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特表2023-548574脂肪エステル水素化分解/水素化のためのクロムを含まない銅-ケイ酸カルシウム触媒
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】脂肪エステル水素化分解/水素化のためのクロムを含まない銅-ケイ酸カルシウム触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/78 20060101AFI20231110BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20231110BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20231110BHJP
   B01J 37/03 20060101ALI20231110BHJP
   C07C 31/125 20060101ALI20231110BHJP
   C07C 29/149 20060101ALI20231110BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20231110BHJP
【FI】
B01J23/78 Z
B01J35/10 301J
B01J37/08
B01J37/03 B
C07C31/125
C07C29/149
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527108
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 US2021072206
(87)【国際公開番号】W WO2022099265
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】63/109,591
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500586141
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ピン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】アルナバ・クンドゥ
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169AA11
4G169BA02A
4G169BA02B
4G169BA15A
4G169BA15B
4G169BA27C
4G169BB04A
4G169BB05C
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BB08C
4G169BB10C
4G169BB12C
4G169BB16C
4G169BC02A
4G169BC02B
4G169BC03C
4G169BC09A
4G169BC09B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BD12C
4G169BD13C
4G169BE08C
4G169CB02
4G169CB35
4G169CB62
4G169CB70
4G169DA08
4G169EA01X
4G169EA01Y
4G169EB18X
4G169EB18Y
4G169EC02X
4G169EC02Y
4G169EC21Y
4G169EC22X
4G169EC22Y
4G169EC25
4G169FA01
4G169FB09
4G169FB30
4G169FC02
4G169FC07
4G169FC08
4G169FC09
4H006AA02
4H006AC13
4H006AC26
4H006AC41
4H006BA02
4H006BA05
4H006BA06
4H006BA30
4H006BA33
4H006BA61
4H006BA81
4H006BA82
4H006BA85
4H006BC32
4H006BE20
4H006FE11
4H039CA60
4H039CB40
4H039CE40
(57)【要約】
水素化分解触媒/水素化触媒は、酸化銅、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、および酸化ナトリウムを含み、水素化分解触媒/水素化触媒は、粉末、錠剤、または押出物であり、水素化分解触媒/水素化触媒は、クロムを実質的に含まず、水素化分解触媒/水素化触媒は、CuOの結晶子相と、立方晶SiO2、菱面体晶炭酸カルシウムCaCO3、三斜晶系ケイ酸カルシウムCaSiO3、ケイ酸カルシウム水酸化物水和物(Ca14Si24O58(OH)8・2H2O)、ケイ酸カルシウム水和物4CaO・5SiO2・5H2O、アルミナ、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の結晶子相とを呈する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化銅、
酸化カルシウム、
二酸化ケイ素、および
酸化ナトリウム
を含む、水素化分解触媒/水素化触媒であって、
前記水素化分解触媒/水素化触媒は、粉末であり、
前記水素化分解触媒/水素化触媒は、クロムを実質的に含まず、
前記水素化分解触媒/水素化触媒は、CuOの結晶子相と、立方晶SiO、菱面体晶炭酸カルシウムCaCO、三斜晶系ケイ酸カルシウムCaSiO、ケイ酸カルシウム水酸化物水和物(Ca14Si2458(OH)・2HO)、ケイ酸カルシウム水和物4CaO・5SiO・5HO、アルミナ、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の結晶子相とを呈する、水素化分解触媒/水素化触媒。
【請求項2】
前記粉末は、約1μm~約10μmのd10%粒径を有する、請求項1に記載の水素化分解触媒/水素化触媒。
【請求項3】
前記粉末は、約10μm~約25μmのd50%粒径を有する、請求項1または請求項2に記載の水素化分解触媒/水素化触媒。
【請求項4】
前記粉末は、約30μm~約45μmのd90%粒径を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の水素化分解触媒/水素化触媒。
【請求項5】
前記水素化分解触媒/水素化触媒は、約35重量%~約85重量%のCuO、約8重量%~約20重量%のCaO、約10重量%~約30重量%のSiO、および約0.1重量%~約5重量%のNaOを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の水素化分解触媒/水素化触媒。
【請求項6】
活性化の前に、前記水素化分解触媒/水素化触媒は約0.5重量%~約1重量%のNaOを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の水素化分解触媒/水素化触媒。
【請求項7】
活性化の前に、前記水素化分解触媒/水素化触媒はマンガンを実質的に含まない、請求項1から6のいずれか一項に記載の水素化分解触媒/水素化触媒。
【請求項8】
前記水素化分解触媒/水素化触媒は、約5m/gから約85m/gのブルナウアー・エメット・テラー(「BET」)表面積を示す、請求項1から7のいずれか一項に記載の水素化分解触媒/水素化触媒。
【請求項9】
前記水素化分解触媒/水素化触媒は、CuOと、立方晶SiO、菱面体晶炭酸カルシウムCaCO、三斜晶系ケイ酸カルシウムCaSiO、ケイ酸カルシウム水酸化物水和物(Ca14Si2458(OH)・2HO)、ケイ酸カルシウム水和物4CaO・5SiO・5HO、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の結晶子相とを呈する、請求項1から8のいずれか一項に記載の水素化分解触媒/水素化触媒。
【請求項10】
前記水素化分解触媒/水素化触媒は、約50Å~約240Å未満のCuO結晶子サイズを示す、請求項1から9のいずれか一項に記載の水素化分解触媒/水素化触媒。
【請求項11】
水素化分解触媒/水素化触媒を調製する方法であって、前記方法は、
溶液中で銅含有材料およびケイ酸塩含有材料を混合するステップと、
苛性材料を添加して、沈殿物を含む水性スラリーを形成するステップと、
前記沈殿物を収集するステップと、
前記沈殿物を乾燥させて乾燥沈殿物を形成するステップと、
前記乾燥沈殿物を焼成して、焼成水素化分解触媒/水素化触媒を形成するステップと
を含み、
前記焼成水素化分解触媒/水素化触媒は粉末であり、
前記焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、クロムを実質的に含まない、方法。
【請求項12】
前記水性スラリーは、約6.0~約9.0のpHを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
収集する前記ステップは、前記水性スラリーを濾過して前記沈殿物を除去するステップを含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
焼成する前記ステップは、約400℃~約800℃未満の温度で行われる、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
焼成する前記ステップは、約500℃~約750℃の温度で行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
焼成する前記ステップは、約10分~約10時間行われる、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
焼成する前記ステップは、約0.5時間~約3時間行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記銅含有材料は、硝酸銅、硫酸銅、塩化銅、臭化銅、酢酸銅、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせを含む銅塩である、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ケイ酸塩含有材料は、ケイ酸カルシウムを含むケイ酸塩を含む、請求項11から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記苛性材料は、NaCO、NaOH、KCO、KOH、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせである、請求項11から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記粉末は、約1μm~約10μmのd10%粒径を有する、請求項11から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記粉末は、約1μm~約2μmのd10%粒径を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記粉末は、約4μm~約9μmのd10%粒径を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記粉末は、約10μm~約25μmのd50%粒径を有する、請求項11から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記粉末は、約16μm~約20μmのd50%粒径を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記粉末は、約30μm~約45μmのd90%粒径を有する、請求項11から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記粉末は、約35μm~約40μmのd90%粒径を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
活性化の前に、前記焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、約35重量%~約85重量%のCuO、約8重量%~約20重量%のCaO、約10重量%~約30重量%のSiO、および約0.1重量%~約5重量%のNaOを含む、請求項11から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
活性化の前に、前記焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、約60重量%~約70重量%のCuO、約10重量%~約15重量%のCaO、約15重量%~約25重量%のSiO、および約0.5重量%~約2重量%のNaOを含む、請求項11から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
活性化の前に、前記焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、約0.5重量%~約1重量%のNaOを含む、請求項11から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
活性化の前に、前記焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、約0.5重量%~約1重量%未満のNaOを含む、請求項11から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
活性化の前に、前記焼成水素化分解触媒/水素化触媒はマンガンを実質的に含まない、請求項11から31のいずれか一項に記載の方法
【請求項33】
前記焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、約5m/g~約85m/gのブルナウアー・エメット・テラー(「BET」)表面積を示す、請求項11から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記BET表面積は、約10m/g~約85m/gである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記BET表面積は、約15m/g~約80m/gである、請求項33または請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、CuOと、立方晶SiO、菱面体晶炭酸カルシウムCaCO、三斜晶系ケイ酸カルシウムCaSiO、ケイ酸カルシウム水酸化物水和物(Ca14Si2458(OH)・2HO)、ケイ酸カルシウム水和物(4CaO・5SiO・5HO)、アルミナ、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の結晶子相とを呈する、請求項11から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、約50Å~約240Å未満のCuO結晶子サイズを示す、請求項11から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、約50Å~約175ÅのCuO結晶子サイズを示す、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、約550Å~約673Å未満のケイ酸カルシウム水和物結晶子サイズを示す、請求項11から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、約550Å~約650Åのケイ酸カルシウム水和物結晶子サイズを示す、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
請求項11から40のいずれか一項に記載の方法に従って調製された焼成水素化分解触媒/水素化触媒。
【請求項42】
カルボニル含有有機化合物を水素化する方法であって、前記カルボニル含有有機化合物を、請求項31から41のいずれか一項に記載の水素化分解触媒/水素化触媒と接触させるステップを含む、方法。
【請求項43】
スラリー相反応器内で実施される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記スラリー相反応器は、連続的に撹拌されるタンク反応器、塔反応器、またはカラム反応器から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記カルボニル含有有機化合物は、脂肪メチルエステル、ワックスエステル、またはそれらの組み合わせを含む、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記脂肪メチルエステルはC-C20メチルエステルを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ワックスエステルはC-C18ワックスエステルを含む、請求項45または46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月4日に出願された米国仮出願第63/109,591号の優先権を主張し、その全内容は参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
本技術は、一般に、水素化分解/水素化のための触媒の分野に関する。より具体的には、脂肪酸エステル水素化分解/水素化のための粉末形態のスラリー相の銅-ケイ酸カルシウム系触媒に関する。
【背景技術】
【0003】
脂肪アルコールを製造するための商業的スラリープロセスは、典型的には銅-クロム(CuCr)触媒を使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クロムを含有する化学物質または触媒に対する環境規制が厳しくなるにつれて、クロムを含有せず、代わりに化学的および機械的安定性促進剤ならびに支持体の両方として他の材料を利用する触媒を開発することが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、水素化分解触媒/水素化触媒は、酸化銅、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、および酸化ナトリウムを含み、水素化分解触媒/水素化触媒は粉末であり、水素化分解触媒/水素化触媒はクロムを実質的に含まない。様々な実施形態では、焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、約35重量%~約85重量%のCuO、約8重量%~約20重量%のCaO、約10重量%~約30重量%のSiO2、および約0.1重量%~約5重量%のNa2Oを含む。
【0006】
別の態様では、焼成水素化分解触媒/水素化触媒を調製する方法であって、方法は、溶液中で銅含有材料およびケイ酸塩含有材料を混合するステップと、苛性材料を添加して、沈殿物を含む水性スラリーを形成するステップと、沈殿物を収集するステップと、沈殿物を乾燥させて乾燥沈殿物を形成するステップと、乾燥沈殿物を焼成して、焼成水素化分解触媒/水素化触媒を形成するステップとを含み、焼成水素化分解触媒/水素化触媒は粉末であり、焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、クロムを実質的に含まない。本方法に従って調製された焼成水素化分解触媒/水素化触媒も提供される。
【0007】
さらなる態様では、カルボニル含有有機化合物を水素化する方法が提供され、この方法は、カルボニル含有有機化合物を、酸化銅、酸化カルシウム、二酸化ケイ素および酸化ナトリウムを含む触媒である水素化分解触媒/水素化触媒と接触させるステップを含み、水素化分解触媒/水素化触媒は粉末であり、水素化分解触媒/水素化触媒はクロムを実質的に含まない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1による「体積In」に基づく析出時間の関数としての粒径形成のグラフである。各プロットは、粒径範囲内のレーザー回折を介して検出された粒子の累積体積%(vol%)分布を示す。
図2】実施例1による、「通過率」に基づく析出時間の関数としての粒径形成のグラフである。各プロットは、サンプル体積の大部分が中範囲サイズの粒子(すなわち、体積%)によって占められている正規分布曲線を示す。
図3】実施例2、5、7、および8による、それぞれ500、650、750および800℃の焼成温度を有する本発明の触媒のX線回折(XRD)パターンを示す図である。
図4】様々な実施形態による、触媒性能試験に使用されるオートクレーブ反応器の概略図である。
図5】様々な実施形態による、標準的なCuCr触媒、CuAl触媒、および記載されたケイ酸カルシウム触媒(実施例1)上のCuOについての時間の関数としてのメチルエステル転化率(百分率)のグラフによる比較である。
図6】様々な実施形態による、標準的なCuCr触媒、CuAl触媒および記載されたケイ酸カルシウム触媒(実施例1)上のCuOについての時間の関数としての脂肪アルコール選択性(百分率)のグラフによる比較である。
図7】様々な実施形態による、標準的なCuCr触媒、CuAl触媒および記載されたケイ酸カルシウム触媒(実施例1)上のCuOについての時間の関数としての脂肪アルコール収率(百分率)のグラフによる比較である。
図8A】実施例による、時間の関数としてのメチルエステル転化率(百分率)のグラフによる比較である。
図8B】実施例による、高転化率部分に焦点を当てた、時間の関数としてのメチルエステル転化率(百分率)のグラフによる比較である。
図9A】実施例による、時間の関数としての脂肪アルコール選択性(百分率)のグラフによる比較である。
図9B】実施例による、高選択性部分に焦点を合わせた、時間の関数としての脂肪アルコール選択性(百分率)のグラフによる比較である。
図10A】実施例による、時間の関数としての脂肪アルコール収率(百分率)のグラフによる比較である。
図10B】実施例による、高収率部分に焦点を合わせた、時間の関数としての脂肪アルコール収率(百分率)のグラフによる比較である。
図11】異なるNa含有量を有する実施例による、時間の関数としてのメチルエステル転化率(百分率)のグラフによる比較である。
図12】異なるNa含有量を有する実施例による、時間の関数としての脂肪アルコール選択性(百分率)のグラフによる比較である。
図13】異なるNa含有量を有する実施例による、時間の関数としての脂肪アルコール収率(百分率)のグラフによる比較である。
図14】実施例による、標準的なCuCr触媒、CuAl触媒、および記載されたケイ酸カルシウム触媒(実施例3)上のCuOについてのワックスエステルスラリープロセス(供給物を0番目、1番目、2番目および3番目の時間に注入した)における触媒性能のグラフである。SAP値が高いほど、転化率は低くなる。
図15】様々な実施形態による、標準CuCr触媒、CuAl触媒、および記載されたケイ酸カルシウム触媒(実施例3)上のCuOについての累積ワックスエステル転化率のグラフである。
図16】メチルエステルスラリープロセスにおいてCuCr基準触媒、CuAl基準触媒および記載されたケイ酸カルシウム触媒(実施例1)上のCuOを使用したサンプルに対する濾過性試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
様々な実施形態を以下に説明する。特定の実施形態は、網羅的な説明として、または本明細書で説明されるより広い態様に対する限定として意図されていないことに留意されたい。特定の実施形態に関連して説明される1つの態様は、必ずしもその実施形態に限定されず、任意の他の実施形態で実施することができる。
【0010】
本明細書で使用される場合、「約」は、当業者によって理解され、それが使用される文脈に応じてある程度変化する。当業者には明確でないこの用語の使用がある場合、それが使用される文脈を考慮すると、「約」は、特定の用語のプラスまたはマイナス10%までを意味する。
【0011】
要素を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」ならびに同様の指示対象の使用は、本明細書で特に指示されない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示がない限り、範囲内に含まれる各別個の値を個別に参照する簡略方法として役立つことを意図しているにすぎず、各別個の値は、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に実施形態をよりよく明らかにすることを意図しており、特に明記しない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいかなる言語も、特許請求されていない要素を必須なものとして示すと解釈されるべきではない。
【0012】
本明細書で使用される場合、「水素化分解/水素化」という用語は、特定の用途では、水素化分解反応および/または水素化反応のいずれか、またはその両方を触媒し得る触媒を指す。
【0013】
本明細書で使用される場合、「焼成する」、「焼成した」または「焼成する」という用語は、触媒前駆体沈殿物を、いくつかの実施形態では乾燥濾過ケークとして、空気または制御された酸素雰囲気下のオーブン中で加熱することを指す。
【0014】
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」は、可能な限り、記載されている材料が製剤から除外されることを示すことを意図している。しかし、出発試薬の汚染のために微量が持ち越される可能性がある。例えば、使用される用語が「クロムを実質的に含まない」である場合、すべてのクロムが理想的には除外されることが意図されているが、例えば銅、マンガン、およびアルミニウム源材料などの他の出発試薬のクロムによる汚染のために、微量のクロムが持ち越される場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、「クロムを実質的に含まない」は、例えば750 ppm未満のクロム、500 ppm未満のクロム、または100 ppm未満のクロムなどの1000 ppm未満のクロムを含む場合がある。適切な場合、クロムを実質的に含まないとは、触媒が検出可能なクロム(0.0重量%クロム)を含まないことを意味する。同様に、いくつかの実施形態では、この用語はマンガンにも適用される。
【0015】
クロムを含まない銅ケイ酸カルシウム粉末触媒は、スラリー相水素化分解用途のために調製されてよく、多くの点で、これらの触媒は、商業的環境で現在使用されている最新技術の銅-クロム触媒よりも優れていることが判明している。例えば、本明細書に記載の粉末触媒は、活性および選択性に関して優れた触媒性能を有し、金属浸出の減少を呈し、最先端のCu-クロム触媒と比較した場合、反応条件下で同等の安定性を有する。
【0016】
一態様では、ケイ酸カルシウム粉末(すなわち、触媒は銅ケイ酸カルシウム材料である)上に酸化銅(II)(「CuO」)を含む水素化分解触媒/水素化触媒が設けられる。触媒は、カルボニル成分を有する化合物の水素化または水素化分解に対して、特にメチルエステルおよびワックスエステル水素化分解反応に対して活性である。水素化分解触媒/水素化触媒は、約35重量%~約85重量%のCuO、約8重量%~約20重量%のCaO、約10重量%~約30重量%のSiO2、約0.1重量%~約5重量%のNa2O、約0重量%~約1.5重量%のAl2O3、および約0重量%~約1重量%のK2Oを含む。これは、いくつかの実施形態では、水素化分解触媒/水素化触媒が、約35重量%~約70重量%のCuO、約8重量%~約16重量%のCaO、約15重量%~約22重量%のSiO2、約0.1重量%~約0.75重量%のNa2O、0~約1.5重量%のAl2O3、および0~約0.75重量%のK2Oを含む。水素化分解触媒/水素化触媒は、クロムを実質的に含まない。一部の実施形態では、ケイ酸カルシウム触媒はマンガンを含む場合があるが、他の実施形態では、触媒はマンガンを実質的に含まない。
【0017】
触媒は、CuOの結晶相と、CaCO3、SiO2、CaSiO3、Ca14Si24O58(OH)8・2H2O(トラスコット石またはケイ酸カルシウムヒドロキシ水和物)、4CaO・5SiO2・5H2O(トルベルモライトまたはケイ酸カルシウム水和物)、およびAl2O3のリストからの結晶相の1つまたは複数とを呈する。いくつかの実施形態では、焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、CuOと、立方晶SiO2、菱面体晶炭酸カルシウムCaCO3、三斜晶系ケイ酸カルシウムCaSiO3、ケイ酸カルシウム水酸化物水和物(Ca14Si24O58(OH)8・2H2O)、ケイ酸カルシウム水和物4CaO・5SiO2・5H2O、アルミナ、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の結晶子相とを呈する。ブルナウアー・エメット・テラー表面積(BET SA)は、約20 m2/gから約100 m2/gである。いくつかの実施形態では、BET SAは、約5 m2/g~約85 m2/gである。
【0018】
銅ケイ酸カルシウム触媒は、粉末の形態であってもよい。粉末の平均粒径は、以下の粒径分布(「PSD」)、すなわちD10約1μm~約10μm、D50約10μm~約25μmミクロン、およびD90約30μm~約45μmに従って説明されてよい。これは、D10約1μm~約1.5μm、D50約16μm~約20μm、およびD90約30μm~約35μmのPSDを含み得る。銅-ケイ酸カルシウム粉末触媒のゆるく充填されたかさ密度は、約0.25 g/ml~約0.6 g/mlであり、CuO結晶子サイズは約50Å~約250Åである。いくつかの実施形態では、CuO結晶子サイズは、約50Å~240Å未満である。銅-ケイ酸カルシウム触媒の製造方法および水素化分解/水素化反応におけるそれらの使用も記載される。
【0019】
触媒は再使用のために反応器スラリーから分離される必要があり、純粋な脂肪アルコール生成物を可能にするため、スラリー相プロセスを使用する際、濾過特性が脂肪アルコール生成において重要であることも注目に値する。本明細書に記載の銅-ケイ酸カルシウム粉末触媒は、Cu-クロム最先端材料のものと同様の良好な濾過特性を呈する。良好な濾過特性/分離特性を有する触媒は、脂肪アルコール生成工場の高い生産スループットを可能にする。
【0020】
別の態様では、焼成水素化分解触媒/水素化触媒を調製する方法が提供される。この方法は、溶液中で銅含有材料およびケイ酸塩含有材料を混合するステップと、苛性材料を添加して沈殿物を含む水性スラリーを形成するステップと、沈殿物を収集するステップと、沈殿物を乾燥させて乾燥粉末を形成するステップと、乾燥粉末を焼成して、焼成水素化分解触媒/水素化触媒を形成するステップとを含む。様々な実施形態において、焼成水素化分解触媒/水素化触媒は粉末であってもよい。上記の実施形態のいずれかにおいて、焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、クロムを実質的に含まなくてもよい。
【0021】
本方法によれば、水性スラリーは約6.0~約9.0のpHを有する。これは、約7から7.5のpHを含む。
【0022】
この方法では、収集は、水性スラリーの濾過を介して沈殿物を除去し、沈殿物を濾過ケークとして収集してもよい。沈殿物を水で洗浄して、濾過ケークからナトリウムの一部を除去してもよい。洗浄は、大量の水で実施されてよく、繰り返し実施されてもよい(2回、3回、4回またはそれ以上の洗浄)。
【0023】
調製方法において、沈殿物の乾燥は、加熱雰囲気中のオーブン内で行われてもよい。加熱は、約40℃~約200℃、約75℃~約150℃、または約100℃~約125℃であってもよい。乾燥は、乾燥した粉末を確実にする時間期間にわたって行われてもよい。様々な実施形態によれば、期間は、1時間~24時間、またはそれ以上であってもよい。これは、約5時間~約15時間、または約8時間~約12時間を含む。いくつかの実施形態では、乾燥は一晩である。
【0024】
上記の実施形態のいずれにおいても、焼成は、約400℃~約800℃の温度で行われてもよい。これは、約500℃~約800℃、約500℃~約750℃、または約600℃~約750℃を含み得る。焼成は、乾燥した粉末の焼成を完了するための期間にわたって行われてもよい。様々な実施形態によれば、期間は、約10分~約10時間であってもよい。これは、約0.5時間~約3時間を含む。
【0025】
上記の方法の実施形態のいずれにおいても、銅含有材料は、硝酸銅、硫酸銅、塩化銅、臭化銅、酢酸銅、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせを含む銅塩であってもよい。同様に、ケイ酸塩含有材料は、ケイ酸カルシウムを含むケイ酸塩であってもよい。
【0026】
本方法の上記の実施形態のいずれにおいても、苛性材料は、任意の苛性材料であってもよい。例示的な腐食剤には、Na2CO3、NaOH、K2CO3、KOH、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
銅ケイ酸カルシウム触媒は、粉末の形態であってもよい。粉末の平均粒径は、以下の粒径分布(「PSD」)、すなわちD10約1μm~約10μm、D50約10μm~約25μmミクロン、およびD90約30μm~約45μmに従って説明されてよい。触媒が粉末の形態である場合、平均粒径は、以下の粒径分布(「PSD」)、すなわちD10約1μm~約10μm、D50約10μm~約25μmミクロン、およびD90約30μm~約45μmに従って説明されてよい。これは、D10約1μm~約1.5μm、D50約16μm~約20μm、およびD90約30μm~約35μmのPSDを含み得る。いくつかの実施形態では、D10は、約1μm~約2μm、または約4μm~約9μmであり得る。いくつかの実施形態では、D50は、約10μm~約25μm、または約16μm~約20μmであり得る。いくつかの実施形態では、D90は、約30μm~約45μm、または約35μm~約40μmであり得る。銅-ケイ酸カルシウム粉末触媒のゆるく充填されたかさ密度は、約0.25 g/ml~約0.6 g/mlであり、CuO結晶子サイズは約50Å~約250Åである。いくつかの実施形態では、CuO結晶子サイズは、約50Å~240Å未満である。銅-ケイ酸カルシウム触媒の製造方法および水素化分解/水素化反応におけるそれらの使用も記載される。
【0028】
活性化の前に、水素化分解触媒/水素化触媒は、約35重量%~約85重量%のCuO、約8重量%~約20重量%のCaO、約10重量%~約30重量%のSiO2、および約0.1重量%~約5重量%のNa2Oを含み得る。他の実施形態では、活性化の前に、焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、約60重量%~約70重量%のCuO、約10重量%~約15重量%のCaO、約15重量%~約25重量%のSiO2、および約0.5重量%~約2重量%のNa2Oを含んでもよい。さらに他の実施形態では、活性化前に、焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、約35重量%~約70重量%のCuO、約8重量%~約16重量%のCaO、約15重量%~約22重量%のSiO 2、約0.1重量%~約0.75重量%のNa2O、約0.5~約1.5重量%のAl2O3、および約0.1重量%~約0.75重量%のK2Oを含む。いくつかの実施形態では、活性化の前に、焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、約0.5重量%~約1重量%、または約0.5重量%~約1重量%未満のNa2Oを含み得る。
【0029】
本方法において、水素化分解触媒/水素化触媒は、クロムを実質的に含まない。一部の実施形態では、ケイ酸カルシウム触媒はマンガンを含む場合があるが、他の実施形態では、触媒はマンガンを実質的に含まない。
【0030】
本方法において、触媒の粉末のブルナウアー・エメット・テラー表面積(BET SA)は、約20 m2/g~約100 m2/gであり得る。いくつかの実施形態では、BET SAは、約5 m2/g~約85 m2/g、または約10 m2/g~約85 m2/g、または約15 m2/g~約80 m2/gである。
【0031】
上記の触媒材料と同様に、本方法からの焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、CuOを示すXRDパターンと、立方晶SiO2、菱面体晶炭酸カルシウムCaCO3、三斜晶系ケイ酸カルシウムCaSiO3、ケイ酸カルシウム水酸化物水和物(Ca14Si24O58(OH)8・2H2O)、ケイ酸カルシウム水和物(4CaO・5SiO2・5H2O)、アルミナ、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される追加の結晶子相とを呈する。さらに、焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、約50Å~約240Å未満のCuO結晶子サイズを示してもよく、または約50Å~約175ÅのCuO結晶子サイズを示してもよい。さらに、焼成水素化分解触媒/水素化触媒は、約550Å~約673Å未満、または約550Å~約650Åのケイ酸カルシウム水和物結晶子サイズを示す場合もある。
【0032】
別の態様では、カルボニル含有有機化合物の水素化/水素化分解の方法が提供される。この方法は、カルボニル含有有機化合物を、本明細書に記載される焼成水素化分解触媒/水素化触媒のいずれかである活性化触媒と接触させるステップを含む。様々な実施形態において、カルボニル含有有機化合物は、ケトン、アルデヒドおよび/またはエステルを含み得る。いくつかの実施形態では、それは脂肪酸エステルである。より具体的には、本明細書に開示される任意の実施形態では、カルボニル含有有機化合物は、脂肪酸メチルエステル(例えば、C8-C20炭素鎖)、脂肪酸ワックスエステル(例えば、C18-C40炭素鎖)、フルフラール、メチルフェニルケトン、ジメチルもしくはジエチルエステル、またはそれらの任意の2つ以上の混合物を含み得るが、これらに限定されない。水素化/水素化分解は、バッチ反応器、連続的に撹拌されるタンク反応器、塔反応器、またはカラム反応器であり得るスラリー相反応器内で行われてよい。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、方法は、水素雰囲気中で焼成水素化分解触媒/水素化触媒を還元して、予備還元(活性化)された焼成水素化分解触媒/水素化触媒を得るステップをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、還元は、溶媒の存在下で、焼成水素化分解触媒/水素化触媒を還元するのに十分な時間および温度で行われてよい。
【0034】
このように一般的に記載される本発明は、例示として提供され、本発明を限定することを意図しない以下の実施例を参照することによってより容易に理解されるであろう。
【0035】
実施例
比較実施例 銅およびクロム(Cu-Cr)を含有する商業的触媒は、BASF(Cu1950P(36重量%のCuおよび32重量%のCrを有する銅クロマイト触媒))によって供給された。
【0036】
米国特許第6,455,464号明細書に従って、Cu-Al-O触媒(比較例)を調製した。硝酸銅溶液(1640 g;15.48%Cu)を脱イオン水で2500 mlに希釈した。アルミン酸ナトリウム(815.6 g、25%Al2O3)を溶解し、脱イオン水で2500 mlに希釈した。次いで、硝酸銅およびアルミン酸ナトリウム溶液を、約33ml/分の速度で脱イオン水(2500ml)を含有する12リットル反応器に同時に入れた。炭酸ナトリウム粉末(318 gを1500 mlの脱イオン水に溶解)を添加して、反応器を約7.4のpHに維持した。次いで、触媒は室温で溶液から沈殿し、沈殿物は濾過ケークとして濾過によって収集される。次いで、ケークを脱イオン水(3000 ml)で3回以上洗浄した。洗浄したケークを120℃で一晩乾燥させた後、CuAl粉末を700℃~800℃で2時間焼成した。
次いで、基準触媒を使用して、脂肪エステル水素化分解に適用した場合の本発明の触媒の優れた性能を説明した。
【0037】
実施例1 CuOCaSiO3触媒の調製。Cu(NO3)2溶液(1756 g、16.2重量%Cu)を、混合パドルを備えた反応器内で脱イオン水で総体積1800 mlに希釈し、混合速度を800 RPM(毎分回転数)に設定した。ケイ酸カルシウム(237.5 g;LOI=16%「MicroCel E(登録商標)」(Imerysから入手可能な合成ケイ酸カルシウム水和物))をCu(NO32溶液にゆっくり添加した。ケイ酸カルシウムが完全に分散するまで撹拌を続けた。炭酸ナトリウム(700 g;「ソーダ灰」)を脱イオン水(3リットル)に溶解して溶液を形成し、次いでこれをCu(NO32およびケイ酸カルシウムスラリーに添加して室温で約7のpHを維持した。約1時間にわたって沈殿物が形成され、濾過ケークとして濾過によって収集される。次いで、ケーキを脱イオン水で洗浄し、続いて乾燥させ、500℃で2時間焼成して触媒を形成する。触媒は約60重量%のCuOを有し、残りはCaSiO3およびその他の微量である。化学分析:CuO63.1重量%、CaO13.9重量%、SiO221.8重量%、およびNa2O1.4重量%。緩いABD(見かけかさ密度):0.2 g/ml、ぎっしり詰まった見かけかさ密度(ABD):0.3 g/ml。超音波処理下または超音波処理なしの粒径分布(PSD)を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例2 CuOCaSiO3触媒のパイロットプラント手順。Cu(NO32溶液(31.6 kg;16.2重量%Cu)を、約800 RPMに設定したミキサーを備えた反応器内で脱イオン水を用いて25 Lに希釈した。ケイ酸カルシウム(4.275 kg;LOI=16%;「MicroCel E(登録商標)」)をCu(NO32溶液にゆっくり添加した。ケイ酸カルシウムが完全に分散するまで撹拌を続けた。炭酸ナトリウム(10.8 kg;「ソーダ灰」)をNaOH(3.6 kg)を含む脱イオン水(40リットル)に溶解して溶液を形成した。次いで、ソーダ灰およびNaOH溶液をCu(NO32およびケイ酸カルシウムスラリーに添加して、室温で約7のpHを維持した。約1時間にわたって沈殿物が形成され、濾過ケークとして濾過によって収集される。次いで、ケーキを脱イオン水で洗浄し、続いて乾燥させる(120℃)。材料のPSDは、D109.7μm、D5026.6μm、およびD9066.4μmである。
【0040】
実施例3~8 実施例2からの粉末を、表2に従って異なる焼成温度に供した。各実施例では、実施例2からの粉末をマッフル炉内で1時間にわたって示された温度に加熱することによって焼成し、次いで室温に冷却する前に2時間その温度に保持した。
【0041】
【表2】
【0042】
実施例9~12 実施例1の触媒を異なるナトリウム含有量で調製した。これらの触媒は、約500℃で12時間焼成した後、ほぼ同じ組成:63.1重量%のCuO、13.9重量%のCaOおよび21.8重量%のSiO2を有する。唯一の違いは、様々な量の脱イオン水による洗浄の違いによる触媒中のNa2O含有量である。結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
図1および図2は、実施例1の沈殿中に触媒粒径がどのように形成され変化するかを示す。図1における各プロットは、粒径範囲内のレーザー回折を介して検出された粒子の累積体積%(vol%)分布を示す。図2における各プロットは、サンプル体積の大部分が中範囲サイズの粒子(すなわち、体積%、vol%)によって占められている正規分布曲線を示す。プロットによれば、触媒は、D107.7μm、D5019.1μm、およびD9037.5μmのPSDを有するべきである。しかし、平均粒径分布は析出条件に依存することは明らかである。
【0045】
BET表面積測定 BET(ブルナウアー・エメット・テラー)表面積測定が、ASTM法D3663-03触媒および触媒担体の表面積の標準試験法に従って行われた。触媒BET表面積の一部を表4に要約する。
【0046】
【表4】
【0047】
表4から、焼成温度が高い程、より低いBET表面積をもたらすことが明らかである。14.3から82 m2/gのBET SAを有するケイ酸銅触媒はすべて、水素化分解メチルエステルから良好な脂肪アルコール収率を呈する。より高い温度、例えば800℃などでのさらなる焼成は、非常に低いBET SA、3.4m2/gおよびより低い活性をもたらす。
【0048】
実施例3~8から選択された触媒のXRD分析。実施例3~8(500℃~800℃で焼成)のXRD分析を実施して、結晶子相および結晶子サイズを同定した。本明細書に記載の手順に従ってXRD分析を行った。銅アノード管を備えたエンピリアン(Empyrean)回折システムを45 kVおよび40 mAの発生器設定で動作させて、XRD分析データを生成するために使用される波長1.54060ÅのCu Kα1放射線を生成した。光路は、0.04 radの一次ソーラスリット、15 mmのビームマスク、1°の発散スリット、2°の散乱防止スリット、サンプル、モノクロメータ、二次0.02 radのソーラスリットおよびX’Celerator位置敏感型検出器で構成された。
【0049】
サンプル触媒を乳鉢と乳棒を用いて微粉末に粉砕し、次いで円形マウントサンプルホルダーに戻して詰めた。サンプルホルダーは、粒子計数統計を改善するために、データ取得中にサンプルスピナーに搭載される。円形マウントからのデータ収集は、ステップサイズ0.017°2θおよびステップ当たりの時間400秒の連続スキャンを使用して、15°~90°2θの範囲をカバーした。黒鉛モノクロメータを使用して、Cu Kβ放射線を含む不要な放射線を除去した。相同定分析には、Panalytical HighScoreバージョン4.5ソフトウェアおよびICDD PDF 4+2020バージョンの粉末回折ファイルデータベースを使用した。Scherrerの式を使用して結晶子サイズ推定値を計算するために使用されるd間隔、FWHM、およびピーク位置を決定するためのプロファイルフィッティングにもハイスコアを使用した。各実施例のサンプルのXRDパターンおよび結晶子サイズの詳細を以下に示す。
【0050】
500℃で焼成した実施例3は、単斜晶系酸化銅(CuO)と良く適合する主要なピークを呈した。いくつかのより小さい残りのピークは、菱面体晶炭酸カルシウム(CaCO3)と良く適合する。残りのわずかなピークの候補は、ケイ酸カルシウム水和物(4CaO・5SiO2・5H2O)、立方晶シリカ(SiO2)、および/またはアルミナの相(Al2O3)である。酸化銅の結晶子サイズは、約58Åでの(111)反射に基づいて推定された。
【0051】
650℃で焼成した実施例5は、単斜晶系酸化銅(CuO)と良く適合する主なピークを呈した。わずかに残っている小さなピークの候補は、菱面体晶炭酸カルシウム(CaCO3)、ケイ酸カルシウム水和物(4CaO・5SiO2・5H2O)、ケイ酸カルシウム水和物(Ca2SiO4・H2O)、および/または立方晶シリカ(SiO2)である。酸化銅の結晶子サイズは、約80Åでの(111)反射に基づいて推定された。
【0052】
750℃で焼成した実施例7は、単斜晶系酸化銅(CuO)および三斜晶系ケイ酸カルシウム(CaSiO3)と良く適合する主要なピークを呈した。ケイ酸カルシウム酸化水素(Ca2SiO4・0.3H2O)は、いくつかの非常に小さな微量ピークに適合し得る。酸化銅の結晶子サイズは、約149Åでの(111)反射に基づいて推定された。ケイ酸カルシウム結晶子サイズは、573Åでの(220)反射に基づいて推定された。
【0053】
800℃で焼成した実施例8は、単斜晶系酸化銅(CuO)および三斜晶系ケイ酸カルシウム(CaSiO3)と良く適合する主要なピークを呈した。ケイ酸カルシウム酸化水素(Ca2SiO4・0.3H2O)は、いくつかの非常に小さな微量ピークに適合し得る。酸化銅の結晶子サイズは、約240Åでの(111)反射に基づいて推定された。ケイ酸カルシウム結晶子サイズは、673Åでの(220)反射に基づいて推定された。
【0054】
これらの触媒のXRD分析は、触媒がCuOおよび以下の結晶相:立方晶SiO2、菱面体晶炭酸カルシウム(CaCO3)、三斜晶系ケイ酸カルシウム(CaSiO3)、トラスコット石(ケイ酸カルシウム水和物;Ca14Si24O58(OH)8・2H2O)、トバモライト(ケイ酸カルシウム水和物;4CaO・5SiO2・5H2O)、およびアルミナのうちの1つまたは複数を含むことを示している。これらを図3に示す。
【0055】
また、焼成温度が変化すると、結晶子相が変容することも示されている。焼成温度を上げると、CuO結晶子サイズは約58Åから約240Åに増加する。表5は、CuO結晶子サイズに対する焼成温度の影響を示す。CuO結晶子サイズは、(111)反射に基づいて推定された。ケイ酸カルシウム水和物もまた、温度が上昇するにつれて脱水し始め、最終的には三斜晶系ケイ酸カルシウムCaSiO3を形成する。ケイ酸カルシウムの結晶子サイズは、焼成温度が750℃から800℃に変化するにつれて、573から673Åに増加する。
【0056】
【表5】
【0057】
触媒性能。試験手順。触媒活性および触媒の選択性を、メチルエステルの脂肪アルコールへのスラリー相水素化分解によって評価した。触媒性能評価を、1リットルのオートクレーブ(図4に例示される)におけるメチルエステル水素化分解およびワックスエステル水素化分解の両方について行った。
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
メチルエステル水素化分解の手順:触媒(0.8重量%)を反応器ヘッドのトップスクリューの開口部を通して反応器に装填する。452 gのC12-C14脂肪酸メチルエステルを、加圧および水素ガス供給のために使用されるガスライン上に位置する漏斗を通して装填する。オートクレーブ系をN2で数回パージして空気を除去し、次いで水素で数回パージした。撹拌を2000 rpmに設定し、炉の温度を温度まで上げていき、オートクレーブをジャケットで覆った(典型的なランピング速度は3℃/分であった)。280℃で、オートクレーブをH2で2500 psiまで加圧し、開始時間「0」で指示された。5時間毎に、5 mlの液体試料を、オートクレーブ内部の先端にフリットを有する出入り口を通して収集した。次いで、サンプルをGCによって分析した。GC分析からの脂肪アルコール濃度を合計して、総脂肪アルコール収率を計算した。
【0061】
ワックスエステル水素化分解の手順:
【0062】
【表8】
【0063】
触媒は、反応器ヘッドの上部ねじを開くことによって装填される。454 gのC12-C14脂肪アルコールが、加圧および水素ガス供給のために使用されるガスライン上に配置された漏斗を通して装填される。オートクレーブをN2で数回パージして空気を除去し、次いで水素で数回パージした。1500 rpmでの撹拌を開始し、ジャケット付きオートクレーブ中で炉を温度まで上げた(典型的なランピング速度3℃/分)。300℃で、オートクレーブを水素で4350 psiまで加圧し、55 gのC16-C18脂肪酸をポンプを通して注入した。これを開始時刻「0」と指定された。5 mlの液体試料を、1時間目にオートクレーブ内部の先端にフリットを有する出入り口を通して収集した。次いで、さらに55 gのC16-C18脂肪酸を注射した。2時間目および3時間目に、脂肪酸のこのサンプリングおよび注入を継続した。3HOS(蒸気に接する時間)後、脂肪酸をさらに注入せずに6時間実験を続けた。各サンプル(合計6つのサンプル)をガスクロマトグラフィー(「GC」)で分析した。
【0064】
各試料のSAP(けん化)値を湿式滴定により算出し、SAP減少%に基づいて脂肪酸転化率を算出した:転化率(%)=(得られた供給混合物中のSAP値-生成物中のSAP値)×*100/SAP値。各実験について、最後の1時間の試料もGC FIDによって分析して、脂肪アルコールおよび副生成物の濃度を測定した。
【0065】
商業的CuCrおよびCuAlとCuO-CaSiO3触媒の触媒性能の比較 記載された試験条件下で、メチルエステル水素化分解では、CuAl粉末触媒は商業的CuCr粉末触媒よりも性能が劣る。しかしながら、本明細書に記載のCuO-CaSiO3触媒は、著しく優れた性能を有する。これを図5図7に示す。反応時間が進むにつれて、CuO-CaSiO3の所望の生成物脂肪アルコールは、試験期間を通して常にCuCr基準触媒よりも高い。これらの結果は、CuO-CaSiO3粉末触媒が、脂肪メチルエステル水素化分解用途のためにCuCr粉末触媒を置換するのに適していることを実証している。
【0066】
触媒性能に対するBET表面積の影響 焼成温度が低いと、BET表面積が大きくなり、したがって水素化活性/水素化分解活性が高くなる。しかしながら、高BET SA粉末触媒は、特に供給原料中の酸からの化学的攻撃をより受けやすく、水素化分解生成物へのより大きな金属浸出をもたらす。触媒が十分に高い温度で焼成されると、触媒BET表面積が減少し、反応条件下で安定した、すなわちいくらかの酸を含有する供給原料に対して安定した、より安定した触媒が形成される。触媒粉末を、異なるBET SAを有する粉末を製造した実施例3~8の異なる温度で焼成した。これらのサンプルを、メチルエステル水素化分解触媒性能について試験した。結果を図8図10に示す。
生成物アルコール収率曲線は、500℃~750℃の範囲の焼成温度によって製造された触媒がすべて良好なアルコール収率を有することを示している。これらの結果は、14から80 m2/gの広い範囲のBET表面積を有する触媒が良好な触媒性能を提供することを示している。しかしながら、800℃での焼成は、著しく低いBET表面積(3.4 m2/g)およびより大きなCuO結晶子サイズ(240Å)をもたらし、それによって低いアルコール収率で不十分な触媒性能をもたらした。以上より、CuO-CaSiO3触媒は、現状技術のCuCr触媒よりも高い活性を有することが明らかである。
【0067】
触媒性能に対する酸化ナトリウム含有量の効果 実施例9~12からの異なる酸化ナトリウム含有量を有する一連の触媒を、スラリー相メチルエステル水素化分解適用について評価した。図11~13に示すように、実施例9の触媒は、1.4重量%のNa2Oを有し、触媒は、商業的CuCr基準よりも低い活性および選択性を呈する。残留ナトリウムを除去するためにさらに洗浄すると、触媒性能が向上する。実施例12の触媒は、試験期間を通して脂肪アルコール生成物の生成率が最も高く、最も高い活性を有する。
【0068】
ワックスエステル水素化分解性能の比較 触媒性能比較のために、反応中の液体生成物をSAP(けん化)値分析のために収集した。SAP値は、アルコールおよび対応する酸のカリウムまたはナトリウム塩を形成するためのKOH(またはNaOH)によるエステルの加水分解である。SAP値が高いほどエステル含量が高いことを意味する。この場合、より高いSAP値は、より少ない量のエステルがアルコールに変換されること、すなわち触媒活性がより低いことを意味する。ワックスエステル水素化分解性能に対するCuO-CaSiO3触媒の性能を、最新技術のCuCr触媒と比較した。この一連の試験では、水素化分解生成物を分析のために1時間毎に抜き取り、続いて最初の4時間に供給物として新しい脂肪酸を注入した。
【0069】
結果を図14および図15に要約する。図面は、4回目の注入後、および反応時間が続くにつれて、残留ワックスエステルが減少し、系が平衡に近づくにつれてエステル転化率も減少することを示している。実施例3の触媒(500℃で焼成)は、試験の2時間目(図14および表9)から開始して、CuCr基準触媒よりも一貫してワックスエステル転化率が高い。CuCr触媒の最初の1時間の間のより高い転化率は、その触媒によるより容易な還元プロセスに起因する可能性がある。全体として、CuO-CaSiO3触媒は、著しく高い活性およびアルコール収率を呈する。
【0070】
【表9】
【0071】
CuO-CaSiO3触媒の別の利点は、脂肪アルコールに対するそのより良好な選択性、およびスラリー相ワックスエステル法における炭化水素副生成物不純物の生成が少ないことである。表10に示すように、新しいCuO-CaSiO3触媒は、CuCr触媒と比較して、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、およびオクタデカンの生成が少ない。これらのアルカンはすべて、生成物の純度および収率を低下させる過剰水素添加副産物である。
【0072】
【表10】
【0073】
触媒濾過特性 スラリー相メチルエステルプロセスにおける使用済みスラリーの触媒分離実験(遠心分離と濾過の両方)を行って、触媒濾過性を比較した。結果は、CuO-CaSiO3触媒が最新技術の触媒と同等の分離特性を有することを示している。
【0074】
これは、11000 rpmで5分間の遠心分離による沈降および分離の定性的推定値であり、視覚的比較のために写真を撮る。最初に、使用済み触媒スラリーを液体生成物および未反応脂肪酸メチルエステル(0.8重量%触媒充填量)と共に5分間撹拌した。次いで、上部35 mLの液体を収集し、粒子が浮遊しているかどうかを確認するための写真を撮った。分離効率は、収集した液体中に浮遊する色や微粒子に基づいて定性的に測定される。
【0075】
遠心分離試験は、CuO-CaSiO3触媒とCuCrの両方が透明な液体生成物を提供することを示す。これをさらに確認するために、液体生成物を触媒からの金属浸出について分析した。以下に示すように、CuO-CaSiO3触媒およびCuCr触媒はいずれも金属浸出が少ない(表11)。これは、CuO-CaSiO3触媒が反応条件下で良好な化学的安定性を有することを示している。
【0076】
【表11】
【0077】
濾過の手順 使用済み触媒スラリー(12 ml;良く混合した)をシリンジに装填した。シリンジの先端にシリンジフィルタ(0.45μm)を取り付け、シリンジのプランジャーを最初に作動させたときにタイマーをスタートさせた。濾液が最大ハンド圧で出てこなかった場合、濾過を停止し、フィルターを交換した。スラリー12 mLを濾過した後、タイマーを停止した。この試験は、0.45μmのフィルターを使用した濾過の容易さ(同量の濾液を作るのに必要な時間)を定性的に推定する。いくつかの結果を図16に示し、CuO-CaSiO3触媒が最新技術の触媒と同様の濾過時間を有することを示す。
【0078】
特定の実施形態を図示および説明したが、以下の特許請求の範囲に定義されるそのより広い態様の技術から逸脱することなく、当業者に従って変更および修正を行うことができることを理解されたい。
【0079】
本明細書に例示的に記載された実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない任意の1つまたは複数の要素、1つまたは複数の制限がない状態で適切に実施することができる。したがって、例えば、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、広範に、限定することなく読まれるものとする。さらに、本明細書で使用される用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、そのような用語および表現の使用において、示され説明された特徴またはその一部のいかなる均等物も除外する表現において意図はないが、特許請求される技術の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。さらに、「~から本質的になる」という語句は、具体的に列挙された要素、および特許請求される技術の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の要素を含むように理解される。「~からなる」という語句は、指定されていない要素を除外する。
【0080】
本開示は、本出願に記載された特定の実施形態に関して限定されるべきではない。当業者には明らかであるように、その趣旨および範囲から逸脱することなく、多くの修正および変形を行うことができる。本明細書に列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法および組成物は、前述の説明から当業者には明らかであろう。そのような修正および変形は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。本開示は、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきであり、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲を伴う。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、または組成物に限定されず、当然のことながらそれらは変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0081】
さらに、本開示の特徴または態様がマーカッシュ群に関して記載されている場合、当業者は、本開示がそれによってマーカッシュ群の任意の個々の要素または要素のサブグループに関しても記載されていることを認識するであろう。
【0082】
当業者によって理解されるように、ありとあらゆる目的のために、特に書面による説明を提供することに関して、本明細書に開示されるすべての範囲は、ありとあらゆる可能な部分範囲およびその部分範囲の組み合わせも包含する。列挙された範囲はいずれも、同じ範囲を少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割することを十分に説明し、可能にするものとして容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下3分の1、中3分の1、上3分の1などに容易に分割することができる。また、当業者によって理解されるように、例えば「最大で」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」などのすべての文言は、列挙された数を含み、上で論じたように部分範囲に後で分割することができる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は個々の要素を含む。
【0083】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、発行された特許、および他の文書は、あたかも各個々の刊行物、特許出願、発行された特許、または他の文書がその全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる本文に含まれる定義は、それらが本開示における定義と矛盾する限り除外される。
【0084】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に記載される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】