(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】第二級アミン及び第三級アミンを生成させるための方法
(51)【国際特許分類】
C07C 213/08 20060101AFI20231110BHJP
C08G 18/18 20060101ALI20231110BHJP
C07C 217/42 20060101ALI20231110BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20231110BHJP
【FI】
C07C213/08
C08G18/18
C07C217/42
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527299
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 US2021058166
(87)【国際公開番号】W WO2022098940
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505318547
【氏名又は名称】ハンツマン ペトロケミカル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Huntsman Petrochemical LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コーダス,イムレ
(72)【発明者】
【氏名】ブオーノ,ピエトロ
(72)【発明者】
【氏名】メレディス,マシュー・ティー
(72)【発明者】
【氏名】フンベルト,ハイコ・ハインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ガースパール,アッティラ
(72)【発明者】
【氏名】バンデルストラエテン,ペトラ・エマ
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
4J034
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC52
4H006BA05
4H006BA14
4H006BA19
4H006BA30
4H006BB19
4H006BC35
4H006BE20
4H006BP10
4H006BU32
4H039CA71
4H039CL25
4J034CA02
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4J034CB03
4J034CB07
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4J034HC03
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4J034QB01
4J034QB10
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4J034QB16
4J034QC01
4J034RA03
4J034RA07
4J034RA08
4J034RA10
4J034RA12
4J034RA15
(57)【要約】
本開示は、1反応ステップで第二級アミンもしくは第三級アミンまたはその混合物を生成させるための方法、及びさまざまな用途におけるそのようなアミンの使用に関し、こうした用途には、限定されないが、ポリウレタン、油及びガス、金属加工、塗料、ならびに他のコーティング用途が含まれる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】
によって表される少なくとも1つのアルコールを、
式(2)
【化2】
によって表される少なくとも1つのアミンと、水素及び触媒の存在下で反応させることによって、第二級アミン、第三級アミン、またはその混合物のうちの少なくとも1つを生成させるための方法であって、式中、各R
1及びR
2が、水素及びC
1-C
4アルキル基から独立して選択され、各R
3が、-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-CH
2-、及び-CH
2-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-CH
2-からなる群から独立して選択されるアルキルエーテル部分であり、各R
4及びR
5が、水素または低級アルキル基から独立して選択される、前記方法。
【請求項2】
前記触媒が、銅クロマイト触媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのアルコールが、2-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)エタン-1-オールを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアミンが、N,N-ジメチル-2-(2-(メチルアミノ)エトキシ)エタン-1-アミン、2-(2-アミノエトキシ)-N,N-ジメチルエタン-1-アミン、2,2’-オキシビス(N-メチルエタン-1-アミン)、及びその混合物から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアミンが、2,2’-オキシビス(N,N-ジメチルエタン-1-アミン)をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアミンが、N,N-ジメチル-2-(2-(メチルアミノ)エトキシ)エタン-1-アミンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアルコールと前記少なくとも1つのアミンとの重量比が、約30:70~約70:30の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の少なくとも1つの第二級アミン、第三級アミン、またはその混合物の存在下で、イソシアネート官能基を含む化合物と活性水素含有化合物とを接触させることを含む、ポリウレタン素材を形成させるための方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法に従って生成されるポリウレタン素材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月6日出願の米国仮出願第63/110,592号の優先権を主張し、当該米国仮出願は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、低揮発性の第二級及び/または第三級アミン、具体的には、ビス-(N,N-ジメチルアミノエトキシエチル)アミン及び/またはアルキル化ビス-(N,N-ジメチルアミノエトキシエチル)アミンを生成させるための方法、ならびにさまざまな用途におけるその使用に関するものであり、こうした用途には、限定されないが、ポリウレタン、油及びガス、金属加工、塗料、ならびに他のコーティングに関する用途が含まれる。
【背景技術】
【0003】
ポリウレタン(PU)軟質フォームは、軽量性、高い弾力性、良好な快適性、耐久性、高い遮音性、及び高い振動吸収性を有することを特徴とする。こうした素材は、自動車のシート、背もたれ、ヘッドレスト、アームレスト、遮音システム、及び他の用途に広く使用されている。自動車品質及び環境保護への要求が増す中、PU素材の臭気及び揮発性有機化合物(VOC)に対する注目度はますます高まっている。
【0004】
PU素材臭気及びVOC排出基準を改善するために、この分野の研究が過去10年の間に強化されてきている。多くのポリエーテルポリオールサプライヤーがポリエーテル自体のアルデヒド含量を低減しようと試みている一方で、補助的製造業者もまた、低揮発性触媒及びシリコーン油ならびにアルデヒドスカベンジャーを導入している。
【0005】
ポリウレタン市場に投入された最も低揮発性の触媒には、アルキル化ビス-(N,N-ジメチルアミノエトキシエチル)アミン、具体的には、ビス-(N,N-ジメチルアミノエトキシエチル)メチルアミンが含まれ、これは比較的高い沸点を有し、それ故に、「低揮発性触媒」または「低排出触媒」と一般に称される。
【0006】
例えば、特許文献1では、ビス-(N,N-ジメチルアミノエトキシエチル)メチルアミンの調製及びPU触媒としてのこの分子の使用について初めて説明されている。しかしながら、特許文献1に記載のプロセスにおいて使用される塩素化された硫黄及び/またはリンベースの生成物のいくつかは、保管、取り扱い、または輸送を行う上で非常に有毒、有害、かつ危険である。したがって、それらは、化学的プロセスにおいて経済的に実行可能なスケールでの使用に適さない。
【0007】
より最近では、特許文献2において、工業スケールで実行可能なビス-(N,N-ジメチルアミノエトキシエチル)メチルアミン調製プロセスが初めて開示された。この方法は、特許文献1に記載のものと比較して遊離形態または結合形態の塩素、リン、及び/または硫黄とは無縁であることから、蒸留後に非常に純粋な素材を与えるものである。この方法は、一般に、2つ以上のステップを含み、こうしたステップには、N,N-2-ジメチルアミノエトキシエタノールをアンモニアと反応させて主にビス-(N,N-2-ジメチルアミノエトキシエチル)アミンを得ることが含まれ、これがその後にメチル化されて所望の生成物とされる。
【0008】
特許文献2に記載の方法は、アルキル化ビス-(N,N-ジメチルアミノエトキシエチル)アミン触媒の調製に適し得る一方で、この方法は煩雑であることから、より少ないス
テップまたはわずか1ステップでのそのような触媒の調製に使用できる経済的に実行可能な新たな方法を開発することが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許第2618280号明細書
【特許文献2】国際公開第2010/139521号パンフレット
【発明の概要】
【0010】
本開示は、式(1)
【化1】
によって表される少なくとも1つのアルコールを、式(2)
【化2】
によって表される少なくとも1つのアミンと、水素及び触媒の存在下で反応させることによって第二級アミン、第三級アミン、またはその混合物のうちの少なくとも1つを生成させるための方法を提供し、式中、各R
1及びR
2は、水素及びC
1-C
4アルキル基から独立して選択され、各R
3は、-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-CH
2-、及び-CH
2-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-CH
2-からなる群から独立して選択されるアルキルエーテル部分であり、各R
4及びR
5は、水素または低級アルキル基から独立して選択される。この第二級アミンまたは第三級アミンは、単独で、または混合物中で組み合わせられて、ポリウレタン素材を生成させるための触媒として、または他の用途(油及びガス、金属加工、塗料、ならびに他のコーティング用途など)の成分として有用であり得る。
【0011】
したがって、さらに別の実施形態では、ポリウレタン素材を形成させるための方法が提供され、この方法は、本開示に示される第二級アミン、第三級アミン、またはその混合物の存在下で、イソシアネート官能基を含む化合物と活性水素含有化合物とを接触させることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
下記の用語は、下記の意味を有するものとする。
【0013】
「含む」という用語及びその派生語は、同じものが本明細書で開示されていようがいまいが、任意の追加の成分、ステップ、または手順の存在を除外することを意図するものではない。いずれの疑念の余地も残さないために記載すると、「含む」という用語の使用を介して本明細書で請求される組成物はすべて、矛盾する記載がない限り、任意の追加の添加剤または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語が本明細書で使用された場合、この用語は、実施可能性に必須ではないものを除き、続くいずれの記載の範囲からも任意の他の成分、ステップ、または手順を除外するものであり、「からなる」という用語が使用された場合、この用語は、具体的に説明または列挙されない任意の成
分、ステップ、または手順を除外するものである。「または」という用語は、別段の記載がない限り、列挙されるメンバーを個別に指すと共に、任意の組み合わせでも指す。
【0014】
「a」及び「an」という冠詞は、当該冠詞の文法的対象の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。例として、「アミン」は、1つのアミンまたは複数のアミンを意味する。「一実施形態では」という語句、「一実施形態によれば」という語句、及び同様のものは、一般に、当該語句に続く特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれると共に、本開示の複数の実施形態にも含まれ得ることを意味する。重要なことに、そのような語句は、必ずしも同じ態様を指すわけではない。成分または特徴が含まれるまたは特性を有する「ことがあり得る(may)」、「ことができる(can)」、「可能性がある(could)」、または「可能性がある(might)」という記載が本明細書にある場合、その特定の成分または特徴が含まれるまたは当該特性を有する必要があるわけではない。
【0015】
本明細書で使用される「約」という用語は、ある程度の変動を値または範囲に許容し得るものであり、例えば、この変動の程度は、記載の値または記載の範囲限界値の10%以内、5%以内、または1%以内であり得る。
【0016】
範囲形式で表現される値は、範囲の限界値として明確に記載される数値を含むだけでなく、その範囲内に包含される個々の数値または部分範囲のすべてをも、各数値及び部分範囲が明確に記載された場合と同様に含む柔軟な様式で解釈されるものとする。例えば、範囲(1~6など)は、具体的に開示される部分範囲(1~3、2~4、3~6など)ならびにその範囲内の個々の数字(例えば、1、2、3、4、5、及び6)を有すると見なされるものとする。このことは、範囲の幅とは無関係に適用される。
【0017】
「好ましい」及び「好ましくは」という用語は、ある特定の状況の下で、ある特定の利益をもたらし得る実施形態を指す。しかしながら、同じまたは他の状況の下で、他の実施形態もまた、好ましくあり得る。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を除外することを意図するものではない。
【0018】
置換基がその通常の化学式(左から右に記述される)によって特定される場合、そうした置換基は、構造を右から左に記述することで得られると想定される化学的に同一の置換基を等しく包含するものであり、例えば、-CH2O-は、-OCH2-と等しい。
【0019】
「アルキル基」という用語は、直鎖及び分岐鎖の両方の飽和アルキル基または不飽和アルキル基を含む。そのようなアルキル基は、別段の指定がない限り、最大で20個の炭素原子を有し得る。いくつかの実施形態では、アルキル基は、低級アルキル基であり得る。「低級アルキル」という用語は、1~4つの炭素原子を有するアルキル基を指す。低級アルキル基の例としては、限定されないが、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、及びブチル基が挙げられる。
【0020】
「任意選択の」または「任意選択で」という用語は、その後に記載される事象または状況が生じ得るか、または生じ得ないことを意味すると共に、説明が、当該事象または状況が生じる場合及びそれが生じない場合を含むことを意味する。
【0021】
本明細書で使用される「ポリウレタン」という用語は、純粋なポリウレタン、ポリウレタンポリウレア、及び純粋なポリウレアを包含することが理解されよう。
【0022】
本明細書で使用されるポリウレタン「素材(複数可)」という用語は、硬質フォーム、
軟質フォーム、半硬質フォーム、インテグラルフォーム、マイクロセルラーエラストマー、注型エラストマーフォーム、ポリウレタン-イソシアヌレートフォーム、反応射出成形ポリマー、構造反応射出成形ポリマー、及び同様のものを含む。
【0023】
本開示は、一般に、式(1)
【化3】
によって表される少なくとも1つのアルコールを、式(2)
【化4】
によって表される少なくとも1つのアミンと、水素及び触媒の存在下で反応させることによって、第二級アミン、第三級アミン、またはその混合物のうちの少なくとも1つを生成させるための方法を対象とし、式中、各R
1及びR
2は、水素及びC
1-C
4アルキル基から独立して選択され、各R
3は、-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-CH
2-、及び-CH
2-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-CH
2-からなる群から独立して選択されるアルキルエーテル部分であり、各R
4及びR
5は、水素または低級アルキル基から独立して選択される。
【0024】
特定の一実施形態では、方法は、ビス-(N,N-ジメチルアミノエトキシルエチル)アミンまたはビス-(N,N-ジメチルアミノエトキシエチル)アルキルアミン(具体的には、ビス-(N,N-ジメチルアミノエトキシエチル)メチルアミン)のうちの少なくとも1つを生成させるものである。ビス(N,N-ジメチルアミノエトキシエチル)アルキルアミンの他の実施形態には、「アルキル」基がエチル基、ブチル基、ペンチル基、またはヘキシル基であるものが含まれる。
【0025】
本開示の方法を実施することで、複数のステップを必要とする当該技術分野の方法の状況と比較して経済的に許容可能な量かつ1ステップで少なくとも1つの第二級アミン、第三級アミン、またはその混合物が生成され得ることが見出されており、これは驚くべきことである。
【0026】
本開示は、ポリウレタン素材も対象とし、具体的には、本明細書に記載の第二級アミン、第三級アミン、またはその混合物とイソシアネート官能基を含む化合物と活性水素含有化合物とを含むポリウレタン配合物から調製されるポリウレタンフォーム(例えば、硬質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、または軟質ポリウレタンフォームを含む)も対象とする。
【0027】
したがって、式(1)
【化5】
によって表される少なくとも1つのアルコールを、式(2)
【化6】
によって表される少なくとも1つのアミンと、触媒の存在下で反応させることによって、第二級アミン、第三級アミン、またはその混合物のうちの少なくとも1つを生成させるための方法が提供され、式中、各R
1及びR
2は、C
1-C
4アルキル基から独立して選択され、各R
3は、-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-CH
2-、及び-CH
2-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-CH
2-からなる群から独立して選択されるアルキルエーテル部分であり、各R
4及びR
5は、水素及び低級アルキル基から独立して選択される。
【0028】
特定の一実施形態によれば、R1及びR2は同じである。別の実施形態では、R1及びR2は、メチル基、エチル基、またはn-プロピル基から独立して選択され、具体的には、メチル基である。別の実施形態では、各R3は、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-基である。さらに別の実施形態では、R4及びR5は、水素または低級アルキル基から独立して選択され、特定の実施形態では、低級アルキル基はメチル基である。さらに別の実施形態では、R4及びR5は同じであり、特定の実施形態では、メチル基である。
【0029】
したがって、一実施形態によれば、少なくとも1つのアミンの化合物は、N,N-ジメチル-2-(2-(メチルアミノ)エトキシ)エタン-1-アミン(「T3MBAEE」)、2-(2-アミノエトキシ)-N,N-ジメチルエタン-1-アミン(「T2MBAEE」)、及び2,2’-オキシビス(N-メチルエタン-1-アミン)(「T2
*MBAEE」)のうちの1つ以上から選択され、これらは、それぞれ式(3)~(5):
【化7】
N,N-ジメチル-2-(2-(メチルアミノ)エトキシ)エタン-1-アミン(T3MBAEE)
【化8】
2-(2-アミノエトキシ)-N,N-ジメチルエタン-1-アミン(T2MBAEE)
【化9】
2,2’-オキシビス(N-メチルエタン-1-アミン)(T2
*MBAEE)
によって表される。
【0030】
特定の一実施形態では、少なくとも1つのアミンは、N,N-ジメチル-2-(2-(メチルアミノ)エトキシ)エタン-1-アミン(T3MBAEE)である。別の実施形態では、少なくとも1つのアミンは、T3MBAEE、T2MBAEE、T2
*MBAEE、及び2,2’-オキシビス(N,N-ジメチルエタン-1-アミン)(「T4MBAEE」)の混合物であり、T4MBAEEは、式(6):
【化10】
2,2’-オキシビス(N,N-ジメチルエタン-1-アミン)(T4MBAEE)
によって表される。
そのような実施形態では、少なくとも1つのアミンがT3MBAEE、T2MBAEE、T2
*MBAEE、及びT4MBAEEの混合物である場合、当該混合物は、当該混合物の総重量に基づいて、少なくとも10重量%、または少なくとも20重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%、またはさらには少なくとも90重量%の量のT3MBAEEを含む。
【0031】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つのアルコールは、2-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)エタン-1-オールを含み、これは、以下の式(7):
【化11】
2-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)エタン-1-オール
によって表される。
別の実施形態では、少なくとも1つのアルコールは、少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%、またはさらには少なくとも99重量%の2-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)エタン-1-オールを含む。
【0032】
したがって、特定の実施形態によれば、水素及び触媒の存在下で少なくとも1つのアルコール及び少なくとも1つのアミンを反応させることによって、ビス(N,N-ジメチルエトキシエチル)アミンを含む第二級アミンを生成させるための方法が提供される。さらに別の特定の実施形態では、水素及び触媒の存在下で少なくとも1つのアルコール及び少なくとも1つのアミンを反応させることによって、ビス(N,N-ジメチルエトキシエチル)アルキルアミン、具体的には、ビス(N,N-ジメチルエトキシエチル)メチルアミンを含む第三級アミンを生成させるための方法が提供される。さらに別の実施形態では、水素及び触媒の存在下で少なくとも1つのアルコール及び少なくとも1つのアミンを反応
させることによって、ビス(N,N-ジメチルエトキシエチル)アミンを含む第二級アミンと、ビス-(N,N-ジメチルアミノエチオキシエチル)アミンを含む第三級アミンと、を生成させるための方法が提供される。
【0033】
上記の実施形態では、方法は、第二級アミンの混合物、第三級アミンの混合物、または第二級アミン及び第三級アミンの混合物を生成させ得るものであり、そのようなアミンは、蒸留などの既知の手段によって分離され得る。
【0034】
少なくとも1つのアルコールと少なくとも1つのアミンとの化合物の重量比は、約30:70~約70:30、または約40:60~約60:40、または約45:55~約55:45、またはさらには約50:50であり得る。
【0035】
一実施形態によれば、存在する触媒は、銅クロマイト触媒であり得る。銅クロマイト触媒は、元素周期表のI B/VI B族の典型的な酸化触媒の例であり、この触媒は、上記の式(1)及び(2)の化合物の反応に適する。
【0036】
I A族及びIIA族、IV B族、IV A族、VIII B族の元素を主に含む多数のプロモーターが使用され得る。上記の反応における使用に適した他の触媒は、VIII B族の担持触媒または非担持触媒である。VIII B族金属の担体は、Al2O3、SiO2、TiO2、活性炭などである。また、いくつかの実施形態では、上記のそのような触媒(主にI A族及びII A族、IV B族、IV A族のもの)に異なるプロモーターが付加され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、触媒量は、少なくとも1つのアルコールのフィードに基づくLHSV(=リットル/リットル*h”1)として表現され、0.01~2.0の触媒量、好ましくは、0.1~1の触媒量が使用され得る。
【0038】
別の実施形態によれば、ポリウレタン素材を形成させるための方法が提供され、この方法は、本開示の第二級アミンもしくは第三級アミンまたはその混合物の存在下で、イソシアネート官能基を含む化合物と活性水素含有化合物とを接触させることを含む。
【0039】
別の実施形態によれば、第二級アミンもしくは第三級アミンまたはその混合物は、他の既知の第二級/第三級アミン触媒及び少なくとも1つの非アミンと組み合わせられ得る。非アミン触媒は、イソシアネート基と活性水素含有化合物との反応に対する触媒活性を有する化合物である。そのような追加の非アミン触媒の例としては、例えば、
第三級ホスフィン(トリアルキルホスフィン及びジアルキルベンジルホスフィンなど)、
さまざまな金属のキレート(アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、アセト酢酸エチル、及び同様のものと金属(Be、Mg、Zn、Cd、Pd、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、及びNiなど)とから得ることができるものなど)、
金属カルボン酸塩(酢酸カリウム及び酢酸ナトリウムなど)、
強酸の酸性金属塩(塩化第二鉄、塩化第二スズ、塩化第一スズ、三塩化アンチモン、硝酸ビスマス、及び塩化ビスマスなど)、
強塩基(アルカリ及びアルカリ土類金属水酸化物、アルコキシド及びフェノキシドなど)、
さまざまな金属のアルコラート及びフェノラート(Ti(OR6)4、Sn(OR6)4、及びAl(OR6)3など(R6は、アルキルまたはアリールである))ならびにアルコラートとカルボン酸、ベータ-ジケトン、及び2-(N,N-ジアルキルアミノ)アルコールとの反応生成物、
アルカリ土類金属、Bi、Pb、Sn、またはAlカルボン酸塩、ならびに四価スズ化合物、及び三価または五価ビスマス、アンチモンまたはヒ素化合物
が挙げられる。
【0040】
第二級アミンもしくは第三級アミンまたはその混合物、及び任意選択の非アミン触媒は、触媒的に有効な量で使用されることで、硬質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、もしくは軟質ポリウレタンフォームまたは他のポリウレタン素材を調製するための、イソシアネート官能基を含む化合物と活性水素含有化合物との間の反応を触媒し得る。上記の第二級アミン、第三級アミン、またはその混合物、及び任意選択の非アミン触媒の触媒的に有効な量は、活性水素含有化合物100部当たり約0.01~15部、いくつかの実施形態では、活性水素含有化合物100部当たり約0.05~12.5部、さらに別の実施形態では、活性水素含有化合物100部当たり約0.1~7.5部、さらに別の実施形態では、活性水素含有化合物100部当たり約0.5~5部であり得る。特定の一実施形態では、第二級アミンもしくは第三級アミンまたはその混合物、及び任意選択の非アミンの量は、活性水素含有化合物100部当たり約0.1~3部であり得る。
【0041】
一実施形態では、少なくとも1つのアルコール及び少なくとも1つのアミンを反応させるステップは、1リットルの触媒に対する少なくとも1つのアルコール及び少なくとも1つのアミンの液体投入量を0.01~1kg/時間として80℃~250℃の温度で少なくとも1つのアルコール、少なくとも1つのアミン、及び触媒の混合物を加熱することを含む。一実施形態では、アルコール、アミン、及び触媒は、10~200バールの圧力範囲で反応される。
【0042】
一実施形態では、イソシアネート官能基を含む化合物は、ポリイソシアネート及び/またはイソシアネート末端プレポリマーである。
【0043】
ポリイソシアネートには、一般式Q(NCO)aによって表されるものが含まれ、式中、aは、2~5(2~3など)の数であり、Qは、2~18個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、5~10個の炭素原子を含むシクロ脂肪族炭化水素基、8~13個の炭素原子を含む芳香脂肪族炭化水素基、または6~15個の炭素原子を含む芳香族炭化水素基である。
【0044】
ポリイソシアネートの例としては、限定されないが、エチレンジイソシアネート;1,4-テトラメチレンジイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;1,12-ドデカンジイソシアネート;シクロブタン-1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート及びシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ならびにこれらの異性体の混合物;イソホロンジイソシアネート;2,4-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート及び2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、ならびにこれらの異性体の混合物;ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(水添MDI、すなわちHMDI);1,3-フェニレンジイソシアネート及び1,4-フェニレンジイソシアネート;2,4-トルエンジイソシアネート及び2,6-トルエンジイソシアネート、ならびにこれらの異性体(TDI)の混合物;ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート及び/またはジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI);ナフチレン-1,5-ジイソシアネート;トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート;アニリンをホルムアルデヒドと縮合させ、その後にホスゲン化することによって得ることができる型のポリフェニル-ポリメチレン-ポリイソシアネート(クルードMDI);ノルボルナンジイソシアネート;m-及びp-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート;過塩素化アリールポリイソシアネート;カルボジイミド基、ウレタン基、アロファネート基、イソシアヌレート基、ウレア基、またはビルレット基を含む修飾ポリイソシアネート;テロメル化反応によって得られるポリイソシアネート;
エステル基を含むポリイソシアネート;ならびにポリマー脂肪酸基を含むポリイソシアネートが挙げられる。上記のポリイソシアネートの混合物を使用することも可能であることを当業者なら認識するであろう。
【0045】
イソシアネート末端プレポリマーもまた、ポリウレタン素材の調製に用いられ得る。イソシアネート末端プレポリマーは、過剰のポリイソシアネートまたはその混合物を、公知のZerewitinoff試験によって決定される少量の活性水素含有化合物と反応させることによって調製され得る。
【0046】
別の実施形態では、活性水素含有化合物は、ポリオールである。本開示における使用に適したポリオールには、限定されないが、ポリアルキレンエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、不燃性ポリオール(リン含有ポリオールまたはハロゲン含有ポリオールなど)が含まれる。そのようなポリオールは、単独で使用されるか、または混合物として適切な組み合わせで使用され得る。
【0047】
ポリアルキレンエーテルポリオールには、ポリ(アルキレンオキシド)ポリマー(ポリ(エチレンオキシド)ポリマー及びポリプロピレンオキシド)ポリマーなど)、ならびに多価化合物(ジオール及びトリオールを含む)由来の末端ヒドロキシル基を有する及びコポリマーが含まれ、こうした多価化合物は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、及び同様の低分子量ポリオールである。
【0048】
ポリエステルポリオールには、限定されないが、ジカルボン酸と過剰のジオールとの反応(例えば、アジピン酸とエチレングリコールもしくはブタンジオールとの反応)によって生成されるもの、またはラクトンと過剰のジオールとの反応(カプロラクトンとプロピレングリコールとの反応など)によって生成されるものが含まれる。
【0049】
ポリアルキレンエーテルポリオール及びポリエステルポリオールに加えて、ポリマーポリオールもまた、本開示における使用に適する。ポリマーポリオールをポリウレタン素材に使用して変形に対する抵抗性を増加させることで、例えば、フォームまたは素材の耐荷重特性が改善される。ポリマーポリオールの例としては、限定されないが、グラフトポリオールまたはポリウレア修飾ポリオール(Polyharnstoff分散ポリオール)が挙げられる。グラフトポリオールは、ビニルモノマーがグラフト共重合したトリオールを含む。適切なビニルモノマーには、例えば、スチレンまたはアクリロニトリルが含まれる。ポリウレア修飾ポリオールは、ポリオールの存在下でジアミンとジイソシアネートとを反応させることによって形成されるポリウレア分散質を含むポリオールである。ポリウレア修飾ポリオールの変形はポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオールであり、これは、ポリオール中でソシアネートとアルカノールアミンとをin situで反応させることによって形成される。
【0050】
不燃性ポリオールは、例えば、アルキレンオキシドをリン酸化合物に付加することによって得ることが可能なリン含有ポリオールであり得る。ハロゲン含有ポリオールは、例えば、エピクロロヒドリンまたはトリクロロブチレンオキシドの開環重合によって得ることが可能なものであり得る。
【0051】
ポリウレタン素材を生成させる方法は、発泡剤として働く1つ以上のハロゲン化オレフィン化合物の存在下でも実施され得る。ハロゲン化オレフィン化合物は、3~4つの炭素原子及び少なくとも1つの炭素間二重結合を含む少なくとも1つのハロアルケン(例えば
、フルオロアルケンまたはクロロフルオロアルケン)を含む。適切な化合物には、ハイドロハロオレフィンが含まれ得る。こうしたハイドロハロオレフィンは、トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン(例えば、テトラフルオロプロペン(1234))、ペンタフルオロプロペン(例えば、ペンタフルオロプロペン(1225))、クロロトリフロロプロペン(例えば、クロロトリフロロプロペン(1233))、クロロジフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、クロロテトラフルオロプロペン、ヘキサフルオロブテン(例えば、ヘキサフルオロブテン(1336))、またはそれらの組み合わせなどである。ある特定の実施形態では、テトラフルオロプロペン化合物、ペンタフルオロプロペン化合物、及び/またはクロロトリフロロプロペン化合物は、不飽和炭素鎖の末端炭素原子に連結された1つ以下のフッ素置換基または塩素置換基を有する(例えば、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze);1,1,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(1225ye)、1,1,1-トリフルオロプロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロペン(1225zc)、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン(1225yc)、(Z)-1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペン(1225yez)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(1336mzzm)、またはそれらの組み合わせ)。
【0052】
単独で使用されるか、または上記のハロゲン化オレフィン化合物と組み合わせて使用され得る他の発泡剤には、空気、窒素、二酸化炭素、ハイドロフルオロカーボン(「HFC」)、アルカン、アルケン、モノカルボン酸塩、ケトン、エーテル、またはそれらの組み合わせが含まれる。適切なHFCには、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルロブタン(HFC-365mfc)、またはそれらの組み合わせが含まれる。適切なアルカン及びアルケンには、n-ブタン、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、1-ペンテン、またはそれらの組み合わせが含まれる。適切なモノカルボン酸塩には、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、またはそれらの組み合わせが含まれる。適切なケトン及びエーテルには、アセトン、ジメチルエーテル、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0053】
さらに、ポリウレタン素材を生成させる方法は、1つ以上の補助成分の存在下でも実施され得る。補助成分の例としては、限定されないが、セル安定化剤、界面活性剤、鎖延長剤、顔料、フィラー、難燃剤、熱膨張性マイクロスフェア、水、増粘剤、煙抑制剤、補強剤、抗酸化剤、UV安定化剤、帯電防止剤、赤外線吸収剤、染料、離型剤、抗真菌剤、バイオサイド、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0054】
セル安定化剤には、例えば、シリコン界面活性剤または陰イオン界面活性剤が含まれ得る。適切なシリコン界面活性剤の例としては、限定されないが、ポリアルキルシロキサン、ポリオキシアルキレンポリオール修飾ジメチルポリシロキサン、アルキレングリコール修飾ジメチルポリシロキサン、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0055】
適切な界面活性剤(surfactant)(すなわち、表面活性剤(surface-active agent))には、乳化剤及び気泡安定剤(当該技術分野で知られるシリコーン界面活性剤(例えば、ポリシロキサン)など)、ならびに脂肪酸のさまざまなアミン塩(オレイン酸ジエチルアミンまたはステアリン酸ジエタノールアミンなど)、ならびにリシンオレイン酸のナトリウム塩が含まれる。
【0056】
鎖延長剤の例としては、限定されないが、ヒドロキシル官能基またはアミノ官能基を有
する化合物(グリコール、アミン、ジオール、及び水など)が含まれる。鎖延長剤の追加の例としては、限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、エトキシ化ハイドロキノン、1,4-シクロヘキサンジオール、N-メチルエタノールアミン、N-メチルイソプロパノールアミン、4-アミノシクロ-ヘキサノール、1,2-ジアミノエタン、またはその任意の混合物が挙げられる。
【0057】
顔料は、製造の間にポリウレタン素材を塗り分けて製品等級を特定することまたは黄変を隠すことに使用され得る。顔料には、任意の適切な有機顔料または無機顔料が含まれ得る。例えば、有機顔料または着色剤には、限定されないが、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジン、またはカーボンブラックが含まれる。無機顔料の例としては、限定されないが、二酸化チタン、酸化鉄、または酸化クロムが挙げられる。
【0058】
フィラーは、ポリウレタンフォームまたはポリウレタン素材の密度及び耐荷重特性を増加させるために使用され得る。適切なフィラーには、限定されないが、硫酸バリウム、カーボンブラック、または炭酸カルシウムが含まれる。
【0059】
難燃剤は、燃焼性を低減するために使用され得る。例えば、そのような難燃剤には、限定されないが、塩素化リン酸エステル、塩素化パラフィン、またはメラミン粉末が含まれる。
【0060】
熱膨張性マイクロスフェアには、(シクロ)脂肪族炭化水素を含むものが含まれる。そのようなマイクロスフェアは、一般に、平均直径が典型的には10~15ミクロンの小さな球状粒子からなる未膨張または部分的に未膨張の乾燥マイクロスフェアである。スフェアは、気体を通さないポリマーシェル(例えば、アクリロニトリルまたはPVDCからなる)から形成され、(シクロ)脂肪族炭化水素(例えば、液体イソブタン)の微小液滴を内包している。こうしたマイクロスフェアが、熱可塑性シェルが軟化し、そこに内包される(シクロ)脂肪族炭化水素が揮発する上で十分な上昇温度レベル(例えば、150℃~200℃)の熱に供された場合、生じた気体がシェルを膨張させ、マイクロスフェアの体積を増加させる。膨張時には、マイクロスフェアの直径はその元の直径の3.5~4倍になり、その結果、マイクロスフェアの膨張体積は、未膨張状態のマイクロスフェアの最初の体積と比較して約50~60倍になる。そのようなマイクロスフェアの例は、AKZO
Nobel Industries of Swedenによって市販されているEXPANCEL(登録商標)-DUマイクロスフェアである。
【0061】
本開示によるポリウレタン配合物からポリウレタン素材を生成させるための方法は当業者によく知られており、例えば、米国特許第5,420,170号、同第5,648,447号、同第6,107,359号、同第6,552,100号、同第6,737,471号、及び同第6,790,872号において見つけることができ、これらの内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。さまざまな型のポリウレタン素材を調製することができ、こうしたものは、硬質フォーム、軟質フォーム、半硬質フォーム、インテグラルフォーム、マイクロセルラーエラストマー、注型エラストマーフォーム、ポリウレタン-イソシアヌレートフォーム、反応射出成形ポリマー、構造反応射出成形ポリマー、及び同様のものなどである。
【0062】
一実施形態によれば、本開示によるポリウレタン素材は、DIN 53 421/DIN EN ISO 604に従う10%圧縮または圧縮強度での圧縮応力が15kPa以下、好ましくは、1~14kPa、具体的には、4~14kPaである軟質ポリウレタンフォームである。
【0063】
別の実施形態によれば、本開示によるポリウレタン素材は、DIN 53 421/DIN EN ISO 604に従う10%圧縮での圧縮応力が15kPa超~80kPa未満である半硬質ポリウレタンフォームである。DIN ISO 4590によれば、本開示による半硬質ポリウレタンフォーム及び軟質ポリウレタンフォームは、好ましくは、85%超、特に好ましくは、90%超のオープンセルを有し得る。
【0064】
別の実施形態によれば、本開示によるポリウレタン素材は、10%圧縮での圧縮応力が80kPa以上、好ましくは、120kPa以上、特に好ましくは、150kPa以上である硬質ポリウレタンフォームである。さらに、DIN ISO 4590に従う硬質ポリウレタンフォームは、80%超、好ましくは、90%超のクローズドセルを有する。
【0065】
別の実施形態では、ポリウレタン素材は、DIN 7726に従うポリウレタンフォームを意味すると理解されるエラストマーポリウレタンフォームであり、これは、DIN 53 577に従って厚みの50%のひずみを短時間生じさせた後でも、10分後に永久ひずみが元の厚みの2%を超えないものである。こうしたものは、硬質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、または軟質ポリウレタンであり得る。
【0066】
別の実施形態では、本開示によるポリウレタン素材は、DIN 7726に従うインテグラルポリウレタンフォームであり、このインテグラルポリウレタンフォームは、成形プロセスに起因して、コアと比較してエッジゾーンの密度が高いものである。コア及び辺縁ゾーンにまたがって平均化される総嵩比重は、好ましくは、100g L超である。本開示の意味におけるインテグラルポリウレタンフォームは、硬質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、または軟質ポリウレタンフォームでもあり得る。
【0067】
一実施形態では、本開示によるポリウレタン素材は、20g/L~850g/Lの平均密度を有するポリウレタンフォームであり、好ましくは、ポリウレタン硬質フォームまたは軟質ポリウレタンフォームまたは硬質ポリウレタンフォームであり、特に好ましくは、エラストマー軟質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム、またはエラストマーインテグラルポリウレタンフォームである。
【0068】
特定の一実施形態では、本発明によるポリウレタン素材は、20~850g/Lの平均密度を有するポリウレタンフォームであり、好ましくは、半硬質ポリウレタンフォームまたは軟質ポリウレタンフォームであり、特に好ましくは、エラストマー軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、またはエラストマーインテグラルポリウレタンフォームである。
【0069】
エラストマーインテグラルポリウレタンフォームは、好ましくは、コア及びエッジゾーンにまたがって平均される密度が150g/L~500g/Lのものである。軟質ポリウレタンフォームは、好ましくは、10g/L~100g/Lの平均密度を有する。半硬質ポリウレタンフォームは、好ましくは、70g/L~150g/Lの平均密度を有する。
【0070】
別の実施形態では、本開示によるポリウレタンフォームは、好ましくは、850g/L超、好ましくは、900g/L~1400g/L、特に好ましくは、1000g/L~1300g/Lの密度を有する固体ポリウレタンである。固体ポリウレタンは、基本的には、発泡剤を添加せずに得られる。生産上の理由でポリオール中に含まれる少量の発泡剤(例えば、水)は発泡剤とは見なされない。コンパクトポリウレタンフォームを生成させるためのポリウレタン配合物は、好ましくは、0.2重量%未満、特に好ましくは、0.1重量%未満、具体的には、0.05重量%未満の水を含む。
【0071】
特定の一実施形態では、ポリウレタン素材は、本開示の少なくとも1つの第二級アミンまたは第三級アミンの存在下で少なくとも1つのポリオール及び少なくとも1つのポリイソシアネートを一緒にして反応混合物を形成させ、この反応混合物を、ポリオールがポリイソシアネートと反応する上で十分な条件に供すことによって調製される硬質フォーム、半硬質フォーム、または軟質フォームである。ポリオール、ポリイソシアネート、ならびに少なくとも1つの第二級アミン及び第三級アミンは、それらを混合し、反応混合物を形成させる前に加熱され得る。他の実施形態では、ポリオール、ポリイソシアネート、ビルドインアミン触媒、及びスルホン酸エステルは環境温度(例えば、約15℃~40℃)で混合され、反応混合物が加熱され得るが、いくつかの実施形態では、加熱は不要であり得る。ポリウレタンフォームは、垂直方向の制約が最小または皆無の下でフォームを上方向に自由に成長させるフリーライズ(スラブストック)プロセスで調製され得る。あるいは、反応混合物を密閉モールドに導入し、モールド内で反応混合物からフォームを形成させることによって成型フォームが調製され得る。得られるフォームの所望の特徴に応じて特定のポリオール及びポリイソシアネートが選択される。ポリウレタンフォームの調製に有用な他の補助成分(上記のものなど)もまた、特定の型のフォームを生成させるために含められ得る。
【0072】
生成されるポリウレタン素材は、さまざまな用途で使用され得るものであり、こうした用途には、限定されないが、輸送手段(船、航空機、トラック、自動車、またはバスなど、特に好ましくは、自動車またはバス、具体的には、自動車)の乗り物内外装部品での使用が含まれる。自動車及びバスの内装は、以後は自動車内装部品と称される。軟質ポリウレタンフォームは、シートクッションとして、半硬質ポリウレタンフォームは、ドアサイド要素または計器パネルのバックフォーミングとして、インテグラルポリウレタンフォームは、ハンドル、シフトボタンとして使用され得る。ポリウレタンフォームは、ベッドライナー、ダッシュボード、ドアパネルにも使用され得る。他の実施形態では、ポリウレタンフォームは、プレコート、カーペット用の基材、建築用複合材、断熱材、スプレーフォーム断熱材、衝突混合スプレーガンを使用する必要がある用途、ウレタン/ウレアハイブリッドエラストマー、インテグラルスキンフォーム、硬質スプレーフォーム、硬質ポアインプレースフォーム、コーティング、接着剤、シーラント、フィラメントワインディング、ならびに他のポリウレタン複合材、フォーム、エラストマー、樹脂、及び反応射出成形(RIM)用途として使用され得る。他の実施形態では、それらは、他の組成物(油及びガス、金属加工、塗料、ならびに他のコーティング組成物など)における使用のための成分として使用され得る。
【0073】
ここでは、下記の非限定的な実施例を参照して本開示についてさらに説明される。
【実施例】
【0074】
実施例1
1000mlのステンレス製断熱下降流リアクターに市販の銅クロマイト触媒(Clariantから供給されるHyMax(登録商標)250)を2kg投入した。50:50wt%の比で予め混合した以下に示される原料用の流入ライン及びフィードポンプと連続式リアクター系の上部とを接続した。リアクターの下部からリアクター流出物を採取し、減圧し、脱気し、収集して分析用及び追加用途用とした。以下の表は、原料ストリーム組成、すべてのランニング条件、及び流出物組成を示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【0075】
前述の内容は、本開示のさまざまな実施形態を対象としているが、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態を、その基本範囲から逸脱することなく考案することができ、その範囲は、以下に続く特許請求の範囲によって決定される。
【国際調査報告】