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特表2023-548645硬化性シリコーン-(メタ)アクリレート組成物並びにその調製及び使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-20
(54)【発明の名称】硬化性シリコーン-(メタ)アクリレート組成物並びにその調製及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20231113BHJP
   C09J 183/05 20060101ALI20231113BHJP
   C09J 183/07 20060101ALI20231113BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20231113BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20231113BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231113BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20231113BHJP
   B32B 37/14 20060101ALI20231113BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J183/05
C09J183/07
C08L83/05
C08L83/07
B32B27/00 M
B32B27/30 A
B32B27/00 101
B32B37/14 Z
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023517336
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(85)【翻訳文提出日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 US2021040406
(87)【国際公開番号】W WO2022066261
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/081,367
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ユク、ジュヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユニョン
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
4J004
4J040
5F131
【Fターム(参考)】
4F100AH02B
4F100AK25
4F100AK25B
4F100AK42
4F100AK52
4F100AK52B
4F100AR00C
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100CB01B
4F100CB05B
4F100EJ08
4F100EJ08B
4F100EJ52B
4F100EJ54
4F100GB41
4F100JA06
4F100JA06B
4F100JB14
4F100JB14B
4F100JK06
4F100JL13
4F100JL13B
4F100JN01
4F100YY00B
4J002CP04Y
4J002CP12W
4J002CP16X
4J002DA116
4J002GJ01
4J004AA11
4J004FA04
4J040EK041
4J040EK081
4J040JB07
4J040JB09
4J040NA20
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA32
5F131BA53
5F131CA21
5F131EC32
5F131EC53
5F131EC54
5F131EC55
5F131EC62
5F131EC65
(57)【要約】
硬化性シリコーン-(メタ)アクリレート感圧性組成物は、ヒドロシリル化反応を介して硬化可能であり、初期接着性を有するシリコーン-(メタ)アクリレート感圧性接着剤を形成する。シリコーン-(メタ)アクリレート感圧接着剤が活性エネルギー線に曝露されると、得られるシリコーン-(メタ)アクリレート接着剤は、初期接着性よりも高い後続接着性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
(A)1分子当たり少なくとも2つの脂肪族不飽和炭化水素基を有する直鎖状又は実質的に直鎖状のポリジオルガノシロキサンポリマーであって、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(SiO4/2を含み、式中、各Rは、脂肪族不飽和を含まない独立して選択される一価炭化水素基であり、各Rは、独立して選択される脂肪族不飽和一価炭化水素基であり、下付き文字m、n、o、p、q、r及びsは、各単位の数を表し、0≦m、0≦n、数(m+n)≧2である値を有し、0<o<10,000、p≧0、数(o+p)は100~10,000であり、0≦q≦100、0≦r≦100、かつ、0≦s≦100であり、ただし、下付き文字q、r、又はsのいずれか1つ以上が0より大きい場合、比(o+p)/(q+r+s)は50/1~10,000/1である、ポリジオルガノシロキサンポリマーと、
(B)(メタ)アクリルオキシアルキル官能性ポリオルガノシロキサン樹脂であって、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(R SiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2を含み、式中、各Rは、独立して選択される一価炭化水素基であり、各Rは、独立して選択される(メタ)アクリルオキシアルキル基であり、各Zは、独立して、水素、及び1~6個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、g、及びhは、各単位の相対モル量を表し、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0、下付き文字h≧0、かつ数(a+b+c+d+e+f+g+h)=100である値を有し、ただし、10≧(b+c+e)≧0.5かつ99.5>(f+g)≧30であり、
出発物質(A)及び(B)は、0.15/1~<22/1の(B)樹脂/(A)ポリマーの重量比(樹脂/ポリマー比)を提供するのに十分な量で前記組成物中に存在する、(メタ)アクリルオキシアルキル官能性ポリオルガノシロキサン樹脂と、
(C)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンであって、単位式(R SiO1/2(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2(RSiO3/2(HSiO3/2(SiO4/2を含み、式中、各Rは、独立して選択される一価炭化水素基であり、下付き文字t、u、v、w、x、y、及びzは、前記式中の各単位の数を表し、t≧0、u≧0、v≧0、w≧0、x≧0、y≧0、z≧0、数(u+w+y)≧2、かつ2,000≧(t+u+v+w+x+y+z)≧3である値を有し、前記ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、0.05/1~2/1の出発物質(C)中のケイ素結合水素原子の反応性基に対するモル比(SiH/反応性基比)を提供するのに十分な量で存在し、前記反応性基は、集合的に、前記脂肪族不飽和一価炭化水素基及び前記(メタ)アクリルオキシアルキル基である、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、
(D)前記組成物中の出発物質(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)の合計重量に基づいて、1ppm~1,000ppmの白金族金属を提供するのに十分な量のヒドロシリル化反応触媒と、
(E)前記組成物中の出発物質(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)の合計重量に基づいて、0.01重量%~10重量%を提供するのに十分な量の光ラジカル開始剤と、
(F)前記組成物中の出発物質(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)の合計重量に基づいて、5ppm~2重量%を提供するのに十分な量のヒドロシリル化反応抑制剤と、を含む、組成物。
【請求項2】
出発物質(A)において、Rの各脂肪族不飽和一価炭化水素基は、独立して選択されるアルケニル基であり、Rの各一価炭化水素基は、独立して、アルキル基及びアリール基からなる群から選択され、下付き文字m=0であり、下付き文字q=0であり、下付き文字r=0であり、下付き文字s=0であり、下付き文字n=2であり、数(n+o+p)は、出発物質(A)の重量に基づいて0.01重量%~0.5重量%のビニル含量を有する出発物質(A)を提供するのに十分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
出発物質(B)において、Rの各一価炭化水素基は、独立して、アルキル基及びアリール基からなる群から選択され、Rの各(メタ)アクリルオキシアルキル官能基は、独立して、アクリルオキシプロピル及びメタクリルオキシプロピルからなる群から選択され、下付き文字aは35~55であり、下付き文字b=0であり、下付き文字cは1~10であり、下付き文字dは0~20であり、下付き文字eは0~5であり、下付き文字fは0~3であり、下付き文字gは35~50であり、下付き文字hは0~1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
出発物質(C)において、各Rは、独立して、アルキル基及びアリール基からなる群から選択され、下付き文字tは、0、1、又は2であり、下付き文字uは、0、1、又は2であり、数(t+u)=2であり、下付き文字v≧0であり、下付き文字w>0であり、下付き文字x=0であり、下付き文字y=0であり、下付き文字z=0であり、数(t+u+v+w)は、25℃で3MPa・s~1,000MPa・sの出発物質(C)の粘度を提供するのに十分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
(D)前記ヒドロシリル化反応触媒が、i)白金族金属、ii)前記金属の化合物、iii)前記金属又は前記化合物の錯体、v)マトリックス又はコアシェル型構造にマイクロカプセル化された前記錯体からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記光ラジカル開始剤は、Ei)ベンゾフェノン、Eii)置換ベンゾフェノン化合物、Eiii)アセトフェノン、Eiv)置換アセトフェノン化合物、Ev)ベンゾイン、Evi)ベンゾインのアルキルエステル、Evii)置換ホスフィンオキシド化合物、Eviii)キサントン、及びEix)置換キサントン、及びEx)置換オキシムエステル化合物、並びにExi)Ei)~Ex)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る、光ラジカル開始剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、(F)ヒドロシリル化反応抑制剤を更に含み、前記ヒドロシリル化反応抑制剤は、アセチレン系アルコール、シクロアルケニルシロキサン、エン-イン化合物、トリアゾール、ホスフィン、メルカプタン、ヒドラジン、アミン、フマレート、マレエート、ニトリル、エーテル、一酸化炭素、アルコール、及びシリル化アセチレン系アルコールからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物は、(G)ラジカル捕捉剤を更に含み、前記ラジカル捕捉剤は、フェノール系化合物、フェノチアジン、及び無酸素抑制剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物は、(H)溶媒を更に含み、前記溶媒が存在し、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、(I)非官能性ポリオルガノシリケート樹脂を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
樹脂/ポリマー比が0.2/1~9/1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
SiH/反応性基比が0.1/1~0.9/1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
基材の表面上に感圧接着剤層を含む保護フィルムを形成する方法であって、
1)任意選択的に、前記基材の前記表面を処理することと、
2)前記基材の前記表面に、請求項1~12のいずれか一項の組成物を適用することと、
3)任意選択的に、存在する場合、溶媒を除去することと、
4)前記組成物を硬化して、前記基材の前記表面上に前記感圧接着剤層を形成することと、を含む、方法。
【請求項14】
(光)電子デバイスを製作する方法において、改善は、
5)前記感圧接着剤層が、前記(光)電子デバイスの表面と接触するように、請求項13に記載の保護フィルムを前記(光)電子デバイスに適用することと、
6)前記デバイスを保護するために前記保護フィルムを使用することと、その後、
7)前記感圧接着剤層を活性エネルギー線に曝露することと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2020年9月22日出願の米国仮特許出願63/81367号の利益を主張するものである。米国仮特許出願第63/081367号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、シリコーン-(メタ)アクリレート感圧接着剤(PSA)の形成に適した硬化性シリコーン-(メタ)アクリレート組成物(組成物)に関する。より詳細には、本発明は、活性エネルギー線感受性のPSAの形成に適した組成物に関する。組成物及びPSAは、(光)電子デバイス製造の方法において有用である。
【背景技術】
【0003】
感圧接着剤の形成に適したシリコーン組成物は、これまでに報告されている。これらのシリコーン組成物は、典型的には、少なくとも2つの主成分、すなわち、直鎖状シロキサンポリマーと、式RSiO1/2(式中、Rは一価炭化水素基を示す)のトリオルガノシロキサン単位、及び、式SiO4/2のシリケート(Q)単位から本質的になる粘着付与樹脂と、を含有する。上記2つの成分に加えて、これらのシリコーン組成物は一般に、シリコーン組成物を硬化させて感圧接着剤を製造するために、いくつかの架橋手段を備えている。
【0004】
発明が解決しようとする課題
上記の従来の感圧接着剤は、一般に、硬化後に一定(又はほぼ一定)の接着強度を有する。その接着強度は、典型的には、通常の(永久)接着剤よりも低く、上記のシリコーン組成物を硬化させた後に従来の感圧接着剤の接着強度を更に高めることは困難である。これは、様々な用途における従来の感圧接着剤の使用に制限をもたらす。
【0005】
例えば、(光)電気デバイスを製造する場合、感圧接着剤の比較的低い接着強度が、製造プロセス中の再加工性に望ましく、その後(プロセスの終わりに)、デバイスの長期の実際の使用のためにより高い接着強度が望まれる。また、縁部が湾曲したディスプレイの長期使用のための保護フィルム用途では、従来の感圧接着剤は、保護フィルムに使用される剛性基材の復元力に起因して湾曲した縁部で剥離するという欠点があり得るため、縁部が湾曲したディスプレイには、保護フィルム中の接着剤層に(従来のPSAと比較して)より高い保持強度が必要とされる。更に、いくつかの用途では、流動性液体接着剤の使用が困難な場合、シート(又は固体状態)形態の接着剤が望ましい。したがって、接着性を増加する特性を有する感圧接着剤を形成できる硬化性組成物であって、所望される際に、活性エネルギー線(例えば、UV光)などのトリガーへの曝露によって接着性の増加を開始できる硬化性組成物を提供することが業界で必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
硬化性シリコーン-(メタ)アクリレート感圧接着剤組成物(組成物)は、シリコーン-(メタ)アクリレート感圧接着剤(PSA)の形成に適する。組成物及びその調製方法が提供される。組成物からのPSAの調製及び使用方法も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
上記組成物は、
(A)1分子当たり少なくとも2つの脂肪族不飽和炭化水素基を有する直鎖状又は実質的に直鎖状のポリジオルガノシロキサンポリマーであって、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(SiO4/2を含み、式中、各Rは、脂肪族不飽和を含まない独立して選択される一価炭化水素基であり、各Rは、独立して選択される脂肪族不飽和一価炭化水素基であり、下付き文字m、n、o、p、q、r及びsは、式中の各単位の数を表し、0≦m、0≦n、数(m+n)≧2である値を有し、0<o<10,000、p≧0、数(o+p)は100~10,000であり、0≦q≦100、0≦r≦100、かつ、0≦s≦100であり、ただし、下付き文字q、r、又はsのいずれか1つ以上が0より大きい場合、比(o+p)/(q+r+s)は50/1~10,000/1である、ポリジオルガノシロキサンポリマーと、
(B)(メタ)アクリルオキシアルキル官能性ポリオルガノシロキサン樹脂であって、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(R SiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2を含み、式中、各Rは、独立して選択される一価炭化水素基であり、各Rは、独立して選択される(メタ)アクリルオキシアルキル基であり、各Zは、独立して、水素、及び1~6個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、g、及びhは、各単位の相対モル量を表し、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0、下付き文字h≧0、かつ数(a+b+c+d+e+f+g+h)=100である値を有し、ただし、10≧(b+c+e)≧0.5かつ99.5>(f+g)≧30であり、出発物質(A)及び(B)は、0.15/1~<22/1の(B)樹脂/(A)ポリマーの重量比(樹脂/ポリマー比)を提供するのに十分な量で組成物中に存在する、(メタ)アクリルオキシアルキル官能性ポリオルガノシロキサン樹脂と、
(C)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンであって、単位式(R SiO1/2(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2(RSiO3/2(HSiO3/2(SiO4/2を含み、式中、各Rは、独立して選択される一価炭化水素基であり、下付き文字t、u、v、w、x、y、及びzは、式中の各単位の数を表し、t≧0、u≧0、v≧0、w≧0、x≧0、y≧0、z≧0、数(u+w+y)≧2、かつ2,000≧(t+u+v+w+x+y+z)≧3である値を有し、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、0.05/1~2/1の出発物質(C)中のケイ素結合水素原子の反応性基に対するモル比(SiH/反応性基比)を提供するのに十分な量で存在し、反応性基は、出発物質(A)中の脂肪族不飽和一価炭化水素基及び出発物質(B)中の(メタ)アクリルオキシアルキル基を合わせたものである、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、
(D)組成物中の出発物質(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)の合計重量に基づいて、1ppm~1,000ppmの白金族金属を提供するのに十分な量のヒドロシリル化反応触媒と、
(E)組成物中の出発物質(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)の合計重量に基づいて、0.01%~10%を提供するのに十分な量の光ラジカル開始剤と、
(F)組成物中の出発物質(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)の合計重量に基づいて、5ppm~2%を提供するのに十分な量のヒドロシリル化反応抑制剤と、を含む。
【0008】
組成物は、任意選択的に、(G)ラジカル捕捉剤、(H)溶媒、(I)非官能性ポリオルガノシリケート樹脂、並びに(G)、(H)、及び(I)のうち2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の追加の出発物質を更に含み得る。
【0009】
(A)ポリマー
組成物中の出発物質(A)は、1分子当たり少なくとも2つの脂肪族不飽和炭化水素基を有する直鎖状又は実質的に直鎖状のポリジオルガノシロキサンポリマー(ポリマー)である。かかるポリマーは、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(SiO4/2を含み、式中、各Rは、脂肪族不飽和を含まない独立して選択される一価炭化水素基であり、各Rは、独立して選択される脂肪族不飽和一価炭化水素基であり、下付き文字m、n、o、p、q、r及びsは、式中の各単位の数を表し、0≦m、0≦n、数(m+n)≧2である値を有し、0<o<10,000、p≧0、数(o+p)は100~10,000であり、0≦q≦100、0≦r≦100、かつ、0≦s≦100であり、ただし、下付き文字q、r、又はsのいずれか1つ以上が0より大きい場合、比(o+p)/(q+r+s)は50/1~10,000/1である。あるいは、ポリジオルガノシロキサンは、例えば、下付き文字q=0、下付き文字r=0、かつ下付き文字s=0のとき、T及び/又はQ単位を含まなくてもよい。あるいは、下付き文字mは0であってもよい。あるいは、下付き文字nは2であってもよい。あるいは、数(n+o+p)は、出発物質(A)の重量に基づいて0.01%~0.5%の脂肪族不飽和基含量(例えば、ビニル含量)を有するポリマーを提供するのに十分であり得る。
【0010】
に好適な脂肪族不飽和一価炭化水素基の例としては、アルケニル基及びアルキニル基が挙げられる。好適なアルケニル基の例としては、ビニル、アリル、及びヘキセニルが挙げられる。好適なアルキニル基の例としては、エチニル及びプロピニルが挙げられる。あるいは、各Rは、独立して選択されるアルケニル基であってもよい。あるいは、各Rは、ビニル及びヘキセニルからなる群から選択されてもよい。あるいは、各Rは、ビニルであってもよい。
【0011】
の一価炭化水素基は、アルキル基又はアリール基であってよい。好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、並びに炭素原子6個の分枝飽和炭化水素基によって例示されるが、これらに限定されない。あるいは、アルキル基は、メチル、エチル、又はプロピルであってもよい。好適なアリール基は、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、及び2-フェニルエチルによって例示されるが、これらに限定されない。あるいは、各Rは、メチル基又はフェニル基であってもよい。あるいは、各Rは、メチルであってもよい。
【0012】
出発物質(A)は、アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサン、例えば、
i)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
iii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、
iv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
v)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、
vi)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(メチルフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
vii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
viii)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、
ix)ビス-フェニルメチルビニル-シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
x)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
xi)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
xii)ビス-ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、
xiii)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
xiv)ビス-トリメチルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、
xv)ビス-ジメチルヘキセニル-シロキシ末端ポリ(メチルフェニルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
xvi)ビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
xvii)ビス-ジメチルヘキセニル-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
xviii)ジメチルヘキセニル-シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、及び
xix)i)~xviii)のうちの2つ以上の組み合わせ、を含んでもよい。
【0013】
出発物質(A)について上述の直鎖状アルケニル官能性ポリジオルガノシロキサンを調製する方法、例えば、対応するオルガノハロシラン及びオリゴマーの加水分解及び縮合、又は環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第3,284,406号、同第4,772,515号、同第5,169,920号、同第5,317,072号、及び同第6,956,087号を参照されたく、これらは、アルケニル基を有する直鎖状ポリジオルガノシロキサンの調製について開示している。アルケニル基を有する直鎖状ポリジオルガノシロキサンの例は、例えば、商品名DMS-V00、DMS-V03、DMS-V05、DMS-V21、DMS-V22、DMS-V25、DMS-V-31、DMS-V33、DMS-V34、DMS-V35、DMS-V41、DMS-V42、DMS-V43、DMS-V46、DMS-V51、DMS-V52でGelest Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)から市販されている。
【0014】
(B)樹脂
本明細書に記載される組成物中の出発物質(B)は、(メタ)アクリルオキシアルキル官能性ポリオルガノシロキサン樹脂であって、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(R SiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2を含み、式中、各Rは、独立して選択される一価炭化水素基であり、各Rは、独立して選択される(メタ)アクリルオキシアルキル基であり、各Zは、独立して、水素、及び1~6個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、g、及びhは、各単位の相対モル量を表し、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0、下付き文字h≧0、かつ数(a+b+c+d+e+f+g)=100である値を有し、ただし、10≧(b+c+e)≧0.5かつ99.5>(e+f+g)≧30である。あるいは、数(c+d)は、0~20であってもよい。あるいは、(e+f+g)は、30~90であってもよい。あるいは、下付き文字aは、35~55であってもよい。あるいは、下付き文字bは、0であってもよい。あるいは、下付き文字cは、1~10であってもよい。あるいは、下付き文字dは、0~20であってもよい。あるいは、下付き文字eは、0~5であってもよい。あるいは、下付き文字fは、0~3であってもよい。あるいは、下付き文字gは、35~50であってもよい。下付き文字hは、相対モル比に含まれず、下付き文字hは、0から、樹脂に最大5モル%のヒドロキシル及び/又はアルコキシ基を提供するのに十分な値までであってもよい。あるいは、下付き文字hは、0~5、あるいは0~1、あるいは0~0.5であってもよい。
【0015】
あるいは、数(b+c+e)は、0.5~8であってもよい。理論に束縛されるものではないが、(メタ)アクリル官能基を含有する単位が8モル%を超えると、(A)ポリマーとの相溶性が悪くなり、組成物からPSAを調製した後に相分離が生じ得ると考えられる。また、理論に束縛されるものではないが、(メタ)アクリル官能基を含有する単位が0.5モル%未満であると、(UV)光などの活性エネルギー線によって効率よく反応し、所望の接着性の増強を起こすには十分ではない場合があると考えられる。
【0016】
上記単位式中のRに好適な一価炭化水素基としては、脂肪族飽和一価炭化水素基が挙げられる。好適な脂肪族一価炭化水素基としては、アルキル基及びアリール基が挙げられる。アルキル基は、分岐状、非分岐状、又は環状であってよい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及び/又はiso-プロピルを含む)、ブチル(iso-ブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチルを含む)、ペンチル(iso-ペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert-ペンチルを含む);並びにヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル、並びに6個以上の炭素原子の分岐状飽和一価炭化水素基;並びにシクロペンチル又はシクロヘキシルなどの環状アルキル基が挙げられる。アルキル基は、少なくとも1個の炭素原子を有する。あるいは、アルキル基は、1~12個の炭素原子、代替として1~10個の炭素原子、代替として1~6個の炭素原子、代替として1~4個の炭素原子、代替として1~2個の炭素原子、及び代替として1個の炭素原子を有してもよい。あるいは、Rの一価炭化水素基は、Rについて上述したものであってもよい。あるいは、各Rはアルキル、あるいはメチルであってもよい。
【0017】
のアリール基としては、環炭素原子から水素原子を除去することによりアレーンから誘導される炭化水素基が挙げられ、あるいはそれである。アリールは、フェニル、ナフチル、ベンジル、トリル、キシリル、フェニルエチル、フェニルプロピル、及びフェニルブチルによって例示されるが、これらに限定されない。アリール基は、少なくとも5個の炭素原子を有する。単環式アリール基は、5~12個の炭素原子、あるいは6~9個の炭素原子、あるいは6個の炭素原子を有し得る。多環式アリール基は、9~17個の炭素原子、あるいは9~14個の炭素原子、あるいは9~12個の炭素原子を有していてよい。
【0018】
あるいは、Rについて、アルキル基はメチルであってもよく、アリール基はフェニルであってもよい。代替的に、各Rは、アルキル及びアリールからなる群から独立して選択され得る。あるいは、(B)樹脂は、全Rの70モル%以上、あるいは90モル%以上を含有してもよく、あるいは各Rはメチルであってもよい。
【0019】
に好適な(メタ)アクリルオキシアルキル基は、メタクリルオキシプロピル及びアクリルオキシプロピルによって例示される。
【0020】
あるいは、(B)ポリオルガノシリケート樹脂は、(R SiO1/2(R SiO1/2(SiO4/2(ZO1/2、(R SiO1/2(RSiO2/2(SiO4/2(ZO1/2、(R SiO1/2(RSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2、(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(SiO4/2(ZO1/2、(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(SiO4/2(ZO1/2、(R SiO1/2(RSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2、(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2、(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(SiO4/2(ZO1/2、(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2h、(R SiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2h、(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO3/2(ZO1/2、(R SiO1/2(RSiO2/2(SiO4/2(ZO1/2、(R SiO1/2(RSiO3/2(RSiO3/2(ZO1/2、(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(ZO1/2、(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(RSiO3/2(ZO1/2、(R SiO1/2(RSiO3/2(RSiO3/2(ZO1/2、(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(ZO1/2、(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(ZO1/2、(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO3/2(RSiO3/2(ZO1/2h、及び(R SiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(ZO1/2からなる群から選択される単位式を含んでよく、式中、下付き文字a、b、c、d、e、f、g、及びhは、上述したものである。あるいは、数(b+d+e)は、1から、最大8モル%の(メタ)アクリル官能基を含有する単位、すなわち、式(R SiO1/2)のM’単位、式(RSiO2/2)のD’単位、及び/又は式(RSiO3/2)のT’単位を樹脂に提供するのに十分な数までである。あるいは、数(b+d+e)は、2から、合わせて最大8モル%のM’、D’、及びT’単位を樹脂に提供するのに十分な数までであってもよい。あるいは、数(b+d)は、e=0の場合、2から、合わせて最大8モル%のM’及びD’を提供するのに十分な数までであってもよい。あるいは、数dは、b=0かつe=0の場合、2から、最大8モル%のD’単位を樹脂に提供するのに十分な数までであってもよい。
【0021】
理論に拘束されることを望むものではないが、メチル基は、非反応性であり、被着体の表面上における濡れ性、並びに組成物の熱処理及びPSAの熱への曝露後(例えば、(光)電子デバイスの製作プロセス中に最高200℃の温度に曝露された後)の安定性(例えば、熱収縮又は分解がないか又は最小限である)を与える可能性が高いと考えられる。
【0022】
(B)樹脂を調製するために使用される中間体は、1分子あたり2つ、3つ、又は4つの加水分解性置換基を有し得、例えば、ジオルガノアルコキシシラン、トリオルガノアルコキシシラン、及び4つの加水分解性置換基を有するシラン、又はアルカリ金属シリケートであり得る。中間体は、それぞれ式R SiX 、RSiX 、SiX を有してもよく、式中、Rは、上述のR及びRからなる群から選択され、Xは、加水分解性置換基を表す。4つの加水分解性置換基を有するシランは、式SiX を有し得、式中、各Xは、ハロゲン、アルコキシ、又はヒドロキシルである。好適なアルカリ金属シリケートとしては、ナトリウムシリケートが挙げられる。
【0023】
出発物質(B)として使用するのに適した上記のM’、D’及びT’単位を含有する(メタ)アクリルオキシアルキル官能性ポリオルガノシロキサン樹脂の調製方法、例えば、酸性又は塩基性条件下で(メタ)アクリルオキシアルキル官能性アルコキシシラン又はハロシランと反応する典型的なポリオルガノシロキサン樹脂の平衡化反応、例えば、キャッピング反応、例えば、典型的なオルガノハロシラン又はオルガノアルコキシシランの(メタ)アクリルオキシアルキル官能性アルコキシシラン又はハロシランとの共加水分解後の加水分解性加水分解/縮合反応、並びに例えば、典型的なオルガノハロシラン又はオルガノアルコキシシランの(メタ)アクリルオキシアルキル官能性アルコキシシラン又はハロシランとの非加水分解性縮合反応は、当業者に既知であり、ポリオルガノシロキサン樹脂の調製に関する類似の方法は、米国特許第8,377,634号(Albaugh)、同第5,516,858号(Morita et al)、同第9,023,433号(Fu et al)、同第6,281,285号(Becker et al)、同第5,010,159号(Bank et al)、同第2,676,182号(Daudt,et al)、同第4,611,042号(Rivers-Farrell et al)、及び同第4,774,310号(Butler,et al)に記載されている。
【0024】
上述の(B)樹脂の調製方法で使用される(メタ)アクリルオキシアルキル官能性アルコキシシラン又はハロシランは、3-(クロロジメチルシリル)プロピルメタクリレート(CAS#24636-31-5)、3-[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート(CAS#14513-34-9)、メタクリルオキシプロピルメチルジクロロシラン(CAS#18301-56-9)、(3-アクリルオキシプロピル)メチルジクロロシラン(CAS#71550-63-5)、3-[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルアクリレート(CAS#13732-00-8)、3-(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート(CAS#4369-14-6)、3-[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート(CAS#65100-04-1)、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(CAS#2530-85-0)、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート(CAS#21142-29-0)、メタクリルオキシプロピルトリクロロシラン(CAS#7351-61-3)、(3-アクリルオキシプロピル)トリクロロシラン(CAS#38595-89-0)から選択することができる。
【0025】
出発物質(B)としての使用に適したM’単位を含有する樹脂を調製するための別の方法は、ヒドロシリル(-SiH)官能性ポリオルガノシロキサン樹脂と(メタ)アクリル官能性アルケン又はアルキンとの間、又は、アルケニル官能性ポリオルガノシロキサン樹脂と(メタ)アクリル官能性ヒドロシランとの間のヒドロシリル化反応であり、米国特許第4,503,208号(Lin et al)、「Macromolecular Materials and Engineering」by Hung-Wen et al,Vol.292,Issue 5,page 666-673(2007)に記載されている。(メタ)アクリル官能性アルケン又はアルキンは、アリルメタクリレート(CAS#96-05-9)及びプロパルギルアクリレート(CAS#10477-47-1)から選択することができる。ヒドロシリル化反応で使用するための(メタ)アクリル官能性ヒドロシランは、メタクリルオキシプロピルトリス(ジメチルシロキシ)シラン(CAS#17096-08-1)及び2-プロペン酸、2-メチル-3-(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサニル)プロピルエステル(CAS#96474-12-3)から選択することができる。
【0026】
上記のように調製された樹脂は、ケイ素結合ヒドロキシル基、すなわち、式XSi3/2、XRSiO2/2、及び/又はXR SiO1/2(式中、Xはヒドロキシル基又はアルコキシ基である)を含有し得る。樹脂は、最大5%のケイ素結合ヒドロキシル基又はアルコキシ基を含み得る。ポリオルガノシロキサン樹脂中に存在するケイ素結合ヒドロキシル基又はアルコキシ基の濃度は、ASTM Standard E-168-16に従ってフーリエ変換赤外(Fourier Transform-Infra Red、FTIR)分光法を使用して求めることができる。特定の用途の場合、ケイ素結合ヒドロキシル基の量は、2%以下、あるいは0.7%未満、あるいは0.3%未満、あるいは1%未満、あるいは0.3%~0.8%であることが望ましい場合がある。樹脂を、適切な末端基を含有するシラン、ジシロキサン、又はジシラザンと反応させることにより、樹脂の調製中に形成されたケイ素結合ヒドロキシル基をトリオルガノ(例えば、トリヒドロカルビル)シロキサン基又は異なる加水分解性基に変換することができる。加水分解性基を含有するシランは、ポリオルガノシリケート樹脂におけるケイ素結合ヒドロキシル基と反応させるのに必要な量よりもモル過剰で添加してよい。
【0027】
(B)樹脂のMnは、存在するRで表される炭化水素基の種類を含む様々な要因に依存する。樹脂のMnは、ネオペンタマーを表すピークが測定から除外される場合、米国特許第9,593,209号の第31欄の参考例1における手順に従ってゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定される数平均分子量を指す。樹脂のMnは、500g/モル~5,000g/モルであってもよい。あるいは、樹脂のMnは、1,000g/モル~4,000g/モルであってもよい。
【0028】
調製されるとき、樹脂は、上記の単位を含み、樹脂は、シラノール又はアルコキシシラン(ケイ素結合ヒドロキシル又はアルコキシ)基を有する単位を更に含み、低分子量分子、例えば、式Si(OSiR のネオペンタマーを含んでもよく、式中、Rは上記の通りであり、低分子量分子は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって特性確認する場合、500g/モル未満のMn及び25%未満のその部分を有する。米国特許第9,593,209号第32欄の参考例2に記載の通りSi29核磁気共鳴(NMR)分光法を使用して、M及びQ単位のモル比を測定することができ、この場合、当該比は、{M(樹脂)+(M(ネオペンタマー)}/{Q(樹脂)+Q(ネオペンタマー)}として表され、ポリオルガノシリケート樹脂の樹脂及びネオペンタマー部分のトリオルガノシロキシ基の総数の、樹脂及びネオペンタマー部分におけるシリケート基(Q単位)の総数に対するモル比(M:Q比)を表す特性確認法を採用することによって、樹脂性かつ低分子量分子のオルガノシロキシ基の包含に基づいて、出発物質(B)のM、M’、D、D’、T、T’及びQのモル比が表される。
【0029】
出発物質(A)及び(B)は、0.15/1~<22/1、あるいは0.15/1~9/1、あるいは0.2/1~9/1、及びあるいは0.2/1~4/1の(B)樹脂/(A)ポリマーの重量比(樹脂/ポリマー比)を提供するのに十分な量で組成物中に存在する。
【0030】
(C)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン
組成物は、単位式(R SiO1/2(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2(RSiO3/2(HSiO3/2(SiO4/2を含むポリオルガノハイドロジェンシロキサンである、出発物質(C)を更に含む。この単位式では、各Rは、独立して選択される一価炭化水素基である。あるいは、各Rは、アルキル基及びアリール基からなる群から選択されてもよい。Rは、Rについて上述した通りであってもよい。下付き文字t、u、v、w、x、y、及びzは、式中の各単位の数を表し、t≧0、u≧0、v≧0、w≧0、x≧0、y≧0、z≧0、数(u+w+y)≧2、かつ2,000≧(t+u+v+w+x+y+z)≧3であるような値を有する。あるいは、数(t+u+v+w+x+y+z)は、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンに、25℃で3MPa・s~1,000MPa・s、あるいは25℃で5MPa・s~500MPa・sの粘度を与えるのに十分である。粘度は、#CP-52スピンドルを備えたBrookfield DV-IIIコーン及びプレート粘度計で、25℃での0.1~50RPMで測定され得る。当業者は、粘度が増加するに従って回転速度が減少することを認識するであろう。あるいは、数(t+u+v+w+x+y+z)は、3~2,000、あるいは3~1,000、あるいは3~500であってもよい。
【0031】
あるいは、下付き文字x=y=z=0のとき、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、単位式(R SiO1/2(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2を含んでよく、式中、下付き文字tは、0、1、又は2であり、下付き文字uは、0、1、又は2であり、数(t+u)=2、下付き文字v≧0、下付き文字w>0、かつ数(u+w)≧3である。
【0032】
出発物質(C)のためのポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、Ci)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、Cii)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、Ciii)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、Civ)トリメチルシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、及びCv)Ci)~Civ)のうちの2つ以上の組み合わせによって例示される。
【0033】
出発物質(C)としての使用に好適なポリオルガノハイドロジェンシロキサンの調製方法、例えば、オルガノハロシランの加水分解及び縮合は、当該技術分野において周知であり、米国特許第5,310,843号、同第4,370,358号、同第4,707,531号、及び同第4,329,273号に例示されている。更に、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、当該技術分野において既知であり、例えば、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から市販されており、同様に、Gelest,Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)から、HMS-301、DMS-HM15、DMS-H03、DMS-H25、DMS-H31、及びDMS-H41の商品名で入手できる。上で参照した同じReactive Silicones刊行物の18~21頁も参照されたい。直鎖状及び環状ポリジオルガノハイドロジェンシロキサンは、例えば、米国特許第2,823,218号(Speier,et al.)、及び同第4,329,273号に記載されているように調製することもできる。
【0034】
ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、0.05/1~2/1の、出発物質(C)中のケイ素結合水素原子の組成物中の反応性基に対するモル比(SiH/反応性基比)を提供するのに十分な量で存在する。本明細書中で使用される場合、用語「反応性基」は、集合的に、上記の出発物質中に存在する脂肪族不飽和一価炭化水素基及び(メタ)アクリルオキシアルキル基(すなわち、出発物質(B)について上述した式中のRによって表される)を意味する。あるいは、SiH/反応性基比は、少なくとも0.05/1、あるいは少なくとも0.1/1、及びあるいは少なくとも0.2/1であってもよい。同時に、SiH/反応性基比は、最大2/1、あるいは最大1/1、及びあるいは最大0.9/1であってもよい。あるいは、SiH/反応性基比は、0.1/1~2/1、あるいは0.1/1~1/1、あるいは0.2/1~1/1、あるいは0.1/1~0.9/1、及びあるいは0.2/1~0.9/1であってもよい。
【0035】
(D)ヒドロシリル化反応触媒
組成物中の出発物質(D)は、ヒドロシリル化反応触媒である。ヒドロシリル化反応触媒としては、白金族金属触媒が挙げられる。例えば、ヒドロシリル化反応触媒は、Di)白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウムから選択される金属であってよい。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒は、Dii)このような金属の化合物、例えば、クロリドトリス(トリフェニルホスファン)ロジウム(I)(Wilkinsonの触媒)、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロジロジウム若しくは[1,2-ビス(ジエチルホスピノ(diethylphospino))エタン]ジクロロジロジウムなどのロジウムジホスフィンキレート、塩化白金酸(Speierの触媒)、塩化白金酸六水和物、二塩化白金;又はDiii)そのような化合物と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体であってもよい。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒は、Div)マトリックス又はコア/シェル型構造にマイクロカプセル化された化合物であってもよい。例えば、白金と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体としては、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体(Karstedtの触媒)が挙げられる。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒は、Dv)樹脂マトリックス中にマイクロカプセル化された錯体であってもよい。例示的なヒドロシリル化反応触媒は、米国特許第3,159,601号、同3,220,972号、同3,296,291号、同3,419,593号、同3,516,946号、同3,814,730号、同3,989,668号、同4,766,176号、同4,784,879号、同5,017,654号、同第5,036,117号、及び同第5,175,325号、並びに欧州特許第0 347 895(B)号に記載されている。好適なヒドロシリル化反応触媒は、当該技術分野において公知であり、市販されている。例えば、SYS-OFF(商標)4000触媒及びSYL-OFF(商標)2700が、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から入手可能である。
【0036】
本明細書で使用されるヒドロシリル化反応触媒の量は、出発物質(A)、(B)、及び(C)の選択、並びに脂肪族不飽和一価炭化水素基及びケイ素結合水素原子のそれぞれの含有量、並びにヒドロシリル化反応抑制剤の有無を含む様々な要因に依存するが、触媒の量は、SiH及び脂肪族不飽和一価炭化水素基のヒドロシリル化反応を触媒するのに十分である、あるいは触媒の量は、組成物中の出発物質(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)の合計重量に基づいて、1ppm~1000ppm、あるいは、同じ基準に基づいて2ppm~500ppm、あるいは10ppm~100ppmの白金族金属を提供するのに十分である。
【0037】
(E)光ラジカル開始剤
組成物中の出発物質(E)は、光ラジカル開始剤である。好適な光ラジカル開始剤としては、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体(α-ヒドロキシケトン)、ベンゾイン及びそのアルキルエステル、ホスフィンオキシド誘導体、キサントン誘導体、オキシムエステル誘導体、並びにカンファーキノンなどのUV開始剤が挙げられる。光ラジカル開始剤は、市販されている。例えば、本明細書で使用するのに好適な光ラジカル開始剤としては、2,6-ビス(4-アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4-アジドベンジリデン)-4-メチルシクロヘキサノン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(OMNIRAD(商標)184)、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン(OMNIRAD(商標)907);2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(OMNIRAD(商標)1173);50%のOMNIRAD(商標)184C及び50%のベンゾフェノンの混合開始剤(OMNIRAD(商標)500);20%のOMNIRAD(商標)184C及び80%のOMNIRAD(商標)1173の混合開始剤(OMNIRAD(商標)1000);2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン(OMNIRAD(商標)2959);メチルベンゾイルホルメート(OMNIRAD(商標)MBF);アルファ,アルファ-ジメトキシ-アルファ-フェニルアセトフェノン(OMNIRAD(商標)651);2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(OMNIRAD(商標)369);30%のOMNIRAD(商標)369及び70%のOMNIRAD(商標)651の混合開始剤(OMNIRAD(商標)1300);ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(OMNIRAD(商標)TPO)、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート(OMNIRAD(商標)TPO-L)、オキシムエステル化合物(Adeka Corporationから供給されるN-1919、NCI-831、NCI-930、NCI-730、及びNCI-100)、チオキサンテン-9-オン;10-メチルフェノチアジン;イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン;2,4-ジエチル-9H-チオキサンテン-9-オン;2-クロロチオキサンテン-9-オン;1-クロロ-4-プロポキシ-9H-チオキサンテン-9-オン;又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。OMNIRAD(商標)ブランドの光ラジカル開始剤は、IGM Resins B.V.(Netherland)から市販されている。あるいは、光ラジカル開始剤は、Ei)ベンゾフェノン、Eii)置換ベンゾフェノン化合物、Eiii)アセトフェノン、Eiv)置換アセトフェノン化合物、Ev)ベンゾイン、Evi)ベンゾインのアルキルエステル、Evii)置換ホスフィンオキシド化合物、Eviii)キサントン、及びEix)置換キサントン、Ex)置換オキシムエステル化合物、並びにExi)Ei)~Ex)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。あるいは、光ラジカル開始剤は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどの置換アセトフェノンであってもよい。光ラジカル開始剤の種類は、特に限定されないが、一部の光ラジカル開始剤、特にチオエーテル、ホスフィネート、又はホスフィンオキシド基を含有するものは、ヒドロシリル化反応触媒を阻害し得るので、そのような光ラジカル開始剤が含まれる場合、(D)ヒドロシリル化反応触媒の適切な量を制御する必要がある場合がある、並びに/又は硬化温度/時間を調整してもよい。
【0038】
組成物中の光ラジカル開始剤の量は、所望の反応速度、使用される光ラジカル開始剤、並びに出発物質(B)の選択及び量、並びにその(メタ)アクリルオキシアルキル基の含有量を含む様々な要因に依存するが、その量は、組成物中の出発物質(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)の合計重量に基づいて、0.01%~10%であってよい。あるいは、光ラジカル開始剤の量は、同じ基準で少なくとも0.1%、あるいは少なくとも0.5%、及びあるいは少なくとも1%であってもよい。同時に、光ラジカル開始剤の量は、同じ基準で、最大10%、あるいは最大8%、あるいは最大6%、あるいは最大5%、あるいは最大4%、及びあるいは最大3%であってもよい。
【0039】
(F)ヒドロシリル化反応抑制剤
組成物中の出発物質(F)は、ヒドロシリル化反応抑制剤である。ヒドロシリル化反応抑制剤は、アセチレン系アルコール、例えば、ジメチルヘキシノール、及び3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ブチン-3-オール、1-プロピン-3-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3-フェニル-1-ブチン-3-オール、4-エチル-1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、及び1-エチニル-1-シクロヘキサノール(ETCH)、並びにこれらの組み合わせ;シクロアルケニルシロキサン、例えば1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサンによって例示されるメチルビニルシクロシロキサン、並びにこれらの組み合わせ;エン-イン化合物、例えば3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン、及びこれらの組み合わせ;ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール類;ホスフィン;メルカプタン;ヒドラジン;アミン、例えばテトラメチルエチレンジアミン、3-ジメチルアミノ-1-プロピン、n-メチルプロパルギルアミン、プロパルギルアミン、及び1-エチニルシクロヘキシルアミン;フマル酸ジエチルなどのフマル酸ジアルキル、並びに/又はフマル酸ジアリルなどのフマル酸ジアルケニル、並びに/又はフマル酸ジアルコキシアルキル、マレイン酸ジアリル及びマレイン酸ジエチルなどのマレイン酸エステル;ニトリル;エーテル;一酸化炭素;アルケン、例えばシクロオクタジエン、ジビニルテトラメチルジシロキサン;アルコール、例えばベンジルアルコール;並びにこれらの組み合わせによって例示される。
【0040】
あるいは、ヒドロシリル化反応抑制剤は、シリル化アセチレン系化合物であってもよい。理論に束縛されるものではないが、シリル化アセチレン系化合物を添加すると、シリル化アセチレン系化合物を含有していない、又は上記したものなどの有機アセチレン系アルコール抑制剤を含有する出発物質のヒドロシリル化による反応生成物と比較して、ヒドロシリル化反応から調製される反応生成物の黄変が低減すると考えられる。シリル化アセチレン系化合物は、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)トリメチルシラン、((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)シランメチルビニルシラン、ビス((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)ジメチルシラン、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シラン、メチル(トリス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ))シラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)トリエチルシラン、ビス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)メチルトリフルオロプロピルシラン、(3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オキシ)トリメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルビニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルビニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)トリメチルシラン、及びそれらの組み合わせによって例示される。あるいは、シリル化アセチレン系化合物は、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シラン、((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、又はそれらの組み合わせによって例示される。本明細書における抑制剤として有用なシリル化アセチレン系化合物は、当該技術分野において既知の方法により調製され得る。例えば、米国特許第6,677,407号では、酸受容体の存在下でクロロシランと上記のアセチレン系アルコールを反応させることにより上記のアセチレン系アルコールをシリル化することが開示されている。あるいは、ヒドロシリル化反応抑制剤は、アセチレン系アルコール、シクロアルケニルシロキサン、エン-イン化合物、トリアゾール、ホスフィン、メルカプタン、ヒドラジン、アミン、フマレート、マレエート、ニトリル、エーテル、一酸化炭素、アルコール、及びシリル化アセチレン系アルコールからなる群から選択されてもよい。あるいは、ヒドロシリル化反応抑制剤は、ETCHなどのアセチレン系アルコールであってもよい。
【0041】
組成物中で使用されるヒドロシリル化反応抑制剤の量は、所望の反応速度、使用される特定のヒドロシリル化反応抑制剤、並びに組成物中の他の出発物質中の脂肪族不飽和炭化水素基及びケイ素結合水素原子の選択及び量を含む様々な要因に依存する。しかしながら、存在する場合、ヒドロシリル化反応抑制剤の量は、組成物中の出発物質(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)の合計重量に基づいて、少なくとも5ppm、あるいは少なくとも0.05%、あるいは少なくとも0.1%であってもよい。同時に、ヒドロシリル化反応抑制剤の量は、同じ基準で最大2%、あるいは最大1%であってもよい。
【0042】
(G)ラジカル捕捉剤
出発物質(G)は、組成物に任意選択的に添加され得る、ラジカル捕捉剤である。出発物質(G)は、組成物のラジカル反応を制御又は阻害するために使用され得る、ラジカル捕捉剤(捕捉剤)である。組成物は、反応性(メタ)アクリレート官能基を含むため、存続可能なラジカル捕捉剤は、例えば、組成物を使用して調製された保護フィルムの保管中及び使用中に早期反応を防止するために存在し得る。また、ラジカル捕捉剤は、出発物質(B)である(メタ)アクリル官能基を有する樹脂の製造時にも、高温での反応時に早期反応を防止するために使用することができる。フェノール系化合物を含む捕捉剤は、例えば、4-メトキシフェノール(MEHQ、ヒドロキノンのメチルエーテル)、ヒドロキノン、2-メチルヒドロキノン、2-t-ブチルヒドロキノン、t-ブチルカテコール、ブチル化ヒドロキシトルエン、及びブチル化ヒドロキシアニソール、及びそれらのうちの2つ以上の組み合わせを含む、本発明で使用することができるそのような材料の1つのクラスである。使用することができる他の捕捉剤としては、Albemarle Corporation(Baton Rouge,La)製のNPAL型抑制剤(トリス-(N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩)などのフェノチアジン及び無酸素抑制剤が挙げられる。あるいは、ラジカル捕捉剤は、フェノール系化合物、フェノチアジン、及び無酸素抑制剤からなる群から選択されてもよい。あるいは、ラジカル捕捉剤は、フェノール系化合物、フェノチアジン、及び無酸素抑制剤からなる群から選択されてもよい。
【0043】
ラジカル捕捉剤は、例えば、米国特許第9,475,968号において既知であり、市販されている。組成物中の捕捉剤の量は、出発物質(B)中の(メタ)アクリルオキシアルキル基の種類及び量を含む様々な要因に依存するが、捕捉剤は、出発物質(B)100重量部当たり、0.001重量部~0.1重量部、あるいは0.001重量部~0.05重量部の量で存在し得る。
【0044】
(H)溶媒
出発物質(H)は、組成物に任意選択的に添加され得る、溶媒である。溶媒は、例えば、1つ以上の出発物質の混合及び送達を補助するために、組成物の調製中に添加されてもよく、及び/又は溶媒は、以下に記載されるように、例えば、基材上へのコーティングを促進するために、組成物の調製後に添加されてもよい。組成物を調製するとき、(B)樹脂及び/又は(C)ヒドロシリル化反応触媒などの特定の出発物質は、溶媒中で送達され得る。好適な溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、グリコール、及びグリコールエーテルによって例示される有機液体が挙げられるが、これらに限定されない。炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフサ、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ヘキサデカン、イソパラフィン、例えばIsopar L(C11~C13)、Isopar H(C11~C12)、水添ポリデセンが挙げられる。好適なケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、及びシクロヘキサノンが挙げられるが、これらに限定されない。エステルとしては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、及び酢酸イソブチルが挙げられる。エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、及び1,4-ジオキサンが挙げられる。エステル部分及びエーテル部分の両方を有する溶媒としては、2-メトキシエチルアセテート、2-エトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及び2-ブトキシエチルアセテートが挙げられ、エーテル及びエステルとしては、更に、イソデシルネオペンタノエート、ネオペンチルグリコールヘプタノエート、グリコールジステアレート、ジカプリリルカーボネート、ジエチルヘキシルカーボネート、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコール-n-ブチルエーテル、エチル-3エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、トリデシルネオペンタノエート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(propylene glycol methylether acetate、PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(propylene glycol methylether、PGME)、ジプロピレングリコールメチルエーテル、又はエチレングリコールn-ブチルエーテル、オクチルドデシルネオペンタノエート、ジイソブチルアジペート、ジイソプロピルアジペート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、オクチルエーテル、及びオクチルパルミテートが挙げられる。あるいは、溶媒は、ポリアルキルシロキサン、ケトン、グリコールエーテル、テトラヒドロフラン、ミネラルスピリット、ナフサ、又はこれらの組み合わせから選択されてもよい。好適な蒸気圧を有するポリアルキルシロキサンを溶媒として使用してもよく、これらとしては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、トリス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、ヘプタメチル-3-{(トリメチルシリル)オキシ)}トリシロキサン、ヘキサメチル-3,3,ビス{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサン ペンタメチル{(トリメチルシリル)オキシ}シクロトリシロキサン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。0.5~1.5cStのポリジメチルシロキサンなどの低分子量ポリアルキルシロキサンは、当該技術分野において既知であり、Dow Silicones Corporationから市販されているDOWSIL(商標)200 Fluids及びDOWSIL(商標)OS FLUIDSとして市販されている。あるいは、溶媒は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、エステル、並びにエーテル部分及びエステル部分の両方を有する溶媒からなる群から選択してもよい。あるいは、溶媒は、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素からなる群から選択されてもよい。
【0045】
溶媒の量は、選択された溶媒の種類、及びコーティングの粘度を調節するために選択された他の出発物質の量及び種類を含む様々な要因によって異なる。あるいは、溶媒の量は、組成物中の全出発物質100重量部当たり、0~300重量部であってもよい。あるいは、溶媒の量は、組成物中の全出発物質100重量部当たり、0.5重量部~200重量部、あるいは20重量部~300重量部であってもよい。
【0046】
(I)非官能性ポリオルガノシリケート樹脂
組成物は、任意選択的に、出発物質(I)である非官能性ポリオルガノシリケート樹脂を更に含んでもよい。理論に束縛されるものではないが、非官能性ポリオルガノシリケート樹脂は、PSA(ヒドロシリル化反応を介して組成物を硬化させることによって形成される)の機械的特性を改変し、及び/又は初期接着強度を制御するのに役立つ粘着付与剤として作用し得ると考えられる。出発物質(I)は、0.1/1~4/1の、(I)非官能性樹脂の(A)ポリジオルガノシロキサンに対する重量比(非官能性樹脂/ポリマー比)を提供するのに十分な量で組成物において使用される。出発物質(I)は、式(R SiO1/2(SiO4/2(ZO)の単位を含むポリオルガノシリケート樹脂であり、式中、R、Z、及び下付き文字hは、上述の通りであり、下付き文字p及びqは、モル比(p/q)が0.6~<1.9、かつMw=1,000~30,000ダルトンであるような値を有する。かかる非官能性樹脂は、当該技術分野で既知であり、市販されている。かかる非官能性樹脂は、出発物質(B)について上述したように調製され得るが、(メタ)アクリル官能性出発物質を、アルキル及び/又はアリール基を有する出発物質、例えば、メチルクロロシランなどのアルキルハロシラン及び/又はメチルメトキシシランなどのアルキルアルコキシシランで置換することによって調製され得る。
【0047】
(J)アンカー添加剤
任意選択的に、組成物は、基材フィルムへの接着性を改善するために添加され得るアンカー添加剤(J)を更に含んでもよい。出発物質(J)は、シランカップリング剤、例えば、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル(epoxyclclohexyl))エチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、及びビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、かかるシランカップリング剤と、少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシ基及びケイ素結合アルケニル基を有するシロキサン化合物との混合物又は反応混合物によって例示され得る。アンカー添加剤は市販されており、例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランは、Dow SiliconesからDOWSIL(商標)Z-6043シランとして入手可能である。アンカー添加剤の量は、存在する場合、組成物中の全出発物質100重量部あたり0.05~5重量部であってよい。
【0048】
組成物及びPSAの製造方法
組成物は、任意の簡便な手段、例えばRT又は高温における混合によって全出発物質を組み合わせることを含む、方法により調製することができる。ヒドロシリル化反応抑制剤は、ヒドロシリル化反応触媒の前、例えば組成物を高温で調製する際、及び/又は組成物を一部型組成物として調製する際に、添加してもよい。
【0049】
この方法は、溶媒中に1つ以上の出発物質(例えば、直鎖状ポリジオルガノシロキサンポリマー(A)、(メタ)アクリルオキシアルキル官能性ポリオルガノシロキサン樹脂(B)及び/又はヒドロシリル化反応触媒(D)、及び/又は、存在する場合、非官能性樹脂(I))を送達することを更に含んでもよく、これら出発物質は組成物中の1つ以上の他の出発物質と組み合わせる際に溶媒中に溶解させてもよい。任意選択的に、その後、溶媒の全て又は実質的に全てを、ストリッピング及び/又は蒸留などの従来の手段によって、任意選択的に減圧下で除去することができる)。当業者であれば、得られる組成物は、溶媒を含まないか、又は出発物質の送達からの微量の残留溶媒を含有することがあるが、特定の場合では、溶媒(例えば、トルエン又は非官能性ポリジオルガノシロキサンなどの有機溶媒)は、組成物に意図的に添加されるものではないことを理解するであろう。あるいは、組成物は溶媒系であってもよい。
【0050】
あるいは、組成物は、例えば組成物を使用前に長期間、例えば、組成物を基材上にコーティングする前に最大6時間保管する場合、多液型組成物として調製してもよい。多液型組成物において、ヒドロシリル化反応触媒は、ケイ素結合水素原子を有する任意の出発物質、例えばポリオルガノハイドロジェンシロキサンとは別個の部分に保存され、それらの部分は組成物の使用直前に組み合わされる。
【0051】
例えば、多液型組成物は、混合といった任意の都合のよい手法により、(A)ポリマー、(C)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、及び任意選択的に、1つ以上のその他追加の上記出発物質のうち少なくともいくつかを含む出発物質を組み合わせて基部を形成することにより調製してもよい。硬化剤は、混合といった任意の都合のよい手法により、(A)ポリマー、(D)ヒドロシリル化反応触媒、及び任意選択的に、1つ以上のその他追加の上記出発物質のうち少なくともいくつかを含む出発物質を組み合わせることにより調製してもよい。出発物質は、周囲温度又は高温で混合され得る。ヒドロシリル化反応抑制剤は、基部、硬化剤部、又は別個の追加部のうちの1つ以上に含まれてもよい。出発物質(I)の非官能性樹脂は、存在する場合、基部、硬化剤部、又は別個の追加部に添加され得る。出発物質(B)の(メタ)アクリルオキシアルキル官能性ポリオルガノシロキサン樹脂を基部に添加してもよい。光ラジカル開始剤及び(G)フリーラジカル捕捉剤は、基部又は別個の追加の(例えば、第3の)部に添加してよい。出発物質(J)のアンカー添加剤は、存在する場合、基部に添加され得る。
【0052】
2部型組成物が使用される場合、基部の量の、硬化剤部に対する重量比は、1:1~10:1の範囲とすることができる。組成物は、ヒドロシリル化反応により硬化して、初期接着性を有する感圧接着剤を形成する。RTでのヒドロシリル化反応を介する、又は60℃~220℃、あるいは70℃~170℃、あるいは80℃~160℃の温度で、組成物からPSAを形成するのに十分な時間加熱することによる硬化。
【0053】
接着物品の調製
上述の方法は、1つ以上の追加の工程を更に含んでもよい。上述のように調製された組成物を使用して、基材上に接着剤物品、例えば、感圧接着剤(上記の組成物を熱硬化させることにより調製する)を形成してもよい。したがって、本方法は、組成物を基材に適用することを更に含んでもよい。
【0054】
組成物を基材に塗布することは、任意の簡便な手段によって実施することができる。例えば、感圧接着剤硬化型組成物は、グラビアコーター、オフセットコーター、オフセットグラビアコーター、ローラーコーター、リバースローラーコーター、エアナイフコーター又はカーテン(スロットダイ)コーターによって基材上に塗布することができる。
【0055】
基材は、組成物を硬化させて基材上にPSAを形成するために使用される硬化条件(後述)に耐えることができる、任意の材料であってもよい。例えば、120℃以上、あるいは150℃以上の温度での熱処理に耐えることができる任意の基材が好適である。このような基材に適切な材料の例として、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリアリレート、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルフィド(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、又はポリプロピレン(PP)等のプラスチックフィルムが挙げられる。基材の厚さは重要ではないが、厚さは、5マイクロメートル~300マイクロメートル、あるいは25マイクロメートル~300マイクロメートルであってもよい。基材は透明であってよく、あるいは、PSAをUV照射に曝露するのを可能にする限り、透明ではない基材を使用してもよい。
【0056】
PSAの基材への結合を向上させるために、接着剤物品の形成方法は、組成物を適用する前に基材を処理すること、を任意選択的に更に含んでもよい。基材の処理は、組成物を基材に適用する前に、プライマーを適用すること、又は基材をコロナ放電処理、エッチング、若しくはプラズマ処理に供することなどの任意の都合のよい手法により実施してもよい。
【0057】
保護フィルム又はテープなどの接着剤物品は、上記の組成物を上記の基材上に適用することにより調製され得る。方法は、任意選択的に、硬化前及び/又は硬化中に溶媒の全部又は一部分を除去することを更に含んでいてもよい(溶媒が存在する場合)。溶媒の除去は、組成物を完全には硬化させずに溶媒を気化させる温度で加熱すること、例えば、70℃~120℃、あるいは50℃~100℃、あるいは70℃~80℃の温度で、溶媒の全て又は一部を除去するのに十分な時間(例えば、30秒間~1時間、あるいは1分間~5分間)加熱すること、などの任意の都合のよい手法で実施してもよい。次いで、方法は、組成物(乾燥工程が実施される際に除去される溶媒の一部又は全部を有していてもよい)を、RTでのヒドロシリル化反応を介して、又は60℃~220℃、あるいは70℃~170℃、あるいは80℃~160℃の温度で、基材の表面上にPSAを形成するのに十分な時間(例えば、30秒間~1時間、あるいは15分間~45分間)にわたって加熱することによって硬化させることを更に含む。溶媒の全部又は一部を除去するための乾燥及び/又はヒドロシリル化反応硬化は、基材をオーブン内に入れることによって実施してもよい。基材に適用される組成物の量は、具体的な用途に依存するが、その量は、ヒドロシリル化反応を介して硬化した後、硬化後にPSAの厚さが、50マイクロメートル~1,000マイクロメートル、あるいは100マイクロメートル~700マイクロメートル、あるいは200マイクロメートル~600マイクロメートルになり得るのに十分であってよい。
【0058】
したがって、基材の表面上にPSA層を含む接着物品(例えば、保護フィルムの形態)を形成する方法は、
任意選択的に、1)上記の基材の表面を処理することと、
2)上記の組成物を基材の表面に適用することと、
任意選択的に、3)存在する場合、溶媒の全部又は一部分を除去することと、
4)ヒドロシリル化反応を介して組成物を硬化させて、基材の表面上にPSA層を形成することと、を含む。
【0059】
望ましい場合、PSA層の厚さを増加させるために、上記方法の工程2)~4)を1回以上繰り返してもよい(望ましい厚さは本明細書に記載されている)。上記方法は、例えば、使用前にPSAを保護するために、基材の反対側のPSA層に除去可能な剥離ライナーを適用することを、任意選択的に更に含んでもよい。剥離ライナーは、接着物品の使用前に除去してよい。得られたPSA層は、フーリエ変換赤外(FT-IR)分光法によって分析することができる遊離(メタ)アクリル官能基を含有し、そのPSAフィルムの相対量及びUV照射に曝露されたときのその反応は、以下に示されている通り、FT-IRスペクトルにおける不飽和結合の振動の吸収強度によってモニタリングすることができる:「UV coatings:basics,recent developments and new applications」、33ページ(Elsevier;2006 Dec 21)to Schwalm;Polymer Chemistry.2013;4(8):2449-56 to Espeel。出発物質(B)を使用することによるPSA中の遊離(メタ)アクリル官能基は、約1296cm-1及び938cm-1で検出された。
【0060】
使用方法
上述の方法は、(光)電子デバイスを製造する方法において保護膜を使用することを更に含むことができる。この方法は、PSA層をUV線などの活性エネルギー線に曝露することを含んでもよい。例えば、(光)電子デバイスを製作する方法において、改善は、
5)上記のように調製された保護フィルムを、PSA層が(光)電子デバイスの表面と接触するように、(光)電子デバイスに適用することと、
6)デバイスを保護するために保護フィルムを使用することと、その後、
7)PSA層をUV線などの活性エネルギー線に曝露することと、を含み得る。接着性は、工程6)での放射線曝露の結果として増大する。通常の(永久)接着剤が形成されてもよい。
【0061】
工程7)における照射は、全般的な紫外線照射装置、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ、紫外線発光ダイオードなどを光源として使用する、対向型又はコンベアベルト型の紫外線照射装置を使用して行ってよい。紫外線照射線量は、概ね、0.1~10W/cmを0.1秒間~120秒間(=0.1~1200J/cm)である。
【実施例
【0062】
これらの実施例は、当業者に本発明を例示するために提供されるものであり、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきではない。実施例で使用した出発物質を以下の表1に記載する。
【0063】
【表1-1】
【0064】
【表1-2】
【0065】
比較参考例1:出発物質A’-5の調製
このAでは、上記表1において比較出発物質A’-5として示されているビス-ビニルジメチルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチル、メタクリルオキシプロピル)シロキサンコポリマーを以下のように合成した。4つ口1リットル丸底フラスコに、3-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン(108.92g、DOWSIL(商標)Z-6033)及び0.1N HCl(128.87g)を添加し、約23℃で磁気撹拌子を使用して混合した。単純な蒸留ガラス器具セットアップを使用して、1.5時間かけて約20mmHgまで真空を引いた。1.5時間後、真空を開放し、ビス-ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(1179.75g、表1中のOH流体)を、0.34gの(G-1)MEHQと共に反応溶液に添加した。磁気撹拌子を取り出し、ガラス撹拌ロッドと共にテフロンパドルを使用して溶液を混合した。約5mmHgまで真空を引き、反応物を1.5時間かけて80℃で加熱した。単純な蒸留ガラス器具セットアップを分解し、最後の反応工程にはディーンスターク蒸留セットアップを使用した。反応溶液に、(H-1)トルエン(380g、Sigma-Aldrich)及びビス-ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン(2.87g、表1中のエンドブロック)を添加した。次いで、溶液を111~115℃に加熱し、温度が90℃に達したら、0.3mLのホスファゼン触媒を添加した。オーバーヘッドをディーンスタークトラップに収集し、追加で0.3mLのホスファゼン触媒を添加した。溶液をトルエン還流下で1時間保持した。熱を除去し、溶液を冷却した。約60℃で、トリヘキシルアミン(0.3g、Sigma-Aldrich)を反応溶液に添加し、2時間混合した。そして、溶液を窒素/2%酸素ガスを吹き込みながら1時間かけて120℃に加熱し、室温まで冷却した。追加のトルエンを添加することによって、溶液の固形分含有量を75%に調整した。次いで、得られた樹脂の溶液(樹脂75%/溶媒25%)を、単位式MViMA 232Me 2488Viを有するものとして同定した。
【0066】
参考例1:出発物質B-1の調製
機械式撹拌機、温度計、及びディーンスタークトラップを備えた500mLの3つ口フラスコで、25%キシレンに溶解している75%(I-1)MQ樹脂を含有する溶液375.31gと11N KOH水溶液1.5gと、トルエンとの混合物を2時間にわたって還流させて、水を除去した。46.47gのZ-6033及び0.11gの(G-1)MEHQを混合物に添加し、得られた混合物を5時間還流させた。50℃未満に冷却した後、トルエン、メタノール、水を添加し、73℃で1時間還流させた。メタノール及び水をトルエンと共に除去した。失われたトルエンに対応するトルエンをメタノール及び水と共に混合物に添加した。得られた混合物を更に3時間還流させた。室温に冷却した後、酢酸を添加した。混合物を1時間撹拌し、次いで、濾過した。得られた樹脂の溶液(樹脂75%/溶媒25%)は、単位式MMe 49.6MA 3.946.5(OH)0.45(OCH0.03を有し、GPCによるMnが2047、Mw/Mnが1.425であり、固形分が75%であると同定された(上記表1のB-1)。
【0067】
参考例2:出発物質B-2の調製
機械式撹拌機、温度計、及び凝縮器を備えた500mLの3つ口フラスコで、92.94gのZ-6030、375.31gの25%キシレンに溶解した75%(I-1)MQ樹脂を含有する溶液、15gの水、及び0.11gの(G-1)MEHQの混合物をフラスコに入れ、室温で撹拌しながら0.6gのトリフルオロメタンスルホン酸(Aldrich)を混合物に添加した。次に、温度を47℃まで上げた。1時間後、混合物を室温まで冷却し、25.62gのメタノール、1.5gの11N KOH水溶液、及びトルエンを順次加え、2時間還流した。ディーンスタークトラップを凝縮器に置き換えた後、温度を125℃まで徐々に上げ、メタノールとトルエンを含む水を除去した。水及びメタノールを除去した後、得られた混合物を更に9時間還流した。室温に冷却した後、酢酸を加えた。混合物を1時間撹拌した後、濾過した。得られた樹脂の溶液(樹脂75%/溶媒25%)は、単位式MMe 47.7MA 8.743.6(OH)0.75を有し、GPCによるMnが2095、Mw/Mnが1.327であり、固形分が75%であると同定された(上記表1のB-2)。
【0068】
参考例3:出発物質B-3の調製
機械式撹拌機、温度計、及び凝縮器を備えた500mLの3つ口フラスコで、24.84gのZ-6030、375.31gの25%キシレンに溶解した75%(I-1)MQ樹脂を含有する溶液、7gの水、及び0.11gの(G-1)MEHQの混合物をフラスコに入れ、室温で撹拌しながら0.5gのトリフルオロメタンスルホン酸(Aldrich)を混合物に添加した。次に、温度を47℃まで上げた。1h、混合物を室温まで冷却し、25.62gのメタノール、1.44gの11N KOH水溶液、及びトルエンを順次加え、2時間還流した。ディーンスタークトラップを凝縮器に置き換えた後、温度を125℃まで徐々に上げ、メタノールとトルエンを含む水を除去した。水及びメタノールを除去した後、得られた混合物を更に9時間還流した。室温に冷却した後、酢酸を加えた。混合物を1時間撹拌した後、濾過した。得られた樹脂の溶液(樹脂75%/溶媒25%)は、単位式MMe 52MA 2.145.9(OH)0.92を有し、GPCによるMnが2131、Mw/Mnが1.47であり、固形分が75%であると同定された(上記表1のB-3)。
【0069】
参考例4:出発物質B-4の調製
機械式撹拌機、温度計、及び凝縮器を備えた500mLの3つ口フラスコで、49.67gのZ-6030、13gの水及び0.1gの(G-1)MEHQの混合物をフラスコに入れ、RTで撹拌しながら0.5gのトリフルオロメタンスルホン酸を混合物に添加した。次に、温度を徐々に47℃まで上げた。RTに冷却した後、375.31gの25%キシレンに溶解した75%(I-1)MQ樹脂を含有する溶液、25.62gのメタノール、1.5gの11N KOH水溶液、及びトルエンを順に添加し、2時間還流した。ディーンスタークトラップを凝縮器に置き換えた後、温度を125℃まで徐々に上げ、メタノールとトルエンを含む水を除去した。水及びメタノールを除去した後、得られた混合物を更に12時間還流した。室温に冷却した後、酢酸を加えた。混合物を1時間撹拌した後、濾過した。得られた樹脂の溶液(樹脂75%/溶媒25%)は、単位式MMe 50.2MA 4.645.2(OH)0.83を有し、GPCによるMnが2324、Mw/Mnが1.48であり、固形分が75%であると同定された(上記表1のB-4)。
【0070】
参考例5:出発物質B-5の調製
機械式撹拌機、温度計、及び凝縮器を備えた500mLの3つ口フラスコで、116.18gのZ-6030、81.70gのビスヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(DP=11)、18gの水及び0.13gの(G-1)MEHQの混合物をフラスコに入れ、室温で撹拌しながら0.6gのトリフルオロメタンスルホン酸を混合物に添加した。次に、温度を徐々に47℃まで上げた。RTに冷却した後、375.31gの25%キシレンに溶解した75%(I-1)MQ樹脂を含有する溶液、32.02gのメタノール、1.73gの11N KOH水溶液、及びトルエンを順に添加し、2時間還流した。ディーンスタークトラップを凝縮器に置き換えた後、温度を125℃まで徐々に上げ、メタノールとトルエンを含む水を除去した。水及びメタノールを除去した後、得られた混合物を更に9時間還流した。室温に冷却した後、酢酸を加えた。混合物を1時間撹拌した後、濾過した。トルエン及びキシレンを減圧下、100℃で2時間蒸発させた。得られた粘稠な樹脂は、単位式MMe 38.1MA 8.8Me 17.335.8(OH)0.97を有し、GPCによるMnが2079、Mw/Mnが1.45であり、固形分が75%であると同定された(上記表1のB-5)。
【0071】
参考例6:出発物質B-6の調製
機械式撹拌機、温度計、及び凝縮器を備えた500mLの3つ口フラスコで、46.47gのZ-6030、81.70gのビスヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(DP=11)、8.7gの水及び0.13gの(G-1)MEHQの混合物をフラスコに入れ、RTで撹拌しながら0.6gのトリフルオロメタンスルホン酸を混合物に添加した。次に、温度を徐々に47℃まで上げた。RTに冷却した後、375.31gの25%キシレンに溶解した75%(I-1)MQ樹脂を含有する溶液、50gのメタノール、1.73gの11N KOH水溶液、及びトルエンを順に添加し、2時間還流した。ディーンスタークトラップを凝縮器に置き換えた後、温度を125℃まで徐々に上げ、メタノールとトルエンを含む水を除去した。水及びメタノールを除去した後、得られた混合物を更に9時間還流した。室温に冷却した後、酢酸を加えた。混合物を1時間撹拌した後、濾過した。トルエン及びキシレンを減圧下、100℃で2時間蒸発させた。得られた粘稠な樹脂は、単位式MMe 40.1MA 3.7Me 18.837.4(OH)0.91を有し、GPCによるMnが2114、Mw/Mnが1.504であり、固形分が75%であると同定された(上記表1のB-6)。
【0072】
参考例7:出発物質B-7の調製
機械式撹拌機、温度計、及び凝縮器を備えた500mLの3つ口フラスコで、23.24gのZ-6030、4.3gの水及び0.11gの(G-1)MEHQの混合物をフラスコに入れ、RTで撹拌しながら0.5gのトリフルオロメタンスルホン酸を混合物に添加した。次に、温度を徐々に47℃まで上げた。RTに冷却した後、375.31gの25%キシレンに溶解した75%(I-1)MQ樹脂を含有する溶液、50gのメタノール、1.44gの11N KOH水溶液、及びトルエンを順に添加し、2時間還流した。ディーンスタークトラップを凝縮器に置き換えた後、温度を125℃まで徐々に上げ、メタノールとトルエンを含む水を除去した。水及びメタノールを除去した後、得られた混合物を更に9時間還流した。室温に冷却した後、酢酸を加えた。混合物を1時間撹拌した後、濾過した。得られた樹脂の溶液(樹脂75%/溶媒25%)は、単位式MMe 50.4MA 2.247.4(OH)0.92を有し、GPCによるMnが2082、Mw/Mnが1.347であり、固形分が75%であると同定された(上記表1のB-7)。
【0073】
参考例8:出発物質B-8の調製
機械式撹拌機、温度計、及び凝縮器を備えた500mLの3つ口フラスコで、23.24gのZ-6030、81.70gのビスヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(DP=11)、4.4gの水及び0.13gの(G-1)MEHQの混合物をフラスコに入れ、RTで撹拌しながら0.6gのトリフルオロメタンスルホン酸を混合物に添加した。次に、温度を徐々に47℃まで上げた。RTに冷却した後、375.31gの25%キシレンに溶解した75%(I-1)MQ樹脂を含有する溶液、50gのメタノール、1.73gの11N KOH水溶液、及びトルエンを順に添加し、2時間還流した。ディーンスタークトラップを凝縮器に置き換えた後、温度を125℃まで徐々に上げ、メタノールとトルエンを含む水を除去した。水及びメタノールを除去した後、得られた混合物を更に9時間還流した。室温に冷却した後、酢酸を加えた。混合物を1時間撹拌した後、濾過した。得られた樹脂の溶液(樹脂75%/溶媒25%)は、単位式MMe 41MA 1.8Me 18.438.8(OH)0.95を有し、GPCによるMnが2329、Mw/Mnが1.56であり、固形分が75%であると同定された(上記表1のB-8)。
【0074】
この参考例9では、シリコーン-(メタ)アクリレート感圧接着剤組成物及び比較組成物を作製した。出発物質(A)及び(B)は、溶媒に溶解させておいてよい。一般的な手順は以下の通りである。実施例1とラベルした試料の調製には、ミキサー中で次の出発物質を混合することによって溶液を調製した。まず、出発物質(A-1)をトルエン(H-1)に溶解して、混合することによって30%溶液を得た。次に、100gの出発物質(A-1)をトルエン(H-1)に溶解させた溶液133.33g、溶媒に溶解した17.75gの出発物質(B-1)を含有する溶液23.66g、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(C-1)0.59g、ヒドロシリル化反応抑制剤(F-1)0.05gを混合した。上記出発物質を混合した後、得られた溶液を、1.18gのヒドロシリル化反応触媒(D-1)及び3.55gの光ラジカル開始剤(E-1)と更に混合した。上記の出発物質を前述の溶液と混合することによって、シリコーン-(メタ)アクリレート感圧接着剤組成物を作製した。この組成物を、接着テープの製造に使用した。接着テープを積層特性及び接着力に関して評価した。比較例、実施例2~29、及び実施例32~38を、表中の出発物質及び量を使用して同様に調製した。実施例30とラベルした無溶媒試料の調製には、ミキサー中で次の出発物質、すなわち、100gの出発物質(A-4)及び300gの出発物質(B-1)を含む400gの溶液を混合することによって溶液を調製し、溶媒を、減圧下、90℃で3時間蒸発させた。次いで、2.01gのポリオルガノハイドロジェンシロキサン(C-1)、0.2gのヒドロシリル化反応抑制剤(F-1)を添加した。上記成分を混合した後、得られた流体を、4.02gのヒドロシリル化反応触媒(D-1)及び12.06gの光ラジカル開始剤(E-1)と更に混合した。実施例31を、表中の出発物質及び量を使用して同様に調製した。
【0075】
組成物は以下の表に示す処方を有していた。組成物から調製されたPSAは、以下の表にも示される性能結果を有した。括弧内の値は、出発物質が溶媒中に送達された場合、ポリオルガノシロキサン及び溶媒を含む添加された総量を示す。括弧のない数値は、溶媒を除いたポリオルガノシロキサン出発物質の量を表す。(表2~7は、使用した出発物質(表1に詳細に記載)及びその量[固形分(グラム)及び(溶液(グラム))に基づく]を示す。値(溶液(グラム))は、出発物質が当初溶媒中に溶解していたことを示し、溶液の重量をグラムで表す。固形分に基づく値は、溶媒を除く出発物質の量を示す。)
【0076】
この参考例10では、以下のようにUV照射前の接着力を測定した(初期接着性)。比較例(Comp.)1~4及び実施例(Inv.)1~33では、硬化後に30μmの厚さを有するシリコーンハイブリッド感圧接着剤層を形成するために、ポリエチレンテレフタレート(PET、75μm)フィルム上にシリコーン(メタ)アクリレート感圧接着剤組成物を適用した。フィルムを150℃で3分間加熱することによって、シリコーンハイブリッド感圧接着剤シートを作製した。得られたシートを、ラミネーターを用いて剥離可能なポリエチレンテレフタレートフィルム上に貼り付け、得られた積層体を室温で1日間エージングした。得られたシートを、幅2.54cm(1インチ)のテープストリップに切断し、これをガラス板上に置き、2kgの重量のゴム張り加圧ローラをストリップ上で前後に2回移動させることによってそれに接着させた。このアセンブリを室温で1時間保持した。接着力(g/インチ)は、300mm/分の速度及び180°の角度で引っ張ることによってテープをガラス板から剥離するのに必要とした。
【0077】
実施例(Inv.)34~38では、硬化後に50μmの厚さを有する両面シリコーンハイブリッド感圧接着剤シートを形成するために、剥離可能なポリエチレンテレフタレート(PET、75μm)フィルム上にシリコーン-(メタ)アクリレート感圧接着剤組成物を適用した。フィルムを150℃で3分間加熱することによって、シリコーンハイブリッド感圧接着剤シートを作製した。得られたシートを、ラミネーターを用いて剥離可能なPETフィルム上に貼り付け、得られた積層体を室温で1日間エージングした。剥離可能なポリエチレンテレフタレートフィルムの片側を接着剤層から剥がした後、接着剤シートをガラス基板(幅=25mm、高さ=76mm、厚さ=5mm)上に積層した。反対側の剥離可能なポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がした後、もう一方のガラスに2.5cm×2cm(=5cm)の面積が重なるように積層した。積層物品を2kgの重量で30分間加圧した後、重ねせん断試験方法(ASTM D3163)に従って接着強度を測定した。
【0078】
UV照射後の接着力を測定するために、上記のように調製したアセンブリをRTで1日間保持した。次いで、アセンブリに、以下の条件でUV光を照射した:0.7W/cmのUV照度の紫外線を、365nmLEDランプ(FireJet(商標)FJ100)を用いてベースフィルムの上面から30秒間照射した。
【0079】
参考例11-透過率及びヘイズ
上記のようにして硬化させたシリコーン-(メタ)アクリレート感圧性接着シートの500nmにおける透過率を、ASTM D 1003(UV可視分光計、対照=空気)に規定される方法によって測定した。ヘイズは、ASTM D 1003-97(分光光度計、CM-3600A、対照=75μmのPET)によって上記と同様に測定した。
【0080】
参考例12-Si-NMR分析
上記ポリオルガノシロキサンポリマー及び(メタ)アクリル官能性ポリオルガノシロキサン樹脂の平均分子式は、Si-NMR及びC-NMR分析を組み合わせることによって決定した。
【0081】
NMR装置:10mm Siフリープローブ/5mm BBFOプローブを備えるフーリエ変換核磁気共鳴分光計Bruker 500MHz AVANCE 3 NMR。
【0082】
決定方法:下表に示す様々なシロキサン単位の’Siから導出したシグナルに基づいて、ピークの積分値を計算した。D及びDR’(R’=(メタ)アクリル官能性又は他の有機官能基)は、Si-Me数を用いてSi-NMR及びC-NMRを正規化することによって計算した。平均分子式は、様々なシロキサン単位について得られた積分シグナル値の比を見出し、次いで、求められたシグナル比に基づいてシロキサン単位比を見出すことによって特定された。
【0083】
【表2】
【0084】
参考例13-ゲル浸透クロマトグラフィー
0.5%w/vの濃度のトルエン中で試料を調製し、0.45μmのPTFEシリンジフィルターで濾過し、ポリスチレン標準に対して分析した。分子量を求めるために使用した相対検量線(三次フィット)は、580~2,610,000ダルトンの分子量範囲の16種のポリスチレン標準に基づくものであった。クロマトグラフィー機器は、真空デガッサーを備えるWaters 2695セパレーションモジュールと、Waters 2414示差屈折計と、styragerガードカラム(4.6×30mm)が前に設置された2本(7.8mm×300mm)のstyragel HRカラム(分子量分離範囲:100~4,000,000)とからなっていた。1.0mL/分で流れるようにプログラムしたトルエンを用いて分離を行い、注入体積は100μLにセットし、カラム及び検出器は45℃に加熱した。データ収集を60分間行い、Empowerソフトウェアを用いて処理を実施した。本明細書で使用するとき、Mnは、ネオペンタマーを示すピークを測定から除外した場合の分子量を表す。
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
比較例1~3は、従来のシリコーン感圧接着剤の代表例であり、非官能性(例えば、トリメチル化)ポリオルガノシリケート樹脂の使用が、樹脂/ポリマー比に応じて接着特性を与えることを示す。しかしながら、それらの接着強度は一定であり、この組成物から調製されたシリコーン感圧接着剤にUV照射後の接着性の増加をもたらさない。対照的に、実施例1~6は、本明細書に記載されるシリコーン(メタ)アクリレート感圧性接着剤組成物(脂肪族不飽和基を有するポリジオルガノシロキサンポリマー及び(メタ)アクリルオキシアルキル官能性ポリオルガノシリケート樹脂の両方を含有する)が、(光)電子デバイス用途における使用に好適な良好な透過率及びヘイズ特性を維持しながら、UV照射後に著しく増加した接着性を有することを示す。実施例1~6は、異なる量の同じ出発物質を用いて樹脂/ポリマー比が0.18から3.06に増加するにつれて、初期接着強度が増加することを示す。また、紫外線曝露後の接着強度も、実施例1~4のそれぞれにおいて、初期接着強度と比較して劇的に増加する。
【0088】
比較例4は、(メタ)アクリルオキシアルキル官能性ポリジメチルシロキサンポリマー及び(メタ)アクリルオキシアルキル官能性ポリオルガノシリケート樹脂を含有する硬化性組成物が、UV照射後に接着性が増加しないことを示す。比較例4と実施例4とを比較すると、脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサン((メタ)アクリル官能基を含まないポリマー)と(メタ)アクリルオキシアルキル官能性ポリオルガノシリケート樹脂との組み合わせは、試験した条件下で比較例4によっては示されない、実施例4のUV照射後の接着性増加挙動を与えると考えられる。理論に束縛されるものではないが、直鎖状ポリジオルガノシロキサン鎖マトリックス中のポリオルガノシリケート樹脂の(メタ)アクリルオキシアルキル官能基間の光ラジカル開始剤による分子間反応が、UV照射後に接着性の増加を誘導すると考えられる。
【0089】
【表5】
【0090】
表3の実施例7~9はまた、樹脂/ポリマー比が増加するにつれて、異なるタイプのポリジオルガノシロキサンポリマー(A-2)を用いたUV照射後の接着性増加性能を示す。加えて、実施例9~11は、SiH/反応性基比が0.29、0.44及び0.59であるときの、同じ出発物質での接着性増加特性を示す。対照的に、比較例4は、試験した条件下でSiH/反応性基比が2.36であったとき、接着強度がUV照射後に増加しないことを示す。理論に拘束されることを望むものではないが、SiH/反応性基比<2は、シリコーンメタ(アクリレート)感圧接着剤に紫外線を照射したときに更に反応することを可能にするために、ヒドロシリル化硬化後に(メタ)アクリルオキシアルキル官能性ポリオルガノシリケート樹脂の十分な反応性基を確実に存在させることによって、UV照射後の接着性の変化における効果に寄与すると考えられる。
【0091】
【表6】
【0092】
表4の実施例12~17は、異なるタイプのポリジオルガノシロキサンポリマー(A-2及びA-3)及びポリオルガノハイドロジェンシロキサン(C-2)を使用することによって、樹脂/ポリマー比及びSiH/反応性基比などのパラメータも証明できることを示している。
【0093】
【表7】
【0094】
【表8】
【0095】
【表9】

:樹脂(B-1)/ポリマー比=1.02、樹脂(I-1)/ポリマー比=0.51
:樹脂(B-1)/ポリマー比=1.05、樹脂(I-1)/ポリマー比=1.56
【0096】
表5、6及び7の実施例18~31は、異なるタイプの(メタ)アクリルオキシアルキル官能性ポリオルガノシリケート樹脂(B-2~B-9)を使用することによって、樹脂/ポリマー比及びSiH/反応性基比などのパラメータも証明できることを示している。実施例32及び33は、硬化して所望の接着特性を有する感圧接着剤を形成する無溶媒シリコーン(メタ)アクリレート感圧接着剤組成物を調製することも可能であることを実証する。加えて、実施例34及び35は、シリコーンハイブリッド感圧接着剤組成物が、(I)非官能性ポリオルガノシリケート樹脂を更に含み得ることを実証する。
【0097】
【表10】
【0098】
表8の実施例36~40は、シリコーン(メタ)アクリレート感圧接着剤組成物を使用して、両面接着シートの調製ができることを示す。表8の実施例36~40に示されるように、組み立てられた試料の接着強度は、21.11/1までの異なる樹脂/ポリマー比において、UV照射後に非常に増加する。樹脂/ポリマー比の上限は厳密に限定されなくてもよいが、理論に束縛されることを望むものではないが、樹脂/ポリマー比が高すぎる(例えば、>22)と、ポリオルガノシリケート樹脂の構造及びその量に応じて、接着シートの亀裂を引き起こし得ると考えられる。したがって、理論に束縛されるものではないが、樹脂/ポリマー比<22/1は、シリコーンハイブリッド感圧接着剤を適切に形成する際の利益に寄与すると考えられる。
【0099】
用語の定義及び使用
「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。全ての量、比、及び百分率は、明細書の文脈により別途指示のない限り、重量によるものである。明細書の文脈により別途指定がない限り、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、それぞれ1つ以上を指す。「~を含む(comprising)」、「~から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「~からなる(consisting of)」の移行句はManual of Patent Examining Procedure Ninth Edition,Revision 08.2017,Last Revised January 2018のセクション§2111.03 I.、II.、及びIIIに記載されているように使用される。本明細書で使用される略語は、表9における定義を有する。
【0100】
【表11】
【手続補正書】
【提出日】2022-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(光)電子デバイスを製作する方法において、改善は、
基材の表面上に感圧接着剤層を含む保護フィルムを形成することであって、
1)任意選択的に、前記基材の前記表面を処理することと、
2)前記基材の前記表面に組成物を適用することであって、前記組成物は、
(A)1分子当たり少なくとも2つの脂肪族不飽和炭化水素基を有する直鎖状又は実質的に直鎖状のポリジオルガノシロキサンポリマーであって、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(SiO4/2を含み、式中、各Rは、脂肪族不飽和を含まない独立して選択される一価炭化水素基であり、各Rは、独立して選択される脂肪族不飽和一価炭化水素基であり、下付き文字m、n、o、p、q、r及びsは、各単位の数を表し、0≦m、0≦n、数(m+n)≧2である値を有し、0<o<10,000、p≧0、数(o+p)は100~10,000であり、0≦q≦100、0≦r≦100、かつ、0≦s≦100であり、ただし、下付き文字q、r、又はsのいずれか1つ以上が0より大きい場合、比(o+p)/(q+r+s)は50/1~10,000/1である、ポリジオルガノシロキサンポリマーと、
(B)(メタ)アクリルオキシアルキル官能性ポリオルガノシロキサン樹脂であって、単位式(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(R SiO2/2(RSiO3/2(RSiO3/2(SiO4/2(ZO1/2を含み、式中、各Rは、独立して選択される一価炭化水素基であり、各Rは、独立して選択される(メタ)アクリルオキシアルキル基であり、各Zは、独立して、水素、及び1~6個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択され、下付き文字a、b、c、d、e、f、g、及びhは、各単位の相対モル量を表し、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f≧0、下付き文字g≧0、下付き文字h≧0、かつ数(a+b+c+d+e+f+g+h)=100である値を有し、ただし、10≧(b+c+e)≧0.5かつ99.5>(f+g)≧30であり、
出発物質(A)及び(B)は、0.15/1~<22/1の(B)樹脂/(A)ポリマーの重量比(樹脂/ポリマー比)を提供するのに十分な量で前記組成物中に存在する、(メタ)アクリルオキシアルキル官能性ポリオルガノシロキサン樹脂と、
(C)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンであって、単位式(R SiO1/2(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2(RSiO3/2(HSiO3/2(SiO4/2を含み、式中、各Rは、独立して選択される一価炭化水素基であり、下付き文字t、u、v、w、x、y、及びzは、前記式中の各単位の数を表し、t≧0、u≧0、v≧0、w≧0、x≧0、y≧0、z≧0、数(u+w+y)≧2、かつ2,000≧(t+u+v+w+x+y+z)≧3である値を有し、前記ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、0.05/1~2/1の出発物質(C)中のケイ素結合水素原子の反応性基に対するモル比(SiH/反応性基比)を提供するのに十分な量で存在し、前記反応性基は、集合的に、前記脂肪族不飽和一価炭化水素基及び前記(メタ)アクリルオキシアルキル基である、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、
(D)前記組成物中の出発物質(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)の合計重量に基づいて、1ppm~1,000ppmの白金族金属を提供するのに十分な量のヒドロシリル化反応触媒と、
(E)前記組成物中の出発物質(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)の合計重量に基づいて、0.01重量%~10重量%を提供するのに十分な量の光ラジカル開始剤と、
(F)前記組成物中の出発物質(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)の合計重量に基づいて、5ppm~2重量%を提供するのに十分な量のヒドロシリル化反応抑制剤と、
任意選択的に、(G)ラジカル捕捉剤と、
任意選択的に、(H)溶媒と、を含む、ことと、
3)任意選択的に、存在する場合、前記溶媒を除去することと、
4)前記組成物を硬化して、前記基材の前記表面上に前記感圧接着剤層を形成させ、それにより、前記保護フィルムを形成することと、
5)前記感圧接着剤層が、前記(光)電子デバイスの表面と接触するように、前記保護フィルムを前記(光)電子デバイスに適用することと、
6)前記デバイスを保護するために前記保護フィルムを使用することと、その後、
7)前記感圧接着剤層を活性エネルギー線に曝露することと、を含む、方法によって形成することを含む。
【請求項2】
出発物質(A)において、Rの各脂肪族不飽和一価炭化水素基は、独立して選択されるアルケニル基であり、Rの各一価炭化水素基は、独立して、アルキル基及びアリール基からなる群から選択され、下付き文字m=0であり、下付き文字q=0であり、下付き文字r=0であり、下付き文字s=0であり、下付き文字n=2であり、数(n+o+p)は、出発物質(A)の重量に基づいて0.01重量%~0.5重量%のビニル含量を有する出発物質(A)を提供するのに十分である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
出発物質(B)において、Rの各一価炭化水素基は、独立して、アルキル基及びアリール基からなる群から選択され、Rの各(メタ)アクリルオキシアルキル官能基は、独立して、アクリルオキシプロピル及びメタクリルオキシプロピルからなる群から選択され、下付き文字aは35~55であり、下付き文字b=0であり、下付き文字cは1~10であり、下付き文字dは0~20であり、下付き文字eは0~5であり、下付き文字fは0~3であり、下付き文字gは35~50であり、下付き文字hは0~1である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
出発物質(C)において、各Rは、独立して、アルキル基及びアリール基からなる群から選択され、下付き文字tは、0、1、又は2であり、下付き文字uは、0、1、又は2であり、数(t+u)=2であり、下付き文字v≧0であり、下付き文字w>0であり、下付き文字x=0であり、下付き文字y=0であり、下付き文字z=0であり、数(t+u+v+w)は、25℃で3MPa・s~1,000MPa・sの出発物質(C)の粘度を提供するのに十分である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(D)前記ヒドロシリル化反応触媒が、i)白金族金属、ii)前記金属の化合物、iii)前記金属又は前記化合物の錯体、v)マトリックス又はコアシェル型構造にマイクロカプセル化された前記錯体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記光ラジカル開始剤は、Ei)ベンゾフェノン、Eii)置換ベンゾフェノン化合物、Eiii)アセトフェノン、Eiv)置換アセトフェノン化合物、Ev)ベンゾイン、Evi)ベンゾインのアルキルエステル、Evii)置換ホスフィンオキシド化合物、Eviii)キサントン、及びEix)置換キサントン、及びEx)置換オキシムエステル化合物、並びにExi)Ei)~Ex)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る、光ラジカル開始剤からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物は、(F)ヒドロシリル化反応抑制剤を更に含み、前記ヒドロシリル化反応抑制剤は、アセチレン系アルコール、シクロアルケニルシロキサン、エン-イン化合物、トリアゾール、ホスフィン、メルカプタン、ヒドラジン、アミン、フマレート、マレエート、ニトリル、エーテル、一酸化炭素、アルコール、及びシリル化アセチレン系アルコールからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物は、(G)ラジカル捕捉剤を更に含み、前記ラジカル捕捉剤は、フェノール系化合物、フェノチアジン、及び無酸素抑制剤からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物は、(H)溶媒を更に含み、前記溶媒が存在し、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物は、(I)非官能性ポリオルガノシリケート樹脂を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
樹脂/ポリマー比が0.2/1~9/1である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
SiH/反応性基比が0.1/1~0.9/1である、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】