(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】細菌由来の機械感受性タンパク質を発現する細胞の超音波遺伝学的調節方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20231110BHJP
C12N 13/00 20060101ALI20231110BHJP
C12N 15/31 20060101ALI20231110BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20231110BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20231110BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20231110BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20231110BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20231110BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231110BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231110BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20231110BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20231110BHJP
A61K 41/00 20200101ALI20231110BHJP
A61K 35/30 20150101ALI20231110BHJP
C12N 15/867 20060101ALN20231110BHJP
C12N 15/864 20060101ALN20231110BHJP
A61K 38/16 20060101ALN20231110BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N13/00
C12N15/31
A61K48/00
A61P21/00
A61P25/08
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/28
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/02
A61K41/00
A61K35/30
C12N15/867 Z
C12N15/864 100Z
A61K38/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527259
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 US2021057646
(87)【国際公開番号】W WO2022098614
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511154205
【氏名又は名称】ソーク インスティチュート フォー バイオロジカル スタディーズ
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】チャラサニ スリーカンス
(72)【発明者】
【氏名】リー-クブリ コリン
(72)【発明者】
【氏名】マガラム ウリ
(72)【発明者】
【氏名】ギブス ダニエル
【テーマコード(参考)】
4B033
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B033NG05
4B033NH07
4B033NH10
4B033NJ05
4B033NK10
4B065AA91X
4B065AB01
4B065AC14
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4C084AA11
4C084AA13
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA44
4C084CA04
4C084NA14
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4C084ZA02
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4C084ZA08
4C084ZA12
4C084ZA16
4C084ZA22
4C084ZA94
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA02
4C087ZA05
4C087ZA06
4C087ZA08
4C087ZA12
4C087ZA16
4C087ZA22
4C087ZA94
(57)【要約】
細菌機械感覚性ポリペプチド、及びコードするポリヌクレオチド生成物、及びその組成物、目的の細胞型においてそのようなポリペプチド及びポリヌクレオチドを発現させる方法、並びに、外因性細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する、ニューロンを含む様々な種類の細胞の活性又は機能を、超音波を使用して誘導及び/又は改変する方法が提供され、記載される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞におけるカチオン流入を誘導する方法であって、以下の工程を含む、方法:
前記細胞内で、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択されるポリペプチドを発現させる工程であって、前記ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、及び
前記細胞に超音波を印加する工程であって、それによって、前記細胞におけるカチオン流入を誘導する、工程。
【請求項2】
前記細胞が、超音波によって引き起こされる機械的変形又は伸展に対して鋭敏化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記超音波の印加が、前記細胞における機械感覚性ポリペプチドコンダクタンスの変化をもたらして、細胞活性又は機能を活性化させるか、又は改変する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
細胞を、超音波によって引き起こされる機械的変形又は伸展に対して応答性にする方法であって、以下の工程を含む、方法:
(a)細胞に、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される異種細菌機械感覚性ポリペプチドを発現させるように形質導入する工程であって、前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、
(b)前記細胞に超音波を印加する工程、及び
(c)前記超音波の印加後に、前記細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞におけるカチオン流入、並びに細胞活性及び/又は機能の変化を誘導する工程であって、それによって、前記細胞を、超音波によって引き起こされる機械的変形又は伸展に対して応答性にする、工程。
【請求項5】
超音波によって引き起こされる機械的変形又は伸展に対して細胞を鋭敏化させて、前記細胞の活性又は機能を活性化させる及び/又は改変する方法であって、以下の工程を含む、方法:
(a)細胞に、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される異種細菌機械感覚性ポリペプチドを発現させるように形質導入する工程であって、前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、
前記細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞に超音波を印加する工程、及び
前記超音波の印加後に、前記細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞におけるカチオン流入、並びに細胞活性及び/又は機能の変化を誘導する工程であって、それによって、前記細胞を、超音波によって引き起こされる機械的変形又は伸展に対して鋭敏化させて、細胞活性又は機能を活性化させる及び/又は改変する、工程。
【請求項6】
前記細菌機械感覚性ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチド配列が、哺乳動物又はヒト細胞における発現のためにコドン最適化され、かつ天然に存在しない、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列を含むか、又は本質的にそれからなるポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記異種細菌機械感覚性ポリペプチドが、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むプラスミド又はウイルスベクターによる前記細胞の形質導入後に、前記細胞内で発現される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞が、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターから選択されるウイルスベクターによって形質導入される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記細胞が、哺乳動物細胞である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞が、ヒト細胞である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞が、筋肉細胞、心筋細胞、インスリン分泌細胞、グリア細胞、又は神経細胞のうちの1つ以上である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞が、神経細胞である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記神経細胞が、運動ニューロン、感覚ニューロン、インターニューロン、又はアグーチ関連タンパク質発現陽性(AGRP-
+ve)ニューロンから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記超音波が、約0.2MHz~約20MHzの周波数を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記超音波が、約1立方ミリメートル~約1立方センチメートルの焦点ゾーンを有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
超音波を印加する前に、前記細胞をマイクロバブルと接触させる工程を更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記細胞が、インビトロ、エクスビボ、又はインビボである、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを行う方法であって、以下の工程を含む、方法:
(i)MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される機械感覚性ポリペプチドをコードする異種核酸分子を、哺乳動物対象の細胞内で発現させる工程であって、前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、及び
(ii)超音波を前記細胞に印加する工程であって、それによって、前記対象における前記疾患又は障害を治療する、工程。
【請求項23】
疾患又は障害の治療を必要とする哺乳動物対象においてそれを行う方法であって、以下の工程を含む、方法:
(i)前記対象の細胞に、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される異種細菌機械感覚性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子を形質導入する工程であって、前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、
(ii)前記細胞に超音波を印加する工程、及び
(iii)前記超音波の印加後に、前記細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞におけるカチオン流入、並びに細胞活性及び/又は機能の変化を誘導する工程であって、それによって、前記対象における前記疾患又は障害を治療する、工程。
【請求項24】
前記細胞が、筋肉細胞、心筋細胞、インスリン分泌細胞、グリア細胞、又は神経細胞のうちの1つ以上である、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記細胞が、神経細胞である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記神経細胞が、運動ニューロン、感覚ニューロン、インターニューロン、又はアグーチ関連タンパク質発現陽性(AGRP-
+ve)ニューロンから選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記超音波が、前記対象の視床下部における前記細胞に印加される、請求項22~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記疾患又は障害が、パーキンソン病、うつ病、筋力低下、筋萎縮、筋肉変性強迫性障害、摂食障害、慢性疼痛、てんかん、脊椎損傷、不安、アルツハイマー病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、又は頸髄損傷から選択される神経学的疾患若しくは障害、又は神経回路疾患である、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記疾患又は障害が、筋力低下、筋萎縮、筋肉変性、脊髄損傷、又は頸髄損傷である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ニューロン活性又は機能の調節を必要とする対象においてそれを行う方法であって、以下の工程を含む、方法:
(i)前記対象の神経細胞に、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される異種細菌機械感覚性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子を形質導入する工程であって、前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、及び
(ii)超音波を前記神経細胞に印加する工程であって、それによって、前記対象におけるニューロン活性又は機能を調節する、工程。
【請求項31】
前記神経細胞が、運動ニューロン、感覚ニューロン、インターニューロン、又はアグーチ関連タンパク質発現陽性(AGRP-
+ve)ニューロンから選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ニューロン活性の遠位調節を必要とする対象においてそれを行う方法であって、以下の工程を含む、方法:
(i)MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される機械感覚性ポリペプチドをコードする異種核酸分子を、哺乳動物対象の神経細胞内で発現させる工程であって、前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、及び
(ii)前記対象の神経系における第1の部位の神経細胞に超音波を印加し、前記対象の神経系における第2の部位の神経細胞の活性を調節する工程であって、前記第2の部位が前記第1の部位の遠位にある、工程。
【請求項33】
前記神経細胞が、脳ニューロン細胞、海馬ニューロン細胞、又は運動ニューロンから選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の部位が脊髄であり、前記第2の部位が前記第1の部位の下流の筋肉組織である、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
前記細菌機械感覚性ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチド配列が、哺乳動物又はヒト細胞における発現のためにコドン最適化され、かつ天然に存在しない、請求項22~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項22~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項22~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項22~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列を含むか、又は本質的にそれからなるポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項22~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記異種細菌機械感覚性ポリペプチドが、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むプラスミド又はウイルスベクターによる前記細胞の形質導入後に、前記細胞内で発現される、請求項22~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記細胞が、レンチウイルスベクター又はアデノウイルス随伴ウイルス(AAV)ベクターから選択されるウイルスベクターによって形質導入される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記細胞が、哺乳動物対象細胞であり、ヒト細胞である、請求項22~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記超音波が、約0.2MHz~約20MHzの周波数を有する、請求項22~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記超音波が、約1立方ミリメートル~約1立方センチメートルの焦点ゾーンを有する、請求項22~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記超音波が、光音響システム又はトランスデューサを使用して生成される、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記超音波が、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)トランスデューサを使用して生成される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞に対する前記超音波の印加が、前記対象における挙動変化をもたらす、請求項22~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド又はウイルスベクターであって、前記ポリヌクレオチドが、哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化され、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、プラスミド又はウイルスベクター。
【請求項49】
前記ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項48に記載のプラスミド又はベクター。
【請求項50】
前記ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項48に記載のプラスミド又はベクター。
【請求項51】
前記ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項48に記載のプラスミド又はベクター。
【請求項52】
前記ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列を含むか、又は本質的にそれからなるポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項48に記載のプラスミド又はベクター。
【請求項53】
前記ベクターが、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項48~52のいずれか一項に記載のプラスミド又はベクター。
【請求項54】
請求項48~53のいずれか一項に記載のプラスミド又はウイルスベクターを含む、細胞。
【請求項55】
筋肉細胞、心筋細胞、インスリン分泌細胞、グリア細胞、又は神経細胞のうちの1つ以上である、請求項54に記載の細胞。
【請求項56】
神経細胞である、請求項55に記載の細胞。
【請求項57】
前記神経細胞が、運動ニューロン、感覚ニューロン、インターニューロン、又はアグーチ関連タンパク質発現陽性(AGRP-
+ve)ニューロンから選択される、請求項56に記載の細胞。
【請求項58】
哺乳動物細胞である、請求項54~57のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項59】
ヒト細胞である、請求項54~58のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項60】
前記異種又は外因性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項48~53のいずれか一項に記載のプラスミド又はベクター。
【請求項62】
前記ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項54~59のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項63】
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscSである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法、プラスミド、ベクター、又は細胞。
【請求項64】
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscLである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法、プラスミド、ベクター、又は細胞。
【請求項65】
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscKである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法、プラスミド、ベクター、又は細胞。
【請求項66】
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscL G22Sである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法、プラスミド、ベクター、又は細胞。
【請求項67】
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscMJLRである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法、プラスミド、ベクター、又は細胞。
【請求項68】
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscMJである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法、プラスミド、ベクター、又は細胞。
【請求項69】
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscS様3である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法、プラスミド、ベクター、又は細胞。
【請求項70】
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscSfamである、先行請求項のいずれか一項に記載の方法、プラスミド、ベクター、又は細胞。
【請求項71】
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscS様である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法、ベクター、又は細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月4日に出願された米国仮特許出願第63/109,578号の優先権及び利益を主張し、その全内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府の支援による研究の下でなされた発明の権利に関する陳述
本研究は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)からの補助事業番号MH111534によって支援された。政府は、本発明においてある特定の権利を有する。
【0003】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出されている配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2021年10月29日に作成された当該ASCIIコピーは、167776-011501PCT_SL.txtという名称であり、64,150バイトのサイズである。
【背景技術】
【0004】
背景
神経回路がどのように特定の挙動を生み出すかを理解するには、参加するニューロンを識別し、それらの活動パターンを記録したり乱したりする能力が必要である。最もよく理解されている運動回路であるカニ口胃神経節(STG)は、明確に定義された細胞型への電気生理学的アクセス及びそれらを操作する能力から恩恵を受けている。光(光遺伝学)又は小分子を使用して神経活動を操作するための多くのアプローチが開発されている。これらの方法は、マウスを含む多くのモデルシステムにおける回路計算への知見を明らかにしてきたが、より深い脳領域に存在する標的ニューロンに刺激を送達するのが困難であるなどの欠点を伴っている。したがって、標的ニューロン及び他の細胞型の非侵襲的刺激のための新たな生成物及び方法に対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0005】
概要
細菌機械感覚性ポリペプチド及びポリヌクレオチドを特徴とする組成物、目的の細胞型においてそのようなポリペプチド及びポリヌクレオチドを発現させる方法、並びに超音波を使用してニューロン及び他の細胞型内で発現される異種細菌機械感覚性ポリペプチドの活性化を誘導する方法が、本明細書において提供及び記載される。非侵襲的な方法で、例えば、脳及び脊髄におけるニューロンの活性を制御又は調節するために、神経細胞型などの目的の細胞型において異種発現される細菌機械感覚性ポリペプチドの使用を伴う治療及び治療方法も提供される。
【0006】
一態様では、細胞におけるカチオン流入を誘導する方法が提供され、本方法は、細胞内で、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択されるポリペプチドを発現させる工程であって、ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程を含む。本方法の一実施形態では、細胞は、超音波によって引き起こされる機械的変形又は伸展に対して鋭敏化される。本方法の一実施形態では、超音波の印加は、細胞内の機械感覚性ポリペプチドコンダクタンスの変化をもたらして、細胞活性又は機能を活性化又は改変する。
【0007】
一態様では、細胞を、超音波によって引き起こされる機械的変形又は伸展に対して応答性にする方法が提供され、本方法は、
(a)細胞に、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される異種細菌機械感覚性ポリペプチドを発現させるように形質導入する工程であって、機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、
(b)細胞に超音波を印加する工程、及び
(c)超音波の印加後に、細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞におけるカチオン流入、並びに細胞活性及び/又は機能の変化を誘導する工程であって、それによって、細胞を、超音波によって引き起こされる機械的変形又は伸展に対して応答性にする、工程、を含む。
【0008】
別の態様では、超音波によって引き起こされる機械的変形又は伸展に対して細胞を鋭敏化させて、細胞の活性又は機能を活性化させる及び/又は改変する方法が提供され、本方法は、
(a)細胞に、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される異種細菌機械感覚性ポリペプチドを発現するように形質導入する工程であって、機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程;細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞に超音波を印加する工程;及び、超音波の印加後に、細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞におけるカチオン流入、並びに細胞活性及び/又は機能の変化を誘導する工程であって、それによって、細胞を、超音波によって引き起こされる機械的変形又は伸展に対して鋭敏化させて、細胞活性又は機能を活性化させる及び/又は改変する、工程、を含む。
【0009】
上記の態様及びそれらの実施形態のうちのいずれかの方法の一実施形態では、細菌機械感覚性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、哺乳動物又はヒト細胞における発現のためにコドン最適化され、かつ天然に存在しない。上記の態様及びそれらの実施形態のうちのいずれかの方法の一実施形態では、機械感覚性ポリペプチドは、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる。上記の態様及びそれらの実施形態のうちのいずれかの方法の一実施形態では、機械感覚性ポリペプチドは、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる。上記の態様及びそれらの実施形態のうちのいずれかの方法の一実施形態では、機械感覚性ポリペプチドは、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる。
【0010】
上記の態様及びそれらの実施形態のうちのいずれかの方法の一実施形態では、異種細菌機械感覚性ポリペプチドは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むプラスミド又はウイルスベクターによる細胞の形質導入後に、細胞内で発現される。一実施形態では、細胞は、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターから選択されるウイルスベクターによって形質導入される。上記の態様及びそれらの実施形態のうちのいずれかの方法の実施形態では、細胞は哺乳動物細胞であるか、又は細胞はヒト細胞である。上記の態様及びそれらの実施形態のうちのいずれかの方法の実施形態では、細胞は、筋肉細胞、心筋細胞、インスリン分泌細胞、グリア細胞、又は神経細胞のうちの1つ以上である。一実施形態では、細胞は、神経細胞である。一実施形態では、神経細胞は、運動ニューロン、感覚ニューロン、インターニューロン、又はアグーチ関連タンパク質発現陽性(AGRP-+ve)ニューロンから選択される。上記の態様及びそれらの実施形態のうちのいずれかの方法の一実施形態では、超音波は、約0.2MHz~約20MHzの周波数を有する。上記の態様及びそれらの実施形態のうちのいずれかの方法の一実施形態では、超音波は、約1立方ミリメートル~約1立方センチメートルの焦点ゾーンを有する。上記の態様及びそれらの実施形態のうちのいずれかの方法の一実施形態では、本方法は、超音波を印加する前に、細胞をマイクロバブルと接触させることを更に含む。上記の態様及びそれらの実施形態のうちのいずれかの方法の一実施形態では、細胞は、インビトロ、エクスビボ、又はインビボである。
【0011】
別の態様では、疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを行う方法が提供され、本方法は、
(i)細胞を、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される機械感覚性ポリペプチドをコードする異種核酸分子を、哺乳動物対象の細胞内で発現させる工程であって、機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、及び
(ii)超音波を細胞に印加する工程であって、それによって、対象における疾患又は障害を治療する、工程、を含む。
【0012】
別の態様では、疾患又は障害の治療を必要とする哺乳動物対象においてそれを行う方法が提供され、本方法は、
(i)対象の細胞に、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される異種細菌機械感覚性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子を形質導入する工程であって、機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、
(ii)細胞に超音波を印加する工程、及び
(iii)超音波の印加後に、細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞におけるカチオン流入、並びに細胞活性及び/又は機能の変化を誘導する工程であって、それによって、対象における疾患又は障害を治療する、工程、を含む。
【0013】
上記の治療方法の一実施形態では、細胞は、筋肉細胞、心筋細胞、インスリン分泌細胞、グリア細胞、又は神経細胞のうちの1つ以上である。一実施形態では、細胞は、神経細胞である。一実施形態では、神経細胞は、運動ニューロン、感覚ニューロン、インターニューロン、又はアグーチ関連タンパク質発現陽性(AGRP-+ve)ニューロンから選択される。一実施形態では、超音波は、対象の視床下部における細胞に印加される。実施形態では、疾患又は障害は、パーキンソン病、うつ病、筋力低下、筋萎縮、筋肉変性強迫性障害、摂食障害、慢性疼痛、てんかん、脊椎損傷、不安、アルツハイマー病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、又は頸髄損傷から選択される神経学的疾患若しくは障害、又は神経回路疾患である。他の実施形態では、疾患又は障害は、筋力低下、筋萎縮、筋肉変性、脊髄損傷、又は頸髄損傷である。一実施形態では、疾患又は障害は、摂食障害である。
【0014】
別の態様では、ニューロン活性又は機能の調節を必要とする対象においてそれを行う方法が提供され、本方法は、
(i)対象の神経細胞に、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される異種細菌機械感覚性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子を形質導入する工程であって、機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、及び
(ii)超音波を神経細胞に印加し、それによって、対象におけるニューロン活性又は機能を調節する工程、を含む。本方法の一実施形態では、神経細胞は、運動ニューロン、感覚ニューロン、インターニューロン、又はアグーチ関連タンパク質発現陽性(AGRP-+ve)ニューロンから選択される。
【0015】
別の態様では、ニューロン活性の遠位調節を必要とする対象においてそれを行う方法が提供され、本方法は、
(i)神経細胞を、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される機械感覚性ポリペプチドをコードする異種核酸分子を、哺乳動物対象の神経細胞内で発現させることであって、機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、発現させる工程、及び
(ii)対象の神経系における第1の部位の神経細胞に超音波を印加し、対象の神経系における第2の部位の神経細胞の活性を調節する工程であって、第2の部位が第1の部位の遠位にある、工程、を含む。本方法の一実施形態では、ニューロン(neuronal)は、脳ニューロン細胞、海馬ニューロン細胞、又は運動ニューロンを含む。本方法の一実施形態では、第1の部位は脊髄であり、第2の部位は第1の部位の下流の筋肉組織である。本方法の別の実施形態では、第1の部位は、脊髄内の脳神経細胞を含み、第2の部位は、第1の部位の下流の筋肉組織内の運動神経細胞を含む。
【0016】
上記の治療又は治療方法及びそれらの実施形態の一実施形態では、細菌機械感覚性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、哺乳動物又はヒト細胞における発現のためにコドン最適化され、かつ天然に存在しない。上記の治療又は治療方法及びそれらの実施形態の一実施形態では、機械感覚性ポリペプチドは、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる。上記の治療又は治療方法及びそれらの実施形態の一実施形態では、機械感覚性ポリペプチドは、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる。上記の治療又は治療方法及びそれらの実施形態の一実施形態では、機械感覚性ポリペプチドは、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる。上記の治療又は治療方法及びそれらの実施形態の一実施形態では、異種細菌機械感覚性ポリペプチドは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むプラスミド又はウイルスベクターによる細胞の形質導入後に、細胞内で発現される。一実施形態では、細胞は、レンチウイルスベクター又はアデノウイルス随伴ウイルス(AAV)ベクターから選択されるウイルスベクターによって形質導入される。上記の治療又は治療方法及びそれらの実施形態の一実施形態では、細胞は、哺乳動物対象であり、ヒトである。上記の治療又は治療方法及びそれらの実施形態の一実施形態では、超音波は、約0.2MHz~約20MHzの周波数を有する。上記の治療又は治療方法及びそれらの実施形態の一実施形態では、超音波は、約1立方ミリメートル~約1立方センチメートルの焦点ゾーンを有する。
【0017】
上記の方法及びそれらの実施形態のうちのいずれか1つの実施形態では、超音波は、光音響システム又はトランスデューサを使用して生成される。一実施形態では、超音波は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)トランスデューサを使用して生成される。上記の方法及びそれらの実施形態のうちのいずれか1つの実施形態では、細胞に対する超音波の印加は、対象における挙動変化をもたらす。
【0018】
別の態様では、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド又はウイルスベクターが提供され、ポリヌクレオチドが、哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化され、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる。一実施形態では、ポリペプチドは、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる。一実施形態では、ポリペプチドは、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる。一実施形態では、ポリペプチドは、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる。ベクターの一実施形態では、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。
【0019】
別の態様では、上記のプラスミド又はウイルスベクター及びその実施形態を含む、細胞が提供される。実施形態では、限定されないが、細胞は、筋肉細胞、心筋細胞、インスリン分泌細胞、膵臓細胞、免疫細胞、グリア細胞、又は神経細胞のうちの1つ以上である。一実施形態では、細胞は、神経細胞である。一実施形態では、神経細胞は、運動ニューロン、感覚ニューロン、インターニューロン、又はアグーチ関連タンパク質発現陽性(AGRP-+ve)ニューロンから選択される。実施形態では、細胞は哺乳動物細胞であるか、又は細胞はヒト細胞である。
【0020】
上記の方法及びそれらの実施形態のうちのいずれか1つの一実施形態では、異種又は外因性ポリペプチドは、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる。
【0021】
上記のベクター及びその実施形態の一実施形態では、ポリペプチドは、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる。
【0022】
上記の細胞及びその実施形態の一実施形態では、ポリペプチドは、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる。
【0023】
上記の態様及びそれらの実施形態のうちのいずれかの実施形態では、機械感覚性ポリペプチドは、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列を含むか、又は本質的にそれからなるポリヌクレオチド配列によってコードされる。
【0024】
上記の方法、ベクター、又は細胞及びそれらの実施形態のうちのいずれか1つの実施形態では、ポリヌクレオチド配列によってコードされる機械感覚性ポリペプチドは、MscSである。上記の方法、ベクター、又は細胞及びそれらの実施形態のうちのいずれか1つの実施形態では、ポリヌクレオチド配列によってコードされる機械感覚性ポリペプチドは、MscLである。上記の方法、ベクター、又は細胞及びそれらの実施形態のうちのいずれか1つの実施形態では、ポリヌクレオチド配列によってコードされる機械感覚性ポリペプチドは、MscKである。上記の方法、ベクター、又は細胞及びそれらの実施形態のうちのいずれか1つの実施形態では、ポリヌクレオチド配列によってコードされる機械感覚性ポリペプチドは、MscL G22Sである。上記の方法、ベクター、又は細胞及びそれらの実施形態のうちのいずれか1つの実施形態では、ポリヌクレオチド配列によってコードされる機械感覚性ポリペプチドは、MscMJLRである。上記の方法、ベクター、又は細胞及びそれらの実施形態のうちのいずれか1つの実施形態では、ポリヌクレオチド配列によってコードされる機械感覚性ポリペプチドは、MscMJである。上記の方法、ベクター、又は細胞及びそれらの実施形態のうちのいずれか1つの実施形態では、ポリヌクレオチド配列によってコードされる機械感覚性ポリペプチドは、MscS様3である。上記の方法、ベクター、又は細胞及びそれらの実施形態のうちのいずれか1つの実施形態では、ポリヌクレオチド配列によってコードされる機械感覚性ポリペプチドは、MscSfamである。上記の方法、ベクター、又は細胞及びそれらの実施形態のうちのいずれか1つの実施形態では、ポリヌクレオチド配列によってコードされる機械感覚性ポリペプチドは、MscS様である。
【0025】
本明細書に提供及び記載される組成物及び物品は、本明細書において提供される実施例に関連して単離されるか、又は他の方法で製造された。本明細書の記載及び実施形態の他の特徴及び利点は、詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0026】
定義
別途定義されない限り、本明細書において使用される技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。例えば、Singleton et al.,DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY 2nd ed.,J.Wiley & Sons(New York,NY 1994)、Sambrook et al.,MOLECULAR CLONING,A LABORATORY MANUAL,Cold Springs Harbor Press(Cold Springs Harbor,NY 1989)を参照されたい。本明細書に記載されるものと類似の、又は同等の任意の方法、デバイス、及び材料を、本明細書に記載される態様及び実施形態の実施に使用することができる。以下の定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供され、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0027】
「細菌機械感覚性ポリペプチド」又は「細菌機械伝達ポリペプチド」は、野生型原核生物によってコードされる機械感覚性ポリペプチドと実質的に同一のポリペプチドを意味する。様々な実施形態では、本明細書に記載の機械感覚性ポリペプチドは、MscS(例えば、大腸菌(E.coli) MscS)、MscL(例えば、E.coli MscL)、MscK(例えば、E.coli MscK)、MscL G22S(例えば、変異型E.coli MscLチャネル)、MscS様(例えば、B.ハロデュランス(B.halodurans))、MscMJ(例えば、M.ヤンネレスキ(M.jannereschi))、MscMJLR(例えば、M.jannereschi)、MscS様3(例えば、シロイヌナズナ(A.thaliana))、MscSfam(A.フルギドゥス(A.fulgidus))、若しくはその断片であるか、又はそれに由来する。いくつかの実施形態では、機械感覚性ポリペプチドは、MscSである。いくつかの実施形態では、コドン最適化ポリヌクレオチド配列は、機械感覚性ポリペプチドをコードする。一実施形態では、機械感覚性ポリペプチド又は機械伝達ポリペプチドは、それがトランスフェクトされるか、形質転換されるか、又は形質導入される細胞の膜内で発現されると、機械的変形又は伸展に応答する。
【0028】
「MscSポリペプチド」とは、細胞、例えばニューロンに超音波感受性を付与し、以下に提供されるMscS配列、その断片、又はそのヒトオーソログに対して少なくとも約85%の配列同一性を有し、本明細書に記載される生物学的活性を有することができる機械感覚性タンパク質を意味する。実施形態では、機械感覚性タンパク質は、以下に提供されるMscSポリペプチド配列、その断片、又はそのヒトオーソログに対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%の配列同一性を有し、本明細書に記載される生物学的活性を有する。野生型細菌小型コンダクタンス機械感受性チャネルであるMscSは、286個のアミノ酸で構成されており、E.coliの4つの機械感受性チャネルのうちの1つであり、浸透圧調節の役割を果たしている。様々な実施形態では、MscSは、5~8mN/mの膜圧に応答性であり、ゲーティング機能のために他の細胞構造を必要としない。いくつかの実施形態では、MscSは、その開放コンフォメーションにおいて、直径約13Åの細孔を形成し、約0.5nSの伸展で伝導する。いくつかの実施形態では、MscSポリペプチドは、そのGenbankアクセッション番号によって同定されるポリペプチド、又はその機能的断片、ホモログ、アイソフォーム、若しくはオーソログである。いくつかの実施形態では、MscSポリペプチドは、Genbankアクセッション番号によって同定されるタンパク質、又はそれに対して実質的な同一性を有する機能的バリアント、アイソフォーム、ホモログ、若しくはオーソログと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、MscSポリペプチドは、Genbankアクセッション番号ACI78461.1によって同定されるポリペプチドである。いくつかの実施形態では、MscSポリペプチドは、Genbankアクセッション番号ACI78461.1によって同定されるポリペプチドの機能的ホモログ、アイソフォーム、オーソログ、又は断片である。いくつかの実施形態では、MscSポリペプチドは、すぐ下に提供されるMscSポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、MscSポリペプチドは、すぐ下に提供されるMscSポリペプチド配列から本質的になる。
MscSポリペプチド配列:
MEDLNVVDSINGAGSWLVANQALLLSYAVNIVAALAIIIVGLIIARMISNAVNRLMISRKIDATVADFLSALVRYGIIAFTLIAALGRVGVQTASVIAVLGAAGLAVGLALQGSLSNLAAGVLLVMFRPFRAGEYVDLGGVAGTVLSVQIFSTTMRTADGKIIVIPNGKIIAGNIINFSREPVRRNEFIIGVAYDSDIDQVKQILTNIIQSEDRILKDREMTVRLNELGASSINFVVRVWSNSGDLQNVYWDVLERIKREFDAAGISFPYPQMDVNFKRVKEDKAA(配列番号1)。
【0029】
「MscSポリヌクレオチド」とは、MscSポリペプチドをコードする核酸分子を意味する。特定の実施形態では、MscSポリヌクレオチドのコドンは、目的の生物又は目的の生物の細胞における発現のために最適化される(例えば、ヒト発現又はヒト細胞における発現、細菌発現又は細菌細胞発現、哺乳動物発現又は哺乳動物細胞発現のために最適化される)。例示的なMscSポリヌクレオチドの配列を、すぐ下に提供する。いくつかの実施形態では、MscSポリペプチドは、そのGenbankアクセッション番号によって同定される核酸分子、又はその機能的断片、オーソログ、若しくはホモログである。いくつかの実施形態では、MscSポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号によって同定される核酸分子、又はそれに対して実質的な同一性を有する機能的バリアント、オーソログ、若しくはホモログと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、MscSポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号EU895900.1によって同定される核酸分子である。いくつかの実施形態では、MscSポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号EU895900.1によって同定される核酸分子の機能的ホモログ、アイソフォーム、又は断片である。いくつかの実施形態では、MscSポリヌクレオチドは、すぐ下に提供されるMscSポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、MscSポリヌクレオチドは、すぐ下に提供されるMscSポリヌクレオチド配列から本質的になる。
MscSポリヌクレオチド配列:
ATGGAAGATTTGAATGTTGTCGATAGCATAAACGGCGCGGGAAGCTGGCTGGTAGCTAACCAGGCGCTGCTGCTAAGTTATGCAGTAAACATCGTGGCGGCACTCGCGATCATCATCGTTGGTTTGATTATCGCGCGGATGATTTCCAACGCGGTGAATCGCCTGATGATCTCCCGTAAAATCGATGCCACTGTTGCTGATTTTCTTTCTGCATTAGTCCGTTACGGTATTATCGCCTTTACGCTAATCGCAGCCCTGGGACGCGTGGGTGTACAAACAGCGTCAGTCATTGCTGTACTCGGTGCCGCAGGCTTAGCTGTTGGTCTGGCTTTGCAGGGGTCACTTTCTAACCTGGCCGCTGGCGTGTTACTTGTCATGTTCCGCCCGTTCCGTGCCGGAGAATATGTTGACCTCGGCGGCGTAGCCGGTACTGTGCTGAGTGTGCAGATTTTCTCCACCACCATGCGTACTGCAGACGGTAAAATTATCGTTATTCCGAACGGTAAAATTATTGCCGGAAATATTATTAACTTCTCCCGCGAGCCAGTTCGCCGTAACGAATTTATTATTGGCGTGGCGTATGATTCCGATATCGATCAGGTTAAGCAGATCCTGACCAATATTATCCAGTCTGAAGATCGCATTTTGAAAGATCGCGAAATGACTGTGCGCCTGAACGAACTTGGTGCATCGTCGATTAATTTCGTGGTCCGCGTCTGGAGCAACAGCGGCGATCTGCAAAACGTGTACTGGGATGTGCTGGAGCGTATTAAACGTGAATTTGATGCCGCCGGTATCAGCTTCCCGTACCCGCAAATGGATGTGAACTTTAAGCGGGTGAAAGAAGACAAAGCTGCG(配列番号2)。
【0030】
いくつかの実施形態では、例えば、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞における発現のために、以下に提供するコドン最適化MscSポリヌクレオチド配列が使用されるか、又はそれに対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列が使用される。実施形態では、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する配列が使用される。
コドン最適化MscS(Gp155 MscSとも称される)ポリヌクレオチド配列:
ATGGAGGATCTGAATGTCGTGGACTCTATCAATGGGGCCGGGTCTTGGCTGGTCGCTAACCAGGCACTGCTGCTGAGCTATGCTGTGAACATTGTGGCCGCTCTGGCCATCATTATCGTCGGGCTGATTATCGCTCGCATGATCAGTAACGCAGTGAATAGACTGATGATTTCAAGGAAGATCGATGCTACCGTGGCAGACTTCCTGTCTGCCCTGGTCAGATACGGCATTATCGCTTTTACTCTGATTGCAGCCCTGGGAAGGGTGGGCGTCCAGACCGCCTCCGTGATCGCTGTCCTGGGAGCTGCAGGACTGGCAGTGGGCCTGGCCCTGCAGGGGTCTCTGAGTAATCTGGCCGCTGGCGTGCTGCTGGTCATGTTCAGGCCCTTTCGCGCAGGGGAGTATGTGGATCTGGGCGGGGTCGCTGGAACAGTGCTGTCCGTCCAGATTTTCTCTACCACAATGCGCACTGCCGACGGAAAGATTATCGTGATCCCCAACGGAAAAATTATCGCCGGCAACATTATCAATTTCAGCCGAGAGCCTGTGCGGAGAAATGAGTTCATCATCGGCGTGGCCTACGACAGCGATATTGACCAGGTGAAGCAGATCCTGACCAACATTATCCAGTCCGAAGATCGCATCCTGAAAGACCGAGAGATGACAGTGCGGCTGAACGAACTGGGCGCCAGCTCCATCAATTTCGTGGTCAGAGTGTGGTCAAACAGCGGGGATCTGCAGAACGTGTACTGGGACGTGCTGGAGCGGATCAAGCGGGAATTTGATGCAGCCGGCATCTCATTCCCCTACCCACAGATGGATGTCAACTTCAAGAGAGTCAAGGAGGATAAAGCCGCTTAA(配列番号3)。
【0031】
「MscLポリペプチド」とは、細胞、例えばニューロンに超音波感受性を付与し、以下に提供されるMscLポリペプチド配列、その断片、又はそのヒトオーソログに対して少なくとも約85%の配列同一性を有し、本明細書に記載される生物学的活性を有することができる機械感覚性タンパク質を意味する。実施形態では、機械感覚性タンパク質は、以下に提供されるMscLポリペプチド配列、その断片、又はそのヒトオーソログに対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%の配列同一性を有し、本明細書に記載される生物学的活性を有する。他の実施形態では、ポリペプチドは、そのGenbankアクセッション番号によって特定されるポリペプチド、又はその機能的断片若しくはホモログである。いくつかの実施形態では、MscLポリペプチドは、Genbankアクセッション番号によって同定されるタンパク質、又はそれに対して実質的な同一性を有するバリアント若しくはホモログと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、MscLポリペプチドは、Genbankアクセッション番号ACI76971.1によって同定されるポリペプチドである。いくつかの実施形態では、MscLポリペプチドは、Genbankアクセッション番号ACI76971.1によって同定されるポリペプチドのホモログ又は機能的断片である。いくつかの実施形態では、MscLポリペプチドは、すぐ下に提供されるMscLポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、MscLポリペプチドは、すぐ下に提供されるMscLポリペプチド配列から本質的になる。
MscLポリペプチド配列:
MSIIKEFREFAMRGNVVDLAVGVIIGAAFGKIVSSLVADIIMPPLGLLIGGIDFKQFAVTLRDAQGDIPAVVMHYGVFIQNVFDFLIVAFAIFMAIKLINKLNRKKEEPAAAPAPTKEEVLLTEIRDLLKEQNNRS(配列番号4)。
【0032】
「MscLポリヌクレオチド」とは、MscLポリペプチドをコードする核酸分子を意味する。特定の実施形態では、MscLポリヌクレオチドのコドンは、目的の生物又は目的の生物の細胞における発現のために最適化される(例えば、ヒト発現又はヒト細胞における発現、細菌発現又は細菌細胞発現、哺乳動物発現又は哺乳動物細胞発現のために最適化される)。例示的なMscLポリヌクレオチドの配列を、すぐ下に提供する。いくつかの実施形態では、MscLポリペプチドは、そのGenbankアクセッション番号によって同定される核酸分子、又はその機能的断片若しくはホモログである。いくつかの実施形態では、MscLポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号によって同定される核酸分子、又はそれに対して実質的な同一性を有するバリアント若しくはホモログと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、MscLポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号EU894410.1によって同定される核酸分子である。いくつかの実施形態では、MscLポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号EU894410.1によって同定される核酸分子のホモログ又は機能的断片である。いくつかの実施形態では、MscLポリヌクレオチドは、すぐ下に提供されるMscLポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、MscLポリヌクレオチドは、すぐ下に提供されるMscLポリヌクレオチド配列から本質的になる。
MscLポリヌクレオチド配列:
ATGAGCATTATTAAAGAATTTCGCGAATTTGCGATGCGCGGGAACGTGGTGGATTTGGCGGTGGGTGTCATTATCGGTGCGGCATTCGGGAAGATTGTATCTTCACTGGTTGCCGATATCATCATGCCACCACTGGGCTTATTAATTGGCGGGATCGACTTTAAACAGTTTGCTGTCACGCTACGCGATGCGCAGGGGGATATCCCTGCTGTTGTGATGCATTACGGTGTCTTCATTCAAAACGTCTTTGATTTTCTGATTGTGGCCTTTGCCATCTTTATGGCGATTAAGCTAATCAACAAACTGAATCGGAAAAAAGAAGAACCAGCAGCCGCACCAGCACCAACTAAAGAAGAAGTATTACTGACAGAAATTCGTGATTTGCTGAAAGAGCAGAATAACCGCTCTTAA(配列番号5)。
【0033】
いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞における発現には、以下のコドン最適化MscLポリヌクレオチド配列が使用されるか、又はそれに対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列が使用される。実施形態では、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する配列が使用される。
コドン最適化MscL(Gp154 MscLとも称される)ポリヌクレオチド配列:
ATGTCTATCATCAAGGAGTTCAGGGAGTTTGCCATGAGAGGAAACGTGGTGGACCTGGCAGTGGGCGTGATCATCGGAGCAGCCTTCGGCAAGATCGTGAGCTCCCTGGTGGCCGACATCATCATGCCACCTCTGGGACTGCTGATCGGAGGCATCGATTTCAAGCAGTTTGCAGTGACCCTGAGGGACGCACAGGGCGATATCCCTGCAGTGGTCATGCACTACGGCGTGTTTATCCAGAACGTGTTCGACTTTCTGATCGTGGCCTTCGCCATCTTTATGGCCATCAAGCTGATCAACAAGCTGAATCGGAAGAAGGAGGAGCCAGCAGCAGCACCAGCACCAACCAAGGAGGAGGTGCTGCTGACAGAGATCCGGGATCTGCTGAAGGAGCAGAACAATCGCAGCTGA(配列番号6)。
【0034】
「MscKポリペプチド」とは、細胞、例えばニューロンに超音波感受性を付与し、以下に提供されるMscKポリペプチド配列、その断片、又はそのヒトオーソログに対して少なくとも約85%の配列同一性を有し、本明細書に記載される生物学的活性を有することができる機械感覚性タンパク質を意味する。実施形態では、機械感覚性タンパク質は、以下に提供されるMscKポリペプチド配列、その断片、又はそのヒトオーソログに対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%の配列同一性を有し、本明細書に記載される生物学的活性を有する。他の実施形態では、ポリペプチドは、そのGenbankアクセッション番号によって特定されるポリペプチド、又はその機能的断片若しくはホモログである。いくつかの実施形態では、MscKポリペプチドは、Genbankアクセッション番号によって同定されるタンパク質、又はそれに対して実質的な同一性を有する機能的バリアント、オーソログ、若しくはホモログと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、MscKポリペプチドは、Genbankアクセッション番号QKX92491.1によって同定されるポリペプチドである。いくつかの実施形態では、MscKポリペプチドは、Genbankアクセッション番号QKX92491.1によって同定されるポリペプチドの機能的ホモログ、オーソログ、又は断片である。いくつかの実施形態では、MscKポリペプチドは、すぐ下に提供されるMscKポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、MscKポリペプチドは、すぐ下に提供されるMscKポリペプチド配列から本質的になる。
MscKポリペプチド配列:
MTMFQYYKRSRHFVFSAFIAFVFVLLCQNTAFARASSNGDLPTKADLQAQLDSLNKQKDLSAQDKLVQQDLTDTLATLDKIDRIKEETVQLRQKVAEAPEKMRQATAALTALSDVDNDEETRKILSTLSLRQLETRVAQALDDLQNAQNDLASYNSQLVSLQTQPERVQNAMYNASQQLQQIRSRLDGTDVGETALRPSQKVLMQAQQALLNAEIDQQRKSLEGNTVLQDTLQKQRDYVTANSARLEHQLQLLQEAVNSKRLTLTEKTAQEAVSPDEAARIQANPLVKQELEINQQLSQRLITATENGNQLMQQNIKVKNWLERALQSERNIKEQIAVLKGSLLLSRILYQQQQTLPSADELENMTNRIADLRLEQFEVNQQRDALFQSDAFVNKLEEGHTNEVNSEVHDALLQVVDMRRELLDQLNKQLGNQLMMAINLQINQQQLMSVSKNLKSILTQQIFWVNSNRPMDWDWIKAFPQSLKDEFKSMKITVNWQKAWPAVFIAFLAGLPLLLIAGLIHWRLGWLKAYQQKLASAVGSLRNDSQLNTPKAILIDLIRALPVCLIILAVGLILLTMQLNISELLWSFSKKLAIFWLVFGLCWKVLEKNGVAVRHFGMPEQQTSHWRRQIVRISLALLPIHFWSVVAELSPLHLMDDVLGQAMIFFNLLLIAFLVWPMCRESWRDKESHTMRLVTITVLSIIPIALMVLTATGYFYTTLRLAGRWIETVYLVIIWNLLYQTVLRGLSVAARRIAWRRALARRQNLVKEGAEGAEPPEEPTIALEQVNQQTLRITMLLMFALFGVMFWAIWSDLITVFSYLDSITLWHYNGTEAGAAVVKNVTMGSLLFAIIASMVAWALIRNLPGLLEVLVLSRLNMRQGASYAITTILNYIIIAVGAMTVFGSLGVSWDKLQWLAAALSVGLGFGLQEIFGNFVSGLIILFERPVRIGDTVTIGSFSGTVSKIRIRATTITDFDRKEVIIPNKAFVTERLINWSLTDTTTRLVIRLGVAYGSDLEKVRKVLLKAATEHPRVMHEPMPEVFFTAFGASTLDHELRLYVRELRDRSRTVDELNRTIDQLCRENDINIAFNQLEVHLHNEKGDEVTEVKRDYKGDDPTPAVG (配列番号:7)。
【0035】
「MscKポリヌクレオチド」とは、MscKポリペプチドをコードする核酸分子を意味する。特定の実施形態では、MscKポリヌクレオチドのコドンは、目的の生物又は目的の生物の細胞における発現のために最適化される(例えば、ヒト発現又はヒト細胞における発現、細菌発現又は細菌細胞発現、哺乳動物発現又は哺乳動物細胞発現のために最適化される)。例示的なMscKポリヌクレオチドの配列を、すぐ下に提供する。いくつかの実施形態ではMscKポリペプチドは、そのGenbankアクセッション番号によって同定される核酸分子、又はその機能的断片、オーソログ、若しくはホモログである。いくつかの実施形態では、MscKポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号によって同定される核酸分子、又はそれに対して実質的な同一性を有する機能的バリアント、オーソログ、若しくはホモログと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、MscKポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号CP055259.1によって同定された核酸分子の塩基対3505596~3508958(遺伝子座タグ:HU676_16905)を含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、MscKポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号CP055259.1によって同定された核酸分子の塩基対3505596~3508958(遺伝子座タグ:HU676_16905)の機能的ホモログ、オーソログ、又は断片である。いくつかの実施形態では、MscKポリヌクレオチドは、すぐ下に提供されるMscKポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、MscKポリヌクレオチドは、すぐ下に提供されるMscKポリヌクレオチド配列から本質的になる。
MscKポリヌクレオチド配列:
CCCTACCGCTGGCGTCGGGTCATCGCCTTTGTAGTCGCGTTTTACTTCCGTCACCTCATCGCCCTTCTCGTTGTGCAGATGCACTTCAAGCTGGTTAAAGGCAATGTTGATGTCGTTTTCACGGCACAGCTGATCGATAGTACGGTTCAGCTCATCGACAGTACGACTACGGTCACGCAGTTCACGCACATACAGACGCAGCTCATGATCCAACGTGCTGGCACCAAATGCCGTAAAGAAGACTTCCGGCATTGGTTCGTGCATCACCCTTGGGTGCTCAGTCGCCGCCTTCAGTAACACTTTACGCACTTTTTCCAGATCGGAGCCATAGGCCACGCCGAGACGGATCACCAGACGCGTAGTAGTGTCAGTCAACGACCAGTTGATCAGACGCTCGGTAACAAACGCTTTGTTCGGGATGATCACTTCTTTGCGATCGAAATCGGTAATCGTTGTCGCACGAATACGGATCTTACTTACCGTCCCCGAGAAGCTACCAATGGTTACCGTATCGCCAATACGCACCGGACGTTCGAATAGAATGATCAAACCGGAGACGAAGTTACCGAAAATTTCTTGTAAACCAAAACCAAGACCTACGGATAATGCTGCGGCCAGCCACTGGAGTTTATCCCAAGAGACGCCCAGCGATCCGAACACCGTCATCGCACCAACAGCAATAATGATGTAGTTAAGGATGGTAGTAATGGCATACGACGCGCCCTGGCGCATATTCAGTCGCGAGAGCACCAGCACTTCCAGTAAACCAGGCAGGTTGCGAATCAACGCCCAGGCCACCATTGAGGCGATAATCGCAAACAACAGACTGCCCATGGTGACGTTTTTCACCACCGCAGCGCCAGCTTCAGTGCCGTTGTAATGCCAGAGCGTGATGCTGTCGAGATAGCTGAACACGGTGATCAAATCGGACCAAATTGCCCAGAACATGACACCGAACAGCGCAAACATCAGCAACATGGTAATACGCAGCGTCTGCTGGTTAACTTGCTCCAGTGCAATGGTGGGTTCTTCCGGCGGTTCAGCACCTTCTGCGCCCTCTTTCACCAGATTCTGCCGACGCGCCAGCGCACGACGCCAGGCGATACGCCGCGCCGCTACGCTTAAGCCACGCAGTACCGTCTGGTACAGCAGGTTCCAGATGATCACCAGATAAACGGTTTCAATCCAGCGTCCTGCCAGACGCAGCGTAGTGTAGAAGTAGCCTGTAGCAGTCAGCACCATCAGCGCAATCGGGATTATCGACAGCACGGTAATGGTGACCAGTCGCATGGTGTGCGACTCTTTATCACGCCAGCTTTCGCGGCACATCGGCCATACCAGGAAGGCAATCAGCAGCAGGTTGAAGAAAATCATCGCTTGCCCCAGCACATCATCCATCAGATGCAGCGGGGAAAGTTCTGCCACCACAGACCAGAAATGGATAGGCAGCAATGCGAGACTGATGCGGACAATTTGCCGACGCCAGTGGCTGGTCTGCTGTTCCGGCATGCCGAAGTGACGTACGGCAACGCCGTTTTTCTCCAGTACCTTCCAGCACAGGCCAAACACCAGCCAGAATATCGCCAGTTTTTTGCTGAACGACCATAGCAGTTCGCTGATGTTGAGCTGCATGGTCAACAGAATCAGGCCAACCGCGAGAATAATCAGGCACACCGGCAGCGCACGGATCAGGTCGATAAGGATCGCTTTTGGTGTGTTGAGCTGGCTGTCGTTACGCAGGGAACCCACAGCGGAAGCCAGTTTTTGTTGATACGCTTTCAGCCAGCCCAGACGCCAGTGGATCAGCCCGGCAATCAACAGCAGCGGCAAACCAGCGAGGAAAGCGATAAAAACGGCGGGCCAGGCTTTTTGCCAGTTCACCGTGATTTTCATCGACTTAAATTCATCTTTCAGGCTTTGCGGGAACGCTTTGATCCAGTCCCAGTCCATTGGACGGTTACTGTTCACCCAAAAGATTTGCTGAGTCAGGATGGATTTCAGGTTTTTCGACACACTCATTAACTGCTGCTGGTTGATTTGCAGGTTAATGGCCATCATCAGCTGGTTACCCAACTGTTTGTTGAGTTGATCCAGCAATTCGCGACGCATATCAACCACTTGCAATAACGCATCGTGAACTTCGCTGTTGACTTCGTTGGTGTGACCTTCTTCCAGTTTGTTGACGAACGCATCGCTCTGGAAGAGTGCATCACGCTGCTGGTTAACTTCAAACTGTTCGAGACGCAAATCCGCGATGCGGTTGGTCATGTTTTCCAGTTCATCCGCCGAGGGCAGCGTTTGTTGTTGCTGGTAAAGGATACGAGACAACAGCAGGCTGCCCTTCAGGACGGCAATCTGCTCTTTAATATTGCGTTCCGATTGCAGCGCCCGCTCCAGCCAGTTTTTGACTTTAATGTTTTGCTGCATCAACTGATTACCGTTTTCAGTCGCGGTAATCAGACGCTGACTTAACTGCTGGTTAATTTCCAGTTCCTGCTTCACCAGCGGATTAGCCTGAATACGCGCGGCTTCATCCGGGGAGACGGCTTCCTGCGCCGTTTTTTCGGTTAAAGTCAGGCGCTTGCTGTTTACCGCTTCTTGCAACAGTTGTAACTGGTGCTCCAGACGAGCGCTGTTCGCCGTCACGTAATCACGTTGCTTTTGCAAGGTATCCTGCAAGACGGTGTTCCCTTCCAGGCTTTTACGCTGCTGGTCAATCTCCGCATTCAGCAACGCCTGCTGGGCCTGCATTAACACTTTCTGGCTGGGACGTAAGGCTGTCTCGCCGACATCAGTCCCATCCAGACGACTGCGAATTTGTTGCAGCTGCTGCGAAGCGTTATACATCGCATTTTGCACGCGTTCGGGCTGCGTCTGTAACGAAACCAGCTGGCTGTTATAAGACGCCAGATCGTTTTGTGCGTTTTGCAAATCGTCCAGCGCCTGGGCAACGCGAGTTTCCAGCTGGCGCAACGACAGCGTGCTCAGAATTTTGCGCGTTTCTTCGTCGTTATCGACATCGCTAAGTGCTGTTAACGCCGCGGTCGCCTGGCGCATTTTTTCCGGCGCTTCAGCGACTTTTTGCCGTAGCTGAACTGTCTCTTCTTTTATGCGATCGATTTTATCGAGGGTGGCTAATGTATCTGTCAGATCCTGCTGCACCAGTTTGTCCTGAGCAGAAAGATCTTTTTGTTTATTTAGTGAGTCAAGTTGCGCCTGCAGGTCCGCTTTTGTCGGCAGATCACCATTCGATGACGCCCGCGCAAACGCCGTGTTCTGGCATAACAAGACAAAAACAAAAGCAATAAATGCTGAAAAAACAAAATGCCGTGATCGTTTGTAATACTGGAACATAGTCAT(配列番号8)。
【0036】
いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞における発現には、以下のコドン最適化MscKポリヌクレオチド配列が使用されるか、又はそれに対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列が使用される。実施形態では、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する配列が使用される。
コドン最適化MscK(Gp153 MscKとも称される)ポリヌクレオチド配列:
ATGACCATGTTCCAGTACTATAAGCGGTCTCGCCACTTCGTGTTTAGCGCCTTTATCGCCTTCGTGTTTGTGCTGCTGTGCCAGAACACAGCCTTCGCCAGGGCCAGCTCCAATGGCGATCTGCCTACCAAGGCCGACCTGCAGGCCCAGCTGGATTCCCTGAACAAGCAGAAGGATCTGTCTGCCCAGGACAAGCTGGTGCAGCAGGATCTGACAGACACCCTGGCCACACTGGATAAGATCGACCGCATCAAGGAGGAGACCGTGCAGCTGAGGCAGAAGGTGGCAGAGGCACCAGAGAAGATGAGGCAGGCAACAGCCGCCCTGACCGCCCTGAGCGACGTGGATAATGACGAGGAGACAAGGAAGATCCTGTCTACCCTGAGCCTGAGGCAGCTGGAGACAAGGGTGGCACAGGCCCTGGACGATCTGCAGAACGCCCAGAATGACCTGGCCTCCTACAACTCTCAGCTGGTGTCCCTGCAGACCCAGCCCGAGAGAGTGCAGAACGCCATGTATAATGCCAGCCAGCAGCTGCAGCAGATCAGGTCCAGACTGGATGGAACAGACGTGGGAGAGACCGCCCTGAGGCCTTCTCAGAAGGTGCTGATGCAGGCACAGCAGGCCCTGCTGAACGCAGAGATCGATCAGCAGAGGAAGAGCCTGGAGGGCAATACAGTGCTGCAGGACACCCTGCAGAAGCAGAGAGATTACGTGACAGCCAATTCCGCCCGGCTGGAGCACCAGCTGCAGCTGCTGCAGGAGGCCGTGAACTCCAAGAGACTGACACTGACCGAGAAGACCGCACAGGAGGCCGTGTCTCCAGACGAGGCCGCCAGAATCCAGGCCAACCCTCTGGTGAAGCAGGAGCTGGAGATCAATCAGCAGCTGTCTCAGCGGCTGATCACAGCCACCGAGAACGGCAATCAGCTGATGCAGCAGAACATCAAGGTGAAGAATTGGCTGGAGCGCGCCCTGCAGAGCGAGAGGAACATCAAGGAGCAGATCGCCGTGCTGAAGGGCAGCCTGCTGCTGTCCAGAATCCTGTATCAGCAGCAGCAGACACTGCCATCCGCCGATGAGCTGGAGAACATGACCAATAGAATCGCCGACCTGCGGCTGGAGCAGTTTGAGGTGAACCAGCAGCGGGACGCCCTGTTCCAGTCTGATGCCTTTGTGAATAAGCTGGAGGAGGGCCACACCAACGAAGTGAATAGCGAGGTGCACGACGCACTGCTGCAGGTGGTGGATATGAGGAGAGAGCTGCTGGACCAGCTGAACAAGCAGCTGGGCAATCAGCTGATGATGGCCATCAACCTGCAGATCAATCAGCAGCAGCTGATGTCTGTGAGCAAGAATCTGAAGTCTATCCTGACACAGCAGATCTTCTGGGTGAACAGCAATAGACCAATGGATTGGGACTGGATCAAGGCCTTCCCCCAGTCTCTGAAGGACGAGTTTAAGAGCATGAAGATCACCGTGAACTGGCAGAAGGCCTGGCCTGCCGTGTTCATCGCCTTTCTGGCAGGACTGCCACTGCTGCTGATCGCAGGACTGATCCACTGGAGGCTGGGATGGCTGAAGGCATACCAGCAGAAGCTGGCCTCTGCCGTGGGCAGCCTGCGCAACGATTCTCAGCTGAATACACCCAAGGCCATCCTGATCGACCTGATCAGGGCCCTGCCCGTGTGCCTGATCATCCTGGCCGTGGGCCTGATCCTGCTGACCATGCAGCTGAATATCTCCGAGCTGCTGTGGTCCTTCTCTAAGAAGCTGGCCATCTTCTGGCTGGTGTTTGGCCTGTGCTGGAAGGTGCTGGAGAAGAACGGCGTGGCCGTGAGACACTTTGGCATGCCAGAGCAGCAGACAAGCCACTGGCGGCGCCAGATCGTGCGGATCTCCCTGGCCCTGCTGCCAATCCACTTCTGGTCCGTGGTGGCAGAGCTGTCTCCACTGCACCTGATGGACGATGTGCTGGGCCAGGCCATGATCTTCTTTAATCTGCTGCTGATCGCCTTTCTGGTGTGGCCTATGTGCAGAGAGAGCTGGCGGGACAAGGAGTCCCACACCATGAGGCTGGTGACAATCACCGTGCTGAGCATCATCCCAATCGCCCTGATGGTGCTGACAGCCACCGGCTACTTCTATACCACACTGCGCCTGGCCGGCAGGTGGATCGAGACCGTGTACCTGGTCATCATCTGGAACCTGCTGTATCAGACCGTGCTGAGGGGACTGTCCGTGGCCGCCAGGAGAATCGCATGGAGGAGGGCCCTGGCCAGGAGGCAGAATCTGGTGAAGGAGGGAGCAGAGGGAGCAGAGCCACCTGAGGAGCCCACCATCGCCCTGGAGCAGGTGAACCAGCAGACACTGAGGATCACCATGCTGCTGATGTTCGCCCTGTTTGGCGTGATGTTCTGGGCCATCTGGAGCGATCTGATCACAGTGTTTTCCTACCTGGACTCTATCACACTGTGGCACTATAACGGAACCGAGGCAGGAGCAGCAGTGGTGAAGAATGTGACCATGGGCTCTCTGCTGTTCGCCATCATCGCCAGCATGGTGGCCTGGGCCCTGATCAGAAACCTGCCTGGCCTGCTGGAGGTGCTGGTGCTGTCCAGACTGAATATGCGGCAGGGCGCCTCTTACGCCATCACCACAATCCTGAACTATATCATCATCGCCGTGGGCGCCATGACCGTGTTTGGCAGCCTGGGCGTGTCCTGGGATAAGCTGCAGTGGCTGGCCGCCGCCCTGAGCGTGGGACTGGGCTTCGGCCTGCAGGAGATCTTCGGCAACTTCGTGAGCGGCCTGATCATCCTGTTTGAGCGCCCAGTGAGGATCGGCGACACAGTGACCATCGGCAGCTTCTCCGGCACAGTGAGCAAGATCAGGATCAGGGCCACCACAATCACCGATTTCGACAGAAAGGAAGTGATCATCCCCAACAAGGCCTTTGTGACAGAGCGGCTGATCAATTGGAGCCTGACCGATACCACAACCAGGCTGGTCATCAGGCTGGGAGTGGCATACGGCTCCGACCTGGAGAAGGTGCGCAAGGTGCTGCTGAAGGCAGCAACCGAGCACCCTAGAGTGATGCACGAGCCAATGCCCGAGGTGTTCTTTACAGCCTTTGGCGCCTCCACCCTGGACCACGAGCTGAGACTGTATGTGCGGGAGCTGAGGGACAGATCTCGGACAGTGGATGAGCTGAACAGAACCATCGATCAGCTGTGCCGGGAGAACGACATCAATATCGCCTTCAACCAGCTGGAGGTGCACCTGCACAATGAGAAGGGCGATGAGGTGACAGAGGTGAAGAGGGACTACAAGGGCGACGATCCTACCCCAGCAGTGGGATGA (配列番号9)。
【0037】
「MscL G22Sポリペプチド」とは、変異G22Sを含む、上記で定義されるMscLポリペプチドを意味する。例示的なMscL G22Sポリペプチド配列をすぐ下に提供する。
MscL G22Sポリペプチド配列:
MSIIKEFREFAMRGNVVDLAVSVIIGAAFGKIVSSLVADIIMPPLGLLIGGIDFKQFAVTLRDAQGDIPAVVMHYGVFIQNVFDFLIVAFAIFMAIKLINKLNRKKEEPAAAPAPTKEEVLLTEIRDLLKEQNNRS (配列番号10)。
【0038】
「MscL G22Sポリヌクレオチド」とは、変異G22Sを含むポリペプチドをコードする、上述のMscLポリヌクレオチドを意味する。哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞における発現のために最適化された例示的なMscL G22Sポリヌクレオチド配列を、すぐ下に提供する。
コドン最適化MscL G22S(Gp176 MscLG22sK12とも称される)ポリヌクレオチド配列:
ATGTCTATCATCAAGGAGTTCCGGGAGTTTGCCATGAGAGGCAACGTGGTGGACCTGGCCGTGAGCGTGATCATCGGAGCAGCCTTCGGCAAGATCGTGAGCAGCCTGGTGGCCGACATCATCATGCCACCTCTGGGACTGCTGATCGGAGGCATCGATTTCAAGCAGTTTGCAGTGACCCTGAGGGACGCACAGGGCGACATCCCTGCCGTGGTCATGCACTACGGCGTGTTTATCCAGAACGTGTTCGACTTTCTGATCGTGGCCTTCGCCATCTTTATGGCCATCAAGCTGATCAACAAGCTGAATAGGAAGAAGGAGGAGCCAGCTGCCGCCCCAGCACCAACCAAGGAGGAGGTGCTGCTGACAGAGATCAGGGATCTGCTGAAGGAGCAGAACAATCGCAGC(配列番号11)。
【0039】
「MscMJLRポリペプチド」とは、細胞、例えばニューロンに超音波感受性を付与し、以下に提供されるMscMJLRポリペプチド配列、その断片、又はそのヒトオーソログに対して少なくとも約85%の配列同一性を有し、本明細書に記載される生物学的活性を有することができる機械感覚性タンパク質を意味する。実施形態では、機械感覚性タンパク質は、以下に提供されるMscMJLRポリペプチド配列、その断片、又はそのヒトオーソログに対して少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%の配列同一性を有し、本明細書に記載される生物学的活性を有する。他の実施形態では、ポリペプチドは、そのGenbankアクセッション番号によって特定されるポリペプチド、又はその機能的断片、アイソフォーム、オーソログ、若しくはホモログである。いくつかの実施形態では、MscMJLRポリペプチドは、Genbankアクセッション番号によって同定されるタンパク質、又はそれに対して実質的な同一性を有する機能的バリアント、オーソログ、若しくはホモログと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、MscMJLRポリペプチドは、Genbankアクセッション番号AAB99143.1によって同定されるポリペプチドである。いくつかの実施形態では、MscMJLRポリペプチドは、Genbankアクセッション番号AAB99143.1によって同定されるポリペプチドのホモログ又は機能的断片である。いくつかの実施形態では、MscMJLRポリペプチドは、すぐ下に提供されるMscMJLRポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、MscMJLRポリペプチドは、以下に提供されるMscMJLRポリペプチド配列から本質的になる。
MscMJLRポリペプチド配列:
MTITQMISEILMHNTVYNYILSLISIILFIVIGKYANALIERLADKLHKKSGIELDELLIRALSLPVAIAIILSGFYFGVNFLYLLPSLKTAVNEGILTAFILCVVVFFDRFLNELVERYLALTISKKTKKDVDDQIVVLTKKLVRLVVWVVGLLLILSNLGYDIKTLLAGLGIGGLAVALASQNLVSNLIAGLIILTDKPFKIGNWITFSGGSGIVEDIGIRSTKIRATDNSIIVVPNSKLIDEIIQNVPSKNKWKVSTTIGVTYNTPVEKIRKAEEIIKNILLEHPNVEDEPITVYFKEFGDWSLNIQVVYYIKNSRYNGYQKYISTINEVNLKIKEEFDRKGIEFAFPTYTLYLKRDD (配列番号12)。
【0040】
「MscMJLRポリヌクレオチド」とは、MscMJLRポリペプチドをコードする核酸分子を意味する。特定の実施形態では、MscMJLRポリヌクレオチドのコドンは、目的の生物又は目的の生物の細胞における発現のために最適化される(例えば、ヒト発現又はヒト細胞における発現、細菌発現又は細菌細胞発現、哺乳動物発現又は哺乳動物細胞発現のために最適化される)。例示的なMscMJLRポリヌクレオチドの配列を、すぐ下に提供する。いくつかの実施形態ではMscMJLRポリペプチドは、そのGenbankアクセッション番号によって同定される核酸分子、又はその機能的断片、オーソログ、若しくはホモログである。いくつかの実施形態では、MscMJLRポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号によって同定されるポリヌクレオチド、又はそれに対して実質的な同一性を有する機能的バリアント、オーソログ、若しくはホモログと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、MscMJLRポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号L77117.1によって同定された核酸分子の塩基対1082519~1083604(遺伝子座タグ:MJ_1143)を含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、MscMJLRポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号L77117.1によって同定された核酸分子の塩基対1082519~1083604(遺伝子座タグ:MJ_1143)の機能的ホモログ、オーソログ、又は断片である。いくつかの実施形態では、MscMJLRポリヌクレオチドは、すぐ下に提供されるMscMJLRポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、MscMJLRポリヌクレオチドは、すぐ下に提供されるMscMJLRポリヌクレオチド配列から本質的になる。
MscMJLRポリヌクレオチド配列:
ATGACAATAACTCAAATGATAAGTGAGATTTTAATGCACAATACTGTATATAATTATATTCTGTCTCTAATCTCAATTATTTTATTTATTGTTATTGGGAAATATGCAAATGCACTTATCGAAAGACTTGCAGATAAATTGCATAAAAAGAGCGGTATAGAATTGGATGAACTTCTAATTAGGGCTTTATCTCTACCTGTAGCAATAGCAATAATATTATCTGGATTTTACTTTGGAGTAAATTTTCTGTATCTTCTCCCCTCATTAAAAACAGCAGTAAATGAAGGGATTTTAACTGCCTTTATATTGTGTGTTGTTGTATTTTTTGACAGATTTCTTAATGAACTTGTAGAAAGGTATTTAGCCCTAACAATATCAAAAAAGACAAAAAAAGATGTTGATGACCAAATTGTTGTTTTAACCAAAAAGCTCGTTAGATTAGTTGTGTGGGTTGTTGGATTGTTGTTAATTTTGAGCAATCTTGGGTATGATATAAAAACTTTACTTGCTGGTTTGGGTATTGGTGGTTTAGCTGTGGCTTTAGCGTCTCAAAATCTTGTTTCTAATTTAATCGCTGGTTTGATAATTTTAACTGATAAACCATTTAAGATTGGAAATTGGATAACTTTCAGTGGTGGTAGTGGAATTGTTGAAGATATTGGAATAAGAAGCACAAAGATAAGGGCAACAGACAACTCAATAATCGTAGTTCCAAACTCAAAACTTATAGATGAAATTATTCAAAATGTTCCATCTAAAAATAAGTGGAAGGTTTCAACAACTATAGGAGTAACTTATAATACACCAGTTGAAAAAATAAGGAAGGCAGAGGAAATTATAAAAAATATCCTCTTAGAACATCCAAATGTAGAGGATGAACCAATAACAGTTTATTTTAAGGAATTTGGAGATTGGAGTCTAAATATCCAAGTAGTTTATTATATTAAAAACAGCAGATATAATGGTTATCAAAAGTATATTAGCACGATAAATGAAGTTAATTTGAAAATAAAAGAGGAATTTGATAGAAAAGGAATTGAATTTGCATTCCCAACTTATACATTATATTTAAAAAGAGACGAT(配列番号13)。
【0041】
いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞における発現には、以下のコドン最適化MscMJLRポリヌクレオチド配列が使用されるか、又はそれに対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列が使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する配列が使用される。
コドン最適化MscMJLR(Gp179 MscMJLRとも称される)ポリヌクレオチド配列:
ATGACCATCACACAGATGATCAGCGAGATCCTGATGCACAACACCGTGTACAATTATATCCTGAGCCTGATCTCCATCATCCTGTTCATCGTGATCGGCAAGTACGCCAATGCCCTGATCGAGAGGCTGGCCGACAAGCTGCACAAGAAGTCCGGCATCGAGCTGGATGAGCTGCTGATCCGCGCCCTGTCCCTGCCTGTGGCAATCGCCATCATCCTGTCTGGCTTCTATTTTGGCGTGAACTTTCTGTACCTGCTGCCATCTCTGAAGACCGCCGTGAATGAGGGCATCCTGACAGCCTTCATCCTGTGCGTGGTGGTGTTCTTTGACAGGTTTCTGAACGAGCTGGTGGAGAGATACCTGGCCCTGACCATCTCTAAGAAGACAAAGAAGGATGTGGACGATCAGATCGTGGTGCTGACCAAGAAGCTGGTGAGACTGGTGGTGTGGGTGGTGGGCCTGCTGCTGATCCTGAGCAATCTGGGCTACGACATCAAGACACTGCTGGCCGGACTGGGAATCGGAGGCCTGGCCGTGGCCCTGGCCTCCCAGAACCTGGTGTCTAATCTGATCGCCGGCCTGATCATCCTGACCGATAAGCCCTTCAAGATCGGCAACTGGATCACATTTTCTGGAGGCAGCGGAATCGTGGAGGACATCGGCATCCGGAGCACCAAGATCAGAGCCACAGATAACAGCATCATCGTGGTGCCAAATTCCAAGCTGATCGACGAGATCATCCAGAACGTGCCCTCTAAGAATAAGTGGAAGGTGAGCACCACAATCGGCGTGACCTATAACACACCTGTGGAGAAGATCCGGAAGGCCGAGGAGATCATCAAGAACATCCTGCTGGAGCACCCCAATGTGGAGGACGAGCCTATCACCGTGTACTTCAAGGAGTTTGGCGATTGGTCCCTGAATATCCAGGTGGTGTACTATATCAAGAACAGCCGGTACAATGGCTATCAGAAGTACATCTCCACAATCAACGAAGTGAATCTGAAGATCAAGGAGGAGTTCGATCGGAAGGGCATCGAGTTCGCCTTTCCCACCTATACACTGTACCTGAAGAGAGACGAT (配列番号14)。
【0042】
「MscMJポリペプチド」とは、細胞、例えばニューロンに超音波感受性を付与し、以下に提供されるMscMJポリペプチド配列、その断片、又はそのヒトオーソログに対して少なくとも約85%の配列同一性を有し、本明細書に記載される生物学的活性を有することができる機械感覚性タンパク質を意味する。実施形態では、機械感覚性タンパク質は、以下に提供されるMscMJポリペプチド配列、その断片、又はそのヒトオーソログに対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%の配列同一性を有し、本明細書に記載される生物学的活性を有する。他の実施形態では、ポリペプチドは、そのGenbankアクセッション番号によって特定されるポリペプチド、又はその機能的断片、アイソフォーム、オーソログ、若しくはホモログである。いくつかの実施形態では、MscMJポリペプチドは、Genbankアクセッション番号によって同定されるタンパク質、又はそれに対して実質的な同一性を有する機能的バリアント、オーソログ、若しくはホモログと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、MscMJポリペプチドは、Genbankアクセッション番号AAB98155.1によって同定されるポリペプチドである。いくつかの実施形態では、MscMJポリペプチドは、Genbankアクセッション番号AAB98155.1によって同定されるポリペプチドの機能的ホモログ、オーソログ、又は断片である。いくつかの実施形態では、MscMJポリペプチドは、すぐ下に提供されるMscMJポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、MscMJポリペプチドは、以下に提供されるMscMJポリペプチド配列から本質的になる。
MscMJポリペプチド配列:
MNMEIFGNSISNILIFVVITLLGIFIGKIVDKIVRNYLKKIIDKTKTKFDDIILESIDLPIIVLVVTLFFYFGLRFLILPDYILKLIDEAVKVVVILSATYFAVKFIDGIFEHYLIPLTEKTETELDEHIIKPLKKVVKILTILLGILTALSSVGYDITALLAGLGVGGLALALAMQDTIKNFIAGILILIDKPFSLGHWVKVKGAEGIVEEIGIRSTRIRTFDYTLITIPNSELLDSAIENLTVRDRRRVLMTIGLTYNTPVEKIKRAKEIIKEIVENHPATLPPYRVHFREYGDWSLNLRVEYFVRNMGFDYYLNAVDEINLKIKEEFEKEGIEMAFPTYTVYLEKDN(配列番号15)。
【0043】
「MscMJポリヌクレオチド」とは、MscMJポリペプチドをコードする核酸分子を意味する。特定の実施形態では、MscMJポリヌクレオチドのコドンは、目的の生物又は目的の生物の細胞における発現のために最適化される(例えば、ヒト発現又はヒト細胞における発現、細菌発現又は細菌細胞発現、哺乳動物発現又は哺乳動物細胞発現のために最適化される)。例示的なMscMJポリヌクレオチドの配列を、すぐ下に提供する。いくつかの実施形態ではMscMJポリペプチドは、そのGenbankアクセッション番号によって同定される核酸分子、又はその機能的断片、オーソログ、若しくはホモログである。いくつかの実施形態では、MscMJポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号によって同定される核酸分子、又はそれに対して実質的な同一性を有するバリアント若しくはホモログと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、MscMJポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号L77117.1によって同定された核酸分子の塩基対172170~173222(遺伝子座タグ:MJ_0170)を含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、MscMJポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号L77117.1によって同定された核酸分子の塩基対172170~173222(遺伝子座タグ:MJ_0170)の機能的ホモログ、オーソログ、又は断片である。いくつかの実施形態では、MscMJポリヌクレオチドは、すぐ下に提供されるMscMJポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、MscMJポリヌクレオチドは、すぐ下に提供されるMscMJポリヌクレオチド配列から本質的になる。
MscMJポリヌクレオチド配列:
GTTATCTTTCTCCAAATAAACAGTATATGTTGGGAATGCCATCTCTATCCCTTCTTTTTCAAATTCCTCTTTTATCTTCAAATTTATTTCATCAACGGCATTTAAATAGTAATCAAATCCCATGTTTCTAACAAAGTATTCTACCCTCAAATTTAAACTCCAATCTCCATATTCCCTAAAATGCACTCTATATGGAGGGAGAGTAGCTGGATGATTTTCAACAATCTCTTTTATTATCTCCTTAGCCCTCTTAATTTTCTCTACCGGTGTGTTATAAGTTAAACCGATAGTCATTAAAACCCTTCTTCTATCTCTAACTGTTAAGTTTTCAATGGCTGAATCCAACAATTCTGAGTTTGGGATAGTTATTAAAGTGTAATCAAAAGTTCTAATTCGTGTGCTTCTTATTCCAATCTCCTCTACAATCCCTTCAGCCCCTTTAACTTTAACCCAATGGCCTAAACTAAAGGGTTTGTCAATCAATATTAAAATCCCAGCAATGAAGTTTTTTATGGTGTCTTGCATAGCCAAAGCTAAAGCTAAACCCCCTACTCCTAAACCAGCCAATAAAGCAGTGATATCATAACCAACAGAGCTTAAAGCCGTTAATATACCAAGAAGTATTGTTAATATCTTTACAACTTTTTTCAATGGCTTTATTATGTGTTCGTCCAACTCTGTTTCTGTCTTTTCGGTTAATGGAATTAGGTAGTGTTCAAATATCCCATCAATAAATTTAACTGCAAAATATGTAGCCGATAAGATAACTACAACTTTTACTGCTTCATCTATCAACTTGAGTATATAATCTGGCAGAATTAAAAATCTTAACCCAAAATAGAAAAACAATGTAACTACTAACACAATAATTGGTAAATCAATAGACTCTAATATTATATCATCGAATTTTGTTTTTGTTTTATCTATGATTTTTTTGAGATAATTTCTAACTATTTTATCCACAATTTTTCCAATGAAAATACCCAATAGAGTTATAACAACAAAAATAAGTATATTAGATATGCTGTTCCCAAAAATTTCCATATTCAC (配列番号16)。
【0044】
いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞における発現には、以下のコドン最適化MscMJポリヌクレオチド配列が使用されるか、又はそれに対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列が使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する配列が使用される。
コドン最適化MscMJ(Gp181 MscMJとも称される)ポリヌクレオチド配列:
ATGAACATGGAGATCTTCGGCAACTCTATCAGCAATATCCTGATCTTCGTGGTCATCACCCTGCTGGGCATCTTTATCGGCAAGATCGTGGACAAGATCGTGCGCAATTACCTGAAGAAGATCATCGATAAGACCAAGACAAAGTTTGACGACATCATCCTGGAGTCTATCGACCTGCCCATCATCGTGCTGGTGGTGACACTGTTCTTTTACTTCGGCCTGCGGTTTCTGATCCTGCCTGACTATATCCTGAAGCTGATCGATGAGGCCGTGAAGGTGGTGGTCATCCTGAGCGCCACCTACTTCGCCGTGAAGTTTATCGACGGCATCTTCGAGCACTATCTGATCCCACTGACAGAGAAGACCGAGACAGAGCTGGATGAGCACATCATCAAGCCCCTGAAGAAGGTGGTGAAGATCCTGACCATCCTGCTGGGCATCCTGACCGCCCTGAGCAGCGTGGGCTATGACATCACCGCCCTGCTGGCCGGACTGGGAGTGGGAGGCCTGGCCCTGGCCCTGGCCATGCAGGACACAATCAAGAACTTCATCGCCGGCATCCTGATCCTGATCGATAAGCCCTTCAGCCTGGGCCACTGGGTGAAGGTGAAGGGAGCAGAGGGAATCGTGGAGGAGATCGGCATCAGATCCACCCGCATCCGGACATTCGATTACACCCTGATCACAATCCCCAACTCCGAGCTGCTGGACTCTGCCATCGAGAATCTGACCGTGAGAGATCGGAGAAGGGTGCTGATGACAATCGGCCTGACCTATAACACACCTGTGGAGAAGATCAAGAGGGCCAAGGAGATCATCAAGGAGATCGTGGAGAATCACCCAGCCACCCTGCCCCCTTACAGAGTGCACTTTAGGGAGTATGGCGACTGGTCCCTGAACCTGCGCGTGGAGTACTTCGTGCGGAATATGGGCTTTGACTACTATCTGAACGCCGTGGATGAGATCAATCTGAAGATCAAGGAGGAGTTCGAGAAGGAGGGCATCGAGATGGCCTTTCCTACCTACACAGTGTATCTGGAGAAGGATAAT (配列番号17)。
【0045】
「MscS様3ポリペプチド」又は「MscS様3」とは、Arabidopsis thalianaに由来する機械感覚性タンパク質、すなわち、細胞、例えばニューロンに超音波感受性を付与し、以下に提供されるMscS様3ポリペプチド配列、その断片、又はそのヒトオーソログに対して少なくとも約85%の配列同一性を有し、本明細書に記載される生物学的活性を有することができる機械感覚性タンパク質を意味する。実施形態では、機械感覚性タンパク質は、以下に提供されるMscS様3ポリペプチド配列、その断片、又はそのヒトオーソログに対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%の配列同一性を有し、本明細書に記載される生物学的活性を有する。他の実施形態では、ポリペプチドは、そのGenbankアクセッション番号によって特定されるポリペプチド、又はその機能的断片、アイソフォーム、オーソログ、若しくはホモログである。いくつかの実施形態では、MscS様3ポリペプチドは、Genbankアクセッション番号によって同定されるタンパク質、又はそれに対して実質的な同一性を有する機能的バリアント、オーソログ、若しくはホモログと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、MscS様3ポリペプチドは、Genbankアクセッション番号AEE33512.1によって同定されるポリペプチドである。いくつかの実施形態では、MscS様3ポリペプチドは、Genbankアクセッション番号AEE33512.1によって同定されるポリペプチドの機能的ホモログ、オーソログ、又は断片である。いくつかの実施形態では、MscS様3ポリペプチドは、すぐ下に提供されるMscS様3ポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、MscS様3ポリペプチドは、すぐ下に提供されるMscS様3ポリペプチド配列から本質的になる。
MscS様3アミノ酸配列:
MMMRTVALPLSHDLNVHKIHEASGFHNSAAGKNRVYLTRTGLSSCATRQDVWSLQLLESLSGSIVPVSSRCNAFVCRSALSPGNGNEGPILKSTAVIFTRVYDALGGNPHLVKLIPAVGILAFATWGLRPLLRLARTTLFEKGNDANSQKSSTQYIVVSYLQPLLLWSGAILLCRTLDPIVLPSSAGQAIKQRLLIFARSISTVLAFSCCLSSLLQQVQKFFMETNNPADTRNMGFSFAGKAVYTAAWVAAASLFMELLGFSTQKWLTAGGLGTVLLTLAGREILTNFLSSIMIHATRPFVLNEWIQTKIGGYEVSGTVEQVGWWSPTIIRGDDREAVHIPNHQFSVNIVRNLTQKTHWRIKTHLAISHLDVSKINNIVADMRKVLSKNPQIEQQKIHRRVFLEDIDPENQALRILISCFVKTSRFEEYLCVKEAVLLDLLTVIRHHGARLATPIRTVQRMRNEAEVDTAGFSDIVFNQAAMNRRYMLIEPSYKINSDDNSKSPSPSPGQKSPSPGQKSEERDLQEEPSETKAETENNGSVPVSNAKKENQKAALGSNSNTGTKGSSTSTSDQPVAQKSEEKKKESVGDPHKAEKDEVSDDEATIEQTLKSKAKQGSEKNNGESKARDGGGSGTSSLLEENLVLGVALDGSKRTLPIDEEHKASGALMDSEELGIGSE(配列番号18)。
【0046】
「MscS様3ポリヌクレオチド」とは、MscS様3ポリペプチドをコードする核酸分子を意味する。特定の実施形態では、MscS様3ポリヌクレオチドのコドンは、目的の生物又は目的の生物の細胞における発現のために最適化される(例えば、ヒト発現又はヒト細胞における発現、細菌発現又は細菌細胞発現、哺乳動物発現又は哺乳動物細胞発現のために最適化される)。例示的なMscS様3ポリヌクレオチドの配列を、すぐ下に提供する。いくつかの実施形態では、核酸分子は、そのGenbankアクセッション番号によって同定されるMscS様3ポリヌクレオチド、又はその機能的断片、オーソログ、若しくはホモログである。いくつかの実施形態では、MscS様3ポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号によって同定される核酸分子、又はそれに対して実質的な同一性を有するバリアント、オーソログ、若しくはホモログと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、MscS様3ポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号NM_202317.3によって同定される核酸分子である。いくつかの実施形態では、MscS様3ポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号NM_202317.3によって同定される核酸分子の機能的ホモログ、オーソログ、又は断片である。いくつかの実施形態では、MscS様3ポリヌクレオチドは、すぐ下に提供されるMscS様3ポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、MscS様3ポリヌクレオチドは、すぐ下に提供されるMscS様3ポリヌクレオチド配列からなる。
MscS様3ポリヌクレオチド配列:
ATGATGATGCGTACTGTTGCTTTACCATTGTCCCATGATCTGAATGTTCATAAGATCCATGAAGCTTCTGGATTCCATAATAGTGCTGCTGGTAAAAATCGTGTGTATCTGACTCGGACTGGTCTTTCATCATGTGCCACGAGACAAGACGTTTGGAGTCTTCAGCTACTAGAGAGCTTGAGTGGTTCAATAGTACCTGTATCATCTAGGTGTAATGCATTTGTTTGCCGGTCAGCTCTCTCTCCTGGGAATGGAAATGAAGGCCCTATTCTTAAATCAACTGCAGTAATATTCACAAGGGTATATGATGCTTTAGGTGGAAATCCTCATTTAGTGAAACTAATTCCAGCGGTTGGGATTCTTGCATTTGCTACATGGGGTCTTAGACCCCTTCTGCGCCTTGCCAGAACTACCCTGTTTGAGAAGGGGAATGATGCAAATTCACAGAAGAGTAGCACGCAGTACATTGTTGTGTCATATCTTCAACCTTTGCTGCTTTGGAGCGGAGCAATCCTTTTATGCAGAACATTGGACCCAATAGTATTGCCTTCAAGTGCCGGCCAGGCTATTAAACAGCGTCTTCTGATCTTTGCTCGGTCCATATCAACGGTGTTGGCATTTTCCTGCTGTTTATCAAGCCTACTTCAGCAGGTGCAGAAATTTTTTATGGAGACAAATAATCCTGCTGATACCAGAAATATGGGTTTCAGTTTTGCTGGAAAAGCTGTTTACACTGCTGCGTGGGTTGCTGCTGCTTCATTGTTTATGGAACTGTTAGGCTTCTCTACCCAAAAATGGCTAACGGCTGGGGGTCTGGGGACAGTACTGCTAACTCTTGCTGGCCGTGAGATACTTACTAACTTTCTTTCAAGCATTATGATTCATGCTACACGGCCCTTTGTTCTGAATGAGTGGATCCAGACCAAGATAGGAGGCTATGAAGTTTCTGGCACAGTAGAGCAAGTCGGTTGGTGGTCACCTACAATTATCAGAGGTGATGACCGGGAAGCAGTTCATATTCCTAACCACCAGTTCAGTGTGAATATTGTGAGAAATCTCACTCAGAAGACGCATTGGCGCATCAAAACACATCTTGCCATCAGTCATCTTGATGTCAGCAAAATTAATAATATCGTGGCTGATATGCGCAAGGTGTTGTCTAAAAATCCTCAAATCGAGCAGCAAAAAATACACAGAAGAGTCTTTCTGGAGGATATAGATCCAGAGAACCAAGCCCTTAGGATTCTAATATCCTGTTTTGTCAAGACTTCACGTTTTGAAGAATACCTGTGCGTTAAGGAAGCAGTGCTCTTGGATCTTCTTACTGTTATTAGGCATCACGGGGCACGTCTAGCAACTCCCATTAGAACAGTACAGAGGATGCGTAATGAGGCTGAGGTGGACACTGCAGGATTTTCAGACATCGTTTTCAATCAAGCAGCAATGAACCGCCGATACATGCTGATTGAGCCATCTTATAAAATCAACAGCGATGACAATTCAAAGTCTCCCTCACCCAGCCCAGGGCAAAAGTCACCCAGCCCAGGGCAAAAGAGTGAAGAAAGGGACCTTCAAGAAGAACCATCGGAAACCAAGGCCGAAACAGAAAACAACGGATCGGTGCCGGTTTCAAATGCCAAAAAGGAAAACCAGAAAGCGGCTCTTGGTTCCAACTCCAATACAGGCACTAAGGGTTCATCAACCTCAACATCTGACCAGCCAGTAGCACAAAAGTCAGAAGAAAAGAAGAAAGAGAGCGTGGGAGATCCACATAAAGCAGAGAAGGATGAAGTTTCTGATGACGAAGCTACAATAGAGCAGACACTGAAATCAAAAGCAAAACAAGGGAGCGAGAAAAACAATGGAGAGTCGAAAGCTCGAGATGGTGGTGGGTCCGGTACTAGTTCTTTACTGGAGGAGAATCTTGTTCTTGGTGTTGCGTTGGATGGCTCAAAACGTACACTCCCGATTGATGAAGAACACAAAGCATCTGGTGCACTAATGGATTCAGAAGAACTTGGTATTGGATCAGAA(配列番号19)。
【0047】
いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞における発現には、以下のコドン最適化MscS様3ポリヌクレオチド配列が使用されるか、又はそれに対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列が使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する配列が使用される。
コドン最適化MscS様3(Gp180 MscLike A thalianaとも称される)ポリヌクレオチド配列:
ATGATGATGCGGACAGTGGCCCTGCCACTGTCCCACGACCTGAACGTGCACAAGATCCACGAGGCCTCTGGATTCCACAACAGCGCCGCAGGCAAGAATAGGGTGTACCTGACCAGGACAGGACTGAGCAGCTGCGCAACCAGACAGGACGTGTGGTCCCTGCAGCTGCTGGAGTCCCTGTCTGGCAGCATCGTGCCCGTGTCTAGCCGGTGCAACGCCTTCGTGTGCAGATCCGCCCTGTCTCCTGGCAACGGCAATGAGGGCCCAATCCTGAAGAGCACCGCCGTGATCTTTACAAGGGTGTATGACGCACTGGGAGGAAATCCACACCTGGTGAAGCTGATCCCTGCAGTGGGCATCCTGGCCTTCGCCACCTGGGGACTGCGCCCTCTGCTGAGGCTGGCCCGCACCACACTGTTTGAGAAGGGCAACGACGCCAATAGCCAGAAGTCCTCTACACAGTACATCGTGGTGAGCTATCTGCAGCCACTGCTGCTGTGGTCCGGAGCAATCCTGCTGTGCCGGACCCTGGACCCCATCGTGCTGCCCAGCTCCGCCGGACAGGCCATCAAGCAGAGGCTGCTGATCTTCGCCCGCTCCATCTCTACAGTGCTGGCCTTTTCCTGCTGTCTGTCTAGCCTGCTGCAGCAGGTGCAGAAGTTCTTTATGGAGACCAACAATCCTGCCGATACACGCAACATGGGCTTCTCTTTTGCCGGCAAGGCCGTGTACACCGCAGCATGGGTGGCCGCCGCCAGCCTGTTCATGGAGCTGCTGGGCTTTAGCACCCAGAAGTGGCTGACAGCAGGAGGACTGGGCACCGTGCTGCTGACACTGGCCGGAAGGGAGATCCTGACAAACTTCCTGTCCTCTATCATGATCCACGCCACCCGCCCCTTTGTGCTGAATGAGTGGATTCAGACCAAGATCGGCGGCTATGAGGTGTCCGGCACAGTGGAGCAAGTGGGCTGGTGGTCTCCAACCATCATCCGGGGCGACGATAGAGAGGCCGTGCACATCCCCAATCACCAGTTCTCCGTGAACATCGTGAGGAATCTGACCCAGAAGACACACTGGCGCATCAAGACCCACCTGGCCATCTCCCACCTGGACGTGTCTAAGATCAACAATATCGTGGCCGATATGCGGAAGGTGCTGAGCAAGAACCCACAGATCGAGCAGCAGAAGATCCACCGGAGAGTGTTTCTGGAGGACATCGATCCCGAGAATCAGGCCCTGAGAATCCTGATCAGCTGCTTCGTGAAGACAAGCAGATTTGAGGAGTACCTGTGCGTGAAGGAGGCCGTGCTGCTGGACCTGCTGACCGTGATCAGGCACCACGGCGCCAGACTGGCCACCCCAATCAGGACAGTGCAGAGGATGAGAAACGAGGCAGAGGTGGACACCGCAGGCTTCTCCGACATCGTGTTCAACCAGGCCGCCATGAATAGGCGCTACATGCTGATCGAGCCTAGCTATAAGATCAACTCCGACGATAATAGCAAGTCCCCCTCTCCTAGCCCAGGCCAGAAGTCCCCATCTCCTGGCCAGAAGAGCGAGGAGAGAGACCTGCAGGAGGAGCCTTCCGAGACCAAGGCCGAGACAGAGAACAATGGCAGCGTGCCAGTGTCCAACGCCAAGAAGGAGAATCAGAAGGCCGCCCTGGGCAGCAACTCCAATACCGGCACAAAGGGCAGCTCCACCTCTACAAGCGATCAGCCCGTGGCCCAGAAGTCTGAGGAGAAGAAGAAGGAGAGCGTGGGCGACCCTCACAAGGCCGAGAAGGATGAGGTGAGCGACGATGAGGCCACCATCGAGCAGACACTGAAGTCCAAGGCCAAGCAGGGCTCTGAGAAGAACAATGGAGAGTCCAAGGCCAGAGACGGAGGAGGCTCTGGCACATCTAGCCTGCTGGAGGAGAATCTGGTGCTGGGAGTGGCCCTGGACGGCTCTAAGAGAACCCTGCCCATCGATGAGGAGCACAAGGCCAGCGGCGCCCTGATGGATTCCGAGGAGCTGGGCATCGGCAGCGAG(配列番号20)。
【0048】
「MscSfamポリペプチド」とは、Archaeoglobus fulgidus dsm 4304に由来する機械感覚性タンパク質、すなわち、細胞、例えばニューロンに超音波感受性を付与し、以下に提供されるMscSfamポリペプチド配列、その断片、又はそのヒトオーソログに対して少なくとも約85%の配列同一性を有し、本明細書に記載される生物学的活性を有することができる機械感覚性タンパク質を意味する。実施形態では、機械感覚性タンパク質は、以下に提供されるMscSfamポリペプチド配列、その断片、又はそのヒトオーソログに対して少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%の配列同一性を有し、本明細書に記載される生物学的活性を有する。他の実施形態では、ポリペプチドは、そのGenbankアクセッション番号によって特定されるポリペプチド、又はその機能的断片、アイソフォーム、オーソログ、若しくはホモログである。いくつかの実施形態では、MscSfamポリペプチドは、Genbankアクセッション番号によって同定されるタンパク質、又はそれに対して実質的な同一性を有するバリアント、オーソログ、若しくはホモログと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、MscSfamポリペプチドは、Genbankアクセッション番号AAB89702.1によって同定されるポリペプチドである。いくつかの実施形態では、MscSfamポリペプチドは、Genbankアクセッション番号AAB89702.1によって同定されるポリペプチドのホモログ又は機能的断片である。いくつかの実施形態では、MscSfamポリペプチドは、すぐ下に提供されるMscSfamポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、MscSfamポリペプチドは、以下に提供されるMscSfamポリペプチド配列から本質的になる。
MscSfamポリペプチド配列:
MGIMIDVLNYKLYGDVTVYDIIVVIVVMALATIIAKLITTNLRRALIDKMKRDQLELMLKVIYFGIIIVAFIAVLPALGLDLSGLLVAGGITGIVLGFASQSVVANLVSGIFLISEKPIKIGDQVNIDGVAGFVEDVNILSTIIRTYDGLYVRIPNEKVFTSNITNYVAHIARRFEYVVGIRYSDDAEKAIEIIKRIIEEHPFALKNPEPVVFVDNLGDSSVNIVVRIWAPSTEWYNVKMELLWKIKTELEKNGIEIPFPQRVVWFANELRANVEGKEERRQA(配列番号21)。
【0049】
「MscSfamポリヌクレオチド」とは、MscSfamポリペプチドをコードする核酸分子を意味する。特定の実施形態では、MscSfamポリヌクレオチドのコドンは、目的の生物又は目的の生物の細胞における発現のために最適化される(例えば、ヒト発現又はヒト細胞における発現、細菌発現又は細菌細胞発現、哺乳動物発現又は哺乳動物細胞発現のために最適化される)。例示的なMscSfamポリヌクレオチドの配列を、すぐ下に提供する。いくつかの実施形態では、MscSfamポリペプチドは、そのGenbankアクセッション番号によって同定される核酸分子、又はその機能的断片、オーソログ、若しくはホモログである。いくつかの実施形態では、MscSfamポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号によって同定される核酸分子、又はそれに対して実質的な同一性を有するバリアント、オーソログ、若しくはホモログと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、MscSfamポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号AE000782.1によって同定された核酸分子の塩基対1393480~1394331(遺伝子座タグ:AF_1546)を含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、MscSfamポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号AE000782.1によって同定された核酸分子の塩基対1393480~1394331(遺伝子座タグ:AF_1546)の機能的ホモログ、オーソログ、又は断片である。いくつかの実施形態では、MscSfamポリヌクレオチドは、すぐ下に提供されるMscSfamポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、MscSfamポリヌクレオチドは、以下に提供されるMscSfamポリヌクレオチド配列から本質的になる。
MscSfamポリヌクレオチド配列:
GTGGGGATTATGATTGACGTGCTGAATTACAAGCTGTATGGAGACGTCACGGTTTACGACATTATCGTCGTTATTGTCGTCATGGCCCTTGCCACAATAATTGCAAAGCTCATAACAACCAACCTAAGGAGGGCTCTGATTGACAAAATGAAGAGGGACCAGCTTGAGCTGATGCTCAAGGTTATCTACTTCGGAATAATCATCGTTGCCTTCATCGCAGTTTTGCCGGCTCTGGGCCTTGACCTTTCAGGTTTACTGGTTGCCGGTGGAATTACCGGAATTGTTCTAGGTTTTGCCAGCCAGAGCGTCGTTGCAAACCTCGTTTCGGGAATCTTCCTGATCTCGGAGAAACCGATAAAAATTGGAGATCAGGTTAACATTGACGGTGTGGCGGGCTTCGTCGAGGATGTTAACATCCTATCAACCATTATAAGAACCTACGATGGTTTGTACGTCAGAATCCCAAACGAGAAGGTCTTCACGTCCAACATAACCAACTACGTCGCCCACATCGCAAGGAGGTTTGAGTACGTTGTGGGCATTAGGTACAGCGATGATGCTGAGAAAGCCATCGAGATAATAAAAAGAATTATTGAGGAGCACCCCTTCGCCCTGAAAAATCCCGAGCCCGTGGTTTTCGTTGACAATCTTGGGGATAGCAGTGTGAACATCGTCGTGAGAATCTGGGCTCCCTCGACGGAGTGGTACAACGTGAAGATGGAGCTTCTCTGGAAGATAAAGACTGAGCTTGAGAAGAACGGAATCGAGATACCTTTCCCGCAGCGTGTGGTGTGGTTTGCCAACGAGTTGAGAGCCAATGTTGAGGGTAAGGAAGAGAGACGGCAGGCT(配列番号22)。
【0050】
いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞における発現には、以下のコドン最適化MscSfamポリヌクレオチド配列が使用されるか、又はそれに対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列が使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する配列が使用される。
コドン最適化MscSfam(Gp178 MscSfam Afu1とも称される)ポリヌクレオチド配列:
ATGGGCATCATGATCGACGTGCTGAACTACAAGCTGTATGGCGACGTGACCGTGTACGACATCATCGTGGTCATCGTGGTCATGGCCCTGGCCACAATCATCGCCAAGCTGATCACCACAAATCTGCGGAGAGCCCTGATCGACAAGATGAAGCGGGATCAGCTGGAGCTGATGCTGAAAGTGATCTACTTCGGCATCATCATCGTGGCCTTTATCGCCGTGCTGCCCGCCCTGGGCCTGGATCTGTCCGGACTGCTGGTGGCAGGAGGAATCACCGGCATCGTGCTGGGCTTCGCCTCTCAGAGCGTGGTGGCCAACCTGGTGTCCGGCATCTTTCTGATCTCTGAGAAGCCCATCAAGATCGGCGACCAGGTGAACATCGATGGCGTGGCCGGCTTCGTGGAGGACGTGAATATCCTGAGCACCATCATCAGGACATACGATGGCCTGTATGTGCGCATCCCTAATGAGAAGGTGTTCACCTCCAACATCACAAATTACGTGGCCCACATCGCCAGGCGCTTTGAGTACGTGGTGGGCATCAGGTATTCTGACGATGCCGAGAAGGCCATCGAGATCATCAAGCGCATCATCGAGGAGCACCCTTTCGCCCTGAAGAACCCCGAGCCTGTGGTGTTTGTGGACAACCTGGGCGATAGCTCCGTGAATATCGTGGTGAGAATCTGGGCCCCAAGCACCGAGTGGTATAACGTGAAGATGGAGCTGCTGTGGAAGATCAAGACAGAGCTGGAGAAGAATGGCATCGAGATCCCATTCCCCCAGCGGGTGGTGTGGTTTGCCAACGAGCTGAGAGCCAATGTGGAGGGCAAGGAGGAGCGGAGACAGGCC(配列番号23)。
【0051】
「MscS様ポリペプチド」とは、バチルス・ハロデュランス(Bacillus halodurans)に由来する機械感覚性タンパク質、すなわち、細胞、例えばニューロンに超音波感受性を付与し、以下に提供されるMscS様ポリペプチド配列、その断片、又はそのヒトオーソログに対して少なくとも約85%の配列同一性を有し、本明細書に記載される生物学的活性を有することができる機械感覚性タンパク質を意味する。実施形態では、機械感覚性タンパク質は、以下に提供されるMscS様ポリペプチド配列、その断片、又はそのヒトオーソログに対して少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%の配列同一性を有し、本明細書に記載される生物学的活性を有する。他の実施形態では、ポリペプチドは、そのGenbankアクセッション番号によって特定されるポリペプチド、又はその機能的断片、アイソフォーム、オーソログ、若しくはホモログである。いくつかの実施形態では、MscS様ポリペプチドは、Genbankアクセッション番号によって同定されるタンパク質、又はそれに対して実質的な同一性を有するバリアント、アイソフォーム、オーソログ、若しくはホモログと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、MscS様ポリペプチドは、Genbankアクセッション番号BAB06402.1によって同定されるポリペプチドである。いくつかの実施形態では、MscS様ポリペプチドは、Genbankアクセッション番号BAB06402.1によって同定されるポリペプチドのホモログ又は機能的断片である。いくつかの実施形態では、MscS様ポリペプチドは、すぐ下に提供されるMscS様ポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、MscS様ポリペプチドは、すぐ下に提供されるMscS様ポリペプチド配列から本質的になる。
MscS様ポリペプチド配列:
MNSYYARQWERFVQSFERFNWQDYLIPVAIFIIFLVFRKVFTKYIFKLILRLAKKSKTDVLTNLLLSFEKPLRAFWIILGTYLALMALPFPVTAVAFVDHLYRSLLILLLGWGFFNYTAAHSTIFLTIAKWMDLDENSMVIPFLSKMLRFIVVALTILIILAEWEFKIGGFIAGLGLGGLAFALAAQDTIGNFFGGVIIVTEKPFSKGDWIQTPTVEGVVEDITFRSTRVRTFADSVVTVPNSTLASEPITNWSQMRKRRITFNLGLEYATTKEQLQSVRTKIEAYLRQHDQVDQEVIMVHFSEFNSSSLDIFIYFFTNTIVWSEWYVVKEEINLKIIEILEEEGVSVAFPSRSVYMKRESEGEILPPQKALESKEKDQ(配列番号24)。
【0052】
「MscS様ポリヌクレオチド」とは、MscS様ポリペプチドをコードする核酸分子を意味する。特定の実施形態では、MscS様ポリヌクレオチドのコドンは、目的の生物又は目的の生物の細胞における発現のために最適化される(例えば、ヒト発現又はヒト細胞における発現、細菌発現又は細菌細胞発現、哺乳動物発現又は哺乳動物細胞発現のために最適化される)。例示的なMscS様ポリヌクレオチドの配列を、すぐ下に提供する。いくつかの実施形態では、MscS様ポリペプチドは、そのGenbankアクセッション番号によって同定される核酸分子、又はその機能的断片、オーソログ、若しくはホモログである。いくつかの実施形態では、MscS様ポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号によって同定される核酸分子、又はそれに対して実質的な同一性を有するバリアント若しくはホモログと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、MscS様ポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号BA000004.3によって同定された核酸分子の塩基対2803820~2804959(遺伝子座タグ:BH2683)を含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、MscS様ポリヌクレオチドは、Genbankアクセッション番号BA000004.3によって同定された核酸分子の塩基対2803820~2804959(遺伝子座タグ:BH2683)の機能的ホモログ、オーソログ、又は断片である。いくつかの実施形態では、MscS様ポリヌクレオチドは、すぐ下に提供されるMscS様ポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、MscS様ポリヌクレオチドは、すぐ下に提供されるMscS様ポリヌクレオチド配列から本質的になる。
MscS様ポリヌクレオチド配列:
TTGGTCTTTTTCTTTTGATTCTAACGCTTTTTGCGGAGGTAAGATCTCACCCTCTGATTCTCGCTTCATATACACGCTGCGGCTCGGGAACGCAACAGATACTCCTTCTTCCTCTAAAATCTCGATGATTTTTAAGTTGATCTCTTCTTTCACCACATACCATTCAGACCAGACGATGGTGTTCGTAAAGAAATAGATAAAAATATCGAGGCTAGAGGAGTTAAATTCACTAAAATGAACCATGATCACCTCTTGATCCACTTGATCGTGCTGACGCAAATAGGCTTCAATTTTCGTTCGCACCGATTGGAGCTGCTCTTTCGTCGTTGCGTATTCAAGTCCAAGGTTAAACGTAATCCGGCGTTTTCGCATCTGGGACCAGTTCGTAATCGGTTCACTTGCAAGCGTTGAGTTCGGAACGGTTACCACCGAATCCGCAAACGTGCGAACTCTCGTGCTACGGAACGTTATATCTTCAACCACACCCTCAACAGTTGGCGTCTGGATCCAATCCCCTTTCGAGAATGGCTTTTCAGTCACGATAATGACCCCGCCGAAAAAATTGCCGATCGTATCTTGTGCGGCCAAGGCAAACGCCAATCCCCCTAAGCCTAGACCTGCGATAAAGCCACCGATCTTAAACTCCCATTCCGCAAGGATGATCAGAATGGTGAGGGCCACGACAATAAACCGTAGCATTTTGGACAAAAACGGGATAACCATACTGTTTTCATCAAGATCCATCCATTTGGCAATTGTTAAGAAGATCGTCGAATGGGCCGCTGTATAATTAAAAAATCCCCATCCTAAAAGTAAAATTAATAGCGAACGGTACAAGTGGTCTACAAAGGCGACAGCTGTCACGGGGAACGGCAAAGCCATAAGAGCTAAGTATGTTCCGAGAATAATCCAAAACGCCCGCAACGGCTTCTCAAAGGAAAGTAACAAGTTTGTAAGGACGTCGGTTTTCGACTTTTTCGCTAGCCGTAAAATAAGCTTAAAAATATACTTCGTAAATACTTTTCGAAATACAAGAAAGATGATAAAAATCGCAACGGGTATAAGATAGTCTTGCCAGTTAAACCGTTCAAACGATTGAACAAAACGTTCCCATTGTCTCGCGTAATATGAATTCAT(配列番号25)。
【0053】
いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞における発現には、以下のコドン最適化MscS様ポリヌクレオチド配列が使用されるか、又はそれに対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列が使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有する配列が使用される。
コドン最適化MscS様(Gp177 Msclik bha1)ポリヌクレオチド配列:
ATGAACAGTTACTATGCAAGGCAGTGGGAGCGGTTTGTCCAGTCATTTGAACGGTTTAATTGGCAGGATTATCTGATTCCAGTGGCTATCTTCATCATCTTTCTGGTGTTCCGGAAGGTGTTTACCAAGTACATCTTCAAGCTGATCCTGAGACTGGCCAAGAAGTCTAAGACCGATGTGCTGACAAACCTGCTGCTGAGCTTTGAGAAGCCCCTGAGGGCCTTCTGGATCATCCTGGGCACATATCTGGCCCTGATGGCACTGCCATTTCCTGTGACCGCAGTGGCCTTCGTGGACCACCTGTACCGCTCCCTGCTGATCCTGCTGCTGGGCTGGGGCTTCTTTAACTATACAGCCGCCCACTCTACCATCTTTCTGACAATCGCCAAGTGGATGGACCTGGATGAGAACAGCATGGTGATCCCTTTTCTGTCTAAGATGCTGCGGTTCATCGTGGTGGCCCTGACCATCCTGATCATCCTGGCCGAGTGGGAGTTTAAGATCGGCGGCTTCATCGCAGGCCTGGGCCTGGGAGGCCTGGCCTTTGCCCTGGCCGCCCAGGATACAATCGGCAATTTCTTTGGCGGCGTGATCATCGTGACCGAGAAGCCTTTCTCCAAGGGCGACTGGATTCAGACCCCAACAGTGGAGGGCGTGGTGGAGGACATCACCTTTCGGAGCACAAGGGTGCGCACCTTCGCCGACTCCGTGGTGACAGTGCCAAACTCTACCCTGGCCAGCGAGCCCATCACAAATTGGAGCCAGATGAGAAAGCGGAGAATCACCTTCAACCTGGGCCTGGAGTACGCCACCACAAAGGAGCAGCTGCAGAGCGTGAGGACCAAGATCGAGGCCTATCTGCGCCAGCACGACCAGGTGGATCAGGAGGTGATCATGGTGCACTTTAGCGAGTTCAACAGCTCCTCTCTGGACATCTTCATCTACTTCTTTACCAACACAATCGTGTGGTCCGAGTGGTACGTGGTGAAGGAGGAGATCAATCTGAAGATCATCGAGATCCTGGAGGAGGAGGGCGTGAGCGTGGCATTCCCCAGCCGGTCCGTGTACATGAAGAGAGAATCCGAAGGGGAAATCCTGCCACCTCAGAAAGCACTGGAAAGCAAAGAGAAAGATCAG(配列番号26)。
【0054】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸、並びに天然に存在するアミノ酸と同様の方法で機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣物を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝暗号によってコードされたもの、並びに後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、及びO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造(すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合したα炭素、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)を有する化合物を指す。かかる類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)又は修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持する。アミノ酸模倣物は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様の方法で機能する化学化合物を指す。「天然に存在しないアミノ酸」及び「非天然アミノ酸」という用語は、天然には見られないアミノ酸類似体、合成アミノ酸、及びアミノ酸模倣物を指す。
【0055】
アミノ酸は、本明細書において、一般に知られている3文字記号、又はIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される1文字記号のいずれかによって言及されてもよい。ヌクレオチドは、同様に、それらの一般に受け入れられている一文字コードによって言及されてもよい。
【0056】
「挙動変化」とは、対象が刺激に対してどのように行動するか、反応するか、又は応答するかの変化を意味する。いくつかの実施形態では、挙動変化は、食事習慣の変化、他の対象との相互作用の方法(例えば、攻撃性、寛大さ、回避、相互作用の質の向上など)、自傷の傾向、損傷を引き起こす傾向(例えば、所有物若しくは物体の損傷)、脅迫的(obsessive)又は強迫的(compulsive)な行動の傾向、性行為、他者との社会化の方法、薬物に対する挙動(例えば、薬物依存)、規制物質(例えば、アルコール若しくは薬物)を乱用若しくは摂取する傾向、病理学的若しくは危険な挙動(例えば、不正行為、窃盗、賭博、性的乱交など)、又は他者を身体的若しくは感情的に傷つける傾向を伴い得る。
【0057】
「保存的に修飾されたバリアント」は、アミノ酸配列及び核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に修飾されたバリアントは、同一若しくは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、又は核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一の配列を指す。遺伝暗号が縮重しているために、多数の機能的に同一の核酸が任意の所与のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、及びGCUは全て、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンによって特定される全ての位置で、コードされたポリペプチドを変化させることなく、記載された対応するコドンのうちのいずれかにコドンを変化させることができる。そのような核酸変異は、保存的に修飾された変異の一種である「サイレント変異」である。ポリペプチドをコードする本明細書の全ての核酸配列は、核酸の全ての可能なサイレント変異も記載している。当業者は、核酸中の各コドン(通常、メチオニンの唯一のコドンであるAUG、及び通常、トリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)が、機能的に同一の分子を産生するように修飾され得ることを認識するであろう。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、実際のプローブ配列に関してではなく、発現産物に関して、記載された各配列に暗示されている。
【0058】
「変化した」は、増加(又は増強)、又は減少(又は低減)を意味する。増加は、任意のプラスの変化、例えば、少なくとも約5%、10%、若しくは20%、又は約25%、50%、75%、又は更には100%、200%、300%、若しくはそれ以上である。減少は、マイナスの変化、例えば、約5%、10%、若しくは20%の減少、又は約25%、50%、75%の減少、又は更には100%、200%、300%、若しくはそれ以上の増加である。
【0059】
「含む(comprises)」、「含む(comprising)」という用語は、米国特許法でそれらに付与される広範な意味を有することを意図しており、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味することができる。
【0060】
「接触すること」は、その明白な通常の意味に従って使用され、少なくとも2つの異なる種(例えば、生体分子、試薬、又は細胞を含む化学化合物)が反応するか、相互作用するか、影響を与えるか、影響を及ぼすか、又は物理的に触れるのに十分な程近位になることを可能にするプロセスを指す。しかしながら、得られる反応生成物は、添加された試薬間の反応から、又は1つ以上の添加された試薬の中間体から直接産生され得、これは、反応混合物中で、又は接触条件下で産生され得ることを理解されたい。接触することは、2つの種が反応するか、相互作用するか、又は物理的に触れるのを可能にすることを含んでもよく、2つの種は、本明細書に記載される組換えウイルス粒子及び細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、2つの種は、超音波に曝露される超音波造影剤及び細胞である。いくつかの実施形態では、2つの種は、超音波及び細胞である。
【0061】
遺伝子に関して本明細書で使用される「発現」又は「発現された」という用語は、その遺伝子の転写及び/又は翻訳産物を意味する。細胞内のDNA分子の発現レベルは、細胞内に存在する対応するmRNAの量、又は細胞によって産生されるそのDNAによってコードされるタンパク質の量のいずれかに基づいて決定され得る。非コード核酸分子(例えば、siRNA)の発現レベルは、当該技術分野で周知の標準的なPCR又はノーザンブロット法によって検出され得る。例えば、Sambrook et al.,1989 Molecular Cloning:A Laboratory Manual,18.1-18.88を参照されたい。
【0062】
トランスフェクトされた遺伝子の発現は、細胞内で一過的に又は安定して起こり得る。「一過性発現」の間、トランスフェクトされた遺伝子は、細胞分裂中には娘細胞に移らない。その発現はトランスフェクトされた細胞に限定されるため、遺伝子の発現は時間の経過とともに失われる。対照的に、トランスフェクトされた遺伝子の安定発現は、その遺伝子が、トランスフェクトされた細胞に選択の利点を付与する別の遺伝子で共トランスフェクトされるときに起こり得る。そのような選択の利点は、細胞に提示される特定の毒素に対する耐性であり得る。トランスフェクトされた遺伝子の発現は、宿主ゲノムへのトランスポゾン媒介性挿入によって更に達成することができる。トランスポゾン媒介性挿入の間、遺伝子は、宿主ゲノムへの挿入及びその後の切除を可能にする2つのトランスポゾンリンカー配列間で予測可能な様式で配置される。トランスフェクトされた遺伝子の安定発現は、レンチウイルスベクターを細胞に感染させることによって更に達成することができ、レンチウイルスベクターは、感染後に細胞ゲノムの一部を形成し(細胞ゲノムに組み込まれ)、それによって、遺伝子の安定発現をもたらす。
【0063】
「外因性」(「異種」と同義)という用語は、所与の細胞又は生物の外側の供給源を起源とするか、又はそれに由来する分子、試薬、又は物質(例えば、化合物、核酸(ポリヌクレオチド)、又はタンパク質(ポリペプチド若しくはペプチド))を指す。例えば、本明細書で言及される「外因性プロモーター」は、それが発現される供給源(例えば、所与の細胞又は生物)を起源としないプロモーターである。例えば、本明細書で言及される「外因性」又は「異種」ポリペプチド又はポリヌクレオチドは、それが発現される供給源(例えば、所与の細胞、組織、臓器、又は生物)を起源とするものではなく、異なる供給源から取得又は誘導され、遺伝学的又は組換え技術によって所与の細胞、組織、臓器、又は生物内に導入又は送達され、その後、その所与の細胞、組織、臓器、又は生物内で発現される。例として、外因性プロモーターは、細菌、植物、又は真菌(酵母)などの所与の生物に由来し、哺乳動物細胞などの別の生物又は細胞型において使用され得る。逆に、「内因性」(例えば、「内因性プロモーター」、「内因性タンパク質又はポリペプチド」、又は「内因性ポリヌクレオチド」)という用語は、所与の細胞、組織、臓器、若しくは生物に固有である(native to)か、又はその中から発生する(originates within)分子又は物質を指す。
【0064】
「断片」は、ポリペプチド又は核酸分子の一部分を意味する。この部分は、参照核酸分子又はポリペプチドの全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%を含有する。断片は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100、200、300、400、500、600、700、800、900、又は1000個のヌクレオチド又はアミノ酸を含有し得る。
【0065】
「遺伝子」という用語は、タンパク質の産生に関与するDNAのセグメントを意味し、個々のコードセグメント(エクソン)間のコード領域(リーダー及びトレーラー)並びに介在配列(イントロン)の前後の領域を含む。リーダー、トレーラー、及びイントロンには、遺伝子の転写及び翻訳中に必要な調節要素が含まれる。更に、「タンパク質遺伝子産物」は、特定の遺伝子から発現されるタンパク質である。
【0066】
「ハイブリダイゼーション」は、相補的核酸塩基間の水素結合を意味し、これは、ワトソン-クリック、フーグスティーン、又は逆フーグスティーン水素結合であり得る。例えば、アデニン及びチミンは、水素結合の形成を介して対合する相補的核酸塩基である。
【0067】
「同一」又は「同一性」パーセントという用語は、2つ以上の核酸又はポリペプチド配列の文脈で、以下に記載されるデフォルトパラメータを有するBLAST又はBLAST 2.0配列比較アルゴリズムを使用して測定される場合、又は手動アラインメント及び目視検査によって測定される場合、同じであるか、又は同じであるアミノ酸残基若しくはヌクレオチドを特定のパーセンテージ(すなわち、比較ウィンドウ若しくは指定領域にわたって最大対応について比較され、アラインメントされた場合、特定の領域にわたって、約60%同一性、又は65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくはもっと高い同一性)で含む、2つ以上の配列又はサブ配列を指す。次いで、そのような配列は、「実質的に同一」又は「相同」であると言われる。この定義はまた、試験配列の相補性を指すか、又はそれに適用され得る。この定義には、欠失及び/又は付加を有する配列、並びに置換を有する配列も含まれる。以下に記載されるように、好ましいアルゴリズムは、ギャップなどを考慮することができる。いくつかの実施形態では、配列デンティティ(dentity)は、長さが少なくとも約25個のアミノ酸若しくはヌクレオチドである領域、又は長さが50~100個のアミノ酸若しくはヌクレオチドである領域にわたって存在する。
【0068】
「単離された」、「精製された」、又は「生物学的に純粋な」という用語は、その天然状態で見出されるように、材料に通常付随する成分を様々な程度で含まない材料を指す。「単離する」は、元の供給源又は周囲からのある程度の分離を意味する。「精製する」は、単離よりも高い程度の分離を意味する。「精製された」又は「生物学的に純粋な」タンパク質は、いかなる不純物もタンパク質の生物学的特性に実質的に影響を与えないように、又は他の有害な結果を引き起こさないように、十分に他の材料を含まない。すなわち、核酸、ポリペプチド、又はペプチドは、組換えDNA技術によって産生されるときには細胞物質、ウイルス物質、若しくは培養培地を実質的に含まない場合、又は化学的に合成されるときには化学前駆体若しくは他の化学物質を実質的に含まない場合に、精製されている。純度及び均質性は、典型的には、分析化学技術、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高性能液体クロマトグラフィーを使用して決定される。「精製された」という用語は、核酸又はタンパク質が電気泳動ゲル内で本質的に1つのバンドを生じさせることを示すことができる。修飾、例えば、リン酸化又はグリコシル化を受けることができるタンパク質について、異なる修飾は、別々に精製することができる、異なる単離されたタンパク質を生じさせ得る。
【0069】
「単離されたポリヌクレオチド」は、記載される核酸分子が由来する生物の天然に存在するゲノムにおいて、ある遺伝子に隣接する遺伝子を含まない核酸(例えば、DNA)を意味する。したがって、この用語は、例えば、ベクターに組み込まれる組換えDNA、自律的に複製するプラスミド若しくはウイルスに組み込まれる組換えDNA、又は原核生物若しくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれる組換えDNA、又は他の配列とは無関係に別個の分子(例えば、PCR又は制限エンドヌクレアーゼ消化によって産生されるcDNA又はゲノム若しくはcDNA断片)として存在する組換えDNAを含む。更に、この用語は、DNA分子から転写されるRNA分子、及び追加のポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAを含む。
【0070】
「単離されたポリペプチド」は、記載されるポリペプチドであって、当該ポリペプチドに天然に付随する成分から分離された、ポリペプチドを意味する。典型的には、ポリペプチドは、それが、天然に会合するタンパク質及び天然に存在する有機分子を含まない、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、又は少なくとも60重量%である場合に、単離されている。実施形態では、調製物は、少なくとも75重量%、又は少なくとも90重量%、又は少なくとも99重量%の、本明細書に記載の機械感覚性ポリペプチドである。本明細書に記載の単離されたポリペプチドは、例えば、天然供給源からの抽出によって、かかるポリペプチドをコードする組換え核酸の発現によって、又はタンパク質を化学的に合成することによって得られ得る。純度は、任意の適切な方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、又はHPLC分析によって測定することができる。
【0071】
「哺乳動物」は、非ヒト霊長類(サル、類人猿、ヒヒなど)、ヒト、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、マウス、ラット、イヌ、ネコなどを含むがこれらに限定されない任意の温血動物を意味する。一実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
【0072】
本明細書で使用される「機械感受性」、「機械的に活性化された」、「機械受容体」、「機械伝達」、「伸展ゲートされた」、「音響的に感受性のある」、及び他の同様の技術用語は、互換可能であるとみなされ、細胞、組織、若しくはポリペプチド、又は超音波などの音響エネルギーによる活性化又は不活性化に感受性のある他の有形物を指すために使用される。
【0073】
「調節すること」は、細胞、組織、臓器、生物、又は対象を、例えば、超音波刺激に供することによって、細胞、組織、臓器、生物、又は対象の活性又は機能に影響を与えるか、又は変化させることを意味する。一実施形態では、神経細胞の活性又は機能は、神経細胞に超音波又は超音波を印加又は送達することによって調節される。実施形態では、対象における、例えば、対象の脳又はCNSにおける神経細胞を調節することは、対象の挙動、又は薬剤、刺激、状況、効果、若しくは活性に対する対象の応答に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、活性又は機能を調節することは、対象の応答又は応答性の増加又は減少を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、活性又は機能を調節することは、細胞活性若しくは機能、又は対象の応答若しくは応答性の増加(増強)若しくは減少(阻害)を引き起こし得る。
【0074】
「核酸」は、一本鎖若しくは二本鎖のいずれかの形態のデオキシリボヌクレオチド若しくはリボヌクレオチド及びそれらのポリマー、又はそれらの相補体を指す。「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドの直鎖配列を指す。用語「ポリヌクレオチド」及び「核酸分子」は、本明細書において互換的に使用される。「ヌクレオチド」という用語は、典型的には、ポリヌクレオチドの単一ユニット、すなわち、モノマーを指す。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又はそれらの修飾バージョンであり得る。本明細書で企図されるポリヌクレオチドの例としては、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖RNA(siRNAを含む)、並びに一本鎖及び二本鎖DNAとRNAとの混合物を有するハイブリッド分子が挙げられる。この用語はまた、既知のヌクレオチド類似体又は修飾された骨格残基又は連結を含有する核酸を包含し、これらは、合成され、天然に存在し、天然に存在せず、参照核酸と同様の結合特性を有し、参照ヌクレオチドと同様の方法で代謝される。かかる類似体の例には、ホスホロチオエート、ホスホラミデート、メチルホスホネート、キラル-メチルホスホネート、及び2-O-メチルリボヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
核酸は、それが別の核酸配列と機能的関係に配置されるときに、「作動可能に連結される」。例えば、プレ配列又は分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドのDNAに作動可能に連結され、プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結され、又はリボソーム結合部位は、翻訳を容易にするように配置される場合、コード配列に作動可能に連結される。一般的に、「作動可能に連結される」は、連結されるDNA配列が互いに近接しており、分泌リーダーの場合には、連続しており、かつ読み取り段階にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは、連続している必要はない。連結は、好都合な制限部位でのライゲーションによって達成される。かかる部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーは、従来の慣行に従って使用される。
【0076】
「薬剤を得ること」におけるような「得ること」という用語は、薬剤、例えば、タンパク質、ポリヌクレオチド、又は試料を合成、誘導、単離、購入、又は他の方法で取得することを含む。
【0077】
「発現のために位置決めされる」は、ポリヌクレオチド(例えば、DNA分子)が、転写を指示するDNA配列に隣接して位置決めされ、タンパク質については、配列の翻訳(すなわち、例えば、本明細書に記載及び提供される組換えポリペプチド又はRNA分子の産生を容易にする)を意味する。
【0078】
「プラスミド」又は「ベクター」という用語は、遺伝子の発現に必要な遺伝子及び/又は調節要素をコードする核酸分子を指す。プラスミド又はベクターからの遺伝子の発現は、シス又はトランスにおいて生じ得る。遺伝子がシスで発現される場合、遺伝子及び調節要素は、同じプラスミド及びベクターによってコードされる。トランスでの発現は、遺伝子及び調節要素が別々のプラスミド又はベクターによってコードされる事例を指す。
【0079】
本明細書で使用される場合、「予防する」、「予防すること」、「予防」、「予防的治療」などの用語は、障害又は状態を有しないが、それを発症する危険性があるか、又はそれを発症しやすい対象において障害又は状態を発症する可能性を低下させることを指す。
【0080】
「低減する」は、少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、又は100%のマイナスの変化を意味する。
【0081】
「参照」又は「対照」は、標準状態を意味する。例えば、参照として使用される未処理の細胞、組織、又は臓器である。
【0082】
「タンパク質」、「ペプチド」、及び「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸ポリマー、又は2つ以上の相互作用若しくは結合アミノ酸ポリマーのセットを示すために互換的に使用される。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学模倣物であるアミノ酸ポリマー、並びに天然に存在するアミノ酸ポリマー及び天然に存在しないアミノ酸ポリマーに適用される。本明細書に記載の特定のポリペプチド(例えば、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscS様、MscMJ、MscMJLR、MscS様3、MscSfam)について、名前付きポリペプチドは、ポリペプチドの天然に存在する形態、又はポリペプチドの機械感覚性活性を維持する(例えば、天然ポリペプチドと比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の活性内)バリアント、アイソフォーム、若しくは相同体のうちのいずれかを含む。いくつかの実施形態では、バリアント又はホモログは、天然に存在する形態と比較して、ポリペプチド配列の全体配列又はその一部分(例えば、50、100、150、又は200個の連続したアミノ酸部分)にわたって少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。他の実施形態では、ポリペプチドは、そのGenbankアクセッション番号によって特定されるポリペプチドである。
【0083】
本明細書で提供される範囲は、その範囲内の全ての値の略記であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50からなる群からの任意の数、数値の組み合わせ、又は部分範囲を含むと理解される。
【0084】
「組換え」という用語は、例えば、細胞、又は核酸、タンパク質、又はベクターを参照しつつ使用される場合、その細胞、核酸、タンパク質、又はベクターが、異種核酸若しくはタンパク質の導入又は天然の核酸若しくはタンパク質の変化によって改変されていること、又はその細胞が、そのように改変された細胞に由来することを示す。したがって、例えば、組換え細胞は、その細胞の天然(非組換え)形態には見られない遺伝子を発現するか、又は他の方法では異常に発現されるか、過小発現されるか、又は全く発現されない天然遺伝子を発現する。トランスジェニック細胞及び植物は、典型的には組換え方法の結果として、異種遺伝子又はコード配列を発現するものである。
【0085】
「超音波遺伝学(sonogenetics)」又は「超音波遺伝学(sonogenics)」という用語は、超音波、例えば、低強度超音波に応答する異種又は外因性機械感受性(機械伝達とも呼ばれる)チャネルを発現するニューロン(例えば、運動ニューロン)などの細胞又は細胞型の活性又は機能を操作、制御、又は調節する非侵襲的アプローチ、方法、又は技術を指す。神経細胞活性などの細胞活性は、標的細胞、例えば、運動ニューロンなどのニューロン又は神経細胞型内で異種又は外因性機械感受性チャネルを発現させ、細胞を超音波(低強度超音波)に供することによって制御又は調節することができ、それによって、超音波又は超音波パルスに応答する。一実施形態では、細胞型は、哺乳動物脳内に位置する。そのような異種又は外因性機械感受性チャネルを発現する標的細胞は、非侵襲性超音波によって生成される機械的変形に対してそれらの細胞を感受性にする特定の細胞である。一実施形態では、細胞は、脳の領域内又は脊髄(中枢神経系、CNS)内のニューロンである。一実施形態では、細胞は、末梢神経系(PNS)内にある。一実施形態では、脳の領域は、視床下部である。一実施形態では、超音波は、外部トランスデューサを使用して視床下部に送達又は印加される。一実施形態では、トランスデューサは、覚醒中の哺乳動物対象の頭部上に非侵襲的に配置される。一実施形態では、トランスデューサは、PZTベースのトランスデューサである。一実施形態では、細胞は、脊髄内のニューロンである。
【0086】
本明細書で使用される「対象」という用語は、脊椎動物、例えば、哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、げっ歯類、ウマ、ウシ、ウサギ、ヤギ、非ヒト霊長類、又はヒトを指す)。一実施形態では、対象は、ヒト個体又は患者である。
【0087】
「実質的に同一」は、参照アミノ酸配列(例えば、本明細書に記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つ)又は核酸配列(例えば、本明細書に記載の核酸配列のうちのいずれか1つ)に対して少なくとも50%の同一性を示すポリペプチド又は核酸分子を意味する。実施形態では、かかる配列は、アミノ酸レベル又は核酸において、比較のために使用される配列と少なくとも60%、又は少なくとも80%若しくは85%、又は少なくとも90%、95%、若しくは更には99%同一である。
【0088】
配列同一性は、典型的には、配列解析ソフトウェア(例えば、the Genetics Computer Group,University of Wisconsin Biotechnology Center,1710 University Avenue,Madison,Wis.53705のSequence Analysis Software Package、BLAST、BESTFIT、GAP、又はPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を使用して測定される。そのようなソフトウェアは、様々な置換、欠失、及び/又は他の修飾に相同性の程度を割り当てることによって、同一又は類似の配列を照合する。保存的置換は、典型的には、以下の基:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン、リジン、アルギニン;及びフェニルアラニン、チロシン内の置換を含む。同一性の程度を決定する例示的なアプローチでは、BLASTプログラムを使用してもよく、e-3~e-100の確率スコアは、密接に関連する配列を示す。
【0089】
「形質転換細胞」は、組換えDNA技術によって、本明細書に記載されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子(又はその祖先)を導入された細胞を意味する。
【0090】
本明細書で使用される場合、用語「治療する」、「治療すること」、「治療」などは、疾患、障害、若しくは状態、及び/又はそれらに関連する症状を低減、緩和、減少、改善、又は排除することを指す。除外されないが、疾患、障害、又は状態を治療することは、それらに関連する疾患、障害、状態、又は症状が完全に排除されることを必要としないことを理解されたい。
【0091】
「形質転換細胞」は、組換えDNA技術によって、本明細書に記載されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子(又はその祖先)を導入された細胞を意味する。
【0092】
「トランスフェクション」、「形質導入」、「トランスフェクトすること」、又は「形質導入すること」という用語は、互換的に使用することができ、核酸分子又はタンパク質を細胞に導入するプロセスとして定義される。核酸は、非ウイルス又はウイルスベースの方法を使用して細胞に導入される。核酸分子は、完全なタンパク質又はそれらの機能部分をコードする遺伝子配列であってもよい。トランスフェクションの非ウイルス性方法は、核酸分子を細胞に導入するための送達系としてウイルスDNA又はウイルス粒子を使用しない任意の適切なトランスフェクション方法を含む。例示的な非ウイルス性トランスフェクション方法としては、リン酸カルシウムトランスフェクション、リポソームトランスフェクション、核融合、ソノポレーション、熱ショックによるトランスフェクション、マグネトフェクション、及びエレクトロポレーションが挙げられる。いくつかの実施形態では、核酸分子は、当該技術分野で周知の標準的な手順に従って、エレクトロポレーションを使用して細胞に導入される。トランスフェクションのウイルスベースの方法のために、任意の有用なウイルスベクターを、本明細書に記載の方法において使用してもよい。ウイルスベクターの例には、レトロウイルス、アデノウイルス、レンチウイルス、及びアデノ随伴ウイルスベクターが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、核酸分子は、当該技術分野で周知の標準的な手順に従って、レトロウイルスベクターを使用して細胞に導入される。「トランスフェクション」又は「形質導入」という用語は、外部環境から細胞にタンパク質を導入することも指す。典型的には、タンパク質の形質導入又はトランスフェクションは、細胞膜を通過することができるペプチド又はタンパク質の、目的のタンパク質への結合に依存する。例えば、Ford et al.(2001)Gene Therapy 8:1-4及びProchiantz(2007)Nat.Methods 4:119-20を参照されたい。
【0093】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、「治療」などの用語は、障害及び/又はそれに関連する症状を軽減又は改善することを指す。除外されないが、障害又は状態を治療することは、障害、状態、又はそれらに関連する症状を完全に排除することを必要としないことが理解されるであろう。
【0094】
「有効量」は、記載される目的を達成する(例えば、それが投与される効果を達成する、疾患を治療する、酵素活性を低下させる、疾患、障害、若しくは状態の1つ以上の症状を低下させるか、又は細胞内のウイルス複製を低減する)のに十分な量である。「有効量」の例は、疾患又は障害の1つ以上の症状の治療、予防、又は軽減に寄与するのに十分な量であり、これは「治療的有効量」とも称され得る。1つ以上の症状の「軽減」(及びこの句の文法的等価物)は、症状の重症度又は頻度の減少、又は症状の排除を意味する。薬物の「予防有効量」は、対象に投与されると、意図される予防的効果、例えば、損傷、疾患、障害、病態若しくは状態の発症(若しくは再発)を予防するか、若しくは遅延させる、又は損傷、疾患、障害、病態若しくは状態、若しくはそれらの症状の発症(若しくは再発)の可能性を低減する、薬物の量である。完全な予防的効果は、必ずしも1回の用量の投与によって生じるわけではなく、一連の用量の投与後にのみ生じ得る。予防有効量を、1回以上の投与で投与してもよい。本明細書で使用される「活性減少量」は、アンタゴニストが存在しない場合と比較して酵素又はタンパク質(例えば、Tat、Rev)の活性を減少させるために必要なアンタゴニストの量を指す。本明細書で使用される「機能破壊量」は、アンタゴニストが存在しない場合と比較して酵素又はタンパク質の機能を破壊するために必要なアンタゴニストの量を指す。正確な量は、処理の目的に応じて異なり、既知の技術を使用して当業者によって確認可能である(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1-3,1992)、Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999)、Pickar,Dosage Calculations(1999)、及びRemington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,2003,Gennaro,Ed.,Lippincott,Williams & Wilkinsを参照されたい)。
【0095】
「患者」、「対象」、又は「それを必要とする対象」は、本明細書において提供される生成物、組成物、及び方法を使用することによって治療することができる疾患、病態、障害、又は状態に罹患している(suffering from)か、それに悩んでいる(afflicted with)か、それを有しているか、その危険性があるか、又はそれに罹患しやすい若しくは罹患する傾向がある(susceptible or prone to)生体又は個体を指す。この用語は、対象が特定の疾患又は障害と診断されたことを必ずしも示すものではなく、典型的には、医学的監督下にある個体を指す。非限定的な例としては、ヒト、他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、ウシ、シカ、及び他の非哺乳類動物が挙げられる。いくつかの実施形態では、患者又は対象は、ヒトである。
【0096】
「超音波(ultrasonic wave)」、「音響エネルギー」、「音波」、又は「超音波(ultrasound)」という用語は、本明細書では、材料を通るエネルギーの機械的伝達(mechanical transfer)又は機械的導入(mechanical transduction)に対応する材料における妨害を指すために互換可能に使用される。様々な実施形態では、妨害は、材料の構成要素の振動である。いくつかの実施形態では、材料は、ある体積の液体、細胞、細胞膜、組織、又は臓器である。
【0097】
本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、具体的に記載されていないか、又は文脈から明らかでない限り、包含的であると理解される。本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という用語は、具体的に記載されていないか、又は文脈から明らかでない限り、単数又は複数であると理解される。
【0098】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特に明記されていないか、又は文脈から明らかでない限り、当該技術分野における正常許容範囲内、例えば、平均の2標準偏差内であると理解される。「約」は、記載された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内であると理解され得る。文脈から明確でない限り、本明細書において提供される全ての数値は、「約」という用語によって修飾される。
【0099】
本明細書における変数の任意の定義における化学基のリストの記載には、任意の単一の基又は列挙された基の組み合わせとしての、その変数の定義が含まれる。本明細書における変数又は態様についての実施形態の記載は、その実施形態を、本明細書に記載される任意の単一の実施形態として、又は任意の他の実施形態又はその一部分と組み合わせて含む。
【0100】
本明細書において提供されるいかなる組成物又は方法も、本明細書において提供される他の組成物及び方法のうちのいずれかの1つ以上と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【
図1A】
図1A及び
図1Bは、マウス脳における細菌機械感覚性タンパク質の発現を示す概略図及び画像を提供する。
図1Aは、細菌機械感覚性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するウイルスベクターについての注入部位を示す概略図である。
図1Aに示される脳の領域には、乳頭核(MM)、中脳水道周囲灰白質(PAG)、黒質緻密部(SNc)、黒質網様部(SNr)、赤核(RN)、内側毛帯(ml)、大脳脚(cp)、及び腹側被蓋野(VTA)が含まれる。
図1Bは、表示された微生物タンパク質が腹側被蓋野(VTA)で発現されたことを示す、げっ歯類脳の画像を集めたものである。発現は、ドーパミン作動性ニューロンに限定されることが観察された。
【
図2A】
図2A~
図2Dは、脊髄における超音波遺伝学に関する概略図、記録図、及びグラフを提供する。
図2Aは、脊髄内の、細菌機械感覚性タンパク質を発現する運動ニューロンを標的にするための、超音波トランスデューサの位置、及び下流の腓腹筋内の記録電極を示す概略図である。
図2B及び
図2Cは、MscSを発現する運動ニューロンを標的としたときに、超音波が誘発筋電位を誘発した(
図2B)が、緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する制御運動ニューロンを標的化としたときには誘発されなかった(
図2C)ことを示す、電気インパルスの記録である。
図2Dは、超音波誘発筋電位(ダークグレーの円、385KHzトランスデューサからの10msパルス)が、持続時間及び潜伏時間のパラメータについて電気刺激によって誘発されるもの(白い円、0.05ms電気パルス)と一致したことを示すグラフである。EMGは「筋電図(electromyography)」を指し、USSCは「超音波感受性チャネル(ultrasound sensitive channel)」を指す。
図2B及び
図2Cにおいて、上の線は、経時的な超音波信号強度を秒単位で表し、下の線は、経時的な筋肉内の電気信号の強度を秒単位で表す。
図2B及び
図2Cにおいて、縦軸は信号強度を表し、横軸は秒単位の時間を表す。横軸は200ms、y軸は200μVである。
【
図3A】
図3A及び
図3Bは、動物の脳における超音波遺伝学に関する概略図、画像、及び棒グラフを提供する。
図3Aの左パネルは、MscSポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(AAV-MScS)又は緑色蛍光タンパク質をコードするアデノ随伴ウイルスベクター(AAV-GFP)を弓状核に送達するための注入部位を示す概略図である。
図3Aの右パネルは、マウス脳の弓状核におけるAGRP陽性(AGRP-
+ve;アグーチ関連タンパク質発現陽性)ニューロンにおけるMscSポリペプチド及びGFPの発現を示す画像を提供する。
図3Bは、AGRP
+ve(アグーチ関連タンパク質発現陽性)ニューロン中でMscSタンパク質を発現する動物が、GFPを発現する対照動物による食物消費と比較して、超音波刺激時に(挙動摂食アッセイに基づいて)増加した量の食物を消費したことを示す棒グラフを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0102】
実施形態の詳細な説明
細菌機械感覚性ポリペプチド及びポリヌクレオチドを特徴とする組成物、目的の細胞型においてそのようなポリペプチド及びポリヌクレオチドを発現させるための方法、並びに超音波を使用して神経細胞(例えば、ニューロン)及び他の細胞型における細菌機械感覚性ポリペプチドの活性化を誘導する方法が本明細書において特徴とされ、提供される。
【0103】
本明細書に記載される態様及び実施形態は、特定のタンパク質、例えば、機械感覚性タンパク質は、標的細胞内に形質導入又はトランスフェクトされ、標的細胞表面上の異種タンパク質として発現されるときに超音波への感受性を付与するという発見に少なくとも部分的に基づいている。本明細書において提供される実施例は、そのような機械感覚性タンパク質が超音波に対する感受性を有することを実証する。理論に束縛されることを望まないが、超音波は、発現した機械感覚性タンパク質の活性化につながる焦点ゾーンに機械的なたわみを生じさせる可能性がある。本明細書に記載及び例示される実施形態では、機械感覚性タンパク質は、神経細胞、すなわち、げっ歯類脊髄及び脳内の運動ニューロン及びARGP(+ve)視床下部ニューロンを制御するために非侵襲的に使用することができる。本明細書に記載の生成物、組成物、及び方法は、ニューロンレベルでのニューロン刺激の精密な標的化を可能にする。超音波の非侵襲的な性質は、神経学的及び神経変性疾患及び障害を含む疾患及び障害、並びに/又はそれらの症状(限定されないが、本態性振戦、パーキンソン病、運動失調、及び疼痛など)の治療のために、記載された機械感覚性タンパク質を長期的に使用することを可能にする。一実施形態では、疾患、障害、又は状態は、摂食障害である。
【0104】
様々な実施形態では、記載される異種機械感覚性タンパク質は、ニューロン、心筋、膀胱組織、T細胞、又はベータ細胞を超音波に応答させるために使用することができる。いくつかの実施形態では、機械感覚性タンパク質は、カチオン(例えば、カルシウム、カリウム、ナトリウム)濃度の急速な変化に対して感受性のある任意の細胞型を、超音波に対して感受性にするために使用することができる。機械感覚性タンパク質を使用して、インビボ、インビトロ、又はエクスビボで細胞機能を変化させることができる。加えて、機械感覚性タンパク質は、細胞培養中にこれらのタンパク質を発現する細胞の細胞機能を変化させるために使用することができる。
【0105】
したがって、細菌機械感覚性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、そのようなポリヌクレオチドを含む発現ベクター、異種細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞、異種組換え細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞、及び超音波でそのような細胞を刺激するための方法が提供され、記載される。
【0106】
超音波
超音波は、無傷の薄い骨及び深部組織を介してほんの数立方ミリメートルの体積に(G.T.Clement and K.Hynynen,Phys Med Biol 47(8),1219(2002))焦点を合わせやすいため、ニューロン集団を刺激するのに適している(K.Hynynen and F.A.Jolesz,Ultrasound Med Biol 24(2),275(1998))。超音波刺激の非侵襲的性質は、(一部の現在の光遺伝学的方法に必要な)光ファイバーを挿入するための、手術などの侵襲的技術の必要性を排除するため、ヒトのニューロンを含む脊椎動物ニューロンを操作するために特に重要である。また、超音波の小さな焦点体積は、脳組織の複数の層によって散乱される光とよく比較される(S.I.Al-Juboori et al.,PLoS ONE 8(7),e67626(2013))。更に、超音波は、ヒトの手の深部神経構造を操作し、慢性的な痛みを軽減するために以前より使用されてきた(W.D.O’Brien,Jr.,Prog Biophys Mol Biol 93(1-3),212(2007)、L.R.Gavrilov et al.,Prog Brain Res 43,279(1976))。本明細書に記載されるように、細胞における細菌機械感覚性ポリペプチドの異種発現のための新規の非侵襲的組成物が提供され、低強度超音波刺激を使用して異種細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞の活性又は機能を刺激又は調節する方法が提供される。一実施形態では、異種細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞は、神経細胞であり、方法は、超音波刺激、特に低強度超音波の非侵襲的使用による神経調節を伴う。
【0107】
組換え細菌機械感覚性ポリペプチドを含む細胞及び細胞組成物
細菌機械感覚性ポリペプチドをコードする組換え核酸分子を含む、細胞が提供される。細菌起源のこのような機械感覚性ポリペプチドは、目的の細胞型において異種発現又は外因的に発現される。一実施形態では、目的の細胞型は、本明細書に記載の異種細菌機械感覚性ポリペプチドを発現し、超音波による細胞の活性の機械感覚性調節又は刺激に関連するカチオン(例えばナトリウム)濃度の急速な変化に対して感受性である。一実施形態では、細胞型は、心臓細胞において発現するのに好適なプロモーター(例えば、NCX1プロモーター)の制御下にある細菌機械感覚性ポリヌクレオチドを含む心筋細胞である。一実施形態では、細胞型は、筋肉細胞における発現に好適なプロモーター、例えば、myoDプロモーターの制御下にある細菌機械感覚性ポリヌクレオチドを含む筋肉細胞である。別の実施形態では、細胞型は、インスリン分泌細胞における発現に好適なプロモーター、例えば、Pdx1プロモーターの制御下にある細菌機械感覚性ポリヌクレオチドを含むインスリン分泌細胞(例えば、ベータ(β)膵島細胞)である。別の実施形態では、脂肪細胞における発現に好適なプロモーター(例えば、iaP2)の制御下にある細菌機械感覚性ポリヌクレオチドを含む脂肪細胞が提供される。別の実施形態では、細胞型は、神経細胞における発現に好適なプロモーターの制御下の細菌機械感覚性ポリヌクレオチドを含むニューロンである。一実施形態では、非限定的な例として、神経細胞は、中枢神経又は末梢神経系のニューロン、脳又は脊髄のニューロン、運動ニューロン、感覚ニューロン、インターニューロン、はアグーチ関連タンパク質発現陽性(AGRP-+ve)ニューロンであり得る。非限定的な例として、ネスチン又はTuj1プロモーターは、概して、ニューロンにおける細菌機械感覚性ポリヌクレオチドの発現に好適であり、H2bプロモーターは、運動ニューロンにおける細菌機械感覚性ポリヌクレオチドの発現に好適であり、Islet 1プロモーターは、インターニューロンにおける細菌機械感覚性ポリヌクレオチドの発現に好適であり、OMPプロモーター、T1R、T2Rプロモーター、ロドプシンプロモーター、又はTrpチャネルプロモーターは、感覚ニューロンにおける細菌機械感覚性ポリヌクレオチドの発現に好適である。かかる細胞は、インビトロ、エクスビボ、又はインビボの細胞であってもよい。特定の実施形態では、細胞は、超音波に感受性である細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する。特定の実施形態では、機械感覚性ポリペプチドは、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscS様、MscMJ、MscMJLR、MscS様3、若しくはMscSfamポリペプチド、又はその機能部分、アイソフォーム、オーソログ、若しくはホモログから選択される。別の実施形態では、機械感覚性ポリペプチド、例えば、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscS様、MscMJ、MscMJLR、MscS様3、若しくはMscSfamポリペプチド、又はその機能部分、アイソフォーム、オーソログ、若しくはホモログ、又は機械感覚性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドなどは、哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化される。別の実施形態では、機械感覚性ポリペプチド、例えば、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscS様、MscMJ、MscMJLR、MscS様3、若しくはMscSfamポリペプチド、又はその機能部分、アイソフォーム、オーソログ、若しくはホモログ、又は機械感覚性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドなどは、哺乳動物細胞又はヒト細胞における発現のためにコドン最適化される。
【0108】
組換え細菌機械感覚性ポリペプチドの発現
1つのアプローチでは、目的の細胞(例えば、運動ニューロン、感覚ニューロン、中枢若しくは末梢神経系のニューロンなどのニューロン、又は神経細胞株)は、発現により細胞が超音波刺激に応答性になる異種細菌機械感覚性ポリヌクレオチドを発現するように遺伝的又は組換え的に操作される。かかる細胞の超音波刺激は、カチオン流入を誘導する。異種ポリペプチドを発現するために細胞を遺伝的又は組換え的に操作することに関与する分子技術は、当該技術分野の当業者に周知であり、かつ日常的に実施される。
【0109】
細菌機械感覚性ポリペプチドは、構成的に発現されてもよく、又はその発現は、細菌機械感覚性ポリペプチドの発現の高度に制御された調節又はタイミングを必要とする条件では、誘導性プロモーター又は他の制御機構によって調節されてもよい。例えば、発現される細菌機械感覚性ポリペプチド遺伝子をコードする異種DNAは、1つ以上の事前に選択されたDNA配列に挿入される。これは、相同組換えによって、又は宿主細胞ゲノムへのウイルス組み込みによって達成することができる。所望の遺伝子配列はまた、プラスミド発現ベクター及び核局在配列を使用して、細胞、特にその核に組み込むことができる。ポリヌクレオチドを核に向ける方法は、当該技術分野において記載されている。遺伝物質は、ある特定の化学物質/薬物を使用して目的の遺伝子を正又は負に誘導することを可能にするプロモーターを使用して導入して、所与の薬物/化学物質の投与後に排除することができるか、又は化学物質による誘導若しくは特定の細胞区画における発現を可能にするためにタグ付けすることができる。
【0110】
リン酸カルシウムトランスフェクションは、標的遺伝子又はポリヌクレオチドを含有するプラスミドDNAを細胞に導入するために使用することができ、当業者にとってDNA移入の標準的な方法である。当業者にも知られているDEAE-デキストラントランスフェクションは、しばしばより効率的であるため、一過性トランスフェクションが望まれるリン酸カルシウムトランスフェクションよりも好ましい場合がある。本明細書に記載される細胞は単離された細胞であるため、マイクロインジェクションは、遺伝物質を細胞に移入させるために特に有効であり得る。この方法は、所望の遺伝物質を核に直接送達し、注入されたポリヌクレオチドの細胞質分解及びリソソーム分解の両方を回避するので有利である。細胞はまた、エレクトロポレーションを使用して遺伝的に改変することができる。
【0111】
細胞を遺伝的に改変するためのDNA又はRNAのリポソーム送達は、ポリヌクレオチドと安定な複合体を形成するカチオン性リポソームを使用して実行することができる。リポソーム複合体の安定化のために、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)又はジオレオイルホスファチジルコリン(DOPQ)を添加することができる。リポソーム転移のための市販の試薬としては、Lipofectin(Life Technologies)が挙げられる。Lipofectinは、例えば、カチオン性脂質N-[l-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N-N-N-トリメチルアンモニアクロリドとDOPEとの混合物である。リポソームは、より大きなDNA片を運ぶことができ、一般に、分解からポリヌクレオチドを保護することができ、特定の細胞又は組織を標的とすることができる。カチオン性脂質媒介性遺伝子移入効率は、精製されたウイルス又は細胞エンベロープ成分、例えば、水疱性口内炎ウイルスエンベロープの精製されたG糖タンパク質(VSV-G)を組み込むことによって向上させることができる。リポポリアミン被覆DNAを使用して、DNAを確立された初代哺乳動物細胞株に送達するのに有効であることが示されている遺伝子移入技術を使用して、本明細書に記載の脱分化細胞又は再プログラム細胞に標的DNAを導入することができる。
【0112】
裸のプラスミドDNAは、目的の細胞を含む組織に直接注入することができる。マイクロプロジェクタイル遺伝子移入はまた、インビトロ又はインビボのいずれかで遺伝子を細胞に移入するために使用することができる。マイクロプロジェクタイル遺伝子移入のための基本的な手順は、Gene Therapeutics(1994),page195においてJ.Wolffによって記載されている。同様に、微粒子注入技術は、以前に説明されており、方法は、当業者に既知である。シグナルペプチドはまた、プラスミドDNAに付着させて、より効率的な発現のためにDNAを核に向けることができる。
【0113】
ウイルスベクターは、本明細書において記載されるような細胞及びそれらの子孫を遺伝的に変化させるために使用される。ウイルスベクターは、前述の物理的方法と同様に、細菌機械感覚性ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド配列を、例えば、細胞に送達するために使用される。ウイルスベクター及びそれらを使用してDNAを細胞に送達するための方法は、当業者に周知である。本明細書に記載の細胞を遺伝的に変化させるために使用できるウイルスベクターの例には、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)、レトロウイルスベクター(レンチウイルスベクターを含む)、アルファウイルスベクター(例えば、シンドビスベクター)、及びヘルペスウイルスベクターが挙げられる。
【0114】
標的細胞型
細菌機械感覚性ポリペプチドは、目的の実質的に任意の真核細胞又は原核細胞内で発現することができる。一実施形態では、細胞(又は標的細胞)は、細菌細胞又は他の病原性細胞型である。別の実施形態では、細胞(又は標的細胞)は、脂肪細胞、筋肉細胞、心筋細胞、インスリン分泌細胞(例えば、ベータ(β)膵島細胞)、膵臓細胞、グリア細胞、又はニューロン(例えば、運動ニューロン、感覚ニューロン、中枢神経系のニューロン(例えば、脳又は脳の領域、例えば、視床下部のニューロン)、末梢神経系のニューロン、神経間細胞、及び神経細胞株又は集団)などの哺乳動物細胞である。他の細胞型には、免疫細胞、例えば、造血系細胞、T細胞、B細胞、単球、マクロファージ、幹細胞、多能性幹細胞、人工多能性幹細胞、初代細胞、樹立細胞又は細胞株が含まれるが、これらに限定されない。
【0115】
神経細胞を刺激する方法
本明細書に提供される方法は、細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞の刺激(活性化)に特に有用である。特に、そのような細胞の超音波刺激は、カチオン流入を誘導し、それによって、細胞活性を変化させる。病原体細胞(細菌細胞)における細菌機械感覚性ポリペプチドの発現及びその後の超音波刺激により、カチオン流入及び細菌細胞の死滅が誘導される。異種細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する筋肉細胞の超音波刺激は、筋肉の収縮をもたらす。これは、筋肉の収縮又は機能性の増強を必要とする対象(筋力低下、麻痺、又は筋肉消耗に罹患している対象を含む)においてそれを行うために使用することができる。超音波の強度を変えることにより、筋活動の程度が調節される。
【0116】
「ニューロン」、「神経系細胞(neural cell)」、又は「神経細胞」という用語は、本明細書で互換的に使用され、中枢神経系(CNS)又は末梢神経系(PNS)などの脳又は神経系の細胞を指す。神経系細胞又は神経細胞の非限定的な例としては、ニューロン、インターニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、及びミクログリア細胞が挙げられる。神経系細胞が刺激される場合、神経系細胞の機能又は活性(例えば、興奮性)は、例えば、神経系細胞内の所与の遺伝子又はタンパク質(例えば、細菌機械感覚性ポリペプチド)の発現又は活性を調節することによって影響を受ける。発現又は活性の変化は、対照(例えば、非刺激細胞)と比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれ以上であってもよい。ある特定の事例では、発現又は活性は、刺激がない場合の発現又は活性よりも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、又はそれよりも高い。ある特定の事例では、発現又は活性は、刺激がない場合の発現又は活性よりも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、又はそれよりも低い。神経系細胞は、神経系細胞に超音波を印加することによって刺激され得る。
【0117】
本明細書において提供される「適用すること」という用語は、その明白な通常の意味に従って使用され、接触すること、導入すること、及び曝露することという用語を含む。本明細書において提供される「超音波」は、人間の聴覚範囲の上限よりも大きい周波数を有する振動音圧波である。したがって、超音波(ultrasound)(超音波(ultrasonic wave))は、物理的特性の違いによっては「通常の」(可聴)音と区別されず、人間には聞こえないという事実によってのみ区別される。この限度は人によって異なるが、健康な若い成人では約20キロヘルツ(20,000ヘルツ)である。超音波(超音波)デバイスは、20kHzから数ギガヘルツまでの周波数で動作する。本明細書において提供される方法は、超音波のエネルギーを使用して、外因性機械感覚性タンパク質を発現する神経系細胞を刺激する。本明細書において提供される機械伝達タンパク質は、機械的刺激(例えば、音、圧力、動き)を化学活性に変換することができる細胞タンパク質を指す。機械感覚性又は機械伝達に対する細胞応答は、可変的であり、様々な変化及び感覚を引き起こす。いくつかの実施形態では、細菌機械感覚性タンパク質は、音、圧力、又は動きが細胞(例えば、感覚ニューロン)の興奮性の変化を引き起こすことを可能にする、機械的にゲートされたイオンチャネルである。細菌機械感覚性タンパク質の刺激は、機械的に感受性のあるイオンチャネルを開き、細胞の膜電位を変化させる形質導入電流を生成させ得る。
【0118】
一態様では、細胞を刺激する方法が提供される。この方法は、外因性(異種)細菌機械感覚性ポリペプチドをコードする核酸配列を含む組換えベクター又はウイルスベクターで細胞にトランスフェクトするか、又は形質導入することを含み、トランスフェクト細胞又は形質導入細胞は、特に、細胞膜内で機械感覚性ポリペプチドを発現する。超音波がトランスフェクト細胞又は形質導入細胞に印加され、それによって細胞を刺激する。いくつかの実施形態では、細菌機械感覚性ポリペプチドは、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscS様、MscMJ、MscMJLR、MscS様3、MscSfam、又はそのホモログ若しくはオーソログである。いくつかの実施形態では、細菌機械伝達ポリペプチドは、機械感覚性ポリペプチド、又はその機能部分、ホモログ、若しくはオーソログである。いくつかの実施形態では、超音波は、約0.8MHz~約4MHzの周波数を有する。いくつかの実施形態では、超音波は、約1MHz~約3MHzの周波数を有する。いくつかの実施形態では、超音波は、約1立方ミリメートル~約1立方センチメートルの焦点ゾーンを有する。いくつかの実施形態では、超音波は、約385KHzの周波数を有する。いくつかの実施形態では、超音波は、約10MHzの周波数を有する。いくつかの実施形態では、超音波は、約0.001MHz、0.01MHz、0.1MHz、0.2MHz、0.3MHz、0.4MHz、0.5MHz、1MHz、2MHz、3MHz、4MHz、5MHz、6MHz、7MHz、8MHz、9MHz、10MHz、11MHz、12MHz、13MHz、14MHz、15MHz、20MHz、30MHz、40MHz、又は50MHzの周波数を有する。いくつかの実施形態では、超音波は、約0.001MHz、0.01MHz、0.1MHz、0.2MHz、0.3MHz、0.4MHz、0.5MHz、1MHz、2MHz、3MHz、4MHz、5MHz、6MHz、7MHz、8MHz、9MHz、10MHz、11MHz、12MHz、13MHz、14MHz、15MHz、20MHz、30MHz、40MHz、又は50MHz未満の周波数を有する。いくつかの実施形態では、超音波は、約0.2MHz~約20MHz、約0.15MHz~約0.6MHz、約0.3MHz~約0.4MHz、約9MHz~約11MHz、又は約5MHz~約20MHzの周波数を有する。いくつかの実施形態では、超音波は、約0.1MHz~約20MHzの周波数を有する。いくつかの実施形態では、超音波は、0.1MHz~20MHzの周波数を有する。いくつかの実施形態では、超音波は、500mW/cm2未満の強度を有する。
【0119】
いくつかの実施形態では、超音波は、約0.01W/cm2、0.5W/cm2、1W/cm2、5W/cm2、10W/cm2、25W/cm2、50W/cm2、100W/cm2、150W/cm2、200W/cm2、250W/cm2、300W/cm2、又は400W/cm2の強度を有する。いくつかの実施形態では、超音波は、約0.01W/cm2、0.5W/cm2、1W/cm2、5W/cm2、10W/cm2、25W/cm2、50W/cm2、100W/cm2、150W/cm2、200W/cm2、250W/cm2、300W/cm2、又は400W/cm2未満の強度を有する。いくつかの実施形態では、超音波は、標的領域内で0.05~3MPaの間のピーク負圧を生成する。
【0120】
いくつかの実施形態では、超音波は、パルス又はバーストで細胞又は組織に投与される。いくつかの実施形態では、パルス又はバーストのためのパルス繰り返し周波数は、約0.1Hz~約200Hz、又は約0.5Hz~約2Hzである。いくつかの実施形態では、パルス繰り返し周波数は、約1Hzである。様々な実施形態では、超音波は、約0.005%~約100%、約0.01%~約50%、約0.1%~約10%、又は約0.5%~約2%のデューティサイクルで投与される。いくつかの実施形態では、デューティサイクルは、約1%である。「デューティサイクル」は、超音波を積極的に投与する超音波投与の単一のオン・オフサイクルの持続時間の割合を意味する。
【0121】
いくつかの実施形態では、本方法は、超音波を印加する前に、トランスフェクト細胞又は形質導入細胞、例えば、神経系細胞を、超音波造影剤と接触させることを更に含む。様々な実施形態では、超音波造影剤は、マイクロバブルである。特定の実施形態では、マイクロバブルは、約0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.75μm、1μm、1.5μm、2μm、3μm、4μm、又は5μm~約6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、50μm、又は100μmの直径を有する。特定の実施形態では、神経系細胞は、生物の一部を形成する。いくつかの実施形態では、生物は、哺乳動物(例えば、非ヒト霊長類、ヒト、マウス、ウシ、ヒツジ、げっ歯類、ラクダ、ネコ、イヌ哺乳動物)である。
【0122】
音響エネルギー(超音波)の生成
音響及び超音波エミッタ、トランスデューサ又は圧電トランスデューサ、複合トランスデューサ、容量性微細加工超音波トランスデューサ(cMUT)を含む微細加工超音波トランスデューサ(MUT)、微小電気機械システム(MEMS)、シリコン・オン・インシュレータMEMS(SOI MEMS)などの様々なデバイスを使用して超音波を生成してもよい。超音波を生成するためのデバイスは、単一又は複数のトランスデューサとして、又はアレイ構成で提供され得る。超音波は、任意の形状であり得、集束又は非集束であり得る。焦点スポットのサイズは、プローブの有効絞り直径(A)、波長(ラムダ)、及び焦点距離(F)によって異なる。均一な圧力下での、クランプされた円形プレートの中心たわみは、円形膜に関する次の式から求めることができる。
式中、Pは膜に印加される均一な圧力、Rは膜半径、yは中心たわみ、σは膜材料の固有応力、Eは膜材料のヤング係数、νは膜材料のポアソン比である。この式を使用して、所定の膜のたわみ下での超音波の圧力を推定することができる。このようなエミッタは、基板の上に作製され得る。複数の基板を組み合わせて単一のアプリケータを形成することができる。複数のアプリケータを組み合わせて単一のプローブを形成することができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、超音波は、例えば、米国特許第6,022,309号及び米国特許出願公開第2005/0021013号(その開示全体は、あらゆる目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるものなどの、光音響システム又はトランスデューサによって生成される。いくつかの実施形態では、超音波は、パルスレーザー光によって送達される光エネルギーによって生成され、光ファイバーを通って任意に誘導される。いくつかの実施形態では、光ファイバーは、カテーテル内に配置される。いくつかの実施形態では、光エネルギーは、水ベースの光エネルギー吸収流体、例えば、生理食塩水、血栓溶解剤、血液、又は血栓中に堆積され、熱弾性及び/又は熱力学機構を通じて流体中に音響インパルスを生成する。レーザーを繰り返し速度(例えば、10Hz~100kHz)でパルスすることによって、超音波を媒体内で局所的に確立することができる。いくつかの実施形態では、高繰り返し速度のレーザーシステムが、光エネルギーを生成するために使用される。様々な実施形態では、レーザー光は、約10Hz~約100kHzの範囲内、若しくは約20kHz~約1,000kHzの範囲内、若しくは約0.1MHz~約50MHzの範囲内、若しくは約0.1MHz~約20MHzの範囲内、若しくは約0.2MHz~約10MHzの範囲内、若しくは約1MHz~約20MHzの範囲内のパルス周波数、又は約200nm~約5,000nmの範囲内の波長、及び約0.01J/cm2~約4J/cm2の範囲内のエネルギー密度を有する。一実施形態では、パルス周波数は、約5kHz~約25kHzの範囲内である。様々な実施形態では、流体に光エネルギーを送達するために使用される光ファイバーは、200ミクロン又は100ミクロン以下のコア直径を有する。
【0124】
理論に拘束されることを望まないが、吸収流体は、光エネルギーによって加熱された、ある体積の組成物(例えば、流体、血液、組織、細胞、細胞を含む組成物など)において、高圧領域が流体内に作られるように、光エネルギーの堆積に対して熱弾性的に応答する。高圧ゾーンの境界は、あるパターンの音波に減衰し、圧縮波は、エネルギー堆積領域(発散波フロント)から離れて伝播し、希薄波は、エネルギー堆積領域(収束波フロント)の中心に向かって伝播する。希薄波は、初期堆積領域の中心に収束すると、より大きな気泡を形成するために結合するキャビテーションバブル群の形成を促進する引張応力の領域を作成する。最終的に、キャビテーションバブルは崩壊し、音波の拡大をもたらす。キャビテーションバブルの崩壊とその後のリバウンドは周囲の流体中に音波を生成し、キャビティのエネルギーの一部が持ち去られる。崩壊及びリバウンドプロセスは、主に流体密度及び初期キャビティの最大サイズによって支配される時間スケールで行われる。最初の崩壊及びリバウンドに続いて、キャビティのエネルギーが流体中で消散するまで、強度を低下させる崩壊及びリバウンドのイベントが生じる。いくつかの実施形態では、後続のレーザーパルスは、このサイクルを繰り返すか、又は継続して、レーザーパルス周波数によって決定される1つ以上の周波数で超音波を生成するために送達される。
【0125】
本明細書に記載されるように使用されるパルスレーザーエネルギー源は、限定的ではなく、非限定的な例として、気体、液体又は固体媒体をベースとすることができる。希土類ドープ固体レーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Nd:YAG(ネオジムドープイットリウムアルミガーネット;Nd:Y3Al5O12)レーザー、及びHo:YLF(ネオジムドープイットリウムリチウムフルオライド)レーザー。これらの固体レーザーのうちのいずれかには、基本的なレーザー波長の高調波を生成するために非線形周波数倍結晶又は周波数三倍結晶が組み込まれる場合がある。紫外線のコヒーレントビームを生成する固体レーザーは、本明細書に記載の生成物、組成物及び方法とともに使用されてもよく、又は紫外線及び可視スペクトルの広い部分にわたって調整可能な出力ビームを生成するために染料レーザーと併せて使用されてもよい。
【0126】
一態様では、超音波は、(i)レーザーエネルギーを送達するために使用される光ファイバーの寸法(例えば、レーザーエネルギーが流体によって吸収される領域の直径又は最大寸法)に匹敵する体積の流体中に、(例えば、レーザー波長及び/又は吸収流体の選択によって制御されるように)当該寸法にわたって音響通過時間よりも短い持続時間の時間スケールで、レーザーエネルギーを堆積させることと、(ii)生成されたキャビテーションバブルの最大サイズがファイバー寸法とほぼ同じであるようにレーザーエネルギーを制御することと、(iii)本プロセスの複数のサイクルが流体内に音響放射場を生成するような繰り返し速度でレーザーをパルスすることと、によって流体中に生成され得る。共振動作は、レーザーパルス繰り返し速度をキャビティ寿命と同期させることによって達成され得る。いくつかの実施形態では、この動作により、100~200μmの往復変位量で、1~100kHzでサイクルする、流体ベースのトランスデューサが得られる。様々な実施形態では、音波は、少量の流体を取り囲む組織又は流体に伝播される。
【0127】
別の態様では、超音波は、(i)血管内又は組織に包囲された少量の液体(例えば、レーザー波長と吸収流体の選択によって制御される)中にレーザーエネルギーを堆積させることと、(ii)生成される蒸気バブルの最大サイズが、蒸気バブルが生成される血管の直径若しくは蒸気バブルが生成される包囲組織によって画定される直径とほぼ同じであるか、又はそれよりも小さいように、レーザーエネルギーを制御することと、(iii)バブル生成及び崩壊プロセスの複数のサイクルが流体内に音波を生成するような繰り返し速度でレーザーエネルギーをパルスすることと、によって流体中に生成され得る。様々な実施形態では、音波は、少量の流体を取り囲む組織又は流体に伝播される。
【0128】
治療及び細胞操作の方法
一態様では、非侵襲的治療方法が提供され、本方法は、超音波印加の最初の供給源の局所で及び/又は下流で、細胞機能を喚起させる、増加させる、又は阻害する機械感受性細胞膜貫通タンパク質(機械受容体)を活性化させるために音波(超音波)を使用する。別の態様では、動物の標的組織部分を神経支配する感覚単位の機能を変化させる方法が提供される。別の態様では、神経学的又は神経変性疾患又は障害の治療又は改善を必要とする対象においてそれを行う方法が提供される。別の態様では、細胞又は組織、特に、ヒト細胞若しくは組織を含む哺乳動物細胞若しくは組織の活性又は機能を操作するための方法が提供される。本方法は、対象の細胞又は組織内で、治療有効量の外因性機械感覚性ポリペプチド(例えば、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscS様、MscMJ、MscMJLR、MscS様3、MscSfam)を発現させることと、細胞又は組織に超音波(ultrasound)(超音波(ultrasonic wave))を印加し、それによって、細胞又は組織における機械感覚性ポリペプチドコンダクタンス、例えば、カチオン流入の変化をもたらすことと、を含む。一実施形態では、本方法は、対象の細胞又は組織に、外因性機械感覚性ポリペプチド(例えば、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscS様、MscMJ、MscMJLR、MscS様3、MscSfam)をコードする治療有効量の組換え核酸、ベクター、又はウイルスベクターを投与又は送達することと、細胞又は組織に超音波(超音波)を印加して、細胞又は組織における機械感覚性ポリペプチドコンダクタンス、例えば、カチオン流入の変化をもたらすことと、を含む。一実施形態では、超音波を細胞に印加することを伴う方法は、組織又は細胞をエクスビボ、インビボ、インサイチュ、又はエクスサイチュで操作するために、又は細胞の活性若しくは機能を調節するために使用される。一実施形態では、本方法は、例えば、心筋活性を調節する、例えば、変化させる、制御する、増強する、又は増加させることによって、心疾患を治療又は改善することを伴う。一実施形態では、本方法は、対象における神経系又は神経細胞活性を調節する、例えば、変化させる、制御する、増強する、又は増加させることによって、神経学的疾患又は障害を治療又は改善することを伴う。いくつかの実施形態では、神経学的疾患又は障害は、パーキンソン病、うつ病、強迫性障害、慢性疼痛、てんかん、又は頸髄損傷である。いくつかの実施形態では、本方法は、ニューロン(例えば、深部脳刺激若しくは他の用途)、心筋(例えば、ペースメーカー)、膀胱、T細胞(例えば、がん若しくは免疫疾患の治療において)、ベータ細胞(例えば、インスリン産生)、又はそれらの組み合わせの操作を含むことができる。実施形態では、神経学的疾患は、網膜変性又は心房細動である。いくつかの実施形態では、神経学的疾患は、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、運動ニューロン疾患、ハンチントン病、脊髄小脳失調症(SCA)、又は脊髄性筋萎縮症(SMA)である。いくつかの実施形態では、本方法は、摂食障害を治療又は改善することを伴う。特定の実施形態では、外因性機械感覚性ポリペプチドは、細菌機械感覚性ポリペプチド、すなわち、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscS様、MscMJ、MscMJLR、MscS様3、MscSfam、又はそのオーソログ若しくはホモログ若しくは機能部分である。
【0129】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象、細胞、又は組織に超音波を印加する前に、超音波造影剤を対象、細胞、又は組織に投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、超音波造影剤は、マイクロバブルである。いくつかの実施形態では、マイクロバブルは、約0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.75μm、1μm、1.5μm、2μm、3μm、4μm、若しくは5μm~約6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、50μm、又は100μmの直径を有し、それが超音波刺激を増強する組織又は細胞を含有する身体(例えば、脳)、組織、細胞、若しくは培養培地に注入されるか、又は他の方法で導入される。
【0130】
様々な実施形態では、本方法は、標的化組織又は細胞に音響エネルギー(超音波)を送達又は印加することを含む。一般に、標的化組織又は細胞への音響エネルギーの送達又は印加は、非侵襲的である。いくつかの実施形態では、標的組織又は細胞は、感覚単位の一部を形成する。様々な実施形態では、組織又は細胞は、音響的に感受性のある膜貫通タンパク質、例えば、外因性又は異種の音響的に感受性のある膜貫通タンパク質を発現するように構成されており、その結果、組織又は細胞が音響エネルギーに曝露されると、組織を含む細胞の膜電位は、音響的に感受性のあるタンパク質が音響エネルギーに曝露されることに少なくとも部分的に起因して調節される。組織又は細胞は、音響的に感受性のある膜貫通タンパク質を発現するように遺伝的又は組換え的に改変されていてもよい。音響感受性膜貫通タンパク質は、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscS様、MscMJ、MscMJLR、MscS様3、MscSfam、又はそのオーソログ若しくはホモログから選択され得る。
【0131】
音響源は、非限定的な例として、圧電トランスデューサ、例えば、PZTベースのトランスデューサ、複合トランスデューサ、微細加工超音波トランスデューサ、容量性微細加工超音波トランスデューサ、及び微小電気機械システムから選択され得る。音響源は、シリコン・オン・インシュレータ型の微小電気機械システムを含み得る。いくつかの実施形態では、音響エネルギーは、音響源から経皮的に送達される。いくつかの実施形態では、音響エネルギーは、経頭蓋的に送達される。いくつかの実施形態では、組織又は細胞は、対象の脳、例えば、視床下部にある。いくつかの実施形態では、組織又は細胞は、中枢神経系の一部を構成する。いくつかの実施形態では、組織又は細胞は、末梢神経系の一部を構成する。いくつかの実施形態では、音響源は、対象の組織又は臓器上に、又はその中に配置される。いくつかの実施形態では、音響源は、対象の脳の上に又はその中に配置される。特定の実施形態では、本明細書に記載される音響感受性異種細菌膜貫通タンパク質を、1つの領域において、例えば、脊髄において発現する、神経細胞(nerve cell)、例えば、運動ニューロンは、音響エネルギー(超音波)で刺激され、結果として、別の領域、例えば、下流筋肉組織における神経細胞、例えば、運動ニューロンの活性化がもたらされる。いくつかの実施形態では、本方法は、対象の細胞又は組織を活性化させるために、複数の音響エミッタを使用することを伴う。実施形態では、細胞は、脊髄内及び/又は下流筋肉内のニューロン、例えば、運動ニューロンである。
【0132】
一態様では、患者における超音波遺伝学に基づく神経調節のための方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、超音波遺伝学的喚起及び/又は阻害によって促進され得る所望の神経系の機能調節の決定を伴う。本方法は、そのような結果を提供するために、患者内の神経解剖学的リソースの選択を更に伴うことができる。本方法は、神経解剖学的リソースの細胞に、それらを音響エネルギーに対して感受性にするようにさせることを伴うことができる。本方法は、標的神経構造(targeted neuroanatomy)に音響エネルギーを送達して、その細胞中の機械応答性タンパク質の存在により、そのような神経構造の制御された特異的喚起及び/又は阻害を引き起こすことを更に伴うことができる。いくつかの実施形態では、細菌機械感覚性タンパク質は、細胞の膜を通してイオン、例えば、カリウム、ナトリウム、又はカルシウムイオンを輸送することによって、ニューロン、又は他の種類の細胞の膜電位を調節する。
【0133】
組成物及び薬学的組成物
本明細書に記載の異種又は外因性細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞を含む組成物が提供される。一実施形態では、組成物は、薬学的組成物である。典型的には、そのような組成物のための担体又は賦形剤は、滅菌水、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール水溶液、エタノール、又はそれらの組み合わせなどの薬学的に許容される担体又は賦形剤である。滅菌性、pH、等張性、及び安定性を確保する、そのような溶液の調製は、当該技術分野で確立されたプロトコルに従って影響を受ける。一般に、担体又は賦形剤は、アレルギー及び他の望ましくない影響を最小限に抑え、特定の投与経路、例えば、皮下、筋肉内、鼻腔内などに適合するように選択される。
【0134】
組成物又は薬学的組成物は、疾患、障害、又は状態、及び/又はそれらの症状の影響を改善、減少、低下、軽減、緩和、又は排除する投与量又は有効量で投与される。組成物は、非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、くも膜下腔内、又は腹腔内)投与経路に適した剤形で提供され得る。薬学的組成物は、従来の薬学的慣行に従って製剤化され、調製され得る(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(20th ed.),ed.A.R.Gennaro,Lippincott Williams & Wilkins,2000及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988-1999,Marcel Dekker,New Yorkを参照されたい)。薬学的組成物は、注射、注入、又は移植(皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、くも膜下腔内など)によって非経口的に投与され得る。非経口使用のための組成物は、単位剤形(例えば、単回投与アンプル)で、又はいくつかの用量を含み、好適な防腐剤が添加され得るバイアルで提供され得る(下記を参照されたい)。組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、注入デバイス、又は移植用送達デバイスの形態であり得る。
【0135】
本明細書の態様及び実施形態の実施は、別段の指示がない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の従来の技術を使用し、これらは当業者の範囲内である。そのような技術は、“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,second edition (Sambrook,1989)、“Oligonucleotide Synthesis”(Gait,1984)、“Animal Cell Culture”(Freshney,1987)、“Methods in Enzymology”“Handbook of Experimental Immunology”(Weir,1996)、“Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells”(Miller and Calos,1987)、“Current Protocols in Molecular Biology”(Ausubel,1987)、“PCR:The Polymerase Chain Reaction”,(Mullis,1994)、“Current Protocols in Immunology”(Coligan,1991)などの文献において完全に説明されている。これらの技術は、本明細書に記載されるポリヌクレオチド及びポリペプチドの産生に適用可能であり、したがって、記載される生成物、組成物、及び方法の作製及び実施において考慮され得る。特定の実施形態のための特に有用な技術は、以下のセクションで説明される。
【0136】
以下の実施例は、本明細書において記載及び提供されるアッセイ、スクリーニング、及び治療方法を作製及び使用する方法についての完全な開示及び説明を当業者に提供するために提出されており、限定することを意図していない。
【実施例】
【0137】
実施例1:マウス脳における機械感覚性ポリペプチドの発現
MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscS様、MscMJ、MscMJLR、MscS様3、及びMscSfamポリペプチドは、マウス脳におけるニューロンでの発現のための候補細菌機械感覚性タンパク質として同定した。小コンダクタンスの機械感受性チャネル(MscS)、大コンダクタンスの機械感受性チャネル(MscL)、及びMscK(カリウム依存性機械感受性チャネル)はEscherichia coliに由来し、MscS様はBacillus haloduransに由来し、MscMJ及びMscMJLRはメタノカルドコックス・ヤンナスキイ(Methanocaldococcus jannaschii)に由来し、MscS様3はシロイズナズナ(Arabidopsis thaliana(A thaliana))に由来し、MscSfamはアーケオグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)に由来する。特に、MscSは、細菌細胞内の非特異的機械感受性チャネルとして機能し、細菌細胞内の圧力(膨圧)に応答して開き、細胞が破裂する前に圧力を緩和する膜貫通タンパク質である。MscSは、3つの膜貫通ヘリックス及び大きな細胞質可溶性ドメインを有するヘパタマー(hepatamer)である。MscSポリペプチドは、286個のアミノ酸を構成し、E.coliの4つの機械感受性チャネルのうちの1つであり、浸透圧調節の役割を果たしている。MscSは、5~8mN/mの膜圧に応答性であり、ゲーティング機能のために他の細胞構造を必要としない。開放コンフォメーションの場合、細孔は直径13Åであり、1nSで伝導する。MscSチャネルファミリーの他のメンバーは、1,120個のアミノ酸であることもある。
【0138】
ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化した。MscS、MscL、MscK、MscMJ、及びMscMJLRポリペプチドをコードするコドン最適化ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを合成し、インビトロ又はインビボで、神経細胞におけるCRE依存性(環化リコンビナーゼ依存性)発現のためのアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにクローニングした。特に、脳及びCNSにおけるニューロンなどのヒト細胞を含む細胞における発現のためのコドン最適化ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、上記及び配列番号3、6、9、11、14、17、20、23、及び26に記載されている通りである。
【0139】
次いで、ウイルスベクターを、ドーパミン作動性ニューロン中でCRE(環化リコンビナーゼ)を発現したマウスの腹側被蓋野に注入した。
図1A及び
図1Bに示すように、細菌ポリペプチドは、注入後にマウス脳細胞内で発現した。
【0140】
実施例2:機械感覚性ポリペプチドを使用したニューロンの操作
中枢神経系(CNS)内で、例えば、ニューロン内で、例えば、動物(マウス)の脳又は脊髄におけるニューロン内で異種細菌機械感覚性タンパク質を発現させ、動物内のニューロンを超音波に供し、筋肉の神経刺激に応答して筋肉応答又は電気活動を測定する技術である筋電図を介して動物における得られた活性を評価するために、研究を実行した。
【0141】
小コンダクタンス細菌機械感受性チャネル(MscS)チャネルタンパク質は、運動ニューロンがCRE(環化リコンビナーゼ)を特異的に発現するマウスに、MscSチャネルタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するAAV(アデノ随伴ウイルスベクター)を定位的に注入することによって、マウスの脊髄における運動ニューロン内で発現した(
図2A)。筋電図を使用して、運動ニューロン内で機械感覚性タンパク質を発現する動物をモニタリングした(
図2A~
図2D)。麻酔した動物では、10MHzのトランスデューサではなく、385KHzの超音波トランスデューサを使用して運動ニューロンを活性化すると、下流の筋肉に電気信号がもたらされた(
図2B及び
図2C)。更に、超音波誘発筋電位の時間経過及び潜伏時間は、電気インパルスによって誘発されるものと一致し、これは、インビボで運動ニューロンを非侵襲的に制御するために超音波遺伝学を使用できることを示唆している(
図2B~
図2D)。理論に束縛されることを意図するものではないが、超音波は、細胞膜の複雑な変化、例えば、たわみ、及び膜容量の変化を引き起こしている可能性があり、これは、超音波発生チャネルによって検出される。
【0142】
加えて、小型のPZTベースのトランスデューサ(チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電トランスデューサ;XMS-310B Panametrics、Olympus Corporation)を、覚醒して行動している動物(例えば、マウス(8~12週齢))の頭部に配置して、視床下部に超音波を送達するように設計した。AAV-MscS(MscSをコードするアデノ随伴ウイルスベクター)をAGRP-CRE(アグーチ関連タンパク質-環化リコンビナーゼ)マウスの弓状核に注入し、AGRP+ve(アグーチ関連タンパク質陽性)ニューロンにおけるチャネルの発現を評価し、確認した(
図3A)。給餌(feeding)アッセイは、AGRP+ve(アグーチ関連タンパク質陽性)ニューロン中でMscSを発現するマウスが、10MHzでの超音波に応答して増加した量の食物を食べたかどうかを試験するために用いた(
図3B)。給餌アッセイは、Aponte,et al.,“AGRP neurons are sufficient to orchestrate feeding behavior rapidly and without training”,Nature Neuroscience,14:351-355(2011)(全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるように実施した。
【0143】
上記の結果は、ヒトコドン最適化ポリヌクレオチドによってコードされるMScS及び他の微生物タンパク質が、マウス脳内の細胞において異種発現され、神経細胞に超音波を印加すると、脊髄及び視床下部において、ニューロン(運動ニューロン)、例えばニューロンの挙動及び機能などを、非侵襲的に操作及び制御する能力を有することを実証する。
【0144】
実施例3:ヒト細胞におけるコドン最適化機械感覚性ポリペプチドの発現
マウス脳におけるニューロンでの記載された機械感受性タンパク質の発現に加えて、機械感受性タンパク質をコードするコドン最適化ポリヌクレオチド(ポリペプチド)をヒト細胞内で発現させた。ポリペプチドをコードするそのような天然に存在しないコドン最適化ポリヌクレオチド配列を合成し、ウイルスベクターにクローニングして、CRE依存性ヒト細胞発現を行った。特に、一例として、ヒト細胞内で発現するための機械感受性ポリペプチドをコードするコドン最適化ポリヌクレオチド配列は、上記及び配列番号3、6、9、11、14、17、20、23、及び26に記載されている通りである。
【0145】
実施例4:材料及び方法
以下に記載される材料及び方法を、上記実施例で使用した。
【0146】
ウイルス及び注入
所望のウイルス量を達成するために必要な場合、本明細書に記載の機械感受性細菌タンパク質をコードするポリヌクレオチド、すなわち、AAV9-hsyn1-DIO-myc-機械感受性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを有するアデノ関連ウイルスベクターを、ハンクのバランスソルト溶液中で希釈した1e12 AAV9-hsyn1-DIO-GFP(Addgene番号:100043-AAV9)とともに、5e12又は最大可能な力価で注入した。雄及び雌、約8~10週齢のDAT-creマウス(Jax stock 006660)を、座標AP-3.2ML-0.65DV-4.3(腹側被蓋野)に750nLのウイルスで一側性に注入した。適切な座標で頭蓋骨に開けられた小さな穴を通して注入を実行し、ウイルスを3nL/sでNanoject iii(Dummond Scientific Company)に取り付けられたガラス針を通して送達した。5分後、針を除去し、切開を縫合し、マウスを3日間回復させ、続いてウイルス発現のために3週間のインキュベーションを行った。コードされたタンパク質上のmycタグについて、屠殺及び免疫組織化学を介して発現を確認した。
【0147】
免疫組織化学及びイメージング
3週間のインキュベーションの後、マウスを灌流し、蠕動ポンプを通して0.9%生理食塩水及び4%パラホルムアルデヒド(PFA)で固定した。脳を直ちに取り出し、4%パラホルムアルデヒド(PFA)に一晩浸した後、30%スクロース溶液に48時間移動させた。各脳を、組織収集溶液(グリセロール、エチレングリコール、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))中で35μm/切片に切断した。腹側被蓋野(VTA)を含有する脳切片を、チラミドシグナル増幅(TSA)を使用してmycタグの免疫組織化学によって染色した。簡潔に述べると、組織を過酸化水素中で30分間(分)クエンチし、次いで、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)/10% TRITONX/5%ウマ血清で1時間ブロックした。切片をウサギ抗myc抗体(1:500希釈;細胞シグナル伝達2272S)中で一晩揺らし(nutated)、続いてビオチン化ロバ抗ウサギ抗体(1:500希釈;Jackson Immunoresearch 711-065-152)中で3時間の室温(RT)インキュベーションを行った。次いで、切片をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、ABC中で30分間インキュベートし(Vector Labs PK-4000)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で洗浄し、チラミド中で30分間インキュベートし、PBS中で洗浄し、ストレプトアビジンコンジュゲートAlexa-647(Thermo Fischer S21374)中で揺らした(2.5時間、室温)。最後に、切片を1:1000のDAPI(4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール)で染色し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した後、カバースリップを延長ゴールドアンチフェードマウント培地(Thermo Fischer Scientific)を適用したガラススライドに取り付けた。
【0148】
タンパク質発現に対応するmyc標識の画像をZeiss Airyscan 880共焦点顕微鏡上で収集した。各候補タンパク質の相対発現レベルを比較するために、一貫したイメージング設定を、全体を通して維持した。
【0149】
給餌アッセイ
ウイルス注射の前に、AGRP-cre(アグーチ関連タンパク質-Creリコンビナーゼ)マウスを給餌挙動に順応させた。簡潔に述べると、0.2gのペレット(プレシジョンペレット)で満たした、壁に取り付けられたペレットフィーダーのみを備える滑らかな壁を有するプレキシガラスケージ(12”×12”×18”)に、マウスを入れた。マウスは5日間のトレーニングプロトコルを受け、一晩絶食したが、トレーニングの直後、一日中食物を復活させた。1日目:マウスを、ペアで、床に配置された20個のペレットを置いて順応させた(30分)。2日目:マウスを、単独で、床に配置された10個のペレットを置いて順応させた(30分)。3~4日目:マウスを、単独で、ペレットフィーダー中にある食物のみで順応させた(30分)。5日目に、マウスをチャンバー内に配置し、30分間にわたって消費されたペレットの数を記録した。トレーニング中に10個以上のペレットを消費したマウスのみを挙動研究に使用した。
【0150】
順応型AGRP-creマウス(約8週齢の雄及び雌)に、視床下部の弓状核を標的とするAAV9-hSyn-DIO-GFP又はAAV9-hSyn-DIO-MscSを注入した。2週間後、金属フェルールを、歯科用セメントを介して頭蓋骨に取り付けた。1週間の回復期間の後、マウスは、フェルールを介して(短時間のイソフルラン麻酔下で)超音波トランスデューサを頭部に取り付ける偽の訓練セッションを受け、回復したら、45分間、飼料ボックスを探索することができた。
【0151】
試験のために、トランスデューサを取り付けている間、マウスを短時間麻酔した。その後、マウスを行動ボックスに入れ、回復させた。試験は、以下のようにブロックで実施した。0~5分:超音波なし、5~35分:断続的な超音波刺激又は偽の治療:35~50分:超音波なし。超音波は、20msオン、30msオフの超音波を含む1秒の長さのバーストとして送達され、バースト間の刺激なしで4秒間送達された。消費されたペレットの数をリアルタイムで記録し、ビデオモニタリングを介して5分間のビンに記録した。セッションの終わりに、正確な集計が行われたことを確認するために、残りのペレットを計量した。偽及び超音波治療セッションは、無作為化した。テストセッションの間に少なくとも2日が経過した。
【0152】
筋電図(EMG):
MScS又は緑色蛍光タンパク質(GFP)対照を発現するアデノ随伴ウイルス(AAV)をChAT:Cre発現動物に注入し、運動ニューロン中の導入遺伝子(異種ポリヌクレオチド)の発現を起こした。筋電図(EMG)実験を、ウイルス注入の2~4週間後に実施した。筋電図(EMG)データを、PowerLab及びBioAmp(AD Instruments)に接続された細線電極(A-M Systems 790700)を介して、右上腕二頭筋及び左大腿二頭筋からのケタミン(100mg/kg)及びキシラジン(10mg/kg)麻酔下で収集した。データを40k/秒で収集し、バンドパスを300Hz~1kHzでフィルタリングした。ピンチに応答した陽性筋電図(EMG)シグナルによって正しい電極配置が確認された。頭蓋骨上の皮膚を開き、6.91MHzのニオブ酸リチウム超音波トランスデューサを、超音波ゲル(Parker Aquasonic 100)を使用して頭蓋骨にとりつけた。超音波刺激(1ms、10ms、100ms持続時間)を、0.35~1.05MPaの範囲の強度で、10秒間隔以上で、腰椎脊髄に与えた。刺激に応答した右前肢又は後肢の視覚的な動きに注目し、筋電図(EMG)応答を潜伏期間及び持続時間について分析した。分析では、刺激の中止後に生じる反応のみを考慮した。実験者は、データの収集と分析の両方の間、グループについて盲検化した。
【0153】
他の実施形態
前述の説明から、様々な使用法及び条件に適応するために、本明細書に記載されるような態様及び実施形態に変形及び改変が行われ得ることが明らかであろう。このような実装形態はまた、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【0154】
本明細書における変数の任意の定義における要素のリストの記載には、任意の単一の要素又は列挙された要素の組み合わせ(又は副組み合わせ)としてのその変数の定義が含まれる。本明細書における実施形態の記載は、その実施形態を、任意の単一の実施形態として、又は任意の他の実施形態又はその一部分と組み合わせて含む。
【0155】
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各独立した特許及び刊行物が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されたときと同程度に、本明細書において参照により組み込まれる。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-07-13
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0100
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0100】
本明細書において提供されるいかなる組成物又は方法も、本明細書において提供される他の組成物及び方法のうちのいずれかの1つ以上と組み合わせることができる。
[本発明1001]
細胞におけるカチオン流入を誘導する方法であって、以下の工程を含む、方法:
前記細胞内で、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択されるポリペプチドを発現させる工程であって、前記ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、及び
前記細胞に超音波を印加する工程であって、それによって、前記細胞におけるカチオン流入を誘導する、工程。
[本発明1002]
前記細胞が、超音波によって引き起こされる機械的変形又は伸展に対して鋭敏化される、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記超音波の印加が、前記細胞における機械感覚性ポリペプチドコンダクタンスの変化をもたらして、細胞活性又は機能を活性化させるか、又は改変する、本発明1001又は1002の方法。
[本発明1004]
細胞を、超音波によって引き起こされる機械的変形又は伸展に対して応答性にする方法であって、以下の工程を含む、方法:
(a)細胞に、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される異種細菌機械感覚性ポリペプチドを発現させるように形質導入する工程であって、前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、
(b)前記細胞に超音波を印加する工程、及び
(c)前記超音波の印加後に、前記細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞におけるカチオン流入、並びに細胞活性及び/又は機能の変化を誘導する工程であって、それによって、前記細胞を、超音波によって引き起こされる機械的変形又は伸展に対して応答性にする、工程。
[本発明1005]
超音波によって引き起こされる機械的変形又は伸展に対して細胞を鋭敏化させて、前記細胞の活性又は機能を活性化させる及び/又は改変する方法であって、以下の工程を含む、方法:
(a)細胞に、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される異種細菌機械感覚性ポリペプチドを発現させるように形質導入する工程であって、前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、
前記細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞に超音波を印加する工程、及び
前記超音波の印加後に、前記細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞におけるカチオン流入、並びに細胞活性及び/又は機能の変化を誘導する工程であって、それによって、前記細胞を、超音波によって引き起こされる機械的変形又は伸展に対して鋭敏化させて、細胞活性又は機能を活性化させる及び/又は改変する、工程。
[本発明1006]
前記細菌機械感覚性ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチド配列が、哺乳動物又はヒト細胞における発現のためにコドン最適化され、かつ天然に存在しない、本発明1001~1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、本発明1001~1006のいずれかの方法。
[本発明1008]
前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、本発明1001~1006のいずれかの方法。
[本発明1009]
前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、本発明1001~1006のいずれかの方法。
[本発明1010]
前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列を含むか、又は本質的にそれからなるポリヌクレオチド配列によってコードされる、本発明1001~1006のいずれかの方法。
[本発明1011]
前記異種細菌機械感覚性ポリペプチドが、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むプラスミド又はウイルスベクターによる前記細胞の形質導入後に、前記細胞内で発現される、本発明1001~1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
前記細胞が、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターから選択されるウイルスベクターによって形質導入される、本発明1011の方法。
[本発明1013]
前記細胞が、哺乳動物細胞である、本発明1001~1012のいずれかの方法。
[本発明1014]
前記細胞が、ヒト細胞である、本発明1001~1012のいずれかの方法。
[本発明1015]
前記細胞が、筋肉細胞、心筋細胞、インスリン分泌細胞、グリア細胞、又は神経細胞のうちの1つ以上である、本発明1001~1014のいずれかの方法。
[本発明1016]
前記細胞が、神経細胞である、本発明1015の方法。
[本発明1017]
前記神経細胞が、運動ニューロン、感覚ニューロン、インターニューロン、又はアグーチ関連タンパク質発現陽性(AGRP-
+ve
)ニューロンから選択される、本発明1016の方法。
[本発明1018]
前記超音波が、約0.2MHz~約20MHzの周波数を有する、本発明1001~1017のいずれかの方法。
[本発明1019]
前記超音波が、約1立方ミリメートル~約1立方センチメートルの焦点ゾーンを有する、本発明1001~1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
超音波を印加する前に、前記細胞をマイクロバブルと接触させる工程を更に含む、本発明1001~1019のいずれかの方法。
[本発明1021]
前記細胞が、インビトロ、エクスビボ、又はインビボである、本発明1001~1020のいずれかの方法。
[本発明1022]
疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを行う方法であって、以下の工程を含む、方法:
(i)MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される機械感覚性ポリペプチドをコードする異種核酸分子を、哺乳動物対象の細胞内で発現させる工程であって、前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、及び
(ii)超音波を前記細胞に印加する工程であって、それによって、前記対象における前記疾患又は障害を治療する、工程。
[本発明1023]
疾患又は障害の治療を必要とする哺乳動物対象においてそれを行う方法であって、以下の工程を含む、方法:
(i)前記対象の細胞に、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される異種細菌機械感覚性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子を形質導入する工程であって、前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、
(ii)前記細胞に超音波を印加する工程、及び
(iii)前記超音波の印加後に、前記細菌機械感覚性ポリペプチドを発現する細胞におけるカチオン流入、並びに細胞活性及び/又は機能の変化を誘導する工程であって、それによって、前記対象における前記疾患又は障害を治療する、工程。
[本発明1024]
前記細胞が、筋肉細胞、心筋細胞、インスリン分泌細胞、グリア細胞、又は神経細胞のうちの1つ以上である、本発明1022又は1023の方法。
[本発明1025]
前記細胞が、神経細胞である、本発明1024の方法。
[本発明1026]
前記神経細胞が、運動ニューロン、感覚ニューロン、インターニューロン、又はアグーチ関連タンパク質発現陽性(AGRP-
+ve
)ニューロンから選択される、本発明1025の方法。
[本発明1027]
前記超音波が、前記対象の視床下部における前記細胞に印加される、本発明1022~1026のいずれかの方法。
[本発明1028]
前記疾患又は障害が、パーキンソン病、うつ病、筋力低下、筋萎縮、筋肉変性強迫性障害、摂食障害、慢性疼痛、てんかん、脊椎損傷、不安、アルツハイマー病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、又は頸髄損傷から選択される神経学的疾患若しくは障害、又は神経回路疾患である、本発明1022~1027のいずれかの方法。
[本発明1029]
前記疾患又は障害が、筋力低下、筋萎縮、筋肉変性、脊髄損傷、又は頸髄損傷である、本発明1028の方法。
[本発明1030]
ニューロン活性又は機能の調節を必要とする対象においてそれを行う方法であって、以下の工程を含む、方法:
(i)前記対象の神経細胞に、MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される異種細菌機械感覚性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子を形質導入する工程であって、前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、及び
(ii)超音波を前記神経細胞に印加する工程であって、それによって、前記対象におけるニューロン活性又は機能を調節する、工程。
[本発明1031]
前記神経細胞が、運動ニューロン、感覚ニューロン、インターニューロン、又はアグーチ関連タンパク質発現陽性(AGRP-
+ve
)ニューロンから選択される、本発明1030の方法。
[本発明1032]
ニューロン活性の遠位調節を必要とする対象においてそれを行う方法であって、以下の工程を含む、方法:
(i)MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択される機械感覚性ポリペプチドをコードする異種核酸分子を、哺乳動物対象の神経細胞内で発現させる工程であって、前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、工程、及び
(ii)前記対象の神経系における第1の部位の神経細胞に超音波を印加し、前記対象の神経系における第2の部位の神経細胞の活性を調節する工程であって、前記第2の部位が前記第1の部位の遠位にある、工程。
[本発明1033]
前記神経細胞が、脳ニューロン細胞、海馬ニューロン細胞、又は運動ニューロンから選択される、本発明1032の方法。
[本発明1034]
前記第1の部位が脊髄であり、前記第2の部位が前記第1の部位の下流の筋肉組織である、本発明1032又は1033の方法。
[本発明1035]
前記細菌機械感覚性ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチド配列が、哺乳動物又はヒト細胞における発現のためにコドン最適化され、かつ天然に存在しない、本発明1022~1034のいずれかの方法。
[本発明1036]
前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、本発明1022~1035のいずれかの方法。
[本発明1037]
前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、本発明1022~1035のいずれかの方法。
[本発明1038]
前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、本発明1022~1035のいずれかの方法。
[本発明1039]
前記機械感覚性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列を含むか、又は本質的にそれからなるポリヌクレオチド配列によってコードされる、本発明1022~1035のいずれかの方法。
[本発明1040]
前記異種細菌機械感覚性ポリペプチドが、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むプラスミド又はウイルスベクターによる前記細胞の形質導入後に、前記細胞内で発現される、本発明1022~1039のいずれかの方法。
[本発明1041]
前記細胞が、レンチウイルスベクター又はアデノウイルス随伴ウイルス(AAV)ベクターから選択されるウイルスベクターによって形質導入される、本発明1040の方法。
[本発明1042]
前記細胞が、哺乳動物対象細胞であり、ヒト細胞である、本発明1022~1041のいずれかの方法。
[本発明1043]
前記超音波が、約0.2MHz~約20MHzの周波数を有する、本発明1022~1042のいずれかの方法。
[本発明1044]
前記超音波が、約1立方ミリメートル~約1立方センチメートルの焦点ゾーンを有する、本発明1022~1043のいずれかの方法。
[本発明1045]
前記超音波が、光音響システム又はトランスデューサを使用して生成される、本発明1001~1044のいずれかの方法。
[本発明1046]
前記超音波が、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)トランスデューサを使用して生成される、本発明1045の方法。
[本発明1047]
前記細胞に対する前記超音波の印加が、前記対象における挙動変化をもたらす、本発明1022~1046のいずれかの方法。
[本発明1048]
MscS、MscL、MscK、MscL G22S、MscMJLR、MscMJ、MscS様3、MscSfam、又はMscS様から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド又はウイルスベクターであって、前記ポリヌクレオチドが、哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化され、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、プラスミド又はウイルスベクター。
[本発明1049]
前記ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、本発明1048のプラスミド又はベクター。
[本発明1050]
前記ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、本発明1048のプラスミド又はベクター。
[本発明1051]
前記ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる、本発明1048のプラスミド又はベクター。
[本発明1052]
前記ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26から選択されるポリヌクレオチド配列を含むか、又は本質的にそれからなるポリヌクレオチド配列によってコードされる、本発明1048のプラスミド又はベクター。
[本発明1053]
前記ベクターが、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、本発明1048~1052のいずれかのプラスミド又はベクター。
[本発明1054]
本発明1048~1053のいずれかのプラスミド又はウイルスベクターを含む、細胞。
[本発明1055]
筋肉細胞、心筋細胞、インスリン分泌細胞、グリア細胞、又は神経細胞のうちの1つ以上である、本発明1054の細胞。
[本発明1056]
神経細胞である、本発明1055の細胞。
[本発明1057]
前記神経細胞が、運動ニューロン、感覚ニューロン、インターニューロン、又はアグーチ関連タンパク質発現陽性(AGRP-
+ve
)ニューロンから選択される、本発明1056の細胞。
[本発明1058]
哺乳動物細胞である、本発明1054~1057のいずれかの細胞。
[本発明1059]
ヒト細胞である、本発明1054~1058のいずれかの細胞。
[本発明1060]
前記異種又は外因性ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる、本発明1001~1047のいずれかの方法。
[本発明1061]
前記ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる、本発明1048~1053のいずれかのプラスミド又はベクター。
[本発明1062]
前記ポリペプチドが、それぞれ、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号11、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、又は配列番号26を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる、本発明1054~1059のいずれかの細胞。
[本発明1063]
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscSである、先行本発明のいずれかの方法、プラスミド、ベクター、又は細胞。
[本発明1064]
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscLである、先行本発明のいずれかの方法、プラスミド、ベクター、又は細胞。
[本発明1065]
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscKである、先行本発明のいずれかの方法、プラスミド、ベクター、又は細胞。
[本発明1066]
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscL G22Sである、先行本発明のいずれかの方法、プラスミド、ベクター、又は細胞。
[本発明1067]
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscMJLRである、先行本発明のいずれかの方法、プラスミド、ベクター、又は細胞。
[本発明1068]
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscMJである、先行本発明のいずれかの方法、プラスミド、ベクター、又は細胞。
[本発明1069]
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscS様3である、先行本発明のいずれかの方法、プラスミド、ベクター、又は細胞。
[本発明1070]
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscSfamである、先行本発明のいずれかの方法、プラスミド、ベクター、又は細胞。
[本発明1071]
前記ポリヌクレオチド配列によってコードされる前記機械感覚性ポリペプチドが、MscS様である、先行本発明のいずれかの方法、ベクター、又は細胞。
【国際調査報告】