(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】少なくとも1つの医療機器を包装するためのヘッダバッグ
(51)【国際特許分類】
B65D 79/02 20060101AFI20231110BHJP
B65D 81/20 20060101ALI20231110BHJP
A61L 2/26 20060101ALI20231110BHJP
A61B 50/30 20160101ALI20231110BHJP
【FI】
B65D79/02
B65D81/20 H
A61L2/26
A61B50/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526856
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2021080607
(87)【国際公開番号】W WO2022096557
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クレモンティーヌ ル ロッホ
(72)【発明者】
【氏名】セドリック リヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム ルヘ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-マルク シャバノン
【テーマコード(参考)】
3E067
4C058
【Fターム(参考)】
3E067AB81
3E067AB83
3E067BA12A
3E067BB14A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067CA04
3E067CA06
3E067EA40
3E067EE01
3E067EE47
3E067EE60
3E067FA01
3E067FB11
3E067FC01
3E067GA15
3E067GD10
4C058AA12
4C058BB07
4C058CC09
4C058EE13
(57)【要約】
本開示は、少なくとも1つの医療機器を包装するためのヘッダバッグに関し、少なくとも1つの医療機器のためのエンクロージャを形成するように密封されるように構成された少なくとも1つのシート(10、11)を含み、少なくとも1つのシート(10、11)は、 少なくとも内層(10i、11i)および外層(10o、11o)を含み、内層および外層はガス不透過性であるため、内層と外層との間に広がる容積内に真空を生成することができ、 ヘッダバッグ(1)は、内層と外層(10i、10o)との間に配置された圧力センサ(15)と、圧力センサと通信するように構成されたRFIDタグとをさらに備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの医療機器を包装するためのヘッダバッグ(1)であって、密封されて前記少なくとも1つの医療機器のためのエンクロージャを形成するように構成された少なくとも1つのシート(10、11)を備え、前記少なくとも1つのシート(10、11)は少なくとも内層(10i、11i)および外層(10o、11o)を備え、前記内層および前記外層はガスに対し不透過性であるため、前記内層と前記外層との間に広がる容積に真空を生成することができ、前記内層と前記外層(10i、10o)との間に配置された圧力センサ(15)と、前記圧力センサと通信するように構成されたRFIDタグとをさらに備える、ヘッダバッグ(1)。
【請求項2】
前記エンクロージャの一部を形成するために、前記少なくとも1つのシート(10、11)に密封された多孔性壁(12)をさらに備えた、請求項1に記載のヘッダバッグ。
【請求項3】
前記多孔性壁(12)は、高密度ポリエチレン繊維、コーティングされたセルロース繊維、および/またはコーティングされていないセルロース繊維を含む不織材料でできている、請求項2に記載のヘッダバッグ。
【請求項4】
単一のシート(10)を備え、前記単一のシート(10)は、折り畳まれて前記単一のシート(10)自体の上に密封されて前記エンクロージャを形成するように構成される、請求項1から3のいずれか1項に記載のヘッダバッグ。
【請求項5】
互いに密封されて前記エンクロージャを形成するように構成された2つのシート(10、11)を備えた、請求項1から3のいずれか1項に記載のヘッダバッグ。
【請求項6】
前記内層と前記外層(10i、11i、10o、11o)との間に配置されたインジケータをさらに備え、前記インジケータは、圧力または湿度変化などのガス濃度の変化にさらされると視覚的態様を変化させるように構成される、請求項1から5のいずれか1項に記載のヘッダバッグ。
【請求項7】
前記外層(10o、11o)に取り付けられたプルタブ(13)をさらに備えた、請求項1から6のいずれか1項に記載のヘッダバッグ。
【請求項8】
各シートの前記内層および前記外層が、ポリエチレン、特に低密度線状ポリエチレン、ポリプロピレン、および/またはポリエチレンテレフタレートのいずれかの材料を備えた、請求項1から7のいずれか1項に記載のヘッダバッグ。
【請求項9】
請求項1-8のいずれか1項に記載のヘッダバッグ(1)を含む、少なくとも1つの医療用容器の包装であって、前記少なくとも1つの医療用容器は密封された前記エンクロージャ内に配置され、各シートの前記内層と前記外層との間の容積は真空下にある、包装。
【請求項10】
少なくとも1つの医療用容器を包装するプロセスであって、
請求項1から8のいずれか1項に記載のヘッダバッグ(1)を提供することと、
前記エンクロージャ内に少なくとも1つの前記医療用容器を配置することと、
前記エンクロージャを密閉することと、
前記少なくとも1つのシートの前記内層と前記外層との間に真空を形成することと、を含む、プロセス。
【請求項11】
前記ヘッダバッグを提供する前に、前記真空は前記少なくとも1つのシートに形成される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの医療用容器を収容する前記エンクロージャを密閉するときに、前記真空は前記少なくとも1つのシート内に生成される、請求項10に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの医療機器を包装するためのヘッダバッグ、そのようなヘッダバッグを含む包装、およびそのようなヘッダバッグを使用して少なくとも1つの医療機器を包装するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器は、例えば、それらの処理の第1の部分が第1の場所で行われ、それらの処理の第2の部分が第2の場所で行われるときに、第1の場所から別の場所に輸送される必要があり得る。例えば、注射器などの医療用容器は、第1の場所で製造され、次いで、第2の場所で医薬組成物を充填され得る。その後、それらは、患者に配達する前に、第3の場所に保管のために送られ得る。
【0003】
その目的のために、バッグは、ある場所から別の場所への輸送を考慮して、そのような医療機器を包装するために使用され得、場合によっては、エンドユーザーの場所に保管するために使用され得る。
【0004】
特に、前記バッグは、医療機器の滅菌性を維持するように構成され得る。その目的のために、バッグは、微生物、ほこり、プラスチック、または製造および操作プロセスから発せられた任意の粒子を含む汚染物質などの異物がバッグの中に入るのを防ぐためのバリアを提供するように構成され得る。
【0005】
さらに、医療機器はクリーンルームで製造することができるが、滅菌ステップは汚染を破壊するために梱包後に実施され得る。その目的のために、バッグは、気体、特に滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)に多孔質の壁を含み得、したがって、前記滅菌ガスがバッグに浸透して医療機器と接触することを可能にする。
【0006】
次に、袋の完全性は、医療機器の使用のために開くまで維持されなければならない。さもなければ、医療機器の汚染が発生し、患者に危険な結果をもたらす可能性がある。
【0007】
輸送中、医療機器を備えるバッグは、医療機器およびバッグを損傷する可能性のある機械的制約から保護することを意図した箱に包装されている。ただし、例えば、鋭利な物体に接触した場合などに、バッグ内で破損が行われることを除外することはできない。
【0008】
バッグの壁に形成された小さな破損の場合など、袋の完全性の損失は容易には見え得ない。したがって、滅菌バッグが明らかに損傷を受けていない場合でも、医療機器は破損によって汚染され得る。
【0009】
医療機器のそのような汚染を予測するために、使用時点で除染が実施され得る。しかし、同じ箱に入っているすべての医療機器に適用されるこのような除染は、高価で時間がかかる。
【0010】
したがって、殺菌バッグが損傷した医療機器に対してのみ、そのような除染を行うことが望ましい。
【0011】
バッグに入れられ得る、バッグ内の雰囲気が変化すると化学反応によって色が変わるように構成されているパッケージ全体の完全性の損失のインジケータがある。
【0012】
ただし、このようなインジケータは、バッグが破損している場合にのみ完全性の損失を検出できるため、バッグの詳細な検査が必要である。
【0013】
さらに、そのようなインジケータは、滅菌を可能にする多孔質壁を含む袋と共に使用することはできない。実際、そのような多孔質の壁のために、バッグの内側と外側の雰囲気は同じである。したがって、バッグの壁に破損が発生しても、バッグ内の雰囲気は変わらず、インジケータの色に影響を与えない。
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、バッグが多孔質壁を含むか否かにかかわらず、完全性の喪失を容易に検出することを可能にするヘッダバッグを提供することである。
【0015】
その目的のために、本発明は、少なくとも1つの医療機器を包装するためのヘッダバッグであって、少なくとも1つの医療機器のためのエンクロージャを形成するように密封されるように構成される少なくとも1つのシートを備え、少なくとも1つのシートは、少なくとも内側層および外側層を含み、内側層および外側層は、気体に対して不浸透性であり、内側層と外側層との間に延びる容積に真空を作成することができ、ヘッダバッグは、内側層と外側層との間に配置される圧力センサと、圧力センサと通信するように構成されるRFIDタグとをさらに備え、RFIDタグは、例えば、圧力センサーによって検出される圧力の変化を記録する、少なくとも1つの医療機器を包装するためのヘッダバッグを提供する。
【0016】
少なくとも1つのシートの内側層と外側層との間に作成された真空は、ヘッダバッグの完全性の喪失を検出することを可能にする。実際、内側層および外側層のうちの少なくとも1つにおける破損は、層間の真空の損失をもたらす。特に、損傷した層が曝露される空気または任意の他のガスは、層の間を貫通し得る。いくつかの実施形態では、該ガスは、例えば、湿度に感受性であり得る視覚的インジケータによって検出され得る。他の実施形態では、該ガスは、RFIDタグに関連付けられた圧力センサによって検出され得る。他の実施形態では、前記ガスは、内側シートおよび外側シートを互いに分離可能にし得、したがって、層を互いに引き離してそれらを分離することによって検出され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、ヘッダバッグは、エンクロージャの一部を形成するために少なくとも1つのシートに密封された多孔質壁をさらに備える。
【0018】
前記多孔質壁は、高密度ポリエチレン繊維、コーティングされたセルロース繊維、および/またはコーティングされていないセルロース繊維を含む不織布材料から作製され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、ヘッダバッグは、折り畳まれ、それ自体に密封されてエンクロージャを形成するように構成された単一のシートを含み得る。
【0020】
他の実施形態では、ヘッダバッグは、エンクロージャを形成するために互いに密封されるように構成された少なくとも2つのシートを含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、ヘッダバッグは、内側層と外側層との間に配置されたインジケータを含み得、インジケータは、圧力の変動または湿度変動などのガス濃度の変動に曝露したときに視覚的態様を変更するように構成される。
【0022】
いくつかの実施形態では、ヘッダバッグは、外側層に取り付けられたプルタブを含み得る。
【0023】
各シートの内側および外側の層は、ポリエチレン、特に低密度直鎖ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリエチレンテレフタレートのいずれかを含み得る。
【0024】
別の態様によれば、本発明は、上述のヘッダバッグを含む少なくとも1つの医療機器の包装を提供する。少なくとも1つの医療用容器は、密封されたエンクロージャ内に配置され、各シートの内側層と外側層との間の容積は真空下にある。
【0025】
別の態様によれば、本発明は、そのようなヘッダバッグ内の少なくとも1つの医療機器を包装するためのプロセスを提供する。前記プロセスは、(以下の順序で必ずしも実施されていないステップ)
上記のようなヘッダバッグを提供することと(ヘッダバッグは、医療機器(複数可)を内部に配置することを可能にする少なくとも1つの開口部を含む)、
少なくとも1つの医療用容器を前記エンクロージャ内に配置することと、
エンクロージャを密閉することと(ヘッダバッグを閉じる)、
少なくとも1つのシートの内側層と外側層との間に真空を作成することと、を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、真空は、ヘッダバッグを提供する前に、少なくとも1つのシート内に作成され得る。
【0027】
他の実施形態では、真空は、少なくとも1つの医療用容器を含むエンクロージャを密封するときに、少なくとも1つのシート内に作成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
添付の図面を参照して、本発明の追加の特徴および利点を以下に説明する。
【
図3】第1の実施形態によるヘッダバッグの概略図である。
【
図5】視覚的インジケータを含む、第2の実施形態によるヘッダバッグの概略図である。
【
図6A】
図5のインジケータの第1の視覚的態様の概略図である。
【
図6B】
図5のインジケータの第2の視覚的態様の概略図である。
【
図7】RFIDタグに結合された圧力センサを含む、第3の実施形態によるヘッダバッグの概略図である。
【
図8】互いに密封されるように構成された2枚のシートを有する一実施形態によるヘッダバッグの上面図、底面図、および側面図を示す。
【
図9】単一のシートがそれ自体に密封されるように構成された、一実施形態によるヘッダバッグの上面図、底面図、および側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ヘッダバッグは、医療用容器などの1つ以上の医療機器のためのエンクロージャを形成するように密封されるように構成される少なくとも1つのシートを備える。
【0030】
前記少なくとも1つのシートは、シートを形成するために、それらの周囲に沿って重ね合わされ、密封された2つの層で作られている。外層と呼ばれる1つの層は、ヘッダバッグの外面を画定し、ヘッダバッグを取り巻く雰囲気に曝される。内層と呼ばれる他の層は、ヘッダバッグの内面を画定し、少なくとも1つの医療機器と同じ雰囲気に曝される。
【0031】
層の密封は、層の周囲の領域を局所的に加熱し、連続した線に沿って2つの層の材料の溶接を促進するために機械的圧力を加えることによって実施され得る。したがって、層の密封は、外層と内層の両方が一緒に溶接される密封領域を画定する。層は、同じ高分子材料または互換性のある高分子材料、すなわち、異なる分子構造を有するが依然として互いに溶接することができるポリマーから作製され得る。好ましい実施形態では、内層および外層のうちの少なくとも1つは、ポリエチレン、特に低密度直鎖ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、および/またはポリエチレンテレフタレートから作製され得る。
【0032】
内側層および外側層の両方、ならびに連続的な密封領域は、酸素、空気、二酸化炭素および/または水蒸気などのガス、例えば空気に不浸透性である。気体不透過性とは、本明細書において、空気または酸素などの気体に対する透過性が低い層を意味する。例えば、酸素に対する透過性が低いとは、1,000cm3/25μm/24h未満の透過性である。前記透過性は、当業者から知られている任意の機械、例えば、ASTMD3985(CoulometricSensorを使用したプラスチックフィルムおよびシートを介した酸素ガス透過率の標準試験方法)方法に従って透過酸素分析装置(OxPerm、Ox-Tran2.222)を用いて測定してよい。
【0033】
このようにして、シートの密封中または密封後に、前記層の間に延びる容積内に真空を作成することができる。例えば、MAGVAC(商標)マシンなどの真空シール機、または2つの層をしっかりと適用することにより、真空を作成され得る。そのような真空が作成されると、内側と外側の層は互いに強く付着し、互いに層を引き剥がそうとしても分離できない。真空とは、本明細書において、400mbar未満、または好ましくは250mbar未満の圧力、例えば、50mbar~250mbarの間に含まれる圧力を意味する。
【0034】
好ましい実施形態では、医療機器は、注射器などの医療用容器、例えば、予め充填された注射器、カートリッジ、またはバイアルを含む。
【0035】
1つまたは複数の医療機器は、中間包装なしでヘッダバッグ内に直接封入され得、またはそれらは、それ自体がヘッダバッグ内に封入されている浴槽(tub)および/または桶(nest)などの中間包装内に配置され得る。
【0036】
好ましくは、ヘッダバッグは、気体、特に滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)に対して多孔質である壁を含み得る。多孔質とは、本明細書において、ガスに対する前記壁の材料、厚さおよび透過性が、壁を通過する十分な滅菌ガスの流れを可能にするように構成されることを意味する。このようにして、ヘッダバッグ内に封入された少なくとも1つの医療機器は、多孔質壁を通って密封されたヘッダバッグに浸透する滅菌ガスに曝露され得る。好ましい実施形態では、多孔質壁は、滅菌可能なヘッダバッグ内の多孔質壁の機能を果たすために頻繁に使用されるTyvek(商標)などの高密度ポリエチレン(HDPE)繊維で作られた不織布材料で有利に作られ得る。いくつかの実施形態では、不織布材料は、コーティングされたセルロース繊維および/またはコーティングされていないセルロース繊維を含み得る。
【0037】
シートとは反対に、多孔質壁は単層で形成され得る。多孔質壁は、当業者によって知られている任意の手段、例えば熱的に密封された手段によってヘッダバッグのシートに密封され得る。多孔質壁は、シートを形成する内側層、外側層、両方の層に密封され得る。
【0038】
しかしながら、本発明は、そのような実施形態に限定されず、また、空気に完全に不浸透であり、多孔質壁を含まないヘッダバッグをカバーし、これは、例えば、医療機器がヘッダバッグに入れられた後に滅菌を必要としない場合に好適であり得る。
【0039】
図1は、医療用容器(図示せず)を含む浴槽2を囲むヘッダバッグ1の実施形態を示す。
【0040】
ヘッダバッグは、一緒に密封された2枚のシート10、11を備える。
【0041】
各シート10、11は、それぞれの内側層10i、11iおよび外側層10o、11oを含む。
【0042】
両方の層を区別することを可能にするために、各内層とそれぞれの外層との間にギャップが表されるが、各シートを形成する内層と外層は、シートのシール中またはシール後にそれらの間に作成された真空のために、実際には互いに接触している。
【0043】
ヘッダバッグは、ガスに透過性である多孔質壁12をさらに備える。
【0044】
多孔質壁は、シート10、11に密封され、およびシート10、11自体であり(密封領域は、参照Sによって指定される)、浴槽2の密封されたエンクロージャを形成する。
【0045】
そのようなヘッダバッグを製造するためのプロセスは、
図8を参照して以下に説明される。
【0046】
2枚のシートを一緒に密封してヘッダバッグを形成する代わりに、単一のシートをそれ自体に折り畳んでから、その周辺に沿ってそれ自体を密封することも可能である(
図9および対応する説明を参照)。
【0047】
【0048】
このヘッダバッグは、多孔質壁を含まないことを除いて、
図1のヘッダバッグに類似している。
【0049】
図1のものと同じ参照番号を提示する要素の説明は、依然として適用可能である。
【0050】
ヘッダバッグを形成する各シートの二重層構造およびシート内の真空により、内側および外側の層を互いに適用することにより、前記シート内の破損を検出することが可能である。実際、内側層および/または外側層における任意の破損または穴は、層間の真空を放出し、内側層と外側層との間に周囲ガス(ヘッダバッグの内側からまたは外側からのいずれか)の侵入を可能にする効果を有する。
【0051】
この効果は、そのような破損を検出するためにさまざまな方法で利用され得る。検出の3つの実施形態を以下に説明する。
【0052】
第1の実施形態によれば、内側層と外側層との間のガスの浸透は、前記層を互いに分離することを可能にし、これは、前記層の間に真空が適用されるときには不可能である。例えば、ユーザは、層(例えば、外層)のうちの1つをつまんで、他の層(例えば、内層)を実質的に固定された位置に維持しながら、それを引っ張り得る。ユーザが層のうちの1つを引っ張り、それによってそれを他の層から分離する能力は、真空が解放され、したがって、層のうちの少なくとも1つで破損が行われたことを証拠とする。
【0053】
このようにして破損を検出する方法を容易にするために、プルタブが外層に設けられ得る。例えば、プルタブは、外層に結合され得る。典型的には、プルタブは、プルタブに設けられた接着層を介して外層に接着され得る。あるいは、プルタブはまた、外層に熱的に密封され得る。このようにして、ユーザは、プルタブ(これは外層をつまむよりも簡単である)をつかんで、それを引っ張って、外層を内層から分離しようと試み得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、内層は、例えば、両面テープなどの接着パッチを使用して、中間包装に接着され得る。このようにして、内層は、医療機器または中間包装に固定されたままであり得、これは、破損のために層間にガスが導入された場合、外層を内層からより容易に分離することを可能にする。
【0055】
図3および
図4は、第1の実施形態によるヘッダバッグを示す。
【0056】
ヘッダバッグ1は、多孔質壁を含んでいてもいなくてもよい。ヘッダバッグは、上述のように、複数の二重層シートのうちの1つから形成され得る。内側層10iおよび外側層10oを含む1つのシートのみが
図3に表される。
【0057】
医療機器(図示せず)は、浴槽2に配置されているが、代替の実施形態では、1つ以上の医療機器をヘッダバッグ内に直接配置することができる。
【0058】
内層10iは、両面テープ17によってタブの底部に接着される。
【0059】
プルタブ13は、外層10oに接着される。
【0060】
プルタブ13の近傍にある外層10oの部分の拡大図である
図4によりよく見られるように、プルタブは、2つのテープ13a、13bで形成され得、テープの1つの端部130a、130bは、外層10oに結合され、テープ13a、130bの反対側端部131a、131bは、互いに結合される。接着は、テープ13a、13bが接着面を有する場合に直接なされ得る。あるいは、接着剤または任意の他のタイプの接着を介して結合を作製してもよい。
【0061】
次いで、ユーザは、結合された端部131a、131bをつかんで、矢印の方向に外層を引っ張り得る。
【0062】
好ましくは、プルタブ13は、浴槽2に接着される領域の反対側のシートの側面に実質的に配置される。このようにして、内層10iは、ユーザがプルタブ13を引っ張っている間、浴槽にしっかりと保持され得る。
【0063】
ヘッダバッグが2つ以上の二重層シートを含む場合、各シートにおける破損を検出することができるように、各シートにプルタブを設け得る。
【0064】
第2の実施形態によれば、内側層と外側層との間のガスの浸透は、内側層と外側層との間に位置するガスの少なくとも1つの特性に感受性のあるインジケータによって検出され得る。
【0065】
例えば、インジケータは、湿度変動などのガス濃度の変動、または圧力の変動に敏感であり得る。インジケータは、ガスの前記特性に応答して視覚的側面(例えば、色)を変更するように構成される。有利には、前記インジケータは可逆的であり、視覚的側面の変化は可逆的であることを意味する。
【0066】
例えば、インジケータは、内側層と外側層との間に真空が維持される限り保持される第1の色を有し得、インジケータが、層の少なくとも1つにおける破損を介して貫通する空気にさらされると変化する。典型的には、OLIKROMによって商業化されたインジケータが使用され得る。
【0067】
ユーザがインジケータのこの視覚的態様の変化を見ることを可能にするために、外側および/または内側の層は、透明または半透明であり得る。これは、特に上記のような低密度ポリエチレン層の場合に当てはまる。
【0068】
【0069】
ヘッダバッグ1は、2つの二重層シート10、11で形成される。図示の実施形態では、ヘッダバッグ1はまた、多孔質壁12を含むが、これは任意選択である。
【0070】
各シートは、それぞれのシートを形成する内側層と外側層との間に配置されたインジケータ14を備える。ヘッダバッグが形成されると、内側層と外側層の間に真空が適用され、層が空気に浸透しないという事実により、インジケータは周囲環境から隔離される。各インジケータは、中央部分および周辺部分を有し得る。真空は、真空ノズルとMAGVAC(商標)マシンなどのバイアクティブシールバーを備えた真空シーラーで作成され得る。
【0071】
図6Aに示されるように、インジケータの中央部分141は、第1の色を有し、これは、周辺部分の色と同じであり得る。
【0072】
シート10に穴Hが開くと、ヘッダバッグの外側からの空気がこのシートの内側と外側の層との間に貫通する。その結果、対応するインジケータ14は、前記空気中に含まれる湿度にさらされる。
【0073】
したがって、
図6Bに示されるように、前記インジケータの中央部分141は、色を変化させる。周辺部分140は、同じ色のままであり得る。
【0074】
ユーザは、内側層および/または外側層を通して各インジケータの色を観察し、次に色の変化が発生したかどうかを検出し得る。
【0075】
もちろん、この実施形態は、ヘッダバッグが1つの二重層シートのみで形成されている場合にも適用可能である。この場合、必要なインジケータは1つだけである。
【0076】
しかし、例えば、シートの表面全体にわたって破損を検出する可能性を高めるために、単一のシートに異なる位置に配置された2つ以上のインジケータを配置することを決定し得る。
【0077】
第3の実施形態によれば、内側層と外側層との間のガスの浸透は、内側層と外側層との間に配置された圧力センサによって検出され得る。RFID(無線周波数識別)タグは、内側と外側の層の間にも配置される。RFIDタグは、圧力センサと通信して、圧力センサによって検出された内側層と外側層との間の圧力の変化を記録するように構成される。
【0078】
RFIDタグに記録されたデータは、ヘッダバッグの外部のRFIDリーダ16によって読み取られ得る。したがって、ユーザは、RFIDリーダを使用して、シートの内側層と外側層との間の圧力に関する情報を取得して、シート内の破損が発生したかどうかを判定し得る。
【0079】
図7は、前記第3の実施形態によるヘッダバッグを示す。
【0080】
ヘッダバッグ1は、2つの二重層シート10、11で形成される。図示の実施形態では、ヘッダバッグ1はまた、多孔質壁12を含むが、これは任意選択である。
【0081】
各シートは、それぞれのシートを形成する内側層と外側層との間に位置するRFIDタグに関連付けられた圧力センサ15を備える。典型的には、ASYGNによって商業化されたセンサ、例えば、ASX321xセンサを使用してもよい。ヘッダバッグが形成されると、内側層と外側層との間に真空が適用され、圧力センサは、真空に対応する初期圧力を測定し得る。
【0082】
シート10に穴Hが開くと、ヘッダバッグの外側からの空気がこのシートの内側と外側の層との間に貫通する。その結果、内側層と外側層との間の対応する圧力が増加し、圧力センサは初期圧力よりも大きい新しい圧力を測定する。測定された圧力は、RFIDタグのメモリに記録される。
【0083】
ユーザがヘッダバッグに向かってRFIDリーダ16を近づけると、RFIDリーダは、RFIDタグに記録されたデータを読み取ることができる。前記データに基づいて、ユーザは、圧力上昇が発生したと判定し、対応するシートで破損が行われたと推定し得る。
【0084】
もちろん、この実施形態は、ヘッダバッグが1つの二重層シートのみで形成されている場合にも適用可能である。この場合、センサとRFIDタグは1つ必要であり得る。
【0085】
破損を検出するための追加の手段を提供するために、第1の実施形態に関して既に説明したように、プルタブを外側層に設け得る。
【0086】
より一般的には、これが技術的に実行可能である場合、上記の実施形態のうちの2つ以上を組み合わせることができる。
【0087】
ヘッダバッグの製造は、主に、適切な寸法で内側層および外側層を提供してそれぞれのシートを形成し、内側層および外側層を重ね合わせてシートを形成し、容積を密封することを含む。前記シールは、例えば、内側層および外側層のうちの少なくとも1つを局所的に加熱し、圧力を加えて前記層の間に機械的結合を作成することによって実施され得る。密封はまた、内側層、外側層、または内側層と外側層の両方に局所的に実装された接着剤を用いて行うことができる。密封は、内側層と外側層との間に気密容積を有するために、シートの周囲に沿って連続している。
【0088】
真空は、前記シーリング中または密封後に前記容積で作成され得る。特に、内側層と外側層との間の真空は、好ましくは、2つの内側層と外側層が一緒に密封されるときに作られる。あるいは、真空は、少なくとも1つの医療機器がバッグの中に入れられた後にエンクロージャを閉じるためにヘッダバッグが密封されるときに、包装プロセスの後の段階で作成され得る。
【0089】
次いで、シートは、それ自体または別の同様のシートに密封されて、医療用容器のためのエンクロージャを形成し得る。適切であれば、少なくとも1つのシートは多孔質壁にさらに密封される。その目的のために、シート(複数可)および多孔質壁の材料は、そのようなシールを可能にするために互換性がなければならない。例えば、シート(複数可)および多孔質壁は、互いに溶接可能であるために、同じタイプのポリマーで作られ得る。特に、ポリエチレン層およびポリエチレン不織布は、共に密封され得る。
【0090】
図8は、互いに密封されるように構成された2枚のシートおよび多孔質壁を有する一実施形態によるヘッダバッグの(上から下への)上面図、底面図、および側面図を示す。
【0091】
ヘッダバッグの上部は、内側層10iおよび外側層10o(側面図を参照)から形成される第1のシート10と、それぞれが長方形の形状を有する多孔質壁12とを備える。多孔質壁は、共通の長手方向側に沿って第1のシート10に密封される。内側および外側の層10i、10oは、シート10の他の3つの側面に沿って一緒に密封される。真空は、層の密封中または密封後に、内側層10iと外側層10oとの間に作成され得る。密封領域は、参照Sによって指定される。
【0092】
ヘッダバッグの底部は、内側層11iおよび外側層11oから形成される第2のシート11を備える(側面図を参照)。第2のシートは、第1のシート10および多孔質壁12のアセンブリの形状と実質的に同一の長方形形状を有する。内側および外側の層11i、11oは、シート11の4つの側面に沿って密封される。真空は、層の密封中または密封後に、内側層11iと外側層11oとの間に作成され得る。
【0093】
次いで、ヘッダバッグは、第1のシート10および多孔質壁12のアセンブリを第2のシート11に重ね合わせることによって組み立てられ得る。
【0094】
次に、重ね合わせたシートの3つの側面にシールを行う。前記シールは、個々のシートをシールするために使用されるものと同じ技術的手段を使用して行うことができる。
【0095】
第4の側面は、医療用容器または中間包装をエンクロージャ内に挿入することを可能にするために開いたままである。図示の実施形態(側面図を参照)では、多孔質壁12の反対側が開いたままである。前記側面は、医療用容器がヘッダバッグに入れられた後に密封され得る。
【0096】
多孔質壁12は任意選択である。ヘッダバッグの滅菌が意図されていない場合、多孔質壁は省略され得、ヘッダバッグは、同様の寸法を有する第1および第2のシート10、11から形成され得る。
【0097】
図9は、単一のシートが折りたたまれそれ自体に密封されるように構成された、一実施形態によるヘッダバッグの上面図、底面図、および側面図を示す。
【0098】
ヘッダバッグは、ヘッダバッグの上部および下部の両方を形成するためにそれ自体で折り畳まれるシート10を備える。シート10は、内側層10iおよび外側層10oを含む(側面図を参照)。より正確には、ヘッダバッグの上部は、シート10の一部および多孔質壁12から形成され、それぞれが長方形の形状を有する。ヘッダバッグの底部は、シート10の残りの部分から形成される。
【0099】
多孔質壁12は、共通の長手方向側に沿って第1のシート10に密封される。内側および外側の層10i、10oは、シート10の他の3つの側面に沿って一緒に密封される。その結果、層10iと層10oとの間の容積は、ヘッダバッグの上部から下部まで延在する。真空は、層の密封中または密封後に、内側層10iと外側層10oとの間に作成され得る。
【0100】
次に、ヘッダバッグは、シート10を折りたたんで上部および下部を形成し、折りたたまれたシートの2つの側面を密封することによって組み立てられ得る。前の実施形態とは対照的に、第3の側面(
図9の左側)は、シート10の折り畳みによって形成されるため、シールを必要としない。
【0101】
第4の側面は、医療用容器または中間包装をエンクロージャ内に挿入することを可能にするために開いたままである。図示の実施形態(側面図を参照)では、折りたたみの反対側は開いたままである。前記側面は、医療用容器がヘッダバッグに入れられた後に密封され得る。
【国際調査報告】