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特表2023-548677光干渉断層撮影画像における角膜上皮セグメント化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-20
(54)【発明の名称】光干渉断層撮影画像における角膜上皮セグメント化
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/107 20060101AFI20231113BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20231113BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231113BHJP
   G06T 7/11 20170101ALI20231113BHJP
【FI】
A61B3/107
A61B3/10 100
G06T7/00 612
G06T7/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523305
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 IB2021060231
(87)【国際公開番号】W WO2022101749
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】63/112,833
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】パリサ ラバニ
(72)【発明者】
【氏名】サハル ホセインザデー カッサーニ
【テーマコード(参考)】
4C316
5L096
【Fターム(参考)】
4C316AA03
4C316AA09
4C316AB02
4C316AB03
4C316AB04
4C316FB05
4C316FB21
4C316FB26
5L096AA06
5L096AA09
5L096BA06
5L096BA13
5L096CA08
5L096DA01
5L096EA03
5L096EA43
5L096FA06
5L096FA69
(57)【要約】
本明細書で説明されるシステム及び方法は、角膜上皮層をセグメント化するための改善された技法を提供する。方法が、眼の光干渉断層撮影(OCT)画像を受信することと、OCT画像に基づいて、眼の二値画像を生成することと、眼の二値画像とOCT画像とに基づいて、眼の角膜のバイナリマスクを生成することと、眼の角膜のバイナリマスクに基づいて、OCT画像における眼の前角膜をセグメント化することと、OCT画像と眼のセグメント化された前角膜とに基づいて、眼の上皮層に対するバイナリマスクを生成することと、眼の上皮層に対するバイナリマスクに基づいて、OCT画像における眼の角膜にあるボーマン膜をセグメント化することと、セグメント化された前角膜及びセグメント化されたボーマン膜のデータを上皮マップの生成のために使用させることとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の光干渉断層撮影(OCT)画像において角膜上皮層をセグメント化するための方法であって、
前記眼の前記OCT画像を受信することと、
前記OCT画像に基づいて、前記眼の二値画像を生成することと、
前記眼の前記二値画像と前記OCT画像とに基づいて、前記眼の角膜のバイナリマスクを生成することと、
前記眼の前記角膜の前記バイナリマスクに基づいて、前記OCT画像における前記眼の前角膜をセグメント化することと、
前記OCT画像と前記眼の前記セグメント化された前角膜とに基づいて、前記眼の上皮層に対するバイナリマスクを生成することと、
前記眼の前記上皮層に対する前記バイナリマスクに基づいて、前記OCT画像における前記眼の前記角膜にあるボーマン膜をセグメント化すること、
前記セグメント化された前角膜及び前記セグメント化されたボーマン膜のデータを上皮マップの生成のために使用させることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記眼の前記OCT画像に基づいて、前記眼の前記角膜の場所を識別することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記眼の前記角膜の前記バイナリマスクを生成することが、
前記眼の前記二値画像のフォアグラウンド部分を繰り返し調節すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記眼の前記二値画像の前記フォアグラウンド部分を繰り返し調節することが、
前記眼の前記二値画像の前記フォアグラウンド部分を繰り返し縮小する又は拡大すること
を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記セグメント化された前角膜が、前記眼の前記角膜の前記バイナリマスクの上方境界である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記眼の前記上皮層に対する前記バイナリマスクを生成することが、
前記眼の前記OCT画像における前記セグメント化された前角膜の位置及び所定の上皮厚さに基づいて、前記上皮層の場所を識別すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記上皮層に対する前記バイナリマスクの場所が、前記上皮層の前記場所に基づく、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記セグメント化されたボーマン膜が、前記上皮層に対する前記バイナリマスクの前記上方境界である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
画像化システムであって、
コンピュータ実行可能命令を含むメモリと、
前記コンピュータ実行可能命令を実行するように、且つ前記画像化システムに、
眼の光干渉断層撮影(OCT)画像を生成させ、
前記OCT画像に基づいて、前記眼の二値画像を生成させ、
前記眼の前記二値画像と前記OCT画像とに基づいて、前記眼の角膜のバイナリマスクを生成させ、
前記眼の前記角膜の前記バイナリマスクに基づいて、前記OCT画像における前記眼の前角膜をセグメント化させ、
前記OCT画像と前記眼の前記セグメント化された前角膜とに基づいて、前記眼の上皮層に対するバイナリマスクを生成させ、
前記眼の前記上皮層に対する前記バイナリマスクに基づいて、前記OCT画像における前記眼の前記角膜にあるボーマン膜をセグメント化させ、
前記セグメント化された前角膜及び前記セグメント化されたボーマン膜のデータを上皮マップの生成のために使用させる
ように構成されたプロセッサと
を備える、画像化システム。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記画像化システムに、
前記眼の前記OCT画像に基づいて、前記眼の前記角膜の場所を識別させる
ように更に構成される、請求項9に記載の画像化システム。
【請求項11】
前記プロセッサが、前記眼の前記二値画像のフォアグラウンド部分を繰り返し調節することによって、前記眼の前記角膜の前記バイナリマスクを生成するように更に構成される、請求項9に記載の画像化システム。
【請求項12】
前記プロセッサが、前記眼の前記二値画像の前記フォアグラウンド部分を繰り返し縮小する又は拡大することによって、前記眼の前記二値画像の前記フォアグラウンド部分を繰り返し調節するように更に構成される、請求項11に記載の画像化システム。
【請求項13】
前記セグメント化された前角膜が、前記眼の前記角膜の前記バイナリマスクの上方境界である、請求項9に記載の画像化システム。
【請求項14】
前記プロセッサが、前記眼の前記OCT画像における前記セグメント化された前角膜の位置及び所定の上皮厚さに基づいて、前記上皮層の場所を識別することによって、前記眼の前記上皮層に対する前記バイナリマスクを生成するように更に構成される、請求項9に記載の画像化システム。
【請求項15】
前記上皮層に対する前記バイナリマスクの場所が、前記上皮層の前記場所に基づく、請求項14に記載の画像化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、眼科画像セグメント化のための方法及び装置に関し、より詳細には、眼科スキャンデバイスからのスキャンデータに基づいて生成された光干渉断層撮影(optical coherence tomography、OCT)画像において眼の角膜上皮をセグメント化するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
OCTデバイスなどの眼科診断システムは、患者の眼のOCT画像を生成するように構成される。このような画像は、医師などの臨床医及びOCTデバイスの他のユーザにとって有益な診断ツールとなり得る。例えば、眼の1つ又は複数の構造に関連する特定の情報が、OCT画像に基づいて抽出され得る。このような情報をOCT画像から抽出することには、一般に、OCT画像から眼の1つ又は複数の領域、構造、及び/又は組織をセグメント化することが必要になり得る。
【0003】
しかしながら、1つ又は複数のOCT画像から眼の領域、構造、及び/又は組織をセグメント化することは、OCT画像の特定の固有の特性に起因する様々な課題をもたらす。例えば、OCT画像は、コンピューティングシステムがスキャンされた眼の異なる構造や組織を識別及びセグメント化するのを一層難しくし得るスペックル雑音及び/又は他の画像干渉から悪影響を受けることがある。
【0004】
更に、眼の1つ又は複数の構造及び/又は組織に関連する必要な画像データ(例えば、スキャンされた眼のサンプルOCT画像及び/又は参照OCT画像)が、スキャンされた眼の1つ又は複数の構造及び/又は組織を識別及びセグメント化する際に、医療診断の高い精度基準を満たし得るモデル(例えば、機械学習モデル)を開発及び訓練するのに十分に入手可能ではないことがある。このように必要な画像データが不足することにより、既存の画像セグメント化システム及び技法は、臨床医にリアルタイム及び/又は準リアルタイムの診断情報を伝えるための精度及び性能の基準並びに要件を満たすことができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、一般に、診断情報を提供するためにOCT画像において眼の角膜上皮をセグメント化するための方法及び装置に関する。
【0006】
特定の実施形態では、光干渉断層撮影(OCT)画像をセグメント化する方法が、一般に、眼のOCT画像を受信することを含む。本方法は、OCT画像に基づいて、眼の二値画像を生成することを更に含む。本方法はまた、眼の二値画像とOCT画像とに基づいて、眼の角膜のバイナリマスクを生成することを含む。本方法は、眼の角膜のバイナリマスクに基づいて、OCT画像における眼の前角膜をセグメント化することを更に含む。本方法は、OCT画像と眼のセグメント化された前角膜とに基づいて、眼の上皮層に対するバイナリマスクを生成することを更に含む。本方法はまた、眼の上皮層に対するバイナリマスクに基づいて、OCT画像における眼の角膜にあるボーマン膜をセグメント化することを含む。本方法は、セグメント化された前角膜及びセグメント化されたボーマン膜のデータを上皮マップの生成のために使用させることを更に含む。
【0007】
特定の実施形態では、光干渉断層撮影(OCT)システムが、一般に、コンピュータ実行可能命令を含むメモリを備える。OCTシステムは、コンピュータ実行可能命令を実行するように、且つOCTシステムに眼のOCT画像を生成させるように構成されたプロセッサを更に備える。プロセッサは、OCTシステムに、OCT画像に基づいて、眼の二値画像を生成させるように更に構成される。プロセッサは、OCTシステムに、眼の二値画像とOCT画像とに基づいて、眼の角膜のバイナリマスクを生成させるように更に構成される。プロセッサは、OCTシステムに、眼の角膜のバイナリマスクに基づいて、OCT画像における眼の前角膜をセグメント化させるように更に構成される。プロセッサは、OCTシステムに、OCT画像と眼のセグメント化された前角膜とに基づいて、眼の上皮層に対するバイナリマスクを生成させるように更に構成される。プロセッサは、OCTシステムに、眼の上皮層に対するバイナリマスクに基づいて、OCT画像における眼の角膜にあるボーマン膜をセグメント化させるように更に構成される。プロセッサは、セグメント化された前角膜及びセグメント化されたボーマン膜のデータを上皮マップの生成のために使用させるように更に構成される。
【0008】
別の実施形態では、画像化システムが、コンピュータ実行可能命令を含むメモリと、コンピュータ実行可能命令を実行するように、且つ画像化システムに、眼の光干渉断層撮影(OCT)画像を生成させ、OCT画像に基づいて、眼の二値画像を生成させ、眼の二値画像とOCT画像とに基づいて、眼の角膜のバイナリマスクを生成させ、眼の角膜のバイナリマスクに基づいて、OCT画像における眼の前角膜をセグメント化させ、OCT画像と眼のセグメント化された前角膜とに基づいて、眼の上皮層に対するバイナリマスクを生成させ、眼の上皮層に対するバイナリマスクに基づいて、OCT画像における眼の角膜にあるボーマン膜をセグメント化させ、セグメント化された前角膜及びセグメント化されたボーマン膜のデータを上皮マップの生成のために使用させるように構成されたプロセッサとを備える。本実施形態では、セグメント化されたボーマン膜は、上皮層に対するバイナリマスクの上方境界である。
【0009】
本開示の態様は、本明細書で説明される方法を実行するための、装置、プロセッサ、及びコンピュータ可読媒体のための手段を提供する。
【0010】
上記の本開示の特徴を詳細に理解できるように、上で簡潔に要約してきた本開示を実施形態を参照しながらより詳細に説明する。また、実施形態のいくつかを添付の図面に示す。ただし、添付の図面は、例示的な実施形態を示すに過ぎず、したがって実施形態の範囲を限定するものと見なされるべきではなく、他の均等に効果的な実施形態を認め得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の特定の実施形態による、例示的な画像化システムの選択された構成要素のブロック図を示す。
図2図2は、本開示の特定の実施形態による、OCTコントローラの選択された構成要素のブロック図を示す。
図3図3は、本開示の特定の実施形態による、OCT画像において角膜上皮層をセグメント化するための例示的なフローチャートを示す。
図4A図4Aは、本開示の特定の実施形態による、角膜の例示的なOCT画像を示す。
図4B図4Bは、本開示の特定の実施形態による、角膜のOCT画像の例示的な二値画像を示す。
図4C図4Cは、本開示の特定の実施形態による、角膜の例示的な強調OCT画像を示す。
図4D図4Dは、本開示の特定の実施形態による、スキャンされた眼の角膜上皮層に対する例示的な初期マスクを示す。
図4E図4Eは、本開示の例示的な実装による、角膜の例示的な強調OCT画像を示す。
図4F図4Fは、本開示の特定の実施形態による、角膜の例示的な強調OCT画像を示す。
図5図5は、本開示の特定の実施形態による、角膜上皮層をセグメント化するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を助けるために、可能な場合には、複数の図面で共通の同一の要素を示すために、同一の参照符号が使用されている。1つの実施形態の要素及び特徴は、更に記述することなく他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図されている。
【0013】
本開示は、一般に、診断情報を提供するためにOCT画像において眼の角膜上皮をセグメント化するための方法及び装置に関する。
【0014】
スキャンされた眼のOCT画像は、スキャンされた眼に関する有益な診断情報を提供し得るため、臨床医にとって有益な診断ツールとなり得る。最近のOCT画像の発展により、これまでOCT画像では視認可能ではなかった、又は取り込まれなかった眼の特定の構造又は組織の画像化が可能になった。このようなOCT画像の最近の発展の例が角膜OCTの進歩であり、この角膜OCTの進歩により、角膜上皮層がOCT画像において視認可能となった。OCT画像において眼のこのような構造が視認可能であることは、臨床医にとって有用な診断情報を提供し得る。例えば、眼の角膜上皮層が視認可能であることを用いて上皮マップを生成することができ、臨床医及び/又は他の診断システムが、上皮マップを使用して、眼の手術(例えば、屈折矯正手術)を受ける患者に特定の術後問題(例えば、術後拡張症)のリスクがあるか否かを判定することができる。
【0015】
眼の必要な診断情報を抽出するために、臨床医が診断上の関心を寄せる眼の1つ又は複数の部分又は構造がOCT画像からセグメント化される必要があり得る。しかしながら、OCT画像はスペックル雑音などの特定の干渉から悪影響を受け得る。このような干渉が存在することにより、画像セグメント化に使用されるシステム及び技法の精度及び性能が低下し得る。例えば、このような干渉が存在することにより、眼の異なる構造又は組織の境界又はその付近で、不連続部分や不明瞭部分が生じ得る。既存の画像セグメント化システム及び技法は、OCT画像における眼の構造又は組織の境界又はその付近における不連続部分又は不明瞭部分に起因して、OCT画像において眼の構造又は組織を正確にセグメント化することが困難であり得る。更に、眼の特定の構造及び組織は、それらのサイズに起因して、OCT画像に取り込まれたときに、コントラストが低く、既存の画像セグメント化システム及び技法によって構造及び組織を正確にセグメント化するには薄すぎることがある。例えば、眼の角膜上皮層は薄い寸法を有し得るため、OCT画像に取り込まれたときにコントラストが低く、境界層が薄くなり得るため、OCT画像において角膜上皮層をセグメント化する際にエラーを生じ得る。
【0016】
加えて、画像において眼の構造又は組織をセグメント化する場合、一般に、その構造に関連する特徴が抽出されなければならず、構造のセグメント化は抽出された特徴に基づく。構造に関連する特徴は、眼の構造及び/又は組織を含むOCT画像データで訓練された画像セグメント化モデルを使用して識別及び抽出され得る。しかしながら、眼の特定の構造及び/又は組織については、そのような構造及び/又は組織を含む画像データが十分に入手可能ではない場合、そのような決定性の特徴を識別することは困難であり得る。例えば、角膜上皮層を含むOCT画像アノテーションデータは、OCT画像において角膜上皮を正確に識別及びセグメント化し得る画像セグメント化モデルを訓練するのに十分な量存在しない。
【0017】
したがって、眼の角膜上皮層を正確にセグメント化するためには、スキャンされた眼の角膜上皮層を正確にセグメント化し得る画像セグメント化モデルを開発するために、眼の角膜上皮層を含む大量のOCT画像アノテーションデータセットが必要となる。加えて、このようなOCT画像アノテーションデータは、医療診断に使用するための精度及び性能の要件を満たすことを確保するようにこれらの画像セグメント化モデルを訓練するのに十分に大量でなければならない。しかしながら、画像セグメント化モデルを開発及び/又は訓練するために、角膜上皮層を含む十分に大量のOCT画像アノテーションデータセットを生成することは、スキャンされた眼の所望の構造及び/又は組織に対してOCT画像を正確にセグメント化する画像セグメント化モデルを成功裏に訓練することは現実のアプリケーションにおいて非実用的になり得るような、かなりの画像セグメント化システムの計算リソース及びかなりの時間リソースを消費することになり得る。
【0018】
したがって、本開示のいくつかの実装は、角膜OCT画像などのOCT画像において眼の角膜上皮層をセグメント化するための様々な装置、方法、及びシステムを提供する。本明細書で説明するように、角膜OCT画像は、スキャンされた眼の角膜及びそのサブレイヤを提示する特定の形態のOCT画像である。特に、本明細書で説明される装置、方法、及びシステムは、角膜OCT画像から角膜上皮層を自動的にセグメント化する。更に、本明細書で説明される装置、方法、及びシステムは、角膜上皮層に関連するデータを含む大量の角膜OCT画像アノテーションデータセット又はOCT画像データセットについての画像セグメント化モデルの大規模な訓練なしに、角膜OCT画像において角膜上皮層を正確にセグメント化する。したがって、本明細書で説明される技法は、角膜OCT画像において角膜上皮層を正確にセグメント化するために必要な訓練データ、計算リソース、及び時間リソースの量を大幅に削減しながら、画像セグメント化システムの精度を向上させる。
【0019】
図1は、例示的な画像化システム100の選択された構成要素のブロック図を示している。画像化システム100は、光干渉断層撮影(OCT)スキャナ102と、OCTコントローラ104と、ディスプレイ106とを備える。
【0020】
OCTスキャナ102は、複数のOCT構成要素及び/又は機器(別個には図示せず)を含み得る。OCT構成要素及び/又は機器は様々なタイプのものであり得、OCTスキャナ102はOCT構成要素及び/又は機器のタイプに基づいて異なって構成され得る。いくつかの実装では、OCTスキャナ102は、時間領域OCT(TD-OCT)として構成され得る。いくつかの実装では、OCTスキャナ102は、周波数領域OCT(FD-OCT)として構成され得る。いくつかの実装では、OCTスキャナ102は、波長掃引型OCT(SS-OCT)として構成され得る。
【0021】
OCTスキャナ102は、患者の眼110のOCTスキャンを実行する。OCTスキャナ102は、眼110上への1つ又は複数のサンプルビーム(図示せず)の出力を制御し、且つ眼110から反射して戻される1つ又は複数の測定ビーム(図示せず)を受け取ることによって、OCTスキャンを実行することができる。1つ又は複数の測定ビームは、サンプルビームの光子が眼110の組織と相互作用したことに応じて、眼110から反射して戻され得る。OCTスキャナ102は、OCTコントローラ104からのコマンド及び/又は場所情報を受信したことに応じて、サンプルビームを眼の特定の場所まで移動させるように構成され得る。
【0022】
OCTスキャナ102は、眼110の様々な深さにおいて、眼110をスキャンするように構成され得る。例えば、OCTスキャナ102は、眼110の全眼スキャンのために、眼110の深さ全体をスキャンするように構成され得る。同様に、OCTスキャナ102は、眼110の網膜など、眼110の任意の部分をスキャンするように構成され得る。いくつかの実装では、OCTスキャナ102は、異なる分解能で眼110の異なる深さをスキャンすることができる。例えば、OCTスキャナ102は、より低い分解能で眼110の深さ全体をスキャンすることができ、より高い分解能で眼110の網膜、角膜及びそのサブレイヤなどの眼110の一部をスキャンすることができる。
【0023】
OCTスキャナ102は、眼から反射して戻る1つ又は複数の測定ビームに基づいてスキャンデータを生成するように構成され得る。スキャンデータは、スキャンされた組織の深さプロファイルを表すことができる。いくつかの実装では、OCTスキャナ102によって生成されたスキャンデータは、ラインスキャン(Bスキャン)の2次元(2D)スキャンデータを含み得る。いくつかの実装では、OCTスキャナ102によって生成されたスキャンデータは、エリアスキャン(Cスキャン、正視)の3次元(3D)スキャンデータを含み得る。OCTスキャナ102は、生成されたスキャンデータをOCTコントローラ104に送信するように構成され得る。いくつかの実装では、OCTスキャナ102は、生成されたスキャンデータをリアルタイム又は準リアルタイムで送信するように構成され得る。いくつかの実装では、OCTスキャナ102は、スキャン動作全体がOCTスキャナ102によって完了した後に、生成されたスキャンデータを送信するように構成され得る。
【0024】
OCTスキャナ102は、OCTコントローラ104からのコマンド及び/又は命令を受信したことに応じて、眼110のスキャンを開始するように構成され得る。OCTコントローラ104は、外科医、臨床医、医療関係者などのユーザから眼のスキャンを開始するための指示を受信したことに応じて、スキャン開始コマンドをOCTスキャナ102に送信するように構成され得る。いくつかの実装では、ユーザからの指示は、スキャンのための眼の深さ及び/又は場所に関連する情報を提供することができ、OCTコントローラ104は、受信した眼の深さ及び/又は場所関連情報をOCTスキャナ102に提供するよう構成され得る。例えば、OCTコントローラ104によって受信された指示は、全眼OCTスキャンを示すことができ、OCTコントローラ104は、全眼OCTスキャンを示す命令をOCTスキャナ102に送信することができる。同様に、OCTコントローラ104によって受信された指示は、眼の網膜のOCTスキャンを示すことができ、OCTコントローラ104は、眼の網膜のOCTスキャンを示す命令をOCTスキャナ102に送信することができる。同様に、OCTコントローラ104によって受信された指示は、眼の角膜及び/又はそのサブレイヤのOCTスキャンを示すことができ、OCTコントローラ104は、眼110の角膜及び/又はそのサブレイヤのOCTスキャンを示す命令をOCTスキャナ102に送信することができる。
【0025】
OCTコントローラ104は、ユーザインターフェース(例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI))及び/又は入力デバイス(図示せず)を介して眼のスキャンを開始するための指示を受信するように構成され得る。入力デバイスは、画像化システム100に通信可能に結合され、及び/又は組み込まれてもよい。入力デバイスの例としては、限定されるものではないが、キーパッド、キーボード、タッチ入力を受け取るように構成されたタッチスクリーンデバイスなどが挙げられる。
【0026】
OCTコントローラ104は、1つ又は複数の電気及び/又は通信インターフェースを介して、OCTスキャナ102に通信可能に結合され得る。いくつかの実装では、1つ又は複数の電気及び/又は通信インターフェースは、OCTコントローラ104がOCTスキャナ102からリアルタイム又は準リアルタイムでデータを受信し得るように、OCTスキャナ102から高い送信レートでデータ(例えば、OCTスキャナ102によって生成されたスキャンデータ)を送信するように構成され得る。
【0027】
OCTコントローラ104は、OCTスキャナ102から受信した、生成されたスキャンデータに基づいて、1つ又は複数のOCT画像を生成するように構成され得る。例えば、OCTコントローラ104は、ラインスキャンの生成された2Dスキャンデータに基づいて、2D画像又はBスキャン画像を生成するように構成され得る。同様に、OCTコントローラ104は、エリアスキャンの生成された3Dスキャンデータに基づいて、3D画像又はCスキャンを生成するように構成され得る。OCTコントローラ104によって生成されたOCT画像は、OCTスキャナ102によってスキャンされた眼の構造、組織、及び/又は部分を含む。例えば、OCTスキャナ102が眼の角膜及び/又はそのサブレイヤをスキャンした場合、OCTスキャナ102からの生成されたスキャンデータは、角膜及び/又はサブレイヤに関連するデータを含み得、OCTコントローラ104によって生成されるOCT画像は角膜及び/又はそのサブレイヤを含む。いくつかの実装では、OCTコントローラ104によって生成されたOCT画像は、約4,096ピクセル、4096ピクセル未満、又は4096ピクセル超の水平ディスプレイ解像度(本明細書では、4K OCT画像と総称する)を有し得る。OCTコントローラ104は、画像生成及び/又は画像処理をリアルタイム及び/又は準リアルタイムで実行するように構成され得る。
【0028】
OCTコントローラ104は、眼110の角膜並びに/又は眼110の角膜のサブレイヤ並びに/又は角膜及び/若しくはそのサブレイヤの任意の部分を検出するように構成された1つ又は複数の検出アルゴリズムで構成され得る。眼110の角膜の1つ又は複数のサブレイヤの例としては、限定されるものではないが、前角膜、ボーマン膜、角膜上皮層などが挙げられる。OCTコントローラ104は、OCT画像において角膜、及び/又は前角膜、ボーマン膜、角膜上皮層などの角膜の1つ若しくは複数のサブレイヤを自動セグメント化する1つ又は複数の自動セグメント化アルゴリズムで構成され得る。OCTコントローラ104の自動セグメント化アルゴリズムの更なる詳細については、本明細書において図3図4A図4B、及び図5に関連して説明する。
【0029】
いくつかの実装では、OCTコントローラ104は、生成されたOCT画像において眼のこれらの構造及び/アタは組織層を検出及び/又は自動セグメント化する、1つ又は複数の他の組織検出及び/又は自動セグメント化アルゴリズムで構成され得る。OCTコントローラ104が検出及び/又は自動セグメント化するように構成され得る眼のこのような他の構造及び/又は組織層の例としては、限定されるものではないが、中心窩、網膜色素上皮(RPE)、角膜の前面、網膜、角膜、虹彩、瞳孔、水晶体の前面及び後面に加えて、水晶体の位置などが挙げられる。OCTコントローラ104は、OCTスキャナ102からの受信されたスキャンデータ及び/又は生成されたOCT画像に対して1つ又は複数の組織検出及び/又は自動セグメント化アルゴリズムを適用して、スキャンされた眼の1つ又は複数の組織層を検出及び/又は自動セグメント化するように構成され得る。
【0030】
OCTコントローラ104は、1つ又は複数のOCT画像(例えば、生成されたOCT画像、受信されたOCT画像など)上に1つ又は複数の仮想マーカを生成及び/又は表示することによって強調OCT画像を生成して、眼の検出及び/又は自動セグメント化された1つ又は複数の組織層を視覚的に識別するように構成され得る。例えば、OCTコントローラ104は、OCT画像において眼の前角膜を検出及び/又は自動セグメント化し、OCT画像上に仮想マーカを生成及び/又は表示して、前角膜の場所を視覚的に識別し、及び/又は前角膜の少なくとも一部をセグメント化するように構成され得る。同様に、OCTコントローラ104は、OCT画像において角膜のボーマン膜を検出及び/又は自動セグメント化し、OCT画像上に仮想マーカを生成及び/又は表示して、角膜のボーマン膜又は角膜のボーマン膜の場所を視覚的に識別及び/又はセグメント化するように構成され得る。
【0031】
OCTコントローラ104は、様々な形状及び/又はサイズで仮想マーカを生成及び/又は表示するように構成され得る。例えば、OCTコントローラ104は、曲線などの湾曲した仮想マーカを生成及び/又は表示するように構成され得る。OCTコントローラ104は、OCT画像(例えば、OCTコントローラ104によって生成されたOCT画像)上に仮想マーカを生成及び/又は表示することによって、強調OCT画像を生成するように構成され得る。
【0032】
OCTコントローラ104は、ディスプレイ106に画像を提供することによって、OCT画像及び/又は強調OCT画像をユーザに対して表示させるように構成され得る。OCTコントローラ104は、ディスプレイ106に通信可能に結合及び/又は電気的に接続され得る。ディスプレイ106は、1つ又は複数のディスプレイ規格に準拠して構成されてもよく、ビデオグラフィックスアレイ(VGA)、拡張グラフィックスアレイ(XGA)、デジタルビジュアルインターフェース(DVI)、高解像度マルチメディアインターフェース(HDMI(登録商標))など、任意の様々なタイプのディスプレイであってもよい。
【0033】
OCTコントローラ104は、セグメント化された前角膜及びセグメント化されたボーマン膜のデータを上皮マップの生成のために使用させるように更に構成され得る。いくつかの実装では、OCTコントローラ104は、OCT画像におけるセグメント化された前角膜及び/又はセグメント化されたボーマン膜の位置データを、OCTコントローラ104に通信可能に結合されたデータストレージユニット(別個に図示せず)に格納するように構成され得る。いくつかの実装では、OCTコントローラ104は、セグメント化された前角膜及びセグメント化されたボーマン膜の位置データ及び/又は画像データを上皮マップ生成モジュール(図示せず)に送信するように構成され得る。いくつかの実装では、上皮マップ生成モジュールは、画像化システム100から遠隔にあるシステムに配置され得る。例えば、いくつかの実装では、上皮マップ生成モジュールは、画像化システム100に通信可能に結合されたコンピューティングデバイス(例えば、サーバコンピュータ)に配置され得、OCTコントローラ104は、セグメント化された前角膜及びセグメント化したボーマン膜の位置及び/又は画像データを通信可能に結合されたサーバに送信するように構成され得る。
【0034】
図2は、図1を参照して上述したOCTコントローラ104などの、OCTコントローラの一実装の選択された構成要素のブロック図を示している。図2に示すように、OCTコントローラ104は、プロセッサ201と、バス202と、ディスプレイインターフェース204と、メモリ210と、通信インターフェース220とを備える。
【0035】
プロセッサ201は、バス202を介して、メモリ210、ディスプレイインターフェース204、及び通信インターフェース220に通信可能に結合される。OCTコントローラ104は、プロセッサ201及び通信インターフェース220を介して、画像化システム(例えば、画像化システム100)の様々な外部構成要素(例えば、OCTスキャナ102、ディスプレイ106)とインターフェースするように構成され得る。いくつかの実装では、通信インターフェース220は、OCTコントローラ104がネットワーク(図示せず)に接続することを可能にするように構成される。いくつかの実装では、OCTコントローラ104は、ディスプレイインターフェース204を介して、ディスプレイ106などの1つ又は複数のディスプレイに接続される。
【0036】
メモリ210は、永続的、揮発性、固定、取り外し可能、磁気、及び/又は半導体の媒体を含み得る。メモリ210は、1つ又は複数の機械可読コマンド、命令、データ、及び/又は同様のものを記憶するように構成される。いくつかの実装では、図2に示すように、メモリ210は、オペレーティングシステム212、スキャン制御アプリケーション214などの、命令の1つ又は複数のセット及び/又はシーケンスを含む。オペレーティングシステム212の例としては、限定されるものではないが、UNIX(登録商標)若しくはUNIX(登録商標)様のオペレーティングシステム、Windows(登録商標)ファミリオペレーティングシステム、又は別の適切なオペレーティングシステムが挙げられる。スキャン制御アプリケーション214は、限定されるものではないが、眼のスキャンの開始、OCT画像の生成、OCT画像の処理、OCT画像上の仮想マーカの生成及び/又は表示、強調OCT画像の生成などに関連する動作を含む、本明細書で説明されるOCTコントローラ動作を実行するように構成され得る。
【0037】
図3は、本開示の例示的な実装による、OCT画像において角膜上皮層をセグメント化する例示的なフローチャートを示している。動作300は、例えば、OCTコントローラ(例えば、画像化システム100のOCTコントローラ104)によって実行され得る。動作300は、1つ又は複数のプロセッサ(例えば、プロセッサ201)上で実行されるソフトウェア構成要素として実装され得る。
【0038】
動作300は、OCTコントローラ104によって、眼のスキャンされた角膜に対応する角膜を表示するOCT画像(例えば、角膜OCT画像)が生成及び/又は受信される動作302において開始し得る。上述のように、OCTコントローラ104は、OCTスキャナ102から受信したスキャンデータに基づいて角膜OCT画像を生成するように構成され得る。いくつかの実装では、OCTコントローラ104は、画像化システム100の別の構成要素からの角膜OCT画像を受信するように構成され得る。例えば、画像化システム100は、OCTスキャナ102に通信可能に結合される画像生成器を備えてもよく、画像生成器は、OCTスキャナ102のスキャンデータに基づいて角膜OCT画像を生成するように構成されてもよい。いくつかの実装では、画像生成器及び/又はOCTコントローラ104は、OCTスキャナ102のスキャンデータに基づいて、角膜を含む4K角膜OCT画像を生成するように構成され得る。
【0039】
画像システム100の画像生成装置又はOCTコントローラ104によって生成される角膜OCT画像の一例を図4Aに示す。図4Aに示すOCT画像は眼の角膜を含む。図4Aに示すように、OCT画像は、OCT画像の特定の部分にスペックル雑音を含む。図3を再び参照すると、動作304において、角膜OCT画像が二値化されて角膜に対するマスクを生成する。角膜OCT画像は、角膜OCT画像における角膜及び/又は角膜の部分の場所を判定するために二値化される。角膜の初期バイナリマスクに相当する二値化角膜OCT画像の一例を図4Bに示す。図4Bに示すように、二値化OCT画像において、OCT画像の角膜を表示する部分はフォアグラウンドにおいてより明るい色で表示され、OCT画像の角膜を表示しない部分(例えば、画像のバックグラウンド部分)は、図4Bの二値画像のバックグラウンドにおいてより暗い色で表示される。
【0040】
動作306において、図4Bに示す初期マスクは、更に調節及び/又は微調整されて、OCT画像における角膜に対する形状及びサイズを正確に取り込んだOCT画像における角膜に対する最終マスクを生成する。いくつかの実装では、角膜に対する最終マスクは、Chan-Vese動的輪郭アルゴリズムなどの1つ又は複数のセグメント化及び/又は抽出アルゴリズムを使用して初期マスクを繰り返し調節することによって生成され得る。いくつかの実装では、角膜の最終マスクは、角膜の初期マスクのフォアグラウンド部分を縮小する(例えば、内側に向かって縮む)又は拡大する(例えば、外側に向かって拡がる)ことによって生成され得る。例えば、OCTコントローラ104は、動作304で生成された初期マスクに対して、終期条件が満たされるまでChan-Vese動的輪郭アルゴリズムを繰り返し適用してもよい。Chan-Vese動的輪郭アルゴリズムを繰り返し適用することにより、OCTコントローラ104は、角膜領域に相当するマスクのフォアグラウンド部分を縮小する(例えば、内側に向かって縮む)又は拡大する(例えば、外側に向かって拡がる)ことができる。終期条件の例としては、限定されるものではないが、所定回数の繰り返し、所定回数の角膜領域の拡大及び/又は縮小などが挙げられる。
【0041】
OCTコントローラ104は、角膜の最終マスクの上方境界をスキャンされた眼の前角膜の上方境界として識別するように構成され得る。動作308において、OCTコントローラ104は、角膜OCT画像に角膜の最終マスクを適用して、角膜OCT画像の角膜の最終マスクの上方境界に対応する部分を前角膜としてセグメント化する。OCTコントローラ104は、検出されセグメント化された前角膜の位置情報を、OCTコントローラ104に通信可能に結合されたストレージユニットに格納し得る。いくつかの実装では、OCTコントローラ104は、図4Cに示すように、OCT画像においてセグメント化された前角膜に対応する仮想インジケータを表示し得る。図4Cでは、仮想インジケータ420は、セグメント化された前角膜を表示する。
【0042】
図3を再び参照すると、動作310において、OCTコントローラ104は、スキャンされた眼の角膜上皮層に対する初期マスクを生成する。OCTコントローラ104は、セグメント化された前角膜の位置及びボーマン膜の判定された位置に基づいて、角膜上皮層に対する初期マスクを生成するように構成され得る。OCTコントローラ104は、角膜上皮層の所定の厚さ、及び/又はボーマン膜が存在すると予想される前角膜からの所定の距離に基づいて、ボーマン膜の位置を判定するように構成され得る。スキャンされた眼の角膜上皮層に対する初期マスクの一例を図4Dに示す。
【0043】
ステップ312において、OCTコントローラ104は、角膜上皮層に対する最終マスクを生成する。OCTコントローラ104は、角膜OCT画像、初期マスク、並びに/又はChan-Vese動的輪郭アルゴリズムなどの1つ又は複数のセグメント化及び/若しくは抽出アルゴリズムに基づいて、角膜上皮層に対する最終マスクを生成するように構成され得る。いくつかの実装では、OCTコントローラ104は、初期マスクの角膜上皮層に相当する部分を繰り返し縮小する及び/又は拡大することによって、角膜上皮層に対する最終マスクを生成し得る。いくつかの実装では、角膜の最終マスクが生成される仕方と同様に、OCTコントローラ104は、Chan-Vese動的輪郭アルゴリズムを角膜上皮層に対する初期マスクに適用して、マスクの角膜上皮層に相当する部分を繰り返し縮小する及び/又は拡大することによって、角膜上皮層に対する最終マスクを生成し得る。OCTコントローラ104は、終期条件が満たされるまでChan-Vese動的輪郭アルゴリズムを適用するように構成され得る。
【0044】
動作314において、OCTコントローラ104は、角膜上皮層に対する最終マスクに基づいてOCT画像においてボーマン膜をセグメント化する。OCTコントローラ104は、最終マスクの上方境界をボーマン膜又はボーマン膜の境界としてセグメント化するように構成され得る。いくつかの実装では、OCTコントローラ104は、角膜上皮層に対する最終マスクの上方境界をボーマン膜の下方境界としてセグメント化するように構成され得る。OCTコントローラ104は、図4Eに示すように、OCT画像上に、ボーマン膜の境界(例えば、ボーマン膜の下方境界)を識別する仮想インジケータ440などのディスプレイ仮想インジケータを表示するように構成され得る。
【0045】
OCTコントローラ104は、図4Fに示すように、OCT画像においてセグメント化された前角膜及びセグメント化されたボーマン膜を識別するディスプレイ仮想インジケータ(例えば、420及び440)を表示し得る。OCTコントローラ104は、生成及び/又は受信されたOCT画像において、角膜のセグメント化された前角膜とセグメント化されたボーマン膜との間の部分を角膜上皮層としてセグメント化するように構成され得る。
【0046】
したがって、本明細書で説明される、前角膜及びボーマン膜を正確に識別してセグメント化するために角膜のOCT画像を二値化し、マスクを生成するための技法によって、角膜及びそのサブレイヤを含む大量の画像データセットを生成したり訓練したりすることなしに、角膜上皮層の正確なセグメント化が可能になる。よって、本明細書で説明される技法は、利用される計算リソース、データリソース、及び時間リソースを大幅に少なくしながら、画像セグメント化システムの精度を改善する。
【0047】
図5は、本開示の例示的な実装による、眼科画像において角膜上皮層をセグメント化するための例示的な方法のフローチャートを示している。動作500は、例えば、OCTコントローラ(例えば、画像化システム100のOCTコントローラ104)によって実行され得る。動作500は、1つ又は複数のプロセッサ(例えば、プロセッサ201)上で実行され、稼働するソフトウェア構成要素として実装され得る。
【0048】
動作500は、OCTコントローラ104が眼のOCT画像を受信する502において開始し得る。上述のように、いくつかの実装では、OCTコントローラ104は、OCTスキャナ102のスキャンデータに基づいて眼のOCT画像を生成し得、いくつかの実装では、OCTコントローラ104は、画像化システム(例えば、画像化システム100)の画像生成構成要素からOCT画像を受信し得る。504において、OCTコントローラ104は、OCT画像に基づいて、眼の二値画像を生成する。506において、OCTコントローラ104は、眼の二値画像とOCT画像とに基づいて、眼の角膜のバイナリマスクを生成する。508において、OCTコントローラ104は、眼の角膜のバイナリマスクに基づいて、OCT画像における眼の前角膜をセグメント化する。510において、OCTコントローラ104は、OCT画像と眼のセグメント化された前角膜とに基づいて、眼の上皮層に対するバイナリマスクを生成する。512において、OCTコントローラ104は、眼の上皮層に対するバイナリマスクに基づいて、OCT画像における眼の角膜にあるボーマン膜をセグメント化する。514において、OCTコントローラ104は、セグメント化された前角膜及びセグメント化されたボーマン膜のデータを上皮マップの生成のために使用させる。いくつかの実装では、上述のように、OCTコントローラ104は、上皮マップ又は角膜上皮マップを生成させるために、OCT画像の位置データ並びに/又はセグメント化された前角膜及びセグメント化されたボーマン膜のデータの画像データを、上皮マップを生成するように構成された計算モジュール及び/又はデバイスに送信し得る。
【0049】
いくつかの実装では、OCTコントローラ104は、眼のOCT画像に基づいて、眼の角膜の場所を識別する。いくつかの実装では、OCTコントローラ104は、眼の二値画像のフォアグラウンド部分を繰り返し調節することによって、眼の角膜のバイナリマスクを生成する。いくつかの実装では、OCTコントローラ104は、眼の二値画像のフォアグラウンド部分を繰り返し縮小する又は拡大することによって、眼の二値画像のフォアグラウンド部分を繰り返し調節する。
【0050】
いくつかの実装では、セグメント化された前角膜は、眼の角膜のバイナリマスクの上方境界である。いくつかの実装では、OCTコントローラ104は、眼のOCT画像におけるセグメント化された前角膜の位置及び所定の上皮厚さに基づいて、上皮層の場所を識別することによって、眼の上皮層に対するバイナリマスクを生成する。いくつかの実装では、上皮層に対するバイナリマスクの場所が、上皮層の場所に基づく。いくつかの実装では、セグメント化されたボーマン膜は、上皮層に対するバイナリマスクの上方境界である。
【0051】
上記は本開示の実施形態に関するが、その基本的な範囲から逸脱せずに本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案され得、その範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
【国際調査報告】