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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】アルキル芳香族化合物の製造
(51)【国際特許分類】
   C07C 6/12 20060101AFI20231110BHJP
   C07C 15/085 20060101ALI20231110BHJP
   C01B 39/20 20060101ALI20231110BHJP
   B01J 29/08 20060101ALI20231110BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20231110BHJP
【FI】
C07C6/12
C07C15/085
C01B39/20
B01J29/08 M
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527008
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 US2021052895
(87)【国際公開番号】W WO2022098453
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】63/110,606
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ピーターズ アーロン ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ブリット ルーベン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ネーブル ウィリアム ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン アイヴィー ディー
(72)【発明者】
【氏名】オリヴェリ クリストファー ジー
【テーマコード(参考)】
4G073
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G073BA57
4G073BA63
4G073CZ03
4G073FB30
4G073FD01
4G073FD27
4G073GA03
4G073GA12
4G073GA13
4G073GA19
4G073UA01
4G169AA03
4G169AA08
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BB05C
4G169BB16C
4G169BC02C
4G169BC03C
4G169CC12
4G169DA05
4G169EC03Y
4G169EC04Y
4G169EC06Y
4G169EC07Y
4G169FB30
4G169FB57
4G169FB80
4G169FC04
4G169FC07
4G169FC09
4G169ZA03A
4G169ZA03B
4G169ZA06A
4G169ZA16A
4G169ZA19A
4G169ZC07
4G169ZF02A
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC27
4H006BA71
4H006BA85
4H006BC10
4H006DA15
4H006DA46
4H039CA19
4H039CJ90
4H039CL60
(57)【要約】
モノアルキル化ベンゼンを生成するプロセスは、ベンゼンをジアルキル化ベンゼン及びトリアルキル化ベンゼンと、トランスアルキル化触媒存在下、ジアルキル化ベンゼン及びトリアルキル化ベンゼンの少なくとも一部をモノアルキル化ベンゼンに変換するトランスアルキル化条件で接触することを含む。前記トランスアルキル化触媒組成物は、それが作られる前記前駆体触媒組成物と比較して増加したメソポーラス表面積を有する処理されたゼオライト系物質を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)a1m2/gの第1のメソポーラス表面積を示す前駆体触媒組成物を供給するステップ、
(II)前記前駆体触媒組成物を処理し、a2>a1であるa2m2/gの第2のメソポーラス表面積を示す処理された前駆体触媒組成物を得るステップ、
(III)前記処理された前駆体触媒組成物からトランスアルキル化触媒組成物を形成するステップ、
(IV)(i)ベンゼン及び(ii)ジアルキル化ベンゼン及び/又はトリアルキル化ベンゼンを含むトランスアルキル化供給混合物をトランスアルキル化ゾーンに供給するステップ、並びに
(V)前記トランスアルキル化供給混合物を、前記トランスアルキル化触媒組成物と、トランスアルキル化ゾーンにおいて、トランスアルキル化条件下で接触させ、トランスアルキル化供給混合物に対してモノアルキル化ベンゼンが豊富なトランスアルキル化流出物を生成するステップ、を含む、トランスアルキル化プロセス。
【請求項2】
前記前駆体触媒組成物が、ゼオライトを含む、請求項1に記載のトランスアルキル化プロセス。
【請求項3】
前記ゼオライトが、FAU、BEA、MOR、及びMWWフレームワークゼオライト、並びにそれらの混合物及び組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載のトランスアルキル化プロセス。
【請求項4】
前記ゼオライトが、FAUフレームワークゼオライトである、請求項1~3のいずれか1項に記載のトランスアルキル化プロセス。
【請求項5】
x1%≦(a2-a1)/a1×100%≦x2%であり、x1及びx2が、独立して、例えば、x1<x2である限り、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、150、160、180、200、220、240、250、260、280、300、320、340、350、360、380、400、420、440、450、460、480、500、600、700、800、900、1000であることができる、請求項1~4のいずれか1項に記載のトランスアルキル化プロセス。
【請求項6】
ステップ(II)が、(IIa)前記前駆体触媒組成物を、界面活性剤で処理するステップを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記界面活性剤を、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、及びそれらの混合物からなる群から選択する、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
ステップ(II)が、(IIb)前記前駆体触媒組成物を、酸でステップ(IIa)の前又は後に処理するステップをさらに含む、請求項6又は7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記酸を、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、スルホン酸、シュウ酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、酒石酸、リンゴ酸、グルタル酸、コハク酸、及びそれらの混合物からなる群選択する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
ステップ(II)が、(IIc)前記前駆体触媒組成物を、塩基でステップ(IIa)及び/又はステップ(IIb)の後に処理するステップをさらに含む、請求項6~9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記塩基を、NaOH、NH4OH、KOH、Na2CO3、TMAOH、及びそれらの混合物からなる群から選択する、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記トランスアルキル化条件が、約100℃~約300℃の範囲の温度を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記トランスアルキル化条件が、約150℃~約220℃の範囲の温度を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記モノアルキル化ベンゼンが、クメンを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記トランスアルキル化触媒組成物が、結合剤をさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項16】
(a)ベンゼンを含む供給流を、アルキル化剤と、アルキル化触媒組成物の存在下において、供給流中のベンゼンの少なくとも一部を所望のモノアルキル化ベンゼンに変換し、並びにモノアルキル化ベンゼン、ジアルキル化ベンゼン及びトリアルキル化ベンゼンを含むアルキル化流出物を生成するのに有効なアルキル化条件下で、接触させるステップ、
(b)前記アルキル化流出物を、モノアルキル化ベンゼンを含む第1のフラクション並びにジアルキル化ベンゼン及びトリアルキル化ベンゼンを含む第2のフラクションに分離するステップ、
(c)第2のフラクションの少なくとも一部を、ベンゼンと、トランスアルキル化触媒組成物の存在下において、ジアルキル化ベンゼン及びトリアルキル化ベンゼンの少なくとも一部をモノアルキル化ベンゼンに転換し、並びにトランスアルキル化流出物を生成するのに有効な100℃~300℃の温度を含むトランスアルキル化条件下で接触させ、前記トランスアルキル化触媒組成物を:
(c1)a1m2/gの第1のメソポーラス表面積を示す前駆体触媒組成物を供給する工程、
(c2)前記前駆体触媒組成物を、処理し、a2>a1であるa2m2/gの第2のメソポーラス表面積を示す処理された前駆体触媒組成物を得る工程、
(c3)トランスアルキル化触媒組成物を、前記処理された前駆体触媒組成物から形成する工程、により得るステップ、及び
(d)モノアルキル化ベンゼンを、前記トランスアルキル化流出物から回収するステップ、を含む、モノアルキル化ベンゼンを製造するためのプロセス。
【請求項17】
x1%≦(a2-a1)/a1×100%≦x2%であり、x1及びx2が、独立して、例えば、x1<x2である限り、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、150、160、180、200、220、240、250、260、280、300、320、340、350、360、380、400、420、440、450、460、480、500、600、700、800、900、1000であることができる、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記アルキル化触媒組成物が、BEA及びMWW構造タイプからなる群から選択される1つ以上のゼオライトを含む、請求項16又は17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記アルキル化剤が、プロピレン及び/又はイソプロパノールを含み、並びにモノアルキル化ベンゼンが、クメンを含む、請求項16~18のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記トランスアルキル化触媒組成物が、結合剤をさらに含む、請求項16~19のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記アルキル化流出物が、未反応ベンゼンをさらに含み、並びに前記プロセスが:
(e)未反応ベンゼンを、アルキル化流出物から分離し、及び前記未反応ベンゼンの少なくとも一部を前記接触(a)及び/又は前記接触(c)に再利用するステップ、をさらに含む、請求項16~20のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記トランスアルキル化流出物が、未反応ベンゼンをさらに含み、並びに前記プロセスが:
(f)未反応ベンゼンを、前記トランスアルキル化流出物から分離し、並びに未反応ベンゼンの少なくとも一部を前記接触(a)及び/又は前記接触(c)に再利用するステップ、をさらに含む、請求項16~21のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記供給流が、不純物をさらに含み、並びに前記プロセスが:
(g)供給流を、吸収剤と、不純物の少なくとも一部を除去するのに有効な条件下で接触させ、前記不純物が、窒素、ハロゲン、酸素、硫黄、ヒ素、セレン、テルル、リン、及び第1族~第12族金属の少なくとも1つを有する化合物を含むステップ、をさらに含む、請求項16~22のいずれか1項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月6日の出願日を有する米国仮特許出願第63/110,606号の優先権及び利益を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、アルキル芳香族化合物、特にエチルベンゼン及びクメンを製造するためのプロセスに関連する。
【背景技術】
【0003】
エチルベンゼン及びクメンは、それぞれスチレンモノマーの製造並びにフェノール及びアセトンの共生産のために工業的に使用されている有用な汎用化学品である。エチルベンゼン及びクメンは、典型的に、酸触媒、特にゼオライト触媒の存在下、液相又は気液混合相条件下で、エチレン又はプロピレンなどのC2又はC3アルキル化剤でベンゼンをアルキル化することにより製造される。所望のモノアルキル化生成物に加えて、前記プロセスは、必然的にジアルキル化された及びトリアルキル化された類縁物質、並びに他の重い副生成物を生成する。従って、エチルベンゼン及びクメンの収率を最大化するために、ポリアルキル化生成物をベンゼンとトランスアルキル化し、さらなるモノアルキル化生成物を生成することが慣習的である。その後、前記トランスアルキル化反応の生成物を、アルキル化反応流出物(effluent)と共に、1つ以上のベンゼンカラムに供給して未反応ベンゼンを回収し、次いで、1つ以上のEB又はクメンカラムに供給して前記所望のモノアルキル化生成物を回収する。
【0004】
現在の最新式のトランスアルキル化触媒組成物は、四面体配位原子の12員環により規定されるチャネル及び/又は表面ポケットチャネルを有するメタロシリケートゼオライトを活性物質として用いる(例えば、国際公開第2018/140149号参照)。これらのゼオライトは、ポリアルキルベンゼン分子を高い選択性及び活性でエチルベンゼン及びクメンに変換することができる。しかし、これらの触媒は、十分な変換を達成するために、高温、基質フィード(substrate feed)の低流量、及び大きな触媒床を必要とし、これらの全てはプロセスコストを増加させることになる。さらに、前記問題は、トリアルキル化種は、ジアルキル化種よりも反応性が著しく低いため、既存の触媒では、ジアルキル化種の選択性に悪影響を与えることなくトリアルキル化種の有効な変換を達成する処理ウィンドウを見つけることが困難であるという事実により悪化させられる。
【0005】
従って、変換活性及びモノアルキル化ベンゼン選択性を犠牲にすることなく、より低温で操作できるトランスアルキル化触媒組成物を提供することに大きな関心がある。
【発明の概要】
【0006】
このたび、固有の長距離結晶性に加えてメソポロシティを生成するように処理された特定のゼオライト系物質が、比較的低温で、ベンゼンとジアルキル化ベンゼン及び/又はトリアルキル化ベンゼン、特にジイソプロピルベンゼン及び/又はトリイソプロピルベンゼンとのトランスアルキル化を、所望のモノアルキル化種、特にクメンへ高い変換効率及び高い選択性で触媒するのに有効であるということを見出した。
【0007】
従って、本開示の第1の態様は、トランスアルキル化プロセスに関する。前記プロセスは、以下のステップ:(I)a1m2/gの第1のメソポーラス表面積を示す前駆体触媒組成物を提供するステップ、(II)前駆体触媒組成物を処理し、処理された前駆体触媒組成物を得て、前記処理された前駆体触媒組成物は、a2m2/gの第2のメソポーラス表面積を示し、及びa2>a1、好ましくは10%≦(a2-a1)/a1×100%≦1000%であるステップ、(III)前記処理された前駆体触媒組成物からトランスアルキル化触媒組成物を形成するステップ、(IV)(i)ベンゼン及び(ii)ジアルキル化ベンゼン及び/又はトリアルキル化ベンゼンを含むトランスアルキル化に供給される混合物をトランスアルキル化ゾーンに供給するステップ、及び(V)前記トランスアルキル化供給混合物と前記トランスアルキル化触媒組成物とをトランスアルキル化ゾーンにおいてトランスアルキル化条件で接触させ、前記トランスアルキル化供給混合物と比較してモノアルキル化ベンゼンを豊富に含むトランスアルキル化流出物を生成するステップのうち少なくとも1つ以上含み得る。
【0008】
本開示の第2の態様は、モノアルキル化ベンゼンを製造するプロセスに関する。前記プロセスは、以下のステップ:(a)ベンゼンを含む供給流とアルキル化試薬とをアルキル化触媒組成物の存在下において、アルキル化条件で接触させ、供給流中のベンゼンの少なくとも一部を所望のモノアルキル化ベンゼンに効率的に変換し、並びにモノアルキル化ベンゼン、ジアルキル化ベンゼン及びトリアルキル化ベンゼンを含むアルキル化流出物を生成するステップ、(b)前記アルキル化流出物を、モノアルキル化ベンゼンを含む第1のフラクション、並びにジアルキル化ベンゼン及びトリアルキル化ベンゼンを含む第2のフラクションに分離するステップ、(c)前記第2のフラクションの少なくとも一部とベンゼンとをトランスアルキル化触媒組成物の存在下、ジアルキル化ベンゼン及びトリアルキル化ベンゼンの少なくとも一部をモノアルキル化ベンゼンに変換し、並びにトランスアルキル化流出物を生成するのに有効な100~300℃の温度を含むトランスアルキル化条件で接触させるステップのうち1つ以上を含むことができ、そこで、前記トランスアルキル化触媒組成物は、:(c1)a1m2/gの第1のメソポーラス表面積を示す前駆体触媒組成物を提供すること、(c2)前記前駆体触媒組成物を処理し、処理された前駆体触媒組成物を得て、前記処理された前駆体触媒組成物は、a2m2/gの第2のメソポーラス表面積を示し、及びa2>a1、好ましくは10%≦(a2-a1)/a1×100%≦1000%であり、及び(c3)前記処理された前駆体触媒組成物からトランスアルキル化触媒組成物を形成することにより得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、比較例5の比較トランスアルキル化触媒組成物(前駆体触媒組成物である、低活性のフォージャサイトを含む)の細孔径分布と、実施例6~8の本発明トランスアルキル化触媒組成物の細孔径分布(それぞれメソポロシティを高めるように比較例5の前記前駆体触媒組成物から作られた処理された前駆体触媒組成物を含む)とを比較した細孔直径に対する微分細孔容積(differential pore volume)のグラフである。
図2図2は、比較例1(前駆体触媒組成物である、高活性フォージャサイトを含む)、実施例4(メソポロシティを高めるように比較例1の前記前駆体触媒組成物から作られる処理された前駆体触媒組成物を含む)、比較例5(前駆体触媒組成物である、低活性フォージャサイトを含む)、及び実施例8(メソポロシティを高めるように比較例5の前記前駆体触媒組成物から作られる処理された前駆体触媒組成物を含む)の前記触媒組成物の規格化強度を2-シータ(2θ)に対してプロットしたX線回析(“XRD”)パターンを示す。
図3図3は、実施例10に記載されたトランスアルキル化試験で使用された場合、クメンへの相対的選択性を、実施例1~9の前記触媒組成物についてのジイソプロピルベンゼン(DIPB)の50%の転化率を達成するのに必要な温度に対してプロットしているグラフである。
図4図4は、実施例10に記載されたトランスアルキル化試験で使用された場合、50%のDIPB変換におけるトリイソプロピルベンゼン(TIPB)の相対的選択性を、実施例1~9の触媒組成物についての50%のDIPB変換を達成するのに必要な温度に対してプロットしているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
特に断りのない限り、用語“メソポーラス(mesoporous)”及び“メソポロシティ(mesoporosity)”を、中間サイズの細孔、すなわち約20~約500Åのいずれかの範囲の少なくとも1つの断面の寸法を有する細孔を含む多孔質物質を意味するものとして、当技術分野で認識された意味で使用される。
【0011】
用語“ゼオライト(zeolite)”及び“ゼオライト系物質(zeolitic material)”を、天然及び合成ゼオライトの両方、並びにモレキュラーシーブ及び関連する特性及び/又は構造を有する他の多孔質物質を含むように、国際ゼオライト学会規約(セクション1.3)によって定義される方法において本明細書で使用する。 “ゼオライト(zeolite)”という用語は、また、ナトリウム及びカリウム、又はあまり一般的ではない、バリウム、ベリリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム及びストロンチウムなどのカチオンを含む構造化されたアルミノケイ酸塩鉱物の群、又は群の任意のメンバーを差し、比率(Al+Si):O=およそ1:2、イオン交換可能な開放四面体(open tetrahedral)の骨格構造、及び可逆脱水できるゆるく保持された水分子によって特徴付けられる。“ゼオライト(zeolite)”という用語は、また、Si4+又はAl3+を、アミノリン酸塩(例えば、MeAPO、SAPO、ElAPO、MeAPSO、及びElAPSO)、リン酸ガリウム塩(gallophosphates)、リン酸亜鉛、及びケイ酸チタンの場合のように、他の元素で置換することによって調製される“ゼオライト関連物質(zeolite-related materials)”又は“ゼオタイプ(zeotype)”を含む。
【0012】
ゼオライトは、長距離結晶性を示し、それらが、単位格子と呼ばれる、少なくとも10nmの空間で繰り返される、繰り返し構造を有する1つ以上の相を含むことを意味する。一実施態様において、本発明の改良及び押出し後の前記ゼオライトは、依然として長距離結晶性及び秩序を示す(すなわち、XRDにおいて親ゼオライトに帰属され得るピークを有する)。本明細書に開示されるトランスアルキル化触媒組成物の製造に採用される前記ゼオライト系物質は、微孔構造を示し、すなわち少なくとも1つの断面の直径が20Å未満、例えば10Å未満の細孔を含む。さらに、本明細書に開示されるトランスアルキル化触媒組成物を製造する際に用いられる最初のゼオライト系物質は、いくつかのメソポロシティを示し得るが、それを要求されることはない。いくつかの実施態様において、前記最初のゼオライト系物質は、物質のメソポロシティを高めるように任意の処理の前に、メソポーラス表面積とマイクロポーラス表面積との比率が0.8未満、例えば0.7未満、例えば0.6未満を持ち得る。好ましくは、前記最初のゼオライト系物質が、FAU、BEA、MOR、MWW及びそれらの混合からなる群から選択される骨格構造を有し、FAUが特に好ましい。
【0013】
I.本開示の第1の態様
本明細書では、トランスアルキル化プロセス及び/又はエチルベンゼン及びクメンなどのモノアルキル化ベンゼンを製造するためのプロセスについて説明し、ベンゼンを、ジアルキル化ベンゼン及び/又はトリアルキル化ベンゼンを含む混合物と、トランスアルキル化触媒組成物の存在下、ジアルキル化ベンゼン及びトリアルキル化ベンゼンの少なくとも一部をモノアルキル化ベンゼンに変換するのに有効なトランスアルキル化条件で接触させ、ここで、前記トランスアルキル化触媒組成物は、(好ましくは、長距離結晶性に加えて)メソポロシティを有する処理された前駆体触媒組成物(例えば、処理されたゼオライト系物質)を含み、及び前記処理された前駆体触媒組成物(例えば、処理されたゼオライト系物質)は、処理前の前駆体触媒組成物よりも高いメソポーラス表面積を示す。前記処理方法は、長距離結晶性を有する前記前駆体触媒組成物を少なくとも界面活性剤と、前記前駆体触媒組成物中にメソポロシティを生成又は増加させるのに有効な条件下で、処理することを含み得る。前駆体触媒の非限定的な例としては、最初のゼオライト系物質がある。
【0014】
前記前駆体触媒組成物は、最初のゼオライト系物質などの触媒活性成分を含む、実質的になる、又はそれらからなることができる。さらに又は代替的に、前記前駆体触媒組成物は、共触媒などの第1の補助成分、第2の触媒活性成分、又は触媒不活性成分を含むことができる。
【0015】
前記第1の補助成分の非限定的な例は、トランスアルキル化ゾーンにおける反応を触媒することが可能であってもよいが、それを必要とされない追加のモレキュラーシーブである。そのようなモレキュラーシーブは、1つ以上のゼオライトを含み得る。前記前駆体触媒組成物中の第1の補助成分のための有用なモレキュラーシーブの非限定的な例は、2未満の拘束係数(Constraint Index)を有する大細孔モレキュラーシーブ、並びにそれらの混合物及び組み合わせを含み得る。適切な大細孔モレキュラーシーブは、ゼオライトベータ、ゼオライトY、超安定Y(USY)、超疎水性Y(UHP-Y)、脱アルミニウムY(Deal Y)、モルデナイト、ZSM-3、ZSM-4、ZSM-14、ZSM-18、ZSM-20及びそれらの混合物を含む。ゼオライトベータは、米国特許第3,308,069号、及び米国再発行特許第28,341号に記載されている。ゼオライトZSM-3は、米国特許第3,415,736号に記載されている。ゼオライトZSM-4は、米国特許第4,021,947号に記載されている。ゼオライトZSM-14は、米国特許第3,923,636号に記載されている。ゼオライトZSM-18は、米国特許第3,950,496号に記載されている。ゼオライトZSM-20は、米国特許第3,972,983号に記載されている。低ナトリウム超安定Yモレキュラーシーブ(USY)は、米国特許第3,293,192号及び第3,449,070号に記載されている。超疎水性Y(UHP-Y)は、米国特許第4,401,556号に記載されている。脱アルミニウムYゼオライト(Deal Y)は、米国特許第3,442,795号に見られる方法によって調製され得る。ゼオライトY及びモルデナイトは、天然に存在する物質であるが、TEA-モルデナイト(すなわち、テトラメチルアンモニウム誘導剤を含む反応混合物から調製された合成モルデナイト)などの合成形態で入手することもできる。TEA-モルデナイトは、米国特許第3,776,093号及び第3,894,104号に開示されている。
【0016】
第1の補助成分として前記前駆体触媒組成物中に存在し得るモレキュラーシーブ物質の他の部類は、MCM-41及びMCM-48物質によって例示されるメソポーラス結晶物質の群である。これらのメソポーラス結晶物質は、米国特許第5,098,684号、第5,102,643号、及び第5,198,203号に記載される。米国特許第5,098,684号に記載されるMCM-41は、少なくとも約1.3nmの直径を有する細孔の均一で六角形配置を有する微細構造によって特徴づけられ、焼成後、それは、約1.8nmより大きい少なくとも1つのd値(d-spacing)を有するX線回析パターン及びX線回析パターンにおける前記ピークのd値に相当する約1.8nmより大きいd100値で指標化され得る六角形の電子回析パターンを示す。この物質のより好ましい触媒形態は、アルミノケイ酸塩であるが、他のメタロシリケートも、利用し得る。MCM-48は、立方構造を有し、及び同様の調製方法によって製造され得る。
【0017】
前駆体触媒組成物中の第1の補助成分のさらに別の非限定的な例は、結合剤又はマトリックス物質である。結合剤の非限定的な例は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化トリウム、イットリア、酸化クロム、酸化マンガン、ハフニア、酸化ランタン、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、並びにそれらの組み合わせ、混合物、及び化合物が含まれる。結合剤の具体的な例は、カオリン、ベントナイト、並びにそれらの混合物及び組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。前記結合剤は、天然に存在する物質(強化処理(enhancing treatment)の有無にかかわらず)又は合成の物質であり得る。前記結合剤は、前記前駆体触媒組成物の機械的特性を向上するのに機能し得る。
【0018】
前記前駆体触媒組成物は、処理された前駆体触媒及び任意の追加のモレキュラーシーブから実質的になるか、又はそれらからなり、上記のような結合剤を実質的に含まない、又は全く含まないことができる。
【0019】
前記前駆体触媒組成物は、粉末、ペレット、押出成形物などのような非限定的な形態で、任意の所望の形状及び/又はサイズに形成されていても良い。
【0020】
前記前駆体触媒組成物は、以下の:(i)r3対r4のシリカ(SiO2)対アルミナ(Al23)モル比は、r3及びr4が、独立して、r3<r4である限り、例えば10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100であることができ、(ii)s(t)3~s(t)4m2/gの総表面積は、s(t)3及びs(t)4が、独立して、s(t)3<s(t)4である限り、例えば200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000であることができ、(iii)s(mp)3~s(mp)4m2/gのマイクロポア表面積は、s(mp)3及びs(mp)4が、独立して、例えば、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700であることができる、特徴のうち1つ以上を有することができるが、必要とはされない。前記前駆体触媒組成物が、フォージャサイトなどのゼオライト系物質を含有するものを含むがこれらに限定されない特定の実施態様において、前記前駆体触媒組成物は、s(e)3~s(e)4m2/gのメソポア表面積を有することができ、s(e)3及びs(e)4は、独立して、s(e)3<s(e)4である限り、例えば10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、180、200、250、300、350、400であることができる。
【0021】
前記前駆体触媒組成物を処理するための方法は、以下のステップ:(a)前記前駆体触媒組成物を界面活性剤と処理するステップ、(b)前記前駆体触媒組成物をステップ(a)の前又は後に酸で処理するステップ、及び(c)前記前駆体触媒組成物を上記ステップ(a)及び/又はステップ(b)の後に塩基で処理するステップ、を含むことができる。
【0022】
米国特許出願公開第2013/0183231号は、酸処理、界面活性剤処理、次いでアルカリ溶液処理の組み合わせを使用して、メソポーラス表面積を拡大するようにメソポアをゼオライト系物質に導入するための処理工程を開示し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。米国特許出願公開第2013/0183231号に開示される様々なプロセスを、使用し、ゼオライトを含む前駆体触媒組成物からトランスアルキル化触媒組成物を得ることができる。さらに、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0244347号は、ゼオライト系物質においてメソポロシティを生成又は増大するためのプロセスを開示し、本開示の前記プロセスにおいてトランスアルキル化触媒組成物を製造するために使用され得る。
【0023】
特定の具体的な実施態様において、本プロセスで使用するためのトランスアルキル化触媒組成物を調製する際に、前記最初のゼオライト系物質を、最初に任意に水と結合させ、最初のスラリーを形成することができる。1つ以上の実施態様において、前記最初のゼオライト系物質は、約1~50質量%、例えば約5~約40質量%、例えば約10~約30質量%、例えば約15~約25質量%の範囲の量で任意の最初のスラリー中に存在することができる。
【0024】
特定の具体的な実施態様において、最初のゼオライト系物質(任意に最初のスラリーの一部として)を、次に界面活性剤と、典型的にはカチオン性界面活性剤と接触する。1つ以上の実施態様において、前記用いられる界面活性剤は、1つ以上のアルキルトリメチルアンモニウム塩及び/又は1つ以上のジアルキルジメチルアンモニウム塩を含むことができる。適切な塩は、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム及びそれらの混合物を含む。他の実施態様において、前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤を含む。適切な市販の非イオン性界面活性剤の例は、BASF社から入手可能なPluronicTM界面活性剤(例えば、Pluronic P123TM)を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0025】
特定の具体的な実施態様において、界面活性剤の添加前又は添加後に、酸を、前記最初のゼオライト系物質と組み合わせて、界面活性剤の添加後に、前記酸、前記界面活性剤、及び前記ゼオライト系物質を含む処理混合物を形成することができる。本明細書での使用に適した酸は、任意の有機酸又は無機(鉱物)酸であり得る。様々な実施態様において、処理プロセスのこのステップで用いられる前記酸は、脱アルミニウムしている酸であり得る。さらなる実施態様において、前記酸は、また、キレート剤であり得る。使用に適した酸の具体例は、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、スルホン酸、シュウ酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、酒石酸、リンゴ酸、グルタル酸、コハク酸、及びそれらの2つ以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。特定の実施態様において、前記処理混合物を、フッ化水素酸の非存在下又は実質的な非存在下において調製する。本明細書で使用される場合、用語“実質的な非存在(substantial absence)”は、10質量百万分率(“ppmw”)未満の濃度を意味する。
【0026】
様々な実施態様において、処理混合物中に用いられる前記酸の量は、上記最初のゼオライト系物質の1グラム当たりの約1~約10ミリ当量、例えば約2~約8ミリ当量、又は約3~約6ミリ当量の範囲内であり得る。典型的に、用いられる酸の前記量は、処理混合物が約2~約6の範囲内、又は約3~約4の範囲内のpHを有するようなものである。
【0027】
特定の具体的な実施態様において、前記得られた処理混合物を、次に、約1分~約24時間、例えば約5分~約12時間、例えば約10分~約6時間、又は約30分~約2時間の範囲の期間、撹拌することができる。さらに、前記処理混合物を、約30~約100℃、例えば約40~約80℃の温度に、約30分~約1週間、例えば約1時間~約2日の範囲の時間の期間、(撹拌の有無にかかわらず)加熱することができる。
【0028】
特定の具体的な実施態様において、上記の酸及び界面活性剤を用いた処理に続いて、前記得られた界面活性剤処理ゼオライト系物質の少なくとも一部を、処理混合物から回収する。ろ過などの任意の既知の固体/液体分離技術を、前記回収を達成するように使用することができ、その後、前記回収された界面活性剤処理ゼオライト系物質を、1回以上洗浄(例えば、脱イオン水を用いて)し得る。
【0029】
特定の具体的な実施態様において、前記界面活性剤処理ゼオライト系物質を、前記処理混合物から回収すると、それを、塩基と接触し得る。適切な塩基は、NaOH、NH4OH、KOH、Na2CO3、TMAOH、及びそれらの混合物を含む。特定の実施態様において、前記用いられる塩基は、0.2~15質量%の範囲内の濃度を有する水溶液の形態であり得る。さらに、用いられる塩基の量は、当該塩基が、最初のゼオライト系物質の1グラム当たり約0.1~約20mmol、例えば最初のゼオライト系物質の1グラム当たり約0.1~約5mmol、例えば最初のゼオライト系物質の1グラム当たり約0.9~約4mmolの範囲における最初のゼオライト系物質の初期量との比率で存在するようにし得る。前記界面活性剤処理ゼオライト系物質の塩基を用いた処理を、約30~約200℃、例えば約50~約150℃の温度を含む高温条件下で、約1分~約2日間、例えば約30分~約1日、例えば約2時間~約20時間、又は約16時間~約18時間で実施し得る。
【0030】
特定の具体的な実施態様において、塩基を用いた処理に続いて、前記得られたメソポーラスゼオライト系物質の少なくとも一部を、前記塩基処理混合物から分離することができる。例えば、前記メソポーラスゼオライト系物質を、ろ過、洗浄、及び/又は乾燥し得る。1つ以上の実施態様において、前記メソポーラスゼオライト系物質を、吸引ろ過を介してろ過し、及び水で洗浄することができる。その後、前記回収されたメソポーラスゼオライト系物質を、任意に再びろ過し、及び任意に乾燥することができる。
【0031】
上記処理方法の生成物は、最初のゼオライト系物質と比較して、長距離秩序又は結晶性(すなわち、親ゼオライトに帰属され得るX線回析パターンにおいてピークを示す)及び増加したメソポロシティを有する処理されたゼオライト系物質である。処理ステップ前の前記前駆体触媒組成物は、a1m2/gのメソポーラス表面積を示す。前記処理は、増加したa2m2/gの前記前駆体触媒組成物のメソポーラス表面積という結果となり、ここでa2>a1である。一般に、メソポーラス表面積の大幅な増加が望ましいが、特定の実施態様において、x1%≦(a2-a1)/a1×100%≦x2%である、x1及びx2が、独立して、例えば、x1<x2である限り、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、150、160、180、200、220、240、250、260、280、300、320、340、350、360、380、400、420、440、450、460、480、500、600、700、800、900、1000であり得る。好ましくは、x1=30及びx2=800である。好ましくは、x1=40及びx2=500である。さらに好ましくは、x1=50及びx2=300である。いくつかの実施態様において、処理されたゼオライト系物質のメソポーラス表面積とマイクロポーラス表面積との比率は、前記最初のゼオライト系物質のそれよりも少なくとも10%、例えば少なくとも20%、例えば少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%、大きい。特定の実施態様において、前記処理されたゼオライト系物質は、メソポーラス表面積とマイクロポーラス表面積との比率が0.8より大きく、例えば0.9より大きく、例えば1より大きい。
【0032】
前記前駆体触媒組成物の処理後、トランスアルキル化触媒組成物を、前記処理された前駆体触媒組成物から形成し得る。特定の実施態様において、この形成ステップは、(1)当該処理された前駆体触媒組成物を第2の補助成分と混合すること、及び(2)ステップ(1)からの前記混合された混合物からトランスアルキル化触媒組成物を得ること、を含むことができる。前記第2の補助成分は、共触媒、前記処理された前駆体触媒組成物中の触媒成分とは異なる第2の触媒活性成分、又は触媒的に不活性な成分のうちの1つ以上を含むことができる。
【0033】
第2の補助成分の非限定的な例は、トランスアルキル化ゾーンにおいて反応を触媒し得る追加のモレキュラーシーブである。前記追加のモレキュラーシーブを、そのメソポーラス表面積を拡大するために上記処理プロセスと同様の方法で処理することができるが、必要とはされない。そのようなモレキュラーシーブは、1つ以上のゼオライトを含むことができる。第2の補助成分に対して有用なモレキュラーシーブの非限定的な例は、2未満の拘束指数を有する大細孔モレキュラーシーブ、並びにそれらの混合物及び組み合わせを含むことができる。適切な大細孔モレキュラーシーブは、ゼオライトベータ、ゼオライトY、超安定Y(USY)、超疎水性Y(UHP-Y)、脱アルミニウムY(Deal Y)、モルデナイト、ZSM-3、ZSM-4、ZSM-14、ZSM-18、ZSM-20及びそれらの混合物を含む。ゼオライトベータは、米国特許第3,308,069号、及び米国再発行特許第28,341号に記載されている。ゼオライトZSM-3は、米国特許第3,415,736号に記載されている。ゼオライトZSM-4は、米国特許第4,021,947号に記載されている。ゼオライトZSM-14は、米国特許第3,923,636号に記載されている。ゼオライトZSM-18は、米国特許第3,950,496号に記載されている。ゼオライトZSM-20は、米国特許第3,972,983号に記載されている。低ナトリウム超安定Yモレキュラーシーブ(USY)は、米国特許第3,293,192号及び第3,449,070号に記載されている。超疎水性Y(UHP-Y)は、米国特許第4,401,556号に記載されている。脱アルミニウムYゼオライト(Deal Y)は、米国特許第3,442,795号に見られる方法によって調製され得る。ゼオライトY及びモルデナイトは、天然に存在する物質であるが、TEA-モルデナイト(すなわち、テトラメチルアンモニウム誘導剤を含む反応混合物から調製された合成モルデナイト)などの合成形態で入手することもできる。TEA-モルデナイトは、米国特許第3,776,093号及び第3,894,104号に開示されている。
【0034】
本トランスアルキル化触媒組成物における第2の補助成分として使用され得るモレキュラーシーブの他の部類は、MCM-41及びMCM-48物質によって例示される本質的にメソポーラス結晶性物質の群である。これらのメソポーラス結晶性物質は、米国特許第5,098,684号、第5,102,643号、及び第5,198,203号に記載されている。米国特許第5,098,684号に記載されているMCM-41は、少なくとも約1.3nmの直径を有する細孔の均一な六角形の配列を有する微細構造に特徴づけられ:焼成後、それは、約1.8nmより大きい少なくとも1つのd間隔を有するX線回析パターン及びX線回析パターンにおけるピークのd間隔に相当する約1.8nmより大きいd100値で指標化され得る六角形の電子回析パターンを示す。この物質の好ましい触媒形態は、アルミノケイ酸塩であるが、他のメタロシリケートも利用し得る。MCM-48は、立方構造を有し、及び同様の調製手順で製造され得る。本開示のプロセスに有用なトランスアルキル化触媒組成物中の前記第2の補助成分の他の限定的な例は、結合剤又はマトリックス物質である。前記結合剤の非限定的な例は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化トリウム、イットリア、酸化クロム、酸化マンガン、ハフニア、酸化ランタン、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、並びにそれらの組み合わせ、混合物、及び化合物が含まれる。前記結合剤の具体的な例は、カオリン、ベントナイト、並びにそれらの混合物及び組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。前記結合剤は、天然に存在する物質(強化処理の有無にかかわらず)又は合成の物質であり得る。前記結合剤は、トランスアルキル化触媒組成物の機械的特性を向上するのに機能し得る。特定の実施態様において、前記結合剤は、トランスアルキル化触媒組成物の総質量に基づいて、c(b)1からc(b)2質量%の量で存在することができ、c(b)1及びc(b)2は、独立して、例えば、c(b)1<c(b)2である限り、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65,70、75、80、85、90、95であり得る。
【0035】
トランスアルキル化触媒組成物は、上記のような結合剤を実質的に含まないか又は全く含まない、前記処理された前駆体触媒及び任意の追加のモレキュラーシーブから実質的になり得る又はそれらからなり得る。そのような結合剤を含まないモレキュラーシーブ触媒組成物は、“自己結合触媒(self-bound catalyst)”と呼ばれることがある。
【0036】
形成するステップにおいて、前記処理された前駆体触媒組成物、又は当該処理された前駆体触媒組成物と前記補助成分との組み合わせ混合物を、粉末、ペレット、押出成形物などの非限定的な形態において、任意の所望の形状及び/又はサイズに形成し得る。任意に、形成された複合混合物に対して、乾燥及び/又は焼成ステップを実施し、トランスアルキル化触媒組成物を製造することができる。
【0037】
特定の実施態様において、本開示のプロセスにおいて有用な前記トランスアルキル化触媒組成物は、以下の特徴:(i)s(t)1~s(t)2m2/gの総表面積は、s(t)1及びs(t)2が、独立して、例えば、s(t)1<s(t)2である限り、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800であることができ、(ii)s(mp)1~s(mp)2m2/gのマイクロポア表面積は、s(mp)1及びs(mp)2が、独立して、例えば、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600であることができ、及び(iii)s(e)1~s(e)2m2/gのメソポーラス表面積は、s(e)1及びs(e)2が、独立して、例えば、s(e)1<s(e)2である限り、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、120、140、150、160、180、200、220、240、250、260、280、300、350、400、450、500、550、600、650であることができ、そのうちの1つ以上を持ち得る。
【0038】
トランスアルキル化ステップにおいて、前記トランスアルキル化触媒組成物は、トランスアルキル化条件下での交換反応に適した固定床、移動床、スラリーなどでトランスアルキル化ゾーンに存在し得る。特定の実施態様において、前記トランスアルキル化条件は、以下の:(i)T1~T2℃の範囲の温度は、T1及びT2が、独立して、例えば、T1<T2である限り、100、120、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、300、350であることができ、(ii)p1~p2キロパスカルの範囲の絶対気圧は、p1及びp2が、独立して、例えば、p1<p2である限り、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、3000、4000、5000であることができ、(iii)炭化水素供給の総質量に基づいて、c(H2)1~c(H2)2質量ppmの範囲の炭化水素供給中の水素分子(H2)濃度は、c(H2)1及びc(H2)2が、独立して、例えば、c(H2)1<c(H2)2である限り、0、1、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500であることができる、うちの少なくとも1つを含み得る。好ましくは、c(H2)2=200である。好ましくは、c(H2)2=100である。好ましくは、c(H2)2=50である。好ましくは、c(H2)2=10である。好ましくは、H2が、トランスアルキル化ゾーンに供給されず、及び(iv)w1~w2hr-1の範囲の炭化水素供給のWHSVは、w1及びw2が、独立して、例えば、w1<w2である限り、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20であることができる。トランスアルキル化ゾーンにおいて、芳香族炭化水素は、気相及び/又は液相で存在し得る。有利には、前記芳香族炭化水素の=25%、又は=30%、又は=40%、又は=50%、又は=60%、又は=70%、又は=80%、又は=90%、又は=95%、又は=98%、又はさらに実質的にすべてが、トランスアルキル化ゾーンで液相に存在する。特定の具体的な実施態様において、(i)ポリエチルベンゼン及びベンゼンを含む炭化水素供給並びに(ii)ポリイソプロピルベンゼンとベンゼンとを含む炭化水素供給を、本明細書に記載のトランスアルキル化触媒組成物の存在下で行うのに適したトランスアルキル化条件は、100℃~300℃の温度、696kPa-a~5100kPa-aの圧力、ポリアルキル化芳香族化合物の質量に基づく0.5~200hr-1の重量空間速度、及びベンゼン/ポリアルキル化ベンゼン質量比0.5:1~20:1を含む。好ましい条件は、150℃~250℃の温度、696kPa-a~4137kPa-aの圧力、ポリアルキル化芳香族化合物の質量に基づく0.5~100hr-1の重量空間速度、及びベンゼン/ポリアルキル化ベンゼン質量比1:1~10:1を含む。1つの好ましい実施態様として、前記トランスアルキル化供給は、ジイソプロピルベンゼン及びトリイソプロピルベンゼン含み、並びに前記所望のモノアルキル化生成物は、クメンを含み、前記トランスアルキル化条件は、150℃~200℃の範囲の温度を含む。典型的に、前記トランスアルキル化条件を、前記ポリアルキル化芳香族化合物及び前記ベンゼンが、液相中に少なくとも部分的に又は大部分が存在するように制御し得る。
【0039】
前駆体触媒組成物を処理し、次いで任意の触媒組成物を上記のように形成することにより製造されたトランスアルキル化触媒組成物は、同じトランスアルキル化変換条件下で、前記前駆体触媒組成物から形成された比較触媒組成物と比較して、少なくともトランスアルキル化ステップにおける所望の化合物(例えば、エチルベンゼン又はクメンなどのモノアルキル芳香族炭化水素)に対する選択性の点で増大した性能を示し得る。従って、炭化水素供給を、一連のトランスアルキル化条件下で前記トランスアルキル化触媒組成物と接触させ、変換生成物を生成することを含むトランスアルキル化ステップにおいて、sel(pX)2質量%の所望の化合物(例えば、エチルベンゼン又はクメンなどのモノアルキル芳香族炭化水素)に対する選択性を、得ることができる。対照的に、以下の参照ステップ(S-ref)において、sel(pX)1<sel(pX)2である、sel(pX)1の同じ所望の化合物に対する選択性を、得られ:(S-ref)炭化水素供給を、比較触媒組成物と、変換ゾーンにおいて、同じ一連のトランスアルキル化条件下で接触させ、基準変換生成物を生成する。望ましくは、及び有利には、
であり、y1及びy2は、独立して、例えば、y1<y2である限り、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、150、160、180、200、220、240、250、260、280、300、320、340、350、360、380、400、420、440、450、460、480、500、600、700、800、900、1000であり得る。特定の理論により拘束されることを意図するものではないが、トランスアルキル化触媒組成物におけるメソポーラス表面積の拡大は、比較触媒組成物と比べて、触媒活性を向上させると考えられる。
【0040】
特定の具体的な実施態様において、炭化水素供給の組成物及び用いられるトランスアルキル化条件に応じて、本明細書に用いられる前記トランスアルキル化触媒組成物は、供給中の少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも75質量%のジアルキル化ベンゼンを同等のモノアルキル化ベンゼン生成物に転換し、及び50質量%のジアルキル化ベンゼンの転換において、供給中の少なくとも25質量%、好ましくは少なくとも50質量%のトリアルキル化ベンゼンの転換に効果的であり得る。典型的に、トリアルキル化ベンゼンの転換とジアルキル化ベンゼンの転換との質量比は、少なくとも0.2、例えば0.2~2、例えば0.2~1.2である。
【0041】
ジアルキル化ベンゼン及びトリアルキル化ベンゼンの任意の混合物を、本トランスアルキル化プロセスにおいて使用することができるが、ほとんどの実用的な実施態様において、本明細書で使用される前記ポリアルキル化ベンゼン供給原料は、アルキル化剤、特にC2又はC3アルキル化剤を用いたベンゼンのアルキル化の反応流出物から所望のモノアルキル化生成物、特にエチルベンゼン又はクメンの分離後に、残存する重いフラクションの一部又は全てを含む。そのような場合、前記ポリアルキル化ベンゼン供給 原料は、典型的に、40質量%~85質量%のジアルキル化ベンゼン、及び5質量%~60質量%又は15質量%~60質量%のトリアルキル化ベンゼンを含む。
【0042】
II.本開示の第2の態様
従って、第2の態様において、本開示は、モノアルキル化ベンゼンを製造するためのプロセスに関連し、ベンゼンを含む供給流を、アルキル化触媒組成物の存在下、供給流中のベンゼンの少なくとも一部を所望のモノアルキル化ベンゼンに転換し、並びにモノアルキル化ベンゼン、ジアルキル化ベンゼン及びトリアルキル化ベンゼンを含むアルキル化流出物を生成するのに効果的なアルキル化条件下で、アルキル化剤と最初に接触させる。その後、前記アルキル化流出物を、モノアルキル化ベンゼンを含む第1フラクション並びにジアルキル化ベンゼン及びトリアルキル化ベンゼンを含む第2フラクションに分離する。次いで、前記第2のフラクションの少なくとも一部を、本開示の第1の態様に関連して上述したトランスアルキル化触媒組成物の存在下、追加のベンゼンと接触させ、ジアルキル化ベンゼン及びトリアルキル化ベンゼンの少なくとも一部をモノアルキル化ベンゼンに転換し、並びにトランスアルキル化流出物を生成し、そこからモノアルキル化ベンゼンを回収することができる。
【0043】
上記プロセスは、広範囲のアルキル化剤で有用性を見出すことができるが、C2及びC3アルキル化剤で特に有利である。適切なアルキル化剤は、オレフィン及びアルコールであり、これらは直鎖状、分岐状又は環状であり得る。いくつかの実施態様において、前記アルキル化剤は、エチレンなどのC2アルキル化剤、プロピレン及び/又はイソプロパノールなどのC3アルキル化剤である。好ましくは、前記アルキル化剤は、プロピレン及び/又はイソプロパノールを含み、並びに所望のモノアルキル化ベンゼン生成物は、クメンを含む。
【0044】
適切なアルキル化触媒組成物は、メソポロシティを高めるように処理されたゼオライト系物質を含む、トランスアルキル化触媒に関連する上述のモレキュラーシーブのいずれか又は全てを含む。さらに、前記アルキル化触媒は、2~12の拘束指数(米国特許第4,016,218号に定義される)を有する少なくとも1つの中細孔モレキュラーシーブを含み得る。適切な中細孔モレキュラーシーブは、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、ZSM-22、ZSM-23、ZSM-35、及びZSM-48を含む。ZSM-5は、米国特許第3,702,886号及び米国再発行特許第29.948号に詳細に記載されている。ZSM-11は、米国特許第3,709,979号に詳細に記載されている。ZSM-12は、米国特許第3,832,449号に記載されている。ZSM-22は、米国特許第4,556,477号に記載されている。ZSM-23は、米国特許第4,076,842号に記載されている。ZSM-35は、米国特許第4,016,245号に記載されている。ZSM-48は、米国特許第4,234,231号により詳細に記載されている。
【0045】
本プロセスにおけるアルキル化触媒として使用するための他の適切なモレキュラーシーブは、MCM-22族のモレキュラーシーブを含む。本明細書で使用される場合、用語“MCM-22族のモレキュラーシーブ(molecular sieve of the MCM-22 family)”(又は“MCM-22族の物質(material of the MCM-22 family)”又は“MCM-22族物質(MCM-22 family material)”又は“MCM-22族ゼオライト(MCM-22 family zeolite)”)は、以下の1つ以上を含む:
・共通の一次結晶ビルディングブロック単位格子から作られたモレキュラーシーブであり、単位格子はMWWフレームワークトポロジー(framework topology)を有する。(単位格子は、3次元空間に並べられると結晶構造を表す原子の空間的配置である。そのような結晶構造は、“Atlas of Zeolite framework Types”、第5版、2001年で説明されており、その内容の全ては参照として組み込まれる);
・共通の二次ビルディングブロックから作られたモレキュラーシーブは、そのようなMWWフレームワークトポロジー単位格子の2次元タイリングであり、1つの単位格子の厚さ、好ましくは1つのc単位格子の厚さを形成する;
・共通の2次ビルディングブロックから作られたモレキュラーシーブは、1つ以上の単位格子の厚さの層であり、1つ以上の単位格子の厚さの層は、1つの単位格子の厚さの少なくとも2つの単層を、積層、パッキング、又は結合することにより作られる。そのような2次ビルディングブロックの積層は、規則的な方法、不規則な方法、ランダムな方法、又はそれらの任意の組み合わせであることができ;及び
・MWWフレームワークトポロジーを有する単位格子の任意の規則的な又はランダムな2次元又は3次元の組み合わせによって作られるモレキュラーシーブ。
【0046】
MCM-22族のモレキュラーシーブは、12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07、及び3.42±0.07Åにd間隔の最大値を含むX線回析パターンを有するモレキュラーシーブを含む。物質を特徴づけるために使用される前記X線回析データを、入射放射線として銅のKα二重線、並びに収集システムとしてシンチレーションカウンター及び関連したコンピューターを備えた回析計を使用する標準的な技術により得る。
【0047】
MCM-22族の物質は、MCM-22(米国特許第4,954,325号に記載される)、PSH-3(米国特許第4,439,409号に記載される)、SSZ-25(米国特許第4,826,667号に記載される)、ERB-1(欧州特許第0293032号に記載される)、ITQ-1(米国特許第6,077,498号に記載される)、ITQ-2(国際公開第97/17290号に記載される)、MCM-36(米国特許第5,250,277号に記載される)、MCM-49(米国特許第5,236,575号記載される)、MCM-56(米国特許第5,362,697号に記載される)、UZM-87(米国特許第6,756,030号に記載される)、UZM-8HS(米国特許第7,713,513号に記載される)、及びそれらの組み合わせを含む。
【0048】
好ましいアルキル化触媒は、ゼオライトベータ又はMCM-42族のゼオライトを含む。上記モレキュラーシーブを、結合剤又はマトリックスなしでアルキル化触媒として使用することができ、又はトランスアルキル化触媒に使用するのに適するとして上述した結合剤物質のいずれかと組み合わせることができる。
【0049】
アルキル化ステップを実施するために使用される前記反応条件は、用いられる特定のアルキル化剤によって決まるが、適切な条件は、当業者であれば十分に理解できる範囲内である。例えば、エチルベンゼンを製造するためのエチレンとベンゼンとのアルキル化を、典型的に、反応混合物の少なくとも一部が、プロセス中の液相に維持されるように、約120℃~300℃の温度、好ましくは約150℃~260℃の温度、500~8300kPa-aの圧力、好ましくは1500~4500kPa-aの圧力で実施する。一般的に、ベンゼンとエチレンとのモル比は、約1~約100、好ましくは約20~約80である。クメンを製造するためのベンゼンとプロピレンとのアルキル化の場合、典型的な反応条件は、反応混合物の少なくとも一部が、プロセス中に液相に維持されるように、約20℃~約350℃、例えば約50℃~約300℃、例えば約100℃~280℃の温度、及び約100kPa~約20,000kPa、例えば約500kPa~約10,000kPaの圧力を含む。一般的に、ベンゼンとプロピレンとのモル比は、約1:1~約30:1、典型的には1.1:1~10:1の範囲内に維持される。
【0050】
所望のモノアルキル化芳香族生成物に加えて、主なアルキル化反応からの流出部は、かなりの量の未反応ベンゼンと、より少量のポリアルキル化種、例えばクメンプロセスにおけるジイソプロピルベンゼン(DIPB)及びいくらかのトリイソプロピルベンゼン(TIPB)、並びにエチルベンゼンプロセスにおけるジエチルベンゼン(DEB)及びいくらかのトリエチルベンゼン(TEB)とを含み得る。従って、前記主なアルキル化反応からの流出物を、分離システムに供給し、モノアルキル化芳香族生成物の回収及び副生成物及び不純物のさらなる処理が可能になる。
【0051】
前記分離システムは、1つ以上のベンゼン蒸留塔を含むことができ、ここで、未反応ベンゼンを、前記アルキル化反応及び/又はトランスアルキル化反応器(上記の通り)への再利用のためのオーバーヘッド又はサイドストリームとして前記流出物から除去し得る。次いで、ベンゼン塔からのボトムを、1つ以上のモノアルキル化蒸留塔に供給し、所望のモノアルキル化芳香族生成物を回収し得る。前記モノアルキル化蒸留塔からのボトムは、所望のモノアルキル化生成物よりも重いアルキル化反応の副生成物の大部分を含む。その後、このボトムストリームを、1つ以上のポリアルキル化蒸留塔に供給し、ジアルキル化副生成物の大部分及びトリアルキル化副生成物の一部を含むポリアルキル化芳香族生成物ストリームを分離し、トランスアルキル化反応に通過させることができる。トリアルキル化副生成物の残り及びトリアルキル化副生成物より重い化合物の実質的な全ては、ポリアルキレート塔のボトムに残渣として排出され得る。
【0052】
いくつかの実施態様において、前記アルキル化及び/又はトランスアルキル化反応へのベンゼン供給流は、以下の元素:窒素、ハロゲン、酸素、硫黄、ヒ素、セレン、テルル、リン、及び第1族~第12族の金属のうち少なくとも1つを有する化合物を含有するが、これらに限定されない不純物を含む。そのような場合、前記アルキル化及び/又はトランスアルキル化反応ステップは、ベンゼン供給流を、吸収剤と、不純物の少なくとも一部を除去するのに有効な条件下で接触させることをさらに含み得る。前記吸収剤は、触媒活性を持つことができ、及び上記モレキュラーシーブのいずれかなどのモレキュラーシーブを含むことができ、並びに少量のアルキル化試薬を、吸収剤に同時に供給し、ベンゼン供給と反応させることができ、及びその結果、吸収剤の毒性の能力のマーカーとして作用し得る。
【0053】
本発明を、以下の非限定的な実施例及び添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【実施例
【0054】
例1~4
市販の高活性フォージャサイトゼオライトを、ベースゼオライト(前駆体触媒組成物)として使用し、これを処理し、メソポーラス表面積が異なるフォージャサイト結晶の3つの異なるバッチ(処理された前駆体触媒組成物)を生成した。4つの異なる触媒組成物を、(i)ベースゼオライト及びゼオライトの3つの処理されたバッチのそれぞれを、同一の市販のアルミナ結合剤と、ゼオライト/結合剤質量比65/35で混合し、(ii)混合物を1/20”クアドラローブ(quadralobes)に押し出し、(iii)押出成形物を、窒素気流中、900°F(482℃)で乾燥し、並びに(iv)前記乾燥した押出成形物を空気中、1000°F(538℃)でか焼することにより、生成した。このようにして生成されたトランスアルキル化触媒組成物を、次に、表面積及び細孔容積を測定し、以下の表1に記録した。比較例1における前記比較触媒組成物は、ベースゼオライトを含む。表1から分かるように、実施例2,3,及び4における前記トランスアルキル化触媒組成物は、例1のメソポア表面積よりもますます高いメソポア表面積を示した。米国特許出願公開第2013/0183231号は、ゼオライトのメソポーラス表面積を変化させる方法を教示する。
【0055】
表1
【0056】
例5~9
例5~8では、市販の低活性フォージャサイトゼオライトを、ベースゼオライト(前駆体触媒組成物)として使用し、これを処理し、メソポーラス表面積が異なる処理されたフォージャサイト結晶の3つの異なるバッチを生成した。4つの異なるトランスアルキル化触媒組成物を、(i)ベースゼオライト及びゼオライトの3つの処理されたバッチのそれぞれを、同一の市販のアルミナ結合剤と、ゼオライト/結合剤質量比65/35で混合し、(ii)混合物を1/20”クアドラローブに押し出し、(iii)押出成形物を、窒素気流中、900°F(482℃)で乾燥し、並びに(iv)前記乾燥した押出成形物を空気中、1000°F(538℃)でか焼することにより、生成する。実施例9では、市販のベータゼオライトを、ベースゼオライトとして使用し、及びその表面積を変化するように処理した。上記の実施例6~8と同一の方法で、実施例9の触媒組成物を、前記処理されたゼオライト及び前記アルミナ結合剤から生成した。このようにして生成された例5~9のトランスアルキル化触媒組成物は、次に、表面積及び細孔容積を測定し、以下の表2に記録した。比較例5における前記比較触媒組成物は、低活性フォージャサイトゼオライトを含む。表2から分かるように、処理されたゼオライトを含む、実施例6、7、及び8における前記トランスアルキル化触媒組成物は、比較例5の比較触媒組成物よりもますます高いメソポア表面積を示した。
【0057】
例5の比較触媒組成物及び実施例6~8の本発明トランスアルキル化触媒組成物の特性を、表2にまとめた。さらに、図1は、例5~8の触媒組成物について、細孔直径に対する微分細孔容積のグラフを表示した。以上のように、4つの触媒組成物全てが、~3.5nmで同様の鋭い細孔を示し、これはメソポロシティの増加とともに増加する。比較例1の前記比較触媒組成物、本発明実施例4の前記トランスアルキル化触媒組成物、比較例5の前記比較触媒組成物、及び本発明の実施例8の前記トランスアルキル化触媒組成物のX線回析(XRD)パターンを、図2に示し、実施例4及び8のトランスアルキル化触媒組成物が、同様のXRDピークにより証明さるように、比較例1及び5のものと同様の長距離秩序を、それぞれ、示すことが分かる。
【0058】
表2
【0059】
実施例10
例1~9のトランスアルキル化触媒組成物の各1gを、乳鉢及び乳棒を使用してNo.14/25メッシュでサイズ調整し、並びに次に、その4モジュール(4チャネル/モジュール)の温度を独立して調節できる16チャネル充填床フロー反応器に充填する前に、1gの石英と混合した。次いで、前記反応器を、使用し、表3に示される組成物を有するベンゼン、DIPB及びTIPBの供給混合物のトランスアルキル化試験を実施した。前記供給成分を、Aldrichから入手し、混合し、次いで3つの別々のモレキュラーシーブでろ過した。前記全体の供給組成物を、GCで決定した。
【0060】
表3
【0061】
トランスアルキル化試験において、各モジュールの温度を、DIPBの50%変換を達成するために調節し、及びこの温度を、次いで、活性のための基準として使用した。前記反応及び生成物は、液相であり、並びに各反応器を、300psig(2710kPa)の圧力で、6の重量空間速度(WHSV)に相当する、1.82cc/minの流量で保持した。試験の結果を、図3及び図4にまとめた。
【0062】
図3は、DIPBの50%転化が起こる温度における、異なるトランスアルキル化触媒組成物のクメンに対する相対的選択性を示す。以上のように、前記比較触媒組成物(例1及び5)は、より大きなメソポロシティを有するサンプルと比較して、クメン(エチルベンゼン及びn-プロピルベンゼンを共通の副生成物とする)に対するより低い選択性を示す。一般に、特定の物質のサブセット内で、メソポロシティが増加すると、より選択的な触媒が得られる。
【0063】
図4は、50%のDIPB転換を得られた温度における、TIPBの相対転換効率を表示する(DIPB転換は、通常、標準の運転条件で決定する)。以上のように、実施例6~9のトランスアルキル化触媒組成物は、それらの非メソポーラス類縁物質と比較して、ステップアウト挙動を示した。前記触媒組成物のメソポーラス表面積が、例5から6、7、及び8へと徐々に増加するにつれて、TIPBからクメンへの変換が増加した。前記メソポーラス表面積が増加した触媒組成物は、未反応TIPB分子を取り除くためのパージサイクルを必要とせずに、極めて低い温度又は増加したWHSV率でトランスアルキル化床を操作する機会を提供する。
【0064】
本開示は、特定の実施態様を参照により説明及び例示しているが、当業者であれば本発明は、必ずしも本明細書に例示されない変形形態に適していることを理解するであろう。このため、次に、本開示の真の範囲を決定するためには、添付の特許請求の範囲のみを参照すべきである。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)a1m2/gの第1のメソポーラス表面積を示す前駆体触媒組成物を供給するステップ、
(II)前記前駆体触媒組成物を処理し、a2>a1であるa2m2/gの第2のメソポーラス表面積を示す処理された前記前駆体触媒組成物を得るステップ、
(III)前記処理された前駆体触媒組成物からトランスアルキル化触媒組成物を形成するステップ、
(IV)(i)ベンゼン及び(ii)ジアルキル化ベンゼン及び/又はトリアルキル化ベンゼンを含むトランスアルキル化供給混合物をトランスアルキル化ゾーンに供給するステップ、並びに
(V)前記トランスアルキル化供給混合物を、前記トランスアルキル化触媒組成物と、トランスアルキル化ゾーンにおいて、トランスアルキル化条件下で接触させ、トランスアルキル化供給混合物に対してモノアルキル化ベンゼンが豊富なトランスアルキル化流出物を生成するステップ、を含む、トランスアルキル化プロセス。
【請求項2】
前記前駆体触媒組成物が、ゼオライトを含む、請求項1に記載のトランスアルキル化プロセス。
【請求項3】
前記ゼオライトが、FAU、BEA、MOR、及びMWWフレームワークゼオライト、並びにそれらの混合物及び組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載のトランスアルキル化プロセス。
【請求項4】
前記ゼオライトが、FAUフレームワークゼオライトである、請求項1~3のいずれか1項に記載のトランスアルキル化プロセス。
【請求項5】
10%≦(a2-a1)/a1×100%≦1000%である、請求項1~4のいずれか1項に記載のトランスアルキル化プロセス。
【請求項6】
ステップ(II)が、(IIa)前記前駆体触媒組成物を、界面活性剤で処理するステップを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記界面活性剤を、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、及びそれらの混合物からなる群から選択する、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
ステップ(II)が、(IIb)前記前駆体触媒組成物を、酸でステップ(IIa)の前又は後に処理するステップをさらに含む、請求項6又は7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記酸を、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、スルホン酸、シュウ酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、酒石酸、リンゴ酸、グルタル酸、コハク酸、及びそれらの混合物からなる群選択する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
ステップ(II)が、(IIc)前記前駆体触媒組成物を、塩基でステップ(IIa)及び/又はステップ(IIb)の後に処理するステップをさらに含む、請求項6~9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記塩基を、NaOH、NH4OH、KOH、Na2CO3、TMAOH、及びそれらの混合物からなる群から選択する、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記トランスアルキル化条件が、約100℃~約300℃の範囲の温度を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記トランスアルキル化条件が、約150℃~約220℃の範囲の温度を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記モノアルキル化ベンゼンが、クメンを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記トランスアルキル化触媒組成物が、さらに結合剤を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のプロセス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
本開示は、特定の実施態様を参照により説明及び例示しているが、当業者であれば本発明は、必ずしも本明細書に例示されない変形形態に適していることを理解するであろう。このため、次に、本開示の真の範囲を決定するためには、添付の特許請求の範囲のみを参照すべきである。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕(I)a1m 2 /gの第1のメソポーラス表面積を示す前駆体触媒組成物を供給するステップ、
(II)前記前駆体触媒組成物を処理し、a2>a1であるa2m 2 /gの第2のメソポーラス表面積を示す処理された前駆体触媒組成物を得るステップ、
(III)前記処理された前駆体触媒組成物からトランスアルキル化触媒組成物を形成するステップ、
(IV)(i)ベンゼン及び(ii)ジアルキル化ベンゼン及び/又はトリアルキル化ベンゼンを含むトランスアルキル化供給混合物をトランスアルキル化ゾーンに供給するステップ、並びに
(V)前記トランスアルキル化供給混合物を、前記トランスアルキル化触媒組成物と、トランスアルキル化ゾーンにおいて、トランスアルキル化条件下で接触させ、トランスアルキル化供給混合物に対してモノアルキル化ベンゼンが豊富なトランスアルキル化流出物を生成するステップ、を含む、トランスアルキル化プロセス。
〔2〕前記前駆体触媒組成物が、ゼオライトを含む、前記〔1〕に記載のトランスアルキル化プロセス。
〔3〕前記ゼオライトが、FAU、BEA、MOR、及びMWWフレームワークゼオライト、並びにそれらの混合物及び組み合わせからなる群から選択される、前記〔2〕に記載のトランスアルキル化プロセス。
〔4〕前記ゼオライトが、FAUフレームワークゼオライトである、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載のトランスアルキル化プロセス。
〔5〕x1%≦(a2-a1)/a1×100%≦x2%であり、x1及びx2が、独立して、例えば、x1<x2である限り、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、150、160、180、200、220、240、250、260、280、300、320、340、350、360、380、400、420、440、450、460、480、500、600、700、800、900、1000であることができる、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載のトランスアルキル化プロセス。
〔6〕ステップ(II)が、(IIa)前記前駆体触媒組成物を、界面活性剤で処理するステップを含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載のプロセス。
〔7〕前記界面活性剤を、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、及びそれらの混合物からなる群から選択する、前記〔6〕に記載のプロセス。
〔8〕ステップ(II)が、(IIb)前記前駆体触媒組成物を、酸でステップ(IIa)の前又は後に処理するステップをさらに含む、前記〔6〕又は〔7〕に記載のプロセス。
〔9〕前記酸を、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、スルホン酸、シュウ酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、酒石酸、リンゴ酸、グルタル酸、コハク酸、及びそれらの混合物からなる群選択する、前記〔8〕に記載のプロセス。
〔10〕ステップ(II)が、(IIc)前記前駆体触媒組成物を、塩基でステップ(IIa)及び/又はステップ(IIb)の後に処理するステップをさらに含む、前記〔6〕~〔9〕のいずれか1項に記載のプロセス。
〔11〕前記塩基を、NaOH、NH 4 OH、KOH、Na 2 CO 3 、TMAOH、及びそれらの混合物からなる群から選択する、前記〔10〕に記載のプロセス。
〔12〕前記トランスアルキル化条件が、約100℃~約300℃の範囲の温度を含む、前記〔1〕~〔11〕のいずれか1項に記載のプロセス。
〔13〕前記トランスアルキル化条件が、約150℃~約220℃の範囲の温度を含む、前記〔1〕~〔12〕のいずれか1項に記載のプロセス。
〔14〕前記モノアルキル化ベンゼンが、クメンを含む、前記〔1〕~〔13〕のいずれか1項に記載のプロセス。
〔15〕前記トランスアルキル化触媒組成物が、結合剤をさらに含む、前記〔1〕~〔14〕のいずれか1項に記載のプロセス。
〔16〕(a)ベンゼンを含む供給流を、アルキル化剤と、アルキル化触媒組成物の存在下において、供給流中のベンゼンの少なくとも一部を所望のモノアルキル化ベンゼンに変換し、並びにモノアルキル化ベンゼン、ジアルキル化ベンゼン及びトリアルキル化ベンゼンを含むアルキル化流出物を生成するのに有効なアルキル化条件下で、接触させるステップ、
(b)前記アルキル化流出物を、モノアルキル化ベンゼンを含む第1のフラクション並びにジアルキル化ベンゼン及びトリアルキル化ベンゼンを含む第2のフラクションに分離するステップ、
(c)第2のフラクションの少なくとも一部を、ベンゼンと、トランスアルキル化触媒組成物の存在下において、ジアルキル化ベンゼン及びトリアルキル化ベンゼンの少なくとも一部をモノアルキル化ベンゼンに転換し、並びにトランスアルキル化流出物を生成するのに有効な100℃~300℃の温度を含むトランスアルキル化条件下で接触させ、前記トランスアルキル化触媒組成物を:
(c1)a1m 2 /gの第1のメソポーラス表面積を示す前駆体触媒組成物を供給する工程、
(c2)前記前駆体触媒組成物を、処理し、a2>a1であるa2m 2 /gの第2のメソポーラス表面積を示す処理された前駆体触媒組成物を得る工程、
(c3)トランスアルキル化触媒組成物を、前記処理された前駆体触媒組成物から形成する工程、により得るステップ、及び
(d)モノアルキル化ベンゼンを、前記トランスアルキル化流出物から回収するステップ、を含む、モノアルキル化ベンゼンを製造するためのプロセス。
〔17〕x1%≦(a2-a1)/a1×100%≦x2%であり、x1及びx2が、独立して、例えば、x1<x2である限り、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、150、160、180、200、220、240、250、260、280、300、320、340、350、360、380、400、420、440、450、460、480、500、600、700、800、900、1000であることができる、前記〔16〕に記載のプロセス。
〔18〕前記アルキル化触媒組成物が、BEA及びMWW構造タイプからなる群から選択される1つ以上のゼオライトを含む、前記〔16〕又は〔17〕に記載のプロセス。
〔19〕前記アルキル化剤が、プロピレン及び/又はイソプロパノールを含み、並びにモノアルキル化ベンゼンが、クメンを含む、前記〔16〕~〔18〕のいずれか1項に記載のプロセス。
〔20〕前記トランスアルキル化触媒組成物が、結合剤をさらに含む、前記〔16〕~〔19〕のいずれか1項に記載のプロセス。
〔21〕前記アルキル化流出物が、未反応ベンゼンをさらに含み、並びに前記プロセスが:
(e)未反応ベンゼンを、アルキル化流出物から分離し、及び前記未反応ベンゼンの少なくとも一部を前記接触(a)及び/又は前記接触(c)に再利用するステップ、をさらに含む、前記〔16〕~〔20〕のいずれか1項に記載のプロセス。
〔22〕前記トランスアルキル化流出物が、未反応ベンゼンをさらに含み、並びに前記プロセスが:
(f)未反応ベンゼンを、前記トランスアルキル化流出物から分離し、並びに未反応ベンゼンの少なくとも一部を前記接触(a)及び/又は前記接触(c)に再利用するステップ、をさらに含む、前記〔16〕~〔21〕のいずれか1項に記載のプロセス。
〔23〕前記供給流が、不純物をさらに含み、並びに前記プロセスが:
(g)供給流を、吸収剤と、不純物の少なくとも一部を除去するのに有効な条件下で接触させ、前記不純物が、窒素、ハロゲン、酸素、硫黄、ヒ素、セレン、テルル、リン、及び第1族~第12族金属の少なくとも1つを有する化合物を含むステップ、をさらに含む、前記〔16〕~〔22〕のいずれか1項に記載のプロセス。
【国際調査報告】