(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】EGFR抗原を標的とする操作されたT細胞受容体および使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20231110BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20231110BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20231110BHJP
C07K 14/725 20060101ALI20231110BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20231110BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20231110BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231110BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231110BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231110BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20231110BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20231110BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20231110BHJP
A61K 35/545 20150101ALI20231110BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20231110BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/00 ZNA
C07K16/28
C07K14/725
C07K19/00
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N5/10
A61P35/00
A61K48/00
A61K38/16
A61K35/17
A61K35/545
A61K35/28
A61P35/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527029
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021058019
(87)【国際公開番号】W WO2022098845
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】フー パトリック
(72)【発明者】
【氏名】イー カシアン
(72)【発明者】
【氏名】リジー グレゴリー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084AA13
4C084BA01
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087CA04
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、操作されたT細胞受容体(TCR)、TCRを含む細胞、ならびにTCRを作製および使用する方法を提供する。本開示は、L858R変異を含みかつHLAクラスI A31およびA33アロタイプに拘束されるEGFRネオ抗原を、特異的に認識する、TCRに関する。したがって、本開示の局面は、本開示のCDR3のアミノ酸配列または本開示のCDR3に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗原結合可変領域を含むポリペプチドに関する。さらなる局面は、TCR-bポリペプチドおよびTCR-aポリペプチドを含む、操作されたT細胞受容体(TCR)であって、TCR-bポリペプチドが、本開示のCDR3のアミノ酸配列または本開示のCDR3に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつTCR-aポリペプチドが、本開示のCDR3のアミノ酸配列または本開示のCDR3に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、操作されたTCRに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO:8のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:8に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含む、ポリペプチド。
【請求項2】
可変領域が、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
可変領域が、
それぞれSEQ ID NO:6および7のアミノ酸配列を有する、またはそれぞれSEQ ID NO:6およびSEQ ID NO:7に対して少なくとも80%配列同一性であるアミノ酸配列を有する、CDR1および/またはCDR2
を含む、請求項2記載のポリペプチド。
【請求項4】
可変領域が、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:4に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項5】
T細胞受容体ベータ(TCR-b)可変領域を含む、請求項1~4のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項6】
TCR-b可変および定常領域を含む、請求項5記載のポリペプチド。
【請求項7】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項8】
シグナルペプチドが、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:5に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項7記載のポリペプチド。
【請求項9】
SEQ ID NO:14のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:14に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含む、ポリペプチド。
【請求項10】
可変領域が、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む、請求項9記載のポリペプチド。
【請求項11】
可変領域が、
それぞれSEQ ID NO:12およびSEQ ID NO:13のアミノ酸配列を有する、またはそれぞれSEQ ID NO:12およびSEQ ID NO:13に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、CDR1および/またはCDR2
を含む、請求項10記載のポリペプチド。
【請求項12】
可変領域が、SEQ ID NO:10のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:10に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項9~11のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項13】
T細胞受容体アルファ(TCR-a)可変領域を含む、請求項9~12のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項14】
TCR-a可変および定常領域を含む、請求項13記載のポリペプチド。
【請求項15】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項9~14のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項16】
シグナルペプチドが、SEQ ID NO:11のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:11に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項15記載のポリペプチド。
【請求項17】
SEQ ID NO:22のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:22に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含む、ポリペプチド。
【請求項18】
可変領域が、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む、請求項17記載のポリペプチド。
【請求項19】
可変領域が、
それぞれSEQ ID NO:20および21のアミノ酸配列を有する、またはそれぞれSEQ ID NO:20およびSEQ ID NO:21に対して少なくとも80%配列同一性であるアミノ酸配列を有する、CDR1および/またはCDR2
を含む、請求項18記載のポリペプチド。
【請求項20】
可変領域が、SEQ ID NO:18のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:18に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項17~19のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項21】
T細胞受容体アルファ(TCR-a)可変領域を含む、請求項17~20のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項22】
TCR-a可変および定常領域を含む、請求項21記載のポリペプチド。
【請求項23】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項17~22のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項24】
シグナルペプチドが、SEQ ID NO:19のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:19に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項23記載のポリペプチド。
【請求項25】
SEQ ID NO:28のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:28に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含む、ポリペプチド。
【請求項26】
可変領域が、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む、請求項25記載のポリペプチド。
【請求項27】
可変領域が、
それぞれSEQ ID NO:26およびSEQ ID NO:27のアミノ酸配列を有する、またはそれぞれSEQ ID NO:26およびSEQ ID NO:27に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、CDR1および/またはCDR2
を含む、請求項26記載のポリペプチド。
【請求項28】
可変領域が、SEQ ID NO:24のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:24に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項25~27のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項29】
T細胞受容体ベータ(TCR-b)可変領域を含む、請求項25~28のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項30】
TCR-b可変および定常領域を含む、請求項29記載のポリペプチド。
【請求項31】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項25~28のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項32】
シグナルペプチドが、SEQ ID NO:25のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:25に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項31記載のポリペプチド。
【請求項33】
SEQ ID NO:36のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:36に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含む、ポリペプチド。
【請求項34】
可変領域が、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む、請求項33記載のポリペプチド。
【請求項35】
可変領域が、
それぞれSEQ ID NO:34および35のアミノ酸配列を有する、またはそれぞれSEQ ID NO:34およびSEQ ID NO:35に対して少なくとも80%配列同一性であるアミノ酸配列を有する、CDR1および/またはCDR2
を含む、請求項34記載のポリペプチド。
【請求項36】
可変領域が、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:32に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項33~35のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項37】
T細胞受容体アルファ(TCR-a)可変領域を含む、請求項33~36のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項38】
TCR-a可変および定常領域を含む、請求項37記載のポリペプチド。
【請求項39】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項33~38のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項40】
シグナルペプチドが、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:33に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項39記載のポリペプチド。
【請求項41】
SEQ ID NO:42のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:42に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含む、ポリペプチド。
【請求項42】
可変領域が、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む、請求項41記載のポリペプチド。
【請求項43】
可変領域が、
それぞれSEQ ID NO:40およびSEQ ID NO:41のアミノ酸配列を有する、またはそれぞれSEQ ID NO:40およびSEQ ID NO:41に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、CDR1および/またはCDR2
を含む、請求項42記載のポリペプチド。
【請求項44】
可変領域が、SEQ ID NO:38のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:38に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項41~43のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項45】
T細胞受容体ベータ(TCR-b)可変領域を含む、請求項40~44のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項46】
TCR-b可変および定常領域を含む、請求項45記載のポリペプチド。
【請求項47】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項40~46のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項48】
シグナルペプチドが、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:39に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項47記載のポリペプチド。
【請求項49】
SEQ ID NO:50のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:50に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含む、ポリペプチド。
【請求項50】
可変領域が、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む、請求項49記載のポリペプチド。
【請求項51】
可変領域が、
それぞれSEQ ID NO:48および49のアミノ酸配列を有する、またはそれぞれSEQ ID NO:48およびSEQ ID NO:49に対して少なくとも80%配列同一性であるアミノ酸配列を有する、CDR1および/またはCDR2
を含む、請求項50記載のポリペプチド。
【請求項52】
可変領域が、SEQ ID NO:46のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:46に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項49~51のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項53】
T細胞受容体アルファ(TCR-a)可変領域を含む、請求項49~52のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項54】
TCR-a可変および定常領域を含む、請求項53記載のポリペプチド。
【請求項55】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項49~54のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項56】
シグナルペプチドが、SEQ ID NO:47のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:47に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項55記載のポリペプチド。
【請求項57】
SEQ ID NO:56のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:56に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含む、ポリペプチド。
【請求項58】
可変領域が、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む、請求項57記載のポリペプチド。
【請求項59】
可変領域が、
それぞれSEQ ID NO:54およびSEQ ID NO:55のアミノ酸配列を有する、またはそれぞれSEQ ID NO:54およびSEQ ID NO:55に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、CDR1および/またはCDR2
を含む、請求項58記載のポリペプチド。
【請求項60】
可変領域が、SEQ ID NO:52のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:52に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項57~59のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項61】
T細胞受容体ベータ(TCR-b)可変領域を含む、請求項56~60のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項62】
TCR-b可変および定常領域を含む、請求項61記載のポリペプチド。
【請求項63】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項56~62のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項64】
シグナルペプチドが、SEQ ID NO:53のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:53に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項63記載のポリペプチド。
【請求項65】
SEQ ID NO:64のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:64に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含む、ポリペプチド。
【請求項66】
可変領域が、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む、請求項65記載のポリペプチド。
【請求項67】
可変領域が、
それぞれSEQ ID NO:62および63のアミノ酸配列を有する、またはそれぞれSEQ ID NO:62およびSEQ ID NO:63に対して少なくとも80%配列同一性であるアミノ酸配列を有する、CDR1および/またはCDR2
を含む、請求項66記載のポリペプチド。
【請求項68】
可変領域が、SEQ ID NO:60のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:60に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項65~67のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項69】
T細胞受容体アルファ(TCR-a)可変領域を含む、請求項65~68のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項70】
TCR-a可変および定常領域を含む、請求項69記載のポリペプチド。
【請求項71】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項65~70のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項72】
シグナルペプチドが、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:61に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項71記載のポリペプチド。
【請求項73】
SEQ ID NO:70のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:70に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含む、ポリペプチド。
【請求項74】
可変領域が、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む、請求項73記載のポリペプチド。
【請求項75】
可変領域が、
それぞれSEQ ID NO:68およびSEQ ID NO:69のアミノ酸配列を有する、またはそれぞれSEQ ID NO:68およびSEQ ID NO:69に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、CDR1および/またはCDR2
を含む、請求項74記載のポリペプチド。
【請求項76】
可変領域が、SEQ ID NO:66のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:66に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項73~75のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項77】
T細胞受容体ベータ(TCR-b)可変領域を含む、請求項72~76のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項78】
TCR-b可変および定常領域を含む、請求項77記載のポリペプチド。
【請求項79】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項72~78のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項80】
シグナルペプチドが、SEQ ID NO:67のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:67に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項79記載のポリペプチド。
【請求項81】
SEQ ID NO:78のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:78に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含む、ポリペプチド。
【請求項82】
可変領域が、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む、請求項81記載のポリペプチド。
【請求項83】
可変領域が、
それぞれSEQ ID NO:76および77のアミノ酸配列を有する、またはそれぞれSEQ ID NO:76およびSEQ ID NO:77に対して少なくとも80%配列同一性であるアミノ酸配列を有する、CDR1および/またはCDR2
を含む、請求項82記載のポリペプチド。
【請求項84】
可変領域が、SEQ ID NO:74のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:74に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項81~83のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項85】
T細胞受容体アルファ(TCR-a)可変領域を含む、請求項81~84のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項86】
TCR-a可変および定常領域を含む、請求項85記載のポリペプチド。
【請求項87】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項81~86のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項88】
シグナルペプチドが、SEQ ID NO:75のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:75に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項87記載のポリペプチド。
【請求項89】
SEQ ID NO:84のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:84に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む抗原結合可変領域を含む、ポリペプチド。
【請求項90】
可変領域が、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む、請求項89記載のポリペプチド。
【請求項91】
可変領域が、
それぞれSEQ ID NO:82およびSEQ ID NO:83のアミノ酸配列を有する、またはそれぞれSEQ ID NO:82およびSEQ ID NO:83に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、CDR1および/またはCDR2
を含む、請求項90記載のポリペプチド。
【請求項92】
可変領域が、SEQ ID NO:80のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:80に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項89~91のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項93】
T細胞受容体ベータ(TCR-b)可変領域を含む、請求項88~92のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項94】
TCR-b可変および定常領域を含む、請求項93記載のポリペプチド。
【請求項95】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項88~94のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項96】
シグナルペプチドが、SEQ ID NO:81のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:81に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項95記載のポリペプチド。
【請求項97】
請求項1~96のいずれか一項記載のポリペプチドをコードする、核酸。
【請求項98】
TCR-bポリペプチドおよびTCR-aポリペプチドを含む、操作されたT細胞受容体(TCR)であって、
TCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:8に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含み、かつTCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:14に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含む、
操作されたTCR。
【請求項99】
CDR1、CDR2、およびCDR3を含む可変領域を含むTCR-bポリペプチドと、CDR1、CDR2、およびCDR3を含む可変領域を含むTCR-aポリペプチドとを含む、請求項98記載のTCR。
【請求項100】
TCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:6に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含み、かつ/またはTCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:12のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:12に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含む、請求項99記載のTCR。
【請求項101】
TCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:7に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含み、かつ/またはTCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:13に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含む、請求項99または100記載のTCR。
【請求項102】
TCR-bポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:6、7、および8のアミノ酸配列を含み、かつTCR-aポリペプチドのCDR1、CDR3、およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:12、13、および14のアミノ酸配列を含む、請求項99~101のいずれか一項記載のTCR。
【請求項103】
TCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:4に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつTCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:10のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:10に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項99~102のいずれか一項記載のTCR。
【請求項104】
TCR-aポリペプチドおよびTCR-bポリペプチドを含む、操作されたT細胞受容体(TCR)であって、
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:22のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:22に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含み、かつTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:28のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:28に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含む、
操作されたTCR。
【請求項105】
CDR1、CDR2、およびCDR3を含む可変領域を含むTCR-bポリペプチドと、CDR1、CDR2、およびCDR3を含む可変領域を含むTCR-aポリペプチドとを含む、請求項104記載のTCR。
【請求項106】
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:20のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:20に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含み、かつ/またはTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:26に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含む、請求項105記載のTCR。
【請求項107】
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:21のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:21に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含み、かつ/またはTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:27のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:27に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含む、請求項105または106記載のTCR。
【請求項108】
TCR-aポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:20、21、および22のアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドのCDR1、CDR3、およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:26、27、および28のアミノ酸配列を含む、請求項105~107のいずれか一項記載のTCR。
【請求項109】
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:18のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:18に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:24のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:24に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項105~108のいずれか一項記載のTCR。
【請求項110】
TCR-aポリペプチドおよびTCR-bポリペプチドを含む、操作されたT細胞受容体(TCR)であって、
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:36のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:36に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含み、かつTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:42のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:42に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含む、
操作されたTCR。
【請求項111】
CDR1、CDR2、およびCDR3を含む可変領域を含むTCR-bポリペプチドと、CDR1、CDR2、およびCDR3を含む可変領域を含むTCR-aポリペプチドとを含む、請求項110記載のTCR。
【請求項112】
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:34のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:34に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含み、かつ/またはTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:40のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:40に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含む、請求項111記載のTCR。
【請求項113】
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:35のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:35に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含み、かつ/またはTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:41のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:41に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含む、請求項111または112記載のTCR。
【請求項114】
TCR-aポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:34、35、および36のアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドのCDR1、CDR3、およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:40、41、および42のアミノ酸配列を含む、請求項111~113のいずれか一項記載のTCR。
【請求項115】
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:32に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:38のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:38に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項111~114のいずれか一項記載のTCR。
【請求項116】
TCR-aポリペプチドおよびTCR-bポリペプチドを含む、操作されたT細胞受容体(TCR)であって、
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:50に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含み、かつTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:56のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:56に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含む、
操作されたTCR。
【請求項117】
CDR1、CDR2、およびCDR3を含む可変領域を含むTCR-bポリペプチドと、CDR1、CDR2、およびCDR3を含む可変領域を含むTCR-aポリペプチドとを含む、請求項116記載のTCR。
【請求項118】
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:48のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:48に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含み、かつ/またはTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:54のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:54に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含む、請求項117記載のTCR。
【請求項119】
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:49のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:49に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含み、かつ/またはTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:55に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含む、請求項117または118記載のTCR。
【請求項120】
TCR-aポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:48、49、および50のアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドのCDR1、CDR3、およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:54、55、および56のアミノ酸配列を含む、請求項117~119のいずれか一項記載のTCR。
【請求項121】
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:46のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:46に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:52のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:52に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項117~120のいずれか一項記載のTCR。
【請求項122】
TCR-aポリペプチドおよびTCR-bポリペプチドを含む、操作されたT細胞受容体(TCR)であって、
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:64のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:64に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含み、かつTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:70のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:70に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含む、
操作されたTCR。
【請求項123】
CDR1、CDR2、およびCDR3を含む可変領域を含むTCR-bポリペプチドと、CDR1、CDR2、およびCDR3を含む可変領域を含むTCR-aポリペプチドとを含む、請求項122記載のTCR。
【請求項124】
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:62のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:62に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含み、かつ/またはTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:68に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含む、請求項123記載のTCR。
【請求項125】
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:63のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:63に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含み、かつ/またはTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:69のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:69に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含む、請求項123または124記載のTCR。
【請求項126】
TCR-aポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:62、63、および64のアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドのCDR1、CDR3、およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:68、69、および70のアミノ酸配列を含む、請求項123~125のいずれか一項記載のTCR。
【請求項127】
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:60のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:60に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:66のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:66に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項123~126のいずれか一項記載のTCR。
【請求項128】
TCR-aポリペプチドおよびTCR-bポリペプチドを含む、操作されたT細胞受容体(TCR)であって、
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:78のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:78に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含み、かつTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:84のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:84に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含む、
操作されたTCR。
【請求項129】
CDR1、CDR2、およびCDR3を含む可変領域を含むTCR-bポリペプチドと、CDR1、CDR2、およびCDR3を含む可変領域を含むTCR-aポリペプチドとを含む、請求項128記載のTCR。
【請求項130】
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:76のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:76に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含み、かつ/またはTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:82のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:82に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含む、請求項129記載のTCR。
【請求項131】
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:77のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:77に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含み、かつ/またはTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:83のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:83に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含む、請求項129または130記載のTCR。
【請求項132】
TCR-aポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:76、77、および78のアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドのCDR1、CDR3、およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:82、83、および84のアミノ酸配列を含む、請求項129~131のいずれか一項記載のTCR。
【請求項133】
TCR-aポリペプチドが、SEQ ID NO:74のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:74に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドが、SEQ ID NO:80のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:80に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項129~132のいずれか一項記載のTCR。
【請求項134】
改変を含むか、またはキメラである、請求項98~133のいずれか一項記載のTCR。
【請求項135】
TCR-bポリペプチドおよびTCR-aポリペプチドが機能的に連結されている、請求項98~134のいずれか一項記載のTCR。
【請求項136】
TCR-bポリペプチドおよびTCR-aポリペプチドが、ペプチド結合を通じて機能的に連結されている、請求項135記載のTCR。
【請求項137】
TCR-bポリペプチドおよびTCR-aポリペプチドが同じポリペプチド上にあり、かつTCR-bがTCR-aのアミノ近位にある、請求項136記載のTCR。
【請求項138】
TCR-bポリペプチドおよびTCR-aポリペプチドが同じポリペプチド上にあり、かつTCR-aがTCR-bのアミノ近位にある、請求項136記載のTCR。
【請求項139】
一本鎖TCRである、請求項98~138のいずれか一項記載のTCR。
【請求項140】
請求項98~139のいずれか一項記載のTCRと、CD3結合領域とを含む、融合タンパク質。
【請求項141】
CD3結合領域が、CD3特異的抗原結合性断片(Fab)、一本鎖可変断片(scFv)、単一ドメイン抗体、または一本鎖抗体を含む、請求項140記載の融合タンパク質。
【請求項142】
検出剤または治療剤にコンジュゲートされている、請求項98~137のいずれか一項記載のTCRまたは請求項140もしくは141記載の融合タンパク質。
【請求項143】
前記剤が、蛍光分子、放射性分子、または毒素を含む、請求項142記載のTCRまたは融合タンパク質。
【請求項144】
SEQ ID NO:8のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:8に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含むTCR-bポリペプチドおよび/またはSEQ ID NO:14のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:14に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含むTCR-aポリペプチドをコードする、核酸。
【請求項145】
CDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-bポリペプチドならびに/またはCDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-aポリペプチドをコードする、請求項144記載の核酸。
【請求項146】
SEQ ID NO:6のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:6に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-bおよび/またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:12に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-aをコードする、請求項145記載の核酸。
【請求項147】
SEQ ID NO:7のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:7に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-bおよび/またはSEQ ID NO:13のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:13に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-aをコードする、請求項145または146記載の核酸。
【請求項148】
SEQ ID NO:4のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:4に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-b可変領域および/またはSEQ ID NO:10のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:10に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-a可変領域をコードする、請求項144~147のいずれか一項記載の核酸。
【請求項149】
SEQ ID NO:3のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:3に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-bポリペプチド鎖および/またはSEQ ID NO:9のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:9に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-aポリペプチド鎖をコードする、請求項148記載の核酸。
【請求項150】
SEQ ID NO:1またはその断片を含む、請求項149記載の核酸。
【請求項151】
SEQ ID NO:22のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:22に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含むTCR-aポリペプチドおよび/またはSEQ ID NO:28のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:28に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含むTCR-bポリペプチドをコードする、核酸。
【請求項152】
CDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-aポリペプチドならびに/またはCDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-bポリペプチドをコードする、請求項151記載の核酸。
【請求項153】
SEQ ID NO:20のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:20に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-aおよび/またはSEQ ID NO:26のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:26に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-bをコードする、請求項152記載の核酸。
【請求項154】
SEQ ID NO:21のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:21に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-aおよび/またはSEQ ID NO:27のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:27に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-bをコードする、請求項152または153記載の核酸。
【請求項155】
SEQ ID NO:18のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:18に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-a可変領域および/またはSEQ ID NO:24のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:24に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-b可変領域をコードする、請求項151~154のいずれか一項記載の核酸。
【請求項156】
SEQ ID NO:17のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:17に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-aポリペプチド鎖および/またはSEQ ID NO:23のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:23に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-bポリペプチド鎖をコードする、請求項155記載の核酸。
【請求項157】
SEQ ID NO:15またはその断片を含む、請求項156記載の核酸。
【請求項158】
SEQ ID NO:36のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:36に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含むTCR-aポリペプチドおよび/またはSEQ ID NO:42のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:42に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含むTCR-bポリペプチドをコードする、核酸。
【請求項159】
CDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-aポリペプチドならびに/またはCDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-bポリペプチドをコードする、請求項158記載の核酸。
【請求項160】
SEQ ID NO:34のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:34に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-aおよび/またはSEQ ID NO:40のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:40に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-bをコードする、請求項159記載の核酸。
【請求項161】
SEQ ID NO:35のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:35に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-aおよび/またはSEQ ID NO:41のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:41に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-bをコードする、請求項159または160記載の核酸。
【請求項162】
SEQ ID NO:32のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:32に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-a可変領域および/またはSEQ ID NO:38のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:38に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-b可変領域をコードする、請求項158~161のいずれか一項記載の核酸。
【請求項163】
SEQ ID NO:31のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:31に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-aポリペプチド鎖および/またはSEQ ID NO:37のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:37に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-bポリペプチド鎖をコードする、請求項162記載の核酸。
【請求項164】
SEQ ID NO:29またはその断片を含む、請求項163記載の核酸。
【請求項165】
SEQ ID NO:50のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:50に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含むTCR-aポリペプチドおよび/またはSEQ ID NO:56のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:56に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含むTCR-bポリペプチドをコードする、核酸。
【請求項166】
CDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-aポリペプチドならびに/またはCDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-bポリペプチドをコードする、請求項165記載の核酸。
【請求項167】
SEQ ID NO:48のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:48に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-aおよび/またはSEQ ID NO:54のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:54に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-bをコードする、請求項166記載の核酸。
【請求項168】
SEQ ID NO:49のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:49に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-aおよび/またはSEQ ID NO:55のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:55に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-bをコードする、請求項166または167記載の核酸。
【請求項169】
SEQ ID NO:46のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:46に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-a可変領域および/またはSEQ ID NO:52のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:52に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-b可変領域をコードする、請求項165~168のいずれか一項記載の核酸。
【請求項170】
SEQ ID NO:45のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:45に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-aポリペプチド鎖および/またはSEQ ID NO:51のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:51に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-bポリペプチド鎖をコードする、請求項169記載の核酸。
【請求項171】
SEQ ID NO:43またはその断片を含む、請求項170記載の核酸。
【請求項172】
SEQ ID NO:64のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:64に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含むTCR-aポリペプチドおよび/またはSEQ ID NO:70のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:70に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含むTCR-bポリペプチドをコードする、核酸。
【請求項173】
CDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-aポリペプチドならびに/またはCDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-bポリペプチドをコードする、請求項172記載の核酸。
【請求項174】
SEQ ID NO:62のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:62に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-aおよび/またはSEQ ID NO:68のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:68に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-bをコードする、請求項173記載の核酸。
【請求項175】
SEQ ID NO:63のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:63に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-aおよび/またはSEQ ID NO:69のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:69に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-bをコードする、請求項173または174記載の核酸。
【請求項176】
SEQ ID NO:60のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:60に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-a可変領域および/またはSEQ ID NO:66のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:66に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-b可変領域をコードする、請求項172~175のいずれか一項記載の核酸。
【請求項177】
SEQ ID NO:59のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:59に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-aポリペプチド鎖および/またはSEQ ID NO:65のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:65に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-bポリペプチド鎖をコードする、請求項176記載の核酸。
【請求項178】
SEQ ID NO:57またはその断片を含む、請求項177記載の核酸。
【請求項179】
SEQ ID NO:78のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:78に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含むTCR-aポリペプチドおよび/またはSEQ ID NO:84のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:84に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR3を含むTCR-bポリペプチドをコードする、核酸。
【請求項180】
CDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-aポリペプチドならびに/またはCDR1、CDR2、およびCDR3を含むTCR-bポリペプチドをコードする、請求項179記載の核酸。
【請求項181】
SEQ ID NO:76のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:76に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-aおよび/またはSEQ ID NO:82のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:82に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-bをコードする、請求項180記載の核酸。
【請求項182】
SEQ ID NO:77のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:77に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-aおよび/またはSEQ ID NO:83のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:83に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-bをコードする、請求項180または181記載の核酸。
【請求項183】
SEQ ID NO:74のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:74に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-a可変領域および/またはSEQ ID NO:80のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:80に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-b可変領域をコードする、請求項179~182のいずれか一項記載の核酸。
【請求項184】
SEQ ID NO:73のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:73に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-aポリペプチド鎖および/またはSEQ ID NO:79のアミノ酸配列もしくはSEQ ID NO:79に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-bポリペプチド鎖をコードする、請求項183記載の核酸。
【請求項185】
SEQ ID NO:71またはその断片を含む、請求項184記載の核酸。
【請求項186】
TCR-a (TRA)およびTCR-b (TRB)遺伝子を含む、請求項144~185のいずれか一項記載の核酸。
【請求項187】
ポリシストロン性である、請求項144~186のいずれか一項記載の核酸。
【請求項188】
内部リボソーム進入部位(IRES)または2A切断可能リンカーを含む、請求項187記載の核酸。
【請求項189】
TCR-aおよび/またはTCR-b遺伝子をコードするcDNAを含む、請求項144~188のいずれか一項記載の核酸。
【請求項190】
CD3結合領域を含むポリペプチドをさらにコードする、請求項144~189のいずれか一項記載の核酸。
【請求項191】
CD3結合領域が、CD3特異的抗原結合性断片(Fab)、一本鎖可変断片(scFv)、単一ドメイン抗体、または一本鎖抗体を含む、請求項190記載の核酸。
【請求項192】
請求項97または144~191のいずれか一項記載の核酸を含む、核酸ベクター。
【請求項193】
核酸の発現を指令するプロモーターを含む、請求項192記載のベクター。
【請求項194】
プロモーターがマウス幹細胞ウイルス(MSCV)プロモーターを含む、請求項193記載のベクター。
【請求項195】
TCR-aおよびTCR-b遺伝子を含む、請求項192~194のいずれか一項記載のベクター。
【請求項196】
請求項1~96のいずれか一項記載のポリペプチド、請求項98~139、142、もしくは143のいずれか一項記載のTCR、請求項140~143のいずれか一項記載の融合タンパク質、請求項97もしくは144~191のいずれか一項記載の核酸、または請求項192~195のいずれか一項記載のベクターを含む、細胞。
【請求項197】
幹細胞、前駆細胞、免疫細胞、またはナチュラルキラー(NK)細胞を含む、請求項196記載の細胞。
【請求項198】
造血幹細胞もしくは造血前駆細胞、T細胞、間葉系幹細胞(MSC)から分化した細胞、または人工多能性幹細胞(iPSC)を含む、請求項197記載の細胞。
【請求項199】
末梢血単核細胞(PBMC)から単離される、またはそれに由来する、請求項197または198記載の細胞。
【請求項200】
T細胞が、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、CD8
+ T細胞、CD4
+ T細胞、インバリアントNK T (iNKT)細胞、ガンマ-デルタT細胞、NKT細胞、または調節性T細胞を含む、請求項198または199記載の細胞。
【請求項201】
がん患者から単離される、請求項196~200のいずれか一項記載の細胞。
【請求項202】
請求項1~96のいずれか一項記載のポリペプチド、請求項98~139、142、もしくは143のいずれか一項記載のTCR、請求項140~143のいずれか一項記載の融合タンパク質、請求項97もしくは144~191のいずれか一項記載の核酸、または請求項192~195のいずれか一項記載のベクター、または請求項196~201のいずれか一項記載の細胞を含む、組成物。
【請求項203】
無血清、マイコプラズマ不含、内毒素不含、および/または無菌であると判定されている、請求項202記載の組成物。
【請求項204】
請求項97もしくは144~191のいずれか一項記載の核酸または請求項192~195のいずれか一項記載のベクターを細胞に移入する段階を含む、操作された細胞を作製する方法。
【請求項205】
培地中で細胞を培養する段階、細胞の分裂を可能にする条件で細胞をインキュベートする段階、細胞をスクリーニングする段階、および/または細胞を凍結する段階をさらに含む、請求項204記載の方法。
【請求項206】
対象におけるがんを処置するための方法であって、その必要がある対象に、請求項202もしくは203記載の組成物または請求項196~201のいずれか一項記載の細胞を投与する段階を含む、方法。
【請求項207】
がんが、肺がんを含む、請求項206記載の方法。
【請求項208】
対象が、がんの処置を以前に受けたことがある、請求項206または207記載の方法。
【請求項209】
対象が、以前の処置に対して抵抗性であると判定されている、請求項208記載の方法。
【請求項210】
さらなる治療法を施すことをさらに含む、請求項206~209のいずれか一項記載の方法。
【請求項211】
がんが、病期I、II、III、またはIVのがんを含む、請求項206~210のいずれか一項記載の方法。
【請求項212】
がんが、転移性および/または再発性がんを含む、請求項206~211のいずれか一項記載の方法。
【請求項213】
対象が、HLA-A31もしくはHLA-A33陽性である、および/またはHLA-A31もしくはHLA-A33陽性であると判定されている、請求項206~212のいずれか一項記載の方法。
【請求項214】
対象が、EGFR L858R変異を保持する、請求項206~213のいずれか一項記載の方法。
【請求項215】
がんが、EGFR L858R陽性がんを含む、請求項206~214のいずれか一項記載の方法。
【請求項216】
肺がんが、肺腺癌、非小細胞肺癌、扁平上皮肺癌、または小細胞肺癌を含む、請求項206~215のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月5日付で出願された米国特許仮出願第63/110,116号の優先権の恩典を主張するものであり、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
II. 配列表
本出願は、ASCII形式で提出され、その全体が参照として本明細書に組み入れられる配列表を含む。2021年10月25日に作成された前記ASCIIのコピーは、MDACP1244WO_ST25.txtと名付けられ、100,085バイトのサイズである。
【0003】
III. 発明の分野
本発明は、がん治療法の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
IV. 背景
養子T細胞療法は、天然のT細胞を遺伝子改変して腫瘍特異的にし、腫瘍細胞を破壊する能力を向上させる、潜在的に強力ながん処置の1つである。遺伝子改変されたT細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を発現することができ、複数の臨床試験で印象的な結果を示している。TCRが操作されたT (TCR-T)細胞は、腫瘍に対して大いに有望である。TCRの効力は、MHCに結合したペプチドによって形成される複合体であるペプチド主要組織適合性複合体(pMHC)とのその相互作用に依存している。細胞内抗原はペプチド鎖に切断され、MHC分子により提示されてpMHCを形成する。クラスI MHCタンパク質によって発現される細胞質タンパク質は、そのほとんどが欠陥リボソーム翻訳産物であり、タンパク質分解によってペプチド鎖に切断される。次に、これらのペプチドは、全ての有核細胞の細胞表面に発現するクラスI MHCタンパク質に結合する。抗原提示細胞(APC)と呼ばれる一部の細胞は、クラスII MHCタンパク質を発現する。それらは、エンドサイトーシスによって異物タンパク質を内在化し、それらをペプチド鎖に切断して、クラスII MHCタンパク質と結合させる。T細胞のT細胞受容体(患者のヒト白血球抗原(HLA)対立遺伝子と一致する必要がある)は、これらのpMHCを認識し、がん細胞の殺傷を引き起こす(ヒトクラスI MHCタンパク質は3つの遺伝子領域: HLA-A、HLA-BおよびHLA-Cから発現され、ヒトクラスII MHCタンパク質も3つの遺伝子領域: HLA-DR、HLA-DPおよびHLA-DQから発現される)。がん特異的抗原に向けられ、がんの処置に有用であるTCRの操作が、当技術分野において必要である。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、操作されたT細胞受容体(TCR)、TCRを含む細胞、ならびにTCRを作製および使用する方法を提供する。本開示は、L858R変異を含みかつHLAクラスI A31およびA33アロタイプに拘束されるEGFRネオ抗原を、特異的に認識する、TCRに関する。
【0006】
したがって、本開示の局面は、本開示のCDR3のアミノ酸配列または本開示のCDR3に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗原結合可変領域を含むポリペプチドに関する。さらなる局面は、TCR-bポリペプチドおよびTCR-aポリペプチドを含む、操作されたT細胞受容体(TCR)であって、TCR-bポリペプチドが、本開示のCDR3のアミノ酸配列または本開示のCDR3に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつTCR-aポリペプチドが、本開示のCDR3のアミノ酸配列または本開示のCDR3に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、操作されたTCRに関する。さらなる局面は、本開示のCDR3のアミノ酸配列を含むもしくは本開示のCDR3に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むTCR-bポリペプチドおよび/または本開示のCDR3のアミノ酸配列を含むもしくは本開示のCDR3に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するTCR-aポリペプチドをコードする核酸に関する。CDR3は、SEQ ID NO:8、14、28、22、42、36、56、50、70、64、84または78のCDR3でありうる。TCR-a CDR3の局面は、SEQ ID NO:14、22、36、50、64および78のアミノ酸配列を有するCDRを含む。TCR-b CDR3の局面は、SEQ ID NO:8、28、42、56、70および84のアミノ酸配列を有するCDRを含む。
【0007】
さらなる局面は、該ポリペプチドおよび操作されたTCRをコードする核酸、本開示の1つもしくは複数の核酸を含む核酸ベクター、ならびに本開示のポリペプチド、操作されたTCRおよび/または核酸を含む細胞に関する。本開示のポリペプチド、細胞、核酸または操作されたTCRを含む組成物も提供される。さらなる局面は、本開示の核酸またはベクターを細胞に移入する段階を含む、操作された細胞を作製する方法に関する。さらなる局面は、その必要がある対象に、ポリペプチド、組成物、細胞、核酸、または操作されたTCRを投与する段階を含む、対象におけるがんを処置するための方法に関する。方法には、腫瘍量を低減させる方法; がん細胞を溶解する方法; 腫瘍/がん細胞を殺傷する方法; 全生存期間を増加させる方法; がんになるリスクもしくは腫瘍になるリスクを低減させる方法; 無再発生存期間を増加させる方法; がんを予防する方法; および/またはがんの広がりもしくは転移を低減させる、排除するもしくは減少させる方法であって、その必要がある対象に、ポリペプチド、組成物、細胞、核酸または操作されたTCRを投与する段階を含む該方法も含まれる。
【0008】
さらなる局面は、本開示のTCRおよびCD3結合領域を含む融合タンパク質に関する。いくつかの局面において、CD3結合領域は、CD3特異的抗原結合性断片(Fab)、一本鎖可変断片(scFv)、単一ドメイン抗体、または一本鎖抗体を含む。例示的なCD3特異的抗原結合性断片(Fab)は、当技術分野において公知である。例えば、参照により本明細書に組み入れられるUS20180222981には、本開示の局面において用いられうるCD3に特異的に結合する可変領域が開示されている。抗CD3抗体および可変領域は、US20180117152に開示されており、これも参照により組み入れられる。
【0009】
本開示の核酸は、本明細書において記述されるCDR領域、可変領域、操作されたTCR、ポリペプチド、TCR-aポリペプチド、TCR-bポリペプチド、および融合タンパク質をコードするものを含む。いくつかの局面において、核酸はSEQ ID NO:1、15、29、43、57もしくは71のうちの1つ、またはその断片を含む。いくつかの局面において、核酸は、SEQ ID NO:1、15、29、43、57もしくは71のうちの1つまたはその断片に対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するヌクレオチドを含む。
【0010】
いくつかの局面において、本開示のポリペプチドまたはTCR-aポリペプチドは、SEQ ID NO:14、22、36、50、64および78のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの局面において、該ポリペプチドは、SEQ ID NO:14、22、36、50、64および78のうちの1つのアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの局面において、本開示のポリペプチドまたはTCR-bポリペプチドは、SEQ ID NO:8、28、42、56、70および84のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの局面において、本開示のポリペプチドまたはTCR-bポリペプチドは、SEQ ID NO:8、28、42、56、70および84のうちの1つのアミノ酸配列を含むCDR3を含む。いくつかの局面において、操作されたTCRは、SEQ ID NO:14、22、36、50、64および78のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸を有するCDR3を含むTCR-aならびにSEQ ID NO:8、28、42、56、70および84のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸を有するCDR3を含むTCR-bポリペプチドを含む。
【0011】
いくつかの局面において、核酸は、SEQ ID NO:14、22、36、50、64および78のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含むTCR-aポリペプチドならびに/あるいはSEQ ID NO:8、28、42、56、70および84のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR3を含むTCR-bポリペプチドをコードする。
【0012】
いくつかの局面において、該ポリペプチドまたはTCRは、TCR-aポリペプチドおよび/またはTCR-bポリペプチド由来のCDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む可変領域を含む。いくつかの局面において、可変領域は、SEQ ID NO:12、6、20、26、34、40、48、54、62、68、76および82のうちの1つのアミノ酸配列を有するまたはSEQ ID NO:12、6、20、26、34、40、48、54、62、68、76および82のうちの1つに対して少なくとも80%の配列同一性を有するCDR1を含む。いくつかの局面において、可変領域は、SEQ ID NO:12、6、20、26、34、40、48、54、62、68、76および82のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するCDR1を含む。
【0013】
いくつかの局面において、該ポリペプチド、TCRまたはTCR-aポリペプチドは、SEQ ID NO:12、20、34、48、62および76のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1を含む。いくつかの局面において、該ポリペプチド、TCRまたはTCR-aポリペプチドは、SEQ ID NO:12、20、34、48、62および76のうちの1つのアミノ酸配列を含むCDR1を含む。いくつかの局面において、該ポリペプチド、TCRまたはTCR-bポリペプチドは、SEQ ID NO:6、26、40、54、68および82のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1を含む。いくつかの局面において、該ポリペプチド、TCRまたはTCR-bポリペプチドは、SEQ ID NO:6、26、40、54、68および82のうちの1つのアミノ酸配列を含むCDR1を含む。
【0014】
いくつかの局面において、操作されたTCRは、SEQ ID NO:12、20、34、48、62および76のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸を有するCDR1を含むTCR-aならびにSEQ ID NO:6、26、40、54、68および82のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸を有するCDR1を含むTCR-bポリペプチドを含む。いくつかの局面において、操作されたTCRは、SEQ ID NO:12、20、34、48、62および76のうちの1つのアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-aならびにSEQ ID NO:6、26、40、54、68および82のうちの1つのアミノ酸配列を有するCDR1を含むTCR-bポリペプチドを含む。
【0015】
いくつかの局面において、核酸は、SEQ ID NO:12、20、34、48、62および76のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1を含むTCR-aポリペプチドならびに/あるいはSEQ ID NO:6、26、40、54、68および82のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR1を含むTCR-bポリペプチドをコードする。いくつかの局面において、核酸は、SEQ ID NO:12、20、34、48、62および76のうちの1つのアミノ酸配列を含むCDR1を含むTCR-aポリペプチドならびに/またはSEQ ID NO:6、26、40、54、68および82のうちの1つのアミノ酸配列を含むCDR1を含むTCR-bポリペプチドをコードする。
【0016】
いくつかの局面において、該ポリペプチド、TCR-aまたはTCR-bは、可変領域を含みうる。該可変領域は、SEQ ID NO:13、7、21、27、35、41、49、55、63、69、77および83のうちの1つのアミノ酸配列を有するまたはSEQ ID NO:13、7、21、27、35、41、49、55、63、69、77および83のうちの1つに対して少なくとも80%の配列同一性を有するCDR2を含みうる。いくつかの局面において、該可変領域は、SEQ ID NO:13、7、21、27、35、41、49、55、63、69、77および83のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するCDR2を含む。
【0017】
いくつかの局面において、本開示のポリペプチドまたはTCR-aポリペプチドは、SEQ ID NO:13、21、35、49、63および77のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2を含む。いくつかの局面において、本開示のポリペプチドまたはTCR-aポリペプチドは、SEQ ID NO:13、21、35、49、63および77のうちの1つのアミノ酸配列を含むCDR2を含む。いくつかの局面において、本開示のポリペプチドまたはTCR-bポリペプチドは、SEQ ID NO:7、27、41、55、69および83のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2を含む。いくつかの局面において、本開示のポリペプチドまたはTCR-bポリペプチドは、SEQ ID NO:7、27、41、55、69および83のうちの1つのアミノ酸配列を含むCDR2を含む。
【0018】
いくつかの局面において、操作されたTCRは、SEQ ID NO:13、21、35、49、63および77のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸を有するCDR2を含むTCR-aならびにSEQ ID NO:7、27、41、55、69および83のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸を有するCDR2を含むTCR-bポリペプチドを含む。いくつかの局面において、操作されたTCRは、SEQ ID NO:13、21、35、49、63および77のうちの1つのアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-aならびにSEQ ID NO:7、27、41、55、69および83のうちの1つのアミノ酸配列を有するCDR2を含むTCR-bポリペプチドを含む。
【0019】
いくつかの局面において、核酸は、SEQ ID NO:13、21、35、49、63および77のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2を含むTCR-aポリペプチドならびに/あるいはSEQ ID NO:7、27、41、55、69および83のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むCDR2を含むTCR-bポリペプチドをコードする。いくつかの局面において、核酸は、SEQ ID NO:13、21、35、49、63および77のうちの1つのアミノ酸配列を含むCDR2を含むTCR-aポリペプチドならびに/またはSEQ ID NO:7、27、41、55、69および83のうちの1つのアミノ酸配列を含むCDR2を含むTCR-bポリペプチドをコードする。
【0020】
いくつかの局面において、可変領域は、SEQ ID NO:10、4、18、24、32、38、46、52、60、66、74および80のうちの1つに対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、可変領域は、SEQ ID NO:10、4、18、24、32、38、46、52、60、66、74および80のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、可変領域は、SEQ ID NO:10、4、18、24、32、38、46、52、60、66、74および80のうちの1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、TCR-a可変領域は、SEQ ID NO:10、18、32、46、60および74のうちの1つに対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、TCR-a可変領域は、SEQ ID NO:10、18、32、46、60および74のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、TCR-a可変領域は、SEQ ID NO:10、18、32、46、60および74のうちの1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、TCR-b可変領域は、SEQ ID NO:4、24、38、52、66および80のうちの1つに対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、TCR-b可変領域は、SEQ ID NO:4、24、38、52、66および80のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、TCR-b可変領域は、SEQ ID NO:4、24、38、52、66および80のうちの1つのアミノ酸配列を含む。
【0021】
いくつかの局面において、ポリペプチドはT細胞受容体アルファ(TCR-a)可変領域を含む。いくつかの局面において、可変領域は、CDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む。いくつかの局面において、ポリペプチドはTCR-a可変および定常領域を含む。いくつかの局面において、ポリペプチドはシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの局面において、シグナルペプチドは、SEQ ID NO:11、5、19、25、33、39、47、53、61、67、75および81のうちの1つに対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、シグナルペプチドは、SEQ ID NO:11、5、19、25、33、39、47、53、61、67、75および81のうちの1つに対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、シグナルペプチドは、SEQ ID NO:11、5、19、25、33、39、47、53、61、67、75および81のうちの1つのアミノ酸配列を含む。
【0022】
本開示のTCRの局面は、TCR-aポリペプチドのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:12、13および14のアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドのCDR1、CDR3およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:6、7および8のアミノ酸配列を含む、TCR-aポリペプチドおよびTCR-bポリペプチドを含むTCRに関する。いくつかの局面において、TCRは、TCR-aポリペプチドのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:20、21および22のアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドのCDR1、CDR3およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:26、27および28のアミノ酸配列を含む、TCR-aポリペプチドおよびTCR-bポリペプチドを含む。いくつかの局面において、TCRは、TCR-aポリペプチドのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:34、35および36のアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドのCDR1、CDR3およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:40、41および42のアミノ酸配列を含む、TCR-aポリペプチドおよびTCR-bポリペプチドを含む。いくつかの局面において、TCRは、TCR-aポリペプチドのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:48、49および50のアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドのCDR1、CDR3およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:54、55および56のアミノ酸配列を含む、TCR-aポリペプチドおよびTCR-bポリペプチドを含む。いくつかの局面において、TCRは、TCR-aポリペプチドのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:62、63および64のアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドのCDR1、CDR3およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:68、69および70のアミノ酸配列を含む、TCR-aポリペプチドおよびTCR-bポリペプチドを含む。いくつかの局面において、TCRは、TCR-aポリペプチドのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:76、77および78のアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドのCDR1、CDR3およびCDR3が、それぞれSEQ ID NO:82、83および84のアミノ酸配列を含む、TCR-aポリペプチドおよびTCR-bポリペプチドを含む。
【0023】
いくつかの局面において、TCR-aポリペプチドは、SEQ ID NO:9のアミノ酸配列あるいはSEQ ID NO:9に対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドは、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列あるいはSEQ ID NO:3に対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、TCR-aポリペプチドは、SEQ ID NO:17のアミノ酸配列あるいはSEQ ID NO:17に対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドは、SEQ ID NO:23のアミノ酸配列あるいはSEQ ID NO:23に対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、TCR-aポリペプチドは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列あるいはSEQ ID NO:31に対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列あるいはSEQ ID NO:37に対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、TCR-aポリペプチドは、SEQ ID NO:45のアミノ酸配列あるいはSEQ ID NO:45に対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドは、SEQ ID NO:51のアミノ酸配列あるいはSEQ ID NO:51に対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、TCR-aポリペプチドは、SEQ ID NO:59のアミノ酸配列あるいはSEQ ID NO:59に対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドは、SEQ ID NO:65のアミノ酸配列あるいはSEQ ID NO:65に対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、TCR-aポリペプチドは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列あるいはSEQ ID NO:73に対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつTCR-bポリペプチドは、SEQ ID NO:79のアミノ酸配列あるいはSEQ ID NO:79に対して75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するまたは少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0024】
いくつかの局面において、TCRは改変を含むか、またはキメラである。いくつかの局面において、TCRの可変領域は、本開示のペプチドに特異的に結合するクローニングされたTCRの定常領域とは異なるTCR定常領域に融合される。
【0025】
いくつかの局面において、TCR-aポリペプチドおよびTCR-bポリペプチドは機能的に連結される。「機能的に連結された」という用語は、ペプチド結合(例えば、2つの要素がポリペプチドであり、同じポリペプチド上にある)などの共有結合、またはファンデルワールス力(例えば、互いにある程度の特異的結合親和性を有する2つのポリペプチド)などの非共有結合をいうことができる。いくつかの局面において、TCR-aポリペプチドおよびTCR-bポリペプチドは、ペプチド結合を通じて機能的に連結されている。いくつかの局面において、TCR-aポリペプチドおよびTCR-bポリペプチドは同じポリペプチド上にあり、TCR-bがTCR-aのアミノ近位にある。いくつかの局面において、TCR-aポリペプチドおよびTCR-bポリペプチドは同じポリペプチド上にあり、TCR-aがTCR-bのアミノ近位にある。本開示のポリペプチドまたはTCRは一本鎖TCRとしてさらに定義されうる。TCRはTCR-aポリペプチドとTCR-bポリペプチドとの間のリンカーを含みうる。リンカーはグリシンおよびセリン残基を含みうる。いくつかの局面において、リンカーは、グリシンおよびセリン残基のみから構成される(グリシン-セリンリンカー)。リンカーは可動性リンカーでありうる。例示的な可動性リンカーとしては、グリシン重合体(G)n、グリシン-セリン重合体(例えば、(GS)n、(GSGGS-SEQ ID NO:86)n、(G4S)nおよび(GGGS-SEQ ID NO:87)nを含み、ここでnは少なくとも1の整数である)が挙げられる。いくつかの局面において、nは少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10 (またはその中で導出可能な任意の範囲)、多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10 (またはその中で導出可能な任意の範囲)、またはちょうど1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10 (またはその中で導出可能な任意の範囲)である。グリシン-アラニン重合体、アラニン-セリン重合体、および当技術分野において公知の他の可動性リンカーが、本開示のポリペプチドにおけるリンカーとして用いられうる。例示的なリンカーは、GGSG (SEQ ID NO:88)、GGSGG (SEQ ID NO:89)、GSGSG (SEQ ID NO:90)、GSGGG (SEQ ID NO:91)、GGGSG (SEQ ID NO:92)、GSSSG (SEQ ID NO:93)などを含みうるか、またはそれらからなりうる。本開示のポリペプチドおよびTCRにおいて有用なさらなるリンカーは、本明細書において記述されている。第1の領域が第2の領域のカルボキシ末端に結合している場合、第1の領域は第2の領域のカルボキシ近位にある。第1の領域と第2の領域との間にさらに介在するアミノ酸残基が存在しうる。したがって、介在するアミノ酸残基を有しないと具体的に指定されない限り、これらの領域は直接隣接している必要はない。「アミノ近位」という用語は、同様に、第1の領域が第2の領域のアミノ末端に結合している場合、第1の領域が第2の領域のアミノ近位にあると定義される。同様に、特に明記しない限り、第1の領域と第2の領域との間にさらに介在するアミノ酸残基が存在しうる。
【0026】
CDRはまた、TCR-aまたはTCR-bポリペプチドの可変領域との関連で特定のCDR配列の片側または両側に隣接する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、16、18、19、20、21、22、23個またはそれ以上(またはその中で導出可能な任意の範囲)の連続するアミノ酸残基を含みうる; それゆえ、SEQ ID NO:10、4、18、24、32、38、46、52、60、66、74および80に示されるものなどの、特定のCDR配列のN末端またはC末端に1つまたは複数のさらなるアミノ酸が存在しうる。あるいは、または組み合わせで、CDRはまた、本明細書において記述されるCDRの断片であってもよく、特定のCDR配列のC末端またはN末端から少なくとも1、2、3、4または5アミノ酸を欠いていてもよい。
【0027】
いくつかの局面において、TCRまたは融合タンパク質は、検出剤または治療剤にコンジュゲートされる。いくつかの局面において、剤は、蛍光分子、放射性分子、または毒素を含む。いくつかの局面において、TCRまたは融合タンパク質は、本明細書において記述される剤にコンジュゲートされる。
【0028】
いくつかの局面において、核酸はTCR-a (TRA)およびTCR-b (TRB)遺伝子を含む。いくつかの局面において、核酸はポリシストロン性である。いくつかの局面において、核酸は、内部リボソーム進入部位(IRES)またはP2Aリンカーなどの、2A切断可能リンカーを含む。いくつかの局面において、核酸は、TCR-aおよび/またはTCR-b遺伝子をコードするcDNAを含む。いくつかの局面において、核酸は、CD3結合領域を含むポリペプチドをさらにコードする。いくつかの局面において、CD3結合領域は、CD3特異的抗原結合性断片(Fab)、一本鎖可変断片(scFv)、単一ドメイン抗体、または一本鎖抗体を含む。
【0029】
いくつかの局面において、ベクターはTCR-a遺伝子およびTCR-b遺伝子の両方を含む。いくつかの局面において、ベクターは、核酸の発現を指令するプロモーターを含む。いくつかの局面において、プロモーターはマウス幹細胞ウイルス(MSCV)プロモーターを含む。いくつかの局面において、細胞は幹細胞、前駆細胞、免疫細胞、またはナチュラルキラー(NK)細胞を含む。いくつかの局面において、細胞は造血幹細胞もしくは造血前駆細胞、T細胞、間葉系幹細胞(MSC)から分化した細胞、または人工多能性幹細胞(iPSC)を含む。いくつかの局面において、細胞は末梢血単核細胞(PBMC)から単離される、またはそれに由来する。いくつかの局面において、T細胞は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、CD8+ T細胞、CD4+ T細胞、インバリアントNK T (iNKT)細胞、ガンマ-デルタT細胞、NKT細胞、または調節性T細胞を含む。いくつかの局面において、細胞はがん患者から単離される。いくつかの局面において、細胞は非がん患者から単離される。いくつかの局面において、細胞は健常な患者から単離される。いくつかの局面において、細胞は凍結されるか、または凍結されない。いくつかの局面において、細胞は細胞培養中である。いくつかの局面において、細胞はTCR遺伝子の内因性発現を欠いている。いくつかの局面において、細胞はキメラ抗原受容体(CAR)をさらに含む。
【0030】
いくつかの局面において、組成物は、無血清、マイコプラズマ不含、内毒素不含、および/または無菌であると判定されている。いくつかの局面において、本方法は、培地中で細胞を培養する段階、細胞の分裂を可能にする条件で細胞をインキュベートする段階、細胞をスクリーニングする段階、および/または細胞を凍結する段階をさらに含む。
【0031】
いくつかの局面において、がんは肺がんを含む。いくつかの局面において、対象は、肺がんなどのがんと診断されている。いくつかの局面において、がんは固形腫瘍を含む。いくつかの局面において、対象は、がんの処置を以前に受けたことがある。いくつかの局面において、対象は以前の処置に対して抵抗性であると判定されている。いくつかの局面において、本方法は、さらなる治療法を施すことをさらに含む。いくつかの局面において、対象は哺乳動物である。いくつかの局面において、対象は、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマまたはブタなどの、実験用試験動物を含む。いくつかの局面において、対象はヒトである。いくつかの局面において、対象は、HLA-A31またはHLA-A33陽性であると判定されている。いくつかの局面において、対象は、EGFR L858R変異を保持する。いくつかの局面において、対象は、L858R変異を有するEGFRタンパク質を有すると判定されているもの、またはEGFR L858R変異タンパク質をもたらすEGFR遺伝子の遺伝子変異を有すると判定されているものである。いくつかの局面において、がんは、EGFR L858R陽性肺がんを含む。
【0032】
いくつかの局面において、肺がんは、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、転移性肺がん、肺結節、腺扁平上皮癌、大細胞神経内分泌癌、唾液腺型肺癌、肺カルチノイド、または中皮腫を含む。いくつかの局面において、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、転移性肺がん、肺結節、腺扁平上皮癌、大細胞神経内分泌癌、唾液腺型肺癌、肺カルチノイド、または中皮腫などの肺がんは除外される。いくつかの局面において、がんは、肺腺癌、非小細胞肺癌、扁平上皮肺癌、または小細胞肺癌を含む。
【0033】
いくつかの局面において、本開示の組成物はワクチンとして製剤化される。いくつかの局面において、本開示の組成物および方法は、がんを予防するための予防的療法を提供する。いくつかの局面において、本開示の組成物および方法は、がんを有する患者の処置のためなどの、既存のがんを処置するための治療的療法を提供する。いくつかの局面において、組成物はアジュバントをさらに含む。アジュバントは当技術分野において公知であり、例えば、TLRアゴニストおよびアルミニウム塩を含む。
【0034】
いくつかの局面において、本開示の方法は、TCR発現、TCR遺伝子をコードする核酸の組込み、またはTCRのがん抗原への結合などの、免疫原性特性に関するような、1つまたは複数の細胞特性について細胞をスクリーニングする段階をさらに含む。いくつかの局面において、対象は、L858RでのEGFR変異を有するもの、またはL858RでのEGFR変異を有すると判定されているものである。
【0035】
いくつかの局面において、本方法は、細胞または細胞を含む組成物を投与する段階を含み、ここで細胞は自己細胞を含む。いくつかの局面において、細胞は非自己細胞を含む。
【0036】
「処置」または処置することは、(i) 疾患を予防すること、すなわち、疾患の誘発前に保護組成物の投与によって疾患の臨床症状を発症させないこと; (ii) 疾患を抑制すること、すなわち、誘発事象の後に、ただし疾患の臨床的出現もしくは再出現の前に保護組成物の投与によって疾患の臨床症状を発症させないこと; (iii) 疾患を阻止すること、すなわち、その最初の出現後に保護組成物の投与によって臨床症状の発症を阻むこと; および/または(iv) 疾患を軽減させること、すなわち、その最初の出現後に保護組成物の投与によって臨床症状の退縮を引き起こすことを含めて、哺乳動物における疾患の任意の処置をいいうる。いくつかの局面において、処置は疾患の予防を除外しうる。
【0037】
本出願の全体を通じて、「約」という用語は、値にはその値を決定するために利用される装置または方法に対しての誤差の標準偏差が含まれることを示すために、細胞および分子生物学の分野におけるその平易で通常の意味にしたがって用いられる。
【0038】
「含む」という用語とともに用いられる場合、「1つの(a)」または「1つの(an)」という単語の使用は、「1つ」を意味しうるが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」および「1つまたは2つ以上」の意味とも一致している。
【0039】
本明細書において用いられる場合、「または」および「および/または」という用語は、複数の構成要素を組み合わせて、または互いに排他的に記述するために利用される。例えば、「x、y、および/またはz」は、「x」のみ、「y」のみ、「z」のみ、「x、y、およびz」、「(xおよびy)またはz」、「xまたは(yおよびz)」または「xまたはyまたはz」をいうことができる。x、y、またはzが態様または局面から特に除外されうることが特に企図される。
【0040】
「含む(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などの、含む(comprising)の任意の形態)、「有する(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」などの、有する(having)の任意の形態)、「含む(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(include)」などの、含む(including)の任意の形態)、「によって特徴付けられる」(および「として特徴付けられる」などの、含む(including)の任意の形態)または「含有する(containing)」(ならびに「含有する(contains)」および「含有する(contain)」などの、含有する(containing)の任意の形態)という単語は、包括的または非制限的であり、さらなる、引用していない要素または方法の段階を除外しない。
【0041】
その使用のための組成物および方法は、本出願の全体に開示されている成分または段階のいずれか「を含む」、「から本質的になる」または「からなる」ことができる。「からなる」という語句は、指定されていない任意の要素、段階、または成分を除外する。「から本質的になる」という語句は、記述された主題の範囲を、特定の材料または段階およびその基本かつ新規の特徴に実質的に影響を与えないものに限定する。「含む」という用語の文脈のなかで記述された態様および局面はまた、「からなる」または「から本質的になる」という用語の文脈のなかで実施されうることが企図される。
【0042】
治療的、診断的または生理学的な目的または効果の文脈における任意の方法は、記述された治療的、診断的または生理学的な目的または効果を達成または実施するための、本明細書において論じられる任意の化合物、組成物または剤「の使用」などの「使用」の請求項の言語においても記述されうる。
【0043】
1つまたは複数の配列または組成物の使用は、本明細書において記述される方法のいずれかに基づいて利用されうる。他の態様が本出願の全体にわたって論じられる。本開示の1つの局面に関して論じられた任意の態様または局面は、本開示の他の局面にも同様に適用され、逆もまた同様である。
【0044】
本発明の1つの態様または局面に関して論じられた任意の制限が、本発明の他の任意の態様または局面に適用されうることが特に企図される。さらに、本発明の任意の組成物が本発明の任意の方法において用いられてもよく、本発明の任意の組成物を作製または利用するために本発明の任意の方法が用いられてもよい。実施例に記載された態様の局面はまた、異なる実施例中の他所にまたは本出願中の他所に、例えば発明の概要、態様の詳細な説明、特許請求の範囲、および図の凡例の説明に論じられている態様の文脈において実施されうる態様である。
【0045】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および具体的な実施例は、本発明の特定の態様および局面を示しているが、この詳細な説明から本発明の趣旨および範囲の中でさまざまな修正および変更が当業者には明らかになるので、例示にすぎないことが理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
以下の図面は、本明細書の一部を構成し、本発明のある特定の局面をさらに実証するために含められている。本発明は、これらの図面の1つまたは複数を本明細書に提示した具体的な態様の詳細な説明と併せて参照することによってよりよく理解されうる。
【0047】
【
図1】TCRA31-1およびTCRA31-2媒介細胞傷害性。
【
図2】用量設定された量のHVKITDFGR (SEQ ID NO:85)ペプチドに応答したインターフェロン-ガンマ放出。
【
図3】2つのEGFR-A*3303 TCRの結合活性を決定するためのIFN-ガンマELISPOT。
【
図4】TCR33-32H形質導入T細胞の殺傷効力を決定するためのペプチド用量設定。
【
図5】TCR33-32HおよびTCRA33-32L媒介細胞傷害性アッセイ。左側のFACSプロットは、TCR構築体33-32Hまたは33-32Lを形質導入したPBMCを示す。
【
図6】EGFR(L858R)遺伝子を形質導入した標的細胞に対するTCRA33-32H媒介細胞傷害性。
【
図7】T33-32H、T33-37-3またはT33-37-4を発現するEGFR-A33 TCR-T細胞の殺傷活性。
【発明を実施するための形態】
【0048】
発明の詳細な説明
本開示は、L858R変異にまたがるEGFRのエピトープを認識するT細胞受容体(TCR)を提供する。本開示は同様に、このTCRをコードするヌクレオチド配列、末梢血単核細胞などの細胞を改変してEGFR-L858R特異的T細胞を作製するために使用できるこのヌクレオチド配列を含む発現ベクターを提供する。本開示は同様に、EGFR-L858R変異を保持するがん患者に対する養子免疫療法のためのEGFR-L858R特異的T細胞の使用を提供する。
【0049】
I. 操作されたT細胞受容体
T細胞受容体はジスルフィド結合によって連結された、T細胞受容体α(TCRα)鎖およびβ(TCRβ)鎖と称される、2つの異なるポリペプチド鎖を含む。これらのα:βヘテロ二量体は、免疫グロブリン分子のFab断片と構造が非常に類似しており、ほとんどのT細胞による抗原認識の原因となっている。少数のT細胞は、γおよびδと呼ばれる異なるポリペプチド鎖のペアで構成される別の、しかし構造的に類似の、受容体を持つ。どちらのタイプのT細胞受容体も、B細胞受容体として機能する膜結合型免疫グロブリンとは異なる: T細胞受容体は抗原結合部位を1つしか有しないが、B細胞受容体は2つ有し、T細胞受容体は決して分泌されないが、免疫グロブリンは抗体として分泌されうる。
【0050】
T細胞受容体の両方の鎖は、免疫グロブリンVドメインと相同性を有するアミノ末端可変(V)領域、免疫グロブリンCドメインと相同性を有する定常(C)領域、および鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基を含む短いヒンジ領域を有する。各鎖は疎水性の膜貫通ドメインによって脂質二重層にまたがっており、短い細胞質尾部で終わっている。
【0051】
T細胞受容体の三次元構造が決定されている。この構造は、T細胞受容体をコードする遺伝子に関する以前の研究から推測されたように、抗体Fab断片のそれと確かに類似している。T細胞受容体の鎖は、Fab断片の鎖とほぼ同じように折り畳まれているが、最終的な構造は少し短く、幅が広くなっているように見える。しかしながら、T細胞受容体とFab断片の間には、いくつかの明確な違いがある。最も顕著な違いはCαドメインにあり、折り畳みは他のどの免疫グロブリン様ドメインとも異なる。Cβドメインと並置されたドメインの半分は、他の免疫グロブリン様ドメインに見られるものと同様のβシートを形成するが、ドメインの残りの半分は、緩く詰まった鎖およびαヘリックスの短いセグメントで形成される。分子内ジスルフィド結合は、通常、免疫グロブリン様ドメインでは2本のβ鎖を結合しているが、Cαドメインでは、このαヘリックスのセグメントにβ鎖を結合している。
【0052】
ドメインが相互作用する方法にも違いがある。両方のT細胞受容体鎖のVドメインとCドメインとの間の界面は、抗体におけるよりも広範囲に及ぶため、ドメイン間のヒンジ結合の可動性が低下されうる。そしてCαドメインとCβドメインの間の相互作用は、Cαドメインからの糖基がCβドメインにいくつかの水素結合を作ることで、炭水化物により支援されるという点で特徴的である。最後に、可変結合部位の比較から、相補性決定領域(CDR)ループが抗体分子のループとかなり密接に整列しているが、抗体分子のループと比べていくらかの置換があることが示される。この置換はVα CDR2ループで特に顕著であり、ドメインの一方の面からループの一方の端を他方に固定するβ鎖のシフトの結果として、抗体Vドメインの同等のループに対してほぼ直角に配向される。鎖置換は、構造が知られている7つのVβドメインのうちの2つのVβ CDR2ループの方向にも変化を引き起こす。今のところ、7つのT細胞受容体の結晶構造が、このレベルの分解能で解明されている。
【0053】
本開示の局面は、操作されたT細胞受容体に関する。「操作された」という用語は、本開示のペプチドおよび抗原に結合するキメラポリペプチドを作製するために、TCR定常領域にグラフトされたTCR可変領域を有するT細胞受容体をいう。ある特定の局面において、TCRは、クローニング、発現の増強、検出のために、または構築体の治療的制御のために用いられるが、しかし内因性TCRには存在しない介在配列、例えばマルチクローニング部位、リンカー、ヒンジ配列、修飾されたヒンジ配列、修飾された膜貫通配列、検出ポリペプチドもしくは分子、またはTCRを含む細胞の選択もしくはスクリーニングを可能にしうる治療的制御を含む。
【0054】
いくつかの局面において、TCRは非TCR配列を含む。したがって、ある特定の局面は、TCR遺伝子に由来しない配列を有するTCRに関する。いくつかの局面において、TCRは、TCR遺伝子に通常見出される配列を含むが、自然界で必ずしも一緒に見出されない少なくとも2つのTCR遺伝子からの配列を含むという点で、キメラである。
【0055】
いくつかの局面において、本開示の操作されたTCRは、以下に示される局面を含む。
【0056】
【0057】
II. タンパク質性組成物
本明細書において用いられる場合、「タンパク質」、「ペプチド」または「ポリペプチド」は、少なくとも5つのアミノ酸残基を含む分子をいう。本明細書において用いられる場合、「野生型」という用語は、生物において天然に存在する分子の内因性バージョンをいう。いくつかの局面において、タンパク質またはポリペプチドの野生型バージョンが利用されるが、しかし、本開示の多くの局面において、免疫応答をもたらすために修飾されたタンパク質またはポリペプチドが利用される。上記の用語は互換的に用いられうる。「修飾タンパク質」または「修飾ポリペプチド」または「バリアント」は、その化学構造、特にそのアミノ酸配列が野生型タンパク質またはポリペプチドに対して改変されているタンパク質またはポリペプチドをいう。いくつかの局面において、修飾/バリアントタンパク質またはポリペプチドは、少なくとも1つの修飾された活性または機能を有する(タンパク質またはポリペプチドが複数の活性または機能を有しうることを認識する)。修飾/バリアントタンパク質またはポリペプチドは、1つの活性または機能に関して改変されうるが、免疫原性などの、他の点において野生型の活性または機能を保有しうることが特に企図される。
【0058】
タンパク質が本明細書において具体的に言及される場合、それは一般に、天然(野生型)もしくは組換え(修飾)タンパク質または、任意で、任意のシグナル配列が除去されたタンパク質への言及である。タンパク質は、それが天然である生物から直接単離され、組換えDNA/外因性発現法により産生され、または固相ペプチド合成(SPPS)もしくは他のインビトロ法により産生されうる。特定の局面においては、ポリペプチド(例えば、抗体またはその断片)をコードする核酸配列を組み込んだ単離された核酸セグメントおよび組換えベクターがある。「組換え」という用語は、ポリペプチドまたは特定のポリペプチドの名称と組み合わせて用いられうるが、これは一般に、インビトロで操作されたまたはそのような分子の複製産物である、核酸分子から産生されるポリペプチドをいう。
【0059】
ある特定の局面において、タンパク質またはポリペプチド(野生型または修飾型)のサイズは、
個のアミノ酸残基もしくは核酸残基またはそれ以上、およびその中で導出可能な任意の範囲、あるいは本明細書において記述または参照されている対応するアミノ配列の誘導体を含みうるが、これらに限定されることはない。ポリペプチドは、トランケーションにより変異され、対応するその野生型の形態よりも短くされることもあり、また、異種タンパク質またはポリペプチド配列を特定の機能(例えば、標的指向化または局在化のための、免疫原性の増強のための、精製目的のためなどの)と融合またはコンジュゲートすることにより改変されうることが企図される。
【0060】
本開示のポリペプチド、タンパク質、またはそのようなポリペプチドもしくはタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50個(またはその中で導出可能な任意の範囲)またはそれ以上のバリアントアミノ酸または核酸置換を含みうるか、あるいはSEQ ID NO:1~93の少なくとも
個もしくはそれ以上の連続するアミノ酸もしくは核酸、またはその中で導出可能な任意の範囲、あるいは多くとも
個もしくはそれ以上の連続するアミノ酸もしくは核酸、またはその中で導出可能な任意の範囲と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)類似、同一、または相同でありうる。特定の局面において、ペプチドまたはポリペプチドは、ヒト配列であるか、またはヒト配列に基づく。ある特定の局面において、ペプチドまたはポリペプチドは、天然に存在しない、および/またはペプチドもしくはポリペプチドの組み合わせにおけるものである。
【0061】
いくつかの局面において、タンパク質、ポリペプチドまたは核酸は、SEQ ID NO:1~93のアミノ酸またはヌクレオチドの1から、
(またはその中で導出可能な任意の範囲)を含みうる。
【0062】
いくつかの局面において、タンパク質、ポリペプチドまたは核酸は、SEQ ID NO:1~93の
個(またはその中で導出可能な任意の範囲)の連続するアミノ酸もしくは核酸を含みうるか、少なくとも
個(またはその中で導出可能な任意の範囲)の連続するアミノ酸もしくは核酸を含みうるか、または多くとも
個(またはその中で導出可能な任意の範囲)の連続するアミノ酸もしくは核酸を含みうる。
【0063】
いくつかの局面において、ポリペプチド、タンパク質または核酸は、SEQ ID NO:1~93の1つと少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)、多くとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)、またはちょうど60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%(またはその中で導出可能な任意の範囲)類似、同一、または相同であるSEQ ID NO:1~93の
個(またはその中で導出可能な任意の範囲)の連続するアミノ酸を含みうるか、少なくとも
個(またはその中で導出可能な任意の範囲)の連続するアミノ酸を含みうるか、または多くとも
個(またはその中で導出可能な任意の範囲)の連続するアミノ酸を含みうる。
【0064】
いくつかの局面においては、SEQ ID NO:1~93のいずれかの
位で始まり、かつSEQ ID NO:1~93のいずれかの
個(またはその中で導出可能な任意の範囲)の連続するアミノ酸もしくはヌクレオチドを含むか、少なくとも
個(またはその中で導出可能な任意の範囲)の連続するアミノ酸もしくはヌクレオチドを含むか、または多くとも
個(またはその中で導出可能な任意の範囲)の連続するアミノ酸もしくはヌクレオチドを含む、核酸分子またはポリペプチドが存在する。
【0065】
開示のポリペプチドは、少なくとも
個の置換(またはその中で導出可能な任意の範囲)、多くとも
個の置換(またはその中で導出可能な任意の範囲)、またはちょうど
個の置換(またはその中で導出可能な任意の範囲)を含みうる。
【0066】
置換は、SEQ ID NO:1~93のいずれかの
位のアミノ酸(またはその中で導出可能な任意の範囲)におけるものであり得、かつ任意のアミノ酸で置換されてもよく、またはアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、もしくはバリンで置換されてもよい。
【0067】
さまざまな遺伝子のヌクレオチドならびにタンパク質、ポリペプチド、およびペプチド配列は以前に開示されており、認識されているコンピュータ化されたデータベースにおいて見出されうる。一般的に使用される2つのデータベースは、全米バイオテクノロジー情報センターのGenbankおよびGenPeptデータベース(ワールド・ワイド・ウェブのncbi.nlm.nih.gov/)ならびにユニバーサルプロテインリソース(UniProt; ワールド・ワイド・ウェブのuniprot.org)である。これらの遺伝子のコード領域は、本明細書において開示される技法を用いて、または当業者に公知であるように、増幅および/または発現されうる。
【0068】
本開示の組成物において、1 ml当たり約0.001 mgから約10 mgの総ポリペプチド、ペプチド、および/またはタンパク質が存在するものと企図される。組成物中のタンパク質の濃度は、約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0 mg/mlもしくはそれ以上(またはその中で導出可能な任意の範囲)、少なくとも約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0 mg/mlもしくはそれ以上(またはその中で導出可能な任意の範囲)、または多くとも約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0 mg/mlもしくはそれ以上(またはその中で導出可能な任意の範囲)であることができる。
【0069】
以下は、等価なまたは場合によっては改善された、第二世代のバリアントポリペプチドまたはペプチドを作製するためにタンパク質のアミノ酸サブユニットを変更することについての考察である。例えば、ある特定のアミノ酸が、例えば、抗体の抗原結合領域または基質分子上の結合部位などの構造との相互作用結合能のかなりの喪失を伴うまたは伴わないように、タンパク質またはポリペプチド配列中の他のアミノ酸の代わりに用いられうる。タンパク質の機能活性を規定するのはタンパク質の相互作用能および性質であることから、タンパク質配列の中におよび対応するそのDNAコード配列の中にある特定のアミノ酸置換を施し、それでも、類似のまたは望ましい特性を有するタンパク質を産生させることができる。このように、タンパク質をコードする遺伝子のDNA配列において、その生物学的有用性または活性をさほど失わないようにさまざまな変更が施されうるものと本発明者らは企図している。
【0070】
「機能的に等価なコドン」という用語は、アルギニンに対する6種類の異なるコドンなどの、同じアミノ酸をコードするコドンをいうように、本明細書において用いられる。生物学的に等価なアミノ酸をコードするコドンの変更をいう「中性置換」または「中性変異」も考慮される。
【0071】
本開示のアミノ酸配列バリアントは、置換バリアント、挿入バリアント、または欠失バリアントであることができる。本開示のポリペプチドの変異は、野生型と比較して、タンパク質またはポリペプチドの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個、またはそれ以上(またはその中で導出可能な任意の範囲)の非連続または連続アミノ酸に影響を与えうる。バリアントは、本明細書において提供または言及される任意の配列と、間にある全ての値および範囲を含めて、少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%同一である、アミノ酸配列を含むことができる。バリアントは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、またはそれ以上の置換アミノ酸を含むことができる。
【0072】
アミノ酸および核酸の配列は、タンパク質の発現が関与している生物学的タンパク質活性の維持を含む上記の基準を満たす限り、それぞれ、さらなるN末端もしくはC末端アミノ酸、または5'もしくは3'配列などのさらなる残基を含むこともあり、それでも本明細書において開示されている配列の1つに記載の通り本質的に同一でありうることも理解されると考えられる。末端配列の付加は核酸配列に特に当てはまり、例えば、コード領域の5'部分または3'部分のいずれか一方に隣接する種々の非コード配列を含むことができる。
【0073】
欠失バリアントは、典型的には、天然または野生型タンパク質の1つまたは複数の残基を欠損している。個々の残基を欠失させてもよく、またはいくつかの隣接アミノ酸を欠失させてもよい。終止コドンを(置換または挿入により)コード核酸配列に導入して、切断型タンパク質を作製することができる。
【0074】
挿入変異体は、典型的には、ポリペプチドにおける非末端点でのアミノ酸残基の付加を伴う。これには1つまたは複数のアミノ酸残基の挿入を含めることができる。末端付加体を作製することも可能であり、これらは、本明細書において記述または参照される1つまたは複数のペプチドまたはポリペプチドの多量体または鎖状体である融合タンパク質を含むことができる。
【0075】
置換バリアントは、典型的には、タンパク質またはポリペプチド内の1つまたは複数の部位での1つのアミノ酸と別のアミノ酸との交換を含み、他の機能または特性を失ってかまたは失うことなく、ポリペプチドについての1つまたは複数の特性を修飾するようにデザインされてもよい。置換は保存的であってもよく、すなわち、1つのアミノ酸が、類似の化学的特性のアミノ酸に置換されてもよい。「保存的アミノ酸置換」は、1つのアミノ酸クラスの成員と同じクラスの別の成員との交換を伴いうる。保存的置換は当技術分野において周知であり、これには、例えば、アラニンのセリンへの、アルギニンのリジンへの、アスパラギンのグルタミンまたはヒスチジンへの、アスパラギン酸のグルタミン酸への、システインのセリンへの、グルタミンのアスパラギンへの、グルタミン酸のアスパラギン酸への、グリシンのプロリンへの、ヒスチジンのアスパラギンまたはグルタミンへの、イソロイシンのロイシンまたはバリンへの、ロイシンのバリンまたはイソロイシンへの、リジンのアルギニンへの、メチオニンのロイシンまたはイソロイシンへの、フェニルアラニンのチロシン、ロイシンまたはメチオニンへの、セリンのスレオニンへの、スレオニンのセリンへの、トリプトファンのチロシンへの、チロシンのトリプトファンまたはフェニルアラニンへの、および、バリンのイソロイシンまたはロイシンへの変更が含まれる。保存的アミノ酸置換は、天然に存在しないアミノ酸残基を包含してもよく、それらは、通常、生物学的システムでの合成によってではなく化学的ペプチド合成によって組み入れられる。これらには、ペプチド模倣体または他の逆型もしくは反転型のアミノ酸部分が含まれる。
【0076】
あるいは、置換はポリペプチドの機能または活性が影響を受けるように「非保存的」であってもよい。非保存的変更は、典型的には、非極性アミノ酸または非荷電アミノ酸の代わりに極性アミノ酸または荷電アミノ酸を用いておよびその逆など、1つのアミノ酸残基を化学的に異なる残基に置換することを含む。非保存的置換は、アミノ酸クラス1つの成員と別のクラスからの成員との交換を伴いうる。
【0077】
当業者は、周知の技法を用いて、本明細書において記載されるようなポリペプチドの適当なバリアントを決定することができる。当業者は、活性にとって重要であるとは考えられていない領域を標的とすることにより活性を破壊することなく変更されうる分子の適当な領域を同定しうる。当業者はまた、類似のタンパク質またはポリペプチド間で保存されているアミノ酸残基および分子の部分を同定することができるであろう。さらなる局面において、生物学的活性にとってまたは構造にとって重要でありうる領域は、生物学的活性を有意に変化させることなく、またはタンパク質もしくはポリペプチド構造に悪影響を与えることなく、保存的アミノ酸置換を受けうる。
【0078】
そのような変更を加える際には、アミノ酸のヒドロパシー指数が考慮されうる。タンパク質のヒドロパシープロファイルは、各アミノ酸に数値(「ヒドロパシー指数」)を割り当て、次にペプチド鎖に沿ってこれらの値を繰り返し平均することによって計算される。各アミノ酸には、その疎水性および電荷特性に基づいて値が割り当てられている。それらは、イソロイシン(+4.5); バリン(+4.2); ロイシン(+3.8); フェニルアラニン(+2.8); システイン/システイン(+2.5); メチオニン(+1.9); アラニン(+1.8); グリシン(-0.4); スレオニン(-0.7); セリン(-0.8); トリプトファン(-0.9); チロシン(-1.3); プロリン(1.6); ヒスチジン(-3.2); グルタミン酸(-3.5); グルタミン(-3.5); アスパラギン酸(-3.5); アスパラギン(-3.5); リシン(-3.9); およびアルギニン(-4.5)である。相互作用的な生物機能をタンパク質に付与する際のヒドロパシーアミノ酸指数の重要性が当技術分野において一般に理解されている(Kyte et al., J. Mol. Biol. 157:105-131 (1982))。アミノ酸の相対的なヒドロパシー特徴は、結果として生じるタンパク質またはポリペプチドの二次構造に寄与し、その結果として、これが、タンパク質またはポリペプチドと、他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原などとの相互作用を定義すると受け入れられている。ある特定のアミノ酸は、類似のヒドロパシー指数またはスコアを有する他のアミノ酸に置換され、それでも、類似の生物学的活性を保有しうることも知られている。ヒドロパシー指数に基づいて変更を加える際には、ある特定の局面において、ヒドロパシー指数が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれる。本発明のいくつかの局面において、±1以内であるものが含まれ、および本発明の他の局面において、±0.5以内のものが含まれる。
【0079】
親水性に基づいて、類似するアミノ酸を効果的に置換できることも当技術分野において理解される。参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,554,101号には、隣接するアミノ酸の親水性によって支配されるタンパク質の最大局所平均親水性(greatest local average hydrophilicity)はタンパク質の生物学的特性と相関関係にあることが述べられている。ある特定の局面において、隣接するアミノ酸の親水性によって支配されるタンパク質の最大局所平均親水性は、その免疫原性および抗原結合と、すなわち、タンパク質の生物学的特性として相関関係にある。これらのアミノ酸残基には以下の親水性値が割り当てられている: アルギニン(+3.0); リジン(+3.0); アスパラギン酸(+3.0±1); グルタミン酸(+3.0±1); セリン(+0.3); アスパラギン(+0.2); グルタミン(+0.2); グリシン(0); スレオニン(-0.4); プロリン(-0.5±1); アラニン(-0.5); ヒスチジン(-0.5); システイン(-1.0); メチオニン(-1.3); バリン(-1.5); ロイシン(-1.8); イソロイシン(-1.8); チロシン(-2.3); フェニルアラニン(-2.5); およびトリプトファン(-3.4)。類似の親水性値に基づいて変更を加える際には、ある特定の局面において、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれ、他の局面において、±1以内であるものが含まれ、およびさらに他の局面において、±0.5以内のものが含まれる。場合によっては、親水性に基づいて一次アミノ酸配列からエピトープを同定することもできる。これらの領域は「エピトープコア領域」ともいわれる。アミノ酸は、類似の親水性値を有する別のアミノ酸に置換され、それでも、生物学的に等価かつ免疫学的に等価なタンパク質をもたらしうるものと理解される。
【0080】
さらに、当業者は、活性または構造にとって重要である類似のポリペプチドまたはタンパク質中の残基を同定する構造機能研究を再考することができる。そのような比較の見地から、類似のタンパク質の活性または構造に重要なアミノ酸残基に対応するタンパク質中のアミノ酸残基の重要性を予測することができる。当業者は、そのような予測される重要なアミノ酸残基に対しての化学的に類似したアミノ酸置換を選択しうる。
【0081】
当業者は、類似のタンパク質またはポリペプチドにおけるその構造との関連で三次元構造およびアミノ酸配列を分析することもできる。そのような情報を考慮して、当業者は、その三次元構造に関して抗体のアミノ酸残基のアライメントを予測しうる。当業者は、タンパク質の表面にあると予測されるアミノ酸残基については、そのような残基が他の分子との重要な相互作用に関与している可能性があるため、変更を加えないという選択をすることもある。さらに、当業者は、各所望のアミノ酸残基の位置に単一のアミノ酸置換を含む試験バリアントを作製することが可能である。これらのバリアントを次に、結合および/または活性についての標準的なアッセイ法を用いてスクリーニングし、かくしてそのような日常的な実験から収集された情報を得ることができ、それにより、当業者は、単独でまたは他の変異との組み合わせでさらなる置換を避けるべきアミノ酸位置を決定することが可能になる。二次構造を決定するために利用できるさまざまなツールは、ワールド・ワイド・ウェブのexpasy.org/proteomics/protein_structureで見出すことができる。
【0082】
本発明のいくつかの局面において、(1) タンパク質分解に対する感受性を低減させる、(2) 酸化に対する感受性を低減させる、(3) タンパク質複合体を形成するための結合親和性を改変する、(4) リガンドもしくは抗原結合親和性を改変する、および/または(5) そのようなポリペプチドに対して他の物理化学的または機能的特性を付与もしくは修飾する、アミノ酸置換が行われる。例えば、単一または複数のアミノ酸置換(ある特定の局面において、保存的アミノ酸置換)が、天然に存在する配列において行われうる。分子間接触を形成するドメインの外側にある抗体のその部分において置換を行うことができる。そのような局面において、タンパク質またはポリペプチドの構造的特徴を実質的に変化させない保存的アミノ酸置換(例えば、天然抗体を特徴付ける二次構造を破壊しない1つまたは複数の置換アミノ酸)を用いることができる。
【0083】
III. 核酸
ある特定の局面において、核酸配列は、以下のような種々の例で存在することができる: 抗体の片鎖もしくは両鎖、またはその断片、誘導体、ムテインもしくはバリアントをコードする、組み込まれた配列または組換えポリヌクレオチドの単離されたセグメントおよび組換えベクター、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定、分析、変異または増幅するためのハイブリダイゼーションプローブ、PCRプライマーまたは配列決定プライマーとして用いるのに十分なポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドの発現を阻害するためのアンチセンス核酸、ならびに本明細書において記述される前述の相補配列。本明細書において提供されるある特定の抗体に対するエピトープをコードする核酸も提供される。これらのペプチドを含む融合タンパク質をコードする核酸も提供される。核酸は一本鎖または二本鎖であることができ、RNAおよび/またはDNAヌクレオチドならびにそれらの人工バリアント(例えば、ペプチド核酸)を含むことができる。
【0084】
「ポリヌクレオチド」という用語は、組換えであるか、または、全ゲノム核酸から単離されているかのいずれかの核酸分子をいう。「ポリヌクレオチド」という用語の範囲内に含まれるのは、オリゴヌクレオチド(長さが100残基またはそれ以下の核酸)、例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルスなどを含む、組換えベクターである。ポリヌクレオチドは、ある局面において、天然の遺伝子またはタンパク質コード配列から実質的に単離されている、調節配列を含む。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コーディングもしくはアンチセンス)または二本鎖であってよく、RNA、DNA(ゲノム、cDNAもしくは合成)、その類似体、またはその組み合わせであってよい。ポリヌクレオチドのなかにさらなるコーディングまたは非コーディング配列が存在してもよいが、存在しなくてもよい。
【0085】
この点において、「遺伝子」、「ポリヌクレオチド」、または「核酸」という用語は、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードする核酸(適切な転写、翻訳後修飾または局在化に必要とされる任意の配列を含む)をいうように用いられる。当業者に理解される通り、この用語はゲノム配列、発現カセット、cDNA配列、ならびにタンパク質、ポリペプチド、ドメイン、ペプチド、融合タンパク質、および変異体を発現するかまたは発現するように適合されうる、遺伝子操作されたもっと小さな核酸セグメントを包含する。ポリペプチドの全部または一部をコードする核酸は、そのようなポリペプチドの全部または一部をコードする連続核酸配列を含むことができる。また、特定のポリペプチドは、わずかに異なる核酸配列を有するがそれでも同じまたは実質的に類似のタンパク質をコードする、変種を含む核酸によってコードされうることも考えられる。
【0086】
ある特定の局面には、本明細書において開示される配列と実質的同一性を有するポリヌクレオチドバリアントがあり; 該バリアントは、本明細書において記述される方法(例えば、標準パラメータによるBLAST解析)を用い本明細書において提供されるポリヌクレオチド配列と比べて、以下の間の全ての値および範囲を含む少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれ以上の配列同一性を含む。ある局面において、単離されたポリヌクレオチドは、配列の全長にわたり、本明細書において記述されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、好ましくは95%、およびそれ以上の同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列; または該単離されたポリヌクレオチドに相補的なヌクレオチド配列を含む。
【0087】
核酸セグメントは、コード配列それ自体の長さにかかわらず、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、付加的な制限酵素部位、マルチクローニング部位、他のコードセグメントなどのような、他の核酸配列と組み合わせてもよく、したがってその全長はかなり変化することがある。核酸は任意の長さであることができる。それらは、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、175、200、250、300、350、400、450、500、750、1000、1500、3000、5000もしくはそれ以上のヌクレオチド長であることができ、および/または1つもしくは複数の追加の配列、例えば、調節配列を含むことができ、および/またはさらに大きな核酸、例えばベクターの一部であることができる。それゆえ、ほぼすべての長さの核酸断片を使用することができ、その全長は精製の容易さによっておよび意図された組換え核酸プロトコルにおける用途によって制限されることが好ましいものと考えられる。場合によっては、核酸配列は、例えば、ポリペプチドの精製、輸送、分泌、翻訳後修飾を可能にするための、または標的指向化もしくは有効性などの治療的有用性を可能にするための、さらなる異種コード配列を有するポリペプチド配列をコードすることができる。先に論じられる通り、タグまたは他の異種ポリペプチドを、修飾されたポリペプチドをコードする配列に付加することができ、「異種」とは、修飾されたポリペプチドと同じものではないポリペプチドをいう。
【0088】
A. ハイブリダイゼーション
特定のハイブリダイゼーション条件下で他の核酸にハイブリダイズする核酸。核酸をハイブリダイズさせるための方法は、当技術分野において周知である。例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6を参照されたい。本明細書において定義されるように、中等度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件では、5×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、0.5% SDS、1.0 mM EDTA (pH 8.0)を含有するプレ洗浄溶液、約50%ホルムアミド、6×SSCのハイブリダイゼーション緩衝液、および55℃のハイブリダイゼーション温度(または42℃のハイブリダイゼーション温度を用い、約50%ホルムアミドを含有するものなどの、他の類似のハイブリダイゼーション溶液)、ならびに0.5×SSC、0.1% SDS中60℃の洗浄条件を用いる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件では、45℃にて6×SSC中でハイブリダイズを行い、引き続き68℃にて0.1×SSC、0.2% SDS中で1回または複数回の洗浄を行う。さらに、当業者は、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件を操作して、互いに少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸が、通常、互いにハイブリダイズしたままであるようにハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを増大または低下させることができる。
【0089】
ハイブリダイゼーション条件の選択に影響を与えるパラメータおよび適当な条件を考案するためのガイダンスは、例えば、Sambrook、Fritsch、およびManiatis (ともにあらゆる目的のために参照により全体が本明細書に組み入れられるMolecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., chapters 9 and 11 (1989); Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al., eds., John Wiley and Sons, Inc., sections 2.10 and 6.3-6.4 (1995))により記載されており、例えば、DNAの長さおよび/または塩基組成に基づいて当業者により容易に決定されうる。
【0090】
B. 変異
変異によって核酸に変更を導入し、それによって、核酸がコードするポリペプチド(例えば、抗体または抗体誘導体)のアミノ酸配列の変更をもたらすことができる。当技術分野において公知の任意の技法を用いて、変異を導入することができる。1つの局面において、1つまたは複数の特定のアミノ酸残基は、例えば、部位特異的変異誘発プロトコルを用いて変更されうる。別の局面において、1つまたは複数のランダムに選択された残基が、例えば、ランダム変異誘発プロトコルを用いて変更される。どのように作製されたとしても、変異体ポリペプチドを発現させ、所望の特性についてスクリーニングすることができる。
【0091】
変異は、核酸がコードするポリペプチドの生物学的活性を著しく変化させることなく、核酸に導入することができる。例えば、非必須アミノ酸残基の位置でアミノ酸置換をもたらすヌクレオチド置換を行うことができる。あるいは、1つまたは複数の変異を、コードするポリペプチドの生物学的活性を選択的に変化させる核酸に導入することができる。例えば、Romain Studer et al., Biochem. J. 449:581-594 (2013)を参照されたい。例えば、変異は生物学的活性を定量的または定性的に変化させることができる。定量的変化の例としては、活性の増大、低減または排除が挙げられる。定性的変化の例としては、抗体の抗原特異性の改変が挙げられる。
【0092】
C. プローブ
別の局面において、核酸分子は、核酸配列の検出用のプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして用いるのに適している。核酸分子は、全長ポリペプチドをコードする核酸配列の一部分、例えば、プローブもしくはプライマーとして使用できる断片、または所与のポリペプチドの活性部分をコードする断片のみを含むことができる。
【0093】
別の局面において、核酸分子は、特定の抗体配列のためのプローブまたはPCRプライマーとして用いられうる。例えば、診断方法において核酸分子プローブが用いられうるか、またはとりわけ、抗体の可変ドメインの産生で用いるための核酸配列を単離するために使われうるDNAの領域を増幅するために核酸分子PCRプライマーが用いられうる。例えば、Gaily Kivi et al., BMC Biotechnol. 16:2 (2016)を参照されたい。好ましい局面において、核酸分子はオリゴヌクレオチドである。より好ましい局面において、オリゴヌクレオチドは、関心対象の抗体またはTCRの重鎖および軽鎖またはアルファ鎖およびベータ鎖の非常に可変な領域に由来する。さらにより好ましい局面において、オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のCDRまたはTCRの全部または一部をコードする。
【0094】
核酸の所望の配列に基づくプローブを用いて、核酸または類似の核酸、例えば、目的のポリペプチドをコードする転写産物を検出することができる。プローブは標識基、例えば、放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子を含むことができる。そのようなプローブを用いて、ポリペプチドを発現する細胞を同定することができる。
【0095】
IV. ポリペプチド発現
いくつかの局面においては、本開示のポリペプチドまたはペプチドをコードする核酸分子(例えばTCR遺伝子)がある。これらは、当技術分野において公知の方法により、例えば、免疫および単離されたマウスのB細胞から単離され、任意の適当な組換え発現系においてファージディスプレイ発現され、アセンブルして抗体分子を形成することが可能とされることによりまたは組換え法により作製されうる。
【0096】
A. 発現
核酸分子は、大量のポリペプチドを発現するために用いられうる。核酸分子が非ヒト、非トランスジェニック動物に由来する場合、核酸分子はTCR遺伝子のヒト化のために用いられうる。
【0097】
B. ベクター
いくつかの局面において、所望の配列のポリペプチドまたはその一部分(例えば、1つもしくは複数のCDRまたは1つもしくは複数の可変領域ドメインを含む断片)をコードする核酸分子を含む発現ベクターが企図される。核酸分子を含む発現ベクターは、重鎖、軽鎖、アルファ鎖、ベータ鎖、またはその抗原結合部分をコードしうる。いくつかの局面において、核酸分子を含む発現ベクターは、融合タンパク質、修飾された抗体、抗体断片、およびそれらのプローブをコードしうる。転写および翻訳を統制する制御配列に加えて、ベクターおよび発現ベクターは、他の機能も果たす核酸配列を含みうる。
【0098】
本開示のポリペプチドまたはペプチドを発現させるため、遺伝子領域が転写および翻訳制御配列に機能的に連結されるようにポリペプチドまたはペプチドをコードするDNAを発現ベクターに挿入する。いくつかの局面においては、任意の可変領域配列が容易に挿入および発現されうるように操作された適切な制限部位を有する機能的に完全なヒトCHもしくはCL免疫グロブリンまたはTCR配列をコードするベクター。いくつかの局面においては、任意の可変配列またはCDR1、CDR2および/もしくはCDR3が容易に挿入および発現されうるように操作された適切な制限部位を有する機能的に完全なヒトTCRαまたはTCRβ配列をコードするベクター。典型的には、宿主細胞のいずれかで用いられる発現ベクターは、プラスミドまたはウイルスの維持のための、ならびに外因性ヌクレオチド配列のクローニングおよび発現のための配列を含む。まとめて「フランキング配列」といわれるそのような配列は、典型的には、以下の機能的に連結されたヌクレオチド配列の1つまたは複数を含む: プロモーター、1つまたは複数のエンハンサー配列、複製の起点、転写終結配列、ドナーおよびアクセプタースプライス部位を含む完全なイントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、ならびに選択可能なマーカー要素。そのような配列およびそれを使用する方法は、当技術分野において周知である。
【0099】
C. 発現系
上記の発現ベクターの少なくとも一部または全部を含む多数の発現系が存在する。原核生物および/または真核生物に基づく系を1つの局面で用いるために利用して、核酸配列、またはその同族ポリペプチド、タンパク質およびペプチドを産生することができる。商業的かつ広範に利用可能な系は、細菌、哺乳動物、酵母、および昆虫細胞の系を含むが、これらに限定されることはない。異なる宿主細胞は、タンパク質の翻訳後プロセッシングおよび修飾のための特徴的かつ特異的な機構を有する。発現された外来タンパク質の的確な修飾およびプロセッシングを確実にするために、適切な細胞株または宿主系を選択することができる。当業者は、適切な発現系を用いベクターを発現させて、核酸配列またはその同族ポリペプチド、タンパク質もしくはペプチドを産生させることができる。
【0100】
V. 遺伝子移入の方法
組成物の発現をもたらすための核酸送達に適した方法は、本明細書において記述されるようにまたは当業者に公知であるように、核酸(例えば、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターを含む、DNA)を細胞、組織または生物に導入することができる実質的に任意の方法を含むものと見込まれる。そのような方法は、マイクロインジェクション(参照により本明細書に組み入れられるHarland and Weintraub, 1985; 米国特許第5,789,215号)を含む、注入(それぞれ参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,994,624号、同第5,981,274号、同第5,945,100号、同第5,780,448号、同第5,736,524号、同第5,702,932号、同第5,656,610号、同第5,589,466号および同第5,580,859号)による; エレクトロポレーション(参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,384,253号)による; リン酸カルシウム沈殿(Graham and Van Der Eb, 1973; Chen and Okayama, 1987; Rippe et al., 1990)による; DEAEデキストラン、続けてポリエチレングリコールの使用(Gopal, 1985)による; 直接音波負荷(Fechheimer et al., 1987)による; リポソーム媒介トランスフェクション(Nicolau and Sene, 1982; Fraley et al., 1979; Nicolau et al., 1987; Wong et al., 1980; Kaneda et al., 1989; Kato et al., 1991)による; 微小発射体衝撃(PCT出願番号WO 94/09699および95/06128; 米国特許第5,610,042号、同第5,322,783号、同第5,563,055号、同第5,550,318号、同第5,538,877号および同第5,538,880号、ならびにそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる)による; 炭化ケイ素繊維を用いた攪拌(それぞれ参照により本明細書に組み入れられるKaeppler et al., 1990; 米国特許第5,302,523号および同第5,464,765号)による; アグロバクテリウムを介した形質転換(それぞれ参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,591,616号および同第5,563,055号)による; またはプロトプラストのPEG媒介形質転換(それぞれ参照により本明細書に組み入れられるOmirulleh et al., 1993; 米国特許第4,684,611号および同第4,952,500号)による; 乾燥/阻害を介したDNA取込み(Potrykus et al., 1985)によるようなDNAの直接送達を含むが、これらに限定されることはない。他の方法は、レンチウイルスまたはレトロウイルス形質導入による遺伝子移入などの、ウイルス形質導入を含む。
【0101】
A. 宿主細胞
別の局面において、組換え発現ベクターが導入された宿主細胞の使用が企図される。抗体は種々の細胞型で発現させることができる。抗体をコードする発現構築体は、当技術分野において公知の種々の方法によって細胞にトランスフェクトすることができる。ベクターDNAは、従来の形質転換またはトランスフェクション技法を介して原核細胞または真核細胞に導入することができる。いくつかのベクターは、原核細胞と真核細胞の両方で複製および/または発現されることを可能にする制御配列を利用しうる。ある特定の局面において、抗体発現構築体は、T細胞活性化に関連するプロモーター、例えば、ともにT細胞活性化時に活性化されうる転写因子であるNFAT-1またはNF-κBによって制御されるものの制御下に配置することができる。抗体発現の制御により、腫瘍標的指向T細胞などのT細胞は、その周囲を感知し、T細胞自体と周囲の内因性免疫細胞の両方において、サイトカインシグナル伝達のリアルタイム調節を実施することが可能になる。当業者は、宿主細胞をインキュベートしてそれらを維持し、ベクターの複製を可能にする条件を理解するであろう。また、ベクターの大規模な産生、ならびにベクターによってコードされる核酸およびその同族ポリペプチド、タンパク質、またはペプチドの産生を可能にする技法および条件も理解され、知られている。
【0102】
哺乳動物細胞の安定したトランスフェクションのために、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技法に依り、細胞のごく一部のみが外来DNAをそのゲノムに組み込みうることが知られている。これらの組み込み体を同定および選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する耐性のための)が一般に、関心対象の遺伝子とともに宿主細胞に導入される。導入核酸を安定にトランスフェクトした細胞は、当技術分野において公知の他の方法の中でもとりわけ、薬物選択によって同定することができる(例えば、選択可能なマーカー遺伝子を組み込んだ細胞は生き残るが、他の細胞は死滅する)。
【0103】
B. 単離
抗体またはTCRの重鎖、軽鎖、アルファ鎖、およびベータ鎖の全体またはその可変領域の一方または両方をコードする核酸分子は、抗体を産生する任意の供給源から得られうる。抗体をコードするmRNAを単離する方法は、当技術分野において周知である。例えば、Sambrook et al., 前記を参照されたい。ヒト重鎖および軽鎖定常領域遺伝子の配列も当技術分野において公知である。例えば、Kabat et al., 1991, 前記を参照されたい。次に、全長の重鎖および/または軽鎖をコードする核酸分子が、それらを導入した細胞において発現され、抗体が単離されうる。
【0104】
VI. さらなる治療法
A. 免疫療法
いくつかの局面において、本方法は、さらなる治療法を施すことを含む。いくつかの局面において、さらなる治療法はがん免疫療法を含む。がん免疫療法(免疫腫瘍学と呼ばれることもあり、IOと略される)は、がんを処置するための免疫系の使用である。免疫療法は能動的、受動的またはハイブリッド(能動的および受動的)に分類することができる。これらのアプローチは、がん細胞がその表面に、腫瘍関連抗原(TAA)として知られる、免疫系により検出されうる分子を有することが多いという事実を利用しており; それらはタンパク質または他の高分子(例えば炭水化物)であることが多い。能動免疫療法は、TAAを標的とすることによって腫瘍細胞を攻撃するように免疫系に指令する。受動免疫療法は、既存の抗腫瘍応答を増強し、モノクローナル抗体、リンパ球およびサイトカインの使用を含む。免疫療法は当技術分野において公知であり、いくつかを以下に記述する。
【0105】
1. チェックポイント阻害剤および併用処置
本開示の局面は、免疫チェックポイント阻害剤の投与を含むことができ、これを以下にさらに記述する。
【0106】
a. PD-1、PDL1、およびPDL2阻害剤
PD-1は、T細胞が感染または腫瘍に遭遇する腫瘍微小環境において作用することができる。活性化されたT細胞はPD-1を上方制御し、末梢組織においてPD-1を発現し続ける。IFN-ガンマなどのサイトカインは、上皮細胞および腫瘍細胞でのPDL1の発現を誘導する。PDL2はマクロファージおよび樹状細胞に発現する。PD-1の主な役割は、末梢でのエフェクターT細胞の活性を制限し、免疫応答中の組織への過度の損傷を防ぐことである。本開示の阻害剤は、PD-1および/またはPDL1活性の1つまたは複数の機能を遮断しうる。
【0107】
「PD-1」の代替名には、CD279およびSLEB2が含まれる。「PDL1」の代替名には、B7-H1、B7-4、CD274、およびB7-Hが含まれる。「PDL2」の代替名には、B7-DC、Btdc、およびCD273が含まれる。いくつかの局面において、PD-1、PDL1、およびPDL2は、ヒトPD-1、PDL1、およびPDL2である。
【0108】
いくつかの局面において、PD-1阻害剤は、PD-1とそのリガンド結合パートナーの結合を阻害する分子である。特定の局面において、PD-1リガンド結合パートナーはPDL1および/またはPDL2である。別の局面において、PDL1阻害剤は、PDL1とそのリガンド結合パートナーの結合を阻害する分子である。特定の局面において、PDL1結合パートナーはPD-1および/またはB7-1である。別の局面において、PDL2阻害剤は、PDL2とそのリガンド結合パートナーの結合を阻害する分子である。特定の局面において、PDL2結合パートナーはPD-1である。阻害剤は抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドでもよい。例示的な抗体は米国特許第8,735,553号、同第8,354,509号、および同第8,008,449号に記述されており、全てが参照により本明細書に組み入れられる。本明細書において提供される方法および組成物で用いるための他のPD-1阻害剤は、米国特許出願公開第US2014/0294898号、同第US2014/022021号、および同第US2011/0008369号に記述のように当技術分野において公知であり、これらは全て参照により本明細書に組み入れられる。
【0109】
いくつかの局面において、PD-1阻害剤は抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)である。いくつかの局面において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、およびピディリズマブからなる群より選択される。いくつかの局面において、PD-1阻害剤は、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)と融合したPDL1またはPDL2の細胞外部分またはPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。いくつかの局面において、PDL1阻害剤はAMP-224を含む。ニボルマブはMDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558、およびOPDIVO(登録商標)としても知られ、WO2006/121168に記述の抗PD-1抗体である。ペンブロリズマブはMK-3475、Merck3475、ランブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標)、およびSCH-900475としても知られ、WO2009/114335に記述の抗PD-1抗体である。ピディリズマブはCT-011、hBAT、またはhBAT-1としても知られ、WO2009/101611に記述の抗PD-1抗体である。AMP-224はB7-DCIgとしても知られ、WO2010/027827およびWO2011/066342に記述のPDL2-Fc融合可溶性受容体である。さらなるPD-1阻害剤は、AMP-514としても知られるMEDI0680、およびREGN2810を含む。
【0110】
いくつかの局面において、免疫チェックポイント阻害剤は、MEDI4736としても知られるデュルバルマブ、MPDL3280Aとしても知られるアテゾリズマブ、MSB00010118Cとしても知られるアベルマブ、MDX-1105、BMS-936559、またはそれらの組み合わせなどのPDL1阻害剤である。ある特定の局面において、免疫チェックポイント阻害剤は、rHIgM12B7などのPDL2阻害剤である。
【0111】
いくつかの局面において、阻害剤はニボルマブ、ペンブロリズマブ、またはピディリズマブの重鎖および軽鎖CDRまたはVRを含む。したがって、1つの局面において、阻害剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、またはピディリズマブのVH領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメイン、ならびにニボルマブ、ペンブロリズマブ、またはピディリズマブのVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の局面において、前記抗体は、前述した抗体と同じ、PD-1、PDL1、もしくはPDL2上のエピトープとの結合において競合する、および/または前述した抗体と同じ、PD-1、PDL1、もしくはPDL2上のエピトープに結合する。別の局面において、前記抗体は、上述した抗体に対して少なくとも約70、75、80、85、90、95、97、または99%(またはその中で導出可能な範囲)の可変領域アミノ酸配列同一性を有する。
【0112】
b. CTLA-4、B7-1、およびB7-2
本明細書において提供される方法において標的とされうる別の免疫チェックポイントは、CD152としても知られる細胞傷害性Tリンパ球タンパク質4 (CTLA-4)である。ヒトCTLA-4の完全cDNA配列はGenbankアクセッション番号L15006を有する。CTLA-4はT細胞表面に見出され、抗原提示細胞の表面上のB7-1 (CD80)またはB7-2 (CD86)に結合すると「オフ」スイッチとして働く。CTLA4は、ヘルパーT細胞表面に発現し、阻害シグナルをT細胞に伝達する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA4はT細胞補助刺激タンパク質であるCD28に類似し、両分子とも、抗原提示細胞上のB7-1およびB7-2に結合する。CTLA-4は阻害シグナルをT細胞に伝達するのに対して、CD28は刺激シグナルを伝達する。細胞内CTLA-4は調節性T細胞の中にも見出され、その機能にとって重要である可能性がある。T細胞受容体およびCD28を介してT細胞が活性化されると、B7分子に対する抑制性受容体であるCTLA-4の発現が増加する。本開示の阻害剤は、CTLA-4、B7-1、および/またはB7-2活性の1つまたは複数の機能を遮断しうる。いくつかの局面において、阻害剤はCTLA-4およびB7-1相互作用を遮断する。いくつかの局面において、阻害剤はCTLA-4およびB7-2相互作用を遮断する。
【0113】
いくつかの局面において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、もしくはキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。
【0114】
本発明の方法で用いるのに適した抗ヒト-CTLA-4抗体(またはそれに由来するVHドメインおよび/もしくはVLドメイン)は、当技術分野において周知の方法を用いて作製することができる。あるいは、当技術分野において認められている抗CTLA-4抗体を用いることができる。例えば、米国特許第8,119,129号、WO01/14424、WO98/42752;WO00/37504 (CP675,206、トレメリムマブ; 以前はチシリムマブ(ticilimumab)としても知られる)、米国特許第6,207,156号; Hurwitz et al., 1998に開示される抗CTLA-4抗体は、本明細書において開示される方法において用いることができる。前述した刊行物のそれぞれの開示は参照により本明細書に組み入れられる。CTLA-4との結合では、これらの当技術分野において認められている任意の抗体と競合する抗体も用いることができる。例えば、ヒト化CTLA-4抗体は、国際特許出願番号WO2001/014424、WO2000/037504、および米国特許第8,017,114号に記述されており、全てが参照により本明細書に組み入れられる。
【0115】
本開示の方法および組成物においてチェックポイント阻害剤として有用なさらなる抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(10D1、MDX-010、MDX-101、およびYervoy(登録商標)としても知られる)またはその抗原結合断片およびバリアントである(例えば、WO01/14424を参照されたい)。
【0116】
いくつかの局面において、阻害剤はトレメリムマブまたはイピリムマブの重鎖および軽鎖CDRまたはVRを含む。したがって、1つの局面において、阻害剤は、トレメリムマブまたはイピリムマブのVH領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメイン、ならびにトレメリムマブまたはイピリムマブのVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の局面において、前記抗体は、前述した抗体と同じ、PD-1、B7-1、もしくはB7-2上のエピトープとの結合において競合する、および/または前述した抗体と同じ、PD-1、B7-1、もしくはB7-2上のエピトープに結合する。別の局面において、前記抗体は、上述した抗体に対して少なくとも約70、75、80、85、90、95、97、または99%(またはその中で導出可能な範囲)の可変領域アミノ酸配列同一性を有する。
【0117】
2. 共刺激分子の阻害
いくつかの局面において、免疫療法は共刺激分子の阻害剤を含む。いくつかの局面において、阻害剤は、B7-1 (CD80)、B7-2 (CD86)、CD28、ICOS、OX40 (TNFRSF4)、4-1BB (CD137; TNFRSF9)、CD40L (CD40LG)、GITR (TNFRSF18)の阻害剤、およびその組み合わせを含む。阻害剤は、阻害性の抗体、ポリペプチド、化合物、および核酸を含む。
【0118】
3. 樹状細胞療法
樹状細胞療法は、樹状細胞に、リンパ球への腫瘍抗原の提示を行わせ、それによってリンパ球を活性化し、抗原を提示している他の細胞を殺傷するようにリンパ球を刺激することによって抗腫瘍応答を惹起する。樹状細胞は、哺乳動物免疫系における抗原提示細胞(APC)である。がん処置において、樹状細胞は、がん抗原のターゲティングを助ける。樹状細胞に基づく細胞がん治療の一例は、シプリューセル-Tである。
【0119】
樹状細胞に腫瘍抗原を提示するように誘導する1つの方法は、自家腫瘍溶解物または短いペプチド(がん細胞上のタンパク質抗原に対応するタンパク質の小さな部分)をワクチン接種することによるものである。これらのペプチドは、免疫および抗腫瘍応答を高めるためにアジュバント(免疫原性の高い物質)と組み合わせて与えられることが多い。他のアジュバントは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)などの、樹状細胞を誘引および/または活性化するタンパク質または他の化学物質を含む。
【0120】
樹状細胞は、腫瘍細胞にGM-CSFを発現させることによりインビボで活性化することもできる。これは、腫瘍細胞を遺伝子操作してGM-CSFを産生させることにより、またはGM-CSFを発現する腫瘍溶解性ウイルスを腫瘍細胞に感染させることにより達成することができる。
【0121】
別の戦略は、樹状細胞を患者の血液から取り出し、それらを体外で活性化することである。樹状細胞は、単一の腫瘍特異的ペプチド/タンパク質または腫瘍細胞溶解物(破壊された腫瘍細胞の溶液)でありうる腫瘍抗原の存在下で活性化される。これらの細胞(選択的なアジュバントを有する)が注入され、免疫応答を惹起する。
【0122】
樹状細胞療法は、樹状細胞の表面の受容体に結合する抗体の使用を含む。抗原を抗体に加えることができ、樹状細胞を成熟へ誘導し、腫瘍に対する免疫を提供することができる。TLR3、TLR7、TLR8またはCD40などの樹状細胞受容体が抗体標的として用いられている。
【0123】
4. CAR-T細胞療法
キメラ抗原受容体(キメラ免疫受容体、キメラT細胞受容体または人工T細胞受容体としても知られている、CAR)は、がん細胞を標的とする、免疫細胞と新しい特異性とを組み合わせた、操作された受容体である。通常、これらの受容体はモノクローナル抗体の特異性をT細胞へ移植する。受容体は、異なる供給源からの部分が融合しているため、キメラと呼ばれる。CAR-T細胞療法は、がん治療のためにそのような形質転換細胞を用いる処置をいう。
【0124】
CAR-T細胞デザインの基本原理には、抗原結合機能とT細胞活性化機能を組み合わせた組換え受容体が含まれる。CAR-T細胞の一般的な前提は、がん細胞に見られるマーカーを標的とするT細胞を人工的に作製することである。科学者らは人からT細胞を取り出し、それらを遺伝的に改変し、がん細胞を攻撃するためにそれらを患者に戻すことができる。T細胞がCAR-T細胞になるように操作されると、それは「生きている薬物」として作用する。CAR-T細胞は、細胞外リガンド認識ドメインと細胞内シグナル伝達分子との間にリンクを作製し、これがT細胞を活性化する。細胞外リガンド認識ドメインは通常、一本鎖可変断片(scFv)である。CAR-T細胞療法の安全性の重要な局面は、正常細胞ではなく、がん性腫瘍細胞だけが標的とされることを確実にする方法である。CAR-T細胞の特異性は、標的とされる分子の選択によって決定される。
【0125】
例示的なCAR-T療法としてはチサゲンレクルユーセル(Tisagenlecleucel) (キムリア(Kymriah))およびアキシカブタゲンシロルユーセル(Axicabtagene ciloleucel) (イエスカルタ(Yescarta))が挙げられる。いくつかの局面において、CAR-T療法はCD19を標的とする。
【0126】
5. サイトカイン療法
サイトカインは、腫瘍内に存在する多くのタイプの細胞によって産生されるタンパク質である。それらは免疫応答を調節することができる。腫瘍は、多くの場合、サイトカインを利用して腫瘍を成長させ、免疫応答を低減させる。これらの免疫調節効果により、免疫応答を惹起させる薬物としてそれらを用いることが可能になる。一般的に用いられる2つのサイトカインは、インターフェロンおよびインターロイキンである。
【0127】
インターフェロンは免疫系によって産生される。それらは通常、抗ウイルス応答に関与しているが、がんにも使われている。それらは3つの群に分類される: タイプI (IFNαおよびIFNβ)、タイプII (IFNγ)ならびにタイプIII (IFNλ)。
【0128】
インターロイキンは、数々の免疫系効果を有する。IL-2は例示的なインターロイキンサイトカイン療法である。
【0129】
6. 養子T細胞療法
養子T細胞療法は、T細胞の輸血(養子細胞移入)による受動免疫の一形態である。T細胞は血液および組織中に見られ、通常、外来病原体を見つけると活性化する。具体的には、T細胞の表面受容体が、表面抗原上に外来タンパク質の一部を提示する細胞に遭遇すると、T細胞は活性化する。これらは感染細胞または抗原提示細胞(APC)のいずれかであることができる。それらは正常組織中および腫瘍組織中に見られ、その場合、それらは腫瘍浸潤リンパ球(TIL)として知られている。それらは、腫瘍抗原を提示する樹状細胞などのAPCの存在により活性化される。これらの細胞は腫瘍を攻撃しうるが、腫瘍内の環境は免疫抑制性が高く、免疫介在性の腫瘍死を防ぐ。
【0130】
腫瘍を標的としたT細胞を産生および取得する複数の方法が開発されている。腫瘍抗原に特異的なT細胞は、腫瘍サンプルから取り出す(TIL)か、血液からろ過することができる。その後の活性化および培養はエクスビボで実施され、その結果、再注入される。活性化は、遺伝子治療を通じて、またはT細胞を腫瘍抗原に曝露することによって行うことができる。
【0131】
B. 化学療法
いくつかの局面において、さらなる治療法は化学療法を含む。化学療法剤の適当なクラスは、(a) アルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチン、クロロゾトシン、ストレプトゾシン)およびトリアジン(例えば、ジカルバジン)、(b) 代謝拮抗薬、例えば葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)、ピリミジン類似体(例えば、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、アザウリジン)およびプリン類似体ならびに関連物質(例えば、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、ペントスタチン)、(c) 天然産物、例えばビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシンおよびミトキサントロン)、酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ)、ならびに生物学的応答修飾物質(例えば、インターフェロン-α)、ならびに(d) 種々の作用物質、例えば白金配位錯体(例えば、シスプラチン、カルボプラチン)、置換尿素(例えば、ヒドロキシ尿素)、メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン)、および副腎皮質抑制剤(例えば、タキソールおよびミトタン)を含む。いくつかの局面において、シスプラチンは特に適当な化学療法剤である。
【0132】
シスプラチンは、例えば、転移性精巣癌もしくは卵巣癌、進行性膀胱がん、頭頸部がん、子宮頸がん、肺がんまたは他の腫瘍などのがんを処置するために広く用いられてきた。シスプラチンは経口的に吸収されず、それゆえ、例えば、静脈内、皮下、腫瘍内または腹腔内注射などの他の経路を介して送達しなければならない。シスプラチンは単独でまたは他の剤との組み合わせで用いることができ、ある特定の局面では計3過程について3週間ごとに5日間、約15 mg/m2から約20 mg/m2を含め臨床用途において用いられる有効用量が企図される。いくつかの局面において、治療用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに機能的に連結されたEgr-1プロモーターを含む構築体と併せて細胞および/または対象に送達されるシスプラチンの量は、シスプラチンを単独で用いる場合に送達されるであろう量よりも少ない。
【0133】
他の適当な化学療法剤は、抗微小管剤、例えば、パクリタキセル(「タキソール」)および塩酸ドキソルビシン(「ドキソルビシン」)を含む。アデノウイルスベクターおよびドキソルビシンを介して送達されるEgr-1プロモーター/TNFα構築体の組み合わせは、化学療法および/またはTNF-αに対する抵抗性を克服するのに効果的であることが確認されており、このことから、構築体およびドキソルビシンによる併用処置が、ドキソルビシンおよびTNF-αの両方に対する抵抗性を克服することが示唆される。
【0134】
ドキソルビシンは吸収が不十分であり、好ましくは静脈内投与される。ある特定の局面において、成体に適切な静脈内用量は、約21日間隔で約60 mg/m2から約75 mg/m2または約3週間から約4週間間隔で繰り返される2日もしくは3日連続のそれぞれで約25 mg/m2から約30 mg/m2または週に1回、約20 mg/m2を含む。最低用量は、以前の化学療法によって引き起こされた以前の骨髄抑制もしくは腫瘍性骨髄浸潤がある場合、または薬物が他の骨髄造血抑制薬と組み合わされている場合、高齢患者において用いられるべきである。
【0135】
ナイトロジェンマスタードは、本開示の方法において有用な別の適当な化学療法剤である。ナイトロジェンマスタードは、メクロレタミン(HN2)、シクロホスファミドおよび/またはイホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン)、ならびにクロラムブシルを含みうるが、これらに限定されることはない。シクロホスファミド(シトキサン(CYTOXAN)(登録商標))はMead Johnsonから入手可能であり、NEOSTAR(登録商標)はAdriaから入手可能であり)、別の適当な化学療法剤である。成体に適した経口用量は、例えば、約1 mg/kg/日から約5 mg/kg/日を含み、静脈内用量は、例えば、最初に約2日から約5日にわたり分割用量で約40 mg/kgから約50 mg/kg、または約7日から約10日ごとに約10 mg/kgから約15 mg/kgまたは週2回、約3 mg/kgから約5 mg/kg、または約1.5 mg/kg/日から約3 mg/kg/日を含む。胃腸への悪影響のため、静脈内経路が好ましい。薬物はまた、筋肉内に、浸潤により、または体腔内に投与されることもある。
【0136】
さらなる適当な化学療法剤は、シタラビン(シトシンアラビノシド)、5-フルオロウラシル(フルオロウラシル; 5-FU)およびフロクスウリジン(フルオロデ-オキシウリジン; FudR)などの、ピリミジン類似体を含む。5-FUは、概して、約7.5から約1000 mg/m2の投与量で対象に投与されうる。さらに、5-FU投薬スケジュールは種々の期間、例えば、最大6週間、または本開示が関連する当業者によって決定されるものでありうる。
【0137】
別の適当な化学療法剤であるゲムシタビン二リン酸(GEMZAR(登録商標), Eli Lilly & Co., 「ゲムシタビン」)は、進行性および転移性膵臓がんの処置に推奨され、それゆえ、同様にこれらのがんに対し本開示において有用であろう。
【0138】
患者に送達される化学療法剤の量は可変でありうる。1つの適当な局面において、化学療法剤は、化学療法が構築体とともに投与される場合、宿主におけるがんの停止または退縮を引き起こすのに有効な量で投与されうる。他の局面において、化学療法剤は、化学療法剤の化学療法有効量よりも概して2から10,000倍少ない量で投与されうる。例えば、化学療法剤は、化学療法剤の化学療法有効量よりも約20倍少ない、約500倍少ない、またはさらには約5000倍少ない量で投与されうる。本開示の化学療法薬は、構築体との組み合わせでの所望の治療活性について、および有効な投与量の決定について、インビボで試験することができる。例えば、そのような化合物はヒトでの試験の前に、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギなどを含むが、これらに限定されない、適当な動物モデル系で試験することができる。実施例に記述されているように、インビトロ試験を用いて、適当な組み合わせおよび投与量を決定することもできる。
【0139】
C. 放射線療法
いくつかの局面において、さらなる治療法または以前の治療法は、電離放射線などの、放射線を含む。本明細書において用いられる場合、「電離放射線」は、十分なエネルギーを有するか、または電離(電子の獲得もしくは喪失)を生み出すための核相互作用を介して十分なエネルギーを生み出すことができる粒子または光子を含む放射線を意味する。例示的なかつ好ましい電離放射線は、x線である。標的組織または細胞にx線を送達するための手段は、当技術分野において周知である。
【0140】
D. 外科手術
いくつかの局面において、さらなる治療法は外科手術を含む。がんを有する人のおよそ60%は、予防手術、診断、または進行度診断のための手術、根治的手術、および姑息的手術を含む何らかの種類の外科手術を受ける。根治的手術は、がん組織の全てまたは一部が物理的に除去、切除、および/または破壊される切除を含み、本発明の局面の処置、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法、および/または代替療法などの他の療法とともに用いられる場合がある。腫瘍切除とは、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去をいう。腫瘍切除に加えて、外科手術による処置は、レーザー手術、凍結手術、電気手術、および顕微鏡的に管理される手術(microscopically-controlled surgery) (モース術)を含む。
【0141】
がんの細胞、組織、または腫瘍の一部または全てを切除すると体内に空洞が形成されることがある。処置は、その領域にさらなる抗がん療法を灌流、直接注射、または局所塗布することによって行われてもよい。そのような処置は、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、もしくは7日ごとに、または1週間、2週間、3週間、4週間、および5週間ごとに、または1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、もしくは12ヶ月ごと(またはその中で導出可能な任意の範囲)に繰り返されてもよい。これらの処置もさまざまな投与量の処置であってもよい。
【0142】
VII. 検出および治療剤
本開示のいくつかの局面において、本開示のTCRまたは融合タンパク質を検出可能にまたは治療的に標識することが有用であろう。ポリペプチドをこれらの剤にコンジュゲートするための方法は、当技術分野において公知である。例示のみを目的として、ポリペプチドは、放射性原子、発色団、フルオロフォアなどのような検出可能な部分で標識することができる。そのような標識ポリペプチドは、インビボでの、または単離された試験サンプルでの、または本明細書において記述される方法での、診断技法に用いることができる。
【0143】
本明細書において用いられる場合、「標識」という用語は、検出しようとする組成物、例えば、ポリヌクレオチドまたは抗体などのタンパク質と直接的または間接的にコンジュゲートさせて「標識された」組成物を生じる、直接または間接的に検出可能な化合物または組成物を意図している。また、この用語には、緑色蛍光タンパク質(GFP)などのように、挿入された配列が発現された際にシグナルをもたらす、ポリヌクレオチドとコンジュゲートされた配列も含まれる。標識は、それ自体が検出可能であってもよく(例えば、放射性同位体標識もしくは蛍光標識)、または酵素標識の場合には検出可能な基質化合物もしくは組成物の化学変化を触媒してもよい。標識は小規模での検出に適していてもよいか、またはハイスループットスクリーニングにより適していてもよい。そのため、適当な標識には、放射性同位体、蛍光色素、化学発光性化合物、色素、および酵素を含むタンパク質が非限定的に含まれる。標識は単純に検出してもよいか、または定量してもよい。単純に検出される応答は、一般にその存在を単に確認する応答を含み、一方、定量される応答は、一般に、強度、偏光および/または他の特性などの定量可能な(例えば、数値的に報告可能な)値を有する応答を含む。発光または蛍光アッセイ法では、検出可能な応答は、結合に実際に関与するアッセイ構成要素と会合した発光団もしくはフルオロフォアを用いて直接的に、または別の(例えば、レポーターもしくは指示薬の)構成要素と会合した発光団もしくはフルオロフォアを用いて間接的に生じうる。
【0144】
シグナルを生じる発光標識の例としては、生物発光および化学発光が挙げられるが、これらに限定されることはない。検出可能な発光応答は一般に、発光シグナルの変化またはその発生を含む。アッセイ構成要素を発光的に標識するための適当な方法および発光団は当分野において公知であり、例えば、Haugland, Richard P. (1996) Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals (6th ed.)に記述されている。発光プローブの例としては、エクオリンおよびルシフェラーゼが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0145】
適当な蛍光標識の例としては、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラサイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、Cascade Blue (商標)、およびテキサスレッドが挙げられるが、これらに限定されることはない。他の適当な光学色素は、Haugland, Richard P. (1996) Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals (6th ed.)に記述されている。
【0146】
別の局面において、蛍光標識は、細胞または組織の中またはその表面上に存在する細胞成分、例えば細胞表面マーカーなどとの共有結合を容易にするために官能化されている。適当な官能基には、イソチオシアネート基、アミノ基、ハロアセチル基、マレイミド、スクシンイミジルエステル、およびハロゲン化スルホニルが含まれるが、これらに限定されることはなく、これらは全て、蛍光標識を第2の分子と結合させるために用いられうる。蛍光標識の官能基の選択は、リンカー、剤、マーカー、または第2の標識剤のいずれかとの結合部位に依るであろう。
【0147】
蛍光標識の結合は、細胞成分もしくは化合物に対して直接的であってもよいか、または代替的にリンカーを介することもできる。中間体に蛍光標識を間接的に連結させるのに適当な結合対には、抗原/ポリペプチド、例えばローダミン/抗ローダミンなど、ビオチン/アビジンおよびビオチン/ストレプトアビジンが含まれるが、これらに限定されることはない。
【0148】
ポリペプチドと低分子量ハプテンとのカップリングにより、アッセイ法における抗体の感度を高めることができる。続いて第2の反応によってハプテンを特異的に検出することができる。例えば、アビジンと反応するビオチン、または特異的抗ハプテンポリペプチドと反応しうるジニトロフェノール、ピリドキサルおよびフルオレセインなどのハプテンを用いることが一般的である。Harlow and Lane (1988)、前記を参照されたい。
【0149】
コンジュゲートされる剤は、多数の利用可能な方法のいずれかを用いて、直接的または間接的にポリペプチドに連結することができる。例えば、剤は、ジスルフィド結合形成を介して、N-スクシニル3-(2-ピリジルジチオ)プロプリオネート(SPDP)などの架橋剤を用いて、または抗体のFc領域中の炭水化物部分を介して、還元された抗体構成要素のヒンジ領域に結合させることができる(Yu et al., 1994; Upeslacis et al., 1995; Price, 1995)。
【0150】
剤をポリペプチドにコンジュゲートするための技法は、周知である(Amon et al., 1985; Hellstrom et al., 1987; Thorpe, 1985; Baldwin et al., 1985; Thorpe et al., 1982)。
【0151】
本開示のポリペプチドまたはその抗原結合領域は、リガンド、細胞傷害性分子、化学療法剤、またはさらなる治療用物質として記述される他の剤などの別の機能分子に連結することができる。
【0152】
VIII. 細胞の製剤化および培養
特定の局面において、本開示の細胞は、特に製剤化されてもよく、および/またはそれらは特定の培地中で培養されてもよい。細胞は、有害な影響なしにレシピエントへの送達に適するような方法で製剤化されてもよい。
【0153】
ある特定の局面における培地は、AIM V、X-VIVO-15、NeuroBasal、EGM2、TeSR、BME、BGJb、CMRL 1066、グラスゴーMEM、改良MEM亜鉛オプション、IMDM、199培地、イーグルMEM、αMEM、DMEM、Ham、RPMI-1640およびフィッシャー培地のいずれか、ならびにそれらの任意の組み合わせなどの、動物細胞を培養するために用いられる培地を基礎培地として用いて調製されうるが、培地は、それが動物細胞を培養するために用いられうる限り、それらに特に限定されえない。特に、培地はゼノフリーでありうる、または化学的に規定されうる。
【0154】
培地は、血清含有培地もしくは無血清培地、またはゼノフリー培地でありうる。異種動物由来構成要素による汚染を阻止する局面から、血清は、幹細胞のものと同じ動物に由来しうる。無血清培地は、未加工または未精製の血清を有しない培地をいい、したがって、精製された血液由来構成要素または動物組織由来構成要素(成長因子などの)を有する培地を含みうる。
【0155】
培地は、血清の任意の代替物を含有しても含有しなくてもよい。血清の代替物には、アルブミン(脂質に富んだアルブミン、ウシアルブミン、組換えアルブミンまたはヒト化アルブミンなどのアルブミン代用物、植物デンプン、デキストラン、およびタンパク質加水分解物などの)、トランスフェリン(または他の鉄輸送体)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン先駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、3'-チオグリセロール(thiolgiycerol)、またはそれらの同等物を適当に含有する材料が含まれうる。血清の代替物は、例えば国際公報第98/30679号(その全体が本明細書に組み入れられる)に開示される方法によって調製されうる。あるいは、より多くの利便性のために、任意の市販の材料が用いられうる。市販の材料には、ノックアウト血清代替品(knockout Serum Replacement) (KSR)、化学的に規定された脂質濃縮型(Chemically-defined Lipid concentrated) (Gibco)およびGlutamax (Gibco)が含まれる。
【0156】
ある特定の局面において、培地は、ビオチン; 酢酸DLアルファトコフェロール; DLアルファ-トコフェロール; ビタミンA (アセテート)などのビタミン; BSA (ウシ血清アルブミン)またはヒトアルブミン、脂肪酸不含のフラクションV; カタラーゼ; ヒト組換えインスリン; ヒトトランスフェリン; スーパーオキシドジスムターゼなどのタンパク質; コルチコステロン; D-ガラクトース; エタノールアミンHCl; グルタチオン(還元型); L-カルニチンHCl; リノール酸; リノレン酸; プロゲステロン; プトレシン2HCl; 亜セレン酸ナトリウム; および/またはT3 (トリヨード-I-サイロニン)などの他の構成要素のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20種、またはそれを上回る種類を含みうる。特定の局面において、これらのうちの1種または複数種が明示的に除外されうる。
【0157】
いくつかの局面において、培地はビタミンをさらに含む。いくつかの局面において、培地は、ビオチン、酢酸DLアルファトコフェロール、DLアルファ-トコフェロール、ビタミンA、塩化コリン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸、葉酸ニコチンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、イノシトール、ビタミンB12のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは13種(およびその中で導出可能な任意の範囲)を含み、または培地は、それらの組み合わせもしくはそれらの塩を含む。いくつかの局面において、培地は、ビオチン、酢酸DLアルファトコフェロール、DLアルファ-トコフェロール、ビタミンA、塩化コリン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸、葉酸ニコチンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、イノシトール、およびビタミンB12を含むまたはそれらから本質的になる。いくつかの局面において、ビタミンは、ビオチン、酢酸DLアルファトコフェロール、DLアルファ-トコフェロール、ビタミンA、またはそれらの組み合わせもしくは塩を含むまたはそれらから本質的になる。いくつかの局面において、培地はタンパク質をさらに含む。いくつかの局面において、タンパク質には、アルブミンもしくはウシ血清アルブミン、BSAの一画分、カタラーゼ、インスリン、トランスフェリン、スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの局面において、培地は、コルチコステロン、D-ガラクトース、エタノールアミン、グルタチオン、L-カルニチン、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレシン、亜セレン酸ナトリウム、もしくはトリヨード-I-サイロニン、またはそれらの組み合わせのうちの1種または複数種をさらに含む。いくつかの局面において、培地は、B-27 (登録商標)サプリメント、ゼノフリーB-27 (登録商標)サプリメント、GS21 (商標)サプリメント、またはそれらの組み合わせのうちの1種または複数種を含む。いくつかの局面において、培地は、アミノ酸、単糖、無機イオンを含む、またはさらに含む。いくつかの局面において、アミノ酸には、アルギニン、シスチン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、グルタミン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシン、もしくはバリン、またはそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの局面において、無機イオンには、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、窒素、もしくはリン、またはそれらの組み合わせもしくは塩が含まれる。いくつかの局面において、培地は、モリブデン、バナジウム、鉄、亜鉛、セレン、銅、もしくはマンガン、またはそれらの組み合わせのうちの1種または複数種をさらに含む。ある特定の局面において、培地は、本明細書において論じられる1種もしくは複数種のビタミン、および/または本明細書において論じられる1種もしくは複数種のタンパク質、および/または以下のもの: コルチコステロン、D-ガラクトース、エタノールアミン、グルタチオン、L-カルニチン、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレシン、亜セレン酸ナトリウム、もしくはトリヨード-I-サイロニン、B-27 (登録商標)サプリメント、ゼノフリーB-27 (登録商標)サプリメント、GS21 (商標)サプリメント、アミノ酸(アルギニン、シスチン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、グルタミン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシン、またはバリンなど)、単糖、無機イオン(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、窒素、および/またはリンなど)もしくはそれらの塩、および/またはモリブデン、バナジウム、鉄、亜鉛、セレン、銅、もしくはマンガンのうちの1種もしくは複数種を含むまたはそれらから本質的になる。特定の局面において、これらのうちの1種または複数種が明示的に除外されうる。
【0158】
培地は、1種または複数種の外部から添加された脂肪酸もしくは脂質、アミノ酸(非必須アミノ酸などの)、ビタミン、成長因子、サイトカイン、抗酸化物質、2-メルカプトエタノール、ピルビン酸、緩衝剤、および/または無機塩を含有することもできる。特定の局面において、これらのうちの1種または複数種が明示的に除外されうる。
【0159】
培地構成要素のうちの1種または複数種が、少なくとも0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、180、200、250 ng/L、ng/ml、μg/ml、mg/mlもしくはその中で導出可能な任意の範囲、多くとも0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、180、200、250 ng/L、ng/ml、μg/ml、mg/mlもしくはその中で導出可能な任意の範囲、または約0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、180、200、250 ng/L、ng/ml、μg/ml、mg/mlもしくはその中で導出可能な任意の範囲の濃度で添加されうる。
【0160】
特定の局面において、本開示の細胞は特に製剤化される。それらは、細胞懸濁液として製剤化されてもされなくてもよい。特定の場合には、それらは単一用量形態で製剤化される。それらは、全身投与または局所投与のために製剤化されうる。いくつかの場合において、細胞は使用前の貯蔵のために製剤化され、細胞製剤はDMSO (例えば、5% DMSO中)などの、1つまたは複数の凍結保存剤を含みうる。細胞製剤は、ヒトアルブミンを含めて、アルブミンを含んでもよく、特定の製剤は2.5%のヒトアルブミンを含む。細胞は、静脈内投与のために特に製剤化されてもよく; 例えば、それらは1時間未満にわたる静脈内投与のために製剤化される。特定の局面において、細胞は、解凍時から1、2、3もしくは4時間またはそれ以上、室温で安定な製剤化された細胞懸濁液中である。
【0161】
特定の局面において、本開示の細胞は外因性TCRを含み、これは定義された抗原特異性のものでありうる。いくつかの局面において、TCRは、意図されたレシピエントに対する同種反応性の欠如または低減に基づいて選択することができる(例としては、ある特定のウイルス特異的TCR、異種特異的TCR、またはがん精巣抗原特異的TCRが挙げられる)。外因性TCRが非同種反応性である例では、T細胞分化中に、外因性TCRは、対立遺伝子排除と呼ばれる発生プロセスを通じて内因性TCR遺伝子座の再編成および/または発現を抑制し、結果として非同種反応性の外因性TCRのみを発現し、したがって非同種反応性となるT細胞をもたらす。いくつかの局面において、外因性TCRの選択は、同種反応性の欠如に基づいて必ずしも規定されない場合がある。いくつかの局面において、内因性TCR遺伝子は、タンパク質を発現しないようにゲノム編集によって改変されている。CRISPR/Cas9システムを使用する方法などの遺伝子編集の方法は、当技術分野において公知であり、本明細書において記述される。
【0162】
いくつかの局面において、本開示の細胞は、1つまたは複数のキメラ抗原受容体(CAR)をさらに含む。CARが向けられうる腫瘍細胞抗原の例としては、例えば、少なくとも5T4、8H9、αvβ6インテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CA9、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD123、CD138、CD171、CEA、CSPG4、EGFR、ErbB2 (HER2)、EGFRvIIIを含むEGFRファミリー、EGP2、EGP40、ERBB3、ERBB4、ErbB3/4、EPCAM、EphA2、EpCAM、葉酸受容体-a、FAP、FBP、胎児AchR、FRα、GD2、G250/CAIX、GD3、グリピカン-3 (GPC3)、Her2、IL-13Rα2、ラムダ(Lambda)、ルイス(Lewis)-Y、カッパ(Kappa)、KDR、MAGE、MCSP、メソテリン、Muc1、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、PRAME、PSC1、PSCA、PSMA、ROR1、SP17、サバイビン、TAG72、TEM、がん胎児性抗原、HMW-MAA、AFP、CA-125、ETA、チロシナーゼ、MAGE、ラミニン受容体、HPV E6、E7、BING-4、カルシウム活性化クロライドチャネル2、サイクリン-B1、9D7、EphA3、テロメラーゼ、SAP-1、BAGEファミリー、CAGEファミリー、GAGEファミリー、MAGEファミリー、SAGEファミリー、XAGEファミリー、NY-ESO-1/LAGE-1、PAME、SSX-2、メラン-A/MART-1、GP100/pmel17、TRP-1/-2、P.ポリペプチド、MC1R、前立腺特異抗原、β-カテニン、BRCA1/2、CML66、フィブロネクチン、MART-2、TGF-βRII、またはVEGF受容体(例えば、VEGFR2)が挙げられる。CARは第1世代、第2世代、第3世代、またはそれ以上の世代のCARであってもよい。CARは、任意の2つの非同一抗原に対して二重特異的であってもよく、または3つ以上の非同一抗原に対して特異的であってもよい。
【0163】
IX. 治療用組成物の投与
本明細書において提供される治療法は、第1のがん治療法および第2のがん治療法などの、治療剤の組み合わせの投与を含みうる。治療法は、当技術分野において公知の任意の適当な方法で投与されうる。例えば、第1および第2のがん処置は、連続的に(異なる時間に)または同時に(同じ時間に)投与されうる。いくつかの局面において、第1および第2のがん処置は、別々の組成物中で投与される。いくつかの局面において、第1および第2のがん処置は、同じ組成物中である。
【0164】
本開示の局面は、治療用組成物を含む組成物および方法に関する。異なる治療法は、1つの組成物中、または2つの組成物、3つの組成物もしくは4つの組成物などの、2つ以上の組成物中で投与されうる。剤のさまざまな組み合わせが利用されうる。
【0165】
本開示の治療用組成物は、同じ投与経路によりまたは異なる投与経路により投与されうる。いくつかの局面において、がん治療法は、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所的に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、移植により、吸入により、髄腔内に、脳室内に、または鼻腔内に投与される。いくつかの局面において、抗生物質は、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所的に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、移植により、吸入により、髄腔内に、脳室内に、または鼻腔内に投与される。適切な投与量は、処置される疾患のタイプ、疾患の重症度および経過、個体の臨床状態、個体の病歴および処置に対する応答、ならびに主治医の裁量に基づいて決定されうる。
【0166】
処置はさまざまな「単位用量」を含みうる。単位用量は、治療用組成物の所定量を含有すると定義される。投与される量、ならびに特定の経路および製剤化は、臨床分野における当業者の決定スキルの範囲内である。単位用量は、単回注射として投与される必要はないが、設定された期間にわたる持続注入を含みうる。いくつかの局面において、単位用量は、単一の投与可能な用量を含む。
【0167】
治療用組成物の的確な量も、実践者の判断に依存し、各個人に特有である。用量に影響を与える要因は、患者の身体的および臨床的状態、投与経路、意図した処置目標(症状の緩和 vs 治癒)、ならびに対象が受けている可能性のある特定の治療用物質または他の治療法の効力、安定性および毒性を含む。
【0168】
X. キット
本発明のある特定の局面はまた、本開示の組成物または本発明の方法を実施するための組成物を含むキットに関する。いくつかの局面において、キットを用いて、1つまたは複数のバイオマーカーまたはHLAタイプを評価することができる。ある特定の局面において、キットは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、100、500、1,000もしくはそれ以上のプローブ、プライマーもしくはプライマーセット、合成分子もしくは阻害剤、またはその中で導出可能な任意の値もしくは範囲および組み合わせを含むか、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、100、500、1,000もしくはそれ以上のプローブ、プライマーもしくはプライマーセット、合成分子もしくは阻害剤、またはその中で導出可能な任意の値もしくは範囲および組み合わせを含むか、あるいは多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、100、500、1,000もしくはそれ以上のプローブ、プライマーもしくはプライマーセット、合成分子もしくは阻害剤、またはその中で導出可能な任意の値もしくは範囲および組み合わせを含む。
【0169】
キットは、チューブ、ボトル、バイアル、注射器、または他の適当な容器手段などの容器の中に個別に包装または配置されうる構成要素を含みうる。
【0170】
個々の構成要素は、濃縮された量でキット中に提供されてもよい; いくつかの局面において、構成要素は、他の構成要素を有する溶液中にあるのと同じ濃度で個別に提供される。構成要素の濃度は、1倍、2倍、5倍、10倍もしくは20倍またはそれ以上として提供されうる。
【0171】
ある特定の局面において、陰性および/または陽性対照核酸、プローブ、および阻害剤は、いくつかのキットの局面に含まれる。さらに、キットは、1つまたは複数のバイオマーカーのメチル化の陰性または陽性対照であるサンプルを含みうる。
【0172】
本明細書において記述される任意の方法または組成物を、本明細書において記述される任意の他の方法または組成物に関して実施できること、および異なる局面が組み合わせられうることが企図される。出願当初の特許請求の範囲は、出願された特許請求の範囲のいずれかまたは出願された特許請求の範囲の組み合わせに複合的に依存する特許請求の範囲を網羅することが企図される。
【実施例】
【0173】
XI. 実施例
以下の実施例は、本開示の好ましい態様を実証するために含めている。当業者には、以下の実施例に開示した手法が、本発明者が、本開示の実施において充分に機能を果たすと見出した手法であり、したがって、その実施のための好ましい形態を構成しているとみなされうることが認識されよう。しかしながら、当業者は、本開示に鑑みると、開示している具体的な態様において、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく多くの変更が行なわれうるが、それでもなお同様または類似の結果が得られることが認識されるはずである。
【0174】
実施例1: EGFR特異的T細胞受容体のデザインおよび試験
HLA-A*3101形質導入H1975細胞にEGFR(L858R)ペプチド(HVKITDFGR - SEQ ID NO:85)をパルスし、表示されたE:T比で、選別されたTCR形質導入T細胞と4時間共培養した。上清中のCr51放出を測定することによってT細胞殺傷活性を判定した。クローン1および2のTCR媒介細胞傷害性を
図1に示す。H1975-A*3101またはHLA-A*3303形質導入293標的細胞に、異なる量のHVKITDFGR (SEQ ID NO:85)ペプチドをパルスした。1×10
5個の標的細胞およびTCR形質導入エフェクター細胞を各ウェルに播種し、終夜インキュベートした。
図3のスポット数は、ペプチド変異体EGFRのペプチド認識に応答したIFN-ガンマ分泌T細胞の数である。TCRを発現するウイルスをPBMCに形質導入し、TCR形質導入四量体陽性T細胞を選別した。次に、HLA*A33:03 293細胞にHVKITDFGR (SEQ ID NO:85)ペプチドをパルスし、Cr51で標識した。
図4~5は、異なるE:T比でエフェクター(EGFR TCR特異的T細胞)とともに4時間インキュベートした標的細胞の特異的溶解を示す。Cr51放出を測定した。HLA-A*3301および野生型(WT)またはL858R変異EGFR遺伝子を安定的に発現する293細胞を、TCR33-32Hを発現するさまざまな比率の選別されたTCR-T細胞と共培養した。4時間のインキュベーション後、放出されたCr51活性を測定した(
図6)。
図6に示されるように、TCR33-32Hは、EGFR-L858R遺伝子全体を発現するように形質導入された293細胞を認識し殺傷しうる。この実験は、腫瘍細胞によるHVKITDFGR (SEQ ID NO:85)ネオ抗原ペプチドの天然のプロセッシングおよび提示を実証する。異なるEGFR-A33 TCRクローンの殺傷活性の比較。3つの異なるEGFR-A33 TCR (TCR32H、TCR37-3およびTCR33-4)を、正常なPBMCに形質導入した。四量体およびCD8二重陽性T細胞を、WTまたはL858R変異EGFR遺伝子を安定的に発現する293細胞と共培養した。さまざまなE:T比での殺傷活性を、Cr51放出アッセイによって比較した(
図7)。これらの実験は、クローニングされ発現されたEGFRネオ抗原特異的TCRが、同族ペプチド抗原HVKITDFGR (SEQ ID NO:85)をパルスしたHLA-A*3301またはA*3303発現腫瘍標的細胞または野生型EGFRではなく全長EGFR(L858R)タンパク質を発現するように形質導入された該細胞を認識し、インターフェロン-ガンマを分泌し、かつ該細胞を殺傷する能力を、T細胞に対して付与できる、ということを全体として実証している。
図7は、ネオ抗原ペプチドHVKITDFGR (SEQ ID NO:85)が、全長変異EGFRタンパク質から天然にプロセッシングされ、HLA-A*3101およびA*3303上に提示されうることを実証している。
【0175】
本明細書において開示および主張される方法は全て、本発明を考慮すれば過度の実験なく作製および実施することができる。本発明の組成物および方法を好ましい態様に関して記述してきたが、本発明の概念、趣旨、および範囲から逸脱することなく、本明細書において記述される方法および本明細書において記述される方法の段階または段階の順序に変更を加えることができることは当業者に明らかである。さらに具体的には、本明細書において記述される剤の代わりに、化学的および生理学的に関連している、ある特定の剤を用いることができ、それと同時に、同一の結果または類似の結果が得られることが明らかである。当業者に明らかな、このような類似の代用および変更は全て、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の趣旨、範囲、および概念の範囲内だと考えられる。
【配列表】
【国際調査報告】