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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】外部発振器の制御及び較正
(51)【国際特許分類】
   H03L 7/099 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
H03L7/099
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527078
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 US2021072775
(87)【国際公開番号】W WO2022126097
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/122,575
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520490417
【氏名又は名称】アナログ ディヴァイスィズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ハイマン・シャナン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ケニー
【テーマコード(参考)】
5J106
【Fターム(参考)】
5J106AA04
5J106CC01
5J106EE09
5J106GG01
5J106HH01
5J106JJ01
5J106KK32
(57)【要約】
本明細書では、外部発振器の制御及び較正のための装置及び方法が提供される。特定の実施形態では、電子発振器システムは、半導体ダイと、半導体ダイの外部にある制御可能発振器とを含む。制御可能発振器の発振周波数は、第1のバラクタ及び第2のバラクタによって調整される。半導体ダイは、第1のバラクタを制御することによって制御可能発振器に微調整を提供する位相ロックループ(PLL)と、第2のバラクタを制御することによって制御可能発振器に粗調整を提供する較正回路とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子発振器システムであって、
半導体ダイと、
前記半導体ダイの外部にある制御可能発振器と、
前記制御可能発振器の発振周波数を調整するように構成された第1のバラクタと、
前記制御可能発振器の前記発振周波数を調整するように構成された第2のバラクタと、を備え、
前記半導体ダイは、前記第1のバラクタを制御することによって前記制御可能発振器に微調整を提供するように構成された位相ロックループ(PLL)と、前記第2のバラクタを制御することによって前記制御可能発振器に粗調整を提供するように構成された較正回路と、を備える、電子発振器システム。
【請求項2】
前記半導体ダイは、粗制御電圧を出力するように構成された粗調整電圧ピンを更に含み、前記電子発振器システムは、前記第2のバラクタのためのバラクタ制御電圧を生成するように前記粗制御電圧をスケーリングするように構成された粗調電圧スケーリング回路を更に備える、請求項1に記載の電子発振器システム。
【請求項3】
前記半導体ダイは、前記第2のバラクタを制御するための粗制御電圧を出力するように構成された粗調整電圧ピンと、較正デジタル-アナログ変換器(DAC)と、較正充電ポンプとを備え、前記較正回路は、前記較正DACが前記粗調整電圧ピンの電圧レベルを設定する第1モードと、前記較正充電ポンプが前記粗制御電圧の前記電圧レベルを設定する第2モードとで動作する、請求項1に記載の電子発振器システム。
【請求項4】
前記半導体ダイは、第1の相互コンダクタンス段及び第2の相互コンダクタンス段を更に備え、前記第1のモードでは、前記第1の相互コンダクタンス段及び前記第2の相互コンダクタンス段は直列に動作して、前記較正DACによって設定された後の、前記粗調整電圧ピンの前記電圧レベルを調節し、前記第2のモードでは、前記第1の相互コンダクタンス段は、前記較正充電ポンプによって設定された後の、前記粗調整電圧ピンの前記電圧レベルを調節する、請求項3に記載の電子発振器システム。
【請求項5】
前記第1のモードでは、前記第1の相互コンダクタンス段は、前記第1のバラクタを制御するために、基準信号を、感知された微調電圧と比較することに基づいて、電流を生成し、前記第2の相互コンダクタンス段は、前記電流を受け取り、前記粗調整電圧ピンを駆動する、請求項4に記載の電子発振器システム。
【請求項6】
前記半導体ダイは、前記第2のバラクタを制御するための粗調整電圧ピンと、前記較正回路からデジタルデータを受信する入力及び前記粗調整電圧ピンに接続された出力を有するデジタル-アナログ変換器(DAC)と、を更に含む、請求項1に記載の電子発振器システム。
【請求項7】
前記半導体ダイは、前記第2のバラクタを制御するための粗調整電圧ピンと、プロセス電圧温度(PVT)コードに基づいて前記粗調整電圧ピンを制御するための第1のDACと、前記較正回路によって感知された発振器電圧範囲に基づいて前記粗調整電圧ピンを制御するための第2のDACと、を更に含む、請求項1に記載の電子発振器システム。
【請求項8】
前記較正回路は、前記制御可能発振器のバイアスを制御することと、前記制御可能発振器の出力発振器信号を観察することとに基づいて、前記制御可能発振器の振幅を較正するように構成されている、請求項1に記載の電子発振器システム。
【請求項9】
前記較正回路は、前記PLLによって設定された調整電圧を上限閾値信号及び下限閾値信号と比較するように構成されている、請求項1に記載の電子発振器システム。
【請求項10】
前記較正回路は、前記調整電圧を前記上限閾値信号と比較するための第1の比較器と、前記調整電圧を前記下限閾値信号と比較するための第2の比較器と、前記第1の比較器の出力及び前記第2の比較器の出力に基づいて制御されるカウンタと、前記比較器の出力を積分するように構成された積分器と、を更に含む、請求項9に記載の電子発振器システム。
【請求項11】
外部温度センサを更に備え、前記較正回路は、前記外部温度センサから受信した温度データに基づいて動作する、請求項1に記載の電子発振器システム。
【請求項12】
前記第2のバラクタは、前記第1のバラクタよりも高い周波数対電圧ゲインを提供する、請求項1に記載の電子発振器システム。
【請求項13】
電子発振器制御の方法であって、
第1のバラクタを使用して制御可能発振器の発振周波数を調整することであって、前記制御可能発振器は半導体ダイの外部にある、調整することと、
第2のバラクタを使用して前記制御可能発振器の前記発振周波数を調整することと、
前記半導体ダイ上の位相ロックループ(PLL)を使用して前記制御可能発振器に微調整を提供するように前記第1のバラクタを制御することと、
前記半導体ダイの較正回路を使用して前記制御可能発振器に粗調整を提供するように前記第2のバラクタを制御することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記半導体ダイの粗調整電圧ピンから粗制御電圧を出力することと、増幅器を使用して、前記第2のバラクタのためのバラクタ制御電圧を生成するように前記粗制御電圧をスケーリングすることと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
較正DACが前記粗調整電圧ピンの電圧レベルを設定する第1のモード、又は較正充電ポンプが前記粗制御電圧の前記電圧レベルを設定する第2のモードのうちの一方で、前記半導体ダイを動作させることを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
デジタル-アナログ変換器(DAC)への入力として前記較正回路からデジタルデータを受信することと、前記DACの出力からの粗制御電圧を前記半導体ダイの粗調整電圧ピンに提供することと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記PLLによって設定された調整電圧を上限閾値信号及び下限閾値信号と比較することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
無線周波数通信システムであって、
発振器信号によって制御されるミクサと、
ローカル発振器であって、
半導体ダイ、
前記半導体ダイの外部にあって、前記発振器信号を出力するように構成された制御可能発振器、
前記制御可能発振器の発振周波数を調整するように構成された第1のバラクタ、及び
前記制御可能発振器の前記発振周波数を調整するように構成された第2のバラクタ、を備えるローカル発振器と、を備え、
前記半導体ダイは、前記第1のバラクタを制御することによって前記制御可能発振器に微調整を提供するように構成された位相ロックループ(PLL)と、前記第2のバラクタを制御することによって前記制御可能発振器に粗調整を提供するように構成された較正回路とを備える、無線周波数通信システム。
【請求項19】
前記較正回路は、前記PLLによって設定された調整電圧を上限閾値信号及び下限閾値信号と比較するように構成されている、請求項18に記載の無線周波数通信システム。
【請求項20】
前記第2のバラクタは、前記第1のバラクタよりも高い周波数対電圧ゲインを提供する、請求項18に記載の無線周波数通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の実施形態は、電子システムに関し、より具体的には、外部発振器の制御及び較正に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧制御発振器(VCO)は、クロック生成及び分配、搬送波合成、及びデータ復旧などの電子及び通信用途で広く使用されている。VCOは、発振出力信号を生成する発振器コアと、発振器コアに、容量及び/又はインダクタンスなどの可変電気特性を呈する共振器(例えば、インダクタ-コンデンサタンク)と、を含むことができる。発振の周波数は、可変電気特性の値に少なくとも部分的に依存し、したがって、共振器を調整することが、出力信号の発振の周波数を制御する方法を提供する。
【0003】
VCOは、位相ロックループ(PLL)などの制御ループに含まれることができる。そのような制御ループは、VCOの入力制御電圧を所望の値に設定するためにフィードバックを使用することができる。
【発明の概要】
【0004】
外部発振器の制御及び較正のための装置及び方法が提供される。特定の実施形態では、電子発振器システムは、半導体ダイと、半導体ダイの外部にある制御可能発振器と、を含む。制御可能発振器の発振周波数は、第1のバラクタ及び第2のバラクタによって調整される。半導体ダイは、第1のバラクタを制御することによって制御可能発振器に微調整を提供する位相ロックループ(PLL)と、第2のバラクタを制御することによって制御可能発振器に粗調整を提供する較正回路と、を含む。
【0005】
1つの態様では、電子発振器システムは、半導体ダイと、半導体ダイの外部にある制御可能発振器と、制御可能発振器の発振周波数を調整するように構成された第1のバラクタと、制御可能発振器の発振周波数を調整するように構成された第2のバラクタと、を含む。半導体ダイは、第1のバラクタを制御することによって制御可能発振器に微調整を提供するように構成された位相ロックループ(PLL)と、第2のバラクタを制御することによって制御可能発振器に粗調整を提供するように構成された較正回路と、を含む。
【0006】
別の態様では、電子発振器制御の方法が提供される。方法は、第1のバラクタを使用して制御可能発振器の発振周波数を調整することであって、制御可能発振器は半導体ダイの外部にある、調整すること、を含む。方法は、第2のバラクタを使用して制御可能発振器の発振周波数を調整することと、半導体ダイ上の位相ロックループ(PLL)を使用して制御可能発振器に微調整を提供するように第1のバラクタを制御することと、半導体ダイの較正回路を使用して制御可能発振器に粗調整を提供するように第2のバラクタを制御することと、を更に含む。
【0007】
別の態様では、無線周波数通信システムが提供される。無線周波数通信システムは、発振器信号によって制御されるミクサと、半導体ダイ、半導体ダイの外部にあって、発振器信号を出力するように構成された制御可能発振器、制御可能発振器の発振周波数を調整するように構成された第1のバラクタ、及び制御可能発振器の発振周波数を調整するように構成された第2のバラクタを含むローカル発振器と、を含む。半導体ダイは、第1のバラクタを制御することによって制御可能発振器に微調整を提供するように構成された位相ロックループ(PLL)と、第2のバラクタを制御することによって制御可能発振器に粗調整を提供するように構成された較正回路と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】無線周波数(RF)通信システムの1つの実施形態の概略図である。
図2A】外部電圧制御可能発振器(VCO)の調整の1つの実施例の概略図である。
図2B】外部VCOの調整の別の実施例の概略図である。
図3A】1つの実施形態による電子発振器システムの概略図である。
図3B】別の実施形態による電子発振器システムの概略図である。
図4】1つの実施形態による外部VCO追跡ループの概略図である。
図5A】別の実施形態による外部VCO追跡ループの概略図である。
図5B】別の実施形態による外部VCO追跡ループの概略図である。
図6】別の実施形態による電子発振器システムの概略図である。
図7】第1の粗較正モードで動作する半導体ダイを含む電子発振器システムの別の実施形態の概略図である。
図8】第2の粗較正モードで動作する半導体ダイを含む電子発振器システムの別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の実施形態の詳細な説明は、発明の特定の実施形態の様々な説明を提示する。しかしながら、発明は、数多くの異なる方法で具現化することができる。この説明では、図面が参照され、そこでは、同様の参照番号は、同一又は機能的に類似の要素を示し得る。図に示された要素は、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されよう。更に、特定の実施形態は、図面に示されたよりも多くの要素及び/又は図面に示された要素のサブセットを含むことができることが理解されよう。更に、いくつかの実施形態は、2つ以上の図面からの特徴の任意の好適な組み合わせを組み込むことができる。
【0010】
外部制御可能発振器の制御及び較正が本明細書に提供される。特定の実施形態では、電子発振器システムは、半導体ダイと、半導体ダイの外部にある制御可能発振器(例えば、VCO)と、を含む。制御可能発振器の発振周波数は、第1のバラクタ及び第2のバラクタによって調整される。半導体ダイは、第1のバラクタを制御することによって制御可能発振器に微調整を提供する位相ロックループ(PLL)と、第2のバラクタを制御することによって制御可能発振器に粗調整を提供する較正回路と、を含む。
【0011】
したがって、制御可能発振器は、低ゲインの第1のループと、第2のループよりも高いゲインの第2のループとを使用して制御することができる。これにより、ひいては、低ノイズ、広い調整範囲、及び典型的な半導体ダイ製造プロセスに関連する供給電圧制限内で動作しながら半導体ダイ上にPLLを実装できることが達成される。
【0012】
本明細書の教示は、広範囲の電子システム及び用途に適用可能である。例えば、陸上自動車無線送受信機などの送受信機は、ローカル発振器(LO)として外部VCOを使用することができる。
【0013】
図1は、RF通信システム30の1つの実施形態の概略図である。RF通信システム30は、送受信機1、フロントエンドシステム2、及びアンテナ3を含む。図1の送受信機1は、本明細書の教示による、調整及び較正ループを用いて実装される1つ以上のローカル発振器(LO)を含むことができる。しかしながら、本明細書の教示は、電子サーキットリの他の構成に適用可能である。
【0014】
示された実施形態では、送受信機1は、送信機5及び受信機6を含む。図1には示されていないが、送受信機1は、他のサーキットリ、例えば、観察受信機、制御回路、並びに/又は追加の送信機及び/若しくは受信機を含むこともできる。
【0015】
図1は、1つの送信機及び1つの受信機を含むとして送受信機1を示しているが、送受信機は、追加の送信機、受信機、及び/又は観察受信機を含むことができる。
【0016】
示された実施形態では、送信機5は、IパスDAC11a、Iパス増幅器12a、Iパスミクサ13a、QパスDAC11b、Qパス増幅器12b、Qパスミクサ13b、及び送信ローカル発振器(LO)14を含む。送信機サーキットリの1つの実施例が示されているが、送信機は、他の方式で実装されることができる。
【0017】
信号送信に関して、IパスDAC11aは、デジタルI信号をアナログI信号に変換し、アナログI信号は、Iパス増幅器12aによって増幅される。加えて、QパスDAC11bは、デジタルQ信号をアナログQ信号に変換し、アナログQ信号は、Qパス増幅器12bによって増幅される。送信LO14は、Iパスクロック信号をIパスミクサ13aに提供し、Iパスミクサ13aは、増幅されたアナログI信号を上方変換する。送信LO14は更に、Qパスクロック信号をQパスミクサ13bに提供し、Qパスミクサ13bは、増幅されたアナログQ信号を上方変換する。Iパスミクサ13a及びQパスミクサ13bの出力は、組み合わされて、フロントエンドシステム2に提供されるRF送信信号TXを生成する。
【0018】
図1を引き続き参照すると、受信機6は、IパスADC21a、Iパス増幅器22a、Iパスミクサ23a、QパスADC21b、Qパス増幅器22b、Qパスミクサ23b、及び受信LO24を含む。受信機サーキットリの1つの実施例が示されているが、受信機は、他の方式で実装することができる。
【0019】
信号受信に関して、受信機6は、フロントエンドシステム2からRF受信信号RXを受信する。受信LO24は、Iパスクロック信号をIパスミクサ23aに提供し、Qパスクロック信号をQパスミクサ23bに提供する。Iパスミクサ23aは、Iパスクロック信号を使用してRF受信信号RXを下方変換して、アナログI信号を生成する。アナログI信号は、Iパス増幅器22aによって増幅され、IパスADC21aによってデジタル化されて、デジタルI信号が生成される。Qパスミクサ23bは、Qパスクロック信号を使用してRF受信信号RXを下方変換して、アナログQ信号を生成する。アナログQ信号は、Qパス増幅器22bによって増幅され、QパスADC21bによってデジタル化されて、デジタルQ信号が生成される。
【0020】
送受信機1は、本明細書の実施形態のうちのいずれかに従って実装することができる。
【0021】
図1に示されたように、フロントエンドシステム2は、アンテナ3での送信のためにRF送信信号TXを増幅する電力増幅器27と、アンテナ3からの受信信号を増幅することに基づいてRF受信信号RXを生成する低ノイズ増幅器28と、を含む。電力増幅器27及び低ノイズ増幅器28のみが示されているが、フロントエンドシステム2は、これらに限定されないが、フィルタ、スイッチ、デュプレクサ、ダイプレクサ、カプラ、及び/又は他のコンポーネントを含む、他のコンポーネントを含むことができる。更に、送信チャンネルと受信チャンネルとは、アンテナを共有する必要はなく、むしろ別々のアンテナを使用することができる。
【0022】
送受信機1は、30MHz~7GHzのRF信号だけでなく、X帯域(約7GHz~12GHz)、K帯域(約12GHz~18GHz)、K帯域(約18GHz~27GHz)、K帯域(約27GHz~40GHz)、V帯域(約40GHz~75GHz)、及び/又はW帯域(約75GHz~110GHz)のものなど、より高い周波数の信号も含む、様々な周波数の信号を扱うことができる。したがって、本明細書の教示は、マイクロ波システムを含む広範の様々なRF通信システムに適用可能である。
【0023】
図2Aは、外部VCOの調整の1つの実施例の概略図である。この実施例では、外部VCOは、11MHz/ボルトの周波数対電圧ゲイン(KVCO)を有する1つのループを使用して調整される。9Vの調整範囲(0.5V~9.5V)を使用する場合、外部VCOは、所望の調整範囲並びにプロセス、電圧、及び/又は温度(PVT)の変動を考慮すべく100MHzの周波数範囲を有する。
【0024】
図2Bは、外部VCOの調整の別の実施例の概略図である。この実施例では、外部VCOは、1MHz/ボルトのKVCO1を有する微調整のための第1のループと、11MHz/ボルトのKVCO2を有する粗調整のための第2のループとを使用して調整される。第1のループは、1Vの相対的に小さな電圧調整範囲で動作し、半導体ダイ製造プロセスに関連する典型的な供給電圧制限内で動作しながら、第1のループが半導体ダイ上に実装されることを可能にする。第1のループはまた低ゲインを有し、それはノイズにはより良い。第2のループは、9V(0.5V~9.5V)の広い電圧調整範囲で動作し、PVTを考慮すべく100MHzの広い周波数範囲を提供する。
【0025】
VCO値、電圧範囲、及び周波数の様々な例が図2A及び図2Bに示されているが、他の値が可能である。
【0026】
図3Aは、1つの実施形態による電子発振器システム50の概略図である。電子発振器システム50は、半導体ダイ41と、半導体ダイ41の外部にある制御可能発振器42と、を含む。電子発振器システム50は、半導体ダイ41からの微制御信号FINEによって制御される第1のバラクタ43と、半導体ダイ41からの粗制御信号COARSEによって制御される第2のバラクタ44と、を更に含む。
【0027】
図3Aに示されたように、制御可能発振器42は、微制御信号FINEによって及び粗制御信号COARSEによって制御される発振周波数を有する発振信号OSCを出力する。
【0028】
したがって、制御可能発振器42の発振周波数は、第1のバラクタ43及び第2のバラクタ44によって調整される。
【0029】
図3Aを引き続き参照すると、半導体ダイ41は、第1のバラクタ43に提供される微制御信号FINEを制御することによって制御可能発振器42に微調整を提供する位相ロックループ(PLL)45を含む。加えて、半導体ダイ41は、第2のバラクタ44に提供される粗制御信号COARSEを制御することによって制御可能発振器42に粗調整を提供する較正回路46を更に含む。発振信号OSCは、半導体ダイ41に提供されて、微制御信号FINE及び粗制御信号COARSEを調節するためのフィードバックを提供する。
【0030】
このようにして電子発振器システム50を実装することによって、制御可能発振器42は、低ゲインの第1のループ(LOW GAINループ)と、より高いゲインの第2のループ(HIGH GAINループ)とを使用して制御することができる。これにより、ひいては、低ノイズ、広い調整範囲、及び典型的な半導体ダイ製造プロセスに関連する供給電圧制限内で動作しながら半導体ダイ41上にPLL45を実装できることが達成される。
【0031】
図3Bは、別の実施形態による電子発振器システム130の概略図である。電子発振器システム130は、回路基板上に、半導体ダイ101と、半導体ダイ101の外部の様々なコンポーネントと、を含む。
【0032】
示された実施形態では、外部コンポーネントは、外部VCO102、第1のバラクタ103、第2のバラクタ104、第1の増幅器105、第2の増幅器106、温度センサ107、VCO入力コンデンサ108、VCO出力コンデンサ109、VCOバイアスインダクタ110、第1のバラクタ直列コンデンサ111a、第2のバラクタ直列コンデンサ111b、第1のバラクタバイアスインダクタ112a、第2のバラクタバイアスインダクタ112b、粗調抵抗器バイパススイッチ113a、バイアス抵抗器バイパススイッチ113b、粗調抵抗器114a、バイアス抵抗器114b、第1の分圧抵抗器115a/115b、第2の分圧抵抗器116a/116b、第1の増幅器入力抵抗器117a、第2の増幅器入力抵抗器117b、バイアスコンデンサ118、微調コンデンサ119a、感知コンデンサ119b、及び粗調コンデンサ120を含む。
【0033】
図3Bの半導体ダイ101は、PLL121、粗調整及び較正回路122、補助アナログ-デジタル変換器(ADC)123、PVT及び粗調整デジタル-アナログ変換器(DAC)124、振幅DAC125、並びに切り替え可能抵抗器ネットワーク126を含む。切り替え可能抵抗器ネットワーク126は、固定抵抗器127、切り替え可能抵抗器128、及び抵抗器バイパススイッチ129を含む。半導体ダイ101はまた、粗調整ピンVcoarse、微調整ピンVfine、範囲感知ピンV、VCO感知ピンVvco、及びVCOバイアスピンVbiasを含む様々なピン又はパッドも含む。
【0034】
外部VCO102は、第1のバラクタ103及び第2のバラクタ104の両方によって調整される。第1のバラクタ103は、(例えば、1V充電ポンプ132を使用して)低電圧で動作することができるPLL121によって設定される微調整ピンVfineの電圧によって制御される。図3Bに示されたように、PLL121は、PLLの検出器のためのフィードバッククロック信号を生成するために使用することができる、VCO感知ピンVvco上のVCOのクロック信号を受信する。例えば、PLL121は、フィードバッククロック信号を基準クロック信号と比較する位相及び/又は周波数検出器(PFD)133を含むことができ、PFDの出力が、PLLの充電ポンプ132を制御するために使用される。
【0035】
第2のバラクタ104は、PVT、温度係数(TC)、及び/又は振幅制御のための調整サーキットリ131を含むことができる粗調整及び較正回路122によって制御される。粗調整及び較正回路122は、デジタル粗制御信号をDAC124に提供し、DAC124は、粗調整ピンVcoarseに電流を出力する。PVT及び粗調整を提供するための単一のDAC124として示されているが、複数のDACを使用することができる。
【0036】
電流は、DAC124から抵抗器117aを通って流れ、増幅器105によってスケーリングされる粗調整電圧を生成し、第2のバラクタ104を調整するスケーリングされた粗調整電圧を生成する。電流DACを流れ抵抗器を通る電流によって粗調整電圧が生成される一実施例であるが、電圧DACが粗調整電圧を生成する構成などの他の実装態様が可能である。外部増幅器105は、Vcoarseの電圧を、バラクタ制御に好適な電圧レベルに、例えば約20Vまで増幅するために使用される。外部増幅器105は、そのような電圧レベルを生成するのに好適なバラクタ電圧源VVARによって電力供給される。増幅器105からのノイズは、(例えば、較正中に)選択的にバイパスさせることができる低周波RCフィルタによってフィルタリングされる。
【0037】
この実施例では、粗調整及び較正回路122は、ADC123を介して温度センサ107から温度情報、並びにVCO感知ピンVvcoからVCOの出力クロック信号、及び範囲感知ピンVから調整範囲情報を受信する。
【0038】
特定の実装態様では、粗調整及び較正回路122は、最初に、VCOバイアスピンVbiasを使用して(及び、スケーリングを提供するためのバイアス供給電圧VDDBによって電力供給される第2の増幅器106を使用して)外部VCO102をバイアスすることに基づいて、並びにVCO感知ピンVvcoからのVCO出力クロック信号の観察に基づいて、VCO振幅較正を実行する。最初の振幅較正の後、粗調整及び較正回路122は、第2のバラクタ104を使用して外部VCO102を粗調整することができる。
【0039】
振幅較正及び粗調整後の通常動作中、PLL121は、第1のバラクタ103を制御することによって、外部VCO102に微調整を提供する役割を果たす。加えて、粗調整及び較正回路122は、範囲感知ピンVを使用してPLL121の調整電圧を監視し、調整電圧が上限閾値を超えるか又は下限閾値を下回るときに、粗調節を実行することができる。したがって、粗調節は、上限閾値及び下限閾値によって設定された所望の調整電圧範囲内に調整電圧を維持する役割を果たすことができる。
【0040】
VCO振幅スケーリングを伴う一実施例を説明したが、そのような振幅スケーリングは省略することができる。例えば、振幅DAC125及び第2の増幅器106は、外部VCO102を所望の目標振幅にするために含まれる必要はない。
【0041】
図4は、1つの実施形態による外部VCO追跡ループ210の概略図である。外部VCO追跡ループ210は、基板上の粗制御抵抗器201と、基板に取り付けられた半導体ダイ上に形成されたローパスフィルタ202及び制御ループコア203と、を含む。
【0042】
特定のコンポーネントが基板上又は半導体ダイ上に存在するとして示されているが、他の構成が可能である。
【0043】
制御ループコア203は、アナログループ又はデジタルループとすることができる。制御ループコア203は、(微調バラクタを制御するために使用される微調電圧を感知することによって生成される)範囲感知信号Vを、信号Vを上限閾値(Vtune_up)及び下限閾値(Vtune_dn)と比較することによって、監視する。外部VCO追跡ループ210は、信号Vの値(したがって、図3Bの微調整電圧Vfine)が2つの閾値の間に保持されるように、信号Vcoarseの値を設定する。いくつかの実装態様では、外部VCO追跡ループは、温度情報204(TBOARD)を受信することができる。
【0044】
示された実施形態では、ローパスフィルタ202は、信号Vをフィルタリングするために含まれている。ローパスフィルタ202は、この実施例では、直列抵抗器207及び分路コンデンサ208を含む。
【0045】
図5Aは、別の実施形態による外部VCO追跡ループ230の概略図である。外部VCO追跡ループ230は、基板上の粗制御抵抗器201と、ボードに取り付けられた半導体ダイ上に形成されたローパスフィルタ202、第1の比較器211、第2の比較器212、比較器処理回路213、加算器219、及びPVT/TC DAC220と、を含む。
【0046】
この実施形態では、アナログヒステリシス比較器211/212を使用して、(ローパスフィルタ202によるローパスフィルタリング後の)感知電圧Vを上限閾値Vtune_up及び下限閾値Vtune_dnと比較する。加えて、比較器の出力は、加算型/減算型カウンタ215、(クロック信号CLKによって制御される)フリップフロップ216、積分器217、及び変調器218を含む比較器処理回路213によって処理される。比較器処理回路213の出力は、デジタルドメインにおいて、PVT較正ループによって設定されたPVTコード221に加算され、その後、PVT/TC DAC220に提供される。
【0047】
図5Bは、別の実施形態による外部VCO追跡ループ240の概略図である。
【0048】
図5Bの外部VCO追跡ループ240は、PVT及びTCに別個のDAC231が使用されていることを除き、図5Aの外部VCO追跡ループ230のものと同様である。したがって、TC DAC232は温度制御のために含まれ、PVT DAC233はPVT制御のために提供され、DACの出力が組み合わされる。このようにシステムを実装すると、DAC動的範囲の仕様を低減することができる。
【0049】
図6は、別の実施形態による電子発振器システム430の概略図である。電子発振器システム430は、回路基板上に、半導体ダイ401と、半導体ダイ401の外部の様々なコンポーネントと、を含む。
【0050】
示された実施形態では、外部コンポーネントは、(バラクタ供給電圧VCC_VCOによって電力供給される)外部VCO402、第1のバラクタ103、第2のバラクタ104、第1の増幅器105、第2の増幅器106、温度センサ107、VCO入力コンデンサ108、VCO出力コンデンサ109、第1のバラクタ直列コンデンサ111a、第2のバラクタ直列コンデンサ111b、第1のバラクタバイアスインダクタ112a、第2のバラクタバイアスインダクタ112b、粗調抵抗器バイパススイッチ113a、粗調抵抗器114a、バイアスコンデンサ118、微調コンデンサ119a、感知コンデンサ119b、粗調コンデンサ120、VCOクロックバッファ403、及び粗調電圧スケーリング回路404を含む。
【0051】
図6の半導体ダイ401は、PLL421、(粗周波数調整及びTC較正ループとも呼ばれる)粗周波数調整及び温度補償(TC)較正回路422、補助アナログ-デジタル変換器(ADC)123、切り替え可能抵抗器ネットワーク126、及びアナログ/デジタルインターフェース423を含む。切り替え可能抵抗器ネットワーク126は、固定抵抗器127、切り替え可能抵抗器128、及び抵抗器バイパススイッチ129を含む。半導体ダイ401はまた、粗調整ピンVcoarse、微調整ピンVfine、範囲感知ピンV、及びVCO感知ピンVvcoを含む様々なピン又はパッドも含む。
【0052】
外部VCO402は、第1のバラクタ103(微調バラクタ)及び第2のバラクタ104(粗調バラクタ)の両方によって調整される。第1のバラクタ103は、低電圧(この実施例では、1V以下)の充電ポンプで動作するPLL421によって設定される微調整ピンVfineの電圧によって制御される。図6に示されたように、PLL421は、VCO感知ピンVvco上のVCOのクロック信号を(この実施例では、クロックドライバ403を通して)受信する。
【0053】
第2のバラクタ104(粗調バラクタ)は、アナログ/デジタルインターフェース423によって粗調電圧ピンVcoarseの値を制御する粗周波数調整及びTC較正ループ422によって制御される。粗調電圧ピンVcoarseの電圧レベルは、第2のバラクタ104(粗調バラクタ)のバイアス電圧を設定するための粗調電圧スケーリング回路404によって逓増される。粗調電圧スケーリング回路404は、レベルシフタ、増幅器、充電ポンプ、及び/又は、粗調バラクタ104のバイアス電圧を、半導体ダイ401に関連する低電圧ドメインから外部VCO402に関連する高電圧ドメインまで逓増する役割を果たす他の好適な回路を含むことができる。
【0054】
図7は、第1の粗較正モードで動作する半導体ダイ431を含む電子発振器システム460の別の実施形態の概略図である。
【0055】
電子発振器システム460は、半導体ダイ431と、半導体ダイ431に対する様々な外部コンポーネントを含む回路基板と、を含む。外部コンポーネントは、(この実施例では、5V電源によって電力供給される)外部VCO402、第1のバラクタ103、第2のバラクタ104、温度センサ107、VCO入力コンデンサ108、VCO出力コンデンサ109、第1のバラクタ直列コンデンサ111a、第2のバラクタ直列コンデンサ111b、第1のバラクタバイアスインダクタ112a、第2のバラクタバイアスインダクタ112b、微調コンデンサ119a、感知コンデンサ119b、VCOクロックバッファ403、第1の電流ミラートランジスタ433、第2の電流ミラートランジスタ434、(この実施例では、20V電源に結合された)電流ミラー負荷抵抗器435、粗調バイアス抵抗器436、第1の電流ミラー負荷コンデンサ437、第2の電流ミラー負荷コンデンサ438、第1の較正スイッチScal1、粗調集積コンデンサC、及び感知抵抗器Rを含む。
【0056】
図7の半導体ダイ431は、PLL451、粗周波数調整/スイッチ制御較正回路452、補助ADC123、補助スイッチSaux、較正DAC453、較正DAC基準電流源Iref、(いくつかの実装では、DAC453を較正するためにIrefと組み合わせて使用される)較正DAC基準電流スイッチSref、第2の較正スイッチScal2、第3の較正スイッチScal3、上方較正スイッチScalup、下方較正スイッチScaldn、電流アップ源Iup、電流ダウン源Idn、第1の充電スイッチSchg1、第2の充電スイッチSchg2、第3の充電スイッチSchg3、(Schg1が閉じられたときに18V電源と接地との間に接続される)充電抵抗器Rchg、(基準電圧Vrefを受け取る)第1の制御可能相互コンダクタンス回路Gm1、及び(基準電圧Vrefを受け取る)第2の制御可能相互コンダクタンス回路Gm2を含む。半導体ダイ431はまた、粗調整ピンVcoarse、微調整ピンVfine、範囲感知ピンV、粗調積分ピンVcoarse_int、VCO感知ピンVvcoを含む様々なピン又はパッドも含む。
【0057】
外部VCO402は、第1のバラクタ103(微調バラクタ)及び第2のバラクタ104(粗調バラクタ)の両方によって調整される。第1のバラクタ103は、(基準クロック信号CLKref及びフィードバッククロック信号を受信する)PFD455、充電ポンプ456、及びフィードバック分割器457を含むPLL451によって設定される微調整ピンVfineの電圧によって制御される。
【0058】
第2のバラクタ104(粗調バラクタ)は、較正DAC453並びに示されたスイッチの状態を制御する粗周波数調整/スイッチ制御較正回路452によって制御される。粗周波数調整/スイッチ制御較正回路452は、補助ADC123から温度信号Dtempを受信し、較正DACコードDcalを較正DAC453に提供する。
【0059】
半導体ダイ431は、粗調電圧ピンVcoarseを制御するために複数のモードで動作可能である。モードには、較正DAC453並びに相互コンダクタンス回路Gm1及びGm2が粗較正に使用される第1のモード(DAC/G-Cモード)と、較正充電ポンプ(Scalup、Iup、Idn、及びScaldn)及び第1の相互コンダクタンス回路Gm1が粗較正に使用される第2のモード(充電ポンプ/G-Cモード)とが含まれる。
【0060】
電子発振器システムは、特定の用途に所望される基板コンポーネントの選択によって実装することができ、半導体ダイ431は、その用途のために選択された基板コンポーネントに基づいて第1のモード(DAC/G-Cモード)又は第2のモード(充電ポンプ/G-Cモード)を使用して粗較正を提供することができる。例えば、第1のモード(DAC/G-Cモード)は、より低い基板の複雑さで、より低い性能を提供することができ、一方、第2のモード(充電ポンプ/G-Cモード)は、基板コンポーネントの複雑さの増大を犠牲にして、より高い性能を提供することができる。
【0061】
図7の電子発振器システム460は、第1のモード(DAC/Gm-Cモード)で動作するのに好適な外部コンポーネントを用いて実装されている。以下の表1は、第1のモード(DAC/G-Cモード)の3つの状態の動作を示し、ここでは、ON=1及びOFF=0である。状態は、リセット状態から開始し、その後、較正状態に遷移し、追跡状態で終了するという順序で動作する。リセット状態は、ノードの電圧レベルをリセットするために使用され、一方で、較正状態は、電圧レベルを好適な値に較正するために使用される。その後、相互コンダクタンス回路Gm1/Gm2が粗調電圧ピンVcoarseを測距感知ピンVに基づいて制御する追跡状態に入る。この実施例では、積分コンデンサCによって電流積分が提供され、追跡モードでは、第2の相互コンダクタンス段Gm2が、粗調電圧ピンVcoarseを制御するための積分コンデンサの電圧をバッファリングする。この実施例では、粗調電圧ピンVcoarseによって電流ミラーが制御され、それによって、粗調バラクタ104のバイアスを制御する。
【0062】
【表1】
【0063】
ここで、図7を参照して、第1のモードの1つの実施形態を説明する。この実施形態では、粗周波数調整/スイッチ制御較正回路452は、リセット状態で始まる有限状態機械(FSM)として動作する。加えて、リセット中、PLLブロックは、PLL内に存在するローカルシリアル周辺インターフェース(SPI)からの別個の電源投入信号によって電源投入される(ファームウェアによって開始することができる)。加えて、外部VCO、シンセ、及び外部回路が電源投入され、較正の準備が整う(ファームウェアによって開始することができる)。
【0064】
新しい周波数が半導体ダイ431に書き込まれると、FSMはリセット状態から較正状態に遷移する。較正状態では、PLLループは開かれ、PFDはリセットされることができる。加えて、FSMは、較正DACコードDcalの検索(例えば、バイナリ検索又は線形検索)を実行することができる。例えば、バイナリ検索は、最上位ビット(MSB)の高さから開始することができ、DACからの電流は、外部バイポーラトランジスタ及びRCコンポーネントを使用して外部VCOのための粗調電圧を生成する。各DACビットトライアル後、DACが落ち着くまでのプログラム可能な時間だけ持ってから、周波数測定を開始する。外部VCOの測定された周波数は、PLL基準周波数若しくはPLL基準周波数から導出される周波数、又は所定の目標値と比較することができる。更に、いったん較正DAC453の全てのビットが使われると、FSMは、追跡状態に移行する。
【0065】
追跡状態では、充電ポンプトライステートが(PFDの制御を通して)発出され、その後、相互コンダクタンス回路Gm1及びGm2並びに積分コンデンサCiによるVCO較正ループのロックによって追跡が提供され、第1の相互コンダクタンス回路Gm1が微調電圧を感知し、それを基準値と比較し、第2の相互コンダクタンス回路Gm2を駆動するための電流を生成する。加えて、第2の相互コンダクタンスは、出力を基準値と比較し、更に、粗調整電圧ピンVcoarseを駆動する。
【0066】
図8は、第2の粗較正モードで動作する半導体ダイを含む電子発振器システム470の別の実施形態の概略図である。
【0067】
電子発振器システム470は、半導体ダイ431と、半導体ダイ431に対する様々な外部コンポーネントを含む回路基板とを含む。外部コンポーネントは、(この実施例では、5V電源によって電力供給される)外部VCO402、第1のバラクタ103、第2のバラクタ104、温度センサ107、VCO入力コンデンサ108、VCO出力コンデンサ109、第1のバラクタ直列コンデンサ111a、第2のバラクタ直列コンデンサ111b、第1のバラクタバイアスインダクタ112a、第2のバラクタバイアスインダクタ112b、微調コンデンサ119a、感知コンデンサ119b、VCOクロックバッファ403、増幅器461、フィードバック積分コンデンサ462、及び感知抵抗器Rを含む。
【0068】
図8の半導体ダイ431は、PLL451、粗周波数調整/スイッチ制御較正回路452、補助ADC123、補助スイッチSaux、較正DAC453、較正DAC基準電流源Iref、較正DAC基準電流スイッチSref、第2の較正スイッチScal2、第3の較正スイッチScal3、上方較正スイッチScalup、下方較正スイッチScaldn、電流アップ源Iup、電流ダウン源Idn、第1の充電スイッチSchg1、第2の充電スイッチSchg2、第3の充電スイッチSchg3、(Schg1が閉じられたときに18V電源と接地との間に接続される)充電抵抗器Rchg、(基準電圧Vrefを受け取る)第1の制御可能相互コンダクタンス回路Gm1、及び(基準電圧Vrefを受け取る)第2の制御可能相互コンダクタンス回路Gm2を含む。半導体ダイ431はまた、粗調整ピンVcoarse、微調整ピンVfine、範囲感知ピンV、粗調積分ピンVcoarse_in、VCO感知ピンVvcoを含む様々なピン又はパッドも含む。
【0069】
外部VCO402は、第1のバラクタ103(微調バラクタ)及び第2のバラクタ104(粗調バラクタ)の両方によって調整される。第1のバラクタ103は、(基準クロック信号CLKref及びフィードバッククロック信号を受信する)PFD455、充電ポンプ456、及びフィードバック分割器457を含むPLL451によって設定される微調整ピンVfineの電圧によって制御される。
【0070】
図7を参照して先に説明したように、半導体ダイ431は、粗調電圧ピンVcoarseを制御するために、複数のモードで動作可能である。モードには、較正DAC453並びに相互コンダクタンス回路Gm1及びGm2が粗較正に使用される第1のモード(DAC/G-Cモード)と、較正充電ポンプ(Scalup、Iup、Idn、及びScaldn)並びに相互コンダクタンス回路Gm1が粗較正に使用される第2のモード(充電ポンプ/G-Cモード)とが含まれる。
【0071】
図8の電子発振器システム470は、第2のモード(充電ポンプ/G-Cモード)で動作するのに好適な外部コンポーネントを用いて実装されている。以下の表2は、第2のモード(充電ポンプ/G-Cモード)の3つの状態の動作を示し、ここでは、ON=1及びOFF=0である。状態は、リセット状態から開始し、その後、較正状態に遷移し、追跡状態で終了するという順序で動作する。リセット状態は、ノードの電圧レベルをリセットするために使用され、較正状態は、電圧レベルを好適な値に較正するために使用される。その後、相互コンダクタンス段Gm1が測距送信ピンVに基づいて粗調電圧ピンVcoarseを制御する追跡状態に入る。この実施例では、増幅器461及びフィードバック積分コンデンサ462によって、粗調電圧の積分が外部的に提供される。(この実施例では、20Vドメイン内の)増幅器461の出力が粗調バラクタ104のバイアスを制御する。
【0072】
【表2】
【0073】
ここで、図8を参照して、第2のモードの1つの実施形態を説明する。この実施形態では、粗周波数調整/スイッチ制御較正回路452は、リセット状態で開始するFSMとして動作する。リセット状態では、PLLブロックは、PLL内に存在するローカルSPIからの別個の電源投入信号によって電源投入される(ファームウェアによって開始することができる)。加えて、外部VCO、シンセ、及び外部回路が電源投入され、較正の準備が整う(ファームウェアによって開始することができる)。
【0074】
新しい周波数が半導体ダイ431に書き込まれると、FSMはリセット状態から較正状態に遷移する。較正状態では、PLLループが開かれ、PFDはリセットされることができる。加えて、FSMは、較正充電ポンプ(Scalup及びScaldn)の上方制御及び下方制御を設定し、較正充電ポンプからの電流が、(Scalupがオンのときの)ソース電流、又は(Scaldnがオンのときの)シンク電流のいずれかである、較正充電ポンプからの電流の極性に従って、外部コンデンサ462で積分される。落ち着くまでのプログラム可能な時間だけ待った後、外部VCO402の周波数が測定される。加えて、PLL基準周波数に対する測定されたVCO周波数が、PLL基準周波数から導出される周波数又は所定の目標値と比較される。
【0075】
いったんVCO周波数が目標周波数に近づくと、FSMは追跡状態に移行する。追跡状態では、充電ポンプのトライステートがPFDを通して発出され、その後、追跡ループがロックを実行し、第1の相互コンダクタンス回路Gm1が微調電圧を感知し、それを基準値と比較し、外部増幅器及び積分コンデンサを駆動するための電流を生成する。
【0076】
結論
前述の説明は、要素又は特徴を、合わせて「接続」又は「結合」されているとして言及している場合がある。本明細書で使用される場合、明示的に別段の記載がない限り、「接続された」とは、1つの要素/特徴が別の要素/特徴に直接的又は間接的に接続されており、必ずしも機械的に接続されているとは限らないことを意味する。同様に、明示的に別段の記載がない限り、「結合された」とは、1つの要素/特徴が別の要素/特徴に直接的又は間接的に結合されており、必ずしも機械的に結合されているとは限らないことを意味する。このように、図に示された様々な概略は、要素及びコンポーネントの例示的な構成を描いているが、追加の介在要素、デバイス、特徴、又はコンポーネントが、(描かれた回路の機能性が悪影響を受けないと仮定して)実際の実施形態に存在し得る。
【0077】
特定の実施形態が説明されたが、これらの実施形態は、単なる例として提示されており、開示の範囲を限定するようには意図されない。実際、本明細書で説明された新規の装置、方法、及びシステムは、様々な他の形態で具現化され得、更に、本明細書で説明された方法及びシステムの形態における様々な省略、置換、及び変更が、開示の主旨から逸脱することなく、行い得る。例えば、開示された実施形態は、所与の構成で提示されているが、代替実施形態は、異なるコンポーネント及び/又は回路トポロジを用いて同様の機能性を実行し得るし、いくつかの要素は、削除、移動、追加、細分化、組み合わせ、及び/又は改変され得る。これらの要素の各々は、様々な異なる方式で実装され得る。上で説明した様々な実施形態の要素及び行為の任意の好適な組み合わせを組み合わせて、更なる実施形態を提供することができる。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ規定される。
【0078】
ここに提示される特許請求の範囲は、USPTOに出願するための単一従属形式であるが、いずれの請求項も、明らかに技術的に実現可能でない場合を除き、同じ種類のいずれかの先行請求項に従属し得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0079】
1 送受信機
2 フロントエンドシステム
3 アンテナ
5 送信機
6 受信機
12a Iパス増幅器
12b Qパス増幅器
13a Iパスミクサ
13b Qパスミクサ
14 送信ローカル発振器(LO)
22a Iパス増幅器
22b Qパス増幅器
23a Iパスミクサ
23b Qパスミクサ
27 電力増幅器
28 低ノイズ増幅器
30 RF通信システム
41 半導体ダイ
42 制御可能発振器
43 第1のバラクタ
44 第2のバラクタ
45 位相ロックループ(PLL)
46 較正回路
50 電子発振器システム
101 半導体ダイ
103 第1のバラクタ
104 第2のバラクタ
104 粗調バラクタ
105 第1の増幅器
106 第2の増幅器
107 温度センサ
108 VCO入力コンデンサ
109 VCO出力コンデンサ
110 VCOバイアスインダクタ
111a 第1のバラクタ直列コンデンサ
111b 第2のバラクタ直列コンデンサ
112a 第1のバラクタバイアスインダクタ
112b 第2のバラクタバイアスインダクタ
113a 粗調抵抗器バイパススイッチ
113b バイアス抵抗器バイパススイッチ
114a 粗調抵抗器
114b バイアス抵抗器
115a 第1の分圧抵抗器
116a 第2の分圧抵抗器
117a 第1の増幅器入力抵抗器
117a 抵抗器
117b 第2の増幅器入力抵抗器
118 バイアスコンデンサ
119a 微調コンデンサ
119b 感知コンデンサ
120 粗調コンデンサ
122 較正回路
123 補助アナログ-デジタル変換器(ADC)
124 粗調整デジタル-アナログ変換器(DAC)
126 可能抵抗器ネットワーク
127 固定抵抗器
128 可能抵抗器
129 抵抗器バイパススイッチ
130 電子発振器システム
131 調整サーキットリ
132 充電ポンプ
132 V充電ポンプ
133 周波数検出器(PFD)
201 粗制御抵抗器
202 ローパスフィルタ
203 制御ループコア
204 温度情報
207 直列抵抗器
208 分路コンデンサ
210 外部VCO追跡ループ
211 第1の比較器
212 第2の比較器
213 比較器処理回路
215 減算型カウンタ
216 (クロック信号CLKによって制御される)フリップフロップ
217 積分器
218 変調器
219 加算器
220 TC DAC
221 PVTコード
230 外部VCO追跡ループ
232 TC DAC
233 PVT DAC
240 外部VCO追跡ループ
401 半導体ダイ
403 VCOクロックバッファ
404 粗調電圧スケーリング回路
422 較正回路
423 デジタルインターフェース
430 電子発振器システム
431 半導体ダイ
433 第1の電流ミラートランジスタ
434 第2の電流ミラートランジスタ
435 (この実施例では、20V電源に結合された)電流ミラー負荷抵抗器
436 粗調バイアス抵抗器
437 第1の電流ミラー負荷コンデンサ
438 第2の電流ミラー負荷コンデンサ
452 スイッチ制御較正回路
456 充電ポンプ
457 フィードバック分割器
460 電子発振器システム
461 増幅器
462 フィードバック積分コンデンサ
470 電子発振器システム
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
【国際調査報告】