(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-20
(54)【発明の名称】データ圧縮を備えた自動車用の照明システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/18 20200101AFI20231113BHJP
B60Q 1/04 20060101ALI20231113BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20231113BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
H05B47/18
B60Q1/04 E
H05B47/105
H04N5/74 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526630
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 EP2021079943
(87)【国際公開番号】W WO2022090374
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】ハフィド、エル、イドリッシ
(72)【発明者】
【氏名】ヤセール、アルメイオ
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンタン、プラット
(72)【発明者】
【氏名】セドリック、メルラン
【テーマコード(参考)】
3K273
3K339
5C058
【Fターム(参考)】
3K273PA07
3K273QA07
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3K339MC14
3K339MC43
5C058BA35
5C058EA02
(57)【要約】
本発明は、画像データから照明機能を投射することができる少なくとも1つの照明モジュールと、データ伝送チャネルによって少なくとも1つの照明モジュールに接続され、前記照明モジュールの光学特性とセットポイントデータとに応じて前記照明モジュールのための制御画像を生成するように構成された制御ユニットとを含む自動車用の照明システムを提案する。システムは、画像データが、制御ユニットと少なくとも1つの照明モジュールとの間を移動するとき、圧縮されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の照明システム(100、200、300、400)であって、
画像データ(20)から照明機能を投射することができる少なくとも1つの照明モジュール(130、230、330、430)と、
データ伝送チャネルによって前記少なくとも1つの照明モジュールに接続され、前記照明モジュールの光学特性(15)とセットポイントデータ(10)とに応じて前記照明モジュールのための制御画像(20)を生成するように構成された制御ユニット(120、220、320、420)と、
前記少なくとも1つの照明モジュールのための前記画像データ(20)を圧縮することができる少なくとも1つのデータ圧縮ユニットと、
前記少なくとも1つの照明モジュールのための圧縮画像データ(20’)を解凍することができる少なくとも1つのデータ解凍ユニットと、
を含む、照明システム(100、200、300、400)。
【請求項2】
前記制御ユニット(220)に機能的に接続され、前記自動車の環境を表すデータ(5)に応じて前記制御ユニットのためのセットポイントデータ(10)を生成するように構成された意思決定ユニット(210)を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明システム(200)。
【請求項3】
前記意思決定ユニットおよび前記制御ユニットを実現するように構成されたコンピュータを含む制御システムを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記制御ユニットが、前記画像データのレートよりも低いデータレートを有するデータ伝送チャネルを介して、前記画像データを前記少なくとも1つの照明モジュールに伝送することができるデータ伝送手段を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項5】
前記圧縮ユニットが、前記制御ユニットに組み込まれることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項6】
前記圧縮ユニットが、データ伝送チャネルによって前記制御ユニットに接続されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項7】
前記照明モジュールが、前記画像データの前記レートよりも低いデータレートを有するデータ伝送チャネルを介して、前記照明モジュールのための前記画像データを受信することができるデータ受信手段を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項8】
前記解凍ユニットが、前記照明モジュールに組み込まれることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項9】
前記解凍ユニットが、データ伝送チャネルによって前記照明モジュールに接続されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項10】
前記制御ユニット(120、220、320、420)は、前記制御画像(20)が前記照明モジュール(130、230、330、420)によって投射されるとき、前記セットポイントデータに関して前記照明モジュールによって引き起こされる幾何学的歪および/または光不均一性が、前記制御画像において事前に補償されるように、前記制御画像(20)を生成するように構成されることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの照明モジュールが、少なくとも1つの発光半導体素子光源、特に、画素化発光ダイオードを含むことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の照明システムの分野に関し、より具体的には、自動車の画素化照明光源の制御画像データの管理に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の自動車用の照明システムは、例えば、高精細光ビームを投射することを可能にする光源を含む。高精細光の所望の投射は、画像または画像パターンを表示するために、したがって所与の光ビームを投射するために、光源を用いて、光源が受信する画像または画像パターンから得られることが可能である。これらの画像または画像パターンは、特に、使用される光源の解像度に応じて非常に高い解像度に達することができる。一例として、光源は、少なくとも4000~30000画素を有することができ、それにより、このレベルの解像度をもつ画像から光ビームを生成することができる。
【0003】
そのような高精細光ビームの生成を成し遂げるために、多数の光源が使用されるかまたはさらに組み合わされてもよく、これは、管理された、多様な、および適応可能な照明機能性を提供するために、多数の光源を制御し、これらの光源を正確に同期させることを必要とする。
【0004】
これらの光ビームを画像データから投射するために、様々なタイプの技術による光源が使用されることが知られている。例えば、これはモノリシック技術を含み、それによって、画素と等量の多数の発光ダイオード(LED)タイプの基本光源が、共通の半導体基板にエッチングされる。電気接続の組み合わせにより、画素は、互いに独立して活性化されることが可能になる。別の既知の技術は、マイクロLEDの技術であり、それは、典型的には150μm未満の小さいLEDのマトリクスを作り出す。マイクロミラー・タイプ・モジュール(DMD、「デジタル・マイクロミラー・デバイス」)も存在し、それは、均一なビームに対して強度変調器を使用する投射技術を含む。圧電要素によって位置が制御されるマイクロミラーは、入射光ビームを選択的に反射するように向けられ、その結果、各マイクロミラーは、このようにして作り出された画素マトリクスの基本光源に対応する。光源からの光は、光学部品によってマイクロミラーのマトリクス上に導かれる。
【0005】
しかしながら、これらの様々なタイプの技術は、光源間の近接を伴い、それは、隣接する光源によって放出される基本ビームのために干渉(クロストークとも呼ばれる)を発生する。それにより、光源の1つによって多分放出される画素の光強度は、この光源に関連するセットポイント値に対応しないことが観察されている。具体的には、この光源によって放出される基本ビームの一部のみが、画素を作り出すために使用され、隣接する光源によって放出される基本ビームの一部もそれに加えられる。したがって、結果として生じる光強度は、期待されるセットポイント値とは異なり、それは、コントローラに提供されるデジタル画像のものに適合した画素化ビームを放出するように照明モジュールを制御することを、複雑で信頼性できないものにする。
【0006】
マトリクス光源によって放出された光は、さらに、一般に、自動車の前方に所望の輪郭を投射するために、少なくとも1つの光学レンズを含む光学部品を通過する。しかしながら、所与のマトリクス光源およびそれに関連する出力光学系では、光学系を通したマトリクスの基本光源の応答は均一ではない。典型的には、中央領域は、高解像度で投射することができるが、解像度は、光源の視野の縁部に向かって次第に減少し、これは、同様に、約35°の大きい開口を有することもある。それゆえに、低解像度の領域に(すなわち、視野の縁部に)正確な輪郭を投射することは困難である。そのような領域に明確な輪郭またはパターンを投射した結果は、一般に、ぼやけた輪郭またはパターンとなる。
【0007】
収差を生成する投射の後に、投射された画像が元の制御画像に近くなるように画像データを修正することによって、投射の上流の光学収差および/または光収差が補償されることが提案されている。光源およびその関連する光学デバイスの投射特性が分かると、そこで、これらの光学特性および光特性は、変形および不均一性を自動的に事前補償するために使用され得る。しかしながら、光源の数および光源当たりの画素の数が多くなり、増加する傾向があるので、この事前補償を実行するための計算はますます重くなる。これは、特に、必要な計算リソースを必ずしも有するとは限らない制御システムを生成する異なるタイプの自動車の既存の電子アーキテクチャに関連して、高精細投射器を安心して使用するうえで問題であることが分かる。
【0008】
それゆえに、自動車は、ますます重い高精細画像データを使用する搭載される光源の数が増加しており、それは、自動車の制御システムによって管理され、制御システムと1つまたは複数の光源との間の伝送手段を介して通信されなければならない大量のデータを必要とする。この目的のために、例えば、CAN(カー・エリア・ネットワーク)プロトコル・タイプのデータ・バスが、しばしば、制御システムと光源との間でそのようなデータを移送するために使用される。しかしながら、これらのデータ伝送手段は、帯域幅が制限されており、一般に、例えば、2~5Mbpsの速度を超えることができないという欠点を有する。その結果として、前記の高精細画像で必要とされる大量のデータをこれらの制限されたネットワークを介して伝送することに関して問題が発生することがある。加えて、これらのネットワークはまた、他の車両データを通信するために使用され、それは、高精細画像データに利用可能な帯域幅が、さらに低くなり得る、例えば、データ伝送ネットワークを介して可能な最大レートの70~90%の範囲に制限され得ることを意味する。
【0009】
一例として、20000画素の解像度をもつ照明機能を投射するための高精細画像データを通信するために、CAN-FDタイプ伝送ネットワークで必要とされるレートは、一般に、10~12Mbpsであろう。しかしながら、そのようなCAN-FDネットワークは、現在、実際には、5Mbps(またはさらにほとんどの場合2Mbps)に制限されている。それゆえに、これらのネットワークを介して伝送されるデータを最適化する、特に、この同じネットワークのレートおよび帯域幅の制約に適合しながら、1つまたは複数の関連する照明機能を提供するのに十分な高精細画像データのストリームを伝送するために、通信されるデータを圧縮する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、先行技術によって提起された問題のうちの少なくとも1つを解消することである。より具体的には、本発明の目的は、画像データに対応する光ビームを確実に投射することができ、異種の伝送チャネルを含む多数の既存のアーキテクチャで使用することができる照明システムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
- 画像データから照明機能を投射することができる少なくとも1つの照明モジュールと、
- データ伝送チャネルによって少なくとも1つの照明モジュールに接続され、前記照明モジュールの光学特性とセットポイントデータとに応じて前記照明モジュールのための制御画像を生成するように構成された制御ユニットと、
- 少なくとも1つの照明モジュールのための画像データを圧縮することができる少なくとも1つのデータ圧縮ユニットと、
- 少なくとも1つの照明モジュールのための圧縮画像データを解凍することができる少なくとも1つのデータ解凍ユニットと、
を含む自動車用の照明システムを提案する。
【0012】
好ましくは、照明システムは、制御ユニットに機能的に接続され、自動車の環境を表すデータに応じて制御ユニットのためのセットポイントデータを生成するように構成された意思決定ユニットを含むことができる。
【0013】
意思決定ユニットは、好ましくは、マイクロコントローラ要素を含むことができる。
【0014】
好ましくは、照明システムは、意思決定ユニットおよび制御ユニットを実現するように構成されたコンピュータを含む制御システムを含むことができる。
【0015】
好ましくは、制御ユニットは、画像データのレートよりも低いデータレートを有するデータ伝送チャネルを介して、画像データを少なくとも1つの照明モジュールに伝送することができるデータ伝送手段を含むことができる。
【0016】
圧縮ユニットは、好ましくは、制御ユニットに組み込まれ得る。制御ユニットは、圧縮ユニットを含むことができる。
【0017】
代替として、圧縮ユニットは、データ伝送チャネルによって制御ユニットに接続され得る。伝送チャネルは、圧縮ユニットおよび制御ユニットをそれぞれ作り出すマイクロコントローラのタブ間の直接接続を含むことができる。
【0018】
好ましくは、照明モジュールは、画像データのレートよりも低いデータレートを有するデータ伝送チャネルを介して、前記照明モジュールのための画像データを受信することができるデータ受信手段を含むことができる。
【0019】
好ましくは、解凍ユニットは、照明モジュールに組み込まれ得る。照明モジュールは、解凍ユニットを含むことができる。
【0020】
解凍ユニットは、好ましくは、データ伝送チャネルによって照明モジュールに接続され得る。伝送チャネルは、照明モジュールの解凍ユニットおよびデータ受信手段をそれぞれ作り出すマイクロコントローラのタブ間の直接接続を含むことができる。
【0021】
データ伝送手段は、好ましくは、CAN(カー・エリア・ネットワーク)タイプ、またはCAN-FD(CAN-フレキシブル・データレート)タイプのネットワーク・インタフェースを含むことができる。
【0022】
圧縮ユニットおよび/または解凍ユニットは、好ましくは、マイクロコントローラ要素を含むことができる。
【0023】
制御ユニットは、好ましくは制御画像が照明モジュールによって投射されるとき、セットポイントデータに関して照明モジュールによって引き起こされる幾何学的歪および/または光不均一性が、制御画像において事前に補償されるように、制御画像を生成するように構成され得る。
【0024】
好ましくは、照明システムは、少なくとも1つの制御ユニットによって制御される2つの照明モジュールを含むことができる。
【0025】
好ましくは、照明システムは、セットポイントデータによって直接制御される少なくとも1つの照明ユニットをさらに含むことができる。
【0026】
少なくとも1つの照明モジュールは、好ましくは、少なくとも1つの発光半導体素子光源、特に、画素化発光ダイオードを含むことができる。
【0027】
本発明は、画像データに対応する光ビームを確実に投射することができ、異種のデータレート伝送ネットワークを含む多数の既存のアーキテクチャで使用され得る照明システムを提案することを可能にする。
【0028】
本発明のさらなる特徴および利点が、実施例の説明および図面からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係る照明システムの好適な実施形態の図である。
【
図2】本発明に係る照明システムの好適な実施形態の図である。
【
図3】本発明に係る照明システムの好適な実施形態の図である。
【
図4】本発明に係る照明システムの好適な実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
特に明記されない限り、所与の実施形態について詳細に記載される技術的特徴は、例としておよび非限定的に記載される他の実施形態の文脈内で記載される技術的特徴と組み合わされてもよい。
【0031】
説明は、本発明を理解するために必要な自動車用の照明システムの要素に焦点を当てる。そのようなシステムの一部を既知の方法で形成する他の要素は、詳細には言及または説明されないであろう。例えば、関与する様々なユニットの電力供給源およびシステム、ならびに熱放散手段および他の支持体は、それ自体既知であり、明示的に説明されないであろう。
【0032】
図1の説明図は、本発明の第1の実施形態に係る自動車用の照明システム100を概略的に示す。システムは、画像データ20から照明機能を投射することができる少なくとも1つの照明モジュール130を含む。画像は、一般に、画素値のマトリクスの形態で提供され、各値は、照明モジュール130の対応する基本光源によって作り出される輝度の程度に対応する。照明モジュールの光源は、多数の画素(数百から数千の程度)を含むので、画像データ20は大規模である。
【0033】
照明モジュール130は、データ受信手段132、例えば、対応するデータ伝送チャネルを介してデータを受信することを可能にするネットワーク・インタフェースなどを含む。照明モジュール130は、例えば、画素化発光ダイオード、またはDMDタイプ・マイクロミラー・デバイスを含むことができるが、本発明はこれらの例に限定されない。既知の方法では、照明モジュールは、光源によって生成された光線が通過する図示されていない光学投射システムと、画像データ20に格納された輝度値をパルス幅変調(PWM)タイプの制御信号の周期比に変換することができる図示されていないコンピュータとをさらに含むことができる。対応する制御信号は、光源の画素のための電力供給源を制御するために既知の方法で使用され、画素によって放出される輝度は、一般に、PWMデューティ・サイクルに一般に比例する、画素を通過する電流の平均強度に比例する。それにより、照明モジュール130は、画像データ20に対応する光ビームを投射することができる。照明モジュールは、特に、主として、画素の近接によって、光学系によって、または製造欠陥によって引き起こされる光学的歪み特性および輝度不均一性によって特徴づけられる。これらの特性15は、照明モジュールの製造段階において、または自動車ヘッドランプに装着するときに測定され得、メモリ要素に格納され得る。
【0034】
照明システム100は、好ましくはこの目的のためにプログラムされたマイクロコントローラ要素によって作り出され、データ伝送チャネルによって少なくとも1つの照明モジュール130に接続される制御ユニット120をさらに含む。この目的のために、制御ユニットは、関連するデータ伝送チャネルを介して画像データ20を少なくとも1つの照明モジュールに伝送することを可能にするネットワーク・インタフェースなどのデータ伝送手段122を含む。それは、例えば、ポイント・ツー・ポイント・モードのCANまたはCAN-FDデータ・バス、イーサネット・タイプ接続、またはさらにGMSL(ギガビット・マルチメディア・シリアル・リンク)タイプの高速チャネルとすることができる。制御ユニットは、各照明モジュール130が投射すべき画像データ20を生成するように構成される。
【0035】
制御ユニット120は、ネットワーク入力部で受信され、自動車内部の図示されていない意思決定ユニットから生じる照明セットポイント10を受信した後、画像データ20を生成する。照明セットポイントは、少なくとも1つの照明モジュール130によって投射されなければならない照明機能を制御ユニット120に通知する。セットポイント10は、特に、以下のデータのうちの1つを含むことができるが、これらの例に限定されない。
- ロー・ビーム(LB)、
- ハイ・ビーム(HB)、
- アダプティブ・ドライビング・ビーム(ADB)、または、
- ロード・ライティング(Road Writing)(RW)。
【0036】
アダプティブ・ドライビング・ビーム(ADB)は、光ビームを車両交通状況に適合させるために光ビームを動的に変えることを可能にする任意の照明機能を意味すると理解される。例えば、これは、他の道路ユーザに対する眩しさを防止しながら、照明がハイ・ビーム・タイプのフォトメトリ/画像で投射される機能に関連することができる。変形として、または加えて、機能は、以下ものに関連することができる。
- 動的指向性照明を可能にするフォトメトリ、言い換えれば、自動車のステアリング・ホイールの回動角に応じたLBフォトメトリまたはHBフォトメトリの最大強度の水平変位(動的ベンディング・ライトを表すDBLとしても知られている)、
- 自動車からの光ビームの投射の結果としての道路標識からの眩しさを避けることを可能にする照明(交通標識防眩を表すTSAGとしても知られている)、
- 特に、自動車が使用する道路の部分を区切るために、または障害物回避策を提示するために、路上のライン・タイプ・パターンの投射を可能にする照明(ライン・アシストを表すLAとしても知られる)。
【0037】
ロード・ライティング(RW)は、運転者および/または道路ユーザが見ることができるパターン、特に、例えば、運転支援手段、情報伝達信号、または他のナビゲーション指標を道路上に投射することを可能にする任意の照明機能を意味すると理解される。
【0038】
制御ユニット120は、好ましくは、可能なセットポイント10の各々に対応する基本フォトメトリを格納する図示されていないメモリ要素を含む。受信された設定値に応じて、対応する画像が、メモリ要素において読み出される。画像データは、照明モジュール130に伝送される前に、関連する照明モジュール130の光学特性および/または光特性15を考慮に入れて変換される。これらのデータは、好ましくは、制御ユニット120と照明モジュールとの間のペアリングのときに、照明モジュールで読み出され、制御ユニットに格納され得る。代替として、2つの関連するエンティティ間の恒久的な接続は、これらのデータへのアクセスを可能にすることができる。制御ユニット120は、任意の画像を投射するときに照明モジュールの固有の構成要素によって引き起こされる光不均一性および/または歪みを事前に補償するために、照明モジュール130の特性15を使用する。例えば、光源の所与の画素に欠陥がある場合、画像20内の対応する隣接する画素の輝度が、この欠陥を補償するために増加され得る。その上、光学レンズに起因する画像の縁部の幾何学的変形は、画像20を生成するときに事前に補償され得る。これらの潜在的に重い計算は、数千画素になる可能性がある多数の画素を考えると、照明モジュール130に専用の制御ユニット120がそれらをサポートするので、自動車の既存のコンピュータの容量に影響を与えない。
【0039】
図示の例では、制御ユニットは、圧縮ユニット121を含み、圧縮ユニット121は、照明モジュール130のために生成され意図された画像データ20を圧縮画像データ20’に圧縮し、その後、データ伝送手段122を介して前記圧縮画像データを送る。データの量、したがって、伝送されるべきデータレートを低減するために、任意のデータ圧縮アルゴリズムが圧縮ユニット121によって使用され得る。
【0040】
さらに、
図1に示された例では、照明モジュールは、解凍ユニット131を含み、解凍ユニット131は、使用される圧縮アルゴリズムに応じて、圧縮画像データ20’を画像データ20に解凍するように構成される。好ましくは、圧縮ユニットおよび/または解凍ユニットは、それぞれ、制御ユニットおよび照明モジュールを参照して説明された他の計算機能と同じコンピュータ/マイクロコントローラによって作り出され得る。代替として、圧縮ユニットおよび/または解凍ユニットは、多数のコンピュータ・コアをもつマイクロコントローラのコンピュータ・コアによって作り出されてもよい。
【0041】
したがって、図示の例では、例えばCAN-FDタイプの画像データ20のレートに対してデータレートの低い伝送チャネルが、制御ユニット120を照明モジュール130に接続することができる。したがって、高精細照明機能が、対応する照明モジュール130、ならびにセットポイント10を生成する既存の意思決定ユニットと照明モジュール130との間のインタフェースとして機能する制御ユニット120を組み合わせることによって、既存のアーキテクチャに追加され得る。
【0042】
図2の説明図は、本発明の2の実施形態に係る自動車用の照明システム200を概略的に示す。システムは、画像データ20から照明機能を投射することができる少なくとも1つの照明モジュール230を含む。画像は、一般に、画素値のマトリクスの形態で提供され、各値は、照明モジュール230の対応する基本光源によって作り出される輝度の程度に対応する。照明モジュール230は、データ受信手段232、例えば、対応するデータ伝送チャネルを介してデータを受信することを可能にするネットワーク・インタフェースなどを含む。照明モジュールは、特に、主として、画素の近接(隣接する画素間の干渉またはクロストークを含む)によって、光学系によって、または製造欠陥によって引き起こされる光学的歪み特性および輝度不均一性によって特徴づけられる。これらの特性15は、照明モジュールの製造段階において、または自動車ヘッドランプに装着するときに、測定され得、メモリ要素に格納され得る。照明システム200は、好ましくはこの目的のためにプログラムされたマイクロコントローラ要素によって作り出され、データ伝送チャネルによって少なくとも1つの照明モジュール230に接続される制御ユニット220をさらに含む。この目的のために、制御ユニットは、関連するデータ伝送チャネルを介して画像データを少なくとも1つの照明モジュールに伝送することを可能にするネットワーク・インタフェースなどのデータ伝送手段232を含む。制御ユニット220は、ネットワーク入力部で受信され、システム200の一部を形成する意思決定ユニット210から生じる照明セットポイント10を受信した後、画像データ20を生成する。照明システム200は、
図1を参照して説明された照明システム100と機能的に等価である。しかしながら、それは、例えばカメラなどの自動車のセンサによって提供される入力信号5を解釈することによってセットポイントを選択するようにプログラムされた意思決定ユニット210を組み込んでいる。例えば、カメラが道路標識を検出すると、意思決定ユニット210は、TSAGタイプのセットポイントを提供することを決定する。制御ユニット220は、フォトメトリ/対応する画像データ20を、照明モジュール230の光学特性/輝度特性15に対してそれらを事前に補正することによって生成する。
【0043】
図示の例では、制御ユニット220は、電気接続によって圧縮ユニット221に接続され、圧縮ユニット221は、照明モジュール230のために生成され意図された画像データ20を圧縮画像データ20’に圧縮し、その後、前記圧縮画像データを制御ユニット220のデータ伝送手段222を介して送る。データの量、したがって、伝送されるべきデータレートを低減するために、任意のデータ圧縮アルゴリズムが圧縮ユニット221によって使用され得る。圧縮ユニット221を作り出すために専用のマイクロコントローラを使用することにより、制御ユニット220は、データ圧縮タスクのために必要とされる追加の計算負荷から解放されることが可能になる。言うまでもなく、代替として、
図1の圧縮アーキテクチャが、依然として本発明の範囲から逸脱することなく、この実施形態においても意図され得る。
【0044】
依然として、
図2に示された例において、照明モジュールは、解凍ユニット231を含み、解凍ユニット231は、使用される圧縮アルゴリズムに応じて、圧縮画像データ20’を画像データ20に解凍するように構成される。解凍ユニット211を作り出すための専用のマイクロコントローラを使用することにより、制御ユニット230は、データ圧縮タスクのために必要とされる追加の演算負荷から解放されることが可能になる。言うまでもなく、代替として、
図1の圧縮アーキテクチャが、依然として本発明の範囲から逸脱することなく、この実施形態においても意図され得る。
【0045】
したがって、図示の例では、例えばCAN-FDタイプの画像データ20のレートに対してデータレートの低い伝送チャネルが、制御ユニット220を照明モジュール230に接続することができる。したがって、高精細照明機能が、対応する照明モジュール230、ならびにセットポイント10を生成する既存の意思決定ユニットと照明モジュール230との間のインタフェースとして機能する制御ユニット220を組み合わせることによって既存のアーキテクチャに追加され得る。
【0046】
図3の説明図は、本発明の第3の実施形態に係る自動車用の照明システム300を概略的に示す。システムは、画像データ20から照明機能を投射することができる少なくとも1つの照明モジュール330を含む。画像は、一般に、画素値のマトリクスの形態で提供され、各値は、照明モジュール330の対応する基本光源によって作り出される輝度の程度に対応する。照明モジュール330は、データ受信手段332、例えば、対応するデータ伝送チャネルを介してデータを受信することを可能にするネットワーク・インタフェースなどを含む。照明モジュールは、特に、主として、画素の近接(隣接する画素間の干渉またはクロストークを含む)によって、光学系によって、または製造欠陥によって引き起こされる光学的歪み特性および輝度不均一性によって特徴づけられる。これらの特性15は、照明モジュールの製造段階において、または自動車ヘッドランプに装着するときに、測定され得、メモリ要素に格納され得る。照明システム300は、好ましくはこの目的のためにプログラムされたマイクロコントローラ要素によって作り出され、データ伝送チャネルによって少なくとも1つの照明モジュール330に接続される制御ユニット320をさらに含む。この目的のために、制御ユニットは、関連するデータ伝送チャネルを介して画像データを少なくとも1つの照明モジュールに伝送することを可能にするネットワーク・インタフェースなどのデータ伝送手段322を含む。制御ユニット320は、ネットワーク入力部で受信され、図示されていない意思決定ユニットから生じる照明セットポイント10を受信した後、画像データ20を生成する。照明システム300は、
図1を参照して説明された照明システム100と機能的に等価である。
【0047】
図示の例では、制御ユニット320は、高データレートの第1のデータ伝送チャネルCH、例えばGMSLタイプ・チャネルへの接続を可能にするデータ伝送手段322を含む。しかしながら、照明モジュール330は、より制限されたデータレートの第2のデータ伝送チャネルCL、例えばCANまたはCAN-FDタイプのチャネルへの接続のみを可能にするデータ受信手段332を含む。第1のチャネルCHは、制御ユニット320のデータ伝送手段を、専用の介在する圧縮ユニット321に接続し、圧縮ユニット321は、制御ユニットによって生成され伝送された画像データ20を圧縮画像データ20’に圧縮する。圧縮画像データ20’は、続いて、CLタイプの第2のチャネルを介して照明モジュール330に中継される。データの量、したがって、伝送されるべきデータレートを低減するために、任意のデータ圧縮アルゴリズムが圧縮ユニット321によって使用され得る。圧縮ユニット321は、好ましくは、データを圧縮するためのマイクロコントローラ要素と、CHタイプのチャネルを介してデータを受信するための第1のネットワーク・インタフェースと、CLタイプのチャネルを介してデータを伝送するための第2のネットワーク・インタフェースとを含む。
【0048】
依然として、
図3に示された例において、照明モジュールは、解凍ユニット331を含み、解凍ユニット331は、使用される圧縮アルゴリズムに応じて、圧縮画像データ20’を画像データ20に解凍するように構成される。好ましくは、解凍ユニットは、照明モジュールを参照して説明された他の計算機能と同じコンピュータ/マイクロコントローラによって作り出され得る。言うまでもなく、代替として、
図2の圧縮アーキテクチャが、依然として本発明の範囲から逸脱することなく、この実施形態においても意図され得る。この実施形態により、高解像度照明機能を、同じ自動車内の異種ネットワーク・インタフェースを有する構成要素で実行することが可能になる。
【0049】
図4の説明図は、本発明の第4の実施形態に係る自動車用の照明システム400を概略的に示す。システムは、画像データ20から照明機能を投射することができる少なくとも1つの照明モジュール430を含む。画像は、一般に、画素値のマトリクスの形態で提供され、各値は、照明モジュール430の対応する基本光源によって作り出される輝度の程度に対応する。照明モジュール430は、データ受信手段432、例えば、対応するデータ伝送チャネルを介してデータを受信することを可能にするネットワーク・インタフェースなどを含む。照明モジュールは、特に、主として、画素の近接(隣接する画素間の干渉またはクロストークを含む)によって、光学系によって、または製造欠陥によって引き起こされる光学的歪み特性および輝度不均一性によって特徴づけられる。これらの特性15は、照明モジュールの製造段階において、または自動車ヘッドランプに装着するときに、測定され得、メモリ要素に格納され得る。照明システム400は、好ましくはこの目的のためにプログラムされたマイクロコントローラ要素によって作り出され、データ伝送チャネルによって少なくとも1つの照明モジュール430に接続される制御ユニット420をさらに含む。この目的のために、制御ユニットは、関連するデータ伝送チャネルを介して画像データを少なくとも1つの照明モジュールに伝送することを可能にするネットワーク・インタフェースなどのデータ伝送手段422を含む。制御ユニット420は、ネットワーク入力部で受信され、図示されていない意思決定ユニットから生じる照明セットポイント10を受信した後、画像データ20を生成する。照明システム400は、
図1を参照して説明された照明システム100と機能的に等価である。
【0050】
図示の例において、制御ユニット420は、制限されたデータレートの第1のデータ伝送チャネルCL、例えばCANまたはCAN-FDタイプ・チャネルへの接続を可能にするデータ伝送手段422を含む。しかしながら、照明モジュール430は、より高いデータレートの第2のデータ伝送チャネルCH、例えばGMSLタイプのチャネルへの接続のみを可能にするデータ受信手段432を含む。したがって、制御ユニットは、圧縮ユニット421を含み、圧縮ユニット421は、生成された画像データ20を圧縮画像データ20’に圧縮し、その後、前記圧縮画像データを第1のチャネルCLを介して伝送する。言うまでもなく、
図2の代替の圧縮アーキテクチャが、さらに、依然として本発明の範囲から逸脱することなく意図され得る。第1のチャネルCLは、制御ユニット420のデータ伝送手段を、専用の介在する解凍ユニット431に接続し、解凍ユニット431は、制御ユニットによって伝送された圧縮画像データ20’を解凍画像データ20に解凍する。解凍画像データ20は、続いて、CHタイプの第2のチャネルを介して照明モジュール430に中継される。データの量、したがって、伝送されるべきデータレートを低減するために、任意のデータ圧縮アルゴリズムが圧縮ユニット421によって使用され得る。解凍ユニット431は、好ましくは、データを解凍するためのマイクロコントローラ要素と、CLタイプのチャネルを介してデータを受信するための第1のネットワーク・インタフェースと、CHタイプのチャネルを介してデータを伝送するための第2のネットワーク・インタフェースとを含む。この実施形態により、高解像度照明機能を、同じ自動車内の異種ネットワーク・インタフェースを有する構成要素で実行することが可能になる。
【0051】
すべての記載された実施形態を通して、
図2に示された意思決定ユニット210は、画素化されていない照明光源、限定的な画素化の照明光源、またはセグメント化された照明光源を使用して、図示されていない他の照明ユニットに接続されてもよい。これらの照明ユニットは、本発明の実施形態に記載されているような制御ユニットによって実行される追加の計算を必要としない。これらの照明ユニットは、例えば、方向指示灯の照明、TI、などのような、意思決定ユニットから生じるセットポイントによって直接制御され得る。
【0052】
言うまでもなく、記載された実施形態は、本発明の保護の範囲を限定しない。上述で提供された説明を使用して、他の実施形態が、依然として本発明の範囲から逸脱することなく意図され得る。
【0053】
保護の範囲は、特許請求の範囲によって定義される。
【国際調査報告】