(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】皮下投与のための(S)-イソプロピル2-((S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパンアミド)-6-ジアゾ-5-オキソヘキサノエートを含む凍結乾燥組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 9/19 20060101AFI20231114BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20231114BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20231114BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20231114BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20231114BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20231114BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20231114BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231114BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231114BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231114BHJP
【FI】
A61K9/19
A61K31/404
A61K47/38
A61K47/34
A61K47/24
A61K47/22
A61K9/10
A61K39/395 N
A61P35/00
A61K47/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520066
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 US2021053159
(87)【国際公開番号】W WO2022072820
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522132133
【氏名又は名称】ドラセン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ダイクストラ スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】エリオット ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】エストク トーマス エム.
(72)【発明者】
【氏名】ギャラント スチュアート アール.
(72)【発明者】
【氏名】ワイルド ロバート クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】シュ ジャンミン
(72)【発明者】
【氏名】ヘーベル ヘンリー アケン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA30
4C076BB16
4C076CC27
4C076DD38A
4C076DD63F
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4C085AA14
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4C085EE01
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4C085GG04
4C086AA01
4C086AA10
4C086BC13
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA23
4C086MA44
4C086MA66
4C086NA03
4C086NA10
4C086ZB26
(57)【要約】
本開示は、対象へ皮下投与するための、(S)-イソプロピル2-((S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパンアミド)-6-ジアゾ-5-オキソヘキサノエートを含む凍結乾燥物、ならびにその薬学的組成物、薬学的製剤、および使用を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約20%wt/wt~約45%wt/wtの(S)-イソプロピル2-((S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパンアミド)-6-ジアゾ-5-オキソヘキサノエートと、約35%wt/wt~約55%wt/wtの増量剤とを含む、凍結乾燥物。
【請求項2】
約1%wt/wt~約10%wt/wtのセルロース系懸濁調節剤をさらに含む、請求項1記載の凍結乾燥物。
【請求項3】
約1%wt/wt~約5%wt/wtのポロキサマー系懸濁調節剤をさらに含む、請求項1または2記載の凍結乾燥物。
【請求項4】
約10%wt/wt~約20%wt/wtのレシチン系懸濁調節剤をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項記載の凍結乾燥物。
【請求項5】
約0.5%wt/wt~約2.5%wt/wtの緩衝剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項記載の凍結乾燥物。
【請求項6】
(i)約20%wt/wt~約30%wt/wtの(S)-イソプロピル2-((S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパンアミド)-6-ジアゾ-5-オキソヘキサノエート;
(ii)約45%wt/wt~約55%wt/wtの増量剤;
(iii)約1%wt/wt~約9%wt/wtのセルロース系懸濁調節剤;
(iv)約1%wt/wt~約4%wt/wtのポロキサマー系懸濁調節剤;
(v)約12%wt/wt~約20%wt/wtのレシチン系懸濁調節剤;および
(vi)約1%wt/wt~約2%wt/wtの緩衝剤
を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の凍結乾燥物。
【請求項7】
約25.1%wt/wtの(S)-イソプロピル2-((S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパンアミド)-6-ジアゾ-5-オキソヘキサノエートを含む、請求項1~6のいずれか一項記載の凍結乾燥物。
【請求項8】
約50.2%wt/wtの増量剤を含む、請求項1~7のいずれか一項記載の凍結乾燥物。
【請求項9】
約3.3%wt/wtのセルロース系懸濁調節剤を含む、請求項1~8のいずれか一項記載の凍結乾燥物。
【請求項10】
約2.8%wt/wtのポロキサマー系懸濁調節剤を含む、請求項1~9のいずれか一項記載の凍結乾燥物。
【請求項11】
約16.8%wt/wtのレシチン系懸濁調節剤を含む、請求項1~10のいずれか一項記載の凍結乾燥物。
【請求項12】
約1.7%wt/wtの緩衝剤を含む、請求項1~11のいずれか一項記載の凍結乾燥物。
【請求項13】
増量剤が、マンニトールである、請求項1~12のいずれか一項記載の凍結乾燥物。
【請求項14】
セルロース系懸濁調節剤が、カルボキシメチルセルロースナトリウムである、請求項1~13のいずれか一項記載の凍結乾燥物。
【請求項15】
ポロキサマー系懸濁調節剤が、ポロキサマー188(エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体)である、請求項1~14のいずれか一項記載の凍結乾燥物。
【請求項16】
レシチン系懸濁調節剤が、大豆レシチンである、請求項1~15のいずれか一項記載の凍結乾燥物。
【請求項17】
緩衝剤が、ヒスチジンである、請求項1~16のいずれか一項記載の凍結乾燥物。
【請求項18】
(i)約62.5mgの(S)-イソプロピル2-((S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパンアミド)-6-ジアゾ-5-オキソヘキサノエート;
(ii)約125mgのマンニトール;
(iii)約8.3mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム;
(iv)約7.1mgのポロキサマー188(NF);
(v)約41.7mgの大豆レシチン;および
(vi)約4.3mgのヒスチジン
を含む、請求項1記載の凍結乾燥物。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項記載の凍結乾燥物を含む薬学的組成物であって、
凍結乾燥物が、薬学的に許容される担体に懸濁している、薬学的組成物。
【請求項20】
薬学的に許容される担体が、水を含む、請求項19記載の薬学的組成物。
【請求項21】
(S)-イソプロピル2-((S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパンアミド)-6-ジアゾ-5-オキソヘキサノエートの濃度が、約20mg/mL~約60mg/mLである、請求項19または20記載の薬学的組成物。
【請求項22】
(S)-イソプロピル2-((S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパンアミド)-6-ジアゾ-5-オキソヘキサノエートの濃度が、約25mg/mLである、請求項21記載の薬学的組成物。
【請求項23】
懸濁液中の(S)-イソプロピル2-((S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパンアミド)-6-ジアゾ-5-オキソヘキサノエートの平均粒度分布が、約1μm~約30μmである、請求項19~22のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項24】
治療有効量の、請求項19~23のいずれか一項記載の薬学的組成物を、対象へ投与する工程を含む、その必要のある対象においてがんを処置するための方法。
【請求項25】
がんが、固形腫瘍である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
がんが、血液がんである、請求項24記載の方法。
【請求項27】
がんが、表1に記載されたがんのうちの1つまたは複数である、請求項24記載の方法。
【請求項28】
がんが、肝細胞癌、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、メラノーマ、または結腸直腸がんである、請求項24記載の方法。
【請求項29】
がんが、結腸直腸がん、乳がん、リンパ腫、メラノーマ、腎臓がん、または肺がんである、請求項24記載の方法。
【請求項30】
がんが、進行固形腫瘍、非小細胞肺がん、または頭頸部扁平上皮癌である、請求項24記載の方法。
【請求項31】
薬学的組成物が、対象へ皮下投与される、請求項24~30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
薬学的組成物が、間欠投薬スケジュールに従って対象へ投与される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
薬学的組成物が、週2回、連続しない日に対象へ投与される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
1つまたは複数の任意選択の治療剤を対象へ投与する工程をさらに含む、請求項24~33のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
1つまたは複数の任意選択の治療剤が、1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤を含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、TIM3阻害剤、もしくはTIGIT阻害剤、またはそれらの組み合わせを含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体を含む、請求項36記載の方法。
【請求項38】
抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、STI-A1110、(スパルタリズマブ)、JTX-4014、シンチリマブ、MEDI 0680、AGEN2034、BGB-A317、AB122、ドスタルリマブ、PF-06801591、セミプリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、SYM021、JNJ 63723283、HLX10、LZM009、またはMGA012である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-L1抗体を含む、請求項35~38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
抗PD-L1抗体が、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、KN035、またはSTI-A1014である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗CTLA-4抗体を含む、請求項35~40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
抗CTLA-4抗体が、イピリムマブまたはトレメリムマブである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗LAG3抗体を含む、請求項35~42のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
抗LAG3抗体が、GSK2831781である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗TIM3抗体を含む、請求項35~44のいずれか一項記載の方法。
【請求項46】
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗TIGIT抗体を含む、請求項35~45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
抗TIGIT抗体が、ビボストリマブ(MK-7684)、チラゴルマブ(RG6058)、EOS-448、BMS-986207、BGB-A1217、MTIG7192A、AB154、ASP8374、またはMK-7684である、請求項46記載の方法。
【請求項48】
がんが、少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して抵抗性であるか、または抵抗性になっている、請求項35~47のいずれか一項記載の方法。
【請求項49】
容器内に1単位用量としてパッケージングされた、請求項1~18のいずれか一項記載の凍結乾燥物
を含む、キット。
【請求項50】
薬学的組成物を与えるための凍結乾燥物の溶媒への懸濁についての説明書
をさらに含む、請求項49記載のキット。
【請求項51】
請求項24~48のいずれか一項記載の方法によるキットの使用方法についての説明書を含む表示
をさらに含む、請求項49または50記載のキット。
【請求項52】
表示が、アメリカ食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)、中国の国家食品薬品監督管理局(CFDA)、または日本の厚生労働省(MHLW)によって認可されている、請求項51記載のキット。
【請求項53】
(i)(S)-イソプロピル2-((S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパンアミド)-6-ジアゾ-5-オキソヘキサノエートと増量剤と水とを含む凍結乾燥前溶液を調製する工程;
(ii)凍結するか、または部分的に凍結するまで、凍結乾燥前溶液を冷却する工程;および
(iii)凍結乾燥物を与えるため、凍結した、または部分的に凍結した凍結乾燥前溶液に真空を適用する工程
を含む、請求項1記載の凍結乾燥物を作製する方法。
【請求項54】
増量剤が、マンニトールである、請求項54記載の方法。
【請求項55】
凍結乾燥前溶液が、エタノールをさらに含む、請求項53または54記載の方法。
【請求項56】
凍結乾燥前溶液が、t-ブタノールをさらに含む、請求項53~55のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
凍結乾燥前溶液が、カルボキシメチルセルロースナトリウムをさらに含む、請求項53~56のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
凍結乾燥前溶液が、ポロキサマー188をさらに含む、請求項53~57のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
凍結乾燥前溶液が、大豆レシチンをさらに含む、請求項53~58のいずれか一項記載の方法。
【請求項60】
凍結乾燥前溶液が、L-ヒスチジンをさらに含む、請求項53~59のいずれか一項記載の方法。
【請求項61】
凍結乾燥物を溶媒に懸濁させる工程を含む、請求項19記載の薬学的組成物を作製する方法。
【請求項62】
溶媒が、水を含む、請求項61記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン(DON)は、多様な疾患、例えば、がんを処置するため、前臨床モデルにおいて有望な活性を示しているグルタミン拮抗薬である。例えば、Ahluwalia et al.,Pharmac The.46:243-371(1990)(非特許文献1)を参照されたい。しかし、DONの臨床開発は、ヒトにおける、具体的には、腸上皮における用量規制毒性によって妨げられている。例えば、Rosenfeld and Roberts,Cancer Research 41:1324-1328(1981)(非特許文献2)、およびLynch et al.,Am J Clin Oncol(CCT)5:541-543(1982)(非特許文献3)を参照されたい。DONをプロドラッグとして投与することで、この毒性の軽減を助けることができる。
【0002】
US 10,336,778 B2(特許文献1)は、がんおよびその他の疾患の処置のための、(S)-イソプロピル2-((S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパンアミド)-6-ジアゾ-5-オキソヘキサノエート(「化合物1」)およびその他のDONプロドラッグを開示している。その必要のある対象への皮下投与のための、化合物1を含む薬学的組成物が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Ahluwalia et al.,Pharmac The.46:243-371(1990)
【非特許文献2】Rosenfeld and Roberts,Cancer Research 41:1324-1328(1981)
【非特許文献3】Lynch et al.,Am J Clin Oncol(CCT)5:541-543(1982)
【発明の概要】
【0005】
1つの局面において、本開示は、その必要のある対象への皮下投与のための、化合物1を含む凍結乾燥物を提供する。
【0006】
別の局面において、本開示は、化合物1と、増量剤、例えば、マンニトールとを含む、凍結乾燥物を提供する。
【0007】
別の局面において、本開示は、化合物1と、セルロース系懸濁調節剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムとを含む、凍結乾燥物を提供する。
【0008】
別の局面において、本開示は、化合物1と、ポロキサマー系懸濁調節剤、例えば、ポロキサマー188とを含む、凍結乾燥物を提供する。
【0009】
別の局面において、本開示は、化合物1と、レシチン系懸濁調節剤、例えば、大豆レシチンとを含む、凍結乾燥物を提供する。
【0010】
別の局面において、本開示は、化合物1と、緩衝剤、例えば、L-ヒスチジンとを含む、凍結乾燥物を提供する。
【0011】
別の局面において、本開示は、薬学的に許容される賦形剤、例えば、溶媒、例えば、水に懸濁した、化合物1を含む凍結乾燥物を含む薬学的組成物を提供する。
【0012】
別の局面において、本開示は、化合物1を含む凍結乾燥物を含む治療有効量の薬学的組成物を、皮下投与する工程を含む、その必要のある対象においてがんを処置するための方法を提供する。
【0013】
別の局面において、本開示は、化合物1を含む凍結乾燥物を作製する方法を提供する。
【0014】
別の局面において、本開示は、化合物1を含む凍結乾燥物を含む薬学的組成物を作製する方法を提供する。
【0015】
別の局面において、本開示は、
バイアル内に1単位用量としてパッケージングされた、化合物1を含む凍結乾燥物
を含む、キット
を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】化合物1を含む5つの凍結乾燥物の凍結乾燥ケーキの外観を示す図である。
【
図2】2.5mLの注射用水に懸濁した、化合物1を含む薬学的組成物の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
I. 本開示の凍結乾燥物
1つの態様において、本開示は、その必要のある対象への皮下投与のための、化合物1を含む凍結乾燥物を提供する。
【0018】
別の態様において、本開示は、化合物1と増量剤とを含む、凍結乾燥物を提供する。別の態様において、化合物1/増量剤の重量比は、約5~約0.05である。別の態様において、化合物1/増量剤の重量比は、約3~約0.1である。別の態様において、化合物1/増量剤の重量比は、約1~約0.2である。別の態様において、化合物1/増量剤の重量比は、約3、約2、約1、約0.9、約0.8、約0.7、約0.6、約0.5、約0.4、約0.3、約0.2、または約0.1である。別の態様において、増量剤は、マンニトールである。
【0019】
別の態様において、本開示は、化合物1とセルロース系懸濁調節剤とを含む、凍結乾燥物を提供する。別の態様において、化合物1/セルロース系懸濁調節剤の重量比は、約25~約0.3である。別の態様において、化合物1/セルロース系懸濁調節剤の重量比は、約15~約0.5である。別の態様において、化合物1/セルロース系懸濁調節剤の重量比は、約10~約1である。別の態様において、化合物1/セルロース系懸濁調節剤の重量比は、約5~約2である。別の態様において、化合物1/セルロース系懸濁調節剤の重量比は、約10、約9、約8、約7.5、約7、約6、約5、約4、約3、約2.7、約2、または約1である。別の態様において、セルロース系懸濁調節剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【0020】
別の態様において、本開示は、化合物1とポロキサマー系懸濁調節剤とを含む、凍結乾燥物を提供する。別の態様において、化合物1/ポロキサマー系懸濁調節剤の重量比は、約80~約1である。別の態様において、化合物1/ポロキサマー系懸濁調節剤の重量比は、約40~約2である。別の態様において、化合物1/ポロキサマー系懸濁調節剤の重量比は、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8.8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2である。別の態様において、ポロキサマー系懸濁調節剤は、ポロキサマー188(ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体)である。
【0021】
別の態様において、本開示は、化合物1とレシチン系懸濁調節剤とを含む、凍結乾燥物を提供する。別の態様において、化合物1/レシチン系懸濁調節剤の重量比は、約15~約0.15である。別の態様において、化合物1/レシチン系懸濁調節剤の重量比は、約8~約0.3である。別の態様において、化合物1/レシチン系懸濁調節剤の重量比は、約5~約0.6である。別の態様において、化合物1/レシチン系懸濁調節剤の重量比は、約3~約1である。別の態様において、化合物1/レシチン系懸濁調節剤の重量比は、約5、約4、約3、約2、約1.5、約1、約0.6である。別の態様において、レシチン系懸濁調節剤は、大豆レシチンである。
【0022】
別の態様において、本開示は、化合物1と緩衝剤とを含む、凍結乾燥物を提供する。別の態様において、化合物1/緩衝剤の重量比は、約50~約1である。別の態様において、化合物1/緩衝剤の重量比は、約25~約10である。別の態様において、化合物1/緩衝剤の重量比は、約20~約15である。別の態様において、化合物1/緩衝剤の重量比は、約25、約24、約23、約22、約21、約20、約21、約20、約19、約18、約17.4、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、または約10である。別の態様において、緩衝剤は、L-ヒスチジンである。
【0023】
別の態様において、本開示は、化合物1と、増量剤と、セルロース系懸濁調節剤、ポロキサマー系懸濁調節剤、またはレシチン系懸濁調節剤のうちの少なくとも1種とを含み、任意で、緩衝剤を含む凍結乾燥物を提供する。
【0024】
別の態様において、本開示は、化合物1と、増量剤と、セルロース系懸濁調節剤、ポロキサマー系懸濁調節剤、またはレシチン系懸濁調節剤のうちの少なくとも2種とを含み、任意で、緩衝剤を含む凍結乾燥物を提供する。
【0025】
別の態様において、本開示は、化合物1と、増量剤と、セルロース系懸濁調節剤と、ポロキサマー系懸濁調節剤と、レシチン系懸濁調節剤とを含み、任意で、緩衝剤を含む凍結乾燥物を提供する。
【0026】
別の態様において、本開示は、約20%wt/wt~約45%wt/wtの化合物1と、約35%wt/wt~約55%wt/wtの増量剤とを含む、凍結乾燥物を提供する。
【0027】
別の態様において、本開示は、化合物1と、マンニトールと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、ポロキサマー188と、大豆レシチンとを含み、任意で、L-ヒスチジンを含む凍結乾燥物を提供する。
【0028】
別の態様において、本開示は、約10mg~約120mgの化合物1を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約20mg~約110mgの化合物1を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約30mg~約100mgの化合物1を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約40mg~約90mgの化合物1を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約50mg~約80mgの化合物1を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約60mg~約70mgの化合物1を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約42mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約62.5、約65mg、約67.5、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、または約120mgの化合物1を含む凍結乾燥物を提供する。
【0029】
別の態様において、本開示は、約5mg~約250mgの増量剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約60mg~約210mgの増量剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約70mg~約200mgの増量剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約80mg~約190mgの増量剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約90mg~約180mgの増量剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約100mg~約170mgの増量剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約110mg~約160mgの増量剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約120mg~約150mgの増量剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約125mg~約140mgの増量剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200mg、約205mg、約210mg、約215mg、または約220mgの増量剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、増量剤は、マンニトールである。
【0030】
別の態様において、本開示は、約1mg~約100mgのセルロース系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約5mg~約75mgのセルロース系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約5mg~約50mgのセルロース系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約5mg~約10mgのセルロース系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約20mg~約30mgのセルロース系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約21mg、約22mg、約23mg、約24mg、約25mg、約25.2mg、約26mg、約27mg、約28mg、約29mg、約30mg、約31mg、約32mg、約33mg、約34mg、約35mg、約36mg、約37mg、約38mg、約39mg、約40mg、約41mg、約42mg、約43mg、約44mg、約45mg、約46mg、約47mg、約48mg、約49mg、または約50mgのセルロース系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、セルロース系懸濁調節剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【0031】
別の態様において、本開示は、約0.5mg~約70mgのポロキサマー系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約1mg~約40mgのポロキサマー系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約2mg~約30mgのポロキサマー系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約3mg~約20mgのポロキサマー系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約4mg~約10mgのポロキサマー系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約7.65mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、または約20mgのポロキサマー系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、ポロキサマー系懸濁調節剤は、ポロキサマー188である。
【0032】
別の態様において、本開示は、約1mg~約100mgのレシチン系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約10mg~約80mgのレシチン系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約20mg~約70mgのレシチン系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約30mg~約60mgのレシチン系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約40mg~約50mgのレシチン系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約30mg、約31mg、約32mg、約33mg、約34mg、約35mg、約36mg、約37mg、約38mg、約39mg、約40mg、約41mg、約42mg、約43mg、約44mg、約45mg、約46mg、約47mg、約48mg、約49mg、約50mg、約51mg、約52mg、約53mg、約54mg、約55mg、約56mg、約57mg、約58mg、約59mg、または約60mgのレシチン系懸濁調節剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、レシチン系懸濁調節剤は、大豆レシチンである。
【0033】
別の態様において、本開示は、約0.1mg~約20mgの緩衝剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約0.5mg~約15mgの緩衝剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約1mg~約10mgの緩衝剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約2mg~約8mgの緩衝剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約3mg~約5mgの緩衝剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、本開示は、約0.1mg、約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約3.9mg、約4mg、約4.5mg、約5mg、約5.5mg、約6mg、約6.5mg、約7mg、約7.5mg、約8mg、約8.5mg、約9mg、約9.5mg、約10mg、約10.5mg、約11mg、約11.5mg、約12mg、約12.5mg、約13mg、約13.5mg、約14mg、約14.5mg、または約15mgの緩衝剤を含む凍結乾燥物を提供する。別の態様において、緩衝剤は、L-ヒスチジンである。
【0034】
本開示は、以下の具体的な態様を提供する。
態様I.
対象への皮下投与のための、約60mg~約70mgの化合物1を含む凍結乾燥物。
態様II.
約125mg~約140mgの増量剤、例えば、マンニトールを含む、態様Iの凍結乾燥物。
態様III.
約8mg~約30mgのセルロース系懸濁調節剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む、態様IまたはIIの凍結乾燥物。
態様IV.
約5mg~約10mgのポロキサマー系懸濁調節剤、例えば、ポロキサマー188を含む、態様I~IIIのいずれか1つの凍結乾燥物。
態様V.
約40mg~約50mgのレシチン系懸濁調節剤、例えば、大豆レシチンを含む、態様I~IVのいずれか1つの凍結乾燥物。
態様VI.
約2mg~約5mgの緩衝剤、例えば、L-ヒスチジンを含む、態様I~Vのいずれか1つの凍結乾燥物。
【0035】
本開示は、以下の具体的な態様を提供する。
態様I-A.
対象への皮下投与のための、約110mg~約130mgの化合物1を含む凍結乾燥物。
態様II-A.
約110mg~約250mgの増量剤、例えば、マンニトールを含む、態様I-Aの凍結乾燥物。
態様III-A.
約5mg~約30mgのセルロース系懸濁調節剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む、態様I-AまたはII-Aの凍結乾燥物。
態様IV-A.
約5mg~約15mgのポロキサマー系懸濁調節剤、例えば、ポロキサマー188を含む、態様I-A~III-Aのいずれか1つの凍結乾燥物。
態様V-A.
約40mg~約90mgのレシチン系懸濁調節剤、例えば、大豆レシチンを含む、態様I-A~IV-Aのいずれか1つの凍結乾燥物。
態様VI-A.
約2mg~約10mgの緩衝剤、例えば、L-ヒスチジンを含む、態様I-A~V-Aのいずれか1つの凍結乾燥物。
【0036】
本開示の(L1~L5と命名された)代表的な凍結乾燥物は、化合物1と、マンニトールと、NaCMCと、ポロキサマー188(NF)と、ヒスチジンと、大豆レシチンとを、以下の量、含む。
【0037】
別の態様において、凍結乾燥物の含水量は、カールフィッシャー法によって決定されるように、約4%以下である。別の態様において、凍結乾燥物の含水量は、約3%以下である。別の態様において、凍結乾燥物の含水量は、約2%以下である。別の態様において、凍結乾燥物の含水量は、約1%以下である。別の態様において、凍結乾燥物の含水量は、約0.9%である。別の態様において、凍結乾燥物の含水量は、約0.8%である。別の態様において、凍結乾燥物の含水量は、約0.7%である。別の態様において、凍結乾燥物の含水量は、約0.6%である。別の態様において、凍結乾燥物の含水量は、約0.5%である。別の態様において、凍結乾燥物の含水量は、約0.4%である。別の態様において、凍結乾燥物の含水量は、約0.3%である。別の態様において、凍結乾燥物の含水量は、約0.2%である。別の態様において、凍結乾燥物の含水量は、約0.1%である。
【0038】
別の態様において、凍結乾燥物中の化合物1の化学的純度は、HPLCによって測定されるように、約96%~約99.9%である。別の態様において、凍結乾燥物中の化合物1の化学的純度は、約96%である。別の態様において、凍結乾燥物中の化合物1の化学的純度は、約96.5%である。別の態様において、凍結乾燥物中の化合物1の化学的純度は、約97%である。別の態様において、凍結乾燥物中の化合物1の化学的純度は、約97.5%である。別の態様において、凍結乾燥物中の化合物1の化学的純度は、約98%である。別の態様において、凍結乾燥物中の化合物1の化学的純度は、約98.5%である。別の態様において、凍結乾燥物中の化合物1の化学的純度は、約99.0%である。別の態様において、凍結乾燥物中の化合物1の化学的純度は、約99.5%である。
【0039】
別の態様において、本開示は、約67.5mgの化合物1と、約135mgのマンニトールと、約25.2mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.65mgのポロキサマー188と、約3.88mgのL-ヒスチジンと、約45mgの大豆レシチンとを含む、凍結乾燥物を提供する。
【0040】
別の態様において、本開示は、約67.5mgの化合物1と、約135mgのマンニトールと、約25.2mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.65mgのポロキサマー188と、約3.88mgのL-ヒスチジンと、約45mgの大豆レシチンとから本質的になる凍結乾燥物を提供する。
【0041】
別の態様において、本開示は、約67.5mgの化合物1と、約135mgのマンニトールと、約25.2mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.65mgのポロキサマー188と、約3.88mgのL-ヒスチジンと、約45mgの大豆レシチンとからなる、凍結乾燥物を提供する。
【0042】
別の態様において、本開示は、約67.5mgの化合物1と、約135mgのマンニトールと、約9.0mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.65mgのポロキサマー188と、約3.88mgのL-ヒスチジンと、約45mgの大豆レシチンとを含む、凍結乾燥物を提供する。
【0043】
別の態様において、本開示は、約67.5mgの化合物1と、約135mgのマンニトールと、約9.0mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.65mgのポロキサマー188と、約3.88mgのL-ヒスチジンと、約45mgの大豆レシチンとから本質的になる凍結乾燥物を提供する。
【0044】
別の態様において、本開示は、約67.5mgの化合物1と、約135mgのマンニトールと、約9.0mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.65mgのポロキサマー188と、約3.88mgのL-ヒスチジンと、約45mgの大豆レシチンとからなる、凍結乾燥物を提供する。
【0045】
別の態様において、本開示は、約62.5mgの化合物1と、約125mgのマンニトールと、約8.33mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.08mgのポロキサマー188と、約4.31mgのL-ヒスチジンと、約41.7mgの大豆レシチンとを含む、凍結乾燥物を提供する。
【0046】
別の態様において、本開示は、約62.5mgの化合物1と、約125mgのマンニトールと、約8.33mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.08mgのポロキサマー188と、約4.31mgのL-ヒスチジンと、約41.7mgの大豆レシチンとから本質的になる凍結乾燥物を提供する。
【0047】
別の態様において、本開示は、約62.5mgの化合物1と、約125mgのマンニトールと、約8.33mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.08mgのポロキサマー188と、約4.31mgのL-ヒスチジンと、約41.7mgの大豆レシチンとからなる、凍結乾燥物を提供する。
【0048】
別の態様において、本開示は、約120.2mgの化合物1と、約240.4mgのマンニトールと、約16mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約13.6mgのポロキサマー188と、約8.3mgのL-ヒスチジンと、約80.2mgの大豆レシチンとを含む、凍結乾燥物を提供する。
【0049】
別の態様において、本開示は、約120.2mgの化合物1と、約240.4mgのマンニトールと、約16mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約13.6mgのポロキサマー188と、約8.3mgのL-ヒスチジンと、約80.2mgの大豆レシチンとから本質的になる凍結乾燥物を提供する。
【0050】
別の態様において、本開示は、約120.2mgの化合物1と、約240.4mgのマンニトールと、約16mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約13.6mgのポロキサマー188と、約8.3mgのL-ヒスチジンと、約80.2mgの大豆レシチンとからなる、凍結乾燥物を提供する。
【0051】
別の態様において、本開示は、約120.2mgの化合物1と、約120.2mgのマンニトールと、約8mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約6.8mgのポロキサマー188と、約4.1mgのL-ヒスチジンと、約40.1mgの大豆レシチンとを含む、凍結乾燥物を提供する。
【0052】
別の態様において、本開示は、約120.2mgの化合物1と、約120.2mgのマンニトールと、約8mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約6.8mgのポロキサマー188と、約4.1mgのL-ヒスチジンと、約40.1mgの大豆レシチンとから本質的になる凍結乾燥物を提供する。
【0053】
別の態様において、本開示は、約120.2mgの化合物1と、約120.2mgのマンニトールと、約8mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約6.8mgのポロキサマー188と、約4.1mgのL-ヒスチジンと、約40.1mgの大豆レシチンとからなる、凍結乾燥物を提供する。
【0054】
このセクションに記載される凍結乾燥物は、「本開示の凍結乾燥物」と集合的に呼ばれる。
【0055】
II. 本開示の薬学的組成物
別の態様において、本開示は、溶媒に懸濁した本開示の凍結乾燥物を含む薬学的組成物を提供する。1つの態様において、溶媒は、水を含む。1つの態様において、溶媒は、水、例えば、注射用滅菌水(USP)である。
【0056】
別の態様において、本開示は、溶媒に懸濁した本開示の凍結乾燥物を含む薬学的組成物であって、化合物1の濃度が約20mg/mL~約60mg/mL、例えば、約24mg/mL~約35mg/mLである、薬学的組成物を提供する。別の態様において、化合物1の濃度は、約25mg/mL~約30mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約20mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約21mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約22mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約23mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約24mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約25mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約26mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約27mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約28mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約29mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約30mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約31mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約32mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約33mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約34mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約35mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約40mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約45mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約50mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約55mg/mLである。別の態様において、化合物1の濃度は、約60mg/mLである。
【0057】
別の態様において、本開示は、溶媒に懸濁した本開示の凍結乾燥物を含む薬学的組成物であって、懸濁液中の化合物1の平均粒度分布が2~8℃で3日後に約0.1μm~約50μmである、薬学的組成物を提供する。別の態様において、懸濁液中の化合物1の平均粒度分布は、2~8℃で3日後に約1μm~約40μmである。別の態様において、懸濁液中の化合物1の平均粒度分布は、2~8℃で3日後に約10μm~約30μmである。別の態様において、懸濁液中の化合物1の平均粒度分布は、約10μm~約30μmである。別の態様において、懸濁液中の化合物1の平均粒度分布は、2~8℃で3日後に約10μmである。別の態様において、懸濁液中の化合物1の平均粒度分布は、2~8℃で3日後に約15μmである。別の態様において、懸濁液中の化合物1の平均粒度分布は、2~8℃で3日後に約20μmである。別の態様において、懸濁液中の化合物1の平均粒度分布は、2~8℃で3日後に約25μmである。
【0058】
別の態様において、本開示は、約67.5mgの化合物1と、約135mgのマンニトールと、約25.2mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.65mgのポロキサマー188と、約3.88mgのL-ヒスチジンと、約45mgの大豆レシチンと、約2.5mLの注射用滅菌水USP(WFI USP)とを含む、薬学的組成物を提供する。
【0059】
別の態様において、本開示は、約67.5mgの化合物1と、約135mgのマンニトールと、約25.2mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.65mgのポロキサマー188と、約3.88mgのL-ヒスチジンと、約45mgの大豆レシチンと、約2.5mLの注射用滅菌水(USP)とから本質的になる薬学的組成物を提供する。
【0060】
別の態様において、本開示は、約67.5mgの化合物1と、約135mgのマンニトールと、約25.2mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.65mgのポロキサマー188と、約3.88mgのL-ヒスチジンと、約45mgの大豆レシチンと、約2.5mLの注射用滅菌水(USP)とからなる、薬学的組成物を提供する。
【0061】
別の態様において、本開示は、約67.5mgの化合物1と、約135mgのマンニトールと、約9.0mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.65mgのポロキサマー188と、約3.88mgのL-ヒスチジンと、約45mgの大豆レシチンと、約2.25mLの注射用滅菌水(USP)とを含む、薬学的組成物を提供する。
【0062】
別の態様において、本開示は、約67.5mgの化合物1と、約135mgのマンニトールと、約9.0mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.65mgのポロキサマー188と、約3.88mgのL-ヒスチジンと、約45mgの大豆レシチンと、約2.25mLの注射用滅菌水(USP)とから本質的になる薬学的組成物を提供する。
【0063】
別の態様において、本開示は、約67.5mgの化合物1と、約135mgのマンニトールと、約9.0mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.65mgのポロキサマー188と、約3.88mgのL-ヒスチジンと、約45mgの大豆レシチンと、約2.25mLの注射用滅菌水(USP)とからなる、薬学的組成物を提供する。
【0064】
別の態様において、本開示は、約62.5mgの化合物1と、約125mgのマンニトールと、約8.33mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.08mgのポロキサマー188と、約4.31mgのL-ヒスチジンと、約41.7mgの大豆レシチンと、約2.5mLの注射用滅菌水(USP)とを含む、薬学的組成物を提供する。
【0065】
別の態様において、本開示は、約62.5mgの化合物1と、約125mgのマンニトールと、約8.33mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.08mgのポロキサマー188と、約4.31mgのL-ヒスチジンと、約41.7mgの大豆レシチンと、約2.5mLの注射用滅菌水(USP)とから本質的になる薬学的組成物を提供する。
【0066】
別の態様において、本開示は、約62.5mgの化合物1と、約125mgのマンニトールと、約8.33mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約7.08mgのポロキサマー188と、約4.31mgのL-ヒスチジンと、約41.7mgの大豆レシチンと、約2.5mLの注射用滅菌水(USP)とからなる、薬学的組成物を提供する。
【0067】
別の態様において、本開示は、約120.2mgの化合物1と、約240.4mgのマンニトールと、約16mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約13.6mgのポロキサマー188と、約8.3mgのL-ヒスチジンと、約80.2mgの大豆レシチンと、約2.5mLの注射用滅菌水(USP)とを含む、薬学的組成物を提供する。
【0068】
別の態様において、本開示は、約120.2mgの化合物1と、約240.4mgのマンニトールと、約16mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約13.6mgのポロキサマー188と、約8.3mgのL-ヒスチジンと、約80.2mgの大豆レシチンと、約2.5mLの注射用滅菌水(USP)とから本質的になる薬学的組成物を提供する。
【0069】
別の態様において、本開示は、約120.2mgの化合物1と、約240.4mgのマンニトールと、約16mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約13.6mgのポロキサマー188と、約8.3mgのL-ヒスチジンと、約80.2mgの大豆レシチンと、約2.5mLの注射用滅菌水(USP)とからなる、薬学的組成物を提供する。
【0070】
別の態様において、本開示は、約120.2mgの化合物1と、約120.2mgのマンニトールと、約8.0mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約6.8mgのポロキサマー188と、約4.1mgのL-ヒスチジンと、約40.1mgの大豆レシチンと、約2.5mLの注射用滅菌水(USP)とを含む、薬学的組成物を提供する。
【0071】
別の態様において、本開示は、約120.2mgの化合物1と、約120.2mgのマンニトールと、約8.0mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約6.8mgのポロキサマー188と、約4.1mgのL-ヒスチジンと、約40.1mgの大豆レシチンと、約2.5mLの注射用滅菌水(USP)とから本質的になる薬学的組成物を提供する。
【0072】
別の態様において、本開示は、約120.2mgの化合物1と、約120.2mgのマンニトールと、約8.0mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、約6.8mgのポロキサマー188と、約4.1mgのL-ヒスチジンと、約40.1mgの大豆レシチンと、約2.5mLの注射用滅菌水(USP)とからなる、薬学的組成物を提供する。
【0073】
別の態様において、本開示は、凍結乾燥物L1、L2、L3、L4、またはL5(前記表参照)と、1mLのWFI USP、1.5mLのWFI USP、2.0mLのWFI USP、2.5mLのWFI USP、3.0mLのWFI USP、3.5mLのWFI USP、4.0mLのWFI USP、4.5mLのWFI USP、または5mLのWFI USPとを含む、薬学的組成物を提供する。
【0074】
このセクションに記載される薬学的組成物は、「本開示の薬学的組成物」と集合的に呼ばれる。
【0075】
III. 治療方法
別の態様において、本開示は、治療有効量の本開示の薬学的組成物を、対象へ皮下投与する工程を含む、その必要のある対象においてがんを処置するための方法を提供する。
【0076】
別の態様において、本開示は、1つまたは複数の任意選択の治療剤と組み合わせて、治療有効量の本開示の薬学的組成物を、対象へ皮下投与する工程を含む、その必要のある対象においてがんを処置するための方法を提供する。
【0077】
別の態様において、本開示は、対象におけるがんの処置において使用するための、本開示の薬学的組成物を提供する。
【0078】
別の態様において、本開示は、対象におけるがんの処置において使用するための、本開示の薬学的組成物であって、1つまたは複数の任意選択の治療剤と組み合わせて皮下投与される、本開示の薬学的組成物を提供する。
【0079】
別の態様において、本開示の薬学的組成物は、間欠投薬スケジュールに従って、対象へ皮下投与される。例えば、本開示の薬学的組成物は、週3日、連続しない日、例えば、月曜日-水曜日-金曜日に、または週2日、連続しない日、例えば、月曜日および木曜日に、対象へ投与され得る。
【0080】
1つの態様において、がんは、固形腫瘍である。
【0081】
別の態様において、がんは、血液がんである。別の態様において、血液がんは、急性リンパ性白血病、(B細胞慢性リンパ性白血病を含む)慢性リンパ性白血病、または急性骨髄性白血病である。
【0082】
別の態様において、がんは、表1のがんのうちの任意の1つまたは複数である。
【0083】
【0084】
別の態様において、がんは、表2のがんのうちの任意の1つまたは複数である。
【0085】
【0086】
別の態様において、がんは、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)、食道の腺癌 扁平上皮癌、胃腺癌、結腸腺癌、肝細胞癌、胆道系胆管細胞癌、胆嚢腺癌、膵臓腺癌、乳管内上皮内癌、乳腺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、膀胱移行上皮癌、膀胱扁平上皮癌、子宮頸部扁平上皮癌、子宮頸部腺癌、子宮内膜癌、陰茎扁平上皮癌、および皮膚扁平上皮癌からなる群より選択される。
【0087】
別の態様において、前がん性腫瘍は、頭頸部白板症、バレット食道、胃異形成、結腸腺癌、慢性肝炎、胆管過形成、膵上皮内腫瘍、肺異型腺腫様過形成、膀胱異形成、子宮頸部上皮内腫瘍、陰茎上皮内腫瘍、および皮膚日光角化症からなる群より選択される。
【0088】
別の態様において、がんは、肝細胞癌、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、黒色腫、および結腸直腸がんからなる群より選択される。
【0089】
別の態様において、がんは、結腸直腸がん、乳がん、リンパ腫、黒色腫、腎臓がん、および肺がんからなる群より選択される。
【0090】
別の態様において、がんは、従来のがん処置に対して抵抗性になっている。「従来のがん処置」という用語は、本明細書において使用されるように、ヒトにおける治療的使用のために試験され、かつ/またはアメリカ食品医薬品局、欧州医薬品庁、もしくは類似の規制当局によって認可された、任意の抗がん薬、生物製剤、もしくは放射線治療、または抗がん薬および/もしくは生物製剤および/もしくは放射線治療の組み合わせをさす。
【0091】
IV. 任意選択の治療剤
本開示のいくつかの治療方法および使用において、本開示の薬学的組成物は、単一の薬剤として、がんを有する対象へ投与される。本開示の他の治療方法および使用において、本開示の薬学的組成物は、1種または複数種の任意選択の治療剤と組み合わせて、がんを有する対象へ投与される。1つの態様において、本開示の薬学的組成物は、1種の任意選択の治療剤と組み合わせて投与される。別の態様において、本開示の薬学的組成物は、2種の任意選択の治療剤と組み合わせて投与される。別の態様において、本開示の薬学的組成物は、3種の任意選択の治療剤と組み合わせて投与される。がん患者の処置において有用な任意選択の治療剤には、当技術分野において公知のものが含まれ、将来開発されるものも含まれる。
【0092】
任意選択の治療剤は、所望の治療効果を提供するための量で投与される。任意選択の各治療剤についての有効な投薬量範囲は、当技術分野において公知であり、任意選択の治療剤は、そのような確立された範囲内で、その必要のある個体へ投与される。
【0093】
本開示の薬学的組成物および任意選択の治療剤は、任意の順序で、マルチユニットドーズとして別々に投与され得、例えば、本開示の薬学的組成物が任意選択の治療剤の前に投与されるか、またはその逆である。本開示の薬学的組成物および任意選択の治療剤は、1回または複数回、対象へ投与され得る。
【0094】
1つの態様において、任意選択の治療剤は、1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤を含む。免疫チェックポイント阻害剤の例には、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、TIM3阻害剤、cd47阻害剤、TIGIT阻害剤、およびB7-H1阻害剤が含まれる。従って、1つの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、TIM3阻害剤、およびcd47阻害剤からなる群より選択される。
【0095】
別の態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、プログラム細胞死(PD-1)阻害剤である。PD-1は、宿主の免疫系から逃れる腫瘍細胞の能力において重要な役割を果たすT細胞共阻害性受容体である。PD-1と、PD-1のリガンドであるPD-L1との間の相互作用の阻止は、免疫機能を増強し、抗腫瘍活性を媒介する。PD-1阻害剤の例には、PD-1と特異的に結合する抗体が含まれる。具体的な抗PD-1抗体には、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、STI-A1014、ピディルズマブ(pidilzumab)、およびセミプリマブ-rwlcが含まれるが、これらに限定されるわけではない。抗PD-1抗体の利用可能性、作製方法、作用機序、および臨床研究の一般的な考察については、U.S.2013/0309250、U.S.6,808,710、U.S.7,595,048、U.S.8,008,449、U.S.8,728,474、U.S.8,779,105、U.S.8,952,136、U.S.8,900,587、U.S.9,073,994、U.S.9,084,776、およびNaido et al.,British Journal of Cancer 111:2214-19(2014)を参照されたい。
【0096】
別の態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1(B7-H1またはCD274としても公知)の阻害剤である。PD-L1阻害剤の例には、PD-L1と特異的に結合する抗体が含まれる。具体的な抗PD-L1抗体には、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、およびBMS-936559が含まれるが、これらに限定されるわけではない。利用可能性、作製方法、作用機序、および臨床研究の一般的な考察については、U.S.8,217,149、U.S.2014/0341917、U.S.2013/0071403、WO 2015036499、およびNaido et al.,British Journal of Cancer 111:2214-19(2014)を参照されたい。
【0097】
別の態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤である。細胞傷害性Tリンパ球抗原4としても公知のCTLA-4は、免疫系をダウンレギュレートするタンパク質受容体である。CTLA-4は、抗原提示細胞上の共刺激分子と結合することによって、T細胞上のCD28との相互作用を防止する「ブレーキ」として特徴付けられており、T細胞活性化を制約する明白に阻害性のシグナルも生成する。CTLA-4阻害剤の例には、CTLA-4と特異的に結合する抗体が含まれる。具体的な抗CTLA-4抗体には、イピリムマブおよびトレメリムマブが含まれるが、これらに限定されるわけではない。利用可能性、作製方法、作用機序、および臨床研究の一般的な考察については、U.S.6,984,720、U.S.6,207,156、およびNaido et al.,British Journal of Cancer 111:2214-19(2014)を参照されたい。
【0098】
別の態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、LAG3阻害剤である。LAG3、リンパ球活性化遺伝子3は、T細胞のホメオスタシス、増殖、および活性化をモジュレートする負の共刺激受容体である。さらに、LAG3は、制御性T細胞(Treg)の抑制機能に関与することが報告されている。LAG3分子の大きな割合が、細胞内の微小管形成中心の近くに保持されており、抗原特異的なT細胞活性化の後にのみ誘導される。U.S.2014/0286935。LAG3阻害剤の例には、LAG3と特異的に結合する抗体が含まれる。具体的な抗LAG3抗体には、GSK2831781が含まれるが、これに限定されるわけではない。利用可能性、作製方法、作用機序、および研究の一般的な考察については、U.S.2011/0150892、U.S.2014/0093511、U.S.20150259420、およびHuang et al.,Immunity 21:503-13(2004)を参照されたい。
【0099】
別の態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、TIM3阻害剤である。TIM3、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン(T-cell immunoglobulin and mucin domain)3は、TH1およびTC1 T細胞応答の持続時間および大きさを限定するために機能する免疫チェックポイント受容体である。TIM3経路は、腫瘍組織における免疫抑制を構成する2つの報告された免疫細胞集団である、機能不全CD8+T細胞およびTregにおいて発現されているため、抗がん免疫治療のための標的と見なされる。Anderson,Cancer Immunology Research 2:393-98(2014)。TIM3阻害剤の例には、TIM3と特異的に結合する抗体が含まれる。TIM3阻害剤の利用可能性、作製方法、作用機序、および研究の一般的な考察については、U.S.20150225457、U.S.20130022623、U.S.8,522,156、Ngiow et al.,Cancer Res 71:6567-71(2011)、Ngiow,et al.,Cancer Res 71:3540-51(2011)、およびAnderson,Cancer Immunology Res 2:393-98(2014)を参照されたい。
【0100】
別の態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、cd47阻害剤である。Unanue,PNAS 110:10886-87(2013)を参照されたい。
【0101】
別の態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、TIGIT阻害剤である。Harjunpaa 1 and Guillerey,Clin Exp Immunol 200:108-119(2019)を参照されたい。
【0102】
治療有効量の、1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤は、対象へ投与される。これらの量は、標準的な臨床実務によって、例えば、免疫チェックポイント阻害剤に関連する処方情報に従って導かれる。
【0103】
例えば、免疫チェックポイント阻害剤がモノクローナル抗体である場合、2~4週間毎に約1~約2000mgが静脈内注入として投与され得る。例えば、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、約1500mg、約1600mg、約1700mg、約1800mg、約1900mg、または約2000mgの抗体が投与され得る。
【0104】
例えば、免疫チェックポイント阻害剤がニボルマブである場合、2週間毎に240mgが静脈内注入によって対象へ投与されてもよいし、または4週間毎に480mgが静脈内注入によって投与されてもよい。
【0105】
例えば、免疫チェックポイント阻害剤がペムブロリズマブである場合、3週間毎に200mgが静脈内注入によって対象へ投与されてもよいし、または6週間毎に400mgが静脈内注入によって対象へ投与されてもよい。
【0106】
例えば、免疫チェックポイント阻害剤がアベルマブである場合、2週間毎に800mgが静脈内注入によって対象へ投与され得る。
【0107】
例えば、免疫チェックポイント阻害剤がアテゾリズマブである場合、2週間毎に840mgが静脈内注入によって投与されてもよいし、または3週間毎に1200mgが静脈内注入によって投与されてもよいし、または4週間毎に1680mgが静脈内注入によって投与されてもよい。
【0108】
例えば、免疫チェックポイント阻害剤がイピルムマブである場合、3週間毎に3mg/kgが静脈内注入によって対象へ投与され得る。
【0109】
例えば、免疫チェックポイント阻害剤がトレメリムマブである場合、4週間毎に3~20mg/kgが静脈内注入によって対象へ投与され得る。
【0110】
例えば、免疫チェックポイント阻害剤がGSK2831781である場合、2~4週間毎に1.5~5mg/kgが静脈内注入によって対象へ投与され得る。
【0111】
ある種のがんを処置するための、ある種の免疫チェックポイント阻害剤についての代表的な投薬計画を、表3に提供する。
【0112】
【0113】
1つの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は抗体であり、2~4週間毎に1~20mg/kgが静脈内注入によって対象へ投与される。別の態様において、2~4週間毎に20~2000mgの抗体が静脈内注入によって対象へ投与される。別の態様において、化合物1は、抗体の投与前に投与される。別の態様において、化合物1は、抗体の投与日の1日、2日、3日、4日、5日、6日、または7日前に対象へ投与される。別の態様において、化合物1は、抗体が投与される日に対象へ投与される。別の態様において、化合物1は、抗体の投与日の1日、2日、3日、4日、5日、6日、または7日後に対象へ投与される。
【0114】
例えば、対象は、例えば、疾患進行まで、または治療的利益がなくなるまで、3週間毎に静脈内注入によって投与されるペムブロリズマブと、週2回、皮下注入によって投与される化合物1とを受容し、その際、化合物1の初回用量はペムブロリズマブの初回用量の前に投与されるか、化合物1の初回用量はペムブロリズマブの初回用量と同じ日に投与されるか、または化合物1の初回用量はペムブロリズマブの初回用量の後に投与される。
【0115】
例えば、対象は、例えば、疾患進行まで、または治療的利益がなくなるまで、2週間毎に静脈内注入によって投与されるニボルマブと、週2回、皮下注入によって投与される化合物1とを受容し、その際、化合物1の初回用量はニボルマブの初回用量の前に投与されるか、化合物1の初回用量はニボルマブの初回用量と同じ日に投与されるか、または化合物1の初回用量はニボルマブの初回用量の後に投与される。
【0116】
別の態様において、化合物1と、1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤とによるがん患者の処置は、免疫チェックポイント阻害剤が単独で投与される場合よりも速く、抗増殖応答を誘導する。
【0117】
「抗体」という用語には、完全なモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2種の完全抗体から形成された多重特異性抗体、および抗体断片が、所望の生物学的活性を示す限り、含まれるものとする。別の態様において、「抗体」には、抗体のFc部分を保有しない可溶性受容体が含まれるものとする。1つの態様において、抗体は、組換え遺伝子工学によって作製されたヒト化モノクローナル抗体およびその断片である。
【0118】
免疫チェックポイント阻害剤の別のクラスには、阻害シグナル伝達を誘発することなく、T細胞上のPD-1受容体と結合し、それを阻止するポリペプチドが含まれる。そのようなペプチドには、米国特許第8,114,845号に開示されているような、B7-DCポリペプチド、B7-H1ポリペプチド、B7-1ポリペプチド、およびB7-2ポリペプチド、ならびにそれらの可溶性断片が含まれる。
【0119】
免疫チェックポイント阻害剤の別のクラスには、PD-1シグナリングを阻害するペプチド部分を含む化合物が含まれる。そのような化合物の例は、米国特許第8,907,053号に開示されている。
【0120】
免疫チェックポイント阻害剤の別のクラスには、ある種の代謝酵素、例えば、浸潤性の骨髄系細胞および腫瘍細胞によって発現されるインドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ(IDO)、ならびに白血病細胞において変異しているイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)の阻害剤が含まれる。IDH酵素の変異体は、ミエロイド分化を防止する2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)のレベルの増加をもたらす。Stein et al.,Blood 130:722-31(2017);Wouters,Blood 130:693-94(2017)。具体的な変異体IDH阻止剤には、イボシデニブおよびエナシデニブメシル酸塩が含まれるが、これらに限定されるわけではない。Dalle and DiNardo,Ther Adv Hematol 9(7):163-73(2018);Nassereddine et al.,Onco Targets Ther 12:303-08(2018)。IDO酵素は、T細胞における同化作用に必要なアミノ酸を枯渇させることによって、またはリンパ球機能を改変することができるサイトゾル受容体のための特定の天然リガンドの合成を通して、免疫応答を阻害する。Pardoll,Nature Reviews.Cancer 12:252-64(2012);Lob,Cancer Immunol Immunother 58:153-57(2009)。具体的なIDO阻止剤には、レボ-1-メチルトリプトファン(L-1MT)および1-メチル-トリプトファン(1MT)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。Qian et al.,Cancer Res 69:5498-504(2009);およびLob et al.,Cancer Immunol Immunother 58:153-7(2009)。
【0121】
1つの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、STI-A1110、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、STI-A1014、イピリムマブ、トレメリムマブ、GSK2831781、BMS-936559、またはMED14736である。
【0122】
別の態様において、任意選択の治療剤は、エピジェネティック薬である。本明細書において使用されるように、「エピジェネティック薬」という用語は、エピジェネティック制御因子を標的とする治療剤をさす。エピジェネティック制御因子の例には、ヒストンリジンメチルトランスフェラーゼ、ヒストンアルギニンメチルトランスフェラーゼ、ヒストンデメチラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ、ヒストンアセチラーゼ、およびDNAメチルトランスフェラーゼが含まれる。ヒストンデアセチラーゼ阻害剤には、ボリノスタットおよびパノビノスタット乳酸塩が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0123】
本開示の薬学的組成物と組み合わせて使用され得る従来の治療および抗がん剤の付加的な例には、手術、放射線治療、例えば、γ線、中性子ビーム放射線治療、電子ビーム放射線治療、陽子線治療、密封小線源治療、および全身放射性同位体、内分泌治療、生物学的応答修飾剤、例えば、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子(TNF)、温熱療法および寒冷療法、有害効果を緩和する薬剤(例えば、制吐薬)、ならびに任意のその他の認可された生物学的治療または化学療法、例えば、細胞を死滅させるか、または分裂を中止することによって、がん細胞の成長を中止する薬物を使用する処置計画が含まれる。化学療法は、処置されるがんの型およびステージに依って、経口、注射、もしくは輸注によって、または皮膚に与えられ得る。
【0124】
非限定的な例示的な抗増殖化合物には、アロマターゼ阻害剤;抗エストロゲン;抗アンドロゲン;ゴナドレリンアゴニスト;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性剤;アルキル化剤、例えば、テモゾロミド;レチノイド、カロテノイド、もしくはトコフェロール;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;MMP阻害剤;mTOR阻害剤;代謝拮抗薬;プラチン化合物;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;ビスホスホネート系;抗増殖抗体;ヘパラナーゼ阻害剤;Rasがん遺伝子アイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;血液系腫瘍の処置において使用される化合物;Flt-3阻害剤;Hsp90阻害剤;キネシン紡錘体タンパク質阻害剤;MEK阻害剤;抗腫瘍抗生物質;ニトロソウレア系;プロテインキナーゼもしくは脂質キナーゼの活性を標的とする/減少させる化合物、プロテインホスファターゼもしくは脂質ホスファターゼの活性を標的とする/減少させる化合物、またはさらなる抗血管新生化合物が含まれる。
【0125】
非限定的な例示的なアロマターゼ阻害剤には、ステロイド系、例えば、アタメスタン、エキセメスタン、およびフォルメスタン、ならびに非ステロイド系、例えば、アミノグルテチミド、ログレチミド(roglethimide)、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、ケトコナゾール、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾール、およびレトロゾールが含まれる。
【0126】
非限定的な抗エストロゲンには、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェン、およびラロキシフェン塩酸塩が含まれる。抗アンドロゲンには、ビカルタミドおよびアパルタミドが含まれるが、これらに限定されるわけではない。ゴナドレリンアゴニストには、アバレリックス、ゴセレリン、およびゴセレリン酢酸塩が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0127】
非限定的な例示的なトポイソメラーゼI阻害剤には、トポテカン、ギマテカン(gimatecan)、イリノテカン、カンプトテシンおよびその類似体、9-ニトロカンプトテシン、ならびに高分子カンプトテシンコンジュゲートPNU-166148が含まれる。トポイソメラーゼII阻害剤には、アントラサイクリン系、例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、およびネモルビシン;アントラキノン系、例えば、ミトキサントロンおよびロソキサントロン(losoxantrone);ならびにポドフィロトキシン系、例えば、エトポシドおよびテニポシドが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0128】
微小管活性剤には、タキサン系、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル;ディスコデルモリド系;コルヒチンおよびエポチロン系ならびにそれらの誘導体を含むが、これらに限定されるわけではない、微小管安定化化合物、微小管不安定化化合物、および微小管重合阻害剤が含まれる。
【0129】
非限定的な例示的なアルキル化剤には、シクロホスファミド、イフォスファミド、メルファラン、トラベクテジン、ならびにニトロソウレア系、例えば、カルムスチンおよびロムスチンが含まれる。
【0130】
非限定的な例示的なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(「MMP阻害剤」)には、コラーゲンペプチド模倣阻害剤および非ペプチド模倣阻害剤、テトラサイクリン誘導体、バチマスタット、マリマスタット、プリノマスタット、メタスタット、BMS-279251、BAY 12-9566、TAA211、MMI270B、ならびにAAJ996が含まれる。
【0131】
非限定的な例示的なmTOR阻害剤には、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)を阻害し、抗増殖活性を保有する化合物、例えば、シロリムス、エベロリムス、CCI-779、およびABT578が含まれる。
【0132】
非限定的な例示的な代謝拮抗薬には、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、ゲムシタビン、DNA脱メチル化合物、例えば、5-アザシチジンおよびデシタビン、メトトレキサートおよびエダトレキサート、ならびに葉酸拮抗薬、例えば、ペメトレキセドが含まれる。
【0133】
非限定的な例示的なプラチン化合物には、カルボプラチン、シスプラチン、シスプラチナム(cisplatinum)、およびオキサリプラチンが含まれる。
【0134】
非限定的な例示的なメチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤には、ベンガミドまたはその誘導体およびPPI-2458が含まれる。
【0135】
非限定的な例示的なビスホスホネート系には、エトリドン(etridonic)酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸、およびゾレドロン酸が含まれる。
【0136】
非限定的な例示的なヘパラナーゼ阻害剤には、ヘパリン硫酸分解を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物、例えば、PI-88およびOGT2115が含まれる。
【0137】
Rasの腫瘍形成活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する非限定的な例示的な化合物には、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、L-744832、DK8G557、ティピファニブ、およびロナファルニブが含まれる。
【0138】
非限定的な例示的なテロメラーゼ阻害剤には、テロメラーゼの活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物、例えば、テロメラーゼ受容体を阻害する化合物、例えば、テロメスタチンが含まれる。
【0139】
非限定的な例示的なプロテアソーム阻害剤には、ボルテゾミブを含むが、これに限定されるわけではない、プロテアソームの活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物が含まれる。いくつかの態様において、プロテアソーム阻害剤は、カルフィルゾミブまたはイキサゾミブである。
【0140】
FMS様チロシンキナーゼ受容体(Flt-3R)の活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物である非限定的な例示的なFMS様チロシンキナーゼ阻害剤には、ギルテリチニブ、インターフェロン、I-β-D-アラビノフラノシルシトシン(ara-c)、およびビスルファンが含まれ;未分化リンパ腫キナーゼを標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物であるALK阻害剤には、アレクチニブ、ブリガチニブ、およびロルラチニブが含まれる。
【0141】
非限定的な例示的なFlt-3阻害剤には、PKC412、ミドスタウリン、スタウロスポリン誘導体、SU11248、MLN518、およびギルテリチニブが含まれる。
【0142】
非限定的な例示的なHSP90阻害剤には、HSP90の固有のATPase活性を標的とするか、減少させるか、もしくは阻害する化合物;またはユビキチンプロテオソーム経路を介してHSP90クライアントタンパク質を分解するか、標的とするか、減少させるか、もしくは阻害する化合物が含まれる。HSP90の固有のATPase活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物は、具体的には、HSP90のATPase活性を阻害する化合物、タンパク質、または抗体、例えば、17-アリルアミノ、17-デメトキシゲルダナマイシン(17AAG)、ゲルダナマイシン誘導体;その他のゲルダナマイシン関連化合物;ラディシコール、およびHDAC阻害剤である。
【0143】
非限定的な例示的なタンパク質チロシンキナーゼおよび/もしくはセリンおよび/もしくはトレオニンキナーゼの阻害剤、または脂質キナーゼ阻害剤には、(a)血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)の活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物、例えば、PDGFRの活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物、例えば、オララツマブおよびN-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体、例えば、イマチニブ、SU101、SU6668、およびGFB-111;(b)線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物、例えば、エルダフィチニブ(erdafitinib)およびレンバチニブ;(c)インスリン様増殖因子受容体I(IGF-IR)の活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物、例えば、ブリガチニブ;(d)血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)の活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物、例えば、レンバチニブ;(e)Trk受容体型チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とするか、減少させるか、もしくは阻害する化合物、またはエフリンB4阻害剤、例えば、ラロトレクチニブ(larotrectinib);(f)Axl受容体型チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物;(g)Ret受容体型チロシンキナーゼの活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物、例えば、アレクチニブ;(h)Kit/SCFR受容体型チロシンキナーゼの活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物、例えば、イマチニブ;(i)c-Kit受容体型チロシンキナーゼの活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物、例えば、イマチニブ;(j)c-Ablファミリーのメンバー、それらの遺伝子融合産物(例えば、Bcr-Ablキナーゼ)および変異体の活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物、例えば、N-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体、例えば、イマチニブまたはニロチニブ;PD180970;AG957;NSC 680410;PD173955;またはダサチニブ;(k)セリン/トレオニンキナーゼのプロテインキナーゼC(PKC)ファミリーおよびRafファミリーのメンバー、MEKファミリー、SRCファミリー、JAKファミリー、FAKファミリー、PDK1ファミリー、PKB/Aktファミリー、およびRas/MAPKファミリーのメンバー、ならびに/またはサイクリン依存性キナーゼファミリー(CDK)のメンバーの活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物、例えば、米国特許第5,093,330号に開示されたスタウロスポリン誘導体、例えば、ミドスタウリン(さらなる化合物の例には、UCN-01、サフィンゴール、BAY 43-9006、ブリオスタチン1、ペリフォシン;イルモフォシン;RO 318220およびRO 320432;GO 6976;Isis 3521;LY333531/LY379196;イソキノリン(isochinoline)化合物;ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤;PD184352またはQAN697またはAT7519;アベマシクリブ;ビニメチニブ;コビメチニブ;エンコラフェニブ;ネラチニブ;パルボシクリブ;リボシクリブが含まれる);(1)タンパク質チロシンキナーゼの活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物、例えば、アカラブルチニブ、イマチニブメシル酸塩、またはチロホスチン、例えば、チロホスチンA23/RG-50810;AG 99;チロホスチンAG 213;チロホスチンAG 1748;チロホスチンAG 490;チロホスチンB44;チロホスチンB44(+)エナンチオマー;チロホスチンAG 555;AG 494;チロホスチンAG 556、AG957、およびアダホスチン(4-{[(2,5-ジヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}-安息香酸アダマンチルエステル;NSC 680410、アダホスチン);(m)受容体型チロシンキナーゼの上皮増殖因子ファミリー(ホモ二量体またはヘテロ二量体としてのEGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4)およびそれらの変異体の活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物、例えば、ブリガチニブ、CP 358774、ZD 1839、ZM 105180;トラスツズマブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、オシメルチニブ、ダコミチニブ、ネシツムマブ、ネラチニブ、OSI-774、CI-1033、EKB-569、GW-2016、抗体E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3、およびE7.6.3、および7H-ピロロ-[2,3-d]ピリミジン誘導体;(n)ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)の活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物、例えば、アルペリシブ、コパンリシブ、およびデュベリシブ;ならびに(o)c-Met受容体の活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する化合物が含まれる。
【0144】
プロテインホスファターゼまたは脂質ホスファターゼの活性を標的とするか、減少させるか、または阻害する非限定的な例示的な化合物には、ホスファターゼ1、ホスファターゼ2A、またはCDC25の阻害剤、例えば、オカダ酸またはその誘導体が含まれる。
【0145】
さらなる抗血管新生化合物には、プロテインキナーゼまたは脂質キナーゼの阻害とは無関係な活性のための他の機序を有する化合物、例えば、サリドマイドおよびTNP-470が含まれる。
【0146】
付加的な非限定的な例示的な化学療法化合物には、アバスチン、ダウノルビシン、アドリアマイシン、Ara-C、VP-16、テニポシド、ミトキサントロン、イダルビシン、カルボプラチナム(carboplatinum)、PKC412、6-メルカプトプリン(6-MP)、リン酸フルダラビン、オクトレオチド、SOM230、FTY720、6-チオグアニン、クラドリビン、6-メルカプトプリン、ペントスタチン、ヒドロキシ尿素、2-ヒドロキシ-1H-イソインドール-1,3-ジオン誘導体、1-(4-クロロアニリノ)-4-(4-ピリジルメチル)フタラジンもしくは薬学的に許容されるその塩、1-(4-クロロアニリノ)-4-(4-ピリジルメチル)フタラジンスクシネート、アンジオスタチン、エンドスタチン、アントラニル酸アミド、ZD4190、ZD6474、SU5416、SU6668、ベバシズマブ、rhuMAb、rhuFab、マクゴン(macugon);FLT-4阻害剤、FLT-3阻害剤、VEGFR-2 IgG1抗体、RPI 4610、ポルフィマーナトリウム、アネコルタブ、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、11-a-エピヒドロコルチゾール、コルテキソロン、17a-ヒドロキシプロゲステロン、コルチコステロン、デスオキシコルチコステロン、テストステロン、エストロン、デキサメタゾン、フルオシノロン、植物アルカロイド、ホルモン化合物および/または拮抗薬、生物学的応答修飾剤、例えば、リンホカインまたはインターフェロン、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体、shRNA、およびsiRNAが含まれ、それらのうちの1つまたは複数が、本開示の薬学的組成物と組み合わせて使用され得る。
【0147】
多数の適当な任意選択の治療剤、例えば、抗がん剤が、本明細書において提供される治療方法において使用するため、企図される。実際、本明細書において提供される方法は、多数の任意選択の治療剤、例えば、アポトーシスを誘導する薬剤;ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンス、リボザイム、siRNA);ポリペプチド(例えば、酵素および抗体);生物学的模倣物(例えば、ゴシポールまたはBH3模倣物);Bcl-2ファミリータンパク質、例えば、Baxと結合する(例えば、オリゴマー化するか、または複合体化する)薬剤;アルカロイド;アルキル化剤;抗腫瘍抗生物質;代謝拮抗薬;ホルモン;白金化合物;モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体(例えば、抗がん薬、毒素、デフェンシンとコンジュゲートされた抗体)、毒素;放射性核種;生物学的応答修飾剤(例えば、インターフェロン(例えば、IFNα)およびインターロイキン(例えば、IL-2));養子免疫治療剤;造血成長因子;腫瘍細胞分化を誘導する薬剤(例えば、オールトランスレチノイン酸);遺伝子治療試薬(例えば、アンチセンス治療試薬およびヌクレオチド);腫瘍ワクチン;血管新生阻害剤;プロテオソーム阻害剤:NF-κBモジュレーター;抗CDK化合物;HDAC阻害剤等の投与を含み得るが、これらに限定されるわけではない。開示された化合物と同時投与するために適当な任意選択の治療剤、例えば、化学療法化合物および抗がん治療の多数の他の例は、当業者に公知である。
【0148】
特定の態様において、任意選択の治療剤には、アポトーシスを誘導するか、または刺激する薬剤が含まれる。例えば、アポトーシスを誘導するか、または刺激する薬剤には、例えば、DNAのインターカレーション、架橋、アルキル化、もしくはその他の傷害もしくは化学的修飾によって、DNAと相互作用するか、またはDNAを修飾する薬剤が含まれる。アポトーシスを誘導する薬剤には、放射線(例えば、X線、γ線、UV);腫瘍壊死因子(TNF)関連因子(例えば、TNFファミリー受容体タンパク質、TNFファミリーリガンド、TRAIL、TRAIL-R1またはTRAIL-R2に対する抗体);キナーゼ阻害剤(例えば、上皮増殖因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。さらなる抗がん剤には、血管増殖因子受容体(VGFR)キナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害剤、およびBcr-Ablキナーゼ阻害剤(例えば、GLEEVEC));アンチセンス分子;抗体(例えば、HERCEPTIN、RITUXAN、ZEVALIN、およびAVASTIN);抗エストロゲン(例えば、ラロキシフェンおよびタモキシフェン);抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、アパルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、アミノグルテチミド、ケトコナゾール、および副腎皮質ステロイド);BCL-2阻害剤(例えば、ベネトクラクス);シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害剤(例えば、セレコキシブ、メロキシカム、NS-398、および非ステロイド性抗炎症薬(NSAID));抗炎症薬(例えば、ブタゾリジン、DECADRON、DELTASONE、デキサメタゾン、デキサメタゾンインテンソール(intensol)、DEXONE、HEXADROL、ヒドロキシクロロキン、METICORTEN、ORADEXON、ORASONE、オキシフェンブタゾン、PEDIAPRED、フェニルブタゾン、PLAQUENIL、プレドニゾロン、プレドニゾン、PRELONE、およびTANDEARIL);ならびにがん化学療法薬(例えば、イリノテカン(CAMPTOSAR)、CPT-11、フルダラビン(FLUDARA)、ダカルバジン(DTIC)、デキサメタゾン、ミトキサントロン、MYLOTARG、VP-16、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、5-FU、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、ベバシズマブ、TAXOTERE、またはTAXOL);細胞シグナリング分子;セラミド系およびサイトカイン;スタウロスポリン等が含まれる。
【0149】
さらに他の態様において、本明細書において提供される治療方法は、治療有効量の本開示の薬学的組成物、免疫チェックポイント阻害剤、ならびにアルキル化剤、代謝拮抗薬、および天然生成物(例えば、薬草およびその他の植物および/または動物に由来する化合物)より選択される少なくとも1種の付加的な任意選択の治療剤、例えば、抗過剰増殖剤または抗腫瘍剤を、がんを有する対象(がん患者)へ投与する工程を含む。
【0150】
本発明の方法において使用するために適当なアルキル化剤には、(1)ナイトロジェンマスタード系(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イフォスファミド、メルファラン(L-サルコリシン);およびクロラムブシル);(2)エチレンイミン系およびメチルメラミン系(例えば、ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ);(3)アルキルスルホネート系(例えば、ブスルファン);(4)ニトロソウレア系(例えば、カルムスチン(BCNU);ロムスチン(CCNU);セムスチン(メチルCCNU);およびストレプトゾシン(ストレプトゾトシン));ならびに(5)トリアゼン系(例えば、ダカルバジン(DTIC;ジメチルトリアゼノイミダゾールカルボキサミド))が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0151】
いくつかの態様において、本発明の方法において使用するために適当な代謝拮抗薬には、(1)葉酸類似体(例えば、メトトレキサート(アメトプテリン));(2)ピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル(5-フルオロウラシル;5-FU)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン;FudR)、およびシタラビン(シトシンアラビノシド));ならびに(3)プリン類似体(例えば、メルカプトプリン(6-メルカプトプリン;6-MP)、チオグアニン(6-チオグアニン;TG)、およびペントスタチン(2'-デオキシコホルマイシン))が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0152】
さらなる態様において、本開示の方法において使用するために適当な化学療法剤には、(1)ビンカアルカロイド系(例えば、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン)、(2)エピポドフィロトキシン系(例えば、エトポシドおよびテニポシド);(3)抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、およびマイトマイシン(マイトマイシンC));(4)酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ);(5)生物学的応答修飾剤(例えば、インターフェロンα);(6)白金配位錯体(例えば、シスプラチン(シスDDP)およびカルボプラチン);(7)アントラセンジオン系(例えば、ミトキサントロン);(8)置換型尿素(例えば、ヒドロキシ尿素);(9)メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン(N-メチルヒドラジン;MIH));(10)副腎皮質抑制薬(例えば、ミトタン(o,p'-DDD)およびアミノグルテチミド);(11)副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン);(12)プロゲスチン系(例えば、ヒドロキシプロゲステロンカプロン酸エステル、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル、およびメゲストロール酢酸エステル);(13)エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール);(14)抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン);(15)アンドロゲン(例えば、テストステロンプロピオン酸エステルおよびフルオキシメステロン);(16)抗アンドロゲン(例えば、フルタミド):ならびに(17)ゴナドトロピン放出ホルモン類似体(例えば、リュープロリド)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0153】
がん治療の状況においてルーチンに使用される任意の腫瘍溶解剤が、本開示の治療方法において有用である。例えば、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、米国における使用のために認可された腫瘍溶解剤の処方集を維持している。FDAに相当する国際機関は、類似の処方集を維持している。米国で認可された全ての化学療法薬に必要とされる「プロダクトラベル」が、例示的な薬剤についての認可された適応症、投薬情報、毒性データ等を記載していることを、当業者は理解するであろう。
【0154】
抗がん剤には、抗がん活性を有することが同定された化合物がさらに含まれる。例には、3-AP、12-0-テトラデカノイルホルボール-13-アセテート、17AAG、852A、ABI-007、ABR-217620、ABT-751、ADI-PEG 20、AE-941、AG-013736、AGRO100、アラノシン、AMG 706、抗体G250、アンチネオプラストン(antineoplastons)、AP23573、アパジコン、APC8015、アチプリモド、ATN-161、アトラセンテン(atrasenten)、アザシチジン、BB-10901、BCX-1777、ベバシズマブ、BG00001、ビカルタミド、BMS 247550、ボルテゾミブ、ブリオスタチン-1、ブセレリン、カラスパルガーゼペゴール(calaspargase pegol-mknl)、カルシトリオール、CCI-779、CDB-2914、セフィキシム、セツキシマブ、CG0070、シレンギチド、クロファラビン、コンブレタスタチンA4リン酸、CP-675,206、CP-724,714、CpG 7909、クルクミン、ダラツムマブ、デシタビン、DENSPM、ジヌツキシマブ、ドキセルカルシフェロール、E7070、E7389、エクチナサイジン743、エファプロキシラル、エフロルニチン、EKB-569、エロツズマブ、エンザスタウリン、エルロチニブ、エクシスリンド、フェンレチニド、フラボピリドール、フルダラビン、フルタミド、ホテムスチン、FR901228、G17DT、ガリキシマブ、ゲフィチニブ、ゲニステイン、グラスデギブ、グルホスファミド(glufosfamide)、GTI-2040、ヒストレリン、HKI-272、ホモハリントニン、HSPPC-96、hu14.18-インターロイキン-2 融合タンパク質、HuMax-CD4、イロプロスト、イミキモド、インフリキシマブ、イノツズマブオゾガマイシン、インターロイキン-12、IPI-504、イロフルベン、イクサベピロン、ラパチニブ、レナリドミド、レスタウルチニブ、リュープロリド、LMB-9免疫毒素、ロナファルニブ、ルニリキシマブ(luniliximab)、ルテチウムLu177ドータテート、マホスファミド、MB07133、MDX-010、MLN2704、モガムリズマブ-kpkc、モノクローナル抗体3F8、モノクローナル抗体J591、モテクサフィン、モキセツモマブパスドトクス(moxetumomab pasudotox-tdfk)、MS-275、MVA-MUC1-IL2、ニルタミド、ニラパリブ、ニトロカンプトテシン、ノラトレキセド二塩酸塩、ノルバデックス、NS-9、O6-ベンジルグアニン、オブリメルセンナトリウム、ONYX-015、オレゴボマブ、OSI-774、パニツムマブ、パラプラチン、PD-0325901、ペメトレキセド、PHY906、ピオグリタゾン、ピルフェニドン、ピクサントロン、ポラツズマブベドチン-piiq、PS-341、PSC 833、PXD101、ピラゾロアクリジン、R115777、RAD001、ランピルナーゼ(ranpirnase)、レベッカマイシン(rebeccamycin)類似体、rhuアンジオスタチンタンパク質、rhuMab 2C4、ロシグリタゾン、ルビテカン(rubitecan)、ルカパリブ、S-1、S-8184、サトラプラチン、SB-、15992、SGN-0010、SGN-40、ソニデギブ、ソラフェニブ、SR31747A、ST1571、SU011248、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、スラミン、タグラクソフスプ(Tagraxofusp-erzs)、タラボスタット(talabostat)、タランパネル(talampanel)、タラゾパリブ、タリキダール、テムシロリムス、TGFa-PE38免疫毒素、サリドマイド、サイマルファシン、ティピファニブ、チラパザミン、TLK286、トラベクテジン、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩、グルクロン酸トリメトレキサート、TroVax、UCN-1、バルプロ酸、ビンフルニン、VNP40101M、ボロシキシマブ、ボリノスタット、VX-680、ZD1839、ZD6474、ジロートン、およびゾスキダール三塩酸塩が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0155】
1つの態様において、任意選択の治療剤は、表5にリストされる抗がん薬のうちの1つまたは抗がん薬の組み合わせを含む。
【0156】
【0157】
抗がん剤およびその他の任意選択の治療剤のより詳細な説明について、当業者は、Physician's Desk ReferenceおよびGoodman and Gilman's"Pharmaceutical Basis of Therapeutics"tenth edition,Eds.Hardman et al.,2002を含むが、これらに限定されるわけではない、多数の参考書を参照されたい。
【0158】
別の態様において、本明細書において提供されるがんを処置する方法は、本開示の薬学的組成物を、放射線治療、および、任意で、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、対象へ投与する工程を含む。本明細書において提供される方法は、治療的な線量の放射線を患者へ送達するために使用される型、量、または送達および投与の系によって限定されない。例えば、患者は、光子放射線治療、粒子ビーム照射治療、その他の型の放射線治療、およびそれらの組み合わせを受容することができる。いくつかの態様において、放射線は、直線加速器を使用して患者へ送達される。さらに他の態様において、放射線は、ガンマナイフを使用して送達される。
【0159】
放射線源は、患者の外部にあってもよいし、または内部にあってもよい。外部放射線治療は、最も一般的であり、例えば、直線加速器を使用して、高エネルギー放射線のビームを皮膚を通して腫瘍部位に向けることを含む。放射線のビームは、腫瘍部位に限局化されるが、正常な健常組織の曝露を回避することは、ほぼ不可能である。しかしながら、外部放射線は、通常、患者にとって忍容性が良い。内部放射線治療は、放射線放出源、例えば、ビーズ、ワイヤ、ペレット、カプセル、粒子等の、体内の腫瘍部位またはその近くへの移植、例えば、がん細胞を特異的に標的とする送達系の使用(例えば、がん細胞結合リガンドに付着した粒子の使用)を含む。そのようなインプラントは、処置後に除去されてもよいし、または不活性な状態で体内に残されてもよい。内部放射線治療の型には、密封小線源治療、間質照射、腔内照射、放射線免疫治療等が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0160】
患者は、任意で、放射線増感剤(例えば、メトロニダゾール、ミソニダゾール、動脈内Budr、静脈内ヨードデオキシウリジン(IudR)、ニトロイミダゾール、5-置換型-4-ニトロイミダゾール、2H-イソインドールジオン、[[(2-ブロモエチル)-アミノ]メチル]-ニトロ-1H-イミダゾール-1-エタノール、ニトロアニリン誘導体、DNAアフィニック(affinic)低酸素選択的細胞毒素、ハロゲン化DNAリガンド、1,2,4 ベンゾトリアジンオキシド、2-ニトロイミダゾール誘導体、フッ素含有ニトロアゾール誘導体、ベンズアミド、ニコチンアミド、アクジリンインターカレーター、5-チオトレトラゾール(thiotretrazole)誘導体、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジニトロイミダゾール誘導体、ヒドロキシル化テキサフリン(hydroxylated texaphrins)、シスプラチン、マイトマイシン、チリパザミン(tiripazamine)、ニトロソウレア、メルカプトプリン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ブレオマイシン、ビンクリスチン、カルボプラチン、エピルビシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンデシン、エトポシド、パクリタキセル、熱(温熱治療)等)、放射線防護剤(例えば、システアミン、アミノアルキル二水素ホスホロチオエート、アミホスチン(WR 2721)、IL-1、IL-6等)を受容してもよい。放射線増感剤は、腫瘍細胞の死滅を増強する。放射線防護剤は、放射線の有害効果から健常組織を保護する。
【0161】
放射線の線量が、患者にとって忍容性があり、許容されない負の副作用を有しない限り、任意の型の放射線が患者へ投与され得る。放射線治療の適当な型には、例えば、電離(電磁)放射線治療(例えば、X線もしくはγ線)または粒子ビーム放射線治療(例えば、高線エネルギー放射線)が含まれる。電離放射線とは、(例えば、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第5,770,581号に記載されているように)電離、即ち、電子の獲得または損失を生じるのに十分なエネルギーを有する粒子または光子を含む放射線として定義される。放射線の効果は、医師によって少なくとも部分的に調節され得る。1つの態様において、標的細胞曝露が最大になり、毒性が低下するよう、放射線の線量は分割される。
【0162】
1つの態様において、患者へ投与される放射線の総線量は、約.01グレイ(Gy)~約100Gyである。別の態様において、約10Gy~約65Gy(例えば、約15Gy、20Gy、25Gy、30Gy、35Gy、40Gy、45Gy、50Gy、55Gy、または60Gy)が処置の過程において投与される。いくつかの態様において、放射線の全線量が1日で投与されてもよいが、理想的には、総線量が分割され、数日にわたって投与される。望ましくは、放射線治療は、少なくとも約3日、例えば、少なくとも5、7、10、14、17、21、25、28、32、35、38、42、46、52、または56日(約1~8週間)にわたって投与される。従って、放射線の1日線量は、およそ1~5Gy(例えば、約1Gy、1.5Gy、1.8Gy、2Gy、2.5Gy、2.8Gy、3Gy、3.2Gy、3.5Gy、3.8Gy、4Gy、4.2Gy、もしくは4.5Gy)、または1~2Gy(例えば、1.5~2Gy)を含む。放射線の1日線量は、標的細胞の破壊を誘導するのに十分でなければならない。ある期間にわたって延長された場合、1つの態様において、放射線は毎日投与されず、それによって、動物の休息および治療の効果の実現が可能となる。例えば、放射線は、望ましくは、処置の各週について、連続する5日間投与され、2日間投与されず、それによって、1週間当たり2日間の休息が可能となる。しかしながら、放射線は、動物の応答性および任意の可能性のある副作用に依って、1日/週、2日/週、3日/週、4日/週、5日/週、6日/週、または全7日/週、投与され得る。放射線治療は、治療期間中の任意の時点で開始され得る。1つの態様において、放射線は、第1週または第2週に開始され、治療期間の残りの期間、投与される。例えば、放射線は、例えば、固形腫瘍を処置するため、6週間を含む治療期間の第1~6週または第2~6週に投与される。あるいは、放射線は、5週間を含む治療期間の第1~5週または第2~5週に投与される。しかしながら、これらの例示的な放射線治療投与スケジュールは、本明細書において提供される方法を限定するためのものではない。
【0163】
V. 本開示の凍結乾燥物を作製する方法
別の態様において、本開示は、
(i)化合物1と増量剤と水とを含む凍結乾燥前溶液を調製する工程;
(ii)凍結するまで、凍結乾燥前溶液を冷却する工程;および
(iii)凍結乾燥物を与えるため、凍結した凍結乾燥前溶液に真空を適用する工程
を含む、本開示の凍結乾燥物を作製する方法を提供する。
【0164】
別の態様において、増量剤は、マンニトールである。
【0165】
別の態様において、凍結乾燥前溶液は、エタノールをさらに含む。別の態様において、凍結乾燥前溶液は、t-ブタノールをさらに含む。
【0166】
別の態様において、本開示は、
(i)凍結乾燥前溶液を与えるため、約20℃~約50℃の温度で、化合物1と、増量剤、例えば、マンニトールとを、t-ブタノールとエタノールと水との混合物に溶解させる工程;
(ii)凍結するか、または部分的に凍結するまで、凍結乾燥前溶液を冷却する工程;および
(iii)凍結乾燥物を与えるため、凍結した、または部分的に凍結した凍結乾燥前溶液に真空を適用する工程
を含む、本開示の凍結乾燥物を作製する方法を提供する。
【0167】
別の態様において、化合物1は、約25℃~約35℃の温度で、t-ブタノールとエタノールと水との混合物に溶解させる。別の態様において、温度は、約25℃~約30℃である。別の態様において、温度は、約25℃である。別の態様において、温度は、約30℃である。
【0168】
別の態様において、凍結乾燥前溶液は、カルボキシメチルセルロースナトリウムをさらに含む。別の態様において、凍結乾燥前溶液は、ポロキサマー188をさらに含む。別の態様において、凍結乾燥前溶液は、大豆レシチンをさらに含む。別の態様において、凍結乾燥前溶液は、L-ヒスチジンをさらに含む。別の態様において、凍結乾燥前溶液は、エタノールとt-ブタノールとカルボキシメチルセルロースナトリウムとポロキサマー188と大豆レシチンとL-ヒスチジンとをさらに含む。
【0169】
別の態様において、凍結乾燥前溶液中の化合物1の濃度は、約1mg/mL~約15mg/mLである。別の態様において、凍結乾燥前溶液中の化合物1の濃度は、約10mg/mLである。
【0170】
VI. 薬学的組成物を作製する方法
別の態様において、本開示は、本開示の凍結乾燥物を溶媒に懸濁させる工程を含む、本開示の薬学的組成物を作製する方法を提供する。別の態様において、溶媒は、水を含む。
【0171】
VII. キット
別の態様において、本開示は、
バイアル内に1単位用量としてパッケージングされた本開示の凍結乾燥物
を含む、キット
を提供する。別の態様において、バイアルは、栓およびキャップを有する。別の態様において、バイアルはガラスである。
【0172】
別の態様において、本開示は、対象におけるがんの処置のための、
バイアル内に1単位用量としてパッケージングされた本開示の凍結乾燥物
を含む、キット
を提供する。
【0173】
別の態様において、キットは、本開示の薬学的組成物を与えるための、凍結乾燥物の溶媒への懸濁についての説明書をさらに含む。
【0174】
別の態様において、キットは、本開示の薬学的組成物の対象への投与についての説明書をさらに含む。
【0175】
別の態様において、キットは、任意選択の治療剤をさらに含む。
【0176】
別の態様において、キットは、本開示の薬学的組成物を対象へ皮下投与するために適当な機器をさらに含む。
【0177】
VIII. 定義
「(S)-イソプロピル2-((S)-2-アセトアミド-3-(1H-インドール-3-イル)プロパンアミド)-6-ジアゾ-5-オキソヘキサノエート」および「化合物1」という用語は、以下の構造を有する、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン(DON)のプロドラッグをさす。
化合物1は、US 10,336,778 B2に記載されている。
【0178】
「凍結乾燥物」という用語は、本明細書において使用されるように、凍結乾燥によって得られた粉末をさす。
【0179】
「凍結乾燥」、「凍結乾燥すること」、および「凍結乾燥された」という用語は、本明細書において使用されるように、化合物1を凍結させ、水およびその他の溶媒が存在する場合、凍結した状態のまま、真空下で昇華によってそれらを除去するフリーズドライ過程をさす。そのようにして得られる凍結乾燥物の特性および/または凍結乾燥物を含む薬学的組成物の特性を増強するため、他の薬剤、例えば、増量剤、セルロース系懸濁調節剤、ポロキサマー系懸濁調節剤、レシチン系懸濁調節剤、緩衝剤の存在下で、化合物1を凍結乾燥してもよい。
【0180】
「溶媒」という用語は、本明細書において使用されるように、薬学的組成物または製剤の一部として対象へ投与するために適当である液体、例えば、水、または液体の混合物、例えば、水とエタノールとの混合物をさす。1つの態様において、溶媒は、水と、1種、2種、3種、または4種の付加的な薬学的に許容される水混和性溶媒、例えば、ジオキソラン、ジメチルアセトアミド、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エタノール等、またはそれらの組み合わせとの組み合わせを含む。別の態様において、溶媒は、水である。別の態様において、溶媒は、水と、1種の付加的な薬学的に許容される水混和性溶媒との組み合わせである。別の態様において、溶媒は、水とエタノールとの組み合わせである。別の態様において、溶媒は、水と、1種、2種、3種、または4種の付加的な薬学的に許容される非水混和性溶媒、例えば、落花生油、オレイン酸エチル等との組み合わせを含む。別の態様において、溶媒は、約10%~約30%の水と、約70%~約90%の水混和性溶媒、例えば、エタノールとを含む。別の態様において、溶媒は、約15%~約25%の水と、約75%~約85%の水混和性溶媒とを含む。別の態様において、溶媒は、約20%の水と、約80%の水混和性溶媒とから本質的になる。
【0181】
「増量剤」という用語は、本明細書において使用されるように、収縮および崩壊を防止するため、凍結乾燥ケーキに構造を提供する、薬学的に許容される賦形剤をさす。例示的な非限定的な増量剤には、マンニトール、乳糖、ショ糖、ポリエチレングリコール、およびグリシンが含まれる。
【0182】
「セルロース系懸濁調節剤」という用語は、本明細書において使用されるように、β(1→4)結合D-グルコース単位の直鎖からなる多糖をさす。例示的な非限定的なセルロース系懸濁調節剤には、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムが含まれる。
【0183】
「ポロキサマー系懸濁調節剤」という用語は、本明細書において使用されるように、2本の親水性ポリオキシエチレン鎖に挟まれた、中央の疎水性ポリオキシプロピレン鎖を含む、非イオン性トリブロック共重合体をさす。例示的な非限定的なポロキサマー系懸濁調節剤には、ポロキサマー188(NF)(Pluronic(登録商標)F-68)およびポロキサマー407(Pluronic(登録商標)F-127)が含まれる。
【0184】
「レシチン系懸濁調節剤」という用語は、本明細書において使用されるように、グリセロリン脂質、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、およびホスファチジン酸を含む混合物をさす。例示的な非限定的なレシチン系懸濁調節剤は、大豆レシチンである。
【0185】
「緩衝剤」という用語は、本明細書において使用されるように、凍結乾燥中、および得られた凍結乾燥物の再構成後に、pHの維持を助ける薬学的に許容される賦形剤をさす。例示的な非限定的な緩衝剤には、グリシン、L-ヒスチジン、リン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、およびトリスが含まれる。
【0186】
「希釈剤」という用語は、本明細書において使用されるように、対象への非経口投与の前に薬学的組成物を希釈するために使用される液体をさす。1つの態様において、希釈剤は、普通の生理食塩水、5%ブドウ糖、乳酸リンゲル液、または、例えば、静脈内注入による、ヒトへの投与と適合性であるよう設計された任意のその他の無菌液である。別の態様において、希釈剤は、普通の生理食塩水である。
【0187】
「重量比」という用語は、本明細書において使用されるように、凍結乾燥物中の化合物1の質量を、別の薬剤、例えば、増量剤または緩衝剤の質量で割ったものをさす。例えば、67.5mgの化合物1と135mgのマンニトールとを含む凍結乾燥物の中の化合物1/増量剤の重量比は、0.5である。67.5mgの化合物1と135mgのマンニトールと3.88mgのL-ヒスチジンとを含む凍結乾燥物の中の化合物1/緩衝剤の重量比は、17.4である。
【0188】
「%wt/wt」という用語は、本明細書において使用されるように、ある凍結乾燥物成分の質量を、全凍結乾燥物成分の質量で割り、100を掛けたものをさす。例えば、62.5mgの化合物1と125mgのマンニトールと8.33mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)と7.08mgのポロキサマー188(NF)と4.31mgのヒスチジンと41.7mgの大豆レシチンとを含む凍結乾燥物の中の化合物1の%wt/wtは、25.1%である(62.5mg/248.92mg=0.251×100=25.1%wt/wt)。
【0189】
「平均粒度分布」または「D50」という用語は、本明細書において使用されるように、粒子の50質量%がそれより大きい相当直径を有し、50質量%がそれより小さい相当直径を有する、レーザー回折によって決定される直径である。
【0190】
「間欠用量投与」、「間欠投薬スケジュール」という用語、および類似の用語は、本明細書において使用されるように、本開示の薬学的組成物の対象への非継続的な投与をさす。本開示において有用な間欠用量投与計画は、治療有効量の本開示の薬学的組成物を、その必要のある対象へ提供する、任意の非継続的な投与計画を包含する。間欠投薬計画は、継続投薬計画において使用されるであろう本開示の薬学的組成物の用量と等しいか、それより低いか、または高い用量を使用することができる。間欠用量投与の利点には、安全性の改善、毒性の減少、例えば、体重減少の減少、曝露の増加、効力の増加、および/または対象のコンプライアンスの増加が含まれるが、これらに限定されるわけではない。これらの利点は、本開示の薬学的組成物が、単一の薬剤として投与される場合に、または1つもしくは複数の付加的な治療剤、例えば、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される場合に、実現し得る。
【0191】
1つの態様において、本開示の薬学的組成物は、がんを処置するため、間欠投薬スケジュールに従って、対象へ投与される。別の態様において、間欠投薬スケジュールは、本開示の薬学的組成物の治療指数を増加させる。治療指数とは、治療効果、例えば、腫瘍量の減少、腫瘍進行までの時間の増加、および/または対象の生存時間の増加を引き起こす本開示の薬学的組成物の量と、毒性、例えば、体重減少を引き起こす量との比較である。
【0192】
1つの態様において、本開示の薬学的組成物は、対象へ隔日投与される。
【0193】
別の態様において、本開示の薬学的組成物は、週1回、対象へ投与される。
【0194】
別の態様において、本開示の薬学的組成物は、週2回、連続する日、例えば、月曜日および火曜日に、対象へ投与される。
【0195】
別の態様において、本開示の薬学的組成物は、週2回、連続しない日、例えば、月曜日および水曜日、月曜日および木曜日、または火曜日および金曜日に、対象へ投与される。
【0196】
別の態様において、本開示の薬学的組成物は、週2回、月曜日および木曜日に、対象へ投与される。
【0197】
別の態様において、本開示の薬学的組成物は、週2回、火曜日および金曜日に、対象へ投与される。
【0198】
別の態様において、本開示の薬学的組成物は、週3回、連続する日、例えば、月曜日、火曜日、および水曜日に、対象へ投与される。
【0199】
別の態様において、本開示の薬学的組成物は、週3回、連続しない日、例えば、月曜日、水曜日、および金曜日に、対象へ投与される。
【0200】
別の態様において、本開示の薬学的組成物は、週4回、連続する日、例えば、月曜日、火曜日、水曜日、および木曜日に、対象へ投与される。
【0201】
別の態様において、本開示の薬学的組成物は、週4回、連続しない日、例えば、月曜日、火曜日、木曜日、および金曜日に、対象へ投与される。
【0202】
別の態様において、本開示の薬学的組成物は、週5回、連続する日、例えば、月曜日、火曜日、水曜日、木曜日、および金曜日に、対象へ投与される。
【0203】
「併用投与」、「組み合わせて投与される」、「同時投与」、および類似の語句は、2種以上の薬剤が、処置される対象へ併用投与されることを意味する。「併用」とは、各薬剤が、同時に投与されるか、または異なる時点で任意の順序で逐次的に投与されることを意味する。しかしながら、同時に投与されない場合、それらは、所望の治療効果を提供するため、十分に近い時点で、個体へ逐次投与され、協調的に作用し得ることを意味する。例えば、本開示の薬学的組成物は、任意選択の治療剤と同時に対象へ投与されてもよいし、または異なる時点で任意の順序で逐次的に投与されてもよい。本開示の薬学的組成物および任意選択の治療剤は、それぞれ、任意の適切な形態で、任意の適当な経路によって、別々に投与されてもよい。本開示の薬学的組成物および任意選択の治療剤が併用投与されない時、それらは、その必要のある対象へ任意の順序で投与され得ることが理解される。例えば、本開示の薬学的組成物は、任意選択の治療剤の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、もしくはそれ以上前)に投与されてもよいし、同時に投与されてもよいし、または後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、もしくはそれ以上後)に投与されてもよい。
【0204】
「1つの(a)」および「1つの(an)」という用語は、1または複数をさす。
【0205】
「約」という用語は、本明細書において使用されるように、記載された数±10%を含む。従って、「約10」は、9~11を意味する。
【0206】
本明細書において使用されるように、「処置する」、「処置すること」、「処置」、「治療方法」等の用語は、疾患もしくは状態および/またはそれらに関連する症状の排除、低減、または寛解をさす。除外されるわけではないが、疾患または状態の処置は、疾患、状態、またはそれらに関連する症状が完全に排除されることを必要としない。しかしながら、1つの態様において、化合物1を投与し、任意で、1つまたは複数の任意選択の治療剤を投与することは、がんの緩解をもたらす。
【0207】
「治療有効量」という用語は、本明細書において使用されるように、障害の1つもしくは複数の症状の寛解をもたらすため、または障害の進行を防止するため、または障害の退行を引き起こすために十分な治療剤の量をさす。例えば、がんの処置に関して、1つの態様において、治療有効量は、治療的応答、例えば、血球数の正常化、腫瘍増殖の速度の減少、腫瘍量の減少、転移の数の減少、腫瘍進行までの時間の増加、および/または対象の生存時間の増加を、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、もしくは少なくとも約100%、またはそれ以上、引き起こす治療剤の量をさす。
【0208】
「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される媒体」という用語は、標準的な薬学的な担体、溶媒、界面活性剤、または媒体のうちの任意のものを包含する。適当な薬学的に許容される媒体には、水性媒体および非水性媒体が含まれる。標準的な薬学的担体およびその製剤化は、Remington's Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PA,19th ed.1995に記載されている。
【0209】
「容器」という用語は、薬学的製品の保管、輸送、分配、および/または取り扱いのために適当な任意のレセプタクルおよびそのためのクロージャーを意味する。1つの態様において、容器は、バイアルである。
【0210】
「インサート」という用語は、医師、薬剤師、および患者が、製品の使用に関して、情報に基づく決定(informed decision)を行うことを可能にするために必要とされる、安全性および有効性のデータと共に、製品の投与方法の説明を提供する、薬学的製品に添付される情報を意味する。パッケージインサートは、一般に、薬学的製品の「表示(label)」と見なされる。
【0211】
いくつかの態様において、組み合わせて投与される場合、2種以上の薬剤は、相乗効果を有し得る。例えば、「相乗効果」または「相乗的組み合わせ」または「相乗的組成物」における「相乗性」、「相乗的な」、「相乗的に」という用語、およびそれらの派生語は、本明細書において使用されるように、薬剤と少なくとも1つの付加的な治療剤との組み合わせの生物学的活性が、個々に投与された時のそれぞれの薬剤の生物学的活性の合計より大きい状況をさす。例えば、「相乗的に有効な」という用語は、本明細書において使用されるように、薬物の全体的な効果を、各薬物の個々の効果の合計より大きくする、化合物1と、1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤との間の相互作用をさす。例えば、Berenbaum,Pharmacological Reviews 41:93-141(1989)を参照されたい。
【0212】
IX.具体的な態様
別の局面において、本開示は、以下の具体的な態様を提供する。
態様1.
化合物1と増量剤とを含む、凍結乾燥物。
態様2.
約67.5mgの化合物1を含む、態様1の凍結乾燥物。
態様3.
化合物1/増量剤の重量比が、約5~約0.05である、態様1または2の凍結乾燥物。
態様4.
化合物1/増量剤の重量比が、約1~約0.2である、態様3の凍結乾燥物。
態様5.
化合物1/増量剤の重量比が、約0.5である、態様5の凍結乾燥物。
態様6.
増量剤が、マンニトールである、態様1~5のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様7.
約135mgのマンニトールを含む、態様6の凍結乾燥物。
態様8.
セルロース系懸濁調節剤をさらに含む、態様1~7のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様9.
化合物1/セルロース系懸濁調節剤の比が、約25~約0.3である、態様8の凍結乾燥物。
態様10.
化合物1/セルロース系懸濁調節剤の重量比が、約5~約2である、態様9の凍結乾燥物。
態様11.
化合物1/セルロース系懸濁調節剤の重量比が、約2.7または約7.5である、態様10の凍結乾燥物。
態様12.
セルロース系懸濁調節剤が、カルボキシメチルセルロースナトリウムである、態様8~11のいずれか1つの方法。
態様13.
約25.2mgまたは約9.0mgのカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む、態様12の凍結乾燥物。
態様14.
ポロキサマー系懸濁調節剤をさらに含む、態様1~13のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様15.
化合物1/ポロキサマー系懸濁調節剤の比が、約80~約1である、態様14の凍結乾燥物。
態様16.
化合物1/ポロキサマー系懸濁調節剤の重量比が、約10~約6である、態様15の凍結乾燥物。
態様17.
化合物1/ポロキサマー系懸濁調節剤の重量比が、約8.8である、態様16の凍結乾燥物。
態様18.
ポロキサマー系懸濁調節剤が、ポロキサマー188である、態様14~17のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様19.
約7.65mgのポロキサマー188を含む、態様18の凍結乾燥物。
態様20.
レシチン系懸濁調節剤をさらに含む、態様1~19のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様21.
化合物1/レシチン系懸濁調節剤の比が、約20~約0.1である、態様20の凍結乾燥物。
態様22.
化合物1/レシチン系懸濁調節剤の重量比が、約10~約0.5である、態様21の凍結乾燥物。
態様23.
化合物1/レシチン系懸濁調節剤の重量比が、約1.5である、態様22の凍結乾燥物。
態様24.
レシチン系懸濁調節剤が、大豆レシチンである、態様20~23のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様25.
約45mgの大豆レシチンを含む、態様24の凍結乾燥物。
態様26.
緩衝剤をさらに含む、態様1~25のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様27.
化合物1/緩衝剤の重量比が、約50~約1である、態様26記載の凍結乾燥物。
態様28.
化合物1/緩衝剤の重量比が、約20~約10である、態様27の凍結乾燥物。
態様29.
化合物1/緩衝剤の重量比が、約17.4である、態様28の凍結乾燥物。
態様30.
緩衝剤が、L-ヒスチジンである、態様26~29のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様31.
約3.88mgのL-ヒスチジンを含む、態様30の凍結乾燥物。
態様32.
態様1~31のいずれか1つの凍結乾燥物を含む薬学的組成物であって、凍結乾燥物が、溶媒に懸濁している、薬学的組成物。
態様33.
溶媒が、水を含む、態様32の薬学的組成物。
態様34.
化合物1の濃度が、約25mg/mL~約30mg/mLである、態様32または33の薬学的組成物。
態様35.
懸濁液中の化合物1の平均粒度分布が、2~8℃で3日後に約1μm~約30μmである、態様32~34のいずれか1つの薬学的組成物。
態様36.
治療有効量の、態様32~35のいずれか1つの薬学的組成物を、対象へ投与する工程を含む、その必要のある対象においてがんを処置するための方法。
態様37.
薬学的組成物が、対象へ皮下投与される、態様36の方法。
態様38.
任意選択の治療剤を対象へ投与する工程をさらに含む、態様36または37の方法。
態様39.
(i)化合物1と増量剤と水とを含む凍結乾燥前溶液を調製する工程;
(ii)凍結するか、または部分的に凍結するまで、凍結乾燥前溶液を冷却する工程;および
(iii)凍結乾燥物を与えるため、凍結した、または部分的に凍結した凍結乾燥前溶液に真空を適用する工程
を含む、態様1の凍結乾燥物を作製するための方法。
態様40.
増量剤が、マンニトールである、態様39の方法。
態様41.
凍結乾燥前溶液が、エタノールをさらに含む、態様39または40の方法。
態様42.
凍結乾燥前溶液が、t-ブタノールをさらに含む、態様39~41のいずれか1つの方法。
態様43.
凍結乾燥前溶液が、カルボキシメチルセルロースナトリウムをさらに含む、態様39~42のいずれか1つの方法。
態様44.
凍結乾燥前溶液が、ポロキサマー188をさらに含む、態様39~43のいずれか1つの方法。
態様45.
凍結乾燥前溶液が、大豆レシチンをさらに含む、態様39~44のいずれか1つの方法。
態様46.
凍結乾燥前溶液が、L-ヒスチジンをさらに含む、態様39~45のいずれか1つの方法。
態様47.
凍結乾燥物を溶媒に懸濁させる工程を含む、態様32の薬学的組成物を作製するための方法。
態様48.
溶媒が、水を含む、態様47の方法。
態様49.
バイアル内に1単位用量としてパッケージングされた態様1~31のいずれか1つの凍結乾燥物
を含む、キット。
態様50.
その必要のある対象におけるがんの処置のための、態様49のキット。
態様51.
薬学的組成物を与えるための凍結乾燥物の溶媒への懸濁についての説明書
をさらに含む、態様49または50のキット。
態様52.
薬学的組成物の対象への投与についての説明書
をさらに含む、態様49~51のキット。
【0213】
別の局面において、本開示は、以下の具体的な態様を提供する。
態様A1.
約20%wt/wt~約45%wt/wtの化合物1と、約35%wt/wt~約55%wt/wtの増量剤とを含む、凍結乾燥物。
態様A2.
約1%wt/wt~約10%wt/wtのセルロース系懸濁調節剤をさらに含む、態様A1記載の凍結乾燥物。
態様A3.
約1%wt/wt~約5%wt/wtのポロキサマー系懸濁調節剤をさらに含む、態様A1またはA2記載の凍結乾燥物。
態様A4.
約10%wt/wt~約20%wt/wtのレシチン系懸濁調節剤をさらに含む、態様A1~A3のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様A5.
約0.5%wt/wt~約2.5%wt/wtの緩衝剤をさらに含む、態様A1~A5のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様A6.
(i)約20%wt/wt~約30%wt/wtの化合物1;
(ii)約45%wt/wt~約55%wt/wtの増量剤;
(iii)約1%wt/wt~約9%wt/wtのセルロース系懸濁調節剤;
(iv)約1%wt/wt~約4%wt/wtのポロキサマー系懸濁調節剤;
(v)約12%wt/wt~約20%wt/wtのレシチン系懸濁調節剤;および
(vi)約1%wt/wt~約2%wt/wtの緩衝剤
を含む、態様A1~A5のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様A7.
約25.1%wt/wtの化合物1を含む、態様A1~A6のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様A8.
約50.2%wt/wtの増量剤を含む、態様A1~A7のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様A9.
約3.3%wt/wtのセルロース系懸濁調節剤を含む、態様A1~A8のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様A10.
約2.8%wt/wtのポロキサマー系懸濁調節剤を含む、態様A1~A9のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様A11.
約16.8%wt/wtのレシチン系懸濁調節剤を含む、態様A1~A10のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様A12.
約1.7%wt/wtの緩衝剤を含む、態様A1~A11のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様A13.
増量剤が、マンニトールである、態様A1~A12のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様A14.
セルロース系懸濁調節剤が、カルボキシメチルセルロースナトリウムである、態様A1~A13のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様A15.
ポロキサマー系懸濁調節剤が、ポロキサマー188(エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体)である、態様A1~A14のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様A16.
レシチン系懸濁調節剤が、大豆レシチンである、態様A1~A15のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様A17.
緩衝剤が、ヒスチジンである、態様A1~A16のいずれか1つの凍結乾燥物。
態様A18.
(i)約62.5mgの化合物1;
(ii)約125mgのマンニトール;
(iii)約8.3mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム;
(iv)約7.1mgのポロキサマー188(NF);
(v)約41.7mgの大豆レシチン;および
(vi)約4.3mgのヒスチジン
を含む、態様A1記載の凍結乾燥物。
態様A19.
態様A1~A18のいずれか1つの凍結乾燥物を含む薬学的組成物であって、
凍結乾燥物が、薬学的に許容される担体に懸濁している、薬学的組成物。
態様A20.
薬学的に許容される担体が、水を含む、態様A19記載の薬学的組成物。
態様A21.
化合物1の濃度が、約20mg/mL~約60mg/mLである、態様A19またはA20記載の薬学的組成物。
態様A22.
化合物1の濃度が、約25mg/mLである、態様A21記載の薬学的組成物。
態様A23.
懸濁液中の化合物1の平均粒度分布が、約1μm~約30μmである、態様A19~A22のいずれか1つの薬学的組成物。
態様A24.
治療有効量の、態様A19~A23のいずれか1つの薬学的組成物を、対象へ投与する工程を含む、その必要のある対象においてがんを処置するための方法。
態様A25.
がんが、固形腫瘍である、態様A24記載の方法。
態様A26.
がんが、血液がんである、態様A24記載の方法。
態様A27.
がんが、表1に記載されたがんのうちの1つまたは複数である、態様A24記載の方法。
態様A28.
がんが、肝細胞癌、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、メラノーマ、または結腸直腸がんである、態様A24記載の方法。
態様A29.
がんが、結腸直腸がん、乳がん、リンパ腫、メラノーマ、腎臓がん、または肺がんである、態様A24記載の方法。
態様A30.
がんが、進行固形腫瘍、非小細胞肺がん、または頭頸部扁平上皮癌である、態様A24記載の方法。
態様A31.
薬学的組成物が、対象へ皮下投与される、態様A24~30のいずれか1つの方法。
態様A32.
薬学的組成物が、間欠投薬スケジュールに従って対象へ投与される、態様A31記載の方法。
態様A33.
薬学的組成物が、週2回、連続しない日に対象へ投与される、態様A32記載の方法。
態様A34.
1つまたは複数の任意選択の治療剤を対象へ投与する工程をさらに含む、態様A24~3A3のいずれか1つの方法。
態様A35.
1つまたは複数の任意選択の治療剤が、1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤を含む、態様A34記載の方法。
態様A36.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、TIM3阻害剤、もしくはTIGIT阻害剤、またはそれらの組み合わせを含む、態様A35記載の方法。
態様A37.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体を含む、態様A36記載の方法。
態様A38.
抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、STI-A1110、(スパルタリズマブ)、JTX-4014、シンチリマブ、MEDI 0680、AGEN2034、BGB-A317、AB122、ドスタルリマブ、PF-06801591、セミプリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、SYM021、JNJ 63723283、HLX10、LZM009、またはMGA012である、態様A37記載の方法。
態様A39.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-L1抗体を含む、態様A35~A38のいずれか1つの方法。
態様A40.
抗PD-L1抗体が、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、KN035、またはSTI-A1014である、態様A39記載の方法。
態様A41.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗CTLA-4抗体を含む、態様A35~A40のいずれか1つの方法。
態様A42.
抗CTLA-4抗体が、イピリムマブまたはトレメリムマブである、態様A41記載の方法。
態様A43.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗LAG3抗体を含む、態様A35~A42のいずれか1つの方法。
態様A44.
抗LAG3抗体が、GSK2831781である、態様A43記載の方法。
態様A45.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗TIM3抗体を含む、態様A35~A44のいずれか1つの方法。
態様A46.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗TIGIT抗体を含む、態様A35~A45のいずれか1つの方法。
態様A47.
抗TIGIT抗体が、ビボストリマブ(MK-7684)、チラゴルマブ(RG6058)、EOS-448、BMS-986207、BGB-A1217、MTIG7192A、AB154、ASP8374、またはMK-7684である、態様A46記載の方法。
態様A48.
がんが、少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して抵抗性であるか、または抵抗性になっている、態様A35~A47のいずれか1つの方法。
態様A49.
容器内に1単位用量としてパッケージングされた、態様A1~A18のいずれか1つの凍結乾燥物
を含む、キット。
態様A50.
薬学的組成物を与えるための凍結乾燥物の溶媒への懸濁についての説明書
をさらに含む、態様A49記載のキット。
態様A51.
態様A24~A48のいずれか1つの方法によるキットの使用方法についての説明書を含む表示
をさらに含む、態様A49またはA50記載のキット。
態様A52.
表示が、アメリカ食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)、中国の国家食品薬品監督管理局(CFDA)、または日本の厚生労働省(MHLW)によって認可されている、態様A51記載のキット。
態様A53.
(i)化合物1と増量剤と水とを含む凍結乾燥前溶液を調製する工程;
(ii)凍結するか、または部分的に凍結するまで、凍結乾燥前溶液を冷却する工程;および
(iii)凍結乾燥物を与えるため、凍結した、または部分的に凍結した凍結乾燥前溶液に真空を適用する工程
を含む、態様A1記載の凍結乾燥物を作製する方法。
態様A54.
増量剤が、マンニトールである、態様A54記載の方法。
態様A55.
凍結乾燥前溶液が、エタノールをさらに含む、態様A53またはA54記載の方法。
態様A56.
凍結乾燥前溶液が、t-ブタノールをさらに含む、態様A53~A55のいずれか1つの方法。
態様A57.
凍結乾燥前溶液が、カルボキシメチルセルロースナトリウムをさらに含む、態様A53~A56のいずれか1つの方法。
態様A58.
凍結乾燥前溶液が、ポロキサマー188をさらに含む、態様A53~A57のいずれか1つの方法。
態様A59.
凍結乾燥前溶液が、大豆レシチンをさらに含む、態様A53~A58のいずれか1つの方法。
態様A60.
凍結乾燥前溶液が、L-ヒスチジンをさらに含む、態様A53~A59のいずれか1つの方法。
態様A61.
凍結乾燥物を溶媒に懸濁させる工程を含む、態様A19記載の薬学的組成物を作製する方法。
態様A62.
溶媒が、水を含む、態様A61記載の方法。
態様A63.
容器内にパッケージングされた態様A1~18のいずれか1つの凍結乾燥物の1単位用量を含む、態様A24~A48のいずれか1つの方法を実施するためのキット。
態様A64.
薬学的組成物を与えるための凍結乾燥物の溶媒への懸濁についての説明書
をさらに含む、態様A63のキット。
態様A65.
アメリカ食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)、中国の国家食品薬品監督管理局(CFDA)、または日本の厚生労働省(MHLW)によって認可された表示
をさらに含む、態様A63またはA64のキット。
態様A66.
その必要のある対象におけるがんの処置において使用するための、態様A19~A23のいずれか1つの薬学的組成物。
態様A67.
がんが、固形腫瘍である、態様A66の使用のための薬学的組成物。
態様A68.
がんが、血液がんである、態様A66の使用のための薬学的組成物。
態様A69.
がんが、表1に記載されたがんのうちの1つまたは複数である、態様A66の使用のための薬学的組成物。
態様A70.
がんが、肝細胞癌、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、メラノーマ、または結腸直腸がんである、態様A66の使用のための薬学的組成物。
態様A71.
がんが、結腸直腸がん、乳がん、リンパ腫、メラノーマ、腎臓がん、または肺がんである、態様A66の使用のための薬学的組成物。
態様A72.
がんが、進行固形腫瘍、非小細胞肺がん、または頭頸部扁平上皮癌である、態様A66の使用のための薬学的組成物。
態様A73.
対象へ皮下投与される、態様A66~A72のいずれか1つの使用のための薬学的組成物。
態様A74.
間欠投薬スケジュールに従って対象へ投与される、態様A73の使用のための薬学的組成物。
態様A75.
週2回、連続しない日に対象へ投与される、態様A74の使用のための薬学的組成物。
態様A76.
1つまたは複数の任意選択の治療剤と共に対象へ投与される、態様A66~A75のいずれか1つの使用のための薬学的組成物。
態様A77.
1つまたは複数の任意選択の治療剤が、1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤を含む、態様A76の使用のための薬学的組成物。
態様A78.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、TIM3阻害剤、もしくはTIGIT阻害剤、またはそれらの組み合わせを含む、態様A77の使用のための薬学的組成物。
態様A79.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体を含む、態様A78の使用のための薬学的組成物。
態様A80.
抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、STI-A1110、(スパルタリズマブ(spartalizumab))、JTX-4014、シンチリマブ(sintilimab)、MEDI 0680、AGEN2034、BGB-A317、AB122、ドスタルリマブ(dostarlimab)、PF-06801591、セミプリマブ、チスレリズマブ(tislelizumab)、トリパリマブ(toripalimab)、カムレリズマブ(camrelizumab)、SYM021、JNJ 63723283、HLX10、LZM009、またはMGA012である、態様A79の使用のための薬学的組成物。
態様A81.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-L1抗体を含む、態様A77~A80のいずれか1つの使用のための薬学的組成物。
態様A82.
抗PD-L1抗体が、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、KN035、またはSTI-A1014である、態様A81の使用のための薬学的組成物。
態様A83.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗CTLA-4抗体を含む、態様A77~A82のいずれか1つの使用のための薬学的組成物。
態様A84.
抗CTLA-4抗体が、イピリムマブまたはトレメリムマブである、態様A83の使用のための薬学的組成物。
態様A85.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗LAG3抗体を含む、態様A77~A84のいずれか1つの使用のための薬学的組成物。
態様A86.
抗LAG3抗体が、GSK2831781である、態様A85の使用のための薬学的組成物。
態様A87.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗TIM3抗体を含む、態様A77~A86のいずれか1つの使用のための薬学的組成物。
態様A88.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗TIGIT抗体を含む、態様A77~A87のいずれか1つの使用のための薬学的組成物。
態様A89.
抗TIGIT抗体が、ビボストリマブ(vibostolimab)(MK-7684)、チラゴルマブ(tiragolumab)(RG6058)、EOS-448、BMS-986207、BGB-A1217、MTIG7192A、AB154、ASP8374、またはMK-7684である、態様A88の使用のための薬学的組成物。
態様A90.
がんが、少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して抵抗性であるか、または抵抗性になっている、態様A77~A89のいずれか1つの使用のための薬学的組成物。
態様A91.
その必要のある対象においてがんを処置するための医薬の製造における、態様A19~A23のいずれか1つの薬学的組成物の使用。
態様A92.
がんが、固形腫瘍である、態様A91の使用。
態様A93.
がんが、血液がんである、態様A91の使用。
態様A94.
がんが、表1に記載されたがんのうちの1つまたは複数である、態様A91の使用。
態様A95.
がんが、肝細胞癌、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、メラノーマ、または結腸直腸がんである、態様A91の使用。
態様A96.
がんが、結腸直腸がん、乳がん、リンパ腫、メラノーマ、腎臓がん、または肺がんである、態様A91の使用。
態様A97.
がんが、進行固形腫瘍、非小細胞肺がん、または頭頸部扁平上皮癌である、態様A91の使用。
態様A98.
薬学的組成物が、対象へ皮下投与される、態様A91~A97のいずれか1つの使用。
態様A99.
薬学的組成物が、間欠投薬スケジュールに従って対象へ投与される、態様A98の使用。
態様A100.
薬学的組成物が、週2回、連続しない日に対象へ投与される、態様A99の使用。
態様A101.
薬学的組成物が、1つまたは複数の任意選択の治療剤と共に対象へ投与される、態様A91~A100のいずれか1つの使用。
態様A102.
1つまたは複数の任意選択の治療剤が、1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤を含む、態様A101の使用。
態様A103.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG3阻害剤、TIM3阻害剤、もしくはTIGIT阻害剤、またはそれらの組み合わせを含む、態様A102の使用。
態様A104.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体を含む、態様A103の使用。
態様A105.
抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、STI-A1110、(スパルタリズマブ)、JTX-4014、シンチリマブ、MEDI 0680、AGEN2034、BGB-A317、AB122、ドスタルリマブ、PF-06801591、セミプリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、カムレリズマブ、SYM021、JNJ 63723283、HLX10、LZM009、またはMGA012である、態様A104の使用。
態様A106.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-L1抗体を含む、態様A102~A105のいずれか1つの使用。
態様A107.
抗PD-L1抗体が、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、KN035、またはSTI-A1014である、態様A106の使用。
態様A108.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗CTLA-4抗体を含む、態様A102~A107のいずれか1つの使用。
態様A109.
抗CTLA-4抗体が、イピリムマブまたはトレメリムマブである、態様A108の使用。
態様A110.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗LAG3抗体を含む、態様A102~A109のいずれか1つの使用。
態様A111.
抗LAG3抗体が、GSK2831781である、態様A110の使用。
態様A112.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗TIM3抗体を含む、態様A102~A111のいずれか1つの使用。
態様A113.
1つまたは複数の免疫チェックポイント阻害剤が、抗TIGIT抗体を含む、態様A102~A112のいずれか1つの使用。
態様A114.
抗TIGIT抗体が、ビボストリマブ(MK-7684)、チラゴルマブ(RG6058)、EOS-448、BMS-986207、BGB-A1217、MTIG7192A、AB154、ASP8374、またはMK-7684である、態様A113の使用。
態様A115.
がんが、少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して抵抗性であるか、または抵抗性になっている、態様A102~A114のいずれか1つの使用。
【実施例】
【0214】
実施例1
凍結乾燥物スクリーニング実験
実験番号1
表4に提供された成分から凍結乾燥物を調製した。いずれの場合にも、13.4mgの化合物1が使用される。
【0215】
【0216】
P3、P4、P7、P8、およびP9の凍結乾燥ケーキは、可変性の外観を有し、P7が、最も良好に形成されたケーキを与えた。
図1を参照されたい。
【0217】
凍結乾燥ケーキの性能のスクリーニングの結果が、表5および表6に提供される。表6の凍結乾燥物を懸濁させるために使用された溶媒は、1mLの注射用水(WFI)であった。
【0218】
(表5)
* 時間には、懸濁のための時間に加えて、さらに1分が含まれる。
【0219】
【0220】
実験番号2
化合物1およびその他の成分を含む凍結乾燥物が、表7に提供される。いずれの場合にも、15mg/mLの化合物1が使用される。
【0221】
【0222】
実施例2
対象への皮下投与のための単位剤形としての化合物1を含む薬学的組成物の調製
凍結乾燥物L1、L2、およびL3を調製するための、化合物1、マンニトール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポロキサマー188、ヒスチジン、およびその他の成分の量が、表8に与えられる。
【0223】
(表8)
* CMCナトリウム 7LF(Ashlandパート番号891158);
** Lipoid S 100;
*** Spectrum Chemical MFG Corp.プロダクトコードP1169
【0224】
1. 凍結乾燥前溶液を与えるための溶解:
最初に、マンニトール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポロキサマー188、およびヒスチジンを40℃の水に溶解させる。溶解後、溶液は、沈殿せずに、25℃に冷却され得る。
【0225】
第2に、1M HClを使用して、溶液をpH6.6~6.8(目標6.7)に滴定する。
【0226】
第3に、溶液を温かいt-ブタノールおよびエタノールと混合する。
【0227】
第4に、大豆レシチンを30℃の溶液に溶解させる。
【0228】
第5に、化合物1を30℃の溶液に完全に溶解させる(これには数時間かかり得る)。溶液は、任意で、遮光される。
【0229】
第6に、温度を20~25℃に下げる。
【0230】
第7に、目標QS値を使用し、目標に達するまで室温WFIを添加して、溶液を正しい質量(または体積)にする。
【0231】
室温で12時間後、L2凍結乾燥前溶液は、沈殿した固体を含有していたが、それは、30℃で混合することによって再溶解し得た。
【0232】
2. 滅菌濾過
工程1の薬物生成物溶液を、リダンダント(1)Millipore Polysep IIプレフィルターおよび(2)リダンダントMillipore Durapore 0.22ミクロンカプセルフィルターを使用して滅菌濾過した。圧力は、20PSI以下に維持されなければならない。
【0233】
L2凍結乾燥前溶液の濾過中に沈殿が生じた。
【0234】
3. 凍結乾燥
初期棚温度は室温である。棚温度を-40℃に下げ、圧力を45mTorrに下げる。この条件を44.5時間保持する。次いで、棚温度を5時間かけて0℃まで上げ、その温度で12時間保持する。次いで、棚温度を1時間かけて35℃まで上げ、その温度で28時間保持する。棚温度を1時間かけて室温に戻した後、窒素によって平衡化し、次いで、栓を挿入する。凍結/乾燥は、以下のプログラムのうちの1つに従って達成される。
【0235】
【0236】
【0237】
このようにして得られた凍結乾燥物の中の化合物1の化学的純度は、97%以上である。
【0238】
4. 薬学的組成物の調製
L1およびL3については、2.5mLのWFIを凍結乾燥物に添加し、懸濁液を与えるため、容器、例えば、バイアルを振とうする。L2については、2.25mLのWFIを凍結乾燥物に添加し、懸濁液を与えるため、容器、例えば、バイアルを振とうする。
【0239】
実施例3
凍結乾燥物最適化実験
実験番号1
凍結乾燥物L4~L11を100mLスケールで調製するために使用された配合成分が、表9に提供され(100mLの各製剤を調製した)、これらの凍結乾燥物について観察された結果が、表10に提供される。
【0240】
【0241】
【0242】
実験番号2
凍結乾燥物L12~L17を100mLスケールで調製するために使用された配合成分が、表11に提供され(100mLの各製剤を調製した)、これらの凍結乾燥物について観察された結果が、表12および表13に提供される。
【0243】
【0244】
【0245】
【0246】
実施例4
懸濁実験
凍結乾燥物L2(実施例2参照)を、1.5mL、2.0mL、2.25mL、および2.5mLのWFIに懸濁させた。この薬学的組成物の試験の結果が、表14に提供される。
【0247】
(表14)
* 懸濁液が再構成の約15~20分後に粘稠になり、PSD試験を実施し得なかった。
【0248】
Instron装置(BD 3mL注射器、27G1/2インチ針、注射速度1mm/s)を使用して、射出力を試験した。結果が表15に提供される。
【0249】
【0250】
実施例5
皮下薬学的組成物実験
実施例2に従って調製された(E8hとも呼ばれる)L1薬学的組成物の安定性を2~8℃で5日間にわたって査定するため、2つの濃度(2.5mLのWFIおよび10.0mLのWFIによる凍結乾燥物の懸濁)について、化学的安定性およびコロイド安定性を決定するための実験を実施した。各濃度で、5つのバイアルを使用した。全てをゼロ時点で懸濁させ、その後、様々な保持時間の後に特性についてアッセイした。懸濁(再構成)時間および外観に関するデータが、以下の表16に要約される。
【0251】
【0252】
最初の3日間は、容易にバイアルを再懸濁させる(再び振とうして均一な薬物生成物を達成する)ことができたが、5日目に、外観は、もはや均一でなかった。
【0253】
0日目に懸濁させ、予定された試験時間に再懸濁させ、試料採取するまで保持された各試験バイアルを用いて、実験の課程を通じて粒度分布(PSD)を測定した。PSDに関するデータは、表17に要約される。
【0254】
【0255】
PSDは、3日目までは均一であるが、5日目に上方にシフトする。HPLCによって測定される不純物の変化は、5日間の実験において見られなかった。化合物1の減少は、10mL再懸濁の5日目に見られた。このデータは、表18に示されるパーセントラベル記載量(percent label claim)の表に要約される。
【0256】
【0257】
再懸濁後、0.5mLツベルクリン注射器を使用して薬学的組成物からの化合物1の送達の正確度を試験した。150mLの懸濁液を注射器内に吸引し、アッセイのため、メスフラスコ内に注入した。2回反復で実施されたHPLCアッセイによって、相対標準偏差(RSD)を確認するため、新鮮な注射器を使用して反復試験を実施した。データは以下の表にまとめられる。
【0258】
【0259】
【0260】
【0261】
【0262】
実施例6
L3薬学的組成物による使用時実験
この実験においては、L3薬学的組成物の再懸濁および投与における化合物1の安定性および吸収を査定するため、3mg、6mg、および50mgの用量でモック注入を行った。アッセイは、0時間目、4時間目、および24時間目に実施された。結果が、表19、表20、表21、および表22に提供される。
【0263】
(表19)バイアル安定性実験
* 定量化限界2.48μg/mL未満
【0264】
(表20)Instron射出力測定
* 注射器ID:8.1mm;注射器面積51.2mm
2
【0265】
(表21)注射器安定性実験(BD 3mL注射器、27G1/2インチ針、注射速度1mm/s)
【0266】
【0267】
実施例7
薬物動態実験
実施例2に記載されたL1およびL2の薬学的組成物を、0.83mg/kgの皮下(SC)注射を介してイヌへ投与した。SC群において、投与前、投与の0.25時間後、0.5時間後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、12時間後、24時間後、36時間後、48時間後、60時間後、および72時間後に、伏在静脈または橈側皮静脈を介して、全ての動物から、エチレンジアミノ四酢酸カリウム(K2EDTA)を含有する試験管に、血液試料を収集した。4℃での遠心分離によって血液から血漿を分離し、分析まで-80℃で保管した。血漿中の化合物1およびDONの濃度を、タンデム質量分析(LC-MS/MS)法によって、液体クロマトグラフィを使用して定量化した。
【0268】
0.83mg/kgのL1薬学的組成物をイヌへ単回SC投与した後、投与の0.500時間後(Tmax中央値)に、化合物1の平均ピーク血漿中濃度(Cmax=120±33.5nM)に達した。平均終末相T1/2は、8.71±3.90時間であった。AUClastおよびAUCinfは、それぞれ、1270±469および1430±468hr*nMと計算された。MRTlastおよびMRTINFは、それぞれ、9.31±2.30hrおよび13.0±4.98hrであった。
【0269】
0.83mg/kgのL2薬学的組成物をイヌへ単回SC投与した後、投与の4.00時間後(Tmax中央値)に、化合物1の平均ピーク血漿中濃度(Cmax=70.7±18.9nM)に達した。平均終末相T1/2は、12.1±12.3時間であった。AUClastおよびAUCinfは、それぞれ、759±230および1030±478hr*nMと計算された。MRTlastおよびMRTINFは、それぞれ、7.61±2.09hrおよび17.0±16.5hrであった。
【0270】
対照的に、0.15mg/kgの化合物1の溶液製剤(媒体:5%エタノール、45%PEG 400、および0.2%ポロキサマー188を含むリン酸緩衝液)をイヌへ単回SC投与した後、投与の0.50時間後(Tmax中央値)に、イヌにおける化合物1の平均ピーク血漿中濃度(Cmax=170nM)に達した。平均終末相T1/2は、0.71hであった。AUClastは、0.249hr*μMと計算された。
【0271】
上記の態様および例示は、本開示の範囲に関して限定的なものではなく、本明細書に提示された特許請求の範囲は、本明細書に明示的に提示されるか否かに関わらず、全ての態様および例示を包含するものとする。
【0272】
本明細書において引用された特許および刊行物は、参照によりその全体が完全に組み入れられる。
【国際調査報告】