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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】把持装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20231110BHJP
   B25J 15/12 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
B25J15/08 Z
B25J15/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526904
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 SG2021050666
(87)【国際公開番号】W WO2022098300
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】10202010966W
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517435434
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティー オブ シンガポール
【氏名又は名称原語表記】National University of Singapore
(71)【出願人】
【識別番号】503231882
【氏名又は名称】エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キン、フォン マイ
(72)【発明者】
【氏名】ロー、ジン ファット
(72)【発明者】
【氏名】チェン、チャオ-ユー
(72)【発明者】
【氏名】ヨウ、チェン ホア
(72)【発明者】
【氏名】チャン、イン
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707DS03
3C707ES05
3C707ES07
3C707ES10
3C707ET01
3C707ET08
3C707EU07
3C707EV10
3C707EV11
3C707EW01
3C707FS01
3C707FS06
3C707FT02
3C707HS27
3C707MT10
(57)【要約】
ベースと、ベースに対して近位端で接続された少なくとも一対の伸長可能なリンケージとを備え、それぞれの伸長可能なリンケージは遠位端から伸びる把持フィンガーを有し、伸長可能なリンケージは、把持フィンガー間の半径方向の距離が大きくなるようにベースから伸長又は収縮するように配置されている、把持装置。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに近位端で接続された少なくとも一対の伸長可能なリンケージと、を備え、
それぞれの前記伸長可能なリンケージは、前記伸長可能なリンケージの遠位端から伸びる把持フィンガーを有し、
前記伸長可能なリンケージは、前記把持フィンガー間の半径方向の距離が大きくなるように、前記ベースから伸長又は収縮するように配置されている、把持装置。
【請求項2】
前記ベースは、アクチュエータをさらに含み、前記アクチュエータは、少なくとも一つの吸引パッドを有し、前記アクチュエータは、物体が前記把持装置によって係合されるゾーンに向かって前記少なくとも一つの吸引パッドを伸長するように構成される、請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
サーボモータをさらに含み、前記サーボモータは、少なくとも一対の前記把持フィンガーのベースに接続するように配置され、少なくとも一対の前記把持フィンガーを屈曲位置から伸長位置へ動かす、請求項1又は2に記載の把持装置。
【請求項4】
それぞれの前記把持フィンガーが、前記把持フィンガーの把持面上に少なくとも1つの真空吸引パッドを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の把持装置。
【請求項5】
前記ベースは、伸長可能な手のひらアクチュエータを含み、前記手のひらアクチュエータの自由端面には、少なくとも一つの真空吸引パッドがある、請求項1~4のいずれか1項に記載の把持装置。
【請求項6】
少なくとも一対の前記把持フィンガーは、取り付けられた磁性部品を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の把持装置。
【請求項7】
前記把持面は、前記把持フィンガーと一体化した滑り止めの軟質皮を含む、請求項5又は6に記載の把持装置。
【請求項8】
少なくとも一対の前記把持フィンガーは、前記サーボモータの取り付け軸に沿って回転するように構成されている、請求項3~7のいずれか1項に記載の把持装置。
【請求項9】
少なくとも一対の前記把持フィンガーは、柔軟な触覚センサが埋め込まれている請求項3~8のいずれか1項に記載の把持装置。
【請求項10】
前記伸長可能なリンケージは、回転式の伸長可能なリンケージを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の把持装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の把持装置を対象物の上に位置決めし、整列する工程と、
前記伸長可能なリンケージを伸長又は収縮させる工程と、
少なくとも一対の前記把持フィンガーを前記ベースに対して相対的に移動させる工程と、を含む物体の把持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持装置及び物体を把持する方法に関し、特に、把持装置は、異なる形状及び寸法の物体をピックアップするために使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
把持装置は、異なる寸法や大きさの異なる物体を把持するために使用される。しかし、通常、把持装置は、グリッパの把持空間の範囲内で物体を把持するように設計されている。物体の幅が把持装置の把持スペースよりも大きい場合、把持装置には、適切な把持操作のために、吸引装置や大きな幅を有するフィンガーなど、把持装置に取り付けられる追加部品が必要になる場合がある。さらに、従来の把持装置は、トートビンの隅のような非常にアクセスしにくい領域から物体を扱うのに最適化されていない。また、従来の把持装置は、吸引による把持、又はフィンガーによる把持のどちらかを用いて対象物を把持する単一の把持方式で動作する。しかし、このような単一の把持方式では、高速輸送中に包装材が不規則に変形したり、包装材内の粉体の重心が移動したりするため、包装材の滑りを抑制するには不十分である。このような場合、輸送中の物体の滑りを最小限に抑えるためには、フィンガーによる把持で支持されている包装材に対して、吸引による把持が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の問題を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様では、本発明は以下の把持装置を提供する。
ベースと、
ベースに近位端で接続された少なくとも一対の伸長可能なリンケージと、を備え、
それぞれの伸長可能なリンケージは、伸長可能なリンケージの遠位端から伸びる把持フィンガーを有し、
伸長可能なリンケージは、把持フィンガー間の半径方向の距離が大きくなるように、ベースから伸長又は収縮するように配置され、
さらに、吸盤を有する1つの伸長可能な手のひら構造を備え、
伸長可能な手のひら構造は、グリッパのアクセス性を高めるために、ベースから垂直に伸縮するように設計された、把持装置。
【0005】
第2の態様では、本発明は物体を把持する方法を提供し、この方法は、
把持装置を位置決めして整列する工程と、
伸長可能なリンケージを伸長又は収縮させる工程と、
伸長可能な手のひら構造を伸長又は収縮させる工程と、
少なくとも一対の把持フィンガーを前記ベースに対して相対的に移動させる工程と、を含む。
【0006】
従って、本発明の目的は、制御システム内の組み込みモータ及び電磁弁を調節することにより遠隔で達成できる可変把持モードを有する把持装置を提供することである。これにより、異なる把持の態様を実現するために把持装置のハードウェアを手動で変更する必要がなくなる。
【0007】
本発明は、制御システム内の組み込みモータと電磁弁を調節することにより、遠隔で達成できる可変把持モードを提供する。これにより、異なる把持の態様を実現するために把持装置のハードウェアを手動で変更する必要がない。
【0008】
一実施形態では、把持装置は真空吸盤を含むことができ、これにより、把持装置は、通常、柔らかいフィンガーを使用してピックアップできなかった物品をピックアップし得る。そのような物品は、平らな又は細長い形状であるか、あるいは、柔らかいフィンガーではうまくつかむことが困難な滑らかなプラスチック材料で包装されている場合がある。吸盤は、把持装置の重量運搬能力をさらに増大させる。
【0009】
組み込みのマイクロコントローラを用いて、リンケージの伸長又は収縮を制御する能力は、多様なサイズ及び形状の物体をその場で把持するための把持装置の敏捷性を向上することができる。
【0010】
モータを有するベースと、ベースに接続するように配置された伸長可能なリンケージと、伸長可能なリンケージの遠位端に接続するように配置された少なくとも一対の把持フィンガーと、を備える把持装置であって、モータは、伸長可能なリンケージを伸長又は収縮するように構成される。把持装置の有効把持空間は、ベースの4つの剛性リンケージの伸長及び収縮を制御することによって遠隔で調整できる。それぞれが4本の軟質フィンガーに接続されている4つのリンケージは、前記フィンガー間の距離を大きくするように、同時、一対、又は個別に伸長することができる。フィンガーの間の距離が大きくなればなるほど、より大きな対象物を把持することができる。把持装置は、ベースに対して円周方向に配置された複数の把持フィンガーを用いて動作してもよいことが理解される。このため、把持装置は、一対の把持フィンガーを備えてもよいし、別の配置では、ベースに対して配置された4つの把持フィンガーを備えて、対象物を安定して把持することができる。
【0011】
ベースのプログラム可能な拡張性は、把持可能な物品の多様性を向上し得る。これにより、把持装置は大きなビスケット箱のような大きなものから、小さなチョコレート片のような小さなものまで、把持できるようになる。さらに、ベース幅の遠隔操作による調整は、従来業界で採用されている技術のように、把持装置が異なる物品を把持する前にハードウェアを手動で再設定する必要性を排除できる。したがって、拡張可能なベースは、把持装置の再設定に必要な人間の介入の必要性、及び関連するダウンタイムを大幅に低減し、ピックアンドプレースプロセスの俊敏性を高めることができる。
【0012】
さらに、アクチュエータは、少なくとも1つの吸引パッドを備えてもよい。真空吸引ヘッドを有する手のひら型の伸長可能なソフトアクチュエータは、把持装置のフィンガーに追加の体重支持機能を提供する。さらに、拡張された吸引ヘッドで対象物に接近することにより、物品が把持されて持ち上げられる前に、把持空間内の物品の安全性を確保できる。加えて、この機能は、把持装置が、乱雑な環境で選択的に物品をつかむ必要がある場合に有用であり得る。
【0013】
さらに、サーボモータが、少なくとも一対の把持フィンガーのベースに接続するように配置され、少なくとも一対の把持フィンガーを収縮位置から伸長位置まで移動させることができる。対象物に接近する前に、フィンガーが伸長されることにより、把持装置の有効な把持範囲が広がり、対象物の周辺特徴をカバーすることができる。これにより、大きなものや異形のものをしっかりと把持することができる。フィンガーの屈伸により、把持装置の力強い把持による物体の固定が可能になる。また、把持装置の伸長により、把持装置は、物品が実質的な突起を有する場合でも、物品に引っ掛けることが可能となる。
【0014】
さらに、少なくとも一対の把持フィンガーは、サーボモータの回転軸を中心に回転するように構成されている。これにより、サーボモータを使用して、取り付けられた軸に沿ってフィンガーを回転させ、ユーザがフィンガーの向きを調整し、対象物の形状や寸法に合わせて把持姿勢を調整することができる。
【0015】
さらに、滑り止めの軟質皮が把持フィンガーと一体化されても構わない。フィンガーの手のひら面は、フィンガーと対象物との間に柔らかく沿う界面を形成するシリコーンスキンの層と一体化されても構わない。また、シリコーンスキンは、摩擦係数を増加させ、それゆえ、把持装置の把持安定性を向上させることができる。
【0016】
さらに、少なくとも一対の把持フィンガーは、柔軟な触覚センサが埋め込まれてもよい。柔軟な触覚センサの薄い帯は、フィンガーの手のひら面に組み込まれることがある。埋め込まれたセンサからの力測定値を用いて、閉ループの力のフィードバック制御を実施することができる。
【0017】
さらに、少なくとも一対の把持フィンガーは、少なくとも一つの磁性部品を有していてもよい。伸縮可能な手のひらと柔らかいフィンガーの表面は、吸盤モジュールの代わりに磁性部品と一体化され得る。これにより、把持装置が強磁性ワークピースを取り扱うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の上記の特徴は、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態に基づいて、以下により詳細に説明する。
図1a-1d】図1a-1dは、本発明の一実施形態に係る把持装置を示す図である。図1aは、把持装置を示す3次元図である。図1bは、剛性リンケージの移動方向(赤矢印)、及び手のひら拡張アクチュエータの移動方向(青矢印)が示された把持装置の3次元図である。図1cは、把持装置の2次元図であり、吸盤の位置が赤い点線の円で示される。図1dは、把持装置の2次元図であり、フィンガーの断面図が示される。
図2a-2d】本発明の実施形態による2つの異なるフィンガーの向きの2次元図である。
図3a-3d】本発明の実施形態による、収縮した状態の剛性リンケージを有する把持装置の2次元図である。
図4a-4d】本発明の実施形態による、伸長した状態の剛性リンケージを有する把持装置の2次元図である。
図5図5は、本発明の実施形態による、物体をピックアップするために異なる把持姿勢を使用する把持装置の例示的な動きを示す図である。
図6a-6d】本発明の実施形態による把持装置の様々な図を示す。
図7a-7c】本発明の実施形態によるハイブリッド型の把持装置プロトタイプ装置の3次元図である。
図8】回転式の伸長可能なリンケージと、埋め込まれたヘリカルエアチューブを有する伸長可能な手のひら構造とを備える把持装置の3次元図である。
図9A】異なる構成でロボットアームに取り付けられた把持装置の3次元図である。
図9B】異なる構成でロボットアームに取り付けられた把持装置の3次元図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ロボット把持装置100及び800は、製造工程のエンド操作、又は固有の物品の持ち上げが必要とされる他の好適な用途に使用できる。
【0020】
把持装置は、ベースとフィンガー106という2つの主要な構成要素を含む。ベースの中心部には、伸長可能なリンケージ102を駆動するモータ711が収容される。図1a及び図1bは、ベースの中心部と、把持装置の4本のフィンガー106とを接続する4組の剛性で収縮可能なリンケージを示す。図1a及び図1bに示されたリンケージは、シザーリフトのものと同様に平面的な4本バーのリンケージである。直列の多関節部材、平行四辺形連結などを含む他のタイプの連結が使用されてもよいことが理解される。
【0021】
フィンガー106は、軟質であっても硬質であっても構わない。図1bは、拡張状態112にある把持装置を示しており、ここでは、剛性リンケージ102の伸長及び収縮を制御することによって、把持装置の有効把持幅を増加又は減少することができる。リンケージが伸びるにつれて114、フィンガー間の距離は、物体が把持装置によって把持され得る領域から半径方向に増加する。アクチュエータ104は、当該領域に向かって伸びるように、又は当該領域から引っ込むように、垂直方向116に移動するように配置され得る。フィンガー間の距離が大きいほど、より大きな物体を把持することができる。
【0022】
モータ711は、伸長可能なリンケージが伸長又は収縮可能であり、伸長又は収縮に応答して、少なくとも一対の把持フィンガーがベースに対して移動するように、伸長可能なリンケージを作動させるように構成される。これにより、少なくとも一対のフィンガーの幅が変化して伸びることができ、一対のフィンガーがフィンガーを変えることなく物をつまむことができるようになる。図1cは、ベースの中心で、1つのソフト伸長アクチュエータ104が把持装置の手のひら領域に実装されていることを示す。吸着パッド(2つずつ)103の配列は、ベース107のほぼ中心でアクチュエータの自由端に埋め込むことができる。図1dは、フィンガーが2つの空気圧チャンネルと歪み制限層128を備えて製作され、空気圧チャンネルは、フィンガー106の双方向の動きを可能にする屈曲作動チャンネル124と伸長作動チャンネル126からなることを示している。さらに、図1c及び図1dは、真空吸引パッド105が、それぞれの軟性のフィンガー120の先端部において、当該フィンガーの把持面上に埋め込まれていることを示す。スリーブ130は、物体をピックアップするときに付加的な牽引力を提供するように、フィンガーに統合されてもよい。さらに、図1dは、スリーブ130が各フィンガーの手のひら面に配置されることを示す。スリーブ130は、トラクションを提供するように摩擦抵抗を有する滑り止めのソフトスキン又はシリコーンソフトスキンであってよい。いくつかの実施形態では、装置は、ベースと、ベースへの近位端で接続された少なくとも一対の伸長可能なリンケージとを備え、それぞれの伸長可能なリンケージは、伸長可能なリンケージの遠位端から延びる把持フィンガーを有し、伸長可能なリンケージは、把持フィンガー間の径方向の距離を増加させるようにベースから伸長又は収縮するように配置されても良い。
【0023】
代替の実施形態では、把持装置は、少なくとも一対のフィンガー、または奇数のフィンガーを有しても構わない。
【0024】
図2a及び図2bは、各組のリンケージの端部にフィンガーが取り付けられていることを示す。フィンガーホルダの各々は、フィンガーのベースに接続された小型のサーボモータを収容する。サーボモータを制御することで、フィンガーの回転を調整することができる。4本のフィンガーに対して4つのサーボモータが搭載される。サーボモータを遠隔操作することで、フィンガーの把持姿勢を制御できる。赤矢印204、206はフィンガーのアクチュエータが向いている方向を示し、青矢印202は図2bの姿勢を実現するためのフィンガーの回転方向を示す。
【0025】
図3及び図4は、把持装置の個々の構成要素を選択的に作動及び制御することにより、可変把持構成を実現できることを示す。図3は、フィンガーアクチュエータの移動方向(黄色の矢印302)、及び手のひら伸長アクチュエータ(赤色の矢印304、306)の移動方向を示す。図3aは、フィンガーが屈曲し、手のひらアクチュエータが収縮している状態を示す。図3bは、フィンガーが伸びて、手のひらアクチュエータが収縮した状態、図3cはフィンガーが曲がって、手のひらアクチュエータが伸びた状態、図3dはフィンガーが伸びて、手のひらアクチュエータが伸びた状態である。図4dは、物体に接近して拾い上げるための実施形態を示し、手のひらソフトアクチュエータが伸長され、剛性リンケージが伸長される場合がある。図4bは、接触時に、対象物に付着する吸着パッドに真空圧がかかることを示す。その後、二次的な真空圧が伸長アクチュエータにかかり、手のひらアクチュエータの収縮が開始される。図3aは、センターモータ711を使用して剛性リンケージ102を収縮させ、把持装置のフィンガーが屈曲し、対象物を持ち上げることを示している。フィンガーアクチュエータの移動方向(黄色の矢印402、404)、及び手のひら拡張アクチュエータ(赤色の矢印406)の移動の方向。図4aは、フィンガーが屈曲し、手のひらアクチュエータが収縮した状態を示し、図4bは、フィンガーが伸び、手のひらアクチュエータが収縮した状態を示し、図4dは、フィンガーが伸び、手のひらアクチュエータが伸長した状態を示す。
【0026】
図5は、物品をピックアップするための把持装置の把持姿勢の多くの可能な組み合わせ502、504、506のうちの1つを示す。赤色の矢印は、本発明の実施形態による手のひら伸長アクチュエータの動きと剛体リンケージの収縮を示す。黄色の矢印は、フィンガーアクチュエータの屈曲と伸長の動きを示す。緑色の矢印は、物品をピックアップするための把持装置の把持姿勢のその後の進行を示す。
【0027】
図6は、シングルチャンネルのフィンガーアクチュエータを使用して開発された把持装置のプロトタイプである。図6aは、2種類のフィンガーの向きを示す。把持装置の理想的な把持姿勢は、対象物の形状や寸法によって異なるため、異なるタイプの対象物を把持する際には、異なる向きが使用される。例えば、小さい円筒形の物体は、図6aに表示された把持ポーズを必要とし、大きい直方体の箱は、図6bの把持ポーズを必要とする。図6aから図6bは、単一チャンネルフィンガー602、604を有する把持装置プロトタイプの様々な図を示す。図6cから図6dは、異なるフィンガーの向き606、608を有する把持装置の上面図を示し、把持装置は異なる形状及びサイズの物品を把持するために異なるフィンガーの向きを用いる。
【0028】
図7は、収縮状態が図7bに示され、及び伸長状態が図7cに示された、周辺機器を有するハイブリッド把持装置の完全な3D図面を示す。代替の実施形態では、真空吸引カップの代わりに、薄い形態の磁石をフィンガー710及び手のひらアクチュエータ702に実装することができる。これは、金属的な性質を有する物品のピックアンドプレース作業に適用され得る。図7aは、フィンガーベース708の軸を中心に回転可能なフィンガー710を回転させるようなフィンガーベース708を有するプロトタイプ装置を示す、ラベル付きの図面である。フィンガー710は、フィンガーの先端が物体に直接接触するように、物体により多くの牽引力を与えるように動かされることができる。これにより、装置は、長さの異なる5つ以上の辺を有する多角形のような不規則な形状を有する物体をピックアップすることができる。さらに、装置は、フィンガーが中立位置から、屈曲位置又は伸長位置に移動するように、柔らかい双方向性フィンガーを有してもよい。図7bは、フィンガーが収縮した位置にある、収縮したリンケージ706を有する把持装置を示し、図7cは、フィンガーが伸びた位置にある、伸びたリンケージ706を有する把持装置を示す。
【0029】
図8は、回転式の伸長可能なリンケージを有する把持装置の別の設計を示し、それにより、フィンガー808は、回転によってベース802に対して伸長される。一実施形態では、回転式の伸長可能なリンケージは、伸長されていない位置でリンケージがベースとコンパクトな配置を形成するように、ベース内から回転するように配置される。さらなる実施形態では、非伸長位置において、伸長可能なリンケージの周面は、ベースの本体と同一平面上にある。これは、ベース802とフィンガー804という2つの主要な構成要素を含む。ベースの中心部には、回転式の伸縮可能なリンケージ806を駆動するモータが収容される。それは、ベースの中心を把持装置の4本のフィンガー808に接続する4組の剛性の回転式リンケージを有する。鋳造された伸長可能な手のひらアクチュエータ810は、カスタムメイドのヘリカルエアチューブを構造体に埋め込むことを可能にする。それにより、外部にエアチューブを設けることなく、伸長及び収縮を効果的に行うことができる。
【0030】
図9A及び図9Bは、さらなる実施形態によるロボットアームに取り付けられた把持装置を示す。902は、完全に収縮した段階の把持装置を示し、904は、完全に伸長した段階の把持装置を示す。この実施形態では、ベース914及び回転可能で伸長可能なリンケージ916は、互いに相対的に関節運動する一連の部材を含むロボットアームに取り付けられている。関節は、隣接する部材間の相対的な回転を可能にするジョイントの形態である。回転ジョイントの少なくとも2つは、回転軸が互いに直交するように配置される。図9A及び図9Bの実施形態では、4つのそのようなジョイント906、908、910、912があり、これらは、支持取付部901から直列に配置された4つの部材を、フィンガー916が動作するベース914に接続している。したがって、この配置により、多関節ジョイントの相対的な回転を通じて、様々な位置でベース914を伸長及び収縮させるためのいくつかの自由度が提供される。本明細書に記載されたベースユニットのいずれもが、図9A及び図9Bを参照して説明した一連の部材と共に使用され得ることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
【手続補正書】
【提出日】2023-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明の上記の特徴は、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態に基づいて、以下により詳細に説明する。
図1a-1d】図1a-1dは、本発明の一実施形態に係る把持装置を示す図である。図1aは、把持装置を示す3次元図である。図1bは、剛性リンケージの移動方向(赤矢印)、及び手のひら拡張アクチュエータの移動方向(青矢印)が示された把持装置の3次元図である。図1cは、把持装置の2次元図であり、吸盤の位置が赤い点線の円で示される。図1dは、把持装置の2次元図であり、フィンガーの断面図が示される。
図2a-2b】本発明の実施形態による2つの異なるフィンガーの向きの2次元図である。
図3a-3d】本発明の実施形態による、収縮した状態の剛性リンケージを有する把持装置の2次元図である。
図4a-4d】本発明の実施形態による、伸長した状態の剛性リンケージを有する把持装置の2次元図である。
図5図5は、本発明の実施形態による、物体をピックアップするために異なる把持姿勢を使用する把持装置の例示的な動きを示す図である。
図6a-6d】本発明の実施形態による把持装置の様々な図を示す。
図7a-7c】本発明の実施形態によるハイブリッド型の把持装置プロトタイプ装置の3次元図である。
図8】回転式の伸長可能なリンケージと、埋め込まれたヘリカルエアチューブを有する伸長可能な手のひら構造とを備える把持装置の3次元図である。
図9A】異なる構成でロボットアームに取り付けられた把持装置の3次元図である。
図9B】異なる構成でロボットアームに取り付けられた把持装置の3次元図である。
【国際調査報告】