(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】熱伝導性を伴う高電圧分離のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
H05K7/20 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519628
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 US2021053554
(87)【国際公開番号】W WO2022076399
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】デュベ,リチャード,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ランジェリエ,マーク,エス.
(72)【発明者】
【氏名】セフシク,ジュニア.,ポール エー.
(72)【発明者】
【氏名】ローザ,ジェイソン,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】カールステン,カーティス,ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャニク,マイケル,エフ.
(72)【発明者】
【氏名】フランクリン,ジュニア.,マーク,アール.
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA02
5E322AA03
5E322AA11
5E322AB01
5E322AB08
5E322FA05
(57)【要約】
システムは、互いに結合される第1スライス(101)及び第2スライス(102、103)を含む。各スライスは、電気絶縁材料で形成されるハウジング(110)と、ハウジングの各端部に配置されるセラミックプレート(130)と、セラミックプレートの各々の上に配置されるエンドプレート(135)を含む。各エンドプレートは、熱伝導性材料で形成される。システムはまた、第1スライス及び第2スライスに結合されるバックプレーンアセンブリ(120)も含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに結合される第1スライス及び第2スライスであって、各スライスが、
電気絶縁材料で形成されるハウジングと、
前記ハウジングの各端部に配置されるセラミックプレートと、
前記セラミックプレートの各々の上に配置されるエンドプレートであって、各エンドプレートは熱伝導性材料で形成される、エンドプレートと、
を含む、前記第1スライス及び前記第2スライスと、
前記第1スライス及び前記第2スライスに結合されるバックプレーンアセンブリと、
を備える、システム。
【請求項2】
各スライスの前記ハウジングは、ナイロンを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各エンドプレートは、アルミニウム合金を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1スライスの一方のエンドプレートは、前記第2スライスの一方のエンドプレートと整列されて接触する、
請求項1のシステム。
【請求項5】
前記第1スライス、前記第2スライス及び前記バックプレーンアセンブリは、当該システムが実質的に円筒形の全体形状を有するように配置される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
各スライスは、
動作時に熱エネルギーを発生するように構成される少なくとも1つの電気構成要素と、
当該スライス内に配置され、前記少なくとも1つの電気構成要素から前記セラミックプレートに熱エネルギーを伝達するように構成される、内部ヒートシンクと、
を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記バックプレーンアセンブリは、前記スライスのうちの少なくとも1つのスライスの対応するフィードスルーと整列し、密閉シールを形成する1つ以上のフィードスルーを備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
一緒に結合されるホテルパワースライス及び複数のアクセサリスライスであって、各スライスが、
電気絶縁材料で形成されるハウジングと、
前記ハウジングの各端部に配置されるセラミックプレートと、
前記セラミックプレートの各々の上に配置されるエンドプレートであって、各エンドプレートは熱伝導性材料で形成される、エンドプレートと、
を含む、前記ホテルパワースライス及び前記複数のアクセサリスライスと、
前記ホテルパワースライス及び前記複数のアクセサリスライスに結合されるバックプレーンアセンブリと、
を備える、システム。
【請求項9】
各スライスの前記ハウジングは、ナイロンを含む、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
各エンドプレートは、アルミニウム合金を含む、
請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記ホテルパワースライスの一方のエンドプレートは、前記複数のアクセサリスライスのうちの第1アクセサリスライスの一方のエンドプレートと整列されて接触する、
請求項8のシステム。
【請求項12】
前記ホテルパワースライス、前記複数のアクセサリスライス及び前記バックプレーンアセンブリは、当該システムが実質的に円筒形の全体形状を有するように配置される、
請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
各スライスは、
動作時に熱エネルギーを発生するように構成される少なくとも1つの電気構成要素と、
当該スライス内に配置され、前記少なくとも1つの電気構成要素から前記セラミックプレートに熱エネルギーを伝達するように構成される、内部ヒートシンクと、
を更に備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記バックプレーンアセンブリは、スライスのうちの少なくとも1つのスライスの対応するフィードスルーと整列し、密閉シールを形成する1つ以上のフィードスルーを備える、
請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
第1スライス及び第2スライスを提供するステップであって、各スライスが、電気絶縁材料で形成されるハウジングと、前記ハウジングの各端部に配置されるセラミックプレートと、前記セラミックプレートの各々の上に配置されるエンドプレートとを含み、各エンドプレートは熱伝導性材料で形成される、ステップと、
スライスを一緒に結合するステップと、
バックプレーンアセンブリを前記第1スライス及び前記第2スライスに取り付けるステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
各スライスの前記ハウジングは、ナイロンを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
各エンドプレートは、アルミニウム合金を含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記スライスを一緒に結合するステップは、
前記第1スライスの一方のエンドプレートを、前記第2スライスの一方のエンドプレートと整列させるステップと、
前記第1スライスの前記一方のエンドプレートを、前記第2スライスの前記一方のエンドプレートと結合するステップと、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第1スライス、前記第2スライス及び前記バックプレーンアセンブリは、実質的に円筒形の全体形状を有するように配置される、
請求項15に記載の方法。
【請求項20】
各スライスは、
動作時に熱エネルギーを発生するように構成される少なくとも1つの電気構成要素と、
当該スライス内に配置され、前記少なくとも1つの電気構成要素から前記セラミックプレートに熱エネルギーを伝達するように構成される、内部ヒートシンクと、
を更に備える、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に電力及び熱管理システムに関する。より具体的には、本開示は、熱伝導性を伴う高電圧分離のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱放散と高電圧分離を達成するために、油で満たされた容器又は乾燥絶縁管がしばしば使用されてきた。油で満たされた容器は、熱放散と高電圧分離の両方を達成する。しかしながら、そのような容器は、汚く、コストがかかり、再加工が難しく、環境に配慮していない。絶縁管は、高電圧分離のみを達成するが、熱伝達はほとんど又は全く提供しない。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、熱伝導性を伴う高電圧分離のためのシステム及び方法を提供する。
【0004】
第1実施形態において、システムは、互いに結合される第1スライス及び第2スライスを含む。各スライスは、電気絶縁材料で形成されるハウジングと、ハウジングの各端部(each end)に配置されるセラミックプレートと、セラミックプレートの各々の上に配置されるエンドプレートとを含む。各エンドプレートは熱伝導性材料で形成される。システムはまた、第1スライス及び第2スライスに結合されるバックプレーンアセンブリも含む。
【0005】
第2実施形態において、システムは、一緒に結合されるホテルパワースライス(hotel power slice)及び複数のアクセサリスライスを含む。各スライスは、電気絶縁材料で形成されるハウジングと、ハウジングの各端部に配置されるセラミックプレートと、セラミックプレートの各々の上に配置されるエンドプレートとを含む。各エンドプレートは熱伝導性材料で形成される。システムはまた、ホテルパワースライス及び複数のアクセサリスライスに結合されるバックプレーンアセンブリも含む。
【0006】
第3実施形態において、方法は、第1スライス及び第2スライスを提供するステップを含む。各スライスは、電気絶縁材料で形成されるハウジングと、ハウジングの各端部に配置されるセラミックプレートと、セラミックプレートの各々の上に配置されるエンドプレートとを含む。各エンドプレートは熱伝導性材料で形成される。方法は、スライスを一緒に結合するステップも含む。方法は更に、バックプレーンアセンブリを第1スライス及び第2スライスに取り付けるステップを含む。
【0007】
他の技術的特徴は、以下の図面、説明及び特許請求の範囲から当業者に容易に明らかになり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示のより完全な理解のために、以下の説明は添付の図面と併せて参照される。
【0009】
【
図1】本開示による、例示的な熱伝導性電気絶縁(TCEI:thermally conductive, electrically insulated)システムを示す図である。
【
図2】本開示による、例示的なTCEIシステムを示す図である。
【
図3】本開示による、例示的なTCEIシステムを示す図である。
【0010】
【
図4】本開示による、
図1から
図3の例示的な再構成可能な光アド・ドロップ・マルチプレクサ(ROADM:reconfigurable optical add drop multiplexer)及びホテルパワースライス(hotel power slice)の更なる詳細を示す図である。
【
図5】本開示による、
図1から
図3の例示的な再構成可能なROADM及びホテルパワースライスの更なる詳細を示す図である。
【
図6】本開示による、
図1から
図3の例示的な再構成可能なROADM及びホテルパワースライスの更なる詳細を示す図である。
【0011】
【
図7】本開示による、
図1から
図3の例示的なアクセサリスライスの更なる詳細を示す図である。
【
図8】本開示による、
図1から
図3の例示的なアクセサリスライスの更なる詳細を示す図である。
【
図9】本開示による、
図1から
図3の例示的なアクセサリスライスの更なる詳細を示す図である。
【0012】
【
図10】本開示による、
図1から
図3のスライスの各々の例示的な電気境界を示す図である。
【0013】
【
図11】本開示による、
図1から
図3のスライスのうちの例示的な1つのスライスの更なる詳細を示す図である。
【0014】
【
図12】本開示による、TCEIシステムを組み立てるための例示的な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下で説明される
図1から
図12及び本特許文書において本開示の原理を説明するために使用される様々な実施形態は、例示のみを目的としており、いかなるようにも本開示の範囲を限定するように解釈されるべきではない。当業者には、本開示の原理が、任意のタイプの適切に配置されたデバイス又はシステムにおいて実装されてもよいことが理解されよう。
【0016】
簡潔性及び明確性のために、一部の特徴及び構成要素は、他の図に関連して図示されるものを含め、必ずしもすべての図面において明示的に示されるわけではない。図面に図示されているすべての特徴は、説明される実施形態のいずれかにおいて採用されてもよいことが理解されよう。特定の図面からの特徴又は構成要素の省略は、簡潔性及び明確性のためであり、その特徴又は構成要素を、その図面に関連して説明される実施形態において採用することができないことを暗示することを意味しない。本開示の実施形態は、本明細書で説明される特徴のいずれか1つ、2つ以上又はすべてを含み得ることが理解されよう。また、本開示の実施形態は、本明細書に列挙されていない他の特徴を追加的又は代替的に含んでもよい。
【0017】
上記で議論したように、熱放散と高電圧分離を達成するために、油で満たされた容器又は乾燥絶縁管の両方がしばしば使用されてきた。油で満たされた容器は、熱放散と高電圧分離の両方を達成する。しかしながら、そのような容器は、汚く、コストがかかり、再加工が難しく、環境に配慮していない。絶縁管は、高電圧分離のみを達成するが、熱伝達はほとんど又は全く提供しない。
【0018】
本開示は、熱(熱エネルギー)を電子装置アセンブリ又は他の熱源から遠くへ熱伝導しながら、(給電分岐ユニットのような)閉環境において電子装置アセンブリ又は他の熱源を電気的に分離することを提供する。開示されるシステム及び方法は、コスト効率が良く、容易に生産可能であり、修理又はメンテナンスの場合に容易に再加工可能である。開示されるシステム及び方法は、閉容器内で油を使用することのない熱及び高電圧管理のためのソリューションを提供する。いくつかの実施形態では、開示されるシステム及び方法を、海底用途のために圧力容器内に電気通信機器を収容するために使用することができるが、任意の他の適切な用途は本開示の範囲内にある。
【0019】
図1から
図3は、本開示による、例示的な熱伝導性電気絶縁(TCEI)システム100を示す。特に、
図1は、TCEIシステム100の上部等角図を示し、
図2は、TCEIシステム100の下部等角図を示し、
図3は、TCEIシステム100の部分的な分解立体図を示す。いくつかの実施形態では、TCEIシステム100は、圧力容器の内側に挿入されるように構成され、圧力容器は、海底環境又は他の環境に沈められることがある。
【0020】
図1から
図3に示されるように、TCEIシステム100は、再構成可能な光アド・ドロップ・マルチプレクサ(ROADM)及びホテルパワースライス101と、複数のアクセサリスライス102~103を含む。TCEIシステム100は、2つのアクセサリスライス102~103を有するように示されているが、これは単に一例にすぎず、他の実施形態は、他の数のアクセサリスライス102~103を含んでもよい。TCEIシステム100の各端部は、エンドプレート115で覆われている。いくつかの実施形態では、各エンドプレート115は、6061-T6アルミニウム合金のようなアルミニウムで形成されるが、他の適切な材料も可能であり、本開示の範囲内である。いくつかの実施形態では、各エンドプレート115は、該エンドプレート115を、対応するスライス101、103に取り付けるための1つ以上の締結又はロック機構を含む。
【0021】
ROADM及びホテルパワースライス101は、TCEIシステム100の動作のために、1つ以上のROADM及び1つ以上のホテルパワー構成要素を収容するように構成される。いくつかの実施形態では、ROADM及びホテルパワースライス101は、1つ以上のプロセッサ、回路カードアセンブリ(CCA:circuit card assemblies)、ホテル電源(hotel power sources)、光ネットワーク構成要素、他の電子構成要素、他の熱源又はこれらの任意の組合せを収容することができる。これらの構成要素の1つ、一部又はすべては、海水接地(seawater ground)又は他の外部接地(external ground)とは異なる高電圧又は他の電位で動作することがあり、したがって、外部環境から電気的に絶縁する必要がある。また、これらの構成要素の1つ、一部又はすべては、過熱を防ぐためにROADM及びホテルパワースライス101の内部から放散される必要がある熱エネルギーを発生する可能性がある。本明細書において説明される実施形態は、1つのスライス101に配置されるROADM及びホテルパワー構成要素を含むが、これは単に一例にすぎない。他の実施形態では、ROADM及びホテルパワー構成要素を別個のスライスに収容することができる。
【0022】
各アクセサリスライス102~103は、該アクセサリスライス102~103自体から又はROADM及びホテルパワースライス101に配置される電源から電力を受け取る、1つ以上の電子構成要素又は他の熱源を収容するように構成される。いくつかの実施形態では、各アクセサリスライス102~103は、約1kWのスライスとして構成されるが、他の電力レベルも可能であり、本開示の範囲内である。ROADM及びホテルパワースライス101の場合と同様に、各アクセサリスライス102~103に配置される電子構成要素の1つ、一部又はすべては、海水接地又は他の外部接地とは異なる高電圧又は他の電位で動作することがあり、したがって、外部環境から電気的に絶縁する必要がある。また、各アクセサリスライス102~103に配置される電子構成要素の1つ、一部又はすべては、過熱を防ぐために、アクセサリスライス102~103の内部から放散される必要がある熱エネルギーを発生することがある。
【0023】
スライス101~103の各々を、独立に組み立てて密閉することができる。スライス101~103の各々は、電気絶縁性のハウジング110を含む。いくつかの実施形態では、ハウジング110はナイロンで形成されるが、他の電気絶縁材料も可能であり、本開示の範囲内である。各スライス101~103の端部には、セラミックプレート130及びエンドプレート135が配置される。各セラミックプレート130は、スライス101~103及び関連するエンドプレート135とともに配置される1つ以上の熱発生構成要素の間の熱経路を提供する。各セラミックプレート130は熱エネルギーの良好な導体であるが、各セラミックプレート130は、内部構成要素を外部環境から電気的に分離するように電気的に絶縁されている。いくつかの実施形態では、各セラミックプレート130は窒化ホウ素又は窒化アルミニウムで形成されるが、他の適切な材料も可能であり、本開示の範囲内である。各エンドプレート135は、関連するセラミックプレート130と圧力容器との間の熱経路を提供する。いくつかの実施形態では、各エンドプレート135は、6061-T6アルミニウム合金のようなアルミニウムで形成されるが、他の適切な材料も可能であり、本開示の範囲内である。
【0024】
この例では、TCEIシステム100の底面側にバックプレーンアセンブリ120がある。バックプレーンアセンブリ120は、該バックプレーンアセンブリ120と各スライス101~103との間に密閉シールを作成するように、スライス101~103の各々に結合される。バックプレーンアセンブリ120は、電気絶縁材料(ナイロン等)で形成され、スライス101~103の各々とTCEIシステム100の外部部分との間にケーブル、ワイヤ又は他のコネクタを通すために複数の高電圧導体及びファイバフィードスルー(fiber feedthroughs)125を含む。ケーブル、ワイヤ又はコネクタは、各スライス101~103内に配置される1つ以上の構成要素への又はこれらの構成要素からの電力、データ転送等を提供する。
【0025】
隣接するスライス101~103は、
図1に示されるように、隣接するスライス101~103のエンドプレート135も整列するように整列される。隣接するスライス101~103は、複数のスライス接合プレート140及び締結具145を使用すること等により、一緒に結合される。もちろん、
図1から
図3に示されるスライス接合プレート140及び締結具145は単なる例であり、他の接合機構も可能であり、本開示の範囲内である。バックプレーンアセンブリ120は、TCEIシステム100の実質的に円筒形の全体形状を形成するよう、
図1及び
図2に示されるように、隣接するスライス101~103に取り付けられる。TCEI100の実質的に円筒形の形状は、圧力容器へのTCEIシステム100の容易な装填を可能にする。
【0026】
図4から
図6は、本開示による、
図1から
図3の例示的なROADM及びホテルパワースライス101の更なる詳細を示す。特に、
図4は、ROADM及びホテルパワースライス101の分解図を示し、
図5は、ROADM及びホテルパワースライス101の断面図を示し、
図6は、
図4とは反対の角度からのROADM及びホテルパワースライス101の等角図を示す。
図4から
図6に示されるように、ROADM及びホテルパワースライス101は、各端部に配置されるセラミックプレート130とエンドプレート135を含む。各セラミックプレート130は、上記で議論したように電気絶縁層として提供される。
【0027】
1つ以上の熱発生構成要素405が、ROADM及びホテルパワースライス101のキャビティ410内に配置される。動作中、熱発生構成要素405は、該熱発生構成要素405の過熱を避けるために放散される必要がある熱エネルギーを発生させる可能性がある。上記で議論したように、熱発生構成要素405は、高電圧で動作する1つ以上の電気構成要素を含むことがある。例えば熱発生構成要素405は、海水接地又は他の外部接地に対して約10~15kVで動作することがある。ROADM及びホテルパワースライス101の構造は、高電圧の熱発生構成要素405に対して電気的分離環境を提供しながら、熱エネルギーをキャビティ410から外へ伝達することを可能にする。
【0028】
キャビティ410の周囲には内部ヒートシンク420がある。内部ヒートシンク420は、熱発生構成要素405によって発生した熱エネルギーを吸収する。その後、熱エネルギーは、内部ヒートシンクからセラミックプレート130に伝達される。いくつかの実施形態では、内部ヒートシンク420は、6061-T6アルミニウム合金のようなアルミニウムで形成されるが、他の適切な材料も可能であり、本開示の範囲内である。
図4の矢印で一般的に示されるように、熱エネルギーの熱経路は、熱発生構成要素405から内部ヒートシンク420へ、次いでセラミックプレート130へ、そしてエンドプレート135へ、その後、外部環境への熱エネルギーの放散のために周囲の圧力容器へと続く。
【0029】
ROADM及びホテルパワースライス101の円周端の周りに形成されるシール415は、キャビティ410が密閉され、外部環境から電気的に絶縁されることを確実にする。いくつかの実施形態では、シール415は、ニトリルなどの合成ゴムで形成されるOリングであるが、他の適切な材料も可能であり、本開示の範囲内である。
【0030】
ROADM及びホテルパワースライス101は、優れた熱伝導性(約78~180W/mK等)と優れた電気絶縁性(約15kV/mm超等)を示す。アクセサリスライス102~103の設計及び構成要素は、
図7から
図9に関連して議論されるように、ROADM及びホテルパワースライス101のものと同様であり得る。
【0031】
図7から
図9は、本開示による、
図1から
図3の例示的なアクセサリスライス102~103の更なる詳細を示す。特に、
図7は、各アクセサリスライス102~103の断面図を示し、
図8は、各アクセサリスライス102~103の前面等角図を示し、
図9は、各アクセサリスライス102~103の背面等角図を示す。
図7から
図9に示されるように、各アクセサリスライス102~103は、ROADM及びホテルパワースライス101の対応する構成要素と同じ又は同様であり得る複数の構成要素を含む。例えば各アクセサリスライス102~103は、1つ以上の熱発生構成要素405を収容するキャビティ410を含む。キャビティ410の周囲には内部ヒートシンク420があり、内部ヒートシンク420は、セラミックプレート130及びエンドプレート135に結合される。内部ヒートシンク420は、熱発生構成要素405によって発生した熱エネルギーを吸収する。熱エネルギーは、セラミックプレート130へ、次いでエンドプレート135へ、そして外部環境への熱エネルギーの放散のために周囲の圧力容器へと伝達される。
【0032】
図10は、本開示による、
図1から
図3のスライス101~103の各々の例示的な電気境界を示す。
図10に示されるように、スライス101~103のうちの1つのスライスの断面図が示されている。線1001は一般に、内部電位のエリアを示す。線1001の内側では、熱発生構成要素405のような1つ以上の構成要素の電位は、一例として、海水接地又は他の外部接地に対して約10~15kVであり得る。線1002は一般に、海水接地又は他の外部接地のような外部電位のエリアを示す。線1003は一般に、内部電位と外部電位との間の電気的分離領域を示す。スライス101~103では、電気的分離領域は、ハウジング110、バックプレーンアセンブリ120及びセラミックプレート130によって形成される。
【0033】
図11は、本開示による、
図1から
図3のスライス101~103のうちの例示的な1つのスライスの更なる詳細を示す。
図11に示されるように、スライス101~103は、バックプレーンアセンブリ120の一部を受け取るように形成される、はめ込み領域(inset region)1105を含む。また、スライス101~103の表面の充電ポート1110は、内部部分を1以上のガス又は液体で埋め戻すため、あるいは内部部分を排気して真空又は部分的な真空を生成するために、スライス101~103の内部部分にアクセスすることを可能にする。充電ポート1110上のカバーは、スライス101~103の内部部分の電気的分離を維持するために、ナイロン又は別の電気絶縁材料で形成されることができる。
【0034】
はめ込み領域1105の表面には、コネクタ1120(ワイヤ、ケーブル等)をスライス101~103の内部構成要素(1つ以上の熱発生構成要素405等)へ通すための複数のフィードスルー1115が含まれる。スライス101~103がバックプレーンアセンブリ120に接続されると、フィードスルー1115は、バックプレーンアセンブリ120の対応するフィードスルー125と整列して密閉シールを形成し、したがって、内部構成要素の電気的分離を確実にすることができる。
【0035】
図1から
図11は、TCEIシステム100の一例及び関連する詳細を示しているが、
図1から
図11に様々な変更が加えられてもよい。例えばTCEIシステム100とその個々の構成要素は、任意の適切なサイズ、形状及び寸法を有してよい。また、TCEIシステム100の様々な構成要素を組み合わせ、更に細分化し、複製し、再配置し又は省略してもよく、特定のニーズに応じて追加の構成要素を追加してもよい。
【0036】
図12は、本開示によるTCEIシステムを組み立てるための例示的な方法1200を示す。説明の容易性のために、方法1200は、
図1から
図3のTCEIシステム100を使用して実行されるものとして説明される。しかしながら、方法1200は、他の適切なデバイス又はシステムとともに使用されてよい。
【0037】
図12に示されるように、ステップ1202において、第1スライス及び第2スライスが提供される。これは、例えばROADM及びホテルパワースライス101と、アクセサリスライス102~103のうちの少なくとも1つとを提供することを含むことがある。各スライスは、電気絶縁材料で形成されるハウジングと、ハウジングの各端部に配置されるセラミックプレートと、セラミックプレートの各々の上に配置されるエンドプレートを含むことができる。各エンドプレートを、熱伝導性材料で形成することができる。
【0038】
ステップ1204において、スライスが結合される。これは、例えばROADM及びホテルパワースライス101と、アクセサリスライス102~103のうちの少なくとも1つとを一緒に結合することを含むことがある。スライスが一緒に結合されるとき、例えば両エンドプレート135が整列するように、第1スライスの一方のエンドプレートを、第2スライスの一方のエンドプレートと整列して接触させることができる。
【0039】
ステップ1206において、バックプレーンアセンブリが、第1スライス及び第2スライスに取り付けられる。これは、例えばバックプレーンアセンブリ120を、ROADM及びホテルパワースライス101と、アクセサリスライス102~103に取り付けることを含むことがある。第1スライス、第2スライス及びバックプレーンアセンブリが一緒に組み立てられると、TCEIシステム100は実質的に円筒形の全体形状を有することができる。
【0040】
図12は、TCEIシステムを組み立てるための方法1200の一例を示すが、
図12に様々な変更が加えられてよい。例えば一連のステップとして示されているが、
図12に示される様々なステップが重複してもよく、並行して起こってもよく、異なる順序で起こってもよく、複数回起こってもよい。また、いくつかのステップを組み合わせるか又は削除してもよく、特定のニーズに応じて追加のステップが追加されてもよい。
【0041】
本特許文書全体で使用される特定の単語及びフレーズの定義を記載することが有利なことがある。「含む(include)」及び「備える(comprise)」という用語及びその派生語は、限定されない包含を意味する。「又は(or)」という用語は、包括的であり、及び/又は、を意味する。「関連付けられる(associated with)」というフレーズ並びにその派生語は、含む、含まれる、~内に含まれる、~と相互接続する、包含する、~内に包含される、~と接続する、~に又は~と結合する、~と通信可能である、~と協調する、インターリーブする、並列する、~と隣接する、~に又は~と結合される、有する、~の特性を有する、~への又は~との関係を有すること等を意味する。「のうちの少なくとも1つ(at least one of)」というフレーズは、アイテムのリストとともに使用されるとき、列挙されたアイテムの1つ以上の異なる組合せが使用されてよく、リスト内の1つのアイテムのみが必要とされることがあることを意味する。例えば「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」は、以下の組合せ、すなわち、A、B、C、AとB、AとC、BとC及びAとBとCのいずれかを含む。
【0042】
本出願の説明は、任意の特定の要素、ステップ又は機能が、特許請求の範囲に含まれなければならない必須又は重要な要素であることを意味するものとして解釈されるべきではない。特許請求に係る主題の範囲は、許可された請求項によってのみ定義される。さらに、「のための手段(means for)」又は「のためのステップ(step for)」という正確な単語が特定の請求項において明示的に使用され、その後に機能を識別する分詞句が続く場合を除いて、いずれの請求項も、添付の請求項又は請求項の要素のいずれかに関して35U.S.C.§112(f)を援用するように意図されない。請求項内の「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「構成要素」、「要素」、「メンバ」、「装置」、「機械」又は「システム」のような用語(これらに限定されないが)の使用は、請求項自体の特徴によって更に修正又は強調されるように、関連する技術分野の当業者に公知の構造を指すように理解され意図されており、35U.S.C.§112(f)を援用するようには意図されていない。
【0043】
本開示は、特定の実施形態及び一般的に関連する方法を説明してきたが、これらの実施形態及び方法の変更及び置換は、当業者には明らかである。したがって、例示的な実施形態の上記の説明は、本開示を定義又は制約しない。以下の特許請求の範囲によって定義されるように、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、他の改変、代替及び変更も可能である。
【国際調査報告】