(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】光通信システムにおける利得等化誤差の管理
(51)【国際特許分類】
H04B 10/294 20130101AFI20231110BHJP
【FI】
H04B10/294
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526996
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 US2021049423
(87)【国際公開番号】W WO2022098426
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502101180
【氏名又は名称】サブコム,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フルサ、ドミトリ、ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ハモン、ティモシー、イー.
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AD01
5K102AL11
5K102KA42
5K102MC15
5K102PC11
5K102PH13
5K102PH43
5K102RB02
5K102RB03
5K102RD28
(57)【要約】
光通信システムにおける利得等化誤差を管理するための技術を提供する。例えば、多段利得補正フィルタは、解像度が足りないフィルタによる利得等化誤差を少なくとも補正するように構成されてもよく、例えば、光通信システムで使用される通常の非反射利得補正技術である。多段フィルタは、少なくとも、大部分の伝送帯域幅における利得等化誤差を補正するための広帯域利得補正フィルタと、帯域幅の狭い領域における誤差を補正するための狭帯域利得補正フィルタとを含んでもよい。1つまたは複数の多段フィルタは、システムのリピータ(ハイブリッドGFFと呼ばれてもよい)で実現されてもよいし、独立した本体(ハイブリッドGEFと呼ばれてもよい)に含まれてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フィルタと、前記第1フィルタと異なる第2フィルタとを備え、光増幅器と組み合わせて使用され、利得等化誤差を補正するための多段利得補正フィルタであって、
前記第1フィルタは、光伝送帯域幅の第1部分における利得等化誤差を補正し、
前記第2フィルタは、前記光伝送帯域幅の第2部分における利得等化誤差を補正し、
前記光伝送帯域幅の前記第1部分は、前記第2部分よりも広い、
多段利得補正フィルタ。
【請求項2】
前記第1フィルタは、広帯域利得補正フィルタであり、
前記第1部分は、前記光伝送帯域幅の大部分または全部であり、
前記第2フィルタは、狭帯域利得補正フィルタであり、且つ、前記第2部分が前記光伝送帯域幅の狭い領域である、
請求項1に記載の多段利得補正フィルタ。
【請求項3】
前記多段利得補正フィルタがリピータに配置され、且つ、前記広帯域利得補正フィルタおよび前記狭帯域利得補正フィルタが利得平坦化フィルタである、
請求項2に記載の多段利得補正フィルタ。
【請求項4】
前記多段利得補正フィルタが独立した本体に配置され、且つ、前記広帯域利得補正フィルタおよび前記狭帯域利得補正フィルタが利得等化フィルタである、
請求項2に記載の多段利得補正フィルタ。
【請求項5】
前記第1フィルタは、反射フィルタまたは非反射フィルタであり、
前記第1フィルタが前記反射フィルタである場合、少なくとも1つのアイソレータは、前記第1フィルタと前記第2フィルタとの間に配置される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の多段利得補正フィルタ。
【請求項6】
第1フィルタにより光伝送帯域幅の第1部分における利得等化誤差を補正することと、
第2フィルタにより前記光伝送帯域幅の第2部分における利得等化誤差を補正することと、を含み、多段利得補正フィルタを使用して利得等化誤差を補正するための方法であって、
前記第1フィルタは、前記第2フィルタと異なり、
前記光伝送帯域幅の前記第1部分は、前記第2部分よりも広い、
方法。
【請求項7】
前記第1フィルタは、広帯域利得補正フィルタであり、
前記第1部分は、前記光伝送帯域幅の大部分または全部であり、
前記第2フィルタは、狭帯域利得補正フィルタであり、且つ、前記第2部分が前記光伝送帯域幅の狭い領域である、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記多段利得補正フィルタがリピータに配置され、且つ、前記広帯域利得補正フィルタおよび前記狭帯域利得補正フィルタが利得平坦化フィルタである、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記多段利得補正フィルタが独立した本体に配置され、且つ、前記広帯域利得補正フィルタおよび前記狭帯域利得補正フィルタが利得等化フィルタである、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1フィルタは、反射フィルタまたは非反射フィルタであり、
前記第1フィルタが前記反射フィルタである場合、少なくとも1つのアイソレータは、前記第1フィルタと前記第2フィルタとの間に配置される、
請求項6から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
光ファイバケーブルに沿って配置されて離間され、複数のエルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA)を含む少なくとも1つのリピータと、
複数のハイブリッド利得補正フィルタと、を備え、
前記複数のハイブリッド利得補正フィルタのそれぞれが前記少なくとも1つのリピータの各EDFAの出力に結合されているシステムであって、
各ハイブリッド利得補正フィルタは、
第1フィルタと、
前記第1フィルタと異なる第2フィルタと、を備え、
前記第1フィルタは、光伝送帯域幅の第1部分における利得等化誤差を補正するように構成され、
前記第2フィルタは、前記光伝送帯域幅の第2部分における利得等化誤差を補正するように構成され、
前記光伝送帯域幅の前記第1部分は、前記第2部分よりも広い、
システム。
【請求項12】
前記第1フィルタは広帯域利得補正フィルタであり、且つ、前記第1部分は前記光伝送帯域幅の大部分または全部であり、
前記第2フィルタは狭帯域利得補正フィルタであり、且つ、前記第2部分は前記光伝送帯域幅の狭い領域である、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数のハイブリッド利得補正フィルタが前記少なくとも1つのリピータに配置され、且つ、前記広帯域利得補正フィルタおよび前記狭帯域利得補正フィルタがハイブリッド利得平坦化フィルタである、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数のハイブリッド利得補正フィルタが、前記少なくとも1つのリピータに結合された独立した本体に配置され、且つ、前記広帯域利得補正フィルタおよび前記狭帯域利得補正フィルタがハイブリッド利得等化フィルタである、
請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1フィルタは、反射フィルタまたは非反射フィルタであり、
前記第1フィルタが前記反射フィルタである場合、少なくとも1つのアイソレータは、前記第1フィルタと前記第2フィルタとの間に配置される、
請求項11から14のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、光通信システム領域に関する。より具体的には、本開示は、少なくとも、光通信システムにおける利得等化誤差を管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
長距離光通信システム、例えば海底光通信システムは、通常、散乱、吸収および屈曲を含む様々な要因による信号減衰の影響を受ける。減衰を補償するために、これらの長距離システムは、一連の光増幅器を備えてもよく、これらの光増幅器は、信号伝送パスに沿って離間され、受信機での確実な検出を可能にするように光信号を増幅または増強するように構成される。伝送パスの長さに基づき、該パスに沿って位置決められた光増幅器の数(および、それらの間の長さ)は、変化する可能性がある。
【0003】
長距離光通信システムでよく使用される光増幅器は、エルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA)であってもよく、エルビウム(希土類元素)添加ファイバを含み、レーザー(例えば、980nm波長領域、1480nm波長領域)励起により、いくつかの波長の入射光信号の強度を増強することができる。EDFAが波長に関連する利得を出力することは知られている。従って、複数の光チャネルを有する波長分割多重(WDM)光信号のような光信号がEDFAによって増幅されると、WDM信号波長内のいくつかの波長は、他の波長よりも大きく増幅することができる。
【0004】
波長増幅における不均一性を協調するために、利得平坦化フィルタ(GFF)または利得等化フィルタ(GEF)を用いて光信号における波長を、ほぼ同じまたは特別に設計された強度に回復または補正することができ、これは、通常知られているか、あるいは利得等化または利得平坦化と呼ばれる。しかし、長距離光通信システムで利得を補正する時、持続的な等化精度を実現することは、挑戦的で要求が高い可能性がある。例えば、リピータで使用されるGFFは、限られた精度または解像度を持つ可能性があり、従って、累積された利得関連誤差は、システムにおける総利得失真を予め定義された設計限界値内に保持するために、GEF(通常、個別のGEF本体に配置される)により定期的にクリーニングすることができる。
【0005】
GFFまたはGEFは、様々な利得補正技術を用いることができ、短周期ブラック格子フィルタ(SP-BFG)、傾斜ブラック格子フィルタ(S-BGF)、長周期格子フィルタ(LP-GF)、および薄膜フィルタ(TFF)を含むが、これらに限定されない。通常、S-BGF、LP-GFおよびTFFのような、後方反射を示すかまたは後方反射がほとんどない非反射フィルタは、EDFAのGFF出力箇所で追加のアイソレータを必要としない(
図10A参照)。しかし、SP-BFGのような反射フィルタは、GFF出力箇所で追加のアイソレータを必要とする(
図10B参照)。このようなアイソレータは、伝播する光信号に望ましくない損失を増加する。従って、非反射GFFまたはGEFは、受動部品(例えば、光アイソレータ)の総数を減少すると、損失を減少し、設計中のコストおよび電力効率を高める可能性があるため、コンポーネントレベルとシステムレベルの両方で設計的な優位性を提供する。
【0006】
しかし、非反射GFFまたはGEFを使用する1つの欠点は、非反射フィルタの解像度が、通常、反射フィルタの解像度よりも悪いことである。その結果、非反射フィルタによる利得誤差は、利得形状の変化を有し、該利得形状の変化は、クリーニングフィルタにとって激しすぎたり、速すぎたりして効果的に修復できない可能性があり、受信機で設計限界値を著しく超えた利得変化が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光通信システムにおける利得等化誤差を管理するための技術を提供する。例えば、多段利得補正フィルタは、光通信システムで使用される従来の非反射利得補正技術による利得等化誤差を少なくとも補正するように構成されてもよい。多段フィルタは、少なくとも、大部分の伝送帯域幅における利得等化誤差を補正するための広帯域利得補正フィルタと、帯域幅の狭い領域における誤差を補正するための狭帯域利得補正フィルタとを含んでもよい。1つまたは複数の多段フィルタは、システムのリピータ(ハイブリッドGFFと呼ばれてもよい)で実現されてもよいし、独立した本体(ハイブリッドGEFと呼ばれてもよい)に含まれてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施例において、利得補正フィルタは、少なくとも、第1フィルタと、第1フィルタと異なる第2フィルタとを含んでもよい。例えば、第1フィルタは、光伝送帯域幅の第1部分における利得等化誤差を補正するように構成されてもよく、第2フィルタは、光伝送帯域幅の第2部分における利得等化誤差を補正するように構成されてもよく、光伝送帯域幅の第1部分は、第2部分よりも広くてもよい。第1補正フィルタおよび第2補正フィルタは、伝送帯域幅の全体で互いに相補的である特性を有してもよい。
【0009】
別の実施例において、少なくとも、第1フィルタにより光伝送帯域幅の第1部分における利得等化誤差を補正することと、第2フィルタにより光伝送帯域幅の第2部分における利得等化誤差を補正することとを含んでもよい方法である。例えば、第1フィルタは、第2フィルタと異なってもよく、光伝送帯域幅の第1部分は、第2部分よりも広くてもよい。
【0010】
更なる実施例において、光ファイバケーブルに沿って配置されて離間された少なくとも1つのリピータを備えるシステムであって、該少なくとも1つのリピータは、複数のエルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA)を備えてもよく、かつ、複数のハイブリッド利得補正フィルタを更に備えてもよく、複数のハイブリッド利得補正フィルタのそれぞれが該少なくとも1つのリピータの各EDFAの出力に結合されているシステムである。例えば、各ハイブリッド利得補正フィルタは、第1フィルタと、第1フィルタと異なる第2フィルタとを少なくとも備えてもよく、第1フィルタは、光伝送帯域幅の第1部分における利得等化誤差を補正するように構成されてもよく、且つ、第2フィルタは、光伝送帯域幅の第2部分における利得等化誤差を補正するように構成されてもよい。光伝送帯域幅の第1部分は、第2部分よりも広くてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】ハイブリッドフィルタを用いた利得等化の例を示す。
【
図4A】第1例示的なハイブリッドフィルタを示す。
【
図4B】第2例示的なハイブリッドフィルタを示す。
【
図5】リピータに配置された例示的なハイブリッドGFFを示す。
【
図6】GEF本体に配置された例示的なハイブリッドGEFを示す。
【
図7】例示的なハイブリッドGFFの実施形態を示す。
【
図8】第1例示的なハイブリッドGEFの実施形態を示す。
【
図9】第2例示的なハイブリッドGEFの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、少なくとも従来の非反射利得平坦化または等化技術を使用または実現する光通信システムで望ましくない利得等化誤差を管理、補正または他の方式で協調するための技術に関する。実施例によれば、多段フィルタ(本明細書では、「ハイブリッド」フィルタ、ハイブリッドGFFまたはハイブリッドGEFと呼ばれてもよい)は、利得形状の任意の望ましくない変化を補正またはほぼ平滑化するために、少なくとも広帯域と狭帯域のフィルタリング能力を組み合わせることができる。例えば、多段フィルタは、光伝送帯域幅全体(または、ほぼ全体)における利得を少なくともカバーして補正するように構成される広帯域利得補正フィルタと、伝送帯域幅の狭い範囲での利得を隔てて補正するように構成される狭帯域利得補正フィルタという少なくとも2つの異なるフィルタを含んでもよい。以下で更に詳しく説明するように、少なくとも従来の非反射利得平坦化または等化技術の使用に起因する望ましくない利得変化は、上昇した傾き(例えば、dB/nmで表す)を示す可能性があり、且つ、通常、光伝送帯域幅の相対的な領域で発生する可能性がある。
【0013】
実施例において、多段フィルタの各フィルタは、異なる方式で配列することができる。まずは広帯域フィルタで、次は狭帯域フィルタであり、逆も同じである。また、多段フィルタの各フィルタは、少なくとも非反射または反射フィルタ技術に基づくことができる。例えば、広帯域フィルタは反射技術に基づいてもよく、この場合、後方反射からの干渉を軽減するように、広帯域フィルタと狭帯域フィルタとの間に配置されたアイソレータを必要とする可能性がある。別の例において、広帯域フィルタおよび狭帯域フィルタはいずれも非反射技術に基づいてもよく、この場合、それらの間にアイソレータを配置する必要がない。
【0014】
また、多段フィルタの2つ以上のフィルタ段は、少なくともスペースおよび組み立てコストを節約する(例えば、2つ以上のTFFは、1つのケース内に効果的に載置または配置することができる)ために、単一のパッケージに組み合わせることができることが理解できる。多段フィルタの1つまたは複数のフィルタは、チャープされたものであってもよいし、チャープされないものであってもよく、ここで、例えば、チャープは、帯域幅全体において均一であってもよいし、可変であってもよいことが更に理解できる。
【0015】
更なる実施例において、1つまたは複数の多段フィルタは、様々な方式で光通信システムに配置または構成することができる。例えば、多段フィルタは、リピータの各対応するEDFAの出力箇所に配置できる。別の例において、1つまたは複数の多段フィルタは、独立したGEF本体に配置でき、ここで、GEF本体全体は、各「N」リピータに結合することができ、ただし、Nは予め設定されたものまたは予め定義されたものであり、GEF本体の各多段フィルタをリピータの各EDFA出力に結合させる。本開示を解釈しやすいために、リピータに配置された多段フィルタは、ハイブリッドGFFと呼ばれてもよく、GEF本体に配置された多段フィルタは、ハイブリッドGEFと呼ばれてもよい。
【0016】
現在、以下で図面を参照しながら本発明をより全面的に説明し、図面において本発明の好ましい実施例を示す。しかし、本発明は、多くの異なる形式で具現化でき、且つ、本明細書で説明される実施例に制限されるものと解釈されるべきではない。逆に、これらの実施例は、本発明を徹底かつ完全にし、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。図面において、同じ参照番号は常に同じ構成要素を指す。
【0017】
図面を参照し、
図1は、例示的な双方向光通信システム101を示し、該システムは、高帯域幅ファイバを用いて長距離で大量のデータを伝送することができる。双方向データ伝送は、光ケーブル内でペアとなるファイバを構成し、ファイバペアごとに1つまたは複数のチャネル(例えば、波長分割多重チャネル)を伝送することにより実現できる。
【0018】
図に示すように、光通信システム101は、2つの一方向光路111、121で接続された端子103および105を含んでもよく、この2つの一方向光路は、共に双方向ファイバペアを形成する。光路111は、一方向で(例えば、右へ)端子103箇所の送信機113から端子105箇所の受信機115へ情報を送信することができる。光路121は、別の方向で(例えば、左へ)端子105箇所の送信機125から端子103箇所の受信機123へ情報を送信することができる。端子103については、光路111がアウトバウンドパスであり、光路121がインバウンドパスである。光路111は、ファイバ117-1~117-nおよび光増幅器119-1~119-nを含んでもよく、且つ、光路121は、ファイバ127-1~127-nおよび光増幅器129-1~129-nを含んでもよい。光増幅器119-1~119-nおよび129-1~129-nのうちの1つまたは複数はEDFAであってもよい。いくつかの例において、送信機113と受信機123は、共に収容されて端子103箇所のトランスポンダとすることができ、同様に、送信機115と受信機125は、共に収容されて端子105箇所のトランスポンダとすることもできることが理解できる。
【0019】
光路ペア(例えば、光路111、121)は、リピータ131-1~131-n内の1グループの増幅器ペア119-1~119-nおよび129-1~129-nとして構成することができ、リピータ131-1~131-nは、ペアとなるファイバ117-1~117-nおよび127-1~127-nを介して接続され、ファイバ117-1~117-nおよび127-1~127-nは、追加のパスペアをサポートするファイバと共に光ファイバケーブルに含まれてもよい。各リピータ131は、各パスペア用の1ペアの増幅器119、129を含んでもよく、且つ、追加のパスペア用の追加の増幅器を含んでもよい。光増幅器119、129は、EDFAまたはラマン増幅器、半導体光増幅器(SOA)のような他の希土添加ファイバ増幅器を用いることができる。パス133-1~133-nは、光路111、121の間、例えば、リピータ131-1~131-nのうちの1つまたは複数に結合できる。本開示で使用される「結合(couple)」または「結合(coupled)」という用語は、あらゆる接続(connection)、接続(connecting)、結合、リンクまたはリンク接続を広く意味し、直接もしくは間接的な接続であっても、有線もしくは無線の接続であっても、結合されたコンポーネントまたは素子が互いに直接接続されていることを意味するとは限らないことが理解できる。
【0020】
光通信システム101の例示的な実施例を示して説明したが、光通信システム101の変化も本開示の範囲内にある。光通信システム101は、例えば、より多くの光路ペアと、より多くまたはより少ないリピータとを含んでもよい。あるいは、光通信システム101は、あらゆる光増幅器を含まなくてもよいし、光増幅器ではなく、リピータを接続するファイバ内または1つまたは複数のリピータ131内に含まれるファイバ内でラマン増幅により光利得を実現することに適した光ポンプ電源を含んでもよい。
【0021】
また、送信機、受信機、送信機および受信機を含むトランスポンダ、またはデータを送受信するための任意の他の適当なデバイスは、少なくとも1つのメモリと、メモリに記憶された命令を実行するための1つまたは複数のプロセッサ(例えば、CPU、ASIC、FGPA、任意の通常のプロセッサ等)とを含んでもよいことが理解できる。
【0022】
図2は、実施例に係る従来の非反射利得補正フィルタ(例えば、GFF、GEF)による上昇した利得等化誤差200の例を示す。解釈しやすいために、該例は、12個のリピータ(例えば、12個のスパン)の後の累積された利得等化誤差に基づく。
図2の上半部に示すように、利得誤差(例えば、dB単位)は、点線の枠で示すように、1525nm波長~1530nm波長の間で急速または相対的に激しい変化を有する。光信号がより多くのリピータのスパンで増幅されることにつれ、利得誤差の残りの形状のこのような変化はより激しくなる可能性があることが理解できる。
【0023】
増幅された光信号が12個のリピータの後に従来の非反射利得補正フィルタ(リピータに配置されている場合、GFFであってもよく、個別のGEF本体に配置されている場合、GEFであってもよい)を通過する時、従来のフィルタによって出力された等化誤差は、光帯域幅の1つまたは複数の反対側または極端な領域で上昇する可能性がある。反射利得補正フィルタを用いたシステム設計の場合がある可能性があり、これも等化誤差を上昇する。例えば、
図2の下半部に示すように、利得等化誤差は、点線の枠に示すように、帯域幅の左側で著しく上昇する。上述したように、示された上昇の利得等化誤差のような誤差は、光通信システムを介して伝播することができ、且つ、(複数の)システム受信機に関連する設計限界値を著しく超えた利得変化を生じることができる。
【0024】
図3は、実施例に係るハイブリッド利得補正フィルタを用いた利得等化300の例を示す。解釈しやすいために、上記
図2を参照して説明した12個のリピータに累積された利得等化誤差は、
図3のハイブリッド利得等化300を説明することに用いられる。
【0025】
図に示すように、ハイブリッド利得補正フィルタは多段フィルタであってもよく、且つ、フィルタ302および304を少なくとも含んでもよい。例えば、フィルタ302は、広帯域利得補正フィルタ(本開示において、単に広帯域フィルタと呼ばれてもよい)であってもよく、フィルタ304は狭帯域利得補正フィルタ(狭帯域フィルタと呼ばれてもよい)であってもよい。広帯域フィルタ302は、大部分(全部ではない場合)の帯域幅における利得形状の変化(例えば、利得形状誤差)を補正または等化することができ、これは、右側の図における実線(広帯域フィルタ302の形状)で示される。従って、広帯域フィルタ302の出力は、大部分または全部の伝送帯域幅でほぼ平坦な、低いピーク間の変化を有する等化誤差形状を示すことができる。
【0026】
更なる例において、狭帯域フィルタ304は、右側の図における点線(狭帯域フィルタ304の形状)に示すように、帯域幅の狭い領域における利得形状の変化(例えば、利得形状誤差)を補正または等化することができる。狭い領域は、予め設定された帯域幅範囲または予め定義された帯域幅範囲であってもよく、システムおよび/またはコンポーネントに基づいて設計することができる。狭帯域フィルタ304の出力は、狭帯域幅領域でほぼ平坦な、低いピーク間の変化を有する等化誤差形状を示してもよい。従って、ハイブリッド利得補正フィルタの広帯域フィルタ302と狭帯域フィルタ304と共によって生成される光信号の等化誤差の形状は、左下の図に示すように(例えば、
図2の下半部における上昇した利得等化誤差は既に除去された)、ほぼ平滑で平坦であってもよい。
【0027】
広帯域通フィルタは、利得形状およびその大部分または全部の伝送帯域幅での変化を少なくとも補正または等化するように構成される利得補正技術を有する任意のタイプの広帯域光学フィルタであってもよいことが理解できる。狭帯域フィルタは、伝送帯域幅の狭い領域で利得形状およびその変化を少なくとも補正または等化するように構成される利得補正技術を有する任意のタイプの狭帯域光学フィルタとして理解できる。
図3に示すハイブリッド利得補正フィルタは、リピータに配置されたハイブリッドGFFであってもよいし、個別のGEF本体に配置されたハイブリッドGEFであってもよいことが更に理解でき、これについては以下で更に詳細に説明する。また、ハイブリッドフィルタのフィルタ302と304の様々な配置を考慮することができ、例えば、まず、狭帯域フィルタ304を配置し、次に、広帯域フィルタ302を配置してもよいし、例において、ハイブリッド利得補正フィルタに2つの以上のフィルタ(例えば、フィルタの数およびタイプはシステム設計の目標、拘束条件等に依存する)が含まれてもよい。
【0028】
図4Aおよび
図4Bは、実施例に係るハイブリッド利得補正フィルタ402および404の異なる例と、そこで実現できる異なる技術を示す。
図4Aに示すように、例えば、ハイブリッド利得補正フィルタ402は、図に示すように、広帯域GFFおよび狭帯域GFFを少なくとも含んでもよく、両者はいずれも非反射技術に基づいてもよい(例えば、広帯域GFFと狭帯域GFFとはいずれも非反射フィルタである)。ハイブリッドフィルタ402の各段はいずれも非反射技術を採用するため、段間または第2段の後にアイソレータのような他の追加コンポーネントを配置または結合する必要がないことが理解できる。
【0029】
別の例において、
図4Bに示すように、ハイブリッド利得補正フィルタ404は、広帯域GFFおよび狭帯域GFFを更に含んでもよい。しかし、広帯域GFFは、反射技術(例えば、広帯域GFFは反射フィルタである)に基づいてもよく、狭帯域GFFは、反射または非反射技術(例えば、狭帯域GFFは反射フィルタまたは非反射フィルタであってもよい)に基づいてもよい。且つ、ハイブリッド利得補正フィルタ404の広帯域GFFが反射技術に基づくため、広帯域GFFと狭帯域GFFとの間に少なくとも1つのアイソレータを配置または結合することで、広帯域GFFの反射特性に起因するあらゆる後方反射または干渉を解釈して実質的に相殺することができる。必要があれば、ハイブリッドフィルタの下流または上流に追加のアイソレータを加えてもよい。
【0030】
ハイブリッド利得補正フィルタ402および404でGFFが使用されて表示されたが、フィルタ402および404の広帯域および狭帯域フィルタはGEFであってもよいことが理解できる。また、上述したように、フィルタ段の配置、順序、数等は、少なくともシステムまたはコンポーネントの設計に基づいて変化することができ、例えば、ハイブリッドフィルタ404の反射広帯域GFFは、狭帯域GFFの後に配置されてもよい。また、スペースおよび組み立てコストを節約するために、ハイブリッドフィルタの1つまたは複数の段は、単一のパッケージに組み合わせることができ、例えば、2つ以上のTFFは、1つのケース、ハウジング、パッケージ等に載置することができることが理解できる。ハイブリッドフィルタおよび/またはその態様は、チャープされたものであってもよいし、チャープされないものであってもよく、例えば、チャープは、伝送帯域幅で均一または可変であるように構成されてもよいことが更に理解できる。
【0031】
図5は、実施例に係るリピータに配置された例示的なハイブリッドGFF 501を示す。例えば、点線の枠で囲まれたリピータは、複数のEDFAを含んでもよく(例えば、物理的に収容または閉鎖する)、例えば、
図5に示す1つのEDFAを含んでもよい。EDFAは、エルビウム添加ファイバ、(複数の)アイソレータ、(複数の)タップ等のような様々な内部コンポーネントを含んでもよい。
【0032】
図に示すように、ハイブリッドGFF 501は、リピータにおけるEDFAの出力箇所に配置する、および/または該出力に結合することができる。上述したように、ハイブリッドGFF 501は、GFF 502およびGFF 504を少なくとも含み、GFF 502は広帯域GFFであってもよく、GFF 504は狭帯域GFFであってもよい。類似するハイブリッドGFFは、リピータにおける他の追加EDFAの出力箇所に配置する、および/またはリピータにおける他の追加EDFAの出力に結合することができる。以下で更に詳細に説明するように、ハイブリッドGFF、例えば、ハイブリッドGFF 501は、各「N個目の」リピータに配置することができ、ただし、Nは、少なくともシステムまたはコンポーネントの設計に基づいて選択された、予め設定されたまたは予め定義された数である。従って、ハイブリッドGFF 501は、既にN個のスパンに累積された利得の形状を補正または等化することができる。ハイブリッドGFF 501は、増幅器の入力に結合され、多段増幅器の段間に載置されるか、またはアクティブファイバ(例えば、エルビウム添加ファイバ)内に載置されてもよく、ポンプバイパスを有するまたは有しない。広帯域増幅器における任意の他の配置および載置にも使用でき、例えば、個別のCバンドおよびLバンドEDFA部分を含むC+LバンドEDFAである。
【0033】
図6は、実施例に係るGEF本体に配置された例示的なハイブリッドGEF 601を示す。例えば、GEF本体は、複数のハイブリッドGEF(ハイブリッドGEF 601を含む)を含むまたは収容する個別の独立した物理コンポーネントであってもよい。従って、GEF本体は、リピータと分離することができる。GEF本体に配置または構成されたGEFの数は変化でき、且つ、リピータにおけるEDFAの数(例えば、光通信システムにおけるファイバ数)に依存することが理解できる。
【0034】
図に示すように、
図5のハイブリッドGFF 501に類似し、ハイブリッドGEF 601は、GFF 602およびGFF 604を少なくとも含んでもよく、GFF 602は広帯域GEFであってもよく、GFF 604は狭帯域GEFであってもよい。例において、GEF本体は、リピータに結合され、GEF本体における各ハイブリッドGEFをリピータの各EDFA出力に結合または接続させることができる。少なくともこの点で、GEF本体におけるハイブリッドGEFは、GEFが少なくともリピータの外部にあることを除き、ハイブリッドGFFと同様に効率的に動作する。従って、ハイブリッドGEFおよび対応するGEF本体が光通信システムにおける戦略的な位置で設計の柔軟性および利得の補正を行うことを可能にし、特に、リピータを有する従来のシステムにおいて、これらのリピータがハイブリッドGFFで構成または修正されにくいことは有利である。
【0035】
上記実施例および例に加え、より複雑な利得補正配置を更に考慮することができる。例えば、狭帯域フィルタは、広帯域フィルタを用いた光伝送帯域幅における複数の位置で利得形状を補正するように構成されてもよい。また、広帯域フィルタは、伝送帯域幅全体をカバーするように設計することができる。また、ハイブリッド利得補正フィルタの様々な構成を更に考える。例えば、ハイブリッド利得補正は、リピータ自体に周期的に(例えば、12個のリピータごとに)適用されてもよいし、リピータの個別の本体に結合するように設計されてもよく、これについては以下で更に説明する。
【0036】
図7は、実施例に係る光通信システムにおける例示的なハイブリッドGFFの実現700を示す。例えば、
図7は、光通信システムの一方向部分を示し、該一方向部分は、送信機(Tx)と受信機(Rx)との間に結合または接続された少なくとも3本の分離したファイバを有する。リピータ702、704、N、N+1、N+Mは、3本のファイバのそれぞれで送信される光信号を増幅するために、予め設定された距離、間隔またはスパンで送信機と受信機との間に配置されて離間されてもよい。図に示すように、各リピータ(リピータNおよびN+Mを除く)は、少なくとも3つのEDFAおよび少なくとも3つの通常のGFFを含んでもよく、それらは、各ファイバに対応するEDFAの出力箇所に結合される。リピータNおよびN+Mのそれぞれは、少なくとも3つのEDFAを含むが、従来のGFFの代わりに、3つのハイブリッドGFFは、図に示すように、それぞれのEDFA出力に結合することができる。
図7において、リピータN+Mに結合できる通常のGEF本体706(少なくとも3つの通常のGEFを含む)を更に示す。通常、リピータにおける1つの伝送方向用の増幅器の最小数は1以上であることが理解できる。
【0037】
上述したように、リピータNおよびN+MのハイブリッドGFFは、複数のリピータスパンに累積された利得形状の任意の変化または誤差を補正または等化するように構成されてもよい。実施例において、ハイブリッドGFFの間隔は、少なくとも部分的に最適な利得補正能力および/またはシステムの設計に基づいて予め設定できる。例えば、最適なハイブリッドGFF間隔は、リピータNとリピータN+Mとの間の距離(例えば、「M個目の」リピータまたはリピータスパンMの後)であってもよい。該距離はMよりも大きくなってもよいし、小さくなってもよいことが理解できる。
【0038】
図8は、実施例に係る光通信システムにおける例示的なハイブリッドGEFの実現800を示す。
図8の光通信システムは、該システムの少なくとも一方向部分が送信機と受信機との間に3本の個別のファイバを有し、且つ、リピータ802、804、NおよびN+1を更に含み、各リピータが3つのEDFAおよび対応するファイバに対応する3つの通常のGFFを有するため、
図7に示すシステムに類似してもよい。
【0039】
図に示すように、ハイブリッドGEF本体806は、少なくとも3つのハイブリッドGEFを含んでもよく、且つ、GEF本体806は、上述したように、累積された利得形状の変化または誤差を少なくとも補正または等化するように、リピータNに結合することができる。リピータNにおける各GFF出力は、GEF本体806の対応するハイブリッドGEFに結合される。ハイブリッドGEFを使用する多くの利点の1つは、装着または構成の柔軟性を提供できることであり、これにより、ハイブリッド利得補正フィルタを容易に既存のシステム環境に集積することを可能にし、例えば、従来システムを容易に修正することができない。
【0040】
図9は、実施例に係る光通信システムにおける例示的な双方向ハイブリッドGEFの実施形態900を示す。
図9の光通信システムは、該システムは双方向であることを除き、
図8に示すシステムに類似してもよい。GEF本体806に類似し、ハイブリッドGEFを有する1つまたは複数のGEF本体は、図に示すように、システムの1つまたは複数のリピータに結合することができる。通信システムが双方向であるため、示された2つのGEF本体は、少なくとも6つの個別のハイブリッドGEFを有し、そのうちの3つは、一方向における3本のファイバに対応し、残りの3つは、反対方向における3本のファイバに対応する。
【0041】
いくつかの例において、ハイブリッドGFFおよびハイブリッドGEFの実施形態は、利得等化誤差の補正能力を更に向上させるために、同じ通信システムでいずれも可能であることが理解できる。例えば、ハイブリッドGFFは、各N個目のリピータに含まれてもよく、ハイブリッドGEFを有するGEF本体は、各M個目のリピータに結合することができ、以降は類推によって推測できる。
【0042】
上記多段利得補正フィルタは、多くの点で有利である。上述したように、光通信システムのリピータ(または、従来のGEF本体)で従来の非反射利得補正技術を使用することは、リピータにおける受動部品(例えば、アイソレータ)の総数を減らすことができるため、重要である可能性があり、これにより、最終的に、システムの電力性能を向上させ、システムに関連する様々なコストを節約することができる。従って、上記ハイブリッド利得補正フィルタ(例えば、ハイブリッドGFF、ハイブリッドGEF)は、システムにおける従来の非反射利得補正フィルタによる利得形状の任意の望ましくない変化(例えば、利得等化誤差)を補正する。これにより、光通信システムで従来の非反射利得補正技術を使用し続けることを可能にし、利得等化誤差のシステムを介する伝播の悪影響および望ましくない影響が発生しない。また、ハイブリッドGFFまたはGEFの段は、異なる方式で配置でき、且つ、その中で様々な技術(例えば、反射、非反射)を実現することができる。増幅器の利得形状の場合、(複数の)ハイブリッドGEFまたは(複数の)ハイブリッドGFFは有利である可能性もあり、ここで、非ハイブリッドフィルタの使用(反射または非反射技術に基づく)は、受信機箇所の利得等化誤差を上昇する。
【0043】
ここで、従来の利得補正技術を使用または実現する光通信システムにおける利得等化誤差を管理するための新規かつ革新的な技術を開示する。本開示の範囲は、本明細書に記載の特定の実施例によって限定されるものではない。実際には、本明細書に記載の実施例および本開示の修正に加え、本開示の他の様々な実施例および修正は、当業者にとって、前述した記述および図面から明らかである。
【0044】
従って、このような他の実施例および修正は、本開示の範囲内に含まれるものとする。また、本開示は、特定の目的のための特定の環境での特定の実現の文脈で説明されたが、当業者は、その有用性がこれらに限定されず、本開示が任意の数の目的で任意の数の環境において有益に実施され得ることを認識する。従って、以下に記載される特許請求の範囲は、本明細書に記載された本開示の全ての幅および精神に基づいて解釈されるべきである。
【国際調査報告】