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特表2023-548580CRISPR-CAS系を含むエシェリキア属に対するファージ組成物およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】CRISPR-CAS系を含むエシェリキア属に対するファージ組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20231110BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20231110BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20231110BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20231110BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231110BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12N15/09 110
C12N7/01 ZNA
C12N1/21
A61K35/76
A61P31/04
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527226
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 US2021058095
(87)【国際公開番号】W WO2022098899
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】63/110,107
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/184,647
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520429509
【氏名又は名称】ローカス バイオサイエンシーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガロフォロ,ポール
(72)【発明者】
【氏名】オースターアウト,デビッド ジー.
(72)【発明者】
【氏名】セル,カート
(72)【発明者】
【氏名】テュソン,ハンナ ヒューイット
(72)【発明者】
【氏名】マクミラン,ラナ
(72)【発明者】
【氏名】デロレンツォ,ドリュー
(72)【発明者】
【氏名】マッキー,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】プリボル,キャメロン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA26X
4B065AA98X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA23
4B065CA31
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087MA02
4C087MA13
4C087MA16
4C087MA35
4C087MA37
4C087MA44
4C087MA52
4C087MA55
4C087MA58
4C087MA59
4C087MA60
4C087MA63
4C087MA65
4C087NA14
4C087ZB35
4C087ZC75
(57)【要約】
CRISPR-Cas系を含むエシェリキア属に対するファージ組成物、およびその使用方法が本明細書に開示される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号39に対して少なくとも80%の同一性を有する核酸配列。
【請求項2】
配列番号25を含む、請求項1に記載の核酸。
【請求項3】
配列番号24を含む、請求項1または2に記載の核酸。
【請求項4】
配列番号12を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項5】
配列番号13を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項6】
配列番号39、または配列番号39に対して少なくとも90%同一である配列を含む、請求項1に記載の核酸。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の核酸配列を含むCRISPRアレイ。
【請求項8】
プロモーターをさらに含む、請求項7に記載のCRISPRアレイ。
【請求項9】
前記プロモーターは、配列番号11、1~10、または19のいずれか1つに対して少なくとも約80%同一である配列を含む、請求項8に記載のCRISPRアレイ。
【請求項10】
前記プロモーターは、配列番号11に対して少なくとも約80%同一である配列を含む、請求項9に記載のCRISPRアレイ。
【請求項11】
配列番号43に対して少なくとも80%同一である配列を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のCRISPRアレイ。
【請求項12】
配列番号43に対して少なくとも80%同一である配列を含む、CRISPRアレイ。
【請求項13】
請求項2~6のいずれか一項に記載の核酸、または請求項7~11のいずれか一項に記載のCRISPRアレイを含む、バクテリオファージ。
【請求項14】
請求項1に記載の核酸、または請求項12に記載のCRISPRアレイを含む、バクテリオファージ。
【請求項15】
核酸および/またはCRISPRアレイは、バクテリオファージDNAを置き換える、請求項13または請求項14に記載のバクテリオファージ。
【請求項16】
前記バクテリオファージDNAは、p004ke、p00c0、またはp00exファージから得られる、請求項15に記載のバクテリオファージ。
【請求項17】
前記核酸および/またはCRISPRアレイは、前記バクテリオファージ中に存在するCRISPR系の一部である、請求項13~16のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項18】
前記CRISPR系は、合計約3000核酸塩基~約8000核酸塩基を含む、請求項17に記載のバクテリオファージ。
【請求項19】
前記CRISPR系は、I型CRISPR-Cas系、II型CRISPR-Cas系、V型CRISPR-Cas系、またはCRISPR-Cpf1系を含む、請求項17または18に記載のバクテリオファージ。
【請求項20】
p004ke009に対して少なくとも80%の配列同一性を含む、組換えファージ。
【請求項21】
p00c0e030に対して少なくとも80%の配列同一性を含む、組換えファージ。
【請求項22】
p00exe014に対して少なくとも80%の配列同一性を含む、組換えファージ。
【請求項23】
p004ke009に対して少なくとも90%の配列同一性を含む、組換えファージ。
【請求項24】
p00c0e030に対して少なくとも90%の配列同一性を含む、組換えファージ。
【請求項25】
p00exe014に対して少なくとも90%の配列同一性を含む、組換えファージ。
【請求項26】
(a)配列番号12または20~37から選択される配列を含む第1のスペーサー配列を含むCRISPRアレイと、
(b)CRISPR関連ヌクレアーゼをコードする核酸配列と
を含むCRISPR系を含む、バクテリオファージ。
【請求項27】
前記第1のスペーサー配列は、配列番号12、配列番号25、または配列番号24を含む、請求項26に記載のバクテリオファージ。
【請求項28】
前記CRISPRアレイは、第2のスペーサー配列を含む、請求項26に記載のバクテリオファージ。
【請求項29】
前記第1のスペーサー配列は配列番号12を含み、前記第2のスペーサー配列は配列番号25を含む、または前記第1のスペーサー配列は配列番号12を含み、前記第2のスペーサー配列は配列番号24を含む、または前記第1のスペーサー配列は配列番号25を含み、前記第2のスペーサー配列は配列番号24を含む、請求項28に記載のバクテリオファージ。
【請求項30】
前記CRISPRアレイは、第3のスペーサー配列を含む、請求項28に記載のバクテリオファージ。
【請求項31】
前記第1のスペーサー配列は配列番号12を含み、前記第2のスペーサー配列は配列番号25を含み、前記第3のスペーサー配列は配列番号24を含む、請求項30に記載のバクテリオファージ。
【請求項32】
(a)第1のスペーサー配列および第2のスペーサー配列を含むCRISPRアレイであって、前記第1のスペーサー配列は、第1のエシェリキア属種中の第1の標的ヌクレオチド配列に相補的であり、前記第2のスペーサー配列は、前記第1のエシェリキア属種および/または第2のエシェリキア属種中の第2の標的ヌクレオチド配列に相補的であり、任意選択で、前記エシェリキア属種、前記第2のエシェリキア属種、および/または第3のエシェリキア属種中の第3の標的ヌクレオチド配列に相補的な第3のスペーサー配列をさらに含むCRISPRアレイと、
(b)CRISPR関連ヌクレアーゼをコードする核酸配列と
を含むCRISPR系を含む、バクテリオファージ。
【請求項33】
前記第1のスペーサー配列は、配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性の配列を含み、前記第2のスペーサー配列は、配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性の配列を含み、存在する場合、前記第3のスペーサー配列は、配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性の配列を含む、請求項32に記載のバクテリオファージ。
【請求項34】
前記CRISPRアレイは、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を有する配列を含む反復配列を含む、請求項26~33のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項35】
前記CRISPRアレイは、配列番号11、1~10、または19のいずれか1つに対して少なくとも約90%同一である配列を含むプロモーター配列を含む、請求項26~34のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項36】
前記CRISPR系は、I型CRISPR-Cas系、CRISPR-Cpf1系、II型CRISPR-Cas系、またはV型CRISPR-Cas系を含む、請求項26~35のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項37】
バクテリオファージDNAを、CRISPR系をコードする核酸配列で置き換えるように修飾されたバクテリオファージであって、前記CRISPR系は、標的細菌における標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列、およびCRISPRヌクレアーゼをコードする配列を含むCRISPRアレイを含み、前記標的細菌はエシェリキア属種を含む、バクテリオファージ。
【請求項38】
前記CRISPR系は、合計約3000核酸塩基~約8000核酸塩基を含む、請求項37に記載のバクテリオファージ。
【請求項39】
前記バクテリオファージDNAは、前記バクテリオファージの生存性または機能性に必須ではない、請求項37または38に記載のバクテリオファージ。
【請求項40】
前記バクテリオファージDNAは、p004ke、p00c0、またはp00exファージから得られる、請求項37~39のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項41】
前記CRISPRアレイは、配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を有する配列を含むスペーサー配列を含む、請求項37~40のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項42】
前記CRISPRアレイは、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくとも約90%の同一性を含む反復配列を含む、請求項37~41のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項43】
前記CRISPRアレイは、配列番号11、1~10、または19のいずれか1つに対して少なくとも約90%の同一性を含むプロモーター配列を含む、請求項37~42のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項44】
前記CRISPR系は、I型CRISPR-Cas系、CRISPR-Cpf1系、II型CRISPR-Cas系、またはV型CRISPR-Cas系を含む、請求項37~43のいずれか一項に記載のバクテリオファージ。
【請求項45】
請求項1~44のいずれか一項に記載のバクテリオファージ、および野生型ファージを含む組成物。
【請求項46】
前記野生型ファージはp00keを含む、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記野生型ファージはp5516を含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記野生型ファージはp00jcを含む、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
p004ke009に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第1のファージと、p00c0e030、p00exe014、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物。
【請求項50】
p00c0e030に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第1のファージと、p004ke009、p00exe014、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物。
【請求項51】
p00exe014に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第1のファージと、p004ke009、p00c0e030、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物。
【請求項52】
p00jcに対して少なくとも80%の配列同一性を有する第1のファージと、p004ke009、p00c0e030、p00exe014、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物。
【請求項53】
p00keに対して少なくとも80%の配列同一性を有する第1のファージと、p004ke009、p00c0e030、p00exe014、p00jc、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物。
【請求項54】
p5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第1のファージと、p004ke009、p00c0e030、p00exe014、p00jc、またはp00keに対して少なくとも80%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物。
【請求項55】
(a)請求項1~44のいずれか一項に記載のバクテリオファージまたは請求項45~54のいずれか一項に記載の組成物と、
(b)薬学的に許容可能な賦形剤と
を含む、医薬組成物。
【請求項56】
前記医薬組成物は、錠剤、カプセル、液体、シロップ、経口製剤、静脈内製剤、鼻腔内製剤、眼製剤、耳製剤、皮下製剤、局所製剤、経皮製剤、経粘膜製剤、吸入可能な呼吸器製剤、坐薬、凍結乾燥製剤、噴霧化可能な製剤、およびそれらのあらゆる組合せの形態にある、請求項55に記載の医薬組成物。
【請求項57】
細菌を死滅させる方法であって、請求項1~44のいずれか一項に記載のバクテリオファージまたは請求項45~56のいずれか一項に記載の組成物から得られる遺伝物質を、前記細菌に導入する工程を含む、方法。
【請求項58】
疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法であって、前記方法は、請求項1~44のいずれか一項に記載のバクテリオファージまたは請求項45~56のいずれか一項に記載の組成物を、前記個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項59】
細菌を死滅させる方法であって、前記細菌と、p00jcに対して少なくとも80%同一性のバクテリオファージを含む組成物とを接触させる工程を含む、方法。
【請求項60】
細菌を死滅させる方法であって、前記細菌と、p00keに対して少なくとも80%同一性のバクテリオファージを含む組成物とを接触させる工程を含む、方法。
【請求項61】
細菌を死滅させる方法であって、前記細菌と、p5516に対して少なくとも80%同一性のバクテリオファージを含む組成物とを接触させる工程を含む、方法。
【請求項62】
疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法であって、前記方法は、p00jcに対して少なくとも80%同一性のバクテリオファージを含む組成物を前記個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項63】
疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法であって、前記方法は、p00keに対して少なくとも80%同一性のバクテリオファージを含む組成物を前記個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項64】
疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法であって、前記方法は、p5516に対して少なくとも80%同一性のバクテリオファージを含む組成物を前記個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項65】
複数の細菌を死滅させる方法であって、前記方法は、前記複数の細菌と第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージとを組み合わせる工程を含み、前記第1のバクテリオファージは、前記複数の細菌の第1のサブセットを標的とし、前記第2のバクテリオファージは、前記複数の細菌の第2のサブセットを標的とし、前記複数の細菌は、表6に記載の2つ以上の細菌を含む、方法。
【請求項66】
複数の細菌を含む個体の疾患を処置する方法であって、前記方法は、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージを前記個体に投与する工程を含み、前記第1のバクテリオファージは、前記複数の細菌の第1のサブセットを標的とし、前記第2のバクテリオファージは、前記複数の細菌の第2のサブセットを標的とし、前記複数の細菌は、表6に記載の2つ以上の細菌を含む、方法。
【請求項67】
前記複数の細菌は、表6に記載の少なくとも50、100、150、200、250、300、または350個の細菌を含む、請求項65または66に記載の方法。
【請求項68】
前記第1のバクテリオファージは、請求項1~44のいずれか一項に記載のバクテリオファージを含む、請求項65~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記第2のバクテリオファージは、請求項1~44のいずれか一項に記載のバクテリオファージを含む、請求項65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
(i)前記第1のバクテリオファージは、p00jcに対して少なくとも80%同一であるファージを含む、(ii)前記第1のバクテリオファージは、p00keに対して少なくとも80%同一であるファージを含む、(iii)前記第1のバクテリオファージは、p5516に対して少なくとも80%同一であるファージを含む、(iv)前記第1のバクテリオファージは、p004Ke009に対して少なくとも80%同一であるファージを含む、(v)前記第1のバクテリオファージは、p00c0e030に対して少なくとも80%同一であるファージを含む、または(vi)前記第1のバクテリオファージは、p00exe014に対して少なくとも80%同一であるファージを含む、請求項65または66に記載の方法。
【請求項71】
(i)前記第1のファージは、p004ke009に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、前記第2のファージは、p00c0e030、p00exe014、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、(ii)前記第1のファージは、p00c0e030に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、前記第2のファージは、p004ke009、p00exe014、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、(iii)前記第1のファージは、p00exe014に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、前記第2のファージは、p004ke009、p00c0e030、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、(iv)前記第1のファージは、p00jcに対して少なくとも80%の配列同一性を有し、前記第2のファージは、p004ke009、p00c0e030、p00exe014、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、(v)前記第1のファージは、p00keに対して少なくとも80%の配列同一性を有し、前記第2のファージは、p004ke009、p00c0e030、p00exe014、p00jc、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、あるいは(vi)前記第1のファージは、p5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、前記第2のファージは、p004ke009、p00c0e030、p00exe014、p00jc、またはp00keに対して少なくとも80%の配列同一性を有する、請求項65または66に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2020年11月5日出願の米国仮特許出願第63/110,107号および2021年5月5日出願の米国仮特許出願第63/184,647号に基づく利益を主張するものであり、これら仮出願はともに、参照により本明細書に援用される。
【0002】
配列表
本出願は配列表を包含しており、これは、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、その全体を参照することで本明細書に援用される。2021年11月3日に作製された上記のASCIIコピーは、53240-744_601_SL.txtと命名され、43,562バイトのサイズである。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの態様では、核酸、CRISPRアレイ、および同じ物を含むバクテリオファージが本明細書に提供される。核酸、CRISPRアレイ、および/またはバクテリオファージを含む組成物を用いてエシェリキア属を死滅させる方法がさらに提供される。
【0004】
特定の態様では、配列番号39に対して少なくとも80%の同一性を有する核酸配列が提供される。いくつかの実施形態では、核酸は配列番号25を含む。いくつかの実施形態では、核酸は配列番号24を含む。いくつかの実施形態では、核酸は配列番号12を含む。いくつかの実施形態では、核酸は配列番号13を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、配列番号39、または配列番号39に対して少なくとも90%同一である配列を含む。
【0005】
特定の態様では、本明細書の核酸配列を含むCRISPRアレイが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイはプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、配列番号11、1~10、または19のいずれか1つに対して少なくとも約80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、配列番号11に対して少なくとも約80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、配列番号43に対して少なくとも80%同一である配列を含む。
【0006】
特定の態様では、配列番号43に対して少なくとも80%同一である配列を含むCRISPRアレイが本明細書に提供される。
【0007】
特定の態様では、本明細書の核酸またはCRISPRアレイを含むバクテリオファージが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、核酸および/またはCRISPRアレイは、バクテリオファージDNAを置き換える。いくつかの実施形態では、バクテリオファージDNAは、p004ke、p00c0、またはp00exファージから得られる。いくつかの実施形態では、核酸および/またはCRISPRアレイは、バクテリオファージ中に存在するCRISPR系の一部である。いくつかの実施形態では、CRISPR系は、合計約3000核酸塩基~約8000核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、CRISPR系は、I型CRISPR-Cas系、II型のCRISPR-Cas系、V型のCRISPR-Cas系、またはCRISPR-Cpf1系を含む。
【0008】
特定の態様では、組換えファージが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、p004ke009に対して少なくとも80%の配列同一性を含む組換えファージが提供される。いくつかの実施形態では、p00c0e030に対して少なくとも80%の配列同一性を含む組換えファージが提供される。いくつかの実施形態では、p00exe014に対して少なくとも80%の配列同一性を含む組換えファージが提供される。いくつかの実施形態では、p004ke009に対して少なくとも90%の配列同一性を含む組換えファージが提供される。いくつかの実施形態では、p00c0e030に対して少なくとも90%の配列同一性を含む組換えファージが提供される。いくつかの実施形態では、p00exe014に対して少なくとも90%の配列同一性を含む組換えファージが提供される。
【0009】
特定の態様では、(a)配列番号12または20~37から選択される配列を含む第1のスペーサー配列を含むCRISPRアレイと、(b)CRISPR関連ヌクレアーゼをコードする核酸配列とを含むCRISPR系を含むバクテリオファージが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、第1のスペーサー配列は、配列番号12、配列番号25、または配列番号24を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは第2のスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のスペーサー配列は配列番号12を含み、第2のスペーサー配列は配列番号25を含む、または第1のスペーサー配列は配列番号12を含み、第2のスペーサー配列は配列番号24を含む、または第1のスペーサー配列は配列番号25を含み、第2のスペーサー配列は配列番号24を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは第3のスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のスペーサー配列は配列番号12を含み、第2のスペーサー配列は配列番号25を含み、第3のスペーサー配列は配列番号24を含む。
【0010】
特定の態様では、(a)第1のスペーサー配列および第2のスペーサー配列を含むCRISPRアレイであって、第1のスペーサー配列は、第1のエシェリキア属種中の第1の標的ヌクレオチド配列に相補的であり、第2のスペーサー配列は、第1のエシェリキア属種および/または第2のエシェリキア属種中の第2の標的ヌクレオチド配列に相補的であり、任意選択で、エシェリキア属種、第2のエシェリキア属種、および/または第3のエシェリキア属種中の第3の標的ヌクレオチド配列に相補的な第3のスペーサー配列をさらに含むCRISPRアレイと、(b)CRISPR関連ヌクレアーゼをコードする核酸配列とを含むCRISPR系を含む、バクテリオファージが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、第1のスペーサー配列は、配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性の配列を含み、第2のスペーサー配列は、配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性の配列を含み、存在する場合、第3のスペーサー配列は、配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性の配列を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を有する配列を含むリピート配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、配列番号11、1~10、または19のいずれか1つに対して少なくとも約90%同一である配列を含むプロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPR系は、I型CRISPR-Cas系、CRISPR-Cpf1系、II型CRISPR-Cas系、またはV型CRISPR-Cas系を含む。
【0012】
特定の態様では、バクテリオファージDNAを、標的細菌中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列と、CRISPRヌクレアーゼをコードする配列を含むCRISPRアレイとを含むCRISPR系をコードする核酸配列で置き換えるように修飾されたバクテリオファージが本明細書に提供され、標的細菌はエシェリキア属種を含む。いくつかの実施形態では、CRISPR系は、合計約3000核酸塩基~約8000核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージDNAは、バクテリオファージの生存性または機能性に必須ではない。いくつかの実施形態では、バクテリオファージDNAは、p004ke、p00c0、またはp00exファージから得られる。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を有する配列を含むスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくとも約90%の同一性を含むリピート配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、配列番号11、1~10、または19のいずれか1つに対して少なくとも約90%の同一性を含むプロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPR系は、I型CRISPR-Cas系、CRISPR-Cpf1系、II型CRISPR-Cas系、またはV型CRISPR-Cas系を含む。
【0013】
特定の態様では、本明細書のバクテリオファージおよび野生型ファージを含む組成物が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、野生型ファージはp00keを含む。いくつかの実施形態では、野生型ファージはp5516を含む。いくつかの実施形態では、野生型ファージはp00jcを含む。
【0014】
特定の態様では、2つ以上のバクテリオファージを含む組成物が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、p004ke009に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第1のファージと、p00c0e030、p00exe014、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物が提供される。いくつかの実施形態では、p00c0e030に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第1のファージと、p004ke009、p00exe014、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物が提供される。いくつかの実施形態では、p00exe014に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第1のファージと、p004ke009、p00c0e030、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物が提供される。いくつかの実施形態では、p00jcに対して少なくとも80%の配列同一性を有する第1のファージと、p004ke009、p00c0e030、p00exe014、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物が提供される。いくつかの実施形態では、p00keに対して少なくとも80%の配列同一性を有する第1のファージと、p004ke009、p00c0e030、p00exe014、p00jc、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物が提供される。いくつかの実施形態では、p5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する第1のファージと、p004ke009、p00c0e030、p00exe014、p00jc、またはp00keに対して少なくとも80%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物が提供される。
【0015】
特定の態様では、(a)請求項1~44のいずれか一項に記載のバクテリオファージまたは請求項45~54のいずれか一項に記載の組成物と、(b)薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、錠剤、カプセル、液体、シロップ、経口製剤、静脈内製剤、鼻腔内製剤、眼製剤、耳製剤、皮下製剤、局所製剤、経皮製剤、経粘膜製剤、吸入可能な呼吸器製剤、坐薬、凍結乾燥製剤、噴霧化可能な製剤、およびそれらのあらゆる組合せの形態にある。
【0016】
特定の態様では、殺菌方法および処置方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書のバクテリオファージまたは組成物から得られる遺伝物質を細菌に導入する工程を含む、細菌を死滅させる方法が提供される。いくつかの実施形態では、疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法が提供され、上記方法は、本明細書のバクテリオファージまたは組成物を個体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、細菌と、p00jcに対して少なくとも80%同一性のバクテリオファージを含む組成物とを接触させる工程を含む、細菌を死滅させる方法が提供される。いくつかの実施形態では、細菌と、p00keに対して少なくとも80%同一性のバクテリオファージを含む組成物とを接触させる工程を含む、細菌を死滅させる方法が提供される。いくつかの実施形態では、細菌と、p5516に対して少なくとも80%同一性のバクテリオファージを含む組成物とを接触させる工程を含む、細菌を死滅させる方法が提供される。いくつかの実施形態では、疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法が提供され、上記方法は、p00jcに対して少なくとも80%同一性のバクテリオファージを含む組成物を個体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法が提供され、上記方法は、p00keに対して少なくとも80%同一性のバクテリオファージを含む組成物を個体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法が提供され、上記方法は、p5516に対して少なくとも80%同一性のバクテリオファージを含む組成物を個体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌を死滅させる方法が提供され、上記方法は、複数の細菌と第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージとを組み合わせる工程を含み、第1のバクテリオファージは、複数の細菌の第1のサブセットを標的とし、第2のバクテリオファージは、複数の細菌の第2のサブセットを標的とし、複数の細菌は、表6に記載の2つ以上の細菌を含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌を含む個体の疾患を処置する方法が提供され、上記方法は、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージを個体に投与する工程を含み、第1のバクテリオファージは、複数の細菌の第1のサブセットを標的とし、第2のバクテリオファージは、複数の細菌の第2のサブセットを標的とし、複数の細菌は、表6に記載の2つ以上の細菌を含む。いくつかの実施形態では、複数の細菌は、表6に記載の少なくとも50、100、150、200、250、300、または350個の細菌を含む。いくつかの実施形態では、第1および/または第2のバクテリオファージは、本明細書のバクテリオファージを含む。いくつかの実施形態では、(i)第1のバクテリオファージは、p00jcに対して少なくとも80%同一であるファージを含む、(ii)第1のバクテリオファージは、p00keに対して少なくとも80%同一であるファージを含む、(iii)第1のバクテリオファージは、p5516に対して少なくとも80%同一であるファージを含む、(iv)第1のバクテリオファージは、p004Ke009に対して少なくとも80%同一であるファージを含む、(v)第1のバクテリオファージは、p00c0e030に対して少なくとも80%同一であるファージを含む、または(vi)第1のバクテリオファージは、p00exe014に対して少なくとも80%同一であるファージを含む。いくつかの実施形態では、(i)第1のファージは、p004ke009に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、第2のファージは、p00c0e030、p00exe014、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、(ii)第1のファージは、p00c0e030に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、第2のファージは、p004ke009、p00exe014、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、(iii)第1のファージは、p00exe014に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、第2のファージは、p004ke009、p00c0e030、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、(iv)第1のファージは、p00jcに対して少なくとも80%の配列同一性を有し、第2のファージは、p004ke009、p00c0e030、p00exe014、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、(v)第1のファージは、p00keに対して少なくとも80%の配列同一性を有し、第2のファージは、p004ke009、p00c0e030、p00exe014、p00jc、またはp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、または(vi)第1のファージは、p5516に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、第2のファージは、p004ke009、p00c0e030、p00exe014、p00jc、またはp00keに対して少なくとも80%の配列同一性を有する。
【0017】
特定の態様では、エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列を含むCRISPRアレイと、カスケードポリペプチドと、Cas3ポリペプチドとを含むI型CRISPR-Cas系をコードする核酸配列を含むバクテリオファージが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、少なくとも1つのリピート配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端または3’末端のいずれかにおいてスペーサー配列に操作可能に連結される。いくつかの実施形態では、リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、図1A図1Cのいずれか1つに記載されている配列に対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、コード配列を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、非コード配列または遺伝子間配列を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、プロモーター配列のすべてまたは一部を含む。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子の転写された領域のコード鎖に位置するヌクレオチド配列のすべてまたは一部を含む。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、glmS、fus、adk、rpsK、rplR、ctrA、parC、tRNA-Ser、tRNA-Asn、またはmetKである。いくつかの実施形態では、カスケードポリペプチドは、I-A型CRISPR-Cas系、I-B型CRISPR-Cas系、I-C型CRISPR-Cas系、I-D型CRISPR-Cas系、I-E型CRISPR-Cas系、またはI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成する。いくつかの実施形態では、カスケード複合体は、(i)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)、(ii)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有していないCas3”ポリペプチド(I-A型CRISPR-Cas系)、(iii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Cas系)、(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Cas系)、(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Cas系)、(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Cas系)を含む。いくつかの実施形態では、カスケード複合体は、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)を含む。いくつかの実施形態では、カスケード複合体は、緑膿菌I-C型カスケード複合体を含む。いくつかの実施形態では、核酸配列は、プロモーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、複数の細菌株を感染させる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、偏性溶菌性(obligate lytic)バクテリオファージである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、溶菌性にされる溶原バクテリオファージである。いくつかの実施形態では、溶原バクテリオファージは、溶原性遺伝子の除去、置換え、または不活性化によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性だけで死滅させられる。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、CRISPR-Cas系の活性だけで死滅させられる。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とCRISPR-Cas系の活性との組合せにより死滅させられる。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、CRISPR-Cas系の活性により死滅させられる。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系の活性は、バクテリオファージの溶菌活性を補充するかまたは増強する。いくつかの実施形態では、バクテリオファージの溶菌活性およびCRISPR-Cas系の活性は相乗的である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージの溶菌活性、CRISPR-Cas系の活性、またはその両方は、バクテリオファージの濃度により調節される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、T4ウイルス(Tequatrovirus)、モシグウイルス(Mosigyvirus)、ファペコクタウイルス(Phapecoctavirus)、特有のミオウイルス科(Unique Myoviridae)、またはベクターウイルス(Vectrevirus)を含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、またはp5516から選択されるファージに対して少なくとも80%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p004ke007またはp004Ke005である。いくつかの実施形態では、核酸配列は、非必須バクテリオファージ遺伝子に挿入される。いくつかの実施形態では、(a)本明細書に開示されるバクテリオファージと、(b)薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも2つのバクテリオファージを含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、T4ウイルス、モシグウイルス、ファペコクタウイルス、特有のミオウイルス科、またはベクターウイルスからなる系統からのものである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は少なくとも6つのバクテリオファージを含み、上記バクテリオファージは、p004k、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、およびp5516を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、錠剤、カプセル、液体、シロップ、経口製剤、静脈内製剤、鼻腔内製剤、眼製剤、耳製剤、皮下製剤、局所製剤、経皮製剤、経粘膜製剤、吸入可能な呼吸器製剤、坐薬、凍結乾燥製剤、噴霧化可能な製剤、およびそれらのあらゆる組合せの形態にある。
【0018】
特定の態様では、エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列を含むCRISPRアレイと、カスケードポリペプチドと、Cas3ポリペプチドとを含むI型CRISPR-Cas系をコードする核酸配列を含むバクテリオファージを、エシェリキア属種に導入する工程を含む、エシェリキア属種を死滅させる方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、配列番号12または20~37に対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、少なくとも1つのリピート配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端または3’末端のいずれかにおいてスペーサー配列に操作可能に連結される。いくつかの実施形態では、リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、図1A図1Cのいずれか1つに記載されている配列に対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、コード配列を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、非コード配列または遺伝子間配列を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、プロモーター配列のすべてまたは一部を含む。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子の転写された領域のコード鎖に位置するヌクレオチド配列のすべてまたは一部を含む。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、glmS、fus、adk、rpsK、rplR、ctrA、parC、tRNA-Ser、tRNA-Asn、またはmetKである。いくつかの実施形態では、カスケードポリペプチドは、I-A型CRISPR-Cas系、I-B型CRISPR-Cas系、I-C型CRISPR-Cas系、I-D型CRISPR-Cas系、I-E型CRISPR-Cas系、またはI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成する。いくつかの実施形態では、カスケード複合体は、(i)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)、(ii)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有していないCas3”ポリペプチド(I-A型CRISPR-Cas系)、(iii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Cas系)、(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Cas系)、(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Cas系)、(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Cas系)を含む。いくつかの実施形態では、カスケード複合体は、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)を含む。いくつかの実施形態では、カスケード複合体は、緑膿菌I-C型カスケード複合体を含む。いくつかの実施形態では、核酸配列は、プロモーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、偏性溶菌性バクテリオファージである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、溶菌性にされる溶原バクテリオファージである。いくつかの実施形態では、溶原バクテリオファージは、溶原性遺伝子の除去、置換え、または不活性化によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、CRISPR-Cas系の活性だけで死滅させられる。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とCRISPR-Cas系の活性との組合せにより死滅させられる。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、CRISPR-Cas系の活性により死滅させられる。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系の活性は、バクテリオファージの溶菌活性を補充するかまたは増強する。いくつかの実施形態では、バクテリオファージの溶菌活性およびCRISPR-Cas系の活性は相乗的である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージの溶菌活性、CRISPR-Cas系の活性、またはその両方は、バクテリオファージの濃度により調節される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、複数の細菌株を感染させる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p004ke007、p004Ke005、p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の同一性を含む。いくつかの実施形態では、核酸配列は、非必須バクテリオファージ遺伝子の代わりに、またはそれに隣接して挿入される。いくつかの実施形態では、細菌細胞の混合集団は、エシェリキア属種を含む。
【0019】
特定の態様では、疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法が本明細書に開示され、上記方法は、CRISPRアレイと、エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列を含むカスケードポリペプチドと、Cas3ポリペプチドとを含むI型CRISPR-Cas系をコードする核酸配列を含むバクテリオファージを個体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、配列番号12または20~37に対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、少なくとも1つのリピート配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端または3’末端のいずれかにおいてスペーサー配列に操作可能に連結される。いくつかの実施形態では、リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、図1A図1Cのいずれか1つに記載されている配列に対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、コード配列を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、非コード配列または遺伝子間配列を含む。いくつかの実施形態では、標的核酸配列は、プロモーター配列のすべてまたは一部を含む。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子の転写された領域のコード鎖に位置するヌクレオチド配列のすべてまたは一部を含む。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、glmS、fus、adk、rpsK、rplR、ctrA、parC、tRNA-Ser、tRNA-Asn、またはmetKである。いくつかの実施形態では、カスケードポリペプチドは、I-A型CRISPR-Cas系、I-B型CRISPR-Cas系、I-C型CRISPR-Cas系、I-D型CRISPR-Cas系、I-E型CRISPR-Cas系、またはI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成する。いくつかの実施形態では、カスケード複合体は、(i)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有していないCas3”ポリペプチド(I-A型CRISPR-Cas系)、(ii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Cas系)、(iii)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)、(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Cas系)、(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Cas系)、(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Cas系)を含む。いくつかの実施形態では、カスケード複合体は、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)を含む。いくつかの実施形態では、核酸配列は、プロモーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、CRISPR-Cas系の活性だけで死滅させられる。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とCRISPR-Cas系の活性との組合せにより死滅させられる。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、CRISPR-Cas系の活性により死滅させられる。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系の活性は、バクテリオファージの溶菌活性を補充するかまたは増強する。いくつかの実施形態では、バクテリオファージの溶菌活性およびCRISPR-Cas系の活性は相乗的である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージの溶菌活性、CRISPR-Cas系の活性、またはその両方は、バクテリオファージの濃度により調節される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、複数の細菌株を感染させる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、偏性溶菌性バクテリオファージである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、溶菌性にされる溶原バクテリオファージである。いくつかの実施形態では、溶原バクテリオファージは、溶原性遺伝子の除去、置換え、または不活性化によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p004ke007、p004Ke005、p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の同一性を含む。いくつかの実施形態では、核酸配列は、非必須バクテリオファージ遺伝子の代わりに、またはそれに隣接して挿入される。いくつかの実施形態では、疾患は細菌感染症である。いくつかの実施形態では、疾患を生じさせるエシェリキア属種は、薬剤耐性のエシェリキア属種である。いくつかの実施形態では、薬剤耐性のエシェリキア属種は、少なくとも1つの抗生物質に耐性を示す。いくつかの実施形態では、疾患を生じさせるエシェリキア属種は、多剤耐性のエシェリキア属種である。いくつかの実施形態では、多剤耐性のエシェリキア属種は、少なくとも1つの抗生物質に耐性を示す。いくつかの実施形態では、抗生物質は、セファロスポリン、フルオロキノロン、カルバペネム、コリスチン、アミノグリコシド、バンコマイシン、ストレプトマイシン、またはメチシリンを含む。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は大腸菌である。いくつかの実施形態では、投与は、動脈内、静脈内、尿道内、筋肉内、経口、皮下、吸入、局所、皮膚、経皮、口腔粘膜、植込み、舌下、頬側、直腸、膣、眼、耳、鼻の投与、またはそれらのあらゆる組合せである。いくつかの実施形態では、個体は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、配列番号12または20~37に対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、少なくとも1つのリピート配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端または3’末端のいずれかにおいてスペーサー配列に操作可能に連結される。いくつかの実施形態では、リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、図1A図1Cのいずれか1つに記載されている配列に対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、コード配列を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、非コード配列または遺伝子間配列を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、プロモーター配列のすべてまたは一部を含む。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子の転写された領域のコード鎖に位置するヌクレオチド配列のすべてまたは一部を含む。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、glmS、fus、adk、rpsK、rplR、ctrA、parC、tRNA-Ser、tRNA-Asn、またはmetKである。いくつかの実施形態では、核酸配列は、プロモーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性だけで死滅させられる。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、CRISPR-Cas系の活性だけで死滅させられる。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とCRISPR-Cas系の活性との組合せにより死滅させられる。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、CRISPR-Cas系の活性により死滅させられる。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系の活性は、バクテリオファージの溶菌活性を補充するかまたは増強する。いくつかの実施形態では、バクテリオファージの溶菌活性およびCRISPR-Cas系の活性は相乗的である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージの溶菌活性、CRISPR-Cas系の活性、またはその両方は、バクテリオファージの濃度により調節される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、複数の細菌株を感染させる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、偏性溶菌性バクテリオファージである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、溶菌性にされる溶原バクテリオファージである。いくつかの実施形態では、溶原バクテリオファージは、溶原性遺伝子の除去、置換え、または不活性化によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p004ke007、p004Ke005、p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の同一性を含む。いくつかの実施形態では、核酸配列は、非必須バクテリオファージ遺伝子に挿入される。
【0020】
いくつかの実施形態では、成熟crRNAは、エフェクター複合体中の単一のCasタンパク質により結合される。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas複合体はII型系である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列を含むII型エフェクター複合体は、エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的な配列、およびCas9ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、配列番号12または20~37に対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、少なくとも1つのリピート配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端または3’末端のいずれかにおいてスペーサー配列に操作可能に連結される。いくつかの実施形態では、リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子の転写された領域のコード鎖に位置するヌクレオチド配列のすべてまたは一部を含む。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、glmS、fus、adk、rpsK、rplR、ctrA、parC、tRNA-Ser、tRNA-Asn、またはmetKである。いくつかの実施形態では、核酸配列は、プロモーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性だけで死滅させられる。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、CRISPR-Cas系の活性だけで死滅させられる。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とCRISPR-Cas系の活性との組合せにより死滅させられる。いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、CRISPR-Cas系の活性により死滅させられる。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系の活性は、バクテリオファージの溶菌活性を補充するかまたは増強する。いくつかの実施形態では、バクテリオファージの溶菌活性およびCRISPR-Cas系の活性は相乗的である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージの溶菌活性、CRISPR-Cas系の活性、またはその両方は、バクテリオファージの濃度により調節される。
【0021】
いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系は、成熟crRNAがCas10および他のCasタンパク質によって結合されるIII型系である。
【0022】
いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系はV型系である。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系は、Cas12タンパク質によって結合される。
【0023】
いくつかの実施形態では、(a)本明細書に開示されるバクテリオファージと、(b)薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも2つのバクテリオファージを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも6つのバクテリオファージを含み、各バクテリオファージは、p004k、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、およびp5516に対して少なくとも80%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、錠剤、カプセル、液体、シロップ、経口製剤、静脈内製剤、鼻腔内製剤、眼製剤、耳製剤、皮下製剤、局所製剤、経皮製剤、経粘膜製剤、吸入可能な呼吸器製剤、坐薬、凍結乾燥製剤、噴霧化可能な製剤、およびそれらのあらゆる組合せの形態にある。
【0024】
特定の態様では、除菌を必要とする表面を除菌する方法が本明細書に開示され、上記方法は、CRISPRアレイと、エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列を含むカスケードポリペプチドと、Cas3ポリペプチドとを含むI型CRISPR-Cas系をコードする核酸配列を含むバクテリオファージを、上記表面に塗布する工程を含む。いくつかの実施形態では、表面は、院内表面、ビヒクル表面、装置表面、または工業表面である。
【0025】
特定の態様では、食品製品または栄養補助物質の汚染を予防する方法が本明細書に開示され、上記方法は、食品製品または栄養補助物質に、CRISPRアレイと、エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列を含むカスケードポリペプチドと、Cas3ポリペプチドとを含むI型CRISPR-Cas系をコードする核酸配列を含むバクテリオファージを添加する工程を含む。いくつかの実施形態では、食品製品または栄養補助物質は、牛乳、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、牛乳を用いた発酵製品、アイスクリーム、発酵穀物を用いた製品、牛乳を用いた粉末、乳児用フォーミュラもしくはタブレット、液体懸濁液、乾燥した経口サプリメント、湿式の経口サプリメント、またはドライ・チューブ・フィーディング(dry-tube-feeding)を含む。
【0026】
特定の態様では、エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列を含むCRISPRアレイであって、スペーサー配列が配列番号12または20~37を含むCRISPRアレイと、カスケードポリペプチドと、Cas3ポリペプチドとを含むI型CRISPR-Cas系をコードする核酸配列を含むバクテリオファージが、本明細書に開示される。
【0027】
特定の態様では、p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、またはp5516から選択されるファージに対して少なくとも80%の配列同一性を含むバクテリオファージが本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p004ke007またはp004Ke005に対して少なくとも80%の同一性を含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、CRISPRアレイと、シュードモナス属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的な1つ以上のスペーサー配列を含むカスケードポリペプチドと、Cas3ポリペプチドとをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のスペーサー配列は、配列番号12または20~37のうち少なくとも1つを、または配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、配列番号12または20~37に対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、少なくとも1つのリピート配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端または3’末端のいずれかにおいてスペーサー配列に操作可能に連結される。いくつかの実施形態では、リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、図1A図1Cのいずれか1つに記載されている配列に対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、コード配列を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、非コード配列または遺伝子間配列を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、プロモーター配列のすべてまたは一部を含む。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示の新規な特徴は、とりわけ添付の特許請求の範囲で説明される。本開示の特徴と利点は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態および添付の図面を説明する、以下の詳細な説明を参照することによりさらに良く理解されるであろう。
【0029】
図1A】SC2スペーサー(配列番号55のリンカーを有する配列番号42)を含有するcrArrayの配列および構成を描く。
図1B】ファージp004Ke009、p00c0e030、およびp00exe014(標識PAICアレイ2、配列番号43)に対するアレイ配列を描く。
図1C】pJC_Cfp1アレイ配列(アレイ:配列番号44、配列番号56に示される配列)を描く。
図2】野生型ファージp004kおよびその操作されたバリアントp004ke007のゲノムの概略図である。ゲノム軸より下のバーは、除去かつ置き換えられたゲノムの領域を示す。ファージゲノムより下の概略図は、欠失させられた領域中でWTファージ遺伝子を置換するのに使用されたDNAを例示する。
図3A】大腸菌におけるcrArray/Cas系挿入物の有効性を例示する。図3Aは、大腸菌の3つの菌株(b3402、b3418、またはb4098)を用いて混合されたp004kwt(野生型)およびp004ke007(SC2+Cas系)の寒天プレート上の増殖を描く。
図3B】大腸菌におけるcrArray/Cas系挿入物の有効性を例示する。図3Bは、b3402、b3418、およびb4098それぞれにおける細胞増殖の光学密度の定量化である。
図3C】大腸菌におけるcrArray/Cas系挿入物の有効性を例示する。図3Cは、b3402、b3418、およびb4098それぞれにおける細胞増殖の光学密度の定量化である。
図3D】大腸菌におけるcrArray/Cas系挿入物の有効性を例示する。図3Dは、b3402、b3418、およびb4098それぞれにおける細胞増殖の光学密度の定量化である。
図4】大腸菌の2つの菌株(b2185またはb3911)を用いて混合されたp00EX.015およびp00EXe014.008(3つの完全な構築物のスペーサー)の寒天プレート上の増殖を描く。
図5】選択された構築物を試験するための例示的なCRISPR-Cas系を示す。
図6】標的細菌中のcrRNAアレイを試験するためのプラスミドベースの実験設定を例示する。
図7】スペーサーが高い適用範囲および有効性を有することを実証するデータを示す。
図8】個々のPAICスペーサー死滅試験から得られたデータを示す。
図9A】crRNA単独ではCFU形成において統計的な低下をもたらさないことを示す。
図9B】選択されたスペーサーが内因性EcIF系またはEcIE系を活性化しないことを表すデータを示す。図9Bは、同定されたスペーサーのECIFクロストークを示す。
図9C】選択されたスペーサーが内因性EcIF系またはEcIE系を活性化しないことを示すデータを示す。図9Cは、PAICスペーサーのECIE活性を示す。
図10】エスケープ変異を緩和するための標的部位の数を予測するための変異モデルを示す。
図11】プラスミドベースのPAICアレイ死滅データを示す。
図12A】88-単離株パネル上のCK618および抗生物質の宿主領域を示す。図12Aは、88株全ての宿主域を表す。
図12B】88-単離株パネル上のCK618および抗生物質の宿主領域を示す。図12Bは、21個のMDR株の宿主域を表す。
図12C】88-単離株パネル上のCK618および抗生物質の宿主領域を示す。図12Cは、セフェムを除いた任意のβラクタム耐性を有する31個の株の宿主域を表す。単回処置は、CK618または抗生物質のいずれかを用いた処置である。抗生物質+CK618は、抗生物質およびCK618の組合せである。
図13A】304-単離株パネル上のCK618および抗生物質の宿主領域を示す。図13Aは、304株全ての宿主域を表す。
図13B】304-単離株パネル上のCK618および抗生物質の宿主領域を示す。図13Bは、93個のMDR株の宿主域を表す。
図13C】304-単離株パネル上のCK618および抗生物質の宿主領域を示す。図13Cは、セフェムを除いた任意のβラクタム耐性を有する91個の株の宿主域を表す。単回処置は、CK618または抗生物質のいずれかを用いた処置である。抗生物質+CK618は、抗生物質およびCK618の組合せである。
図14A】CK570ファージカクテルを使用して、操作されたファージ有効性のin vivo試験の概略的設計を示す。
図14B】CK618ファージカクテルを使用して、操作されたファージ有効性のin vivo試験の概略的設計を示す。
図15A】マウスUTIモデルにおけるCK570投与後の腎臓における細菌負荷の低下を実証するデータを示す。
図15B】マウスUTIモデルにおけるCK570投与後の膀胱における細菌負荷の低下を実証するデータを示す。
図15C】マウスUTIモデルにおけるCK570投与後の尿における細菌負荷の低下を実証するデータを示す。
図16A】CK570投与後の腎臓におけるファージの検出可能なレベルを実証するデータを示す。
図16B】CK570投与後の膀胱におけるファージの検出可能なレベルを実証するデータを示す。
図16C】CK570投与後の尿におけるファージの検出可能なレベルを実証するデータを示す。
図16D】CK570投与後の血液におけるファージの検出可能なレベルを実証するデータを示す。
図16E】CK570投与後の脾臓におけるファージの検出可能なレベルを実証するデータを示す。
図17A】マウスUTIモデルにおけるCK618投与後の腎臓における細菌負荷の低下を実証するデータを示す。
図17B】マウスUTIモデルにおけるCK618投与後の膀胱における細菌負荷の低下を実証するデータを示す。
図18A】腎臓におけるCK618の初回尿道内用量の有無にかかわらず、単回用量としてまたは5用量を1日2回の用量として投与された静脈内CK618の体内分布を実証するデータを示す。
図18B】膀胱におけるCK618の初回尿道内用量の有無にかかわらず、単回用量としてまたは5用量を1日2回の用量として投与された静脈内CK618の体内分布を実証するデータを示す。
図18C】血漿におけるCK618の初回尿道内用量の有無にかかわらず、単回用量としてまたは5用量を1日2回の用量として投与された静脈内CK618の体内分布を実証するデータを示す。
図19】OD(光学密度)に対するAUC(曲線下面積)比率および時間のグラフ表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
特定の実施形態では、CRISPR系をコードする核酸配列を含むバクテリオファージが本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、CRISPR系は、エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列を含むCRISPRアレイと、CRISPR関連ヌクレアーゼをコードする核酸配列とを含む。CRISPR系の一例は、(a)CRISPRアレイ(「crArray」とも称する)と、(b)カスケードポリペプチドと、(c)Cas3ポリペプチドとを含むI型CRISPR-Cas系である。別の例はCRISPR-Cpf1系である。さらなるCRISPR系の例としては、II型およびV型のCRISPR-Cas系が挙げられる。
【0031】
本明細書に開示される付加的なバクテリオファージの実施形態は、バクテリオファージDNAを、標的細菌中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列を含むCRISPRアレイと、CRISPRヌクレアーゼをコードする配列とを含むCRISPR系をコードする核酸配列で置き換えるように修飾されたバクテリオファージを含む。
【0032】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージを含む医薬組成物も本明細書に開示される。
【0033】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるバクテリオファージをエシェリキア属種に導入する工程を含む、エシェリキア属種を死滅させる方法が本明細書にさらに開示される。特定の実施形態では、疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法が本明細書にさらに開示され、上記方法は、本明細書に記載されるバクテリオファージを個体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態のバクテリオファージは野生型ファージである。いくつかの実施形態のバクテリオファージは操作されたファージである。いくつかの実施形態のバクテリオファージは、表1に記載の1つ以上のバクテリオファージを、または表1に記載の1つ以上のバクテリオファージに対して少なくとも80%の配列同一性を含む。バクテリオファージは、2つ以上の異なるバクテリオファージをカクテル、例えば、CK618中に含んでもよい。
【0034】
本開示は、例えば、バクテリオファージに取り込むための核酸配列をさらに提供する。いくつかの実施形態では、核酸は、配列番号38~44のいずれか1つに対して少なくとも約80%の同一性を有する。いくつかのそのような核酸配列は、スペーサー配列および/またはリピート配列を含み、スペーサー配列は、存在する場合、標的細菌配列に相補的である。
【0035】
特定の用語
別段の定めのない限り、本明細書中で使用される技術用語と科学用語はすべて、本開示が属する当該技術分野における当業者が共通して理解するものと同じ意味を有する。本明細書中の開示の記載に使用される用語は、特定の実施形態のみを記載することを目的としており、本開示を限定するようには意図されていない。
【0036】
文脈上別段の定めのない限り、本明細書に記載される本開示の種々の特徴があらゆる組合せで使用可能であることが、具体的に意図される。さらに本開示は、いくつかの実施形態では本明細書中に明記されるいずれかの特徴またはその組合せが除外または省略されることも企図している。例示目的では、本明細書中で組成物が成分A、B、およびCを含むと述べられる場合、A、B、もしくはCのいずれか、またはそれらのあらゆる組合せは、単独で、またはあらゆる組合せで省略かつ排除されることが、具体的に意図される。
【0037】
当業者は、文献中で一貫性が欠けていること、および種々のCRISPR-Cas系とその構成要素を指定する用語を統一する試みが当該技術分野で進行中であることに起因して、このような用語の互換性を理解するであろう。
【0038】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、前後関係から明らかでない限り、同様に複数形を含むことが意図される。また、本明細書中で使用されるとき、「および/または」は、列挙された関連項目のうち1つ以上のいずれかおよびすべての考えられ得る組合せのほか、代替物(「または」)で解釈されるときの組合せの欠如を指し、かつ包含している。
【0039】
「約」という用語は、本明細書中で使用されるとき、投与量や期間などの測定可能な値を指す場合、特定された量の±20%、±10%、±5%、±1%、+0.5%、またはさらに±0.1%の変動を指す。本明細書中で使用されるとき、「XとYの間」や「約XとYの間」などの句は、XとYを含むものと解釈されたい。本明細書中で使用されるとき、「約XとYの間」などの句は「約Xと約Yの間」を意味し、「約X~Yの間」などの句は「約X~約Yの間」を意味する。
【0040】
「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、および「含むこと(comprising)」、「含む(includes)」、「含むこと(including)」、「有する(have)」、ならびに「有すること(having)」という用語は、本明細書中で使用されるとき、述べられた特徴、工程、操作、要素、および/または構成要素の存在を明記するが、1つもしくは複数の他の特徴、工程、操作、要素、および/または構成要素の存在も追加も排除するものではない。
【0041】
本明細書中で使用されるとき、「~から本質的になる」という移行句は、請求項の範囲が、請求項中に列挙される特定の材料または工程を包含し、請求された開示の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないものと解釈されるべきであるということを意味する。ゆえに、「~から本質的になる」という用語は、本開示の請求項で使用されるとき、「含む(comprising)」と等価であると解釈されることを意図されていない。
【0042】
「~からなる(consists of)」および「~からなる(consisting of)」という用語は、本明細書中で使用されるとき、特別に直接述べられていないすべての特徴、工程、操作、要素、および/または構成要素を除外する。「~からなる」の使用は、その節で記述される特徴、工程、操作、要素、および/または構成要素のみに限定され、他の特徴、工程、操作、要素、および/または構成要素は全体として請求項から除外される。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用されるとき、「の一部」または「の一部分」または類似の用語は、適用可能な場合、少なくとも10個の隣接する核酸塩基またはアミノ酸を含む。
【0044】
「相補的な」または「相補性」という用語は、本明細書中で使用されるとき、許容される塩と温度条件の下での塩基対合によるポリヌクレオチドの自然な結合を指す。例えば、配列「A-G-T」は、相補的配列「T-C-A」に結合する。2つの一本鎖分子間の相補性は、ヌクレオチドの一部のみが結合される場合は「部分的(partial)」であり、または、すべての相補性が一本鎖分子間に存在する場合は完全である。核酸鎖の間の相補性の程度は、核酸鎖の間のハイブリダイゼーションの効率と強度に対して有意な効果を奏する。
【0045】
「補体(complement)」は、本明細書中で使用されるとき、対照ヌクレオチド配列に対して100%の相補性もしくは同一性を意味するか、または、100%未満の相補性(例えば、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%などの相補性)を意味する。補体または補足可能物(complementable)は、突然変異に対する「補体」、または突然変異を「補足する」という観点でも使用される場合がある。
【0046】
本明細書中で使用されるとき、「CRISPRファージ」、「CRISPR増強ファージ」、および「crPhage」という用語は、CRISPR-Cas系の少なくとも1つの成分をコードする少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドを含むバクテリオファージDNAを含んでいるバクテリオファージ粒子(例えば、CRISPRアレイ、crRNAであり、例えば標的化crRNAの挿入を含むP1バクテリオファージ)を指す。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、CRISPR-Cas系の少なくとも1つの転写活性化因子をコードする。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、CRISPR-Cas系の抗CRISPRポリペプチドの少なくとも1つの成分をコードする。
【0047】
本明細書中で使用されるとき、2個の核酸分子、ヌクレオチド配列、もしくはタンパク質配列の観点で「実質的に同一の」または「実質的な同一性」という句は、最大の対応に対して比較かつアライメントされる場合、後述の配列比較アルゴリズムのうち1つを用いるかまたは目視検査により測定したときに、少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/または100%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の同一性を指す。いくつかの実施形態では、実質的な同一性は、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95、96、96、97、98、または99%の同一性を有する2個以上の配列またはサブ配列を指す。配列比較では一般的に、1個の配列が、試験配列に対する比較対象となる参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列と参照配列はコンピュータに入力され、必要に応じてサブ配列の配位が指定され、サブ配列アルゴリズムプログラムのパラメーターが指定される。次いで、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムのパラメーターに基づき、参照配列に対する試験配列の配列同一性の割合を算出する。
【0048】
比較ウィンドウをアライメントするための最適な配列アライメントは、SmithとWatermanの局所相同アルゴリズム、NeedlemanとWunschの相同アライメントアルゴリズム、PearsonとLipmanの類似度検索法などのツールにより実行され、かつ任意選択で、GAP、BESTFIT、FASTA、TFASTAなど、GCG(登録商標)Wisconsin Package(登録商標)(Accelrys Inc.,San Diego,CA)の一部として利用可能な上記アルゴリズムのコンピュータ実装により実施される。試験配列および参照配列のアライメントされたセグメントに対する「同一性部分(identity fraction)」とは、アライメントされた2個の配列により共有される同一の成分を、参照配列セグメントの成分、すなわち参照配列全体または参照配列のうち定義された小さな部分の総数で割った数である。配列同一性の割合は、同一性部分に100を掛けて表される。1つ以上のポリヌクレオチド配列の比較は、完全長のポリヌクレオチド配列もしくはその部分、またはさらに長いポリヌクレオチド配列に対して行われる。いくつかの例では、「同一性の割合」は、翻訳されたヌクレオチド配列ではBLASTXのバージョン2.0、およびポリヌクレオチド配列ではBLASTNのバージョン2.0を用いて判定される。
【0049】
本明細書で使用されるとき、「標的ヌクレオチド配列」は、CRISPRアレイ中でスペーサー配列に対して完全に相補的または実質的に相補的(例えば、少なくとも70%(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上)相補的)である標的遺伝子の一部(すなわち、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するゲノムまたは「プロトスペーサー配列」中の標的領域)を指す。
【0050】
本明細書中で使用されるとき、「プロトスペーサー隣接モチーフ」または「PAM」という用語は、スペーサー配列に一致するヌクレオチド配列に隣接している標的DNA分子上に存在するDNA塩基配列を指す。このモチーフは、領域に相補的であることによりスペーサー配列が結合する領域の隣にある標的遺伝子に見られ、スペーサーヌクレオチド配列との塩基対合が開始する点を特定する。必要とされる正確なPAM配列は、それぞれ異なるCRISPR-Cas系間で変動する。PAMの非限定的な例には、CCA、CCT、CCG、TTC、AAG、AGG、ATG、GAG、および/またはCCが挙げられる。いくつかの例では、I型の系においてPAMは、スペーサーに一致する配列に対して5’の間近にあるので、スペーサーヌクレオチド配列と塩基対を形成する配列に対して3’であり、カスケードにより直接認識される。いくつかの例では、B.ハロデュランス(B.halodurans)のI-C型系では、PAMはYYCであり、YはTまたはCのいずれかであり得る。いくつかの例では、緑膿菌I-C型系では、PAMはTTCである。いったん同種のプロトスペーサーおよびPAMが認識されると、Cas3が動員され、その後に標的DNAを切断し、分解させる。II型の系では、PAMは、ゲノムを用いたそのガイドRNAのワトソン-クリック対合を介して特異的なDNA配列を調べるためのRループを形成するべく、Cas9/sgRNAに必要とされる。PAMの特異性は、Cas9タンパク質(例えば、Cas9のC末端におけるモチーフ認識ドメインに隣接するプロトスペーサー)のDNA結合特異性に応じる。
【0051】
本明細書で使用されるとき、「遺伝子」という用語は、mRNA、tRNA、rRNA、miRNA、抗microRNA、制御性RNAなどを産生するのに使用可能な核酸分子を指す。遺伝子は、機能タンパク質または遺伝子産物を産生するのに使用可能な場合もあれば、そうでない場合もある。遺伝子は、コード領域と非コード領域(例えば、イントロン、制御要素、プロモーター、エンハンサー、終止配列、ならびに/または5’および3’の未翻訳領域)の両方を含む。遺伝子は、自然の状態にある核酸と関連して通常見出される構成成分から核酸が実質的または本質的に離れるという意味で、「単離される」。このような構成成分として、他の細胞材料、組換え型産生による培養培地、および/または核酸の化学合成に用いられる種々の化学物質が挙げられる。
【0052】
「処置する(treat)」「処置すること(treating)」、または「処置(treatment)」という用語は、対象の疾病の重症度が低下するかまたは少なくとも部分的に改善すること、および、少なくとも1つの臨床症状における一部の緩和、軽減、または低下が達成され、ならびに/あるいは疾患もしくは疾病の進行の遅れ、および/または疾患もしくは病気の発症の遅れが認められることを意図される。感染症、疾患、または疾病に対して、この用語は、感染症、疾患、または疾病の症状または他の徴候の低下を指す。いくつかの実施形態では、処置は、感染症、疾患、または疾病の症状または他の徴候を少なくとも約5%、例えば約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれよりも多く低下させる。
【0053】
「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」、および「予防(prevention)」(およびそれらの文法上の変形)という用語は、感染症、疾患、疾病、および/もしくは臨床症状の発症前に本開示の方法を実行しない場合に生じるものと比較して、対象における感染症、疾患、疾病、および/もしくは臨床症状の発症の予防および/もしくは遅延、ならびに/または、感染症、疾患、疾病、および/もしくは臨床症状の発症の重症度の低下を指す。このため、いくつかの実施形態では、感染症を予防するために、食品、表面、医療ツールおよびデバイスは、本明細書に開示される組成物および方法により処理される。
【0054】
本明細書中で使用される「感染症」、「疾患」、または「疾病」に関する用語は、対象におけるあらゆる不都合な、ネガティブな、または有害な生理学的疾病を指す。いくつかの実施形態では、「感染症」、「疾患」、または「疾病」の原因は、対象におけるおよび/または対象上の標的細菌集団の存在である。いくつかの実施形態では、細菌集団は1つ以上の標的細菌種を含む。いくつかの実施形態では、細菌集団中の1つ以上の細菌種は、1つ以上の細菌の1つ以上の菌株を含む。いくつかの実施形態では、標的細菌集団は、急性または慢性の「感染症」、「疾患」、または「疾病」を引き起こす。いくつかの実施形態では、標的細菌集団は、限局性または全身性の「感染症」、「疾患」、または「疾病」を引き起こす。いくつかの実施形態では、標的細菌集団は、特発性の「感染症」、「疾患」、または「疾病」を引き起こす。いくつかの実施形態では、標的細菌集団は、呼吸器吸入、食物摂取、皮膚および創傷の感染、血流感染、中耳感染、胃腸管感染、腹膜感染、尿路感染、尿生殖路感染、口腔軟組織感染、腹腔内感染、表皮または粘膜の吸収、眼感染(コンタクトレンズ汚染を含む)、心内膜炎、嚢胞性線維症における感染、留置医療機器、例えば、人工関節、歯科インプラント、カテーテル、および心臓インプラントの感染、性的接触、および/または院内感染、ならびに人工呼吸器関連の細菌性肺炎を含むがこれらに限定されない手段によってもたらされる「感染症」、「疾患」または「疾病」を引き起こす。
【0055】
「個体」または「対象」という用語は、本明細書で使用されるとき、感染症、疾患、または疾病に関与する細菌を有しているか、またはそれに罹りやすいあらゆる動物を含む。このため、いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、甲殻類、または軟体動物である。哺乳動物対象として、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、ゴリラ、サル、ヒヒ、チンパンジーなど)、イヌ、ネコ、ヤギ、ウマ、ブタ、ウシ、ヒツジなど、および実験動物(例えば、ラット、モルモット、マウス、アレチネズミ、ハムスターなど)が挙げられるが、これらに限定されない。鳥類対象として、ニワトリ、アヒル、七面鳥、ガチョウ、ウズラ、キジ、およびペットとして飼われている鳥類(例えば、インコ、オウム、コンゴウインコ、ボタンインコ、カナリアなど)が挙げられるが、これらに限定されない。魚類対象には、水産養殖で使用される種(例えば、マグロ、サーモン、ティラピア、ナマズ、コイ、マス、タラ、バス、スズキ、フエダイなど)が挙げられるが、これらに限定されない。甲殻類対象には、水産養殖で使用される種(例えば、小エビ、クルマエビ、ロブスター、ザリガニ、カニなど)が挙げられるが、これらに限定されない。軟体動物対象には、水産養殖で使用される種(例えば、アワビ、ムラサキイガイ、カキ、ハマグリ、ホタテガイなど)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、好適な対象には、胎児(例えば、子宮内または卵内)、乳児、幼児、青年、成人、および高齢者の対象を含め、あらゆる年齢の男性と女性の両対象が挙げられる。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0056】
本明細書中で使用されるとき、核酸配列の文脈における「単離された」という用語は、その自然環境とは別に存在する核酸配列である。
【0057】
本明細書中で使用されるとき、「発現カセット」とは、目的のヌクレオチド配列を含む組換え核酸分子(例えば、本明細書に開示される組換え核酸分子およびCRISPRアレイ)を意味し、ヌクレオチド配列は少なくとも1つの対照配列(例えば、プロモーター)と操作可能に関連付けられる。
【0058】
本明細書中で使用されるとき、「キメラ」とは、少なくとも2つの構成成分が様々な供給源(例えば、様々な生物、様々なコード領域)から由来する核酸分子またはポリペプチドを指す。
【0059】
本明細書中で使用されるとき、「選択可能なマーカー」とは、発現時に、マーカーを発現する宿主細胞に別個の表現型を与えることで、このように形質転換された細胞がマーカーを有していない細胞と区別可能となるヌクレオチド配列を意味する。
【0060】
本明細書中で使用されるとき、「ベクター」とは、核酸(または複数の核酸)を細胞に転写、送達、または導入するための組成物を指す。
【0061】
本明細書中で使用されるとき、「薬学的に許容可能な」とは、生物学的またはその他の点で望ましくないものではない材料を意味し、すなわち、この材料は、毒性などのあらゆる望ましくない生体作用を生じさせることなく対象に投与される。
【0062】
本明細書中で使用されるとき、「バイオフィルム」という用語は、多糖類のマトリックスに埋め込まれる微生物の蓄積物を意味する。バイオフィルムは固形の生体表面または非生体表面上に生じるとともに医学的に重要であり、身体での微生物感染の80パーセントより多くを占めている。
【0063】
本明細書中で使用されるとき、「in vivo」という用語は、対象の身体に生じる事象を説明するために使用される。
【0064】
本明細書で使用するとき、「in vitro」という用語は、材料が得られる生物学的供給源から分離されるように、検査試薬を保持するための容器に包含された状態で事象を説明するために使用される。in vitroアッセイは、生存または死滅している細胞を利用する細胞系アッセイを包含することができる。in vitroアッセイはさらに、無傷の細胞を利用しない無細胞アッセイを包含することができる。
【0065】
CRISPR/CAS系
CRISPR-Cas系は、細菌および古細菌に見られる自然適応免疫系である。CRISPR系は、獲得免疫の一形態をもたらすファージおよびプラスミドへの侵入に対する防御に関与するヌクレアーゼ系である。cas遺伝子のセットおよびそれらの系統発生的関係に基づき、多様なCRISPR-Cas系が存在する。少なくとも6つの異なる型(I~VI)が存在し、I型は細菌と古細菌の両方で特定されるすべての系の50%より多くを表す。いくつかの実施形態では、I型、II型、III型、IV型、V型、またはVI型のCRISPR-Cas系が、本明細書中で使用される。
【0066】
I型の系は、I-A型、I-B型、I-C型、I-D型、I-E型、I-F型、およびI-U型を含む7つのサブタイプに分けられる。I型CRISPR-Cas系は、カスケード(抗ウイルス防御に関連する複合体用)と称される多重サブユニット複合体、Cas3(標的DNAの分解に寄与するヌクレアーゼ、ヘリカーゼ、およびエキソヌクレアーゼ活性を有するタンパク質)、およびcrRNAをコードするCRISPRアレイ(カスケード複合体を安定させ、カスケードおよびCas3をDNA標的に向ける)を含む。カスケードはcrRNAと複合体を形成し、タンパク質とRNAの対は、そのゲノム標的を、crRNA配列の5’末端と所定のプロトスペーサーとの間での相補的塩基対合により認識する。この複合体は、crRNA内でコードされた領域、および病原体ゲノム内でプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を介して、病原体DNAの相同な座位に向けられる。塩基対合はcrRNAと標的DNA配列との間に生じ、コンホメーション変化が引き起こされる。I-E型の系では、PAMはカスケード内でCasAタンパク質により認識されるので、後に隣接するDNAとの結合を解除されて、crRNAの標的部分とスペーサー部分との間の塩基対合の程度が評価される。十分な認識により、カスケードは動員されてCas3を活性化させる。その後、Cas3は非標的鎖にニッキングを行い、3’~5’の方向で鎖を分解し始める。
【0067】
I-C型の系では、タンパク質Cas5、Cas8c、およびCas7は、カスケードエフェクター複合体を形成する。Cas5はプレcrRNA(多重スペーサーアレイの形態、または2つのリピート間で単一スペーサーの形態を呈することができるもの)を処理して、残りのリピート配列と線形配列から形成されるヘアピン構造で構成されるcrRNAを個々に産生する。その後、エフェクター複合体は、処理されたcrRNAに結合してDNAを走査し、PAM部位を特定する。I-C型の系では、PAMはCas8cタンパク質により認識されるので、その後DNA二本鎖の結合を解除するように作用する。PAMの配列3’が、エフェクター複合体に結合されるcrRNAスペーサーに一致する場合、複合体中にコンホメーション変化が生じ、Cas3がその部位に動員される。その後、Cas3は非標的鎖にニッキングを行い、DNAを分解し始める。
【0068】
いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系は、エシェリキア属種に対して内因性である。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系は、エシェリキア属種に対して外因性である。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系はI型CRISPR-Cas系である。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系はI-A型CRISPR-Cas系である。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系はI-B型CRISPR-Cas系である。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系はI-C型CRISPR-Cas系である。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系はI-D型CRISPR-Cas系である。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系はI-E型CRISPR-Cas系である。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系はI-F型CRISPR-Cas系である。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系はI-U型CRISPR-Cas系である。
【0069】
いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系はII型CRISPR-Cas系である。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系はIII型CRISPR-Cas系である。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系はIV型CRISPR-Cas系である。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系はVI型CRISPR-Cas系である。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書中で開示されるCRISPRアレイの処理には、以下のプロセス:1)プレcrRNAをコードする核酸の転写、2)カスケードおよび/またはCas6などカスケードの特定の員の認識、ならびに3)カスケードまたはCas6などカスケードの特定の員によるプレcrRNAの成熟crRNAへの処理が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、I型CRISPR系における作用の形態には、以下のプロセス:4)カスケードとの成熟crRNA複合体形成、5)複合体形成された成熟crRNA/カスケード複合体による標的認識、および6)DNA分解を生じさせる標的におけるヌクレアーゼ活性が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
CRISPRファージ
特定の実施形態では、CRISPR-Cas系を含むバクテリオファージ組成物およびその使用方法が本明細書に開示される。
【0072】
バクテリオファージ、または「ファージ」は、細菌ウイルスの一群を表しており、環境源から操作されるか、または供給される(sourced)。個々のバクテリオファージ宿主の範囲は通常狭く、すなわち、ファージは細菌種の1個の株または数個の株に対して高度に特異的であり、この特異性により、ファージはその抗菌作用において固有のものとなる。バクテリオファージは、複製を行う宿主の細胞の機構に依存する細菌ウイルスである。バクテリオファージは、一般的にその生活様式に応じて毒性ファージまたは溶原性ファージとして分類される。溶菌性バクテリオファージとしても知られる毒性ファージは、溶菌性複製のみを受ける可能性がある。溶菌性バクテリオファージは宿主細胞を感染させて、多数回の複製を受け細胞溶解を引き起こすことで、新たに作られたバクテリオファージ粒子を放出する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される溶菌性バクテリオファージは、その複製能を保持する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される溶菌性バクテリオファージは、その細胞溶解誘発能を保持する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される溶菌性バクテリオファージは、その複製能と細胞溶解誘発能の両方を保持する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバクテリオファージはCRISPRアレイを含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、バクテリオファージが複製を行う、および/または細胞溶解を誘発する能力に影響を及ぼさない。溶原性または溶原(lysogenic)バクテリオファージは溶原化を受ける場合があり、そこでファージは複製を止めて宿主細胞内に安定して存在し、細菌ゲノムに統合されるか、または染色体外プラスミドとして維持される。溶原性ファージはまた、その溶菌性バクテリオファージ相当物と同様の溶菌性複製を受けることができる。溶原性ファージが溶菌により複製するか、または感染後に溶原化を受けるかどうかは、細胞の成長条件や生理学的状態を含む種々の因子に依存する。溶原性ファージがそのゲノムに統合されている細菌細胞は、溶原細菌または溶原菌と称される。悪条件に曝露されると、溶原性ファージの再活性化、溶原性状態の終結、およびファージによる溶解性複製の再開が誘発される場合がある。このプロセスは誘導と呼ばれている。溶原性状態の終結をもたらす悪条件には、枯渇、UVまたはイオン化放射能への曝露、および変異原性化学物質への曝露が挙げられる。これにより、ファージ遺伝子の発現、統合プロセスの逆転、および溶菌性増殖が生じる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される溶原性ファージは、溶菌性にされる。「溶原化遺伝子」という用語は、その遺伝子産物が溶原性ファージの溶原化を促進させるいずれかの遺伝子を指す。溶原化遺伝子は、バクテリオファージの宿主ゲノムへの統合を容易にするインテグラーゼタンパク質の場合のように、直接促進を行うことができる。溶原化遺伝子はまた、溶菌性複製に必要な遺伝子の転写を妨げることで溶原化を維持するCI転写制御因子の場合のように、間接的に溶原化を促進できる。
【0073】
バクテリオファージは、3つの全体的なアプローチを使用して合成DNAを包装し、送達する。第1のアプローチでは、合成DNAは、標的とされた状態でバクテリオファージゲノムに再び組み合わせられるので、通常は選択可能なマーカーに関与する。第2のアプローチでは、ファージ内の制限部位が、in vitroで合成DNAを導入するために使用される。第3のアプローチでは、全体としてファージ包装部位および細胞溶解の複製起点をコードするプラスミドが、バクテリオファージ粒子の集合体の一部として包装される。得られたプラスミドは、鋳造された(coined)「ファージミド」であった。
【0074】
ファージは、発達上の理由で所与の菌株に限定される。場合により、それらの遺伝子材料を互換性のない株へと注入することは、逆効果である。そのためファージは、細菌株の制限された断面を特異的に感染させるために発展した。しかし、一部のファージは、それらの遺伝子材料を広範囲の細菌へと注入することが分かっている。典型例はファージP1であり、グラム陰性菌の範囲でDNAを注入すると示されている。
【0075】
いくつかの実施形態では、第1スペーサー配列またはそこから転写されるcrRNAをコードする第1の核酸配列を含むバクテリオファージが本明細書に開示され、第1のスペーサー配列は、エシェリキア属種における標的遺伝子からの標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、第1のスペーサー配列またはそこから転写されるcrRNAをコードする第1の核酸配列を含み、第1のスペーサー配列は、エシェリキア属種中の標的遺伝子からの標的ヌクレオチド配列に相補的であるが、バクテリオファージが溶菌性にされることを前提とする。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、溶原性バクテリオファージである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、溶原遺伝子の除去、置換え、または不活性化によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子は、バクテリオファージ中の溶原サイクルの維持において役割を果たす。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子は、バクテリオファージ中の溶原サイクルの確立において役割を果たす。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子は、バクテリオファージ中の溶原サイクルの確立と溶原サイクルの維持の両方において役割を果たす。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子は抑制因子遺伝子である。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子はcI抑制遺伝子である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、溶原性遺伝子の調節要素の除去によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、溶原性遺伝子のプロモーターの除去によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、溶原性遺伝子の機能要素の除去により溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子は活性化因子遺伝子である。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子はcII遺伝子である。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子はint(インテグラーゼ)遺伝子である。いくつかの実施形態では、2つ以上の溶原性遺伝子は、バクテリオファージ溶菌サイクルの阻止および/または溶原化サイクルの誘導を生じさせるために除去、置換え、または不活性化される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、溶原遺伝子を対象とする第2のスペーサーを含む第2のCRISPRアレイを介して溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、1つ以上の溶菌性遺伝子の挿入によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、溶菌サイクルの誘導に寄与する1つ以上の遺伝子の挿入によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、溶菌サイクルの誘導に寄与する1つ以上の遺伝子の発現を改質することにより溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、表現型上、溶原バクテリオファージから溶菌性バクテリオファージに変化する。いくつかの実施形態では、表現型の変化は、溶原化が不可能であることから、バクテリオファージを溶菌性にするために自己標的化CRISPR-Cas系を介して行われる。いくつかの実施形態では、自己標的化CRISPR-Casは、プロファージゲノムからの自己標的化crRNAを含み、溶原菌を死滅させる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、環境の改質により溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、環境の改質には、温度、pH、または栄養素の改質、抗生物質、過酸化水素、外来性DNA、またはDNA損傷剤への曝露、有機炭素の存在、および重金属(例えば、クロム(VI)の形にあるもの)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、溶菌性にされるバクテリオファージは、溶原状態に戻ることを防止される。いくつかの実施形態では、溶菌性にされるバクテリオファージは、追加のCRIPSRアレイの導入により溶原状態に戻ることを防止される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、バクテリオファージの溶菌活性および/またはCRISPRアレイの活性による細胞死因を越えて、エシェリキア属種上に新たな特性を付与しない。いくつかの実施形態では、第1のスペーサー配列またはそこから転写されるcrRNAをコードする第1の核酸配列を含む溶原性バクテリオファージがさらに本明細書に開示され、第1のスペーサー配列は、エシェリキア属種における標的遺伝子からの標的ヌクレオチド配列に相補的であるが、バクテリオファージが溶菌性にされることを前提とする。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、複数の細菌株を感染させる。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、標的遺伝子に対するプロモーター配列のすべてまたは一部を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、標的遺伝子の転写された領域のコード鎖に位置するヌクレオチド配列のすべてまたは一部を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、エシェリキア属種の生存に必要とされる必須遺伝子の少なくとも一部を含む。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、glmS、fus、adk、rpsK、rplR、ctrA、parC、tRNA-Ser、tRNA-Asn、またはmetKである。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、非必須遺伝子にある。非必須遺伝子の非制限的な例としては、ppSa(例えば、SC2)、raiA(例えば、SC6)、および遺伝子間の保存されたリピート(例えば、SC6)が挙げられる。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、非コード配列である。いくつかの実施形態では、非コード配列は、遺伝子間配列である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、エシェリキア属種において高度に保存された配列の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、エシェリキア属種における配列の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、必須遺伝子のプロモーター配列のすべてまたは一部を含む標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、少なくとも1つのリピート配列を含む第1のCRISPRアレイを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端または3’末端のいずれかにおいて第1のスペーサー配列に操作可能に連結される。
【0076】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージまたはファージミドDNAは、溶原または溶原性バクテリオファージからのものである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージまたはファージミドとしては、P1ファージ、M13ファージ、λファージ、T4ファージ、φC2ファージ、φCD27ファージ、φNM1ファージ、Bc431 v3ファージ、φ10ファージ、φ25ファージ、φ151ファージ、A511様ファージ、B054、0176様ファージ、またはカンピロバクターファージ(NCTC 12676およびNCTC 12677など)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、バクテリオファージとしては、p004ke007、p004Ke005、p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、またはp5516が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
いくつかの実施形態では、複数のバクテリオファージが一緒に使用される。いくつかの実施形態では、一緒に使用される複数のバクテリオファージは、試料または対象中の同じまたは異なる細菌を標的とする。
【0078】
いくつかの実施形態では、目的のバクテリオファージは、環境供給源または市場調査ベンダーから得られる。いくつかの実施形態では、得られたバクテリオファージは、細菌のライブラリーおよびその関連する株に対する溶菌活性についてスクリーニングされる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、スクリーニングされた細菌において一次抵抗を精製する能力について、細菌のライブラリーおよびその関連する株に対してスクリーニングされる。
【0079】
いくつかの実施形態では、核酸はバクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態では、核酸は、crArray、Cas系、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、目的のオペロンの末端の転写ターミネーター部位でバクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上の除去された非必須遺伝子の置換えとしてバクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上の除去された溶原遺伝子の置換えとしてバクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態では、非必須および/または溶原遺伝子の核酸での置換えは、バクテリオファージの溶菌活性を増強する。いくつかの実施形態では、非必須および/または溶原遺伝子の核酸での置換えは、溶原バクテリオファージを溶菌性にする。
【0080】
いくつかの実施形態では、核酸は第1の位置でバクテリオファージゲノムに導入される一方で、1つ以上の非必須および/または溶原遺伝子は、別個の位置でバクテリオファージゲノムから別々に除去および/または不活性化される。いくつかの実施形態では、1つ以上の非必須および/または溶原遺伝子の除去は、溶原バクテリオファージを溶菌性バクテリオファージにする。同様に、いくつかの実施形態では、1つ以上の溶菌性遺伝子がバクテリオファージに導入され、非溶菌性の溶原バクテリオファージを溶菌性バクテリオファージにする。
【0081】
いくつかの実施形態では、1つ以上の非必須および/または溶原遺伝子の置換え、除去、不活性化、またはそれらのあらゆる組合せは、化学的、生化学的、および/またはあらゆる適切な方法により達成される。いくつかの実施形態では、1つ以上の溶菌性遺伝子の挿入は、あらゆる適切な化学的、生化学的、および/または相同組換えによる物理的方法により達成される。
【0082】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージから除去および/または置き換えられる非必須遺伝子は、バクテリオファージの生存に必須ではない遺伝子である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージから除去および/または置き換えられる非必須遺伝子は、溶菌サイクルの導入および/または維持に必須ではない遺伝子である。
【0083】
特定の実施形態では、完全な外因性CRISPR系を含むバクテリオファージが本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系は、I型CRISPR-Cas系、II型CRISPR-Cas系、III型CRISPR-Cas系、IV型CRISPR-Cas系、V型CRISPR-Cas系、またはVI型CRISPR-Cas系である。特定の実施形態では、(a)CRISPRアレイと、(b)カスケードポリペプチドと、(c)Cas3ポリペプチドとを含むI型CRISPR-Cas系をコードする核酸配列を含むバクテリオファージが本明細書に開示される。例示的なI型成分の配列は、配列番号47~54として提供される。特定の実施形態では、Cpf1ヌクレアーゼポリペプチド関連CRISPRアレイを含むV型CRISPR-Cpf1(Cas12a)系をコードする核酸配列を含むバクテリオファージが本明細書に開示される。Cpf1配列の一例は、配列番号46として提供される。いくつかの実施形態では、CRISPR系は、配列番号46~54のいずれか1つに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPR系は、配列番号46~54のいずれか1つを含む。例えば、CRISPR系は、配列番号46に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列、配列番号47に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列、配列番号48に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列、配列番号49に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列、配列番号50に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列、配列番号51に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列、配列番号52に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列、配列番号53に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列、または配列番号54に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列、あるいはそれらのあらゆる組合せを含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージはp004ke007である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージはp004Ke005である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージはp004Kである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージはp00c0である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージはp00exである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージはp00jcである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージはp00keである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージはp5516である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージはp004ke009である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージはp00c0e030である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージはp00exe014である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、表1に列挙されるファージを含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、複数のバクテリオファージが一緒に使用される。いくつかの実施形態では、一緒に使用される複数のバクテリオファージは、試料または対象中の同じまたは異なる細菌を標的とする。いくつかの実施形態では、複数のバクテリオファージを含むカクテルが、一緒に使用される。いくつかの実施形態では、カクテルは、表1から選択される少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多くのファージを含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、表1から選択される2個のファージを含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、表1から選択される3個のファージを含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、表1から選択される3個のファージを含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、表1から選択される4個のファージを含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、表1から選択される5個のファージを含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、表1から選択される6個のファージを含む。いくつかの実施形態では、カクテル中の少なくとも1つのバクテリオファージは、(例えば、表2~表4の1つ以上の成分を含む)CRISPRアレイを含む。いくつかの実施形態では、カクテル中に存在する少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多くのバクテリオファージは、CRISPRアレイを含む。いくつかの実施形態では、カクテル中の少なくとも1つのバクテリオファージは、カスケードポリペプチドをコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、カクテル中に存在する少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多くのバクテリオファージは、カスケードポリペプチドをコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、カクテル中の少なくとも1つのバクテリオファージは、Cas3ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、カクテル中に存在する少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多くのバクテリオファージは、Cas3ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、p004ke009、p00c0e030、p00exe014を含み、各バクテリオファージは、I型CRISPR-Cas系を含む。いくつかの実施形態では、カクテルはp5516をさらに含む。いくつかの実施形態では、カクテルはp00jcをさらに含む。いくつかの実施形態では、カクテルはp00keをさらに含む。
【0086】
CRISPRアレイ
いくつかの実施形態では、CRISPRアレイ(crArray)は、スペーサー配列と少なくとも1つのリピート配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、処理された成熟crRNAをコードする。いくつかの実施形態では、成熟crRNAは、ファージまたはエシェリキア属種に導入される。いくつかの実施形態では、内因性または外因性Cas6は、CRISPRアレイを成熟crRNAへと処理する。いくつかの実施形態では、外因性Cas6はファージに導入される。いくつかの実施形態では、ファージは外因性Cas6を含む。いくつかの実施形態では、外因性Cas6はエシェリキア属種に導入される。
【0087】
いくつかの実施形態では、CRISPRアレイはスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、少なくとも1つのリピート配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端または3’末端のいずれかにおいてスペーサー配列に操作可能に連結される。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは任意の長さであり、かつ、1つ以上の必須遺伝子を標的とすることにより所望のレベルのエシェリキア属種の死滅を達成するのに必要な反復ヌクレオチド配列と交互になっている任意の数のスペーサーヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、1~約100個のスペーサーヌクレオチド配列を含むか、当該配列から本質的になるか、または当該配列からなり、それぞれがその5’末端および3’末端上で反復ヌクレオチド配列に連結される。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、またはそれより多くのスペーサーヌクレオチド配列を含むか、当該配列から本質的になるか、または当該配列からなる。
【0088】
いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、配列番号38に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは配列番号38を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表3に記載のスペーサー(例えば、表3に記載の1、2、または3つのスペーサー)に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表3に記載のスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表3に記載のリピート(例えば、表3に記載の1、2、または3つのスペーサー)に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表3に記載のリピートを含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表1に記載のプロモーターに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表1に記載のプロモーターを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、配列番号39に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは配列番号39を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表3に記載のスペーサー(例えば、表3に記載の1、2、または3つのスペーサー)に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表3に記載のスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表3に記載のリピート(例えば、表3に記載の1、2、または3つのスペーサー)に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表3に記載のリピートを含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表1に記載のプロモーターに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表1に記載のプロモーターを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、配列番号40に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは配列番号40を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表3に記載のスペーサー(例えば、表3に記載の1、2、または3つのスペーサー)に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表3に記載のスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表3に記載のリピート(例えば、表3に記載の1、2、または3つのスペーサー)に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表3に記載のリピートを含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表1に記載のプロモーターに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表1に記載のプロモーターを含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、配列番号41に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは配列番号41を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表3に記載のスペーサー(例えば、表3に記載の1、2、または3つのスペーサー)に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表3に記載のスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表3に記載のリピート(例えば、表3に記載の1、2、または3つのスペーサー)に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表3に記載のリピートを含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表1に記載のプロモーターに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表1に記載のプロモーターを含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、配列番号42に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは配列番号42を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表3に記載のスペーサー(例えば、表3に記載の1、2、または3つのスペーサー)に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表3に記載のスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表3に記載のリピート(例えば、表3に記載の1、2、または3つのスペーサー)に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表3に記載のリピートを含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表1に記載のプロモーターに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表1に記載のプロモーターを含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、配列番号43に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは配列番号43を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表3に記載のスペーサー(例えば、表3に記載の1、2、または3つのスペーサー)に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表3に記載のスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表3に記載のリピート(例えば、表3に記載の1、2、または3つのスペーサー)に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表3に記載のリピートを含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表1に記載のプロモーターに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表1に記載のプロモーターを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、配列番号44に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは配列番号44を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表3に記載のスペーサー(例えば、表3に記載の1、2、または3つのスペーサー)に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表3に記載のスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表3に記載のリピート(例えば、表3に記載の1、2、または3つのスペーサー)に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表3に記載のリピートを含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは、表1に記載のプロモーターに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイは表1に記載のプロモーターを含む。
【0095】
スペーサー配列
いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、コード領域である。いくつかの実施形態では、コード領域は必須遺伝子である。いくつかの実施形態では、コード領域は非必須遺伝子である。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、非コード配列である。いくつかの実施形態では、非コード配列は、遺伝子間配列である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、エシェリキア属種において高度に保存された配列の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、エシェリキア属種における配列の標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、必須遺伝子のプロモーター配列のすべてまたは一部を含む標的ヌクレオチド配列に相補的である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、標的ヌクレオチド配列と比較して1、2、3、4、または5つのミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、ミスマッチは隣接している。いくつかの実施形態では、ミスマッチは隣接していない。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、標的ヌクレオチド配列に対して70%の相補性を有している。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、標的ヌクレオチド配列に対して80%の相補性を有している。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、標的ヌクレオチド配列に対して85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%相補性である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、標的ヌクレオチド配列に対して100%の相補性を有している。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、長さが少なくとも約8ヌクレオチド~約150ヌクレオチドである標的ヌクレオチド配列の領域にわたり、完全な相補性または実質的な相補性を有している。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、長さが少なくとも約20ヌクレオチド~約100ヌクレオチドである標的ヌクレオチド配列の領域にわたり、完全な相補性または実質的な相補性を有している。いくつかの実施形態では、スペーサー配列の5’領域は標的ヌクレオチド配列に対し100%相補的であり、一方でスペーサーの3’領域は標的ヌクレオチド配列に対して実質的に相補的であるため、標的ヌクレオチド配列に対するスペーサー配列の全体的な相補性は、100%未満である。例えば、いくつかの実施形態では、20ヌクレオチドスペーサー配列(シード領域)の3’領域における最初の7、8、9、10、11、12、13、14、15、16ヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に対して100%相補的であり、一方でスペーサー配列の5’領域における残りのヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に対して実質的に相補的である(例えば、少なくとも約70%相補的である)。いくつかの実施形態では、スペーサー配列の3’末端の最初の7~12ヌクレオチドは標的ヌクレオチド配列に対して100%相補的であり、一方でスペーサー配列の5’領域における残りのヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に対して実質的に相補的である(例えば、少なくとも約50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)相補的である)。いくつかの実施形態では、スペーサー配列の3’末端における最初の7~10ヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に対して75%~99%相補的であり、一方でスペーサー配列の5’領域における残りのヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に対して少なくとも約50%~約99%相補的である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列の3’末端における最初の7~10ヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に対して100%相補的であり、一方でスペーサー配列の5’領域における残りのヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に対して実質的に相補的である(例えば、少なくとも70%相補的である)。いくつかの実施形態では、スペーサー配列の(シード領域内の)最初の10ヌクレオチドは標的ヌクレオチド配列に対して100%相補的であり、一方でスペーサー配列の5’領域における残りのヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に対して実質的に相補的である(例えば、少なくとも約70%相補的である)。いくつかの実施形態では、スペーサー配列の5’領域(例えば、5’末端にある最初の8ヌクレオチド、5’末端にある最初の10ヌクレオチド、5’末端にある最初の15ヌクレオチド、5’末端にある最初の20ヌクレオチド)は、標的ヌクレオチド配列に対して約75%以上の相補性(75%~約100%の相補性)を有しており、一方でスペーサー配列の残りは、標的ヌクレオチド配列に対して約50%以上の相補性を有している。いくつかの実施形態では、スペーサー配列の5’末端における最初の8ヌクレオチドは、標的ヌクレオチド配列に対して100%の相補性を有しているか、または1つもしくは2つの変異を有しているので、それぞれ標的ヌクレオチド配列に対して約88%相補的または約75%相補的であり、一方でスペーサーヌクレオチド配列の残りは、標的ヌクレオチド配列に対して少なくとも約50%以上相補的である。
【0096】
いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、長さが約15ヌクレオチド~約150ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、スペーサーヌクレオチド配列は、長さが約15ヌクレオチド~約100ヌクレオチドである(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100ヌクレオチド、またはそれ以上である)。いくつかの実施形態では、スペーサーヌクレオチド配列は、長さが約8~約150ヌクレオチド、約8~約100ヌクレオチド、約8~約50ヌクレオチド、約8~約40ヌクレオチド、約8~約30ヌクレオチド、約8~約25ヌクレオチド、約8~約20ヌクレオチド、約10~約150ヌクレオチド、約10~約100ヌクレオチド、約10~約80ヌクレオチド、約10~約50ヌクレオチド、約10~約40ヌクレオチド、約10~約30ヌクレオチド、約10~約25ヌクレオチド、約10~約20ヌクレオチド、約15~約150ヌクレオチド、約15~約100ヌクレオチド、約15~約50ヌクレオチド、約15~約40ヌクレオチド、約15~約30ヌクレオチド、約20~約100ヌクレオチド、約20~約80ヌクレオチド、約20~約50ヌクレオチド、約20~約40ヌクレオチド、約20~約30ヌクレオチド、約20~約25ヌクレオチド、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約32、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも44、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150ヌクレオチド、またはそれ以上、およびその中のいずれかの値または範囲である。いくつかの実施形態では、緑膿菌I-C型Cas系は、約30~39ヌクレオチド、約31~約38ヌクレオチド、約32~約37ヌクレオチド、約33~約36ヌクレオチド、約34~約35ヌクレオチド、または約35ヌクレオチドのスペーサー長を有する。いくつかの実施形態では、緑膿菌I-C型Cas系は、約34ヌクレオチドのスペーサー長を有する。いくつかの実施形態では、緑膿菌I-C型Cas系は、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約26、少なくとも約27、少なくとも約29、少なくとも約29、少なくとも約30、少なくとも約31、少なくとも約32、少なくとも約33、少なくとも34、少なくとも約35、少なくとも約36、少なくとも約37、少なくとも約38、少なくとも約39、少なくとも約20、少なくとも約41、少なくとも約42、少なくとも約43、少なくとも約44、少なくとも約45、または約45より大きなヌクレオチドのスペーサー長を有する。
【0097】
いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、配列番号12または20~37に対して、少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの例では、スペーサー配列は、配列番号12または20~37に対して少なくともまたは約90%の相同性を含む。いくつかの例では、スペーサー配列は、配列番号12または20~37に対して少なくともまたは約97%の相同性を含む。いくつかの例では、スペーサー配列は、配列番号12または20~37に対して少なくともまたは約99%の相同性を含む。いくつかの例では、スペーサー配列は、配列番号12または20~37に対して100%の相同性を含む。いくつかの例では、スペーサー配列は、配列番号12または20~37の、少なくともまたは約3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または34より多くのヌクレオチドを有している少なくとも一部を含む。
【0098】
「配列同一性」という用語は、2つのポリヌクレオチド配列が比較ウィンドウ上で同一である(すなわち、ヌクレオチド対ヌクレオチドベースで)ことを意味する。「配列同一性の割合」という用語は、最適にアライメントされた2つの配列を比較ウィンドウ上で比較し、同一の核酸塩基(例えばA、T、C、G、U、またはI)が両配列に生じる位置の数を求めることで一致した位置の数を得て、この一致した位置の数を比較ウィンドウの位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)で割り、その結果に100を掛けることで配列同一性のパーセンテージを得ることによって、算出される。
【0099】
2つのタンパク質間における「相同性」または「類似性」という用語は、アミノ酸配列および1つのタンパク質配列のその保存されたアミノ酸置換を、第2のタンパク質配列と比較することにより決定される。類似性は、当該技術分野で周知の手順、例えばBLASTプログラム(Basic Local Alignment Search Tool at the National Center for Biological Information)により決定され得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、CRISPRアレイの2つ以上のスペーサー配列の同一性は、同じである。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイの2つ以上のスペーサー配列の同一性は、異なっている。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイの2つ以上のスペーサー配列の同一性は異なっているが、1つ以上の標的ヌクレオチド配列に対して相補的である。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイの2つ以上のスペーサー配列の同一性は異なっており、重複する配列である1つ以上の標的ヌクレオチド配列に対して相補的である。いくつかの実施形態では、CRISPRアレイの2つ以上のスペーサー配列の同一性は異なっており、重複する配列でない1つ以上の標的ヌクレオチド配列に対して相補的である。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、生物のゲノムにおいてPAM配列(標的領域のすぐ3’に位置するPAM配列)の真隣りに位置する、長さが約10~40の連続したヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、PAM(プロトスペーサー隣接モチーフ)に隣接するか、またはその隣に位置する。
【0101】
PAM配列は、領域に相補的であることによりスペーサー配列が結合する領域の隣にある標的遺伝子に見られ、スペーサーヌクレオチド配列との塩基対形成が開始する点を特定する。必要とされる正確なPAM配列は、異なるCRISPR-Cas系間で変動し、確立されたバイオインフォマティクスおよび実験手順を介して特定される。PAMの非限定的な例には、CCA、CCT、CCG、TTC、AAG、AGG、ATG、GAG、および/またはCCが挙げられる。I型の系において、PAMは、スペーサーに一致する配列のすぐ5’に位置するので、スペーサーヌクレオチド配列と塩基対を形成する配列に対して3’に位置し、カスケードにより直接認識される。一旦、プロトスペーサーが認識されると、カスケードは、通常エンドヌクレアーゼCas3を動員することで、標的DNAを切断して分解する。II型の系では、PAMは、ゲノムを用いたそのガイドRNAのワトソン-クリック対合を介して特異的なDNA配列を調べるためのRループを形成するべく、Cas9/sgRNAに必要とされる。PAMの特異性は、Cas9タンパク質(例えば、Cas9のC末端におけるプロトスペーサー隣接モチーフ認識ドメイン)のDNA結合特異性に応じる。
【0102】
いくつかの実施形態では、死滅させられる細菌中の標的ヌクレオチド配列は、目的の必須標的ヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、非必須配列である。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子のプロモーターコードするヌクレオチド配列もしくはその補体のすべてまたは一部を含むか、それらから本質的になるか、あるいはそれらからなる。いくつかの実施形態では、スペーサーヌクレオチド配列は、必須遺伝子のプロモーターまたはその一部に相補的である。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子のコードまたは非コード鎖に位置するヌクレオチド配列のすべてまたは一部を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子の転写された領域のコーディング上に位置するヌクレオチド配列のすべてまたは一部を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、その生存に重要である生物の任意の遺伝子である。しかし、必須であるということは、生物が生存している環境に大きく左右される。例えば、デンプンの消化に必要な遺伝子は、デンプンが唯一のエネルギー源である場合にのみ必須である。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、標的遺伝子に対するプロモーター配列のすべてまたは一部を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、標的遺伝子の転写された領域のコード鎖上に位置するヌクレオチド配列のすべてまたは一部を含む。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、エシェリキア属種の生存に必要とされる必須遺伝子の少なくとも一部を含む。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、glmS、fus、adk、rpsK、rplR、ctrA、parC、tRNA-Ser、tRNA-Asn、またはmetKである。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、非必須遺伝子またはその一部を含む。いくつかの実施形態では、非必須遺伝子は、その生存に重要ではない生物の任意の遺伝子である。しかし、非必須であるということは、生物が生存している環境に大きく左右される。非必須遺伝子の非制限的な例としては、ppSa(例えば、SC2)、raiA(例えば、SC6)、および遺伝子間の保存されたリピート(例えば、SC6)が挙げられる。
【0104】
いくつかの実施形態では、目的の標的ヌクレオチド配列の非限定的な例としては、転写調節因子、翻訳調節因子、ポリメラーゼ遺伝子、代謝酵素、輸送体、RNase、プロテアーゼ、DNA複製酵素、DNA修飾もしくは分解酵素、調節性RNA、転移RNA、またはリボソームRNAをコードする、標的ヌクレオチド配列が挙げられる。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、細胞分裂、細胞構造、代謝、運動性、病原性、毒性、または抗生物質耐性に関与する遺伝子からの配列である。いくつかの実施形態では、標的ヌクレオチド配列は、その機能がまだ特徴付けられていない仮定的遺伝子からの配列である。したがって、例えば、これら遺伝子は、任意の細菌由来の任意の遺伝子である。
【0105】
いくつかの実施形態では、完全構築物ファージに適切なスペーサー配列は、代表的なゲノムの検索セットの位置決め、関連パラメーターを用いたゲノムの検索、およびCRISPRで操作されたファージに使用するためのスペーサーの質の決定により特定される。
【0106】
最初に、代表的なゲノムの適切な検索セットが位置決めされ、目的の生物/種/標的のために獲得される。いくつかの実施形態では、代表的なゲノムのセットは、NCBI GenBankまたはPATRICデータベースを含むがこれらに限定されない、種々のデータベースで見つけることができる。NCBI GenBankは利用可能な最大のデータベースの1つであり、現時点で配列決定されたほぼすべての生物に関する参照ゲノムおよび提出されたゲノムの混合物を包含している。具体的に、病原性原核生物において、PATRIC(Pathosystems Resource Integration Center)のデータベースでは、ゲノムの付加的で包括的な資源が提供されており、臨床的に関連性のある株および薬物製品に関連するゲノムに対し焦点が当てられている。上記のデータベースはともに、FTP(File Transfer Protocol)サーバーを介したゲノムの大規模(bulk)なダウンロードを可能にして、迅速かつプログラム的なデータセットの取得を可能にする。
【0107】
次に、関連パラメーターを用いてゲノムを検索し、適切なスペーサー配列を位置決めする。いくつかの実施形態では、ゲノムは、正(forward)と逆両方の相補配向において開始から終了まで読み取られることができ、PAM(プロトスペーサー隣接モチーフ)部位を含有するDNAの隣接する伸張部を位置決めされる。スペーサー配列は、PAM部位に隣接するN長のDNA配列3’または5’となり(CRISPR系の種類に応じる)、Nは、目的のCas系に特異的であり、一般的に事前に把握される。PAM配列およびスペーサー配列の特徴付けは、Cas系の発見および初期の研究中に実行され得る。観察されたPAM隣接スペーサーはすべて、ダウンストリームでの使用のためにファイルおよび/またはデータベースに保存され得る。必要とされる正確なPAM配列は、異なるCRISPR-Cas系間で変動し、確立されたバイオインフォマティクスおよび実験手順を介して特定される。
【0108】
次に、CRISPR操作されたファージに使用するためのスペーサーの質が決定される。観察されたスペーサーはそれぞれ、どのくらいの数の評価されたゲノムの中に存在しているのかを決定するために評価され得る。観察されたスペーサーは、それらが所与のゲノムそれぞれにどのくらいの頻度で生じ得るのかを確認するために評価され得る。ゲノムごとに1より多くの位置に生じるスペーサーは、突然変異が生じる場合にCas系が標的部位を認識できない場合があり、追加の「バックアップ」部位がそれぞれ、適切で変異のない標的位置が存在する可能性を増大させることから、有利であり得る。観察されたスペーサーは、ゲノムの機能注釈された領域に生じるかどうかを決定するために評価され得る。このような情報が利用可能な場合、それらゲノム領域が生物の生存と機能に「必須」どうかを決定するために、機能注釈がさらに評価されてもよい。目的の評価されたゲノムのすべて、またはほぼすべて(99%以上)に生じるスペーサーに焦点を置くことにより、スペーサーの選択は、多くの標的とされたゲノムに広く適用できる場合がある。保存されたスペーサーの大きな選択プールが存在する場合、既知の機能を有するゲノムの領域に生じるスペーサーが優先される場合があり、それらゲノム領域が生存に「必須」であり、ゲノムごとに1回より多く生じる場合にはさらに優先される。
【0109】
いくつかの実施形態では、完全構築物ファージのスペーサー配列が検証される。いくつかの実施形態では、第1の工程は、目的の生物、種、または標的において反復するプラスミドを特定することを含む。いくつかの実施形態では、プラスミドは選択可能なマーカーを有する。いくつかの実施形態では、選択可能なマーカーは、抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの実施形態では、発現カセットは、選択可能なマーカーのヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、選択可能なマーカーは、アデニンデアミナーゼ(ada)、ブラスチシジンSデアミナーゼ(Bsr、BSD)、ブレオマイシン結合タンパク質(Ble)、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)、ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ(hisD)、グルタミンシンセターゼ(GS)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)、シトシンデアミナーゼ(codA)、ピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼ(Pac)、またはヒグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(Hph)、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、テトラサイクリン、ポリミキシンB、エリスロマイシン、カルベニシリン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシン、ピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼ(Pac)、またはゼオシン(Sh bla)である。いくつかの実施形態では、選択可能なマーカーは、チミジル酸シンターゼ、チミジンキナーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、またはグルタミンシンセターゼに関与する遺伝子である。いくつかの実施形態では、選択可能なマーカーは、蛍光タンパク質をコードする遺伝子である。
【0110】
いくつかの実施形態では、第2の工程は、Cas系をコードする遺伝子をプラスミドに挿入して、目的の生物、種、または標的において発現されるようにすることを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターはCas系の上流に提供される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、Cas系の発現を誘導するために目的の生物、種、または標的により認識される。例示的なプロモーターには、L-アラビノース誘導性(araBAD、PBAD)プロモーター、任意のlacプロモーター、L-ラムノース誘導性(rhaPBAD)プロモーター、T7 RNAポリメラーゼプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、ラムダファージプロモーター(pLpL-9G-50)、アンヒドロテトラサイクリン-誘導性(tetA)プロモーター、trp、Ipp、phoA、recA、proU、cst-1、cadA、nar、Ipp-lac、cspA、11-lacオペレーター、T3-lacオペレーター、T4遺伝子32、T5-lacオペレーター、nprM-lacオペレーター、Vhb、プロテインA、コリネバクテリア大腸菌様プロモーター、thr、horn、ジフテリア毒素プロモーター、sig A、sig B、nusG、SoxS、katb、α-アミラーゼ(Pamy)、Ptms、P43(2つの重複するRNAポリメラーゼσ因子認識部位、σΑ、σΒで構成される)、Ptms、P43、rplK-rplA、フェレドキシンプロモーター、および/またはキシロースプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、プロモーターは、BBa_J23102、BBa_J23104、またはBBa_J23109である。いくつかの実施形態では、プロモーターは、内因性CRISPRプロモーター、内因性Casオペロンプロモーター、p16、plpp、またはptatなどの生物、種、または標的細菌に由来する。いくつかの実施形態では、プロモーターは、gp105またはgp245のプロモーターなどのファージプロモーターである。いくつかの実施形態では、リボソーム結合部位(RBS)は、プロモーターとCas系との間に提供される。いくつかの実施形態では、RBSは、目的の生物、種、または標的により認識される。
【0111】
いくつかの実施形態では、第3の工程は、ゲノム標的化スペーサーをプラスミドへと提供することを含む。いくつかの実施形態では、ゲノム標的化スペーサーは、バイオインフォマティクスを使用して特定される。いくつかの実施形態では、ゲノム標的化スペーサーは、リピート-スペーサー-リピートの上流に提供される。いくつかの実施形態では、プロモーターが提供される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、crRNAの発現を誘導するために目的の生物、種、または標的により認識される。いくつかの実施形態では、第3の工程におけるクローニングは、クローニングされるスペーサーによって標的化されない生物または種を使用することを含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、第4の工程は、非標的スペーサーを、Cas系を発現するプラスミドへと提供することを含む。いくつかの実施形態では、非標的スペーサーは、ランダムである配列を含む。いくつかの実施形態では、非標的スペーサーは、目的の生物、種、または標的のゲノム中に標的化部位を含まない配列を含む。いくつかの実施形態では、非標的スペーサー配列は、バイオインフォマティクスを使用して、目的の生物、種、または標的のゲノム中に標的化部位を含まないことが決定される。いくつかの実施形態では、非標的スペーサー配列は、リピート-スペーサー-リピートの上流に提供される。いくつかの実施形態では、プロモーターが提供される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、crRNAの発現を誘導するために目的の生物、種、または標的により認識される。
【0113】
いくつかの実施形態では、第5の工程は、生成された各スペーサーの有効性を決定することを含む。いくつかの実施形態では、死滅の有効性が決定される。いくつかの実施形態では、細菌ゲノムの標的化における各スペーサーの有効性が、決定される。いくつかの実施形態では、スペーサーを含むプラスミドは、非標的化スペーサーを含むプラスミドと比較して、約0.5倍、約1倍、5倍、10倍、20倍、40倍、60倍、80倍、または最大約100倍の移動速度の低下を含む。
【0114】
反復ヌクレオチド配列
いくつかの実施形態では、CRISPRアレイの反復ヌクレオチド配列は、CRISPR-Cas系の任意の既知の反復ヌクレオチド配列のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、反復ヌクレオチド配列は、CRISPR-Cas系からのネイティブリピート(native repeat)(例えば、内部ヘアピン)の二次構造を含む合成配列の配列である。いくつかの実施形態では、反復ヌクレオチド配列は、CRISPR-Cas系の既知の反復ヌクレオチド配列に基づき互いに相違する。いくつかの実施形態では、反復ヌクレオチド配列は、それぞれCRISPR-Cas系からのネイティブリピート(例えば、内部ヘアピン)の別個の二次構造で構成される。いくつかの実施形態では、反復ヌクレオチド配列は、CRISPR-Cas系で動作可能な別個の反復ヌクレオチド配列の組合せである。
【0115】
いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、その5’末端でリピート配列の3’末端に結合される。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、その5’末端で、リピート配列の3’末端の約1~約8、約1~約10、または約1~約15ヌクレオチドに結合される。いくつかの実施形態では、リピート配列の約1~約8、約1~約10、約1~約15ヌクレオチドは、リピート配列の3’末端の一部である。いくつかの実施形態では、スペーサーヌクレオチド配列は、その3’末端でリピート配列の5’末端に結合される。いくつかの実施形態では、スペーサーは、その3’末端で、リピート配列の5’末端の約1~約8、約1~約10、または約1~約15ヌクレオチドに結合される。いくつかの実施形態では、リピート配列の約1~約8、約1~約10、約1~約15ヌクレオチドは、リピート配列の5’末端の一部である。
【0116】
いくつかの実施形態では、スペーサーヌクレオチド配列は、その5’末端で第1の配列に結合され、かつその3’末端で第2の配列に結合されて、リピート-スペーサー-リピートの配列を形成する。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、その5’末端で第1のリピート配列の3’末端に結合され、かつその3’末端で第2のリピート配列の5’末端に結合され、スペーサー配列と第2のリピート配列は、繰り返されることで、nが1~100のいずれかの整数となるようにリピート-(スペーサー-リピート)nの配列を形成する。いくつかの実施形態では、リピート-(スペーサー-リピート)nの配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、またはそれより多くのスペーサーヌクレオチド配列を含むか、当該配列から本質的になるか、または当該配列からなる。
【0117】
いくつかの実施形態では、リピート配列は、野生型CRISPR遺伝子座からのリピート配列に対して同一であるか、または実質的に同一である。いくつかの実施形態では、リピート配列は、表3に見られるリピート配列である。いくつかの実施形態では、リピート配列は、本明細書に記載の配列である。いくつかの実施形態では、リピート配列は、野生型リピート配列の一部(例えば、野生型リピート配列の、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、またはそれより多くの隣接するヌクレオチド)を含む。いくつかの実施形態では、リピート配列は、少なくとも1つのヌクレオチド(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、もしくはそれより多くのヌクレオチド、またはその中のいずれかの範囲)を含むか、当該ヌクレオチドから本質的になるか、または当該ヌクレオチドからなる。いくつかの実施形態では、リピート配列は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100以下のヌクレオチドを含むか、当該ヌクレオチドから本質的になるか、または当該ヌクレオチドからなる。いくつかの実施形態では、リピート配列は、約20~40、21~40、22~40、23~40、24~40、25~40、26~40、27~40、28~40、29~40、30~30、31~40、32~40、33~40、34~40、35~40、36~40、37~40、38~40、39~40、20~39、20~38、20~37、20~36、20~35、20~34、20~33、20~32、20~31、20~30、20~29、20~28、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、または20~21ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、リピート配列は、約20~35、21~35、22~35、23~35、24~35、25~35、26~35、27~35、28~35、29~35、30~30、31~35、32~35、33~35、34~35、25~40、25~39、25~38、25~37、25~36、25~35、25~34、25~33、25~32、25~31、25~30、25~29、25~28、25~26ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、系は、緑膿菌I-C型Cas系である。いくつかの実施形態では、緑膿菌I-C型Cas系は、約25~38ヌクレオチドの反復長を有する。
【0118】
いくつかの実施形態では、リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの例では、リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくともまたは約95%の相同性を含む。いくつかの例では、リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくともまたは約97%の相同性を含む。いくつかの例では、リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくともまたは約99%の相同性を含む。いくつかの例では、リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して100%の相同性を含む。いくつかの例では、リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つの、少なくともまたは約3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、または32より多くのヌクレオチドを有している少なくとも一部を含む。
【0119】
I型CRISPR-Cas系
いくつかの実施形態では、I型CRISPR-Cas系は、I-A型系、I-B型系、I-C型系、I-D型系、I-E型系、またはI-F型系である。いくつかの実施形態では、I型CRISPR-Cas系は、I-A型系である。いくつかの実施形態では、I型CRISPR-Cas系は、I-B型系である。いくつかの実施形態では、I型CRISPR-Cas系は、I-C型系である。いくつかの実施形態では、I型CRISPR-Cas系は、I-D型系である。いくつかの実施形態では、I型CRISPR-Cas系は、I-E型系である。いくつかの実施形態では、I型CRISPR-Cas系は、I-F型系である。いくつかの実施形態では、I型CRISPR-Cas系は、カスケードポリペプチドを含む。I型カスケードポリペプチドは、CRISPRアレイを処理して、後に処理済みのRNA中のスペーサーに相補的な標的配列に複合体を結合させるために使用される、処理済のRNAを産生する。いくつかの実施形態では、I型カスケード複合体は、I-A型カスケードポリペプチド、I-B型カスケードポリペプチド、I-C型カスケードポリペプチド、I-D型カスケードポリペプチド、I-E型カスケードポリペプチド、I-F型カスケードポリペプチド、またはI-U型カスケードポリペプチドである。
【0120】
いくつかの実施形態では、I型カスケード複合体は、(a)Cas7(Csa2)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas8a1(Csx13)ポリペプチドもしくはCas8a2(Csx9)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Csa5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas6aポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas3’ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびヌクレアーゼ活性を有していないCas3”をコードをコードするヌクレオチド配列(I-A型)、(b)Cas6bポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas8b(Csh1)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas7(Csh2)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびCas5ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(I-B型)、(c)Cas5dポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas8c(Csd1)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびCas7(Csd2)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(I-C型)、(d)Casl Od(Csc3)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Csc2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Csc1ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびCas6dポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(I-D型)、(e)Cse1(CasA)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cse2(CasB)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas7(CasC)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas5(CasD)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびCas6e(CasE)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(I-E型)、ならびに/または(f)Cys1ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cys2ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、Cas7(Cys3)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、およびCas6f)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(I-F型)を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、I型CRISPR-Cas系は、エシェリキア属種に対して外因性である。
【0122】
V型CRISPR系
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法に利用されるCRISPR-Cas系は、Cpf1ヌクレアーゼ(例えば、プレボテラ属(Prevotella)およびフランシセラ属(Francisella1)由来のCRISPR)を使用した、V型CRISPR系である。長さが1200~1500アミノ酸であるこのモノマータンパク質は、V型CRISPR系に属する。Cpf1 CRISPRアレイは9つのスペーサー配列からなり、36ヌクレオチド長のリピート配列によって切り離される。Cpf1は、DNA標的内で5’-TTTV-3’PAMを認識し、これにより、crRNAのスペーサー由来のセグメントと相補的な標的DNAとの塩基対形成がもたらされる。Cpf1は、RNAaseおよびデオキシリボヌクレアーゼ活性を同時に有するので、crRNA生合成のためにtracrRNAを利用せず、代わりに、プレcrRNAは、Cpf1それ自体によって認識および切断されるシュードノットを形成する。Cpf1は切断された部位で付着末端(crRNA長に関する5または8ヌクレオチドの5’オーバーハング)を誘導する。AM認識は、Cpf1を介した遺伝子編集における第1の工程である。PAMが、関連するプロトスペーサーの周囲に位置するとき、続いてcrRNAと標的DNA鎖とのハイブリダイゼーションおよびRループ構造の形成を開始する。Cpf1ファミリータンパク質のPAM配列は主にTリッチであり、チミジンの数のみが異なる。また、Cpf1のヌクレアーゼ成分が、標的鎖上の5’-TTN-3’PAMを認識することが明らかにされた。PI、REC1、およびWEDドメインは、PAM認識に全体的に関与する。
【0123】
エシェリキア属
いくつかの実施形態では、細菌は、エシェリキア属の1つ以上の種を含む。いくつかの実施形態では、細菌は、エシェリキア属の1つ以上の株を含む。いくつかの実施形態では、標的細菌は大腸菌である。
【0124】
いくつかの実施形態では、大腸菌は感染症または疾患を引き起こす。いくつかの実施形態では、感染症または疾患は、急性または慢性である。いくつかの実施形態では、感染症または疾患は、限局性または全身性である。いくつかの実施形態では、感染症または疾患は、特発性である。いくつかの実施形態では、感染症または疾患は、呼吸器吸入、食物摂取、皮膚および創傷の感染、血流感染、中耳感染、胃腸管感染、腹膜感染、尿路感染、尿生殖路感染、口腔軟組織感染、腹腔内感染、表皮または粘膜の吸収、眼感染(コンタクトレンズ汚染を含む)、心内膜炎、嚢胞性線維症における感染、留置医療機器、例えば、人工関節、歯科インプラント、カテーテル、および心臓インプラントの感染、性的接触、および/または院内感染、ならびに人工呼吸器関連の細菌性肺炎を含むがこれらに限定されない手段によってもたらされる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、尿路感染症を引き起こす。いくつかの実施形態では、大腸菌は、炎症性疾患を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、自己免疫疾患を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、炎症性腸疾患(IBD)を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、炎症性腸疾患(IBD)を引き起こす。いくつかの実施形態では、大腸菌は、乾癬を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、乾癬性関節炎(PA)を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、関節リウマチ(RA)を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、全身性エリテマトーデス(SLE)を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、多発性硬化症(MS)を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、グレーブス病を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、橋本甲状腺炎を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、重症筋無力症を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、脈管炎を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、癌を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、癌進行を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、癌転移を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、癌治療に対する耐性を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、癌に対処するために使用される治療には、化学療法、免疫療法、ホルモン療法、標的とされた薬物治療、および/または放射線療法が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、癌は、肛門、膀胱、血液および血液成分、骨、骨髄、脳、乳房、子宮頚、結腸および直腸、食道、腎臓、喉頭、リンパ系、筋肉(すなわち軟組織)、口腔および咽頭、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚、小腸、胃、睾丸、甲状腺、子宮、および/または外陰部を含むが、これらに限定されない器官で進行する。いくつかの実施形態では、大腸菌は、中枢神経系(CNS)の障害を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、注意欠陥多動障害(ADHD)を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、自閉症を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、双極性障害を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、大鬱病性障害を引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、てんかんを引き起こし、かつ/または悪化させる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、アルツハイマー病、ハンチントン病、および/もしくはパーキンソン病を含むがこれらに限定されない神経変性障害を引き起こし、かつ/または悪化させる。
【0125】
いくつかの実施形態では、1つ以上のバクテリオファージが、嚢胞性線維症、または嚢胞性線維症に付随する気管支拡張症を有する患者に投与される。いくつかの実施形態では、2つ以上のバクテリオファージの組合せが、嚢胞性線維症、または嚢胞性線維症に付随する気管支拡張症を有する患者に投与される。いくつかの実施形態では、嚢胞性線維症、または嚢胞性線維症に付随する気管支拡張症を有する患者にバクテリオファージを投与することで、患者における細菌負荷が減少する。いくつかの実施形態では、細菌負荷が減少すると、嚢胞性線維症、または嚢胞性線維症に付随する気管支拡張症を有する患者に臨床的な改善が生じる。いくつかの実施形態では、1つ以上のバクテリオファージが、非嚢胞性線維症性気管支拡張症を有する患者に投与される。いくつかの実施形態では、2つ以上のバクテリオファージの組合せが、非嚢胞性線維症性気管支拡張症を有する患者に投与される。いくつかの実施形態では、非嚢胞性線維症性気管支拡張症を有する患者にバクテリオファージを投与することで、患者における細菌負荷が減少する。いくつかの実施形態では、細菌負荷が減少すると、非嚢胞性線維症性気管支拡張症を有する患者に臨床的な改善が生じる。
【0126】
バクテリオファージ
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、偏性溶菌性バクテリオファージである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、溶原性遺伝子が保持された溶原性バクテリオファージである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、いくつかの溶原性遺伝子が除去、置換え、または不活性化された溶原性バクテリオファージである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、1つの溶原性遺伝子が除去、置換え、または不活性化されることによってバクテリオファージを溶菌性にする溶原性バクテリオファージである。
【0127】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージはエシェリキア属種を標的とする。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、大腸菌を標的とする。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、他の細菌種よりもエシェリキア属種を特異的に標的とする。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、CRISPR-Cas系の非存在下でエシェリキア属種を標的とする。
【0128】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、T4ウイルス、モシグウイルス、ファペコクタウイルス、特有のミオウイルス科、またはベクターウイルスを含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、T4ウイルスである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、モシグウイルスである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、ファペコクタウイルスである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、特有のミオウイルス科である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、ベクターウイルスである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、CRISPR-Cas3系を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、エシェリキア属種を標的とする、p004Ke009、p00c0e030、p00exe014、p004ke007、p004Ke005、p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、またはp5516である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージには、p004ke007、p004Ke005、p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、またはp5516が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、「バクテリオファージ」は、1つ以上のバクテリオファージを含み、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージは異なるまたは同じである。例えば、バクテリオファージは、p004Ke009、p00c0e030、およびp00exe014を含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p004K、またはエシェリキア属種を標的とする能力を保持するそのバリアントである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p004Kに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、CRISPR系を含むp004Kバクテリオファージである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p004ke005に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p004ke007に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p004ke009に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p00c0、またはエシェリキア属種を標的とする能力を保持するそのバリアントである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p00c0に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、CRISPR系を含むp00c0バクテリオファージである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p00c0e030に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p00ex、またはエシェリキア属種を標的とする能力を保持するそのバリアントである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p00exに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、CRISPR系を含むp00exバクテリオファージである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p00exe014に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p00jc、またはエシェリキア属種を標的とする能力を保持するそのバリアントである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p00jcに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、CRISPR系を含むp00jcバクテリオファージである。
【0134】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p00ke、またはエシェリキア属種を標的とする能力を保持するそのバリアントである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p00keに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、CRISPR系を含むp00keバクテリオファージである。
【0135】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p5516、またはエシェリキア属種を標的とする能力を保持するそのバリアントである。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、p5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、CRISPR系を含むp5516バクテリオファージである。
【0136】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、表1に列挙されるファージ、またはエシェリキア属種を標的とする能力を保持するそのバリアントである。
【0137】
2つ以上のバクテリオファージを含むカクテルも本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、2つ以上のバクテリオファージは、T4ウイルス、モシグウイルス、ファペコクタウイルス、特有のミオウイルス科、またはベクターウイルスからなる系統から選択される。いくつかの実施形態では、カクテルは少なくとも6つのバクテリオファージを含み、上記バクテリオファージは、T4ウイルス、モシグウイルス、ファペコクタウイルス、特有のミオウイルス科、およびベクターウイルスを含む。いくつかの実施形態では、カクテルの少なくとも1つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含む。いくつかの実施形態では、カクテルの少なくとも2つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含む。いくつかの実施形態では、カクテルの少なくとも3つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含む。いくつかの実施形態では、カクテルの少なくとも4つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含む。いくつかの実施形態では、カクテルの少なくとも1つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含まない。いくつかの実施形態では、カクテルの少なくとも2つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含まない。
【0138】
いくつかの実施形態では、カクテルは少なくとも2つのバクテリオファージを含み、上記バクテリオファージは、p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、またはp5516を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、p004ke009に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む第1のバクテリオファージを含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、p00c0e030に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む第2のバクテリオファージを含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、p00exe014に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む第3のバクテリオファージを含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、p00exe014に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む第4のバクテリオファージを含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、p00jcに対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む第5のバクテリオファージを含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、p00jcに対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む第5のバクテリオファージを含み、上記バクテリオファージはCRISPR-Cas系を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、p00keに対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む第5のバクテリオファージを含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、p00keに対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む第5のバクテリオファージを含み、上記バクテリオファージはCRISPR-Cas系を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは、p5516に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む第6のバクテリオファージを含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、第1のバクテリオファージは、p004Kに対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第2のバクテリオファージを含み、第2のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第3のバクテリオファージを含み、第3のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第4のバクテリオファージを含み、第4のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第5のバクテリオファージを含み、第5のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第6のバクテリオファージを含み、第6のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、または5つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、または3つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含まない。
【0140】
いくつかの実施形態では、第1のバクテリオファージは、p00c0に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第2のバクテリオファージを含み、第2のバクテリオファージは、p004K、p00ex、p00jc、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第3のバクテリオファージを含み、第3のバクテリオファージは、p004K、p00ex、p00jc、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第4のバクテリオファージを含み、第4のバクテリオファージは、p004K、p00ex、p00jc、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第5のバクテリオファージを含み、第5のバクテリオファージは、p004K、p00ex、p00jc、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第5のバクテリオファージを含み、第5のバクテリオファージは、p004K、p00ex、p00jc、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、または5つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、または3つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含まない。
【0141】
いくつかの実施形態では、第1のバクテリオファージは、p00exに対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第2のバクテリオファージを含み、第2のバクテリオファージは、p00c0、p004K、p00jc、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第3のバクテリオファージを含み、第3のバクテリオファージは、p00c0、p004K、p00jc、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第4のバクテリオファージを含み、第4のバクテリオファージは、p00c0、p004K、p00jc、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第5のバクテリオファージを含み、第5のバクテリオファージは、p00c0、p004K、p00jc、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第6のバクテリオファージを含み、第6のバクテリオファージは、p00c0、p004K、p00jc、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、または5つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、または3つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含まない。
【0142】
いくつかの実施形態では、第1のバクテリオファージは、p00jcに対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第2のバクテリオファージを含み、第2のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p004K、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第3のバクテリオファージを含み、第3のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p004K、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第4のバクテリオファージを含み、第4のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p004K、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第5のバクテリオファージを含み、第5のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p004K、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第6のバクテリオファージを含み、第6のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p004K、p00ke、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、または5つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、または3つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含まない。
【0143】
いくつかの実施形態では、第1のバクテリオファージは、p00keに対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第2のバクテリオファージを含み、第2のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p00jc、p004K、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第3のバクテリオファージを含み、第3のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p00jc、p004K、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第4のバクテリオファージを含み、第4のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p00jc、p004K、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第5のバクテリオファージを含み、第5のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p00jc、p004K、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第6のバクテリオファージを含み、第6のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p00jc、p004K、もしくはp5516に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、または5つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、または3つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含まない。
【0144】
いくつかの実施形態では、第1のバクテリオファージは、p5516に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第2のバクテリオファージを含み、第2のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、もしくはp004Kに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第3のバクテリオファージを含み、第3のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、もしくはp004Kに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第4のバクテリオファージを含み、第4のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、もしくはp004Kに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第5のバクテリオファージを含み、第5のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、もしくはp004Kに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、カクテルは第6のバクテリオファージを含み、第6のバクテリオファージは、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、もしくはp004Kに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、または5つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、または3つのバクテリオファージは、CRISPR-Cas系を含まない。
【0145】
いくつかの実施形態では、目的のバクテリオファージは、環境供給源または市場調査ベンダーから得られる。いくつかの実施形態では、得られたバクテリオファージは、細菌のライブラリーおよびその関連する株に対する溶菌活性についてスクリーニングされる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、スクリーニングされた細菌において一次抵抗を精製する能力について、細菌のライブラリーおよびその関連する株に対してスクリーニングされる。
【0146】
挿入部位
いくつかの実施形態では、バクテリオファージへの核酸配列の挿入は、バクテリオファージの溶菌活性を保つ。いくつかの実施形態では、核酸配列は、バクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態では、核酸配列は、目的のオペロンの末端の転写ターミネーター部位でバクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態では、核酸配列は、1つ以上の除去された非必須遺伝子の置換えとしてバクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態では、核酸配列は、1つ以上の除去された溶原遺伝子の置換えとしてバクテリオファージゲノムに挿入される。いくつかの実施形態では、非必須および/または溶原遺伝子の核酸配列での置換えは、バクテリオファージの溶菌活性に影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、非必須および/または溶原遺伝子の核酸配列での置換えは、バクテリオファージの溶菌活性を保つ。いくつかの実施形態では、非必須および/または溶原遺伝子の核酸配列での置換えは、バクテリオファージの溶菌活性を増強する。いくつかの実施形態では、非必須および/または溶原遺伝子の核酸配列での置換えは、溶原バクテリオファージを溶菌性にする。
【0147】
いくつかの実施形態では、核酸配列は第1の位置においてバクテリオファージゲノムへと導入される一方で、1つ以上の非必須および/または溶原遺伝子は、別個の位置においてバクテリオファージゲノムから別々に除去および/または不活性化される。いくつかの実施形態では、核酸配列は第1の位置においてバクテリオファージへと導入される一方で、1つ以上の非必須および/または溶原遺伝子は、複数の別個の位置においてバクテリオファージゲノムから別々に除去および/または不活性化される。いくつかの実施形態では、1つ以上の非必須および/または溶原遺伝子の除去ならびに/あるいは不活性化は、バクテリオファージの溶菌活性に影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、1つ以上の非必須および/または溶原遺伝子の除去ならびに/あるいは不活性化により、バクテリオファージの溶菌活性が保たれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の非必須および/または溶原遺伝子の除去は、溶原バクテリオファージを溶菌性バクテリオファージにする。
【0148】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、前述の手段のうちのいずれかにより溶菌性にされた溶原性バクテリオファージである。いくつかの実施形態では、溶原性バクテリオファージは、1つ以上の溶原遺伝子の除去、置換え、または不活性化によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージの溶菌活性は、少なくとも1つの溶原遺伝子の除去、置換え、または不活性化に起因する。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子は、バクテリオファージ中の溶原サイクルの維持において役割を果たす。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子は、バクテリオファージ中の溶原サイクルの確立において役割を果たす。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子は、バクテリオファージ中の溶原サイクルの確立と溶原サイクルの維持の両方において役割を果たす。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子は抑制因子遺伝子である。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子はcI抑制遺伝子である。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子は活性化因子遺伝子である。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子はcII遺伝子である。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子はlexA遺伝子である。いくつかの実施形態では、溶原遺伝子はint(インテグラーゼ)遺伝子である。いくつかの実施形態では、2つ以上の溶原性遺伝子は、バクテリオファージ溶原化サイクルの阻止および/または溶菌サイクルの誘導を生じさせるために除去、置換え、または不活性化される。いくつかの実施形態では、溶原性バクテリオファージは、1つ以上の溶菌性遺伝子の挿入によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、溶原性バクテリオファージは、溶菌サイクルの誘導に寄与する1つ以上の遺伝子の挿入によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、溶原性バクテリオファージは、溶菌サイクルの誘導に寄与する1つ以上の遺伝子の発現を改質することによって溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、溶原性バクテリオファージは、表現型上、溶原バクテリオファージから溶菌性バクテリオファージに変化する。いくつかの実施形態では、溶原性バクテリオファージは、環境の改質によって溶菌性にされる。いくつかの実施形態では、環境の改質には、温度、pH、または栄養素の改質、抗生物質、過酸化水素、外来性DNA、またはDNA損傷剤への曝露、有機炭素の存在、および重金属(例えば、クロム(VI)の形にあるもの)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、溶菌性にされる溶原性バクテリオファージは、溶原状態に戻ることを防止される。いくつかの実施形態では、溶菌性にされる溶原性バクテリオファージは、最初に導入されたCRISPRアレイの自己標的化活性により溶原状態に戻ることを防止される。いくつかの実施形態では、溶菌性にされる溶原性バクテリオファージは、追加のCRISPRアレイの導入により溶原状態に戻ることを防止される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、バクテリオファージの溶菌活性および/または第1もしくは第2のCRISPRアレイの活性による細胞死因を越えて、標的細菌上に新たな特性を付与しない。
【0149】
いくつかの実施形態では、1つ以上の非必須および/または溶原遺伝子の置換え、除去、不活性化、またはそれらのあらゆる組合せは、化学的、生化学的、および/またはあらゆる適切な方法により達成される。いくつかの実施形態では、1つ以上の溶菌性遺伝子の挿入は、あらゆる適切な化学的、生化学的、および/または相同組換えによる物理的方法により達成される。
【0150】
非必須遺伝子
いくつかの実施形態では、バクテリオファージから除去されるおよび/または置き換えられる非必須遺伝子は、バクテリオファージの生存に必須ではない遺伝子である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージから除去されるおよび/または置き換えられる非必須遺伝子は、溶菌サイクルの導入および/または維持に必須ではない遺伝子である。
【0151】
転写活性化因子
いくつかの実施形態では、核酸配列は、転写活性化因子をさらに含む。いくつかの実施形態では、コードされた転写活性化因子は、エシェリキア属種内での目的の遺伝子の発現を調節する。いくつかの実施形態では、転写活性化因子は、外因性か内因性かにかかわらず、エシェリキア属種内での目的の遺伝子の発現を活性化する。いくつかの実施形態では、転写活性化因子は、エシェリキア属種内で1つ以上の阻害要素の活性を妨害することにより、エシェリキア属種内での目的の発現遺伝子を活性化する。いくつかの実施形態では、阻害要素は、転写制御因子を含む。いくつかの実施形態では、阻害要素は、大域的な転写制御因子を含む。いくつかの実施形態では、阻害要素は、ヒストン様核様体構造(H-NS)タンパク質またはその相同体もしくは機能的断片である。いくつかの実施形態では、阻害要素は、ロイシン応答調節タンパク質(LRP)である。いくつかの実施形態では、阻害要素は、CodYタンパク質である。
【0152】
一部の細菌では、CRISPR-Cas系は、発現が少なく、大半の環境条件下で活動しないと考慮される。これらの細菌では、CRISPR-Cas系の調節は、転写制御因子、例えば、宿主ゲノムの転写調節に広く関与するヒストン様核様体構造(H-NS)タンパク質の活性の結果である。H-NSは、DNAの湾曲をもたらすATリッチ部位に沿った多量体化により、宿主の転写調節の制御を行う。大腸菌などの一部の細菌では、CRISPR-Cas3オペロンの調節は、H-NSにより調節される。
【0153】
同様に、一部の細菌では、CRISPR-Cas系の抑制は、阻害要素、例えばロイシン応答調節タンパク質(LRP)により制御される。LRPは、転写開始部位の上流および下流の領域への結合に関係している。顕著には、CRISPR-Cas系の発現の調節におけるLRPの活性は、細菌間で変動する。広範な種間での抑制活性を有するH-NSとは異なり、LRPは、宿主CRISPR-Cas系の発現を差次的に調節すると示されている。そのため、いくつかの例では、LRPは、異なる細菌でのCRISPR-Cas系発現を調節する宿主特異的な手段を反映する。
【0154】
いくつかの例では、CRISPR-Cas系の抑制は、阻害要素CodYによっても制御される。CodYは、DNA結合を介して作用するGTP感知転写制御因子である。GTPの細胞内濃度は、環境上の栄養状態における指標として作用する。正常な培養条件下、GTPは豊富であり、転写活性を抑制するためにCodYと結合する。しかし、GTP濃度が低下すると、CodYはDNAの結合における活性が低くなり、それにより以前は抑制された遺伝子の転写が可能となる。そのため、CodYは、厳格で大域的な転写制御因子として作用する。
【0155】
いくつかの実施形態では、転写活性化因子は、LeuOポリペプチド、その相同体もしくは機能的断片、leuOコード配列、またはLeuOをアップレギュレートする薬剤である。いくつかの実施形態では、転写活性化因子は、LeuOのあらゆるオルソログまたは機能的等価物を含む。一部の細菌では、LeuOは、細菌の環境上の栄養状態に応答する大域的な転写制御因子として作用することにより、H-NSとは反対に作用する。正常な条件下では、LeuOの発現は不十分である。しかし、アミノ酸飢餓、および/または細菌のライフサイクルにおける定常期の到達下では、LeuOはアップレギュレートされる。LeuOの発現増加により、重複するプロモーター領域でH-NSがアンタゴナイズされて、遺伝子発現が達成される。LeuOの過剰発現は、CRISPR-Cas系の発現をアップレギュレートする。
【0156】
いくつかの実施形態では、LeuOの発現により、阻害要素の破壊が生じる。いくつかの実施形態では、LeuOの発現を原因とする阻害要素の破壊は、CRISPR-Cas系の転写抑制を除去する。いくつかの実施形態では、LeuOの発現は、H-NSの活性を原因とするCRISPR-Cas系の転写抑制を除去する。いくつかの実施形態では、LeuOの発現を原因とする阻害要素の破壊は、CRISPR-Cas系の発現増加をもたらす。いくつかの実施形態では、LeuOの発現による阻害要素の破壊を原因とするCRISPR-Cas系の発現増加は、CRISPRアレイを含む核酸配列のCRISPR-Cas処理の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、LeuOの発現による阻害要素の破壊を原因とするCRISPR-Cas系の発現増加は、CRISPRアレイを含む核酸配列のCRISPR-Cas処理の増加をもたらすことで、細菌に対するCRISPRアレイの致死レベルを上昇させる。いくつかの実施形態では、転写活性化因子は、バクテリオファージおよび/またはCRISPR-Cas系の活性増加をもたらす。
【0157】
調節要素
いくつかの実施形態では、核酸配列は、様々な生物または細胞における発現の種々のプロモーター、ターミネーター、および他の調節要素と操作可能に関連する。いくつかの実施形態では、核酸配列は、リーダー配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、核酸配列は、プロモーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロモーターおよび/またはターミネーターは、CRISPRアレイに操作可能に連結される。本開示に有用なあらゆるプロモーターが使用され、例えば、目的の生物に対し機能的なプロモーターのほか、本明細書中に開示される連続的な、誘導性の、発達的な調節された組織特異的/好ましいプロモーターなどが挙げられる。本明細書中で使用される調節要素は、内因性または異種性である。いくつかの実施形態では、対象生物に由来する内因性の調節要素は、それが自然に生じない遺伝学的状況(例えば、自然に見出されるものとは異なるゲノム位置)へと挿入されることにより、組換え型または非天然の核酸を産生する。
【0158】
いくつかの実施形態では、核酸配列の発現は、連続的であるか、誘導性であるか、一時的に調節されるか、発達的に調節されるか、または化学的に調節される。いくつかの実施形態では、核酸配列の発現は、核酸配列を目的の生物中の機能的プロモーターに操作可能に連結させることにより、連続的にされるか、誘導性にされるか、一時的に調節されるか、発達的に調節されるか、または化学的に調節されるいくつかの実施形態では、抑制は、核酸配列を目的の生物中の機能的である誘導性プロモーターに操作可能に連結させることにより、可逆的にされる。本明細書中に開示されるプロモーターの選択は、発現における量的、時間的、および空間的な要件のほか、形質転換されることとなる宿主細胞によっても変動する。
【0159】
本明細書中に開示される方法、バクテリオファージ、および組成物との使用における例示的なプロモーターは、細菌中で機能的であるプロモーターを含む。例えば、L-アラビノース誘導性(araBAD、PBAD)プロモーター、任意のlacプロモーター、L-ラムノース誘導性(rhaPBAD)プロモーター、T7 RNAポリメラーゼプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、ラムダファージプロモーター(pLpL-9G-50)、アンヒドロテトラサイクリン-誘導性(tetA)プロモーター、trp、Ipp、phoA、recA、proU、cst-1、cadA、nar、Ipp-lac、cspA、11-lacオペレーター、T3-lacオペレーター、T4遺伝子32、T5-lacオペレーター、nprM-lacオペレーター、Vhb、プロテインA、コリネバクテリア大腸菌様プロモーター、thr、horn、ジフテリア毒素プロモーター、sig A、sig B、nusG、SoxS、katb、α-アミラーゼ(Pamy)、Ptms、P43(2つの重複するRNAポリメラーゼσ因子認識部位、σΑ、σΒで構成される)、Ptms、P43、rplK-rplA、フェレドキシンプロモーター、および/またはキシロースプロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは、BBa_J23102プロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは、BBa_J23104やBBa_J23109などの広範な細菌中で作動する。いくつかの実施形態では、プロモーターは、内因性CRISPRプロモーター、内因性Casオペロンプロモーター、p16、plpp、またはptatなどの標的細菌に由来する。いくつかの実施形態では、プロモーターは、gp105またはgp245のプロモーターなどのファージプロモーターである。
【0160】
いくつかの実施形態では、プロモーターは、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して少なくともまたは約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を含む。いくつかの例では、プロモーターは、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して少なくともまたは約95%の相同性を含む。いくつかの例では、プロモーターは、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して少なくともまたは約97%の相同性を含む。いくつかの例では、プロモーターは、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して少なくともまたは約99%の相同性を含む。いくつかの例では、プロモーターは、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して100%の相同性を含む。いくつかの例では、プロモーターは、配列番号1~11または19のいずれか1つの、少なくともまたは約3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、または50ヌクレオチド以上を有する少なくとも一部を含む。いくつかの例では、プロモーターは、配列番号1~11または19のいずれか1つの、少なくともまたは約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、または215ヌクレオチド以上を有する少なくとも一部を含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターが使用される。いくつかの実施形態では、外因性の化学調節因子の適用を介して生物中の遺伝子発現を調節するために、化学調節されたプロモーターが使用される。化学的に調節されたプロモーターの使用により、核酸配列によってコードされるRNAおよび/またはポリペプチドは、例えば、誘導を行う化学物質により生物が処置されたときにのみ合成されることが可能になる。化学物質誘導性プロモーターが使用されるいくつかの実施形態では、化学物質の適用により遺伝子発現が誘導される。化学物質抑制性プロモーターが使用されるいくつかの実施形態では、化学物質の適用により遺伝子発現が抑制される。いくつかの実施形態では、プロモーターは光誘導性プロモーターであるため、特定波長の光の適用により遺伝子発現が誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは光抑制性プロモーターであるため、特定波長の光の適用により遺伝子発現が抑制される。
【0162】
発現カセット
いくつかの実施形態では、核酸配列は、発現カセットであるか、または発現カセット中にある。いくつかの実施形態では、発現カセットは、本明細書中に開示される核酸配列を発現するように設計されている。いくつかの実施形態では、核酸配列は、CRISPR-Cas系の構成成分をコードする発現カセットである。いくつかの実施形態では、核酸配列は、I型CRISPR-Cas系の構成成分をコードする発現カセットである。いくつかの実施形態では、核酸配列は、操作可能なCRISPR-Cas系をコードする発現カセットである。いくつかの実施形態では、核酸配列は、カスケードおよびCas3を含む、I型CRISPR-Cas系の操作可能な成分をコードする発現カセットである。いくつかの実施形態では、核酸配列は、crRNA、カスケード、およびCas3を含む、I型CRISPR-Cas系の操作可能な成分をコードする発現カセットである。
【0163】
いくつかの実施形態では、目的の核酸配列を含む発現カセットはキメラであり、このことは、その成分の少なくとも1つが、他の成分の少なくとも1つに対して異種であることを意味している。いくつかの実施形態では、発現カセットは自然に生じるが、異種発現に有用な組換え形態で得られている。
【0164】
いくつかの実施形態では、発現カセットは、選択された宿主細胞中で機能的である転写および/または翻訳の終結領域(すなわち、終結領域)を含む。いくつかの実施形態では、終結領域は、目的の異種核酸配列を超える転写の終結、および正確なmRNAポリアデニル化に寄与する。いくつかの実施形態では、終結領域は、転写開始領域に固有であるか、操作可能に連結された目的の核酸配列に固有であるか、宿主細胞に固有であるか、または、別の供給源(すなわち、外部のもの、または、プロモーター、目的の核酸配列、宿主、もしくはそれらのあらゆる組合せに対して異種のもの)から得られる。いくつかの実施形態では、ターミネーターは、本明細書中に開示される核酸配列に操作可能に結合される。
【0165】
いくつかの実施形態では、発現カセットは、選択可能なマーカーのヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、選択的な薬剤(例えば、抗生物質)を使用するなど化学的手段により選択された形質をマーカーが与えるかどうかに応じて、または、そのマーカーが単に、スクリーニング(例えば、蛍光)などによる観察もしくは検査を介して特定される形質であるかどうかに応じて、選択可能かスクリーニング可能なマーカーのいずれかをコードする。
【0166】
ベクター
発現カセットに加えて、本明細書中に開示される核酸配列(例えば、CRISPRアレイを含む核酸配列)は、ベクターとともに使用される。ベクターは、転写、送達、または導入されることとなるヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。ベクターの一般的な分類の非限定的な例には、自己伝達可能であるかそうでない場合のある二本鎖または一本鎖である線形または円形の形態にある、ウイルスベクター、プラスミドベクター、ファージベクター、ファージミドベクター、コスミドベクター、フォスミドベクター、バクテリオファージ、人工染色体、またはアグロバクテリウムバイナリベクターが挙げられるが、これらに限定されない。ベクターは、細胞ゲノムへの統合、または染色体外での存在(例えば、複製起点を有する自己複製を行うプラスミド)のいずれかにより、原核生物または真核生物の宿主を形質転換させる。加えて、自然にまたは2つの異なる宿主生物中での複製を自然に、または設計により可能とするDNAビヒクルを意味するシャトルベクターが含まれる。いくつかの実施形態では、シャトルベクターは、放線菌ならびに細菌および/または真核生物において複製する。いくつかの実施形態では、ベクター中の核酸は、宿主細胞中の転写に適切なプロモーターまたは他の調節要素の制御下にあり、それらに操作可能に連結される。いくつかの実施形態では、ベクターは、複数の宿主中で機能する二機能性の発現ベクターである。
【0167】
コドン最適化
いくつかの実施形態では、核酸配列は、目的のあらゆる種における発現のために最適化されたコドンである。コドン最適化は、種特異的なコドン利用テーブルを使用して、コドン利用のバイアスに対するヌクレオチド配列の修飾に関与する。コドン利用テーブルは、目的の種において最も高度に発現された遺伝子の配列分析に基づき生成される。ヌクレオチド配列が核中で発現される場合、コドン利用テーブルは、目的の種において高度に発現された核内遺伝子の配列分析に基づき生成される。ヌクレオチド配列の修飾は、種特異的なコドン利用テーブルを天然のポリヌクレオチド配列に存在するコドンと比較することにより判定される。ヌクレオチド配列のコドン最適化は、生来のヌクレオチド配列に対して100%未満の同一性(例えば、50%、60%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%など)を有するが、元のヌクレオチド配列によってコードされるものと同じ機能を有するポリペプチドを依然としてコードする、ヌクレオチド配列をもたらす。いくつかの実施形態では、本開示の核酸配列は、目的の生物/種における発現のために最適化されたコドンである。
【0168】
形質転換
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示される核酸配列、および/または発現カセットは、一時的に発現され、および/または安定して宿主生物のゲノムへと組み込まれる。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示される核酸配列および/または発現カセットは、当業者に公知のいずれかの方法により細胞へと導入される。形質転換の例示的な方法には、コンピテント細胞のエレクトロポレーションを介した形質転換、コンピテント細胞による受動的な取込み、コンピテント細胞の化学的形質転換のほか、細胞への核酸の導入を生じさせる他のあらゆる電気的、化学的、物理的(機械的)、および/または生物学的な機構によるものが挙げられ、それらのあらゆる組合せも挙げられる。いくつかの実施形態では、細胞の形質転換は、核形質転換を含む。いくつかの実施形態では、細胞の形質転換は、プラスミド形質転換およびコンジュゲーションを含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、1より多くの核酸配列が導入される場合、ヌクレオチド配列は、単一の核酸構築物の一部として、または別個の核酸構築物として組み立てられて、同じまたは異なる核酸上に位置付けられる。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、単一の形質転換事象、または別個の形質転換事象において目的の細胞へと導入される。
【0170】
抗微生物薬およびペプチド
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、抗菌ペプチド、抗菌ペプチドの機能的断片、または溶菌性遺伝子を発現するようにさらに遺伝子的に修飾される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、本明細書中に開示される少なくとも1つの抗微生物薬またはペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、核酸配列のタンパク質生成物がファージ耐性菌を標的とするエンザイバイオティック(enzybiotic)をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、バイオフィルムマトリクスの破壊または分解を補助する酵素をコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、ディスパーシンDアミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、αガラクトシダーゼ、βガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、αグルコシダーゼ、βグルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグルタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシラナーゼ、またはリアーゼをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、酵素は、セルラーゼAとも呼ばれる酵素のグリコシルヒドロキシラーゼ5ファミリーなどのセルラーゼのグリコシルヒドロキシラーゼファミリーといったセルラーゼ、ポリグルコサミン(PGA)デポリメラーゼ、および1,4-L-フコダイズ(fucodise)ヒドロラーゼ、コラン酸、脱重合アルギナーゼ、DNase I、またはそれらの組合せなどのコロン酸デポリメラーゼからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、本明細書中に開示される酵素を分泌する。
【0171】
いくつかの実施形態では、抗微生物薬またはペプチドは、本明細書中に開示されるバクテリオファージにより発現および/または分泌される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、アンピシリン、ペニシリン、ペニシリン誘導体、セファロスポリン、モノバクタム、カルバペネム、オフロキサシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、ノルフロキサシン、ロメフロキサシン、トロバフロキサシン、モキシフロキサシン、スパルフロキサシン、ゲミフロキサシン、パズフロキサシン、または本明細書中に開示されるあらゆる抗生物質などの抗生物質を分泌し、かつ発現する。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、抗菌ペプチドをコードする核酸配列を含むか、抗菌ペプチドを発現するか、または大腸菌の死滅を補助もしくは増強するペプチドを分泌する。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、ペプチドをコードする核酸配列、抗菌ペプチドをコードする核酸配列を含むか、抗菌ペプチドを発現するか、または第1および/もしくは第2のI型CRISPR-Cas系の活性を補助もしくは増強するペプチドを分泌する。
【0172】
使用方法
特定の実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージのうちいずれかを大腸菌に導入する工程を含む、大腸菌を死滅させる方法が本明細書に開示される。
【0173】
特定の実施形態では、必須遺伝子中に標的ヌクレオチド配列を含む第1の細菌種と、必須遺伝子中に標的ヌクレオチド配列を含まない第2の細菌種とを有する細菌細胞の混合集団を修飾する方法であって、本明細書中に開示されるバクテリオファージのうちいずれかを、細菌細胞の混合集団に導入する工程を含む方法が本明細書にさらに開示される。
【0174】
また特定の実施形態では、疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法であって、本明細書中に開示されるバクテリオファージのうちいずれかを個体に投与する工程を含む方法が本明細書に開示される。
【0175】
いくつかの実施形態では、大腸菌は、バクテリオファージの溶菌活性だけで死滅させられる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、CRISPR-Cas系の活性だけで死滅させられる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、細菌の標的遺伝子中の標的ヌクレオチド配列においてCRISPR-Casに基づくエンドヌクレアーゼの活性および/または切断を対象とすることが可能な処理済みのcrRNAを産生するために、CRISPR-Cas系によるCRISPRアレイの処理によって死滅させられる。
【0176】
いくつかの実施形態では、大腸菌は、バクテリオファージの溶菌活性とI型CRISPR-Cas系の活性との組合せにより死滅させられる。いくつかの実施形態では、大腸菌は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、I型CRISPR-Cas系の活性により死滅させられる。いくつかの実施形態では、I型CRISPR-Cas系の活性は、バクテリオファージの溶菌活性を補充するかまたは増強する。いくつかの実施形態では、I型CRISPR-Cas系の活性およびバクテリオファージの溶菌活性は、相加的である。
【0177】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージの溶菌活性およびI型CRISPR-Cas系の活性は、相乗的である。いくつかの実施形態では、相乗的な活性は、バクテリオファージの溶菌活性とI型CRISPR-Cas系との相加的な組合せよりも高レベルでファージの死滅をもたらす活性として定められる。いくつかの実施形態では、バクテリオファージの溶菌活性は、バクテリオファージの濃度により調節される。いくつかの実施形態では、I型CRISPR-Cas系の活性は、バクテリオファージの濃度により調節される。
【0178】
いくつかの実施形態では、細菌の相乗的な死滅は、細菌に投与されるバクテリオファージの濃度を上昇させることにより、第1のCRISPR-Cas系の活性よりも、バクテリオファージの溶菌活性による死滅を支持するように調節される。いくつかの実施形態では、細菌の相乗的な死滅は、細菌に投与されるバクテリオファージの濃度を低下させることにより、CRISPR-Cas系の活性よりも、バクテリオファージの溶菌活性による死滅を支持しないように調節される。いくつかの実施形態では、溶菌性の複製は、低濃度で標的細菌の増幅および死滅を可能にする。いくつかの実施形態では、ファージの増幅は、高濃度では必要とされない。いくつかの実施形態では、細菌の相乗的な死滅は、CRISPRアレイの致死性を増加させるようにスペーサーの数、長さ、組成、同一性、またはそれらの組合せを改質することにより、バクテリオファージの溶菌活性よりも、CRISPR-Cas系の活性による死滅を支持するように調節される。いくつかの実施形態では、細菌の相乗的な死滅は、CRISPRアレイの致死性を低下させるようにスペーサーの数、長さ、組成、同一性、またはそれらの組合せを改質することにより、バクテリオファージの溶菌活性よりも、CRISPR-Cas系の活性による死滅を支持しないように調節される。
【0179】
投与経路および投与量
本明細書中に開示される組成物の用量と投与期間は、対象の年齢、対象の体重、およびファージの忍容性を含む種々の因子に左右されることとなる。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、患者に動脈内、静脈内、尿道内、筋肉内、経口、皮下、吸入、またはそれらのあらゆる組合せで投与される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、経口投与により患者に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、局所、皮膚、経皮、口腔粘膜、植込み、舌下、頬側、直腸、経膣、経眼、経耳、または経鼻での投与により患者に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、前述の投与経路のあらゆる組合せにより患者に投与される。
【0180】
いくつかの実施形態では、10~1020PFUの間のファージの用量が投与される。いくつかの実施形態では、10~1010PFUの間のファージの用量が投与される。いくつかの実施形態では、10~1020PFUの間のファージの用量が投与される。いくつかの実施形態では、10~1010PFUの間のファージの用量が投与される。例えば、いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、10~1011PFUの間の量で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、約10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018、1019、1020、1021、1022、1023、1024PFU以上の量で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、101PFU未満の量で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、101~10、10~10、10~1010、または10~1011PFUの間の量で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、2つ以上のバクテリオファージを含む組成物が対象に投与され、各バクテリオファージは、約103、104、105、106、107、108、109、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018、1019、1020、1021、1022、1023、1024PFU以上の量で投与される。いくつかの実施形態では、2つ以上のバクテリオファージを含む組成物が対象に投与され、各バクテリオファージは、101PFU未満の量で投与される。いくつかの実施形態では、2つ以上のバクテリオファージを含む組成物が対象に投与され、各バクテリオファージは、101~108、104~109、105~1010、または107~1011PFUの間の量で投与される。
【0181】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージまたは混合物は、投与を必要とする対象に、1日に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24回投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージまたは混合物は、投与を必要とする対象に、1週間に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21回投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージまたは混合物は、投与を必要とする対象に、1か月に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90回投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージまたは混合物は、投与を必要とする対象に、2、4、6、8、10、12、14、18、20、22、または24時間ごとに投与される。
【0182】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示される組成物(バクテリオファージ)は、疾患または疾病の発生の前、最中、または後に投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージを含有する組成物を投与するタイミングは、様々である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、予防薬として使用され、かつ、疾患または疾病の発生を防止するために疾患または疾病に罹りやすい対象に継続して投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、症状の発症中、または発症後可能な限り早急に対象に投与される。いくつかの実施形態では、組成物の投与は、症状発症の最初の48時間以内に、症状発症の最初の24時間以内に、症状発症の最初の6時間以内に、または症状発症の3時間以内に開始される。いくつかの実施形態では、組成物の初回投与は、本明細書中に開示されるあらゆる製剤を用いた本明細書中に記載のあらゆる経路など、あらゆる実用的な経路を介して行われる。いくつかの実施形態では、組成物は、疾患または疾病の発症が検出されるか疑われた後に実用可能となると早急に、あるいは、例えば約1か月~約3か月など疾患の処置に必要な期間にわたり、投与される。いくつかの実施形態では、処置の長さは、対象ごとに変動することになる。
【0183】
細菌感染症
特定の実施形態では、細菌感染症を処置する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、ヒトまたは動物の対象における、本明細書に記載される細菌により媒介されるか引き起こされる疾患もしくは疾病を処置または予防する。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、ヒトまたは動物の対象における、本明細書に記載される細菌により引き起こされるか悪化させられる疾患もしくは疾病を処置または予防する。そのような細菌は、通常、腸、口腔、肺、脇腹、眼、膣、肛門、耳、鼻、または喉の組織を含む対象の組織と接触している。いくつかの実施形態では、細菌感染症は、細菌の活性を調節すること、および/または細菌を直接死滅させることにより処置される。
【0184】
いくつかの実施形態では、細菌はエシェリキア属種である。いくつかの実施形態では、細菌は大腸菌である。
【0185】
いくつかの実施形態では、細菌集団に存在する1つ以上のエシェリキア属種は、病原性である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、尿路病原性である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、尿路病原性大腸菌(UPEC)である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、下痢原性である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、下痢原性大腸菌(DEC)である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、志賀毒素産生性である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、志賀毒素産生性大腸菌(STEC)である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、志賀毒素産生性である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、志賀毒素産生性大腸菌(STEC)である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、志賀毒素産生性大腸菌(STEC)である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、様々なO抗原:H抗原血清型大腸菌である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、腸管病原性である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、腸管病原性大腸菌(EPEC)である。
【0186】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、対象の胃腸管における感染症、疾患、または疾病を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオームまたは腸内フローラ内の標的細菌を調節かつ/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオームまたは腸内フローラ内の複数の細菌のうち1つ以上の標的細菌を選択的に調節かつ/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオームまたは腸内フローラ内の複数の細菌のうち1つ以上の標的腸管病原性細菌を選択的に調節かつ/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態では、標的腸管病原性細菌は、腸管病原性大腸菌(EPEC)である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオームまたは腸内フローラ内の複数の細菌のうち1つ以上の標的下痢原性細菌を選択的に調節かつ/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態では、標的下痢原性細菌は、下痢原性大腸菌(DEC)である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオームまたは腸内フローラ内の複数の細菌のうち1つ以上の標的志賀毒素産生性細菌を選択的に調節かつ/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態では、標的志賀毒素産生性細菌は、志賀毒素産生性大腸菌(STEC)である。
【0187】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、対象の尿路における感染症、疾患、または疾病を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象の尿路フローラ内の標的細菌を調節かつ/または死滅させるために使用される。尿路フローラには、表皮ブドウ球菌、エンテロコッカス・フェーカリス、およびいくつかのアルファ溶血性連鎖球菌が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象の尿路フローラ内の複数の細菌のうち1つ以上の標的尿路病原性細菌を選択的に調節かつ/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態では、標的細菌は、尿路病原性大腸菌(UPEC)である。
【0188】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、対象の皮膚上の感染症、疾患、または疾病を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象の皮膚上の標的細菌を調節かつ/または死滅させるために使用される。
【0189】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、対象の粘膜上の感染症、疾患、または疾病を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象の粘膜上の標的細菌を調節かつ/または死滅させるために使用される。
【0190】
いくつかの実施形態では、病原性細菌は、抗生物質耐性である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生性である。一実施形態では、病原性細菌は、カルバペネム耐性大腸菌である。
【0191】
いくつかの実施形態では、細菌集団に存在する1つ以上の標的細菌は、バイオフィルムを形成する。いくつかの実施形態では、バイオフィルムは、病原性細菌を含む。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、バイオフィルムを処理するために使用される。
【0192】
いくつかの実施形態では、細菌はエシェリキア属種を含む。いくつかの実施形態では、細菌は大腸菌である。
【0193】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、ざ瘡、および他の関連する皮膚感染症を処置する。
【0194】
いくつかの実施形態では、エシェリキア属種は、多剤耐性(MDR)細菌株である。MDR株は、少なくとも1つの抗生物質に耐性を示す細菌株である。いくつかの実施形態では、細菌株は、セファロスポリン、フルオロキノロン、カルバペネム、コリスチン、アミノグリコシド、バンコマイシン、ストレプトマイシン、およびメチシリンなどの抗生物質クラスに耐性を示す。いくつかの実施形態では、細菌株は大腸菌である。
【0195】
いくつかの実施形態では、細菌は大腸菌である。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示される方法と組成物は、獣医学および医療用途のほか、研究用途にも使用される。
【0196】
マイクロバイオーム
「マイクロバイオーム」、「微生物相」、および「微生物生息環境」は、以下で互換的に使用されるとともに、対象の体表面、体腔、および流体の上、または中に生息する微生物の共同体を指す。マイクロバイオームの生息環境の非限定的な例には、腸、結腸、皮膚、皮膚表面、皮膚の孔、鞘状腔、臍部、結膜領域、腸領域、胃、鼻腔(nasal cavities and passages)、胃腸管、尿路、唾液、粘液、および糞便が挙げられる。いくつかの実施形態では、マイクロバイオームは、細菌、古細菌、原生生物、真菌、およびウイルスを含むがこれらに限定されない微生物材料を含む。いくつかの実施形態では、微生物材料は、グラム陰性細菌を含む。いくつかの実施形態では、微生物材料は、グラム陽性細菌を含む。いくつかの実施形態では、微生物材料は、プロテオバクテリア、アクチノバクテリア、バクテロイデス、またはファーミキューテスを含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、対象のマイクロバイオーム内の標的細菌を調節または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、CRISPR-Cas系、溶菌活性、またはそれらの組合せによりマイクロバイオーム内の標的細菌を調節かつ/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオーム内の標的細菌を調節かつ/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象のマイクロバイオーム内の複数の細菌のうち1つ以上の標的細菌を選択的に調節かつ/または死滅させるために使用される。いくつかの実施形態では、標的細菌は大腸菌である。いくつかの実施形態では、大腸菌は、多剤耐性(MDR)菌株である。いくつかの実施形態では、大腸菌は、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)菌株である。いくつかの実施形態では、大腸菌は、カルバペネム耐性菌株である。いくつかの実施形態では、大腸菌は、非多剤耐性(非MDR)菌株である。いくつかの実施形態では、大腸菌は、非カルバペネム耐性菌株である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、尿路病原性である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、尿路病原性大腸菌(UPEC)である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、下痢原性である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、下痢原性大腸菌(DEC)である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、志賀毒素産生性である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、志賀毒素産生性大腸菌(STEC)である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、様々なO抗原:H抗原血清型大腸菌である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、腸管病原性である。いくつかの実施形態では、病原性細菌は、腸管病原性大腸菌(EPEC)である。
【0198】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象の胃腸管のマイクロバイオームまたは腸内フローラ内に、標的の単一の細菌または複数の細菌を調節または死滅させるために使用される。マイクロバイオームまたは腸内フローラの修飾(例えば、ディスバイオシス)は、糖尿病、精神障害、潰瘍性大腸炎、大腸癌、自己免疫異常、肥満症、糖尿病、中枢神経系の疾患、および炎症性腸疾患などの健康状態のリスクを上昇させる。胃腸管の疾患と疾病に関連する例示的な細菌は、大腸菌の菌株、亜株、およびエンテロタイプを含むバクテリオファージにより調節または死滅させられる。
【0199】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、対象の胃腸管のマイクロバイオームまたは腸内フローラ内に、標的の単一の細菌または複数の細菌を調節または死滅させるために使用される。マイクロバイオームまたは腸内フローラの修飾(例えば、ディスバイオシス)は、糖尿病、精神障害、潰瘍性大腸炎、大腸癌、自己免疫異常、肥満症、糖尿病、中枢神経系の疾患、および炎症性腸疾患などの健康状態のリスクを上昇させる。胃腸管の疾患と疾病に関連する例示的な細菌のリストは、腸内細菌科、パスツレラ科(pasteurellaceae)、フソバクテリウム科(fusobacteriaceae)、ナイセリア科(neisseriaceae)、ベイヨネラ科(veillonellaceae)、ゲメラ科(gemellaceae)、バクテロイデス目(bacteriodales)、クロストリジウム目(clostridiales)、エリシペロトリクス科(erysipelotrichaceae)、ビフィドバクテリウム科バクテロイデス(bifidobacteriaceae bacteroides)、フィーカリバクテリウム属(faecalibacterium)、ロゼブリア属(roseburia)、ブラウティア属(blautia)、ルミノコッカス属(ruminococcus)、コプロコッカス属(coprococcus)、連鎖球菌、ドレア属(dorea)、ブラウティア属(blautia)、ルミノコッカス属、ラクトバチルス属(lactobacillus)、エンテロコッカス属(enterococcus)、連鎖球菌、大腸菌、フソバクテリウム・ヌクレアタム(fusobacterium nucleatum)、ヘモフィルス・パラインフルエンザ(haemophilus parainfluenzae)(パスツレラ科)、ベイロネラ・パルブラ(veillonella parvula)、エイケネラ・コローデンス(eikenella corrodens)(ナイセリア科)、ゲメラ・モルビロルム(gemella moribillum)、バクテロイデス・ブルガータス(bacteroides vulgatus)、バクテロイデス・カッカエ(bacteroides caccae)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・デンティウム(bifidobacterium dentum)、ブラウティア。ハンセニイ(blautia hansenii)、ルミノコッカス・グナバス(ruminococcus gnavus)、クロストリジウム・ネキシレ(clostridium nexile)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(faecalibacterium prausnitzii)、ルミノコッカス・トルキース(ruminoccus torques)、クロストリジウム・ボルテアエ(clostridium bolteae)、ユーバクテリウム・レクタレ(eubacterium rectale)、ロゼブリア・インテスチナリス(roseburia intestinalis)、コプロコッカス・コメス(coprococcus comes)、アクチノミセス属(actinomyces)、ラクトコッカス属(lactococcus)、ロゼブリア属、連鎖球菌、ブラウティア属、ジアリスタ属(dialister)、デスルフォビブリオ属(desulfovibrio)、エシェリキア属、ラクトバチルス属、コプロコッカス属、クロストリジウム属(clostridium)、ビフィドバクテリウム属(bifidobacterium)、クレブシエラ属(klebsiella)、グラヌリカテラ属(granulicatella)、ユーバクテリウム属(eubacterium)、アナエロスティペス属(anaerostipes)、パラバクテロイデス属(parabacteroides)、コプロバチルス属(coprobacillus)、ゴルドニバクター属(gordonibacter)、コリンセラ属(collinsella)、バクテロイデス属(bacteroides)、フィーカリバクテリウム属、アナエロツルンカス属(anaerotruncus)、アリスティペス属(alistipes)、ヘモフィルス属(haemophilus)、アナエロコッカス属(anaerococcus)、ベイロネラ属(veillonella)、プレボテラ属(arevotella)、アッカーマンシア属(akkermansia)、ビロフィラ属(bilophila)、サテレラ属(sutterella)、エガセラ属(eggerthella)、ホルデマニア属(holdemania)、ゲメラ属(gemella)、ペプトニフィラス属(peptoniphilus)、ロシア属(rothia)、エンテロコッカス属、ペディオコッカス属(pediococcus)、シトロバクター属(citrobacter)、オドリバクター属(odoribacter)、腸内細菌、フソバクテリウム属(fusobacterium)、およびプロテウス属(proteus)の菌株、亜株、およびエンテロタイプを含むバクテリオファージにより調節または死滅させられる。
【0200】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、健康なマイクロバイオームを増進させるために対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、健康を増進させるマイクロバイオーム組成物に対し対象のマイクロバイオームを回復させるために、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージを含む組成物は、プレバイオティクスまたは第3の薬剤を含む。いくつかの実施形態では、マイクロバイオームに関連する疾患または障害は、本明細書中に開示されるバクテリオファージにより処置される。
【0201】
環境療法
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、食品および農業衛生(肉、果物、および野菜の衛生を含む)、院内衛生、家庭衛生、ビヒクルおよび装置の衛生、産業衛生などのためにさらに使用される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、抗生物質耐性、または、細菌がヒトまたは動物に感染する、医療、獣医学、畜産、もしくはあらゆる追加の環境細菌からの他の望ましくない病原体の除去のために使用される。
【0202】
医療機関におけるファージの環境用途は、殺菌が困難または不可能である病原体による院内感染源となり得る、内視鏡などの装置、およびICUなどの環境向けである。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるファージは、よく用いられる消毒薬に耐性を示すようになる細菌属が生息する装置または環境を処理するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるファージ組成物は、無生物を殺菌するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示される環境は、ファージ力価を有する水溶液とともに噴霧されるか、塗布されるか、または注がれる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の溶液は、10~1020の間のプラーク形成単位(PFU)/mlを含む。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、バクテリオファージの環境への分布を促進させるために、乾燥分散剤を含む薬剤をエアロゾルとすることにより、適用される。いくつかの実施形態では、物体は、本明細書中に開示されるバクテリオファージを含有する溶液に浸される。
【0203】
衛生
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、様々な分野で衛生薬剤として使用される。「ファージ」または「バクテリオファージ」という用語が使用されてもよいが、適切な場合、この用語は、単一のバクテリオファージ、複数のバクテリオファージ、例えば、バクテリオファージ混合物や、バクテリオファージと消毒薬、洗浄剤、界面活性剤、水などとの混合物を含むと広く解釈されるべきである。
【0204】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、手術室、病室、待合室、研究室、または他の様々な病院用器具を含む院内施設を清潔にするために使用される。いくつかの実施形態では、この装置には、心電計、人工呼吸器、心血管補助デバイス、動脈内バルーンポンプ、輸液用デバイス、他の患者介護デバイス、テレビ、モニタ、リモコン、電話、ベッドなどが挙げられる。場合により、バクテリオファージは、エアロゾルキャニスターを介して適用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、輸送ビヒクルで物体上のファージを拭うことにより適用される。
【0205】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載のバクテリオファージは、患者介護デバイスと合わせて使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、患者間の内外面を清潔にするために、従来のベンチレーターまたは呼吸療法デバイスと合わせて使用される。ベンチレーターの例には、手術中の通気を支援するデバイス、無能力状態患者の換気を支援するデバイス、および類似の装置が挙げられる。いくつかの実施形態では、既存の治療には、自動もしくは電動デバイス、または、救急処置室や救急車によく見られるものなどの手動バッグ型デバイスが挙げられる。いくつかの実施形態では、呼吸療法には、慢性閉塞性肺疾患または喘息に対しよく使用される気管支拡張剤などの薬剤を導入する吸入器、または持続気道陽圧デバイスなどの気道開通を維持するデバイスが挙げられる。
【0206】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載のバクテリオファージは、表面を消毒し、かつ、脳膜炎や腸管感染症などの高度に伝染性の細菌性疾患が存在する領域に集まる人々(colonized people)を処置するために使用される。
【0207】
いくつかの実施形態では、水道が、本明細書中に開示される組成物により処理される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、汚染水や、水槽、井戸、貯水庫、汚水槽、水道管、水路、および同様の水分配デバイス中に見られる水を処理するために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、水、油、冷却液、および他の液体が収集プールに溜まる産業用貯蔵タンクに適用される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、細菌増殖を低下させるために産業用貯蔵タンクに定期的に導入される。
【0208】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、家、アパート、コンドミニアム、寄宿寮、またはあらゆる生活領域などの生活領域を衛生的にするために使用される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、劇場、コンサートホール、博物館、列車駅、空港、ペット用ベッドなどのペット領域、または汚物入れなどの公共区域を衛生的にするために使用される。この性能において、バクテリオファージは、ポンプスプレー、エアロゾル容器、噴出ボトル、ウェットタオル(pre-moistened towelettes)を含む従来のデバイスから分配されて、衛生的にされる区域に直接適用(例えば、その上に噴霧)されるか、またはタオルやスポンジなどの運搬媒体を介して区域に運ばれる。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるファージは、キッチン、寝室、トイレ、ガレージ、地下室などを含む、家の様々な部屋に適用される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるファージは、従来のクリーナーと同様の形にある。いくつかの実施形態では、ファージは、従来のクリーナーが適切なバクテリオファージの生物活性を保存するように製剤化されることを前提に、従来のクリーナーと合わせて(その前に、その後に、またはそれと同時に)適用される。
【0209】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、紙製品の処理中または処理の完了後のいずれかで、紙製品の構成成分に添加される。本明細書中に開示されるバクテリオファージが添加される紙製品には、ペーパータオル、トイレットペーパー、ウェットティッシュ(moist paper wipes)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0210】
食品安全性
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載のバクテリオファージは、汚染予防のためにあらゆる食品製品または栄養補助食品に使用される。食品または医薬品の例は、牛乳、ヨーグルト、凝乳、チーズ、発酵乳、牛乳を用いた発酵製品、アイスクリーム、発酵穀物を用いた製品、牛乳を用いた粉末、乳児用調製乳もしくはタブレット、液体懸濁液、乾燥経口栄養補助食品、湿式経口栄養補助食品、または乾燥経管栄養食品である。
【0211】
バクテリオファージ衛生の広範な概念は、他の農業用途および生物に適用可能である。果物および植物、乳製品、ならびに他の農産物を含む製品が挙げられる。例えば、フレッシュカット食品は、病原性細菌で汚染された加工工場に到達することが多い。これにより、農産物に起因する食品由来疾病の発生が生じている。いくつかの実施形態では、農産物へのバクテリオファージ調製物の適用により、食品由来疾病に関連する細菌種に対する特性を有する単一のファージまたはファージ混合物の適用を介して、食品由来疾病の可能性が大幅に低下または排除される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、種々の生産および処理の段階で適用されることで、その時点で細菌汚染を減少させるか、またはその後の時点での汚染を防ぐ。
【0212】
いくつかの実施形態では、特異的なバクテリオファージが、レストラン、食料雑貨店、農産物流通センターの農産物に適用される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、サラダバーの果物および野菜の内容物に定期的または継続的に適用される。いくつかの実施形態では、サラダバーに対する、または食品の外部を衛生的にするためのバクテリオファージの適用は、ミスト化もしくはスプレーのプロセス、または洗浄プロセスである。
【0213】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載のバクテリオファージは、肉、農産物、カットフルーツおよび野菜、ならびに他の食料品を含有する包装を伴うマトリックスまたは支持媒体に使用される。いくつかの実施形態では、包装に適したポリマーは、バクテリオファージ調製物を染み込ませられる。
【0214】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載のバクテリオファージは、農家および畜産飼料に使用される。いくつかの実施形態では、家畜を飼育する飼育場で、家畜は、バクテリオファージを飲料水、食品、またはその両方に入れて提供される。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載のバクテリオファージは、死骸へと噴霧され、かつ畜殺区域を殺菌するために使用される。
【0215】
農産物に対する生物防除剤としての特定のバクテリオファージの使用は、多くの利点をもたらす。例えば、バクテリオファージは、よく用いられる化学消毒剤が行うように天然のマイクロフローラの生態的均衡を妨害しないが標的とされた食品由来病原体を特異的に溶菌する、天然の非毒性生成物である。バクテリオファージは、化学消毒剤とは異なりそれらの宿主菌とともに発達する天然生成物であるので、活性薬剤である新たなファージが近年では出現し、必要時に耐性菌が速やかに特定されている一方で、新たな有効な消毒剤の特定は、さらに長期のプロセスであり、数年を要する。
【0216】
医薬組成物
特定の実施形態では、(a)本明細書中に開示される核酸配列と、(b)薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物が本明細書に開示される。また、特定の実施形態では、(a)本明細書中に開示されるバクテリオファージと、(b)薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物が本明細書に開示される。特定の実施形態では、(a)本明細書中に開示される組成物と、(b)薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物がさらに本明細書に開示される。
【0217】
いくつかの実施形態では、本開示は、細菌や古細菌の感染症を処置、または区域を殺菌するための医薬組成物、およびそれを投与する方法を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容可能な担体中に上記で論じられた試薬のいずれかを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物または方法は、尿路感染症(UTI)および/もしくは炎症性疾患(例えば、炎症性腸疾患(IBD))を処置する。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示される医薬組成物または方法は、クローン病を処置する。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示される医薬組成物または方法は、潰瘍性大腸炎を処置する。
【0218】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示される組成物は、薬剤、医薬品、担体、アジュバント、分散剤、希釈剤などを含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、適切な方法に従って医薬品担体に入れて投与するために製剤化される。いくつかの実施形態では、本開示による医薬組成物の製造で、バクテリオファージは、とりわけ許容可能な担体と混合される。いくつかの実施形態では、この担体は、固体(粉体を含む)もしくは液体、またはその両方であり、好ましくは単位投与組成物として製剤化される。いくつかの実施形態では、1つ以上のバクテリオファージが、本明細書中に開示される組成物に組み込まれて、あらゆる適切な薬局方法により調製される。
【0220】
いくつかの実施形態では、対象のin vivoを処置する方法は、本明細書中に開示されるバクテリオファージを薬学的に許容可能な単体に入れて含む医薬組成物を対象に投与する工程を含み、医薬組成物は治療有効量で投与される。いくつかの実施形態では、投与を必要とするヒト対象または動物へのバクテリオファージの投与は、当該技術分野で公知のあらゆる手段により行われる。
【0221】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、経口投与用である。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、カプセル、錠剤、および粉末などの固形投与形態、またはエリキシル、シロップ、および懸濁液などの液体投与形態で投与される。いくつかの実施形態では、頬側(舌下)投与に適した組成物および方法は、風味をつけた基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント中にバクテリオファージを含むロゼンジ、ならびに、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤中にバクテリオファージを含む香錠とを含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、本開示の方法および組成物は、バクテリオファージの注射用滅菌水溶液および非水溶液を含む非経口投与に適している。いくつかの実施形態では、これらの調製物は、意図したレシピエントの血液に対し等張である。いくつかの実施形態では、これらの調製物は、組成物を意図したレシピエントの血液と等張にする抗酸化剤、緩衝液、静菌剤(bacteriostals)、および溶質を含む。いくつかの実施形態では、水性および非水性の滅菌懸濁液は、懸濁化剤および増粘剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示される組成物は、単回投与用また複数回投与用の容器、例えば密封したアンプルやバイアルに入れて提供されるとともに、使用の直前に、滅菌液体担体、例えば注射用の生理食塩水または水の添加のみを必要とする冷凍乾燥(凍結乾燥)条件で保存される。
【0223】
いくつかの実施形態では、直腸投与に適した方法および組成物は、単位投与坐薬として提供される。いくつかの実施形態では、これらは、バクテリオファージを1つ以上の従来の固形担体、例えばカカオバターと混合し、次いで得られた混合物を成形することにより調製される。いくつかの実施形態では、皮膚への局所塗布に適した方法および組成物は、軟膏、クリーム、ローション剤、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、またはオイルの形態にある。いくつかの実施形態では、使用される担体には、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール類、アルコール類、経皮浸透促進剤、およびそれら2つ以上の組合せが挙げられる。
【0224】
いくつかの実施形態では、経皮投与に適した方法および組成物は、長期間にわたりレシピエントの表皮との密接に接触して留まるように適合させた別個の貼付剤として提供される。
【0225】
いくつかの実施形態では、経鼻投与またはその他の手段で対象の肺に投与するのに適した方法および組成物は、あらゆる好適な手段を含み、例えば、バクテリオファージ組成物を含む吸入可能粒子のエアロゾル懸濁液により投与されることで、対象が吸入を行う。いくつかの実施形態では、吸入可能粒子は、液体または固体である。本明細書中で使用されるとき、「エアロゾル」は、あらゆる気体由来の懸濁相を含むので、細気管支または鼻腔への吸入が可能である。いくつかの実施形態では、液体粒子のエアロゾルは、圧力式エアロゾルネブライザまたは超音波ネブライザなどを用いるいずれかの適切な手段により産生される。いくつかの実施形態では、組成物を含む個体粒子のエアロゾルは、医薬品分野で公知の技法によりいずれかの固体粒子薬剤エアロゾル発生器を用いて産生される。
【0226】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージを物体または対象の表面に投与するのに適した方法および組成物は、水溶液を含む。いくつかの実施形態では、このような水溶液は、物体または対象の表面に噴霧される。いくつかの実施形態では、水溶液は、対象の物理的創傷に注がれて、それを細菌を含む異物から洗浄するために使用される。
【0227】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるバクテリオファージは、治療有効量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示される少なくとも1つのバクテリオファージ組成物は、医薬製剤として製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれより多くの本明細書中に開示されるバクテリオファージを含む。いくつかの例では、医薬製剤は、本明細書中に記載のバクテリオファージ、および賦形剤、希釈剤、または担体のうち少なくとも1つを含む。
【0228】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は賦形剤を含む。賦形剤は、「the Handbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association (1986)」に記載されており、溶媒、分散媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散または懸濁液補助物質、界面活性剤、等張剤、増粘安定剤または乳化剤、防腐剤、固形結合剤、および潤滑剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0229】
適切な賦形剤の非限定的な例には、緩衝化剤、防腐剤、安定剤、結合剤、圧縮剤、潤滑剤、キレート化剤、分散促進剤、崩壊剤、香料、甘味料、着色料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0230】
いくつかの実施形態では、賦形剤は緩衝化剤である。適切な緩衝化剤の非限定的な例には、クエン酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、および炭酸水素カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム(magnesium glucomate)、水酸化アルミニウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、メタリン酸カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酢酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、塩化カリウム、水酸化カルシウム、および他のカルシウム塩のうち列挙したいずれか1つ以上の緩衝化剤を含む。
【0231】
いくつかの実施形態では、賦形剤は防腐剤である。適切な防腐剤の非限定的な例には、αトコフェロールおよびアスコルベート、ならびにパラベン、クロロブタノール、およびフェノールなどの抗菌剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、抗酸化剤には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、亜硫酸ナトリウム、p-アミノ安息香酸、グルタチオン、没食子酸プロピル、システイン、メチオニン、エタノール、およびN-アセチルシステインが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、防腐剤には、バリダマイシンA、TL-3、オルトバナジン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、N-a-トシル-Phe-クロロメチルケトン、N-a-トシル-Lys-クロロメチルケトン、アプロチニン、フッ化フェニルメチルスルホニル、ジイソプロピルフルオロホスフェート、プロテアーゼ阻害剤、還元剤、アルキル化剤、抗微生物薬、オキシダーゼ阻害剤、または他の阻害剤が挙げられる。
【0232】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は賦形剤として結合剤を含む。適切な結合剤の非限定的な例には、デンプン、α化デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルオキソアゾリドン、ポリビニルアルコール、C12-C18脂肪酸アルコール、ポリエチレングリコール、ポリオール、サッカライド、オリゴサッカライド、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0233】
いくつかの実施形態では、医薬製剤に使用される結合剤は、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプンなどのデンプン、スクロース、グルコース、デキストロース、ラクトース、およびマルトデキストリンなどの糖類、天然および合成のガム、ゼラチン、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ポリエチレングリコール(PEG)、ワックス、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ソルビトール、キシリトール、マンニトールなどのアルコール類、ならびに水、またはそれらの組合せから選択される。
【0234】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、賦形剤として潤滑剤を含む。適切な潤滑剤の非限定的な例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、水添植物油、sterotex、ポリオキシエチレンモノステアレート、タルク、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、および軽ミネラルオイルが挙げられる。いくつかの実施形態では、医薬製剤中の潤滑剤は、ステアリン酸金属塩(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなど)、脂肪酸エステル(フマル酸ステアリルナトリウムなど)、脂肪酸(ステアリン酸など)、脂肪族アルコール類、ベヘン酸グリセリル、ミネラルオイル、パラフィン、水添植物油、ロイシン、ポリエチレングリコール(PEG)、ラウリル硫酸金属塩(ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムなど)、塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、およびタルク、またはそれらの組合せから選択される。
【0235】
いくつかの実施形態では、賦形剤は香料を含む。いくつかの実施形態では、香料には、天然油、植物、葉、花、および果物からの抽出物、ならびにこれらの組合せが挙げられる。
【0236】
いくつかの実施形態では、賦形剤は甘味料を含む。適切な甘味料の非限定的な例には、(担体として使用されないとき)グルコース(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、フルクトース、およびそれらの混合物、サッカリンおよびその種々の塩、例えばナトリウム塩、アスパルテームなどのジペプチド甘味料、ジヒドロカルコン化合物、グリチルリチン、Stevia Rebaudiana(ステビオシド)、スクラロースなどのスクロースのクロロ誘導体、ならびにソルビトール、マンニトール、キシリトールなどの糖アルコール類が挙げられる。
【0237】
いくつかの例では、医薬製剤は着色料を含む。適切な着色料の非限定的な例には、食物・薬物・化粧品着色料(FD&C)、薬物・化粧品着色料(D&C)、および外用薬・化粧品着色料(Ext.D&C)が挙げられる。
【0238】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示される医薬製剤は、キレート化剤を含む。いくつかの実施形態では、キレート化剤には、エチレンジアミン-N,N,N’,N’-4酢酸(EDTA)、EDTAの二ナトリウム、三ナトリウム、四ナトリウム、二カリウム、三カリウム、二リチウム、および二アンモニウム塩、EDTAのバリウム、カルシウム、コバルト、銅、ジスプロシウム、ユウロピウム、鉄、インジウム、ランタン、マグネシウム、マンガン、ニッケル、サマリウム、ストロンチウム、または亜鉛キレートが挙げられる。
【0239】
いくつかの例では、医薬製剤は希釈剤を含む。希釈剤の非限定的な例には、水、グリセロール、メタノール、エタノール、および他の同様の生体適合性希釈剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、希釈剤は、酢酸、クエン酸、マレイン酸、塩酸、リン酸、硝酸、硫酸、または同様のものなどの水性の酸である。
【0240】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、限定されないが、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート)、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ドクセートナトリウム、第四級アンモニウム化合物、L-ロイシンなどのアミノ酸、脂肪酸の糖エステル、脂肪酸のグリセリド、またはそれらの組合せから選択される。
【0241】
いくつかの例では、医薬製剤は、追加の薬剤を含む。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、抗生物質剤である。いくつかの実施形態では、抗生物質剤は、アミノグリコシド、アンサマイシン、カルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン(第1、第2、第3、第4、および第5世代のセファロスポリンを含む)、リンコサミド、マクロライド、モノバクタム、ニトロフラン、キノロン、ペニシリン、スルホンアミド、ポリペプチド、またはテトラサイクリンからなる群のものである。
【0242】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の抗生物質剤は、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、またはパロモマイシンなどのアミノグリコシドである。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の抗生物質剤は、ゲルダナマイシンまたはハービマイシンなどのアンサマイシンである。
【0243】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の抗生物質剤は、ロラカルベフなどのカルバセフェムである。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の抗生物質剤は、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/クリアスタチン、またはメロペネムなどのカルバペネムである。
【0244】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の抗生物質剤は、セファドロキシル、セファゾリン、セファレキシン、セファロチン(Cefalotin)もしくはセファロチン(Cefalothin)などのセファロスポリン(第1世代)、または代替的に、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、もしくはセフロキシムなどのセファロスポリン(第2世代)である。いくつかの実施形態では、抗生物質剤は、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフチブテン、セフチゾキシム、およびセフトリアキソンなどのセファロスポリン(第3世代)、またはセフェピムもしくはセフトビプロールなどのセファロスポリン(第4世代)である。
【0245】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の抗生物質剤は、クリンダマイシンおよびアジスロマイシンなどのリンコサミド、または、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、およびスペクチノマイシンなどのマクロライドである。
【0246】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の抗生物質剤は、アズトレオナムなどのモノバクタム、またはフラゾリドンもしくはニトロフラントインなどのニトロフランである。
【0247】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の抗生物質剤は、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンGもしくはV、ピペラシリン、テモシリン、およびチカルシリンなどのペニシリンである。
【0248】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の抗生物質剤は、マフェナイド、スルホンアミドクリソイジン、スルファセタミド、スルファダイアジン、スルファダイアジン銀、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファニリミド、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリム、またはトリメトプリム-スルファメトキサゾール(Co-トリモキサゾール)(TMP-SMX)などのスルホンアミドである。
【0249】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の抗生物質剤は、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、レメフロキサシン、モキシフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシン、およびテマフロキサシンなどのキノロンである。
【0250】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の抗生物質剤は、バシトラシン、コリスチン、またはポリミキシンBなどのポリペプチドである。
【0251】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の抗生物質剤は、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、またはオキシテトラサイクリンなどのテトラサイクリンである。
【0252】
さらなる実施形態
1. (a)エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列を含むCRISPRアレイ、および
(b)CRISPR関連ヌクレアーゼをコードする核酸配列を含むCRISPR系
を含むバクテリオファージ。
2. スペーサー配列は、配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態1に記載のバクテリオファージ。
3. スペーサー配列は、第1のスペーサー配列および第2のスペーサー配列を含み、第1のスペーサー配列はエシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的であり、第2のスペーサー配列は、エシェリキア属種および/または第2のエシェリキア属種中の第2の標的ヌクレオチド配列に相補的であり、任意選択で、スペーサー配列は第3のスペーサー配列を含み、第3のスペーサー配列は、エシェリキア属種、第2のエシェリキア属種、および/または第3のエシェリキア属種中の第3の標的ヌクレオチド配列に相補的である、実施形態1または2に記載のバクテリオファージ。
4. CRISPRアレイは、少なくとも1つのリピート配列をさらに含み、任意選択で、少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端または3’末端のいずれかにおいてスペーサー配列に操作可能に連結される、実施形態1~3のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
5. リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態4に記載のバクテリオファージ。
6. CRISPRアレイは、配列番号38~45から選択される配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態1~34のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
7. 標的ヌクレオチド配列はコード配列を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
8. 標的ヌクレオチド配列は非コード配列または遺伝子間配列を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
9. 標的ヌクレオチド配列は、プロモーター配列のすべてまたは一部(例えば、少なくとも10個の隣接する核酸塩基)を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
10. プロモーター配列は、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態9に記載のバクテリオファージ。
11. 標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子または非必須遺伝子の転写された領域のコード鎖に位置するヌクレオチド配列のすべてまたは一部(例えば、少なくとも10個の隣接する核酸塩基)を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
12. 実施形態11に記載のバクテリオファージ、標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子の転写された領域のコード鎖に位置するヌクレオチド配列の一部(例えば、少なくとも10個の隣接する核酸塩基)のすべてを含み、必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、glmS、fus、adk、rpsK、rplR、ctrA、parC、tRNA-Ser、tRNA-Asn、またはmetKである。
13. CRISPR系は、CRISPR-Cpf1系、II型CRISPR-Cas系、またはV型CRISPR-Cas系を含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
14. CRISPR系は、カスケードポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含むI型CRISPR-Cas系を含み、任意選択で、カスケードポリペプチドは、I-A型CRISPR-Cas系、I-B型CRISPR-Cas系、I-C型CRISPR-Cas系、I-D型CRISPR-Cas系、I-E型CRISPR-Cas系、またはI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成するI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成する、実施形態1~12のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
15. カスケード複合体が、(i)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)、(ii)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、およびCas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有していないCas3’’ポリペプチド(I-A型CRISPR-Cas系)、(iii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Cas系)、(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Cas系)、(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Cas系)、または(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Cas系)を含む、実施形態14に記載のバクテリオファージ。
16. カスケード複合体は、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)を含む、実施形態14に記載のバクテリオファージ。
17. カスケード複合体は、緑膿菌I-C型カスケード複合体を含む、実施形態14~16のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
18. プロモーター配列を含む核酸配列をさらに含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
19. バクテリオファージは複数の細菌株を感染させる、実施形態1~18のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
20. バクテリオファージは偏性溶菌性バクテリオファージである、実施形態1~19のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
21. 溶菌性にされる溶原性バクテリオファージである、実施形態1~20のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
22. 溶原バクテリオファージは、溶原性遺伝子の除去、置換え、または不活性化によって溶菌性にされる、実施形態21に記載のバクテリオファージ。
23. エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌作用だけで死滅させられる、実施形態20~22のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
24. エシェリキア属種は、CRISPR系の活性だけで死滅させられる、実施形態20~22のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
25. エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とCRISPR系の活性との組合せにより死滅させられる、実施形態20~22のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
26. エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、CRISPR系の活性により死滅させられる、実施形態25に記載のバクテリオファージ。
27. CRISPR系の活性は、バクテリオファージの溶菌活性を補充するかまたは増強する、実施形態25に記載のバクテリオファージ。
28. バクテリオファージの溶菌活性、およびCRISPR系の活性は、相乗的である、実施形態25に記載のバクテリオファージ。
29. バクテリオファージの溶菌活性、CRISPR系の活性、またはその両方は、バクテリオファージの濃度により調節される、実施形態20~26のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
30. T4ウイルス、モシグウイルス、ファペコクタウイルス、特有のミオウイルス科、またはベクターウイルスを含む、実施形態1~29のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
31. p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、またはp5516から選択されるファージに対して少なくとも80%の配列同一性を含む、実施形態1~30のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
32. p004Ke007、p004Ke009、p00c0e030、またはp00exe014である、実施形態31に記載のバクテリオファージ。
33. 核酸配列は、非必須バクテリオファージ遺伝子に挿入される、実施形態1~33のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
34. (a)実施形態1~33のいずれか1つに記載のバクテリオファージと、
(b)薬学的に許容可能な賦形剤と
を含む、医薬組成物。
35. 少なくとも2つのバクテリオファージを含む、実施形態34に記載の医薬組成物。
36. バクテリオファージは、T4ウイルス、モシグウイルス、ファペコクタウイルス、特有のミオウイルス科、またはベクターウイルスからなる系統からのものである、実施形態34または実施形態35に記載の医薬組成物。
37. 医薬組成物は少なくとも6つのバクテリオファージを含み、上記バクテリオファージは、p004k、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、およびp5516、またはp00exe014、p004Ke009、p00jc、p00ke、p00c0e030、およびp5516を含む、実施形態35または36に記載の医薬組成物。
38. 医薬組成物は、錠剤、カプセル、液体、シロップ、経口製剤、静脈内製剤、鼻腔内製剤、眼製剤、耳製剤、皮下製剤、局所製剤、経皮製剤、経粘膜製剤、吸入可能な呼吸器製剤、坐薬、凍結乾燥製剤、噴霧化可能な製剤、およびそれらのあらゆる組合せの形態にある 、実施形態34~37のいずれか1つに記載の医薬組成物。
39. (a)エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列を含むCRISPRアレイと、
(b)CRISPR関連ヌクレアーゼをコードする核酸配列と
を含むCRISPR系を含むバクテリオファージから得られる遺伝子材料をエシェリキア属種に導入する工程を含む、エシェリキア属種を死滅させる方法。
40. スペーサー配列は、配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態39に記載の方法。
41. スペーサー配列は、第1のスペーサー配列および第2のスペーサー配列を含み、第1のスペーサー配列はエシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的であり、第2のスペーサー配列は、エシェリキア属種および/または第2のエシェリキア属種中の第2の標的ヌクレオチド配列に相補的であり、任意選択で、スペーサー配列は第3のスペーサー配列を含み、第3のスペーサー配列は、エシェリキア属種、第2のエシェリキア属種、および/または第3のエシェリキア属種中の第3の標的ヌクレオチド配列に相補的である、実施形態39または40に記載の方法。
42. CRISPRアレイは、少なくとも1つのリピート配列をさらに含み、任意選択で、少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端または3’末端のいずれかにおいてスペーサー配列に操作可能に連結される、実施形態39~41のいずれか1つに記載の方法。
43. リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態42に記載の方法。
44. CRISPRアレイは、配列番号38~45から選択される配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態39~43のいずれか1つに記載の方法。
45. 標的ヌクレオチド配列はコード配列を含む、実施形態39~44のいずれか1つに記載の方法。
46. 標的ヌクレオチド配列は非コード配列または遺伝子間配列を含む、実施形態39~44のいずれか1つに記載の方法。
47. 標的ヌクレオチド配列は、プロモーター配列のすべてまたは一部(例えば、少なくとも10個の隣接する核酸塩基)を含む、実施形態39~46のいずれか1つに記載の方法。
48. プロモーター配列は、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態47に記載の方法。
49. 標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子または非必須遺伝子の転写された領域のコード鎖に位置するヌクレオチド配列のすべてまたは一部(例えば、少なくとも10個の隣接する核酸塩基)を含む、実施形態39~48のいずれか1つに記載の方法。
50. 標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子の転写された領域のコード鎖に位置するヌクレオチド配列の一部(例えば、少なくとも10個の隣接する核酸塩基)のすべてを含み、必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、glmS、fus、adk、rpsK、rplR、ctrA、parC、tRNA-Ser、tRNA-Asn、またはmetKである、実施形態49に記載の方法。
51. CRISPR系は、CRISPR-Cpf1系、II型CRISPR-Cas系、またはV型CRISPR-Cas系を含む、実施形態39~50のいずれか1つに記載の方法。
52. CRISPR系は、カスケードポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含むI型CRISPR-Cas系を含み、任意選択で、カスケードポリペプチドは、I-A型CRISPR-Cas系、I-B型CRISPR-Cas系、I-C型CRISPR-Cas系、I-D型CRISPR-Cas系、I-E型CRISPR-Cas系、またはI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成するI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成する、実施形態39~50のいずれか1つに記載の方法。
53. カスケード複合体が、(i)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)、(ii)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有していないCas3’’ポリペプチド(I-A型CRISPR-Cas系)、(iii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Cas系)、(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Cas系)、(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Cas系)、または(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Cas系)を含む、実施形態14に記載のバクテリオファージを含む、実施形態52に記載の方法。
54. カスケード複合体は、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)を含む、実施形態52に記載の方法。
55. カスケード複合体は、緑膿菌I-C型カスケード複合体を含む、実施形態54に記載の方法。
56. CRISPR系は、プロモーター配列を含む核酸配列をさらに含む、実施形態39~55のいずれか1つに記載の方法。
57. バクテリオファージは偏性溶菌性バクテリオファージである、実施形態39~55のいずれか1つに記載の方法。
58. 溶菌性にされる溶原バクテリオファージである、実施形態39~57のいずれか1つに記載の方法。
59. 溶原バクテリオファージは、溶原性遺伝子の除去、置換え、または不活性化によって溶菌性にされる、実施形態58に記載の方法。
60. エシェリキア属種は、CRISPR系の活性だけで死滅させられる、実施形態39~59のいずれか1つに記載の方法。
61. エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とCRISPR系の活性との組合せにより死滅させられる、実施形態57~60のいずれか1つに記載の方法。
62. エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、CRISPR系の活性により死滅させられる、実施形態61に記載の方法。
63. CRISPR系の活性は、バクテリオファージの溶菌活性を補充するかまたは増強する、実施形態61に記載の方法。
64. バクテリオファージの溶菌活性およびCRISPR系の活性は相乗的である、実施形態61に記載の方法。
65. バクテリオファージの溶菌活性、CRISPR系の活性、またはその両方は、バクテリオファージの濃度により調節される、実施形態60~64のいずれか1つに記載の方法。
66. バクテリオファージは複数の細菌株を感染させる、実施形態39~65のいずれか1つに記載の方法。
67. バクテリオファージは、p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、p5516、p004Ke007、p004Ke009、p00c0e030、またはp00exe014に対して少なくとも80%の同一性を含む、実施形態39~66のいずれか1つに記載の方法。
68. 核酸配列は、非必須バクテリオファージ遺伝子の代わりに、またはそれに隣接して挿入される、実施形態39~67のいずれか1つに記載の方法。
69. 細菌細胞の混合集団はエシェリキア属種を含む、実施形態39~68のいずれか1つに記載の方法。
70. 疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法であって、
(a)エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的な1つ以上のスペーサー配列を含むCRISPRアレイと、
(b)CRISPR関連ヌクレアーゼをコードする核酸配列と
を含むCRISPR系を含むバクテリオファージを個体に投与する工程を含む、方法。
71. スペーサー配列は、配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態70に記載の方法。
72. スペーサー配列は、第1のスペーサー配列および第2のスペーサー配列を含み、第1のスペーサー配列はエシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的であり、第2のスペーサー配列はエシェリキア属種および/または第2のエシェリキア属種中の第2の標的ヌクレオチド配列に相補的であり、任意選択で、スペーサー配列は第3のスペーサー配列を含み、第3のスペーサー配列は、エシェリキア属種、第2のエシェリキア属種、および/または第3のエシェリキア属種中の第3の標的ヌクレオチド配列に相補的である、実施形態70または実施形態71に記載の方法。
73. CRISPRアレイは少なくとも1つのリピート配列をさらに含み、任意選択で、少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端または3’末端のいずれかにおいてスペーサー配列に動作可能に連結される、実施形態70または実施形態71に記載の方法。
74. リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態73に記載の方法。
75. CRISPRアレイは、配列番号38~45から選択される配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態70~74のいずれか1つに記載の方法。
76. 標的ヌクレオチド配列はコード配列を含む、実施形態70~75のいずれか1つに記載の方法。
77. 標的ヌクレオチド配列は非コード配列または遺伝子間配列を含む、実施形態70~75のいずれか1つに記載の方法。
78. 標的核酸配列は、プロモーター配列のすべてまたは一部(例えば、少なくとも10個の隣接する核酸塩基)を含む、実施形態70~77のいずれか1つに記載の方法。
79. プロモーター配列は、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態78に記載の方法。
80. 標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子または非本質的な遺伝子の転写された領域のコード鎖に位置するヌクレオチド配列のすべてもしくは一部(例えば、少なくとも10個の隣接する核酸塩基)を含む、実施形態70~79のいずれか1つに記載の方法。
81. 標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子の転写された領域のコード鎖に位置するヌクレオチド配列の一部(例えば、少なくとも10個の隣接する核酸塩基)のすべてを含み、必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、glmS、fus、adk、rpsK、rplR、ctrA、parC、tRNA-Ser、tRNA-Asn、またはmetKである、実施形態80に記載の方法。
82. CRISPR系は、CRISPR-Cpf1系、II型CRISPR-Cas系、またはV型CRISPR-Cas系を含む、実施形態70~81のいずれか1つに記載の方法。
83. CRISPR系は、カスケードポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含むI型CRISPR-Cas系を含み、任意選択で、カスケードポリペプチドは、I-A型CRISPR-Cas系、I-B型CRISPR-Cas系、I-C型CRISPR-Cas系、I-D型CRISPR-Cas系、I-E型CRISPR-Cas系、またはI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成するI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成する、実施形態70~81のいずれか1つに記載の方法。
84. カスケード複合体が、(i)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有していないCas3”ポリペプチド(I-A型CRISPR-Cas系)、(ii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Cas系)、(iii)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)、(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Cas系)、(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Cas系)、または(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Cas系)を含む、実施形態14に記載のバクテリオファージを含む、実施形態83に記載の方法。
85. カスケード複合体は、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)を含む、実施形態84に記載の方法。
86. CRISPR系は、プロモーター配列を含む核酸配列をさらに含む、実施形態70~85のいずれか1つに記載の方法。
87. バクテリオファージは偏性溶菌性バクテリオファージである、実施形態70~86のいずれか1つに記載の方法。
88. バクテリオファージは、溶菌性にされる溶原バクテリオファージである、実施形態70~86のいずれか1つに記載の方法。
89. 溶原バクテリオファージは、溶原性遺伝子の除去、置換え、または不活性化によって溶菌性にされる、実施形態88に記載の方法。
90. エシェリキア属種は、CRISPR系の活性だけで死滅させられる、実施形態87~89のいずれか1つに記載の方法。
91. エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とCRISPR系の活性との組合せにより死滅させられる、実施形態87~89のいずれか1つに記載の方法。
92. エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、CRISPR系の活性により死滅させられる、実施形態91に記載の方法。
93. CRISPR系の活性は、バクテリオファージの溶菌活性を補充するかまたは増強する、実施形態91に記載の方法。
94. バクテリオファージの溶菌活性およびCRISPR系の活性は相乗的である、実施形態91に記載の方法。
95. バクテリオファージの溶菌活性、CRISPR系の活性、またはその両方は、バクテリオファージの濃度により調節される、実施形態87~94のいずれか1つに記載の方法。
96. バクテリオファージは複数の細菌株を感染させる、実施形態70~95のいずれか1つに記載の方法。
97. バクテリオファージは、p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、p5516、p004Ke007、p004Ke009、p00c0e030、またはp00exe014に対して少なくとも80%の同一性を含む、実施形態70~96のいずれか1つに記載の方法。
98. 核酸配列は、非必須バクテリオファージ遺伝子の代わりに、またはそれに隣接して挿入される、実施形態70~97のいずれか1つに記載の方法。
99. 疾患は細菌感染である、実施形態70~98のいずれか1つに記載の方法。
100. 疾患または疾病を生じさせるエシェリキア属種は、薬剤耐性のエシェリキア属種である、実施形態70~99のいずれか1つに記載の方法。
101. 薬剤耐性のエシェリキア属種は、少なくとも1つの抗生物質に対して耐性を示す、実施形態100に記載の方法。
102. 疾患または疾病を生じさせるエシェリキア属種は、多剤耐性のエシェリキア属種である、実施形態70~101のいずれか1つに記載の方法。
103. 多剤耐性のエシェリキア属種は、少なくとも1つの抗生物質に対して耐性を示す、実施形態102に記載の方法。
104. 抗生物質は、セファロスポリン、フルオロキノロン、カルバペネム、コリスチン、アミノグリコシド、バンコマイシン、ストレプトマイシン、またはメチシリンを含む、実施形態101または103に記載の方法。
105. エシェリキア属種は大腸菌である、実施形態70~104のいずれか1つに記載の方法。
106. 投与は、動脈内、静脈内、尿道内、筋肉内、経口、皮下、吸入、局所、皮膚、経皮、経粘膜、埋め込み、舌下、頬側、直腸、膣、眼、耳、鼻の投与、またはそれらのあらゆる組合せである、実施形態70~105のいずれか1つに記載の方法。
107. 個体は哺乳動物である、実施形態70~106のいずれか1つに記載の方法。
108. 少なくとも1つの追加のバクテリオファージを投与する工程をさらに含む、実施形態70~107のいずれか1つに記載の方法。
109. (a)エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列を含むCRISPRアレイと、
(b)Cas5、Cas8c、およびCas7を含むカスケードポリペプチドと、
(c)Cas3ポリペプチドと
を含むI型CRISPR-Cas系をコードする核酸配列を含むバクテリオファージ。
110. スペーサー配列は、配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態109に記載のバクテリオファージ。
111. スペーサー配列は、第1のスペーサー配列および第2のスペーサー配列を含み、第1のスペーサー配列はエシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的であり、第2のスペーサー配列は、エシェリキア属種および/または第2のエシェリキア属種中の第2の標的ヌクレオチド配列に相補的であり、任意選択で、スペーサー配列は第3のスペーサー配列を含み、第3のスペーサー配列は、エシェリキア属種、第2のエシェリキア属種、および/または第3のエシェリキア属種中の第3の標的ヌクレオチド配列に相補的である、実施形態109または実施形態110に記載のバクテリオファージ。
112. CRISPRアレイは、少なくとも1つのリピート配列をさらに含み、任意選択で、少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端または3’末端のいずれかにおいてスペーサー配列に操作可能に連結される、実施形態109~111のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
113. リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態112に記載のバクテリオファージ。
114. CRISPRアレイは、配列番号38~45から選択される配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態109~113のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
115. 標的ヌクレオチド配列はコード配列を含む、実施形態109~114のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
116. 標的ヌクレオチド配列は非コード配列または遺伝子間配列を含む、実施形態109~114のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
117. 標的ヌクレオチド配列は、プロモーター配列のすべてまたは一部(例えば、少なくとも10個の隣接する核酸塩基)を含む、実施形態109~116のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
118. プロモーター配列は、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態117に記載のバクテリオファージ。
119. 標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子または非必須遺伝子の転写された領域のコード鎖に位置するヌクレオチド配列のすべてまたは一部(例えば、少なくとも10個の隣接する核酸塩基)を含む、実施形態109~118のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
120. 標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子の転写された領域のコード鎖に位置するヌクレオチド配列の一部(例えば、少なくとも10個の隣接する核酸塩基)のすべてを含み、必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、glmS、fus、adk、rpsK、rplR、ctrA、parC、tRNA-Ser、tRNA-Asn、またはmetKである、実施形態119に記載のバクテリオファージ。
121. CRISPR-Cas系はプロモーター配列をさらに含む、実施形態109~120のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
122. バクテリオファージは偏性溶菌性バクテリオファージである、実施形態109~121のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
123. 溶菌性にされる溶原性バクテリオファージである、実施形態109~121のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
124. 溶原バクテリオファージは、溶原性遺伝子の除去、置換え、または不活性化によって溶菌性にされる、実施形態123に記載のバクテリオファージ。
125. エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌作用だけで死滅させられる、実施形態121~124のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
126. エシェリキア属種は、CRISPR系の活性だけで死滅させられる、実施形態121~124のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
127. エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とCRISPR系の活性との組合せにより死滅させられる、実施形態121~126のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
128. エシェリキア属種は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、CRISPR系の活性により死滅させられる、実施形態127に記載のバクテリオファージ。
129. CRISPR系の活性は、バクテリオファージの溶菌活性を補充するかまたは増強する、実施形態127に記載のバクテリオファージ。
130. バクテリオファージの溶菌活性、およびCRISPR系の活性は、相乗的である、実施形態127に記載のバクテリオファージ。
131. バクテリオファージの溶菌活性、CRISPR系の活性、またはその両方は、バクテリオファージの濃度により調節される、実施形態125~130のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
132. バクテリオファージは複数の細菌株を感染させる、実施形態109~131のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
133. p004ke007、p004Ke005、p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%の同一性を含む、実施形態109~132のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
134. 核酸配列は、非必須バクテリオファージ遺伝子に挿入される、実施形態109~133のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
135. (a)実施形態109~133のいずれか1つに記載のバクテリオファージと、
(b)薬学的に許容可能な賦形剤と
を含む、医薬組成物。
136. 少なくとも2つのバクテリオファージを含む、実施形態135に記載の医薬組成物。
137. 医薬組成物は少なくとも6つのバクテリオファージを含み、各バクテリオファージは、p004k、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、およびp5516、またはp00exe014、p004Ke009、p00jc、p00ke、p00c0e030、およびp5516に対して少なくとも80%配列同一性を含む、実施形態136に記載の医薬組成物。
138. 医薬組成物は、錠剤、カプセル、液体、シロップ、経口製剤、静脈内製剤、鼻腔内製剤、眼製剤、耳製剤、皮下製剤、局所製剤、経皮製剤、経粘膜製剤、吸入可能な呼吸器製剤、坐薬、凍結乾燥製剤、噴霧化可能な製剤、およびそれらのあらゆる組合せの形態にある、実施形態135~137のいずれか1つに記載の医薬組成物。
139. 消毒を必要とする表面を消毒する方法であって、
(a)エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列を含むCRISPRアレイと、
(b)CRISPR関連ヌクレアーゼをコードする核酸配列と
を含むI型CRISPR系を含むバクテリオファージを表面に投与する工程を含む、方法。
140.表面は、院内表面、ビヒクル表面、装置表面、または工業表面である、実施形態139に記載の方法。
141. CRISPR系は、CRISPR-Cpf1系、II型CRISPR-Cas系、またはV型CRISPR-Cas系を含む、実施形態139または140に記載の方法。
142. CRISPR系は、カスケードポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含むI型CRISPR-Cas系を含み、任意選択で、カスケードポリペプチドは、I-A型CRISPR-Cas系、I-B型CRISPR-Cas系、I-C型CRISPR-Cas系、I-D型CRISPR-Cas系、I-E型CRISPR-Cas系、またはI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成するI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成する、実施形態139~141のいずれか1つに記載の方法。
143. カスケード複合体が、(i)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有していないCas3”ポリペプチド(I-A型CRISPR-Cas系)、(ii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Cas系)、(iii)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)、(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Cas系)、(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Cas系)、または(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Cas系)を含む、実施形態142に記載の方法。
144. カスケード複合体は、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)を含む、実施形態144に記載の方法。
145. 食品製品または栄養補助物質の汚染を予防する方法であって、食品製品または栄養補助物質に、
(a)エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列を含むCRISPRアレイと、
(b)CRISPR関連ヌクレアーゼをコードする核酸配列と
を含むI型CRISPR系をコードする核酸配列を含むバクテリオファージを添加する工程を含む、方法。
146. 食品製品または栄養補助物質は、牛乳、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、牛乳を用いた発酵製品、アイスクリーム、発酵穀物を用いた製品、牛乳を用いた粉末、乳児用フォーミュラもしくはタブレット、液体懸濁液、乾燥した経口サプリメント、湿式の経口サプリメント、またはドライ・チューブ・フィーディングを含む、実施形態145に記載の方法。
147. CRISPR系は、CRISPR-Cpf1系、II型CRISPR-Cas系、またはV型CRISPR-Cas系を含む、実施形態145または146に記載の方法。
148. CRISPR系は、カスケードポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含むI型CRISPR-Cas系を含み、任意選択で、カスケードポリペプチドは、I-A型CRISPR-Cas系、I-B型CRISPR-Cas系、I-C型CRISPR-Cas系、I-D型CRISPR-Cas系、I-E型CRISPR-Cas系、またはI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成するI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成する、実施形態145~147のいずれか1つに記載の方法。
149. カスケード複合体が、(i)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有していないCas3”ポリペプチド(I-A型CRISPR-Cas系)、(ii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Cas系)、(iii)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)、(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Cas系)、(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Cas系)、または(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Cas系)を含む、実施形態148に記載の方法。
150. カスケード複合体は、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)を含む、実施形態149に記載の方法。
151. (a)エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列を含むCRISPRアレイであって、スペーサー配列は配列番号12または20~37の少なくとも1つを含む、CRISPRアレイと、
(b)CRISPR関連ヌクレアーゼをコードする核酸配列と
を含むI型CRISPR-Cas系をコードする核酸配列を含むバクテリオファージ。
152. スペーサー配列は、第1のスペーサー配列および第2のスペーサー配列を含み、第1のスペーサー配列はエシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的であり、第2のスペーサー配列は、エシェリキア属種および/または第2のエシェリキア属種中の第2の標的ヌクレオチド配列に相補的であり、任意選択で、スペーサー配列は第3のスペーサー配列を含み、第3のスペーサー配列は、エシェリキア属種、第2のエシェリキア属種、および/または第3のエシェリキア属種中の第3の標的ヌクレオチド配列に相補的である、実施形態151に記載のバクテリオファージ。
153. スペーサー配列は、配列番号12または20~37から選択された2つまたは3つの配列を含む、実施形態151または152に記載のバクテリオファージ。
154. CRISPR系は、CRISPR-Cpf1系、II型CRISPR-Cas系、またはV型CRISPR-Cas系を含む、実施形態151~153のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
155. CRISPR系は、カスケードポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含むI型CRISPR-Cas系を含み、任意選択で、カスケードポリペプチドは、I-A型CRISPR-Cas系、I-B型CRISPR-Cas系、I-C型CRISPR-Cas系、I-D型CRISPR-Cas系、I-E型CRISPR-Cas系、またはI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成するI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成する、実施形態151~153のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
156. カスケード複合体が、(i)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、Cas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有していないCas3”ポリペプチド(I-A型CRISPR-Cas系)、(ii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Cas系)、(iii)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)、(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Cas系)、(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Cas系)、または(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Cas系)を含む、実施形態155に記載のバクテリオファージ。
157. カスケード複合体は、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)を含む、実施形態156に記載のバクテリオファージ。
158. p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、またはp5516から選択されるファージに対して少なくとも80%の配列同一性を含む、バクテリオファージ。
159. p004Ke007、p004Ke009、p00c0e030、またはp00exe014に対して少なくとも80%の同一性を含む、実施形態158に記載のバクテリオファージ。
160. (a)エシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的な1つ以上のスペーサー配列を含むCRISPRアレイと、
(b)カスケードポリペプチドをコードする核酸と、
(c)Cas3ポリペプチドをコードする核酸と
をさらに含む、実施形態158または159に記載のバクテリオファージ。
161. 1つ以上のスペーサー配列は、配列番号12または20~37の少なくとも1つ、あるいは配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を含む、実施形態160に記載のバクテリオファージ。
162. 1つ以上のスペーサー配列は2つまたは3つのスペーサー配列を含み、各スペーサー配列は、配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する、実施形態158に記載のバクテリオファージ。
163. 1つ以上のスペーサー配列は、第1のスペーサー配列および第2のスペーサー配列を含み、第1のスペーサー配列はエシェリキア属種中の標的ヌクレオチド配列に相補的であり、第2のスペーサー配列は、エシェリキア属種および/または第2のエシェリキア属種中の第2の標的ヌクレオチド配列に相補的であり、任意選択で、スペーサー配列は第3のスペーサー配列を含み、第3のスペーサー配列は、エシェリキア属種、第2のエシェリキア属種、および/または第3のエシェリキア属種中の第3の標的ヌクレオチド配列に相補的である、実施形態160~162のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
164. CRISPRアレイは少なくとも1つのリピート配列をさらに含む、実施形態158~163のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
165. 少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端または3’末端のいずれかにおいてスペーサー配列に操作可能に連結される、実施形態164に記載のバクテリオファージ。
166. リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態164または165に記載のバクテリオファージ。
167. CRISPRアレイは、配列番号38~45から選択される配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態158~166のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
168. 標的ヌクレオチド配列はコード配列を含む、実施形態158~167のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
169. 標的ヌクレオチド配列は非コード配列または遺伝子間配列を含む、実施形態158~167のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
170. プロモーター配列を含む、実施形態156~168のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
171. プロモーター配列は、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態170に記載のバクテリオファージ。
172. バクテリオファージDNAを、標的細菌中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列を含むCRISPRアレイと、CRISPRアレイヌクレアーゼをコードする配列とを含むCRISPR系をコードする核酸配列で置き換えるように修飾された、バクテリオファージ。
173. 標的細菌はエシェリキア属種を含む、実施形態172に記載のバクテリオファージ。
174. 修飾されたバクテリオファージは生存可能である、実施形態172または173に記載のバクテリオファージ。
175. 修飾されたバクテリオファージは溶菌性である、実施形態172~174のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
176. CRISPR系をコードする核酸配列は、単一の核酸配列である、実施形態172~175のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
177. CRISPR系をコードする核酸配列は、CRISPR系をコードする2つ以上の核酸配列を含む、実施形態172~175のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
178. CRISPR系、CRISPRアレイ、および/またはCRISPRヌクレアーゼをコードする配列は、プロモーターとタンパク質をコードする遺伝子とを含むバクテリオファージコード配列に隣接して(例えば、核酸塩基0個分離れて)、または上記バクテリオファージコード配列から少なくとも核酸塩基1個分離れて位置付けられる、実施形態172~177のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
179. CRISPR系、CRISPRアレイ、および/またはCRISPRヌクレアーゼをコードする配列は、バクテリオファージの必須遺伝子に隣接して(例えば、核酸塩基0個分離れて)、または上記必須遺伝子から少なくとも核酸塩基1個分離れて位置付けられる、実施形態172~178のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
180. CRISPR系は、合計約3000核酸塩基~約8000核酸塩基を含む、実施形態172~179のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
181. CRISPR系は、合計約4000核酸塩基~約8000核酸塩基を含む、実施形態172~180のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
180. CRISPR系は、合計約5000核酸塩基~約8000核酸塩基を含む、実施形態172~181のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
183. バクテリオファージDNAは、p004ke、p00c0、またはp00exファージから得られる、実施形態172~182のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
184. バクテリオファージは修飾されたp00keファージである、実施形態172~183のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
185. バクテリオファージは修飾されたp00c0ファージである、実施形態172~183のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
186. バクテリオファージは修飾されたp00exファージである、実施形態172~183のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
187. バクテリオファージDNAは、生存性に必須ではない、バクテリオファージ複製に影響を及ぼさない、バクテリオファージ溶菌に影響を及ぼさない、バクテリオファージの自然な生活様式に影響を及ぼさない、またはバクテリオファージの機能性に影響を及ぼさない、あるいはそれらの2つ以上のあらゆる組合せである、実施形態172~186のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
188. CRISPR系はCRISPR-Cas系である、実施形態172~187のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
189. CRISPR系はCRISPR-Cpf1系である、実施形態172~187のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
190. CRISPR系は、CRISPR-Cpf1系、II型CRISPR-Cas系、またはV型CRISPR-Cas系を含む、実施形態172~187のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
191. CRISPR系は、カスケードポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含むI型CRISPR-Cas系を含み、任意選択で、カスケードポリペプチドは、I-A型CRISPR-Cas系、I-B型CRISPR-Cas系、I-C型CRISPR-Cas系、I-D型CRISPR-Cas系、I-E型CRISPR-Cas系、またはI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成するI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成する、実施形態172~187のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
192. カスケード複合体が、(i)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)、(ii)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、およびCas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有していないCas3’’ポリペプチド(I-A型CRISPR-Cas系)、(iii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Cas系)、(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Cas系)、(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Cas系)、または(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Cas系)を含む、実施形態191に記載のバクテリオファージ。
193. カスケード複合体は、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)を含む、実施形態192に記載のバクテリオファージ。
194. カスケード複合体は、緑膿菌I-C型カスケード複合体を含む、実施形態192に記載の方法。
195. CRISPR系はI型CRISPR-Cas成分を含む、実施形態172~187のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
196. CRISPR系はV型CRISPR-Cas成分を含む、実施形態172~187のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
197. CRISPR系はII型CRISPR-Cas成分を含む、実施形態172~187のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
198. CRISPRヌクレアーゼは、Cas3、またはCas3’およびヌクレアーゼ活性を有していないCas3’’を含む、実施形態172~187のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
199. CRISPRヌクレアーゼはCpf1を含む、実施形態172~187のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
200. CRISPRヌクレアーゼはCas9を含む、実施形態172~187のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
201. スペーサー配列は、配列番号12または20~37のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態172~200のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
202. CRISPRアレイは少なくとも1つのリピート配列をさらに含む、実施形態172~201のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
203. 少なくとも1つのリピート配列は、その5’末端または3’末端のいずれかにおいてスペーサー配列に操作可能に連結される、実施形態202に記載のバクテリオファージ。
204. リピート配列は、配列番号13~18のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態202または203に記載のバクテリオファージ。
205. CRISPRアレイは、配列番号38~45から選択される配列に対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態172~204のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
206. 標的ヌクレオチド配列はコード配列を含む、実施形態172~205のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
207. 標的ヌクレオチド配列は非コード配列または遺伝子間配列を含む、実施形態172~205のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
208. 標的ヌクレオチド配列は、プロモーター配列のすべてまたは一部(例えば、少なくとも10個の隣接する核酸塩基)を含む、実施形態172~207のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
209. プロモーター配列は、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態208に記載のバクテリオファージ。
210. 標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子または非必須遺伝子の転写された領域のコード鎖に位置するヌクレオチド配列のすべてまたは一部(例えば、少なくとも10個の隣接する核酸塩基)を含む、実施形態172~209のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
211. 標的ヌクレオチド配列は、必須遺伝子の転写された領域のコード鎖に位置するヌクレオチド配列の一部(例えば、少なくとも10個の隣接する核酸塩基)のすべてを含み、必須遺伝子は、Tsf、acpP、gapA、infA、secY、csrA、trmD、ftsA、fusA、glyQ、eno、nusG、dnaA、dnaS、pheS、rplB、gltX、hisS、rplC、aspS、gyrB、glnS、dnaE、rpoA、rpoB、pheT、infB、rpsC、rplF、alaS、leuS、serS、rplD、gyrA、glmS、fus、adk、rpsK、rplR、ctrA、parC、tRNA-Ser、tRNA-Asn、またはmetKである、実施形態210に記載のバクテリオファージ。
212. CRISPR系は、プロモーター配列を含む核酸配列を含む、実施形態172~211のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
213. バクテリオファージは複数の細菌株を感染させる、実施形態172~212のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
214. バクテリオファージは偏性溶菌性バクテリオファージである、実施形態172~213のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
215. 溶菌性にされる溶原性バクテリオファージである、実施形態172~213のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
216. 溶原バクテリオファージは、溶原性遺伝子の除去、置換え、または不活性化によって溶菌性にされる、実施形態215に記載のバクテリオファージ。
217. 標的細菌は、バクテリオファージの溶菌作用だけで死滅させられる、実施形態121~124のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
218. 標的細菌は、CRISPR系の活性だけで死滅させられる、実施形態121~124のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
219. 標的細菌は、バクテリオファージの溶菌活性とCRISPR系の活性との組合せにより死滅させられる、実施形態121~126のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
220. 標的細菌は、バクテリオファージの溶菌活性とは無関係に、CRISPR系の活性により死滅させられる、実施形態214または215に記載のバクテリオファージ。
221. CRISPR系の活性は、バクテリオファージの溶菌活性を補充するかまたは増強する、実施形態214または215に記載のバクテリオファージ。
222. バクテリオファージの溶菌活性およびCRISPR系の活性は相乗的である、実施形態214または215に記載のバクテリオファージ。
223. バクテリオファージの溶菌活性、CRISPR系の活性、またはその両方は、バクテリオファージの濃度により調節される、実施形態214または215に記載のバクテリオファージ。
224. T4ウイルス、モシグウイルス、ファペコクタウイルス、特有のミオウイルス科、またはベクターウイルスを含む、実施形態172~223のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
225. p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、p5516、p00exe014、p004Ke009、またはp00c0e030から選択されるファージに対して少なくとも80%の配列同一性を含む、実施形態172~224のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
226. p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、またはp5516から選択されるファージから修飾される、実施形態172~225のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
227. 配列番号38~45のいずれか1つに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する核酸配列。
228. 配列番号39に対して少なくとも80%の同一性を有する核酸配列。
229. 配列番号39に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する、実施形態228に記載の核酸。
230. 配列番号39を含む、実施形態228に記載の核酸。
231. 配列番号12を含む、実施形態227~230のいずれか1つに記載の核酸。
232. 配列番号25を含む、実施形態227~231のいずれか1つに記載の核酸。
233. 配列番号24を含む、実施形態227~232のいずれか1つに記載の核酸。
234. 配列番号13を含む、実施形態227~233のいずれか1つに記載の核酸。
235. 実施形態227~234のいずれか1つに記載の核酸配列を含むCRISPRアレイ。
236. プロモーターをさらに含む、実施形態235に記載のCRISPRアレイ。
237. プロモーターは、エシェリキア属、赤痢菌属、クレブシエラ属、シュードモナス、属または他の細菌種由来のプロモーターである、実施形態236に記載のCRISPRアレイ。
238. プロモーターは、配列番号1~11または19のいずれか1つに対して少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む、実施形態236または237に記載のCRISPRアレイ。
239. プロモーターは、配列番号11に対して少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む、実施形態236または237に記載のCRISPRアレイ。
240. プロモーターはrrnB P1プロモーターである、実施形態236~239いずれか1つに記載のCRISPRアレイ。
241. 配列番号43に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列を含む、実施形態227~240のいずれか1つに記載のCRISPRアレイ。
242. 実施形態227~234のいずれか1つに記載の核酸、または実施形態235~241のいずれか1つに記載のCRISPRアレイを含む、バクテリオファージ。
243. 核酸および/またはCRISPRアレイは、プロモーターとタンパク質をコードする遺伝子とを含むバクテリオファージコード配列に隣接して(例えば、核酸塩基0個分離れて)、または上記バクテリオファージコード配列から少なくとも核酸塩基1個分離れて位置付けられる、実施形態242に記載のバクテリオファージ。
244. 核酸および/またはCRISPRアレイは、プロモーターとタンパク質をコードする遺伝子とを含むバクテリオファージコード配列に隣接して(例えば、核酸塩基0個分離れて)、または上記バクテリオファージコード配列から少なくとも核酸塩基1個分離れて位置付けられる、実施形態242または243に記載のバクテリオファージ。
245. 核酸および/またはCRISPRアレイは、バクテリオファージDNAを置き換える、実施形態242~244のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
246. バクテリオファージDNAは、p004ke、p00c0、またはp00exファージから得られる、実施形態245に記載のバクテリオファージ。
247. バクテリオファージDNAは修飾されたp00keファージである、実施形態245または246に記載のバクテリオファージ。
248. バクテリオファージDNAは修飾されたp00c0ファージである、実施形態245または247に記載のバクテリオファージ。
249. バクテリオファージDNAは修飾されたp00exまたはファージである、実施形態245または247に記載のバクテリオファージ。
250. バクテリオファージDNAは、生存性に必須ではない、バクテリオファージ複製に影響を及ぼさない、バクテリオファージ溶菌に影響を及ぼさない、バクテリオファージの自然な生活様式に影響を及ぼさない、またはバクテリオファージの機能性に影響を及ぼさない、あるいはそれらの2つ以上のあらゆる組み合わせである、実施形態242~249のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
251. バクテリオファージは生存可能である、実施形態242~250のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
252. バクテリオファージは複数の細菌株を感染させる、実施形態242~251のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
253. バクテリオファージは溶菌性である、実施形態242~252のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
254. バクテリオファージは偏性溶菌性バクテリオファージである、実施形態242~252のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
255. 溶菌性にされる溶原性バクテリオファージである、実施形態242~254のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
256. 溶原バクテリオファージは、溶原性遺伝子の除去、置換え、または不活性化によって溶菌性にされる、実施形態255に記載のバクテリオファージ。
257. T4ウイルス、モシグウイルス、ファペコクタウイルス、特有のミオウイルス科、またはベクターウイルスを含む、実施形態142~256のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
258. 核酸および/またはCRISPRアレイは、バクテリオファージに存在するCRISPR系の一部である、実施形態242~257のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
259. CRISPR系は、合計約3000核酸塩基~約8000核酸塩基を含む、実施形態258に記載のバクテリオファージ。
260. CRISPR系は、合計約4000核酸塩基~約8000核酸塩基を含む、実施形態258に記載のバクテリオファージ。
261. CRISPR系は、合計約5000核酸塩基~約8000核酸塩基を含む、実施形態258に記載のバクテリオファージ。
262. CRISPR系はCRISPR-Cas系である、実施形態258~261のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
263. CRISPR系はCRISPR-Cpf1系である、実施形態258~261のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
264. CRISPR系は、CRISPR-Cpf1系、II型CRISPR-Cas系、またはV型CRISPR-Cas系を含む、実施形態258~261のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
265. CRISPR系は、カスケードポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含むI型CRISPR-Cas系を含み、任意選択で、カスケードポリペプチドは、I-A型CRISPR-Cas系、I-B型CRISPR-Cas系、I-C型CRISPR-Cas系、I-D型CRISPR-Cas系、I-E型CRISPR-Cas系、またはI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成するI-F型CRISPR-Cas系のカスケード複合体を形成する、実施形態258~261のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
266. カスケード複合体が、(i)Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)、(ii)Cas7ポリペプチド、Cas8a1ポリペプチドまたはCas8a2ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、Csa5ポリペプチド、およびCas6aポリペプチド、Cas3’ポリペプチド、およびヌクレアーゼ活性を有していないCas3’’ポリペプチド(I-A型CRISPR-Cas系)、(iii)Cas6bポリペプチド、Cas8bポリペプチド、Cas7ポリペプチド、およびCas5ポリペプチド(I-B型CRISPR-Cas系)、(iv)Cas10dポリペプチド、Csc2ポリペプチド、Csc1ポリペプチド、Cas6dポリペプチド(I-D型CRISPR-Cas系)、(v)Cse1ポリペプチド、Cse2ポリペプチド、Cas7ポリペプチド、Cas5ポリペプチド、およびCas6eポリペプチド(I-E型CRISPR-Cas系)、または(vi)Csy1ポリペプチド、Csy2ポリペプチド、Csy3ポリペプチド、およびCsy4ポリペプチド(I-F型CRISPR-Cas系)を含む、実施形態265に記載のバクテリオファージ。
267. カスケード複合体は、Cas5dポリペプチド、Cas8cポリペプチド、およびCas7ポリペプチド(I-C型CRISPR-Cas系)を含む、実施形態266に記載のバクテリオファージ。
268. カスケード複合体は、緑膿菌I-C型カスケード複合体を含む、実施形態266または267に記載の方法。
269. CRISPR系はI型CRISPR-Cas成分を含む、実施形態258~261のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
270. CRISPR系はV型CRISPR-Cas成分を含む、実施形態258~261のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
271. CRISPR系はII型CRISPR-Cas成分を含む、実施形態258~261のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
272. CRISPR系は、ヌクレアーゼをコードする核酸を含む、実施形態158~261のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
273. ヌクレアーゼは、Cas3、またはCas3’およびヌクレアーゼ活性を有していないCas3’’を含む、実施形態272に記載のバクテリオファージ。
274. CRISPRヌクレアーゼはCpf1を含む、実施形態272に記載のバクテリオファージ。
275. CRISPRヌクレアーゼはCas9を含む、実施形態272に記載のバクテリオファージ。
276.p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、またはp5516から選択されるファージに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態242~275のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
277. p004K、p00c0、p00ex、p00jc、p00ke、またはp5516から選択されるファージから修飾される、実施形態242~276のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
278. p004Ke009に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態242~277のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
279. p00c0e030に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態242~277のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
280. p00exe014に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態242~277のいずれか1つに記載のバクテリオファージ。
281. 実施形態1~226または242~280のいずれか1つに記載のバクテリオファージ、および野生型ファージを含む組成物。
282. 野生型ファージは、表6に記載の細菌のいずれか1つを標的とする、実施形態281に記載の組成物。
283. 野生型ファージはp00keを含む、実施形態281または282に記載の組成物。
284. 野生型ファージはp5516を含む、実施形態281~283のいずれか1つに記載の組成物。
285. 野生型ファージはp00keを含む、実施形態281~284のいずれか1つに記載の組成物。
286. 実施形態1~226または242~280のいずれか1つに記載のバクテリオファージ、および第2のバクテリオファージを含む組成物。
287. 第2のバクテリオファージは、T4ウイルス、モシグウイルス、ファペコクタウイルス、特有のミオウイルス科、またはベクターウイルスからなる系統からのものである、実施形態286に記載の組成物。
288. 第2のバクテリオファージは、バクテリオファージDNAを、標的細菌中の標的ヌクレオチド配列に相補的なスペーサー配列を含むCRISPRアレイと、CRISPRアレイヌクレアーゼをコードする配列とを含むCRISPR系をコードする核酸配列で置き換えるように修飾される、実施形態286または287に記載の組成物。
289. 表6に記載の細菌の少なくとも1つは、第2のバクテリオファージによって標的とされる、実施形態286~288のいずれか1つに記載の組成物。
290. 表6に記載の少なくとも10、20、30、40、50、100、150、200、250、または300個の細菌は、第2のバクテリオファージによって標的とされる、実施形態289に記載の組成物。
291. p004ke009に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態286~290のいずれか1つに記載の組成物。
292. p00c0e030に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態286~290のいずれか1つに記載の組成物。
293. p00exe014に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、実施形態286~290のいずれか1つに記載の組成物。
294. p004ke009に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、組換えファージ。
295. p00c0e030に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、組換えファージ。
296. p00exe014に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、組換えファージ。
297. p00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、ファージ。
298. p00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、ファージ。
299. p5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含む、ファージ。
300. p004ke009に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p00c0e030、p00exe014、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物。
301. p00c0e030に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p004ke009、p00exe014、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物。
302. p00exe014に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p004ke009、p00c0e030、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物。
303. p00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p004ke009、p00c0e030、p00exe014、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物。
304. p00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p004ke009、p00c0e030、p00exe014、p00jc、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物。
305. p5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p004ke009、p00c0e030、p00exe014、p00jc、またはp00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージとを含む、組成物。
306. p004ke009に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p00c0e030に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージと、p00exe014、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第3のファージとを含む、組成物。
307. p00exe014、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第4のファージを含み、任意選択で、p00exe014、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第5のファージを含み、任意選択で、p00exe014、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第6のファージを含む、実施形態306に記載の組成物。
308. p004ke009に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p00exe014に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージと、p00c0e030、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第3のファージとを含む、組成物。
309. p00c0e030、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第4のファージを含み、任意選択で、p00c0e030、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第5のファージを含み、任意選択で、p00c0e030、p00jc、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第6のファージを含む、実施形態308に記載の組成物。
310. p004ke009に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージと、p00exe014、p00c0e030、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第3のファージとを含む、組成物。
311. p00exe014、p00c0e030、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第4のファージを含み、任意選択で、p00exe014、p00c0e030、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第5のファージを含み、任意選択で、p00exe014、p00c0e030、p00ke、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第6のファージを含む、実施形態310に記載の組成物。
312. p004ke009に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージと、p00exe014、p00c0e030、p00jc、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第3のファージとを含む、組成物。
313. p00exe014、p00c0e030、p00jc、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第4のファージを含み、任意選択で、p00exe014、p00c0e030、p00jc、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第5のファージを含み、任意選択で、p00exe014、p00c0e030、p00jc、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第6のファージを含む、実施形態312に記載の組成物。
314. p004ke009に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージと、p00exe014、p00c0e030、p00ke、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第3のファージとを含む、組成物。
315. p00exe014、p00c0e030、p00ke、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第4のファージを含み、任意選択で、p00exe014、p00c0e030、p00ke、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第5のファージを含み、任意選択で、p00exe014、p00c0e030、p00ke、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第6のファージを含む、実施形態314に記載の組成物。
316. p00c0e030に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p00exe014に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージと、p004ke009、p5516、p00ke、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第3のファージとを含む、組成物。
317. p004ke009、p5516、p00ke、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第4のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p5516、p00ke、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第5のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p5516、p00ke、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第6のファージを含む、実施形態316に記載の組成物。
318. p00c0e030に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージと、p004ke009、p5516、p00ke、またはp00exe014に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第3のファージとを含む、組成物。
319. p004ke009、p5516、p00ke、またはp00exe014に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第4のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p5516、p00ke、またはp00exe014に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第5のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p5516、p00ke、またはp00exe014に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第6のファージを含む、実施形態318に記載の組成物。
320. p00c0e030に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージと、p004ke009、p5516、p00exe014、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第3のファージとを含む、組成物。
321. p004ke009、p5516、p00exe014、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第4のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p5516、p00exe014、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第5のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p5516、p00exe014、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第6のファージを含む、実施形態320に記載の組成物。
322. p00c0e030に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージと、p004ke009、p00ke、p00exe014、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第3のファージとを含む、組成物。
323. p004ke009、p00ke、p00exe014、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第4のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p00ke、p00exe014、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第5のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p00ke、p00exe014、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第6のファージを含む、実施形態322に記載の組成物。
324. p00exe014に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージと、p004ke009、p00ke、p00c0e030、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第3のファージとを含む、組成物。
325. p004ke009、p00ke、p00c0e030、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第4のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p00ke、p00c0e030、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第5のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p00ke、p00c0e030、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第6のファージを含む、実施形態324に記載の組成物。
326. p00exe014に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージと、p004ke009、p00jc、p00c0e030、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第3のファージとを含む、組成物。
327. p004ke009、p00jc、p00c0e030、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第4のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p00jc、p00c0e030、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第5のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p00jc、p00c0e030、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第6のファージを含む、実施形態326に記載の組成物。
328. p00exe014に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージと、p004ke009、p00jc、p00c0e030、またはp00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第3のファージとを含む、組成物。
329. p004ke009、p00jc、p00c0e030、またはp00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第4のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p00jc、p00c0e030、またはp00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第5のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p00jc、p00c0e030、またはp00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第6のファージを含む、実施形態328に記載の組成物。
330. p00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージと、p004ke009、p00exe014、p00c0e030、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第3のファージとを含む、組成物。
331. p004ke009、p00exe014、p00c0e030、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第4のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p00exe014、p00c0e030、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第5のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p00exe014、p00c0e030、またはp5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第6のファージを含む、実施形態330に記載の組成物。
332. p00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージと、p004ke009、p00exe014、p00c0e030、またはp00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第3のファージとを含む、組成物。
333. p004ke009、p00exe014、p00c0e030、またはp00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第4のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p00exe014、p00c0e030、またはp00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第5のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p00exe014、p00c0e030、またはp00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第6のファージを含む、実施形態332に記載の組成物。
334. p00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第1のファージと、p5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第2のファージと、p004ke009、p00exe014、p00c0e030、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する第3のファージとを含む、組成物。
335. p004ke009、p00exe014、p00c0e030、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第4のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p00exe014、p00c0e030、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第5のファージを含み、任意選択で、p004ke009、p00exe014、p00c0e030、またはp00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する第6のファージを含む、実施形態334に記載の組成物。
336. 第4のファージは、第3のファージとは異なる、実施形態307、309、311、313、315、317、319、321、323、325、327、329、331、333、または335のいずれか1つに記載の組成物。
337. 第5のファージが存在し、第5のファージは第3のファージおよび第4のファージとは異なる、実施形態307、309、311、313、315、317、319、321、323、325、327、329、331、333、335、または336のいずれか1つに記載の組成物。
338. 第6のファージが存在し、第6のファージは第3のファージ、第4のファージ、および第5のファージとは異なる、実施形態307、309、311、313、315、317、319、321、323、325、327、329、331、333、または335~337のいずれか1つに記載の組成物。
339. (a)実施形態1~226、242~280、または294~299のいずれか1つに記載のバクテリオファージまたは実施形態281~293もしくは300~338のいずれか1つに記載の組成物と、
(b)薬学的に許容可能な賦形剤と
を含む医薬組成物。
340. 錠剤、カプセル、液体、シロップ、経口製剤、静脈内製剤、鼻腔内製剤、眼製剤、耳製剤、皮下製剤、局所製剤、経皮製剤、経粘膜製剤、吸入可能な呼吸器製剤、坐薬、凍結乾燥製剤、噴霧化可能な製剤、およびそれらのあらゆる組合せの形態にある、実施形態339に記載の医薬組成物。
341. 細菌を死滅させる方法であって、実施形態1~226、242~280、または294~299のいずれか1つに記載のバクテリオファージから得られる遺伝物質を細菌に導入する工程を含む、方法。
342. 細菌を死滅させる方法であって、実施形態281~293または300~338のいずれか1つに記載の組成物由来のバクテリオファージから得られる遺伝物質を細菌に導入する工程を含む、方法。
343. 疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法であって、実施形態1~226、242~280、または294~299のいずれか1つに記載のバクテリオファージを個体に投与する工程を含む、方法。
344. 疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法であって、実施形態281~293または300~338のいずれか1つに記載の組成物を個体に投与する工程を含む、方法。
345. 疾患は細菌感染である、実施形態343または344に記載の方法。
346. 細菌はエシェリキア属である、実施形態343~345のいずれか1つに記載の方法。
347. 消毒を必要とする表面を消毒する方法であって、実施形態1~226、242~280、または294~299のいずれか1つに記載のバクテリオファージを表面に投与する工程を含む、方法。
348. 消毒を必要とする表面を消毒する方法であって、実施形態281~293または300~338のいずれか1つに記載の組成物を表面に投与する工程を含む、方法。
349. 表面はエシェリキア属を含む、実施形態347または348に記載の方法。
350. 食品製品または栄養補助物質の細菌汚染を予防する方法であって、実施形態1~226、242~280、または294~299のいずれか1つに記載のバクテリオファージを、食品製品または栄養補助に添加する工程を含む、方法。
351. 食品製品または栄養補助物質の細菌汚染を予防する方法であって、実施形態281~293または300~338のいずれか1つに記載の組成物を、食品製品または栄養補助に添加する工程を含む、方法。
352. 細菌はエシェリキア属である、実施形態350または351に記載の方法。
353. 細菌と、p00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性のバクテリオファージを含む組成物とを接触させる工程を含む、細菌を死滅させる方法。
354. 細菌と、p00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性のバクテリオファージを含む組成物とを接触させる工程を含む、細菌を死滅させる方法。
355. 細菌と、p5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性のバクテリオファージを含む組成物とを接触させる工程を含む、細菌を死滅させる方法。
356. 細菌と、p00jcを含む組成物とを接触させる工程を含む、細菌を死滅させる方法。
357. 細菌と、p00keを含む組成物とを接触させる工程を含む、細菌を死滅させる方法。
358. 細菌と、p5516を含む組成物とを接触させる工程を含む、細菌を死滅させる方法。
359. 疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法であって、p00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性のバクテリオファージを含む組成物を個体に投与する工程を含む、方法。
360. 疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法であって、p00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性のバクテリオファージを含む組成物を個体に投与する工程を含む、方法。
361. 疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法であって、p5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性のバクテリオファージを含む組成物を個体に投与する工程を含む、方法。
362. 疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法であって、p00jcを含む組成物を個体に投与する工程を含む、方法。
363. 疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法であって、p00keを含む組成物を個体に投与する工程を含む、方法。
364. 疾患の処置を必要とする個体の疾患を処置する方法であって、p5516を含む組成物を個体に投与する工程を含む、方法。
365. 疾患は細菌感染である、実施形態359364のいずれか1つに記載の方法。
366. 消毒を必要とする表面を消毒する方法であって、p00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性のバクテリオファージを含む組成物を表面に投与する工程を含む、方法。
367. 消毒を必要とする表面を消毒する方法であって、p00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性のバクテリオファージを含む組成物を表面に投与する工程を含む、方法。
368. 消毒を必要とする表面を消毒する方法であって、p5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性のバクテリオファージを含む組成物を表面に投与する工程を含む、方法。
369. 消毒を必要とする表面を消毒する方法であって、p00jcを含む組成物を表面に投与する工程を含む、方法。
370. 消毒を必要とする表面を消毒する方法であって、p00keを含む組成物を表面に投与する工程を含む、方法。
371. 消毒を必要とする表面を消毒する方法であって、p5516を含む組成物を表面に投与する工程を含む、方法。
372. 食品製品または栄養補助物質の細菌汚染を予防する方法であって、p00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性のバクテリオファージを含む組成物を、食品製品または栄養補助に添加する工程を含む、方法。
373. 食品製品または栄養補助物質の細菌汚染を予防する方法であって、p00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性のバクテリオファージを含む組成物を、食品製品または栄養補助に添加する工程を含む、方法。
374. 食品製品または栄養補助物質の細菌汚染を予防する方法であって、p5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性のバクテリオファージを含む組成物を、食品製品または栄養補助に添加する工程を含む、方法。
375. 食品製品または栄養補助物質の細菌汚染を予防する方法であって、p00jcを含む組成物を、食品製品または栄養補助に添加する工程を含む、方法。
376. 食品製品または栄養補助物質の細菌汚染を予防する方法であって、p00keを含む組成物を、食品製品または栄養補助に添加する工程を含む、方法。
377. 食品製品または栄養補助物質の細菌汚染を予防する方法であって、p5516を含む組成物を、食品製品または栄養補助に添加する工程を含む、方法。
378. 細菌はエシェリキア属である、実施形態366~377のいずれか1つに記載の方法。
379. 複数の細菌を死滅させる方法であって、複数の細菌と第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージとを組み合わせる工程を含み、第1のバクテリオファージは、複数の細菌の第1のサブセットを標的とし、第2のバクテリオファージは、複数の細菌の第2のサブセットを標的とする、方法。
380. 複数の細菌を含む個体の疾患を処置する方法であって、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージを個体に投与する工程を含み、第1のバクテリオファージは、複数の細菌の第1のサブセットを標的とし、第2のバクテリオファージは、複数の細菌の第2のサブセットを標的とする、方法。
381. 疾患は細菌感染である、実施形態380に記載の方法。
382. 複数の細菌を含む表面を消毒する方法であって、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージを表面に投与する工程を含み、第1のバクテリオファージは、複数の細菌の第1のサブセットを標的とし、第2のバクテリオファージは、複数の細菌の第2のサブセットを標的とする、方法。
383. 食品製品または栄養補助物質中の複数の細菌による細菌汚染を予防する方法であって、第1のバクテリオファージおよび第2のバクテリオファージを食品製品または栄養補助物質に添加する工程を含み、第1のバクテリオファージは、複数の細菌の第1のサブセットを標的とし、第2のバクテリオファージは、複数の細菌の第2のサブセットを標的とする、方法。
384. 複数の細菌の第1のサブセットを標的とすることは、複数の細菌の第1のサブセットを感染させることを含み、複数の細菌の第2のサブセットを標的とすることは、複数の細菌の第2のサブセットを感染させることを含む、実施形態379~383のいずれか1つに記載の方法。
385. 第1のサブセットは第2のサブセットとは異なる、実施形態379~384のいずれか1つに記載の方法。
386. 複数の細菌は、表6に記載の2つ以上の細菌を含む、実施形態379~385のいずれか1つに記載の方法。
387. 複数の細菌は、表6に記載の少なくとも50、100、150、200、250、300、または350個の細菌を含む、実施形態379~386のいずれか1つに記載の方法。
388. 第1のバクテリオファージは、実施形態1~226、242~280、または294~299のいずれか1つに記載のバクテリオファージを含む、実施形態379~387のいずれか1つに記載の方法。
389. 第2のバクテリオファージは、実施形態1~226、242~280、または294~299のいずれか1つに記載のバクテリオファージを含む、実施形態379~388のいずれか1つに記載の方法。
390. 第1のバクテリオファージは、p00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるファージを含む、実施形態379~387のいずれか1つに記載の方法。
391. 第1のバクテリオファージは、p00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるファージを含む、実施形態379~387のいずれか1つに記載の方法。
392. 第1のバクテリオファージは、p5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるファージを含む、実施形態379~387のいずれか1つに記載の方法。
393. 第1のバクテリオファージは、p004Ke009に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるファージを含む、実施形態379~387のいずれか1つに記載の方法。
394. 第1のバクテリオファージは、p00c0e030に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるファージを含む、実施形態379~387のいずれか1つに記載の方法。
395. 第1のバクテリオファージは、p00exe014に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるファージを含む、実施形態379~387のいずれか1つに記載の方法。
396. 第2のバクテリオファージは、p00jcに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるファージを含む、実施形態379~388または390~395のいずれか1つに記載の方法。
397. 第2のバクテリオファージは、p00keに対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるファージを含む、実施形態379~388または390~395のいずれか1つに記載の方法。
398. 第2のバクテリオファージは、p5516に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるファージを含む、実施形態379~388または390~395のいずれか1つに記載の方法。
399. 第2のバクテリオファージは、p004Ke009に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるファージを含む、実施形態379~388または390~395のいずれか1つに記載の方法。
400. 第2のバクテリオファージは、p00c0e030に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるファージを含む、実施形態379~388または390~395のいずれか1つに記載の方法。
401. 第2のバクテリオファージは、p00exe014に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるファージを含む、実施形態379~388または390~395のいずれか1つに記載の方法。
【実施例
【0253】
実施例1:本出願で使用した操作されたファージ
バクテリオファージを、crArrayおよびCas構築物を含有するように操作した。表1は、以下の適用に使用されるファージの成分を表す。表2は、crArrayとCasプロモーターの両方の発現を誘導するために使用されるプロモーターの配列を表す。表3は、特異的な部位を標的とするのに使用されるcrArray中のスペーサー配列の配列を表す。表4はリピート配列を示す。さらに、図1Aは、以下の実施例で使用される予備的crArray5(SC2)の配列およびアラインメントを示す。図1Bは、最終カクテルファージの完全アレイ配列およびアラインメントを提供する。
【0254】
Cpf1系および配列を本明細書に提供する。例示的なpJC_Cpf1アレイ配列およびアラインメントを図1Cに詳述する。Cpf1配列エレメントも表1~4および23に列挙されている。
【0255】
【表1】
【0256】
【表2-1】
【0257】
【表2-2】
【0258】
【表3-1】
【0259】
【表3-2】
【0260】
【表4】
【0261】
実施例2:大腸菌におけるcrArraysの標的化
図2は、野生型ファージp004kおよびその操作された変異体p004ke007のゲノムの概略図を示す。ゲノム軸より下のバーは、除去かつ交換されたゲノムの領域を示す。ファージゲノムより下の概略図は、欠失した領域中でWTファージ遺伝子を置き換えるのに使用されたDNAを例示する。
【0262】
大腸菌ファージp004k-wt(野生型)およびp004ke007(SC2+Cas系を標的とする)を、細菌が対数増殖している間に、示された細菌株と混合し、接種から3時間後にLB寒天上に播種した。ファージ対細菌の比は、ファージの希釈系列を実施することによって変更し、その結果、細菌の量は各スポットにおいて一定のままであったが、ファージの量は変化した。ファージ対細菌の相対比は、細菌が複製し、ファージで死滅するにつれて、実験の過程にわたってシフトし、このことが、MOIが列挙されていない理由である。各セットの画像の最上部のラベルは、示された菌株を表す。
【0263】
このアッセイでは、ファージを中程度の対数増殖で示された細菌培養物と1:1で混合して、画像の左側に列挙された最終ファージ力価を得た。図3Aに示すように、細菌-ファージ混合物を3時間インキュベートし、その後、2μlの培養物をLBプレート上にスポットした。ファージを生き残った細菌は複製して目に見えるコロニーを形成するため、より少ない細菌はより良好なファージ死滅を意味する。このアッセイにおいて、操作されたファージは、すべての希釈において野生型よりも良好に細菌を死滅させるように見えたが、1x10希釈は、各大腸菌株について最も視覚的に顕著であった。図3B図3Dは、図3Aにおける画像の定量化を示す。定量化は、各スポットの相対光学密度(本質的に、各スポットがどれだけ暗いのか。より暗いスポットはより多くの細胞増殖を示す)を比較することによって決定した。まとめると、これらのデータは、細菌ゲノムを標的とするCas系およびcrArrayを含有する操作されたファージが、複数の菌株において野生型ファージ親よりも死滅を改善させたことを示す。これらのデータは、外因性Cas系を発現するファージが、多様なヒト病原体に対するファージを改善することを示す。
【0264】
実施例3:標的細菌を標的とするスペーサー配列の設計および検証
スペーサー設計
スペーサー配列は、以下のプロトコルを使用して設計される。第1に、目的の生物/種/標的についての代表的なゲノムの適切な検索セットが取得される。適切なデータベースの例としては、NCBI genbankおよびPATRIC(Pathosystems Resource Integration Center)データベースが挙げられる。ゲノムは、FTP(ファイル転送プロトコル)サーバーを介してバルクでダウンロードされ、迅速かつプログラムティックなデータセットの取得を可能にする。
【0265】
関連パラメーターを用いてゲノムを検索して、好適なスペーサー配列を位置決めする。ゲノムは、順方向と逆方向の両方の相補方向に開始から終了まで読み取られ、PAM(プロトスペーサー隣接モチーフ)部位を含有するDNAの連続したストレッチの位置を決めることができる。スペーサー配列は、PAM部位に対して3’隣接するN長さのDNA配列であり、Nは目的のCas系に対し特異的であり、かつ一般的に事前に把握される。PAM配列およびスペーサー配列の特徴付けは一般に、Cas系の発見および初期の研究中に実行される。観察されたPAM隣接スペーサーはすべて、ダウンストリームでの使用のためにファイルおよび/またはデータベースに保存することができる。
【0266】
次に、以下のプロセスを用いて、CRISPR操作されたファージに使用するためのスペーサーの質が判定される。まず、観察された各スペーサーは、どれだけ多くの評価されたゲノムにスペーサーが存在するのかを判断するために、評価することができる。観察されたスペーサーは、所定のゲノムそれぞれにどのくらいの頻度で生じ得るのかを確認するために、さらに評価することができる。1つのゲノムあたり1を超える位置に生じるスペーサーは、突然変異が生じる場合にCas系が標的部位を認識できない場合があり、追加の「バックアップ」部位がそれぞれ、適切で、変異のない標的位置が存在する可能性を増大させることから、有利である。観察されたスペーサーを評価して、ゲノムの機能注釈された領域に生じるかどうかを判断することができる。このような情報が利用可能な場合、それらゲノム領域が生物の生存と機能に「不可欠」であるかどうかを判断するために、機能注釈をさらに評価することができる。すべてのまたはほぼすべての評価された目的のゲノム(>=99)に存在するスペーサーに焦点を当てることは、スペーサー選択を正当化するための広い適用性を保証する。保存されたスペーサーの大きな選択プールが存在する場合、既知の機能を有するゲノムの領域に生じるスペーサーが優先される場合があり、それらゲノム領域が生存に「不可欠」であり、ゲノムごとに1回より多く生じる場合にはさらに優先される。
【0267】
スペーサー検証
その後、同定されたスペーサー配列は、以下の手順を完了することによって検証することができる。第1に、目的の生物において複製し、選択マーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子)を有するプラスミドが同定される。Cas系をコードする遺伝子は、目的の生物において発現されるようにプラスミドに挿入される。Cas系の上流には、Cas系の発現を駆動する目的の生物によって認識されるプロモーターが含まれる。プロモーターとCas系との間には、目的の生物によって認識されるリボソーム結合部位(RBS)が含まれる。
【0268】
2プラスミド系を使用した(図6に示す)。1つのプラスミドは、構成的プロモーター(操作されたファージの場合と同じプロモーターおよびRBS)および選択のためのカナマイシン耐性マーカーを介して発現されるCRISPR-Cas系を含んでいた。このプラスミドを大腸菌に形質転換した。
【0269】
第2のプラスミドは、構成的プロモーター(操作されたファージの場合と同じプロモーター)および選択のためのアンピシリン耐性マーカーを介して発現された個々のcrRNAを含んでいた。エレクトロコンピテント細胞を、CRISPR-Casプラスミドを有する大腸菌株から調製した。その後、crRNA含有プラスミドをこの菌株に形質転換した。
【0270】
次に、試験した各スペーサーの死滅の有効性を決定する。表5に列挙したプラスミドを同じモル濃度に対して正規化する。各プラスミドを、形質転換、コンジュゲーション、またはプラスミドを細胞に導入するための任意の他の方法によって、目的の生物に導入する。形質転換細胞を適切な選択培地(例えば、抗生物質含有寒天)上に播種する。コロニーへの細胞増殖後、それぞれの異なるプラスミド導入から生じたコロニーを数える。非標的化スペーサーを含有する対照プラスミドよりも有意に低い導入速度で標的化スペーサーを含有するプラスミドは、細菌ゲノムを標的化するのに成功していると考えられる。
【0271】
【表5】
【0272】
実施例4:大腸菌操作ワークフローの概要
図5は、例示的なCRISPR-Cas系、緑膿菌1C型Cas系を示す。PAIC遺伝子オペロンは、ほぼ5700bpであり、4つの別々のタンパク質で構成される。crRNAのアレイは別々に発現される。
【0273】
プラスミドベースのアッセイを利用して、crRNAの有効性を試験した(図6に示す)。2プラスミド系を使用した。1つのプラスミドは、構成的プロモーター(操作されたファージの場合と同じプロモーターおよびRBS)および選択のためのカナマイシン耐性マーカーを介して発現されるCRISPR-Cas系を含んでいた。このプラスミドを大腸菌に形質転換した。
【0274】
第2のプラスミドは、構成的プロモーター(操作されたファージの場合と同じプロモーター)および選択のためのアンピシリン耐性マーカーを介して発現された個々のcrRNAを含んでいた。エレクトロコンピテント細胞を、CRISPR-Casプラスミドを有する大腸菌株から調製した。その後、crRNA含有プラスミドをこの菌株に形質転換した。
【0275】
活性crRNAまたは「スクランブル」対照(通常のcrRNAと同じ長さのランダム化されたヌクレオチド配列)のいずれかの形質転換後に形成されるコロニー形成単位(CFU)の数を比較した。発生したコロニーが少なければ少ないほど、crRNAプラスミドとCRISPR-Casプラスミドとの組み合わせに起因する減少は大きくなる。
【0276】
例えば、対照crRNAプラスミド形質転換が1E7CFUをもたらし、活性crRNAプラスミド形質転換が1E4CFUをもたらす場合、これはCRISPR-Cas誘導性細菌死滅に起因する3-log減少を表す。
【0277】
図7に示すように、名目上のスペーサーは、高いカバレッジおよび有効性を有する。crRNAの初期リストは、それらの標的配列が、公的に入手可能な約10,000個の大腸菌ゲノムのパネル上でどの程度保存されているかに基づいて選択した。有効性カラムを、先に記載したプラスミドベースのアッセイに基づいて決定した。強調表示されたスペーサー標的は、アレイ試験のために選択されたものである。選択は、限定されないが、とりわけ、カバレッジ率、有効性、および標的を含む複数のパラメーターに基づいていた。
【0278】
実施例5.crRNAアレイの有効性の試験
スペーサーアレイを上記の方法を用いて試験した。図8は、例示的な代表的なPaICスペーサー効率を示し、4つの選択されたcrRNAについてのプラスミドベースの形質転換結果を示している。スクランブル対照と比較して、4つすべてが大腸菌コロニーにおいて約2log減少を示した。コロニーのない複製物は、検出限界(LOD)の半分であると帰する。データを平均±S.D.としてプロットした。CFUの減少は、大腸菌のCasヌル菌株(PAIC CRISPR-Casプラスミドなし)では実質的なCFU減少が観察されないため、一般的なプラスミド毒性または別の機構(すなわち、アンチセンス抑制)によって説明されなかった(図9A)。さらに、選択されたcrRNAプラスミドを天然CRISPR-Cas系を有する大腸菌株に形質転換した場合、CFU形成の測定可能な減少はなかった。大腸菌IF型(EcIF)系のために設計されたcrRNAは、CFUの複数の対数減少をもたらし、これは、crRNA設計の高い特異性、および同定されたPaICスペーサーのクロストークの非存在を示す(図9B)。大腸菌IE型(EcIE)のために設計されたcrRNAは、天然EcIE系を活性化するために必要なLeuO転写調節因子が存在しないため、内因性Cas系を活性化しなかった(図9C)。K12大腸菌株DH5-α株をEcIE試験に使用し、大腸菌NC101株をこのアッセイにおけるEcIF試験に使用した。
【0279】
実施例6.変異エスケープを充分に回避することができる標的部位の数の予測モデル
エスケープを予防するために必要な独立したCRISPR-Cas標的の数を理解するために、変異頻度の基本モデルを開発した。図10に示されるデータは、CRISPR-Casによる3つの独立した部位の標的化が変異エスケープのリスクを軽減するのに充分であることを示唆する。このモデルは、例えば、いくつかの最悪の場合のパラメーターを仮定する:(a)ゲノム当たり1e-6の正常変異率、(b)1014CFU(総GIマイクロバイオームまたは約100mの肺表面積の完全なコーティング)の高いバイオバーデン、(c)インビボの高い増殖率(20分の倍加時間)、(d)いずれの変異もCRISPR-Cas活性を完全に排除する。これらの高度にストリンジェントな仮定の下では、3つのスペーサーは、1ヶ月の連続感染、または1014CFUでの約2,000個の細菌世代に対する耐性の出現を完全に抑制するのに充分である。
【0280】
実施例7.PaICアレイ1および2の解析
前のセクションに記載したアッセイに基づいて、少なくとも2つのアレイ、PaICアレイ1およびPaICアレイ2をさらに分析した。表9はアレイを特徴付ける。
【0281】
【表6】
【0282】
表9に示すように、両方のアレイは、約10,000個の臨床EC菌株に対して全体的に高いカバレッジを有する。先に記載したプラスミドベースの死滅方法を用いたアレイ死滅データの比較により、両方のPaICアレイは、細菌死滅において高い能力を示した(図11)。アレイ配列を以下の表10に示す。
【0283】
【表7】
【0284】
実施例8:精製およびカクテル大腸菌ファージ宿主範囲アッセイ
液体およびプラーク形成宿主範囲アッセイの組み合わせからの最良の結果で報告された、精製およびカクテル大腸菌ファージのデータを取得した。要約したデータは、所定のファージと菌株の組み合わせについての液体およびプラーク形成宿主範囲の両方にわたるバイナリーヒットの中央値であった。
【0285】
液体宿主範囲の決定は、適切な培養物、ファージ、および培地のみの対照と共に、凍結したOD制御された培養材料5μL、既知の力価のファージ材料5μL、および増殖培地40μLを364ウェルプレートのウェルに添加することを含んでいた。プレートを振盪しながら37℃で20時間インキュベートし、OD600読み取り値を液体ハンドラーで毎時間取った。結果は、ファージを添加した試料およびそれらのそれぞれの対照についての曲線下面積(AUC)間の比を決定することによって計算した。0.65未満のAUC比を有する試料を陽性(+)ヒットとみなし、0.65以上のAUC比を陰性(-)ヒットとみなした。
【0286】
プラーク形成宿主範囲アッセイのために、目的の細菌株を培養し、プロファージについてスクリーニングした。目的のバクテリオファージを、マイクロタイタープレートにわたり、1×PBS中で未希釈から50~3まで50倍に連続希釈した。力価宿主として使用した菌株の寒天オーバーレイを注ぎ、一晩静置した。翌日、目的の細菌株のライセートをスポットした。15~20分後、Hamilton-STAR-C062を使用してプレートを画像化し、手動で計数するか、または変換、背景差分、および計数のために内部開発された画像分析パイプラインを介して実行した。陽性(+)数のプラーク形成単位を有する試料をヒットとみなした。
【0287】
大腸菌、野生型T4ウイルス(Tequatrovirus)ファージ(p004kおよびp00ex)、野生型モシグウイルス(Tequatrovirus)ファージ(p00c0)、野生型フェペコオクタウイルス(Phapecoctavirus)ファージ(p00jc)、野生型の固有のミオウイルス科ファージ(p00ke)、野生型ベクターウイルスファージ(p5516)、およびカクテルCK507を含むこのアッセイの結果を表11に列挙した。カクテルCK507は、p004ke009、p00c0e030、p00ex014、p00jc、p00ke、およびp5516を含む。全体として、宿主範囲データは、精製ファージと比較して、カクテルCK507について増加した。
【0288】
【表8-1】
【0289】
【表8-2】
【0290】
【表8-3】
【0291】
【表8-4】
【0292】
【表8-5】
【0293】
【表8-6】
【0294】
【表8-7】
【0295】
実施例9:第2の大腸菌ファージアッセイにおける完全構築物
大腸菌細菌(b2185株およびb3911株)とファージを混合し、すぐにプレートにスポットした後、3e10 PFU/ml(約100のMOI)から開始し、同じ細菌濃度でファージを1:5に連続希釈した標準的なプレート死滅アッセイを完了した。p00Ex野生型および操作されたファージを、対数増殖において細菌と混合し、LB寒天上の2μlスポットにすぐに播種した。ファージ対細菌の比は、細菌の量が各希釈で一定に保たれるが、ファージの量が1~5希釈であるように、希釈系列を通して変更した。最高希釈では、感染多重度(MOI)は100であり、細菌当たり約100個のファージが存在したことを意味する。図4において、p00EXe014(FC)は、b2185株およびb3911株の両方を、p00EX野生型(WT)対応物よりも一貫して良好に死滅させた。両方の大腸菌株についてのデータは、完全な構築物ファージが予想通りに機能していたことを検証し、標準的なプレート死滅アッセイを検証した。
【0296】
実施例10.精製されたファージカクテルCK618
6つのファージ(p004k、p00jc、p00c0、p00ke、p5516、およびp00ex)を含む精製ファージカクテルを記載する。効力および純度の両方を、内毒素レベルを含む臨床試験材料との整合性について評価する。
【0297】
【表9】
【0298】
【表10-1】
【0299】
【表10-2】
【0300】
【表10-3】
【0301】
【表10-4】
【0302】
【表10-5】
【0303】
【表10-6】
【0304】
【表10-7】
【0305】
実施例11.カクテルCK618の高力価液体およびプラーク形成宿主範囲
この研究の目的は、2つの別個の方法によってCK618およびその成分個々のファージの総宿主範囲を決定することであった。
【0306】
材料および方法
臨床的に関連する300-単離株臨床パネル(CP)を開発した。大腸菌(E.coli)単離株は、International Health Management Associates(IHMA)から入手し、各菌株の様々な特徴に関するメタデータを得た。菌株は、それらが3つ以上のクラスの抗生物質に対して耐性がある場合、MDRとして定義され、表14に要約された。
【0307】
【表11-1】
【0308】
【表11-2】
【0309】
両方の宿主範囲アッセイのための細菌プレートを、37℃の振盪インキュベーター中で約4~6時間、細菌株を対数期まで増殖させることによって作製した。その後、これらの培養物をグリセロールを含むLBで希釈して、20%グリセロール中の600nmでの標的最終光学密度(OD600)0.02にした後、パネルを凍結させた。さらなる試験後、パネル上の菌株の平均力価を、2.89×10コロニー形成単位(CFU)/mLであると決定した。パネルを、宿主範囲試験に使用するまで-80℃の冷凍庫で保存した。
【0310】
CK618由来の個々のファージを、利用可能な最大の力価で試験した。さらに、CK618中の各ファージ(表15)を組み合わせて、3つの異なるファージ濃度を有するカクテルにした。
【0311】
【表12】
【0312】
最高力価のカクテルについては、等体積の各ファージを組み合わせて、1.0×1011PFU/mLの総カクテル力価を有するカクテルを生成した。2つの低力価のカクテルについては、ファージ力価を正規化した後に組み合わせて、力価3.0×10PFU/mL(総カクテル力価1.8×1010PFU/mL)または1.0×10PFU/mL(総カクテル力価6.0×10PFU/mL)の各ファージを有するカクテルを生成した。ファージは、プロセス開発(PD)プロセスによって産生された。PDプロセスは、より小さなスケールを除いて、臨床試験材料製造に使用されるのと同じ一般的な製造プロセスを使用する。効力および純度の両方を、内毒素レベルを含む臨床試験材料との整合性について評価する。その後、カクテルを、さらなる4つの目的の菌株とともに、上記の300-単離株CPに関する液体ベースのアッセイおよびプラーク形成ベースのアッセイを介して宿主範囲試験に供した。
【0313】
液体ベースの宿主範囲
凍結した細菌パネルを、Hamilton VANTAGE液体ハンドリングロボットでの液体宿主範囲プロトコルの開始の少なくとも45分前に、冷凍庫から取り出した。増殖培地として10mMのCaClおよび10mMのMgClで修正したLB(以下、LB+塩と呼ぶ)、細菌パネル(96ウェルマイクロタイタープレート中の最大4つの異なるパネル)、およびエッペンドルフチューブ中のファージライセートを含む、必要な消耗品のすべてを用いて機器を準備した。LB+塩のみを含むブランク試料を96ウェルマイクロタイタープレートおよびエッペンドルフチューブに含めて、実行の潜在的汚染について対照として試験した。96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに、液体ハンドリングロボットによって、40μLのLB+塩、その後、5μLのファージ、その後、細菌パネル由来の5μLの細菌を負荷した。この調製物は、インプットファージの濃度の1/10の試験試料中の最終ファージ濃度をもたらした。すべての組み合わせが調製されると、プレートを37℃の振盪インキュベーターに入れた。プレートを20時間インキュベートし、各プレートの各ウェルのOD600を毎時間読み取った。
【0314】
前述のプロトコルは、ファージカクテルの存在下および非存在下における各細菌株の増殖曲線を生成する。曲線下面積(AUC)を計算し、(ファージの存在下でのAUC)/(ファージの非存在下でのAUC)の比を計算する(図19、左パネル)。AUC比が<0.65である場合、菌株はファージカクテルによって標的とされると考えられる。試験した菌株の数で割った標的とされる菌株の数は、宿主範囲のパーセンテージ、すなわち、%HRを与える。同じ分析を、多剤耐性(MDR)として分類される菌株のサブセットに対して行った。加えて、ファージカクテルによって標的とされるいくつかの菌株は、最終的に耐性を身につけ、成長し始め、したがって、そのウェルにおけるOD600読み取り値を増加させる。他の菌株は、アッセイ時間経過の終わり(20時間)まで抑制されたままである。所定の菌株+ファージ試料が0.4のOD600に達するまでの時間量を調べることによって、菌株増殖を定量化した(図19(ERROR。参照源が見つからない)右パネル)。試料が0.4のOD600に決して達しない場合、その試料は抑制されたとみなした。0.4のOD600未満まで抑制されたままである菌株の数を、試験した菌株の数で割ると、抑制測定基準(suppression metric)%OD<0.4が得られる。
【0315】
プラーク形成ベースの宿主範囲
凍結した細菌パネルを冷凍庫から取り出して解凍し、1mLのLBをディープウェルブロックの各ウェルに添加して、37℃の振盪インキュベーター中で一晩インキュベートした。培養物が一晩増殖すると、それらを使用して、二重寒天オーバーレイ法に必要なオーバーレイを生成した。これらのオーバーレイを作製するために、矩形のLB寒天プレートを使用し、100μLの細菌および0.56%低塩上層寒天(LBと3:1混合した低塩上層寒天)のオーバーレイ混合物をプレート上に注いだ。オーバーレイを寒天プレートに注ぎ、スポットする前に少なくとも20分間凝固させた。
【0316】
ファージプラーク形成は、Hamilton VANTAGE液体ハンドリングロボットを用いて行った。各ファージ(利用可能な最大の力価、表15)またはファージカクテル(「材料および方法」の段落に記載)をLB中で1:10に連続希釈した。二重寒天オーバーレイの凝固後、ファージをロボットによってオーバーレイ上にスポットした。スポット形成が完了してスポットが乾燥すると、プレートを液体ハンドリングロボットから取り出し、37℃のインキュベーターに一晩置いた。
【0317】
一晩インキュベートした後、一体型カメラIDS uE yeを用いて、液体ハンドリングロボットHamilton STARでプレートを画像化した。インハウスアルゴリズムを使用して、個々のプラーク形成単位の数を数えることによって感受性細菌株を同定した。ヒットを指定するために最低3つのプラーク形成単位を使用した。異常値の結果(アルゴリズムにおける3つの方法間の>2対数の差)を与えるプレートおよびアルゴリズムによってプラークが検出されないプレートを手動で計数した。
【0318】
結果
ファージカクテルの宿主範囲を、液体中でのファージ曝露後および細菌オーバーレイ上でのプラーク形成後にAUCを生成する2つの方法を使用して試験した。これらの2つの測定基準の組み合わせは、最大実行可能力価でCK618がCP中の菌株の92.4%を標的とすることを実証した。CPの38.8%を表すMDR菌株サブセットでは、宿主範囲の割合はCK618について94.1%に増加した。
【0319】
カクテルの性能を決定するために使用される追加の測定基準は、ODまでの時間である。この測定基準は、当初の減少後の細菌株の増殖の抑制においてカクテルがどの程度有効であるかを決定するのに有用である。スコアは、ODの当初の減少後にOD≧0.4までリバウンドしない菌株のパーセンテージを考慮する。したがって、より高い時間対ODパーセンテージは、カクテルによって抑制されたそれらの菌株を表す。CK618についての時間対ODのスコアは、すべてのパネルで最大実行可能力価で67.8%であり、MDR菌株では62.4%であった(表16)。
【0320】
【表13-1】
【0321】
【表13-2】
【0322】
実施例12.抗生物質とのインビトロ相乗作用
この研究の目的は、CK618と抗生物質との相互作用を評価することであった。
【0323】
材料および方法
ファージカクテルCK618を、2つの単離株パネルに対する抗生物質と組み合わせて、および上記抗生物質とともに試験した。第1のアッセイは、北アメリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、およびアジアからの88個の同時尿路感染症(UTI)単離株のパネルを使用した。これらの単離株の21個(24%)は、多剤耐性(MDR)として分類され、3つ以上の抗生物質クラスに対する耐性を有する。5種の標準治療(SOC)抗生物質(セフトリアキソン、セファレキシン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール[TMP/SMX]、コトリモキサゾールとも呼ばれる]、ホスホマイシン、およびニトロフラントイン)と、比較対照として通常使用される2つの非SOC抗生物質(セフジニルおよびシプロフロキサシン)とを代表する7つの異なる抗生物質をこのパネルに対して試験した。第2のアッセイは、さらなる4つの目的の菌株を有する300株臨床単離株パネル(表14)で構成されるパネルを使用した。それらの単離株の93%がMDRとして分類される。88個の単離株パネルに対して試験した同じSOC抗生物質の4つを、このパネルに対して試験した。非SOC抗生物質は、臨床環境では使用が制限されるために含まれず、ニトロフラントインは、この薬物に対する耐性の確率が低いため含まれなかった。
【0324】
両方の単離株パネルについて、Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)またはEuropean Committee on Antimicrobial Susceptibility Testing(EUCAST)ブレークポイントを、感受性単離株を死滅させるが、標準AST微量希釈アッセイにおいて中間体または耐性単離株を増殖させる濃度で使用することによって、試験した抗生物質濃度を決定した(表17)。
【0325】
【表14】
【0326】
提案された第2相CRISPR増強ファージ(CRISPR-ファージ、以後「crPhage」と呼ぶ)カクテル(CK618)の組成は、CK570から、CK570中の3つのファージと比較して6つのファージを含むように更新されている。ファージカクテルCK618を、すべてのファージが最終カクテルにおいて同等の力価を有するように調製した。次いで、カクテルを細菌と混合して、カクテルについて1×10プラーク形成単位(PFU)/mL/ファージ、および細菌について1×10コロニー形成単位(CFU)/mLの最終力価を得て、試料中の各ファージについて10の感染多重度(MOI)が得られた。簡潔には、5μlの各試料(CK618単独、CK618、および抗生物質、抗生物質単独、または培地単独)を、5μlの光学密度(OD)正規化細菌単離株および40μlのLB培地に添加した。反応物を振盪しながら37℃でインキュベートし、OD測定を20時間にわたって毎時間行った。
【0327】
宿主範囲パーセンテージは、抗生物質またはCK618の処置に応答した単離株のパーセントである。88-単離株パネルの場合、結果を完全なパネル、ならびに多剤耐性(MDR)(n=21)およびβ-ラクタム耐性(n=31)として分類されたサブセットについて分析した。304-単離株パネルの場合、結果を完全なパネル、ならびにMDR(n=93)およびβ-ラクタム耐性(n=91)として分類された単離株のサブセットについて分析した。
【0328】
結果
CK618は、すべての菌株において、第1世代と第3世代のセファロスポリン、シプロフロキサシン、およびTMP/SMXを含むほとんどのSOC抗生物質よりも優れていた(図12A図12C図13A図13C、表18、表19)。併用療法は、抗生物質処置単独と比較して、すべての場合においてより有効であった。MDRおよびベータ-ラクタム耐性株のサブセットにおいて、セファロスポリン、シプロフロキサシン、またはTMP/SMXとの併用療法は、ファージカクテル単独と同様に、またはそれよりわずかに良好に機能する。ホスホマイシンおよびニトロフラントインは、すべての菌株にわたって強い活性を有し、LBP-EC01の添加によってわずかに改善された。MDRおよびベータ-ラクタム耐性株については、セファロスポリン、シプロフロキサシン、およびTMP/SMXの全宿主範囲は減少したが、LBP-EC01、ニトロフラントイン、およびホスホマイシンは、試験した単離株にわたって抗生物質耐性の状態にかかわらず同様に機能した(図12A図12C図13A図13C、表18、表19)。
【0329】
【表15】
【0330】
【表16】
【0331】
これらのデータは、CK618が、すでに抗生物質耐性機構のいくつかの実証された症例を有し、MDR/XDR単離株の出現までは広く使用されていなかったため、現在のみ有効である回復した薬物ホスホマイシンを除いて、試験した抗生物質のすべてよりも優れていたことを実証している。さらに、CK618は抗生物質と相補的に作用する。単離MDR状態または抗生物質の独自性に関係なく、すべての場合において、CK618+抗生物質による同時処置は、CK618または抗生物質のいずれか単独の処置よりも高い宿主範囲を実証している。バクトリム(Bactrim)(TMP/SMXまたはコトリモキサゾール)の場合、標的とされた304-単離株パネルからのMDR株のパーセントは、バクトリム単独で処置した場合の17.2%から、バクトリム+CK618で処置した場合の75.3%まで増加し(表19)、これは、同時処置の利益についての強力な議論を提供する。
【0332】
実施例13.カクテルの有効性を試験するための尿路感染モデル
大腸菌による膀胱および腎臓の安定感染をもたらす大腸菌(E.coli)株ATCC700928に感染したC3H/OuJマウスにおいて、尿路感染(UTI)モデルを開発した。CK618代用カクテルCK570をこの研究において試験して、カクテルが膀胱、腎臓、および尿における大腸菌負荷を低減し得る程度を決定した。
【0333】
材料
CRISPRファージ(「crPhage」)カクテルは、6つのファージ(p004k、p00jc、p00c0、p00ke、p5516、およびp00ex)を含んでいた。CK570において使用されるp00jcの完全な構築物バージョンは、他の完全な構築物ファージにおいて使用されるPAIC Casオペロンではなく、CRISPR系としてCpf1/Cas12aを使用し、プロセス開発(PD)プロセスを通して産生された。PDプロセスは、より小さなスケールを除いて、臨床試験材料製造に使用されるのと同じ一般的な製造プロセスを使用する。効力および純度の両方を、内毒素レベルを含む臨床試験材料との整合性について評価する。
【0334】
【表17】
【0335】
CK570は、7.6×1010プラーク形成単位(PFU)/mLの複合効力および16.6EU/mLの推定エンドトキシン含有量を有する1×トリス緩衝生理食塩水(TBS)中で製剤化した。CK570で処置されたマウスは、尿道内(IU)投与を介して3.8×10PFU/用量、またはIV投与を介して7.6×10PFU/用量を受けた。感染株に対するカクテル効力は、2.0×1010PFU/mL(連続希釈およびATCC700928細菌オーバーレイ上でのプレーティングによって決定される)であった。この研究で使用したビヒクルは、1×TBSであった。シプロフロキサシンは陽性対照であり、調合薬局によって水中の2.5mg/mLストックとして注射剤として調製した。
【0336】
約8週齢で体重21~24グラムのC3H/OuJのメスマウスをこの研究に使用した。マウスをケージ当たり1~5匹の動物で飼育し、食物(5P76Prolab isopro照射実験食)および水を自由に与えた。
【0337】
実験計画
0日目に、群1~5の動物に、50μLの大腸菌(E.coli)の単回IU用量を投与した(以下に記載)。感染後(p.i.)の48、60、72、84、および96時間目に、すべての動物にビヒクル(1×TBS)、CK570、またはシプロフロキサシンをIU(群1および2)またはIV(群3~5)投与した(表20)。
【0338】
【表18】
【0339】
簡潔には、0日目、0時間目に、マウスに大腸菌(ATCC 700928)を109コロニー形成単位(CFU)でIU投与により感染させた(図14A)。マウスを酸素中1~4%イソフルランで2~3分間、深い麻酔面が達成されるまで麻酔し、つま先摘み反射によって確認した。その後、各マウスを、腹側を上にしてボード上に置き、鼻にノーズコーンを挿入してイソフルランを供給した。下腹部を優しくマッサージして膀胱内の尿を排出した。1mLのシリンジに接続した24G新生児カテーテル(BD Insyte-N Autoguard BC 24 GA 0.56IN[0.7×14mm]cat#381411)を使用して、50μLの接種材料を膀胱にゆっくりと注入した。IV投与のために、マウスを拘束装置で手動で拘束し、研究処置を外側尾静脈を介して投与した。100μLの用量体積をIV注射に使用した。IU投与については、大腸菌の元の投与と同じ方法を使用した。50μLの用量体積をIU投与に使用した。
【0340】
次いで、マウスの2つのコホートを安楽死させ、大腸菌負荷を連続希釈によって評価し、感染後49時間および54時間に(それぞれ、処置の1時間後および6時間後)にホモジナイズした組織から培養した。マウスの第3のコホートに、ビヒクル、シプロフロキサシン、またはCK570のいずれかの4回の追加用量を12時間毎に、感染後96時間まで投与した。感染後102時間(最終処置の6時間後)目に、残りのマウスを安楽死させ、大腸菌負荷を数え上げた。吸入されたイソフルラン(1~5%)での麻酔後、腹部を開いて膀胱を露出させ、インスリンシリンジを用いて尿を無菌的に採取し、無菌のDNAse/RNAseフリーチューブに入れた。
【0341】
尿採取後、膀胱を取り出し、1.4mmのセラミックビーズ(Fisher Scientific cat#15-340-153)と200μLの滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS、Teknova cat#P0200)を含むあらかじめ秤量した均質化チューブに入れ、1000分の1の位まで再度秤量した。腎臓および脾臓を膀胱と同様の方法で1mLの体積の滅菌PBSに回収した。心臓に針を挿入し、4mLのヘパリンナトリウム血液採取管(Fisher Scientific cat#02-689-5)に採取し、穏やかに回転させて、抗凝固剤と適切に混合させることによって、血液を採取した。組織をホモジナイズし、すべての試料をすぐに連続希釈し、CFU計数のためにプレーティングした。CFU/mLの計算値を、膀胱および腎臓のグラム組織に対して正規化した。すべてのCFUデータを対数変換した。
【0342】
結果
カクテルを感染部位に直接送達したCK570のIU投与は、腎臓ではすべての時点で、膀胱では感染後54時間目および102時間目に、ならびに尿では感染後49時間目および102時間目に、細菌負荷が有意に減少した(図15A~15C)。細菌負荷の減少は、約2log~約4logの範囲であり、場合によっては、検出限界(LOD)に達した。これらのデータは、有意な有効性が、単回用量または1日2回(BID)投与される5回用量のいずれかで達成可能であることも実証している。
【0343】
重要なことに、全身投与経路であるCK570の静脈内(IV)投与も、細菌負荷の有意な減少を達成した。数え上げたCFUレベルの有意な減少が、腎臓においてすべての時点で、膀胱において感染後54時間および102時間目に、ならびに尿において感染後102時間目に観察された(図16A~16C)。細菌負荷の減少は、約2log~約3logの範囲であった。シプロフロキサシン処置は、評価したすべての時点にわたって、各組織におけるLODに対する細菌負荷を有意に減少させた。注目すべきことに、シプロフロキサシンはヒト非合併症UTIの標準治療抗生物質ではなく、この実験におけるシプロフロキサシンの使用は、モデルが予想通りに実行されたことを確認するための陽性対照としてのみ意図されていた。CFUの計数に加えて、CK570ファージはさらに、ATCC700928のオーバーレイ上の濾過された組織ホモジネート、濾過された血漿、および尿の連続希釈およびプラーク形成によって計数した。ファージのIU投与は、特に初期の時点で、腎臓、膀胱、および尿において検出可能なレベルのCK570をもたらした。IV投与は、初期の時点で血液および脾臓中の検出可能なレベルのLBPEC01をもたらしたが、シグナルは感染後102時間までに検出限界またはその近くまで低下した。感染後102時間目では検出可能なファージが最低レベルであるにもかかわらず、両方の投与経路による細菌負荷の有意な減少によって証明されるように、有意なカクテル有効性が依然として存在した。まとめると、CK570のIUまたはIV投与は、有効性を達成するために重要な器官へのカクテルの充分な送達をもたらす。
【0344】
したがって、IUおよびIV投与の両方が、細菌負荷の減少を達成するための有効な投与経路であり、CK570の全身送達が実行可能な臨床投与経路であることを実証した。さらに、有効性はCK570の単回投与後に達成され、4回の追加投与後に維持された。まとめると、これらのデータは、CK570が非常に有効であり、UTIモデルにおいて大腸菌細菌負荷を有意に減少させることができることを示している。
【0345】
図14Bに示す設計の概略図である別の研究では、CK618を使用して同様の結果が得られた。実験レイアウトを表21に示す。
【0346】
【表19】
【0347】
結果
膀胱において、感染後48時間目でのCK618のIU用量およびIV用量の両方の投与は、ビヒクル処置またはIV用量単独のいずれかと比較して、54時間目のCFUの有意な約3log減少をもたらしたことが観察された(図17B)。対照的に、102時間の時点で、5回のCK618のIV用量を投与された両方の処置群は、ビヒクル処置群と比較してCFUの統計的に有意な2~3log減少を示し、CK618の初期IU投与を受けた群と受けなかった群との間には有意差はなかった。したがって、初期IU用量はCK618の単回IV用量の有効性を改善したが、BID投与した5回のIV用量と比較して有効性のブーストをもたらさなかった。カクテルファージを数え上げることで、感染後48時間でCK618の単回IV用量のみで処置した動物の腎臓において54時間で非常に少数の検出可能なファージが示されたが、ファージは、5回のIV投与後、102時間の時点で腎臓において明らかに検出可能であった(図18A)。対照的に、IV投与前の感染後48時間にIU投与を受けた動物は、両方の時点で腎臓において明らかに検出可能なファージを有していた。膀胱および血漿において(図18B~18C)、IU負荷用量は、IV投与単独と比較していずれの時点でも生体内分布の有意な変化を引き起こさなかった。有効性データと一致して、これらの結果は、IU負荷用量が、単回IV用量と比較して尿路へのファージの生体内分布を改善し得るが、5回のBID IV用量と比較して改善し得ないことを示唆している。
【0348】
【表20】
【0349】
【表21-1】
【0350】
【表21-2】
【0351】
【表21-3】
【0352】
【表21-4】
【0353】
【表21-5】
【0354】
本開示の好ましい実施形態が本明細書中で示され、記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されているに過ぎないということは、当業者に明らかであろう。多くの変形、変更、および置き換えは、本開示から逸脱することなく、当業者によって想到されるものである。本明細書に記載される本開示の実施形態の様々な代案が、本開示の実施に際して利用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本開示の範囲を定義するものであり、ならびに、この特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の方法および構造はそれによって包含されることが、意図されている。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図19
【配列表】
2023548580000001.app
【国際調査報告】