(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-20
(54)【発明の名称】単一粒子及び/又は単一分子の、流れに基づく分析のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01N 15/14 20060101AFI20231113BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20231113BHJP
G01N 21/05 20060101ALI20231113BHJP
G01N 21/49 20060101ALI20231113BHJP
【FI】
G01N15/14 D
G01N15/14 A
G01N15/14 C
G01N21/64 F
G01N21/05
G01N21/49 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527733
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 US2021058750
(87)【国際公開番号】W WO2022103814
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517075883
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ワシントン
【氏名又は名称原語表記】University of Washington
【住所又は居所原語表記】4545 Roosevelt Way NE, Suite 400, Seattle, Washington 98105 US
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チウ, ダニエル ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ジアン, イーフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ, メンシャ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ユアンフア
【テーマコード(参考)】
2G043
2G057
2G059
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043CA04
2G043EA01
2G043EA06
2G043EA14
2G043HA01
2G043HA05
2G043HA09
2G043JA03
2G043KA01
2G043KA02
2G043KA03
2G043KA09
2G043LA02
2G057AA02
2G057AA04
2G057AA14
2G057AB01
2G057AB02
2G057AB03
2G057AC01
2G057BA05
2G057BB06
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2G057DB02
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2G059AA05
2G059BB13
2G059CC17
2G059DD12
2G059EE02
2G059EE07
2G059FF12
2G059GG01
2G059GG03
2G059HH01
2G059HH02
2G059HH03
2G059JJ11
2G059JJ17
2G059JJ22
2G059KK02
2G059KK03
2G059MM01
(57)【要約】
チャネル内を流れる粒子を分析するためのシステム及び方法が記載される。一実施形態では、チャネルは、該チャネルの管腔を通って粒子を流すように構成され、光が管腔の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓を画定し、光エンジンは、探索窓内のチャネルの第1の部分に第1の励起光を出力するように位置決めされた、第1の光源と、第1の部分とは別々の、探索窓内のチャネルの第2の部分に第2の励起光を出力するように位置決めされた、第2の光源と、を備える。一実施形態では、システムは、第1の放出光ファイバ及び第2の放出光ファイバを備える、放出ファイババンドルを含み、第1の放出光ファイバ及び第2の放出光ファイバの近位端は、放出ファイババンドルヘッドに配置されている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子及び/又は分子を分析するためのシステムであって、前記システムは、
チャネルであって、前記チャネルの管腔を通って粒子及び/又は分子を流すように構成され、光が前記管腔の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓を画定する、チャネルと、
光エンジンであって、
前記探索窓内の前記チャネルの第1の部分に第1の励起光を出力するように位置決めされた、第1の光源と、
前記第1の部分とは別々の、前記探索窓内の前記チャネルの第2の部分に第2の励起光を出力するように位置決めされた、第2の光源と、を備える、光エンジンと、
第1の放出光ファイバ及び第2の放出光ファイバを備える、放出ファイババンドルであって、前記第1の放出光ファイバ及び前記第2の放出光ファイバの近位端が、放出ファイババンドルヘッドに配置され、前記第1の放出光ファイバの前記近位端が、前記第1の部分から放出される第1の放射光を受け取るように位置決めされ、前記第2の放出光ファイバの前記近位端が、前記第2の部分から放出される第2の放射光を受け取るように位置決めされている、放出ファイババンドルと、
検出器システムであって、
前記第1の放出光ファイバの遠位端から放出される前記第1の放射光を受け取るように位置決めされた第1の光検出器と、
前記第2の放出光ファイバの遠位端から放出される前記第2の放射光を受け取るように位置決めされた第2の光検出器と、を備える、検出器システムと、を備える、システム。
【請求項2】
前記光エンジン及び前記検出器システムに動作可能に結合されたコントローラを更に備え、前記コントローラが、前記コントローラによって実行されたときに、前記システムに、
前記第1の光源を用いて前記第1の励起光を出力することと、
前記第2の光源を用いて前記第2の励起光を出力することと、
前記第1の放出光ファイバから受け取った前記第1の放射光に基づいて、前記第1の光検出器を用いて第1の放出信号を生成することと、
前記第2の放出光ファイバから受け取った前記第2の放射光に基づいて、前記第2の光検出器を用いて第2の放出信号を生成することと、を含む動作を実施させる論理を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の励起光が、第1の波長範囲の波長を有し、前記第2の励起光が、前記第1の波長範囲とは別個の第2の波長範囲の波長を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の励起光が、第1の波長範囲の波長を有し、前記第2の励起光が、前記第1の波長範囲と共通の第2の波長範囲の波長を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の励起光が、約350nm~約360nmの波長範囲、約400nm~約410nmの波長範囲、約480nm~約490nmの波長範囲、約530nm~約540nmの波長範囲、約555nm~約565nmの波長範囲、又は約630nm~約690nmの波長範囲にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の励起光が、約350nm~約360nmの波長範囲、約400nm~約410nmの波長範囲、約480nm~約490nmの波長範囲、約530nm~約540nmの波長範囲、約555nm~約565nmの波長範囲、又は約630nm~約690nmの波長範囲にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
ダイクロイックミラーを更に備え、前記ダイクロイックミラーが、前記第1の放出光ファイバの前記遠位端と前記第1の光検出器との間に配設されており、かつ前記第1の放射光の一部分を第3の光検出器に反射するように位置決めされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
バンドパスフィルタを更に備え、前記バンドパスフィルタが、前記ダイクロイックミラーと前記第3の光検出器との間に配設されており、かつ第1の放射光の前記一部分をフィルタリングするように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の光検出器が、前記第1の放射光の第1の放出波長範囲に基づいて、第1の放出信号を生成するように構成されており、前記第3の光検出器が、前記第1の放出波長範囲とは異なる、前記第1の放射光の第3の放出波長範囲に基づいて、第3の放出信号を生成するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の放出光ファイバの前記遠位端が、前記第1の放射光を、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、又はそれ以上の光検出器に放出するように構成されており、前記光検出器の各々が、前記放射光の実質的に異なるスペクトル部分を受け取るように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の光源及び前記第2の光源のうちの一方又は両方が、自由空間光源である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の光源及び前記第2の光源が、固体レーザ、ダイオード励起レーザ、発光ダイオード(LED)、ランプ、及びアーク放電からなる群から各々独立して選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の光源が、第1の励起光ファイバの近位端に光学的に結合されており、
前記第2の光源が、第2の励起光ファイバの近位端に光学的に結合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の励起光ファイバの遠位端及び前記第2の励起光ファイバの遠位端が、励起ファイババンドルヘッド内に配置されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の励起光ファイバの前記遠位端と前記第2の励起光ファイバの前記遠位端との間の間隔が、前記第1の部分と前記第2の部分との間の間隔に対応する、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の励起光ファイバの前記遠位端と前記第2の励起光ファイバの前記遠位端との間の間隔が、前記第1の放出光ファイバの前記近位端と前記第2の放出光ファイバの前記近位端との間の間隔に対応する、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の光源と前記第2の光源との間の間隔が、前記第1の部分と前記第2の部分との間の間隔に対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記放出ファイババンドルヘッドに結合された光学的に不透明なカバーを更に備え、前記光学的に不透明なカバーが、前記第1の放出光ファイバの前記近位端への、前記第1の放射光の通過を許可するように成形された開口部を画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記光学的に不透明なカバーが、前記第2の放出光ファイバの前記近位端への、前記第2の放射光の通過を許可するように成形された第2の開口部を画定する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記放出ファイババンドルが、少なくとも3つの放出光ファイバ、少なくとも4つの放出光ファイバ、少なくとも5つの放出光ファイバ、少なくとも6つの放出光ファイバ、少なくとも7つの放出光ファイバ、又はそれ以上を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記放出ファイババンドルの各放出光ファイバの近位端が、前記放出ファイババンドルヘッド内に配設されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記放出ファイババンドルの各放出光ファイバの近位端が、探索窓の別個の部分から放出される放射光を受け取るように位置決めされている、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
各放出光ファイバの遠位端が、それぞれの検出器モジュールに光を放出するように位置決めされている、請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
前記探索窓内の前記チャネルの前記管腔が、前記チャネルの隣接する部分に対して狭窄部を画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記チャネルが、マイクロ流体デバイスの一部分に配設されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
前記マイクロ流体デバイスが、平面状の部分を画定する、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記検出器システムが、前記探索窓から、散乱放射光、ルミネッセンス放射光、蛍光放射光、又はこれらの組み合わせを受け取るように位置決めされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
前記コントローラが、論理を更に含み、前記論理が、前記コントローラによって実行されたときに、前記システムに、
前記チャネルを通して、粒子の懸濁液及び/又は分子の溶液を流すことを含む動作を実施させる、請求項2に記載のシステム。
【請求項29】
前記チャネルを通して前記懸濁液を流すことが、前記チャネルを通して前記懸濁液を粒子ごとに流すことを含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記チャネルを通して前記溶液を流すことが、前記チャネルを通して対象となる分子の前記溶液を分子ごとに流すことを含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記コントローラが、論理を更に含み、前記論理が、前記コントローラによって実行されたときに、前記システムに、
放射光の存在又は不在に基づいて、前記チャネル内の粒子及び/又は分子をランク付けすることを含む動作を実施させる、請求項2に記載のシステム。
【請求項32】
前記コントローラが、論理を更に含み、前記論理が、前記コントローラによって実行されたときに、前記システムに、
放射光の強度に基づいて、前記チャネル内の粒子及び/又は分子をランク付けすることを含む動作を実施させる、請求項2に記載のシステム。
【請求項33】
前記ランク付けが、前記第1の放射光及び前記第2の放射光のうちの1つ以上に基づいて、前記粒子及び/又は分子の測定された放出スペクトルに対応する、請求項31又は32に記載のシステム。
【請求項34】
前記ランク付けが、前記粒子の測定されたサイズ値に対応する、請求項31又は32に記載のシステム。
【請求項35】
前記測定されたサイズ値が、相対サイズ値である、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記測定されたサイズ値が、検出された放射光強度の差によって測定される、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
前記測定されたサイズ値が、実際のサイズ値である、請求項34に記載のシステム。
【請求項38】
前記チャネル内の前記粒子及び/又は分子の流れを方向付けるように構成された流れ方向付け器を更に備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項39】
前記流れ方向付け器が、前記コントローラに動作可能に結合されており、前記コントローラが、論理を含み、前記論理が、前記コントローラによって実行されたときに、前記システムに、
前記探索窓から受け取られ、かつ前記粒子及び/又は分子と会合した、放射光の存在又は不在に基づいて、前記粒子及び/又は分子の流れを方向付けることを含む動作を実施させる、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記流れ方向付け器が、前記コントローラに動作可能に結合されており、前記コントローラが、論理を含み、前記論理が、前記コントローラによって実行されたときに、前記システムに、
前記粒子及び/又は分子のランク付けに基づいて、前記粒子及び/又は分子の流れを方向付けることを含む動作を実施させる、請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
前記粒子及び/又は分子の前記流れを方向付けることが、前記粒子及び/又は分子を1つ又は2つ以上の選別チャネルに方向付けることを含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項42】
前記流れ方向付け器が、前記コントローラに動作可能に結合されており、前記コントローラが、論理を含み、前記論理が、前記コントローラによって実行されたときに、前記システムに、
探索からの放射光と会合した、粒子及び/又は分子の数を定量化することを含む動作を実施させる、請求項38に記載のシステム。
【請求項43】
前記コントローラが、論理を含み、前記論理が、前記コントローラによって実行されたときに、前記システムに、
前記探索窓からの前記放射光と会合した、前記粒子及び/又は分子の濃度を判定することを含む動作を実施させる、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記コントローラが、論理を含み、前記論理が、前記コントローラによって実行されたときに、前記システムに、
粒子及び/又は分子と会合したバイオマーカーの存在、不在、又は量に基づいて、前記粒子及び/又は分子のサブセットを識別することを含む動作を実施させる、請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
粒子及び/又は分子の前記数を定量化することが、単一分子の感度又は検出効率を含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項46】
単一分子の感度又は検出効率が、前記チャネルを通って流れる前記単一分子の99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、又は50%超を検出することを含む、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
単一分子検出効率が、前記チャネルを通って流れる前記単一分子の90%超を検出することを含む、請求項45に記載のシステム。
【請求項48】
前記チャネルから、前記第1の放射光及び前記第2の放射光を収集し、かつ収集された前記放射光を、前記検出器システムに方向付けるように位置決めされた、集光システムを更に備え、前記集光システムが、0.91超~0.99未満の範囲の開口数を有する空気対物レンズを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項49】
前記空気対物レンズが、約0.95の開口数を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項50】
粒子及び/又は分子を探索する方法であって、前記方法は、
チャネルを通して、粒子及び/又は分子を流すことと、
探索窓を通して、第1の励起光を、前記チャネルの第1の部分に出力することと、
前記探索窓を通して、第2の励起光を、前記チャネルの前記第1の部分と別個の第2の部分に出力することと、
第1の放出光ファイバの近位端を通して受け取られる第1の放射光に基づいて、第1の光検出器を用いて第1の放出信号を生成することと、
第2の放出光ファイバの近位端を通して受け取られる第2の放射光に基づいて、第2の光検出器を用いて第2の放出信号を生成することと、を含み、
前記第1の放出光ファイバの前記近位端、及び前記第2の放出光ファイバの前記近位端が、放出光ファイババンドルヘッド内に配置されている、方法。
【請求項51】
前記方法が、請求項1~49のいずれか一項に記載のシステムの使用を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記探索窓から受け取られ、かつ前記粒子及び/又は分子と会合した、放射光の存在又は不在に基づいて、前記粒子及び/又は分子の流れを方向付けることを更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記粒子及び/又は分子の前記流れを方向付けることが、前記粒子及び/又は分子を1つ又は2つ以上の選別チャネルに方向付けることを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記チャネルを通して、前記粒子及び/又は分子を流すことが、前記チャネルを通して、前記粒子を含む粒子の懸濁液及び/又は前記分子を含む分子の溶液を流すことを含み、前記チャネルを通して、前記粒子の懸濁液及び/又は分子の溶液を流すことが、前記チャネルを通して、前記懸濁液及び/又は溶液を粒子ごと及び/又は分子ごとに流すことを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
探索からの放射光と会合した、粒子及び/又は分子の数を定量化することと、
前記探索窓からの前記放射光と会合した、前記粒子及び/又は分子の濃度を判定することと、を更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
前記第1の放射光及び前記第2の放射光が、散乱放射光、ルミネッセンス放射光、蛍光放射光、及びこれらの組み合わせからなる群から、独立して選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記探索窓からの放射光の存在又は不在に基づいて、前記チャネル内の粒子及び/又は分子をランク付けすることを更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項58】
前記ランク付けが、前記第1の放射光及び前記第2の放射光のうちの1つ以上に基づいて、前記粒子及び/又は分子の測定された放出スペクトルに対応する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記ランク付けが、前記粒子の測定されたサイズ値に対応する、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記測定されたサイズ値が、相対サイズ値である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記測定されたサイズ値が、検出された光強度の差によって測定される、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
粒子及び/又は分子の粒子及び/又は分子の前記数を定量化することが、単一分子の感度又は検出効率を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項63】
単一分子の感度又は検出効率が、前記チャネルを通って流れる前記単一分子の99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、又は50%超を検出することを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
単一分子検出効率が、前記チャネルを通って流れる前記単一分子の90%超を検出することを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記粒子及び/又は分子が、検出可能な薬剤と会合する、請求項50に記載の方法。
【請求項66】
前記検出可能な薬剤が、第1の検出可能な薬剤であり、前記粒子及び/又は分子が、第2の検出可能な薬剤と会合する、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記第1の検出可能な薬剤が、第1の放出波長範囲の第1の放出スペクトルを有し、前記第2の検出可能な薬剤が、前記第1の放出波長範囲とは異なる第2の放出波長範囲の第2の放出スペクトルを有する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記検出可能な薬剤が、検出可能な蛍光薬剤である、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記チャネルが、マイクロ流体デバイスの一部分に配設されている、請求項50に記載の方法。
【請求項70】
前記マイクロ流体デバイスが、平面状の部分を画定する、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記探索窓内の前記チャネルが、前記チャネルの隣接する部分に対して狭窄部を画定する、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
粒子及び/又は分子を分析するためのシステムであって、前記システムは、
チャネルであって、前記チャネルの管腔を通って粒子及び/又は分子を流すように構成され、光が前記管腔の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓を画定する、チャネルと、
前記探索窓を通して前記チャネルに励起光を出力するように構成された光エンジンと、
前記チャネルから放出される放射光を受け取るように位置決めされ、かつ受け取った前記放射光に基づいて信号を生成するように構成された、検出器システムと、
前記チャネルから前記放射光を収集し、かつ収集された前記放射光を前記検出器システムに方向付けるように位置決めされた、集光システムと、を備え、前記集光システムが、0.91超~0.99未満の範囲の開口数を有する空気対物レンズを備える、システム。
【請求項73】
前記集光システムが、約0.95の開口数を有する、請求項72に記載のシステム。
【請求項74】
第1の放出光ファイバ及び第2の放出光ファイバを備える、放出ファイババンドルを更に備え、前記第1の放出光ファイバ及び前記第2の放出光ファイバの近位端が、放出ファイババンドルヘッドに配置され、前記第1の放出光ファイバの前記近位端が、前記第1の部分から放出される第1の放射光を受け取るように位置決めされ、前記第2の放出光ファイバの前記近位端が、前記第2の部分から放出される第2の放射光を受け取るように位置決めされている、請求項72に記載のシステム。
【請求項75】
前記光エンジンが、
前記探索窓内の前記チャネルの第1の部分に第1の励起光を出力するように位置決めされた、第1の光源と、
前記第1の部分とは別々の、前記探索窓内の前記チャネルの第2の部分に第2の励起光を出力するように位置決めされた、第2の光源と、を備え、
前記検出器システムが、
前記第1の放出光ファイバの遠位端から放出される前記第1の放射光を受け取るように位置決めされた第1の光検出器と、
前記第2の放出光ファイバの遠位端から放出される前記第2の放射光を受け取るように位置決めされた第2の光検出器と、を備える、検出器システムと、を備える、請求項72に記載のシステム。
【請求項76】
前記光エンジン及び前記検出器システムに動作可能に結合されたコントローラを更に備え、前記コントローラが、前記コントローラによって実行されたときに、前記システムに、
前記第1の光源を用いて前記第1の励起光を出力することと、
前記第2の光源を用いて前記第2の励起光を出力することと、
前記第1の放出光ファイバから受け取った前記第1の励起光に基づいて、前記第1の光検出器を用いて第1の放出信号を生成することと、
前記第2の放出光ファイバから受け取った前記第2の励起光に基づいて、前記第2の光検出器を用いて第2の放出信号を生成することと、を含む動作を実施させる論理を含む、請求項75に記載のシステム。
【請求項77】
前記第1の励起光が、第1の波長範囲の波長を有し、前記第2の励起光が、前記第1の波長範囲とは別個の第2の波長範囲の波長を有する、請求項75に記載のシステム。
【請求項78】
前記第1の励起光が、第1の波長範囲の波長を有し、前記第2の励起光が、前記第1の波長範囲と共通の第2の波長範囲の波長を有する、請求項75に記載のシステム。
【請求項79】
ダイクロイックミラーを更に備え、前記ダイクロイックミラーが、前記第1の放出光ファイバの前記遠位端と前記第1の光検出器との間に配設されており、かつ前記第1の放射光の一部分を第3の光検出器に反射するように位置決めされている、請求項74に記載のシステム。
【請求項80】
前記第1の放出光ファイバの前記遠位端が、前記第1の放射光を、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、又はそれ以上の光検出器に放出するように構成されている、請求項74に記載のシステム。
【請求項81】
バンドパスフィルタを更に備え、前記バンドパスフィルタが、前記ダイクロイックミラーと前記第3の光検出器との間に配設されており、かつ第1の放射光の前記一部分をフィルタリングするように構成されている、請求項79に記載のシステム。
【請求項82】
前記第1の光検出器が、前記第1の放射光の第1の放出波長範囲に基づいて、第1の放出信号を生成するように構成されており、前記第3の光検出器が、前記第1の放出波長範囲とは異なる、前記第1の放射光の第3の放出波長範囲に基づいて、第3の放出信号を生成するように構成されている、請求項74に記載のシステム。
【請求項83】
前記チャネルが、マイクロ流体デバイスの一部分に配設されている、請求項72に記載のシステム。
【請求項84】
前記マイクロ流体デバイスが、平面状の部分を画定する、請求項83に記載のシステム。
【請求項85】
前記探索窓内の前記チャネルが、前記チャネルの隣接する部分に対して狭窄部を画定する、請求項83に記載のシステム。
【請求項86】
流体サンプル中の、粒子及び/又は分子を分析するための方法であって、
チャネルを通して、複数の粒子及び/又は複数の分子を含む、流体サンプルを流すことと、
前記チャネル内で、前記複数の粒子のうちの粒子及び/又は前記複数の分子のうちの分子を照明することと、
前記チャネルから放出される放射光を、約0.91~0.99未満の範囲の開口数を有する空気対物レンズを備える集光システムを用いて収集することと、
前記粒子及び/又は分子に基づいて前記チャネルから放出される、収集された前記放射光に基づいて、信号を生成することと、
前記信号に基づいて、前記粒子及び/又は分子に値を割り当てることと、を含む、方法。
【請求項87】
前記集光システムが、約0.95の開口数を有する、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記方法が、前記粒子のサイズを判定する方法であり、前記値がサイズ値である、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記方法が、前記流体サンプル中の、対象となる粒子又は分子の、濃度を判定する方法である、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記方法が、前記流体サンプル中の、対象となる粒子と会合した生体分子のコピー数を定量化する方法である、請求項86に記載の方法。
【請求項91】
前記方法が、前記複数の粒子中の粒子の表現型を判定する方法である、請求項86に記載の方法。
【請求項92】
前記放射光が、散乱放射光、ルミネッセンス放射光、蛍光放射光、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項86に記載の方法。
【請求項93】
前記探索窓からの放射光の存在又は不在に基づいて、前記チャネル内の粒子及び/又は分子をランク付けすることを更に含む、請求項86に記載の方法。
【請求項94】
前記探索窓からの放射光の強度に基づいて、前記チャネル内の粒子及び/又は分子をランク付けすることを更に含む、請求項86に記載の方法。
【請求項95】
前記ランク付けが、前記第1の放射光及び前記第2の放射光のうちの1つ以上に基づいて、前記粒子及び/又は分子の測定された放出スペクトルに対応する、請求項93又は94に記載の手段。
【請求項96】
前記ランク付けが、前記粒子の測定されたサイズ値に対応する、請求項93~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記測定されたサイズ値が、相対サイズ値である、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記測定されたサイズ値が、検出された光強度の差によって測定される、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
前記粒子を分析することが、前記粒子のサイズを判定することを含み、前記分析することは、
前記粒子に基づいて前記チャネルから放出される、収集された前記放射光に基づいて、信号を生成することと、
前記信号に基づいて前記粒子にサイズ値を割り当てることと、を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項100】
前記粒子及び/又は分子が、検出可能な薬剤と会合する、請求項86に記載の方法。
【請求項101】
前記検出可能な薬剤が、第1の検出可能な薬剤であり、前記粒子及び/又は分子が、第2の検出可能な薬剤と会合する、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記第1の検出可能な薬剤が、第1の放出波長範囲の第1の放出スペクトルを有し、前記第2の検出可能な薬剤が、前記第1の放出波長範囲とは異なる第2の放出波長範囲の第2の放出スペクトルを有する、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記第1の検出可能な薬剤が、第1の励起波長範囲の第1の励起スペクトルを有し、前記第2の検出可能な薬剤が、前記第1の励起波長範囲とは異なる第2の励起波長範囲の第2の励起スペクトルを有する、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
前記検出可能な薬剤が、検出可能な蛍光薬剤である、請求項99に記載の方法。
【請求項105】
前記方法が、請求項59~69のいずれか一項に記載のシステムの使用を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項106】
前記チャネルが、マイクロ流体デバイスの一部分に配設されている、請求項86に記載の方法。
【請求項107】
前記マイクロ流体デバイスが、平面状の部分を画定する、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記探索窓内の前記チャネルが、前記チャネルの隣接する部分に対して狭窄部を画定する、請求項106に記載の方法。
【請求項109】
前記チャネルが、マイクロ流体デバイスの一部分に配設されている、請求項86に記載の方法。
【請求項110】
前記マイクロ流体デバイスが、平面状の部分を画定する、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記探索窓内の前記チャネルが、前記チャネルの隣接する部分に対して狭窄部を画定する、請求項109に記載の方法。
【請求項112】
単一分子及び/又は単一粒子の、自己補正型の流れ分析のためのシステムであって、前記システムは、
チャネルであって、前記チャネルの管腔を通って粒子及び/又は分子を流すように構成され、光が前記管腔の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓を画定する、チャネルと、
光エンジンであって、
前記探索窓内の前記チャネルの第1の部分に第1の励起光を出力するように位置決めされた、第1の光源と、
前記第1の部分とは別々の、前記探索窓内の前記チャネルの第2の部分に第2の励起光を出力するように位置決めされた第2の光源と、を備える、光エンジンと、
検出器システムであって、
前記チャネルの前記第1の部分から放出される第1の放射光を受け取るように位置決めされた、第1の光検出器と、
前記第2の部分から放出される第2の放射光を受け取るように位置決めされた、第2の光検出器と、を備える、検出器システムと、
前記第1の光源と、前記第2の光源と、前記第1の光検出器と、前記第2の光検出器とに動作可能に結合されたコントローラと、を備え、前記コントローラが、前記コントローラによって実行されたときに、前記システムに、
前記第1の光源を用いて前記第1の励起光を出力することと、
前記第2の光源を用いて前記第2の励起光を出力することと、
前記第1の部分から受け取った第1の放射光に基づいて、前記第1の光検出器を用いて第1の放出信号を生成することと、
前記第2の部分から受け取った第2の放射光に基づいて、前記第2の光検出器を用いて第2の放出信号を生成することと、
前記第1の放出信号及び前記第2の放出信号の生成間の時差と、前記第1の部分と前記第2の部分との間の距離と、に基づいて、前記チャネル内の粒子及び/又は分子の速度を判定することと、を含む動作を実施させる論理を含む、システム。
【請求項113】
前記コントローラが、論理を更に含み、前記論理が、前記コントローラによって実行されたときに、前記システムに、
前記第1の放出信号及び前記第2の放出信号によって共有される、放出信号特性に基づいて、前記第1の放出信号と前記第2の放出信号とを相関させることを含む動作を実施させる、請求項112に記載のシステム。
【請求項114】
前記第1の励起光及び前記第2の励起光が、重なり合う波長範囲の光を有する、請求項112に記載のシステム。
【請求項115】
前記第1の励起光が、第1の波長範囲の波長を有し、前記第2の励起光が、前記第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲の波長を有する、請求項112に記載のシステム。
【請求項116】
前記粒子及び/又は分子の前記速度を使用して、前記探索窓を含む前記管腔を通る体積流量を判定する、請求項112に記載のシステム。
【請求項117】
前記第1の励起光が、約350nm~約360nmの波長範囲、約400nm~約410nmの波長範囲、約480nm~約490nmの波長範囲、約530nm~約540nmの波長範囲、約555nm~約565nmの波長範囲、又は約630nm~約690nmの波長範囲にある、請求項112に記載のシステム。
【請求項118】
前記第2の励起光が、約350nm~約360nmの波長範囲、約400nm~約410nmの波長範囲、約480nm~約490nmの波長範囲、約530nm~約540nmの波長範囲、約555nm~約565nmの波長範囲、又は約630nm~約690nmの波長範囲にある、請求項112に記載のシステム。
【請求項119】
粒子及び/又は分子の粒子及び/又は分子の前記数を定量化することが、単一分子の感度又は検出効率を含む、請求項112に記載のシステム。
【請求項120】
単一分子の感度又は検出効率が、前記チャネルを通って流れる前記単一分子の99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、又は50%超を検出することを含む、請求項119に記載のシステム。
【請求項121】
単一分子検出効率が、前記チャネルを通って流れる前記単一分子の90%超を検出することを含む、請求項119に記載のシステム。
【請求項122】
前記チャネルが、マイクロ流体デバイスの一部分に配設されている、請求項112に記載のシステム。
【請求項123】
前記マイクロ流体デバイスが、平面状の部分を画定する、請求項122に記載のシステム。
【請求項124】
前記探索窓内の前記チャネルが、前記チャネルの隣接する部分に対して狭窄部を画定する、請求項122に記載のシステム。
【請求項125】
単一分子及び/又は単一粒子の、自己補正型の流れ分析のための方法であって、前記方法は、
チャネルの管腔を通して、粒子及び/又は分子を流すことであって、前記チャネルが、光が前記管腔の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓を画定する、流すことと、
第1の光源を用いて、前記探索窓の第1の部分に第1の励起光を出力することと、
第2の光源を用いて、前記第1の部分とは別々の、前記探索窓の第2の部分に第2の励起光を出力することと、
前記第1の部分から受け取った第1の放射光に基づいて、第1の光検出器を用いて第1の放出信号を生成することと、
前記第2の部分から受け取った第2の放射光に基づいて、第2の光検出器を用いて第2の放出信号を生成することと、
前記第1の放出信号と前記第2の放出信号との間の時差と、前記第1の部分と前記第2の部分との間の距離と、に基づいて、前記チャネル内の粒子及び/又は分子の速度を判定することと、を含む、方法。
【請求項126】
放出信号特性に基づいて、前記第1の放出信号と前記第2の放出信号とを相関させることを更に含む、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記第1の放出信号と前記第2の放出信号ベースのものとを相関させることが、前記第1の放出信号の強度を前記第2の放出信号の強度と比較することを含む、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記第1の放出信号と前記第2の放出信号とを相関させることに基づいて、前記チャネルを通過する、粒子及び/又は分子の数を列挙することを更に含む、請求項126に記載の方法。
【請求項129】
前記第1の放出信号を前記第2の放出信号と相関させることに基づいて、粒子及び/又は分子上で標的分子を共局在化することを更に含む、請求項126に記載の方法。
【請求項130】
前記第1の放出信号を前記第2の放出信号と相関させることに基づいて、粒子及び/又は分子濃度を判定することを更に含む、請求項126に記載の方法。
【請求項131】
前記第1の放出信号を前記第2の放出信号と相関させることに基づいて、検出効率及び回復率を判定することを更に含む、請求項126に記載の方法。
【請求項132】
前記第1の励起光及び前記第2の励起光が、重なり合う波長範囲の光を有する、請求項125に記載の方法。
【請求項133】
前記第1の励起光が、第1の波長範囲の光を有し、前記第2の励起光が、前記第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲の光を有する、請求項125に記載の方法。
【請求項134】
前記第1の励起光が、第1の波長範囲の波長を有し、前記第2の励起光が、前記第1の波長範囲と共通の第2の波長範囲の波長を有する、請求項125に記載の方法。
【請求項135】
前記粒子及び/又は分子の前記速度を使用して、前記探索窓を含む前記管腔を通る体積流量を判定する、請求項125に記載の方法。
【請求項136】
前記第1の励起光が、約350nm~約360nmの波長範囲、約400nm~約410nmの波長範囲、約480nm~約490nmの波長範囲、約530nm~約540nmの波長範囲、約555nm~約565nmの波長範囲、又は約630nm~約690nmの波長範囲にある、請求項125に記載の方法。
【請求項137】
前記第2の励起光が、約350nm~約360nmの波長範囲内、約400nm~約410nmの波長範囲内、約480nm~約490nmの波長範囲内、約530nm~約540nmの波長範囲内、約555nm~約565nmの波長範囲内、又は約630nm~約690nmの波長範囲内にある、請求項125に記載の方法。
【請求項138】
前記粒子及び/又は分子が、前記第1の励起光及び前記第2の励起光のうちの1つ以上によって励起される色素を含む、請求項125に記載の方法。
【請求項139】
前記色素が、膜色素及び体積から選択される、請求項138に記載の方法。
【請求項140】
前記色素が、前記第1の励起光及び前記第2の励起光のうちの1つによって励起される、請求項138に記載の方法。
【請求項141】
前記色素が、前記第1の励起光及び前記第2の励起光の両方によって励起される、請求項138に記載の方法。
【請求項142】
前記色素が、前記第1の励起光によって励起された第1の色素であり、前記粒子及び/又は分子が、前記第2の励起光によって励起された第2の色素を更に含む、請求項138に記載の方法。
【請求項143】
前記色素が、前記第1の励起光によって励起された第1の色素であり、前記粒子及び/又は分子が、前記第1の励起光によって励起された第2の色素を更に含む、請求項138に記載の方法。
【請求項144】
前記第1の色素が膜色素であり、前記第2の色素が体積色素である、請求項138に記載の方法。
【請求項145】
前記第1の色素及び前記第2の色素が、膜色素である、請求項138に記載の方法。
【請求項146】
粒子及び/又は分子の数を列挙することが、単一分子の感度又は検出効率を含む、請求項128に記載の方法。
【請求項147】
単一分子の感度又は検出効率が、前記チャネルを通って流れる前記単一分子の99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、又は50%超を検出することを含む、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
単一分子検出効率が、前記チャネルを通って流れる前記単一分子の90%超を検出することを含む、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
前記チャネルが、マイクロ流体デバイスの一部分に配設されている、請求項147に記載の方法。
【請求項150】
前記マイクロ流体デバイスが、平面状の部分を画定する、請求項147に記載の方法。
【請求項151】
前記探索窓内の前記チャネルが、前記チャネルの隣接する部分に対して狭窄部を画定する、請求項125に記載の方法。
【請求項152】
光学部品を流体チャネルに集束させる方法であって、
光源からの光を用いて流体チャネルの探索窓を照明することと、
前記チャネルと光検出器との間に配設された光学部品を用いて、前記光を前記探索窓に集束させることと、
前記探索窓から第1の時間に戻り反射された、前記集束された光に基づいて、前記光検出器を用いてロック信号を生成することと、
前記探索窓から、前記第1の時間後の第2の時間に戻り反射された、前記集束された光に基づいて、前記光検出器を用いてテスト信号を生成することと、
前記テスト信号が前記ロック信号の所定の割合内にあるかどうかを判定することと、
前記テスト信号が前記ロック信号の前記所定の割合外にある場合、前記流体チャネルを、高開口数の空気対物レンズに対して移動させることと、を含む、方法。
【請求項153】
流体チャネルに方向付けられた光学部品の焦点を維持する方法であって、
光源からの光を用いてマイクロ流体システムの撮像領域を照明することと、
カメラを用いて前記撮像領域の画像を生成することと、
前記画像のデフォーカスの量を判定することと、
デフォーカスの前記量がデフォーカスの所定の量以内にあるかどうかを判定することと、
前記テスト信号が前記所定の範囲外にある場合、前記カメラに対して前記流体チャネルを移動させることと、を含む、方法。
【請求項154】
集光システムを用いて、探索から戻り反射された、前記集束された光を収集することを更に含み、前記集光システムが、約0.91~0.99未満の範囲、又は約0.95の開口数を有する空気対物レンズを備える、請求項152又は153に記載の方法。
【請求項155】
前記光が、約700nm~約1mmの範囲にある、請求項152又は153に記載の方法。
【請求項156】
前記光が、約700nm~約1500mmの範囲にある、請求項152又は153に記載の方法。
【請求項157】
前記光が、非可視波長範囲にある、請求項152又は153に記載の方法。
【請求項158】
単一分子検出の方法であって、前記方法は、
チャネルを通して複数の分子を流すことであって、前記複数の分子のうちの1つ以上の分子が、検出可能な薬剤と会合する、流すことと、
前記複数の分子のうちの分子を前記チャネル内で照明することと、
前記チャネルから放出される放射光を、約0.91~0.99未満の範囲の開口数を有する空気対物レンズを備える集光システムを用いて収集することと、
前記分子に基づいて前記チャネルから放出された、収集された前記放射光に基づいて、放出信号を生成することと、
前記信号に基づいて、前記分子に値を割り当てることと、を含む、方法。
【請求項159】
前記集光システムが、約0.95の開口数を有する、請求項158に記載の方法。
【請求項160】
前記チャネルを通って流れる前記単一分子の99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、又は50%超からの前記放射光を収集することを含む、請求項158に記載の方法。
【請求項161】
前記チャネルを通して、前記検出可能な薬剤と会合した前記複数の分子を流すことが、前記チャネルを通して、前記複数の分子のうちの分子を分子ごとに流すことを含む、請求項158に記載の方法。
【請求項162】
前記複数の分子のうちの前記分子を前記チャネル内で照明することが、ライン照明を使用して、探索窓を通して前記チャネルの一部分に励起光を出力することを含む、請求項158に記載の方法。
【請求項163】
前記複数の分子のうちの前記分子を前記チャネル内で照明することが、ライン共焦点検出ジオメトリを使用して、探索窓を通して前記チャネルの一部分に励起光を出力することを含む、請求項158に記載の方法。
【請求項164】
前記空気対物レンズが、約0.95の開口数を有する、請求項158に記載の方法。
【請求項165】
前記チャネルが、マイクロ流体デバイスの一部分に配設されている、請求項158に記載の方法。
【請求項166】
前記マイクロ流体デバイスが、平面状の部分を画定する、請求項165に記載の方法。
【請求項167】
前記探索窓内の前記チャネルが、前記チャネルの隣接する部分に対して狭窄部を画定する、請求項158に記載の方法。
【請求項168】
単一分子検出効率を有する装置であって、
チャネルであって、前記チャネルの管腔を通って粒子又は分子を流すように構成され、光が前記管腔の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓を画定する、チャネルと、
前記探索窓を通して前記チャネルに励起光を出力するように構成された光エンジンと、
前記チャネルから放出される放射光を受け取るように位置決めされており、かつ受け取った前記放射光に基づいて信号を生成するように構成された、検出器システムと、
前記チャネルから前記放射光を収集し、かつ収集された前記放射光を前記検出器システムに方向付けるように位置決めされた、集光システムであって、0.91超~0.99未満の範囲の開口数を有する空気対物レンズを備える、集光システムと、
前記光エンジン及び前記検出器に動作可能に結合されたコントローラと、を備え、前記コントローラが、前記コントローラによって実行されたときに、前記システムに、
前記チャネルを通して、複数の分子及び/又は複数の粒子を流すことであって、前記複数の分子のうちの1つ以上の分子及び/又は前記複数の粒子のうちの1つ以上の粒子が、検出可能な薬剤と会合する、流すことと、
前記チャネル内で、前記複数の分子のうちの分子又は前記複数の粒子のうちの粒子を照明することと、
前記集光システムを用いて、前記チャネルから放出される放射光を収集することと、
前記分子及び/又は前記粒子に基づいて前記チャネルから放出された、収集された前記放射光に基づいて、放出信号を生成することと、
前記信号に基づいて、前記分子及び/又は前記粒子に値を割り当てることと、を含む動作を実施させる論理を含む、装置。
【請求項169】
前記空気対物レンズが、約0.95の開口数を有する、請求項168に記載の装置。
【請求項170】
前記チャネルが、マイクロ流体デバイスの一部分に配設されている、請求項168に記載の装置。
【請求項171】
前記マイクロ流体デバイスが、平面状の部分を画定する、請求項170に記載の装置。
【請求項172】
単一分子の検出効率が、前記チャネルを通って流れる前記単一分子の99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、又は50%超を検出することを含む、請求項168に記載の装置。
【請求項173】
単一分子検出効率が、前記チャネルを通って流れる前記単一分子の90%超を検出することを含む、請求項172に記載の装置。
【請求項174】
前記チャネルが、マイクロ流体デバイスの一部分に配設されている、請求項168に記載の装置。
【請求項175】
前記マイクロ流体デバイスが、平面状の部分を画定する、請求項174に記載の装置。
【請求項176】
前記探索窓内の前記チャネルが、前記チャネルの隣接する部分に対する狭窄部を画定する、請求項168に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月10日に出願された米国仮出願第63/198,748号の利益を主張するものであり、その開示は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
政府のライセンス権に関する陳述
本発明は、アメリカ国立衛生研究所によって付与された認可番号UG3 TR002874の下、政府の支援を受けて生み出された。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
細胞外小胞などの小粒子の流れに基づく分析は、いくつかの課題を提示し得る。典型的な流れに基づく粒子分析は、チャネルを通して、流体懸濁液中に分散したいくつかの粒子を流すことを含む。粒子のサイズが小さくなるにつれて、粒子はより大きい粒子よりも速く拡散する傾向がある。追加的に、層流条件下でチャネルを通って流れる流体の速度は、チャネルの壁からの流体の距離に応じて半径方向に変化するので、チャネルを通って流れる粒子の速度は、それに応じて壁からの粒子の距離に応じて変化する。したがって、粒子速度は粒子の半径方向位置に依存するため、チャネルを通って流れる様々なより小さい粒子同士を区別することはより困難であり、ひいては粒子の相対的に高い拡散率に強く影響される。
【0004】
したがって、現在、そのような小粒子を識別及び特徴付けることにおける拡散ベースの課題を説明する、小粒子の流れに基づく分析のためのデバイス、システム、及び方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある態様では、本開示は、これら及び関連する課題に対処するための、粒子及び/又は分子の流れに基づく分析のためのデバイス、システム、及び方法を提供する。
【0006】
一態様では、本開示は、粒子及び/又は分子を分析するためのシステムを提供する。一実施形態では、システムは、チャネルであって、該チャネルの管腔を通って粒子及び/又は分子を流すように構成され、光が管腔の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓を画定する、チャネルと、光エンジンであって、探索窓内のチャネルの第1の部分に第1の励起光を出力するように位置決めされた、第1の光源と、第1の部分とは別々の、探索窓内のチャネルの第2の部分に第2の励起光を出力するように位置決めされた、第2の光源と、を備える、光エンジンと、第1の放出光ファイバ及び第2の放出光ファイバを備える、放出ファイババンドルであって、第1の放出光ファイバ及び第2の放出光ファイバの近位端が、放出ファイババンドルヘッドに配置され、第1の放出光ファイバの近位端が、第1の部分から放出される第1の放射光を受け取るように位置決めされ、第2の放出光ファイバの近位端が、第2の部分から放出される第2の放射光を受け取るように位置決めされている、放出ファイババンドルと、検出器システムであって、第1の放出光ファイバの遠位端から放出される第1の放射光を受け取るように位置決めされた第1の光検出器と、第2の放出光ファイバの遠位端から放出される第2の放射光を受け取るように位置決めされた第2の光検出器と、を備える、検出器システムと、を備える。
【0007】
別の態様では、本開示は、粒子及び/又は分子を探索する方法を提供し、該方法は、チャネルを通して、粒子及び/又は分子を流すことと、第1の励起光を、探索窓を通して、チャネルの第1の部分に出力することと、第2の励起光を、探索窓を通して、チャネルの第1の部分と別個の第2の部分に出力することと、第1の放出光ファイバの近位端を通して受け取られる第1の放射光に基づいて、第1の光検出器を用いて第1の放出信号を生成することと、第2の放出光ファイバの近位端を通して受け取られる第2の放射光に基づいて、第2の光検出器を用いて第2の放出信号を生成することと、を含み、第1の放出光ファイバの近位端、及び第2の放出光ファイバの近位端は、放出光ファイババンドルヘッド内に配置されている。
【0008】
別の態様では、本開示は、粒子及び/又は分子を分析するためのシステムを提供し、該システムは、チャネルであって、チャネルの管腔を通って粒子及び/又は分子を流すように構成され、光が管腔の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓を画定する、チャネルと、探索窓を通してチャネルに励起光を出力するように構成された光エンジンと、チャネルから放出される放射光を受け取るように位置決めされ、かつ受け取った放射光に基づいて信号を生成するように構成された、検出器システムと、チャネルから放射光を収集し、かつ収集された放射光を検出器システムに方向付けるように位置決めされた、集光システムと、を備え、該集光システムは、0.91超~0.99未満、0.92超~0.98未満、0.93超~0.97未満、0.94超~0.96未満の範囲の開口数を有する空気対物レンズを備える。
【0009】
更に別の態様では、本開示は、流体サンプル中の、粒子又は分子を分析するための方法を提供し、該方法は、チャネルを通して、複数の粒子/分子を含む、流体サンプルを流すことと、チャネル内で、1μm未満の流体力学的直径を有する、複数の粒子/分子のうちの粒子/分子を照明することと、チャネルから放出される放射光を、約0.91~0.99未満の範囲の開口数を有する空気対物レンズを備える集光システムを用いて収集することと、粒子/分子に基づいてチャネルから放出される、収集された放射光に基づいて、信号を生成することと、信号に基づいて、粒子/分子に値を割り当てることと、を含む。
【0010】
別の態様では、単一粒子/分子の、自己補正型の流れ分析のためのシステムを提供し、該システムは、チャネルであって、該チャネルの管腔を通って粒子/分子を流すように構成され、光が管腔の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓を画定する、チャネルと、光エンジンであって、探索窓内のチャネルの第1の部分に第1の励起光を出力するように位置決めされた、第1の光源と、第1の部分とは別々の、探索窓内のチャネルの第2の部分に第2の励起光を出力するように位置決めされた第2の光源と、を備える、光エンジンと、検出器システムであって、チャネルの第1の部分から放出される第1の放射光を受け取るように位置決めされた、第1の光検出器と、第2の部分から放出される第2の放射光を受け取るように位置決めされた、第2の光検出器と、を備える、検出器システムと、第1の光源、第2の光源、第1の光検出器、及び第2の光検出器に動作可能に結合されたコントローラと、を備え、該コントローラは、該コントローラによって実行されたときに、システムに、第1の光源を用いて第1の励起光を出力することと、第2の光源を用いて第2の励起光を出力することと、第1の部分から受け取った第1の放射光に基づいて、第1の光検出器を用いて第1の放出信号を生成することと、第2の部分から受け取った第2の放射光に基づいて、第2の光検出器を用いて第2の放出信号を生成することと、第1の放出信号と第2の放出信号の生成間の時差と、第1の部分と第2の部分との間の距離と、に基づいて、チャネル内の粒子/分子の速度を判定することと、を含む動作を実施させる論理を含む。
【0011】
更に別の態様では、本開示は、単一分子の、自己補正型の流れ分析のための方法を提供し、該方法は、チャネルの管腔を通して、粒子/分子を流すことであって、チャネルが、光が管腔の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓を画定する、流すことと、第1の光源を用いて、第1の励起光を、探索窓の第1の部分に出力することと、第2の光源を用いて、第1の部分とは別々の、探索窓の第2の部分に第2の励起光を出力することと、第1の部分から受け取った第1の放射光に基づいて、第1の光検出器を用いて第1の放出信号を生成することと、第2の部分から受け取った第2の放射光に基づいて、第2の光検出器を用いて第2の放出信号を生成することと、第1の放出信号と第2の放出信号との間の時差と、第1の部分と第2の部分との間の距離と、に基づいて、チャネル内の粒子/分子の速度を判定することと、を含む。
【0012】
別の態様では、本開示は、自己補正型の単一分子流れ分析のための別の方法を提供し、該方法は、チャネルの管腔を通して、粒子/分子を流すことであって、該チャネルが、光が管腔の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓を画定する、流すことと、光源を用いて、探索窓の一部分に励起光を出力することと、部分から受け取った放射光に基づいて、光検出器を用いて放出信号を生成することと、部分を横切る粒子/分子の輸送時間より速い速度で放出信号を取得することと、部分に横切る粒子/分子の輸送時間を判定することと、を含む。一実施形態では、放出信号を取得することは、粒子/分子の輸送時間よりも少なくとも2倍、少なくとも5倍、又は少なくとも10倍速い速度である。一実施形態では、部分を横切る粒子/分子の輸送時間を判定することは、取得された放出信号追跡を関数に適合させることに基づく。一実施形態では、関数は、ガウス曲線である。別の態様では、本開示は、流体チャネルへの集束を維持する方法を提供し、該方法は、光源からの光を用いて流体チャネルの探索窓を照明することと、チャネルと光検出器との間に配設された光学部品を用いて、光を探索窓に集束させることと、探索窓から第1の時間に戻り反射された、集束された光に基づいて、光検出器を用いてロック信号を生成することと、探索窓から、第1の時間後の第2の時間に戻り反射された、集束された光に基づいて、光検出器を用いてテスト信号を生成することと、テスト信号がロック信号の所定の割合内にあるかどうかを判定することと、テスト信号がロック信号の所定の割合外にある場合、流体チャネルを、光検出器に対して移動させることと、を含む。
【0013】
更に別の態様では、本開示は、光学部品を流体チャネルに集束させる方法を提供し、該方法は、光源からの光を用いて流体チャネルの探索窓を照明することと、チャネルと光検出器との間に配設された光学部品を用いて、光を探索窓に集束させることと、探索窓から第1の時間に戻り反射された、集束された光に基づいて、光検出器を用いてロック信号を生成することと、探索窓から、第1の時間後の第2の時間に戻り反射された、集束された光に基づいて、光検出器を用いてテスト信号を生成することと、テスト信号がロック信号の所定の割合内にあるかどうかを判定することと、テスト信号がロック信号の所定の割合外にある場合、流体チャネルを、高開口数の空気対物レンズに対して移動させることと、を含む。一実施形態では、撮像は、可視範囲の外で、より好ましくは、近赤外線領域で実施される。一実施形態では、撮像は、NAが0.91~0.99の空気対物レンズを使用して実施される。一実施形態では、撮像は、約0.95のNAを有する空気対物レンズを使用して実施される。
【0014】
別の態様では、本開示は、流体チャネルに方向付けられた光学部品の焦点を維持する方法を提供し、該方法は、光源からの光を用いてマイクロ流体システムの撮像領域を照明することと、カメラを用いて撮像領域の画像を生成することと、画像のデフォーカスの量を判定することと、デフォーカスの量がデフォーカスの所定の量以内にあるかどうかを判定することと、テスト信号が所定の範囲外にある場合、カメラに対して流体チャネルを移動させることと、を含む。
【0015】
更に別の態様では、本開示は、単一分子検出の方法を提供し、該方法は、チャネルを通して複数の分子を流すことであって、複数の分子のうちの1つ以上の分子が、検出可能な薬剤と会合する、流すことと、複数の分子のうちの分子をチャネル内で照明することと、チャネルから放出される放射光を、約0.91~0.99未満の範囲の開口数を有する空気対物レンズを備える集光システムを用いて収集することと、分子に基づいてチャネルから放出された、収集された放射光に基づいて、放出信号を生成することと、信号に基づいて、分子に値を割り当てることと、を含む。
【0016】
別の態様では、本開示は、単一分子検出効率を有する装置を提供し、該装置は、チャネルであって、該チャネルの管腔を通って粒子又は分子を流すように構成され、光が管腔の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓を画定する、チャネルと、探索窓を通してチャネルに励起光を出力するように構成された光エンジンと、チャネルから放出される放射光を受け取るように位置決めされており、かつ受け取った放射光に基づいて信号を生成するように構成された、検出器システムと、チャネルから放射光を収集し、かつ収集された放射光を検出器システムに方向付けるように位置決めされた、集光システムであって、0.91超~0.99未満の範囲の開口数を有する空気対物レンズを備える、集光システムと、光エンジン及び光検出器に動作可能に結合されたコントローラと、を備え、該コントローラは、該コントローラによって実行されたときに、システムに、チャネルを通して、複数の分子及び/又は複数の粒子を流すことであって、複数の分子のうちの1つ以上の分子及び/又は複数の粒子のうちの1つ以上の粒子が、検出可能な薬剤と会合する、流すことと、チャネル内で、複数の分子のうちの分子又は複数の粒子のうちの粒子を照明することと、集光システムを用いて、チャネルから放出される放射光を収集することと、分子及び/又は粒子に基づいてチャネルから放出された、収集された放射光に基づいて、放出信号を生成することと、信号に基づいて、分子及び/又は粒子に値を割り当てることと、を含む動作を実施させる論理を含む。
【0017】
本概要は、発明を実施するための形態で以下に更に記載される概念の選択を、簡略化された形態で紹介するために提供される。本概要は、特許対象の主要な特徴を特定することを意図するものではなく、特許対象の範囲を判定する際の補助として使用されることも意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって、よりよく理解されるようになるため、本発明の前述の態様及び付随する利点の多くが、より容易に理解されるようになるであろう。
【0019】
【
図1A】本開示の一実施形態による、高開口数(NA)空気対物レンズを使用する、流れに基づく単一粒子/分子分析システムの概略例解図である。
【
図1B】本開示の一実施形態による、
図1Aのシステムの放出ファイババンドルヘッドの概略例解図である。
【
図2】本開示の一実施形態による、流れに基づく単一分子/粒子システムの検出器モジュールの概略例解図である。
【
図3A】本開示の一実施形態による、流れに基づく単一分子/粒子システムの光エンジン及びチャネルの概略例解図である。
【
図3B】本開示の一実施形態による、
図3Aのチャネルの探索窓の概略例解図である。
【
図3C】本開示の一実施形態による、
図3Aの光エンジン及びチャネルの例の概略例解図である。
【
図3D】本開示の一実施形態による、
図3Aの光エンジン及びチャネルの例の概略例解図である。
【
図3E】本開示の一実施形態による、
図3Aの光エンジン及びチャネルの例の概略例解図である。
【
図3F】本開示の一実施形態による、
図3Aの光エンジン及びチャネルの例の概略例解図である。
【
図4】本開示の一実施形態による、本開示の一実施形態による、システムのチャネルの画像である。
【
図5A】本開示の一実施形態による、光学的に不透明なカバーの開口部を通過し、検出器システムの放出ファイババンドルヘッド上を通過する放射光を概略的に例解する。
【
図5B】本開示の一実施形態による、
図5Aの光学的に不透明なカバーの例を例解する。
【
図5C】本開示の一実施形態による、流れに基づく単一分子/粒子システムの放出ファイババンドルヘッドの画像である。
【
図6】本開示の一実施形態による、高NA空気対物レンズを使用する、流れに基づく単一分子/粒子システムの概略例解図である。
【
図7A】本開示の一実施形態による、流れに基づく単一分子/粒子システムの概略例解図である。
【
図7B】本開示の一実施形態による、
図7Aのシステムのサンプルに相対する高NA空気対物レンズをシステムのチャネル上に集束することの概略例解図である。
【
図7C】本開示の一実施形態による、流れに基づく単一分子/粒子システムの高NA空気対物レンズを集束する方法を例解するブロック図である。
【
図7D】本開示の一実施形態による、チャネルと高NA空気対物レンズとの間のいくつかの距離で撮られた、異なる量のデフォーカスを有するチャネルの一連の画像である。
【
図7E】本開示の一実施形態による、
図7Dの画像の位置に注目した、チャネルと高NA空気対物レンズとの間の様々な距離における集束品質の量を例解する。
【
図7F】本開示の一実施形態による、高NA空気対物レンズを有する近赤外線撮像を使用して焦点面を設定するために使用される、フィードバック制御ループを例解するブロック図である。
【
図7G】本開示の一実施形態による、高NA空中対物レンズを通る近赤外線マシンビジョンによって支援されるリアルタイム集束を実施するために使用される、フィードバック制御ループを例解する別のブロック図である。
【
図8】本開示の一実施形態による、流れに基づく単一分子/粒子システムの3つの探索窓で経時的に生成される信号をグラフで例解する。
【
図9A】本開示の一実施形態による、流れに基づく単一分子/粒子システムの探索窓を通過する粒子をグラフで例解し(左)、かつ本開示の一実施形態による、1つのタイプの膜色素で染色され、同じ励起波長で2回励起された粒子の吸収及び放出スペクトルを示す(右)。
【
図9B】本開示の一実施形態による、流れに基づく単一分子/粒子システムの探索窓を通過する粒子をグラフで例解し(左)、かつ本開示の一実施形態による、2つの励起波長で励起可能な1つのタイプの膜色素で染色された粒子の吸収及び放出スペクトルを示す(右)。
【
図9C】本開示の一実施形態による、流れに基づく単一分子/粒子システムの探索窓を通過する粒子をグラフで例解し(左)、かつ本開示の一実施形態による、2つの膜色素で染色され、2つの異なる励起波長で励起される粒子の吸収及び放出スペクトルを示す(右)。
【
図9D】本開示の一実施形態による、流れに基づく単一分子/粒子システムの探索窓を通過する粒子をグラフで例解し(左)、かつ本開示の一実施形態による、膜色素及び体積色素で染色され、2つの異なる励起波長で励起された粒子の吸収及び放出スペクトルを示す(右)。
【
図10A】本開示の一実施形態による、第1の光源及び第2の光源によって照明された、流体デバイスの探索窓の部分を通過する粒子と会合した色素のピーク放出強度を示し(左)、本開示の一実施形態による、第1の光源及び第2の光源によって照明され、本開示の方法で補正された、流体デバイスの探索を通過する粒子と会合した色素のピーク放出面積との比較を示す(右)。
【
図10B】本開示の一実施形態による、第1の光源及び第2の光源によって照明された、流体デバイスの探索窓の部分を通過する粒子と会合した色素のピーク放出強度を示し(左)、本開示の一実施形態による、第1の光源及び第2の光源によって照明され、本開示の方法で補正された、流体デバイスの探索を通過する粒子と会合した色素のピーク放出面積との比較を示す(右)。
【
図11A】本開示の一実施形態による、流体システムのチャネル内の粒子間の正規化された線形速度の比較を示す。
【
図11B】本開示の一実施形態による、流体システムのチャネルを通過する流体サンプル中の細胞外小胞の濃度の測定の結果値を示し、本開示の一実施形態による、
図11Aに例解される比較を使用して計算されたものである。
【
図12A】本開示の一実施形態による、(12A)di-8-ANEPPS、(12B)単一のR-フィコエリトリン(PE)、及び(12C)単一のAlexa647によって染色されたヒト精液エキソソームの蛍光スペクトル(左)、流れの中のサンプル追跡(中央)、及び信号強度の分布(右)を示す。
【
図12B】本開示の一実施形態による、(12A)di-8-ANEPPS、(12B)単一のR-フィコエリトリン(PE)、及び(12C)単一のAlexa647によって染色されたヒト精液エキソソームの蛍光スペクトル(左)、流れの中のサンプル追跡(中央)、及び信号強度の分布(右)を示す。
【
図12C】本開示の一実施形態による、(12A)di-8-ANEPPS、(12B)単一のR-フィコエリトリン(PE)、及び(12C)単一のAlexa647によって染色されたヒト精液エキソソームの蛍光スペクトル(左)、流れの中のサンプル追跡(中央)、及び信号強度の分布(右)を示す。
【
図13】本開示の一実施形態による、2つの蛍光チャネルにおける2000秒の実験測定期間の間に、高開口数空気対物レンズ(倍率40Xで0.95NA)を使用して取得され測定された背景レベルが非常に安定であることを示す。
【
図14A】本開示の一実施形態による、di-8-ANEPPS膜色素、抗CD63-Alexa647抗体、及び抗CD81-PE/CF594抗体で標識された精液細胞外小胞の多色共局在化を示し、ここで、4つのレーザ励起領域又はレーザラインが実験で使用され、流れの方向は、最初に640nm、次いで561nm、488nm、最後に、最後の2本のレーザラインがdi-8-ANEPPSからのシグナルを検出するために使用されたためにピーク検索の方向が流れと反対の方向であった405nm励起領域又はレーザラインに遭遇した。
【
図14B】本開示の一実施形態による、di-8-ANEPPS膜色素、抗CD63-Alexa647抗体、及び抗CD81-PE/CF594抗体の共局在化に基づく、精液細胞外小胞の亜集団又は亜型を示す。
【
図15】本開示の一実施形態による、元のストックsEVサンプルの一連の希釈物を生成した後の精液細胞外小胞(sEV)の濃度の測定を示す。
【
図16】本開示の一実施形態による、高開口数空気対物レンズ(NA=0.95)とともに近赤外線撮像又はマシンビジョンを使用することによって自動集束を達成するための装置をグラフで例解する。
【
図17A】本開示の一実施形態による、CD63+(17A)、CD81+(17B)、及びCD9+(17C)エキソソームの精液エキソソームのサイズ対抗体の蛍光強度を例解する。
【
図17B】本開示の一実施形態による、CD63+(17A)、CD81+(17B)、及びCD9+(17C)エキソソームの精液エキソソームのサイズ対抗体の蛍光強度を例解する。
【
図17C】本開示の一実施形態による、CD63+(17A)、CD81+(17B)、及びCD9+(17C)エキソソームの精液エキソソームのサイズ対抗体の蛍光強度を例解する。
【
図17D】本開示の一実施形態による、
図17A~
図17Cに例解される精液エキソソームの亜集団の割合を例解するベン図である。
【
図18A】本開示の一実施形態による、単一の抗CD63(18A)、抗CD81(18B)、及び抗CD9(18C)抗体及び対応する抗体標識精液エキソソームの強度分布を例解する。
【
図18B】本開示の一実施形態による、単一の抗CD63(18A)、抗CD81(18B)、及び抗CD9(18C)抗体及び対応する抗体標識精液エキソソームの強度分布を例解する。
【
図18C】本開示の一実施形態による、単一の抗CD63(18A)、抗CD81(18B)、及び抗CD9(18C)抗体及び対応する抗体標識精液エキソソームの強度分布を例解する。
【
図18D】本開示の一実施形態による、テトラスパニンCD63(18D)、CD9(18E)、及びCD81(18F)のコピー数分布を例解する。
【
図18E】本開示の一実施形態による、テトラスパニンCD63(18D)、CD9(18E)、及びCD81(18F)のコピー数分布を例解する。
【
図18F】本開示の一実施形態による、テトラスパニンCD63(18D)、CD9(18E)、及びCD81(18F)のコピー数分布を例解する。
【
図19A】本開示の一実施形態による、膜透過性RNA色素(SYTO)によって報告されたRNAを含有し、かつ含有しない、膜色素によって報告された小胞又は脂質含有ナノ粒子の割合、更に、RNAを含有する小胞(膜色素及びRNA色素に対して陽性)の割合、全ての小胞に対する抗CD63抗体の有無の割合(膜色素に対して陽性)を例解する。
【
図19B】本開示の一実施形態による、小胞であるかどうかに関わらない膜透過性RNA色素(SYTO)によって報告されるRNA含有粒子若しくは分子、又は膜色素によって報告される脂質含有ナノ粒子、及び更に、RNAを含む小胞(膜色素及びRNA色素に対して陽性)の、全てのRNA含有粒子に対する抗CD63抗体の有無に関わらず、それらの割合若しくは分子(RNA染色に対して陽性)の、割合を例解する。
【
図19C】本開示の一実施形態による、RNAを含有し、CD63陽性(すなわち、膜色素及びRNA色素並びに抗CD63陽性)の全小胞又はRNAを含有する脂質含有ナノ粒子(すなわち、膜色素及びRNA色素陽性)の割合を例解する。
【
図19D】本開示の一実施形態による、
図19Aの小胞又は脂質含有ナノ粒子のRNA含有量に対する小胞サイズを例解する。
【
図20A】単一の蛍光粒子又は分子の直接係数を介した濃度判定を例解し、ここで、20Aは、流速を増加させることによって、より低い濃度範囲が更に増加することができるように、約4桁の濃度範囲をカバーする同じ流速での単一の200nmの蛍光ビーズの係数を例解し、ポアソン補正を組み込むことによって、より高い濃度範囲も更に拡張することができ、20Bは、濃度1fM未満までの単一蛍光タンパク質の濃度の絶対定量化を示す。
【
図20B】単一の蛍光粒子又は分子の直接係数を介した濃度判定を例解し、ここで、20Aは、流速を増加させることによって、より低い濃度範囲が更に増加することができるように、約4桁の濃度範囲をカバーする同じ流速での単一の200nmの蛍光ビーズの係数を例解し、ポアソン補正を組み込むことによって、より高い濃度範囲も更に拡張することができ、20Bは、濃度1fM未満までの単一蛍光タンパク質の濃度の絶対定量化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、粒子及び分子の、流れに基づく分析のためのシステム及び方法を提供する。以下の説明において、多数の特定の詳細は、実施形態の完全な理解を提供するために記載されている。しかしながら、本明細書に記載の技術は、特定の詳細のうちの1つ以上を用いずに実施され得、又は他の方法、成分、材料などを用いて実施され得ることは、関連する技術分野の当業者には理解されよう。他の例では、ある態様を曖昧にしないように、周知の構造、材料、又は動作は、詳細には図示又は説明されない。
【0021】
本明細書全体を通して、「一実施形態(one embodiment)」又は「一実施形態(an embodiment)」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における「一実施形態(one embodiment)」又は「一実施形態(an embodiment)」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態では任意の好適な様式で組み合わせることができる。
【0022】
小粒子及び小分子は、チャネル内を流れる流体中で、より大きい粒子よりも拡散する傾向がある。粒子の半径方向の変位、すなわち、チャネルの主要な流れ軸に直交する方向における粒子の拡散による粒子の変位は、特にチャネルを通って流れる複数の粒子又は分子が存在する場合に、蛍光測定などのそのような小粒子の測定特性を困難にする可能性がある。例えば、複数の粒子又は分子がチャネルを同時に流れる状態では、個々の粒子又は分子は、チャネルを通る速度が異なり得る。チャネル内の粒子及び/又は分子がチャネル内の様々な点で測定される場合、チャネルの長さに沿った様々な点でチャネルを探索(interrogate)するように位置決めされた光検出器によって生成された信号を、単一の分子又は粒子と相関させることは困難であり得る。実際、粒子のサイズが、例えば、細胞外小胞、又は更には単一分子のサイズに向かって減少するにつれて、そのような測定は非常に困難になり得る。
【0023】
システム
したがって、一態様では、本開示は、単一の生物学的ナノ粒子及び/又は分子などの粒子を分析するためのシステムを提供する。
【0024】
ファイババンドルされた放射及び励起
これに関して、
図1A及び
図1Bに注目し、ここでは、本開示の一実施形態によるシステム100が例解されている。
【0025】
示されるように、システム100は、粒子及び/又は分子をチャネル102の管腔104を通って流すように構成されたチャネル102であって、光が管腔104の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓106を画定するチャネル102と、光を探索窓106へと出力するように構成された光エンジン108と、探索窓106から放出された放射光を受け取るように位置決めされた放射ファイババンドル130と、放射ファイババンドル130から放出された放射光を受け取るように位置決めされた検出器システム142と、を含む。
【0026】
一実施形態では、システム100、又は例えばチャネル102と探索窓106とを含むその一部分は、マイクロ流体チップを含む。マイクロ流体チップは、基板(例えば、シリコン、ガラス、セラミック、プラスチック、オルガノシリコン、石英、高分子材料、又はこれらの組み合わせ)から形成され得、流体が通って流動するマイクロ流体チャネルのネットワークを含み得る。マイクロ流体デバイスを使用して、微量の流体サンプルを処理し、従来のマクロスケールデバイスに対する利点を提供することができる(例えば、必要な流体サンプルの量が大幅に少なく、必要な試薬の使用量が少なく、マクロスケールデバイスと比較して処理時間が短縮される)。マイクロ流体チップは、粒子及び/若しくは分子の操作、単離、選別、並びに/又は輸送のための魅力的で多用途のプラットフォームを提供する。マイクロ流体チャネルのアレイをパターン化してマイクロ流体デバイス内に統合することができる容易さにより、これらのマイクロ流体デバイスは、粒子及び/又は分子に関わる用途に対する魅力的なプラットフォームになる。マイクロ流体チップは平面状のデバイスであるため、集光が強化され、ひいては粒子及び/又は分子の検出、分析、判定、及び/又は識別を容易にする、集光効率の高い対物レンズの使用を可能にすることによって、粒子及び/又は分子の検出及び分析を容易にすることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、本開示の方法、システム、デバイス、及び装置は、輸送中の生物学的ナノ粒子及び/又は単一分子の、操作、検出、分析、判定、及び/又は識別を容易にすることができるマイクロ流体チップを含む。マイクロ流体チップは、少量の流体サンプルを処理するために使用することができ、従来のマクロスケールデバイスに対する利点を提供することができる(例えば、マイクロ流体チップは、わずかな量の流体サンプルしか必要とせず、必要な試薬が少なく、処理時間が短く、マクロスケールデバイスと比較して効率が向上する)。マイクロ流体チップは、平面状のデバイスであるため、生体ナノ粒子の検出及び分析を容易にすることができ、かつ/又は約0.95若しくは0.91~0.99のNA(numerical aperture、開口数)を有する空気対物レンズなどの高NA対物レンズ(例えば、高NA空気対物レンズ)、高開口数を有するレンズ若しくは集光システムの使用を可能にすることによって集光を強化し、ひいては生物学的ナノ粒子及び/又は分子の検出、分析、判定、及び/又は識別を容易にする。ある実施形態では、マイクロ流体チップは平面状のデバイスであり、これらのマイクロ流体チップの、(例えば、マイクロ流体チップが置かれる並進ステージを有する)顕微鏡のセットアップとの適合性を高める。マイクロ流体チップは、追加的に、デッドボリュームを有しない相互接続された流体ネットワークを設計及び生成することを可能にすることができ、このことは、ひいては、生体ナノ粒子及び/又は分子の検出及び操作(例えば、3つ以上の流体チャネルの接合部での流動変位を使用する選別)を容易にすることができる。デッドボリュームは、流路の外側にあるマイクロ流体チップ内のボリュームの一部分(例えば、サンプルナノ粒子及び/又は分子を搬送する可能性のある液体が入って拡散して、精度を低下させる可能性のあるボリューム)である。マイクロ流体チップは、マイクロファブリケーションの方法により、非球形又は非正方形(例えば、長方形)である断面を有するチャネルを作成することを可能にすることができ、輸送中の生物学的ナノ粒子及び/又は分子の検出、分析、判定、及び/又は識別を容易にすることができる。マイクロ流体チップは、チャネルの長さに沿って異なる幅又は高さのチャネル(例えば、チャネルの狭窄部、又は幅及び/又は高さの段階的変化)の作成を容易にして、輸送中の生物学的ナノ粒子及び/又は分子の操作、検出、分析、判定、及び/又は識別を容易にすることができる。マイクロ流体チップは、高効率の集光システム(例えば、最大の集光のための適切な基板厚さを必要とする高NA空気対物レンズなどの高開口数対物レンズ)との適合性を高めて、輸送中の生物学的ナノ粒子及び/又は単一分子の操作、検出、分析、判定、及び/又は識別を容易にするように、所望の厚さであるとともに所望の材料特性(例えば、屈折率)を有するカバースリップ(例えば、ガラス又はプラスチック製)に結合することによって、形成することができる。マイクロ流体チップは、生体ナノ粒子及び/又は単一分子の操作、単離、選別、及び/又は輸送のための魅力的で多用途のプラットフォームを提供する。
【0028】
更に
図1A及び
図1Bを参照すると、一実施形態では、チャネル102を含むシステム100の部分は、ポリマー材料(ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリウレタン-メタクリレート(PUMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン、ポリエステル(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート、パリレン、ポリ塩化ビニル、フルオロエチルプロピレン、レキサン、ポリスチレン、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルカーボネート、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリアクリレート、ポリカプロラクトン、ポリケトン、ポリフタルアミド、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、エポキシポリマー、熱可塑性樹脂、フルオロポリマー、及びポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド)、無機材料(ガラス、石英、シリコン、GaAs、窒化シリコン)、溶融シリカ、セラミック、ガラス(有機)、及び/又は他の材料若しくはこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない材料から製造される。一実施形態では、システム100は、多孔質膜、ウールの織ファイバ又は不織ファイバ(布又はメッシュなど)、金属(例えば、ステンレス鋼又はモネル)、ガラス、紙、又は合成ファイバ(例えば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、パリレン、及び様々なポリエステル)、焼結ステンレス鋼などの金属、及びアルミナ、シリカ、又はカーボンなどの多孔質無機材料を含む。
【0029】
チャネル102の探索窓106は、光エンジン108からなどの励起光がチャネル102の管腔104の中へ通過し、放射光が検出器システム142によって受け取られるためにチャネル102の外へ通過することを可能にする。そのような励起光及び放射光は、可視光、赤外線光、近赤外線光、及び紫外線光、並びにそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、いくつかの波長範囲の光を含むことができる。これに関して、探索窓106は、チャネル102を流れる粒子及び/又は分子を励起すること、並びに更なる分析のために、探索窓106から放出された光が検出器システム142によって受け取られることを可能にすることに好適である。
【0030】
本明細書で更に考察されるように、一実施形態では、探索窓106内のチャネル102の管腔104は、又はある実施形態では探索窓106に隣接するチャネル102の管腔104は、管腔104の断面又は直径又は他のサイズ特徴の狭窄部若しくは他の狭まりを画定する。管腔104のこのような狭窄部又は狭まりは、粒子ごと及び/又は分子ごとに層流条件下で、探索窓106を含むチャネル102の部分を通って粒子及び/又は分子を流すように構成されている。
【0031】
一実施形態では、探索窓106は、対物レンズ186の視野内、及び/又は検出器システム142によって検出可能なチャネルの一部分を含む。一実施形態では、探索窓106は、チャネル102の他の部分に対して狭窄部を画定するチャネル102の一部分を含む。本明細書に更に記載されるように、そのような実施形態では、探索窓106の狭窄部は、チャネル102の他の直接隣接する部分よりも小さい高さ、幅、断面積などの寸法を有することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネル102の最も広い部分よりも小さい幅を有する。ある実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネル102の最も幅の広い部分と相対的な幅を有する。いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大幅の50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満の幅を有する。非限定的な例として、100μmの最大幅を有するマイクロ流体チャネル102は、最大幅の値の25%未満(すなわち、25μm未満)である狭窄部を有し得る。好ましい実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネル102の最大幅の幅の10%未満の幅を有する。
【0033】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネル102の最大幅は、900μm未満かつ0.1μm超、800μm未満かつ0.5μm超、700μm未満かつ1μm超、600μm未満かつ5μm超、500μm未満かつ10μm超、1,000μm未満かつ10μm超、900μm未満かつ10μm超、800μm未満かつ10μm超、700μm未満かつ10μm超、600μm未満かつ10μm超、500μm未満かつ10μm超、400μm未満かつ10μm超、300μm未満かつ10μm超、500μm未満かつ0.1μm超、500μm未満かつ1μm超、500μm未満かつ2μm超、500μm未満かつ5μm超、800μm未満かつ0.1μm超、700μm未満かつ0.1μm超、600μm未満かつ0.1μm超、500μm未満かつ0.1μm超、400μm未満かつ0.1μm超、又は300μm未満かつ0.1μm超の値を有する。好ましい実施形態では、マイクロ流体チャネル102の最大幅は、500pm未満かつ10μm超の値を有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均幅よりも小さい幅を有する。ある実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均幅に対して幅を有する。いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネル102の平均幅の50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満の幅を有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネル102の平均幅は、900μm未満かつ0.1μm超、800μm未満かつ0.5μm超、700μm未満かつ1μm超、600μm未満かつ5μm超、500μm未満かつ10μm超、1,000μm未満かつ10μm超、900μm未満かつ10μm超、800μm未満かつ10μm超、700μm未満かつ10μm超、600μm未満かつ10μm超、500μm未満かつ10μm超、400μm未満かつ10μm超、300μm未満かつ10μm超、500μm未満かつ0.1μm超、500μm未満かつ1μm超、500μm未満かつ2μm超、500μm未満かつ5μm超、800μm未満かつ0.1μm超、700μm未満かつ0.1μm超、600μm未満かつ0.1μm超、500μm未満かつ0.1μm超、400μm未満かつ0.1μm超、又は300μm未満かつ0.1μm超の値を有する。好ましい実施形態では、マイクロ流体チャネル102の平均幅は、500μm未満かつ10μm超の値を有する。
【0036】
いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネル102の最も大きい高さ値(すなわち、最大高さ)よりも低い高さを有する。ある実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大高さに対して高さを有する。いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大高さの50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満の高さを有する。非限定的な例として、20μmの最大高さを有するマイクロ流体チャネル102は、最大高さの値の10%未満(すなわち、2μm未満)である狭窄部を有し得る。好ましい実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネル102の最大高さの25%未満の高さを有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネル102の最大高さは、900μm未満かつ0.1μm超、800μm未満かつ0.5μm超、700μm未満かつ1μm超、600μm未満かつ5μm超、500μm未満かつ10μm超、1,000μm未満かつ10μm超、900μm未満かつ10μm超、800μm未満かつ10μm超、700μm未満かつ10μm超、600μm未満かつ10μm超、500μm未満かつ10μm超、400μm未満かつ10μm超、300μm未満かつ10μm超、500μm未満かつ0.1μm超、500μm未満かつ1μm超、500μm未満かつ2μm超、500μm未満かつ5μm超、800μm未満かつ0.1μm超、700μm未満かつ0.1μm超、600μm未満かつ0.1μm超、500μm未満かつ0.1μm超、400μm未満かつ0.1μm超、又は300μm未満かつ0.1μm超の値を有する。好ましい実施形態では、マイクロ流体チャネル102の最大高さは、500μm未満かつ10μm超の値を有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均高さよりも低い高さを有する。ある実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均高さに対して高さを有する。いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均高さの50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満の高さを有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルの平均高さは、900μm未満かつ0.1μm超、800μm未満かつ0.5μm超、700μm未満かつ1μm超、600μm未満かつ5μm超、500μm未満かつ10μm超、1,000μm未満かつ10μm超、900μm未満かつ10μm超、800μm未満かつ10μm超、700μm未満かつ10μm超、600μm未満かつ10μm超、500μm未満かつ10μm超、400μm未満かつ10μm超、300μm未満かつ10μm超、500μm未満かつ0.1μm超、500μm未満かつ1μm超、500μm未満かつ2μm超、500μm未満かつ5μm超、800μm未満かつ0.1μm超、700μm未満かつ0.1μm超、600μm未満かつ0.1μm超、500μm未満かつ0.1μm超、400μm未満かつ0.1μm超、又は300μm未満かつ0.1μm超の値を有する。好ましい実施形態では、マイクロ流体チャネルの平均高さは、500μm未満かつ10μm超の値を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最も大きい断面積(すなわち、最大断面積)よりも小さい断面積を有する。ある実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大断面積と相対的な断面積を有する。いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大断面積の50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、24%未満、23%未満、22%未満、21%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.02%未満、0.01%未満、0.005%未満、0.002%未満、又は0.001%未満の断面積を有する。非限定的な例として、200μm2の最大断面積を有するマイクロ流体チャネルは、最大断面積の値の10%未満(すなわち、20μm2未満)である狭窄部を有し得る。好ましい実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの最大断面積の10%~0.01%の断面積を有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルの最大断面積は1,000,000μm2未満かつ10μm2超、750,000μm2未満かつ25μm2超、500,000μm2未満かつ100μm2超、250,000μm2未満かつ250μm2超、900,000μm2未満かつ100μm2超、800,000μm2未満かつ100μm2超、700,000μm2未満かつ100μm2超、600,000μm2未満かつ100μm2超、400,000μm2未満かつ100μm2超、300,000μm2未満かつ100μm2超、200,000μm2未満かつ100μm2超、100,000μm2未満かつ100μm2超、50,000μm2未満かつ100μm2超、25,000μm2未満かつ100μm2超、10,000μm2未満かつ100μm2超、1,000μm2未満かつ100μm2超、2,000,000μm2未満かつ250μm2超、1,000,000μm2未満かつ250μm2超、900,000μm2未満かつ250μm2超、800,000μm2未満かつ250μm2超、700,000μm2未満かつ250μm2超、600,000μm2未満かつ250μm2超、400,000μm2未満かつ250μm2超、300,000μm2未満かつ250μm2超、200,000μm2未満かつ250μm2超、100,000μm2未満かつ250μm2超、50,000μm2未満かつ250μm2超、25,000μm2未満かつ250μm2超、10,000μm2未満かつ250μm2超、又は1,000μm2未満かつ250μm2超の値を有する。好ましい実施形態では、マイクロ流体チャネルの最大断面積は、250,000μm2未満かつ250μm2超の値を有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均断面積よりも小さい断面積を有する。ある実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均断面積と相対的な断面積を有する。いくつかの実施形態では、狭窄部は、マイクロ流体チャネルの平均断面積の50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、24%未満、23%未満、22%未満、21%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.02%未満、0.01%未満、0.005%未満、0.002%未満、又は0.001%未満の断面積を有する。
【0043】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルの平均断面積は1,000,000μm2未満かつ10μm2超、750,000μm2未満かつ25μm2超、500,000μm2未満かつ100μm2超、250,000μm2未満かつ250μm2超、900,000μm2未満かつ100μm2超、800,000μm2未満かつ100μm2超、700,000μm2未満かつ100μm2超、600,000μm2未満かつ100μm2超、400,000μm2未満かつ100μm2超、300,000μm2未満かつ100μm2超、200,000μm2未満かつ100μm2超、100,000μm2未満かつ100μm2超、50,000μm2未満かつ100μm2超、25,000μm2未満かつ100μm2超、10,000μm2未満かつ100μm2超、1,000μm2未満かつ100μm2超、2,000,000μm2未満かつ250μm2超、1,000,000μm2未満かつ250μm2超、900,000μm2未満かつ250μm2超、800,000μm2未満かつ250μm2超、700,000μm2未満かつ250μm2超、600,000μm2未満かつ250μm2超、400,000μm2未満かつ250μm2超、300,000μm2未満かつ250μm2超、200,000μm2未満かつ250μm2超、100,000μm2未満かつ250μm2超、50,000μm2未満かつ250μm2超、25,000μm2未満かつ250μm2超、10,000μm2未満かつ250μm2超、又は1,000μm2未満かつ250μm2超の値を有する。好ましい実施形態では、マイクロ流体チャネルの平均断面積は、250,000μm2未満かつ250μm2超の値を有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、狭窄部は、10μm未満の高さ、9μm未満の高さ、8μm未満の高さ、7μm未満の高さ、6μm未満の高さ、5μm未満の高さ、4μm未満の高さ、3μm未満の高さ、2μm未満の高さ、又は1μm2未満の高さをいくつかの実施形態において有し、狭窄部は、10μm未満の幅、9μm未満の幅、8μm未満の幅、7μm未満の幅、6μm未満の幅、5μm未満の幅、4μm未満の幅、3μm未満の幅、2μm未満の幅、又は1μm未満の幅を有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は10超の狭窄部を含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップは、複数のマイクロ流体チャネルを含み、その少なくとも一部分は各々、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は10超の狭窄部を含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップは、複数のマイクロ流体チャネルを含み、その大部分は各々、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は10超の狭窄部を含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップは、複数のマイクロ流体チャネルを含み、その各々は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は10超の狭窄部を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネル102の少なくとも一部分は、10,000μm2未満の断面積、5,000μm2未満の断面積、3,000μm2未満の断面積、1,000μm2未満の断面積、800μm2未満の断面積、600μm2未満の断面積、400μm2未満の断面積、200μm2未満の断面積、又は100μm2未満の断面積を有する。好ましい実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、100μm2未満の断面積、90μm2未満の断面積、80μm2未満の断面積、70μm2未満の断面積、60μm2未満の断面積、50μm2未満の断面積、40μm2未満の断面積、30μm2未満の断面積、20μm2未満の断面積、10μm2未満の断面積、5μm2未満の断面積、2μm2未満の断面積、又は1μm2未満の断面積を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、250,000μm2未満、100,000μm2未満、50,000μm2未満、25,000μm2未満、10,000μm2未満、5,000μm2未満、3,000μm2未満、1,000μm2未満、800μm2未満、600μm2未満、400μm2未満、200μm2未満、又は100μm2未満の最大断面積を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、100μm2未満、90μm2未満、80μm2未満、70μm2未満、60μm2未満、50μm2未満、40μm2未満、30μm2未満、20μm2未満、10μm2未満、5μm2未満、2μm2未満、又は1μm2未満の最大断面積を有する。好ましい実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、1μm2~100μm2の断面積を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルは、100μm2~10,000μm2の最大断面積を有する。
【0047】
ある実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、その幅又は高さの少なくとも1つの不連続な変化を含む(例えば、微細加工の技術を使用して達成された)。本明細書で使用されるマイクロ流体チップは、高さ又は幅の連続的な変化を含むマイクロ流体チャネルとは対照的に、高さ又は幅の少なくとも1つのステップ勾配又はステップ変化を有するマイクロ流体チャネルを含み得る。高さ又は幅の連続的な変化を含むチャネルは、例えばガラス管を含むデバイスにおいて一般的であり、加熱された管を引っ張ることによって達成することができる。特定の実施形態では、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルの少なくとも一部分は、互いに独立して変化する高さと幅を有する。高さ及び幅の独立した変化は、例えばガラス管とは対照的であり、高さを減少させる加工には、対応する幅の減少が伴う(例えば、融点近くで加熱されたガラス管の引張及び薄肉化)。
【0048】
上記のように、システム100は、光エンジン108を含む。例解される実施形態では、光エンジン108は、複数の光源110、114、118、及び120を含むように示されており、これらの光源の各々は、探索窓106内のチャネル102のそれぞれの別々の部分122、124、126、及び128上に励起光を放出又は出力するように位置決めされている。これに関して、光エンジン108は、第1の励起光112を探索窓106内のチャネル102の第1の部分122上に出力するように位置決めされた第1の光源110と、第2の励起光116を探索窓106内のチャネル102の、第1の部分122とは別々の第2の部分124に放出又は出力するように位置決めされた第2の光源114と、を含むように示されている。光エンジン108は、第3の光源118及び第4の光源120を更に含むことが示されており、これらの光源は、第3の励起光及び第4の励起光を、それぞれ探索窓106内のチャネル102の第3の部分126及び第4の部分128に出力するように位置決めされている。
【0049】
一実施形態では、部分122、124、126、及び128は、対物レンズ186によって集束され、チャネル102に衝突した後、励起光の幅によって画定される。例えば、一実施形態では、部分122は、チャネル102に衝突する励起光112の幅によって画定された幅を有する。一実施形態では、部分122、124、126、及び128の幅は、2.0μm、1.5μm、1.0μm、0.9μm、0.8μm、0.7μm、0.6μm、0.5μm、0.4μm、0.3μm、又は0.2μm未満である。一実施形態では、部分122、124、126、及び128の幅は、約2.0μm~約0.2μm、約1.0μm~約0.2μm、約0.9μm~約0.2μm、約0.8μm~約0.2μm、約0.7μm~約0.2μm、又は約0.6μm~約0.2μmの範囲である。一実施形態では、部分122、124、126、及び128の幅は、励起光強度の最大値の1/e2で画定される。一実施形態では、部分122、124、126、及び128の幅は、励起光強度の最大値の1/eとして画定される。
【0050】
部分122、124、126、及び128の幅が広すぎる場合、信号対雑音比は、例えば、単一分子/粒子の検出及び分析のためには低すぎる。これに関して、励起線幅が広すぎる、かつ間隔が密接過ぎる場合(例えば、2つの励起線が実質的に重なり合うとき)は、チャネル102の部分の間にクロストークが生じる。追加的に、広すぎる励起線幅は、特に単一の粒子/分子によって放出された光の量が相対的に低くあり得る場合に、信号対雑音比を低下させる、より大量のバックグラウンド光を生じさせるチャネル102のより大きい部分を照明する。
【0051】
示されるように、光源110及び114は、それらから出力される励起光112及び116が光ファイバ164及び168によって受け取られ伝送されるように、光ファイバ164及び168に光学的に結合されている。例解される実施形態では、第1の光源110は、第1の励起光ファイバ164の近位端166に光学的に結合されており、第2の光源114は、第2の励起光ファイバ168の近位端170に光学的に結合されている。
【0052】
光学的に結合された光源が示されているが、ある実施形態では、光エンジン108の光源110、114、118、及び120が、励起光ファイバに光学的に結合されていない自由空間光源であることが理解されるであろう。これに関して、かつ一実施形態では、自由空間光源は、励起光を受け取り、励起光を自由空間に出力するように位置決めされた、自由空間光源と探索窓106との間に配設された光ファイバを有していない。これに関して、隣接する光源間の励起光の間隔は、光源から放出される励起光を方向付ける、かつ/又は成形する、システム100の追加の光学部品によって少なくとも部分的に画定される。したがって、一実施形態では、励起光ファイババンドル172の励起光ファイバ164及び168などの励起光ファイバは、任意選択的である。また、いくつかの実施形態では、励起光ファイババンドル172は存在しない。
【0053】
光エンジン108の光源110、114、118、及び120によって出力される励起光は、任意の波長のものであり得る。一実施形態では、1つの光源の励起光は、光エンジン108の別の光源によって出力される励起光と同じである。一実施形態では、1つの光源の励起光は、光エンジン108の別の光源によって出力される励起光と異なる。一実施形態では、第1の励起光112は、第1の波長範囲の波長を有し、第2の励起光116は、第1の波長範囲とは別個の第2の波長範囲の波長を有する。一実施形態では、第1の励起光112は、第1の波長範囲の波長を有し、第2の励起光116は、第1の波長範囲と共通の第2の波長範囲の波長を有する。
【0054】
第1の励起光112及び第2の励起光116は、粒子内若しくは粒子上で、又は分子と会合して、色素又は他の検出可能な薬剤を光学的に励起するのに好適な任意の励起光であることができる。一実施形態では、第1の励起光112及び/又は第2の励起光116は、レーザなどからのコヒーレント光を含む。一実施形態では、第1の光源110及び第2の光源114は、固体レーザ、ダイオード励起レーザ、発光ダイオード(LED)、ランプ、アーク放電、及び自然光からなる群から各々独立して選択される。
【0055】
一実施形態では、第1の励起光112は、
約350nm~約360nmの波長範囲、約400nm~約410nmの波長範囲、約480nm~約490nmの波長範囲、約530nm~約540nmの波長範囲、約555nm~約565nmの波長範囲、又は約630nm~約690nmの波長範囲にある。一実施形態では、第2の励起光116は、
約350nm~約360nmの波長範囲、約400nm~約410nmの波長範囲、約480nm~約490nmの波長範囲、約530nm~約540nmの波長範囲、約555nm~約565nmの波長範囲、又は約630nm~約690nmの波長範囲にある。
【0056】
示されるように、第1の励起光ファイバ164の遠位端及び第2の励起光ファイバ168の遠位端は、励起ファイババンドルヘッド172内に配置されている。示されるように、励起光ファイバ164及び168の遠位端は、間隔176だけ離間している。一実施形態では、この間隔176は、励起ファイババンドルヘッド172及び光エンジン108によって出力される励起光112及び116の間隔を、少なくとも部分的に画定する。これに対応して、一実施形態では、第1の励起光ファイバ164の遠位端と第2の励起光ファイバ168の遠位端との間の間隔176は、第1の部分122と第2の部分124との間の間隔に対応する。これに関して、励起光は、異なって位置決めされた光エンジン108の光源110、112、118、及び120によって出力され、励起ファイババンドルヘッド172によってまとめられ、励起光ファイバの遠位端の間隔176に従って、チャネル102の探索窓106の位置的に別々の部分に出力され得る。励起ファイババンドルヘッド172のそのような構成は、励起光学系によって更に操作され得る。図示されないが、例えば、
図3Aを参照されたい。一実施形態では、励起光ファイバ164及び168は、ファイババンドルヘッド内で、互いの1ファイバ直径(例えば、縁部から縁部までの距離)以内などに、互いに隣接して配設される。
【0057】
一実施形態では、励起ファイババンドル172などのファイババンドルは、光ファイバの端部で結合されるか、又は別様に近接される光ファイバを指す。本明細書で更に考察されるように、光ファイバの端部を光ファイバの直径幅以内で互いに近接させることによって、異なって位置決めされ光ファイバに結合された光源から出力された光は、光ファイバを介して伝送され、光ファイババンドル内の光ファイバの配向によって部分的に成形された又は別様に画定された配向で、光ファイバから放出されることができる。
【0058】
上記のように、光学的に結合された光源が例解されているが、
図6に関して本明細書で更に考察されるように、光エンジン108が自由空間光源を含み得ることが理解されよう。更に、光エンジン108によって照明された探索窓106の部分及びそれらの間の間隔は、自由空間光源と探索窓106との間に配設された光学素子によって操作されることが理解されよう。
【0059】
示されるように、システム100は、励起光112及び116の少なくとも一部分をチャネル102の探索窓106に向かって反射させるように位置決めされたダイクロイックミラー160を含む。例解される実施形態では、システム100は、空気対物レンズ186などの対物レンズ186を更に含み、この対物レンズ186は、ダイクロイックミラー160から反射された励起光を収集するように位置決めされ、かつ励起光112及び116をチャネル102に集束するように構成されている。これに関して、光源からの励起光は、探索窓106内のチャネル102の空間的に別々の部分に出力される。上記のように、一実施形態では、探索窓106は、少なくとも部分的に、対物レンズ186の視野によって画定される。
【0060】
ダイクロイックミラー160が例解されているが、光を選択的又は部分的に透過及び反射させるために、他の光学部品が使用され得ることが理解されよう。一実施形態では、ダイクロイックミラー160は、20%反射/80%透過性ミラーなどの透過性ミラー、又は選択的若しくは部分的に光を透過及び反射するように構成された他の構造によって置き換えられる。
【0061】
上記のように、チャネル102を流れる粒子又は分子、例えば1つ以上の検出可能な薬剤を含有する粒子及び/又はその薬剤と会合した分子は、励起光112及び116によって励起され得る。励起されたそのような粒子/分子は、放射光146及び152を放出することができ、これらは、放射されるか、又は別様に探索窓106からダイクロイックミラー160を通って放出される。示されるように、放射光146及び152は、探索窓106に衝突する励起光112及び116と同一又は類似の相対的な間隔を有する。
【0062】
放射光146及び152は、システム100の放出ファイババンドル130に衝突するように示されている。例解される実施形態では、放出ファイババンドル130は、空間内で密接に結合された4つの放出光ファイバを含むように示されている。励起ファイババンドル172と同様、放出光ファイババンドル130は、光ファイバ、ここでは放出光ファイバ134及び138の端部を、近接させ特定の配向又は配置に従うようにする。本明細書で更に考察されるように、ファイババンドルヘッド132内の放出光ファイバの特定の配置は、放射光146及び152を受け取るように放出光ファイバ134及び138を位置決めするのに好適である。
【0063】
図1Aには4つの放出光ファイバが示されているが、放出光ファイバの他の数及び他の構成が可能であることが理解されよう。一実施形態では、放出ファイババンドル130は、少なくとも3つの放出光ファイバ、少なくとも4つの放出光ファイバ、少なくとも5つの放出光ファイバ、少なくとも6つの放出光ファイバ、少なくとも7つの放出光ファイバ、又はそれ以上を含む。一実施形態では、放出ファイババンドル130は、第1の放出光ファイバ134及び第2の放出光ファイバ138を含み、第1の放出光ファイバ134の近位端136及び第2の放出光ファイバ138は、放出ファイババンドルヘッド132に配置され、第1の放出光ファイバ134の近位端136は、第1の部分122から放出される第1の放射光146を受け取るように位置決めされ、第2の放出光ファイバ138の近位端140は、第2の部分124から放出される第2の放射光152を受け取るように位置決めされている。
【0064】
一実施形態では、放出ファイババンドル130の各放出光ファイバ134及び138の近位端136及び140は、放出ファイババンドルヘッド132内に配設される。一実施形態では、放出ファイババンドル130の各放出光ファイバ134及び138の近位端136及び140は、探索窓106の別個の部分122及び124から放出される放射光146及び152を受け取るように位置決めされている。一実施形態では、放出光ファイバ134及び138の近位端136及び140は、互いの1ファイバ直径以内にある(例えば、あるファイバの縁部から隣り合うファイバの最も近い縁部までの間の距離が、1ファイバの直径以内である)など、互いに隣接して配設される。
【0065】
一実施形態では、放出ファイババンドルヘッド132の放出光ファイバは、探索窓106の別個の励起領域又は部分に対応する放射光を、個々に又は別々に受け取るように構成されている。上記のように、一実施形態では、探索窓106の部分122及び124などの部分は、探索窓に衝突するときに、励起光112及び116の幅などの励起光の幅によって画定される。
【0066】
放出光ファイバ134及び138の近位端136及び140を放出光ファイババンドルヘッド132に密接に隣接して置くことによって、放出光ファイバ134及び138は、光エンジン108の異なる光源によって励起される、チャネル102の部分などのチャネル102の異なる部分からの放射光を受け取るように位置決めされる。一実施形態では、放出光ファイバ134及び138の近位端136と140との間の間隔は、探索窓106に衝突する励起光112と116との間隔に基づくなど、チャネル102の部分122と124との間隔に基づく。
【0067】
これに関して、システム100の放出ファイババンドルヘッド132の概略例解図である
図1Bに注目する。
図1Bは、放出ファイババンドルヘッド132の放出光ファイバのいくつかの構成を例解する。好ましい実施形態では、放出光ファイバ134は、放出ファイババンドルヘッド132内に線形構成で配置される。
【0068】
一実施形態では、放出光ファイバ134及び138の近位端136と140との間隔174及び/又は配置は、光エンジン108の光源によって励起される探索窓106の部分同士の間隔及び/又は配置に対応する。示されるように、放出光ファイバ134及び138の近位端136及び140は、線形構成で配置されている。これに関して、放出光ファイバ134及び138は、チャネル102からの放射光146及び152を受け取るために、放出光ファイババンドルヘッド132内に配置され、光エンジン108は、例えば線形構成で、探索窓106に励起光を放出又は出力するように構成されている。
【0069】
一実施形態では、間隔174は、約1μm~約1,000μmの範囲内であり、約100μm~約900μmの範囲内であり、約1μm~約100μmの範囲内であり、約10μm~約500μmの範囲内であり、約50μm~約800μmの範囲内である。別の実施形態では、放出光ファイバの縁部と、ファイババンドルヘッドの近位端にある別の放出光ファイバの最も近い縁部との間の距離は、ほぼゼロ(すなわち、接触)であるか、又はファイバの半径以内である。
【0070】
一実施形態では、間隔174は、ある放出光ファイバの中心と、異なる放出光ファイバの中心との間の距離である。一実施形態では、間隔174は、ある放出光ファイバの縁部と、別の放出光ファイバの最も近い縁部との間の距離である。
【0071】
一実施形態では、第1の放出光ファイバ134の近位端136と、第2の放出光ファイバ138の近位端140との間の間隔174は、探索窓106の第1の部分122と第2の部分124との間の間隔に対応する。この実施形態では、間隔は、中心から中心までの距離である。一実施形態では、そのような対応は、放出光ファイバ134及び138の近位端136と140との間の間隔、並びに第1の部分122と第2の部分124との間の間隔が、光学系の拡大を考慮した後に直接又は密接に一致する直接対応である。一実施形態では、対応は、探索窓106と放出ファイババンドルヘッド132との間に配設された、システム100の光学系、例えば対物レンズ186及び任意の他のレンズ、ミラーなどに従って調整及び/又は修正される。
【0072】
一実施形態では、第1の励起光ファイバ164の遠位端166と第2の励起光ファイバ168の遠位端170との間の間隔176は、探索窓106の第1の部分122と第2の部分124との間の間隔に対応する。一実施形態では、そのような対応は、励起光ファイバ164及び168の遠位端166と170との間の間隔、並びに第1の部分122と第2の部分124との間の間隔が、光学系の拡大を考慮した後に直接又は密接に一致する直接対応である。これに関して、遠位端166から出力される第1の光源110と、遠位端170から出力される第2の光源114との間の間隔は、第1の部分122と第2の部分124との間の間隔に対応する。一実施形態では、対応は、探索窓106と励起ファイババンドルヘッド172との間に配設された、システム100の光学系、例えば対物レンズ186及び任意の他のレンズ、ミラーなどに従って調整及び/又は修正される。
【0073】
一実施形態では、第1の励起光ファイバ164の遠位端166と第2の励起光ファイバ168の遠位端170との間の間隔176は、第1の放出光ファイバ134の近位端136と第2の放出光ファイバ138の近位端140との間の間隔174に対応する。上記のように、そのような対応は、直接対応、又は放射光を操作するか若しくは放射光を方向付ける任意の光学部品によって修正された対応であり得る。
【0074】
一実施形態では、間隔176は、約1μm~約1,000μmの範囲内であり、約1μm~約100μmの範囲内であり、約250μm~約750μmの範囲内であり、約1μm~約50μmの範囲内であり、約10μm~約500μmの範囲内である。別の実施形態では、光ファイバの縁部と、ファイババンドルヘッド内の別の光ファイバの最も近い縁部との間の距離は、ほぼゼロ(すなわち、接触)であるか、又はファイバの半径以内である。
【0075】
上記のように、システム100は、放出ファイババンドル130から放出された放射光を受け取るように位置決めされた検出器システム142を含む。示されるように、放出光ファイバ134及び138は、それぞれ、それらの近位端136及び140で放出ファイババンドルヘッド132から広がって、検出器システム142の検出器モジュール144及び150に隣接し光学的に結合されたそれらの遠位端148及び154で終端する。本明細書で使用される場合、「検出器モジュール」とは、検出器モジュールによって受け取られる、例えば1つ以上の検出構造及び/又は検出構成要素によって受け取られる光に基づいて信号又は一組の信号を生成するように構成された、検出構造及び/又は検出構成要素の集合を指す。本開示の検出器システム142などの検出器システムは、1つ以上の検出器モジュール及び/又は1つ以上の個々の光検出器などの、1つ以上の個々の検出器を含むことができる。
【0076】
一実施形態では、検出器モジュール144及び150のうちの1つ以上は、放射光146及び152を受け取るように光学的に結合及び位置決めされた単一の光検出器を含む。別の実施形態では、検出器モジュール144及び150のうちの1つ以上は、
図2に関して本明細書で更に考察されるように、複数の個々の光検出器を含む。これに関して、検出器モジュール144及び150の各々は、放射光146及び152を受け取り、放射光146及び152内の特定の波長範囲に基づくなど、その放射光146及び152に基づいて、複数の信号を生成するように構成され得る。
【0077】
一実施形態では、各放出光ファイバ134及び138の遠位端148及び154は、それぞれの少なくとも1つの検出器モジュール144及び150に光を放出するように位置決めされている。一実施形態では、検出器システム142は、探索窓106からの散乱放射光、ルミネッセンス放射光、蛍光放射光、又はそれらの組み合わせを受け取るように位置決めされている。一実施形態では、散乱放射光は、後方散乱光、側方散乱光、又は前方散乱光から選択される。
【0078】
検出器モジュール144及び150内の光検出器などの光検出器が考察されるが、他のタイプの光検出構造及び光検出構成要素が可能であり、本開示の範囲内であることが理解されよう。一実施形態では、検出器モジュール144及び150内の光検出器は、カメラ、電子増倍管、電荷結合デバイス(CCD)イメージセンサ、光電子増倍管(PMT)、マイクロチャネルプレートPMT(MCP)、ハイブリッドPMT検出器、アバランシェフォトダイオード(APD)、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)、単一光子計数モジュール(SPCM)、シリコン光電子増倍管(SiPM)、及び相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサからなる群から選択される。
【0079】
例解される実施形態では、各放出光ファイバの端子端部が、放射光を受け取るために検出器モジュールに光学的に結合されている。これに関して、検出器システム142は、第1の放出光ファイバ134の遠位端148から放出される第1の放射光146を受け取るように位置決めされた第1の検出器モジュール144と、第2の放出光ファイバ138の遠位端154から放出される第2の放射光152を受け取るように位置決めされた第2の検出器モジュール150と、を含むように示されている。
【0080】
システム100は、光エンジン108及び検出器システム142に動作可能に結合された、コントローラ156を更に含むように示されている。かかるコントローラ156は、これらの構成要素の動作を振り分けるように構成された論理を含む。これらの構成要素に1つのコントローラ156が直接結合されたように示されているが、無線で結合された、かつ/又は分散システム内のものなどの複数のコントローラが可能であり、本開示の範囲内であることが理解されよう。
【0081】
一実施形態では、コントローラ156は、本明細書に更に記載される方法の一部又は全ての態様を実施するための論理を含む。一実施形態では、コントローラ156は、光エンジン108を用いて励起光を探索窓106に出力し、探索窓106から放出され検出器システム142によって受け取られた放射光に基づいて、検出器システム142を用いて信号を生成するための、論理を含む。一実施形態では、コントローラ156は、論理を含み、論理は、コントローラ156によって実行されたときに、システム100に、第1の光源110を用いて第1の励起光112を出力することと、第2の光源114を用いて第2の励起光116を出力することと、第1の放出光ファイバ134から受け取った第1の励起光112に基づいて、第1の検出器モジュール144を用いて第1の放出信号を生成することと、第2の放出光ファイバ138から受け取った第2の励起光116に基づいて、第2の検出器モジュール150を用いて第2の放出信号を生成することと、を含む動作を実施させる。
【0082】
一実施形態では、コントローラ156は、論理を更に含み、該論理は、コントローラ156によって実行されたときに、システム100に、チャネル102を通して、チャネル102と流体連通している懸濁液など、粒子の懸濁液及び/又は分子の溶液を流すことを含む動作を実施させる。本明細書で使用される場合、「粒子」とは、周囲の媒体内などの局所化されたオブジェクト又はエンティティを指す。一実施形態では、粒子は、固体粒子が液相又は気相に囲まれて懸濁されるような、その周囲に対する相不連続性を画定する。本明細書で更に考察されるように、ある実施形態では、粒子は、対象物から生じた対象物由来、生物から生じた生物由来、環境サンプル由来といった、生物学的ナノ粒子などの生物学的粒子である。
【0083】
一実施形態では、チャネル102を通して懸濁液を流すことは、チャネル102を通して懸濁液を粒子ごと又は分子ごとに流すことを含む。そのような粒子ごとの粒子の流れ又は分子ごとの分子の流れは、チャネル102を通って流れる粒子及び/又は分子を個々に分析するのに好適である。一実施形態では、探索窓106は、チャネル102の他の部分に対して狭窄部を画定し、この狭窄部は管腔104を狭める。一実施形態では、粒子ごとの流れ及び/又は分子ごとの流れは、管腔104の狭窄部内で生じる。
【0084】
一実施形態では、コントローラ156は、論理を含み、該論理は、コントローラ156によって実行されたときに、システム100に、チャネル102内の粒子及び/又は分子をランク付けすることを含む動作を実施させる。そのようなランク付けは、例えば、検出器システム142によって検出された放射光などの、粒子及び/又は分子と関連付けられた放射光の存在又は不在に基づき得る。一実施形態では、ランク付けは、検出器システム142によって検出されるような、放射光の強度及び/又は放射光の波長に基づく。一実施形態では、ランク付けは、第1の放射光146及び第2の放射光152のうちの1つ以上に基づいて、粒子及び/又は分子の測定された放出スペクトルに対応する。一実施形態では、ランク付けは、第1の励起光112及び第2の励起光116のうちの1つ以上に基づいて、粒子及び/又は分子の測定された励起スペクトルに対応する。
【0085】
本明細書で使用される場合、「割り当て」という用語は、割り当ての対象である粒子及び/又は分子に、粒子及び/又は分子分類の定量的特性、質的特性、又は重要性を指定することを指す。一実施形態では、粒子にサイズ値を割り当て得る。一実施形態では、割り当ては、粒子又は分子から放射される光に基づき、また割り当ては、かかる放射光の存在、不在、及び/又は強度に基づく。本明細書で使用される場合、「サイズ値」という用語は、相対サイズ値又は実際のサイズ値を指す。サイズ値は、直線距離の真の又は相対的な測定値を提供する。ある実施形態では、割り当ては、割り当てアルゴリズムを表すコンピュータ及びソフトウェアによって実行される。
【0086】
本明細書で使用される場合、「ランク付け」という用語は、分類によって、粒子及び/又は分子の定量的特性、定性的特性、又は重要性を算定することを指す。一実施形態では、粒子及び/又は分子は、ヌル(例えば、粒子及び/又は分子が検出可能な閾値未満の発光強度を有するとき)、又は非ゼロ(例えば、粒子及び/又は分子が検出されるとき)のいずれかにランク付けされ得る。いくつかの実施形態では、ランク付けは、バイナリである。例えば、閾値を上回る検出された光強度を有する各粒子及び/又は各分子には値1が割り当てられる一方、閾値を上回る検出された光強度を有しない各測定サンプルには値0が割り当てられ、これによりバイナリランク付けが形成される。他の実施形態では、粒子及び/又は分子は、例えば、粒子及び/又は分子の同一性、検出可能な特性の存在、特徴的な特徴の存在などと相関する追加の分類に従ってランク付けされ得る。ランク付けには、いくつかの所定の定量的又は定性的カテゴリのうちの1つに対応する任意の数を割り当てられ得る。他の実施形態では、ランク付けは非バイナリであり、例えば、値は、粒子及び/又は分子から測定された、放出された光強度の量に基づいて割り当てられる。ある実施形態では、ランク付けは、ランク付けアルゴリズムを表すコンピュータ及びソフトウェアによって実行される。
【0087】
本明細書で使用される場合、「検出可能な特徴」は、粒子及び/又は分子に関連付けられた観測可能な特性、例えば、粒子及び/若しくは分子に関連付けられているか、又は粒子及び/若しくは分子に本来的である、光活性、電気活性、生物活性、又は磁気特性を指す。ある実施形態では、「検出可能な特徴」は、粒子及び/又は分子と、検出可能な薬剤又はバイオマーカーとの会合を含む。
【0088】
光活性特性の例として、例えば、生体粒子モルフォロジー(粒子サイズ、内部細胞内構造)、蛍光、発光、免疫蛍光、などによって通常誘起される光学的強度(光学反射、散乱、偏向、透過、吸光度、又は放出)の変更が挙げられる。光活性特性の検出は、例えば、ナノ粒子上の、ナノ粒子内の、又はナノ粒子と会合した、サイズ、質量、表面積、体積、タンパク質含有量、膜面積、脂質含有量、酵素含有量、代謝産物含有量、炭水化物含有量、ペプチド含有量、核酸含有量、タンパク質同一性、又は核酸同一性を報告し得る。
【0089】
一実施形態では、ランク付けは、粒子の測定されたサイズ値に対応する。一実施形態では、測定されたサイズ値は、相対サイズ値である。一実施形態では、測定されたサイズ値は、検出された放射光強度の差によって測定される。一実施形態では、測定されたサイズ値は、実際のサイズ値である。
【0090】
一実施形態では、システム100は、チャネル102内の粒子及び/又は分子の流れを方向付けるように構成された1つ以上のバルブを含むような流れ方向付け器を更に含む。一実施形態では、流れ方向付け器は、コントローラ156に動作可能に結合されており、コントローラ156は、論理を含み、該論理は、コントローラ156によって実行されたときに、システム100に、探索窓106から受け取られ粒子及び/又は分子と会合する放射光の存在又は不在に基づいて、粒子及び/又は分子の流れを方向付けることを含む動作を実施させる。一実施形態では、流れ方向付け器は、コントローラ156に動作可能に結合されており、コントローラ156は、論理を含み、該論理は、コントローラ156によって実行されたときに、システム100に、ランク付けに基づいて粒子及び/又は分子の流れを方向付けることを含む動作を実施させる。一実施形態では、粒子及び/又は分子の流れを方向付けることは、粒子及び/又は分子を2つ以上の選別チャネルのうちの1つに方向付けることを含む。一実施形態では、流れ方向付け器は、コントローラ156に動作可能に結合されており、コントローラ156は、論理を含み、該論理は、コントローラ156によって実行されたときに、システム100に、探索からの放射光と会合した粒子及び/又は分子の数を定量化することと、探索窓106からの放射光と会合した粒子及び/又は分子の濃度を判定することと、を含む動作を実施させる。一実施形態では、濃度は、
図11A及び
図11Bに関して本明細書で更に考察されるように、測定された流量に更に基づいている。
【0091】
一実施形態では、粒子及び/又は分子の流れを方向付けるための流れ方向付け器又は流れ方向付け機構は、電極、磁気素子、音響素子、電気作動素子、光学作動素子、電場、又は磁場を含む。いくつかの実施形態では、粒子及び/又は分子の流れを方向付けるための機構は、1つ以上の電気作動バルブ又はピストンを含み、バルブ又はピストンは、第1の交差部で第1の入力チャネル及び2つの出口チャネルと交差する少なくとも第1の指向性流動チャネル内の液体の流れを制御する。一実施形態では、ソレノイドピストンは、電気作動式ソレノイドバルブのサブコンポーネントである。別の実施形態では、ソレノイドピストンは、成形によってデバイスに組み入れられている。更に別の実施形態では、組み入れられたソレノイドピストンは、配管を介して流体連通したソレノイドバルブによって置き換えられ得る。
【0092】
特定の一実施形態では、本明細書で提供される装置は、粒子及び/若しくは分子、粒子、分子、又は流体サンプルの軌道又は流れを追跡及び/又は操作するための1つ以上の電極を備え得る。ある実施形態では、電極は、誘電泳動又は電気浸透流又は電気泳動のような現象に基づいて、ナノ粒子及び/又は分子の分離を強化し得る。粒子及び/又は分子が100nm未満の流体力学的直径を有する実施形態では、シースフロー絞り込み又は音響絞り込みは、チャネル102内の粒子の軌道を方向付けるような、本明細書に開示される方法及び装置のための粒子の軌道を適切に操作するのには十分ではない可能性がある。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Optics Express Vol.15,Issue 10,pp.6167-6176(2007)を参照されたい。したがって、いくつかの実施形態では、粒子を絞り込むための機構は、シースフロー絞り込み、音響フロー絞り込み、又はこれらの組み合わせを排除する。いくつかの実施形態では、粒子は、上記の方向付けが、音響絞り込み、シースフロー絞り込み、又はこれらの組み合わせを使用しないという条件で方向付けられる。
【0093】
自己補正型の、流れに基づく粒子分析
上記のように、一実施形態では、システム100は、粒子をチャネル102の管腔104を通って流すように構成されたチャネル102を含み、該チャネル102は、光が管腔104の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓106を画定し、光エンジン108は、探索窓106内のチャネル102の第1の部分122上に第1の励起光112を出力するように位置決めされた第1の光源110、及び第1の部分122とは別々のチャネル102の第2の部分124上に第2の励起光116を出力するように位置決めされた第2の光源114を含み、検出器システム142は、チャネル102の第1の部分122から放出された第1の放射光146を受け取るように位置決めされた第1の検出器モジュール144、及び第2の部分124から放出される第2のの放射光152を受け取るように位置決めされた第2の検出器モジュール150を含む。本開示のシステム100のそのような実施形態は、自己補正型の、単一粒子及び/又は単一分子の流れ分析における使用に好適である。本明細書で更に考察されるように、流れストリーム内の単一粒子及び/又は分子から放出される蛍光の測定は、流れビーム及びレーザビームのプロファイルによって大きく影響される。したがって、蛍光粒子及び/又は蛍光分子の正確な定量化は、流れプロファイル及び/又はレーザビームプロファイルからの信号のデコンボリューションを必要とする。
【0094】
これらの課題を克服するために、本開示は、流れストリーム内の小胞、ウイルス、リポタンパク質、及び高分子複合体などの単一分子及び粒子を分析するためのシステム及び方法を提供する。そのようなシステム及び方法は、正確に、1)複数の探索窓若しくは単一の探索窓106の複数の部分を通って流れる同じ粒子及び/若しくは分子上に発現したバイオマーカーを共局在化し、2)単一粒子及び/又は分子を識別及び列挙し、3)各個々の粒子及び/又は分子によってサンプリングされた流速を取得し、4)したがって分析された粒子及び/又は分子の濃度を判定する、のに好適である。
【0095】
簡潔に述べると、探索窓106の空間的に別々の部分は、既知の空間パターンで配設され、粒子及び/又は分子の特性(例えば、蛍光放出)は、探索窓106の2つの異なる部分で2回測定される(例えば、
図8を参照されたい)。層流下では、探索窓106の2つの隣接する部分又は2つの異なる部分を流れる特定の粒子の輸送時間は、これら2つの部分間の距離に比例する。また、層流の性質に起因して、チャネル102の断面における特定の粒子及び/又は分子の位置は、概ね同じままである。これは、特に、2つのそのような部分の間の距離が小さく、輸送時間が短く、その結果チャネル内の粒子の拡散が対応して小さくなる場合にそうなる。したがって、この特性は、粒子及び/又は分子が、チャネルの断面の非常に類似した位置で、異なる光源の異なる励起光と相互作用することを示唆している。これらの特性を考慮して、単一の分析物(例えば、小胞、又はビリオン、又は脂質ナノ粒子、又は蛍光色素で染色された単一分子)を識別し、チャネル102の断面における分析物の抽出された輸送時間又は抽出された場所若しくは相対的な場所を使用して、対応する生物学的マーカーに結び付いた異なる色素タグ付き抗体から、並びに/又は異なる核酸染色及び/又は分析物若しくは生物学的ナノ粒子の他の特定の蛍光染色からなど、分析物の他の生物学的マーカーと関連付いた蛍光信号を更に共局在化することが可能である(
図8を参照されたい)。
【0096】
したがって、一実施形態では、自己補正型の単一ナノ粒子又は単一分子流れ分析で使用するためのシステム100は、自己補正された単一分子/粒子流れ分析方法を実施するための本開示の論理を含む。一実施形態では、システム100は、光エンジン108及び検出器システム142に動作可能に結合された、コントローラ156を含み、コントローラ156によって実行されたときに、システム100に、探索窓106の様々な部分での粒子/分子の特性を測定することを含む動作を実施させる論理を含む。一実施形態では、システム100は、第1の光源110と、第2の光源114と、第1の光検出器モジュール144と、第2の光検出器モジュール150とに動作可能に結合されたコントローラ156を含み、コントローラ156が、コントローラ156によって実行されたときに、システム100に、第1の光源110を用いて第1の励起光112を出力することと、第2の光源114を用いて第2の励起光116を出力することと、第1の部分122から受け取った第1の放射光146に基づいて、第1の光検出器モジュール144を用いて第1の放出信号を生成することと、第2の部分124から受け取った第2の放射光152に基づいて、第2の光検出器モジュール150を用いて第2の放出信号を生成することと、第1の放出信号と第2の放出信号の生成間の時差と、第1の部分122と第2の部分124との間の距離と、に基づいて、チャネル102内の粒子の速度を判定することと、を含む動作を実施させる論理を含む。一実施形態では、粒子の速度は、管腔104を通る体積流量を判定するために使用される。
【0097】
従来の流体力学では、平均線形速度(
【数1】
)は、
【数2】
と定義され、式中、
【数3】
は体積流量、Aは断面積である。流れプロファイルが放物線である場合、平均線形速度は、中心線の速度
【数4】
の半分であることは公知である
【数5】
。従来、体積流量が最初に測定され、それに応じて平均線形速度が計算される。
【0098】
本発明者らのシステムでは、体積流量は非常に遅い(例えば、約nl/分)ため、ある実施形態では、体積流量を便利に直接測定することは不可能である。代わりに、一実施形態では、チャネル内の流れプロファイルは、(100、500、1,000、5,000、10,000以上の粒子などの)多くの個々の粒子の線形速度を測定することによってサンプリングされ、平均観測値
【数6】
を取得する。一実施形態では、流れプロファイルをサンプリングするときに、観測された線形速度は流れプロファイルの影響を受けるため、
【数7】
は、従来の流体力学で定義された平均速度(すなわち、
【数8】
)とは実際には異なる。
【0099】
層流では、単位時間中に各積層の断面を通過する体積(ΔQ)は、
【数9】
である。したがって、特定の単位時間中に断面を通過する、同じ速度を有する粒子(すなわち、u(r))の数は、
【数10】
である。
式中、Cは、粒子の濃度である。したがって、観測された線形速度の平均は、
【数11】
であり、
式中、rは、断面における半径方向の位置である。放物線の流れでは、
【数12】
であり、
これに関して、式2は、
【数13】
に再編成することができる。
【数14】
とVとの間の関係は、
図11Aに示されるように、
【数15】
である。
【0100】
したがって、一実施形態では、体積流量は、以下の式、
【数16】
によって判定され、式中、
【数17】
は、チャネルを通る多くの個々の粒子の平均観測線形速度である。
かつ
Rは、チャネルの半径である。上記の分析は、円筒形状を有するチャネルを想定しているが、長方形形状又は正方形形状又は任意の他の形状を有するチャネルに簡単に調整することができる。
【0101】
一実施形態では、コントローラ156は、論理を更に含み、論理は、コントローラ156によって実行されたときに、システム100に、第1の放出信号及び第2の放出信号によって共有される、放出信号特性に基づいて、第1の放出信号と第2の放出信号とを相関させることを含む動作を実施させる。
【0102】
空気対物レンズ
一実施形態では、システム100は、チャネル102から第1の放射光146及び第2の放射光152などの放射光を収集し、収集された放射光を検出器システム142に方向付けるように位置決めされた、集光システム184を更に含み、集光システム184は、0.91超~0.99未満の範囲の開口数を有する空気対物レンズ186を備える。一実施形態では、空気対物レンズ186などの対物レンズ186は、約0.95の開口数を有する。
【0103】
本明細書で使用される場合、「空気対物レンズ」とは、対物レンズとその焦点面又は焦点との間の空間が少なくとも部分的に空気などの気体によって占有され、油又は水などの浸液によって占有されていない光学対物レンズを指す。これに関して、空気対物レンズは、レンズとサンプルとの間、通常はレンズとカバースリップ又はサンプルホルダーとの間に配設された油又は水にレンズが浸される、油浸レンズ又は水浸レンズとは対照的である。
【0104】
本明細書で使用される場合、「高NA(開口数)空気対物レンズ」は、0.91~0.99、好ましくは0.92~0.98、より好ましくは0.93~0.97、更により好ましくは0.94~0.96のNAを有する空気対物レンズを指す。一実施形態では、空気対物レンズは、約0.95のNAを有する。本明細書で更に考察されるように、そのような高NA空気対物レンズは、本開示のデバイス及びシステムを通過する粒子/分子の存在、不在、又は濃度を判定する際などに、単一分子及び/又は単一粒子分析を実施するのに好適である。本明細書の他の箇所で述べているように、高NA空気対物レンズは、油浸対物レンズ又は水浸対物レンズなどの従来の対物レンズよりも多くの利点、例えば、多くの他のものの中でもとりわけ、高い集光効率、正確かつ効率的に走査する能力などを提供する。
【0105】
空気対物レンズは、概して、例えば、油浸対物レンズよりも走査が容易でより安定している。更に、ある実施形態では、対物レンズ186は、高画質(例えば、高解像度)のためではなく、むしろ、その高い光収集効率のために使用される。これに関しても、空気対物レンズは、油浸対物レンズよりも優れている。したがって、0.91超~0.99未満の範囲などのより低い開口数を有する空気対物レンズ186は、流れチャネル102内の単一粒子及び/又は単一分子の検出に好適である。
【0106】
放出多重化
一実施形態では、本開示のシステムの検出器モジュールは、各々が放出光ファイバの遠位端から放射光を受け取るように位置決めされた2つ以上の光検出器を含む。これに関して、
図2に注目し、ここでは、本開示の一実施形態による、システムの検出器モジュール242の概略例解図が示されている。一実施形態では、示される検出器モジュール242は、
図1Aに例解される検出器システム142の検出器モジュール144又は150の例である。
【0107】
例解される実施形態では、検出器モジュール242は、いくつかの光検出器244、250A、250B、及び250Cを含むように示されており、これらの光検出器は、ここでは蛍光放射光246Aとして示される放射光246A又はその一部分を、放出光ファイバ234の遠位端248から受け取るように位置決めされている。示されるように、検出器モジュール242は、放出光ファイバ234の遠位端248から放出された放射光246Aを受け取るように位置決めされたいくつかのダイクロイックミラー260を含む。そのようなダイクロイックミラー260は、放射光246Aの一部分(例えば、ある波長範囲)は反射し、放射光の異なる部分(例えば、異なる波長範囲)はダイクロイックミラー260を通過することを可能にするように構成されている。例解される実施形態では、各ダイクロイックミラー260は、放射光246Aのこの反射又は透過された部分に基づいて信号を生成するように構成された光検出器244、250A、250B、250Cに向かって放射光246Aの一部分を反射するように、位置決めされている。
【0108】
これに関して、検出器モジュール242は、第1の放出光ファイバ234の遠位端248と第1の光検出器244との間に配設され、第1の放射光246Aの一部分246Bを第1の光検出器244に反射するように位置決めされたダイクロイックミラー260を含むように示されている。一実施形態では、本開示の実施形態によるシステムの検出器は、
図1Aに例解されるような、第2の光検出器を含む第2の検出器モジュールなどの、第2の放出光ファイバに光学的に結合された第2の検出器モジュールを更に含む。
図2の例解された実施形態では、検出器モジュール242は、それぞれ第3、第4、及び第5の光検出器である250A、250B、及び250Cを含むように示されている。一実施形態では、第1の光検出器244は、放射光246Bを含むなどの、第1の放射光246Bの第1の放出波長範囲に基づいて、第1の放出信号を生成するように構成されており、第3、第4、及び第5の光検出器250A、250B、及び250Cは、放射光246C、246D、及び246Eの、放射光246Bの第1の放出波長範囲とは異なるか又は実質的に異なる第3、第4、及び第5の放出波長範囲に基づいて、第3、第4、及び第5の放出信号を生成するように構成されている。
【0109】
検出器モジュール242は、4つの光検出器244、250A、250B、及び250Cを含むように示されているが、任意の数の光検出器が可能であることが理解されよう。一実施形態では、検出器モジュールは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個以上の光検出器を含む。
【0110】
例解される実施形態では、検出器モジュール242は、反射された放射光246B~246Eの一部分をフィルタリングするように構成された、バンドパスフィルタ262などのフィルタ262を更に含む。これに関して、光検出器244及び250A~250Cは、フィルタリングされた、放射光246Aの部分246B~246Eに基づいて信号を生成するように構成及び位置決めされている。本明細書で更に考察されるように、一実施形態では、光エンジンは、異なる波長の光でチャネル内の粒子及び/又は分子を励起する。本明細書で更にまた考察されるように、一実施形態では、粒子及び/又は分子自体は、異なる波長範囲を有する蛍光を放出するように構成された、かつ異なる波長光によって励起されるように構成された、1つ以上の検出可能な薬剤を含浸させるか又はそれと会合することができる。したがって、
図2に例解される検出器モジュール242の構成は、配列された光検出器及び対応するフィルタを備えた1つ以上の波長範囲内の波長を有する放射光に基づいて信号を生成するのに好適である。これに関して、例解される検出器モジュール242は、検出器モジュール242の部分に光を放出する粒子及び/又は分子の放出多重化を行うのに好適である。本明細書で使用される場合、「放出多重化」は、そのような粒子、分子、又は他の分析物から放出される光の、異なる波長範囲を分析することによって、粒子、分子、又は他の分析物を分析するのに好適なシステム又は方法を指す。
【0111】
一実施形態では、第1の放出光ファイバ234の遠位端248は、第1の放射光246Aを、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、又はそれ以上の光検出器に放出するように構成されている。一実施形態では、光検出器の各々は、1つ以上のダイクロイックミラー又は光学フィルタを介して受け取られたときなどに、放射光の実質的に異なるスペクトル部分を受け取るように構成されている。
【0112】
図2に例解される検出器モジュール242の部分は、反射されたかつ/又は透過された放射光を、それぞれの光検出器に集束するように成形及び位置決めされたレンズ290を更に含むように示されている。
【0113】
一実施形態では、本開示のシステムは、
図2に例解される1つ以上の検出器モジュール242などの、複数の検出器モジュールを含む。一実施形態では、放出光ファイバの遠位端の各々は、
図2に例解されるように、検出器モジュールに放射光を放出するように構成されている。
【0114】
励起多重化
本明細書で更に考察されるように、本開示のシステムの光エンジンは、チャネルを通って流れる粒子中に又は粒子と接して配設された1つ以上の検出可能な薬剤を励起するのに好適な波長範囲などの、様々な波長範囲の光を出力するように構成された光源を含むことができる。いくつかの実施形態では、このような光の波長範囲は、重なり合っている。いくつかの実施形態では、光の波長範囲は、分離している。これに関して、
図3A~
図3Fに注目し、ここでは、本開示の一実施形態による、光エンジン308、及び該光エンジン308によって照明されるチャネル302の実施形態が例解されている。
【0115】
図3Aは、本開示の一実施形態による、システムの光エンジン308及びチャネル302の概略例解図である。一実施形態では、光エンジン308及びチャネル302は、
図1Aのシステム100の光エンジン108及びチャネル102の例である。一実施形態では、光エンジン308及びチャネル302は、
図2の検出器モジュール242の一部分と併せて使用するのに好適である。
【0116】
例解される実施形態では、光エンジン308は、各々が励起光ファイバの遠位端に結合された4つの光源を含むように示されている。4つの光源が例解されているが、より多くの又はより少ない光源が可能であり、本開示の範囲内であることが理解されよう。本明細書で更に考察されるように、自由空間光源が本開示の範囲内で使用され得ることも理解されよう。励起光ファイバは、励起光を出力するように位置決めされた励起ファイババンドルで終端するように示されている。示されるように、励起ファイババンドルヘッド372は、励起光をダイクロイックミラー360及び対物レンズ386内に出力するように位置決めされている。励起光は、対物レンズ386から探索窓306内のチャネル302のそれぞれの部分上に放出されるように示されている。
【0117】
図3Bは、粒子及び/又は分子が通って流れるように構成された管腔304を画定する、チャネル302の探索窓306の概略例解図である。示されるように、第1の励起光312は、チャネル302の第1の部分322に方向付けられ、第2の励起光316は、チャネル302の第1の部分322とは別々の第2の部分324に方向付けられ、第3の励起光は、チャネル302の第1の部分322及び第2の部分324とは別々の、チャネル302の第3の部分326に方向付けられ、第4の励起光は、チャネル302の第1の部分322、第2の部分324、及び第3の部分326とは別々の、チャネル302の第4の部分328に方向付けられる。チャネル302の第1の部分322及び第2の部分324は、間隔374だけ分離されたように示されている。一実施形態では、第1の部分322及び第2の部分324の間隔374は、第1の励起光ファイバ364の遠位端366と第2の励起光ファイバ368の遠位端370との間の間隔376に対応し、少なくとも部分的にそれによって画定される。これに関して、励起光ファイバ364の遠位端366と励起光ファイバ368の遠位端370との間の間隔376は、チャネル302の、光エンジン308の光源によって照明された部分322と324との間の間隔374を判定する。これは、本開示の一実施形態による、光エンジン308によって照明されたチャネル302の蛍光画像である
図4によって更に例解される。
【0118】
上記のように、部分322、324、326、及び328は、間隔374だけ分離されている。一実施形態では、そのような間隔は、約100nm~約100ミクロン、約10nm~約10ミクロン、約500nm~約10ミクロン、約1ミクロン~約20ミクロン、3ミクロン~約30ミクロン、又は2ミクロン~約8ミクロンの範囲である。
【0119】
一実施形態では、間隔374は、探索窓306に衝突する励起光312などの1つの励起光の中心と、探索窓306に衝突する励起光316などの別の励起光の中心との間の距離に基づいている。別の実施形態では、間隔374は、励起光312の縁部と励起光316の対向する縁部との間などの、探索窓306に衝突する励起光の縁部間の距離に基づいている。
【0120】
図1Aに関して本明細書で更に考察されるように、一実施形態では、部分322、324、326、及び328は、高NA空気対物レンズ386を通過した後、又は高NA空気対物レンズ386によって集束された後に探索窓306に衝突する、励起光312及び316などの励起光の幅によって画定された幅を有する。一実施形態では、部分322、324、326、及び328のうちの1つ以上の幅に対する間隔374の比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、20:1又はそれ以上である。一実施形態では、部分322、324、326、及び328のうちの1つ以上の幅に対する間隔374の比は、約1:1~約20:1、2:1~約20:1、2:1~約10:1、2:1~約5:1の範囲である。そのような比率は、例えば、本開示のシステムの検出器モジュールによって検出されるような、別個の部分322、324、326、及び328からの放出間の最小限のクロストークを有する様々な部分からの励起光を生成するのに十分に大きい。
【0121】
図3C~
図3Fは、本開示による、光エンジン308及びチャネル302の概略例解図である。一実施形態では、複数の光エンジン308及び複数のチャネル302は、
図3Aの光エンジン308及びチャネル302の例である。示されるように、光エンジン308は、第1の光源310、第2の光源314、第3の光源318、及び第4の光源320を含む。例解される実施形態では、光源310、314、318、及び320は、励起光ファイバ364、368などに光学的に結合され、それらのファイバの遠位端は、励起ファイババンドル372内で一緒に結合される。第1の励起光ファイバ364及び第2の励起光ファイバ368の遠位端366及び370は、間隔376を設けるように配置されている。
【0122】
例解される実施形態では、光源310、314、318、及び320は、述べられた波長を有するいくつかのレーザを含む。示されるように、ある実施形態では、レーザ310、314、318、及び320のうちの2つ以上は、共通の波長を有する光を出力するように構成されている。他のある実施形態では、レーザ310、314、318、及び320は、異なる波長を有する光を出力するように構成されている。
【0123】
これに関して、光エンジン308は、特定の粒子がチャネル302を通って移動するときに追跡する際など、チャネル302を通過する粒子及び/又は分子を、同じ波長の光で分析又は操作するように構成することができる。同様に、一実施形態では、光エンジン308は、異なるマーカーと会合した特定の検出可能な薬剤の存在又は不在を判定するのに役立つように、異なる波長の光を有する粒子を分析又は操作するように構成することができる。
【0124】
本明細書で更に考察されるように、光エンジン308の光源の配置及び波長範囲が可変であることは、励起多重化及び放出多重化を実施するのに好適である。本明細書で使用される場合、「励起多重化」とは、異なる波長範囲を有する励起光で、粒子、分子、又は他の分析物と会合した励起性の検出可能な薬剤を含む、そのような粒子、分子、又は他の分析物を分析する方法を指す。本明細書で更に考察されるように、異なる波長範囲を有する励起光で検出可能な薬剤を励起することによって、検出可能な薬剤と会合した粒子、分子、又は他の分析物の異なる品質又は特性を判定することができる。
【0125】
カバー
一実施形態では、本開示のシステムは、放出ファイババンドルに結合されたカバーを含む。これに関して、
図5A~
図5Cに注目し、ここでは、本開示の実施形態によるカバーが例解されている。
【0126】
図5Aは、本開示の一実施形態による、光学的に不透明なカバー592の開口部594A及び594Bを通過し、システムの放出ファイババンドル530を通過する放射光を概略的に例解する。
図5Bは、
図5Aの光学的に不透明なカバー592の一例を例解する。一実施形態では、放出ファイババンドル530は、
図1Aの放出ファイババンドル130の一例である。
【0127】
示されるように、レンズ590は、第1の放射光552及び第2の放射光546を、ファイババンドルヘッド532に方向付ける。例解される実施形態では、カバー592は、第1の放出光ファイバ534の近位端536への、第1の放射光552の通過を許可するように成形された開口部594Aを画定する。これに関して、第1の放射光552は、開口部594Aを通過し、第1の放出光ファイバ534の近位端536を通過することが許可される。一実施形態では、カバー592は、光学的に不透明である。これに関して、第1の放射光552ではない光などの光は、第1の放出光ファイバ534に入る可能性が低い。
【0128】
部分的に分解された例解される実施形態では、カバー592は、放出ファイババンドルヘッド532とは別々であるように示されている。一実施形態では、使用中、迷光が放出光ファイバに入るのを防止又は軽減するように、光学的に不透明なカバー592が、放出ファイババンドルヘッド532に結合される。これに関して、光学的に不透明なカバー592は、検出器システムの信号対雑音比を増加させる、かつ/又は異なる放射光間のクロストーク(例えば、第1の放射光552の一部分が第2の放出光ファイバ538の近位端540に入ること、及びその逆)を最小限に抑える又は排除するのに好適である。
【0129】
示されるように、光学的に不透明カバーは、第2の放出光ファイバ538の近位端540への、第2の放射光546の通過を許可するように成形された第2の開口部594Bを画定する。これに関して、第2の放射光546は、カバー592を通過し、第2の放出光ファイバ538に入ることが許可される。
【0130】
開口部594A及び594Bを含む4つの開口部が線形配置で例解されているが、カバー592の任意の数の開口部が、
図1A及び
図1Bに関して本明細書で更に考察されたもののように、放出ファイババンドル530の放出光ファイバに対応するように様々な構成で配置され得ることが理解されよう。
【0131】
図5Cは、本開示の一実施形態による、システムのファイババンドルヘッド532の近位端の画像である。示されるように、光ファイバは、
図5A及び
図5Bのカバー592がそれらに結合されたときに、開口部594A及び594Bがファイババンドルヘッドの光ファイバと合わされるように、線形構成で配置される。
【0132】
図6は、次に記載する、本開示の一実施形態によるシステム600の概略例解図である。示されるように、システム600は、粒子又は分子をチャネル602の管腔604を通って流すように構成されたチャネル602を含み、チャネル602は、光が管腔604の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓606を画定し、光エンジン608、探索窓606から放出された放射光を受け取るように形作られ、位置決めされたファイババンドル630、及び収集された放射光に基づいて信号を生成するように構成された検出器システムを含む。
【0133】
例解される実施形態では、光エンジン608は、チャネル602に光を出力するように位置決めされた4つの光源を含む。これに関して、一実施形態では、光エンジン608は、第1の励起光612を、探索窓606内のチャネル602の第1の部分上に出力するように位置決めされた第1の光源と、第1の部分とは別の、探索窓606内のチャネル602の第2の部分上に第2の励起光616を出力するように位置決め又は構成された第2の光源と、を含む。一実施形態では、光源は、励起光ファイバに結合されていない自由空間光源である。この点に関して、一実施形態では、励起光の間隔は、少なくとも部分的に、自由空間光源の間隔によって画定される。別の実施形態では、自由空間光源からの励起間隔は、少なくとも部分的に、自由空間光源から出力される励起光がダイクロイック及び/又はレンズ並びに他の光学部品などと組み合わされる方法によって、画定される。一実施形態では、光エンジン608は、
図1Aに関して本明細書で更に考察されたように、ファイバ結合された光源を含む。
【0134】
示されるように、励起光は、レンズ690を通して方向付けられ、励起光を対物レンズ686に反射するダイクロイックミラー660に衝突する。対物レンズ686は、励起光を収集し、それをチャネル602の探索窓606に方向付ける。
【0135】
チャネル602から放出された放射光は、対物レンズ686及びダイクロイックミラー660を通って放出ファイババンドル630に戻る。本明細書で更に考察されるように、ダイクロイックミラーが例解されているが、本開示の範囲内で他の部分反射/部分透過構造が可能である。
【0136】
例解される実施形態では、システム600は、放出ファイババンドル630に光を反射するように位置決めされたミラーと、放射光以外の光が放出ファイババンドル630に入ることを遮蔽するように構成されたカバー692とを更に含むように示されている。
【0137】
システム600は、放出光ファイバに光学的に結合されたいくつかの光検出器を含むように示されている。これに関して、システム600は、第1の放出光ファイバ634及び第2の放出光ファイバ638を含む放出ファイババンドル630を含むように示されており、第1の放出光ファイバ634の近位端636の部分及び第2の放出光ファイバ638は、放出ファイババンドルヘッド632に配置され、第1の放出光ファイバ634の近位端636は、第1の部分から放出される第1の放射光646を受け取るように位置決めされ、第2の放出光ファイバ638の近位端640は、第2の部分から放出される第2の放射光652を受け取るように位置決めされている。放出光ファイバの近位端とは、放出ファイババンドル630などの放出ファイババンドル内に配設されたそのようなファイバの部分、及び放出ファイババンドルに隣接する部分を指すことができる。
【0138】
システム600は、第1の放出光ファイバ634の遠位端から放出される第1の放射光646を受け取るように位置決めされた第1の光検出器644、658A、及び658Bと、第2の放出光ファイバ638の遠位端から放出される第2の放射光652を受け取るように位置決めされた第2の光検出器650A及び650Cとを含むように示されている。
【0139】
図2に関して本明細書で更に考察され、ここで示されるように、システム600は、第1の放出光ファイバ634の遠位端と第1の光検出器644との間に配設され、第1の放射光646の一部分を第3の光検出器658A及び658Bに反射するように位置決めされたダイクロイックミラー660を更に含む。例解される実施形態では、各放出光ファイバは、光学的に結合されたダイクロイックミラー660、並びに次に第2の光検出器650A、650B、及び650C並びに第3の光検出器658B、658C、658D、658E、及び658Fに光学的に結合されたバンドパスフィルタ662である。一実施形態では、第1の光検出器644は、第1の放射光646の第1の波長範囲に基づいて第1の信号を生成するように構成され、第3の光検出器658A及び658Bは、第1の放射光646の異なる波長範囲のセットに基づいて信号のセットを生成するように構成されている。一実施形態では、第2の光検出器650A~650Cは、第2の放射光652に基づくなど、第1の放射光646以外の放射光に基づいて、信号のセットを生成するように構成及び位置決めされている。これに関して、各放出光ファイバによって受け取られる放射光は、いくつかの光検出器によってスペクトル分析されるように構成されている。
【0140】
示されるように、各放出光ファイバは、いくつかの光検出器に光学的に結合されている。例えば、第1の放出光ファイバ634は、光検出器644、658A、及び658Bに光学的に結合されている。一実施形態では、光検出器644、658A、及び658Bは、
図2に関して本明細書で更に考察される検出器モジュールなどの検出器モジュールを含む。同様に、一実施形態では、光検出器650A及び658Cは、第2の検出器モジュール内のグループである。一実施形態では、そのような検出器モジュールは、検出器モジュールの様々な光検出器を封入するボックス又は他の筐体を備えている。
【0141】
システム600は、光エンジン608及び光検出器に動作可能に結合された、コントローラ656を更に含むように示されている。
図1Aに関して本明細書で更に考察されるように、一実施形態では、コントローラ656は、本開示の1つ以上の方法を実施するなど、光エンジン608及び光検出器システムの動作を振り分けるように構成されている。
【0142】
コントローラ656はまた、チャネル602に物理的に結合された可動ステージ688に動作可能に結合されるように示されている。チャネル602は、いくつかのチャネルを画定するマイクロ流体チップの一部であるように示されている。一実施形態では、コントローラ656は、論理を含み、論理は、コントローラ656によって実行されたときに、システム600に、可動ステージ688でマイクロ流体チップを移動させる。それに応じて、対物レンズ686の焦点は、マイクロ流体チップの第1のチャネル602から第2のチャネルに変更される。これに関して、システム600は、異なる粒子の懸濁液及び/又は異なる分子の溶液を流すいくつかのチャネルなどの、いくつかのチャネルを通って流れる粒子及び/又は分子を分析するために使用され得る。
【0143】
自動集束
一実施形態では、本開示のシステムは、自動集束プロセスなどを用いて、システムを通って流れる粒子又は分子を分析するのに好適である。これに関連して、
図7A及び
図7Bに注目し、ここでは、本開示の一実施形態によるシステム700が例解されている。
図7Aは、システム700の概略例解図である。
図7Bは、システム700の高NA空気対物レンズ786を、システム700のチャネル702に集束させることの概略例解図である。一実施形態では、システム700は、
図1Aのシステム100の例、又は
図6のシステム600の例である。
【0144】
示されるように、システム700は、チャネル702の管腔を通って粒子及び/又は分子を流すように構成されたチャネル702であって、光がチャネル702の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓706を画定するチャネル702と、チャネル702に結合され、集光システム784に対してチャネル702を移動させるように構成された可動ステージ788と、光エンジン708と、検出器システムと、光エンジン708、可動ステージ788、及び検出器システムに動作可能に結合されたコントローラ756と、を含む。示されるように、チャネル702は、探索窓706内に狭窄部を画定する。本明細書で更に考察されるように、そのような狭窄部は、チャネル702を通して、粒子ごとの粒子の流れ及び/又は分子ごとの分子の流れを提供するのに好適である。
【0145】
例解される実施形態では、光エンジン708は、励起光712をダイクロイックミラー760に出力するように示されており、励起光712は、集光システム784に反射されて、チャネル702の探索窓706に入る。放射光746は、探索窓706から放射され、ダイクロイックミラー760、レンズ790A、及び光学的に不透明なカバー778の開口部794を通って、放出ファイババンドルヘッド732を含む放出ファイババンドル730によって受け取られるように示されている。放出ファイババンドル730の放出光ファイバ734のうちの1つの遠位端は、検出器システムの光検出器744に隣接して終端するように示されている。放射光は、光検出器に衝突する前に、レンズ790及びバンドパスフィルタ762を通過する。光検出器744は、受け取った放射光746に基づいて信号を生成するように構成されている。
【0146】
一実施形態では、コントローラ756は、論理を含み、論理は、コントローラ756によって実行されたときに、システム700に動作を実施させる。一実施形態では、そのような動作は、本開示の一実施形態による、光学部品を流体チャネル702に集束させる方法のうちの1つ以上を含む。一実施形態では、動作は、光源からの光で流体チャネル702の探索窓706を照明することと、チャネル702と光検出器744との間に配設された光学部品を用いて、探索窓706に光を集束させることと、第1の時間で探索窓706から戻り反射された集束光に基づいて、光検出器744でロック信号を生成することと、第1の時間の第2の時間後に探索窓706から戻り反射された集束光に基づいて、光検出器744でテスト信号を生成することと、テスト信号がロック信号の所定の割合内にあるかどうかを判定することと、テスト信号がロック信号の所定の割合外にある場合に、流体チャネル702を高NA空気対物レンズ786に対して移動させることと、を含む。
図7Bに示されるように、高NA空気対物レンズ786をチャネル702に対して移動させて、励起光712をチャネル702の管腔704内に集束させることができる。一実施形態では、空気対物レンズ786のそのような移動は、
図6に関して本明細書で更に考察されるように、コントローラ756から受信した命令に応答することによるなど、可動ステージ788で制御される。
【0147】
図7Cは、本開示の一実施形態による、システム700の高NA空気対物レンズ786を集束する方法を例解するブロック図である。示されるように、このブロック図は、反射の現在の値を以前の時点(例えば、200ms前)の値と比較することによって対物レンズ786の動きを制御する、フィードバックループを例解している。測定値と基準値又はロック値との差が所定の閾値を上回る場合、モータは、高NA空気対物レンズ786に対して流体チャネル702を移動させるように駆動される。
【0148】
一実施形態では、対物レンズは、集光システム784を用いて、探索窓から戻り反射された集束光を収集するように位置決めされている。一実施形態では、集光システム784は、約0.91~0.99未満の範囲、又は約0.95の開口数を有する空気対物レンズを備える。
【0149】
一実施形態では、光は、非可視波長範囲である。一実施形態では、光は、約700nm~約2000nmの範囲などの赤外線である。
【0150】
一実施形態では、コントローラ756は、論理を含み、論理は、コントローラ756によって実行されたときに、システム700に、チャネル702をカメラで撮像することと、既知の形状及び/又は寸法を有するチャネル702の壁などのチャネル702内の構造に基づいて、画像内のデフォーカス量を判定することなどによって画像内のデフォーカス量を判定することと、を含む動作を実施させる。一実施形態では、構造は、チャネル702に隣接する別々の構造であることができ、かつ探索窓内でチャネルを位置決めするために、画像ベースのこの自動集束及び/又はステージ移動を実施するように設計されている。一実施形態では、動作は、デフォーカスの量が所定の範囲外である場合、集光システム784に対して流体チャネル702を移動させることを更に含む。
【0151】
一実施形態では、動作は、光源からの光でシステム700の撮像領域を照明することと、カメラ又は他の撮像センサで撮像領域の画像を生成することと、画像のデフォーカスの量を判定することと、デフォーカスの量が所定のデフォーカスの量内であるかどうかを判定することと、テスト信号が所定の範囲外である場合に、流体チャネル702を高NA空気対物レンズに対して移動させることと、を含む。一実施形態では、チャネルは、可動ステージ788を用いて、高NA空気対物レンズに対して移動される。一実施形態では、動作は、例えば、カメラが画像を定期的に生成して焦点を確認し、かつ/又は高NA空気対物レンズに対してチャネル702を移動させて焦点を調整するという点で反復的である。一実施形態では、光源は、非可視波長範囲にある。一実施形態では、光は、約700nm~約2000nmの範囲などの近赤外線である。一実施形態では、対物レンズは、空気対物レンズである。一実施形態では、対物レンズは、0.91~0.99のNAを有する空気対物レンズである。一実施形態では、対物レンズは、0.92~0.98のNAを有する空気対物レンズである。一実施形態では、対物レンズは、0.93~0.97のNAを有する空気対物レンズである。一実施形態では、対物レンズは、0.94~0.96のNAを有する空気対物レンズである。一実施形態では、対物レンズは、約0.95のNAを有する空気対物レンズである。
【0152】
方法
別の態様では、本開示は、粒子及び/又は分子を探索する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、本明細書に記載のシステムを使用することを含む。
【0153】
単一分子検出のための高NA(開口数)空気対物レンズの使用
一実施形態では、本方法は、単一分子検出のための方法である。一実施形態では、本方法は、高NA空気対物レンズを含む集光組立体を用いた集光などの使用を含む。
【0154】
一実施形態では、本方法は、チャネルを通して、検出可能な薬剤と会合した複数の分子を流すことを含む。一実施形態では、そのような流れは、チャネルを通して、検出可能な薬剤と会合した複数の分子を流すことを含み、複数の分子のうちの分子を分子ごとにチャネルを通して流すことを含む。これに関して、本明細書の他の箇所で考察されるように、一実施形態では、複数の分子のうちの分子が、一度に1つずつ、狭窄部を含むチャネルの一部分などのチャネルを通過する。これに関して、本方法は、チャネルを通って流れる分子を個々に照明するのに好適である。
【0155】
上記のように、分子は、検出可能な薬剤と会合する。一実施形態では、個々の分子は、1つ以上の検出可能な薬剤と会合する。一実施形態では、複数の分子のうちの1つの分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の検出可能な薬剤と会合する。本明細書の他の箇所で考察されるように、そのような検出可能な薬剤は、励起光に応答して、蛍光信号などの信号を生成するように構成されている。
【0156】
一実施形態では、分子は、細胞信号伝達分子、サイトカイン、ケモカイン、抗体、タンパク質、核酸、核酸結合タンパク質、RNA結合タンパク質、ペプチド、炭水化物、薬物分子、及び治療分子からなる群から選択される。
【0157】
一実施形態では、本方法は、複数の分子のうちの分子をチャネル内で照明することを更に含む。一実施形態では、分子を照明することは、分子が分子ごとにチャネルを通って流れるときに、複数の分子のうちの分子を照明することを含む。一実施形態では、複数の分子を照明することは、1つ以上の波長範囲内に光がある複数の光源で分子を照明することを含む。一実施形態では、1つ以上のそのような光源は、本明細書の他の箇所で考察されるように、探索窓の異なる部分などのチャネルの空間的に別個の部分を照射するように位置決めされている。
【0158】
実施形態では、本方法は、チャネルを通って流れる単一分子の99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%を超える放射光を収集することを含む。複数の分子を、チャネルを通して、分子ごとに流すことによって、分子を個々に検出及び算定することができる。これに関して、
図12A~
図12Cに関して本明細書で更に考察されるように、分子などの粒子は、本開示の方法及びシステムによって効率的かつ正確に検出され得る。このような効率的で正確な検出は、粒子/分子の大集団中の粒子及び分子の濃度を正確に判定するのに好適である。これは、例えば、分子又は粒子に値を割り当てることが、いくつかの検出可能な薬剤からの信号の検出に基づいている場合に特に重要である。分子又は粒子と会合した各々異なる検出可能な薬剤が検出されない場合、その分子又は粒子を正確に識別することは不可能である。
【0159】
一実施形態では、「単一分子感度」は、チャネルを通って流れる単一分子の99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%超を検出する能力、好ましくはチャネルを通って流れる単一分子の90%超を検出する能力を指す。一実施形態では、「単一分子感度」は、99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%超、好ましくは90%超の検出効率を指す。
【0160】
一実施形態では、流動中の単一分子及び/又は単一粒子の「検出効率」は、チャネルを通って(例えば、励起領域を通って)流れる分子/粒子の数に対する、検出された分子/粒子の数である。一実施形態では、「単一分子検出効率」は、99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%超、好ましくは90%超の検出効率を指す。一実施形態では、「単一分子検出効率」は、チャネルを通って流れる単一分子の99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%超、好ましくはチャネルを通って流れる単一分子の90%超を検出する能力を指す。所与の種類の蛍光分子/粒子について、「単一分子感度」又は「単一分子検出効率」を有することは、流体システム又は装置の感度の直接的な指標であり、したがって、装置又は器具の感度及び性能を評価するための重要なメトリックである。
【0161】
一実施形態では、複数の分子のうちの分子をチャネル内で照明することは、ライン照明を使用して、探索窓を通してチャネルの一部分に励起光を出力することを含む。一実施形態では、複数の分子のうちの分子をチャネル内で照明することは、共焦点検出ジオメトリ又はライン共焦点検出ジオメトリを使用して、探索窓を通してチャネルの一部分に励起光を出力することを含む。
【0162】
一実施形態では、チャネルを照明することは、チャネルの断面全体を覆う緊密に集束されたレーザラインによって達成され、チャネルを通過する全ての分子が、90%を上回る確率、好ましくは100%に近い確率などの、非常に高い確率で照明され励起されることを確実にする。一実施形態では、共焦点検出ジオメトリは、絞り(例えば、ファイバ開口部又はスリットアパーチャ)を使用することによって達成され、これは、信号対雑音比を増加させることによって、かつ異なる励起領域又はレーザライン間のクロストークを最小限に抑えることによって、検出感度を改善する。一実施形態では、チャネルを通って流れる全て又はほぼ全ての分子又は粒子が、高い検出効率及び高い単一分子感度及び高スループットで検出されることを確実にするために、高NA空気対物レンズと、高集束レーザラインを使用したライン照明と、共焦点検出ジオメトリとを採用した装置を使用した。
【0163】
一実施形態では、本方法は、0.91~0.99未満の範囲、好ましくは約0.95の開口数を有する高NA空気対物レンズを備える集光システムを使用して、チャネルから放出される放射光を収集することを含む。本明細書の他の箇所で考察されるように、高NA空中対物レンズは、相対的に大量の光を収集するのに特に好適である。追加的に、このような空気対物レンズは、空気対物レンズと撮像されたデバイスとの間の一貫した距離を維持しながら、デバイスを正確に走査するのに好適である。多くの場合、油浸対物レンズ又は水浸対物レンズは、撮像されるデバイス上に油又は水を引き込むため、走査中に、対物レンズと撮像されるデバイスとの間の一貫した距離を維持することができない。
【0164】
一実施形態では、空気対物レンズは、0.91~0.99未満の開口数を有する。一実施形態では、空気対物レンズは、約0.92~約0.98の範囲、約0.93~約0.97の範囲、約0.94~約0.96の範囲の開口数を有する。一実施形態では、空気対物レンズは、約0.95の開口数を有する。
【0165】
一実施形態では、本方法は、分子に基づいてチャネルから放出された、収集された放射光に基づいて、放出信号を生成することを含む。一実施形態では、信号は、本明細書の他の箇所で記載される1つ以上の検出器システム、検出器モジュール、及び/又は光検出器を使用して生成される。
【0166】
一実施形態では、本方法は、信号に基づいて粒子及び/又は分子に値を割り当てることを含む。一実施形態では、値は、粒子/分子から放射される1つ以上の蛍光信号に基づいている。そのような値は、例えば、粒子/分子上に配設された1つ以上の検出可能な部分の存在及び/又は不在に基づいて選別する際など、複数の粒子/分子のうちの粒子/分子を選別するために使用され得る。
【0167】
本明細書で上述したように、一実施形態では、本開示の方法、システム、デバイス、及び装置は、生物学的ナノ粒子及び/又は単一分子の操作、検出、分析、判定、及び/又は識別を容易にすることができるマイクロ流体チャネルを備えるマイクロ流体チップを含む。マイクロ流体チャネルを備えるマイクロ流体チップは、少量の流体サンプルを処理するために使用することができ、従来のマクロスケールデバイスに対する利点を提供することができる(例えば、マイクロ流体チップは、わずかな量の流体サンプルしか必要とせず、必要な試薬がより少なく、処理時間がより短く、マクロスケールデバイスと比較して効率が向上する)。ある実施形態では、マイクロ流体チップは、平面状のデバイスであるため、生体ナノ粒子及び単一分子の検出及び分析を容易にすることができ、かつ/又は高NA(開口数)対物レンズ(例えば、高NA空気対物レンズ)、レンズ若しくは高開口数を有する集光システムの使用を可能にして集光を強化することによって、輸送中の生物学的ナノ粒子及び/又は分子の検出、分析、判定、及び/又は識別を容易にすることができる。ある実施形態では、マイクロ流体チップは平面状のデバイスであり、これらのマイクロ流体チップの、(例えばマイクロ流体チップが置かれる並進ステージを有する)顕微鏡のセットアップとの適合性を高める。マイクロ流体チップは、追加的に、デッドボリュームを有しない相互接続された流体ネットワークを設計及び生成することを可能にすることができ、このことは、ひいては、生体ナノ粒子及び/又は分子の検出及び操作(例えば、3つ以上の流体チャネルの接合部での流動変位を使用する選別)を容易にすることができる。デッドボリュームは、流路の外側にあるマイクロ流体チップ内のボリュームの一部分(例えば、サンプルナノ粒子及び/又は分子を搬送する可能性のある液体が入って拡散して、精度を低下させる可能性のあるボリューム)である。マイクロ流体チップは、マイクロファブリケーションの方法により、非球形又は非正方形(例えば、長方形)である断面を有するチャネルを作成することを可能にすることができ、輸送中の生物学的ナノ粒子及び/又は分子の検出、分析、判定、及び/又は識別を容易にすることができる。マイクロ流体チップは、チャネルの長さに沿って異なる幅又は高さのチャネル(例えば、チャネルの狭窄部、又は幅及び/又は高さの段階的変化)の作成を容易にして、輸送中の生物学的ナノ粒子及び/又は分子の操作、検出、分析、判定、及び/又は識別を容易にすることができる。マイクロ流体チップは、高効率の集光システム(例えば、最大の集光のための適切な基板厚さを必要とする高NA空気対物レンズなどの高開口数対物レンズ)との適合性を高めて、輸送中の生物学的ナノ粒子及び/又は単一分子の操作、検出、分析、判定、及び/又は識別を容易にするように、所望の厚さであるとともに所望の材料特性(例えば、屈折率)を有するカバースリップ(例えば、ガラス又はプラスチック製)に結合することによって、形成することができる。マイクロ流体デバイスにより、より多くのサンプル(例えば、マルチチャネルピペットと互換性のある形態で96又は384サンプル)の高スループット分析を可能にするために、同じデバイス上で多数のチャネル(例えば、96又は384サンプルに対して96又は384チャネル)を生成することが可能になる。マイクロ流体チップは、生体ナノ粒子及び/又は単一分子の操作、単離、選別、及び/又は輸送のための魅力的で多用途のプラットフォームを提供する。
【0168】
ファイババンドル放出の検出
一実施形態では、本方法は、チャネルを通して、粒子及び/又は分子を流すことと、第1の励起光を、探索窓を通して、チャネルの第1の部分に出力することと、第2の励起光を、探索窓を通して、チャネルの第1の部分と別個の第2の部分に出力することと、第1の放出光ファイバの近位端を通して受け取られる第1の放射光に基づいて、第1の光検出器を用いて第1の放出信号を生成することと、第2の放出光ファイバの近位端を通して受け取られる第2の放射光に基づいて、第2の光検出器を用いて第2の放出信号を生成することと、を含み、第1の放出光ファイバの近位端、及び第2の放出光ファイバの近位端は、放出光ファイババンドルヘッド内に配置されている。
【0169】
一実施形態では、第1の励起光及び第2の励起光を出力することは、本明細書で更に考察されるように、光エンジンを用いて光を出力することを含む。一実施形態では、第1及び/又は第2の励起光は、レーザからなどのコヒーレント光を含む。一実施形態では、第1の光源及び第2の光源は、固体レーザ、ダイオード励起レーザ、発光ダイオード(LED)、ランプ、アーク放電、及び自然光からなる群から各々独立して選択される。
【0170】
一実施形態では、第1及び第2の光検出器は、本明細書の他の箇所で記載されるように、各々放出ファイババンドルに光学的に結合されている。一実施形態では、第1の光検出器は、放出ファイババンドルの第1の放出光ファイバに光学的に結合された、
図2に関して本明細書で更に記載される、検出器モジュールなどの第1の検出器モジュールの一部である。一実施形態では、第2の光検出器は、
図1Aに関して本明細書で更に記載されるように、放出光ファイババンドルの第2の放出光ファイバに光学的に結合された第2の検出器モジュールの一部である。
【0171】
一実施形態では、方法は、第1の放出光ファイバ及び第2の放出光ファイバを備える、放出ファイババンドルを用いて、第1の放射光及び第2の放射光を受け取ることを含み、第1の放出光ファイバ及び第2の放出光ファイバの近位端は、放出ファイババンドルヘッドに配置され、第1の放出光ファイバの近位端は、第1の部分から放出される第1の放射光を受け取るように位置決めされ、第2の放出光ファイバの近位端は、第2の部分から放出される第2の放射光を受け取るように位置決めされている。
【0172】
一実施形態では、チャネルを通して粒子及び/又は分子を流すことは、チャネルを通して、粒子及び/又は分子を含む、粒子の懸濁液及び/又は分子の溶液を流すことを含む。一実施形態では、粒子の懸濁液又は分子の溶液は、生体サンプルであるか、又は生体サンプルに由来する。一実施形態では、粒子の懸濁液又は分子の溶液は、体液を含むか若しくは体液を基にしているか、又は細胞から由来した若しくは細胞と会合した流体を基にしている。一実施形態では、粒子は、細胞外小胞、生物学的ナノ粒子、オルガネラ、微小胞、細胞由来小胞、リポタンパク質、高分子錯体、エキソメア、RNA結合タンパク質、核酸結合タンパク質、タンパク質又は核酸を含む生物学的凝集体、タンパク質凝集体、核酸凝集体、脂質凝集体、単一の生物学的分子、サイトカイン、ケモカイン、抗体、細胞信号伝達分子、治療分子、核酸、ウイルス、細菌、及びエキソソームからなる群から選択される。一実施形態では、粒子は、細胞外小胞である。一実施形態では、体液は、血清、血漿、脊髄液、唾液、鼻咽頭液、涙、全血、尿、痰、又はリンパ液を含む。一実施形態では、粒子は、単離している。一実施形態では、分子は、単離している。一実施形態では、粒子は、少なくとも1つのバイオマーカーと会合する。
【0173】
一実施形態では、チャネルを通して粒子の懸濁液及び/又は分子の溶液を流すことは、チャネルを通して、懸濁液及び/又は溶液を、粒子ごと及び/又は分子ごとに流すことを含む。いくつかの実施形態では、複数の粒子のうちの少なくともいくつかが、粒子ごとに検出される。いくつかの実施形態では、複数の分子のうちの少なくともいくつかが、分子ごとに検出される。いくつかの実施形態では、複数の粒子及び/又は分子のうちの少なくともいくつかが、粒子ごと及び/又は分子ごとに照明される。粒子ごと及び/又は分子ごととは、ある領域(例えば、所与の幅を有する光ビーム)を通過する、複数の粒子又は分子を、個々に(すなわち、一度に1つずつ)観察することを表す。粒子ごと又は分子ごとの非限定的な例として、複数の粒子又は分子を含む流体サンプルは、複数の粒子又は分子のうちの少なくともいくつかが光ビームを個々に(すなわち、複数のうちの他の粒子のいずれもが不在で)通過するように、マイクロ流体チャネルの狭窄部を通して流れ、かつ光ビームを通過し得る。粒子ごと又は分子ごとの、粒子又は分子の別の非限定的な例として、複数の粒子又は分子を含む流体サンプルは、1つ以下の粒子又は分子が複数のうちの他の粒子又は分子と全く重なり合わずに一度に光ビームを通過するように、マイクロチャネルを流れ、かつ光ビームを通過し得る。いくつかの特定の実施形態では、粒子又は分子の大半が、1つ以下の粒子又は分子が複数のうちの他の粒子又は分子と重なり合わずに一度に光ビームを通過するように、光ビームを通過する。いくつかの実施形態では、複数の照明される粒子又は分子中の、粒子又は分子のうちの10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超、又は99%超が、粒子ごと又は分子ごとに照明される。好ましい実施形態では、複数の粒子又は分子中の、照明される粒子又は分子のうちの90%超が、粒子ごと又は分子ごとに照明される。いくつかの実施形態では、複数の検出される粒子又は分子中の、粒子又は分子のうちの10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超、又は99%超が、粒子ごと又は分子ごとに検出される。好ましい実施形態では、複数の検出される粒子又は分子中の、粒子又は分子のうちの90%超が、粒子ごと又は分子ごとに検出される。
【0174】
個々の粒子又は分子の照明は、複数の粒子又は分子を含む、流体サンプル中にあり、かつ複数のうちの他の粒子又は分子のいずれもが不在で照明される、粒子又は分子を指し得る。個々の粒子又は分子の照明は、照明領域にランダムに共局在する2つ以上の粒子又は分子の照明とは別個である。個々の粒子又は分子の照明は、粒子又は分子の凝集物の照明とは別個である。非限定的な例として、個々の粒子又は分子が、光ビームを通過し得、したがって照明される。個々の粒子又は分子は、複数のうちの他の粒子又は分子のいずれもが不在で光ビームを通過し得、したがって個々の粒子又は分子は、単独で照明される。いくつかの実施形態では、個々の粒子又は分子は、流体サンプル中に存在する、他の粒子又は分子のいずれもが不在で光源によって探索され得る単数のナノ粒子である(例えば、所与の光ビーム幅について、ビームには単一の粒子又は分子が存在するため、複数のうちの他の粒子又は分子のいずれもが不在でビームを照明できるようになる)。
【0175】
チャネルを通して、粒子ごとに粒子を流し検出することが記載されているが、本開示の方法及びシステムを用いて、分子ごとに分子を流し検出することの類似性により、同じ概念が適用されることが理解されよう。したがって、一実施形態では、本開示の方法は、チャネルを通して、例えばチャネルの探索窓を通して、分子ごとに分子を流すことを含む。これに関して、1つ以上の検出可能な薬剤と会合したものなどの対象となる分子は、一度に1つずつ探索を通過する。したがって、一実施形態では、検出可能な薬剤と会合する分子は、探索窓内で一度に1つのみ存在する。同様に、一実施形態では、それぞれの検出可能な薬剤と会合する2つ以上の対象となる分子は、探索窓内で同時に存在しない。一実施形態では、他の分子は、検出可能な薬剤と会合した対象となる分子とともに、チャネルの探索窓内に存在する。そのような分子としては、例えば、対象となる分子の流れを補助する溶媒分子が挙げられ得る。
【0176】
一実施形態では、分子ごとに探索窓を通過することができるそのような分子は、タンパク質、ペプチド、抗体、サイトカイン、ケモカイン、信号伝達分子、治療分子、薬物分子、RNA結合タンパク質、高分子錯体、核酸、DNA、RNA、合成分子、アプタマーなどからなる群から選択される。一実施形態では、分子は、単一の色素分子、単一のタンパク質色素分子、単一のポリマー色素分子、単一のPdot、単一の蛍光プローブ、単一の蛍光ユニット、1つ以上の色素と共役した単一の抗体、1つ以上の色素と共役した単一のタンパク質、1つ以上の色素と共役した単一の核酸分子からなる群から選択される。
【0177】
一実施形態では、第1の放射光及び第2の放射光は、散乱放射光、ルミネッセンス放射光、蛍光放射光、及びこれらの組み合わせからなる群から、独立して選択される。
【0178】
一実施形態では、粒子は、生体粒子である。一実施形態では、生体粒子は、生物学的ナノ粒子である。一実施形態では、粒子は、細胞外小胞、オルガネラ、微小胞、細胞由来小胞、リポタンパク質、高分子錯体、エキソメア、RNA結合タンパク質、核酸結合タンパク質、タンパク質又は核酸を含む生物学的凝集体、タンパク質凝集体、核酸凝集体、脂質凝集体、単一の生物学的分子、サイトカイン、ケモカイン、抗体、細胞信号伝達分子、治療分子、核酸、核酸結合タンパク質、RNA結合タンパク質、DNA結合タンパク質、治療分子、ウイルス、細菌、及びエキソソームからなる群から選択される。
【0179】
上記のように、一実施形態では、本開示の方法は、チャネルを通って流れる相対的に小さい粒子を分析するのに好適である。ある実施形態では、粒子のサイズは、流体力学的直径である。特定の実施形態では、流体力学的直径は、1000ナノメートル未満、900ナノメートル未満、800ナノメートル未満、700ナノメートル未満、600ナノメートル未満、500ナノメートル未満、400ナノメートル未満、300ナノメートル未満、200ナノメートル未満、150ナノメートル未満、100ナノメートル未満、90ナノメートル未満、80ナノメートル未満、70ナノメートル未満、60ナノメートル未満、50ナノメートル未満、40ナノメートル未満、又は30ナノメートル未満である。好ましい実施形態では、流体力学的直径は、100ナノメートル未満である。ある実施形態では、流体力学的直径は、動的光散乱(DLS)を測定することによって判定され、測定されている生物学的ナノ粒子のサイズと同じ方法で光を拡散する剛球のサイズを指す。
【0180】
いくつかの実施形態では、流体力学的直径は、1,000ナノメートル~1ナノメートル、900ナノメートル~1ナノメートル、800ナノメートル~1ナノメートル、700ナノメートル~1ナノメートル、600ナノメートル~1ナノメートル、500ナノメートル~1ナノメートル、400ナノメートル~1ナノメートル、300ナノメートル~1ナノメートル、200ナノメートル~1ナノメートル、100ナノメートル~1ナノメートル、90ナノメートル~1ナノメートル、80ナノメートル~1ナノメートル、70ナノメートル~1ナノメートル、60ナノメートル~1ナノメートル、50ナノメートル~10ナノメートル、又は40ナノメートル~1ナノメートルである。ある実施形態では、流体力学的直径は、1,000ナノメートル~800ナノメートル、800ナノメートル~600ナノメートル、600ナノメートル~400ナノメートル、400ナノメートル~200ナノメートル、又は200ナノメートル~10ナノメートルである。好ましい実施形態では、流体力学的直径は、200ナノメートル~2ナノメートルである。別の好ましい実施形態では、流体力学的直径は、200ナノメートル~10ナノメートルである。より好ましい実施形態では、流体力学的直径は、100ナノメートル~20ナノメートルである。
【0181】
ある実施形態では、粒子のサイズは、直径である。特定の実施形態では、直径は、1000ナノメートル未満、900ナノメートル未満、800ナノメートル未満、700ナノメートル未満、600ナノメートル未満、500ナノメートル未満、400ナノメートル未満、300ナノメートル未満、200ナノメートル未満、150ナノメートル未満、100ナノメートル未満、90ナノメートル未満、80ナノメートル未満、70ナノメートル未満、60ナノメートル未満、50ナノメートル未満、40ナノメートル未満、又は30ナノメートル未満である。好ましい実施形態では、直径は、100ナノメートル未満である。ある実施形態では、直径は、電子顕微鏡法(TEM)又は超解像撮像を使用して測定することによって判定される。
【0182】
いくつかの実施形態では、直径は、1,000ナノメートル~1ナノメートル、900ナノメートル~1ナノメートル、800ナノメートル~1ナノメートル、700ナノメートル~1ナノメートル、600ナノメートル~1ナノメートル、500ナノメートル~1ナノメートル、400ナノメートル~1ナノメートル、300ナノメートル~1ナノメートル、200ナノメートル~1ナノメートル、100ナノメートル~1ナノメートル、90ナノメートル~1ナノメートル、80ナノメートル~1ナノメートル、70ナノメートル~1ナノメートル、60ナノメートル~1ナノメートル、50ナノメートル~10ナノメートル、又は40ナノメートル~1ナノメートルである。ある実施形態では、直径は、1,000ナノメートル~800ナノメートル、800ナノメートル~600ナノメートル、600ナノメートル~400ナノメートル、400ナノメートル~200ナノメートル、又は200ナノメートル~10ナノメートルである。好ましい実施形態では、直径は、200ナノメートル~2ナノメートルである。別の好ましい実施形態では、直径は、200ナノメートル~10ナノメートルである。より好ましい実施形態では、直径は、100ナノメートル~20ナノメートルである。
【0183】
一実施形態では、本方法は、粒子又は分子の流れを方向付けることを更に含む。一実施形態では、粒子又は分子の流れを方向付けることは、探索窓から受け取られ、かつ粒子又は分子と会合した、放射光の存在又は不在に基づいている。一実施形態では、粒子又は分子の流れを方向付けることは、探索窓から検出器システムによって受け取られる、放射光の強度に基づいている。これに関して、方法は、例えば、蛍光及び/又は散乱励起光を放出する粒子又は分子を、そうでない粒子又は分子から分離するのに好適である。
【0184】
一実施形態では、粒子又は分子の流れを方向付けることは、粒子又は分子を1つ又は2つ以上の選別チャネルに方向付けることを含み、そのような2つ以上のチャネルは、所定の閾値を上回る蛍光信号又は放出信号をもたらす粒子又は分子のためのチャネルと、そうでない粒子又は分子のためのチャネルとを含む。いくつかの態様では、方法は、粒子又は分子を濃縮集団に選別することを含む。いくつかの実施形態では、選別は、流量-変位選別を含む。いくつかの態様では、選別することは、音響集束、又は物理的障壁の使用を含まない。いくつかの実施形態では、選別することは、サイズ値、バイオマーカーの存在、バイオマーカーの不在、検出された光強度、放出された波長、複数の放出された波長、粒子又は分子の識別、又はこれらの組み合わせによって判定される。いくつかの実施形態では、選別は、バイオマーカーの組み合わせの存在によって判定される。いくつかの実施形態では、選別は、免疫表現型又は免疫学的表現型(抗体の組み合わせの結合によって測定されるマーカーの存在、不在、又は量に基づく表現型)に基づくなど、1つ以上のバイオマーカーの存在及び1つ以上の他のバイオマーカーの不在によって判定される。いくつかの実施形態では、表現型は、少なくとも部分的に、粒子(例えば、免疫表現型)上の2つ以上のバイオマーカーの存在又は不在によって判定され、かつ粒子サイズ、又は粒子が核酸若しくは粒子を含む脂質分子の量を含むかどうか、などの物理的特性によって、更に通知又は判定され得る。例えば、本明細書で更に考察される実施例9を参照されたい。いくつかの実施形態では、選別は、選別閾値を設定することによって、存在するバイオマーカーの数又はタイプによって判定される。
【0185】
一実施形態では、本方法は、探索窓からの放射光と会合した、粒子及び/又は分子の数を定量化又はカウントすることと、探索窓からの放射光と会合した、粒子及び/又は分子の濃度を判定することと、を含む。例えば、本明細書で更に考察される実施例13を参照されたい。
【0186】
一実施形態では、本方法は、探索窓からの放射光の存在又は非存在に基づいて、チャネル内の粒子又は分子をランク付けすることを含む。一実施形態では、ランク付けは、第1の放射光及び第2の放射光のうちの1つ以上に基づいて、粒子又は分子の測定された放出スペクトルに対応する。一実施形態では、ランク付けは、粒子の測定されたサイズ値に対応する。一実施形態では、測定されたサイズ値は、相対サイズ値である。一実施形態では、測定されたサイズ値は、検出された光強度の差によって測定される。
【0187】
いくつかの実施形態では、粒子又は分子は、検出可能な薬剤と会合する。一実施形態では、検出可能な薬剤は、例えば、分析される粒子上又はその中に存在する、対象となる分子(例えば、細胞外小胞上若しくはその中の、タンパク質、又は核酸、又はバイオマーカー)であり得る。代替的に、検出可能な薬剤は、粒子と会合する対象となる分子(例えば、細胞外小胞若しくは生物学的ナノ粒子若しくは高分子錯体の上又はその中のタンパク質、又は核酸分子若しくはバイオマーカー)と会合する分子(例えば、蛍光プローブ若しくは核酸プローブと共役した抗体)であり得、それにより、ナノ粒子を検出することが可能になる。いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤は、蛍光性であり、したがって、当該技術分野で知られている蛍光に基づく検出法によって検出することができる。
【0188】
一実施形態では、粒子は、1つ以上の検出可能な薬剤と会合したバイオマーカーなどの、少なくとも1つのバイオマーカーを含む。一実施形態では、本方法は、実施例10に関して本明細書で更に考察されるように、少なくとも1つのバイオマーカーの少なくとも1つのコピー数を判定することを含む。
【0189】
本明細書で使用される場合、「会合する」は、共有及び/又は非共有相互作用を介した相互作用を含む。例えば、検出可能な薬剤は、粒子に共有結合で付着され得る。代替的に、検出可能な薬剤は、例えば、粒子の膜内及び/又は粒子の疎水性内部に埋め込まれ得る。特定の実施形態では、検出可能な薬剤は、ファンデルワールス力又は静電力などの非共有相互作用を介して、粒子の膜に埋め込まれ得る。
【0190】
特定の実施形態では、検出可能な薬剤は、粒子の表面と会合する。いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤は、粒子の表面に共有結合及び/又は非共有結合で付着され得る。他の実施形態では、検出可能な薬剤は、粒子の表面内に埋め込まれ得る。特定の実施形態では、検出可能な薬剤は、粒子の表面、例えば、細胞外小胞の脂質層中に埋め込まれた膜色素によって囲まれる。粒子の表面と会合した検出可能な薬剤の関係は、粒子のサイズに関する情報を提供する。例えば、大きい表面積を有する粒子は、多数の検出可能な薬剤と会合することとなる一方、小さい表面積を有する粒子は、より少数の検出可能な薬剤と会合することとなる。粒子表面と会合した検出可能な薬剤の数の関係は、光強度とナノ粒子表面積との間の相関を提供する。このように、放出された光強度の量は、粒子のサイズに対応し、具体的には、粒子の表面積に対応する。
【0191】
実施例11に関して本明細書で更に考察されるように、膜色素からの蛍光の強度を介するなどして判定された粒子のサイズは、粒子の表面上の分析物と会合した検出可能な薬剤のコピー数と併せて、粒子が無傷(intact)粒子であるかどうかを判定するために使用され得る。
【0192】
他の実施形態では、検出可能な薬剤は、粒子の内部と会合する。いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤は、粒子内に埋め込まれる(例えば、リポタンパク質内に埋め込まれる親油性色素)。いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤は、粒子の表面とは会合せず、粒子内に埋め込まれるか、又はそうでなければ、粒子によって囲まれる。特定の実施形態では、検出可能な薬剤は、粒子によって包含されるが、内部表面、例えば、脂質膜と内部で会合しない細胞外小胞内で自由に浮遊する色素とは会合しない。内部検出可能な薬剤、例えば粒子に埋め込まれたもの(例えば、リポタンパク質に埋め込まれた親油性色素)、又は内部表面と会合することなく粒子に包含されたもの(例えば、小胞内の遊離浮遊色素)などは、本明細書では、「体積色素」とも称される。粒子によって囲まれた体積色素の関係は、粒子のサイズに関する情報を提供する。例えば、大きい体積を有する粒子は、多数の体積色素を含むこととなる一方、小さい体積を有する粒子は、より少ない体積色素を含むこととなる。粒子内の体積色素数の関係は、光強度とナノ粒子体積との間の相関関係を提供する。このように、放出された光強度の量は、粒子のサイズに対応し、具体的には、粒子の体積に対応する。
【0193】
いくつかの実施形態では、粒子は、表面と会合した体積色素と、検出可能な薬剤と、の両方を含む。体積色素と、表面と会合した検出可能な薬剤と、の両方を含むナノ粒子は、粒子の表面積と体積との両方に関する情報を提供することができる。いくつかの実施形態では、体積色素が検出可能な薬剤と、表面積が検出可能な薬剤と、は同じである。他の実施形態では、体積色素が検出可能な薬剤と、表面積が検出可能な薬剤と、は異なる。ある実施形態では、体積色素は、検出又は単離された粒子の同一性又はタイプに関する情報を提供することができる。いくつかの実施形態では、蛍光発生基質である体積色素の使用は、検出又は単離された粒子の同一性又はタイプに関する情報を提供することができる。特定の実施形態では、エキソソームなどの粒子に特異的な酵素の蛍光基質である体積色素の使用は、検出又は単離された粒子の同一性又はタイプに関する情報を更に提供することができる。
【0194】
いくつかの実施形態では、粒子は、膜透過性RNA色素などの、膜色素及び膜透過性核酸色素で標識される。実施例11に関して本明細書に更に記載されるように、そのような検出可能な薬剤の組み合わせは、粒子がRNA又はDNAなどの核酸を含むかどうか、及び粒子が膜を含むか若しくは脂質分子を含有するかどうか、を判定するのに好適である。そのような粒子は、粒子が膜及び/又は核酸を含むかどうかを判定するために加えて、粒子の免疫表現型、すなわち全体的な表現型を判定するなどのために、表面マーカーに選択的に結合するように構成された、蛍光標識抗体などの検出可能な薬剤で更に標識することができる。この全体的な表現型には、物理的特性(例えば、脂質膜及び/又は核酸が存在する場合)及び免疫表現型(例えば、あるバイオマーカーが存在する若しくは存在しないか、又は抗体によって報告される量が異なる場合)が含まれる。
【0195】
一実施形態では、検出可能な薬剤は、蛍光標識抗体、蛍光標識タンパク質、蛍光標識核酸、蛍光標識脂質、膜色素、蛍光発生色素、色素、ポリマードット、及びこれらの組み合わせから選択される。ある実施形態では、検出可能な薬剤は、発光色素、蛍光色素、蛍光標識抗体、蛍光標識タンパク質、蛍光標識核酸、蛍光標識脂質、蛍光標識炭水化物、蛍光標識小分子、膜色素、蛍光発生色素、色素、ポリマードット、酵素の蛍光発生基質、(膜透過性RNA色素などの)膜透過性核酸色素、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0196】
いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤は、粒子と会合した1つ以上の結合標的に特異的に結合する。ある態様では、結合標的は、タンパク質などのポリペプチドであり、検出可能な薬剤は、標的ポリペプチドに特異的に結合する蛍光標識抗体である。抗体に「特異的に(又は選択的に)結合する」又は抗体「と特異的に(又は選択的に)免疫反応する」という句は、生物学的ナノ粒子について言及する場合、対象となる生体ナノ粒子の存在、又は対象となる生体ナノ粒子と会合したバイオマーカーの存在を判定する結合反応を指し、多くの場合はナノ粒子及び他の生体物質の不均一な集団で起こる。したがって、指定された免疫アッセイ条件下で、指定された抗体は、バックグラウンドの少なくとも2倍、より一般的にはバックグラウンドの10~100倍超、特定の生物学的ナノ粒子に結合する。このような条件下での抗体への特異的結合は、特定の生物学的ナノ粒子又は特定のバイオマーカー又は特定の分子(例えば、サイトカイン、ケモカイン、抗体、核酸)に対するその特異性のために選択される抗体を必要とする。例えば、選択された抗原と特異的に免疫反応性であり、かつ他のタンパク質とは免疫反応性でないポリクローナル抗体のみを取得するために、ポリクローナル抗体が選択され得る。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を取り去ることによって達成され得る。
【0197】
一実施形態では、検出可能な薬剤は、第1の検出可能な薬剤であり、粒子は、第2の検出可能な薬剤と会合する。一実施形態では、検出可能な薬剤は、第1の検出可能な薬剤であり、分子(例えば、サイトカイン又は細胞信号伝達分子)は、第2の検出可能な薬剤と会合する。一実施形態では、第1の検出可能な薬剤は、第1の放出波長範囲の第1の放出スペクトルを有し、第2の検出可能な薬剤は、第1の放出波長範囲とは異なる第2の放出波長範囲の第2の放出スペクトルを有する。一実施形態では、第1の検出可能な薬剤は、第1の励起波長範囲の第1の励起スペクトルを有し、第2の検出可能な薬剤は、第2の励起波長範囲の第2の励起スペクトルを有する。一実施形態では、第1及び第2の検出可能な薬剤は、同様の、同一の、及び/又は重なり合う放出スペクトルを有する。一実施形態では、第1及び第2の検出可能な薬剤は、異なる放出スペクトルを有する。一実施形態では、第1及び第2の検出可能な薬剤は、同様の、同一の、及び/又は重なり合う励起スペクトルを有する。一実施形態では、第1及び第2の検出可能な薬剤は、異なる励起スペクトルを有する。
【0198】
いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤は、粒子の表面に付着されるか、検出可能な薬剤は、粒子の表面内にあるか、検出可能な薬剤は、粒子の内部にあるか、検出可能な薬剤は、粒子のマトリックス内にあるか、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤は、蛍光性であるか、検出可能な薬剤は、発光性であるか、又はこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、粒子は、複数の検出可能な薬剤と会合する。いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、粒子の表面に付着する。いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、粒子の表面に付着され、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、粒子の表面内にある。いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、粒子の表面に付着され、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、粒子の内部にある。いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、粒子の表面に付着され、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、粒子のマトリックス内にある。いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、粒子の表面に付着されるか、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、粒子の表面内にあるか、複数の検出可能な薬剤のうちの少なくとも1つは、粒子の内部にあるか、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤のうちの検出可能な薬剤は、重なり合う発光プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤のうちの検出可能な薬剤は、同じ発光プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、発光プロファイルは、同じピーク波長を有する。いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤のうちの検出可能な薬剤は、重なり合う励起プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤のうちの検出可能な薬剤は、同じ励起プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、励起プロファイルは、同じピーク波長を有する。いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤のうちの検出可能な薬剤は、同じ検出可能な薬剤を含む。いくつかの実施形態では、複数の検出可能な薬剤のうちの検出可能な薬剤は、2つ以上のタイプの検出可能な薬剤を含む。
【0199】
ある態様では、複数の検出可能な薬剤のうちの検出可能な薬剤は、異なる発光プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、発光プロファイルは、異なるピーク波長を有する。これに関して、検出可能な薬剤は、放出多重化における使用に好適であり、これにより、異なる放出スペクトルが、異なる検出可能な薬剤の検出に使用される。いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤は、異なる発光寿命を有する。一実施形態では、検出可能な薬剤は、共通の波長で異なる発光強度を有する。
【0200】
一実施形態では、第1の検出可能なものは、第1の励起波長範囲の第1の励起スペクトルを有し、第2の検出可能な薬剤は、第1の励起波長範囲とは異なる第2の励起波長範囲の第2の励起スペクトルを有する。これに関して、検出可能な薬剤は、励起多重化での使用に好適であり、これにより、異なる検出可能な薬剤は、異なる励起波長範囲で励起することによって使用することができる。
【0201】
一実施形態では、検出可能な薬剤は、異なる波長範囲の光によって励起されるように構成されている。一実施形態では、検出可能な薬剤は、第1の波長範囲の第1の励起光によって第1の量で励起され、第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲の第2の励起光によって第2の量で励起されるように構成されている。これに関して、検出可能な薬剤は、第1の励起光に応答して第1の強度の放射光を放出し、第2の励起光に応答して第2の強度の放射光を放出するように構成されている。第1の放射光と第2の放射光との比率を使用して、検出可能な薬剤と会合した粒子を追跡又は他の方法で識別することができる。
【0202】
いくつかの実施形態では、ピーク波長は、10ナノメートル超だけ、20ナノメートル超だけ、30ナノメートル超だけ、40ナノメートル超だけ、50ナノメートル超だけ、75ナノメートル超だけ、100ナノメートル超だけ、120ナノメートル超だけ、140ナノメートル超だけ、160ナノメートル超だけ、180ナノメートル超だけ、200ナノメートル超だけ、300ナノメートル超だけ、400ナノメートル超だけ、500ナノメートル超だけ、600ナノメートル超だけ、又は700ナノメートル超だけ分離される。
【0203】
別の態様では、本開示は、流体サンプル中の粒子を分析するための方法を提供する。一実施形態では、本方法は、チャネルを通して、複数の粒子及び又は/分子を含む、流体サンプルを流すことと、チャネル内で、複数の粒子のうちの粒子及び/又は複数の分子のうちの分子を照明することと、チャネルから放出される放射光を、約0.91~0.99未満の範囲の開口数を有する高NA空気対物レンズを備える集光システムを用いて収集することと、粒子又は分子に基づいてチャネルから放出される、収集された放射光に基づいて、信号を生成することと、信号に基づいて、粒子又は分子に値を割り当てることと、を含む。
【0204】
いくつかの実施形態では、流体デバイスを採用する検出又は撮像は、0.91以上、0.92以上、0.93以上、0.94以上、0.95以上、0.96以上、0.97以上、又は0.98以上の開口数を有する集光システムを使用する。好ましい実施形態では、集光システムは、約0.95の開口数を有する空気対物レンズを含む。本明細書で更に考察されるように、高NA空気対物レンズは、単一分子の流れ検出に好適である。このような空気対物レンズは、概して、油浸対物レンズよりも安定しており、走査がより容易である。これは、流れに基づく分析及び単一分子の流れ検出などの、画像品質よりも集光効率が重要な場合に特に当てはまる。多くの実施形態では、本開示の方法は、探索チャネルからの放出に基づいて信号を生成することを含む。そのような信号は、しばしば、チャネル内の、又は表面上若しくはマトリックス内で固定化した、粒子若しくは分子の画像を生成する信号などの、従来の画像信号ではない。むしろ、多くの実施形態では、本開示の方法は、代わりに、チャネルから放出される光の存在、不在、又は強度に依存する。これに関して、集光効率及び放射光強度は、本開示の方法にとってより重要である。これは、画像解像度及び光学収差(例えば、球面収差又は色収差)がないことが、単に集光効率と同じかそれ以上に重要であり得る従来の画像化用途とは対照的である。したがって、高NA空中目標はしばしば適切であり、油浸対物レンズ又は水浸対物レンズは、本開示の方法にとっては不要であり、かつしばしば不適切である。
【0205】
一実施形態では、本方法は、粒子のサイズを判定する方法であり、値は、サイズ値である。一実施形態では、チャネル内の粒子をランク付けすることは、探索窓からの放射光の存在又は不在に基づいている。一実施形態では、チャネル内の粒子をランク付けすることは、探索窓からの放射光の強度に基づいている。一実施形態では、ランク付けは、第1の放射光及び第2の放射光のうちの1つ以上に基づいて、粒子の測定された放出スペクトルに対応する。一実施形態では、ランク付けは、粒子の測定されたサイズ値に対応する。一実施形態では、測定されたサイズ値は、相対サイズ値である。一実施形態では、測定されたサイズ値は、検出された光の強度の差によって測定される。
【0206】
いくつかの実施形態では、粒子又は分子は、検出可能な薬剤と会合する。一実施形態では、検出可能な薬剤は、第1の検出可能な薬剤であり、粒子又は分子は、第2の検出可能な薬剤と会合する。一実施形態では、第1の検出可能な薬剤は、第1の放出波長範囲の第1の放出スペクトルを有し、第2の検出可能な薬剤は、第1の放出波長範囲とは異なる第2の放出波長範囲の第2の放出スペクトルを有する。一実施形態では、検出可能な薬剤は、蛍光性の検出可能な薬剤である。一実施形態では、第1の検出可能なものは、第1の放出波長範囲の第1の放出スペクトルを有し、第2の検出可能な薬剤は、第1の放出波長範囲と共通の、同一の、類似の、かつ/又は重なり合う第2の放出スペクトルを有する。
【0207】
自己補正型の、流れに基づく分析
別の態様では、本開示は、自己補正型の単一分子/粒子流れ分析の方法を提供する。流れストリーム内の単一分子又は粒子から放出される蛍光の測定は、流れビーム及び/又はレーザビームのプロファイルに大きく影響される。したがって、一実施形態では、蛍光分子の正確な定量化は、流れプロファイルからの信号のデコンボリューションを必要とし、これは、不可能ではないにしても困難であることが多い。観察された信号の複雑な性質及びその解釈は、流れストリーム内の粒子(例えば、細胞外小胞(EV)、リポタンパク質、RNA結合タンパク質、及びウイルス)又は分子(例えば、サイトカイン、抗体、核酸分子、タンパク質、ペプチド、及び細胞信号伝達分子)の分析に多くの課題をもたらす。課題としては、i)EV又は他の生物学的ナノ粒子の表現型判定に重要なバイオマーカーの共局在化、ii)粒子の濃度の測定、iii)しばしばバイオマーカーのコピー数によって記述される生物学的不均一性の検査、iv)EV又は他の生物学的ナノ粒子と会合したバイオマーカーのコピー数の判定、及びv)膜色素で染色された小胞又は粒子のサイズなどの物理的特性の特徴付けが挙げられる。
【0208】
これらの課題を克服するために、本開示は、流れストリーム内の単一分子及び粒子を自己補正方式で分析するのに好適な方法を提供する。このような「自己補正型の単一分子/粒子」法を用いて、正確に、1)探索窓内のチャネルの複数の励起領域又は部分を通って流れる同じ粒子上に発現したバイオマーカーを共局在化し、2)単一粒子及び/又は分子を識別及び列挙し、3)各個々の粒子及び/又は分子によってサンプリングされた流速を取得し、4)したがって分析された粒子及び/又は分子の濃度を測定すること、が可能である。このような「自己補正型の単一分子/粒子」法では、EV又は他の生物学的ナノ粒子と会合したバイオマーカーのコピー数を正確に判定することも可能である。例えば、実施例10を参照されたい。
【0209】
簡潔に述べると、この方法では、探索窓内のチャネルの複数の励起領域又は部分は、既知の空間パターンで構成される。粒子又は分子は、粒子が流れているマイクロチャネルの2つの異なる部分で2回測定される(例えば、
図8を参照されたい)。マイクロ流体チャネルを通る流れは、典型的には層状であるため、チャネルの任意の2つの隣接するか又は密接に離間された、励起領域若しくは部分を通って流れる特定の粒子の輸送時間は、概して、チャネルのこれらの2つの励起領域若しくは部分間の距離、及び分子の速度に比例する。また、層流の流れの性質、及びチャネルの励起領域若しくは部分間の小さい分離距離に起因して、チャネルの断面内の特定の粒子の位置は、概して、輸送時間中も同じままである。したがって、その粒子は、概して、チャネルの断面内の非常に類似した位置でチャネルの異なる部分に合焦された、異なるレーザビームと相互作用する。これらの特性を考慮して、単一の分析物(例えば、蛍光色素によって染色された小胞又は抗体で標識された生体ナノ粒子)を識別し、抽出された輸送時間又は粒子速度を使用して、他の生物学的マーカーを更に共局在化することが可能である(例えば、
図8を参照されたい)。
【0210】
したがって、一実施形態では、本方法は、チャネルの管腔を通して、粒子を流すことであって、チャネルが、光が管腔の中へ、及び外へ通過することを可能にするように構成された探索窓を画定する、流すことと、第1の光源を用いて、チャネル若しくは探索窓の第1の部分に第1の励起光を出力することと、第2の光源を用いて、第1の部分とは別々の、チャネル若しくは探索窓の第2の部分に第2の励起光を出力することと、第1の部分から受け取った第1の放射光に基づいて、第1の光検出器を用いて第1の放出信号を生成することと、第2の部分から受け取った第2の放射光に基づいて、第2の光検出器を用いて第2の放出信号を生成することと、第1の放出信号と第2の放出信号の間の時差と、第1の部分と第2の部分との間の距離と、に基づいて、チャネル内の粒子の速度を判定することと、を含む。一実施形態では、本方法は、本開示のシステムのいずれかの使用を含む。本明細書の他の箇所で考察されるように、一実施形態では、第1の光検出器は、第1の検出器モジュールの一部分であり、第2の光検出器は、第2の検出器モジュールの一部分である。
【0211】
一実施形態では、本方法は、タイムビンを使用して、第1及び第2の放射光などの光を検出することを含む。生物学的ナノ粒子特性を判定するための、開示される装置及び方法は、短い信号積分時間又は速いビンタイムで、迅速に行われ得る。ビンタイムを使用して、例えば、情報の選別を支援するために、蛍光の探索の開始停止時間を算定することができる。タイムビン(本明細書では信号積分時間とも呼ばれる)は、イベントが発生する、又は観測されるヒストグラムの時間範囲を開示することができる。いくつかの実施形態では、生物学的ナノ粒子の検出、測定、及び/又は探測は、タイムビンを使用する。いくつかの実施形態では、タイムビンは、10ms未満、5ms未満、1ms未満、0.5ms未満、0.1ms未満、90μs秒未満、80μs未満、70μs未満、60μs未満、50μs未満、40μs未満、30μs未満、20μs未満、10μs未満、5μs未満、又は1μs未満の範囲を有する。いくつかの実施形態では、タイムビンは、10ms~0.1ms、5ms~0.1ms、1ms~0.1ms、0.5ms~0.1ms、0.1ms~1μs、90μs~1μs、80ns~1μs、70ns~1μs、60ns~1μs、50ns~1μs、40ns~1μs、30ns~1μs、20ns~1μs、10μs~0.1μs、5μs~0.1μs、又は1μs~0.1μsの値を有する。好ましい実施形態では、タイムビンは、1μs~2msの範囲を有する。
【0212】
一実施形態では、本方法は、第1の放出信号及び第2の放出信号によって共有される、放出信号特性又は粒子特性に基づいて、第1の放出信号と第2の放出信号とを相関させることを含む。一実施形態では、第1の放出信号と第2の放出信号とを相関させることは、放出信号特性又は粒子特性に基づいている。
図8に示されるように、チャネル又は第1の励起線の、第1の検出窓又は第1の部分で検出された信号は、チャネル又は第2の励起線の、第2の検出窓又は第2の部分における下流で検出され得る。これに関して、粒子は、それがチャネルを通って進む際に追跡され得る。追加的に、粒子は、様々な異なるバイオマーカーについて探索され得る。一実施形態では、検出窓は、本明細書で更に考察されるように、チャネルの一部分又は励起光の励起線によって、少なくとも部分的に定義される。
【0213】
一実施形態では、本方法は、放出信号特性に基づいて、又は粒子特性に基づいて、第1の放出信号と第2の放出信号とを相関させることを含む。一実施形態では、第1の放出信号と第2の放出信号ベースとを相関させることは、第1の放出信号の強度を第2の放出信号の強度と比較することを含む。一実施形態では、本方法は、第1の放出信号と第2の放出信号とを相関させることに基づいて、チャネルを通過する粒子の数を列挙することを更に含む。一実施形態では、本方法は、第1の放出信号を第2の放出信号と相関させることに基づいて、粒子上で標的分子を共局在化することを更に含む。一実施形態では、本方法は、第1の放出信号を第2の放出信号と相関させることに基づいて、粒子濃度を判定することを更に含む。そのような濃度は、
図11A及び
図11Bに関して本明細書で更に考察されるように、チャネルを通る体積流量に少なくとも部分的に基づいて更に定義され得る。一実施形態では、本方法は、第1の放出信号を第2の放出信号と相関させることに基づいて、検出効率及び回復率を判定することを更に含む。
【0214】
一実施形態では、粒子は、1つ以上の検出可能な薬剤と会合する。一実施形態では、1つ以上の検出可能な薬剤は、励起光に応答して1つ以上の信号を生成するように構成されている。一実施形態では、粒子は、1つ以上の膜色素と会合する。一実施形態では、粒子は、1つ以上の体積色素と会合する。そのような検出可能な薬剤は、
図9A~
図9Dに関して本明細書で更に考察されるように、粒子中のマーカーの存在又は不在の検出に使用され得る。
【0215】
一実施形態では、本方法は、各粒子及び/又は分子の検出、並びに粒子及び/若しくは分子の、それ自体の流れ情報を用いたタグ付けを含み、この流れ情報とは、粒子及び/若しくは分子の輸送時間、並びに/又は粒子及び/若しくは分子の速度などである。一実施形態では、検出粒子又は分子に、対応する流れ情報(例えば、輸送時間及び/又は速度)をタグ付け又は割り当てることにより、自己補正型の流れ分析が可能になる。
【0216】
図9Aは、本開示の一実施形態による、流体デバイスのチャネルの2つの励起領域又は部分を通過する粒子をグラフで例解し(左)、本開示の一実施形態による、粒子を標識した膜色素の吸収スペクトル及び放出スペクトルを示す(右)。例解される実施形態では、粒子(例えば、細胞外小胞又はリポソーム)は、膜色素(例えば、di-8-ANEPPS)で標識され、同じ波長(例えば、488nm)の2つのレーザラインによって励起される。これに関して、粒子は、チャネルの2つの例解された部分から放出される信号間の時間を測定することによって追跡され得る。考察されるように、このような追跡は、チャネル内の粒子の懸濁液の流速を正確にサンプリングすることによって、粒子の集団内の粒子を列挙すること、チャネルを通過する粒子を列挙すること、及びチャネルを通過する懸濁液内のあるタイプの粒子の濃度の計算において有用である。考察されるように、このような追跡はまた、異なる蛍光プローブで標識された粒子上の異なるバイオマーカーを共局在させるのにも有用である。
【0217】
図9Bは、本開示の一実施形態による、流体デバイスのチャネルの2つの励起領域又は部分を通過する粒子をグラフで例解し(左)、本開示の一実施形態による、粒子を標識した膜色素の吸収スペクトル及び放出スペクトルを示す(右)。例解される実施形態では、粒子(例えば、細胞外小胞又はリポソーム)は、膜色素(例えば、di-8-ANEPPS)で標識され、異なる波長(例えば、405及び488nm)の2つのレーザラインによって励起される。一実施形態では、膜色素は、程度は異なるが、第1の波長及び第2の波長の両方によって励起される。一実施形態では、色素は、第1の励起光(例えば、405nmのレーザ光)に応答して、第1の強度の信号を放出し、第2の励起光(例えば、488nmのレーザ光)に応答して、第1の強度とは異なる第2の強度の第2の信号を放出する。したがって、一実施形態では、本方法は、チャネル又は励起領域の異なる位置において、信号強度の比率などの、生成された信号の比率を測定することを含む。色素があるレベル以上の粒子内又は粒子上に存在する限り、この比率を使用して粒子を正確に識別することができる。
【0218】
図9Cは、本開示の一実施形態による、流体デバイスの2つの励起領域を通過する粒子をグラフで例解し(左)、本開示の一実施形態による、粒子の吸収スペクトル及び放出スペクトルを示す(右)。例解される実施形態では、粒子(例えば、細胞外小胞又はリポソーム)は、2つの膜色素(例えば、DiO及びDiD)の組み合わせで標識され、異なる波長(例えば、488及び640nm)を有する2つのレーザラインによって励起される。示されるように、色素は、別個の波長範囲での励起光に基づいて、別々の放出信号を提供する。これに関して、粒子は、2つの検出窓、すなわち、チャネルの2つの例解された部分又は励起領域から、2つの色素によって放出される2つの信号間の時間を測定することによって追跡することができる。
【0219】
図9Dは、本開示の一実施形態による、流体デバイスの2つの検出窓を通過する粒子をグラフで例解し(左)、本開示の一実施形態による、粒子の吸収スペクトル及び放出スペクトルを示す(右)。例解される実施形態では、粒子(例えば、細胞外小胞又はリポソーム)は、体積色素(例えば、カルセインAM)と組み合わせた膜色素(例えば、DiD)で標識される。示されるように、色素は、別個の波長範囲での励起光に基づいて、別々の放出信号を提供する。これに関して、粒子は、チャネルの2つの例解された部分又は励起領域(検出窓)から、2つの色素によって放出される2つの信号間の時間を測定することによって追跡することができる。
【0220】
自己補正型の単一分子/粒子計数法は、すぐ下で記載されるように、他の従来の方法と比較して、結果の品質が大幅に改善された多数の利点をもたらす。
【0221】
正確な列挙及び共局在化。
【0222】
本開示の方法は、実際のイベント(例えば、細胞外小胞又は生物学的ナノ粒子)の識別において、背景変動及び色素の小凝集体などの多くの干渉信号を除去又は減少させるので、本方法は、より正確な数の分析物(例えば、細胞外小胞又は生物学的ナノ粒子又は分子)を取得又は判定するのに好適である。(例えば、
図10A、
図10B、
図11B、
図12、
図14、及び
図15を参照されたい)。統計的方法(例えば、クロス相関関数)による流れストリーム内の単一分子イベントの共局在化は、しばしば、空間的に近いイベント、汚染物、背景の変動、及び特に層流プロファイルによって誘導される粒子間の線形速度の差による干渉の悪影響を受ける。本方法を使用して、これらの干渉を最小限に抑え、ひいては、列挙及び共局在化の質を改善することが可能である。
図14Aは、本開示の一実施形態による、di-8-ANEPPS膜色素、抗CD63-Alexa647抗体、及び抗CD81-PE/CF594抗体で標識された精液の細胞外小胞の多色共局在を示す。
図14Bは、本開示の一実施形態による、di-8-ANEPPS膜色素、抗CD63-Alexa647抗体、及び抗CD81-PE/CF594抗体の共局在化に基づく、精液細胞外小胞の亜集団又は亜型を示す。
図15は、本開示の一実施形態による、精液細胞外小胞(sEV)の濃度の測定を示す。
【0223】
同じ生物学的ナノ粒子上に発現するもののようなバイオマーカーの正確な共局在化は、多くの重要な用途の基礎となる(例えば、生物学的ナノ粒子又は分子の亜型を識別するための免疫表現型。実施例9を参照されたい)。流れストリーム内で近接している複数の粒子及び/又は分子が、励起領域又は検出窓を通過するとき、異なる検出窓で観察される信号、又は異なる励起領域からの信号を、所与の粒子及び/又は分子に正しく割り当てることは困難であり得る。なぜなら、粒子/分子は、マイクロ流体の流れ環境及び放物線流プロファイルの層流性質に起因して、マイクロ流体チャネル内で広範囲の速度で流れ得るからである。本開示の方法を使用してこれらの困難に対処して、単一の生物学的ナノ粒子又は分子上のバイオマーカーの正確な共局在化を可能にする(例えば、
図10A、
図10B、
図11、
図12、
図14、及び
図15並びに関連する実施例を参照されたい)。
【0224】
流速の正確なサンプリング。
【0225】
本開示の自己補正型の方法は、チャネルの断面の異なる位置を通って流れる各粒子の輸送時間を提供する。空間的に分離された異なる励起光によって照明されたチャネル又は検出窓の部分間の既知の間隔を用いて、検査された各粒子の線形速度を計算し、それに応じて体積流量サンプルを判定することが可能である。
図11Aに示されるように、チャネルを通して平均線形速度を体積流量に変換することが可能である。
【0226】
マイクロ流体に基づく分析において体積流量を知ることは、実験中に分析されたサンプルの体積を判定するためにしばしば必要とされる。したがって、単一の粒子/分子の絶対濃度は、分析物/分子/ナノ粒子の計数及び分析された体積に基づいて測定することができる。また、体積流量は、サンプルのスループット及び消費量を評価するための有用なパラメータでもある。重要ではあるが、マイクロ流体環境では、特に体積流量が非常に低い場合(例えば、pL~nL/秒)、励起領域によって超小体積のサンプルが探索されるため、体積流量の直接測定は多くの場合、困難である。本開示の方法を使用して、体積流量は、このマイクロ流体環境で流れが層流であるという事実に基づいて、レーザライン又は励起領域を通って流れる各分子及び/又は粒子の輸送時間を使用して判定することができる。したがって、各粒子及び/又は分子の線形速度を計算することができ、これらのレーザライン間又は励起領域間の距離を知ることができる。測定された平均粒子及び/又は分子速度から、かつチャネル断面の面積を知ることによって、体積流量を測定することができる。したがって、本開示の方法を使用して、測定された単一粒子及び/又は単一分子の輸送時間及び/又は速度を使用することによって、体積流量を判定することができる(例えば、
図10、
図11、
図15及び関連する実施例を参照されたい)。
【0227】
濃度の正確な測定。
【0228】
体積流量を知ることによって、所与の時間期間内に検査された単一の分析物の数を正確に判定し、分析されたサンプルの体積を(多くの場合、ナノリットルのレベルで)取得することが可能であるため、本方法は、分析物の濃度を正確に測定するのにも好適である。
図11Bは、本開示の一実施形態による、システムのチャネルを通過する流体サンプル中の細胞外小胞の濃度の測定値を示し、
図11Aに例解される比較を使用して計算されたものである。本開示の方法は、バルクサンプル(例えば、消光係数)から取得されたパラメータ、及び任意の外部較正曲線に依存することなく、所与の体積内の分析物の絶対計数を提供するので、分析物濃度のより正確な判定が可能である。
図15は、本開示の一実施形態による、精液細胞外小胞(sEV)の濃度の測定を示す。
【0229】
検出効率及び回復率の正確な判定。
【0230】
検出効率は、チャネル若しくは励起領域、又は検出領域若しくは検出窓を通って流れる分析物内の、本開示の方法などによって計数される分析物の割合として定義され得る。チャネルを流れる分析物と関連付けられた信号の分布が、既知の統計モデル(例えば、流れ分析で一般的に見られる対数正規分布)に従っている場合、カットオフ値での累積分布関数(CDF)を知ることによって、検出効率を定量化することが可能である。
【0231】
計数された分析物と所与の体積にスパイクされた又は所与の体積に存在する分析物の量との比率として定義される回復率などの回復率は、検出効率に加えて、多くの他の要因(例えば、ストック濃度の精度、分析物の可能な凝集及び分解、表面吸収など)の影響を受ける。分析物のストック濃度が正確に既知である場合、それに応じて回復率を判定することも可能である。
図12A~
図12Cは、本開示の方法が、単一の蛍光色素及び粒子(例えばEV)の両方に対して例外的に感受性であることを例解する。これに関して、
図12A~
図12Cは、本開示の方法が、単一の小分子(例えば、Alexa647タグ付き抗体、
図12Bを参照されたい)及びタンパク質(R-フィコエリスリン(PE、
図12Cを参照のこと))の両方の色素に対して非常に感受性であり、検出効率が99%超であることを例解する。膜色素で染色されたEVの平均SNRは約54であり、回復率は95%を超え、これはストック濃度の不確実性の範囲内であり、従来の方法によって入手可能であるよりも粒子及び分子に対するより高い感度を示している。
【0232】
コピー数の正確な判定
実施例10に関して本明細書で更に考察されるように、本開示の方法は、単一の粒子上に存在するバイオマーカーのコピー数を判定するのに好適である。本方法は、サンプル中に存在する単一分子/粒子の集団全体、又はサンプルのアリコート、又はマイクロチャネルを通過するそのような分子/粒子の非常に大きい割合(90%を超えるなど)を検出するのに好適であるので、本方法は、単一分子強度分布を使用して、単一粒子強度分布をデコンボリューションして、各粒子上の結合抗体の数、ひいては対応するタンパク質の数を正確に判定することもできる。このようなアプローチは、例えば、EVなどの粒子と会合した蛍光標識抗体の数を判定して、単一粒子の分子組成に関する定量的情報を提供するのに有用である。実施例12に関して本明細書で更に考察されるように、この情報は、粒子のサイズに関する他の情報と併せて、分析された粒子が無傷であるか若しくは断片化されているか、又は分析された粒子が中空であり(例えば、核酸を含有し)非機能的であるか若しくは生物学的に機能的であるか、を判定するのに使用され得る。
【0233】
自動集束方法
別の態様では、本開示は、システムの光学部品をシステムのチャネル上に集束する方法を提供する。単一分子/粒子のレベルでの、細胞外小胞、ウイルス、リポタンパク質、RNA結合タンパク質、又はサイトカインなどの、流れ中の粒子及び分子の計数及び測定は、多くの場合、環境の変化(例えば、熱誘導膨張)、及び器具構成の変化(例えば、光学アライメントの微小なドリフト、及びチャネル寸法の変化)に非常に敏感である。データを一貫して収集し、流れに基づくデバイスの感度を改善するために、本開示は、自動集束方法を提供する。
【0234】
一実施形態では、マイクロ流体デバイスによって反射された特定のレーザ光(例えば、870nm)などの励起光が、
図7Aに関して本明細書で更に考察されるファイバ結合された共焦点スキームを介して収集される。この戻り反射の大きさは、外部較正され、中性密度フィルタで減衰され、光検出器のダイナミックレンジにあることを確実にする。一実施形態では、検出チャネルの正しい集束が達成されたときに、戻り反射された光の好ましい又は最適な値が判定され、焦点レベルを「ロック」するための基準として設定される(例えば、
図7Bを参照されたい)。一実施形態では、探索窓を含むチャネルなどのマイクロ流体デバイスの一部分、又は対物レンズは、ピエゾ又はDCモータによって駆動されるステージなどの電動可動ステージに動作可能に結合される。これに関して、集光システムは、該集光システムを探索窓に集束させるために、チャネルの探索窓に対して移動するように構成されている。
図7Cで詳述されるように、可動ステージは、反射の現在の値を、以前の時点(例えば、200ms前)の値及び基準値と比較することに基づいて制御することができる。
【0235】
したがって、一実施形態では、本開示は、流体チャネル上の光学部品を介して励起光を集束させる方法を提供する。一実施形態では、本方法は、
図7A及び
図7Bに関して本明細書で更に考察されるシステム700を使用することを含む。一実施形態では、本方法は、探索窓又は流体チャネルの他の部分を光源からの光で照明することと、チャネルと光検出器との間に配設された光学部品を用いて、探索窓に光を集束することと、第1の時間に探索窓から戻り反射された集束光に基づいて、光検出器を用いてロック信号を生成することと、第1の時間の後の第2の時間に、探索窓から戻り反射された集束光に基づいて、光検出器を用いてテスト信号を生成することと、テスト信号がロック信号の所定の割合内にあるかどうか判定することと、テスト信号がロック信号の所定の割合外にある場合、流体チャネルを高NA空気物体に対して移動させることと、を含む。
【0236】
図7C、
図7F、及び
図7Gに示されるように、一実施形態では、所定の割合は、約5%である。一実施形態では、所定の割合は、約0.5%~約15%の範囲、約1%~約10%の範囲、約2%~約8%の範囲、約2.5%~約7.5%の範囲、約3%~約6%の範囲、又は約3%~約5%の範囲である。
【0237】
一実施形態では、本開示は、流体チャネルに焦点を維持する方法を提供し、該方法は、近赤外線光源からの光を用いて、マイクロ流体システムの撮像領域を照明することと、カメラを用いて撮像領域の画像を生成することと、画像のデフォーカスの量を判定することと、デフォーカスの量がデフォーカスの所定の量以内にあるかどうかを判定することと、テスト信号が所定の範囲外にある場合、流体チャネルを高NA空気対物レンズに対して移動させることと、を含む。一実施形態では、撮像される構造は、チャネルに隣接し、ある実施形態では、チャネルとは別々の構造である。一実施形態では、構造は、撮像領域の他の部分と比較して高いレベルのコントラストを有する。一実施形態では、構造は、マイクロ流体システム内の空気充填筐体を画定する。このような空気充填構造は、例えば、流体充填チャネルよりも高いコントラストを有し、この点で、画像のデフォーカスの量を判定する画像を生成するのに好適である。
【0238】
図7Dは、本開示の一実施形態による、高NA空気対物レンズからいくつかの距離で撮られた、異なる量のデフォーカスを有するチャネルの一連の画像である。
図7Eは、本開示の一実施形態による、
図7Dの画像の位置に注目した、チャネルと高NA空気対物レンズとの間の様々な距離における集束品質の量を例解する。描かれたこの実施形態では、NIR撮像及びNA0.95の空気対物レンズを使用して焦点面を検出した。
図16は、本開示の一実施形態による、高開口数空気対物レンズ(NA=0.95)とともに近赤外線撮像又はマシンビジョンを使用することによって自動集束を達成するための装置をグラフで例解する。
【0239】
示されるように、焦点チャネルは、狭窄部を含む。
図7Eに示されるように、狭窄部の集束品質をリアルタイムで監視した。対物レンズが上に移動すると、焦点面が狭窄部チャネルの底部にあることを示す第1の最大値に達するまで、集束品質が向上した。対物レンズの位置が増加すると、集束品質が低下し、次いで、焦点面が狭窄部チャネルの上部に設定されたことを示唆する第2の最大値まで上昇する。
図7Dの4枚の写真は、高NA空気対物レンズが対応して4つの位置にあったときの、リアルタイム撮像を示す。
【0240】
図7Fは、本開示の一実施形態による、焦点面を設定するために使用されるフィードバック制御ループを概略的に例解する。
図7Gは、本開示の一実施形態による、高NA空中対物レンズを通る近赤外線マシンビジョンによって支援されるリアルタイム集束を実施するために使用される、別のフィードバック制御ループである。
図7F及び
図7Gに概略的に例解される集束方法を使用して、チャネルの集束を達成することができる。
【0241】
一実施形態では、本方法は、集光システムを用いて、探索から戻り反射された、集束された光を収集することを含み、該集光システムは、約0.91~0.99未満の範囲、又は約0.95の開口数を有する空気対物レンズを備える。
【0242】
一実施形態では、本方法は、集光システムを用いて、光を収集することによってカメラを用いて撮像領域の画像を生成するために、光を収集することを含み、該集光システムは、約0.91~0.99未満の範囲、又は約0.95の開口数を有する空気対物レンズを備える。
【0243】
一実施形態では、光は、約700nm~約1.5μmの範囲である。一実施形態では、光は、約700nm~約1100nmの範囲である。一実施形態では、光は、非可視波長範囲である。
【0244】
上で説明されたあるプロセスは、コンピュータのソフトウェア及びハードウェアの観点から記載される。記載される技術は、機械によって実行された場合、記載された動作を機械に実行させる有形又は非一時的機械(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体内に具現化された機械実行可能命令を構成し得る。追加的に、プロセスは、特定用途向け集積回路(「ASIC」)などのハードウェア内に具現化され得るか、又はその他であり得る。
【0245】
有形機械可読記憶媒体は、機械(例えば、コンピュータ、ネットワークデバイス、パーソナルデジタルアシスタント、製造ツール、1つ以上のプロセッサのセットを有する任意のデバイスなど)によってアクセス可能な非一時的形式で情報を提供する(すなわち、記憶する)任意の機構を含む。例えば、機械可読記憶媒体は、記録可能/非記録可能媒体(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなど)を含む。
【0246】
概要に記載されているものを含む本発明の例解された実施形態の上記の説明は、網羅的であること、又は本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。本発明の特定の実施形態及び実施例は例解目的で本明細書に記載されているが、関連技術分野の当業者が認識するように、本発明の範囲内で様々な変更が可能である。
【0247】
これらの変更は、上記の詳細な説明に照らして本発明に対して行われ得る。以下の特許請求の範囲で使用される用語は、本発明を本明細書に開示される特定の実施形態に限定すると解釈されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって完全に判定されるべきであり、これらは、特許請求の範囲の解釈の確立された教義に従って解釈されるべきである。
【実施例】
【0248】
実施例1:自由空間レーザ及び放出ファイババンドルを使用した、単一粒子/分子の多重化検出
この実施例では、自由空間レーザ及び放出ファイババンドルを使用して、流れにおける単一分子及び単一粒子分析を可能にする装置を記載する。この装置(例えば、
図6)は、チャネルの、空間的に分離された異なる励起領域又は検出窓又は部分からの、複数の色チャネルにおける蛍光を検出するように構成されており、2つの機能モジュール、すなわち自由空間レーザを使用する励起モジュールと、放出ファイババンドル及び検出器モジュールを使用する検出器システムと、を含む。
【0249】
励起モジュールは、所望のプロファイル及び空間パターンに複数のレーザビームを組み合わせて形成する(例えば、
図4)。励起領域間の間隔は、例えば、互いに共役した2つの平凸レンズ(f=75mm及びf=125mm)などの望遠鏡構造によって調整され得る。レーザビームは、(チャネルの4つの励起領域/検出窓/部分について)4本のラインを生成するために、シリンドリカルレンズ(f=200mm)によって成形され、その後、マルチバンドダイクロイックミラー又は部分反射ミラーによって対物レンズの後側焦点面に伝送される。したがって、4つのレーザラインは、4つの励起領域又は検出窓(
図3B)を形成するマイクロ流体チャネルのそれぞれの4つの部分に集束され、ここで、蛍光色素で標識された粒子又は分子が流れ、励起レーザ照明と相互作用し、結果として、各粒子又は分子から放出される蛍光をもたらす。
【0250】
用途に応じて、この励起モジュールは、様々な方法で構成することができる。例えば、波長が405、488、561、及び640nmの4つのレーザラインは、等間隔でマイクロ流体チャネルに集束されているか、又は代替的に、波長が488、488、561、及び640nmの4つのレーザラインは、等間隔でマイクロ流体チャネルに集束されているか、又は波長が488、405、640、及び561nmの4つのレーザラインは、等間隔でマイクロ流体チャネルに集束されているか、又は波長が355、405、488、及び640nmの4つのレーザラインは、等間隔でマイクロ流体チャネルに集束されている。概して等間隔であるのが好ましいが、いくつかの用途では、励起モジュールを調整することによって容易に達成され得る非等間隔を有することが望ましい場合がある。レーザ及び励起領域の数は、より多くのレーザ色を含むように拡張されるなど、容易に調整することができる。
【0251】
検出器システムは、4つの励起領域から放出される蛍光を分離し、定量的に測定する。粒子/分子が輸送され、4つの空間的に分離されたレーザライン/励起領域と相互作用するときに、粒子/分子から放出される4つの空間的に分離された蛍光信号を収集するために、本発明者らは、放出ファイババンドル(例えば、
図5)を使用する。ファイババンドルの各ファイバは、レーザライン/励起窓の各々による粒子/分子の励起によって引き起こされる蛍光を収集し、各ファイバによって収集された蛍光は、更にスペクトル的に分離され、検出器モジュールの異なる光検出器(例えば、
図2)によって検出され得る。ここで、対物レンズによって収集された蛍光は、マルチバンドダイクロイックミラーを通過し、チューブレンズによって集束される。4つのスリットの微細加工された配列は、チャネルの所望の部分からの光のみがこれらのスリットを通過できるように(例えば、
図5A)、チューブレンズの焦点面に正確に置かれている。このスリット配列はファイババンドルの近位端に置かれているため(例えば、
図5A)、4つの励起領域/レーザラインからの4つの密接に離間された蛍光信号は、したがって、ファイババンドルの4つのファイバを通して分離される。
【0252】
次に、ファイババンドルのファイバの各々からの蛍光信号は、検出器モジュール(例えば、
図2)内の一連のダイクロイックミラー及びバンドパスフィルタによって、例えばいくつかの色帯域に、更にスペクトル的に分離される。非球面レンズ(f=7.8mm)を使用して、スペクトル領域又は色帯域に対応する蛍光は、次いで、アバランシェフォトダイオード又は単一光子計数モジュールなどの光検出器に集束され、ここで、光子は電気信号に変換される。以下の実施例で記載されるように、高周波計数デバイスを使用して、ある時間間隔における光子の数を計数し、更なる分析のために、本装置と通信するコンピュータ上のバイナリファイルに記憶する。
【0253】
実施例2:ライン照明と共焦点検出とを備えた平面状マイクロ流体チャネル内を流れる単一分子及び粒子の、超高感度の堅牢な検出のための高開口数空気対物レンズの使用
この実施例では、ライン共焦点検出を備えた平面状マイクロ流体チャネル内を流れる単一分子の、超高感度及び効率検出のための装置及び方法を記載する。平面状のマイクロ流体チップ又はチャネル内を流れる単一粒子について、本装置及び方法は、平面状マイクロ流体チャネルを通って流れる単一分子について記載されるものと同じ超高レベルの感度及び効率を提供する。
【0254】
単一分子の流れ分析は、多くの場合、感度、スループット、及び堅牢性の欠如によって妨げられる。これらの課題に対処するために、実施例1に記載の装置は、高開口数空気対物レンズ及び平面状チャネルを有するマイクロ流体デバイスを用いて構成されている。超高分子検出感度を保証するためには、できるだけ多くの光信号を収集することが重要であり、本発明者らの装置では、0.95NA空気対物レンズを使用した。対物レンズのNAは、液浸媒体(例えば、油又は水)が使用されるときに1.0よりも高い場合があるが、そのような「湿式の」対物レンズは、システムの堅牢性を大幅に低減させ、媒体の振動、ドリフト、及び蒸発をはるかに起こしやすい。また、そのような「湿式の」対物レンズは、液浸媒体の汚れのためにより長距離にわたる走査が困難なことが多く、ひいてはスループットが大幅に低下し、より複雑な機器設計をもたらすため、「湿式の」対物レンズを備えたマイクロ流体チップのある平面状チャネルから別の平面状チャネルへ走査することによって対象となるチャネルをあるチャネルから別のチャネルに切り替えることも困難である。
【0255】
高NA空気対物レンズの使用に加えて、平面状マイクロ流体チャネルは、単一分子の流れ分析の超高感度及び効率を可能にするための別の必要不可欠な構成要素である。高NA対物レンズは、多くの場合、非常に限られた作動距離(例えば、この実施例で使用される40X/0.95NA対物レンズの場合、170μm)を必要とするため、通常、対物レンズとサンプルとの間の平面状の基板又はチップのみが、この作動距離と適合性がある。マイクロキャピラリなどの他の広く使用されている流れ構成は、多くの場合、この非常に限られた作動距離よりも厚い壁を有し、したがって、高NA対物レンズで使用するのに好適ではない。追加的に、平面状マイクロ流体チャネルの使用により、丸い円筒形状のキャピラリの使用に関連した球面収差/円筒収差を排除し、これは、高NA対物レンズの収集効率及び集束品質に影響を与える別の重要な要因である。更に、マイクロ流体チップ又はマイクロ流体デバイスは、チャネルの長さに沿って異なる幅又は高さを有するチャネル(例えば、チャネルの狭窄部、又は幅及び/又は高さの段階的変化)の作成を容易にして、輸送中の生物学的ナノ粒子及び/又は分子の操作、検出、分析、判定、及び/又は識別を容易にすることができる。マイクロ流体チップは、マイクロファブリケーションの方法により、非球形又は非正方形(例えば、長方形)である断面を有するチャネルを作成することを可能にすることができ、輸送中の生物学的ナノ粒子及び/又は分子の検出、分析、判定、及び/又は識別を容易にすることができる。マイクロ流体チップは、最大の集光のための高NA空気対物レンズとの適合性を高めて、輸送中の生物学的ナノ粒子及び/又は単一分子の操作、検出、分析、判定、及び/又は識別を容易にするように、所望の厚さであるとともに所望の材料特性(例えば、屈折率)を有するカバースリップ(例えば、ガラス又はプラスチック製)に結合することによって、形成することができる。最後に、マイクロ流体デバイスにより、より多くのサンプル(例えば、マルチチャネルピペットと互換性のある形態で96又は384サンプル)の高スループット分析を可能にするために、同じデバイス上で多数のチャネル(例えば、96又は384サンプルに対して96又は384チャネル)を生成することが可能になる。マイクロ流体チップは、単一分子及び/又は粒子の、超高感度及び効率分析を達成するために、高NA空気対物レンズで使用するための魅力的で多用途のプラットフォームを提供する。
【0256】
この実施例に記載されるように、チャネルの断面全体を覆う緊密に集束されたレーザラインでチャネルを照明することは(例えば、
図3B及び
図4)、チャネルを通過する全ての分子がほぼ100%の確率で照明され、励起されることを確実にする。アパーチャ(例えば、
図5A)を使用する共焦点検出ジオメトリにより、信号対雑音比を増加させることによって、かつ異なる励起領域又はレーザライン間のクロストークを最小限に抑えることによって、検出感度を改善する。高NA空気対物レンズと、高集束レーザラインを使用したライン照明と、共焦点検出ジオメトリとを使用した本発明者らの装置は、チャネルを通って流れる全ての分子又は粒子が高効率及び高感度及び高スループットで検出されることを確実にする。これは、例えば、集束したレーザスポット(緊密に集束したレーザラインではなく)を使用して、チャネルを通って流れる分子のいくつか又は小さい部分を調べる際には、既存の技術とは対照的である。なぜなら、レーザスポットは、直径がわずか数マイクロメートル(例えば、5ミクロン)であり、はるかに大きい直径(例えば、100ミクロン)を有するキャピラリの断面全体をよく照明することができないからであり、直径100umのキャピラリの中心にある直径5ミクロンのレーザスポットは、分子又は粒子が流れるチャネルの断面の約400分の1相当であるにすぎず、これは、レーザスポットを通って流れる各分子が検出されると仮定したとしても、流れの中の400個の分子のうちの約1個が検出されることになるであろう。この問題を解決するために、本発明者らの装置では、レーザビームは、円筒形レンズ(f=200mm)によって成形されて、本発明者らの平面状マイクロ流体チャネルの狭窄部の中心に集束してチャネルの断面全体を照明する一連のレーザラインを形成する(例えば、
図4)ので、流れの中の全ての分子が、レーザ励起と相互作用することができる。更に、共焦点ジオメトリは、アパーチャとして機能する、光ファイバの開口部を介して、又はスリット(
図5A)を用いて、流れの中の全ての分子からの検出信号対ノイズを強化し、結果として超高検出効率(チャネルを通って流れる単一分子の数に対する検出される単一分子の数)をもたらす。
【0257】
次の実施例3は、本実施例2に記載される装置を使用して達成される検出効率をより詳細に記載する。次の実施例3に詳述されるような極めて高い単一分子検出効率に加えて、高NA空気対物レンズの使用により、油浸又は水浸対物レンズとは対照的に、流れの中の単一分子の非常に安定した堅牢な検出を提供する。
図14は、背景ノイズの変化が全くない、2000秒間稼働するブランクサンプル(PBS緩衝液)を示し、高NA空気対物レンズに関連する不安定性又は変動がないことを示し、これは、通常、油浸又は水浸対物レンズを使用する場合には当てはまらない。
【0258】
実施例3:流れている単一分子の高検出効率を達成する
本実施例は、実施例1及び実施例2に記載の装置(すなわち、0.95NA空気対物レンズ及び放出ファイババンドル)を使用して、流れている単一分子を、極めて高い検出効率で検出する能力を示す。
【0259】
単一分子及び/又は単一粒子の検出効率は、チャネルを通って(例えば、励起領域を通って)流れる分子/粒子の数に対する、検出された分子/粒子の数である。所与のタイプの蛍光分子/粒子について、このメトリックは、流れ分析器装置の感度の直接的な指標であり、したがって、装置又は器具の感度及び性能を評価するための重要なメトリックである。
【0260】
本実施例では、検出効率を判定するために単一分子計数の原理を適用する。単一分子の集団を測定するとき、各分子からの同一の信号を有する代わりに、常に信号の分布を取得する。これらの信号の変動は、分子の固有の特性(例えば、光子放出確率又は漂白確率)及び測定プロセス自体からなどの外部要因の両方によって判定される。本発明者らの研究は、そのような分布が対数正規分布に従うことができることを示している。
図12B及び
図12Cは、それぞれ、単一のR-フィコエリスリン(PE)及びAlexa647の信号対ノイズ比(SNR)の分布を示す。対数正規分布にフィッティングした後、フィッティング品質を定量化するために、統計的メトリック(例えば、決定係数、R
2)を適用する。R
2値がある閾値(例えば0.98)よりも高い場合、単一分子SNRの分布が対数正規モデルに従っていると結論づけることができる。
【0261】
信号分析では、検出限界(LOD)は、多くの場合、SNRが3のバックグラウンドと区別できる、最も弱い信号として定義される。同じ定義を使用し、対数正規フィッティングの結果を使用して、SNRがLODを上回るときの累積分布を計算することができる。この分析を使用して、
図12B及び
図12Cは、流れの中の単一のPE及びAlexa647の検出効率が99%超(例えば、それぞれ99.5%及び99.8%)であることを示す。
【0262】
実施例4:自己補正型の流れ分析
本実施例では、マイクロ流体チャネルにおける蛍光の自己補正型の測定を使用して、各粒子にリンクされた特定の流れ情報を有する生物学的粒子の集団を識別する方法を記載する。
【0263】
生物学的ナノ粒子は、典型的には、物理的及び/又は生物学的パラメータによって記述される。例えば、細胞外小胞(EV)は、細胞から放出された、脂質二重層で区切られた粒子であり、疎水性環境(例えば、脂質二重層)に挿入されたときに強い蛍光を示すことができる膜色素での染色によって、識別することができる。流れの中のEVの分析(例えば、多色共局在化、検出効率の判定、流れプロファイルの測定、及び濃度の推定)を成功させるには、各粒子の検出、及び粒子自体の流れ情報(例えば、速度)による粒子のタグ付けが必要である。上記のこれらの実施例に記載される装置を使用して、粒子自体の流れ情報(例えば、速度)による、検出された各粒子のタグ付けを記載する。EVを検出するために使用される特定のマーカーに応じて、異なる方法でそのようなタグ付けを達成することができる。以下は、4つの例である。
1)EVをdi-8-ANEPPS膜色素で染色し、2つの488nmレーザライン又は励起領域によって、連続的に励起する。簡潔に述べると、5×10
9粒子/mLの濃度を有する199uLのEV溶液を、DMSOに溶解した1uLの20μMのdi-8-ANEPPSと混合し、室温で30分間インキュベートした。インキュベート後、このサンプルを、狭窄部(2×2×125μm)を有するマイクロ流体チャネルと流体連通するリザーバに導入した。流れは、重力及び表面張力によって駆動された。波長488nm(20mW)の2つのレーザラインをマイクロ流体チャネルのこの部分に集束して、10μmで離間された2つの励起領域又は検出窓(
図9A)を生成した。di-8-ANEPPSで染色されたEVが、これら2つの異なる励起領域又は検出窓を通って流れると、マイクロ流体チャネル内の層流の性質に起因して、同様の強度を有する2つの蛍光信号(波長範囲575~625nm)が連続的に観察された。このようにしてこの粒子を検出し、対応する流れ情報でタグ付け又はその情報を割り当てた。この流れ情報は、本実施例では、2つの488nmレーザ励起領域間の輸送時間であり、したがって、2つの励起領域間の間隔が既知である速度である。本方法は、単一分子の分析、検出された各分子のそれ自体の流れ情報(例えば、輸送時間及び/又は速度)でのタグ付けに、同様に適用することができる。
2)EVをdi-8-ANEPPSで染色し、405nmレーザ及び488nmレーザによって連続的に励起する。簡潔に述べると、5×10
9粒子/mLの濃度を有する199uLのEV溶液を、DMSOに溶解した1uLの20μMのdi-8-ANEPPSと混合し、室温で30分間インキュベートした。インキュベート後、このサンプルを、狭窄部(2×2×125μm)を有するマイクロ流体チャネルと流体連通するリザーバに導入した。流れは、重力及び/又は表面張力によって駆動された。di-8-ANEPPSの吸収スペクトル(
図9B)により、本発明者らは、405nmレーザ出力及び488nmレーザ出力を、それぞれ100mW及び20mWの電力でマイクロチャネルのそれぞれの部分に集束させて、10μm間隔で配置された2つの励起領域又は検出窓(
図9B)を生成した。di-8-ANEPPSで染色したEVが、これら2つの異なる励起領域を流れると、マイクロ流体チャネル内の層流の性質及び使用される励起レーザ力の違いに起因して、同様の強度を有する575~625nmの波長範囲で収集された2つの蛍光信号が連続的に観察された。同様のレーザ励起力を使用した場合、既知の強度差を有する2つの蛍光信号が連続的に観察された。このようにしてこの粒子を検出し、対応する流れ情報でタグ付け又はその情報を割り当てた。この流れ情報は、本実施例では、2つのレーザ励起領域間の輸送時間であり、したがって、2つの励起領域間の間隔が既知である速度であった。
3)EVを、構造的に類似した2つの膜色素、DiO及びDiDの混合物で染色し、488nmレーザ及び640nmレーザによって連続的に探索する。簡潔に述べると、5×10
9EV/mLの濃度を有する396uLの粒子溶液を、2μLの20μMのDiO(DMSO中)及び2μLの20μMのDiD(DMSO中)と混合し、室温で30分間インキュベートした。インキュベート後、このサンプルを、狭窄部(2×2×125μm)を有するマイクロ流体チャネルと流体連通するリザーバに導入した。流れは、重力及び/又は表面張力によって駆動された。DiO及びDiDの吸収スペクトル(
図9C)により、488nmレーザ出力及び640nmレーザ出力をマイクロ流体チャネルのそれぞれの部分に集束させて、10μmだけ分離された2つの励起領域又は検出窓を生成した。DiO及びDiDで染色した粒子が、これら2つのレーザ励起領域を流れると、それぞれ495nm~515nm、及び660nm~700nmで2つの蛍光信号が収集された。このようにしてこの粒子を検出し、対応する流れ情報でタグ付け又は対応する流れ情報を割り当てた。この流れ情報は、本実施例では、2つのレーザライン間の輸送時間であり、したがって、2つの励起領域間の間隔が既知である速度であった。
4)脂質膜又は固体脂質粒子の破片も膜色素で標識され得ることを考慮して、無傷のEVを、膜色素(例えば、DiD)及び体積色素(例えば、カルセイン-AM)の共染色によって検出し、488nmレーザライン及び640nmレーザライン(
図9D)によって連続的に分析し得る。簡潔に述べると、5×10
9粒子/mLの濃度を有する396μLの粒子溶液を、2μLの20μMのDiD(DMSO中)及び2uLの2mMのカルセイン-AM(DMSO中)と混合し、37℃で30分間、暗所でインキュベートした。インキュベート後、このサンプルを、狭窄部(2×2×125μm)を有するマイクロ流体チャネルに導入した。カルセイン-AM及びDiDの吸収スペクトル(
図9D)により、488nmレーザ出力及び640nmレーザ出力を、それぞれ20mW及び10mWの電力でマイクロ流体チャネルに集束させて、10μmだけ分離された2つの検出窓又は励起領域を生成した。カルセイン-AM及びDiDで染色したEVがこれら2つのレーザ励起領域を流れると、それぞれ495nm~515nm、及び660nm~700nmで2つの蛍光信号が収集された。このようにしてこのEVを検出し、対応する流れ情報でタグ付け又はその情報を割り当てた。この流れ情報は、本実施例では、2つのレーザライン間の輸送時間であり、したがって、2つの励起領域間の間隔が既知である速度であった。
【0264】
検出粒子又は分子に、対応する流れ情報(例えば、輸送時間及び/又は速度)でタグ付け又はその情報を割り当てることにより、本実施例及び後の実施例で記載される自己補正型の流れ分析が可能となる。本方法は、検出された各分子/ナノ粒子/エンティティにそれ自体の流れ情報(例えば、輸送時間及び/又は速度)でタグ付けするために、単一分子の分析又は他の生物学的ナノ粒子又は他のナノスケールのエンティティに、同様に適用することができる。
【0265】
実施例5:自己補正型の流れ分析を使用した多色共局在化
本実施例では、自己補正型の流れ分析を使用した、細胞外小胞(EV)上の複数のマーカー(例えば、異なる色素タグ抗体及び/又は膜色素)の共局在化を記載する。本方法は、単一分子の分析又は他の生物学的ナノ粒子又は他のナノスケールエンティティに同様に適用することができる。
【0266】
同じ生物学的ナノ粒子上に発現するバイオマーカーの正確な共局在化は、多くの重要な用途の基礎である(例えば、EVの亜型を識別するための免疫表現型)。流れストリーム内で近接している複数の粒子が、励起領域又は検出窓を通過するとき、異なる検出窓で観察される信号、又は異なる励起領域からの信号を、所与の粒子に正しく割り当てることは困難であり得る。なぜなら、粒子は、マイクロ流体の流れ環境及び放物線流プロファイルの層流性質に起因して、マイクロ流体チャネル内で広範囲の速度で流れ得るからである。上記の実施例で記載された自己補正型の流れ分析では、バイオマーカー(例えば、膜色素又は所与の色素タグ抗体)が、2つの励起領域又は検出窓で2回測定されるが、この自己補正型の流れ分析を使用して、粒子又は分子が検出され、その流れ情報(すなわち、線形速度及び/又は輸送時間)でタグ付けされる。マイクロ流体システムにおける層流の性質により、他のバイオマーカー(例えば、EV上に存在する他の色素タグ抗体)の存在及び/又は不在の検索は、特定の位置(特定の輸送時間の前又は後。
図8を参照されたい)での非常に狭い時間窓(例えば、±0.1ms)に向けられ、したがって、自己補正型の流れ分析の使用により、
図10に示されるように、共局在化の精度を大幅に改善する。
【0267】
本実施例では、ヒト精液エキソソーム(sEV)を使用し、CD63-A647、CD81-PE/CF594、及びdi-8-ANEPPSと共染色した。簡潔に述べると、5×10
9粒子/mLの濃度のsEV溶液490μLを、2μg/mLのCD63-A647の5μL及びCD81-PE/CF594の2.5μL(ストック溶液の100倍希釈)と混合し、室温で60分間、暗所でインキュベートした。次いで、2.5μLの20μMのdi-8-ANEPPS(DMSO中に溶解)をサンプルに添加し、更に30分間インキュベートした。インキュベート後、このサンプルを、検出が起こった狭窄部(2×2×125μm)を有するマイクロ流体チャネルに導入した。自己補正型の流れ分析を使用して多色共局在化を実施するために、4つのレーザライン(このシーケンスでは、640、561、488、及び405nm)をマイクロ流体チャネルの一部分に集束させて、流れの方向に沿って連続する、4つの励起領域又は検出窓を生成した。同じ放出フィルタセット(600/50nm)を有する最初の2つのレーザライン(405nm、100mW、及び488nm、20mW)を使用して、di-8-ANEPPSからの蛍光を測定した(
図9B)。
【0268】
第1のステップは、di-8-ANEPPSで染色されたsEVを、それぞれの流れ情報(すなわち、405nmのレーザラインと488nmのレーザラインとの間の輸送時間)で検出し、タグ付けすることであった。このステップは、
図10に示されるように、自己補正の不在下及び存在下において、2つの膜色素信号を使用して検証することができる。この膜色素で染色された全ての粒子から405nmで励起されたdi-8-ANEPPSの蛍光は、100%に近い効率で、488nmレーザによって励起された対応する蛍光と共局在化されるはずである。追加的に、これら2つの信号の強度は、この例で使用される電力設定(すなわち、405nmレーザの場合は100mW、488nmレーザの場合は20mW)のため、類似している(すなわち、±10%の差である)はずである。
図10Bの左パネルは、自動相関関数を使用して共局在化されたイベントを示しており、これは、共局在化されたイベントを見出すための「最も可能性が高い」時間窓を計算する。この統計的方法を使用して共局在化された多くのイベントは、これらの2つのチャネルにおける信号強度の不一致のために、偽陽性であった。自己補正型の流れ分析を適用した後、散布図(
図10Bの右パネル)は、大幅に狭くなり、ほとんどの偽陽性イベントが除去されたことを示している。装置の構成がわずかに異なる
図10Aは、2つの488nmレーザラインを使用した自己補正型の流れ分析を実施したときに、同様の改善が観察されたことを示している。
【0269】
偽陽性率を大幅に低減又は排除することに加えて、各生物学的ナノ粒子又は分子を、同一又は類似の間隔の2つの隣接するレーザ励起領域ごとにほぼ一定の値であり得る、特定の輸送時間及び/又は速度でタグ付けすることにより、複数のバイオマーカーの正確な共局在化が可能になる。簡潔に述べると、
図14Aに示されるように、di-8-ANEPPSで染色された特定のsEVを、405nmのレーザラインと488nmのレーザラインとの間又は励起領域間の特定の輸送時間(t)で最初に検出し、タグ付けした。自己補正型の流れ分析アルゴリズムは、488nmのレーザラインと561nmのレーザラインとの間の輸送時間(t)を中心とする非常に狭い(例えば、±0.1ms)時間窓内で、別のレーザ(例えば、561nmレーザライン)によって励起された信号の存在を検索して、CD81-PE/CF594と共局在化されたsEVを見出す。次いで、488nmのレーザラインと640nmのレーザラインとの間の輸送時間(2t)の場所で、別の検索窓が適用され、CD63-Alexa647と共局在化されたsEVを見出す。より多くのマーカー及び検出窓又は励起領域が調べられるときに、同様の検索プロセスが反復され得る(
図8)。自己補正型の流れ分析でデータを処理した後、対応するバイオマーカー(例えば、免疫表現型又は免疫学的表現型)に対する対応する抗体の組み合わせの結合によって測定される、異なるバイオマーカーの組み合わせに基づいて、sEVの異なる亜集団を判定することができる。本実施例では、sEVの4つの亜集団は、CD81
+が3.7%、CD63
+が32.9%、CD81
+/CD63
+が1.8%、CD81
-/CD63
-が65.2%であった(
図14B)。
【0270】
実施例6:単一粒子/分子の輸送時間を使用して体積流量を判定する
本実施例では、単一粒子/分子の輸送時間を使用した、体積流量の判定を記載する。
【0271】
マイクロ流体に基づく分析において体積流量を知ることは、実験中に分析されたサンプルの体積を判定するためにしばしば必要とされる。したがって、単一の粒子/分子の絶対濃度は、分析物/分子/ナノ粒子の計数及び分析された体積に基づいて測定することができる。また、体積流量は、サンプルのスループット及び消費量を評価するための有用なパラメータでもある。重要ではあるが、マイクロ流体環境では、特に体積流量が非常に低い場合(例えば、pL~nL/秒)、励起領域によって超小体積のサンプルが探索されるため、体積流量の直接測定は多くの場合、困難である。
【0272】
本実施例では、このマイクロ流体環境で流れが層流であるという事実に基づく、レーザライン又は励起領域を通って流れる各分析物/分子/粒子の輸送時間を使用した体積流量の測定を記載する。したがって、各粒子/分子の線形速度を計算することができ、これらのレーザライン間又は励起領域間の距離を知ることができる。
【0273】
この特定のチャネル形状(すなわち、2×2×150μm)が円形断面を有するパイプに近く、その直径よりも実質的に長い長さを有するため、流れプロファイルは、円筒形状を有するパイプ内の放物線流プロファイルによって近似することができる。この単純化された仮定に基づいて、単一粒子/分子の線形速度をこのサンプルの体積流量に変換することができる。簡潔に述べると、本発明者らはまず、観測した線形速度の算術平均(
【数18】
)を計算する。層流では、単位時間中に各層流内の断面を通過する体積(ΔV)は、
【数19】
である。
【0274】
単位時間中に断面を通過する、同じ速度を有する粒子(すなわち、u(r))の数は、
【数20】
であり、
式中、Cは、粒子の濃度である。したがって、観測された平均線形速度は、
【数21】
であり、
式中、rは、断面における半径方向の位置である。放物線の流れでは、線形速度プロファイルは、
【数22】
に従うことが知られており、
式中、u
maxは、放物線プロファイル中の最も速い層流である、流れの中心の線形速度であり、Rは、チャネルの半径(例えば、本実施例では1um)であり、よって、式3は、
【数23】
に再編成することができる。
【0275】
放物線の流れのため、体積流量(Q)は、
【数24】
のように表すことができることが知られており、
したがって、
【数25】
とV(
図11A)との間の関係は、
【数26】
である。
【0276】
要約すると、
【数27】
及びチャネル断面積を取得することができるため、式7(
図11A)を使用して体積流量を測定することができる。この分析は第1の概算であり、より正確な記述を達成するために、詳細な断面形状及びマイクロ流体チャネルの全体形状を説明することは簡単である。本実施例は、測定された単一粒子/分子の輸送時間/速度を使用することにより体積流量を測定するための、新たな方法を示す。
【0277】
実施例7:粒子/分子濃度の判定
本実施例では、いかなる外部較正も必要とせずに粒子/分子の絶対濃度を正確に測定できる方法を記載する。
【0278】
実施例6に記載されるような、体積流量の測定の直接的な適用は、分析物(例えば、粒子及び/又は分子)の濃度を判定することである。簡潔に述べると、自己補正型の流れ分析を使用して、励起領域又は検出窓を通って流れる粒子の集団を列挙する。本発明者らの機器の超高感度のために、特定のマーカー(例えば、本実施例ではdi-8-ANEPPS)で染色された全ての粒子を計数した(N)。個々の粒子の測定された線形速度/輸送時間(
図11A)及び実験的測定時間(t)から判定された体積流量(Q)を知ることにより、分析された体積(V)は、V=Qtを使用して判定されるので、分析物の濃度(C)は、C=N/V=N/(Qt)のように計算することができる。
【0279】
本実施例の実験では、ヒト精液エキソソーム(sEV)のサンプルを、1uLのストック溶液を999uLのPBS緩衝液(pH=7.2)に添加することにより、最初に1000倍希釈した。次に、199μLの希釈されたサンプルを、DMSOに溶解された1μLの20μMのdi-8-ANEPPSで染色し、室温で30分間インキュベートした。10.7umだけ間隔を空けた405nmレーザライン(100mW)及び488nmレーザライン(20mW)を使用して、この膜色素の蛍光を検出した。インキュベート後、10μLの標識されたsEVを、(2μm幅×2μm高さ×125μm長さの寸法の)狭窄部を有するマイクロ流体チャネルに導入し、レーザビームをラインに集束させて、チャネル狭窄部の全断面を照明した。サンプルを3分間ロードした後、データ収集を開始し、1回の実験測定に300秒を要した。
図11Bは、35回複製されたsEVの測定された濃度を示す。
【0280】
本方法の堅牢性を更に実証するために、同じsEVサンプルを希釈して、一連の濃度(1×10
7~1×10
10粒子/mL)を生成し、その各々を上述したのと同じ方法を使用して測定した。濃度がより低いサンプルについては、十分なデータポイントを収集するために、より長い期間、データ収集を実施した。各濃度について、少なくとも3回の複製を実施した。
図15は、検出されたsEVの頻度対希釈比、並びに測定された濃度対計算された濃度を示し、両方とも、少なくとも3桁にわたって測定された濃度と希釈比との間の線形関係を示す。これらの結果は、sEVの濃度の測定が非常に堅牢であったことを示す。
【0281】
実施例8:近赤外画像化と高開口数空気対物レンズとを使用した自動集束
本実施例では、正しい焦点位置を、実験前及び実験中にそれぞれ判定及び維持するために使用される、装置及び方法を記載する。
【0282】
単一粒子/分子の流れ分析の品質は、以下の2つの理由から、マイクロ流体チャネルが対物レンズに対してどのように集束されているかに依存する。1)焦点面を中心に置くことにより最も良い励起の品質を保証し、したがって、チャネル内を流れる全ての分子は、レーザビームによって探索することができる。2)また、蛍光を収集する効率にも影響を与える。焦点面を所望の位置から1μmずらしただけでも、測定が中断される可能性がある。自動化によって提供される改善されたスループット及び堅牢性のため、各実験の前に焦点面を自動的に判定し、マイクロ流体チャネルの中心に設定することが好ましい。追加的に、自動集束方法は、手動プロセスによって誘発されるユーザ間の変動を排除し、ひいては測定の品質を改善する。
【0283】
本実施例では、単一分子/粒子の流れ分析器の装置は、近赤外(NIR)マシンビジョンによって支援された自動集束を可能にするように構成した。可視光スペクトル波長領域内に大部分が常駐するライン共焦点蛍光測定とのインターフェースを最小限に抑えるために、NIR光を用いた照明を使用した。
図16に示す装置は、NIR LED(870nmの中心波長)、流れ解析用マイクロ流体デバイス、Z次元ステージに搭載された高NA空気対物レンズ、マルチバンドダイクロイックミラー、チューブレンズ、ショートパスダイクロイックミラー、及びNIRカメラからなる。簡潔に述べると、マイクロ流体チャネルを照明するNIR光は、高NA空気対物レンズ(40X/0.95NA)によって収集され、第1のダイクロイックミラーによって反射され、次いで、チューブレンズによって集束される。NIRビームは、ショートパスダイクロイックによって操縦され、最終的にカメラのセンサに画像が投影される。
【0284】
対物レンズが上及び下に動かされたときに、マイクロ流体チャネルが集束状態又は焦点はずれの状態の、一連の画像を各位置で記録した(
図7D)。中心チャネルの境界を検出するために、これらの画像全てにエッジ検出フィルタを適用するため、このチャネルのコントラストを測定することができる。したがって、このコントラスト値を使用して集束品質が定義され、コントラストが高いほど検出チャネルの集束度が高くなる。
図7Dは、チャネルに対する対物レンズの位置の関数としての集束品質の変化を示し、2つのピークは、それぞれチャネルの底部(位置2)及び上部(位置3)が集束した状態であったことを示す。これらの2つのピークの位置を知ることにより、チャネルの中心を判定することができ、対物レンズが移動するので、それに応じて焦点がその位置に移動する。
図7Fは、高NA空中対物レンズを使用したNIRマシンビジョンによって支援された、この自動集束方法を実現するためのフィードバック制御ループを示す。
【0285】
データ取得が開始された後、マイクロ流体チップの振動及び/若しくは熱膨張、並びに/又は装置のドリフト若しくは変動を引き起こす可能性のある他の要因に起因する、SNRの変動を最小限に抑えるために、焦点面を所望の位置に維持することも重要である。本実施例では、実験中に焦点面をロックするために、NIRマシンビジョンによって支援された同じ自動集束機構を適用する。NIR光源(870±25nm)は蛍光検出に干渉しないため、この自動集束スキームは、単一分子/粒子の流れ実験でリアルタイムに使用することができる。
図7Fは、このプロセスのフィードバック制御機構を示す。簡潔に述べると、実験前に焦点面を初期設定し、ロックすると、対応する集束品質を基準値として記録する。実験開始後、100msごとにチップのNIR画像を捕捉し、取得された集束品質を基準値と比較した。差が5%以内の場合、焦点面を同じ位置にロックした。そうでない場合、対物レンズを、測定された新たな集束品質で上方に50nmずつ移動した。差がより小さくなった場合、対物レンズが正しい方向に移動していることを示し、そうでない場合、対物レンズが反対方向に移動したことを示す。これらの反復及び論理制御を使用して、焦点面のシフトを、実験中にリアルタイムで検出及び修正することができる。
【0286】
実施例9:単一EV及び生物学的ナノ粒子の免疫学的表現型
本実施例は、本開示の実施形態によるデバイス及び方法を使用した、単一粒子の免疫学的表現型解析を説明する。
【0287】
精液細胞外小胞(EV)及びナノ粒子の単離
精液サンプルは、University of Washingtonの男性不妊治療プログラム(Male Fertility Program)から入手した。各ドナーから書面によるインフォームドコンセントが得られた。全てのプロトコルは、University of WashingtonのInstitutional Review Boards及びFred Hutchinson Cancer Research Centerによって承認された。簡潔に述べると、一連の遠心分離ステップを採用して、精液サンプルから精液血漿を単離し、次いで、血漿を0.22μmのシリンジフィルタを通して濾過した。スクロース勾配上で超遠心分離した後、精液EV及びナノ粒子を含有する、30%及び25%のスクロースクッションをプールし、アミコンウルトラセル100-kDaセルロース遠心フィルタを介して遠心分離によって洗浄した。次いで、精液EV/ナノ粒子をサイズ排除クロマトグラフィーカラムによって濾過して、溶液中のタンパク質を除去した。最終的なEV/ナノ粒子濃度は、ナノ粒子追跡分析に基づいて約1013/mLであった。
【0288】
精液細胞外小胞及びナノ粒子の流れ分析
標識前に、精液EV/ナノ粒子懸濁液を、HEPES緩衝液(20mM、pH7.4)中で1010/mLに希釈した。テトラスパニンを標識するために、100μLの希釈されたEV/ナノ粒子懸濁液を、10μLの希釈された抗体溶液とともにインキュベートした。各抗体について、10-6~10-1μg/mLの範囲の複数の濃度を試験して、滴定曲線を生成した。抗体と1時間インキュベートした後、ジメチルスルホキシド中の1μLの20μMのDi-8-ANEPPSを溶液に添加して、脂質膜を標識した。Di-8-ANEPPSで10分間インキュベートした後、溶液を遠心分離し、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するHEPES緩衝液中でスピンカラム(Sartorius Vivaspin500、300-kDA)を使用して3回再希釈して、過剰な抗体を除去した。
【0289】
本開示の実施形態に従い、ライン共焦点設計に基づき、4つの空間的に分離されたレーザラインと5つのアバランシェフォトダイオードとを含む流れプラットフォームを開発した。各実験において、5μLのサンプルを、マイクロ流体チップ上の入口リザーバ内に注入した。リザーバ流体レベルの高さの違いにより、外部ポンプなしで流動が始まり、操作が単純かつ堅牢になった。注入したサンプルを、2×2μmのチャネルを通って流し、4つのレーザラインによって励起した。このチャネル形状は、高い感度及び高いスループットをもたらし、詰まりを生じさせなかった。レーザラインは、チャネルを横切って均一な励起を達成するために、チャネル幅の10倍超であった。最大レーザ出力では、チャネル内部の電力密度は、約20kWcm-2であった。各レーザラインで放出された光子は、検出器に集束される前に、アパーチャ及びバンドパスフィルタでフィルタリングした。焦点ドリフトを最小限に抑えるために、リアルタイムフィードバックとして640nmレーザラインの後方散乱を使用するカスタム構築の自動集束システムを採用した。高い励起電力密度、高い集束安定性、及び低減された励起体積及び検出体積に起因して、システムは、単一の蛍光色素分子の検出のための十分な感度を提供する。
【0290】
上記のように、流れ測定のために、5μLのサンプルを、マイクロ流体チップの入口リザーバに注入した。典型的な体積流量は、約15pL/秒であった。蛍光信号を10kHzでAPDによって収集した。実験中に焦点ドリフトを最小限に抑えるために、実施例8に記載されるような自動集束システムを係合した。信号をノイズと区別するために、閾値を、平均バックグラウンドにバックグラウンドの中間絶対偏差の5倍を加えた値として設定した。各イベントの強度は、バックグラウンド減算後の固定時間窓内の積分によって計算した。
【0291】
本発明者らは、希釈された遊離抗体、及び異なる励起力でDi-8-ANEPPS標識されたEV/ナノ粒子の流れ軌跡を収集して、各チャネルにおける最適な信号対ノイズ比を判定した。
【0292】
テトラスパニンの高スループットプロファイリングのために、本発明者らは、膜色素Di-8-ANEPPS及び蛍光色素分子共役された抗テトラスパニン抗体、ブリリアントバイオレット510(BV510)-抗CD9、フィコエリスリン(PE)-抗CD63、及びAlexa Fluor647-抗CD81を用いて、精液EV/ナノ粒子を標識した。Di-8-ANEPPSは、水中では非蛍光であるが、脂質膜に挿入されると高蛍光になる。膜色素染色されたEVの蛍光強度は、脂質膜の表面積に比例する。本発明者らは、スケーリングにより、Di-8-ANEPPS染色EVの強度の平方根の分布を、動的光散乱(DLS)から判定されたEVサイズ分布と重ね合わせることができることを観察した。スケーリング係数により、流れの中で検出された膜色素信号からのEVサイズの推定が可能であった。異なる励起力で3つの希釈された遊離抗体の流れ軌跡を収集して、各検出チャネルにおける最適な信号対ノイズ比を判定した。最適な励起力では、単一の抗体強度ヒストグラムを対数正規分布に合わせることができた。強度ヒストグラムフィッティングの切断分率に基づいて、単一の抗体の98%超が我々のフローシステムで検出されたことを判定した。
【0293】
膜色素及び蛍光標識された抗テトラスパニン抗体で標識されたEVがレーザラインを通って流れると、各色素の蛍光信号が、対応する検出器によって検出された。2つのレーザライン間の輸送時間は、検出チャネルによって収集された軌道の相互相関分析によって判定した。輸送時間は、異なるチャネル間の共局在化を実施するために使用した。信号は、遊離抗体の影響を最小限に抑えるために、膜色素ピークの近くの予想される時間窓内で抗体ピークが出現した場合にのみ、EVに起因するものであった。
【0294】
膜色素強度の平方根をEVサイズに変換し、EVサイズ対抗体強度をプロットした(
図17A~
図17C)。得られた散乱プロットは、3つのテトラスパニン全てについて、タンパク質発現レベルとEVサイズとの間の弱い相関を示した。4色の共局在分析により、精液エキソソームの7つのサブグループを識別した(
図17D)。精液エキソソームの15.1%はCD9のみを発現し、9.2%はCD63のみを発現し、1.5%はCD81のみを発現した。精液エキソソームのわずか1.1%が3つのテトラスパニン全てを有していた。膜染色小胞の、
図17Dに表されていない53.5%は、CD63、CD81、又はCD9の有意な発現を示さなかった。これらの結果は、CD63、CD81、及びCD9が全て共通のエキソソームマーカーと考えられるが、多くの精液エキソソームはこれらのマーカーのうちの1つ又は2つのみを発現し、エキソソーム間及びこれらのテトラスパニン間の両方のテトラスパニン発現レベルに大きい異質性が存在することを示す。
【0295】
実施例10:単一のEV及び生物学的ナノ粒子タンパク質のコピー数判定
実施例9で調製した精液EV/ナノ粒子を使用して、単一抗体強度分布を使用した抗体標識エキソソームの強度分布をデコンボリューションすることにより、テトラスパニンのコピー数分布を取得した(
図18A~
図18C)。各テトラスパニンについて、異なる濃度の抗体でエキソソームを標識し、流れの中のエキソソームを分析して、飽和標識を確実にした。CD63、CD81、及びCD9の平均コピー数は、それぞれ12.8、1.6、及び17.0であった(
図18D~
図18F)。
【0296】
存在する単一分子の最も弱い1%未満を検出できるため、単一分子強度分布を使用して単一EV強度分布をデコンボリューションし、各EV上の結合抗体の数、ひいては対応するタンパク質の数を正確に判定する。
図18A~
図18Cは、単一の実験で、単一の抗体の強度分布、及び抗体で完全に標識された単一EVの両方を取得することができたことを示す。3つのテトラスパニンの平均コピー数は、それぞれ12.8(CD63)、1.6(CD81)、及び17.0(CD9)であり、
図18D~
図18Fは、EV間でコピー数がどのように変化するかも示している。単一のEVの分子組成に関するこの定量的情報は、無傷のEVと断片化されたEVとを区別すること、EVを亜型分類すること、又はEVの生合成及び調節を研究することに有用である。
【0297】
実施例11:EV又はRNA又はDNA結合タンパク質、RNA又はDNA顆粒、及び他のRNA又はDNA含有ナノ粒子などの、単一核酸含有ナノ粒子及び分子分析
図19A~
図19Dは、本開示の単一EV/ナノ粒子/分子流れ分析器が、個々のEVのみならず、RNA結合タンパク質などの他の非EV生物学的ナノ粒子又は分子のRNA含有量を検出及び追跡できることを示す。ここでは膜透過性RNA染色を使用し、また、流れ分析器の高感度のため、EV、他の非EV小胞、及び他の非小胞生物学的ナノ粒子及び分子のいずれかに含まれるRNAを検出することができた。この測定を実施するために、精液EVサンプルを膜色素(全てのEV及び非EV膜小胞を標識する)、抗CD63抗体(古典型のエキソソームマーカー)、及び膜透過性RNA色素(SYTO)で染色した。この結果は、存在する全ての膜小胞のうち、約15%のみがRNAを含有しており(
図19A)、存在する全てのRNA含有の生物学的粒子のうち、約35%のみが膜小胞内に存在していたことを示す(
図19B)。しかし、RNAが膜小胞内に含有される場合、これらの小胞のうちの約75%は、CD63として定義されるエキソソームであった(
図19C)。EVサイズとRNA含有量との間に有意な相関は見出されなかった(
図19D)。
【0298】
単一EV/ナノ粒子/分子流れ分析器によって提供されるこの能力は、単一EV/ナノ粒子の免疫学的表現型形成と、EV及び他の生物学的ナノ粒子のRNA含有量の追跡との、両方を可能にする。
【0299】
実施例12:単一ウイルス粒子分析
本実施例では、タンパク質コピー数及び核酸含有量を判定することによって、ウイルス粒子の完全性又は機能状態を判定することを記載する。
【0300】
ウイルス粒子内又はウイルス粒子上のタンパク質及び核酸は、先行の実施例、例えば実施例9及び11に記載されているように標識される。上記のように、蛍光標識されたウイルスタンパク質の単一分子強度分布を使用して、単一ウイルス粒子強度分布をデコンボリューションして、結合抗体の数を正確に判定する。更に、上記のように、核酸染色の蛍光強度は、ウイルス粒子に含有される核酸の存在又は不在又は量を報告する。膜含有ウイルス粒子については、上記のように、膜色素染色されたウイルス粒子の蛍光強度は、脂質膜の表面積に比例し、ウイルス粒子のサイズは、個々の粒子からの信号強度に基づいて判定することができる。
【0301】
次いで、判定された粒子タンパク質及び/又は核酸含有量、及び任意選択的にサイズを使用して、分析されたウイルス粒子が典型的な無傷又は機能的なウイルス粒子であるか、又は小さすぎて無傷ではなく、むしろウイルス粒子の一部分又はサブユニットであるか、又は非機能的なウイルス粒子(例えば、そうでなければ無傷なウイルス粒子であるが、空であり、核酸を含有しない)であるかを判定する。
【0302】
実施例13:蛍光単一粒子又は単一分子の直接計数による濃度の絶対定量化
本実施例では、本開示の実施形態による、デバイスを通過するそのような粒子又は分子の直接計数による、サンプル中の蛍光粒子又は分子の濃度の絶対定量化のための方法を実証する。
【0303】
本明細書で更に記載されるように、本開示のデバイスは、チャネルを通って流れる蛍光粒子又は分子の、本質的に全て又はほぼ全て(又は少なくとも90%超などの大きい割合)を検出するように構成されている。したがって、各粒子又は粒子の一部分の線形速度を高精度で抽出することも可能であり、これは、チャネルの断面を知ることとともに、対応する体積流量を判定することを可能にする。結果として、本開示のデバイスは、単一粒子計数を介した較正なしで、サンプル中のEV/生物学的ナノ粒子濃度の絶対定量化を提供するように構成されている(計数された粒子の数÷通って流れた体積)。この新たな能力は、EV、ウイルス、リポタンパク質(例えば、HDL、LDL、VLDL)、及び高分子錯体(例えば、循環RNA結合タンパク質、RNA顆粒、エキソメア)を含む生物学的ナノ粒子を研究する分野の研究者によって、広範囲に使用されることが見出される。例えば、この能力は、上記の実施例9~12に記載されるように、粒子又はEVの表現型(例えば、あるバイオマーカー(例えば、タンパク質)及び/若しくは核酸の、存在及び/若しくは不在及び/若しくは量、並びに/又は粒子のサイズに基づく)に基づいて、生物学的ナノ粒子又はEVの亜型の吸収濃度の判定を可能にする。
【0304】
図20A及び
図20Bは、蛍光ナノ粒子及び蛍光タンパク質分子の直接計数を示す。ここでは蛍光抗体が示されているが、本実施例の方法は、他の蛍光タンパク質、蛍光DNA、蛍光RNA、及び他の蛍光分子に適用可能である。
図20Aは、1.67×10
-18Mに対応する、1mL当たり10
6個の蛍光ナノ粒子までの測定値を示す。この制限は、実験実行時間によって設定される。本実施例では、サンプリング速度は10
4イベント/秒であり、したがって、この非常に低い濃度検出限界であっても、流速を増加させることによって拡張することができる。
図20Aに示されるおよそ4桁の範囲を、同じ流速を使用して実施した。
図20Bは、蛍光タンパク質分子(Alexa647共役したタンパク質)の同様の絶対定量化を示す。
【0305】
例解的な実施形態が例解及び記載されているが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更がその中で行われ得ることを理解されたい。
排他的権利又は特権が主張される本発明の実施形態は、以下のように定義される。
【国際調査報告】