(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】ニットブラ
(51)【国際特許分類】
A41C 3/00 20060101AFI20231110BHJP
D04B 1/00 20060101ALI20231110BHJP
D04B 1/24 20060101ALI20231110BHJP
A41C 5/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
A41C3/00 Z
D04B1/00 B
D04B1/24
D04B1/00 A
A41C5/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527444
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 US2021059526
(87)【国際公開番号】W WO2022115276
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174001
【氏名又は名称】結城 仁美
(72)【発明者】
【氏名】ジェシー エル バートン
(72)【発明者】
【氏名】ポール アール モンゴメリー
(72)【発明者】
【氏名】タラ ペニントン
(72)【発明者】
【氏名】エイミー トース
(72)【発明者】
【氏名】サマンサ イージー ウッダード
【テーマコード(参考)】
3B131
4L002
【Fターム(参考)】
3B131AA11
3B131AB04
3B131AB05
3B131AB06
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3B131CA05
3B131CA07
3B131CA11
4L002AC06
4L002BA00
4L002BA04
4L002BA05
4L002BB01
4L002EA00
4L002FA03
(57)【要約】
本明細書の態様は、中間コース内のタックステッチに対するフロートステッチの異なる比率を有するダブルニット構造を備えた前部を有するブラに関する。前部は、Y字形領域と第1の乳房接触領域とを含み、中間コースは、第1の乳房接触領域よりもY字形領域内でフロートステッチとタックステッチの比率が大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラであって、右上部、左上部、及び中央下部を有するY字形領域と第1の乳房接触領域とを含むダブルニット前部を含み、前記ダブルニット前部は、第1の糸によって形成された複数の表コースと、第2の糸によって形成された複数の裏コースと、前記複数の表コース及び前記複数の裏コースとインターループする第3の糸によって形成される複数の中間コースとを含み、前記複数の中間コースのうちの1つ以上は、1つ以上のタックステッチ及び1つ以上のフロートステッチを有し、前記複数の中間コースのうちの前記1つ以上は、いずれも、前記Y字形領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第1の比率と、前記第1の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第2の比率とを有し、前記第1の比率は前記第2の比率よりも大きい、ブラ。
【請求項2】
前記第1の糸、前記第2の糸、及び前記第3の糸は異なる色を有する、請求項1に記載のブラ。
【請求項3】
前記Y字形領域は前記第1の乳房接触領域と一体的に編まれている、請求項1~2のいずれかに記載のブラ。
【請求項4】
前記ダブルニット前部は、第2の乳房接触領域をさらに含み、前記Y字形領域の中央下部は、前記第1の乳房接触領域と前記第2の乳房接触領域との間に配置される、請求項1~3のいずれかに記載のブラ。
【請求項5】
前記Y字形領域の右上部は、前記第1の乳房接触領域よりも上に配置され、前記Y字形領域の左上部は、前記第2の乳房接触領域よりも上に配置される、請求項4のいずれかに記載のブラ。
【請求項6】
前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第2の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第3の比率を有し、前記第1の比率は、前記第3の比率よりも大きい、請求項1~5のいずれかに記載のブラ。
【請求項7】
前記第3の比率は、前記第2の比率と実質的に同じである、請求項6に記載のブラ。
【請求項8】
前記ダブルニット前部は、第1のウイング領域をさらに含み、前記第1の乳房接触領域は、前記Y字形領域と前記第1のウイング領域との間に配置され、前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第1のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第4の比率を有し、前記第4の比率は、前記第2の比率よりも大きい、請求項1~7のいずれかに記載のブラ。
【請求項9】
前記ダブルニット前部は、第2のウイング領域をさらに含み、前記第2の乳房接触領域は、前記Y字形領域と前記第2のウイング領域との間に配置され、前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第2のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第5の比率を有し、前記第5の比率は、前記第2の比率よりも大きい、請求項8に記載のブラ。
【請求項10】
前記Y字形領域内のニットステッチは、第1のニットステッチ長さを含み、前記第1の乳房接触領域内のニットステッチは、前記第1のニットステッチ長さより大きい第2のニットステッチ長さを含む、請求項1~9のいずれかに記載のブラ。
【請求項11】
前記ダブルニット前部は、前記第1の糸によって形成された前記複数の表コースを含む表層と、前記第2の糸によって形成された前記複数の裏コースを含む裏層とを含み、前記1つ以上の中間コースの前記1つ以上のフロートステッチは、前記表層と前記裏層との間に配置される、請求項1~10のいずれかに記載のブラ。
【請求項12】
第2の複数の表コース及び第2の複数の裏コースを含むダブルニット後部をさらに含み、前記第2の複数の表コース及び前記第2の複数の裏コースは、前記ダブルニット前部の複数の表コース、複数の裏コース、及び複数の中間コースに対して直角に延びる、請求項1~11のいずれかに記載のブラ。
【請求項13】
ブラであって、右上部、左上部、及び中央下部を有するY字形領域と、第1の乳房接触領域と、第2の乳房接触領域と、第1のウイング領域と、第2のウイング領域とを含むダブルニット前部を含み、前記ダブルニット前部は、第1の糸によって形成された複数の表コースと、第2の糸によって形成された複数の裏コースと、前記複数の表コース及び前記複数の裏コースとインターループする第3の糸によって形成される複数の中間コースとを含み、前記複数の中間コースのうちの1つ以上は、1つ以上のタックステッチ及び1つ以上のフロートステッチを有し、前記複数の中間コースのうちの前記1つ以上は、いずれも、前記Y字形領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第1の比率と、前記第1の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第2の比率と、前記第2の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第3の比率と、前記第1のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第4の比率と、前記第2のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第5の比率とを有し、前記第1の比率、前記第4の比率、及び前記第5の比率は、いずれも、前記第2の比率及び前記第3の比率よりも大きい、ブラ。
【請求項14】
前記第1の比率、前記第4の比率、及び前記第5の比率は実質的に同じである、請求項13に記載のブラ。
【請求項15】
前記ダブルニット前部は、前記第1の糸によって形成された前記複数の表コースを含む表層と、前記第2の糸によって形成された前記複数の裏コースを含む裏層とを含み、前記1つ以上の中間コースの前記1つ以上のフロートステッチは、前記表層と前記裏層との間に配置される、請求項13~14のいずれかに記載のブラ。
【請求項16】
前記Y字形領域内のニットステッチは、第1のニットステッチ長さを含み、前記第1の乳房接触領域及び前記第2の乳房接触領域内のニットステッチは、前記第1のニットステッチ長さより大きい第2のニットステッチ長さを含む、請求項13~15のいずれかに記載のブラ。
【請求項17】
ブラを製造する方法であって、前記ブラの前部を編むことを含み、前記前部は、右上部、左上部、及び中央下部を有するY字形領域と第1の乳房接触領域とを含み、前記前部を編むことは、第1の糸で複数の表コースを編むことと、第2の糸で複数の裏コースを編むことと、前記複数の表コース及び前記複数の裏コースとインターループする第3の糸で複数の中間コースを編むこととを含み、前記複数の中間コースのうちの1つ以上は、1つ以上のタックステッチ及び1つ以上のフロートステッチで編まれ、前記複数の中間コースのうちの前記1つ以上は、いずれも、前記Y字形領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第1の比率と、前記第1の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第2の比率とを有し、前記第1の比率は前記第2の比率よりも大きい、方法。
【請求項18】
前記前部は、前記Y字形領域によって前記第1の乳房接触領域から分離された第2の乳房接触領域をさらに含み、前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第2の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第3の比率を有し、前記第3の比率は、前記第1の比率よりも小さい、請求項17に記載のブラを製造する方法。
【請求項19】
前記前部は、前記第1の乳房接触領域に隣接して配置された第1のウイング領域と、前記第2の乳房接触領域に隣接して配置された第2のウイング領域とをさらに含み、前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第1のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第4の比率と、前記第2のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第5の比率とを有し、前記第4の比率及び前記第5の比率は、いずれも、前記第2の比率及び前記第3の比率よりも大きい、請求項18に記載のブラを製造する方法。
【請求項20】
前記前部は、前記第1の糸によって形成された前記複数の表コースを含む表層と、前記第2の糸によって形成された前記複数の裏コースを含む裏層とを含み、前記1つ以上の中間コースの前記1つ以上のフロートステッチは、前記表層と前記裏層との間に配置される、請求項17~19のいずれかに記載のブラを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の態様は、ゾーン特性を有するニットブラ、及びゾーン特性を有するニットブラを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツブラを含む従来のブラは、一般的に、様々な布地を縫い合わせることで、さまざまなレベルのサポートを提供する。このタイプの構造は、着用者に不快感を与え、製造プロセスのコストと時間を増加させる可能性のある複数の縫い目線を引き起こす。また、従来のブラは1つの編み方向で製造されるため、様々な構造を効率的に形成する能力が低下する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】
図1は本明細書の態様に係るニットブラの正面斜視図である。
【
図2】
図2は本明細書の態様に係る
図1のブラの正面図を示す。
【
図3】
図3は本明細書の態様に係る
図1のブラの背面図を示す。
【
図4】
図4は本明細書の態様に係る
図1のブラの左側面図を示す。
【
図5】
図5は本明細書の態様に係る、
図1のブラの1つ以上の領域における例示的なニット構造のニットの概略図を示す。
【
図6】
図6は本明細書の態様に係る
図5の例示的なニット構造のニット図を示す。
【
図7】
図7は本明細書の態様に係る
図5の例示的なニット構造のニット図を示す。
【
図8】
図8は本明細書の態様に係る、
図1のブラの1つ以上の領域における例示的なニット構造のニットの概略図を示す。
【
図9】
図9は本明細書の態様に係る
図8の例示的なニット構造のニット図を示す。
【
図10】
図10は本明細書の態様に係る、フロートステッチとタックステッチの比率が異なるニットブラを製造する例示的な方法の流れ図を示す。
【
図13】
図13は、本明細書の態様に係る、異なる編み方向でニットブラを製造する例示的な方法の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明の要旨は、法定要件を満たすために、本明細書において具体的に説明されている。しかしながら、説明自体は、本開示の範囲を限定することを意図していない。むしろ、発明者は、特許請求又は開示された主題が、本明細書で説明されているものと類似する異なるステップ又はステップの組み合わせを含むように、現在又は将来の他の技術と組み合わせて他の方法で具現化される可能性があることも考えている。さらに、「ステップ」及び/又は「ブロック」という用語は、本明細書では、使用される方法の異なる要素を識別するために使用される場合があるが、これらの用語は、個々のステップの順序が明確に記載されない限り及び記載されるときを除いて、本明細書中に開示したさまざまなステップ間でいずれかの特定の順序を示唆するようには解釈されるべきではない。
【0005】
スポーツブラなどのスポーツ活動中に着用するブラは、一般に、特に着用者がブラを着脱するときに、ある程度の可動性と柔軟性を確保しながら、着用者の乳房を十分にサポートするために、一部の領域ではより大きなサポートを提供する必要があり、他の領域ではより高い伸縮性を提供する必要がある。従来のブラは、一般的に、様々な布地を縫い合わせることで、さまざまなレベルのサポートを提供する。このタイプの構造は、着用者に不快感を与え、製造プロセスのコストと時間を増加させる可能性のある複数の縫い目線を引き起こす。さらに、従来のブラは、ブラのニットコースが一般に共通の方向に延びるように、布地が別々に編まれる場合でも、従来、一方向に編むことによって製造される。ブラ全体に同じ編み方向を利用すると、ブラの異なるタイプの構造を効率的で一体的に編む能力が低下する。
【0006】
高レベルでは、本明細書の態様は、少なくともダブルニット前部を含むブラに関する。前部は、第1の乳房接触領域と、右上部、左上部、及び中央下部を有するY字形領域とを有する。Y字形領域及び第1の乳房接触領域は、いずれも、表コース、裏コース、及び表コースと裏コースの間に少なくとも部分的に延びる中間コースを有する。例えば、Y字形領域と第1の乳房接触領域を形成するダブルニット前部は、第1の糸によって形成される複数の表コースと、第2の糸によって形成される複数の裏コースと、複数の表コース及び複数の裏コースとインターループする第3の糸によって形成される複数の中間コースとを含んでもよい。例示的な態様では、第1の糸、第2の糸、及び第3の糸はいずれもポリエステル材料である。また、表コースはダブルニット前部の表層を形成し、裏コースはダブルニット前部の裏層を形成する。中間コースの1つ以上は、いずれも、1つ以上のフロートステッチと、1つ以上のタックステッチとを有し、表層又は裏層で第3の糸がループを形成する。例示的な態様では、第3の糸によって形成されたフロートステッチは、表層と裏層との間に完全に配置される。
【0007】
1つ以上の中間コース内のフロートステッチとタックステッチの比率は、ダブルニット前部内の領域にわたって変化し得る。例示的な態様では、Y字形領域内のフロートステッチとタックステッチの比率は、第1の乳房接触領域内のフロートステッチとタックステッチの比率よりも大きい。Y字形領域と第1の乳房接触領域との間のフロートステッチとタックステッチの比率を変化させることにより、ダブルニット前部内のこれらの領域に異なる機能的及び視覚的特性を提供し得る。例示的な態様では、比率を変化させることで、領域内の伸縮抵抗の程度を変化させ得、及び/又は異なる特性を有する領域の視覚的なインジケータを提供し得る。例えば、例示的な態様では、中間コースを形成する第3の糸は、表コースを形成する第1の糸及び裏コースを形成する第2の糸とは異なる色を有し、それにより、タックステッチに対するフロートステッチの比率を大きくすると、第1の乳房接触領域に対するY字形領域内の第3の糸の色の出現が減少し、それによってY字形領域及び第1の乳房接触領域の視覚的インジケータが提供される。さらに、いくつかの態様では、Y字形領域は、少なくとも部分的にタックステッチに対するフロートステッチの比率が大きいために、第1の乳房接触領域よりも大きな弾性率を有してもよい。追加又は代替として、Y字形領域のより高い弾性率は、少なくとも部分的には、第1の乳房接触領域と比較して短いニットステッチ長さによる(例えば、編み中の糸張力の増加による)ものであり得る。
【0008】
ダブルニット前部はまた、Y字形領域の中央下部の少なくとも一部によって第1の乳房接触領域から分離された第2の乳房接触領域を含んでもよい。1つ以上の中間コースはまた、Y字形領域に比べて、第2の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの比率が低くてもよい。第2の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの比率は、第1の乳房接触領域内の比率と同じか、又は実質的に同じであり得る。
【0009】
さらに、いくつかの態様では、ダブルニット前部は、それぞれの乳房接触領域の横方向に配置された第1のウイング領域及び第2のウイング領域を含む。例えば、第1のウイング領域は、第1の乳房接触領域によってY字形領域の少なくとも中央下部から分離されてもよいが、第2のウイング領域は、第2の乳房接触領域によってY字形領域の少なくとも中央下部から分離され得る。1つ以上の中間コースは、また、第1の乳房接触領域に対して第1のウイング領域内でタックステッチに対するフロートステッチの比率がより大きく、第2の乳房接触領域に対して第2のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの比率がより大きい場合もある。例示的な態様では、タックステッチに対するフロートステッチの比率は、第1のウイング領域及び第2のウイング領域内で同じ又は実質的に同じである。さらに、第1及び第2のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの比率は、Y字形領域内の比率と同じか、又は実質的に同じであり得る。
【0010】
本開示の例示的な態様はまた、タックステッチに対するフロートステッチの比率が異なるニットブラを製造する方法も含む。この方法は、ブラの前部を編むことを含んでもよい。前部は、第1の乳房接触領域及びY字形領域を含む。例示的な態様では、ブラの前部を編むことは、第1の糸で複数の表コースを編むことと、第2の糸で複数の裏コースを編むことと、複数の表コースと複数の裏コースとの間で間欠的にインターループする第3の糸で複数の中間コースを編むこととを含む。複数の中間コースのうちの1つ以上は、いずれも、1つ以上のタックステッチ及び1つ以上のフロートステッチで編まれ得る。したがって、1つ以上の中間コースはいずれも、Y字形領域内にタックステッチに対するフロートステッチの第1の比率と、第1の乳房接触領域内にタックステッチに対するフロートステッチの第2の比率とを有し得、第1の比率は第2の比率よりも大きい。
【0011】
本開示のいくつかの態様に係る製造方法は、第2の乳房接触領域、第1のウイング領域、及び第2のウイング領域を編むことをさらに含んでもよい。前述のように、いくつかの態様は、Y字形領域よりもタックステッチに対するフロートステッチの比率が少ない第2の乳房接触領域、及びいくつかの態様では、第1のウイング領域及び第2のウイング領域を含む。
【0012】
製造方法は、第2の複数の表コースと第2の複数の裏コースとを含むダブルニット材料であり得る後部を編むことをさらに含んでもよい。後部はまた、第2の複数の表コース及び第2の複数の裏コースと間欠的にインターループする第2の複数の中間コースを含むように編まれてもよく、後部の1つ以上の中間コースは、1つ以上のタックステッチ及び1つ以上のフロートステッチを含んでもよい。
【0013】
本開示の追加の態様は、前部と後部が異なる編み方向で編まれるブラを含む。例えば、態様は、第1の方向に沿って延びるコースを有するニット前部と、第1の方向に直交する第2の方向に沿って延びるコースを有するニット後部とを有するブラを含んでもよい。例示的な態様では、ブラの前部は、着用時の構成であるときに水平に延びるコースを有し、後部は、着用時の構成であるときに垂直に延びるコースを有する。ブラの前部に第1の方向を利用することは、垂直方向に十分なサポートを提供するのに役立っていると共に、水平方向に十分な伸縮性を与えて、ブラの可動性及び着脱を助けることができる。後部に第2の方向を利用することにより、大きな開口部によって分離されたストラップ部を効率的に編むことができ、糸のバインドオフを少なくすることができる。さらに、コースが第2の方向に延びるように後部を編むことにより、ストラップ部の糸を切り替えるときに複数の糸キャリアの必要性が減少する。
【0014】
本開示のいくつかのさらなる態様は、異なる編み方向にブラを製造する方法を含む。この方法は、第1の方向に沿って延びる第1の複数のコースを形成することによってブラの前部を編むことと、第2の方向に沿って延びる第2の複数のコースを形成することによってブラの後部を編むこととを含んでもよい。前部と後部は、接合されたときに、第1の複数のコースの第1の方向が第2の複数のコースの第2の方向と直交するように接合され得る。
【0015】
本明細書で使用される「ブラ」という用語は、着用者の胴体の周りに着用され、着用者の乳房を少なくとも部分的に覆うように構成された任意の構造を包含する。本明細書の態様はブラに関して論じられているが、開示された技術はブラに限定されず、キャミソール、水着、タンクトップ、又は乳房サポートが組み込まれた他の衣服など、乳房組織を支持するために使用される任意の上半身の衣服に適用され得ることが理解される。「乳房被覆領域」という用語は、着用者の乳房を実質的に覆うブラの部分を意味する。したがって、本明細書で使用される場合、第1の乳房被覆領域は着用者の右乳房を実質的に覆うように構成され、第2の乳房被覆領域は着用者の左乳房を実質的に覆うように構成される。本明細書で使用される「ウイング領域」という用語は、ブラを着用したときに、着用者の側胴領域に沿ってブラの前部と後部との間に延びるブラの部分である。したがって、本明細書で使用されるように、第1のウイング領域は、着用者の右腋窩の下で着用者の右側に隣接して配置されるように構成され、第2のウイング領域は、着用者の左腋窩の下で着用者の左側に隣接して配置されるように構成されている。
【0016】
前、側、後、高、低、頂部、底部、上、下、側部、右、左、内向き、外向きなど、ブラを説明するときに使用される位置用語は、ブラの下部が着用者の胴体の周りに延び、ブラの上部が着用者の胸の上にほぼ配置されるように、着用者が直立して意図したとおりに着用されるブラに関して使用される。さらに、ブラの前部は着用者の乳房を少なくとも部分的に覆うように構成され、後部は着用者の背中を少なくとも部分的に覆うように構成される。さらに、肩ストラップは、着用者の肩を前部から後部まで延びるように構成され、着用者の腕が通る開口部と、着用者の頭と首が通る開口部を少なくとも部分的に画定する。ただし、位置用語の使用は、解釈目的での人間の実際の存在に依存しないことは理解される。
【0017】
本明細書で使用される「コース」という用語は、同じ編みサイクル中に隣接する針によって作られる(ニットとして直立した織物における)ほぼ水平なニットループ行を指す。ニットコースは、ニットステッチ、ヘルドステッチ、フロートステッチ、タックステッチ、トランスファーステッチ、リブステッチなどの1つ以上のステッチタイプを含んでもよく、これらの用語は編み物の分野で知られている。本明細書で使用される「ニットステッチ」という用語は、先行するステッチを通して織物の後ろから前に糸のループを引っ張った後、糸が針から取り除かれる基本的なステッチタイプを指す。本明細書で使用される「ウェール」という用語は、(必ずしもすべてではないが)連続するコース又は編みサイクルで同じ針によって一般に作られる、噛み合った又はインターループされたニットループのほぼ垂直な列である。本明細書で使用される「水平」及び「垂直」という用語は、ニットループのヘッドが織物の頂部に面し、コースニットが最初に織物の底部に向けられているニットとしての直立した織物に関するものである。
【0018】
本明細書で使用するとき、「ダブルニット織物」という用語は、2つの針床又はシリンダー内に2組の針を備えた機械で編まれた織物を意味する。本明細書の態様は、緯編み(平編み)機を備える機械を企図する。「針床」という用語は、通常、平編み機を説明するときに使用される。ダブルニット織物を異なる方法で説明すれば、ダブルニット織物という用語は、一方の針床に表コースが形成され、他方の針床に裏コースが形成されている織物を意味する。ダブルニット織物の表コースは、織物の表層を形成するインターループステッチのコースであり、裏コースは、織物の表層と裏層が実質的に同時に形成されるように、織物の裏層を形成するインターループステッチのコースである。本明細書で使用されるように、「表層」という用語は、ブラなどの織物を組み込んだ衣類を着用したときに外側に面するように構成された織物層を指し、「裏層」という用語は、衣類を着用したときに着用者の皮膚表面に隣接して配置されるように構成された織物層を指す。
【0019】
本明細書で使用される「一体的に編む」という用語は、第1の領域の1つ以上の編まれたコースからの糸が、別の領域の1つ以上の編まれたコースとインターループされているニット織物を意味し得る。インターループは、単純なニットステッチ、タックステッチ、ヘルドステッチ、フロート又はミスステッチなどを通過し得る。このように、一体的に編み込まれた領域はシームレスに移行する。
【0020】
本明細書で使用される「編み方向」という用語は、ブラなどのニット衣類において、衣類が着用時の構成であるときにコースが順次編まれる方向を指す。例えば、一体的に編まれた衣類パネルの頂部を形成するコースが、衣類パネルの底部を形成するコースの前に編まれる場合、編み方向は、頂部から底部、又はより一般的には垂直のいずれかと見なすことができ、一体的に編まれた衣類パネルの右側を形成するコースが、左側を形成するコースの前に編まれる場合、編み方向は、右から左、又はより一般的には水平のいずれかと見なすことができる。
【0021】
本明細書で使用される「タックステッチ」という用語は、中間コースを形成する糸によって形成されるループを指す。タックステッチは、前針床又は後針床のいずれかで、すでにループを保持している針が中間コースからさらにループを受け取るときに形成される。このように、タックステッチを形成するループは、前針床の前糸又は後針床の後糸のいずれかによって形成される別のループに一致する。
【0022】
本明細書で使用する「フロートステッチ」という用語は、編み中に糸が1つ以上の針の周りにループされていないか、1つ以上の針を「ミス」した場合に形成される糸の部分を指す。本明細書で言及されるフロートステッチは、中間コースを形成する糸の一部であってよく、その部分はダブルニット織物の表層と裏層との間に浮いている。
【0023】
本明細書で使用される「タックステッチに対するフロートステッチの比率」という用語は、指定された領域(例えば、1cm×1cmの正方形)内のタックステッチを形成するステッチ位置の数に対する、フロートステッチを形成するステッチ位置の数を指す。一般に、各タックステッチは、タックステッチ位置の数がタックステッチの数と等しくなるように、1つのステッチ位置に形成される。1つのフロートステッチは、1つ以上のステッチ位置に跨り得る。例えば、二本針フロートステッチは、連続する2本の針をミスして形成されるフロートステッチであり、したがって2つのフロートステッチ位置が拡大される。例として、2つの二本針フロートステッチと4つのタックステッチの領域の比率は1:1である。
【0024】
本明細書で使用される「ニットステッチ長さ」という用語は、単一の編みループ内の糸ストランドの一部の長さを指す。編み中の張力の増加によりニットステッチ長さが小さくなり得る。
【0025】
本明細書で使用される「メッシュ」という用語は、複数の接近して離間させた開口部を有する織物材料を指す。メッシュ材料は、編物(経編み又は緯編み)又は織物であってもよい。例示的な態様では、メッシュという用語は、開口部が材料に一体的に編まれるか織り込まれるように、疎に織られた又は編まれた材料を指す。他の態様では、開口部は、織物が織られたか編まれた後、例えば、レーザー切断、ウォータージェット切断、打抜きなどを使用して、編成後又は製織後のステップで形成され得る。
【0026】
本明細書で使用される「リブ」とは、ニットステッチとパールステッチの交互のパターンによって形成されるウェール方向に延びる編畝構造をいう。
【0027】
さらに、本明細書には様々な数値測定値が提供されている。特に指摘がない限り、測定値に関して「約」又は「実質的に」という用語は、指示された値の±10%以内を意味する。さらに、特に指摘がない限り、本明細書で提供されるすべての測定値は、標準的な周囲温度及び圧力(298.15K及び100kPa)で静止状態(つまり、未延伸状態)にあるブラに関するものである。
【0028】
図1~
図3は、例示的なブラ100の正面斜視図、正面図、及び背面図をそれぞれ示す。ブラ100は、ブラ100が着用時の構成であるときに、着用者の胸の少なくとも一部を一般的に覆う前部110、及びブラ100が着用時の構成であるときに着用者の背中の少なくとも一部を一般的に覆う後部210を含む。ブラ100はまた、それぞれ前部110と後部210との間に延びる一対の肩ストラップ190を含んでもよい。
【0029】
前部110は、一般に、第1のアームホール縁112から第2のアームホール縁114まで、第1の前側縁116から第2の前側縁118まで、及びネックライン縁102から底部チェストバンド縁172まで延びる。肩ストラップ190は、前部110の上部から延びる。頂部チェストバンド縁174及び底部チェストバンド縁172によって画定される前チェストバンド領域170は、底部チェストバンド縁172が前部110の下縁を形成するように、前部110の下部領域を形成する。
【0030】
後部210は、後部210を前部110に接合する肩ストラップ190から延びる。後部210は、一般に、第1のアームホール縁212から第2のアームホール縁214まで、第1の後側縁216から第2の後側縁218まで、及びネックライン縁202から底部チェストバンド縁272まで延びる。例示的な態様では、第1の後側縁216及び第2の後側縁218はそれぞれ、後部210が第1の前側縁116及び第2の前側縁118に沿って前部110に接合される継ぎ合わせ縁を含み得る。又は、第1の後側縁216及び第2の後側縁218は、後部210の境界を定める仮想境界を含んでもよく、一方、第1の前側縁116及び第2の前側縁118は、前部110の境界を定める仮想境界を含んでもよい。頂部チェストバンド縁274及び底部チェストバンド縁272によって画定される後チェストバンド領域270は、底部チェストバンド縁272が後部210の下縁を形成するように、後部210の下部領域を形成する。
【0031】
ブラ100はまた、着用者に対するブラ100のフィットを調節するための1つ以上の機構を含んでもよい。例えば、肩ストラップ190はそれぞれ、スライダーなどのストラップ調節機構を含んでもよい。さらに、後チェストバンド領域270は、後チェストバンド領域270の2つのセクションを解放可能に結合する、1つ以上のフック構造などの閉鎖機構275を含んでもよい。
【0032】
例示的な態様では、ブラ100の前部110及び後部210のそれぞれは、一般に、表層を形成する表コース及び裏層を形成する裏コースを有するダブルニット織物構造を含む。表層はブラ100の外側に面する層であってもよく、一方、裏層はブラ100の内側に面する層であってもよい。さらに、前部110及び後部210のそれぞれは、ゾーン特性を与えるために、異なるニット構造を有する領域を含み得る。さらに、本明細書に開示される前部110内の領域は一体的に編まれてもよく、本明細書に開示される後部210内の領域は一体的に編まれてもよい。例示的な態様では、例えば、本明細書でさらに説明するように、前部110のダブルニット織物構造は、一般に表コースと裏コースとの間に配置され、インターロッキングタックステッチのステッチシーケンス、又はインターロッキングタックステッチとフロートステッチとの組み合わせを含む、1つ以上の中間コースを含んでもよく、タックステッチとフロートステッチの相対的な量は、前部110の異なる領域にわたって変化し得る。
【0033】
例えば、前部110の例示的な態様は、ブラ100が着用時の構成であるとき、着用者の右乳房を実質的に覆うように構成された第1の乳房接触領域130と、着用者の左乳房を実質的に覆うように構成された第2の乳房接触領域140とを含んでもよい。前部110のY字形領域120は、第1の乳房接触領域130と第2の乳房接触領域140との間に位置し得る。Y字形領域120は、右上部122、左上部124、及び中央下部126を含んでもよい。右縁123は、右上部122と中央下部126との間に延び、左縁125は、左上部124と中央下部126との間に延びる。示されるように、右縁123及び左縁125は、それらが中央下部126に向かって延びるにつれて、互いに向かって集中する。Y字形領域120はまた、右上部122と左上部124との間に延びる上縁127を含んでもよい。例示的な態様では、上縁127は、
図1及び
図2に示されるように、ネックライン縁102からある距離下方に配置され得る。例えば、前部110は、Y字形領域の上縁127をネックライン縁102から分離するネックライン領域180を含んでもよい。あるいは、Y字形領域の上縁127は、ネックライン縁102を形成してもよい。
【0034】
Y字形領域120の右上部122は、第1の乳房接触領域130のほぼ上に配置され、右肩ストラップ190内に延びる場合がある。Y字形領域120の左上部124は、第2の乳房接触領域140のほぼ上に配置され、左肩ストラップ190内に延びる場合がある。Y字形領域120の中央下部126は、前部110の中間領域に配置され、第1の乳房接触領域130と第2の乳房接触領域140の間に配置される。例示的な態様では、中央下部126は、前チェストバンド領域170の頂部チェストバンド縁174まで下方に延びる。
【0035】
ブラ100の前部110は、ブラ100が着用時の構成であるとき、着用者の右肋骨領域を覆うように構成された第1のウイング領域150と、着用者の左肋骨領域を覆うように構成された第2のウイング領域160とをさらに含んでもよい。第1のウイング領域150は、第1の乳房接触領域130に対して横方向に配置され、第1の乳房接触領域130によってY字形領域120の中央下部126から分離される。第2のウイング領域160は、第2の乳房接触領域140に対して横方向に配置され、第2の乳房接触領域140によってY字形領域120の中央下部126から分離される。
【0036】
例示的な態様では、Y字形領域120は、第1の乳房接触領域130及び第2の乳房接触領域140とは異なる伸縮特性を有する。例えば、Y字形領域120は、第1の乳房接触領域130及び第2の乳房接触領域140よりも高い弾性率を有し得る。弾性率が比較的高いため、Y字形領域120は、着用者の乳房を支持し、制御することができる。例えば、右上部122及び左上部124は、運動中などの運動中の着用者の乳房の上方への動きを制限するのに役立っている。Y字形領域120の中央下部126は、右上部122及び左上部124を安定させるためのアンカーとして機能し得る。さらに、例示的な態様では、第1のウイング領域150及び第2のウイング領域160はまた、第1の乳房接触領域130及び第2の乳房接触領域140と比較して、より大きな弾性率又はより大きな程度の伸張抵抗を有し得る。第1のウイング領域150及び第2のウイング領域160のより大きな弾性率によって提供されるサポートの増加は、着用者の乳房の外向き又は横方向の動きを制限し得る。
【0037】
Y字形領域120、第1のウイング領域150、及び第2のウイング領域160のより大きな弾性率は、少なくとも部分的には、これらの領域の編み中に糸に加えられるより大きな張力による可能性があり、その結果、ニットステッチ長さが短くなる。例示的な態様では、例えば、表コース及び裏コースは、Y字形領域120、第1のウイング領域150、及び第2のウイング領域160において、第1の乳房接触領域130及び第2の乳房接触領域140内の表コース及び裏コースに比べて、より短いニットステッチ長さを有する。いくつかの態様では、表コースと裏コースとの間の中間コースも、Y字形領域120、第1のウイング領域150、及び第2のウイング領域160内でより短いニットステッチ長さを有する。例示的な態様では、第1のウイング領域150内のニットステッチ長さは、第2のウイング領域160内のニットステッチ長さと同じ又は実質的に同じである。いくつかの態様では、Y字形領域120内のニットステッチ長さも、第1のウイング領域150及び第2のウイング領域内のニットステッチ長さと同じ又は実質的に同じである。他の態様では、Y字形領域120内のニットステッチ長さは、第1のウイング領域150及び第2のウイング領域160内のニットステッチ長さとは異なる。
【0038】
例示的な態様では、前部110内の領域は、中間コース内のタックステッチに対するフロートステッチの比率も変化し得る。例示的な態様では、前部110内の中間コースは、第1の乳房接触領域130及び第2の乳房接触領域140に対して、Y字形領域120内、及びいくつかの態様では、第1のウイング領域150及び第2のウイング領域160内で、タックステッチに対するフロートステッチの比率がより大きくてもよい。Y字形領域、第1の乳房接触領域130、第2の乳房接触領域140、第1のウイング領域150、及び第2のウイング領域160で使用され得るフロートステッチ及びタックステッチの例示的なステッチシーケンスは、さらに、
図5~
図9を参照して説明される。
【0039】
フロートステッチは、一般に、タックステッチに対するフロートステッチの比率がより高い領域が、より低い比率の領域に比べてより大きな弾性率を有するように、伸縮性を低下させる。さらに、タックステッチに対するフロートステッチの異なる比率は、ブラ100内の異なる一体的に編まれた領域を視覚的に区別することができる。例えば、
図5~
図9に関してさらに説明するように、中間コース内のタックステッチは、ダブルニット織物構造の表層と裏層を結合するのに役立っており、中間コース内のフロートステッチは、表層と裏層を離すことにより、フロートステッチが存在する位置のある程度の寸法を増加させることができる。さらに、中間コースを形成する糸ストランドは、中間コースが表コース又は裏コースとそれぞれタックステッチを形成する位置で、ブラ100の外向き又は内向き表面にしか見えない。例示的な態様では、中間コースを形成する糸ストランドは、表コースと裏コースとの間に配置されるフロートステッチを形成するときに見えない。したがって、中間コースを形成する糸ストランドが、表コース及び裏コースを形成する糸ストランドとは異なる色を有する例示的な態様では、タックステッチの数に対してフロートステッチの数を変えることは、ブラ100内の異なる領域の視覚的な区別も提供し得る。
【0040】
上述のフロートステッチ及びタックステッチを有するステッチシーケンスに加えて、第1のウイング領域150及び第2のウイング領域160はまた、追加のサポートを提供するために1つ以上の追加のニット構造を含み得る。例えば、いくつかの態様では、第1のウイング領域150及び第2のウイング領域160はまた、一体的に編まれたリブ構造を含んでもよい。一例では、第1のウイング領域150及び第2のウイング領域160はそれぞれ、1×1のリブシーケンスなどのニットリブシーケンスによって形成された複数のリブ構造を有する。リブ構造は、一般に、コース方向に大きな弾性を提供し、ニット素材がほどけたりカールしたりする傾向を減少させる。したがって、第1のウイング領域150及び第2のウイング領域160内にリブステッチを有することは、着用者の胸郭の側面の周りのブラ100のフィットを改善し得る。
【0041】
第1のウイング領域150及び第2のウイング領域160はまた、通気性を高めるためにメッシュ構造を含んでもよい。例示的な態様では、メッシュ構造は、編み中にニットループを隣接する針などの別の針に移すことによって形成される開口部を含む。これらの一体的に編まれたメッシュ開口部は、ブラ100の内部への空気の流れを可能にし、着用者を冷やし、湿気及び熱をブラ100の内部から逃がすことを可能にする。
【0042】
さらに、前述のように、
図1及び
図2の前部110は、前部110の下部領域を形成する前チェストバンド領域170を含む。例示的な態様では、前チェストバンド領域170は、それぞれが1×1のリブ構造などの複数のリブ構造を有する右側セクション176及び左側セクション178を含む。同様に、ブラ100の後部210の下部領域を形成する後チェストバンド領域270も、1×1のリブ構造などの複数のリブ構造を含んでもよい。前チェストバンド領域170及び後チェストバンド領域270内のリブ構造は、安定性及びより大きなコース方向の伸縮性を提供し、着用者がブラ100を着脱しやすくすることができる。
【0043】
前チェストバンド領域170はまた、右側セクション176と左側セクション178とを分離する中央セクション175を含んでもよい。前チェストバンド領域170の中央セクション175は、第1のウイング領域150及び第2のウイング領域160に関して説明されたメッシュ構造と同様のトランスファーステッチによって形成されるメッシュ構造を含んでもよい。前チェストバンド領域170内のメッシュ構造は、しばしば湿気が閉じ込められる領域である前チェストバンド領域170の中央セクション175内の通気性を高めることができる。
【0044】
いくつかの態様では、ブラ100の前部110は、トランスファーステッチによって形成されたメッシュ開口部を有する編みメッシュ構造を有するネックライン領域180も含む。
図1及び
図2に示すように、ネックライン領域180は、Y字形領域120の中央下部126の上に配置され、Y字形領域120の右上部122の少なくとも一部と左上部124との間に配置される。一体的に編まれたメッシュ開口部は、着用者の胸の中央上部領域への通気性を高めることができ、それは高熱生成領域になる傾向がある。
【0045】
図3の背面図を参照すると、後部210の例示的な態様は、異なるニット構造を有する追加の一体的に編まれた領域を含んでもよい。例えば、後部チェストバンド領域270に加えて、後部210は、肩ストラップ190の後部を含む、後部210の上部領域を形成する上後部領域230を含んでもよい。さらに、後部は、上後部領域230から後部チェストバンド領域270の頂部チェストバンド縁274まで延びるように構成された中央後部領域220を含んでもよい。
【0046】
いくつかの態様では、上後部領域230は、少なくとも部分的に、編み中のより大きな張力により、後部210内の他の領域に比べてより大きな弾性率を有するため、上後部領域230のニットステッチ長さが短くなる。例示的な態様では、例えば、少なくとも上後部領域230内の表コース及び裏コースは、中央後部領域220内のそれぞれの表コース及び裏コースに対してより短いニットステッチ長さを有する。いくつかの態様では、上後部領域230内のニットステッチ長さは、ブラ100の前部110のY字形領域120内のニットステッチ長さと同じ又は実質的に同じである。より短いニットステッチ長さは、肩ストラップ190の少なくとも一部を含み得る上後部領域230に大きなサポートを提供する。このように、上後部領域230は、ストラップの動きを制限するのに役立ち、その結果、ブラ100が着用されたときの着用者の乳房の動きを制限するのに役立ち得る。
【0047】
例示的な態様では、後部210の中央後部領域220は、通気性を提供するために一体的に編まれたメッシュ構造を含む。中央後部領域220のメッシュ構造は、編み中にニットループを隣接する針などの別の針に移すことによって形成される開口部を含んでもよい。これらの一体的に編まれたメッシュ開口部は、高熱生成領域である着用者の後部のブラ100の内部への空気の流れを可能にする。この増加した気流は、着用者を冷やすのに役立っており、湿気と熱がブラ100の内部から逃げることを可能にする。
【0048】
通気をさらに促進するために、中央後部領域220の態様は、ストラップ部222及び224の外縁を画定するより大きな開口部226、227、及び228を含み得る。いくつかの態様では、開口部226、227、及び228は、後部チェストバンド領域270の頂部チェストバンド縁274から上向きに延びる。さらに、開口部226、227、及び228は、中央後部領域220の高さの約30%から約90%まで、中央後部領域220の高さの約40%から約80%まで、又は、中央後部領域220の高さの約50%から約75%まで延びる長さを有し得る。これらの開口部226、227、及び228はまた、着用者が通気を提供しながらブラ100を着用しているときに、より広い範囲の動きを可能にすることができる。
【0049】
いくつかの態様では、ブラ100の後部210は、また、着用者の右後部肋骨領域を覆うように構成された第1の後部ウイング領域250と、ブラ100が着用時の構成であるときに着用物の左後部肋骨領域を覆うように構成された第2の後部ウイング領域260とを含む。第1の後部ウイング領域250及び第2の後部ウイング領域260はそれぞれ、中央後部領域220に隣接して配置され、それによって分離されてもよい。後部210が前部110と接合されると、第1の後部ウイング領域250は、前部110の第1のウイング領域150と接合されて、右側に単一のウイング領域を形成されてもよく、一方、第2の後部ウイング領域260は、前部110の第2のウイング領域160と接合されて、左側に単一のウイング領域を形成してもよい。例えば、ブラ100の左側面図が
図4に示され、前部110の第2のウイング領域160が後部210の第2の後部ウイング領域260と接合されている。第2の前部ウイング領域160及び第2の後部ウイング領域260はそれぞれ、縫合又は接着によって接合されて、縫い目線261を形成してもよい。ブラ100の右側面図は、左側面図の鏡像である。例示的な態様では、第1の後部ウイング領域250及び第2の後部ウイング領域260は、前部110の第1のウイング領域150及び第2のウイング領域160について説明したのと同じニット構造を有する。
【0050】
前述のように、例示的な態様では、後部210のダブルニット織物構造は、一般に表コースと裏コースとの間に配置され、タックステッチ又はタックステッチとフロートステッチの組み合わせのステッチシーケンスを含む中間コースを含む。後部210の中間コースのステッチシーケンスは、
図5~
図9に関連して以下に説明するシーケンスを含む、前部110に関して説明されたステッチシーケンスのいずれかを含んでもよい。さらに、後部210のダブルニット織物構造内の中間コースのステッチシーケンスは、後部210の異なる領域の少なくともいくつかにわたって変化し得る。いくつかの態様では、ステッチシーケンスは、後部210の単一領域内で変化する。あるいは、後部210は、異なる領域にわたる中間コース内で均一なステッチシーケンスを有してもよい。
【0051】
図5~
図9を参照すると、ブラ100の1つ以上の領域内で利用され得るフロートステッチ及びタックステッチのステッチシーケンスの例が提供される。
図5は、例えば、ブラ100の1つ以上の領域内で利用され得る例示的なニット構造500を有するニットの概略図を示す。具体的には、ニット構造500は、タックステッチ及びフロートステッチを有する中間コースを含むダブルニット織物構造である。
図5のニット構造500は、Y字形領域120内で利用され得る。さらに、いくつかの態様では、ニット構造500は、第1のウイング領域150及び第2のウイング領域160内でも利用され得る。
【0052】
ニット構造500は、第1の糸ストランド512から形成された複数の表コース502と、第2の糸ストランド514から形成された複数の裏コース504とを含む。表コース502は、ニット構造500の表層532を形成し、裏コース504は、ニット構造500の裏層534を形成する。いくつかの態様では、ニット構造500がブラ100などの衣類に組み込まれる場合、表層532は外向き層であり得、裏層534は内向き層であり得る。図示されないいくつかの態様では、表コース502は、第2の糸ストランド514が裏コースを表コースに延ばすのと同じステッチ位置で、表コースから裏コースに延びる第1の糸ストランド512によって、ニット構造500内で裏コース504と間欠的に絡み合う。表コース502と裏コース504との間の第1の糸ストランド512と第2の糸ストランド514のこの切り替えは、インターロッキングクロスオーバーと呼ばれ、参照により本明細書に組み込まれている、Diazらに付与された米国特許第10,145,042号に詳細に記載されている。
【0053】
さらに、ニット構造500は、表コース502と裏コース504との間に延びる第3の糸ストランド516によって形成される中間コースを含む。各中間コース内で、第3の糸ストランド516は、表コース及び対応する裏コースとインターループする。例えば、第3の糸ストランド516は、表コース502A及び裏コース504Aとインターループして、中間コース506Aを形成する。
図5の例示的なニット構造500が過密になるのを避けるために、他の中間コース(例えば、表コース502Bと裏コース504Bとで形成されるコース)の図示を省略するが、ニット構造500は、表コース502Aと裏コース504Aとの間の中間コース506A(図示)、及び表コース502Bと裏コース504Bとの間の第2の中間コース(図示せず)などの連続する中間コースを含んでもよいと理解すべきである。
【0054】
中間コース506Aは、タックステッチとフロートステッチとの組み合わせを含む。タックステッチは、第3の糸ストランド516が表コース(例えば、表コース502A)又は裏コース(例えば、裏コース504A)のいずれかとインターループするときに形成される。例えば、中間コース506Aは、合計4つのタックステッチを形成するために、表コース502Aの1つおきの表ステッチ及び裏コース504Aの1つおきの裏ステッチとのインターループを含むタックステッチ522Aを含む。第3の糸ストランド516は、表コース502A及び裏コース504Aと交互にインターループし、タックステッチ522Aは、表コース502A及び対応する裏コース504Aを結合するように機能するため、タックステッチ522Aは、本明細書ではインターロッキングタックステッチと呼ばれ得る。
【0055】
中間コース506Aはさらに、第3の糸ストランド516が表コース502Aと裏コース504Aとの間で浮いているフロートステッチを含む。具体的には、4つのタックステッチ522Aの後、中間コース506Aは、2つのステッチ位置にまたがる(例えば、表コース502Aの2つのステッチと裏コース504Aの2つのステッチとの間に浮いている)フロートステッチ524Aを含む。フロートステッチが編み中に1つ以上の針をミスすることによって形成されるため、フロートステッチ524Aは、二本針フロートステッチ又は二本針ミスステッチと呼ばれ得る。第3の糸ストランド516のインターロッキングタックステッチ522Aは、表層532と裏層534を一緒に結び付けたままにし、フロートステッチ524Aは、表層532と裏層534を部分的に分離する。さらに、フロートステッチ524Aは、ニット構造500の弾性率を増加させ得る。
【0056】
例示的な態様では、ニット構造500は、1つ以上の中間コースに沿ってタックステッチ及びフロートステッチの反復シーケンスに従うことができる。例えば、中間コース506Aは、第1組の4つのタックステッチの522Aと、第1の二本針フロートステッチ524Aとを含む。このシーケンスは、第1の二本針フロートステッチ524Aの直後に、中間コース506Aが第2組の4つのタックステッチ522Bと第2の二本針フロートステッチ524Bを含むように繰り返すことができ、かつ、このパターンはさらに何度も繰り返される可能性がある。
【0057】
説明したように、ニット構造500内の追加のコースは、タックステッチ、又はタックステッチとフロートステッチの組み合わせを形成する第3の糸ストランド516を含み得る。例示的な態様では、後続の中間コースのシーケンスは、中間コース506Aと同じであってもよい。又は、タックステッチの数、フロートステッチの数、フロートステッチ内のステッチ位置の数、タックステッチのステッチ位置、又はフロートステッチのステッチ位置が異なるようにシーケンスは異なっていてもよい。追加的に、例示的な態様では、隣接する中間コースは、タックステッチのシーケンスが前針床又は後針床のどちらで開始されるかにかかわらず、交互になる場合があり、それによって、ある中間コースの表タックステッチは、隣接する中間コースの裏タックステッチと同じステッチ位置にある。
【0058】
第3の糸ストランド516を参照すると、ニット構造500は、1:2のフロートステッチとタックステッチの比(例えば、合計4つのフロートステッチと合計8つのタックステッチ)を有する。この比を決定する際に、フロートステッチは、第3の糸ストランド516が浮いているステッチ位置の数であり得る。換言すれば、2つのフロートステッチ(例えば、
図5の524A及び524B)が存在するが、各フロートステッチは、それぞれが2つのステッチ位置にわたって延びるという点で二本針フロートステッチである。
図8及び
図9に関してさらに説明するように、ブラ100などのブラの他の領域内で、フロートステッチとタックステッチの異なる比率を利用することができる。
【0059】
ここで
図6を参照すると、
図5のニット構造500に対応する例示的なニット
図600が示されている。ニット
図600は、Y字形領域120、及びいくつかの態様では、第1のウイング領域150及び第2のウイング領域160など、
図1~
図4のブラ100の1つ以上の領域内のニット構造を表すことができる。
【0060】
ニット
図600は、列A~Lによって表される12のステッチ位置(ステッチ場所とも称され得る)における行602A、604A、606A、602B、604B、及び606Bのステッチタイプを指定する。行602A及び602Bのそれぞれは、第1の糸ストランド612のニット構造を規定し、行604A及び604Bのそれぞれは、第2の糸ストランド614のニット構造を規定する。さらに、行606A及び606Bのそれぞれは、第3の糸ストランド616のニット構造を規定する。各行には、ステッチタイプは、ステッチが前針床にあるのか、後針床にあるのかを示して指定される。糸ストランドの下のステッチ表記は前針床にあり、糸ストランドの上のステッチ表記は後針床にある。したがって、行602A及び602Bは、第1の糸ストランド612がステッチ位置A~Lについて前針床にあることを示し、行604A及び604Bは、第2の糸ストランド614がステッチ位置A~Lについて後針床にあることを示している。したがって、行602A及び602Bは、
図5の表コース502などの表コースに対応し得るが、行604A及び604Bは、
図5の裏コース504などの裏コースに対応し得る。行606A及び606Bは、第3の糸ストランド616が、1組のステッチ位置について前針床及び後針床でタックステッチを交互に行い、次に1組のステッチ位置について前針床と後針床の間に浮いていることを示す。したがって、行606A及び606Bは、
図5の中間コース506Aと同様の中間コースに対応し得る。例示的な態様では、行602A、604A、及び606Aは実質的に同時に編まれ、行602B、604B、及び606Bは実質的に同時に編まれる。
【0061】
ニット
図600の行606Aは、第1組の4つのタックステッチ622A(ステッチ位置A~Dに対応する)、第1の二本針フロートステッチ624A(ステッチ位置E~Fに対応する)、第2組の4つのタックステッチ622B(ステッチ位置G~Jに対応する)、及び第2の二本針フロートステッチ624B(ステッチ位置K~Lに対応する)を含む。このようにして、第3の糸ストランド616は、行606Aにおいて、
図5の中間コース506Aにおける第3の糸ストランド516と同じシーケンスに従う。同様に、このシーケンスでは、フロートステッチとタックステッチの比率が1:2になる。
【0062】
第3の糸ストランド616は、一般に、行606Bにおいて、行606Aと同じシーケンスに従う。しかし、行606Bのタックステッチは、行606A内の対応するステッチ位置のタックステッチとは反対の針床で形成される。例えば、行606Aと同様に、行606Bは、ステッチ位置A~Dに対応する1組の4つのタックステッチを含むが、行606Bはステッチ位置A及びCに対応する裏タックステッチを有するが、行606Aはステッチ位置A及びCに対応する表タックステッチを有する。
【0063】
図7は、
図5のニット構造500に対応し得る別の例示的なニット
図700を示す。ニット
図700は、Y字形領域120、及びいくつかの態様では、第1のウイング領域150及び第2のウイング領域160など、
図1~
図4のブラ100の1つ以上の領域内のニット構造を表すことができる。
【0064】
図6のニット
図600と同様に、ニット
図700は、列A~Lによって表される12のステッチ位置における行702A、704A、706A、702B、704B、及び706Bのステッチタイプを指定する。行702A及び702Bのそれぞれは、第1の糸ストランド712のニット構造を規定し、行704A及び704Bのそれぞれは、第2の糸ストランド714のニット構造を規定する。さらに、行706A及び706Bのそれぞれは、第3の糸ストランド716のニット構造を規定する。行702A及び702Bは、第1の糸ストランド712がステッチ位置A~Lについて前針床にあることを示し、行704A及び704Bは、第2の糸ストランド714がステッチ位置A~Lについて後針床にあることを示している。したがって、行702A及び702Bは、
図5の表コース502などの表コースに対応し得るが、行704A及び704Bは、
図5の裏コース504などの裏コースに対応し得る。行706A及び706Bは、第3の糸ストランド716が、1組のステッチ位置について前針床及び後針床でタックステッチを交互に行い、次に1組のステッチ位置について前針床と後針床の間に浮いていることを示す。したがって、行706A及び706Bは、
図5の中間コース506Aと同様の中間コースに対応し得る。例示的な態様では、行702A、704A、及び706Aは実質的に同時に編まれ、行702B、704B、及び706Bは実質的に同時に編まれる。
【0065】
行706A及び706Bは、
図6の行606A及び606Bと同じ1:2のフロートステッチとタックステッチの比率を含む。さらに、行606A及び606Bと同様に、行706A及び706Bは、4つのタックステッチ(例えば、722及び726)及び二本針フロートステッチ(例えば、724及び728)のステッチシーケンスに従う。しかしながら、
図6のニット
図600とは異なり、これらの構造のこれらのステッチ位置は、行706A及び706Bにおいて異なる。例えば、行706Aは、ステッチ位置B~Eに1組の4つのタックステッチ722を含み、ステッチ位置F及びGに二本針フロートステッチ724を含み、一方、行706Bは、ステッチ位置A~Dに1組の4つのタックステッチ726と、ステッチ位置E及びFに二本針フロートステッチ728とを含む。このようにして、隣接する中間行706A及び706Bのタック-フロートステッチシーケンスは、1つのステッチシーケンスだけオフセットされる。他の例示的な態様では、隣接する中間行706A及び706Bのタック-フロートシーケンスは、より多くのステッチ位置でオフセットされ得る。例えば、いくつかの態様では、隣接するコースにおけるステッチシーケンスのオフセットは、2から10のステッチ位置の間、3から8のステッチ位置の間、又は4から6のステッチ位置の間である。
【0066】
図8を参照すると、ニットの概略図が説明されており、ブラ100の1つ以上の領域内で利用され得る例示的なニット構造800を示している。具体的には、ニット構造800は、タックステッチ及びフロートステッチを有する中間コースを含むダブルニット織物構造である。
図8のニット構造800は、例えば、ブラ100の第1の乳房接触領域130及び第2の乳房接触領域140内で利用され得る。
【0067】
ニット構造800は、第1の糸ストランド812から形成された複数の表コース802と、第2の糸ストランド814から形成された複数の裏コース804とを含み得る点で、
図5のニット構造500と同様である。表コース802は、ニット構造800の表層832を形成し、裏コース804は、ニット構造800の裏層834を形成する。いくつかの態様では、ニット構造800がブラ100などの衣類に組み込まれる場合、表層832は外向き層であり、裏層834は内向き層である。いくつかの態様では、表コース802は、
図5のニット構造500に関して説明したように、インターロッキングクロスオーバーを通じてニット構造800内で裏コース804と間欠的にインターロッキングすることができる。
【0068】
さらに、ニット構造800は、第3の糸ストランド816が表コースと対応する裏コースとの間に延びる1つ以上の中間コースを含んでもよい。例えば、第3の糸ストランド816は、表コース802A及び裏コース804Aとインターループし、中間コース806Aを形成する。
図8の例示的なニット構造800が過密になるのを避けるために、他の中間コースの図示を省略するが、ニット構造800は、例えば表コース802Bと裏コース804Bとの間の中間コースを含む追加の中間コースを含んでもよいと理解すべきである。
【0069】
ニット構造500と同様に、ニット構造800の中間コースは、タックステッチとフロートステッチの組み合わせを含み得る。例えば、中間コース806Aは、合計8つのタックステッチを形成するために、表コース802Aの1つおきの表ステッチ及び裏コース804Aの1つおきの裏ステッチとのインターループを含むタックステッチ822を含む。第3の糸ストランド816は、表コース802A及び裏コース804Aと交互にインターループし、タックステッチが表コース802A及び対応する裏コース804Aを結合するように機能するため、タックステッチ822は、本明細書ではインターロッキングタックステッチと呼ばれ得る。
【0070】
中間コース806Aは、さらに、第3の糸ストランド816が表コース802Aと裏コース804Aとの間で浮いているフロートステッチを含む。具体的には、8つのタックステッチ822の後、中間コース806Aは、2つのステッチ位置にまたがる(例えば、表コース802Aの2つのステッチと裏コース804Aの2つのステッチとの間に浮いている)フロートステッチ824を含む。第3の糸ストランド816のインターロッキングタックステッチ822は、表層832と裏層834を一緒に結び付けたままにし、フロートステッチ824は、表層832と裏層834を少なくとも部分的に分離し得る。追加的に、フロートステッチ824は、フロートステッチのないニット構造と比較して、ニット構造800の弾性率を増加させ得る。
【0071】
例示的な態様では、ニット構造800内の中間コースは、タックステッチ及びフロートステッチの反復シーケンスに従うことができる。例えば、中間コース806Aは、第1組の8つのタックステッチ822と、第1の二本針フロートステッチ824とを含む。第1の二本針フロートステッチ824の直後に、中間コース806Aが第2組の8つのタックステッチを含み得、その後、第2の二本針フロートステッチなどが続いて
図8の図示の限界を超えるように、シーケンスを繰り返すことができる。このシーケンスは、他の中間コース内の同じステッチ位置で繰り返され得る。又は、タックステッチの数、フロートステッチの数、フロートステッチが延びるステッチ位置の数、タックステッチのステッチ位置、又はフロートステッチのステッチ位置が異なるようにシーケンスは異なっていてもよい。追加的に、例示的な態様では、隣接する中間コースは、タックステッチのシーケンスが前針床又は後針床のどちらで開始されるかにかかわらず、交互になる場合があり、それによって、ある中間コースの表タックステッチは、隣接する中間コースの裏タックステッチと同じステッチ位置にある。
【0072】
中間コース806Aが
図5の中間コース506Aとは異なるステッチシーケンスを有するように、ニット構造800は、
図5のニット構造500とはタックステッチに対するフロートステッチの比率が異なる。例えば、ニット構造800は、フロートステッチとタックステッチとの1:4の比率を有し、これは、ニット構造500に示される1:2の比率よりも小さい比率である。
【0073】
例示的な態様では、ニット構造800内のタックステッチに対するフロートステッチの比率が小さいと、ニット構造500に比べて弾性率が低くなる。したがって、
図1及び
図2のY字形領域120、及びいくつかの態様では、第1のウイング領域150及び第2のウイング領域160は、ニット構造800を有する第1の乳房接触領域130及び第2の乳房接触領域140に比べて、ニット構造500を通してより大きな程度のサポートを提供し得る。
【0074】
代替的又は追加的に、ニット構造800及びニット構造500内のフロートステッチとタックステッチの異なる比率は、ブラ100などのブラ内の異なる機能領域を視覚的に区別することができる。例えば、前述のように、中間コース内のインターロッキングタックステッチは、表層と裏層を結合するのに役立っており、中間コース内のフロートステッチは、表層と裏層を部分的に離すことにより、フロートステッチが存在する位置のある程度の寸法を増加させることができる。Y字形領域120、第1のウイング領域150、第2のウイング領域160などのタックステッチに対するフロートステッチの比率が高い領域は、第1の乳房接触領域130及び第2の乳房接触領域140などの低い比率を有する領域よりも、より高い次元性(すなわち、より大きい厚さ)を有し得る。
【0075】
さらに、いくつかの態様では、中間コースを形成する第3の糸ストランドの異なる糸の色は、タックステッチに対するフロートステッチの異なる比率を有するゾーンの視覚的な区別を提供する。例えば、第3の糸ストランドは、第1の糸ストランド及び第2の糸ストランドとは異なる色を有してもよい。いくつかの態様において、各糸ストランドは異なる色を有する。第3の糸ストランドが表コース及び裏コースと共にインターロッキングタックステッチを形成する場合、第3の糸ストランドの色は、それぞれ表層及び裏層から見える場合があるが、第3の糸ストランドが表コースと裏コースとの間で浮いている場合、第3の糸ストランドの色は表層及び裏層に存在しなくてもよい。このように、Y字形領域120、第1のウイング領域150、第2のウイング領域160などのタックステッチに対するフロートステッチの比率が高い領域は、第1の乳房接触領域130及び第2の乳房接触領域140などのより低い比率を有する領域よりも、第3の糸ストランドの色の密度が低くてもよい。
【0076】
ここで
図9を参照すると、
図8のニット構造800に対応する例示的なニット
図900が示されている。ニット
図900は、第1の乳房接触領域130及び第2の乳房接触領域140など、
図1~
図4のブラ100の1つ以上の領域内のニット構造を表すことができる。
【0077】
ニット
図900は、列A~Tによって表される20のステッチ位置における行902A、904A、906A、902B、904B、及び906Bのステッチタイプを指定する。行902A及び902Bのそれぞれは、第1の糸ストランド912のニット構造を規定し、行904A及び904Bのそれぞれは、第2の糸ストランド914のニット構造を規定する。さらに、行906A及び906Bのそれぞれは、第3の糸ストランド916のニット構造を規定する。行902A及び902Bは、第1の糸ストランド912がステッチ位置A~Tについて前針床にあることを示し、行904A及び904Bは、第2の糸ストランド914がステッチ位置A~Tについて後針床にあることを示している。したがって、行902A及び902Bは、
図8の表コース802などの表コースに対応し得るが、行904A及び904Bは、
図8の裏コース804などの裏コースに対応し得る。行906A及び906Bは、第3の糸ストランド916が、1組のステッチ位置について前針床と後針床の間にタックステッチを交互に行い、次に1組のステッチ位置について前針床と後針床の間に浮いていることを示す。したがって、行906A及び906Bは、
図8の中間コース806Aと同様の中間コースに対応し得る。例示的な態様では、行902A、904A、及び906Aは実質的に同時に編まれ、行902B、904B、及び906Bは実質的に同時に編まれる。
【0078】
ニット
図900の行906Aは、第1組の8つのタックステッチ922及び第1の二本針フロートステッチ924を含み、行906Bは、第1組の8つのタックステッチ926及び第1の二本針フロートステッチ928を含む。このシーケンスは、行906A及び行906Bの両方で少なくとももう1回繰り返される。このようにして、第3の糸ストランド916は、
図8の第3の糸ストランド816と同じシーケンスに従う。同様に、このシーケンスではフロートステッチとタックステッチの比率が1:4になり得る。さらに、
図6のニット
図600と同様に、行906A及び906B(隣接する中間コースに対応する)のインターロッキングタックステッチは、対応するステッチ位置で反対側の針床に形成され得る。さらに、いくつかの態様では、行906A及び906Bにおけるステッチシーケンスの位置は、
図7のニット
図700に関して説明したのと同様の方法でオフセットされ得る。
【0079】
図10は、ブラ100などのブラを製造する例示的な方法1000の流れ図を示す。ステップ1010で、方法1000は、前部110などのブラの前部を編むことを含む。例示的な態様では、ブラの前部は緯編みプロセスによって形成される。前部は、第1の乳房接触領域130などの第1の乳房接触領域と、Y字形領域120などのY字形領域とを含む。Y字形領域は、右上部、左上部、及び中央下部を含んでもよい。前部を編むことは、ステップ1012において、前針床上の第1の糸で複数の表コースを編み、ステップ1014において、後針床上の第2の糸を用いて複数の裏コースを編むことを含む。
【0080】
ステップ1016で、複数の中間コースが、複数の表コース及び複数の裏コースとインターループする第3の糸で編まれる。複数の中間コースのうちの1つ以上は、前針床又は後針床のいずれかで1つ以上のタックステッチと、表コースと裏コースとの間に配置された1つ以上のフロートステッチとで編まれる。中間コース内のタックステッチは、前針床と後針床の間で交互になり得る。中間コースは、第1の乳房接触領域よりもY字形領域内でフロートステッチとタックステッチの比率が大きい。例えば、1つ以上の中間コースは、いずれも、Y字形領域内にタックステッチに対するフロートステッチの第1の比率を有し、第1の乳房接触領域内にタックステッチに対するフロートステッチの第2の比率を有し、第1の比率は第2の比率よりも大きい。
【0081】
例示的な態様では、ブラの前部は、Y字形領域によって第1の乳房接触領域から分離された、第2の乳房接触領域140などの第2の乳房接触領域をさらに含む。このようにして、前部内に1つ以上の中間コースを形成する場合、中間コースは、第2の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第3の比率を有し、第3の比率はY字形領域の第1の比率よりも小さい。いくつかの態様では、第2の乳房接触領域内の第3の比率は、第1の乳房接触領域内の第2の比率と同じ又は実質的に同じである。
【0082】
いくつかの態様では、前部はさらに、第1の乳房接触領域に隣接して配置された第1のウイング領域150などの第1のウイング領域と、第2の乳房接触領域に隣接して配置された第2のウイング領域160などの第2のウイング領域とを含む。1つ以上の中間コースは、第1のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第4の比率、及び第2のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第5の比率を有し得る。第1のウイング領域及び第2のウイング領域内の第4の比率及び第5の比率は、いずれも、第1の乳房接触領域及び第2の乳房接触領域の第2の比率及び第3の比率よりも大きい。
【0083】
方法1000のいくつかの態様は、後部210などのブラの後部を編むことをさらに含む。後部は緯編み工程で編まれてもよい。さらに、いくつかの態様では、後部は、前針床上で複数の複数の表コースを第1の糸で編み、後針床で複数の裏コースを第2の糸で編むことによって編成される。さらに、いくつかの態様では、後部を編むことは、後部内の複数の表コース及び複数の裏コースとインターループする第3の糸を用いて複数の中間コースを編むことを含む。いくつかの態様では、複数の中間コースのうちの1つ以上は、前針床又は後針床のいずれかにおける1つ以上のタックステッチと、表コースと裏コースとの間に配置された1つ以上のフロートステッチとを含む。
【0084】
方法1000は、前部を後部に付着することをさらに含み得る。前部を後部に付着することは、第1の前側縁(例えば、116)を第1の後側縁(例えば、216)に付着し、第2の前側縁(例えば、118)を第2の後側縁(218)に付着することを含む。前部を後部に付着することは、第1の前ストラップ部を第1の後ストラップ部に付着すること、及び第2の前ストラップ部を第2の後ストラップ部に付着することをさらに含み、ブラのネックホールを形成する。方法1000は、縫合、接着、溶接などの付着技術を含み得ると考えられる。
【0085】
本開示の例示的な態様によれば、ブラ100などのブラは、前部と後部が異なる方向に編まれるように編成される。例示的な態様では、前部と後部の両方がコースとウェールに配置された複数のループを形成する緯編みプロセスで編まれる。さらに、前部の編み方向は、前部と後部が接合されるとき、前部内のコースが後部内のコースの方向に垂直な方向に延びるように、後部の編み方向に直交することができる。
【0086】
追加的に、方法1000の態様は、前部及び後部を編むことにより、前部及び後部を編むときに、周囲の材料のない平坦な編み縁を形成することをさらに含み得る。このようにして、前部及び後部の縁は、追加の編成後仕上げプロセスなしで(例えば、ほつれ又はほぐれなしに)仕上げることができる。
【0087】
例えば、
図11及び
図12は、前部110と後部210をそれぞれ示す。前部110と後部210は、
図1~
図10に関して説明したものと同じ特性を有し得る。前部110は、前ストラップ上縁196Aを有する第1の前ストラップ部192Aと、前ストラップ上縁196Bを有する第2の前ストラップ部192Bとを含み得る。前部110はまた、前ストラップ上縁196Aと196Bとの間にネックライン縁102を含み得る。例示的な態様では、前部110は、前ストラップ上縁196A及び196Bとネックライン縁102から、前部110の下縁を形成する底部チェストバンド縁172まで延びる。さらに、前部110は、第1の前側縁116から第2の前側縁118まで延びることができる。
【0088】
同様に、後部210は、後ストラップ上縁198Aを有する第1の後ストラップ部194Aと、後ストラップ上縁198Bを有する第2の後ストラップ部194Bとを含み得る。さらに、後部210はまた、後ストラップ上縁198Aと198Bとの間にネックライン縁202を含み得る。例示的な態様では、後部210は、後ストラップ上縁198A及び198Aとネックライン縁202から、後部210の下縁を形成する底部チェストバンド縁272まで延びる。さらに、後部210は、第1の後側縁216から第2の後側縁218まで延びることができる。
【0089】
例示的な態様では、前部110は、前部110の高さに沿って前ストラップ上縁196A及び196Bから底部チェストバンド縁172まで延びる、前編み方向矢印1110によって示される方向に編まれる。このようにして、例示的な態様では、前部110の編みは、底部チェストバンド縁272を編むことで開始し、前ストラップ上縁196A及び196Bを編むことで終了してもよく、又はその逆であってもよい。さらに、前部110を形成するニットコースは、前部110の幅を横切る前コース方向矢印1120によって示されるように延びることができる。言い換えれば、前部110内のニットコースは、前部110を有するブラ100などのブラが着用時の構成であるとき、水平方向に延びることができる。言い換えれば、前コース方向矢印1120は、第1のアームホール縁112と第2のアームホール縁114との間に延びることができる。
【0090】
さらに、例示的な態様では、後部210は、後部210の幅に沿って第1の後側縁216から第2の後側縁218まで延びる後編み方向矢印1210によって示される方向に編まれる。このようにして、例示的な態様では、後部210を編むことは、第1の後側縁216を編むことで開始し、第2の後側縁218を編むことで終了してもよく、又はその逆であってもよい。さらに、後部210を形成するニットコースは、後部210の高さを横切る後コース方向矢印1220によって示されるように延びることができる。言い換えれば、後部210内のニットコースは、後部210を有するブラ100などのブラが着用時の構成であるとき、垂直方向に延びることができる。言い換えれば、後コース方向矢印1220は、ネックライン縁202と底部チェストバンド縁272との間に延びることができる。前部110と後部210が接合されると、前部110内のニットコースは、後部210内のニットコースに対して垂直に延びる。
【0091】
前部110及び後部210を異なる方向に編むことは、前部110及び後部210のための異なる構造の形成を容易にすることができる。例えば、コースが前部110の幅を横切って水平に延びるように、前部110を編むことは、ブラ100が着用又は脱着されているときに柔軟性を提供するために水平方向により高い伸縮性を提供し、着用者の乳房を支持するためにより高い垂直方向の安定性を提供し得る。
【0092】
後部210を反対方向に編むことにより、開口部を形成する際の効率が向上する。例えば、
図3に関して論じたように、後部210の例示的な態様は、ほぼ垂直に延びている開口部226、227、及び228を含み、これらの開口部の高さは、それぞれの幅より大きい。開口部226、227、及び228は、ストラップ部222が開口部226と227との間に形成され、ストラップ部224が開口部227と228との間に形成されるときに、ストラップ部の縁を描く。開口部226、227、及び228(ならびに形成されるストラップ部222及び224)は、後部210の水平中央線に沿って並んで配置される。このようにして、後部210が、前部110が編まれる方向のような垂直方向に編まれる場合、後部210内の単一のコースは、開口部226、227、及び228のそれぞれと交差し得、これは、ストラップ部222及び224を形成する各コース内で複数回のバインドオフを必要とする。一方、
図12に示すように、後部210を水平方向に編むと、ストラップ部222及び224が延びるほぼ垂直方向に対応する垂直方向にコースが形成されるため、バインドオフ必要が少なくなる。
【0093】
さらに、いくつかの態様では、ストラップ部222及び224は、後部210の残りの部分とは異なる糸で編まれてもよく、及び/又はストラップ部222は、ストラップ部224とは異なる糸で編まれてもよい。異なる糸は、異なる色又は異なるテクスチャーなどの異なる視覚特性を提供し得るか、又は重量、吸湿特性、及び伸縮特性などの他の構造変化を提供し得る。このように、ストラップ部222及び224が異なる糸で編まれる場合、後部210を水平方向に編むことは、ストラップ部222及び224を編むときにコース全体で糸を変更するために複数の編機キャリアを必要とする垂直方向に編むよりも効率的である。
【0094】
図13を参照すると、前部と後部が異なる方向に編まれたブラ100などのブラを製造する例示的な方法1300を示す流れ図が提供される。例示的な態様では、方法1300内の編みステップは緯編みプロセスである。ステップ1310では、第1の方向に沿って延びる第1の複数のコースを形成することによって、ブラの前部110などの前部が編まれる。ステップ1320では、第2の方向に沿って延びる第2の複数のコースを形成することによって、ブラの後部210などの後部が編まれる。例示的な態様では、第1の方向は、
図11に示す前編み方向矢印1110に対応し、第2の方向は、
図12の後編み方向矢印1210に対応する。
【0095】
ステップ1330において、方法1300は、前部を後部に接合することを含む。例示的な態様では、ステップ1330は、第1の前側縁(例えば、116)を第1の後側縁(例えば、216)に付着し、第2の前側縁(例えば、118)を第2の後側縁(例えば、218)に付着することによって、前部を後部に付着することを含む。ステップ1330は、前ストラップ部(例えば、192A及び192B)の前ストラップ上縁(例えば、196A及び196B)を、後ストラップ部(例えば、194A及び194)の後ストラップ上縁(例えば、198A及び198B)に付着し、ブラ用のネックホールを形成することをさらに含んでもよい。方法1300は、縫合、接着などによって前部及び後部を付着する方法を利用することを含み得ると考えられる。
【0096】
前部が後部に接合されるとき、前部の第1の複数のコースの第1の方向は、後部の第2の複数のコースの第2の方向と直交する。例示的な態様では、ブラが着用時の構成であるとき、第1の方向は水平であり、第2の方向は垂直である。
【0097】
例示的な態様では、前部及び後部の一方又は両方が、第1の糸で形成された複数の表コースと第2の糸で形成された複数の裏コースとを有するダブルニット織物構造を有するように編まれる。さらに、前部及び後部の一方又は両方は、複数の表コース及び複数の裏コースとインターループする第3の糸で形成された複数の中間コースを含む。例示的な態様では、1つ以上の中間コースは、1つ以上のタックステッチ及び1つ以上のフロートステッチを有するように編まれる。さらに、前部が後部に接合されたブラが着用時の構成であるとき、前部の中間コース内のフロートステッチは水平方向に延びることができるが、後部の中間コース内のフロートステッチは垂直方向に延びることができる。
【0098】
追加的に、方法1300の態様は、前部及び後部を編むことにより、前部及び後部を編むときに、周囲の材料のない平坦な編み縁を形成することをさらに含み得る。このようにして、前部及び後部の縁は、追加の編成後仕上げプロセスなしで(例えば、ほつれ又はほぐれなしに)仕上げることができる。
【0099】
以下の項は、本明細書で企図される概念の例示的な態様を表す。次の項のいずれかを複数の従属方式で組み合わせて、1つ以上の他の項に依存させることができる。さらに、従属項(前の項に明示的に依存する項)の任意の組み合わせは、本明細書で企図される態様の範囲内にありながら組み合わせることができる。以下の項は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではない。
【0100】
(1)ブラであって、右上部、左上部、及び中央下部を有するY字形領域と第1の乳房接触領域とを含むダブルニット前部を含み、前記ダブルニット前部は、第1の糸によって形成された複数の表コースと、第2の糸によって形成された複数の裏コースと、前記複数の表コース及び前記複数の裏コースとインターループする第3の糸によって形成される複数の中間コースとを含み、前記複数の中間コースのうちの1つ以上は、1つ以上のタックステッチ及び1つ以上のフロートステッチを有し、前記複数の中間コースのうちの前記1つ以上は、いずれも、前記Y字形領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第1の比率と、前記第1の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第2の比率とを有し、前記第1の比率は前記第2の比率よりも大きい、ブラ。
【0101】
(2)前記第1の糸、前記第2の糸、及び前記第3の糸が異なる色を有する、(1)に記載のブラ。
【0102】
(3)前記Y字形領域が前記第1の乳房接触領域と一体的に編まれている、(1)~(2)のいずれかに記載のブラ。
【0103】
(4)前記ダブルニット前部は、第2の乳房接触領域をさらに含み、前記Y字形領域の中央下部は、前記第1の乳房接触領域と前記第2の乳房接触領域との間に配置される、(1)~(3)のいずれかに記載のブラ。
【0104】
(5)前記Y字形領域の右上部は、前記第1の乳房接触領域よりも上に配置され、前記Y字形領域の左上部は、前記第2の乳房接触領域よりも上に配置される、(1)~(4)のいずれかに記載のブラ。
【0105】
(6)前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第2の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第3の比率を有し、前記第1の比率は、前記第3の比率よりも大きい、(1)~(5)のいずれかに記載のブラ。
【0106】
(7)前記第3の比率は、前記第2の比率と実質的に同じである、(1)~(6)のいずれかに記載のブラ。
【0107】
(8)前記ダブルニット前部は、第1のウイング領域をさらに含み、前記第1の乳房接触領域は、前記Y字形領域と前記第1のウイング領域との間に配置され、前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第1のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第4の比率を有し、前記第4の比率は、前記第2の比率よりも大きい、(1)~(7)のいずれかに記載のブラ。
【0108】
(9)前記ダブルニット前部は、第2のウイング領域をさらに含み、前記第2の乳房接触領域は、前記Y字形領域と前記第2のウイング領域との間に配置され、前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第2のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第5の比率を有し、前記第5の比率は、前記第2の比率よりも大きい、(1)~(8)のいずれかに記載のブラ。
【0109】
(10)前記Y字形領域内のニットステッチは、第1のニットステッチ長さを含み、前記第1の乳房接触領域内のニットステッチは、前記第1のニットステッチ長さより大きい第2のニットステッチ長さを含む、(1)~(9)のいずれかに記載のブラ。
【0110】
(11)前記ダブルニット前部は、前記第1の糸によって形成された前記複数の表コースを含む表層と、前記第2の糸によって形成された前記複数の裏コースを含む裏層とを含み、前記1つ以上の中間コースの前記1つ以上のフロートステッチは、前記表層と前記裏層との間に配置される、(1)~(10)のいずれかに記載のブラ。
【0111】
(12)第2の複数の表コース及び第2の複数の裏コースを含むダブルニット後部をさらに含み、前記第2の複数の表コース及び前記第2の複数の裏コースは、前記ダブルニット前部の複数の表コース、複数の裏コース、及び複数の中間コースに対して直角に延びる、(1)~(11)のいずれかに記載のブラ。
【0112】
(13)ブラであって、右上部、左上部、及び中央下部を有するY字形領域と、第1の乳房接触領域と、第2の乳房接触領域と、第1のウイング領域と、第2のウイング領域とを含むダブルニット前部を含み、前記ダブルニット前部は、第1の糸によって形成された複数の表コースと、第2の糸によって形成された複数の裏コースと、前記複数の表コース及び前記複数の裏コースとインターループする第3の糸によって形成される複数の中間コースとを含み、前記複数の中間コースのうちの1つ以上は、1つ以上のタックステッチ及び1つ以上のフロートステッチを有し、前記複数の中間コースのうちの前記1つ以上は、いずれも、前記Y字形領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第1の比率と、前記第1の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第2の比率と、前記第2の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第3の比率と、前記第1のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第4の比率と、前記第2のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第5の比率とを有し、前記第1の比率、前記第4の比率、及び前記第5の比率は、いずれも、前記第2の比率及び前記第3の比率よりも大きい、ブラ。
【0113】
(14)前記第1の比率、前記第4の比率、及び前記第5の比率は実質的に同じである、(13)に記載のブラ。
【0114】
(15)前記ダブルニット前部は、前記第1の糸によって形成された前記複数の表コースを含む表層と、前記第2の糸によって形成された前記複数の裏コースを含む裏層とを含み、前記1つ以上の中間コースの前記1つ以上のフロートステッチは、前記表層と前記裏層との間に配置される、(13)~(14)のいずれかに記載のブラ。
【0115】
(16)前記Y字形領域内のニットステッチは、第1のニットステッチ長さを含み、前記第1の乳房接触領域及び前記第2の乳房接触領域内のニットステッチは、前記第1のニットステッチ長さより大きい第2のニットステッチ長さを含む、(13)~(15)のいずれかに記載のブラ。
【0116】
(17)ブラを製造する方法であって、前記ブラの前部を編むことを含み、前記前部は、右上部、左上部、及び中央下部を有するY字形領域と第1の乳房接触領域とを含み、前記前部を編むことは、第1の糸で複数の表コースを編むことと、第2の糸で複数の裏コースを編むことと、前記複数の表コース及び前記複数の裏コースとインターループする第3の糸で複数の中間コースを編むこととを含み、前記複数の中間コースのうちの1つ以上は、1つ以上のタックステッチ及び1つ以上のフロートステッチで編まれ、前記複数の中間コースのうちの前記1つ以上は、いずれも、前記Y字形領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第1の比率と、前記第1の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第2の比率とを有し、前記第1の比率は前記第2の比率よりも大きい、方法。
【0117】
(18)前記前部は、前記Y字形領域によって前記第1の乳房接触領域から分離された第2の乳房接触領域をさらに含み、前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第2の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第3の比率を有し、前記第3の比率は、前記第1の比率よりも小さい、(17)に記載のブラを製造する方法。
【0118】
(19)前記前部は、前記第1の乳房接触領域に隣接して配置された第1のウイング領域と、前記第2の乳房接触領域に隣接して配置された第2のウイング領域とをさらに含み、前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第1のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第4の比率と、前記第2のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第5の比率とを有し、前記第4の比率及び前記第5の比率は、いずれも、前記第2の比率及び前記第3の比率よりも大きい、(17)~(18)のいずれかに記載のブラを製造する方法。
【0119】
(20)前記前部は、前記第1の糸によって形成された前記複数の表コースを含む表層と、前記第2の糸によって形成された前記複数の裏コースを含む裏層とを含み、前記1つ以上の中間コースの前記1つ以上のフロートステッチは、前記表層と前記裏層との間に配置される、(17)~(19)のいずれかに記載のブラを製造する方法。
【0120】
(21)ブラであって、第1の方向に沿って延びる第1の複数のコースを含むニット前部と、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って延びる第2の複数のコースを含む、前記ニット前部に連結されたニット後部と、を含むブラ。
【0121】
(22)前記ブラが着用時の構成であるとき、前記第1の方向は水平であり、前記第2の方向は垂直である、(21)に記載のブラ。
【0122】
(23)前記ニット前部は、前記ニット前部の第1のアームホール縁から前記ニット前部の第2のアームホール縁まで連続的に延び、前記ニット後部は、前記ニット後部の第1のアームホール縁から前記ニット後部の第2のアームホール縁まで延びる、(21)~(22)のいずれかに記載のブラ。
【0123】
(24)前記ニット前部は、前記ニット前部のネックライン縁から前記ニット前部の底部チェストバンド縁まで連続的に延び、前記ニット後部は、前記ニット後部のネックライン縁から前記ニット後部の底部チェストバンド縁で延びる、(21)~(23)のいずれかに記載のブラ。
【0124】
(25)前記ニット後部は、頂部チェストバンド縁及び底部チェストバンド縁を有するチェストバンド部を含み、前記ニット後部は、前記頂部チェストバンド縁から延びる1つ以上のストラップ部をさらに含む、(21)~(24)のいずれかに記載のブラ。
【0125】
(26)前記ニット前部と前記ニット後部はそれぞれダブルニットである、(21)~(25)のいずれかに記載のブラ。
【0126】
(27)前記ニット前部の第1の複数のコースは、第1の糸によって形成された第1の複数の表コースと、第2の糸によって形成された第1の複数の裏コースと、前記第1の複数の表コース及び前記第1の複数の裏コースとインターループする第3の糸によって形成される第1の複数の中間コースとを含み、前記第1の複数の中間コースのうちの1つ以上は、1つ以上のタックステッチ及び1つ以上のフロートステッチを有し、前記ニット後部の第2の複数のコースは、第4の糸によって形成された第2の複数の表コースと、第5の糸によって形成された第2の複数の裏コースとを含む、(21)~(26)のいずれかに記載のブラ。
【0127】
(28)前記ニット前部は、右上部、左上部、及び中央下部を有Y字形領域と、第1の乳房接触領域とを含み、前記第1の複数の中間コースのうちの前記1つ以上は、いずれも、前記Y字形領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第1の比率、及び前記第1の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第2の比率を有し、前記第1の比率は前記第2の比率よりも大きい、(21)~(27)のいずれかに記載のブラ。
【0128】
(29)前記ニット前部及び前記ニット後部はそれぞれポリエステル糸を含む、(21)~(28)のいずれかに記載のブラ。
【0129】
(30)ブラであって、第1の方向に沿って延びる第1の複数のコースを含むニット前部と、前記ニット前部に連結されたニット後部とを含み、前記ニット後部は、底部チェストバンド縁及び頂部チェストバンド縁を有するチェストバンド部分を有し、前記ニット後部は、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って延びる第2の複数のコースを含み、前記第2の方向は、前記ニット後部のネックライン縁から前記ニット後部の前記底部チェストバンド縁まで延び、前記ニット後部は、前記第2の方向に前記頂部チェストバンド縁から延びる複数のストラップ部をさらに含む、ブラ。
【0130】
(31)前記ブラが着用時の構成であるとき、前記第1の方向は水平であり、前記第2の方向は垂直である、(30)に記載のブラ。
【0131】
(32)前記ニット前部は、前記ニット前部の第1のアームホール縁から前記ニット前部の第2のアームホール縁まで連続的に延び、前記ニット後部は、前記ニット後部の第1のアームホール縁から前記ニット後部の第2のアームホール縁まで延びる、(30)~(31)のいずれかに記載のブラ。
【0132】
(33)前記ニット前部は、前記ニット前部のネックライン縁から前記ニット前部の底部チェストバンド縁まで連続的に延び、前記ニット後部は、前記ニット後部の前記ネックライン縁から前記ニット後部の前記底部チェストバンド縁で延びる、(30)~(32)のいずれかに記載のブラ。
【0133】
(34)前記ニット前部と前記ニット後部はそれぞれダブルニットである、(30)~(33)のいずれかに記載のブラ。
【0134】
(35)前記ニット後部はクロージャーを含む、(30)~(34)のいずれかに記載のブラ。
【0135】
(36)ブラを製造する方法であって、第1の方向に沿って延びる第1の複数のコースを形成することによって、前記ブラの前部を編むことと、第2の方向に沿って延びる第2の複数のコースを形成することによって前記ブラの後部を編み、前記前部を前記後部に接合することとを含み、前記前部が前記後部に接合されるとき、前記第1の複数のコースの前記第1の方向は、前記第2の複数のコースの前記第2の方向に直交する、方法。
【0136】
(37)前記ブラが着用時の構成であるとき、前記第1の方向は水平であり、前記第2の方向は垂直である、(36)に記載のブラを製造する方法。
【0137】
(38)前記前部は、前記前部の第1のアームホール縁ら前記前部の第2のアームホール縁まで連続的に延びるように編まれ、前記後部は、前記後部の第1のアームホール縁ら前記後部の第2のアームホール縁まで延びるように編まれる、(36)~(37)のいずれかに記載のブラを製造する方法。
【0138】
(39)前記第1の複数のコースを形成することは、複数の表コースを第1の糸で編んで前記前部の表層を形成することと、複数の裏コースを第2の糸で編んで前記前部の裏層を形成することと、複数の中間コースを、前記複数の表コース及び前記複数の裏コースにインターループする第3の糸で編むこととを含み、前記複数の中間コースのうちの1つ以上は、1つ以上のタックステッチ及び1つ以上のフロートステッチで編まれる、(36)~(38)のいずれかに記載のブラを製造する方法。
【0139】
(40)前記後部は、頂部チェストバンド縁及び底部チェストバンド縁を有するチェストバンド部を含むように編まれ、前記後部は、さらに、それぞれ頂部チェストバンド縁から前記第2の方向に延びる複数のストラップ部を含むように編まれる、(36)~(39)のいずれかに記載のブラを製造する方法。
【0140】
本開示の態様は、限定的ではなく、例示的な目的で説明される。当業者には、その範囲から逸脱しない別の態様が明らかになるであろう。当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、上記改良を実現する代替手段を開発することもできる。
【0141】
特定の特徴及びサブコンビネーションは有用であり、他の特徴及びサブコンビネーションを参照せずに利用される場合があり、特許請求の範囲内で企図されることが理解されるであろう。さまざまな図に記載されているすべてのステップを、記載されている特定の順序で実行する必要はない。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラであって、右上部、左上部、及び中央下部を有するY字形領域と第1の乳房接触領域とを含むダブルニット前部を含み、前記ダブルニット前部は、第1の糸によって形成された複数の表コースと、第2の糸によって形成された複数の裏コースと、前記複数の表コース及び前記複数の裏コースとインターループする第3の糸によって形成される複数の中間コースとを含み、前記複数の中間コースのうちの1つ以上は、1つ以上のタックステッチ及び1つ以上のフロートステッチを有し、前記複数の中間コースのうちの前記1つ以上は、いずれも、前記Y字形領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第1の比率と、前記第1の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第2の比率とを有し、前記第1の比率は前記第2の比率よりも大きい、ブラ。
【請求項2】
前記第1の糸、前記第2の糸、及び前記第3の糸は異なる色を有する、請求項1に記載のブラ。
【請求項3】
前記Y字形領域は前記第1の乳房接触領域と一体的に編まれている、請求項1~2のいずれかに記載のブラ。
【請求項4】
前記ダブルニット前部は、第2の乳房接触領域をさらに含み、前記Y字形領域の中央下部は、前記第1の乳房接触領域と前記第2の乳房接触領域との間に配置される、請求項1~3のいずれかに記載のブラ。
【請求項5】
前記Y字形領域の右上部は、前記第1の乳房接触領域よりも上に配置され、前記Y字形領域の左上部は、前記第2の乳房接触領域よりも上に配置される、請求項
4に記載のブラ。
【請求項6】
前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第2の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第3の比率を有し、前記第1の比率は、前記第3の比率よりも大きい、請求項
4に記載のブラ。
【請求項7】
前記第3の比率は、前記第2の比率と実質的に同じである、請求項6に記載のブラ。
【請求項8】
前記ダブルニット前部は、第1のウイング領域をさらに含み、前記第1の乳房接触領域は、前記Y字形領域と前記第1のウイング領域との間に配置され、前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第1のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第4の比率を有し、前記第4の比率は、前記第2の比率よりも大きい、請求項1~7のいずれかに記載のブラ。
【請求項9】
前記ダブルニット前部は、第2のウイング領域をさらに含み、前記第2の乳房接触領域は、前記Y字形領域と前記第2のウイング領域との間に配置され、前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第2のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第5の比率を有し、前記第5の比率は、前記第2の比率よりも大きい、請求項
4~7のいずれかに記載のブラ。
【請求項10】
前記Y字形領域内のニットステッチは、第1のニットステッチ長さを含み、前記第1の乳房接触領域内のニットステッチは、前記第1のニットステッチ長さより大きい第2のニットステッチ長さを含む、請求項1~9のいずれかに記載のブラ。
【請求項11】
前記ダブルニット前部は、前記第1の糸によって形成された前記複数の表コースを含む表層と、前記第2の糸によって形成された前記複数の裏コースを含む裏層とを含み、前記1つ以上の中間コースの前記1つ以上のフロートステッチは、前記表層と前記裏層との間に配置される、請求項1~10のいずれかに記載のブラ。
【請求項12】
第2の複数の表コース及び第2の複数の裏コースを含むダブルニット後部をさらに含み、前記第2の複数の表コース及び前記第2の複数の裏コースは、前記ダブルニット前部の複数の表コース、複数の裏コース、及び複数の中間コースに対して直角に延びる、請求項1~11のいずれかに記載のブラ。
【請求項13】
ブラであって、右上部、左上部、及び中央下部を有するY字形領域と、第1の乳房接触領域と、第2の乳房接触領域と、第1のウイング領域と、第2のウイング領域とを含むダブルニット前部を含み、前記ダブルニット前部は、第1の糸によって形成された複数の表コースと、第2の糸によって形成された複数の裏コースと、前記複数の表コース及び前記複数の裏コースとインターループする第3の糸によって形成される複数の中間コースとを含み、前記複数の中間コースのうちの1つ以上は、1つ以上のタックステッチ及び1つ以上のフロートステッチを有し、前記複数の中間コースのうちの前記1つ以上は、いずれも、前記Y字形領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第1の比率と、前記第1の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第2の比率と、前記第2の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第3の比率と、前記第1のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第4の比率と、前記第2のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第5の比率とを有し、前記第1の比率、前記第4の比率、及び前記第5の比率は、いずれも、前記第2の比率及び前記第3の比率よりも大きい、ブラ。
【請求項14】
前記第1の比率、前記第4の比率、及び前記第5の比率は実質的に同じである、請求項13に記載のブラ。
【請求項15】
前記ダブルニット前部は、前記第1の糸によって形成された前記複数の表コースを含む表層と、前記第2の糸によって形成された前記複数の裏コースを含む裏層とを含み、前記1つ以上の中間コースの前記1つ以上のフロートステッチは、前記表層と前記裏層との間に配置される、請求項13~14のいずれかに記載のブラ。
【請求項16】
前記Y字形領域内のニットステッチは、第1のニットステッチ長さを含み、前記第1の乳房接触領域及び前記第2の乳房接触領域内のニットステッチは、前記第1のニットステッチ長さより大きい第2のニットステッチ長さを含む、請求項13~15のいずれかに記載のブラ。
【請求項17】
ブラを製造する方法であって、前記ブラの前部を編むことを含み、前記前部は、右上部、左上部、及び中央下部を有するY字形領域と第1の乳房接触領域とを含み、前記前部を編むことは、第1の糸で複数の表コースを編むことと、第2の糸で複数の裏コースを編むことと、前記複数の表コース及び前記複数の裏コースとインターループする第3の糸で複数の中間コースを編むこととを含み、前記複数の中間コースのうちの1つ以上は、1つ以上のタックステッチ及び1つ以上のフロートステッチで編まれ、前記複数の中間コースのうちの前記1つ以上は、いずれも、前記Y字形領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第1の比率と、前記第1の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第2の比率とを有し、前記第1の比率は前記第2の比率よりも大きい、方法。
【請求項18】
前記前部は、前記Y字形領域によって前記第1の乳房接触領域から分離された第2の乳房接触領域をさらに含み、前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第2の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第3の比率を有し、前記第3の比率は、前記第1の比率よりも小さい、請求項17に記載のブラを製造する方法。
【請求項19】
前記前部は、前記第1の乳房接触領域に隣接して配置された第1のウイング領域と、前記第2の乳房接触領域に隣接して配置された第2のウイング領域とをさらに含み、前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第1のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第4の比率と、前記第2のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第5の比率とを有し、前記第4の比率及び前記第5の比率は、いずれも、前記第2の比率及び前記第3の比率よりも大きい、請求項18に記載のブラを製造する方法。
【請求項20】
前記前部は、前記第1の糸によって形成された前記複数の表コースを含む表層と、前記第2の糸によって形成された前記複数の裏コースを含む裏層とを含み、前記1つ以上の中間コースの前記1つ以上のフロートステッチは、前記表層と前記裏層との間に配置される、請求項17~19のいずれかに記載のブラを製造する方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0105
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0105】
(6)前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第2の乳房接触領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第3の比率を有し、前記第1の比率は、前記第3の比率よりも大きい、(4)に記載のブラ。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0108
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0108】
(9)前記ダブルニット前部は、第2のウイング領域をさらに含み、前記第2の乳房接触領域は、前記Y字形領域と前記第2のウイング領域との間に配置され、前記1つ以上の中間コースは、いずれも、前記第2のウイング領域内のタックステッチに対するフロートステッチの第5の比率を有し、前記第5の比率は、前記第2の比率よりも大きい、(4)~(7)のいずれかに記載のブラ。
【国際調査報告】