションユニット(図示せず)は、一対の加圧ローラを含んでいてもよい。前記ラミネーションユニットは、少なくとも一つの分離膜シート1及び少なくとも1種の電極2が積層された積層体を加圧して相互に接合することができる。この場合、前記一対の加圧ローラは、圧力に加えてさらに熱を加えることもできる。このように熱と圧力を同時に加えるために、前記一対の加圧ローラは、例えば、自己ヒーティング可能な構造を有していてもよいし、これとは異なり、別途のヒーティング可能な装置によって加熱されていてもよい。
【0074】
具体的に、本発明では、フリーセル上に互いに離間して配置される複数の貫通孔11を含むカットガイドラインを形成する前に、フリーセルがラミネーションユニット30を経ることにより、分離膜シート1と、分離膜シート1上に配置される電極2とが接合され得る。
【0075】
前記搬送ユニット(図示せず)は、単位セルの製造装置内で分離膜シート1及び前記分離膜シート1上に配置される電極2を含むフリーセルを一方向に搬送するように設けられてもよい。具体的に、前記搬送ユニットは、例えば、コンベアを含んでいてもよい。例えば、前記搬送ユニットは、ベルトコンベアを含んでいてもよい。
【0076】
前記制御ユニットは、本発明の単位セルの製造装置内及び/又は外部に位置するが、本発明のそれぞれのユニットに連結され、それぞれのユニットの動作を制御するだけでなく、各ユニットの動作の相互関係をも調整することができる。
【0077】
例えば、制御ユニットは、制御信号により電極配置ユニット(図示せず)の動作を制御することにより、分離膜シート上に電極2を一定の間隔で配置させることができる。また、前記制御ユニットは、制御信号により孔形成ユニット10の動作を制御することで、離間して配置された電極間の各領域に複数の貫通孔11を形成することができ、フリーセル上で貫通孔11が形成される位置と貫通孔11の形成密度とを調整することができる。
【0078】
実施例
下記方法に基づいて各実施例及び比較例を製造した。
【0079】
[実施例1]
1)フリーセルの準備ステップ
ポリエチレン多孔性フィルム(厚さ9μm、気孔度45%)の両面にAl層がコーティングされている分離膜シート2枚を準備した。
【0080】
前記分離膜シート2枚を基材として、分離膜シート/負極/分離膜シートの順に積層できるように、各分離膜シート上にサイズ94mm×510mmに切断された負極が3mmの間隔を有するように離間して配置されたフリーセルを準備した。このとき、切断された負極を分離膜シートの間に配置した。
【0081】
2)カットガイドラインの形成ステップ
本発明に係る単位セルの製造装置を用いて、前記準備されたフリーセルに貫通孔を含むカットガイドラインを形成した。このとき、前記貫通孔は、レーザー照射装置を用いて、直径50μmの円形状でフリーセルの幅方向に沿って一列に形成した。
【0082】
前記フリーセルの幅方向に沿って延びる前記貫通孔のそれぞれの長さの合計は、前記フリーセルの幅方向の全長に対して0.48%であった。また、前記フリーセルの幅方向と垂直な方向に沿って延びる前記貫通孔の長さは、前記隣接する電極間の間隔に対して1.6%[(50μm/3mm)×100%=約1.6%]であった。
【0083】
3)単位セルの製造
逆V字状の刃を用いて、フリーセルを前記カットガイドラインに沿ってカットして複数の単位セルを製造した。
【0084】
[比較例1]
カットガイドラインを形成しないことを除いては、実施例1と同じ方法を用いて単位セルを製造した。
【0085】
評価の結果
前記実施例1及び比較例1により製造された単位セルのカット不良発生の有無を確認した。実施例1による単位セルを図4に示し、比較例1による単位セルを図5に示した。実施例1は、比較例1に比べて各単位セルのカット断面が均一であり、きれいなカットができたことを確認することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 分離膜シート
2 電極
10 孔形成ユニット
11 貫通孔
12 レーザー照射部
20 カットユニット
21 上刃
22 下刃
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】