(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-17
(54)【発明の名称】軌道列車の牽引ビーム及び牽引装置
(51)【国際特許分類】
B61F 5/18 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
B61F5/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528234
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 CN2021137049
(87)【国際公開番号】W WO2022122011
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】202011438180.3
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516183897
【氏名又は名称】中▲車▼青▲島▼四方▲機車車▼輌股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CRRC QINGDAO SIFANG CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.88 Jinhongdong Road, Chengyang District, Qingdao, Shandong, 266111, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ ホンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ドンシャオ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ チンダ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ウェイドン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シン
(57)【要約】
軌道列車の牽引ビーム及び牽引装置であって、牽引装置は牽引ビームを含み、牽引ビームは、中間体と、前記中間体の両端に設けられる2つの端体と、を含み、前記中間体に、中心ピンスリーブを装着するためのピンスリーブ孔が設けられており、前記端体に、牽引ドローバーを接続するためのドローバー孔が設けられており、前記端体は、横断面積が牽引ビームの長さ方向に沿って縮小する本体部を含み、前記本体部は、その横断面積が大きい一端で前記中間体に接続され、前記中間体の側面に曲面部が設けられており、前記中間体の側面は、その曲面部で前記本体部の側面に対して滑らかに遷移する。本出願が提供する牽引ビーム及び牽引装置は自重が軽くて構造強度が高く、支持要求を十分に満たすことができ、それに、体積が小さく、占有する縦方向装着空間が小さく、アンチロール装置の配置に影響を与えることがない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道列車の牽引ビームであって、前記牽引ビーム(10)は、中間体(11)と、前記中間体(11)の両端に設けられる2つの端体(12)と、を含み、前記中間体(11)に、中心ピンスリーブ(20)を装着するためのピンスリーブ孔(111)が設けられており、前記端体(12)に、牽引ドローバーを接続するためのドローバー孔(124)が設けられており、前記端体(12)は、横断面積が牽引ビーム(10)の長さ方向に沿って縮小する本体部(121)を含み、前記本体部(121)は、その横断面積が大きい一端で前記中間体(11)に接続され、前記中間体(11)の側面に曲面部が設けられており、前記中間体(11)の側面は、その曲面部で前記本体部(121)の側面に対して滑らかに遷移する、
ことを特徴とする軌道列車の牽引ビーム。
【請求項2】
前記中間体(11)の側面に、内凹の第1曲面部(a1)と外凸の第2曲面部(a2)とが設けられており、前記中間体(11)の側面は、その第1曲面部(a1)で一端の前記本体部(121)の側面に対して滑らかに遷移し、その第2曲面部(a2)で他端の前記本体部(121)の側面に対して滑らかに遷移し、前記本体部(121)の一方側側面は前記中間体(11)の一方側側面の第1曲面部(a1)に対して滑らかに遷移し、前記本体部(121)の他方側側面は前記中間体(11)の他方側側面の第2曲面部(a2)に対して滑らかに遷移する、
ことを特徴とする請求項1に記載の軌道列車の牽引ビーム。
【請求項3】
前記中間体(11)に第1肉抜き穴(114)と第2肉抜き穴(115)とが設けられており、前記第1肉抜き穴(114)は前記ピンスリーブ孔(111)に近接して設けられ、前記第2肉抜き穴(115)は前記端体(12)に近接して設けられ、前記第1肉抜き穴(114)と前記第2肉抜き穴(115)との間に補強リブ(116)が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の軌道列車の牽引ビーム。
【請求項4】
前記本体部(121)の一方側側面は、局所的に内側へ凹んで切欠き溝(122)を形成しており、前記切欠き溝(122)は、前記本体部(121)の前記中間体(11)から離れた一端端面および前記本体部(121)の頂面、底面まで貫通し、前記切欠き溝(122)の側壁(c1)は端壁(c2)に対して滑らかに遷移する、
ことを特徴とする請求項1に記載の軌道列車の牽引ビーム。
【請求項5】
前記端体(12)はさらに接続スリーブ(123)を含み、接続スリーブ(123)はその周方向面で前記本体部(121)の前記中間体(11)から離れた一端に連結されており、前記端体(12)に2つの前記ドローバー孔(124)が設けられており、一方の前記ドローバー孔(124)が前記本体部(121)に設けられ、他方の前記ドローバー孔(124)が前記接続スリーブ(123)の内孔である、
ことを特徴とする請求項1に記載の軌道列車の牽引ビーム。
【請求項6】
2つの前記ドローバー孔(124)は前記牽引ビーム(10)の長さ方向に沿って並んでいる、
ことを特徴とする請求項5に記載の軌道列車の牽引ビーム。
【請求項7】
前記牽引ビーム(10)にリフティングストッパー(13)が設けられており、前記リフティングストッパー(13)には、調整パッド(14)を接続するための接続孔が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の軌道列車の牽引ビーム。
【請求項8】
前記牽引ビーム(10)は中心対称構造であり、対称中心は前記ピンスリーブ孔(111)の中心軸線の中点であり、前記ピンスリーブ孔(111)の孔壁に、環状溝(112)と、前記環状溝(112)に向かう段差面(113)と、が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれかの一項に記載の軌道列車の牽引ビーム。
【請求項9】
牽引装置であって、牽引ビームと、中心ピンスリーブ(20)と、中心ピン(30)と、2本の牽引ドローバーと、スナップリング(40)と、締結ユニットと、を含み、前記牽引ビームは請求項8に記載の牽引ビーム(10)であり、前記中心ピンスリーブ(20)は前記ピンスリーブ孔(111)に装着され、前記スナップリング(40)は前記環状溝(112)に装着され、前記中心ピンスリーブ(20)は一端が前記段差面(113)に当たり、他端が前記スナップリング(40)に当たり、前記中心ピン(30)は、前記中心ピンスリーブ(20)の内孔に装着されるとともに前記締結ユニットを介して前記中心ピンスリーブ(20)に締結され、2つの前記牽引ドローバーはそれぞれ、前記牽引ビーム(10)の両端のドローバー孔(124)に連なる、
ことを特徴とする牽引装置。
【請求項10】
前記締結ユニットは、ボルト(50)と、押さえカバー(60)と、ガスケット(70)と、を含み、前記中心ピン(30)は、雌ネジ孔が設けられているテーパ部を有し、前記中心ピンスリーブ(20)の内孔はテーパ孔であり、前記テーパ部は前記のテーパ孔に入り込んでおり、前記ボルト(50)は前記押さえカバー(60)を通して前記雌ネジ孔にねじ込まれ、前記押さえカバー(60)は、前記ボルト(50)の締結力の作用により、前記中心ピンスリーブ(20)と緊密に当接し、前記テーパ部は前記テーパ孔の孔壁と緊密に当接する、
ことを特徴とする請求項9に記載の牽引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年12月10日にて中国特許局に提出され、出願番号が202011438180.3であり、出願名称が「軌道列車の牽引ビーム及び牽引装置」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が援用されることで本出願に結合される。
本出願は軌道列車という技術的分野に関し、特に軌道列車の牽引ビーム及び牽引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
軌道列車の牽引装置の種類は多くあり、一般的には、単ドローバー牽引装置と両ドローバー牽引装置とに分けられる。
【0003】
単ドローバー牽引装置は、1本の牽引ドローバーのみが設けられ、牽引ドローバーは一端が牽引ピンボスに接続され、他端がフレームに接続される。このような牽引装置を採用すると、アンチロール装置の配置が難しくなると同時に、車両が小さなカーブを通過する要求を満たし難しくなる。
【0004】
両ドローバー牽引装置は、2本の牽引ドローバーが設けられ、2本の牽引ドローバーはそれぞれ、牽引ビームの両端に連結されている。このような牽引装置を採用すると、車両が小さなカーブを通過する要求を満たすことができ、それに、アンチロール装置の配置に影響を与えることもない。しかし、両ドローバー牽引装置は自重が大きく、車両の構造強度に対する要求が高く、これは、両ドローバー牽引装置の適用を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、両ドローバー牽引装置の軽量化が必要であるが、如何に軽量化を実現しながら構造強度を保証できるかは、当業者に困らせる難題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本出願は、軌道列車の牽引ビームを提供し、前記牽引ビームは、中間体と、前記中間体の両端に設けられる2つの端体と、を含み、前記中間体に、中心ピンスリーブを装着するためのピンスリーブ孔が設けられており、前記端体に、牽引ドローバーを接続するためのドローバー孔が設けられており、前記端体は、横断面積が牽引ビームの長さ方向に沿って縮小する本体部を含み、前記本体部は、その横断面積が大きい一端で前記中間体に接続され、前記中間体の側面に曲面部が設けられており、前記中間体の側面は、その曲面部で前記本体部の側面に対して滑らかに遷移する。
【0007】
1つの実施形態では、前記中間体の側面に、内凹の第1曲面部と外凸の第2曲面部とが設けられており、前記中間体の側面は、その第1曲面部で一端の前記本体部の側面に対して滑らかに遷移し、その第2曲面部で他端の前記本体部の側面に対して滑らかに遷移し、前記本体部の一方側側面は前記中間体の一方側側面の第1曲面部に対して滑らかに遷移し、前記本体部の他方側側面は前記中間体の他方側側面の第2曲面部に対して滑らかに遷移する。内凹の第1曲面部及び外凸の第2曲面部は牽引ビームの側面を略「S」字状にさせ、このように、ドローバーの長さを長くすることができ、同じ回転角の場合、ドローバーノードの圧縮量を低減させ、ドローバーノードの寿命の向上に寄与する。
【0008】
1つの実施形態では、牽引ビームの頂面と底面との間の距離が小さく、全体的には高強度なフラット化構造を採用し、アンチロールトーションバーの装着およびボギーの他の部品の装着のために逃げ空間を形成し、牽引ドローバーと車体との間の距離を低減させ、牽引ピンの強度を保証する状態で軽量化の設計を行うことに寄与する。
【0009】
1つの実施形態では、前記中間体に第1肉抜き穴と第2肉抜き穴とが設けられており、前記第1肉抜き穴は前記ピンスリーブ孔に近接して設けられ、前記第2肉抜き穴は前記端体に近接して設けられ、前記第1肉抜き穴と前記第2肉抜き穴との間に補強リブが形成される。
【0010】
1つの実施形態では、前記本体部の一方側側面は局所的に内側へ凹んで切欠き溝を形成しており、前記切欠き溝は、前記本体部の前記中間体から離れた一端端面および前記本体部の頂面、底面まで貫通し、前記切欠き溝の側壁cは端壁cに対して滑らかに遷移する。
【0011】
1つの実施形態では、前記端体はさらに接続スリーブを含み、前記接続スリーブはその周方向面で前記本体部の前記中間体から離れた一端に連結されており、前記端体に2つの前記ドローバー孔が設けられており、一方の前記ドローバー孔が前記本体部に設けられ、他方の前記ドローバー孔が前記接続スリーブの内孔である。
【0012】
1つの実施形態では、2つの前記ドローバー孔は前記牽引ビームの長さ方向に沿って並んでいる。
【0013】
1つの実施形態では、前記牽引ビームにリフティングストッパーが設けられており、前記リフティングストッパーには、調整パッドを接続するための接続孔が設けられている。
【0014】
1つの実施形態では、前記牽引ビームは中心対称構造であり、対称中心は前記ピンスリーブ孔の中心軸線の中点であり、前記ピンスリーブ孔の孔壁に、環状溝と、前記環状溝に向かう段差面と、が設けられている。
【0015】
本出願はさらに、牽引装置を提供し、牽引ビームと、中心ピンスリーブと、中心ピンと、2本の牽引ドローバーと、スナップリングと、締結ユニットと、を含み、前記牽引ビームは請求項に記載の牽引ビームであり、前記中心ピンスリーブは前記ピンスリーブ孔に装着され、前記スナップリングは前記環状溝に装着され、前記中心ピンスリーブは一端が前記段差面に当たり、他端が前記スナップリングに当たり、前記中心ピンは、前記中心ピンスリーブの内孔に装着されるとともに前記締結ユニットを介して前記中心ピンスリーブに締結され、2つの前記牽引ドローバーはそれぞれ、前記牽引ビームの両端のドローバー孔に連なる。
【0016】
1つの実施形態では、前記締結ユニットは、ボルトと、押さえカバーと、ガスケットと、を含み、前記中心ピンは、雌ネジ孔が設けられているテーパ部を有し、前記中心ピンスリーブの内孔はテーパ孔であり、前記テーパ部は前記のテーパ孔に入り込んでおり、前記ボルトは前記押さえカバーを通して前記雌ネジ孔にねじ込まれ、前記押さえカバーは、前記ボルトの締結力の作用により、前記中心ピンスリーブと緊密に当接し、前記テーパ部は前記テーパ孔の孔壁と緊密に当接する。
【0017】
本出願が提供する牽引ビーム及び牽引装置は自重が軽くて構造強度が高く、支持要求を十分に満たすことができ、それに、体積が小さく、占有する縦方向装着空間が小さく、アンチロール装置の配置に影響を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本出願が提供する牽引装置の実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
当業者がよりよく本出願の技術案を理解するために、以下は図面および具体的な実施形態を結合して本出願の技術案をさらに詳しく説明する。
【0020】
図に示すように、本出願が提供する軌道列車の牽引装置100は、牽引ビーム10を含む。牽引ビーム10は、中間体11と、中間体11の両端に設けられる2つの端体12と、を含む。
【0021】
牽引ビーム10にピンスリーブ孔111が設けられており、ピンスリーブ孔111は中間体11に設けられる。牽引ビーム10は中心対称構造であってもよく、対称中心点はピンスリーブ孔111の中心軸線の中点であり、あるいは、牽引ビーム10の左半部分(
図1の視野角)はピンスリーブ孔111の中心軸線周りに180°回転すると、牽引ビーム10の右半部分と完全に重なることができる。
【0022】
ピンスリーブ孔111は軸方向に中間体11の頂面及び底面を貫通する。
図2に示すように、ピンスリーブ孔111の孔壁に、環状溝112と、環状溝112に向かう段差面113と、が設けられており、組立の便宜上、環状溝112が中間体11の頂面に近接して設けられ、段差面113が中間体11の底面に近接して設けられるようにしてもよい。
【0023】
中間体11の一端の厚さは、それに突き合わされる端体12の一端の厚さと同じであってもよく、
図1の視野角から見ると、左端端体12の右端の厚さは、中間体11の左端の厚さと同じであり、右端端体12の左端の厚さは、中間体11の右端の厚さと同じである。
【0024】
牽引ビーム10の重量を軽減するように、中間体11に肉抜き穴を設けてもよい。具体的には、ピンスリーブ孔111に近接する位置に第1肉抜き穴114を設け、端体12に近接する位置に第2肉抜き穴115を設け、第1肉抜き穴114と第2肉抜き穴115との間に補強リブ116を形成するようにしてもよく、このように、重量軽減しながら中間体11の強度をアップすることができる。好ましくは、補強リブ116を牽引ビーム10の幅方向(軌道列車の縦方向でもある)と平行させ、このように、補強リブ116で直線に沿って伝達するように牽引力をガイドでき、これにより、補強リブ116に大きな曲げモーメントを発生することを回避できる。
【0025】
中間体11の側面に曲面部(図におけるa1、a2)を設けてもよい。中間体11の側面は、その曲面部で端体12の側面に対して滑らかに遷移する。このように設計すると、牽引ビーム10は全体的な強度が高く、受力要求を十分に満たすことができる。
【0026】
図示の方案において、中間体11の側面に、内凹の第1曲面部a1と外凸の第2曲面部a2とが設けられており、中間体11の側面を略「S」字状にさせる。中間体11の側面は、その第1曲面部a1で一端の端体12の側面に対して滑らかに遷移し、その第2曲面部a2で他端の端体12の側面に対して滑らかに遷移する。このような設計は、中間体11の強度及び支持能力をさらに強めることができる。
【0027】
牽引ビーム10にさらにドローバー孔124が設けられており、ドローバー孔124は端体12に設けられる。端体12は本体部121を含み、また、さらに接続スリーブ123を含んでもよい。接続スリーブ123は、その周方向面で本体部121の中間体11から離れた一端に連結される。図において、各端体12に2つのドローバー孔124が設けられており、1つのドローバー孔124は本体部121に設けられ、もう1つのドローバー孔124は接続スリーブ123の内孔であり、2つのドローバー孔124の軸線はともに牽引ビーム10の幅方向(軌道列車の縦方向でもある)に沿って延在し、2つのドローバー孔124は牽引ビーム10の長さ方向(軌道列車の横方向でもある)に沿って並んでいる。ドローバー孔124が横方向に沿って並んでいるため、牽引ビーム10の厚さは、あまり厚く設ける必要がないので、縦方向装着空間をあまり占めることがない。
【0028】
本体部121は、横断面積が牽引ビーム10の長さ方向に沿って縮小し、本体部121は全体的に楔形をなす。本体部121は、その横断面積が大きい一端で中間体11に接続される。具体的には、本体部121の2つの側面の間の距離を牽引ビーム10の長さ方向に沿って縮小させ、及び/または本体部121の頂面と底面との間の距離を牽引ビーム10の長さ方向に沿って縮小させることができる。このような構造の本体部121は、牽引ビーム10が軽量化を実現することに寄与する。
【0029】
本体部121の側面は中間体11の側面に対して滑らかに遷移する。図示の方案において、本体部121の一方側側面は中間体11の一方側側面の第1曲面部a1に対して滑らかに遷移し、本体部121の他方側側面は中間体11の他方側側面の第2曲面部a2に対して滑らかに遷移する。このように設計すると、牽引ビーム10の全体的な強度をさらにアップすることができる。
【0030】
具体的には、本体部121の一方側側面が局所的に内側へ凹んで切欠き溝122を形成しており、切欠き溝122が、本体部121の中間体11から離れた一端端面および本体部121の頂面、底面まで貫通し、切欠き溝122の側壁c1が端壁c2に対して滑らかに遷移するようにさせることができる。このように、さらに牽引ビーム10の重量を軽減でき、それに、端体12の強度及び支持能力に大きな影響を与えることがなく、依然として端体12の強度及び支持能力が要求を満たすことを保証できる。
【0031】
牽引ビーム10にさらに、リフティングストッパー13が集積されてもよく、調整パッド14を接続するように、リフティングストッパー13に接続孔が設けられてもよい。リフティング過程において、必要に応じて異なる厚さの調整パッド14をリフティングストッパー13に接続してもよい。図示の方案において、リフティングストッパー13は中間体11の側面に集積され、中間体11の肉抜き穴側に位置し、ストッパ作用を奏する以外に、中間体11の強度をさらに強めることができる。
【0032】
図2に示すように、該牽引装置100はさらに、中心ピン30と、中心ピンスリーブ20と、2本の牽引ドローバー(図示せず)と、スナップリング40と、締結ユニットと、を含む。
【0033】
中心ピンスリーブ20は牽引ビーム10のピンスリーブ孔111に装着され、中心ピンスリーブ20の底端はピンスリーブ孔111の段差面113に当たり、スナップリング40は牽引ビーム10の環状溝112に装着され、中心ピンスリーブ20の頂端はスナップリング40に当たり、スナップリング40と段差面113とは合わせて中心ピンスリーブ20の軸方向位置を固定させる。
【0034】
一方の牽引ドローバーは締結具を介して牽引ビーム10の一端のドローバー孔124に連なり、他方の牽引ドローバーは締結具を介して牽引ビーム10の他端のドローバー孔124に連なり、2本の牽引ドローバーはそれぞれ、牽引ビーム10の両側に位置する。
【0035】
中心ピン30は、中心ピンスリーブ20の内孔に装着されるとともに締結ユニットを介して中心ピンスリーブ20に締結される。
【0036】
中心ピン30は、雌ネジ孔が設けられているテーパ部を含む。中心ピンスリーブ20の内孔は、テーパ部に適合するテーパ孔である。テーパ部はテーパ孔に入り込んでおり、テーパ部の外周面はテーパ孔の孔壁に適合して接触する。
【0037】
締結ユニットは、ボルト50と、押さえカバー60と、ガスケット70と、を含む。ボルト50は押さえカバー60を通してテーパ部の雌ネジ孔にねじ込まれ、ボルト50の締結力の作用により、押さえカバー60は、頂側に向かう押付け力を中心ピンスリーブ20へ付与し、テーパ部はテーパ孔の孔壁に緊密に当たり、これにより、中心ピン30の固定が実現される。
【0038】
上述のように、本出願が提供する牽引ビーム10及び牽引装置100は、自重が軽くて構造強度が高く、支持要求を満たすことができる。
【0039】
以上は本出願が提供する軌道列車の牽引ビーム及び牽引装置を詳しく紹介した。本明細書において、具体的な例によって本出願の原理及び実施形態を説明して、以上の実施例に対する説明は、ただ本出願の方法及びその核心思想への理解に寄与する。指摘すべきことは、当業者にとって、本出願の原理から逸脱しない上に、本出願に対して若干の改良と修飾を行ってもよく、これら改良と修飾はいずれも本出願の請求項の保護範囲に該当している。
【符号の説明】
【0040】
10 ・・・牽引ビーム;
11 ・・・中間体;111 ・・・ピンスリーブ孔;112 ・・・環状溝;113 ・・・段差面;114 ・・・第1肉抜き穴;115 ・・・第2肉抜き穴;116 ・・・補強リブ;a1 ・・・第1曲面部;a2 ・・・第2曲面部;
12 ・・・端体;121 ・・・本体部;122 ・・・切欠き溝;c1 ・・・側壁;c2 ・・・端壁;123 ・・・接続スリーブ;124 ・・・ドローバー孔;
13 ・・・リフティングストッパー;
14 ・・・調整パッド;
100 ・・・牽引装置;
20 ・・・中心ピンスリーブ;30 ・・・中心ピン;40 ・・・スナップリング;50 ・・・ボルト;60 ・・・押さえカバー;70 ・・・ガスケット
【手続補正書】
【提出日】2023-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道列車の牽引ビームであって、前記牽引ビーム(10)は、中間体(11)と、前記中間体(11)の両端に設けられる2つの端体(12)と、を含み、前記中間体(11)に、中心ピンスリーブ(20)を装着するためのピンスリーブ孔(111)が設けられており、前記端体(12)に、牽引ドローバーを接続するためのドローバー孔(124)が設けられており、前記端体(12)は、横断面積が牽引ビーム(10)の長さ方向に沿って縮小する本体部(121)を含み、
前記本体部(121)は前記牽引ビーム(10)の長さ方向に沿って延設され、前記ドローバー孔(124)は前記牽引ビーム(10)の幅方向に沿って延設されており、前記本体部(121)は、その横断面積が大きい一端で前記中間体(11)に接続され、前記中間体(11)の側面に曲面部が設けられており、前記中間体(11)の側面は、その曲面部で前記本体部(121)の側面に対して滑らかに遷移する、
ことを特徴とする軌道列車の牽引ビーム。
【請求項2】
前記中間体(11)の側面に、内凹の第1曲面部(a1)と外凸の第2曲面部(a2)とが設けられており、前記中間体(11)の側面は、その第1曲面部(a1)で一端の前記本体部(121)の側面に対して滑らかに遷移し、その第2曲面部(a2)で他端の前記本体部(121)の側面に対して滑らかに遷移し、前記本体部(121)の一方側側面は前記中間体(11)の一方側側面の第1曲面部(a1)に対して滑らかに遷移し、前記本体部(121)の他方側側面は前記中間体(11)の他方側側面の第2曲面部(a2)に対して滑らかに遷移する、
ことを特徴とする請求項1に記載の軌道列車の牽引ビーム。
【請求項3】
前記中間体(11)に第1肉抜き穴(114)と第2肉抜き穴(115)とが設けられており、前記第1肉抜き穴(114)は前記ピンスリーブ孔(111)に近接して設けられ、前記第2肉抜き穴(115)は前記端体(12)に近接して設けられ、前記第1肉抜き穴(114)と前記第2肉抜き穴(115)との間に補強リブ(116)が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の軌道列車の牽引ビーム。
【請求項4】
前記本体部(121)の一方側側面は、局所的に内側へ凹んで切欠き溝(122)を形成しており、前記切欠き溝(122)は、前記本体部(121)の前記中間体(11)から離れた一端端面および前記本体部(121)の頂面、底面まで貫通し、前記切欠き溝(122)の側壁(c1)は端壁(c2)に対して滑らかに遷移する、
ことを特徴とする請求項1に記載の軌道列車の牽引ビーム。
【請求項5】
前記端体(12)はさらに接続スリーブ(123)を含み、接続スリーブ(123)はその周方向面で前記本体部(121)の前記中間体(11)から離れた一端に連結されており、前記端体(12)に2つの前記ドローバー孔(124)が設けられており、一方の前記ドローバー孔(124)が前記本体部(121)に設けられ、他方の前記ドローバー孔(124)が前記接続スリーブ(123)の内孔である、
ことを特徴とする請求項1に記載の軌道列車の牽引ビーム。
【請求項6】
2つの前記ドローバー孔(124)は前記牽引ビーム(10)の長さ方向に沿って並んでいる、
ことを特徴とする請求項5に記載の軌道列車の牽引ビーム。
【請求項7】
前記牽引ビーム(10)にリフティングストッパー(13)が設けられており、前記リフティングストッパー(13)には、調整パッド(14)を接続するための接続孔が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の軌道列車の牽引ビーム。
【請求項8】
前記牽引ビーム(10)は中心対称構造であり、対称中心は前記ピンスリーブ孔(111)の中心軸線の中点であり、前記ピンスリーブ孔(111)の孔壁に、環状溝(112)と、前記環状溝(112)に向かう段差面(113)と、が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれかの一項に記載の軌道列車の牽引ビーム。
【請求項9】
牽引装置であって、牽引ビームと、中心ピンスリーブ(20)と、中心ピン(30)と、2本の牽引ドローバーと、スナップリング(40)と、締結ユニットと、を含み、前記牽引ビームは請求項8に記載の牽引ビーム(10)であり、前記中心ピンスリーブ(20)は前記ピンスリーブ孔(111)に装着され、前記スナップリング(40)は前記環状溝(112)に装着され、前記中心ピンスリーブ(20)は一端が前記段差面(113)に当たり、他端が前記スナップリング(40)に当たり、前記中心ピン(30)は、前記中心ピンスリーブ(20)の内孔に装着されるとともに前記締結ユニットを介して前記中心ピンスリーブ(20)に締結され、2つの前記牽引ドローバーはそれぞれ、前記牽引ビーム(10)の両端のドローバー孔(124)に連なる、
ことを特徴とする牽引装置。
【請求項10】
前記締結ユニットは、ボルト(50)と、押さえカバー(60)と、ガスケット(70)と、を含み、前記中心ピン(30)は、雌ネジ孔が設けられているテーパ部を有し、前記中心ピンスリーブ(20)の内孔はテーパ孔であり、前記テーパ部は前記のテーパ孔に入り込んでおり、前記ボルト(50)は前記押さえカバー(60)を通して前記雌ネジ孔にねじ込まれ、前記押さえカバー(60)は、前記ボルト(50)の締結力の作用により、前記中心ピンスリーブ(20)と緊密に当接し、前記テーパ部は前記テーパ孔の孔壁と緊密に当接する、
ことを特徴とする請求項9に記載の牽引装置。
【国際調査報告】