(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-20
(54)【発明の名称】フレキシブル可変コンデンサ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/20 20060101AFI20231113BHJP
H01G 5/013 20060101ALI20231113BHJP
H01G 5/01 20060101ALI20231113BHJP
H01G 4/255 20060101ALI20231113BHJP
H01G 4/00 20060101ALI20231113BHJP
H01G 5/04 20060101ALI20231113BHJP
H01G 5/16 20060101ALI20231113BHJP
H01G 4/14 20060101ALI20231113BHJP
H01G 4/10 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
H01G4/20 600
H01G5/013 385
H01G5/013 380
H01G5/01 Z
H01G4/255
H01G4/00 A
H01G5/013 316
H01G5/013 320
H01G5/04
H01G5/16
H01G4/14
H01G4/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527241
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 CN2020126198
(87)【国際公開番号】W WO2022094767
(87)【国際公開日】2022-05-12
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523159959
【氏名又は名称】智能容電(北京)科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhi Neng Rong Dian (Beijing) Technology Co., Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 俊
(72)【発明者】
【氏名】姚 勝紅
(72)【発明者】
【氏名】高 翔
(72)【発明者】
【氏名】趙 家民
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082AB01
5E082BC38
5E082EE04
5E082EE19
5E082EE28
5E082EE30
5E082EE35
5E082FF05
5E082FF14
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG34
5E082FG46
5E082LL31
5E082LL32
5E082PP01
5E082PP09
(57)【要約】
フレキシブル可変コンデンサ及びその製造方法であって、前記フレキシブル可変コンデンサは、2つの高導電性フレキシブル電極層と、2つの高導電性フレキシブル電極層の間に位置するエラストマー誘電絶縁層とを含み、前記高導電性フレキシブル電極層は、第1ポリマーエラストマーとカーボンナノ材料とを含み、前記エラストマー誘電絶縁層は、第2ポリマーエラストマーと機能性セラミックスナノ粒子とを含む。前記フレキシブル可変コンデンサの製造方法は、まず異なる機能を有するエラストマー複合薄膜を製造し、そして、上下の電極層と中間のエラストマー絶縁層とを圧着して、引張可能な帯状平板コンデンサが得られる。本願は、従来のシルバーペイント電極の代わりに独自に開発した高導電性フレキシブル電極を用いることで、可変コンデンサデバイスのコストが大幅に低減され、インテグレーション性及び操作性がより優れる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル可変コンデンサであって、2つの高導電性フレキシブル電極層と、2つの高導電性フレキシブル電極層の間に位置するエラストマー誘電絶縁層とを含み、前記高導電性フレキシブル電極層は、第1ポリマーエラストマーとカーボンナノ材料とを含み、前記エラストマー誘電絶縁層は、第2ポリマーエラストマーと機能性セラミックスナノ粒子とを含む、フレキシブル可変コンデンサ。
【請求項2】
前記第1ポリマーエラストマー及び前記第2ポリマーエラストマーは、それぞれ独立して、熱可塑性ポリウレタンTPU、エチレンプロピレンジエンゴムEPDM、ポリエステルエーテル系熱可塑性エラストマーTPEEから選択される少なくとも一種であり、前記カーボンナノ材料は、アスペクト比1000のカーボンナノチューブ、直径100nmのカーボンブラック、グラフェン及びナノカーボンファイバーから選択される少なくとも一種であり、前記機能性セラミックスナノ粒子は、直径100nmのチタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛及びチタン酸ジルコン酸鉛から選択される少なくとも一種である、
請求項1に記載のフレキシブル可変コンデンサ。
【請求項3】
前記高導電性フレキシブル電極層には、前記第1ポリマーエラストマーの質量分率が85%~90%であり、前記カーボンナノ材料の質量分率が10%~15%である、
請求項1に記載のフレキシブル可変コンデンサ。
【請求項4】
前記エラストマー誘電絶縁層には、前記第2ポリマーエラストマーの質量分率が30%~90%であり、前記機能性セラミックスナノ粒子の質量分率が10%~70%である、
請求項1に記載のフレキシブル可変コンデンサ。
【請求項5】
前記エラストマー誘電絶縁層における第2ポリマーエラストマーの質量分率が50%~70%であり、前記機能性セラミックスナノ粒子の質量分率が30%~50%である、
請求項1に記載のフレキシブル可変コンデンサ。
【請求項6】
前記エラストマー誘電絶縁層の誘電率が7.5~19.7である、
請求項1に記載のフレキシブル可変コンデンサ。
【請求項7】
前記エラストマー誘電絶縁層の誘電損失が0.02~0.06である、
請求項1に記載のフレキシブル可変コンデンサ。
【請求項8】
前記フレキシブル可変コンデンサの最大容量変化率が67%である、
請求項1に記載のフレキシブル可変コンデンサ。
【請求項9】
前記フレキシブル可変コンデンサの最大引張歪みが75%である、
請求項1に記載のフレキシブル可変コンデンサ。
【請求項10】
1)第1ポリマーエラストマーとカーボンナノ材料とを含む高導電性フレキシブル電極層を製造するステップと、
2)第2ポリマーエラストマーと機能性セラミックスナノ粒子とを含むエラストマー誘電絶縁層を製造するステップと、
3)エラストマー誘電絶縁層の両面上に2つの高導電性フレキシブル電極層をそれぞれ貼り付けるステップと、
4)ラミネートプロセスを使用して上下の高導電性フレキシブル電極層と中間のエラストマー誘電絶縁層とを圧着するステップとを含む、
請求項1~9のいずれか1項に記載のフレキシブル可変コンデンサの製造方法。
【請求項11】
前記高導電性フレキシブル電極層を製造するステップは、
A.前記カーボンナノ材料と界面活性剤とを質量比1:0.8~1:1.2で有機溶媒に加入し、30~40min超音波分散することでカーボンナノ材料懸濁液を調製し、前記界面活性剤はγ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランから選択される少なくとも一種であり、前記有機溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミドDMF、テトラヒドロフランTHFから選択される少なくとも一種であるステップと、
B.前記第1ポリマーエラストマーを有機溶媒に加入し、加熱して溶解させることで第1ポリマーエラストマー溶液を調製し、前記有機溶媒はDMF、THFから選択されるものであるステップと、
C.前記カーボンナノ材料懸濁液と前記第1ポリマーエラストマー溶液とを均一に混合することで第1ポリマーエラストマー-カーボンナノ材料複合材料前駆体が得られ、前記第1ポリマーエラストマーと前記カーボンナノ材料との質量比が85:15~90:10であるステップと、
D.前記第1ポリマーエラストマー-カーボンナノ材料複合材料前駆体を塗膜し、75~85°Cで10~15時間乾燥することで高導電性フレキシブル電極層薄膜が得られ、膜厚が15~50μmであるステップとを含む、
請求項10に記載のフレキシブル可変コンデンサの製造方法。
【請求項12】
前記エラストマー誘電絶縁層を製造するステップは、
A.前記第2ポリマーエラストマーと有機溶媒とを質量比1:1.8~1:2.2で混合し、混合物を加熱撹拌することで一定の黏度を有する溶液を調製し、前記有機溶媒はDMF、THFから選択されるものであるステップと、
B.前記機能性セラミックスナノ粒子と有機溶媒の懸濁液とを上記調製された溶液に加入し、均一に混合することで予備混合物を調製し、前記有機溶媒はDMF、THFから選択されるものであり、前記第2ポリマーエラストマーと前記機能性セラミックスナノ粒子との質量比が30:70~90:10であるステップと、
C.前記予備混合物を混練して、第2ポリマーエラストマー-機能性セラミックスナノ粒子複合材料前駆体を得るステップと、
D.前記第2ポリマーエラストマー-機能性セラミックスナノ粒子複合材料前駆体を塗膜し、乾燥することでエラストマー誘電絶縁層薄膜を得て、膜厚が120~180μmであるステップとを含む、
請求項10に記載のフレキシブル可変コンデンサの製造方法。
【請求項13】
前記ステップ4)において、プレスプレートの温度が120~140°C、プレート間の圧力が0.1~0.2MPa、熱プレスの時間が60~80sにするようにホットプレス機を制御し、完全に融着された平板コンデンサが得られるまで、両面のそれぞれに対して、前記ラミネートプロセスを4~5回行うことを含む、
請求項10に記載のフレキシブル可変コンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電子デバイス分野に関し、特に、フレキシブル可変コンデンサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子情報技術の日進月歩に伴い、デジタル電子製品のアップグレードのスピードはますます速くなっている。薄型テレビ、ノートパソコン、デジタルカメラなどの製品を代表とする消費性電子製品の生産販売量は持続的に増加することは、コンデンサ産業の成長を牽引している。その中、可変コンデンサをコアデバイスとする新型機械エネルギー捕獲技術は、環境にやさしく、環境に制約されないなどの利点を有し、将来の最も有望な発電技術の一つとされている。機械エネルギー捕獲技術の発展のために、高性能な電気活物質材料の開発が鍵となる。誘電エラストマーに基づく可変コンデンサは、使用中に人為的な介入を必要とせず、非常に長い使用寿命を有し、様々な自己管理型マイクロ電子デバイスに絶えず電気エネルギーを提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、高性能、高品質のフレキシブル可変コンデンサの多くは、単純な誘電エラストマーに基づくものであり、且つシルバーペイント、カーボンブラック分散液をフレキシブル電極としているため、操作性が劣り、大規模生産が困難である。そのため、品質、性能が制御可能であり、大規模の生産に適しているフレキシブル可変コンデンサは依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記した欠点に対して、本願は、フレキシブル可変コンデンサであって、2つの高導電性フレキシブル電極層と、2つの高導電性フレキシブル電極層の間に位置するエラストマー誘電絶縁層とを含み、前記高導電性フレキシブル電極層は、第1ポリマーエラストマーとカーボンナノ材料とを含み、前記エラストマー誘電絶縁層は、第2ポリマーエラストマーと機能性セラミックスナノ粒子とを含む、フレキシブル可変コンデンサを提供する。
【0005】
一実施形態において、前記第1ポリマーエラストマー及び前記第2ポリマーエラストマーは、それぞれ独立して、熱可塑性ポリウレタンTPU、エチレンプロピレンジエンゴムEPDM、ポリエステルエーテル系熱可塑性エラストマーTPEEから選択される少なくとも一種であり、前記カーボンナノ材料は、アスペクト比1000のカーボンナノチューブ、直径100nmのカーボンブラック、グラフェン及びナノカーボンファイバーから選択される少なくとも一種であり、前記機能性セラミックスナノ粒子は、直径100nmのチタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛及びチタン酸ジルコン酸鉛から選択される少なくとも一種である。
【0006】
一実施形態において、前記高導電性フレキシブル電極層には、前記第1ポリマーエラストマーの質量分率が85%~90%であり、前記カーボンナノ材料の質量分率が10%~15%である。前記エラストマー誘電絶縁層には、前記第2ポリマーエラストマーの質量分率が30%~90%であり、前記機能性セラミックスナノ粒子の質量分率が10%~70%である。
【0007】
好ましい実施形態において、前記エラストマー誘電絶縁層における第2ポリマーエラストマーの質量分率が50%~70%であり、前記機能性セラミックスナノ粒子の質量分率が30%~50%である。
【0008】
本願は、
1)第1ポリマーエラストマーとカーボンナノ材料とを含む高導電性フレキシブル電極層を製造するステップと、
2)第2ポリマーエラストマーと機能性セラミックスナノ材料とを含むエラストマー誘電絶縁層を製造するステップと、
3)エラストマー誘電絶縁層の両面上に2つの高導電性フレキシブル電極層をそれぞれ貼り付けるステップと、
4)ラミネートプロセスを使用して上下の高導電性フレキシブル電極層と中間のエラストマー誘電絶縁層とを圧着するステップとを含む、
フレキシブル可変コンデンサの製造方法をさらに提供する。
【0009】
好ましくは、ステップ1)において、前記の高導電性フレキシブル電極層を製造するステップは、
A.前記カーボンナノ材料と界面活性剤とを質量比1:0.8~1:1.2で有機溶媒に加入し、30~40min超音波分散することでカーボンナノ材料懸濁液を調製し、前記界面活性剤はγ-アミノプロピルトリエトキシシラン(シランカップリング剤KH-550、康錦新材料科技有限公司)、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤KH-570、康錦新材料科技有限公司)から選択される少なくとも一種であり、前記有機溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミドDMF、テトラヒドロフランTHFから選択される少なくとも一種であるステップと、
B.前記第1ポリマーエラストマーを有機溶媒に加入し、加熱して溶解させることで第1ポリマーエラストマー溶液を調製し、前記有機溶媒はDMF、THFから選択されるものであるステップと、
C.前記カーボンナノ材料懸濁液と前記第1ポリマーエラストマー溶液とを均一に混合することで第1ポリマーエラストマー-カーボンナノ材料複合材料前駆体が得られ、前記第1ポリマーエラストマーと前記カーボンナノ材料との質量比が85:15~90:10であるステップと、
D.前記第1ポリマーエラストマー-カーボンナノ材料複合材料前駆体を塗膜し、75~85°Cで10~15時間乾燥することで高導電性フレキシブル電極層薄膜が得られ、膜厚が15~50μmであるステップとを含む。
【0010】
好ましくは、ステップ2)において、前記のエラストマー誘電絶縁層を製造するステップは、
A.前記第2ポリマーエラストマーと有機溶媒とを質量比1:1.8~1:2.2で混合し、加熱撹拌することで一定の黏度を有する溶液を調製し、前記有機溶媒はDMF、THFから選択されるものであるステップと、
B.前記機能性セラミックスナノ粒子と有機溶媒の懸濁液とを上記調製された溶液に加入し、均一に混合することで、予備混合物を調製し、前記有機溶媒はDMF、THFから選択されるものであり、前記第2ポリマーエラストマーと前記機能性セラミックスナノ粒子との質量比が30:70~90:10であるステップと、
C.前記予備混合物を混練して、第2ポリマーエラストマー-機能性セラミックスナノ粒子複合材料前駆体を得るステップと、
D.前記第2ポリマーエラストマー-機能性セラミックスナノ粒子複合材料前駆体を塗膜し、乾燥することでエラストマー誘電絶縁層薄膜を得て、膜厚が120~180μmであるステップとを含む。
【0011】
好ましい実施形態において、ステップ4)は、プレスプレートの温度が120~140°C、プレート間の圧力が0.1~0.2MPa、熱プレスの時間が60~80sにするようにホットプレス機を制御し、完全に融着された平板コンデンサが得られるまで、両面のそれぞれに対して、前記ラミネートプロセスを4~5回行うことを含む。
【0012】
以上の技術案において、前記カーボンナノ材料懸濁液と前記第1ポリマーエラストマー溶液との混合は、超音波細胞粉砕機、超音波細胞破砕器によって実行しよい。前記機能性セラミックスナノ粒子と有機溶媒の懸濁液との予備混合は、高速ミキサー、高速スターラー、ボールミルによって実行しよい。前記第2ポリマーエラストマーと前記機能性セラミックスナノ粒子との混練は、二本ロール混練機、三本ロール混練機、三本ロール圧延機によって行ってよい。上記技術案に言及した塗膜方法として、一般的にブレードコーティング法を使用する。上記装置及び方法は特に制限されなく、本願の内容を実現できる他の装置及び方法を使用してもよい。以上の技術案において、前記加熱撹拌、加熱溶解操作の温度は50~85℃であるが、特に制限されることではなく、所望の実験効果を達成できればよい。好ましくは、前記第2ポリマーエラストマー-機能性セラミックスナノ粒子複合材料前駆体を塗膜した後の乾燥過程において、エラストマー誘電絶縁層における気泡の発生を防ぐために、ブロワオーブンにて乾燥した後、真空オーブンに移送してさらに乾燥してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本願は、従来のシルバーペイント電極の代わりに高導電性フレキシブル電極を用いることで、可変コンデンサデバイスのコストが大幅に低減され、集積性及び操作性がより優れ、工業化の大規模の生産が可能になる。
【0014】
本願に記載のフレキシブル可変コンデンサは、高誘電率、低誘電損失などの特徴を有する。従来の単純なポリマーコンデンサと比較して、本願は高誘電率エラストマー複合薄膜を誘電体層とし、且つ誘電エラストマーに機能性セラミックスナノ粒子を添加したことで、コンデンサの誘電率及び容量が向上され、コンデンサの誘電損失が低レベルに維持される。
【0015】
本願に記載のフレキシブル可変コンデンサは、軽量、柔軟性が良く、容量変化が大きく、循環安定性が高いなどの優れた性能を有するため、大部分の商用化のフレキシブル容量センサとエネルギー捕獲器とする可変コンデンサに対する要求を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本出願の実施例及び従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例及び従来技術に必要な図面を簡単に説明するが、無論、以下に説明される図面は単に本出願の実施形態の一部であり、当業者であれば、これらの図面に基づいて他の実施形態を得ることができる。
【0017】
【
図2】
図2は、本願実施例3におけるフレキシブル可変コンデンサの断面の異なる拡大倍数での走査電子顕微鏡画像であり、上下の電極は一次元カーボンナノチューブが充填されるTPU複合材料であり、中間層はチタン酸バリウムナノ粒子が充填されるTPU複合材料である。
【
図3】
図3は実施例1~8から得られたフレキシブル可変コンデンサの誘電率が周波数に伴う変化のグラフである。
【
図4】
図4は実施例1~8から得られたフレキシブル可変コンデンサの交流導電率が周波数に伴う変化のグラフである。
【
図5】
図5は実施例1~8から得られたフレキシブル可変コンデンサの誘電損失が周波数に伴う変化のグラフである。
【
図6】
図6は実施例1~8から得られたフレキシブル可変コンデンサの動的誘電測定結果であって、コンデンサの電極サイズは50mm×10mmであり、中間誘電体層の厚さは150μmであり、引張過程における容量の変化量が引張歪みに伴う変化のグラフである。
【
図7】
図7は実施例1~8から得られたフレキシブル可変コンデンサの動的測定結果であって、引張-緩和の循環における最大歪みは10%であり、負荷-除荷過程における容量の変化量と、歪みが時間に伴う変化とのグラフであり、ここで、コンデンサの電極サイズは50mm×10mmであり、中間誘電体層の厚さは150μmである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、図面を参照しながら実施例を挙げて、本願についてさらに詳しく説明する。無論、説明される実施例は単に本願の実施例の一部であり、全ての実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を必要とせずに得られる全ての他の実施例は何れも本願の保護範囲に該当する。
【0019】
実施例1
高導電性フレキシブル電極層薄膜の具体的な製造テップは以下のようである。
カーボンナノチューブ0.25gとγ-アミノプロピルトリエトキシシラン(KH550、康錦新材料科技有限公司)0.25gとをDMF溶媒49mLに加入し、30min超音波分散することでカーボンナノチューブ懸濁液を調製し、
熱可塑性ポリウレタン(TPU)2gをDMF溶媒8mLに加入し、加熱溶解することで、ポリマーエラストマー溶液を調製し、
前記カーボンナノチューブ懸濁液を前記ポリマーエラストマー溶液に加入し、超音波細胞粉砕機で30min混合することでカーボンナノチューブとTPUとの複合材料前駆体を調製し、
調製されたカーボンナノチューブとTPUとの複合材料前駆体をガラス板上に塗膜し、80°Cで12h乾燥して、高導電性フレキシブル電極層薄膜が得られ、膜厚が30μmである。
【0020】
エラストマー誘電絶縁層薄膜の具体的な製造ステップは以下のようである。
TPU2gと有機溶媒DMF4mLとを混合し、混合物を撹拌しながら85℃まで加熱し、一定の黏度を有するTPU溶液が得られ、
塗膜プロセスを使用して、得られたTPU溶液をドクターブレードによりガラス板上に塗膜して、ブロワオーブンにて100°Cで20min乾燥し、真空オーブンにて100°Cで8h乾燥し続いて、残余溶媒を取り除き、最終的にエラストマー誘電絶縁層薄膜が得られ、膜厚が150μmである。
【0021】
フレキシブル可変コンデンサの製造ステップは以下のようである。
高導電性フレキシブル電極層薄膜及びエラストマー誘電絶縁層薄膜のサイズが、長さ50mm、幅10mmとなるように、高導電性フレキシブル電極層薄膜及びエラストマー誘電絶縁層薄膜を切断し、
2つの電極薄膜が接触しないように、2つの高導電性フレキシブル電極層薄膜とエラストマー誘電絶縁層薄膜とを積層し、
ラミネートプロセスを使用して、上下の高導電性フレキシブル電極層薄膜と中間のエラストマー誘電絶縁層薄膜とを圧着し、前記ラミネートプロセスは、プレスプレートの温度が130°C、プレート間の圧力が0.125MPa、熱プレスの時間が60sにするようにホットプレス機を制御することを含み、完全に融着された平板コンデンサが得られるまで、両面のそれぞれに対して、前記ラミネートプロセスを4~5回行う。
【0022】
実施例2
高導電性フレキシブル電極層薄膜及びその製造方法は実施例1と同じである。エラストマー誘電絶縁層薄膜は、質量分率90%のTPU及び質量分率10%のチタン酸バリウムフィラーからなる。このエラストマー誘電絶縁層薄膜は以下のステップによって製造される。
TPU2gとDMF4mLとを混合し、混合物を撹拌しながら85°Cまで加熱し、一定の黏度を有するTPU溶液Aが得られ、
正方晶系チタン酸バリウムナノ粒子0.22gとDMF1.19mLとを混合することで懸濁液Bを調製し、
前記TPU溶液Aと前記懸濁液Bとを混合し、高速ミキサーによって回転数2000rpmで10min均一に混合することで予備混合物を調製し、
以上のように調製された予備混合物をさらに三本ロール混練機で10min混練し、ロール間隔が5μm、ロール回転数が108rpmにするように制御し、複合材料前駆体が得られ、
塗膜プロセスを使用して、得られた複合材料前駆体をドクターブレードによりガラス板上に塗膜して、ブロワオーブンにて100°Cで20min乾燥し、真空オーブンにて100°Cで8h乾燥し続いて、残余溶媒を取り除き、最終的にエラストマー誘電絶縁層薄膜が得られ、膜厚が155μmである。
【0023】
フレキシブル可変コンデンサの製造方法は実施例1と同じである。
【0024】
実施例3
高導電性フレキシブル電極層薄膜及びその製造方法は実施例1と同じである。エラストマー誘電絶縁層薄膜は、質量分率80%のTPU及び質量分率20%のチタン酸バリウムフィラーからなる。このエラストマー誘電絶縁層薄膜は以下のステップによって製造される。
TPU2gとDMF4mLとを混合し、混合物を撹拌しながら85°Cまで加熱し、一定の黏度を有するTPU溶液Aが得られ、
正方晶系チタン酸バリウムナノ粒子0.5gとDMF1.83mLとを混合することで懸濁液Bを調製し、
前記TPU溶液Aと前記懸濁液Bとを混合し、高速ミキサーによって回転数2000rpmで10min均一に混合することで予備混合物を調製し、
以上のように調製された予備混合物をさらに三本ロール混練機で10min混練し、ロール間隔が5μm、ロール回転数が108rpmにするように制御し、複合材料前駆体が得られ、
塗膜プロセスを使用して、得られた複合材料前駆体をドクターブレードにより清潔なガラス板上に塗膜して、ブロワオーブンにて100°Cで20min乾燥し、真空オーブンにて100°Cで8h乾燥し続いて、残余溶媒を取り除き、最終的にエラストマー誘電絶縁層薄膜が得られ、膜厚が148μmである。
【0025】
フレキシブル可変コンデンサの製造方法は実施例1と同じである。
【0026】
実施例4
高導電性フレキシブル電極層薄膜及びその製造方法は実施例1と同じである。エラストマー誘電絶縁層薄膜は、質量分率70%のTPU及び質量分率30%のチタン酸バリウムフィラーからなる。このエラストマー誘電絶縁層薄膜は以下のステップによって製造される。
TPU2gとDMF4mLとを混合し、混合物を撹拌しながら85°Cまで加熱し、一定の黏度を有するTPU溶液Aが得られ、
正方晶系チタン酸バリウムナノ粒子0.86gとDMF2.66mLとを混合することで懸濁液Bを調製し、
前記TPU溶液Aと前記懸濁液Bとを混合し、高速ミキサーによって回転数2000rpmで10min均一に混合することで予備混合物を調製し、
以上のように調製された予備混合物をさらに三本ロール混練機で10min混練し、ロール間隔が5μm、ロール回転数が108rpmにするように制御し、複合材料前駆体が得られ、
塗膜プロセスを使用して、得られた複合材料前駆体をドクターブレードにより清潔なガラス板上に塗膜して、ブロワオーブンにて100°Cで20min乾燥し、真空オーブンにて100°Cで8h乾燥し続いて、残余溶媒を取り除き、最終的にエラストマー誘電絶縁層薄膜が得られ、膜厚が152μmである。
【0027】
フレキシブル可変コンデンサの製造方法は実施例1と同じである。
【0028】
実施例5
高導電性フレキシブル電極層薄膜及びその製造方法は実施例1と同じである。エラストマー誘電絶縁層薄膜は、質量分率60%のTPU及び質量分率40%のチタン酸バリウムフィラーからなる。このエラストマー誘電絶縁層薄膜は以下のステップによって製造される。
TPU2gとDMF4mLとを混合し、混合物を撹拌しながら85°Cまで加熱し、一定の黏度を有するTPU溶液Aが得られ、
正方晶系チタン酸バリウムナノ粒子1.33gとDMF3.78mLとを混合することで懸濁液Bを調製し、
前記TPU溶液Aと前記懸濁液Bとを混合し、高速ミキサーによって回転数2000rpmで10min均一に混合することで予備混合物を調製し、
以上のように調製された予備混合物をさらに三本ロール混練機で10min混練し、ロール間隔が5μm、ロール回転数が108rpmにするように制御し、複合材料前駆体が得られ、
塗膜プロセスを使用して、得られた複合材料前駆体をドクターブレードにより清潔なガラス板上に塗膜して、ブロワオーブンにて100°Cで20min乾燥し、真空オーブンにて100°Cで8h乾燥し続いて、残余溶媒を取り除き、最終的にエラストマー誘電絶縁層薄膜が得られ、膜厚が150μmである。
【0029】
フレキシブル可変コンデンサの製造方法は実施例1と同じである。
【0030】
実施例6
高導電性フレキシブル電極層薄膜及びその製造方法は実施例1と同じである。エラストマー誘電絶縁層薄膜は、質量分率50%のTPU及び質量分率50%のチタン酸バリウムフィラーからなる。このエラストマー誘電絶縁層薄膜は以下のステップによって製造される。
TPU2gとDMF4mLとを混合し、混合物を撹拌しながら85°Cまで加熱し、一定の黏度を有するTPU溶液Aが得られ、
正方晶系チタン酸バリウムナノ粒子2gとDMF5.33mLとを混合することで懸濁液Bを調製し、
前記TPU溶液Aと前記懸濁液Bとを混合し、高速ミキサーによって回転数2000rpmで10min均一に混合することで予備混合物を調製し、
以上のように調製された予備混合物をさらに三本ロール混練機で10min混練し、ロール間隔が5μm、ロール回転数が108rpmにするように制御し、複合材料前駆体が得られ、
塗膜プロセスを使用して、得られた複合材料前駆体をドクターブレードにより清潔なガラス板上に塗膜して、ブロワオーブンにて100°Cで20min乾燥し、真空オーブンにて100°Cで8h乾燥し続いて、残余溶媒を取り除き、最終的にエラストマー誘電絶縁層薄膜が得られ、膜厚が151μmである。
【0031】
フレキシブル可変コンデンサの製造方法は実施例1と同じである。
【0032】
実施例7
この高導電性フレキシブル電極層薄膜及びその製造方法は実施例1と同じである。エラストマー誘電絶縁層薄膜は、質量分率40%のTPU及び質量分率60%のチタン酸バリウムフィラーからなる。このエラストマー誘電絶縁層薄膜は以下のステップによって製造される。
TPU2gとDMF4mLとを混合し、混合物を撹拌しながら85°Cまで加熱し、一定の黏度を有するTPU溶液Aが得られ、
正方晶系チタン酸バリウムナノ粒子3gとDMF7.67mLとを混合することで懸濁液Bを調製し、
前記TPU溶液Aと前記懸濁液Bとを混合し、高速ミキサーによって回転数2000rpmで10min均一に混合することで予備混合物を調製し、
以上のように調製された予備混合物をさらに三本ロール混練機で10min混練し、ロール間隔が5μm、ロール回転数が108rpmにするように制御し、複合材料前駆体が得られ、
塗膜プロセスを使用して、得られた複合材料前駆体をドクターブレードにより清潔なガラス板上に塗膜して、ブロワオーブンにて100°Cで20min乾燥し、真空オーブンにて100°Cで8h乾燥し続いて、残余溶媒を取り除き、最終的にエラストマー誘電絶縁層薄膜が得られ、膜厚が150μmである。
【0033】
フレキシブル可変コンデンサの製造方法は実施例1と同じである。
【0034】
実施例8
高導電性フレキシブル電極層薄膜及びその製造方法は実施例1と同じである。エラストマー誘電絶縁層薄膜は、質量分率30%のTPU及び質量分率70%のチタン酸バリウムフィラーからなる。このエラストマー誘電絶縁層薄膜は以下のステップによって製造される。
TPU2gとDMF4mLとを混合し、混合物を撹拌しながら85°Cまで加熱し、一定の黏度を有するTPU溶液Aが得られ、
正方晶系チタン酸バリウムナノ粒子4.67gとDMF11.56mLとを混合することで懸濁液Bを調製し、
前記TPU溶液Aと前記懸濁液Bとを混合し、高速ミキサーによって回転数2000rpmで10min均一に混合することで予備混合物を調製し、
以上のように調製された予備混合物をさらに三本ロール混練機で10min混練し、ロール間隔が5μm、ロール回転数が108rpmにするように制御し、複合材料前駆体が得られ、
塗膜プロセスを使用して、得られた複合材料前駆体をドクターブレードにより清潔なガラス板に塗膜して、ブロワオーブンにて100°Cで20min乾燥し、真空オーブンにて100°Cで8h乾燥し続いて、残余溶媒を取り除き、最終的にエラストマー誘電絶縁層薄膜が得られ、膜厚が154μmである。
【0035】
フレキシブル可変コンデンサの製造方法は実施例1と同じである。
【0036】
以上の実施例で製造されたフレキシブルコンデンサの誘電性能を図面のように表示する。
図3に示すように、チタン酸バリウムの含有量の向上に伴い、コンデンサの誘電率が著しく向上する。1000Hzの場合、チタン酸バリウムの添加量が0から70%まで増加することに伴い、コンデンサの誘電率が6.7から19.7まで向上した。
図4、
図5から分かるように、その導電率及び誘電損失は依然として低レベルに維持される。
図6に示すように、本願に製造されたフレキシブルコンデンサの容量の材料変形による変化は容易になる。引張歪みが17%になる際に、1000Hzの場合、実施例8におけるコンデンサの容量の変化量が78pFになる。同じ測定条件において、同じサイズの従来の純ポリマーコンデンサの容量の変化量は29pFのみである。引張循環測定によって、
図7から分かるように、循環歪みが10%である場合、セラミックス粒子の含有量が高いほど、容量の変化量が大きい。充填量が50%であるコンデンサは、軽量、柔軟性が良く、容量変化が大きく、循環安定性が高いなどの総合的な優れた性能を示す。
【0037】
以上の記載は本願の好ましい実施例に過ぎず、本願を制限するためのものではない。本願の主旨及び原則内で行われる如何なる修正、均等の代替、改良等は何れも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0038】
1:高導電性フレキシブル電極層
2:エラストマー誘電絶縁層
3:高導電性フレキシブル電極層
【国際調査報告】