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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】スピーカトランスデューサ
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/02 20060101AFI20231110BHJP
   H04R 9/06 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
H04R9/02 Z
H04R9/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023526916
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 NL2020050685
(87)【国際公開番号】W WO2022098229
(87)【国際公開日】2022-05-12
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519100170
【氏名又は名称】ソノス・マイティ・ホールディングス・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Sonos Mighty Holdings BV
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】シーク,ティモシー ルーベン
(72)【発明者】
【氏名】ステーンハイス,オンノ ヘイン
(72)【発明者】
【氏名】ファン アペルドールン,ナプル
【テーマコード(参考)】
5D012
【Fターム(参考)】
5D012CA02
5D012DA03
(57)【要約】
スピーカメンブレン(2)と、このスピーカメンブレン(2)を駆動するためのスピーカメンブレン(2)の外側メンブレン外周部(4)に接続した2つの駆動部材(3)とを備える、スピーカトランスデューサ(1)。実質的に硬質の支持部材(5)が、2つの駆動部材(3)のそれぞれに接続し、これらの間で延出し、支持部材(5)は、スピーカメンブレン(2)に接続し、これに沿って延出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカトランスデューサ(1)であって、
スピーカメンブレン(2)と、
前記スピーカメンブレン(2)を駆動するための前記スピーカメンブレン(2)の外側メンブレン外周部(4)に接続した2つの駆動部材(3)と、
前記2つの駆動部材(3)のそれぞれに接続し、これらの間で延出する実質的に硬質の支持部材(5)と、
を備え、
前記支持部材(5)は、前記スピーカメンブレン(2)に接続し、これに沿って延出する、
スピーカトランスデューサ。
【請求項2】
前記2つの駆動部材(3)はそれぞれ、リング型駆動部材であり、各リング型駆動部材(3)の外側ドライバ外周部(7)が、前記スピーカメンブレン(2)の前記外側メンブレン外周部(4)に接続している、
請求項1に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項3】
前記2つの駆動部材(3)は、前記外側メンブレン外周部(4)に沿って対向して配置される、
請求項1又は2に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項4】
前記支持部材(5)が、前記スピーカメンブレン(2)の片面、又は両面に沿って延出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項5】
前記支持部材(5)は、前記2つの駆動部材(3)間で延出する1つ以上のフィン部(8)を含み、各フィン部(8)は前記スピーカメンブレン(2)に取り付けられ、そこから実質的に垂直方向に離れるように突出している、
請求項1から4のいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項6】
各フィン部(8)には、前記スピーカメンブレン(2)から測定されるフィン高さ(h)が定義され、前記フィン高さ(h)は、前記スピーカメンブレン(2)の厚さの少なくとも3倍である、
請求項5に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項7】
各フィン部(8)は直線型フィン部である、
請求項5又は6に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項8】
各フィン部(8)は、前記外側メンブレン外周部(4)の第1周辺部(9)から前記外側メンブレン外周部(4)の第2周辺部(10)まで延出する、
請求項5から7のいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項9】
前記支持部材(5)は、複数の前記フィン部(8)を含み、前記複数のフィン部(8)は、平行に延出するフィン部(8)の配置を形成する、
請求項5から8のいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項10】
前記複数のフィン部(8)の2つのフィン部(8a、8b)が、各駆動部材(3)の前記外側ドライバ外周部(7)の直径と同じか、又はそれよりも長い離間距離(Df)で離間する、
請求項2を引用する請求項9に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項11】
前記1つ以上のフィン部(8)の1つのフィン部が、前記スピーカメンブレン(2)の中心点(C)を通って延在する、
請求項5から8のいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項12】
前記2つの駆動部材(3)はそれぞれ、補助的ボイスコイル、又は永久磁石とそれぞれ相互作用するためのボイスコイル、又は永久磁石を含む、
請求項1から11のいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項13】
前記2つの駆動部材(3)はそれぞれ、ボイスコイルを含み、2つのボイスコイルは、前記支持部材(5)に沿って延出する有線接続を通じて接続されている、
請求項12に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項14】
前記支持部材(5)及び前記スピーカメンブレン(2)は一体形成されている、
請求項1から13のいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項15】
前記スピーカメンブレン(2)及び前記2つの駆動部材(3)は、実質的に平坦形状の体積で配置される、
請求項1から15のいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ラウドスピーカシステム用のスピーカトランスデューサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、コーン型スピーカメンブレン、及び、スピーカメンブレンに対してその背面側で同軸上に配置されたメンブレンドライバ、又はアクチュエータを備えるスピーカトランスデューサ等のスピーカトランスデューサが、よく知られている。
【0003】
さらに、平面型スピーカトランスデューサも、従来技術でよく知られており、このスピーカトランスデューサは、平面スピーカメンブレン、及びスピーカメンブレンの表面に沿って配置された複数のメンブレンドライバを備える。
【0004】
よく知られる同軸コーン型スピーカトランスデューサは、高い性能と忠実度を実現できるが、スピーカメンブレン、及びメンブレンドライバを同軸上に配置することにより、小型のラウドスピーカシステムにはあまり適していない。平面型スピーカトランスデューサでは、スピーカメンブレンが実質的に平らであるので、より平坦なスピーカ設計が可能である。
【0005】
国際公開第2019/117706号では、フレーム、対向する2枚の指向性ダイヤフラム、及び2つのスピーカドライバであって、それぞれが、動作時に対向する2枚の指向性ダイヤフラムを駆動するための少なくとも1つの磁気ドライバを有するスピーカドライバを含む、スピーカデバイスを開示している。スピーカダンパは、対向する2枚の指向性ダイヤフラムのそれぞれに関連し、関連する少なくとも1つの磁気ドライバで駆動されるように配置されたコイルブラケット、ダイヤフラムをスピーカダンパへと固定的に取り付けるように配置されたダイヤフラム接続部材、及びスピーカダンパをフレームへと固定するように配置されたダンパフレーム接続部材を含む。スピーカダンパは、ダイヤフラム接続部材とダンパフレーム接続部材との間で配置されたダンパ脚部材も、更に含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2019/117706号
【発明の概要】
【0007】
本発明は、性能と原音忠実度に優れ、軽量で耐久性のある、しかも、フォームファクタが小さいラウドスピーカ設計を可能にする、改良型スピーカトランスデューサを提供することを目的とする。
【0008】
本発明に従って、プリアンブルで述べた種類のスピーカトランスデューサを提供し、このスピーカトランスデューサは、スピーカメンブレンと、このスピーカメンブレンを駆動するためのスピーカメンブレンの外側メンブレン外周部に接続した2つの駆動部材と、2つの駆動部材のそれぞれに接続し、これらの間で延出する実質的に硬質の支持部材とを備え、この支持部材は、スピーカメンブレンに接続し、これに沿って延出する。
【0009】
本発明によると、スピーカメンブレンの剛性が増加するよう、支持部材は、スピーカメンブレンに取り付けられ、これに沿って延出する。とりわけ、スピーカメンブレンが、動作中に外側メンブレン外周部のみにおいて駆動するので、これにより、外側メンブレン外周部に駆動力が集中、局所化されて、スピーカメンブレンが変形しやすくなる。本発明の支持部材では、外側メンブレン外周部に作用する駆動力(例えば、押す/引っ張る)をスピーカメンブレンに沿って分散、拡散させることができる。スピーカメンブレンが支持部材で補強されているので、これにより、スピーカトランスデューサの耐久性が上がり、メンブレン剛性、及びメンブレン破断周波数の性能が向上し、「ビリツキ(rub-and-buzz)」の起こりやすさが低減される。
【0010】
好適な一実施形態では、支持部材がスピーカメンブレンの片面、又は両面に沿って延出することで、スピーカメンブレンのある特定の剛性、ひいては、ある特定の動的挙動を実現することができる。さらに、ある特定の用途におけるスピーカトランスデューサ用の空きスペースでは、スピーカメンブレンの片面のみ、又は両面に支持部材を配置できる場合もある。
【0011】
一例示的実施形態において、支持部材は、2つの駆動部材間で延出する1つ以上のフィン/リブ部を含み、各フィン/リブ部はスピーカメンブレンに取り付けられ、そこから実質的に垂直方向に離れるように突出している。この実施形態では、各フィン部は、2つの駆動部材間のスピーカメンブレンに取り付けられ、これに沿って延出する、支持部材の比較的薄い平坦な部分と見なすことができ、各フィン部は、動作中のスピーカメンブレンの運動方向と平行な方向にスピーカメンブレンから離れるように突出する。スピーカメンブレンに対して実質的に垂直方向で離れるように延出することで、各フィン部がスピーカメンブレンに与えられる剛性を最大限に高められる。さらに、スピーカメンブレン上で垂直方向にフィン部を配置すると、空気が移動するためのスピーカメンブレンの表面積が最大限に確保される。また、各フィン部は、スピーカトランスデューサの総移動重量への重量増加を最小限に抑えることもできる。
【0012】
更なる例示的実施形態において、各フィン部には、スピーカメンブレンから測定されるフィン高さがあり、このフィン高さは、スピーカメンブレンの厚さの少なくとも3倍である。本実施形態では、各フィン部がスピーカメンブレンに十分な剛性を与え、しかも、スピーカトランスデューサの総移動重量への重量増加を最小限に抑えることを確保することができる。
【0013】
以下の添付の図面を参照することで、本発明についてより詳細に検討する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る、スピーカトランスデューサの側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る、スピーカトランスデューサの上面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る、スピーカトランスデューサの第1斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る、スピーカトランスデューサの第2斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図3はそれぞれ、本発明の一実施形態に係る、スピーカトランスデューサ1の側面図、上面図、及び斜視図を示す。図示のように、このスピーカトランスデューサは、スピーカメンブレン2と、このスピーカメンブレン2を駆動するためのスピーカメンブレン2の外側メンブレン外周部4に接続した2つの駆動部材3と、2つの駆動部材3のそれぞれに接続し、これらの間で延出する実質的に硬質の支持部材5とを備え、この支持部材5は、スピーカメンブレン2に接続し、これに沿って延出する。スピーカトランスデューサのかかるアセンブリは、例えば、参照により本明細書で援用される、本願と同じ発明者の国際公開第2019/117706号に記載される、スピーカデバイスにおいて使用され得る。
【0016】
図示のように、スピーカメンブレン2の剛性が増加するよう、支持部材5は、スピーカメンブレン2に取り付けられ、これに沿って延出する。とりわけ、スピーカメンブレン2は、動作中に外側メンブレン外周部4のみにおいて駆動するので、これにより、外側メンブレン外周部4に駆動力が集中、局所化されて、スピーカメンブレンが変形しやすくなる。しかし、支持部材5では、外側メンブレン外周部4に作用する駆動力(例えば、押す/引く)をスピーカメンブレン2に沿って分散、拡散させることができる。それ故、スピーカメンブレン2が支持部材5で補強されているので、これにより、スピーカメンブレン2の耐久性が上がり、メンブレン破断周波数の性能が向上し、「ビリツキ」の起こりやすさが低減される。
【0017】
支持部材5は、スピーカメンブレン2が平面メンブレンである場合には、とりわけ都合がよく、本来、平面メンブレンでは、支持部材5がないと変形が大きくなりすぎる場合がある。支持部材5は、スピーカトランスデューサ1の使用時に最適な動的挙動を実現し、変形を最小限に抑えるための構造的補強を必要とする場合、円錐型スピーカメンブレン2についても同様に都合がよいことにも留意されたい。
【0018】
典型的な実施形態において、2つの駆動部材3はそれぞれ、永久磁石、又は電子制御磁石(例えば、ボイスコイル)等の補助的駆動部材6と相互作用するよう、配置される。したがって、一実施形態において、駆動部材3はそれぞれ、補助的ボイスコイル、又は永久磁石とそれぞれ相互作用するための永久磁石、又はボイスコイルを含められる。これにより、スピーカメンブレン2を駆動するために、各駆動部材3をアクティブ駆動部材にするか、又はパッシブ駆動部材にするかについて、設計の自由度が得られる。
【0019】
各駆動部材3がボイスコイルを含む場合、ボイスコイルが支持部材5に沿って延出する有線接続を通じて接続されるという、好適な一実施形態が提供される。
【0020】
一実施形態において、2つの駆動部材3はそれぞれ、リング型駆動部材3であり、各リング型駆動部材3の外側ドライバ外周部7が、スピーカメンブレン2の外側メンブレン外周部4に接続している。この実施形態において、図2で見られるように、スピーカメンブレン2と、外側メンブレン外周部4とに「並んで」接続された各駆動部材3との間で、完全な偏心配置が実現されている。その結果、スピーカメンブレン2、及び各駆動部材3は、実質的に平坦な体積で配置されて、平坦なスピーカトランスデューサ1が得られる。そして、実質的に硬質の支持部材5によって、外側メンブレン外周部4に作用する各駆動部材3からの駆動力は、スピーカメンブレン2に沿って分散されて、スピーカメンブレンの最適な動的挙動が得られる。特筆すべきは、平坦な偏心配置により、所与の空間について、スピーカトランスデューサ1のより大きな変位、つまり、エクスカーションが可能となり、これにより、スピーカトランスデューサ1の性能が一層最適化されるということである。
【0021】
動作中のスピーカメンブレン2の運動方向に長手方向を定義すると、この実施形態では、従来技術のスピーカメンブレン、及びメンブレンドライバのスペースを消費する同軸配置を明らかに回避することができる。
【0022】
例えば、図2で更に示されているように、2つの駆動部材3を、外側メンブレン外周部4に沿って対向配置可能であり、これにより、外側メンブレン外周部4に作用する局所化された駆動力が、これに沿って均一に分散される。つまり、この実施形態は、2つの駆動部材3の間の外側メンブレン外周部4の対向する2つセクションが実質的に同じ長さであると、見なすことができる。したがって、2つの駆動部材3の間に引かれた仮想直線は、スピーカメンブレン2の中心点「C」を通る。例えば、支持部材5が直線支持部材であれば、これが2つの駆動部材3を最短経路に沿って接続して、これら駆動部材の剛性を最大限に高めるはずである。
【0023】
補助的駆動部材6に戻ると、図1図3から、一実施形態において、リング型駆動部材3はそれぞれ、これを通って延びる補助的駆動部材6を受けるように配置されてもよいことが分かる。なお、2つの補助的駆動部材6はそれぞれ、円筒型補助的駆動部材6であってもよい。円筒型補助的駆動部材6ごとに適した長さを選択することで、複数のスピーカトランスデューサ1を使用できることは容易に理解される、これに応じて、各スピーカトランスデューサは、2つの補助的駆動部材6と相互作用する2つのリング型駆動部材3を使用する。そして、複数のスピーカトランスデューサ1は、2つの円筒型補助的駆動部材6を共有して、長手方向に配置できる。このようにすれば、最小限の寸法であっても、最適な性能が得られ、例えば、「背中合わせ」配置(図示せず)が可能となるはずである
【0024】
図3で示されるように、一実施形態において、支持部材5は、スピーカメンブレン2の片面のみに沿って延出することができるので、支持部材5は、スピーカメンブレン2の見えない方の面に沿って延出することはない。この実施形態は、片側支持で十分であり、場合によっては、見えない方の面に沿って支持部材5を配置するスペースがない場合に都合がよいことがある。
【0025】
図4は、本発明の一実施形態に係る、スピーカトランスデューサ1の第2斜視図を示す。図示のように、この実施形態では、図3から分かるように、支持部材5は、スピーカメンブレン2の対向側に取り付けられ、これに沿って延出する。したがって、好適な一実施形態において、支持部材5は、スピーカメンブレン2の両面に沿って延出し、最適な剛性を得ることができるので、性能が向上する。
【0026】
支持部材5は、様々な方法で実装することができる。例えば、一実施形態において、支持部材5は、2つの駆動部材3間で延出する1つ以上のフィン部8を含んでもよく、各フィン部8はスピーカメンブレン2に取り付けられ、そこから実質的に垂直方向に離れるように突出している。
【0027】
この実施形態では、各フィン部8は、2つの駆動部材3間のスピーカメンブレン2に取り付けられ、これに沿って延出する、支持部材5の比較的薄い平坦な部分と見なすことができ、各フィン部8は、長手方向、つまり、動作中のスピーカメンブレン2の運動方向と平行な方向にスピーカメンブレン2から離れるように突出する。スピーカメンブレン2に対して実質的に垂直方向で離れるように延出することで、各フィン部8がスピーカメンブレンに与えられる剛性を最大限に高められる。さらに、スピーカメンブレン2上で垂直方向にフィン部8を配置すると、空気が移動するためのスピーカメンブレン2の表面積Sが最大限に確保され、かくして、高性能が維持される。また、各フィン部8は、スピーカトランスデューサ1の総移動重量への重量増加を最小限に抑えることもできる。
【0028】
例示的実施形態において、各フィン部8は、スピーカメンブレン2の厚さと実質的に等しい厚さtを有する。これにより、依然として、スピーカメンブレン2に十分な構造的剛性を与えつつ、空気を移動させるためのスピーカメンブレン2の表面積Sが最大化される。さらに、厚さtは、ダイヤフラムの高品質で高速な製造に有利な寸法を提供する。
【0029】
更なる例示的実施形態において、各フィン部8には、スピーカメンブレン2から測定されるフィン高さhがあり、このフィン高さhは、スピーカメンブレン2の厚さの少なくとも3倍である。やはり、これによって、スピーカメンブレン2の剛性を十分に確保しつつ、平坦なスピーカトランスデューサ1が得られる。特筆すべきは、フィン高さhは、例えば、スピーカトランスデューサ1の使用時の衝突を避けるための、スピーカトランスデューサ1に近くに配置された物理的物体によって、制約される場合があるということである。また、かかる物理的物体は、2つのスピーカトランスデューサ1の「背中合わせ」配置を得るための、上述したような更なるスピーカトランスデューサ1であってもよい。同様に、かかる物理的物体は、かかる「背中合わせ」配置において、対向する2つのスピーカトランスデューサ1の間に配置された物体でもよい。
【0030】
図2で更に示されているように、一実施形態では、1つ以上のフィン部8はそれぞれ、直線型フィン部であってもよく、これにより、最大曲げ抵抗を有するが、依然として、スピーカメンブレン2に沿った力の分散と拡散に優れた短いフィン部8が実現される。一特定実施形態において、1つ以上のフィン部8の1つのフィン部は、最大剛性が得られる最短フィン部を実現するために、スピーカメンブレン2の中心点Cを通って延在してもよい。
【0031】
更なる実施形態において、1つ以上のフィン部8はそれぞれ、外側メンブレン外周部4の第1周辺部9から外側メンブレン外周部4の第2周辺部10まで延出してもよい。例えば、図2で示されるこの実施形態において、各フィン部8は、外側メンブレン外周部4の2つの位置間でスピーカメンブレン2に沿って完全に延出している。つまり、各フィン部8は、第1周辺部から第2周辺部9、10までスピーカメンブレン2を完全にまたがっている。本実施形態では、支持部材5が表面積Sを最大限広く維持することを確保しており、この場合、各フィン部8がスピーカメンブレン2の剛性へと効果的に寄与する。当然のことながら、この実施形態では、第1、第2周辺部9、10は異なるものと理解するものとする。
【0032】
一例示的実施形態において、図2で示されるように、支持部材5は、上述のように複数のフィン部8を含んでもよく、これら複数のフィン部8は、平行に延出するフィン部8の配置を形成する。この2つの駆動部材3間の平行配置は、外側メンブレン外周部4にかかるスピーカメンブレン2に沿った駆動力の最適な分散と拡散へと更に寄与する。さらに、平行に延出する配置によって、スピーカメンブレン2のねじれ剛性が高まる。
【0033】
図2の実施形態では、複数のフィン部8の2つのフィン部8a、8bが、各駆動部材3の外側ドライバ外周部7の直径と同じか、又はそれよりも長い離間距離Dfで離間してもよいことが、更に図示されている。これにより、直線型、又は円弧型フィン部8a、8bの双方を2つの駆動部材3のそれぞれへと直接接続できる一方、スピーカメンブレン2に沿った駆動力を最適に分散させるために、最大限に離間させることができる。図2は、2つのフィン部8a、8bをそれぞれ、スピーカメンブレン2に沿った最短スパン、かつ最大剛性を得るための直線型フィン部とする、例示的実施形態を示す。しかし、代替実施形態において、これらのフィン部8a、8bがそれぞれ、スピーカメンブレン2に沿って円弧状に延出して、スピーカメンブレン2に沿った所望の力分散を実現すると考えることができる。
【0034】
上述の1つ以上のフィン部8を2つの駆動部材3の間に配置する方法に関わらず、2つの駆動部材3がそれぞれ、ボイスコイルを含む場合、これらのボイスコイルは、1つ以上のフィン部8の1つ以上に沿って延出する有線接続を通じて接続することができる。
【0035】
特筆すべきは、支持部材5とスピーカメンブレン2が一体形成され、ひいては、一体型ピースが形成されて、スピーカ部材2が最大剛性を得るということである。したがって、好適な一実施形態では、1つ以上のフィン部8をスピーカメンブレン2と一体形成することで、剛性を高め、ひいては、動的性能を改善させることもできる。
【0036】
本発明によると、3つ以上の駆動部材3をスピーカメンブレン2(図示せず)の外側メンブレン外周部4に沿って配置し、接続できるものと、確実に考えることができる。かかる場合では、支持部材5は、3つ以上の駆動部材3の間で様々な方法により延出することができる。例えば、一実施形態において、スピーカトランスデューサ1は、スピーカメンブレン2の外側メンブレン外周部4に接続し、これに沿って均等に分散した3つの駆動部材3を備えてもよい。次に、実質的に硬質の支持部材5を、3つの駆動部材3の第1、及び第2駆動部材に接続し、さらに、3つの駆動部材3の第1、及び第3駆動部材へと接続できる。このようにして、スピーカメンブレン2に取り付けられ、これに沿って延出するY字型支持部材5が得られ、スピーカメンブレン2の駆動力の分散と剛性が最適化される。そして、上述の実施形態と類似の方法において、Y字型支持部材5は、第1駆動部材と第2駆動部材との間、及び第1駆動部材と第3駆動部材との間で延出する、1つ以上フィン部8を含むことができる。同様に、次に、各フィン部8は、スピーカメンブレン2に取り付けられ、これに沿って延出し、そこから実質的に垂直な方向、つまり、長手方向で離れるように突出している。
【0037】
理解されるように、更なる実施形態では、支持部材5は、第1駆動部材と第2駆動部材との間、第1駆動部材と第3駆動部材との間、並びに第2駆動部材と第3駆動部材の間で延出して、スピーカメンブレン2に沿った力の分散を更に向上させることができる。
【0038】
図面で示される幾つかの例示的実施形態を参照して、本発明について、これまで説明してきた。幾つかの部品、又は要素の変更及び代替的な実装も可能であり、添付の特許請求の範囲に定義される保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカトランスデューサ(1)であって、
スピーカメンブレン(2)と、
前記スピーカメンブレン(2)を駆動するための前記スピーカメンブレン(2)の外側メンブレン外周部(4)に接続されるとともに、前記外側メンブレン外周部(4)に沿って対向して配置される第1及び第2の駆動部材(3)と、
前記第1及び第2の駆動部材(3)のそれぞれに接続し、これらの間で延出する硬質の支持部材(5)と、
を備え、
前記支持部材(5)は、前記スピーカメンブレン(2)に接続し、これに沿って延出する、
スピーカトランスデューサ。
【請求項2】
記駆動部材(3)はそれぞれ、リング型駆動部材であり、各リング型駆動部材(3)の外側ドライバ外周部(7)が、前記スピーカメンブレン(2)の前記外側メンブレン外周部(4)に接続している、
請求項1に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項3】
スピーカトランスデューサ(1)であって、
スピーカメンブレン(2)と、
前記スピーカメンブレン(2)を駆動するための前記スピーカメンブレン(2)の外側メンブレン外周部(4)に接続される第1、第2及び第3の駆動部材(3)と、
前記第1、第2及び第3の駆動部材(3)のそれぞれに接続し、これらの間で延出する硬質の支持部材(5)と、
を備え、
前記支持部材(5)は、前記スピーカメンブレン(2)に接続し、これに沿って延出する、
スピーカトランスデューサ。
【請求項4】
前記支持部材(5)は、前記第1及び第2の駆動部材(3)を最短経路に沿って接続する直線支持部材である、
請求項1から3のいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項5】
前記支持部材(5)が、前記スピーカメンブレン(2)の片面、又は両面に沿って延出する、
請求項1からのいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項6】
前記支持部材(5)は、前記スピーカメンブレン(2)に取り付けられ、そこから実質的に垂直方向に離れるように突出している1つ以上のフィン部(8)を含む
請求項1からのいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項7】
各フィン部(8)には、前記スピーカメンブレン(2)から測定されるフィン高さ(h)が定義され、前記フィン高さ(h)は、前記スピーカメンブレン(2)の厚さの少なくとも3倍である、
請求項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項8】
各フィン部(8)は直線型フィン部である、
請求項又はに記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項9】
各フィン部(8)は、前記外側メンブレン外周部(4)の第1周辺部(9)から前記外側メンブレン外周部(4)の第2周辺部(10)まで延出する、
請求項からのいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項10】
前記支持部材(5)は、複数の前記フィン部(8)を含み、前記複数のフィン部(8)は、平行に延出するフィン部(8)の配置を形成する、
請求項からのいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項11】
前記1つ以上のフィン部(8)の1つのフィン部が、前記スピーカメンブレン(2)の中心点(C)を通って延在する、
請求項からのいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項12】
前記駆動部材(3)はそれぞれ、補助的ボイスコイル、又は永久磁石とそれぞれ相互作用するためのボイスコイル、又は永久磁石を含む、
請求項1から11のいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項13】
前記駆動部材(3)はそれぞれ、ボイスコイルを含み、2つのボイスコイルは、前記支持部材(5)に沿って延出する有線接続を通じて接続されている、
請求項1から12のいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項14】
前記支持部材(5)及び前記スピーカメンブレン(2)は一体形成されている、
請求項1から13のいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【請求項15】
前記スピーカメンブレン(2)及び前記駆動部材(3)は、実質的に平坦形状の体積で配置される、
請求項1から14のいずれか一項に記載のスピーカトランスデューサ。
【国際調査報告】