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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-20
(54)【発明の名称】免疫調節性ペプチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20231113BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20231113BHJP
   C07K 7/08 20060101ALI20231113BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20231113BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20231113BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20231113BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20231113BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20231113BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231113BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231113BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231113BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20231113BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20231113BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20231113BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20231113BHJP
   A61P 33/06 20060101ALI20231113BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231113BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231113BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20231113BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20231113BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20231113BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12N15/86 Z ZNA
C07K7/08
C07K7/06
C12N5/0783
C12N7/01
C12N15/85 Z
C12N5/10
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K38/19
A61K48/00
A61K35/17
A61P31/20
A61P33/06
A61P31/04
A61P17/00
A61K38/10
A61K39/39
A61K35/76
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521734
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 US2021054127
(87)【国際公開番号】W WO2022081426
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】63/090,324
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519091317
【氏名又は名称】レイドス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】グティエレス, ガブリエル エム.
(72)【発明者】
【氏名】パヌッチ, ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ワイル, マイケル ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ファレス, ティモシー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】コトライア, ヴィナヤカ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, セシル ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ボンテンポ, ピーター ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA13
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA18
4C084BA44
4C084DA01
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZB381
4C084ZB382
4C084ZC202
4C084ZC412
4C084ZC751
4C085AA03
4C085AA38
4C085BA89
4C085BB01
4C085EE06
4C085FF13
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087BC83
4C087CA04
4C087CA12
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB33
4C087ZB35
4C087ZB38
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA16
4H045BA17
4H045EA22
4H045EA28
4H045EA31
4H045FA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、種々の治療目的(例えば、過剰増殖性障害(がんを含む)の進行を阻害する;感染性疾患を処置する;ワクチン接種への応答を増強する;敗血症を処置する;および毛髪の再色素化または色素沈着した皮膚病変の軽減を促進する)のために使用され得るペプチドを提供する。いくつかの実施形態において、開示されるペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4のアミノ酸配列からなる。いくつかの実施形態において、開示されるペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、開示されるペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4のアミノ酸配列から本質的になる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1、配列番号2、および配列番号3からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するペプチド。
【請求項2】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、および配列番号4からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドをコードする発現構築物。
【請求項3】
CAR-T細胞または腫瘍溶解性ウイルスの中に存在する、請求項2に記載の発現構築物。
【請求項4】
(a)以下:
(i)配列番号1、配列番号2、配列番号3、および配列番号4からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するペプチド;
(ii)前記ペプチドをコードする核酸;
(iii)前記ペプチドを発現するCAR-T細胞;
(iv)前記ペプチドを発現する腫瘍溶解性ウイルス
からなる群より選択される活性薬剤;および
(b)薬学的に受容可能なキャリア、
を含む薬学的組成物。
【請求項5】
前記活性薬剤は、核酸であり、ここで前記核酸は、DNA、cDNA、PNA、およびRNAからなる群より選択される、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記核酸は、RNAである、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記RNAは、(i)リボース糖の改変、(ii)リン酸結合の改変、および(iii)塩基の改変からなる群より選択される改変を含む、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記改変は、リボ-ジフルオロトルイルヌクレオチド、4’-チオ改変RNA、ボラノホスフェート結合、ホスホロチオエート結合、2’-O-メチル(2’-OMe)糖置換、2’-フルオロ(2’-F)、2’-O-メトキシエチル(2’-MOE)糖置換、ロックド核酸(LNA)、およびL-RNAからなる群より選択される、請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記活性薬剤は、ペプチドであり、ここで前記ペプチドは、微粒子、ポリマーナノ粒子、リポソーム、固体脂質ナノ粒子、親水性粘膜接着性ポリマー、チオール化ポリマー、ポリマーマトリクス、ナノエマルジョン、およびヒドロゲルからなる群より選択されるペプチドキャリアシステムとともに提供される、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
過剰増殖性障害の進行を阻害する、感染性疾患を処置する、ワクチン接種への応答を増強する、敗血症を処置する、毛髪の再色素化を促進する、または色素沈着した皮膚病変の軽減を促進する方法であって、前記方法は、それを必要とする個体に、有効量の請求項4に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項11】
前記薬学的組成物は、前記過剰増殖性障害の進行を阻害するために投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記過剰増殖性障害は、がんである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記がんは、膵臓がんまたは結腸癌である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第2の治療を患者に投与する工程をさらに包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の治療は、以下:
(i)がんワクチン;
(ii)キメラ抗原レセプター(CAR)T細胞治療;
(iii)PD1、PD-L1、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)、T細胞活性化のVドメイン免疫グロブリンサプレッサー(VISTA)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM-3)、キラー免疫グロブリン様レセプター(KIR)、インドールアミン(2,3)-ジオキシゲナーゼ(IDO)、BおよびTリンパ球減弱因子(BTLA)、A2Aアデノシンレセプター(A2AR)からなる群より選択される分子の活性を低減または遮断することを含む治療;
(iv)サイトカイン;
(v)CD40、OX40、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子関連タンパク質(GITR)、および誘導性T細胞共刺激分子(ICOS)からなる群より選択される分子のアゴニスト;
(vi)腫瘍溶解性ウイルス;ならびに
(vii)4-1BBアゴニスト、4-1BBアンタゴニスト、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)のインヒビター、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)のインヒビター、およびVEGFRのインヒビターからなる群より選択される治療剤、
からなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記薬学的組成物は、感染性疾患を処置するために、または前記感染性疾患に対するワクチンへのワクチンアジュバントとして投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記感染性疾患は、マラリアまたはB型肝炎である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1種のペプチドが、敗血症を処置するために投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1種のペプチドが、毛髪の再色素化を促進するため、または色素沈着した皮膚病変の軽減を促進するために投与される、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本出願の配列表である、2020年10月7日に作成され、ファイル名「00047900276sequencelisting.txt」の1.52kbのテキストファイルの内容を参考として援用する。
【0002】
本開示において引用される各科学文献、特許、および公開された特許出願は、その全体において本明細書に参考として援用される。
【0003】
技術分野
本開示は、一般に、免疫調節性ペプチドに関する。
【背景技術】
【0004】
背景
プログラム細胞死(Programmed cell death)-1(PD1)、ならびにそのリガンドであるPD-L1およびPD-L2は、広く発現され、腫瘍細胞および感染性因子に対する免疫の減弱化を含め、T細胞活性化において多くの免疫制御上の役割を発揮する。従って、PD1は、種々の治療適用のための魅力的な標的である。免疫チェックポイント経路の有用な調節因子の必要性は、継続している。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、PATHHUNTER(登録商標)チェックポイントシグナル伝達アッセイ(DiscoverX)を使用して、種々のペプチドがPD1の活性を阻害して、SHP1を動員する能力を示すグラフである。
【0006】
図2図2は、ワクチン抗原(AdPyCS)と組み合わせた場合に、IFNγ-ELISPOTによって測定されるIFNγ陽性CD8 T細胞の数をペプチドがどの程度増大させるかを示すグラフである。
【0007】
図3-1】図3A、各動物に関して0日目の値に対して正規化した、マウスにおけるMC38腫瘍体積を比較するグラフ。マウスのコホートは、50μg FoLD01ペプチドの腫瘍内(IT)注射、またはCTLA4および/もしくはPD1に対する抗体の腹腔内注射を受容した。コントロールコホート(DMSO/PBSを腫瘍内に注射)のメジアン値を、太い線として示す。
【0008】
図3-2】図3B、示された群に関する正規化した腫瘍増殖動態を比較するグラフ。エラーバーは、コホート平均および95%信頼区間を表す。
【0009】
図3-3】図3C、16日目での正規化した腫瘍増殖を比較するグラフ。p値は、ノンパラメトリックMann-Whitney t検定を使用して決定した。
【0010】
図4-1】図4A、各動物に関して0日目の値に対して正規化した、マウスにおけるPan02腫瘍体積を比較するグラフ。マウスのコホートは、50μg FoLD04の腫瘍内注射、またはCTLA4および/もしくはPD1に対する抗体の腹腔内注射を受容した。コントロールコホート(DMSO/PBSを腫瘍内に注射)のメジアン値を、太い線として示す。
【0011】
図4-2】図4B、示された群に関する正規化した腫瘍増殖動態を比較するグラフ。エラーバーは、コホート平均および95%信頼区間を表す。
【0012】
図4-3】図4C、21日目での正規化した腫瘍増殖を比較するグラフ。p値は、ノンパラメトリックMann-Whitney t検定を使用して決定した。
【0013】
図4-4】図4D、27日目での正規化した腫瘍増殖を比較するグラフ。p値は、ノンパラメトリックMann-Whitney t検定を使用して決定した。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
本開示は、チェックポイントレセプター「プログラム細胞死(programmed death)1」(PD-1)の活性をアンタゴナイズするペプチドを提供する。これらのペプチドのアミノ酸配列を以下に示す。
【表1】
【0015】
いくつかの実施形態において、開示されるペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4のアミノ酸配列からなる。いくつかの実施形態において、開示されるペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、開示されるペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4のアミノ酸配列から本質的になる。
【0016】
いくつかの実施形態において、開示されるペプチドは、その安定性または他の薬物動態特性を増強するために、化学的または組換え方法を使用して改変される。例えば、US 2017/0020956を参照のこと。改変としては、1またはこれより多くのL-アミノ酸のその相当するD形態での置換、C末端および/またはN末端残基に対するアセチル化、C末端および/またはN末端残基に対するアミド化、環化、エステル化、グリコシル化、アシル化、ミリスチン酸もしくはパルミチン酸の結合、N末端グリシンの付加、親油性部分(例えば、長鎖脂肪酸)の付加、ならびにPEG化が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
ペプチドは、当該分野で公知の任意の方法(合成法、組換え法、または両方を含む)によって作製され得る。合成法としては、固相法および溶液法が挙げられ、保護基の使用を含み得る。例えば、Bodanszkyら(1976)、McOmie(1973)、Merrifield(1963)、Neurathら(1976)、Stuart & Young(1984)を参照のこと。
【0018】
改変されていないペプチドの組換え生成は、任意の適切な発現系において上記ペプチドをコードする任意のヌクレオチド配列を使用して行われ得る。開示されるペプチドのうちの1またはこれより多くのものをコードする核酸分子は、そのコード配列に作動可能に連結された制御エレメントを含む発現カセットへと組み込まれ得る。制御エレメントとしては、イニシエーター、プロモーター(誘導性、抑制性、および構成的プロモーターを含む)、エンハンサー、およびポリアデニル化シグナルが挙げられるが、これらに限定されない。シグナル配列が含まれ得る。上記発現カセットは、上記ペプチドの生成のために、適切な宿主細胞へと導入され得るベクターの中に提供され得る。発現カセットおよび発現ベクターを構築する方法は、周知である。発現ベクターは、配列番号1、2、3、または4を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる1またはこれより多くのペプチドをコードする1またはこれより多くの発現カセットを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、開示されるペプチドまたはその改変されたバージョンは、上記ペプチドの血漿半減期を増強するための部分(例えば、アルブミンまたはトランスサイレチン)へと結合体化される。このような結合体を調製する方法は、当該分野で周知である(例えば、Penchalaら, 2015; Kontermann, 2016; Zorziら, 2017)。
【0020】
いくつかの実施形態において、開示されるペプチドまたはその改変されたバージョンは、パートナー分子(例えば、インビボで上記ペプチドもしくは改変されたペプチドの半減期を増大させるおよび/または標的組織もしくは細胞への特異的送達を提供することが意図された抗体のような、ペプチドもしくはタンパク質)に結合体化される。結合体化は、直接的であり得るか、またはリンカーを介するものであり得る。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、ペプチドまたはその改変されたバージョンは、1またはこれより多くのアミノ酸を、パートナー分子を結合するために使用されるアミノ酸(例えば、リジン)で置換するために、あるいは例えば、1個、2個、3個、もしくは4個のグリシンスペーサー分子での上記ペプチドのN末端伸長によって変化させられ得る。
【0021】
本開示はまた、開示されるペプチドのうちの1またはこれより多くのものを発現するCAR-T細胞を提供する。CAR-T細胞を調製する方法は、例えば、米国特許第9,328,156号;米国特許第9,845,362号;および米国特許第9,101,584号において開示される。
【0022】
本開示はまた、開示されるペプチドのうちの1またはこれより多くのものをコードする核酸分子を含む腫瘍溶解性ウイルスを提供する。US 2017/0157188; Lawlerら, 2017; US 2015/0250837を参照のこと。腫瘍溶解性ウイルスとしては、レオウイルス、セネカバレーウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、単純ヘルペスウイルス、モルビリウイルス、レトロウイルス、インフルエンザウイルス、シンドビスウイルス、ポックスウイルス、およびアデノウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
腫瘍溶解性レオウイルスの例としては、REOLYSIN(登録商標)(pelareorep)およびUS 2017/0049829に開示されるレオウイルスが挙げられる。
【0024】
腫瘍溶解性セネカバレーウイルスの例としては、NTX-101(Rudinら, 2011)が挙げられる。
【0025】
腫瘍溶解性水疱性口内炎ウイルスの例は、Stojdlら, 2000;およびStojdlら, 2003に開示される。
【0026】
腫瘍溶解性ニューカッスル病ウイルスの例としては、73-T PV701およびHDV-HUJ株が挙げられる(Phuangsabら, 2001; Lorenceら, 2007;およびFreemanら, 2006もまた参照のこと)。
【0027】
腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルスの例としては、NV1020(Geevargheseら, 2010)およびT-VEC(Andtbackaら, 2013)が挙げられる。
【0028】
腫瘍溶解性モルビリウイルスの例としては、腫瘍溶解性麻疹ウイルス(例えば、MV-Edm(McDonaldら, 2006)およびHMWMAA(Kaufmannら, 2013))が挙げられる。
【0029】
腫瘍溶解性レトロウイルスの例は、Luら, 2012に開示される。
【0030】
腫瘍溶解性インフルエンザウイルスの例は、例えば、US 2018/0057594に開示される。
【0031】
腫瘍溶解性シンドビスウイルスの例は、例えば、Lundstrom, 2017に開示される。
【0032】
腫瘍溶解性ポックスウイルスの例は、例えば、Chan & McFadden, 2014に開示される。
【0033】
腫瘍溶解性アデノウイルスの例としては、ONYX-015(Khuriら, 2000)およびH101またはOncorine(Liang, 2018)が挙げられる。
【0034】
治療的使用
開示されるペプチドは、多くの治療適用(過剰増殖性障害(がんを含む)を処置する、感染性疾患を処置する、ワクチン接種への応答を増強する、敗血症を処置する、毛髪の再色素化(re-pigmentation)を促進する、および色素沈着した皮膚病変の軽減を促進する、が挙げられる)を有する。「処置する」とは、本明細書で使用される場合、ペプチドまたはその改変されたバージョンが投与される状態の1またはこれより多くの症状を低減するかまたはその進行を阻害することを含む。
【0035】
「投与する」とは、本明細書で使用される場合、開示されるペプチドまたはその改変されたバージョンの直接的投与、ならびに間接的投与を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、開示されるペプチドのうちの1またはこれより多くのものは、直接投与される。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、ペプチドキャリアシステムが使用される。多くのペプチドキャリアシステムが、当該分野で公知であり、これらとしては、微粒子、ポリマーナノ粒子、リポソーム、固体脂質ナノ粒子、親水性粘膜接着性ポリマー、チオール化ポリマー、ポリマーマトリクス、ナノエマルジョン、およびヒドロゲルが挙げられる。Patelら(2014)、Brunoら(2013)、Feridooniら(2016)を参照のこと。任意の適切なシステムが使用され得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、1またはこれより多くの開示されるペプチドを発現および分泌する操作されたT細胞が、T細胞レセプターと抗原との係合部位においてPD1阻害を送達するために使用され得る。T細胞ベースの治療は、例えば、開示されるペプチドのうちの1またはこれより多くのものを発現するCAR-T細胞であり得る。誘導性または構成性いずれかの発現が使用され得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、腫瘍溶解性ウイルスは、開示されるペプチドのうちの1またはこれより多くのものを送達するために使用され得る。誘導性または構成性いずれかの発現が使用され得る。
【0039】
他の実施形態において、開示されるペプチドのうちの1またはこれより多くのものは、上記ペプチドをコードする1またはこれより多くの核酸(例えば、DNA、cDNA、PNA、RNAまたはこれらの組み合わせ)を使用して送達される;例えば、US 2017/0165335を参照のこと。1またはこれより多くのペプチドをコードする核酸は、当該分野で公知の種々の送達システムを使用して送達され得る。核酸送達システムとしては、遺伝子銃;カチオン性脂質およびカチオン性ポリマー;リポソーム、微粒子、またはマイクロカプセル中での被包;エレクトロポレーション;ウイルスベースの、および細菌ベースの送達システムが挙げられるが、これらに限定されない。ウイルスベースのシステムとしては、改変されたウイルス(例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、または1もしくはこれより多くのウイルスのエレメントを含むハイブリッドウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。US 2002/0111323は、ペプチドを投与するために、「裸のDNA(naked DNA)、すなわち、「トランスフェクション促進タンパク質、ウイルス粒子、リポソーム製剤、荷電脂質およびリン酸カルシウム沈殿剤」を含まない「非感染性、非免疫原性。非組み込み型DNA配列」の使用を記載する。細菌ベースの送達システムは、例えば、Van Desselら(2015)およびYangら(2007)に開示される。
【0040】
いくつかの実施形態において、ペプチドは、上記ペプチドをコードするRNA分子を介して投与される。いくつかの実施形態において、上記RNA分子は、ナノ粒子中に被包される。いくつかの実施形態において、上記ナノ粒子は、カチオン性ポリマー(例えば、ポリ-L-リジン、ポリアミドアミン、ポリエチレンイミン、キトサン、ポリ(β-アミノエステル)を含む。いくつかの実施形態において、上記ナノ粒子は、カチオン性脂質またはイオン化可能な脂質を含む。いくつかの実施形態において、上記RNA分子は、生体活性リガンド(例えば、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、コレステロール、ビタミンE、抗体、細胞透過ペプチド)に結合体化される。例えば、Akincら(2008)、Akincら(2009)、Andersonら(2003)、Behr(1997)、Boussifら(1995)、Chenら(2012)、Dahlmanら(2014)、Desigauxら(2007)、Dongら(2014)、Dostaら(2015)、Fentonら(2016)、Guoら(2012)、Howardら(2006)、Kaczmarekら(2016)、Kanastyら(2013)、Kauffmanら(2015)、Kozielskiら(2013)、Leusら(2014)、Lorenzら(2004)、Loveら(2010)、Lynn & Langer(2000)、Moschosら(2007)、Nairら(2014)、Nishinaら(2008)、Packら(2005)、Rehmanら(2013)、Schroederら(2010)、Tsutsumiら(2007)、Tzengら(2012)、Wonら(2009)、Xiaら(2009)、Yuら(2016)を参照のこと。
【0041】
いくつかの実施形態において、RNA分子は、その分解または免疫系による認識の機会を低減するために改変され得る。リボース糖、リン酸結合、および/または個々の塩基が改変され得る。例えば、Behlke(2008)、Bramsen(2009)、Chiu(2003)、Judge & MacLachlan(2008)、Kauffman(2016)、Li(2016)、Morrissey(2005)、Prakash(2005)、Pratt & MacRae(2009)、Sahin(2014)、Soutschek(2004)、Wittrup & Lieberman(2015)を参照のこと。いくつかの実施形態において、上記改変は、リボ-ジフルオロトルイルヌクレオチド(ribo-difluorotoluyl nucleotide)、4’-チオ改変RNA、ボラノホスフェート結合、ホスホロチオエート結合、2’-O-メチル(2’-OMe)糖置換、2’-フラノ(2’-F)、2’-O-メトキシエチル(2’-MOE)糖置換、ロックド核酸(LNA)、およびL-RNAのうちの1またはこれより多くのものである。
【0042】
いくつかの実施形態において、投与は、1またはこれより多くの他の治療とともに行われる。「とともに」は、上記1またはこれより多くの他の治療の投与と一緒の、その前の、またはその後の投与を含む。
【0043】
薬学的組成物、投与経路、およびデバイス
1もしくはこれより多くのペプチド、核酸分子、CAR-T細胞、および/または腫瘍溶解性ウイルスは、上記で考察されるように、代表的には、薬学的に受容可能なビヒクルを含む薬学的組成物において投与される。「薬学的に受容可能なビヒクル」は、上記ペプチドまたはその改変されたバージョンの生物学的活性に影響を与えず、患者に投与された場合に、有害反応を引き起こさない1またはこれより多くの物質を含み得る。薬学的組成物は、液体であってもよいし、凍結乾燥されていてもよい。凍結乾燥された組成物は、適切な液体(代表的には、上記組成物を再構成するにあたって使用するための注射用水(WFI))とともにキット中に提供され得る。薬学的組成物の他の適切な形態としては、懸濁物、エマルジョン、および錠剤が挙げられる。
【0044】
薬学的組成物は、任意の適切な経路(静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、硬膜外、腫瘍内、経皮(例えば、US 2017/0281672)、粘膜(例えば、鼻内または口内)、肺、および局所(例えば、US 2017/0274010)経路が挙げられるが、これらに限定されない)によって投与され得る。例えば、US 2017/0101474を参照のこと。
【0045】
投与は、全身または局所であり得る。局所の注入および注射に加えて、移植物が局所投与を達成するために使用され得る。適切な材料の例としては、シラスティック膜(sialastic membrane)、ポリマー、線維性マトリクス、およびコラーゲンマトリクスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
局所投与は、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、経皮パッチ(例えば、マイクロニードルパッチ)または当該分野で周知の他の適切な形態によるものであり得る。
【0047】
投与はまた、例えば、マイクロニードルパッチ、ポンプおよび/または適切なポリマー物質を使用する、制御放出によるものであり得る。適切な物質の例としては、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-co-ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、およびポリオルトエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
上記で記載されるペプチド、核酸分子、CAR-T細胞、および/または腫瘍溶解性ウイルスのうちのいずれかを含むデバイスとしては、シリンジ、ポンプ、経皮パッチ、スプレーデバイス、膣リング、およびペッサリーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
過剰増殖性障害(がんを含む)の処置
いくつかの実施形態において、上記のペプチド、核酸分子、CAR-T細胞、および/または腫瘍溶解性ウイルスのうちの1またはこれより多くのものが、過剰増殖性障害(がんを含む)の進行を阻害するために、患者に投与される。このような阻害は、例えば、新生物細胞もしくは前新生物細胞の増殖を低減する;新生物細胞もしくは前新生物細胞を破壊する;および腫瘍の転移を阻害する、または腫瘍のサイズを減少させることが挙げられ得る。
【0050】
がんの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:黒色腫(皮膚または眼内の悪性黒色腫が挙げられる)、腎がん、前立腺がん、乳がん、結腸がん、肺がん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頚部がん、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門領域のがん、胃がん、精巣がん、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、膣癌、外陰部癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道がん、小腸がん、内分泌系のがん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟部組織の肉腫、尿道がん、陰茎がん、慢性または急性の白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病が挙げられる)、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓または尿管のがん、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄腫瘍(spinal axis tumor)、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮がん、扁平上皮がん、およびT細胞リンパ腫。
【0051】
併用がん治療
いくつかの実施形態において、上記のペプチド、核酸分子、CAR-T細胞、および/または腫瘍溶解性ウイルスのうちの1またはこれより多くのものが、1またはこれより多くの他のがん治療または免疫療法(例えば、以下で記載されるもの)とともに投与される。
【0052】
いくつかの実施形態において、第2の治療は、PD1の活性を低減または遮断する第2の薬剤(例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、デュルバルマブ)またはCTLA-4の活性を低減または遮断する第2の薬剤(例えば、イピリムマブ、トレメリムマブ)を含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、上記第2の治療は、PD-L1の活性を低減または遮断する薬剤(例えば、アテゾリズマブ)を含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、上記第2の治療は、他の阻害性チェックポイント分子および/または免疫系を抑制する分子の活性を低減または遮断する薬剤を含む。これらの分子としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
1. リンパ球活性化遺伝子(Lymphocyte-activation gene)-3(LAG-3;Heら, 2016; Triebelら, 1990を参照のこと);
2. T細胞活性化のVドメイン免疫グロブリンサプレッサー(V-domain Immunoglobulin Suppressor of T cell Activation)(VISTA(c10orf54、PD1H、DD1α、Gi24、Dies1、およびSISP1としても公知); US 2017/0334990、US 2017/0112929、Gaoら, 2017, Wangら, 2011; Liuら, 2015を参照のこと);
3. T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン(T-cell Immunoglobulin domain and Mucin domain)3(TIM-3;US 2017/0198041、US 2017/0029485、US 2014/0348842、Sakuishiら, 2010を参照のこと);
4. キラー免疫グロブリン様レセプター(killer immunoglobulin-like receptor)(KIR; US 2015/0290316を参照のこと);
5. インドールアミン(2,3)-ジオキシゲナーゼ(IDO; Mellemgaardら, 2017を参照のこと)を阻害する薬剤;
6. BおよびTリンパ球減弱因子(B and T Lymphocyte Attenuator)(BTLA; US 2016/09222114を参照のこと);ならびに
7. A2Aアデノシンレセプター(A2AR; Beavisら, 2015; US 2013/0267515; US 2017/0166878; Leoneら, 2015; Mediavilla-Varelaら, 2017; Youngら, 2016を参照のこと)。
【0055】
LAG-3の活性を低減または遮断する薬剤としては、BMS-986016、IMP321、およびGSK2831781(Heら, 2016)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
VISTAの活性を低減または遮断する薬剤としては、CA-170のような低分子および抗体(例えば、Le Mercierら, 2014)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
TIM-3の活性を低減または遮断する薬剤としては、抗体(例えば、MBG453およびTSR-022; Dempkeら, 2017を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
KIRの活性を低減または遮断する薬剤としては、モノクローナル抗体(例えば、IPH2101およびリリルマブ(BMS-986015、以前はIPH2102); Benson & Caligiuri, 2014を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
IDOの活性を低減または遮断する薬剤としては、エパカドスタットおよびUS 2017/0037125に開示される薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
BTLAの活性を低減または遮断する薬剤としては、ペプチド(例えば、Spodziejaら, 2017)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
A2ARの活性を低減または遮断する薬剤としては、CPI-444およびビパデナントのような低分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
いくつかの実施形態において、上記第2の治療は、サイトカイン(例えば、インターロイキン7)を含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、上記第2の治療は、刺激性チェックポイント分子のアゴニストを含む。これらの分子としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
1. CD40;
2. OX40;
3. グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子関連タンパク質(GITR);および
4. 誘導性T細胞共刺激分子(ICOS)。
【0064】
CD40のアゴニストとしては、CD40アゴニストモノクローナル抗体(例えば、cp-870,893、ChiLob7/4、ダセツズマブ、およびルカツムマブ)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Vonderheideら, 2007; Khubchandaniら, 2009; Johnsonら, 2010; Bensingerら, 2012; Vonderheide and Glennie, 2013; Johnsonら, 2015を参照のこと。
【0065】
OX40のアゴニストとしては、OX40アゴニスト抗体(例えば、MOXR0916、MED16469、MED10562、PF-045618600、GSK3174998、およびINCCAGN01949)およびOX40L-Fc融合タンパク質(例えば、MEDI6383)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Huseniら, 2014; Linchら, 2015; Messenheimerら, 2017を参照のこと。Shrimaliら, 2017も参照のこと。
【0066】
GITRのアゴニストとしては、MEDI1873が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Schaerら, 2012; Tigueら, 2017を参照のこと。
【0067】
ICOSのアゴニストとしては、ICOSアゴニスト抗体であるJTX-2011およびGSK3359609が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Harveyら, 2015; Michaelsonら, 2016を参照のこと。
【0068】
他の実施形態において、上記第2の治療は、ウレルマブのような4-1BBアゴニスト(Shindoら, 2015);4-1BBアンタゴニスト(US 2017/0174773を参照のこと);クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、PF-06463922、NVP-TAE684、AP26113、TSR-011、X-396、CEP-37440、RXDX-101のような未分化リンパ腫キナーゼ(ALK; Wangら, 2014; US 2017/0274074)のインヒビター;ヒストンデアセチラーゼ(HDAC; US 2017/0327582を参照のこと)のインヒビター;VEGFRインヒビター(例えば、アキシチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、チボザニブ、ベバシズマブ);ならびに/または抗CD27抗体(例えば、バルリルマブ)を含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、上記第2の治療は、がんワクチン(例えば、Duraiswamyら, 2013)を含む。「がんワクチン」は、このがんワクチンが投与される個体において特定の抗原に対する免疫応答を誘発することが意図された免疫原性組成物である。がんワクチンは、代表的には、腫瘍抗原に対して免疫応答を誘導または刺激し得るその腫瘍抗原を含む。「腫瘍抗原」は、標的腫瘍の表面上に存在する抗原である。腫瘍抗原は、非腫瘍細胞によって発現されない分子であってもよいし、例えば、非腫瘍細胞によって発現される分子の変化したバージョン(例えば、誤って折りたたまれた、短縮された、または別の方法で変異されたタンパク質)であってもよい。
【0070】
いくつかの実施形態において、上記第2の治療は、キメラ抗原レセプター(CAR) T細胞治療を含む。例えば、Johnら, 2013; Chongら, 2016を参照のこと。
【0071】
いくつかの実施形態において、上記のペプチド、核酸分子、CAR-T細胞、および/または腫瘍溶解性ウイルスのうちの1またはこれより多くのものは、CAR-T細胞がん治療の有効性を増大させるために、そのCAR-T細胞がん治療とともに投与される。
【0072】
いくつかの実施形態において、上記のペプチド、核酸分子、CAR-T細胞、および/または腫瘍溶解性ウイルスのうちの1またはこれより多くのものは、例えば、US 2017/0143780に開示されるとおりの腫瘍溶解性ウイルスとともに投与される。腫瘍溶解性ウイルスの非限定的な例は、上に記載されている。
【0073】
さらなる治療的使用
いくつかの実施形態において、上記のペプチド、核酸分子、CAR-T細胞、および/または腫瘍溶解性ウイルスのうちの1またはこれより多くのものは、感染性疾患(例えば、ウイルス、真菌、細菌、および原生動物、ならびに蠕虫によって引き起こされる慢性感染症を含む)を処置するために患者に投与される。
【0074】
ウイルス因子の例としては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エプスタインバーウイルス(EBV)、単純ヘルペス(HSV1およびHSV2を含むHSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、水痘帯状疱疹(VSV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ならびにA型、B型、およびC型肝炎ウイルスが挙げられる。
【0075】
真菌因子の例としては、Aspergillus、Candida、Coccidioides、Cryptococcus、およびHistoplasma capsulatumが挙げられる。
【0076】
細菌因子の例としては、Streptococcal細菌(例えば、pyogenes、agalactiae、pneumoniae)、Chlamydia pneumoniae、Listeria monocytogenes、およびMycobacterium tuberculosisが挙げられる。
【0077】
原生動物の例としては、Sarcodina(例えば、Entamoeba)、Mastigophora(例えば、Giardia)、Ciliophora(例えば、Balantidium)、およびSporozoa(例えば、Plasmodium falciparum、Cryptosporidium)が挙げられる。
【0078】
蠕虫の例としては、Platyhelminths(例えば、吸虫、条虫)、Acanthocephalins、およびNematodesが挙げられる。
【0079】
いくつかの実施形態において、上記のペプチド、核酸分子、CAR-T細胞、および/または腫瘍溶解性ウイルスのうちの1またはこれより多くのものは、ワクチン接種への応答を増大させるために(例えば、エフェクターT細胞を増大させるおよび/またはT細胞疲弊を低減することによって)、ワクチンアジュバントとして投与される。上記ワクチンは、例えば、RNAワクチン(例えば、US 2016/0130345、US 2017/0182150)、DNAワクチン、組換えベクター、タンパク質ワクチン、またはペプチドワクチンであり得る。このようなワクチンは、当該分野で周知であるように、例えば、ウイルス様粒子を使用して送達され得る。
【0080】
いくつかの実施形態において、上記のペプチド、核酸分子、CAR-T細胞、および/または腫瘍溶解性ウイルスのうちの1またはこれより多くのものは、敗血症を処置するために投与される。
【0081】
いくつかの実施形態において、上記のペプチド、核酸分子、CAR-T細胞、および/または腫瘍溶解性ウイルスのうちの1またはこれより多くのものは、毛髪の色の再色素化を促進するために投与される。いくつかの実施形態において、本明細書で記載されるペプチド、核酸分子、CAR-T細胞、および/または腫瘍溶解性ウイルスのうちの1またはこれより多くのものは、色素沈着した皮膚病変の軽減を促進するために投与される。
【実施例
【0082】
実施例1. PATHHUNTER(登録商標) チェックポイントシグナル伝達アッセイ
ペプチドを、PATHHUNTER(登録商標)チェックポイントシグナル伝達アッセイ(DiscoverX)を使用して、PD1へのPDL1の結合を阻害するそれらの能力に関して試験した。
【0083】
PD1およびSHP1タンパク質(各々、酵素フラグメント補完(enzyme fragment complementation)(EFC)システムのフラグメントに融合される)を発現するJurkat細胞を、PDL1提示U2OS細胞と共インキュベートした。これは、PD1活性化およびPD1レセプターへのSHP1動員を生じ、2つのEFCフラグメントを一緒にして、光シグナルを生成する。培養物に添加される阻害性ペプチドまたは抗体は、この光シグナルを低減する。
【0084】
共培養物中の細胞を、室温(RT)において2時間インキュベートした(PD1アッセイ)。そのアッセイシグナルを、PATHHUNTER(登録商標) Bioassay Detectionキットを使用して生成した。FoLD01(配列番号1)、LD10(配列番号5)、およびLD12(配列番号6)ペプチドを、2種の濃度、20μMおよび100μMにおいて二連で試験した。ペプチドを水またはDMSO中に溶解し、アッセイ緩衝液で希釈した。
【0085】
マイクロプレートを、化学発光シグナル検出のためにPerkinElmer ENVISIONTM機器を使用して、シグナル生成後に読み取った。阻害有効性のパーセンテージを、以下の式を使用して計算した(ここで「RLU」は、相対的光単位を意味する):
【数1】
【0086】
その結果は、FoLD01ペプチドが、ペプチドLD10およびLD12より大きな程度までPD1-PDL1相互作用を阻害したことを示す(図1)。
【0087】
実施例2. AdPyCSマウスモデルにおけるペプチドの評価
5匹のマウスの群に、Plasmodium yoelliスポロゾイト周囲タンパク質(AdPyCSP)を発現する組換え複製欠損アデノウイルスを筋肉内で免疫化し、次いで、ペプチドLD10da(最初のアミノ酸がD-アミノ酸である配列番号6、1μg)、FoLD01(1μg、10μg)、または抗PD1モノクローナル抗体(10μg)で皮下に処置した。注射の10日後、マウスを安楽死させ、個々の脾臓を取り出した。IFNγ分泌抗原特異的CD8+ T細胞の数を、ELISPOTアッセイを使用して決定した(図2)。
【0088】
その結果は、ペプチドFoLD01が、抗原のみでの刺激に対して抗原特異的CD8+ T細胞の数を増強させることを示した(一元配置ANOVA、統計的差異は、AdPyCSのみの刺激に対するものである)。
【0089】
実施例3. MC38腫瘍モデルにおけるペプチドの評価
マウスに、1×10 MC38(結腸癌)細胞を皮下注射し、腫瘍体積を、2日目、5日目、9日目、12日目、および16日目(試験終了)に測定し、各動物に関して0日目の値に対して正規化した。平均腫瘍サイズがおよそ80~120mmに達した時に、マウスを無作為化し、処置を開始した。ペプチドを、MC38腫瘍モデルにおいて試験した。FoLD01ペプチドを、1週間に2回、腫瘍内に投与した(50μg用量)。モノクローナル抗体を、1週間に2回(5mg/kg(抗CTLA4)および10mg/kg(抗PD1)用量)、腹腔内に投与した。使用した統計検定: 対応のない、ノンパラメトリック両側Mann-Whitney検定。[85] 使用したコントロール: PBS中で希釈したDMSOの腫瘍内注射(FoLD01に関しては腫瘍内注射)。その結果を図3(A~C)に示す。一般に、抗CTLA4 mAbおよび抗CTLA4+抗PD1 mAbの投与は、腫瘍体積において有意な減少を生じた。抗PD1 mAbの投与は、注射された1×10 MC38細胞に原因があり得る腫瘍体積の制限された減少を生じた。
【0090】
FoLD01ペプチドの腫瘍内注射は、ノンパラメトリックMann-Whitney t検定を使用して、腫瘍内DMSO/PBSコントロールに対して有意に腫瘍体積を減少させた。P値は、0.0499であった。
【0091】
実施例4. Pan02腫瘍モデルにおけるペプチドの評価
マウスの右側側腹部後部に、3×10 Pan02(膵臓の腺癌)細胞を皮下注射した。腫瘍体積を、カリパスを使用して、2つの寸法で1週間に少なくとも2回測定した。平均腫瘍サイズがおよそ80~120mmに達した時に、マウスを無作為化し、処置を開始した。FoLD04を、1週間に2回、腫瘍内に投与した(50μg用量)。モノクローナル抗体を、1週間に2回(5mg/kg(抗CTLA4)および10mg/kg(抗PD1)用量)、腹腔内に投与した。
【0092】
腫瘍体積を、4日目、7日目、11日目、14日目、18日目、21日目、25日目および27日目(試験終了)に測定し、各動物に関して0日目の値に対して正規化した。使用した統計検定: 対応のない、ノンパラメトリック両側Mann-Whitney検定。
【0093】
使用したコントロール: PBS中で希釈したDMSOの腫瘍内注射(FoLD04に関しては腫瘍内注射)。その結果を図4に示す。
【0094】
Pan02モデル結果のまとめおよび解釈
抗CTLA4 mAbおよび抗CTLA4+抗PD1 mAbでの処置は、評価した時点および使用した統計検定に関係なく、腫瘍体積の有意な減少を生じた。抗PD1 mAbは、評価した時点および使用した統計検定に依存して、腫瘍体積における散発性の有意な減少を生じた。
【0095】
腫瘍内に投与した場合、FoLD04ペプチドは、ノンパラメトリックMann-Whitney t検定を使用して、DMSO/PBS ITコントロールに対して有意に減少した腫瘍体積を示した。
【0096】
評価した時点および使用した統計検定に基づいて、上記ペプチドの皮下投与は、腫瘍体積のコントロールに向かう傾向があったが、統計的有意性には達しなかった。
参考文献
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
【配列表】
2023548662000001.app
【国際調査報告】